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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】製剤送達プライミング方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 19/00 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
A45D19/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537057
(86)(22)【出願日】2022-12-19
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 US2022081973
(87)【国際公開番号】W WO2023122558
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/291,592
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2201250
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ハンプトン, マリー
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジー
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ, デイミエン
【テーマコード(参考)】
3B040
【Fターム(参考)】
3B040AE09
(57)【要約】
製剤送達デバイスのプライミング方法は、製剤カートリッジを用意するステップ、製剤カートリッジを製剤送達デバイスのハンドルに挿入するステップ、並びに、第1製剤及び第2製剤を同時に製剤カートリッジから第1時間期間ポンピングするプライミングシーケンスを開始するステップを備え、第1製剤及び第2製剤を製剤カートリッジからポンプを通過し、製剤送達デバイスのノズルアセンブリから出るようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤送達デバイスのプライミング方法であって、方法は、
用意するステップ、
挿入するステップ、及び
開始するステップを備え、
前記用意するステップでは、第1製剤及び第2製剤を貯蔵するように構成された製剤カートリッジを用意し、
前記挿入するステップでは、前記製剤カートリッジを前記製剤送達デバイスのハンドルに挿入し、これにより前記製剤カートリッジが前記第1製剤及び前記第2製剤を前記製剤送達デバイスの製剤ディスペンシングアセンブリに流体的に結合するようにし、
前記製剤ディスペンシングアセンブリは、ノズルアセンブリ、前記ノズルアセンブリに流体連通された少なくとも1つのポンプ、及び、前記ポンプに動作可能に接続されたコントローラと、を備え、
前記開始するステップでは、前記製剤送達デバイスのプライミングシーケンスを開始し、
前記プライミングシーケンスは、第1時間期間、前記少なくとも1つのポンプで前記第1製剤及び前記第2製剤を同時にポンピングするステップを備え、前記第1製剤及び前記第2製剤は前記製剤カートリッジから、前記少なくとも1つのポンプを通過し、前記ノズルアセンブリから出るようにする、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1時間期間は、前記第1製剤及び前記第2製剤が前記ノズルアセンブリから出る第2時間期間を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1製剤及び前記第2製剤は、前記ノズルアセンブリから混合物として出て、
前記第2時間期間中、前記第1製剤及び前記第2製剤は、前記ノズルアセンブリから前記混合物として出る、方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法であって、
前記第2時間期間は、約5秒から約10秒である、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、
前記第1時間期間は、約5秒から約15秒である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記プライミングシーケンスを開始する前に、前記ハンドル上に配置されたカートリッジ認証インターフェースを用いて前記製剤カートリッジ上に配置された暗号化チップを読み取ることにより、前記製剤カートリッジを認証するステップをさらに備える、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記製剤カートリッジを認証した後、前記製剤送達デバイスのロックを解除するステップをさらに備える、方法。
【請求項8】
請求項3に記載の方法であって、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのポンプを作動させるように構成されたロジックを備え、前記混合物が作動流量及びプライミング流量で前記ノズルアセンブリから出るようにし、
前記プライミング流量は前記作動流量よりも大きく、
前記プライミングシーケンスは、前記第1製剤及び前記第2製剤をポンピングするステップを備え、前記混合物が前記プライミング流量で前記ノズルアセンブリから出るようにする、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記作動流量は、約20mL/分~約40mL/分であり、前記プライミング流量は前記作動流量より少なくとも5mL/分高い、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記プライミングシーケンスを開始するステップは、前記ハンドル上に配置されたボタンのプライミング作動シーケンスを実行するステップを備え、
前記プライミング作動シーケンスは、第3時間期間内に所定のパターンで前記ボタンを押すステップを備える、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記製剤カートリッジを前記ハンドルに挿入する前に、前記製剤送達デバイスの洗浄シーケンスを開始するステップをさらに備え、
前記洗浄シーケンスは、ポンピングするステップ、挿入するステップ、及び作動させるステップを備え、
前記ポンピングするステップでは、前記製剤ディスペンシングアセンブリを通して洗浄流体をポンピングし、
前記挿入するステップでは、洗浄カートリッジを前記ハンドルに挿入し、前記洗浄カートリッジが前記製剤ディスペンシングアセンブリに流体的に結合するようにし、
前記作動させるステップでは、前記洗浄カートリッジから前記製剤ディスペンシングアセンブリを通して前記洗浄流体をポンピングするために前記少なくとも1つのポンプを作動させる、方法。
【請求項12】
製剤送達システムであって、
製剤カートリッジとハンドルとを備え、
前記製剤カートリッジは、第1製剤及び第2製剤をそれぞれ第1製剤パケット及び第2製剤パケットに貯蔵するように構成され、
前記ハンドルは、前記製剤カートリッジを可逆的に受け入れるように構成され、
前記ハンドルは、ノズルアセンブリと、前記ノズルアセンブリに流体的に結合された少なくとも1つのポンプと、前記ポンプに動作可能に接続されたコントローラとを備える製剤ディスペンシングアセンブリを収容し、
前記コントローラは、プロセッサと、ロジックを記憶するデータストアと、を備え、
前記ロジックは、前記プロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのポンプで、前記第1製剤及び前記第2製剤を同時に第1時間期間ポンピングするステップを備えるプライミングシーケンスを実行し、これにより前記第1製剤と前記第2製剤は、前記製剤カートリッジから前記少なくとも1つのポンプを通り、前記ノズルアセンブリから出るようにする、システム。
【請求項13】
請求項12に記載の製剤送達システムであって、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのポンプを作動させるように構成されたロジックを備え、これにより前記第1製剤及び前記第2製剤が作動流量及びプライミング流量で前記ノズルアセンブリから出るようにし、
前記プライミング流量は、前記作動流量よりも大きく、
前記プライミングシーケンスは、前記プライミング流量で前記第1製剤及び前記第2製剤をポンピングするステップを備える、システム。
【請求項14】
請求項12に記載の製剤送達システムであって、
前記ハンドルは、カートリッジ認証インターフェースを収容し、
前記コントローラは、前記プロセッサにより実行されるとき、前記カートリッジ認証インターフェースで前記製剤カートリッジ上に配置された暗号化チップを読み取ることにより、前記ハンドルに挿入された前記製剤カートリッジを認証するロジックを備え、
前記プライミングシーケンスは、前記製剤カートリッジの認証成功後にのみ開始されることができ、システム。
【請求項15】
請求項12に記載の製剤送達システムであって、
前記コントローラは、前記ハンドル上に配置されたボタンに動作可能に接続され、
前記コントローラは、プライミング作動シーケンスに応答して前記プライミングシーケンスを実行するロジックを備え、
前記ボタンは、第2時間期間内に所定のパターンで動作する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2021年12月20日に出願された米国特許出願第63/291592号の利益を主張し、また、2022年2月14日に出願された仏国特許出願第2201250号の利益を主張するものであり、これらの内容は該出願を参照することによりその全体が本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、本開示は、とりわけ、製剤を送達するためのシステム、デバイス、及びカートリッジ、並びにこれらを使用するための方法を対象とする。一実施形態では、染料成分及び顕色剤成分を有する化粧品製剤を、ユーザの皮膚、毛髪などに送達するように構成された1つ又は複数の方法論又は技術が記載される。有利には、開示された実施形態は、より良いユーザエクスペリエンス、より良い性能及び信頼性、並びによりサステナブルな構造を提供する。
【0004】
本概要は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに記載される概念の選択を簡略化して紹介するために提供される。本概要は、クレームされた主題の主要な特徴を特定することを意図したものではなく、また、クレームされた主題の範囲を決定する際の補助として使用することを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明の上述の態様及び付随する利点の多くは、添付の図面と併せ、以下の発明を実施するための形態を参照することにより、同様のことがよりよく理解できるようになるにつれて、より容易に理解されるであろう。
【0006】
図1図1は、本開示の代表的な一実施形態に係る、製剤送達システムの概略図である。
【0007】
図2図2は、本開示の代表的な一実施形態に係る、製剤送達デバイスの概略図である。
【0008】
図3図3は、本開示の代表的な一実施形態に係る、製剤送達システムのアプリケーションの概略図である。
【0009】
図4図4は、本開示の代表的な一実施形態に係る、製剤送達デバイスの分解透視図である。
【0010】
図5図5は、図4の製剤送達デバイスの側断面図である。
【0011】
図6図6は、本開示の代表的な一実施形態に係る、製剤ディスペンシングアセンブリの透視図である。
【0012】
図7図7は、図6の製剤ディスペンシングアセンブリの側断面図である。
【0013】
図8図8Aは、本開示の代表的な一実施形態に係る、製剤カートリッジの第1透視図である。
【0014】
図8Bは、図8Aの製剤カートリッジの第2透視図である。
【0015】
図9図9は、図8Aの製剤カートリッジの分解透視図である。
【0016】
図10図10は、図8Aの製剤カートリッジの側断面図である。
【0017】
図11図11は、本開示の代表的な一実施形態に係る、製剤カートリッジの再装填方法を示す。
【0018】
図12図12は、本開示の代表的な一実施形態に係る、洗浄カートリッジの透視図である。
【0019】
図13図13は、本開示に係る製剤送達デバイスをプライミングする代表的な方法のフローチャートである。
【0020】
図14図14は、本開示に係る特定のプライミングシーケンスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ユーザがヒトの毛髪及び頭皮組織にトリートメント製剤を適用可能にするための1つ又は複数の方法論又は技術を記載する。以下の説明は、一般に、毛髪及び頭皮トリートメント送達システム、デバイス、及び、これらのための製剤カートリッジに関連する代表的な例を与える。一実施形態では、毛髪又は頭皮組織のターゲット部分にトリートメント製剤を適用することが有益である。一実施形態では、例えば、カラーメンテナンス処置中に毛髪の根元にカラーリング染料を適用する際に、頭皮に近い毛髪の一部にトリートメント製剤を適用することが望まれる。別の例では、あるアプローチでは、毛髪との接触を最小限にしつつ、頭皮トリートメント製剤を頭皮組織に直接適用することが必要とされる。
【0022】
