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特表2024-544346二重架橋フィブリンゲル、その原料組成物、キット、及びこれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】二重架橋フィブリンゲル、その原料組成物、キット、及びこれらの使用
(51)【国際特許分類】
   A61L 24/10 20060101AFI20241121BHJP
   A61L 24/04 20060101ALI20241121BHJP
   A61L 24/08 20060101ALI20241121BHJP
   A61L 24/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A61L24/10
A61L24/04 200
A61L24/08
A61L24/04 100
A61L24/00 230
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538770
(86)(22)【出願日】2023-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 CN2023113503
(87)【国際公開番号】W WO2024078129
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】202211244546.2
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211249717.0
(32)【優先日】2022-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】毛 崢偉
(72)【発明者】
【氏名】余 麗莎
(72)【発明者】
【氏名】王 偉林
(72)【発明者】
【氏名】丁 元
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AC04
4C081CA181
4C081CA182
4C081CB031
4C081CB032
4C081CC05
4C081CD041
4C081CD081
4C081CD091
4C081CD111
4C081CD151
4C081CD20
4C081DA12
4C081DA15
(57)【要約】
本発明は、二重架橋フィブリンゲルを提供する。本発明の二重架橋フィブリンゲルは、閉鎖機能を有する網目構造と接着機能を有する網目構造で構成される固体ヒドロゲルであり、閉鎖機能を有する網目構造は、3次元フィブリン網目であり、接着機能を有する網目構造は、3次元感光性ゲル網目であり、各感光性ゲル網目チャネルの内部に1組のフィブリン網目があり、各組のフィブリン網目は全体として連続しており、3次元フィブリン網目は、全体として固体ヒドロゲルの表面及び内部にわたって無秩序に存在する。本発明はまた、前記二重架橋フィブリンゲルを調製する原料組成物及びキット、並びに現場急速凝固止血材の調製における前記キットの使用を提供する。前記キットを用いて調製される二重架橋フィブリンゲルは、迅速かつ効率的な止血効果を有し、偶発的な創傷や外科的傷口の止血に広く使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出血傷口に対する現場急速止血が可能な二重架橋フィブリンゲルであって、
閉鎖機能を有する網目構造と接着機能を有する網目構造で構成される固体ヒドロゲルであり、
前記閉鎖機能を有する網目構造は、3次元フィブリン網目であり、前記接着機能を有する網目構造は、3次元感光性ゲル網目であり、各前記感光性ゲル網目チャネルの内部に1組の前記フィブリン網目があり、各組の前記フィブリン網目は、全体として連続しており、前記3次元フィブリン網目は、全体的に前記固体ヒドロゲルの表面及び内部にわたって無秩序に存在し、
前記3次元フィブリン網目と前記3次元感光性ゲル網目との体積比は0.5~3であり、
前記フィブリン網目は、感光性ゲルよりも先に形成され、前記フィブリン網目は、フィブリノーゲンの酵素架橋により形成され、前記感光性ゲルは、感光性材料の光架橋により形成され、前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化高分子重合体若しくはポリアクリレート類の高分子重合体を含む高分子複合材料系である、ことを特徴とする二重架橋フィブリンゲル。
【請求項2】
前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物である、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項3】
前記感光性材料は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体である、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項4】
前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体は、ポリエーテルジアクリレート若しくはその誘導体、又はポリエチレングリコールジアクリレート若しくはその誘導体から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項5】
前記メタクリロイル化高分子重合体を含む高分子複合材料系は、メタクリロイル化ゼラチン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリウレタン系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ゼラチン-セルロース系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリウレタン系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-セルロース系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリウレタン系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリ乳酸系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-セルロース系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリウレタン系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-セルロース系、メタクリロイル化キトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化キトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化キトサン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化キトサン-セルロース系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリ乳酸系、及びメタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-セルロース系から選択されるいずれか1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項6】
前記フィブリノーゲンは、ヒトフィブリノーゲン、ウシフィブリノーゲン、又はブタフィブリノーゲンのうちのいずれか1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項7】
出血傷口で混合することにより急速止血用二重架橋フィブリン接着剤を現場で調製する原料組成物であって、
組成物Aと組成物Bを含み、前記組成物Aは、感光性材料10~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩1.11~8.88重量部と、を含み、前記組成物Bは、感光性材料5~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含み、前記組成物Aと前記組成物Bとの質量比は1.4:10~14:1であり、前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化高分子重合体若しくはポリアクリレート類の高分子重合体を含む高分子複合材料系であり、前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物であり、前記酵素は、ヒトトロンビン、組換えヒトトロンビン、ウシトロンビン、ブタトロンビン、又はヘモコアグラーゼから選択されるいずれか1種であり、前記二重架橋フィブリン接着剤は、3次元フィブリン網目と3次元感光性ゲル網目の両方で構成される固体ヒドロゲルであり、各前記感光性ゲル網目チャネルの内部に1組の前記フィブリン網目があり、各組の前記フィブリン網目は、全体として連続しており、前記3次元フィブリン網目は、全体的に前記固体ヒドロゲルの表面及び内部にわたって無秩序に存在する、ことを特徴とする原料組成物。
【請求項8】
前記組成物A中の感光性材料の重量部が組成物B中の感光性材料の重量部よりも大きい、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項9】
前記組成物Aと前記組成物Bとの質量比は1.4:1~1.4:10である、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項10】
前記組成物Aは、感光性材料80~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩1.11~8.88重量部と、を含み、前記組成物Bは、感光性材料30~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項11】
前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体は、ポリエーテルジアクリレート若しくはその誘導体、又はポリエチレングリコールジアクリレート若しくはその誘導体から選択される、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項12】
前記メタクリロイル化高分子重合体を含む高分子複合材料系は、メタクリロイル化ゼラチン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリウレタン系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ゼラチン-セルロース系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリウレタン系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-セルロース系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリウレタン系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリ乳酸系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-セルロース系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリウレタン系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-セルロース系、メタクリロイル化キトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化キトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化キトサン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化キトサン-セルロース系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリ乳酸系、及びメタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-セルロース系から選択されるいずれか1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項13】
前記感光性材料は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体である、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の原料組成物。
【請求項14】
前記光開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン又は2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]から選択されるいずれか1種又は2種以上の組成物である、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の原料組成物。
【請求項15】
前記フィブリノーゲンは、ヒトフィブリノーゲン、ウシフィブリノーゲン、又はブタフィブリノーゲンから選択されるいずれか1種である、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の原料組成物。
【請求項16】
前記水溶性無機カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、又は硫酸カルシウムである、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の原料組成物。
【請求項17】
前記原料組成物は、凍結乾燥粉末、注射剤、スポンジ、又は顆粒である、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の原料組成物。
【請求項18】
溶媒に感光性材料及び光開始剤を溶解した混合溶液を調製し、前記混合溶液とヘモペキシン及びカルシウムイオンを含有する溶液とを混合して第1前駆体溶液を得て、前記第1前駆体溶液中の感光性材料、光開始剤、酵素、及びカルシウムイオンの濃度比を10~200:1~3:0.14~0.28:1.11~8.88に制御し、前記第1前駆体溶液の室温環境での保存時間を30分間未満に制御するステップと、前記混合溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液とを混合して第2前駆体溶液を得て、前記第2前駆体溶液中の感光性材料、光開始剤、及びフィブリノーゲンの濃度比を5~100:1~2:30~50に制御し、前記第1前駆体溶液と前記第2前駆体溶液を含む液体原料組成物を得るステップと、を含み、
前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化高分子重合体若しくはポリアクリレート類の高分子重合体を含む高分子複合材料系であり、前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物である、請求項7~12のいずれか1項に記載の原料組成物の調製方法。
【請求項19】
前記液体原料組成物をさらに凍結乾燥方法により処理し、固形原料組成物を得て、
