(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】同期機用の励磁回路
(51)【国際特許分類】
H02P 9/04 20060101AFI20241122BHJP
H02P 103/20 20150101ALN20241122BHJP
【FI】
H02P9/04 E
H02P103:20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532152
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 GB2022053083
(87)【国際公開番号】W WO2023099923
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520154139
【氏名又は名称】ブラッシュ エレクトリカル マシーンズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラバク,パベル
(72)【発明者】
【氏名】レプシー,ジリー
(72)【発明者】
【氏名】ナヴラティル,ダニエル
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AA23
5H590CA08
5H590CC01
5H590CC24
5H590CD01
5H590CD03
5H590CE05
5H590DD02
5H590DD62
5H590DD77
5H590FB02
5H590FC12
5H590HA02
5H590HA04
5H590JA02
(57)【要約】
【解決手段】 同期機用の励磁回路であって、励磁回路は、同期機に連結されたDC出力部にエネルギーを供給するように構成された少なくとも1つの電荷蓄積デバイスと、同期機の動作状態を示す第1の信号を受信し、同期機の制御要求を示す第2の信号を受信し、第2の信号によって示される制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しない場合に存在するはずの同期機のしきい値容量を超え、同期機が、第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、第2の信号によって示される制御要求を満たすために、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給するように構成された制御回路と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期機用の励磁回路であって、前記励磁回路が、
前記同期機に連結されたDC出力部にエネルギーを供給するように構成された、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスと、
制御回路であって、
前記同期機の動作状態を示す第1の信号を受信し、
前記同期機に対する制御要求を示す第2の信号を受信し、
第2の信号によって示される前記制御要求が、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しなかった場合に存在するはずの前記同期機のしきい値容量を超え、
前記同期機が、前記第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、前記第2の信号によって示される前記制御要求を満たすために、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給するように構成された、制御回路と、を備える、励磁回路。
【請求項2】
AC入力をDC出力に変換するように構成された、整流回路を更に備える、請求項1に記載の励磁回路。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記第2の信号によって示される前記制御要求が、前記同期機からのエネルギーの除去に関連付けられている場合に、前記DC出力によって、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの荷電を開始するように構成されている、請求項1又は2に記載の励磁回路。
【請求項4】
前記制御回路が、
前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積された電荷の量を示す第3の信号を受信し、
前記第3の信号によって示される前記蓄積された電荷の量が所定のしきい値未満であり、前記第1の信号によって示される前記動作状態が、前記第2の信号によって示される前記制御要求を満たす場合に、前記AC入力によって、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの荷電を開始するように構成されている、請求項2に従属する場合の、請求項3に記載の励磁回路。
【請求項5】
前記第1の信号が、前記同期機の前記動作状態の測定されたパラメータを示し、前記制御回路は、前記第1の信号によって示される前記動作状態が、前記第2の信号によって示される前記制御要求を所定の量だけ満たさない場合に、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項6】
前記所定の量が、絶対量又は相対量である、請求項5に記載の励磁回路。
【請求項7】
前記第1の信号が、前記同期機の前記動作状態の測定されたパラメータを示し、前記制御回路は、前記第1の信号によって示される前記動作状態が、所定の期間にわたって前記第2の信号によって示される前記制御要求を満たさない場合に、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第1の信号によって示される前記動作状態が、前記第2の信号によって示される前記制御要求を満たす場合に、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを前記DC出力部から電気的に絶縁して、前記DC出力部において所定の電圧上限を提供するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項9】
前記DC出力が、正電圧又は負電圧である、請求項1~8のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項10】
前記AC入力が、三相信号又は単相信号である、請求項2又はそれに従属する請求項3~9のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項11】
前記第1の信号が、前記同期機の前記動作状態の測定されたパラメータを示し、前記測定されたパラメータが、前記同期機の電圧出力、電流出力、及び電力出力のうちの少なくとも1つ、並びに前記同期機に接続された負荷装置からの電圧需要、電流需要、電力需要、インダクタンス需要、及び力率のうちの1つ以上を含み、前記第2の信号が、前記同期機の前記制御要求のパラメータ要件を示し、前記パラメータ要件が、前記同期機の励磁機の界磁電圧及び/又は界磁電流、前記同期機を制御するように構成された自動電圧調整器の入力、出力、及び/又は1つ以上の内部値、前記同期機の発電機によって提供される電圧及び/又は電流、前記同期機の実インダクタンス需要又は複素インダクタンス需要、並びに前記同期機に接続された負荷装置からの力率のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項12】
前記制御回路が、1つ以上のトランジスタと、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを前記DC出力部に放電するように、前記1つ以上のトランジスタを制御するように構成された、自動電圧調整器と、を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項13】
前記1つ以上のトランジスタが、絶縁ゲート二極トランジスタである、請求項12に記載の励磁回路。
【請求項14】
前記制御回路は、前記絶縁ゲート二極トランジスタが前記自動電圧調整器によってオン状態からオフ状態に切り替えられる場合に、前記絶縁ゲート二極トランジスタを回路インダクタンスから保護するように構成されたコンデンサを備える、請求項13に記載の励磁回路。
【請求項15】
前記制御回路が、
変調信号に基づいて、前記DC出力を変調し、
前記DC出力の極性を設定するように構成されている、請求項12に記載の励磁回路。
【請求項16】
前記自動電圧調整器が、パルス幅変調を適用して前記DC出力を制御するように構成されている、請求項15に記載の励磁回路。
【請求項17】
前記自動電圧調整器が、パルス幅変調信号を生成するように構成されたパルス幅変調ユニットを備える、請求項16に記載の励磁回路。
【請求項18】
前記1つ以上のトランジスタが、
前記パルス幅変調ユニットから前記パルス幅変調信号を受信して、前記DC出力を変調するように構成されたトランジスタと、
前記DC出力の前記極性を設定するように構成された複数の更なるトランジスタと、を含む、請求項17に記載の励磁回路。
【請求項19】
AC入力を前記DC出力に変換するように構成された整流回路を更に備え、前記制御回路が、
前記整流回路の第1の端子を、第1のトランジスタを介して、前記DC出力部の対応する第1の端子に連結する、第1の電流経路と、
前記整流回路の第2の端子を、第2のトランジスタを介して、前記DC出力部の対応する第2の端子に連結する、第2の電流経路と、
前記第1の電流経路に沿った第1の点を、第3のトランジスタを介して、前記DC出力部の前記第1の端子に連結する、第3の電流経路と、
前記第1の電流経路に沿った第2の点を、第4のトランジスタを介して、前記DC出力部の前記第1の端子に連結する、第4の電流経路と、を備え、
前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが、前記第4のトランジスタと並列に設けられている、請求項18に記載の励磁回路。
【請求項20】
前記自動電圧調整器が、
前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、前記DC出力部において、正電圧を提供することであって、
前記第1のトランジスタ及び前記第4のトランジスタをオンに切り替え、前記第3のトランジスタをオフに切り替え、前記パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を前記第2のトランジスタに供給することによって、若しくは
前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタをオンに切り替え、前記第3のトランジスタをオフに切り替え、前記パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を前記第4のトランジスタに供給することによって、正電圧を提供する、又は
前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、前記DC出力部において、負電圧を提供することであって、
前記第1のトランジスタ、前記第3のトランジスタ、及び前記第4のトランジスタをオフに切り替え、前記パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を前記第2のトランジスタに供給することによって、若しくは
前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、及び前記第4のトランジスタをオフに切り替え、前記パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を前記第3のトランジスタに供給することによって、負電圧を提供するように構成されている、請求項19に記載の励磁回路。
【請求項21】
前記自動電圧調整器が、前記第1のトランジスタをオンに切り替え、前記第2のトランジスタ、前記第3のトランジスタ、及び前記第4のトランジスタをオフに切り替えることによって、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを荷電するように構成されている、請求項3に従属する場合の、請求項20に記載の励磁回路。
【請求項22】
前記自動電圧調整器が、
前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを絶縁し、前記DC出力部において、正電圧を提供することであって、
前記第1のトランジスタ及び前記第3のトランジスタをオンに切り替え、前記第4のトランジスタをオフに切り替え、前記パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を前記第2のトランジスタに供給することによって正電圧を提供する、又は
前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを絶縁し、前記DC出力部において、負電圧を提供することであって、
前記第1のトランジスタ及び前記第4のトランジスタをオフに切り替え、前記第3のトランジスタをオンに切り替え、前記パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を前記第2のトランジスタに供給することによって負電圧を提供するように構成されている、請求項20又は21に記載の励磁回路。
【請求項23】
前記同期機が、励磁機と発電機と、を備え、
前記DC出力部が、前記励磁機の界磁コイルに連結されており、
前記動作状態が、前記発電機の動作状態を反映し、
前記制御要求が、前記励磁機によって生成される界磁電圧の要求値を表し、前記発電機が、前記界磁電圧に基づいて前記励磁機によって電力供給され、
前記制御回路は、前記発電機の前記動作状態が界磁電圧の前記要求値を満たさない場合に、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、前記励磁機の前記界磁コイルにかかる電圧及び前記励磁機の前記界磁コイルにおける対応する電流変化率を増加させるように構成されている、請求項1~22のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項24】
前記発電機の前記動作状態は、前記発電機によって提供される測定電圧が、前記発電機によって提供される予測電圧から逸脱する場合に、界磁電圧の前記要求値を満たさず、前記予測電圧が、前記励磁機の前記界磁コイルによって生成される界磁電流に基づく、請求項23に記載の励磁回路。
【請求項25】
前記対応する電流変化率が、前記励磁機の界磁回路上の電圧増加に比例し、前記励磁機の前記界磁回路の誘導率に反比例する、請求項23又は24に記載の励磁回路。
【請求項26】
前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給することが、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスからのエネルギーの漸進的放出若しくは即時放出、及び/又は前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの完全放電を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項27】
