(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】半田リボン部材、その製造方法、及び太陽光発電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20241126BHJP
【FI】
H01L31/04 570
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510527
(86)(22)【出願日】2023-03-29
(85)【翻訳文提出日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2023084853
(87)【国際公開番号】W WO2024087506
(87)【国際公開日】2024-05-02
(31)【優先権主張番号】202211339959.9
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524004179
【氏名又は名称】安徽▲華▼晟新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI HUASUN ENERGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 99 Qingliu Road, Xuancheng Economic And Technological Development Zone, Xuancheng, Anhui, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郭▲チー▼
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼瑞芝
(72)【発明者】
【氏名】▲コン▼道仁
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251EA19
(57)【要約】
本願は、半田リボン部材、その製造方法、及び太陽光発電モジュールを提供する。半田リボン部材は、第1半田リボンセグメントと、第2半田リボンセグメントと、接続セグメントと、を含み、接続セグメントは、第1半田リボンセグメントと第2半田リボンセグメントとの間に位置し、第1半田リボンセグメントは、表面に有窪みが設けられている第1半田リボン本体と、少なくとも窪みの内壁の表面に位置する第1半田付けコーティングと、を含む。本願の半田リボン部材は、半田付けコーティングの厚さを大きくすることで半田付け引張力を向上させるとともに、厚さを合理的に制御して、セルの割れを防止し、しかも、高密度実装を図ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田リボン部材であって、
第1半田リボンセグメントと、第2半田リボンセグメントと、接続セグメントと、を含み、前記接続セグメントは前記第1半田リボンセグメントと前記第2半田リボンセグメントとの間に位置し、
前記第1半田リボンセグメントは、表面に窪みが設けられている第1半田リボン本体と、少なくとも前記窪みの内壁の表面に位置する第1半田付けコーティングと、を含むことを特徴とする半田リボン部材。
【請求項2】
前記第1半田リボン本体は、前記第1半田リボン本体の長手方向に垂直な第1断面を有し、前記第1断面の外縁線が第1縁区間と、前記第1縁区間に接続された第2縁区間と、を含み、前記第1縁区間は前記窪みの内壁の表面に位置し、前記第2縁区間は前記窪みの両端にある前記第1半田リボン本体の外面に位置し、
任意に、前記第1縁区間の形状は、円弧形、「V」字形又は台形を含み、
任意に、前記第2縁区間の形状は、円弧形、三角形、台形又は矩形を含み、
任意に、前記窪みの深さは、前記第2縁区間上の任意の両点間の最大距離の半分以下であり、
任意に、前記第2縁区間上の任意の両点間の最大距離は250μm~350μmであり、
任意に、前記第1縁区間と前記第2縁区間との2つの交差点の間の距離は、前記第1半田リボン本体の最大幅以下であり、
任意に、前記第1縁区間の形状は「V」字形であり、前記第1縁区間の底角が、0°よりも大きく、180°未満であることを特徴とする請求項1に記載の半田リボン部材。
【請求項3】
前記第2半田リボンセグメントは、少なくとも半田付け面が平面であり、前記半田付け面及び前記窪みが、それぞれ、前記半田リボン部材の高さ方向における上側面及び下側面に位置する第2半田リボン本体と、少なくとも前記第2半田リボン本体の半田付け面に位置する第2半田付けコーティングと、を含み、
任意に、前記第2半田リボン本体の前記第2半田リボン本体の長手方向に垂直な断面の形状は矩形又は台形を含み、
任意に、前記第2半田リボン本体の高さ方向における下面は弧形面であり、
任意に、前記第2半田リボン本体の高さ方向の寸法が、前記第1半田リボン本体の高さ方向の最大寸法未満であり、
任意に、前記第2半田リボン本体の高さ方向の寸法が、130μm~200μmであることを特徴とする請求項1に記載の半田リボン部材。
【請求項4】
前記接続セグメントは、一端が前記第1半田リボンセグメントの一端に接続され、他端が前記第2半田リボンセグメントの一端に接続され、
任意に、前記接続セグメントの厚さが、前記第1半田リボンセグメントから前記第2半田リボンセグメントに向かうに従って漸減し、
任意に、前記接続セグメントの前記窪みとは反対側が傾斜面であることを特徴とする請求項3に記載の半田リボン部材。
【請求項5】
前記第1半田付けコーティングの融点が、前記第1半田リボン本体の融点よりも小さく、
任意に、前記第1半田付けコーティングは、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング又は第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティングを含み、
任意に、前記第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫のモル比は、40%以上50%未満であり、前記第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中のビスマスのモル比は、40%以上50%未満であり、前記第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の鉛のモル比は0よりも大きく20%以下であり、
任意に、前記第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び鉛のモル比は、4:4:2又は43:43:14であり、
任意に、前記第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫のモル比は、40%以上50%未満であり、前記第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中のビスマスのモル比は40%以上50%未満であり、前記第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の銀のモル比は0よりも大きく20%以下であり、
任意に、前記第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び銀のモル比は、4:4:2又は43:43:14であり、
任意に、前記第1半田付けコーティングの厚さは20μm~30μmであることを特徴とする請求項1に記載の半田リボン部材。
【請求項6】
前記第2半田付けコーティングの融点が、前記第2半田リボン本体の融点よりも小さく、
