IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブルーウォーター・イノベーションズ・エービーの特許一覧

<>
  • 特表-カップ用の閉鎖要素 図1
  • 特表-カップ用の閉鎖要素 図2
  • 特表-カップ用の閉鎖要素 図3
  • 特表-カップ用の閉鎖要素 図4
  • 特表-カップ用の閉鎖要素 図5a
  • 特表-カップ用の閉鎖要素 図5b
  • 特表-カップ用の閉鎖要素 図5c
  • 特表-カップ用の閉鎖要素 図5d
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】カップ用の閉鎖要素
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/04 20060101AFI20241126BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20241126BHJP
   B65D 1/26 20060101ALI20241126BHJP
   B65D 25/14 20060101ALI20241126BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20241126BHJP
   B65D 51/22 20060101ALI20241126BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B65D47/04
B65D1/00 110
B65D1/00 120
B65D1/26 110
B65D25/14 Z BRQ
B65D47/06
B65D51/22 100
B65D43/04 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526659
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 SE2022051087
(87)【国際公開番号】W WO2023096555
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】2151439-3
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】323010168
【氏名又は名称】ブルーウォーター・イノベーションズ・エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リットリ,ベングト
【テーマコード(参考)】
3E033
3E062
3E084
【Fターム(参考)】
3E033AA08
3E033BA10
3E033BA13
3E033BB08
3E033CA09
3E033FA01
3E033GA01
3E033GA02
3E062AA10
3E062AB02
3E062AB08
3E062AC05
3E062AC08
3E062JA01
3E062JA07
3E062JB22
3E062JC02
3E062JD02
3E062KB17
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA34
3E084AB01
3E084AB07
3E084BA01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC07
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC07
3E084EA04
3E084EB03
3E084EC08
3E084FC07
3E084GA04
3E084GA08
3E084GB04
3E084GB09
3E084GB12
3E084KB01
3E084LA01
3E084LA14
3E084LA24
3E084LB02
3E084LB07
3E084LD01
(57)【要約】
閉鎖要素は、カップと組み合わされた場合に容器を形成するため、カップで用いるように適合されている。容器は、飲料又は粒状物質を保持するように構成されている。閉鎖要素は、密閉部と、密閉部の周りに延出する環状密閉壁と、を含む。環状密閉壁は、軸Aに対して2~8度の角度アルファに傾き、カップの環状内壁の内面と接触して容器を密閉するように意図されている。閉鎖要素は更に、飲料又は粒状物質を使用者に供給するように構成された注ぎ口を含む。閉鎖要素は、カップ内へ押し込まれることで、環状密閉壁がカップの環状内壁の内面と係合して閉鎖要素とカップとの間にしっかりした密閉を形成するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸Aに対して垂直な横断面に第1の面積A1を有する上部開口(115)を有するカップ(110)で用いるために適合された閉鎖要素(130)であって、
前記閉鎖要素(130)及びカップ(110)は、組み合わされた場合に容器(100)を形成するように適合され、
前記容器(100)は、前記軸Aに沿って延出すると共に飲料又は粒状物質を保持するように構成され、
前記閉鎖要素(130)は、
前記軸Aに対して垂直な横断面に第2の面積A2を有する密閉部(140)であって、前記第2の面積A2は本質的に前記第1の面積A1と等しい、密閉部(140)と、
前記密閉部(140)の周りに延出する環状密閉壁(150)であって、前記軸Aに対して角度アルファ(α)に傾き、前記カップ(110)の環状内壁の内面と接触して前記容器(100)を密閉するように意図された、環状密閉壁(150)と、を備え、
前記閉鎖要素(130)は更に、前記飲料又は粒状物質を使用者に供給するように構成された注ぎ口(160)を備え、
前記閉鎖要素(130)は、前記カップ内へ押し込まれることで、前記環状密閉壁(150)が前記カップ(110)の前記環状内壁の前記内面と係合して前記閉鎖要素(130)と前記カップ(110)との間にしっかりした密閉を形成するように構成され、
前記角度アルファは、2~8度であり、
前記閉鎖要素(130)は、セルロース系の紙材料又は繊維系の紙材料で作製されている、閉鎖要素(130)。
【請求項2】