前記制御回路は、前記第2の信号によって示される前記制御要求が、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しない場合に存在するはずの前記同期機のしきい値容量を超え、前記同期機が前記第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、前記DC出力部における電圧上限を一時的に増加させ、前記同期機の出力を昇圧するように構成されている、請求項1~26のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項28】
前記第1の信号は、前記同期機が適切な動作状態にあることを示すように構成されている、又は前記制御回路が、前記第1の信号から前記適切な動作状態を導出するように構成されている、請求項1~27のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項29】
前記適切な動作状態が、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの使用を可能にする状態である、請求項1~28のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項30】
前記しきい値容量が、前記同期機を制御するように構成された自動電圧調整器の出力電圧に基づく、請求項1~29のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項31】
前記自動電圧調整器が、平滑コンデンサを備え、前記しきい値容量が、前記平滑コンデンサ上の電圧によって制限される、請求項30に記載の励磁回路。
【請求項32】
前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが、1つ以上のコンデンサ、蓄電池、又は蓄電池-コンデンサのハイブリッドを含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の励磁回路。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載の励磁回路を備える同期機用の励磁機であって、DC出力部が、前記励磁機の励磁機界磁コイルに連結されている、励磁機。
【請求項34】
前記励磁機が、ブラシレスAC励磁機又はDC励磁機である、請求項33に記載の励磁機。
【請求項35】
請求項33又は34に記載の励磁機を備える、同期機。
【請求項36】
前記同期機が、同期発電機、同期電動機、又は同期コンデンサである、請求項35に記載の同期機。
【請求項37】
主発電機と、前記主発電機の回転子シャフトに連結され、AC入力を提供するように構成された、副励磁機と、を更に備える、請求項2に記載の励磁回路を備える、請求項35又は36に記載の同期機。
【請求項38】
前記副励磁機が、永久磁石発電機を含む、請求項37に記載の同期機。
【請求項39】
請求項1に記載の励磁回路を使用する方法であって、前記方法が、
同期機の動作状態を示す第1の信号を受信することと、
前記同期機に対する制御要求を示す第2の信号を受信することと、
前記第2の信号によって示される前記制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しなかった場合に存在するはずの前記同期機のしきい値容量を超え、
前記同期機が、前記第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、前記第2の信号によって示される前記制御要求を満たすために、前記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給することと、を含む、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法を実行するように構成されたコンピュータコードを含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、同期機(同期機システムとも称され得るが、いずれの場合も、典型的には、同期発電機、同期電動機、又は同期コンデンサである)用の励磁回路に関し、特に、全般的に、電力システム需要要件に応じて、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを同期機用のDC出力部に放電するように構成された励磁回路に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機励磁システムは、通常、発電機端子電圧を特定の設定値に保つように動作する。したがって、負荷が時間と共に変化する際に、端子電圧は自動的に維持され、これは、定常状態制御として周知の制御態様である。更に、制御システムは、発電機が接続されている電力システム内で発生し得る短絡故障などのシステム外乱に応答する。このような外乱の間、電力システム電圧は通常よりも低くなる可能性があり、これによって、励磁システムは、発電機の界磁電流を増加させるために、強い強制動作を行う。また、低電圧の外乱により、タービンからの機械動力は短期的には変化しないままである一方で、電圧の低下によって生成される電力が減少するため、発電機の回転子は、接続された任意のタービン回転子と共に加速力を受ける。励磁システムによる高速強制動作は、発電機回転子の安定性を改善するために役立ち、したがって、回転子速度における偏差を低減し、より広範の電力システムに利益をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、同期発電機などの同期機にとって、電力需要の変化に対する応答時間が短いことが有益である。
【0004】
本明細書における以前に公開された文書又は任意の背景の列挙又は考察は、必ずしも、その文書又は背景が最新技術の一部であるか、又は一般常識内であることの承認として解釈されるべきではない。本開示の1つ以上の態様/実施例は、背景問題のうちの1つ以上に対処する場合もあれば、対処しない場合もある。
【0005】
第1の態様によれば、同期機用の励磁回路が提供され、励磁回路は、
DC出力部に放電されるように構成された、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスと、
制御回路であって、
同期機の電気出力を示す第1の信号を受信し、
同期機に接続された負荷装置からの電気需要を示す第2の信号を受信し、
第2の信号によって示される電気需要が第1の信号によって示される電気出力を超える場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを放電するように構成された、制御回路と、を備える。
【0006】
励磁回路は、AC入力をDC出力に変換するように構成された整流回路を更に備えてもよい。
【0007】
制御回路は、
少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積された電荷の量を示す第3の信号を受信し、
第3の信号によって示される蓄積された電荷の量が所定のしきい値を下回り、第1の信号によって示される電圧出力が第2の信号によって示される電圧需要を満たす場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの荷電を開始するように構成されてもよい。
【0008】
制御回路は、AC入力によって少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの荷電を開始するように構成されてもよい。
【0009】
制御回路は、負荷装置による少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの荷電を開始するように構成されてもよい。
【0010】
制御回路は、第2の信号によって示される電気需要が、第1の信号によって示される電気出力を所定の量だけ超える場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを放電するように構成されてもよい。所定の量は、絶対量であってもよく、又は相対量であってもよい。
【0011】
制御回路は、第2の信号によって示される電気需要が、第1の信号によって示される電気出力を、所定の期間にわたって超える場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを放電するように構成されてもよい。
【0012】
制御回路は、第1の信号によって示される電気出力が第2の信号によって示される電気需要を満たす場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスをDC出力部から電気的に絶縁するように構成されてもよい。
【0013】
DC出力は、正電圧又は負電圧であってもよい。AC入力は、三相信号又は単相信号であってもよい。
【0014】
第1の信号は、同期機の電圧出力、電流出力、及び電力出力のうちの1つ以上を含んでもよく、第2の信号は、同期機に接続された負荷装置からの電圧需要、電流需要、電力需要、励磁機の界磁電圧需要、インダクタンス需要、及び力率のうちの1つ以上を含んでもよく、負荷装置は、電気負荷装置又は機械負荷装置を含んでもよい。
【0015】
制御回路は、1つ以上のトランジスタと、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスをDC出力部に放電するように1つ以上のトランジスタを制御するように構成された自動電圧調整器と、を備えてもよい。
【0016】
1つ以上のトランジスタは、絶縁ゲート二極トランジスタであってもよい。
【0017】
制御回路は、絶縁ゲート二極トランジスタが自動電圧調整器によってオン状態からオフ状態に切り替えられる場合に、絶縁ゲート二極トランジスタを回路インダクタンスから保護するように構成されたコンデンサを備えてもよい。
【0018】
自動電圧調整器は、DC出力を制御するためにパルス幅変調を適用するように構成されてもよい。
【0019】
少なくとも1つの電荷蓄積デバイスは、1つ以上のコンデンサ、蓄電池、又は蓄電池-コンデンサのハイブリッドを含んでもよい。
【0020】
第2の態様によれば、第1の態様又は第4の態様の励磁回路を備える同期機用の励磁機が提供され、DC出力部は、励磁機の励磁機界磁コイルに連結される。
【0021】
励磁機は、ブラシレスAC励磁機又はDC励磁機であってもよい。
【0022】
第3の態様によれば、第2の態様の励磁機を備える同期機(又は同期電気機械)が提供される。同期機は、同期発電機、同期電動機又は同期コンデンサであってもよい。
【0023】
同期機は、主発電機と、AC入力を提供するように構成された主発電機の回転子シャフトに連結された副励磁機(pilot exciter)と、を更に備えてもよい。
【0024】
副励磁機は、永久磁石発電機を含んでもよい。
【0025】
第4の態様によれば、同期機用の励磁回路が提供され、励磁回路は、
同期機に連結されたDC出力部にエネルギーを供給するように構成された少なくとも1つの電荷蓄積デバイスと、
制御回路であって、
同期機の動作状態を示す第1の信号を受信し、
同期機に対する制御要求を示す第2の信号を受信し、
第2の信号によって示される制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しなかった場合に存在するはずの同期機のしきい値容量を超え、
同期機が、第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、第2の信号によって示される制御要求を満たすために、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給するように構成された、制御回路と、を備える。
【0026】
制御回路は、
第2の信号によって示される制御要求が同期機からのエネルギーの除去に関連付けられている場合に、DC出力によって少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの荷電を開始するように構成されてもよい。
【0027】
制御回路は、
少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積された電荷の量を示す第3の信号を受信し、
第3の信号によって示される蓄積された電荷の量が所定のしきい値未満であり、第1の信号によって示される動作状態が第2の信号によって示される制御要求を満たす場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの荷電を開始するように構成されてもよい。荷電を開始することは、AC入力又はDC出力による荷電を含んでもよい。
【0028】
第1の信号は、同期機の動作状態の測定されたパラメータを示してもよく、制御回路は、第1の信号によって示される動作状態が第2の信号によって示される制御要求を所定の量だけ満たさない場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給するように構成されてもよい。
【0029】
第1の信号は、同期機の動作状態の測定されたパラメータを示してもよく、制御回路は、第1の信号によって示される動作状態が第2の信号によって示される制御要求を所定の期間にわたって満たさない場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給するように構成されてもよい。
【0030】
制御回路は、第1の信号によって示される動作状態が第2の信号によって示される制御要求を満たす場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスをDC出力部から電気的に絶縁して、DC出力部において所定の電圧上限を提供するように構成されてもよい。
【0031】
第1の信号は、同期機の動作状態の測定パラメータを示してもよく、測定パラメータは、同期機の電圧出力、電流出力、及び電力出力のうちの少なくとも1つ、並びに同期機に接続された負荷装置からの電圧需要、電流需要、電力需要、インダクタンス需要、及び力率のうちの1つ以上を含み、第2の信号は、同期機の制御要求のパラメータ要件を示してもよく、パラメータ要件は、同期機の励磁機の界磁電圧及び/又は界磁電流、同期機を制御するように構成された自動電圧調整器の入力、出力、及び/又は1つ以上の内部値、同期機の発電機によって提供される電圧及び/又は電流、同期機の実インダクタンス需要又は複素インダクタンス需要、並びに同期機に接続された負荷装置からの力率のうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
制御回路は、
変調信号に基づいて、DC出力を変調し、
DC出力の極性を設定するように構成されていてもよい。
【0033】
自動電圧調整器は、パルス幅変調信号を生成するように構成されたパルス幅変調ユニットを備えてもよい。
【0034】
1つ以上のトランジスタは、
パルス幅変調ユニットからパルス幅変調信号を受信して、DC出力を変調するように構成されたトランジスタと、
DC出力の極性を設定するように構成された複数の更なるトランジスタと、を含んでもよい。
【0035】
励磁回路は、AC入力をDC出力へと変換するように構成された整流回路を更に備えてもよく、制御回路は、
整流回路の第1の端子を、第1のトランジスタを介して、DC出力部の対応する第1の端子に連結する第1の電流経路と、
整流回路の第2の端子を、第2のトランジスタを介して、DC出力部の対応する第2の端子に連結する、第2の電流経路と、
第1の電流経路に沿った第1の点を、第3のトランジスタを介して、DC出力部の第1の端子に連結する、第3の電流経路と、
第1の電流経路に沿った第2の点を、第4のトランジスタを介して、DC出力部の第1の端子に連結する、第4の電流経路と、を更に備えてもよく、
