(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】動物における呼吸器疾患の治療のための注射用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/166 20060101AFI20241122BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241122BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241122BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241122BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241122BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20241122BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61K31/166
A61P31/04 171
A61K9/10
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/12
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537407
(86)(22)【出願日】2022-12-23
(85)【翻訳文提出日】2024-08-15
(86)【国際出願番号】 EP2022087700
(87)【国際公開番号】W WO2023118557
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チェン-チャオ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ワラス,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ,ヨアヒム
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA22
4C076BB11
4C076BB16
4C076CC32
4C076DD09
4C076DD37
4C076DD43
4C076DD45
4C076DD46A
4C076DD63
4C076EE23
4C076FF12
4C076FF16
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA16
4C206KA01
4C206KA17
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA86
4C206NA06
4C206ZB35
4C206ZC61
(57)【要約】
動物の細菌感染症を治療するための、有効量の式(I)の化合物またはその塩、および薬学的に許容される担体を含む注射用医薬組成物であり、ここで、該注射用医薬組成物は、有効かつ安全である。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩と、
薬学的に許容される担体と
を含む注射用医薬組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が式(A)の化合物である、
【化2】
請求項1に記載の注射用医薬組成物。
【請求項3】
前記化合物が式(I)の化合物の二塩酸塩である、請求項1または2に記載の注射用医薬組成物。
【請求項4】
前記式(I)の化合物の量が、前記組成物の約10%w/v~約35%w/v、約15%w/v~約30%w/v、約10%w/v~約25%w/v、約20%w/v~約30%w/vまたは約25%w/vである、請求項1~3のいずれか一項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項5】
前記薬学的に許容される担体が中鎖トリグリセリドであり、そして、前記式(I)の化合物が前記中鎖トリグリセリド中で懸濁液を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項6】
前記組成物が界面活性剤をさらに含む、請求項5に記載の注射用医薬組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤の量が約0.01%w/v~約1.0%w/vである、請求項6に記載の注射用医薬組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート、ポロキサマー、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、ポリソルベート80またはレシチンである、請求項6~7のいずれか一項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤がポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレートである、請求項8に記載の注射用医薬組成物。
【請求項10】
前記薬学的に許容される担体が水であり、そして、前記式(I)の化合物が水中の溶液を形成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の注射用医薬組成物。
【請求項11】
前記組成物が界面活性剤をさらに含む、請求項10に記載の注射用医薬組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤が、ベンジルアルコール、ポロキサマー124、クエン酸またはそれらの混合物から選択される、請求項11に記載の注射用医薬組成物。
