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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】放射線撮影画像からの肺容積の推定
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241122BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241122BHJP
   G06V 10/70 20220101ALI20241122BHJP
【FI】
A61B6/00 550B
A61B6/00 560
G06T7/00 614
G06T7/00 350B
G06V10/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536194
(86)(22)【出願日】2022-12-16
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2022086339
(87)【国際公開番号】W WO2023117753
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21216069.1
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン ベルグ ジェンス
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA26
4C093CA33
4C093CA50
4C093DA03
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093FD03
4C093FF13
4C093FF23
4C093FF37
4C093FF42
5L096AA03
5L096AA06
5L096AA09
5L096EA33
5L096FA06
5L096FA32
5L096FA34
5L096FA62
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA08
5L096MA07
(57)【要約】
放射線撮影画像から肺容積を推定するコンピュータ実施方法が提供される。該方法は、患者の胸部の二次元放射線撮影画像12を該患者の胸部の三次元放射線撮影画像14に位置合わせして、二次元放射線撮影画像をキャプチャするために使用された撮像装置設定の投影ジオメトリ16を記述したデータを推定するステップ102と、該投影ジオメトリを使用して、撮像装置設定に関係する少なくとも1つの放射線撮影拡大係数18を推定するステップ104と、二次元放射線撮影画像及び少なくとも1つの放射線撮影拡大係数を使用して、推定された肺容積20を計算するステップ106とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線撮影画像から肺容積を推定するコンピュータ実施方法であって、
患者の胸部の二次元放射線撮影画像を該患者の胸部の三次元放射線撮影画像に位置合わせして、前記二次元放射線撮影画像をキャプチャするために使用された撮像装置設定の投影ジオメトリを記述するデータを推定する位置合わせステップと、
前記投影ジオメトリを使用して、前記撮像装置設定に関する少なくとも1つの放射線撮影拡大係数を推定するステップと、
前記二次元放射線撮影画像及び前記少なくとも1つの放射線撮影拡大係数を用いて、推定された肺容積を計算するステップと
を有する、コンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記位置合わせステップが、前記二次元放射線撮影画像を前記三次元放射線撮影画像に位置合わせして前記投影ジオメトリを記述するデータを推定するために少なくとも1つのトレーニングされた機械学習モデルを使用するステップを有する、請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記位置合わせステップが、位置合わせを実行する前に、前記二次元放射線撮影画像及び前記三次元放射線撮影画像の一方又は両方から、当該位置合わせに使用されるべき少なくとも1つの解剖学的構造を描く副画像を形成するステップを有する、請求項1又は2に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記副画像を形成するステップが、各放射線撮影画像をセグメント化して少なくとも1つの解剖学的構造を分離するステップを有する、請求項3に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記位置合わせステップが、推定された投影ジオメトリに対する増分的変更の実行及び当該増分的に変更された投影ジオメトリを用いて位置合わせされる2つの画像の間の相関度の計算を、当該相関度が定常値に集束するまで繰り返し行う反復位置合わせアルゴリズムを使用するステップを有する、請求項1から4の何れか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記相関度が、位置合わせされる前記2つの画像のうちの一方を他方から減算することにより得られる差分画像の構造化を記述する類似度を有する、請求項5に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
