(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】キャップ適用監視方法及びキャップホルダ
(51)【国際特許分類】
B67B 3/26 20060101AFI20241122BHJP
B67B 3/20 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
B67B3/26
B67B3/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533287
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022084603
(87)【国際公開番号】W WO2023110541
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】テレストローム、マグヌス
【テーマコード(参考)】
3E080
【Fターム(参考)】
3E080AA07
3E080EE02
3E080EE08
3E080FF11
(57)【要約】
充填機(300)におけるキャップ適用を監視するための方法(600)が提示される。充填機(300)は、キャップ(106)を包囲する周辺要素(102)と、周辺要素(102)に接続され、周辺要素(102)の中心軸(A)を中心に回転する間、周辺要素(102)に対するキャップ(106)の移動を阻止するために配置された把持要素(104)と、周辺要素(102)に取り付けられたセンサ配置部(110)と、周辺要素(102)にリンクされ、センサ配置部(110)に通信可能に接続され、センサデータをデータ処理装置(312)に送信するように配置された通信モジュール(112)と、を備え、当該方法は、センサ配置部(110)によって捕捉されたセンサデータ(314)を受信し(602)、センサデータ(314)と、データ処理装置(312)に通信可能に接続された参照データベース(318)に保持されたセンサ参照データ(320)と比較し(604)、センサデータ(314)とセンサ参照データ(320)との間に不一致(606)がある場合、データ処理装置(312)から制御システム(324)にチェック通知(322)を送信する(608)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ処理装置(312)を用いて充填機(300)におけるキャップ適用を監視する方法(600)であって、前記充填機(300)が、キャップホルダ(100)を備え、当該キャップホルダは、
キャップ(106)を包囲する周辺要素(102)と、
前記周辺要素(102)に接続され、前記周辺要素(102)の中心軸(A)を中心に回転する間、前記周辺要素(102)に対する前記キャップ(106)の移動を阻止するために配置された把持要素(104)と、
前記周辺要素(102)に取り付けられたセンサ配置部(110)と、
前記周辺要素(102)にリンクされ、前記センサ配置部(110)に通信可能に接続され、センサデータをデータ処理装置(312)に送信するように配置された通信モジュール(112)と、
を備え、
当該方法は、
前記センサ配置部(110)によって捕捉された前記センサデータ(314)を受信し(602)、
前記センサデータ(314)と、データ処理装置(312)に通信可能に接続された参照データベース(318)に保持されたセンサ参照データ(320)と比較し(604)、
前記センサデータ(314)と前記センサ参照データ(320)との間に不一致(606)がある場合、前記データ処理装置(312)から前記制御システム(324)にチェック通知(322)を送信する(608)、
方法(600)。
【請求項2】
前記センサデータ(314)は、前記中心軸(A)周り回転のキャップ適用開始位置とキャップ適用終了位置との間で測定された角度データを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサデータ(314)は、キャップ適用開始位置からキャップ適用終了位置までの中心軸(A)周りのキャップの回転中に測定されたトルクデータを含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記センサデータ(314)が、垂直軸(B)周りの回転のキャップ適用開始位置とキャップ適用終了位置との間で測定された垂直角度データを備え、前記垂直軸(B)は、前記中心軸(A)に対して垂直である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
