(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】指向性エネルギーによるボーリング孔の削孔のための連続排出モニター
(51)【国際特許分類】
G01N 21/71 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
G01N21/71
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537003
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-08-05
(86)【国際出願番号】 US2022078254
(87)【国際公開番号】W WO2023122371
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ウォスコフ ポール ピー.
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA02
2G043BA03
2G043BA04
2G043BA05
2G043CA01
2G043EA08
2G043GA02
2G043GA04
2G043GA19
2G043HA02
2G043HA05
2G043JA01
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA03
2G043NA13
(57)【要約】
ボーリング孔からの排出を、ボーリング孔から除去された土質材料の組成を決定するために、監視するための装置および方法が記載される。監視は、ボーリング孔がミリ波掘孔ビームで深化している際に、リアルタイムで行われ得る。本技術は、土質材料(例えば、岩石、鉱物、結晶、金属など)の元素組成を、土質材料をその経路で溶融および気化させる指向性エネルギービームによって作成されたボーリング孔内でリアルタイムに監視することができる。連続排出モニター(CEM)を、ボーリング孔の指向性エネルギー採掘と組み合わせて使用することで、貴金属および商業用金属の表面を迅速に調査し得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームにより削孔されたボーリング孔からの排出を監視する方法であって、
プラズマチャンバ内で、前記ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームにより土質材料を気化させることによって生成される排気ガスを受容すること、
前記プラズマチャンバ内で、プラズマおよび前記プラズマからの光放射を生成するために、前記排気ガスを電磁放射で加熱すること、
分光器により、前記光放射の分光測定を行うこと、および
前記光放射の前記分光測定に基づいて、前記排気ガスの組成を決定すること、を含む、方法。
【請求項2】
前記プラズマチャンバ内で、前記ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームを作製するために使用されるミリ波放射の部分を受容すること、および
前記プラズマを生成する前記電磁放射を提供するために、前記ミリ波放射の部分を集束させること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ボーリング孔の底部からの、前記ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームの反射光から返された前記ミリ波放射の前記部分を採取すること、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分光器を較正することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分光器を較正することは、
エアロゾルを、較正源から前記プラズマチャンバに導入することであって、前記エアロゾルは、既知の量の元素を、前記較正源から前記プラズマに供給する、前記導入すること、
前記エアロゾルが前記プラズマ内に存在する間に、前記プラズマからの光放射レベルを測定することであって、前記光放射レベルが、前記元素の量を示す、前記測定すること、および
前記光放射レベルから、前記排気ガス中の前記元素の量を決定すること、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
土質材料を気化させることによって生成される前記排気ガスを受容することは、粒子を、ガス流により、前記ボーリング孔から前記プラズマチャンバに接続された試料管に受容することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームによって生成されるボーリング孔内の土質材料の組成を監視するためのシステムであって、
排気ガスを前記ボーリング孔から受容し、前記ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームを作製するために使用されるミリ波放射の部分を受容するための、プラズマチャンバであって、プラズマ発光の光放射を生成するために、前記ミリ波放射の前記部分により、前記排気ガスを加熱するように構成される、前記プラズマチャンバと、
前記プラズマからの前記光放射のスペクトルを測定するための、前記プラズマチャンバと電磁連通する分光器であって、前記スペクトルが、前記ボーリング孔内の前記土質材料の前記組成を示す、前記分光器と、を備える、システム。
【請求項8】
前記排気ガスを前記ボーリング孔から受容するための、前記プラズマチャンバに接続された試料管または試料ポートと、