前記注ぎ口(160)を覆うように配置された取り外し可能かつ取り付け可能な蓋要素(180)を更に備え、
前記蓋要素(180)及び注ぎ口(160)は、前記蓋要素(180)が前記注ぎ口(160)を覆うように配置された場合に前記容器(100)を密閉して、前記容器からこぼれるのを本質的に防止するように適合されている、請求項1に記載の閉鎖要素(130)。
【請求項3】
前記注ぎ口(160)は、前記注ぎ口(160)の周りに延出する第1のセットのねじ山(162)を備え、
前記蓋要素(180)は、第2のセットのねじ山(182)を備え、
前記蓋要素(180)は、前記注ぎ口(160)の上にねじ留めされるように構成されている、請求項2に記載の閉鎖要素(130)。
【請求項4】
前記注ぎ口は、前記注ぎ口の周りに延出する第1の突出縁(164)を備え、
前記蓋要素は、前記突出縁(164)を受容するように構成された第1の受容くぼみ(184)を備え、
前記蓋要素(180)は、前記注ぎ口(160)の上に押し付けられるように構成されている、請求項2に記載の閉鎖要素(130)。
【請求項5】
前記注ぎ口(160)は、貫通するように構成された透過性表面(165)を備える、請求項1から4の何れか一項に記載の閉鎖要素(130)。
【請求項6】
前記蓋要素(180)は、使用者が前記飲料又は粒状物質に到達するため、前記注ぎ口(160)の透過性表面(165)を貫通するように用いられるよう構成された先鋭部(185)を備える、請求項2に記載の閉鎖要素(130)。
【請求項7】
飲料又は粒状物質を保持するように構成され、軸Aに沿って延出する容器(100)であって、
セルロース系の紙材料又は繊維系の紙材料で作製された第1のカップ(110)であって、軸Aに対して垂直な横断面に第1の面積A1を有する開口(115)を備え、前記軸Aに対して前記角度アルファ(α)に傾いた内側環状壁(120)を備える、第1のカップ(110)と、
請求項1から6の何れか一項に記載の閉鎖要素(130)と、
を備える、容器(100)。
【請求項8】
前記第1のカップを少なくとも部分的に収容するように構成された第2のカップ(170)を更に備える、請求項7に記載の容器(100)。
【請求項9】
前記閉鎖要素(130)は、前記環状密閉壁(150)の周りに延出する第2の突出縁(132)を備え、
前記第1のカップ(110)は、前記内側環状壁を囲むように延出すると共に前記閉鎖要素(130)が前記カップ(110)内へ押し込まれた場合に前記第2の突出縁(132)を受容するように構成された前記カップ(110)の第2の受容くぼみ(112)と相互作用するように適合された前記第2の突出縁(132)を備える、請求項7又は8に記載の容器(100)。
【請求項10】
前記紙材料は、少なくとも50重量%の段ボール古紙(OCC)を含む繊維ベースを含む繊維系スラリから形成されている、請求項1から6の何れか一項に記載の閉鎖要素(130)、又は、請求項7から9の何れか一項に記載の容器(100)。
【請求項11】
前記紙材料は、少なくとも10%の軟材(SW)を含む繊維ベースを含む繊維系スラリから形成されている、請求項1から6の何れか一項に記載の閉鎖要素(130)、又は、請求項7から9の何れか一項に記載の容器(100)。
【請求項12】
前記繊維系スラリは更に、水分バリア、及び/又は、オイルバリアを含み、
前記水分バリア及び前記オイルバリアは、それぞれ約1~4重量%の範囲内である、請求項10又は11に記載の閉鎖要素(130)及び/又は容器(100)。
【請求項13】
前記繊維系スラリは更に、1.5~4重量%の範囲内の強度添加剤を含む、請求項10から12の何れか一項に記載の閉鎖要素(130)及び/又は容器(100)。
【請求項14】
前記閉鎖デバイス(130)の少なくとも内面及び/又は含まれる場合の前記カップ(110)は、不透過性コーティング層を備える、請求項1から13の何れか一項に記載の閉鎖要素(130)及び/又は容器(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に容器の技術分野に関し、より具体的には、飲料又は粒状物質のための紙コップで用いられる閉鎖要素に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料又は粒状物質、すなわち液体又は半液体食品に用いられる容器は、あらゆる形状及びサイズで売られている。多くの容器はプラスチック材料で作製され、1回だけの使用を意図しており、これは環境的観点からは問題となり得る。飲料用の一般的な容器には、全体的に非分解性プラスチックで作製されるものがあり、また、紙コップとプラスチックの蓋で構成されるものもある。
【0003】
従来技術において利用可能な多くの持ち帰り用カップは、カップ上部の周りに延出する縁に蓋が取り付けられている。一般に、これらのカップは薄い紙又はプラスチックで作製され、非常に不安定であり、飲料が滑ること(slippage)はよく起こる。蓋を取り付ける際、蓋が縁の上に正しく配置されたか否かを知るのが難しいことがあり、結果として飲料がこぼれる恐れがある。更に、カップと蓋が衝突したり、急に揺さぶられたり、又は落下したりした場合、縁に固定することで取り付けられた蓋は通常カップよりも外側に延出する部分を有するので、容易に位置がずれて、飲料がこぼれる可能性がある。
【0004】
持ち帰り用カップで熱い飲み物が提供される場合、手に持てないほど熱いことがある。従って、多くのカフェ及びレストランは、飲料を入れたカップを余分なカップ内に収容して更に断熱を行う二重カップでの提供を始めている。しかしながら、第2のカップは第1のカップに連結されていないので、第2のカップの内部で第1のカップが容易にスライドし、飲み物がこぼれ、この構造物の扱いが難しくなる可能性がある。
【0005】
従って、当技術分野では、上述した問題のいくつかを少なくとも部分的に解消する飲料及び粒状物質の双方のための新しい種類の容器を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