毛髪及び頭皮トリートメント製剤のアプリケーション用の既存のシステムは、広く使用されてきた。一例として、染毛キットは、一般に、他の用途の中でも、髪色の外観を変えるため、又は白髪をなじませるために使用される。既存の染毛システムは、使用の難しさ、時間の消費、(染料の適用による)被覆が不均一、仕上がりが予測できない、過度にちらかる(excessive mess)、などを含むいくつかの欠点を有する。一態様では、既存の染毛システムは、頭皮から新しい毛髪セグメントが成長した後、自然な毛髪の色が染色された毛髪の残りの部分の色と異なる場合、毛髪の根元をなじませ、カラーリングするのに効果がないことがある。本開示は、これら及び他のニーズを解決するためのものである。
【0023】
いくつかの実施形態において、染毛製剤は、少なくとも1つの染料と別個の顕色剤とを含み、これらは制御された割合で混合される。しかしながら、本開示において、「製剤」は染料及び顕色剤に限定されない。本明細書で使用する場合は通常、「製剤」という用語は、染料、顕色剤、製剤、流体、又はこれらの任意の混合物のいずれかを指す。本開示において、「製剤」には、永久染毛剤、半永久染毛剤、顕色剤、コンディショナー、ROGAINE(登録商標)の商品名のもと製造されているミノキシジルなどの育毛トリートメント、毛髪タンパク質トリートメント、ジスルフィド結合修復毛髪トリートメント、流体毛髪トリートメント、流体頭皮トリートメントなどが含まれる。
【0024】
本開示の実施形態は、毛髪及び頭皮組織のターゲット領域に製剤を適用するように構成される。上述の製剤のいずれもが、本明細書に記載する実施形態を使用して好適に適用されるが、本開示は、一般に、以下に記載するシステム及びデバイスによって適用されるトリートメント製剤の一例として染毛製剤に言及する。しかしながら、任意のシステム、デバイス、カートリッジ、及び方法は、上述の任意の製剤と共に利用し得ることが理解されよう。
【0025】
図1は、本開示に係る1つの代表的な製剤送達システム100を示す。製剤送達システム100は、製剤製品ライン102、製剤送達デバイス104、及び任意選択のアプリケーション106を含む多数の種々の特徴を含む。製剤送達システム100は、これらが一緒になって、カスタマイズされたユーザエクスペリエンスが可能になる。
【0026】
製剤製品ライン102は、種々の製剤108を含む。各製剤は、製剤送達デバイス104と共に使用するように構成される、同じ(共通の)製剤カートリッジ110型に格納される。共通の製剤カートリッジ型のカートリッジは、通常、製剤送達デバイスの再使用可能ハンドルのカートリッジキャビティに挿入するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、製剤カートリッジ及び洗浄カートリッジは、共通する断面形状及び寸法を有する。さらに、共通の製剤カートリッジ型のいくつかの実施形態は、共通の数及び配置の出力ノズルを有する。
【0027】
従って、共通の製剤カートリッジ110型によって、消費者が単一の製剤送達デバイス104で多くの異なる製剤を利用することが可能になる。代表的な製剤カートリッジ110型を図8A図10において後述し、代表的な洗浄カートリッジ112を図12において後述する。
【0028】
代表的な一実施形態では、製剤製品ライン102は、染毛製剤及び頭皮トリートメント製剤を含む。他の代表的な実施形態では、製剤製品ライン102は、以下の異なる製剤の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つを備え、この各製剤は、同じ製剤カートリッジ110型内に格納される。異なる製剤には、永久染毛剤及び顕色剤、半永久染毛剤及び顕色剤、シャンプー、コンディショナー、ミノキシジルなどの育毛トリートメント、毛髪タンパク質トリートメント、ジスルフィド結合修復毛髪トリートメント、又は流体頭皮トリートメントが含まれる。さらに代表的な実施形態では、製剤製品ライン102は、同じ製剤カートリッジ110型の任意選択の洗浄カートリッジ112に加えて、上記の任意の組み合わせを含む。
【0029】
製剤カートリッジ110型は、製剤送達デバイス104のハンドル、特にハンドルのカートリッジキャビティに挿入されるように構成された細長い形状及び寸法を有する。製剤送達システム100のいくつかの実施形態において、細長い外側ハウジングは、製剤を含有する製剤カートリッジ110と洗浄カートリッジ112との間では異なる構造を有するが、共通の形状及び寸法を有する。例えば、いくつかの実施形態において、製剤を含有する製剤カートリッジ110は、図8A図10に示される部分的にリサイクル可能な実施形態の構造を有する。一方、洗浄カートリッジ112は、同様の形状及び寸法を有するが、異なる材料及び構成要素を有する。
【0030】
製剤カートリッジ110型の別の特徴は、複数の液体出力ノズルである。複数の液体出力ノズルは、対応する複数の液体入口(例えば、第1製剤入口)と流体連通する構成で、製剤カートリッジ110の遠位(前方)端部にサイズ決めされて配置される。いくつかの実施形態において、液体出力ノズルは、製剤カートリッジ110内に配置された製剤パケットのバルブである。
【0031】
代表的な製剤カートリッジ110の型を、図8A図10を用いて以下に説明する。この代表的な製剤カートリッジ110の型は、製剤送達デバイス104に挿入され、第1製剤及び第2製剤を格納するように構成されている。
【0032】
共通の製剤カートリッジ110型(すなわち、共通の外形寸法及び複数の液体出力ノズルを有する)である洗浄カートリッジ112は、洗浄カートリッジ112から製剤送達デバイス104の流体コンジットを通して洗浄液体(例えば、水)を流す洗浄ルーチンを実行することによって、ユーザが製剤送達デバイス104を洗浄することが可能になる。これにより、製剤送達デバイス104内の残留製剤を除去する。有利には、洗浄カートリッジ112及び洗浄ルーチンにより、製剤送達デバイス104のかなりの部分を異なる製剤のために再利用することが可能になり、これにより廃棄物及びコストが削減される。
【0033】
洗浄カートリッジ112は、外側ハウジング内に配置された再充填可能な洗浄液リザーバを含む。リザーバは、複数の出力ノズルと流体連通している。従って、ユーザは、洗浄液リザーバを水のような洗浄液で満たし、製剤送達デバイス104で多数の洗浄ルーチンを実行し、洗浄液リザーバを再充填することができる。
【0034】
製剤送達デバイス104は、カスタマイズされパーソナライズされたユーザエクスペリエンスを提供するために、ユーザ、製剤カートリッジ110、及び任意選択でアプリケーション106と相互作用する、接続された電気機械器具である。代表的な製剤送達デバイス及びこのサブシステムを、図4図7に関して以下に説明する。
【0035】
一般に、製剤送達デバイス104は、製剤カートリッジ110型を受け入れるように構成された再使用可能ハンドル、製剤ディスペンシングアセンブリ、及びコントローラを備える。製剤ディスペンシングアセンブリ、及びコントローラはいずれも再使用可能ハンドル内に配置される。製剤ディスペンシングアセンブリは、電動ポンプ及び往復式ノズルアセンブリに流体連通された少なくとも1つの流体コンジットを備える。製剤ディスペンシングアセンブリは、製剤カートリッジ110から製剤又は洗浄液を吸引し、往復式ノズルアセンブリを通してこれをユーザの毛髪部分、頭皮部分、又は身体部分に製剤又は洗浄液を吐出するように構成される。
【0036】
コントローラは、再使用可能ハンドルに挿入された洗浄カートリッジ又は製剤カートリッジを示す1つ又は複数の入力に応答して、少なくとも洗浄ルーチンと製剤ルーチンとをトグルで切り替えるように構成される。コントローラは、任意の所与の時間に再使用可能ハンドルに挿入された製剤カートリッジ110内にどの製剤108が格納されているかを認証するために、再使用可能ハンドル内のカートリッジ認証インターフェースの暗号化チップリーダと通信して、製剤カートリッジ110上に配置された暗号化チップを読み取る。いくつかの実施形態では、コントローラは、洗浄カートリッジ112が再使用可能ハンドルに挿入されたときにも認証する。認証された製剤108又は洗浄カートリッジ112に基づいて、コントローラは、製剤ディスペンシングアセンブリを通して製剤カートリッジから認証された製剤を吐出する製剤ルーチンを製剤送達デバイス104に実行させる。認証された洗浄カートリッジ112に基づいて、コントローラはまた、製剤ディスペンシングアセンブリを通して洗浄液を吐出する洗浄ルーチンを製剤送達デバイス104に実行させる。
【0037】
アプリケーション106は、非一時的な機械可読記憶媒体上で動作するように構成されたロジックを含み、ユーザエクスペリエンスをパーソナライズし、有用な解析を提供し、電子商取引を可能にするモジュールを含む。アプリケーション106は、スマートフォン、タブレット等のモバイルデバイス114上で実行され、ユーザ(例えば、エンドユーザ又はサロン技術者)と相互作用し、図3に関して後述する複数のモジュールを通して実用的な情報を提供する。いくつかの実施形態では、アプリケーション106は、製剤送達デバイス104、及びネットワーク116(モバイルネットワーク、クラウドベースの企業ネットワーク、ローカルエリアネットワークなど)と通信する。
【0038】
製剤製品ライン102、製剤送達デバイス104、及びアプリケーション106は共に、改善されカスタマイズされたユーザエクスペリエンスを提供する。次に、製剤送達システム100の前述の各要素を詳細に説明する。
【0039】
この特定の代表的な特徴の理解を容易にするために、図2に代表的な製剤送達デバイス200の概略図を示す。製剤送達デバイス200は、図1の製剤送達デバイス104と同じ特徴を有すると理解されるものとする。
【0040】
製剤送達デバイス200は、共通の製剤カートリッジ型(洗浄カートリッジ112を含む)を可逆的に受け入れるように構成された中空の細長い部分を有する再使用可能ハンドル202を含む。再使用可能ハンドル202はまた、多数のモジュール(後述する)を記憶するプロセッサ206及びデータストア208を含むコントローラ204、カートリッジ認証インターフェース210、電源212、製剤ディスペンシングアセンブリ214、及び任意選択の位置センサ216を含む多数のサブアセンブリを収容する。
【0041】
いくつかの実施形態では、電源212は、家庭用交流コンセントに差し込むことによって充電されるように構成された充電式電池(例えば、リチウムイオン電池)などの直流(DC)電源である。他の実施形態では、電源212は、製剤送達デバイス200に電力を供給するために電気コード(図示せず)を利用する一般的な家庭用交流などの交流(AC)電源である。
【0042】
製剤ディスペンシングデバイスアセンブリ214は、製剤カートリッジ110からの製剤及び/又は洗浄液をユーザの頭皮又は毛髪に供給する。一実施形態において、製剤ディスペンシングアセンブリ214は、第1製剤入口に流体連通された第1流体コンジット(これは、製剤カートリッジ110の第1液体出力ノズルと結合する)と、第2製剤入口に流体連通された第2流体コンジット(これは、製剤カートリッジ110の第2液体出力ノズルと結合する)と、モータ218と、モータ218によって駆動されるポンプ220と、同じくモータ218によって駆動される往復式ノズルアセンブリ222と、を含む。
【0043】
カートリッジ認証インターフェース210は、RFIDリーダ、近接場リーダなどである。製剤カートリッジ110が再使用可能ハンドル202に挿入されると、カートリッジ認証インターフェース210は、製剤カートリッジ224上に配置された暗号化チップを読み取り、後述する製剤ルーチンモジュール226に関連して製剤カートリッジを認証するために、再使用可能ハンドル202内に配置される。
【0044】
任意選択の位置センサ216は、単独で又は集合的に、ユーザの頭皮又は毛髪に対する製剤送達デバイス200の位置及び向きの決定を補助する1つ又は複数のセンサを含む。いくつかの実施形態では、位置センサ216は、1つ又は複数の加速度センサ、タッチセンサ(例えば、静電容量式タッチセンサ)、近接センサ(例えば、光学式近接センサ)などを含む。位置センサ216から送信される信号は、ユーザの毛髪又は頭皮への製剤アプリケーションの精度及び効率を改善するために、コントローラ204、及びこの特定のモジュールによって使用される。
【0045】