前記固形原料組成物は、凍結乾燥粉末、スポンジ、又は顆粒である、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度を0.5%(w/v)よりも高く、かつ、前記第2前駆体溶液中の感光性材料の濃度を前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度よりも低く制御する、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
具体的には、
溶媒に感光性材料及び光開始剤を溶解した第1混合溶液を調製し、感光性材料と光開始剤との濃度比を10~200:1~3、感光性材料の濃度を0.5%~30%(w/v)に制御するステップ1)と、
溶媒に感光性材料及び光開始剤を溶解した第2混合溶液を調製し、感光性材料と光開始剤との濃度比を5~100:1~2、感光性材料の濃度を1)に記載の第1混合溶液よりも低く制御するステップ2)と、
1)で調製された第1混合溶液と酵素及びカルシウムイオンを含有する溶液とを混合して第1前駆体溶液を得て、感光性材料、光開始剤、酵素、及びカルシウムイオンの濃度比を10~200:1~3:0.14~0.28:1.11~8.88に制御するステップ3)と、
2)で調製された第2混合溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液とを混合して第2前駆体溶液を得て、感光性材料、光開始剤、及びフィブリノーゲンの濃度比を5~100:1~2:30~50に制御するステップ4)と、を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記酵素及びカルシウムイオンを含有する溶液は、溶媒及び水溶性無機カルシウム塩溶液を酵素に加え、完全に溶解して、Ca2+含有酵素溶液を得る方法によって調製され、得られた溶液中の酵素活性は500IU~2000IU/ml、Ca2+濃度は60~100mmol/Lに制御される、ことを特徴とする請求項18又は21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記フィブリノーゲンを含有する溶液において、フィブリノーゲンの濃度は5%~10%(w/v)である、ことを特徴とする請求項18又は21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度は1%~30%(w/v)に制御される、ことを特徴とする請求項18又は21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1前駆体溶液中の酵素活性は200IU/ml以上に制御される、ことを特徴とする請求項18又は21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記第1前駆体溶液中のカルシウムイオンの濃度は20mmol/L以上に制御される、ことを特徴とする請求項18又は21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記第2前駆体溶液中の感光性材料の濃度は、1%~10%(w/v)で、かつ前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度以下に制御される、ことを特徴とする請求項18又は21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2前駆体溶液中のフィブリノーゲンの濃度は3%(w/v)以上に制御される、ことを特徴とする請求項18又は21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1~6のいずれか1項に記載の二重架橋フィブリンゲルを調製するためのキットであって、
互いに個別に包装される第1前駆体試薬及び第2前駆体試薬を含み、前記第1前駆体試薬は、感光性材料10~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩3.33~5.55重量部と、を含有し、前記第2前駆体試薬は、感光性材料5~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含み、前記第1前駆体試薬と前記第2前駆体試薬との質量比は1.4:10~14:1であり、前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化高分子重合体若しくはポリアクリレート類の高分子重合体を含む高分子複合材料系であり、前記酵素は、ヒトトロンビン、組換えヒトトロンビン、ウシトロンビン、ブタトロンビン、又はヘモコアグラーゼから選択されるいずれか1種である、キット。
【請求項30】
前記第1前駆体試薬と前記第2前駆体試薬との質量比は1.4:1~1.4:10である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記第1前駆体試薬は、感光性材料80~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩3.33~5.55重量部と、を含有し、前記第2前駆体試薬は、感光性材料30~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含有する、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項32】
前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項33】
前記感光性材料は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項34】
前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体は、ポリエーテルジアクリレート若しくはその誘導体、又はポリエチレングリコールジアクリレート若しくはその誘導体から選択される、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項35】
前記メタクリロイル化高分子重合体を含む高分子複合材料系は、メタクリロイル化ゼラチン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリウレタン系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ゼラチン-セルロース系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリウレタン系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-セルロース系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリウレタン系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリ乳酸系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-セルロース系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリウレタン系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-セルロース系、メタクリロイル化キトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化キトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化キトサン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化キトサン-セルロース系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリ乳酸系、及びメタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-セルロース系から選択されるいずれか1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項36】
前記光開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン又は2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]から選択されるいずれか1種又は2種以上の組成物である、ことを特徴とする請求項29~35のいずれか1項に記載のキット。
【請求項37】
前記フィブリノーゲンは、ヒトフィブリノーゲン、ウシフィブリノーゲン、又はブタフィブリノーゲンから選択されるいずれか1種である、ことを特徴とする請求項29~35のいずれか1項に記載のキット。
【請求項38】
前記水溶性無機カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、又は硫酸カルシウムから選択される、ことを特徴とする請求項29~35のいずれか1項に記載のキット。
【請求項39】
前記第1前駆体試薬及び/又は第2前駆体試薬は、補助材料及び/又は添加剤をさらに含み、前記補助材料は、グリシン、アルギニン塩酸塩、クエン酸ナトリウム、スクロース、及び塩化ナトリウムから選択される1種又は2種以上であり、前記添加剤は、成長因子、インターロイキン、ビタミン、及び銀イオンから選択される1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項29~35のいずれか1項に記載のキット。
【請求項40】
前記成長因子は、血小板成長因子、上皮成長因子、又は線維芽細胞成長因子から選択される1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項39に記載のキット。
【請求項41】
前記インターロイキンは、インターロイキン2、インターロイキン6、又はインターロイキン8から選択される1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項39に記載のキット。
【請求項42】
前記ビタミンは、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、又はビタミンKから選択される1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項39に記載のキット。
【請求項43】
個別に包装される調製用溶媒をさらに含み、前記調製用溶媒は、リン酸緩衝溶液、HEPES生物学的緩衝液、0.9%塩化ナトリウム溶液、塩化カルシウム溶液、又は脱イオン水のうちのいずれか1種又は複数種の混合物である、ことを特徴とする請求項29~35のいずれか1項に記載のキット。
【請求項44】
キットの取扱書をさらに含む、ことを特徴とする請求項29~35のいずれか1項に記載のキット。
【請求項45】
請求項29~35のいずれか1項に記載のキットを用いて出血傷口に対する現場急速止血を行う方法であって、
調製用溶媒を用いて、前記キットの第1前駆体試薬及び第2前駆体試薬をそれぞれ注射可能な溶液状に調製し、出血傷口に均一に注射又はスプレーし、次に、290~480nm波長帯の光を10~60s照射し、出血傷口で凝固止血材としての固体ヒドロゲルを現場で迅速に形成することを含む、方法。
【請求項46】
前記出血傷口は、偶発的な外傷又は手術中に引き起こされる器官出血を含み、前記器官は、肝臓、脾臓、腎臓、胃腸、心臓、又は皮膚である、ことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医薬材料の分野に属し、特に偶発的な外傷又は手術による出血の止血用の二重架橋フィブリンゲル、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外傷後又は手術中の制御不能な出血は世界中で主な死因となっており、毎年200万人以上がこのような出血により死亡している。手術や外傷での制御不能な出血により、合併症や有害な結果が生じることがよくある。したがって、出血量を制御することは、合併症や死亡率を低下させ、患者の予後を改善するための重要な手段である。
【0003】
現在、手術中の出血の制御を支援するためにいくつかの局所止血材が開発されている。市場で一般的に使用されている外科手術用シーラントには、フィブリン糊や合成組織接着剤などがある。フィブリン糊は、優れた生体適合性を備えた最も広く使用されている止血剤であり、さまざまな外科手術での止血を支援し、凝固カスケード反応をシミュレートし、出血部位でフィブリン凝集塊を現場で形成し、出血をブロックすることができる。しかし、フィブリン糊は、継続的な組織張力や血液の影響により接着強度が低下し、血流によって洗い流されやすく、これは、その止血機能の発揮に不利であり、また、その止血効果は、湿潤組織への接着力が低いため制限される。一方、シアノアクリレート接着剤などの合成組織接着剤は、優れた接着能力にもかかわらず、細胞毒性が高く、除去が難しいため、その使用が制限されている。
【0004】
湿潤組織の表面への生体接着剤の接着力が低いという現在の使用のボトルネックを打破するために、従来技術では、メタクリロイル化ゼラチンを止血ゲル材料として使用する研究が行われており、このような二重結合変性ゼラチンは、ゼラチンの遊離アミノをメタクリル酸無水物により官能化してメタクリルアミド基にすることにより得られたものであり、特定の波長が照射される条件では、材料内の光開始剤が光エネルギーを吸収してフリーラジカルを生成し、これによりメタクリロイル化ゼラチンの分子間に結合が形成され、固体ゲルが形成される。メタクリロイル化ゼラチンは、優れた生体適合性を有するに加えて、優れた機械的特性及び接着力を備えている。ただし、メタクリロイル化ゼラチンには凝固促進機能がないため、その止血能力がある程度制限される。メタクリロイル化ゼラチンは、光硬化時間が5~10秒と長く、光硬化過程で血流により洗い流されやすいため、重度の出血では、大量の血液がその接着能力を弱める。Luoらの研究では、この欠点を補うために、メタクリロイル化ゼラチンに凝固機能を持つヘモコアグラーゼを導入し、それにより構築された止血ゲルは、止血効果が向上した。(Guo Y, Wang Y, Zhao X, et al. Snake extract-laden hemostatic bioadhesive gel cross-linked by visible light. Sci Adv. 2021. 7(29).)。しかし、本研究で構築されたヘモコアグラーゼを担持するメタクリロイル化ゼラチンは、ゲルの表面にあるごく少量のヘモコアグラーゼのみが血液と接触することができ、血液中のフィブリノーゲンの濃度が低く(2~4g/L)、形成されたフィブリン架橋は傷口を閉鎖するのには不十分である。また、メタクリロイル化ゼラチンは、光硬化が完了する前には、傷口を閉鎖する効果が弱い。これらは、いずれもその止血効果を大幅に制限する。2020年、Wangらは、遊離トロンビン及びトロンビンを担持したリポソームをメタクリロイル化ゼラチンに組み込むことにより、初期トロンビン放出による止血促進と持続的トロンビン放出による糖尿病性傷口の後期の多段階癒合の調節を実現するトロンビン-メタクリロイル化ゼラチンヒドロゲルを構築した(Chongyang W, Tianyi W, Guangwang L, et al. Promoting coagulation and activating SMAD3 phosphorylation in wound healing via a dual-release thrombin-hydrogel. Chemical Engineering Journal. 2020. 397(C).)。この研究で構築されたゲルの欠点は、Luoらの研究と似ている。ゲルから放出されるトロンビンの量は少なく、血液中のフィブリノーゲンとの接触が少なく、そのためフィブリン架橋を形成できず、傷口を閉鎖する作用が弱く、止血効果が低下する。
【0005】
