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特表2024-544476使用済核物質用の貯蔵容器を取外し可能に収納し、取り扱い及び輸送するためのオーバーパックキャスク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】使用済核物質用の貯蔵容器を取外し可能に収納し、取り扱い及び輸送するためのオーバーパックキャスク
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/32 20060101AFI20241126BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20241126BHJP
   G21F 5/008 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G21C19/32 060
G21F9/36 501F
G21F9/36 501G
G21F5/008
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524975
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2022081423
(87)【国際公開番号】W WO2023083938
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】21208056.8
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524056396
【氏名又は名称】ケルンクラフトヴェルク ゲスゲン-デニケン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】KERNKRAFTWERK GOSGEN-DANIKEN AG
【住所又は居所原語表記】Kraftwerkstrasse, 4658 Daniken, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】オーノット、レオ
(72)【発明者】
【氏名】リーカー、マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ストローマー、フランツ
(57)【要約】
本発明に従い、使用済核物質(150)用の貯蔵容器(100)を可逆的に収納し、取り扱い及び輸送するためのオーバーパックキャスク(1)が提供され、該オーバーパックキャスク(1)は、その中に貯蔵容器(100)を可逆的に収納するための収納キャビティ(35)を規定する管状のキャスクシェル(30)と、管状のキャスクシェル(30)の第1軸方向端部(31)で収納キャビティ(35)の密封閉鎖を提供する第1キャスクカバー(10)と、第1軸方向端部(31)の反対側の管状のキャスクシェル(30)の第2軸方向端部(32)で収納キャビティ(35)の密封閉鎖を提供する第2キャスクカバー(20)とを有する。少なくとも第1キャスクカバー(10)が管状のキャスクシェル(30)から取外し可能であり、貯蔵容器(100)を収納キャビティ(35)内に装填する及び/またはそこから取り外すために、第1軸方向端部(31)で管状のキャスクシェル(30)の第1開口(33)をむき出しにする。さらにまた、オーバーパックキャスク(1)は、貯蔵容器(100)の収納キャビティ(35)への装填中及びそこからの取外し中、及び収納キャビティ(35)に収納されている時に貯蔵容器(100)をガイドする及び支持するための、管状のキャスクシェル(30)の円周の内側(38)に配置されたスライドガイド構造(40)を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済核物質(150)用の貯蔵容器(100)を取外し可能に収納し、取り扱い及び輸送するためのオーバーパックキャスク(1)であって、前記オーバーパックキャスク(1)が、
- 管状のキャスクシェル(30)であって、その中に貯蔵容器(100)を可逆的に収納するための収納キャビティ(35)を規定する、管状のキャスクシェル(30)と、
- 前記管状のキャスクシェル(30)の第1軸方向端部(31)で前記収納キャビティ(35)の密封閉鎖を提供する第1キャスクカバー(10)であって、前記第1キャスクカバー(10)が、前記管状のキャスクシェル(30)から取外し可能であり、貯蔵容器(100)を前記収納キャビティ(35)内に装填する及び/またはそこから取り外すために前記第1軸方向端部(31)で前記管状のキャスクシェル(30)の第1開口(33)をむき出しにする、第1キャスクカバー(10)と、
- 前記第1軸方向端部(31)の反対側の前記管状のキャスクシェル(30)の第2軸方向端部(32)で前記収納キャビティ(35)の密封閉鎖を提供する第2キャスクカバー(20)と、
- 貯蔵容器(100)の前記収納キャビティ(35)への装填中及びそこからの取外し中、及び前記貯蔵容器(100)が前記収納キャビティ(35)に収納されている時に、前記貯蔵容器(100)をガイドする及び支持するための、前記管状のキャスクシェル(30)の円周の内側(38)のスライドガイド構造(40)であって、前記スライドガイド構造(40)が、1以上のインサートスリーブまたは1以上のインサートケージを有するインサートとして実現されるものであって、前記インサートが、前記管状のキャスクシェル(30)の前記円周の内側(38)全体を外周方向及び軸方向に実質的に全部に渡って延びる、スライドガイド構造(40)と
を有する、オーバーパックキャスク(1)。
【請求項2】
前記第2キャスクカバー(20)が、前記管状のキャスクシェル(30)から取外し可能であり、貯蔵容器(100)を前記収納キャビティ(35)内に装填及び/またはそこから取り外すために、前記第2軸方向端部(32)で前記管状のキャスクシェル(30)の第2開口(34)をむき出しにする、請求項1に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項3】
前記スライドガイド構造(40)が、前記管状のキャスクシェル(30)の長手軸に沿う貯蔵容器(100)の動きを容易にするための複数のガイド部材(41)を有する、前記請求項のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項4】
前記複数のガイド部材(41)が、リングアセンブリの複数の軸方向に空間を空けた群をなして配置されており、各リングアセンブリにおける前記ガイド部材(41)が、前記管状のキャスクシェル(30)の前記円周の内側(38)に沿って、特に、前記1以上のインサートスリーブの前記円周の内側(38)に沿って、輪を形成するように均等に分配されている、前記請求項のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項5】
前記複数のガイド部材(41)が、それぞれ複数の円筒形のローラ、両凹のローラ、両凸のローラ、リニアベアリング、スライドロッドまたはボールベアリングのうちの1以上を有する、請求項3または4のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項6】
前記第1キャスクカバー(10)が、前記管状のキャスクシェル(30)の前記第1軸方向端部(31)で第1フランジ取付台(36)に密封接続するための一次フランジプレート(11)を有するものであって、前記第1キャスクカバー(10)が、好ましくはさらに前記第1キャスクカバー(10)の前記一次フランジプレート(11)の上部に、前記管状のキャスクシェル(30)の前記第1軸方向端部(31)で前記第1フランジ取付台(36)に密封接続するための二次フランジプレート(12)と、任意に、前記第1キャスクカバー(10)の前記二次フランジプレート(12)の上部に、前記管状のキャスクシェル(30)の前記第1軸方向端部(31)で前記第1フランジ取付台(36)に密封接続するための三次フランジプレート(13)とを有し、及び/または
前記第2キャスクカバー(20)が、前記管状のキャスクシェル(30)の前記第2軸方向端部(32)で第2フランジ取付台(37)に密封接続するための一次フランジプレート(21)を有するものであって、前記第2キャスクカバー(20)が、好ましくはさらに前記第2キャスクカバー(20)の前記一次フランジプレート(21)の上部に、前記管状のキャスクシェル(30)の前記第2軸方向端部(32)で前記第2フランジ取付台(37)に密封接続するための二次フランジプレート(22)と、任意に、前記第2キャスクカバー(20)の前記二次フランジプレート(22)の上部に、前記管状のキャスクシェル(30)の前記第2軸方向端部(32)で前記第2フランジ取付台(37)に密封接続するための三次フランジプレート(23)とを有する、前記請求項のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項7】
前記第1キャスクカバー(10)の前記一次フランジプレート(11)が、貫通孔(14)と、前記貫通孔(14)の密封閉鎖を提供する取外し可能な閉鎖用蓋(16)とを有するものであって、前記貫通孔(14)が、-前記閉鎖用蓋がそこから取り外されている時に-前記収納キャビティ(35)に収納された貯蔵容器(100)を前記管状のキャスクシェル(30)の前記長手軸(39)に沿う方向に移動させるために、内部を貫通して吐出部材(90)を通過させるように構成されている、請求項6に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項8】
前記第2キャスクカバー(20)の前記一次フランジプレート(21)が、前記第1軸方向端部(31)に向かう方向に、前記収納キャビティ(35)に収納された貯蔵容器(100)に対して付勢するように構成されている少なくとも1つのばね式圧力板(24)を有する、請求項6または7に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項9】
