(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】検体決定方法及び検知アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20241126BHJP
G01N 33/70 20060101ALI20241126BHJP
G01N 33/62 20060101ALI20241126BHJP
G01N 33/74 20060101ALI20241126BHJP
G01N 33/84 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G01N33/50 X
G01N33/70
G01N33/62
G01N33/74
G01N33/84
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527292
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022081220
(87)【国際公開番号】W WO2023088742
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン マーク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ファン リースハウト ロン マルティヌス ローレンティウス
(72)【発明者】
【氏名】ハイブレッツ ローレンティア ヨハーナ
(72)【発明者】
【氏名】デリモア キラン ハミルトン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ペルサース エドゥアルド ジェラルド マリー
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA13
2G045AA16
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB03
2G045DA04
2G045DA16
2G045DA42
2G045DA54
2G045DB03
2G045DB07
2G045DB09
2G045DB16
2G045JA01
(57)【要約】
ある濃度の検体を持つ非血液の分泌液サンプルを供給するステップを有する方法が提供される。検体は血液において個別に検出可能である。本方法は、非血液の分泌液における検体の絶対量、言い換えると総量の大きさを、前記濃度の如何なる測定とも無関係に決定するステップも有する。さらに、本方法を実施するための検知アセンブリ、及び非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量のそのような大きさと血液における検体の血中濃度との間の相関を決定するための方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある濃度の検体を持つ非血液の分泌液サンプルを供給するステップであって、前記検体は血液において個別に検出可能であり、前記検体はNa
+、Cl
-、H
+、Ca
2+、乳酸、コルチゾール、尿素、又はクレアチニンである、ステップ、及び
前記非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の絶対量の大きさを、前記濃度の如何なる測定とも無関係に決定するステップ
を有する方法。
【請求項2】
前記非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の絶対量の前記決定される大きさに基づいて、血液における前記検体の血中濃度の大きさを計算するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算するステップは、前記血中濃度の大きさと前記絶対量の大きさとの間の相関を使用するステップを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記供給するステップは、所定の時間期間にわたって、被験者の身体から前記非血液の分泌液サンプルを取得するステップを有する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記決定するステップは、前記非血液の分泌液サンプルを、前記検体と選択的に相互作用及び/又は反応するように構成されるキャプチャー種と接触させるステップを有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記決定するステップは、前記検体の単一分子を検出するための単一分子アッセイを使用するステップを有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記検体は、乳酸塩、コルチゾール、尿素又はクレアチニンである、請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記非血液の分泌液サンプルは、汗サンプルである、請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
ある濃度の検体を持つ非血液の分泌液サンプルを受け取るように構成されるサンプリング段であって、前記検体は血液において個別に検出可能であり、前記検体はNa
+、Cl
-、H
+、Ca
2+、乳酸塩、コルチゾール、尿素又はクレアチニンであるサンプリング段、及び
前記非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の絶対量の大きさを、前記濃度の如何なる測定とも無関係に決定するように構成される解析段
を有する、検知アセンブリ。
【請求項10】
前記非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の前記決定された絶対量に基づいて、血液における前記検体の血中濃度の大きさを計算するように構成される処理ユニットを有し、任意選択で、前記処理ユニットは、前記血中濃度の大きさと前記絶対量の大きさとの間の相関を使用して、前記検体の血中濃度の前記大きさを計算するように構成される、請求項9に記載の検知アセンブリ。
【請求項11】
前記サンプリング段は、所与の時間期間にわたって前記非血液の分泌液サンプルを受け取るように構成される、及び/又は
前記サンプリング段は、前記非血液の分泌液サンプルを受け取るように、被験者の身体上又は内に配置可能である、
請求項9又は請求項10に記載の検知アセンブリ。
【請求項12】
前記分析段は、前記検体と選択的に相互作用及び/又は反応するように構成される過剰のキャプチャー種を有し、前記過剰のキャプチャー種は、前記非血液の分泌液サンプルと接触するように構成される、請求項9乃至11の何れか一項に記載の検知アセンブリ。
【請求項13】
前記検体は、乳酸塩、コルチゾール、尿素又はクレアチニンである、及び/又は、
前記非血液の分泌液は、汗である、
請求項9乃至12の何れか一項に記載の検知アセンブリ。
【請求項14】
請求項9乃至13の何れか一項に記載の検知アセンブリを有する、ウェアラブル物品。
【請求項15】
複数の血液サンプルを供給するステップ、
前記複数の血液サンプルの各々に対し、被験者から前記複数の血液サンプルの1つを取得しているとき、被験者から取得される非血液の分泌液サンプルを供給するステップであって、前記非血液の分泌液サンプルの各々は、ある濃度の検体を持ち、前記検体は、Na
+、Cl
-、H
+、Ca
2+、乳酸塩、コルチゾール、尿素、クレアチニンである、ステップ、
前記非血液の分泌液サンプルの各々に対し、夫々の前記非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の絶対量の大きさを、前記夫々の非血液の分泌液サンプルにおける検体の前記濃度の如何なる測定とも無関係に決定するステップ、
前記血液サンプルにおける前記検体の血液濃度の大きさを供給するステップ、並びに
