(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】プロピレン系ブレンド組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 23/14 20060101AFI20241122BHJP
C08F 210/06 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
C08L23/14
C08F210/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536206
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2022081503
(87)【国際公開番号】W WO2023114808
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100202603
【氏名又は名称】宮崎 智史
(72)【発明者】
【氏名】グルラジャン ギリプラサス
(72)【発明者】
【氏名】ブラム ローレン ピー
(72)【発明者】
【氏名】ウル ユージーン アール
(72)【発明者】
【氏名】ソトマイヨール ルイス エー
(72)【発明者】
【氏名】ハフ カオル ピー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルデス アレクサンドラ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】オースティン ジェニファー ジェイ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002BB141
4J002BB142
4J002BB151
4J002BB152
4J002FD020
4J002FD070
4J002GJ01
4J002GK01
4J100AA02Q
4J100AA03P
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA05
4J100DA06
4J100DA09
4J100DA22
4J100DA41
4J100DA42
4J100FA10
4J100FA22
4J100JA03
4J100JA11
(57)【要約】
より高いMWを有する主ポリマーフラクショと、より低いMWを有する少ポリマーフラクションとのブレンドを含むプロピレン系エラストマー組成物、その製造方法、及び該組成物を含むホットメルト接着剤。ポリマーブレンド組成物は、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のメルトフローレートを有する主ポリマーフラクションと、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有する少ポリマーフラクションとを含むことができ、少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量が、主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量より少なくとも7wt%少ない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションであって、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する前記主ポリマーフラクションと、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションであって、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有する前記少ポリマーフラクションとを含むポリマーブレンド組成物であって、前記少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量が、前記主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量より少なくとも7wt%少ない、前記ポリマーブレンド組成物。
【請求項2】
約60wt%~約95wt%の前記主ポリマーフラクションと、約5wt%~約40wt%の前記少ポリマーフラクションとを含む、請求項1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項3】
前記主ポリマーフラクションが、約10wt%~約30wt%の前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含み、前記少ポリマーフラクションが、約2wt%~約8wt%の前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む、請求項1又は2に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位が、エチレン由来単位、C4-C10αオレフィン、又はその組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項5】
昇温溶出分別法にさらしたとき、前記主ポリマーフラクションは、-15℃で炭化水素溶媒に可溶性であり、前記少ポリマーフラクションは、-15℃で前記炭化水素溶媒に不溶性である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約2.7~約5.0の幅広又は二峰性の分子量分布を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項7】
前記組成物が、ASTM D1238に従って、約80g/10分~約400g/10分のMFRを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項8】
前記組成物が、幅広の直交コモノマー分布(CD)を有し、かつ前記組成物のCD勾配90が、前記組成物のCD勾配50より小さい、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項9】
前記主ポリマーフラクションの三連子立体規則性が、前記少ポリマーフラクションの三連子立体規則性以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項10】
前記組成物が、5℃で約0.3分~約3.0分の等温結晶化半減時間を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項11】
前記主ポリマーフラクションが、約10J/g以下の融解熱を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のポリマーブレンド組成物を含むカーペットバッキングシート又はメルトブロー繊維。
【請求項13】
プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションであって、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のメルトフローレートを有する前記主ポリマーフラクションと、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションであって、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有する前記少ポリマーフラクションとを含むポリマーブレンド組成物を含むホットメルト接着剤組成物であって、前記少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量が、前記主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量より少なくとも7wt%少ない、前記ホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
前記ホットメルト接着剤組成物中の前記ポリマーブレンド組成物の量が、約1wt%~約40wt%である、請求項13に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項15】
さらに約10wt%~約70wt%の粘着付与剤を含み、前記粘着付与剤は、約50℃~約150℃の軟化点及び0%~約15%の芳香族性を有する、請求項13又は14に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項16】
さらに0wt%~約30wt%のワックスを含み、さらに0wt%~約30wt%の油を含む、請求項13~15のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項17】
さらに0wt%~約75wt%の非晶質ポリαオレフィンを含み、さらに0wt%~約15wt%の直鎖αオレフィンを含み、さらに0wt%~約40wt%のエチレン-酢酸ビニルを含む、請求項13~16のいずれか1項に記載のホットメルト接着剤組成物。
【請求項18】
ポリマーブレンド組成物の製造プロセスであって、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションを、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションと組み合わせて、ポリマーブレンド組成物を形成するステップを含み、前記主ポリマーフラクションが、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のMFRを有し、かつ前記少ポリマーフラクションが、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有し、前記少ポリマーフラクション中の前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位の量が、前記主ポリマーフラクション中の前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位の量より少なくとも7wt%少ない、前記プロセス。
【請求項19】
前記組み合わせステップ前に、第1の反応器システムで前記主ポリマーフラクションを製造するステップと、前記第1の反応器システムに並列の第2の反応器システムで前記少ポリマーフラクションを製造するステップとをさらに含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ポリマーブレンド組成物が、約60wt%~約95wt%の前記主ポリマーフラクションと、約5wt%~約35wt%の前記少ポリマーフラクションとを含み、前記主ポリマーフラクションが約10wt%~約30wt%の前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含み、かつ前記少ポリマーフラクションが約2wt%~約8wt%の前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む、請求項18又は19に記載のプロセス。
【請求項21】
前記少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーが、エチレン、C4-C10αオレフィン、又はその組み合わせを含む、請求項18~20のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項22】
昇温溶出分別法にさらしたとき、前記主ポリマーフラクションは、-15℃で炭化水素溶媒に可溶性であり、前記少ポリマーフラクションは、-15℃で前記炭化水素溶媒に不溶性である、請求項18~21のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記ポリマーブレンド組成物が、約2.7~約5.0の幅広又は二峰性の分子量分布と、ASTM D1238に従う約80g/10分~約400g/10分のMFRとを有する、請求項18~22のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項24】
前記ポリマーブレンド組成物が、幅広の直交コモノマー分布(CD)を有し、かつ前記ポリマーブレンド組成物のCD勾配90が、前記ポリマーブレンド組成物のCD勾配50より小さい、請求項18~23のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項25】
前記主ポリマーフラクションの三連子立体規則性が、前記少ポリマーフラクションの三連子立体規則性以上であり、前記ポリマーブレンド組成物が、5℃で約0.3分~約3.0分の等温結晶化半減時間を有し、かつ前記主ポリマーフラクションが、約10J/g以下の融解熱を有する、請求項18~24のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することによりその開示内容全体をここに援用する2021年12月17日に出願された米国仮出願第63/290,719号の利益を主張する。