少なくとも前記排気ガスを前記プラズマチャンバから排気するための、前記プラズマチャンバに接続された排気管または排気ポートと、をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記試料管または試料ポートは、少なくとも800°Cの温度に耐える材料で作製される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記分光器は、0.02nm以上のスペクトル分解能で、20nmの帯域幅および200nm~800nmの領域の中心波長を有する少なくとも一つの帯域を監視するように構成された格子分光器である、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記ミリ波放射の前記部分をスポットに集束させるための、前記プラズマチャンバ内に配置されたミラーと、
前記排気ガスを前記ボーリング孔から前記スポット近傍の前記プラズマチャンバに放出するための、前記プラズマチャンバに延在する、試料管と、をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記プラズマチャンバに接続され、前記光放射を前記スポットから受容し、前記光放射を前記分光器に誘導するように配設された光ファイバーケーブルをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記分光器の較正のためのエアロゾルを、前記プラズマチャンバに提供するための、前記プラズマチャンバと流体連通する較正源をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームを形成するために、前記ミリ波放射を前記ボーリング孔の底部に誘導する伝送線の外部で、前記ミリ波放射の前記部分を結合するために、前記プラズマチャンバと電磁連通する反射電力アイソレータをさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
ボーリング孔を削孔し、前記ボーリング孔からの排出を監視するためのシステムであって、
高出力ミリ波(MMW)源と、
MMW放射を前記MMW源から前記ボーリング孔まで運ぶ導波路と、
前記ボーリング孔が前記MMW放射から形成されたMMW掘孔ビームで深化されている間に、前記ボーリング孔を封止し、排気ガスを前記ボーリング孔から捕捉するための排気配管と、
前記排気ガスから採取された排気後流を受容するための、前記排気配管と流体連通するプラズマチャンバと、
前記排気後流から前記プラズマチャンバ内に形成されたプラズマからの排出を検出するための、前記プラズマチャンバと電磁連通する分光器と、を備える、システム。
【請求項16】
前記MMW源によって生成される前記MMW放射の部分を前記プラズマチャンバに結合するための、前記プラズマチャンバと電磁連通する反射電力アイソレータをさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記MMW放射の前記部分を、前記プラズマチャンバ内部のスポットに集束させるための、前記プラズマチャンバ内に配置されたミラーと、
前記排気後流を前記スポット近傍の前記プラズマチャンバに放出するための、前記プラズマチャンバに延在する、試料管と、をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記プラズマチャンバに接続され、光放射を前記スポットから受容し、前記光放射を前記分光器に誘導するように配設された光ファイバーケーブルをさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記分光器は、0.02nm以上のスペクトル分解能で、20nmの帯域幅および200nm~800nmの領域の中心波長を有する少なくとも一つの帯域を監視するように構成された格子分光器である、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記分光器の較正のためのエアロゾルを、前記プラズマチャンバに提供するための、前記プラズマチャンバと流体連通する較正源をさらに備える、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照 本出願は、米国特許法第119条第(e)項に基づき、2021年12月20日出願の「Continuous Emissions Monitor for Directed-Energy Borehole drilling」と題する米国特許出願第63/291,744号に対する優先権の利益を主張するものであり、この出願は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
政府支援
本発明は、エネルギー省が与えた付与番号DE-AR0001051に基づいて、政府支援によって実施された。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波またはミリ波(MMW)周波数での高出力指向性エネルギービームは、とりわけ、地熱エネルギーの発生および採鉱のために、岩石にボーリング孔を削孔するために使用され得る。これらの削孔ビームは、岩石を数千°Cに加熱し、岩石を溶融および気化させる。気化された岩石は、高圧ガスにより、ボーリング孔から外に表面まで噴出され得、これによりまた、ボーリング孔の崩壊が防止される。
【発明の概要】
【0003】
本技術は、土質材料(例えば、岩石、鉱物、結晶、金属など)の元素組成を、土質材料をその経路で溶融および気化させる指向性エネルギービームによって生成されるボーリング孔内で、リアルタイムで監視し得る。このような高温削孔プロセスの採収物/排気は、典型的には、1000°C超の温度であり、連続排出モニター(CEM)によって分析され得る小さい粒子および蒸気を含み得る。CEMを、ボーリング孔の指向性エネルギー採掘と組み合わせて使用することにより、貴金属および商業用金属の表面の迅速な調査が可能になる。ある実装形態において、指向性エネルギーによるボーリング孔の貫通のためのCEMでは、指向性エネルギービームの一部が使用され、採収排出物を励起して、元素を、ボーリング孔部位でリアルタイムに同定するために検出可能にする。
