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特表2024-544420透明基板の表側に存在する欠陥を裏側に存在する欠陥と区別するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-29
(54)【発明の名称】透明基板の表側に存在する欠陥を裏側に存在する欠陥と区別するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/958 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
G01N21/958
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538293
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022082330
(87)【国際公開番号】W WO2023117229
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】21315290.3
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517111000
【氏名又は名称】ユニティ セミコンダクター
【氏名又は名称原語表記】UNITY SEMICONDUCTOR
(71)【出願人】
【識別番号】524236507
【氏名又は名称】ユニティ セミコンダクター ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ ブトケヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン フランソワ ブーランジェ
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA42
2G051AA51
2G051AB02
2G051BA10
2G051BB02
2G051CA06
2G051EC01
2G051ED21
(57)【要約】
本発明は、基板の表側に存在する欠陥を基板の裏側に存在する欠陥と区別するためのデバイス及び方法に関し、基板は、検査波長において透明な材料から作製され、光学システムに結合された少なくとも1つの光源を備える検査システム内に基板を配設することであって、基板は、支持体上に配設され、第1の光ビーム及び第2の光ビームが基板の表側の測定スポットで交差するように、光学システムに対して位置決めされ、配設することと、基板の表側の測定経路に沿って測定スポットを走査するように、支持体と光学システムとの相対移動を制御することであって、相対移動は、基準面が測定経路に対して接線方向に保たれるように制御される、制御することと、を含む。方法は、信号において、基板の裏側の粒子によって散乱された光に対応し、欠陥(P)が2つの照明スポット(S1、S2)を分離する距離(d)にわたって移動されるのに必要な時間に対応する決定された分離間隔だけ互いに分離された2つの強度ピークを提示する第1のパターンを識別することを更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表側に存在する欠陥を前記基板の裏側に存在する欠陥と区別するための方法であって、前記基板(S)は、検査波長において透明な材料から作製され、
前記方法は、
-第1の光ビーム及び第2の光ビーム(6、6’)を放出するための光学システム(2’)に結合された少なくとも1つの光源(2)を備える検査システム(1)内に前記基板(S)を配設することであって、前記第1の光ビーム及び前記第2の光ビームは、前記検査波長を有し、基準面に含まれ、そこで交差し、前記基板(S)は、支持体(8)上に配設され、前記第1の光ビーム及び前記第2の光ビーム(6、6’)が前記基板の前記表側の測定スポット(M)で交差し、距離(d)だけ分離された2つのそれぞれの照明スポット(S1、S2)で前記基板(S)の前記裏側(BS)も照明するように、前記光学システム(2’)に対して位置決めされ、配設することと、
-前記基板の前記表側の測定経路に沿って前記測定スポット(M)を走査するように、前記支持体(8)と前記光学システム(2’)との相対移動を制御することであって、前記相対移動は、前記基準面が前記測定経路に対して接線方向に保たれるように制御される、制御することと、
-前記基板の前記表側及び/又は前記裏側に存在する欠陥によって散乱された光の少なくとも一部分を集光し、前記測定スポットが前記測定経路に沿って走査されるときの集光された前記光の強度の変動を表す信号(U)を確立することと、を含み、
前記方法は、前記信号(U)において、前記基板の前記裏側の欠陥(P)によって散乱された前記光に対応し、前記欠陥(P)が2つの前記照明スポット(S1、S2)を分離する前記距離(d)にわたって移動されるのに必要な時間に対応する決定された分離間隔だけ互いに分離された2つの強度ピークを提示する第1のパターンを識別することを更に含む、方法。
【請求項2】
前記信号(U)から前記第1のパターンをフィルタ除去し、前記基板の前記表側のみに存在する欠陥を表す表側信号(UFS)を準備することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板の前記裏側のみに存在する欠陥を表す裏側信号(UBS)を準備することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のパターンを識別することは、前記基板における前記第1の光ビーム及び前記第2の光ビーム(6、6’)の交差角(f)、前記基板の厚さ(Th)、前記第1の光ビーム及び前記第2の光ビームに対する前記基板の移動速度の情報のうちの少なくとも1つを使用して前記分離間隔を決定することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のパターンの前記識別は、前記分離間隔に関する情報を使用して基準信号又はマスク信号を生成することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