【0002】
分野
本発明の実施形態は、一般的にポリマーブレンド組成物に関する。さらに詳細には、該実施形態は、より高いMWを有する主ポリマーフラクションと、より低いMWを有する少ポリマーフラクションとのブレンドを含むプロピレン系エラストマー組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
プロピレン系エラストマーが開発されており、これらはそれらの高い弾性、柔軟性、靭性、透明性、及び加工性に起因する需要が高い。該エラストマーは、ブローフィルム及びキャストフィルム、射出成形容器その他の物品、不織布、並びにホットメルト接着剤といった広範な用途を有する。高粘度及び低粘度の両プロピレン系エラストマーが製造されている。残念ながら、従来のプロピレン系エラストマーは、弾性、剛性、及び流動特性の良いバランスを達成できないことが多い。結果として、該プロピレン系エラストマーの顧客は、彼らの生産施設でペレット形態の複数のプロピレン系エラストマー製品を併用して、カーペットバッキングシート等の最終用途製品に必要な所望の弾性、剛性、及び流動性を達成することが多い。非常に多くの製品を併用することの取扱いコストは、複数のコンベヤーシステムの利用が必要なため非常に高い可能性がある。さらに、異なるプロピレン系エラストマー製品の混合は、ペレットの凝集、ひいては生産施設全体の流れ問題につながる恐れがある。
【0004】
プロピレン系エラストマーの製造に使用可能な1つのタイプの触媒システムは、メタロセン系触媒システムである。メタロセン触媒は、1又は2つのシクロペンタジエニル環又は置換シクロペンタジエニル環が中心の遷移金属原子にπ結合している有機金属配位化合物を含む均質なシングルサイト触媒である。メタロセン触媒は典型的に、狭い分子量分布及び分子間のコモノマーの均一分布を有するプロピレン系エラストマーを生成する。狭い分子量分布及び均一なコモノマー分布を有するポリマーは、特定の最終用途に有利であり得るが、このタイプのポリマーは、他の用途には望ましくないことがある。例えば、ブローフィルム及びブロー成形等の加工操作の安定性は、広い分子量分布のポリマーに比べて、狭い分子量分布のポリマーでは低く、生産率の低下をもたらす。また、均一なコモノマー分布を有するポリマーは、分子鎖にわたって広いコモノマー分布(従来の組成分布と呼ばれることもある)を有するポリマーに比べて望ましくない溶融加工性を有する可能性がある。
従って、ペレットの凝集問題を気にせずに高い弾性及び剛性特性の組み合わせを有するプロピレン系エラストマーを安価に製造する方法が必要である。また、広い分子量分布と広いコモノマー分布を有するプロピレン系エラストマーを製造する能力を有することが有利だろう。
【発明の概要】
【0005】
要約
より高いMWを有する主ポリマーフラクションと、より低いMWを有する少ポリマーフラクションとのブレンドを含むプロピレン系エラストマー組成物を提供する。該プロピレン系組成物を用いて種々の最終用途製品、例えばカーペットバッキングシート及びホットメルト接着剤(HMA)を製造することができる。
1つ以上の実施形態において、ポリマーブレンド組成物は、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションであって、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する主ポリマーフラクションと、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションであって、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有する少ポリマーフラクションとを含み、少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量は、主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量より少なくとも7wt%少ない。
【0006】
1つ以上の実施形態において、ポリマーブレンド組成物の製造プロセスは、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションを、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションと組み合わせて、ポリマーブレンド組成物を形成するステップを含み、主ポリマーフラクションは、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のMFRを有し、かつ少ポリマーフラクションは、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有し、少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位の量は、主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位の量より少なくとも7wt%少ない。
【0007】
1つ以上の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションであって、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のメルトフローレートを有する主ポリマーフラクションと、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションであって、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有する少ポリマーフラクションとを含むポリマーブレンド組成物を含み、少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量は、主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量より少なくとも7wt%少ない。
【0008】
本発明の上記特徴を詳細に理解できるように、上で簡単に要約した本発明のさらに特定の説明を実施形態を参照して行うことができ、実施形態のいくつかについては添付図面に例示する。しかしながら、添付図面は本発明の典型的実施形態を単に例示するだけであり、本発明は他の同等に有効な実施形態を認め得るのだから、添付図面を本発明の範囲の限定とみなすべきでないことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本明細書で提供する1つ以上の実施形態に従って、ポリマーブレンド組成物を製造するためのプロセスのプロセスフロー図を示す。
【
図2a】本明細書で提供する1つ以上の実施形態に従って、プロピレン-エチレンブレンド組成物について、分子量分布と、ポリマーの分子量にわたるコモノマー分布とを示すグラフである。
【
図2b】本明細書で提供する1つ以上の実施形態に従って、プロピレン-エチレンブレンド組成物の双峰分子量分布及び累積分子量分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
下記開示は、本発明の様々な特徴、構造、及び/又は機能を実行するためのいくつかの例示実施形態を記述することを理解すべきである。以下に成分、配置、及び構成の例示実施形態を記述して本開示を単純化する。しかしながら、これらの例示実施形態は、単に例として提供するものであり、本発明の範囲を限定する意図はない。さらに、本開示は、種々の例示実施形態において及び本願で提供する図面にわたって参照番号及び/又は参照文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、単純化及び明瞭化のためであり、図面で考察する種々の例示実施形態及び/又は構成間の関連性をそれ自体で指示するものではない。さらに、下記例示実施形態は、いずれの組み合わせ方法でも併用し得る。すなわち、ある例示実施形態のいずれの要素も、本開示の範囲を逸脱することなく、いずれの他の例示実施形態でも使用することができる。
【0011】
特定の実施形態及び特徴について一連の上限数値及び下限数値を用いて記述した。別段の指示がない限り、いずれの2つの値の組み合わせ、例えば、任意の下限値と任意の上限値の組み合わせ、任意の2つの下限値の組み合わせ、及び/又は任意の2つの上限値の組み合わせをも含む範囲が企図されることを理解すべきである。特定の下限値、上限値、及び範囲が下記1つ以上の請求項に現れる。全ての数値は、「約(about又はapproximately)」指示値であり、当業者が予想するであろう実験誤差及び変動を考慮する。
さらに、下記説明及び特許請求の範囲を通して、ある一定の用語を用いて特定成分を表す。当業者には明らかなように、種々のエンティティが異なる名称で同一成分を指すことがあり、同様に、本明細書に記載の要素についての命名規則は、本明細書で具体的に定義していない限り、本発明の範囲を限定する意図はない。さらに、本明細書で用いる命名規則は、名称が異なるが機能は異ならない成分間を区別するつもりはない。
【0012】
下記考察及び特許請求の範囲において、用語「含む(including及びcomprising)は、制約のない様式で使用され、従って、「含むが、これらに限定されない」という意味に解釈すべきである。「から本質的に成る(consisting essentially of)という表現は、記載組成物及び/又は請求組成物が、実質的にその特性を当該特性の5%以上変えることになるいずれの他の成分をも含まず、いずれの場合にも、3質量%超のレベルまでいずれの他の成分をも含まないことを意味する。
用語「又は(or)」は、排他的及び包括的の両ケースを包含する意図であり、すなわち、「A or B」は、本明細書で明白に特定していない限り、「AとBの少なくとも1つ」と同義であるとされる。
不定冠詞「a」及び「an」は、文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、単数形(すなわち、「1つ」)と複数参照(すなわち、1つ以上)の両方を意味する。例えば、「an olefin」を使用する実施形態には、反対に特定されていない限り又は文脈上明白に1種のオレフィンだけを使用すると指示していない限り、1、2、又は3種以上のオレフィンを使用する実施形態が含まれる。
用語「wt%」は、質量百分率を意味し、「vol%」は、体積百分率を意味し、「mol%」は、モル百分率を意味し、「ppm」は、百万分率を意味し、「ppm wt」及び「wppm」は、互換的に用いられて、質量基準の百万分率を意味する。本明細書の全ての濃度は、別段の定めがない限り、問題の組成物の総量に基づいて表される。
【0013】
用語「αオレフィン」は、炭素と水素のいずれもの直鎖又は分岐化合物であって、α炭素原子とβ炭素原子の間に少なくとも1つの二重結合を有する化合物を指す。本明細書及びそれに添付された特許請求の範囲の目的では、ポリマー又はコポリマーが「ポリαオレフィン」と呼ばれるとき、該ポリマー又はコポリマー中に存在するαオレフィンは、αオレフィンの重合形態である。また、用語「非晶質ポリαオレフィン」は、ポリマー鎖が規則正しい結晶に配列されていないポリαオレフィンを指す。
用語「ポリマー」は、同一又は異なる反復単位/mer単位又は単位の任意の2種以上を指す。用語「ホモポリマー」は、同一である単位を有するポリマーを指す。用語「コポリマー」は、互いに異なる2種以上の単位を有するポリマーを指し、ターポリマー等を含む。用語「ターポリマー」は、互いに異なる3種の単位を有するポリマーを指す。用語「異なる」は、それが単位を指すとき、該単位が互いに少なくとも1つの原子が異なるか又は類似体的に異なることを意味する。同様に、本明細書で用いるポリマーの定義は、ホモポリマー、コポリマー等を含む。例として、コポリマーが10wt%~30wt%の「プロピレン」含量を有すると言われるとき、コポリマー中の反復単位/mer単位又は単に単位が、重合反応でプロピレンから誘導され、この誘導単位が、コポリマーの質量に基づいて10wt%~30wt%で存在すると理解される。
【0014】
用語「溶液重合」は、ポリマーが、不活性溶媒、モノマー(複数可)、又はそのブレンドのような液体重合媒体に溶解される重合プロセスを指す。溶液重合は典型的に均一である。用語「均一重合」は、ポリマー生成物が重合媒体に溶解される重合プロセスを指す。該システムは、好ましくは、J. Vladimir Oliveira, C. Dariva, and J. C. Pinto, Ind. Eng. Chem. Res., 29, 2000, 4627に記載のように混濁されない。均一重合プロセスは、典型的に生成物の少なくとも90wt%が反応媒体に溶解するプロセスである。