【0004】
CEMは、以下のように、MMW指向性エネルギービームで削孔されたボーリング孔を監視し得る。土質材料を、ミリ波指向性エネルギービームで気化させることによって生成される排気ガスは、プラズマチャンバに方向付けられる。プラズマチャンバでは、排気ガスは、プラズマ状態に加熱され、これは、排気ガス成分を励起して、光放射を生成する。定期的に較正され得る分光器は、プラズマ発光の分光測定を行う。その後、この分光測定を使用して、排気ガスの組成を決定する。
【0005】
プラズマは、MMW指向性エネルギービームに関連するMMW放射の一部により、プラズマチャンバ内で発生され得る。ミリ波MMW放射のこの部分は、ボーリング孔へ、またはボーリング孔から移動するMMW放射の反射光から採取され得る。土質材料をMMW放射の一部により気化させることによって生成される排気ガスをプラズマチャンバに方向付けることは、粒子を、ボーリング孔から、プラズマチャンバに接続された試料管まで、ガス流で噴出させることを伴い得る。
【0006】
ミリ波指向性エネルギービームによって生成されるボーリング孔内の土質材料の組成を監視するためのCEMは、プラズマチャンバおよび分光器を含み得る。プラズマチャンバは、指向性エネルギービームを形成するために使用されるミリ波放射の部分により生成され、ボーリング孔から排出された気化されたガスおよび粒子を加熱するプラズマを含む。プラズマチャンバと電磁連通する分光器は、プラズマチャンバからの発光スペクトルを測定する。このスペクトルは、ボーリング孔から採収された土質材料の組成を示す。
【0007】
分光器は、0.02nm以上のスペクトル分解能で、20nmの帯域幅および200nm~800nmの領域の中心波長を有する少なくとも一つの帯域を監視するように構成された格子分光器であり得る。
【0008】
CEMはまた、MMW指向性エネルギービームの部分をスポットに集束させるための、プラズマチャンバ内に配置されたミラーと、蒸気および粒子を、ボーリング孔からスポット近傍のプラズマチャンバに放出するための、プラズマチャンバに延在する試料管と、を含む。CEMはまた、較正試料をプラズマチャンバに提供するために、プラズマチャンバと流体連通する較正チャンバを含み得る。CEMは、MMW放射をボーリング孔の底部に誘導する伝送線の外部で、MMW放射の部分を結合するために、プラズマチャンバと電磁連通する反射電力アイソレータをさらに含み得る。
【0009】
前述の概念および以下でより詳細に論じる追加的概念の全ての組み合わせは(このような概念が相互に矛盾しないという前提で)、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると想定される。特に、本開示の最後に記載される、特許請求の範囲に記載の主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示する発明の主題の一部であると想定される。参照により組み込まれるあらゆる開示に記載され得る、本明細書に明示的に用いられる用語は、本明細書に開示される特定の概念と最も一致する意味が与えられる必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、例示的な目的を主とし、本発明の主題の範囲を制限することを意図していない。図面は、必ずしも、正確な縮尺ではなく、一部の事例では、本明細書に開示される本発明の主題の種々の態様は、異なる特徴の理解を促進するために、図面中で誇張または拡大されて示される場合がある。図面では、同様の参照文字は、同様の特徴(例えば、機能的に類似したおよび/または構造的に類似した要素)を、一般的に指す。
【0011】
【
図1】
図1は、ボーリング孔の採収物/排気のための連続排出モニター(CEM)による、ミリ波(MMW)指向性エネルギー掘孔システムを示す。
【0012】
【
図2】
図2は、
図1のシステム内の主な指向性エネルギー掘孔ビームから採取された出力を使用して、ボーリング孔の採収物/排気の一部の原子発光を励起するためのプラズマチャンバを示す。
【0013】
【
図3】
図3は、
図2のプラズマチャンバに結合され得る較正源を示す。
【0014】
【
図4】
図4は、微細スペクトル分解能により、多くの元素からの原子発光を同時に監視するための格子分光器を示す。
【0015】
【
図5】
図5は、回折格子分光器のパラメータを示す。
【0016】
【
図6A】
図6Aは、土質材料に含まれ得る様々な元素に対する、約240nmのスペクトル放射を列挙する。
【0017】
【
図6B】
図6Bは、土質材料に含まれ得る様々な元素に対する、約320nmのスペクトル放射を列挙する。
【0018】
【
図6C】
図6Cは、土質材料に含まれ得る様々な元素に対する、約346nmのスペクトル放射を列挙する。
【0019】
【
図6D】
図6Dは、土質材料に含まれ得る様々な元素に対する、約398nmのスペクトル放射を列挙する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.ミリ波指向性エネルギー掘孔システム
図1は、ボーリング孔110からの排気を分析するためのプラズマチャンバ190を有するミリ波(MMW)指向性エネルギー掘孔システム100を示す。システム100は、0.1~2.0MWの出力レベルでの30~300GHzの周波数域で高出力ミリ波放射103を生成する、ジャイロトロンなどの高出力MMW源120を含む。高出力MMW放射は、この高出力MMW放射103をボーリング孔110の底部に誘導する高出力伝送線130または導波路に結合される。高出力伝送線130または導波路は、銅などの導電性材料を含み得、またはそれらから形成され得る。マイターベンド132は、伝送線130を折り畳んで、高出力MMW放射103を第一の方向から第二の方向まで(例えば、水平方向からボーリング孔110への下向きの垂直方向までの移動)リダイレクトするために使用され得る。高出力MMW掘孔ビーム105は、伝送線130の遠位端から発射される場合、土質材料をボーリング孔110の底部で溶融および気化させることによって、ボーリング孔110の直径が伝送線130よりも大きくなるように回折し、排気流145内の気化された土質材料の採収または排出のための環状空間を作成する。
