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特表2024-544538THR-βアゴニストによる肝障害の治療
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】THR-βアゴニストによる肝障害の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/53 20060101AFI20241126BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241126BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K31/53
A61P1/16
A61K47/20
A61K9/48
C07D403/12 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527603
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 CN2022131297
(87)【国際公開番号】W WO2023083288
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/130083
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/097426
(32)【優先日】2022-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521083599
【氏名又は名称】ターンズ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TERNS PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,クリストファー ティ
(72)【発明者】
【氏名】クルーチャー,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】クリッテンデン,ディー バリー
(72)【発明者】
【氏名】クワーク,エリン ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ジン,フォン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥアン,マット
(72)【発明者】
【氏名】グオ,シェン
(72)【発明者】
【氏名】ビアン,ジャンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドォン,チェンチェン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC16
4C076DD05
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD61F
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE32H
4C076FF01
4C076FF21
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC64
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZC41
(57)【要約】
THR-βアゴニストによる治療を利用する、患者における非アルコール性脂肪性肝炎ならびにその症状及び兆候を含む肝障害を治療する方法が本明細書において提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療を必要とする患者におけるNASHを治療する方法であって、以下の式の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を、約0.5mg~約25mgの用量で前記患者へ1日1回経口投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、約1mg~約15mgの用量で1日1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、約2mg~約10mgの用量で1日1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、約1mgの用量で1日1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、約3mgの用量で1日1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、約6mgの用量で1日1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、約10mgの用量で1日1回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療を必要とする患者におけるNASHを治療する方法であって、約2,500ng*時間/mL~約50,000ng*時間/mLの0から無限大までの定常状態曲線下面積(AUC0-∞)を得るように、以下の式の化合物:
【化2】
またはその薬学的に許容される塩を前記患者へ経口投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、約5,000ng*時間/mL~約50,000ng*時間/mLの定常状態AUC0-∞を得る用量で投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物またはその薬学的に許容される塩が、約5,000ng*時間/mL~約25,000ng*時間/mLの定常状態AUC0-∞を得る用量で投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、1日1回経口投与される、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、カリウム塩として投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物が、ナトリウム塩として投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記化合物が、イオン性界面活性剤を含む医薬組成物中で投与される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記イオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ラウリル硫酸ナトリウムが、約1重量%~約8重量%で前記組成物中に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ラウリル硫酸ナトリウムが、約1重量%~約5重量%で前記組成物中に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ラウリル硫酸ナトリウムが、約5重量%で前記組成物中に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
以下の式の化合物:
【化3】
の結晶性カリウム塩。
【請求項20】
実施例8の方法によって産生された、請求項19に記載の結晶性カリウム塩。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項22】
前記医薬組成物中の前記化合物の量が、約1mg~約15mgである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記医薬組成物中の前記化合物の量が、約2mg~約10mgである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記医薬組成物中の前記化合物の量が、約1mgである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬組成物中の前記化合物の量が、約3mgである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬組成物中の前記化合物の量が、約6mgである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記医薬組成物中の前記化合物の量が、約10mgである、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項28】
イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項21~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記イオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
以下の式の化合物:
【化4】
またはその薬学的に許容される塩及びラウリル硫酸ナトリウムを含む、医薬組成物。
【請求項31】
実質的に図16中で示されるXRPDスペクトルを有する、以下の式の化合物:
【化5】
の結晶性カリウム塩。
【請求項32】
6.78±0.20、11.35±0.20、及び20.51±0.20度の角度2θでピークを含むXRPDスペクトルを有する、以下の式の化合物:
【化6】
の結晶性カリウム塩。
【請求項33】
実質的に図18中で示されるXRPDスペクトルを有する、以下の式の化合物:
【化7】
の結晶性ナトリウム塩。
【請求項34】
5.51±0.20、8.47±0.20、及び16.57±0.20度の角度2θでピークを含むXRPDスペクトルを有する、以下の式の化合物:
【化8】
の結晶性ナトリウム塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月11日に出願されたPCT/CN2021/130083及び2022年6月7日に出願されたPCT/CN2022/097426の利益及びそれらへの優先権を主張する。前述の特許出願の内容は、すべての目的のためにそれらの全体を参照することによって本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、患者における肝障害を治療する方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
脂肪性肝疾患(FLD)は、多くの場合炎症を伴った肝臓における脂肪の過剰蓄積によって特徴付けられる様々な疾患状態を網羅する。FLDは、インシュリン抵抗性によって特徴付けられ得る非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を導き得る。治療されないならば、NAFLDは、持続的な炎症応答または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、進行性の肝線維化、及び最終的には肝硬変に進行し得る。ヨーロッパ及び米国において、NAFLDは、肝移植の2番目に多い理由である。したがって、治療の必要性は緊急であるが、患者の明らかな症状の欠如に起因して、患者は、治療レジメン、特に厄介な治療レジメン(注射される医薬品、1日に何回も投与される医薬物、または危険なもしくは刺激性の副作用を生じる任意のもの等)を維持する動機を欠如し得る。現在、NASHの認可された治療は無い。
【0004】
甲状腺ホルモン受容体-β(THR-β)アゴニストは、最近、NASHを含む肝疾患の治療において調査されている。THR-βは、肝臓におけるTHRの主要な形態であり、エネルギーバランスならびに脂肪酸及び脂質の代謝において重要な役割を果たすが、THR-αは、心臓において優勢であり、甲状腺ホルモン刺激の望ましくない心血管系効果についての大部分を担う。克服するべき有意な問題は、THR-αアゴニズムと関連する所望されない副作用を生じない、NASHを治療するためのTHR-βアゴニストを開発することを包含する。
【発明の概要】
【0005】
肝障害を治療する方法及び組成物を必要とする患者における肝障害を治療する方法及び組成物が、本明細書において提供される。方法は、化合物1と本明細書において称される甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)アゴニストまたはその薬学的に許容される塩を患者へ投与することを含む。
【化1】
化合物1(化学名2-(3,5-ジクロロ-4-((4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)オキシ)フェニル)-3,5-ジオキソ-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-6-ニトリルを有する)は、米国特許第11,084,802号(参照することによってその全体が本明細書に援用される)中で記載された。
【0006】
本発明者らは、化合物1またはその薬学的に許容されるものが、驚くほど低い用量で肝障害を患う患者へ投与されても、依然として所望される有効性のレベルを維持し得ることを見出した。その結果として、化合物1は、THRアゴニズムと概して関連する所望されない副作用無しに、肝障害を治療するために使用され得る。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、1mgほどの低用量またはそれ以下の用量で患者へ1日1回経口投与され得、依然としてアミンオキシダーゼ活性を十分に低減させ、リンパ球の接着及び遊走を低減させ得る。例えば、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約1mg~約60mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約0.5mg~約25mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約1mg~約15mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約3mg~約10mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約1mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約3mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約4mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約5mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約6mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約10mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約15mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約20mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約30mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約50mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約60mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。
【0008】
別の態様において、本開示は、NASHの治療または予防を必要とする患者におけるNASHを治療または予防する方法であって、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩を患者へ投与することを含む、前記方法を提供する。一実施形態において、治療または予防を必要とする患者は、NAFLD等の脂肪性肝疾患を患う患者である。別の実施形態において、治療または予防を必要とする患者は、メタボリックシンドロームを患う患者である。
【0009】
一態様において、本開示は、肝炎症の低減を必要とする患者における肝炎症を低減させる方法であって、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩を患者へ投与することを含む、前記方法を提供する。肝炎症の低減は、肝臓における炎症性遺伝子の発現の低減及び白血球活性化のマーカーによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、肝炎症は、患者の血液における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルを増加させずに低減される。
【0010】
別の態様において、本開示は、肝線維化によって特徴付けられる疾患または病態を治療する方法であって、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩を患者へ投与することを含む、前記方法を提供する。線維化の低減は、肝臓における組織学的な改善及び線維化促進遺伝子の発現の低減によって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、肝線維化は、患者の血液における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルを増加させずに低減される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与は、肝線維化及び肝炎症の低減をもたらす。
【0011】