発明者は、新しいタイプの閉鎖要素又は蓋であって、既存のカップで使用されるか又は専用のカップと共に提供されて飲料又は粒状物質のための容器を生成し、上記の問題のいくつかを解決するため容器を効果的に密閉することを可能とする新しいタイプの閉鎖要素又は蓋が必要とされているという考えに至った。発明者は、カップの内部でカップに取り付けた閉鎖要素が、現在入手できる蓋よりも効果的であり得るという考えに至った。更に、発明者は、すでに利用可能であり販売されている持ち帰り用カップの一般的な問題を解決するため、そういったカップと共に使用できる閉鎖要素が必要とされているという考えに至った。更に発明者は、当技術分野において、2つ以上のカップを含む容器に適した閉鎖要素が必要とされているという考えに至った。これは、2つのカップ及びこれら2つのカップの間の空気が、熱に対する良好な保護を提供するからである。
【0007】
空気は良好な絶縁体であり、空気を含む材料は、例えば住宅及びビルで断熱材として使用されることが多い。飲料の断熱のために空気を用いる飲料容器のいくつかの態様を提供することは、飲料が長時間にわたって好適な温度に保持される点と、飲料容器の内容物が熱い場合に使用者がやけどしない点の双方において、有利である。
【0008】
プラスチック汚染を低減するため、ますます多くの持続可能な解決法が市販されている。紙パルプすなわち繊維材料の成形は、容器、トレー、及び他のタイプの梱包材料を作製する標準的な方法である。一般に、そのステップは以下のようなものである。すなわち、最終紙製品の鏡像になるように型を作製し、型にドリルで孔を開けてその表面にスクリーン(screen)を取り付け、型を紙パルプに浸し、型を紙パルプに浸したら孔を介して真空に引いて紙パルプの層が型に張り付くようにする。スクリーンは、パルプが孔を塞ぐのを防止する。型を取り外し、型の側面に張り付いた紙パルプを取り外して乾燥させると、紙製品が生成されている。紙製品のタイプに応じて、型から製品を取り外すために異なる技法を用いてもよい。「ウェット(wet)」製造として知られるものでは、トランスファー成形の型が繊維生成物と噛み合い、形成された「ウェット部分(wet part)」をホットプレスに移動させ、ホットプレスが繊維材料を圧縮及び乾燥させて密度を増大させると共に平滑な外面仕上げを提供する。
【0009】
紙パルプを成形する他の方法も利用可能である。例えば、雄型と雌型との間で材料を押圧することにより、材料から水分を抜いて、望ましい形状の紙製品を生成することができる。
【0010】
繊維系製品のような紙材料は、リサイクル可能、生分解性、堆肥化可能であり、プラスチックと同じ容量で海に流れ込むことにはならない。従ってそれらは、現在利用できる多くのプラスチック製品の代替策として用いるのに好適である。持ち帰り用カップ又はマグは紙材料で作製されることが多いが、一般的に蓋はプラスチックで作製される。従って、別の目的は、非分解性材料を用いることなく、又は少なくとも他のファクタに影響を及ぼさない最小限の量の非分解性材料を用いて作製される製品を提供すること、例えば液体を安全に保持する良好な完全性と能力を備えた容器を提供することである。
【0011】
紙材料は、多くの面でプラスチック製品よりも有利である。しかしながら、紙材料で作製された飲料容器は、提供される飲料及び容器内に飲料が保持される時間に応じて、何らかの内張り又はコーティングを必要とすることがある。これは例えば、水を通さない容器の内面に沿った何らかのコーティングとすればよい。コーティングは、セルロース系材料又はプラスチック、好ましくは生分解性材料等、多くの異なる材料から作製することができる。
【0012】
紙製の持ち帰り用カップで熱い飲料を提供する場合、カップは使用者が楽に手に持てないほど熱いことが多い。一部のカフェは、使用者にある種の断熱を与えるため、二重カップ、すなわち1つのカップが別のカップ内に収容されたものに熱い飲料を入れて手渡している。しかしながら、蓋は、飲料を入れたカップ上に置かれるだけである。これによって、カップが相互に動く不安定な構造物が生じ得る。更に、単一要素の(single)持ち帰り用カップはそれ自体があまり安定しておらず剛性でもないので、飲料がこぼれるリスクが増大する。
【0013】
本開示は、上述の欠点のうち少なくともいくつかを克服する容器の態様を提供しようとするものである。より具体的には、本開示は、安定していて使用者に快適な経験を提供する飲料又は粒状物質のための容器を形成するカップでの使用に適合させた閉鎖要素を提供することを目的としている。
【0014】
本開示の第1の態様では、軸Aに対して垂直な横断面に第1の面積A1を有する上部開口を有するカップで用いるために適合された閉鎖要素が提供される。閉鎖要素及びカップは組み合わされた場合に容器を形成するように適合され、容器は同じ軸Aに沿って延出すると共に飲料又は粒状物質を保持するように構成されている。閉鎖要素は、軸Aに対して垂直な横断面に第2の面積A2を有する密閉部を備える。第2の面積A2は本質的に第1の面積A1と等しい。密閉部は密閉板とすればよいが、他の形状を有することも可能である。閉鎖要素は更に、密閉部の周りに延出する環状密閉壁を備える。環状密閉壁は、軸Aに対して2~8度の角度アルファに傾き、カップの環状内壁の内面と接触して容器を密閉するように意図されている。閉鎖要素は更に、飲料又は粒状物質を使用者に供給するように構成された注ぎ口を備える。閉鎖要素は、カップ内へ押し込まれることで、環状密閉壁がカップの環状内壁の内面と係合して閉鎖要素とカップとの間にしっかりした密閉を形成するように構成されている。閉鎖要素は、セルロース系の紙材料又は繊維系の紙材料で作製されている。
【0015】
従って、容器を形成するためカップでの使用に適合された閉鎖要素が提供される。第1の機能は、飲料又は粒状物質を保持し、カップの内部に係合することによって閉鎖要素で容器をしっかり密閉することである。閉鎖要素は、容器を密閉する新規で独創的な方法を提供する点において有利である。更に、これは様々な既知の紙コップと共に使用することができる。従来技術の容器は、容器の周りに延出する縁に取り付けた蓋で閉じられるが、閉じることが難しい場合がある。このような蓋は、取り付けを可能とするため、縁の形状に正確に適合させなければならない。更に、蓋を取り付ける場合、いつ蓋が適正に取り付けられたかを知るのが難しいことがあるので、内容物がこぼれる可能性がある。本発明は、いつ容器が閉じたか、及び、いつ閉鎖要素が適正に配置されたかを使用者が極めて容易に知ることができるので、有利である。