エネルギーハーベスティング構成(114)を使用してエネルギーを収穫(610)する、ことをさらに備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記センサデータ(314)が、前記中心軸(A)に沿って測定された並進運動データ、前記キャップ適用開始位置から前記キャップ適用終了位置までの回転中に測定された振動データ、前記キャップ適用開始位置から前記キャップ適用終了位置までの回転中に測定された加速度計データ、前記キャップ適用開始位置から前記キャップ適用終了位置までの回転中に測定されたジャイロデータ及び/又は温度データからなる群から選択されるデータをさらに含む、
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記キャップホルダが、キャップホルダタイプデータを保持するメモリ(116)をさらに含み、前記方法が、
通信モジュール(112)を介して前記メモリ(116)からキャップホルダタイプデータを受信し(612)、
前記キャップホルダタイプデータを、充填機(300)の制御システム(324)から取得したキャップホルダタイプ参照データと比較し(614)、
前記キャップホルダタイプデータと前記キャップホルダタイプ参照データとの間に不一致がある場合(616)、キャップホルダタイプ誤り通知を制御システム(324)に送信する(618)、
ことを備える、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
充填機が2つの並列キャップホルダ(100)を備え、
前記2つの並列キャップホルダ(100)からのセンサデータ(314)が並列に受信され、前記2つの並列キャップホルダ(100)からの前記センサデータ(314)を比較することによって、キャップホルダ固有の不一致を識別する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記メモリ(116)は、識別データを備える、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
パッケージに回転して適用する際にキャップ(106)を保持するように配置されたキャップホルダ(100)であって、前記キャップホルダは、
前記キャップ(106)を包囲する周辺要素(102)と、
前記周辺要素(102)に接続され、前記周辺要素(102)の中心軸(A)の周りを前記周辺要素(102)が回転する間、前記周辺要素(102)に対する前記キャップ(106)の移動を阻止するために配置された把持要素(104)と、
前記周辺要素(102)に取り付けられ、前記センサデータ(314)を生成するように配置されたセンサ配置部(110)と、
前記周辺要素(102)にリンクされ、前記センサ配置部(110)に通信可能に接続され、前記センサデータ(314)を送信するように配置された通信モジュール(112)と、
を備える、キャップホルダ(100)。
【請求項11】
前記センサ配置部(110)と前記通信モジュール(112)は、同一の回路基板を共有する、
請求項10に記載のキャップホルダ(100)
【請求項12】
前記センサ配置部部(110)及び/又は前記通信モジュール(112)に電力を供給するために、前記周辺要素(102)に取り付けられたエネルギーハーベスティング構成(114)をさらに備える、
請求項10又は11に記載のキャップホルダ(100)。
【請求項13】
前記エネルギーハーベスティング構成(114)が、可動コイル構成、可動磁石構成、自由衝撃質量構成、浮上構成及び二重ばね質量構成を含む群から選択される、
請求項12に記載のキャップホルダ(100)。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか一項に記載のキャップホルダ(100)を備えるキャップアプリケータ(306)を備える充填機(300)。
【請求項15】
プログラムがデータ処理装置(312)によって実行されると、データ処理装置(312)に請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパッケージの分野に関する。より詳細には、キャップを適用するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、食品包装業界では、スクリューキャップを備えたパッケージの人気が高まっている。人気の理由の一つは、この種の開口装置は、再閉鎖が可能であり、開口後もパッケージを水平に保管できるというプラスの効果があることである。人気のもう一つの理由は、多くの消費者にとってスクリューキャップが扱いやすいことである。力の弱い人には扱いにくいスクリューキャップもあるが、一般に、引き裂き開口部等と比較すれば、ほとんどの人にとってスクリューキャップの方が扱いやすい。