いくつかの実施形態において、患者は、肝障害及び糖尿病を有する。いくつかの実施形態において、患者は、肝障害及び心臓血管障害を有する。いくつかの実施形態において、治療期間は、患者の残りの寿命である。いくつかの実施形態において、方法は、抗ヒスタミン物質、免疫抑制物質、ステロイド、リファンピシン、オピオイドアンタゴニスト、または選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)を投与することを含まない。
【0012】
いくつかの実施形態において、化合物1は、薬学的に許容される塩として患者へ投与される。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩は、カリウム塩である。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩である。
【0013】
本開示は、化合物1またはその薬学的に許容される塩を含む新規の組成物も提供する。化合物1は、塩形態で投与された場合でさえ、非常に低い水溶解度を有する。特定のイオン性界面活性剤は、化合物の最小限の分解または分解無しに、化合物1及びその薬学的塩を効果的に可溶化し得ることが見出された。いくつかの実施形態において、イオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。いくつかのかかる実施形態において、組成物中のSLSの量は、約1重量%~約8重量%である。他のかかる実施形態において、組成物中のSLSの量は、約5重量%である。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、化合物1のカリウム塩及びSLSを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】化合物1の単回用量の投与後の72時間までの患者における化合物1の血漿濃度を示す。
図2】投与された用量に対してプロットされた患者における化合物1の曲線下面積(AUCinf)及び最大血漿濃度(Cmax)を示す。
図3】化合物1の単回用量の投与の4日後の性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の平均パーセント変化を示す。
図4】化合物1の単回用量の投与の4日後のアポリポタンパク質B(Apo B)の平均パーセント変化を示す。
図5】ヒトにおける、化合物1またはプラセボの14日間の毎日の投与後の15日目の遊離T3、T4、及びTSHを示す。
図6】ヒトにおける、化合物1またはプラセボの14日間の毎日の投与後の15日目の遊離テストステロン、総テストステロン、及び性ホルモン結合グロブリン(SHBG)のベースラインからのパーセント変化を示す。
図7】化合物1が1日1回投薬される複数用量漸増研究の1日目及び14日目での経時的な化合物1の血漿濃度を示す。
図8】ヒトにおける、化合物1またはプラセボの14日間の毎日の投与後の15日目の薬力学マーカー(性ホルモン結合グロブリン、ApoB、総コレステロール、LDL-c、HDL-c、及びトリグリセリド)のベースラインからのパーセント変化を示す。
図9】マウスNASHモデルにおける、体重及び臓器重量に対する化合物1の効果を示す。
図10】マウスNASHモデルにおける、肝脂肪変性、炎症、及び線維化に対する化合物1の効果を示す。
図11】マウスNASHモデルにおける、脂質、及び肝臓損傷の指標(ALT)に対する化合物1の効果を示す。
図12】コラーゲン細胞外マトリックス及び肝臓星細胞活性化と関連する遺伝子の発現に対する化合物1の効果を示す。
図13】2つの経口製剤(PO1またはPO2)のうちの1つで提供された単回の50mgの用量の投与後のビーグル犬における、化合物1の血漿濃度を示す。
図14】経口製剤PO3で提供された単回の10mgの用量の投与後のビーグル犬の2つの群における、化合物1の血漿濃度を示す。1つの群はペンタガストリンにより前処理され、その一方で他の群はファモチジンにより前処理された。
図15】経口製剤PO3で提供された単回の10mgの用量の投与後の絶食した及び餌有りのビーグル犬における、化合物1の血漿濃度を示す。
図16】化合物1(カリウム塩形態、A型)のXRPDスペクトルを示す。
図17】化合物1(遊離酸形態、A型)のXRPDスペクトルを示す。
図18】化合物1(ナトリウム塩形態、A型)のXRPDスペクトルを示す。
図19】化合物1(L-アルギニン塩形態、A型)のXRPDスペクトルを示す。
図20】化合物1(マグネシウム塩形態、A型)のXRPDスペクトルを示す。
図21】化合物1についての全体的な研究デザインを示す。
図22】化合物1についての人口層及びベースラインの特徴を示す。
図23】化合物1についての血漿濃度-時間プロファイル(14日目)を示す。
図24】14日目の化合物1のPKパラメーターを示す。
図25】性ホルモン結合グロブリン(SHBG)を示す(ベースラインから15日目までのパーセント変化)。
図26】LDL-cを示す(ベースラインから15日目までのパーセント変化)。
図27】化合物1用量あたりのSHBG及びLDL-cについての治療の終了時(15日目)でのベースラインからのパーセント変化を示す。
図28】化合物1用量あたりの総コレステロール(TC)、Apo B、及びトリグリセリド(TG)の減少を示す。
図29】治療下で出現した有害事象が、軽度であり、多くはバイタルサインの有意な変化と関連しないこと示す。
図30】生検により確認されたオスのDIO-NASHマウスの体重変化を示す。化合物2は、単独で及び化合物1と併用で体重を低減させた。体重を、研究の間毎日測定した。研究の間の体重変化をA中で示し、ドットは、ベースラインに比べた平均体重変化を表わす(1つの群あたりn=10~16匹のマウス)。B中で、バーは、研究の11週目に測定された平均(標準偏差)体重を表わす。低脂肪ビヒクル対照、白色;DIO-GANビヒクル対照、灰色;化合物2、青色;化合物1-低、薄いオレンジ色;化合物1-中、オレンジ色;化合物1-高、濃いオレンジ色;併用-低、薄い紫色;併用-中、紫色;併用-高、濃い紫色。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001。
図31】研究の間の週ごとの食物摂取量を示す。ドットは、グラムでの平均の毎週の食物摂取量を表わす(1つの群あたりn=10~16匹のマウス)。低脂肪ビヒクル対照、白色;DIO-GANビヒクル対照、灰色;化合物2、青色;化合物1-低、薄いオレンジ色;化合物1-中、オレンジ色;化合物1-高、濃いオレンジ色;併用-低、薄い紫色;併用-中、紫色;併用-高、濃い紫色。
図32】肝臓及び脾臓の重量を示す。化合物2及び化合物1は、単独で及び併用で脾臓重量の変化無しに肝腫大を有意に低減させた。バーは、研究の終了時で決定された平均(標準偏差)の肝臓(A)及び脾臓(B)の臓器重量を表わす(1つの群あたりn=10~16匹のマウス)。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001。
図33】ベースラインでの体重組成を示す。体重組成は、ベースライン(-1週目)で処理群にわたって良好にバランスがとれていた。バーは、研究の-1週目での全身EchoMRIによって決定した体重のパーセンテージ(%BW、1つの群あたりn=10~16匹のマウス)としての平均(標準偏差)脂肪組織(A)及び除脂肪組織(B)の質量を表わす。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001。
図34】11週目での体重組成を示す。化合物2は、単独で及び化合物1と併用で脂肪組織質量を有意に低減させた。バーは、研究の11週目での全身EchoMRIによって決定した体重のパーセンテージ(%BW、1つの群あたりn=10~16匹のマウス)としての平均(標準偏差)脂肪組織(A)及び除脂肪組織(B)の質量を表わす。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001。
図35】血漿及び肝臓の総コレステロールを示す。化合物2及び化合物1は、単独で及び併用で総コレステロールを有意に低減させた。バーは、血漿(A)及び肝臓(B)の研究の終了時で測定された平均(標準偏差)総コレステロールレベルを表わす(1つの群あたりn=10~16匹のマウス)。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001。
図36】血漿及び肝臓のトリグリセリドを示す。化合物2は、単独で及び化合物1と併用で血漿トリグリセリドを有意に低減させた。バーは、血漿(A)及び肝臓(B)の研究の終了時で測定された平均(標準偏差)トリグリセリドレベルを表わす(1つの群あたりn=10~16匹のマウス)。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001。
図37】アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルを示す。化合物1単独は、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを有意に低減させた。バーは、研究の終了時で決定された平均(標準偏差)の肝臓(A)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)(B)のレベルを表わす(1つの群あたりn=10~16匹のマウス)。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001。
図38】アルカリホスファターゼレベルを示す。アルカリホスファターゼ(ALP)レベルは、処理によって有意に変化しなかった。バーは、研究の終了時で決定された平均(標準偏差)のALPレベルを表わす(1つの群あたりn=10~16匹のマウス)。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001;****p<0.0001。
図39】ベースライン及び処理の終了時でのNAFLD活動性スコア(NAS)を示す。NAFLD活動性スコア(NAS)は、ベースラインで良好にバランスがとれており、併用処理群において有意に改善された。NAS(風船化、脂肪変性、及び小葉炎症の組織学的スコアの複合的な非加重和として定義される)は、ベースライン(A)で及び12週間の処理後(B)に決定された。ドットは、各々の処理群中の個別のマウスを表わす(n=14~16匹)。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図40】組織学的形態測定分析による肝脂肪変性を示す。化合物2及び化合物1の併用は、組織学的形態測定分析によって決定されるように肝脂肪変性のより大きい低減をもたらした。脂質滴を備えた肝細胞のパーセンテージ及びパーセント分画面積(FA)としての肝臓脂質含有量を包含する肝細胞脂肪変性は、研究の終了時での肝臓の組織学的サンプルの形態測定分析によって決定された。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図41】肝細胞の脂質滴サイズを示す。併用処理により、肝細胞脂質滴サイズは有意に低減される。脂質滴サイズは、研究の終了時での肝臓の組織学的サンプルの形態測定分析によって決定された。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図42】血漿CK18 M30を示す。アポトーシスバイオマーカーのサイトケラチン18 M30(CK18 M30)レベルは、処理によって有意に変化しなかった。CK18 M30(アポトーシスのバイオマーカー)は、研究の終了時での血漿サンプルで測定された。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図43】ガレクチン-3タンパク質及び平滑筋アクチンタンパク質の肝臓のタンパク質発現を示す。化合物2処理は、ガレクチン-3(Gal-3)の発現を低減させる。Gal-3(A)及びα-平滑筋アクチン(α-SMA)(B)の発現は、研究の終了時での処理マウスの肝臓の免疫組織化学の(IHC)染色によって査定された。DIO-GANビヒクル対照に対する統計的比較は、ANOVAとそれに後続する多重比較のためのTukey補正によって決定された。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図44】肝臓におけるエネルギー及び脂質の代謝関連遺伝子の発現を示す。エネルギー及び脂質の代謝に関与する選択遺伝子についての、化合物1-高処理群と併用-高処理群との間の遺伝子発現値の比較である。肝臓サンプルは、終了時でRNAseqによるトランスクリプトミクス分析のためにプロセシングされた。ドットは、DIO-GANビヒクル対照に比べた平均倍変化の発現値を表わす(1つの群あたりn=10匹のマウス)。赤色及び青色の着色は、DIO-GANビヒクル群と低脂肪対照群との間の変化の傾向(赤色=発現の増加;青色=発現の減少)を示す。点線は、同一である線を示す。実線は、化合物1-高処理群及び併用-高処理群中の選択遺伝子についての倍変化発現値の線形回帰分析によって生成された。選択遺伝子は、エネルギー及び脂質の代謝に関与する。スクアレンエポキシダーゼ(Sqle)、7-デヒドロコレステロール(Dhcr7)、ヒドロキシメチルグルタラリル(hydroxymethylgluteraryl)-CoA合成酵素(Hmgcs1)、及びステアロイル-CoAデサチュラーゼ(Scd1)。
図45】エネルギー及び脂質の代謝に関与する選択遺伝子の発現を示す。エネルギー及び脂質の代謝に関与する遺伝子の肝臓発現である。肝臓サンプルは、終了時でRNAseqによるトランスクリプトミクス分析のためにプロセシングされた。バーは、示されたエネルギー及び脂質の代謝に関与する選択遺伝子についての平均(標準偏差)発現(FPKM)値を表わす。スクアレンエポキシダーゼ(Sqle、A)、7-デヒドロコレステロール(Dhcr7、B)、ヒドロキシメチルグルタラリル-CoA合成酵素(Hmgcs1、C)、及びステアロイル-CoAデサチュラーゼ(Scd1、D)。低脂肪、白色(最も左側のバー);DIO-GANビヒクル対照、灰色(左側から2番目);化合物2、青色(左側から3番目);化合物1-低、薄いオレンジ色(左側から4番目);化合物1-中、オレンジ色(左側から5番目);化合物1-高、濃いオレンジ色(右側から4番目);併用-低、薄い紫色(右側から3番目);併用-中、紫色(右側から2番目);併用-高、濃い紫色(最も右側のバー)。個別の処理群についての統計的比較を、DIO-GANビヒクル対照に対して示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。併用処理群は、化合物2処理群(+p<0.05、++p<0.01、+++p<0.0001、++++p<0.00001)または化合物1のそれぞれの単剤処理群(すなわち、化合物1-低vs併用-低);#p<0.05、##p<0.01、###p<0.0001、####p<0.00001へ、追加で比較された。
図46】線維化及び炎症に関与する遺伝子の発現を示す。線維化及び炎症に関与する遺伝子の肝臓発現である。肝臓サンプルは、終了時でRNAseqによるトランスクリプトミクス分析のためにプロセシングされた。バーは、線維化及び炎症に関与する選択遺伝子についての平均(標準偏差)発現(FPKM)値を表わす。I型コラーゲンα1(Col1a1)、アクチンα2、平滑アクチン(Acta2)、ガレクチン3(Lgals3)、及びメラノーマ細胞接着分子(CD146)。低脂肪、白色(最も左側のバー);DIO-GANビヒクル対照、灰色(左側から2番目);化合物2、青色(左側から3番目);化合物1-低、薄いオレンジ色(左側から4番目);化合物1-中、オレンジ色(左側から5番目);化合物1-高、濃いオレンジ色(右側から4番目);併用-低、薄い紫色(右側から3番目);併用-中、紫色(右側から2番目);併用-高、濃い紫色(最も右側のバー)。個別の処理群についての統計的比較を、DIO-GANビヒクル対照に対して示す。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本明細書において使用される時、別段の指示のない限り、以下の定義が適用されるものとする。さらに、本明細書において使用される任意の用語または記号が、以下で説明されるように定義されないならば、当技術分野における通常の意味を有するものとする。
【0016】
「含む(comprising)」は、組成物及び方法が列挙された要素を包含するが、他のものを除外しないことを意味することを意図する。「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、組成物及び方法を定義するために使用される場合に、組み合わせにとって任意の本質的な重要性のある他の要素を除外することを意味するものとする。例えば、本明細書において定義される要素から本質的になる組成物は、特許請求される発明の基本的及び新規の特徴(複数可)に物質的に影響しない他の要素を除外しない。「~からなること(consisting of)」は、微量を超える例えば他の成分及び列挙される実質的な方法ステップを超えるものを除外すること意味するものとする。これらの移行用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0017】
「併用療法」または「併用治療」は、治療における2つ以上の薬物または薬剤の使用(例えば肝障害(NAFLD、NASH等)を治療するのに有用な別の薬剤と一緒に本明細書において利用される化合物1の使用)を指し、その各々の症状及び兆候は、併用療法される。「併用」での投与は、2つの薬剤(例えば本明細書において利用される化合物1、及び別の薬剤)の、両方の薬理学的効果が患者において同時に現われる任意の様式での投与を指す。したがって、併用での投与は、単一の医薬組成物、同じ投薬形態、もしくはさらに同じ投与経路が、両方の薬剤の投与のために使用されること、または2つの薬剤が、正確に同じ時間で投与されることを要求しない。両方の薬剤は、単一の薬学的に許容される組成物でも製剤化され得る。かかる単一の組成物の非限定例は、経口組成物または経口投薬形態である。例えば、及び限定されずに、化合物1は、本発明に従って、別の薬剤との併用療法で投与され得ることが企図される。
