(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】液体回収用器具
(51)【国際特許分類】
A61F 5/44 20060101AFI20241126BHJP
B65D 30/24 20060101ALI20241126BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61F5/44 Z
B65D30/24 S
G01N33/48 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518985
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2022076126
(87)【国際公開番号】W WO2023052204
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515062854
【氏名又は名称】スイス セーフ コレクト ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Swiss Safe Collect SA
【住所又は居所原語表記】Rue du Prebarreau 17,c/o Preciflex SA,2000 Neuchatel Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】カイレトー ブノワ
【テーマコード(参考)】
2G045
3E064
4C098
【Fターム(参考)】
2G045CB03
2G045HA09
2G045JA07
3E064AA01
3E064BA26
3E064EA30
3E064FA04
3E064HM01
3E064HR06
4C098AA09
4C098CC40
(57)【要約】
液体回収用器具であって、液体導入用開口部(3A)をその間に形成するよう構成されている壁(2A、2B)を備える、可撓性袋と、液体の少なくとも一つの成分と反応性である少なくとも一つの要素を備える、反応性器具(4)と、液体導入用開口部(3A)から来る液体の噴流との接触から反応性器具を保護するように構成されている、保護配置(9)と、を備える、器具。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体回収用器具(100)であって、
液体を導入するためにその間に開口部(3A)を形成するよう構成されている壁(2A、2B)を備える、可撓性袋(1)と、
液体の少なくとも一つの成分と反応性である少なくとも一つの要素を備える、反応性器具(4、6)と、
前記液体導入用開口部(3A)から来る液体の噴流との接触から前記反応性器具を保護するように構成されている、保護配置(9)と、
を備える、前記液体回収用器具(100)。
【請求項2】
前記反応性器具が、液体分析用器具(4)を備える、請求項1に記載の液体回収用器具(100)。
【請求項3】
前記反応性器具が、吸収材(6)を備える、請求項1または2に記載の液体回収用器具(100)。
【請求項4】
前記保護配置(9)が、前記液体分析用器具(4)を前記吸収材(6)との接触から保護するように構成されている、請求項2と請求項3との組み合わせに記載の液体回収用器具(100)。
【請求項5】
前記保護配置(9)が、前記可撓性袋(1)内に回収された液体を、前記吸収材(6)と、および前記液体分析用器具(4)と接触させるように構成されている、請求項4に記載の液体回収用器具。
【請求項6】
前記可撓性袋(1)内に回収された液体の前記可撓性袋(1)の外部に向かう流れを遮るように構成されている逆止弁を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体回収用器具。
【請求項7】
前記保護配置(9)が、前記逆止弁の少なくとも一部を含む、請求項6に記載の液体回収用器具。
【請求項8】
前記逆止弁が、複数のシートを備える、請求項6または7に記載の液体回収用器具。
【請求項9】
前記保護配置(9)が、第一のチャンバ(11)を前記可撓性袋(1)の第一の壁(2A)で区切り、かつ第二のチャンバ(12)を前記可撓性袋(1)の第二の壁(2B)で区切る、可撓性シート(8)の部分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の液体回収用器具。
【請求項10】