コントローラ204は、電源212、カートリッジ認証インターフェース210、製剤ディスペンシングアセンブリ214、及び任意選択の位置センサ216に動作可能に接続されている(例えば、電気的に接続されている)。コントローラ204は、プロセッサ206(例えば、一般処理ユニット、グラフィカル処理ユニット、又は特定用途向け集積回路)、データストア208(有形機械可読記憶媒体)、ソフトウェアロジック(例えば、実行可能ソフトウェアコード)、ファームウェアロジック、ハードウェアロジック、又はこれらの様々な組み合わせとして実装される複数のモジュールを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ204は、後述する任意のモジュールからモバイルデバイスに信号を送信し、モバイルデバイスから送信された信号を受信するトランシーバを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、コントローラ204は、製剤送達システムとの通信を可能にするように構成された回路を有する通信インターフェースを含む。製剤送達システムには、インターネット、セルラーネットワーク、RFネットワーク、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、又は他のネットワークを介して、製剤カートリッジ224(暗号化チップ)、洗浄カートリッジ228、カートリッジ認証インターフェース210、モバイルデバイス及びこれら上に記憶されたアプリケーション、及び/又は他のネットワーク要素が含まれる。従って、通信インターフェースを、無線プロトコル(例えば、WIFI(登録商標)、WIMAX(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)、ZIGBEE(登録商標)、セルラー、赤外線、ニアフィールドなど)及び/又は有線プロトコル(ユニバーサルシリアルバス、もしくはRS-216、RJ-45などの他のシリアル通信、パラレル通信バスなど)を使用して通信するように構成することができる。いくつかの実施形態では、通信インターフェースは、コントローラ204と他のネットワーク要素(例えば、製剤カートリッジ110)とが互いを識別し、制御情報(例えば、製剤カートリッジ110に記憶された製剤の識別)を交換することが可能になるディスカバリプロトコルを開始するように構成された回路機構を含む。一実施形態では、通信インターフェースは、ディスカバリプロトコルを行い、1つ又は複数の事前共有鍵をネゴシエートするように構成された回路機構を有する。
【0047】
データストア208は、機械(例えば、プロセッサ206、又はモバイルデバイス114)によってアクセス可能な非一時的な形態で情報を記憶する機構を含む有形機械可読記憶媒体である。例えば、機械可読記憶媒体には、記録可能/非記録可能媒体(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)が含まれる。
【0048】
以下に説明するモジュールは代表的なものであり、これらに限定されない。従って、コントローラ204のいくつかの実施形態は、追加のモジュールを含み、他の実施形態は、すべてのモジュールよりも少ない数のモジュールを含む。
【0049】
カートリッジ認証モジュール230は、再使用可能ハンドル202に挿入される任意の製剤カートリッジ224又は洗浄カートリッジ228を認証するために、カートリッジ認証インターフェース210と通信する。例えば、製剤カートリッジ224を再使用可能ハンドル202に挿入すると、カートリッジ認証インターフェース210は、製剤カートリッジ224上に配置された暗号化チップから暗号化された情報を読み取る。カートリッジ認証インターフェース210が暗号化チップから暗号化情報の読み取りに成功した場合、次いでカートリッジ認証モジュール230は、製剤送達デバイス200(例えば製剤ルーチンモジュール226)の「ロックを解除」する。しかし、カートリッジ認証インターフェース210が、再使用可能ハンドル202に挿入された製剤カートリッジの認証に成功しなかった場合、製剤送達デバイス200のロックは解除されない。例えば、製剤カートリッジが偽造カートリッジ又は劣った製剤を含む別のカートリッジである場合、カートリッジ認証モジュール230は、製剤送達デバイス200の機能のロックを解除しない。このようにして、カートリッジ認証モジュール230は、有利には、ユーザが損害を受けたり、劣悪な経験をしたりすることを防止する。
【0050】
カートリッジ認証モジュール230は、いくつかの実施形態では、追加情報を暗号化チップから読み取るように構成される。追加情報には、製剤識別、開始製剤量、製剤有効期限、又は製剤製造日のうちの1つ又は複数が含まれる。このような実施形態では、カートリッジ認証モジュール230は、この後の使用のために追加情報を他のモジュールに送信する。
【0051】
製剤ルーチンモジュール226は、種々の製剤用の複数の製剤ルーチン(例えば、ヘアケア製剤ルーチン)を記憶し、カートリッジ認証モジュール230によって認証された製剤カートリッジ224に基づいて、製剤ディスペンシングアセンブリ214に1つ又は複数の製剤ルーチンを実行させる。製剤ルーチンは、認証された製剤108を、製剤カートリッジ224から往復式ノズルアセンブリ222を通して吐出する。例えば、ヘアケア製剤ルーチンは、往復式ノズルアセンブリ222から、特定の吐出時間、ポンプの特定の液体流量(例えば、約20mL/分~約40mL/分、約20mL/分~約30mL/分、約24mL/分~約36mL/分の作動流量)、往復式ノズルアセンブリ222のノズル往復周波数及び/もしくは往復振幅、並びに/又は製剤ルーチンモジュール226に記憶された製剤ルーチンによって指定された他のデバイスの動作パラメータで、1つ又は複数のヘアケア製剤を吐出する。このようにして、製剤送達デバイス200は、製剤送達デバイスに挿入された認証された製剤カートリッジ224に記憶された特定の製剤に基づいて、1つ又は複数のデバイス動作パラメータを調整し、より効果的な毛髪及び頭皮トリートメントを行う。
【0052】
いくつかの実施形態では、製剤ルーチンモジュール226は、認証された製剤の吐出時間に基づいて、製剤カートリッジから製剤ディスペンシングアセンブリを通して、認証された製剤の吐出量を決定する。吐出時間及び/又は吐出量に基づいて、製剤ルーチンモジュール226は、再使用可能ハンドル202上の視覚インジケータに製剤残量を知らせるようにする。これは、ユーザが製剤カートリッジをいつ交換する必要があるかを予測することに役立ち、接続されたアプリケーションの電子商取引モジュールを利用して追加の製剤カートリッジを便利に調達するようユーザに促す。
【0053】
洗浄ルーチンモジュール232は、洗浄ルーチンを記憶し、(洗浄液で満たされたリザーバを有する)洗浄カートリッジ228が再使用可能ハンドル202に挿入され、カートリッジ認証モジュール230によって認証された後に、製剤ディスペンシングアセンブリ214に洗浄ルーチンを実行させる。洗浄ルーチンは、製剤ディスペンシングアセンブリ214内のすべての残留製剤を排出するために、認証された洗浄カートリッジ228から往復式ノズルアセンブリ222を通して(例えば、所定の時間及び所定の流量で)洗浄液を吐出する。洗浄ルーチンは、例えば、1つの製剤が製剤送達デバイス200内で利用された後であるが、2番目の異なる製剤が利用される前に有用である。いくつかの実施形態では、洗浄ルーチンは、すべての残留製剤をきれいにするために、製剤ルーチンモジュール226によって記憶された1つ又は複数の(又はすべての)製剤ルーチンよりも高い流量でポンプ220を作動させる。言い換えると、いくつかの実施形態において、洗浄ルーチンは、洗浄流量でポンプ220を作動させるが、この洗浄流量は、任意の実施形態において、ポンプ220の作動流量又はプライミング流量よりも約1mL/分~約5mL/分高くてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、コントローラ204は、再使用可能ハンドルに挿入された洗浄カートリッジ又は製剤カートリッジを示す1つ又は複数の入力に応答して、少なくとも(洗浄ルーチンモジュール232によって提供される)洗浄ルーチンと(製剤ルーチンモジュール226によって提供される)製剤ルーチンとの間をトグルで切り替えるように構成される。代表的な入力には、カートリッジ認証モジュール230によって提供される製剤カートリッジ又は洗浄カートリッジの認証が含まれる。
【0055】
本開示の方法によれば、いずれかの製剤送達デバイスの洗浄方法は、洗浄液で少なくとも部分的に満たされた洗浄カートリッジを製剤送達デバイスの再使用可能ハンドルに挿入するステップと、製剤ディスペンシングアセンブリを通して吐出された洗浄液がきれいになるまで洗浄ルーチンを実行するステップとを含む。
【0056】
電力管理モジュール234は、電源212から、コントローラ204、カートリッジ認証インターフェース210、製剤ディスペンシングアセンブリ214、又は位置センサ216のうちの1つ又は複数に電力を供給する。さらに、電力管理モジュール234は、スリープ状態(受動状態)とアウェイク状態(能動状態)との間で製剤送達デバイス104をトグルで切り替えることによって、利用可能な電力リソースを節約する(例えば、電池寿命を節約する)。
【0057】
スリープ/アウェイクモジュール236は、製剤送達デバイス200がアウェイク状態であるかスリープ状態であるかを管理する。製剤送達デバイス200は、デフォルトでスリープ状態にある。これにより、電源212から製剤ディスペンシングアセンブリ214、カートリッジ認証インターフェース210、及び/又はコントローラ204に電力がほとんど供給されない。スリープ状態では、製剤送達デバイス200は、製剤ルーチン又は洗浄ルーチンを実行することができない。これに対し、アウェイク状態では、コントローラ204、カートリッジ認証インターフェース210、製剤ディスペンシングアセンブリ214、及び位置センサ216は、製剤送達デバイス104が1つ又は複数の製剤ルーチン又は洗浄ルーチンを実行できるように十分に電力が供給される。いくつかの実施形態において、製剤送達デバイス104は、再使用可能ハンドル202上に配置されたボタンの一押し、又は製剤カートリッジ224もしくは洗浄カートリッジ228の再使用可能ハンドル202への挿入によって、「アウェイク(awakened)」、すなわち、スリープ状態からアウェイク状態にされる。いくつかの実施形態では、製剤送達デバイス200は、所定の非アクティブ期間(例えば、120秒の非アクティブ)の後にスリープ状態に戻る。
【0058】
位置モジュール238は、製剤送達デバイス200の位置を決定するために、位置センサ216によって与えられる位置信号を利用する。次いで、この位置情報は、製剤ルーチン、例えば、キャリブレーションルーチンの実行を容易にするために、製剤ルーチンモジュール226に提供される。いくつかの実施形態では、位置モジュール238は、例えば、キャリブレーションルーチン(後述する)の実行を可能にするため、及び/又はアプリケーションが位置信号に基づいて正しいアプリケーション表示を表示可能にするために、(トランシーバを介して)モバイルデバイスに記憶されたアプリケーションに位置信号を与える。
【0059】
プライミングモジュール240は、1つ又は複数のプライミングシーケンスを実行する。これにより、製剤カートリッジ224からの1つ又は複数の製剤で製剤ディスペンシングアセンブリ214を有益にプライミングする。プライミングは、(前のカートリッジに対して)1つ又は複数の異なる製剤を含む製剤カートリッジ224がハンドル202に挿入される場合に特に有益である。このような場合、例えば、毛髪を間違った色に染めるという望ましくない結果を避けるために、製剤ディスペンシングアセンブリ214の流体コンジットから前の製剤(複数可)を一掃することが望ましい。プライミングはまた、製剤ディスペンシングアセンブリ214からエアポケットを除去し、製剤カートリッジ224からの2つ以上の製剤を確実に均一に混合する。
【0060】
プライミングモジュール240は、実行されると、図13~14に関して以下に記載されるプライミング方法のいずれかを実行するロジックを含むことができる。例えば、任意の実施形態において、プライミングシーケンスは、製剤カートリッジ224から第1時間期間第1製剤及び第2製剤を同時にポンピングするステップを備え、これにより第1製剤及び第2製剤が、製剤カートリッジ224からポンプ220を通り、往復式ノズルアセンブリ222から出るようにする。別の例として、任意の実施形態において、プライミングシーケンスは、任意の製剤ルーチンの作動流量を約1mL/分~約5mL/分上回るプライミング流量で、第1及び第2製剤の混合物を往復式ノズルアセンブリ222からポンピングするステップを備える。有利には、これにより、プライミングシーケンスを完了するのに必要な時間が短縮され、ユーザエクスペリエンスが改善される。
【0061】
図3は、代表的なアプリケーション300の概要を示し、これは、図1のアプリケーション106の全ての特徴を有し、本開示の全ての製剤送達システム及び製剤送達デバイスと互換性があると理解されるものとする。上述のように、アプリケーション300は、デバイス(例えばスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス)上で動作するように構成される。1つの代表例として、アプリケーション300は、ネットワーク304に接続されたモバイルデバイス302の文脈で説明されるが、これに限定されない。
【0062】
モバイルデバイス302は、ディスプレイ306(例えば、LED又はLCDディスプレイ)、プロセッサ308、及び複数のモジュールを記憶するデータストア310を有する。「プロセッサ」、「データストア」、及び「モジュール」という用語は、コントローラ204に関して上述したのと同じ意味を有し、代表的な製剤送達デバイスに関連して以下で使用するのと同じ意味を有する。
【0063】
以下に説明する各モジュールは、ディスプレイ306上に1つ又は複数のユーザインターフェースを提示する。ディスプレイ306は、ディスプレイ306上でユーザ入力を受け付けるように構成されたタッチセンシティブディスプレイである。従って、各モジュールについて、ディスプレイ306に提示されるユーザインターフェースは、情報を表示すること及びユーザ入力を受け付けることの両方に構成される。
【0064】
