(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】薬物送達デバイス、薬物送達デバイス内で使用するためのコンポーネント
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20241126BHJP
G16H 20/13 20180101ALI20241126BHJP
G06F 1/14 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61M5/20 500
G16H20/13
G06F1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525865
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022048906
(87)【国際公開番号】W WO2023081324
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオン,クリストフアー
(72)【発明者】
【氏名】アシャニ,アリーレザ
(72)【発明者】
【氏名】コールズ,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シー,ケン-トン
(72)【発明者】
【氏名】イン,ドーシュヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダーノ,セルジョ
(72)【発明者】
【氏名】トラブッキ,カルロ
(72)【発明者】
【氏名】シルバノ,アルベルト
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE06
4C066QQ24
4C066QQ74
4C066QQ76
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ92
5L099AA25
(57)【要約】
薬物送達デバイス、薬物送達デバイス内で使用するためのコンポーネント、及び薬物送達デバイスを動作させる方法が提供される。薬物送達デバイスは、メインマイクロコントローラがスリープモードにあるとき、無線通信モジュールのリアルタイムクロックを使用して、遠隔デバイスとデータをやりとりすることを含み得る。薬物送達デバイスは、メインマイクロコントローラが注入プロセス中であるとき、メインマイクロコントローラと無線通信モジュールとの間における通信を無効化することを含み得る。薬物送達デバイスは、挿入駆動部及び押出駆動部からのデータに基づいて、注入プロセスの終了を判定することを含み得る。薬物送達デバイスは、固有の閾値を有する2つの近接センサを備え得る。薬物送達デバイスは、静電気放電に対する保護及び回復を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングと、
注入プロセスにおいて前記シリンジから前記薬剤を選択的に押し出す押出駆動部と、
前記ハウジングによって運ばれるメインマイクロコントローラ及び無線通信モジュールと
を備える、薬物送達デバイスであって、
前記メインマイクロコントローラ及び前記無線通信モジュールが、通信チャネルを介して通信可能に接続され、
前記メインマイクロコントローラが、第1のリアルタイムクロックを備え、
前記メインマイクロコントローラが、前記第1のリアルタイムクロックに基づいて注入データを生成するように構成され、
前記無線通信モジュールが、周辺インターフェース及び第2のリアルタイムクロックを備え、
前記周辺インターフェースが、前記第2のリアルタイムクロックに基づいて前記注入データを遠隔デバイスに伝達するように構成される、薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記メインマイクロコントローラが、薬剤注入プロセスの少なくとも一部を自動的に制御するように構成される、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記周辺インターフェースに接続され、ペアリングされる外部無線デバイスであって、前記第2のリアルタイムクロックが同期のためのものである、外部無線デバイス
を更に備える、請求項1又は2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
メモリであって、前記メインマイクロコントローラが、前記注入データを前記メモリに自動的に格納するように構成される、メモリ
を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記無線通信モジュールが、前記メモリから前記注入データを読み取るように構成される、請求項4に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
薬物送達デバイスを動作させる方法であって、前記方法が、
通信チャネルを介して無線通信モジュールと通信可能に接続されたメインマイクロコントローラを提供することであって、
前記メインマイクロコントローラが、第1のリアルタイムクロックを備え、
前記メインマイクロコントローラが、前記第1のリアルタイムクロックに基づいて注入データを生成し、薬物送達デバイス構成データに基づいて薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御するように構成され、
前記無線通信モジュールが、周辺インターフェース及び第2のリアルタイムクロックを備える、提供することと、
前記第2のリアルタイムクロックに基づいて、前記周辺インターフェースを介して前記注入データを伝達することと
を含む、方法。
【請求項7】
前記メインマイクロコントローラが、前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部を自動的に制御するように構成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記無線通信モジュールが、前記周辺インターフェースを介して前記注入データを外部無線デバイスに送信するように構成される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記無線通信モジュールが、Bluetooth low energy(BLE)デバイスを含む、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記外部無線デバイスが、Bluetooth low energy(BLE)対応である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
タイムスタンプが、前記メインマイクロコントローラがアクティブであるとき、前記第1のリアルタイムクロックに基づく、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
通信チャネルを介して無線通信モジュールと通信可能に接続されたメインマイクロコントローラからの第1のリアルタイムクロック信号を受信させ、前記メインマイクロコントローラが、注入データを生成し、薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御するように構成され、
前記無線通信モジュールからの第2のリアルタイムクロック信号を受信させ、
前記第2のリアルタイムクロックに基づいて、前記無線通信モジュールの周辺インターフェースを介して前記注入データを伝達させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記メインマイクロコントローラが、前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部を自動的に制御するように構成される、請求項12に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記周辺インターフェースに外部無線デバイスを接続し、ペアリングすることであって、前記第2のリアルタイムクロックが同期のために使用される、こと
を更に含む、請求項12又は13に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記メインマイクロコントローラを使用して前記注入データをメモリに自動的に格納すること
を更に含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記無線通信モジュールが、前記メインマイクロコントローラから前記注入データを取得するように構成される、請求項12~15のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記メインマイクロコントローラがスリープモードにあるとき、時間読み取り要求又は日付読み取り要求の少なくとも一方が、前記第2のリアルタイムクロックに基づく、請求項12~16のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記通信チャネルが、UARTチャネル、I2Cチャネル、SPIチャネル、又はGPIOチャネルを含む群から選択される、請求項12~17のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記第1のリアルタイムクロックが、前記注入データに関連付けられたデートスタンプ及びタイムスタンプを追跡するために使用される、請求項12~18のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記薬物送達デバイスが、前記第1のリアルタイムクロックに基づいて薬剤を送達するように構成される、請求項12~19のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングと、
注入プロセスにおいて前記シリンジから前記薬剤を選択的に押し出す押出駆動部と、
通信チャネルを介して無線通信モジュールと通信可能に接続されたメインマイクロコントローラであって、前記メインマイクロコントローラが、薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御するように構成され、前記メインマイクロコントローラが前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部を制御している間に、前記通信チャネルを介した通信が無効化される、メインマイクロコントローラと
を備える、薬物送達デバイス。
【請求項22】
前記通信チャネルが、UARTチャネル、I2Cチャネル、SPIチャネル、又はGPIOチャネルを含む群から選択される、請求項21に記載の薬物送達デバイス。
【請求項23】
前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部が、薬剤押出プロセス、針挿入プロセス、又は針後退プロセスのうちの少なくとも1つを含む、請求項21又は22に記載の薬物送達デバイス。
【請求項24】
前記無線通信モジュールが、Bluetooth low energy(BLE)デバイスを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項25】
前記無線通信モジュールが、遠隔無線対応デバイスとインターフェースするためのオープンポートを備える、請求項21~24のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項26】
薬物送達デバイスを動作させる方法であって、前記方法が、
前記薬物送達デバイスのメインマイクロコントローラによって薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御することと、
前記薬物送達デバイスの前記メインマイクロコントローラと無線通信モジュールとの間において通信接続を確立することと、
前記メインマイクロコントローラが前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部を制御している間に、前記通信接続を介した通信を無効化することと
を含む、方法。
【請求項27】
前記メインマイクロコントローラが前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部を制御していないときに、前記通信接続を介した通信を有効化すること
を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記通信接続を介した通信が有効化されている間に、前記メインマイクロコントローラに遠隔無線対応デバイスを無線接続すること
を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記メインマイクロコントローラによってデータを受信することであって、前記データが前記遠隔無線対応デバイスから受信される、こと
を更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部が、薬剤押出プロセス、針挿入プロセス、又は針後退プロセスのうちの少なくとも1つを含む、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記無線通信モジュールが、Bluetooth low energy(BLE)デバイスを含む、請求項26~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
コンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
通信チャネルを介して無線通信モジュールとメインマイクロコントローラを通信可能に接続させ、前記メインマイクロコントローラが、薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御するように構成され、
前記メインマイクロコントローラが前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部を制御している間に、前記通信接続を介した通信を無効化させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項33】
遠隔無線対応デバイスが前記メインマイクロコントローラからデータを受信する、請求項32に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項34】
前記遠隔無線対応デバイスが前記メインマイクロコントローラの処理時間を占有する、請求項32又は33に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項35】
前記通信チャネルが、UARTチャネル、I2Cチャネル、SPIチャネル、又はGPIOチャネルを含む群から選択される、請求項32~34のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項36】
前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部が、薬剤押出プロセス、針挿入プロセス、又は針後退プロセスのうちの少なくとも1つを含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項37】
前記無線通信モジュールが、Bluetooth low energy(BLE)デバイスを含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項38】
前記遠隔無線対応デバイスが、前記通信チャネルを介した通信が有効化されているときに、前記通信チャネルを介して前記メインマイクロコントローラに接続される、請求項32~37のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項39】
前記遠隔無線対応デバイスが前記メインマイクロコントローラにデータを送信する、請求項32~38のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項40】
前記通信チャネルが、UARTチャネル、I2Cチャネル、SPIチャネル、又はGPIOチャネルを含む群から選択される、請求項32~39のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項41】
薬物送達デバイスであって、
注入プロセスにおける押し出しのための薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングと、
前記注入プロセスにおける前記薬剤の押し出しの前に前記シリンジの注射針を患者に挿入し、前記薬剤の押し出しの後に前記注射針を前記ハウジング内に後退させるように構成された挿入駆動システム(IDS)と、
前記注入プロセスにおいて前記注射針から前記薬剤を押し出すために前記シリンジを通って移動するように構成されたプランジャロッドを備える押出駆動システム(EDS)と、
前記注入プロセスにおいて前記シリンジを通る前記EDSの前記プランジャロッドの移動の完了に基づいて、前記薬物送達デバイスにおける前記注入プロセスの終了を判定するように構成されたマイクロコントローラと
を備える、薬物送達デバイス。
【請求項42】
前記マイクロコントローラが、前記注射針の後退に更に基づいて注入の終了を判定するように構成される、請求項41に記載の薬物送達デバイス。
【請求項43】
前記マイクロコントローラが、前記EDSによる前記プランジャロッドの部分的な後退の完了に更に基づいて注入の終了を判定するように構成される、請求項41又は42に記載の薬物送達デバイス。
【請求項44】