【0018】
「賦形剤」という用語は、本明細書において使用される時、薬物または医薬品(活性成分として本発明の化合物を含有する錠剤等)の産生において使用され得る不活性(inert)物質または不活性(inactive)物質を意味する。様々な物質は、賦形剤という用語によって包含され得、結合物質、崩壊物質、コーティング、圧縮補助物質/カプセル化補助物質、クリームもしくはローション、潤滑物質、非経口投与のための溶液、咀嚼錠のための材料、甘味物質もしくは香味物質、懸濁剤/ゲル化剤、または湿式造粒剤として使用される任意の物質が限定されずに挙げられる。結合物質としては、例えばカルボマー、ポビドン、キサンタンガムなどが挙げられ;コーティングとしては、例えば酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゲランガム、マルトデキストリン、腸溶コーティングなどが挙げられ;圧縮補助物質/カプセル化補助物質としては、例えば炭酸カルシウム、デキストロース、フルクトースdc(dc=「直接圧縮可能」)、蜂蜜dc、ラクトース(無水物または一水和物;任意選択で、アスパルテーム、セルロース、または微結晶性セルロースと併用して)、デンプンdc、スクロースなどが挙げられ;崩壊物質としては、例えばクロスカルメロースナトリウム、ゲランガム、デンプングリコール酸ナトリウムなどが挙げられ;クリームまたはローションとしては、例えばマルトデキストリン、カラギーナンなどが挙げられ;潤滑物質としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられ;咀嚼錠のための材料としては、例えばデキストロース、フルクトースdc、ラクトース(一水和物、任意選択で、アスパルテームまたはセルロースと併用して)などが挙げられ;懸濁剤/ゲル化剤としては、例えばカラギーナン、デンプングリコール酸ナトリウム、キサンタンガムなどが挙げられ;甘味物質としては、例えばアスパルテーム、デキストロース、フルクトースdc、ソルビトール、スクロースdcなどが挙げられ;湿式造粒剤としては、例えば炭酸カルシウム、マルトデキストリン、微結晶性セルロースなどが挙げられる。
【0019】
「患者」は、哺乳動物を指し、ヒト及び非ヒト哺乳動物を包含する。患者の例としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、及びヒトが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、患者は、ヒトを指す。
【0020】
「薬学的に許容される」は、好ましくはインビボのために、より好ましくはヒト投与のために、安全且つ非毒性であることを指す。
【0021】
「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される塩を指す。本明細書において記載される化合物は、薬学的に許容される塩として投与され得る。
【0022】
「塩」は、酸と塩基との間に形成されるイオン化合物を指す。本明細書において提供される化合物が、酸性官能基を含有する場合に、かかる塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩が限定されずに挙げられる。本明細書において使用される時、アンモニウム塩としては、プロトン化窒素塩基及びアルキル化窒素塩基を含有する塩が挙げられる。薬学的に許容される塩における有用な例示的且つ非限定的なカチオンとしては、Na、K、Rb、Cs、NH、Ca、Ba、イミダゾリウム、及び天然に存在するアミノ酸に基づくアンモニウムカチオンが挙げられる。本明細書において利用される化合物が、塩基性官能基を含有する場合に、かかる塩としては、有機酸(カルボン酸及びスルホン酸等)及び鉱酸(ハロゲン化水素、硫酸、リン酸、及び同種のもの等)の塩が限定されずに挙げられる。薬学的に許容される塩における有用な例示的且つ非限定的なアニオンとしては、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、塩化物、硫酸塩、重硫酸塩、一塩基性リン酸塩、二塩基性リン酸塩、及び三塩基性リン酸塩、メシル酸、トシル酸塩、ならびに同種のものが挙げられる。
【0023】
化合物または組成物の「治療有効量」または用量は、患者における症状の低減もしくは阻害または生存延長をもたらす化合物または組成物の量を指す。結果から、複数回用量の化合物または組成物が要求され得る。
【0024】
「治療」または「治療すること」は、臨床結果を包含する有益なまたは所望される結果を得るためのアプローチを指す。本発明の目的のために、有益なまたは所望される結果としては、以下の:疾患もしくは障害からもたらされる1つもしくは複数の症状の減少、疾患もしくは障害の程度の減退、疾患もしくは障害の安定化(例えば疾患または障害の悪化の予防または遅延)、疾患もしくは障害の出現もしくは再発の遅延、疾患もしくは障害の進行の遅延もしく減速、疾患もしくは障害状態の軽快、疾患もしくは障害の寛解(部分的または完全かどうかにかかわらず)の提供、疾患もしくは障害の治療に要求される1つもしくは複数の他の医薬物の用量の減少、疾患もしくは障害の治療に使用される別の医薬物の効果の促進、疾患もしくは障害の進行の遅延、生活の質の増加、及び/または患者の長期生存のうちの1つまたは複数が挙げられるがこれらに限定されない。疾患または障害の病理的帰結の低減も「治療」によって網羅される。本発明の方法は、治療のこれらの態様のうちの任意の1つまたは複数を企図する。
【0025】
本明細書において使用される時、疾患の発症を「遅延すること」は、疾患の発症を、猶予、妨害、減速、遅滞、安定化、及び/または延期すること、及び/または進行を減速すること、または一旦発症したならば、基礎疾患のプロセス及び/または過程を変更することを意味する。この遅延は、疾患の履歴及び/または治療されている個体に依存して変動する時間長であり得る。当業者に明白であるように、十分なまたは有意な遅延は、個体が疾患と関連する臨床症状を生じないという点で、事実上、予防を網羅し得る。疾患の発症を「遅延させる」方法は、方法を使用しないことに比較した場合に、所与の時間枠における疾患の発症の確率を低減させる、及び/または所与の時間枠における疾患の程度を低減させる方法であり、疾患からもたらされる1つまたは複数の症状を安定化することを包含する。
【0026】
疾患の発症の「リスクがある」個体は、検出可能な疾患を有していても有していなくてもよく、本明細書において記載される治療方法の前に検出可能な疾患を提示しても提示しなくてもよい。「リスクがある」は、個体が、1つまたは複数のいわゆるリスク因子(それは疾患の発症と相関する測定可能なパラメーターである)を有することを示す。これらのリスク因子のうちの1つまたは複数を有する個体は、これらのリスク因子(複数可)無しの個体よりも疾患を発症するより高い確率を有する。これらのリスク因子としては、年齢、性別、人種、食餌、既往疾患歴、前駆疾患の存在、及び遺伝学的な(すなわち遺伝性の)考慮が挙げられ得るがこれらに限定されない。化合物は、いくつかの実施形態において、疾患または病態のリスクがあるかまたは家族歴を有する対象(ヒトが挙げられる)へ投与され得る。
【0027】
「任意選択の」または「任意選択で」という用語は、本明細書を通して使用される時、後続して記載される事象または状況が起こり得るが起こる必要がないこと、ならびに当該記載が、当該事象または状況が起こる実例及びそれが起こらない実例を包含することを意味する。例えば、「窒素原子が、任意選択で酸化されて、N-オキシド(N→O)部分を提供する」は、窒素原子が酸化され得るが酸化される必要がないこと、ならびに当該記載が、窒素原子が酸化されない状況及び窒素原子が酸化される状況を包含することを意味する。
【0028】
本明細書において使用される時、「~中で実質的に示されるように」という用語は、例えばXRPDパターンを指す場合に、本明細書において図示されたものに必ずしも同一でないが、当業者によって判断された場合に、実験の誤差または偏差の限界内に収まるパターンまたはグラフを包含する。
【0029】
薬学的に許容される組成物及び製剤
化合物1(甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)アゴニスト)
【化2】
の薬学的に許容される組成物または単純に「医薬組成物」は、本発明によって包含される。したがって、本発明は、化合物1またはその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を包含する。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩は、塩基付加塩(無機塩基または有機塩基により形成された塩等)である。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩は、化合物1のカリウム塩である。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される塩は、化合物1のナトリウム塩である。本発明に記載の医薬組成物は、経口投与、バッカル投与、非経口投与、経鼻投与、局所投与、もしくは直腸投与に好適な形態、または吸入による投与に好適な形態をとり得る。
【0030】
本明細書において詳述される化合物1は、一態様において、精製形態であり得、精製形態の化合物1を含む組成物は、本明細書において詳述される。本明細書において詳述される化合物1またはその塩を含む組成物(実質的に純粋な化合物の組成物等)が、提供される。いくつかの実施形態において、化合物1を含有する本明細書において詳述される組成物またはその塩は、実質的に純粋な形態である。1つのバリエーションにおいて、「実質的に純粋な」は、35%以下の不純物を含有する組成物を意図し、不純物は、組成物の大部分を構成する化合物またはその塩以外の化合物を表わす。例えば、実質的に純粋な化合物の組成物は、35%以下の不純物を含有する組成物を意図し、不純物は、化合物またはその塩以外の化合物を示す。1つのバリエーションにおいて、組成物が25%以下の不純物を含有する実質的に純粋な化合物の組成物またはその塩が提供される。別のバリエーションにおいて、組成物が20%以下の不純物を含有する実質的に純粋な化合物の組成物またはその塩が提供される。さらに別のバリエーションにおいて、組成物が10%以下の不純物を含有する実質的に純粋な化合物の組成物またはその塩が提供される。さらなる変動において、組成物が5%以下の不純物を含有する実質的に純粋な化合物の組成物またはその塩が提供される。別のバリエーションにおいて、組成物が3%以下の不純物を含有する実質的に純粋な化合物の組成物またはその塩が提供される。さらに別のバリエーションにおいて、組成物が1%以下の不純物を含有する実質的に純粋な化合物の組成物またはその塩が提供される。さらなる変動において、組成物が0.5%以下の不純物を含有する実質的に純粋な化合物の組成物またはその塩が提供される。さらに他の変動において、実質的に純粋な化合物の組成物は、組成物が15%以下、または好ましくは10%以下、またはより好ましくは5%以下、またはさらにより好ましくは3%以下、及び最も好ましくは1%以下の不純物を含有することを意味する。
【0031】
1つのバリエーションにおいて、化合物1は、ヒト等の個体への投与のために調製された合成化合物である。別のバリエーションにおいて、実質的に純粋な形態で化合物1を含有する組成物が提供される。別のバリエーションにおいて、本発明は、化合物1及び薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を包含する。別のバリエーションにおいて、化合物1を投与する方法が提供される。精製形態、医薬組成物、及び化合物を投与する方法は、本明細書において詳述される任意の化合物またはその形態に好適である。
【0032】
化合物1は、経口送達形態、粘膜(例えば鼻、舌下、経腟、バッカル、直腸)送達形態、非経か(例えば筋肉内、皮下、静脈内)送達形態、局所送達形態、または経皮送達形態を包含する、任意の利用可能な送達経路のために製剤化され得る。化合物1は、好適な担体と共に製剤化されて、錠剤、カプレット、カプセル(ハードゼラチンカプセルまたはソフト弾性ゼラチンカプセル等)、カシェー、トローチ、ロゼンジ、ガム、分散物、坐薬、軟膏、パップ(湿布)、ペースト、粉末、ドレッシング材、クリーム、溶液、パッチ、エアロゾル(例えば鼻用スプレーまたは吸入器)、ゲル、懸濁物(例えば水性液体懸濁物または非水性液体懸濁物、水中油型エマルションまたは油中水型液体エマルション)、溶液、及びエリキシルが挙げられるがこれらに限定されない送達形態を提供し得る。
【0033】
化合物1は、活性成分として化合物1を薬学的に許容される担体(上で言及されるもの等)と共に併用することによって、製剤(医薬品製剤等)の調製において使用され得る。系の治療法の形態(例えば経皮パッチvs経口錠剤)に依存して、担体は様々な形態であり得る。加えて、医薬製剤は、防腐物質、可溶化物質、安定化物質、再湿潤剤、乳化物質(emulgator)、甘味物質、色素、調整物質、及び浸透圧の調整のための塩、バッファー、コーティング剤、または抗酸化物質を含有し得る。化合物1を含む製剤は、有益な治療特性を有する他の物質も含有し得る。医薬品製剤は、公知の医薬品方法によって調製され得る。好適な製剤は、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott Williams & Wilkins,21st ed.(2005)(参照することによって本明細書に援用される)中で見出され得る。
【0034】
本明細書において記載される化合物は、一般的に許容される経口組成物(錠剤、コーティングされた錠剤、及びハードシェルまたはソフトシェルのゲルカプセル等)、エマルション、または懸濁物の形態で、個体(例えばヒト)へ投与され得る。かかる組成物の調製に使用され得る担体の例は、微結晶性セルロース、マンニトール、ラクトース、トウモロコシデンプンもしくはその誘導体、タルク、ステアレートまたはその塩などである。ソフトシェルによるゲルカプセルのための許容される担体は、例えば植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体のポリオールなどである。加えて、医薬製剤は、防腐物質、可溶化物質、安定化物質、再湿潤剤、乳化物質、甘味物質、色素、調整物質、及び浸透圧の調整のための塩、バッファー、コーティング剤、または抗酸化物質を含有し得る。
【0035】
化合物1は、塩形態で投与された場合でさえ、非常に低い水溶解度を有する。化合物1のカリウム塩は、pH6.0のバッファー中でおよそ2.2μg/mLの溶解度、及びpH8.0のバッファー中でおよそ8.0μg/mLの溶解度を有する。ポロキサマー188等の可溶化物質は、化合物1の有意な分解をもたらす。特定のイオン性界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)等)が、化合物1と適合性あり、化合物の最小限の分解または分解無しに、化合物1及び薬学的に許容されるその塩と共に共製剤化され得ることが見出された。化合物1薬学的なその塩のイオン性界面活性剤(例えばSLS)との共製剤は、すべてのpHレベルで溶解度の劇的な促進をもたらす。
【0036】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩及び重量で約1重量%~約10重量%のSLSを含む製剤が提供される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩及び重量で約1重量%~約8重量%のSLSを含む製剤が提供される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩及び重量で約1.5重量%~約8重量%のSLSを含む製剤が提供される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩及び重量で約1.5重量%~約5重量%のSLSを含む製剤が提供される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩及び重量で約5重量%のSLSを含む製剤が提供される。いくつかの実施形態において、化合物1のカリウム塩及び約1.5重量%のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含む製剤が提供される。
【0037】
化合物1またはその薬学的に許容される塩と併用して使用され得る他の可能性のある可溶化物質としては、ドキュセートナトリウム、ポリソルベート、リン脂質、またはコハク酸D-α-トコフェリルポリエチレングリコール(ビタミンE TPGS)が挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩及びラウリル硫酸ナトリウムを含む製剤が提供される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩、ラウリル硫酸ナトリウム、及びクロスカルメロースナトリウムを含む製剤が提供される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩、ラウリル硫酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化シリカオン(silicaon)、及びステアリン酸マグネシウムを含む製剤が提供される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩、ラウリル硫酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コロイド状二酸化シリカオン、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース(HPMC)カプセル、マンニトール、及び微結晶性セルロースを含む製剤が提供される。
