(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】ミリ波ビームにより形成されたボーリング孔用の掘進率/深さモニター
(51)【国際特許分類】
G01S 13/88 20060101AFI20241122BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G01S13/88 200
G01S13/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537007
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-08-08
(86)【国際出願番号】 US2022078255
(87)【国際公開番号】W WO2023122372
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ウォスコフ ポール ピー.
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC02
(57)【要約】
地熱などの深部の資源にアクセスするために、ミリ波放射により土質材料に深いボーリング孔を掘孔するための装置および方法が記載される。ボーリング孔の底部のボーリング孔の深さおよび温度は、ボーリング孔の底部からのプローブ信号および/または放射放出により、監視され得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーリング孔を掘孔するためのシステムであって、
ミリ波放射を発生させるための供給源と、
伝送線であって、前記ミリ波放射を前記ボーリング孔の底部に誘導し、ミリ波掘孔ビームを、前記伝送線の遠位端の領域に形成するために、前記供給源に結合された前記伝送線と、
前記ボーリング孔の深さおよび/または掘進率を監視するために、前記伝送線に結合された掘進率/深さモニターと、
プローブ信号を、前記ボーリング孔の前記底部への伝送のための前記伝送線に結合し、前記伝送線から前記掘進率/深さモニターまで、前記ボーリング孔の前記底部からの前記プローブ信号の反射および/または散乱によって発生された帰還プローブ信号を結合するために、前記伝送線および前記掘進率/深さモニターに結合されたビーム合成器と、を備える、システム。
【請求項2】
前記掘進率/深さモニターは、反射率計として動作するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記掘進率/深さモニターは、周波数変調レーダーとして動作するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記掘進率/深さモニターは、パルス変調飛行時間レーダーとして動作するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記掘進率/深さモニターは、前記プローブ信号を、前記ミリ波放射の周波数とは異なる周波数で発生させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ビーム合成器は、前記ボーリング孔の前記底部から帰還した前記ミリ波放射の一部分を、前記帰還プローブ信号として前記掘進率/深さモニターに方向付けるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ビーム合成器は、前記ミリ波放射を、前記伝送線のベンドの周りで反射し、前記プローブ信号を通過させるために、孔をその中に有する、マイターミラーを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ボーリング孔の温度を示す放射を受信するための温度モニターと、
前記伝送線からの前記放射を結合するために、前記伝送線に結合された小信号ビーム合成器であって、前記放射は、前記帰還プローブ信号により、前記伝送線に沿って伝播する、前記小信号ビーム合成器と、をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
伝送線によってボーリング孔の底部に誘導され、ミリ波掘孔ビームに形成されたミリ波放射により掘孔された前記ボーリング孔の深さおよび/または掘進率を測定する方法であって、
プローブ信号を前記伝送線に結合すること、
前記プローブ信号を、前記伝送線により前記ボーリング孔の前記底部に誘導することであって、前記プローブ信号の少なくとも一部分が、帰還プローブ信号として前記ボーリング孔の前記底部から反射および/または散乱する、前記誘導すること、
前記帰還プローブ信号を、前記伝送線により前記ボーリング孔の前記底部から誘導すること、
前記帰還プローブ信号を、前記伝送線の外部で、結合すること、
中間周波数信号を生成するために、前記帰還プローブ信号を局部発振器と混合すること、および
前記ボーリング孔の前記深さおよび/または前記掘進率を、前記中間周波数信号の振幅および/または周波数から決定すること、を含む、方法。
【請求項10】
前記プローブ信号の振幅を変調すること、および前記ボーリング孔の前記深さおよび/または前記掘進率が前記中間周波数信号の前記振幅に基づくと判定すること、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プローブ信号の周波数を変調すること、および前記ボーリング孔の前記深さおよび/または前記掘進率が前記中間周波数信号の前記周波数に基づくと判定すること、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記プローブ信号を少なくとも一つのパルスに形成すること、および
前記少なくとも一つのパルスの飛行時間に基づいて、前記ボーリング孔の前記深さおよび/または前記掘進率を決定すること、をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記プローブ信号を、前記ミリ波放射の周波数とは異なる周波数で発生させることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記プローブ信号を、前記ミリ波放射の一部分から形成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記伝送線を介して、前記ボーリング孔の前記底部の温度を示す放射を受信することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
ミリ波掘孔ビームによりボーリング孔を形成し、前記ボーリング孔の深さおよび/または掘進率を決定する方法であって、
ミリ波放射を伝送線に結合すること、
プローブ信号を前記伝送線に結合すること、
前記伝送線により、前記ミリ波放射および前記プローブ信号を前記ボーリング孔の底部に誘導すること、
前記ミリ波掘孔ビームを、前記伝送線の遠位端に形成すること、
前記ボーリング孔の深さを、前記ミリ波掘孔ビームにより増大させること、
前記伝送線により前記ボーリング孔の前記底部から帰還プローブ信号を誘導することであって、前記帰還プローブ信号が、前記ボーリング孔の前記底部から反射および/または散乱する前記プローブ信号の少なくとも一部分である、前記誘導すること、
前記帰還プローブ信号を、前記伝送線の外部で、結合すること、
中間周波数信号を生成するために、前記帰還プローブ信号を局部発振器と混合すること、および
前記ボーリング孔の前記深さおよび/または前記掘進率を、前記中間周波数信号の振幅および/または周波数から決定すること、を含む、方法。
【請求項17】
前記プローブ信号の振幅または周波数を変調すること、および前記ボーリング孔の前記深さおよび/または前記掘進率が前記中間周波数信号の前記振幅に基づくと判定すること、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記プローブ信号を少なくとも一つのパルスに形成すること、および
前記少なくとも一つのパルスの飛行時間に基づいて、前記ボーリング孔の前記深さおよび/または前記掘進率を決定すること、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ミリ波掘孔ビームにより掘孔する間に、前記ボーリング孔の前記底部から放射される第一の温度信号を前記伝送線に結合すること、
前記伝送線からの前記第一の温度信号を、温度モニターに結合すること、
前記温度モニターにより、第一の温度を決定すること、
前記第一の温度に基づいて、前記ミリ波放射における出力の量を調整すること、
前記ミリ波放射の前記ボーリング孔の前記底部への前記誘導を停止すること、
前記ボーリング孔の前記底部がより低い温度に到達可能になること、
前記ボーリング孔の前記底部から放射される少なくとも第二の温度信号を前記伝送線に結合すること、