前記非血液の分泌液サンプルの各々における前記検体の絶対量の前記決定される大きさ、及び前記血液サンプルの各々における前記検体の血中濃度の前記決定される大きさを使用して、前記検体の絶対量の前記大きさと前記検体の血中濃度との間の相関を決定するステップ
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体が、例えば汗サンプルのような非血液の分泌液(bodily secretion)サンプルにある、検体決定方法と、そのようなサンプルを使用して前記方法を実施するための検知アセンブリに関する。
【0002】
本発明はさらに、前記非血液の分泌液サンプルを用いて決定される検体の尺度から、その検体の血中濃度を決定するのに使用される相関を決定する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
疾患/健康状態及び良好な状態(well-being)を示す、バイオマーカーの非侵襲的で、半連続的な長期的モニタリングは、例えば、脱水、ストレス、睡眠、子供の健康のモニタリング及び術中モニタリングに必要とされている。
【0004】
汗、涙液及び唾液は、全て非侵襲的に取得される。汗は、特に入手可能な生体液(biofluid)であり、被験者の生理代謝学に関する豊富な情報源である。
【0005】
汗の臨床的に意義のある成分の幾つかの例は、脱水をモニタリングするためのNa+、Cl及び/又はK+、(敗血症に関連する)炎症に対する早期警報としての乳酸塩、糖尿病及び新生児のためのグルコース、並びに睡眠時無呼吸及びストレスのモニタリングに関連するコルチゾールである。
【0006】
汗バイオマーカーのモニタリングデバイスを使用して、例えば、重篤な慢性疾患の患者、術前又は術後の患者及び高齢者のような高リスク患者を連続的にモニタリングすることは、複数の血液サンプルを繰り返し取得することによって通常行われるような、定期的なバイオマーカーの抜き取り検査(スポットチェック)よりも高品質の診断情報を供給することができる。そのような連続的なモニタリングは、病院又は他の場所で行うことができる。人間の汗のみ、又は皮脂脂質との混合物として人間の汗は、ウェアラブルな皮膚接触(on-skin)デバイスにおけるバイオマーカー測定のために、容易に入手可能な供給源である。例えば、コレステロールは、心血管疾患の進行におけるリスク上昇に関連する重要なバイオマーカーである。例えばインターロイキン(interleukin)(例えば、TNF-a、IL-6)のような炎症マーカー又はサイトカインは、免疫反応、並びに関節リウマチ、乾癬性関節炎及び腸疾患における関節障害の検出又は病勢モニタリングにおいて重要な役割を果たす。
【0007】
適切なキャプチャー種(抗体、アプタマー(aptamer)、分子インプリントポリマー(molecularly imprinted polymer)など)を使用してエクリン汗/アポクリン汗において検出することができるバイオマーカーの例は、例えば、尿素、クレアチニン、コレステロール、トリグリセリド(中性脂肪)、ステロイドホルモン(コルチゾール)、グルコース(ブドウ糖)、メラトニンのような小分子、例えば、IL-lalpha、IL-lbeta、IL-6、TNF alpha、IL-8及びTGF-beta IL-6のようなサイトカインを含むペプチド及びタンパク質、例えば、DNAse I、リゾチーム、Zn-α2糖タンパク質(Zn-α2-glycoprotein)、システインリッチ分泌タンパク質3(cysteine-rich secretory protein-3)及びダームシジンのようなシステインプロテアーゼ、並びに例えば、C型肝炎ウイルスのような大型バイオマーカーである。
【0008】
Mena-Bravo and de Castro in “Sweat: A sample with limited present applications and promising future in metabolomics”, J. Pharm. Biomed. Anal. 90, 139-147 (2014)によって要約されるように、分析のために十分な汗を出させることの難しさ、サンプルが蒸発するという問題、適切なサンプリングデバイスが無いこと、訓練を受けたスタッフの必要性、及びサンプリングされる量の正規化に関する問題に関して、従来の汗検知技術に対して不満があった。さらに、汗検知の結果は、かなりばらつきがあることが分かっていて、様々なバイオマーカーにとって、血液から決定される値と、汗サンプルから決定される値との相関が失われているように思われる。この点に関して、この分野における歴史的考察は、例えば、バッグ又は布地に大量の汗を集めるような比較的雑なサンプリング技術を含んでいた。このような技術の欠陥が、この明らかな相関の欠如の一因となっている可能性がある。
【0009】
皮膚から汗が出てくるとき、ウェアラブルセンサをほぼ即座にその汗と接触させることによって、これらの問題に対処するための努力がなされてきた。最近の例は、Gao他著、“Fully integrated wearable sensor arrays for multiplexed in situ perspiration analysis”, Nature 529, 509-514 (2016)に示されるウェアラブルパッチである。このパッチは、Na+、K+、ブドウ糖、乳酸塩及び皮膚温を測定するためのセンサアレイを含む。しかしながら、この研究の焦点は、センサ自体の開発及び統合にあり、このことが重要なのは明らかであるが、汗サンプルの収集に関する問題には対処していない。後者は、主に、皮膚とセンサとの間に数平方センチメートル(cm2)の大きさの吸収性パッドを配することによって行われている。十分な汗が生成されるのであれば(故に、試験は運動している人々に対して行われる)、パッドは、分析のために汗を吸収し、新しく生成される汗が、パッドを補充し、古い汗を“洗い流す”という仮定である。しかしながら、センサの時間応答特性は、蓄積効果のせいで、経時的なバイオマーカーの実際のレベルを直接反映しない可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
サンプルの収集及び公表されたセンサへの提示は、長期間にわたる連続的な信頼性のある検知が困難であるように、うまく制御されない場合がある。そのようなパッチは、通常の状態で生成されるわずかな量の汗、すなわち、1汗腺当たり、毎分サブナノリットルからナノリットルのオーダーを処理するように設計がされていない場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、独立請求項によって定義される。従属請求項は、有利な実施形態を定義する。
【0012】
一態様によれば、ある濃度の検体を持つ非血液の分泌液サンプルを供給するステップであって、前記検体は血液において個別に検出可能である、ステップ、及び前記非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の絶対量の大きさを、前記濃度の如何なる測定とも無関係に決定するステップを有する方法が提供される。
【0013】
本開示は、非血液の分泌液サンプルにおける検体の濃度を使用するシナリオに比べ、血液における検体の血中濃度と、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさとの間において、より信頼性のある相関が確立されるという洞察に基づく。
【0014】
特に、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量は、この非血液の分泌液サンプルにおける検体の濃度の如何なる測定とも無関係に決定されるので、非血液の分泌液サンプルの量を測定し、この測定される量を使用して検体の濃度を導出する必要がなくてもよい。重要なことは、非血液の分泌液サンプルの量の変動とは無関係に、検体決定測定を行うことである。
【0015】
幾つかの実施形態において、本方法は、前記非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の前記決定された大きさに基づいて、血液における検体の血中濃度の大きさを計算するステップをさらに有する。