-所与のサンプリングレートで前記信号をサンプリングして、生の測定サンプルを準備することと、
-前記第1の光ビーム及び前記第2の光ビーム(6、6’)の交差角(f)、前記基板の厚さ(Th)、相対移動速度、及び前記サンプリングレートに基づいて、決定されたサンプル数(2s)として前記分離間隔を確立することと、を更に含み、
前記信号(U)における前記第1のパターンの前記識別は、前記生の測定サンプルのうちの少なくともいくつかにおいて、前記決定されたサンプル数(2s)によって分離された2つの強度ピークを識別することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のパターンの前記識別は、
-前記生の測定サンプルのうちの少なくともいくつかに変換関数を適用して、変換されたサンプルを提供する第1のステップであって、前記変換関数がは、前記生の測定サンプルにおける第1のパターンを、前記変換されたサンプルにおけるより大きい強度の第2のパターンにマッピングするように構成されている、第1のステップと、
-前記変換されたサンプルにおいて前記第2のパターンを検出する第2のステップと、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のパターンは、前記生の測定サンプルにおける前記第1のパターンの位置を提供するピークを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記検出ステップは、前記第1のパターンの2つのピークの平均強度及びバックグラウンド強度を更に提供する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記基板(S)は、ディスク形状であり、対称軸を提示し、前記支持体(8)と前記光学システム(2’)との前記相対移動は、前記基板(S)の前記対称軸を中心とした回転である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
基板(S)の表側に存在する欠陥を前記基板(S)の裏側に存在する欠陥と区別するための検査システム(1)であって、前記基板(S)は、検査波長において透明な材料から作製され、前記システムは、
-第1の光ビーム及び第2の光ビーム(6、6’)を放出するための光学システム(2’)に結合された少なくとも1つの光源(2)であって、前記第1の光ビーム及び前記第2の光ビームは、前記検査波長を有し、基準面に含まれ、そこで交差する、少なくとも1つの光源(2)と、
-前記基板(S)を受容し、前記第1の光ビーム及び前記第2の光ビーム(6、6’)が前記基板の前記表側の測定スポット(M)で交差し、距離(d)だけ分離された2つのそれぞれの照明スポット(S1、S2)で前記基板(S)の前記裏側(BS)も照明するように、前記基板(S)を前記光学システム(2’)に対して位置決めするための支持体(8)であって、前記支持体(8)及び前記光学システム(2’)は、互いに対して移動可能である、支持体(8)と、
-前記基板の前記表側の測定経路に沿って前記測定スポット(M)を走査するように、前記支持体(8)と前記光学システム(2’)との前記相対移動を制御するためのコントローラ(12)であって、前記コントローラ(12)は、前記基準面が前記測定経路に対して接線方向に保たれるように、前記相対移動を制御するように構成されている、コントローラ(12)と、
-前記基板の前記表側及び/又は前記裏側に存在する欠陥によって散乱された光の少なくとも一部分を集光するためのコレクタ(9)と、
-集光された前記光を受光し、前記測定スポットが前記測定経路に沿って走査されるときの前記集光された光の強度の変動を表す信号を提供するように、前記コレクタ(9)に関連付けられた検出器(11)と、を備え、
前記検査システムは、また、前記検出器(11)に接続された処理デバイス(13)を備え、前記処理デバイスは、前記基板の前記裏側の欠陥(P)によって散乱された前記光に対応し、前記欠陥(P)が2つの前記照明スポット(S1、S2)を分離する前記距離(d)にわたって移動されるのに必要な時間に対応する決定された分離間隔だけ互いに分離された2つの強度ピークを提示する第1のパターンを識別するように、前記信号を処理するように構成されている、検査システム(1)。
【請求項12】
前記処理デバイスは、また、
-前記信号から前記第1のパターンをフィルタ除去して、前記基板の前記表側のみに存在する欠陥を表す表側信号を準備し、かつ/又は、
-前記基板の前記裏側のみに存在する欠陥を表す裏側信号を準備するように構成されている、請求項11に記載の検査システム(1)。
【請求項13】
前記処理デバイス(13)は、所与のサンプリングレートで前記信号をサンプリングし、生の測定サンプルを準備するための変換器を備える、請求項11又は12に記載の検査システム(1)。
【請求項14】
前記処理デバイス(13)は、前記所与のサンプリングレートで前記第1のパターンを識別するためのFPGA及び/又はプロセッサを備える、請求項13に記載の検査システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子などの欠陥の存在の可能性を検出するための、又はより一般的には基板の表面状態を特性評価するための、基板表面の光学検査のためのシステム及び方法に関する。基板は、例えば、微細電子工学、光学、マイクロシステム、又は光電子光学の分野におけるデバイスの製造のためのウェハであってもよい。
【背景技術】
【0002】
電子工学、光学、又は光電子工学用途のウェハなどの基板は、その表面上に存在する可能性のある欠陥を検出、識別、及び/又は特性評価するために検査される必要がある。欠陥は、粒子、結晶欠陥、スクラッチ、又は表面粗さであり得る。
【0003】