【請求項13】
a)約10%~約35%w/vの式(A)の化合物の二塩酸塩
【化3】
b)約0.01~約1%w/vのポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート、および
c)中鎖トリグリセリド(QS)
を含む注射用医薬組成物。
【請求項14】
a)約10%~約35%w/vの式(A)の化合物
【化4】
b)約10%~約20%w/vのポロキサマー、
c)約4%~約8%w/vのベンジルアルコール、
d)約5%~約10%w/vのクエン酸、および
e)水(QS)
を含む注射用医薬組成物。
【請求項15】
動物の細菌感染症の治療での使用のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の注射用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
国際公開第2018/115432号は、動物の呼吸器疾患、特に牛または豚呼吸器病の治療に使用するための化合物を開示している。
【0002】
牛呼吸器病(BRD)は、世界中で肉牛に影響を及ぼす最も一般的で費用のかかる疾患である。牛呼吸器病(BRD)は、多因子病因を有し、環境因子、宿主因子、および病原体の間の複雑な相互作用の結果として発症する。環境因子(例えば、離乳、輸送、混合、密集、厳しい天候、塵埃、および不十分な換気)は、宿主の免疫防御機構および非免疫防御機構に悪影響を及ぼすストレッサーの役割を果たす。さらに、特定の環境要因(例えば、密集および不十分な換気)は、動物間の感染因子の伝達を促進し得る。それは、子牛および他のウシ動物において流行性肺炎(Enzootic pneumonia)を引き起こす複雑な細菌感染症であり、致死的である可能性が高い。感染は、通常は3つの共依存因子:ストレス、根底にあるウイルス感染、および新たな細菌感染の和である。可能性のある原因が複数あるため、疾患の診断は複雑である。
【0003】
豚呼吸器病(SRD)という用語は、臨床疾患および仕上げプロセスの後期(15~20週齢)における体重増加不良を引き起こす、複数の病因の肺炎を説明するために使用された。
【0004】
注射部位病変は、動物保健製品の投与後に起こり得る。注射部位病変は、多くの場合、注射後に筋肉または皮下組織に形成される瘢痕組織である。パッカーは、枝肉から注射部位の病変をトリミングし、しばしば筋肉組織をトリミングする。注射部位病変は肉質の問題を引き起こし、予防されなければならない。2014年10月に初めて発表され、2017年10月に再検討された、Imer,et al.、「Cull Cow Beef Quality Issues:Injection Sties and Abscesses」AN308、Department of Animal Sciences、UF/IFAS Extension、https://edis.ifas.ufl.eduを参照されたい。
【0005】
動物における呼吸器疾患の有効な治療であって、投与されて許容され得ない注射部位損傷をもたらさない注射用医薬組成物が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Imer,et al.、「Cull Cow Beef Quality Issues:Injection Sties and Abscesses」AN308、Department of Animal Sciences、UF/IFAS Extension
【発明の概要】
【0008】
本発明は、有効量の式(I)の化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩と、
薬学的に許容される担体と
を含む注射用医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】化合物AおよびBの注射部位反応体積データを示す。
【
図2】化合物AおよびCの注射部位反応体積データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
牛呼吸器病(BRD)および豚呼吸器病(SRD)などの呼吸器疾患の有効な治療であり、投与された場合に許容できない注射部位損傷をもたらさない注射用医薬組成物が開発されている。
【0011】
式(I)の化合物は、動物において呼吸器疾患を引き起こすことが知られている細菌に対して有効であることが決定された。さらに、式(I)の化合物は、特許請求される発明の注射用医薬組成物中で投与された場合、許容される濃度で動物の血液および肺に送達され得る。さらに、式(I)の化合物が注射用医薬組成物中で動物に投与されると、注射部位刺激は最小限であり、生じた刺激は投与後数日以内に許容可能なレベルまで回復または減少する。
【0012】
化合物(A)は、式(I)の化合物のエナンチオマーである。
【化2】
【0013】
化合物(A)は、動物において呼吸器疾患を引き起こす微生物に対して活性を有すること、ならびに動物の血液および肺において有効量で生物学的に利用可能であることが見出された。注射によって動物に投与した場合、化合物(A)は注射部位で許容された。これは、化合物(A)と同様の構造を有する他の化合物には当てはまらない。化合物(B)および(C)もまた、動物において呼吸器疾患を引き起こす微生物に対して活性であったが、化合物(B)および(C)を含有する注射用医薬組成物は、ウシに投与された場合、許容されない注射部位反応を引き起こすことが決定されている。(下記の実施例4を参照)
【0014】
【0015】
これらの結果は予想外であった。
【0016】