【0016】
検体の血中濃度は、臨床基準(clinical standard)とみなされる傾向があり、例えば、ミリモル/リットル(mM/l)又はマイクロモル/リットル(μM/l)で表すことができる。非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の決定される大きさは、この検体の血中濃度の代用として使用することができる。
【0017】
前記計算するステップは、前記血中濃度の大きさと、前記絶対量の大きさとの間の相関を使用するステップを有することができる。この相関は、例えば、ルックアップテーブル、分析関数又は同様の形態とすることができる。
【0018】
少なくとも幾つかの実施形態において、非血液の分泌液サンプルを供給するステップは、所定の時間期間にわたって被験者の身体から非血液の分泌液サンプルを取得するステップを有する。
【0019】
前記所与の時間期間は、非血液の分泌液サンプル及び検体の種類に応じて設定される。この所与の時間期間は、非血液の分泌液サンプルにおいて決定される検体の絶対量の大きさが、この検体の血中濃度と確実に相関可能であるように設定される。
【0020】
所与の時間時間は、例えば、5分~24時間、例えば、5分~90分、例えば、10~60分、例えば、約15、約30又は約60分の範囲とすることができる。
【0021】
汗を非血液の分泌液とする場合、上記範囲における所与の時間期間は、血液から間質液を介して検体/バイオマーカーが拡散するのに必要とされる上述した時間を分散させるのに役立つ。これは、この拡散時間の影響を無視できるほどにするのに役立つ。
【0022】
非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを、この非血液の分泌液サンプルにおける検体の濃度とは無関係に決定するための任意の適切な総分析技術が使用される。
【0023】
非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさは、例えば、グラム又はモルで表される値でもよい。
【0024】
幾つかの実施形態において、前記決定するステップは、前記非血液の分泌液サンプルを、前記検体と選択的に相互作用及び/又は反応するように構成されるキャプチャー種と接触させるステップを有する。
【0025】
代替的に又は追加的に、前記決定するステップは、検体の単一分子を検出するための単一分子アッセイ(single molecule assay)を使用するステップを有する。
【0026】
そのような単一分子アッセイ、例えば、単一分子イムノアッセイ(single molecule immunoassay)を使用する前記決定するステップは、検体の検出される分子の数をカウントするステップを有する。このようにして、検体の絶対量の測定を行うことができる。
【0027】
キャプチャー種は、関心のある検体に従って選択される。キャプチャー種と、小分子検体、例えば、乳酸塩、尿素、クレアチニン及びコルチゾールとの間の選択的な相互作用及び/又は反応は、例えば、アプタマー又は分子インプリントポリマーをキャプチャー種として使用して達成することができる。
【0028】
幾つかの実施形態において、検体は、Na+、Cl-、K+、NH4
+、H+、Ca2+、乳酸塩、エタノール、コルチゾール、ブドウ糖、尿素又はクレアチニンである。その濃度が非血液の分泌液サンプルの分泌/排出速度に依存している、及び/又はその濃度の分泌/排出速度への依存が現在分かっていない検体、言い換えると、バイオマーカーは、特に関心があり、言い換えると、それらは、非血液の分泌液が汗である事例において、Na+、Cl-、H+、乳酸塩、コルチゾール、尿素及びCa2+である。
【0029】
さらに、臨床的に意義のある測定値を得るために、特定の時間枠で測定される検体/バイオマーカーが存在する。その例は、例えば、尿素、クレアチニン、NH4
+のような腎臓マーカーである。
【0030】
非血液の分泌液としての汗の臨床的に意義のある成分のさらなる幾つかの例は、脱水をモニタリングするためのNa+、Cl-及び/又はK+、(敗血症に関連する)炎症に対する早期警報としての乳酸塩、糖尿病及び新生児のためのグルコース、並びに睡眠時無呼吸及びストレスモニタリングに関連するコルチゾールである。
【0031】
少なくとも幾つかの実施形態において、非血液の分泌液サンプルは、非血液の体液サンプルである。
【0032】
この非血液の分泌液サンプルは、汗サンプルでもよい。或いは、この非血液の分泌液サンプルは、唾液サンプル又は涙液サンプルとすることができる。
【0033】
別の態様によれば、ある濃度の検体を持つ非血液の分泌液サンプルを受け取るように構成されるサンプリング段であって、前記検体は血液において個別に検出可能であるサンプリング段と、前記非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の絶対量の大きさを、前記濃度の如何なる測定とも無関係に決定するように構成される分析段とを有する、検知アセンブリが提供される。
【0034】
幾つかの実施形態において、前記検知アセンブリは、前記非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の決定された絶対量に基づいて、血液における前記検体の血中濃度の大きさを計算するように構成される処理ユニットをさらに有する。
【0035】
前記処理ユニットは、例えば、前記検体の血中濃度の大きさと前記絶対量の大きさとの間に確立される相関を使用して、血中濃度の大きさを計算するように構成される。
【0036】
幾つかの実施形態において、前記サンプリング段は、所与の時間期間にわたって前記非血液の分泌液サンプルを受け取るように構成される。方法に関して上述したように、所与の時間期間は、例えば、5分~24時間、例えば、5分~90分、例えば、10~60分のような範囲、例えば、約15、約30又は約60分とすることができる。
【0037】
代替的に又は追加的に、前記サンプリング段は、非血液の分泌液サンプルを受け取るように、被験者の身体上又は内に配置可能である。
【0038】
前記サンプリング段は、例えば、所与の時間期間にわたって前記非血液の分泌液サンプルを収集するための収集部材を有することができる。
【0039】
非限定の例において、前記収集部材は、所与の時間期間にわたって被験者の身体の領域から前記非血液の分泌液サンプルを受け取り、吸収するための吸収性材料を有する。
【0040】
別の非限定の例において、前記収集部材は、非血液の分泌液サンプルがそれを通過する、例えば、通過させるように配される膜を有する。この膜は、検体を捕捉するために活性化され、この捕捉される検体は、例えば後日のように、後続する絶対量の決定に利用可能である。そのような膜の活性化は、任意の適切な方法で、例えば、検体を選択的に結合するように構成される分子インプリントポリマーを有する膜によって実施することができる。
【0041】
幾つかの実施形態において、前記分析段は、検体と選択的に相互作用及び/又は反応するように構成されるキャプチャー種を有し、このキャプチャー種は、非血液の分泌液サンプルと接触するように配される。
【0042】
代替的に又は追加的に、前記分析段は、複数の別個の検知領域を有し、各々の検知領域は、検体の単一分子を検出するように配される。
【0043】
そのような実施形態において、前記分析段は、例えば、別個の検知領域の各々によって検出された検体の単一分子の数をカウントし、それによって、非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の絶対量の大きさを決定するように構成されるカウンタ装置を含むこともできる。
【0044】
方法に関して上述したように、前記検体は、Na+、Cl-、K+、NH4
+、H+、Ca2+、乳酸塩、エタノール、コルチゾール、ブドウ糖、尿素又はクレアチニンとすることができる。
【0045】