この検査は、一般に、例えば、欠陥の場所、サイズ、及び/又は性質などの定性的又は定量的情報を提供することを意図している。基板の表面状態に関するこの情報は、基板製造プロセス又は基板が使用される生産ステップの品質を表し得る。
【0004】
国際公開第2017/167573号、米国特許出願公開第2021/215617(A1)号、米国特許出願公開第2018/0231370号、及び国際公開第0239099号の文献は、そのような基板の表側、すなわち、後続の製造ステップにおいて処理されるように準備される基板の表面を検査するための暗視野システムを開示している。それらの検査システムは、レーザドップラー流速計(Laser Doppler Velocimetry、LDV)に基づいており、複数の平行な干渉縞を含む測定体積をそれらの交点に形成するように互いに対して配向された第1の光ビーム及び第2の光ビームを放射する光源を備える。検査システムは、基板を受容し、測定体積が基板の表側と交差し、この表側表面上に測定スポットを画定するように、基板を光源に対して位置決めする支持体を備える。支持体は、測定スポットがウェハの表側の同心測定経路に沿って走査されるように回転される。散乱光は、集光ミラーによって集光され、集光された光を受光し、測定スポットが測定経路に沿って走査されるときに集光された光の強度の変化を表す電気信号を提供するように、検出器に向けられる。
【0005】
基板の表側上の欠陥の存在は、結果的に、この欠陥が測定スポットを横切り、かつ干渉縞の周期よりも小さいサイズを有するとき、検出器によって測定されるドップラーパルスの散乱をもたらす。ドップラーパルスは、二重周波数成分を有する信号である。二重周波数成分は、欠陥によって散乱された平均光強度に対応する、信号の包絡線を形成する低周波成分と、測定スポットを通る欠陥の速度に関する情報を含有するドップラー周波数に対応する高周波成分である。
【0006】
干渉縞の周期と同等か又はそれよりも大きいサイズを有する比較的大きい欠陥の存在は、結果的に、そのような欠陥が測定スポットを横切るときに、高周波成分を有していないか又は極端に低減された強度の高周波成分を有するパルスの散乱をもたらす。
【0007】
透明材料(干渉する2つのビームの検査波長において)で作製されたウェハの場合、2つの検査ビームはまた、2つのそれぞれの照明スポットにおいて基板の裏側を照明する。裏側に存在する欠陥がこれらの照明スポットのうちの1つを横切るとき、測定スポットに向かって後方散乱された光もまた、ミラーによって集光され、検出器は、ウェハの表側の比較的大きい欠陥によって生成されるパルスと同様のパルスを生成するが、強度はより小さい。
【0008】
従来技術による検査システムでは、検査波長において透明なウェハを検査するために使用される。このとき、裏側欠陥によって散乱された光は、表側欠陥によって散乱された光を汚染し、そのため、基板の表側状態を明確に決定することができない。
【0009】
パルス内の高周波成分の存在は、このパルスをウェハの表側の欠陥に関連付けるのを助け得るが、高周波成分が除去されたパルスは、表側欠陥又は裏側欠陥のいずれかに関連付けられ得る。
【0010】
(発明の目的)
本発明の目的は、上述の問題を少なくとも部分的に解決し、検査波長において透明な材料で作製された基板の検査に適合されたシステム及び方法を提案することである。より具体的には、本発明の目的は、基板の表側に存在する欠陥を基板の裏側に存在する欠陥と区別するための検査システム及び方法を提案することであり、基板は、検査波長において透明な材料から作製される。
【発明の概要】
【0011】
この趣旨で、本発明は、基板の表側に存在する欠陥を基板の裏側に存在する欠陥と区別するための方法に関し、基板は、検査波長において透明な材料から作製され、方法は、
-第1の光ビーム及び第2の光ビームを放出するための光学システムに結合された少なくとも1つの光源を備える検査システム内に基板を配設することであって、第1の光ビーム及び第2の光ビームは、検査波長を有し、基準面に含まれ、そこで交差し、基板は、支持体上に配設され、第1の光ビーム及び第2の光ビームが基板の表側の測定スポットで交差し、距離だけ分離された2つのそれぞれの照明スポットで基板の裏側も照明するように、光学システムに対して位置決めされ、配設することと、
-基板の表側の測定経路に沿って測定スポットを走査するように、支持体と光学システムとの相対移動を制御することであって、相対移動は、基準面が測定経路に対して接線方向に保たれるように制御される、制御することと、
-基板の表側及び/又は裏側に存在する欠陥によって散乱された光の少なくとも一部分を集光し、測定スポットが測定経路に沿って走査されるときの集光された光の強度の変動を表す信号を確立することと、を含む。
【0012】
方法は、信号において、基板の裏側の欠陥によって散乱された光に対応し、欠陥が2つの照明スポットを分離する距離にわたって移動されるのに必要な時間に対応する決定された分離間隔だけ互いに分離された2つの強度ピークを提示する第1のパターンを識別することを更に含む。
【0013】
本発明の更なる非限定的な特徴によると、単独で又は任意の技術的に実行可能な組み合わせにおいて、
-方法は、信号から第1のパターンをフィルタ除去して、基板の表側のみに存在する欠陥を表す表側信号を準備することを更に含み、
-方法は、基板の裏側のみに存在する欠陥を表す裏側信号を準備することを更に含み、
-第1のパターンを識別することは、基板における第1の光ビーム及び第2の光ビームの交差角、基板の厚さ、第1の光ビーム及び第2の光ビームに対する基板の移動速度の情報のうちの少なくとも1つを使用して分離間隔を決定することを含み、
-第1のパターンの識別は、分離間隔に関する情報を使用して基準信号又はマスク信号を生成することを含み、
-方法は、
〇所与のサンプリングレートで信号をサンプリングして、生の測定サンプルを準備することと、
〇第1の光ビーム及び第2の光ビームの交差角、基板の厚さ、相対移動速度、及びサンプリングレートに基づいて、決定されたサンプル数として分離間隔を確立することと、を更に含み、