薬学的に許容される塩は、本発明の組成物または医薬の製剤に使用するのに十分な純度および品質を有し、医薬調製物に使用するのに許容され、十分に非毒性である本発明の化合物の酸または塩基塩を意味する。適切な薬学的に許容される塩には酸付加塩が含まれ、これは、例えば、薬物化合物を臭化水素酸、塩酸、硫酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸などの適切な酸と反応させることによって形成され得る。
【0017】
薬学的に許容される担体は、患者の上または中で必要とされる位置に(1または複数の)有効成分を輸送することができ、製剤の他の成分と適合性である材料である。
【0018】
薬学的に許容される担体は、(1または複数の)有効成分と共に溶液または懸濁液を形成し得る。有効成分の塩は、油性担体に懸濁されることが多い。有効成分の遊離塩基形態は、多くの場合、水性担体に溶解される。
【0019】
懸濁液である注射用医薬組成物では、薬学的に許容される担体は油であり得る。いくつかの実施形態では、油は脂肪酸エステルであり得る。脂肪酸エステル(FAE)は、脂肪酸とアルコールとの組み合わせから生じるエステルの一種である。アルコール成分がグリセロールである場合、生成される脂肪酸エステルは、モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリドであり得る。好ましくは、脂肪酸エステルは中鎖トリグリセリド(MCT)である。
【0020】
中鎖トリグリセリドは、油性の薬学的に許容される担体であり、6~12個の炭素原子の脂肪族尾部を有する2~3個の脂肪酸を有する任意のトリグリセリドであり得る。より具体的には、MCTは、C8~C10脂肪酸のトリグリセリドまたはこれらの脂肪酸のプロピレングリコールジエステルのいずれか、またはトリグリセリドとプロピレングリコールジエステルの両方の混合物を含む。好ましくは、MCTは、飽和脂肪酸、主にカプリル酸(C8H16O2)およびカプリン酸(C10H20O2)のトリグリセリドの混合物からなる。USP-NF、Interim Revision Announcement Official(2019年3月1日)。これらは、天然植物(例えばココナッツ)油を商業的に分別して主にC8~10脂肪酸を得、続いて選択されたアルコールによってこれらの酸をエステル化することによって都合よく調製される。所望の組成を有する分別植物油が市販されている。そのようなMCT油の登録商標の例は、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリドとしてのMiglyol(登録商標)812およびジカプリル酸/カプリン酸プロピレングリコールとしてのMiglyol(登録商標)840である。
【0021】
注射用組成物中の有効成分の濃度は、約1~約70%(w/v)である。いくつかのこのような実施形態では、約1~約50%(w/v)または約10~約50%(w/v)である。他の実施形態では、濃度は、約35~約65%(w/v)、約40~約60%(w/v)、約45~約55%(w/v)、または約50%(w/v)である。
【0022】
本発明の注射用医薬組成物において、式(I)の化合物の量は、組成物の約10%w/v~約35%w/v、約15%w/v~約30%w/v、約10%w/v~約25%w/v、約20%w/v~約30%w/vまたは約25%w/vである。
【0023】
本発明の注射用医薬組成物は、mg単位の用量の有効成分(式(I)の化合物)を動物の体重1kgに対して約5mg/kg~約25mg/kg、または約10mg/kg~約20mg/kg、または約10mg/kg、または約15mg/kg、または約20mg/kgで有効成分を送達することができる。
【0024】
本発明による注射用医薬組成物はまた、界面活性剤を含むことができる。
【0025】
界面活性剤は、液体に添加されると、その表面張力を低下させ、それによってその広がりおよび湿潤特性を増加させる物質である。界面活性剤は、部分的に親水性(水溶性)であり、かつ、部分的に親油性(脂質または油に可溶性)でなければならない。例は、ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート、ポロキサマー、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、ポリソルベート80およびレシチンである。好ましい例は、ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレートである。
【0026】
ポロキサマーは、親水性であるポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つのブロックによって各末端で結合された疎水性ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央ブロックから構成されるブロックコポリマーである(米国特許第3,740,421号およびP.Alexandridis、T.A.Hutton、Colloids Surfaces A:Physiochem.Eng.Aspects 96(1995)pp 1-46を参照されたい)。例は、ポロキサマー188、ポロキサマー407およびポロキサマー124である。
【0027】
水溶液である本発明による注射用医薬組成物において、担体は水であり得る。水と共に、共溶媒も注射用医薬組成物中に組み込まれ得る。
【0028】
共溶媒は、別の溶媒と組み合わされて溶質を溶解することができる溶媒である。水溶液への潜在的な共溶媒は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)200、300および400、2-ピロリドン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、グリコフラール、グリセロールホルマール、グリセリン、エタノール、ジメチルスルホキシド、およびジエチレンモノエチルエーテルまたはそれらの混合物を含み得る。
