(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】走査光源及びピクセル化アレイを含むプロジェクタ又はディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20241126BHJP
G02B 27/48 20060101ALI20241126BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20241126BHJP
G09G 3/02 20060101ALI20241126BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G02B26/10 C
G02B27/48
G02B26/10 104Z
G09G3/36
G09G3/02 A
G09G3/02 Q
G09G3/34 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525993
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022082945
(87)【国際公開番号】W WO2023094432
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021130561.6
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597141922
【氏名又は名称】カール ツァイス イェナ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グリューエ、エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ユングハンス、マルク
(72)【発明者】
【氏名】クラインディエンスト、ローマン
(72)【発明者】
【氏名】キューエル、シーメン
(72)【発明者】
【氏名】エルラー、クリストフ
【テーマコード(参考)】
2H045
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H045AB01
2H045AB13
2H045AD00
2H045BA12
2H045DA11
5C006AA22
5C006BA16
5C006BB11
5C006BB28
5C006BB29
5C006EA01
5C006EC11
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC02
5C080CC03
5C080DD05
(57)【要約】
本発明は、好ましくは、照明放射(2)を生成するための光源(1)と、光変調ピクセルアレイ(4)であって、ピクセルアレイ(4)に入射する照明放射(2)をピクセル単位で変調することによって画像を生成するための光変調ピクセルアレイ(4)とを含む撮像ユニットに関する。撮像ユニットは、照明放射(2)が、それが光変調ピクセルアレイ(4)に衝突するとき、ピクセルアレイ(4)より小さい横方向範囲を有し、且つピクセルアレイ(4)の上で走査ユニット(3)によって案内されて、画像を生成することを特徴とする。光変調ピクセルアレイ(4)の上での照明放射(2)の走査プロセスを組み合わせることにより、走査ユニット(3)及びピクセルアレイ(4)のスペックルシグネチャが重畳又は合成されてピクセルを生成する。有利には、結果として得られる画像内の可視スペックルパターンが大幅に低減され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明放射(2)を生成するための光源(1)と、光変調ピクセルアレイ(4)であって、前記ピクセルアレイ(4)に入射する前記照明放射(2)のピクセル単位の変調によって画像を生成するための光変調ピクセルアレイ(4)とを含む画像生成ユニットにおいて、前記照明放射(2)は、前記光変調ピクセルアレイ(4)への入射時、前記ピクセルアレイ(4)より小さい横方向範囲を有し、且つ画像の前記生成のために前記ピクセルアレイ(4)の上で走査ユニット(3)によって案内されて、前記生成された画像中のスペックルパターンの可視性を低減させることを特徴とする画像生成ユニット。
【請求項2】
前記照明放射(2)は、コヒーレント放射であり、及び/又は前記光源(1)は、レーザであることを特徴とする、請求項1に記載の画像生成ユニット。
【請求項3】
2つ以上の光源(1)、好ましくは2つ以上の単色レーザを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像生成ユニット。
【請求項4】
前記走査ユニット(3)は、1つ以上の走査ミラー(5)、レンズ、プリズム、ウェッジ及び/又は回折光学素子(DOE)を含むことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項5】
前記光変調ピクセルアレイ(4)は、空間光変調器(SLM)、液晶ディスプレイ(LCD)及び/又はマイクロミラーアレイを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項6】
前記照明放射(2)は、前記ピクセルアレイ(4)への入射時、前記ピクセルアレイ(4)の5分の1、10分の1、100分の1若しくはそれ未満の横方向範囲を有し、及び/又は前記照明放射(2)は、前記ピクセルアレイ(4)への入射時、50、30、20、10、5、4、3、2ピクセル未満若しくは1ピクセル未満の横方向範囲を有することを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項7】
前記走査ユニット(3)の走査周波数及び/又は前記ピクセルアレイ(4)のアレイ周波数は、少なくとも20Hz、好ましくは少なくとも25Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz又はそれより高いことを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項8】
前記ピクセルアレイ(4)及び/又は前記走査ユニット(3)のスペックルシグネチャの変動を増大させるために、前記ピクセルアレイ(4)及び/又は前記走査ユニット(3)により、前記照明放射(2)の追加的な位相変化を生じさせるように構成されることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項9】
前記ピクセルアレイ(4)のスペックルシグネチャの変動を増大させるために、生成された画像ごとにピクセル状態を追加的に変調するように構成され、好ましくは、前記ピクセル状態の変調周波数は、前記画像生成ユニットのリフレッシュレートの2、4、6倍又はそれより高いことを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項10】
前記走査ユニット(3)の前記スペックルシグネチャの変動を増大させるために、前記照明放射(2)の位相変化のために前記走査ユニット(3)を追加的に変調するように構成され、前記走査ユニット(3)の変調周波数は、前記画像生成ユニットのリフレッシュレートの2、4、6倍若しくはそれより高く、及び/又は好ましくは、前記走査ユニット(3)の1つ以上のコンポーネントは、アクチュエータ(7)によって振動するように励起されることを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項11】
前記光源(1)と前記光変調ピクセルアレイ(4)との間のビーム経路、好ましくは前記走査ユニット(3)と前記光変調ピクセルアレイ(4)との間のビーム経路内に1つ以上のディフューザ(8)を追加的に含むことを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項12】
前記ビーム経路内に空間距離を空けて連続的に配置される2つ以上のディフューザ(8)を含むことを特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項13】
ディスプレイとして設計され、前記光変調ピクセルアレイ(4)は、表示スクリーン(11)を形成し、及び/又は前記光変調ピクセルアレイ(4)によって生成される前記画像は、(半)透明表示スクリーン(11)上に投影されることを特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項14】
プロジェクタとして設計され、前記光変調ピクセルアレイ(4)は、反射型投影スクリーン(11)上に投影されることを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【請求項15】
前記照明放射(2)に対して透明である基板本体(14)であって、結合表面(12)を有する基板本体(14)を有し、前記結合表面(12)を介して、前記透明な基板本体(14)内の前記照明放射(2)は、方向変換素子(13)が存在する後面(15)に案内され、前記方向変換素子(13)は、前記入射した照明放射(2)が前記基板本体(14)の前面(16)の方向に方向変換されるように設計され、前記前面(16)を通して、前記照明放射(2)は、前記光変調ピクセルアレイ(4)上に出射することを特徴とする、請求項1~14の何れか一項に記載の画像生成ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、照明放射を生成するための光源と、光変調ピクセルアレイであって、ピクセルアレイに入射する照明放射のピクセル単位の変調によって画像を生成するための光変調ピクセルアレイとを有する画像生成ユニットに関する。画像生成ユニットは、照明放射が、光変調ピクセルアレイへの入射時、ピクセルアレイより小さい横方向範囲を有し、且つピクセルアレイの上で走査ユニットによって案内されて、画像を生成することを特徴とする。光変調ピクセルアレイの上での照明放射の走査プロセスを組み合わせることにより、走査ユニット及びピクセルアレイのスペックルシグネチャが重畳又は合成されて像点を生成する。有利には、結果として得られる画像内の可視スペックルパターンがこのようにして大幅に低減され得る。
