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特表2024-544516低損失光ファイバを製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】低損失光ファイバを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/018 20060101AFI20241126BHJP
   C03B 37/012 20060101ALI20241126BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20241126BHJP
   G02B 6/036 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
C03B37/018 C
C03B37/012 Z
G02B6/02 356A
G02B6/036
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527342
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 US2022050096
(87)【国際公開番号】W WO2023096799
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,604
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】クラプコ,ロスティスラフ ラディエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ,ヘイゼル ベントン ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】タンドン,プシュカル
【テーマコード(参考)】
2H250
4G021
【Fターム(参考)】
2H250AB09
2H250AB10
2H250AB15
2H250AB18
2H250AD14
2H250AD42
2H250AE15
2H250AE16
2H250AE25
2H250AE26
2H250AE39
2H250AE47
2H250AE63
4G021BA03
4G021BA04
4G021EA03
4G021EB05
4G021EB13
4G021EB19
4G021EB24
(57)【要約】
光ファイバは、アルカリ金属酸化物でドープされたシリカガラスのコア領域、第1のフッ素濃度でドープされたシリカガラスを含む屈折率低下クラッド領域を含む。屈折率低下クラッド領域は、-0.80%~-0.30%の範囲の最小相対屈折率Δ3minを有する。外側クラッド領域は、より少ないフッ素、およびΔ-Δ3min>0.05%である相対屈折率Δを有する。光ファイバは、低い水素エージング値を有する。光ファイバは、0.16dB/km未満の減衰を呈する。光ファイバを作製する方法は、アルカリドープされたコアケーンにシリカスートクラッドを添加し、スートクラッドをフッ素前駆体に曝露し、フッ素ドープされたクラッドを緻密化するステップを含み、曝露するステップまたは緻密化するステップは、SiClを使用することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバのプリフォームを製造する方法であって、前記光ファイバが、コア領域およびクラッド領域を有し、前記方法が、
シリカスートをコアケーン上に堆積させることによって多孔質クラッドスートブランクを形成するステップであって、前記コアケーンが、前記光ファイバの前記コア領域の少なくとも一部に対応する組成を有するコア部分を含み、前記コアケーンのコア部分におけるアルカリ金属酸化物の濃度が、0.1質量%~1.5質量%である、形成するステップと、
前記多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下でフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップであって、前記フッ素ドーピング前駆体が、前記多孔質クラッドスートブランクをフッ素でドーピングして、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを形成し、前記曝露するステップが、前記フッ素ドーピング前駆体の流れを前記多孔質クラッドスートブランクに供給するステップを含む、曝露するステップと、
緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーンを形成するために、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体の存在下または不在下で緻密化するステップであって、前記緻密化するステップが、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む、緻密化するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーンに、フッ素ドープされたシリカガラス外側クラッド層を適用して、光ファイバプリフォームを形成するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーン上にシリカスートを堆積させることによって多孔質オーバークラッドスートブランクを形成するステップと、
前記多孔質オーバークラッドスートブランクをSiClの不在下で前記フッ素ドーピング前駆体に曝露するステップと、
前記多孔質オーバークラッドスートブランクを緻密化して、前記光ファイバの前記クラッド領域に対応する組成を有するクラッド部分を含む前記プリフォームを形成するステップと
をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記クラッド部分が、前記コア部分を囲む屈折率低下クラッド部分と、前記屈折率低下クラッド部分を囲む外側クラッド部分とを含み、前記屈折率低下クラッド部分が、第1のフッ素濃度を有し、前記外側クラッド部分が、第2のフッ素濃度を有し、前記第2のフッ素濃度が、前記第1のフッ素濃度よりも低い、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記屈折率低下クラッド部分が、第1の塩素濃度を含み、前記外側クラッド部分が、第2の塩素濃度を含み、前記第2の塩素濃度が、前記第1の塩素濃度よりも低い、請求項4記載の方法。
【請求項6】
光ファイバを製造する方法であって、前記光ファイバが、コア領域およびクラッド領域を有し、前記方法が、
前記光ファイバの前記コア領域の少なくとも一部に対応する組成を有する部分を含むアルカリドープされたコアケーンを形成するステップと、
前記アルカリドープされたコアケーン上にシリカスートを堆積させることによって多孔質クラッドスートブランクを形成するステップと、
前記多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップであって、前記フッ素ドーピング前駆体が、前記シリカスートをフッ素でドーピングして、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを形成し、前記曝露するステップが、前記フッ素ドーピング前駆体の流れを前記多孔質クラッドスートブランクに供給するステップを含む、曝露するステップと、
前記光ファイバの前記クラッド領域に対応する組成を有する部分を有するフッ素ドープされたクラッドケーンを形成するために、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを前記フッ素ドーピング前駆体の前記流れの不在下または存在下で緻密化するステップと
を含み、
前記曝露するステップが、前記多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下で前記フッ素ドーピング前駆体に曝露するステップを含むか、または前記緻密化するステップが、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む、
方法。
【請求項7】
前記曝露するステップが、前記多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下で前記フッ素ドーピング前駆体に曝露するステップを含み、前記緻密化するステップが、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記フッ素ドープされたクラッドケーン上にシリカスートを堆積させることによって、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する外側クラッド領域を形成して、多孔質オーバークラッドスートブランクを形成するステップと、
前記多孔質オーバークラッドスートブランクを緻密化して、プリフォームを形成するステップと、
1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰および1583nmにおいてベースラインを上回る0.0005dB/km未満の増分減衰を呈する前記光ファイバを前記プリフォームから線引きするステップと
をさらに含む、請求項6または7記載の方法。
【請求項9】
光ファイバであって、
アルカリ金属酸化物でドープされたシリカガラスを含むコア領域と、
前記コア領域を囲んでいて、前記コア領域に直接隣接しているクラッド領域と
を含み、
前記クラッド領域が、
前記コア領域を囲む屈折率低下クラッド領域であって、第1のフッ素濃度でドープされたシリカガラスを含み、-0.80%~-0.30%の範囲の最小相対屈折率Δ3minを有する相対屈折率Δを有する、屈折率低下クラッド領域と
前記屈折率低下クラッド領域を囲んでいて、前記屈折率低下クラッド領域に直接隣接している外側クラッド領域であって、第1のフッ素濃度よりも低い第2のフッ素濃度でドープされたシリカガラスを含み、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する、外側クラッド領域と
を含み、
前記光ファイバが、1atm(101325Pa)の全圧を有しかつ0.01atm(1013.25Pa)のH分圧および0.99atm(100311.8Pa)のN分圧を含むガス雰囲気への前記光ファイバの曝露時に、23℃で100時間未満のピーク到達時間(TTP)水素エージング値を有し、
前記光ファイバが、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰を呈し、前記減衰が、約1570nm~約1600nmで単調に増加する、
光ファイバ。
【請求項10】
前記光ファイバが、1383nmにおいて0.5dB/km未満の減衰を呈する、請求項9記載の光ファイバ。
【請求項11】
請求項9または10記載の光ファイバへと線引きされるように構成された、プリフォーム。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
この出願は、2021年11月29日に出願された米国仮特許出願第63/283,604号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光ファイバに関する。より詳細には、本開示は、CバンドおよびLバンド伝送のための低い水ピーク(low water peak)および低い減衰を有する低損失光ファイバを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバは、様々な通信用途で利用されている。光ファイバを生成するための製造プロセスは、典型的には、光ファイバを、加熱されたガラスプリフォームから線引き炉内で線引きし、線引きされた光ファイバを冷却し、光ファイバをコーティングすることを含む。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様によれば、光ファイバのプリフォームを製造する方法であって、光ファイバが、コア領域およびクラッド領域を有する、方法は、シリカスートをコアケーン上に堆積させることによって多孔質クラッドスートブランクを形成するステップを含む。コアケーンは、光ファイバのコア領域の少なくとも一部に対応する組成を有するコア部分を含み、コアケーンのコア部分におけるアルカリ金属酸化物の濃度は、0.1質量%~1.5質量%である。方法は、多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下でフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップであって、フッ素ドーピング前駆体が、多孔質クラッドスートブランクをフッ素でドーピングして、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを形成する、曝露するステップを含む。曝露するステップは、フッ素ドーピング前駆体の流れを多孔質クラッドスートブランクに供給するステップを含む。方法は、緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーンを形成するために、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体の存在下または不在下で緻密化するステップであって、緻密化するステップが、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む、緻密化するステップを含む。
【0005】