前記液体分析用器具(4)が、前記第一のチャンバ(11)内に位置し、かつ前記吸収材(6)が、前記第二のチャンバ(12)内に位置し、前記液体分析用器具(4)および前記吸収材(6)が、前記液体導入用開口部(3A)と前記液体導入用開口部(3A)とは反対側の前記保護配置(9)の端部との間の区域内に配置される、請求項4と組み合わせた請求項9に記載の液体回収用器具。
【請求項11】
前記液体分析用器具(4)が、前記第一の壁(2A)および前記可撓性シート(8)の部分の一方に固定され、かつ前記吸収材(6)が、前記第二の壁(2B)および前記可撓性シート(8)の部分の一方に固定されている、請求項4と組み合わせた請求項9に記載のまたは請求項10に記載の液体回収用器具。
【請求項12】
前記吸収材(6)が、可溶性エンベロープ(7)内に設けられる、請求項3と組み合わせた請求項1~11のいずれか一項に記載の液体回収用器具。
【請求項13】
前記吸収材(6)が、ポリアクリル酸ナトリウムを含む、請求項3と組み合わせた請求項1~12のいずれか一項に記載の液体回収用器具。
【請求項14】
前記液体分析用器具(4)が、反応性試験片(4B)を備える、請求項2と組み合わせた請求項1~13のいずれか一項に記載の液体回収用器具。
【請求項15】
前記液体分析用器具(4)が、ラボオンチップ(4A)を備える、請求項2と組み合わせた請求項1~14のいずれか一項に記載の液体回収用器具。
【請求項16】
液体を導入するために開口部をその間に形成するよう構成されている壁、液体の少なくとも一つの成分に反応性である少なくとも一つの要素を備える反応性器具を備える可撓性袋の内部に、使用者のまたは使用者により液体を回収する方法であって、以下の工程:
前記可撓性袋の内部に、使用者のまたは使用者による液体を、液体導入用開口部から回収する工程、および
液体導入用開口部(3A)から来る液体の噴流との接触から前記反応性器具を保護する工程、
を含む、前記方法。
【請求項17】
請求項16に記載の使用者のまたは使用者により液体を回収する方法であって、以下の工程:
前記反応性器具の吸収材を、前記反応性器具の液体分析用器具との接触から保護する工程、
を含む、前記方法。
【請求項18】
請求項17に記載の使用者のまたは使用者により液体を回収する方法であって、以下の工程:
前記可撓性袋(1)内に回収した液体の前記可撓性袋(1)の外側への流れを妨げる工程、
前記可撓性袋(1)を反転させて、前記液体分析用器具(4)および前記吸収材(6)を、所定の曝露期間にわたって、前記可撓性袋(1)内に回収した前記液体内に浸す工程、
を含む、前記方法。
【請求項19】
請求項18に記載の使用者の液体を回収する方法であって、前記液体分析用器具(4)の測定値を読み取ることおよび前記吸収材(6)により前記可撓性袋(1)内に回収された液体の吸収を吸収することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、液体、例えば尿または嘔吐物などの生物学的液体回収用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
尿または嘔吐物を回収するための器具は、例えば、欧州特許第3174512号(特許文献1)で先行技術から公知であり、当該特許は、エンベロープの内容物が開口部から出ることを実質的に防ぐための安全弁を備えた袋を有する。
【0003】
これらの器具は、例えば、病院などで寝たきりの患者、または可動性の低い人により用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
発明の開示
患者の液体を回収する必要性は、例えば、これらの液体による汚染の危険性を低減し、かつ、それらの廃棄を確実にするためであることが知られている。
【0006】
患者の病態または健康状態を評価するために患者の液体を分析することの利点は、医学生物学の基礎として知られている。
【0007】
現在、患者の液体は、それらの回収、それらの分析およびそれらの廃棄の間に異なる容器間で移送されるが、このことは、不適切な取り扱いに関連する汚染の危険性を増大させる。
【0008】
したがって、液体を回収する機能とそれらを容易に廃棄する機能とを安全かつ信頼できる方法で保証し得る器具を設計することが課題となる。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、この問題に対応することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、液体回収用器具であって、
液体を導入するためにその間に開口部を形成するよう構成されている壁を備える、可撓性袋と、
液体の少なくとも一つの成分と反応性である少なくとも一つの要素を備える、反応性器具と、
