(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】リパーゼ製剤及びその方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/46 20060101AFI20241122BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20241122BHJP
A61K 9/56 20060101ALI20241122BHJP
A61K 9/30 20060101ALI20241122BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241122BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20241122BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241122BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241122BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241122BHJP
A61K 38/48 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61K38/46
A61P3/02
A61P3/02 101
A61K9/56
A61K9/30
A61K9/19
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/26
A61K47/36
A61P1/18
A61P11/00
A61P43/00 105
A61K45/00
A61K38/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024535835
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 US2022052997
(87)【国際公開番号】W WO2023114390
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522489886
【氏名又は名称】ファースト ウェイブ バイオファーマ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァサン,ディネッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ストーバー,テッド
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA45
4C076AA60
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC22
4C076DD67Q
4C076EE06J
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4C084AA02
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4C084ZA591
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4C084ZB112
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZC221
4C084ZC222
4C084ZC511
4C084ZC512
(57)【要約】
本発明は、栄養欠乏症を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。ある特定の実施形態では、本発明は、体重増加を必要とする患者を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含み、リパーゼは、培地中の溶液または懸濁液中にあり、リパーゼは、脂溶性ビタミン、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKのうちの1つ以上の吸収を補助する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養欠乏症を治療する方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記リパーゼが、脂肪、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKのうちの1つ以上の吸収を補助する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者が、体重増加、脂肪便、腹痛、鼓腸、毎日の排泄回数、便の重量、及び便の形状のうちの1つ以上の改善を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記患者が、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で2%の体重増加を経験する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記患者が、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で5%の体重増加を経験する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記患者が、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で8%の体重増加を経験する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記患者が、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で10%の体重増加を経験する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記患者が、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で12%の体重増加を経験する、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記リパーゼ組成物が、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与される、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記リパーゼ組成物が、1つ以上の食事とともに投与される、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記リパーゼ組成物が、少なくとも1日、少なくとも7日、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、または少なくとも12ヶ月間投与される、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記リパーゼ組成物が、高カロリー栄養補助食品などの液体栄養製剤とともに投与される、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記リパーゼ組成物が、前記液体栄養製剤と同時にまたは逐次的に投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体栄養製剤が、供給チューブによって投与される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記リパーゼ組成物及び前記液体栄養製剤が、同じ組成物の一部である、請求項12~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記患者が、EPIを有する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記患者が、EPIを有さない、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記患者が、60歳超である、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記患者が、がんまたは急性膵炎を有する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記リパーゼ組成物が、ブタリパーゼを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記リパーゼ組成物が、非ブタリパーゼを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記リパーゼ組成物が、アドルリパーゼ、パンクレリパーゼ、リプロタマーゼ、またはそれらの組み合わせを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記リパーゼ組成物が、アドルリパーゼを含む、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記リパーゼ組成物が、腸溶性物質を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記非ブタリパーゼが、トリアシルグリセロールヒドラーゼである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記非ブタリパーゼが、約30kDa~約45kDaの分子量を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記非ブタリパーゼが、約37kDaの分子量を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記非ブタリパーゼが、約295~約310個のアミノ酸を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記非ブタリパーゼが、約301個のアミノ酸を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記非ブタリパーゼが、Yarrowia lipolyticaから産生される、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記非ブタリパーゼが、Lip2遺伝子によってコードされる、請求項21に記載の方法。
【請求項32】
