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特表2024-544399粉末コーティングされた生体材料ベースの多孔質材料を含む組成物
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  • 特表-粉末コーティングされた生体材料ベースの多孔質材料を含む組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】粉末コーティングされた生体材料ベースの多孔質材料を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 15/32 20060101AFI20241122BHJP
   A61L 15/42 20060101ALI20241122BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20241122BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20241122BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20241122BHJP
   A61L 15/22 20060101ALI20241122BHJP
   A61L 31/08 20060101ALI20241122BHJP
   A61L 31/10 20060101ALI20241122BHJP
   A61L 15/64 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61L15/32 310
A61L15/42 310
A61L31/14 400
A61L31/04 120
A61L15/32 100
A61L15/28 100
A61L15/22 310
A61L31/04
A61L31/08
A61L31/10
A61L31/14 500
A61L15/64 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536183
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-08-13
(86)【国際出願番号】 EP2022086692
(87)【国際公開番号】W WO2023111353
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】21215771.3
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21215766.3
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516239781
【氏名又は名称】メドスキン ソリューションズ ドクター スベラック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100227592
【弁理士】
【氏名又は名称】孔 詩麒
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ボクラム
(72)【発明者】
【氏名】アンナレナ ベルカー
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AA02
4C081AA12
4C081AA14
4C081BA11
4C081BB01
4C081CB041
4C081CD011
4C081CD041
4C081CD111
4C081CD121
4C081CE11
4C081CF23
4C081DA02
4C081DB02
4C081DB03
4C081DC13
4C081EA06
(57)【要約】
本発明は、粉末でコーティングされた生体材料ベースの多孔質材料を含む組成物、及びそのような組成物を作製する方法に関する。本発明は更に、そのような組成物を投与することを含む、外科手術、又は創傷、出血、損傷組織及び/若しくは出血組織からなる群から選択される傷害の治療における出血及び/若しくは他の体液の漏出を制御する、並びに皮膚の治療の方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質材料を含む組成物であって、前記多孔質材料が生体材料を含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、
・前記多孔質材料が、0,01~1g/cmの範囲、好ましくは0,02~0,05g/cmの範囲、特に0,02~0,04g/cmの範囲の密度を有し、
・前記細孔が、15~70μmの範囲、好ましくは25~65μmの範囲の平均径を有し、
粒子を含む帯電性の粉末で前記多孔質材料がコーティングされていることを特徴とし、
・前記粒子が50~100μmの範囲の平均サイズを有し、
・前記コーティングの総量が2~100g/mの範囲、好ましくは3,5~9g/mの範囲である、多孔質材料を含む組成物。
【請求項2】
前記粒子の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%の平均サイズが、前記細孔の平均径を超える、請求項1に記載の多孔質材料を含む組成物。
【請求項3】
前記多孔質材料が、天然及び/若しくは合成ポリマー又はそれらの混合物、特に多糖、グルコサミノグリカン、タンパク質及び/若しくは合成ポリマー又はそれらの混合物を含む群から選択される、請求項1又は2に記載の多孔質材料を含む組成物。
【請求項4】
前記多孔質材料が、コラーゲン、アルギネート又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の多孔質材料を含む組成物。
【請求項5】
前記コーティングによって、前記組成物の表面及び前記細孔の表面におけるpHが、3,0~9,0の範囲、好ましくは6,0~8,0の範囲に調整されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の多孔質材料を含む組成物。
【請求項6】
前記粉末が、塩、グルコースベースの多糖、グルコース、修飾グルコース、酵素、コラーゲン、ヒアルロン酸、金属又は金属酸化物からなる群から選択される化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の多孔質材料を含む組成物。
【請求項7】
前記粉末が、重炭酸ナトリウム(NaHCO)である化合物を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔質材料を含む組成物。
【請求項8】
ポリマー又はワックスの層でコーティングされている、請求項1~7のいずれか一項に記載の多孔質材料を含む組成物。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項で定義される多孔質材料を含む組成物を作製する方法であって、
a)請求項1で定義される多孔質材料を供給する工程と、
b)粒子を含む帯電性の粉末を供給する工程であって、前記粒子が50~100μmの範囲の平均サイズを有する、工程と、
c)前記多孔質材料と前記粉末とを、コーティング装置内の対向する電極の間に位置決めする工程であって、
前記コーティング装置が前記多孔質媒体を通して電界を生成することができ、
前記装置が前記粉末を貯蔵するための領域を有する、工程と、
d)前記粉末と前記多孔質材料とを対向する電極によって生成された電界にさらすことによって、前記多孔質材料の表面上に前記粉末を静電的に堆積させる工程であって、前記電界によって前記粒子が前記多孔質材料に向かって移動する、工程と、を含む、多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【請求項10】
工程d)における前記粉末が、前記装置内の前記粉末を貯蔵するための前記領域内に流動化ガスの流れを供給することによって流動状態にある、請求項9に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【請求項11】
前記対向する電極に印加される電圧が、20~250kVの範囲、好ましくは30~60kVの範囲、より好ましくは45~55kVの範囲、特に約50kVである、請求項9又は10に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【請求項12】
前記コーティング装置内の前記対向する電極が、アノードである少なくとも第1の電極が前記多孔質材料に近接して位置決めされ、カソードである少なくとも第2の電極が前記装置内の粉末を貯蔵するための前記領域に近接して位置決めされるように、配置される、請求項9~11のいずれか一項に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【請求項13】
前記粉末の密度が、2,0~2,5g/cmの範囲、好ましくは2,1~2,3g/cmの範囲、特に約2,2g/cmである、請求項9~12のいずれか一項に記載の多孔質材料を含む組成物の製造方法。
【請求項14】
工程d)の前記組成物をポリマー又はワックスの層でコーティングする工程を更に含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の多孔質材料を含む組成物の製造方法。
【請求項15】