液体導入用開口部から来る液体の噴流との接触から反応性器具を保護するように構成されている、保護配置と、
を備える、液体回収用器具に関する。
【0011】
用語「液体」は、全てのタイプの液体、例えば、尿もしくは嘔吐物のような使用者の生物学的液体や、または生物学的液体の混合物などを意味するものとする。また、用語「液体」は、非生物学的液体、例えば廃水もしくはその他の工業用液体などの水相液体、または石油もしくは油などの非水相液体を意味するものとする。
【0012】
したがって、液体回収用器具は、医療分野または非医療分野での用途を有し得る。
【0013】
用語「液体の成分と反応性である要素」は、液体とのおよび/または液体に含まれる化学種との接触に応答して特徴的な様式で反応する器具を意味するものとする。
【0014】
用語「可撓性袋」は、液体を充填する際に変形し得る袋を意味するものとする。可撓性袋の使用により、例えば、保管を容易にするために、使用前の液体回収用器具の容積を減少させることが可能になる。しかしながら、袋は硬質または半硬質袋でもあり得ることが理解される。
【0015】
用語「可撓性」は、それ自体の重さで変形し得る材料を意味するものとする。用語「半硬質」は、自重でわずかに変形するが、手で容易に変形され得る材料を意味するものとする。用語「硬質」は、自重でわずかに変形し、かつ手で変形させることが困難な材料を意味するものとする。
【0016】
このような袋は、反応性器具を液体との望ましくない接触から保護しながら、液体を回収し得る。反応性要素と液体との反応を行うために、反応性器具は、次いで、回収された液体と接触され得る。
【0017】
したがって、このような器具は、液体の反応性要素との接触および反応に必要とされる取り扱い段階を低減しながら、液体の安全かつ信頼できる回収を可能にする。
【0018】
特定の実施態様では、反応性器具は、液体分析用器具を備える。
【0019】
液体分析用器具は、この液体との接触の後に形成される液体の分析を可能にするという意味で、液体の成分と反応性である要素である。用語「液体の分析」は、液体中の少なくとも一つの成分の存在を検出することおよび/または液体中の少なくとも一つの成分の濃度を測定することを意味するものとする。成分は、タンパク質などの生物由来の化学種または非生物由来の化学種であり得る。成分はまた、細胞、生物学的組織または細菌でもあり得る。分析結果は、使用者により読み取られ得る。使用者による読み取りは、例えば、色彩スケールを用いるもしくはインジケータの読み取りによる比較により、またはシグナル、例えば電気的もしくはデジタルシグナルの読み取りにより、視覚的に行われ得る。
【0020】
この構成により、液体は液体分析用器具と接触することなく可撓性袋内に回収され得、このことによって液体分析用器具の回収された液体との早期の接触を避けることが可能になるが、そのような早期の接触は、液体分析用器具の測定の品質を低下させる危険性があるか、またはさらに測定を阻止する危険性もある。このように、回収された液体の液体分析用器具との接触時間を制御して、液体分析用器具の正確な動作を確保し得る。
【0021】
特に、回収された液体が患者の尿である場合、尿と液体分析用器具との制御された接触を設定することにより、特定の分析を実行するのに不適切であり得る排尿の開始からの尿との接触を避けることが可能になる。
【0022】
特定の態様では、反応性器具は、吸収材を備える。
【0023】
吸収材は、例えば、それを液相またはゲル内に保持することにより、それが液体を吸収し得る程度まで液体の成分と反応性である要素である。吸収材はまた、液体を凝集させ得る。
【0024】
このような袋により、液体を回収し、次いで、それらを例えば固相またはゲル内に保持することが可能になるので、適切な廃棄物管理経路を経由したそれらの廃棄が容易になる。液体が医学的処置、例えば化学療法後の患者の尿である場合、尿の吸収および廃棄は、有毒な医学的残存物による廃水の汚染を低減する。
【0025】
さらに、保護配置による保護により、可撓性袋内の液体を、液体の分析を阻止する危険性またはそのような分析の信頼性を損なう危険性がある早期の吸収につながるであろう吸収材との接触をさせることなく回収することが可能になる。
【0026】
特定の態様では、保護配置は、液体分析用器具を吸収材との接触から保護するように構成される。
【0027】
この構成は、液体の回収機能と吸収機能との間の干渉を避けることができ、それらの機能は、次いで、器具により安全かつ信頼できる様式で確保され得る。
【0028】