【0003】
製造工程でスクリューキャップを装着する方法は様々である。一般的な手法の一つは、いわゆるキャップアプリケータを使用して、キャップをパッケージのねじ付きネックにねじ込むことである。このような装置の一般的な原理は、キャップをつかみ、ネックの上にキャップを置き、パッケージを静止させながらキャップを回転させ、キャップの内側のネジ山がネックの外側のネジ山と協働するようにすることである。キャップ適用プロセス中にキャップやネックが損傷しないことを保証するために、キャップアプリケータは通常、キャップやネックを損傷することなく十分な装着が達成されるように微調整される。キャップ取り付け工程を監視するために、カメラベースのシステムを使用することが知られている。
【0004】
現在使用されているキャップアプリケータは、一般的に良好な性能を発揮しているが、一部のパッケージラインでは、カスタマイズレベルの向上が課題であることが判明している。例えば、異なる色のキャップは、異なる材料特性を持つことが多い。例えば、2つのキャップに使用されている白と赤のプラスチック材料の材料特性が異なるため、白いキャップをネックに装着する場合、赤いキャップを装着する場合とは異なるキャップアプリケータの設定が必要になる場合がある。
【0005】
キャップアプリケータの分野では、コスト面と環境面の両方の観点から、キャップやネックに使用されるプラスチック材料の量を削減したい要望がますます高まっている。プラスチック材料の使用量を削減する場合、キャップ適用時の公差をより厳しく保つ必要がある。材料削減の効果として、より信頼性の高いキャップ適用が求められる。
【0006】
上記の例に基づいて、より信頼性の高いパッケージ製造が達成できるような、改良されたキャップ適用工程が必要であるが、より少ないプラスチック材料を使用したパッケージを提供することも必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記の従来技術で特定された限界の1つ以上を少なくとも部分的に克服することである。特に、より信頼性が高く柔軟なキャップ適用制御を可能にする方法を提供することが目的である。さらに、より信頼性が高く柔軟なキャップ適用制御を実現するためのデータが生成される等、充填機におけるキャップ適用を監視する方法を提供することが目的である。
【0008】
第1の態様によれば、データ処理装置を用いて充填機におけるキャップ適用を監視する方法であって、充填機は、キャップホルダを備え、当該キャップホルダは、
- キャップを包囲する周辺要素と、
- 周辺要素に接続され、周辺要素が中心軸Aを中心に回転する間、周辺要素に対するキャップの移動を防止するために配置された把持要素と、
- 周辺要素に取り付けられたセンサ配置部と、
- 周辺要素と連動し、センサ配置部と通信可能に接続され、センサデータをデータ処理装置に送信するように配置された通信モジュールと、
を備え、
当該方法は、
センサ配置部によって捕捉されたセンサデータを受信すること、
センサデータを、データ処理装置に通信可能に接続された参照データベースに保持されたセンサ参照データと比較すること、
センサデータとセンサ参照データとの間に不一致がある場合、データ処理装置から制御システムにチェック通知を送信すること、
を備える。
【0009】
この方法の利点は、キャップの適用を効率的に監視できることである。チャックとも呼ばれるキャップホルダの周辺要素にセンサを取り付けることによって、キャップホルダの動きの偏差を検出し、それに応じて対処できるという利点がある。キャップ適用の調整が必要であること、又はその他の理由で十分に機能していないことを、早い段階で信頼できる方法で示すことで、キャップ適用を確認し、必要に応じて調整することで、充填機の停止や品質問題を回避できる。さらに、キャップ適用工程の監視が改善されることで、公差レベルを厳しくできる可能性があり、その結果、パッケージに使用されるプラスチック材料を減らすことができる。
【0010】
センサデータは、中心軸周りの回転のキャップ適用開始位置とキャップ適用終了位置との間で測定された角度データを含む。
【0011】
角度データ、すなわち開始位置と終了位置の間の角度を知ることで、キャップ適用の確実な監視が達成できる。角度データが明らかに逸脱している場合、これはすなわちキャップ適用プロセスが適切に機能していないことを示す。