【0016】
特に、本明細書に開示されている閉鎖要素は、様々な一般的なカップと共に有利に使用され得る。これは、外側環状面を有する形状が、傾斜した内面を有する最も一般的な市販のカップに収まる可能性があるからである。カップは、閉鎖デバイスの円周に一致する正確なサイズの開口を有する必要はない。その理由は、閉鎖デバイスを押し下げてカップの開口を通過させてもよく、又は場合によっては閉鎖デバイスの一部のみを開口内へ挿入してもよく、この場合も容器を密閉するように機能し得るからである。これによって、使用者が閉鎖デバイスをカップに取り付けるのが容易になり、また、効果的な密閉を損なうことなく、閉鎖デバイスのサイズ及び正確な押し込み方の多少の違いを許容することができる。しかしながら、閉鎖デバイスはむろん、様々なカップのサイズに対応するために多くの異なるサイズで提供され得る。更に、密閉の形状及び手法によって、閉鎖デバイスの密閉機能は、カップが突出した外縁を有するか否かということ又は縁の形状とは無関係になる。
【0017】
別の態様によれば、飲料又は粒状物質を保持するように構成され、軸Aに沿って延出する容器が提供される。容器は、セルロース系の紙材料又は繊維系の紙材料で作製された、第1の面積A1の開口を含む第1のカップと、本明細書に記載されている閉鎖要素と、を備える。カップは、軸Aに対して、閉鎖デバイスの環状壁と同じ角度アルファに傾いた内側環状壁を有する。
【0018】
別の態様によれば、容器は、第1のカップを少なくとも部分的に収容するように構成された第2のカップを更に備え得る。本態様は、よりいっそうの構造的完全性を容器に与え、容器を更に安定させるので、有利である。更に、閉鎖要素が第1のカップ内へ押し込まれた場合、第1のカップは第2のカップの方へ外側に押される。これによって、第1のカップと第2のカップが共に係合され保持されることが保証されるので、例えば提供される飲料が熱い場合、構造的完全性と使用者のための断熱の双方が加わる。カップは、多くの異なる現場で利用可能な簡単に作られたカップであることが想定され、これらのカップを密閉する新規かつ実用的な方法を可能とするため閉鎖要素が提供される。
【0019】
本明細書で開示されているように、閉鎖デバイスの外側環状壁をカップの内壁に対して密閉するよう配置することに加えて、環状壁の指定された角度と、セルロース系の紙材料又は繊維系の紙材料で作製された閉鎖デバイスとは、共に、以下で更に詳述されるように極めてしっかりした密閉を提供するよう作用する。
【0020】
角度アルファ、すなわち環状密閉壁の角度は、2~8度であり、より好適には4~6度である。角度アルファが大きすぎる場合は閉鎖要素が容器を効果的に密閉しないので、このような角度が有利である。角度が2~8度である場合、閉鎖要素を最も一般的なカップの開口内へ押し込んで、しっかりした密閉を達成することができる。より好適には、角度アルファが4~6度である場合、これは、更にしっかりした密閉を達成することに役立つ。
【0021】
別の態様によれば、閉鎖要素は、注ぎ口を覆うように配置された取り外し可能かつ取り付け可能な蓋要素を更に備える。蓋要素及び注ぎ口は、蓋要素が注ぎ口を覆うよう配置された場合に容器を密閉して、こぼれるのを防止するように適合されている。本態様は、蓋要素を用いて注ぎ口を再密閉できるので有利である。いくつかの態様において、注ぎ口は、例えばストローが貫通できる透過性表面を有し得る。しかしながら、他の態様では、容器を再密閉できる蓋要素を有することが有利であり得る。また、特定の態様では蓋要素と透過性表面の双方が使用され得ることが想定され、蓋要素は、透過性表面を貫通するように使用できるよう構築され得る。
【0022】
別の態様によれば、注ぎ口は、注ぎ口の周りに延出する第1のセットのねじ山を含み、蓋要素は第2のセットのねじ山を含み、蓋要素は注ぎ口の上にねじ留めされるように構成されている。本態様は、蓋要素を注ぎ口にねじ留めしてこれを再密閉可能とするので有利であり、使用者は、こぼさずに容器を持ち歩くことが更に容易になり得る。
【0023】
別の態様によれば、注ぎ口は、注ぎ口の周りに延出する第1の突出縁を含み、蓋要素は突出縁を受容するように構成された第1の受容くぼみを含み、蓋要素は注ぎ口の上に押し付けられるように構成されている。本態様は、容器が再密閉可能である点で有利である。
【0024】
別の態様によれば、注ぎ口は、貫通するように構成された透過性表面を含む。本態様は、使用者が容易に容器の内容物に到達できる点で有利である。
【0025】
別の態様によれば、蓋要素は、使用者が飲料又は粒状物質に到達するため、透過性表面を貫通するように用いられるよう構成された先鋭部を含む。本態様は、使用者が容易に容器を開けて内容物に到達できる点で有利である。
【0026】
別の態様によれば、閉鎖要素は、環状密閉壁の周りに延出する第2の突出縁を含み、カップは、カップの内側環状壁を囲むように延出すると共に閉鎖要素がカップ内へ押し込まれた場合に第2の突出縁を受容するように構成された第2の受容くぼみを含む。本態様は、閉鎖要素とカップとの間の密閉が突出縁と受容くぼみとの相互作用によって更に強化される点で、有利である。
【0027】
閉鎖デバイスは紙材料で作製されている。カップ及び閉鎖デバイスを備える容器を含む態様では、容器全体、すなわち閉鎖要素及びカップが、好ましくは紙材料で作製され、より好ましくは同じ紙材料で作製される。紙材料は生分解性であり、プラスチックよりも環境に優しいので、紙材料を用いることは有利である。紙材料を極めて堅く又は硬くすることは容易であり、これは可撓性プラスチックよりも好ましいので、更に有利である。紙材料で作製された1つのカップ、又は特定の態様では共に押圧された紙材料で作製された2つのカップは、いっそう強い構造物を提供するので、更に有利である。紙材料とは、リサイクル可能及び/又は生分解性である任意の種類の紙材料、セルロース系の材料、又は繊維系の材料を意味する。紙材料は、繊維材料、リサイクルされた材料、又は製紙に用いられる他のタイプの材料の様々な混合物によって形成され得る。
【0028】