【0002】
本発明は、照明システムの分野に関する。特に、本発明は、コヒーレント光源、特にレーザによって照明されるディスプレイ又はプロジェクタにおけるスペックル及び干渉パターンの低減に関する。
【背景技術】
【0003】
レーザをキセノンアークランプ等の白色光源の代わりとして使用することは、撮像における多くの利点につながる。特に、レーザにより、より高い彩度、より高い性能、改善された効率及びコントラストが実現される。
【0004】
レーザは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)を伴う用途のための有利な照明源であることも立証されている。HUDは、例えば、自動車のフロントガラスの正面の仮想平面内に情報を表示するために使用される。自動車の乗員又は自動車の運転手は、ダッシュボードに目を落とさずに情報を読むことができる。
【0005】
レーザ等のコヒーレント光源がプロジェクタ又はディスプレイで使用される場合、望ましくない干渉現象、いわゆるスペックルが発生し得る。スペックルパターンは、特に光学的に粗い物体表面の十分にコヒーレントな照明によって観察され得る画像粒子の粗い干渉現象である。
【0006】
レーザ光が粗面に入射すると、例えば投影スクリーンへの入射時、これは、様々な角度で反射され、コヒーレントレーザ光がランダムに空間的に干渉し合う。その結果としてのコヒーレント光放射の干渉により、強め合い及び弱め合いの干渉が生じる。人間の目にとって、この画像欠陥は、可視斑点、すなわちスペックルパターンとして生じる。
【0007】
照明された粗面の不均一性は、散乱中心とみなすこともでき、そこから異なる位相の球面波が発せられ、それがファーフィールドで干渉する。ランダムな分布の強度最小値及び最大値の空間構造が生成される。三次元干渉現象として、縦方向及び横方向のスペックルがあり、これは、それぞれの縦方向及び横方向のコヒーレンスに依存する。横方向のスペックルは、距離が長いほど重要性が高く、なぜなら、個々の球面波成分が平面波として簡素化され得るためである。
【0008】
したがって、スペックルは、光学系の開口内の局所的な位相差によって引き起こされ、これらは、光学系内の個々の表面の表面粗さ又は投影スクリーンの粗さによって不可避的に生じる。スペックルパターンは、したがって、空間的に固定され、系を通る光路について特徴的である。
【0009】
先行技術では、スペックルパターンが画像品質に与える不利な影響を軽減するための様々なアプローチがある。
【0010】
米国特許第5,272,473号明細書では、コヒーレント光源を用いる画像生成システムが提案されており、ここで、表示スクリーンは、スペックルの発生を低減させるための表面音響波を生成するためのトランスデューサに連結される。しかしながら、この実装は、複雑であり、加えて何れの所望のディスプレイ又は投影機構にも移行することができない。
【0011】
米国特許第8,262,235B2号明細書は、発振装置を含むレーザプロジェクタを開示しており、ここで、光学投影システムの少なくとも1つの光学素子は、光の光軸に沿って周期的に振動する。レーザプロジェクタ内の振動素子は、スクリーン上のスペックルパターンを裸眼で見えなくなる程度まで低減させることが意図される。しかしながら、光軸に沿った振動の変化によって画像品質が低下し得る。
【0012】
米国特許第9,541,760B2号明細書は、自動車用ヘッドアップディスプレイを開示しており、このヘッドアップディスプレイは、レーザ及び走査システムを含み、それにより自動車の運転手の視野内に表示されることになる画像が個々の点から点毎に生成される。不要な輝度差を回避するために、レーザは、投影表面上のレーザ点が非常に小さく、仮想像面内に表示される画像の拡大後にも人間の目の分解能より小さくなるように選択される。
【0013】
米国特許第4,035,068号明細書及び米国特許第5,313,479号明細書から、スペックル低減のための可動式ディフューザを使用することにより、局所相変調を用いてスペックルパターンを観察者/検出器の積分時間にわたって平均化し、その可視性を低減させることが知られている。
【0014】
画像中の観察可能なスペックルパターンを低減するために、国際公開第97/02507号パンフレットは、レーザプロジェクタ内の物点と像点との間にあるスペックルフィールドを光軸の周囲で回転させることにより、複数の無相関フィールド間で平均することを提案している。
【0015】
米国特許出願公開第2008/0304128A1号明細書は、拡張レーザビームが2次元光変調器、例えばLCDパネルに向けられ、それが拡張レーザビームをピクセルごとに変調して、投影表面上に画像を生成するレーザ投影システムに関する。投影画像のスペックルの可視性を低減させるために、拡張レーザビームに角度依存走査がインプリントされる。この目的のために、可動ミラーが提供され、その表面は、マルチモード導波路の入力に結像され、それにより、導波路の入力におけるレーザビームは、異なる角度を有し、これは、それがLCDパネルに拡張され、投影スクリーンに投影されたときにスペックルパターンを平均化することにつながる。
【0016】
欧州特許出願公開第3267236A1号明細書は、画像処理ユニット及び光学スキャナを含むプロジェクタを開示しており、ここで、レーザビームは、MEMSミラーによって走査対象表面上で2つの方向に案内される。走査対象表面上に1つ以上の光検出器があり、これらは、検出領域内の入射レーザ放射を測定するように構成される。光検出器の測定信号は、制御ユニットに伝送されて、MEMSミラーの光源を調整及び/又は制御するために使用され得る。これにより、MEMSミラーの走査振幅の例えば温度変化による変動があったとき、それを補償することが可能となる。
【0017】
走査対象表面は、光透過素子、好ましくはガラスである。走査対象表面に描かれる画像は、好ましくは、その背後にある投影スクリーンに投影される。画像は、好ましくは、光源のドライバを変調することにより、画像処理ユニットの画像データに基づいて生成される。スペックルパターンを低減させるために、走査対象表面は、好ましい実施形態では、マイクロレンズのアレイとして設計され、その結果、異なるマイクロレンズの光照射野間の干渉及びしたがってスペックルの生成が回避される。
先行技術によるアプローチに関して、改良が必要とされている。特に、スペックルパターンを低減させる他のアプローチは、同時に画像品質の低下につながりかねず、実装の点で複雑である。したがって、画像品質に影響を与えない、単純な手段による有効なスペックル低減を可能にする装置を提供することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5,272,473号明細書
【特許文献2】米国特許第8,262,235B2号明細書
【特許文献3】米国特許第9,541,760B2号明細書
【特許文献4】米国特許第4,035,068号明細書
【特許文献5】米国特許第5,313,479号明細書
【特許文献6】国際公開第97/02507号パンフレット
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/0304128A1号明細書
【特許文献8】欧州特許出願公開第3267236A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、先行技術の欠点がない画像生成ユニットを提供することである。特に、本発明の目的は、単純で発展的な手段によるスペックルパターンの有効な低減を可能にし、同時に優れた画像品質を確保する画像生成ユニットを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、独立請求項の特徴によって達成される。本発明の有利な構成は、従属請求項に記載される。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明は、照明放射を生成するための光源と、光変調ピクセルアレイであって、ピクセルアレイに入射する照明放射のピクセル単位の変調によって画像を生成するための光変調ピクセルアレイとを有する画像生成ユニットに関し、照明放射は、光変調ピクセルアレイへの入射時、ピクセルアレイより小さい横方向範囲を有し、且つ画像を生成するためにピクセルアレイの上で走査ユニットによって案内されて、生成された画像中のスペックルパターンの可視性を低減させる。
【0022】
これは、有利には、像点の生成中、走査ユニット及び光変調ピクセルアレイに起因するスペックルパターンが重畳され、したがって高周波数スペックルパターンを表し、これが、好ましくは、生成された画像で目に見えないという事実を利用する。
【0023】
本発明による画像ユニットによれば、有利には、単純な手段を用いて、画像品質を低下させることなく、表示又は投影平面内で認識可能なスペックルパターンを低減させることが可能となる。
【0024】