【0029】
注射用医薬組成物は、筋肉内または皮下経路を介して投与することができる。
【0030】
注射用医薬組成物は、動物の細菌感染症を治療するために投与することができる。これらの組成物は、動物の呼吸器疾患を治療するために投与することができる。
【0031】
BRDなど、ウシにおける呼吸器疾患の多くに頻繁に関連する細菌因子は、マンへミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ヒストフィルス・ソムニ(Histophilus somni)、およびマイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma bovis)である。アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)は、グラム陰性菌であり、ブタの胸膜肺炎の最も一般的な原因である。P.ムルトシダ(P.multocida)は、ブタにおける萎縮性鼻炎および肺炎、ならびに反芻動物における肺炎の原因であるグラム陰性菌である。気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)は、鼻炎および軽度から中等度の鼻甲介萎縮症を引き起こし、萎縮性鼻炎からの進行を引き起こすP.ムルトシダ(P.multocida)の有毒性株に感染するように仕向けるグラム陰性菌である。グラセレラ・パラスイス(Glaesserella parasuis)は、多発性関節炎、多発性漿膜炎および髄膜炎を特徴とする、若齢ブタに見られる一般的な病理であるグラッサー病を引き起こすグラム陰性菌である。
【0032】
動物は、家畜、具体的にはウシまたはブタであり得る。
【0033】
例示的な動物としては、限定されないが、中~大型の有蹄動物、例えば家畜乳牛および肉牛、バイソン、アフリカ水牛、水牛などの生物学的亜科ウシ亜科のメンバーが挙げられる。動物は、乳製品または食肉の生産のために農業環境で飼育されるいわゆる家畜であってもよく、または仕事をするために飼育されていてもよく、または別の環境、例えば動物園、動物保護区などにいてもよく、または何らかの他の理由で、例えばペット、興行動物として、繁殖目的、その他で飼育されてもよい。
【0034】
肉牛における本発明の注射用医薬組成物の使用が特に好ましい。肉牛は、(乳生産に使用される乳牛と区別される)食肉生産のために飼育されるウシである。牛肉生産には3つの主な段階:カウ-カーフ(cow-calf)オペレーション、バックグラウンディング、およびフィードロットオペレーションがあるフィードロット(フィードヤード)オペレーション中の肉牛における本発明の注射用医薬組成物の使用が特に好ましい。本発明の注射用医薬組成物は、あらゆる年齢の肉牛(および乳牛)、子牛、未経産牛、去勢牛、または雌牛に使用することができる。本発明の注射用医薬組成物は、80kg~150kgの子牛ならびに350kgを超える体重の大型動物を含む、異なる体重の動物において使用することができる。
【0035】
本発明の組成物で治療され得る他の例示的な動物は、小型反芻動物、例えばヒツジまたはヤギまたは偽反芻動物、例えばラクダまたはラマである。
【0036】
本発明の注射用医薬組成物は、一般にブタ(pig)またはブタ(swine)と呼ばれるイノシシ科の動物の疾患である、豚呼吸器病(SRD)を治療するために代替的に使用することができる。本発明の組成物は、一般に、全てのブタ動物、離乳前、離乳後、雄豚、去勢豚、未経産豚または雌豚に投与することができる。注射用医薬組成物は、食肉用養豚の段階:ブタの授乳、ブタのフィーディング、成長、およびブタの仕上げ、またはブタの背の肥育のうちの1つ以上において使用することができる。あるいは、注射用医薬組成物は、繁殖家畜、すなわち繁殖雌豚、未経産豚もしくは雄豚、またはそのような動物の交代繁殖家畜としての子孫において使用することができる。
【0037】
一実施形態では、治療される動物はウシ動物であり、治療される疾患はBRDである。
【0038】
別の実施形態では、治療される動物はイノシシ科(ブタ)動物であり、治療される疾患はSRDである。
【0039】
本発明の注射用医薬組成物は、牛呼吸器病または豚呼吸器病の臨床症状を示す疾患動物を治療するために使用することができる。
【0040】
一実施形態では、本発明の注射用医薬組成物を使用して、食肉用または繁殖家畜として飼育されている子ヒツジおよび/または成体ヒツジ(雌ヒツジ、雄ヒツジ)の呼吸器疾患、例えば流行性肺炎(enzootic pneumonia)を治療する。流行性肺炎(Enzootic pneumonia)は、発熱、鼻汁、間質性肺炎および胸膜炎を特徴とするヒツジの急性感染性疾患である。
【0041】
追加的または代替的に、本発明の注射用医薬組成物を使用して、パスツレラ属菌(Pasteurella spp.)、マンへミア属種(Mannheimia spp.)およびヒストフィルス属菌(Histophilus spp.)の感染による不顕性感染を有する動物を治療することができる。不顕性感染は、ほぼまたは完全に無症候性であり(疾患の徴候または症状なし)、不顕性感染は、主に食肉処理場における病変についての肺の検査時に検出される。しかしながら、不顕性のBRDまたはSRD感染は、接触動物の感染源でもある感染した動物の1日あたりの平均体重増加を低下させるので、商業的に非常に関連する。
【0042】
治療目的に加えて、本発明の注射用医薬組成物は、予防的使用にも適している。例えば、牛呼吸器病または豚呼吸器病の集団発生の場合、本発明の注射用医薬組成物を非罹患(または不顕性感染)動物、特に疾患の臨床徴候を示す動物と密接に接触している動物へ投与すると、感染の拡大を予防することができる。本発明の注射用医薬組成物はまた、フィードロット中の動物における牛呼吸器病の予防的処置にも有用である。