前記マイクロコントローラが、プレフィルドシリンジを有する別個のカートリッジが前記薬物送達デバイスに挿入され、前記薬物送達デバイスの皮膚への近接が検知され、ボタン押下により注入が開始された後に、前記注入プロセスを制御するように更に構成される、請求項41~43のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項45】
前記注入プロセスが、
前記IDSが駆動されて、前記注射針を挿入することと、
前記EDSが駆動されて、前記プランジャロッドを前進させて、流体を押し出すことと、
前記EDSが前記プランジャロッドを部分的に後退させることと、
前記IDSが前記注射針を後退させることと
を含む、請求項44に記載の薬物送達デバイス。
【請求項46】
通信チャネルを介して前記マイクロコントローラに通信可能に結合された無線通信モジュール
を更に備える、請求項45に記載の薬物送達デバイス。
【請求項47】
皮膚との接触を検出するように構成された少なくとも1つの静電容量センサ
を更に備える、請求項46に記載の薬物送達デバイス。
【請求項48】
薬物送達デバイスを動作させる方法であって、前記方法が、
挿入駆動システム(IDS)を駆動して、前記注射針を挿入することと、
押出駆動システム(EDS)を駆動して、前記プランジャロッドを前進させて、流体を押し出させることと、
前記プランジャロッドを前進させて、前記流体を押し出させるときの前記EDSの動きの完了に基づいて、前記薬物送達デバイスにおける注入の終了を判定することと
を含む、方法。
【請求項49】
前記EDSを使用して前記プランジャロッドを部分的に後退させることであって、注入の終了を判定することが、前記EDSによる前記プランジャロッドの部分的な後退の完了に更に基づく、こと
を更に含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記IDSを使用して前記注射針を後退させることであって、注入の終了を判定することが、前記注射針の後退に更に基づく、こと
を更に含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
プレフィルドシリンジを有する別個のカートリッジを前記薬物送達デバイスに挿入することと、
前記薬物送達デバイスの皮膚への近接を検出することと、
ボタン手動押下によって注入を開始することと
を更に含む、請求項48~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
コンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
挿入駆動システム(IDS)を駆動させて、前記注射針を挿入させ、
押出駆動システム(EDS)を駆動させて、前記プランジャロッドを前進させて、流体を押し出させ、
前記プランジャロッドを前進させて、前記流体を押し出させるときの前記EDSの動きの完了に基づいて、前記薬物送達デバイスにおける注入の終了を判定させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項53】
前記1つ以上のプロセッサによる前記コンピュータ可読命令の更なる実行が、前記1つ以上のプロセッサに、
前記EDSを使用して前記プランジャロッドを部分的に後退させ、注入の終了を判定することが、前記EDSによる前記プランジャロッドの部分的な後退の完了に更に基づく、請求項52に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項54】
前記1つ以上のプロセッサによる前記コンピュータ可読命令の更なる実行が、前記1つ以上のプロセッサに、
前記IDSを使用して前記注射針を後退させ、注入の終了を判定することが、前記注射針の後退に更に基づく、請求項53に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項55】
前記1つ以上のプロセッサによる前記コンピュータ可読命令の更なる実行が、前記1つ以上のプロセッサに、
プレフィルドシリンジを有する別個のカートリッジを前記薬物送達デバイスに挿入させ、
前記薬物送達デバイスの皮膚への近接を検出させ、
ボタン手動押下によって注入を開始させる、請求項52~54のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項56】
前記1つ以上のプロセッサによる前記コンピュータ可読命令の更なる実行が、前記1つ以上のプロセッサに、
通信チャネルを介して無線通信モジュールとメインマイクロコントローラを通信可能に接続させ、前記メインマイクロコントローラが、薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御するように構成される、請求項52~55のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項57】
前記1つ以上のプロセッサによる前記コンピュータ可読命令の更なる実行が、前記1つ以上のプロセッサに、
前記メインマイクロコントローラが前記薬剤注入プロセスの前記少なくとも一部を制御している間に、前記通信接続を介した通信を無効化させる、請求項56に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項58】
遠隔無線対応デバイスが前記メインマイクロコントローラからデータを受信する、請求項56に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項59】
前記遠隔無線対応デバイスが前記メインマイクロコントローラの処理時間を占有する、請求項56又は58に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項60】
前記通信チャネルが、UARTチャネル、I2Cチャネル、SPIチャネル、又はGPIOチャネルを含む群から選択される、請求項56~58のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項61】
薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングと、
注入プロセスにおいて前記シリンジから前記薬剤を選択的に押し出す押出駆動部と、
第1の出力を生成する第1の静電容量センサと、
第2の出力を生成する第2の静電容量センサと、
前記第1の出力と第1の閾値との比較及び前記第2の出力と第2の閾値との比較に基づいて前記注入プロセスを有効化するように構成されたマイクロコントローラであって、前記第1の閾値が前記第2の閾値とは異なる、マイクロコントローラと
を備える、薬物送達デバイス。
【請求項62】
前記マイクロコントローラが、前記第1の出力が前記第1の閾値より大きく、前記第2の出力が前記第2の閾値より大きい場合に基づいて、前記薬物送達デバイスの一部が皮膚に接触していることを判定するように更に構成される、請求項61に記載の薬物送達デバイス。
【請求項63】
前記第1の閾値が前記第2の閾値とは独立に構成可能である、請求項61又は62に記載の薬物送達デバイス。
【請求項64】
前記マイクロコントローラが、前記第1の出力と第3の閾値との比較又は前記第2の出力と第4の閾値との比較に基づいて前記注入プロセスを無効化するように更に構成され、前記第3の閾値が前記第4の閾値とは異なる、請求項61~63のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項65】
前記マイクロコントローラが、前記第1の出力が前記第3の閾値より小さい場合、又は前記第2の出力が前記第4の閾値より小さい場合のいずれかに基づいて、前記薬物送達デバイスの一部が皮膚に接触していないことを判定するように更に構成される、請求項64に記載の薬物送達デバイス。
【請求項66】
前記第3の閾値が前記第4の閾値とは独立に構成可能である、請求項64又は65に記載の薬物送達デバイス。
【請求項67】
前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値、及び前記第4の閾値が、互いに独立に構成可能である、請求項64~66のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項68】
前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値、又は前記第4の閾値のうちの少なくとも1つが、エンドユーザに基づく、請求項64~67のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項69】
前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値、又は前記第4の閾値のうちの少なくとも1つが、前記薬物送達デバイスの静電容量性表面への近接に基づく、請求項64~68のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項70】
前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値、又は前記第4の閾値のうちの少なくとも1つが、前記薬物送達デバイスの静電容量性表面に対する傾斜に基づく、請求項64~69のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項71】
前記第1の閾値、前記第2の閾値、前記第3の閾値、又は前記第4の閾値のうちの少なくとも1つが、前記薬物送達デバイスの製造上のばらつきに基づく、請求項64~70のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項72】
薬物送達デバイスを動作させる方法であって、前記方法が、
前記薬物送達デバイスのハウジングに備わる第1の静電容量センサによって第1の静電容量センサの出力を生成することと、
前記薬物送達デバイスの前記ハウジングに備わる第2の静電容量センサによって第2の静電容量センサの出力を生成することと、
前記第1の出力と第1の閾値との比較及び前記第2の出力と第2の閾値との比較に基づいて注入プロセスを有効化することであって、前記第1の閾値が前記第2の閾値とは異なる、有効化することと
を含む、方法。
【請求項73】
前記第1の出力が前記第1の閾値より大きく、前記第2の出力が前記第2の閾値より大きい場合に基づいて、前記薬物送達デバイスの一部が皮膚に接触していることを判定すること
を更に含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第1の閾値が前記第2の閾値とは独立に構成可能である、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項75】
前記第1の出力と第3の閾値との比較又は前記第2の出力と第4の閾値との比較に基づいて前記注入プロセスを無効化することであって、前記第3の閾値が前記第4の閾値とは異なる、こと
を更に含む、請求項72~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記第1の出力が前記第3の閾値より小さい場合、又は前記第2の出力が前記第4の閾値より小さい場合のいずれかに基づいて、前記薬物送達デバイスの一部が皮膚に接触していないことを判定すること
を更に含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
コンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
第1の静電容量センサの出力を生成させ、
第2の静電容量センサの出力を生成させ、
前記第1の出力と第1の閾値との比較及び前記第2の出力と第2の閾値との比較に基づいて注入プロセスを有効化させ、前記第1の閾値が前記第2の閾値とは異なる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項78】
前記1つ以上のプロセッサによる前記命令の更なる実行が、前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1の出力が前記第1の閾値より大きい場合、且つ前記第2の出力が前記第2の閾値より大きい場合に基づいて、前記薬物送達デバイスの一部が皮膚に接触していることを判定させる、請求項77に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項79】
前記第1の閾値が前記第2の閾値とは独立に構成可能である、請求項76又は77に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項80】
前記1つ以上のプロセッサによる前記命令の更なる実行が、前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1の出力と第3の閾値との比較又は前記第2の出力と第4の閾値との比較に基づいて前記注入プロセスを無効化させ、前記第3の閾値が前記第4の閾値とは異なる、請求項76~79のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項81】
薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングと、
注入プロセスにおいて前記シリンジから前記薬剤を選択的に押し出す押出駆動部と、
複数の電子部品と、
ウォッチドッグ回路及び回復モジュールを含む少なくとも1つの静電気放電(ESD)保護デバイスと
を備える、薬物送達デバイス。
【請求項82】
前記ウォッチドッグ回路がファームウェア上のESD損傷を検出した場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、デバイス故障又はフリーズを示す、請求項81に記載の薬物送達デバイス。
【請求項83】
メインマイクロコントローラ(MCU)が要求に応答しない周辺機器を検出した場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、少なくとも1回再試行させ、その後、周辺機器機能をパワーサイクルさせる、請求項81又は82に記載の薬物送達デバイス。
【請求項84】
前記周辺機器がアウェイク状態である場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、前記薬物送達デバイスに、残された動作を再開させる、請求項83に記載の薬物送達デバイス。
【請求項85】
前記周辺機器がアウェイク状態ではない場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、安全保護のためにフェールセーフを強制する、請求項83に記載の薬物送達デバイス。
【請求項86】
挿入駆動部、押出駆動部、上部主基板、下部主基板、プログレスバーボード、又はハンドルボードのうちの少なくとも1つ
を更に備える、請求項81~85のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項87】
前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、前記薬物送達デバイスの外側ハウジングを導電性にすること、外側筐体と電子部品との間に絶縁体を備えること、又は外側筐体と電子部品との間に距離を設けることから選択される少なくとも1つの機械的解決策を含む、請求項81~86のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項88】
前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、ハードウェア上にESD保護コンポーネントを加えること、又はハードウェア上にESD保護回路を加えることから選択される少なくとも1つの電子的解決策を含む、請求項81~87のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項89】
薬物送達デバイスを動作させる方法であって、前記方法が、
少なくとも1つの駆動機構を提供することと、
複数の電子部品を提供することと、
ウォッチドッグ回路及び回復モジュールを含む少なくとも1つの静電気放電保護デバイスを提供することと
を含む、方法。
【請求項90】
前記ウォッチドッグ回路がファームウェア上のESD損傷を検出した場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、デバイス故障又はフリーズを示す、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
メインマイクロコントローラ(MCU)が要求に応答しない周辺機器を検出した場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、少なくとも1回再試行させ、その後、周辺機器機能をパワーサイクルさせる、請求項89又は90に記載の方法。
【請求項92】
前記周辺機器がアウェイク状態である場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、前記薬物送達デバイスに、残された動作を再開させる、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記周辺機器がアウェイク状態ではない場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、安全保護のためにフェールセーフを強制する、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、前記薬物送達デバイスの外側ハウジングを導電性にすること、外側筐体と電子部品との間に絶縁体を備えること、又は外側筐体と電子部品との間に距離を設けることから選択される少なくとも1つの機械的解決策を含む、請求項89~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、ハードウェア上にESD保護コンポーネントを加えること、又はハードウェア上にESD保護回路を加えることから選択される少なくとも1つの電子的解決策を含む、請求項83~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
コンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
少なくとも1つの駆動機構及び複数の電子部品にESD保護を提供するために、ウォッチドッグ回路及び回復モジュールを含む少なくとも1つの静電気放電(ESD)保護デバイスを提供させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項97】
前記ウォッチドッグ回路がファームウェア上のESD損傷を検出した場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、デバイス故障又はフリーズを示す、請求項96に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項98】
メインマイクロコントローラ(MCU)が要求に応答しない周辺機器を検出した場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、少なくとも1回再試行させ、その後、周辺機器機能をパワーサイクルさせる、請求項96又は97に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項99】
前記周辺機器がアウェイク状態である場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、前記薬物送達デバイスに、残された動作を再開させる、請求項98に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項100】
前記周辺機器がアウェイク状態ではない場合、前記少なくとも1つの静電気放電保護デバイスが、安全保護のためにフェールセーフを強制する、請求項98に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月5日に出願された米国仮特許出願第63/276,384号に対する優先権を主張するものであり、上記米国仮特許出願の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、薬物送達デバイスに関する。より詳細には、本開示は、機能を改善した薬物送達デバイス、薬物送達デバイス内で使用するためのコンポーネント、及び薬物送達デバイスを動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多数の医薬品が製造され、例えば、薬物送達デバイス(例えば、オートインジェクタ(AI)、ウェアラブル薬物送達デバイスなど)内で使用するためのプレフィルドシリンジ(PFS)カートリッジに包装されている。関連する薬物送達デバイスは、電気作動式の多数のコンポーネント(例えば、挿入駆動部、押出駆動部、注入プロセスを制御するためのメインマイクロコントローラ、複数のユーザインターフェース、薬物送達デバイス構成データ及び注入データを遠隔デバイスとやりとりするための無線通信モジュールなど)を備え得る。
【0004】
薬物送達デバイスは、遠隔デバイスとの通信の同期のためにメインマイクロコントローラのリアルタイムクロックを使用することが多い。そのため、メインマイクロコントローラは、遠隔デバイスが薬物送達デバイスに通信可能に接続されるたびに、アクティブモードで動作する必要があり得る。
【0005】
薬物送達デバイスは、注入プロセスを制御するように構成されたメインマイクロコントローラを備えることが多い。そのため、遠隔デバイスがメインマイクロコントローラに通信可能に接続し得る場合、薬物送達デバイスの完全性及びデータセキュリティが注入プロセスにおいて犠牲になることがある。
【0006】
薬物送達デバイスは、押出駆動部ステータスに由来するデータ(例えば、プランジャロッドが薬剤の注入後にシリンジから後退されるなど)に基づいて、注入プロセスの終了を判定することが多い。そのため、注入プロセスの終了が誤って判定されることがある。
【0007】
薬物送達デバイスは、ユーザが薬物送達デバイスの近位端を所望の注入部位のそばに正確に配置するのを支援するように構成された近接センサを使用することが多い。複数の近接センサは、複数の近接センサのそれぞれに共通の検出閾値が使用されると、誤った結果をもたらすことがある。
【0008】
薬物送達デバイスは、ユーザが関連する薬剤を投与する際に静電気放電(ESD)を発生させる複数の電気部品を備えることが多い。薬物送達デバイスは、静電気放電(ESD)に起因して動作異常及び/又は損傷を被ることがある。
【0009】
メインマイクロコントローラがスリープモードにあるとき、無線通信モジュールのリアルタイムクロックを使用して、遠隔デバイスとデータをやりとりする、薬物送達デバイス、薬物送達デバイス内で使用するためのコンポーネント、及び薬物送達デバイスを動作させる方法が必要とされている。メインマイクロコントローラが注入プロセス中であるとき、メインマイクロコントローラと無線通信モジュールとの間における通信を無効化する薬物送達デバイスが必要とされている。挿入駆動部及び押出駆動部からのデータに基づいて、注入プロセスの終了を判定する薬物送達デバイスが必要とされている。固有の閾値を有する2つの近接センサを使用する薬物送達デバイスが必要とされている。静電気放電に対する保護及び回復を伴う薬物送達デバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
薬物送達デバイスが、薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングを備え得る。薬物送達デバイスはまた、注入プロセスにおいてシリンジから薬剤を選択的に押し出す押出駆動部を備え得る。薬物送達デバイスは、ハウジングによって運ばれるメインマイクロコントローラ及び無線通信モジュールを更に備え得る。メインマイクロコントローラ及び無線通信モジュールは、通信チャネルを介して通信可能に接続され得る。メインマイクロコントローラは、第1のリアルタイムクロックを備え得る。メインマイクロコントローラは、第1のリアルタイムクロックに基づいて注入データを生成するように構成され得る。無線通信モジュールは、周辺インターフェース及び第2のリアルタイムクロックを備え得る。周辺インターフェースは、第2のリアルタイムクロックに基づいて注入データを遠隔デバイスに伝達するように構成され得る。
【0011】
別の実施形態では、薬物送達デバイスを動作させる方法が、通信チャネルを介して無線通信モジュールと通信可能に接続されたメインマイクロコントローラを提供することを含み得る。メインマイクロコントローラは、第1のリアルタイムクロックを備え得る。メインマイクロコントローラは、第1のリアルタイムクロックに基づいて注入データを生成し、注入データに基づいて薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御するように構成され得る。無線通信モジュールは、周辺インターフェース及び第2のリアルタイムクロックを備え得る。本方法は、第2のリアルタイムクロックに基づいて、周辺インターフェースを介して注入データを伝達することを更に含み得る。
【0012】
更なる実施形態では、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、通信チャネルを介して無線通信モジュールと通信可能に接続されたメインマイクロコントローラからの第1のリアルタイムクロック信号を受信させ得るコンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。メインマイクロコントローラは、注入データを生成し、薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御するように構成され得る。1つ以上のプロセッサによる命令の実行は、1つ以上のプロセッサに、無線通信モジュールからの第2のリアルタイムクロック信号を更に受信させ得る。1つ以上のプロセッサによる命令の実行は、1つ以上のプロセッサに、第2のリアルタイムクロックに基づいて、無線通信モジュールの周辺インターフェースを介して、注入データを更に伝達させ得る。
【0013】
更に別の実施形態では、薬物送達デバイスが、薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングを備え得る。薬物送達デバイスはまた、注入プロセスにおいてシリンジから薬剤を選択的に押し出す押出駆動部を備え得る。薬物送達デバイスは、通信チャネルを介して無線通信モジュールと通信可能に接続されたメインマイクロコントローラを更に備え得る。メインマイクロコントローラは、薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御するように構成され得る。メインマイクロコントローラが薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御している間に、通信チャネルを介した通信が無効化され得る。
【0014】
更なる実施形態では、薬物送達デバイスを動作させる方法が、薬物送達デバイスのメインマイクロコントローラによって薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御することを含み得る。本方法はまた、薬物送達デバイスのメインマイクロコントローラと無線通信モジュールとの間に通信接続を確立することを含み得る。本方法は、メインマイクロコントローラが薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御している間に、通信接続を介した通信を無効化することを更に含み得る。
【0015】
別の実施形態では、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、通信チャネルを介してメインマイクロコントローラを無線通信モジュールと通信可能に接続させ得るコンピュータ可読命令を格納する、非一時的コンピュータ可読媒体であって、メインマイクロコントローラが、薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御するように構成される非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。1つ以上のプロセッサによる命令の更なる実行は、1つ以上のプロセッサに、メインマイクロコントローラが薬剤注入プロセスの少なくとも一部を制御している間に、通信チャネルを介した通信を更に無効化させ得る。
【0016】
更に別の実施形態では、薬物送達デバイスが、注入プロセスにおいて押し出すための薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングを備え得る。薬物送達デバイスはまた、注入プロセスにおける薬剤の押し出し前にシリンジの注射針を患者に挿入し、薬剤の押し出し後に注射針をハウジング内に後退させるように構成された挿入駆動システム(IDS)を備え得る。薬物送達デバイスは、注入プロセスにおいて注射針から薬剤を押し出すためにシリンジを通って移動するように構成されたプランジャロッドを備える押出駆動システム(EDS)を更に備え得る。薬物送達デバイスは、注入プロセスにおいてシリンジを通るEDSによるプランジャロッドの移動の完了に基づいて、薬物送達デバイスにおける注入プロセスの終了を判定するように構成されたマイクロコントローラをまた更に備え得る。
【0017】
更に別の実施形態では、薬物送達デバイスを動作させる方法が、挿入駆動システム(IDS)を駆動して、注射針を挿入することを含み得る。本方法はまた、押出駆動システム(EDS)を駆動して、プランジャロッドを前進させて、流体を押し出すことを含み得る。本方法は、プランジャロッドを前進させて、流体を押し出すときのEDSの動きの完了に基づいて、薬物送達デバイスにおける注入の終了を判定することを更に含み得る。
【0018】
また更なる実施形態では、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、挿入駆動システム(IDS)を駆動して、注射針を挿入し得るコンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。1つ以上のプロセッサによる命令の実行は、1つ以上のプロセッサに、押出駆動システム(EDS)を駆動させて、プランジャロッドを前進させて、流体を押し出させる。1つ以上のプロセッサによる命令の実行は、1つ以上のプロセッサに、プランジャロッドを前進させて、流体を押し出させるときのEDSの動きの完了に基づいて、薬物送達デバイスにおける注入の終了を更に判定させ得る。
【0019】
別の実施形態では、薬物送達デバイスが、薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングを備え得る。薬物送達デバイスはまた、注入プロセスにおいてシリンジから薬剤を選択的に押し出す押出駆動部を備え得る。薬物送達デバイスは、第1の出力を生成する第1の静電容量センサを更に備え得る。薬物送達デバイスは、第2の出力を生成する第2の静電容量センサをまた更に備え得る。薬物送達デバイスはまた、第1の出力と第1の閾値との比較及び第2の出力と第2の閾値との比較に基づいて注入プロセスを有効化するように構成され得るマイクロコントローラを備え得る。第1の閾値は、第2の閾値とは異なり得る。
【0020】
更なる実施形態では、薬物送達デバイスを動作させる方法が、薬物送達デバイスのハウジングによって運ばれる第1の静電容量センサによる第1の静電容量センサの出力を生成することを含み得る。本方法はまた、薬物送達デバイスのハウジングによって運ばれる第2の静電容量センサによって第2の静電容量センサの出力を生成することを含み得る。本方法は、第1の出力と第1の閾値との比較及び第2の出力と第2の閾値との比較に基づいて注入プロセスを有効化することを更に含み得る。第1の閾値は、第2の閾値とは異なり得る。
【0021】
更に別の実施形態では、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、第1の静電容量センサの出力を生成させ得るコンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。1つ以上のプロセッサによる命令の実行は、1つ以上のプロセッサに、第2の静電容量センサの出力を更に生成させ得る。1つ以上のプロセッサによる命令の実行は、1つ以上のプロセッサに、第1の出力と第1の閾値との比較及び第2の出力と第2の閾値との比較に基づいて注入プロセスを更に有効化させ得る。第1の閾値は、第2の閾値とは異なり得る。
【0022】
更に別の実施形態では、薬物送達デバイスが、薬剤を含むシリンジを運ぶように構成されたハウジングを備え得る。薬物送達デバイスはまた、注入プロセスにおいてシリンジから薬剤を選択的に押し出す押出駆動部を備え得る。薬物送達デバイスは、複数の電子部品を更に備え得る。薬物送達デバイスは、ウォッチドッグ回路及びESD回復モジュールを含む少なくとも1つの静電気放電(ESD)保護デバイスをまた更に備え得る。
【0023】
また更なる実施形態では、薬物送達デバイスを動作させる方法が、少なくとも1つの駆動機構を提供することを含み得る。本方法はまた、複数の電子部品を提供することを含み得る。本方法は、ウォッチドッグ回路及び回復モジュールを含む少なくとも1つの静電気放電保護デバイスを提供することを更に含み得る。
【0024】
別の実施形態では、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、少なくとも1つの駆動機構及び複数の電子部品のためのESD保護を提供するために、ウォッチドッグ回路及び回復モジュールを含む少なくとも1つの静電気放電保護デバイスを提供させ得るコンピュータ可読命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0025】
本開示は、添付の図面と併せて以下の説明を読めば、より完全に理解されるものと考えられる。図面のいくつかは、他の要素をより明確に示す目的で、選択された要素を省略したことにより簡略化されている場合がある。いくつかの図面における要素のこのような省略は必ずしも、対応する記述された説明に明示的に規定されている場合を除き、複数の例示的な実施形態のいずれにおいても特定の要素の有無を示すものではない。また、いずれの図面も、必ずしも原寸に比例して示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2A】例示的な薬物送達デバイスの様々な図を示す。
【
図2B】例示的な薬物送達デバイスの様々な図を示す。
【
図2C】例示的な薬物送達デバイスの様々な図を示す。
【
図2D】例示的な薬物送達デバイスの様々な図を示す。
【
図2E】例示的な薬物送達デバイスの様々な図を示す。
【
図2F】例示的な薬物送達デバイスの様々な図を示す。
【
図2G】例示的な薬物送達デバイスの様々な図を示す。
【
図3A】例示的な薬物送達システム及び薬物送達デバイスを動作させる例示的な方法のブロック図を示す。
【
図3B】例示的な薬物送達システム及び薬物送達デバイスを動作させる例示的な方法のブロック図を示す。
【
図3C】例示的な薬物送達システム及び薬物送達デバイスを動作させる例示的な方法のブロック図を示す。
【
図3D】例示的な薬物送達システム及び薬物送達デバイスを動作させる例示的な方法のブロック図を示す。
【