少なくとも1つの電荷蓄積デバイスは、第4のトランジスタと並列に設けられている。
【0036】
自動電圧調整器は、
少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、DC出力部において、正電圧を提供することであって、
第1のトランジスタ及び第4のトランジスタをオンに切り替え、第3のトランジスタをオフに切り替え、パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を第2のトランジスタに供給することによって、若しくは
第1のトランジスタ及び第2のトランジスタをオンに切り替え、第3のトランジスタをオフに切り替え、パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を第4のトランジスタに供給することによって、正電圧を供給するか、又は
少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、DC出力部において、負電圧を提供することであって、
第1のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタをオフに切り替え、パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を第2のトランジスタに供給することによって、若しくは
第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び第4のトランジスタをオフに切り替え、パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を第3のトランジスタに供給することによって、負電圧を供給するように構成されてもよい。
【0037】
自動電圧調整器は、第1のトランジスタをオンに切り替え、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタをオフに切り替えることによって、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを荷電するように構成されてもよい。
【0038】
自動電圧調整器は、
少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを絶縁し、DC出力部において、正電圧を提供することであって、
第1のトランジスタ及び第3のトランジスタをオンに切り替え、第4のトランジスタをオフに切り替え、パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を第2のトランジスタに供給することによって、正電圧を提供するか、又は
少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを絶縁し、DC出力部において、負電圧を提供することであって、
第1のトランジスタ及び第4のトランジスタをオフに切り替え、第3のトランジスタをオンに切り替え、パルス幅変調ユニットを介して、パルス幅変調信号を第2のトランジスタに供給することによって、負電圧を供給するように構成されてもよい。
【0039】
同期機は、励磁機及び発電機を備えてもよく、
DC出力部は、励磁機の界磁コイルに連結されてもよく、
動作状態は、発電機の動作状態を反映してもよく、
制御要求は、励磁機によって生成される界磁電圧の要求値を表してもよく、発電機は、界磁電圧に基づいて、励磁機によって電力供給され、
制御回路は、発電機の動作状態が界磁電圧の要求値を満たさない場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、励磁機の界磁コイルにかかる電圧及び励磁機の界磁コイルにおける対応する電流変化率を増加させるように構成されてもよい。
【0040】
発電機の動作状態は、発電機によって提供される測定電圧が、発電機によって供給される予測電圧から逸脱する場合に、界磁電圧の要求値を満たさない場合があるが、予測電圧は、励磁機の界磁コイルによって生成される界磁電流に基づく。
【0041】
制御回路は、偏差を決定するように構成されてもよい。
【0042】
対応する電流変化率は、励磁機の界磁回路の電圧増加に比例し、励磁機の界磁回路の誘導率に反比例する場合がある。
【0043】
少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給することは、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスからのエネルギーの漸進的放出若しくは即時放出、及び/又は少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの完全放電を含んでもよい。
【0044】
制御回路は、第2の信号によって示される制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しない場合に存在するはずの同期機のしきい値容量を超え、同期機が第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、DC出力部における電圧上限を一時的に増加させ、同期機の出力を昇圧させるように構成されてもよい。
【0045】
第1の信号は、同期機が適切な動作状態にあることを示すように構成されてもよく、又は制御回路は、第1の信号から適切な動作状態を導出するように構成されている。
【0046】
適切な動作状態は、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの使用を可能にする状態であってもよい。
【0047】
しきい値容量は、同期機を制御するように構成された自動電圧調整器の出力電圧に基づいてもよい。自動電圧調整器は平滑コンデンサを備えてもよく、しきい値容量は、平滑コンデンサの電圧によって制限されてもよい。
【0048】
第5の態様によれば、第1の態様の励磁回路を使用する方法が提供され、方法は、
同期機の電気出力を示す第1の信号を受信することと、
同期機に接続された負荷装置からの電気需要を示す第2の信号を受信することと、
第2の信号によって示される電気需要が第1の信号によって示される電気出力を超える場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを放電することと、を含む。
【0049】
第の6態様によれば、第4の態様の励磁回路を使用する方法が提供され、方法は、
同期機に対する制御要求を示す第2の信号を受信することと、
第2の信号によって示される制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しなかった場合に存在するはずの同期機のしきい値容量を超え、
同期機が、第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、第2の信号によって示される制御要求を満たすために、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給することと、を含む。
【0050】
第7の態様によれば、プロセッサと、コンピュータプログラムコードを含むメモリと、を備える装置が提供され、メモリ及びコンピュータプログラムコードは、プロセッサによって、装置が少なくとも第4の態様の方法を実行することを可能にするように構成されている。
【0051】
第8の態様によれば、添付の図面を参照して本明細書に実質的に記載され、添付の図面によって示される装置が提供される。
【0052】
第1の態様又は第4の態様の励磁回路に関連して記載された任意選択の特徴は、互換性がある場合、第2の態様の励磁機、第3の態様の同期機、第5の態様若しくは第6の態様の方法、及び/又は第8の態様の装置にもまた適用可能である。
【0053】
本明細書に開示される任意の方法の工程は、当業者によって明示的に述べられない又は理解されない限り、開示された正確な順序で実行される必要はない。
【0054】
本明細書に開示される方法の1つ以上の工程を実装するための対応するコンピュータプログラムもまた、本開示内にあり、記載される実施例のうちの1つ以上によって包含される。
【0055】
コンピュータプログラムのうちの1つ以上は、コンピュータで実行された場合に、コンピュータに、本明細書に開示される蓄電池、回路、コントローラ、若しくはデバイスを含む任意の装置を構成させるか、又は本明細書に開示される任意の方法を実行させてもよい。コンピュータプログラムのうちの1つ以上は、ソフトウェア実装であってもよく、コンピュータは、非限定的な例として、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、及び読み出し専用メモリ(Read Only Memory、ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(Erasable Programmable Read Only Memory、EPROM)、又は電子的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(Electronically Erasable Programmable Read Only Memory、EEPROM)を含む、任意の適切なハードウェアと見なされてもよい。ソフトウェアは、アセンブリプログラムであってもよい。
【0056】
コンピュータプログラムのうちの1つ以上は、ディスク又はメモリデバイスなどの物理的コンピュータ可読媒体であり得るコンピュータ可読媒体上に提供されてもよく、又は過渡信号として具現化されてもよい。このような過渡信号は、インターネットダウンロードを含むネットワークダウンロードであってもよい。
【0057】
本開示は、1つ以上の対応する態様、実施例、又は特徴を、単独で、又は様々な組合せで、その組合せ又は単独で具体的に述べられている(特許請求されているものを含む)か否かにかかわらず、含む。論じられた機能のうちの1つ以上を実行するための対応する手段もまた、本開示の範囲内である。
【0058】
本明細書全体を通して、「左」、「右」、「上」、「下」、「水平」及び「垂直」などの位置、配向、又は動作に関する記述語、並びにそれらの任意の形容詞及び副詞の派生語は、図面に提示される装置の位置、配向又は動作の意味で使用される。しかしながら、このような記述語は、記載される又は特許請求される本発明の意図された使用に対して、決して限定することを意図するものではない。
【0059】
上記の概要は、単なる例示であり、非限定的であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
次に、添付の概略図面を参照して、単なる例として説明を行う。
【
図1a】
図1aは、同期発電機システムの、異なる配置を示す。
【
図1b】
図1bは、同期発電機システムの、異なる配置を示す。
【
図2】
図2は、例示的な励磁回路を、概略形態で示す。
【
図4】
図4は、別の例示的な励磁回路を、概略形態で示す。
【
図6】
図6は、
図5の励磁回路を備える同期発電機システムを示す。
【
図15】
図15は、ブラシレス励磁システムを有する同期発電機システムの例示的な配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1a~
図1bは、同期発電機システム(同期発電機励磁システム)の異なる配置を概略形態で示す。
【0062】
図1aにおいて、発電機102及び励磁回路104を備える同期発電機システム100が示されている。励磁回路104は、発電機102の電気出力(例えば、発電機102の電力出力又は電圧出力)を感知し、それを示す信号を受信するように構成されている。加えて、励磁回路104は、同期発電機システムのための電気需要(例えば、電圧需要)を示す信号を受信し、整流された出力を発電機102の界磁巻線に供給して、発電機102の回転子のための磁化電流を提供するように構成されている。ここで、整流された出力は、発電機102の感知された電気出力と、電気需要を示す信号と、に基づく。このようにして、励磁回路104は、発電機102の電気出力を調整してもよい。
【0063】
図1bにおいて、同期発電機システム100は、発電機102と、励磁回路104と、副励磁機106と、主励磁機108と、を備えて、示されている。発電機102、励磁回路104、副励磁機106、及び主励磁機108は、副励磁機106が主励磁機108のための電力源として機能し得、主励磁機が発電機102の回転子を励磁するための電力源として機能するように配置及び構成されている。
【0064】
より具体的には、励磁回路104は、発電機102の電気出力を感知し、副励磁機106から電力を受け取るように構成されている。更に、励磁回路104は、整流された出力を主励磁機108に供給するように構成されている。ここで、整流された出力は、発電機102の感知された電気出力と、電気需要を示す信号と、に基づく。このようにして、励磁回路104は、発電機102の電気出力を調整してもよい。
【0065】
副励磁機106は、同期発電機システム100のシャフト110に取り付けられた永久磁石発電機を有する専用のAC発電機として、実装されている。主励磁機108は、同期発電機システム100のシャフト110に取り付けられた電機子(回転子)と、固定子と、を備える、AC励磁機である。励磁回路104の整流された出力は、主励磁機108の固定子上の励磁機界磁巻線に提供されて、電力を生成する。この電力は、同期発電機システム100のシャフト上のダイオード112によって整流され、発電機102のための励磁電流を提供する。
【0066】
図1aの同期発電機システム100は、静的励磁システムを使用してもよい。
図1bの同期発電機システム100は、ブラシレス励磁システムを使用してもよい。
【0067】
図2は、同期機、例えば、
図1a又は
図1bの同期発電機システムのための例示的な励磁回路204を概略形態で示す。例示的な励磁回路204は、AC入力を直流(DC)出力に変換するように構成された整流回路214と、同期機の電気出力を示す第1の信号を受信し、同期機に接続された負荷装置からの電気需要を示す第2の信号を受信し、第2の信号によって示される電気需要及び第1の信号によって示される電気出力に基づいてDC出力を制御するように構成された制御回路216と、を備える。
【0068】
したがって、励磁回路204は、
図1a~
図1bの先の考察から理解され得るように、同期機の電気出力を調整するように構成されている。
【0069】
いくつかの実施例では、整流回路214及び制御回路216は、励磁回路200のモジュールとして実装されてもよい。
図1a~
図1bを参照すると、励磁回路200は、自動電圧調整器(Automatic Voltage Regulator、AVR)を備えてもよく、又は自動電圧調整器として実装されてもよい。
【0070】
図3は、
図2の励磁回路に対応する、同期機のための例示的な励磁回路304を示す。特に、励磁回路300は、交流(AC)入力を直流(DC)出力に変換するように構成された整流回路314と、同期機の電気出力を示す第1の信号を受信し、同期機に接続された負荷装置からの電気需要を示す第2の信号を受信し、第2の信号によって示される電気需要及び第1の信号によって示される電気出力に基づいてDC出力を調節するように構成された制御回路316と、を備える。
【0071】
制御回路316は、1つ以上の絶縁ゲート二極トランジスタ(Insulated-Gate Bipolar Transistor、IGBT)318a~318eと、整流回路314のDC出力を調節するために1つ以上のIGBT318a~318eを制御するように構成された自動電圧調整器320と、を更に備える。
