(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-02
(54)【発明の名称】熱岩の破裂
(51)【国際特許分類】
E21B 43/00 20060101AFI20241125BHJP
F24V 30/00 20180101ALI20241125BHJP
F24T 10/20 20180101ALI20241125BHJP
F03G 4/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
E21B43/00 C
F24V30/00 302
F24T10/20
F03G4/00 501
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024525849
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022047743
(87)【国際公開番号】W WO2023076283
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524160534
【氏名又は名称】マッキンタイア、ジャック
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア、ジャック
(57)【要約】
本発明は、熱岩の破裂を利用して地熱エネルギーを活用するシステム及び方法を提供する。このシステムは、少なくとも第1坑井と第2坑井を有する。この方法は、アルカリ金属を第1坑井の坑内に導入することを含む。溶液も第1坑井に導入される。この溶液は、アルカリ金属と発熱反応を起こす。ガスと熱は、熱岩を破裂させて、亀裂を生じさせる。亀裂は、第1坑井と第2坑井を流体接続する。溶液(水など)は、第1坑井を介して、亀裂を通って第2坑井に圧送することができる。熱岩は、地熱エネルギーを水に伝え、水は、利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属を第1坑井の坑内に導入するステップaと、
前記アルカリ金属と発熱反応を起こす溶液を前記第1坑井の坑内に導入するステップbと、
前記発熱反応により、熱岩を破裂させて亀裂を生じさせ、ここで、前記破裂が前記第1坑井と第2坑井との流体連通をもたらすステップcと、
溶液を前記第1坑井に導入し、前記溶液が前記亀裂を介して前記第2坑井に流れるステップdと、を含む少なくとも第1坑井と第2坑井を使用して地熱エネルギーを活用する方法。
【請求項2】
ステップdにおける前記溶液が水を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2坑井から前記溶液を回収するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2坑井から回収された前記溶液が温度を有し、前記第1坑井に導入された前記溶液が温度を有し、前記第2坑井から回収された前記溶液の温度が前記第1坑井に導入された前記溶液の温度よりも高い請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2坑井から回収された前記溶液からの熱を抽出するステップをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1坑井の前記少なくとも一部が熱岩領域に延びている請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱岩が花崗岩を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1坑井が出口部分を含み、前記出口部分が熱岩領域に延びている請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記出口部分が穿孔を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アルカリ金属が前記出口部分に堆積している請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アルカリ金属がナトリウム水溶液を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アルカリ金属を第1坑井の坑内に導入するステップaと、
前記アルカリ金属と発熱反応を起こす溶液を前記第1坑井の坑内に導入するステップbと、
前記発熱反応により熱岩を破裂させて亀裂を生じさせるステップcと、を含む熱岩を破裂させる方法。
【請求項13】
前記第1坑井が出口部分を含み、前記出口部分が熱岩領域に延びている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記出口部分が穿孔を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アルカリ金属が前記出口部分に堆積している請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本発明は、2022年10月21日に提出された、米国非仮出願第17/970,845号及び2021年10月26日に提出された、米国仮出願第63/272,094号の優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、化学反応により熱岩を破裂させるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