前記第2半田付けコーティングは、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング又は第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティングを含み、
任意に、前記第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫のモル比は40%以上50%未満であり、前記第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中のビスマスのモル比は40%以上50%未満であり、前記第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の鉛のモル比は、0よりも大きく20%以下であり、
任意に、前記第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び鉛のモル比は、4:4:2又は43:43:14であり、
任意に、前記第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫のモル比は40%以上50%未満であり、前記第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中のビスマスのモル比は40%以上50%未満であり、前記第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の銀のモル比は、0よりも大きく20%以下であり、
任意に、前記第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び銀のモル比は、4:4:2又は43:43:14であり、
任意に、前記第2半田付けコーティングの厚さは15μm~22μmであることを特徴とする請求項3に記載の半田リボン部材。
【請求項7】
半田リボン部材の製造方法であって、
第1半田リボンセグメント、第2半田リボンセグメント、及び前記第1半田リボンセグメントと前記第2半田リボンセグメントとの間に位置する接続セグメントを形成するステップを含み、
前記第1半田リボンセグメントを形成する方法は、第1半田リボンセグメント上に第1半田リボン本体を形成し、前記第1半田リボン本体の表面に窪みを形成するステップと、少なくとも前記窪みの内壁の表面に第1半田付けコーティングを形成するステップと、を含むことを特徴とする半田リボン部材の製造方法。
【請求項8】
前記接続セグメントは、一端が前記第1半田リボンセグメントの一端に接続され、他端が前記第2半田リボンセグメントの一端に接続され、
任意に、前記第2半田リボンセグメントを形成する方法は、第2半田リボンセグメント上に第2半田リボン本体を形成するステップであって、少なくとも前記第2半田リボン本体の半田付け面が平面であり、前記半田付け面及び前記窪みが、それぞれ、前記半田リボン部材の高さ方向における上側面及び下側面に位置する、ステップと、少なくとも前記第2半田リボン本体の半田付け面に第2半田付けコーティングを形成するステップと、を含み、
任意に、少なくとも前記第2半田リボン本体の半田付け面に第2半田付けコーティングを形成する方法は、少なくとも前記第2半田リボン本体の半田付け面に第2初期半田付け膜を形成するステップと、前記第2初期半田付け膜を硬化して、前記第2半田付けコーティングを形成するステップと、を含み、
第1半田リボン本体を形成するプロセス及び第2半田リボン本体と接続セグメントを形成するプロセスは圧延プロセスを含むことを特徴とする請求項7に記載の半田リボン部材の製造方法。
【請求項9】
少なくとも前記窪みの内壁の表面に第1半田付けコーティングを形成する方法は、
前記窪みの内壁の表面に第1初期半田付け膜を形成するステップと、
前記第1初期半田付け膜を仕上げ処理して、第1初期半田付け膜の厚さを均一にするステップと、
前記仕上げ処理後、第1初期半田付け膜を硬化して、前記第1半田付けコーティングを形成するステップと、を含むことを特徴とする請求項7に記載の半田リボン部材の製造方法。
【請求項10】
太陽光発電モジュールであって、
複数のセルと、
隣接する前記セルを直列接続する請求項1~6のいずれか1項に記載の半田リボン部材と、を含み、
任意の隣接する2つのセルでは、前記第1半田リボン本体は第1半田付けコーティングを介して一方のセルの受光面側に半田付けされ、
任意に、前記半田リボン部材は第2半田リボンセグメントをさらに含み、前記第2半田リボンセグメントは、少なくとも半田付け面が平面であり、前記半田付け面及び前記窪みが、それぞれ、前記半田リボン部材の高さ方向における上側面及び下側面に位置する第2半田リボン本体と、少なくとも前記第2半田リボン本体の半田付け面に位置する、融点が前記第2半田リボン本体の融点よりも小さい第2半田付けコーティングと、を含み、任意の隣接する2つのセルでは、前記第2半田リボン本体は第2半田付けコーティングを介して他方のセルの裏面側に半田付けされることを特徴とする太陽光発電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年10月27日に中国特許庁に提出された、出願番号が202211339959.9、発明の名称が「半田リボン部材、その製造方法、及び太陽光発電モジュール」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、太陽電池の分野に関し、具体的には、半田リボン部材、その製造方法、及び太陽光発電モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
太陽電池(Solar Cell)は、太陽光を吸収することにより、太陽放射エネルギーを光電効果や光化学効果により直接又は間接的に電気エネルギーに変換する装置である。太陽電池セルを作製した後、太陽電池セルを半田リボン部材で半田付けしてセルストリングを構成し、このセルストリングを太陽電池モジュールとする。ヘテロ接合電池は、近年業界で大きな注目を集めている高効率技術手段として、高い光電変換効率、優れた性能、大幅なコスト削減余地により、将来の電池技術の究極のソリューションとして業界に認められており、業界内で次世代商業太陽光発電生産の最先端技術と呼ばれている。しかし、ヘテロ接合電池は、透明導電層(Transparent Conducting Oxide、TCOと略称)などの導電層の特殊な性質に制限され、例えば、錫ドープ酸化インジウム(Indium Tin Oxide、ITOと略称)は、高温に敏感であるので、低温半田付け技術を組み合わせる必要があり、その結果として、製作コストが高く、ヘテロ接合電池の発展を制限してしまう。ヘテロ接合電池の製造プロセスの温度が低いという制限のため、より高価格の低温錫-鉛-ビスマス成分の半田リボンしか採用できない一方、企業はコスト削減のため、限られたサイズの範囲内でより多くのセルを組み込むことで発電効率を向上させる「高密度実装」の実現に取り込んでおり、ワット当たりのコスト上昇をより高い発電効率で分担すると考えている。
【0004】
通常の半田リボン部材は、完全な丸ワイヤであり、丸ワイヤ形状の半田リボン部材とセルとの接触面積が小さすぎるため、導電性が制限され、半田付け引張力が不十分で、半田付け後にボイドはんだ付けやシーリングオフが発生しやすく、太陽光発電モジュールの一次成形率を低下させてしまう。また、半田リボン部材上の半田付けコーティングが溶融すると、セルの銀ペーストスポットの位置で凝集して溶融凝集体を形成し、半田リボン部材とセルとの間に隙間がある場合、この溶融凝集体が凝縮して不規則な異物点となる。このような異物点は、半田リボン部材によって直列に接続されたセルを上層ガラスで被覆し、ラミネーターを使用してラミネート処理する際に、セルが単一点で力を受ける可能性を大幅に増加させ、隠れ割れを引き起こすことがある。そのため、現在では、十分な接触面積を確保するために、半田付けコーティングの厚さを厚くする方法が一般的に採用されている。しかし、低温半田リボンの錫-鉛-ビスマスコーティングの厚さは、従来の不動態化エミッタリアセル(Passivated Emitterand Rear Cell、PERCと略称)用の半田リボンコーティングの厚さよりも5μm以上大きくなっており、半田付けコーティングの厚さを厚くすると、異物点の体積が増加し、セルの割れの問題が深刻になる。