本明細書で使用する場合、「Mn」は、ポリマー材料中の様々なポリマーの数平均分子量を指し、「Mw」は、ポリマー材料中の様々なポリマーの質量平均分子量を指し、「Mz」は、ポリマー材料中の様々なポリマーのz平均分子量を指す。用語「分子量分布」(MWD)及び「多分散指数」(PDI)は、互換的に使用されて、MwとMnの比を指す。別段の定めがない限り、全ての分子量(例えば、Mw、Mn、Mz)は、g/モルの単位で報告してある。また、用語「幅広の直交コモノマー分布)」(BOCD)は、ポリマーのログMwに沿って正勾配のコモノマー含量プロファイルを意味する。
【0015】
下記考察において、炭化水素等の炭素含有化合物への言及は、「Cn」という省略形で行うことがあり、nは化合物中の水素又はヘテロ原子の数に無関係に化合物中の炭素原子の数を指す。記号プラス又はマイナスを使用する場合、n個以上の炭素原子又はn個以下の炭素原子を含有する炭素原子の範囲を表す。例えば、「C9+」は、9個以上の炭素原子を有する炭化水素等の化合物を指し、「C9-」は、9個以下の炭素原子を有する炭化水素等の化合物を指す。
本明細書で使用する元素及びその基の命名法は、1988年以後の国際純正及び応用化学連合が用いた周期表に準じる。周期表の例は、F. Albert Cotton et alによるAdvanced Inorganic Chemistry, 6th Edition(John Wiley & Sons, Inc., 1999)のフロントカバーの内部ページに示されている。
【0016】
以下に詳細な説明を提供する。添付した各請求項は別々の発明を定義し、これは侵害目的で、請求項に特定した種々の要素又は限定と等価なものを含むと認められる。文脈によっては、「発明」への全ての言及が特定の具体的実施形態のみを指す場合がある。他の場合には、「発明」への言及が、1つ以上であるが、必ずしも全てではない請求項に記載の主題を指すことが認められるだろう。本発明のそれぞれについて具体的実施形態、変形及び実施例を含め、さらに詳細に後述するが、本発明は、これらの実施形態、変形又は実施例に限定されず、これらの実施形態、変形又は実施例は、本開示の情報が公に入手可能な情報及び技術と併用されると、当業者が本発明を作り、使用できるように含められる。
【0017】
本明細書では、約100,000~約300,000の高Mw及びASTM D1238に従って測定して約0.1g/10分~約70.0g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する主ポリマーフラクションと、約5,000~約60,000のより低いMw及びASTM D-3236(190℃)に従って測定して約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有する少ポリマーフラクションとを含み得るポリマーブレンド組成物を開示する。主ポリマーフラクションと少ポリマーフラクションは両方ともプロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位、例えば、エチレン由来単位を含み得る。少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位の含量は、主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位の含量より少なくとも7wt%、好ましくは少なくとも9wt%少ない。ポリマーブレンド組成物は、約60wt%~約95wt%の主ポリマーフラクション及び約5wt%~約35wt%の少ポリマーフラクションを含み得る。また、主ポリマーフラクションは、約10wt%~約30wt%、好ましくは約14wt%~約16wt%の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含むことができ、少ポリマーフラクションは、約2wt%~約8wt%、好ましくは約3wt%~約6wt%の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含み得る。昇温溶出分別法にさらしたとき、主ポリマーフラクションは、炭化水素溶媒、例えばキシレン及び/又はオルトジクロロベンゼン等に好ましくは-15℃で溶解性であるが、少ポリマーフラクションは、好ましくは-15℃で炭化水素溶媒に不溶性である。主ポリマーフラクションは、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定して、約10J/g以下の融解熱を有する主ポリマーフラクショによって示唆されるように、低量の結晶化度を有するか又は非晶質であり得る。対照的に、少ポリマーフラクションは、そのより高い融解熱によって示されるように、高量の結晶化度を有し得る。また、主ポリマーフラクションの三連子立体規則性は、少ポリマーフラクションの三連子立体規則性以上であり得る。
【0018】
驚いたことに、本明細書で開示する本発明のポリマーブレンド組成物(「エラストマー」としても知られる)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定して、約2.7~約5.0の範囲の幅広又は二峰性のMWD及び不均一な幅広の直交コモノマー分布(BOCD)を有することが判明した。各ポリマーブレンド組成物についてCD勾配90はCD勾配50より小さい可能性がある。幅広のコモノマー分布を有するポリマーは、より低いコモノマー組み込みで相対的に高い分子量の鎖又はより高いコモノマー組み込みで相対的に低い分子量の鎖を有し得る。CD勾配及び分子量モーメントを測定するために使用可能な手順については下記実施例で述べる。
該ポリマーブレンド組成物は、予想外に望ましい特性、例えば、高弾性、高剛性、及び約80~約400g/10分の範囲のMFRによって示される良好な流動特性を示し得る。驚いたことに、ブレンド組成物は、通常の結晶化速度より早く、DSCを用いて測定して5℃で約0.3分~約3.0分、好ましくは約0.5分~約2.0分の等温結晶化半減時間を示し得る。結果として、顧客は、本明細書で開示するポリマーブレンド組成物のみを用いて、該組成物を異なる特性の他のポリマーと組み合わせる必要なしで、従って1つのコンベヤーシステムのみを用いて、それらの最終用途製品の望ましい特性を達成することができる。従って、本明細書で開示するポリマーブレンド組成物は、それらの最終製品に特定の特性を果たすための安価な代替手段を顧客に提供する。
同様に驚いたことに、ポリマーブレンド組成物は、少ないペレット凝集しか経験せず、ひいては顧客の取扱い問題をあまり引き起こさない可能性がある。理論によって制限される意図ではないが、ポリマーブレンドは、通常より高速で結晶化するので、ポリマーペレットは生成後短時間で硬化を果たすことができ、このことが長い貯蔵期間後でさえペレットが自由に流動できるようにすると考えられる。結果として、ペレットは、凝集への傾向が低くなり、顧客がそれらを彼らの貯蔵施設周辺により容易に移動できるようにする。
【0019】
本明細書で開示するポリマーブレンド組成物は、高フィラー充填、メルトブロー繊維、及び種々のポリマー材料に用いるプロピレン系マスターバッチを有する可能性があるカーペットバッキングシートのような最終用途製品に適している。
本明細書で開示するポリマーブレンド組成物の特に適切な最終用途製品は、ホットメルト接着剤(HMA)である。1つ以上の実施形態において、HMA組成物は、約1wt%~約40wt%、好ましくは約5wt%~約35wt%のポリマーブレンド組成物を含み得る。HMA組成物は、他のポリマー、例え低粘度プロピレン-エチレン(C3/C2)コポリマー、高粘度C3/C2コポリマー、非晶質ポリαオレフィン(APAO)、直鎖αオレフィン(LAO)、エチレン-酢酸ビニル(EVA)及びその組み合わせ等をも含み得る。
HMA組成物中に存在するAPAOの量は、0wt%~約75wt%、好ましくは約10wt%~約60wt%の範囲であり得る。HMA組成物中に存在するEVAの量は、0wt%~約40wt%、好ましくは約25wt%~約35wt%の範囲であり得る。適切なEVAポリマーは、総コポリマー質量に基づいて、約5wt%~約50wt%又は約10wt%~約40wt%のビニルエステルコモノマー含量を有し得る。
【0020】
HMA組成物は、他の添加剤、例えば粘着付与剤、ワックス、酸化防止剤、希釈剤、例えば、油及び直鎖αオレフィン(LAO)、並びにその組み合わせを含み得る。他の適切な添加剤は、技術上周知である。
用語「粘着付与剤」は、接着剤の表面の粘着性を高め得る物質を指す。HMA組成物中に存在する粘着付与剤の量は、約10wt%~約70wt%、好ましくは約20wt%~約60wt%の範囲であり得る。適切な粘着付与剤は、0%~約15%の芳香族性及び約50℃~約150℃、好ましくは約80℃~約140℃の軟化点を有する。適切な市販の粘着付与剤の例は、下記実施例で見つけることができる。
用語「ワックス」は、HMA組成物の全粘度を下げ得る物質を指す。ワックスを添加してHMA組成物のセットタイム及び接着を制御することができる。HMA組成物中に存在するワックスの量は、0wt%~約30wt%の範囲であり得る。包装に用いるHMA組成物については、HMA組成物中に存在するワックスの量は、好ましくは約15wt%~約30wt%、さらに好ましくは約20wt%~約25wt%の範囲である。衛生用途に用いるHMA組成物については、HMA組成物中に存在するワックスの量は、好ましくは0wt%~約20wt%、さらに好ましくは約5wt%~約10wt%の範囲である。適切なワックスの例としては、ヒマシ油誘導体(HCO-ワックス)、エチレンコターポリマー、フィッシャー・トロプシュワックス、微結晶性ワックス、パラフィン(石油)ワックス、ポリオレフィン変性ワックス、及びポリオレフィンワックスが挙げられる。適切な市販のワックスの例は下記実施例で見つけることができる。
【0021】
用語「直鎖αオレフィン」は、側鎖が分岐していない連続炭素鎖の末端(終端)に炭素-炭素二重結合を有する非分岐アルケン炭化水素を指す。HMA組成物中に存在するLAO希釈剤の量は、0wt%~約15wt%、好ましくは約5wt%~約10wt%の範囲であり得る。適切なLAOの例としてはC24+LAOがあり、135℃で約4cSt以下の動粘度(ASTM D445)を有するC18+LAOが好ましい。LAO希釈剤は、パラフィン炭化水素油及び/又はパラフィン炭化水素ワックス、例えば、フィッシャー・トロプシュワックスと共に存在し得る。
HMA組成物中に存在する油の量は、」0wt%~約30wt%、好ましくは約5wt%~約20wt%の範囲であり得る。パラフィン炭化水素油(例えば、パラフィンホワイト油)又はナフタレン炭化水素油は、本明細書で開示するLAO希釈剤と併用することができる。適切なパラフィン又はナフタレン炭化水素油の例は、Cn炭素数分布を有し、質量ベースで、約40%以上の分岐パラフィン、又は約45%以上の分岐パラフィン、又は約50%以上の分岐パラフィン、又は約55%以上の分岐パラフィン、又は約60%以上の分岐パラフィンを含む。適切な市販油の例は、下記実施例で見つけることができる。
【0022】
用語「酸化防止剤」は、酸化を阻止する物質、例えば高分子量のヒンダードフェノール及び多官能性フェノールを指す。HMA組成物中に存在する酸化防止剤の量は、0wt%~約1wt%の範囲であり得る。適切な市販の酸化防止剤は、BASF SE Corporationから商業的に入手可能なIrganox(商標)1010ヒンダードフェノール酸化防止剤である。他の適切な酸化防止剤としては、アミン、ヒドロキノン、フェノール類、ホスファイト、及びチオエステル酸化防止剤が挙げられる。
HMA組成物成分及びHMA組成物の製造プロセスに関するさらなる詳細は、参照することによりその内容を本明細書に援用する米国特許第10,633,564号及び第10,336,921号で見つけることができる。
【0023】
ポリマーブレンド組成物の製造プロセス
本明細書で開示するポリマーブレンド組成物は、第1の反応器システムで製造される主ポリマーフラクションを、第1の反応器システムに並列の第2の反応器システムで製造される少ポリマーフラクションと組み合わせることによって製造することができる。
重合プロセスは、モノマー、コモノマー、及び触媒システムが溶液相内で接触されてその中でポリマーが形成される溶液重合プロセスであり得る。重合プロセス中に溶媒が存在し得る。重合プロセスに適した溶媒は、非配位性の不活性液体を含み得る。例としては、直鎖及び分岐鎖炭化水素、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、及びその混合物;環式及び脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、及びその混合物、例えばExxonMobilから商業的に入手可能なIsopar(商標);ペルハロゲン化炭化水素、例えばペルフッ素化アルカン、及びクロロベンゼン;並びに芳香族化合物及びアルキル置換芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン、メシチレン、及びキシレンが挙げられる。適切な溶媒として、モノマー又はコモノマーとして作用し得る液体オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、及びその混合物等も挙げられる。好ましい実施形態では、脂肪族炭化水素溶媒、例えばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、及びその混合物;並びに環式及び脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、及びその混合物が溶媒として使用される。1つの好ましい脂肪族炭化水素はIsobar(商標)、すなわち、Dow Chemical Companyから商業的に入手可能なアルカン、イソアルカン、及びシクロアルカンの混合物である。