【0021】
高出力伝送線130は、ガス135をボーリング孔110の底部に誘導もする管として形成され得る。大気圧付近(例えば、15~150psi)では、ガスは、空気、窒素、水素、メタン、または二酸化炭素とすることができる。超臨界流体状態(例えば、>2,000psi)への高圧では、ガス135は、アルゴンなどの希ガスとすることができる。ガスは、伝送線ガスマニホールド137を介して、高出力伝送線に注入される。注入ガス135は、ミリ波放射130に対して透過的であり、アーク放電を防止するのに十分な圧力および速度にある。ガスは、蒸気および気化された土質材料の小さい粒子(例えば、直径10μm未満)を、排気流145として高出力伝送線130の遠位端138を囲む環状空間から外に噴出させる。
【0022】
ボーリング孔110は、排気配管112および貫通型導波路シール114によってキャップされる。貫通型導波路シール114は、ボーリング孔110を封止し、排気流145を、排気配管112を通って方向付ける。高温排気環境(例えば、少なくとも800°Cまたは少なくとも1000°Cの温度)で存在し得る、インコネルまたはアルミナなどの金属またはセラミックで作製された試料管146は、ボーリング孔110から導かれるように、排気配管112に挿入され、排気流145の一部を、プラズマチャンバ190への後流として方向転換させる。試料管146は、ボーリング孔110の近くにあり得、またはボーリング孔からある程度離れて位置し得、ガスを、必要に応じて冷却可能にする。試料管146は、プラズマチャンバ190上の試料ポートに接続し得、ガスをプラズマチャンバに流入可能にする。プラズマチャンバ190への排気後流量は、5~25ml/分の範囲内であり得る。排気後流は、総排気流の0.01%、0.001%、または0.0001%未満であり得、これは、1000scfh(470L/分)より大きくなり得る。排気後流は、潜在的に商業的価値のある埋蔵資源を見出すための、排気流全体の均質または均一な試料となり得るが、そうである必要はない。
【0023】
後流からの排気ガスおよび粒子がプラズマチャンバ190に入る際に、それらはMMW放射によってイオン化および加熱され、プラズマを形成する。MMW放射103の部分は、(例えば、出力カプラーを用いて)採取され得、プラズマチャンバ190に方向付けられ得、後流内の粒子を分解、加熱、および気化させ、結果生じるガスを励起する。一部の事例では、採取された放射は、ガスパージ入口127を通ってプラズマチャンバに注入されたガスを励起し得る。集束MMW放射103からの強力な電界により、ガス分子がイオン化され得、電子が加速され得、プラズマチャンバ190内のガスを励起する。ガスのプラズマへの励起により、排気流145内の構成要素の分光測定、分析、および決定のための光放射が生成され得る。
【0024】
高出力MMW放射103の部分(例えば、約1~3kW)は、採取用伝送線131によってプラズマチャンバ190に誘導される。一部の実装形態では、反射電力アイソレータ180は、ボーリング孔110の底部の溶融標的から再度反射された出力を採取するために、
図1に示すように、高出力伝送線130に沿って挿入され得る。反射電力アイソレータ180と採取用伝送線131との間の界面またはその近傍の窓シール125およびガスパージ入口127は、プラズマチャンバ190から高出力伝送線130へのプラズマ伝播を防止する。
【0025】
分光器185は、プラズマチャンバ190内のプラズマからの光放射を分析して、ボーリング孔110からの気化された土質材料の元素組成の表示を提供する。光ファイバーケーブル195は、プラズマによって放射される赤外線(IR)、可視光、および/または紫外線(UV)を、プラズマチャンバ190から分光器185に伝送する。分光器は、10μg/m3よりも良好な感度で、気化された土質材料の元素組成を決定するために、放射スペクトルを、十分微細に十分な感度により解像する。
【0026】
プラズマチャンバ190および分光器185は、試料管146に接続される較正源197により、較正され得る。較正源197は、ボーリング孔110からの排気流145内の元素濃度の較正のためのスパン信号を提供するために、コマンドに基づいて、対象の既知濃度の元素を注入する。較正中、排気流145は、試料管146内の制御バルブ148により、プラズマチャンバからバルブオフされ得、またはバルブオフされ得ない。あるいは、制御弁148は、ガスを較正源からバルブオフするために使用され得、またはそうでなくてもよい。一部の事例では、制御弁148は、システムに含まれなくてもよい。対象の元素としては、銅、ニッケル、またはリチウムなどの商業的価値のある金属、および金、白金、または銀などの貴金属が挙げられるが、これらに限定されない。較正は、ボーリング孔110を深化する際に、例えば、高出力ミリ波掘孔ビーム105によって貫通される、異なる岩層の化学物質による排気流145の潜在的に変化する組成を明示するために、定期的にまたは要求に応じて、リアルタイムで実施され得る。土質材料層の化学的性質の変化は、プラズマ電子の温度および密度を変更することによって、原子発光励起のプラズマ効率に影響を与え得、これは次に、電子原子励起効率を変更し得る。
【0027】