【0039】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される任意の投薬形態のカプセルで製剤化された化合物1が提供される。いくつかの実施形態において、約0.5mg~約50mgの化合物1またはその薬学的に許容される塩を含有するカプセル製剤が提供される。いくつかの実施形態において、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約6mg、約10mg、約15mg、約25mg、または約50mgの化合物1またはその薬学的に許容される塩を含有するカプセル製剤が提供される。
【0040】
いくつかの実施形態において、表A中で以下にリストされるような様々な他の構成要素のうちの1つまたは複数と共に、カプセル中で製剤化された化合物1が提供される。いくつかの実施形態において、表A中で以下に記載されるような量で様々な他の構成要素のうちの1つまたは複数と共に、カプセル中で製剤化された化合物1が提供される。
【表1】
【0041】
いくつかの実施形態において、本明細書において記載される任意の投薬形態のカプセルで製剤化された化合物1が提供される。いくつかの実施形態において、約0.5mg~約50mgの化合物1を含有する錠剤製剤が提供される。すべての実施形態において、化合物1の重量が分子の活性部分(遊離酸)を指すことが理解されるだろう。化合物1の塩形態が使用される複数の実施形態において、塩の重量は、適切な量の活性化合物が組成物中にあることを確実にするように調整されるだろう。いくつかの実施形態において、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約5mg、約6mg、約10mg、約15mg、約25mg、または約50mgの化合物1を含有する錠剤製剤が提供される。
【0042】
本開示はキット(例えば医薬品パッケージ)をさらに網羅する。提供されるキットは、本明細書において記載される医薬組成物または化合物及び容器(例えば薬物ボトル、アンプル、ボトル、シリンジ、及び/またはサブパッケージ、あるいは他の好適な容器)を含み得る。
【0043】
使用方法及び使用
本明細書において記載される化合物及び組成物は、いくつかの態様において、肝障害の治療または予防において使用され得る。いくつかの実施形態において、肝障害の治療または予防を必要とする患者における肝障害を治療するまたは予防する方法は、化合物1またはその薬学的に許容される塩を患者へ投与することを含む。
【0044】
肝障害としては、肝炎症、線維化、及び脂肪性肝炎が限定されずに挙げられる。いくつかの実施形態において、肝障害は、肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される。ある特定の実施形態において、肝障害は、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、NAFLD、及びNASHから選択される。一実施形態において、肝障害は、NASHである。別の実施形態において、肝障害は、肝炎症である。別の実施形態において、肝障害は、肝線維化である。別の実施形態において、肝障害は、アルコール誘導性線維化である。別の実施形態において、肝障害は、脂肪変性である。別の実施形態において、肝障害は、アルコール性脂肪変性である。別の実施形態において、肝障害は、NAFLDである。一実施形態において、本明細書において提供される治療方法は、NAFLDのNASHへの進行を阻止または減速する。一実施形態において、本明細書において提供される治療方法は、NASHの進行を阻止または減速する。NASHは、例えば肝硬変、肝癌などのうちの1つまたは複数へ進行し得る。いくつかの実施形態において、肝障害は、NASHである。いくつかの実施形態において、患者は、肝生検を行っている。いくつかの実施形態において、方法は、肝生検の結果を得ることをさらに含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、肝障害の治療を必要とする患者における肝障害を治療する方法であって、肝障害が、肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)からなる群から選択される、前記方法が提供される。
【0046】
化合物1またはその薬学的に許容される塩により、肝障害の治療または予防を必要とする患者(例えばヒト患者)における肝障害を治療または予防する方法であって、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、肝障害が、肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)から選択される、前記方法が本明細書において提供される。
【0047】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)への進行の阻止または減速を必要とする患者(例えばヒト患者)におけるNAFLDのNASHへの進行を阻止または減速する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法も本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、方法は、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。NASHの進行の阻止または減速を必要とする患者(例えばヒト患者)におけるNASHの進行を阻止または減速する方法であって、化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法も本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、方法は、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態において、肝損傷を低減させる方法であって、化合物1またはその薬学的に許容される塩を肝損傷の低減を必要とする個体へ投与することを含み、線維化が低減される、前記方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、線維化についての1つまたは複数のマーカーの発現のレベルは、低減される。いくつかの実施形態において、Ccr2、Col1a1、Col1a2、Col1a3、Cxcr3、Dcn、Hgf、Il1a、Inhbe、Lox、Loxl1、Loxl2、Loxl3、Mmp2、Pdgfb、Plau、Serpine1、Perpinh1、Snai、Tgfb1、Tgfb3、Thbs1、Thbs2、Timp2、及び/またはTimp3の発現のレベルは低減される。いくつかの実施形態において、コラーゲンのレベルは、低減される。いくつかの実施形態において、コラーゲン断片のレベルは、低減される。いくつかの実施形態において、線維化マーカーの発現のレベルは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5倍低減される。いくつかの実施形態において、線維化マーカーの発現のレベルは、約2倍、約3倍、約4倍、または約5倍低減される。
【0049】
いくつかの実施形態において、肝損傷を低減させる方法であって、化合物1またはその薬学的に許容される塩を肝損傷の低減を必要とする個体へ投与することを含み、炎症が低減される、前記方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の炎症のマーカーは、低減される。いくつかの実施形態において、Adgre1、Ccr2、Ccr5、Il1A、及び/またはTlr4の発現のレベルは、低減される。いくつかの実施形態において、炎症マーカーの発現のレベルは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5倍低減される。いくつかの実施形態において、線維化マーカーの発現のレベルは、約2倍、約3倍、約4倍、または約5倍低減される。
【0050】
患者において、アルカリホスファターゼ、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、及び/またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)のレベルは、上昇し得る。いくつかの実施形態において、肝損傷を低減させる方法であって、化合物1またはその薬学的に許容される塩を投与することを含み、GGT、ALT、及び/またはASTのレベルは治療の前に上昇している、前記方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、患者のALTレベルは、正常レベルの上限より約2~4倍大きい。いくつかの実施形態において、患者のASTレベルは、正常レベルの上限より約2~4倍大きい。いくつかの実施形態において、患者のGGTレベルは、正常レベルの上限より約1.5~3倍大きい。いくつかの実施形態において、患者のアルカリホスファターゼレベルは、正常レベルの上限より約1.5~3倍大きい。これらの分子のレベルを決定する方法は、周知である。血液中のALTの正常レベルは、約7~56単位/リットルの範囲である。血液中のASTの正常レベルは、約10~40単位/リットルの範囲である。血液中のGGTの正常レベルは、約9~48単位/リットルの範囲である。血液中のアルカリホスファターゼの正常レベルは、20~50歳の男性について約53~128単位/リットル及び20~50歳の女性について約42~98単位/リットルの範囲である。
【0051】
甲状腺ホルモン欠乏は、NAFLD及びNASHの患者においてよりよくみられる(Pagadala MR,Zein CO,Dasarathy S,Yerian LM,Lopez R,McCullough AJ.Prevalence of hypothyroidism in nonalcoholic fatty liver disease.Dig Dis Sci.2012;57:528-34.)。甲状腺は、視床下部からの甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)に応答した下垂体前葉からのチロトロピン(甲状腺刺激ホルモン[TSH])の制御下で、トリヨードチロニン(T3)及びチロキシン(T4)を産生する。任意の特定の理論により束縛されるものではないが、肝臓におけるTHR-βアゴニズムは、T3またはTSHの変化無しに遊離T4を低下させることに関与し、これは末梢の甲状腺ホルモン調節に起因し得る(Taub R,Chiang E,Chabot-Blanchet M,Kelly MJ,Reeves RA,Guertin MC,et al.Lipid lowering in healthy volunteers treated with multiple doses of MGL-3196,a liver-targeted thyroid hormone receptor-β agonist.Atherosclerosis.2013;230:373-80.;Berry MJ,Kates AL,Larsen PR.Thyroid hormone regulates type I deiodinase messenger RNA in rat liver.Mol Endocrinol 1990;4:743-748.)。中枢性甲状腺軸への影響の証拠は、所望されない効果を示し得る。したがっていくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与は、患者の血清TSH、遊離T3、またはT4の、正常範囲の外側のレベルへの変化をもたらさない。
【0052】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与は、患者の心臓バイオマーカー(CK、CK-MB、及びトロポニンIが挙げられる)の、正常範囲の外側のレベルへの変化をもたらさない。
【0053】
性ホルモン結合グロブリン(SHBG)は、肝臓において産生され、性ホルモン(アンドロゲン及びエストロゲンが挙げられる)へ結合し、安定化し、循環ホルモンの総画分及び遊離画分に影響を与える(Hammond 2016)。THR-βアゴニズムは、SHBG発現をアップレギュレートし、SHBGを有用なPDマーカーにする。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与は、患者の血清SHBGの増加をもたらす。いくつかの実施形態において、患者の血清SHBGの増加が、化合物1またはその薬学的に許容される塩の4日間の投与内で起こる。いくつかの実施形態において、患者の血清SHBGは、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与後に、ベースラインに比べて少なくとも5%まで増加する。いくつかの実施形態において、患者の血清SHBGは、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与後に、ベースラインに比べて少なくとも10%まで増加する。いくつかの実施形態において、患者の血清SHBGは、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与後に、ベースラインに比べて少なくとも25%まで増加する。
【0054】
いくつかの実施形態において、患者は、ヒトである。肥満は、NAFLD及びNASHと高度に相関するが、痩せた人々もNAFLD及びNASHによって影響を受け得る。したがっていくつかの実施形態において、患者は、肥満である。いくつかの実施形態において、患者は、肥満ではない。肥満は、糖尿病もしくは心臓血管障害等の他の疾患と相関し得るか、または同様にそれらを引き起こし得る。したがっていくつかの実施形態において、患者は、糖尿病及び/または心臓血管障害も有する。理論に束縛されるものではないが、併存症(肥満、糖尿病、及び心臓血管障害等)は、NAFLD及びNASHをより治療しにくくし得ると考えられている。逆に、NAFLD及びNASHを対処するための現在認識された唯一の方法は、体重減少であり、それは、おそらく痩せた患者に対する効果は、ほとんど無いか全く無いいだろう。
【0055】
NAFLD及びNASHについてのリスクは年齢とともに増加するが、2歳ほどの小児の文献報告があり、小児もNAFLD及びNASHを患い得る(Schwimmer,et al.,Pediatrics,2006,118:1388-1393)。いくつかの実施形態において、患者は、2~17歳(2~10、2~6、2~4、4~15、4~8、6~15、6~10、8~17、8~15、8~12、10~17、または13~17歳等)である。いくつかの実施形態において、患者は、18~64歳(18~55、18~40、18~30、18~26、18~21、21~64、21~55、21~40、21~30、21~26、26~64、26~55、26~40、26~30、30~64、30~55、30~40、40~64、40~55、または55~64歳等)である。いくつかの実施形態において、患者は、65歳以上(70以上、80以上、または90以上等)である。
【0056】
NAFLD及びNASHは、肝移植の一般的な原因であるが、既に1回の肝臓移植を受けた患者は、多くの場合NAFLD及び/またはNASHを再び発症する。したがっていくつかの実施形態において、患者は、肝臓移植を行っている。
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書において提供される方法に従う治療は、患者においてNAFLD活性(NAS)スコアの低減をもたらす。例えばいくつかの実施形態において、脂肪変性、炎症、及び/または風船化は、治療に際して低減される。いくつかの実施形態において、本明細書において提供される治療の方法は、肝線維化を低減させる。いくつかの実施形態において、方法は、血清トリグリセリドを低減させる。いくつかの実施形態において、方法は、肝臓トリグリセリドを低減させる。
【0058】
低密度リポタンパク質(LDL)、コレステロール、及びトリグリセリドの上昇によって特徴付けられる脂質異常症は、心血管性疾患についての重要なリスク因子であり(Nelson RH.Hyperlipidemia as a risk factor for cardiovascular disease.Prim Care.2013 March;40(1):195-211.)、NASH患者において一般的に観察される(Loomba R.Nonalcoholic fatty liver disease progression rates to cirrhosis and progression of cirrhosis to decompensation and mortality:a real world analysis of Medicare data.Aliment Pharmacol Ther.2020;51:1149-59.)。さらに、脂質異常症は、NASHの根底にある肝炎症の可能性のある病因のドライバーである(Walenbergh S.Cholesterol is a significant risk factor for nonalcoholic steatohepatitis.Expert Review of Gastroenterology & Hepatology.2015;9:11:1343-46.)。アポリポタンパク質B(Apo B)は、血液中のLDLコレステロールと関連し、患者の脂質プロファイルの査定に有用であり得る。したがっていくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与は、患者の血清Apo Bを減少させる。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与は、4日間の投与内で患者の血清Apo Bの減少をもたらす。いくつかのかかる実施形態において、患者の血清Apo Bの減少は、ベースラインに比べて少なくとも5%である。いくつかのかかる実施形態において、患者の血清Apo Bの減少は、ベースラインに比べて少なくとも10%である。いくつかのかかる実施形態において、患者の血清Apo Bの減少は、ベースラインに比べて少なくとも15%である。