【0012】
センサデータは、キャップ適用開始位置からキャップ適用終了位置までの中心軸周りのキャップの回転中に測定されたトルクデータを含んでもよい。
【0013】
角度データに加えて、又は角度データの代替として、トルクデータはキャップ適用に関する関連情報を提供する。キャップの適用時に使用されたトルクが、過去のトルクデータ及び/又は設定トルクデータから逸脱している場合、キャップの適用に再調整が必要であることを知らせる。
【0014】
センサデータは、垂直軸を中心とする回転のキャップ適用開始位置とキャップ適用終了位置との間で測定された垂直角度データを含んでもよく、垂直軸は中心軸に垂直である。
【0015】
キャップホルダが垂直軸を中心に回転する場合、キャップ適用が計画通りに行われていないことを示すものであり、オペレータはキャップアプリケータが期待通りに動作していない理由を調べる必要がある。
【0016】
本方法はさらに、
エネルギーハーベスティング構成(energy harvesting arrangement)を使用してエネルギーを収穫する、
ことを備えてもよい。
【0017】
エネルギーハーベスティング構成を有することで、バッテリーの交換間隔が延びるという利点がある。ある用途では、電源バックアップが必要ないと考えられる場合、エネルギーハーベスティング構成を有する場合、バッテリーを省くことができる。エネルギーハーベスティング構成を周辺エレメントに配置することにより、キャップ適用時に動きが生じ、エネルギーハーベスティング構成が捕捉するエネルギーが得られる。
【0018】
センサデータは、中心軸に沿って測定された並進運動データ、キャップ適用開始位置からキャップ適用終了位置までの回転中に測定された振動データ、キャップ適用開始位置からキャップ適用終了位置までの回転中に測定された加速度計データ、キャップ適用開始位置からキャップ適用終了位置までの回転中に測定されたジャイロデータ、及び/又は温度データからなる群から選択されるデータをさらに含んでもよい。
【0019】
キャップホルダは、キャップホルダのタイプデータを保持するメモリをさらに含み、本方法は、さらに、
通信モジュールを介してメモリからキャップホルダタイプデータを受信する、
キャップホルダタイプデータを、充填機の制御システムから取得したキャップホルダタイプ参照データと比較し、
キャップホルダタイプデータとキャップホルダタイプ参照データが不一致の場合、キャップホルダタイプ誤り通知を制御システムに送信する、
ことを備える。
【0020】
異なるキャップホルダが異なるキャップに使用される可能性があるため、誤ったキャップホルダが使用されるリスクがある。このリスクは、複数の異なるキャップが使用され、これらのキャップが類似した特性を持つ場合、異なるキャップホルダが類似しているという効果があるため、増大する。このような状況では、間違ったキャップホルダが使用されていることが即座にわからない可能性があり、一見問題ないように見えるが、よく見ると品質に問題があるパッケージが製造される可能性がある。キャップホルダにキャップホルダのタイプデータを保持するメモリを搭載することで、このようなリスクを低減、あるいは完全に排除することができる。
【0021】
充填機は、2つの並列キャップホルダを備えてもよく、2つの並列キャップホルダからのセンサデータは、並列に受信されてもよく、2つの並列キャップホルダからのセンサデータを比較することによって、キャップホルダ固有の不一致を識別できる。
【0022】
2つのキャップホルダを並行して使用することで、両者の相対的な比較が可能となり、キャップ適用が計画通りに機能していないことを特定する別の可能性が追加される。
【0023】
メモリは識別データを備えてもよい。
【0024】
キャップホルダのメモリに提供される識別データを持つこと、すなわち、各キャップホルダのコードを有することにより、キャップホルダを識別することができ、多くのキャップホルダからの継時的なデータを集計し、追跡することで、例えばAIを使用することによって、キャップ適用プロセスの理解を深めるための信頼性の高いモデルを実現できるという利点がある。これにより、センサ参照データを改善することができる。
【0025】
第2の態様によれば、パッケージへ回転して適用する際にキャップを保持するように配置されたキャップホルダが提供され、当該キャップホルダは、
キャップを包囲するための周辺要素と、
周辺要素に接続され、中心軸の周りを周辺要素が回転する間、周辺要素に対するキャップの移動を防止するために配置された把持要素と、