本発明の器具により実行された液体分析の結果は、次いで、診断を実行するために、器具により測定された値を参照値、例えば健康状態が良好な患者の公称値と比較することが可能な健康の専門家による専門的評価を受け得るであろう。
【0029】
特定の態様では、保護配置は、可撓性袋内に回収された液体を吸収材と、および液体分析用器具と接触させるように構成される。
【0030】
一旦液体が回収されると、吸収材と、および液体分析用器具との接触により、液体の吸収および分析の機能をそれぞれ実行することが可能になる。
【0031】
特定の態様では、器具は、可撓性袋内に回収された液体の可撓性袋の外側に向かう流れを遮るように構成されている逆止弁を備える。
【0032】
この構成は、液体が可撓性袋から漏れることを防止し得る。特に、この構成は、液体が可撓性袋の外へ誤って漏れることを防止しながら、液体を吸収材と、および液体分析用器具と接触させるための袋の取り扱いを可能にする。
【0033】
特定の態様では、保護配置は、逆止弁の少なくとも一部を含む。
【0034】
従って、逆止弁は、液体分析用器具および吸収材を液体導入用開口部から来る液体の噴流から保護し、かつ液体が可撓性袋の外に誤って漏れることを防止する二重の機能を有し得る。このように、液体回収用器具の構造が簡素化されているので、器具の失敗の危険性がさらに低減される。
【0035】
特定の態様では、逆止弁は、複数のシートを備える。
【0036】
特定の態様では、保護配置は、第一のチャンバを可撓性袋の第一の壁で区切り、かつ第二のチャンバを可撓性袋の第二の壁で区切る、可撓性シートの部分を含む。
【0037】
従って、第一のチャンバおよび第二のチャンバは回収された液体を別々に受け取り得る。
【0038】
特定の態様では、液体分析用器具は第一のチャンバ内に位置し、かつ吸収材は第二のチャンバ内に位置し、液体分析用器具および吸収材は、液体導入用開口部と、液体導入用開口部とは反対側の保護配置の端部との間の区域内に配置される。
【0039】
このような構成により、回収された液体を、回収された液体が液体分析用器具と接触し得る第一のチャンバと、回収された液体が吸収材と接触し得る第二のチャンバとの間に分配することが可能になる。このように、液体を分析する機能および液体を吸収する機能が互いに干渉することなく実行され得る。
【0040】
特定の態様では、液体分析用器具が、第一の壁および可撓性シートの部分のうちの一方に固定され、かつ、吸収材が、第二の壁および可撓性シートの部分のうちの一方に固定されている。
【0041】
このような配置は、使用者により回収器具が保持されている場合でも、第一のチャンバおよび第二のチャンバ内で、それぞれ液体分析用器具および吸収材の配置を確保し得る。
【0042】
特定の態様では、吸収材は可溶性エンベロープ内に設けられるか、または第二のチャンバもしくは袋内で自由である。
【0043】
用語「可溶性」は、対象の液体中で可溶であることを意味するものとする。尿または嘔吐物などの水相液体の場合は、可溶性とは、水中で可溶であることを意味する。
【0044】
可溶性エンベロープは、吸収材を、それが液体と接触するまで適所に保持し得、その後、溶解した可溶性エンベロープは、袋に残留する液体を吸収するために吸収材を放出し得る。
【0045】
特定の態様では、吸収材は、ポリアクリル酸ナトリウムを含む。吸収する液体の性質に応じて、例えば超吸収材ポリマーなどの吸収材が提供され得る。
【0046】
特定の態様では、液体分析用器具は、反応性試験片を備える。
【0047】
反応性試験片は、液体の接触に反応して、液体の特定のパラメータの存在を定量的にまたは準定量的に測定することを可能にする反応性区域を含む。健康の専門家は、次いで、器具により測定された値を参照値、例えば健康状態が良好な患者の公称値と比較し、次いで診断を行うことが可能であろう。
【0048】
特定の態様では、液体分析用器具は、ラボオンチップを備える。特定の態様では、ラボオンチップは、測定データを転送するための器具を備え、測定データは、次いで医療関係者のメンバーにより回収および閲覧され得、メンバーは、次いで、器具により測定された値を健康状態が良好な患者からの参照値と比較し、次いで診断を行い得るであろう。これらの測定結果はまた、例えば、アスリートのクレアチンの濃度もしくは尿路感染が疑われる人の亜硝酸塩および白血球などの対象の値の異常な濃度を検出するために、医療関係者のメンバー以外の使用者によっても用いられ得る。使用者は、次いで、診断を実行し得る医療関係者のメンバーと連絡を取り得る。
【0049】
この発明はまた、液体を導入するためにその間に開口部を形成するよう構成されている壁、液体の少なくとも一つの成分に反応性である少なくとも一つの要素を備える反応性器具を備える可撓性袋の内部に、使用者のまたは使用者により液体を回収する方法であって、以下の工程:
可撓性袋の内部に、使用者のまたは使用者による液体を、液体導入用開口部から回収する工程、
反応性器具を、液体導入用開口部から来る液体の噴流との接触から保護する工程、
を含む、方法に関する。
【0050】
特定の態様では、方法は、以下の工程を含む:
反応性器具の吸収材を、反応性器具の液体分析用器具との接触から保護する工程。
【0051】
特定の態様では、方法は、以下の工程を含む:
可撓性袋内に回収した液体の可撓性袋の外側への流れを妨げる工程、
可撓性袋を反転させて、液体分析用器具および吸収材を、所定の曝露期間にわたって、可撓性袋内に回収した液体内に浸す工程。
【0052】
浸すとの用語は、全体的にまたは部分的に浸漬することを意味するものとする。例えば、「反応性器具を液体に浸す」とは、反応性器具の少なくとも反応性要素を液体と接触させることを意味するものとする。
【0053】
特定の態様では、方法は、液体分析用器具の測定値を読み取ることおよび吸収材により可撓性袋内に回収された液体を吸収することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1A】第一の実施形態による液体回収用器具の同じ側面図を示す。
【
図1B】第二の実施形態による液体回収用器具の同じ側面図を示す。
【
図1C】第三の実施形態による液体回収用器具の同じ側面図を示す。
【
図1D】第四の実施形態による液体回収用器具の同じ側面図を示す。
【
図1E】第五の実施形態による液体回収用器具の同じ側面図を示す。
【
図2A】第一の実施形態による液体回収用器具の概略断面図である。
【
図2B】第二の実施形態による液体回収用器具の概略断面図である。
【
図2C】第三の実施形態による液体回収用器具の概略断面図である。
【
図2D】第四の実施形態による液体回収用器具の概略断面図である。
【
図3A】液体を回収した後反転させた配置にある、第一の実施形態による液体回収用器具の概略断面図である。
【
図3B】液体を回収した後反転させた配置にある、第三の実施形態による液体回収用器具の概略断面図である。
【
図4】液体を回収した後の液体回収用器具の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本願発明を、特定の例示的な実施態様を参照しながら説明する。しかしながら、特許請求の範囲により定義される発明の全体的な範囲を超えることなく、これらの実施例に改変および変更がなされ得ることが明らかである。特に、例示されたまたは言及された異なる実施態様の個別の特徴は、さらなる実施態様と組み合わせられ得る。結果として、明細書および図面は、限定するものではなく例示しているものと考えられるべきである。
【0056】
本願発明は、液体回収用器具100に関し、複数のシートを備える安全弁を備える袋の場合において説明される。複数のシートを備える安全弁を備える袋は、例えば、欧州特許第3174512号で当業者に公知であるが、その内容は本開示を読む間に参照され得るので、詳細には説明されない。
【0057】
本開示において、液体回収用器具100は、X、Y、Z軸を用いた直交座標系により説明され、ここで、慣習的に、Z軸は垂直である。実際に、液体が器具内に回収される場合、通常は導入用開口部が上向きになるように配置されるため、Z軸は、垂直であるかまたは水平に対していかなる場合も傾斜している。
【0058】
図1AのYZ平面に沿った表示に示すように、液体回収用器具100は、可撓性袋1を含む。可撓性袋1は、壁2A、2Bの輪郭のほぼ全てにわたって、例えば接合部により互いに接続された第一の壁2Aおよび第二の壁2Bにより区切られており、壁2A、2Bの輪郭の自由部分は、その上にスリーブ3が固定されたネック2Cを提供する。
【0059】
可撓性袋1は、例えば、ポリエチレンなどのプラスチック材料から作製され得る。
【0060】
液体回収用器具100は、液体の少なくとも一つの成分に反応性である要素を備えた反応性器具を備える。例えば、反応性要素は、ラボオンチップ4Aの形状の液体分析用器具4である。
【0061】
液体回収用器具100はまた、吸収材6および逆止弁9を備え、これらは
図2~4に関してより詳細に説明される。
【0062】
図1Aおよび1Bの実施態様は、
図1Bの実施態様では液体分析用器具4が反応性試験片4Bである点で異なる。通常は、液体分析用器具4は、反応性試験片4Bおよび/またはラボオンチップ4Aを備え得る。
【0063】