【0024】
本明細書で開示するポリマーブレンド組成物を調製するための適切な溶液重合プロセスは一般的に
図1に示され、参照することによりその内容全体を本明細書に援用する米国特許第9,359,535号にさらに詳述されている。例示実施形態において、プロセスは第1の反応器20と、第1の反応器20と並列の第2の反応器と、液相分離器60と、液化容器70と、ペレタイザー80とを含むシステム10によって達成され得る。第1の反応器20及び第2の反応器40は、例えば、連続撹拌槽型反応器であり得る。
第1の反応器20は、モノマーの第1のフィード22、少なくとも1種の他のコモノマーの第2のフィード、触媒の第3のフィードのを受け取り得る。第1の反応器20は、溶媒及び活性剤のフィードを受け取ることもできる。溶媒及び/又は活性剤フィードは、第1のフィード22、第2のフィード24、若しくは第3のフィード26のいずれかと組み合わされるか、又は溶媒及び活性剤は別々のフィードストリーム28、30で反応器に供給され得る。第1のポリマー、すなわち、主ポリマーフラクションが第1の反応器20内で生成され、第1の反応器20から第1の生成物ストリーム32経由で抜き出され得る。第1の生成物ストリーム32は、第1のポリマー、溶媒、並びにいずれもの未反応モノマー及び/又はコモノマー(以後「モノマー/コモノマー」)を含み得る。
【0025】
第2の反応器40は、モノマーの第4のフィード、少なくとも1種の他のコモノマーの第5のフィード44、及び触媒の第6のフィード46を受け取り得る。第2の反応器40は、溶媒及び活性剤のフィードを受け取ることもできる。溶媒及び/又は活性剤フィードは、第4のフィード42、第5のフィード44、若しくは第6のフィード46のいずれかと組み合わされるか、又は溶媒及び活性剤は別々のフィードストリーム48、50で反応器に供給され得る。第2のポリマー、すなわち、第2のポリマーフラクションは、第2の反応器40内で生成され、第2の生成物ストリーム52経由で第2の反応器40から抜き出され得る。第2の生成物ストリーム52は、第2のポリマー、溶媒、及びいずれもの未反応モノマー/コモノマーを含み得る。
【0026】
任意の数の追加反応器を利用して、第1及び第2の生成物とブレンドされ得る他のポリマーを生成できることを理解すべきである。
第1の生成物ストリーム32と第2の生成物ストリーム52が組み合わされて、第1の生成物が本明細書で開示するポリマーブレンド組成物の主ポリマーフラクションであり、第2の生成物がその少ポリマーフラクションである二峰性ブレンドストリーム54を生成し得る。例えば、第1の生成物ストリーム32及び第2の生成物ストリーム52は、第1及び第2のポリマーを混合容器、例えば撹拌器を備えた混合槽に供給してポリマーをブレンドできるようにし得る。
次に、二峰性ブレンドストリーム54は、液相分離容器60に供給されてポリマーリッチ相及びポリマーリーン相を生成し得る。ポリマーリーン相は溶媒を含有し、実質的にポリマーがない可能性がある。ポリマーリーン相の少なくとも一部は、液相分離容器60から溶媒再循環ストリーム64を経て抜き出され得る。溶媒再循環ストリーム64は、さらに未反応モノマー/コモノマーを含み得る。ポリマーリッチ相の少なくとも一部は、液相分離容器60からポリマーリッチストリーム62を経て抜き出され得る。
【0027】
いずれの実施形態でも、液相分離容器60は、下限臨界溶液温度(LCST)相分離の原理に基づいて作動し得る。この技術は、スピノダル分解の熱力学原理を利用して2つの液相を作り出す。一方の液相は実質的にポリマーがなく、他方の液相は液相分離容器60への単一液体フィードより高い濃度で溶解したポリマーを含有する。参照することによりその内容全体をここに援用する米国特許公開第2015/0322303号に記載されているように、スピノダル分解を利用する液相分離容器60を用いて2つの液相の形成を達成することが、特にブレンドのポリマーの1つが100,000g/モル、さらに特に10,000g/モルと60,000g/モルの間の質量平均分子量を有する場合に、二峰性ポリマーブレンドから溶媒を分離する有効な方法であり得ることが判明した。ポリマーリーン相中のポリマーの濃度は触媒の選択によってさらに減少させ得ることも分かった。
【0028】
図1を振り返ると、液相分離容器60を出るとすぐに、ポリマーリッチストリーム62は、次にさらなるポリマー回収のため液化容器70に供給され得る。いずれの実施形態でも、ポリマーリッチストリーム62は、液化容器70の入口に供給される前に低圧分離器に供給されることもある。容器内では、ポリマー組成物は、溶媒の少なくとも一部がポリマー組成物から除去され、ポリマー組成物の温度が下がるように容器内で真空にさらされ得るので、それによって、二峰性ポリマーブレンドを含み、かつポリマー組成物が容器に導入されるときより低い溶媒含量及び低い温度を有する第2のポリマー組成物を形成する。ポリマー組成物は、次に容器の出口から排出ストリーム72を経て排出され得る。
液化容器70は、技術上周知の液化装置であり得る。ポリマーメルトから溶媒を除去して本明細書に記載の蒸発冷却を果たす能力があるいずれの該装置をも使用可能である。本明細書での使用に適した液化装置の操作のさらに詳細な説明は、参照することによりその内容全体をここに援用する米国特許シリアル番号12/972,140号で見つけられる。適切な液化装置は、例えば、LIST USA, Inc.から商業的に入手可能である。
【0029】
図1を振り返ると、液化容器70を出る冷却された排出ストリーム72は、ペレタイザー80に供給され得る。そこで二峰性ポリマーブレンドが、形成されたペレット82としてペレット化ダイを介して排出される。ポリマーのペレット化は、アンダーウォーター、ホットフェース、ストランド、ウォーターリング、又は他の同様のペレタイザーにより得る。好ましくはアンダーウォーターペレタイザーが使用されるが、当業者に知られる他の等価なペレット化ユニットを使用することもできる。アンダーウォーターペレット化の一般的技術は当業者に知られている。有用なアンダーウォーターペレット化装置の例は、全て参照することによりそれらの内容をここに援用する米国特許第7,033,152号;第7,226,553号;及び第7,470,118号で見つけることができる。
【0030】
モノマー及びコモノマー
モノマーはプロピレン(C3)であるか又はプロピレン(C3)を含み得る。少なくとも1種の他のコモノマーはエチレン(C2)、C4-C20オレフィン、若しくはその組み合わせであるか又はこれらを含み得る。オレフィンコモノマーは直鎖、分岐、又は環式であり得る。適切な環式オレフィンは歪んでいるか又は歪んでいない単環式又は多環式であり得、場合によりヘテロ原子及び/又は1つ以上の官能基を含み得る。コモノマーは、好ましくはC2又はC4-C10αオレフィンである。第1の反応器中のコモノマー濃度は、約10wt%~約20wt%、好ましくは約14wt%~約16wt%の範囲であり得る。また第2の反応器システム中のコモノマー濃度は約2wt%~約6wt%、好ましくは約3wt%~約5wt%の範囲であり得る。
エチレン以外の適切なコモノマーの具体例としては、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7-オキサノルボルネン、7-オキサノルボルナジエン、その置換誘導体、及びその異性体、好ましくはヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、シクロオクテン、1,5-シクロオクタジエン、l-ヒドロキシ-4-シクロオクテン、1-アセトキシ-4-シクロオクテン、5-メチルシクロペンテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、及びそれらのそれぞれの同族体及び誘導体、好ましくはノルボルネン、ノルボルナジエン、及びジシクロペンタジエンが挙げられる。
【0031】
触媒システム
本明細書で開示するポリマーブレンド組成物は、1種以上の触媒システムを用いて調製され得る。本明細書で使用する場合、「触媒システム」は、触媒前駆体とも呼ばれる少なくとも遷移金属化合物と、少なくとも1種の活性剤とを含む。遷移金属化合物(触媒前駆体)と活性剤を各重合反応器の上流の溶液中又は各重合反応器内で接触させると触媒システムの触媒活性成分(触媒)を得ることができる。いずれの所与の遷移金属化合物又は触媒前駆体も種々の活性剤と触媒活性成分(触媒)をもたらすことができ、本明細書で提供するプロセスに設置可能な多彩な触媒を与える。該触媒システムは、場合により不純物スカベンジャーを含み得る。これらの各成分について以下にさらに詳述する。
【0032】
当該技術分野で一般的に知られるいずれのメタロセン触媒をも触媒として利用することができる。適切なメタロセン触媒は、一般式(In1)Y(In2)MX2を有する架橋ビスインデニルメタロセンであり得る。式中、In1及びIn2は、Mに結合した同一の置換又は非置換インデニル基であり、Yによって架橋され、Yは、In1をIn2と結びつける直接鎖中の原子数が1~8であり、かつ直接鎖はC、Si、又はGeを含む架橋基であり;Mは、3族、4族、5族、又は6族遷移金属であり;X2は脱離基である。In1及びIn2は、置換され又は非置換であり得る。In1及びIn2が1つ以上の置換基で置換される場合、置換基は、ハロゲン原子、C1-C10アルキル、C5-C15アリール、C6-C25アルキルアリール、及びSi含有、N含有又はP含有アルキル又はアリールから成る群より選択され得る。各脱離基Xは、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物イオン、又はフッ化物イオンであり得る。このタイプの例示メタロセン化合物としては、μ-ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル及びμ-ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチルが挙げられる。
【0033】
いずれの実施形態でも、メタロセン化合物は、一般式(In1)Y(In2)MX2を有する架橋ビスインデニルメタロセンであり得る。式中、In1及びIn2は、Mに結合した同一の2,4-置換インデニル基であり、Yによって架橋され、Yは、In1をIn2と結びつける直接鎖中の原子数が1~8であり、かつ直接鎖はC、Si、又はGeを含む架橋基であり;Mは、3族、4族、5族、又は6族遷移金属であり;X2は脱離基である。In1及びIn2は、2位でC1-C10アルキル、好ましくはメチル基によって、及び4位で、C5-C15アリール、C6-C25アルキルアリール、及びSi含有、N含有又はP含有アルキル又はアリールから成る群より選択される置換基によって置換される。各脱離基Xは、アルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物イオン又はフッ化物イオンであり得る。このタイプの例示メタロセン化合物としては、(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-(3',5'-ジ-tert-ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-(3',5'-ジ-tert-ブチルフェニル)インデニル)ハフニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-ナフチルインデニル)ジルコニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-ナフチルインデニル)ハフニウムジメチル、(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-(N-カルバジル)インデニル)ジルコニウムジメチル、及び(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-( -カルバジル)インデニル)ハフニウムジメチルが挙げられる。
【0034】
いずれの実施形態でも利用できる特に有利な触媒を下記式Iに示す。
【化1】
【0035】