外科手術における出血及び/若しくは他の体液の漏出の制御、又は創傷、出血、損傷組織及び/若しくは出血組織からなる群から選択される損傷の治療の方法であって、請求項1~14のいずれか一項で定義される多孔質材料を含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末コーティングされた生体材料ベースの多孔質材料を含む組成物、及びそのような組成物を作製する方法に関する。本発明は更に、そのような組成物を投与することを含む、外科手術又は創傷、出血、損傷組織及び/若しくは出血組織からなる群から選択される傷害の治療における出血及び/若しくは他の体液の漏出を制御する、並びに皮膚の治療の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学蒸着又は物理蒸着、電気化学技術、噴霧、スロットダイコーティングなどを含む様々なコーティング技術が、基材上に材料を堆積させるために使用されている。特に、金属のような導電性の基材をコーティングするための静電粉末コーティング技術の使用はよく知られている。この方法では、粉末コーティング材料に静電気を帯びさせた後、それを付着させる導電性材料の表面に噴霧又は吹き付ける。正に帯電した又はイオン化された粉末と導電性材料の負に帯電した表面との間、又はその逆の静電引力によって、材料に粉末を含浸させる。この方法は、特に金属物品を塗装するために使用される。
【0003】
しかしながら、近年、物品の製造において、特に重量の低減及び耐食性の改善を必要とする用途において、ポリマー材料の使用が増加している。同時に、一般的には、このようなポリマーには、帯電した粉末粒子を引き付けるために効率的に静電気を帯びさせることができないことから、それらのポリマーは、上記の方法によって効率的にコーティングするには導電性が不十分である。
【0004】
ポリマーの導電性を改善する1つの方法は、ポリマーに導電性プライマー組成物を使用することである。WO2004/069942には、そのようなプライマー組成物の例が開示されている。しかしながら、使用される特定のプライマーに依存して、その調整されたポリマーは、例えば、表面平滑性、物理化学的安定性などのあまり好ましくない物理的及び化学的特性を有する場合があり、調整された材料は特定の用途にあまり適さないものになる。加えて、このようなプライマー組成物は、揮発性有機溶媒を含有する場合があり、プライミングプロセス中のその放出は望ましいものではなく、また、環境に優しくない可能性がある。
【0005】
別のアプローチは、導電性の低い物品とコーティング粉末を、外部ソースによって生成された電界にさらすことに基づいている。国際出願WO99/22920には、特に複合材料を製造するために、繊維又はフィラメントのネットワークに粉末を含浸させる方法が記載されている。この方法において、粉末と繊維又はフィラメントのネットワークは、同じ電圧発生器に接続された2つの電極がそれらの間に生成する交流電場にさらされる。各電極は金属板の形状を有している。特許出願EP1526214では、複数の電極管によって電界が生成されている。電極の更なる配置が、WO2007/110524及びEP2231209 B1に記載されている。
【0006】
コラーゲンなどの多孔質生体材料への静電粉末コーティングの適用の利点は、生体材料マトリックスの密度が変化しないことにある。その結果、生体材料マトリックスの水を取り込む能力及び/又は薬物物質を放出する能力は、損なわれないままである。対照的に、スロットダイコーティングなどの溶液コーティング技術を多孔質生体材料マトリックスに適用すると、材料の密度が本質的に増加する。
【0007】
コラーゲンベースのパッド、組織又はスポンジは、特に、創傷治癒を改善するため、又は出血を止めるために長年使用されている(US4600574 A、WO 2004/028404、US5614587 A、EP2939697 B1を参照)。止血におけるそれらの作用機序は、血小板の凝集及び活性化、活性化血小板の表面上でのトロンビンの形成、並びにフィブリノーゲンに対するトロンビンの触媒作用による止血フィブリンクロットの形成に基づく。
【0008】
ポリマーのある種の機能性、例えば拡散特性、水の取り込み、導電性は、しばしばpH感受性である。例えば、OH、COOH又はNHなどのポリマー中の官能基の存在は、ポリマーフィルム中の水の拡散性に影響を及ぼす可能性があり、それにより、コーティングされたペレットからの薬物の放出速度に明らかなpH依存性を生じる可能性がある。したがって、ポリマー基材のpH特性の調整がコーティングされた剤形から放出される活性物質の有効性を改善するためにしばしば必要である。
【発明の概要】
【0009】
[発明の詳細な説明]
一態様において、本発明は、多孔質材料を含む組成物に関し、当該多孔質材料は生体材料を含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、
・当該多孔質材料は0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、
・当該細孔は15~70μmの範囲の平均径を有し、粒子を含む帯電性の粉末で当該多孔質材料がコーティングされていることを特徴とし、
・当該粒子は50~100μmの範囲の平均サイズを有し、当該コーティングの総量は2~100g/mの範囲である。
【0010】
一実施形態では、本発明の組成物は多孔質材料を含み、当該多孔質材料はコラーゲンを含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、
・当該多孔質材料は0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、
・当該細孔は15~70μmの範囲の平均径を有し、粒子を含む帯電性の粉末で当該多孔質材料がコーティングされていることを特徴とし、当該粉末が少なくとも95重量%の重炭酸ナトリウム(NaHCO)を含有し、
・当該粒子は50~100μmの範囲の平均サイズを有し、
・当該コーティングの総量は当該多孔質材料の外表面で2~100g/mの範囲であり、
・当該コーティングによって当該組成物の表面におけるpHが、3,0~9,0の範囲、好ましくは6,0~8,0の範囲、より好ましくは6,5~7,5の範囲に調整されている。
【0011】
本発明の組成物において、多孔質材料の表面は粉末粒子の本質的に均一な層で覆われており、粉末は主に多孔質材料の表面上に残り、粒子のごく一部のみが細孔内に入る。これは、細孔サイズの平均径よりも圧倒的に大きい平均サイズを有する粉末粒子のサイズ分類によって実現される。結果として、生体材料の細孔はブロックされないままであり、コーティングされて調整された生体材料は、水を取り込む能力及び/又は薬物物質を放出する能力をそのまま保持する。このことは特に実施例2によって説明される。実施例2から分かるように、残留水分、引張強度及び吸水率などのコーティングされた材料の本質的な技術的パラメータは、コーティングされていないコラーゲンと比較して本質的に損なわれないままである。
【0012】
粉末コーティングは1つで2つの効果を有する。これにより、pH調整、接着剤の塗布などの実際に粉末に起因するあらゆる特定の特性で表面を機能化できるが、同時に静電気による粉末の接着と粒子サイズの分布の選択により、引張強度、細孔サイズ、細孔の開放性(したがって、コーティングされていない材料と比較して安定した吸水性)、ウィッキング挙動などの元の特性を維持することができる。
【0013】
別の態様において、本発明は多孔質材料を含む組成物を作製する方法に関し、方法は、
a)多孔質材料を供給する工程であって、当該多孔質材料が生体材料を含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、当該多孔質材料が0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、
当該細孔が15~70μmの範囲の平均径を有する、工程と、
b)粒子を含む帯電性の粉末を供給する工程であって、当該粒子が50~100μmの範囲の平均サイズを有する、工程と、
c)当該多孔質材料と当該粉末とを、コーティング装置内の対向する電極の間に位置決めする工程であって、
当該コーティング装置が当該多孔質媒体を通して電界を生成することができ、
当該装置が当該粉末を貯蔵するための領域を有する、工程と、
d)当該粉末と当該多孔質材料とを対向する電極によって生成された電界にさらすことによって、当該多孔質材料の表面上に当該粉末を静電的に堆積させる工程であって、当該電界によって当該粒子が当該多孔質材料に向かって移動する、工程と、を含む。
【0014】
一実施形態では、本発明の多孔質材料を含む組成物を作製する方法は、以下の工程、すなわち、
a)多孔質材料を供給する工程であって、当該多孔質材料がコラーゲンを含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、当該多孔質材料が0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、
当該細孔が15~70μmの範囲の平均直径を有する、工程と、
b)粒子を含む帯電性の粉末を供給する工程であって、当該粉末が少なくとも95重量%の重炭酸ナトリウム(NaHCO)を含有し、当該粒子が50~100μmの範囲の平均サイズを有する、工程と、
c)当該多孔質材料と当該粉末とを、コーティング装置内の対向する電極の間に位置決めする工程であって、
当該コーティング装置が当該多孔質媒体を通して電界を生成することができ、
当該装置が当該粉末を貯蔵するための領域を有する、工程と、
d)当該粉末と当該多孔質材料を対向する電極によって生成された電界にさらすことによって、当該多孔質材料の表面上に当該粉末を静電的に堆積させる工程であって、当該電界によって当該粒子が当該多孔質材料に向かって移動する、工程と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一態様において、本発明は、多孔質材料を含む組成物に関し、当該多孔質材料は生体材料を含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、
・当該多孔質材料は0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、
・当該細孔は15~70μmの範囲の平均径を有し、
粒子を含む帯電性の粉末で当該多孔質材料がコーティングされていることを特徴とし、
・当該粒子は50~100μmの範囲の平均サイズを有し、
・コーティングの総量は2~100g/mの範囲である。
【0016】