【0043】
さらに、感染に対して脆弱であると考えられるウシおよび/または感染が重大な結果をもたらし得るウシ、例えば子牛、興行牛、妊娠中の雌牛、入賞したブルまたは雄牛などにおいて、疾患の集団発生が起こったことが知られているか否かにかかわらず予防的処置を行うことができる。別の選択肢は、本発明による注射用医薬組成物を出荷および他のストレス誘発事象前の動物に予防的投与して、そのような動物における疾患の集団発生を予防することである。
【0044】
先行パラグラフに記載されたものと同じ予防的または予防的処置の概念が、SRDのリスクがあるブタ動物に適用される。
【0045】
本発明による注射用医薬組成物中の式(I)の化合物の濃度は、非経口(皮下)投与に許容される体積で所望の治療有効量を提供するのに十分であり、注射部位あたり20ml未満、好ましくは10ml未満の注射体積を可能にする。
【0046】
本発明による注射用医薬組成物は、投与の準備ができている(使用準備ができている-RTU)単回用量または複数回用量を含む適切な容器に包装される。
【0047】
さらなる実施形態
実施形態1. 有効量の式(I)の化合物
【化3】
またはその薬学的に許容される塩と、
薬学的に許容される担体と
を含む注射用医薬組成物。
【0048】
実施形態2. 式(I)の化合物が式(A)の化合物である、
【化4】
実施形態1に記載の注射用医薬組成物。
【0049】
実施形態3. 化合物が式(I)の化合物の二塩酸塩である、実施形態1または2に記載の注射用医薬組成物。
【0050】
実施形態4. 式(I)の化合物の量が、組成物の約10%w/v~約35%w/v、約15%w/v~約30%w/v、約10%w/v~約25%w/v、約20%w/v~約30%w/vまたは約25%w/vである、実施形態1~3のいずれか1つに記載の注射用医薬組成物。
【0051】
実施形態5. 薬学的に許容される担体が中鎖トリグリセリドであり、そして、式(I)の化合物が中鎖トリグリセリド中の懸濁液を形成する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の注射用医薬組成物。
【0052】
実施形態6. 組成物が界面活性剤をさらに含む、実施形態5に記載の注射用医薬組成物。
【0053】
実施形態7. 界面活性剤の量が約0.01%w/v~約1.0%w/vである、実施形態6に記載の注射用医薬組成物。
【0054】
実施形態8. 界面活性剤が、ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート、ポロキサマー、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート、ポリソルベート80またはレシチンである、実施形態6~7のいずれか1つに記載の注射用医薬組成物。
【0055】
実施形態9. 界面活性剤がポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレートである、実施形態8に記載の注射用医薬組成物。
【0056】
実施形態10. 薬学的に許容される担体が水であり、式(I)の化合物が水中の溶液を形成する、実施形態1~4のいずれか1つに記載の注射用医薬組成物。
【0057】
実施形態11. 組成物が界面活性剤をさらに含む、実施形態10に記載の注射用医薬組成物。
【0058】
実施形態12. 界面活性剤が、ベンジルアルコール、ポロキサマー124、クエン酸またはそれらの混合物から選択される、実施形態11に記載の注射用医薬組成物。
【0059】
実施形態13. a)約10%~約35%w/vの式(A)の化合物の二塩酸塩
【化5】
b)約0.01~約1%w/vのポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート、および
c)中鎖トリグリセリド(QS)
を含む注射用医薬組成物。
【0060】
実施形態14. a)約10%~約35%w/vの式(A)の化合物
【化6】
b)約10%~約20%w/vのポロキサマー、
c)約4%~約8%w/vのベンジルアルコール、
d)約5%~約10%w/vのクエン酸、および
e)水(QS)
を含む注射用医薬組成物。
【0061】
実施形態15. 動物における細菌感染症を治療する方法であって、実施形態1~14のいずれか1つに記載の注射用医薬組成物の有効量を動物に投与することを含む方法。
【0062】
実施形態16. 前記細菌感染症が、マンへミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ヒストフィルス・ソムニ(Histophilus somni)、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)、またはグラセレラ・パラスイス(Glaesserella parasuis)による感染に起因する、請求項15に記載の方法。
【0063】
実施形態17. 動物がウシ科またはブタである、実施形態15~16のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
実施形態18. 動物における呼吸器感染症を治療する方法であって、実施形態1~14のいずれか1つに記載の注射用医薬組成物の有効量を動物に投与することを含む方法。
【0065】
実施形態19. 呼吸器感染症が牛呼吸器病であり、動物がウシ科である、実施形態18に記載の方法。
【0066】
実施形態20. 呼吸器感染症が豚呼吸器病であり、動物がブタである、実施形態18に記載の方法。
【0067】