別の態様によれば、紙材料は、少なくとも50重量%の段ボール古紙(OCC:old corrugated container)を含む繊維ベースを含む繊維系スラリから形成されている。いくつかの態様では、繊維系スラリは更に水分バリア及び/又はオイルバリアを含み得る。水分バリア及びオイルバリアは、それぞれ約1~4重量%の範囲内とすればよい。本態様は、OCCが、更に製品の環境フットプリントを低減させるリサイクルされた材料であるので、有利である。
【0029】
別の態様によれば、紙材料は、少なくとも10%の軟材(SW:softwood)を含む繊維ベースを含む繊維系スラリから形成されている。いくつかの態様では、繊維系スラリは更に水分バリア及び/又はオイルバリアを含み得る。水分バリア及びオイルバリアは、それぞれ約1~4重量%の範囲内とすればよい。本態様は、例えば竹又はバガスのようなSWがプラスチックよりも環境的に好ましい材料であるので、有利である。更に、上述の成分を含む繊維系スラリは、飲料容器又はボトルのための良好な混合物を生成する。本態様は、一部のSW材料が他の産業からの残留物であり、従って必要以上に地球資源を枯渇させない材料であり、製品の環境フットプリントを低下させることに役立ち得るので、更に有利である。
【0030】
別の態様によれば、繊維系スラリは更に、1.5~4重量%の範囲内の強度添加剤を含む。本態様は、強度添加剤の追加によって、製品、ボトルが、乾燥強度が向上する点でいっそう剛性になるので、有利である。更に、排水(drainage)及び貯水(retention)の増大のような他の利点は、強度添加剤を追加することによる特徴である。
【0031】
カップを含む態様において、少なくともカップの内面は不透過性コーティング層を含むことができる。本態様は、容器及び/又は飲料に影響を及ぼすことなく容器が長時間にわたって飲料を保持できるので、有利であり得る。コーティングは、多くの異なる材料から作製され得る。更に、そのような不透過性コーティング層によって閉鎖要素の内面を内張りしてもよいことも想定される。
【0032】
上述した態様で述べられた特徴の全ての可能な組み合わせを用いる他の態様が予想され得ることに留意するべきである。従って本開示は、本明細書で述べられた特徴の全ての可能な組み合わせにも関する。本明細書に記載されている任意の態様は、本明細書に記載されている他の態様と組み合わせ可能であり、本開示は特徴の全ての組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
これより、以下の添付図面を参照して、例示的な態様について更に詳しく記載する。
【0034】
図1】本開示に従った容器を概略的に示す。
図2】本開示に従った容器を概略的に示す。
図3】本開示に従った容器を概略的に示す。
図4】本開示に従った容器を概略的に示す。
図5a】本開示の態様に従った閉鎖要素の態様を概略的に示す。
図5b】本開示の態様に従った閉鎖要素の態様を概略的に示す。
図5c】本開示の態様に従った閉鎖要素の態様を概略的に示す。
図5d】本開示の態様に従った閉鎖要素の態様を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面で示されているように、要素及び領域のサイズは説明の目的のために誇張される場合があり、従って、態様の一般的な構造を例示するために提供される。
【0036】
これより、現在好適な態様が図示されている添付図面を参照して、例示的な態様について更に充分に記載する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具現化され得るので、本明細書に述べられている態様に限定されるものと解釈するべきではない。これらの態様は完全さ及び完全性のために提供され、本発明の範囲を当業者に充分に伝達する。
【0037】
図面に示されている態様の形状が容器の使用法に応じて変更され得ることは理解されよう。異なる状況では異なる形状が便利であり、容器は例えば、現在利用できる標準的な持ち帰り用カップ又はプラスチック製ボトルに似ている場合があり、又はそうでない場合もある。図面は、容器の形状に対する保護範囲を狭めることを意図していない。
【0038】
図1を参照すると、カップ110での使用に適合された閉鎖要素130の例が開示されている。これらは、組み合わされた場合に容器100を形成する。
【0039】
いくつかの態様において、閉鎖要素130は、容器を形成するため、カップでの使用に適合されるように提供されている。第1の機能は、飲料又は粒状物質を保持し、カップの内部に係合することによって閉鎖要素で容器をしっかり密閉することである。閉鎖要素は、容器を密閉する新規で独創的な方法を提供する点において有利である。更に、外側環状面を有する形状は、傾斜した内面を有する最も一般的な市販のカップに収まる可能性があるので、様々な一般的なカップと共に有利に使用され得る。カップは、閉鎖デバイスの円周に一致する正確なサイズの開口を有する必要はない。その理由は、閉鎖デバイスを押し下げてカップの開口内を通過させてもよく、又は場合によっては閉鎖デバイスの一部のみを開口内へ挿入してもよく、この場合も容器を密閉するように機能し得るからである。しかしながら、閉鎖デバイス130はむろん、様々なカップのサイズに対応するために多くの異なるサイズで提供され得る。更に、密閉の形状及び手法によって、閉鎖デバイスの密閉機能は、カップが突出した外縁を有するか否かということ又は縁の形状とは無関係になる。
【0040】
別の態様によれば、飲料又は粒状物質を保持するように構成され、軸Aに沿って延出する容器100が提供される。容器100は、第1の面積A1を有する開口を含むカップ110と、本明細書に記載されている閉鎖要素130と、を備える。カップは、軸Aに対して、閉鎖デバイス130の環状密閉壁150と同じ角度アルファに傾いた内側環状壁150を有する。
【0041】
容器100は、飲料又は粒状物質を保持するように構成されている。特に、飲料又は粒状物質という言葉は、使用者による摂取を目的とするか、又は任意のタイプの食物もしくは飲料を調製するために使用される、任意の液体、半液体、又は粒状の食品を包含することが意図される。容器100は軸Aに沿って延出する。前述のように、カップ110はすでに利用可能な持ち帰り用カップとしてもよく、又は閉鎖要素130と共に提供される特製のカップとしてもよい。
