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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】SHR0302の安定な製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20241122BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241122BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241122BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241122BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241122BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20241122BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241122BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K9/107
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/08
A61K47/34
A61K47/20
A61K47/10
A61K47/24
A61K47/32
A61K47/06
A61K47/14
A61K47/36
A61K47/22
A61P29/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024536283
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-08-19
(86)【国際出願番号】 US2022081535
(87)【国際公開番号】W WO2023114832
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/289,780
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/370,740
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518194257
【氏名又は名称】アーキュティス・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクマン,ハーバート・アール
(72)【発明者】
【氏名】カルボール,ジェーソン・マイケル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA24
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD45
4C076DD55
4C076DD60
4C076DD64
4C076EE08
4C076EE23
4C076EE30
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA27
4C086MA28
4C086NA03
4C086ZB11
4C086ZC42
(57)【要約】
本開示は、SHR0302(ARQ-250としても知られる)の安定な局所用医薬組成物に関する。ある特定の実施形態では、約4.6未満のpHを有するSHR0302の医薬組成物は、改善された安定性を有し、APIの結晶形成を示さない。ある特定の実施形態では、約20%~約30%のジメチルスルホキシド(DMSO)を含むSHR0302の医薬組成物は、改善された安定性を有し、APIの結晶形成を示さない。SHR0302の改善された製剤は、許容される市販品有効期間を示すことができ、長期保管後にAPIの抗力の喪失を示さない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬的有効量のSHR0302を含み、4.6未満のpHを有する、局所用医薬組成物。
【請求項2】
約3.8~約4.6の間のpHを有する、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項3】
約3.8~約4.2の間のpHを有する、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項4】
約0.1~約1.0%w/wの量でSHR0302を含む、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項5】
ラウレス-4をさらに含む、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項6】
ラウレス-4が約0.5~約5%w/wの量で存在する、請求項5に記載の局所用医薬組成物。
【請求項7】
クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項8】
管理室温で8ヶ月間安定な、請求項1に記載の局所用医薬組成物。
【請求項9】
医薬的有効量のSHR0302およびラウレス-4を含み、4.6未満のpHを有する、局所用医薬組成物。
【請求項10】
約3.8~約4.6の間のpHを有する、請求項9に記載の局所用医薬組成物。
【請求項11】
約3.8~約4.2の間のpHを有する、請求項9に記載の局所用医薬組成物。
【請求項12】
SHR0302が約0.1~約1.0%w/wの量で存在する、請求項9に記載の局所用医薬組成物。
【請求項13】
クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される、請求項9に記載の局所用医薬組成物。
【請求項14】
管理室温で6ヶ月間安定な、請求項9に記載の局所用医薬組成物。
【請求項15】
管理室温で12ヶ月間安定な、請求項9に記載の局所用医薬組成物。
【請求項16】
医薬的有効量のSHR0302;
ジメチルスルホキシド;
ラウレス-4;
ブチルヒドロキシトルエン;
ベンジルアルコール;
プロピレングリコール;
ポリエチレングリコール200;
シクロメチコン;
ジメチコン;
ST-Elastomer 10;
Pemulen TR 1;
Carbopol 974P;および
pH調整剤
を含み、4.6未満のpHを有する、
局所用医薬組成物。
【請求項17】
約0.1~約1.0%w/wの量のSHR0302;
約20%~約40%w/wの量のジメチルスルホキシド;
約0.5%~約5%w/wの量のラウレス-4;
約0.01%~約5%w/wの量のブチルヒドロキシトルエン;
約0.5%~約5%w/wの量のベンジルアルコール;
約5%~約20%w/wの量のプロピレングリコール;
約5%~約20%w/wの量のポリエチレングリコール200;
約5%~約10%w/wの量のシクロメチコン;
約0.5%~約5%w/wの量のジメチコン;
約0.5%~約5%w/wの量のST-Elastomer 10;
約0.1~約1.0%w/wの量のPemulen TR 1;および
約0.1~約1.5%w/wの量のCarbopol 974P
を含む、請求項16に記載の局所用医薬組成物。
【請求項18】
約3.8~約4.6の間のpHを有する、請求項16に記載の局所用医薬組成物。
【請求項19】
約3.8~約4.2の間のpHを有する、請求項16に記載の局所用医薬組成物。
【請求項20】
クリームである、請求項16に記載の局所用医薬組成物。
【請求項21】
管理室温で6ヶ月間安定な、請求項16に記載の局所用医薬組成物。
【請求項22】
管理室温で12ヶ月間安定な、請求項16に記載の局所用医薬組成物。
【請求項23】
医薬的有効量のSHR0302;
N-メチル-2ピロリドン;
ラウレス-4;
ブチルヒドロキシトルエン;
メチルパラベン;
プロピルパラベン;
Crodafos CES;
パルミチン酸イソプロピル;
白色ワセリン;
プロピレングリコール;
ポリエチレングリコール200;および
pH調整剤
を含み、4.6未満のpHを有する、
局所用医薬組成物。
【請求項24】
キサンタンガムをさらに含む、請求項23に記載の局所用医薬組成物。
【請求項25】
約0.1~約1.0%w/wの量のSHR0302;
約15%~約40%w/wの量のN-メチル-2ピロリドン;
約0.5%~約5%w/wの量のラウレス-4;
約0.01%~約5%w/wの量のブチルヒドロキシトルエン;
約0.01%~約5%w/wの量のメチルパラベン;
約0.01%~約5%w/wの量のプロピルパラベン;
約5%~約20%w/wの量のCrodafos CES;
約1%~約10%w/wの量のパルミチン酸イソプロピル;
約1%~約10%w/wの量の白色ワセリン;
約5%~20%w/wの量のプロピレングリコール;および
約5%~20%w/wの量のポリエチレングリコール200
を含む、請求項23に記載の局所用医薬組成物。
【請求項26】
約3.8~約4.6の間のpHを有する、請求項23に記載の局所用医薬組成物。
【請求項27】
約3.8~約4.2の間のpHを有する、請求項23に記載の局所用医薬組成物。
【請求項28】
クリームである、請求項23に記載の局所用医薬組成物。
【請求項29】
管理室温で6ヶ月間安定な、請求項23に記載の局所用医薬組成物。
【請求項30】
管理室温で12ヶ月間安定な、請求項23に記載の局所用医薬組成物。
【請求項31】
医薬的有効量のSHR0302および約20%~約30%のジメチルスルホキシド(dimethyl sufloxide)を含む、局所用医薬組成物。
【請求項32】
約25%のジメチルスルホキシドを含む、請求項31に記載の局所用医薬組成物。
【請求項33】
SHR0302を約0.1~約1.0%w/wの量で含む、請求項31に記載の局所用医薬組成物。
【請求項34】
ラウレス-4をさらに含む、請求項31に記載の局所用医薬組成物。
【請求項35】
ラウレス-4が約0.5~約5%w/wの量で存在する、請求項34に記載の局所用医薬組成物。
【請求項36】
クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される、請求項31に記載の局所用医薬組成物。
【請求項37】
管理室温で6ヶ月間安定な、請求項31に記載の局所用医薬組成物。
【請求項38】
管理室温で12ヶ月間安定な、請求項31に記載の局所用医薬組成物。
【請求項39】
医薬的有効量のSHR0302;
約0.5%~約5%のラウレス-4;および
約20%~約30%のジメチルスルホキシド
を含む、局所用医薬組成物。
【請求項40】
約25%のジメチルスルホキシドを含む、請求項39に記載の局所用医薬組成物。
【請求項41】
SHR0302を約0.1~約1.0%w/wの量で含む、請求項39に記載の局所用医薬組成物。
【請求項42】
クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される、請求項39に記載の局所用医薬組成物。
【請求項43】
医薬的有効量のSHR030を含み、管理室温で6ヶ月間安定な、局所用医薬組成物。
【請求項44】
管理室温で12ヶ月間安定な、請求項43に記載の局所用医薬組成物。
【請求項45】
約20%~約30%のジメチルスルホキシドを含む、請求項43に記載の局所用医薬組成物。
【請求項46】