【0059】
いくつかの実施形態において、患者は、本明細書において提供される方法に従う投与の前に、副作用を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、副作用は、腎臓、肺、心臓、及び/または皮膚に影響する副作用である。いくつかの実施形態において、副作用は、痒みである。
【0060】
いくつかの実施形態において、患者は、1つまたは複数の前治療を受けている。いくつかの実施形態において、肝障害は、治療の間に進行した。いくつかの実施形態において、患者は、1つまたは複数の前治療のうちの少なくとも1つの間に痒みを患った。
【0061】
化合物1による前臨床動物モデルから、以下の実施例中で記載されるように、およそ3,320ng*hg/mLの時間0から無限大までの定常状態の血漿曲線下面積(AUC0-∞)が、様々な薬力学マーカーに基づいて有効性を確実にするには、十分な曝露であることが確立された。3,320ng*hg/mL以上の化合物1の曝露は、多くの場合THRアゴニズムと関連する、所望されない甲状腺ホルモン効果をもたらさない。例えば、実施例中で記載される単回用量漸増研究において、およそ50,000ng*hg/mLまでの化合物1の定常状態の血漿AUC0-∞は、任意の有意な副作用をもたらさなかった。
【0062】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約2,500ng*時間/mL~約50,000ng*時間/mLの時間0から無限大までの定常状態の血漿曲線下面積(AUC0-∞)を得るような用量で、化合物1またはその薬学的に許容される塩を必要とする個体(例えばNASHの患者)へ毎日投与される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約3,000ng*時間/mL~約50,000ng*時間/mLの時間0から無限大までの定常状態の血漿曲線下面積(AUC0-∞)を得るような用量で、化合物1またはその薬学的に許容される塩を必要とする個体(例えばNASHの患者)へ毎日投与される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約5,000ng*時間/mL~約50,000ng*時間/mLの時間0から無限大までの定常状態の血漿曲線下面積(AUC0-∞)を得るような用量で、化合物1またはその薬学的に許容される塩を必要とする個体(例えばNASHの患者)へ毎日投与される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約5,000ng*時間/mL~約30,000ng*時間/mLの時間0から無限大までの定常状態の血漿曲線下面積(AUC0-∞)を得るような用量で、化合物1またはその薬学的に許容される塩を必要とする個体(例えばNASHの患者)へ毎日投与される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約5,000ng*時間/mL~約25,000ng*時間/mLの時間0から無限大までの定常状態の血漿曲線下面積(AUC0-∞)を得るような用量で、化合物1またはその薬学的に許容される塩を必要とする個体(例えばNASHの患者)へ毎日投与される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約5,000ng*時間/mL~約20,000ng*時間/mLの時間0から無限大までの定常状態の血漿曲線下面積(AUC0-∞)を得るような用量で、化合物1またはその薬学的に許容される塩を必要とする個体(例えばNASHの患者)へ毎日投与される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約3,000ng*時間/mL~約10,000ng*時間/mLの時間0から無限大までの定常状態の血漿曲線下面積(AUC0-∞)を得るような用量で、化合物1またはその薬学的に許容される塩を必要とする個体(例えばNASHの患者)へ毎日投与される。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約5,000ng*時間/mL~約10,000ng*時間/mLの時間0から無限大までの定常状態の血漿曲線下面積(AUC0-∞)を得るような用量で、化合物1またはその薬学的に許容される塩を必要とする個体(例えばNASHの患者)へ毎日投与される。
【0063】
驚くべきことに、化合物1またはその薬学的に許容される塩が、非常に低い用量で所望される曝露を達成し得ることが見出されている。本開示のいくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、1mgほどの低用量またはそれ以下の用量で患者へ1日1回経口投与され得、依然としてアミンオキシダーゼ活性を十分に低減させ、リンパ球の接着及び遊走を低減させ得る。例えば、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約1mg~約60mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約0.5mg~約25mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約1mg~約15mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約2mg~約10mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約1mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約3mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約4mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約5mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約6mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約10mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約15mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約20mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。すべての実施形態において、化合物1の重量が分子の活性部分(遊離酸)を指すことが理解されるだろう。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約30mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約50mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、約60mgの用量で肝障害(例えばNASH)の患者へ1日1回経口投与され得る。化合物の塩形態が使用される複数の実施形態において、塩の重量は、適切な量の活性化合物が組成物中にあることを確実にするように調整されるだろう。
【0064】
治療期間は、概して1週間以上であり得る。いくつかの実施形態において、治療期間は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上である。いくつかの実施形態において、治療期間は、約1週間~約1か月、約1か月~約1年、約1年~約数年である。いくつかの実施形態において、治療期間は、少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、1年、2年、3年、4年、またはそれ以上のうちの任意のものである。いくつかの実施形態において、治療期間は、患者の残りの寿命である。
【0065】
化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与は、1週間以上の治療期間の間、1日1回、1日2回、または1日おきであり得る。いくつかの実施形態において、投与は、1週間以上の治療期間の間、化合物を毎日投与することを含む。いくつかの実施形態において、投与は、1週間以上の治療期間の間、化合物を毎日2回投与することを含む。いくつかの実施形態において、投与は、1週間以上の治療期間の間、化合物を1日おきに投与することを含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、治療期間の1日目に投与される化合物1またはその薬学的に許容される塩の量は、治療期間のすべての後続する日に投与される量以上である。いくつかの実施形態において、治療期間の1日目に投与される量は、治療期間のすべての後続する日に投与される量に等しい。
【0067】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与は、個体における脂肪変性を減少させる。脂肪変性を査定する方法は、当業者に公知であり、組織学的分析及び組織学的スコアの割り当てが挙げられ得る。したがって、本明細書において詳述される治療の方法が、いくつかの実施形態において、治療を必要とする個体の肝障害(肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等)を治療することを含み、治療は、脂肪変性と関連する組織学的マーカーを低減させることを含むことが理解される。
【0068】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩の投与は、個体における肝炎症を減少させる。肝炎症を査定する方法は、当業者に公知であり、小葉炎症の組織学的分析及び組織学的スコアの割り当てが挙げられ得る。したがって、本明細書において詳述される治療の方法が、いくつかの実施形態において、治療を必要とする個体の肝障害(肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等)を治療することを含み、治療は、小葉炎症、または小葉炎症と関連する組織学的マーカーを低減させることを含むことが理解される。
【0069】
いくつかの実施形態において、化合物1の投与またはその薬学的に許容される塩は、個体における肝線維化を減少させる。肝線維化を査定する方法は、当業者に公知であり、組織学的分析が挙げられ得る。したがって、本明細書において詳述される治療の方法が、いくつかの実施形態において、治療を必要とする個体の肝障害(肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等)を治療することを含み、治療は、線維化、または線維化と関連する組織学的マーカーを低減させることを含むことが理解される。
【0070】
いくつかの実施形態において、化合物1の投与またはその薬学的に許容される塩は、個体における肝脂肪変性、炎症、及び線維化のうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つを減少させる。したがって、本明細書において詳述される治療の方法が、いくつかの実施形態において、治療を必要とする個体の肝障害(肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等)を治療することを含み、治療は、脂肪変性、小葉炎症、線維化、または上記のものの任意の組織学的マーカーのうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つを低減させることを含むことが理解される。
【0071】
いくつかの実施形態において、化合物1の投与またはその薬学的に許容される塩は、個体における血清トリグリセリドを減少させる。したがって、本明細書において詳述される治療の方法が、いくつかの実施形態において、治療を必要とする個体の肝障害(肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等)を治療することを含み、治療は、血清トリグリセリドを低減させることを含むことが理解される。
【0072】
いくつかの実施形態において、化合物1の投与またはその薬学的に許容される塩は、個体における血清総コレステロール値を減少させる。したがって、本明細書において詳述される治療の方法が、いくつかの実施形態において、治療を必要とする個体の肝障害(肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等)を治療することを含み、治療は、血清コレステロールを低減させることを含むことが理解される。
【0073】
いくつかの実施形態において、化合物1の投与またはその薬学的に許容される塩は、個体における血清アラニンアミノトランスフェラーゼを減少させる。したがって、本明細書において詳述される治療の方法が、いくつかの実施形態において、治療を必要とする個体の肝障害(肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等)を治療することを含み、治療は、血清アラニンアミノトランスフェラーゼを低減させることを含むことが理解される。
【0074】
いくつかの実施形態において、化合物1の投与またはその薬学的に許容される塩は、個体における血清トリグリセリド、総コレステロール、及びアラニンアミノトランスフェラーゼのうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つを減少させる。いくつかの実施形態において、化合物1の投与またはその薬学的に許容される塩は、個体における血清トリグリセリド、総コレステロール、及びアラニンアミノトランスフェラーゼを減少させる。したがって、本明細書において詳述される治療の方法が、いくつかの実施形態において、治療を必要とする個体の肝障害(肝炎症、肝線維化、アルコール誘導性線維化、脂肪変性、アルコール性脂肪変性、原発性硬化性胆管炎(PSC)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)等)を治療することを含み、治療は、血清トリグリセリド、総コレステロール、及びアラニンアミノトランスフェラーゼのうちの少なくとも1つまたは少なくとも2つを低減させることを含むことが理解される。
【0075】
上記のもののうちのいくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、投薬の前に少なくとも10時間、食事をしていない患者へ投与される。いくつかの実施形態において、化合物1の化合物またはその薬学的に許容される塩は、投薬の30分間未満前に、高脂肪の高カロリーの食事を摂取した患者へ投与される。
【0076】
多形体
一態様において、化合物1の多形体またはその薬学的に許容される塩が本明細書において提供される。多形体は、医学的使用または薬学的使用に好適なある特定の条件下の生物学的利用能及び安定性等の特性を有し得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、化合物1のカリウム塩の多形体A型が本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、化合物1のカリウム塩のA型は、図16中で示されるようなXRPDパターンを実質的に有する。XRPDを使用して化合物1のカリウム塩のA型について観察され得る角度2θ及び相対ピーク強度は、以下の表B中で示される。
【表2】
【0078】
いくつかの実施形態において、化合物1のカリウム塩の多形体A型は、図16中で示されるようなまたは表B中で提供されるようなXRPDパターンにおいて、最大強度を有する角度2θで、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10のピークを示すXRPDパターンを有する。
【0079】
いくつかの実施形態において、化合物1のカリウム塩の多形体A型は、6.78±0.20、11.35±0.20、及び20.51±0.20度の角度2θでピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物1のカリウム塩の多形体A型は、6.78±0.20、11.35±0.20、14.44±0.20、20.51±0.20、及び29.13±0.20度の角度2θでピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物1のカリウム塩の多形体A型は、6.16±0.20、6.78±0.20、11.35±0.20、13.51±0.20、14.44±0.20、15.76±0.20、20.51±0.20、24.63±0.20、25.97±0.20、及び29.13±0.20度の角度2θでピークを含むXRPDパターンを有する。
【0080】
いくつかの実施形態において、化合物1のナトリウム塩の多形体A型が本明細書において提供される。いくつかの実施形態において、化合物1のナトリウム塩のA型は、図18中で示されるようなXRPDパターンを実質的に有する。XRPDを使用して化合物1のナトリウム塩のA型について観察され得る角度2θ及び相対ピーク強度は、以下の表C中で示される。
【表3】
【0081】