本開示の別の態様によれば、光ファイバを製造する方法であって、光ファイバが、コア領域およびクラッド領域を有する、方法は、アルカリドープされたコアケーンを形成するステップを含む。アルカリドープされたコアケーンは、光ファイバのコア領域の少なくとも一部に対応する組成を有する部分を含む。方法は、アルカリドープされたコアケーン上にシリカスートを堆積させることによって多孔質クラッドスートブランクを形成するステップと、多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップとを含む。フッ素ドーピング前駆体は、シリカスートをフッ素でドーピングして、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを形成する。曝露するステップは、フッ素ドーピング前駆体の流れを多孔質クラッドスートブランクに供給するステップを含む。方法は、光ファイバのクラッド領域に対応する組成を有する部分を有するフッ素ドープされたクラッドケーンを形成するために、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体の流れの不在下または存在下で緻密化するステップを含む。曝露するステップは、多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下でフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップを含むか、または緻密化するステップは、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む。
【0006】
本開示の別の態様によれば、光ファイバは、アルカリ金属酸化物でドープされたシリカガラスを含むコア領域を含む。クラッド領域は、コア領域を囲んでいて、コア領域に直接隣接している。クラッド領域は、コア領域を囲む屈折率低下クラッド領域を含む。屈折率低下クラッド領域は、第1のフッ素濃度でドープされたシリカガラスを含む。屈折率低下クラッド領域は、-0.80%~-0.30%の範囲の最小相対屈折率Δ3minを有する相対屈折率Δを有する。クラッド領域は、屈折率低下クラッド領域を囲んでいて、屈折率低下クラッド領域に直接隣接している外側クラッド領域を含む。外側クラッド領域は、第1のフッ素濃度よりも低い第2のフッ素濃度でドープされたシリカガラスを含む。外側クラッド領域は、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する。光ファイバは、1atm(101325Pa)の全圧を有しかつ0.01atm(1013.25Pa)のH分圧および0.99atm(100311.8Pa)のN分圧を含むガス雰囲気への前記光ファイバの曝露時に、23℃で100時間未満のピーク到達時間(TTP)水素エージング値を有する。光ファイバは、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰を呈し、減衰が、約1570nm~約1600nmで単調に増加する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下は、添付図面における図の説明である。これらの図は、必ずしも縮尺通りではなく、明確性および簡潔性の観点から、図のある特定の特徴およびある特定の視点が、スケールまたは概略図において誇張して示され得る。
図1】本開示による光ファイバの概略断面図である。
図2】本開示による光ファイバの半径に伴って変化するアルカリ金属酸化物濃度を有する光ファイバの例示的なステップインデックス屈折率プロファイルである。
図3】本開示による光ファイバの例示的なKO濃度プロファイルである。
図4】本開示による光ファイバの例示的な相対屈折率プロファイルである。
図5】本開示による光ファイバの例示的な相対屈折率プロファイルである。
図6】本開示による光ファイバの例示的な相対屈折率プロファイルである。
図7A】本開示による光ファイバの例示的な相対屈折率プロファイルである。
図7B】本開示による光ファイバの例示的な相対屈折率プロファイルである。
図8】本開示による、ガラススートを堆積させるためのプロセスを図示する概略図である。
図9】本開示による、ガラス管をアルカリ金属酸化物でドープするための方法の概略図である。
図10】本開示による、アルカリ金属ドープされた光ファイバを製造するための方法のフロー図である。
図11】本開示による、アルカリドープされた光ファイバを製造するための方法のフロー図である。
図12】本開示による、一酸化炭素を還元剤として使用した場合の光ファイバの減衰と、非炭素還元剤を還元剤として使用した場合の光ファイバの減衰とを比較したグラフである。
図13】本開示による光ファイバに拡散された例示的なアルカリ金属酸化物の拡散を図示する。
図14】本開示による、ガラスロッドを再線引きするためのプロセスの概略図である。
図15】本開示による光ファイバをプリフォームから線引きするプロセスの概略図である。
図16】本開示による、非炭素還元剤を製造プロセスで利用したコアケーンの例示的な屈折率プロファイルである。
図17】本開示による、非炭素還元剤を製造プロセスで利用した光ファイバの例示的な屈折率プロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載されており、この説明から当業者に明らかとなるか、または特許請求の範囲および添付図面と一緒に以下の説明で説明されているように実施形態を実践することによって認識されるであろう。
【0009】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、2つ以上の項目の一覧で使用される場合、列挙されている項目のうちのいずれか1つをそれ自体で用いることができるか、または列挙されている項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせを用いることができることを意味する。例えば、組成物が、成分A、B、および/またはCを含有すると説明されている場合、この組成物は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBの組み合わせ、AおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ、またはA、B、およびCの組み合わせを含有し得る。
【0010】
この文書において、第1および第2、上部および下部などの関係語は、あるエンティティまたは行為を別のエンティティまたは行為と区別するためにのみ使用され、そのようなエンティティまた行為間の実際のそのような関係または順序を必ずしも必要とするものまたは示唆するものではない。
【0011】
開示の修正は、当業者および開示を作成または使用する者であれば思い浮かぶであろう。したがって、図面に示されている上記の実施形態は、単に例示目的であり、均等論を含む特許法の原則に従って解釈されるように、以下の特許請求の範囲によって定義される開示の範囲を限定することを意図したものではないと理解される。
【0012】
本開示の目的では、「結合された」(その形態の全て:結合、結合する、結合されたなど)という用語は、一般に、2つの成分を直接的または間接的に互いに接合することを意味する。そのような接合は、本質的に固定であり得るか、または本質的に可動であり得る。そのような接合は、2つの成分および任意の追加の中間部材が、互いにまたは2つの成分と一緒に単一の一体物として統合的に形成されることで達成することができる。特に言及されない限り、そのような接合は、本質的に永続的であり得るか、または本質的に取り外し可能もしくは解放可能であり得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、ならびに他の量および特徴が正確ではなく、また正確である必要がなく、必要に応じて、許容誤差、変換率、四捨五入、測定誤差など、および当業者に知られている他の要素を反映して、近似値であってよいこと、および/またはそれより大きくてよいか、もしくはそれより小さくてよいことを意味する。「約」という用語が範囲の値または終点を表す際に使用される場合、本開示は、言及される特定の値または終点を含むと理解されるべきである。本明細書における範囲の数値または終点に「約」が用いられているかどうかにかかわらず、範囲の数値または終点は、2つの実施形態を含むことを意図しており、すなわち、1つは「約」で修飾されたものであり、もう1つは「約」で修飾されていないものである。さらに、各範囲の終点は、他の終点との関係でも、また他の終点とは無関係でも、有意であると理解されるであろう。
【0014】
本明細書で使用される場合、「実質的な」、「実質的に」という用語、およびそれらの変形語は、説明される特徴が値または説明と等しいまたはほぼ等しいことを述べることを意図している。例えば、「実質的に平らな」表面は、平らなまたはほぼ平らな表面を示すことを意図している。さらに、「実質的に」は、2つの値が等しいまたはほぼ等しいことを示すことを意図している。幾つかの実施形態において、「実質的に」は、互いに約10%以内、例えば、互いに約5%以内、または互いに約2%以内の値を示し得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、「the」、「a」、または「an」という用語は、「少なくとも1つ」を意味し、明示的に反対のことが示されていない限り、「1つのみ」に限定されるべきではない。したがって、例えば、「成分」への言及は、文脈から明らかに別のことが示されていない限り、2つ以上のそのような成分を有する実施形態を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、方向の用語、例えば、上方、下方、右、左、前方、後方、上部、底部は、描かれた図面に関してのみ用いられ、絶対的な向きを示唆することを意図していない。
【0017】
「半径方向位置」、「半径方向距離」、または半径方向座標「r」は、光ファイバにおけるコアの中心線(r=0)に対する半径方向位置を指す。長さの寸法「μm」は、本明細書では、μmまたはマイクロメートルと称され得る。
【0018】
「屈折率プロファイル」は、屈折率または相対屈折率と、コアの中心線からの半径方向距離rとの間の関係である。隣接しているクラッド領域間にステップ境界を有するものとして本明細書で示されている相対屈折率プロファイルの場合、プロセス条件における通常の変化は、隣接している領域の界面で急峻なステップ境界を得ることを妨げ得る。屈折率プロファイルの境界は、本明細書では屈折率のステップ変化として示され得るが、実際の境界は、丸みを帯びていてよいか、または他の場合には、完全なステップ関数特性から逸脱していてよいと理解されたい。さらに、相対屈折率の値は、コア領域および/またはいずれかのクラッド領域内の半径方向位置に伴って変化し得ると理解される。
【0019】
相対屈折率が、ファイバの特定の領域(コア領域および/またはいずれかのクラッド領域)における半径方向位置に伴って変化する場合、これは、実際のもしくは近似的な関数依存性の点で、または領域に適用可能な平均値の点で表現され得る。特に明記しない限り、ある領域(コア領域および/またはいずれかのクラッド領域)の相対屈折率が、単一の値として表現される場合、この領域内の相対屈折率は、一定もしくはほぼ一定であり、かつこの単一の値に対応すると理解されるか、またはこの単一の値は、この領域における半径方向位置に依存する一定ではない相対屈折率の平均値を表すと理解される。設計によるものであれ、または通常の製造のばらつきの結果によるものであれ、半径方向位置に対する相対屈折率の依存性は、傾斜であり得るか、曲線であり得るか、または他の場合には、非一定であり得る。
【0020】
光ファイバおよび光ファイバのファイバコアに関して本明細書で使用される場合、「相対屈折率」または「相対屈折率パーセント」は、以下のように定義される:
【0021】
【数1】
【0022】
式中、n(r)は、特に明記しない限り、1550nmの波長におけるコアの中心線からの半径方向距離rにおける屈折率であり、nは、約1.444であり、これは、1550nmの波長におけるドープされていないシリカガラスの屈折率である。本明細書で使用される場合、相対屈折率は、Δ(もしくは「デルタ」)またはΔ%(もしくは「デルタ%」)で表され、その値は、特に明記しない限り、「%」の単位で与えられる。相対屈折率は、Δ(r)またはΔ(r)%として表現される場合もある。ある領域の屈折率が基準屈折率n未満である場合、相対屈折率は、負であり、屈折率が低下した領域、トレンチ、またはモートと称され得る。ある領域の屈折率が基準屈折率n超である場合、相対屈折率は、正であり、この領域は、上昇している、または正の屈折率を有すると言うことができる。
【0023】
さらに、「アルファプロファイル」とも称される「α-プロファイル」という用語は、以下の関数形式を有する相対屈折率プロファイルΔ(r)を指す:
【0024】
【数2】
【0025】
式中、rは、Δ(r)が最大である点であり、rは、Δ(r)がゼロである点であり、rは、r≦r≦rの範囲であり、rは、α-プロファイルの初期点であり、rは、α-プロファイルの点であり、αは、実数である。幾つかの実施形態において、本明細書で示されている例は、1≦α≦100のコアアルファを有し得る。実際には、ターゲットプロファイルがアルファプロファイルであっても、理想的な構成からのある程度の逸脱が生じ得る。したがって、光ファイバのアルファパラメータは、当技術分野で知られているように、測定された屈折率プロファイルの最良あてはめから得ることができる。
【0026】
