(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】モータビークルシート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/42 20060101AFI20241121BHJP
B60N 2/58 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B60N2/42
B60N2/58
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024558333
(86)(22)【出願日】2022-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022087128
(87)【国際公開番号】W WO2023118235
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524232646
【氏名又は名称】テスカ パシフィック
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ペリアンヌ,セルジオ
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CD04
3B087DE10
(57)【要約】
本発明は、編地カバー(4)によって覆われたクッション(3)と、膨張可能なバッグ(5)と、を備える、モータビークルシート(1)に関する。前記クッションには、前記バッグを前記カバーの外側に展開できるようにする通路(6)が設けられている。前記カバーには、引裂抵抗が比較的に小さい弱化ゾーン(7)が設けられている。前記弱化ゾーン(7)は、前記カバーの向かい合う2つの部分(9a、9b)の間の直線基準方向に、前記通路に面して延在する。複数の前記部分は、前記基準方向に並行して配列された複数の構造ループの複数の列からなる網目状を呈する。複数の前記ループの各々は、複数の編み合いによって、それを取り囲む複数の前記ループに連結されている。前記ゾーンは、前記カバーが編まれた結果として得られたものであり、複数の前記部分の各々には、前記基準方向に対して垂直な方向におけるその伸びを阻止するための糸が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-パッドクッション(3)によって覆われたフレーム(2)であって、編地から作製されたカバー(4)によって前記クッションが覆われているフレーム(2)、
-前記フレームに固定された保護システムであって、エアバッグ(5)と、事故の際に前記バッグを膨張させるためのデバイスと、を備える保護システム、
を備える、モータビークルシート(1)であって、
-前記クッションには、前記バッグを前記カバーの外側に展開できるようにする通路(6)が設けられており、
-前記カバーには、前記カバーの他の部分よりも引裂抵抗が小さい弱化ゾーン(7)が設けられており、前記ゾーンは、前記カバーの向かい合う2つの部分(9a、9b)の間の直線基準方向(8)に、前記通路に面して延在し、
-複数の前記部分は、前記基準方向に並行して配列された複数の構造ループ(11)の複数の列(10)からなる網目状を呈し、複数の前記ループの各々は、複数の編み合い(12)によって、それを取り囲む複数の前記ループ(11)に連結されている、モータビークルシート(1)において、
前記ゾーンは、前記カバーが編まれた結果として得られたものであり、
複数の前記部分の各々には、前記基準方向に対して垂直な方向(18)におけるその伸びを阻止するための糸(17)が設けられており、
前記糸は、
-前記カバーが編まれる間に複数の前記ループによって編まれており、
-前記垂直な方向に延在する複数の直線部分(19)と、複数の前記直線部分を互いに接続するための概ね前記基準方向に延在する複数の部分(20)とを定めることでジグザグに延在し、
-前記カバーに組み込まれるように、複数の前記構造ループと編まれ合っている
ことを特徴とする、モータビークルシート(1)。
【請求項2】
-複数の接続ループ(14a、14b)の境界列(13a、13b)は、向かい合う前記部分(9a、9b)の各々が編まれた結果として得られたものであり、複数の前記境界列(13a、13b)の各々は、前記基準方向(8)において、複数の前記部分のうちのいずれの部分の複数の前記構造ループ(11)よりも小さな線密度の複数の接続ループ(14a、14b)を有し、
-前記弱化ゾーン(7)は、2つの前記境界列(13a、13b)によって形成されており、2つの当該境界列(13a、13b)は、複数の前記接続ループ(14a、14b)の編み合いが複数の前記構造ループよりも少なくなるように、複数の前記列のうちの一方の列(13a)の各接続ループ(14a)と複数の前記列のうちの他方の列(13b)の反対側の接続ループ(14b)との接続編み合い(16)を通じて相互に接続している
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
-複数の接続ループ(14a、14b)の境界列(13a、13b)は、向かい合う前記部分(9a、9b)の各々が編まれた結果として得られたものであり、
-前記弱化ゾーン(7)は、複数の前記境界列(13a、13b)によって形成されており、複数の当該境界列(13a、13b)において、糸(15)は、前記カバー(4)が編まれた結果として、複数の前記列のうちの一方の列(13a)の接続ループ(14a)と、複数の前記列のうちの他方の列(13b)の反対側の接続ループ(14b)とを交互に通り抜けており、前記糸は、前記エアバッグ(5)の展開の影響下で複数の前記接続ループの断裂を引き起こすことなく当該糸が破壊するように構成された破壊強度を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート。