前記非ブタリパーゼが、アドルリパーゼである、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記リパーゼを含むカプセルを含み、前記カプセルが、例えば、コーティングとして、または前記カプセル内に分散された、腸溶性物質を含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記リパーゼを含む錠剤を含み、前記錠剤が、前記腸溶性物質でオーバーコーティングされているか、または前記腸溶性物質が、その中に分散されている、請求項1~32のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記リパーゼが、溶液中の腸溶性物質と組み合わされ、凍結乾燥または噴霧乾燥して粉末を形成する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記リパーゼが、培地中の溶液または懸濁液中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記粉末が、カプセル、サシェ、または粉末紙に含まれる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記腸溶性物質が、天然に存在する物質または非天然に存在する物質を含む、請求項33~35のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記腸溶性物質が、セルロース物質、アクリルポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記腸溶性物質が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記腸溶性物質が、メタクリル酸ポリマー、セルロースアセテートフタレートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマー、ポリビニルアセテートフタレートポリマー、またはそれらの組み合わせを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記腸溶性物質が、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、シェラック、またはそれらの組み合わせを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記腸溶性物質が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースサクシネート、ヒドロキシエチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、メチルセルロースアセテートフタレート、エチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メチルセルロースアセテートトリメリテート、エチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートサクシネート、セルロースプロピオネートトリメリテート、セルロースブチレートトリメリテート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、セルロースアセテートピリジンジカルボキシレート、サリチル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロースアセテート、エチル安息香酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロースアセテート、エチルフタル酸セルロースアセテート、エチルニコチン酸セルロースアセテート、エチルピコリン酸セルロースアセテート、またはそれらの組み合わせを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記腸溶性物質が、約4未満のpHで不溶性または実質的に不溶性である、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記腸溶性物質が、約4未満のpHで、割れないか、破壊しないか、または破裂しない、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
前記腸溶性物質が、約5超のpHで可溶性または実質的に可溶性である、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記腸溶性物質が、約5超のpHで、割れるか、破壊するか、または破裂する、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
前記剤形が、USP装置IIにおいて、シンカーありで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下の緩衝液pH)、30分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼを放出する、請求項1~47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
前記剤形が、USP装置IIにおいて、シンカーありで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下の緩衝液pH)、60分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼを放出する、請求項1~47のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記剤形が、USP装置IIにおいて、シンカーありで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下の緩衝液pH)、90分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼを放出する、請求項1~47のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記剤形が、USP装置IIにおいて、シンカーありで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下の緩衝液pH)、120分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼを放出する、請求項1~47のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記剤形が、USP装置IIにおいて、シンカーありで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上の緩衝液pH)、15分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼを放出する、請求項1~47のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記剤形が、USP装置IIにおいて、シンカーありで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上の緩衝液pH)、30分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼを放出する、請求項1~47のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記剤形が、USP装置IIにおいて、シンカーありで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5pH以上の緩衝液pH)、45分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼを放出する、請求項1~47のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記剤形が、USP装置IIにおいて、シンカーありで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上の緩衝液pH)、60分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼを放出する、請求項1~47のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
前記リパーゼの放出を必要とする患者の十二指腸においてそれを標的とする、請求項1~55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
前記リパーゼが、凍結乾燥によって調製される、請求項1~55のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記リパーゼが、噴霧乾燥によって調製される、請求項1~55のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記噴霧乾燥が、安定剤を利用する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記安定剤が、オリゴ糖である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記乾燥が、約1ミクロン~約200ミクロン、約1ミクロン~約50ミクロン、約50ミクロン~約150ミクロン、約60ミクロン~約120ミクロン、約65ミクロン~約85ミクロン、または約70ミクロン~約82ミクロンのD50を有する粒子を形成する、請求項57~60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記安定剤が、マルトデキストリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン、キトサン、ラフィノース、スタキオース、ペクチン、イヌリン、レバン、グラミナン、及びアミロペクチン、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、またはそれらの混合物である、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記活性剤対安定剤の比が、約1:5~約5:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、約1:1または約1:2である、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記噴霧乾燥が、約3~約5、約2~約7、または約6のpHで行われる、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記噴霧乾燥が、約4のpHで行われる、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記噴霧乾燥が、約125℃超、もしくは約100℃~約250℃、もしくは約150℃~約180℃、もしくは約155℃~約165℃、もしくは約162℃の入口温度、及び/または約150℃未満、もしくは約50℃~約125℃、もしくは約60℃~約100℃の出口温度で行われる、請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記噴霧乾燥が、約150℃を超える入口温度で行われる、請求項58に記載の方法。
【請求項68】
前記噴霧乾燥が、約80%超、約90%超、約95%超、または約99%超の収率で前記リパーゼを産生する、請求項58に記載の方法。
【請求項69】
第2の活性剤を投与することを含む、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記第2の活性剤が、脂溶性ビタミン、プロテアーゼ、アミラーゼ、ブタ膵臓酵素補充、非ブタリパーゼ、またはそれらの組み合わせである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記脂溶性ビタミンが、ビタミンA、D、E、K、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記第2の活性剤が、パンクレリパーゼ、リプロタマーゼ、またはそれらの組み合わせである、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記患者が、急性または慢性膵炎を有する、請求項1~72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
前記患者が、嚢胞性線維症を有する、請求項1~72のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記不全が、膵臓癌に起因するなどの膵臓切除によって引き起こされる、請求項16に記載の方法。
【請求項76】
前記不全が、年齢に関連するか、またはシュワッハマン・ダイアモンド症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、HIV、セリアック病、もしくは炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎またはクローン病など)に起因する、請求項16に記載の方法。
【請求項77】
前記リパーゼの少なくとも一部分を前記患者の十二指腸に送達する、先行請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記一部分が、少なくとも約75%である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記一部分が、少なくとも約85%である、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記一部分が、少なくとも約95%である、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
脂肪の吸収を増加させる方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項82】
脂溶性ビタミンの吸収を増加させる方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項83】