本明細書の開示は、光ファイバプリフォーム(本明細書では、「プリフォーム」とも称される)またはその製作に使用される要素、例えば、ケーン、ロッド、スートブランク、または堆積管(deposition tube)などに関する。コアケーンまたはコアロッドは、プリフォームから線引きされた光ファイバのコアまたはコア領域の少なくとも一部に対応する組成を有する緻密化ガラス体である。光ファイバプリフォームは、光ファイバへの線引きに適切な緻密化ガラス物品である。光ファイバプリフォームは、1つ以上のクラッド領域によって囲まれた中央コア領域を含み、コア領域およびクラッド領域の屈折率は、完成した光ファイバプリフォームから線引きされた光ファイバが、1550nmの波長を有する光の導波路として機能するように構成されている。さらに、本明細書で使用される場合、「ケーン」、「コア領域」または「コア」、「クラッド領域」または「クラッド」、および他の類似した用語は、緻密化ガラスを意味する。幾つかの実施形態において、緻密化ガラスは、スート(例えば、シリカまたはドープされたシリカを含むスート粒子)を堆積させて、多孔質体(例えば、多孔質コアスートブランクを形成するためのコアスート、または多孔質クラッドスートブランクを形成するためのクラッドスート)を形成し、スートを緻密化することによって調製される。幾つかの実施形態において、多孔質体は、緻密化ガラス上に形成される(例えば、クラッドスートをコアケーン上に堆積させて、多孔質クラッドスートブランクを形成する)。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ppm(10-6%)」は、特に述べられていない限り、質量での百万分率、または「質量でのppm(10-6%)」、または「Wtでのppm(10-6%)」を指し、質量パーセント(質量%)での測定値は、10,000倍することによってppm(10-6%)に変換することができる。
【0028】
図1および2を参照すると、本明細書で開示されている光ファイバ10は、コア領域またはコア12と、コア12を囲むクラッド領域またはクラッド14とを含む。コア12は、光ファイバ10の一部を指し、これは、一般に、クラッド14に比べて上昇した屈折率を有し、そのため、導波光の伝送される光パワーは、主にコア12を通じて伝播する。コア12は、一般に、クラッド14に比べて負でない相対屈折率を有する。コア12は、1つ以上の領域を含み得る。個々のコア領域は、純粋なシリカより大きな、純粋なシリカに等しい、または純粋なシリカより小さな屈折率を有し得る。クラッド14は、コア12を囲んでおり、かつこれに直接隣接している、環状リングであり得る。コア12は、約2μm~約8μm、約3μm~約6μm、または約3.5μm~約4.5μmの半径rを有し得る。コア12は、図示されているように単一のコア領域を含んでいてよいか、または代替的には、コア半径内に複数のコア領域を含んでいてよい。
【0029】
ドーパントは、コア12およびクラッド14の相対屈折率を増加または減少させるために利用され得る。アップドーパントは、純粋なドープされていないシリカに比べて相対屈折率を増加させるドーパントを指すために使用される。非限定的なアップドーパントは、例えば、塩素を含む。ダウンドーパントは、ドープされていない純粋なシリカに比べて相対屈折率を減少させるドーパントを指すために使用される。ダウンドーパントの非限定的な例は、例えば、フッ素およびホウ素を含む。
【0030】
図2を参照すると、図示されている光ファイバ10の実施形態は、約0μm~約4μmに延在するシリカベースのコア12を含む。クラッドは、フッ素ドープされたシリカであり、フッ素ドープされたシリカクラッド14は、コア12を囲んでいる。コア12は、本明細書でさらに論じられるようなアルカリ金属酸化物を含み、平均濃度は、質量で約50ppm(約50×10-6%)~約500ppm(約500×10-6%)である。コア12は、塩素および/またはフッ素も含み得る。コア12における塩素およびフッ素の平均量は、アルカリ金属酸化物の量より多くてよい。
【0031】
図示されている例において、コア12は、コア12の中心線18に沿って位置している、約1μmまで延在する中心コア領域16を含む。中心コア領域16は、中心コア領域16の周囲でコア12の約1μm~約4μmに延在する外側コア領域20に含有されているよりも低い平均濃度の塩素を含有している。中心コア領域16に存在する塩素の平均濃度は、約100ppm(約100×10-6%)未満または約50ppm(約50×10-6%)未満であり得る。外側コア領域20における塩素の平均濃度は、約500ppm(約500×10-6%)超、約750ppm(約750×10-6%)超、約1000ppm(約1000×10-6%)超、または約1500ppm(約1500×10-6%)超であり得る。コア12における塩素のピーク濃度は、一般に、約500ppm(約500×10-6%)超、約1000ppm(約1000×10-6%)超、または約1500ppm(約1500×10-6%)超である。
【0032】
中心コア領域16に存在するフッ素の平均濃度は、一般に、約500ppm(約500×10-6%)超、約750ppm(約750×10-6%)超、または約1000ppm(約1000×10-6%)超である。外側コア領域20におけるフッ素の平均濃度も同様に、約500ppm(約500×10-6%)超、約750ppm(約750×10-6%)超、または約1000ppm(約1000×10-6%)超である。コア12全体にわたるフッ素の平均濃度は、一般に、約500ppm(約500×10-6%)超かつ約4000ppm(約4000×10-6%)未満である。コア12におけるフッ素の濃度は、一般に、約0.15質量%~約0.25質量%である。コア12中のフッ素のレベルは低く、コア12は、コア12中のカリウムを理由に、わずかに正のデルタを有する。
【0033】
光ファイバ10は、アルカリ金属酸化物も含む。アルカリ金属酸化物は、一般に、K、Na、Li、Cs、Rb、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つの酸化物である。アルカリ金属酸化物は、KO、NaO、LiO、RbO、CsO、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得る。一般に、コア領域12におけるアルカリ金属酸化物の濃度は、0.1質量%~1.5質量%である。ある特定の態様において、アルカリ金属酸化物は、KIおよびOから形成され得る。
【0034】
ドーパントについての例示的な濃度プロファイルは、図3に図示されている。光ファイバ10は、コア12と、コア12を囲むクラッド14とを含む。一般に、アルカリ金属の濃度は、半径rの関数として変化する。アルカリ金属酸化物の濃度は、半径rが光ファイバ10の中心線18から光ファイバ半径rの少なくとも一部に沿って増加するにつれて減少し得る。コア12の相対屈折率プロファイルは、ステップ型、丸型、アルファ型、または三角形の形状を有し得る。図示されている図3のKOプロファイルは、ToF-SIMSで測定した。
【0035】
様々な例において、開示されているプロセスによって形成された光ファイバ10は、コア12にゲルマニウムを含有しないか、またはほとんど含有しない。そのような例において、光ファイバ10のシリカガラスコア12およびクラッド14は、本開示の範囲内の相対屈折率プロファイルを形成するのに十分な濃度のアップドーパントおよび/またはダウンドーパントを含む。クラッド14の相対屈折率は、コア12未満である。本明細書で論じられるように、クラッド14における使用のための屈折率を減少させるドーパント(ダウンドーパント)は、一般に、フッ素である。
【0036】
図4に示されているような、相対屈折率プロファイル22を有する光ファイバ10は、一般に、約1280nm~約1340nmのゼロ分散波長λ、約0.07ps/nm/km未満の約1550nmにおける分散勾配、および約15ps/nm/km~約20ps/nm/kmの1550nmにおける総分散を有するシングルモード光ファイバ10である。しかしながら、他の相対屈折率プロファイル22を使用して、これらの同じまたは類似した特性を達成することができるであろう。光ファイバ10は、一般に、約1300nm以下のカットオフ波長を有する。光ファイバ10は、1550nmにおいて約70μm超の有効面積を有し得る。光ファイバ10は、約3μm超の、または約3μm~5μmのコア半径rを有し得る。さらに、光ファイバ10は、1550nmにおいて、約9μm超の、約9.5μm~約11μmの、または約10μm~約11μmのモードフィールド径を有し得る。
【0037】
明細書に開示されているプロセスによって生成され得る例示的な相対屈折率プロファイル22は、図4に図示されている。コア12は、負ではない相対屈折率Δを有する。クラッド領域14は、負の相対屈折率を有する。クラッド領域14は、相対屈折率Δを有する内側クラッド領域24、相対屈折率Δを有する屈折率低下クラッド領域またはモート26、および相対屈折率Δを有する外側クラッド領域28を含む。モート26は、相対屈折率Δを有し、最小相対屈折率Δ3minは、-0.30%未満である。ある特定の態様において、モート26は、相対屈折率Δを有し、最小相対屈折率Δ3minは、約-0.80%~約-0.30%の範囲である。様々な態様において、外側クラッド領域28は、相対屈折率Δを有し、ΔとΔ3minとの間の差は、0.05%超であり(例えば、Δ-Δ3min>0.05%)、Δは、ゼロ超であってよいか、ゼロに等しくてよいか、またはゼロ未満であってよい。光ファイバ10へと線引きされるプリフォーム50も、同じまたは類似した範囲の屈折率値を有し得る。
【0038】
負の相対屈折率は、フッ素などのダウンドーパントを使用して形成され得る。様々な例において、モート26は、第1のフッ素濃度でドープされたシリカガラスであり、外側クラッド領域28は、第2のフッ素濃度でドープされたシリカガラスである。第2のフッ素濃度は、第1のフッ素濃度よりも低く、結果として、モート26における相対屈折率がより低くなる。一般に、約1質量%のClドーピングは、Δを約0.1%増加させ、約1質量%のFは、Δを約0.3%減少させる。ClおよびFが両方存在する場合、Δに対するClおよびFそれぞれの効果は、独立的であり、濃度は、差し引きして、本明細書で開示されているΔをもたらす。
【0039】
塩素の相対濃度も、モート26と外側クラッド領域28との間で異なり得る。様々な例において、モート26は、第1の塩素濃度を有し、外側クラッド領域28は、第2の塩素濃度を有する。第2の塩素濃度は、第1の塩素濃度よりも低くてよい。
【0040】
図5~7Bを参照すると、例示的な屈折率プロファイル22が図示されている。ClおよびFは、差し引きして、開示されている屈折率プロファイル22を形成する。図5において、モート26におけるフッ素の最大濃度は、フッ素約1質量%であり、外側クラッド領域28におけるフッ素の最大濃度は、フッ素約0.9質量%である。幾つかの例において、モート26における塩素の濃度は、200ppm(200×10-6%)超である。他の例において、モート26における塩素の濃度は、500ppm(500×10-6%)超である。追加の非限定的な例において、モート26における塩素の濃度は、1000ppm(1000×10-6%)超である。様々な例において、外側クラッド領域28における塩素の濃度は、200ppm(200×10-6%)未満であり、他の例において、外側クラッド領域28における塩素の濃度は、100ppm(100×10-6%)未満である。
【0041】
図6において、モート26におけるフッ素の最大濃度は、フッ素約1.25質量%であり、外側クラッド領域28におけるフッ素の最大濃度は、フッ素約1質量%である。様々な例において、モート26における塩素の濃度は、200ppm(200×10-6%)超であり、他の例においては、500ppm(500×10-6%)超である。追加の非限定的な例において、モート26における塩素の濃度は、1000ppm(1000×10-6%)超である。幾つかの例において、外側クラッド領域28における塩素の濃度は、200ppm(200×10-6%)未満または100ppm(100×10-6%)未満である。
【0042】
図7Aおよび7Bを参照すると、追加の例示的な屈折率プロファイル22が図示されている。フッ素濃度は、一般に、-%デルタ屈折率/0.3に等しい。図7Aおよび7Bに開示されている特定のΔは、ClによるアップドーピングとFによるダウンドーピングとの間の差から生成される。
【0043】
図8~11を参照すると、アルカリドープされたコア12および低減された減衰を有する光ファイバ10は、プリフォーム50を形成するための4つの段階42,44,46,48、続いて、プリフォーム50を光ファイバ10へと線引きする最終線引きで一般に行われる、製造方法40によって生成される。最初の2つの段階42,44は、内側または中心コア領域16(第1の段階42)および外側コア領域20(第2の段階44)を形成することを伴う。本明細書でさらに説明されているように、第1の段階42は、中心コア領域16を形成するためのステップ60~72を含み、第2の段階46は、外側コア領域20を形成するためのステップ74~82を含む。次の2つの段階46,48は、内側クラッド領域24(存在する場合)、モート26(第3の段階46)、および外側クラッド28(第4の段階48)を含むクラッド領域14を形成する。第3の段階46は、内側クラッド領域24および/またはモート領域26を形成するためのステップ84~92を含み、第4の段階は、外側クラッド領域28を形成するためのステップ94~100を含む。方法40の4つの段階42,44,46,48が完了した後に、プリフォーム50が形成され、光ファイバ10へと線引きする準備が整う(ステップ102)。
【0044】