SHR0302を約0.1~約1.0%w/wの量で含む、請求項43に記載の局所用医薬組成物。
【請求項47】
ラウレス-4をさらに含む、請求項43に記載の局所用医薬組成物。
【請求項48】
ラウレス-4が約0.5~約5%w/wの量で存在する、請求項43に記載の局所用医薬組成物。
【請求項49】
クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される、請求項43に記載の局所用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]本出願は、2021年12月15日に出願された米国仮特許出願(Provsional Application)第63/289,780号、および2022年8月8日に出願された米国仮特許出願第63/370,740号の優先権を主張するものである。これらの出願の内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
[0002]本明細書に開示される主題は、概して、SHR0302を含む安定な局所用製剤に関する。ある特定の実施形態では、本開示は、4.6未満のpHを有するSHR0302の製剤が、改善された安定性を有し、有効成分の結晶形成を示さないという驚くべき発見を扱う。加えて、ある特定の実施形態では、本開示は、ある特定の百分率のジメチルスルホキシドを含む製剤が、改善された安定性を有し、有効成分の結晶形成を示さないという驚くべき発見を扱う。
【背景技術】
【0003】
[0003]本発明は、SHR0302またはARQ-250としても知られる、JAK1阻害剤である(3aR,5S,6aS)-N-(3-メトキシル-1,2,4-チアジアゾール-5-イル)-5-(メチル(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキサミドの局所用医薬組成物に関する。SHR0302は、JAK2よりJAK1に高い選択性を有することが示されているJAK1の強力な低分子阻害剤であり、よってJAK2の阻害に関連する造血性有害作用、例えば、貧血、血小板減少症、および好中球減少を引き起こすことなく炎症性疾患を治療する可能性を有する。SHR0302は、米国特許第9,527,851号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
[0004]皮膚疾患を治療するための強力な薬理学的作用剤の局所適用は、優れた送達をもたらし、全身暴露を低くし、患者にとってより大幅に使いやすくすることができる。化合物の分子構造は、最終的に、製品が適用される組織の上皮を通過する薬物の能力を決定付ける。皮膚への局所適用の場合、製剤の構成成分の選択は、製剤者が達成することができる最大の皮膚透過を決定付ける。クリーム、ローション、ゲル、軟膏、およびフォームは、皮膚に適用するための医薬品有効成分(API)を含有する局所用製品の、より身近な形態のうちのほんの一握りに過ぎない。APIを皮膚内にまたは皮膚を通して着実に送達することが確実であるようにするには、(1)局所用製品の有効期間にわたって溶解したままであること、または(2)局所用製品の有効期間にわたって変わらない晶癖および変わらない粒径分布を有する粒子として懸濁したままであること、のいずれでなければならない。
【0005】
[0005]一般に、局所用製品からの薬物の最も着実な皮膚透過は、有効成分が製剤中に溶解しているときに生じる。この理由のため、製剤者は一般に、ラベルに示される保管指示書に従って保管する間に有効成分の粒子または結晶が沈殿すると見込まれる局所用製品を開発することを回避する。有効成分の沈殿は、様々な理由で生じ得る。特定の有効成分は、特定の医薬賦形剤と共に製剤化されると過飽和溶液を形成しがちである。製造時に、有効成分のすべては溶液中にある。数日、数週間、または数ヶ月後に、この準安定な局所用製品は平衡化し、有効成分の粒子が形成する。理由の如何にかかわらず、溶解した有効成分しか無傷の角質層(皮膚の上皮の最外層)内に浸透することができないため、局所用製品の保管中の有効成分の不可逆的な沈殿は、局所用製品のバイオアベイラビリティおよび効力に深刻な影響を及ぼす可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本発明は、SHR0302を含む、改善された局所用製剤に関する。本発明の発明者らは、医薬品有効成分(「API」)の結晶化しやすさの減少を示すSHR0302の安定な医薬組成物を製造した。本発明の医薬組成物は、管理室温で6、12、または18ヶ月間間安定であり得る。ある特定の実施形態では、本発明の発明者らは、約4.6未満のpHを有するSHR0302(ARQ-250としても知られる)の製剤が、改善された安定性を有し、APIの結晶形成を示さないという驚くべき発見を為した。代替的に、ある特定の実施形態では、本発明の発明者らは、約20%~約30%のジメチルスルホキシドを有するSHR0302の製剤が、改善された安定性を有し、APIの結晶形成を示さないという驚くべき発見を為した。改善されたSHR0302の製剤は、上文の問題に対処し、許容される市販品有効期間を示し、長期保管後にAPIの効力の喪失を示さない。
【0007】
[0007]本発明のある特定の実施形態では、局所用医薬組成物が提供される。該局所用医薬組成物は、医薬的有効量のSHR0302を含み、該医薬組成物は、4.6未満のpHを有する。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約3.8~約4.6の間のpHを有する。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約3.8~約4.2の間のpHを有する。
【0008】
[0008]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/wの量でSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、ラウレス-4をさらに含む。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、ラウレス-4を約0.5~約5%w/wの量で含む。
【0009】
[0009]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される。
【0010】
[00010]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、管理室温で少なくとも6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、12ヶ月間、または18ヶ月間安定である。
【0011】
[00011]別の実施形態では、医薬的有効量のSHR0302およびラウレス-4を含む局所用医薬組成物が提供される。該医薬組成物は、4.6未満のpHを有する。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約3.8~約4.6の間のpHを有する。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約3.8~約4.2の間のpHを有する。
【0012】
[00012]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、SHR0302を約0.1~約1.0%w/wの量で含む。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、ラウレス-4をさらに含む。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、ラウレス-4を約0.5~約5%w/wの量で含む。
【0013】
[00013]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される。
【0014】
[00014]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、管理室温で少なくとも6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、12ヶ月間、または18ヶ月間安定である。
【0015】
[00015]別の実施形態では、医薬的有効量のSHR0302を含む局所用医薬組成物が提供される。該局所用医薬組成物は、ジメチルスルホキシド、ラウレス-4、ブチルヒドロキシトルエン、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、シクロメチコン、ジメチコン、ST-Elastomer 10、Pemulen TR 1、Carbopol 974P、およびpH調整剤のうちの1種以上をさらに含む。該局所用医薬組成物は、4.6未満のpHを有する。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約3.8~約4.6の間のpHを有する。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約3.8~約4.2の間のpHを有する。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物はクリームである。
【0016】
[00016]ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/wの量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約20%~約40%w/wの量のジメチルスルホキシドを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のラウレス-4を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.01%~約5%w/wの量のブチルヒドロキシトルエンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のベンジルアルコールを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~約20%w/wの量のプロピレングリコールを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~約20%w/wの量のポリエチレングリコール200を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~約10%w/wの量のシクロメチコンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のジメチコンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のST-Elastomer 10を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/wの量のPemulen TR 1を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1~約1.5%w/wの量のCarbopol 974Pを含む。
【0017】