地熱エネルギーは、様々な用途に使用できる再生可能エネルギーである。したがって、地熱エネルギーを活用する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の特徴と考えられる新規性の特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、本発明自体及びその好ましい使用形態、さらなる目的及び利点は、以下の例示的な実施形態の詳細な説明を参照し、添付図面と併せることにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図2】一実施形態におけるアルカリを有する坑井の概略図である。
【
図3】一実施形態における水を導入するための坑井の概略図である。
【
図4】一実施形態における反応プロセス中の坑井の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、添付図面を参照して出願人の発明のいくつかの実施例を説明する。特に断らない限り、すべての図において、類似の要素は、同じ数字で識別する。本明細書で例示的に開示される発明は、本明細書で具体的に開示されていないあらゆる要素が存在しない場合に適切に実施することができる。
【0007】
高温岩体の地熱の潜在的な力は、ほとんどの領域で無限に成長している。高温を含む基岩に深い坑井を掘削し、破裂させることができれば、熱抽出のために設計される人工貯留層システムが構築され得る。花崗岩などの硬くて脆い岩石を水圧で破裂させるのは、困難である。井筒間の連通がないため、水圧破裂システムでは、変位坑井間の連通は、問題がある。花崗岩を参照して一実施例を説明するが、これは、例証的な目的にのみ使用され、限定的なものと見なされるべきではない。熱岩は、花崗岩、及びマグマによって形成された長石と石英を豊富に含む貫入火成岩からなる硬い鉱物を含んでもよい。熱岩は、硬くて脆い結晶岩をさらに含み、これらの岩は、十分な高温を有する深さに存在しているため、そこに注入された水から熱エネルギーを発生させることができる。
【0008】
一実施形態では、熱岩は、化学的に破裂される。そのような一実施形態では、熱岩は、溶液(水など)とアルカリ金属(ナトリウムなど)との反応により破裂される。一実施形態では、溶液は、水性ナトリウムを含む。主にアルカリ金属で花崗岩破裂システムを化学的に完成させるには、いくつかのオプションがある。一実施形態では、花崗岩の頂部からある程度離れた位置に坑井を掘削してセメントで密封する。これにより、上方の堆積岩にあるすべての潜在的な含水領域が隔離され、坑井の底部は、水が乾いた場合に高温岩体に残される。いったん完成したら、従来の方法又は推進剤による方法で密封する場合、坑井を穿孔して破裂反応を選択的かつ指向的に強化することができ、又は開放された坑井の場合、アルカリ金属(ナトリウムなど)をアンモニアと混合した後、流体として流すことができ、その後、それは、高温岩体を水圧で破裂させるために使用され得る。又は、最終的に坑井を完成するために機器を坑井に設置する前に、アルカリ金属を坑井の下部に簡単に入れることができる。井下高圧、高温シーラシステム、高圧流動システム、シーラシステム付近及び圧力監視と隔離の目的に使用される機器などの密封方法を使用する必要がある。反応エネルギーは、金属の量と圧送される水の量により制御することができる。反応エネルギーは、反応物の体積、孔径、深さ、岩石タイプ、岩石温度、圧力及び他のこのような要素により計算することができる。
【0009】
一実施例では、岩石を徐々に破裂し、2つ又は複数の井筒を連通するために、反応から最も高いエネルギーと破裂強度を発生させることは、目標であり、その後、水を1つ又は複数の井筒に圧送し、加熱し、他の井筒から熱エネルギーとして回収して抽出することができる。これについては、本明細書で後述する添付図面を参照してより詳細に説明する。
【0010】
いくつかの実施例では、反応エネルギーを制御することは、このシステムの安全な実施にとって極めて重要である。ナトリウム金属と水は、激しく反応し、極端な熱と水素ガスを発生することができる。機器が化学反応と接触する場合、強度が高く、耐熱性がある素子が設計された特定のシーラと流動システムを使用することができる。二重管システムは、圧力と温度を監視するためにも使用され得る。垂直坑井と水平坑井は、いずれも注入坑井及び/又は回収坑井として使用され得る。したがって、図には垂直坑井が描かれているが、これは、例示的な目的のためのものであり、限定的なものと見なされるべきではない。
【0011】
坑井は、液体アンモニア、アンモニア金属とアルカリ金属の混合物、非反応性ガス又は油性流体及びそれらの組み合わせで破裂することができる。坑井は、空気又は非反応性流体を使用して高温岩体部分に掘削することができる。一実施例では、水平井筒は、化学物質で充填することができ、中心坑井の周りに平行に掘削された、いくつかの水平坑井と、化学反応のために、中心坑井に圧送された水とは、岩石を放射状に破裂させることができるため、放射状の破裂包絡線に接続するように、すべての井筒を連通することができる。反応坑井と回収坑井は、最も効率的な構成になるように設計することができる。
【0012】