周辺要素に取り付けられ、センサデータを生成するように配置されたセンサ配置部と、
周辺要素にリンクされ、センサ配置部と通信可能に接続され、センサデータを送信するように配置された通信モジュールと、
を備える。
【0026】
第1の態様に関して提示した同様の利点と特徴は、この第2の態様にも有効である。
【0027】
センサ配置部と通信モジュールは、同一の回路基板を共有してもよい。
【0028】
センサ配置部と通信モジュール、場合によってはエネルギーハーベスティング構成及び/又はメモリを、同一の回路基板、すなわち同一のユニット上に設けることで、これらをキャップホルダに簡単に取り付けてもよい。この利点は、既存の充填機を簡単にアップグレードできることである。
【0029】
キャップホルダは、センサ配置部及び/又は通信モジュールに電力を供給するために、周辺要素に取り付けられたエネルギーハーベスティング構成を備えてもよい。
【0030】
エネルギーハーベスティング構成は、可動コイル構成、可動磁石構成、自由衝撃質量構成、浮上構成、二重ばね質量構成を含む群から選択されてもよい。
【0031】
第3の態様によれば、第2の態様によるキャップホルダを備えるキャップアプリケータを備える充填機が提供される。
【0032】
第4の態様によれば、プログラムをデータ処理装置によって実行されると、データ処理装置に第1の態様による方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0033】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な説明及び図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】2つのキャップホルダを備えるキャップアプリケータの一例を示す図である。
【
図3】充填機とデータ処理装置の概略を示す図である。
【
図5】エネルギーハーベスティング構成のさまざまな原理を示す図である。
【
図6】キャップ適用の監視方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1を参照すると、チャックと呼ばれることもあるキャップホルダ100が示されている。図示されているように、キャップホルダ100は、キャップ106の上に配置できるようにリング状であり得る。キャップ106の上に配置されるとき、キャップホルダ100の周辺要素102はキャップ100を取り囲み得る。この位置で、キャップ106を把持するために、周辺要素102内に収容された把持要素104を使用できる。把持要素104がキャップ106を把持した後、周辺要素102は、キャップ106がパッケージのネックにねじ込まれるように中心軸Aを中心に回転できる。
【0037】
センサ配置部110、通信モジュール112、任意でエネルギーハーベスティング構成114及びメモリ116を備える回路基板108を周辺要素102に取り付けることができる。回路基板108が湿気や液体などに耐えることができるように、回路基板は、充填機内の環境からカプセル化されるか、又は他の方法で遮蔽されてもよい。「回路基板」という文言は、この文脈では、広く解釈されるべきであり、異なる配置が一緒にグループ化され、オペレータによって1つのユニットとして取り扱われ得るように、任意の装置を包含すると理解される。
【0038】
回路基板108を周辺素子102に取り付けることの利点は、回路基板108を既存のキャップホルダ100に取り付けることができることである。別の言い方をすれば、センサ配置部110、通信モジュール112、任意でエネルギーハーベスティング構成114及び任意でメモリ116を、周辺要素102に容易に取り付けることができる1つのユニットとして構成されているため、キャップアプリケータの既存のベースを容易にアップグレードすることができるという利点があり、その結果、センサデータを食品生産者が容易に利用できるようになる。
【0039】
図2は、並列に作動するように作られた2つのキャップホルダ100を備えるキャップアプリケータ200の一部を例示的に示している。キャップアプリケータ200に並列のキャップホルダを備える理由の1つは、容量を増加できることである。
【0040】
図2に示す例では、並進移動要素202が設けられている。この並進移動要素を使用することにより、2つのキャップホルダ100は、パッケージとの適切な適合を達成できるように並進的に調整できる。キャップホルダ100を回転させるために、回転運動要素204を使用できる。図示の例では、回転運動要素204は、キャップホルダ100に接続されたベルトを備え、キャップホルダ100がベルトを介して中心軸Aの周りを回転できる。ベルトを使用せずにキャップホルダ100をサーボモーターに直接接続する等、他の選択肢も可能である。