一実施形態では、本発明の組成物は多孔質材料を含み、当該多孔質材料は生体材料を含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、
・当該多孔質材料は0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、
・当該細孔は15~70μmの範囲の平均径を有し、
粒子を含む帯電性の粉末で当該多孔質材料がコーティングされていることを特徴とし、
・当該粒子は50~100μmの範囲の平均サイズを有し、
・コーティングの総量は2~100g/mの範囲である。
【0017】
一実施形態では、多孔質材料は少なくとも90重量%の生体材料を含み、好ましくは多孔質材料は少なくとも95重量%の生体材料を含み、より好ましくは多孔質材料は少なくとも96重量%の生体材料を含み、より好ましくは多孔質材料は少なくとも97重量%の生体材料を含み、より好ましくは多孔質材料は少なくとも98重量%の生体材料を含み、最も好ましくは多孔質材料は少なくとも99重量%の生体材料を含む。一実施形態では、生体材料はコラーゲンである。
【0018】
一実施形態では、多孔質材料の密度は0,01~1g/cm、好ましくは0,02~0,05g/cmの範囲、より好ましくは0,02~0,04g/cmの範囲、最も好ましくは0,022~0,03g/cmの範囲である。
【0019】
一実施形態では、多孔質材料中の細孔は15~70μmの範囲、好ましくは25~65μmの範囲の平均径を有する。
【0020】
一実施形態では、多孔質材料は0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、細孔は15~70μmの範囲の平均径を有する。好ましい実施形態では、多孔質材料は0,02~0,05g/cmの範囲の密度を有し、細孔は25~65μmの範囲の平均径を有する。より好ましい実施形態では、多孔質材料は0,02~0,04g/cmの範囲の密度を有し、細孔は25~65μmの範囲の平均径を有する。
【0021】
一実施形態では、多孔質材料を含む当該組成物は、多孔質材料1g当たり20~40gの吸水率によって特徴づけられる。一実施形態では、多孔質材料を含む当該組成物は、コーティングされていない多孔質材料の吸水率に対して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、更により好ましくは少なくとも99%の吸水率によって特徴づけられる。
【0022】
一実施形態では、帯電性の粉末の粒子は50~100μmの範囲、好ましくは55~85μmの範囲の平均サイズを有する。
【0023】
一実施形態では、組成物中のコーティングの総量は2~100g/mの範囲、好ましくは2~20g/mの範囲、より好ましくは3,5~9g/mの範囲である。
【0024】
一実施形態では、組成物中のコーティングの総量は10~100g/mの範囲である。
【0025】
一実施形態では、組成物中のコーティングの総量は、当該多孔質材料の外表面で2~100g/mの範囲、好ましくは当該多孔質材料の外表面で2~20g/mの範囲、より好ましくは当該多孔質材料の外表面で3,5~9g/mの範囲である。
【0026】
一実施形態では、組成物中のコーティングの総量は当該多孔質材料の外表面で10~100g/mの範囲である。
【0027】
一実施形態では、帯電性の粉末の粒子の少なくとも70%の平均サイズは、組成物の多孔質材料中の細孔の平均径を超える。一実施形態では、帯電性の粉末の粒子の少なくとも80%の平均サイズは、組成物の多孔質材料中の細孔の平均径を超える。一実施形態では、帯電性の粉末の粒子の少なくとも90%の平均サイズは、組成物の多孔質材料中の細孔の平均径を超える。したがって、粉末の粒子は主に多孔質材料の表面上に残り、粒子のごく一部のみが細孔を介して多孔質材料に浸透する。
【0028】
一実施形態では、組成物中のコーティングによって、組成物の表面におけるpHが3,0~9,0の範囲、好ましくは6,0~8,0の範囲、より好ましくは6,5~7,5の範囲に調整されている。
【0029】
一実施形態では、組成物中のコーティングによって、組成物の表面におけるpHが3,5~4,5の範囲に調整されている。
【0030】
適切な粉末源の選択によって、pHを適切な範囲に調整することができる。例えば、重炭酸ナトリウムは、組成物の表面におけるpHを3,0~9,0の範囲、特に6,0~8,0の範囲に調整するために特に適していることが見出されている。
【0031】
材料の表面上のpHは、任意の好適な表面pH電極によって測定することができる。特に、組成物の表面上のpHは、平滑な表面上での測定に適している、平坦な膜とポリマー電解質を有するpH電極、例えば、WTW SenTix(登録商標)Surによって測定することができる。
【0032】
一実施形態では、多孔質材料は生体材料である。
【0033】
一実施形態では、多孔質材料は、天然及び/若しくは合成ポリマー又はそれらの混合物、特に多糖、グルコサミノグリカン、タンパク質又はそれらの混合物を含む群から選択される。
【0034】
一実施形態では、多孔質材料は、コラーゲン、アルギネート、例えばアルギン酸カルシウム又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0035】
一実施形態では、多孔質材料はコラーゲンである。
【0036】
一実施形態では、多孔質材料はアルギネート、特にアルギン酸カルシウムである。
【0037】
一実施形態では、多孔質材料は、コラーゲンとアルギン酸カルシウムとの混合物である。一実施形態では、多孔質材料は、80~98重量%の範囲のコラーゲンと2~20重量%の範囲のアルギン酸カルシウムとを含む。好ましい実施形態では、多孔質材料は、85~95重量%の範囲のコラーゲンと5~15重量%の範囲のアルギン酸カルシウムとを含む。特に、多孔質材料は、約90重量%のコラーゲンと約10重量%のアルギン酸カルシウムとを含む。
【0038】
一実施形態では、組成物の多孔質材料中のコラーゲンは、三重らせん構造を有する動物由来の天然コラーゲンである。
【0039】
一実施形態では、組成物の多孔質材料中のコラーゲンは、I型コラーゲン、III型コラーゲン、V型コラーゲン又はそれらの混合物を含む群から選択される。
【0040】
一実施形態では、本発明の組成物は、シートの形態又は3D形態である。一実施形態では、本発明の組成物は、シートの形態である。一実施形態では、本発明の組成物は、3D形態の形態である。
【0041】
一実施形態では、多孔質材料は本質的に平坦であり、すなわち、多孔質材料の厚さは、材料の長さ及び幅全体にわたって多孔質材料の平均厚さから±20%、好ましくは±10%を超えて逸脱しない。例えば、1mmの平均厚さの場合、本質的に平坦な材料の厚さは、その長さ及び幅全体にわたって、0,8~1,2mmの範囲、好ましくは0,9~1,1mmの範囲にとどまる。2mmの平均厚さの場合、本質的に平坦な材料の厚さは、その長さ及び幅全体にわたって、1,6~2,4mmの範囲、好ましくは1,8~2,2mmの範囲にとどまる。
【0042】
一実施形態では、帯電性の粉末は、塩、グルコース多糖、グルコース、修飾グルコース、酵素、コラーゲン、ヒアルロン酸、金属又は金属酸化物からなる群から選択される化合物を含む。
【0043】
一実施形態では、帯電性の粉末は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びヨウ化ナトリウム(NaI)、又はそれらの混合物を含む群から選択される塩を含む。一実施形態では、帯電性の粉末は、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及びヨウ化ナトリウム(NaI)、又はそれらの混合物を含む群から選択される塩を含む。
【0044】
一実施形態では、帯電性の粉末は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)ではない塩を含む。
【0045】
一実施形態では、塩は、一価カチオンと一価アニオンを有し、例えば、重炭酸ナトリウム(NaHCO)である。一実施形態では、塩は、二価カチオンと一価アニオンを有し、例えば、炭酸カルシウム(CaCO)である。
【0046】
一実施形態では、塩は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)である。好ましくは、塩は、乾燥化合物に対して少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96重量%、更により好ましくは少なくとも97重量%、更により好ましくは少なくとも98重量%、更により好ましくは少なくとも99重量%、特に少なくとも99,5重量%の重炭酸ナトリウム(NaHCO)を含む。重炭酸ナトリウムを含む塩は、少量のヨウ化ナトリウム(NaI)及び/又は炭酸マグネシウム(MgCO)を含有してもよい。一実施形態では、重炭酸ナトリウムを含む塩は、乾燥化合物に対して最大5重量%のヨウ化ナトリウム(NaI)を含有する。一実施形態では、重炭酸ナトリウムを含む塩は、乾燥化合物に対して最大5重量%の炭酸マグネシウム(MgCO)を含有する。一実施形態では、塩は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)からなる。
【0047】
一実施形態では、重炭酸ナトリウムは、40重量%未満の水分、好ましくは35重量%未満の水分、より好ましくは30重量%未満の水分を含む。
【0048】
一実施形態では、帯電性の粉末は、セルロース及びデンプンを含む群から選択されるグルコース多糖を含む。
【0049】
一実施形態では、帯電性の粉末は修飾グルコースを含む。一実施形態では、修飾グルコースは、2位の炭素上のヒドロキシル基の代わりに放射性核種フッ素-18(18F)を有するグルコース(FDG)である。
【0050】
一実施形態では、帯電性の粉末は酵素を含む。
【0051】
一実施形態では、帯電性の粉末はコラーゲンを含む。一実施形態では、組成物の多孔質材料中のコラーゲンは、I型コラーゲン、III型コラーゲン、V型コラーゲン又はそれらの混合物を含む群から選択される。