【0005】
そのため、半田付けコーティングの厚さを大きくすることで半田付け引張力を向上させるとともに、厚さを合理的に制御して、割れを防止し、しかも、高密度実装を図ることができる半田付けの技術的解決手段が期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本願が解決しようとする技術的課題は、従来技術における半田リボン部材のセルに対する半田付け引張力が不十分で、セルの割れが発生しやすいという問題を解決し、しかも、高密度実装技術を実現するために、半田リボン部材、その製造方法、及び太陽光発電モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1態様では、
第1半田リボンセグメントと、第2半田リボンセグメントと、接続セグメントと、を含み、接続セグメントは第1半田リボンセグメントと第2半田リボンセグメントとの間に位置し、
第1半田リボンセグメントは、表面に窪みが設けられている第1半田リボン本体と、少なくとも窪みの内壁の表面に位置する第1半田付けコーティングと、を含む半田リボン部材を提供する。
【0008】
任意に、第1半田リボン本体は、第1半田リボン本体の長手方向に垂直な第1断面を有し、第1断面の外縁線が第1縁区間と、第1縁区間に接続された第2縁区間と、を含み、第1縁区間は窪みの内壁の表面に位置し、第2縁区間は前記窪みの両端にある第1半田リボン本体の外面に位置する。
【0009】
任意に、第1縁区間の形状は、円弧形、「V」字形又は台形を含む。
【0010】
任意に、前記第第2縁区間の形状は、円弧形、三角形、台形又は矩形を含む。
【0011】
任意に、窪みの深さは、第2縁区間上の任意の両点間の最大距離の半分以下である。
【0012】
任意に、第2縁区間上の任意の両点間の最大距離は250μm~350μmである。
【0013】
任意に、第1縁区間と第2縁区間との2つの交差点の間の距離は、第1半田リボン本体の最大幅以下である。
【0014】
任意に、第1縁区間の形状は「V」字形であり、第1縁区間の底角が、0°よりも大きく、180°未満である。
【0015】
任意に、第2半田リボンセグメントは、少なくとも半田付け面が平面であり、半田付け面及び窪みが、それぞれ、半田リボン部材の高さ方向における上側面及び下側面に位置する第2半田リボン本体と、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に位置する第2半田付けコーティングと、を含む。
【0016】
任意に、第2半田リボン本体の第2半田リボン本体の長手方向に垂直な断面の形状は矩形又は台形を含む。
【0017】
任意に、第2半田リボン本体の高さ方向における下面は弧形面である。
【0018】
任意に、第2半田リボン本体の高さ方向の寸法が、第1半田リボン本体の高さ方向の最大寸法未満である。
【0019】
任意に、第2半田リボン本体の高さ方向の寸法が、130μm~200μmである。
【0020】
任意に、接続セグメントは、一端が第1半田リボンセグメントの一端に接続され、他端が第2半田リボンセグメントの一端に接続される。
【0021】
任意に、接続セグメントの厚さが、第1半田リボンセグメントから第2半田リボンセグメントに向かうに従って漸減する。
【0022】
任意に、接続セグメントの窪みとは反対側が傾斜面である。
【0023】
任意に、第1半田付けコーティングの融点が、第1半田リボン本体の融点よりも小さい。
【0024】
任意に、第1半田付けコーティングは、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング又は第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティングを含む。
【0025】
任意に、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫のモル比は、40%以上50%未満であり、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中のビスマスのモル比は、40%以上50%未満であり、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の鉛のモル比は0よりも大きく20%以下である。
【0026】
任意に、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び鉛のモル比は、4:4:2又は43:43:14である。
【0027】
任意に、第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫のモル比は、40%以上50%未満であり、第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中のビスマスのモル比は40%以上50%未満であり、第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の銀のモル比は0よりも大きく20%以下である。
【0028】
任意に、第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び銀のモル比は、4:4:2又は43:43:14である。
【0029】
任意に、第1半田付けコーティングの厚さは20μm~30μmである。
【0030】
任意に、第2半田付けコーティングの融点が、第2半田リボン本体の融点よりも小さい。
【0031】
任意に、第2半田付けコーティングは、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング又は第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティングを含む。
【0032】
任意に、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫のモル比は40%以上50%未満であり、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中のビスマスのモル比は40%以上50%未満であり、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の鉛のモル比は、0よりも大きく20%以下である。
【0033】
任意に、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び鉛のモル比は、4:4:2又は43:43:14である。
【0034】
任意に、第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫のモル比は40%以上50%未満であり、第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中のビスマスのモル比は40%以上50%未満であり、第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の銀のモル比は、0よりも大きく20%以下である。
【0035】
任意に、第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び銀のモル比は、4:4:2又は43:43:14である。