本発明によれば、これは、走査ユニット及び光変調ピクセルアレイの両方が、異なる走査位置又はピクセル状態ごとに特徴的なスペックルシグネチャを有するという事実を利用する。特に、光変調ピクセルアレイの各ピクセルは、特定のスペックルシグネチャを有し、これは、表面状態及び/又は制御状態(例えば、LCD(液晶ディスプレイ)の場合の結晶配向)に依存する。同様に、走査ユニットによって生成されるスペックルも走査位置によって異なる。ミラーを用いた走査ユニットの場合、生成されるスペックルパターンは、ミラー表面上のレーザビームの位置だけでなく、光発出角度の違いにも依存し、これは、光ビーム内のスペックルパターンが走査位置によって変わることを意味する。
【0025】
ピクセルアレイの上での光ビームの走査プロセスを組み合わせることにより、走査ユニット及びピクセルアレイのスペックルシグネチャが重畳又は合成されて像点を生成する。
図2a)~d)は、これを例として示す。走査ユニットによって案内される照明ビームは、光変調ピクセルアレイのあるピクセルを掃引する間に走査ユニットによって生じ、走査位置によって異なるスペックルパターンは、それぞれのピクセルに特徴的なスペックルパターンと重畳される。結果として得られる像点は、有利には、平均化されたスペックルパターンによって特徴付けられ、これは、より高い空間周波数を有し、観察者にとって認識できないか又はより低い程度にのみ認識できる。
【0026】
生成画像におけるスペックルパターンの可視性の低減は、したがって、好ましくは照射放射が光変調ピクセルアレイのピクセルを掃引する際、走査ユニットによって生じ、走査位置に応じて異なるスペックルパターンが、それぞれのピクセルに特徴的なスペックルパターンと重畳されるように走査ユニットによって案内されることによって達成される。
【0027】
本発明による画像生成ユニットは、このように、有利にはコンポーネントの固有のばらつきを利用することにより、煩わしい輝度パターン又は干渉パターンのない高品質の画像を生成する。光源自体が高いコヒーレンスを有し得、これは、例えば、ホログラフィック用途に望ましく、煩わしい干渉パターン(スペックル)は、認識されない。認識可能なスペックルパターンは、すでに実質的に低減しており、そのために光ビームのコヒーレンスを低下させるか、照明ビームの方向変換、(デ)フォーカス若しくは回転を行うか、又はマイクレンズアレイを通るようにそれを案内する必要はない。代わりに、スペックルは、前述のようなピクセルアレイでの画像生成走査プロセス自体によって低減され、画像品質が低下しない。
【0028】
この点において、本発明は、既知の技術的アプローチからの発展を示す。光変調ピクセルアレイを使用する場合、先行技術では、これらをできるだけ均な拡張照明ビームによって照明することが一般的である。画像は、ピクセルアレイ全体をできるだけ均一に照明する拡張照明ビームのピクセル単位の変調によって生成される。
【0029】
本発明によれば、上記の代わりに、照明放射は、光変調ピクセルアレイへの入射時、ピクセルアレイより小さい横方向範囲を有することが望ましい。好ましくは、照明放射は、ピクセルアレイへの入射時、例えばピクセルアレイの横方向範囲の5分の1、10分の1、100分の1又はそれ未満の横方向範囲を有し得る。これにより、個々のピクセル上で照射放射を走査するプロセス中に複数のスペックルパターンが生成(及び重畳)され、それにより像点が生成される。照明放射に関して、したがって、これは、ビームの形態でピクセルアレイに焦点の合った状態で案内されることが好ましい。照明放射、照明ビーム又はビームという用語は、好ましくは、同義語として使用される。レンズ等の光学コンポーネントは、放射を相応にコリメート又は合焦することができる。
【0030】
スペックル低減は、有利には、様々な光源について実現され得る。
【0031】
好ましい実施形態では、照明放射は、コヒーレント放射であり、及び/又は光源は、レーザである。コヒーレンスは、好ましくは、それにより2つの波列間に固定の位相関係が生じる光波の特性を指す。2つの波列間の固定の位相関係の結果として、空間的に安定な干渉パターンを発生させることができる。ホログラフィック用途では、コヒーレントな照明放射が望ましく、これは、そうしなければ波動場の強度及び位相を再構成できないためである。コヒーレント放射の欠点は、不要な干渉パターン、すなわちスペックルパターンの発生である。コヒーレンスは、好ましくは、干渉能力と理解することもできる。
【0032】
コヒーレンスに関して、時間的コヒーレンスと空間的コヒーレンスとを区別することができる。空間コヒーレンスは、好ましくは、伝播方向に垂直な波列間の固定の位相関係の度合いを表し、例えば平行な光ビームについて得られる。時間的コヒーレンスは、好ましくは、伝播の方向に沿った波列間の固定の位相関係を表し、特に狭帯域の好ましくは単色の光ビームについて得られる。
【0033】
コヒーレンス長は、好ましくは、最大経路長の差又は開始地点から2つの光ビームが有する飛行時間の差を指し、それによりそれらの重畳中に(空間的及び時間的に)安定な干渉パターンが出現する。コヒーレンス時間は、好ましくは、光がコヒーレンス長を移動するのに必要な時間を指す。
【0034】
レーザは、マイクロメートル範囲、メートル範囲、最大でキロメートル範囲のコヒーレンス長を有し得る。レーザを画像生成ユニットの光源として使用するための典型的な範囲は、例えば、1m~100mであり、これは、一方ではレーザがホログラフィ撮像に非常に適したものとするのに対して、他方では不要な(レーザ)スペックルパターンにつながる可能性がある。
【0035】
特に好ましい実施形態では、光源は、したがって、レーザである。これは、特に好ましくは、可視範囲(好ましくは400nm~780nm)の好ましい波長の狭帯域、好ましくは単色レーザである。
【0036】
本発明の目的のために、レーザは、好ましくは、レーザ放射を発する光源を指し、非網羅的な例は、ソリッドステートレーザ、好ましくは半導体レーザ若しくはレーザダイオード、ガスレーザ又は色素レーザを含む。
【0037】
他の光源、好ましくはコヒーレント光源も希望により使用され得る。狭帯域光源、好ましくは発光ダイオード(LED)を含む単色光源は、任意選択によりモノクロメータとの組合せにおいて好ましい。レーザと比較して、LEDは、ほとんどの場合、ミリメートル又はマイクロメートルの範囲のより短いコヒーレンス長を有する。
【0038】
好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、2つ以上の光源、好ましくは2つ以上の単色レーザ及び/又は2つ以上の波長範囲の照明放射を有する多色光源を含む。2つ以上の光源によって発せられる照明放射は、好ましくは、同じ走査ユニットにより、光変調ピクセルアレイの上で共通の光軸に沿って案内される。しかしながら、2つ以上の光源を、別の走査ユニットを介して案内することも可能である。
【0039】
カラー撮像の場合、例えば、赤波長レンジ(好ましくは630nm~700nm)、緑波長範囲(好ましくは500nm~560nm)及び青波長範囲(好ましくは450nm~475nm)の照明放射を提供することが好ましい場合がある。
【0040】
特に好ましくは、この目的のために、それぞれ赤、緑又は青(RGB)範囲のレーザ発光を有する3つの単色レーザ又は1つの多色レーザを有するレーザシステムが提供される。
【0041】
画像生成ユニットのコンポーネント、例えば光変調ピクセルアレイ及び/又は走査ユニットを制御するために、画像生成ユニットは、好ましくは、制御ユニットを含む。
【0042】
制御ユニットは、好ましくは、この目的のために、電気制御信号をコンポーネントに出力し、且つ/又はそれから受信するのに適している。限定することなく、制御ユニットは、例えば、マイクロプロセッサ、マイクコンピュータ、集積回路(IC)、ASIC(特定用途集積回路)、プログラマブルロジック回路(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックコントローラ及び/又は他の電子回路素子、例えばデジタル-アナログ変換器、アナログ-デジタル変換器、メモリ及び/又は(信号)振幅器を含み得る。
【0043】
当業者は、画像生成ユニットに関して開示される画像生成のための好ましい方法ステップが好ましくは制御ユニットによって実行され得ることを理解するであろう。好ましくは、対応するソフトウェア及び/又はファームウェアをこの目的のために制御ユニット又は制御ユニットに接続された外部データ処理ユニットにインストールすることができる。
【0044】
照明放射又は光ビームは、好ましくは、ピクセルアレイの上で走査ユニットによって案内される。
【0045】
好ましくは、走査ユニット(又はそれに接続された制御ユニット)は、ピクセルアレイ全体にわたり、照明放射をラインごと又はコラムごとに案内するように構成される。走査ユニットの走査周波数は、好ましくは、走査ユニットがピクセルアレイ全体を走査する周波数又は照明放射が1つの同じピクセルを掃引する周波数を指す。したがって、25Hzの走査周波数は、好ましくは、走査ユニットがピクセルアレイ全体を1秒間に25回走査すること又は好ましくはラインごと若しくはコラムごとに走査する場合、特定のピクセルの上を1秒間に25回掃引することを意味する。
【0046】
好ましい実施形態では、走査周波数は、20Hzより高く、好ましくは25Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hzより高いか又はそれを超える。
【0047】
走査ユニットは、様々なシステムの何れでもあり得る。
【0048】
