(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-02
(54)【発明の名称】化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20241125BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20241125BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241125BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241125BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20241125BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241125BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/04
A61K8/34
A61K8/81
A61Q1/02
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024538021
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-08-02
(86)【国際出願番号】 IB2021000904
(87)【国際公開番号】W WO2023118913
(87)【国際公開日】2023-06-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502189579
【氏名又は名称】エルブイエムエイチ レシェルシェ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(72)【発明者】
【氏名】キム, ボラ
(72)【発明者】
【氏名】小澤 舞
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB051
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB472
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC332
4C083AD072
4C083AD091
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD261
4C083AD262
4C083AD282
4C083AD301
4C083AD302
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD572
4C083AD662
4C083BB11
4C083CC01
4C083CC02
4C083CC03
4C083CC11
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD39
4C083DD47
4C083EE07
(57)【要約】
(a)水性媒体と、(b)寒天と、微生物または藻類に由来する1種または複数の多糖類と、1種または複数の2~6個の炭素原子の多価アルコールとを含む寒天ビーズと、(c)セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの化合物とを含む化粧料組成物。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水性媒体と、
(b)寒天と、微生物または藻類に由来する1種または複数の多糖類と、1種または複数の2~6個の炭素原子の多価アルコールとを含む寒天ビーズと、
(c)セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの化合物と
を含む化粧料組成物。
【請求項2】
(d)構造単位として(メタ)アクリル酸エステルを含むコポリマーまたはクロスポリマーをさらに含む、請求項1に記載の化粧料組成物。
【請求項3】
前記寒天ビーズ(b)が油剤をさらに含む、請求項1または2に記載の化粧料組成物。
【請求項4】
前記寒天ビーズ(b)中の前記微生物または藻類に由来する多糖類が、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸およびそれらの混合物、好ましくはキサンタンガムおよびジェランガムからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項5】
前記寒天ビーズ(b)中の前記多価アルコールが、ブチレングリコール、1,2-ヘキサンジオールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
前記寒天ビーズ(b)が、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、ブチレングリコールおよび1,2-ヘキサンジオールを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
前記寒天ビーズ(b)が、組成物の総重量の2重量%~15重量%、好ましくは3重量%~10重量%の範囲の含有量で組成物中に存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