さらに、従来技術では、他の光硬化性材料が止血材を製造するために使用されることも報告されている。例えば、中国特許文献CN111116973Aは、能動的な止血機能を有するポリビニルアルコール止血多孔質材料を開示しており、変性ポリビニルアルコールを光触媒架橋して得られるスポンジに、キトサン又は(及び)トロンビンなどの能動的な止血機能を有する重合体を添加することにより、スポンジに能動的な止血効果を付与する。しかし、この論文で報告されている止血時間は90s~100sであり、止血時間が長く、止血効果が低下するのは避けられない。これは、1)事前に形成されたスポンジが湿潤組織に完全に接触できないため、現場で形成されたゲルよりも閉鎖効果が劣る、2)スポンジ内のトロンビンは乾燥状態では容易に遊離しないため、その凝固促進機能が制限される、3)血液中のフィブリノーゲンの濃度が低く(2~4g/L)、形成されたフィブリン架橋が傷口を閉鎖するのに不十分であるからである。したがって、手術中に大量の出血が発生した場合、急速止血の要求を満たすことは困難である。また、臓器や体表に出血を伴う傷口がある場合には、その膨張により傷口を圧迫する作用や効果が限定され、止血効果がある程度弱まる。また、このスポンジを剥がす際に、止血部位にスポンジが付着し、傷口に二次的なダメージを与える恐れがある。
【0006】
好適な止血材は、生体の凝固機構に依存せず、生体の凝固が故障した場合でも止血作用を発揮し、湿潤組織への接着能力が高く、好適な凝固止血速度を備えている必要がある。したがって、湿潤組織への接着力が劣り、止血効果が限られているという既存の止血材の問題を解決できる新しい止血材を発明することが特に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術に存在する上記の欠点を解決するために、本発明の主な目的は、凝固促進と接着性向上の両方の効果を実現できるために、急速止血や迅速なゲル化が可能であり、高接着性を有する接着剤を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、前記接着剤の臨床的な普及及び使用のための、前記接着剤を調製することができる原料組成物、及びキットを提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、前記キットを用いた止血方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成させるために、本発明は、以下の技術的解決手段を採用する。
【0011】
第1態様では、本発明は、閉鎖機能を有する網目構造と接着機能を有する網目構造で構成される固体ヒドロゲルであり、前記閉鎖機能を有する網目構造は、接着機能を有する網目構造よりも先に形成される、二重架橋フィブリンゲルを提供する。前記閉鎖機能を有する網目構造は、3次元フィブリン網目であり、前記接着機能を有する網目構造は、3次元感光性ゲル網目であり、各前記感光性ゲル網目チャネルの内部に1組の前記フィブリン網目があり、各組の前記フィブリン網目は、全体として連続しており、前記3次元フィブリン網目は、全体として、前記固体ヒドロゲルの表面及び内部にわたって無秩序に存在する。
【0012】
本発明の前記二重架橋フィブリンゲルにおいては、前記3次元フィブリン網目は、足場として機能し、ゲルの強度を高める役割を果たし、その形成プロセスは、血液中のフィブリノーゲンをフィブリンに変換し、それによって傷口を予備的に閉鎖する作用を果たす。フィブリンの割合が上昇するにつれて、固体ヒドロゲルのゲル化時間が短縮され、組織への接着力が低下するが、ゲルの細孔は大きくなり、凝固促進機能が向上する。前記3次元感光性ゲル網目は、ゲルの強度と組織への接着力を付与する役割を果たす。前記固体ヒドロゲル中の感光性ゲル網目の割合が上昇するにつれて、固体ヒドロゲルの組織への接着力も上昇するが、ゲル化時間も長くなり、ゲルの細孔が小さくなり、凝固促進機能が低下する。ゲルの全体的な止血性能に対する上記の2つの網目の異なる影響を考慮して、本発明では、実験を通じてゲル中の2つの網目の割合をさらに最適化した。好ましい二重架橋フィブリンゲルでは、前記3次元フィブリン網目と前記3次元感光性ゲル網目との体積比は、0.5~3、好ましくは、0.5~2、最も好ましくは1である。これらの最適な体積比では、2つの網目によりゲル全体に優れた止血性能がもたらされ、特に、フィブリン網目と感光性ゲル網目との体積比が1:1に達すると、ゲルの止血性能が最適になり、ゲルの強度と接着力を向上させながら凝固を迅速に促進することができる。
【0013】
本発明の前記二重架橋フィブリンゲルにおいては、前記感光性ゲルは、既存の種々の光硬化性高分子材料(すなわち、感光性材料)の光架橋により形成することができる。前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はそれらを含む高分子複合材料系であってもよい。
【0014】
さらに、前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物であってもよい。前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体は、ポリエーテルジアクリレート若しくはその誘導体、又はポリエチレングリコールジアクリレート若しくはその誘導体から選択されてもよい。本発明の最も好ましい感光性材料は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体である。
【0015】
さらに、前記メタクリロイル化高分子重合体の誘導体は、その官能基の1つ又は複数を修飾した重合体を含む。前記メタクリロイル化ゼラチンの修飾可能な官能基は、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドロキシ、又はグアニジノのうちのいずれか1種又は2種以上を含む。前記メタクリロイル化ヒアルロン酸の誘導体は、その官能基の1つ又は複数種を修飾した重合体を含み、修飾可能な官能基は、ヒドロキシ、カルボキシ、アセトアミド、又はヒドロキシメチルのうちのいずれか1種又は2種以上を含む。前記メタクリロイル化アルギン酸ナトリウムの誘導体は、官能基の1つまたは複数を修飾した重合体を含み、修飾可能な官能基は、カルボキシ、ヒドロキシのうちのいずれか1種又は2種を含む。前記メタクリロイル化シルクフィブロインの誘導体は、その官能基の1つまたは複数を修飾した重合体を含み、修飾可能な官能基は、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドロキシ、又はグアニジノのうちのいずれか1種又は2種以上を含む。前記メタクリロイル化キトサンの誘導体は、官能基の1つまたは複数を修飾した重合体又は複数種の化学反応が起こった重合体を含み、修飾可能な官能基は、アミノ又はヒドロキシのうちのいずれか1種又は2種を含み、起こり得る複数種の化学反応は、アルキル化、アシル化、カルボキシメチル化、加水分解、酸化、及び還元化学反応のうちのいずれか1種又は2種以上を含む。
【0016】
前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体の分子量の範囲は5~400kDaであり、前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体の分子量の範囲は700~1000kDaである。
【0017】
さらに、前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体を含む高分子複合材料系は、メタクリロイル化ゼラチン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリウレタン系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ゼラチン-セルロース系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリウレタン系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-セルロース系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリウレタン系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリ乳酸系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-セルロース系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリウレタン系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-セルロース系、メタクリロイル化キトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化キトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化キトサン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化キトサン-セルロース系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリ乳酸系、及びメタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-セルロース系のうちのいずれか1種又は2種以上を含む。
【0018】
本発明の前記二重架橋フィブリンゲルにおいては、前記フィブリン網目は、フィブリノーゲンの酵素架橋により形成されてもよい。前記フィブリノーゲンは、ヒトフィブリノーゲン、ウシフィブリノーゲン、又はブタフィブリノーゲンのうちのいずれか1種であってもよい。
【0019】
第2態様では、本発明は、組成物Aと組成物Bを含み、前記組成物Aは、感光性材料10~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩1.11~8.88重量部と、を含み、前記組成物Bは、感光性材料5~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含み、前記組成物Aと前記組成物Bとの質量比は1.4:10~14:1、好ましくは、1.4:1~1.4:10、より好ましくは、1.4:1~1.4:5、最も好ましくは、1.4:1である、本発明の第1態様に記載の二重架橋フィブリン接着剤を調製する原料組成物を提供する。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記組成物A中の感光性材料の重量部は組成物B中の感光性材料の重量部よりも大きい。前記組成物A及び組成物B感光性材料の上記重量部は、組成物A中の酵素と組成物B中のフィブリノーゲンとが酵素反応を起こし、安定化したフィブリン網目構造を形成するのに有利である。
【0021】
本発明の前記原料組成物においては、前記フィブリノーゲンは、前記酵素の作用により酵素架橋反応を通じてフィブリン網目を形成することができ、前記感光性材料は、前記光開始剤の作用により光架橋反応を通じて感光性ゲルを形成することができる。したがって、本発明の前記原料組成物中の組成物Aと組成物Bとを前記質量比で混合した後に光を照射することにより、二重架橋フィブリン接着剤を調製することができる。この接着剤は、固体ヒドロゲルであり、その構造には3次元フィブリン網目と3次元感光性ゲル網目の両方が存在する。各前記感光性ゲル網目チャネル内に1組の前記フィブリン網目があり、各組の前記フィブリン網目は、全体として連続している。前記3次元フィブリン網目は、全体として前記固体ヒドロゲルの表面及び内部にわたって無秩序に存在する。この固体ヒドロゲルが出血している傷口上に形成されると、即座に(約1s)傷口の表面にフィブリン凝集塊を形成し、傷口を予備的に閉鎖して血液の流出を防ぐ作用を果たす。また、フィブリン凝集塊中の酵素は、血液中のフィブリノーゲンを凝集塊に変換し、効率的な凝固促進機能を果たす。さらに、光励起下で、感光性材料は5~10s以内に光硬化性ゲルを形成することができる。光硬化性ゲルは、高い接着力を持ち、血流による衝撃に耐え、フィブリン架橋が血液によって洗い流されるのを防ぐ。要するに、本発明の前記原料組成物においては、前記組成物Aと組成物Bとを混合した後、足場となるフィブリン網目が即座に形成され、その後、感光性ゲルも速やかに形成される。後で形成される感光性ゲルにより、フィブリン網目が覆われる。
【0022】
本発明では、前記原料組成物においては、前記組成物Aと組成物Bとの質量比が、二重架橋フィブリン接着剤の傷口を予備的に閉鎖する効果や接着強度に関係することを実験により見出した。組成物Aと組成物Bとの質量比が1.4:10~1.4:1の範囲にある場合、組成物Aの割合が上昇するにつれて、二重架橋フィブリン接着剤の凝固促進機能が上昇し、傷口を予備的に閉鎖する効果が上昇し、かつ接着強度が上昇する。組成物Aと組成物Bとの質量比が1.4:1~14:1の範囲にある場合、組成物Aの割合が上昇するにつれて、二重架橋フィブリン接着剤の凝固促進機能及び傷口を予備的に閉鎖する効果や接着強度はそれ以上上昇しなかった。これは、組成物Aと組成物Bとの質量比が1.4:1である場合、最良の止血効果が達成され、材料の最良の利用率が達成できることを意味する。この割合では、架橋によって生成される2つの網目の体積比は約1:1に達し、調製されたゲルに最適な凝固促進機能や接着強度をもたらすことができる。
【0023】
本発明の好ましい前記原料組成物においては、前記組成物Aは、感光性材料80~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩1.11~8.88重量部と、を含み、前記組成物Bは、感光性材料30~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含む。
【0024】
本発明のより好ましい前記原料組成物においては、前記組成物Aは、感光性材料100~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩1.11~8.88重量部と、を含み、前記組成物Bは、感光性材料30~50重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含む。
【0025】
本発明の最も好ましい前記原料組成物においては、前記組成物Aは、感光性材料100~150重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩1.11~8.88重量部と、を含み、前記組成物Bは、感光性材料30~50重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含む。
【0026】
第3態様では、本発明はまた、溶媒に感光性材料及び光開始剤を溶解した混合溶液を調製し、前記混合溶液とヘモペキシン及びカルシウムイオンを含有する溶液とを混合して第1前駆体溶液を得て、前記第1前駆体溶液中の感光性材料、光開始剤、酵素、及びカルシウムイオンの濃度比を10~200:1~3:0.14~0.28:1.11~8.88に制御するステップと、前記混合溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液とを混合して第2前駆体溶液を得て、前記第2前駆体溶液中の感光性材料、光開始剤、及びフィブリノーゲンの濃度比を5~100:1~2:30~50に制御するステップと、それにより、第1前駆体溶液と第2前駆体溶液を含む液体原料組成物を得るステップを含み、前記原料組成物の調製方法を提供する。前記液体原料組成物を常法によりさらに処理して、凍結乾燥粉末、スポンジ、又は顆粒などの固形原料組成物を得るようにしてもよい。
【0027】