好ましい実施形態では、走査ユニットは、1つ以上の走査ミラーを含み、これは、好ましくは、1つ以上の軸の周囲で傾斜可能である。例えば、走査ユニットは、第一の走査ミラーであって、第一の軸の周囲で傾斜可能であり、照明放射をピクセル上で第一の方向(例えば、横)に案内する第一の走査ミラーと、第二の軸の周囲で傾斜可能であり、照明放射をピクセル上で第二の方向(例えば、縦)に案内する第二の走査ミラーとを含み得る。好ましくは、走査ミラーは、ガルバノミラー(例えば、ジンバルサスペンションを有する)又は微小電気機械ミラー(MEMS)であり得る。走査ユニットは、個々の走査ミラー(少なくとも2つの軸で傾斜する)又は2つ以上の走査ミラーの組合せを使用し得る。
【0049】
別の実施形態では、走査ユニットは、1つ以上のレンズ及び/又はレンズアレイを含み、それによりピクセルアレイ上での照明ビームの移動が制御可能となる。この目的のために、レンズの少なくとも1つは、並進及び/又は回転可能設計で存在し得る。同様に、走査ユニットは、ビーム分岐素子としてプリズム及び/又はウェッジを有し得る。
【0050】
別の実施形態では、走査ユニットは、1つ以上の回折光学素子を含み、それによりピクセルアレイ上での照明放射の移動が制御可能となる。中心のずれた、反対の屈折力を有する2つの回折フレネルレンズとして形成される回折光学素子を含む走査ユニットは、Bawart et al.(Bawart et al.,Dynamic beam-steering by a pair of rotating diffractive elements,Optics Communications 460(2020)125071)に記載されている。
【0051】
他の走査システムも想定可能である。例えば、音響光学偏向器(AOD)の使用が好ましい場合がある。当然のことながら、異なる技術を組み合わせることもできる。
【0052】
好ましくは、光変調ピクセルアレイ(又はそれに接続された制御ユニット)は、ピクセルアレイに入射する照明放射をピクセルごとに変調するように構成される。変調は、好ましくは、照明放射の強度変調及び/又は位相変調である。変調は、好ましくは、光変調ピクセルアレイの各ピクセルが変調状態を設定するために制御可能であるようにピクセルごとに実行され、すなわちピクセル領域のための規定された強度変調及び/又は位相変調である。ピクセルアレイは、好ましくは、2次元面型光変調器である。
【0053】
好ましい実施形態では、ピクセルアレイは、複数のピクセル、好ましくは100、200、500、1000、5000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000又はそれを超えるピクセルを有する。
【0054】
好ましくは、ピクセルは、好ましくはそれに沿って照明放射が実質的に伝播する光軸に垂直な平面又は表面内に配置される。
【0055】
実質的に、ほぼ、約、およそ等の用語は、好ましくは、±20%未満、好ましくは±10%未満、特に好ましくは±5%未満及び特に±1%未満の誤差範囲を示し、常に正確な値を含む。好ましくは、「同様の」は、ほぼ同じである大きさを示す。「部分的に」は、好ましくは、少なくとも5%、特に好ましくは少なくとも10%、特に少なくとも20%又は少なくとも40%を示す。
【0056】
複数のピクセルは、ピクセルアレイ内において好ましくはマトリクスの形態で配置され、ピクセルのラインごと又はコラムごとの配置が特に好ましく、これにより例えば横及び縦の範囲を有する長方形のピクセルアレイが得られる。同様に、ピクセルアレイ内ピクセルの他の配置、例えば同心円状も想定可能である。
【0057】
ピクセルは、好ましくは、長方形、正方形又はダイヤモンド形を有し得るが、他の2次元又は3次元形状、例えば円形、楕円形、三角形、多角形等も想定可能である。
【0058】
ピクセルアレイのアレイ周波数は、好ましくは、ピクセルアレイが画像を生成するためにそのピクセルアレイの全てのピクセルの状態を変更できる周波数又は画像を生成するためにピクセルアレイの各ピクセルの状態を変更できる周波数を指す。ピクセルアレイのピクセルの状態は、好ましくは、同時に変更され得る。ピクセルアレイのライン及び/若しくはコラムのピクセルの状態を同時に変更すること又は個々のピクセルの状態を連続的に変更することも好ましい場合がある。最初の事例では、アレイ周波数は、全てのピクセルの状態が同時に制御される周波数に対応するが、後の2つの事例では、これは、画像を生成するために同じライン/コラムのピクセルの状態が変更される周波数又は個々のピクセルの状態が変更される周波数に対応する。
【0059】
好ましい実施形態では、アレイ周波数は、20Hzより高く、好ましくは25Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hzより高いか又はそれを超える。
【0060】
本発明の目的のために、リフレッシュレートは、好ましくは、画像生成ユニットによって1秒間に1画像を生成できる周波数を指す。
【0061】
リフレッシュレートは、好ましくは、走査周波数及びアレイ周波数の最小値に対応する。走査周波数は、好ましくは、アレイ周波数の(整数)倍と等しく、及び/又はアレイ周波数は、好ましくは、走査周波数の(整数)倍と等しい。
【0062】
画像生成ユニットによる画像の生成について、走査周波数がアレイ周波数と等しい非限定的な例によって以下に説明する。
【0063】
例えば、画像の生成のために、ピクセルアレイの全てのピクセルの状態が30Hzのアレイ周波数で同時に変更されるようになされ得る。走査ユニットは、同様にピクセルアレイのピクセルの全ての上で照明放射を30Hzの走査周波数で案内する。これは、走査ユニットがピクセルアレイ全体を30Hzの周波数で走査すること又は照明放射がそれに従って1つの同じピクセルを30Hzの周波数で掃引することを意味する。照明放射が30Hzの周波数で掃引するそれぞれのピクセルの状態も、同様に30Hzのアレイ周波数で変化する。したがって、生成される画像の像点は、30Hzのリフレッシュレートで生成又は画定される。像点は、好ましくは、走査プロセス中、照明放射がピクセルアレイの対応するピクセルを照射するか又はその上を掃引する間、ある期間にわたって生成される。新しい走査プロセスの各々において、ピクセルアレイの上のピクセル状態の何れかの変化に応じて変更された像点を生成又は画定し得る。この場合のように、リフレッシュレートが十分に高いと、眼の限定的な統合時間により、連続的に生成される像点が連続画像として認識されることになる。
【0064】
走査ユニットとピクセルアレイとの組合せによるこのような画像生成は、先行技術の既知のアプローチからの発展を表し、ここで、例えば、光変調ピクセルアレイは、拡張された実質的に均一な照明放射で照射される。これらの場合、リフレッシュレートは、ピクセルアレイのアレイ周波数によって指定される。ピクセルアレイのピクセルが30Hzの周波数でその状態を変化させると、対応する画像も同様に30Hzで生成される。拡張された実質的に均一な照明放射の場合、各ピクセルは、永久的に照射される。
【0065】
それを用いてそれぞれのピクセルが永久的に照射されるのではなく、照明放射が繰り返しの走査プロセスにおいてピクセルアレイの上で案内される追加的な走査ユニットを本発明によって導入することは、当業者にとって自明ではなく、表面的には冗長であるように見える。
【0066】
しかしながら、導入部分で説明したように、本発明によれば、像点を生成するためにピクセルアレイの上で走査プロセスを実行することにより、走査ユニット及びピクセルアレイのスペックルシグネチャが重畳又は合成されることが認識された。走査ユニットによって案内される照明ビームが光変調ピクセルアレイのあるピクセル上を掃引する間、走査ユニットの結果として生じ、走査位置に応じて異なるスペックルパターンは、それぞれのピクセルに特徴的なスペックルパターンと重畳される。結果として得られる像点は、有利には、平均化されたスペックルパターンによって特徴付けられ、これは、より高い空間周波数を有し、観察者にとって認識できないか又はより低い程度にのみ認識できる。本発明によれば、異なる光変調ピクセルアレイも使用することができる。
【0067】
好ましい実施形態では、光変調ピクセルアレイは、液晶ディスプレイ(LCD)及び/又はマイクロマトリクス、好ましくはマイクロミラーアレイ、例えばデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。他の空間光変調器(SLM)も使用され得る。
【0068】
先行技術では、本発明に使用され得る多数の液晶ディスプレイが知られている。
【0069】
一般に、液晶ディスプレイは、液晶が印加電圧に応じて光の偏向方向に影響を与え得ることに基づく。結晶配向のピクセル単位の変調により、偏向された照明放射は、したがって、ピクセルごとに透過又は吸収されるようにすることができ、画像が生成される。例えば、偏光は、液晶の1つの状態で90度回転できるが、他の状態では回転できない。吸収状態又は透過状態のLCDを製作するために、偏光板は、液晶の各々の側において、偏光板の偏向角度が90度ずれるように提供され得る。
【0070】
例えば、液晶ディスプレイは、異なる表示モードにおいて、例えば正(+)の液晶分子の誘電等方性が基板に平行に配置され、基板間で90度の角度差でねじられるツイストネマティック(TN)表示モード又は液晶分子がTNディスプレイモードと同様に配置されるが、基板間で180~270度の角度差でねじられるスーバーツイストネマティック(STN)表示モードにおいて、2つの基板の内面に取り付けられた透明電極を含み得る。例えば、トリプルスーパーツイストネマティック等の他のディスプレイタイプも想定可能である。本発明によれば、複数の異なる液晶ディスプレイを使用することができる。
【0071】