肺に関する少なくとも線源-肺間距離を使用して、該肺に関する拡大係数を推定するステップを有する、請求項1から6の何れか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記肺に関する拡大係数を前記線源-検出器間距離に対する線源-肺間距離の比として計算するステップを有する、請求項7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記患者が仰臥位であるか又は腹臥位であるかにより前記少なくとも1つの拡大係数を異なって推定するステップを有する、請求項1から8の何れか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記推定された肺容積を計算するステップが、前記二次元放射線撮影画像の肺領域における各ピクセルに関して、その強度値に寄与した容積を推定するステップを有する、請求項1から9の何れか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの推定された拡大係数を用いて補正された水等価経路長のピクセルサイズ倍に基づいて容積を推定するステップを有する、請求項10に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記ピクセルサイズを、非垂直X線入射角を考慮した実効ピクセルサイズとして決定するステップを有する、請求項11に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項13】
前記推定された肺容積を計算するステップが、左肺及び右肺に対して各々決定された拡大係数を別個に使用するステップを有する、請求項1から12の何れか一項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項14】
請求項1から13の何れか一項に記載のコンピュータ実施方法を実行する、コンピュータシステム。
【請求項15】
コンピュータシステムにより実行された場合に、該コンピュータシステムに請求項1から13の何れか一項に記載のコンピュータ実施方法を実行させる命令を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影画像から肺容積(肺容量)を推定するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線撮影は、集中治療室(ICU)における肺の状態を追跡するための標準的なツールである。しばしば、肺の変化、特に胸水及び無気肺等を調べるために、X線撮影は1日おきに行われる。近年、患者の状態に関する一層信頼性の高い情報を提供するために、肺内の総空気量に関するX線画像の定量的な評価に移行することが提案されている。単一のX線画像からの肺容量の推定は、投影ジオメトリ(投影幾何学配置)に関する知識を必要とする。しかしながら、X線撮影は、しばしば、移動型検出器をベッド内又はベッドの下において患者の下側に配置して行われ、したがって、一定した線源-検出器間距離が存在しない。更に、患者の体位は、例えば患者を腹臥位で又は仰臥位で換気するため等の他の要件により変化し得る。投影ジオメトリのこのような変化は、正確な肺容積の推定にとって困難な課題を提起する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した関心事項の1以上に対処するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの関心事項の1以上に一層適切に対処するために、本発明の第1の態様では、放射線撮影画像から肺の容積を推定するコンピュータ実施方法が提供される。該方法は、患者の胸部の二次元放射線撮影画像を該患者の胸部の三次元放射線撮影画像に位置合わせして、二次元放射線撮影画像をキャプチャするために使用された撮像装置設定の投影ジオメトリ(投影幾何学配置)を記述するデータを推定する位置合わせステップと、投影ジオメトリを使用して、撮像装置設定に関する少なくとも1つの放射線撮影拡大係数を推定するステップと、二次元放射線撮影画像及び少なくとも1つの放射線撮影拡大係数を用いて、推定された肺容積を計算するステップとを有する。
【0005】
二次元(2D)放射線撮影画像及び三次元(3D)放射線撮影画像を位置合わせするステップは、少なくとも1つのトレーニングされた機械学習モデルを使用して実行できる。加えて又は代りに、該位置合わせは、少なくとも1つの計算的又は幾何学的位置合わせアルゴリズムを使用して実行することもできる。
【0006】
少なくとも1つのトレーニングされた機械学習モデルを、2D画像を3D画像に位置合わせして投影ジオメトリを記述するデータを推定するために使用できる。
【0007】
一例において、幾何学的位置合わせアルゴリズムは、2つの画像における強度パターンを1以上の相関尺度(相関度)を介して比較する強度ベースの位置合わせアルゴリズムを有する。例えば、該幾何学的位置合わせアルゴリズムは、姿勢パラメータを変化させながら両画像の間の強度類似尺度(類似度)を最小化することに基づくものであり得る。付加的に又は代替的に、該位置合わせアルゴリズムは、点、線、輪郭等の1以上の画像特徴構造間の一致を見付ける特徴構造ベースの位置合わせアルゴリズムを有し得る。
【0008】
当該位置合わせは、2D画像及び3D画像を全体として位置合わせすることができ、又は2D画像及び3D画像の一方又は両方の副画像を使用してもよい。このように、当該位置合わせは、位置合わせを実行する前に2D画像及び3D画像の一方又は両方から副画像を形成するステップを有することができる。副画像が位置合わせされる場合、これら副画像は、位置合わせに使用されるべき少なくとも1つの解剖学的構造、すなわち少なくとも1つの関心対象を描写し得る。1つの特定の限定するものでない例において、該少なくとも1つの解剖学的構造は1以上の椎骨を含む。加えて又は代わりに、該少なくとも1つの解剖学的構造は1以上の肋骨を含み得る。副画像は、2D画像及び3D画像をセグメント化して、少なくとも1つの解剖学的構造を分離する、例えば少なくとも1つの椎骨をセグメント化することにより形成又は生成することができる。このように、2D画像は当該解剖学的構造を描写する関心領域を識別するためにセグメント化され得る一方、3D画像は、その同一の解剖学的構造を描写する関心ボリュームを識別するためにセグメント化され得る。
【0009】