【0042】
カップ110は、軸Aに対して垂直な横断面に第1の面積A1を有する開口115を含む。第1の面積A1が円の面積に対応するように、開口は円形とすることができる。カップ110は、飲料又は粒状物質を保持するように構成され、開口115を介して充填することができる。カップ110は更に、軸Aに対して角度アルファ(α)に傾いた環状内壁120を含む。
【0043】
閉鎖要素130は、軸Aに対して垂直な横断面に第2の面積A2を有する密閉部140を含む。第2の面積A2は本質的に第1の面積A1と等しい。密閉部140は、図面では平板として示されているが、容器を密閉するために適した任意の形状を有し得る。密閉部140は円板とすることができる。密閉部140は、容器を密閉して容器内に内容物を保持するため、開口115又は開口115の近くを密閉することが意図されている。
【0044】
閉鎖要素130は更に、密閉部140の周りに延出する環状密閉壁150を備える。環状密閉壁150は、軸Aに対して角度アルファ(α)に傾いている。閉鎖要素130は、第1のカップ110内へ押し込まれることで、環状密閉壁150が内側環状壁120と係合して容器100を密閉するように構成されている。
【0045】
図面において、閉鎖要素は、密閉部140の第2の面積A2、すなわち軸Aに対して垂直な横断面の閉鎖要素130の面積が、カップの開口の面積A1と等しいものとして図示され、これらが組み合わされた場合に密閉部140の上部がカップの上部とぴったり一致するようになっている。しかしながら、第2の面積A2は、カップの開口の面積A1と等しいか、それよりわずかに小さいか、又はそれよりわずかに大きい可能性がある。第2の面積A2がカップの開口の面積A1よりわずかに小さい場合、閉鎖要素はカップ内の少し奥まで押され得るので、カップの開口よりもわずかに下方の位置で開口を密閉する。同様に、第2の面積A2がカップの開口の面積A1よりわずかに大きい場合、閉鎖要素は、第2の面積A2が測定される軸Aに対して垂直な横断面がカップの開口よりもいくぶん上方になるように、開口を密閉する。これによって、使用者が閉鎖要素130をカップ110に取り付けるのが容易になり、効果的な密閉を損なうことなく、カップサイズの多少の差を許容することができる。
【0046】
容器100は更に、飲料又は粒状物質を使用者に供給するように構成された、密閉部140上のどこかに配置された注ぎ口160を備える。注ぎ口は様々なサイズ及び形状とすることができる。
【0047】
図1は、カップ110内に押し込まれていない閉鎖要素130を示し、容器100を形成するため閉鎖要素130がどのように提供されるかを表すことができる。最初に容器100を充填した後、閉鎖要素130をカップ110内へ押し込んで、これを効果的に密閉することができる。
【0048】
角度アルファ(α)は2~8度である。また、これは4~6度としてもよい。角度アルファ(α)は、容器100の材料に応じて、更に、閉鎖要素130の環状密閉壁120とカップ110の内側環状壁150との間に生成される摩擦に応じて、選択することができる。大きすぎる角度アルファ(α)は、使用中に閉鎖要素130が第1のカップ110から抜ける可能性があるので、好ましくない。約6度の角度アルファ(α)が好適である。しかしながら、前述のように、異なる態様及び材料では異なる角度が好ましい場合がある。角度アルファ(α)は例えば、2度、2.5度、3度、3.5度、4度、4.5度、5度、5.5度、6度、6.5度、7度、7.5度、又は8度とすればよい。
【0049】
閉鎖要素130は紙材料で作製され、好ましくはセルロース系の紙材料又は繊維系の紙材料で作製される。カップ110及び閉鎖デバイス130を有する容器100を含む態様では、容器全体が好ましくは紙材料で作製され、より好ましくは同じ紙材料で作製される。いくつかの態様では、容器の特定の部分のみが紙材料で作製され得る。例えば、閉鎖要素130の環状密閉壁は好ましくは紙材料で作製されるが、閉鎖要素130の他の部分は他の材料とすることができる。更に、カップ110の内壁は好ましくは紙材料で作製される。これは、紙材料が高摩擦表面を提供し、カップ110に対して閉鎖要素130を密閉する際の摩擦を増大させるからである。しかしながら、閉鎖要素130及びカップ110の材料が提供される場合、これらの全て又は大部分が生分解性かつ環境に優しい材料であることが好ましい。
【0050】
紙材料とは、繊維系、セルロース系の材料、又は生分解性かつリサイクル可能な同様の材料で作製された任意の材料を意味する。
【0051】
閉鎖要素130及びカップ110は、提供される場合、例えば繊維系材料で作製され得る。例えば、繊維系スラリを押圧又は整形して、何らかの紙材料、ボール紙材料、又は他の生分解性材料を形成することができる。
【0052】
紙材料は繊維系スラリによって形成され得る。繊維系製品は生分解性で堆肥化可能であり、プラスチックと同じ容量で海に流れ込むことにはならない。従ってそれらは、現在利用できる多くのプラスチック製品の代替策として用いるのに好適である。更に、繊維系材料を用いると高摩擦表面が得られるので、閉鎖要素の環状密閉壁とカップとの密閉が強化される。
【0053】
異なる態様では、容器100の複数の部分を異なるタイプの繊維系スラリによって形成してもよい。ここでは少数の例に倣うが、それらは限定と見なされず、他の材料及び混合物及び割合も考えられる。
【0054】
少なくとも50重量%の段ボール古紙(OCC)を含み得る繊維系スラリによって、紙材料を形成することができる。更に、いくつかの態様では、これは水分バリアとオイルバリアを含み得る。水分バリアとオイルバリアは、それぞれ約1~4重量%の範囲内とすればよい。
【0055】
別の態様では、少なくとも10%の軟材(SW)を含み得る繊維系スラリによって、紙材料を形成することができる。更に、いくつかの態様では、これは水分バリアとオイルバリアを含み得る。水分バリアとオイルバリアは、それぞれ約1~4重量%の範囲内とすればよい。
【0056】