マイクロミラーアレイは、好ましくは、光のダイナミック変調のための複数のマイクロミラーを含む微小電気機械システム(MEMS)である。(ティルト)ミラーマトリクス又はマイクロミラーアレイ、好ましくはDMDでは、ピクセルは、個々の(マイクロ)ミラーによって形成され、これは、好ましくは、個別に偏向することができる。(ティルト)ミラーマトリクスの個々のマイクロミラーは、好ましくは、静電的に作動することができ、特に少なくとも2つの(ティルト)状態間で切り換えることができ、好ましくは、1つの状態は、照明放射を生成される画像上の像点に分岐させ、他の状態は、照明放射を生成される画像の外、例えば吸収板に分岐させる。
【0072】
DMDは、異なる構成を有し得る。例えば、ミラーは、下に配置されたヨークに接続され得、ヨーク自体は、薄く機械的に柔軟な2つのねじれヒンジを介して、下の基板に取り付けられた支持ポストに接続される。下に配置されたメモリセル(例えば、SRAM)、ヨーク及びミラー間に生成される静電場は、正又は負のティルト方向を生じさせることができる。
【0073】
有利には、好ましいと明記された走査ユニット及びピクセルアレイのスペックルシグネチャの固有のばらつきは、スペックルの大幅な低減につながる。用途に応じてスペックルを低減させるための1つの好ましいパラメータは、ピクセルアレイ上の照明ビームの横方向範囲でもある。
【0074】
好ましい実施形態では、照明放射は、ピクセルアレイへの入射時、ピクセルアレイの(最小)横方向範囲の5分の1、10分の1、100分の1又はそれ未満の(最大)横方向範囲を有する。
【0075】
好ましい実施形態では、照明放射は、ピクセルアレイへの入射時、50、30、20、10、5、4、3、2ピクセル又は1ピクセル未満の(最大)横方向範囲を有する。照明放射のピクセルアレイへの入射時の最大横方向範囲は、例えば、1ピクセルの大きさのわずか0.8、0.5、0.2又はそれ未満であることも好ましい場合がある。同様に、入射放射のピクセルアレイへの入射時の最大横方向範囲は、1ピクセル超又は2、3、4、5、10ピクセル超若しくはそれを超えることが好ましい場合もある。
【0076】
好ましい実施形態では、照明放射のピクセルアレイへの入射時の最大横方向範囲は、1ピクセルの大きさの0.2倍~50倍の大きさを有し得る。
【0077】
照明放射に関して、それがビームの形状で合焦した状態でピクセルアレイに案内されることが好ましい。照明放射のピクセルアレイへの入射時の横方向範囲は、好ましくは、光強度の半値全幅(FWHM)によって与えられる。照明放射のピクセルアレイへの入射時の横方向範囲は、したがって、好ましくはピクセルアレイの上の照明放射のスポットサイズ(FHMW)に対応する。
【0078】
ピクセルアレイの横方向範囲は、好ましくは、面型ピクセルアレイの平面に沿った最小範囲(面積の重心で測定される)を指す。正方形のピクセルアレイの場合、最小横方向範囲は、好ましくは、正方形の長さに対応する。ピクセルアレイの長方形の形状の場合、最小横方向範囲は、好ましくは、長方形の2つの長さの短い方に対応する。円形のピクセルアレイの場合、横方向範囲は、好ましくは、直径によって与えられる。
【0079】
上述の好ましい大きさは、生成されたパターン中のスペックルパターンの低減に関して特に良好な結果を示す。一方で、入射照明放射の大きさは、像点(ピクセルアレイのピクセルに対応する)の生成について、複数のスペックルシグネチャ(走査システムの走査位置の違いから生じる)がそれぞれのピクセルのスペックルシグネチャと確実に重畳されるのに十分に小さい。他方で、入射照明放射の大きさは、走査システム及びピクセルアレイのスペックルシグネチャが有効に平均化されないほど小さくない。
【0080】
当業者であれば、照明放射がピクセルアレイへの入射時の所望のビームプロファイルを光学コンポーネントによって確保することがわかる。
【0081】
好ましい実施形態では、1つ以上のレンズ及び/又は1つのレンズアレイがビーム経路内のピクセルアレイの前に存在し、それにより照明放射のピクセルアレイへの入射時の横方向範囲が設定され、好ましくはそれによりピクセルアレイの上の照明放射のより小さいスポットサイズを確保することができる。
【0082】
好ましい実施形態では、1つ以上のレンズが走査ユニットとピクセルアレイとの間のビーム経路内にあり、それにより、照明放射は、一定の入射角でのピクセルアレイ上の入射点に関係なく、ピクセルアレイに確実に案内される。1つ以上のレンズは、好ましくは、回折レンズ、屈折レンズ又はフレネルレンズであり得る。好ましい実施形態では、1つ以上のレンズは、走査ユニットがレンズの物体側焦点にあるように位置付けられ得る(
図11を参照されたい)。走査ユニットと1つ以上のレンズとの間の距離も所望の放射パターンを設定するために変化させることができる。
【0083】
市販の走査ユニット及びピクセルアレイのスペックルシグネチャの固有の変動は、すでに有利には、生成された画像における認識可能なスペックル構造又はパターンの大幅な減少につながる。本発明の目的のために、スペックルシグネチャという用語は、好ましくは、画像生成ユニットの、生成画像中の特徴的なスペックルパターンを生成するコンポーネントの特性を特徴付ける。導入部分で説明したように、スペックルパターンは、特に光学的に粗い物体表面の十分にコヒーレントな照明で観察され得る画像粒子の粗い干渉現象である。像点を生成するために、走査システムの複数のスペックルシグネチャ(走査位置の違いから生じる)は、有利には、それぞれのピクセルのスペックルシグネチャ(その状態値に依存する)と重畳させることができる。
【0084】
スペックル低減をさらに増大させるために、走査ユニット及び/又はピクセルアレイにより、照明放射のための追加的な位相変化を導入することが好ましい場合がある。
【0085】
好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、ピクセルアレイ及び/又は走査ユニットによって照明放射に追加的な位相変化を生じさせるように構成される。これにより、ピクセルアレイ及び/又は走査ユニットのスペックルシグネチャの変動を増大させることができる。
【0086】
ピクセルアレイ及び/又は走査ユニットのスペックルシグネチャの変動を大きくするために、異なる手法が想定可能である。
【0087】
好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、生成された画像ごとにピクセル状態を追加的に変調するように構成され、好ましくは、ピクセル状態の変調周波数は、画像生成ユニットのリフレッシュレートより2倍、4倍又はそれを超えて高い。画像生成ユニットが構成されるという表現は、好ましくは、画像生成ユニットに含まれる制御ユニットが前述の方法ステップ(ここではピクセル状態の変調)を実行するように構成され、例えば対応するソフトウェア及び/又はファームウェアがこの目的のために制御ユニット及び/又はそれに接続された外部データ処理装置にインストールされることを意味する。
【0088】
振幅変調と同様に、例えば光源に関して、1つのピクセルの状態を複数回変化させることができ、その間に眼が画像を合成する。好ましくは、ピクセル状態の変調周波数は、眼が個々の画像を区別できないほど高いものであるべきである。好ましくは、ピクセルは、その状態を所望のリフレッシュレート内で複数回(例えば、2、4、6回又はそれを超えて)変化させる。リフレッシュレート又は状態変化の周波数が十分に高いことを前提として、ピクセルは、したがって、その状態を眼の統合時間内に複数回変化させる。画像ごとに認識される状態は、好ましくは、リフレッシュレート内のピクセル状態の全ての平均値に対応する。一例として、これは、
図3に示されており、図の実施形態では、ピクセルの状態は、眼の統合時間内又は所望のリフレッシュレート(t_int)内で4回その状態を変化させる。
【0089】
液晶ディスプレイでは、例えば、ピクセル状態の変調周波数を実装するために、異なる位相値又は振幅値の時間的シーケンスを1つのピクセルについて明示でき、その結果、リフレッシュレートにわたって時間積分されるときにのみ、生成画像にとって望ましい位相値又は振幅値が得られる。
【0090】
アレイ周波数は、好ましい実施形態では、リフレッシュレートの整数倍に対応し、この整数倍は、2、4、6倍又はそれを超えるものに対応し、それにより像点の生成中にピクセル状態が変化する。
【0091】
走査周波数は、好ましくは、ピクセル状態の変調周波数に対応するか又はピクセル状態の変調周波数の整数倍を表すべきである。
【0092】
例えば、120Hzのアレイ周波数及び120Hzの走査周波数において、リフレッシュレートは、60Hzに低下させることができ、これは、各ピクセルが生成画像ごとに2つの異なる状態をとり、4つの異なる状態についてリフレッシュレートが30Hzに低下することが条件となる。
【0093】
別の好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、照明放射の位相変化のために走査ユニットを追加的に変調するように構成され、好ましくは、走査ユニットの変調周波数は、画像生成ユニットのリフレッシュレートの2、4、6倍又はそれより高く、及び/又は好ましくは、走査ユニットの1つ以上のコンポーネントは、アクチュエータによって振動するように励起される。
【0094】
走査ユニットについて、同様の追加的なスペックル低減効果は、異なる位相値が、眼が分解できるもより速く照明放射に追加的にインプリントされる場合に実現され得る。
【0095】