当該位置合わせアルゴリズムは、反復位置合わせアルゴリズムを含み得る。このように、一例において、2つの画像における強度パターンを比較するステップは、推定された投影ジオメトリに対する増分的変更を行う動作及び当該増分的に変更された投影ジオメトリを用いて位置合わせされる2つの画像の間の相関度の計算を、当該相関度が定常値に集束するまで繰り返し行う反復位置合わせアルゴリズムを使用するステップを有し得る。上記定常値は最大値又は最適値であり得る。このように、当該方法は、相関度を最大化するために最適化アルゴリズムを使用するステップを有し得る。2D画像を3D画像と比較するために、該方法は、例えば、現在の反復に対して選択された推定された投影ジオメトリを使用して、先ず3D画像から2D画像を再構成するステップを有し得る。該方法は、相関度を計算する前に、再構成された2D画像(3D画像から計算されたもの)を2D画像から減算するステップを有し得る。当該反復アルゴリズムは、投影ジオメトリの予め定められた開始推定値、予め定められた増分サイズ、及び/又は投影ジオメトリのパラメータが増加される予め定められた順序を使用することができる。当該相関度は、2つの画像における強度パターン間の類似度を定量化する類似尺度を含み得る。1つの特定の限定するものでない例において、該類似度は、位置合わせされている2つの画像のうちの一方を他方から減算することにより得られる差分画像の構造化を記述する。適切な類似度の他の例は、相互相関、相互情報、強度差の二乗和、及び比率画像均一性を含む。
【0010】
当該方法は、位置合わせを実行する前に2つの画像の一方又は両方を前処理するステップを含むことができる。例えば、これら画像の一方又は両方は、例えば関心対象の外側の領域から平均グレー値を除去することによって及び/又は1以上のスケーリング係数を適用することによってグレースケールの変化を調整するように前処理され得る。
【0011】
投影ジオメトリは、例えば2D及び3D画像により使用される異なる座標系を一方の画像を他方の画像にマッピングするように関係付けることができる変換、すなわち幾何学的変換により記述できる。該変換は、回転パラメータ及び平行移動(並進)パラメータ等の1以上の変換パラメータにより表すことができる。一例では、投影ジオメトリを表すために9個までのパラメータを使用できる。すなわち、3つはソースの位置のため、3つは検出器の位置のため、3つは検出器又は検出器面の向きのためである。撮像装置設定により課される制約、例えば一定の線源-検出器間距離又は3未満の軸の周りで回転可能な線源取り付けは、投影ジオメトリを完全に表すために9未満のパラメータ(すなわち、パラメータの部分組)が使用されることを許容し得る。
【0012】
一例において、少なくとも1つの肺に関する拡大係数は、少なくとも線源-肺間距離を使用して推定できる。より具体的には、肺の拡大係数は、線源-検出器間距離(すなわち、線源-肺間距離と肺-検出器間距離との和)に対する線源-肺間距離の比として計算できる。更に具体的には、肺に関する拡大係数は、
【数1】
として計算でき、ここで、
【数2】
及び
【数3】
は、各々、当該肺に関する線源-肺間距離及び肺-検出器間距離である。これらの距離は、線源から当該肺の中心を経て検出器へと延びる直線上で測定され得る。
【0013】
他の例において、少なくとも1つの肺の拡大係数は、少なくとも線源-解剖学的構造間距離(例えば、X線源と当該位置合わせに使用される解剖学的構造との間の距離)を、肺-解剖学的構造間距離(例えば、肺又は複数の肺と前記解剖学的構造との間の距離)を一緒に使用して推定され得る。当該計算において肺-解剖学的構造間距離を使用するステップは、例えば適切な推定方法を選択するために、2D画像がキャプチャされた際に患者が横たわっていた姿勢(例えば、腹臥位又は仰臥位)の知識を使用するステップを含み得る。言い換えれば、当該方法は、肺-解剖学的構造間距離を、患者が仰臥位であるか又は腹臥位であるかに応じて異なって適用するステップを含み得る。より具体的には、肺又は複数の肺に関する拡大係数は、患者が仰臥位である場合は、
【数4】
として推定できる一方、患者が腹臥位である場合は、
【数5】
として推定でき、ここで、
【数6】
は線源-検出器間距離であり、
【数7】
は線源-解剖学的構造間距離(例えば、線源と椎骨、例えば画像位置合わせで見付かった椎骨面との間の線源-椎骨間距離)であり、
【数8】
は肺-解剖学的構造間距離(例えば、椎骨又は椎骨面と肺中央平面との間の肺-椎骨間距離)である。
【0014】
少なくとも1つの放射線撮影拡大係数を推定するステップは、両方に対して同一の拡大係数が適用される場合は少なくとも1つの肺に関して(例えば一方又は両方の肺に関して)、又は異なる拡大係数が適用される場合は各肺に関して別々に、拡大係数を推定するステップを含み得る。拡大係数は、患者がビーム内に斜めに位置する場合、すなわち、2つの肺の中点又は中心が検出器面から等距離でない場合、左肺及び右肺に対して異なり得る。上述した計算において、1つの肺のみの容積が推定されている場合は、単一の線源-肺間距離
【数9】
、単一の肺-検出器間距離
【数10】
又は単一の肺-解剖学的構造間距離
【数11】
を使用することができ、又は両肺が線源から等距離である場合、これらの値を両肺に適用させることができる。それ以外で、例えば患者が斜めの姿勢で横たわっている場合、少なくとも1つの放射線撮影拡大係数を推定するステップは、左肺及び/又は右肺に関して拡大係数を個別に推定するステップを有し得る。より具体的には、左肺及び右肺に関して別個の線源-肺間距離、肺-検出器間距離及び/又は肺-解剖学的構造間距離が取得され、これらの値を上記式に代入することにより肺毎の拡大係数を推定することができる。更に、少なくとも1つの解剖学的構造、例えば椎骨に関する拡大係数を、例えば
【数12】
として計算することができる。このように、少なくとも1つの放射線撮影拡大係数を推定するステップは、椎骨等の、二次元及び三次元放射線撮影画像を位置合わせする際に使用される少なくとも1つの解剖学的構造に関する拡大係数を推定するステップを含み得る。肺に関する拡大係数は、次いで、該少なくとも1つの解剖学的構造に関する拡大係数に基づいて導出できる。
【0015】
幾つかの例において、椎骨拡大係数は、グローバルな拡大係数として(例えば、単一の椎骨の結果又は複数の椎骨の平均をとることにより)、又は異なる椎骨に対して決定された拡大係数を補間することにより頭尾方向に沿って変化する空間的に変化する拡大係数としての何れかとして計算できる。
【0016】