体重増加を必要とする患者を治療する方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項84】
脂肪便を治療する方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項85】
腹痛を治療する方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項86】
鼓腸を治療する方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項87】
毎日の排泄回数を減少させる方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項88】
便の重量を減少させる方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項89】
便の形状を改善する方法であって、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む、前記方法。
【請求項90】
組成物であって、
(a)リパーゼと、
(b)液体栄養製剤と、を含む、前記組成物。
【請求項91】
液体栄養製剤中にリパーゼを含むことを含む、組成物を調製するプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、吸収不良を治療する方法、及びリパーゼによる関連する治療に関する。
【背景技術】
【0002】
膵外分泌不全(EPI)は、嚢胞性線維症及び慢性膵炎などの疾患状態に起因し得る。EPIの症候学は、本質的に、トリグリセリドをモノグリセリド及び遊離脂肪酸に加水分解する酵素である膵リパーゼ欠乏症に起因する。
【0003】
EPIの最も一般的な原因である慢性膵炎(CP)は、その正常な構造及び機能を変化させる膵臓の長期にわたる炎症であり、これは、患者の約60%においてEPIに関連する。EPIの別の頻繁な病因である嚢胞性線維症(CF)は、最も影響を受けた個体の慢性罹患率及び寿命の減少に関連する重篤な遺伝性疾患である。CFを有する患者の約80~90%がEPIを発症する。加えて、EPIは、通常、がんまたはCPの合併症の結果として行われる、膵臓の外科的切除後に一般的である。EPIの他のあまり一般的でない病因には、胃の手術、ある特定の腸疾患(例えば、重度のセリアック病、小腸切除、及び人工経腸栄養法)、及び膵臓疾患(例えば、膵臓外傷、膵臓壊死を伴う重度の急性膵臓炎、及び膵臓癌)が含まれる。
【0004】
EPI及び他の疾患状態の影響は、吸収不良及びその後の栄養不足である。
【0005】
したがって、当該技術分野では、様々な要因によって引き起こされる吸収不良を治療するための医薬組成物及び治療の必要性が引き続き存在する。
【発明の概要】
【0006】
ある特定の実施形態では、本発明は、リパーゼ剤形、治療方法、及び製造方法を対象とする。
【0007】
ある特定の実施形態では、本発明は、栄養欠乏症を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0008】
ある特定の実施形態では、本発明は、脂溶性ビタミンの吸収を増加させる方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0009】
ある特定の実施形態では、本発明は、体重増加を必要とする患者を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0010】
ある特定の実施形態では、本発明は、脂肪便を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0011】
ある特定の実施形態では、本発明は、腹痛を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、本発明は、鼓腸を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、本発明は、毎日の排泄回数を減少させる方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0014】
ある特定の実施形態では、本発明は、便の重量を減少させる方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0015】
ある特定の実施形態では、本発明は、便の形状を改善する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0016】
ある特定の実施形態では、本発明は、任意選択で、液体栄養製剤と組み合わせて、リパーゼを含む組成物を対象とする。
【0017】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される組成物及び剤形を製造するためのプロセスを対象とする。
【0018】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される剤形を投与することを含む、膵外分泌不全に起因する吸収不良を治療する方法を対象とする。ある特定の実施形態では、不全は、急性または慢性膵炎、嚢胞性線維症、膵切除術(膵臓癌などのがんと関連するかまたは関連しない)、年齢関連、シュワッハマン・ダイアモンド症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、HIV、セリアック病、または炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎またはクローン病など)のうちの1つ以上によって引き起こされ得る。
【0019】
ある特定の実施形態では、方法は、本明細書に開示される製剤を経口投与することによって、リパーゼを患者の結腸に送達することを含む。ある特定の実施形態では、リパーゼの少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が患者の結腸に送達される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、吸収不良及び関連する疾患状態を治療する方法ならびにそれらの組成物を提供することによって、最新技術を進歩させる。
【0022】
ある特定の実施形態では、本発明は、栄養欠乏症を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0023】
ある特定の実施形態では、リパーゼは、脂肪、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、及びビタミンKのうちの1つ以上の吸収を補助する。
【0024】
ある特定の実施形態では、患者は、体重増加、脂肪便、腹痛、鼓腸、毎日の排泄回数、便の重量、及び便の形状のうちの1つ以上の改善を有する。
【0025】
ある特定の実施形態では、患者は、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で、少なくとも2%または約2%~約12%の体重増加を経験する。
【0026】
ある特定の実施形態では、患者は、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で、少なくとも5%または約5%~約15%の体重増加を経験する。
【0027】
ある特定の実施形態では、患者は、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で、少なくとも8%または8%~約18%の体重増加を経験する。
【0028】
ある特定の実施形態では、患者は、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で、少なくとも10%または約10%~約20%の体重増加を経験する。
【0029】
ある特定の実施形態では、患者は、3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、または12ヶ月から選択される期間で、少なくとも12%または約12%~約22%の体重増加を経験する。ある特定の実施形態では、脂肪吸収係数は、例えば、15日、30日、または45日で、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、または約2%~約15%、もしくは約4%~約12%、もしくは約5%~約10%増加する。
【0030】
ある特定の実施形態では、便重量(g/72時間)は、例えば、15日、30日、または45日で、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも25%、または約2%~約25%、もしくは約5%~約22%、もしくは約10%~約20%減少する。
【0031】
ある特定の実施形態では、脂肪便(g/24時間)は、例えば、15日、30日、または45日で、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも25%、または約2%~約25%、もしくは約5%~約22%、もしくは約10%~約20%減少する。
【0032】
ある特定の実施形態では、1日当たりの便は、例えば、15日、30日、または45日で、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも25%、または約2%~約25%、もしくは約5%~約22%、もしくは約10%~約20%減少する。
【0033】
ある特定の実施形態では、ブリストルスコアは、例えば、15日、30日、または45日で、少なくとも2%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも7%、少なくとも10%、少なくとも12%、少なくとも15%、少なくとも18%、少なくとも20%、少なくとも22%、少なくとも25%、または約2%~約25%、もしくは約5%~約22%、もしくは約10%~約20%減少する。
【0034】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回投与される。
【0035】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物は、1つ以上の食事とともに投与される。
【0036】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物は、少なくとも1日、少なくとも7日、少なくとも1ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、または少なくとも12ヶ月間投与される。
【0037】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物は、Ensure(登録商標)などの高カロリー栄養補助食品などの液体栄養製剤とともに投与される。
【0038】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物は、液体栄養製剤と同時にまたは逐次的に投与される。
【0039】
ある特定の実施形態では、液体栄養製剤は、供給チューブによって投与される。
【0040】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物及び液体栄養製剤は、同じ組成物の一部である。
【0041】
ある特定の実施形態では、患者は、EPIを有する。
【0042】
ある特定の実施形態では、患者は、EPIを有さない。
【0043】
ある特定の実施形態では、患者は、60歳超である。
【0044】
ある特定の実施形態では、患者は、がんまたは急性膵炎を有する。
【0045】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物は、ブタリパーゼを含む。
【0046】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物は、非ブタリパーゼを含む。
【0047】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物は、アドルリパーゼ、パンクレリパーゼ、リプロタマーゼ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0048】
ある特定の実施形態では、リパーゼ組成物は、アドルリパーゼを含む。
【0049】