好ましくは、走査ユニットの1つ以上のコンポーネントは、この目的のためにアクチュエータによって振動するように励起され得る。好ましくは、この目的のためのアクチュエータは、走査ユニットの少なくとも1つのコンポーネントに機械的に連結され、コンポーネントを振動させるように構成される。アクチュエータは、例えば、静電、圧電、電磁及び/又は熱式アクチュエータであり得る。好ましくは、アクチュエータは、MEMSアクチュエータとしても存在し、したがって極めてコンパクトにすることができる。対応するアクチュエータ、例えば圧電又は微小機械モジュレータが当技術分野で知られている。例えば、発振水晶もアクチュエータのための周波数トランスミッタとして使用され得るか、又はそれ自体アクチュエータとして機能し得る。
【0096】
例えば、1つ以上の走査ミラーを含む走査システムの場合、走査ミラーのミラー表面は、1つ以上のアクチュエータによって振動するように励起され得る。アクチュエータによる振動励起は、ミラー平面(
図4を参照されたい)及び/又はそれに垂直に(
図5を参照されたい)起こり得る。同様に、好ましい走査ユニットのレンズ、ウェッジ、プリズム又は他のコンポーネントを振動するように励起することができる。
【0097】
有利には、走査ユニットのコンポーネントの機械的振動は、特定の走査位置(ピクセルアレイへの照明放射の入射点)に関するスペックルシグネチャの追加的な変動又は変調につながる。走査ミラー又はレンズの振動励起の場合、表面及びしたがって表面の顕微鏡的粗さは、追加的な機械的変調周波数で振動し、それにより、ピクセルアレイ上のスペックルパターン又はスペックルシグネチャは、走査位置が一定でもその変調周波数で変化する。
【0098】
走査ユニットの追加的な変調周波数は、好ましくは、走査ユニットの走査周波数又はピクセルアレイのアレイ周波数より高いか又は低い。好ましくは、走査ユニットの追加的な変調周波数(例えば、走査ユニットのコンポーネントの振動周波数)は、リフレッシュレートより好ましくは2、4、6、8、10倍高いか又はそれを超えるべきである。
【0099】
別の好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、光源と光変調ピクセルアレイとの間のビーム経路、好ましくは走査ユニットと光変調ピクセルアレイとの間のビーム経路内に1つ以上のディフューザをさらに含む。
【0100】
ディフューザは、好ましくは、照明ビームに追加的なランダム又は確率的位相を加える光学素子である。好ましくは、ディフューザは、ランダムに分散された複数の散乱中心を有し、そこで、光ビームは、異なる方向に散乱される。
【0101】
図8に示されるように、ディフューザは、したがって、好ましくはディフューザに異なる入射点で入射する、場合によりコリメートされた照明放射の個々のビームを混合させる。その結果、照明放射のコヒーレンス長をさらに短縮することができる。ディフューザは、ランダム位相を有する光学素子又は1つ以上のレンズアレイとして設計され得る。好ましくは、ディフューザは、その放射パターンがディフューザ上の横方向の位置に応じて変化するようなものでもあり得る。これにより、システム全体の放射パターンを、例えばより大きい又は小さいアイボックスを生成するように変調することができる。
【0102】
好ましい実施形態では、ディフューザは、レンズアレイ、屈折型及び/又は回折型ディフューザを含む群から選択される。
【0103】
ディフューザは、表面散乱及び/又は体積散乱を引き起こすことができる。ディフューザは、反射型又は透過型光学素子として設計され得る。
【0104】
表面散乱の場合、照明放射は、好ましくは、ディフューザの表面で散乱し、この表面は、その目的のために処理されていることが好ましい。例えば、透過性材料(例えば、ガラス)製のプレートを、機械的、化学的及び/又は光学的に処理することによってディフューザとして機能させることができる(特に表面の研磨及びエッチングによるガラス製拡散プレートの提供に関して、米国特許第4,035,068号明細書を参照されたい)。透明材料の表面の微細構造加工により、所望の拡散効果を明確に指定することもできる。
【0105】
透過型拡散素子は、好ましくは、体積散乱するようにも設計され得、好ましくは実質的に透明な材料が散乱中心、例えば照明放射が位相変調及び/又は振幅変調される透明及び/又は不透明粒子を取り囲む。体積散乱の場合、薄層ディフューザを使用することが好ましく、その結果、スペックルパターン低減を前述のように実現することができ、性能が大きく低下しない。
【0106】
拡散角度は、ディフューザの散乱力、したがって個々のビームの混合の度合いである。好ましい実施形態では、1つ以上のディフューザの散乱角度は、0.5°~35°、好ましくは1°~20°、特に好ましくは1°~10°である。
【0107】
特に好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、2つ以上のディフューザを有し、これらは、好ましくは、ビーム経路何内に空間距離を空けて連続的に配置される。この特に好ましい実施形態は、スペックルパターン及び/又は干渉パターンの低減をさらに改善することにつながる。
【0108】
図8に示されるように、有利には、最初に第一のディフューザで散乱した照明放射が、第二のディフューザですでに複数の異なる入射点で第二のディフューザに入射することが利用される。それにより、複数のスペックルパターンが同時に重畳される。ピクセルアレイ上の(及び像面内の)重畳されたビーム又はスペックルパターンの数は、1つのディフューザを使用した場合より数倍大きい。ディフューザを光軸に沿って連続して空間距離を空けて配置することは、したがって、個々のビームの重畳の増強につながる。重畳されたスペックルパターンの空間周波数が十分に高ければ、これらは、眼で分解できず、したがって画像品質に悪影響を与えない。
【0109】
好ましい実施形態では、第一及び/又は第二のディフューザの拡散角度は、0.5°~35°、好ましくは1°~20°、特に好ましくは1°~10°である。第一及び第二のディフューザ間の空間距離は、好ましくは、0.5mm~100mm、好ましくは1mm~50mmである。
【0110】
画像生成ユニットは、ディスプレイ及びプロジェクタとして設計され得る。
【0111】
好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、ディスプレイとして形成され、光変調ピクセルアレイは、表示スクリーンを形成し、及び/又は光変調ピクセルアレイによって生成される画像は、(半)透明表示スクリーン上に投影される。好ましい実施形態では、ピクセルアレイによって生成される画像は、したがって、透過光中で直接見ることができるか(
図10を参照されたい)、又はピクセルアレイによって生成される画像は、透明若しくは半透明表示スクリーン上に結像され、これを透過光中で見ることができる。
【0112】
好ましい実施形態では、光生成ユニットは、プロジェクタとして設計され、光変調ピクセルアレイによって生成される画像は、反射型、好ましくは拡散反射型投影スクリーン上に投影される。
【0113】
好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)に使用される。HUDは、体積ホログラフィック光学ユニットを含み得、これは、強い波長依存性(分散)を示す回折格子構造である。その結果、HUDの観察角度は、波長によって変わり、その結果、HUDは、広帯域照明の場合にぼける。このようなHUDのための画像生成ユニットは、したがって、できるだけ狭帯域のスペクトル線を有するべきである。有利には、狭帯域、好ましくは単色照明放射は、本発明による画像生成ユニットを利用して提供され得、関連するコヒーレンスは、不利な干渉硬化又はスペックルパターンの原因とならない。
【0114】
照明放射の整形及び/又は案内のための、走査ユニット、光変調ピクセルアレイ及び他の考え得る光学コンポーネントを含む画像生成ユニットの配置について、様々な可能性が想定される。
【0115】
好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、照明放射に対して透明である基板本体であって、結合表面を有する基板本体を有し、結合表面を介して、透明な基板本体内の照明放射は、方向変換素子が存在する後面に向けられ、方向変換素子は、入射した照明放射が基板本体の前面に向かって方向変換されように形成され、前面を通して、照明放射は、光変調ピクセルアレイ上に出射する。
【0116】
実施形態は、特にコンパクトであることが証明されている。特に、光変調ピクセルアレイに垂直な画像生成ユニットが占める空間を大幅に縮小し得る。好ましくは、ピクセルアレイに垂直な取付空間は、実質的に透明な基板本体の後及び前面間の間隔によって事前に特定され、これは、好ましくは、ピクセルアレイの横方向範囲(すなわち例えば高さ及び/又は幅)と比較して極めて小さく保持され得る。好ましい実施形態では、透明な基板本体の前及び後面間の距離は、ピクセルアレイの最大横方向範囲(すなわち例えば高さ及び/又は幅)の5分の1、10分の1、50分の1又はそれ未満であり得る。
【0117】
透明な基板本体の後及び/又は前面は、平坦な表面として形成され得る。例えば、透明な基板本体は、基本的形状で平行平面板又は立方体として存在し得る。しかしながら、前及び/又は後面は、曲面でもあり得る。
【0118】
基本的形状として、透明な基板本体は、好ましくは、相互に平行に配列された後及び前面を有する立方体の形状を有する。好ましくは、立方体の厚さ、すなわち後及び前面間の間隔は、好ましくは、ピクセルの寸法に合わせて調整される後及び/又は前面の高さ及び/又は幅よりかなり小さい。例えば、立方体の厚さは、その高さ及び/又は幅の5分の1、10分の1、50分の1又はそれ未満であり得る。基板本体は、好ましくは、照明放射の波長に関して実質的に透明である。
【0119】