【0036】
任意に、第2半田付けコーティングの厚さは15μm~22μmである。
【0037】
本願の第2態様では、
第1半田リボンセグメント、第2半田リボンセグメント、及び第1半田リボンセグメントと第2半田リボンセグメントとの間に位置する接続セグメントを形成するステップを含み、
第1半田リボンセグメントを形成する方法は、第1半田リボンセグメント上に第1半田リボン本体を形成し、第1半田リボン本体の表面に窪みを形成するステップと、少なくとも窪みの内壁の表面に第1半田付けコーティングを形成するステップと、を含む半田リボン部材の製造方法を提供する。
【0038】
任意に、接続セグメントは、一端が第1半田リボンセグメントの一端に接続され、他端が第2半田リボンセグメントの一端に接続される。
【0039】
任意に、第2半田リボンセグメントを形成する方法は、第2半田リボンセグメント上に第2半田リボン本体を形成するステップであって、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面が平面であり、半田付け面及び窪みが、それぞれ、半田リボン部材の高さ方向における上側面及び下側面に位置する、ステップと、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に第2半田付けコーティングを形成するステップと、を含む。
【0040】
任意に、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に第2半田付けコーティングを形成する方法は、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に第2初期半田付け膜を形成するステップと、第2初期半田付け膜を硬化して、第2半田付けコーティングを形成するステップと、を含む。
【0041】
任意に、第1半田リボン本体を形成するプロセス及び第2半田リボン本体と接続セグメントを形成するプロセスは圧延プロセスを含む。
【0042】
任意に、少なくとも窪みの内壁の表面に第1半田付けコーティングを形成する方法は、
窪みの内壁の表面に第1初期半田付け膜を形成するステップと、
第1初期半田付け膜を仕上げ処理して、第1初期半田付け膜の厚さを均一にするステップと、
仕上げ処理後、第1初期半田付け膜を硬化して、第1半田付けコーティングを形成するステップと、を含む。
【0043】
本願の第3態様では、複数のセルと、
隣接するセルを直列接続する前記半田リボン部材と、を含み、
任意の隣接する2つのセルでは、第1半田リボン本体は第1半田付けコーティングを介して一方のセルの受光面側に半田付けされる太陽光発電モジュールを提供する。
【0044】
任意に、半田リボン部材は第2半田リボンセグメントをさらに含み、第2半田リボンセグメントは、少なくとも第半田付け面が平面であり、半田付け面及び窪みが、それぞれ、半田リボン部材の高さ方向における上側面及び下側面に位置する第2半田リボン本体と、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に位置する、融点が第2半田リボン本体の融点よりも小さい第2半田付けコーティングと、を含み、任意の隣接する2つのセルでは、第2半田リボン本体は第2半田付けコーティングを介して他方のセルの裏面側に半田付けされる。
【発明の効果】
【0045】
本願の技術方案は以下の利点がある。
1.本願の半田リボン部材は、第1半田リボンセグメントを含み、第1半田リボンセグメントは、表面に窪みが設けられている第1半田リボン本体と、少なくとも窪みの内壁の表面に位置する第1半田付けコーティングと、を含む。本願の半田リボン部材は、第1半田リボン本体の表面における窪みによって半田付けられた第1半田リボン本体とセルとを面接触させ、半田リボン部材とセルとの接触面積を増大させることで、半田リボン部材とセルとの間の吸着力が悪く、易シーリングオフが発生しやすいという問題を解決することができる一方、半田付けを行う際には、余分な熔融した第1半田付けコーティングを窪みの内部に蓄積し、半田付けを行う際に第1半田付けコーティングが熔融して半田リボン部材とセルとの間に蓄積され、鋭い凸起構造が形成され、セルが割れることを回避できる。
2.本願の半田リボン部材の第1半田リボン本体の窪みは、円弧形、「V」字形又は台形など、様々な形状であってもよく、窪みの形状は、具体的な適用場面に応じて設計されてもよいため、適用性が高い。
3.本願の半田リボン部材は第2半田リボンセグメントをさらに含み、第2半田リボンセグメントは、少なくとも半田付け面が平面である第2半田リボン本体と、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に位置する第2半田付けコーティングと、を含む。第2半田リボン本体の半田付け面が平面であることによって、半田リボン部材とセルとの接触面積を増大し、半田リボン部材とセルとの間の吸着力が低く、シーリングオフが発生しやすいという問題を解決する一方、半田付け面に第2半田付けコーティングを薄く形成しても、半田リボン部材とセルとの間の吸着力を確保し、第2半田付けコーティングの材料を節約し、コストを削減させることができる。
4.本願の太陽光発電モジュールは上記半田リボン部材を含み、前記第2半田リボン本体の高さ方向の寸法が、前記第1半田リボン本体の高さ方向の最大寸法よりも小さく、第2半田付けコーティングの厚さが小さいほど、第2半田リボンセグメントの高さ方向の全体寸法が小さく、それによって、第1半田リボンセグメントと第2半田リボンセグメントとの間の距離を小さくし、セル同士の間隔を小さくし、高密度実装を実現するとともに、第2半田付けコーティングの使用コストを削減させる目的を達成させ、太陽光発電モジュールの有効面積を増大させる。
【0046】
本願の具体的な実施形態又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用する必要がある図面について簡単に説明するが、以下の説明における図面は本願の一部の実施形態であり、当業者にとって創造的な労力を払うことなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本願の実施例の半田リボン部材の構造模式図である。
【
図2】本願の実施例の第1半田リボンセグメントの断面図である。
【
図3】本願の実施例の第1半田リボンセグメントの断面図である。
【
図4】本願の実施例の第1半田リボンセグメントの断面図である。
【
図5】本願の実施例の第1半田リボンセグメントの断面図である。
【
図6】本願の実施例の第1半田リボンセグメントの断面図である。
【
図7】本願の実施例の第2半田リボンセグメントの断面図である。
【
図8】本願の実施例の第2半田リボンセグメントの断面図である。
【
図9】本願の実施例の第2半田リボンセグメントの断面図である。
【
図10】本願の実施例の第2半田リボンセグメントの断面図である。
【
図11】本願の実施例の第2半田リボンセグメントの断面図である。
【
図12】本願の実施例の第2半田リボンセグメントの断面図である。
【
図13】本願の実施例の太陽光発電モジュールの一部の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下では、図面を参照して、本願の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、説明される実施例は本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことは明らかである。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わずに取得した他のすべての実施例は、本願の保護範囲に属する。