線源-肺間距離、肺-検出器間距離及び肺-解剖学的構造間距離等の本明細書に記載される距離は、決定された投影ジオメトリデータを使用して構築された3Dモデルを使用して計算できる。当該2D/3D位置合わせは、線源、検出器及び解剖学的構造等の物体の位置及び向きが単一の座標系内で記述されることを可能にし、物体間距離が簡単に決定できるようにする。解剖学的構造までの距離又は解剖学的構造からの距離を計算する場合、これらの構造の中央平面又は中心点を基準点として採用することができ、例えば、肺の中心点を線源又は検出器から該肺までの距離を計算する際に使用できる。
【0017】
拡大係数が決定されたなら、該拡大係数に基づいて肺容積を推定するために任意の適切な方法を使用することができる。肺容積の推定が2D画像から決定された肺領域に基づくものである一例において、肺又は複数の肺に関する拡大係数は、縮尺された肺領域を使用して肺容積を推定する前に該肺領域を縮尺するために使用することができる。言い換えると、推定された肺容積を計算するステップは、二次元放射線撮影画像を使用して決定された肺領域を少なくとも1つの肺拡大係数を使用してスケーリングするステップを含む。左肺及び右肺に対して別個の拡大係数が推定される場合、これら拡大係数は、肺容積を推定する前に各肺の領域を縮尺するために使用できる。すなわち、当該方法は、左肺及び右肺の肺領域を、左肺及び右肺に関して決定された各拡大係数を使用して別個にスケーリングするステップを含み得る。このように、左肺及び右肺に対して異なるスケーリングが適用され得る。肺領域は1/Mに従ってスケーリングでき、ここで、Mは各々の肺の拡大係数である。推定された肺容積を計算するステップは、スケーリングされた肺領域にわたってピクセル強度値を積分するステップを含み得る。同様に、拡大係数は、個々のピクセルに関して計算された容積、それらの合計、又は水等価経路長をスケーリングするために使用することもできる。
【0018】
一例において、推定された肺容積を計算するステップは、2D画像の肺領域における各ピクセルについて、その強度値に寄与する容積を推定するステップを含み得る。該容積は、水等価経路長のピクセルサイズ倍を、更に拡大率に関して補正されたものに略等しい。より具体的には、当該容積はV=lS/Mとして推定でき、ここで、lは水等価経路長であり、Sはピクセルサイズであり、Mは当該肺の拡大係数である。水等価経路長は、任意の適切な既知の方法を使用して推定できる。
【0019】
検出器上へのX線の局部的傾斜角を考慮するために、各ピクセルに関して容積を推定するステップは、実際のピクセルサイズの代わりに、上記の計算に使用するための実効ピクセルサイズを決定するステップを有することができる。X線が検出器に垂直に当たる場合、実効ピクセルサイズSeffは物理ピクセルサイズSと等しいものとすることができる。そうでない場合、傾斜角α≠90°に対して、(より小さい)実効ピクセルサイズ、すなわちSeff=Scos(90°-α)を使用することができる。各ピクセルに対する傾斜角は、前述した3Dモデルを使用して決定できる。
【0020】
他の例において、推定された肺容積を計算するステップは、二次元放射線撮影画像を分割(セグメント化)して左肺及び右肺を識別するステップと、二次元放射線撮影画像を修正して左肺及び右肺に対応する領域内の画像データを予め定義されたピクセル強度値に置き換え、これにより、胸部マスク画像を形成するステップと、該胸部マスク画像を元の二次元放射線撮影画像から減算して肺容積情報を提供する肺のみの画像を形成するステップとを含む。上記の予め定義された値は、例えば軟組織又は水に対して予測されるピクセル強度値に対応し得る。推定された肺容積を計算するステップは、左肺及び右肺に対応する領域内のピクセルの面積及び強度と肺全体の容積との間の既知の相関関係に基づいて、肺のみの画像にわたりピクセル強度値を積分するステップを更に含み得る。強度値が積分される領域は、肺又は複数の肺の拡大係数に基づいて決定された縮尺された肺領域であり得る。
【0021】
第2の態様によれば、本明細書に記載された方法の何れかを実行するように構成されたコンピュータシステムが提供される。
【0022】
第3の態様によれば、コンピュータシステムにより実行された場合に、該コンピュータシステムが本明細書に記載された方法の何れかを実行することを可能にする、又は該コンピュータシステムに本明細書に記載された方法の何れかを実行させる命令を含んだコンピュータプログラム製品が提供される。
【0023】
第4の態様によれば、コンピュータシステムにより実行された場合に、該コンピュータシステムが本明細書に記載された方法の何れかを実行することを可能にする、又は該コンピュータシステムに本明細書に記載された方法の何れかを実行させる命令を含んだコンピュータ可読媒体が提供される。
【0024】
本明細書に開示されたシステム及び方法は、放射線撮影画像からの改善された肺容積推定を提供する。肺容積を正確に推定することは、ICUにおける患者の状態に関する貴重な定量的情報を提供する。しかしながら、定量的評価はシステムのジオメトリ及び該システム内での患者の姿勢に関する知識を必要とするものであり、これは、通常、移動式X線システムを使用するICU装置設定では利用できない。本開示によれば、この問題は、以前に取得されたCTデータを使用することにより投影ジオメトリを推定することによって克服される。
【0025】
本明細書に記載の「二次元放射線撮影画像」は、X線画像又は放射線撮影画像、特に投影放射線撮影画像、より具体的には、例えばフラットパネル検出器等の移動式検出器を使用してキャプチャされたものを含み得る。平面画像としての二次元放射線撮影画像は、入射X線の空間強度分布を表すピクセルのアレイを有する。
【0026】
本明細書に記載の「三次元放射線撮影画像」は、例えば、ボリューム画像として空間強度分布を表すボクセルのボリュームを含むコンピュータ断層撮影(CT)画像又は放射線撮影画像を含み得る。
【0027】
本発明は、組み合わせで又は単独で具体的に開示されているか否かに関わらず、1以上の態様、例又はフィーチャを単独又は組み合わせで含み得る。上記態様のうちの1つにおける何れかのオプションとしてのフィーチャ又は下位態様は、適宜、他の態様の何れかにも当てはまる。
【0028】
本発明の上記及び他の態様は、後述される実施形態から明らかになり、これら実施形態を参照して説明されるであろう。