反応性試験片は当業者に公知であり、特定の化学的または生物学的マーカーの存在またはさらに濃度にも反応して、例えば柄の出現または色の変化を起こすマーカーを備えた小片である。
【0064】
ラボオンチップは当業者に公知であり、小型化された生物化学的測定用の器具である。
【0065】
図1Cおよび1Dの実施態様は、それぞれ
図1Aおよび1Bの実施態様に対応し、ここで、反応性器具は、反応性要素を、吸収材6の形態でさらに含む。
【0066】
図1Eに示すように、反応性器具は吸収材6もまた備え得、また、液体分析用器具4はなくてもよい。
【0067】
可撓性袋1内での液体分析用器具4および吸収材6の配置を、
図2A~2Dを参照して説明する。
【0068】
図2Aは、液体の回収および分析用器具100の、YZ平面に沿って
図1AのXZ平面に直交する概略断面図である。
【0069】
スリーブ3は、液体導入用開口部3Aを区切り、液体はここを通って液体回収用器具100に入り得る。
【0070】
反応性器具を、液体導入用開口部3Aから来る液体の噴流との接触から保護するために、保護配置9が提供される。
【0071】
例えば、保護配置9は、液体分析用器具4および/または吸収材6を、液体導入用開口部3Aから来る液体の噴流との接触から保護する。
【0072】
保護配置9は、液体導入用開口部3Aの延長に液体用の流路を形成する。
【0073】
保護配置9は、例えば、逆止弁9である。
【0074】
特に、逆止弁9は、可撓性袋1の内側から可撓性袋1の外側への液体の流れを防止しながら、液体導入用開口部3Aから来る液体を可撓性袋1の内部に通すように設けられた接続点により共に接続された対のシート8を備える逆止弁9である。
【0075】
図1Aおよび1Eに示すように、逆止弁9は、壁2A、2Bの輪郭の二つの端部の間に伸び、それによって、
図2Aに示すように、第一の壁2Aおよび逆止弁9のシート8が第一のチャンバ11を区切り、かつ第二の壁2Bおよび逆止弁9のシート8が第二のチャンバ12を区切る。
【0076】
第一の壁2Aと第二の壁2Bとの間、ならびに第一のチャンバ11と第二のチャンバ12との間の差異は任意であり、かつこれらは交換可能であることが理解される。
【0077】
第一のチャンバ11および第二のチャンバ12は、逆止弁9のシート8により分離され、かつ、それぞれが、逆止弁9のシート8の一方の端部を超えて互いに流体的に連通し得る開放空洞を形成する。
【0078】
第一のチャンバ11および第二のチャンバ12の広がりは、逆止弁9の広がりに依存することが理解される。特に、第一のチャンバ11および第二のチャンバ12は、液体導入用開口部3Aからの液体の流れの方向に鉛直でかつ逆止弁9のシート8の端部を経由して通る平面、言い換えれば、
図2Aの表示においてZ方向に鉛直な平面により区切られる。言い換えれば、第一のチャンバ11および第二のチャンバ12は、液体導入用開口部3Aと液体導入用開口部3Aの反対側の逆止弁9の端部との間にある。
【0079】
従って、第一のチャンバ11および第二のチャンバ12は、可撓性袋1の内部の配置であって、袋が垂直に配置されている場合に液体導入用開口部から液体の噴流を回収するとき液体を受け取ることができない配置に対応する。
【0080】
分析器具4は、第一のチャンバ11内に設けられる。分析器具4は、例えば、
図2Aに示すように、第一の壁2Aに固定されるか、または
図2Bの実施態様に示すように、第一のチャンバ11を区切るシート8に固定される。
【0081】
図2Cおよび2Dの実施態様は、それぞれ
図2Aおよび2Bの実施態様に対応し、ここで、液体回収用器具100は、吸収材6をさらに含む。
【0082】
吸収材6は、第一のチャンバ11内に設けられる。吸収材6は、例えば、
図2Cに示すように、第二の壁2Bに固定されるか、または
図2Dに示すように、第二のチャンバ12を区切るシート8に固定される。
【0083】
保護配置9は、液体分析用器具4を吸収材6との接触から保護するために設けられる。
【0084】
吸収材6は、可溶性エンベロープ7内に設けられ得る。可溶性エンベロープは、例えば、デキストランおよびカゼインファミリー由来のポリマーなどの水溶性ポリマーを含む水溶性エンベロープ7である。
【0085】
【0086】
液体導入用開口部3Aから液体を導入した後、液体は流れ、かつ、逆止弁9によって保護されて、液体分析用器具4とも、場合によっては吸収材6とも接触することなく、可撓性袋1内に回収される。
【0087】
図3Aおよび3Bに示すように、液体分析用器具4および/または吸収材6を液体14に浸すように、可撓性袋1を次いで反転させ得る。
【0088】