【0052】
一実施形態では、帯電性の粉末はヒアルロン酸を含む。
【0053】
一実施形態では、帯電性の粉末は、チタンなどの金属を含む。
【0054】
一実施形態では、帯電性の粉末は、金属酸化物、例えば二酸化チタン(TiO)を含む。
【0055】
一実施形態では、組成物中の多孔質材料の厚さは、0,5~10mmの範囲、好ましくは1~5mmの範囲である。
【0056】
一実施形態では、組成物は、シートの形態又は3D形態であり、シートの片側又は3D形態が粉末コーティングによってコーティングされる。一実施形態では、組成物はシートの形態であり、シートの2つの面が粉末コーティングによってコーティングされる。
【0057】
本発明の組成物は、ポリマー又はワックスの追加の層によって更にコーティングされてもよい。ポリマーの非限定的な例としては、ポリウレタン及びポリアルキレンオキシドポリマーが挙げられる。一実施形態では、ポリマーは、ポリアルキレンオキシドポリマー、好ましくは例えば多求電子性ポリアルキレンオキシドポリマーなどのPEG含有ポリマー、例えばペンタエリスリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジルグルタレート(COH 102)などの多求電子性PEGである。一実施形態では、組成物はドレッシングの形態で調製される。一実施形態では、ポリマーの追加の層で更にコーティングされた前述の実施形態のいずれかによる組成物は、外科手術における出血及び/若しくは他の体液の漏出の制御における使用に、又は創傷、出血、損傷組織及び/若しくは出血組織からなる群から選択される傷害の治療に適する。一実施形態では、ポリアルキレンオキシドポリマーなどの本発明の組成物中のポリマー又はワックスの追加の層は、粉末コーティングの上にある。
【0058】
別の態様において、本発明は多孔質材料を含む組成物を作製する方法に関し、方法は、
a)多孔質材料を供給する工程であって、当該多孔質材料が生体材料を含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、当該多孔質材料が0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、
当該細孔が15~70μmの範囲の平均径を有する、工程と、
b)粒子を含む帯電性の粉末を供給する工程であって、当該粒子が50~100μmの範囲の平均サイズを有する、工程と、
c)当該多孔質材料と当該粉末とを、コーティング装置内の対向する電極の間に位置決めする工程であって、
当該コーティング装置が当該多孔質媒体を通して電界を生成することができ、
当該装置が当該粉末を貯蔵するための領域を有する、工程と、
d)当該粉末と当該多孔質材料とを対向する電極によって生成された電界にさらすことによって、当該多孔質材料の表面上に当該粉末を静電的に堆積させる工程であって、当該電界によって当該粒子が当該多孔質材料に向かって移動する、工程と、を含む。
【0059】
別の実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法は、以下の工程、すなわち、
a)多孔質材料を供給する工程であって、当該多孔質材料がコラーゲンを含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、当該多孔質材料が0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、
当該細孔が15~70μmの範囲の平均径を有する、工程と、
b)粒子を含む帯電性の粉末を供給する工程であって、当該粉末が少なくとも95重量%の重炭酸ナトリウム(NaHCO)を含有し、当該粒子が50~100μmの範囲の平均サイズを有する、工程と、
c)当該多孔質材料と当該粉末とを、コーティング装置内の対向する電極の間に位置決めする工程であって、
当該コーティング装置が当該多孔質媒体を通して電界を生成することができ、
当該装置が当該粉末を貯蔵するための領域を有する、工程と、
d)当該粉末と当該多孔質材料とを対向する電極によって生成された電界にさらすことによって、当該多孔質材料の表面上に当該粉末を静電的に堆積させる工程であって、当該電界によって当該粒子が当該多孔質材料に向かって移動する、工程と、を含む。
【0060】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における工程d)の粉末は、コーティング装置内の粉末を貯蔵するための領域に流動化ガスの流れを供給することによって流動状態である。流動化によって、粒子が互いに分離することを助け、帯電と平坦な膜への放電をより容易にする。特に、流動化ガスは、空気、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン若しくはキセノンなどの希ガス、又はそれらの混合物であり得る。一実施形態では、流動化ガスは空気である。一実施形態では、流動化ガスは窒素である。一実施形態では、流動化ガスはアルゴンである。
【0061】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法において、対向する電極に印加される電圧は、20~250kVの範囲である。好ましい実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法において、対向する電極に印加される電圧は、30~60kVの範囲である。より好ましい実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法において、対向する電極に印加される電圧は、45~55kVの範囲である。最も好ましくは、多孔質材料を含む組成物を作製する方法において、対向する電極に印加される電圧は、約50kVである。
【0062】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法において、コーティング装置内の対向する電極は、少なくとも第1の電極が多孔質材料に近接して位置決めされ、少なくとも第2の電極がコーティング装置内の粉末を貯蔵するための領域と直接又は間接的に接触する(例えば、ポリマー膜によって分離される)ように位置決めされる。一実施形態では、少なくとも第1の電極はカソードであり、少なくとも第2の電極はアノードである。一実施形態では、少なくとも第1の電極はアノードであり、少なくとも第2の電極はカソードである。
【0063】
一実施形態では、少なくとも第1の電極は、粉末を貯蔵するための領域に対して多孔質材料の背後に位置決めされ、粉末を貯蔵するための領域は、少なくとも第2の電極の背後に位置決めされる。一実施形態では、少なくとも第1の電極は、粉末を貯蔵するための領域に対して多孔質材料の上方に位置決めされ、粉末を貯蔵するための領域は、少なくとも第2の電極の上方に位置決めされる。一実施形態では、少なくとも第1の電極及び少なくとも第2の電極は、本質的に互いに平行に位置決めされる。
【0064】
一実施形態では、少なくとも第1の電極は金属板である。
【0065】
一実施形態では、少なくとも第2の電極は、複数の電極ワイヤである。必要とされる電極の数、それらのサイズ、間隔、及びコーティング装置における更なる配置は、いくつかのパラメータによって決定される。これらのパラメータには、直径、導電性、粉末のタイプ、及び印加電圧が含まれる。
【0066】
一実施形態では、粉末の粒子は、カソードである少なくとも第2の電極において負に帯電され、アノードである少なくとも第1の電極によって静電的に引き付けられる。一実施形態では、粉末の粒子は、アノードである少なくとも第2の電極において正に帯電され、カソードである少なくとも第1の電極によって静電的に引き付けられる。
【0067】
一実施形態では、コーティング装置は電圧発生器に接続される。
【0068】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法において、コーティング装置は、粉末を横切って多孔質材料を水平に移動させて、多孔質材料を横切って粉末の一部を少なくとも部分的に移動させるための手段を含む。この実施形態によって、粉末が多孔質材料全体に均一に分配され、したがって均一な厚さのコーティングを提供する連続動作モードが保証される。一実施形態では、移動手段は少なくとも1つのロール、例えば回転ドラムであり、多孔質材料は中心軸の周りに円筒状に巻かれ、ロールの中心又は内周から材料を取り出すことができる。一実施形態では、流動床上の滞留時間は、1~10秒の範囲、好ましくは2~9秒の範囲、より好ましくは3~6秒の範囲である。
【0069】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における流動化ガスの体積流量は、40~120l/分の範囲、好ましくは60~100l/分の範囲、特に約80l/分である。
【0070】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における粉末の密度は、2,0~2,5g/cmの範囲、好ましくは2,1~2,3g/cmの範囲、特に約2,2g/cmである。
【0071】
一実施形態では、コーティング装置内の粉末を貯蔵するための当該領域と多孔質材料との間の距離は、80~200mmの範囲、好ましくは100~180mmの範囲、特に約160mmである。
【0072】
一実施形態では、コーティング装置は、図1に示されるように、改変された流動床である。流動床は、底部2及び端壁3を有する非導電性材料の容器1を有する。必要に応じて、多孔質膜4が流動床容器1の底部2の上に位置決めされて、圧力下での空気などの流動化ガスの通過を可能にし、粉末の落下を防止する。あるいは、電極ワイヤが適切に配置された静電グリッドを、多孔性膜の代わりに使用してもよい。
【0073】
容器内の粉末5は、流動化ガスが流動化容器1の入口6を通過することによって流動化される。流動化ガスは、入口6に接続された従来のエアーコンプレッサーによって供給されてもよい。好ましくは、容器1の入口6は、底部1と多孔質膜4との間に位置決めされる。