本明細書で説明されているように、光ファイバ10における様々な位置は、「領域」として説明されている。例えば、内側コア領域16、外側コア領域20、およびクラッド領域14(内側クラッド領域24、モート領域26、および外側クラッド領域28を含む)。プリフォーム50における対応する位置は、「部分」と説明され得る。例えば、内側コア領域16に対応する内側コア部分、外側コア領域24に対応する外側コア部分、およびクラッド領域14に対応するクラッド部分14。さらに、内側クラッド部分は、内側クラッド領域24に対応し、モート部分または屈折率低下クラッド部分は、モート領域26に対応し、外側クラッド領域は、外側クラッド領域28に対応する。
【0045】
プリフォーム50を形成するために、スートバーナ112を介して、複数層のシリカスートをマンドレル114上に堆積させて、初期またはコアシリカスート管110を形成する(ステップ60)。スート管110は、スート管110の長手方向に沿って延在する中央通路116を画定する。得られたスート管110を、塩素乾燥技術(例えば、Clへの曝露)を使用して乾燥させる(ステップ62)。次いで、乾燥ステップ(例えば、ステップ62)から残留した塩素の大部分または全てを除去するのに十分な時間および温度で多孔質スート管110をフッ素含有雰囲気(例えば、SiFなどのフッ素ドーピング前駆体によるフッ素掃引)に曝露することによって、スート管110をフッ素で処理する(ステップ64)。スート管110のフッ素処理の意図は、塩素との相互作用がガラスの失透に寄与しないように塩素を除去することである。フッ素含有雰囲気への曝露は、スート管110を高レベルのフッ素でドープすることを回避するために、1100℃未満の温度で完遂され得る。しかしながら、フッ素処理は、低レベルのフッ素をスート管110に導入し得る。少ないレベルのフッ素はまた、レイリー散乱への濃度変動寄与に悪影響を与えることなくガラスの仮想温度を下げることを助け得る。
【0046】
次いで、フッ素ドープされたスート管110を焼結および緻密化して緻密化管118にする(ステップ66)。様々な例において、スート管110は、緻密化後に、約0.1質量%~約0.4質量%のフッ素を含む。ある特定の態様において、緻密化管118は、一連のより小さな緻密化管118へと線引きされ得る。緻密化管118または得られたより小さな管118は、ハンドル120でそれぞれ組み立てられ、マンドレル114から、熱源122の近くに位置している回転旋盤に移送される。回転旋盤は、ガラス加工旋盤または修正化学蒸着(MCVD)ガラス成形旋盤であり得る。ハンドル120は、プリフォーム50の一体部分となるガラスハンドル120であり得る。ハンドル120は、後の処理ステップのための支持構造を提供する。ハンドル120は、旋盤に結合されており、ハンドル120、および結果的に、緻密化管118は、スートバーナ112に対して回転および移動させられる。
【0047】
緻密化管118は、アルカリ金属ドーピング材料132を収容するための環状リザーバ130を画定する。この材料は、酸素(O)およびアルカリ塩から形成されており、この材料は、環状リザーバ130に導入される。アルカリ金属源化合物132は、K、Na、Li、Cs、Rb、Br、I、およびFのうちの少なくとも1つを含む。アルカリ金属源化合物132は、KBr、KI、およびKNOのうちの少なくとも1つであり得る。緻密化管118内に拡散されるアルカリ金属酸化物は、KO、NaO、LiO、RbO、およびCsOであり得る。環状リザーバ130は、火炎加工によって、または環状リザーバ130を緻密化管118に溶接することによって、緻密化管118の壁に、2つの環状のネックのような変形部を鍛造することで、緻密化管118の一方の端部の近くに形成される。緻密化管118は、スート管110の長さに沿った拡散を可能にするための中央通路116を有する。
【0048】
アルカリ金属源化合物132を、リザーバ130において緻密化管118の中央通路116に導入し、緻密化管118が旋盤において回転するにつれて熱源122によって加熱して、蒸気を形成する(ステップ68)。アルカリハロゲン化物前駆体は、蒸発し、緻密化管118(例えば、基材管)を通流する。酸素(O)などのキャリアガスは、回転シール136を通って、緻密化管118の入口134に流入する。図8において、ハンドル120は、入口132と比較して、緻密化管118の反対側の端部において、右(ページ外)に位置していると考えられる。ガスは、入口134から、下流部分138と称される、緻密化管118の反対側の端部に向かって進む。緻密化管118の下流部分138を加熱して、緻密化管118の内面140へのアルカリ金属酸化物またはアルカリ金属の拡散を促進する。
【0049】
ある特定の態様において、ドーパントは、KOであり得る。Oは、KIの上方を流れることができ、ガス相KOが形成し得、これは、緻密化管118をドーピングするために、下流に運ばれる。より好ましくは、Kがドーパントであり、Kは、緻密化管118に堆積および拡散される。このプロセスは、KOの堆積よりも速い場合があり、したがって、緻密化管118を選択されたアルカリ質量パーセントでドーピングするための好ましい方法であり得る。緻密化管118の下流部分138は、内面140へのアルカリ金属酸化物またはアルカリ金属の急速な拡散を促進し、かつ緻密化管118の失透を防止するのに十分な温度に加熱されるべきである。例えば、緻密化管118の下流部分138は、約1500℃~約2000℃の温度に加熱され得る。
【0050】
熱源122を緻密化管118の長さに沿って横断させて、可動式ホットスポットを形成して、緻密化管118にアルカリ金属酸化物を拡散させる。アルカリ金属酸化物は、内面140から約100μm~500μmの深さまで拡散し、アルカリドープされた緻密化管150を形成することができる。拡散したアルカリ金属酸化物ドーパントの濃度は、一般に、半径状に変化し、内側半分152では濃度(質量%)がより高く、外側半分154では濃度がより低い。アルカリドープされた緻密化管150に真空を引き、熱を増加させて、アルカリドープされた管150を緩和または部分的にコラプスする。アルカリドープされた緻密化管150は、更なる処理のためにベース材料インゴット156に切断してもよい。
【0051】
アルカリ金属またはアルカリハロゲン化物(例えば、KCl)の結晶化を防止するために、アルカリドープされた緻密化管150およびその上に堆積される任意の追加のスートが実質的に塩素不含であることが有利であり得る。実質的に塩素不含とは、一般に、十分に低い塩素含有量を呈し、そのため、アルカリ塩素を理由とした光学的損失が一般に回避されることを意味する。例えば、アルカリドープされた緻密化管150における塩素含有量は、質量で約500ppm(約500×10-6%)未満、約100ppm(約100×10-6%)未満、または約50ppm(約50×10-6%)未満であり得る。結晶相は、シリカ相であるクリスタボライトであり得、アルカリ金属は、粘度を下げることで結晶形成を助ける。しかしながら、本明細書の教示から逸脱することなく他の結晶化が形成する場合もある。
【0052】
アルカリドープされた緻密化管150およびその上に堆積される任意の追加のスートが実質的に「水」不含であることが有利であり得る。本明細書で説明されるように、「水」はヒドロキシル基OHを指す。水は、一般に、約1383nmまたはその付近を中心とする水ピーク(すなわち、ヒドロキシル基による吸収ピーク)に関与している。この吸収ピークは、光ファイバ10の動作波長領域(例えば、1310nmまたは1550nm)まで及ぶことがあるため、光ファイバ10の減衰に対して負の効果を有し得る。一般に、ガラスのOH含有量を減少させることによって水ピークを低減することが有利である。例えば、アルカリドープされた緻密化管150は、質量で約100ppm(約100×10-6%)未満のOHを含有し得る。緻密化管150から「水」を除去するために、塩素乾燥技術が利用され得る。
【0053】
アルカリドープされた緻密化管150を水性HF溶液などのエッチング剤でエッチングしてよい(ステップ70)。エッチング剤は、アルカリドープされた緻密化管150の内面からある深さのシリカを除去して、アルカリドーピングおよび/または緻密化中に緻密化管150の内面を通して拡散した可能性のある不純物を除去または低減することができる。CF、SF、NF、Cなどのフッ素ガス、またはそれらの組み合わせをエッチング剤として使用することも考えられる。シリカ除去の深さは、拡散およびコラプスプロセス中の処理条件に依存し得る。アルカリ金属酸化物の全拡散深さの約5%の深さまで除去することが有利であり得る。
【0054】
エッチング処理が完了したら、アルカリドープされた緻密化管150をさらに加熱して、アルカリ金属源化合物132の下流で、アルカリドープされた緻密化管150を完全にコラプスして、中央通路116を閉じて、本明細書でコアロッド160と称されるガラスの円筒を形成する(ステップ72)。コアロッド160は、固体のアルカリドープされたガラス体であり、これは、環状リザーバ130を含むアルカリドープされた緻密化管150の部分から分離されている。コアロッド160は、プリフォーム50の中心コア部分を少なくとも部分的に形成しており、これは、プリフォーム50を線引きした後に得られる生じた光ファイバ10における中心コア領域16に対応する。コアロッド160は、再線引きによってサイズ調整され得る。さらに、コアロッド160は、コラプスプロセス中に熱源(例えば、トーチ)によって形成されたと思われる水和ガラスまたはヒドロキシル基の一部または全てを除去するためにエッチングされ得る。しかしながら、誘導または抵抗加熱器、プラズマトーチ、または非水素含有燃料(例えば、CO)を使用する乾燥熱源などの乾燥熱源をコラプスプロセスに使用する場合、追加のエッチングは必要ない場合がある。乾燥熱源は、H、OH、またはHOを供給または生成することなく、緻密化管150の再湿潤(例えば、OHの再吸収および/または拡散)を最小限に抑えて、減衰を低減することができる。
【0055】
コアロッド160は、一般に、製造方法40の第1の段階42の最終製品である。次いで、コアロッド160は、外側コア領域20に対応する、プリフォーム50の外側コア部分を形成する第2の段階44の初期製品として利用される。スートバーナ112を使用して、複数層の多孔質シリカスートをコアロッド160上に堆積させて、多孔質コアスートブランク162を形成する(ステップ74)。スートは、外部蒸着(OVD)法を使用してコアロッド160上に堆積させることができる。一般に、火炎がスートバーナ112から放出される。シリカ前駆体ガス-蒸気混合物を火炎内で酸化または燃焼させて、コアロッド160に向かうシリカ含有スート流を形成する。
【0056】
コアロッド160をスートバーナ112に対して複数回移動させて、シリカスート含有層の層蓄積を引き起こして、スートコーティングを形成することによって多孔質コアスートブランク162を形成する。並進運動は、一般に、スートバーナ112をコアロッド160に対して動かすことによって達成されるが、コアロッド160を、本明細書の教示から逸脱することなく、スートバーナ112に対して動かしてよい。あるいは、スートバーナ112およびコアロッド160の両方を動かしてよい。スートコーティングは、コア12の少なくとも一部(例えば、内側コア領域16または外側コア領域20の外側半径部分)を形成し、プリフォーム50から線引きされた光ファイバ10のクラッド14の一部(例えば、内側クラッド領域24)も含んでいてよく、純粋なシリカから実質的に形成され得る。
【0057】
多孔質コアスートブランク162を、塩素乾燥技術および熱を使用して乾燥させる(ステップ76)。次いで、乾燥ステップ(例えば、ステップ76)から残留した塩素の大部分または全てを除去するのに十分な時間および温度で多孔質コアスートブランク162をフッ素含有雰囲気に曝露することによって、多孔質コアスートブランク162をフッ素で処理する(ステップ78)。フッ素含有雰囲気は、SiFまたはCFなどのフッ素ドーピング前駆体を含む場合があり、低レベルのフッ素をドーパントとして多孔質コアスートブランク162の多孔質領域に導入し得る。
【0058】
次いで、フッ素処理されたスートブランク162を加熱によって焼結および緻密化して、コアケーン164を形成する(ステップ80)。このプロセスは、一般に、プリフォーム50から線引きされた光ファイバ10の中心コア領域16および外側コア領域20の両方を有するコア12を形成するプリフォーム50のコア部分を形成する。コアケーン164を、再線引きし(加熱し、より小さな直径にサイズ調整)、必要に応じて切断して、第3の段階46における処理のためのコアケーン166(ステップ82)を形成する。本明細書の教示から逸脱することなく、追加のコア層を追加して、少なくとも1つのコア領域および少なくとも1つのクラッド領域を含むコアケーン164/166の3つ以上のコア領域を有するコアケーン164/166を生成することができる。
【0059】
方法40の第3の段階46は、クラッド領域14のトレンチまたはモート26を形成するプリフォーム50のモート部分を形成し、また、プリフォーム50から線引きされた光ファイバのクラッド領域14の内側クラッド領域24を任意選択的に生成することができる。方法40の第2の段階44で生成されたコアケーン166は、方法40の第3の段階46の初期製品として利用される。コアケーン166をさらに加工して、追加のガラス層を追加し、それによって、屈折率低下クラッド領域またはモート26を最終的に形成する(ステップ84)。スートバーナ112を利用して、複数層のスートをコアケーン166上に堆積させて、後続の多孔質クラッドスートブランク170を形成する。得られた多孔質クラッドスートブランク170を、塩素乾燥技術を使用して乾燥させる(ステップ86)。多孔質クラッドスートブランク170を、好ましくは、SiFまたはCFなどのフッ素ドーピング前駆体を含有するクラッドドーピング雰囲気において、モートの低下のためのダウンドーパントでドーピングする(ステップ88)。様々な例において、多孔質クラッドスートブランク170は、約1225℃で約60分間~120分間、フッ素ドーピング前駆体に曝露される。ある特定の態様において、クラッドドーピング雰囲気は、SiClも含み、これは、本明細書でさらに論じられるように、得られる光ファイバ10の減衰を低下させるのに有利であり得る。