本発明の前記調製方法においては、第1前駆体溶液中の感光性材料の活性を維持するために、第1前駆体溶液の室温環境での放置時間は30分間未満に制御される。
【0028】
本発明の前記調製方法においては、フィブリノーゲンの分散均一性や感光性材料の光架橋速度を考慮して、前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度を0.5%(w/v)よりも高く、第2前駆体溶液中の感光性材料の濃度を前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度よりも低く制御するのが好ましい。それにより、フィブリノーゲン溶液は、比較的低濃度の感光性材料を含む第2前駆体溶液中により容易に均一に分散される。2種の前駆体溶液は、よく混合されると、酵素と迅速かつ完全に接触し、完全な酵素架橋を即座に起こし、均一に分布したフィブリン網目を形成する。また、第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度が高いと、2種の前駆体溶液を混合した感光性材料全体の濃度が上昇し、ゲル化に必要なより理想的な濃度になり、これは、光架橋時間を短縮させ、ゲルの接着力と強度を向上させることに有利である。
【0029】
本発明の前記調製方法においては、前記第1前駆体溶液及び第2前駆体溶液を調製する際には、前記混合溶液の温度は37℃以下に制御されるのが好ましい。
【0030】
本発明のさらに好ましい前記原料組成物注射剤の調製方法は、具体的には、
溶媒に感光性材料及び光開始剤を溶解した第1混合溶液を調製し、感光性材料と光開始剤との濃度比を10~200:1~3、感光性材料の濃度を0.5%~30%(w/v)に制御するステップ1)と、
溶媒に感光性材料及び光開始剤を溶解した第2混合溶液を調製し、感光性材料と光開始剤との濃度比を5~100:1~2、感光性材料の濃度を1)に記載の第1混合溶液よりも低く制御するステップ2)と、
1)で調製された第1混合溶液と酵素及びカルシウムイオンを含有する溶液とを混合して第1前駆体溶液を得て、感光性材料、光開始剤、酵素、及びカルシウムイオンの濃度比を10~200:1~3:0.14~0.28:1.11~8.88に制御するステップ3)と、
2)で調製された第2混合溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液とを混合して第2前駆体溶液を得て、感光性材料、光開始剤、及びフィブリノーゲンの濃度比を5~100:1~2:30~50に制御するステップ4)と、を含む。
【0031】
本発明の前記調製方法においては、前記酵素及びカルシウムイオンを含有する溶液は、溶媒及び水溶性無機カルシウム塩溶液を酵素に加え、完全に溶解して、Ca2+含有酵素溶液を得ることによって調製され、得られた溶液中の酵素活性は500IU~2000IU/ml、Ca2+濃度は60~100mmol/Lに制御されるのが好ましい。
【0032】
本発明の前記調製方法においては、前記フィブリノーゲンを含有する溶液において、フィブリノーゲンの濃度は、好ましくは5%~10%(w/v)である。
【0033】
本発明の好ましい調製方法において、前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度は1%~30%(w/v)、さらに好ましくは、8%~30%(w/v)、より好ましくは、10%~20%に制御される。
【0034】
本発明の好ましい調製方法においては、前記第1前駆体溶液中の酵素活性は、200IU/ml以上、好ましくは、500IU/ml以上、より好ましくは、1000IU/ml以上に制御される。
【0035】
本発明の好ましい調製方法においては、前記第1前駆体溶液中のカルシウムイオンの濃度は、20mmol/L以上、好ましくは、30mmol/L以上、より好ましくは、40mmol/L以上に制御される。
【0036】
本発明の好ましい調製方法においては、前記第2前駆体溶液中の感光性材料の濃度は、0.5%(w/v)以上で、かつ前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度以下、さらに好ましくは、1%(w/v)以上で、かつ前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度以下、より好ましくは、1%~10%(w/v)で、かつ于前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度以下に制御される。
【0037】
本発明の好ましい調製方法においては、前記第2前駆体溶液中のフィブリノーゲンの濃度は3%(w/v)以上、より好ましくは、3%~5%(w/v)に制御される。
【0038】
第4態様では、本発明はまた、互いに個別に包装される第1前駆体試薬及び第2前駆体試薬を含み、前記第1前駆体試薬は、感光性材料10~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩3.33~5.55重量部と、を含有し、前記第2前駆体試薬は、感光性材料5~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含み、前記第1前駆体試薬と前記第2前駆体試薬との質量比は、1.4:10~14:1、好ましくは、1.4:1~1.4:10、より好ましくは、1.4:1~1.4:5、最も好ましくは、1.4:1である、本発明の第1態様に記載の二重架橋フィブリンゲルを調製するためのキットを提供する。
【0039】
本発明の好ましい前記キットにおいては、前記第1前駆体試薬は、感光性材料80~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩3.33~5.55重量部と、を含有し、前記第2前駆体試薬は、感光性材料30~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含有する。
【0040】
本発明のより好ましい前記キットにおいては、前記第1前駆体試薬は、感光性材料100~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩3.33~5.55重量部と、を含有し、前記第2前駆体試薬は、感光性材料30~50重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含有する。
【0041】
本発明の最も好ましい前記キットにおいては、前記第1前駆体試薬は、感光性材料100~150重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩3.33~5.55重量部と、を含有し、前記第2前駆体試薬は、感光性材料30~50重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含有する。
【0042】
本発明の前記キットにおいては、前記第1前駆体試薬及び第2前駆体試薬に含まれる感光性材料は、感光性のバイオヒドロゲル材料であり、既存のさまざまな光硬化性高分子材料であってもよい。前記第1前駆体試薬及び第2前駆体試薬に含まれる光開始剤は、特定の波長光の照射の条件で、光エネルギーを吸収してフリーラジカルを生成する物質である。前記光開始剤は、光エネルギーを吸収してフリーラジカルを生成することができ、これにより前記感光性材料の分子間に結合が形成され、それによって固相ゲルが迅速に形成される。好適な感光性材料は、良好な生体適合性と分解性、ならびに良好な機械的特性と接着特性を備えている必要がある。
【0043】
本発明の前記原料組成物又は前記キットにおいては、前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はこれらを含む高分子複合材料系であってもよい。
【0044】
さらに、前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物であってもよい。前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体は、ポリエーテルジアクリレート若しくはその誘導体、又はポリエチレングリコールジアクリレート若しくはその誘導体から選択されてもよい。本発明の最も好ましい感光性材料は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体である。
【0045】
さらに、前記メタクリロイル化高分子重合体の誘導体は、その官能基の1つまたは複数を修飾した重合体を含む。前記メタクリロイル化ゼラチンの修飾可能な官能基は、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドロキシ、又はグアニジノのうちのいずれか1種又は2種以上を含む。前記メタクリロイル化ヒアルロン酸の誘導体は、その官能基の1つまたは複数を修飾した重合体を含み、修飾可能な官能基は、ヒドロキシ、カルボキシ、アセトアミド、又はヒドロキシメチルのうちのいずれか1種又は2種以上を含む。前記メタクリロイル化アルギン酸ナトリウムの誘導体は、その官能基の1つまたは複数を修飾した重合体を含み、修飾可能な官能基は、カルボキシ、ヒドロキシのうちのいずれか1種又は2種を含む。前記メタクリロイル化シルクフィブロインの誘導体は、その官能基の1つまたは複数を修飾した重合体を含み、修飾可能な官能基は、アミノ、カルボキシ、メルカプト、ヒドロキシ、又はグアニジノのうちのいずれか1種又は2種以上を含む。前記メタクリロイル化キトサンの誘導体は、その官能基の1つまたは複数を修飾した重合体又は複数種の化学反応が起こった重合体を含み、修飾可能な官能基は、アミノ又はヒドロキシのうちのいずれか1種又は2種を含み、起こり得る複数種の化学反応は、アルキル化、アシル化、カルボキシメチル化、加水分解、酸化、及び還元化学反応のうちのいずれか1種又は2種以上を含む。
【0046】
前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体の分子量の範囲は5~400kDaであり、前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体の分子量の範囲は700~1000kDaである。
【0047】
さらに、前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体を含む高分子複合材料系は、メタクリロイル化ゼラチン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリウレタン系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ゼラチン-セルロース系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリウレタン系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-セルロース系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリウレタン系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリ乳酸系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-セルロース系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリウレタン系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-セルロース系、メタクリロイル化キトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化キトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化キトサン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化キトサン-セルロース系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリ乳酸系、及びメタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-セルロース系のうちのいずれか1種又は2種以上を含む。
【0048】
本発明の好ましい前記原料組成物又は前記キットにおいては、前記光開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン又は2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]から選択されるいずれか1種又は2種以上の組成物であってもよいが、最も好ましくは、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムである。
【0049】
本発明の好ましい前記原料組成物又は前記キットにおいては、前記酵素は、ヒトトロンビン、組換えヒトトロンビン、ウシトロンビン、ブタトロンビン、又はヘモコアグラーゼから選択されるいずれか1種であってもよい。
【0050】
本発明の好ましい前記原料組成物又は前記キットにおいては、前記フィブリノーゲンは、ヒトフィブリノーゲン、ウシフィブリノーゲン、又はブタフィブリノーゲンから選択されるいずれか1種であってもよい。
【0051】
本発明の好ましい原料組成物又はキットにおいては、前記水溶性無機カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、又は硫酸カルシウムから選択されてもよいが、最も好ましくは、塩化カルシウムである。
【0052】
本発明の好ましいキットにおいては、前記第1前駆体試薬及び/又は第2前駆体試薬は、補助材料及び/又は添加剤をさらに含む。前記補助材料は、グリシン、アルギニン塩酸塩、クエン酸ナトリウム、スクロース、及び塩化ナトリウムから選択される1種又は2種以上である。前記添加剤は、成長因子、インターロイキン、ビタミン、及び銀イオンから選択される1種又は2種以上である。前記成長因子はさらに、血小板成長因子、上皮成長因子、又は線維芽細胞成長因子から選択される1種又は複数種であり、前記インターロイキンは、インターロイキン2、インターロイキン6、又はインターロイキン8から選択される1種又は複数種であり、前記ビタミンはさらに、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、又はビタミンKから選択される1種又は複数種であってもよい。
【0053】
本発明の前記キットにおいては、前記第1前駆体試薬及び/又は第2前駆体試薬は、薬学的又は臨床的に許容される複数種の特定の剤形、例えば、凍結乾燥粉末、スポンジ、又は顆粒であってもよい。
【0054】
本発明の前記キットにおいては、個別に包装される調製用溶媒をさらに含んでもよく、前記調製用溶媒は、リン酸緩衝溶液、HEPES生物学的緩衝液、0.9%塩化ナトリウム溶液、塩化カルシウム溶液、脱イオン水のうちのいずれか1種又は複数種の混合物であってもよい。前記調製用溶媒の剤形は、注射剤が好ましい。
【0055】
本発明の前記キットにおいては、前記キットの使用方法を記載する取扱書をさらに含んでもよい。
【0056】
第5態様では、本発明はまた、本発明の第4態様に記載のキットを用いて出血傷口に対する現場急速止血を行う方法であって、調製用溶媒を用いて、前記第1前駆体試薬及び第2前駆体試薬をそれぞれ注射可能な溶液状に調製し、出血傷口に均一に注射又はスプレーし、次に、290~480nm波長帯の光を10~60s照射し、出血傷口で固体ヒドロゲルを現場で迅速に形成することを含む、方法を提供する。
【0057】
前記出血傷口は、偶発的な外傷又は手術中に引き起こされる器官出血を含み、前記器官は、肝臓、脾臓、腎臓、胃腸、心臓、又は皮膚であってもよい。
【0058】