前記成分(c)がグリセリルポリ(メタ)アクリレートである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
前記成分(c)が、組成物の総重量の1重量%~13重量%、好ましくは3重量%~10重量%の範囲の総含有量で組成物中に存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
スプレー容器と、前記スプレー容器内に収容される請求項1~9のいずれか一項に記載の化粧料組成物とを含む化粧品。
【請求項11】
ケラチン物質をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法であって、請求項1~10のいずれか一項に定義される化粧料組成物を前記ケラチン物質、特に皮膚に施用するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スキンケア効果およびより美しい外観のために、構成成分として寒天を使用して調製されたビーズ(寒天ビーズ)がクリーム、ローションおよびエッセンスなどの化粧料に添加される。
【技術的課題】
【0003】
しかしながら、従来の寒天ビーズは、寒天と水との間の水素結合によるハードゲル構造を有するため、噴霧可能な製品への使用には不向きである一方、媒体中で噴霧可能な状態を維持したまま寒天ビーズを好適に懸濁させることも困難であり、したがって、寒天ビーズを含む噴霧可能な化粧品はこれまで市販されていない。
【0004】
したがって、寒天ビーズを含有し、噴霧可能な化粧料組成物および化粧品を提供する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、(a)水性媒体と、(b)寒天と、微生物または藻類に由来する1種または複数の多糖類と、2~6個の炭素原子の多価アルコールとを含む寒天ビーズと、(c)セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを含む化粧料組成物を提供する。本発明の化粧料組成物は、寒天と、微生物または藻類に由来する1種または複数の多糖類と、2~6個の炭素原子の多価アルコールとの組み合わせを含む寒天ビーズを含むことにより、噴霧可能な製品への使用に適した特性が付与されるが、セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの組成物への添加により、ビーズをその噴霧性を維持しながら適切に懸濁させることが可能になる。以下、「(a)水性媒体」は単に「成分(a)」と呼ばれることもあり、他の成分についても同様に呼ばれることがある。したがって、(b)寒天と、微生物または藻類に由来する1種または複数の多糖類と、2~6個の炭素原子の多価アルコールとを含む寒天ビーズは、単に「成分(b)」とも呼ばれることもあり、(c)セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物は、単に「成分(c)」と呼ばれることもある。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートを意味する。
【0006】
特定の実施形態では、本発明の化粧料組成物が、(d)構造単位として(メタ)アクリル酸エステルを含むコポリマーまたはクロスポリマーをさらに含む。これにより、組成物中の寒天ビーズのより一層優れた懸濁能力を得ることができる。
【0007】
特定の実施形態では、本発明の化粧料組成物中の寒天ビーズ(b)が油剤をさらに含む。
【0008】
特定の実施形態では、本発明の化粧料組成物の寒天ビーズ(b)中の微生物または藻類に由来する多糖類が、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸、およびそれらの混合物、好ましくはキサンタンガムおよびジェランガムからなる群から選択される。これにより、より一層優れた噴霧性が得られる。
【0009】
特定の実施形態では、本発明の化粧料組成物の寒天ビーズ(b)中の多価アルコールが、ブチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、およびそれらの混合物から選択される。これにより、より一層優れた噴霧性が得られる。
【0010】
本発明はまた、スプレー容器と、スプレー容器内に含有される本発明の化粧料組成物とを含む化粧品に関する。
【0011】
本発明はまた、ケラチン物質をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法であって、本発明の化粧料組成物をケラチン物質、特に皮膚に施用するステップを含む方法に関する。
【発明の有利な効果】
【0012】
本発明によれば、寒天ビーズを含有し、噴霧可能な化粧料組成物を提供することが可能である。本発明の化粧料組成物は、優れた噴霧性および寒天ビーズの優れた懸濁能力を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、本発明の好ましい実施形態を説明するが、これらの実施形態は決して本発明を限定するものではないことが理解される。
【0014】
水性媒体(成分(a))
本発明の化粧料組成物は、(a)水性媒体を含有する。
【0015】
ある実施形態によれば、水性媒体は水のみからなる。本発明の文脈で使用される水は、蒸留水、精製水、温泉水、深層水、またはラベンダー水、バラ水、オレンジ花水などの植物由来蒸気蒸留水、またはそれらの混合物であり得る。