アプリケーション300は、ユーザエクスペリエンスをパーソナライズする多数のモジュールを含む。多数のモジュールには、ユーザプロファイルモジュール312及びユーザルーチンモジュール314が含まれる。以下に説明するモジュールは代表的なものであり、これらに限定するものではない。従って、アプリケーション300のいくつかの実施形態は、追加のモジュールを含み、他の実施形態は、すべてのモジュールよりも少ない数のモジュールを含む。
【0065】
ユーザプロファイルモジュール312は、製剤送達デバイス104のユーザ用の1つ又は複数のプロファイルを構築する。これらのプロファイルは、他のモジュール、例えば、ユーザルーチンモジュール314及び電子商取引モジュール316への入力として提供される。従って、ユーザプロファイルモジュール312は、1つ又は複数のユーザプロファイル入力を提供するようユーザに促す1つ又は複数のユーザインターフェースを提供する。1つ又は複数のユーザプロファイル入力は、髪色、毛髪タイプ(例えば、カール、ストレート)、カラーリング/非カラーリング状態、民族性、毛髪の状態(例えば、ダメージ)、頭皮の状態(例えば、かゆみ)、及び/又は年齢を含む。ユーザプロファイルモジュール312は、ユーザプロファイル入力を受け入れ、記憶する。
【0066】
いくつかの実施形態では、ユーザプロファイルモジュール312は、1つ又は複数のユーザプロファイル入力、又はユーザプロファイル全体をユーザルーチンモジュール314に提供することによって、ユーザルーチンモジュール314と通信する。次に、ユーザルーチンモジュール314は、1つ又は複数のユーザプロファイル入力を利用して、ユーザ用の1つ又は複数のユーザ固有のルーチンを作製し、及び/又はディスプレイ306に提示する1つ又は複数のチュートリアルを選択する。
【0067】
いくつかの実施形態では、ユーザプロファイルモジュール312は、製剤送達デバイス104と通信する。例えば、いくつかの実施形態において、ユーザプロファイルモジュール312は、ユーザプロファイル入力のうちの1つ又は複数に基づいて、製剤ルーチンモジュールによって生成された製剤ルーチンの少なくとも1つのデバイス動作パラメータ(例えば、流量、吐出時間、往復振幅、又は往復周波数)を調整する。
【0068】
ユーザルーチンモジュール314は、いくつかの実施形態では、1つ又は複数のユーザプロファイル入力に基づいて各ユーザ用の1つ又は複数のユーザ固有のルーチンを策定することにより、接続された製剤送達デバイスをユーザが効果的に利用するのを支援する。すなわち、ユーザルーチンモジュール314は、ユーザプロファイル入力によって特定される1つ又は複数の状態を効果的にトリートメントするため、又はユーザプロファイル入力によって特定される1つ又は複数の目標を達成するために、(所定の製剤ルーチンを選択するのではなく)新たな製剤ルーチンを構築する。代表的な一例として、ユーザ入力がユーザの毛髪がカラーリングされており、かつダメージを受けていることを示す場合、ユーザルーチンモジュール314は、製剤製品ラインからユーザの髪色に適切な毛髪補修製剤及びシャンプー製剤を選択するユーザ固有のルーチンを構築し、ユーザの毛髪の健康を改善するために決定された間隔で、選択された毛髪補修製剤及びシャンプーを利用するためのユーザ固有のルーチンを(例えば、指示として)表示する。
【0069】
さらに、ユーザルーチンモジュール314は、ディスプレイ306上に、a)製剤ルーチン、洗浄ルーチン、及び/もしくはキャリブレーションルーチン用の1つ又は複数の受動的チュートリアル、並びに/又はユーザが製剤送達デバイスを使用する際に、ユーザに指示する1つ又は複数の能動的指示セットを表示する。
【0070】
いくつかの実施形態では、ユーザルーチンモジュール314は、ユーザプロファイルモジュール312からユーザプロファイル入力のうちの1つもしくは複数、又はユーザプロファイル全体を受信する。次いで、ユーザルーチンモジュール314は、受信したユーザプロファイル入力又はユーザプロファイルに基づいて、ユーザをターゲットとする受動的なチュートリアル(例えば、事前に録画された指示ビデオ)を表示する。一例として、ユーザルーチンモジュール314は、ユーザプロファイルモジュール312から、ユーザの髪がカラーリングされていることを示すユーザプロファイル入力を受信し、ディスプレイ306上に、ユーザの髪をカラーリングするために製剤送達デバイスを使用する方法をユーザに示すチュートリアルを表示する。
【0071】
いくつかの実施形態では、ユーザルーチンモジュール314は、コントローラを介して、製剤送達デバイスの位置センサから1つ又は複数の位置信号を受信する。受信した位置信号に基づいて、ユーザルーチンモジュール314は、ユーザが製剤送達デバイスを使用する際に、製剤送達デバイスの使用方法をユーザに指示する(例えば、製剤送達デバイスを特定の方向に、特定の速度で、特定のパターンで、特定の空間境界まで移動させるよう指示する)。一例として、ユーザルーチンモジュール314は、製剤送達デバイスがユーザの左のこめかみに配置されていることを示す位置信号を位置センサから受信し、この受信した位置信号に基づいて、ユーザルーチンモジュール314は、頭皮トリートメント製剤を吐出しながら製剤送達デバイスを左のこめかみから右のこめかみへ移動させることによって頭皮トリートメント製剤を適用するようにユーザに指示するビデオを表示する。
【0072】
いくつかの実施形態において、ユーザルーチンモジュール314は、製剤送達デバイスから位置信号を受信し、位置信号に基づいて正しいアプリケーション表示を表示する。
【0073】
キャリブレーションモジュール318は、ユーザが製剤送達デバイスをキャリブレーションするのに役立つ。これにより、製剤送達デバイスによって実行される製剤ルーチンの有効性を高める。いくつかの実施形態において、キャリブレーションモジュール318は、キャリブレーションルーチンを完了する方法をユーザに指示する受動的チュートリアル(例えば、予め記録された指示ビデオ)を表示する。いくつかの実施形態では、キャリブレーションモジュール318は、ユーザが製剤送達デバイスを使用する際に、及びキャリブレーションモジュール318が製剤送達デバイスから位置信号を受信する際に、キャリブレーションルーチンを完了する使用方法を指示する1つ又は複数の能動的指示セットを提供する。
【0074】
1つの代表的なキャリブレーションルーチンによれば、キャリブレーションモジュール318は、例えば、特定の順序(例えば、左のこめかみ、次に右のこめかみ、次に前髪の生え際、次に後ろの生え際)で、製剤送達デバイスをユーザの身体部分の複数のキャリブレーション位置に位置させるようにユーザに指示する。次いで、ユーザは、製剤送達デバイスを各キャリブレーション位置に移動させ、(キャリブレーションモジュール318は、)製剤送達デバイスが指定されたキャリブレーション位置にあるとき、及び/又はユーザが製剤送達デバイスをあるキャリブレーション位置から別のキャリブレーション位置に移動させる間に、製剤送達デバイスのボタンの押下又は他の動作で示す。
【0075】
製剤送達デバイスの位置センサから受信した位置信号に基づいて、キャリブレーションモジュール318及び/又は製剤送達デバイスはキャリブレーション位置を記録する。次いで、キャリブレーションモジュール318及び/又は製剤送達デバイスは、記録されたキャリブレーション位置に基づいて、1つ又は複数のユーザ固有のルーチンを調整する。いくつかの実施形態において、この調整ステップは、製剤ルーチンモジュールに記憶された1つ又は複数の製剤ルーチンの空間的限界及び/又は時間的持続時間を調整するステップを含む。
【0076】
製剤送達デバイスに対するより優れた制御及びよりカスタマイズされたユーザエクスペリエンスという利点のために、手動調整モジュール320によって、ユーザが製剤送達デバイスの1つ又は複数のデバイス動作パラメータ(例えば、流量、吐出時間、往復振幅、又は往復周波数)を手動で調整することが可能となる。従って、手動調整モジュール320は、1つ又は複数のユーザ調整可能で仮想的なスライドスケール、スイッチ、編集可能な値フィールドなどを有するユーザインターフェースを提示する。ユーザインターフェースは、ユーザから1つ又は複数の動作パラメータ入力を受け付けるように構成されている。手動調整モジュール320は、動作パラメータ入力を受信し、当該動作パラメータ入力を製剤送達デバイス(例えば、製剤ルーチンモジュール)に送信する。製剤送達デバイスは、対応する動作パラメータ入力に基づいて(例えば、動作パラメータ入力に一致するように)対応するデバイス動作パラメータを調整する。
【0077】
解析モジュール322は、(例えば、製剤送達デバイスから)デバイス動作パラメータを受信し、有用な解析を計算する。次いで、解析モジュール322は、ユーザインターフェースを介してユーザに、及び/又はネットワーク304を介して第三者に提供する。代表的な解析には、製剤使用パターン、製剤購入予測、及び製剤送達デバイスの診断が含まれる。いくつかの実施形態において、解析モジュール322は、ネットワーク304(例えば、1つ又は複数のクラウドベースのサーバ上に配置された解析プラットフォーム)と通信し、追加情報を取得し、及び/又は前記解析を計算する。
【0078】
いくつかの実施形態では、製剤送達デバイスは、位置信号をコントローラに送信する位置センサと、位置信号をモバイルデバイスに送信するトランシーバと、を備える。製剤送達デバイスは、位置信号を解析モジュール322に送信する。解析モジュール322は、受信した位置信号に基づいてネットワーク116上の解析プラットフォームからユーザ提案を取得し、ユーザ提案を表示する。
【0079】
製剤作製モジュール324によって、1つ又は複数の製剤入力のユーザの選択に基づいて、ユーザはカスタム製剤を作製することができ、これは、1つ又は複数の所望の結果(例えば、所望の髪色)、1つ又は複数の製剤入力(例えば、ユーザの髪はダメージを受けているという表示)、及び/又はユーザプロファイルモジュール312に提供された1つ又は複数のユーザプロファイル入力に対応する。従って、製剤作製モジュール324は、ユーザプロファイルモジュール312から1つ又は複数のユーザプロファイル入力を受信し、これらの入力に基づいてカスタム製剤を策定するように構成される。
【0080】
ユーザによるカスタム製剤の作製を容易にするために、製剤作製モジュール324は、各製剤入力に対応する、1つ又は複数のユーザ調整可能かつ仮想的なスライドスケール、スイッチ、編集可能な値フィールドなどを有するユーザインターフェースを提供する。いくつかの実施形態では、製剤作製モジュール324は、ネットワーク304(例えば、1つ又は複数のクラウドベースのサーバ上に配置された製剤のデータベース)と通信して、追加情報を取得し、及び/又は前記カスタム製剤を策定する。
【0081】
電子商取引モジュール316は、ユーザが製剤送達デバイスに関連する製品を購入(1回限り又はサブスクリプションベースを含む)することができる購入インターフェースを提示する。いくつかの実施形態では、電子商取引モジュール316は、製剤作製モジュール324(又はこの構成要素)から1つ又は複数のカスタム製剤を取得し、カスタム製剤を含む1つ又は複数の製剤カートリッジ110をユーザが購入するための選択肢を購入インターフェース上に提示する。いくつかの実施形態では、電子商取引モジュール316は、ユーザプロファイルモジュール312から1つ又は複数のユーザプロファイル入力及び/又はユーザ固有のルーチン入力を取得し、ユーザプロファイル入力をターゲットとする製剤を含む1つ又は複数の製剤カートリッジ(例えば、ユーザ入力がダメージのある毛髪を示す場合、毛髪補修製剤を含む製剤カートリッジ)をユーザが購入するための選択肢を購入インターフェース上に提示する。いくつかの実施形態では、電子商取引モジュール316は、洗浄カートリッジ112又は製剤送達デバイス104及び/又はこれらの構成要素を購入する選択肢を購入インターフェース上に提示する。このような購入インターフェース及び購入選択肢は、解析モジュール322から取得された製剤使用パターン及び/又は製剤購入予測に基づいてもよい。
【0082】
図4図5は、本開示の実施形態に係る、代表的な製剤送達デバイス400、及びこの構成要素を示す。製剤送達デバイス400は、製剤カートリッジ402型(同型の洗浄カートリッジを含む)を受け入れるように構成されている。製剤カートリッジ402型の製剤カートリッジの一実施形態を、図8A図10に関して以下に詳細に説明する。図4に示される製剤カートリッジ402は、以下で説明するのと同じ特徴を有すると理解されるものとする。製剤送達デバイス400のいくつかの実施形態は、製剤カートリッジ402及び/又は任意選択のプルスルーアダプタ404を含む。
【0083】
製剤送達デバイス400は、ABSプラスチック、類似の硬質ポリマー又は他の材料から形成された再使用可能ハンドル406を含む。いくつかの実施形態では、再使用可能ハンドル406は、スナップ、ネジなどの締結要素で結合されるように構成された複数のシェルから形成されたアセンブリである。再使用可能ハンドル406は、中空の細長い把持部を有し、この中に、製剤カートリッジ402型を受け入れられるサイズ及び寸法であるカートリッジキャビティを有する。いくつかの実施形態では、キャビティは、製剤カートリッジ402型を容易に正確に挿入できるキーイング機構(keying features)を含む。例えば、いくつかの実施形態は、開口部に配置され、製剤カートリッジ402が開口部に正しく挿入されたときに製剤カートリッジ402の対応するドッキング面とインターフェースで接続する平坦なドッキング面を有するカートリッジインターフェース408を含む。
【0084】