本発明の前記使用においては、出血傷口に前記キットが注射されると、(1)即座に(約1s)傷口の表面にフィブリン凝集塊を形成し、傷口を予備的に閉鎖して血液の流出を防ぐ作用を果たすことができ、それにより、光硬化が完了するまでの感光性材料の弱い閉鎖作用を強化させる。(2)また、フィブリン凝集塊中の酵素は、血液中のフィブリノーゲンを凝集塊に変換し、効率的な凝固促進機能を果たす。(3)さらに、光励起下で、感光性材料は5~10s以内に光硬化性ゲルを形成することができる。光硬化性ゲルは、高い接着力を持ち、血流による衝撃に耐え、フィブリン架橋が血液によって洗い流されるのを防ぐ。したがって、本発明の前記キット又はキットを用いて二重架橋フィブリンゲルを現場で調製することにより、フィブリン架橋の速い発生速度及び光架橋による高い接着力を組み合わせて、フィブリン架橋網目と光架橋網目の構造を持つ二重架橋フィブリンゲルを得ることができる。
【発明の効果】
【0059】
従来技術と比較して、本発明の利点は以下の通りである。ゲル化までの時間が短く、硬化速度が速く、湿潤組織への接着力が高く、止血効果が良好である。
(1)本発明の二重架橋フィブリンゲルキットは、混合後、座直に(約1s)フィブリン架橋を生成し、予備的な閉鎖役割を果たし、血流による衝撃をブロックする。
(2)本発明の二重架橋フィブリンゲルキットの酵素は、血液中のフィブリノーゲンをフィブリン架橋に変換することができ、効率的な凝固促進能力を有する。
(3)本発明の二重架橋フィブリンゲルキットは、紫外線又は可視光の励起下で5~10秒以内に光架橋反応を起こして、光硬化性ゲルを形成することができ、これにより湿潤組織への高い接着力を付与し、フィブリン架橋が血液によって洗い流されるのを防ぐことができる。
本発明による二重架橋フィブリンゲルは、優れた凝固促進機能、速い固化速度、湿潤組織への高い接着力及び迅速な止血効果を有するから、偶発的な外傷や手術における肝臓、脾臓、腎臓、心臓、胃腸、及び皮膚の出血に対する止血用途などに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】比較例1のフィブリン架橋のSEM像である。
図2】比較例2の前駆体溶液のメタクリロイル化ゼラチンを光架橋するSEM像である。
図3】実施例1の二重架橋フィブリンゲルのSEM像である。
図4】実施例1、9、14、19、25、31及び比較例1~6の止血時間を比較したものである。
図5】実施例1、9、14、19、25、31及び比較例1~6の失血量を比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、具体的な実施例を参照して、本発明が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果について詳細に説明する。以下の実施例は、当業者が本発明をさらに理解するのに役立つが、いかなる形であっても本発明を限定するものではない。なお、当業者にとっては、本発明の概念を逸脱することなく、若干の変形及び改良を行うことができる。これらは、本発明の保護範囲に属する。
【0062】
本発明は、3次元感光性ゲル網目と3次元フィブリン網目の両方で構成される固体ヒドロゲルである二重架橋フィブリンゲルを提供する。この二重架橋フィブリンゲルは、微細構造が図3に示されており、フィブリンが架橋した網目構造と感光性材料が架橋した多孔質構造の両方を持っている。前記多孔質構造の各チャネル内に1組の前記フィブリン網目があり、各組の前記フィブリン網目は、全体として連続しており、前記3次元フィブリン網目は、全体として、固体ヒドロゲルの表面及び内部にわたって無秩序に存在する。前記フィブリン網目構造は、前記感光性ゲル網目チャネルの足場として機能し、感光性ゲルの多孔質構造の細孔壁がフィブリン網目構造を取り囲んでいる。
【0063】
前記二重架橋フィブリンゲルは、以下の方法によって調製される。
(1)組成物A溶液の調製:感光性材料及び光開始剤を溶解した混合溶液にカルシウムイオンを含む酵素溶液を溶解し、均一に混合し、感光性材料、光開始剤、及び酵素を含む組成物A溶液を得る。得られた組成物A溶液中の感光性材料の濃度は、1%(w/v)以上、好ましくは、3%(w/v)以上、より好ましくは、3%~20%(w/v)に制御され、また、酵素活性は、200IU/mL以上、好ましくは、500IU/mL以上、より好ましくは、1000IU/mL以上に制御される。
(2)組成物B溶液の調製:感光性材料及び光開始剤を溶解した混合溶液にフィブリノーゲン溶液を加え、均一に混合し、感光性材料、光開始剤、及びフィブリノーゲンを含む組成物B溶液を得る。得られた組成物B溶液中の感光性材料の濃度は、0.5%(w/v)以上、好ましくは、1%~10%(w/v)に制御され、また、フィブリノーゲンの濃度は、3%(w/v)以上、好ましくは、3%~5%(w/v)に制御される。
(3)保存方法:得られた組成物A溶液と組成物B溶液とを1:10~10:1の体積比でそれぞれ凍結乾燥し、スポンジ状にして保存する。
(4)上記の凍結乾燥スポンジを用いた二重架橋フィブリンゲルの調製:スポンジ状A成分及びスポンジ状B成分をそれぞれ溶媒に溶解し、注射可能な溶液状A成分及びB成分を得た。A成分溶液及びB成分溶液を等体積で出血部位に均一に注射/スプレーし、青色光や紫外線を10~60s照射し、固体ヒドロゲルを現場で迅速に形成した。好ましい形態として、前記注射可能な溶液を使用する際に使用する注射器具は、ダブルシリンジ、シリンジ、パスツールピペットである。
上記の調製形態では、前記溶媒は、リン酸緩衝溶液、HEPES生物学的緩衝液、0.9%塩化ナトリウム溶液、塩化カルシウム溶液、脱イオン水のうちのいずれか1種又は複数の組み合わせであってもよく、その使用量に特に制限はなく、実際に必要な濃度に応じて調製することができる。
上記の実施形態に基づいて、本発明を以下の実施例によってさらに説明する。
【実施例1】
【0064】
本実施例の二重架橋フィブリンゲル調製方法は、以下のステップを含む。
(1)メタクリロイル化ゼラチン-フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム前駆体溶液の調製:粉末状のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムに所望の体積の0.9%塩化ナトリウム溶液を加え、水浴にて加熱して溶解し、2つの濃度(0.25%(w/v)、0.5%(w/v))のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム溶液を得た。所望の重量の固体メタクリロイル化ゼラチンに、所望の濃度のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム溶液をそれぞれ加え、水浴にて加熱して溶解し、2つの質量体積百分率(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムの前駆体溶液:26%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.5%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム、10%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムを得た。
(2)ヘモペキシン溶液の調製:所望の体積及び所望の濃度の塩化カルシウム溶液をヘモペキシンに注射し、完全に溶解して、ヘモペキシン活性が2000IU/mLのヘモペキシン溶液を得た。このヘモペキシン溶液では、Ca2+濃度は80mmol/Lである。
(3)フィブリノーゲン溶液の調製:所望の重量のフィブリノーゲンを、予熱された0.9%塩化ナトリウム溶液にゆっくりと加え、完全に溶解して、質量体積百分率(w/v)が10%(w/v)のフィブリノーゲン溶液を得た。
(4)A成分溶液の調製:ステップ(2)で得られたヘモペキシン溶液をステップ(1)で得られた26%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.5%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムの前駆体溶液に加え、均一に混合し、A成分溶液:13%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンを得た。
(5)B成分溶液の調製:ステップ(3)で得られたフィブリノーゲン溶液を、ステップ(1)で得られた10%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムの前駆体溶液に加え、均一に混合し、B成分溶液:5%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンを得た。
(6)保存:得られたA成分溶液とB成分溶液とを1:1の体積比でそれぞれ凍結乾燥し、スポンジ状のものとして保存した。
(7)使用方法:スポンジ状A成分及びB成分を1:1の体積比で0.9%塩化ナトリウム含有溶液にそれぞれ溶解し、注射可能な溶液状のA成分及びB成分を得た。A成分溶液及びB成分溶液を等体積でダブルシリンジに入れ、A成分溶液及びB成分溶液をノズルにより出血部位に注射/スプレーした後、青色光を10~60s照射すると、固体ヒドロゲルを現場で形成した。このように得られたゲルには、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:1であった。
(8)前記固体ゲルの構造は図3に示される。これは、3次元フィブリン網目と3次元感光性ゲル網目の両方で構成される固体ヒドロゲルであり、形成されたメタクリロイル化ゼラチン架橋の多孔質構造の内部に1組の前記フィブリン網目があり、各組の前記フィブリン網目は、全体として連続しており、前記3次元フィブリン網目は、全体的に前記固体ヒドロゲルの表面及び内部にわたって無秩序に存在する。
【実施例2】
【0065】
濃度が10%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。ステップ(4)で調製されたA成分溶液のメタクリロイル化ゼラチンの濃度を10%(w/v)に調整した以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例1と同様であった。
【実施例3】
【0066】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。ステップ(4)で調製されたA成分溶液のメタクリロイル化ゼラチンの濃度を8%(w/v)に調整した以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例1と同様であった。
【実施例4】
【0067】
濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。ステップ(4)で調製されたA成分溶液のメタクリロイル化ゼラチンの濃度は5%(w/v)であった以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例1と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は2:1であった。
【実施例5】
【0068】
濃度が13%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が3%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。ステップ(5)で調製されたB成分溶液のメタクリロイル化ゼラチンの濃度を3%(w/v)に調整した以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例1と同様であった。
【実施例6】
【0069】
濃度が13%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-500IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。ステップ(4)で調製されたA成分溶液のヘモペキシン活性を500IU/mLに調整した以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例1と同様であった。
【実施例7】
【0070】
濃度が13%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-250IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。ステップ(4)で調製されたA成分溶液のヘモペキシン活性を250IU/mLに調整した以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例1と同様であった。
【実施例8】
【0071】
濃度が13%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-3%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。ステップ(5)で調製されたB成分溶液のフィブリノーゲンの濃度は3%(w/v)であった以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例1と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:2であった。
【実施例9】
【0072】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。1.本実施例では、A成分及びB成分中の感光性材料はメタクリロイル化ヒアルロン酸であり、A成分溶液中のメタクリロイル化ヒアルロン酸の濃度は8%(w/v)であること、2.メタクリロイル化ヒアルロン酸-フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムの前駆体溶液の調製には加熱を必要とせず、室温で行うことができること以外、その調製及び使用方法は、実施例1と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:1であった。
【実施例10】
【0073】
濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液のメタクリロイル化ヒアルロン酸の濃度を5%(w/v)に調整した以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例9と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は2:1であった。
【実施例11】
【0074】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が3%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液のメタクリロイル化ヒアルロン酸の濃度を3%(w/v)に調整した以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例9と同様であった。
【実施例12】
【0075】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-500IU/mlヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液のヘモペキシン活性を500IU/mlに調整した以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例9と同様であった。
【実施例13】