代替的に又は追加的に、前記非血液の分泌液サンプルは、汗サンプルである。或いは、前記非血液の分泌液は、唾液又は涙液とすることができる。
【0046】
さらに別の態様によれば、上述した実施形態の何れかによる検知アセンブリを有するウェアラブル物品が提供される。このウェアラブル物品は、例えば、前記サンプリング段を被験者の身体に固定するための固定要素をさらに有することができる。そのような固定要素は、例えば、前記サンプリング段を被験者の身体に取り付けるのに適切な生体適合性接着剤及び/又はストラップを有することができる。
【0047】
さらなる態様によれば、
複数の血液サンプルを供給するステップ、
前記複数の血液サンプルの各々に対し、被験者から前記複数の血液サンプルの1つを取得しているとき、前記被験者から取得される非血液の分泌液サンプルを供給するステップであって、前記非血液の分泌液サンプルの夫々は、ある濃度の検体を持っている、ステップ、
前記非血液の分泌液サンプルの各々に対し、夫々の前記非血液の分泌液サンプルにおける前記検体の絶対量の大きさを、前記夫々の非血液の分泌液サンプルにおける前記濃度の如何なる測定とも無関係に決定するステップ、
前記血液サンプルの各々における前記検体の血中濃度の大きさを供給するステップ、並びに
前記非血液の分泌液サンプルの各々における前記検体の絶対量の決定された大きさ、及び前記血液サンプルの各々における前記検体の血中濃度の決定された大きさを使用して、前記検体の絶対量の大きさと前記検体の血中濃度との間の相関を決定するステップ
を有する方法が提供される。
【0048】
相関を決定する方法に関連して本明細書に記載される実施形態は、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを決定する検知アセンブリ及び方法に応用可能である。同様に、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを決定する検知アセンブリ及び方法に関連して本明細書に記載される実施形態は、前記相関を決定する方法に応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、非限定の例として、より詳細に説明される。
【
図1】
図1は、一例による方法のフローチャートを提供する。
【
図2】
図2は、一例による検知アセンブリを概略的に示す。
【
図3】
図3は、非血液の分泌液サンプルを収集するためのサンプリング段を概略的に示す。
【
図4】
図4は、別の例によるサンプリング段を概略的に示す。
【
図5】
図5は、粒子の核がキャプチャー種を有するコアシェル型粒子を概略的に示す。
【
図6】
図6は、ナノ細孔を持つキャリアを有する分析段を概略的に示す。
【
図7】
図7は、汗サンプルにおける乳酸塩の絶対量対血液における乳酸塩の濃度のグラフを提供する。
【
図8】
図8は、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさと血液における検体の血中濃度との間の相関を決定するための方法のフローチャートを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、これら説明及び例は、単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら並びに他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は単なる概略図であり、これら図面は、縮尺どおりに描かれていないことを理解されたい。同じ又は類似の部分を示すために、これら図面を通じて、同じ参照番号が使用されることも理解されたい。
【0051】
ある濃度の検体を有する非血液の分泌液サンプルを供給するステップを有する方法が提供される。この検体は、血液において個別に検出可能である。前記方法は、前記濃度の如何なる測定とも無関係に、この非血液の分泌液サンプルにおける、前記検体の絶対量、言い換えれば総量の大きさを決定するステップも有する。さらに、前記方法を実施するための検知アセンブリ、及び非血液の分泌液サンプルにおけるそのような前記検体の総量の大きさと、血液中の前記検体の血中濃度との間の相関を決定する方法を提供する。
【0052】
血液と非血液の分泌液との両方に存在する検体、言い換えると、バイオマーカーの場合、そのような非血液の分泌液の検体含有量の大きさを、その検体の血中濃度の代用として使用することが望ましい。
【0053】
検体の血中濃度は、臨床基準とみなされる傾向がある。しかしながら、例えば、汗、唾液、涙液のような非血液性の分泌液は、血液サンプルを取得するよりも低い侵襲性で取得することができる。代替的に又は追加的に、そのような非血液の分泌液をサンプリングすることは、特に医療環境外での、被験者の長期間のモニタリングを容易にすることができる。検体の血中濃度の代用として、このような非血液の分泌液の検体含有量を利用する際の重要な課題は、この非血液の分泌液における検体の濃度が、前記検体の血中濃度と確実に相関していないことである。
【0054】
例えば、汗を非血液の分泌液とする場合、特定のバイオマーカーの濃度は、発汗速度に依存することが分かっている。汗に存在する選択されるバイオマーカーと、発汗速度に対するこれらバイオマーカーの現在分かっている依存性を表1に示す。
【表1】
【0055】
汗腺に受動的に入ることができるバイオマーカーの場合、かなり大量の汗が生成されるため、かなり高い発汗速度で希釈が起こる。そのようなバイオマーカーの例は、グルコース、エタノール及びコルチゾールである。例えば、尿素の場合、かなり低い発汗速度で、血液との弱い相関を観察することができる。
【0056】
発汗速度は、バイオマーカーよりも素早く変化し、他の分子が汗の中に入り込む可能性があるので、汗における全ての分子の濃度は、原則的に上述した希釈の影響を受ける。加えて、幾つかの分子については、1つ以上の追加の要因が、汗におけるそれら分子の濃度に影響を及ぼす可能性がある。汗で測定されるバイオマーカーの濃度と、このバイオマーカーの血中濃度との間の相関は、(i)汗が汗管から出るとき、汗からのバイオマーカー(例えば、Na+/Cl-)を再吸収することが、バイオマーカー濃度の不正確な測定の原因となることが知られているメカニズムであり、そのような再吸収は、汗腺から汗孔までの汗管全体に沿って起こり得ることに留意されたい、(ii)バイオマーカー自身を生成する腺細胞による、バイオマーカー(例えば、乳酸塩)の生成、及び(iii)バイオマーカーが血液から間質液を介して汗腺に拡散するのに要する時間の影響をさらに受ける可能性がある。(iii)に関して、バイオマーカーは、特に、濾過によって引き起こされる(下記参照)、血液から間質液及び汗腺に向けてのバイオマーカーの動きによって汗から再吸収される可能性がある。
【0057】
しばしばバルクフロー(bulk flow)と呼ばれる、毛細血管床に入る及び毛細血管床から出る流体の質量移動は、2つの圧力駆動型の機構、つまり、
1)濾過を介した、毛細血管床におけるより高い圧力の領域から、組織におけるより低い圧力の領域へ移動する値流体の量、及び
2)再吸収を介した、組織におけるより高い圧力の領域から、毛細血管におけるより低い圧力の領域内への流体の移動
を伴うと考えられている。2つの種類の圧力、つまり静水圧と浸透圧とが相互作用して、これらの移動の夫々を引き起こす。
【0058】
毛細血管と組織との間の流体輸送を引き起こすための主な力は、静水圧であり、この力は、空間内に封入される任意の流体の圧力として定義することができる。血液の静水圧は、血管又は心腔内に閉じ込められた血液によってもたらされる力である。さらにより具体的には、血液によって毛細血管の壁にもたらされる圧力は、毛細血管静水圧(CHP)と呼ばれ、毛細血管の血圧と同じである。CHPは、流体が毛細血管を出て、組織内に入ることを引き起こす力である。
【0059】