〇信号における第1のパターンの識別は、生の測定サンプルのうちの少なくともいくつかにおいて、決定されたサンプル数によって分離された2つの強度ピークを識別することを含み、
-第1のパターンの識別は、
〇生の測定サンプルのうちの少なくともいくつかに変換関数を適用して、変換されたサンプルを提供する第1のステップであって、変換関数は、生の測定サンプルにおける第1のパターンを、変換されたサンプルにおけるより大きい強度の第2のパターンにマッピングするように構成されている、第1のステップと、
〇変換されたサンプルにおいて第2のパターンを検出する第2のステップと、を含む。
-第2のパターンは、生の測定サンプルにおける第1のパターンの位置を提供するピークを含み、
-検出ステップは、第1のパターンの2つのピークの平均強度及びバックグラウンド強度を更に提供する。
-基板は、ディスク形状であり、対称軸を提示し、支持体と光学システムとの相対移動が、基板の対称軸を中心とした回転である。
【0014】
別の態様によると、本発明は、基板の表側に存在する欠陥を基板の裏側に存在する欠陥と区別するための検査システムに関し、基板が、検査波長において透明な材料から作製されている。システムは、
-第1の光ビーム及び第2の光ビームを放出するための光学システムに結合された少なくとも1つの光源であって、第1の光ビーム及び第2の光ビームは、検査波長を有し、基準面に含まれ、そこで交差する、少なくとも1つの光源と、
-基板を受容し、第1の光ビーム及び第2の光ビームが基板の表側の測定スポットで交差するように、基板を光学システムに対して位置決めするための支持体であって、支持体及び光源は、互いに対して移動可能である、支持体と、
-基板の表側の測定経路に沿って測定スポットを走査するように、支持体と光学システムとの相対移動を制御するためのコントローラであって、コントローラは、基準面が測定経路に対して接線方向に保たれるように、相対移動を制御するように構成されている、コントローラと、
-基板の表側及び/又は裏側に存在する欠陥によって散乱された光の少なくとも一部分を集光するためのコレクタと、
-集光された光を受光し、測定スポットが測定経路に沿って走査されるときの集光された光の強度の変動を表す信号を提供するように、コレクタに関連付けられた検出器と、を備える。
【0015】
検査システムは、また、検出器に接続された処理デバイスも備え、処理デバイスは、基板の裏側の粒子によって散乱された光に対応し、欠陥が2つの照明スポットを分離する距離にわたって移動されるのに必要な時間に対応する決定された分離間隔だけ互いに分離された2つの強度ピークを提示する第1を識別するように、信号を処理するように構成されている。
【0016】
本発明のこの態様の更なる非限定的な特徴によると、単独で又は任意の技術的に実行可能な組み合わせにおいて、
-処理デバイスはまた、
〇信号から第1のパターンをフィルタ除去して、基板の表側のみに存在する欠陥を表す表側信号を準備し、かつ/又は、
〇基板の裏側のみに存在する欠陥を表す裏側信号を準備するように構成されている。
-処理デバイスは、所与のサンプリングレートで信号をサンプリングし、生の測定サンプルを準備するための変換器を備え、
-処理デバイスは、所与のサンプリングレートで第1のパターンを識別するためのFPGA及び/又はプロセッサを備える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の多くの他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて考慮されるとき、以下の詳細な説明を読むことから明らかになるであろう。
【0018】
図1】一実施形態による検査システムを表す図である。
図2】検査システムの支持体上に位置決めされた透明基板の表側及び裏側で起こる現象を例示する図である。
図3a】透明基板を検査するために使用されるときの検査システムの利点を例示する図である。
図3b】透明基板を検査するために使用されるときの検査システムの利点を例示する図である。
図3c】透明基板を検査するために使用されるときの検査システムの利点を例示する図である。
図4a】検査システムの検出器によって提供される信号に対する変換関数の適用を例示する図である。
図4b】検査システムの検出器によって提供される信号に対する変換関数の適用を例示する図である。
図5】本発明の一実施形態のプロセスフローを例示する図である。
図6a】信号が裏側粒子シグネチャからフィルタ除外される準備を例示する図である。
図6b】信号が裏側粒子シグネチャからフィルタ除外される準備を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(検査システム)
図1は、一実施形態による検査システム1を表す。検査システム1は、少なくとも1つの光源2、例えば、光ファイバに注入されるレーザ源を備える。光源2は、好ましくは単色であり、本開示の残りの部分において「検査波長」と呼ばれる、UV、可視、又は赤外範囲の波長を示す、主光ビーム3を生成する。この実施形態の光源2は、光源2からの主光ビーム3が2つの光ビーム6、6’を生成するように、光を2つのファイバ経路5、5’に分割するビームスプリッタ4を備える光学システム2’に結合される。光学システムは、干渉計システムであってもよい。ビームスプリッタ4及びファイバ経路5、5’は、第1の光ビーム6及び第2の光ビーム6’が「基準平面」と呼ばれる単一の平面に含まれるように、又はそれらの光軸とともにそのような基準平面を画定するように構成される。2つの光ビーム6、6’がそれらの交点で測定体積を形成するように互いに対して配向されるように、コリメートレンズなどの2つの収束光学要素7、7’が、第1の光ビーム6及び第2の光ビーム6’の伝播経路内にそれぞれ配設される。好ましい実施形態では、2つの光ビーム6、6’は、コヒーレントであり、互いに干渉することができるため、測定体積は、複数の平行な干渉縞を含む。
【0020】