ある特定の実施形態では、本発明は、脂肪の吸収を増加させる方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0050】
ある特定の実施形態では、本発明は、脂溶性ビタミンの吸収を増加させる方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者にリパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0051】
ある特定の実施形態では、本発明は、体重増加を必要とする患者を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。体重増加を必要とする患者は、EPIを有するか、境界EPIを有するか、またはEPIを有さない患者であり得る。ある特定の実施形態では、患者は、がん、認知症、歯の問題、うつ病、糖尿病、高カルシウム血症、甲状腺機能亢進症、低ナトリウム血症、薬剤、パーキンソン病、以前の脳卒中または神経障害、アジソン病、アルコール使用障害、アミロイドーシス、セリアック病、クローン病、薬物中毒、心不全、AIDS/HIV、消化性潰瘍、処方薬使用、結核、潰瘍性大腸炎、運動、遺伝的素因から選択される1つ以上の状態に起因して体重増加を必要とする。
【0052】
ある特定の実施形態では、本発明は、脂肪便を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0053】
ある特定の実施形態では、本発明は、腹痛を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0054】
ある特定の実施形態では、本発明は、鼓腸を治療する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0055】
ある特定の実施形態では、本発明は、毎日の排泄回数を減少させる方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0056】
便の重量を減少させる方法であって、それを必要とする患者に、リパーゼ組成物を経口投与することを含む、方法。
【0057】
ある特定の実施形態では、本発明は、便の形状を改善する方法を対象とし、方法は、それを必要とする患者に、リパーゼ組成物を経口投与することを含む。
【0058】
ある特定の実施形態では、本発明は、
(a)リパーゼと、
(b)液体栄養製剤と、を含む組成物を対象とする。
【0059】
ある特定の実施形態では、本発明は、液体栄養製剤中にリパーゼを含むことを含む、組成物を調製するプロセスを対象とする。
【0060】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、顆粒化及び/または押し出される。造粒は、例えば、湿式造粒または乾式造粒であり得る。乾式造粒は、粉末状または固体物質から粒状または顆粒を形成し、粒状材料を生成するプロセスである。典型的には、造粒は、より大きな顆粒、例えば、0.01~3.0mmのサイズ範囲(D50)への微粒子の凝集を伴う。凝集プロセスは、例えば、ブレンドの使用、ブレンドを圧縮するための圧力の適用(ローラーまたは錠剤/スラグの圧縮)、固体材料を細かい顆粒またはペレットに細断または粉砕し、ふるうことを含み得る。湿式造粒は非常に類似しているが、混合プロセスに溶媒を組み込んで凝集を生成し、顆粒が形成されると溶媒を除去する乾燥方法を含み得る。
【0061】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、圧縮される。
【0062】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、噴霧乾燥され、造粒され、及び/または押し出される。
【0063】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、噴霧乾燥され、圧縮される。
【0064】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、顆粒化され、及び/または押し出され、圧縮される。
【0065】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び賦形剤は、噴霧乾燥され、造粒され、及び/または押し出され、圧縮される。
【0066】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、トリアシルグリセロールヒドラーゼである。
【0067】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、約30kDa~約45kDaの分子量を有する。
【0068】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、約37kDaの分子量を有する。
【0069】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、約295~約310個のアミノ酸を含む。
【0070】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、約301個のアミノ酸を含む。
【0071】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、Yarrowia lipolyticaから産生される。
【0072】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、Lip2遺伝子によってコードされる。
【0073】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、アドルリパーゼである。
【0074】
ある特定の実施形態では、ブタリパーゼは、パンクレリパーゼである。
【0075】
ある特定の実施形態では、賦形剤は、オリゴ糖である。
【0076】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約1ミクロン~約200ミクロン、約1ミクロン~約50ミクロン、50ミクロン~約150ミクロン、約60ミクロン~約120ミクロン、約65ミクロン~約85ミクロン、または約70ミクロン~約82ミクロンのD50を有する粒子を形成する。
【0077】
ある特定の実施形態では、賦形剤は、マルトデキストリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン、キトサン、ラフィノース、スタキオース、ペクチン、イヌリン、レバン、グラミナン、及びアミロペクチン、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、またはそれらの混合物を含む。
【0078】
ある特定の実施形態では、リパーゼ対1つ以上の賦形剤の比率は、約1:5~約5:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、約1:1または約1:2である。
【0079】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約3~約5、約2~約7、または約6のpHで行われる。
【0080】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約125℃超、もしくは約100℃~約250℃、もしくは約150℃~約180℃、もしくは約155℃~約165℃、もしくは約162℃の入口温度、及び/または約150℃未満、もしくは約50℃~約125℃、もしくは約60℃~約100℃の出口温度で行われる。
【0081】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約80%超、約90%超、約95%超、または約99%超の収率でリパーゼを産生する。
【0082】
ある特定の実施形態では、組成物は、腸溶性物質を含む。
【0083】
ある特定の実施形態では、吸収不良は、EPIに起因し、不全は、膵臓癌に起因するなどの膵臓切除によって引き起こされる。
【0084】
ある特定の実施形態では、不全は、年齢に関連しているか、またはシュワッハマン・ダイアモンド症候群、1型糖尿病、2型糖尿病、HIV、セリアック病、もしくは炎症性腸疾患に起因する。
【0085】
ある特定の実施形態では、不全は、潰瘍性大腸炎またはクローン病に起因する。
【0086】
ある特定の実施形態では、リパーゼの少なくとも一部分は、患者の十二指腸に送達される。
【0087】
他の実施形態
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される方法で利用される製剤は、非ブタリパーゼなどのリパーゼを含む、遅延または即時または持続放出経口剤形である。代替的な実施形態では、剤形は、リパーゼを包含するか、またはリパーゼで分散された腸溶性物質を含む。
【0088】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される噴霧乾燥リパーゼは、本方法で利用される。
【0089】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される製剤及び方法は、追加のリパーゼまたは活性剤であり得る第2の薬剤を含む。第2の薬剤は、脂溶性ビタミン、プロテアーゼ、アミラーゼ、ブタ膵臓酵素補充、他の非ブタ補充、またはそれらの組み合わせから選択され得る。ある特定の実施形態では、ビタミンは、A、D、E、Kまたはそれらの組み合わせである。他の実施形態では、第2の活性剤は、パンクレリパーゼ、リプロタマーゼ、またはそれらの組み合わせである。
【0090】
ある特定の実施形態では、リパーゼ及び第2の活性剤は、各々独立して、即時放出、遅延放出、持続放出、またはそれらの組み合わせである。
【0091】
ある特定の実施形態では、本明細書で利用される剤形は、カプセルに含まれ、カプセルは、任意選択で、例えば、カプセル上にコーティングされるか、またはカプセル内に分散された、腸溶性物質を含む。他の実施形態では、腸溶性物質は、活性剤で噴霧乾燥されるか、または噴霧乾燥された活性剤は、腸溶性物質と混合される。
【0092】
ある特定の実施形態では、剤形は、アドルリパーゼを、1日当たり約0.5g~1日当たり約10g、1日当たり約2g~1日当たり約5g、または1日当たり約2g~1日当たり約4gの量で含む。ある特定の実施形態では、投与は、1日当たり約1.6g、1日当たり約2.2g、または1日当たり約4.4gである。
【0093】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される剤形は、任意選択で、例えば、錠剤上にコーティングされるか、または錠剤内に分散された、腸溶性物質を含む錠剤を含む。
【0094】
ある特定の実施形態では、リパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)は、例えば、乾燥混合、湿式造粒、または共噴霧乾燥もしくは共凍結乾燥によって、任意選択で腸溶性物質を含む粉末の形態であり得る。
【0095】
ある特定の実施形態では、製剤は、粉末または粒子であり、カプセル、サシェ、または粉末紙に含まれる。
【0096】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、天然に存在する物質または非天然に存在する物質を含む。
【0097】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、セルロース物質、アクリルポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。
【0098】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートを含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、メタクリル酸ポリマー、セルロースアセテートフタレートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマー、ポリビニルアセテートフタレートポリマー、またはそれらの組み合わせを含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、シェラック、またはそれらの組み合わせを含む。