前記第2キャスクカバー(20)の前記一次フランジプレート(21)が、前記第1軸方向端部(31)に向かう方向に前記圧力板(24)上にばね力を発揮する1以上のばね要素(25)を有する、請求項8に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項10】
前記第2キャスクカバー(20)の前記一次フランジプレート(21)が、前記圧力板(24)が前記圧力板(24)の動きを前記第2軸方向端部(32)に向かう方向に制限するための迫持受を提供する1以上の停止要素(28)を有する、請求項6~9のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項11】
前記第2キャスクカバー(20)の前記一次フランジプレート(21)が、前記一次フランジプレート(21)をピボット運動で前記管状のキャスクシェル(30)の前記第2フランジ取付台(37)から分離する及びそこに再び取り付けるための取付用ピボットアーム(80)と協働するように構成されている、請求項6~10のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項12】
前記第1キャスクカバー(10)及び前記第2キャスクカバー(20)の前記一次フランジプレート(11、21)、前記二次フランジプレート(12、22)及び前記三次フランジプレート(13、23)の1以上の、前記第1フランジ取付台(36)及び前記第2フランジ取付台(37)への前記密封接続が、それぞれ、金属プロファイルシール接続、特に、ボルト締めされた金属プロファイルシール接続を有する、請求項6~11のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項13】
前記第1キャスクカバー(10)及び前記第2キャスクカバー(20)の前記一次フランジプレート(11、21)、前記二次フランジプレート(12、22)及び前記三次フランジプレート(13、23)の1以上の、前記第1フランジ取付台(36)及び前記第2フランジ取付台(37)への前記密封接続が、それぞれ、差込み接続部を有する、請求項6~12のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項14】
前記管状のキャスクシェル(30)の前記第1軸方向端部(31)から前記第1キャスクカバー(10)が取り外されている時に、そこに取外し可能に取り付けられるように構成された作業用アタッチメント(200)をさらに有するものであって、前記作業用アタッチメント(200)が、貯蔵容器(100)が前記第1開口(33)を通って前記オーバーパックキャスク(1)内に部分的に挿入されるサービス位置に前記貯蔵容器(100)を保持するために、前記貯蔵容器(100)の一時的な取付けができる横方向のトラニオン(160)との係合のための収納部(205)を有する、前記請求項のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項15】
前記作業用アタッチメント(200)が、少なくとも2つのリング区画(201、202)を有する複数の部分に分かれた作業用アタッチメント(200)であって、前記少なくとも2つのリング区画(201、202)が、互いから分離されて、前記リング区画(201、202)の円周方向に両者の間にギャップを形成して、貯蔵容器(100)が前記サービス位置に保持されている時に、前記オーバーパックキャスク(1)の内部と周囲との間に流体連通を提供する、請求項14に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項16】
前記作業用アタッチメント(200)が、前記少なくとも2つのリング区画(201、202)が取付けられるまたは取付け可能な支持フレーム(230)を有する、請求項15のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項17】
前記作業用アタッチメント(200)、特に、各リング区画(201、202)が、前記管状のキャスクシェル(30)の前記第1軸方向端部(31)、特に、前記第1フランジ取付台(36)との係合のためのベース部(211、221)と、前記サービス位置に保持されるべき前記貯蔵容器(100)との係合のための、前記ベース部(211、221)の上部のベアリング部(212、222)とを有する、請求項14~16のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項18】
前記ベース部(211、221)が、金属製、特に、ステンレス鋼製であって、及び/または前記ベアリング部(212、222)が高密度の耐放射線性プラスチック製、例えば高密度ポリエチレンまたは高密度ポリプロピレン製である、請求項17に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項19】
前記ベース部(211、221)が、前記管状のキャスクシェル(30)の前記第1フランジ取付台(36)のプロファイルに相補的なプロファイルを有するドッキングフランジ取付台を有する、請求項17または18のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【請求項20】
前記ベース部(211、221)が、前記管状のキャスクシェル(30)の前記第1軸方向端部(31)で、特に、前記第1フランジ取付台(36)で対応する位置決め穴と係合するための、少なくとも2つの位置決めピン(214、224)を有する、請求項17~19のいずれか1項に記載のオーバーパックキャスク(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、使用済核物質用の貯蔵容器、特に、使用済核物質の長期保管用の貯蔵容器を可逆的に収納し、取り扱い及び輸送するためのオーバーパックキャスクに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
使用済核物質、例えば、使用済燃料アセンブリ等は、その放射能が無害なレベルに崩壊するまでかなり長期間、人間の居住環境から隔離されなければならない。このために、廃棄物を数百メートルの深さにある高密度の安定した岩盤内に封じ込める深部地層貯蔵所が検討されている。使用済核物質は、そのまま梱包せずに深部地層貯蔵所に保管することはできず、例えば、高レベル廃棄物カプセル化プラントまたは水中パッケージ化施設で長期保管用の特殊な貯蔵容器に予め装填することになる。これらの貯蔵容器それ自体は、放射性のガンマ線及び中性子線の緩やかな遮蔽しか提供しない。よって、公道上の輸送経路及び深部地層貯蔵所内への最終運搬のみならず、施設内の輸送目的のために、内容物である使用済燃料物質の強い放射性のガンマ線及び中性子線を遮蔽しながら、そのような貯蔵容器を収納して輸送できるオーバーパックキャスクが必要になる。好ましくは、オーバーパックキャスクは、貯蔵容器の、特に、貯蔵容器の密封、オーバーパックキャスク内部の乾燥、及び容器の最終的な密封に使用される閉鎖用蓋の溶接部の品質保証等の、各種サービス作業のための改善された取扱いを可能にすることも望まれる。
【0003】
現在、これらの目的に適したオーバーパックキャスクは存在しないが、その理由は、長期保管用の核物質を装填した貯蔵容器の輸送が、カプセル化プラントと深部地層貯蔵所の最初の業務委託が行われるまで必要にならないからである。これまでは、使用済燃料アセンブリは、長年にわたり、例えば、放射性物質の保管及び輸送用キャスクであるCASTOR(登録商標)容器またはその他の製造業者からのキャスク等、国際輸送のためのドイツ国内道路による危険有害物輸送に関するドイツ規定(GGVS)/欧州危険物国際道路輸送協定(ADR)の承認を受けたいわゆる「B型キャスク」に直接装填して輸送し一時保管されてきた。しかし、そのような従来の燃料キャスクは上記の目的には適さない。その主な理由は、使用済燃料アセンブリ用貯蔵容器自体の長さが既にそれら従来の燃料キャスクよりも長いことである。他の理由は、これからのオーバーパックキャスクは、深部地層貯蔵所の定置室内において、装填された貯蔵容器の容易な取外しを可能にしなければならないことである。
【0004】
従って、本発明の目的は、使用済核物質用の貯蔵容器、特に、使用済核物質の長期保管用の貯蔵容器を可逆的に収納し輸送するためのオーバーパックキャスクであって、オーバーパック容器が深部地層貯蔵所の定置室における貯蔵容器の容易な取外し及び好ましくはサービス作業のための貯蔵容器の改善された取扱いも可能にするように意図された、オーバーパックキャスクを提供することである。
【0005】
発明の説明
この目的は、独立請求項1に従うオーバーパックキャスクによって達成される。オーバーパックキャスクの更なる特徴及び有利な側面は従属請求項の対象である。
【0006】
本発明に従い、使用済核物質用の貯蔵容器を可逆的に収納し、取り扱い及び輸送するためのオーバーパックキャスクが提供される。オーバーパックキャスクは、その中に貯蔵容器を可逆的に収納するための収納キャビティを規定する管状のキャスクシェルと、管状のキャスクシェルの第1軸方向端部で収納キャビティの密封閉鎖を提供する第1キャスクカバーと、第1軸方向端部の反対側の管状のキャスクシェルの第2軸方向端部で収納キャビティの密封閉鎖を提供する第2キャスクカバーを有する。少なくとも第1キャスクカバーが管状のキャスクシェルから取外し可能であり、貯蔵容器を収納キャビティ内に装填する及び/またはそこから取り外すために、第1軸方向端部で管状のキャスクシェルの第1開口をむき出しにする。さらにまた、オーバーパックキャスクは、貯蔵容器の収納キャビティ内への装填中及びそこからの取外し中、及び貯蔵容器が収納キャビティに収納されている時に、貯蔵容器をスライドさせてガイドする及び支持するための、管状のキャスクシェルの円周の内側に配置されたスライドガイド構造を有する。