マイターベンド132に結合された任意の監視機器170は、高出力伝送線130に沿って高出力ミリ波放射103と共伝播する小信号監視信号(図示せず)を用いて、ボーリング孔110の深さおよび/または掘進率を監視し得る。監視信号は、パルス状、チャープ状、または一定の周波数であり得、高出力ミリ波放射103とは異なる周波数であってもよい。監視信号は、ボーリング孔110の底部の岩面または材料に反射し得る。この反射は、高出力伝送線130を監視機器170に伝搬し、これは、局部発振器との反射の干渉を感知する。干渉は、ボーリング孔110の深さおよび/または掘進率を導出するために使用され得る。監視器具のさらなる詳細は、2021年12月20日出願の「Rate of Penetration/Depth Monitor for a Millimeter-Wave Beam made Hole」と題する米国特許出願第63/291,731号、およびその対応する、同時出願された「Rate of Penetration/Depth Monitor for a Borehole formed with Millimeter-Wave Beam」と題する非仮国際出願(代理人整理番号MIT-23062WO01)に記載され得、両方の出願は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0028】
2.プラズマチャンバ
図2は、プラズマチャンバ190をより詳細に示す。プラズマチャンバ190は、高出力MMW放射103の採取部分104および排気後流202が導入される、気密のミリ波電力漏洩密封エンクロージャである。ミリ波放射103は、MMW放射103を、幅が約2~4波長の回折制限されたスポット220に集束させる集束ミラー210に向かって、プラズマチャンバ190の自由空間に発射される。これにより、スポット220の電界強度が約10kV/cm以上に増加され、プラズマ205を発生および維持する。
【0029】
試料管146は、プラズマチャンバ190の途中まで通過する。その出力開口149は、MMW放射103が、集束ミラー210から反射した後に、形成する集束スポット220の近似縁にある。排気ガス後流202は、試料管146を出て集束スポット220に入り、集束MMW放射103およびプラズマ205(一旦存在すると)は、排気後流202を加熱し得る。加熱により、粒子は、後流202内に存在する場合、分解しやすくなり得る。加熱された排気はまた、プラズマ205を集束スポット220で後流202に固定するために、熱電子放出体として作用し得る。テスラコイルまたはアンテナワイヤから開始スパークを使用し得、分解を低温始動から開始する。
【0030】
光ファイバーケーブル195は、プラズマチャンバ190内の小さい孔を通って導入されて、プラズマ205を視認し、IR光、可視光、および/またはUV光放射を、分析用の分光器185に伝送する。
【0031】
出力排気管230は、ガスをプラズマチャンバ190から最終排気まで方向付ける。出力排気管230は、試料管146および採取用伝送線131からのガス入力よりもわずかに低い圧力に維持される。出力排気管230はまた、ミリ波モード変換を誘導するようにねじれ、高次モードを効率的に吸収するために、ミリ波の不透明な誘電体および/または低電気伝導率の金属で作製される。吸収材料のねじれおよびその使用により、ミリ波出力がプラズマチャンバ190から環境に伝播することが低減または防止される。
【0032】
3.較正源
図3は、ボーリング孔排気流145内の元素の濃度をより詳細に定量的に監視するための較正源197の実施例を示す。較正源197は、監視される元素の既知の濃度が、例えば、100μg/m
3であるエアロゾル305を、排気後流202に定期的に導入し、未知の原子発光レベルに一致するスパン較正を提供する。
【0033】
較正源197は、以下のように、エアロゾル305を生成し得る。例えば、弱酸溶液中の各元素の濃度が200μg/mlである、監視される元素の較正された標準溶液310は、約1ml/分の公称速度で、蠕動ポンプ320によってネブライザー330(例えば、Mienhardネブライザー)にポンプ注入される。ネブライザー330は、シリンダ340または他の供給源およびガス流量コントローラ350からの圧縮ガス流(例えば、約1l/分の流量の窒素)により操作される。ネブライザー330は、液体標準溶液310を、噴霧チャンバ360によって大きい液滴で濾過されるエアロゾルに変換する。濾過された液滴が大きい液体は、密封接続によって、噴霧チャンバ360に取り付けられる廃液容器370に回収される。
【0034】
排気後流202に注入される標準溶液元素の濃度は、定量的監視のために正確に既知であるべきである。濃度Cは、以下の式によって、決定され得る。
【数1】
ここで、εは、ネブライザー330の効率であり、Xは、較正された溶液310の濃度であり、Rは、試料管146にポンプ注入される溶液および排気後流202の比率であり、Fは、試料管146の出力開口部149からプラズマ205への後流202の流量である。標準溶液濃度は、既知であり、ポンプ注入された溶液の比率は、制御され、試料排気流は、測定され得、特定のネブライザーモデルの効率は、独立して決定され得る。したがって、濃度Cは、式1から算出され得る。
【0035】
4.分光器
イオン化原子ではなく、中性原子からの原子発光は、局所的な熱力学的平衡が原子をイオン化し得る高エネルギー電子の数を抑制するため、1eV未満の典型的な電子温度により、大気圧プラズマからの発光スペクトルを支配し得る。表1は、UV光波長領域の金属および希土類元素に対する、空気中の顕著な中性原子発光波長の一部を列挙する。これらの波長に対して微細な分解能を有する分光器185は、プラズマ中の種を区別するために、使用され得る。発光スペクトル領域にわたって、0.05nmよりも良好なスペクトル分解能が望ましい。分光器185はまた、可能な限り多くの元素を網羅するように、広いスペクトル領域を有し得る。
【表1】
表1.金属および希土類元素に対する、顕著なUV光原子発光波長
【0036】
図4は、微細なスペクトル分解能による、排気後流202(