[00017]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、管理室温で少なくとも6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、12ヶ月間、または18ヶ月間安定である。
【0018】
[00018]別の実施形態では、医薬的有効量のSHR0302を含む局所用医薬組成物が提供される。該局所用医薬組成物は、N-メチル-2ピロリドン、ラウレス-4、ブチルヒドロキシトルエン、メチルパラベン、プロピルパラベン、Crodafos CES、パルミチン酸イソプロピル、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、pH調整剤、およびキサンタンガムのうちの1種以上をさらに含む。該局所用医薬組成物は、4.6未満のpHを有する。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約3.8~約4.6の間のpHを有する。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約3.8~約4.2の間のpHを有する。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物はクリームである。
【0019】
[00019]ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/wの量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約15%~約40%w/wの量のN-メチル-2ピロリドンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のラウレス-4を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.01%~約5%w/wの量のブチルヒドロキシトルエンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.01%~約5%w/wの量のメチルパラベンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.01%~約5%w/wの量のプロピルパラベンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~約20%w/wの量のCrodafos CESを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約1%~約10%w/wの量のパルミチン酸イソプロピルを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約1%~約10%w/wの量の白色ワセリンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~20%w/wの量のプロピレングリコールを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~20%w/wの量のポリエチレングリコール200を含む。
【0020】
[00020]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、管理室温で少なくとも6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、12ヶ月間、または18ヶ月間安定である。
【0021】
[00021]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、医薬的有効量のSHR0302および約20%~約30%のジメチルスルホキシドを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約25%のジメチルスルホキシドを含み得る。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1%~約1.0%w/wの量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物はラウレス-4を含み、それは約0.5~約5%w/wの量で存在し得る。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、管理室温で少なくとも6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、12ヶ月間、または18ヶ月間安定である。
【0022】
[00022]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、医薬的有効量のSHR0302、約20%~約27%のジメチルスルホキシド、および約0.5%~約5%のラウレス-4を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約25%のジメチルスルホキシドを含み得る。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1%~約1.0%w/wの量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、管理室温で少なくとも6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、12ヶ月間、または18ヶ月間安定である。
【0023】
[00023]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、管理室温で12ヶ月間安定な医薬的有効量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約20%~約27%のジメチルスルホキシドを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、ラウレス-4を、約0.5%~約5%のラウレス-4の量でさらに含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1%~約1.0%w/wの量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、クリーム、ローション、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、フォーム、スプレー、ゲル、親水性軟膏、または疎水性軟膏からなる群から選択される。
【0024】
[00024]本明細書に組み込まれ、本開示の一部を形成する添付の図面は、本発明の様々な実施形態を説明するのを助け、当業者が本明細書に開示される実施形態を作製および使用することができるように、記載と一緒に本発明を説明する役割をさらに果たす。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】[00025]リン酸緩衝系におけるpHの関数としてのSHR0302(ARQ-250としても知られる)の水中濃度(μg/mL)を示す図である。その結果は、pHレベルが増加するにつれてSHR0302の水への溶解性が減少することを示す。
図2】[00026]リン酸およびクエン酸緩衝系におけるpHの関数としてのSHR0302(ARQ-250としても知られる)の水中濃度(μg/mL)を示す図である。その結果は、pHレベルが増加するにつれてSHR0302の水への溶解性が減少することを示す。
図3】[00027]ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302製剤を比較したIVPTの結果を示す図である。X軸は時間(時)を表し、Y軸はレセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)を表す。その結果から、ラウレス-4を添加すると、SHR0302およびDMSOを含有する製剤における皮膚浸透作用が有意に強化されることが示される。
図4】[00028]様々な濃度のキサンタンガムおよびラウレス-4を含む3つの例示的なSHR0302製剤を比較したIVPTの結果を示す図である。X軸は時間(時)を表し、Y軸はレセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)を表す。その結果から、ラウレス-4を添加すると、SHR0302およびNMPを含有する製剤における皮膚浸透作用が有意に強化されることが示される。
図5】[00029]ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302製剤を比較したIVPTの結果を示す図である。X軸は時間(時)を表し、Y軸はレセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)を表す。その結果から、ラウレス-4を添加すると、SHR0302を含有する製剤において皮膚浸透作用が有意に強化されることが示される。
図6】[00030]ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302製剤を比較したIVPTの結果を示す図である。X軸は時間(時)を表し、Y軸はレセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)を表す。その結果から、ラウレス-4を添加すると、SHR0302を含有する製剤において皮膚浸透作用が有意に強化されることが示される。
図7】[00031]ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302製剤を比較したIVPTの結果を示す図である。X軸は時間(時)を表し、Y軸はレセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)を表す。その結果から、ラウレス-4を添加すると、SHR0302を含有する製剤において皮膚浸透作用が有意に強化されることが示される。
図8】[00032]ラウレス-4を含むおよび含まない例示的なSHR0302製剤を比較したIVPTの結果を示す図である。X軸は時間(時)を表し、Y軸はレセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)を表す。その結果から、ラウレス-4を添加すると、SHR0302を含有する製剤において皮膚浸透作用が有意に強化されることが示される。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[00033]本発明を以下に詳述する前に、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル、および試薬は変動し得るために、本発明がこれらに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することを目的とするに過ぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0027】