図3E】例示的な薬物送達システム及び薬物送達デバイスを動作させる例示的な方法のブロック図を示す。
【
図4A】薬物送達デバイス内のデータ通信のための例示的なリアルタイムクロックを示す。
【
図4B】薬物送達デバイス内のデータ通信のための例示的なリアルタイムクロックを示す。
【
図5】薬物送達デバイス内で使用するための例示的なデータ通信無効化デバイスを示す。
【
図6A】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6B】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6C】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6D】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6E】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6F】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6G】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6H】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6I】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6J】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6K】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6L】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6M】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6N】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6P】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6Q】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図6R】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な近接センサを示す。
【
図7A】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図7B】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図7C】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図7D】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図7E】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図7F】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図7G】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8A】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8B】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8C】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8D】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8E】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8F】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8G】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8H】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8I】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8J】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8K】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8L】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8M】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8N】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8P】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す
【
図8Q】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8R】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8S】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8T】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8U】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8V-1】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8V-2】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8W】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8X-1】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8X-2】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8Y】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図8Z】薬物送達デバイスの近接センサで使用するための例示的な閾値を示す。
【
図9A】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な静電気放電保護を示す。
【
図9B】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な静電気放電保護を示す。
【
図9C】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な静電気放電保護を示す。
【
図9D】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な静電気放電保護を示す。
【
図9E】薬物送達デバイス内で使用するための例示的な静電気放電保護を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
薬物送達デバイス、薬物送達デバイス内で使用するためのコンポーネント、及び薬物送達デバイスを動作させる方法が提供される。本明細書で説明されるように、薬物送達デバイスは、メインマイクロコントローラがスリープモードにあるとき、無線通信モジュールのリアルタイムクロックを使用して、遠隔デバイスとデータをやりとりすることを含み得る。これにより、メインマイクロコントローラは、薬物送達デバイスが遠隔デバイスと同期される期間にスリープモードのままでいることができる。メインマイクロコントローラの消費電力は、マイクロコントローラがアクティブモードにあるときよりもマイクロコントローラがスリープモードにあるときの方が少なくなり得る。
【0028】
また本明細書で説明されるように、薬物送達デバイスは、メインマイクロコントローラが注入プロセス中であるとき、メインマイクロコントローラと無線通信モジュールとの間における通信を無効化することを含み得る。これにより、メインマイクロコントローラの処理リソースを、注入プロセスの制御に充てることができる。同様に、注入プロセスにおける薬物送達デバイスのセキュリティを高めることができる。
【0029】
更に本明細書で説明されるように、薬物送達デバイスは、挿入駆動部及び押出駆動部からのデータに基づいて、注入プロセスの終了を判定することを含み得る。例えば、薬物送達デバイスは、特定の薬剤を単回投与として送達するように構成されてもよいし、薬剤を一定期間にわたって一連の個別投与として順次送達するように構成されてもよい。薬剤が一連の個別投与として順次送達される場合、関連する注入プロセス(すなわち、各個別投与)の任意の部分の終了が、例えば、押出駆動部のデータに基づき得る。薬剤が単回投与として送達される場合、関連する注入プロセスの終了が、例えば、押出駆動部のデータ及び挿入駆動部のデータの両方に基づき得る。
【0030】
また更に本明細書で説明されるように、薬物送達デバイスは、例えば、薬物送達デバイスの近位端が所望の注入部位(例えば、ユーザの皮膚表面など)に近接したときを検出するように構成された2つの近接センサ(例えば、静電容量センサなど)を備え得る。各センサは、固有の閾値(例えば、「接触中」閾値、「非接触」閾値など)に関連付けられ得る。メインマイクロコントローラは、2つのセンサのそれぞれについて、各センサの出力にヒステリシスを与えるように構成された2つの異なる閾値(合計4つの閾値)に基づいて近接を判定し得る。
【0031】
また本明細書で説明されるように、薬物送達デバイスは、静電気放電(ESD)に対する保護及び回復を含み得る。例えば、薬物送達デバイスは、ESDイベントを検出するように構成された少なくとも1つのESDウォッチドッグ回路を備え得る。薬物送達デバイスはまた、ESDウォッチドッグ回路の出力に基づいて、薬物送達デバイスの動作回復を試みるように構成されたESD回復モジュールを含み得る。
【0032】
図1A~
図1Dを参照すると、薬物送達システム100a~dが、関連する薬剤カートリッジ105a~cを有する薬物送達デバイス110a、cを備え得る。説明のため、1つの薬物送達デバイス110a、c及び1つの薬剤カートリッジ105a~cのみが含まれているが、薬物送達システム100a~dは、任意の数の薬物送達デバイス110a、c及び/又は薬剤カートリッジ105a~cを含むことができる。
【0033】
薬剤カートリッジ105a~cは、情報ラベル106a(例えば、印刷、近距離無線通信デバイス、バーコード、QRコードなど)と、プレフィルドシリンジ107aと、針キャップ108a~cとを備え得る。薬物送達デバイス110a、cは、ユーザの手103a~dによって、ユーザの親指が遠位端120aに近接する状態で把持されるように構成されたハンドル111a、bを備え得る。薬物送達デバイス110a、cは、例えば、遠位端120aに近接した注入開始ボタン112a、dを備え得る。
【0034】
薬物送達デバイス110a、cは、カートリッジレセプタクル113a、bと、カートリッジレセプタクル開放デバイス114a、bとを備え得る。
図1B及び
図1Cに示すように、ユーザは、カートリッジレセプタクル開放デバイス114a、bを作動させてカートリッジレセプタクル113a、bを開放し、薬剤カートリッジ105a~cを挿入し得る。薬剤カートリッジ105a~cが薬物送達デバイス110a、c内に入ると、プレフィルドシリンジ107aが覗き窓119aから見えるようになり得る。
【0035】
薬物送達デバイス110a、cは、ハウジング部分115aと、ステータスインジケータ121dと、スピーカ122dと、エラーディスプレイ123dと、注入進捗インジケータと、注入速度スイッチ125dとを備え得る。ユーザがスイッチ125dを介して注入速度を選択すると、ユーザは、薬物送達デバイス110a、cの近位端118dを注入部位104dのそばに配置し、注入開始ボタン112dを押して注入を開始することができる。
【0036】
薬物送達システム100a~dはまた、少なくとも1つの遠隔サイト150aを含み得る。説明のため、
図1Aには1つの遠隔サイト150aのみが含まれているが、薬物送達システム100a~dは、任意の数の遠隔サイト150aを含むことができる。任意の遠隔サイトは、モジュール152aを有する少なくとも1つの非一時的コンピュータ可読媒体151aと、少なくとも1つのプロセッサ153aとを備え得る。モジュール152aは、少なくとも1つのプロセッサ153aによって実行されると、プロセッサ153aに、薬物送達デバイス110a、cと遠隔サイト150aとの間で薬物送達デバイス構成データ及び/又は注入データをやりとりさせる、コンピュータ可読命令を含み得る。本明細書の他の箇所でより詳細に説明するように、薬物送達デバイス構成データは、例えば、薬剤カートリッジ構成データ(例えば、ユーザインターフェースを介して手動で入力されたもの、カートリッジQRコードを介して自動的に取得されたもの、カートリッジバーコードを介して自動的に取得されたもの、カートリッジ製造業者から自動的に受信されたものなど)、リアルタイムクロック構成データ、通信リンク構成データ、注入の終了検出構成データ、近接センサ閾値構成データ、静電気放電(ESD)保護構成データなどを代表し得る。注入データは、例えば、薬剤、薬剤カートリッジ、注入日付、注入時間、注入速度、薬物送達デバイスの近接、薬物送達デバイスの傾斜、遠隔デバイスからの薬物送達デバイスのデータの要求、遠隔デバイスへの薬物送達デバイスのデータの送信、送達の終了、ESDイベントの検出などを代表し得る。薬物送達デバイスのデータは、例えば、薬物送達デバイス構成データと注入データとのサブコンビネーション又は組み合わせを代表し得る。
【0037】
図1Aに示すように、薬物送達デバイス110a、cは、例えば、薬物送達デバイス110a、cと遠隔サイト150aとの間で薬物送達デバイス構成データ及び/又は注入データをやりとりするために、ネットワーク160aを介してネットワークインターフェース156aに通信可能に結合され得る。モジュール152aを有する非一時的コンピュータ可読媒体151aは、例として、ファームウェア又はコンピュータ可読コードのいずれかで具現化され得る。
【0038】
図2A~
図2Gを参照すると、薬物送達デバイス200a~gは、ハンドル211b、dを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、ハウジング部分215a、cを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、スピーカ222a、cを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、情報ディスプレイ224a、cを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、近接センサ229a、bと針/針キャップ開口部228a、bとを有する近位端218a、bを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、注入開始ボタン212c、dを有する遠位端220a~dを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、注入速度セレクタ225a、cを備え得る。
【0039】
薬物送達デバイス200a~gはまた、薬剤カートリッジレセプタクル213b、dを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、薬剤カートリッジレセプタクル開放スイッチ214b、dを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、サウンドオン/オフスイッチ226a、cを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、第1の覗き窓227a、cを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、第2の覗き窓219b、cを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、バッテリ232eを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、挿入駆動部姿勢センサ244gを有する挿入駆動部243gを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、押出駆動部姿勢センサ242fを有する押出駆動部241e、fを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、遠位端キャップ220eを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、近位端キャップ230eを備え得る。
【0040】
薬物送達デバイス200a~gはまた、薬剤カートリッジレセプタクル213b、dを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、例えば、少なくとも1つの機械的解決策(例えば、デバイスを導電性にする、絶縁/ESDシールド233eを設計する、及び/又は筐体と電子部品298eとの間の距離を置く)と、少なくとも1つの電子的解決策(例えば、ハードウェア上の少なくとも1つのESD保護コンポーネント/回路299e、少なくとも1つのツェナーダイオード回路999f)とを有する静電気放電(ESD)保護を備え得る。