好ましくは、基板本体は、好ましくは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマ(COP)、シクロオレフィンコポリマ(COC)を含む群から選択される光学プラスチック及び/又は好ましくはホウケイ酸ガラス、B270、N-BK7、N-SF2、P-SF68、P-SK57Q1、P-SK58A及び/又はP-BK7を含む群から選択される光学ガラスである材料を含む。
【0120】
画像生成ユニットは、好ましくは、光源によって生成された照明放射を、走査ユニットにより、前述のように好ましくはビームの形態で結合表面に分岐させ、基板本体内でそれを方向変換素子の方向に案内するように構成される。
【0121】
結合表面は、好ましくは、透明な基板本体に入る際に照明放射にできるだけ分岐及び/又は収差が生じないことが確実になる形状を有し得る。例えば、結合表面が凹形状を有することが好ましい場合があり、これにより、走査ユニットによって案内される照明放射が、異なる走査位置について結合表面に関して実質的に垂直な角度で基板本体に入ることが確実となる(
図12を参照されたい)。
【0122】
基板本体の透明材料内では、照明放射は、方向変換素子に入射し、これは、好ましくは、基板本体の後面に直接適用され得る。方向変換素子は、照明放射を好ましくは透明な基板本体の反対の前面の方向に向ける。光放射は、前面を通して材料から出て、ピクセルアレイに入射する。
【0123】
好ましい実施形態では、方向変換素子は、方向変換ホログラムであり、これは、好ましくは、体積ホログラム、反射型及び/又は透過型ホログラムとして形成される。方向変換素子は、好ましくは、微細構造回折素子及び/又は(構造化)鏡面によっても形成され得る。
【0124】
回折型方向変換素子、例えば方向変換ホログラムの場合、照明放射のゼロ次非回折光だけでなく、照明放射の、方向変換方向に望ましいもの以外の回折次数に回折される光も透明な基板本体内で干渉光として伝播し得る。
【0125】
例えば、回折型方向変換素子は、n次の照明放射をピクセルアレイの方向に案内するように構成され、その意味では、干渉光は、好ましくは、照明放射のゼロ次の非回折光だけでなく、n次回折と異なる回折次数も指す。
【0126】
好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、回折型方向変換素子からの光に干渉して、少なくとも一部がピクセルアレイに案内されるように構成され得る。有利には、光は、干渉光によってピクセルアレイ上のさらなる入射点に案内され得、追加的な重畳によって可視スペックルパターンをさらに低減することができる。
【0127】
好ましい実施形態では、画像生成ユニットは、回折型方向変換素子からの光に干渉して、ピクセルアレイに入射せずに基板本体の表面から出るようにも構成され得る。例えば、走査システムの走査角度領域は、この目的のために、干渉光がピクセルアレイの領域外で出射することが確実になるように指定され得る。同様に、結合表面は、照明放射が、走査位置に関係なく、方向変換素子に同じ入射角で入射するように設計されることが好ましい場合がある。この目的のために、例えば、フリーフォーム光学ユニット、バイコニックレンズ、回転対称レンズ及び/又は屈折型若しくは回折型素子を使用することが好ましい場合がある。さらに、方向変換素子が取り付けられる透明な基板本体の後面も、例えば、凹形状によって干渉光をピクセルアレイから遠ざけるようにすることができる(
図15を参照されたい)。
【0128】
好ましくは、1つ以上のディフューザも上述のコンパクトな設計の画像生成ユニットに取り入れて、スペックルパターンの可視性をさらに低減させることができる。1つ以上のディフューザは、好ましくは、走査ユニットと透明な基板本体との間、透明な基板本体とピクセルアレイとの間、光源と走査ユニットとの間又は方向変換素子と透明な基板本体との間に設置され得る。
【0129】
本発明を例及び図によって以下でより詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【
図1】本発明による画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図2】a)ピクセルアレイ、及びb)走査ユニットのスペックルシグネチャと、c)走査位置及びd)像点に関するそれらの重畳との概略図を示す。
【
図3】生成された画像ごとのピクセル状態の追加的変調によるピクセルアレイのスペックルシグネチャの変動の増大の概略図を示す。
【
図4】ミラー平面に沿って走査ミラーを振動するように励起することによる、走査ユニットのスペックルシグネチャの変動の増大の概略図を示す。
【
図5】ミラー平面に垂直に走査ミラーを振動するように励起することによる、走査ユニットのスペックルシグネチャの変動の増大の概略図を示す。
【
図6】ビーム経路内にディフューザを有する画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図7】ビーム経路内の2つのディフューザを有する画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図8】ビーム経路内の2つのディフューザを使用することによる複数のビームの重畳の概略図を示す。
【
図9】ピクセルアレイへの照明放射の一定の入射角を確保するためのレンズを有する画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図10】ディスプレイとして設計される画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図11】プロジェクタとして設計される画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図12】ピクセルアレイに垂直な取付空間が縮小された画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図13】干渉光がピクセルアレイに案内される、ピクセルアレイに垂直な取付空間が縮小された画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図14】ピクセルアレイへの干渉光の入射が走査角度の指定によって回避される、ピクセルアレイに垂直な取付空間が縮小された画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図15】方向変換素子の整形によって回避される、ピクセルアレイに垂直な取付空間が縮小された画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【
図16】結合表面の設計によって回避される、ピクセルアレイに垂直な取付空間が縮小された画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0131】
図1は、本発明による画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【0132】
画像生成ユニットは、好ましくは、ビームとして光軸上で案内される照明放射2を生成するための少なくとも1つの光源1を含む。走査ユニット3により、照明放射2は、光変調ピクセルアレイ4上を案内されて、画像を生成する。光源1は、複数の好ましくは単色レーザのシステムであり得、これらは、別の光学コンポーネントによって共通の光軸に導光される。照明放射2のビームのピクセルアレイ4への入射時の直径は、1ピクセルの大きさより大きくても又は小さくてもよいが、ピクセルアレイ4全体より小さい。
【0133】
スペックルパターンを低減させるために、本発明による画像生成ユニットは、走査ユニット3と光変調ピクセルアレイ4との両方が異なる走査位置又はピクセル状態に関して特徴的なスペックルシグネチャを有するという事実を利用する。
【0134】
有利には、走査ユニット3及びピクセルアレイ4のスペックルシグネチャは、走査プロセスの像点生成中に重畳又は合成されて、その結果、生成画像中の可視の又は認識可能なスペックルパターンが低減する。
【0135】
図2は、ピクセルアレイ4及び走査ユニット3のスペックルシグネチャ並びにそれらの重畳を概略的に示す。
図2a)は、光変調ピクセルアレイ4のあるピクセルのスペックルシグネチャを示す。ピクセルのスペックルシグネチャは、例えば、表面状態及び/又は制御状態(例えば、LCDディスプレイの結晶配向)に依存し得る。Dxは、走査方向へのピクセルの大きさを示す。
図2b)は、特定の走査位置(dx)での走査ユニット3のスペックルシグネチャを示す。ミラーを用いる走査ユニット3の場合、スペックルシグネチャは、例えば、ミラー表面5の表面状態に依存し得る。
【0136】
それとは別に、ピクセルアレイのスペックルシグネチャ(
図2a)又は走査ユニットのスペックルシグネチャ(
図2b)は、顕著な最小値及び最大値によって特徴付けられ、これらは、観察者によって生成された像点又は画像内の輝度の差又は斑点として認識され得る。
【0137】
図2c)は、特定の走査位置における走査ユニット3のスペックルシグネチャと、ピクセルアレイ4のスペックルシグネチャとの重畳を示す。これは、すでにスペックルパターンのより高い空間周波数及びしたがってより低い可視性につながる。スペックルパターンの特に大幅な低減は、1つのピクセルが1つの同じ像点について掃引されると、複数のスペックルパターン(走査位置に依存する)が生成され、ピクセルのスペックルシグネチャと重畳されることによって実現される。
【0138】
ステップ式の走査プロセスでは、重畳されるスペックルパターンの数は、走査ステップの数と等しい。アナログ移動の場合、スペックルパターンの数は、無限であり、個々のスペックルパターン間に小さい変化がある。十分な走査周波数であると、人間の目は、これらの個々のパターンを認識できなくなる。眼によって区別できないある期間にわたる全スペックルパターンが加算される。