【0007】
有利には、管状のキャスクシェルと、第1キャスクカバーと第2キャスクカバーとは、一緒に、その中に収納した貯蔵容器の安全な遮蔽を形成し、これが、ガンマ線及び中性子線を十分に遮蔽し、要すれば公道の輸送経路においても、法定の要件に従う貯蔵容器の安全な運搬を可能にする。
【0008】
管状のキャスクシェルにより規定される収納キャビティは、好ましくは第1キャスクカバーと第2キャスクカバーの内側の端部の面の間に(管状のキャスクシェルの長手軸に沿って測定して)、約5.27メートルの長さを有する貯蔵容器を収納するのに十分な大きさとして選ばれた縦長部材を有する。例えば、第1キャスクカバーと第2キャスクカバーの内側の端部の面の間の縦長部材は、少なくとも5.30メートルであってもよい。好ましくは、第1キャスクカバーと第2キャスクカバーの内側の端部の面の間の縦長部材は、さらにより詳細に後述するとおり、調整可能であってもよい。同様に、収納キャビティは、好ましくは、約1.05メートルの外径を有する貯蔵容器を収納するのに十分な大きさとして選ばれた(管状のキャスクシェルの長手軸に垂直な半径方向に測定される)内径を有する。例えば、収納キャビティの内径、特に、スライドガイド構造の最も内側の縦長部材間(より具体的には、スライドガイド構造、特に、スライドガイド構造のガイド部材によって規定される収納部の内径)は、1.05メートル~1.30メートルの範囲である。逆もまた同じく、オーバーパックキャスクの外径、特に、管状のキャスクシェルの外径は、好ましくはおよそ2.50メートルの直径を超えないが、これは、深部地層貯蔵所の定置室の寸法が、現在の計画通りであれば、これより大きい外径を許容しないからである。つまり、オーバーパックキャスクの外径、特に、管状のキャスクシェルの外径は、好ましくは最大2.50メートル、特に、最大2.40メートルである。例えば、管状のキャスクシェルの外径は、1.00メートル~2.50メートルの範囲、特に、1.40メートル~1.80メートルの範囲であり得る。
【0009】
好ましくは、管状のキャスクシェルは、継ぎ目のない、特に、節のある鋳鉄製の胴体である。継ぎ目のない胴体は、特に、節のある鋳鉄製の場合に、特に高い機械的安定性と良好な遮蔽性を提供する。同様に、第1キャスクカバーと第2キャスクカバー、または、少なくともその部分、例えば第1キャスクカバー及び第2キャスクカバーの一次、二次及び三次フランジプレート(下記参照)の少なくとも1つは、継ぎ目のない胴体の、特に、ステンレス鋼製であり得る。
【0010】
管状のキャスクシェルの外側は複数の冷却フィンを有していてもよく、これがオーバーパックキャスク内に封入された使用済核物質を発生源とする崩壊熱の消散を改善して、オーバーパックキャスクの外側を適度な温度に保つのを容易にする。代替的に、オーバーパックの熱負荷が低い場合は、管状のキャスクシェルの外側は滑らかであって、例えば、ニッケルまたはクロムのコーティングの電解研磨された層からなっていてもよく、これがキャスクの材質を腐食から保護し、表面の除染を容易にする。有利には、例えば電解研磨工程で達成される滑らかな外側は、除染がより容易である。
【0011】
また、オーバーパックキャスクは、好ましくは1以上の中性子モデレータロッド及び/または1以上の中性子モデレータ板の形態の、1以上の中性子モデレータ要素を有していてもよい。1以上の中性子モデレータ要素、特に、1以上の中性子モデレータロッド及び/または板は、管状のキャスクシェル内に埋め込まれていてもよい。例えば、オーバーパックキャスクは、管状のキャスクシェルに埋め込まれて管状のキャスクシェルの長手軸に沿って延びる1以上の中性子モデレータロッドを有していてもよい。中性子モデレータは、速い中性子のスピードを減速させる媒体であり、理想的には一切捕捉せずに、最小限の(熱)運動エネルギーしか有しない熱中性子の状態にする。オーバーパック内で使用され得る物質は、高密度ポリエチレンまたは高密度ポリプロピレンまたは水素原子の含有量が高いその他のポリマーであってもよい。このように、1以上の中性子モデレータ要素は、有利に、オーバーパックキャスクの外側の中性子被ばくを低減するのに役立つ。
【0012】
管状のキャスクシェルから取外し可能である第1キャスクカバーは、むき出しの第1開口経由で、高レベル廃棄物封入プラントにおける乾式条件下または水中の湿式条件、例えば、水中パッケージ化施設内、のいずれにおいても、貯蔵容器の収納キャビティ内への装填を可能にする。好ましくは、貯蔵容器は、オーバーパックキャスクが直立位置にあって、管状のキャスクシェルの長手軸が実質的に垂直方向に延びて第1開口が上部にある時に、収納キャビティ内に第1開口を経由して装填される。以下、取外し可能な第1キャスクカバーのさらに有利な側面をさらに説明する。
【0013】
オーバーパックキャスクは、貯蔵容器をオーバーパックキャスク内に装填する際には直立位置にあるのが好ましいが、深部地層貯蔵所において貯蔵容器をオーバーパックキャスクから直立位置で取り外すのは、深部地層貯蔵所の定置室内における限られた地下の寸法のために実行が困難である。従って、本発明に従い、貯蔵容器の取外しのためには、オーバーパックキャスクは、好ましくは横向きの位置に、管状のキャスクシェルの長手軸が横方向に延びるようにして、特に、定置室の高さ部材の方向に対して垂直に、より具体的には、管状のキャスクシェルの長手軸が実質的に水平方向に延びるようにすることを見出した。
【0014】
特に、オーバーパックキャスクが横向きの位置にある場合に、そしてまたオーバーパックキャスクが直立位置にある場合にも、オーバーパックキャスクからの貯蔵容器の取外しまたはそれへの装填の工程を容易にするために、本発明に従うオーバーパック容器はスライドガイド構造を有し、これが、管状のキャスクシェルの円周の内側に配置されて、貯蔵容器の収納キャビティ内への装填中及びそこからの取外し中、及び収納キャビティ内に収納されている時に、貯蔵容器をガイドして支持するように構成されている。有利には、スライドガイド構造は、オーバーパックキャスクの直立位置及び横向きの位置の両方で低摩擦の取外し/装填工程を提供するので、確実に、貯蔵容器の外側を損傷させないようにする。そのようにして、スライドガイド構造は、貯蔵容器を収納し、かつ、貯蔵容器のオーバーパックキャスクへの出入りの動きを管状のキャスクシェルの長手軸に沿って支持しガイドするように構成されている。好ましくは、スライドガイド構造は、また、オーバーパックキャスク内に収納した貯蔵容器を管状のキャスクシェルの長手軸に垂直な方向、即ち、半径方向に、支持して保持するようにも構成されている。特に、スライドガイド構造は、収納キャビティ内の収納時に貯蔵容器を保持するための収納キャビティ内部の収納部を規定してもよい。このように、スライドガイド構造は、貯蔵容器をオーバーパックキャスクの中央長手軸の周りに固定するように構成されて、輸送中に貯蔵容器が制御されない動きをしたり、オーバーパックキャスクの内壁に対して動的な力を発揮したりできないようにする。これは、落下等の事故が発生した場合に貯蔵容器及びその内容物である核物質を保護するために、輸送業務においては特に重要である。
【0015】
オーバーパックキャスクに貯蔵容器を装填するまたは取り外す時に、管状のキャスクシェルの長手軸に沿う貯蔵容器の動きを容易にするために、スライドガイド構造は、複数のガイド部材を有していてもよい。例えば、複数のガイド部材は、それぞれ複数の円筒形のローラ、両凹のローラ、両凸のローラ、リニアベアリング、スライドロッドまたはボールベアリング、及びリニアボールベアリングのうちの1以上を有していてもよい。好ましくは、ローラは、各ローラの接触面が、貯蔵容器と対応するローラの間の接点または接触線において、貯蔵容器の外側に接する円周方向に延びるように配置されている。
【0016】
複数のガイド部材は、特に、貯蔵容器が少なくとも部分的にスライドガイド構造に収納されている時に、さらにより具体的には、貯蔵容器がスライドガイド構造に完全に収納されている時に、貯蔵容器の外面に対して付勢するように構成されていてもよい。この付勢により、貯蔵容器がオーバーパックキャスクの中央長手軸の周りに固定され、例えば輸送中に、オーバーパックキャスクの長手軸に垂直な方向に動くことができないようにする。
【0017】
スライドガイド構造は、オーバーパックキャスクが異なる寸法の貯蔵容器を収納するように調整され得るように、インサートとして実現されて、オーバーパックキャスクが異なる内径を有する異なるスライドガイド構造を備えることができるようにしてもよい。このようにして、インサートが、管状のキャスクシェルの円周の内側に、好ましくは可逆的に配置される。したがって、インサートは、異なる内径を有する別のものに容易に交換され得る。好ましくは、インサートは、管状のキャスクシェルの円周の内側全体を外周方向及び軸方向に実質的に全部に渡って延びる。特に、インサートは、実質的に管状のキャスクシェルの第1軸方向端部から第2軸方向端部まで延びていてもよい。
【0018】