実施形態21. 動物の細菌感染症の治療での使用のための、実施形態1~14のいずれか1つに記載の注射用医薬組成物。
【0068】
実施形態22. 細菌感染症が、マンへミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multocida)、ヒストフィルス・ソムニ(Histophilus somni)、アクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus pleuropneumoniae)、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)、またはグラセレラ・パラスイス(Glaesserella parasuis)による感染に起因する、実施形態21に記載の使用のための注射用医薬組成物。
【0069】
実施形態23. 動物がウシ科またはブタである、実施形態21または22のいずれかに記載の使用のための注射用医薬組成物。
【0070】
実施形態24. 動物の呼吸器感染症の治療での使用のための、実施形態1~14のいずれか1つに記載の注射用医薬組成物。
【0071】
実施形態25. 呼吸器感染症が牛呼吸器病であり、動物がウシ科である、実施形態24に記載の使用のための注射用医薬組成物。
【0072】
実施形態26. 呼吸器感染症が豚呼吸器病であり、動物がブタである、実施形態24に記載の使用のための注射用医薬組成物。
【0073】
実施形態27. 注射用医薬組成物の有効量を動物に投与することを含む、実施形態21~26のいずれかに記載の使用のための注射用医薬組成物。
【0074】
ここで、本発明を以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
【0075】
[実施例]
[実施例1]
式(A)の化合物の二塩酸塩の懸濁液である、注射用医薬組成物
【化7】
【表2】
【0076】
以下の手順を使用して、100mLの上記懸濁液注射用医薬組成物を調製した。
1.150~250mLのPTFEビーカー中で、0.1gのポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレート(Kolliphor HS15)を49.9gの中鎖トリグリセリドに混合した。次いで、混合物を水浴中で約50°Cの温度に加温した。ポリエチレングリコール(15)-ヒドロキシステアレートが溶解したら、均一な透明溶液が観察されるまで混合物を撹拌した。
2.25gの式(A)の化合物の二塩酸塩および約10gの中鎖トリグリセリドを工程1の溶液に添加した。得られた混合物を、18Gシャフトを備えたIKAホモジナイザー(Model T25 Digital Ultra Turrax)を用いて、均一な懸濁液が観察されるまで均質化した。
3.工程2の懸濁液を100mLメスフラスコに移した。
4.5mLの中鎖トリグリセリドをビーカーをすすぐために使用し、メスフラスコに移した。このすすぎ手順を2回繰り返した。追加量の中鎖トリグリセリドを添加して、フラスコ内の体積を100mLにした。次いで、懸濁液を手動でよく混合した。
5.懸濁液を清浄なPTFEビーカーに移し、懸濁液が均一になるまで均質化した。
【0077】
[実施例2]
式(A)の化合物の溶液である注射用医薬組成物
【化8】
【表3】
【0078】
以下の手順を使用して、100mLの上記水溶液注射用医薬組成物を調製した。
1.クエン酸無水物、ポロキサマーP124、ベンジルアルコールおよび注射用水55g(または最終生成物の目標体積の55%)をメスフラスコに添加した。この混合物を、溶液が透明になるまでマグネチックスターラーを用いて硬化させた。
2.化合物Aをフラスコに加え、マグネチックスターラーを用いて一晩混合した。組成物は不透明または濁っていた。30%クエン酸溶液を、pHが4~4.5の範囲になるまで混合しながら滴下した。
3.工程2の溶液を透明になるまで混合した。
4.溶液を一晩混合した。pHを確認し、30%クエン酸溶液および1N水酸化ナトリウム溶液の添加量を添加してpHを4~4.5に調整した。
5.注射用水によるQS。よく混合した。
【0079】
[実施例3]
式(I)の化合物の抗菌活性
この研究では、異なるヨーロッパ諸国で収集されたアクチノバチルス・プルロニューモニエ(Actinobacillus(A.)pleuropneumoniae)、気管支敗血症菌(Bordetella(B.)bronchiseptica)、マンへミア・ヘモリチカ(Mannheimia(M.)haemolytica)、パスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella(P.)multocida)、ヒストフィルス・ソムニ(Histophilus(H.)somni)およびグラエセレラ・パラスイス(Glaesserella parasuis)の異なる分離株に対する、式(I)の化合物のエナンチオマーである化合物(A)のインビトロ活性を決定した。
【0080】
インビトロ活性を、CLSI document VET01-A4[1]に従って最小阻害濃度(MIC)を測定し、MIC50およびMIC90を計算することによって決定した。
【0081】
合計193の野外分離株:A.プルロニューモニエ(A.pleuropneumoniae)31株、気管支敗血症菌(B.bronchiseptica)20株、H.ソムニ(H.somni)20株、H.パラスイス(H.parasuis)20株、M.ヘモリチカ(M.haemolytica)55株およびP.ムルトシダ(P.multocida)47株を試験した。全ての細菌は、呼吸器疾患に罹患しているウシおよびブタの気道から単離された。全ての分離株は、異なるサプライヤーによって特定すると、疫学的に無関係であった。