いくつかの実施形態において、化合物1のナトリウム塩の多形体A型は、図18中で示されるようなまたは表C中で提供されるようなXRPDパターンにおいて、最大強度を有する角度2θで、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10のピークを示すXRPDパターンを有する。
【0082】
いくつかの実施形態において、化合物1のナトリウム塩の多形体A型は、5.51±0.20、8.47±0.20、及び16.57±0.20度の角度2θでピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物1のナトリウム塩の多形体A型は、5.51±0.20、6.99±0.20、8.47±0.20、15.24±0.20、及び16.57±0.20度の角度2θでピークを含むXRPDパターンを有する。いくつかの実施形態において、化合物1のナトリウム塩の多形体A型は、5.51±0.20、6.99±0.20、8.47±0.20、13.12±0.20、かつ15.24±0.20、16.57±0.20、20.42±0.20、21.02±0.20、28.55±0.20、及び31.33±0.20度の角度2θでピークを含むXRPDパターンを有する。
【0083】
相対強度は、多くの因子(サンプル調製、マウンティング、ならびにスペクトルを得るために使用される装置及び分析手順及び設定が挙げられる)に依存して変動し得ることが理解されるべきである。相対ピーク強度及びピーク割り当ては、実験誤差内で変動し得る。いくつかの実施形態において、本明細書においてリストされるXRPDピーク割り当て(化合物1のカリウム塩の多形体A型または化合物1のナトリウム塩の多形体A型についてが挙げられる)は、±0.6度、±0.4度、±0.2度、または±0.1度2θで変動し得る。いくつかの実施形態において、本明細書においてリストされるピーク割り当ては、±0.6度2θで変動し得る。いくつかの実施形態において、本明細書においてリストされるピーク割り当ては、±0.4度2θで変動し得る。いくつかの実施形態において、本明細書においてリストされるピーク割り当ては、±0.2度2θで変動し得る。いくつかの実施形態において、本明細書においてリストされるピーク割り当ては、±0.1度2θで変動し得る。
【0084】
併用
本開示は、化合物1またはその薬学的に許容される塩と肝疾患を治療するために使用される他の治療剤との併用をさらに提供する。特に、本開示は、化合物1またはその薬学的に許容される塩及びNASHの治療において使用される他の治療剤との併用を提供する。本明細書において開示されるように、その低い臨床用量に起因して、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、NASHの治療のための固定用量の併用で使用に魅力的な候補である。
【0085】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストと併用して投与される。いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、オベチコール酸である。いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、シロフェキソールである。いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、トロピフェキソールである。いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、EYP001(ボナフェキソール、INN提案)である。いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、MET409(Metacrine)である。いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、EDP-305(Enantaによる)である。いくつかの実施形態において、FXRアゴニストは、
【化3】
(「または化合物2」)またはその薬学的に許容される塩である。
【0086】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)アゴニストと併用して投与される。いくつかの実施形態において、PPARアゴニストは、ピオグリタゾンである。いくつかの実施形態において、PPARアゴニストは、ロシグリタゾンである。いくつかの実施形態において、PPARアゴニストは、エララフィブラノール(elalafibranor)である。いくつかの実施形態において、PPARアゴニストは、サログリタザールである。いくつかの実施形態において、PPARアゴニストは、ラニフィブラノールである。いくつかの実施形態において、PPARアゴニストは、エラフィブラノールである。いくつかの実施形態において、PPARアゴニストは、セラデルファル(seladelphar)である。
【0087】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、汎カスパーゼ阻害物質と併用して投与される。いくつかの実施形態において、汎カスパーゼ阻害物質は、エムリカサンである。
【0088】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、ガレクチン-3阻害物質と併用して投与される。いくつかの実施形態において、ガレクチン-3阻害物質は、ベラペクチンである。
【0089】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、ステアロイルCo-Aデサチュラーゼ1阻害物質と併用して投与される。いくつかの実施形態において、ステアロイルCo-Aデサチュラーゼ1阻害物質は、アルムコール(armachol)である。
【0090】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、ケモカイン受容体2型及びケモカイン受容体5型(CCR2/CCR5ケモカイン)アンタゴニストと併用して投与される。いくつかの実施形態において、CCR2/CCR5ケモカインアゴニストは、セニクリビロックである。
【0091】
いくつかの実施形態において、化合物1またはその薬学的に許容される塩は、抗酸化物質と併用して投与される。いくつかの実施形態において、抗酸化物質は、ビタミンEである。
【0092】
いくつかの実施形態において、化合物1は、コレステロール低下薬と共投与される。いくつかの実施形態において、コレステロール低下薬は、スタチンである。いくつかの実施形態におけるいくつかのかかる実施形態において、スタチンは、アトルバスタチン、シンバスタチン、またはロスバスタチンである。
【0093】
製造品及びキット
本開示は、本明細書において記載される化合物もしくはその塩、本明細書において記載される組成物、または本明細書において記載される1つもしくは複数の単位投薬量を好適なパッケージング中で含む製造品をさらに提供する。ある特定の実施形態において、製造品は、本明細書において記載される方法のうちの任意のものにおける使用のためのものである。好適なパッケージング(例えば容器)は、当技術分野において公知であり、例えばバイアル、容器、アンプル、ボトル、ジャー、可撓性のパッケージング、及び同種のものが挙げられる。製造品は、さらに滅菌及び/または密閉され得る。
【0094】
本開示は、本開示の方法の実行のためのキットをさらに提供し、当該キットは、化合物1もしくはその薬学的に許容される塩または化合物1もしくはその薬学的に許容される塩を含む組成物を含む。キットは、本明細書において記載される使用のうちの任意の1つまたは複数のために使用され得、したがって、本明細書において記載される治療のための指示書を含有し得る。
【0095】
キットは、概して、好適なパッケージングを含む。キットは、化合物1またはその薬学的に許容される塩を含む1つまたは複数の容器を含み得る。
【0096】
キットは、単位投薬形態、バルクパッケージ(例えば複数回用量パッケージ)、またはサブ単位用量であり得る。例えば、十分な投薬量の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、及び/または本明細書において詳述される疾患のために有用な追加の薬学的に活性のある化合物を含有するキットが提供されて、延長された期間(1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3か月、4か月、5か月、7か月、8か月、9か月、またはそれ以上等のうちの任意のもの)の間、個体に有効な治療を提供し得る。キットは、複数回の単位用量の化合物及び使用のための指示書も含み、薬局(例えば病院薬局及び調剤薬局)における貯蔵及び使用のために十分な量でパッケージングされ得る。
【0097】
キットは、指示書のセット(概して書面による指示書)を任意選択で含み得るが、本開示の方法の構成要素(複数可)の使用に関連する、電子記憶媒体(例えば磁気ディスケットまたは光ディスク)を含有する指示書も許容される。キットに含まれる指示書は、概して、構成要素及びそれらを個体へ投与することに関する情報を含む。
【実施例
【0098】
実施例1:健康なヒト対象における化合物1の単回用量漸増試験
方法
化合物1(カリウム塩)の単回用量漸増臨床試験を遂行した。化合物1(3mg、10mg、30mg、または60mgのカプセル)または一致するプラセボを服用させるために、8名の健康な参加者の4つの群を、3:1の比(n=6活性物質及びn=2プラセボ)で無作為化し、研究の1日目の絶食状態の間に投与した。化合物1及びPDバイオマーカーの血漿レベルを、用量前及び用量後の様々な時間点で決定した。
【0099】
有害事象(AE)モニタリング、ルーチンの臨床検査試験(甲状腺軸試験[遊離及び総甲状腺ホルモントリヨードチロニン(T3)、遊離及び総甲状腺ホルモンチロキシン(T4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)]、心臓バイオマーカー[CK-MB、トロポニンI]、及び肝臓生化学が挙げられる)、集約的なバイタルサイン、心電図遠隔測定、及び心電図を、研究の全体にわたって査定した。化合物1の血漿及び尿の濃度を、検証された液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析アッセイを使用して決定した。
【0100】
化合物1の濃度及びPKサンプリングのための血漿サンプルを、試験医薬物(プラセボまたは化合物)の用量前ならびに単回用量の投与の0.5、1、2、3、4、6、8、12、24、48、及び72時間後に収集した。化合物1の濃度及びPKサンプリングのための尿サンプルを、用量前ならびに以下の時間点:0~6時間、6~12時間、12~24時間、及び24~48時間で収集した。PKパラメーターを、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(Certara、LP、Princeton、NJ)を使用してノンコンパートメント方法によって推定した。血清の薬力学的(PD)バイオマーカーであるアポリポタンパク質B(Apo B)及び性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の濃度を、免疫アッセイを使用して測定し、血清脂質を、分光測光を使用して決定した。
【0101】
PDサンプリングを、用量前ならびに用量の48時間及び72時間後に遂行した。PDマーカーについてのベースラインからのパーセント変化を、従属変数としてのベースラインからのパーセント変化、固定効果としての治療群、及び共変量としてのベースラインにより、ANCOVAモデルを使用して計算した。分析は、欠測データについての補完無しに観察データのみを使用した。
【0102】
結果
治療下で出現した有害事象のモニタリング
すべての有害事象は軽度または中等度であり、大部分は試験薬に関連しなかった。心臓関連AE(例えば頻脈、不整脈)は報告されず、バイタルサインまたはECGパラメーターにおける注目すべき変化は観察されなかった(表1を参照)。
【表4】
【0103】
安全性及び甲状腺軸のモニタリング
心拍数は、化合物1の投薬後24時間、安定的且つ正常範囲内のままであり、プラセボ群において観察されるものと類似のパターンになった。TSH、遊離T3、及び遊離T4のレベルは、正常範囲内のままであった。正常上限値(ULN)の2倍を超えるALTの増加を経験した対象はおらず;正常範囲を超えるビリルビンレベルを示した対象もいなかった。加えて、心臓バイオマーカー(トロポニンI、CK-MB)または他の臨床安全性試験の顕著な変化は、観察されなかった。
【0104】
薬物動態学
化合物1は、絶食条件下で低い変動(%CV≦33%)で吸収された。曝露(AUC、Cmax)は、近似的に用量に比例した。化合物1の中央値半減期は、13.8~17.3時間の範囲であり、1日1回の投薬を支持する。最小の腎排泄を、すべての用量で決定した。表2、図1図2を参照されたい。
【表5】
【0105】
薬力学
研究の1日目の化合物1の単回用量後の3日目に、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)及びアポリポタンパク質B(Apo B)の平均パーセント変化を、それぞれ図3及び図4中で示す。平均パーセント変化は、ANCOVAモデルからの最小二乗平均(LSM)及び標準誤差(SE)を参照する。プラセボに対するP値:*<0.05;**<0.01;***<0.001;****<0.0001。SHBGの有意な増加は、プラセボに比べて≧10mg化合物1の単回用量を後に観察された。化合物1の単回用量投与後の3日目に、LDL-c、総コレステロール、及びApo Bにおける用量依存的減少が観察され、4日目に類似の結果があった。トリグリセリドレベルの有意な変化は、化合物1の単回用量後に観察されなかった(表3を参照)。
【表6】
【0106】
結論
60mgまでの化合物1の単回用量漸増は、全体として安全且つ良好な忍容性を示し、低い変動で、直線状の用量比例する血漿曝露を呈した。半減期はすべての単回用量レベルで>13時間であり、1日1回の経口投薬を支持する。変化しない化合物1の腎排泄は最小限であり、腎排出がマイナーな経路であることを指摘する。
【0107】
SHBG、Apo B、及びLDL-cに対する有意な用量依存的効果は、化合物1の単回用量後に観察され、有効性について可能性のあることを指摘する。前臨床モデルにおける化合物1の有効な用量(3,320ng*時間/mLの閾値AUCは、NASHのマウスモデルにおいて有意な組織学的改善を達成した)に比べて、十分な曝露レベルは、すべての化合物1用量にわたってヒト対象において達成された。
【0108】
安全性、PK、及びPDの結果から、化合物1の継続的な開発が支持され、化合物1が、経口の1日1回の固定用量の併用として、他の経口小分子NASH薬剤との共製剤に良く適することを示す。
【0109】
実施例2:健康なヒト対象における化合物1の複数用量漸増試験
化合物1の複数用量漸増臨床試験を遂行した。化合物1(1mg、3mg、6mg、または10mgのカプセル)または一致するプラセボを服用させるために、8名の健康な参加者の4つの群を、3:1の比(n=6活性物質及びn=2プラセボ)で無作為化し、14日間の絶食状態の間に1日1回投与した。化合物1及びPDバイオマーカーの血漿レベルを、用量前及び用量後の様々な時間点で決定した。
【0110】
有害事象(AE)モニタリング(表4)、ルーチンの臨床検査試験(甲状腺軸試験[遊離及び総甲状腺ホルモントリヨードチロニン(T3)、遊離及び総甲状腺ホルモンチロキシン(T4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)]、心臓バイオマーカー[CK-MB、トロポニンI]、及び肝臓生化学が挙げられる)(図5図6)、集約的なバイタルサイン、心電図遠隔測定、及び心電図を、研究の全体にわたって査定した。化合物1の濃度を、検証された液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析アッセイを使用して決定した。
【0111】
化合物1の濃度及びPKサンプリングのための血漿サンプルを、試験医薬物(プラセボまたは化合物)の、第1の用量の用量前ならびに0.5、1、2、3、4、6、8、12、及び24時間後に、3、4、5、8、11、及び13日目の投薬の用量前に、ならびに14日間の1日1回の投与の用量前ならびに0.5、1、2、3、4、6、8、12、24、48、及び72時間後に収集した(表5、図7を参照)。PKパラメーターを、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(Certara、LP、Princeton、NJ)を使用してノンコンパートメント方法によって推定した。血清の薬力学的(PD)バイオマーカーであるアポリポタンパク質B(Apo B)及び性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の濃度を、免疫アッセイを使用して測定し、血清脂質を、分光測光を使用して決定した。
【0112】
PDサンプリングも遂行した。PDマーカーについてのベースラインからのパーセント変化を、従属変数としてのベースラインからのパーセント変化、固定効果としての治療群、及び共変量としてのベースラインにより、ANCOVAモデルを使用して計算した。分析は、欠測データについての補完無しに観察データのみを使用した。研究の15日目のPDデータを図8中で示す。
【0113】
結果及び結論
安全性
【表7】
【0114】
10mgまでのプラセボまたは化合物1の14日間の毎日の投薬は、全体的に良好な忍容性を示した。研究中止基準または用量漸増中止基準を満たすことはなかった。すべてのAEはグレード1であり、大部分は試験薬に関連しないと判断された。化合物1へ無作為化されたすべての対象は、試験薬を中断せずに研究を完了した。心拍数及び血圧は、研究を通して安定的なままであった。遊離T4は、TSHまたは遊離T3の明らかな変化無しに、用量依存的様式で下落した。T4変化は無症候性であり、臨床的に重要であると判断されなかったので、T3またはTSHの変化無しに、遊離T4の低下を導く末梢の甲状腺ホルモン調節があることを示唆する。