インサートは、1以上のインサートスリーブまたは1以上のインサートケージを有していてもよい。この構成において、1以上のインサートスリーブまたは1以上のインサートケージの内部は、管状のキャスクシェルの収納キャビティ内に、その中に貯蔵容器を収納するための収納部を規定する。複数のガイド部材は、リングアセンブリの複数の軸方向に空間を空けた群をなして配置されていてもよく、その場合、各リングアセンブリにおけるガイド部材は、-好ましくは輪を形成するように均等に-管状のキャスクシェルの円周の内側に沿って分配されている。本明細書において、用語「軸方向に空間を空けた」とは、管状のキャスクシェルの長手軸に沿うリングアセンブリの空間を空けた配置をいう。特に、各リングアセンブリにおけるガイド部材は、上述の1以上のインサートスリーブの円周の内側に沿って分配されていてもよい。例えば、各リングアセンブリは、管状のキャスクシェルの円周の内側に沿って-好ましくは輪を形成するように均等に-分配された3、4、5、6、7、8、9または10個のガイド部材を有していてもよい。同様に、複数のガイド部材は、管状のキャスクシェルの長手軸に沿って延びる-好ましくは輪を形成するように均等に-管状のキャスクシェルの円周の内側に分配された、複数のリニアアセンブリに配置されていてもよく、各リニアアセンブリは、管状のキャスクシェルの長手軸に平行に一列に配置された複数のガイド部材を有する。例えば、スライドガイド構造は、管状のキャスクシェルの長手軸に沿って延び、管状のキャスクシェルの円周の内側において-好ましくは輪を形成するように均等に-分配されている、ガイド部材の4、5、6、7、8、9または10個のリニアアセンブリを有していてもよい。ガイド部材またはガイド部材のリニアアセンブリの輪を形成するように均等の分配は、それぞれ、管状のキャスクシェルの長手軸に垂直な方向に、貯蔵容器を対称にガイドし支持する、特に、固定することに関して、特に有利であることを証明する。さらにまた、輪を形成するように均等の分配は、特に、オーバーパックキャスクが、本質的に水平位置にある等、横向きの位置にある場合に、管状のキャスクシェルの長手軸に対してオーバーパックキャスクの任意の回転位置における、貯蔵容器のオーバーパックキャスクへの装填及び/またはそこからの取外しを可能にする。
【0019】
一般に、第1キャスクカバーは、1以上のフランジプレート、特に、少なくとも2つのフランジプレート、好ましくは3つのフランジプレートのフランジプレート系を有していてもよい。様々なフランジプレートが、第1軸方向端部に、特に、第1軸方向端部で管状のキャスクシェルの第1フランジ取付台に、密封接続するための異なる密封系を有していてもよい。
【0020】
より具体的には、第1キャスクカバーは、第1軸方向端部で管状のキャスクシェルの第1フランジ取付台に密封接続するための一次フランジプレートを有していてもよい。さらにまた、第1キャスクカバーは、第1キャスクカバーの一次フランジプレートの上部に、管状のキャスクシェルの第1フランジ取付台に密封接続するための二次フランジプレートを有していてもよい。加えて、第1キャスクカバーは、任意に、第1キャスクカバーの二次フランジプレートの上部に、管状のキャスクシェルの第1フランジ取付台に密封接続するための三次フランジプレートを有していてもよい。管状のキャスクシェルの第1軸方向端部で第1フランジ取付台は、二重または三重の段階的密封用プロファイルを有していてもよい。各プロファイル段階は、第1キャスクカバーの一次フランジプレート、二次フランジプレート及び三次フランジプレートのうちの1つと密封して係合するように構成される。
【0021】
第1キャスクカバーと同様に、第2キャスクカバーも管状のキャスクシェルから取外し可能であってもよく、貯蔵容器を収納キャビティ内に装填する及び/またはそこから取り外すために、第2軸方向端部で管状のキャスクシェルの第2開口をむき出しにする。取外し可能の第2キャスクカバーと第2開口とは、オーバーパックキャスクが横向きの位置にある、特に、深部地層貯蔵所内の地下にある時に、好ましくは貯蔵容器を収納キャビティから取り外すために使用される。
【0022】
第2キャスクカバーが取り外されると、オーバーパックキャスク内に収納された貯蔵容器は、第2開口経由で収納キャビティから引き抜かれてもよい。代替的に、オーバーパックキャスク内に収納された貯蔵容器は、第1軸方向端部で収納キャビティに入る吐出部材によって、第2開口を経由して収納キャビティから押し出されてもよい。後者のほうが好ましいが、その理由は、押出しは-引抜きと対照的に-貯蔵容器に除去用道具の取付けをなんら必要としないので、オーバーパックキャスクからの貯蔵容器の遠隔の自動除去を容易にするからである。押出すためには、第1キャスクカバーが吐出部材にアクセスを提供する等のために、取り外されるかまたは少なくとも部分的に取り外される。このために、第1キャスクカバー、特に、第1キャスクカバーの一次フランジプレートは、貫通孔、特に、中央貫通孔と、貫通孔の密封閉鎖を提供する取外し可能な閉鎖用蓋を有していてもよい。本明細書において、用語「中央貫通孔」は、第1キャスクカバーが管状のキャスクシェルの第1軸方向端部に取り付けられている時に、その中央が管状のキャスクシェルの中央長手軸と一致する貫通孔をいう。貫通孔-閉鎖用蓋がそこから取り外されている時-は、プランジャ等の吐出部材(好ましくはオーバーパックキャスクの部分ではない)をその内部を貫通して通過させるように構成されている。吐出部材は、収納キャビティに収納された貯蔵容器を管状のキャスクシェルの長手軸に沿う方向に移動させるために使用されてもよい。特に、吐出部材は、収納キャビティに収納された貯蔵容器を第2軸方向端部で第2開口を経由して収納キャビティから押し出すために使用されてもよい。こうして、一次フランジプレートをオーバーパックキャスクから完全に取り外すことなく、貯蔵容器をオーバーパックキャスクから遠隔的かつ自動的に容易に取り外すことができる。これは、貯蔵容器の直接の放射線照射圏内で人が作業をしなくてよいため特に有利である。
【0023】
貫通孔は、密封用プロファイル、特に、二重または三重の段階的密封用プロファイルを有していてもよい。同様に、閉鎖用蓋も対応する密封用プロファイル、特に、対応する段階的密封用プロファイルを有していてもよい。この構成は、収納キャビティの特に安全な閉鎖を可能にする。閉鎖用蓋は、第1キャスクカバーの残部、特に、第1キャスクカバーの一次フランジプレートに、ねじ込み継手によって取り付けられてもよい。
【0024】
追加の装置の一種として、オーバーパックキャスクは、貫通孔に、そこから閉鎖用蓋が取り外されている時に取り付けられるように構成されているガイドスリーブを有していてもよい。ガイドスリーブは、吐出部材が貫通孔を通り抜ける時に貫通孔、特に、貫通孔の密封用プロファイルを保護するとともに、吐出部材を管状のキャスクシェルの長手軸に沿ってガイドするように構成されている。ガイドスリーブは、貫通孔の密封用プロファイルに、好ましくは二重または三重の段階的密封用プロファイルの最も内側の段階に適合するように構成されていてもよい。閉鎖用蓋と同様に、ガイドスリーブも、ねじ込み継手によって一次フランジプレートの残部に取り付けられていてもよい。ガイドスリーブの内径は、例えば安全なガイドを提供するために、好ましくは吐出(ejecting)部材の外径に対応する。ガイドスリーブは、摩耗部品として実現されてもよい。特に、ガイドスリーブは、青銅や真鍮等の軟らかい金属製であってもよい。貯蔵容器を押し出した後、ガイドスリーブを再び取り外すことができ、閉鎖用蓋を再度設置することができる。
【0025】
第1キャスクカバーと同様に、第2キャスクカバーも1以上のフランジプレート、特に、少なくとも2つのフランジプレート、好ましくは3つのフランジプレートのフランジプレート系を有していてもよい。第1キャスクカバーについてと同様に、第2キャスク(cost)カバーの様々なフランジプレートは、第2軸方向端部に、特に、第2軸方向端部で管状のキャスクシェルの第2フランジ取付台に、密封接続するための異なる密封系を有していてもよい。
【0026】
より具体的に、第2キャスクカバーは、第2軸方向端部で管状のキャスクシェルの第2フランジ取付台に密封接続するための一次フランジプレートを有していてもよい。さらにまた、第2キャスクカバーは、第2キャスクカバーの一次フランジプレートの上部に、管状のキャスクシェルの第2フランジ取付台に密封接続するための二次フランジプレートを有していてもよい。加えて、第2キャスクカバーは、任意に、第2キャスクカバーの二次フランジプレートの上部に、管状のキャスクシェルの第2フランジ取付台に密封接続するための三次フランジプレートを有していてもよい。第1軸方向端部の第1フランジ取付台と同様に、管状のキャスクシェルの第2軸方向端部の第2フランジ取付台も、二重または三重の段階的密封用プロファイルを有していてもよい。各プロファイル段階は、第2キャスクカバーの一次フランジプレート、二次フランジプレート及び三次フランジプレートのうち1つと密封して係合するように構成される。
【0027】
貯蔵容器は、オーバーパックキャスクに収納されている時はスライドガイド構造によってスライドして支持されるので、輸送中-オーバーパックキャスクが典型的には横向きの、特に、水平位置にある時に、貯蔵容器が、確実に、第1キャスクカバーと第2キャスクカバーの間でゴロゴロと転がらないようにしなければならない。このために、第2キャスクカバー、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレートは、収納キャビティに収納された貯蔵容器に対して、第1軸方向端部に向かう方向に付勢する(即ち、付勢力を発生させる)ように構成された少なくとも1つのばね式圧力板を有していてもよい。こうして、特に、オーバーパックキャスクが横向きの位置にある時に、貯蔵容器が、第1キャスクカバーと第2キャスクカバーの間、特に、第1キャスクカバーの一次フランジプレートと第2キャスクカバーの一次フランジプレートの間で安全に固定されてもよい。
【0028】
付勢力を発生させるために、第2キャスクカバー、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレートは、圧力板上に、第1軸方向端部に向かう方向に復元するばね力を発揮する1以上のばね要素、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのばね要素を有していてもよい。本明細書において、用語「ばね要素」とは、機械的エネルギーを蓄えることができる弾性のある要素をいう。例えば、1以上のばね要素は、渦巻ばね、板ばね、皿ばね、フラットばね、リーフばね、ガス圧ばね及び油圧ばねのうち1つを有していてもよい。