【0074】
コーティング装置は、少なくとも2つの対向する電極を備え、少なくとも第1の電極7が多孔質材料8の上方に位置決めされ、少なくとも第2の電極9が流動化された粉末の表面の下方に位置決めされる。好ましくは、電極は、互いに、また多孔質材料8に本質的に平行であるように配置される。少なくとも第2の電極は、複数の電極ワイヤ又は静電グリッドの形態とすることができる。
【0075】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、シート又は圧延シートの形態である。圧延シートは、多孔質材料を粉末でコーティングする連続操作モードに有利な形態である。
【0076】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、本質的に平坦であり、すなわち、多孔質材料の厚さは、材料の長さ及び幅全体にわたって、多孔質材料の平均厚さから±20%、好ましくは±10%を超えて逸脱しない。例えば、1mmの平均厚さの場合、材料の厚さは、その長さ及び幅全体にわたって、0,8~1,2mmの範囲、好ましくは0,9~1,1mmの範囲にとどまる。2mmの平均厚さの場合、本質的に平坦な材料の厚さは、その長さ及び幅全体にわたって、1,6~2,4mmの範囲、好ましくは1,8~2,2mmの範囲にとどまる。
【0077】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、少なくとも90重量%の生体材料を含み、好ましくは多孔質材料は少なくとも95重量%の生体材料を含み、より好ましくは多孔質材料は少なくとも96重量%の生体材料を含み、より好ましくは多孔質材料は少なくとも97重量%の生体材料を含み、より好ましくは多孔質材料は少なくとも98重量%の生体材料を含み、最も好ましくは多孔質材料は少なくとも99重量%の生体材料を含む。一実施形態では、生体材料は、コラーゲンである。
【0078】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料の密度は、0,01~1g/cmの範囲、好ましくは0,02~0,05g/cmの範囲、より好ましくは0,02~0,04g/cmの範囲、最も好ましくは0,022~0,03g/cmの範囲である。
【0079】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料中の細孔は、15~70μmの範囲、好ましくは25~65μmの範囲の平均径を有する。
【0080】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、0,01~1g/cmの範囲の密度を有し、細孔は、15~70μmの範囲の平均径を有する。好ましい実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、0,02~0,05g/cmの範囲の密度を有し、細孔は、25~65μmの範囲の平均径を有する。より好ましい実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、0,02~0,04g/cmの範囲の密度を有し、細孔は、25~65μmの範囲の平均径を有する。
【0081】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における帯電性の粉末の粒子は、50~100μmの範囲、好ましくは55~85μmの範囲の平均サイズを有する。
【0082】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、生体材料である。
【0083】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、天然及び/若しくは合成ポリマー又はそれらの混合物、特に多糖、グルコサミノグリカン、タンパク質又はそれらの混合物を含む群から選択される。
【0084】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、コラーゲン、アルギネート、例えばアルギン酸カルシウム、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0085】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、コラーゲンである。
【0086】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、アルギネート、特にアルギン酸カルシウムである。
【0087】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料は、コラーゲンとアルギン酸カルシウムとの混合物である。一実施形態では、多孔質材料は、80~98重量%の範囲のコラーゲンと2~20重量%の範囲のアルギン酸カルシウムとを含む。好ましい実施形態では、多孔質材料は、85~95重量%の範囲のコラーゲンと5~15重量%の範囲のアルギン酸カルシウムとを含む。特に、多孔質材料は、約90重量%のコラーゲンと約10重量%のアルギン酸カルシウムとを含む。
【0088】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における多孔質材料中のコラーゲンは、三重らせん構造を有する動物由来の天然コラーゲンである。
【0089】
一実施形態では、組成物を作製する方法における多孔質材料中のコラーゲンは、I型コラーゲン、III型コラーゲン、V型コラーゲン又はそれらの混合物を含む群から選択される。
【0090】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における帯電性の粉末は、塩、グルコース多糖、グルコース、修飾グルコース、酵素、コラーゲン、ヒアルロン酸、金属又は金属酸化物からなる群から選択される化合物を含む。
【0091】
一実施形態では、組成物を作製する方法における帯電性の粉末は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びヨウ化ナトリウム(NaI)、又はそれらの混合物を含む群から選択される塩を含む。一実施形態では、帯電性の粉末は、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びヨウ化ナトリウム(NaI)、又はそれらの混合物を含む群から選択される塩を含む。
【0092】
一実施形態では、組成物を作製する方法における帯電性の粉末は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)ではない塩を含む。
【0093】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における塩は、一価カチオンと一価アニオンを有し、例えば、重炭酸ナトリウム(NaHCO)である。一実施形態では、塩は、二価カチオンと一価アニオンを有し、例えば、炭酸カルシウム(CaCO)である。
【0094】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における塩は、重炭酸ナトリウム(NaHCO)である。好ましくは、塩は、乾燥化合物に対して少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも96重量%、更により好ましくは少なくとも97重量%、更により好ましくは少なくとも98重量%、更により好ましくは少なくとも99重量%、特に少なくとも99,5重量%の重炭酸ナトリウム(NaHCO)を含む。重炭酸ナトリウムを含む塩は、少量のヨウ化ナトリウム(NaI)及び/又は炭酸マグネシウム(MgCO)を含有してもよい。一実施形態では、重炭酸ナトリウムを含む塩は、乾燥化合物に対して最大5重量%のヨウ化ナトリウム(NaI)を含有する。一実施形態では、重炭酸ナトリウムを含む塩は、乾燥化合物に対して最大5重量%の炭酸マグネシウム(MgCO)を含有する。一実施形態では、塩は重炭酸ナトリウム(NaHCO)からなる。
【0095】
一実施形態では、重炭酸ナトリウムは、40重量%未満の水分、好ましくは35重量%未満の水分、より好ましくは30重量%未満の水分を含む。
【0096】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における帯電性の粉末は、セルロース及びデンプンを含む群から選択されるグルコース多糖を含む。
【0097】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における帯電性の粉末は、修飾グルコースを含む。一実施形態では、修飾グルコースは、2位の炭素上のヒドロキシル基の代わりに放射性核種フッ素-18(18F)を有するグルコース(FDG)である。
【0098】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における帯電性の粉末は、酵素を含む。
【0099】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における帯電性の粉末は、コラーゲンを含む。一実施形態では、組成物の多孔質材料中のコラーゲンは、I型コラーゲン、III型コラーゲン、V型コラーゲン又はそれらの混合物を含む群から選択される。
【0100】
一実施形態では、帯電性の粉末はヒアルロン酸を含む。
【0101】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における帯電性の粉末は、チタンなどの金属を含む。
【0102】
一実施形態では、多孔質材料を含む組成物を作製する方法における帯電性の粉末は、金属酸化物、例えば、二酸化チタン(TiO)を含む。
【0103】