【0082】
大腸菌ATCC 25922(ID 6105)およびM.ヘモリチカ(M.haemolytica)ATCC 33396(ID 6374)を、気管支敗血症菌(B.bronchiseptica)、M.ヘモリチカ(M.haemolytica)およびP.ムルトシダ(P.multocida)の分離株を試験するための参照株として使用した。A.プルロニューモニエ(A.pleuropneumoniae)ATCC 27090(ID 6314)およびH.ソムニ(H.somni)ATCC 700025(ID 6315)を、A.プルロニューモニエ(A.pleuropneumoniae)、H.ソムニ(H.somni)およびグラエセレラ・パラスイス(Glaesserella parasuis)の分離株を試験するための参照株として使用した。さらに、H.パラスイス(G.parasuis)ATCC 19417を増殖対照用の典型株として含めた。参照株に対する化合物Aについて得られたMICを表1に示す。
【0083】
培養培地および補充
・ミューラーヒントン寒天(Becton Dickinson、ロット9224866)
・カチオン調整ミューラーヒントンブロス、(CAMHB、Becton Dickinson、ロット8190586)
・ヒツジ血液、脱線維化(Thermo Scientific、ロット37091500)
・チョコレート寒天、IsoVitalex(商標)を含むGC II(Becton Dickinson、ロット0147695)
・GC-寒天ベース(Becton Dickinson、ロット6082608)
・ヘモグロビン溶液(Becton Dickinson、ロット7142854)
・Vitox(Oxoid、ロット2344976)
・CLSI document VET01-A4[1]に従って調製した獣医学的偏好性培地(VFM)、
以下を含む:
o CAMHB(Becton Dickinson、ロット8190586)
o 酵母エキス(Sigma、ロットBCBS5470V)
o 溶解ウマ血液(Thermo Scientific、ロット35875000)
o Supplement C(商標)(Becton Dickinson、ロット8030960)
・脱イオン水
【0084】
培地を、製造元の説明書に従って調製した。
【0085】
H.ソムニ(H.somni)およびグラエセレラ・パラスイス(Glaesserella parasuis)分離株を除く全ての分離株のMICを、CLSI document VET01-A4[1]に従ってブロス微量希釈法を用いて決定した。H.ソムニ(H.somni)およびグラエセレラ・パラスイス(Glaesserella parasuis)の分離株については、チョコレート寒天GC IIによる寒天希釈法を使用した。全ての化合物の試験濃度範囲は16μg/mL~0.016μg/mLであった。
【0086】
MIC結果をCLSI document VET01-S3[2]に従って解釈した。MICは、生物の増殖を完全に阻害する抗菌剤の最低濃度である。試験アイテムを含む全てのウェルを増殖対照ウェルと比較した。肉眼で目に見える増殖が検出されなかった(すなわち、濁りがない)化合物の最低濃度をMICとして記録した。「トレーリングエンドポイント」が発生する場合、MICは、接種物の顕著な減少(約90%)が観察される第1の濃度として定義される。
【0087】
寒天希釈法によって試験した分離株について、結果をCLSI document VET01-S3[2]に従って解釈した。MICは、単一のコロニーまたは接種物によって引き起こされるかすかな濁りを無視して、コロニー形成を完全に阻害する抗菌剤の最低濃度である。MIC50およびMIC90は、試験した分離株の最低50%または90%が阻害される濃度を表す。
【0088】
【0089】
1.臨床検査標準協会(CLSI)Performance standards for antimicrobial disk and dilution susceptibility tests for bacteria isolated from animals;approved standard-fourth edition.CLSI document VET01-A4.(ISBN 1-56238-878-9).CLSI、Wayne、Pennsylvania 19087、USA、2013.
2.臨床検査標準協会(CLSI)Performance standards for antimicrobial disk and dilution susceptibility tests for bacteria isolated from animals;third informational supplement.CLSI document VET01S 3rd edition.(電子ISBN 1-56238-908-4).CLSI、Wayne、Pennsylvania 19087、USA、2015.
【0090】
[実施例4]
注射部位反応
化合物(A)を含有する注射用医薬組成物を注射したウシを、注射部位における反応について評価した。これらの注射部位反応を、化合物(B)および(C)を含有する注射用医薬組成物を注射したウシの注射部位反応と比較した。
【0091】
【0092】
化合物は、以下に示すように、水溶液注射用医薬組成物として、または懸濁液注射用医薬組成物として製剤化された。これらの製剤を実施例1および2に記載のように調製した。
【0093】