いずれの実施形態でも、MはIV族遷移金属原子、好ましくはIVB属遷移金属、さらに好ましくはハフニウム又はジルコニウムであり、Xは、それぞれアルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物イオン又はフッ化物イオンである。メチル又は塩化物脱離基が最も好ましい。いずれの実施形態でも、RI及びR2は、水素、フェニル、及びナフチルから成る群より独立に選択される。RIは、好ましくはR2と同一である。式Iの特に有利な種は、ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、及びジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ハフニウムジメチルである。
【0036】
いずれの実施形態でも利用できる別の有利な触媒を式IIに示す。
【化2】
【0037】
いずれの実施形態でも、Mは、IV族遷移金属原子、好ましくはIVB属遷移金属、さらに好ましくはハフニウム又はジルコニウムであり、Xは、それぞれアルキル、好ましくはメチル、又はハロゲン化物イオン、好ましくは塩化物イオン若しくはフッ化物イオンである。メチル又は塩化物脱離基が最も好ましい。いずれの実施形態でも、Rl及びR2は、水素、フェニル、及びナフチルから成る群より独立に選択され得る。Rlは、好ましくはR2と同一である。式IIの特に有利な種は、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、及びジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0038】
いずれの実施形態でも、触媒システムの活性剤は、カチオン成分を含み得る。いずれの実施形態でも、カチオン成分は式[R1R2R3AH]+を有し得る。式中、Aは窒素であり、R1及びR2は、合わせて-(CH2)a-基(aは3、4、5、又は6である)であり、かつ窒素原子と一緒に4員、5員、6員、又は7員非芳香環を形成し、場合によりこの環に隣接環炭素原子を介して1つ以上の芳香環又はヘテロ芳香環が縮合されることがあり、R3はC1、C2、C3、C4、若しくはC5アルキル、又はN-メチルピロリジニウム若しくはN-メチルピペリジニウムである。或いは、いずれの実施形態でも、カチオン成分は式[RnAH4_n]+を有し得る。式中、Aは窒素であり、nは2又は3であり、全てのRは同一であり、かつC1-C3アルキル基、例えばトリメチルアンモニウム、トリメチルアニリニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルアニリニウム、及びジメチルアンモニウムである。
【0039】
本明細書で提供するメタロセン化合物、カチオン性活性剤成分、及びアニオン性活性剤成分の任意の組み合わせから生じるいずれの触媒システムも本明細書で明示的に開示するとみなすものとする。また、2つの異なる活性剤の組み合わせを同一又は異なるメタロセン(複数可)と共に使用することができる。
いずれの実施形態でも、本明細書で開示する触媒システムの活性剤は、アニオン成分、[Y]を含み得る。いずれの実施形態でも、アニオン成分は、式[B(R4)4]-を有する非配位性アニオン(NCA)であり、式中、R4は、アリール基又は置換アリール基であり、その1つ以上の置換基は同一又は異なり、アルキル、アリール、ハロゲン原子、ハロゲン化アリール、及びハロアルキルアリール基から成る群より選択される。置換基は、ペルハロゲン化アリール基、又はペルフッ素化アリール基、例えばペルフルオロフェニル、ペルフルオロナフチル及びペルフルオロビフェニル等であり得る。
【0040】
まとめると、本明細書で開示する触媒システムのカチオン成分とアニオン成分が活性剤化合物を形成する。いずれの実施形態でも、活性剤は、N,N-ジメチルアニリニウム-テトラ(ペルフルオロフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウム-テトラ(ペルフルオロナフチル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウム-テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウム-テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウム-テトラ(ペルフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウム-テトラ(ペルフルオロナフチル)ボラート、トリフェニルカルベニウム-テトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、又はトリフェニルカルベニウム-テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラートであり得る。
非配位性活性剤は、式I及び式IIの触媒と共に利用され得る。特に有利な活性剤は、ジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボラートである。
適切な触媒システムに関するさらなる開示は、参照することによりその内容全体をここに援用する国際特許公開WO/2013/134038で見つけられる。
【実施例】
【0041】
実施例:
前述の考察を下記非限定例を参照してさらに記述することができる。
プロピレン-エチレンコポリマー(実施例1~6)を以下のように2つの実験室規模の連続反応器を並列モードで用いて生成した。それぞれ、触媒及び活性剤としてのrac-ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル及びジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボラートの存在下でプロピレンのフィードストリームとエチレンコモノマーのフィードストリームを各反応器内でプロピレン重合条件にさらしてC3-C2コポリマーを70~30の質量比(第1の反応器生成量:第2の反応器生成量)で生成した。各反応器を出るストリームを組み合わせて、C3-C2ポリマーブレンド組成物の主ポリマーフラクションと少ポリマーフラクションを含有する生成物ストリームを生成した。質量で9~16%のポリマーを含有する生成物ストリームを次に約11MPa(1600psig)の圧力下で約200℃と約205℃の間まで加熱した。その後、ストリームを操作圧力が4.1MPa(600psig)である高圧分離器に供給した。圧力降下が、下限臨界溶液温度を超える2つの相領域にストリームを誘導し、生成物を密度に基づいて2つの液相に分けた。沈降後、生成物ストリームは、高圧分離器の下部に存在するポリマーリッチ相と、高圧分離器のオーバーヘッドに存在するポリマーリーン相に分けた。ポリマーリッチ相はペレタイザーに導入されて、最終ポリマーブレンド組成物を含有するペレットを形成し、ポリマーリーン相は、反応器に戻して再循環された。Ex.1~6について、各反応器で生成されたC3-C2コポリマーのコモノマー(C2)含量、第1の反応器で生成されたC3-C2コポリマーのメルトフローレート(MFR)、並びに第2の反応器で生成されたC3-C2コポリマーのMFR及び/又は190℃でのブルックフィールド粘度(BV)を測定した。それらを下表1に示す。また、各反応器で生成されたC3-C2コポリマーのC2含量間の差(ΔC2)、最終ポリマーペレットのC2含量、及び最終ポリマーペレットのMFRを下表1に示す。
【0042】
各反応器に供給するC2の量をΔC2がC.Ex.1~4よりEx.1~6が多くなるように調節したことを除き、Ex.1~6のポリマーブレンド組成物を調製するための上記手順を4回繰り返した(比較例1~4)。下表1に示すように、Ex.1~6について測定した同一特性をC.Ex.1~4についても測定した。さらに、狭いMWD、及びポリマー鎖の分子量にわたってC2コモノマーのほとんど均一な分布を有するExxonMobilから商業的に入手可能なC3-C2コポリマー(非ブレンド)を比較目的で得た(比較例5及び6)。C.Ex.5~6のコポリマーのC2含量及びMFR値を下表1に提示する。
【0043】
【0044】
C.Ex.1~4については、反応器1で生成されたC3-C2コポリマーのMFRは、反応器2で生成されたC3-C2コポリマーのMFRと大きく異なるが、反応器1で生成されたコポリマーと反応器2で生成されたコポリマーとの間のC2含量差は、約4~5wt%しか異ならない。Ex.1~6については、MFRが大きく異なるのみならず、反応器1で生成されたコポリマーと反応器2で生成されたコポリマーとの間のC2含量差も9wt%を超える。
【0045】
図2aは、Ex.3(12.4wt% C2、87 MFR)で生成されたC3-C2ブレンド組成物、並びにC.Ex.5(13.3wt% C2、45 MFR)及びC.Ex.6(6wt% C2、1200 MFR)の市販のC3-C2コポリマーペレットのGPC-4Dを用いて測定された分子量分布及びコモノマー分布のグラフを示す。両市販グレードは単峰性MWDを有するが、Ex.3の発明ブレンド組成物は、その分子量モーメントを用いてピーク1とピーク2のカーブフィッティグにより
図2bに示されるように、明白に二峰性MWDを示した。驚いたことに、Ex.3のブレンド組成物は、分子量範囲にわたってC2の幅広の不均一な直交分布を示した。対照的に、市販グレードは、
図2aに水平線によって表されるように、分子量範囲にわたってC2コモノマーのほとんど均一なコモノマー分布を示した。従って、Ex.1~6の発明ブレンド組成物については、高分子量鎖は高C2含量を有したが、低分子量鎖は低C2含量を有したと考えられる。C3系エラストマーについてこのような分子構造は予想外だった。
【0046】
表2に示すように、Ex.1~6及びC.Ex.1~4のブレンド組成物並びにC.Ex.5~6の市販グレードの分子量モーメント及びコモノマー分布(CD)勾配をも決定した。CD勾配は、MATLAB(登録商標)プログラムを用いて分子量変化に対するコモノマー含量をn次多項式に第1のカーブフィッティングすることによって決定した。nの値の範囲は典型的に2と4の間だった。分子量の範囲のそれぞれ、50%、75%及び90%である種々の分子量点で曲線の微分係数を得た。例えば、x軸の50%点を決定するためには、特定データセットの最小分子量(Mwmin)と最大分子量(Mwmax)の差を最初に確証した。勾配50のx値は、Mwmin+0.50*(Mwmax-Mwmin)として計算した。微分係数の絶対値をその点で決定して勾配50を見出した。0~2の範囲の勾配値は均一コモノマー分布を表すとみなし、一方で勾配>2は不均一コモノマー分布を表すとみなした。Ex.1-6のポリマーブレンド組成物は、驚いたことに勾配50から勾配90までの低減傾向を示した。これはコモノマーの幅広の直交分布、すなわち高分子量鎖はより高いコモノマー含量を有し、一方で低分子量鎖はより低いコモノマー含量を有することを示唆している。Ex.3及びEx.6のブレンド組成物は、予想外に3.0以上の幅広のMWDを示した。
【0047】
表2:Ex.1~6及びC.Ex.1~6の分子量モーメント及びCD勾配
【表2】
【0048】
下表3に示すように、米国特許第9,359,535号のポリマーA、B、及びC(比較例7、8、及び9)のTREF-GPCデータと比較するためEx.3のポリマーブレンド組成物を昇温溶出分別法(TREF)によって解析した。これらの全ての例は、可溶性フラクションと1又は2つの結晶化(不溶性)フラクションを示した。表3の各温度は、フラクションの溶出温度を表す。溶出温度の次の括弧は、この溶出温度でフラクション中に存在するポリマーの量(wt%)並びに当該フラクションのMw及びMWD(Mw/Mn)を表す。C.Ex.7~9の各ポリマーの可溶性フラクションは、それぞれ不溶性フラクションより低いMwを有したが、Ex.3のポリマーブレンド組成物の可溶性フラクションは不溶性フラクションよりずっと高いMwを有した。
【0049】
表3:Ex.3及びC.Ex.7~9のTREF-GPCデータ
【表3】
【0050】
表4に示すように、Ex.1~3及びC.Ex.1~4のポリマーブレンド組成物について並びにC.Ex.5~6のポリマーについて非等温結晶化温度(Tc)及び融解温度(Tm)並びに5℃、7℃、及び10℃での等温結晶化半減時間(t1/2)を示差走査熱量測定(DSC)により測定した。Ex.1~3のポリマーブレンド組成物中の低分子量及び低C2フラクションの存在が、C.Ex.1~6のポリマーより相対的に高いTm及びTc値を有するこれらの発明組成物をもたらす。低C2フラクションの存在は、5℃、7℃及び10℃における結晶化半減時間の顕著な減少によって示されるようにより速い結晶化速度をも与えた。Ex.3のブレンド組成物の結晶化速度は、C.Ex.6の市販グレードより約10倍速く、これは特定用途に有利である。
【0051】
表4:Ex.1~3及びC.Ex.1~6の等温及び非等温DSCデータ
【表4】
【0052】