【0101】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースサクシネート、ヒドロキシエチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシエチルメチルセルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、メチルセルロースアセテートフタレート、エチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートフタレートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースサクシネートフタレート、セルロースプロピオネートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースブチレートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、メチルセルロースアセテートトリメリテート、エチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルセルロースアセテートトリメリテートサクシネート、セルロースプロピオネートトリメリテート、セルロースブチレートトリメリテート、セルロースアセテートテレフタレート、セルロースアセテートイソフタレート、セルロースアセテートピリジンジカルボキシレート、サリチル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルサリチル酸セルロースアセテート、エチル安息香酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルエチル安息香酸セルロースアセテート、エチルフタル酸セルロースアセテート、エチルニコチン酸セルロースアセテート、エチルピコリン酸セルロースアセテート、またはそれらの組み合わせを含む。
【0102】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、約4未満、約3未満、または約2未満のpHで不溶性または実質的に不溶性である。
【0103】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、約4未満、約3未満、または約2未満のpHで、割れないか、破壊しないか、または破裂しない。
【0104】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、約5超、約5.5超、約6超、約7超、または約8超のpHで可溶性または実質的に可溶性である。
【0105】
ある特定の実施形態では、腸溶性物質は、約5超、約5.5超、約6超、約7超、または約8超のpHで、割れないか、破壊しないか、または破裂しない。
【0106】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、30分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0107】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、60分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0108】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、90分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0109】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、120分で、約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0110】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、30分で、活性剤のうちの1つ以上の約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満を放出する。
【0111】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、60分で、活性剤のうちの一方または両方の約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満を放出する。
【0112】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、90分で、活性剤のうちの一方または両方の約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満を放出する。
【0113】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(3.0以下、例えば、3.0及び/または1.2の緩衝液pHの1つ以上の点で)、120分で、活性剤のうちの一方または両方の約10%未満、約5%未満、約3%未満、または約1%未満を放出する。
【0114】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上、例えば、5.5または6.0の緩衝液pHの1つ以上の点で)、15分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0115】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上、例えば、5.5または6.0の緩衝液pHの1つ以上の点で)、30分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0116】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上、例えば、5.5または6.0の緩衝液pHの1つ以上の点で)、45分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0117】
ある特定の実施形態では、剤形は、USP装置IIにおいて、シンカーありまたはなしで、100rpmで、37℃で、900mLの模擬胃液中で試験した場合(5.5以上、例えば、5.5または6.0の緩衝液pHの1つ以上の点で)、60分で、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)を放出する。
【0118】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示される剤形は、それを必要とする患者の十二指腸におけるリパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)の放出を標的とする。
【0119】
ある特定の実施形態では、リパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)リパーゼは、凍結乾燥または噴霧乾燥などの乾燥を含むプロセスによって調製される。
【0120】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、オリゴ糖、例えば、マルトデキストリンなどの安定剤を利用する。
【0121】
ある特定の実施形態では、乾燥した非ブタリパーゼは、粉末または粒子の形態である。粒子は、例えば、約1ミクロン~約200ミクロン、約1ミクロン~約50ミクロン、50ミクロン~約150ミクロン、約60ミクロン~約120ミクロン、約65ミクロン~約85ミクロン、または約70ミクロン~約82ミクロンのD50を有する粒子サイズを有し得る。
【0122】
ある特定の実施形態では、安定剤は、マルトデキストリン、キシラン、マンナン、フコイダン、ガラクトマンナン、キトサン、ラフィノース、スタキオース、ペクチン、イヌリン、レバン、グラミナン、及びアミロペクチン、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、ニゲロトリオース、マルトトリオース、メレジトース、マルトトリウロース、ラフィノース、ケストース、アルギニン、グリシン、CaCl2、またはそれらの混合物である。
【0123】
ある特定の実施形態では、活性剤対安定剤の比は、約1:5~約5:1、約1:3~約3:1、約1:2~約2:1、約1:1または約1:2である。
【0124】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約3~約5、約2~約7、約4または約6のpHで行われる。
【0125】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約125℃超、約150℃超、または約100℃~約250℃、または約150℃~約180℃、または約155℃~約165℃の温度で行われる。
【0126】
ある特定の実施形態では、噴霧乾燥は、約80%超、約90%超、約95%超、または約99%超の収率で非ブタリパーゼを産生する。
【0127】
ある特定の実施形態では、治療方法は、脂溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、D、E、K、及びそれらの組み合わせ)、プロテアーゼ、アミラーゼ、ブタ膵臓酵素補充、他の非ブタ補充、パンクレリパーゼ、リプロタマーゼ、3つの酵素:リパーゼ、プロテアーゼ、及びアミラーゼの組み合わせ、またはそれらの組み合わせなどの第2の活性剤の同時投与なしの、本明細書に開示される非ブタリパーゼ製剤のみである。
【0128】
ある特定の実施形態では、剤形は、溶液または懸濁液の形態で供給チューブによって投与されるか、または粉末の形態で食品に散らすか、またはカプセル、粉末、錠剤、液体もしくは半固体などの経口剤形として投与される。
【0129】
本明細書に開示されるある特定の方法では、リパーゼ(例えば、アドルリパーゼ)の少なくとも一部分は、患者の十二指腸に送達される。この一部分は、例えば、少なくとも約75%、少なくとも約85%、または少なくとも約95%であり得る。
【0130】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、個々の患者または対象において、約80~約92、約85~約92、約86~約92、または約90~約92のCFA%を提供する。
【0131】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、個々の患者または対象において、約90~約99、約92~約99、約95~約99、または約99~約99のCNA%を提供する。
【0132】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、患者または対象の集団において、約90~約99、約92~約99、約95~約99、または約99~約99のCNA%を提供する。
【0133】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、平均に対して、約3%~約12%、約4%~約10%、約2%~約6%、約3%~約6%、約4%、約5%、または約6%のCFA増加を提供する。
【0134】
ある特定の実施形態では、本製剤及び方法は、約5%~約50%、約10%~約45%、約15%~約40%、約20%~約50%、約30%~約40%、約30%、約35%、または約40%の最大の個々の相対CFA増加を提供する。
【0135】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に開示される組成物及び製剤を調製することを対象とする。
【0136】
ある特定の実施形態では、非ブタリパーゼは、酵母Yarrowia lipolyticaから分泌される耐酸性リパーゼ(LIP2)である。それはトリアシルグリセロールリパーゼのファミリーに属する。それはa/b加水分解酵素の共通の折り畳みを共有し、結晶構造は解析されている。
【0137】
LIP2は、39アミノ酸シグナルペプチドの切断後にグリコシル化成熟形態として培養培地中で分泌される301アミノ酸タンパク質である。代替的な切断は、N末端配列不均一性をもたらすリパーゼ上で実証されている。主なN末端配列は、噴霧乾燥粉末中のSTETSHIDQESYNFFとして同定された。このタンパク質は、MS1819またはアドルリパーゼとも称される。
【0138】