【0060】
次いで、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランク170を、約7~10mm/分で約1450℃~約1500℃の高温ゾーンを通して下流に送ることによって焼結および緻密化して、クラッドケーン172を形成する(ステップ90)。緻密化は、SiClなどの非炭素還元剤の存在下で行われ得る。様々な例において、還元剤SiClは、プリフォーム50が完全な多孔性になる場合、緻密化プロセス全体で存在する。あるいは、SiClは、緻密化状態についての最小密度(例えば、1.6g/cm、1.7g/cm、1.8g/cm、または1.9g/cmの密度まで)まで存在してよく、その後、SiClの存在は、任意選択的であり得る。クラッドケーン172の緻密化は、一般に、クラッド領域14にモート26を形成するために使用されるフッ素ドーピング前駆体の不在下で、またはその最小限のレベルで行われる。
【0061】
ある特定の態様において、フッ素ドーピング前駆体は、環境から能動的に排出され得る。あるいは、フッ素ドーピング前駆体の供給が停止され得る。フッ素ドーピング前駆体は、クラッドケーン172の緻密化中に最小限または痕跡量のレベルまで減少させられる。
【0062】
還元剤を、多孔質クラッドスートブランク170をフッ素ドーピング前駆体に曝露する場合(ステップ88)、多孔質クラッドスートブランク170をクラッドケーン172に緻密化する場合(ステップ90)、または両方のステップを含む、製造プロセス中の1つまたは2つのステップで利用することができる。多孔質クラッドスートブランク170および/またはクラッドケーン172を非炭素還元剤(例えば、SiCl)に曝露して、酸化状態を制御する。SiClは、所定の濃度の非炭素還元剤を有する還元ガス環境に含まれている。様々な例において、非炭素還元剤の濃度は、これらのプロセス中の還元ガス環境全体の約0.1体積%~約15体積%の範囲である。追加の例において、非炭素還元剤の濃度は、ガス環境の約0.5体積%~約10体積%の範囲である。SiClは、フッ素ドーピングプロセス(ステップ88)中、焼結プロセス(ステップ90)中、またはフッ素ドーピングプロセスおよび焼結プロセスの両方(ステップ88,90)でガス環境に導入され得る。ある特定の態様において、プリフォーム50が完全な多孔性になる場合、SiClによる処理が焼結プロセス90中により効果的であり得る。クラッドケーン172を、本明細書でさらに論じられるように、好ましくは、オーバークラッドおよび製造方法40の第4の段階48における使用のために、所定の直径で再線引きして、クラッドケーン174にする(ステップ92)。
【0063】
第3の段階46における還元剤SiClの使用は、モート26を形成するガラスの酸化状態を制御することを補助する。しかしながら、モート形成中のSiClの使用は、ドーパントとして組み込まれると、Clが、アップドーパントとして機能し、Fの屈折率減少効果を打ち消すため、フッ素によるダウンドーピングに逆効果となる可能性がある。SiClが第3の段階46において使用される条件は、ドーパントとしてのClを実質的に導入せず、したがって、得られる光ファイバ10の相対屈折率プロファイルに影響を与えることなく、SiClが(還元剤として機能することによって)酸化状態を制御するように制御される。ある特定の態様において、焼結プロセス(ステップ90)中のガス環境におけるSiClの濃度は、約0.25モル%~約6モル%である。追加の例において、焼結プロセス(ステップ90)中のガス環境におけるSiClの濃度は、約0.25モル%~約4モル%である。更なる例において、焼結プロセス(ステップ90)中のガス環境におけるSiClの濃度は、約1モル%~約3モル%である。
【0064】
図5および6、ならびに図9をさらに参照すると、製造プロセスの第3の段階46におけるモート形成は、得られる光ファイバ10の様々な特性を変更する欠陥を導入し得る。ある特定の動作条件下では、導波光信号の強度分布がモート26に延在しており、モート26における欠陥が光信号と相互作用して、導波光信号の減衰を増加させ得る。モート26における欠陥の存在はまた、光ファイバの配備環境に存在する構成要素(例えば、周囲のコーティングもしくはケーブル、または外部雰囲気)と経時的に相互作用し、光信号の減衰において時間変化をもたらし得る(本明細書では、「エージング」と称される)。
【0065】
光ファイバの配備環境に存在することが知られている一般的な構成要素は、水素である。アルカリドープされたコアを有する光ファイバ10は、光信号のそれらの本質的に低い減衰を理由に、地上系および海底ネットワークで利用されている。しかしながら、現場における使用中に、経時的に、そのような光ファイバ10は、酸素リッチな水素エージング欠陥がファイバ処理中に形成される場合、水素エージングを起こしやすくなり得る。水素エージングは、水素が酸素リッチな水素エージング欠陥と相互作用して欠陥(例えば、ヒドロキシル基)を形成し、それによって、特定の波長の光が吸収され、したがって、それらの波長における光ファイバ10の減衰が増加するときに生じる。典型的には、既知の酸素リッチな水素エージング欠陥は、hydro-I応答の特性を有し、すなわち、酸素リッチな水素エージング欠陥の濃度は、log(時間)のスケーリング係数で時間に伴って拡大し続ける。光ファイバ10の酸化状態を変化させて、光ファイバ10における酸素リッチな水素エージング欠陥の濃度を著しく低下させ、それによって、光ファイバ10の酸素リッチな水素エージング欠陥の蔓延および水素エージング感応性を低減するか、または光ファイバ10の水素エージング不感応性を創出することが有利である。
【0066】
光ファイバ10を定期的に水素エージングについて試験する。本明細書で使用される水素エージング試験では、光ファイバ10を、所定の期間にわたって、23℃で、Hを含有するガス雰囲気に曝露する。ガス雰囲気は、不活性ガスの存在下でHを含む。本開示における水素エージングを試験する目的で、H含有ガス雰囲気は、1.0atm(101325Pa)の全圧であり、0.01atm(1013.25Pa)の水素(H)ガス分圧および0.99atm(100311.8Pa)の窒素(N)ガス分圧を含む。水素エージング試験中に、様々な波長の光を、光ファイバ10に導入し、H含有ガス雰囲気への曝露前の光ファイバ10の初期減衰に対するH含有ガス雰囲気への曝露時間の関数としての減衰の変化について監視する。
【0067】
例えば、通信用途にとって興味深い1つの波長は、1383nmである。本明細書に開示されている水素エージング試験では、この波長が監視される。本明細書では、光ファイバ10をH含有ガスに曝露してから1383nmにおける吸収の増加の開始が起こる時間までの経過時間を、1383nm「ピーク到達時間」(または「Time-to-Peak」)値(本明細書では、TTPと省略され得る)と称する。この測定の重要性は、本明細書で説明されているように、1週間などの長期間にわたってHに曝露した場合に、光ファイバ10における酸素リッチな水素エージング欠陥の反応性酸素中心が、水素と反応して、-OH種(例えば、シラノール基)を形成することであり、この-OH種は、一般的な通信波長で光を吸収し、吸光度が約1383nmで最大である。経時的な水素ガスへのファイバの曝露時の吸収性-OH種の形成は、本明細書で水素エージングと称されるプロセスである。
【0068】
1つの試験例において、125μmの直径を有する4つのシングルモード光ファイバを、異なるプリフォームから各ファイバを形成および線引きすることによって製造して、水素エージングを試験した。各プリフォームを、コアケーンを形成し、クラッドスートをコアケーン上に形成し、クラッドスートを緻密化することによって形成した。クラッドスートの緻密化は、約1150℃の温度で約240分間にわたってClを含有する第1の処理ガスにクラッドスートを曝露してクラッドスートを乾燥させる等温段階である第1の段階と、約1150℃~約1500℃の温度で約6時間にわたって第2の処理ガスにクラッドスートを曝露する第2の段階とを含んでいた。4つのファイバを線引きした4つのプリフォームは、4つのプリフォームそれぞれの第1および第2の段階のための処理ガスが、以下の表1に示されているように異なる濃度のClおよびCO(残りのガスはヘリウムを含む)を含有していた点を除いて、実質的に同じ手法で製造した。表1のファイバはそれぞれ、ゲルマニアドープされたコア、シリカ内側クラッド、フッ素ドープされたトレンチ、および塩素ドープされた外側クラッドを含む。比較すると、本開示の光ファイバ10の各層は、コア12の内側の約30%を除いてフッ素でドープされており、ファイバ10は、アルカリドープされている。表1のファイバは、構造が類似しているが、組成が本ファイバ10とは異なる。
【0069】
【表1】
【0070】
4つのファイバをそれぞれ、23℃で、0.01atm(1013.25Pa)のH分圧および0.99atm(100311.8Pa)のN分圧を含む1atm(101325Pa)の全圧のガス雰囲気に曝露した。これらの条件下で水素がファイバクラッドを通してファイバコアに拡散する時間を各ファイバについてのTTPの観点で測定した。TTPは、1383nmの波長を有する光信号の減衰の時間依存性に基づいて測定し、ファイバをH含有ガスに曝露した後の時間に対応し、この時間において、減衰における急激な増加が観察された。TTP未満の曝露時間では、1383nmにおいて、減衰における変化は本質的に観察されなかった。TTPに等しい曝露時間では、1383nmにおいて、減衰における増加の開始が観察された。TTP超の曝露時間では、1383nmにおいて、減衰における顕著な増加が観察された。プリフォーム#1から線引きされたファイバは、1383nmにおいて約105時間の平均TTPを有していた。プリフォーム#2から線引きされたファイバは、1383nmにおいて約76時間の平均TTPを有していた。プリフォーム#3から線引きされたファイバは、1383nmにおいて約58時間の平均TTPを有していた。プリフォーム#4から線引きされたファイバは、1383nmにおいて約40時間の平均TTPを有していた。この試験方法は、SiClなどの非炭素還元剤を使用して、本明細書に開示されているファイバ10を含むファイバのTTPを決定するために使用することができる。
【0071】
低いTTP値(短いTTP時間)は、光ファイバのクラッド領域における酸素リッチな水素エージング欠陥の濃度が低いことを意味する。ガス雰囲気からの水素は、外面において光ファイバに接触し、クラッドを通してコアまで、半径状で内側方向に拡散する。水素が、これが拡散するときにクラッドにおける酸素リッチな欠陥に遭遇する場合、水素は、この欠陥と反応して、ヒドロキシル基を形成し、拡散が停止する。光ファイバの外面に最も近い酸素リッチな水素エージング欠陥は、初期曝露時間でヒドロキシル基に変換される。ヒドロキシル基の形成時に、酸素リッチな水素エージング欠陥が中和され、H含有ガス雰囲気への光ファイバのその後の曝露によって、表面からより離れてコアのより近くに位置している酸素リッチな水素エージング欠陥への水素の拡散が可能になる。曝露時間が増加するほど、ヒドロキシル基は、コアのさらにより近くに形成する。短い曝露時間では、ヒドロキシル基は、コアから離され過ぎるため、光信号と相互作用することができず、減衰における増加は観察されない。十分に長い曝露時間では、OH基が、コア領域の十分近く(例えば、コア領域自体、またはコア領域に十分近いクラッド領域の一部)に形成して、(例えば、吸収によって)光信号と相互作用して、光信号の減衰を引き起こす。TTPは、形成するOH基が、コアに十分近づいて、光信号と相互作用し始める曝露時間を示す。低いTTPは、OH基がコアの十分近くに形成して光信号と相互作用する時間が短いことを示唆しており、これは、コア領域における酸素リッチな欠陥の濃度が低いことと一致する。
【0072】
伝送信号強度の低下をもたらすそのようなエージングおよび吸収を防止するために、光ファイバを還元剤で処理して、エージングおよび吸収を低減することができる。1つの従来のアプローチは、光ファイバを重水素ガスで処理して、ファイバに存在する酸素リッチな水素エージング欠陥などの反応性酸素中心から-OD種を形成することである。-OHとは異なり、-ODは、1383nmにおいて吸収しない。重水素ガスを使用する場合、酸素の漏れも、得られるファイバの線引きプロセス中に厳密に制御される。D処理は、線引きプロセスの完了後にファイバに対して行われ、線引き自体においては実施されない。しかしながら、重水素ガスは高価であり、水素エージングを改善するための他の方法を特定することが望ましい。
【0073】
酸素リッチな水素エージング欠陥を低減するための第2の従来の方法は、表1に関連する先の例に図示されているように、緻密化(またはドーピング)中に光ファイバのプリフォームを還元剤としての一酸化炭素(CO)に曝露するステップを含む。しかしながら、一酸化炭素は、通信スペクトルのLバンド部分において、一般に1583nmまたはその付近の波長において吸収ピークをもたらし、程度はより低いものの、通信スペクトルのCバンド部分において、一般に1547nmまたはその付近の波長において吸収ピークをもたらす。CバンドスペクトルおよびLバンドスペクトルにおける吸収波長は、特にLバンドスペクトルにおいて、光ファイバ10の性能に悪影響を及ぼす。COを還元剤として使用する場合、COがファイバ内で形成し、減衰に影響を及ぼし得る。1583nmにおける吸収ピークは、COを還元剤として使用する場合に発生し、COから、または炭素もしくはCOによって引き起こされるシリカにおける他の構造的効果から生じ得る。1583nmにおける吸収ピークは、得られるファイバの全体的な性能に影響を及ぼす。