流体が毛細血管を出て組織内に移動すると、それに対応して、間質液における静水圧が上昇する。この対向する静水圧は、間質液静水圧(IFHP)と呼ばれる。一般に、リンパ管は、組織から過剰な量の流体を継続的に吸収しているため、動脈の経路に起因するCHPは、IFHPよりもかなり高い。従って、流体は、一般に、毛細血管から間質液内に移動する傾向がある。このプロセスは濾過と呼ばれる。
【0060】
毛細血管での濾過及び再吸収は、スターリング仮説(Starling hypothesis)に記載されるように、静水圧及び浸透圧の平衡に従って起こる。
濾過の力(Filtration force)=k[(Pc+πi)-(Pi+πc)]
【0061】
ここで、kは、透過係数、Pcは、毛細血管における静水(血)圧、πiは、間質液における膠質浸透圧、Piは、間質液の静水圧、及びπcは、毛細血管における血漿蛋白質からの膠質浸透圧である。なお、Pc及びPiは、“正圧”であり、πi及びπcは、(浸透作用により生成される)“負圧”である。赤血球は血流中に残るので、濾過という用語が用いられるが、幾つかの生体分子は間質液中に移行する。
【0062】
特定のバイオマーカー、例えば、ステロイドホルモン(コルチゾール、テストステロンなど)及び親水性薬物(メチルキサンチン、レボドパ、エタノールなど)のような低親油性(疎水性)検体は、汗濃度と血中濃度との間に比較的強い相関を示すことに留意されたい。そのようなバイオマーカーは、親油性の細胞膜を介して経細胞的に仕切られていることが知られているが、例えば、グルコースなどのような、より大きい及び/又はより親水性の検体は、細胞間(paracellular)ルート、アクティブチャネル又は小胞(vesicular)/エクソソーム(exosome)を介して汗に入ると推測され、これが、汗濃度-血中濃度の相関を供給しようとする試みを混乱させる。さらに、例えば、ペニシリン、イブプロフェン及びアモキシシリンのような親水性薬物は、希釈される可能性が高い。
【0063】
上記の問題を緩和するために、本開示は、非血液の分泌液サンプル、例えば汗サンプルにおける検体の絶対量の大きさを、この非血液の分泌液サンプルにおける検体の濃度の如何なる測定とも無関係に決定する方法及び装置を提供する。
【0064】
非血液の分泌液サンプルにおける検体の濃度を使用するシナリオと比較して、検体の血中濃度と、例えば、所与の時間期間に収集された、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の、このようにして決定された大きさとの間において、より信頼の高い相関を確立することができる。
【0065】
特に、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量は、この非血液の分泌液サンプルにおける検体の濃度の如何なる測定とも無関係に決定されるので、非血液の分泌液サンプルの量を測定し、この量を使用してバイオマーカーの濃度を導出する必要がない。重要なことは、非血液の分泌液サンプルの量の変化に左右されない、検体を決定する測定を行うことである。
【0066】
非血液の分泌液サンプルの代表例として汗サンプルを用いると、運動負荷が増えるにつれて、所与の検体の血中濃度は増大することに留意されたい。しかしながら、同時に、(生成される汗の量が増大することによる上述した希釈によって)汗検体の濃度は、減少する。しかしながら、運動負荷が増えるにつれて、生成される汗の量も増大し、この量の増大は、汗検体の濃度の減少を上回る可能性がある。結果として、汗サンプルにおける検体の絶対量、言い換えれば総量(すなわち、濃度を乗じた量)も運動負荷とともに増える可能性があり、従って、血液量が一定のままであることに留意して、血中濃度と相関させることができる。
【0067】
そのような汗サンプルの場合、汗の量は、能動汗腺の数、1汗腺あたりの発汗速度、及び汗腺が活性化している時間期間(すなわち、量=発汗速度×能動汗腺の数×活性化時間)に関連することにも留意されたい。
【0068】
少なくとも幾つかの実施形態において、所与の時間期間中に、特定の基準身体領域から、例えば、汗をサンプリングする場合は皮膚の領域から取得される、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさが決定される。
【0069】
幾つかの実施形態において、本明細書において以下により詳細に記載されるように、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量のそのような大きさは、次いで、この検体の血中濃度と比較又は相関される。
【0070】
図1は、一例による方法100のフローチャートを提供する。この方法100は、ある濃度の検体を持つ非血液の分泌液サンプルを供給するステップ102を有する。方法100は、前記非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを、前記濃度の如何なる測定とも無関係に決定するステップ104をさらに有する。
【0071】
非血液の分泌液サンプルに含まれる可能性のある検体が、被験者の血液においても検出可能であるならば、この非血液の分泌液は、この任意の適切な非血液の分泌液である。従って、非血液の分泌液における検体の絶対量の大きさは、血液における前記検体の血中濃度の代用として使用することができる。
【0072】
幾つかの実施形態において、前記非血液の分泌液は、汗、唾液又は涙液である。特に、汗に関して言うと、この生物流体の入手のし易さ、並びに汗に含まれる検体が被験者の生理学及び代謝との関連している。
【0073】
検体は、例えば、Na+、Cl-、K+、NH4
+、H+、Ca2+、乳酸塩、エタノール、コルチゾール、ブドウ糖、尿素及びクレアチニンである。
【0074】
重要なことは、非血液の分泌液サンプルの量の変動に左右されない、検体決定測定を行うので、例えば、表1に列挙される検体/バイオマーカーで、その濃度が分泌/排出速度に依存性がある及び/又はその濃度の分泌/排出速度の依存性が現在分かっていないものは、特に関心があり、言い換えると、Na+、Cl-、H+、乳酸塩、コルチゾール、尿素及びCa2+である。
【0075】
さらに、臨床的に意義のある測定値を得るために、特定の時間枠で測定される検体/バイオマーカーが存在する。例は、例えば、尿素及びクレアチニンのような腎臓マーカーである。
【0076】
非限定の実施形態において、汗サンプルにおけるクレアチニン、尿素及び/又はNH4
+の絶対量の決定は、例えば24時間にわたってモニタリングされるような、尿における同じ老廃物の決定に置き替えることができる。
【0077】
非血液の分泌液としての汗の臨床的に意義のある成分の幾つかのさらなる例は、脱水をモニタリングするためのNa+、Cl-及び/又はK+、(敗血症に関連する)炎症に対する早期警報としての乳酸塩、糖尿病及び新生児のためのグルコース、並びに睡眠時無呼吸及びストレスモニタリングに関連するコルチゾールである。
【0078】
図2は、一例による検知アセンブリ200を概略的に示す。検知アセンブリ200は、非血液の分泌液サンプルを受け取るように構成されるサンプリング段202と、この非血液の分泌液サンプルにおける検体の濃度の如何なる測定とも無関係に、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを決定するように構成される分析段204とを有する。
【0079】
少なくとも幾つかの実施形態において、前記供給するステップ102は、所与の時間期間にわたって、被験者の身体のある領域から、言い換えると基準領域から、非血液の分泌液サンプルを取得する、言い換えると収集するステップを有する。
【0080】
この所与の時間期間は、非血液の分泌液サンプル及び検体の種類に応じて設定される。その時間は、非血液の分泌液サンプルにおいて決定される検体の絶対量の大きさが、その検体の血中濃度と確実に相関し得るように設定される。
【0081】
前記所与の時間期間は、例えば、5分から24時間、例えば、5分~90分、例えば、10~60分の範囲、例えば、約15、約30又は約60分とすることができる。
【0082】