一実施形態では、前述の実施形態のいずれかによる方法は、工程d)の組成物をポリマー又はワックスの層でコーティングする工程を更に含む。ポリマーの例としては、ポリウレタン及びポリアルキレンオキシドポリマーが挙げられる。一実施形態では、ポリマーは、ポリアルキレンオキシドポリマー、好ましくは、例えば多求電子性ポリアルキレンオキシドポリマーなどのPEG含有ポリマー、すなわち、ペンタエリスリトールポリ(エチレングリコール)エーテルテトラスクシンイミジルグルタレート(COH 102)などの多求電子性PEGである。適切な方法がEP2939697 B1に記載されている。例えば、ポリマーを溶融し、生体材料のマトリックス上に噴霧又は印刷することができる。あるいは、乾燥形態(例えば、粉末)のポリマーをマトリックス上に散布することもまた可能である。必要であれば、温度を上昇させて、スポンジを永久コーティングにすることができる。あるいは、ポリマーを不活性有機溶媒中に溶解させて、生体材料のマトリックス上に塗布してもよい。
【0104】
第3の態様において、本発明は、外科手術における出血及び/若しくは他の体液の漏出の制御、又は創傷、出血、損傷組織及び/若しくは出血組織からなる群から選択される傷害の治療のための方法に関し、方法は、前述の実施形態のいずれかに記載の組成物、特にポリアルキレンオキシドポリマーなどのポリマーの追加の層でコーティングされた組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0105】
第4の態様において、本発明は、しわ、皮膚の炎症の治療又は予防、並びに化粧品及びスキンケアの分野における他の用途の方法に関し、方法は、前述の実施形態のいずれかに記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む
【0106】
第5の態様において、本発明は、外科手術における出血及び/若しくは他の体液の漏出の制御に使用するための、又は創傷、出血、損傷組織及び/若しくは出血組織からなる群から選択される傷害の治療のための前述の実施形態のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物、特に、ポリアルキレンオキシドポリマーなどのポリマーの追加の層でコーティングされた組成物に関する。
【0107】
第6の態様において、本発明は、しわ、皮膚の炎症の治療又は予防及び他のタイプの美容的皮膚治療のための前述の実施形態のいずれかに記載の組成物の使用に関する。
【0108】
上記の文脈を踏まえ、以下の連続して付番された実施形態が本発明の更なる具体的な態様を提供する。
実施形態1.多孔質材料を含む組成物であって、当該多孔質材料が生体材料を含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、
・当該多孔質材料が、0,01~1g/cmの範囲、好ましくは0,02~0,05g/cmの範囲、特に0,02~0,04g/cmの範囲の密度を有し、
・当該細孔が、15~70μmの範囲、好ましくは25~65μmの範囲の平均径を有し、
粒子を含む帯電性の粉末で当該多孔質材料がコーティングされていることを特徴とし、
・当該粒子が50~100μmの範囲の平均サイズを有し、
・当該コーティングの総量が2~100g/mの範囲、好ましくは3,5~9g/mの範囲である、多孔質材料を含む組成物。
【0109】
実施形態2.当該粒子の少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、特に少なくとも90%の平均サイズが、当該細孔の平均径を超える、実施形態1に記載の多孔質材料を含む組成物。
【0110】
実施形態3.当該多孔質材料が生体材料である、実施形態1又は2に記載の多孔質材料を含む組成物。
【0111】
実施形態4.当該多孔質材料が、天然及び/若しくは合成ポリマー又はそれらの混合物、特に多糖、グルコサミノグリカン、タンパク質及び/若しくは合成ポリマー又はそれらの混合物を含む群から選択される、実施形態1から3のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0112】
実施形態5.当該多孔質材料が、コラーゲン、アルギネート又はそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1~4のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0113】
実施形態6.当該生体材料がコラーゲンである、実施形態5に記載の多孔質材料を含む組成物。
【0114】
実施形態7.当該多孔質材料が、三重らせん構造を有する動物由来の天然コラーゲンである、実施形態6に記載の多孔質材料を含む組成物。
【0115】
実施形態8.当該組成物が、シートの形態又は3D形態である、実施形態1~7のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0116】
実施形態9.当該コーティングによって組成物の表面及び細孔の表面におけるpHが、3,0~9,0の範囲、好ましくは6,0~8,0の範囲に調整されている、実施形態1~8のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0117】
実施形態10.表面におけるpHが表面pH電極、特に平坦な膜とポリマー電解質を有するpH電極によって測定される、実施形態9に記載の多孔質材料を含む組成物。
【0118】
実施形態11.当該粉末が、塩、グルコースベースの多糖、グルコース、修飾グルコース、酵素、コラーゲン、ヒアルロン酸、金属又は金属酸化物からなる群から選択される化合物を含む、実施形態1~10のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0119】
実施形態12.当該粉末が、重炭酸ナトリウム(NaHCO)である化合物を含む、実施形態1~11のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0120】
実施形態13.当該粉末が少なくとも95重量%の重炭酸ナトリウムNaHCOを含有する、実施形態12に記載の多孔質材料を含む組成物。
【0121】
実施形態14.ポリマー又はワックスの層でコーティングされている、実施形態1~13のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0122】
実施形態15.実施形態1~13のいずれかで定義される多孔質材料を含む組成物を作製する方法であって、
a)実施形態1で定義される多孔質材料を供給する工程と、
b)粒子を含む帯電性の粉末を供給する工程であって、当該粒子が
50~100μmの範囲の平均サイズを有する、工程と、
c)当該多孔質材料と当該粉末とを、コーティング装置内の対向する電極の間に位置決めする工程であって、
当該コーティング装置が当該多孔質媒体を通して電界を生成することができ、
当該装置が当該粉末を貯蔵するための領域を有する、工程と、
d)当該粉末と当該多孔質材料とを対向する電極によって生成された電界にさらすことによって、当該多孔質材料の表面上に当該粉末を静電的に堆積させる工程であって、当該電界によって当該粒子が当該多孔質材料に向かって移動する、工程と、を含む、多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0123】
実施形態16.工程d)における当該粉末が、当該装置における当該粉末を貯蔵するための当該領域内に流動化ガスの流れを供給することによって流動状態にある、実施形態15に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0124】
実施形態17.当該対向する電極に印加される電圧が、20~250kVの範囲、好ましくは30~60kVの範囲、より好ましくは45~55kVの範囲、特に約50kVである、実施形態15又は16に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0125】
実施形態18.当該コーティング装置内の対向する電極が、アノードである少なくとも第1の電極が当該多孔質材料に近接して位置決めされ、カソードである少なくとも第2の電極が当該装置内の粉末を貯蔵するための当該領域に近接して位置決めされるように、配置される、実施形態15~17のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0126】
実施形態19.カソードである少なくとも第2の電極が静電グリッドである、実施形態18に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0127】
実施形態20.当該粒子がカソードで帯電してアノードによって静電的に引き付けられる、実施形態18又は19に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0128】
実施形態21.当該コーティング装置が電圧発生器に接続される、実施形態15~20のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0129】
実施形態22.当該コーティング装置が、当該粉末を横切って当該多孔質材料を水平に移動させ、当該多孔質材料を横切って当該粉末の一部を少なくとも部分的に移動させるための手段を含む、実施形態15~21のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0130】
実施形態23.当該多孔質材料を移動させるための当該手段が少なくとも1つのロールである、実施形態22に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0131】
実施形態24.当該流動化ガスの体積流量が、40~120l/分の範囲、好ましくは60~100l/分の範囲、特に約80l/分である、実施形態16~23のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0132】