【0074】
本明細書に開示されている方法40は、製造プロセスのモート形成中に非炭素ベースの還元剤を利用して、光ファイバ10における酸素リッチな水素エージング欠陥を低減する。非炭素ベースの還元剤は、SiClである。非炭素ベースの還元剤の使用によって、(1)水ピーク、一般に約1383nmの波長における減衰、(2)Cバンドスペクトル内、一般に約1547nmの波長における減衰、および(3)Lバンドスペクトル内、一般に約1583nmの波長における減衰が低減される。非炭素ベースの還元剤を使用すると、二酸化炭素COを形成することなく、酸素リッチな水素エージング欠陥が低減または回避され、それによって、Lバンドおよび/またはCバンドにおける望ましくない吸収ピークが低減または排除される。さらに、本明細書の方法40を介して生成された光ファイバ10は、1atm(101325Pa)の全圧を有し、かつ0.01atm(1013.25Pa)のH分圧および0.99atm(100311.8Pa)のN分圧を含むH含有ガス雰囲気への曝露時に、23℃で100時間未満の1383nmにおけるTTPを有する。TTPは、表1に関連して本明細書に記載されている方法を使用して決定される。先に述べられているように、低いTTP値は、光ファイバのクラッド領域における酸素リッチな水素エージング欠陥の濃度が低いことを意味する。
【0075】
前に述べられているように、製造プロセスの第3の段階46は、多孔質クラッドスートブランク170をフッ素でドープして、光ファイバ10のプロファイルのトレンチ内側クラッド領域(例えば、モート26)を形成すること(例えば、ステップ136)を伴う。一般に、モート屈折率は、コア12の屈折率よりも低い。トレンチ領域またはモート26には十分なパワーがあり、そのため、モート26における欠陥は、一般に、光ファイバ10のエージング挙動に寄与する。光ファイバ10を水素に曝露するとき、還元剤を使用しない場合、1383nmおよび1550nmまたはそれらの付近の吸収ピークが形成される。酸素リッチな水素エージング欠陥を低減するためにCOを使用する従来の方法は、CO形成、または光ファイバ10における他の汚染効果もしくは構造的効果をもたらし、吸収ピークを、図9に図示されているように、Lバンドでは約1583nmまたはその付近で、Cバンドではより低い程度で約1547nmまたはその付近で生じさせ得る。
【0076】
本明細書に開示されているプロセスにおいて、SiClは、多孔質クラッドスートブランク170と相互作用して、光ファイバ10において、二酸化炭素COまたはCOに関連する他の残留汚染効果もしくは構造的効果を形成することなく、酸素リッチな水素エージング欠陥を低減または排除する。結果として、1583nmまたはその付近の吸収ピークが回避され、結果的に、Lバンド伝送スペクトル内の減衰が低減される。SiClは、光ファイバ10を水素エージングに対して不感応性にするか、または水素エージング感応性を少なくとも低減し、その一方で、COを還元剤として使用する場合に生じることが知られているCバンドおよびLバンドにおける吸収ピークを同時に低減または排除する。
【0077】
炭素ベースの還元剤ではなくSiClを還元剤として使用すると、CバンドおよびLバンドにおいて吸収ピークは形成されない。さらに、SiClは、光ファイバ10内で、水、すなわちSiOHの減少も補助する。SiClの使用によって、約1583nmおよび1547nmまたはそれらの付近の吸収ピークが排除され、約1383nmまたはその付近の水ピークが低減される。
【0078】
処理中のSiClの使用によって、1383nm、1547nm、および1583nmそれぞれまたはそれらの付近において低い減衰を有する光ファイバ10が生成される。モート26の形成中のSiClへの曝露を理由に、光ファイバ10は、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰、および1583nmにおいてベースラインを上回る0.0005dB/km未満の増分ピークまたは減衰を呈する。ある特定の態様において、光ファイバ10は、CO吸収を理由に、1583nmにおいてベースラインを上回る0.0005dB/km未満の増分減衰を呈し得る。ベースラインは、1583nm付近を中心とする波長範囲を除くCバンドおよびLバンドにわたる最良あてはめ減衰である。減衰の最良あてはめは、約1570nm~約1590nmの範囲を除く、約1530nm(例えば、Cバンドの下限)~約1625nm(例えば、Lバンドの上限)の波長の関数である。ベースラインは、1583nmにおいて吸収がないと考慮し、標準的な分光測定に従って、1550nm~1625nmの波長にわたって滑らかな曲線を生成する。
【0079】
さらに、減衰は、約1570nm~約1600nmで単調に増加し得るか、または約1570nm~約1590nmで単調に増加し得る。単調に増加する減衰は、比較CO処理光ファイバには存在しない、SiCl処理光ファイバ10の特性である。さらにまたはあるいは、光ファイバ10は、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰、および1583nmにおいてベースラインを上回る0.0003dB/km未満の増分減衰を呈し得る。さらに、光ファイバ10は、1383nmにおいて0.5dB/km未満の減衰を呈する。
【0080】
モートを形成する、製造プロセスの第3の段階46は、得られる光ファイバ10の全体的な性能に影響を及ぼす。非炭素還元剤への曝露によって、光ファイバ10の減衰が低減されて、光ファイバ10の性能が改善される。SiClを使用することによって、CバンドおよびLバンドのスペクトルの両方における減衰が低減され、それによって、これらの領域それぞれを通した光伝送および全体的な性能が改善される。
【0081】
再び図5および6、ならびに図10を参照すると、クラッドケーン174をプリフォーム50に組み込む場合、プリフォーム50の線引きプロセスにおいて行われる加熱によって、アルカリ濃度が、クラッドケーン174内のより深い部分まで拡散する。アルカリ金属酸化物の拡散は、ドープされるガラスの温度に少なくとも部分的に依存する。アルカリ金属酸化物の拡散は、線引きプロセスによって制御され得る。線引き条件(例えば、光ファイバ10をプリフォーム50から線引きするために使用される温度)を変化させることによって、アルカリ金属酸化物の濃度を所定の濃度プロファイルでプリフォーム50内に分布させることができる。様々な例において、半径rとアルカリ金属濃度との間の関係は、一般に、直線的である。したがって、選択された温度にプリフォーム50が留まる時間の量は、アルカリ金属酸化物の拡散と、光ファイバ10のコア領域およびクラッド領域におけるアルカリ金属酸化物の濃度プロファイルとにおいて1つの要因となる。最終的なプリフォーム50から線引きされたクラッドケーン174および得られた光ファイバ10が線引きプロセス中に曝露される時間および温度は、線引き炉の線引き速度および温度を制御することによって線引きプロセスを変化させることによって制御される。例えば、線引き速度を増加させると、線引き炉180における光ファイバ10の特定の部分の時間が減少し(図11)、結果的に、アルカリ金属酸化物ドーパントがプリフォーム50のコア領域および/またはクラッド領域内で拡散する距離が減少する。これによって、クラッド14に拡散するアルカリ金属酸化物がより少なくなり、したがって、プリフォーム50を線引きすることによって形成される光ファイバ10のコア12におけるアルカリ金属酸化物の濃度がより高くなり得る。
【0082】
逆に、線引き速度を減少させると、この時間が増加し、それによって、アルカリ金属酸化物が光ファイバ10のクラッド14にさらに拡散するため、光ファイバ10のコア12におけるアルカリ金属酸化物の濃度が減少し得る。さらに、線引き炉の温度を増加させると、拡散レートを増加させることができ、コア12におけるアルカリ金属酸化物の濃度が減少し、クラッドにおけるアルカリ金属酸化物の濃度が増加する。
【0083】
再び図5および6を参照すると、屈折率低下クラッド領域26が製造の第3の段階46において形成された後に、外側クラッド領域28が第4の段階48において形成される。スートバーナ112を利用して、スート層をクラッドケーン174上に敷いて、多孔質オーバークラッドスートブランク190を形成する(ステップ94)。得られた多孔質オーバークラッドスートブランク190を、塩素乾燥技術を使用して乾燥させる(ステップ96)。屈折率低下クラッド領域を含むように、多孔質オーバークラッドスートブランク190をSiFなどのフッ素ドーピング前駆体でドープする(ステップ98)。SiClの使用は、一般に、フッ素によるダウンドーピングに逆効果となるため、多孔質オーバークラッドスートブランク190を、還元剤SiClの不存在下で、またはその最小限のレベルで、フッ素ドーピング前駆体に曝露する。
【0084】
外側クラッド領域28は、一般に、コア12よりも低く、かつモート26よりも高い屈折率を有する。様々な例において、外側クラッド領域28のドーピングは、例えば約0.3%~約0.4%の、コア12の最大値とクラッド14の最小値との間の相対屈折率デルタ%を達成するのに十分である。最外クラッド層(例えば、外側クラッド領域28)において、フッ素の質量%は、好ましい範囲内の相対屈折率を達成し、光ファイバをプリフォーム50から線引きするときに生じる応力の効果を最小限に抑えるために、わずかにより少なくてよく、約0.1質量%~約0.5質量%であり得る。次いで、フッ素ドープされた多孔質オーバークラッドスートブランク190を焼結および緻密化して、プリフォーム50を形成する(ステップ100)。
【0085】
様々な段階42,44,46,48によって創出されたプリフォーム50を、選択された寸法および特性を有するように、光ファイバ10へと線引きする(ステップ102)。本明細書に記載されている方法40は、23℃での1週間にわたる1体積%のHおよび99体積%のNを含有するH含有雰囲気への曝露後の1583nmにおける減衰が0.16dB/km未満であり、かつ1583nmにおけるベースラインを上回る増分減衰が0.0005dB/km未満である、また1547nmにおける減衰が0.16dB/km未満であり、かつ1547nmにおけるベースラインを上回る増分減衰が0.0003dB/km未満である、アルカリドープされたシリカ光ファイバ10を形成する。さらに、方法40から形成されたプリフォーム50を線引きすることから得られる光ファイバ10は、1383nmにおいて0.5dB/km未満の減衰を呈する。
【0086】
さらに図5、ならびに図11および12を参照すると、本明細書に記載されている再線引きプロセスは、線引きシステム200によって行われ得る。ハンドル120は、本明細書に記載されているステップによって、ケーン164,172に取り付けられる。製造プロセスの段階に応じて、コアケーン164またはクラッドケーン172は、線引き炉180の上方の可動式ダウンフィード支持体に取り付けられる。炉180は、一般に、加熱要素202、および選択された温度に加熱されるマッフル204を含む。犠牲ガラスロッド206を、ケーン164,172の端部に結合してよく、モーター駆動の牽引機208によって引っ張って、ケーン164,172を選択されたレートで線引きしてよい。線引き速度または線引きレートは、ケーン164,172の直径dを測定するセンサ210に基づいて調整され得る。ケーン164,172は、ケーン164,172が選択された直径になるまで、より小さな直径dに線引きされる。
【0087】
プリフォーム50を光ファイバ10へと線引きする最終的な線引きプロセス(ステップ102)も、類似した手法で行われる(図12)。プリフォーム50は、線引き炉180内でほぼ垂直に配置されている。マッフル204は、約1700℃~約2100℃の範囲に加熱される。光ファイバ10は、加熱されたプリフォーム50から、裸の光ファイバ10(例えば、ポリマーベースの材料でコーティングされていない)の形態で線引きされる。マッフル204を離れた後に、光ファイバ10は、直径dを監視するためのセンサ214に遭遇し得る。センサ214は、牽引機208の速度を調整して光ファイバ10の直径dを実質的に一定に維持するためのフィードバック制御ループのために、フィードバックをコントローラ212に提供することができる。また、光ファイバ10の張力を監視するために、光ファイバ10を張力監視デバイス216によって線引きすることが可能であると考えられる。張力監視デバイス216は、コントローラ212と通信して、光ファイバ10の線引き張力を調整することもできる。
【0088】
線引きシステム200は、冷却システム218を含み得る。光ファイバ10をプリフォーム50から線引きしたら、光ファイバ10を冷却管または別のデバイスにおいて冷却してよい。冷却システム218は、炉180の出口に結合されていてよいか、または代替的には、それから離間されていてよい。その後、光ファイバ10をコーティングシステム220によってコーティングしてよく、それによって、ポリマーベースのコーティング材料を光ファイバ10の外面に適用することができる。また、コーティングされた光ファイバ10がコーティングシステム220内のコーティング硬化装置を通過してよいと考えられる。コーティングされた光ファイバ10は、リールまたはスプール222上に巻き取られ得る。
【0089】
線引きシステム200は、コントローラ212を有するものと図示されており、コントローラ212は、マイクロプロセッサまたはプロセッサ224、メモリ226、および他の制御回路を有し得る。メモリ226は、プロセッサ224によって実行可能な命令228を記憶することができる。任意のデジタルおよび/またはアナログ処理回路ならびにメモリ記憶媒体が用いられ得ると考えられる。