前記伝送線からの少なくとも前記第二の温度信号を温度モニターに結合すること、
前記温度モニターにより、少なくとも第二の温度を決定すること、および
前記掘孔が、少なくとも前記第二の温度に基づいて、地熱にアクセスするのに十分な深さに到達したかどうかを判定すること、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条第(e)項に基づき、2021年12月20日出願の「Rate of Penetration/Depth Monitor for a Millimeter-Wave Beam Made Hole」と題する米国特許出願第63/291,731号に対する優先権の利益を主張するものであり、この出願は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援
本発明は、エネルギー省が与えた付与番号DE-AR0001051に基づいて、政府支援によって実施された。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
ジャイロトロンによって生成される高出力ミリ波ビームは、岩石を溶融および/または気化させることによって、岩石にボーリング孔を作ることができる。このボーリング孔開口プロセスは、それぞれ、1000°Cおよび3000°Cの岩石の溶融温度および気化温度よりも高い温度で動作する。機械的に掘孔されたボーリング孔を監視するために使用される従来のセンサは、ボーリング孔の底部との物理的接触を必要とし、これらの温度では存在し得ない。
【発明の概要】
【0004】
本技術は、高出力ミリ波ビームにより、岩石に深いボーリング孔を形成し、ボーリング孔の底部を監視するために使用され得る。監視装置は、ボーリング孔の深さまたは温度に関係なく、周囲温度および圧力で地表面上に留まることができる。
【0005】
本技術は、伝送線によってボーリング孔の底部に誘導されるミリ波掘孔ビームにより掘孔されたボーリング孔の深さおよび/または掘進率を測定する方法を含む。本方法は、プローブ信号を伝送線に結合することを含む。伝送は、プローブ信号をボーリング孔の底部に誘導し、プローブ信号の少なくとも一部分は、ボーリング孔の底部から帰還ビームとして反射および/または散乱する。伝送線は、帰還ビームをボーリング孔の底部から誘導する。帰還ビームは、伝送線の外部で結合され、局部発振器と混合され、その振幅および/または周波数が、ボーリング孔の深さおよび/または掘進率を決定するために使用される、中間周波数ビームを生成する。
【0006】
一部の事例では、プローブ信号の振幅は、変調され、その場合、ボーリング孔の深さおよび/または掘進率は、中間周波数ビームの振幅に基づき得る。他の事例では、プローブ信号の周波数は、変調され、その場合、ボーリング孔の深さおよび/または掘進率は、中間周波数ビームの周波数に基づく。また、さらに他の事例では、プローブ信号は、パルスを含み、ボーリング孔の深さおよび/または掘進率は、パルスの飛行時間に基づく。
【0007】
プローブ信号は、ミリ波掘孔ビームの周波数とは異なる周波数で発生され得、またはミリ波掘孔ビームから採取され得る。
【0008】
必要に応じて、ミリ波掘孔ビームの周波数とは異なる(かつプローブ周波数とは異なる)温度信号周波数の温度信号は、ボーリング孔の底部の温度を決定するためのプローブ信号により、伝送線に結合され得る。
【0009】
本技術の他の実施形態は、供給源、伝送線、深さ/掘進率モニター、およびビーム合成器(beam combiner)により、ボーリング孔を掘孔するためのシステムを含む。動作中、供給源は、ミリ波掘孔ビームを発生させる。供給源に結合される伝送線は、ミリ波掘孔ビームをボーリング孔の底部に誘導する。伝送線にも結合される深さ/掘進率モニターは、ボーリング孔の深さ/掘進率を監視する。そして、伝送線および深さ/掘進率モニターに結合されるビーム合成器は、プローブ信号を、ボーリング孔の底部への伝送のための伝送線に結合し、伝送線からのボーリング孔の底部からプローブ信号の反射および/または散乱によって発生される帰還ビームを、深さ/掘進率モニターに結合する。
【0010】
深さ/掘進率モニターは、反射率計、周波数変調レーダー、またはパルス変調飛行時間レーダーとして動作するように構成され得る。深さ/掘進率モニターは、プローブ信号を、ミリ波掘孔ビームの周波数とは異なる周波数で発生させ得る。他の事例では、ビーム合成器は、ボーリング孔の底部から帰還したミリ波掘孔ビームの一部分を、帰還ビームとして深さ/掘進率モニターに方向付ける。
【0011】
ビーム合成器は、ミリ波掘孔ビームを、伝送線のベンドの周りで反射するために、マイターミラー(miter mirror)を備え得る。プローブ周波数の放射を通過し、ミリ波掘孔ビームの周波数の放射を拒否するために、マイターミラーに孔があり得る。
【0012】
システムはまた、ミリ波掘孔ビームの周波数とは異なり、プローブ周波数とは異なる温度信号周波数で、ボーリング孔の温度を監視するための温度信号を受信するために、温度モニターを含み得る。また、システムは、温度信号をプローブ信号と結合するために、深さ/掘進率モニター、温度モニター、およびビーム合成器に結合された小信号ビーム合成器を含み得る。
【0013】
前述の概念および以下でより詳細に論じる追加的概念の全ての組み合わせは(このような概念が、相互に矛盾しないという前提で)、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると想定される。特に、本開示の最後に記載される、特許請求の範囲に記載の主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示する発明の主題の一部であると想定される。参照により本明細書に組み込まれる、あらゆる開示においても明示的に用いられる用語は、本明細書に開示される特定の概念と最も一致する意味を与える必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、例示的な目的を主とし、本発明の主題の範囲を制限することを意図していない。図面は、必ずしも、正確な縮尺ではなく、一部の事例では、本明細書に開示される本発明の主題の種々の態様は、異なる特徴の理解を促進するために、図面中で誇張または拡大されて示される場合がある。図面では、同様の参照文字は、一般に、同様の特徴(例えば、機能的に類似したおよび/または構造的に類似した要素)を意味する。
【0015】
【
図1A】
図1Aは、ボーリング孔を掘孔するために、高出力掘孔ビーム、およびボーリング孔の掘進率(ROP)および/または深さを監視するために、高出力掘孔ビームとは異なる周波数の少なくとも一つの共線的で小さな信号プローブ信号を使用する、指向性エネルギーミリ波(MMW)掘孔システムを示す。
【0016】
【
図1B】
図1Bは、ボーリング孔を掘孔するために、またボーリング孔の掘進率(ROP)および/または深さを監視するために、高出力掘孔ビームを使用するMMW掘孔システムの実装形態を示す。
【0017】
【
図1C】
図1Cは、アイソレータおよび検出器により実装され得、ボーリング孔を掘孔するために使用されるMMW放射を使用し得るROP/深さモニターの詳細を示す。
【0018】
【
図2A】
図2Aは、高出力加熱ビームを、
図1Aの指向性エネルギーMMW掘孔システム中の一つ以上のより高周波のプローブ信号に結合するためのビーム合成器の実装形態を示す。
【0019】
【
図2B】
図2Bは、高出力加熱ビームを、
図1Aに示すものと類似の指向性エネルギーMMW掘孔システム中の一つ以上のより低周波のプローブ信号に結合するためのビーム合成器の別の実装形態を示す。
【0020】
【
図3】
図3は、ボーリング孔のROP/深さを監視するための94GHzビームおよびボーリング孔温度を監視するための137GHzビームを、28GHzの過変調導波路上の高出力マイターベンドを通って伝播する28GHzの高出力加熱ビームと組み合わせる小信号合成器を含む
図1AのMMW掘孔システムの部分の写真である(例えば、
図2Aに概略的に示すように)。
【0021】
【
図4】
図4は、反射率測定または周波数変調(FM)レーダー技術のいずれかを使用して、ボーリング孔のROP/深さを監視するための94GHzプローブ信号を発生させるための回路を示す。回路は、137GHzの温度信号で結合するための任意選択の小信号合成器で示される。
【0022】
【
図5】
図5は、反射率計として動作する他の電子機器とのボーリング孔のROP/深さモニターの接続を示す。
【0023】
【
図6】
図6は、FMレーダーとして動作する他の電子機器とのボーリング孔のROP/深さモニターの接続を示す。
【0024】
【
図7】