【0041】
キャップは、パッケージに食品を充填した後に適用してもよい。これはPETボトルの場合である。別の方法として、製品の充填前にキャップを適用してもよい。この選択肢は、パッケージがカートンをベースとした材料から作られる場合に使用できる。このような場合、包装材料のウェブを充填機に供給し、断片に切断し、スリーブ状に折り畳み、長手方向に密封し、成形ステーションでプラスチック製のトップ、すなわちショルダーとネックを設け、キャップを適用し、食品を充填し、パッケージが閉じられるように底部を密封してもよい。充填前にキャップを適用する利点は、キャップを適用する際にパッケージの向きを自由に変更できることである。
【0042】
キャップ適用が適切に行われていること、例えば、位置ずれが生じていないことを提供するために、センサ配置部110は、中心軸Aに対して垂直である垂直軸Bの周りの垂直角度データを測定するように配置されてもよい。キャップの適用中、すなわち、キャップ適用開始位置とキャップ適用終了位置の間に垂直軸Bの周りに回転が生じる場合、これは、キャップアプリケータ200の調整を見直す必要があることを示し得る。
【0043】
図3は、一例として充填機300を模式的に示している。上述したように、異なるタイプのパッケージは異なる方法で製造される。ここに例示する充填機300は、カートンパッケージ、例えば、Tetra Top(登録商標)を製造するための充填機であるが、この原理は、スクリューキャップを備える他のタイプのパッケージにも適用され得る。
【0044】
図示されているように、充填機300は、包装材料のウェブを受け取り、これを包装材料のスリーブに形成するように配置されたスリーブ成型機302を備えることができる。上述したように、これは、ウェブを断片に切断し、断片をスリーブに長手方向にシールすることを備え得る。さらに、スリーブ成型機302によって組み立てられたブランク、すなわち、平らに折り畳まれた既製のスリーブを充填機に供給するという選択肢もある。
【0045】
スリーブを形成した後、トップ成型機304によってスリーブにトップ部を設ける。上述したように、スリーブの上端が閉じられるようにスリーブに射出成形でトップを形成してもよいが、他の方法も考えられる。例えば、一般的には使用されないが、スリーブの上端にシールされた既製のトップを設けることも可能である。
【0046】
トップが形成されると、キャップアプリケータ200内でキャップ106がトップに適用される。キャップアプリケータ200は、様々な方法で具現化してもよく、
図2に示された例は、いくつかの可能な選択肢のうちの1つである。
【0047】
次に、キャップ106が装着されると、食品はパッケージの開いた底部を通してパッケージに充填される。充填後、底部は密封され、場合によってはパッケージの底部に折り畳まれる。これはボトム成型機で行われ、ボトム成型機は、ボトムシーラーやファイナル成型機など、いくつかのサブユニットに分割されてもよい。
【0048】
適切なキャップ適用を保証するために、センサデータ314は、キャップアプリケータ200、より詳細にはキャップホルダ100からデータ処理装置312に供給され得る。図示されているように、データ処理装置312は、サーバ、又はサーバファームであってもよく、充填機300にローカルに配置されたコンピュータであってもよい。
【0049】
センサデータ314は、キャップアプリケータ200からデータ処理装置312に連続的に供給され得るが、要求に応じて供給され得る。後者の場合、要求316がデータ処理装置312からキャップアプリケータ200に送信され得る。要求316は、一定間隔で送信され得るが、キャップの適用をチェックする必要があることを示す他のイベントによってトリガーされ得る。例えば、このようなトリガーは、視覚ベースの品質システムによって生成され得る。
【0050】