図1の実施形態に提示されたもの以外の光源2及び光学システム2’の他の構成も当然可能である。一般的に言えば、本発明による検査システム1において、少なくとも1つの光源2及び光学システム2’は、好ましくはコヒーレント光の第1の光ビーム6及び第2の光ビーム6’が基準平面内に含まれ、そこで交差するように構成されている。
【0021】
図1に提示される実施形態の説明を続けると、検査システム1は、また、基板Sを受容するための支持体8を備える。支持体8は、第1の光ビーム及び第2の光ビームが交差し、測定体積が基板表側と交差し、この表側に測定スポットMを画定するように、光学システム2’に対して正確に位置決めされる。
【0022】
基板Sは、ウェハ、すなわち、裏側及び表側とそれぞれ呼ばれる2つの対向する平行な表面を示す材料の円形プレート又はディスクであり得る。慣例によって、基板の裏側は、検査デバイス1の支持体8と接触させられるか、又は支持体8に配向される表面に対応する。ウェハは、ガラス又は合成サファイアなどの、検査波長において透明な任意の材料、すなわち、可視波長用の単結晶酸化アルミニウム、又は赤外線の検査波長用のシリコンなどの半導体材料から作製され得る。ただし、本発明は、ウェハの形態の基板に限定されず、その原理は、任意の基板、特に、以下に詳述するような任意の形状及び構成の任意の透明基板(検査波長における)に適用され得る。
【0023】
支持体8及び光学システム2’は、互いに対して移動可能であり、検査システム1は、基板Sの表側がその移動中にこの測定体積を通過するように設計されている。この技術分野で周知であるように、支持体8及び/又は光学システムは、この相対移動を達成するために一方を他方に対して移動させることができるアクチュエータと関連付けられ得る。
【0024】
検査システム1は、基板Sの表側の所望の測定経路に沿って測定スポットMを走査するために、支持体8と光学システム2’との相対移動を制御するためのコントローラ12を備える。コントローラは、マイクロコントローラと、データ記憶装置と、アクチュエータ及び検査システム1の他の要素に接続された入力/出力ポートと、所望の測定経路上の測定スポットMの変位を精密に制御するように、ハードウェア又はソフトウェアで構成される更なるコンピューティングリソースと、を備え得る。有利には、コントローラ12は、また、この経路に沿った測定スポットMの速度も制御している。基板Sが支持体8上に精密に位置決めされると、コントローラ12は、基板Sにリンクされた基準において、測定スポットMの位置(線形座標又は極座標)及び速度(線形速度又は回転速度)を記憶し、制御する。
【0025】
検査システム1は、また、基板Sの表側上に存在する欠陥によって散乱された光の少なくとも一部分を集光するためのコレクタを備える。図1の実施形態では、コレクタは、拡散光放射の一部を集光するレンズ9を備えている。この実施形態のレンズ9は、測定スポットMを通り、かつ基板Sに垂直な軸を中心とする。基板Sから反射された散乱光12の一部分は、レンズ9によって集光され、スポットMの光学的に共役な点に向けられる。コレクタは、また、散乱光を集光するためにレンズ9の共役な点に又はその近くに配置された、光ファイバ又は光ファイバの束などの、相補的デバイス10を備える。検査デバイス1は、また、集光された光を受光するためのコレクタに関連付けられた検出器11、例えば、光検出器又は光検出器のアレイを備える。検出器11は、測定スポットMが測定経路に沿って走査されるときの集光された光の強度の変動を表す信号U(t)、例えば、電気信号を提供する。
【0026】
最後に、図1に表される検査システム1は、測定が進行するにつれて信号U(t)を受信するために検出器11に接続された処理デバイス13を備える。処理デバイス13は、また、コントローラ12に接続されて、測定進捗として、測定スポットMの位置X(t)をコントローラから受信し、場合によっては、速度V(t)も、この情報がコントローラ12によって測定又は決定される場合に受信する。速度V(t)は、また、位置X(t)から導出されてもよいか、又はこの情報がコントローラ12によって処理デバイス13に提供されなくてもよいように、一定値をとってもよい。処理デバイスは、基板の裏側及び/又は表側の粒子の存在を検出し、2つの状況を区別するために、受信された情報、及び特に、信号U(t)を処理するためのマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、FPGA、又は任意の他のコンピューティングリソース(入力/出力ポート、データ記憶装置など)に対応するか、又はそれらを含み得る。これは、本明細書の更なる部分で例示されることになる。この処理は、測定と同時に「オンザフライ」で実施されてもよいか、又は測定が達成された後に繰り延べられてもよい。
【0027】
処理デバイス13(又は検出器11)は、所与のサンプリングレートで信号U(t)をサンプリングし、生の測定サンプルUを準備するための変換器を備え得る。
【0028】
図2は、検査システム1の支持体8上に位置決めされた基板Sの表側FS及び裏側BSで起こる、この基板Sが検査波長において透明な材料で作製されているときの現象を例示する。図2は、第1の光ビーム6及び第2の光ビーム6’が含まれる基準面における基板Sの断面図である。既に述べたように、第1の光ビーム6及び第2の光ビーム6’は、基板Sの表側FSと交差する測定体積V内で干渉して、この表側FSに測定スポットMを形成する。基板Sが光ビーム6、6’の検査波長において透明な材料で作製されており、ビーム6、6’は、基板の厚さTh内に伝播し、2つのそれぞれの照明スポットS1、S2で基板Sの裏側BSも照明する。2つの照明スポットS1、S2は、基板Thの厚さ及び基板S内に伝播するビームの角度fに依存する距離dだけ分離される。したがって、2つの光ビーム6、6’は、裏側BSで互いに分離され、その裏側BSを互いに異なる2つのそれぞれの照明スポットS1、S2で照明する。角度fは、入射角、すなわち、第1の光ビーム6及び第2のビーム6’と基板の表面との間の角度α、及びスネル-デカルトの法則に従う基板の屈折率に依存する。2つのビーム6、6’が基板S内で角度fだけ相対的に角度付けられている場合、距離dは、d=2Thtan(f/2)として幾何学的に決定され得る。