【0115】
平均ALT値は群にわたって類似し、プラセボとは有意に異ならなかった。ALTが≧2×ULNへ増加した治療対象は、いなかった。用量依存的なGGTの増加が認められ、治療患者については、値はULN未満のままであった。用量依存的な総テストステロンの増加が観察されたが、遊離レベルの有意な変化は同定されなかった。
【0116】
ECG、心臓バイオマーカー、または他の臨床検査試験の注目すべき変化は同定されなかった。
【0117】
薬物動態学及び薬力学
【表8】
【0118】
薬物動態学的なデータは、低いPK変動による良好な経口の生物学的利用能を示した。化合物1の複数回用量は、3mgの1日1回の低用量でさえSHBGの有意且つ用量依存的な増加を導いた。化合物1のすべて用量レベルで総コレステロール、LDL-c、Apo B、及びトリグリセリドの低減が観察され、10mgの用量のコホートで15日目に有意な低減が観察された。HDL-cは、15日目までに有意に変化しなかった。これらの結果から、化合物1の1日1回の低用量が有効であることが支持される。
【0119】
実施例3:健康なヒトにおける化合物1との薬物間相互作用の研究
インビトロの研究から、化合物1が、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1/1B3の初回通過阻害及び乳癌耐性タンパク質(BCRP)輸送体の腸管阻害の可能性があることを示された(OATP1B1 IC50=2.01マイクロモル;OATP1B3 IC50=0.71マイクロモル;BCRP IC50=9.37マイクロモル)。健康な参加者における、共投与されたロスバスタチン(ROS)(抗高脂血症薬であり、OATP及びBCRPの基質)の薬物動態学に対する化合物1の効果は、PKサンプリングと併用して、表6中で記載されるように化合物1及びROSの投与によって決定される。
【表9】
【0120】
加えて、化合物2は、腸で発現される輸送体P-糖タンパク質(P-gp)及びBCRPの阻害物質である(P-gp IC50=3.92マイクロモル;BCRP IC50=4.39マイクロモル)。インビトロの研究に基づいて、化合物2によるこれらの輸送体の阻害は、共投与された化合物1の吸収を増加させる可能性を有する。したがって、表7中で記載されるように、化合物2が、腸管のP-gp及びBCRPの阻害を介して化合物1の吸収を促進する可能性を査定するために、薬物間相互作用(DDI)研究を遂行する。
【表10】
【0121】
実施例4:健康なヒトにおける化合物1に対する食物の効果
健康な参加者における化合物1の取り込み及び薬物動態学に対する食物の効果は、PKサンプリングと併用して、表8中で記載されるように餌有りの状態及び絶食状態の間に化合物1を投与することによって決定される。
【表11】
【0122】
参加者は、一晩の絶食(投薬前の少なくとも10時間は水以外の食物または液体は無し)を行う。順序Aの9日目及び順序Bの1日目に、約1000kcal及び45%~55%の脂肪を含有する高脂肪/高カロリー朝食を、試験薬の投与の30分前に提供する。参加者が朝食を完了した(100%の消費)時にまたは完了後5分以内に、試験薬を投与する。
【0123】
甲状腺軸安全性のモニタリング及び心血管の安全性のモニタリングを、先行する実施例中で記載されるように遂行する。
【0124】
実施例5:マウスNASHモデルに対する化合物1の効果
C57BL/6Jマウスに10週間高脂肪食餌を与えて、肥満(>38gの体重)を誘導した。肥満マウスに、0.5μl/gの25%のCCl(オリーブ油中で製剤化)を1週間2回で4週間腹腔内(i.p.)注射して、線維化を誘導し、正常体重のマウスの1つの群に、オリーブ油を1週間2回で4週間i.p.注射して、健康な対照として供した。同じ投与期間の間に、肥満マウスに、ビヒクルまたは変動用量の化合物1を1日1回で28日間経口的に与えた。CClの投薬日に、CClを、化合物またはビヒクルの投薬の4時間後に投与した。27日目に、すべての動物を約16時間絶食させてから、最終的に安楽死させた。28日目に、すべての動物を屠殺し、様々な生物学的なパラメーターを分析した。全身重量、肝臓重量、心臓重量、及び脳重量を測定し、肝臓重量及び心臓重量の変化を、脳重量を使用して正規化した。
【0125】
化合物1は、肝臓/脳重量を有意に低減させ、全身重量または心臓/脳重量に対する効果は無かった(図9)。肝臓組織の組織学を、脂肪変性、炎症、及び線維化に対する化合物1の効果について分析した。化合物1は、試験したすべて用量で脂肪変性を有意に低減させ、炎症低減の傾向を示し、3及び10mpkで肝線維化を有意に低減させた(図10)。化合物1は、試験したすべての用量で血清総コレステロール、トリグリセリド、及びALTも有意に低減させた(図11)。
【0126】
肝臓サンプルを、RNAシーケンシング(RNAseq)による全トランスクリプトーム解析のために収集した。RNAseqライブラリー(1つの群あたりn=5)の調製及びシーケンシングを、Illuminaの標準的なプロトコルを使用して遂行した。シーケンシングリードのアライメントをSTARアライナーソフトウェアを使用して遂行し、リードカウントをRSEMを使用して推定した。差次的に発現された遺伝子(ビヒクル処理されたNASH対照マウスへ比較して)を、EdgeRソフトウェアを使用して決定した。遺伝子オントロジー分析を、それぞれ>1.5及び<0.05の倍変化及び調整p値カットオフにより、Advaitaソフトウェアを使用して遂行した。遺伝子オントロジーは、遺伝子オントロジーコンソーシアムデータベース(2019年4月26日)に由来した(Ashburner et al.,Gene ontology:Tool for the unification of biology.Nature Genetics 25(1):25-9(2000);Gene Ontology Consortium,Creating the Gene Ontology Resource:Design and Implementation.Genome Research 11:1425-1433(2001))。化合物1は、コラーゲン細胞外マトリックス及び肝臓の星細胞活性化と関連する遺伝子の発現に対する有意な効果を有し、それは、主としてNASH対照マウスに比べてそれらの発現レベルを低減させることによるものであった(図12)。
【0127】
実施例6:化合物1の溶解度に対するpH及び可溶化物質の効果
化合物1(カリウム塩)の溶解度を様々なpHレベルで評価した。水溶液中の化合物1の溶解度は、表9中で示されるように、pH依存的であり、pHにより増加した。可溶化物質(ラウリル硫酸ナトリウム、SLS)の存在下において、化合物1の溶解度は、25℃で24時間後に、pH10.0のバッファー+2重量%のSLS中で308μg/mLへさらに改善した。
【表12】
【0128】
実施例7:ビーグル犬における、化合物1の製剤、薬物動態学、食物の効果
化合物1の取り込みに対する可溶化物質(SLS)の効果を決定するために、50mg(遊離酸に基づいて)の化合物1を、5重量%のSLS(表10を参照)有りまたは無しでカプセル中で製剤化し、ペンタガストリン(6μg/kg、化合物1の投与の30±2分前に筋肉内注射によって投与した)により前処理した絶食ビーグル犬へ投与した。化合物1の血漿濃度を、24時間にわたって測定した(図13を参照)。5重量%のSLSを含む製剤は、化合物1の曝露(Cmax、AUC)を70%超増加させた(表11を参照)。
【表13】
【表14】
【0129】
PKパフォーマンスに対するpH効果を決定するために、ビーグル犬を、2つの群(1つの群あたりn=3)へと分けた。群1については、イヌを、ペンタガストリン(6μg/kg、化合物1の投与の30±2分前に筋肉内注射)により前処理した。群2については、イヌを、ファモチジン(2つの錠剤、20mg/錠剤、化合物1の投与の180±10分前に経口投与)により前処理した。化合物1(10mgのカプセル、5%のSLS)を投与し、化合物1の血漿濃度を24時間モニタリングし、図14中で図示する。最小限のpH効果が、研究条件下のイヌで起こった。
【0130】
PKパフォーマンスに対する食物の効果を決定するために、ビーグル犬を、2つの群(1つの群あたりn=3)へと分けた。絶食群については、イヌを投薬後4時間を通して一晩絶食させた。餌有りの群については、イヌに投与の30分前に高脂肪食物を与えた。化合物1の血漿濃度を24時間モニタリングした。化合物1(10mgのカプセル、5%のSLS)を投与し、化合物1の血漿濃度を24時間モニタリングし、図15中で図示する。食物摂取は、化合物1 tmaxを遅延させたが、血漿曝露に対する影響を有しなかった。
【0131】
実施例8。化合物1のカリウム塩の生成
エチル(E)-(2-シアノ-2-(2-(3,5-ジクロロ-4-((4-オキソ-3,4-ジヒドロフタラジン-1-イル)オキシ)フェニル)ヒドラジンイリデン)アセチル)カルバメート(7.4kg、0.99~1.01×)、酢酸カリウム(7.4kg、0.95~1.00×)、及びDMAc(41kg、5.6~6.0×)を、500LのGL反応器の中へチャージした。もたらされる混合物を、80~90 ℃で12~16時間維持した。混合物を20~30℃へ調整した。プロセス水(8kg、1.0~1.5×)中のKOH(0.85kg、0.11~0.17×)の溶液を、20~30℃で1~2時間添加した。混合物を20~30℃で1~2時間撹拌した。プロセス水(39kg、5.0~5.5×)を、20~30℃で4~6時間添加した。混合物を20~30℃で2~3時間撹拌した。もたらされる混合物を、ステンレス鋼遠心分離機によって遠心分離した。湿潤ケーキを、プロセス水により2回(18+20kg、2~3×)リンスした。湿潤ケーキ及びプロセス水(38kg、5.0~6.0×)を500LのGL反応器の中へチャージした。混合物を20~30℃で2~3時間撹拌した。もたらされる混合物を、ステンレス鋼遠心分離機によって遠心分離した。湿潤ケーキを、プロセス水により2回(18+22kg、2~3×)リンスし、55~65℃の減圧下のステンレス鋼ドライヤーによって乾燥して、化合物1の粗製カリウム塩(5.45kg、純度:98.4%;アッセイ:95.9%;収率:72%)を得た。
【0132】
化合物1の粗製カリウム塩(5.3kg、0.99~1.01×)及びDMSO(43kg、6.0~8.0×)を、250 GL反応器(R1)の中へチャージした。もたらされる混合物を40~50℃で0.5~1時間維持して、透明な溶液を得た。酢酸エチル(EA)(22kg、4.0~4.5×)を40~50℃で1~2時間にわたって添加した。もたらされる混合物をインラインフィルターを介して濾過し、250 GL反応器(R2)の中へ移した。R1をDMSO(1.8kg、0.2~0.5×)によりリンスし、材料をインラインフィルターを介して濾過し、R2の中へ移した。40~50℃へ調整し、EA(22kg、4.0~4.5×)を40~50℃で1~2時間にわたってR2の中へチャージした。化合物1シード(0.010kg、0.001~0.002×)をR2の中へチャージした。もたらされる混合物を、40~50℃で1~2時間間撹拌した。EA(67kg、12.0~13.0×)を40~50℃で12~15時間にわたってR2の中へチャージし、40~50℃で2~3時間撹拌した。分析のためにサンプリングした(スペック:湿潤ケーキのXRPD:参照形態Aに一致)。EA(27kg、1.0~5.0×)を40~50℃で2時間にわたってR2の中へチャージし、40~50℃で2~3時間撹拌した。R2を2時間にわたって20~30℃へ調整し、20~30℃で4~6時間撹拌した。もたらされる混合物を、ステンレス鋼フィルタードライヤーにおいて濾過した。湿潤ケーキを、EAにより2回(16+14kg、2~3×)リンスした。EA(36kg、6~7×)を、ステンレス鋼フィルタードライヤーの中へチャージした。20~30℃へ調整し、20~30℃で2~3時間撹拌した。もたらされる混合物を、ステンレス鋼フィルタードライヤーにおいて濾過した。湿潤ケーキをEAにより(16kg、2~3×)リンスし、60~70℃で減圧下でステンレス鋼フィルタードライヤーによって乾燥させた。材料をふるいにかけ、化合物1の精製カリウム塩(4.16kg、純度:99.81%;アッセイ:97.6%;収率:80%)を得た。図16を参照を参照されたい。
【0133】
実施例9。化合物1についての塩スクリーニング研究
化合物1の複数の塩形態を、実施例8において調製されたカリウム塩形態に比べた、それらの特性(溶解度、安定性、及び吸湿性が挙げられる)に基づいて評価した(図16、表12を参照)。
【表15】
【0134】
出発材料として遊離酸形態A(図17)を使用して、合計で50の塩スクリーニング実験を、10種類の塩形成物質及び5種類の溶媒により遂行した。特徴評価の結果から、合計で14の塩が塩スクリーニング及び再調製実験において得られ、それらとしては、アンモニウム塩B/C型、L-リジン塩A/B/C型、マグネシウム塩A型、コリン塩A型、カルシウム塩A型、L-アルギニン塩A/B型、ナトリウム塩A型、トリス塩A/B型、ジエルチアミン塩A型、及び遊離酸の4つの形態(遊離酸A/B/C/D型を包含する)が挙げられることが示された。XRPD比較によれば、アンモニウム塩A型の名称のサンプルは、遊離形態D型及びアンモニウム塩の混合物と推測された。
【0135】
特徴評価データ(良好な結晶性、きれいなDSC信号、整数モル比、高安全性クラス、及び単純な多型性を基準として使用)に基づいて、ナトリウム塩A型(図18、表13)、L-アルギニン塩A型(図19)、及びマグネシウム塩A型(図20)を、比較の参照としてのカリウム塩と共に、再調製及び動態学的溶解度評価のために選択した。溶解度評価の結果から、ナトリウム塩は、室温での24時間で水中で最も高い溶解度を実証したことが示された(約0.4mg/mL、37℃での水中でカリウム塩の溶解度に類似する)。37℃での人工胃液(SGF)中で、カリウム塩が最も高い溶解度(0.11mg/mL)を示し、次にナトリウム塩が続いた。37℃での絶食時人工腸液(FaSSIF)中で、マグネシウム塩が最も高い溶解度(約0.04mg/mL)を示し、次に遊離酸が続いた。37℃での摂食時人工腸液(FeSSIF)中で、4つの塩及び遊離酸で類似の溶解度(約0.02mg/mL)が観察された。XRPD結果から、形態変化が、遊離酸を除いて、すべての塩で異なる試験培地中で観察されたことが示された。
【表16】
【0136】
より高い溶解度(遊離酸と比較して)及び基準としての単純な多型性による、動態学的溶解度評価の結果に従って、無水ナトリウム塩A型を、物理化学的安定性評価、吸湿性、及びPLM試験についての候補として選択し、カリウム塩A型と比較した(表14)。これらの試験の結果から、以下のことが示された。
1)物理化学的安定性評価:60℃/密閉及び60℃/75%相対湿度下での1及び2週間の貯蔵後に、ナトリウム塩A型について、HPLC純度のマイナーな減少(<0.1面積%)が観察され、形態変化は無かった。
2)吸湿性:動的水蒸気吸着(DVS)の結果から、ナトリウム塩A型がDVS試験後に形態変化無しでわずかに吸湿性だったことが示された。
3)PLM:ナトリウム塩A型サンプルは、<20μmの粒子サイズを備えた不規則雪結晶から構成された。ナトリウム塩及びカリウム塩の特徴評価及び評価データの比較を、表14中で示す。
【表17】
【0137】
実施例10。臨床試験において使用される化合物1の製剤化
化合物は、中等度から重度の非肝硬変性非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の成人の治療のために、経口的に生体利用可能な甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)選択的アゴニストである。化合物1は、BCSクラスIV化合物として分類され、即時放出カプセルとして製剤化された。活性物質の固有溶解度を促進するために、化合物1は薬物物質のカリウム塩形態として単離され、ラウリル硫酸ナトリウムは即時放出製剤において可溶化剤として使用される。製剤化製品は、サイズ0のHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセル中で0.5~50mgの化合物1(遊離酸均等物)を含有するドライブレンドである。可溶化物質に加えて、希釈物質(微結晶性セルロース(MCC)、マンニトールなど)、崩壊物質(クロスカルメロースナトリウムなど)、流動化物質(コロイド状二酸化ケイ素など)、及び潤滑物質(ステアリン酸マグネシウムなど)等の他のクラスの賦形剤も調査され、化合物1製剤中で使用された。活性カプセルの定量的単位用量製剤組成を、表15中で以下で記載される。
【表18】
【0138】
実施例11。化合物1の直接的カプセル化製剤の研究
化合物1の直接的カプセル化(DE)製剤の研究を実行した。この作業は、半自動式または自動式のカプセル充填マシンによる、1mg、3mg、10mg、50mg、及びプラセボのカプセルの調製のためのDEプロセスの開発を包含した。製剤の成分、比、充填重量、流動性、及び均一性を、すべて評価した。開発されたプロセスは、将来の臨床試験のための化合物1の薬物製品の製造に好適である。プロトタイプ確認バッチの調製、短期安定性の研究、GMP認証、及びデモンストレーション安定性バッチの製造を遂行して、GMPバッチの製造の成功及び意図される臨床使用のための品質を確実にする。
【0139】
化合物1の最初の製剤研究の間に、ポロキサマー188及び陰イオン性界面活性物質ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)等の可溶化物質を包含する、可溶化物質の型を調査した。SLSは、化合物1との良好な適合性を示し、化合物1の水溶解度を増加させた。1.5%~5.0%の重量/重量のSLSのレベルを調査した。薬物動態学的なデータから、製剤中の特定の量のSLSを使用することがインビボの生物学的利用能を有意に改善することが示された。したがって、1.5%~5.0%のSLSは、化合物1によるさらなる製剤開発に好適であった。