【0041】
薬物送達デバイス200a~gはまた、注入開始/ステータスアセンブリ212eを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、カートリッジ排出ボタンアセンブリ114eを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、第1の近接センサ234e(例えば、静電容量センサなど)を備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、第2の近接センサ235e(例えば、静電容量センサなど)を備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、近接センサアタッチメントを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、下部主印刷回路基板237eを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、上部主印刷回路基板238eを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、プログレスバー印刷回路基板239eを備え得る。薬物送達デバイス200a~gはまた、ハンドル印刷回路基板240eを備え得る。
【0042】
図3A~
図3Eを参照すると、薬物送達システム300a~eは、ネットワーク360aを介して遠隔デバイス(例えば、サーバ)350a、d、eと通信する薬物送達デバイス310a~cを備え得る。薬物送達デバイス310a~cは、例えば、それぞれ
図1A及び
図1Bの薬物送達デバイス110a、c、又は
図2A~
図2Nの薬物送達デバイスと同様であり得る。遠隔デバイス350a、d、eは、例えば、
図1Aの遠隔サイト150aと同様であり得る。
【0043】
薬物送達システム300a~eは、例えば薬物送達デバイス構成データ及び/又は注入データを薬物送達デバイスデータベース355aに提供するために、薬物送達デバイス310a~cと遠隔デバイス350a、d、e(例えば、遠隔サーバ、クラウドベースのリソースなど)との間の通信を実施し得る。
【0044】
明確にするために、
図3Aでは、1つの薬物送達デバイス310a~cのみを示している。
図3Aは、1つの薬物送達デバイス310a~cのみを示しているが、任意の数の薬物送達デバイス310a~cがサポートされてもよいことを理解されたい。薬物送達デバイス310a~cは、モジュール346aをそれぞれ格納及び実行するためのメモリ345a及びプロセッサ347aを備え得る。コンピュータ可読命令のセットとしてメモリ345aに格納されたモジュール346aは、薬物送達デバイスの構成、注入プロセスの自動制御、及び注入データの生成のためのアプリケーションに関連し得る。
【0045】
本明細書で詳述するように、モジュール346aは、関連する薬物送達デバイス310a~cと遠隔デバイス350a、d、eとの間の相互作用を促進し得る。例えば、プロセッサ347aは、モジュール346aを更に実行して、ネットワークインターフェース348a、通信リンク361a、ネットワーク360a、遠隔デバイス通信リンク362a、及び遠隔デバイスネットワークインターフェース356aを介して、遠隔デバイス350a、d、eと薬物送達デバイス310a~cとの間の通信を容易にし得る。
【0046】
薬物送達デバイス310a~cは、挿入駆動部343aと、押出駆動部341aと、第1の近接センサ334aと、第2の近接センサ335aと、静電気放電(ESD)ウォッチドッグ回路397aと、ESD保護/回復399aとを備え得る。薬物送達デバイス310a~cは、ユーザ入力デバイスと共に、ユーザインターフェース322aを備えてもよく、ユーザインターフェース322aは、タッチスクリーンディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、陰極線管(CRT)ディスプレイ、又は任意の他のタイプの既知の又は好適な電子ディスプレイなどの、任意のタイプの電子ディスプレイデバイスであってもよい。ユーザインターフェース322aは、薬物送達デバイス310a~cを遠隔デバイス350a、d、eと通信するように構成するためのユーザインターフェースを示すユーザインターフェース(例えば、任意のユーザインターフェース121d、123d、124d、154aなど)を示すことができる。
【0047】
ネットワークインターフェース360aは、例えば、Bluetooth low energy(BLE)デバイス、無線LAN、MAN、若しくはWAN、WiFi、インターネット、又はこれらの任意の組み合わせを含む任意の無線通信ネットワーク360aを介して、薬物送達デバイス310a~cと遠隔デバイス350a、d、eとの間の通信を容易にするように構成され得る。更に、薬物送達デバイス310a~cは、例えば、無線LAN及びWAN、衛星及び携帯電話通信システムなどを含む無線通信ネットワークなどの無線通信構造を使用するものを含む、任意の公的に利用可能な又は私有の通信ネットワークなどの任意の適切な通信システムを介して遠隔デバイス350a、d、eに通信可能に接続され得る。薬物送達デバイス310a~cは、例えば、薬物送達デバイス構成データ及び/又は注入データを、例えば、遠隔デバイス350a、d、e、メモリ351a、及び/又は薬物送達デバイスデータベース355aに送信し、格納させることができる。
【0048】
遠隔デバイス350a、d、eは、モジュール352aを格納すること及び実行することそれぞれのための、ユーザインターフェース354a、メモリ351a、及びプロセッサ353aを備え得る。コンピュータ可読命令のセットとしてメモリ351aに格納されたモジュール352aは、薬物送達注入プロセスを制御することに関連するアプリケーションを容易にすることができる。モジュール352aはまた、ネットワークインターフェース356a及びネットワーク360aを介する遠隔デバイス350a、d、eと薬物送達デバイス310a~cとの間の通信、並びに他の機能及び命令を容易にすることもできる。
【0049】
遠隔デバイス350a、d、eは、薬物送達デバイス310a~cに通信可能に結合され得る。薬物送達デバイスデータベース355aは、遠隔デバイス350aに通信可能に結合されているとして
図3Aに示されているが、薬物送達デバイスデータベース355aは、遠隔デバイス350a、d、eに通信可能に結合された別個の遠隔サーバ(又は任意の他の適切なコンピューティングデバイス)内に配置されてもよいことを理解されたい。任意選択で、薬物送達デバイスデータベース355aの一部が、薬物送達デバイス310a~cのメモリ345aなどの互いに別個であるメモリモジュールに関連付けられてもよい。
【0050】
薬物送達デバイス310a~cは、コンピュータ可読命令のセットとしてメモリ345bに格納された、例えば、ユーザインターフェース生成モジュール346b、薬物送達デバイス構成データ受信モジュール347b、薬物送達デバイス構成データ生成モジュール348b、メインマイクロコントローラスリープモード判定モジュール349b、遠隔デバイス通信要求受信モジュール350b、リアルタイムクロック及び接続判定モジュール351b、注入プロセス進捗判定モジュール352b、通信リンク無効化モジュール353b、挿入駆動部データ生成モジュール354b、押出駆動部データ生成モジュール355b、注入プロセス終了判定モジュール356b、近接センサデータ受信モジュール357b、薬物送達デバイス近接データ生成モジュール358b、静電気放電(ESD)ウォッチドッグ回路データ受信モジュール359b、ESD保護及び回復データ生成モジュール360b、薬物送達デバイスデータ格納モジュール361b、薬物送達デバイスデータ送信モジュール362bを含み得る。いずれの場合も、モジュール346b~362bは、例えば、
図3Aのモジュール346aと同様であり得る。
【0051】
薬物送達デバイスを動作させる方法300cが、例えば、モジュール346b~362bの少なくとも一部を実行する第1のプロセッサ(例えば、プロセッサ347a)によって実施され得る。特に、プロセッサ347aは、ユーザインターフェース生成モジュール346bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、ユーザインターフェース322aを生成させ得る(ブロック346c)。ユーザインターフェースは、例えば薬物送達デバイス構成データ及び/又は注入データを、ユーザが入力及び/又は閲覧できるようにし得る。
【0052】
プロセッサ347aは、薬物送達デバイス構成データ受信モジュール347bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、遠隔デバイスから薬物送達デバイス構成データを受信させ得る(ブロック347c)。プロセッサ347aは、薬物送達デバイス構成データ生成モジュール348bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、薬物送達デバイス構成データを生成させ得る(ブロック348c)。薬物送達デバイス構成データは、例えば、薬剤カートリッジ構成データ(例えば、ユーザインターフェースを介して手動で入力されたもの、カートリッジQRコードを介して自動的に取得されたもの、カートリッジバーコードを介して自動的に取得されたもの、カートリッジ製造業者から自動的に受信されたものなど)、リアルタイムクロック構成データ、通信リンク構成データ、注入の終了検出構成データ、近接センサ閾値構成データ、静電気放電(ESD)保護構成データなどを代表し得る。
【0053】
プロセッサ347aは、メインマイクロコントローラスリープモード判定モジュール349bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、メインマイクロコントローラが現在スリープモードにあるかアクティブモードにあるかを判定させることができる(ブロック349c)。例えば、プロセッサ347aは、メインマイクロコントローラによって提供されたデータに基づいて、メインマイクロコントローラが現在スリープモードにあるかアクティブモードにあるかを判定し得る(ブロック349c)。
【0054】
プロセッサ347aは、遠隔デバイス通信要求受信モジュール350bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、遠隔デバイスからの要求を受信させ得る(ブロック350c)。プロセッサ347aは、リアルタイムクロック及び接続判定モジュール351bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、遠隔デバイスに接続するためにリアルタイムクロック(例えば、メインマイクロコントローラのリアルタイムクロック、無線通信モジュールのリアルタイムクロックなど)を判定させ得る(ブロック351c)。
【0055】
プロセッサ347aは、注入プロセス進捗判定モジュール352bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、現在の注入プロセスの進捗を判定させ得る(ブロック352c)。プロセッサ347aは、通信リンク無効化モジュール353bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、通信リンク361aを無効化させ得る(ブロック353c)。プロセッサ347aは、挿入駆動部データ生成モジュール354bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、挿入駆動部を制御及び/又は監視させ得る(ブロック354c)。プロセッサ347aは、押出駆動部データ生成モジュール355bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、押出駆動部を制御及び/又は監視させ得る(ブロック355c)。
【0056】
プロセッサ347aは、注入プロセス終了判定モジュール356bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、注入プロセスの終了を判定させ得る(ブロック356c)。例えば、プロセッサ347aは、挿入駆動部データ、押出駆動部データ、挿入駆動部データと押出駆動部データとの組み合わせなどに基づいて、注入プロセスの終了を判定し得る。電気機械式オートインジェクタの場合、オートインジェクタの注入の終了を判定することにより、安全で効果的な注入を確保することができる。注入の終了の判定は、注入プロセス全体の関連ハードウェアからの信号及びデータを評価するようにソフトウェアにおいてプログラムされたアルゴリズムの使用に依拠する。
【0057】
オートインジェクタは、ソフトウェアと、印刷回路基板アセンブリ(PCBA)と、流体押し出しのためのプランジャロッドを有する押出駆動システム(EDS)と、針の挿入及び後退のための挿入駆動システム(IDS)とを備え得る。プレフィルドシリンジを有する別個のカートリッジがオートインジェクタに挿入され、ボタン押下によって注入が開始された後の典型的な注入プロセスは、次のとおりである。1)IDSが駆動されて、注射針を挿入し得る。2)EDSが駆動されて、プランジャロッドを前進させて、流体を押し出し得る。3)EDSがプランジャロッドを部分的に後退させ得る。4)IDSが注射針を後退させ得る。
【0058】
IDSが注射針を後退させた後に、注入の終了を判定するためにソフトウェアロジックが使用され得る。追加的なソフトウェアロジック/アルゴリズムを追加して、プランジャロッドを前進させて、流体を押し出させるときのEDSの動きの完了に基づいて、注入の終了を判定することもできる。ソフトウェアロジックを追加することによって、オートインジェクタは、IDSが注射針を後退させた後に注入の終了を判定することに比べて、より正確に注入の終了を判定することが可能になる。
【0059】
プロセッサ347aは、近接センサデータ受信モジュール357bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、近接センサデータを受信させ得る(ブロック357c)。プロセッサ347aは、薬物送達デバイス近接データ生成モジュール358bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、薬物送達デバイス近接データを生成させ得る(ブロック358c)。プロセッサ347aは、ESDウォッチドッグ回路データ受信モジュール359bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、ESDウォッチドッグデータを受信させ得る(ブロック359c)。プロセッサ347aは、ESD保護及び回復データ生成モジュール360bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、ESD保護及び回復データを生成させ得る(ブロック360c)。プロセッサ347aは、薬物送達デバイスデータ格納モジュール361bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、薬物送達デバイス構成データ及び/又は注入データを格納させ得る(ブロック361c)。プロセッサ347aは、薬物送達デバイスデータ送信モジュール362bを実行して、プロセッサ347aに、例えば、薬物送達デバイス構成データ及び/又は注入データを送信させ得る(ブロック362c)。
【0060】
遠隔デバイス350a、dは、コンピュータ可読命令のセットとしてメモリ351dに格納された、例えば、ユーザインターフェース生成モジュール352d、薬物送達デバイス構成データ生成モジュール353d、薬物送達デバイス構成データ送信モジュール354d、薬物送達デバイスデータ受信モジュール355d、薬物送達デバイスデータ格納モジュール356d、及び薬物送達デバイスのデータ分析/報告モジュール457dを備え得る。いずれの場合も、モジュール352d~357dは、例えば、
図3Aのモジュール352aと同様であり得る。
【0061】
遠隔デバイスを動作させる方法300eは、例えば、モジュール352d~357dの少なくとも一部を実行するプロセッサ(例えば、プロセッサ353a)により実施され得る。特に、プロセッサ353aは、ユーザインターフェース生成モジュール352dを実行して、プロセッサ353aに、例えば、ユーザインターフェース354aを生成させ得る(ブロック352e)。
【0062】
プロセッサ353aは、薬物送達デバイス構成データ生成モジュール353dを実行して、プロセッサ353aに、例えば、薬物送達デバイス構成データを生成させ得る(ブロック353e)。プロセッサ353aは、薬物送達デバイス構成データ送信モジュール354dを実行して、プロセッサ353aに、例えば、薬物送達デバイス構成データを生成させ得る(ブロック354e)。薬物送達デバイス構成データは、例えば、薬剤カートリッジ構成データ(例えば、ユーザインターフェースを介して手動で入力されたもの、カートリッジQRコードを介して自動的に取得されたもの、カートリッジバーコードを介して自動的に取得されたもの、カートリッジ製造業者から自動的に受信されたものなど)、リアルタイムクロック構成データ、通信リンク構成データ、注入の終了検出構成データ、近接センサ閾値構成データ、静電気放電(ESD)保護構成データなどを代表し得る。
【0063】