2つのN-グリコシル化部位が残基N113及びN134で同定されており、質量分析法による分析によって、各部位が以下の糖部分GlcNAc2-Manx(x=8)を有することが明らかになった。5つの主要なグリコフォームは、等電点電気泳動ゲル(IEF)によって証明されている。ある特定の実施形態では、原薬は、(バルク乾燥物重量に基づいて)1:3~3:1または2:1の比で、マルトデキストリンの添加後の噴霧乾燥活性剤バルク溶液として定義される。他の実施形態では、原薬は、マルトデキストリンを1:3または3:1または2:1の比で、及び腸溶性ポリマー(例えば、HPMCAS)を1:10~10:1または約5:1の比で噴霧乾燥させることによって調製される活性剤として定義される。活性物質はまた、1~15%の塩を有し得る。
【0139】
配列は、以下のとおりである(配列番号1):
VYTSTETSHIDQESYNFFEKYARLANIGYCVGPGTKIFKPFNCGLQCAHFPNVELIEEFHDPRLIFDVSGYLAVDHASKQIYLVIRGTHSLEDVITDIRIMQAPLTNFDLAANISSTATCDDCLVHNGFIQSYNNTYNQIGPKLDSVIEQYPDYQIAVTGHSLGGAAALLFGINLKVNGHDPLVVTLGQPIVGNAGFANWVDKLFFGQENPDVSKVSKDRKLYRITHRGDIVPQVPFWDGYQHCSGEVFIDWPLIHPPLSNVVMCQGQSNKQCSAGNTLLQQVNVIGNHLQYFVTEGVCGI。
【0140】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載されており、当然、本明細書に記載され、かつ特許請求される本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきではない。当業者の技量内であろう、現在公知であるかまたは後に開発される全ての均等物の置換、及び製剤における変更または実験計画における小さな変更を含む本発明のそのような変形形態は、本明細書に組み込まれている発明の範囲内に含まれるものとして解釈されたい。実施例1A
【0141】
アドルリパーゼ腸溶性コーティングカプセルの製剤を、表1.Aに従って調製した。
【表1】
【0142】
調製方法は、以下のプロセスに従った。
【0143】
ステップ1:微結晶性セルロース(MCC)を、1.0mmメッシュサイズのスクリーンを有する回転ふるいでふるいにかけ、2つの分量に分割する。微結晶性セルロースの半分を60Lドラム缶に添加した。アドルリパーゼを、1.0mmメッシュサイズのスクリーンを有する回転ふるいでふるいにかけ、微結晶性セルロースを含むドラム缶に導入する。残りの微結晶性セルロースを、微結晶性セルロース及びアドルリパーゼを含むドラム缶に添加する。デンプングリコール酸ナトリウムを、1.0mmメッシュサイズのスクリーンを有する回転ふるいにより、微結晶性セルロースとアドルリパーゼを含むステンレススチールドラム缶に直接スクリーニングする。
【0144】
ステップ2:3つの材料を10rpmで10分間混合する。
【0145】
ステップ3:ステアリン酸マグネシウムを、1.0mmメッシュサイズのスクリーンを有する回転ふるいにより、プレブレンドを含むドラム缶に直接ふるいにかける。
【0146】
ステップ4:ブレンドを10rpmで6分間混合する。
【0147】
ステップ5:完全に計装されたロータリー式打錠機を使用して、最終的なブレンドは19mmのツーリングで圧縮される。
【0148】
ステップ6:次いで、1.5mmメッシュサイズの格子スクリーンを有する回転ふるいにより錠剤を粉砕する。
【0149】
ステップ7:ステアリン酸マグネシウムを計量し、1.0mmのメッシュサイズスクリーンを有する回転ふるいによりふるいにかけ、ブレンドを含むステンレススチールドラム缶に移す。
【0150】
ステップ8:ドラム缶を10分間10rpmで、ビンブレンダーでブレンドする。
【0151】
ステップ9:完全に計装されたカプセル化装置を使用して、最終的なブレンドを、理論質量560mgのハードカプセルに充填する。硬カプセルは腸溶性であり、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【0152】
ステップ10:カプセルを、理論質量の±5%の質量許容差で重量選別機によって選別する。
【0153】
実施例1B
アドルリパーゼ粉末を噴霧乾燥によって調製した(w/w%):54.4%のアドルリパーゼ:27%のマルトデキストリン:10%のHPMCAS:8.4%の塩。他の実施形態は、40%~75%のアドルリパーゼ、10~40%のマルトデキストリン、5~20%のHPMCAS、及び1~15%の塩を有し得る。
【0154】
アドルリパーゼ噴霧乾燥粉末(69%)微結晶性セルロース(30%、10%×3)及び1%ステアリン酸マグネシウムを用いて造粒を調製した。
【0155】
MCCを3つの分量で添加し、続いて、5分間幾何学的に混合し、混合物を425ミクロンメッシュによりふるいにかけ、次いで、1000psiで100mgの錠剤に圧縮し、続いて、850ミクロンメッシュにより造粒して、111マイクログラムのD50を有する粉末を提供した。別の分量を2000psiで200mgの錠剤に圧縮し、続いて、850ミクロンメッシュにより造粒して、455ミクロンのD50を有する粉末を提供した。
【0156】
実施例2
嚢胞性線維症を有する患者における実施例1のアドルリパーゼ腸溶性カプセルの安全性及び有効性を評価するために、臨床試験を実施した。
研究は、CFに起因するEPIを有する約30人の患者における腸溶性カプセル中のアドルリパーゼ(旧MS1919)の安全性及び有効性を評価するための第2相オープンラベル多施設2×2クロスオーバー試験である。
【0157】
本研究の主な目的は、嚢胞性線維症(CF)に起因する膵外分泌不全(EPI)を有する患者における、腸溶性カプセルにおけるアドルリパーゼとブタ膵臓酵素補充療法(PERT)の安全性及び有効性を評価することであった。
【0158】
2つの群があり、患者を、アドルリパーゼの2.2g/日群または4.4g/日群のいずれかに参加するように無作為化した。アドルリパーゼの治療期間は3週間であった。
【0159】
製剤は安全であり、試験した全ての用量で忍容性が良好であった。CFA%(n=24)の予備段階の結果は、約59の平均CFA%、24の最小CFA%、及び約92%の最大CFA%であり、80%を超える患者の数は5であり、CNA%(n=24)の予備段階の結果は、約93の平均CNA%、83の最小CAN%、及び99の最大CAN%であり、90を超える患者の数は22である。データは、用量反応関係の欠如を示した。
【0160】
PERTの脂肪吸収係数(CFA)及び窒素吸収係数(CNA)は、それぞれ典型的には約86及び97である。
【0161】
実施例2に示されるように、本製剤のCFAは、ある特定の個々の対象でこの値に近づき、これを超えた。
【0162】
実施例2でさらに実証されるように、対象集団の平均CNAは、約93であった。これは、リパーゼのみが、補充プロテアーゼを必要とせずにEPIを治療するのに十分であることを実証するため、驚くべきことである(しかし、2つの薬剤は依然として組み合わせられ得る)。
【0163】
実施例3
使用される溶解実験セットアップは、USP<711>に記載される溶解装置2(パドル)に類似しているが、小型化されている。
【0164】
使用した緩衝液は、2.0~4.0の範囲のpHについては酢酸ナトリウム20mM、5.0~6.0の範囲のpHについてはMES 20mMであった。
【0165】
37℃で調節されたジャケット付き容器に、ペプシン(0.1mg/ml)ありまたはなしで、150mlの緩衝液(pH2~6)を充填した。適度に低い撹拌速度(レベル2)で設定された磁気撹拌器を使用して撹拌を行った。t=0で、カプセルを計量し、次いで、ホルダー/シンカーに入れた。
【0166】
15、30、45、及び60分の時間点で、20μlの試料をアッセイのために採取した。t=60’で、NaOH 1Nを添加してpHを6に切り替えた。
【0167】
105分の時点(緩衝液交換後45分)で、アッセイのために20μlを採取した。
【0168】
分析のために、20μlの溶解培地を5μlの5倍充填緩衝液と混合した。
【0169】
リン酸緩衝液(50mM Na2HPO4 pH=6.0)中の2、5、及び10μlの1mg/mLのC159001溶液を5μlの5倍充填緩衝液に混合することによって、それぞれ2、5、及び10μgの3つの標準リパーゼDS試料を調製し、溶出緩衝液を添加して25μlの最終体積を得た。
【0170】
試料(25μl)を、TGXステインフリーAnyKDa Miniprotean10ウェル、50μl/ウェルを使用して、300Vで18分間実行した。BIORADの製造指示に従って、BIORADのGelDoc EZで、ステインフリープレート上でイメージングを行った。
【0171】
技術バッチ20P002の溶解のために、模擬胃液(SGF)及び模擬腸液(SIF)を、Minekus et al.paperからの適応として調製した。以下の表3.Aに示されるように、下記の緩衝液の100mlストックを調製し、組み合わせた。
【表2】
【0172】
実証されたように、即時放出製剤は、低いpHでは保護されない。対照的に、腸溶性カプセル製剤は、低いpHで保護され、pH、例えば、5.5以下では溶解しなかった。したがって、腸溶性カプセル製剤は、脂肪を消化するために、より多くの量の酵素を十二指腸に送達し得る。
【0173】
実施例4
以下のプロトコルで臨床併用試験を行い、結果を
図2に示す。
【0174】
研究は、PPEのみで完全に補償されていないCF患者における重度の膵外分泌不全の補償のためのこの併用の有効性及び安全性を調査するために、安定した用量のPPEに加えて、アドルリパーゼ-SD(即時放出カプセル中の噴霧乾燥アドルリパーゼ)の漸増用量を用いる多施設、オープンラベル第2相試験である。
【0175】
主要な有効性の目的は、嚢胞性線維症(CF)によって引き起こされ、かつPPEのみで完全に補償されていない重度の膵外分泌不全(EPI)を有する患者における脂肪吸収係数(CFA)によって評価されるトリグリセリド消化における安定した用量のブタ膵抽出物(PPE)に加えて、アドルリパーゼ-SDの漸増用量の有効性を決定することである。
【0176】
主要な安全性の目的は、CFによって引き起こされ重度のEPIを有する患者における安定した用量のPPEに加えて、漸増用量のアドルリパーゼ-SDの安全性及び忍容性を評価することである。
【0177】
設計は、安定した用量のPPEに加えて、漸増用量のアドルリパーゼ-SDの安全性及び有効性を調査するために、CFによって引き起こされる重度のEPIを有する男性及び女性患者において実施された多施設、オープンラベル、介入試験である。
研究は、4つの別々の相で実施される。相A:スクリーニング
●全ての潜在的な患者には、研究の目的及び手順が通知される。
●患者は、研究に参加するための書面によるインフォームドコンセントを提供する意思がなければならない。
●CFの影響を受けた患者は、全ての適格性基準についてチェックされる。
●≧1ヶ月間、安定した用量のPPEで治療された患者のみが、研究に参加することができる。安定した用量は、この期間中に変更されない薬剤の用量として定義され、薬剤は市販され、推奨される用量範囲で投与されなければならない。
●完全な身体検査を行う。
●病歴を確認する。
●CFの具体的評価(スクリーニング時の年齢、性別、及び身長について予測される正常値の≧30%の1秒間での努力肺活量[FEV1]を決定するための肺活量測定評価による肺機能検査、ならびに汗塩化物検査を含む)。
●先月以内の糞便ヒト膵エラスターゼ-1(FE-1)濃度の測定が要求される。利用可能でない場合、スクリーニング来院時にFE-1濃度の測定のための便試料が提供される。糞便ヒト膵エラスターゼ-1濃度<100μg/gの便を有する患者のみが、相Bに進むことが提案される。
【0178】
相B:日常的な安定用量のブタ膵臓抽出物(PPE)及び包含物下での脂肪吸収係数(CFA)測定を伴うベースライン
●糞便染料マーカーの出現後、患者のCFAは、標準化された高脂肪食で72時間、PPEの標準用量下で、入院施設で測定される。
●第1の染料マーカーは、第1の高脂肪食を有する参加者に与えられ、第2の染料マーカーは、72時間の高脂肪食期間の終了時に与えられる。
●染料を含む最初の便は廃棄される。次いで、便は収集され、第2の染料マーカーによってマークされた第1の便を含む。