【0076】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化ヒアルロン酸-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-3%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液のフィブリノーゲンの濃度を3%(w/v)に調整した以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例9と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:2であった。
【実施例14】
【0077】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。本実施例では、A成分及びB成分中の感光性材料はメタクリロイル化アルギン酸ナトリウムであった以外、その調製方法及び使用方法は、実施例9と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:1であった。
【実施例15】
【0078】
濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウムの濃度は5%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例14と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は2:1であった。
【実施例16】
【0079】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が3%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液中のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウムの濃度は3%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例14と同様であった。
【実施例17】
【0080】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-500IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のヘモペキシン活性は500IU/mLに調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例14と同様であった。
【実施例18】
【0081】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-3%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液中のフィブリノーゲンの濃度は3%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例14と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:2であった。
【実施例19】
【0082】
濃度が10%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。本実施例では、A成分及びB成分中の感光性材料はメタクリロイル化シルクフィブロインであり、A成分溶液中のメタクリロイル化シルクフィブロインの濃度は10%(w/v)であった以外、その調製方法及び使用方法は実施例9と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:1であった。
【実施例20】
【0083】
濃度が8%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のメタクリロイル化シルクフィブロインの濃度は8%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例19と同様であった。
【実施例21】
【0084】
濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のメタクリロイル化シルクフィブロインの濃度は5%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例19と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は2:1であった。
【実施例22】
【0085】
濃度が10%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が3%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液中のメタクリロイル化シルクフィブロインの濃度は3%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例19と同様であった。
【実施例23】
【0086】
濃度が10%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-500IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のヘモペキシン活性は500IU/mLに調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例19と同様であった。
【実施例24】
【0087】
濃度が10%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のメタクリロイル化シルクフィブロイン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-3%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液中のフィブリノーゲンの濃度は3%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例19と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:2であった。
【実施例25】
【0088】
濃度が3%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が1%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。本実施例では、A成分及びB成分中の感光性材料はメタクリロイル化キトサンであり、A成分溶液中のメタクリロイル化キトサンの濃度は3%(w/v)であり、B成分溶液中のメタクリロイル化キトサンの濃度は1%(w/v)であった以外、その調製方法及び使用方法は実施例9と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:1であった。
【実施例26】
【0089】
濃度が2%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が1%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のメタクリロイル化キトサンの濃度は2%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例25と同様であった。
【実施例27】
【0090】
濃度が1%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が1%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のメタクリロイル化キトサンの濃度は1%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例25と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は2:1であった。
【実施例28】
【0091】
濃度が3%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が0.5%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液中のメタクリロイル化キトサンの濃度は0.5%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例25と同様であった。
【実施例29】
【0092】
濃度が3%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-500IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が1%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のヘモペキシン活性は500IU/mLに調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例25と同様であった。
【実施例30】
【0093】
濃度が3%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が1%(w/v)のメタクリロイル化キトサン-0.1%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-3%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液中のフィブリノーゲンの濃度は3%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例25と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:2であった。
【実施例31】
【0094】
濃度が20%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が10%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。本実施例では、A成分及びB成分中の感光性材料はポリエーテルF127ジアクリレートであり、A成分溶液中のポリエーテルF127ジアクリレートの濃度は20%(w/v)、B成分溶液中のポリエーテルF127ジアクリレートの濃度は10%(w/v)であった以外、その調製方法及び使用方法は実施例9と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:1であった。
【実施例32】
【0095】
濃度が15%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が10%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のポリエーテルF127ジアクリレートの濃度は15%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例31と同様であった。
【実施例33】
【0096】
濃度が10%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が10%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム--5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のポリエーテルF127ジアクリレートの濃度は10%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例31と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は2:1であった。
【実施例34】
【0097】
濃度が20%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が5%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液中のポリエーテルF127ジアクリレートの濃度は5%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例31と同様であった。
【実施例35】
【0098】
濃度が20%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-500IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が10%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。A成分溶液中のヘモペキシン活性は500IU/mLに調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例31と同様であった。
【実施例36】
【0099】
濃度が20%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が10%(w/v)のポリエーテルF127ジアクリレート-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-3%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。B成分溶液中のフィブリノーゲンの濃度は3%(w/v)に調整された以外、その組成、調製方法、及び使用方法は、実施例31と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:2であった。
【0100】
<比較例1>
酵素試薬とフィブリノーゲン試薬を含む凍結乾燥フィブリン接着剤(護固莱士、上海莱士社より購入)を外用した。取扱書に従って酵素試薬及びフィブリノーゲン試薬をそれぞれ溶液に調製し、混合し、約1sかけて酵素架橋を行い、微細構造が図1に示されるフィブリン接着剤を得た。
【0101】
<比較例2>
9%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムの前駆体溶液は、溶液にヘモペキシンを添加しなかった以外、調製方法が実施例2のA成分溶液と同様であった。
【0102】
<比較例3>
13%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液は、成分及び調製方法が実施例2のA成分溶液と同様であった。
【0103】
<比較例4>
5%(w/v)のメタクリロイル化ゼラチン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲン混合溶液は、成分及び調製方法が実施例1のステップ(5)と同様であった。
【0104】
<比較例5>
濃度が30%(w/v)のメタクリロイル化セリシン-0.5%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が20%(w/v)のメタクリロイル化セリシン-0.5%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。本比較例では、A成分及びB成分中の感光性材料はメタクリロイル化セリシンであり、A成分溶液中のメタクリロイル化セリシンの濃度は30%(w/v)であり、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムの濃度は0.5%(w/v)であり、B成分溶液中のメタクリロイル化セリシンの濃度は20%(w/v)であり、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウムの濃度は0.5%(w/v)であった以外、その調製方法は、実施例9と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:1であった。