再使用可能ハンドル406は、コントローラ412に加えて、製剤ディスペンシングアセンブリ410を収容する(図5図7に関して後述する)。製剤ディスペンシングアセンブリ410及びコントローラ412は、それぞれ、図2の製剤ディスペンシングアセンブリ214及びコントローラ204と同様の特徴を有する。製剤ディスペンシングアセンブリの一実施形態は、図6図7に関して以下で詳細に説明するが、図4に示される製剤ディスペンシングアセンブリ410は、そこで説明するのと同様の特徴を有すると理解されるものとする。
【0085】
製剤ディスペンシングアセンブリ410は、製剤カートリッジ402から製剤又は洗浄液を吐出する。製剤ディスペンシングアセンブリ410は、ポンプ、流体コンジット、混合チャンバ、及び複数の任意選択のスタンドオフ部分416の間において再使用可能ハンドル406の前端部から離れるように延びるノズルを有する往復式ノズルアセンブリ414(以下に記載)を含む。往復式ノズルアセンブリ414は、ユーザの皮膚又は毛髪に製剤を吐出しながら再使用可能ハンドル406の軌道に沿って前後に往復する複数の環状ノズルを含む。いくつかの実施形態では、往復式ノズルアセンブリ414は、往復振幅7.0~12.0mm(例えば、8.0mm~11.0mm、もしくは9.0~10.0mm)、及び/又は往復周波数5.0Hz~10.0Hz(例えば、6.0Hz~9.0Hz、6.0Hz~8.0Hz)で往復する。往復振幅及び/又は往復周波数は、製剤ルーチンモジュール、洗浄ルーチンモジュール、ユーザルーチンモジュール、手動調整モジュール、又は他のモジュールによって調整可能である。
【0086】
図5に示すように、製剤カートリッジ402は、この中に配置された1つ又は複数の製剤パック418を有する。各製剤パック418は、製剤カートリッジ402がカートリッジキャビティ424に完全に挿入されたときに、製剤ディスペンシングアセンブリ410の対応する製剤入口422と流体連通する構成で、製剤カートリッジ402の遠位(前方)端部を貫いて突出する出力ノズル420を有する。
【0087】
再使用可能ハンドル406上に配置され、コントローラ412に電気的に接続されているボタン426は、上述した製剤送達デバイス400の機構を作動させる。いくつかの実施形態では、ボタン426を押すことにより、図2において上述したモジュールのいずれかの機構を作動させる。例えば、いくつかの実施形態において、ボタン426を押すことによって、コントローラ412に記憶されたスリープ/アウェイクモジュールを作動させる。これにより、製剤送達デバイス400をスリープ状態からアウェイク状態に解除(awakening)させる。いくつかの実施形態では、製剤カートリッジが再使用可能ハンドル406に挿入されている間にボタン426を押すと、コントローラ412に記憶された製剤ルーチンモジュールが作動し、これによって製剤ルーチンが開始される。
【0088】
いくつかの実施形態では、洗浄カートリッジが再使用可能ハンドル406に挿入されている間にボタン426を押すと、コントローラ412に記憶された洗浄ルーチンモジュールが作動し、これによって洗浄ルーチンが開始される。再使用可能ハンドル406に沿って配置された視覚インジケータ428(例えば、LED)は、例えば、コントローラの製剤ルーチンモジュールによって決定された吐出時間に基づいて、製剤残量又はバッテリ残量のうちの1つ又は複数を示す。いくつかの実施形態は、種々の機能性を有する追加のボタン及び/又は複数種類の視覚インジケータ428を含み、図示の実施形態に限定的されない。いくつかの実施形態は、視覚インジケータ428は、製剤カートリッジ内に残っている製剤の割合に各セグメントが等しく対応するマルチセグメントLEDである。
【0089】
コントローラ412は、ロジック(このデータストアに記憶されている)を備える。ロジックは、コントローラ412のプロセッサによって実行されると、再使用可能ハンドル406内に配置されたカートリッジ認証インターフェース430(例えば、RFIDリーダ)に、製剤カートリッジ402を認証させるために、製剤カートリッジ402上の暗号化チップ432を読み取らせる。暗号化チップ432は、製剤カートリッジ402、製剤識別、開始製剤量、製剤有効期限、又は製剤製造日のうち少なくとも1つを記憶する。
【0090】
また、コントローラ412は、実行されると、製剤カートリッジ402の認証に基づいて、製剤ディスペンシングアセンブリを介して製剤カートリッジ402から(第1製剤及び第2製剤の)混合製剤を吐出する製剤ルーチンを製剤送達デバイスに実行させるロジックを備える。例えば、製剤送達デバイスは、再使用可能ハンドルへの製剤カートリッジの挿入後(又は挿入時)に第1及び第2製剤を認証する。次いで、再使用可能ハンドル上のボタンの押下に応じて、ボタンが押されている限り、製剤ディスペンシングアセンブリ410に第1及び第2製剤を連続的又は継続的に混合させ、所定のデバイス動作パラメータ(製剤流量、往復周波数、又は往復振幅)の1つ又は複数で、往復式ノズルアセンブリから当該製剤を吐出させる製剤ルーチンを実行する。
【0091】
また、いくつかの実施形態では、コントローラ412は、実行されると、再使用可能ハンドルに挿入された洗浄カートリッジの認証に基づいて、製剤ディスペンシングアセンブリを介して洗浄液を吐出する洗浄ルーチンを製剤送達デバイスに実行させるロジックを備える。例えば、製剤送達デバイスは、再使用可能ハンドルに挿入された洗浄カートリッジを認証する。次いで、再使用可能ハンドルのボタンの押下に応じて、ボタンが押されている限り、所定のデバイス動作パラメータ(洗浄液流量、往復周波数、又は往復振幅)のうちの1つ又は複数で、製剤ディスペンシングアセンブリ410に往復式ノズルアセンブリから洗浄液(例えば、水)を連続的又は継続的に吐出させる洗浄ルーチンを実行する。いくつかの実施形態において、洗浄液流量は、製剤ディスペンシングアセンブリから残留製剤を効果的に洗い流すという利点のために、コントローラ412に記憶された1つ又は複数の製剤ルーチンの、どの製剤流量よりも高い。
【0092】
プルスルーアダプタ404は、往復式ノズルアセンブリ414の上から再使用可能ハンドル406に取り付けられる。いくつかの実施形態では、プルスルーアダプタ404は、再使用可能ハンドル406と正しく係合すると、可聴フィードバック信号を提供する。
【0093】
図6図7は、代表的な製剤ディスペンシングアセンブリ600を示す。これは、本明細書に記載する製剤送達デバイス、製剤カートリッジ、及び洗浄カートリッジのいずれにも適合する。製剤ディスペンシングアセンブリ600の主な機能は、製剤カートリッジから2つの異なる製剤の混合製剤をユーザの皮膚又は毛髪に吐出することである。いくつかの実施形態では、製剤ディスペンシングアセンブリ600は、20~40mL/分又は4分あたり120mLの流量、例えば、20~35mL/分、20~30mL/分、20~25mL/分、25~35mL/分、25~30mL/分、又は35~40mL/分で混合製剤を吐出する。
【0094】
製剤ディスペンシングアセンブリ600は、第1製剤入口602及び第2製剤入口604並びに、第1流体コンジット606及び第2流体コンジット608を含む。第1流体コンジット606及び第2流体コンジット608は、第1製剤入口602及び第2製剤入口604とそれぞれ流体連通されている。いくつかの実施形態では、各第1製剤入口602及び第2製剤入口604は、それぞれ、第1流体コンジット及び第2流体コンジットから、再使用可能ハンドルの後端部に向かって後方に延びる突起として形成される(すなわち、再使用可能ハンドルに配置されたときにカートリッジキャビティに向かって延びる)。突起は、製剤カートリッジ内に突出するように構成される。
【0095】
製剤ディスペンシングアセンブリ600はまた、モータ610と、モータ610に動作可能に連結されたギアボックス612と、ギアボックス612を介してモータ610によって駆動されるポンプ614と、を含む。いくつかの実施形態において、ポンプ614は、蠕動ポンプである。これにより、本明細書に記載する混合チャンバ及びテーパー状製剤チャネルと組み合わせて利用される場合、製剤吐出を改善することが発見されている。
【0096】
往復式ノズルアセンブリ616は、コーム620上に配置された複数の環状ノズル618を含む。このノズル618は、使用時に、より均一な製剤被覆を達成するために、ユーザの皮膚又は毛髪に製剤を吐出しながら、再使用可能ハンドル406の軌道に沿って往復循環する。各ノズル618は、ノズルを貫通する製剤チャネル622を含む。各製剤チャネルは、マニホールド624を介して第1流体コンジット606及び第2流体コンジット608に流体連通される。いくつかの実施形態において、各製剤チャネル622は、製剤吐出速度が増加する利点及び/又は2つの製剤をより混合する利点のためにテーパー状である。テーパー状製剤チャネルは、例えば、ポンプ614が蠕動ポンプである場合、及び/又は乱流混合チャンバが1つ又は複数のヘリカルミキサー626を含む場合、本明細書に記載する他の特徴と組み合わせて利用する場合に有利であることが証明されている。
【0097】
モータ610及びギアボックス612は、往復式ノズルアセンブリ616を直線往復運動で駆動する。一実施形態では、直線往復運動は、ギアボックス612の出力シャフト630に結合された偏心ローラ628によって動機付けられる。この偏心ローラ628は、コーム620の環状ブラケット内で回転する。ポンプ614及び往復式ノズルアセンブリ616を共通のモータ610で駆動することにより、電力効率が向上し、重量及びサイズを低減する。これにより、製剤送達デバイスのフォームファクタが向上する。それでも、いくつかの実施形態は、ポンプ614及び往復式ノズルアセンブリ616を駆動するために2つ以上のモータを使用する。
【0098】
ノズル618は、乱流混合チャンバ632を介して第1流体コンジット606及び第2流体コンジット608に流体連通されている。乱流混合チャンバ632は、第1流体コンジット606を介して製剤カートリッジから引き出された第1製剤と、第2流体コンジット608を介して製剤カートリッジから引き出された第2製剤とを混合して混合製剤を生成する。特に、乱流混合チャンバ632は、2つの製剤を加圧下の共通チャンバ内で結合させ、2つの製剤を1つ又は複数の混合要素を通過させて流すことにより混合し、混合製剤の乱流(層流とは区別される)を生成する。第2製剤に対する第1製剤の割合は、実施形態によって異なる。例えば、いくつかの実施形態では、混合製剤は、約0.8:1.0~1.2:1.0、例えば、0.85、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、又は1.15の比率の第1製剤と第2製剤との混合物である。
【0099】
いくつかの実施形態では、乱流混合チャンバ632は、ポンプ614と往復式ノズルアセンブリ616との間に配置される。この構成では、2つの製剤は、吐出の直前に混合される。これは、ポンプ614の上流で製剤を混合するのと比較して、より均一な製剤調和(consistency)を生成し、ノズル618からのより良好な製剤吐出をもたらす。
【0100】
いくつかの実施形態では、乱流混合チャンバ632は、この中に配置されたヘリカルミキサー626を含む。いくつかの実施形態は、混合を改善するために、乱流混合チャンバ632内の流体経路に沿って直列に流体連通された複数のヘリカルミキサー626を含む。いくつかの実施形態では、各ヘリカルミキサーは、2.00mmと5.00mmの間、例えば、3.0mmと4.00mの間、例えば、3.18mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、各ヘリカルミキサーは、20.0mmと40.0mmの間、例えば、25.0mmと35.0mmの間、例えば、33.0mmの全長を有する。いくつかの実施形態では、各ヘリカルミキサーは、0.75と1.25の間、例えば、0.80と0.90の間、例えば、0.865の長さ―直径ピッチ(全長/[外径*#混合エレメント]として定義される)を有する。前述の仕様の組み合わせは、混合製剤の最良の調和を生じさせることが発見されている。特に、2つの製剤がポンプ614の下流、往復式ノズルアセンブリ616のすぐ上流まで混合されない場合、またポンプ614が蠕動ポンプである場合にも、混合製剤の最良の調和を生じさせる。
【0101】
使用時、ポンプ614は、接続された製剤カートリッジから、第1流体コンジット606及び第2流体コンジット608を通り、乱流混合チャンバ632を通り、マニホールド624を通り、ノズル618を通して製剤を吸引する。図示された実施形態において、第1流体コンジット606及び第2流体コンジット608は、乱流混合チャンバ632まで2つの製剤の混合を防止するために、ポンプ614の下流まで流体的に分離されたままである。前述のように、吐出の直前(すなわち、ポンプ614とマニホールド624との間)に2つの製剤を混合することにより、混合製剤の調和が向上する。
【0102】
図8A図10は、本明細書に記載の製剤送達システム、製剤送達デバイス、及び製剤製品ラインのいずれにも適合する、製剤カートリッジ型の代表的な製剤カートリッジ800を示す。しかしながら、本明細書に記載の製剤送達システム、製剤送達デバイス、及び製剤製品ラインは、図8A図10に示すサステナブルな製剤カートリッジ800を使用する必要はない。
【0103】