実施形態25.当該粉末の密度が、2,0~2,5g/cmの範囲、好ましくは2,1~2,3g/cmの範囲、特に約2,2g/cmである、実施形態15~24のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0133】
実施形態26.コーティング装置内の当該粉末を貯蔵するための当該領域と多孔質材料との間の距離が、80~200mmの範囲、好ましくは100~180mmの範囲、特に約160mmである、実施形態15~25のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0134】
実施形態27.当該多孔質材料が、シート又は圧延シートの形態である、実施形態15~26のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0135】
実施形態28.当該多孔質材料が生体材料である、実施形態15~27のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0136】
実施形態29.当該多孔質材料が、天然及び/若しくは合成ポリマー又はそれらの混合物、特に多糖、グルコサミノグリカン、タンパク質又はそれらの混合物を含む群から選択される、実施形態15~28のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0137】
実施形態30.当該多孔質材料が、コラーゲン、アルギネート又はそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態15~29のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0138】
実施形態31.当該多孔質材料がコラーゲンである、実施形態30に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0139】
実施形態32.当該多孔質材料が、三重らせん構造を有する動物由来の天然コラーゲンである、実施形態31に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0140】
実施形態33.当該粉末が、塩、グルコースベースの多糖、グルコース、修飾グルコース、酵素、コラーゲン、金属又は金属酸化物からなる群から選択される化合物を含む、実施形態15から32のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0141】
実施形態34.当該粉末が、重炭酸ナトリウム(NaHCO)である化合物を含む、実施形態15~33のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0142】
実施形態35.当該粉末が、少なくとも95重量%の重炭酸ナトリウム(NaHCO)を含有する、実施形態15~34のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0143】
実施形態36.工程d)の組成物をポリマー又はワックスの層でコーティングする工程を更に含む、実施形態15~35のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0144】
実施形態37.外科手術における出血及び/若しくは他の体液の漏出の制御、又は創傷、出血、損傷組織及び/若しくは出血組織からなる群から選択される傷害の治療のための方法であって、実施形態1~14のいずれかで定義される多孔質材料を含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【0145】
実施形態38.しわ、皮膚の炎症の治療又は予防及び化粧品及びスキンケアの分野における他の用途の方法であって、実施形態1~14のいずれかで定義される多孔質材料を含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【0146】
実施形態39.外科手術における出血及び/若しくは他の体液の漏出の制御に使用するための、又は創傷、出血、損傷組織及び/若しくは出血組織からなる群から選択される傷害の治療のための、実施形態1~14のいずれかで定義される多孔質材料を含む組成物。
【0147】
実施形態40.しわ、皮膚の炎症の治療又は予防、及び化粧品及びスキンケアの分野における他の用途に使用するための、実施形態1~14のいずれかで定義される多孔質材料を含む組成物。
【0148】
実施形態41.しわ、皮膚の炎症の治療又は予防、及び化粧品及びスキンケアの分野における他の用途のための、実施形態1~14のいずれかで定義される多孔質材料を含む組成物の使用。
【0149】
実施形態42.多孔質材料を含む組成物であって、当該多孔質材料が、コラーゲンを含み、細孔表面を有する複数の開放され相互接続された細孔を含み、
・当該多孔質材料が、0,01~1g/cmの範囲、好ましくは
0,02~0,05g/cmの範囲、特に0,02~0,04g/cmの範囲の密度を有し、
・当該細孔が、15~70μmの範囲、好ましくは
25~65μmの範囲の平均径を有し、
粒子を含む帯電性の粉末で当該多孔質材料がコーティングされていることを特徴とし、
・当該粉末が少なくとも95重量%の重炭酸ナトリウム(NaHCO)を含有し、
・当該粒子が50~100μmの範囲の平均サイズを有し、
・コーティングの総量が、当該多孔質材料の外表面で2~100g/mの範囲、好ましくは当該多孔質材料の外表面で3.5~9g/mの範囲であり、
・当該コーティングによって、当該組成物の表面におけるpHが3,0~
9,0の範囲、好ましくは6,0~8,0の範囲に調整されている、多孔質材料を含む組成物。
【0150】
実施形態43.当該粒子の少なくとも70%、好ましくは当該粒子の少なくとも80%、特に当該粒子の少なくとも90%の平均サイズが、当該細孔の平均径を超える、実施形態42に記載の多孔質材料を含む組成物。
【0151】
実施形態44.表面におけるpHが、表面pH電極、特に平坦な膜とポリマー電解質を有するpH電極によって測定される、実施形態42又は43に記載の多孔質材料を含む組成物。
【0152】
実施形態45.当該多孔質材料が、三重らせん構造を有する動物由来の天然コラーゲンである、実施形態42~44のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0153】
実施形態46.当該組成物がシートの形態又は3D形態である、実施形態42~45のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0154】
実施形態47.外科手術における出血及び/又は他の体液の漏出の制御に使用するためのポリアルキレンオキシドポリマーの層で更にコーティングされた、実施形態42~46のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物。
【0155】
実施形態48.実施形態42~46のいずれかで定義される多孔質材料を含む組成物を作製する方法であって、
a)実施形態1で定義される多孔質材料を供給する工程と、
b)粒子を含む帯電性の粉末を供給する工程であって、当該粉末が
少なくとも95重量%の重炭酸ナトリウム(NaHCO)を含有し、当該粒子が50~100μmの範囲の平均サイズを有する、工程と、
c)当該多孔質材料と当該粉末とを、コーティング装置の対向する電極の間に位置決めする
工程であって、
当該コーティング装置が当該多孔質媒体を通して電界を生成することができ、
当該装置が当該粉末を貯蔵するための領域を有する、工程と、
d)当該粉末と当該多孔質材料とを当該対向する電極によって生成された電界にさらすことによって、
当該多孔質材料の表面上に当該粉末を静電的に堆積させる工程であって、当該電界によって当該粒子が当該多孔質材料に向かって移動する、工程と、を含む、多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0156】
実施形態49.工程d)における当該粉末が、当該装置内における当該粉末を貯蔵するための当該領域内に流動化ガスの流れを供給することによって流動状態にある、実施形態48に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0157】
実施形態50.当該対向する電極に印加される電圧が、20~250kVの範囲、好ましくは30~60kVの範囲、より好ましくは45~55kVの範囲、特に約50kVである、実施形態48又は49に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0158】
実施形態51.当該コーティング装置内の対向する電極が、アノードである少なくとも第1の電極が当該多孔質材料に近接して位置決めされ、カソードである少なくとも第2の電極が当該装置内の粉末を貯蔵するための当該領域に近接して位置決めされるように、配置される、実施形態48~50のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0159】
実施形態52.カソードである少なくとも第2の電極が静電グリッドである、実施形態51に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0160】
実施形態53.当該粒子がカソードで帯電してアノードによって静電的に引き付けられる、実施形態51又は52に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0161】
実施形態54.当該コーティング装置が電圧発生器に接続される、実施形態48~53のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0162】
実施形態55.当該コーティング装置が、当該粉末を横切って当該多孔質材料を水平に移動させ、当該多孔質材料を横切って当該粉末の一部を少なくとも部分的に移動させるための手段を含む、実施形態48~54のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0163】