図7は、約18cmの開始距離および0.5mm/分の速度でモニターから均一に離れて移動する平坦な鉛標的をプローブする94GHzのROP/深さモニタービームによって発生される信号のプロットである。
【0025】
【
図8】
図8は、94GHzのROP/深さモニタービーム(右軸)および28GHzの掘孔ビーム(左軸)によって発生される信号のプロットを示し、両方が、掘孔ビームが岩を除去する間に、玄武岩の表面における溶融クレーターの形成を同時にプローブするために使用される。
【0026】
【
図9】
図9は、玄武岩におけるMMWビームの溶融クレーターの破損した開口断面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1Aは、土質材料などの材料150のシステムによって作製されたボーリング孔110の掘進率(ROP)および/または深さを感知するための少なくとも一つのモニター160を備えた高出力指向性エネルギーミリ波(MMW)掘孔システム100を示す。システム100はまた、他の特徴の中でも特に、温度、表面放射率ε、および溶融乱流などの、ボーリング孔110の底部の一つ以上の状態を監視するために、一つ以上の補助モニター170を含み得る。掘孔システム100は、高出力MMW掘孔ビーム105を使用して、孔ボーリング孔110を材料150に「掘孔」する。掘孔は、ボーリング孔が深化するにつれて、材料を溶融、気化、および/または除去することを含み得る。
【0028】
高出力源120からの高出力MMW放射103は、高出力伝送線130(導波路として実装され得る)に結合され得、ボーリング孔110の底部に送達され得る。ボーリング孔の底部で、高出力MMW放射103は、伝送線130の遠位端138を出て、その経路内の材料と相互作用する掘孔ビーム105を形成し得る。一部の実施形態によれば、掘孔ビーム105は、例えば、グラナイトを溶融するのに十分な出力を有する。ジャイロトロンなどの高出力源120は、約またはちょうど30GHz~約またはちょうど300GHzの領域の周波数で、約またはちょうど100,000ワット~約またはちょうど2,000,000ワットの領域の平均出力により、MMW放射103を発生させ得る。MMW放射103は、これらの出力レベルで連続波であり得、またはパルス化され得、瞬間的なより高い出力レベルを生成する。
【0029】
高出力源120からのMMW放射103の出力および周波数は、システム100がボーリング孔110を掘孔している場合、時間と共に一定であり得る。例えば、出力および周波数は、ボーリング孔が掘孔される際に、秒、分、数十分、または一時間にわたってさえも一定に保たれ得る。一部の事例では、高出力源120からのMMW放射103の出力および周波数の一方または両方は、システム100がボーリング孔110を掘孔している場合、上述の周波数領域および出力領域内で変化し得る。例えば、周波数および/または出力は、異なる材料に関与する場合に変化し得、異なる材料へのエネルギー結合およびその加熱を改善する。
【0030】
モニター160、170からのプローブ信号108、109は、高出力伝送線130に、および高出力伝送線130から、一つ以上の合成器140、142と放射状に結合され得る。プローブ信号108、109は、ボーリング孔110の底部の状態を感知するために、高出力掘孔ビーム105の周波数とは異なる一つ以上の周波数であり得る。さらに、ROP/深さモニター160からのプローブ信号108は、補助モニター170に使用される周波数とは異なる周波数であり得る。例えば、ROP/深さモニターに使用される周波数は、10GHz~300GHzの領域にあり得る。一部の事例では、ROP/深さモニターに使用される周波数は、10GHz~1THzの領域にあり得る。補助モニターに使用される周波数はまた、10GHz~300GHzの領域にあり得る。一部の事例では、補助モニターに使用される周波数は、10GHz~1THzの領域にあり得る。プローブ信号の出力レベルは、0.1ワット~100ワットの領域、または場合によっては、さらに高い出力レベルであり得る。ボーリング孔110の底部からの熱放射を検出する場合、受信されたプローブ信号109の出力レベルは、0.1ワット未満となり得る。用語「プローブ信号」は、本明細書では、ROP/深さモニター160または補助モニター170によってボーリング孔に発射され、ボーリング孔110の特性を測定するために使用される信号を指すために使用される。一部の事例では、補助モニター(温度放射計など)は、プローブ信号を発射せず、代わりに、放射放出(例えば、黒体放射)をボーリング孔から受信および監視し得る。ROP/深さモニター160および補助モニターによって感知され得る条件には、ボーリング孔110の、ボーリング孔が掘孔される際の掘進率、ボーリング孔110の深さ、土質材料の表面放射率ε、およびボーリング孔110が掘孔される際の土質材料150の温度が含まれるが、これらに限定されない。ボーリング孔110の深さは、ボーリング孔が能動的に掘孔されている間に測定され得、または測定され得ない。
【0031】
高出力伝送線130は、高出力MMW放射103を高出力源120からボーリング孔の底部に誘導し、掘孔ビーム105は、岩石およびその他の材料を気化させ得る。高出力伝送線130は、典型的には、中空であり、高出力を処理し得る直径(過大化)の二つ以上の波長であるサイズである。高出力伝送線は、最も効率的な基本モードが最小損失で伝搬できるように、モード変換を低減または最小化するように構成される。遠位端138からの発射時の特殊用途、または屈曲部をより効率的に通り抜けるには、何らかの意図的なモード変換があり得るが、概して、MMW放射103は、効率的な長距離伝送のために単一モードで、高出力伝送線130を通って伝播する。直線偏光HE11モードは、銅などの良好な導体金属表面を有する内部波形である円形の高出力伝送線130において最も効率的なモードである。他の好適なモードとしては、滑らかな壁の金属導波路における方位偏光TE01モードが挙げられる。このモードは、内部波形の円形導波路において、HE11モードの効率の69%を有する。HE11モードはまた、中空光ファイバケーブルなどの誘電導波路のように作用する、ボーリング孔110によって誘導され得る。例えば、掘孔ビーム105は、ビームが前進する際に、ボーリング孔110の壁をガラス化し得、中空の円形誘電導波路を形成する。
【0032】
MMW掘孔システム100は、高出力伝送線130に放射状に結合されるROP/深さモニター160を含み得る。ROP/深さモニター160は、プローブ信号108またはプローブビームとも称される小信号プローブ信号を発生させ、これは、ボーリング孔のROPおよび/または深さを感知するための掘孔ビーム105とは異なる周波数であり得る。例えば、プローブ信号108は、最大5GHzの帯域幅により、30GHz~1THzの周波数領域のプローブ周波数で中心配置され得る。一部の事例では、プローブ信号108の周波数は、測定を行う場合、この周波数領域内の周波数にわたって変化し得る。プローブ信号108は、掘孔ビーム105を誘導する同一の高出力伝送線130によって誘導され得ることが好ましい。平均プローブ信号電力は、0.01ワット~10ワットの領域内にあり得、測定を行う場合、この領域内の出力レベルの領域にわたって、一定であり得、または変化し得る。
【0033】
一つ以上の補助モニター170は、ボーリング孔110の掘孔およびMMW掘孔システム100に関連する他のパラメータをプローブまたは監視するための他の周波数で、一つ以上の他の小信号プローブ信号109を発生および/または受信し得る。一部の事例では、補助モニター170は、分析のためにボーリング孔から放射放出を受信する。例えば、補助モニター170は、それぞれ、ミリ波またはテラヘルツ分光法によって、放射測定および/または導波路/ボーリング孔充填組成物によって、ボーリング孔の温度を監視し得る。一部の実装形態では、温度は、伝送線130に結合し、補助モニター170に再度伝搬する、ボーリング孔110の底部からのミリ波熱放射によって監視され得る。高出力伝送線130および138によって画定される放射計アンテナパターンは、帰還温度信号を形成する見かけのスポットサイズを選択する。(熱放射は、すべてのモードで発生し、受信機アンテナパターンが、高出力伝送線130に沿って伝搬し、補助モニター170によって検出されるモードを選択する。したがって、帰還温度信号109は、少なくとも部分的に放射計の視野によって画定される特性を有する。)一部の事例では、充填組成物は、ミリ波またはテラヘルツ分光学的放射または吸収によって監視され得る。補助モニター170によって実施される分光法は、熱黒体放射背景または局所プラズマ励起放射を使用して、受動である、または周波数掃引プローブ信号により能動であり得る。受動的分光法については、受信アンテナ(本質的に、高出力伝送線130)は、帰還温度信号の場合のように、帰還信号を本質的に画定する。能動的プローブについては、高出力導波路は、プローブ信号を画定・誘導する。これらの補助プローブ信号は、0.1ワット~100ワットの領域の平均出力レベルを有し得、30GHz~1THzの領域の一つ以上の周波数で動作し得る。