図2)中の多くの元素からの排出を監視する分光器185を示す。分光器185は、入口スリット405と、凹形入力ミラー410と、格子420と、いくつかの凹形出力ミラー430と、いくつかの線形検出器アレイ440と、を含む。(同様の性能は、狭い波長領域を有する多くの小型の分光器で達成され得る。)
図4は、三つの凹形出力ミラー430および線形検出器アレイ440を示すが、他の分光器は、より多くのまたはより少ない凹形出力ミラーおよび線形検出器アレイを有し得る。
【0037】
光ファイバーケーブル195は、プラズマ発光を入口スリット405に誘導し、これは、約10nm幅であり得、凹形入力ミラー410の焦点位置である。凹形入力ミラー410は、スリット405を通って伝送される光を、格子420上に撮像し、これは、異なるスペクトル成分を、それらの波長に比例する角度で回折する。凹形出力ミラー430は、回折パターンの異なる角度で分布し、格子からの回折光の異なる部分を、それぞれの線形検出器アレイ440上に集束させる。
図4では、各凹形出力ミラー430に対して、一つの線形検出器アレイ440が存在する。各検出器アレイ440は、対応する凹形出力ミラー430が遮る波長領域を監視する。他の実装形態では、一つの線形検出器アレイまたは一つの二次元検出器アレイは、すべての出力ミラー430から反射された排出を記録するために使用され得る。検出器アレイ440は、信号分析、データ記憶、および/または表示のために、コンピュータ、プロセッサ、および/または他の信号処理電子機器(図示せず)に接続される。
【0038】
格子分光器の寸法、角度、波長分解能、および検出器アレイの帯域幅は、以下の三つの式によって決定され得る。式2は、標準格子回折角の式であり、式3は、波長分解能の式であり、式4は、検出器アレイの帯域幅の式である。
θ
D=arcsin(λn-sinθ
i) (2)
【数2】
【0039】
図5は、式2~式4中のパラメータを示す。これらのパラメータは、以下のように定義される。
θ
D-格子420からの回折角
θ
i-格子420上の入射角
λ-波長
n-格子溝密度
L-出力ミラー430から検出器アレイ440までの距離
w-検出器アレイ440内の一つのセンサー画素442の幅
Y-検出器アレイ440の全長
【0040】
表2は、2400gr/mmの格子溝密度を有する格子分光器185、および14μm幅の画素を有する四つの2048画素線形検出器アレイ440について、式2~式4を使用した計算結果を示す。検出器アレイ440は、0.016nm以下のスペクトル分解能により、異なる帯域を監視し得る。各帯域は、約16nmの幅であり、この実施例では、200nm~800nmの領域の波長を有する。この分光器は、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、リチウム、パラジウム、金、および銀の商業的価値のある金属を含む、排気後流中の35個の元素のいずれかを検出し得る。他の分光器は、他の数の帯域(例えば、三つ、五つ、または六つ)、帯域幅(例えば、20nm、25nm、30nm)、および/またはスペクトル分解能(例えば、0.1nm、0.2nm、0.3nmなど)を有し得、異なる数および種類の元素を検出できる場合がある。
【表2】
表2.2400gr/mmの回折格子および14μm幅の画素を有する2048画素線形検出器アレイによる、回折角、分解能および帯域幅
【0041】
図6A~
図6Dは、有価元素の存在を検出するために使用され得る様々な元素に対して、四つの帯域のスペクトル放射を列挙する。
図6Aは、240nm帯域の排出を示し、
図6Bは、320nm帯域の排出を示し、
図6Cは、346nm帯域の排出を示し、
図6Dは、398nm帯域の排出を示す。多くの元素に対して、二つ以上の波長が検出され得、元素の明確な同定を確実にする。多くの希土類元素は、ケイ素および炭素と共に含まれる。シリコン濃度を監視することで、削孔される土質材料の種類が示される。炭素が存在することで、炭化水素化合物との関与が示される。追加のチャネルは、監視される元素の数を増やすために、追加され得る。したがって、ボーリング孔110内の表面下の化学的性質の包括的で迅速な調査は、この技術によりボーリング孔を掘孔する間に、達成され得る。
【0042】
ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームにより削孔されたボーリング孔からの排出を継続的に監視するための装置は、様々な構成の掘孔システム内に実装および/または含まれ得る。例示的な構成を以下に列挙する。排出を監視する対応方法はまた、実施され得る。
(1)ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームにより削孔されたボーリング孔からの排出を監視する方法であって、プラズマチャンバ内で、ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームにより、土質材料を気化させることによって生成される排気ガスを受容すること、プラズマチャンバ内で、プラズマおよびプラズマからの光放射を生成するために、排気ガスを電磁放射で加熱すること、分光器により、光放射の分光測定を行うこと、および光放射の分光測定に基づいて、排気ガスの組成を決定すること、を含む、方法。
(2)プラズマチャンバ内で、ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームを作製するために使用されるミリ波放射の部分を受容すること、およびプラズマを生成する電磁放射を提供するために、ミリ波放射の部分を集束させること、をさらに含む、(1)に記載の方法。
(3)ボーリング孔の底部からの、ミリ波掘孔ビームの反射光から戻されたミリ波放射の部分を採取することをさらに含む、(2)に記載の方法。
(4)分光器を較正することをさらに含む、(1)~(3)のいずれか一つに記載の方法。