プロセッサ353aは、薬物送達デバイスデータ受信モジュール355dを実行して、プロセッサ353aに、例えば、薬物送達デバイスのデータを受信させ得る(ブロック355e)。プロセッサ353aは、薬物送達デバイスデータ格納モジュール356dを実行して、プロセッサ353aに、例えば、薬物送達デバイスのデータを格納させ得る(ブロック356e)。プロセッサ353aは、薬物送達デバイスデータ分析/報告モジュール357dを実行して、プロセッサ353aに、例えば、薬物送達デバイスのデータを分析し、報告させ得る(ブロック357e)。
【0064】
図4A及び
図4Bを参照すると、薬物送達デバイス400a、bは、通信チャネル469a、bを介して第2のリアルタイムクロック468a、bを有する無線通信モジュール467a、bに通信可能に接続された第1のリアルタイムクロック466a、bを有するメインマイクロコントローラ465a、bを備え得る。
【0065】
リアルタイムクロック(RTC)は、あらゆる組み込み機器、特に医療機器の主要コンポーネントのうちの1つであり、時間及び日付を追跡するために使用される。オートインジェクタデバイスは、薬剤を適時に送達するために使用されるため、デバイスの正しい時間を把握することが重要である。デバイスの時間はUTCに設定され、正確なタイミングを維持するために時間に伴うドリフトは最小限である。本開示は、オートインジェクタデバイス(ATC)のリアルタイムクロックの利用に関する。オートインジェクタは、メインマイクロコントローラ(μC)とBLEモジュールとの2つの組み込みコンポーネントから構成される。メインμCは、必要不可欠な周辺アクセサリをチップ上に有し、システムオンチップ(SOC)と呼ばれる。リアルタイムクロックは、このSOCの組み込みサブコンポーネントのうちの1つである。リアルタイムクロックは、32.768KHzの水晶発振周波数を有する水晶発振器を有し、水晶発振器は、メインμCのアクティブサイクルにおいて稼動して、ライブリアルタイムを提供する。追加的に、Bluetooth接続機能を担い、消費電力が少ないBLEモジュールもまた、独自のRTCを有する。メインμCとBLEモジュールとの2つのコンポーネントは、シリアル通信チャネル(UART)を介して通信する。両者の間でデータ交換を行うには、両者ともアクティブモードで稼動していなければならない。外部BLE対応デバイスが、デバイスに接続し、ペアリングし、同期のためにデバイスの時間を読み取り得る。
【0066】
外部BLE対応デバイスからの時間読み取り要求があった場合、何らかの理由で、オートインジェクタ、ひいてはメインμCがスリープモードに入ると、メインμCとBLEモジュールとの間のUART通信はアクティブでなくなる。その結果、メインμCのRTCはまだ時を刻んでいるにもかかわらず、ライブクロックタイムは、BLEモジュール及び外部BLE対応デバイスに報告されない。この問題を解決するために、メインμCのRTCの代わりにBLEモジュールのRTCクロックを利用した。BLEモジュールは、メインμCに比べて使用電力が大幅に少ないため、アクティブモードで長時間オンにしておくことができ、同時に、メインμC及びメインμCとBLEとの間の通信チャネルをスリープモード/非アクティブとすることができる。この手法により、外部BLE対応デバイスから要求があったときにはいつでもライブリアルタイムが確保される。
【0067】
図5を参照すると、薬物送達デバイス500が、通信チャネル569を介して無線通信モジュール567に通信可能に接続されたメインマイクロコントローラ565を備え得る。
【0068】
医療機器は、相互接続され、互いにデータをやりとりする複数の処理モジュールから構成される可能性がある。これらのモジュールのいずれかが、システムの外部と接続/通信し得る場合、これらの相互接続は、システムにセキュリティホールをもたらす可能性があるオープンチャネルとなる。このようなシステムの一例として、オートインジェクタは、患者に薬物を投与するために使用される慎重に扱うべきデバイスである。薬物の投与中は、いかなる中間者も薬物投与の重要な機能を妨害する可能性が絶対にないように、外部通信チャネルを無効化することが重要である。
【0069】
オートインジェクタの設計アーキテクチャでは、それぞれが特定のプロセスを処理する2つのマイクロコントローラが存在し得る。1つはSTM32ファミリのメインマイクロコントローラであり、もう1つのマイクロコントローラはnRF52ファミリであるBLEモジュールにある。メインマイクロコントローラは、薬物の押し出し、針の挿入、及び針の後退など、薬物の投与に関連するオートインジェクタのすべて重要な機能を担う。また、オートインジェクタのすべての他の重要でない機能のためにも働く。BLEマイクロコントローラは、Bluetooth接続機能を担い、メインマイクロコントローラに比べて消費電力が少ない。これらは、I2C、GPIO、SPI、又はUARTなど、様々な通信方式を介して互いに通信し得る。この具体的な設計では、両者間の通信にUARTが利用される。2つのマイクロコントローラ間の通信プロトコルは、フロー制御を伴う双方向非同期通信に基づく。
【0070】
BLEモジュールは、モバイルデバイスなどの別のBLE対応デバイスとインターフェースするためのオープンポートであり、UARTを介してメインマイクロコントローラと接続されるため、メインマイクロコントローラに対するデータを送受信し、メインマイクロコントローラの処理時間を占有し得る。BLEモジュールは、デバイスに対する唯一の非物理的な通信ポートであるため、中間者及び不正ダイレクトデータアクセス(UDDA)によるサイバーセキュリティ攻撃を受けやすい。サイバーセキュリティ攻撃のシナリオでは、BLEマイクロコントローラは、中間者によってアクセスされることがあり、そうすると、不要なリクエストがメインマイクロコントローラに殺到し、メインマイクロコントローラの処理帯域を占有する可能性がある。メインマイクロコントローラは割り込みの優先順位に基づいてプロセスを処理するが、このような攻撃はメインマイクロコントローラの機能に影響を与える可能性がある。注入プロセスの間、デバイス故障のリスクを軽減し、メインマイクロコントローラを注入の重要な機能の処理に集中させるためには、メインマイクロコントローラへの中断を防ぐことが不可欠である。注入時のサイバーセキュリティ攻撃のシナリオを防ぎ、メインマイクロコントローラによる注入プロセスの適切な処理を確保するために、2つのマイクロコントローラの間における通信方式、この場合はメインマイクロコントローラとBLEモジュールとの間にあるUAR通信チャネルを無効化する改善を導入した。メインマイクロコントローラは、注入タスクを依然として処理するため、注入プロセス全体への影響はない。これにより、アクセスポートが無効化されるため、注入中のデバイスのサイバーセキュリティが大幅に改善され、メインマイクロコントローラの制御を中間者に明け渡すリスクが排除され、よって、割り込みのない注入が確保される。
【0071】
図6A~
図6N及び
図6P~
図6Rを参照すると、薬物送達デバイス600a~n、p~rは、2つの近接センサ234e、235fを備え得る。
図7A~
図7Gを更に参照すると、薬物送達デバイス700a~gは、近接センサで使用するための閾値を含み得る。
図8A~
図8N及び
図8P~
図8Zを更に参照すると、薬物送達デバイス700a~gは、近接センサで使用するための閾値を含み得る。静電容量センサが医療機器に使用されて、センサによって観測される静電容量の差分に基づいて人間の皮膚の存在を検出し得る。皮膚を検出する場合、エンドユーザによる通常の使用におけるばらつき又は製造上のばらつきに基づいて、検出において柔軟性を持たせるようにすることが重要である。複数の固有の静電容量センサ閾値が、例えば、STM32マイクロコントローラ又は静電容量性表面の検出のための電荷移動取得原理を利用する任意のチップセットで構築されたオートインジェクタにおいて皮膚を検出するソフトウェアを通じて明らかになり得る。
【0072】
電荷移動取得原理は、センサコンデンサを充電し、蓄積された電荷をサンプリングコンデンサに移動し、サンプリングコンデンサの電圧が最大電圧に達するまで繰り返すことから構成される。センサが皮膚を検出すると、対地静電容量が増加するため、信号カウント及び最大電圧に達するのに必要な電圧が低下する。これらの値が定義閾値を下回ると、ソフトウェアが皮膚の検出を示す。
【0073】
オートインジェクタにおける皮膚検出には、ソフトウェアコンポーネント及びハードウェアコンポーネントが必要である。ハードウェアは、タッチセンシングコントローラ周辺機器(TSC)を含み、静電容量性表面を検出するために電荷移動取得原理を利用するマイクロコントローラから構成される。マイクロコントローラのソフトウェアは、タッチセンシングライブラリ(TSL)APIを含み、ハードウェアからの信号に基づいて信号を処理し、信号閾値を管理するために使用される。
【0074】
TSL APIによって、各静電容量センサチャネルを独立に調整することができる。TSCレベルで個々のパラメータを調整することにより、TSLによって、静電容量センサチャネルごとに独立して固有の閾値を適用することができる。これにより、静電容量センサの閾値を設定して、エンドユーザによる通常の使用、異なる皮膚タイプ若しくは状態、又は製造におけるばらつきを潜在的に補償することができる。
【0075】
図6A及び
図6Bはタッチセンシングを示しており、以下、最も重要な略語を説明する。取得モードは、CT(電荷移動)取得原理。このモードは、STMマイクロコントローラにおいて使用される。タッチセンシングSTM32周辺機器は、TSC(タッチセンシングコントローラ)周辺機器である。センサは、Touchkey又はTKey(単一チャネルセンサ)である。STM32ソフトウェアは、TSL(タッチセンシングライブラリ)である。差分(Delta)は、測定値と基準値との間の差分である。測定値は、チャネル上で測定された現在の信号である。基準値は、測定値のサンプルの平均値に基づく基準信号である。
【0076】
STM32タッチセンシング機能は、電荷移動に基づく。表面電荷移動取得原理は、センサコンデンサ(Cx)を充電することと、蓄積された電荷をサンプリングコンデンサ(Cs)に移動させることとにある。このシーケンスは、Csの両端の電圧がV
IHに達するまで繰り返される。閾値に達するまでに必要な電荷移動の数は、電極容量のサイズを直接表す。センサがタッチされると、対地センサ容量は増加する。このことは、C電圧が少ないカウントでV
IHに到達し、測定値が低下することを意味する。この測定値が閾値を下回ると、
図6A~
図8Zで使用されるように、TSL統計的上限閾値676_、678_、776_、778_、876_、及び878_によって検出が報告され、例えば、薬物送達デバイスの近位端が注射部位から2mmの位置にあることを表し得る。
図6A~
図8Zで使用されるように、統計的下限閾値677_、679_、777_、779_、877_、及び879_は、例えば、薬物送達デバイスの近位端が注射部位から0.5mmにあることを表し得る。
【0077】
図8A~
図8N及び
図8P~
図8Zを更に参照すると、記載されるFWの変更は、新しい評価物理的次元、すなわち、傾斜角度を導入している。評価は、現在のDV試験治具では行うことができない。FWの変更を更に試験するために、移動するプレート治具を設計した。提供される治具は、パッドが、移動する(導電性)物体との接触又は接触の喪失を検出したときの距離を測定することを目的とするものとする。提供される治具は、それぞれのセンサであるパッド1及びパッド2上で互いに独立な測定を可能にすることを要件とするものとする。デバイスの静電容量センサが表面に触れているときにゼロ基準を設定するために、目盛り付きスケールを設ける。デバイスの静電容量センサから導電性表面を近づける又は遠ざけるためのハンドル又は機構を設ける。デバイスが静電容量センサ(ディスプレイビュー)全体に両方の表面で触れている場合、治具の基準は0mmに設定されるものとする。A: 左の幾何学的基準点*であり、B:右の幾何学的基準点*であり、r:距離A-B**であり、(*)はディスプレイビューであり、(**)はノーズ下部の幅に等しい。
【0078】
図9A~
図9Eを参照すると、静電気放電(ESD)保護900a~fは、ハードウェアESD保護999e、998d~f、ファームウェアESD保護900b、及び/又はソフトウェアESD保護を含み得る。静電気放電(ESD)は、携帯型又はウェアラブルの電気機械式薬物送達デバイスの誤動作又は損傷を引き起こす一般的な要因であり、誤動作又は損傷によって、投与の失敗や治療の遅れがもたらされる。ESD保護及び回復解決策は、ハードウェアアーキテクチャ及びファームウェアロジックによって達成され得る。この固有の設計は、一般に、内部の半導体を電気的に損傷させたり壊したりするESDクリープに起因して、デバイスを脆弱にする、デバイスのフォームファクタ及びユーザインターフェースを考慮したものである。この設計では、典型的な薬物送達デバイスのほとんどにとって実施可能且つ製造可能な解決策を実現するために、コスト、効果、及び動作シーケンスの兼ね合いを考慮した。
【0079】
ESDの発生には、動き又は摩擦、非導電性材料、及び乾燥空気という3つの要因がある。一般的な静電気電圧は、乾燥した環境では最大30KVに達することがあり、電子機器の安定性及び寿命に支障をきたしやすい。オートインジェクタ、小型注入器、パッチポンプ、又は体内注射器などの携帯型又はウェアラブルの薬物送達デバイスは、上記の3つの要因がある環境で一般的に使用されるため、ESDによって干渉又は損傷を受ける。薬物送達デバイスは、患者の皮膚又は身体に接触する注射部位検出部、薬液を患者の組織に接続する針挿入インターフェース、患者の手に接触する手保持領域及び起動ボタン、並びに試験機器に接続するデバッグポートから構成されるため、これらのポートはすべてESD保護を持つ必要がある。これらのポートは、ESD電流をデバイス筐体に導く。動作中、デバイスの様々な領域が、様々な時間シーケンス、持続時間、又は様々な押下圧で患者と接触する(例えば、通常、患者はまずカセットドア排出ボタンを押してカセットを装填し、その後ドアを閉めてから注射部位にデバイスを配置する)ため、それに応じて異なる保護レベルが必要となる。カセットドア排出ボタンは、注射部位が最初に患者に接触するため、より高いESD保護電圧を必要とする。一方、患者には最初接触しないいくつかの領域については、材料コストを節約するために、それほど高いESD電圧保護を施す必要はない。更に、ESDの影響を受けやすい内部コンポーネントへの患者接触距離に基づいて、オートインジェクタは、この目的のためにも、異なるESD保護回路又はコンポーネントを有する異なるレベルのESD保護を設けられてもよい。更に、ESDの影響を受けにくいいくつかの領域では、ESD保護は必要ない。本開示は、損傷を効果的且つ経済的に軽減するために、異なるESD電圧保護レベルを実装するためのハードウェア設計及びファームウェア設計のそれぞれから、独自の設計を文書化したものである。
図9Aは、ESD電圧解析並びにユーザ接触シーケンス及び頻度に基づくハードウェア保護解決策を示している。一般的に、装填/取出のためのカセットドア排出ボタンなどのデバイス動作のためのユーザインターフェースは、より高いESD電圧を有し、作動ボタンはより低いESD電圧を有し、これは、材料費又は(商品の製造)コストを削減するために、異なるESD抑制装置で実装されている。
【0080】
多くの場合、ESDは電子部品に永続的な損傷を与えることはないが、代わりに、半導体を誤った状態(バイナリ0/1反転状態)にし、そうすると、デバイス故障又はフリーズが引き起こされる。この状況が起こったときのために、薬物送達デバイスは故障を回復するためのロジックが設計される。回路のユーザインターフェース部分が故障状態又はフリーズモードにある場合、回復させるために、メインプロセッサは、回路のその部分をリセット又はパワーサイクルを試みる。回路が回復されると、デバイスは残された手順を再開する。自動回復プロセスは、例えば数ミリ秒しかかからないため、ユーザはフード内の回復プロセスに気付かず、患者は治療に信頼をよせる。回路の一部が回復不可能な場合、デバッグ及び分析の目的でイベントのログが取られ、その後、事を荒立てずに機能停止する。ファームウェアの回復は、材料費にコストを上乗せしない。メインプロセッサがESDによって中断又は損傷した場合、ウォッチドッグ回路が働いてシステム全体をリセットして、メインプロセッサがユーザインターフェースに関連する回路を回復させるのと同じロジックで回復を試みる。
【0081】
図9Bは、ESD干渉イベントを回復するためのファームウェアロジックを示している。メインマイクロプロセッサが起動し(ブロック946b)、ウォッチドッグ回路入力が受信され得る(ブロック947b)。ブロック947bでウォッチドッグ読み出しコマンドが受信されない場合、OKウォッチドッグタイマリセットが生成され得る(ブロック948b)。ウォッチドッグ信号(例えば、メモリ内のステータス、ステータスレジスタなど)が、メインプロセッサによって読み取られ得る(ブロック949b)。ウォッチドッグ信号に関する判定が行われる(ブロック950b)。周辺機器が応答ブロック950bを示した場合、プロセスは続行される(ブロック951b)。周辺機器が応答ブロック950bを示さない場合、少なくとも1回の周辺機器読み出し再試行が試みられ得る(ブロック952b)。
図9Bに示すように、「再試行」は、薬物送達デバイスESDエラーが判定される前に、少なくとも1回試みられ得る(ブロック950b~ブロック958b)。
【0082】