[00034]本明細書に引用されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、別段の記載がない限り、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。同じ用語が、参照により本明細書に組み込まれる刊行物、特許、または特許出願、および本開示に定義される場合、本開示における定義が支配的な定義を表す。特定のタイプの化合物、化学などを記載するために参照される刊行物、特許、および特許出願の場合、そのような化合物、化学などに関する部分が、参照により本明細書に組み込まれる文献の部分である。
【0028】
[00035]本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上そうでないことが明らかに示されない限り、複数の指示物を含むことに留意されたい。よって、例えば、「有効成分」は、単一の成分および2種以上の異なる成分を含み、「溶媒」は、単一の溶媒および2種以上の異なる溶媒または溶媒の複合混合物を指し、「硫酸塩」は、単一の硫酸塩ならびに2種以上の異なる硫酸塩を含む。
【0029】
[00036]数値に関連して使用される場合の「約」という用語は、示された数値より5%小さい下限および示された数値より5%大きい上限を有する範囲内の数値を包含することを意味する。
【0030】
[00037]「有効な」という用語は、ある量の化合物、薬剤、物質、製剤、または組成物であって、病徴の重症度の減少、病徴のない期間の頻度および持続期間の増加、または疾患に起因する機能障害または能力障害の防止をもたらすのに十分な分量のものを指す。その量は、単回投与としてのものであっても、または複数回投与レジメンによるものであってもよく、単独であっても、または他の化合物、薬剤、もしくは物質と組み合わせたものであってもよい。当業者であれば、対象のサイズ、対象の症状の重症度、および選択された特定の組成物または投与経路などの因子に基づいてそのような量を決定することができるであろう。
【0031】
[00038]「医薬的に許容される」とは一般に、ヒトまたは動物への投与に安全であることを意味する。好ましくは、医薬的に許容される構成成分は、連邦政府もしくは州政府の規制当局によって承認されているもの、またはUnited States Pharmacopeial Convention,Inc.(Rockville Md)によって出版される米国薬局方、もしくは動物、より詳細にはヒトにおける使用に一般に認められる他の薬局方に列挙されるものである。
【0032】
[00039]本発明による「医薬組成物」は、異なる有効成分ならびに希釈剤および/もしくは担体が互いに混合された組成物の形態で存在してもよいし、または有効成分が部分的にもしくは完全に別個の形態で存在する組み合わせ調製物の形態を取ってもよい。そのような組み合わせまたは組み合わせ調製物の例はキットオブパーツである。
【0033】
[00040]「医薬的有効量」または「治療的有効量」は、意図された目的を達成するのに十分な医薬品または治療剤の量である。所与の治療剤の有効量は、該薬剤の性質、投与経路、治療剤を受ける対象のサイズ、および投与の目的などの因子によって変動するであろう。個々の場合における有効量はそれぞれ、当業者によって、当技術分野で確立された方法に従って経験的に決定することができる。
【0034】
[00041]「SHR0302」または「ARQ-250」という用語は、(3aR,5S,6aS)-N-(3-メトキシル-1,2,4-チアジアゾール-5-イル)-5-(メチル(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキサミドおよびその塩を指す。例えば、SHR0302には、米国特許第9,422,300号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される、SHR0302の硫酸水素塩が含まれる。
【0035】
[00042]本明細書で使用される場合、「対象」または「患者」という用語は、最も好ましくはヒトを指す。「対象」または「患者」という用語は、本明細書に記載の化合物から利益を得ることができる任意の哺乳動物を含んでもよい。
【0036】
[00043]薬物または組成物の投与に関する「局所」という用語は、そのような薬物または組成物の、皮膚または角膜を含めた体の外部の上皮表面への適用を指す。この適用に関して、口、鼻、または耳などの体の開口部内部への適用は局所適用とは見なされない。
【0037】
[00044]本明細書で使用される場合、疾患または障害を「治療する」、「治療すること」、またはそれらの「治療」とは、以下のうちの1つ以上を成し遂げることを意味する:(a)障害の重症度および/または持続期間を低減させること;(b)治療されている障害(複数可)に特徴的な症状の発症を制限または予防すること;(c)治療されている障害(複数可)に特徴的な症状の悪化を抑制すること;(d)障害(複数可)を以前に有していた患者においてその障害(複数可)の再発を制限または予防すること;ならびに(e)障害(複数可)に関して以前に症状があった患者において症状の再発を制限または予防すること。
【0038】
[00045]「w/w」という略語は、組成物中の構成成分の相対濃度を、体積または他の分量に基づくのではなく「重量に対する重量」として表す(すなわち、百分率は総質量の百分率を指す)。
【0039】
[00046]本発明は、SHR0302を含む、改善された局所用製剤に関する。本発明の発明者らは、許容される市販品有効期間を示すことができ、長期保管後にAPIの効力の喪失を示さない、SHR0302を含む安定な局所用製剤を開発した。
【0040】
[00047]ある特定の実施形態では、本発明の発明者らは、約4.6以上のpH値を有するSHR0302の局所用医薬組成物は、APIの結晶化しやすさが増大し得ることを発見した。ある特定の実施形態では、本発明の発明者らは、約4.6未満のpHを有するSHR0302の製剤は、改善された安定性を有し、APIの結晶形成を示さないという驚くべき発見を為した。
【0041】
[00048]ある特定の実施形態では、本発明の発明者らは、約30%未満のジメチルスルホキシドを含むSHR0302の局所用医薬組成物は、改善された安定性を有し、APIの結晶形成を示さないことを発見した。ある特定の実施形態では、SHR0302の局所用医薬組成物は、約20%~約27%のジメチルスルホキシドを含むことができる。ある特定の実施形態では、SHR0302の局所用医薬組成物は、約25%のジメチルスルホキシドを含むことができる。
【0042】
[00049]ヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK阻害剤)は、JAKファミリー(例えば、JAK1、JAK2、JAK3、またはTyk2)における1つ以上の酵素の活性を阻害することによって機能する一群の化合物である。これらの化合物は、免疫系機能に中心的な役割を果たすJAK-STATシグナル伝達経路に干渉することによって作用すると考えられている。多くの炎症性サイトカインおよび他のシグナル伝達分子が、JAK経路、具体的にはJAK1に依存する。JAK1を阻害すると、関節リウマチ、乾癬、クローン病、および湿疹を含めた様々な炎症性疾患が治療されることが示されることが、以前に示されている。炎症性の皮膚状態の治療のためのJAK阻害剤の局所用製剤を開発することに、特に関心が寄せられている。
【0043】
[00050]好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、SHR0302またはARQ-250としても知られる、JAK1阻害剤である(3aR,5S,6aS)-N-(3-メトキシル-1,2,4-チアジアゾール-5-イル)-5-(メチル(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)アミノ)ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-カルボキサミドを含む。該医薬組成物は、SHR0302を遊離塩基または医薬的に許容される塩として含むことができる。医薬的に許容される適切な塩は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company(1985)(参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、SHR0302の亜硫酸水素塩を含む。SHR0302の構造は、以下の通りである:
【0044】
【化1】
【0045】
[00051]SHR0302は、JAK2よりJAK1に高い選択性を有することが示されているJAK1の強力な低分子阻害剤であり、よってJAK2の阻害に関連する造血性有害作用、例えば、貧血、血小板減少症、および好中球減少を引き起こすことなく炎症性疾患を治療する可能性を有する。SHR0302を含む局所用製剤は、限定するものではないが、アトピー性皮膚炎、酒さ、乾癬、脂漏性皮膚炎、白斑、湿疹、および円形脱毛症を含めた、炎症性皮膚疾患、障害、および状態の治療に有効であり得ることが企図される。
【0046】
[00052]該医薬組成物は、医薬的有効量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、SHR0302は、約0.01%w/w~約7.5%w/w、または約0.01%w/w~約5%w/w、または約0.1%w/w~約3%w/w、または約0.01~約1.0%w/w、または約0.05~約1.0%w/w、または約0.1~約1.0%w/w、または約0.1~約0.6%w/w、または約0.1~約0.5%w/wの量で存在する。例えば、該局所用製剤は、以下のw/wパーセント:0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4.0%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、5.0%などのいずれかのSHR0302を含む。
【0047】
[00053]SHR0302の医薬組成物は、約4.6未満のpHを有する。ある特定の実施形態では、SHR0302の医薬組成物は、約4.6未満、約4.5未満、約4.4未満、約4.3未満、約4.2未満、約4.1未満、または約4.0未満のpHを有する。ある特定の実施形態では、SHR0302の医薬組成物は、約3.5~約4.6の間、約3.8~約4.6の間、約4.0~約4.6の間、約3.8~約4.2の間、約4.0~約4.6の間、約4.2~約4.6の間、約4.3~約4.6の間、または約4.4~約4.6の間のpHを有する。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、または4.6のpHを有するように製剤化される。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約4.0のpHを有するように製剤化される。
【0048】
[00054]ある特定の実施形態では、本出願の発明者らは、4.6を上回るpHで製剤化された医薬組成物では、SHR0302が意外なことに結晶化することを発見した。さらに、本出願の発明者らは、5.2を上回るpHで製剤化されたSHR0302の組成物が、APIの効力の喪失および低減した生物活性を示す可能性があることを発見した。上記の範囲内のpHを有するSHR0302の医薬組成物は、改善された安定性および有効期間、ならびにAPIの結晶形成しやすさの低減を示すことができる。SHR0302の医薬製剤は、許容される市販品有効期間を示すことができ、長期保管後にAPIの効力の喪失を示さない。