【0029】
詳細な説明は、添付図面を参照して例示のみとして提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、放射線撮影画像から肺容積を推定する方法を示すフローチャートである。
図2A図2Aは、図1の方法の一態様を示す。
図2B図2Bは、図1の方法の他の態様を示す。
図2C図2Cは、図1の方法の他の態様を示す。
図2D図2Dは、図1の方法の他の態様を示す。
図2E図2Eは、図1の方法の他の態様を示す。
図2F図2Fは、図1の方法の他の態様を示す。
図3図3は、或るX線撮像装置設定における投影ジオメトリを示す。
図4A図4Aは、差分画像の形成を2D/3D画像位置合わせの一例の一部として示す。
図4B図4Bは、差分画像の形成を2D/3D画像位置合わせの一例の一部として示す。
図4C図4Cは、差分画像の形成を2D/3D画像位置合わせの一例の一部として示す。
図4D図4Dは、差分画像の形成を2D/3D画像位置合わせの一例の一部として示す。
図5A図5Aは、決定された投影ジオメトリを使用して肺の拡大係数を推定する例示的な方法を示す。
図5B図5Bは、決定された投影ジオメトリを使用して肺の拡大係数を推定する例示的な方法を示す。
図6図6は、肺容量の推定を実行するための他の例示的な方法を示す。
図7図7は、X線画像をキャプチャするために使用され得るX線撮像装置設定を示す。
図8図8は、本明細書に開示されるシステム及び方法に従って使用され得るコンピュータシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示によれば、肺容積(肺容量)の推定は、以前に取得されたCT画像を使用して投影ジオメトリを推定することにより、特に、以前に取得されたCT画像の一部の2D/3D位置合わせを使用してX線撮像装置設定に適用する拡大係数を推定することにより改善することができる。多くの場合、このような胸部CT画像は、ICUに入る患者に対し利用可能である。図1は、本開示に従って放射線撮影画像から肺容積を推定する方法100を示すフローチャートである。大まかに言えば、方法100は以下のステップを有する。第1のステップ102では、患者の胸部の二次元放射線撮影画像12及び三次元放射線撮影画像14が受信され、該二次元放射線撮影画像12は未知の投影ジオメトリを使用して撮影されたものであり、これら2つの画像12、14は投影ジオメトリ16を推定するために位置合わせされる。第2のステップ104において、上記投影ジオメトリ16は、二次元放射線撮影画像12をキャプチャするために使用された撮像装置設定に関連する少なくとも1つの放射線撮影拡大係数18を推定するために使用される。第3のステップ106では、推定され肺容積20が、二次元放射線撮影画像12及び少なくとも1つの放射線撮影拡大係数18を使用して計算される。
【0032】
図2A図2Fは、図1の方法の態様を示している。
【0033】
図2Aは患者の胸部の3D画像14を示す。該3D画像14は、関連する解剖学的構造(この場合は、脊柱及び肺)を識別するようにセグメント化されたCT画像である。特に、第6胸椎が識別されている。該セグメント化(セグメンテーション)は、関連する解剖学的構造の3D相対位置も提供する。例えば、図2Aに示される矢印は、第6胸椎の中心から左肺及び右肺の中心を各々指している。
【0034】
図2Bは、第6胸椎に関する画像の2D/3D位置合わせによる投影ジオメトリ16の推定を示している。投影ジオメトリデータは、椎骨中心座標系におけるX線源200の位置並びにX線検出器202の位置及び向きを固有に記述した9つのパラメータの値を含む。
【0035】
図2Cは、非垂直入射角を持つX線が実効(有効)ピクセルサイズに対して有する影響を考慮するための傾斜補正を実行するオプション的ステップを示している。実効ピクセルサイズSeffは、検出器202に対するX線の局所的な傾斜角に依存する。X線が検出器202に垂直に当たる場合、実効ピクセルサイズSeffは物理的ピクセルサイズSに等しくなる。傾斜角α≠90°の場合、実効ピクセルサイズは、より小さく、すなわちSeff=Scos(90°-α)となる。したがって、以下の計算は、傾斜補正を実行するために物理的ピクセルサイズの代わりに実効ピクセルサイズをオプションとして使用できる。
【0036】
図2Dは、ステップ104における拡大係数18の推定を示している。前述したように、2D/3D位置合わせの後、第6胸椎の中心に対する左肺及び右肺の中心の位置は分かっている。その情報を使用して、線源200から右肺の中心までの距離
【数13】
及び右肺の中心から検出器202までの距離
【数14】
が計算される。右肺(すなわち、右肺の中心)の拡大係数MLRは、
【数15】
と推定される。検出器202が傾斜されていない場合、右肺の拡大係数は左肺の拡大係数ともされ得る。それ以外で、図2Eに一層明確に示されるように、検出器202が傾斜され又は斜めになっている場合、拡大率は左肺及び右肺に関して異なり得、したがって、上述された技術を使用して肺毎の拡大係数が推定され得る。
【0037】
図2Fは、ステップ106における肺容積20の推定を示している。先ず、当該技術において既知のように、肺を通る水等価経路長が推定される。次のステップは、各ピクセルについて、その値に寄与した容積を推定することである。この容積は、水等価経路長に、拡大率に関して追加的に補正された実効ピクセルサイズを掛けたものに略等しい。図2Fは、検出器202の特定の1つのピクセルにより測定された値に寄与する容積204を示している。推定された水長は、対応する容積が検出器に近い場合、より大きな容積に対応する。次いで、推定された水長lに対応する推定された容積Vが、V=lSeff/Mとして計算される。このようにして個々のピクセルに関して推定された容積は、2D画像12における肺領域にわたり合計されて、片方又は両方の肺の肺容積20を推定する。
【0038】