【0049】
なお、本願の説明において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、単に本願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、特定の方位を有したり、特定の方位で構成され、動作しなければならないことを指示又は暗示するものではなく、したがって本願を限定するものとは理解されない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」という用語は、説明の目的のためだけに使用され、相対的重要性を示すもの又は暗示するものとして理解されることはない。
【0050】
なお、本明細書の説明において、特に明示的な規定及び限定がない限り、用語「取り付ける」、「連結」、「接続」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、着脱可能接続、又は一体的接続であってもよいし、機械的接続、電気的接続であってもよいし、直接連結、又は中間媒体を介した間接的な連結、又は2つのコンポーネントの内部連通であってもよい。本明細書における上記用語の具体的な意味は、当業者にとっては、状況に応じて理解することができる。
【0051】
また、以下に説明する本願の各実施形態に係る技術的特徴は、相互に矛盾しない限り、相互に組み合わせられてもよい。
【0052】
実施例1
図1及び
図2に示すように、本実施例は、第1半田リボンセグメント100と、第2半田リボンセグメント200と、接続セグメント300と、を含み、接続セグメント300は第1半田リボンセグメント100と第2半田リボンセグメント200との間に位置し、第1半田リボンセグメント100は、表面に窪み120が設けられている第1半田リボン本体110と、少なくとも窪み120の内壁の表面に位置する第1半田付けコーティング130と、を含む、半田リボン部材を提供する。
【0053】
本願の半田リボン部材は、第1半田リボン本体110の表面における窪み120によって半田付けられた第1半田リボン本体110とセルとを面接触させ、半田リボン部材とセルとの接触面積を増大させることで、半田リボン部材とセルとの間の吸着力が低く、シーリングオフが発生しやすいという問題を解決することができる一方、半田付けを行う際には、余分な熔融した第1半田付けコーティング130を窪み120の内部に蓄積し、半田付けを行う際に第1半田付けコーティング130が熔融して半田リボン部材とセルとの間に蓄積され、鋭い凸起構造が形成され、セルが割れることを回避できる。
【0054】
一実施例では、半田リボン部材の第1半田リボン本体110の材料は銅であるが、他の実施例では、第1半田リボン本体110の材料は他の金属であり、本願の実施例はこれを特に限定しない。
【0055】
図2に示すように、一実施例では、第1半田リボン本体110は、第1半田リボン本体110の長手方向に垂直な第1断面を有し、第1断面の外縁線が第1縁区間と、第1縁区間に接続された第2縁区間と、を含み、第1縁区間は窪みの内壁の表面に位置し、第2縁区間は窪み120の両端にある第1半田リボン本体110の外面に位置する。
【0056】
図2に示すように、一実施例では、窪み120の深さH1は、第2縁区間上の任意の両点間の最大距離L1の半分以下である。
【0057】
第2縁区間は、例えば、円弧形、三角形、台形、矩形又は他の形状など、様々な形状であってもよく、本願の実施例はこれについて特に限定しない。
【0058】
窪み120の第1半田リボン本体110の長手方向に垂直な断面の形状は、円弧形、「V」字形又は台形を含む。窪み120の第1半田リボン本体110の長手方向に垂直な断面の形状は第1縁区間の形状である。窪み120の形状は、具体的な適用場面に応じて設定されてもよく、適用性が高い。
【0059】
図3に示すように、一実施例では、第1半田リボンセグメント100は、表面に窪み120Aが設けられている第1半田リボン本体110Aと、少なくとも窪み120Aの内壁の表面に位置する第1半田付けコーティング130Aと、を含む。第1縁区間の形状は「V」字形であり、第1縁区間の底角は鋭角である。
【0060】
図4に示すように、一実施例では、第1半田リボンセグメント100は、表面に窪み120Bが設けられた第1半田リボン本体110Bと、少なくとも窪み120Bの内壁の表面に位置する第1半田付けコーティング130Bと、を含む。第1縁区間の形状は「V」字形であり、第1縁区間の底角は鈍角である。
【0061】
図5に示すように、一実施例では、第1半田リボンセグメント100は、表面に窪み120Cが設けられている第1半田リボン本体110Cと、少なくとも窪み120Cの内壁の表面に位置する第1半田付けコーティング130Cと、を含む。第1縁区間の形状は円弧形である。
【0062】
図6に示すように、一実施例では、第1半田リボンセグメント100は、表面に窪み120Dが設けられている第1半田リボン本体110Dと、少なくとも窪み120Dの内壁の表面に位置する第1半田付けコーティング130Dと、を含む。第1縁区間の形状は台形である。
【0063】
図2に示すように、一実施例では、第2縁区間上の任意の両点間の最大距離L1は250μm~350μmであり、例示的には、第2縁区間上の任意の両点間の最大距離L1は、250μm、270μm、290μm、310μm、330μm、又は350μmである。
【0064】
一実施例では、第2縁区間は円弧形であり、この場合、第2縁区間の直径は250μm~350μm、例えば300μmである。
【0065】
図2に示すように、一実施例では、第1縁区間と第2縁区間との2つの交差点の間の距離L2は、200μm~280μmであり、例示的には、第1縁区間と第2縁区間との2つの交差点の間の距離L2は、200μm、220μm、240μm、260μm、又は280μmである。
【0066】
図2に示すように、一実施例では、窪みの深さH1は、50μm~140μmであり、例示的には、窪みの深さH1は、50μm、60μm、80μm、100μm、120μm、又は140μmである。
【0067】
図2に示すように、一実施例では、前記第1縁区間と前記第2縁区間の2つの交差点の間の距離L2は、前記第1半田リボン本体の最大幅以下である。いくつかの実施例では、第1半田リボン本体の最大幅は、第2縁区間上の任意の両点間の最大距離L1である。
【0068】
第1半田リボン本体110の最大幅の方向は、第1縁区間と前記第2縁区間の2つの交差点の間の距離の方向に平行する。
【0069】
一実施例では、窪み120の第1半田リボン本体110の長手方向に垂直な断面の形状は、「V」字形である。「V」字形は、他の形状と比べ、加工しやすく、例えば、押し出しなどによって形成され得る。
【0070】
一実施例では、第1縁区間の形状は「V」字形であり、第1縁区間の底角は、0°よりも大きく180°未満である。例示的には、第1縁区間の底角は、10°、30°、60°、90°、120°、150°、又は170°である。
【0071】
一実施例では、第1半田付けコーティング130の融点が、第1半田リボン本体110の融点よりも小さい。
【0072】
一実施例では、第1半田付けコーティング130は、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング又は第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティングを含む。
【0073】