汗を非血液の分泌液とする場合、そのような所与の時間期間は、検体/バイオマーカーが血液から間質液を介して拡散するのに必要とされる上述した時間を広げるのに役立つ可能性があり、従って、この拡散時間の影響を無視できるようにするのに役立つ。
【0083】
図2を参照すると、サンプリング段202は、例えば、前記所与の時間期間にわたって被験者の身体208の領域206から非血液の分泌液サンプルを受け取るように、この被験者の身体上又は内に配置可能である。
【0084】
非血液の分泌液が汗である例において、サンプリング段202は、汗サンプルを被験者の皮膚から収集するために、この被験者の皮膚上又はその近位に配置することが可能である。
【0085】
より一般的には、検知アセンブリ200は、ウェアラブル物品に含まれてもよい。このウェアラブル物品は、例えば、被験者の身体にサンプリング段を固定するための固定要素(図示せず)をさらに有してもよい。そのような固定要素は、例えば、被験者の身体にサンプリング段を取り付けるための適切な生体適合性接着剤及び/又はストラップを有することができる。
【0086】
幾つかの実施形態において、前記供給するステップ102は、収集部材210を使用して非血液の分泌液サンプルを収集するステップを有する。そのような収集部材210は、例えば、検知アセンブリ200のサンプリング段202に含まれることができる。
【0087】
幾つかの実施形態において、収集部材210は、前記所与の時間期間にわたって被験者の身体208の領域206から非血液の分泌液サンプルを受け取り、吸収するための吸収性材料212を有する。次いで、このようにして収集された非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさは、本明細書において以下により詳細に記載されるように、決定される(104)。
【0088】
例えば、
図2に示されるような幾つかの実施形態において、収集部材210は、吸収性材料212、及びさらなる所定の時間期間にわたってさらなる非血液の分泌液サンプルを受け取り、吸収するためのさらなる吸収性材料214を有する。収集部材210は、非血液の分泌液サンプルを収集する吸収性材料212が、さらなる吸収性材料214に置き換えられて、さらなる吸収性材料214がさらなる非血液の分泌液サンプルを受け取り、吸収することができるように構成されてもよい。
【0089】
より一般的には、サンプリング段202は、前記所与の時間期間が経過すると、吸収性材料212が、非血液の分泌液サンプルが収集される身体208の領域206から離れるよう移動させるように構成される、例えば、回転可能なドラムを有する機構216を有してもよい。
【0090】
幾つかの実施形態において、この機構216は、吸収性材料212が、非血液の分泌液が収集される身体208の領域206から離れ、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさが決定される(104)分析段204に移動するように構成される。
【0091】
図2に示される非限定の実施例において、機構216は、吸収性材料212を身体208の領域206から離れるよう移動させるだけでなく、上述したさらなる吸収性材料214を、吸収性材料212によって空いた身体208の領域206に移動させることもできる。
【0092】
収集部材210が吸収性材料212及びさらなる吸収性材料214を有する実施形態において、吸収性材料212に収集される非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の決定104は、さらなる吸収性材料214がさらなる非血液の分泌液サンプルを収集している間に実施される。この実施例が
図2に示される。
【0093】
特定の非限定の実施例において、収集部材210は、吸収性材料及びさらなる吸収性材料として濾紙を有する。そのような実施例において、上述した吸収性材料212に対応する濾紙の一部が、所与の時間期間に、非血液の分泌液サンプル、例えば汗サンプルを収集することができる。その後、この濾紙の一部は、例えば、上述した機構216によって分析段204に移される一方、上述したさらなる吸収性材料214に対応する、前記濾紙のさらなる一部が、さらなる非血液の分泌液サンプル、例えば汗サンプルを収集する。
【0094】
濾紙のこれら一部は、例えば、別個でもよく、言い換えると、互いに分離していてもよい。他の実施例において、濾紙のこれら一部は、連続ロールに含まれてもよく、このロールから、濾紙の未使用部分が、非血液の分泌液が収集される本体208の領域206に連続してさらされる。
【0095】
幾つかの実施形態において、収集部材210は、非血液の分泌液サンプル、例えば汗が通過する、例えば通過させるように配される膜を有する。
【0096】
この膜は、検体を捕捉するように活性化され、この捕捉された検体は、例えば、後日、絶対量の後続する決定104のために利用可能である。そのような膜の活性化は、例えば、検体を選択的に結合するように構成された分子インプリントポリマーを有する膜によって、任意の適切な方法で実施することができる。
【0097】
例えば、乳酸塩及びコルチゾールを選択的に結合するための分子インプリントポリマーが知られている。例えば、Alizadeh他著、Taianta 192 (2019) 103-111, and Parlak et al., Sci. Adv. 2018; 4 eaar2904を参照されたい。
【0098】
非血液の分泌液サンプルにおける検体の濃度の如何なる測定とも無関係に、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを決定するステップ(104)は、例えば、非血液の分泌液サンプルを、検体と選択的に相互作用する及び/又は反応するように構成されるキャプチャー種と接触させることによって、任意の適切な方法で実施することができる。
【0099】
キャプチャー種Bを用いた成分Aの測定値の典型的な決定104は、A+B→ABと表すことができる。そのような測定は、a)例えば、キャプチャー種の量を増大させること及び/又は検体とより強く結合するようにキャプチャー種を変更すること、若しくは一旦形成されたABをA+Bから遠ざけることにより、ABに対する反応を優勢にすることによって、非血液の分泌液サンプルの量と無関係にすることができる。代替の手法は、b)例えば、AからABへの起こるサイズ、立体配座及び/又は電荷の変化を使用することにより、ABのA+Bへの復元を最小化又は防止することである。
【0100】
より一般的には、キャプチャー種は、関心のある検体により選択される。キャプチャー種と、例えば、乳酸塩、尿素、クレアチニン及びコルチゾールのような、小分子検体との間の選択的な相互作用及び/又は反応は、例えば、アプタマー又は分子インプリントポリマーをキャプチャー種として使用して達成することができる。
【0101】
コルチゾールを結合するためのキャプチャー種として作用することができる抗体が知られていることにさらに留意されたい。例えば、Torrente-Rodriguez他著、Matter 2, 921-937, 2020を参照されたい。
【0102】
幾つかの非限定の実施例において、キャプチャー種は、酵素でもよいし、又は酵素を有してもよい。そのような酵素は、検体に選択的に結合することができ、幾つかの例において、化学反応で検体を変換する。この結合、及び幾つかの例では反応を、決定104において使用することができる。例えば、乳酸塩は、乳酸デヒドロゲナーゼによって選択的に結合及び変換される。
【0103】
検体がイオンである場合、キャプチャー種は、イオン選択膜、例えば、イオン選択電極に組み込まれたイオン選択膜の形態でもよい。
【0104】
幾つかの非限定の例において、特定のイオン、例えばナトリウムイオンの結合による電荷の変化が、キャプチャー種の立体配座及び/又は電荷を変化させる。この変化を使用して、A+B→ABの平衡をAB側に押しやる。
【0105】
幾つかの実施形態において、検知アセンブリ200の分析段204は、キャプチャー種を含む検知素子を有してもよい。
【0106】