【0034】
一部の実装形態では、温度監視は、温度プローブ信号を、補助モニター170によりボーリング孔110に発射することを含み得る。温度プローブ信号は、ボーリング孔の底部の表面放射率εを決定するために使用され得る。一般的に、ボーリング孔の底部から(および温度放射計によって検出される)放射放出は、表面放射率および温度の積(εT)である。放射率は、0~1の範囲の値を有し得る。表面放射率が判明すると、ボーリング孔110の底部の土質材料150の温度をより正確に決定し得る。放射率は、温度プローブ信号により、表面の反射率を測定することによって測定され得る。不透明な表面については、放射率は、式ε=1-rから算出され得、rは、表面反射率である。
【0035】
温度監視は、二つの理由により有用であり得る。第一に、土質材料の温度は、除去効率を改善するために、掘孔中に監視され得る。例えば、特定の温度は、(例えば、温度を示す信号を、掘孔領域から受信し、それに応じて、送達された出力を調整するフィードバックループを使用して)掘孔中に維持され得る。維持された温度は、土質材料を気化させる、またはそれを、高圧ガスを使用してボーリング孔から排出され得る優勢のマイクロ粒子に除去する温度であり得る。加圧ガスは、伝送線130に沿ってポンプ注入され、掘孔ビーム105からのエネルギーによって加圧され得、これは、蒸気および/または微粒子が伝送線の外側に上向きに排出される間に、理想気体および実在気体の法則によって説明されるように、閉じ込められたボーリング孔容積内の材料の温度を増加させる。
【0036】
第二に、地熱アクセスについては、温度監視はまた、掘孔が停止し、土質材料がより低温度またはその定常状態の温度に冷却可能になる場合に、有用である。この場合、温度監視は、地熱にアクセスするのに十分な深さに到達するまでの時間を決定し得る。例えば、温度は、温度モニターによって測定され得る、その定常状態の温度まで低下し得る。あるいは、少なくとも一つのより低い温度は、温度がその定常状態の温度まで低下するにつれて、測定され得る。定常状態の温度(地熱エネルギーを利用し得、さらなる掘孔を必要としない温度)は、50°C~500°Cの範囲とし得る。低下温度への指数または関数の適合は、ボーリング孔の底部の最終的な定常状態の温度を決定するために使用され得る。
【0037】
補助モニター170からの補助プローブ信号109は、
図1Aに示すように、プローブ信号108、109を、電力合成器140までおよびそこから運ぶ共通の小信号伝送線133上に小信号合成器142によってROP/深さモニター160からのプローブ信号108と組み合わせられ得る。電力合成器140は、組み合わされた小信号プローブ信号108、109を、小信号伝送線133から、高出力MMW放射103をボーリング孔110の底部に誘導もする高出力伝送線130まで結合する。ボーリング孔110の底部で、プローブ信号108、109は、伝送線130の遠位端138を出るおよび/または入り得、物理的特性(例えば、ボーリング孔の掘進率、温度、深さ、材料組成、溶融乱流など)を感知する。加熱された土質材料150からの黒体放射放出はまた、補助モニター170への伝送のための伝送線130の遠位端138に入り得る。
【0038】
小信号プローブ信号108、109は、ボーリング孔110の底部から帰還し得、高出力伝送線130によって電力合成器140に戻り誘導され得、電力合成器140は、帰還小信号プローブ信号108、109を、小信号伝送線133を介して、小信号合成器142に結合する。小信号合成器142は、異なる小信号プローブ信号108、109および/または放射放出を、それぞれのモニター160、170に方向付ける。帰還信号は、周波数、偏光、または時間を使用して分割され、それぞれのモニターに送信され得、信号を小信号合成器142で逆多重化する。モニター160、170は、それらの対応する受信したプローブ信号の振幅、周波数、および/または位相を測定して、他の特徴の中でも、掘孔ビームの掘進率、ボーリング孔の深さ、表面放射率、溶融乱流、および/または温度などの、ボーリング孔110の底部の状態に関するいくつかの情報を導出する。モニター160、170は、帰還プローブ信号108、109および/または放射放出から情報を導出するため、これらは、極端な温度に加熱されるボーリング孔110の底部から遠く離れて、地表面上に留まることができる。結果として、モニターは、例えば、機械的掘孔を監視するために使用される下げ孔モニターほど堅牢である必要はない。モニターはまた、機械的掘孔により作製されたボーリング孔の底部の状態よりも極端(例えば、より高温)であるボーリング孔110の底部の状態を監視し得る。
【0039】
溶融乱流の評価は、深いボーリング孔を掘孔するのに有益であり得る。溶融乱流は、溶融土類材料150の粘度のレベルを示し得る。一部の掘孔用途では、適切な粘度に一旦到達すると、溶融土類材料150は、ボーリング孔の壁まで移動され得、冷却されて、ボーリング孔110を覆う固体ケーシングを形成する。この自己ケーシングは、ボーリング孔110を安定化させ得、一部の事例では、ボーリング孔の崩壊を防止するのに十分強くなり得る。
【0040】
図1Bおよび
図1Cは、代替的な高出力の指向性エネルギーMMW掘孔システム102を示す。本システム102は、異なる周波数のプローブ信号108の代わりに、高出力MMW放射の部分を使用して、ボーリング孔の掘進率および/または深さを監視し得る。
図1Aのように、ジャイロトロンまたは他の高出力MMW源120は、高出力MMW放射103を発生させ、これは、高出力導波路または伝送線130によりボーリング孔の底部に誘導される。しかしながら、この場合、掘進率/深さモニターは、プローブ信号を、掘孔ビーム105を形成する高出力MMW放射103の周波数とは異なる周波数で発生および発射しない。代わりに、アイソレータ180によるビーム採取により、前方高出力MMW放射103の小さい部分が、ビームダンプ181、182を介して、ビームダンプのうちの一つでジャイロトロン周波数検出器184に結合される。さらに、反射電力アイソレータ180は、ボーリング孔110の底部から帰還した高出力MMW放射103の部分を、検出器184に同時に結合する。帰還MMW放射103は、反射電力ビームダンプ182から小信号伝送線186を通って結合され得る。
【0041】
図1Cは、ROP/深さモニター162の別の実装形態の一部であり得る、アイソレータ180および検出器184のさらなる詳細を示す。より具体的には反射電力アイソレータ180は、高出力伝送線130の軸に対して45度の角度で銅線の偏光子グリル183を含み得る。偏光子グリル183の各側で互いに対向する、二つのビームダンプ181、182があり得る。MMW放射103は、電力アイソレータ180の偏光子グリルを通過するHE
11モードで主に直線偏光されるが、典型的には、偏光子を通過しない誤った偏光に望ましくない小さい電力成分がある。電力アイソレータ180は、MMW放射103の移動方向に応じて、MMW放射103の他の偏光成分を、サイドビームダンプ181、182にフィルタ処理および/または反射する。一つの前方ビームダンプ181は、フィルタ処理された前方電力を吸収し得、第二の反射電力ビームダンプ182は、帰還反射電力を吸収し得る。一部の事例では、ビームダンプ181、182は、完全ではなく、電力を互いにクロス散乱し得る。このような場合、小信号導波路186は、必要とされない場合がある。偏光子グリル183は、ボーリング孔110の底部の標的から帰還した電力を、反射電力ビームダンプ182に反射する。この帰還および反射電力は、
図2Aに示すような小信号および高出力ビーム合成器140の一部であろう、マイターベンド内の円形偏光ミラーによって90度反転された偏光を有する。円形偏光ミラーは、その表面に、入射直線偏光ビームを円偏光し、入射ビームに対する直交直線偏光への帰還反射を再偏光する溝を有する。前方ビームダンプ81の中心から離れて位置する検出器184(例えば、28GHzダイオード)は、偏光子グリルによって拒否されたこれらの信号を採取する。前方および帰還信号構成要素は、ダイオード検出器内でコヒーレント干渉して、次に、岩石溶融表面までの距離に依存する前方および反射信号の相対位相に依存する検出された信号振幅を生成する。アイソレータ180および検出器184は、距離測定の信頼性および精度を改善するために、単独で、またはROP/深さモニター160(異なる周波数で動作し得る)に加えて使用され得る第二のROP/深さモニター162を実装するために使用され得る。
【0042】