【0029】
好ましくは1以上のばね要素の伸長長さは、例えば特定タイプの異なる貯蔵容器間の長さの違いを補償する、十分大きなものが選択される。そのような長さの違いは、例えば、貯蔵容器の最終的密閉に使用された溶接工程に起因することがある。
【0030】
また、長さの違いは、圧力板を異なる寸法、特に、管状のキャスクカバーが設置されている時の長手軸に沿って異なる厚さを有する別の圧力板に交換することによって補償されてもよい。このために、圧力板(blade)は、オーバーパックキャスクに取外し可能に取付けられていてもよい。
【0031】
また、第2キャスクカバー、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレートは、1以上の圧力板のための迫持受を提供する1以上の停止要素を有して、第2軸方向端部に向かう方向の1以上の圧力板の動きを制限するようにしてもよい。好ましくは、1以上の停止要素は、1以上の圧力板が1以上の停止要素に当接している時は、貯蔵容器と接触している接触面が第2キャスクカバーの残部の軸方向に最も内側の面、特に、第1軸方向端部に面する第2キャスクカバーの一次フランジプレートの残部の軸方向に最も内側の面と同一平面にあるように、構成されて配置される。有利には、こうして、停止要素は、第2軸方向端部に向かう高負荷に曝露した場合には、第2キャスクカバー全体、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレート全体に渡って改善された力の分配を提供する。例えば、停止要素は輪を形成する、リング形状の停止要素であってもよい。
【0032】
1以上のばね要素、特に、1以上のばね要素のばね定数は、オーバーパックキャスク内において収納される特定の貯蔵容器に対して特定の復元するばね力を発揮するように選択されてもよく、それにより、一方で、オーバーパックキャスクが直立位置にある、特に、垂直位置にある時は、貯蔵容器において収納される貯蔵容器の重さが圧力板を1以上の停止要素に対して加圧するのに十分であるようにし、他方で、輸送中等、オーバーパックキャスクが横向きの位置にある、特に、水平位置にある時は、貯蔵容器が第1キャスクカバー、特に、第1キャスクカバーの一次フランジプレートに対して押し付けられるようにする。1以上のばね要素は交換可能であってもよく、特に、異なるばね力を有する1以上の他のばね要素に置き換えられるように、オーバーパックキャスクに取外し可能に取付られて、オーバーパックキャスクを異なる重さの貯蔵容器に適合できるようにする。
【0033】
第2キャスクカバー、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレートは、ピボット運動で第2キャスクカバー、特に、一次フランジプレートを管状のキャスクシェルの第2フランジ取付台から分離する及びそこに再び取り付けるための、取付用ピボットアームと協働するように構成されていてもよい。有利には、ピボット運動は、深部地層貯蔵所の狭苦しい小室における、第2キャスクカバーの、特に、一次フランジプレートの分離と再組立てを容易にする。また、取付用ピボットアームは、第2キャスクカバー、特に、一次フランジプレートの(完全に)自動化された遠隔の分離と再組立てを可能にする。これは、貯蔵容器の直接の放射線の照射圏内で人が作業をしなくてよいため、有利であることが証明される。第2キャスクカバー、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレートは、取付用ピボットアームを第2キャスクカバー、特に、一次フランジプレートに、ボルト締めによって取り付けるように構成されて配置された複数のブラインドタップ穴(tapped blind holes)を有していてもよい。複数のブラインドタップ穴は、二次キャスクカバーの外面、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレートの外側のフランジ表面に、第1軸方向端部に面しない方向に向けて配置されていてもよい。分離するためには、取付用ピボットアームは、まず、第2キャスクカバー、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレートを、第2軸方向端部から管状のキャスクシェルの長手軸に沿って一定距離(例えば、30センチメートル)退避させて、それから第2キャスクカバー、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレートを少なくとも90度わきに旋回させるように構成されていてもよい。この構成において、第2軸方向端部の管状のキャスクシェルの第2開口は完全に開かれるので、貯蔵容器を自由に収納キャビティ内に装填するまたはそこから取り外すことができる。第2キャスクカバー、特に、第2キャスクカバーの一次フランジプレートの第2軸方向端部への(再)取付けのためには、取付用ピボットアームの動作順序を逆にする。
【0034】
第1キャスクカバー及び第2キャスクカバーの一次フランジプレート、二次フランジプレート及び三次フランジプレートのうち1以上と、第1フランジ取付台及び第2フランジ取付台との密封接続は、それぞれ、金属プロファイルシール接続を有していてもよい。このために、第1キャスクカバー及び第2キャスクカバーの一次フランジプレート、二次フランジプレート及び三次フランジプレートと、第1フランジ取付台及び第2フランジ取付台の対応する部分とは、それぞれ、対応して形成された密封用プロファイルを有していてもよく、これらは、好ましくは、対応するフランジプレートと管状のキャスクシェルの対応するフランジ取付台とを一緒にボルト締めすることにより、互いに対して密封するように押し付けられている。金属プロファイルガスケットは、核物質用輸送キャスクの安全な閉鎖に関する法定の要件を満たす。したがって、第1キャスクカバー及び第2キャスクカバーの一次フランジプレート、二次フランジプレート及び三次フランジプレートのうち1以上の、第1フランジ取付台及び第2フランジ取付台への密封接続は、それぞれ、ボルト締めされた金属プロファイルシール接続を有していてもよい。
【0035】
第1キャスクカバー及び第2キャスクカバーの一次フランジプレート、二次フランジプレート及び三次フランジプレートのうち1以上の、第1フランジ取付台及び第2フランジ取付台への密封接続は、それぞれ、差込み接続部も有していてもよい。特に、差込み接続部は、金属プロファイルシール接続の密封固定に、即ち、対応するフランジプレート及びフランジ取付台に対応して形成された両者の密封用プロファイルを一緒に密封するように押し付けるのに使用されてもよい。有利には、差込み接続部は、特に、遠隔的かつ自動的に、フランジプレートの素早い設置と取外しを可能にする。これは、オーバーパックキャスクの放射線の照射圏内で費やす時間を減らし、したがって作業者の放射線被ばくを低減させることができるので有利であることを証明する。一次フランジプレートを接続するための差込み接続部は、大きな遮蔽効果を既に提供する一次フランジプレートで収納キャビティの素早い閉鎖を可能にするので、特に有利である。GGVS/ADR輸送のためには、B型に準拠した閉鎖の完全性が達成されなければならない。これは、差込み接続部に加えて、ボルト締め接続によるフランジプレートの固定が必要になり得る。よって、差込み接続部は、好ましくは、ボルト締めされた金属プロファイルシール接続等のボルト締め接続に追加される。
【0036】
別の追加の装置の一種として、オーバーパックキャスクは、管状のキャスクシェルの第1軸方向端部から第1キャスクカバーが取り外されている時に、そこに取外し可能に取り付けられるように構成された作業用アタッチメントを有していてもよい。作業用アタッチメントは、貯蔵容器が第1開口を通ってオーバーパックキャスク内に部分的に挿入されるサービス位置に貯蔵容器を保持するために、貯蔵容器の(一時的な取付けができる)横方向のトラニオンとの係合のための収納部を有していてもよい。つまり、作業用アタッチメントの収納部に貯蔵容器の(一時的な取付けができる)横方向のトラニオンが留まることにより、貯蔵容器をオーバーパックキャスクの収納キャビティ内に完全に装填されてしまうのを作業用アタッチメントが防止する。この位置は、例えば、溶接、研削及び貯蔵容器の密封カバー内で行われるべきテスト作業等のサービス位置として使用されてもよい。作業用アタッチメントが、サービス位置に容器を保持後も永久的気密に保ち、第1キャスクカバーによって第1開口が適切に密閉されるのを確実にするために、管状のキャスクシェルの第1軸方向端部、特に、第1フランジ取付台のフランジを保護する。
【0037】
好ましくは、作業用アタッチメントは、少なくとも2つのリング区画を有する複数の部分に分かれた作業用アタッチメントである。さらにより好ましくは、少なくとも2つのリング区画は、互いから分離されて、リング区画の円周方向に両者の間にギャップを形成する。(円周方向の)ギャップは、貯蔵容器がサービス位置に保持されている時に、オーバーパックキャスクの内部と周囲の間に流体連通を提供してもよい。流体連通は、貯蔵容器が作業用(work)アタッチメントの作業用位置に留まっている時に、オーバーパックキャスクの内部を乾かすために重要であり得る。乾燥が必要であり得る理由は、貯蔵容器が-作業用アタッチメント内に装填されている時は-、水中パッケージ化施設において使用済核物質が充填された直後でその外側がまだ濡れていることがあるからである。特に、隣り合うリング区画の間に挟まれた(円周方向の)ギャップは、オーバーパックキャスクの内部を乾かすための装置をその中に取り付け得るように構成されてもよい。
【0038】