また、繊維系スラリは、以下のグループ、すなわちバガス、竹、新聞用紙(NP:newsprint)のうち任意のものからのベース繊維を有し得る。紙材料を形成するため、他のタイプの繊維材料も利用可能である。
【0057】
また、繊維系スラリは、1.5~4重量%の範囲内で強度添加剤も含み得る。これを加えて構造的剛性を向上させることができる。
【0058】
紙パルプすなわち繊維材料の成形は、容器、トレー、及び他のタイプの梱包材料を作製する標準的な方法である。一般に、そのステップは以下のようなものである。すなわち、最終紙製品の鏡像になるように型を作製し、型にドリルで孔を開けてその表面にスクリーンを取り付け、型を紙パルプに浸し、型を紙パルプに浸したら孔を介して真空に引いて紙パルプの層が型に張り付くようにする。スクリーンは、パルプが孔を塞ぐのを防止する。
【0059】
型を取り外し、型の側面に張り付いた紙パルプを取り外して乾燥させると、紙製品が生成されている。紙製品のタイプに応じて、型から製品を取り外すために異なる技法を用いてもよい。「ウェット」製造として知られるものでは、トランスファー成形の型が繊維生成物と噛み合い、形成された「ウェット部分」をホットプレスに移動させ、ホットプレスが繊維材料を圧縮及び乾燥させて密度を増大させると共に平滑な外面仕上げを提供する。特に、所望の形状と構造的完全性を提供するため、他の成形技法を用いてもよい。
【0060】
閉鎖要素130及びカップ110は、提供される場合、繊維系スラリ及び真空形成器によって上述の手順に従って形成することができる。それらは例えば、繊維系スラリ混合物を提供するステップを含む方法によって形成され得る。形成される飲料容器の部分の鏡像を含む金網を含む型を浸す。次いで、金網を介して真空に引いて、金網の表面に繊維系スラリを蓄積させる。次いで、繊維系スラリ混合物から型を取り外して、金網の表面から成形した部分を取り外す。最後に、成形した部分をホットプレスで押圧する。しかしながら、機能的な閉鎖要素130又はカップ110を達成するための方法に、標準的な真空形成の他のステップを組み込むことも可能である。
【0061】
閉鎖要素130及びカップ110は、提供される場合、他の方法でも形成され得る。例えば、閉鎖要素130又はカップ110の雌型及び雄型を構築することができる。雌型に、繊維系スラリ又は他の適切な材料を流し込むことができる。次いで、雄型を用いて材料を雌型の側に押圧し、正確な形状を生成することができる。これらの型は、押圧の間に雌型及び雄型の網を介して材料中の水分が抜かれるように構築され得る。
【0062】
閉鎖要素130及びカップ110が提供される場合にこれらを形成する他の方法も可能であり、様々な選択肢が利用可能であることは当業者によって理解される。部分に応じて、また態様の様々な特徴に応じて、紙材料を形成する異なる方法が好適である場合がある。
【0063】
更に、閉鎖要素130及びカップ110が提供される場合、これらが水を通さないコーティングを含むことが有利であり得る。コーティングはプラスチック材料で作製することができ、閉鎖要素130又はカップ110の内側を覆う薄いシートとすればよい。コーティングは不透過性であり、飲料がコーティングに染み込んで閉鎖要素130又はカップ110の壁に到達することなく飲料を保存することを可能とする。コーティングは、プラスチック材料又は水を通さない他の任意の適切な材料、例えば何らかのセルロース系の材料で作製され得る。しかしながらコーティングは、生分解性材料であること、又は少なくとも低い環境フットプリントを有することが好ましい。
【0064】
容器100内に保存される飲料及び飲料が保存される時間に応じて、閉鎖要素130又はカップ110はそのようなコーティングを含み得る。いくつかの飲料は他のものよりも紙材料に対して大きな影響又は損傷を与えるので、特定の飲料ではコーティングが必要となり得る。更に、容器100内での飲料の保存時間に応じて、コーティングが好ましい場合がある。容器100内に飲料が長く保持されればされるほど、飲料によって閉鎖要素130又はカップ110が影響を受けるリスクが高くなる。従って、長期間にわたって飲料を保存するように構成された閉鎖要素130又はカップ110では、コーティングが好ましい場合がある。コーティングは、コーティングが作製される材料に応じて、また保存される飲料に応じて、様々な厚さを有し得る。
【0065】
更に、飲料容器の部分が他の材料を含むことも可能である。例えば、閉鎖要素130及び/又はカップ110は、特定の部分にプラスチック、シリコン、又は金属を含み得る。これは、閉鎖要素130及び/又はカップ110のいくつかの部分を耐久性の高い長期間の使用に適した材料で作製し、また、閉鎖要素130及び/又はカップ110のいくつかの部分を繊維系材料のような環境に優しい材料で作製するので、有利であり得る。
【0066】
図2を参照すると、容器100を形成するためカップ開口内に押し込まれた閉鎖要素130の例が開示されている。
【0067】
閉鎖要素130及びカップ110は図1の閉鎖要素130及びカップ110に対応し、更なる詳細は図1に関連付けて理解することができるが、閉鎖要素130がカップ110内に押し込まれている点が異なっている。角度アルファ(α)は、閉鎖要素130が容器100を閉鎖して密閉した状態に保つように、閉鎖デバイス130の環状密閉壁150とカップ110の内側環状壁150との間に充分な摩擦があることを保証する。
【0068】
閉鎖デバイス130の外側環状密閉壁の配置と、環状密閉壁の指定された角度と、セルロース系の紙材料又は繊維系の紙材料で作製された閉鎖デバイスとが組み合わされることで、極めてしっかりした密閉を提供するように作用する。2~8度の角度アルファは、最も一般的に提供されている飲料カップと一致するので、それ自体で、閉鎖要素130の環状密閉壁150とカップ110の環状内壁との間に良好な密閉が得られる。更に、閉鎖要素130をセルロース系の紙材料又は繊維系の紙材料で作製すると、環状密閉壁の表面に少なくともわずかに粗い表面が提供され、これによって、カップの内壁に対して押圧された場合に高い摩擦が生じる。また、同様にセルロース系の紙材料又は繊維系の紙材料で作製されたカップにこれを取り付けた場合、これにより更に摩擦が増大する。従って、閉鎖要素130がカップ内へ押し込まれた場合、しっかりした密閉が生成される。これは、いくつかの態様では、一度カップに閉鎖要素130が取り付けられたら、使用者がこれを取り外すことが難しいか又はそのために著しい力を必要とするほどである。