特に、液体分析用器具4を浸すように液体14が第一のチャンバ11を満たし、かつ/または吸収材6を浸すように液体14が第二のチャンバ12を満たす。
【0089】
可撓性袋1を反転させる際、逆止弁9は、可撓性袋1の内部から可撓性袋1の外部への液体14の漏れを遮断する。
【0090】
逆止弁9の広がりは、袋を反転させたときに袋内に正常に回収されかつチャンバ11および12に受け取られる液体の容積に適した様式で設けられ得る。特に、それは、
図3Aおよび3Bに示すように、第一のチャンバ11と第二のチャンバ12との間の流体的連通なしに第一のチャンバ11内および第二のチャンバ12内の液体14の分離を確保するように設計され得る。
【0091】
例えば、回収された液体が使用者の尿である場合、第一のチャンバ11および第二のチャンバ12は、それぞれ、尿の排尿時に放出される尿の平均容量の半分より大きい容量を受け取るように設けられ得る。
【0092】
しかしながら、可撓性袋1の反転配置では、液体の高さもまた逆止弁9の端部を超え得ることが理解される。
【0093】
第一のチャンバ11では、液体の測定分析を実行するために、液体分析用器具4は液体14に浸る。液体の分析を実行するために、液体14に浸す時間は、測定に必要な反応の開始を可能にする接触の最短時間である下限と、それを超えると測定が(例えば、液体分析用器具4からの試薬が液体14中に溶解することにより)劣化する接触の最長時間である上限との間の時間の範囲である所定の曝露期間に対応していなければならない。この所定の曝露期間は、用いる液体分析用器具4およびマーカーの性質に依存し、例えば、10~100秒のオーダーである。
【0094】
所定の曝露時間に対応する時間の後、可撓性袋1を再び反転させて液体14および残留する吸収材6を可撓性袋1の底部から落とし得、次いで、
図4に示すように、液体残存物15を形成するために、残留する吸収材6は液体14の吸収を終了し得る。
【0095】
第二のチャンバ12内で、液体14に浸かった吸収材6は、液体14の一部を吸収する。吸収材6が可溶性エンベロープ7内に設けられる場合、吸収材6による液体の吸収は、可溶性エンベロープ7が溶解した後の吸収材6の放出後に開始する。
【0096】
吸収材6の量は、可撓性袋1内に回収された液体14の全てを吸収し得ることが意図される。例えば、吸収材6は、1~10グラムのオーダーの量のポリアクリル酸ナトリウムを含み得る。
【0097】
所定の曝露時間に対応する時間の後、可撓性袋1を再び反転させて、液体14および残留する吸収材6を可撓性袋1の底部から落とし得、次いで、
図4に示すように、吸収液体の凝集物15を形成するために、残留する吸収材6は液体14の吸収を終了し得る。
【0098】
液体分析用器具4の測定の結果は、次いで、光学式読み取りによりまたはワイヤレス接続経由でサーバに転送することにより読み取られ得る。これらの測定結果は、次いで、これらの測定された値を健康状態が良好な患者の公称値と比較し次いで診断することが可能であろう医療関係者のメンバーによって用いられ得る。これらの測定結果はまた、例えば、アスリートのクレアチンの濃度もしくは尿路感染が疑われる人の亜硝酸塩および白血球などの対象の値の異常な濃度を検出するために、医療関係者のメンバー以外の使用者によっても用いられ得る。使用者は、次いで、診断を実行し得る医療専門家と連絡を取り得る。
【0099】
光学式読み取りを必要とする液体分析用器具4の場合、これは可撓性袋1を通して実行されることが好ましく、したがって、可撓性袋は、半透明または透明でなければならない。
【0100】
使用者からの液体の回収は、この同じ使用者によって独力で、または医療関係者のメンバーなどの他の使用者の補助により、実行され得る。
【0101】
本願発明を、第一の壁2Aおよび第二の壁2Bを組み立てることにより形成される可撓性袋1の場合について説明してきた。しかしながら、可撓性袋の他の構造が採用され得る。この場合、第一の壁および第二の壁は、それらの逆止弁9に対する、第一のチャンバ11に対するおよび第二のチャンバ12に対するそれらの配置により区別されることが理解される。
【0102】
本願発明を、シートを備える逆止弁を備える保護配置9の場合について説明してきた。しかしながら、例えば、回収される液体の性質によって、任意のタイプの逆止弁が設けられ得ることが理解される。
【0103】
本願発明を、反応性器具が液体分析用器具および吸収材を備える場合について説明してきた。液体の少なくとも一つの成分と反応性である他の要素が設けられ得、かつ、反応性要素のそれぞれは、他の要素とは独立して設けられ得ることが理解される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体回収用器具(100)であって、