作業用アタッチメントは、少なくとも2つのリング区画をその上に取付けられる/取付け可能な、特に、可逆的に取付けられる/取付け可能な、支持フレームを有していてもよい。そのようにして、支持フレームが少なくとも2つのリング区画を一緒に保持するので、管状のキャスクシェルの第1軸方向端部上への作業用アタッチメントの取付け及びそこからの取外しが容易である。支持フレーム上に可逆的に取付け可能な少なくとも2つのリング区画を有することにより、少なくとも2つのリング区画が管状のキャスクシェルの第1軸方向端部に取り付けられている時は、支持フレームの取外しを可能にし、貯蔵容器のサービス作業の終了後に作業用アタッチメントが第1軸方向端部から再び取り外された時は、支持フレームの再取付けを可能にする。
【0039】
作業用アタッチメントは、支持フレームに、アイボルト等の1以上の取付点を有していてもよい。サービス作業の終了後、例えば、貯蔵容器の密封後、例えば、これを貯蔵容器の上部カバー上のトラニオンに取り付けることによって、貯蔵容器をクレーンで持ち上げることができ、貯蔵容器の一時的に取付けた横方向のトラニオンを特に、遠隔的な取扱いによって取り外すことができる。貯蔵容器は、その後、オーバーパックキャスクに完全に装填されてもよく、作業用アタッチメントは、支持フレームに取り付けられた後クレーンによって取り外されてもよい。
【0040】
作業用アタッチメント、特に、各リング区画は、管状のキャスクシェルの第1軸方向端部との係合、特に、第1フランジ取付台との係合のためのベース部と、サービス位置に保持されるべき貯蔵容器との係合のための、ベース部の上部のベアリング部とを有していてもよい。作業用アタッチメントまたはリング区画の、この2部構成は、作業用アタッチメントが、それぞれの使用目的に合わせて第1軸方向端部と貯蔵容器との対応する接点を独立して調整できるようにする。特に、作業用アタッチメントまたはリング区画の2部構成は、ベアリング部とベース部に異なる物質を使用できるようにする。つまり、ベアリング部とベース部は、異なる物質で作られていてもよい。好ましくは、ベアリング部は、金属、特に、ステンレス鋼を含むかまたはこれで作られている。対照的に、ベース部は、好ましくは高密度の耐放射線性プラスチック、例えば高密度ポリエチレンまたは高密度ポリプロピレンを含むかまたはこれで作られている。
【0041】
特に、ベース部は、作業用アタッチメントが管状のキャスクシェルの第1軸方向端部に取り付けられている時に、管状のキャスクシェルの第1軸方向端部、特に、第1フランジ取付台と係合する、特に、接触する、ベース部の少なくとも一部を形成する保護層または保護被覆を有していてもよい。保護層または保護被覆は、高密度の耐放射線性プラスチック、例えば高密度ポリエチレンまたは高密度ポリプロピレンを含むかまたはこれで作られていてもよい。同様に、保護層または保護被覆は、ゴム等の弾性のある物質を含むかまたはこれで作られてもよい。ベース部、特に、保護層または保護被覆は、貯蔵容器の装填中に、第1軸方向端部、特に、第1フランジ取付台を有利に保護する。より具体的には、上記の特定の物質は、作業用アタッチメントが管状のキャスクシェルの第1軸方向端部に取り付けられている時に、第1軸方向端部、特に、第1フランジ取付台の、シール表面を損傷、特に、かき傷から保護するのに役立ちうる。
【0042】
ベース部は、管状のキャスクシェルの第1フランジ取付台のプロファイルに相補的なプロファイルを有するドッキングフランジ取付台を有していてもよい。この構成は、サービス位置において貯蔵容器に、定位置の確実で安定した支持を提供する。
【0043】
さらにまた、ベース部は、少なくとも2つ、特に、少なくとも3つの位置決めピンを有していてもよい。位置決めピンは、第1軸方向端部で、特に、管状のキャスクシェル第1フランジ取付台で対応する位置決め穴と係合するために配置され、構成されていてもよい。代替的に、ベース部は、例えば、作業用アタッチメントが管状のキャスクシェルの第1軸方向端部に取り付けられている時にその位置を半径方向に固定するために、第1軸方向端部、特に、第1フランジ取付台の縁の外側の円周と係合するために配置され、構成された位置決めリングまたは少なくとも2つ、特に、少なくとも3つの位置決めピンを有していてもよい。有利には、位置決めピンまたは位置決め(position)リングと、-ある場合は-対応する位置決め穴とが、オーバーパックキャスクに対して、作業用アタッチメント設置中のその適切な位置決めを容易にするので、これがなければ起こり得る、作業用アタッチメントが所定の位置から逸脱してオーバーパックと接触した場合の第1軸方向端部、特に、管状のキャスクシェルの第1フランジ取付台の損傷を防ぐ。
【0044】
位置決めピンまたは位置決めリングは、金属、特に、ステンレス鋼を含んでいてもよく、またはこれで作られていてもよい。代替的に、位置決めピンまたは位置決めリングは、耐放射線性の、好ましくは高密度プラスチック、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、特に、高密度ポリエチレンまたは高密度ポリプロピレンを含んでいてもよく、またはこれで作られていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本発明に従うオーバーパックキャスクの、貯蔵容器がその中に収納された状態の、例示的な実施形態の断面図を示す。
図2図2は、図1のオーバーパックキャスクの、そこから貯蔵容器が部分的に取り外された状態の断面図を示す。
図3-4】図3及び図4は、図1のオーバーパックキャスクにおいて実施されるスライドガイド構造の詳細を示す。
図5図5は、図1のオーバーパックキャスクのキャスクカバーを閉じるのに使用される差込み接続部の詳細を示す。
図6図6は、図1のオーバーパックキャスクの第2キャスクカバーと、第2キャスクカバーの分離及び再取付のための取付用ピボットアームの詳細を示す。
図7図7は、図1のオーバーパックキャスクの第1キャスクカバーと、それに取り付けられたガイドスリーブの詳細を示す。
図8図8は、図1のオーバーパックキャスクに取外し可能に取り付けられるように構成された作業用アタッチメントの例示的な実施形態を示す。
図9図9は、図8の作業用アタッチメントが取り付けられた図1のオーバーパックキャスクの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施形態の詳細な説明
以下、本発明の例示的な実施形態を図を参照して説明するが、同様の要素には、同様の参照番号を使用し続ける。
【0047】
図1は、使用済核物質150用の貯蔵容器100を取外し可能に収納し、取り扱い及び輸送するために、例えば、使用済燃料アセンブリの長期保管のために構成された、本発明に従うオーバーパックキャスク1の例示的な実施形態の断面図を示す。オーバーパックキャスク1は、貯蔵容器100をその中に可逆的に収納するための収納キャビティ35を規定する管状のキャスクシェル30を有する。オーバーパックキャスク1は、管状のキャスクシェル30の第1軸方向端部31で収納キャビティ35の密封閉鎖を提供する第1キャスクカバー10と、第1軸方向端部31の反対側の管状のキャスクシェル30の第2軸方向端部32で収納キャビティ35の密封閉鎖を提供する第2キャスクカバー20をさらに有する。第1キャスクカバー10は、管状のキャスクシェル30から取外し可能であり、貯蔵容器100の収納キャビティ35への装填及び/またはそこからの取外しのために第1軸方向端部31で管状のキャスクシェル30の第1開口33をむき出しにする。好ましくは、第1開口33は、オーバーパックキャスク1が、管状のキャスクシェル30の長手軸39が実質的に垂直方向に延びる直立位置にある時に、貯蔵容器100の収納キャビティ35内への装填に、主に使用される。本実施形態において、第2キャスクカバー20もまた、管状のキャスクシェル30から取外し可能であり、第2軸方向端部32で管状のキャスクシェル30の第2開口34をむき出しにし、これもまた、貯蔵容器100の収納キャビティ35内への装填及び/またはそこからの取外しを可能にする。好ましくは、第2開口34は、収納キャビティ35からの貯蔵容器100の取外し、特に、第1軸方向端部31を経由して収納キャビティ35に入る吐出部材を使用して貯蔵容器100を収納キャビティ35から押し出すことによる取外しに、主に使用される。これは、図2についてより詳細にさらに後述する。管状のキャスクシェル30と、第1キャスクカバー及び第2キャスクカバー10、20とは、一緒に、その中に収納される貯蔵容器100の安全な遮蔽を形成し、これが、ガンマ線及び中性子線を十分に遮蔽し、法定の要件に従う貯蔵容器の安全な輸送を可能にする。
【0048】
本実施形態において、管状のキャスクシェル30により規定される収納キャビティ35は、第1キャスクカバー及び第2キャスクカバー10、20の両者の最も内側の面の間の長手軸39に沿う縦長部材と内径とを有し、これらは約5.27メートルの長さと約1.05メートルの外径を有する貯蔵容器100を収納するのに十分な大きさとなるように選択される。図1に示すオーバーパックキャスク1の縦長部材の全長は、第1及び第2軸方向端部31、32の最も端の間で測定して、約5.94メートルである。対照的に、管状のキャスクシェル30の外径は、最大で2.50メートルであるが、これは、深部地層貯蔵所の定置室の寸法が、現在の計画ではこれより大きい外径を許容しないからである。例えば、管状のキャスクシェル30の外径は、1.00メートル~2.50メートルの範囲、特に、1.40メートル~1.80メートルの範囲であり得る。
【0049】
本実施形態において、管状のキャスクシェル30は、節のある鋳鉄製の継ぎ目のない胴体であり、これが特に高い機械的安定性と良好な遮蔽性を提供する。第1キャスクカバー及び第2キャスクカバー10、20(より厳密にはそれらの様々な構成要素)もまた、ステンレス鋼製の継ぎ目のない胴体を有する。さらに図1に見て取れる通り、管状のキャスクシェル30の外側は複数の冷却フィンを有し、これがオーバーパックキャスク1内に封入された使用済核物質150を発生源とする崩壊熱の消散を改善し、よってオーバーパックキャスクの外側1を適度な温度に保つのを容易にする。オーバーパックキャスク1の外側の中性子被ばくを低減するため、図1に示すオーバーパックキャスク1は、管状のキャスクシェル30に埋め込まれた中性子モデレータロッドと中性子モデレータ板の態様の複数の中性子モデレータ要素60を有する。