【0029】
重要な態様によると、コントローラ12は、基準面が測定経路に対して接線方向に保たれるように、支持体8と光学システム2’との相対移動を制御するように構成されている。この条件は、基板に対する測定スポットMの速度ベクトルが、このスポットMが測定経路に沿って走査されるときに、基準面に含まれるか、又は基準面に平行であることを意味する。したがって、速度ベクトルは、図1及び図2において縦方向xに延在し、横方向yに沿った成分はない。測定体積Vが基板Sの表側FSと交差し続けることを確実にするために、速度ベクトルは、基板の表面にも平行であるべきであるか、又は少なくとも高さ方向zに沿った有意な成分を有するべきではないことが理解される。したがって、基準面にあるか又は基準面に平行である速度ベクトル、測定スポットMの速度V(t)は、縦方向xに沿ったこのスポットの速度に対応する。
【0030】
測定経路に対し、接線方向の、コントローラ12によって操作される相対移動は、回転であってもよいか、又は、例えば、支持体8/基板Sの平面に垂直であり、かつ基板Sの中心に配設された回転軸rに沿った支持体8の(及び基板Sの)回転であってもよい。次いで、測定スポットMによって説明される測定経路は、基板Sの表側に同心円を形成している。代替的に、相対移動は、縦方向xに沿った直線であってもよく、次いで、測定経路は、基板Sの表側に直線を形成している。検査システムは、光学システム2’に対する支持体8の相対変位の後、反復的に操作されて、平行、半径方向、又は同心測定経路に沿った複数の測定経路を提供し、基板S表側の完全な検査を提供し得る。
【0031】
図3a~3cは、検査波長における透明材料で作製された基板Sを検査するために使用されるときの検査システム1の利点を例示する。基板Sは、その裏側に粒子Pを有する。図3aでは、測定スポットMが基板Sの表側で走査される瞬間t1において、粒子Pは、第1の光ビーム6の伝播によって裏側に形成された第1の照明スポットS1に精密に配設される。この光ビームは、粒子Pによって散乱され、散乱光の一部は、測定スポットMに向かって拡散している。散乱光のこの部分は、それが測定スポットM自体で生成されたかのように、検査システムによって集光され、検出される。したがって、検出器11によって準備された信号U(t)は、これが図3cに表されるように、第1の瞬間t1において強度の第1のピークを示す。
【0032】
図3bは、図3aに表された瞬間t1の直後の瞬間t2における基板Sを表す。この瞬間t2において、粒子Pは、第2の光ビーム6’の伝播によって裏側に形成された第2の照明スポットS2に精密に配設される。この光ビームは、粒子Pによって散乱され、散乱光の一部は、測定スポットMに向かって拡散している。散乱光のこの部分は、それが測定スポットM自体で生成されたかのように、検査システムによって集光され、検出される。したがって、検出器11によって準備された信号U(t)は、これが図3cに表されるように、第2の瞬間t2において強度の第2のピークを示す。
【0033】
相対移動は、基準面が測定経路に対して接線方向になるように制御されるため、照明スポットS1、S2の一方を横切る粒子Pが裏側に存在し、必然的に他方の照明スポットS2、S1も横切る。その結果、基板の裏側の粒子Pによって散乱された光は、信号U(t)において、分離間隔によって互いに分離された2つの強度ピークU(t1)、U(t2)を示す第1のパターンを生成する。この間隔は、粒子Pが2つの照明スポットS1、S2を分離する距離dにわたって移動されるのに必要な時間に対応する決定された期間T=(t2-t1)に関連付けられ得、この距離dを測定スポットの速度Vで除算することによって、すなわち、T=d/Vによって得られ得る。
【0034】
検出器11によって提供される信号が、基板上又は測定経路上の測定スポットの位置の関数として表されるとき、分離間隔は、距離dに対応する。
【0035】
(欠陥を区別するための方法)
本発明は、基板Sが検査波長における透明材料で作製されているとき、基板Sの表側に存在する欠陥を基板Sの裏側に存在する欠陥と区別するための方法を提案するために、上記に説明された検査システムの構成から結果的に生じる、この観察を利用する。
【0036】
方法は、検査システム1の支持体8上に基板Sを配設することを含み、基板Sは、第1の光ビーム6及び第2の光ビーム6’が基板Sの表側で交差するように、光学システム2’に対して位置決めされる。方法は、次いで、基板Sの表側の所望の測定経路に沿って測定スポットMを走査するために支持体及び光学システム2’を互いに対して移動させることを含む。相対移動は、基準面が測定経路に対して接線方向に保たれるようにコントローラ12によって制御される。測定スポットMが基板の表側に沿って走査されると、基板Sの表面によって、特に、基板Sの表側及び/又は裏側に存在する欠陥によって散乱された光の少なくとも一部分が、検出器11に集光され、集光された光の強度の変動を表す信号U(t)を確立する。
【0037】
本発明によると、方法は、信号U(t)において、決定された分離間隔によって互いに分離された2つの強度ピークを示す第1のパターンを識別することを更に含む。これが図3a~3cの説明に関連して説明されたように、第1のパターンは、基板Sの裏側の粒子によって散乱された光に対応する。したがって、そのような第1のパターンが信号U(t)内に存在する場合、粒子Pが基板の裏側に存在することが明確に確立され得る。粒子Pの位置(基板の裏側に平行な平面におけるその座標)は、平均時間(t1+t2)/2における、すなわち、2つのピーク間の分離距離の半分における測定スポットMの位置に対応する。
【0038】
逆に、第1のパターンに適合しない信号U(t)の強度ピークは、基板FSの表側に存在する粒子に対応する。
【0039】