第二のROP/深さモニター162では、偏光グリルからの反射信号は、局部発振器として使用するためのROP/深さモニター162に結合された前方移動高出力MMW放射103の部分とコヒーレントに混合する。ROP/深さモニター160は、MMW放射103の周波数とは異なる周波数であり得る、そのモニターに対して局部発振器信号を提供する独自の周波数源を有し得る。ROP/深さモニター160、162は、それらのそれぞれの局部発振器信号を、ボーリング孔110から受信した反射信号と混合することによって引き起こされるそれらのうなりまたは中間周波数を検出し、モニターは、それらのそれぞれの検出されたビート信号を処理して、ボーリング孔110のROPまたは深さを決定する。MMW放射103および掘孔ビーム105が一定の周波数にある場合、掘進率/深さモニター162は、反射率計として作用し、振幅の最大値および最小値の数が、以下に記述するように、ボーリング孔の深さを表す。MMW放射103および掘孔ビーム105の周波数が、チャープまたは掃引される場合、掘進率/深さモニター162は、周波数変調(FM)レーダーとして作用し、位相またはうなりの周波数が、以下に記載されるように、ボーリング孔の深さを表す。同様に、ROP/深さモニター160の周波数源は、それぞれ、反射率計またはFMレーダーとしてROP/深さモニターを操作するために、固定または掃引され得る。
【0043】
1.周波数多重プローブ信号の、誘導高出力MMW放射との組み合わせ
一部の実施例では、高出力MMW放射103、小信号プローブ信号108、109、およびボーリング孔110の底部からの対象の放射放出は、小信号合成器142および電力合成器140を使用して、周波数多重化および逆多重化され得るように、異なる周波数にある。小信号モニター160、170は、信号分割器、方向性結合器、または周波数多重化器などの基本モードマイクロ波/ミリ波導波路構成要素を使用することによって、高出力伝送線130に放射状に結合され得る。(基本モードのみを支持する導波路は、1波長未満、または小信号モニター160または170によって使用される放射の半分の波長ほどの断面を有する。)モニターのプローブ信号108、109は、
図2Aおよび
図2Bに関連して記載される構成を使用することによって、高出力伝送線130に結合され得る。高出力伝送線130は、プローブ信号に対して過大化され得る(例えば、伝送線130に使用される導波路の直径は、プローブ信号108、109に使用される放射の波長よりもはるかに大きくなり得る)。
【0044】
図2Aおよび
図2Bは、高出力MMW放射103を運ぶ高出力伝送線130上におよびそれから、モニター160、170に伝播する、およびモニター160、170から伝播する小信号プローブ信号108、109を、ボーリング孔110の底部に放射状に結合し得る電力合成器140a、140bの実施例を示す。電力合成器の構成は、小信号プローブ信号108、109、対象の放射放出、および高出力MMW放射103の相対周波数に依存する。
図2Aの電力合成器140aは、より高周波の小信号プローブ信号を、伝送線130に沿って走行するより低周波の高出力MMW放射103と組み合わせ得る。
図2Bの電力合成器140bは、より低周波の小信号プローブ信号108および/またはプローブ信号109を、より高周波の高出力掘孔ビームと組み合わせ得る。
【0045】
図2Aのビーム合成器において、高出力伝送線130のベンドに取り付けられるマイターミラー210の小さい結合孔205は、掘孔ビーム105に摂動を与えることなく、より高周波のプローブ信号108、109をより低周波のMMW放射103と結合するために使用され得る。高出力MMW放射103は、
図1Aに示すように、例えば、ボーリング孔110の底部に向かって下向きに、マイターミラー210に反射する。同時に、モニター160、170からの小信号プローブ信号108、109は、マイターミラー210の結合孔205を通って、ボーリング孔の底部に下向きに伝搬する。帰還小信号プローブ信号108、109および/または放射放出は、マイターミラー210の孔205を上方に通って、モニター160、170に通過する。結合孔205の直径および/または小信号伝送線133の内径は、MMW放射103がモニター160、170に向かって伝播するのを防止するために、高出力MMW放射103の波長の半分未満である。言い換えれば、マイターミラー210中の結合孔205および/または小信号伝送線133は、モニター160、170に向かうMMW放射103の一過性伝播のみを可能にし、低域遮断周波数またはハイパスフィルタとして効果的に作用する。小信号伝送線133と高出力伝送線130との間の結合におけるモード変換損失を較正することができる。
【0046】
図2Bの電力合成器140bにおいて、電力伝送線130内の二色性または偏光依存性フィルタ220は、高周波数高出力MMW放射103を通過し、低周波数小信号プローブ信号108、109および/またはボーリング孔110の底部からの放射放出を反射する。より具体的には、偏光依存性フィルタ220は、低密度のワイヤを備えたワイヤグリルまたはメッシュとして実装され得る。例えば、ワイヤグリル(直線状の平行な導電性ワイヤまたは導電性トレースを含む)は、第一の直線偏光波を送信し、第一の偏光波に直交して配向されるその偏光を有する第二の直線偏光波を反射し得る。別の実施例として、適切な角度または厚さで取り付けられた誘電体窓は、二つの異なる周波数の放射を分離するための周波数選択フィルタ220として使用され得る。フィルタ220は、高出力MMW放射103をボーリング孔110の底部に向かって下向きに伝送するように構成される。二色性または偏光依存性のフィルタ220はまた、プローブ信号108、109を、高出力伝送線130を介して、モニター160、170からボーリング孔110の底部に向かって下向きに反射し、帰還プローブ信号108、109および/または対象の放射放出を、小信号伝送線133を介して、モニター160、170に向かって反射する。
【0047】
テーパ状の導波路230のセクションを備える移行領域は、小信号伝送線133と高出力伝送線130との間に位置し得、二色性または偏光依存性のフィルタ220の近傍(例えば、ミラーの10cm以内)に位置し得る。テーパ状の導波路230は、横モードを小信号伝送線133から変換し得、高出力伝送線130によって支持されるモードにより良好に合致し、その逆もまた可であり、その結果、二つの伝送線間のモード結合損失を低減する。一部の事例では、プローブ信号の波長が、高出力MMW放射103の波長よりも長くなり得ても、小信号伝送線133の直径は、高出力伝送線130の直径よりもはるかに小さくなり得る。テーパ状の導波路230は、小信号伝送線133内で伝搬するプローブ信号108、109を、より大きい高出力伝送線130に、およびそこから結合するのに役立つ。テーパ状の導波路230のテーパは、直線状または放物線状であってもよく、モード変換損失を低減または最小化する(例えば、10dB未満に)のに十分な長さであるべきである。放物線のテーパは、一般的に、直線状のテーパよりも短い。テーパ状の導波路230の内面は、テーパ状の導波路230が接続する伝送線の内面と一致することが好ましい。例えば、テーパ状の導波路230は、それが接続する伝送線130、133が波形の内面を有する導波路として実装される場合、HE11モードを効率的に伝送するために、波形の内面を有し得る。テーパ状の導波路230の端幅(直径)は、端が接続する伝送線の幅(直径)に合致するようにサイズ設定される。高出力ジャイロトロン周波数のノッチフィルタはまた、小信号監視導波路に追加され得、任意の漂遊または散乱された高出力ジャイロトロン電磁放射をさらに拒否し得る。
【0048】
電力合成器140bで使用され得る高出力誘電体構成要素の一つの実施例は、ブルースター角で配向されたダイヤモンドプレートであり、ブルースター角は、1気圧での空気中のダイヤモンドに対して、67度である。ダイヤモンドプレートは、ビームを、直交直線偏光により、組み合わせおよび分離する。ブルースター角では、入射面(入射ビームベクトルおよび反射ビームベクトルを含み、プレートに対して垂直な平面)の偏光は、損失なしに伝送され(非常に小さなプレート吸収を除く)、入射面に垂直な偏光を有するビームは、高反射性である。伝送ビームは、高出力伝送線130に沿って伝播する高出力MMW放射103であり得、反射ビームは、プローブ信号108および/またはプローブ信号109であろう。
【0049】
図3は、指向性エネルギーMMW掘孔システムの部分の写真であり、