【0050】
本発明に従い、将来の深部地層貯蔵所には狭苦しい小室が予期されるため、深部地層貯蔵所におけるオーバーパックキャスク1からの貯蔵容器100の取外しは、オーバーパックキャスク1が横向きの、実質的に水平位置にある時に可能になるにすぎないことが見いだされた。横向きの実質的に水平位置における取外し工程を容易にするために、本発明に従うオーバーパックキャスク1は、管状のキャスクシェル30の円周の内側38に配置されたスライドガイド構造40を有する。スライドガイド構造40は、貯蔵容器100の収納キャビティ35からの取外し中及びそこへの装填中、貯蔵容器100をガイドするように構成されている。また、スライドガイド構造40は、貯蔵容器100が収納キャビティ35に収納されている時、特に、輸送中に、貯蔵容器100を支持するように、特に、オーバーパックキャスク1の中央長手軸39の周りに放射状に固定するように構成されている。
【0051】
本実施形態において、スライドガイド構造40は、複数のガイド部材41を有するインサートスリーブ42を有するインサートとして実現されてもよく、その詳細を図3及び図4に示す。インサートスリーブ42とガイド部材41とは、図1及び図2に図示する通り、一緒に、貯蔵容器100をその中に収納するための収納キャビティ35の内部に収納部を形成する。図3及び図4を参照すると、スライドガイド構造40のガイド部材41は、インサートスリーブ42の円周の内側に並べられた円筒形のローラとして実現されて、これにより、各ローラの接触面が、貯蔵容器100と各ローラの間の接点または接触線において、貯蔵容器100の外側に接する円周方向に延びるようにする。さらに図3及び図4に見て取れる通り、ガイド部材41がリングアセンブリの複数の軸方向に空間を空けた群をなして配置されている。各リングアセンブリにおけるガイド部材41は、管状のキャスクシェル30の円周の内側38に沿って、より厳密には、インサートスリーブ42の円周の内側に沿って、例えば、輪を形成するように均等に分配されるように並べられる。円筒形のローラは、管状のキャスクシェル30の長手軸39に沿う貯蔵容器100の低摩擦の動作を支持しガイドする。これは、オーバーパックキャスク1の横向きの位置における貯蔵容器100の取外し/装填のためだけでなく、オーバーパックキャスク1の直立位置での取外し/装填のためにも特に有利である。両方の位置において、貯蔵容器100のスライドガイドが、確実に、貯蔵容器100がその外側にいかなる損傷も受けないようにする。
【0052】
複数のガイド部材41が配置されて、基本的に各ガイド部材が貯蔵容器100の外側に対して付勢するか、または貯蔵容器100の外側の少なくとも近くにあるか接触しそうであるように構成される。このため、及びインサートスリーブ42の円周の内側に渡るガイド部材41の均等な分配のために、スライドガイド構造40もまた、オーバーパックキャスク1内で管状のキャスクシェル30の長手軸39に垂直な方向、即ち、半径方向に収納されている時の貯蔵容器100を支持して保持する。よって、スライドガイド構造40が、貯蔵容器100をオーバーパックキャスク30の中央長手軸39の周りに安全に固定する。有利には、これが貯蔵容器100が制御されずに半径方向に移動するのを防ぎ、また、管状のキャスクシェル30の円周の内側38に対して動的な力を発揮するのを防ぐが、これは、事故の場合に貯蔵容器100とその内容物の核物質150を保護するために、輸送業務には特に重要である。
【0053】
再び図1を参照すると、第1キャスクカバー10及び第2キャスクカバー20は、それぞれ、3つのフランジプレートのフランジプレート系を有し、管状のキャスクカバー30の第1及び第2軸方向端部31、32において第1及び第2フランジ取付台36、37にそれぞれ連続して取り付けられている。第1フランジ取付台36と第2フランジ取付台(month)37の両方は、三重の段階的密封用プロファイルを有する。第1キャスクカバー10は、第1開口33の最も内側の閉鎖を形成する一次フランジプレート11を有する。第1キャスクカバー10は、第1軸方向端部31で第1フランジ取付台36の最も内側のプロファイル段階に密封接続するために構成されている。それに加えて、第1キャスクカバー10は、一次フランジプレート11の上部に、第1フランジ取付台36の中間のプロファイル段階に密封接続するための二次フランジプレート12を有する。最後に、第1キャスクカバーは、第1キャスクカバー10の二次フランジプレート12の上部に、第1フランジ取付台36の最も外側のプロファイル段階に密封接続するための(任意の)三次フランジプレート13を有する。取付け後、三次フランジプレート13のフランジプレートの外側表面は、第1軸方向端部31で管状のキャスクシェル30の軸方向端部の面と同一平面にある。
【0054】
同様に、第2キャスクカバー20は、第2開口34の最も内側の閉鎖を形成する一次フランジプレート21を有する。第2キャスク20は、第2軸方向端部32で第2フランジ取付台37の最も内側のプロファイル段階に密封接続するために構成されている。また、第2キャスクカバー20は、一次フランジプレート21の上部に、第2フランジ取付台37の中間のプロファイル段階に密封接続するための二次フランジプレート22、及び二次フランジプレート22の上部に、第2フランジ取付台37の最も外側のプロファイル段階に密封接続するための(任意の)三次フランジプレート23も有する。第1キャスクカバー10の三次フランジプレート13と同様に、第2キャスクカバー20の三次フランジプレート23のフランジプレートの外側表面もまた、設置後、第2軸方向端部32で管状のキャスクシェル30の軸方向端部の面と同一平面にある。
【0055】
本実施形態において、第1キャスクカバー及び第2キャスクカバー10、20の一次フランジプレート11、21、二次フランジプレート12、22及び三次フランジプレート13、23の、第1及び第2フランジ取付台36への密封接続は、それぞれ、ボルト締めされた金属プロファイルシール接続を有する。また、各密封接続は、対応する密封用プロファイル接続をぴったりと固定するために使用される差込み接続部を有する。ボルト締めされた金属プロファイルシール接続と、第1キャスクカバー10の一次フランジプレート11を第1フランジ取付台36に接続するために使用される差込み接続部70の詳細を図5を示す。図4の差込み接続部70において、フランジプレート11とフランジ取付台36の間の接続は、まず、フランジプレート11のフランジ取付台36に対して押して、次いで、フランジプレート11をフランジ取付台11に対して、オーバーパックキャスク1の中央長手軸39の周りに回転させて、半径方向外側に延びるフランジプレート11のロックアーム71が半径方向内側に延びるフランジ取付台36の対応して形成されたロックアーム72と係合するようにすることによって達成される。これにより、フランジプレート11とフランジ取付台36の対応して形成された両者の密封用プロファイルを一緒に密封するように押しつける。他のフランジプレート12、13、21、22、23は、対応するフランジ取付台36、37に密封して接続される同様の差込み接続部を有していてもよい。有利には、差込み接続部は、特に、遠隔的かつ自動的に、フランジプレート11、12、13、21、22、23の素早い設置と取外しを可能にする。これは、オーバーパックキャスクの放射線の照射圏内で費やす時間を減らし、したがって作業者の放射線被ばくを低減させることができるので有利であることを証明する。一次フランジプレート11、21を接続するための差込み接続部は、大きな遮蔽効果を既に提供する一次フランジプレート11、21で収納キャビティ35を素早い閉鎖を可能にするので、特に有利である。輸送目的のためには、閉鎖の完全性について法定の要件がより高い要求を課すことがある。よって、差込み接続部70に加えて、ボルト締めされた金属プロファイルシール接続75を提供するために、フランジプレート11、12、13、21、22、23がねじボルト76による追加の固定を必要とすることがある。
【0056】
貯蔵容器100は、オーバーパックキャスク1内に収納されている時は、スライドガイド構造40によってスライドして支持されるので、輸送中-オーバーパックキャスク100が典型的には横向きの位置にある時に、貯蔵容器100が、確実に、第1キャスクカバー10と第2キャスクカバー20と間でゴロゴロと転がらないようにしなければならない。このために、本実施形態に従うオーバーパックキャスク1は、ばね式圧力板25-第2キャスクカバー20の一次フランジプレート21の一部として-を有しており、これが、例えば、貯蔵容器100を第1キャスクカバー10の一次フランジプレート11と第2キャスクカバー20の一次フランジプレート21の間に安全に固定する等のために、貯蔵容器100に対して、第1軸方向端部31に向かう方向に付勢する(即ち、付勢力を発生させる)ように構成される。ばね式圧力板24の詳細は、図6に示す。付勢力を発生させるため、一次フランジプレート21は、圧力板24上に第1軸方向端部31に向かう方向に復元するばね力を発揮する、複数のばね要素25を有する。また、一次フランジプレート21は、圧力板24のための迫持受を提供するリング形状の停止要素28を有して、第2軸方向端部32に向かう方向の圧力板24の動きを制限する。この圧力板24、ばね要素25及び停止要素28は、フランジプレートの内側表面29に形成された凹部に、少なくとも部分的に配置されている。停止要素28は、圧力板24が停止要素28に当接している時は、貯蔵容器100と接触している圧力板24の接触面が、一次フランジプレート21の残部の軸方向に最も内側の面、即ち、フランジプレートの内側表面29、と同一平面にあるように構成されて、配置される。有利には、リング形状の停止要素28は、第2軸方向端部32に向けて高負荷に曝露した場合には、一次フランジプレート21全体に渡り改善された力の分配を提供する。ばね要素25、特に、そのばね力は、特定の貯蔵容器100の重さに対して選択され、オーバーパックキャスク1が直立位置にある時は、圧力板24が停止要素28に押し付けられ、他方で、オーバーパックキャスク1が、輸送中等、横向きの位置にある時は、貯蔵容器100が第1キャスクカバー10の一次フランジプレート11に押し付けられるようにする。貯蔵容器の長さにおける、通常の長さからの逸脱は、圧力板24を異なる厚さを有する別の圧力板に置き換えることによって補償されてもよい。このために、圧力ブレード24は、好ましくはオーバーパックキャスク1に取外し可能に取り付けられる。さらにまた、ばね要素25は、異なるばね力を有する他のばね要素に置き換えられるように交換可能であってもよく、こうして、オーバーパックキャスク1を異なる重さの貯蔵容器に適合できるようにする。