一実施例では、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫のモル比は、40%以上50%未満であり、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中のビスマスのモル比は、40%以上50%未満であり、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の鉛のモル比は、0よりも大きく20%以下である。例示的には、第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び鉛のモル比は、4:4:2又は43:43:14である。
【0074】
一実施例では、第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫のモル比は、40%以上50%未満であり、第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中のビスマスのモル比は40%以上50%未満であり、第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の銀のモル比は、0よりも大きく20%以下である。例示的には、第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び銀のモル比は、4:4:2又は43:43:14である。
【0075】
上記の実施例では、第1半田付けコーティング130に使用される第1錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング又は第1錫-ビスマス-銀半田付けコーティングは、いずれも低温半田付けが可能である。セルにおける透明導電層は高温に敏感であるため、本願の第1半田付けコーティング130を使用すると、半田付けにおいて、半田付け温度が高すぎることによるセルのダメージを回避できる。
【0076】
一実施例では、第1半田付けコーティング130の厚さは、20μm~30μmであり、例示的には、第1半田リボン部材の厚さは、20μm、22μm、24μm、26μm、28μm、又は30μmである。
【0077】
一実施例では、第1半田付けコーティング130は、窪み120の内壁の表面全体を完全に覆うが、他の実施例では、第1半田付けコーティング130は、窪み120の内壁の表面全体を完全に覆っておらず、窪み120の開口部から離れたエリアの内壁の表面には、第1半田付けコーティング130が塗布されていない。第1半田付けコーティングの面積が大きい場合、第1半田付けコーティング130の厚さを適宜減少させることができ、第1半田付けコーティングの面積が小さい場合、第1半田付けコーティング130の厚さを適宜増大させることができる。
【0078】
一実施例では、第1半田リボン本体110のうち窪み120以外の他の表面の少なくとも一部にも、第1半田付けコーティング130が塗布されており、このような領域にある第1半田付けコーティング130は、表面反射層としてのみ使用され、その厚さは、5μm~10μmであり、例示的には、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、又は10μmである。半田付けを行うときに、これらの表面における第1半田付けコーティング130が熔融すると、窪み120内又は窪み120とセルとの接触位置に集まり、半田リボン部材とセルとの間の半田付け引張力を大きくする。
【0079】
一実施例では、第2半田リボンセグメント200は、少なくとも半田付け面が平面であり、半田付け面及び窪み120がそれぞれ半田リボン部材の高さ方向の上側面及び下側面に位置する第2半田リボン本体210と、少なくとも第2半田リボン本体210の半田付け面に位置する第2半田付けコーティング220と、を含む。
【0080】
上記の実施例では、第2半田リボン本体210の半田付け面が平面であることによって、半田リボン部材とセルとの接触面積を増大し、半田リボン部材とセルとの間の吸着力が低く、シーリングオフが発生しやすいという問題を解決する一方、半田付け面に第2半田付けコーティング220を薄く形成しても、半田リボン部材とセルとの間の吸着力を確保し、第2半田付けコーティング220の材料を節約し、コストを削減させることができる。
【0081】
一実施例では、第2半田リボン本体210のうち半田付け面以外の表面にも、第2半田付けコーティング220が塗布されている。
【0082】
一実施例では、第2半田リボン本体210の第2半田リボン本体210の長手方向に垂直な断面の形状は、矩形又は台形を含む。一実施例では、第2半田リボン本体210の高さ方向の下面は弧形面である。第2半田リボン本体210の形状は、具体的な適用場面に応じて設定されてもよく、適用性が高い。
【0083】
図8に示すように、一実施例では、第2半田リボンセグメント200は、第2半田リボン本体210Aと、少なくとも第2半田リボン本体210Aの半田付け面に位置する第2半田付けコーティング220Aと、を含む。第2半田リボン本体210Aの第2半田リボン本体210Aの長手方向に垂直な断面の形状は矩形である。
【0084】
図9に示すように、一実施例では、第2半田リボンセグメント200は、第2半田リボン本体210Bと、少なくとも第2半田リボン本体210Bの半田付け面に位置する第2半田付けコーティング220Bと、を含む。第2半田リボン本体210Bの第2半田リボン本体210Bの長手方向に垂直な断面の形状は、角丸矩形である。
【0085】
図10に示すように、一実施例では、第2半田リボンセグメント200は、第2半田リボン本体210Cと、少なくとも第2半田リボン本体210Cの半田付け面に位置する第2半田付けコーティング220Cと、を含む。第2半田リボン本体210Cの第2半田リボン本体210Cの長手方向に垂直な断面の形状は台形である。
【0086】
図11に示すように、一実施例では、第2半田リボンセグメント200は、第2半田リボン本体210Dと、少なくとも第2半田リボン本体210Dの半田付け面に位置する第2半田付けコーティング220Dと、を含む。第2半田リボン本体210Dの第2半田リボン本体210Dの長手方向に垂直な断面の形状は逆台形である。
【0087】
図12に示すように、一実施例では、第2半田リボンセグメント200は、第2半田リボン本体210Eと、少なくとも第2半田リボン本体210Eの半田付け面に位置する第2半田付けコーティング220Eと、を含む。第2半田リボン本体210Eの高さ方向の下面は弧形面である。
【0088】
図7に示すように、一実施例では、第2半田リボン本体210の第2半田リボン本体210の高さ方向の寸法H2は130μm~200μmである。例示的には、第2半田リボン本体210の第2半田リボン本体210の高さ方向の寸法H2は、130μm、140μm、160μm、180μm、又は200μmである。第2半田リボン本体210の高さ方向の寸法H2は、第1半田リボン本体110の高さ方向の最大寸法未満である。
【0089】
一実施例では、接続セグメント300の一端は第1半田リボンセグメント100の一端に接続され、接続セグメント300の他端は第2半田リボンセグメント200の一端に接続される。
【0090】
一実施例では、接続セグメント300の厚さは、第1半田リボンセグメント100から第2半田リボンセグメント200に向かうに従って漸減する。
【0091】
図1に示すように、
図2と合わせると、一実施例では、接続セグメント300の窪み120とは反対側は傾斜面である。
【0092】
上記の実施例では、接続セグメント300によって接続された第1半田リボンセグメント100と第2半田リボンセグメント200との間の距離は小さくなり、それによって、最終の太陽光発電モジュールを製造するときに、隣接するセルの間隔を1.0mm以下に減少させ、同じ面積に組み立てられるセルの数を増やし、高密度実装の目的を達成させ、太陽光発電モジュールの有効面積を増大させる。
【0093】
一実施例では、第2半田付けコーティング220の融点が、第2半田リボン本体210の融点よりも小さい。