【0069】
閉鎖要素130の使用目的は、容器をしっかり密閉し、閉鎖要素130が抜けたり外れたりすることなく、経時的に密閉された状態を保つことである。従って閉鎖要素130は、取り付けた後、例えば内容物を飲むため使用者によって取り外される蓋であることを主な目的としていない。使用者によって内容物を充填すること又は飲むことは、好ましくは注ぎ口160を介して行われる。
【0070】
いくつかの態様において、閉鎖要素130は更に、注ぎ口160を覆うように構成された取り外し可能かつ取り付け可能な蓋要素180を有する。これについては、以下で図5aから図5dに関連付けて更に詳述する。特に、蓋要素180及び注ぎ口160は、蓋要素180が注ぎ口160を覆うように配置された場合に容器100を密閉するよう適合され、容器からこぼれることが本質的に防止されるようになっている。言い換えると、注ぎ口開口は、蓋要素160で覆われた場合にしっかり密閉されるように適合されている。
【0071】
閉鎖要素130がカップと組み合わされた場合、すなわちカップ内へ押し込まれることで取り付けられた場合に形成される容器は、こぼれにくく漏れにくい一方で、飲料を充填して飲むための使い勝手の良い容器を提供する。
【0072】
図3を参照すると、本発明の更に別の態様に従った容器100を形成する閉鎖要素130及びカップ110の例が開示されている。
【0073】
図3において、閉鎖要素130及びカップ110は、図1及び図2に比べて追加の選択的な特徴を含む。
【0074】
閉鎖要素130は、第2の環状壁150の周りに延出する突出縁132を含む。カップ110は、環状密閉壁150を囲むように延出する受容くぼみ112を含み、受容くぼみ112は、閉鎖要素130がカップ110内へ押し込まれた場合に突出縁132を受容するよう構成されている。
【0075】
閉鎖要素130を第1のカップ110内へ押し込む際、使用者には、いつ閉鎖要素130が正しく配置されたか、いつ突出縁132及び受容くぼみ112が結合したかが分かる。また、突出縁132及び受容くぼみ112は容器100を密閉するのに役立ち、より良好で信頼性の高い使用者経験を可能とする。
【0076】
更に、いつ閉鎖要素130が第1のカップ110内部で正しく配置されたかを使用者が明らかに認識できるように、閉鎖要素130の少なくとも一部が第1のカップ110とは対照的な色を有することも考えられる。
【0077】
図4を参照すると、容器100の別の態様の例が開示されている。
【0078】
図4の容器100は第2のカップ170を含む。第2のカップ170は、第1のカップ110を少なくとも部分的に収容するように構成されている。従って、第1のカップ110は第2のカップ170内に配置される。
【0079】
図4の態様は、閉鎖要素130が第1のカップ110を第2のカップ170の方へ押すので有利である。これによりカップ110、170が接触し、これらのカップ間の摩擦が第2のカップ170を第1のカップ110に張り付ける。更に、このように結合した2つのカップは、構造の安定性を増す。
【0080】
また、2つのカップ110、170を備えた態様は、熱い又は冷たい飲料又は物質を入れた場合に使用者のための断熱を増大させる。
【0081】
図5aから図5dを参照すると、本発明の様々な態様に従った、閉鎖要素130上に配置された注ぎ口160の例が開示されている。
【0082】
図5aから図5dの態様において、閉鎖要素130は、注ぎ口160を覆うように配置された蓋要素180を更に含む。蓋要素180は、使用者が容器内に保存された飲料又は粒状物質に到達するため、透過性表面165を貫通するように用いられるよう構成された先鋭部185を含み得る。
【0083】
図5bの態様は、物体が貫通するように構成されたそのような透過性表面165を含む。例えば、蓋180の上部を用いて、透過性表面165に対して先鋭部185を押し付ける。
【0084】
図5cにおいて、注ぎ口160は、注ぎ口160の周りに延出する第1のセットのねじ山162を含み、蓋要素180は第2のセットのねじ山182を含み、蓋要素180は注ぎ口160にねじ留めされるように構成されている。本態様は、蓋要素180を注ぎ口160にねじ留めして再密閉可能にすると共に再び開けることを容易にする点で、有利である。更に、使用者は、蓋要素160が注ぎ口開口の上に配置された場合、こぼさずに容器を持ち歩くことが更に容易になり得る。
【0085】
図5dにおいて、注ぎ口160は、注ぎ口160の周りに延出する突出縁164を含み、蓋要素180は、突出縁164を受容するように構成された受容くぼみ184を含み、蓋要素180は、注ぎ口160上に押し付けられるよう構成されている。本態様は、容器が再密閉可能であると共に再び開けることが容易である点で有利である。
【0086】
また、注ぎ口160及び蓋要素180は、本発明に利用可能かつ適切な他の任意の従来の注ぎ口及び蓋の解決策としてもよい。
【0087】
特定の組み合わせの特徴及び要素について上述したが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素を用いずに単独で、又は、他の特徴及び要素を用いるもしくは用いない様々な組み合わせで、使用することができる。
【0088】
更に、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することから、当業者は、特許請求されている本発明を実施する際に、開示されている実施形態の変形を理解及び実施することができる。特許請求の範囲において、「備える(comprising)」という語は他の要素を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。単に特定の特徴が相互に異なる従属請求項に列挙されているからといって、これらの特徴の組み合わせを有利に使用することができないと示唆されるわけではない。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
【国際調査報告】