【0090】
コントローラ212は、例えば、線引きシステム200の線引き速度を調整すること、炉180の温度を修正すること、および/または光ファイバ10に適用される線引き張力を修正することなどによって、製造プロセスを修正することができる。線引きシステム200は、光ファイバ10が線引きシステム200によって線引きされるときに、様々な線引き機構および/または滑車を利用して、選択された線引き張力を光ファイバ10に提供することができる。
【0091】
図13および14を参照すると、本明細書に開示されている方法40は、異なる特性を有する異なるアルカリドープされた光ファイバ10に最終的に線引きされるコア12を創出するために使用され得る。図13に図示されているような屈折率プロファイル240は、最終的な線引きの前の第1のケーンプロファイルであり、図14に図示されているような屈折率プロファイル242は、最終的な線引きの前に測定された第2のケーンプロファイルである。さらに、図14における屈折率プロファイル242は、ファイバ10の外半径が約62.5μmであるファイバ空間にある。正規化された(例えば、最大外半径に正規化された)半径空間におけるプロファイル242は、アルカリ拡散および応力光学効果を理由とした多少の変動があるものの、プリフォーム50およびファイバ空間において概ね類似している。本明細書に開示されている方法40を使用して、異なる特性を有する異なる製品であるプリフォーム50および光ファイバ10の両方を形成することができる。
【0092】
図1図14を参照すると、本明細書に開示されている方法40は、様々な波長における減衰の低減、選択されたTTP、および選択された相対屈折率などの選択された特性を有する光ファイバ10を生成する。光ファイバ10は、アルカリ金属酸化物でドープされたコア12を含む。コア12は、0.5質量%~1.5質量%のアルカリ金属酸化物濃度を有する。クラッド14は、コア12を囲んでおり、モート26および外側クラッド領域28を含む。モート26は、第1のフッ素濃度を有し、第1の塩素濃度を有し得る。モート26は、相対屈折率Δを有し、最小相対屈折率Δ3minは、約-0.80%~約-0.30%の範囲である。この濃度差によって、一般に、モート26は、外側クラッド28よりも低い相対屈折率を有する。外側クラッド領域28は、第2のフッ素濃度を有し、これは、一般に、第1のフッ素濃度よりも低い。外側クラッド領域28は、第1の塩素濃度よりも低くてよい第2の塩素濃度を有し得る。外側クラッド領域28は、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する。外側クラッド28におけるより低い塩素濃度は、一般に、モート形成プロセス中のSiClの使用から生じるが、外側クラッド領域28は、SiClに曝露されない。
【0093】
さらに、光ファイバ10は、1atm(101325Pa)の全圧を有し、かつ0.01atm(1013.25Pa)のH分圧および0.99atm(100311.8Pa)のN分圧を含むH含有ガス雰囲気への23℃での曝露時に、100時間未満のTTP水素エージング値を有する。さらに、モート26の形成中のSiClへの曝露を理由に、光ファイバ10は、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰、および1583nmにおいてベースラインを上回る0.0005dB/km未満の増分減衰を呈する。さらにまたはあるいは、光ファイバ10は、1547nmにおいて0.16dB/km未満の減衰、および1547nmにおいてベースラインを上回る0.0003dB/km未満の増分減衰を呈し得る。例えば、光ファイバ10は、1547nmにおいて0.16dB/km未満の減衰、および1547nmにおいてベースラインを上回る0.0003dB/km未満の増分減衰を呈する。さらに、光ファイバ10は、1383nmにおいて0.5dB/km未満の減衰を呈し得る。プリフォーム50が方法40で作製されたかどうかを判断するために、カソードルミネッセンスまたは240nm吸収測定プロセスを利用することができると考えられる。
【0094】
現在、光ファイバ10は、約1550nmおよび/または約1580nmの波長で伝送することができる。通信技術では、波長分割多重化が使用される場合があり、複数の波長チャネルが同じ光ファイバ10において位置することが可能になる。そのような構成において、Cバンド伝送スペクトルおよびLバンド伝送スペクトルの両方を利用することができる。Lバンドスペクトルからの吸収ピークの除去によって、Lバンドにおける減衰が低下し、結果的に、光ファイバ10の性能が向上する。本明細書に開示されている方法40は、1547nmおよび1583nmまたはそれらの付近の吸収ピーク、ならびに1383nmまたはその付近の水ピークを緩和しながら、減衰を低下させる。
【0095】
開示されているプロセスの使用は様々な利点をもたらす。例えば、非炭素還元剤は、光ファイバ10の炭素含有還元剤に関連する水(OH)形成および汚染物質または構造欠陥を低減する。さらに、非炭素還元剤は、光ファイバ10におけるSiOHの形成を低減し、それによって、水ピークを低下させるSiClであり得る。さらに、SiClの使用によって、約1547nmまたはその付近のCバンドおよび約1583nmまたはその付近のLバンドにおける吸収ピークが低減または回避される。さらに、SiClの使用によって減衰が低下し、このことは、光ファイバ10の性能に良好な影響を及ぼす。さらに、非炭素還元剤は、光ファイバ10における酸素リッチな水素エージング欠陥を低減または排除し、それによって、減衰が低下する。追加の利益または利点が実現および/または達成されることがある。
【0096】
本明細書に開示されているデバイスおよび方法は、以下の段落でさらに要約されており、本明細書に記載されている様々な態様のうちのいずれかおよび全ての組み合わせによってさらに特徴付けられる。
【0097】
第1の態様によれば、光ファイバのプリフォームを製造する方法であって、光ファイバが、コア領域およびクラッド領域を有する、方法は、シリカスートをコアケーン上に堆積させることによって多孔質クラッドスートブランクを形成するステップを含む。コアケーンは、光ファイバのコア領域の少なくとも一部に対応する組成を有するコア部分を含み、コアケーンのコア部分におけるアルカリ金属酸化物の濃度は、0.1質量%~1.5質量%である。方法は、多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下でフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップであって、フッ素ドーピング前駆体が、多孔質クラッドスートブランクをフッ素でドーピングして、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを形成する、曝露するステップを含む。曝露するステップは、フッ素ドーピング前駆体の流れを多孔質クラッドスートブランクに供給するステップを含む。方法は、緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーンを形成するために、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体の存在下または不在下で緻密化するステップであって、緻密化するステップは、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む、緻密化するステップを含む。コアケーンのコア部分の組成は、アルカリ金属酸化物でドープされたシリカを含む。
【0098】
第2の態様によれば、方法は、緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーンに、フッ素ドープされたシリカガラス外側クラッド層を適用して、光ファイバプリフォームを形成するステップを含む。
【0099】
第3の態様によれば、SiClが、緻密化するステップにおいて、約1.6g/cmの最小密度まで存在する。
【0100】
第4の態様によれば、方法は、緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーン上にシリカスートを堆積させることによって多孔質オーバークラッドスートブランクを形成するステップと、多孔質オーバークラッドスートブランクをSiClの不在下でフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップと、多孔質オーバークラッドスートブランクを緻密化して、光ファイバのクラッド領域に対応する組成を有するクラッド部分を含むプリフォームを形成するステップとを含む。
【0101】
第5の態様によれば、クラッド部分が、コア部分を囲む屈折率低下クラッド部分と、屈折率低下クラッド部分を囲む外側クラッド部分とを含み、屈折率低下クラッド部分が、第1のフッ素濃度を有し、外側クラッド部分が、第2のフッ素濃度を有し、第2のフッ素濃度が、第1のフッ素濃度よりも低い。
【0102】
第6の態様によれば、屈折率低下クラッド部分が、-0.80%~-0.30%の範囲の最小相対屈折率Δ3minを有する相対屈折率Δを有し、外側クラッド部分が、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する。
【0103】
第7の態様によれば、屈折率低下クラッド部分が、第1の塩素濃度を含み、外側クラッド部分が、第2の塩素濃度を含み、第2の塩素濃度が、第1の塩素濃度よりも低い。
【0104】
第8の態様によれば、光ファイバを製造する方法であって、光ファイバが、コア領域およびクラッド領域を有する、方法は、アルカリドープされたコアケーンを形成するステップを含む。アルカリドープされたコアケーンは、光ファイバのコア領域の少なくとも一部に対応する組成を有する部分を含む。方法は、アルカリドープされたコアケーン上にシリカスートを堆積させることによって多孔質クラッドスートブランクを形成するステップと、多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップとを含む。フッ素ドーピング前駆体は、シリカスートをフッ素でドーピングして、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを形成する。曝露するステップは、フッ素ドーピング前駆体の流れを多孔質クラッドスートブランクに供給するステップを含む。方法は、光ファイバのクラッド領域に対応する組成を有する部分を有するフッ素ドープされたクラッドケーンを形成するために、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体の流れの不在下または存在下で緻密化するステップを含む。曝露するステップは、多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下でフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップを含むか、または緻密化するステップは、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む。
【0105】
第9の態様によれば、曝露するステップが、多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下でフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップを含み、緻密化するステップが、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む。
【0106】
第10の態様によれば、方法は、光ファイバを、フッ素ドープされたクラッドケーンを含むプリフォームから線引きするステップを含む。光ファイバは、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰を呈する。減衰は、約1570nm~約1590nmで単調に増加する。
【0107】
第11の態様によれば、アルカリドープされたコアケーンを形成するステップが、アルカリハロゲン化物前駆体を蒸発させ、これを基材管に通流させるステップと、基材管の内部でアルカリをドープすることを可能にする管を通流しかつ管壁を通じて拡散するアルカリハロゲン化物蒸気を有する基材管の外部で加熱バーナを横断させるステップと、基材管をコラプスして、コアケーンの一部を形成するステップとを含む。コアケーンの部分は、0.1質量%~1.5質量%のアルカリ濃度を有する組成を有する。
【0108】
第12の態様によれば、光ファイバのクラッド領域に対応する組成を有する部分が、-0.30%未満の最小相対屈折率Δ3minを有する相対屈折率Δを有する。
【0109】
第13の態様によれば、方法は、フッ素ドープされたクラッドケーン上にシリカスートを堆積させることによって、外側クラッド領域を形成して、多孔質オーバークラッドスートブランクを形成するステップを含む。外側クラッド領域は、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する。方法は、多孔質オーバークラッドスートブランクを緻密化して、プリフォームを形成するステップと、光ファイバをプリフォームから線引きするステップとを含む。光ファイバは、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰および1583nmにおいてベースラインを上回る0.0005dB/km未満の増分減衰を呈する。
【0110】