【0016】
別の実施形態によれば、水性媒体は水を含み、水に可溶性の溶媒をさらに含む。水に可溶性の溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールおよびフェノキシエタノールなどのモノアルコール、ならびにエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)、ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)、1,2-ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトールおよびそれらの混合物などの多価アルコールが挙げられる。ある実施形態によれば、水性媒体(a)は、水および少なくとも1種の溶媒を含む。他の実施形態によれば、水性媒体(a)は、水および2種以上の溶媒を組み合わせて含む。好ましい実施形態によれば、水性媒体は、水、1,3-プロパンジオール、ペンチレングリコールおよびグリセリンを含む。
【0017】
水性媒体の含有量は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは60~95重量%、より好ましくは60~80重量%の範囲である。
【0018】
寒天ビーズ(成分(b))
本発明の化粧料組成物は、(b)寒天と、微生物または藻類に由来する1種または複数の多糖類と、2~6個の炭素原子の多価アルコールとを含む寒天ビーズをさらに含む。
【0019】
本明細書を通して、「寒天ビーズ」とは、構成成分として少なくとも寒天を含有する球状または回転楕円状のコロイド粒子を指す。本発明の寒天ビーズは、寒天に加えて、微生物または藻類に由来する1種または複数の多糖類と、2~6個の炭素原子の多価アルコールとを含有するため、このことが寒天と水との間の水素結合によるハードゲル構造の形成を妨げ、ゾル構造を有するコロイド粒子をもたらし、コロイド粒子が噴霧中に容易に崩壊するのを可能にし、それによって、噴霧性が得られると推測される。
【0020】
寒天ビーズ中の寒天の含有量は、寒天ビーズの総重量に基づいて、好ましくは0.1~0.9重量%、より好ましくは0.3~0.6重量%の範囲である。
【0021】
本明細書で使用される場合、「微生物に由来する多糖類」とは、微生物によって産生される物質を精製および加工することによって得られる多糖類を意味する。微生物に由来する多糖類の例としては、キサンタンガム、ジェランガム、スクレロチウムガム、アルカリゲネス(Alcaligenes)由来多糖類、シロキクラゲ(Tremella fuciformis)由来多糖類、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「藻類に由来する多糖類」とは、藻類によって産生される物質を精製および加工することによって得られる多糖類を意味する。藻類に由来する多糖類の例としては、アルギン酸およびその塩(ナトリウム塩およびカリウム塩など)、フコイダン、アスコフィラン、ポルフィリン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0023】
好ましい実施形態によれば、微生物または藻類に由来する多糖類は、より優れた噴霧性のために、好ましくは、キサンタンガム、ジェランガム、アルギン酸またはその塩、およびそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、キサンタンガム、ジェランガムおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
寒天ビーズ中の微生物または藻類に由来する多糖類の含有量は、寒天ビーズの総重量に基づいて、好ましくは0.01~0.3重量%、より好ましくは0.03~0.25重量%の範囲である。
【0025】
2~6個の炭素原子の多価アルコールの例としては、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)、ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)、1,2-ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、およびそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、成分(b)は、2~6個の炭素原子の単一種類の多価アルコールを含む。他の実施形態によれば、成分(b)は、2~6個の炭素原子の2つ以上の異なる種類の多価アルコールを組み合わせて含む。好ましい実施形態では、2~6個の炭素原子の多価アルコールが、より優れた噴霧性のために、ブチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態では、寒天ビーズ(b)が、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、ブチレングリコールおよび1,2-ヘキサンジオールを含む。
【0026】
寒天ビーズ中の2~6個の炭素原子の多価アルコールの含有量は、寒天ビーズの総重量に基づいて、好ましくは7~45重量%、より好ましくは10~42重量%の範囲である。
【0027】