Ex.4~6の反応器R1及び反応器R2で形成されたC3-C2コポリマー(すなわち、それぞれ、ポリマーブレンド組成物の主ポリマーフラクション及び少ポリマーフラクション)のアイソタクチック(mm)三連子立体規則性及び位置欠陥(regio defects)(配列長さ)を13C NMRにより決定した。これらのC3-C2ポリマーの吸熱Tm及び融解熱(Hf)をもDSCにより測定した。このデータを下表5に提供する。反応器R1及びR2で形成された異なるフラクションの立体規則性は、最終ポリマーブレンド組成物の結晶化度に全体的な作用を及ぼす。R1フラクションの立体規則性は、R2フラクションの立体規則性と等しいか又はそれより大きく、米国特許第9,359,535号のポリマーCが示した(表4及び請求項1参照)のと異なる。また、R2フラクションの位置欠陥の量は、R1フラクションの位置欠陥の量より顕著に低く、このことがブレンド組成物においてより高いTmを果たすのに役立ち、良好なペレット安定性につながっている。Hf値は、R2フラクションでR1フラクションよりずっと高かった。融解熱は結晶化度の指標なので、この傾向は、R2フラクションがR1フラクションより高い結晶化度を有したことを示す。
【0053】
【0054】
実施例2、4、5、及び6で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて4つの異なるカーペットバッキング配合物(実施例7、8、9、及び10)をいずれの他のC3系ポリマーをもブレンドせずに作製した。比較のため、3種のC3系ポリマー(Vistamaxx(商標)6502、Vistamaxx(商標)8880、及びAchieve(商標)Advanced PP6936G2、全てExxonMobilから商業的に入手可能)を含有するカーペットバッキング配合物(比較例10)を作製した。Ex.7~10及びC.Ex.10のカーペットバッキング配合物中の他の成分は同一であり、下表6に示す。Exxelor(商標)PE1040カップリング剤及びEscorez(商標)1315粘着付与剤は、ExxonMobilから商業的に入手可能であり、Ampacet 19470 PEブラックマスターバッチはAmpacet Corporationから商業的に入手可能であり、Lhoist-325高カルシウム石灰石はLhoist Groupから商業的に入手可能であることに留意されたい。カーペットバッキング配合物の種々の物理的性質を測定した。それらを表6に示す。Ex.8~10のカーペットバッキング配合物は、C.Ex.7のカーペットバッキング配合物に匹敵する流動特性と機械的性能の優れたバランスを示した。Ex.8~10のカーペットバッキング配合物は、C.Ex.7のカーペットバッキング配合物が必要としたようには、その中に含有する市販グレードのC3系ポリマーを輸送するために複数のコンベヤーの使用を必要としなかった。このことが、本発明のカーペットバッキング配合物をずっと安価に製造できるようにする。驚いたことに、Ex.8~10のカーペットバッキング配合物は、C.Ex.7のカーペットバッキング配合物より顕著に良好な低い増大力(growth force)(0.2MPa(30psi)未満)を示した。
【0055】
表6:Ex.7~10及びC.Ex.7の配合物の組成及び特性
【表6】
【0056】
Ex.5で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて2つの異なるホットメルト接着剤(HMA)配合物(実施例11及び12)を作製した。1つはVistamaxx(商標)8380低粘度C3/C2コポリマーを含有し(Ex.11)、1つはVistamaxx(商標)8780低粘度C3/C2コポリマーを含有した(Ex.12)。Ex.11との比較のため、2つのHMA配合物を調製した(比較例8及び9)。1つはVistamaxx(商標)8380のみを含有し(C.Ex.8)、1つはVistamaxx(商標)8380及びVistamaxx(商標)6502高粘度C3/C2コポリマーを両方含有した(C.Ex.9)。Ex.12との比較のため、Vistamaxx(商標)8780を含有するHMA配合物(比較例10)を調製した。Ex.11~12及びC.Ex.8~10のHMA配合物中の他の成分を下表7に示す。Escorez(商標)5400水素化粘着付与剤、Primol(商標)352油、及びParvan 1580パラフィンワックスはExxonMobilから商業的に入手可能であり、Irganox(商標)1010酸化防止剤はBASF SE Corp.から商業的に入手可能であることに留意されたい。HMA配合物の種々の物理的性質を測定した。それらを粘着付与剤の軟化点(SP)を含め、表7に提示する。Vistamaxx(商標)6502の代わりにEx.5のポリマーブレンド配合物をEx.11のHMA配合物に加えると、C.Ex.9に比べてHMA粘度を改善し、より低い温度の用途をもたらした。Ex.11のHMA配合物は、予想外にC.Ex.8~9のHMA配合物より高い剥離強度をも示した。Ex.5からのポリマーブレンド配合物及びパラフィンワックスの添加は、驚いたことにEx.12のHMA配合物の剥離強度を高めた。
【0057】
表7:Ex.11~12及びC.Ex.8~10の配合物の組成及び特性
【表7】
【0058】
Ex.5で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて、Vistamaxx(商標)8380低粘度C3/C2コポリマーを含有する2つの異なるHMA配合物(実施例13及び14)を作製した。Ex.13~14との比較のため、唯一のC3系コポリマーとしてVistamaxx(商標)8380を含有するHMA配合物を調製した(比較例11)。下表8に示すように、Ex.13~14及びC.Ex.11のHMA配合物の他の成分は、Ex.14の配合物がEscorez(商標)5615粘着付与剤(高軟化点(SP)及び高芳香族性を有する水素化粘着付与剤、ExxonMobilから商業的に入手可能)を含み、Ex.13及びC.Ex.11の配合物がEastotac(商標)H-130W粘着付与剤(高SPを有する水素化C5粘着付与剤、Eastman Chemical Companyから商業的に入手可能)を含むことを除き、同一だった。Epolene(商標)C-13は、Westlake Chemicalから商業的に入手可能な分岐した低粘度ポリエエチレンホモポリマーであることに留意されたい。HMA配合物の種々の物理的性質を測定した。それらを表8に提示する。Ex.5のポリマーブレンド配合物をEx.13~14のHMA配合物に添加すると、予想外に剥離強度を改善した。
【0059】
表8:Ex.13~14及びC.Ex.11の配合物の組成及び特性
【表8】
【0060】
Ex.5で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて2つの異なるHMA配合物を作製した(実施例15及び16)。1つはVistamaxx(商標)6502を含有し(Ex.16)、1つはいずれの他のポリマーをとも混合しなかった(Ex.15)。Ex.15~16との比較のため、唯一のC3系ポリマーとしてVistamaxx(商標)6502を含有するHMA配合物を調製した(比較例12)。下表9に示すように、Ex.15~16及びC.Ex12のHMA配合物の全ての他の成分は同一だった。Escorez(商標)2203非水素化C5/C9粘着付与剤はExxonMobilから商業的に入手可能であり、Nyflex 223B油はNynas ABから商業的に入手可能であり、Sasolwax(商標)H1はSasol Chemicalsから商業的に入手可能であることに留意されたい。HMA配合物の種々の物理的性質を測定した。それらを表9に示す。Ex.5のポリマーブレンド配合物をEx.15~16のHMA配合物に添加すると、C.Ex.12に比べてHMA粘度を改善した。このことがより低い温度の用途を提供する。驚いたことに、Ex.5のポリマーブレンド配合物とVistamaxx(商標)6502の併用(Ex.16)は、Ex.16のHMA配合物の剥離強度を改善した。
【0061】
表9:Ex.15~16及びC.Ex.12の配合物の組成及び特性
【表9】
【0062】
Ex.5で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて3つの異なるHMA配合物を作製した(実施例17~19)。Ex.19のHMA配合物は、Eastman Chemical Companyから商業的に入手可能なAerefin(商標)180 C3系ポリマーを含有し、一方でEx.17~18のHMA配合物は、REXtac LLCから商業的に入手可能な異なる量のREXtac(商標)非晶質ポリαオレフィン(APAO)を含有した。Ex.17~18との比較のため、REXtac(商標)APAOを含有するHMA 配合物を調製した。Ex.17~19及びC.Ex13のHMA配合物に利用した他の成分を下表10に示す。Escorez(商標)5637は、ExxonMobilから商業的に入手可能な高SPを有する水素化芳香族粘着付与剤であり、Regalite(商標)R1090粘着付与剤は、Eastman Chemical Companyから商業的に入手可能なC9系水素化粘着付与剤であることに留意されたい。HMA配合物の種々の物理的性質を測定した。それらを表10に提示する。Ex.18のHMA配合物に有意量のAPAOと共にEx.5のポリマーブレンド配合物を含めると、ずっと高い剥離強度をもたらした。
【0063】
表10:Ex.17~19及びC.Ex.13の配合物の組成及び特性
【表10】
【0064】
Ex.5で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて2つの異なるHMA配合物を作製した(実施例20及び21)。1つはVistamaxx(商標)8880を含有し(Ex.20)、1つはVistamaxx(商標)8880とVistamaxx(商標)6502を両方含有した(Ex.21)。Ex.20~21との比較のためHB Fuller Companyから商業的に入手可能なHMA、すなわち、HL 1486を得た(比較例14)。下表11に示すように、Ex.20及びEx.21のHMA配合物は、異なる粘着付与剤及び異なる油を含有したが、同一の酸化防止剤を含有した。また、Ex.20のHMA配合物はC24+直鎖αオレフィン(LAO)を含み、一方でEx.21のHMA配合物はLAOを含まなかった。HMA配合物の種々の物理的性質を測定した。それらを表11に示す。Ex.5のポリマーブレンド配合物をEx.20のHMA配合物に添加すると、C.Ex.14に比べて140℃及び150℃でのHMA粘度を改善した。
【0065】
表11:Ex.20~21及びC.Ex.14の配合物の組成及び特性
【表11】
【0066】
Ex.5で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて3つの異なるHMA配合物を作製した(実施例22~24)。2つは異なる量のVistamaxx(商標)8880を含有し(Ex.22~23)、1つは他のC3系ポリマーを含有しなかった(Ex.24)。Ex.22~24との比較のため、Vistamaxx(商標)8880、Vistamaxx(商標)8780、及びVistamaxx(商標)6502を含有するHMA配合物(比較例15)を調製した。Ex.22~24及びC.Ex15のHMA配合物に利用した他の成分を下表12に示す。Escorez(商標)5415は、ExxonMobilから商業的に入手可能な水素化粘着付与剤であることに留意されたい。HMA配合物の種々の物理的性質を測定した。それらを表12に提示する。Ex.5のポリマーブレンド配合物をEx.22~24のHMA配合物に加えると、C.Ex.15に比べてHMA粘度を改善した。このことがより低い温度でのHMAの適用を可能にする。
【0067】
表12:Ex.22~24及びC.Ex.15の配合物の組成及び特性
【表12】
【0068】
Ex.5で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて3つの異なるHMA配合物を作製した(実施例25~27)。1つは他のポリマーを含有せず(Ex.25)、1つはVistamaxx(商標)6102高粘度C3/C2コポリマーを含有し(Ex.26)、1つはVistamaxx(商標)6202高粘度C3/C2コポリマーを含有した(Ex.27)。Ex.25との比較のため、Vistamaxx(商標)8880及び Vistamaxx(商標)6502を含有するHMA配合物を調製した(比較例16)。Ex.26~27との比較のため、Vistamaxx(商標)8880、Vistamaxx(商標)5202、及びVistamaxx(商標)6102を含有するHMA配合物を調製した(比較例17)。Ex.25~27及びC.Ex.16~17のHMA配合物の他の成分を下表13に示す。HMA配合物の種々の物理的性質を測定した。それらをも表13に提示する。
【0069】