【0072】
制御回路316は、IGBTが自動電圧調整器320によってオン状態からオフ状態に切り替えられる場合に、1つ以上のIGBT318a~318eを回路インダクタンスから保護するように構成されたコンデンサ322を更に備える。すなわち、コンデンサ322は、1つ以上のIGBT318a~318eが損傷なしにオフにされるか、又は「整流(commutate)」されることを可能にする。コンデンサ322は、印加された電圧に耐え、整流を提供するために必要な電荷を蓄積することができるように選択される。
【0073】
したがって、励磁回路304のレイアウトは、IGBT Hブリッジを表し得る。
【0074】
前述したように、同期機の電気出力は、負荷装置の電気需要を満たすように調整される。電気出力が負荷装置の電気需要を超える状況では、同期機は、過負荷及び負荷装置の損傷を回避するために、その電気出力を迅速に低減するために十分な応答性を有するべきである。同様に、負荷装置の電気需要が電気出力を超える場合、同期機は、負荷装置が不正確に機能すること(又は、より深刻な場合には、電圧低下若しくは停電)を回避するために、電気出力を迅速に増加させるために十分な応答性を有するべきである。
【0075】
このような応答性は、主励磁機の回路インダクタンスを含む同期発電機システムの固有の特性によって妨げられる場合がある。これは、この回路インダクタンスが応答に対して比較的長い時定数を生じさせ得るからである。
【0076】
図4は、同期機のための別の例示的な励磁回路404を概略形態で示す。同期機(又は同期電気機械)は、同期発電機、同期電動機、又は同期コンデンサであってもよい。
図2及び
図3の励磁回路と同様に、
図4の励磁回路404は、任意選択の特徴としてではあるが、AC入力を同期機に連結されたDC出力に変換するように構成された整流回路414と、制御回路416と、を備える。先の励磁回路とは異なり、
図4の励磁回路は、DC出力部にエネルギーを供給するように構成された少なくとも1つの電荷蓄積デバイス424を備え、制御回路416は、同期機の動作状態を示す第1の信号を受信し、同期機の制御要求を示す第2の信号を受信し、第2の信号によって示される制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しない場合に存在するはずの同期機のしきい値容量を超え、同期機が第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス424によって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、第2の信号によって示される制御要求を満たすように構成されている。
【0077】
第1の信号は、同期機の動作状態の測定されたパラメータ、又は励磁回路のための(例えば、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの使用を可能にするための)制御若しくはコマンド信号を示してもよく、第2の信号は、同期機のための制御要求のパラメータ要件を示してもよい。
【0078】
励磁回路は、AC入力をDC出力に変換するように構成された整流回路を備えてもよく、又は備えなくてもよい。例えば、永久磁石発電機からのAC入力(供給信号)が利用できない異常な状況では、システムは、DC入力(供給信号)から動作し得、それによって、整流回路の必要性を排除する。別の実施例では、システムは、DC電源及びAC電源を備えてもよく、励磁回路は、整流回路を備えてもよい。このシナリオでは、(例えば、永久磁石発電機からの)AC電源が利用できなくなった場合に、DC電源が待機電力として使用されてもよい。
【0079】
したがって、同期機用の励磁回路は、同期機に連結されたDC出力部にエネルギーを供給するように構成された少なくとも1つの電荷蓄積デバイスと、同期機の動作状態を示す第1の信号を受信し、同期機の制御要求を示す第2の信号を受信し、第2の信号によって示される制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しない場合に存在するはずの同期機のしきい値容量を超え、同期機が第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、第2の信号によって示される制御要求を満たすために、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給するように構成された制御回路と、を備える。
【0080】
一実施例では、同期機用の励磁回路は、DC出力部に放電されるように構成された少なくとも1つの電荷蓄積デバイスと、同期機の電気出力を示す第1の信号を受信し、同期機に接続された負荷装置からの電気需要を示す第2の信号を受信し、第2の信号によって示される電気需要が第1の信号によって示される電気出力を超える場合に少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを放電するように構成された制御回路と、を備えてもよい。
【0081】
電気出力は、同期機の電圧出力、電流出力、又は電力出力であってもよい。電気需要は、電圧需要、電流需要、励磁機の界磁電圧需要、電力需要、又は同期機に連結された負荷装置のインダクタンス(実数又は複素数)によって特徴付けられる需要であってもよい。電気需要は、電気需要を示すパラメータ(例えば、力率)として、表されてもよい。負荷には、電気的負荷又は機械的負荷が含まれてもよい。負荷が機械的負荷を含む場合、励磁回路及び/又は同期機は、機械的負荷を電気需要を示す信号に変換する手段を含んでもよい。
【0082】
以下でより詳細に論じるように、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス422及び制御回路416によって、
図4の励磁回路404は、
図2~
図3の励磁回路と比較して、より高くより動的なDC出力上限を有利に達成し得る。したがって、
図4の励磁回路404は、負荷需要の変化に応答する同期機の能力を改善し得る。
【0083】
少なくとも一実施例では、制御回路404は、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス424によって蓄積された電荷の量を示す第3の信号を受信し、第3の信号によって示される蓄積電荷の量が所定のしきい値を下回り、第1の信号によって示される電力出力が第2の信号によって示される電力需要を満たす場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス424の荷電を開始するように更に構成されていてもよい。第1の信号によって示される電力出力は、発電機電力出力であってもよい。このようにして、制御回路404は、同期機に過度の要求を課すことなく、放電のために、少なくとも1つの電荷蓄積424を準備することがわかり得る。
【0084】
制御回路は、AC入力及び/又は負荷装置(本実施例では、励磁機界磁巻線)によって少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの荷電を開始するように構成されてもよい。AC入力は、同期発電機システムの副励磁機(例えば、永久磁石発電機)などのAC電源によって提供されてもよい。
【0085】
少なくとも一実施例では、第1の信号は、同期機の動作状態の測定されたパラメータを示してもよく、制御回路404は、第2の信号によって示される電気需要が、第1の信号によって示される電気出力を、絶対量又は相対量であり得る所定の量だけ超える場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス424を放電するように更に構成されてもよい。同様に、少なくとも一実施例では、第1の信号は、同期機の動作状態の測定されたパラメータを示してもよく、制御回路404は、第2の信号によって示される電気需要が、所定の期間、例えば、0.05秒、0.1秒、0.5秒、又は1秒にわたって、第1の信号によって示される電気出力を超える場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス424を放電するように構成されてもよい。
【0086】
したがって、制御回路404は、過渡負荷変動(及び/又は負荷の大きさのわずかな変動)が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス424の放電を引き起こさないように構成されてもよい。
【0087】
少なくとも一実施例では、制御回路404は、第1の信号によって示される電気出力が第2の信号によって示される電気需要を満たす場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス424をDC出力部から電気的に絶縁するように構成されてもよい。
【0088】
少なくとも一実施例では、DC出力は、正電圧又は負電圧であってもよい。AC入力は、三相信号又は単相信号であってもよい。
【0089】
少なくとも一実施例では、第1の信号は、同期機の電圧出力、電流出力、及び/若しくは電力出力を含み、第2の信号は、電圧需要、電流需要、電力需要、及び/若しくはインダクタンス(実数若しくは複素数)需要を含み、並びに/又は同期機に接続された負荷装置からの力率を反映し、負荷は、電気的負荷又は機械的負荷を含む。
【0090】
図5a~
図5bは、
図4の励磁回路に対応する同期機のための例示的な励磁回路504を示す。
図5aは、AC入力をDC出力に変換するように構成された整流回路514と、エネルギーをDC出力部に供給するように構成された少なくとも1つの電荷蓄積デバイス524と、同期機の動作状態を示す第1の信号を受信し、同期機の制御要求を示す第2の信号を受信し、第2の信号によって示される制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しない場合に存在するはずの同期機のしきい値容量を超える場合、及び同期機が第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス524によって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、第2の信号によって示される制御要求を満たすように構成された制御回路516と、を備える励磁回路504を示す。
【0091】
制御回路516は、1つ以上のIGBT518a~518gと、必要に応じて、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス524からの電圧と組み合わせて、コンデンサ522上の電圧からDC出力を提供するために、1つ以上のIGBT518a~518gを制御するように構成された自動電圧調整器520と、を更に備える。より一般的には、自動電圧調整器520は、1つ以上の絶縁ゲート二極トランジスタ518a~518gを制御して、DC出力の極性(正又は負)を調節するように構成されている。
【0092】
制御回路516は、IGBTが自動電圧調整器520によってオン状態からオフ状態に切り替えられる場合に回路インダクタンスからIGBTを保護するように構成されたコンデンサ522を更に備える。
【0093】
図5aに示されるトランジスタ及びコンデンサの実施例は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。すなわち、1つ以上のIGBT518a~518gは、いくつかの実施例では、切り替え中に回路インダクタンスから1つ以上のトランジスタを保護するように構成されたコンデンサの有無にかかわらず、1つ以上のトランジスタデバイスとして実装されてもよい。例えば、1つ以上のトランジスタデバイスは、電界効果トランジスタ増幅器又は金属酸化物半導体電界効果トランジスタであってもよい。あるいは、1つ以上のサイリスタが使用されてもよい。
【0094】
少なくとも一実施例では、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス524は、1つ以上のコンデンサ、蓄電池、又は蓄電池-コンデンサのハイブリッド322を含む。少なくとも1つの電荷蓄積デバイス524の適切なコンポーネント定格は、50mFのキャパシタンス、500Vの最大動作電圧、6mAの最大定格漏れ電流、及び20Aの最大リップル電流を含んでもよい。コンデンサなどの限られたエネルギー貯蔵器を、連続エネルギー源にわたって使用することにより、電圧過負荷のリスクが低減されるので、同期発電機システムの発電機又は主励磁機への損傷が防止され得る。
【0095】
図5aにはAC入力端子526a~526c及びDC出力端子528a~528bが、これは、励磁回路504に含まれてもよい。それぞれ、AC入力端子526a~526c及びDC出力端子528a~528bは、
図1bに関して上述したように、副励磁機の交流(AC)電力出力の一部を受け取り、主励磁機の固定子上の励磁機界磁巻線にDC出力を提供するように構成されてもよい。
【0096】
図5bは、4つの電荷蓄積デバイス524a~524dが並列に接続されている少なくとも1つの電荷蓄積デバイス524の任意選択の実装形態を拡大図で示す。全ての4つの電荷蓄積デバイス(又は1つ、2つ、若しくは3つの電荷蓄積デバイス)524a~524dが励磁回路504内に存在するかどうかは、励磁回路が使用される同期機の仕様及び要件に依存する。4つの電荷蓄積デバイス524a~524dの全てが、より大きい同期機に必要とされ得るが、より小さい同期機は、例えば、1つ又は2つの電荷蓄積デバイスのみを必要とする場合がある。もちろん、代替用途では、5つ以上の電荷蓄積デバイスを必要とする場合もある。
【0097】
図6は、同期機の一実施例として、
図5の励磁回路を備える同期発電機システム600を示す。同期発電機システム600は、発電機602、励磁回路604、副励磁機606、主励磁機608、シャフト610、及びシャフト610に取り付けられた1つ以上のダイオード(例えば、ダイオード整流器)612を備える。同期発電機システム600は、発電機602及び励磁回路604に連結された電流センサ626及び電圧センサ628を更に備える。
【0098】
励磁回路604は、整流回路614及び制御回路616を備え、制御回路616は、1つ以上の絶縁ゲート二極トランジスタ618a~618g、自動電圧調整器620、コンデンサ622、及び少なくとも1つの電荷蓄積デバイス624を備える。
【0099】
同期発電機システム600及び励磁回路604の動作の一般原理は、
図1b及び
図5に関して説明した通りである。追加の詳細として、制御回路616は、電流センサ626及び/又は電圧センサ628を介して、同期発電機システムの電気出力を示す第1の信号を受信すると理解され得る。同様に、自動電圧調整器620は、制御信号、例えば、制御信号630a~630bによって1つ以上の絶縁ゲート二極トランジスタ618a~618gを制御すると理解され得る。
【0100】
図5の励磁回路の動作原理を更に理解するために、
図7a~
図7eは、5つの動作モードによる制御回路の一部を示す。より具体的には、
図7a~
図7eは、1つ以上の絶縁ゲート二極トランジスタ(IGBT)718a~718e、コンデンサ722、及び少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724、並びにDC出力端子728a~728bの動作モードに注目する。
図5の励磁回路の残りのコンポーネントの存在は暗黙的である。
【0101】