【請求項4】
複数の前記直線部分(19)は、規則的なピッチで互いに離隔しており、
連続する2つの直線部分(19)は、前記垂直な方向(18)に延在する複数の構造ループ(11)の1または複数の垂直列(21)によって分離されている
ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のシート。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のシート(1)のカバー(4)であって、
前記カバーには、前記カバーの他の部分よりも引裂抵抗が小さい弱化ゾーン(7)が設けられている、カバー(4)において、
前記ゾーンは、前記カバーが編まれた結果として得られたものであり、
前記カバーの複数の前記部分(9a、9b)の各々には、前記基準方向(8)に対して垂直な方向(18)におけるその伸びを阻止するための糸(17)が設けられており、
前記糸は、
-前記カバーが編まれる間に複数の前記ループによって編まれており、
-前記垂直な方向に延在する複数の直線部分(19)と、複数の前記直線部分を互いに接続するための概ね前記基準方向に延在する複数の部分(20)とを定めることでジグザグに延在し、
-前記カバーに組み込まれるように、複数の前記構造ループと編まれ合っている
ことを特徴とする、カバー(4)。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、モータビークルシート、およびかかるシートのためのカバーに関する。
【0002】
-パッドクッションによって覆われたフレームであって、編地から作製されたカバーによって前記クッションが覆われているフレーム、
-前記フレームに固定された保護システムであって、膨張可能なバッグ(ふつうエアバッグと称される)と、事故の際に前記バッグを膨張させるためのデバイスと、を備える保護システム、
を備える、モータビークルシートであって、
-前記クッションには、前記バッグを前記カバーの外側に展開できるようにする通路が設けられており、
-前記カバーには、前記カバーの他の部分よりも引裂抵抗が小さい弱化ゾーンが設けられており、前記ゾーンは、前記カバーの向かい合う2つの部分の間の直線基準方向に、前記通路に面して延在し、
-複数の前記部分は、前記基準方向に並行して配列された複数の構造ループの複数の列からなる網目状を呈し、複数の前記ループの各々は、複数の編み合いによって、それを取り囲む複数の前記ループに連結されている、
モータビークルシートを製造することが知られている。
【0003】
かかる弱化ゾーンの存在によって、弱化ゾーンにおいてのみカバーを劣化させて、カバーの他の部分は損傷しないままに、エアバッグは妨害なく展開するようになる。
【0004】
既知の方法では、弱化ゾーンは、向かい合う前記部分を接続するシームによって形成される。前記シームは、向かい合う前記部分を損傷させることなく破壊するように構成された破壊強度を有する糸で作製される。
【0005】
しかしながら、この方法では、カバーを製造する際に特定の縫製作業を行う必要がある。そのため、製造プロセスが複雑になり、カバーが高価になる。
【0006】
加えて、編地カバーは高い伸縮性を有する。そのため、弱化ゾーンが破裂する前にカバーが膨張することによって、エアバッグが前記カバーと干渉して展開不良が生じる可能性がある。前記エアバッグの有効性の低下が、かかる結果から招来される。
【0007】
本発明の目的は、これらの欠点を克服することである。
【0008】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明は、以下のモータビークルシートを提案する。当該モータビークルシートは、
-パッドクッションによって覆われたフレームであって、編地から作製されたカバーによって前記クッションが覆われているフレーム、
-前記フレームに固定された保護システムであって、エアバッグと、事故の際に前記エアバッグを膨張させるためのデバイス(図示せず)と、を備える保護システム、
を備え、
-前記クッションには、前記バッグを前記カバーの外側に展開できるようにする通路が設けられており、
-前記カバーには、前記カバーの他の部分よりも引裂抵抗が小さい弱化ゾーンが設けられており、前記ゾーンは、前記カバーの向かい合う2つの部分の間の直線基準方向に沿って、前記通路に面して延在し、
-複数の前記部分は、前記基準方向に並行して配列された複数の構造ループの複数の列からなる網目状を呈し、複数の前記ループの各々は、複数の編み合いによって、それを取り囲む複数の前記ループに連結されており、
前記ゾーンは、前記カバーが編まれた結果として得られたものであり、複数の前記部分の各々には、前記基準方向に対して垂直な方向におけるその伸びを阻止するための糸が設けられており、前記糸は、
-前記カバーが編まれる間に複数の前記ループによって編まれており、
-前記垂直な方向に延在する複数の直線部分と、複数の前記直線部分を互いに接続するための概ね前記基準方向に延在する複数の部分とを定めることでジグザグに延在し、
-前記カバーに組み込まれるように、複数の前記構造ループと編まれ合っている。
【0009】
提案されるこの構成によって、向かい合う前記部分を接続するシームを製造する必要がなくなる。向かい合う前記部分の間の接続が、カバーを編むことによってつくられるからである。
【0010】
その結果、製造が簡素化され、コストが削減される。
【0011】