【0105】
<比較例6>
濃度が10%(w/v)のメタクリロイル化デキストラン-0.25%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-1000IU/mLヘモペキシンの混合溶液をA成分溶液として調製し、濃度が10%(w/v)のメタクリロイル化デキストラン-0.125%(w/v)のフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム-5%(w/v)のフィブリノーゲンの混合溶液をB成分溶液として調製した。本比較例では、A成分及びB成分中の感光性材料はメタクリロイル化デキストランであり、A成分溶液中のメタクリロイル化デキストランの濃度は10%(w/v)であり、B成分溶液中のメタクリロイル化デキストランの濃度は5%(w/v)であった以外、その調製方法は、実施例9と同様であった。このように得られたゲルにおいて、フィブリン架橋と光架橋との体積比は1:1であった。
【0106】
性能試験
実施例1~36で得られた二重架橋フィブリンゲル及び比較例1~6のヒドロゲルの性能を確認するために、以下、これらについて、ゲル化時間の性能試験、接着強度試験、及び動物止血実験をそれぞれ行った。
【0107】
ゲル化時間試験
検出対象:
上記実施例1~36、及び比較例1~6
検出方法:
実施例1~36及び比較例1~6についてレオロジー分析を行い、ゲル化時間を比較し、結果を表1に示す。具体的な操作方法:平行プレート(P20 TiL、直径20mm)幾何学構造を有するHAAKE RS6000オプトレオメータを使用して、37℃で動的レオロジー実験を行った。実施例1~36及び比較例1~6のヒドロゲルの時間掃引振動試験を、5%のひずみ及び1Hzの周波数で300秒間行った。プリゲル化溶液に対してひずみ掃引を実行して、線形応答を検証した。ゲル化点は、ねじり弾性率(G’)が損失弾性率(G’’)を超えたときに決定される。
【0108】
接着強度試験
上記実施例1~36、及び比較例1~6
検出方法:
具体的な操作:豚皮を40mm×20mmの長方形に切り出し、実施例1~36及び比較例1~6を500μl用いて2枚の豚皮を貼り合わせた。実施例1~36のA成分とB成分の混合溶液と比較例2~6の前駆体溶液について、同じ波長帯域の青色光を60s照射した。次に、接着強度をひずみ速度1mm/minで試験した。比較例2の前駆体溶液を光架橋後に形成されたゲルの微細構造を図2に示す。実施例1における混合溶液を光架橋後に形成されたゲルの微細構造を図3に示す。ゲルが豚皮から剥がれたときの読み取り値を記録し、接着強度(kPa)とした。検出結果を表1に示す。
【0109】
止血効果試験
検出対象:
本発明の実施例1、実施例9、実施例14、実施例19、実施例25、実施例31、及び比較例1~6
検出方法:
ウサギ肝臓表面1cm切開出血モデル:ニュージーランド白ウサギに麻酔をかけた後、腹部を露出させて手術台に固定し、腹部を正中切開して肝臓を露出させ、肝臓上に1cm×0.5cmの出血モデルを作成した。秤量した濾紙、実施例1、9、14、19、25、31のA成分及びB成分を用いて、実施例1のステップ(7)に記載の注射方法により、得られた混合溶液、及び比較例1~6の前駆体溶液を注射し、出血が止まるまで、止血材として出血部位を覆い(これらのうち、本発明の各実施例及び比較例2~6は、出血部位を覆うとともに同じ波長帯の青色光で処理したもの)、出血時間と失血量を記録し、その結果を表1、図4、及び図5に示す。
【0110】
【表1】
【0111】
止血時間及び失血量の値は(平均値±標準偏差)で表される。
結果分析:
【0112】
図1から分かるように、比較例1のフィブリン接着剤では、フィブリン架橋のみが網目構造を形成している。図2からわかるように、比較例2の前駆体溶液が照射された後、メタクリロイル化ゼラチンのみが光架橋されて多孔質構造を形成している。図3からわかるように、本発明の実施例1におけるA成分とB成分の混合溶液は、照射後にフィブリン架橋網目構造とメタクリロイル化ゼラチン架橋多孔質構造の両方を有することができ、形成されたメタクリロイル化ゼラチンの架橋多孔質構造のチャンネルの内部には、全体的に連続した3次元フィブリン網目構造が分布している。
表1から分かるように、実施例1~36のゲル化時間は1~3sの範囲であり、感光性材料が同じであれば、光架橋比が上昇するにつれてゲル化時間が長くなり、一方、実施例1~36で選択されたすべてのタイプの感光性材料は、特定の二重架橋比におけるゲル化時間が比較例2~4のゲル化時間よりも著しく短かった(比較例2のゲル化時間は8sであり、比較例3のゲル化時間は9sであり、比較例4のゲル化時間は14sである。)。
【0113】
表1から分かるように、実施例1~36の接着強度の範囲は82~132kPaであり、感光性材料が同じであれば、感光性材料の濃度が低くなるにつれてゲルの接着強度は低下し、一方、実施例1~36で選択された全てのタイプの感光性材料は、特定の二重架橋比における接着強度が各比較例の接着強度よりも高かった(比較例1の接着強度は6kPa、比較例2の接着強度は80kPa、比較例3の接着強度は76kPa、比較例4の接着強度は70kPa、比較例5の接着強度は29kPa、比較例6の接着強度は45kPaである。)。
【0114】
表1、図4及び図5から分かるように、実施例1、実施例9、実施例14、実施例19、実施例25及び実施例31の止血時間は6s~24sであり、いずれも比較例1~6の40s以上に比べて著しく短い。実施例1、実施例9、実施例14、実施例19、実施例25、及び実施例31の平均失血量は12mg~37mgであり、比較例1~6の90mg以上の失血量に比べて有意に低かった。
【0115】
要するに、本発明の二重架橋フィブリンゲルを出血傷口に適用すると、座直に(約1s)フィブリン凝集塊を形成し、傷口を「予備的に」閉鎖して血液の流出をブロックする役割を果たす。また、フィブリン凝集塊内の酵素は、血液中のフィブリノーゲンを凝集塊に変換し、効率的な凝固促進効果を果たす。さらに、感光性材料は、光励起下で感光性ゲルを形成し、感光性ゲルは、湿潤組織への強い接着力を有し、「強力な」傷口閉鎖効果を果たす。フィブリン架橋構造と光架橋構造の間の相互作用により、傷口予備閉鎖機能と強力な組織接着機能の両方を付与し、それによって優れた止血効果を達成させる。
【0116】
以上は、本発明の特定の実施例について詳細に説明した。なお、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神及び原則中で行われた変形又は修正、同等の置換及び改良等は、本発明の本質に影響を及ぼさず、すべて本発明の特許請求の範囲の保護範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出血傷口に対する現場急速止血が可能な二重架橋フィブリンゲルであって、
閉鎖機能を有する網目構造と接着機能を有する網目構造で構成される固体ヒドロゲルであり、
前記閉鎖機能を有する網目構造は、3次元フィブリン網目であり、前記接着機能を有する網目構造は、3次元感光性ゲル網目であり、各前記感光性ゲル網目チャネルの内部に1組の前記フィブリン網目があり、各組の前記フィブリン網目は、全体として連続しており、前記3次元フィブリン網目は、全体的に前記固体ヒドロゲルの表面及び内部にわたって無秩序に存在し、
前記3次元フィブリン網目と前記3次元感光性ゲル網目との体積比は0.5~3であり、
前記フィブリン網目は、感光性ゲルよりも先に形成され、前記フィブリン網目は、フィブリノーゲンの酵素架橋により形成され、前記感光性ゲルは、感光性材料の光架橋により形成され、前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化高分子重合体若しくはポリアクリレート類の高分子重合体を含む高分子複合材料系である、ことを特徴とする二重架橋フィブリンゲル。
【請求項2】
前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物である、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項3】
前記感光性材料は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体である、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項4】
前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体は、ポリエーテルジアクリレート若しくはその誘導体、又はポリエチレングリコールジアクリレート若しくはその誘導体から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項5】
前記メタクリロイル化高分子重合体を含む高分子複合材料系は、メタクリロイル化ゼラチン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリウレタン系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ゼラチン-セルロース系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリウレタン系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-セルロース系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリウレタン系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリ乳酸系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-セルロース系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリウレタン系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-セルロース系、メタクリロイル化キトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化キトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化キトサン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化キトサン-セルロース系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリ乳酸系、及びメタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-セルロース系から選択されるいずれか1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項6】
前記フィブリノーゲンは、ヒトフィブリノーゲン、ウシフィブリノーゲン、又はブタフィブリノーゲンのうちのいずれか1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の二重架橋フィブリンゲル。
【請求項7】
出血傷口で混合することにより急速止血用二重架橋フィブリン接着剤を現場で調製する原料組成物であって、
組成物Aと組成物Bを含み、前記組成物Aは、感光性材料10~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩1.11~8.88重量部と、を含み、前記組成物Bは、感光性材料5~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含み、前記組成物Aと前記組成物Bとの質量比は1.4:10~14:1であり、前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化高分子重合体若しくはポリアクリレート類の高分子重合体を含む高分子複合材料系であり、前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物であり、前記酵素は、ヒトトロンビン、組換えヒトトロンビン、ウシトロンビン、ブタトロンビン、又はヘモコアグラーゼから選択されるいずれか1種であり、前記二重架橋フィブリン接着剤は、3次元フィブリン網目と3次元感光性ゲル網目の両方で構成される固体ヒドロゲルであり、各前記感光性ゲル網目チャネルの内部に1組の前記フィブリン網目があり、各組の前記フィブリン網目は、全体として連続しており、前記3次元フィブリン網目は、全体的に前記固体ヒドロゲルの表面及び内部にわたって無秩序に存在する、ことを特徴とする原料組成物。
【請求項8】
前記組成物A中の感光性材料の重量部が組成物B中の感光性材料の重量部よりも大きい、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項9】
前記組成物Aと前記組成物Bとの質量比は1.4:1~1.4:10である、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項10】
前記組成物Aは、感光性材料80~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩1.11~8.88重量部と、を含み、前記組成物Bは、感光性材料30~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含む、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項11】
前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体は、ポリエーテルジアクリレート若しくはその誘導体、又はポリエチレングリコールジアクリレート若しくはその誘導体から選択される、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項12】
前記メタクリロイル化高分子重合体を含む高分子複合材料系は、メタクリロイル化ゼラチン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリウレタン系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ゼラチン-セルロース系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリウレタン系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-セルロース系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリウレタン系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリ乳酸系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-セルロース系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリウレタン系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-セルロース系、メタクリロイル化キトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化キトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化キトサン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化キトサン-セルロース系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリ乳酸系、及びメタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-セルロース系から選択されるいずれか1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項13】