図7aは、第1の動作モードにおける制御回路716の一部を示しており、第1の動作モードは、正のDC出力電圧を、DC出力端子728a~728bを介して、主励磁機の励磁機界磁に提供する。これは、発電機の定常状態動作中に励磁回路が動作するモード、すなわち、通常モードである。DC出力電圧は、ゼロと整流された入力供給電圧との間で変化し得る。このモードでは、V1、V3、及びV7(すなわち、参照符号718a、718c、及び718gを有するIGBT)は、恒久的にオンであり、V5(すなわち、参照符号718eを有するIGBT)は、恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)は、自動電圧調整器からのパルス幅変調(Pulse Width Modulation、PWM)信号によって駆動されて、励磁機の界磁へのDC出力電圧を制御する。制御回路を通る電流の流れは、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオンである場合、黄/オレンジ(第1/第2のハッチング)経路をたどり、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオフである場合、ピンク/オレンジ(第3/第2のハッチング)経路をたどる。
【0102】
図7bは、第2の動作モードにおける制御回路716の一部を示しており、第2の動作モードは、正のDC電圧を、DC出力端子728a~728bを介して、主励磁機の励磁機界磁に提供する。このモードでは、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724は、第1の動作モードで可能であるものよりも大きい正電圧を提供するために、DC出力部に放電するように、制御回路によって切り替えられる(すなわち、コンデンサ722を考慮に入れた後であっても、より高いDC電圧上限が達成される)。DC出力端子728a~728bに提供される電圧は、ゼロ電圧と、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724によって提供される電圧を加えた入力供給電圧との間で変化し得る。
【0103】
第2のモードでは、V1、V5、及びV7(すなわち、参照符号718a、718e、及び718gを有するIGBT)は、恒久的にオンであり、V3(すなわち、参照符号718cを有するIGBT)は、恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)は、励磁機の界磁への電圧を制御するために、PWM信号によって駆動される。励磁機の界磁における電流は、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオンである場合、黄/オレンジ(第1/第2のハッチング)経路をたどり、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオフである場合、ピンク/オレンジ(第3/第2のハッチング)経路をたどる。
【0104】
図7cは、第3の動作モードにおける制御回路716の一部を示しており、第3の動作モードは、正のDC電圧を、DC出力端子728a~728bを介して、主励磁機の励磁機界磁に提供する。このモードは、第1の動作モードと同じ電圧範囲を、励磁機の界磁に提供する。すなわち、提供される電圧は、ゼロと入力供給電圧との間で変化し得る。しかしながら、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオフである場合のフリーホイーリング電流は、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724を荷電するように切り替えられる。すなわち、誘導負荷装置を通る電流の減衰のための経路は、そうでなければ制御回路716を通るその他の場所に提供される。少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724が荷電される電圧は、自動電圧調整器を介して実装され得る制御回路内のプログラム可能な設定によって決定されてもよい。
【0105】
第3のモードでは、V1及びV7(すなわち、参照符号718a及び718gを有するIGBT)は恒久的にオンであり、V3及びV5(すなわち、参照符号718c及び718eを有するIGBT)は恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)は、PWM信号によって駆動されて、DC出力端子728a~728bを介して、励磁機の界磁への電圧を制御する。励磁機の界磁における電流は、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオンである場合、黄/オレンジ(第1/第2のハッチング)経路をたどり、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオフである場合、ピンク/オレンジ(第3/第2のハッチング)経路をたどる。したがって、少なくとも一実施例では、制御回路716は、同期機に接続された負荷装置(本実施例では励磁機界磁巻線)を使用して、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724を荷電するように、構成されている。
【0106】
図7dは、第4の動作モードにおける制御回路716の一部を示しており、第4の動作モードは、負のDC電圧を、DC出力端子728a~728bを介して、主励磁機の励磁機界磁に提供する。提供される電圧は、ゼロボルトと負の入力供給電圧との間で変化し得る。このモードでは、コンデンサ722は、黄色(第1のハッチング)で強調された経路を介して、荷電している。
【0107】
第4のモードでは、V3及びV7(すなわち、参照符号718c及び718gを有するIGBT)は恒久的にオンであり、V1及びV5(すなわち、参照符号718a及び718eを有するIGBT)は恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)は、励磁機の界磁への電圧を制御するために、PWM信号によって駆動される。励磁機の界磁における電流は、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオンである場合にピンク/オレンジ(第3/第2のハッチング)経路をたどり、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオフである場合に黄/オレンジ経路(第1/第2のハッチング)をたどる。
【0108】
図7eは、第5の動作モードにおける制御回路716の一部を示しており、第5の動作モードは、負のDC昇圧電圧を、DC出力端子728a~728bを介して、主励磁機の励磁機界磁に提供する。このモードでは、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724は、制御回路によってDC出力に切り替えられて、(すなわち、コンデンサ722を考慮した後であっても)第4の動作モードで可能であるものよりも大きい負電圧を提供する。DC出力端子728a~728bに提供される電圧は、ゼロボルトと、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724によって提供される負電圧を加えた(コンデンサ722によって提供される)負の入力供給電圧との間で変化し得る。このモードでは、コンデンサ722及び少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724は、黄色(第1のハッチング)で強調された経路を介して、荷電している。
【0109】
第5のモードでは、V7(すなわち、参照符号718gを有するIGBT)は恒久的にオンであり、V1、V3、及びV5(すなわち、参照符号718a、718c、及び718eを有するIGBT)は恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)は、励磁機の界磁への電圧を制御するために、PWM信号によって駆動される。励磁機の界磁における電流は、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオンである場合にピンク/オレンジ(第3/第2のハッチング)経路をたどり、V2(すなわち、参照符号718bを有するIGBT)がオフである場合に黄/オレンジ経路(第1/第2のハッチング)をたどる。
【0110】
したがって、少なくとも一実施例では、自動電圧調整器は、励磁回路のDC出力を制御するためにパルス幅変調を適用するように構成されてもよい。
【0111】
したがって、第1の通常動作モードは、上記で紹介したように、第1の信号によって示される電気出力が第2の信号によって示される電気需要を満たす場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724をDC出力部から電気的に絶縁する制御回路に対応する。同様に、第2の動作モードは、第2の信号によって示される電気需要が第1の信号によって示される電気出力を超える場合に、制御回路が少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724をDC出力部に放電し、それによって、DC出力「昇圧」を提供することに対応する。第3の動作モードは、制御回路が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724によって蓄積された電荷の量を示す第3の信号を受信し、第3の信号によって示される蓄積電荷の量が所定のしきい値未満であり、第1の信号によって示される電気出力が第2の信号によって示される電気需要を満たす場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724の荷電を開始することに対応する。
【0112】
第4の動作モード及び第5の動作モードによって供給される負のDC電圧は、制御回路が、同期機(第1のモード及び第2のモードを参照)への「強制された」正のDC電圧を低減して、電流スパイクがシステムに過負荷をかけることを回避することを可能にする。第2の動作モードと同様に、第5の動作モードは、強制された正電圧のより速い低減をもたらすために、負極性ではあるが、より大きいDC電圧上限を提供する。
【0113】
図8は、
図3又は
図5の励磁回路を備える励磁機のシミュレートされた応答を示す。ブラシレス励磁機界磁巻線の抵抗及びインダクタンスをそれぞれ表すために、DC供給電圧300V、負荷7Ω、及びインダクタンス14Hの下で、LTspice(登録商標)によって応答をシミュレートした。
図5の励磁回路では、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス724について、10mFのキャパシタンスが仮定された。
【0114】
図8aの上のパネルでは、
図3の励磁回路の電圧応答(赤色又は実線によって示されるトレース830)が、上記で示されるシミュレーション条件下で、
図5の励磁回路の電圧応答(青緑色又は破線によって示されるトレース832)と比較される。
図8bの下のパネルは、対応する電流応答、すなわち、
図3の励磁回路(緑色又は実線によって示されるトレース834)及び
図5の励磁回路の電圧応答(青色又は破線によって示されるトレース836)を示す。見て分かるように、
図5の励磁回路は、切り替え時に、
図3の励磁回路と比較して電圧「昇圧」を提供し、定常状態電流へのより速い立ち上がり及び立ち下がり時間を提供する。
【0115】
図9は、シミュレーションのために考慮された条件(時間1秒において6.5Aから13Aへ、3.5秒において13Aから0Aへの要求された励磁機界磁電流の工程)に一致した条件下で、
図3又は
図5の励磁回路を備える励磁機の測定された応答を示す。
図9aの上のパネルは、
図3の励磁回路の電圧応答930(赤色又は破線によって示される)及び
図5の励磁回路の電圧応答932(青色又は実線によって示される)を示す。
図9bの下のパネルは、電流応答、すなわち、
図3の励磁回路(赤色又は破線によって示されるトレース934)及び
図5の励磁回路の電流応答(青色又は実線によって示されるトレース936)を示す。
【0116】
図10は、シミュレーションのために考慮された条件に一致する条件下での、
図3及び
図5の励磁回路の更なる測定された応答を示す。
図10aの上のパネルは、
図5の励磁回路の電圧応答1032を示す。
図10bの下のパネルは、電流応答、すなわち、
図3の励磁回路(赤色又は実線によって示されるトレース1034)及び
図5の励磁回路の電流応答(青色又は破線によって示されるトレース1036)を示す。
【0117】
図9及び
図10に示される測定された応答は、
図8に示されるシミュレートされた応答に近く、
図3の励磁回路に対する
図5の励磁回路の有利な特性を実証している。
【0118】
図11は、
図5の励磁回路を動作させる方法1140を示す。
図4、
図7、
図12、
図13、及び
図17による励磁回路を動作させることにも適用可能な本方法は、同期機の動作状態を示す第1の信号を受信すること(1142)と、同期機の制御要求を示す第2の信号を受信すること(1144)と、第2の信号によって示される制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しない場合に存在するはずの同期機のしきい値容量を超え、同期機が第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、第2の信号によって示される制御要求を満たすために、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給すること(1146)と、を含む。
【0119】
第1の信号は、同期機の動作状態の測定されたパラメータを示してもよく、測定されたパラメータは、同期機の電圧出力、電流出力、及び電力出力のうちの少なくとも1つ、並びに同期機に接続された負荷装置からの電圧需要、電流需要、電力需要、インダクタンス需要、及び力率のうちの1つ以上を含み、第2の信号は、同期機の制御要求のパラメータ要件を示してもよく、パラメータ要件は、同期機の励磁機の界磁電圧及び/又は界磁電流、同期機を制御するように構成された自動電圧調整器の入力、出力、及び/又は1つ以上の内部値、同期機の発電機によって提供される電圧及び/又は電流、同期機の実インダクタンス需要又は複素インダクタンス需要、並びに同期機に接続された負荷装置からの力率のうちの少なくとも1つを含む。
【0120】
図12は、
図4~
図6及び
図7a~
図7eに示す励磁回路に対応する、同期機のための例示的な励磁回路1204を示す。特に、励磁回路1204は、整流回路1214と、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1224(コンデンサ「C2」として例示され、別様に、昇圧コンデンサと称され得る)と、制御回路1216と、を備え、制御回路は、1つ以上のトランジスタ1218a~1218fと、コンデンサ1222(コンデンサ「C1」として例示される)と、を備える。示されるように、励磁回路1204は、入力端子1226a~1226c及びDC出力端子1228a~1228bを更に備え、誘導負荷装置1250に接続されてもよい。
【0121】
励磁回路1204(コンバータとも称され得る)には、AC三相電圧又は一相電圧が供給され得る。待機電源としては、AC電圧及びDC電圧を使用することが可能である。
【0122】