液体を導入するためにその間に開口部(3A)を形成するよう構成されている壁(2A、2B)を備える、可撓性袋(1)と、
液体の少なくとも一つの成分と反応性である少なくとも一つの要素を備える、反応性器具(4、6)と、
前記液体導入用開口部(3A)から来る液体の噴流との接触から前記反応性器具を保護するように構成されている、保護配置(9)と、
を備える、前記液体回収用器具(100)。
【請求項2】
前記反応性器具が、液体分析用器具(4)を備える、請求項1に記載の液体回収用器具(100)。
【請求項3】
前記反応性器具が、吸収材(6)を備える、
請求項1に記載の液体回収用器具(100)。
【請求項4】
前記反応性器具が、液体分析用器具(4)および吸収材(6)を備え、前記保護配置(9)が、前記液体分析用器具(4)を前記吸収材(6)との接触から保護するように構成されている、
請求項1に記載の液体回収用器具(100)。
【請求項5】
前記保護配置(9)が、前記可撓性袋(1)内に回収された液体を、前記吸収材(6)と、および前記液体分析用器具(4)と接触させるように構成されている、請求項4に記載の液体回収用器具。
【請求項6】
前記可撓性袋(1)内に回収された液体の前記可撓性袋(1)の外部に向かう流れを遮るように構成されている逆止弁を備える、
請求項1に記載の液体回収用器具。
【請求項7】
前記保護配置(9)が、前記逆止弁の少なくとも一部を含む、請求項6に記載の液体回収用器具。
【請求項8】
前記逆止弁が、複数のシートを備える、
請求項6に記載の液体回収用器具。
【請求項9】
前記保護配置(9)が、第一のチャンバ(11)を前記可撓性袋(1)の第一の壁(2A)で区切り、かつ第二のチャンバ(12)を前記可撓性袋(1)の第二の壁(2B)で区切る、可撓性シート(8)の部分を含む、
請求項1に記載の液体回収用器具。
【請求項10】
前記反応性器具が、前記第一のチャンバ(11)内に位置
された液体分析用器具(4)および前記第二のチャンバ(12)内に位置
された吸収材(6)を備え、前記液体分析用器具(4)および前記吸収材(6)が、前記液体導入用開口部(3A)と前記液体導入用開口部(3A)とは反対側の前記保護配置(9)の端部との間の区域内に配置される、
請求項9に記載の液体回収用器具。
【請求項11】
前記反応性器具が、前記第一の壁(2A)および前記可撓性シート(8)の部分の一方に固定され
ている液体分析用器具(4)と、前記第二の壁(2B)および前記可撓性シート(8)の部分の一方に固定されている
吸収材(6)とを備える、
請求項9に記載の液体回収用器具。
【請求項12】
前記反応性器具が、可溶性エンベロープ(7)内に設けられる
吸収材(6)を備える、
請求項1に記載の液体回収用器具。
【請求項13】
前記吸収材(6)が、ポリアクリル酸ナトリウムを含む、
請求項3に記載の液体回収用器具。
【請求項14】
前記反応性器具が、反応性試験片(4B)を備える、
請求項1に記載の液体回収用器具。
【請求項15】
前記反応性器具が、ラボオンチップ(4A)を備える、
請求項1に記載の液体回収用器具。
【請求項16】
液体を導入するために開口部をその間に形成するよう構成されている壁、液体の少なくとも一つの成分に反応性である少なくとも一つの要素を備える反応性器具を備える可撓性袋の内部に、使用者のまたは使用者により液体を回収する方法であって、以下の工程:
前記可撓性袋の内部に、使用者のまたは使用者による液体を、液体導入用開口部から回収する工程、および
液体導入用開口部(3A)から来る液体の噴流との接触から前記反応性器具を保護する工程、
を含む、前記方法。
【請求項17】
請求項16に記載の使用者のまたは使用者により液体を回収する方法であって、以下の工程:
前記反応性器具の吸収材を、前記反応性器具の液体分析用器具との接触から保護する工程、
を含む、前記方法。
【請求項18】
請求項17に記載の使用者のまたは使用者により液体を回収する方法であって、以下の工程:
前記可撓性袋(1)内に回収した液体の前記可撓性袋(1)の外側への流れを妨げる工程、
前記可撓性袋(1)を反転させて、前記液体分析用器具(4)および前記吸収材(6)を、所定の曝露期間にわたって、前記可撓性袋(1)内に回収した前記液体内に浸す工程、
を含む、前記方法。
【請求項19】
請求項18に記載の使用者の液体を回収する方法であって、前記液体分析用器具(4)の測定値を読み取ることおよび前記吸収材(6)により前記可撓性袋(1)内に回収された液体の吸収を吸収することを含む、前記方法。
【国際調査報告】