具体的な例として、メインプロセッサがウォッチドッグ回路のステータスを読み取った場合、ウォッチドッグは、読み取りが発生したことを知ることができ、その後、メインプロセッサの信号のリセットをトリガすることなく、ウォッチドッグのタイマをリセットすることができる。メインプロセッサは、例えば、ウォッチドッグを読み取り、ウォッチドッグがメインプロセッサによって読み取られたことをウォッチドッグに示すことができる(つまり、データを読み取ること自体を意図していない)。ウォッチドッグはタイマを含み得る。ウォッチドッグが予め設定された時間内にメインプロセッサによって読み取られない場合、ウォッチドッグはメインプロセッサをリセットする信号を送信してもよい(すなわち、ウォッチドッグが予め設定された時間内にメインプロセッサによって読み取られない場合、それはメインプロセッサがフリーズしている可能性があること、ロジックがエラーを含む可能性があることなどを意味する)。ウォッチドッグ回路は、非常に単純なコンポーネントとして構成され得る。ウォッチドッグ回路はESDに耐性があってもよく、容易に損傷させたり、不注意で中断されたりすることはない。
【0083】
機械的なESD保護/回復解決策は、例えば、以下を含み得る。デバイスを導電性にする、又は筐体と電子部品との間に絶縁体/距離を設計する。電子的解決策は、例えば、ハードウェア上にESD保護コンポーネント/回路を追加することを含み得る。ソフトウェアESD保護/回復解決策は、例えば、ウォッチドッグ回路及びソフトウェア回復を追加することによってESDエラーをマスクすることを含み得る。
【0084】
上述の説明では、プレフィルドシリンジなどの薬物送達デバイスに関連して使用する様々なデバイス、アセンブリ、コンポーネント、サブシステム、及び方法について記述している。当該デバイス、アセンブリ、コンポーネント、サブシステム、方法、又は薬物送達デバイス(すなわち、プレフィルドシリンジ)は、以下に列挙する薬物、並びに対応するジェネリック及びバイオ後続品を含むがこれらに限定されない薬物を更に含むか又はこれらと共に使用され得る。本明細書で使用する場合、「薬物」という用語は、他の類義語と同義で使用可能であり、伝統的及び非伝統的医薬品、栄養補助食品、サプリメント、生物製剤、生理活性物質及び組成物、高分子、バイオ後続品、生物学的同等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、低分子及びジェネリックを含む、任意の種類の医薬品又は治療用材料を指すために使用することができる。非治療用注射剤も対象に含まれる。薬物は、液状、凍結乾燥形態、又は凍結乾燥形態から再構成された形態であり得る。以下の例示的な薬物のリストは網羅的か又は限定的であると考えてはならない。
【0085】
薬物は、例えば、プレフィルドシリンジ内の貯槽に収容される。いくつかの例において、貯槽は、薬物による治療のために充填又は事前充填された一次コンテナである。一次コンテナは、バイアル、カートリッジ、又はプレフィルドシリンジであり得る。
【0086】
いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスの貯槽は顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子で充填されてよく、又は当該因子と共に使用され得る。このようなG-CSF剤として、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、ペグ化フィルガストリム、ペグ化G-CSF、ペグ化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)、UDENYCA(登録商標)(ペグフィルグラスチム-cbqv)、Ziextenzo(登録商標)(LA-EP2006;ペグフィルグラスチム-bmez)、又はFULPHILA(ペグフィルグラスチム-bmez)が含まれるがこれらに限定されない。
【0087】
他の実施形態において、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る赤血球造血刺激因子(ESA)を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。ESAは赤血球造血を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態において、ESAは赤血球造血刺激タンパク質である。本明細書で使用する場合、「赤血球造血刺激タンパク質」という用語は、例えば、受容体に結合して二量体化を生じさせることによりエリスロポエチン受容体を直接又は間接的に活性化させる任意のタンパク質を意味する。赤血球造血刺激タンパク質として、エリスロポエチン、及びエリスロポエチン受容体に結合して活性化する変異体、類似体若しくは誘導体、エリスロポエチン受容体に結合して受容体を活性化する抗体、又はエリスロポエチン受容体に結合して活性化するペプチドが含まれる。赤血球造血刺激タンパク質として、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メチオキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファヘキサル、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタ、ペグ化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、及びこれらの分子又は変異体或いは類似体が含まれるがこれらに限定されない。
【0088】
特定の例示的なタンパク質のうち、融合体、フラグメント、類似体、変異体、又は誘導体を含む以下に示す特異的タンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディなどとも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質など;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活性を阻害する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2カッパ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2ガンマ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などのヒトCD22特異IgG抗体を特に含むが、それに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むが、それに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体などであるが、それに限定されないヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むが、それに限定されないIGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ及び関連タンパク質など;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むが、それに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むが、それに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のその天然の受容体であるICOSとの相互作用を阻害するものを含むが、それに限定されないB-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など(「B7RP-1」並びにB7H2、ICOSL、B7h及びCD275とも称される);例えば145c7など、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むが、それらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などのIL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ヒトIFNガンマ特異抗体を含むが、それに限定されず、且つ完全ヒト抗IFNガンマ抗体を含むが、それに限定されないIFNガンマ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体などのHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的とするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質など;TGF-ベータ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アミロイド-ベータタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むが、それらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むが、それに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA);Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、エリスロポエチン[30-アスパラギン、32-スレオニン、87-バリン、88-アスパラギン、90-スレオニン]、ダルベポエチンアルファ、新しい赤血球造血刺激タンパク質(NESP);Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ又はエリスロポエチン);GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンベータ-1a);Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体);Betaseron(登録商標)(インターフェロン-ベータ);Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体);Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ);Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ);MLN0002(抗α4β7mAb);MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb);Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬);Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ);Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1);Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb);Kanjinti(商標)(トラスツズマブ-anns)抗HER2モノクローナル抗体、Herceptin(登録商標)のバイオシミラー又は乳癌若しくは胃癌治療用のトラスツズマブを含有する別の製品;Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン);Humira(登録商標)(アダリムマブ);Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、RANKリガンドに対する免疫グロブリンG2ヒトモノクローナル抗体、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツムマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン;Infergen(登録商標)(インターフェロンアルファコン-1);Natrecor(登録商標)(ネシリチド;遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP);Kineret(登録商標)(アナキンラ);Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF);LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb);Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb);Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体);Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ);Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン);Raptiva(登録商標)(エファリズマブ);Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP 870);Soliris(商標)(エクリズマブ);ペキセリズマブ(抗補体C5);Numax(登録商標)(MEDI-524);Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ);Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ);Trabio(登録商標)(レルデリムマブ);TheraCim hR3(ニモツズマブ);Omnitarg(ペルツズマブ、2C4);Osidem(登録商標)(IDM-1);OvaRex(登録商標)(B43.13);Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ);カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1);NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ);Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11);Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体);Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ);Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFアルファモノクローナル抗体);Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体);Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb);Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ);Mvasi(商標)(ベバシズマブ-awwb);Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb);Tarceva(登録商標)(エルロチニブ);Roferon-A(登録商標)-(インターフェロンアルファ-2a);Simulect(登録商標)(バシリキシマブ);Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ);Synagis(登録商標)(パリビズマブ);145c7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照されたい);Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb);Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌(B.anthracis)防御抗原mAb);ABthrax(商標);Xolair(登録商標)(オマリズマブ);ETI211(抗MRSA mAb);IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン);VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ);Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb);Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン);Zetia(登録商標)(エゼチマイブ);Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig);抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ);抗CD23 mAb(ルミリキシマブ);BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬);CNTO 148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb);HGS-ETR1(マパツズマブ;ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb);HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb);HuMax-EGFR(ザルツムマブ);M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb);MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb及びVEGFR-1(IMC-18F1);抗BR3 mAb;抗C.ディフィシル(C.difficile)毒素A並びに毒素B C mAb MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388);抗CD22 dsFv-PE38コンジュゲート(CAT-3888及びCAT-8015);抗CD25 mAb(HuMax-TAC);抗CD3 mAb(NI-0401);アデカツムマブ;抗CD30 mAb(MDX-060);MDX-1333(抗IFNAR);抗CD38 mAb(HuMax CD38);抗CD40L mAb;抗Cripto mAb;抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019);抗CTLA4 mAb;抗エオタキシン1 mAb(CAT-213);抗FGF8 mAb;抗ガングリオシドGD2 mAb;抗ガングリオシドGM2 mAb;抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029);抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001);抗HepC mAb(HuMax HepC);抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-198);抗IGF1R mAb;抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam);抗IL12 mAb(ABT-874);抗IL12/IL23 mAb(CNTO 1275);抗IL13 mAb(CAT-354);抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC);抗IL5受容体mAb;抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO 95);抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100);BMS-66513;抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307);抗メソテリンdsFv-PE38コンジュゲート(CAT-5001);抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538));抗PDGFRα抗体(IMC-3G3);抗TGFβ mAb(GC-1008);抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2);抗TWEAK