●CFAの計算は、72時間の期間中に摂取された脂肪量に関連して測定された糞便脂肪含有量に基づく。1日当たりの摂取された脂肪量は、食事評価を使用して食事/間食当たりの残留食物量を差し引くことによって実際の量に補正される。計画された量の24時間当たり85~115g未満またはそれ以上の72時間の便収集期間にわたる平均脂肪摂取量は、プロトコル毎の分析に対してCFAアッセイを無効にする。米国及び欧州のガイドラインに従って、10,000リパーゼ単位/kg/日の最大毎日用量でCFA<80%を有する患者のみが、相Cに進む。
●1.5~2g/kg/日の最低タンパク質摂取量は、CNAを評価する目的で、栄養士によって計画された食事において提供される。
【0179】
相C:オープンラベル漸増用量のアドルリパーゼ-SD(サイクル1~3)
●日常的なPPE(例えば、Creon(登録商標)(パンクレリパーゼ)またはZempep(登録商標)(pancrelipase))は、相C全体にわたって継続される。
●患者は、各用量レジメンの15日間(±2日間)、以下の3つの用量レジメンを使用して、アドルリパーゼ-SDの増加用量を受ける。700mg/日、1120mg/日、及び2240mg/日。
●用量は、以下のように分別される。
-700mg/日:各3つの主要な食事及び2つの間食の各々で140mgのカプセル1個
-1120mg/日:各3つの主要な食事で140mgのカプセル2個、及び2つの間食の各々でカプセル1個
-2240mg/日:各3つの主要な食事で140mgのカプセル4個、及び2つの間食の各々でカプセル2個
●アドルリパーゼ-SDの各用量は、用量レジメンの計画された15日間(±2日間)全体にわたって各用量漸増の開始から次の来院まで投与される。
●CFA及びCNAは、アドルリパーゼ-SD治療下で、入院施設で、及び標準化された高脂肪食で72時間測定される。
●各対象における次の用量レジメンへの漸増は、先行する用量の安全性及び忍容性の徹底的なレビューの後に許可される。
●アドルリパーゼ-SD(任意の用量)による総治療期間は、最大51日である。
【0180】
相D:フォローアップ/早期終了
●標準的なPPE治療は、アドルリパーゼ-SD摂取完了後も継続される
●フォローアップ来院は、相Cの終了から12~15日後に予定される。
【0181】
患者は、以下の漸増範囲に従って、増加用量のアドルリパーゼ-SDを受ける:700mg/日、1120mg/日、及び2240mg/日。
【0182】
アドルリパーゼ-SDは、経口投与され、かつ食物とともに摂取される、それぞれ140mgのカプセルとして供給される。
【0183】
推定される研究期間は、約90日(相A(スクリーニング期間)の場合は最大15日、相B(日常的な安定用量のPPE及び包含物下でのCFA測定)の場合は15日、続いて、相C(アドルリパーゼ-SDのオープンラベル漸増用量)の各サイクル1~3の場合は15±2日の治療期間、及び相D(フォローアップ)の場合は12~15日を含む)である。
【0184】
研究参加に適格となるには、患者は以下の全ての基準を満たさなければならない。
1.署名及び日付が記載されたインフォームドコンセントフォーム。
2.スクリーニング時の年齢が12歳
3.男性または女性。
4.≧1ヶ月のPPEの安定した用量下。安定した用量は、この期間中に変更されない薬剤の用量として定義され、薬剤は市販され、推奨される用量範囲で投与されなければならない。
5.以下によって定義される栄養状態:
a.女性患者についてはBMI≦22.0kg/m2
b.男性患者についてはBMI≦23.0kg/m2
c.12~<18歳の患者についてはBMI≦50パーセンタイル。
6.治験責任医師の見解でCFと一貫する少なくとも2つの臨床的特徴及びピロカルピンイオン導入による汗塩化物濃度>60mmol/Lに基づく、嚢胞性線維症(CF)。
7.スクリーニング時の糞便中膵エラスターゼ-1、<100μg/gの便。
8.最大1日用量10,000リパーゼ単位/kg/日でベースラインCFA<80%。
9.臨床的に安定しており、スクリーニングから30日以内に静脈内抗生物質の投与、酸素補充、または入院を必要とする重大な呼吸器症状の証拠は記録されていない。
10.男性及び女性の患者は、妊娠の可能性がある場合、研究中に信頼できる避妊方法を使用しなければならない。信頼できる産児制限の方法は、以下:経口もしくは注射避妊薬、子宮内避妊用具、避妊インプラント、卵管結紮、子宮摘出術、または二重障害式避妊法(殺精子泡もしくはゼリーを伴うダイヤフラム、またはコンドーム)、禁欲または精管結紮術のうちの1つとして定義される。定期的な禁欲(カレンダー、症状-熱、または排卵後の方法)は、許容される避妊方法ではない。性的禁欲が信頼できる産児制限の方法であるかどうかを判断する際には、患者の好ましい通常のライフスタイルも評価されなければならない。
11.治験責任医師の判断に従って、プロトコルに準拠する信頼性及び能力があるとみなされる。
【0185】
除外基準は次のとおりである。
1.確立されたまたは疑いのある結腸線維症。
2.全胃切除術または部分胃切除術。
3.固形臓器移植または腸の重大な外科的切除の病歴;腸の重大な切除は、回腸終末部または回盲弁の任意の切除として定義される。他の腸切除後に栄養状態の質的、長期的な変化(例えば、同じ栄養状態を維持するために術前の状態と比較して、膵酵素補充の新たな必要性の増加)があった患者も除外されるべきである。
4.膵臓機能不全とは無関係の任意の慢性下痢性疾患(例えば、感染性胃腸炎、スプルー、炎症性腸疾患)
5.治験薬(IMP)の任意の成分に対する既知の過敏症または他の重度の反応。
6.ビリルビン、>1.5倍の基準値上限(ULN)。
7.アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、>5倍ULN。
8.アルカリホスファターゼ(ALP)、>5倍ULN。
9.ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、>5倍ULN。
10.肝硬変または門脈圧亢進症(例えば、脾腫、腹水、食道静脈瘤)の兆候及び/または症状、またはCFとは無関係の記録された肝臓疾患
11.便マーカーに対する既知のアレルギー。
12.スクリーニング前の6ヶ月間に経腸チューブを介した栄養供給
13.スクリーニング前の最後の12ヶ月以内の、抗下痢薬、抗痙攣薬、もしくは下痢性下剤の日常的な使用、またはスクリーニング前の最後の12ヶ月以内の以前の下剤療法における慢性浸透圧性下剤(例えば、ポリエチレングリコール)レジメンの変更
14.スクリーニング前の最後の12ヶ月以内に、適切な下剤療法の下で<1回の排泄/週を伴う重度の便秘の病歴。
15.スクリーニング前の最後の12ヶ月以内の遠位偽性腸閉塞症候群の記録。
16.スクリーニング来院時の努力肺活量≦30%。
17.授乳または既知の妊娠または妊娠の可能性のある女性のスクリーニング及びベースラインの両方でのもしくは陽性の妊娠検査。
18.本研究に参加する前または本研究と併用する前の30日以内のIMPを伴う別の臨床試験への参加。
19.治験責任医師の判断に従った管理が不十分な糖尿病。
【0186】
抗生物質、粘液溶解剤、エアロゾル、及びCFTR修飾剤などのCFの標準治療薬は許可される。CFTRモジュレーターは、少なくとも3ヶ月間安定した用量である必要がある。患者は、研究期間中にCFTRモジュレーターの服用を開始してはならない。
胃酸抑制剤は許可されるが、スクリーニング前に30日間安定でなければならず、研究中に投与量を変更または停止してはならない。
【0187】
禁止されている薬剤は以下のとおりである。
●オルリスタットリパーゼ阻害剤(例えば、AlliR(登録商標)、Xenical(登録商標))、
●鉱油及びヒマシ油からなる下剤(浸透性下剤の慢性的な使用は許可される)
●下痢の対症療法:ロペラミド(ロペラミドジェネリック、Imodium(登録商標)、Imodium A-D(登録商標)、Diamode(登録商標)、Imotil(登録商標)、Kao-Paverin(登録商標))、アトロピン/ジフェノキシレート(Lonox(登録商標))、アトロピン/ジフェノキシレート(Lomocot(登録商標))。
【0188】
主要有効性評価項目は次のとおりである。
●ベースライン(V2)から相C(V4、V5、及びV6)の来院までのCFAの変化。
【0189】
副次的評価項目は以下のとおりである。
主要な副次的評価項目:
●相Cのサイクルにおける便回収期間中の毎日の排泄の平均回数の相Bからの変化。
●相Cの各全サイクルにおける便回収期間中のブリストルスケールによって評価される便の形状の平均の相Bからの変化。
他の副次的評価項目:
●体重。
●ボディマス指数。
●便回収期間中の便の重量(24時間毎及び72時間にわたる回収期間)。
●視覚的アナログ尺度によって評価される腹部不快感。
●吸収変数:CNA及び脂肪便。
●相Cの各全サイクルにわたる1日当たりの毎日の排泄の平均回数の相Bからの変化。
●相Cの各全サイクルにわたるブリストルスケールによって評価される便の形状の平均の相Bからの変化。
【0190】
免疫アレルギー事象及び消化器系症状に特に焦点を当てた全ての観察された有害事象を含む安全性データ。
【0191】
副次的安全性評価項目は以下のとおりである。
主要安全性評価項目に加えて、臨床検査結果を要約する。
●空腹時グルコース。
●尿検査
●血液学:ヘマトクリット、ヘモグロビン、赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、以下の絶対数:好中球(分葉)、幼若好中球(桿状)、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球、及び血小板。
●生化学:以下の血清濃度:ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血中尿素窒素(BUN)、総カルシウム、リン、マグネシウム、アルブミン、プレアルブミン、総タンパク質、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、総ビリルビン、直接ビリルビン、尿酸。
●空腹時脂質プロファイル:総コレステロール、トリグリセリド、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、及び超低密度リポタンパク質(VLDL)
●血清ビタミンA、D、E、及びK。
●活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)、プロトロンビン時間/国際標準化比(PT/INR)
●LIP2リパーゼの循環レベルの免疫原性評価。
●LIP2に対する抗体。
【0192】
試料サイズの決定は、有効性の主要評価項目、すなわち、相Cのベースライン(V2)から来院V4、V5、及びV6までのCFAのベースラインの変化に基づく。
【0193】
15%のCFAの変化の標準偏差、少なくとも1回の用量のアドルリパーゼ-SD(700mg/日、1120mg/日、または2240mg/日)の10%の予想される平均CFA変化、0.05の両側名義アルファレベルを仮定すると、20人の患者が、80%の検定力を達成するのに十分である。用量漸増中の脱落の可能性を考慮して、24人の患者が登録される。
【0194】
24人の患者は、各研究された用量の安全性を適切に評価するのに十分であると考えられる。
研究された集団におけるCFAの変化について予想される標準偏差についていくつかの不確実性があるため、標準偏差は、中間段階(15人の患者が相Cを完了した後)で再推定される。推定される標準偏差が計画されたものよりも大きい場合、試料サイズは検出力を維持するために増加される。
【0195】
有効性分析セット
●全分析セット(FAS):少なくとも1回の用量の治療を受け、治療で利用可能ないくつかの有効性評価を受けている全ての患者として定義される。FASは、有効性分析の主要なセットとみなされる。
●パープロトコルセット(PP):治験臨床医によって決定されるように、治験結果に著しく影響を及ぼすような方法でプロトコルの条件に違反していない全ての患者を含むFASのサブセットである。
【0196】
安全性セット:
●安全性セットは、少なくとも1回の用量のアドルリパーゼ-SDを受けた全ての患者として定義される。
●患者は、実際に受けた治療に従って分析される。
【0197】
有効性分析:
主要有効性評価項目:
一次分析は、FAS上で行われる。主要有効性評価項目(相C中のCFAの変化)は、患者の無作為項、来院の固定項、及び共変量としてのベースラインCFAを含む反復測定のための混合モデル(MMRM)で分析される。推定は、繰り返し測定のための非構造化共分散行列の仮定の下で、制限付き最尤法(REML)アプローチを使用して実行される。ベースラインから各漸増された用量の来院までのCFAの平均変化は、ベースラインCFAがベースラインで推定されるその平均レベルに設定されたと仮定して、その95%信頼区間及びp値とともに推定される。