【0057】
既に上記の通り、深部地層貯蔵所の定置室における地下の貯蔵容器100の取外しは、オーバーパックキャスク1が横向きの、実質的に水平位置にある時に、好ましくは第2開口34経由で行われる。このために、第2キャスクカバー20は、第2軸方向端部32から取り外されなければならない。第2キャスクカバー20を、特に、第2キャスクカバー20の第1フランジプレート21から遠隔的かつ自動的に、取り外して再度取り付けるために、第2キャスクカバー20、特に、一次フランジプレート21は、取付用ピボットアームと協働して、ピボット運動で第2キャスクカバー20/一次フランジプレート21を第2フランジ取付台37から分離しそこに再び取り付けるように構成されている。第2キャスクカバー20の第1フランジプレート21について図6に示す通り、一次フランジプレート21は、フランジプレートの外側表面26に配置された複数のブラインドタップ穴27を有しており、これが、ねじボルト81によって取付用ピボットアーム80をそこに取り付けるように構成されている。分離するためには、取付用ピボットアーム80-第1フランジプレート21への取付け後-は、まず、一次フランジプレート21を第2軸方向端部32から管状のキャスクシェルの長手軸39に沿って退避させてから、一次フランジプレート21を少なくとも90度わきに旋回させる。この構成において、第2開口34は完全に開かれるので、貯蔵容器100を自由に収納キャビティ35内に装填するまたはそこから取り外すことができるようになる。一次フランジプレート21の(再)取付けのためには、取付用ピボットアーム80の動作順序を逆にする。
【0058】
第2キャスクカバー20を完全に取り外した後、オーバーパックキャスク1内に収納された貯蔵容器100が、第2開口34経由で引き出されてもよく、または、代替的に、図2に示す通り、第1軸方向端部31で収納キャビティ35に入る吐出部材90によって、第2開口34経由で押し出されてもよい。後者のほうが好ましいが、その理由は、押出しは-引抜きと対照的に-貯蔵容器100に除去用道具の機械的な取付けをなんら必要としないからである。これが、オーバーパックキャスク1からの貯蔵容器100の遠隔の自動除去を容易にする。吐出部材90にアクセスを提供するために、第1キャスクカバー10の一次フランジプレート11は、中央貫通孔14と、貫通孔14の密封閉鎖を提供する取外し可能な閉鎖用蓋16を有する。三次フランジプレート13、二次フランジプレート12及び閉鎖用蓋16を取り除いた後、貯蔵容器100を第2開口34経由で収納キャビティ35から押し出すために、プランジャ等の吐出部材90が、長手軸39に沿って貫通孔14を通って収納キャビティ35内へと挿入されてもよい。こうして、一次フランジプレート11をオーバーパックキャスク1から完全に取り外すことなく、貯蔵容器100をオーバーパックキャスク1から容易に取り外すことができる。図1及び図2から見て取れる通り、貫通孔14と閉鎖用蓋16は、収納キャビティ35の安全な閉鎖を提供する対応する段階的密封用プロファイルを有する。閉鎖用蓋16は、ねじ込み継手によって一次フランジプレート11の残部に取り付けられてもよい。
【0059】
吐出部材90がその内部を貫通する時に貫通孔14、特に、その密封用プロファイルを保護するとともに、吐出部材90を長手軸39に沿ってガイドするために、閉鎖用蓋16が貫通孔14から取り外されている時にガイドスリーブ91が貫通孔14に取り付けられてもよい。図7から見て取れるように、ガイドスリーブ91は、貫通孔14の段階的密封用プロファイルに適合するように構成されている。閉鎖用蓋16と同様に、ガイドスリーブ91も、ねじ込み継手によって一次フランジプレート11の残部に取り付けられていてもよい。ガイドスリーブ91の内径は、安全なガイドを提供する等のために、吐出(ejecting)部材90の外径に対応する。好ましくは、ガイドスリーブは、青銅や真鍮等の軟らかい金属製の摩耗部品として実現されてもよい。貯蔵容器100の取外し後、ガイドスリーブ91を再び取り外すことができ、閉鎖用蓋16を貫通孔14に再度設置することができ、収納キャビティ35が再び密閉される。
【0060】
図8及び図9は、図1及び図2のオーバーパックキャスク1の追加の装置であり得る、また、第1キャスクカバー10が完全に取り除かれた時の第1軸方向端部31で第1フランジ取付台のフランジ36に取外し可能に取り付けられるように構成されている、作業用アタッチメント200の例示的な実施形態を示す。作業用アタッチメントは、図9に示す通り、貯蔵容器100が、第1開口33を通ってオーバーパックキャスク1の中に部分的に挿入されるサービス位置に貯蔵容器100を保持するために、貯蔵容器100の一時的に取付可能な横方向のトラニオン160との係合のための、2つの収納部205を有する。この位置は、例えば、溶接、研削及び貯蔵容器100の密封カバー内で行われるべきテスト作業等のサービス位置として使用されてもよい。有利には、作業用アタッチメント200が、貯蔵容器100がその上に載ると第1フランジ取付台36を保護するので、サービス作業の完了後も永久的気密状態に保ち、確実に第1キャスクカバー10によって第1開口33が適切に密閉される。
【0061】
図8及び図9に示す通り、作業用アタッチメント200は、2つのリング区画201、202を有する複数の部分に分かれた作業用アタッチメントであり、このリング区画201、202は円周方向に互いから分離されて両者の間に2つのギャップ203を形成する。円周方向のギャップ203は、貯蔵容器100がサービス位置に保持されている時に、オーバーパックキャスク1の内部と周囲の間に流体連通を提供してもよい。好ましくは、円周方向のギャップ203は、その中のオーバーパックキャスクの内部を乾燥させるための装置(図示せず)を取り付けるように構成されている。乾燥が必要であり得る理由は、貯蔵容器100が-作業用アタッチメント内に装填されている時は-、水中パッケージ化施設において使用済核物質が充填された直後でその外側がまだ濡れていることがあるからである。
【0062】
さらに図8に示す通り、作業用アタッチメント200は、作業用アタッチメント200の第1フランジ取付台36への取付け及びそこからの取外しを容易にするために、2つのリング区画201、202が可逆的に取り付けられた支持フレーム230を有する。このために、作業用アタッチメント200は、支持フレーム230に取付点231、例えば、アイボルトを有しており、支持フレームのクレーンによる持上げが可能である。支持フレーム230は、少なくとも2つのリング区画201、202が第1フランジ取付台36に載っている時は、一時的に取り外されてもよく、また、その後、サービス作業の終了後に作業用アタッチメント200が第1フランジ取付台36から取り外される時に再び取り付けられてもよい。
【0063】
各リング区画201、202は、第1フランジ取付台36との係合のためのベース部211、221と、サービス位置に保持されるべき貯蔵容器100との係合のための、ベース部211、221の上部のベアリング部212、222を有する。好ましくは、ベアリング部212、222は、金属、特に、ステンレス鋼製であるが、ベース部211、221は高密度の耐放射線性プラスチック、例えば高密度ポリエチレンまたは高密度ポリプロピレン製である。この構成-耐放射線性プラスチック製のベース部211、221と金属製のベアリング部212、222-は、貯蔵容器100の装填中に第1フランジ取付台36を保護し、また、サービス位置において貯蔵容器100に、定位置の確実で安定した支持を提供する。このために、ベース部211、221は、図9に示す通り(図8には図示せず)、第1フランジ取付台36のプロファイルに相補的なプロファイルを有するドッキングフランジ取付台を有する。
【0064】
各ベース部211、221は、作業用アタッチメント200をその取付中に、オーバーパックキャスク1に対する適切な位置決めを容易にするために、第1フランジ取付台36の対応する位置決め穴との係合のための、ステンレス鋼製の2つの位置決めピン214、224を有する。有利には、これは、作業用アタッチメント200が所定の位置から逸脱してオーバーパックキャスク1と接触した場合に、これがなければ起こり得る損傷から、第1フランジ取付台36を保護する。
【0065】
サービス作業の完了後、貯蔵容器100は、例えば、貯蔵容器100の上部カバー170上のトラニオン175(図2に示す)に取り付けることによって、クレーンで持ち上げることができる。持ち上げた位置において、貯蔵容器100の、一時的に取り付けられた横方向のトラニオン160は、貯蔵容器100がその後オーバーパックキャスク1に完全に装填され、取付点231で支持フレーム230に取り付けられたクレーンによって作業用アタッチメント200が再び取り除かれる前に、取り外すことができる。
図1
図2
図3-4】
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】