このタイプの岩石の場合、水圧で乾燥岩石を破裂させることは、複雑で非効率的である。注入坑井と回収坑井との間の亀裂システムの連通は、乾燥した結晶質岩と一致せず、亀裂の物理的特性は、常に設計通りに実行されるとは限らない。硬くて脆い岩石の亀裂は、頁岩などの軟らかい岩石の亀裂と大きく異なるようである。したがって、一実施例では、このシステムは、このタイプの岩石システム内に、より一貫性のある実現可能な亀裂連通網を提供する。
【0013】
図1は、一実施例における坑井の概略図である。坑井101は、当技術分野で知られているほとんどあらゆる坑井を含んでもよい。図に示すように、坑井101は、内側坑井106と外側坑井110を含む。材料は、内側坑井106に圧送され、外側坑井110から回収されてもよく、逆も同様である。
【0014】
熱岩102は、上記のいずれの熱岩102を含んでもよい。上述のように、一実施例では、熱岩102は、花崗岩を含む。
【0015】
図に示すように、坑井101の少なくとも一部は、熱岩102の領域まで下方に延びている。熱岩102まで延びている坑井101のこの一部は、出口部分103と呼ばれる。図に示すように、出口部分103は、坑井101からの液体とガスが熱岩102内に延びることを可能にする穿孔104又は開口部を含む。出口部分103はさらに、開口端を有してもよく、材料は、この開口端から堆積することができる。
【0016】
図2は、一実施例におけるアルカリを有する坑井の概略図である。図に示すように、アルカリ金属105は、出口部分に堆積している。アルカリ金属105は、ほとんどあらゆる形態で堆積することができる。それは、スラリー、破片、及び金属の形態などであってもよい。上述のように、一実施例では、アルカリは、ナトリウムであり、アンモニアと混合して坑内に圧送できる液体スラリーを形成する。いずれの形態においても、アルカリ金属105は、出口部分に堆積する。上述のように、いくつかの実施例では、アルカリ金属105は、掘削中又は掘削後に坑内に置くことができる。
【0017】
一実施形態では、出口部分103に堆積したアルカリ金属105は、他の反応物(水など)から分離されたままである。これにより、必要な時間と位置でのみ反応が起こることを確保することができる。
【0018】
図3は、一実施例における水を導入する坑井の概略図である。図に示すように、水は、内側坑井106を介して出口部分103に圧送される。これにより、溶液107(いくつかの実施例では、水)がアルカリ金属105と反応することができる。上述のように、溶液107は、アルカリ金属105と必要な反応に応じて変化することができる。一実施形態では、溶液107は、水を含む。
【0019】
上述のように、利用可能な反応の一例は、ナトリウムと水の反応である。ナトリウムは、比較的安価であり、水は、通常、圧送しやすい。そのため、ナトリウムを水に持ち込むことで反応を起こす。
【0020】
様々な化学反応は、乾燥岩石を破裂させるのに必要な熱とガスを提供するために使用され得る。本明細書では、ナトリウムを使用して一例を検討する。しかしながら、これは、例示的な目的にのみ使用され、限定的なものと見なされるべきではない。ナトリウム、カリウム及び他の反応元素を使用することもできる。ほとんどあらゆる発熱反応を利用することができるが、環境への影響を考慮しなければならない。一実施例では、水と発熱するあらゆる反応物を利用することができる。
【0021】
さらに、ナトリウム金属が検討されているが、これも例示的な目的にのみ使用され、限定的なものと見なされるべきではない。他の実施例では、前述したように、ナトリウムは、溶液又はスラリーの形態で輸送される。一例のみを挙げると、ナトリウムは、アンモニアと一緒に溶解することができる。このような水溶液は、より簡単な輸送媒体を提供することができる。さらに、いくつかの実施形態では、溶液中のナトリウムは、金属ナトリウムよりも輸送と処理が容易である。
【0022】
ナトリウムは、水と反応する金属である。水と反応する場合、以下の2つの反応のうちの1つを行うことができる。
(1) 2Na(s)+H2O>>>2NaOH(aq)+H2(g)
(2) 2Na(s)+H2O>>>Na2O+H2(g)
【0023】
過剰な水が発見されると、通常、反応(1)が起こる。反応(1)では、ナトリウム金属は、過剰な水と急速に反応して水酸化ナトリウムと水素ガスを生成する。水酸化ナトリウムは、無色溶液である。前述したように、この反応は、発熱反応である。この反応は、大量の熱を放出する。
【0024】
水酸化ナトリウムは、水中で反応してナトリウムイオンと負電荷をもつ水酸化物イオンに分離する。この反応も発熱反応である。
【0025】
過剰なナトリウムが発見されると、反応(2)が起こり、それにより、一酸化ナトリウムと水素ガスが発生する。一酸化ナトリウムは、水と反応して水酸化ナトリウムを生成し、この反応も発熱反応である。
【0026】
ナトリウム金属と水の反応は、通常、水酸化ナトリウム、水素ガス及び熱が発生することがわかる。発生した熱とガスの膨張は、岩石を破裂させる。
【0027】
水素ガスは、酸素や熱と激しく反応することができる。この反応は、温度と圧力の上昇をもたらす。水素ガスの爆発は、乾燥岩石をさらに破裂させる。したがって、酸素が水素ガスと接触できる範囲では、この反応は、爆発を引き起こす可能性がある。
【0028】
反応の発熱特性のため、ナトリウムは、非常に高い温度で水と反応する。したがって、一実施例では、坑井101の一部は、高い反応温度に耐えるように設計された材料を含む。例えば、一実施例では、出口部分103の一部は、先端が反応に関連する1,000℃に耐えることができるように、セラミック又は他の材料を含んでもよい。