決定104においてキャプチャー種を使用する実施形態において、非血液の分泌液サンプル、例えば汗サンプルの全部又は略全てが、分析段204の検知要素に供給されてもよい。
【0107】
この検知要素は、例えば、キャプチャー種がその上に設けられる、例えば、固定化され、及びその上を非血液の分泌液サンプルが流れる、又は幾つかの例において、検体の全て又は略全てが非血液の分泌液サンプルから離れて、キャプチャー種によって捕捉されるまで、非血液の分泌液サンプルがその上を循環するかの何れかであるキャプチャー面を有してもよい。
【0108】
バイオマーカーの量は、検体のキャプチャー面との相互作用及び/又は反応を測定するための任意の公知の方法、例えば、電気的、光学的及び/又は磁気的な測定手法よって確認することができる。
【0109】
決定104を繰り返し行うために、かなり過剰なキャプチャー種をキャプチャー面上に供給する、又はキャプチャー面が補充処理を受けることが必要であることに留意されたい。そのような補充処理の例は、WO2020/099570A1に記載されている。
【0110】
或いは、分析段204において、捕捉される検体の絶対量を決定する(104)前に、全で又は略全ての検体が、収集部材210、例えば上述した膜によって収集される。
【0111】
そのような実施形態において、分析段204は、検体の絶対量を決定するための任意の適切な分析原理を使用することができる。決定104は、例えば、検体がキャプチャー種から遊離した後に行うことができる。
【0112】
例えば、クロマトグラフィー技術(chromatographic technique)を使用することができ、この技術は、分析段204に含まれるクロマトグラフィーカラムを用いた、検体の溶出(elution)、又は幾つかの例において、キャプチャー種に依然として結合している検体の溶出が、適切な検出器によってモニタリングされ、この検体(又はキャプチャー種に結合している検体)に対応する検出信号の高さ又は積分を用いて、検体の絶対量の大きさを導出する。
【0113】
このクロマトグラフィーカラムは、検体又は幾つかの例において、キャプチャー種に依然として結合している検体を、非血液の分泌液サンプルに存在する他の成分から分離するのに適した1つ以上の相を有する。
【0114】
例えば、内部標準を使用して、例えば、検体信号の下にある領域と内部標準に対応する信号下にある領域との比を使用して、検体の定量化を支援することができる。
【0115】
図3は、身体208、本事例では皮膚の上に配されるウェアラブルパッチの形態の例示的なサンプリング段204を示す。従って、
図3に示されるサンプリング段204は、非血液の分泌液として汗を収集するために使用される。
【0116】
幾つかの実施形態、例えば
図4に示される非限定の例において、検体は、その場所で、例えば、コアシェル型ヒドロゲル粒子218を使用して、非血液の分泌液サンプルが収集される身体208の領域206、すなわち汗腺の近傍において、サンプリング段202に含まれる流体システムで捕捉される。そのようなコアシェル型ヒドロゲル粒子218は、ヒドロゲルシェルによって囲まれる粒子のコア内にキャプチャー種を有することができる。
【0117】
コアシェル型ヒドロゲル粒子218は、非血液の分泌液サンプルと接触することができ、一定の時間後に、これら粒子は、決定104が行われる分析段204に移送することができる。
【0118】
例えば、分析段204において、検体、又は例えば抗原のようなキャプチャー種を結合した検体は、例えば溶出によってコアシェル粒子218から取り除かれ、一定の容積で測定されることができる。
【0119】
図4に戻ると、例示的なサンプリング段204は、例えば、
図3に関連して上述したウェアラブルパッチの形態で、収集部材210を有し、コアシェル粒子218が収集部材210内に設けられる。この例における収集部材210は、上述した吸収性材料212を有してもよいし、又はその吸収性材料の形態でもよい。
【0120】
図5に提供されるコアシェル粒子218の概略図は、ヒドロゲルシェル220、及びコアシェル粒子218のコア内のキャプチャー種222を示す。さらに、
図5の左側のペイン(pane)は、コアシェル粒子218が検体224と接触していることを概略的に示す。この特定の例において、検体224は、アルブミン226と関連付けられ、検体224及びアルブミン226は、非血液の分泌液サンプルに含まれている。
【0121】
図5の右側のペインは、検体224の全てがコアシェル粒子218のコア内のキャプチャー種220によって結合されていることを示し、検体224を持たないアルブミン226がコアシェル粒子218の外側に残っている。
【0122】
幾つかの実施形態において、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさの決定104において、インジケータアプローチが使用される。そのようなインジケータアプローチは、このように捕捉される検体の絶対量が、分析段204において決定される(104)前に、非血液の分泌液サンプル、例えば汗サンプルの全て又は略全てが分析段204の検知要素に供給されるか、或いは検体の全て又は略全てが、収集部材210によって、例えば上記した膜によって収集されるかの何れかも必要とする。
【0123】
そのような実施形態において、決定104は、非血液の分泌液サンプルが収集される所与の時間期間の後、検体と選択的に相互作用及び/又は反応するように構成されるインジケータ材料、例えばインジケータ液体を非血液の分泌液サンプル、例えば汗サンプルと接触させるステップを有することができる。この検体の絶対量は、このインジケータ材料と、検体との間の総合的な反応及び/又は相互作用を測定するための既知の方法、例えば、電気的、光学的又は磁気的な測定手法の何れかによって決定する(104)ことができる。
【0124】
例えば、検体とインジケータ材料との反応及び/又は相互作用は、例えば、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを決定可能にする(104)ために色を変化させるインジケータ材料、例えば、インジケータ液体をもたらす。
【0125】
別の手法は、所与の時間期間の後に、インジケータ材料及び非血液の分泌液サンプルにおける検体を有する流体混合物における全光学活性を測定することによって、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを決定することである。
【0126】
繰り返し決定104を行うために、検体に比べてかなり過剰なインジケータ材料が供給されるか、又は、例えば、サンプリングの容量を洗い流し、非血液の分泌液のサンプリングを再開することによって、インジケータ材料が補充されることが必要であることに留意されたい。
【0127】
図6に示されるような幾つかの実施形態において、分析段204は、細孔230、特にナノ細孔230を持つキャリア228を有する。検出可能な電流232は、細孔230を通って供給される。そのような実施形態において、分析段204は、電流232を検出するように構成される検出器(図示せず)を有する。
【0128】
電流232が(例えば、分子234A、234B、234Cによって)遮断されるとき、これは、
図6に示されるように、信号236の低下として測定される。
【0129】
ナノ細孔230は最初に、DNA塩基配列決定のために開発され、その後、他の分子を検出するようにも適応した。特定の検体、特に分子検体の検出は、i)サイズ排除によって行うことができ、この場合、細孔230は、関心のある分子のみが流れる、及び/又は特定信号を生成することができる、ii)関心のある分子のみを輸送/認識する輸送タンパク質を加えることによって行うことができる、又はiii)滞留時間の増加を誘発するキャプチャー種を細孔230に加えることによって行うことができる、かの何れかである。
【0130】
これらの場合の各々において、電流は一方向であり、従って、細孔230は、この細孔230を通過させた検体分子の総量を本質的にカウントする。電流は、検体の如何なる逆流も防ぐために使用することができ、及び/又はタンパク質は、そのような逆流を防ぐために使用することができる。