特定の実施形態では、本発明の寒天ビーズが油剤をさらに含有する。このような油剤としては、ヘリアンサス・アナス(Helianthus Annus)(ヒマワリ)種子油、アルガニアスピノサ核油(Argania Spinosa Kernel Oil)、シムモンジア・チネンシス(Simmondsia Chinensis)(ホホバ)種子油、リムナンテス・アルバ(Limnanthes Alba)(メドウフォーム)種子油、スクアラン、オクタデカン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0028】
寒天ビーズ中の油剤の含有量は、寒天ビーズの総重量に基づいて、好ましくは0.5~10重量%の範囲、より好ましくは1~6重量%の範囲である。
【0029】
本発明の寒天ビーズは、上記の成分に加えて、水、構造単位として(メタ)アクリロイルアルキルタウリンまたはその塩を含有するポリマー(例えば、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー)、乳化剤(例えば、水添レシチンおよびポリソルベート)、粉末(例えば、合成フルオロフロゴパイトまたは顔料)、およびそれらの混合物をさらに含み得る。
【0030】
寒天ビーズの含有量は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは2~15重量%、より好ましくは3~10重量%の範囲である。
【0031】
本発明の寒天ビーズのサイズは、それらのサイズが寒天ビーズの噴霧性を可能にし、寒天ビーズが組成物中に懸濁したままである限り、特に制限されない。好ましい実施形態では、平均粒径は、好ましくは0.3mm~1.5mm、より好ましくは0.5mm~1mmの範囲である。平均粒径は、ふるいを使用して測定および調整され得る。
【0032】
セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの化合物(成分(c))
本発明による化粧料組成物は、(c)セルロース、グリセリルポリ(メタ)アクリレート、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含む。
【0033】
セルロースは、セルロース粉末または結晶セルロースであり得る。好ましい実施形態では、セルロースが結晶セルロースである。これにより、本発明の組成物中の寒天ビーズのより一層優れた懸濁能力が可能になる。
【0034】
グリセリルポリ(メタ)アクリレートは、グリセリルポリアクリレートまたはグリセリルポリメタクリレートであり得る。好ましい実施形態では、グリセリルポリ(メタ)アクリレートがグリセリルポリアクリレートである。これにより、本発明の組成物中の寒天ビーズのより一層優れた懸濁能力が可能になる。
【0035】
ある実施形態によれば、本発明の化粧料組成物は、セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートから選択される単一種類の成分(c)を含む。他の実施形態によれば、成分(c)は、セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートから選択される2つ以上の種類の成分(c)を組み合わせて含む。好ましい実施形態では、グリセリルポリ(メタ)アクリレートが好適には本発明の組成物中の寒天ビーズのより一層優れた懸濁能力を可能にするので、成分(c)がグリセリルポリ(メタ)アクリレートである。
【0036】
セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートの総含有量は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは1~13重量%、より好ましくは3~10重量%の範囲である。
【0037】
構造単位として(メタ)アクリル酸エステルを含有するコポリマーまたはクロスポリマー(成分(d))
本発明の化粧料組成物は、構造単位として(メタ)アクリル酸エステルを含むコポリマーまたはクロスポリマーをさらに含み得る。これにより、本発明の組成物中の寒天ビーズのより一層優れた懸濁能力を提供することができる。
【0038】
構造単位として(メタ)アクリル酸エステルを含むコポリマーまたはクロスポリマーの例としては、(アクリレート/C10-30アルキルアクリレート)クロスポリマー、(アクリレート/エチルヘキシルアクリレート)コポリマー、(アクリレート/ステアレス-20メタクリレート)コポリマー、(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレート)コポリマー、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、本発明の化粧料組成物は、(アクリレート/C10-30アルキルアクリレート)クロスポリマーをさらに含む。これにより、本発明の組成物中の寒天ビーズのより一層優れた懸濁能力が可能になる。
【0039】
構造単位として(メタ)アクリル酸エステルを含むコポリマーまたはクロスポリマーの含有量は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.01~1重量%、より好ましくは0.03~0.5重量%の範囲である。
【0040】
本発明の化粧料組成物はまた、これらの成分に加えて、各種効果を付与するために適宜添加される、pH調整剤(アルカリ金属水酸化物など)、キレート剤、抗酸化剤、退色防止剤、保存剤、油剤以外の活性成分、安定剤、香料、およびそれらの混合物を含有し得る。
【0041】
特定の実施形態では、本発明の化粧料組成物用の寒天ビーズが、少なくとも以下のステップを含む方法に従って調製される