【0094】
一実施例では、第2半田付けコーティング220は、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング又は第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティングを含む。
【0095】
一実施例では、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫のモル比は、40%以上50%未満であり、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中のビスマスのモル比は、40%以上50%未満であり、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の鉛のモル比は、0よりも大きく20%以下である。例示的には、第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び鉛のモル比は、4:4:2又は43:43:14である。
【0096】
一実施例では、第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫のモル比は、40%以上50%未満であり、第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中のビスマスのモル比は、40%以上50%未満であり、第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の銀のモル比は、0よりも大きく20%以下である。例示的には、第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティング中の錫、ビスマス、及び銀のモル比は、4:4:2又は43:43:14である。
【0097】
上記の実施例では、第2半田付けコーティング220に使用される第2錫-ビスマス-鉛半田付けコーティング又は第2錫-ビスマス-銀半田付けコーティングは、いずれも低温半田付けが可能である。セルによく使用されている透明導電層は高温に敏感であるため、本願の第2半田付けコーティング220を使用すると、半田付けにおいて、半田付け温度が高すぎることによるセルのダメージを回避できる。
【0098】
一実施例では、第2半田付けコーティング220の厚さは、15μm~22μmである。例示的には、第2半田付けコーティング220の厚さは、15μm、16μm、18μm、20μm、又は22μmである。
【0099】
上記の実施例では、第2半田付けコーティング220の厚さは小さく、第2半田リボンセグメント200の高さ方向の全体寸法を小さくするのに有利であり、第1半田リボンセグメント100と第2半田リボンセグメント20との距離を小さくし、セル同士の間隔を小さくし、高密度実装を実現するとともに、第2半田付けコーティング220の使用コストを削減させる目的を達成させ、太陽光発電モジュールの有効面積を増大させる。
【0100】
実施例2
本願の第2態様は、半田リボン部材の製造方法を提供し、第1半田リボンセグメント、第2半田リボンセグメント、及び第1半田リボンセグメントと第2半田リボンセグメントとの間に位置する接続セグメントを形成するステップを含み、第1半田リボンセグメントを形成する方法は、第1半田リボンセグメント上に第1半田リボン本体を形成し、第1半田リボン本体の表面に窪みを形成するステップと、少なくとも窪みの内壁の表面に第1半田付けコーティングを形成するステップと、を含む。
【0101】
一実施例では、少なくとも窪みの内壁の表面に第1半田付けコーティングを形成する方法は、窪みの内壁の表面に第1初期半田付け膜を形成するステップと、第1初期半田付け膜を仕上げ処理して、第1初期半田付け膜の厚さを均一にするステップと、前記仕上げ処理後、第1初期半田付け膜を硬化して、第1半田付けコーティングを形成するステップと、を含む。
【0102】
具体的には、初期半田リボン本体を提供し、初期半田リボン本体の一部を第1圧延処理し、表面に窪みを有する第1半田リボン本体を形成し、次に、第1半田リボン本体のうち窪みを有する表面を第1半田付けコーティング液に浸漬し、一実施例では、第1半田付けコーティング液の液面を窪みの深さの一部まで到達させ、他の実施例では、第1半田付けコーティング液の液面を窪みの深さ全体まで到達させ、さらに第1半田付けコーティング液の液面が第1半田リボン本体全体を覆うようにし、その後、第1半田付けコーティング液から第1半田付け本体を取り出し、窪みから余分な第1半田付けコーティング液を掻き取り、第1初期半田付け膜を形成し、最後に、第1初期半田付け膜を硬化して、第1半田付けコーティングを形成する。
【0103】
一実施例では、接続セグメントの一端は、第1半田リボンセグメントの一端に接続され、接続セグメントの他端は、第2半田リボンセグメントの一端に接続される。
【0104】
一実施例では、第1半田付けコーティングを形成する前に、第2半田リボンセグメント及び接続セグメントを形成し、他の実施例では、第1半田付けコーティングを形成した後に、第2半田リボンセグメント及び接続セグメントを形成する。
【0105】
一実施例では、第2半田リボン本体及び接続セグメントを形成するプロセスは圧延プロセスを含む。
【0106】
一実施例では、第2半田リボンセグメントを形成する方法は、第2半田リボンセグメント上に第2半田リボン本体を形成するステップであって、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面が平面であり、半田付け面及び窪みがそれぞれ半田リボン部材の高さ方向の上側面及び下側面に位置するステップと、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に第2半田付けコーティングを形成するステップと、を含む。
【0107】
具体的には、初期半田リボンセグメントの第1半田リボン本体から離れた部分に第2圧延処理を行い、少なくとも半田付け面が平面である第2半田リボン本体を形成し、第2圧延処理を行うときに接続セグメントを第1半田リボン本体と第2半田リボン本体との間に形成する。
【0108】
一実施例では、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に第2半田付けコーティングを形成する方法は、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に第2初期半田付け膜を形成するステップと、第2初期半田付け膜を硬化して、第2半田付けコーティングを形成するステップと、を含む。
【0109】
具体的には、半田リボン部材のうち第1半田リボンセグメント以外の残りの長さに第2圧延処理を行い、平面である半田付け面を有する第2半田リボン本体を形成し、接続セグメントは、第2半田リボン本体を形成するとともに形成されるので、追加の処理が不要である。第2半田リボン本体の半田付け面上に第2半田付け膜を塗布し、第2半田付け膜を硬化して、第2半田付けコーティングを形成する。
【0110】
一実施例では、第2半田リボン本体の半田付け面や半田付け面以外の他の表面の少なくとも一部にも、第2初期半田付け膜を塗布し、第2初期半田付け膜を硬化して、第2半田付けコーティングを形成する。
【0111】
他の実施例では、第2半田リボン本体を第2半田付けコーティング液に浸漬し、取り出して硬化し、第2半田付けコーティングを形成する。
【0112】
実施例3
本願の第3態様は、複数のセルと、隣接するセルを直列接続する上記半田リボン部材と、を含み、任意の隣接する2つのセルでは、第1半田リボン本体は第1半田付けコーティングを介して一方のセルの受光面側に半田付けされる、太陽光発電モジュールを提供する。