【0131】
より一般的には、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさの決定104は、例えば、各々の検体分子又はイオンが輸送される度にカウントするように構成されるナノ細孔230、又は各々の検体分子又はイオンに関連付けられる光子の数をカウントすること含む化学発光を使用するような、カウント方法を用いることができる。そのような例において、検体分子/イオンは、測定後に取り除かれてもよい。
【0132】
非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさの決定104は、幾つかの実施形態において、単一分子アッセイ、例えば、単一分子イムノアッセイを使用して実施することができる。
【0133】
このような単一分子アッセイ(言い換えると、いわゆる“デジタルアッセイ”手法)において、分析段204に複数の別個の検知領域が含まれ、各々の別個の検知領域、例えば、検出ウェル(detection well)は、検体の単一分子を検出するように配される。そのような実施形態において、分析段204は、別個の検知領域の各々によって検出される検体の単一分子の数をカウントし、それによって、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを決定するように構成されたカウンタ装置を含む。
【0134】
言い換えると、単一分子アッセイを使用する決定104は、検体の検出される分子の数をカウントするステップを有することができる。このようにして、検体の絶対量の測定を行うことができる。
【0135】
そのような離散化された検知領域は、統計的/分布レベルで考慮すると、検出できる関心のある検体分子が1つ未満であることに留意されたい。
【0136】
単一分子アッセイの例は、Rissin他著、“Multiplexed single molecule immunoassays”, Lab Chip. 2013, 13(15):2902-11によって説明されている。
【0137】
測定に関して、種々な公知の例が、本開示による方法と統合されることができる。
【0138】
例えば、ナノ粒子(例えば、単に“粒子”と呼ぶことができる)を使用して、分子を上述した検出ウェル内に送り込み、それによってナノウェル手法を提供することができる。
【0139】
例えば、ナノ粒子は、結合事象を検出するために使用される。ナノ粒子が0個又は1つの分子を持つ領域内にあるとき、分子が存在しないときは、ナノ粒子はブラウン運動の相互作用を示す、又は分子が1つ存在するときは、ナノ粒子は特定の不動状態を示すかの何れかである。
【0140】
これは、光学的に検出され、磁気相互作用によって高めることができる。
【0141】
この例は、Ranzoni他著、“Frequency-Selective Rotation of Two-Particle Nanoactuators for Rapid and Sensitive Detection of Biomolecules”, Nano Lett. 2011, 11, 5, 2017-2022によって説明されている。
【0142】
単一分子アッセイの別の例は、近接ライゲーションアッセイ(PLA: proximity ligation assay)である。そのようなPLAは、分子が存在するときにのみ信号を生成する。
【0143】
別の例において、例えば、分析段204の上流に適切な洗浄及び/又は分離ステップを設けることを条件として、従来の酵素結合免疫吸着型アッセイ(enzyme-linked immunosorbent-type assay)を使用することができる。
【0144】
少なくとも幾つかの実施形態において、方法100は、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の決定された大きさに基づいて、血液における検体の血中濃度の大きさを計算するステップ106をさらに有する。
【0145】
少なくとも幾つかの実施形態において、計算106は、血中濃度の大きさと絶対量の大きさとの間に確立される相関を使用するステップを有する。
【0146】
そのような相関は、汗サンプルにおける乳酸塩の絶対量対乳酸塩の血中濃度の特定の非限定の例について、
図7にグラフ形式で示されている。
【0147】
この相関は、例えば、ルックアップテーブル、分析関数又は同様の形態とすることができる。
【0148】
幾つかの実施形態において、検知アセンブリ200は、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の決定される大きさに基づいて、血液における検体の血中濃度の大きさを計算するように構成される処理ユニット238を有する。
【0149】
処理ユニット238は、血中濃度の大きさと絶対量の大きさとの間における上述した相関を使用して、血中濃度の大きさを計算するように構成される。この相関は、例えば、上述したように、ルックアップテーブル、分析関数又は同様の形態とすることができる。
【0150】
さらに、
図8に示されるような、上述した相関を供給するための方法300が提供される。方法300は、複数の血液サンプルを供給するステップ(302)、及び前記複数の血液サンプルの各々について、被験者から前記複数の血液サンプルの1つを取得しているとき、この被験者から取得される非血液の分泌液サンプルを供給するステップ(304)を有する。
【0151】
方法300は、非血液の分泌液サンプルの各々について、夫々の非血液の分泌液サンプルにおける検体の濃度の如何なる測定とも無関係に、前記夫々の非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさを決定するステップ(306)をさらに有する。決定306は、
図1のステップ104、及び
図2の分析段204に関して上述した例の何れかに従って実施される。
【0152】
方法300は、血液サンプルの各々における検体の血中濃度の大きさを供給するステップ308、例えば決定するステップをさらに有する。これは、検体の血中濃度を決定するための任意の公知の技術を利用することができる。
【0153】
ステップ310において、非血液の分泌液サンプルにおける検体の絶対量の大きさと、検体の血中濃度との間の相関は、非血液の分泌液サンプルの各々における検体の絶対量の決定される大きさと、血液サンプルの各々における検体の血中濃度の決定される大きさとを用いて決定される。
【0154】
このようにして、例えば、
図7に示される種類の較正曲線を提供することができる。
【0155】
本開示の装置、システム及び方法は、健康及び良好な状態を示す、バイオマーカーの非侵襲的で、半連続的な長期的モニタリング、例えば、脱水、ストレス、睡眠、子供の健康のモニタリング及び術中モニタリングに応用される。本装置、システム及び方法は、一般に被験者のモニタリングに応用可能であるだけでなく、一般病棟及び集中治療室における患者の突然の増悪に対する早期警告を供給するため、又は睡眠障害の調査のために、特に適用されてもよい。現在、測定は、患者が医師にかかっているときにのみスポットチェック方式で行われるが、本開示は、そのようなスポットチェック測定を行う際にも有用に利用されることにも留意されたい。
【0156】
開示される実施形態に対する他の変形は、図面、本開示及び添付の請求項を検討することにより、請求項に記載された発明を実施する際に当業者によって理解され、及び実施されることができる。請求項において、“有する”という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、複数あることの述べていなくても、それが複数あることを排除するものではない。相互に異なる従属請求項に記載される手段は、有利に組み合わされることができる。請求項におけるいかなる参照符号も、その範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】