ステップ1)成分(b)に含まれる全ての成分を秤量し、高温(例えば、85~90℃)で混合する、
ステップ2)冷却後、混合物を低温(例えば、5~10℃)で鉱油中に滴加する、および
ステップ3)得られた寒天ビーズを、ふるいを通して水ですすぐ。
[0042]特定の実施形態では、本発明の化粧料組成物が、少なくとも以下のステップを含む方法に従って調製される
ステップ1)成分(a)、成分(c)、その他の増粘剤および成分(d)の各成分を70~90℃(好ましくは80℃)で混合する、
ステップ2)混合物を50~60℃(好ましくは55℃)に冷却した後、必要に応じてpH調整剤(例えば、アルカリ金属水酸化物)を添加し、混合物を50~60℃(好ましくは55℃)で撹拌する、
ステップ3)混合物を室温に冷却した後、成分(b)を添加し、混合物を室温で撹拌する。
【0042】
本発明の化粧料組成物は、皮膚化粧料として使用することができ、好ましくは皮膚(頭皮を除く)に使用され、より好ましくは顔および/または身体に使用される。本実施形態の化粧料組成物は、優れた噴霧性を有するため、噴霧容器内に収容され、使用中に噴霧されるミスト型化粧水製品として使用することができる。
【0043】
本発明はまた、スプレー容器と、スプレー容器内に収容される本発明の化粧料組成物とを含む化粧品を提供する。
【0044】
本発明の化粧料組成物を収容する噴霧容器は、例えば、トリガー式噴霧容器またはポンプ式噴霧容器であり得る。噴霧容器の材料は特に限定されず、例えば、ガラスまたはプラスチックであり得る。噴霧容器は、容器内容物を目に見えるようにする透明容器であってもよいし、または容器の内部を目に見えにくくする不透明容器であってもよい。
【0045】
本発明の化粧料は、例えば、化粧料組成物をスプレー容器に直接充填することによって、製造することができる。
【0046】
本発明はまた、ケラチン物質をケアおよび/またはメイクアップするための化粧方法であって、本発明の化粧料組成物をケラチン物質、特に皮膚に施用するステップを含む方法を提供する。
【実施例】
【0047】
ここで本発明を以下の実施例を通して具体的に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではないことが理解される。特に明記しない限り、パーセンテージ値は、組成物の総重量当たりの化合物の重量に関して表される。
【0048】
(1)寒天ビーズの調製
表1に列挙される組成に基づいて、以下の方法によって寒天ビーズを調製した。全ての成分を秤量し、85~90℃で混合した。冷却後、混合物を5~10℃の鉱油中に滴加し、次いで、得られた寒天ビーズを、ふるいを通して水ですすいだ。「寒天ビーズ1」および「寒天ビーズ2」は本発明によるものである(成分(b))が、「寒天ビーズ3」は比較例である。セルロースビーズ(別の比較例)については、表2に示される組成を有する市販品(Givaudan社製のUNISPHERES NT-2502)を使用した。
【0049】
【0050】
【0051】
(2)化粧料組成物の調製
表3に列挙される組成に基づいて、以下の方法によって化粧料組成物を調製した。
成分(a)、成分(c)、その他の増粘剤および成分(d)の各成分を80℃で混合した。混合物を55℃に冷却した後、水酸化ナトリウムを添加し、混合物を55℃で撹拌した。混合物を室温に冷却した後、成分(b)を添加し、混合物を室温で撹拌して組成物を得た。実施例1~8の組成物は本発明によるものである。
【0052】
(3)噴霧性の評価
各組成物を、ノズルを備えたポンプ型スプレー容器に充填し、次いで、容器内の組成物をプラスチックプレート上に10回噴霧させて、ビーズがノズルに詰まるかどうかおよびスプレーが均一で一貫しているかどうかを確認した。各組成物を以下の表記A~Cに従って等級分けした。
A:ビーズがノズルに詰まらず、噴霧されたミストは均一であり、閉塞も凝集も観察されなかった。
B:ビーズがノズルに詰まらず、噴霧されたミストは均一であったが、ビーズによるわずかな凝集が観察された。
C:ビーズがノズルに詰まったか、または噴霧されたミストが不均一で一貫していなかった。
AまたはBの表記を有する実施例は、良好な噴霧性の特性を有し、本発明の文脈において許容される。
【0053】
(4)懸濁能力の評価
各組成物を透明容器に注ぎ入れ、次いで、組成物中のビーズの懸濁状態を1か月間観察した。各組成物を以下の表記A~Cに従って等級分けした。
A:ビーズが室温で1か月後に沈降しない。
B:ビーズが室温で1日後に沈降しない。
C:ビーズが室温で1日後に沈降する。
AまたはBの表記を有する実施例は、良好な懸濁能力の特性を有し、本発明の文脈において許容される。
【0054】
【0055】
【0056】
表3aに示される結果は、(a)水性媒体と、(b)寒天と、微生物または藻類に由来する1種または複数の多糖類と、1種または複数の2~6個の炭素原子の多価アルコールとを含む寒天ビーズと、(c)セルロースおよびグリセリルポリ(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1つの化合物との組み合わせが、優れた噴霧性および懸濁能力を有する化粧料組成物を提供することを示している。比較して、比較例の組成物(表3b)は、良好な噴霧性も良好な懸濁能力も有さない。特に、成分(b)の化合物はビーズの噴霧性に重要であり、成分(c)の化合物はビーズの懸濁能力に重要であることが実施例に概説されている。
【国際調査報告】