表13:Ex.25~27及びC.Ex.16~17の配合物の組成及び特性
【表13】
【0070】
Ex.5で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて、2つの異なるHMA配合物を作製した(実施例28及び29)。両HMA配合物(Ex.28~29)は、Exxonから商業的に入手可能なEscorene(商標)Ultra UL 7710エチレン-酢酸ビニル(EVA)コポリマー、Escorez(商標)5600、Sasolwax(商標)H1、及びIrganox(商標)1010を含有した。Ex.29のHMA配合物は、C24+LAOをも含んだ。Ex.28~29との比較のためH.B. Fuller Companyから商業的に入手可能なHMA、すなわち、Advantra(商標)PHC 9256(比較例18)をも得た。Ex.28~29との比較のためEscorene(商標)Ultra UL 7710、Escorez(商標)5600、及びSasolwax(商標)H1を含有する配合物(比較例19)をも調製した。HMA配合物の種々の物理的性質を測定した。せん断接着破壊温度(shear adhesion failure temperature)(SAFT)及び剥離接着破壊温度(peel adhesion failure temperature)(PAFT)を含め、それらを下表14に提示する。Ex.5のポリマーブレンド配合物を、EVAコポリマーをも含有するEx.28のHMA配合物に加えると、C.Ex.19のHMA配合物に比べて予想外に耐熱性(PAFT)を改善し、セットタイムを短縮した。
【0071】
表14:Ex.28~29及びC.Ex.18~19の配合物の組成及び特性
【表14】
【0072】
Ex.5で形成されたポリマーブレンド組成物を用いて2つの異なるHMA配合物を作製した(実施例30及び31)。両HMA配合物(Ex.30~31)は、Dow Chemical Companyから商業的に入手可能なAffinity(商標)GA 1950ポリオレフィンエラストマー、Escorez(商標)5320高SP水素化粘着付与剤、Sasolwax(商標)H1、及びIrganox(商標)1010を含有した。Ex.31のHMA配合物は、C24+LAOをも含有した。Ex.30~31との比較のため、Affinity(商標)GA 1950、Escorez(商標)5320、及びSasolwax(商標)H1を含有するHMA配合物(比較例20)を調製した。HMA配合物の種々の物理的性質を測した。それらを下表15に示す。Ex.5のポリマーブレンド配合物を、ポリオレフィンエラストマーをも含有するEx.30のHMA配合物に加えると、C.Ex.20のHMA配合物に比べて耐熱性(PAFT)を改善し、セットタイムを短縮した。
【0073】
表15:Ex.30~31及びC.Ex.20の配合物の組成及び特性
【表15】
【0074】
表7~13のHMA配合物の調製プロセス
各配合物の全ての原材料を3.8リットル(1ガロン)缶に量り入れて180℃のオーブンで約3時間(又は全ての成分が明らかに融解されるまで)加熱した。次に缶を180℃の加熱マントルに入れ、縁に多数のブレードを備え、ブレードはその周縁に交互様式で上下に曲げられているソリッドディスクを有するミキサーブレードで30~40分間混合した。各混合物が明白に均一になったらすぐに、それを溶融タンクに加えて適用温度に平衡化させた。
表7~10の配合物に以下のように結合調製を施した。各HMA配合物を溶融形態でポリエチレン(PE)バックシート(Clopay Plastic Products Co. Inc.から商業的に入手可能な25.4μm(0.001”)のDH-284 PE Microflex(商標)エンボス加工された非通気性フィルム(Berry Global Group Inc.により購入した)にNordson CF(商標)制御繊維化ノズルを用いて140℃~170℃の範囲の適用温度、3g/m2(gsm)のコート量及び244m(800ft)/分のライン速度で適用した。溶融接着剤をPEバックシートにコートした後、バックシートを不織繊維(Midwest Filtration LLCから商業的に入手可能なUNIPRO 45)に積層させてロールに巻き取った。
【0075】
表11~13の配合物に以下のように結合調製を施した。各HMA配合物を溶融形態で3つのLYCRA(商標)470デシテックス(dtex)ストランド(300%まで前伸張された)にNordson Allegro(商標)ノズルを用いて、160℃~180℃の範囲の適用温度、50mg/ストランド/メートルのコート量、及び152m(500ft)/分のライン速度で適用した。これらのストランドを次に不織繊維(UNIPRO 45)とPEバックシート(Clopayの25.4μm(0.001”)のDH-284 PE Microflex(商標))の間に積層させた。
【0076】
表14及び15のHMA配合物の調製プロセス
粘着付与剤、油、酸化防止剤、及び他の添加剤を177℃に予熱することによってHMA配合物を調製した。177℃の加熱マントル内で粘着付与剤、油、酸化防止剤、及び他の添加剤の溶融液にポリマー成分の全てをゆっくり加えた。これらの成分をスパチュラを用いて手で撹拌することによって、全てのポリマーペレットが融解し、混合物が均一になるまでブレンドした。成分をさらに10分間撹拌した。結果として生じた接着剤混合物を加熱マントルから除去して剥離紙上に注いだ。接着剤混合物が固化した後、それを試験用の小片にカットした。
【0077】
表1~6の特性の試験手順
MFRはASTM D1238に従って測定し、ブルックフィールド粘度はASTM D3236に従って測定し、曲げ弾性率はASTM D790に従って測定した。
分子量の分布及びモーメント(Mw、Mn、Mw/Mn)は、赤外線検出器IR5をベースとするマルチプルチャンネルバンドフィルター、18角光散乱検出器及び粘度計を備えた高温ゲル浸透クロマトグラフィー(Polymer Char GPC-IR)を用いて測定した。3つのAgilent Plgel 10μm Mixed-B LSカラムを用いてポリマー分離をもたらした。分子量決定に関する詳細な解析原理及び方法は、参照することによりその内容をここに援用するPCT公開WO2019/246069A1の段落[0044]~[0051]に記載されている(クロマトグラムの各点の濃度Iについてその段落[0044]で参照しているcに関する方程式はc=βIであり、式中、βは質量定数であり、Iはベースライン減算IR5ブロードバンドシグナル強度(I)であることに留意)。具体的に述べていない限り、本開示で使用するか又は述べる全ての分子量モーメントは、通常の分子量(IR分子量)決定法(例えば、今しがた述べた公報の段落[0044]~[0045]で参照されている)に従って決定され、該段落[0044]における方程式ではa=0.695及びK=0.000579(1-0.75Wt)が用いられ、Wtはヘキサンコモノマーの質量分率であることに留意し、さらにコモノマー組成は、それらの公称値がNMR又はFTIRによって予め決められている一連のPE及びPPホモポリマー/コポリマー標準物質で較正されたCH2及びCH3チャンネルに対応するIR5検出器強度の比によって決定される(今しがた述べたPCT公報の段落[0045]に記載されているように、1000の総炭素当たりのメチル(CH3/1000TC)を与える)ことに留意する。
TREF手法は、参照することによりその内容をここに援用するWild, et al., J. Poly. Sci., Poly. Phys. Ed., Vol. 20, pg. 441 (1982)及び米国特許第5,008,204号に記載どおりに行った。
【0078】
DSCデータは以下のように測定した。非等温DSCは-50℃~200℃の間で10℃/分のランプ速度にてPerkinElmer DSC 8000を用いて行った。10J/g超の融解熱を有するサンプルについては、二次融解吸熱を利用したが、≦10J/gの融解熱を有するサンプルについては、報告したTm及びHf値はDSCスキャンの一次又は二次融解吸熱のどちらかから得た。等温DSCは、HyperDSC(商標)(PerkinElmer DSC 8500)で行った。サンプルを200℃で3分間保持してから5℃、7℃、又は10℃に冷却した。分で報告した結晶化半減時間、t1/2は、総結晶化度の50%に達するまでにかかった時間に基づいて評価した。
アイソタクチック(mm)三連子立体規則性データは、参照することによりその内容をここに援用するEP0629632B1、特に段落[0167]~[0190]に記載されているように13C NMRを用いて得た。
【0079】
本明細書で生成されたポリマーは、総プロピレンモノマーに基づいた位置欠陥(13C NMRによって決定される)を有した。下記3タイプの欠陥:2,1-エリトロ;2,1-トレオ;及び3,1-異性化が位置欠陥であると定義され、同様にエチレン挿入後の欠陥がある。これらの構造及びピーク帰属については、参照することによりその内容をここに援用するL. Resconi, et al., Chem. Rev., Vol. 100, pp. 1253-1345 (2000)で見つけられる。
カーペットバッキング配合物の粘度は、長さ32mm及び直径2mmのフラットフェース型ダイを備えたRosand Precision Rheometerを用いて測定した。サンプルを装填して1分間204℃で予熱した。測定のため下記せん断速度を利用した: 50秒-1;80秒-1;130秒-1;200秒-1;250秒-1;300秒-1;432秒-1;及び730秒-1。200秒-1及び300秒-1での粘度値(Pa-s)を表6に記録した。
増大力測定は、TA Instruments ARES-G2レオメーターを用いて行った。圧縮成形プレスを用いて厚さ1mm、幅13mm、及び長さ38mmのサンプルストリップを調製した。2℃/分の固定ランプ速度で温度を変えながら各サンプルを固定歪み下で試験した。結果として測定軸力又は垂直抗力において観察されたサンプル伸長又はバックリングを温度と時間の関数として報告した。最大軸力及び40℃での軸力をTA Instruments TRIOSソフトウェアを用いて計算した。
【0080】
表7~15のHMA特性の試験手順
ブルックフィールド粘度はASTM D3236に従って測定した。軟化点は、物質が流れる温度であり、ASTM E-28に従って測定した。PAFT及びSAFTはASTM D-4498に従って測定した。芳香族性はNMR分光法により決定し、芳香族プロトンのモル%で測定した。剥離又は剥離強度は、2つの結合した物質を引き離すのに必要な平均力の尺度であり、ASTM D-903に従って決定されるように、IMASS Inc.からのスリップ/剥離テスターで30cm(12インチ)/分にてT-剥離様式で試験した。
繊維引き裂けは、接着剤の基材への結合強度を表し、25℃、4℃、及び-18℃で測定した。繊維引き裂けは、基材が引き裂かれた後の接着剤に付着されている紙基材繊維の量に関する視覚的測定である。100%の繊維引き裂けは、接着剤が基材より強く、接着剤の100%が基材繊維内に覆われていることを意味する。0%の繊維引き裂けは、接着剤が基材を全く結合せず、基材から離れ落ちるだけであることを意味する。繊維引き裂けは、基材をHMAと結びつけることによって決定した。1滴の溶融接着剤(180℃)をスポイトで第1の基材上に配置した。第2の基材をHMAの上面に置き、一様の適用のために第2の基材の上面に500gの重しを置いた。次にHMAを参照温度で少なくとも1時間冷却した。次に基材を引き裂いて、繊維引き裂けについてHMAを調べた。
【0081】
セットタイムは、結合を破壊するために10kg超の力を必要とする結合力を構築するための最小保持時間である。セットタイムは、溶融接着剤(180℃)をスポイトで第1の基材上に滴下した後に基材をHMAと結びつけることによって測定した。第2の基材を接着剤の上面に置き、一様な適用のために500gの重しを第2の基材の上面に置いた。予め決められた時間間隔後に、第2の基材を除去して繊維引き裂けについて調べた。繊維引き裂けが見られなかった場合、より長い時間間隔を試みた。このサイクルを繊維引き裂けが見つかるまで続けた。この時間の長さをセットタイムとして報告した。
【0082】
実施形態のリスト
本開示は、下記非限定実施形態の任意の1つ以上をさらに含み得る。
1.プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションであって、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する主ポリマーフラクションと、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションであって、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有する少ポリマーフラクションとを含むポリマーブレンド組成物であって、少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量が、主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量より少なくとも7wt%少ない、ポリマーブレンド組成物。