【0029】
図3は、溶液107がアルカリ金属に輸送されることを示しているが、他の実施例では、アルカリ金属105は、水などの溶液107を有している地層に輸送され得ることに留意されたい。このような実施例では、アルカリ金属105は、既存の池又は含水層と反応する。
【0030】
図4は、一実施例における反応プロセス中の坑井の概略図である。発生した反応108(通常は、熱気)は、乾燥岩石に膨張し、それにより、このプロセス中に岩石を破裂させる。亀裂109は、溶液(水など)が高温岩体に入り、熱伝達を可能にするための場所を提供する。破裂プロセスは、十分な亀裂が生じるまで繰り返すことができる。
【0031】
図5は、出口部分103に水を注入する様子を示す概略図である。水は、穿孔を介して乾燥岩石に発生した亀裂109に入る。高温岩体は、亀裂109内の水を加熱する。
【0032】
水は、高温岩体との熱伝達を可能にするために坑井に導入できる溶液として検討されているが、これは、例示的な目的にのみ使用され、限定的なものと見なされるべきではないことに留意すべきである。実際には、どのような熱伝達流体を導入してもよい。水は、非常に環境に優しいという利点があるが、熱伝達流体として機能できる他の流体もある。
【0033】
一実施例では、図に示すように、亀裂109内の少なくとも一部は、隣接する坑井110と流体連通している。本明細書で使用する場合、流体連通とは、流体が隣接する坑井の亀裂109を通過できるという状況を指す。その結果、第1坑井101から圧送された水は、亀裂109を通って外側へ流動し、隣接する坑井110から回収することができる。これにより、
図5に示すように、比較的冷たい水又は他の液体は、第1坑井101に圧送することができる。水は、発生した亀裂109を介して流動し、この位置で高温岩体によって加熱される。その後、水は、隣接する坑井110に流れる。その後、加熱された水は、隣接する坑井110から回収することができる。その後、加熱された水は、再生可能エネルギーとして使用することができる。このプロセスは、熱や電力などを発生させるために、何度も繰り返すことができる。
【0034】
一実施形態では、このシステムと方法は、少なくとも2つの坑井を利用する。他の数の坑井101を使用することができる。亀裂109は、溶液(水など)を1つの坑井に注入し、別の坑井から回収することができるように、複数の坑井を互いに流体連通することを可能にする。上述のように、このプロセス中に、溶液が加熱される。その後、熱は、下流でさまざまな用途に使用することができる。
【0035】
流体連通は、様々な方法で構築することができる。地層や坑井間の距離などに応じて、1つの坑井を破裂させ、発生した亀裂が隣接する2つ目の坑井に到達して、2つの坑井を流体連通することができる。他の実施例では、各坑井は、それらが互いに流体連通することを確保するために破裂される。
【0036】
したがって、一実施例では、少なくとも第1坑井と第2坑井を利用して地熱エネルギーを活用する方法が開示されている。まず、アルカリ金属を第1坑井の坑内に導入する。アルカリ金属は、金属、スラリー、溶液などとして導入することができる。いくつかの実施例では、第1坑井の坑内に溶液を導入する。他の実施例では、溶液は、すでに坑内に存在している。別の実施例では、アルカリと溶液を同時に導入する。溶液とアルカリ金属が反応して発熱反応を発生させる。
【0037】
発熱反応は、隣接する熱岩を破裂させる。前述したように、熱岩は、花崗岩を含むがこれに限定されないさまざまな異なる材料を含んでもよい。亀裂は、第1坑井が第2坑井と流体接続することを可能にする。本明細書で使用するように、流体接続とは、液体がある位置から次の位置まで流れることができるように2つ又は複数の位置を接続することを指す。発熱反応は、2つ又は複数の坑井を流体接続できる亀裂を生じさせる。これは、冷たい溶液(水など)を第1坑井に導入できるメカニズムを提供する。溶液は、第1坑井を介して熱岩における亀裂に入る。流動プロセス中に、溶液は、熱岩からの熱を吸収したため、熱くなる。その後、流体は、第2坑井に流れ、溶液は、この位置で収集される。
【0038】
一実施例では、第2坑井に覆われた溶液の温度は、第1坑井に導入された溶液の温度よりも高い。このようにして、熱岩から熱を抽出し、上述のように利用することができる。
【0039】
一実施例では、この方法は、材料を同時に注入及び受容する能力を有する単一の坑井を利用する。本明細書で説明するように、一例は、内側坑井106と外側坑井110を有する単一の坑井である。これは、下方及び外側に同時に圧送する材料を提供する。一例として、冷たい溶液は、第1坑井を介して下方に圧送され、この位置で熱岩に加熱され、加熱された溶液は、同じ坑井から外側へ圧送される。したがって、2つの坑井を開示する実施例について検討したが、これは、例示的な目的にのみ使用され、限定的なものと見なされるべきではない。
【0040】
上述のように、一実施例では、第1坑井は、熱岩に延びている出口部分を有する。これにより、発熱反応が熱岩に亀裂を生じさせることを可能にする。さらに、これにより、溶液を亀裂の位置に導くことができる。
【0041】
地熱エネルギーを活用する方法が説明されている一方で、熱岩を破裂させる方法も説明されている。上述のように、アルカリ金属を坑内に導入する。その後、溶液を加える。この溶液は、アルカリ金属と反応して発熱反応を発生させ、それにより熱岩を破裂させる。
【0042】