【0113】
図13に示すように、一実施例では、半田リボン部材の第1半田リボンセグメント100は、第1セル400の受光面に接触し、半田リボン部材の第2半田リボンセグメント200は、第2セル500の裏面に接触する。
【0114】
本願の太陽光発電モジュールは、上記半田リボン部材を含み、第2半田リボン本体の高さ方向の寸法が、第1半田リボン本体の高さ方向の最大寸法よりも小さく、第2半田リボンセグメントの高さ方向の寸法が小さいことによって、第1半田リボンセグメントと第2半田リボンセグメントとの間の距離を小さくし、セル同士の間隔を小さくし、太陽光発電モジュールの有効面積を増大させることができる。
【0115】
一実施例では、半田リボン部材は第2半田リボンセグメントをさらに含み、第2半田リボンセグメントは、少なくとも半田付け面が平面であり、半田付け面及び窪みがそれぞれ半田リボン部材の高さ方向の上側面及び下側面に位置する第2半田リボン本体と、少なくとも第2半田リボン本体の半田付け面に位置する、融点が第2半田リボン本体の融点よりも小さい第2半田付けコーティングと、を含み、任意の隣接する2つのセルでは、第2半田リボン本体は、第2半田付けコーティングによって別のセルの裏面側に半田付けされる。
【0116】
一実施例では、セルはヘテロ接合電池である。半田リボン部材を、ヘテロ接合電池の表面にあるバスバーに直接接触して導電性相互接続を行い、次に、太陽光発電モジュール封装材を用いて順次積層し、ラミネートしてヘテロ接合太陽電池モジュールを得ることは、従来技術におけるヘテロ接合電池では、半田リボン部材同士の半田付け引張力が低く、プロセスの制御への要件が厳しく、1回の成功率が低いという技術的課題を解決することを目的とする。
【0117】
一実施例では、上記太陽光発電モジュールの製造方法は、以下のステップを含む。
1)セルストリングの作製
半田リボン部材をストリング溶接機の半田リボンリール軸にセットし、牽引ジョーによって把持して牽引した後、ベルトコンベアにおけるセルに敷く。セルを半片として、半田リボン部材の敷きリズムに合わせて、1つずつ積層して、ストリング状に配列し、行状に配列されたセルストリングにランプボックスを通過させて、瞬間加熱及び冷却を行い、半田付けによりストリングを得る。後で、カッターによりカットして、テストした結果、異常のないものをストリング溶接機から搬出する。このように、セルストリングの製造を完了する。
2)下層ガラス及び下層接着膜の作製
2.1)接着膜切断機で、一定の幅と長さの接着膜を切断し、下層ガラス上まで牽引して被覆する。
2.2)組み立てラインを通じて、下層接着膜が被覆された下層ガラスを組み立て装置などに輸送して、組み立てに供する。
3)セルストリングアレイの作製
3.1)ストリング溶接機によって、レーザー切断された半片セルを順次配列して半田付けした後、直列接続して1つの完全なセルストリングにする。
3.2)組み立て装置によって、直列接続されたセルストリングを、電極の順に応じて、1)に記載の下層接着膜に配置し、複数のセルストリングを敷いた後、ステッチ溶接機によって、セルストリングをバスバーで接続し、後の工程でのジャンクションボックスに取り付けるためにリードを残すと、半田付けが完了し、セルストリングアレイが形成される。次に、テープ貼り付け装置によって固定用テープをアレイの特定の位置に貼り付け、アレイを固定する。
4)ヘテロ接合太陽電池モジュールの防水層の作製
4.1)下層ガラス面上に、ガラス縁に沿って内側に一定の間隔をおいて、一定の厚さと幅の防水接着剤をコーティングし、防水接着剤と下層接着膜との間に一定の間隔を保ち、防水接着剤をガラス面の周囲に沿って全周に亘って均一にコーティングする。
5)上層接着膜及び上層ガラス(二層ガラス)又は保護層(単層ガラス)の作製
5.1)接着膜切断機で一定の幅と長さの接着膜を切断し、セルストリングアレイの上に牽引して、下層接着膜に合わせ、周囲の防水接着剤と一定の間隔を保つように被覆する。
5.2)ガラスラミネータ又は被覆機により上層接着膜上に上層ガラス又は上層保護層を被覆し、電池モジュール積層体を作製する。
6)カッターによるカット・テスト、外観検査
電池モジュール積層体の外観検査を行って不良の有無を判定し、不良が検出された積層体をラミネーターに搬送してラミネートし包装し、不良が検出された積層体をリターンテーブルに搬送して修理を行う。
7)ラミネート
ラミネート工程中に、上層接着膜と下層接着膜が溶融して、下層ガラスを上層ガラス又は上層保護層と一体化し、分離不能なモジュール積層体を形成する。
8)ラミネート完了後、外観検査、トリミング、フレーム装着、ジャンクションボックス設置、接着剤注入、硬化、電力試験、最終検査などの工程を順次行い、ヘテロ接合太陽電池モジュールの製作を完了する。
【0118】
さらに、本願では、上接着膜及び下接着膜は、被覆前に仕上げ切断を受け、切断精度±0.5mmとし、切断後にマニピュレータにより移送・被覆される。
【0119】
さらに、本願では、前記接着膜は、酢酸ビニル共重合体EVA、ポリビニルブチラールPVB、EPE、POEポリウレタン、PUR、TPO、TPU、PAなどの接着膜のうちのいずれか1種であってもよい。
【0120】
さらに、本願では、前記正面及び背面の保護層は、太陽光発電業界の汎用コンポーネントパッケージ用の太陽光発電ガラス又は太陽光発電バックシート(PP、PC、PET、PE、PMMA、PS、TPT、TPE、KPK、PVF又はPVDF材料のいずれか)である。
【0121】
さらに、本願では、前記防水接着剤は、透明防水接着剤や非透明防水接着剤であってもよく、成分としてはイソブチレンポリマー、イソプレンポリマーのうちのいずれか1種であってもよく、高い水蒸気バリア能力と老化防止能力を持つ。
【0122】
さらに、本願では、防水接着剤の厚さは0.5mm~3.5mmであり、前記防水接着剤の幅は2mm~15mmである。
【0123】
さらに、本願では、セルは、両面ヘテロ接合太陽電池セルであり、その表面に透明導電膜が設けられ、透明導電膜はITO膜又はAZO膜である。
【0124】
明らかに、上記の実施例は、単に明確に説明するための例示にすぎず、実施例を限定するものではない。当業者にとっては、上述した説明に基づいて、他の様々な形態の変化又は変更を行うことができる。ここでは、すべての実施形態を網羅する必要はなく、また、網羅することもできない。そして、このようにして導出された自明な変化又は変更も、本発明の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0125】
100 第1半田リボンセグメント
110 第1半田リボン本体
110A 第1半田リボン本体
110B 第1半田リボン本体
110C 第1半田リボン本体
110D 第1半田リボン本体
120 窪み
120A 窪み
120B 窪み
120C 窪み
120D 窪み
130 第1半田付けコーティング
130A 第1半田付けコーティング
130B 第1半田付けコーティング
130C 第1半田付けコーティング
130D 第1半田付けコーティング
200 第2半田リボンセグメント
210 第2半田リボン本体
210A 第2半田リボン本体
210B 第2半田リボン本体
210C 第2半田リボン本体
210D 第2半田リボン本体
210E 第2半田リボン本体
220 第2半田付けコーティング
220A 第2半田付けコーティング
220B 第2半田付けコーティング
220C 第2半田付けコーティング
220D 第2半田付けコーティング
220E 第2半田付けコーティング
300 接続セグメント
L1 第2縁区間上の任意の両点間の最大距離
L2 第1縁区間と第2縁区間の2つの交差点の間の距離
H1 窪みの深さ
H2 第2半田リボン本体の高さ方向の寸法
400 第1セル
500 第2セル
【国際調査報告】