図2Aに示す電力合成器のような電力合成器140aに結合された小信号ビーム合成器142を示す。小信号ビーム合成器142は、温度放射測定のためにボーリング孔110から受信した135~139GHzの放射放出または温度信号109と、高出力マイターミラー210に向かって90度曲がる小信号伝送線133(長方形導波路、円形から長方形への移行部、および円形導波路として実装される)からの94GHzのROP/深さ帰還プローブ信号108とを減結合する。温度放射計は、補助モニター170として使用される。マイターミラー210中の孔は、同一線上の組み合わせられた帰還プローブ信号108および温度信号を、プローブ信号108および温度信号が、掘孔ビーム105を形成するために使用される28GHzの高出力放射により高出力伝送線に沿って伝搬するように、マイターミラー210の下方のより大きい直径の高出力伝送線(写真では見えない)からモニター160、170まで、放射状に結合する。3インチ(76mm)の内径28GHzの高出力伝送線上に取り付けられる銅マイターミラー210の上部を、
図3の右下に示す。小信号伝送線133は、マイターミラー210に取り付けられ、マイターミラーの中心に同一直径の孔に整列された垂直部分を有する、0.097インチ(2.5mm)の内径の銅円形導波路を備え、これは、プローブ信号108を、高出力伝送線に導入して、高出力MMW放射と共線的に伝播する。
【0050】
図3の例示的なシステムのマイターミラー210から上に続くように、wr-8帯域(90~140GHz)への導波路の円形から長方形への移行部は、取り付けられ、その後、wr-8 E-平面ベンドが続く。E-平面ベンドは、水平に配向された3dB wr-8方向性結合器に取り付けられ、これは、二つのモニター160、170間の組み合わせられた帰還プローブ信号108および温度信号を分割する。94GHzのROP/深さモニター160に対する帰還プローブ信号108、およびGHz温度放射計に対する温度信号109は、補助モニター170への導波路のwr-8~wr-6(110~170GHz)の移行部、およびROP/深さモニター160へのwr-8~wr-10(75~110GHz)の移行部(部分的に視認可能である)と組み合わせて、方向性結合器によって分離される。導波路のwr-6~wr-8の移行部は、94GHzがwr-6導波路内で伝搬し得ないため、ROP/深さプローブ信号が、放射計の受信温度信号と干渉することを防止する。同様に、28GHzの高出力掘孔ビームは、直径0.097インチの導波路内で伝搬し得ず、モニターを遮蔽する一方で、より高周波のビームにより、ボーリング孔標的表面を監視するための完全なアクセスを与える。
【0051】
2.掘進率/深さモニター機器
ROP/深さモニター160は、反射率計(反射干渉計)、周波数変調(FM)レーダー、またはパルス飛行時間レーダーのいずれかとして動作し得る。反射率計の構成では、プローブ周波数とも称される小信号ROP/深さプローブ信号108の周波数が固定される。帰還プローブ信号108は、それ自体の未伝送部分と混合されて、その振幅が、伝送前のものに対する帰還プローブ信号108の往復帰還位相に依存するDC信号を生成する。プローブ周波数での波長の四分の一に等しい深さの変化については、検出された信号振幅は、最大値から最小値まで変化し、またはその逆で変化すべきである。言い換えれば、反射率計の構成では、ROP/深さモニター160は、以下のように記述され得る、深さ分解能Δzを有する。
【数1】
ここで、λは、プローブ周波数での波長である。ROPは、信号が最大から最小に変化する速度を測定することによって、決定され、深さは、プローブ伝送の開始位相または基準位相からの最大から最小への変化の数を、時間の関数として数えることによって、決定される。
【0052】
FMレーダー構成では、プローブ周波数は、一部の変調周波数レートf
mで、Δfの帯域幅にわたって、掃引される。ROP/深さプローブ信号108の未伝送コピーによりミキサーで検出される場合の往復反射の位相シフトは、深さZに比例する中間うなり周波数f
Bで音を発生させる。深さは、以下によって与えられる。
【数2】
ここで、cは、高出力MMW伝送線130の高圧充填におけるMMW伝播の速度である。一部の実装形態では、ガスは、ボーリング孔110の底部から気化されたおよび/または粒子状材料を除去して、ボーリング孔を深化するのを助けるために、伝送線130に沿って圧送され得る。深さの分解能は、周波数掃引の帯域幅に依存する。
【数3】
【0053】
反射率計およびFMレーダー構成の相対的なメリットは、例示的な周波数を考慮することによって、理解され得る。市販のガン発振器(Gunn oscillator)に典型的に利用可能な94GHz(λ=3.19mm)および1GHzの同調帯域幅では、反射率計の深さ分解能は、0.8mm(式1)およびFMレーダーでは150mm(式3)であろう。反射率計が、FMレーダー分解能よりも数倍未満深い、小さい浅いボーリング孔(例えば、実験室レベルのボーリング孔)により適する一方で、FMレーダーは、現場の深いボーリング孔により適する。また、周波数の測定は、位相変化以外の理由で変化し得る振幅変化よりも深いボーリング孔に対して、より信頼性が高い。
【0054】
飛行時間構成では、短い電磁パルス(τの半値全幅のパルス持続時間を有する)は、ボーリング孔の底部に向かって伝送される。パルスが表面電子機器に帰還するための往復時間遅延を使用し得、孔の底部までの距離を決定する。関係は、以下によって与えられる。
Z=cΔτ/2(4)
ここで、cは、送信パルスの速度であり、Δtは、往復遅延時間である。空間分解能は、パルス長、τ、および伝送パルスの速度に依存する。
Δz=cτ(5)
大気圧での空気中では、伝搬速度は、光の速度である。利用可能な1GHzの電子機器に対応する1nsのパルスの場合、分解能は、300mmであろう。
【0055】
ピークパルスの出力レベルは、パルス動作において、100kWもの高さであり得る。飛行時間構成を備えた高出力および低空間の分解能は、掘孔される最深のボーリング孔に適するであろう。
【0056】
図4は、反射率計またはFMレーダーとして動作し得る94GHzのROP/深さモニター160の回路の詳細を示す。回路は、75~110GHz帯に使用されるwr-10導波路構成要素で構築される。電圧調整された94GHz±0.5GHzのガン発振器410は、8V、800mAの電源405によって駆動され、ガン発振器を後方反射から保護するアイソレータ412を通って10dBの方向性結合器415に接続される。方向性結合器は、ガン発振器出力の10%を、深さを決定するための局部発振器として、12V、20mAの電源420によって電力供給される、バイアスミキサー418に方向付ける。方向性結合器は、ガン発振器出力の残りの90%を、小信号ROP/深さプローブ信号として、3ポートサーキュレータ425に方向付ける。3ポートサーキュレータ425は、このプローブ信号をポート1からポート2に方向付け、ポート2は、±5V、20mA電源440によって電力供給され、制御入力435上に提供されるトランジスタ-トランジスタトランジスタ論理(TTL)信号によって制御される、固体単極双投(SPDT)PINスイッチ430に結合される。PINスイッチ430は、
図3に示され、上述のように、負荷432に接続された一つの出力と、導波路構成要素を介して、小型単一合成器142に接続された別の出力と、を有する。小信号合成器142は、94GHzのROP/深さプローブ信号を、ボーリング孔につながる高出力伝送線130と組み合わせる。小信号合成器142は、ボーリング孔および高出力伝送線130からの放射測定信号を、温度監視のための温度放射計にさらに方向付け得る。合成器142はまた、帰還プローブ信号を、ボーリング孔から3ポートサーキュレータ425のポート2に方向付け、サーキュレータは、検出のためにポート3を介して、帰還プローブ信号をバイアスミキサー418に出力する。その後、バイアスミキサーからの帰還信号は、ボーリング孔の深さを処理および決定するための、反射率計またはFMレーダー電子機器に進むことができる。
【0057】
図4の回路は、周波数掃引電圧がガン発振器に印加され、PINスイッチが信号を連続的に送信および受信するように設定される場合、FMレーダーとして操作され得る。PINスイッチ430はまた、送信、およびスイッチ内の吸収による信号損失を低減するために、回路から取り外され得る。
図5は、反射率計として操作するための、ロックイン増幅器510、TTL信号発生器520、およびデータ取得電子回路530に接続されたROP/深さモニター160を示す。TTL発生器は、典型的には、100Hz超の周波数の5Vの矩形波を、PINスイッチの制御入力435(
図4)に供給し、プローブ信号を標的または負荷432に交互に方向付け、これは、ボーリング孔に沿って送られたROP/深さモニター160からのプローブ信号を変調する。帰還振幅変調(AM、オン/オフ)反射率計信号は、基準として、TTL発生器520からの信号を使用して、ロックイン増幅器510によって取得される。ロックイン増幅器510を使用することにより、非常に微弱な信号の検出が可能になる。ロックイン増幅器510の出力は、ロックイン増幅器からの信号を処理、保存、および/または表示し得るデータ取得システムを対象とする。