(5)分光器を較正することは、エアロゾルを、較正源からプラズマチャンバに導入することであって、エアロゾルは、既知の量の元素を、較正源からプラズマに供給する、導入すること、エアロゾルがプラズマ内に存在する間に、プラズマからの光放射レベルを測定することであって、光放射レベルが、元素の量を示す、測定すること、および光放射レベルから、排気ガス中の元素の量を決定すること、を含む、(4)に記載の方法。
(6)土質材料を気化させることによって生成される排気ガスを受容することは、粒子を、ガス流により、ボーリング孔からプラズマチャンバに接続された試料管に受容することを含む、(1)~(5)のいずれか一つに記載の方法。
(7)ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームによって生成されるボーリング孔内の土質材料の組成を監視するためのシステムであって、排気ガスをボーリング孔から受容し、ミリ波掘孔ビームを作製するために使用されるミリ波放射の部分を受容するための、プラズマチャンバであって、プラズマ発光の光放射を生成するために、ミリ波放射の部分により、排気ガスを加熱するように構成される、プラズマチャンバと、プラズマからの光放射のスペクトルを測定するための、プラズマチャンバと電磁連通する分光器であって、スペクトルが、ボーリング孔内の土質材料の組成を示す、分光器と、を備える、システム。
(8)排気ガスをボーリング孔から受容するための、プラズマチャンバに接続された試料管または試料ポートと、少なくとも排気ガスをプラズマチャンバから排気するための、プラズマチャンバに接続された排気管または排気ポートと、をさらに備える、構成(7)に記載のシステム。
(9)試料管または試料ポートは、少なくとも800°Cの温度に耐える材料で作製される、構成(8)に記載のシステム。
(10)分光器は、0.02nm以上のスペクトル分解能で、20nmの帯域幅および200nm~800nmの領域の中心波長を有する少なくとも一つの帯域を監視するように構成された格子分光器である、構成(7)~(9)のいずれか一つに記載のシステム。
(11)ミリ波放射の部分をスポットに集束させるための、プラズマチャンバ内に配置されたミラーと、排気ガスを、ボーリング孔からスポット近傍のプラズマチャンバに放出するための、プラズマチャンバに延在する、試料管と、をさらに備える、構成(7)~(10)のいずれか一つに記載のシステム。
(12)プラズマチャンバに接続され、光放射をスポットから受容し、光放射を分光器に誘導するように配設された光ファイバーケーブルをさらに備える、構成(11)に記載のシステム。
(13)分光器の較正のためのエアロゾルを、プラズマチャンバに提供するための、プラズマチャンバと流体連通する較正源をさらに備える、構成(7)~(12)のいずれか一つに記載のシステム。
(14)ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームを形成するために、ミリ波放射をボーリング孔の底部に誘導する伝送線の外部で、ミリ波放射の部分を結合するために、プラズマチャンバと電磁連通する反射電力アイソレータをさらに備える、構成(7)~(13)のいずれか一つに記載のシステム。
(15)ボーリング孔を削孔し、ボーリング孔からの排出を監視するためのシステムであって、高出力ミリ波(MMW)源と、MMW放射をMMW源からボーリング孔まで運ぶ導波路と、ボーリング孔がMMW放射から形成されたMMW掘孔ビームで深化されている間に、ボーリング孔を封止し、排気ガスをボーリング孔から捕捉するための排気配管と、排気ガスから採取された排気後流を受容するための、排気配管と流体連通するプラズマチャンバと、排気後流からプラズマチャンバ内に形成されたプラズマからの排出を検出するための、プラズマチャンバと電磁連通する分光器と、を備える、システム。
(16)MMW源によって生成されるMMW放射の部分をプラズマチャンバに結合するための、プラズマチャンバと電磁連通する反射電力アイソレータをさらに備える、構成(15)に記載のシステム。
(17)MMW放射の部分をプラズマチャンバ内部のスポットに集束させるための、プラズマチャンバ内に配置されたミラーと、排気後流を、スポット近傍のプラズマチャンバに放出するための、プラズマチャンバに延在する、試料管と、をさらに備える、構成(16)に記載のシステム。
(18)プラズマチャンバに接続され、光放射をスポットから受容し、光放射を分光器に誘導するように配設された光ファイバーケーブルをさらに備える、構成(17)に記載のシステム。
(19)分光器は、0.02nm以上のスペクトル分解能で、20nmの帯域幅および200nm~800nmの領域の中心波長を有する少なくとも一つの帯域を監視するように構成された格子分光器である、構成(15)~(18)のいずれか一つに記載のシステム。
(20)分光器の較正のためのエアロゾルを、プラズマチャンバに提供するための、プラズマチャンバと流体連通する較正源をさらに備える、構成(15)~(19)のいずれか一つに記載のシステム。
【0043】
6.結論
本明細書に記載される、全てのパラメータ、寸法、材料、および構成は、例示であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が使用される、特定の用途に依存するであろう。従って、前述の実施形態が、主に一例として提示され、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態が、具体的に記載および特許請求されるものと別様に、実践され得ることを理解されたい。本開示の発明に関する実施形態は、本明細書に記載する、個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、二つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組合せは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0044】