【0049】
[00055]ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、管理室温(すなわち、20~25℃)で少なくとも6ヶ月間安定である。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、管理室温で少なくとも12ヶ月間安定である。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、管理室温で少なくとも18ヶ月間安定である。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、30℃で少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、または少なくとも18ヶ月間安定である。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、40℃で少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、または少なくとも18ヶ月間安定である。
【0050】
[00056]ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、管理室温での6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、12ヶ月、または18ヶ月の保管後に、APIの結晶形成を示さないことが可能である。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、30℃での6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、12ヶ月、または18ヶ月の保管後に、APIの結晶形成を示さないことが可能である。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、40℃での6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、12ヶ月、または18ヶ月の保管後に、APIの結晶形成を示さないことが可能である。
【0051】
[00057]ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、ラウレス-4(CAS番号5274-68-0)を含み、ラウレス-4は、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル、3,6,9,12-テトラオキサテトラコサン-1-オール、ラウリルアルコールトリ(オキシエチレン)エタノール、PEG-4ラウリルエーテル、ポリエチレングリコール200ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、およびテトラエチレングリコールドデシルエーテルとしても知られる。該化合物は、分子式C2042を有し、362.5g/molの分子量を有する。ラウレス-4は、化粧品、シャンプー、石鹸、脱臭剤、および保湿製品を含めた幾つかのパーソナルケア製品における界面活性剤および乳化剤として汎用される合成ポリマーである。ラウレス-4は、本発明の局所用製剤における皮膚浸透エンハンサーとして作用し得る。ある特定の実施形態では、ラウレス-4は、約0.05~約8.0%w/w、約0.1~約6.0%w/w、約0.5~約5.0%w/w、約1.0~約4.0%w/w、または約2.0~約4.0%w/wの量で存在する。ある特定の実施形態では、ラウレス-4は、約0.05%w/w、0.10%w/w、0.15%w/w、0.20%w/w、0.25%w/w、0.50%w/w、0.75%w/w、1.0%w/w、1.25%w/w、1.50%w/w、1.75%w/w、2.0%w/w、2.25%w/w、2.50%w/w、2.75%w/w、3.0%w/w、3.25%w/w、3.50%w/w、3.75%w/w、4.0%w/w、4.25%w/w、4.50%w/w、4.75%w/w、5.0%w/w、5.25%w/w、5.50%w/w、5.75%w/w、または6.0%w/wの量で存在する。
【0052】
[00058]ある特定の実施形態では、本出願の発明者らは、高濃度のジメチルスルホキシド(DMSO)を用いて製剤化された医薬組成物では、SHR0302が意外なことに結晶化することも発見した。さらに、本出願の発明者らは、約30%未満のジメチルスルホキシドを含むSHR0302の医薬組成物が、改善された安定性を有し、APIの結晶形成を示さないことを発見した。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。ある特定の実施形態では、DMSOは、約5%~約30%w/w、約10%~約30%w/w、約10%~約27%w/w、約10%~約25%、約15%~約30%w/w、約15%~約27%w/w、約15%~約25%w/w、約20%~約30%w/w、約20%~約27%w/w、または約20%~約25%w/wの量で存在する。ある特定の実施形態では、DMSOは、約5%w/w、7.5%w/w、10%w/w、12.5%w/w、15%w/w、17.5%w/w、20%w/w、21%w/w、22%w/w、22.5%w/w、23%w/w、24%w/w、25%w/w、26%w/w、27%w/w、27.5%w/w、28%w/w、29%w/w、または30%w/wの量で存在する。ある特定の実施形態では、DMSOは、約20%、25%、または30%w/wの量で存在する。
【0053】
[00059]好ましくは、本発明の局所用製剤は、以下の形態のうちの1つである:
[00060]水中油型エマルジョン:製品は、疎水性構成成分の不連続相と、水、ならびに任意選択により1種以上の極性親水性賦形剤ならびに溶媒、共溶媒、塩、界面活性剤、乳化剤、および他の構成成分を含む連続水性相とを含むエマルジョンであってもよい。これらのエマルジョンは、エマルジョンの安定化を助ける水溶性または水膨潤性ポリマーを含んでもよい。
【0054】
[00061]油中水型エマルジョン:組成物は、疎水性構成成分の連続相と、水、ならびに任意選択により1種以上の極性親水性担体(複数可)、ならびに塩または他の構成成分を含む水性相とを含むエマルジョンであってもよい。これらのエマルジョンは、油溶性または油膨潤性ポリマー、ならびにエマルジョンの安定化を助ける1種以上の乳化剤(複数可)を含んでもよい。
【0055】
[00062]親水性または疎水性軟膏:組成物は、疎水性基剤(例えば、ワセリン、水不溶性の濃化またはゲル化油など)と共に製剤化され、任意選択により少量の水溶性相を有する。親水性軟膏は一般に、1種以上の界面活性剤または湿潤剤を含有する。
【0056】
[00063]マイクロエマルジョン:これらは、油、水、および界面活性剤を、多くの場合共界面活性剤と合わせて含有する、透明で、熱力学的に安定な等方性液体系である。マイクロエマルジョンは、水連続、油連続、または両連続混合物であってもよい。製剤は、任意選択により60重量%までの水も含有してもよい。組成物によっては、レベルが高い方が適している場合がある。
【0057】
[00064]ナノエマルジョン:これらは、水、油、および乳化剤を含有する等方性分散系である。この系は、水性系に分散した油性系であっても、または油性系に分散した水性系であってもよく、ナノメートルサイズの液滴もしくは油性相を形成する。ナノエマルジョンは、マイクロエマルジョンより高い親油性有効成分の担持能を有することが多い。疎水性および親水性有効成分は、ナノエマルジョンにも製剤化することもできる。ナノエマルジョンは、高圧均質化、顕微溶液化、および転相温度を含めた、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって形成されてもよい。
【0058】
[00065]エアロゾルフォームまたはスプレー:製品は、乳化ろうを含有するアルコール/溶媒ベースの溶液であってもよく、または疎水性構成成分の不連続相と、水、ならびに任意選択により1種以上の極性親水性賦形剤ならびに溶媒、共溶媒、界面活性剤、乳化剤、および他の構成成分を含む連続水性相とを含むエマルジョンであってもよい。これらの溶媒またはエマルジョンのフォーム濃縮物は、エマルジョンの安定化を助ける水溶性また水膨潤性ポリマー、および製剤とパッケージの間の適合性を改善するための腐食防止剤を含んでもよい。フォームまたはスプレー製品を適量ずつ出して適用するまで圧力を維持するように設計されたパッケージングにおいて、炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)またはクロロフルオロカーボン(CFC)エアロゾル噴射剤を溶媒またはエマルジョンのフォーム濃縮物に添加することができる。
【0059】
[00066]ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、以下の賦形剤のうちの1種以上を含有することができる。
【0060】
[00067]溶媒
[00068]本発明による組成物は、皮膚透過または製剤に含有される他の賦形剤の活性を改変する1種以上の溶媒または共溶媒を含んでもよい。溶媒として、限定するものではないが、アセトン、エタノール、ベンジルアルコール、ブチルアルコール、セバシン酸ジエチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルイソソルビド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、N-メチルピロリドン(N-methyl pyrrolidione)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 200)、グリセロール、プロピレングリコール、およびSDアルコールが挙げられる。
【0061】
[00069]界面活性剤
[00070]本発明による組成物は、1種以上の界面活性剤または共界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤として、限定するものではないが、短鎖アルコール、アルカンジオールおよびトリオール、リン酸アルキルエステル、ポリエチレングリコールおよびグリコールエーテル、ポリエチレンステアリルエーテル(Brij S2、Brij S20、Brij 721、Brij 38、Brij 52、Brij 56、およびBrij W1の商標名で販売されるものが挙げられる)、ピロリジン誘導体、胆汁酸塩、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0062】
[00071]高分子乳化剤
[00072]本発明に使用するための組成物は、1種以上の高分子乳化剤を含んでもよい。高分子乳化剤として、アリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸とC10~30アルキルアクリレートとの高分子量のコポリマーを挙げることができる。本発明の方法で使用するのに特に適した高分子乳化剤として、Pemulen(商標)TR-1およびPemulen(商標)TR-2 NFを含めた、Pemulen(商標)という商標名で市販され、Lubrizolによって販売されるものが挙げられる。
【0063】