【0058】
図6は、FMレーダーとして操作するための、電圧掃引発生器610、周波数電圧変換器620、およびデータ取得電子機器530に接続されたROP/深さモニター160を示す。掃引電圧発生器610からの出力は、プローブ周波数を変調するために、ガン発振器410(
図4)に印加される(例えば、プローブ信号の周波数を直線的に掃引またはチャープする)。バイアスミキサー418は、結果生じる帰還プローブ信号を、未伝送の掃引周波数プローブ信号の局部発振器コピーと混合して、そのうなり周波数が標的(ボーリング孔の底部)までの距離に比例するミキサーの中間周波数(IF)ポートで音を発生させる。このうなり周波数は、さらなる処理のために直接、データ取得電子機器530によって取得され得る、または周波数電圧変換器620によって電圧に変換され、データ取得電子機器530に提供され得る。受信したデータは、データ取得電子回路530によって処理、表示、および/または保存され得る。ROP/深さモニターがFMレーダー操作のために構成される場合、PINスイッチ430は、信号を連続的に送信および受信する位置に維持される(例えば、負荷432へのスイッチング信号なし)。一部の実装形態では、PINスイッチ430は、信号強度を増加させるために、回路から取り外され得る。
【0059】
図7は、反射率計として操作される場合、ROP/深さモニター160によって検出された信号の実施例を示す。この場合の標的は、反射率計のwr-10導波路出力(例えば、PINスイッチ430からの出力)に接続された発射ホーンから約18cmに位置する電動式並進移動ステージ上の平坦なリードブリックであり、これは、
図4に示すように、小信号合成器142に通常、結合され得る。標的を、0.5mm/時間の均一速度で深さ方向に並進移動した。信号は、1.6mmの波長の半分ごとに、ピーク(最大-最小-最大)を通って移動する。
図7は、9.6mmの総距離を通過する合計六つのこのような縞を示す。溶融表面標的上の実際のボーリング孔用途では、縞は、平坦でない変動表面および/または不均一な掘進率のために、それほど均一ではない場合がある。例えば、ボーリング孔の底部の表面の一部が、プローブ周波数で波長の約1/4以上分、高さが変化する場合、プローブ信号の一部を、プローブ信号の残りの部分と位相がずれて反射し得、縞ピーク信号強度(および縞コントラスト)を低減する。
【0060】
図8は、玄武岩の表面に入射した、直径約40mmの約4.5kWの出力を有する28GHzの掘孔ビームによって、玄武岩表面に溶融されたクレーターからの反射率計信号を示す。このシステムは、異なる周波数の二つの反射率計ビームであって、一つが、帰還掘孔ビーム放射から採取される28GHzの掘孔ビーム周波数、別個として、94GHzのモニタービームを使用する(例えば、
図1Aおよび
図1Bの両方を一緒に)。上部プロットは、94GHzモニター160からの反射率計信号であり、下部プロットは、前方高出力MMW放射もサンプリングする、反射電力アイソレータ180(
図1B)に結合された28GHzのショットキーダイオード検出器/ミキサー184からの反射率計信号である。縞ピークは、平坦な固体表面からの実験室試験に示されているほど理想的ではない。両プロットは、約10mmの深さのクレーターの形成のためのプローブ信号波長比に対して直接的な部分における約六つの94GHzピーク~約二つの28GHzピークを示す。
【0061】
図9は、
図8に関連して記載されるように、固体の玄武岩920を掘孔ビームに曝露することによって作成された玄武岩クレーター910の断面を示す。クレーター堆積物は、約10mmである。溶融岩は、掘孔領域の相当部分を充填する、クレーター内に貯留部が作られ、固化されている。異なる周波数の異なる反射率計プローブ信号を有することで、非理想的な反射率計信号を監視することの不確実性が軽減され得る。例えば、異なるプローブ信号のプローブ波長比に従って、ピークを検出し、検出されたピークの数を相互相関させることにより、深さ測定の確実性が高まり得る。
【0062】
ミリ波指向性エネルギー掘孔ビームにより掘孔されたボーリング孔の深さまたは掘進率を測定するための装置は、様々な構成の掘孔システムに実装および/または含まれ得る。例示的構成を以下に列挙する。深さまたは掘進率を測定する対応する方法も実装され得る。
(1)ボーリング孔を掘孔するためのシステムであって、ミリ波放射を発生させるための供給源と、伝送線であって、ミリ波放射をボーリング孔の底部に誘導し、ミリ波掘孔ビームを、伝送線の遠位端の領域に形成するために、供給源に結合された伝送線と、ボーリング孔の深さおよび/または掘進率を監視するために、伝送線に結合された掘進率/深さモニターと、プローブ信号を、ボーリング孔の底部への伝送のための伝送線に結合し、伝送線から掘進率/深さモニターまで、ボーリング孔の底部からのプローブ信号の反射および/または散乱によって発生された帰還プローブ信号を結合するために、伝送線および掘進率/深さモニターに結合されたビーム合成器と、を備える、システム。
(2)掘進率/深さモニターは、反射率計として動作するように構成される、構成(1)に記載のシステム。
(3)掘進率/深さモニターは、周波数変調レーダーとして動作するように構成される、構成(1)に記載のシステム。
(4)掘進率/深さモニターは、パルス変調飛行時間レーダーとして動作するように構成される、構成(1)に記載のシステム。
(5)掘進率/深さモニターは、プローブ信号を、ミリ波放射の周波数とは異なる周波数で発生させるように構成される、構成(1)~(4)のいずれか一つに記載のシステム。
(6)ビーム合成器は、ボーリング孔の底部から帰還したミリ波放射の一部分を、帰還プローブ信号として掘進率/深さモニターに方向付けるように構成される、構成(1)~(5)のいずれか一つに記載のシステム。
(7)ビーム合成器は、ミリ波放射を、伝送線のベンドの周りで反射し、プローブ信号を通過するために、孔をその中に有する、マイターミラーを備える、構成(1)~(6)のいずれか一つに記載のシステム。
(8)ボーリング孔の温度を示す放射を受信するための温度モニターと、伝送線からの放射を結合するために、伝送線に結合された小信号ビーム合成器であって、放射は、帰還プローブ信号により、伝送線に沿って伝播する、小信号ビーム合成器と、をさらに備える、構成(1)~(7)のいずれか一つに記載のシステム。
(9)伝送線によってボーリング孔の底部に誘導され、ミリ波掘孔ビームに形成されたミリ波放射により掘孔されたボーリング孔の深さおよび/または掘進率を測定する方法であって、プローブ信号を伝送線に結合すること、プローブ信号を、伝送線によりボーリング孔の底部に誘導することであって、プローブ信号の少なくとも一部分が、帰還プローブ信号としてボーリング孔の底部から反射および/または散乱する、誘導すること、帰還プローブ信号を、伝送線によりボーリング孔の底部から誘導すること、帰還プローブ信号を、伝送線の外部で、結合すること、中間周波数信号を生成するために、帰還プローブ信号を局部発振器と混合すること、およびボーリング孔の深さおよび/または掘進率を、中間周波数信号の振幅および/または周波数から決定すること、を含む、方法。
(10)プローブ信号の振幅を変調すること、およびボーリング孔の深さおよび/または掘進率が中間周波数信号の振幅に基づくと判定すること、をさらに含む、(9)に記載の方法。
(11)プローブ信号の周波数を変調すること、およびボーリング孔の深さおよび/または掘進率が中間周波数信号の周波数に基づくと判定すること、をさらに含む、(9)に記載の方法。
(12)プローブ信号を少なくとも一つのパルスに形成すること、および少なくとも一つのパルスの飛行時間に基づいて、ボーリング孔の深さおよび/または掘進率を決定すること、をさらに含む、(9)に記載の方法。
(13)プローブ信号を、ミリ波放射の周波数とは異なる周波数で発生させることをさらに含む、(9)~(12)のいずれか一つに記載の方法。
(14)プローブ信号を、ミリ波放射の一部分から形成することをさらに含む、(9)~(12)のいずれか一つに記載の方法。
(15)伝送線を介して、ボーリング孔の底部の温度を示す放射を受信することをさらに含む、(9)~(14)のいずれか一つに記載の方法。