ステップ102に戻って、投影ジオメトリ16を推定するための2D画像及び3D画像12、14の位置合わせを説明する。この例において、2D画像12は現在の肺容積を推定するために処理されるべき患者の胸部の最近のX線画像であり、3D画像14は患者が最初にICUに入った際にキャプチャされた患者の胸部の事前に取得されたCT画像である。当該位置合わせは、関心対象として機能する解剖学的構造を表した1以上の椎骨に対して実行される。X線画像12をCT画像14に位置合わせすることにより、当該X線撮像装置設定における椎骨の位置を推定できる。適切な2D/3D画像位置合わせ処理の以下の例は、WEESE他による文献“Voxel-based 2-D/3-D Registration of Fluoroscopy Images and CT Scans for Image-guided Surgery”.In:IEEE Transaction on Information Technology in Biomedicine,1(4).1997年に記載されたものに基づいている。
【0039】
図3は投影ジオメトリを示している。X線画像12は、X線源200と、投影面内にある移動型X線検出器202とを使用してキャプチャされたものである。X線画像12は、X線画像12の中心に原点がある座標系(x,y,z)に関連付けられている。当該投影面は、座標系のxy平面内に、線源200が該投影面のz方向上部に配置されるように位置している。CT画像14は該CT画像14の中心に自身の原点を有する独自の座標系(x’,y’,z’)を有し、上記中心は画像セグメンテーション後の特定の椎骨の中心でもあり得る。X線画像12の座標系に対するCT画像14の位置及び向きは、変換x=R(ω)x’+tにより記述することができ、ここで、R(ω)は、
【数16】
と計算される回転ベクトルω=(ω,ω,ω)に対応した回転行列であり、ここで、αは
【数17】
であり、tは並進ベクトルt=(t,t,t)である。
【0040】
2D/3D位置合わせアルゴリズムは、下記のステップを実行することにより、開始推定値ω及びtが与えられた場合の変換パラメータω及びtを決定する:
1)CT画像14における関心椎骨のセグメンテーション;
2)CT画像14からの椎骨の周囲の組織の平均グレー値の減算;
3)回転及び並進パラメータω及びtの現在の値を使用し、セグメント化された椎骨を伴うCTボリュームのみを考慮に入れた、CT画像14からの再構成された2D画像の計算。椎骨に直に隣接する組織の平均グレー値がCT画像14から減算されているので、再構成された2D画像は椎骨の存在によるグレー値の変化のみを示す;
4)再構成された2D画像におけるグレー値の所定のスケーリング係数Iによるスケーリング及び差分画像を形成するためのX線画像12からの減算。適切なグレー値のスケーリング並びにCT画像14の正しい位置及び向きの場合、X線画像12における椎骨に対応する構造は消滅し、全体として減算後に見える構造は少なくなるであろう。図4Aは患者の脊椎のX線画像12の一例を示す一方、図4B図4Dは3つの異なるセグメント化された椎骨の各々に関してCTボリュームから再構成された2D画像の減算により形成された3つの差分画像402~406を示す。差分画像402~406における各椎骨の消滅は、変換パラメータの適切な決定を示している;
5)グレー値スケーリング再構成2D画像の減算後に形成された差分画像の構造を特徴付ける類似度の計算;
6)グレー値スケーリング係数I並びにパラメータω及びtに関する、類似度の最適化。
【0041】
当該最適化の各反復内で、ステップ3)~5)は繰り返される。変換パラメータは、予め決められたシーケンス、例えばt、t、t、ω、ω、ωに従って変更される。最適化は、予め決められた数(例えば6)の連続する最大化が類似度を更に増加させなくなるまで繰り返し実行される。グレー値スケーリング係数Iは、他のパラメータのうちの1つが変更されるたびに、該係数を0と最大値との間で予め決められた増分で変化させることにより調整さる得る。単一のパラメータに関する最大化は、調整可能なステップサイズΔを用いて実行できる。ステップサイズΔは、同じ方向のNlimit個の連続するステップが類似度を増加させる場合、増加される(NlimitΔ→Δ)。前進ステップも後退ステップも類似度を増加させない場合、ステップサイズΔは、最小値Δminより大きい限り減少される(max(Δ/Nlimit,Δmin)→Δ)。各パラメータに対して、ステップサイズΔ及び最小ステップサイズΔminの別々の値が使用される。当該最適化の開始時において、ステップサイズΔは、その最小値Δminの倍数で初期化される。
【0042】
構造化を特徴付ける類似度は、グレー値の縁又は線等の構造の近傍における点に0に近い値を割り当てる一方、僅かなグレー値の変化しか示さない領域における点に1周辺の値を割り当てるような差分画像の関数を使用して実施化できる。1つの限定するものでない例において、該関数は、
【数18】
により定義され、ここで、Idiffは差分画像を示し、rはグレー値の指標が考慮に入れられる近傍のサイズを表すパラメータを示し、σはグレー値の変化が構造に関連していると見なされるかを制御する感度調整を表す。最初の合計は全てのピクセルx、yにわたって実行されることが分かる。2番目の合計は、(x-v)+(y-w)≦rの全てのピクセルv、wにわたって実行される。
【0043】
ランドマークを使用して姿勢パラメータを幾何学的に決定することにより2D/3D画像位置合わせを実行する他の例は、YANG,H.他による文献“Geometry Calibration method for a cone-beam CT system”.Med.Phys.44(5),2017年5月、1692~1706頁に記載されている。
【0044】
図5Aは、仰臥位の患者に関して決定された投影ジオメトリ16を使用して肺拡大係数20を推定する他の例示的方法を示している。肺の拡大係数は、
【数19】
として計算される。椎骨の拡大係数は、
【数20】
として計算できる。
【0045】
図5Bは、斜めの体位の患者に関して決定された投影ジオメトリ16を使用して肺拡大係数20を推定する更に他の例示的方法を示している。この例では、肺毎の拡大係数を計算するために、左肺及び右肺に関する別個の肺-椎骨間距離
【数21】
及びLVを上記式の
【数22】
に代入する。
【0046】