第14の態様によれば、多孔質オーバークラッドスートブランクを緻密化するステップが、多孔質オーバークラッドスートブランクをSiClの不在下でフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップを含む。
【0111】
第15の態様によれば、曝露するステップまたは緻密化するステップにおいて存在する場合、SiClが、ガス雰囲気に供給され、ガス雰囲気におけるSiClの濃度が、0.1体積%~15体積%である。
【0112】
第16の態様によれば、光ファイバは、アルカリ金属酸化物でドープされたシリカガラスを含むコア領域を含む。クラッド領域は、コア領域を囲んでいて、コア領域に直接隣接している。クラッド領域は、コア領域を囲む屈折率低下クラッド領域を含む。屈折率低下クラッド領域は、第1のフッ素濃度でドープされたシリカガラスを含む。屈折率低下クラッド領域は、-0.80%~-0.30%の範囲の最小相対屈折率Δ3minを有する相対屈折率Δを有する。クラッド領域は、屈折率低下クラッド領域を囲んでいて、屈折率低下クラッド領域に直接隣接している外側クラッド領域を含む。外側クラッド領域は、第1のフッ素濃度よりも低い第2のフッ素濃度でドープされたシリカガラスを含む。外側クラッド領域は、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する。光ファイバは、1atm(101325Pa)の全圧を有しかつ0.01atm(1013.25Pa)のH分圧および0.99atm(100311.8Pa)のN分圧を含むガス雰囲気への光ファイバの曝露時に、23℃で100時間未満のピーク到達時間(TTP)水素エージング値を有する。光ファイバは、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰を呈し、減衰が、約1570nm~約1600nmで単調に増加する。
【0113】
第17の態様によれば、コア領域が、0.5質量%~1.5質量%のアルカリ金属酸化物濃度を有する。
【0114】
第18の態様によれば、アルカリ金属酸化物は、KO、NaO、LiO、RbOおよびCsOのうち少なくとも1つを含む。
【0115】
第19の態様によれば、光ファイバが、1547nmにおいて0.16dB/km未満の減衰および1547nmにおいてベースラインを上回る0.0003dB/km未満の増分減衰を呈する。
【0116】
第20の態様によれば、光ファイバが、1383nmにおいて0.5dB/km未満の減衰を呈する。
【0117】
第21の態様によれば、プリフォームは、第16の態様から第20の態様までのいずれか1つ記載の光ファイバへと線引きされるように構成されている。
【0118】
例示的な実施形態および例を例示の目的で記載してきたが、前述の説明は、開示の範囲および添付の特許請求の範囲を限定することを決して意図するものではない。したがって、本開示の趣旨および様々な原則から実質的に逸脱することなく、上記の実施形態および例に変形および修正を加えてよい。そのような修正および変形は全て、ここで本開示の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲によって保護されることを意図している。
【0119】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0120】
実施形態1
光ファイバのプリフォームを製造する方法であって、前記光ファイバが、コア領域およびクラッド領域を有し、前記方法が、
シリカスートをコアケーン上に堆積させることによって多孔質クラッドスートブランクを形成するステップであって、前記コアケーンが、前記光ファイバの前記コア領域の少なくとも一部に対応する組成を有するコア部分を含み、前記コアケーンのコア部分におけるアルカリ金属酸化物の濃度が、0.1質量%~1.5質量%である、形成するステップと、
前記多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下でフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップであって、前記フッ素ドーピング前駆体が、前記多孔質クラッドスートブランクをフッ素でドーピングして、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを形成し、前記曝露するステップが、前記フッ素ドーピング前駆体の流れを前記多孔質クラッドスートブランクに供給するステップを含む、曝露するステップと、
緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーンを形成するために、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体の存在下または不在下で緻密化するステップであって、前記緻密化するステップが、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む、緻密化するステップと
を含む、方法。
【0121】
実施形態2
前記緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーンに、フッ素ドープされたシリカガラス外側クラッド層を適用して、光ファイバプリフォームを形成するステップをさらに含む、実施形態1記載の方法。
【0122】
実施形態3
前記SiClが、前記緻密化するステップにおいて、約1.6g/cmの最小密度まで存在する、実施形態1または2記載の方法。
【0123】
実施形態4
前記緻密化したフッ素ドープされたクラッドケーン上にシリカスートを堆積させることによって多孔質オーバークラッドスートブランクを形成するステップと、
前記多孔質オーバークラッドスートブランクをSiClの不在下で前記フッ素ドーピング前駆体に曝露するステップと、
前記多孔質オーバークラッドスートブランクを緻密化して、前記光ファイバの前記クラッド領域に対応する組成を有するクラッド部分を含む前記プリフォームを形成するステップと
をさらに含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の方法。
【0124】
実施形態5
前記クラッド部分が、前記コア部分を囲む屈折率低下クラッド部分と、前記屈折率低下クラッド部分を囲む外側クラッド部分とを含み、前記屈折率低下クラッド部分が、第1のフッ素濃度を有し、前記外側クラッド部分が、第2のフッ素濃度を有し、前記第2のフッ素濃度が、前記第1のフッ素濃度よりも低い、実施形態4記載の方法。
【0125】
実施形態6
前記屈折率低下クラッド部分が、-0.80%~-0.30%の範囲の最小相対屈折率Δ3minを有する相対屈折率Δを有し、前記外側クラッド部分が、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する、実施形態5記載の方法。
【0126】
実施形態7
前記屈折率低下クラッド部分が、第1の塩素濃度を含み、前記外側クラッド部分が、第2の塩素濃度を含み、前記第2の塩素濃度が、前記第1の塩素濃度よりも低い、実施形態5または6記載の方法。
【0127】
実施形態8
光ファイバを製造する方法であって、前記光ファイバが、コア領域およびクラッド領域を有し、前記方法が、
前記光ファイバの前記コア領域の少なくとも一部に対応する組成を有する部分を含むアルカリドープされたコアケーンを形成するステップと、
前記アルカリドープされたコアケーン上にシリカスートを堆積させることによって多孔質クラッドスートブランクを形成するステップと、
前記多孔質クラッドスートブランクをフッ素ドーピング前駆体に曝露するステップであって、前記フッ素ドーピング前駆体が、前記シリカスートをフッ素でドーピングして、フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを形成し、前記曝露するステップが、前記フッ素ドーピング前駆体の流れを前記多孔質クラッドスートブランクに供給するステップを含む、曝露するステップと、
前記光ファイバの前記クラッド領域に対応する組成を有する部分を有するフッ素ドープされたクラッドケーンを形成するために、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクを前記フッ素ドーピング前駆体の前記流れの不在下または存在下で緻密化するステップと
を含み、
前記曝露するステップが、前記多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下で前記フッ素ドーピング前駆体に曝露するステップを含むか、または前記緻密化するステップが、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む、
方法。
【0128】
実施形態9
前記曝露するステップが、前記多孔質クラッドスートブランクをSiClの存在下で前記フッ素ドーピング前駆体に曝露するステップを含み、前記緻密化するステップが、前記フッ素ドープされた多孔質クラッドスートブランクをSiClに曝露するステップを含む、実施形態8記載の方法。
【0129】
実施形態10
前記光ファイバを、前記フッ素ドープされたクラッドケーンを含むプリフォームから線引きするステップをさらに含み、前記光ファイバが、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰を呈し、前記減衰が、約1570nm~約1590nmで単調に増加する、実施形態8または9記載の方法。
【0130】
実施形態11
前記アルカリドープされたコアケーンを形成するステップが、
アルカリハロゲン化物前駆体を蒸発させ、これを基材管に通流させるステップと、
前記基材管の内部でアルカリをドープすることを可能にする前記管を通流しかつ管壁を通じて拡散するアルカリハロゲン化物蒸気を有する前記基材管の外部で加熱バーナを横断させるステップと、
前記基材管をコラプスして、前記コアケーンの一部を形成するステップと
を含み、
前記コアケーンの部分が、0.1質量%~1.5質量%のアルカリ濃度を有する組成を有する、
実施形態8から10までのいずれか1つ記載の方法。
【0131】
実施形態12
前記光ファイバの前記クラッド領域に対応する組成を有する前記部分が、-0.30%未満の最小相対屈折率Δ3minを有する相対屈折率Δを有する、実施形態8から11までのいずれか1つ記載の方法。
【0132】
実施形態13
前記フッ素ドープされたクラッドケーン上にシリカスートを堆積させることによって、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する外側クラッド領域を形成して、多孔質オーバークラッドスートブランクを形成するステップと、
前記多孔質オーバークラッドスートブランクを緻密化して、プリフォームを形成するステップと、
1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰および1583nmにおいてベースラインを上回る0.0005dB/km未満の増分減衰を呈する前記光ファイバを前記プリフォームから線引きするステップと
をさらに含む、実施形態8から12までのいずれか1つ記載の方法。
【0133】
実施形態14
前記多孔質オーバークラッドスートブランクを緻密化するステップが、前記多孔質オーバークラッドスートブランクをSiClの不在下で前記フッ素ドーピング前駆体に曝露するステップを含む、実施形態13記載の方法。
【0134】
実施形態15
前記曝露するステップまたは前記緻密化するステップにおいて存在する場合、前記SiClが、ガス雰囲気に供給され、前記ガス雰囲気における前記SiClの濃度が、0.1体積%~15体積%である、実施形態8から14までのいずれか1つ記載の方法。
【0135】
実施形態16
光ファイバであって、
アルカリ金属酸化物でドープされたシリカガラスを含むコア領域と、
前記コア領域を囲んでいて、前記コア領域に直接隣接しているクラッド領域と
を含み、
前記クラッド領域が、
前記コア領域を囲む屈折率低下クラッド領域であって、第1のフッ素濃度でドープされたシリカガラスを含み、-0.80%~-0.30%の範囲の最小相対屈折率Δ3minを有する相対屈折率Δを有する、屈折率低下クラッド領域と
前記屈折率低下クラッド領域を囲んでいて、前記屈折率低下クラッド領域に直接隣接している外側クラッド領域であって、第1のフッ素濃度よりも低い第2のフッ素濃度でドープされたシリカガラスを含み、Δ-Δ3min>0.05%となるような相対屈折率Δを有する、外側クラッド領域と
を含み、
前記光ファイバが、1atm(101325Pa)の全圧を有しかつ0.01atm(1013.25Pa)のH分圧および0.99atm(100311.8Pa)のN分圧を含むガス雰囲気への前記光ファイバの曝露時に、23℃で100時間未満のピーク到達時間(TTP)水素エージング値を有し、
前記光ファイバが、1583nmにおいて0.16dB/km未満の減衰を呈し、前記減衰が、約1570nm~約1600nmで単調に増加する、
光ファイバ。
【0136】
実施形態17
前記コア領域が、0.5質量%~1.5質量%のアルカリ金属酸化物濃度を有する、実施形態16記載の光ファイバ。
【0137】
実施形態18
前記光ファイバが、1547nmにおいて0.16dB/km未満の減衰および1547nmにおいてベースラインを上回る0.0003dB/km未満の増分減衰を呈する、実施形態16または17記載の光ファイバ。
【0138】
実施形態19
前記光ファイバが、1383nmにおいて0.5dB/km未満の減衰を呈する、実施形態16から18までのいずれか1つ記載の光ファイバ。
【0139】
実施形態20
実施形態16から19までのいずれか1つ記載の光ファイバへと線引きされるように構成された、プリフォーム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】