(16)ミリ波掘孔ビームによりボーリング孔を形成し、ボーリング孔の深さおよび/または掘進率を決定する方法であって、ミリ波放射を伝送線に結合すること、プローブ信号を伝送線に結合すること、伝送線により、ミリ波放射およびプローブ信号をボーリング孔の底部に誘導すること、ミリ波掘孔ビームを、伝送線の遠位端に形成すること、ボーリング孔の深さを、ミリ波掘孔ビームにより増大させること、伝送線によりボーリング孔の底部から帰還プローブ信号を誘導することであって、帰還プローブ信号が、ボーリング孔の底部から反射および/または散乱するプローブ信号の少なくとも一部分である、誘導すること、帰還プローブ信号を、伝送線の外部で、結合すること、中間周波数信号を生成するために、帰還プローブ信号を局部発振器と混合すること、およびボーリング孔の深さおよび/または掘進率を、中間周波数信号の振幅および/または周波数から決定すること、を含む、方法。
(17)プローブ信号の振幅または周波数を変調すること、およびボーリング孔の深さおよび/または掘進率が中間周波数信号の振幅に基づくと判定すること、をさらに含む、(16)に記載の方法。
(18)プローブ信号を少なくとも一つのパルスに形成すること、および少なくとも一つのパルスの飛行時間に基づいて、ボーリング孔の深さおよび/または掘進率を決定すること、をさらに含む、(16)に記載の方法。
(19)ミリ波掘孔ビームにより掘孔する間に、ボーリング孔の底部から放射される第一の温度信号を伝送線に結合すること、伝送線からの第一の温度信号を、温度モニターに結合すること、温度モニターにより、第一の温度を決定すること、第一の温度に基づいて、ミリ波放射における出力の量を調整すること、ミリ波放射のボーリング孔の底部への誘導を停止すること、ボーリング孔の底部がより低い温度に到達可能になること、ボーリング孔の底部から放射される少なくとも第二の温度信号を伝送線に結合すること、伝送線からの少なくとも第二の温度信号を温度モニターに結合すること、温度モニターにより、少なくとも第二の温度を決定すること、および掘孔が、少なくとも第二の温度に基づいて、地熱にアクセスするのに十分な深さに到達したかどうかを判定すること、をさらに含む、(16)~(18)のいずれか一つに記載の方法。
【0063】
4.結論
本明細書に記載される、すべてのパラメータ、寸法、材料、および構成は、例示であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が使用される、特定の用途に依存するであろう。前述の実施形態が、主に一例として提示され、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態が、具体的に記載および特許請求されるものと別様に、実践され得ることを理解されたい。本開示の発明に関する実施形態は、本明細書に記載する、各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、二つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組合せは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0064】
また、様々な本発明の概念は、一つ以上の方法として具現化され得、そのうち、少なくとも一つの実施例が提供されている。方法の一部として実施される行為は、一部の事例では、異なる方法で順序付けられ得る。従って、一部の発明の実装形態では、所与の方法のそれぞれの行為は、特定に例示されるものと異なる順序で実施され得、これには、(このような行為が、例示の実施形態で連続した行為として示しているにもかかわらず)、一部の行為を同時に実施することが含まれ得る。
【0065】
本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照により、その全体が組み込まれる。
【0066】
本明細書で定義および使用されるすべての定義は、辞書定義、参照により組み込まれる文書の定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制するものと理解されるべきである。
【0067】
明細書および請求項において、本明細書で使用する不定冠詞「a」および「an」は、これと異なることが明確に示されない限り、「少なくとも一つ」を意味すると理解されるべきである。
【0068】
明細書および請求項において使用する語句「および/または」は、そのように結合された要素の「いずれか一方または両方」、すなわち、ある場合には接合的に存在し、他の場合においては離接的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙される複数の要素は、同一の様式で、すなわち、そのように結合された要素の「一つ以上」と解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に識別される要素以外の他の要素は、具体的に識別される要素に関係しようと、無関係であろうと、任意選択的に存在し得る。従って、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」の参照は、「備える」などのオープンエンドの言語と組合せて使用する場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択的に、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択的に、A以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択的に、他の要素を含む)、等を指すことができる。
【0069】
本明細書および特許請求の範囲で使用する「または」は、上記で定義された「および/または」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、いくつかのまたは列挙された要素、および任意選択的に、別の列挙されていない項目の、少なくとも一つを含むが、それらの二つ以上も含むと解釈されるものとする。反対に明確に示される用語、例えば「のうちの一つのみ」もしくは「のうちのちょうど一つ」、または特許請求の範囲で使用する場合の「からなる」、のみは、いくつかのまたは列挙された要素のうちのちょうど一つの要素を含むことを指す。一般的に、本明細書で使用する用語「または」は、排他性の用語、例えば「いずれか」、「のうちの一つ」、「のうちの一つのみ」、「のちょうど一つ」が前に付いている場合、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。特許請求の範囲で使用する「本質的になる」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0070】
本明細書および特許請求の範囲で使用する、一つ以上の要素のリストに関連する用語「少なくとも一つ」は、要素のリストの中の要素の一つ以上から選択される、少なくとも一つの要素を意味するが、要素のリスト内で具体的に列挙したありとあらゆる要素のうちの、少なくとも一つを必ずしも含むわけではなく、要素のリストの中のいかなる要素の組合せも除外するものではないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に識別される要素に関係しようと、無関係であろうと、語句「少なくとも一つ」が指す、要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が、任意選択的に存在してもよいことを許容する。従って、非限定的な実施例として、「AおよびBの少なくとも一つ」(または同等に、「AまたはBの少なくとも一つ」、または同等に、「Aおよび/またはBの少なくとも一つ」)は、一実施形態では、少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のAを含み、Bが存在しない(および任意選択的にB以外の要素を含む)ことを指し、別の実施形態では、少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のBを含み、Aが存在しない(および任意選択的にA以外の要素を含む)ことを指し、さらに別の実施形態では、少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のAを含み、ならびに少なくとも一つの、任意選択的に二つ以上のBを含む(および必要に応じて他の要素を含む)こと等を指すことができる。
【0071】
特許請求の範囲ならびに上記の明細書において、すべての移行句、例えば、「備える」、「含む」、「保有する」、「有する」、「包含する」、「関与する」、「保持する」、「構成される」等は、オープンエンドであること、すなわち、含むがこれに限定されないことを意味すると理解されるべきである。移行句「から成る(consisting of)」および「から本質的に成る(consisting essentially of)」のみは、米国特許局の特許審査手続便覧、セクション2111.03の規定の通り、それぞれ、閉鎖的または半閉鎖的な移行句であるものとする。
【国際調査報告】