【0198】
主要有効性評価項目の感度分析
●主要有効性評価項目は、各来院時に、切片及びベースラインCFAを含む共分散分析(ANCOVA)モデルで分析される。欠損しているデータは置き換えられない。
●このANCOVA分析はまた、Las Observation Carried Forward(LOCF)法によって置き換えた欠損データで行われる。
【0199】
用量反応モデリング
用量反応関係を評価するために、ランダム係数モデルを適合させる。各漸増期間中に服用される用量は、線形及び二次(用量の二乗)固定共分散行列として含まれる。このモデルはまた、これらのパラメータの非構造化共分散行列を仮定した用量の切片、線形及び二次傾向のランダム項を含む。モデルを適合させるときに収束の問題が発生した場合、線形傾向はモデル内にのみ維持される。
【0200】
サブグループ分析
分析は、以下のサブグループで行われる。
●年齢(<18歳対≧18歳)
●PPIの使用(はい対いいえ)
【0201】
主要な副次的有効性評価項目:
●相Cの各漸増された用量の期間における便回収期間中の毎日の排泄の平均回数のベースラインからの変化
●相Cの各漸増された用量の期間における便回収期間中のブリストルスケールによって評価された平均の便の形状のベースラインからの変化
【0202】
他の副次的評価項目分析:
他の副次的有効性エンドポイントの分析については、統計分析計画に詳述する。
【0203】
安全性の分析:
●治験薬への曝露及び中止または撤退の理由を表にする。
●安全性は、有害事象の発生率、重症度及び有害事象の種類、ならびに安全性集団を使用した患者のバイタルサイン、体重、及び臨床検査結果のベースライン(B相)からの変化によって評価される。
【0204】
製剤は安全であり、試験した全ての用量で忍容性が良好であった。予備段階の結果(n=18)は、ベースラインに対する最大増加を34とし、ベースラインに対する最小相かを16とし、80%を超える数を7とする、ベースラインに対する約5.9%の平均増加を示す。データは、用量反応関係の欠如を示した。
【0205】
対象の配備:
21人の登録された対象のうち、合計95.2%(20/21)の対象が研究を完了した。1名の対象(4.8%)は、COVID-19の制限により研究を中止した。
【0206】
人口統計及びベースラインの特徴:
男性対象は安全集団の66.7%(14/21)を占め、33.3%(7/21)は女性であった。年齢の中央値は17.0歳(範囲:12~32歳)であり、全ての対象(100%、21/21)は白人であった。ベースラインBMIの中央値は18.4kg/m2(範囲:15、22)であった。嚢胞性線維症の診断からの時間の中央値は、15.1年であった(範囲:9~33)。
【0207】
有効性の結果:
主要評価項目について、CFAは、FAS集団及びPP集団の両方において有意に増加した。最も高い増加は、PP集団で、ベースラインから来院4までの5.99(p値=0.0316)であった。
【0208】
副次評価項目では、FAS集団及びPP集団の両方において、毎日の排泄の平均回数が有意に減少した。最も高い減少は、FAS集団で、ベースラインから来院6までの0.60(p値<0.0001)であった。
【0209】
副次的評価項目について、便の形状の平均は、FAS集団及びPP集団の両方において有意に増加した。ブリストルスケールで最も高い減少は、PP集団で、ベースラインから来院6までの0.70(p=0.004)であった。
【0210】
他の副次的評価項目(体重、BMI、便の重量、窒素排出量及び脂肪便)は、改善を示した。
【0211】
腹部の不快感は、臨床的関連を変化するようには見られなかった。
【0212】
これらのパラメータについて正式な統計的有意性は試験されなかった。
【0213】
安全性の結果:
アドルリパーゼSDへの曝露は、3つの治療群全てにおいて約2週間であった。
【0214】
いずれかのTEAEを報告している対象の数は、700mg/日の期間で3人(14.3%)、1120mg/日の期間で5人(23.8%)、2240mg/日の期間で4人(20.0%)、及びフォローアップ期間で1人(5%)であった。700mg/日の期間で、1人の対象(4.8%)のみが1つの関連するTEAEを有していた。
【0215】
永久的な薬物中止、用量中断、または用量低減につながるTEAEを有する患者はいなかった。
【0216】
致命的、重度、または深刻なTEAEを有する患者はいなかった。
【0217】
合計2人の患者(9.5%)がそれぞれ特別な関心のある1つのTEAEを有し、1120mg/日の期間中に1人の患者(4.8%)が(PT:吐き気)を有し、2240mg/日の期間中に1人の患者(5%)が(PT:下痢)を有した。
【0218】
全ての臨床化学、血液学、及び凝固分析物のベースラインからのその後の来院の平均検査値の比較では、パラメータに対すアドルリパーゼSDのいかなる臨床的に有意な効果も示されなかった。
【0219】
初回来院後の来院時の平均バイタルサイン結果(拡張期及び収縮期血圧、心拍数及び呼吸数、ならびに体温)は、ベースライン時と同様であった。
【0220】
ベースライン時を含めて、いくつかの免疫原性が検出され、既存の反応性を示唆した。研究中に免疫反応の臨床兆候または症状は発生しなかった。
【0221】
コレステロール、トリグリセリド、LDL-コレステロール、HDLコレステロール、VLDLコレステロール、ビタミンA、25-ヒドロキシビタミンD、ビタミンE、ビタミンK1、及びグルコースの変化は、吸収不良の改善と一貫しているが、これらのパラメータについて統計的有意性の検定は行われなかった。
【0222】
結論
PPEの安定した用量に加えてアドルリパーゼ-SDの漸増用量(700mg/日~2240mg/日)は、CFAを有意に増加させ、毎日の排泄の回数を減少させ、便の形状を向上させた。体重、BMI、便の重量、窒素排出量及び脂肪便もまた改善を示したが、これらのパラメータについて正式な統計的有意性は試験されなかった。
【0223】
アドルリパーゼ-SDは安全であり、最大2240mg/日の用量で忍容性が良好であった。
【0224】
実施例4の要約を以下に示す
背景:アドルリパーゼアルファ(旧称MS1819)は、嚢胞性線維症(CF)、慢性膵炎(CP)、及び他の適応症に起因する膵外分泌不全(EPI)の治療のための組換え酵母由来リパーゼである。EPIを有するCF患者は、現在、食物消化及び十分な栄養を促進するためにブタ膵臓酵素(PPE)を処方されている。しかしながら、PPEを受けている患者の最大25%が適切に管理されておらず、難治性脂肪便、吸収不良の症状、及び体重減少を呈している。この理由は、PPEの最大推奨用量に達しているか、または場合によってはPPE用量の増加に対する耐性が欠如している場合がある。CF患者の酵素レジメンへのアドルリパーゼの添加の効果を評価するために、ハンガリー及びトルコのいくつかの臨床センターで臨床試験を実施した。臨床試験の主な目的は、脂肪吸収係数(CFA)によって評価されるトリグリセリド消化における安定した用量のPPEに加えてアドルリパーゼの安全性及び有効性を決定することであった。
【0225】
方法:研究概略図については、
図1を参照されたい。≧1ヶ月の安定した用量のPPEの下でCFの臨床診断を伴うスクリーニングにおける≧12歳の男性または女性の対象を登録した。対象は、ボディマス指数(BMI)によって定義される栄養状態を有していなければならず、女性については≦22.0kg/m2、男性については≦23.0kg/m2、または12~<18歳については≦50パーセンタイルであった。対象は、糞便エラスターゼ<100μg/gの便、ベースラインCFA<80%、最大1日PPE用量10,000リパーゼ単位/kg/日を有していなければならなかった。CFA測定値は、72時間の標準化された高脂肪食の患者に投与された定量的糞便脂肪試験の後に決定された。
【0226】
結果:完全分析セット(N=20)では、ベースラインでの平均CFA%は67.3であり、来院4、来院5、及び来院6でのCFA%の平均増加は、それぞれ5.7、6.6、及び5.0であった。ベースラインと比較したCFAの平均改善は5.7%であった。これらの結果は、便の重量、便の形状、1日あたりの便、体重、及びBMIの改善を含む副次的評価項目によって支持された(表1)。アドルリパーゼの添加により、45日間にわたる体重の平均1.7kg(約4ポンド)の増加が観察された。
【0227】
結論:安定した用量のPPEに加えてアドルリパーゼの漸増用量(700mg/日~2240mg/日)は、兆候、症状、及び栄養状態の改善に加えて、平均CFAの臨床的に有意な増加をもたらした(Brady et al,2006)。アドルリパーゼは、最大2240mg/日の漸増用量で投与された場合、安全で忍容性が良好であった。この研究の結果は、現在、PPE単独で十分に管理されていない患者における本製品のさらなる研究を支持する。現在、胃酸からのより良好な保護、及び潜在的に十二指腸におけるより多くのリパーゼ活性を有するアドルリパーゼの改善された製剤を開発している。
【0228】
説明を簡潔にするために、本開示の方法の実施形態は、一連の動作として描写され、説明される。しかしながら、本開示に従った動作は、様々な順序で及び/または同時に、ならびに本明細書に提示及び説明されていない他の動作とともに行われ得る。さらに、開示される主題に従って方法を実装するために、全ての例示される動作が必要とされ得るわけではない。加えて、当業者は、方法が、状態図またはイベントを介して一連の相互に関連する状態として代替的に表され得ることを理解し、把握するであろう。
【0229】
上記の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、特定の材料、寸法、プロセスパラメータなどの多くの具体的な詳細が述べられている。特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせられ得る。「例」または「例示的な」という単語は、本明細書では、例(example)、実例(instance)、または実例(illustration)として役立つことを意味するために使用される。本明細書に「例」または「例示的」として説明されるいかなる態様または設計も、必ずしも、他の態様または設計よりも好ましいまたは有利と解釈されるべきではない。むしろ、「例」または「例示的」という単語の使用は、具体的な様式で概念を提示することが意図される。本出願で使用される場合、「または」は、排他的な「または」ではなく包含的な「または」を意味することが意図される。すなわち、別様に指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」とは、あらゆる自然な包括的置換を意味することが意図される。すなわち、XがAを含む場合、XがBを含む場合、またはXがAとBの両方を含む場合には、「XはAまたはBを含む」は、あらゆる上記の実例の下で満たされる。さらに、本出願及び添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「a」及び「an」は、別様に指定されない限り、または単数形を対象とする文脈から明確でない限り、一般に「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。「一実施形態(an embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、または「一実施形態(one embodiment)」に対する本明細書全体での言及は、その実施形態と関係して記載される特定の機能、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所で出現するフレーズ「一実施形態」、「特定の実施形態」、または「一実施形態」は、必ずしも全て同じ実施形態を言及しているわけではない。
【0230】
本明細書全体にわたる数値範囲への参照は、限定するものと解釈されるべきではなく、列挙された数値範囲内の範囲の外側の限界ならびに各数及び/またはより狭い範囲を包含するものとして理解されるべきである。
【0231】
本発明を、その特定の例示的な実施形態を参照して説明された。したがって、明細書及び図面は、限定する意味ではなくて例示的なものとみなされる。本明細書に示され、記載されるものに加えて、本発明の様々な修正が当業者に明らかとなり、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。
【国際調査報告】