製剤カートリッジ800は、ユーザフレンドリーなエクスペリエンスを提供する一方で、廃棄物及び環境への影響を低減するように特別に設計されサステナブルな実施形態である。このために、製剤カートリッジ800は、ハンドル部分802と使い捨て詰め替えパケット804との2つの主要構成要素を含む。使い捨て詰め替えパケット804は、ハンドル部分802に可逆的にスライドするように構成されている。歴史的に、既知のカートリッジは、この中に貯蔵された製剤を使い尽くした後に完全に廃棄されるように設計されており、かなりの廃棄物及び高い消費者コストにつながっていた。
【0104】
既知のカートリッジとは対照的に、製剤カートリッジ800は、ハンドル部分802が無期限に再使用可能であり、使い捨て詰め替えパケット804のみが、製剤カートリッジの中に貯蔵された製剤を使い尽くした後に廃棄又はリサイクルされる必要があるように構成されている。さらに、各使い捨て詰め替えパケット804は、より小さな構成要素に分解できるように構成されており、この一部はリサイクルされ、他は廃棄される。このように、製剤カートリッジ800は、廃棄物を削減し、ユーザエクスペリエンスを向上させるための革新的な構造を利用している。
【0105】
ハンドル部分802は、製剤送達デバイスのカートリッジキャビティに繰り返し挿入されるようなサイズ、寸法、及び構造を有する。従って、ハンドル部分802は、ABSプラスチック、類似の硬質ポリマー又は他の材料で形成される。ハンドル部分802は、ハンドル部分の中に使い捨て詰め替えパケット804を受け入れるように構成された中空のハンドル部分802と、ハンドル部分802から離れて延びるトレイ部分806とを含む。ハンドル部分802は、示された代表的な実施形態ではツーピースアセンブリであり(他の実施形態ではワンピースであってもよいが)、製剤送達デバイスハンドルのカートリッジキャビティの中に完全に挿入されたときに、製剤送達デバイスハンドルに継ぎ目のない延長部を形成するようなサイズ及び寸法である。トレイ部分806は、ハンドル部分802から離れて突出し、使い捨て詰め替えパケット804(例えば、前部本体部分810)を支持するように構成されたU字形状を有する。確実な係合及び容易な取り外しを促進するために、ハンドル部分802は、製剤カートリッジ800を製剤送達デバイスの再使用可能ハンドルに結合するための結合手段を含む。代表的な結合手段には、ハンドル部分802に形成されたカートリッジリリース812(例えば、ラッチが含まれる)。カートリッジリリース812は、適切かつ完全な挿入時に製剤送達デバイスに係合する。
【0106】
使い捨て詰め替えパケット804は、第1製剤パケット814及び第2製剤パケット816を収納し、これらはそれぞれ第1製剤818及び第2製剤820を含有する。第1製剤パケット814及び第2製剤パケット816はそれぞれ、40mL~70mlの間、例えば、50mL~60mL、又は55mLの容積を有する。いくつかの実施形態では、第1製剤パケット814及び第2製剤パケット816は、異なる容積を有する。
【0107】
第1製剤818及び第2製剤820はそれぞれ、本明細書に記載の任意の製剤とできる。製剤は、例えば、永久染毛剤、半永久染毛剤、顕色剤、コンディショナー、ミノキシジルなどの育毛剤、毛髪タンパク質トリートメント、ジスルフィド結合修復毛髪トリートメント、流体毛髪トリートメント、流体頭皮トリートメントなどである。いくつかの実施形態では、第1製剤818及び第2製剤820は異なる。例えば、いくつかの実施形態では、第1製剤818は染毛剤であり、第2製剤820は顕色剤である。他の実施形態では、第1製剤818及び第2製剤820は同じである(例えば、コンディショナー又は頭皮トリートメント製剤)。
【0108】
図9に示すように、各製剤パケットは、製剤含有パケット822とバルブ手段とを含む。バルブ手段は、製剤カートリッジ800が手持ち式製剤ディスペンシングデバイス内に受け入れられたときに、使い捨て詰め替えパケットを製剤送達デバイスのディスペンシングノズルユニットに選択的に流体結合させるためのものである。代表的なバルブ手段には、パケット822から製剤が出るバルブ824が含まれる。代表的な製剤パケットは、2018年9月24日に出願され、L'Oreal SAに譲渡された国際特許出願PCT/US2018/052345号、及び2020年12月23日に出願され、L'Oreal SAに譲渡された米国特許出願第17/133110号に記載されており、これはいずれも、全ての目的のために参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。
【0109】
また、使い捨て詰め替えパケット804は、使い捨ての細長い本体部分826を含む。使い捨ての細長い本体部分826は、使い捨て詰め替えパケット804に構造をもたらし、第1製剤パケット814及び第2製剤パケット816を含む。いくつかの実施形態において、本体部分826は、150mmと250mmの間の全長(例えば、175mm~225mm、185mm~215mm、195mm~205mm、又は200mm)、及び25mm~50mmの最大断面寸法(例えば、30mm~45mm、35mm~40mm、又は36mm)を有する。本体部分826は、後部本体部分828と、細長い前部本体部分810とを有する。後部本体部分828は、前部本体部分810よりも大きな断面寸法を有し、使用中にハンドル部分802のハンドル部分802の内部に(例えば、摩擦嵌合によって)留まる。細長い前部本体部分810は、ハンドル部分802のトレイ部分806によって支持され、使用中に製剤送達デバイスのカートリッジキャビティ内に突出する。
【0110】
図示された実施形態では、本体部分826は、リサイクル可能材料、例えば、ストラクチャードペーパー(structured paper)(例えば、厚紙)から構成される。本体部分826が紙で形成されるいくつかの実施形態では、当該紙は、使い捨て材料を過剰に与えることなく十分な剛性を付与するために、8~12ポイントの間の重量(例えば、8.5ポイント、9.0ポイント、9.5ポイント、10.0ポイント、10.5ポイント、11.0ポイント、又は11.5ポイント)を有する。いくつかのこのような実施形態では、本体部分826は、単一のリサイクル可能材料で形成される。一例として、図示の実施形態では、本体部分826は、単一の紙で形成される。図9に示すように、この折り畳み構造により、後部本体部分828に8辺の多角形断面が形成され、前部本体部分810に6辺の多角形断面が形成される。組み立てを容易にするために、本体部分826のいくつかの実施形態は、確実に正しく折り畳める1つ又は複数のスコア又はガイドラインを含む。図示の実施形態の多角形断面は代表的なものであり、限定するものではない。他の実施形態は、三角形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、又は他の多角形の断面形状を有する。他の実施形態では、本体部分826は、本明細書に記載の形状及び構造を有するが、リサイクル可能材料から構成されていない。
【0111】
任意選択のパケットスリーブ830は、いくつかの重要な利点を提供する。第一に、パケットスリーブ830は、前部本体部分810の上を摺動して補強することによって、使い捨て詰め替えパケット804に付加的な構造を与える。従って、いくつかの実施形態において、パケットスリーブ830は、本体部分826を形成する材料と比較して、より大きな重量又は厚さを有するが、これは必須ではない。いくつかの実施形態では、パケットスリーブ830もリサイクル可能材料で形成され、これは本体部分826と同じリサイクル可能材料であってもよい。
【0112】
第二に、パケットスリーブ830はバルブフレーム832と結合する。例えば、図示されたパケットスリーブ830は、バルブフレーム832の係合部材と可逆的に結合するように構成された複数の係合部材凹部834を含む。
【0113】
第三に、パケットスリーブ830は、使い捨て詰め替えパケット804の分解を容易にする。図8A及び図9に示すように、パケットスリーブ830は、任意選択の一体型のテヤーアウェイ(tearaway)836(例えば、プルタブ付きのミシン目)を含む。使用時、製剤が使い尽くされた後、ユーザは一体型のテヤーアウェイ836のプルタブを引き、それによってバルブフレーム832をパケットスリーブ830から分離する。この動作が完了すると、パケットスリーブ830はリサイクルされ、バルブフレーム832は廃棄される。いくつかの実施形態では、一体型のテヤーアウェイ836は、本体部分826、例えば前部本体部分810に配置される。
【0114】
パケットスリーブ830はいくつかの利点を与えるが、これは任意選択である。いくつかの実施形態では、パケットスリーブ830の上記の特徴のうちの1つ又は複数が本体部分826に一体的に形成される。
【0115】
バルブフレーム832は、製剤送達デバイス(特に、製剤送達デバイスの製剤ディスペンシングアセンブリ)との正確かつ強固な結合のために、及び、製剤送達デバイスのカートリッジ認証インターフェースに隣接する暗号化チップ838の正確な位置決めのために、製剤パケットバルブ824及び暗号化チップ838を支持する剛性構造を提供する。従って、バルブフレーム832は、ABSプラスチック、HDPE、もしくは他の剛性ポリマー又は他の材料から形成される。複数のバルブ係合ユニット840が、バルブフレーム832の前端部を貫いて延びている。各バルブ係合ユニット840は、製剤パケットバルブ824の1つを受け入れて固定する。いくつかの実施形態では、バルブ係合ユニット840は、バルブフレーム832の面を貫いて配置されたバルブ開口部である。バルブ開口部は、製剤パケットのバルブを受け入れられるサイズである。パケットスリーブ830(又はいくつかの実施形態では本体部分826)との結合を可能にするために、バルブフレーム832はバルブフレームから延びる係合部材842(例えばタブ)を含む。
【0116】
暗号化チップ838は、使い捨て詰め替えパケット804上、例えば、本体部分826上又は(図示の実施形態のように)バルブフレーム832上に配置される。暗号化チップ838は、製剤カートリッジ800が製剤送達デバイスに挿入されたときに、製剤送達デバイスのカートリッジ認証インターフェースによって読み取られるように、使い捨て詰め替えパケット804上に配置される。従って、暗号化チップ838は、製剤カートリッジ800及びこの内容物に関する情報、例えば、製剤識別、開始製剤量、製剤有効期限、又は製剤製造日の少なくとも1つを記憶する。
【0117】
従って、本体部分826、パケットスリーブ830、製剤パケット、及びバルブフレーム832は、使い捨て詰め替えパケット804を形成する。使用中、使い捨て詰め替えパケット804はハンドル部分802と可逆的に結合可能である。例えば、使い捨て詰め替えパケット804とハンドル部分802との間の摩擦嵌合及び本体部分826又はパケットスリーブ830上の連結タブ844のような固定手段によって、ハンドル部分802と結合可能である。連結タブ844は、使い捨て詰め替えパケット804のハンドル部分802への挿入時にハンドル部分802に係合し、ハンドル部分802から力強く引き抜かれるまで、ハンドル部分の中に保持される。ハンドル部分802内での使い捨て詰め替えパケット804の保持をさらに助けるために、図示されたハンドル部分802は、1つ又は複数の任意選択の保持要素846(この実施形態では、使い捨て詰め替えパケット804に係合する偏向可能なタブ)を含む。
【0118】
図11は、図11に示される本開示の代表的な方法1100を示す。これは、本開示の製剤カートリッジのいずれか、例えば図8A図10の製剤カートリッジ800と共に使用され得る。
【0119】
ステップ1102では、使い尽くされた製剤カートリッジ、すなわち、製剤カートリッジの中の製剤パケットから製剤が使い尽くされた製剤カートリッジを用意する。いくつかの実施形態では、製剤カートリッジは、例えば、カートリッジリリースを押下し、製剤カートリッジを製剤送達デバイスから引き出すことによって、製剤送達デバイスから取り出される。
【0120】
ブロック1104において、使い捨て詰め替えパケットは、例えば、結合タブ及び保持要素によって付与される保持力に打ち勝つのに十分な力で使い捨て詰め替えパケットを再使用可能カートリッジ本体から引き離すことによって、再使用可能カートリッジ本体から分離される。
【0121】
任意選択のステップ1106において、使い捨て詰め替えパケットのリサイクル可能部分が、使い捨て詰め替えパケットのリサイクル不可能部分から分離される。例えば、バルブフレーム及び製剤パケットは、本体部分及び/又は任意選択のパケットスリーブ(いくつかの実施形態では、いずれもリサイクル可能である)から分離される。例えば、パケットスリーブ又は本体部分の一体型のテヤーアウェイを引き裂き、バルブフレームを(これに固定された使い尽くされた製剤パケットと共に)パケットスリーブ及び本体部分から引き離すことによって、分離される。
【0122】
任意選択のステップ1108において、使い捨て詰め替えパケットの1つ又は複数のリサイクル可能部分(すなわち、本体部分及び/又はパケットスリーブ)がリサイクルされ、1つ又は複数のリサイクル不可能部分(すなわち、使い尽くされた製剤パケット及びバルブフレーム)が廃棄される。
【0123】
ステップ1110では、新しい使い捨て詰め替えパケットが再使用可能カートリッジ本体に挿入される。
【0124】
ステップ1112では、新しい使い捨て詰め替えパケットを再使用可能カートリッジ本体に挿入した後、再装填された製剤カートリッジが再び製剤送達デバイスに挿入される。
【0125】
従って、本開示は、サステナブルな製剤カートリッジを提供するだけでなく、廃棄物や環境への影響をさらに低減するための使用方法も提供する。