さらに、阻止するための前記糸の存在によって、エアバッグの展開時にカバーが膨張しないようにすることができる。エアバッグは、弱化ゾーンの方へ効果的に誘導され、当該弱化ゾーンは、素早く破裂する。これにより、エアバッグは妨害なく展開するようになる。
【0012】
第2の態様によれば、本発明は、かかるシートのためのカバーを提案する。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照してなされる以下の説明から明らかになるであろう:
[
図1a]および[
図1b]は、エアバッグが展開していない状態(
図1a)およびエアバッグが展開した状態(
図1b)の、一実施形態におけるシートの概略部分断面図である、
[
図2]は、一実施形態におけるカバーの概略部分正面図である、
[
図3]は、別の実施形態におけるカバーの概略部分正面図である。
【0014】
図面を参照して、モータビークルシート1を説明する。前記モータビークルシート1は、
-パッドクッション3によって覆われたフレーム2であって、編地から作製されたカバー4によって前記クッションが覆われているフレーム2、
-前記フレームに固定された保護システムであって、エアバッグ5と、事故の際に前記バッグを膨張させるためのデバイス(図示せず)と、を備える保護システム、
を備え、
-前記クッションには、前記バッグを前記カバーの外側に展開できるようにする通路6が設けられており、
-前記カバーには、前記カバーの他の部分よりも引裂抵抗が小さい弱化ゾーン7が設けられており、前記ゾーンは、前記カバーの向かい合う2つの部分9a、9bの間の直線基準方向8に、前記通路に面して延在し、
-複数の前記部分は、前記基準方向に並行して配列された複数の構造ループ11の複数の列10からなる網目状を呈し、複数の前記ループの各々は、複数の編み合い12によって、取り囲む複数の前記ループ11に連結されており、
前記ゾーンは、前記カバーが編まれた結果として得られたものであり、複数の前記部分の各々には、前記基準方向に対して垂直な方向18におけるその伸びを阻止するための糸17が設けられており、前記糸は、
-前記カバーが編まれる間に複数の前記ループによって編まれており、
-前記垂直な方向に延在する複数の直線部分19と、複数の前記直線部分を互いに接続するための概ね前記基準方向に延在する複数の部分20とを定めることでジグザグに延在し、
-前記カバーに組み込まれるように、複数の前記構造ループと編まれ合っている。
【0015】
図2に示す実施形態によれば、前記シートは、以下の構成を有する:
-複数の接続ループ14a、14bの境界列13a、13bは、向かい合う前記部分9a、9bの各々が編まれた結果として得られたものであり、複数の前記境界列13a、13bの各々は、前記基準方向8において、複数の前記部分のうちのいずれの部分の複数の前記構造ループ11よりも小さな線密度の複数の接続ループ14a、14bを有し、
-前記弱化ゾーン7は、2つの前記境界列13a、13bによって形成されており、2つの当該境界列13a、13bは、複数の前記接続ループ14a、14bの編み合いが複数の前記構造ループよりも少なくなるように、複数の前記列のうちの一方の列13aの各接続ループ14aと複数の前記列のうちの他方の列13bの反対側の接続ループ14bとの接続編み合い16を通じて相互に接続している。
【0016】
図3に示す実施形態によれば、前記シート1は、以下の構成を有する:
-複数の接続ループ14a、14bの境界列13a、13bは、向かい合う前記部分9a、9bの各々が編まれた結果として得られたものであり、
-前記弱化ゾーン7は、複数の前記境界列13a、13bによって形成されており、複数の当該境界列13a、13bにおいて、糸15は、前記カバー4が編まれた結果として、複数の前記列のうちの一方の列13aの接続ループ14aと、複数の前記列のうちの他方の列13bの反対側の接続ループ14bとを交互に通り抜けており、前記糸は、前記エアバッグ5の展開の影響下で複数の前記接続ループの断裂を引き起こすことなく当該糸が破壊するように構成された破壊強度を有する。
【0017】
図示の実施形態によれば、複数の前記直線部分19は、規則的なピッチで離隔しており、連続する2つの直線部分19は、前記垂直な方向18に延在する複数の構造ループ11の1または複数の垂直列21によって分離されている。
【0018】
図示の実施形態によれば、連続する2つの直線部分19は、複数の構造ループ11の2つの垂直列21によって分離されている。
【0019】
最後に、かかるシート1のためのカバー4について説明する。前記カバーには、前記カバーの他の部分よりも引裂抵抗が小さい弱化ゾーン7が設けられており、前記ゾーンは、前記カバーが編まれた結果として得られたものであり、前記カバーの複数の前記部分9a、9bの各々には、前記基準方向8に対して垂直な方向18におけるその伸びを阻止するための糸17が設けられており、前記糸は、
-前記カバーが編まれる間に複数の前記ループによって編まれており、
-前記垂直な方向に延在する複数の直線部分19と、複数の前記直線部分を互いに接続するための概ね前記基準方向に延在する複数の部分20とを定めることでジグザグに延在し、
-前記カバーに組み込まれるように、複数の前記構造ループと編まれ合っている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】エアバッグが展開していない状態の、一実施形態におけるシートの概略部分断面図である。
【
図1b】エアバッグが展開した状態の、一実施形態におけるシートの概略部分断面図である。
【
図2】一実施形態におけるカバーの概略部分正面図である。
【
図3】別の実施形態におけるカバーの概略部分正面図である。
【国際調査報告】