図6は、肺容積推定を実行するための他の例示的方法を示している。患者の胸部のX線画像12を使用して、該X線画像12をセグメント化して左肺及び右肺を識別した後に肺マスク画像602が形成される。次いで、肺マスク画像602を使用してX線画像12を修正し、左肺及び右肺に属すると識別された領域内の画像データを、軟組織に関して予想されるピクセル強度値で置換し、これにより、胸部マスク画像604を形成する。該胸部マスク画像604はX線画像12から減算されて、肺のみの画像606を形成する。肺が識別された後の任意の時点において、肺領域は、肺に関して決定された拡大係数又は複数の拡大係数を使用してスケーリングされる。肺容積20は、肺のみの画像606におけるピクセル強度値を、スケーリングされた肺領域にわたって積分することにより推定される。
【0047】
肺容積を推定するための他の好適な方法は、例えば米国特許第9,805,467号又は米国特許出願公開第2018/0271465号に更に詳細に記載されている。
【0048】
図7は、X線画像12をキャプチャするために使用できるX線撮像装置設定700を示す。X線源200は、可搬型X線検出器202に面するよう再配置可能である。図示された例において、検出器202はスタンド702上に取り付けられる一方、線源200は回転可能な取付部704上に設けられ、該線源が、立位姿勢の患者の撮影のために水平位置に旋回されてスタンドに取り付けられた検出器202に向けられるのを可能にする。他の例として、撮影は、患者がベッド706上に横たわると共に、検出器202がベッド706の上又は下に配置された状態で実行することもできる。X線画像12は、本明細書で説明される方法に従って処理するために、以下で更に説明されるコンピュータシステム800により受信される。
【0049】
本明細書で説明されるシステム及び方法の多数の変形例が想定される。例えば、上述した例はX線画像12とCT画像14との間の一致を形成するために椎骨を使用することに関するものであるが、原理的には、骨等の他の解剖学的構造、特に肋骨も使用できる。
【0050】
輪郭に基づくもの等の、2D/3D位置合わせの代替アプローチを使用することもできる。
【0051】
本発明は、一般的には、例えば臨床上の必要性が最も高いICUにおける使用等の、移動型X線に適用されるが、そのように限定されるものではない。本発明は、肺容積推定を使用して肺構造に関する定量的情報を推定する定量的暗視野X線撮像にも適用可能である。
【0052】
図8は、本明細書に開示されたシステム及び方法に従って使用できる例示的なコンピュータシステム800を示す。コンピュータシステム800は、如何なるデスクトップ、ラップトップ、サーバ、又はクラウドベースのコンピュータシステムの一部を形成し、又はこれらを有することもできる。コンピュータシステム800は、メモリ804に記憶された命令を実行する少なくとも1つのプロセッサ802を含む。これら命令は、例えば、本明細書に記載された1以上の要素により実行されると説明されている機能を果たすための命令、又は本明細書に記載された方法の1以上を実施するための命令であり得る。プロセッサ802は、システムバス806によりメモリ804にアクセスできる。実行可能な命令を記憶することに加えて、メモリ804は、会話入力、該会話入力に割り当てられたスコア等も記憶できる。
【0053】
コンピュータシステム800は、システムバス806を介してプロセッサ802によりアクセス可能なデータ記憶部808も含む。データ記憶部808は、実行可能な命令、ログデータ等を含むことができる。コンピュータシステム800は、外部装置がコンピュータシステム800と通信することを可能にする入力インターフェース810も含む。例えば、入力インターフェース810は、外部コンピュータ装置、ユーザ等から命令を受信するために使用できる。コンピュータシステム800は、該コンピュータシステム800を1以上の外部装置とインターフェースする出力インターフェース812も含む。例えば、コンピュータシステム800は、出力インターフェース812を介してテキスト、画像等を表示できる。
【0054】
入力インターフェース810及び出力インターフェース812を介してコンピュータシステム800と通信する上記外部装置は、ユーザが対話できる実質的に如何なるタイプのユーザインターフェースも提供する環境内にも含められ得ると考えられる。ユーザインターフェースのタイプの例は、グラフィックユーザインターフェース、ナチュラルユーザインターフェース等を含む。例えば、グラフィックユーザインターフェースは、キーボード、マウス、リモートコントローラ等の入力装置を使用するユーザからの入力を受け、ディスプレイ等の出力装置に出力を供給することができる。更に、ナチュラルユーザインターフェースは、ユーザがコンピュータシステム800と、キーボード、マウス、リモートコントローラ等の入力装置により課される制約を受けずに対話することを可能にできる。むしろ、ナチュラルユーザインターフェースは、音声認識、タッチ及びスタイラス認識、画面上及び画面付近の両方でのジェスチャ認識、空中ジェスチャ、頭部及び視線追跡、音声及び発話、視覚、タッチ、ジェスチャ、機械知能等に依存し得る。
【0055】
更に、単一のシステムとして図示されているが、コンピュータシステム800は分散システムとすることができると理解されるべきである。このように、例えば、幾つかの装置がネットワーク接続を介して通信し、コンピュータシステム800により実行されるものとして説明されたタスクを共同で実行することができる。
【0056】