センサデータ314を評価するために、センサ参照データ320をデータベース318から取得され得る。このデータベース318は充填機固有のものであってもよいが、多数の充填機間で共有し得る。多数の充填機間で共有することの利点は、統計モデル又はAIモデルのいずれかのより信頼性の高いモデルを確立できることである。これは特に、並進運動データ、加速度計データ、ジャイロデータ、温度データ、トルクデータ、プラスチック材料タイプデータ(キャップ及び/又はネックに使用される材料の情報を提供する)等、多種多様なパラメータが考慮される場合に当てはまる。さらに、経時的に測定することで、モデルをさらに改善することができて、その効果として、モデルによって生成されるセンサ参照データ320をさらに改善することができる。経時的に測定することの利点は、過去のデータを、例えば予知保全等の予測を行うための基礎として使用できることである。言い換えれば、センサデータ314とセンサ参照データ320の比較が一致しない場合、すなわちセンサデータ314がキャップアプリケーション内の何かが計画通りに動作していないことを示している場合、キャップアプリケーションが現在動作しているが、将来の一定期間内に動作しなくなる危険性があることを示唆し得る。
【0051】
センサデータ314とセンサ参照データ320との間に不一致がある場合、すなわち、現在値と期待値との間に不一致がある場合、チェック通知322が発行され、充填機300の制御システム324に送信され得る。これにより、オペレータに通知メッセージが送信され、又はサービスイベントがスケジュールされ得る。制御システム324は充填機300の一部として図示されているが、制御システムはスタンドアロンであってもよく、他の装置の一部を形成してもよい。
【0052】
図4は、回路基板108を例として示している。この特定の例では、エネルギーハーベスティング構成114が電気エネルギーを生成しない場合であっても電力供給を確保するために、基板108の左端にバッテリーが設けられている。右端にはマイクが設けられている。マイクを備えることで、センサデータ314はさらに音声データを含んでもよい。
【0053】
周辺要素102への回路基板108の取り付けをさらに容易にするために、回路基板108とデータ処理装置312との間の通信は、キャップホルダ100の回転を妨げる恐れのあるワイヤを回避できるように、少なくとも部分的には無線であり得る。
【0054】
エネルギーハーベスティング構成114を有することにより、電池交換の必要性が少なくなり、その結果、回路基板108の頻繁なサービス間隔の必要性が低減される。
図4に示す通り、信頼性の高い動作を保証するために、回路基板108は、エネルギーハーベスティング構成114を補完するものとしてバッテリーを備え得る。
【0055】
充填機300の動作中にキャップホルダ100の周辺要素102が移動するため、この文脈においてエネルギーハーベスティング構成114を使用することは有益である。別の言い方をすれば、エネルギーハーベスティング構成114を備える回路基板108を周辺要素102上に配置することのプラスの効果は、エネルギーハーベスティング構成114が回路基板のために電気を生成する動きが提供されることである。発電に加えて、エネルギーハーベスティング構成114は、ウェイクアップ構成及びクローズダウン構成として機能してもよく、すなわち、エネルギーハーベスティング構成114からの入力を用いて、回路基板をアイドルモード又は低電力モードに設定してもよい。
【0056】
図5に示されているように、エネルギーハーベスティング構成114は、エネルギーハーベスティングのために異なる原理、例えば、可動コイル構成(A)、可動磁石構成(B)、自由衝撃質量構成(C)、浮上構成(D)、及び二重ばね質量構成(E)を使用してもよい。
【0057】
図6は、充填機300におけるキャップ適用を監視するための方法600を示すフローチャートである。第1のステップ602において、センサデータ314を受信する。第2のステップ604において、センサデータ314は、センサ参照データ320と比較する。両者の間に不一致606がある場合、第3のステップ608において、チェック通知322を送信する。
【0058】
オプションとして、サービスの必要性を減らし、エネルギー効率を向上させるために、第4のステップ610において、エネルギーハーベスティング構成114を用いてエネルギーを収集する。
【0059】
オプションとして、チャックとしても知られる、誤ったタイプのキャップホルダが使用されることを避けるために、第5のステップ612において、キャップホルダタイプデータをメモリ116から受信する。第6のステップ614では、キャップホルダタイプデータをキャップホルダタイプ参照データと比較する。不一致がある場合616、第7のステップ618において、キャップホルダタイプ誤り通知を送信する。
【0060】
以上の説明から、本発明の様々な実施形態を説明し示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に定義される主題の範囲内で他の方法で具体化してもよい。
【国際調査報告】