mAb;抗VEGFR/Flt-1 mAb;及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0089】
いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、ロモソズマブ、ブロソズマブ、BPS 804(Novartis)、Evenity(商標)(ロモソズマブ-aqqg)、閉経後の骨粗鬆症及び/又は骨折治癒の治療のためのロモソズマブを含有する別の製品などであるがそれらに限定されないスクレロスチン抗体、並びに他の実施形態において、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられるが、それらに限定されない。他の実施形態において、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツムマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ビデュピプラント、又はパニツムマブを収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスの貯槽は、IMLYGIC(登録商標)(talimogene laherparepvec)又は別の黒色腫又は他の癌の治療用のOncoVEXGALV/CD、OrienX010、G207、1716、NV1020、NV12023、NV1034、及びNV1042を含むがこれに限定されない別のオンコライトHSVで充填され得る又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、限定されないがTIMP-3などの内因性組織メタロプロテイナーゼ阻害剤(TIMP)を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、片頭痛の治療のために、抗ヒトCGRP-R(カルシトニン遺伝子関連ペプチド1型受容体)又はエレヌマブを含む別の製品であるAimovig(登録商標)(erenumab-aooe)を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。CGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とするエレヌマブ及び二重特異性抗体分子などの、但しこれらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体に対する拮抗抗体もまた本開示の薬物送達デバイスにより送達できる。また、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などの、但しこれに限定されない二重特異性T細胞エンゲージャ(BiTE(登録商標))抗体も本開示の薬物送達デバイス内で又はこれと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などの、但しこれらに限定されないAPJ高分子アゴニストを収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、治療に有効な量の抗胸腺間質リンパポエチン(TSLP)又はTSLP受容体抗体を本開示の薬物送達デバイス内で又はこれと共に使用する。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、自己免疫疾患の治療のために、Avsola(商標)(infliximab-axxq)、抗TNFアルファモノクローナル抗体、Remicade(登録商標)(infliximab)(Janssen Biotech,Inc.)のバイオシミラー、又はinfliximabを含む別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、Kyprolis(登録商標)(カルフィルゾミブ)、(2S)-N-((S)-1-((S)-4-メチル-1-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-1-オキソペンタン-2-イルカルバモイル)-2-フェニルエチル)-2-((S)-2-(2-モルホリノアセトアミド)-4-フェニルブタンアミド)-4-メチルペンタンアミド、又は多発性骨髄腫の治療のためにカルフィルゾミブを含む別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、様々な炎症性疾患の治療用にOtezla(登録商標)(アプレミラスト)、N-[2-[(1S)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-2-(メチルスルホニル)エチル]-2,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-1H-イソインドール-4-イル]アセトアミド、又はアプレミラストを含む別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、血液透析を受ける慢性腎臓病(KD)の患者などの二次性副甲状腺機能亢進症(sHPT)の治療用にParsabiv(商標)(エテルカルセチド塩酸塩、KAI-4169)又はエテルカルセチド塩酸塩を含む別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物送達デバイスは、ABP 798(リツキシマブ)、Rituxan(登録商標)/MabThera(商標)のバイオシミラー候補、若しくは抗CD20モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、非抗体VEGF拮抗薬などのVEGF拮抗薬及び/又はアフリベルセプトなどのVEGFトラップ(IgG1のFcドメインに縮合した、VEGFR1からのIgドメイン2及びVEGFR2からのIgドメイン3)を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 959(エクリズマブ)、Soliris(登録商標)のバイオシミラー候補、又は補体タンパク質C5に特異的に結合するモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ICOSL及びBAFF活性を同時に遮断する新しい二重特異性抗体-ペプチドコンジュゲートであるロジバフスプアルファ(旧AMG 350)を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、心臓の収縮機構を直接的に標的化するオメカムチブメカルビル、小分子選択的心筋ミオシン活性化因子若しくはミオトロープ又は小分子選択的心筋ミオシン活性化因子を含有する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ソトラシブ(旧AMG 510として知られる)、KRASG12C小分子阻害剤、又はKRASG12C小分子阻害剤を含有する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、テゼペルマブ、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)の作用を阻害するヒトモノクローナル抗体又はTSLPの作用を阻害するヒトモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 714、インターロイキン-15(IL-15)に結合するヒトモノクローナル抗体、又はインターロイキン-15(IL-15)に結合するヒトモノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 890、Lp(a)としても知られるリポタンパク質(a)を減らす低分子干渉RNA(siRNA)、又はリポタンパク質(a)を減らす低分子干渉RNA(siRNA)を含有する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ABP 654(ヒトIgG1カッパ抗体)、Stelara(登録商標)のバイオシミラー候補、若しくはヒトIgG1カッパ抗体を含有し、且つ/又はヒトサイトカインインターロイキン(IL)-12及びIL-23のp40サブユニットに結合する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、Amjevita(商標)若しくはAmgevita(商標)(旧ABP 501)(mab抗TNFヒトIgG1)、Humira(登録商標)のバイオシミラー候補、又はヒトmab抗TNFヒトIgG1を含有する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 160又は半減期延長(HLE)抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャ)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る又はそれらと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 119又はデルタ様リガンド3(DLL3)CAR T(キメラ抗原受容体T細胞)細胞療法を含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 133又は胃抑制ポリペプチド受容体(GIPR)アンタゴニスト及びGLP-1Rアゴニストを含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 171又は増殖分化因子15(GDF15)類似体を含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 176又は骨髄細胞白血病1(MCL-1)の小分子阻害剤を含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 199又は半減期延長(HLE)二重特異性T細胞エンゲージャコンストラクト(BiTE(登録商標))を含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 256又はプログラム細胞死-1(PD-1)陽性細胞においてインターロイキン21(IL-21)経路を選択的に活性化するように設計された抗PD-1×IL21ムテイン及び/若しくはIL-21受容体アゴニストを含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 330又は抗CD33×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャ)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 404又は固形腫瘍を有する患者のための治療として調査されているヒト抗プログラム細胞死-1(PD-1)モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 427又は半減期延長(HLE)抗fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャ)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 430又は抗Jagged-1モノクローナル抗体を含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 506又は固形腫瘍のための治療として研究されている多重特異性FAP×4-1BB標的化DARPin(登録商標)生物製剤を含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 509又は二価T細胞エンゲージャを含有し及びXmAb(登録商標)2+1技術を使用して設計される別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 562又は半減期延長(HLE)CD19×CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャ)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、エファバリューキンアルファ(旧AMG 592)又はIL-2ムテインFc融合タンパク質を含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 596又はCD3×上皮増殖因子受容体vIII(EGFRvIII)BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャ)分子を含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 673又は半減期延長(HL
E)抗CD33×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャ)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 701又は半減期延長(HLE)抗B細胞成熟抗原(BCMA)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャ)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 757又は半減期延長(HLE)抗デルタ様リガンド3(DLL3)×抗CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャ)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、AMG 910又は半減期延長(HLE)上皮細胞タイトジャンクション構成タンパク質クローディン18.2×CD3 BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャ)コンストラクトを含有する別の製品を収容し得る又はそれと共に使用され得る。
【0090】
薬物送達デバイス、アセンブリ、コンポーネント、サブシステム、及び方法を例示的な実施形態の観点から説明してきたが、これらの実施形態に限定されるものではない。詳細な説明は、単に例示として解釈されるべきであり、本開示の考え得るすべての実施形態を説明しているわけではない。現在の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替実施形態を実施することができるが、このような実施形態は、依然として、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に入る。
【0091】
詳細な記述は例示に過ぎず、本開示のすべての可能な実施形態を記述するものではない。現行の技術又は本特許の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、本明細書に開示する発明を規定する請求項の範囲内に含まれる多くの代替的実施形態を実現することができる。当業者には、本明細書に開示する発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に関して広範な修正、変更、及び組み合わせを行い得ること、及びそのような修正、変更、及び組み合わせが発明的概念の範囲に含まれるものと見なされることが理解されよう。
【国際調査報告】