[00073]保湿剤
[00074]本発明による組成物は、水和のレベルを増大させるために1種以上の保湿剤を含んでもよい。保湿剤は、湿潤剤を含めた親水性材料であり得るか、または皮膚軟化剤を含めた疎水性材料であり得る。適切な保湿剤として、限定するものではないが、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200~8000、ステアリン酸ブチル、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルろう、パルミチン酸セチル、カカオ脂、ヤシ油、シクロメチコン、ジメチコン、ドコサノール、エラストマー、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、脂肪酸、イソステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリン、オレイン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ジステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコール、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸、イソステアリルアルコール、ラノリン、鉱油、リモネン、中鎖トリグリセリド、メントール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、オレイン酸オレイル、オリーブ油、パラフィン、ピーナッツ油、ワセリン、Plastibase-50W、ST-Elastomer 10(デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)中の高分子量架橋シリコーン(12%)の混合物)、ポリプロピレングリコールステアリルエーテル、およびステアリルアルコールが挙げられる。
【0064】
[00075]ポリマーおよび増粘剤
[00076]ある特定の用途では、可溶性、膨潤性、もしくは不溶性の有機高分子増粘剤、例えば、天然および合成ポリマー、または無機増粘剤、例えば、アクリレーツコポリマー、カルボマー1382、カルボマーコポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプA、カルボマーホモポリマータイプB、カルボマーホモポリマータイプC、アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー、カルボキシビニルコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、カラギナン、グアーガム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶ろう、およびメチルセルロースで増粘された製品を製剤化することが望ましい場合がある。ある特定の実施形態では、該医薬製剤は、Carbopol 974PまたはCarbomer Homopoylmer Type B USPなどのカルボマーを含み得る。ある特定の実施形態では、該医薬製剤は、Sepineo P600(アクリルアミド(acrylaminde)/アクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー/イソヘキサデカンおよびポリソルベート80)を含み得る。
【0065】
[00077]追加の構成成分
[00078]本発明による組成物は、化粧用および医薬用の局所用製品に従来より見出されている追加の構成成分、例えば、充填剤、担体、および賦形剤と共に製剤化されてもよい。限定するものではないが、消泡剤、防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、ベンジルアルコール、フェニル水銀塩、クロロクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン)、酸化防止剤(例えば、BHT、BHA、アスコルビン酸、トコフェロール、クエン酸、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウム)、金属イオン封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整剤(好ましくは酸性のpHをもたらす薬剤、それらとして、限定するものではないが、グルコノラクトン、クエン酸、乳酸、およびアルファヒドロキシ酸が挙げられる)、皮膚浸透エンハンサー、皮膚保護剤(限定するものではないが、ワセリン、パラフィンろう、ジメチコン、モノイソステアリン酸グリセリン(glyceryl monoisostearate)、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、セチルアルコール、セチルリン酸カリウム、ベヘン酸セチル、およびベヘン酸が挙げられる)、キレート剤、皮膜形成剤、懸濁化剤(例えば、キサンタンガム)、染料、顔料、希釈剤、増量剤、芳香剤、エアロゾル生成剤、および安定性または美観を改善するための他の賦形剤を含めた追加の構成成分が組成物に添加されてもよい。
【0066】
[00079]本発明による組成物は、治療されている状態に応じて追加の活性剤と共に製剤化されてもよい。組み合わせ局所薬物製品のための例示的な追加の活性剤として、副腎皮質ステロイド(例えば、クロベタゾール、ベタメタゾン、ハロベタソール、またはトリアムシノロン)、ベータアドレナリン(beta andrenergic)拮抗薬(例えば、チモロール)、カルシニューリン阻害剤(例えば、タクロリムス、またはピメクロリムス)、メトトレキサート、またはシクロスポリンが挙げられる。
【0067】
[00080]製剤例
[00081]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、医薬的有効量のSHR0302、ラウレス-4、およびジメチルスルホキシドを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/wの量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のラウレス-4を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約20%~約27%w/wの量のジメチルスルホキシドを含む。
【0068】
[00082]ある特定の実施形態では、該局所用医薬組成物は、医薬的有効量のSHR0302と、ジメチルスルホキシド、ラウレス-4、ブチルヒドロキシトルエン、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、シクロメチコン、ジメチコン、ST-Elastomer 10、Pemulen TR 1、Carbopol 974P、およびpH調整剤のうちの1種以上とを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/wの量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約20%~約40%w/wの量のジメチルスルホキシドを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のラウレス-4を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.01%~約5%w/wの量のブチルヒドロキシトルエンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のベンジルアルコールを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~約20%w/wの量のプロピレングリコールを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~約20%w/wの量のポリエチレングリコール200を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~約10%w/wの量のシクロメチコンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のジメチコンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のST-Elastomer 10を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/wの量のPemulen TR 1を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1~約1.5%w/wの量のCarbopol 974Pを含む。
【0069】
[00083]別の例示的な実施形態では、該局所用医薬組成物は、医薬的有効量のSHR0302と、N-メチル-2ピロリドン、ラウレス-4、ブチルヒドロキシトルエン、メチルパラベン、プロピルパラベン、Crodafos CES、パルミチン酸イソプロピル、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、pH調整剤、およびキサンタンガムのうちの1種以上とを含む。Crodafos CESは、セテアリルアルコール、リン酸ジセチル、およびセテス-10リン酸の乳化剤ブレンドであり、Crodaによって製造される。Crodafos(商標)CES PHARMAは、同じ出発物質およびプロセスを使用して製造されるが、強化された品質管理およびリリース試験を受けており、医薬賦形剤を命名する標準的な慣行に沿って、セテアリルアルコール、セテアリルリン酸、およびセテアレス-10リン酸という名称を使用している。この市販される乳化剤ブレンドは、ろう様材料であるセテアリルアルコール(セチルアルコール(C1634O)とステアリルアルコール(C1838O)との混合物)を主として、10~20%のリン酸ジセチル(セテアリルリン酸)および10~20%のセテス-10リン酸(セテアレス-10リン酸)を組み合わせた自己乳化ろうである。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.1~約1.0%w/wの量のSHR0302を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約15%~約40%w/wの量のN-メチル-2ピロリドンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.5%~約5%w/wの量のラウレス-4を含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.01%~約5%w/wの量のブチルヒドロキシトルエンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.01%~約5%w/wの量のメチルパラベンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約0.01%~約5%w/wの量のプロピルパラベンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~約20%w/wの量のCrodafos CESを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約1%~約10%w/wの量のパルミチン酸イソプロピルを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約1%~約10%w/wの量の白色ワセリンを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~20%w/wの量のプロピレングリコールを含む。ある特定の実施形態では、該医薬組成物は、約5%~20%w/wの量のポリエチレングリコール200を含む。