基板の表側に存在する欠陥を基板の裏側に存在する欠陥と区別することが可能であるため、検査デバイス1は、例えば、電気信号U(t)から第1のパターンをフィルタ除外することによって、基板の表側のみに存在する欠陥を表す表側信号UfS(t)を準備するように構成され得る。追加的に又は代替的に、検査デバイス1は、基板Sの裏側のみに存在する欠陥を表す裏側信号Ubs(t)を準備するように構成され得る。
【0040】
信号内の第1のパターンの識別は、特に、2つの強度ピークを分離する分離間隔を決定するために、検査中の基板に対してこのパターンを較正することを必要とし得る。上記に示されたように、この分離距離は、走査速度が一定に保たれるか又は既知である場合、基板の厚さの知識から、並びに第1の光ビーム及び第2の光ビームの角度構成から事前に計算され得る。より一般的には、分離間隔は、基板上の第1の光ビーム及び第2の光ビームの入射角、基板の屈折率、基板における第1の光ビーム及び第2の光ビームの交差角、基板の厚さ、光ビームに対する基板の速度の情報のうちの少なくとも1つを使用して決定され得る。
【0041】
較正された第1のパターンは、検査デバイス1、例えば、処理デバイス13に記憶され得る。
【0042】
代替的に、各々が基板のタイプに対応する、第1のパターンの集光、又は距離若しくは時間間隔などの第1のパターンのいくつかの特性は、検査デバイスに記憶され、検査が開始する前に、試験中の基板の性質に従って検索され得る。
【0043】
測定スポットの速度が測定経路中に一定に保たれない場合、第1のパターンの分離間隔は、各所与の瞬間における実際の速度に対して計算又は調整され得、第1のパターンは、動的に較正される。
【0044】
生の測定サンプルUを確立するために信号が処理デバイス13の変換器によってサンプリングされるとき、分離間隔は、決定された数のサンプル2sとして表され得、信号における第1のパターンの識別は、連続する生の測定サンプルにおける決定された数のサンプル2sによって分離された2つの強度ピークを識別することを含む。
【0045】
第1のパターンのこの識別は、多くの異なる方式に従って処理デバイス13によって実施され得る。例えば、処理デバイスは、任意の種類のパターン認識アルゴリズムを実装し得る。それは、例えば、信号をテンプレートパターン信号と相関させる相関方法を実装し得る。それはまた、機械学習によって訓練されたパターン認識アルゴリズムを実装し得、それは、測定が進行するにつれて第1のパターンが信号内で認識される場合、インジケータ信号を設定する。
【0046】
代替的に、強度ピークは、生の測定サンプルUにおいて確立され得(例えば、数値導出によって)、2つの連続するピークに対応するサンプルUi、Ujの指数i、jが所定のサンプル数だけ異なる場合、すなわち、j-i=2sである場合、第1のパターンが生の測定サンプルUにおいて識別され得る。この操作は、生の測定サンプルが処理デバイス13によって確立されるため、「オンザフライ」で実施され得る。生の情報サンプルは、処理デバイス13に含まれる(又はそれと関連付けられる)データ記憶装置に記憶され得、そのような場合、第1のパターンの識別は、検査が完了した後に繰り延べられ得る。
【0047】
識別が「オンザフライ」で行われるか、又は繰り延べられる様式で行われるかにかかわらず、有利には、生の測定サンプル内の第1のパターンの位置、すなわち、指数i+s又はj-sも提供する。この指数情報を測定進捗として測定スポットMの位置X(コントローラ12から受信された)と組み合わせることによって、ウェハの裏側の識別された第1のパターンの原点に粒子Pを精密に置くことが可能である。粒子場所は、検査進捗として記憶され、基板マップとして表示されるか、又は検査シーケンスの終了時に別様に処理され得る。
【0048】
(変換関数を適用することによる識別)
裏側粒子Pに対応する電気信号の強度ピークは、比較的低い振幅であり得る。これは、そのような粒子Pによって散乱された光の一部のみが測定スポットMに向けられ、集光され、検出されるためである。
【0049】
したがって、有利には、第1のパターンの識別は、検出器11によって提供される信号Uに変換関数を適用する第1のステップを含む。変換関数は、この信号Uを変換された信号Vにマッピングするように選択され、元の信号Uに存在する第1のパターンは、変換された空間においてより大きい強度の、又はより一般的にはより大きい検出可能性の第2のパターンに変換される。
【0050】
次いで、識別は、変換された信号Vにおいて第2のパターンを検出する第2のステップを含む。
【0051】
この原理を例示するために、特定の実施形態によると、変換は、次の関数によって実装され得る(デジタルの生の測定サンプルを処理するとき)。
【0052】
【数1】
【0053】
処理デバイス13による実装を容易にするために、関数は、次のようにも表され得る。Wは、6s+1個の要素からなるマスクを表しており、そのうちの4個のみが非ゼロであるが、一方で、残りの6s-3個のエントリはゼロである。
【0054】
【数2】
【0055】
【表1】
【0056】
元のサンプルUが裏側粒子に対応する第1のパターンを含むときの変換されたサンプルVの挙動が図4aに示されている。それは、第1のパターンの2つのピーク間の中間点に単一のピークを示す第2のパターンを含み、第2のパターンの唯一のピークは、裏側欠陥場所に精密に位置決めされる。このピークの振幅Aは、生の測定サンプルUにおける第1のパターンピークの振幅A/2の2倍である。変換されたサンプルはまた、図に示されていない、無関係である負の値も含み、単にゼロに設定される。
【0057】
【数3】
【0058】
変換されたサンプルVは、これが図4bに示されるように、表側粒子によって生成された信号における単一のピークについて非常に異なる挙動を特徴とする。この場合、変換されたサンプルは、長さ2sの間隔によって分離された2つのピークを示す。具体的には、表側粒子が、瞬間kを中心とするピークで生成される場合、変換されたサンプルVの対応するプロファイルは、Vk+S及びVk-Sに2つのピークを有する。変換された信号上の2つのピークの振幅は、ピークが元の信号にある場合の振幅と同じである。