一実施例では、このシステムは、コンパクトである。これにより、このシステムは、都市に近い場所で使用することができる。一例のみを挙げると、高温岩体が都市の近くに位置する場合、新しい坑井を掘削するか、又は既存の坑井を利用して高温岩体を破裂させることができる。このシステムは、地熱エネルギーを回収及び利用することができる。したがって、一実施例では、このシステムと方法は、溶液を導入することにより、高温岩体に貯蔵された熱を回収することができる。熱は、高温岩体から溶液に移動し、この位置で熱を抽出及び利用することができる。
【0043】
このシステムは、遠隔地の発電所から必要な位置(都市など)に電力を伝送するための長くて高価な送電線の需要を不要にすることができる。逆に、このシステムは、都市に近い場所に位置することができる。言い換えれば、地熱からエネルギー又は電力を発生させる装置は、都市に近い場所に位置することができるため、長くて高価な送電線が必要ではない。
【0044】
上述のように、地熱エネルギーは、巨大な未実現の潜在的なエネルギーを蓄えている。このシステムは、アルカリ金属105と溶液107を用いて、化学反応を利用して高温岩体を破裂させる。亀裂の発生に伴い、このシステムは、高温岩体を大型ヒートシンクに変換する。水又は他の液体は、高温岩体に圧送され、この位置で加熱されてもよい。その後、加熱された液体は、収集され、エネルギーを抽出するために下流プロセスに使用される。
【0045】
好ましい実施例を参照して本発明を具体的に示して説明したが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態と詳細の様々な変更を行うことができることを理解するであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属を第1坑井の坑内に導入するステップaと、
前記アルカリ金属と発熱反応を起こす溶液を前記第1坑井の坑内に導入するステップbと、
前記発熱反応により、熱岩を破裂させて亀裂を生じさせ、ここで、前記破裂が前記第1坑井と第2坑井との流体連通をもたらすステップcと、
溶液を前記第1坑井に導入し、前記溶液が前記亀裂を介して前記第2坑井に流れるステップdと、を含む少なくとも第1坑井と第2坑井を使用して地熱エネルギーを活用する方法。
【請求項2】
ステップdにおける前記溶液が水を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2坑井から前記溶液を回収するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2坑井から回収された前記溶液が温度を有し、前記第1坑井に導入された前記溶液が温度を有し、前記第2坑井から回収された前記溶液の温度が前記第1坑井に導入された前記溶液の温度よりも高い請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2坑井から回収された前記溶液からの熱を抽出するステップをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1坑井の前記少なくとも一部が熱岩領域に延びている請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記熱岩が花崗岩を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1坑井が出口部分を含み、前記出口部分が熱岩領域に延びている請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記出口部分が穿孔を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アルカリ金属が前記出口部分に堆積している請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アルカリ金属がナトリウム水溶液を含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アルカリ金属を第1坑井の坑内に導入するステップaと、
前記アルカリ金属と発熱反応を起こす溶液を前記第1坑井の坑内に導入するステップbと、
前記発熱反応により熱岩を破裂させて亀裂を生じさせるステップcと、を含む熱岩を破裂させる方法。
【請求項13】
前記第1坑井が出口部分を含み、前記出口部分が熱岩領域に延びている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記出口部分が穿孔を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アルカリ金属が前記出口部分に堆積している請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記アルカリ金属はナトリウムとアンモニアの混合物を含む請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ナトリウムとアンモニアの混合物は液体スラリーを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アルカリ金属はナトリウム金属とアンモニアを含む請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記ナトリウムとアンモニアの混合物は液体スラリーを含む請求項18に記載の方法。
【国際調査報告】