【0126】
図12は、代表的な洗浄カートリッジ1200を示す。この洗浄カートリッジ1200は、前述の洗浄カートリッジと同様の特徴を有し、本開示の任意の製剤送達システム、製剤送達デバイス、及び製品ラインと互換性がある。従って、洗浄カートリッジ1200は、本明細書に記載の製剤カートリッジと同様のカートリッジ型(例えば、製剤送達デバイスの再使用可能ハンドル内にしっかりと適合するように構成され、同様の形状及び寸法を有し、複数の出力ノズルを有する)である。
【0127】
洗浄カートリッジ1200の主な機能は、製剤送達デバイスと流体連通し、洗浄ルーチンの一部として製剤ディスペンシングアセンブリを通して流される洗浄液1202(例えば、水)を提供することである。従って、洗浄カートリッジ1200は、ABSプラスチック又は他の好適な硬質ポリマーで形成された本体部分1204を有する再使用可能アセンブリである。本体部分1204は洗浄液リザーバ1206、すなわち、タンクを支持する。洗浄液リザーバ1206はこの中に洗浄液1202を、例えば50~200mL貯蔵する。洗浄液リザーバ1206は、製剤送達デバイスの流体コンジットと流体的に結合するようにサイズ及び位置決めされた複数の出力ノズル1208を有する。再充填キャップ1210は、洗浄液リザーバ1206への再充填を容易にする。
【0128】
図13~14は、本開示の製剤送達デバイス、又は他のデバイスによって実行され得る代表的なプライミング方法1300を示す。特に、図13は方法を説明し、一方、図14は、方法の特定の代表的なタイムラインを提供する。プライミングシーケンスの様々な利点は、図2(特に、プライミングモジュール240)に関して上述した。しかしながら、一般的に、プライミングシーケンスは、製剤ディスペンシングアセンブリから残留製剤(複数可)及びエアポケットを一掃し、そこからエアポケットを除去し、均一な製剤混合物を吐出するための準備が確実にできているようにする。以下に記載する任意の方法は、本開示の任意の製剤送達デバイスのデータストアのロジックとして(例えば、プライミングモジュールのロジックとして)、全体的又は部分的に実施され得る。
【0129】
理解を容易にするために、一般に以下の方法を、上記のような製剤送達システムの文脈で記述する。従って、以下で使用する用語は、上記で使用したのと同様の意味を有する。
【0130】
任意選択の予備ステップ1302において、洗浄シーケンスを開始して、製剤送達デバイス内のすべての残留製剤、例えば、異なる製剤を有する、前の製剤カートリッジからの残留製剤を除去する。洗浄シーケンスは、任意のプライミングシーケンスを開始する前、及び任意の製剤カートリッジを製剤送達デバイスのハンドルに挿入する前に開始され得る。洗浄シーケンスは、洗浄ルーチンモジュール232に関して上述したステップのいずれかを含むことができる。例えば、任意の実施形態において、洗浄シーケンスは、製剤ディスペンシングアセンブリを通して洗浄流体をポンピングするステップを備える。洗浄流体(例えば、水)は、洗浄カートリッジ、蛇口、又は他の供給源によって供給されてもよい。任意の実施形態において、洗浄シーケンスは、洗浄カートリッジを、製剤ディスペンシングアセンブリと流体連通するように製剤送達デバイスのハンドルに挿入し、次いで、製剤ディスペンシングアセンブリを通して洗浄流体をポンピングするステップを備える。任意の実施形態において、洗浄シーケンスは、洗浄流量で洗浄カートリッジからノズルアセンブリを通って洗浄流体をポンピングするステップを備える。洗浄流量は、任意選択で、製剤送達デバイスの作動流量及び/又はプライミング流量よりも大きい。任意の実施形態において、洗浄流量は、任意の作動流量及び/又は任意のプライミング流量よりも、少なくとも約35mL/分~約50mL/分、又は約1mL/分~約5mL/分大きくてもよい。任意の実施形態において、洗浄シーケンスは、ユーザがハンドル上に配置されたボタン、スイッチ、又は同様の機構を作動させる限り、ノズルアセンブリを通して洗浄流体をポンピングするステップを含むことができる。
【0131】
ステップ1304において、例えばエンドユーザが製剤カートリッジを用意する。製剤カートリッジは、それぞれ第1製剤パケット及び第2製剤パケットのように、第1製剤及び第2製剤を製剤カートリッジの中に貯蔵するように構成され得る。
【0132】
ステップ1306において、製剤カートリッジは、製剤送達デバイスのハンドルに挿入される。任意の実施形態において、製剤カートリッジは、製剤カートリッジが第1製剤及び第2製剤を製剤ディスペンシングアセンブリ及びこの任意の構成要素、例えばノズルアセンブリに流体的に結合するように、ハンドルに挿入される。このステップは、t-2で行われるものとして図14に示されている。
【0133】
任意選択のステップ1308において、製剤カートリッジは、製剤送達デバイス(製剤送達デバイス内(例えば、ハンドル内)に配置されたカートリッジ認証インターフェース(例えば、RFIDリーダ)など)によって認証される。上述したように、製剤カートリッジを認証することにより、製剤カートリッジが偽造品、破損品、期限切れ品、又は他の欠陥のある製剤カートリッジであった場合に、ユーザが被害を受けたり、使用感が悪くなったりすることを防ぐことができる。任意の実施形態において、製剤カートリッジは、カートリッジ認証インターフェースを用いて、製剤カートリッジ上に配置された暗号化チップ上で暗号化された情報を読み取ることにより認証される。認証される情報には、製剤識別、製剤開始量、製剤有効期限、製剤製造日のいずれか1つ又は複数が含まれる。任意の実施形態において、カートリッジ認証インターフェースが製剤カートリッジの認証に成功した場合、すなわち暗号化チップから暗号化された情報の読み取りに成功した場合、製剤送達デバイスは「ロック解除」される。しかし、カートリッジ認証インターフェースが、ハンドルに挿入された製剤カートリッジの認証に成功できない場合、製剤送達デバイスのロックは解除されない。このステップは、t-2で行われるものとして図14にも示されている。
【0134】
ステップ1310において、ユーザがハンドル上のボタン又は他の作動デバイスのプライミング作動シーケンスを実行することなどにより、製剤送達デバイスのプライミングシーケンスが開始される。任意の実施形態において、プライミング作動シーケンスは、所定の時間枠内に所定のパターン(例えば、1秒以内に3回のボタン押す)でボタン又は他の作動デバイスを押すステップを含むことができる。図2に関して上述したように、プライミングシーケンスは、調和した製剤を送達するために製剤送達デバイスを準備する。任意の実施形態において、プライミングシーケンスは、ステップ1308において製剤カートリッジの認証が成功した後に任意選択で開始されてもよい。プライミング作動シーケンスは、図14のt-1で行われるものとして示されている。
【0135】
図14を参照すると、t0から始まり、プライミングシーケンスは通常、少なくとも第1時間期間t1の間、第1製剤及び第2製剤を製剤カートリッジから同時にポンピングするステップを備え、これにより第1製剤及び第2製剤が製剤カートリッジから、少なくとも1つのポンプを通り、ノズルアセンブリから出るようにする。有利には、これにより、第1製剤が第2製剤と混合され、均一な組成及び調和を有する混合物としてノズルアセンブリから吐出されることが可能になる。
【0136】
プライミングシーケンスのパラメータを、特定の製剤及び/又は所望のユーザエクスペリエンスに基づいて調整することができる。一方で、第1時間期間t1は、ノズルアセンブリから第1及び第2製剤の均一な混合物を吐出し、前の製剤やエアポケットをすべて除去するのに十分な長さであるべきである。他方、製剤の浪費やユーザエクスペリエンスを損なうことを避けるために、第1時間期間t1は、前述の目的を達成するために必要な時間よりも長くすべきではない。図14をさらに参照すると、任意の実施形態において、第1時間期間t1は、約5秒~約15秒、例えば、約5秒~約10秒、又は約10秒~約15秒である。任意の実施形態において、第1時間期間t1は、約15秒、約10秒、又は約5秒を超えない。任意の実施形態において、第1時間期間には、混合物がノズルアセンブリから出る第2時間期間t2が含まれる。任意の実施形態において、第2時間期間t2は、約1秒~約5秒である。任意の実施形態において、第2時間期間t2は、約5秒を超えない。
【0137】
上述したように、プライミングシーケンスを短縮し、また製剤ディスペンシングアセンブリ内のすべての残留製剤及びエアポケットを十分に除去するために、プライミングシーケンスをより高い流量で実行することが有利であり得る。従って、任意の実施形態において、プライミングシーケンスは、製剤ディスペンシングアセンブリの作動流量を超えるプライミング流量で混合物を吐出するステップを備えてもよい。例えば、任意の実施形態において、製剤ディスペンシングアセンブリの作動流量は、約20mL/分~約40mL/分、約20mL/分~約30mL/分、又は約24mL/分~約36mL/分であってもよく、従って、プライミング流量は、作動流量よりも約1mL/分~約5mL/分大きくてもよい。付加的に又は代替的に、任意の実施形態において、プライミング流量は、上述した洗浄シーケンスの洗浄流量よりも約1mL/分~約5mL/分小さくてもよい。
【0138】
従って、前述の方法は、余分な廃棄物を生じさせることなく、調和した混合物の送達を可能にする方法で、製剤送達デバイスを迅速にプライミングする。
【0139】
また、本願は、数量及び数を参照することができる。特に明記しない限り、このような数量及び数は、限定的なものではなく、本願に関連する可能な数量又は数の代表的なものであると考えられる。また、この点で、本願は、数量又は数を参照するために、「複数」という用語を使用することができる。この点で、用語「複数」は、例えば、2、3、4、5など、1より多い任意の数であることを意味する。用語「約」、「およそ」「ほとんど」などは、記載された値のプラスマイナス5%を意味する。本開示の目的のために、「A、B、及びCの少なくとも1つ」という表現は、例えば、(A)、(B)、(C)、(A及びB)、(A及びC)、(B及びC)、又は(A、B、及びC)を意味し、3つより多い要素がリスト化されている場合、さらに可能なすべての順列を含むことを意図している。
【0140】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書に記載する技術及び方法論を実装するため、2つ以上の構成要素を動作可能に接続するため、情報を生成するため、動作条件を決定するため、及び/又は電気器具、デバイス、もしくは方法を制御するためなどの目的で回路機構を利用することができる。任意のタイプの回路を使用することができる。一実施形態において、回路は、とりわけ、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの1つ又は複数のコンピューティングデバイス、又はこれらの任意の組み合わせを含み、ディスクリートデジタル回路素子、アナログ回路素子もしくは電子回路、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0141】
一実施形態では、回路機構は、複数の事前定義されたロジックコンポーネントを有する1つ又は複数のASICを含む。一実施形態において、回路機構は、複数のプログラム可能なロジックコンポーネントを有する1つ又は複数のFPGAを含む。一実施形態において、回路機構は、ハードウェア回路実装(例えば、アナログ回路における実装、デジタル回路における実装など、及びこれらの組み合わせ)を含む。一実施形態において、回路機構は、本明細書に記載する1つ又は複数の方法論又は技術をデバイスに実施させるために協働する、1つ又は複数のコンピュータ可読メモリ上に記憶されたソフトウェア又はファームウェア命令を有する回路とコンピュータプログラム製品との組み合わせを含む。一実施形態において、回路機構は、例えば、マイクロプロセッサ又はマイクロプロセッサの一部のような、動作のためにソフトウェア、ファームウェアなどを必要とする回路を含む。一実施形態において、回路機構は、1つ又は複数のプロセッサ又はこの一部と、付随するソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアなどを備える実装を含む。一実施形態において、回路機構は、サーバ、セルラーネットワークデバイス、他のネットワークデバイス、又は他のコンピューティングデバイス内のベースバンド集積回路、アプリケーションプロセッサ集積回路又は同様の集積回路を含む。一実施形態において、回路機構は、1つ又は複数の遠隔に位置する構成要素を含む。一実施形態において、遠隔に位置する構成要素は、無線通信を介して動作可能に接続される。一実施形態では、遠隔に位置する構成要素は、1つ又は複数の受信機、送信機、トランシーバなどを介して動作可能に接続される。
【0142】
一実施形態は、例えば、命令又はデータを記憶する1つ又は複数のデータストアを含む。1つ又は複数のデータストアの非限定的な例には、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、不揮発性メモリ(例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)など)、永続メモリなどが含まれる。1つ又は複数のデータストアのさらなる非限定的な例には、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、フラッシュメモリなどが含まれる。1つ又は複数のデータストアは、例えば、1つ又は複数の命令、データ、又は電力バスによって、1つ又は複数のコンピューティングデバイスに接続することができる。