【0070】
[00084]投与および投与量
[00085]本発明による組成物は、限定するものではないが、皮膚(局所)、経皮、および粘膜を含めた任意の適切な投与経路によって投与することができる。好ましい実施形態では、該組成物は、局所的に投与される。該組成物は、1ヶ月当たり1回以上、1週間当たり1回以上、または1日当たり1回以上投与することができる。好ましい実施形態では、該組成物は、1日当たり1回、2回、または3回投与される。
【0071】
[00086]ある特定の実施形態では、本明細書に開示されるラウレス-4を含む局所用製剤は、改善された皮膚透過をもたらすことができる。米国特許出願第17/443,699号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、ラウレス-4を含む医薬組成物は、in vitro透過試験(IVPT)によって測定したときに、ラウレス-4を含まない同じ局所用製剤と比較して皮膚透過の5倍~30倍の増大をもたらすことができる。好ましい実施形態では、ラウレス-4を含有する局所用製剤は、ラウレス-4を含まない同じ局所用製剤と比較して5倍超、8倍超、10倍超、15倍超、または20倍超の皮膚透過の増大をもたらす。
【実施例
【0072】
[00087]様々な実施形態を本明細書で説明してきたが、それらは例として提示されたに過ぎず、限定するものではないことが理解されるべきである。よって、本開示の広さおよび範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。さらにまた、そのすべての可能な変形における上記の要素のいずれの組み合わせも、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、本開示に包含される。
【0073】
[00088]実施例1
[00089]表1に記載する医薬組成物(製剤A)の単一のバッチを調製した。バッチのpHは、4.31である最初のpHから6.53である最後のpHまで漸増的に増加させた。異なるpHを有する各繰り返しで試料を採取した。
【0074】
【表1】
【0075】
[00091]異なるpHを有する表1中の製剤の試料の各々を使用して安定性試験を行った。各試料の安定性を、管理室温、30℃、および40℃で最大12ヶ月間観察した。最初の調製後、およびその後最大12ヶ月間の各月後に(すなわち、0(最初)、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、および12ヶ月の時点で)、試料を結晶の存在について調査した。具体的には、結晶が存在するかどうかを評価するために、一体型ライトを有する拡大鏡を用いて試料を目視で検査した。検査は非破壊的であったために、同じ試料を検査に使用した。スパチュラを使用して検査中に各試料を掻き混ぜた。検査はバイアルのすべての深さで行った。
【0076】
[00092]安定性試験の結果を以下の表2(0~6ヶ月間のデータ)および表3(7~12ヶ月間のデータ)に記載する。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
[00095]表2および3に示されるように、製剤の安定性は、pHが増加するにつれて減少した。4.31、4.39、および4.57のpHで製剤化された医薬組成物は、試験期間(すなわち、12ヶ月)の間、管理室温または30℃でいずれの結晶形成も示さなかった。さらに、これらの医薬組成物は、11ヶ月間、40℃でいずれの結晶形成も示さなかった。
【0080】
[00096]本出願の発明者らはまた、4.6以上のpHを有する製剤において中間および/または加速条件下でアッセイの損失による効力の喪失を観察した。4.6以下のpHを有するバッチはいずれも、アッセイの損失による効力の喪失を示すことが見出されなかった。
【0081】
[00097]実施例2
[00098]表1に記載される組成物と同様であるが4%のラウレス-4を含む第1の医薬組成物の単一のバッチを調製した(製剤B)。製剤BのバッチのpHは、4.57である最初のpHから6.59である最後のpHまで漸増的に増加させた。異なるpHを有する各繰り返しで試料を採取した。
【0082】
[00099]表1に記載される組成物と同様であるが4%のラウレス-4および30%のジメチルスルホキシド(DMSO)の代わりに25%のジメチルスルホキシド(DMSO)を含む第2の医薬組成物の単一のバッチを調製した(製剤C)。製剤CのバッチpHは、4.45である最初のpHから6.61である最後のpHまで漸増的に増加させた。異なるpHを有する各繰り返しで試料を採取した。
【0083】
[000100]異なるpHを有する製剤Bおよび製剤Cの試料の各々を使用して安定性試験を行った。各試料の安定性を、管理室温、30℃、および40℃で最大12ヶ月間観察した。最初の調製後、およびその後最大8ヶ月間の各月後に(すなわち、0(最初)、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、および12ヶ月の時点で)、試料を結晶の存在について調査した。具体的には、結晶が存在するかどうかを評価するために、一体型ライトを有する拡大鏡を用いて試料を目視で検査した。検査は非破壊的であったために、同じ試料を検査に使用した。スパチュラを使用して検査中に各試料を掻き混ぜた。検査はバイアルのすべての深さで行った。
【0084】
[000101]安定性試験の結果を、製剤Bについては以下の表4(0~6ヶ月間のデータ)および5(7~12ヶ月間のデータ)に、製剤Cについては表6(0~6ヶ月間のデータ)および7(7~12ヶ月間のデータ)に記載する。
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
[000106]表4~7に示されるように、25%のDMSOを含む製剤(製剤C)の安定性は、30%のDMSOを含む製剤に対して改善された(製剤B)。pH6.61を除くすべてのpH値で製剤化された製剤Cは、試験の最初の7ヶ月間、管理室温でいずれの結晶形成も示さなかった。さらにまた、5.55以下のすべてのpH値で製剤化された製剤Cは、試験の最初の8ヶ月間、管理室温でいずれの結晶形成も示さなかった。さらに、すべてのpH値で製剤化された製剤Cは、試験の最初の6ヶ月間、30℃または40℃でいずれの結晶形成も示さなかった。
【0090】
[000107]実施例3
[000108]医薬組成物の5つの異なるバッチを調製した。製剤Bと同様であるがEDTAを含まずSepineo P600を含む第1の医薬組成物の単一のバッチを調製した(製剤D)。製剤Dと同様であるがSHR0302の硫酸塩の代わりにSHR0302の遊離塩基を含む第2の医薬組成物の単一のバッチを調製した(製剤E)。製剤Bと同様であるがEDTAを含まない第3の医薬組成物の単一のバッチを調製した(製剤F)。製剤Fと同様であるがSHR0302の硫酸塩の代わりにSHR0302の遊離塩基を含む第4の医薬組成物の単一のバッチを調製した(製剤G)。製剤Cと同様であるがEDTAを含まず、SHR0302の硫酸塩の代わりにSHR0302の遊離塩基を含む第5の医薬組成物の単一のバッチを調製した(製剤H)。製剤D、E、F、G、およびHのバッチpHは、以下の表8~17に記載するように漸増的に増加させた。異なるpHを有する各繰り返しで試料を採取した。
【0091】
[000109]異なるpHを有する製剤D、E、F、G、およびHの試料の各々を使用して安定性試験を行った。各試料の安定性を、管理室温、30℃、および40℃で最大9ヶ月間観察した。最初の調製後、およびその後最大9ヶ月間の各月後に(すなわち、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、および9ヶ月の時点で)、試料を結晶の存在について調査した。具体的には、結晶が存在するかどうかを評価するために、一体型ライトを有する拡大鏡を用いて試料を目視で検査した。検査は非破壊的であったために、同じ試料を検査に使用した。スパチュラを使用して検査中に各試料を掻き混ぜた。検査はバイアルのすべての深さで行った。
【0092】
[000110]安定性試験の結果を、以下の表8(製剤Dについての1~4ヶ月のデータ)、表9(製剤Dについての5~9ヶ月のデータ)、表10(製剤Eについての1~4ヶ月のデータ)、表11(製剤Eについての5~9ヶ月のデータ)、表12(製剤Fについての1~4ヶ月のデータ)、表13(製剤Fについての5~9ヶ月のデータ)、表14(製剤Gについての1~4ヶ月のデータ)、表15(製剤Gについての5~9ヶ月のデータ)、表16(製剤Hについての1~4ヶ月のデータ)、および表17(製剤Hについての5~9ヶ月のデータ)に記載する。
【0093】
【表8】
【0094】
【表9】
【0095】
【表10】
【0096】
【表11】
【0097】
【表12】
【0098】
【表13】
【0099】
【表14】
【0100】
【表15】
【0101】
【表16】
【0102】
【表17】
【0103】
[000121]表8~17に示すように、Sepineoを含む製剤は、製剤のpHにかかわらず、Sepineoを含まない製剤より安定性が低いと思われる。
【0104】
[000122]実施例4
[000123]リン酸緩衝液での様々なpH値で、SHR0302の水への溶解性を決定した。図1は、リン酸緩衝系におけるpHの関数としてのSHR0302(ARQ-250としても知られる)の水中濃度(μg/mL)の図を示す。図1は、pHレベルが増加するにつれてSHR0302の水への溶解性が減少することを示している。図1はさらに、pHが低い試料ではSHR0302は溶液中に留まるが、pHが高い試料ではSHR0302の溶解性の問題を有する可能性があることを示唆している。
【0105】
[000124]実施例5
[000125]様々な緩衝系でのpH値の変化で、SHR0302の水への溶解性を決定した。図2は、2つのリン酸緩衝系およびクエン酸緩衝系におけるpHの関数としてのSHR0302の水中濃度(μg/mL)を示す図である。図2は、pHレベルが増加するにつれてSHR0302の水への溶解性が減少することを示している。図2はさらに、pHが低い試料ではSHR0302は溶液中に留まるが、pHが高い試料ではSHR0302の溶解性の問題を有する可能性があることを示唆している。
【0106】
[000126]実施例6
[000127]表18に記載する医薬組成物を調製した:
【0107】
【表18】
【0108】
[000129]実施例7