図2d)は、ステップサイズがDx/80の場合の-Dx≦dx≦Dxの範囲で発生した全てのスペックルパターンの加算の例を示す。スペックルパターンのコントラスト(すなわち強度分布の最小値と最大値との間の距離)は、明瞭に縮小され、それにより認識可能なスペックルパターンの大幅な低減を実現することができる。
【0139】
市販の走査ユニット及びピクセルアレイのスペックルシグネチャの固有のばらつきは、通常、大幅なスペックル低減にすでに十分である。これをさらに増大させるために、追加的な位相変化を走査ユニット3とピクセルアレイ4との両方を通して導入し得る。
【0140】
図3は、生成された画像ごとのピクセル状態の追加的変調によるピクセルアレイ4のスペックルシグネチャの変動の増大を概略的に示す。
【0141】
例えば、光源における振幅変調と同様に、1つのピクセルの状態は、眼が画像を追加していく間に数回変化され得る。このために、変調周波数は、眼が個々の画像を区別できないように十分に高くなければならない。
【0142】
図3a)に示されるように、好ましくは、1つのピクセルは、眼の統合時間内又は所望のリフレッシュレート(t_int)内で4回その状態を変化させ得る。認識された状態は、t_int内の全ての状態の平均値に対応し(
図3bを参照されたい)、対応するスペックルパターンは、有利には、統合時間内に重畳又は平均化される。
【0143】
図4及び5は、アクチュエータ7によって走査ミラー5をミラー平面6に沿って(
図4)又はミラー平面6に垂直に(
図5)振動するように励起させることにより、走査ユニット3のスペックルシグネチャの変動を増大させるための例示的な実施形態を概略的に示す。振動は、例えば、圧電若しくは微小機械的変調器又は水晶結晶によって引き起こすことができる。好ましくは、走査ユニット3のスペックルシグネチャは、アクチュエータによって高周波数で変化され、走査ユニット3の変調周波数は、好ましくは、リフレッシュレートより大幅に高い。
【0144】
図4は、ジンバルサスペンションを有する走査ミラー5を示し、これは、周波数トランスミッタ7を有するアクチュエータによってミラー平面6に沿って振動される。
図5は、ジンバルサスペンション内の走査ミラー5を示し、これは、周波数トランスミッタ7を有するアクチュエータによってミラー平面6に垂直に振動される。
【0145】
加えて、ビーム経路内において、スペックルシグネチャを追加する追加的要素を好ましくは走査ユニット3とピクセルアレイ4との間に導入することができる。例えば、走査プロセス中にスペックル変動を増大させるディフューザが好ましい。
【0146】
図6は、ビーム経路内にディフューザ8を有する画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。ディフューザ8は、例えば、ランダム位相を有する光学素子又はレンズアレイとして設計され得る。ディフューザ8は、好ましくは、ディフューザ8に異なる入射点で入射する照明放射2の個々のビームが散乱及び混合されるようにする。それにより、照明放射2のコヒーレンス長がさらに短縮され、生成画像内のスペックルパターンの可視性が低下する。
【0147】
図7は、ビーム経路内に2つのディフューザ8を有する画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。2つのディフューザ8は、ビーム経路内の伝播方向に沿って空間距離を空けて連続して配置される。2つのディフューザにより、スペックルパターン及び/又は干渉パターン低減のさらに大幅な改善を実現できる。
【0148】
図8は、ビーム経路内の2つのディフューザ8を使用することによる照明放射2の複数のビームの重畳を概略的に示す。
【0149】
照明放射2は、第一のディフューザ8で散乱し、第二のディフューザ8にすでに複数の異なる入射点で入射し、そこでさらに散乱が起こる。それにより、複数のスペックルパターンが同時に重畳される。ピクセルアレイ4上(及び像面内の)重畳されたビーム2又はスペックルパターンの数は、1つのディフューザ8を用いた場合より何倍も多い。
【0150】
これは、第二のディフューザ8上及びピクセルアレイ4上の重畳されたビーム2又はスペックルパターンの数を比較すると特に明らかである。スペックルパターンの空間周波数が十分に高ければ、これらは、眼によって分解できない。加えて、1つのディフューザ8の場合より横方向に相互にさらに離れている放射ビーム2が重畳される。これにより、光源の空間コヒーレンスが縮小される。光源のコヒーレンス長が十分に短いと、認識可能なスペックルパターンが発生しない。ビーム2の拡張は、
図7及び8に示されており、好ましくは拡散角度に対応する。
【0151】
図9は、ピクセルアレイ4上の照明放射2の一定の入射角を確保するためのレンズ9を有する画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【0152】
レンズ9は、好ましくは、屈折、回折又はフレネルレンズである。好ましくは、レンズ9は、図のように、走査ユニット3とピクセルアレイ4との間に位置付けられ、全てのビーム2がそれらの空間位置に関係なく、ピクセルアレイ4への同じ入射角を有するように構成される(2つの例示的走査角度及びビームプロファイルについては、
図9を参照されたい)。この目的のために、例えば、走査ユニット3は、レンズ9の物体側焦点に配置され得る。この距離を変化させてシステム全体の放射パターンを変えることができる。
【0153】
画像生成ユニットは、ディスプレイ又はプロジェクタとして使用され得る。
【0154】
図10は、ディスプレイとして設計される画像生成ユニットの好ましい実施形態を概略的に示す。ディスプレイとして使用するために、ピクセルアレイ4は、表示スクリーン10として機能し得、直接見られるか(図の通り)、又はピクセルアレイ4が(半)透明の表示スクリーン10に投影され、したがって、これは、透過光(図示せず)中で見られる。
【0155】
図11は、プロジェクタとして設計される画像生成ユニットの好ましい実施形態を概略的に示す。プロジェクタとして設計されるため、ピクセルアレイ4は、反射型、好ましくは拡散反射型投影スクリーン11に投影される。
【0156】
図12は、ピクセルアレイ4に垂直な取付空間が縮小された画像生成ユニットの好ましい実施形態を概略的に示す。
【0157】
この目的のために、画像生成ユニットは、照明放射2に対して透明である基板本体14であって、結合表面12を有する基板本体14を有し、結合表面12を介して、透明な基板本体14内の照明放射2は、方向変換素子13が存在する後面15に案内される。方向変換素子13は、入射した照明放射2が基板本体14の前面16の方向に方向変換されるように設計され、前面16を通して、照明放射2は、光変調ピクセルアレイ4上に出射する。
【0158】
基板本体14は、好ましくは、ピクセルアレイ4の高さ及び幅に関して薄型の設計であり、立方体の基本形状を有し得、特別な形状の結合表面12が少なくとも1つの表面上にある。分岐又は収差を低減させるために、結合表面12は、走査ユニット3によって案内される照明放射2が異なる走査位置で基板本体14に実質的に垂直な入射角で入射するように凹形状であり得る。
【0159】
方向変換素子13は、例えば、体積ホログラム、微細構造回折素子又は(構造化)ミラー表面であり得る。回折方向変換素子(例えば、体積ホログラム)の場合、ゼロ次の非回折光だけでなく、所望のもの以外の回折次数に回折された光は、透明な基板本体14中で干渉光17として伝播し得る。
【0160】
図13は、干渉光17が少なくとも部分的にピクセルアレイ4に案内される画像生成ユニットの好ましい実施形態を概略的に示す。
【0161】
これにより、光が同時にピクセルアレイ4の複数の地点に導光されるようにし、このようにして可視スペックルをさらに低減することができる。
【0162】
図14~16は、ピクセルアレイ17への干渉光17への入射が回避される、本発明による画像生成ユニットの好ましい実施形態の概略図を示す。
【0163】
図14では、走査ユニット3の走査角度は、干渉光17が前面16からピクセルアレイ4に出射せず、基板本体14の下面から出射するように指定される。
【0164】
図15では、透明な基板本体14の、方向変換素子13が取り付けられる後面15は、干渉光17がピクセルアレイ4から遠ざかるように導光されるようになされている。
【0165】
図16では、結合表面12は、走査ユニット3からの照明放射2の全てのビームが同じ角度で方向変換素子13に入射するように設計される。例えば、フリーフォーム光学ユニット、バイコニックレンズ又は回転対称レンズをこの目的のために使用することができる。
【0166】
上記の本発明の実施形態の様々な代替形態を用いて本発明を実行し、本発明による解決策に到達し得ることに留意されたい。本発明による画像生成ユニットは、したがって、その実施形態において、上述の好ましい実施形態に限定されない。むしろ、示された解決策から逸脱し得る多数の設計上の変形形態が想定可能である。特許請求の目的は、本発明の保護範囲を定義することである。請求項の保護範囲は、本発明による画像生成ユニット及びその均等な実施形態を網羅することを目的とする。
【符号の説明】
【0167】
1 光源
2 照明放射
3 走査ユニット
4 光変調ピクセルアレイ
5 走査ミラー
6 ミラー平面
7 アクチュエータ
8 ディフューザ
9 レンズ
10 表示スクリーン
11 投影スクリーン
12 結合表面
13 方向変換素子
14 透明な基板本体
15 基板本体の後面
16 基板本体の前面
17 干渉光
【国際調査報告】