本明細書に記載される種々の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの任意の組み合わせで実装できる。ソフトウェアで実装される場合、当該機能は、コンピュータ可読媒体により1以上の命令若しくはコードとして記憶し又は送信できる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体を含む。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによりアクセス可能な如何なる利用可能な記憶媒体とすることもできる。例示として、限定するものではないが、このようなコンピュータ可読記憶媒体は、フラッシュ記憶媒体、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、CD-ROM又は他の光ディスク記憶、磁気ディスク記憶若しくは他の磁気記憶装置、又は命令若しくはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを担持若しくは記憶するために使用できると共に、コンピュータによりアクセスできる如何なる他の媒体も含み得る。本明細書で使用されるディスクは、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、及びブルーレイ ディスク(BD)を含み、その場合、ディスクは、通常、データを磁気的に又はレーザーを使用して光学的に再生する。更に、伝播される信号はコンピュータ可読記憶媒体の範囲には含まれない。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラムの或る場所から他の場所への転送を容易化する如何なる媒体も含む通信媒体も含む。例えば、接続は通信媒体であり得る。例えば、ソフトウェアがウエブサイト、サーバ又は他のリモートソースから同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線、ラジオ波、マイクロ波等の無線技術を使用して送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、又は赤外線、ラジオ波、マイクロ波等の無線技術は通信媒体の定義に含まれる。上記の組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0057】
代わりに又は加えて、本明細書に記載される機能は、少なくとも部分的に1以上のハードウェア論理要素により実施できる。例えば、限定無しで、使用できる例示的なタイプのハードウェア論理要素は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム特定集積回路(ASIC)、プログラム特定標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、複合プログラマブル論理装置(CPLD)等を含む。
【0058】
上述した回路は、言及された機能に加えて他の機能を有することもでき、これらの機能は同一の回路により実行され得ることが理解されるであろう。
【0059】
出願人は、本記載により、本明細書に記載された個々のフィーチャを別個に及び2以上のそのようなフィーチャの組み合わせを、そのようなフィーチャ又は組み合わせが当業者の通常の知識に照らし、全体として本明細書に基づいて実施できる程度において、そのようなフィーチャ又はフィーチャの組み合わせが本明細書に開示された何れかの問題を解決するかに関係なく、且つ、請求項の範囲に限定することなく、開示するものである。出願人は、本発明の態様が、何れかのそのような個々のフィーチャ又はフィーチャの組み合わせからなり得ることを示すものである。
【0060】
本発明の実施形態は、異なるカテゴリに関連して説明されていることに留意すべきである。特に、幾つかの例は方法に関連して説明される一方、他の例は装置に関連して説明されている。しかしながら、当業者であれば、当該記載から、そうでないと明示しない限り、1つのカテゴリに属するフィーチャの任意の組み合わせに加えて、異なるカテゴリに関連するフィーチャ間の任意の組み合わせも、本出願により開示されていると見なされる理解するであろう。しかしながら、全てのフィーチャは、フィーチャの単純な寄せ集めを超える相乗効果をもたらすように組み合わせることができるものである。
【0061】
以上、本発明は図面及び上記記載において詳細に図示及び説明されたが、このような図示及び説明は例示的なものであり、限定するものではないと見なされるべきである。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。当業者によれば、図面、本開示及び添付請求項の精査から、開示された実施形態の他の変形例を理解し、実施することができる。
【0062】
「有する(含む)」という文言は、他の要素又はステップを排除するものではない。
【0063】
単数形は、複数を排除するものではない。更に、本明細書で使用される単数形は、そうでないと明示しない限り、又は文脈から単数形を指すことが明らかでない限り、概して「1以上」を意味するものと解釈されるべきである。
【0064】
単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかの項目の機能を果たすことができる。
【0065】
特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0066】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は他のハードウェアの一部として提供される光学記憶媒体又はソリッドステート媒体等の適切な媒体により記憶/配布できるのみならず、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介して等のように、他の形式で配布することもできる。
【0067】
請求項における如何なる参照符号も、当該範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0068】
そうでないと明示され又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される「A、B及びCのうちの1以上」、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」、及び「A、B及び/又はC」という語句は、列挙された項目のうちの1以上の全ての可能な順列を意味する。すなわち、「XはA及び/又はBを有する」という語句は:XはAを有する;XはBを有する;及びXはA及びBの両方を有する;の何れかを満たす。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8
【国際調査報告】