[000130]ラウレス-4を含むおよび含まないプロトタイプSHR0302製剤を比較するIVPTの結果は、皮膚採取器によって500ミクロンの目標厚さに切除されたヒト死体皮膚を使用し、それは米国の組織バンクから凍結して受け取り、使用まで-20℃で保管されたものである。皮膚を、0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%ウシ血清アルブミン(BSA)3.0mlを満たしたレセプターチャンバーを有する垂直型フランツセル上に装填した。容積式ピペットを使用して、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートル当たり10mg)。レセプター液中の有効物質の出現(4回の反復の平均)を、LC/MS/MSを使用して決定した。
【0109】
[000131]この実験の結果(レセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)として報告される)を表19に示し、図3に表す。DMSOを含有する局所用製剤にラウレス-4を添加すると、ラウレス-4を含まないほとんど同一の製剤と比較して、皮膚浸透の驚くべき顕著な増大が示された。これらの結果は、局所用製剤における皮膚浸透エンハンサーとしてのラウレス-4の効力を実証するものである。IVPT試験のために製剤化した実施例4からの製剤#1および#2は、5.5~5.9のpHで製剤化した。
【0110】
【表19】
【0111】
[000133]実施例8
[000134]表20に記載する医薬組成物を調製した:
【0112】
【表20】
【0113】
[000136]実施例9
[000137]プロトタイプSHR0302製剤を比較するIVPTの結果は、皮膚採取器によって500ミクロンの目標厚さに切除されたヒト死体皮膚を使用し、それは米国の組織バンクから凍結して受け取り、使用まで-20℃で保管されたものである。皮膚を、0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%BSA3.0mlを満たしたレセプターチャンバーを有する垂直型フランツセル上に装填した。容積式ピペットを使用して、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートル当たり10mg)。レセプター液中の有効物質の出現(4回の反復の平均)を、LC/MS/MSを使用して決定した。
【0114】
[000138]この実験の結果(レセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)として報告される)を表21に示し、図5に表す。NMPを含有する局所用製剤にラウレス-4を添加すると、最小限の量のラウレス-4を含むほとんど同一の製剤と比較して、皮膚浸透の驚くべき顕著な増大が示された。これらの結果は、局所用製剤における皮膚浸透エンハンサーとしてのラウレス-4の効力を実証するものである。IVPT試験のために製剤化した実施例6からの製剤#3、#4、および#5は、5.5~5.9のpHで製剤化した。
【0115】
【表21】
【0116】
[000140]実施例10
[000141]表22に記載する以下の組成の医薬組成物を調製した:
【0117】
【表22】
【0118】
[000143]実施例11
[000144]プロトタイプSHR0302製剤を比較するIVPTの結果は、皮膚採取器によって500ミクロンの目標厚さに切除されたヒト死体皮膚を使用し、それは米国の組織バンクから凍結して受け取り、使用まで-20℃で保管されたものである。皮膚を、0.503cm(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%ウシ血清アルブミン(BSA)3.0mlを満たしたレセプターチャンバーを有する垂直型フランツセル上に装填した。容積式ピペットを使用して、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートル当たり10mg)。レセプター液中の有効物質の出現(4回の反復の平均)を、LC/MS/MSを使用して決定した。
【0119】
[000145]この実験の結果(レセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)として報告される)を表23に示し、図5に表す。1:1:1比のDMSO:DMI:DEGEEを含有する局所用製剤にラウレス-4を添加すると、ラウレス-4を含まないほとんど同一の製剤と比較して、皮膚浸透の驚くべき顕著な増大が示された。これらの結果は、局所用製剤における皮膚浸透エンハンサーとしてのラウレス-4の効力を実証するものである。
【0120】
【表23】
【0121】
[000147]実施例12
[000148]表24に記載する医薬組成物を調製した:
【0122】
【表24】
【0123】
[000150]実施例13
[000151]プロトタイプSHR0302製剤を比較するIVPTの結果は、皮膚採取器によって500ミクロンの目標厚さに切除されたヒト死体皮膚を使用し、それは米国の組織バンクから凍結して受け取り、使用まで-20℃で保管されたものである。皮膚を、0.503cm2(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%ウシ血清アルブミン(BSA)3.0mlを満たしたレセプターチャンバーを有する垂直型フランツセル上に装填した。容積式ピペットを使用して、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートル当たり10mg)。レセプター液中の有効物質の出現(4回の反復の平均)を、LC/MS/MSを使用して決定した。
【0124】
[000152]この実験の結果(レセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)として報告される)を表25に示し、図6に表す。1:1:1比のDMSO:DMI:DEGEEを含有する局所用製剤にラウレス-4を添加すると、ラウレス-4を含まないほとんど同一の製剤と比較して、皮膚浸透の驚くべき顕著な増加が示された。これらの結果は、局所用製剤における皮膚浸透エンハンサーとしてのラウレス-4の効力を実証するものである。
【0125】
【表25】
【0126】
[000154]実施例14
[000155]表26に記載する医薬組成物を調製した:
【0127】
【表26】
【0128】
[000157]実施例15
[000158]プロトタイプSHR0302製剤を比較するIVPTの結果は、皮膚採取器によって500ミクロンの目標厚さに切除されたヒト死体皮膚を使用し、それは米国の組織バンクから凍結して受け取り、使用まで-20℃で保管されたものである。皮膚を、0.503cm(直径8mm)の拡散面積および32℃に恒温された0.01%硫酸ゲンタマイシンを含有する水中4%ウシ血清アルブミン(BSA)3.0mlを満たしたレセプターチャンバーを有する垂直型フランツセル上に装填した。容積式ピペットを使用して、5マイクロリットルのクリームを各フランツセル上に投与した(皮膚1平方センチメートル当たり10mg)。レセプター液中の有効物質の出現(4回の反復の平均)を、LC/MS/MSを使用して決定した。
【0129】
[000159]この実験の結果(レセプター液中の累積SHR0302(ng/mL)として報告される)を表27に示し、図7に表す。DMSOを含有する局所用製剤にラウレス-4を添加すると、ラウレス-4を含まないほとんど同一の製剤と比較して、皮膚浸透の驚くべき顕著な増大が示された。これらの結果は、局所用製剤における皮膚浸透エンハンサーとしてのラウレス-4の効力を実証するものである。
【0130】
【表27】
【0131】
[000161]実施例16
[000162]表28に記載する医薬組成物を調製した:
【0132】
【表28】
【0133】
[000164]製剤#12を以下のように調製した:38.93グラムの精製水を主製造容器に入れた。0.50グラムのリン酸一ナトリウム(無水)を主製造容器中の水に添加し、透明な溶液が得られるまで混合した。「パートB」とラベルした別の容器中に、10.04グラムのジメチルスルホキシド、10.16グラムのジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol P(登録商標))、および10.14グラムのジメチルイソソルビドを共にブレンドした。2種の防腐剤(0.10グラムのメチルパラベンおよび0.021グラムのプロピルパラベン)および0.62グラムのJAK阻害剤SHR0302を「パートB」に添加し、完全に溶解するまで撹拌した。「パートB」とラベルした容器の全内容物を主製造容器に添加し、透明な溶液が得られるまで混合した。ポリソルベート60(10.15グラム)を主製造容器に添加し、混合すると、濁った粘性の液体が形成された。ヒドロキシプロピルセルロース(0.51グラム)を主製造容器に添加し、混合すると、濁った粘性の液体が形成された。「パートE」とラベルした別の容器中に、10.15の白色ワセリン、10.16グラムのCrodafos(商標)CES、および4.0グラムのラウレス-4を合わせ、66℃に加熱した。主製造容器を68℃に加熱した。ホモジナイザー(25mmヘッド、10,230rpmに設定)を使用して、「パートE」の全内容物を主製造容器に添加し、5分間ホモジナイズした。ジメチコン(1.01グラム)を主製造容器に添加し、さらに2分間ホモジナイズした。精製水(0.76グラム)を、バッチを100%にするのに十分な量で添加した。
【0134】
[000165]製剤#13を以下のように調製した:38.63グラムの精製水を主製造容器に入れた。グリセリン(5.1グラム)および0.50グラムのリン酸一ナトリウム(無水)を主製造容器中の水に添加し、透明な溶液が得られるまで混合した。キサンタンガム(0.2グラム)を主製造容器に添加し、59分間混合した。「パートD」とラベルした別の容器中に、10.08グラムのジメチルスルホキシド、10.10グラムのジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol P(登録商標))、10.06グラムのジメチルイソソルビド、0.10グラムのメチルパラベン、0.020グラムのプロピルパラベン、0.052グラムのブチルヒドロキシトルエン、および0.62グラムのJAK阻害剤SHR0302を合わせ、透明な溶液を形成するまで混合した。「パートC」とラベルした第3の別の容器中で、5.15グラムのポリエチレン(2)ステアリルエーテル、5.06グラムのポリエチレン(21)ステアリルエーテル、5.06グラムのPPG 15ステアリルエーテル、6.10グラムのセトステアリルアルコール、および4.06グラムのラウレス-4を合わせ、72℃に加熱した。主製造容器を74℃に加熱した。ホモジナイザー(25mmヘッド、9800rpmに設定)を使用して、「パートC」の全内容物を主製造容器に添加し、3分間ホモジナイズした。ホモジナイズを続けながら、「パートD」の全内容物を主製造容器にゆっくり添加した。合計のホモジナイズ時間は5分であった。この特定のバッチには、バッチを100%にするのに十分な量の追加の精製水を使用しなかった。
【0135】
[000166]前述の説明は、例示および説明の目的で提示されたものである。この説明は、開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。当業者であれば、基本的な発明の説明を修正および置換し得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】