実施形態56.当該多孔質材料を移動させるための当該手段が少なくとも1つのロールである、実施形態55に記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0164】
実施形態57.当該流動化ガスの体積流量が、40~120l/分の範囲、好ましくは60~100l/分の範囲、特に約80l/分である、実施形態49~56のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0165】
実施形態58.当該粉末の密度が、2,0~2,5g/cmの範囲、好ましくは2,1~2,3g/cmの範囲、特に約2,2g/cmである、実施形態48~57のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0166】
実施形態59.コーティング装置内の当該粉末を貯蔵するための当該領域と多孔質材料との間の距離が、80~200mmの範囲、好ましくは100~180mmの範囲、特に約160mmである、実施形態48~58のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0167】
実施形態60.当該多孔質材料が、シート又は圧延シートの形態である、実施形態48~59のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0168】
実施形態61.当該多孔質材料が、三重らせん構造を有する動物由来の天然コラーゲンである、実施形態48~60のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0169】
実施形態62.工程d)の組成物をポリアルキレンオキシドポリマーの層でコーティングする工程を更に含む、実施形態48~61のいずれかに記載の多孔質材料を含む組成物を作製する方法。
【0170】
実施形態63.外科手術における出血及び/又は他の体液の漏出を制御する方法であって、実施形態47で定義される多孔質材料を含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
【0171】
定義
本発明を説明するために使用される様々な用語の定義を以下に列挙する。これらの定義は、個々に又はより大きな群の一部としてのいずれかで特定の場合に特に限定されない限り、本明細書及び特許請求の範囲を通して使用される用語に適用される。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。
【0172】
本明細書で使用される場合、冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法上の目的語の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例として、「an element(要素)」は、1つ以上の要素、すなわち、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0173】
本明細書で使用される場合、「多孔質材料」という用語は、細孔、すなわち空洞、チャネル又は割れ目を有する材料を指し、細孔の深さは、それらの平均径を超える。
【0174】
特に定義されない限り、多孔質材料に関する「厚さ」という用語は、多孔質材料の平均厚さを指す。
【0175】
本明細書で使用される場合、「帯電性の粉末」という用語は、静電誘導の手段によってイオン的に帯電可能な粉末を意味する。
【0176】
本明細書で使用される場合、「本質的に平坦な」という用語は、長さ及び幅の全体にわたって厚さが平均厚さから±20%、好ましくは±10%を超えて逸脱しない材料を指す。
【0177】
本明細書で使用される場合、「シート」という用語は、材料の厚さが1~8mmの範囲である、本質的に平坦な材料を指す。
【0178】
本明細書で使用される場合、「ロール状材料」及び「ロール状シート」という用語は、互換的に使用され、ロールの中心軸の周りに円筒状に巻かれ、ロールの中心又は内周から材料を取り出すことが可能な多孔質材料のシートを指す。
【0179】
本明細書で使用される場合、「3D形態」という用語は、シート又は圧延シートではない多孔質材料の任意の形態を指す。
【0180】
本明細書で使用される場合、「ドレッシング」という用語は、粉末でコーティングされた多孔質材料を含む組成物であって、例えば粉末コーティングの上に、ポリマーの追加の層で更にコーティングされた組成物を指し、当該組成物はシートの形態である。
【0181】
本明細書で使用される場合、「コーティング」という用語は、基材の表面を実質的に覆う材料の薄い堆積を指す。
【0182】
本明細書で使用される場合、「ワックス」という用語は、天然に存在する植物油及び/又は動物性脂肪の水素化された形態を指す。
【0183】
本明細書で使用される場合、「アノード」という用語は、電池の放電段階の間に電子が流れる負極を指す。アノードは、放電段階の間に化学的酸化を受け、充電段階において化学的還元を受ける電極である。
【0184】
本明細書で使用される場合、「カソード」という用語は、電池の放電段階の間に電子が流入する正極を指す。カソードは、放電段階の間に化学的還元を受け、充電段階において化学的酸化を受ける電極である。
【0185】
本明細書で使用される場合、「塩」という用語は、正に帯電したカチオンと負に帯電したアニオンとのイオン集合体からなるイオン性の化合物を指す。塩の非限定的な例としては、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸カルシウム(CaCO)、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びヨウ化ナトリウム(NaI)が挙げられる。
【0186】
本明細書中で使用される場合、「生体材料」という用語は、生物学的な系と相互作用することが意図される、医療用デバイスにおける使用に適した天然又は合成の生体適合性材料をいう。非限定的な例としては、コラーゲン、ゼラチン、アルギネート、及びグリコサミノグリカンなどの多糖が挙げられる。
【0187】
本明細書で使用される場合、「多糖」という用語は、主に(少なくとも90%)単糖の繰り返し単位及び/又は誘導体化された単糖の繰り返し単位から構成される主鎖を含むポリマーを指す。
【0188】
本明細書で使用される場合、「グルコース多糖」という用語は、主に(少なくとも90%)グルコースの繰り返し単位及び/又は誘導体化されたグルコースの繰り返し単位から構成される主鎖を含むポリマーを指す。非限定的な例としては、デンプン、加工デンプン、セルロース、加工セルロースが挙げられる。
【0189】
本明細書で使用される場合、「修飾グルコース」という用語は、少なくとも1つのOH基がOH基ではない基で置き換えられているか、又は少なくとも1つのOH基中の水素原子が水素ではない原子で置き換えられているグルコースを指す。
【0190】
本明細書で使用される場合、「タンパク質」又は「ポリペプチド」という用語は、2つ以上の天然アミノ酸又は非天然アミノ酸のポリマーを指す。
【0191】
本明細書で使用される場合、「酵素」という用語は、化学反応を触媒するすべてのタンパク質を指す。酵素は、一般的には、それが行なう触媒機能のタイプに従って分類され、例えば、結合の加水分解(「ヒドロラーゼ」)、異性化「イソメラーゼ」などである。
【0192】
本明細書で使用される場合、「グリコサミノグリカン」という用語は、各々がアミノ糖とウロン酸又はガラクトースからなる二糖の繰り返し単位を有する酸性多糖の群を指す。
【0193】
本明細書で使用される場合、「アルギネート」という用語は、アルギン酸のアニオンを指す。したがって、「アルギネート」と「アルギン酸塩」という用語は、本発明の文脈において互換的に使用される。アルギン酸塩は、例えば、アルギン酸カルシウムであり得る。アルギネートは、1-4グリコシド結合によって結合されたβ-D-マンヌロン酸(M,β-D-マンヌロネート)及びα-L-グルロン酸(G,α-L-グルロネート)のアニオンによって形成された直鎖状ポリマーである。
【0194】
本明細書中で使用される場合、「コラーゲン」という用語は、それらの硬い三本鎖らせん構造によって特徴付けられる線維状タンパク質の細胞外ファミリーをいう。3本のコラーゲンポリペプチド鎖(「α鎖」)が互いに巻き付いて、このらせん状分子を形成する。
【0195】
本明細書で使用される場合、「平行」及び「本質的に平行」という用語は、±10°の許容差を有する。
【0196】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト又は非ヒト哺乳動物を指す。好ましくは、対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0197】
図1】改変された流動床であるコーティング装置を示す。
【実施例
【0198】
ここで、以下の非限定的な実施例を参照して本発明を説明する。
【0199】
実施例1.
10~200μmの範囲の粒径を有する0,3~0,4gのNaHCOを、50~100μmの範囲の篩い分け直径で篩い分けした。篩い分けした粉末を最大で30mmの層で流動床の目皿に充填した。厚さ2mm、密度0,02~0,04g/cm及び平均孔径15~70μmのコラーゲンシートを、粉末レベル160mmの距離でコーティング目皿の上に固定した。清浄な加圧空気を79l/分の体積速度で適用して粉末を流動化させる。-50kVの電圧を流動床に3秒間印加して、粉末をコラーゲン上にコーティングする。
【0200】
実施例2.
実施例1の方法によって得られたNaHCOでコーティングされたコラーゲンシートとコーティングされていないコラーゲン材料との特性の比較
【表1】
表1から分かるように、コーティングされた材料とコーティングされていない材料との全体的な特性は、本質的に同じである。互いからの偏差はまた、コーティングされていないコラーゲンのみの異なるバッチ内でも見られる。
図1
【国際調査報告】