【0083】
2.約60wt%~約95wt%の主ポリマーフラクションと、約5wt%~約40wt%の少ポリマーフラクションとを含む、実施形態1に記載のポリマーブレンド組成物。
3.主ポリマーフラクションが、約10wt%~約30wt%の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含み、少ポリマーフラクションが、約2wt%~約8wt%の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む、実施形態1又は2に記載のポリマーブレンド組成物。
4.少なくとも1種の他のコモノマー由来単位が、エチレン由来単位、C4-C10αオレフィン、又はその組み合わせを含む、実施形態1~3のいずれかに記載のポリマーブレンド組成物。
5.昇温溶出分別法にさらしたとき、主ポリマーフラクションは、-15℃で炭化水素溶媒に可溶性であり、少ポリマーフラクションは、-15℃で炭化水素溶媒に不溶性である、実施形態1~4のいずれかに記載のポリマーブレンド組成物。
6.組成物が、約2.7~約5.0の幅広又は二峰性の分子量分布を有する、実施形態1~5のいずれかに記載のポリマーブレンド組成物。
7.組成物が、ASTM D1238に従って、約80g/10分~約400g/10分のMFRを有する、実施形態1~6のいずれかに記載のポリマーブレンド組成物。
8.組成物が、幅広の直交コモノマー分布(CD)を有し、かつ組成物のCD勾配90が、組成物のCD勾配50より小さい、実施形態1~7のいずれかに記載のポリマーブレンド組成物。
9.主ポリマーフラクションの三連子立体規則性が、少ポリマーフラクションの三連子立体規則性以上である、実施形態1~8のいずれかに記載のポリマーブレンド組成物。
10.組成物が、5℃で約0.3分~約3.0分の等温結晶化半減時間を有する、実施形態1~9に記載のポリマーブレンド組成物。
11.主ポリマーフラクションが、約10J/g以下の融解熱を有する、実施形態1~10のいずれかに記載のポリマーブレンド組成物。
【0084】
12.実施形態1に記載のポリマーブレンド組成物を含むカーペットバッキングシート又はメルトブロー繊維。
13.プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションであって、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のメルトフローレートを有する主ポリマーフラクションと、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションであって、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有する少ポリマーフラクションとを含むポリマーブレンド組成物を含むホットメルト接着剤組成物であって、少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量が、主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量より少なくとも7wt%少ない、ホットメルト接着剤組成物。
14.ホットメルト接着剤組成物中のポリマーブレンド組成物の量が、約1wt%~約40wt%である、実施形態13に記載のホットメルト接着剤組成物。
15.さらに約10wt%~約70wt%の粘着付与剤を含み、この粘着付与剤は、約50℃~約150℃の軟化点及び0%~約15%の芳香族性を有する、実施形態13又は14に記載のホットメルト接着剤組成物。
16.さらに0wt%~約30wt%のワックスを含み、さらに0wt%~約30wt%の油を含む、実施形態13~15のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
17.さらに0wt%~約75wt%の非晶質ポリαオレフィンを含み、さらに0wt%~約15wt%の直鎖αオレフィンを含み、さらに0wt%~約40wt%のエチレン-酢酸ビニルを含む、実施形態13~16のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物。
【0085】
18.ポリマーブレンド組成物の製造プロセスであって、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションを、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションと組み合わせて、ポリマーブレンド組成物を形成するステップを含み、主ポリマーフラクションが、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のMFRを有し、かつ少ポリマーフラクションが、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有し、少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位の量が、主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位の量より少なくとも7wt%少ない、プロセス。
【0086】
19.前記組み合わせステップ前に、第1の反応器システムで主ポリマーフラクションを製造するステップと、第1の反応器システムに並列の第2の反応器システムで少ポリマーフラクションを製造するステップとをさらに含む、実施形態18に記載のプロセス。
20.ポリマーブレンド組成物が、約60wt%~約95wt%の主ポリマーフラクションと、約5wt%~約35wt%の少ポリマーフラクションとを含み、主ポリマーフラクションが約10wt%~約30wt%の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含み、かつ少ポリマーフラクションが約2wt%~約8wt%の少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む、実施形態18又は19に記載のプロセス。
21.少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーが、エチレン、C4-C10αオレフィン、又はその組み合わせを含む、実施形態18~20のいずれかに記載のプロセス。
22.昇温溶出分別法にさらしたとき、主ポリマーフラクションは、-15℃で炭化水素溶媒に可溶性であり、少ポリマーフラクションは、-15℃で炭化水素溶媒に不溶性である、実施形態18~21のいずれかに記載のプロセス。
23.ポリマーブレンド組成物が、約2.7~約5.0の幅広又は二峰性の分子量分布と、ASTM D1238に従う約80g/10分~約400g/10分のMFRとを有する、実施形態18~22のいずれかに記載のプロセス。
24.ポリマーブレンド組成物が、幅広の直交コモノマー分布(CD)を有し、かつポリマーブレンド組成物のCD勾配90が、ポリマーブレンド組成物のCD勾配50より小さい、実施形態18~23のいずれかに記載のプロセス。
25.主ポリマーフラクションの三連子立体規則性が、少ポリマーフラクションの三連子立体規則性以上であり、ポリマーブレンド組成物が、5℃で約0.3分~約3.0分の等温結晶化半減時間を有し、かつ主ポリマーフラクションが、約10J/g以下の融解熱を有する、実施形態18~24のいずれかに記載のプロセス。
【0087】
一連の上限数値及び一連の下限数値を用いて特定の実施形態及び特徴を記載した。別段の指示がない限り、任意の2つの値の組み合わせ、例えば、任意の下限値と任意の上限値の組み合わせ、任意の2つの下限値の組み合わせ、及び/又は任意の2つの上限値の組み合わせを含む範囲が企図されることを理解すべきである。特定の下限、上限及び範囲が下記1つ以上の請求項に現れる。全ての数値は、「約(about又はapproximately)」指示値であり、当業者が予測するであろう実験誤差及び変動を考慮する。
種々の用語を上で定義した。請求項に用いられる用語が上で定義されていない限りでは、少なくとも1つの刊行物又は発行された特許に反映されたように当業者がその用語に与えた最も広い定義を与えるべきである。さらに、本出願で引用した全ての特許、試験手順、及び他の文書は、参照することにより該開示が本出願と矛盾しない程度まで完全に援用され、かつ該援用が許容される全ての権限のために援用される。
前述の説明は、本発明の実施形態に関するもであるが、本発明の基本範囲を逸脱することなく本発明の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案することが可能であり、本発明の範囲は、下記特許請求の範囲によって決められる。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む主ポリマーフラクションであって、約100,000~約300,000のMw及びASTM D1238に従う約0.1g/10分~約70.0g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する前記主ポリマーフラクションと、プロピレン由来単位及び少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む少ポリマーフラクションであって、約5,000~約60,000のMw及びASTM D-3236(190℃)に従う約500cP~約50,000cPのブルックフィールド粘度を有する前記少ポリマーフラクションとを含むポリマーブレンド組成物であって、前記少ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量が、前記主ポリマーフラクション中の少なくとも1種の他のポリオレフィンコモノマーの量より少なくとも7wt%少ない、前記ポリマーブレンド組成物。
【請求項2】
約60wt%~約95wt%の前記主ポリマーフラクションと、約5wt%~約40wt%の前記少ポリマーフラクションとを含む、請求項1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項3】
前記主ポリマーフラクションが、約10wt%~約30wt%の前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含み、前記少ポリマーフラクションが、約2wt%~約8wt%の前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位を含む、請求項
1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の他のコモノマー由来単位が、エチレン由来単位、C4-C10αオレフィン、又はその組み合わせを含む、請求項
1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項5】
昇温溶出分別法にさらしたとき、前記主ポリマーフラクションは、-15℃で炭化水素溶媒に可溶性であり、前記少ポリマーフラクションは、-15℃で前記炭化水素溶媒に不溶性である、請求項
1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項6】
前記組成物が、約2.7~約5.0の幅広又は二峰性の分子量分布を有する、請求項
1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項7】
前記組成物が、ASTM D1238に従って、約80g/10分~約400g/10分のMFRを有する、請求項
1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項8】
前記組成物が、幅広の直交コモノマー分布(CD)を有し、かつ前記組成物のCD勾配90が、前記組成物のCD勾配50より小さい、請求項
1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項9】
前記主ポリマーフラクションの三連子立体規則性が、前記少ポリマーフラクションの三連子立体規則性以上である、請求項
1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項10】
前記組成物が、5℃で約0.3分~約3.0分の等温結晶化半減時間を有する、請求項
1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項11】
前記主ポリマーフラクションが、約10J/g以下の融解熱を有する、請求項
1に記載のポリマーブレンド組成物。
【請求項12】
請求項1に記載のポリマーブレンド組成物を含むカーペットバッキングシート又はメルトブロー繊維。
【国際調査報告】