整流回路1214は、コンデンサ1222に給電する。少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1224は、昇圧のために使用され、トランジスタV2、V3(すなわち、参照符号1218b及び1218cを有するトランジスタ)及び誘導負荷装置1250をオフに切り替えることによって荷電される。少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1224は、同期機の電気出力を最大電気出力まで増加させる必要がある場合、及び電気出力の急速な増加が必要な場合に、一時的にのみ使用される。コンデンサ1222は、通常動作モード中に、所定の値に荷電される。
【0123】
1つ以上のトランジスタ1218a~1218fは、IGBTトランジスタを含んでもよいが、当業者には、必要に応じて、別のタイプのスイッチングデバイスを使用できることが理解されよう。
【0124】
1つ以上のトランジスタ1218a~1218fは、励磁回路1204を実装する(又は備える)AVR(図示せず)によって制御されてもよい。電圧測定値及びその他の量に基づいて、AVRは、制御回路1216を介して、1つ以上のトランジスタ1218a~1218fを制御してもよい。
【0125】
励磁回路1204は、高い初期電気出力応答が必要とされるブラシレス同期発電機、同期電動機、又は同期補償器の励磁システムに適用可能である。それにもかかわらず、励磁回路1204は、同様の要件を有する代替用途においても使用され得る。励磁回路1204は、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1224を放電して、励磁システムの電気出力を一時的に増加させる。これは、既存の解決策と比較して、誘導負荷装置への電気出力の大幅に加速された増加を可能にする。励磁回路1204はまた、同期機へのいかなる追加の電源も使用することなく、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1224を荷電してもよい。励磁回路1204はまた、誘導負荷装置の高速脱励磁を容易にしてもよい。
【0126】
したがって、
図4~
図6、
図7a~
図7e、又は
図12による励磁回路は、回路全体(すなわち、例示的な励磁回路及び誘導負荷装置を備える同期機)の動的挙動を改善してもよい。専用の電荷供給源よりも少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを使用することの更なる利点は、後者が自己制限型であることであり、一度放電されると、もはや同期機を過負荷にする危険性はない。
【0127】
例えば、
図4~
図6、
図7a~
図7e、又は
図12で説明したような励磁回路は、主発電機と、主発電機の回転子シャフトに連結され、AC入力を提供するように構成された副励磁機(例えば、永久磁石発電機)と、を備える同期発電機システムに含まれてもよい。永久磁石発電機の出力端子、又はAC入力を供給することが可能な同期機の任意のその他のコンポーネントは、整流回路の入力端子に連結されていてもよく、それによって、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを荷電するためのAC電源を提供する。有利なことに、これは、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを荷電するための任意の別個の外部電源の必要性を回避する。
【0128】
図12の励磁回路の動作原理を更に理解するために、
図13a~
図13eは、5つの動作モードによる制御回路1316の一部を示す。より具体的には、
図13a~
図13eは、1つ以上のトランジスタ1318a~1318e、コンデンサ1322、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324、DC出力端子1328a~1328b、及び誘導負荷装置1350の動作モードに注目する。
図12の励磁回路の残りのコンポーネントの存在は暗黙的である。
【0129】
図13aは、第1の励磁動作モードにおける制御回路1316の一部を示し、第1の励磁動作モードは、ゼロからコンデンサ1322によって決定される正電圧までの範囲における正の出力電圧を提供する。DC出力端子1328a~1328bにおける出力電圧は、定常状態(すなわち、通常動作中に概念的に「恒久的」)であり得る。
【0130】
第1の動作モードにおける1つ以上のトランジスタ1318a~1318eの動作は、以下の通りである。V1(すなわち、参照符号1318aを有し、スイッチとして概略的に表されるトランジスタ)が、オンに切り替えられ、V2(参照符号1318bのトランジスタ)が、出力電圧を決定するPWMのために使用され、V3(すなわち、参照符号1318cを有し、スイッチとして概略的に表されるトランジスタ)が、オンに切り替えられ、V5(図示せず)が、オフに切り替えられる。
【0131】
第1の動作モード中のDC出力端子1328a~1328bにおける経時的な予測出力電圧は、(参照符号1328bで示されるDC出力端子における)定常状態の出力電圧を表す赤色又は実線のトレース1340によって示され、(参照符号1328aで示されるDC出力端子における)パルス幅変調出力電圧を表す緑色又は破線のトレース1342によって示される。
【0132】
図13bは、第2の荷電を伴う励磁動作モードにおける制御回路1316の一部を示し、この動作モードは、ゼロからコンデンサ1322によって決定される電圧までの範囲における正の出力電圧を提供する。この出力電圧は、第1の動作モードに関連して説明したように、定常状態であり得る。更に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324が荷電される。少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324は、必要なレベルまで荷電された後、この状態のままにされる。
【0133】
第2の動作モードにおける1つ以上のトランジスタ1318a~1318eの動作は、以下の通りである。V1(すなわち、参照符号1318aを有し、スイッチとして概略的に表されるトランジスタ)がオンに切り替えられ、V2(参照符号1318bのトランジスタ)が、出力電圧を決定するPWMのために使用され、V3(図示せず)がオフに切り替えられ、V5(図示せず)がオフに切り替えられる。
【0134】
第2の動作モード中のDC出力端子1328a~1328bにおける経時的な予測出力電圧は、(参照符号1328bで示されるDC出力端子における)定常状態の出力電圧を表す赤色又は実線のトレース1344によって示され、(参照符号1328aで示されるDC出力端子における)パルス幅変調出力電圧を表す緑色又は破線のトレース1346によって示される。
【0135】
図13cは、第3の昇圧を伴う励磁動作モードにおける制御回路1316の一部を示し、この動作モードは、ゼロからコンデンサ1322及び少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324によって決定される電圧までの範囲における出力電圧を提供する。この出力電圧は、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324が放電される期間中にのみ供給され得る。
【0136】
第3の動作モードにおける1つ以上のトランジスタ1318a~1318eの動作は、以下の通りである。V1(すなわち、参照符号1318aを有し、スイッチとして概略的に表されるトランジスタ)がオンに切り替えられ、V2(すなわち、参照符号1318bのトランジスタ)が出力電圧を決定するPWMのために使用され、V3(図示せず)がオフに切り替えられ、V5(すなわち、参照符号1318eを有し、スイッチとして概略的に表されるトランジスタ)がオフに切り替えられる。
【0137】
第3の動作モード中のDC出力端子1328a~1328bにおける経時的な予測出力電圧は、(参照符号1328bで示されるDC出力端子における)定常状態の出力電圧を表す赤色又は実線のトレース1348によって示され、(参照符号1328aで示されるDC出力端子における)パルス幅変調出力電圧を表す緑色又は破線のトレース1350によって示される。
【0138】
図13dは、正電流が誘導負荷装置1350に流れる限り、負の出力電圧を提供する、第4の脱励磁動作モードにおける制御回路1316の一部を示す。出力電圧範囲は、ゼロからコンデンサ1322によって決定される負電圧までである。コンデンサ1322にわたる電圧が許容最大電圧に達する場合、トランジスタV4(
図12の参照符号1218dを有するトランジスタと比較)がオンに切り替えられて、電流の流れのための追加の経路を(例えば、コンデンサ1322に並列に接続された抵抗器を介して)提供する。したがって、トランジスタV4をオンに切り替えることは、コンデンサ1322にわたる電圧を低減することを容易にする。
【0139】
第4の動作モードにおける1つ以上のトランジスタ1318a~1318eの動作は、以下の通りである。V1(図示せず)がオフに切り替えられ、V2(すなわち、参照符号1318bのトランジスタ)が、出力電圧を決定するPWMのために使用され、V3(すなわち、参照符号1318cを有し、スイッチとして概略的に表されるトランジスタ)がオンに切り替えられ、V5(図示せず)がオフに切り替えられ、V4(図示せず)が、コンデンサ1322にわたる電圧が許容最大電圧に達する場合に、オンに切り替えられる。
【0140】
第4の動作モード中のDC出力端子1328a~1328bにおける経時的な予測出力電圧は、(参照符号1328bで示されるDC出力端子における)定常状態の出力電圧を表す赤色又は実線のトレース1352によって示され、(参照符号1328aで示されるDC出力端子における)パルス幅変調出力電圧を表す緑色又は破線のトレース1354によって示される。
【0141】
図13eは、正電流が誘導負荷装置1350に流れる限り、負の出力電圧も提供する、第5の高速脱励磁動作モードにおける制御回路1316の一部を示す。出力電圧範囲は、ゼロから、コンデンサ1322及び少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324によって決定される負電圧までである。コンデンサ1322又は少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324にわたる電圧が、許容最大電圧に達する場合、トランジスタV4(
図12の参照符号1218dを有するトランジスタと比較)又はトランジスタV6(
図12の参照符号1218fを有するトランジスタと比較)が、オンに切り替えられて、電流の流れのための追加の経路を(例えば、コンデンサ1322に並列に、又は少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324に並列に接続された抵抗器を介して)提供する。したがって、トランジスタV4又はトランジスタV6をオンに切り替えることは、それぞれ、コンデンサ1322又は少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324にわたる電圧を低減することを容易にする。
【0142】
第5の動作モードにおける1つ以上のトランジスタ1318a~1318eの動作は、以下の通りである。V1(図示せず)がオフに切り替えられ、V2(すなわち、参照符号1318bのトランジスタ)が、出力電圧を決定するPWMのために使用され、V3(図示せず)がオンに切り替えられ、V5(図示せず)がオフに切り替えられ、V4(図示せず)が、コンデンサ1322にわたる電圧が許容最大電圧に達する場合に、オンに切り替えられ、V6(図示せず)が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1324にわたる電圧が許容最大電圧に達する場合に、オンに切り替えられる。
【0143】
第4の動作モード中のDC出力端子1328a~1328bにおける経時的な予測出力電圧は、(参照符号1328bで示されるDC出力端子における)定常状態の出力電圧を表す赤色又は実線のトレース1356によって示され、(参照符号1328aで示されるDC出力端子における)パルス幅変調出力電圧を表す緑色又は破線のトレース1358によって示される。
【0144】
トランジスタV4及びV6(
図12の参照符号1218d及び1218fを有するトランジスタと比較)は、「チョッパ(chopper)」トランジスタと称され得るか、又はそうでなければ「チョッパ」トランジスタとして機能し得る。少なくとも一実施例では、制御回路は、励磁回路のためのソフトスイッチとして機能して、起動時のピーク電流を低減するように構成された第7のトランジスタ(
図5aの参照符号518gを有するIGBTと比較)を備えてもよい。
【0145】
図14は、本明細書に開示される1つ以上の例示的な励磁回路の技術的効果の理解を支援するための簡易励磁機モデル1460を示す。簡易励磁機モデル1460は、それぞれ、励磁機の界磁回路のインダクタンス及び励磁機の界磁回路の抵抗を表す、インダクタL
f1462及び抵抗器R
f1464を備える。励磁機界磁電流は、I
d、1466で表され、励磁機出力電圧は、U
i、1468で表される。励磁機出力電圧U
i1448は、励磁機界磁電流I
d1466にほぼ比例する。
【0146】
励磁機の時定数は、τf=Lf/Rfとして定義され、励磁機界磁巻線と物理的に関連付けられる。DC電圧Udが、励磁機界磁巻線に印加される場合、励磁機界磁電流1466(したがって、励磁機出力電圧1468もまた)は、dId/dt=Ud/Lfの速度で変化する。したがって、印加電圧Udの増加は、励磁機の界磁コイルにおける対応する電流変化率を増加させる。
【0147】
したがって、
図4、
図7、
図12、
図13、及び
図17を参照して説明されるような例示的な励磁回路は、印加電圧U
dの一時的な増加を提供してもよく、励磁機応答の対応する短縮(又は改善)を伴う。例えば、一時的な増加は、第1の信号によって示される発電機の動作状態が、第2の信号によって示される必要な値を満たさない場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給するように構成された制御回路に続いてもよく(又はそれによって実現されてもよく)、それは、励磁機の界磁コイルにわたる電圧、及び励磁機の界磁コイルにおける対応する電流変化率を増加させる。第1の信号及び第2の信号は、電圧信号であってもよい。
【0148】
この技術的効果の更なる理解は、IEEE Std 421.5-2016(IEEE Std 421.5-2005の改訂版)、pp.1-207、2016年8月26日の「IEEE Recommended Practice for Excitation System Models for Power System Stability Studies」に見出され得る。特に、励磁システムモデルタイプAC5A及び自動電圧調整器モデルAC7の考察である。
【0149】
図15は、ブラシレス励磁システムを有する同期発電機システム1500の例示的な配置を示す。同期発電機システム1500は、永久磁石発電機(Permanent Magnet Generator、PMG)1572と、励磁機界磁巻線(固定子)1574a、励磁機電機子巻線(回転子)1574b及び回転整流器1574cを備えるブラシレス励磁機と、同期発電機電機子1576a及び同期発電機界磁巻線1576bを備える同期発電機と、電流感知変圧器1578及び電圧感知変圧器1580(本実施例では、発電機電力出力部に位置する)と、発電機スイッチ1582と、を備える。本実施例では、同期発電機システム1500は、発電機スイッチ1582を介して、送電網1584に接続されている。