化合物(A)を、化合物の遊離塩基形態を使用する水溶液、および化合物の二塩酸塩を使用する懸濁液の両方として製剤化した。水溶液注射用医薬組成物の組成は、15%w/vの化合物A、15%w/vのポロキサマーP124、6%w/vのベンジルアルコール、7%w/vのクエン酸、およびQSの水であった。懸濁液注射用医薬組成物の組成は、15%w/vの化合物A(17.5% w/vの化合物AのHCl塩)、0.1%w/vのKolliphor HS 15およびQSのMiglyol 812であった。化合物Aを10mg/体重kgの用量で動物に投与した。
【0094】
化合物(B)を、化合物の遊離塩基形態を使用する水溶液、および化合物の二塩酸塩を使用する懸濁液の両方として製剤化した。水溶液注射用医薬組成物の組成は、15%w/vの化合物B、15%w/vのポロキサマーP124、6%w/vのベンジルアルコール、7%w/vのクエン酸、およびQSの水であった。懸濁液注射用医薬組成物の組成は、15%w/vの化合物B(17.5%w/vの化合物BのHCl塩)、0.1%w/vのKolliphor HS 15およびQSのMiglyol 812であった。化合物Aを10mg/体重kgの用量で動物に投与した。
【0095】
化合物(C)を、化合物の遊離塩基形態を使用して両方の水溶液として製剤化した。水溶液注射用医薬組成物の組成は、10%w/vの化合物C、15%w/vのポロキサマーP124、6%w/vのベンジルアルコール、7%w/vのクエン酸、およびQSの水であった。化合物Aを10mg/体重kgの用量で動物に投与した。
【0096】
注射部位は、訓練された者によって臨床的に検査された。
【0097】
膨潤のサイズを、0.5cmまでの密な定規を用いて横、縦および深さを測定する。これらの3つの測定値を乗算して、観察された膨潤を囲む正方形ボックスの体積を推定した。
【0098】
【0099】
図1は、化合物AおよびBの注射部位反応体積データを示す。
【0100】
図2は、化合物AおよびCの注射部位反応体積データを示す。
【0101】
これらのデータが示すように、化合物Aは、軽微な注射反応をもたらし、これは6日目までに解消された。化合物BおよびCは化合物Aよりも大きな注射反応をもたらし、これらの注射部位反応は、試験期間中に解消されなかった。
【0102】
[実施例5]
化合物Aの薬物動態分析
この研究では、皮下(SC)注射のための化合物A製剤の、10mg/kg体重の単回皮下(SC)投与後のウシの血漿におけるバイオアベイラビリティ、薬物動態プロファイルを決定した。血漿中および気管支上皮被覆液(bronchial epithelial lining fluid)中の濃度を決定した。化合物濃度決定のために追加の組織を死後に収集した。
【0103】
化合物Aを上記の実施例1および2に記載のように製剤化した。水溶液の配合は、15% w/vの化合物A、15w/vのKollisolv P124、6% w/vのベンジルアルコール、7% w/vのクエン酸およびQSの水、pH5.2であった。油性懸濁液の配合は、0.1%のKolliphor HSで懸濁した化合物A 17.5% w/v、およびQSのMiglyol 812であった。
【0104】
試料あたり約4mLの個々の血液試料を、D-1ならびに投与後15分、30分、1時間、2時間、4時間、7時間、10時間、24時間、32時間、48時間、72時間および142時間の時点(D6)で全ての動物から採取した。試料をK-EDTAコーティングMonovettes(登録商標)に収集した。外頸静脈から試料を採取した。投与の反対側の身体の左側が好ましい。
【0105】
チューブを穏やかに振盪して血液と抗凝固剤との適切な混合を確実にし、遠心分離まで氷水に入れた。K-EDTA-血液試料を約4°Cで、2000の相対遠心力で10分間遠心分離した。収集後2時間以内に、約0.5mLの血漿の2つのアリコート(1,2)を各試料からラベル付きプラスチック(ポリプロピレン)フリーザーバイアルにピペットで移した。
【0106】
Phoenix WinNonlin 8.1ソフトウェアを使用して、薬物動態(PK)パラメータ(表10-2)を計算した。SC化合物投与後のPKプロファイルを説明するためのPKパラメータ(少なくとも、Cmax、Tmax、AUClast、HL_Lambda_Z、VZ_F、MRTlast、CL_FおよびF%)。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
水溶液群および油性懸濁液群の両方において、化合物Aをウシ血漿中に平均72時間検出し、全体的に同等のPK血漿プロファイルを示した。両群とも、高い初期血漿レベル、処理後4-10時間からの顕著な一定の血漿プラトーレベル、ウシにおける高い全身曝露およびウシにおける約11時間の比較的短い化合物持続性を示した。
【0111】
[実施例6]
肺組織研究
実施例5で使用した同じ動物および化合物Aの組成物を肺組織研究にも使用した。肺から気管および付属組織を取り出した。フードプロセッサ(Robot Coupe)を用いて、肺の1/2を均質化した。およそ1gの2つのアリコートを15mLのFalconチューブに入れた。少なくとも2つの位置からの肝臓、腎臓および骨格筋(長い背筋)の鋏の切れ端を、それぞれ約1gの総質量まで収集し、15mLのFalconチューブに入れた。組織試料をブランクEDTAウシ血漿1+3(w/v)で希釈し、FastPrep(商標)システムを使用して試料を均質化した。遠心分離後、上清のアリコートを使用して、HPLC-MS/MS手法によって化合物濃度を決定した。
【0112】
【0113】
化合物Aは、
屠殺後の肺からの組織試料中にかなりの量で
検出された。
【0114】
[実施例7]
有効性研究
20mg/kgでのワンショット処置としての化合物(A)の有効性は、無処置対照群(生理食塩水)および標準治療処置(Draxxin(商標))と比較して、自然発生するBRD集団発生において示される。
【0115】
処置後14日間、動物を観察する。呼吸スコアおよびうつ病スコアならびに罹患率および死亡率を記録する。
【国際調査報告】