【0143】
一実施形態では、回路機構は、1つ又は複数のコンピュータ可読媒体ドライブ、インターフェースソケット、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、メモリカードスロットなど、及び、1つ又は複数の入力/出力構成要素(例えば、グラフィカルユーザインターフェース、ディスプレイ、キーボード、キーパッド、トラックボール、ジョイスティック、タッチスクリーン、マウス、スイッチ、ダイヤルなど)、並びに任意の他の周辺デバイスを含む。一実施形態において、回路機構は、実施形態の1つ又は複数の態様を制御(電気的制御、電気機械的制御、ソフトウェア実装制御、ファームウェア実装制御、又は他の制御、又はこれらの組み合わせで制御)するために、少なくとも1つのコンピューティングデバイスに動作可能に接続される1つ又は複数のユーザ入力/出力構成要素を含む。
【0144】
一実施形態では、回路は、信号担持媒体(例えば、コンピュータ可読メモリ媒体、コンピュータ可読記録媒体など)を受け入れるように構成されたコンピュータ可読媒体ドライブ又はメモリスロットを含む。一実施形態において、開示した方法のいずれかをシステムに実行させるためのプログラムは、例えば、コンピュータ可読記録媒体(CRMM)、信号担持媒体などに記憶させることができる。信号担持媒体の非限定的な例には、任意の形態のフラッシュメモリ、磁気テープ、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、ブルーレイディスク、デジタルテープ、コンピュータメモリなどの記録型媒体や、デジタル及び/又はアナログ通信媒体(例えば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンク(例えば、送信機、受信機、トランシーバ、送信ロジック、受信ロジックなど))のような伝送型媒体が含まれる。信号担持媒体のさらなる非限定的な例には、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD+RW、DVD-RW、DVD-R、DVD+R、CD-ROM、スーパーオーディオCD、CD-R、CD+R、CD+RW、CD-RW、ビデオコンパクトディスク、スーパービデオディスク、フラッシュメモリ、磁気テープ、光磁気ディスク、ミニディスク、不揮発性メモリカード、EEPROM、光ディスク、光ストレージ、RAM、ROM、システムメモリ、ウェブサーバなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0145】
添付図面に関連して上述した、発明を実施するための形態は、同様の数字が同様の要素を参照するものであり、本開示の様々な実施形態の説明として意図されており、唯一の実施形態を表すことを意図していない。本開示において説明する各実施形態は、単に例又は説明として提供されるにすぎず、他の実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。本明細書において提供する説明的な例は、網羅的であることを意図するものではなく、又は開示された正確な形態に本開示を限定することを意図するものではない。同様に、本明細書に記載する任意のステップは、同様又は実質的に同様の結果を達成するために、他のステップ又はステップの組み合わせと交換可能とできる。一般に、本明細書に開示する実施形態は非限定的であり、本発明者らは、本開示の範囲内の他の実施形態が、図に示され、本明細書に記載される2つ以上の特定の実施形態からの構造及び機能性を含み得ることを企図する。
【0146】
前述の説明では、本開示の例示的実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が示されている。しかしながら、当業者には、本明細書に開示された実施形態は、すべての具体的な詳細を具現化しなくても実施され得ることが明らかであろう。いくつかの例では、本開示の様々な態様を不必要に不明瞭にしないために、周知の処理ステップは詳細に説明されていない。さらに、本開示の実施形態は、本明細書に記載した特徴の任意の組み合わせを採用し得ることが理解されよう。
【0147】
本願は、「垂直」、「水平」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」などの方向への参照を含むことができる。これらの参照、及び本願における他の同様の参照は、特定の実施形態(実施形態が使用のために配置される場合など)の説明及び理解を助けることを意図しており、本開示をこれらの方向又は位置に限定することを意図するものではない。
【0148】
本開示の原理、代表的な実施形態、及び動作モードは、前述の記載で説明した。しかしながら、保護を意図する本開示の態様は、開示された特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。さらに、本明細書に記載した実施形態は、制限的ではなく例示的であるとみなされるべきである。本開示の趣旨から逸脱することなく、他の者によって変形及び変更がなされ、等価物が採用され得ることを理解されたい。従って、このような全ての変形、変更、及び等価物が、クレームされた本開示の趣旨及び範囲内に入ることを明示的に意図する。
【0149】
例示的実施形態を図示して説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、例示的実施形態に様々な変更が可能であることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A-8B】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤送達デバイスのプライミング方法であって、方法は、
用意するステップ、
挿入するステップ、及び
開始するステップを備え、
前記用意するステップでは、第1製剤及び第2製剤を貯蔵するように構成された製剤カートリッジを用意し、
前記挿入するステップでは、前記製剤カートリッジを前記製剤送達デバイスのハンドルに挿入し、これにより前記製剤カートリッジが前記第1製剤及び前記第2製剤を前記製剤送達デバイスの製剤ディスペンシングアセンブリに流体的に結合するようにし、
前記製剤ディスペンシングアセンブリは、ノズルアセンブリ、前記ノズルアセンブリに流体連通された少なくとも1つのポンプ、及び、前記ポンプに動作可能に接続されたコントローラと、を備え、
前記開始するステップでは、前記製剤送達デバイスのプライミングシーケンスを開始し、
前記プライミングシーケンスは、第1時間期間、前記少なくとも1つのポンプで前記第1製剤及び前記第2製剤を同時にポンピングするステップを備え、前記第1製剤及び前記第2製剤は前記製剤カートリッジから、前記少なくとも1つのポンプを通過し、前記ノズルアセンブリから出るようにし、
前記第1時間期間は、前記第1製剤が前記第2製剤と混合され、均一な組成及び調和を有する混合物として前記ノズルアセンブリから吐出されることを可能にするための時間である、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1時間期間は、前記第1製剤及び前記第2製剤が前記ノズルアセンブリから出る第2時間期間を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
前記第1製剤及び前記第2製剤は、前記ノズルアセンブリから混合物として出て、
前記第2時間期間中、前記第1製剤及び前記第2製剤は、前記ノズルアセンブリから前記混合物として出る、方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法であって、
前記第2時間期間は、約5秒から約10秒である、方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、
前記第1時間期間は、約5秒から約15秒である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記プライミングシーケンスを開始する前に、前記ハンドル上に配置されたカートリッジ認証インターフェースを用いて前記製剤カートリッジ上に配置された暗号化チップを読み取ることにより、前記製剤カートリッジを認証するステップをさらに備える、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記製剤カートリッジを認証した後、前記製剤送達デバイスのロックを解除するステップをさらに備える、方法。
【請求項8】
請求項3に記載の方法であって、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのポンプを作動させるように構成されたロジックを備え、前記混合物が作動流量及びプライミング流量で前記ノズルアセンブリから出るようにし、
前記プライミング流量は前記作動流量よりも大きく、
前記プライミングシーケンスは、前記第1製剤及び前記第2製剤をポンピングするステップを備え、前記混合物が前記プライミング流量で前記ノズルアセンブリから出るようにする、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記作動流量は、約20mL/分~約40mL/分であり、前記プライミング流量は前記作動流量より少なくとも5mL/分高い、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記プライミングシーケンスを開始するステップは、前記ハンドル上に配置されたボタンのプライミング作動シーケンスを実行するステップを備え、
前記プライミング作動シーケンスは、第3時間期間内に所定のパターンで前記ボタンを押すステップを備える、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、
前記製剤カートリッジを前記ハンドルに挿入する前に、前記製剤送達デバイスの洗浄シーケンスを開始するステップをさらに備え、
前記洗浄シーケンスは、ポンピングするステップ、挿入するステップ、及び作動させるステップを備え、
前記ポンピングするステップでは、前記製剤ディスペンシングアセンブリを通して洗浄流体をポンピングし、
前記挿入するステップでは、洗浄カートリッジを前記ハンドルに挿入し、前記洗浄カートリッジが前記製剤ディスペンシングアセンブリに流体的に結合するようにし、
前記作動させるステップでは、前記洗浄カートリッジから前記製剤ディスペンシングアセンブリを通して前記洗浄流体をポンピングするために前記少なくとも1つのポンプを作動させる、方法。
【請求項12】
製剤送達システムであって、
製剤カートリッジとハンドルとを備え、
前記製剤カートリッジは、第1製剤及び第2製剤をそれぞれ第1製剤パケット及び第2製剤パケットに貯蔵するように構成され、
前記ハンドルは、前記製剤カートリッジを可逆的に受け入れるように構成され、
前記ハンドルは、ノズルアセンブリと、前記ノズルアセンブリに流体的に結合された少なくとも1つのポンプと、前記ポンプに動作可能に接続されたコントローラとを備える製剤ディスペンシングアセンブリを収容し、
前記コントローラは、プロセッサと、ロジックを記憶するデータストアと、を備え、
前記ロジックは、前記プロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのポンプで、前記第1製剤及び前記第2製剤を同時に第1時間期間ポンピングするステップを備えるプライミングシーケンスを実行し、これにより前記第1製剤と前記第2製剤は、前記製剤カートリッジから前記少なくとも1つのポンプを通り、前記ノズルアセンブリから出るようにし、
前記第1時間期間は、前記第1製剤が前記第2製剤と混合され、均一な組成及び調和を有する混合物として前記ノズルアセンブリから吐出されることを可能にするための時間である、システム。
【請求項13】
請求項12に記載の製剤送達システムであって、
前記コントローラは、前記少なくとも1つのポンプを作動させるように構成されたロジックを備え、これにより前記第1製剤及び前記第2製剤が作動流量及びプライミング流量で前記ノズルアセンブリから出るようにし、
前記プライミング流量は、前記作動流量よりも大きく、
前記プライミングシーケンスは、前記プライミング流量で前記第1製剤及び前記第2製剤をポンピングするステップを備える、システム。
【請求項14】
請求項12に記載の製剤送達システムであって、
前記ハンドルは、カートリッジ認証インターフェースを収容し、
前記コントローラは、前記プロセッサにより実行されるとき、前記カートリッジ認証インターフェースで前記製剤カートリッジ上に配置された暗号化チップを読み取ることにより、前記ハンドルに挿入された前記製剤カートリッジを認証するロジックを備え、
前記プライミングシーケンスは、前記製剤カートリッジの認証成功後にのみ開始されることができ、システム。
【請求項15】
請求項12に記載の製剤送達システムであって、
前記コントローラは、前記ハンドル上に配置されたボタンに動作可能に接続され、
前記コントローラは、プライミング作動シーケンスに応答して前記プライミングシーケンスを実行するロジックを備え、
前記ボタンは、第2時間期間内に所定のパターンで動作する、システム。
【国際調査報告】