【0150】
同期発電機システム1500は、励磁回路1586とも称され得る励磁回路を更に備え、この励磁回路は、典型的には、永久磁石発電機1572によって電力供給される。励磁回路は、パルス電力変換器制御部1588を有する自動電圧調整器1530と、分流器1590と、電力変換器1592と、を備える。
【0151】
自動電圧調整器1530は、(電流感知変圧器1578及び電圧感知変圧器1580を介して)発電機量を示す信号を受信し、(分流器1590を介して)励磁機界磁電流を示す信号を受信するように構成されている。受信した信号に基づいて、自動電圧調整器1530は、発電機界磁巻線上に適切な電圧を維持するように、電力変換器1592を制御する。
【0152】
図15に示す同期発電機システム1500は、広範な用途を有してもよい。励磁システムは、回転励磁機(例えば、上述のようなブラシレス励磁機)、DC励磁機を有するシステム、又はAC励磁機及び固定ダイオード整流器を有するシステムとして提供されてもよい。
【0153】
回転励磁機を備える励磁システムでは、回転励磁機は、電力変換器1592と同期発電機界磁巻線1576bとの間に位置し、(
図14に示す、単純な励磁機モデルを参照して定義される)無視できない時定数を有する。その結果、回転励磁機は、電力変換器1592の出力電圧における変化と同期発電機界磁巻線1576b上の電圧の変化との間の時間に、著しい遅延をもたらす場合がある。
【0154】
発電機スイッチ1582が「オン」位置にある場合、発電機の安定性のために、発電機界磁電圧が、定常状態動作においてだけでなく、電気需要における外乱によって引き起こされる過渡状態中にも、発電機に連結された負荷装置からの電圧需要に対応することが重要である。
【0155】
図16aは、別の例示的な励磁回路1604を、概略形態で示す。励磁回路1616は、二象限電力変換器半制御IGBT Hブリッジに基づいており、入力端子1626a~1626bと、制御回路1616として、整流器1694と、平滑コンデンサ1622と、過電圧保護回路1614と、を備える。入力端子1626a~1626bは、例えば、永久磁石発電機、発電機電機子から給電される変圧器、補助バス、又はステーション蓄電池から給電電圧を受け取るように構成されている。給電電圧は、整流器1694によって整流され、平滑コンデンサ1622によって平滑される。過電圧保護回路1614は、平滑コンデンサ1622と並列に設けられ、過電圧又は逆極性の電圧から平滑コンデンサ1622を保護するように構成されている。
【0156】
制御回路1616は、パルス幅変調(PWM)ユニット1698からの制御信号によって、平滑コンデンサ1622にわたって内部電圧を決定する電子スイッチ(IGBTトランジスタ、MOSFETトランジスタ)1618a~1618b及びダイオード1696a~1696bを更に備える。具体的には、PWMユニット1698は、PWMユニット出力16002、16004を介して運ばれる、電子スイッチ1618a~1618bへの制御信号を通じて、内部電圧を制御するように構成されている。
【0157】
励磁回路1604は、出力端子1628a~1628b及びAVR16006を更に備える。使用時に、出力端子にわたる電圧は、励磁機16008の界磁巻線に連結され、給電電圧及びPWMユニット1698に提供される出力電圧Ur16010に比例する。
【0158】
図16bは、
図16aの例示的な励磁回路の負荷特性を示す。これらの負荷特性によれば、出力電流は、0Aから、平滑コンデンサ1622にわたる電圧U
C1を、任意の相互接続配線と共に励磁機界磁巻線16008の抵抗で除算して限定された値I
dmaxまでの範囲内で、1つの極性のみに制限される。
【0159】
出力電圧、すなわち、出力端子1628a~1628bにわたる電圧は、正極性又は負極性を有してもよい。出力電圧の最大可能平均値は、平滑コンデンサ1622の電圧にほぼ対応する。
【0160】
正の出力電圧を有する負荷特性は、励磁回路の通常動作モード16012に対応する。負の出力電圧を有する負荷特性は、励磁機界磁巻線を流れる電流が減少している場合、すなわち、励磁機界磁巻線からエネルギーが除去されている場合に使用される、励磁回路の一時的動作モード16014に対応する。
【0161】
ここで、
図11を参照して説明されるように、第2の信号によって示される制御要求を満たすために、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給する更なる態様について説明するが、これらの態様は、
図4、
図5、
図7、
図12、及び
図13に概略的に示される例示的な励磁回路によって、それらの様々な組合せで実現され得ることが理解される。
【0162】
図17aは、
図4、
図5、
図7、
図12、及び
図13に概略的に示される例示的な励磁回路に対応する、別の例示的な励磁回路1704を概略形態で示す。
図16に概略的に示される例示的な励磁回路に対して、同様の特徴の説明は、簡潔にするために省略される。
【0163】
図16に示される制御回路に対する制御回路1716の追加の特徴は、電子スイッチ1718c、1718e、ダイオード1796c~1796d、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1724、及び励磁回路に追加の過電圧保護を提供するように構成されたダイオード17140である。
【0164】
PWMユニットの追加の特徴は、追加の電子スイッチ1718c、1718eに制御信号を提供する出力17016、17018と、それぞれ、平滑コンデンサ及び少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1724にわたる電圧を感知するための入力17020、17022と、を含む。PWMユニットはまた、制御信号HDC ENABLE 17024を受信するように更に構成されている。
【0165】
制御信号17024は、発電機の動作状態を示してもよく、励磁回路1704の追加の(昇圧)動作モードを提供するために、PWMユニットの制御機能を強化するために使用されてもよい。PWMユニットの入力17020、17022は、制御特性の線形化のため、及びこれらの動作モード間の平滑な切り替えのために使用される。
【0166】
制御信号17024は、(例えば、送電網に接続されている発電機に対応する)発電機スイッチの位置から、又は発電機出力の最小レベルから導出され得る。あるいは、制御信号17024は、発電機の動作状態から独立され得る(すなわち、制御信号17024は、常に作動中である)。
【0167】
出力電圧16010及び制御信号17024は、両方とも電圧信号である。制御信号17024は、励磁回路1716の昇圧機能を有効化するが、(PMGによって提供される電力によって決定される)入力電力に対する励磁回路1716の任意の要件は、
図16に示される例示的な励磁回路と変わらない。
【0168】
出力電圧16010は、励磁機の界磁コイルによって生成される界磁電圧の要求値を示してもよい。出力電圧16010は、自動電圧調整器の出力であり、必要とされる発電機電圧、実発電機電圧、発電機出力電流、励磁機界磁電流利得、及び自動電圧調整器の積分利得に依存してもよく、電力システム安定器の出力及び/又は自動電圧調整器に含まれるリミッタの活動によって影響を受けてもよい。
【0169】
図17bは、
図17aの例示的な励磁回路の負荷特性17012、17014、17026~17030を示す。
図16に示される例示的な励磁回路の負荷特性と同様に、出力電流は、0Aから値I
dmaxまでの範囲内で、1つの極性のみに制限される(I
dmaxは、上で定義された通りである)。出力電圧は、正極性又は負極性を有してもよい。また、制御信号17024が使用されていない(すなわち、「オフ」である)場合、出力電圧の最大可能平均値は、平滑コンデンサ上の電圧にほぼ対応する。
【0170】
図16に示される例示的な励磁回路の負荷特性とは対照的に、制御信号17024が使用中である(すなわち、「オン」である)場合、出力電圧の最大可能平均値は、平滑コンデンサ上の電圧及び少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1724上の電圧にほぼ対応する。
【0171】
換言すれば、励磁回路1704は、以下のモードで動作し得る。
-正の出力電圧を有する通常動作モード17012(第1のモード)。
-通常動作モード17012と同様であるが、事前設定値への少なくとも1つの電荷蓄積デバイス1724の同時予備荷電を含む荷電動作モード17028(第2のモード)。
-増加した(昇圧された)正の出力電圧を有する短時間動作モード17026(第3のモード)。
-励磁機界磁巻線を通る電流が減少している場合、すなわち、励磁機界磁巻線からエネルギーが除去されている場合に使用される、負の出力電圧を有する一時的動作モード17014(第4のモード)。
-第2の動作モードよりも速い速度で励磁機界磁巻線を通る電流を低減するために使用される、昇圧された(より負である)負の出力電圧を有する、短時間動作モード17030(第5のモード)。
【0172】
この番号付け方式によれば、第2のモード及び第3のモードは、それぞれ、
図7c及び
図7bを参照して説明した第3のモード及び第2のモードに対応する。
【0173】
したがって、第3のモード及び第5のモードは、
図4、
図5、
図7、
図12、
図13、及び
図17による励磁回路の例示的な動作状態を反映しており、これらの動作状態は、第2の信号によって示される制御要求が、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが存在しない場合に存在するはずの同期機のしきい値容量を超える場合に、及び同期機が第1の信号から導出されるような適切な動作状態にある場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、第2の信号によって示される制御要求を満たすことから続く。
【0174】
例えば、同期機が励磁機及び発電機を備える場合、DC出力部は、励磁機の界磁コイルに連結されてもよく、(第1の信号によって示される)動作状態は、発電機の動作状態を反映してもよく、(第2の信号によって示される)制御要求は、(界磁電圧に基づいて発電機に給電する)励磁機によって生成される界磁電圧の要求値を表してもよい。更に、制御回路は、第1の信号によって示される発電機の動作状態が、第2の信号によって示される要求値を満たさない場合に、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部を供給して、励磁機の界磁コイルにわたる電圧及び励磁機の界磁コイルにおける対応する電流変化率を増加させるように構成されていてもよい。ここで、対応する電流変化率は、励磁機の界磁回路上の電圧増加に比例し、励磁機の界磁回路の誘導率に反比例する場合がある。
【0175】
第1の信号によって示される発電機の動作状態は、発電機によって提供される測定電圧が、発電機によって提供される予測電圧から逸脱する場合に、第2の信号によって示される要求値を満たすことができない場合があり、予測電圧は、励磁機の界磁コイルによって生成される界磁電流に基づく。測定電圧と予測電圧との差が、しきい値条件を満たす場合(例えば、その差が、しきい値電圧差、しきい値期間のしきい値電圧差、及び電圧差データにおける所定の特徴のうちの1つ以上を満たす場合、又は超える場合)、測定電圧は、予測電圧から逸脱する場合がある。制御回路(例えば、制御回路に含まれる自動電圧調整器)は、偏差を決定するように構成されてもよい。
【0176】
図18は、
図17aの例示的な励磁回路の出力特性曲線を示す。制御信号17024が「オフ」である場合、出力特性18032は、
図16aに示される例示的な励磁回路の出力特性に対応する。制御信号17024が「オン」である場合、励磁回路を動作させる第2のモード、第3のモード、及び第5のモードが利用可能であり、出力特性18034が拡張され、それによって、励磁応答の改善を可能にする。しかしながら、拡張された出力特性は、出力電圧Urの範囲を通じて線形のままであるので、自動電圧調整器を同調させる周知の技術は適用可能なままである。
【0177】
図17aの励磁回路の5つの動作モードは、以下の図を参照して更に論じられる。明確かつ簡潔にするために、
図17aの例示的な励磁回路からの同様の特徴は、省略されるか、又は輪郭によって表されるかのいずれかである。
【0178】
図19a~
図19bは、第1の動作モードにおける
図17aの制御回路の部分1916aを示しており、この動作モードは、正のDC出力電圧を、DC出力端子1928a~1928bを介して、主励磁機の励磁機界磁巻線19008に提供する。
【0179】
第1の動作モードは、発電機の定常状態動作中に動作する励磁回路、すなわち、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが電気的に絶縁され、正電圧がDC出力部に提供される、通常モードに対応する。DC出力電圧は、ゼロと整流された入力供給電圧UC1(すなわち、平滑コンデンサ1922上の電圧)との間で変化し得る。この第1のモードでは、V1、V3(すなわち、参照符号1918a及び1918cを有するIGBT)は、恒久的にオンであり、V5(すなわち、参照符号1918eを有するIGBT)は、恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号1918bを有するIGBT)は、PWMユニットからのパルス幅変調(PWM)信号によって駆動されて、励磁機界磁巻線へのDC出力電圧を制御する。励磁回路を流れる電流は点線で表された経路をたどる。V2(すなわち、参照符号1918bを有するIGBT)がオンの場合、経路は黒矢印で指定され、V2(すなわち、参照符号1918bを有するIGBT)がオフである場合、白矢印で指定され、この経路がV2(すなわち、参照符号1918bを有するIGBT)のオン状態で問題にならない場合、黒矢印/白矢印で指定される。
【0180】
あるいは、第1の動作モードでは、V2(すなわち、参照符号1918bを有するIGBT)は、恒久的にオンであり、V1(すなわち、参照符号1918aを有するIGBT)は、PWM変調によって駆動される。
【0181】
図19bは、第1の動作モード中のDC出力端子1928a~1928bにおける経時的な出力電圧を示す。参照符号1954を有するトレースは、即時電圧値(すなわち、パルス幅変調出力電圧)を表し、一方で、参照符号1952を有するトレースは、定常状態出力電圧を表す。
【0182】
図20a~
図20bは、第2の動作モードにおける
図17aの制御回路の部分2016aを示しており、この動作モードは、正のDC出力電圧を、DC出力端子2028a~1928bを介して、主励磁機の励磁機界磁巻線20008に提供する。このモードは、第1の動作モードと同じ電圧範囲を、励磁機の界磁に提供する。すなわち、提供される電圧は、ゼロと整流された入力供給電圧U
C1(すなわち、平滑コンデンサ2022上の電圧)との間で変化し得る。しかしながら、V2(すなわち、参照符号2018bを有するIGBT)がオフである場合のフリーホイーリング電流は、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス2024を荷電するように切り替えられる。すなわち、誘導負荷装置を通る電流の減衰のための経路は、
図7cに示される制御回路を参照して説明されるように、別様に提供される。
【0183】