また、様々な本発明の概念は、一つ以上の方法として具現化され得、そのうち、少なくとも一つの実施例が提供されている。方法の一部として実施される行為は、一部の事例では、異なる方法で順序付けられ得る。従って、一部の発明の実装形態では、所与の方法のそれぞれの行為は、特定に例示されるものと異なる順序で実施され得、これには、(このような行為が、例示の実施形態で連続した行為として示しているにもかかわらず)、一部の行為を同時に実施することが含まれ得る。
【0045】
本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照により、その全体が組み込まれる。
【0046】
本明細書で定義および使用される全ての定義は、辞書定義、参照により組み込まれる文書中の定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制するものと理解されるべきである。
【0047】
本明細書および特許請求の範囲で使用する不定冠詞「a」および「an」は、これと異なることが明確に示されない限り、「少なくとも一つ」を意味すると理解されるべきである。
【0048】
本明細書および特許請求の範囲で使用する語句「および/または」は、そのように結合された要素の「いずれか一方または両方」、すなわち、ある場合には接合的に存在し、他の場合においては離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙される複数の要素は、同一様式で、すなわち、そのように結合された要素の「一つ以上」と解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に識別される要素以外に、具体的に識別される要素に関係しようと、無関係であろうと、他の要素は任意選択的に存在し得る。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」の参照は、「含む」などのオープンエンドの言語と組合せて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択的に、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的に、A以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択的に、他の要素を含む)などを指し得る。
【0049】
本明細書および特許請求の範囲で使用する「または」は、上記で定義された「および/または」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、いくつかのまたは列挙された要素、および任意選択的に、別の列挙されていない項目の、少なくとも一つを含むが、それらの二つ以上も含むと解釈されるものとする。反対に明確に示される用語、例えば「のうちの一つのみ」もしくは「のうちの一つだけ」、または特許請求の範囲で使用する場合の「からなる」、のみが、いくつかのまたは列挙された要素のうちの正確に一つの要素を含むことを指す。一般的に、本明細書で使用する用語「または」は、排他性の用語、例えば「いずれか」、「のうちの一つ」、「のうちの一つのみ」、「のうちの一つだけ」が前に付いている場合、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。特許請求の範囲において使用する「本質的になる」は、特許法の分野で使用される通常の意味を持つものとする。
【0050】
本明細書および特許請求の範囲で使用する、一つ以上の要素のリストに関連する用語「少なくとも一つ」は、要素のリストの中の要素の一つ以上から選択される、少なくとも一つの要素を意味するが、要素のリスト内で具体的に列挙したありとあらゆる要素のうちの、少なくとも一つを必ずしも含むわけではなく、要素のリストのいかなる要素の組合せも除外するものではないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に識別される要素に関係しようと、無関係であろうと、「少なくとも一つ」という語句が指す、要素のリスト内で具体的に識別される要素以外に、要素が任意選択的に存在してもよいことを許容する。従って、非限定的な実施例として、「AおよびBの少なくとも一つ」(または同等に「AまたはBの少なくとも一つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも一つ」)は、一実施形態では、少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のAを含み、Bが存在しない(および任意選択的にB以外の要素を含む)ことを指し、別の実施形態では、少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のBを含み、Aが存在しない(および任意選択的にA以外の要素を含む)ことを指し、さらに別の実施形態では、少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のAを含み、ならびに少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のBを含む(および必要に応じて他の要素を含む)こと等を指し得る。
【0051】
特許請求の範囲および上記の明細書において、全ての移行句、例えば、「備える」、「含む」、「保有する」、「有する」、「包含する」、「関与する」、「保持する」、「構成される」等は、オープンエンドであること、すなわち、含むがこれに限定されないことを意味すると理解されるべきである。「から成る(consisting of)」および「から本質的に成る(consisting essentially of)」という移行句のみは、米国特許局の特許審査手続便覧、セクション2111.03の規定の通り、それぞれ閉鎖的または半閉鎖的な移行句であるものとする。
【国際調査報告】