前記感光性材料は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体である、ことを特徴とする請求項に記載の原料組成物。
【請求項14】
前記光開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン又は2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]から選択されるいずれか1種又は2種以上の組成物である、ことを特徴とする請求項に記載の原料組成物。
【請求項15】
前記フィブリノーゲンは、ヒトフィブリノーゲン、ウシフィブリノーゲン、又はブタフィブリノーゲンから選択されるいずれか1種である、ことを特徴とする請求項に記載の原料組成物。
【請求項16】
前記水溶性無機カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、又は硫酸カルシウムである、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の原料組成物。
【請求項17】
前記原料組成物は、凍結乾燥粉末、注射剤、スポンジ、又は顆粒である、ことを特徴とする請求項7~12のいずれか1項に記載の原料組成物。
【請求項18】
溶媒に感光性材料及び光開始剤を溶解した混合溶液を調製し、前記混合溶液とヘモペキシン及びカルシウムイオンを含有する溶液とを混合して第1前駆体溶液を得て、前記第1前駆体溶液中の感光性材料、光開始剤、酵素、及びカルシウムイオンの濃度比を10~200:1~3:0.14~0.28:1.11~8.88に制御し、前記第1前駆体溶液の室温環境での保存時間を30分間未満に制御するステップと、前記混合溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液とを混合して第2前駆体溶液を得て、前記第2前駆体溶液中の感光性材料、光開始剤、及びフィブリノーゲンの濃度比を5~100:1~2:30~50に制御し、前記第1前駆体溶液と前記第2前駆体溶液を含む液体原料組成物を得るステップと、を含み、
前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化高分子重合体若しくはポリアクリレート類の高分子重合体を含む高分子複合材料系であり、前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物である、請求項7~12のいずれか1項に記載の原料組成物の調製方法。
【請求項19】
前記液体原料組成物をさらに凍結乾燥方法により処理し、固形原料組成物を得て、
前記固形原料組成物は、凍結乾燥粉末、スポンジ、又は顆粒である、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度を0.5%(w/v)よりも高く、かつ、前記第2前駆体溶液中の感光性材料の濃度を前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度よりも低く制御する、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
具体的には、
溶媒に感光性材料及び光開始剤を溶解した第1混合溶液を調製し、感光性材料と光開始剤との濃度比を10~200:1~3、感光性材料の濃度を0.5%~30%(w/v)に制御するステップ1)と、
溶媒に感光性材料及び光開始剤を溶解した第2混合溶液を調製し、感光性材料と光開始剤との濃度比を5~100:1~2、感光性材料の濃度を1)に記載の第1混合溶液よりも低く制御するステップ2)と、
1)で調製された第1混合溶液と酵素及びカルシウムイオンを含有する溶液とを混合して第1前駆体溶液を得て、感光性材料、光開始剤、酵素、及びカルシウムイオンの濃度比を10~200:1~3:0.14~0.28:1.11~8.88に制御するステップ3)と、
2)で調製された第2混合溶液とフィブリノーゲンを含有する溶液とを混合して第2前駆体溶液を得て、感光性材料、光開始剤、及びフィブリノーゲンの濃度比を5~100:1~2:30~50に制御するステップ4)と、を含む、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記酵素及びカルシウムイオンを含有する溶液は、溶媒及び水溶性無機カルシウム塩溶液を酵素に加え、完全に溶解して、Ca2+含有酵素溶液を得る方法によって調製され、得られた溶液中の酵素活性は500IU~2000IU/ml、Ca2+濃度は60~100mmol/Lに制御される、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記フィブリノーゲンを含有する溶液において、フィブリノーゲンの濃度は5%~10%(w/v)である、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度は1%~30%(w/v)に制御される、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記第1前駆体溶液中の酵素活性は200IU/ml以上に制御される、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記第1前駆体溶液中のカルシウムイオンの濃度は20mmol/L以上に制御される、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記第2前駆体溶液中の感光性材料の濃度は、1%~10%(w/v)で、かつ前記第1前駆体溶液中の感光性材料の濃度以下に制御される、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記第2前駆体溶液中のフィブリノーゲンの濃度は3%(w/v)以上に制御される、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項29】
請求項1~6のいずれか1項に記載の二重架橋フィブリンゲルを調製するためのキットであって、
互いに個別に包装される第1前駆体試薬及び第2前駆体試薬を含み、前記第1前駆体試薬は、感光性材料10~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩3.33~5.55重量部と、を含有し、前記第2前駆体試薬は、感光性材料5~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含み、前記第1前駆体試薬と前記第2前駆体試薬との質量比は1.4:10~14:1であり、前記感光性材料は、メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体、ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化高分子重合体若しくはポリアクリレート類の高分子重合体を含む高分子複合材料系であり、前記酵素は、ヒトトロンビン、組換えヒトトロンビン、ウシトロンビン、ブタトロンビン、又はヘモコアグラーゼから選択されるいずれか1種である、キット。
【請求項30】
前記第1前駆体試薬と前記第2前駆体試薬との質量比は1.4:1~1.4:10である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項31】
前記第1前駆体試薬は、感光性材料80~200重量部と、光開始剤1~3重量部と、酵素0.14~0.28重量部と、水溶性無機カルシウム塩3.33~5.55重量部と、を含有し、前記第2前駆体試薬は、感光性材料30~100重量部と、光開始剤1~2重量部と、フィブリノーゲン30~50重量部と、を含有する、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項32】
前記メタクリロイル化高分子重合体若しくはその誘導体は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、メタクリロイル化ヒアルロン酸若しくはその誘導体、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム若しくはその誘導体、メタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体、メタクリロイル化キトサン若しくはその誘導体、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン若しくはその誘導体から選択されるいずれか1種又は2種以上の混合物である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項33】
前記感光性材料は、メタクリロイル化ゼラチン若しくはその誘導体、又はメタクリロイル化シルクフィブロイン若しくはその誘導体である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項34】
前記ポリアクリレート類の高分子重合体若しくはその誘導体は、ポリエーテルジアクリレート若しくはその誘導体、又はポリエチレングリコールジアクリレート若しくはその誘導体から選択される、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項35】
前記メタクリロイル化高分子重合体を含む高分子複合材料系は、メタクリロイル化ゼラチン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリウレタン系、メタクリロイル化ゼラチン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ゼラチン-セルロース系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリウレタン系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-ポリ乳酸系、メタクリロイル化ヒアルロン酸-セルロース系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリウレタン系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-ポリ乳酸系、メタクリロイル化アルギン酸ナトリウム-セルロース系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリウレタン系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化シルクフィブロイン-セルロース系、メタクリロイル化キトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化キトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化キトサン-ポリ乳酸系、メタクリロイル化キトサン-セルロース系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリビニルアルコール系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリウレタン系、メタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-ポリ乳酸系、及びメタクリロイル化カルボキシメチルキトサン-セルロース系から選択されるいずれか1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項36】
前記光開始剤は、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム、2-ヒドロキシ-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチル、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンゾイル安息香酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン又は2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]から選択されるいずれか1種又は2種以上の組成物である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項37】
前記フィブリノーゲンは、ヒトフィブリノーゲン、ウシフィブリノーゲン、又はブタフィブリノーゲンから選択されるいずれか1種である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項38】
前記水溶性無機カルシウム塩は、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、又は硫酸カルシウムから選択される、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項39】
前記第1前駆体試薬及び/又は第2前駆体試薬は、補助材料及び/又は添加剤をさらに含み、前記補助材料は、グリシン、アルギニン塩酸塩、クエン酸ナトリウム、スクロース、及び塩化ナトリウムから選択される1種又は2種以上であり、前記添加剤は、成長因子、インターロイキン、ビタミン、及び銀イオンから選択される1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項40】
前記成長因子は、血小板成長因子、上皮成長因子、又は線維芽細胞成長因子から選択される1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項41】
前記インターロイキンは、インターロイキン2、インターロイキン6、又はインターロイキン8から選択される1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項42】
前記ビタミンは、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、又はビタミンKから選択される1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項43】
個別に包装される調製用溶媒をさらに含み、前記調製用溶媒は、リン酸緩衝溶液、HEPES生物学的緩衝液、0.9%塩化ナトリウム溶液、塩化カルシウム溶液、又は脱イオン水のうちのいずれか1種又は複数種の混合物である、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項44】
キットの取扱書をさらに含む、ことを特徴とする請求項29に記載のキット。
【請求項45】
請求項29に記載のキットを用いて出血傷口に対する現場急速止血を行う方法であって、
調製用溶媒を用いて、前記キットの第1前駆体試薬及び第2前駆体試薬をそれぞれ注射可能な溶液状に調製し、出血傷口に均一に注射又はスプレーし、次に、290~480nm波長帯の光を10~60s照射し、出血傷口で凝固止血材としての固体ヒドロゲルを現場で迅速に形成することを含む、方法。
【請求項46】
前記出血傷口は、偶発的な外傷又は手術中に引き起こされる器官出血を含み、前記器官は、肝臓、脾臓、腎臓、胃腸、心臓、又は皮膚である、ことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【国際調査報告】