この第2のモードでは、V1(すなわち、参照符号2018aを有するIGBT)は、恒久的にオンであり、V3及びV5(すなわち、参照符号2018c及び2018eを有するIGBT)は、恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号2018bを有するIGBT)は、PWMユニットからのパルス幅変調(PWM)信号によって駆動されて、励磁機界磁巻線へのDC出力電圧を制御する。制御回路を流れる電流は点線で表された経路をたどる。V2(すなわち、参照符号1918bを有するIGBT)がオンの場合、経路は黒矢印で指定され、V2(すなわち、参照符号1918bを有するIGBT)がオフである場合、白矢印で指定され、この経路がV2(すなわち、参照符号1918bを有するIGBT)のオン状態で問題にならない場合、黒矢印/白矢印で指定される。
【0184】
図20bは、第2の動作モード中のDC出力端子2028a~1928bにおける経時的な出力電圧を示す。参照符号2054を有するトレースは、即時電圧(すなわち、パルス幅変調出力電圧)を表し、一方で、参照符号2052を有するトレースは、平均出力電圧を表す。
【0185】
図21a~
図21dは、第3の動作モードにおける、
図17aの制御回路の部分2116aを示し、この動作モードは、昇圧された正のDC電圧を、DC出力端子2128a~2128bを介して、主励磁機の励磁機界磁巻線21008に提供する(すなわち、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部がDC出力部に供給されて、DC出力部において、より大きな正電圧を提供する)。このモードでは、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス2124は、第1の動作モードで可能であるものよりも大きい正電圧を提供するために、DC出力部にエネルギーを供給するように、制御回路によって切り替えられる(すなわち、平滑コンデンサ2122を考慮に入れた後であっても、より高いDC電圧上限が達成される)。DC出力端子2128a~2128bに提供される電圧は、ゼロ電圧と、整流された入力供給電圧U
C1(すなわち、平滑コンデンサ2122上の電圧)と電圧U
C3(すなわち、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス2124上の電圧)との和と、の間で変化し得る。
【0186】
第3のモードでは、V1及びV5(すなわち、参照符号2118a及び2118eを有するIGBT)は、恒久的にオンであり、V3(すなわち、参照符号2118cを有するIGBT)は、恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号2118bを有するIGBT)は、励磁機の界磁への電圧を制御するために、PWM信号によって駆動される。制御回路を流れる電流は点線で表された経路をたどる。V2(すなわち、参照符号2118bを有するIGBT)がオンの場合、経路は黒矢印で指定され、V2(すなわち、参照符号2118bを有するIGBT)がオフである場合、白矢印で指定され、この経路がV2(すなわち、参照符号2118bを有するIGBT)のオン状態で問題にならない場合、黒矢印/白矢印で指定される。
【0187】
図21bは、第3の動作モード中のDC出力端子2128a~2128bにおける経時的な出力電圧を示す。参照符号2154を有するトレースは、即時電圧(すなわち、パルス幅変調出力電圧)を表し、一方で、参照符号2152を有するトレースは、平均出力電圧を表す。
【0188】
図21c~
図21dは、第3の動作モードのための代替構成における、
図17aの制御回路の部分2116aを示し、この動作モードは、即時(すなわち、パルス幅変調出力電圧の)電圧におけるリップルを低減する。
【0189】
第3の動作モードの代替構成は、以下のように実現される。V1及びV2(すなわち、参照符号2118a及び2118bを有するIGBT)は、恒久的にオンであり、V3(すなわち、参照符号2118cを有するIGBT)は、恒久的にオフである。V5(すなわち、参照符号2118eを有するIGBT)は、励磁機の界磁への電圧を制御するために、PWM信号によって駆動される。制御回路を流れる電流は点線で表された経路をたどる。V5(すなわち、参照符号2118eを有するIGBT)がオンの場合、経路は黒矢印で指定され、V5(すなわち、参照符号2118eを有するIGBT)がオフである場合、白矢印で指定され、この経路がV5(すなわち、参照符号2118eを有するIGBT)のオン状態で問題にならない場合、黒矢印/白矢印で指定される。
【0190】
図21bに示される経時的な出力電圧に関して、参照符号2154を有するトレース(
図21dを参照)は、即時電圧値(すなわち、パルス幅変調出力電圧)を表し、一方で、参照符号2152を有するトレースは、出力電圧の平均値を表す。
図21b及び
図21dに示される出力電圧の比較は、代替構成によって達成される低減されたリップルを明示する。
【0191】
図22a~
図22bは、第4の動作モードにおける、
図17aの制御回路の、部分2216aを示し、この動作モードは、DC出力端子2228a~2228bを介して、主励磁機の励磁機界磁巻線22008に負のDC電圧を提供する(すなわち、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが電気的に絶縁されており、負電圧がDC出力部に提供される)。提供される出力電圧は、ゼロと整流された負の入力供給電圧U
C1(すなわち、平滑コンデンサ2022上の電圧)との間で変化し得る。このモードでは、平滑コンデンサ2222は、白矢印を有する点線によって指定される経路を介して荷電される。
【0192】
この第4のモードでは、V3(すなわち、参照符号2218cを有するIGBT)は、恒久的にオンであり、V1及びV5(すなわち、参照符号2218a及び2218eを有するIGBT)は、恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号2218bを有するIGBT)は、PWMユニットからのパルス幅変調(PWM)信号によって駆動されて、励磁機界磁巻線へのDC出力電圧を制御する。制御回路を流れる電流は点線で表された経路をたどる。V2(すなわち、参照符号2218bを有するIGBT)がオンの場合、経路は黒矢印で指定され、V2(すなわち、参照符号2218bを有するIGBT)がオフである場合、白矢印で指定され、この経路がV2(すなわち、参照符号2218bを有するIGBT)のオン状態で問題にならない場合、黒矢印/白矢印で指定される。
【0193】
図22bは、第4の動作モード中のDC出力端子2228a~2228bにおける経時的な出力電圧を示す。参照符号2254を有するトレースは、即時電圧(すなわち、パルス幅変調出力電圧)を表し、一方で、参照符号2252を有するトレースは、平均出力電圧を表す。
【0194】
図23a~
図23dは、第5の動作モードにおける、
図17aの制御回路の部分2316aを示し、この動作モードは、昇圧された負のDC電圧を、DC出力端子2328a~2328bを介して、主励磁機の励磁機界磁巻線23008に提供する(すなわち、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスによって蓄積されたエネルギーの少なくとも一部がDC出力部に供給されて、DC出力部において、より大きな負電圧を提供する)。このモードでは、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス2324は、制御回路によってDC出力に切り替えられて、(すなわち、平滑コンデンサ2322を考慮した後であっても)第4の動作モードで可能であるものよりも大きい負電圧を提供する。DC出力端子2328a~2328bに提供される電圧は、ゼロボルトと、整流された入力供給電圧U
C1(すなわち、平滑コンデンサ2322上の電圧)と電圧U
C3(すなわち、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス2324上の電圧)との和と、の間で変化し得る。平滑コンデンサ2322及び少なくとも1つの電荷蓄積デバイス2324は、白矢印を有する点線によって指定される経路を介して荷電される。
【0195】
第5のモードでは、V1、V3、及びV5(すなわち、参照符号2318a、2318c、及び2318eを有するIGBT)は、恒久的にオフである。V2(すなわち、参照符号2318bを有するIGBT)は、励磁機の界磁への電圧を制御するために、PWM信号によって駆動される。制御回路を流れる電流は点線で表された経路をたどる。V2(すなわち、参照符号2318bを有するIGBT)がオンの場合、経路は黒矢印で指定され、V2(すなわち、参照符号cを有するIGBT)がオフである場合、白矢印で指定され、この経路がV2(すなわち、参照符号2318bを有するIGBT)のオン状態で問題にならない場合、黒矢印/白矢印で指定される。
【0196】
図23bは、第5の動作モード中のDC出力端子2228a~2228bにおける経時的な出力電圧を示す。参照符号2354を有するトレースは、即時電圧(すなわち、パルス幅変調出力電圧)を表し、一方で、参照符号2352を有するトレースは、平均出力電圧を表す。
【0197】
図23c~
図23dは、第5の動作モードのための代替構成における、
図17aの制御回路の部分2316aを示し、この動作モードは、即時(すなわち、パルス幅変調出力電圧の)電圧におけるリップルを低減する。
【0198】
第5の動作モードの代替構成は、以下のように実現される。V1、V2、及びV5(すなわち、参照符号2318a、2318b、及び2318eを有するIGBT)は、恒久的にオフである。V3(すなわち、参照符号2318cを有するIGBT)は、励磁機の界磁への電圧を制御するために、PWM信号によって駆動される。制御回路を流れる電流は点線で表された経路をたどる。V3(すなわち、参照符号2318cを有するIGBT)がオンの場合、経路は黒矢印で指定され、V3(すなわち、参照符号2318cを有するIGBT)がオフである場合、白矢印で指定され、この経路がV3(すなわち、参照符号2318cを有するIGBT)のオン状態で問題にならない場合、黒矢印/白矢印で指定される。
【0199】
図23bに示される経時的な出力電圧に関して、参照符号2354を有するトレース(
図23dを参照)は、即時電圧値(すなわち、パルス幅変調出力電圧)を表し、一方で、参照符号2352を有するトレースは、出力電圧の平均値を表す。
図23b及び
図23dに示される出力電圧の比較は、代替構成によって達成される低減されたリップルを明示する。
【0200】
1つ以上のIGBTは、各動作モードにおいて同じ機能性を達成するために、代替のトランジスタ又は電子スイッチによって置換されてもよい。代替の励磁回路設計(特に、制御回路に含まれる補助コンポーネントのレイアウト及び選択)もまた、同じ全体的な目的を達成するために、すなわち、本明細書で説明される規則及び条件に従って、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスからエネルギーを供給するために使用されてもよい。
【0201】
図16a又は
図17aの励磁回路を備える励磁機の応答特性は、(
図3及び
図5の励磁回路の測定された応答を示す)
図9に示されたものを反映する。したがって、
図17aの励磁回路はまた、
図16aの励磁回路と比較して電圧の「昇圧」を提供するが、これによって、発電機界磁電圧を決定する励磁機界磁電流のより速い立ち上がり時間及び立ち下がり時間を提供する。
【0202】
図4、
図5、
図7、
図12、
図13、及び
図17による例示的な励磁回路の利点は、以下のうちの1つ以上を含んでもよい。
1)回転励磁機を有する励磁システムについての好適性であり、これは、これらのシステムにおいて、回転励磁機は、電力変換器と発電機界磁巻線との間に配置され、かなりの(すなわち、比較的長い)時定数を有するためである。回転励磁機は、電力変換器が発電機界磁巻線に直接連結されている静的励磁システムと比較して、変動率を遅らせる。回転励磁機を有するシステムは、一般に、ブラシレス励磁システムを使用する。回転励磁機の時定数の影響の低減を可能にすることによって、励磁システム応答が結果的に改善される。
2)従来の電力変換器と比較して、同じ電源(PMG)に依存しながら、比較的短い時間(サブ秒、典型的には、10ms~100ms)で、より高い発電機上限電圧(正又は負)を達成するために、より高い正のDC出力電圧及び負のDC出力電圧が、提供され得る。結果として、
-HDC電力変換器を使用して、同期機の発電機は、依然として同じ標準PMGを装備し得、更により良好な励磁応答を提供し得る。
-HDC電力変換器は、特定の変更を必要とせずに、既存の同期機の応答を改善するためにも使用され得る(同期機自体を変更する必要はない)。
3)励磁機応答の改善に必要なエネルギーは、少なくとも1つの電荷蓄積デバイス内に蓄積され、したがって、制限される。したがって、起こりそうもないHDC電力変換器の故障の場合における、同期機への潜在的な損傷も制限される。
4)PWM変調が使用される場合、AVR調整の標準的な方法は、PWM変調の使用が、HDC電力変換器の出力電圧の制御がその全範囲にわたってAVR出力信号(U
r)に線形的に依存することを可能にするので、適用可能なままである。
【0203】
更に、
・電力変換器出力電流のレベルは、自動電圧調整器(AVR)によって、IMax<UC1/Rfへと制限され、式中、UC1は、整流されたPMG出力電圧によって供給される平滑コンデンサ上の電圧であり、Rfは、相互接続配線を含む励磁機界磁巻線の抵抗である。この条件下では、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスに蓄積されたエネルギーは、比較的短い(サブ秒の)時間だけ使用され、回転励磁機の時定数を低減するための昇圧電圧を提供する。
・少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの予備荷電のために、追加の電源は使用されず、むしろ、予備荷電は、その誘導負荷装置(励磁機界磁巻線)を用いて、電力変換器自体の機能によって行われる。かなりの内部リアクタンスを有するPMGを伴う場合であっても、電圧のレベルは、パルス幅変調(PWM)ユニット制御によって維持される。この電圧レベルは、プログラム可能なパラメータによって、設定される。
・PMG自体による供給から利用可能な値を超えて正の出力電圧を増加させるために、少なくとも1つの電荷蓄積デバイスからのエネルギーを、PWM変調を使用して制御された方法で追加し得る。負の出力電圧をPMG自体による供給から利用可能な値未満に減少させるために、PWM変調を使用して、制御された方法で、エネルギーを負荷装置から少なくとも1つの電荷蓄積デバイスに移動させ得る。
【0204】
本出願人は、このような特徴又は特徴の組合せが本明細書に開示される任意の問題を解決するかどうかにかかわらず、特許請求の範囲を限定することなく、当業者の共通の一般知識に照らして、このような特徴又は組合せが、全体として、本明細書に基づいて実施され得る程度まで、本明細書に記載される各個々の特徴及び2つ以上のこのような特徴の任意の組合せを単独で開示する。出願人は、開示された態様/実施形態が、任意のこのような個々の特徴又は特徴の組合せからなり得ることを示す。前述の説明を考慮すると、本開示の範囲内で様々な修正が行われ得ることが、当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】