【0059】
図4bに例示される信号は、高周波信号を平均化するのに十分な大きさである粒子に対するものであり、そうでなければ、結果的に、より小さい粒子が2つの干渉ビームの干渉縞を横切ることになることに留意されたい。又は代替的に、この信号は、結果的に、互いにインコヒーレントであり、したがって、干渉しない2つのビームを横切る任意の粒子から生じ得る。
【0060】
要約すると、この実施形態による変換された信号V又はサンプルVは、次の特性を有する。
●一定強度の領域ではゼロである。
●バックグラウンド信号レベル、すなわち、粒子(当該技術分野では「ヘイズ」と呼ばれることもある)が存在しない場合の平均信号値に依存しない。
●裏側粒子の場所に1つのパルスを有する。
●表側粒子の周りに2つの別個のパルスを有する。
【0061】
そのような特性を有する変換関数は、変換された信号又はサンプルVを、裏側粒子場所を検出するために、かつ裏側粒子と表側粒子とを区別するために非常に有用にする。この変換された信号は、単独で使用され得る。それはまた、例えば、変換された信号内の双峰ピークと一致し、かつ表側粒子に対応する生の測定信号内の単一ピークと、変換された信号内の単一信号と一致し、かつ表側粒子に対応する生の測定信号内の双峰と、を検出することによって、後側粒子と表側粒子との間をより良好に区別するために、生の測定信号Uと組み合わせて使用され得る。
【0062】
図5を参照すると、第1のパターンの識別が変換関数の適用を含む、この好ましい実施形態によると、識別は、処理デバイスによって実行される以下のステップを含み得る。
【0063】
最初に、ステップ20で、変換されたサンプルVが、全ての元のサンプルUに対して、上述されたように実行中に、又は繰り延べられる様式で計算される。これらのサンプルは、ノイズを受ける可能性があり、任意選択的に、そのノイズを排除するために、第1の指定された閾値を超える変換されたサンプルVのみが、更なる分析のために保持される。次いで、ステップ22で、変換されたサンプル内の最大値が特定される。これは、例えば、導出によって、又は第2の指定された閾値を超えるサンプルを選択することによって実施され得る。ステップ24では、同様の振幅を有し、間隔2sによって分離される全ての最大値は、それらが表側粒子に対応するため、無視される。この検出は、これらの最大値の対が生の測定信号におけるピークに対応することを検証することによって増強され得る。残りの変換されたサンプルVは、これらの粒子の位置が得られ得るように、各々が裏側粒子に起因する単一ピークのみを含む。
【0064】
ステップ26では、裏側粒子の位置を使用して、基板の表側のみに存在する欠陥を表す表側信号を準備すること、及び/又は基板の裏側のみに存在する欠陥を表す裏側信号を準備することのいずれかのために、元の信号又はサンプルを処理することが可能である。
【0065】
(検出器によって提供される信号における裏側粒子の寄与の除去)
一実施形態によると、裏側粒子の位置を使用して、基板の表側のみに存在する欠陥を表す表側信号を準備するように元の信号又はサンプルを処理し得る。これは、本明細書のこのセクションの目的であり、同様の方法が、基板の裏側のみに存在する欠陥を表す裏側信号を準備するために使用され得ることを理解されたい。
【0066】
前置きとして、検出器11によって提供される信号(又は生の測定サンプルU)は、バックグラウンド部分bと粒子散乱部分との和である。上述したように、第2のパターンピークの振幅(A)は、第1のパターンにおける対応するピークの振幅(A/2)の2倍である。レーザビームの強度プロファイルは、以下のサンプル数で表される既知の標準偏差aを有するガウスプロファイルによって良好に近似される。このため、サンプル番号mの位置にある裏側粒子によってサンプル番号iに対して生成される二重ピーク信号は、次のようにモデル化される。式中、sは、サンプル数で表される分離間隔の半分である。
【0067】
【数4】
【0068】
この実施形態によると、元の信号又は生の測定サンプルのバックグラウンドレベルが決定される。方法は、変換サンプルにおいて識別された第2のパターンにおけるピークの振幅Aを決定することと、バックグラウンドレベルbを確立するために、生の測定サンプルにおけるピーク振幅からこの振幅の半分A/2を減算することと、を含む。これは、実際に、2つのピークの各々に対して1つずつ、2つのバックグラウンドレベル推定値を提供する。推定されるバックグラウンドレベルは、平均値に対応するように選択され得る。式中、mは、バックグラウンド粒子の検出された位置に対応するサンプル番号である。次いで、上記のモデルUBSと、決定された振幅レベルA/2、粒子mの位置、及びバックグラウンドレベルbとに基づいて、裏側粒子によって散乱された光の基準信号U’(i)が準備される。
【0069】
【数5】
【0070】
最後のステップは、検出器によって提供される信号から基準信号を減算することである。この操作は、裏側粒子シグネチャを除去して、表側粒子寄与をそのまま信号内に残す。
【0071】
図6a及び6bは、この実施形態を例示する。図6aは、1つの単一ピーク(表側粒子)及び1つの二重ピーク(後側粒子)を有する、検出器からのノイズ信号を示す。
【0072】
図6bは、裏側粒子シグネチャからフィルタ処理された信号を実証するが、一方で、表側粒子からの寄与は不変に保たれる。
【0073】
代替的に、裏側粒子に対応する二重ピークが識別されると、任意の曲線フィッティング又は最小二乗法を使用して、上記に説明されたものなどのモデル関数が生の測定信号にフィッティングされ、この信号からバックグラウンドノイズのみを保持するように減算され得る。
【0074】
開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求される発明を実施する際に当業者によって理解され、達成され得る。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
【国際調査報告】