【0140】
効率的なブレンディングプロセスを、異なる用量レベルで用量均一性の課題に対応するために開発した。0.5mg~10mgの用量レベルのために、等量のブレンディングプロセスを開発した。化合物1を、SLSの全体の量及びMCCの一部の量と等量で最初にブレンドした。次いで、混合物を残りの賦形剤とブレンドし、ふるいを介して通過させ、次いで、再び混合した(ブレンド-ふるい-ブレンドプロセス)。化合物1を、単独での代わりに、賦形剤と一緒に併用することによって、ブレンディングプロセスの間の化合物1の収率損失は、効率的に低減された。ブレンド-ふるい-ブレンドプロセスは、低用量の化合物1を、賦形剤と共に製剤中により高い収率で効果的に均一に取り込み、下流の直接的なカプセル充填または直接的な錠剤化を可能にした。10mg~50mgの製剤のために、上で開発及び記載された等量ブレンドプロセスに加えて、類似のブレンド及びふるいの手順を使用した。各々の用量強度のデモンストレーションバッチ及びGMPバッチは、このブレンドプロセスを使用する最終ブレンドのブレンド均一性結果が、所望される製品仕様を満たすことを示した。
【0141】
異なる用量の化合物1及びプラセボを含有する製剤のカプセル充填重量を、300mgであるようにデザインしたが、これは、この材料の体積が、最終ブレンドのかさ密度に基づいて、番号0カプセルの半自動式充填の必要性を満たし得るからである。半自動式充填は、臨床用薬物製品の小バッチサイズのみが必要な初期臨床ステージにおいて使用され得る。加えて、完全自動式カプセル充填プロセスも、後期ステージの臨床試験の大スケール必要性を満たすために開発されている。
【0142】
60℃/75%の相対湿度のストレス条件下での短期安定性研究から、2週間後に3mgの力価で分解不純物が形成されることが明らかにされた。シリカゲル乾燥剤がパッケージングのために後続して提案され、不純物の形成を減ずることに有効であることが証明された。
【0143】
GMP化合物1を使用する、1mg、3mg、10mg、及び50mgの力価のデモンストレーション安定性及びGMPバッチの後続する製造を、最終製剤及びプロセスに従って遂行した。分解を最小限にすることにおけるシリカゲル乾燥剤の有効性を、一次的なパッケージング中に含まれる乾燥剤有りまたは無しで、比較安定性研究を介して評価した。安定性データから、乾燥剤有りのパッケージングが40℃/75%の相対湿度の条件で、分解不純物の形成を有意に遅滞させることが明瞭に実証された。したがって、1gの乾燥剤有りのパッケージングが、製品の質を改善し、製品のシェルフライフを増加させると決定された。
【0144】
実施例12。LDL-cの上昇の有る健康な対象における化合物1の臨床評価
【0145】
目的:LDL-cの上昇の有る健康な対象における化合物1の複数用量漸増の全体的な安全性及び忍容性を査定する。
【0146】
副次目的:化合物1の複数用量漸増後にLDL-cの上昇の有る健康な対象における化合物1のPK及びPDを評価する。
【0147】
主要評価項目:治療下で出現した有害事象(TEAE)、バイタルサイン、臨床検査パラメーター、及び心電図(ECG)モニタリング。
【0148】
副次評価項目:化合物1についての血漿PKパラメーター、LDL-c及び他の脂質パラメーターを包含するTHR-βアゴニスト標的エンゲージメントのPDマーカー、ならびに性ホルモン結合グロブリン(SHBG)。
【0149】
LDL-cの軽度の上昇の有る健康なボランティアは、化合物1(n=6)またはプラセボ(n=2)に対して3:1で無作為化した。化合物1へ無作為化されたボランティアに、研究のMADコホートにおいて1、3、6、または10mgの化合物1の複数回用量を14日間1日1回投与した。
【0150】
結果
化合物1は、概して、すべての化合物1治療群及びプラセボにわたって、類似のAEの発生率で安全且つ良好な忍容性を示した。すべてのAEは、軽度から中等度であり、明らかな用量関係性は無かった。1名のプラセボ対象(1mgのコホート)は、同意の撤回に起因して研究を初期で中止し、すべて化合物1対象は、早期中断無しに研究を完了した。研究中止基準または用量漸増中止基準は満たされなかった。
【0151】
肝臓生化学:ALT、AST、ALP、及び総ビリルビン値は、治療群にわたって全体的に類似していた。化合物1を投与された対象は、ALTが≧2×ULNへ増加しなかった。DILIの証拠は無い。甲状腺ホルモン:甲状腺機能亢進症/甲状腺機能低下症の症状は無い。平均TSH及び遊離T3値は、高度に変動したが、概して群にわたって類似していた。遊離T4の用量依存的な下落は、他のTHR-アゴニストにより観察された末梢の甲状腺ホルモン調節と一致して、化合物1群の中で観察された。他の検査査定(例えば臨床化学、血液学)は、明らかな傾向を示さなかった。
【0152】
1、3、6、及び10mgの化合物1の14日間の1日1回の投薬は、全体的に安全且つ良好な忍容性を示し、甲状腺機能低下症/甲状腺機能亢進症またはTHR-αアゴニズムの臨床的徴候または症状は無かった。化合物1は、用量比例するPKを呈し、低い変動性及び1日1回の投薬に好適な半減期であった。化合物1は、用量依存的な様式で、SHBG(肝臓のTHR-βエンゲージメントの重要なマーカー)を増加させた。化合物1は、アテローム発生性の脂質レベル(LDL-c、Apo B、総コレステロール、及びトリグリセリドを包含する)の血中循環の有意な減少を導いた。総合すると、PDデータから、化合物1の投与が、肝臓中の着実なTHR-β標的エンゲージメントを導いたことが示される。
【0153】
実施例13:オスの生検で確認されたDIO-NASHマウスにおける、代謝パラメーター、肝臓病理、及び線維化ステージを包含するNAFLD活動性スコアに対する、化合物2及び化合物1による12週間の単剤治療及び併用治療の効果
【表19-1】
【表19-2】
【0154】
導入
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、肝脂肪変性の情況で肝炎症及び損傷が現われる疾患であり、おそらく、高レベルの疾患治癒を達成するために、疾患の複数の態様を標的とする併用療法を要求するだろう。代謝経路の恒常性を維持する核ホルモン受容体であるファルネソイドX受容体(FXR)及びFXRに相補的な代謝経路を調節する核ホルモン受容体である甲状腺ホルモン受容体β(THR-β)の小分子アゴニストは、NASHの治療のために開発中である。化合物2(FXRの非ステロイド性アゴニスト)及び化合物1(肝臓に分布する、THR-βの選択的アゴニスト)を、NASHの食餌誘導性マウスモデルにおいて単独及び併用で評価した。
【0155】
材料及び方法
動物取り扱い及び研究デザイン
C57BL/6JRjオスマウス(n=138)に、処理開始前の35週間、Gubra Amylin NASH(GAN)食餌(40%の脂肪、22%のフルクトース、2%のコレステロール[D09100310、Research Diets])または低脂肪固形食餌を与えた。処理の前に、すべての動物に、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)活動性スコアリング(NAS)及び線維化ステージングシステムを使用する、組織学的確認(脂肪変性スコア≧2及び線維化ステージ≧1)及び階層化のために、肝生検を行った。GAN食餌(DIO-GAN)の食餌誘導性肥満マウスを、ピクロシリウスレッド(PSR)染色のパーセント面積に基づいて、8つの処理群(表16)へ無作為化した。DIO-GANマウス(1つの群あたりn=16)に、ビヒクル(トリスバッファー中の0.5%のHPMC+0.2%のTween 80[50mM、pH8])、化合物2(10mg/kg)、化合物1(0.3mg/kg[低]、2mg/kg[中]、または10mg/kg[高])、または化合物2の化合物1(併用-低、併用-中、または併用-高)との併用処理による処理(PO、QD)を12週間与えた。ビヒクル投薬で低脂肪固形飼料を与えた対照を、健康な対照(n=10)として供した。マウスを、それぞれの食餌(GANまたは低脂肪固形飼料)で研究の継続期間の間維持した。対象内の比較(処理前vs処理後)を、肝生検組織病理学スコアのために遂行した。最終的な定量的評価項目は、血漿/肝臓生化学、肝臓組織形態計測、及びRNAseqによる肝臓トランスクリプトーム分析を含んでいた。
【表20】
【0156】
肝生検のプロセシング及びスコアリング
ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)肝生検を、10%の中性緩衝ホルマリンの中へ肝臓サンプルを約24時間置き、次いで70%のエタノールへ移し、その後4Cで貯蔵することによって調製した。FFPEを、Histokinette中に置いて浸透させ、その後ブロック中に包埋した。次いで生検組織をミクロトームを使用して3μmで切断し、切片をスライド上にマウントした。肝切片を、ヘマトキシリン・エオシン(H&E)により染色して脂肪変性、炎症、及び風船化を査定し、PSRにより染色して線維化を査定した。追加で、スライドをプロセシングして、免疫組織化学(IHC)によるI型コラーゲン(Col1a1)、ガレクチン-3(Gal-3)、及び平滑筋肉アクチン(α-SMA)タンパク質の発現を検出した。H&E染色のために、スライドを、マイヤーヘマトキシリン(Dako)中でインキュベーションし、水道水により洗浄し、エオシンY溶液(Sigma-Aldrich)中で染色し、脱水し、カバーグラスをかけた。PSRのために、スライドを、ワイゲルト鉄ヘマトキシリン(Sigma-Aldrich)中でインキュベーションし、水道水中で洗浄し、ピクロ・シリウスレッド(Sigma-Aldrich)中で染色し、酸性水中で2回洗浄した。過剰な水分をスライドを振って除去し、次いでスライドをエタノールにより脱水し、キシレン中で透明化し、カバースリップをかけた。以前に記載されるように(Kleiner et al.2005)、NAS及び線維化ステージをスコアリングした。NASは、脂肪変性、炎症、及び風船化のスコアの非加重和を表わし、0~8の範囲であり(表17);線維化ステージは、0(線維化無し)から4(肝硬変)の範囲である。Col1a1、Gal-3、及びα-SMAの検出のために、IHCを標準的な手順によって遂行した。簡潔には、抗原性回復及び内因性ペルオキシダーゼ活性のブロック後に、スライドを、一次抗体(Col1a1:Southern Biotech、Cat.1310-01;Gal-3:Biolegend、Cat.125402;α-SMA:Abcam、Cat.Ab124964)によりインキュベーションした。一次抗体を、ポリマー性HRP-リンカー抗体コンジュゲートを使用して検出した。一次抗体を、クロモゲンとしてのDABにより可視化した。最終的に、切片をヘマトキシリン中で対比染色し、カバースリップをかけた。
【表21】
【0157】
肝酵素、血漿脂質、及びCK18 M30の分析
最終的な血液を、イソフルラン(2~3%)により麻酔したマウスからの心臓穿刺によって収集し、抗凝固物質と混合し、4Cに置き、その後3000×gで10分間遠心分離した。血漿上清を新しいチューブへ移し、直ちにドライアイス上で凍結し、-80Cで保存した。アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、トリグリセリド(TG)、総コレステロール(TC)、高密度リポタンパク質(HDL-c)、及び低密度リポタンパク質(LDL-c)を、製造者の指示に従って、Cobas c 501自動分析器上で市販キット(Roche Diagnostics)を使用して測定した。サイトケラチン18 M30(CK18 M30)を、製造者の指示に従って、商業用ELISAキット(Cusabio)を使用して、血漿から測定した。
【0158】
肝臓脂質の分析
肝臓サンプルをホモジナイズし、TG及びTCを5%のNP-40中で90Cの加熱(2×)によって抽出した。サンプルを遠心分離し、上清中のTG及びTCの含有量を、製造者の指示に従って、Cobas c 501自動分析器で市販キット(Roche Diagnostics)を使用して測定した。
【0159】
RNAseqによる肝臓トランスクリプトーム分析
組織を収集し、液体窒素中で急冷凍結し、プロセシングまで-80Cで保存した。RNAを、NucleoSpinキット(MACHEREY-NAGEL)を使用して単離した。各々のサンプルから精製された合計で10ng~1μgのRNAを使用して、NEBNext Utra II Directional RNA Library Prep Kit for Illumina(New England Biolabs)を使用して、cDNAライブラリーを生成した。次いでcDNAライブラリーを、NextSeq 500/550 High Output Kit V2(Illumina)を使用して、NextSeq 500でシーケンスした。シーケンシングデータを、Spliced Transcripts Alignment to a Reference(STAR)ソフトウェアを使用して、マウスゲノムへアライメントさせた。差次的に発現された遺伝子を、RパッケージDESeq2を使用して同定した。
【0160】
トラフ血漿化合物レベルの分析
最終的な血漿サンプルを、化合物(複数可)の最後の投与のおよそ21~24時間後に心臓穿刺によって収集した。最終的な血漿サンプルを、Triple Quad 6500+装置を使用して、高分解能LC-MS/MSによって分析した。20μLの血漿サンプルを、200μLの内部標準液(アセトニトリル中の100ng/mLのラベタロール+100ng/mLのトルブタミド)と混合し、ボルテックスで撹拌し、4,000rpmで4℃で15分間遠心分離した。上清(100μL)をサンプルプレートへ移し、水(100μL)と混合し、10分間振盪し(800rpm)、その後1.7μm、2.1×50mmのACQUITY UPLC BEH C18カラム(Waters)上へ注入(2μL)し、0.6 mL/分間の流速で、水中の0.1%のギ酸(移動相A)及びアセトニトリル中の0.1%のギ酸(移動相B)の勾配(表18)移動相を使用した。2つの内部スタンダード(スタンダード1(保持時間:0.87分間)及びスタンダード2(保持時間:0.96分間))を、それぞれ化合物2(保持時間:0.87分間)及び化合物1(保持時間:0.97分間)の定量のために使用した。内部スタンダード(保持時間:0.76分間)を、化合物2のグルクロニド代謝物質(保持時間:0.77分間)の定量のために使用した。較正曲線(1~3000ng/mL)を、各々の分析物のためにマウス血漿(ビヒクル対照をプールした)のマトリックスにおいて生成した。
【表22】
【0161】
結果
研究デザインの概要
食餌誘導性肥満であるGubra Amylin NASHモデル(DIO-GAN)は、ヒトNASHの組織病理学特色の多くを再現する(Hansen 2020)。DIO-GANモデルを使用して、FXRアゴニスト(化合物2)及びTHR-βアゴニスト(化合物1)の有効性を、単一の薬剤として及び併用で査定した。NASH疾患を誘導するために、C57BL/6JRjマウスを、脂肪、コレステロール、及びフルクトースの高い食餌(GAN食餌)で、35週間を超えて維持した。治療介入の前に、マウスを生検して、NASH疾患及び線維化重症度を査定し、脂肪変性スコア<2及び線維化ステージ<1のマウスを研究から除外した。次いでDIO-GANマウスを、処理前生検のピクロシリウスレッド(PSR)染色のパーセント分画面積、そして全身エコー-磁気共鳴イメージング(EchoMRI)によって決定された体脂肪組織質量に基づいて、8つの処理群(1つの群あたりn=16)へと無作為化した。単剤治療群において、化合物2を、10mg/kgの用量で1日1回の経口強制投与によって投与し、その一方で、化合物1を、0.3(化合物1-低)、2(化合物1-中)または10(化合物1-高)mg/kgの用量レベルで1日1回の経口強制投与によって投与した。併用処理群において、化合物2(10mg/kg)の一定用量レベルを、低用量、中用量、及び高用量の化合物1と組み合わせた(すなわち、それぞれ併用-低、併用-中、併用-高)。経口強制投与によってビヒクルを1日1回投与したDIO-GANマウスを対照として供した。マウスを合計で12週間処理し、研究を通してGAN食餌で維持した。研究を通して正常な食餌で維持した痩せたマウス(n=10)を健康な対照として供した。
【0162】
体重、食物摂取、及び肝重量に対する処理の効果
化合物2単独による処理及び化合物1と併用する処理(併用-低用量、併用-中用量、及び併用-高用量)は、研究の間の体重を減少させた(図30A)。研究の終了時で、化合物2、併用-中、及び併用-高の処理群は、DIO-GANビヒクル対照よりも有意に低下させた(図30B)。体重の減少は、食物摂取の減少と関連するように思われなかった(図31)。すべての処理群は肝腫大を有意に改善し(図32A)、肝重量で最も大きい低減は、併用処理群(併用-中及び併用-高)において観察され、脾臓重量の変化は有意ではなかった(図32B)。
【0163】
体重組成に対する処理の効果
身体組成を、全身EchoMRIによって研究のベースライン(-1週目)及び11週目で決定して、除脂肪組織及び脂肪組織の相対レベルを、体重のパーセンテージとして決定した。除脂肪組織及び脂肪組織のベースラインレベルは、処理群にわたって良好にバランスがとれていた(図33A及び33B)。化合物2による処理及び化合物1との併用による処理は、11週目で脂肪組織のレベルを低減させた(図34A)。相対除脂肪組織質量の有意な増加は、化合物2及び併用処理群において観察された(図34B)。
【0164】
血漿及び肝臓の脂質のレベルに対する処理の効果
すべての処理群は、血漿総コレステロール(TC)を有意に低減させ(図35AA)、最も大きい低減は、併用処理群(併用-中及び併用-高)において観察され、類似の傾向は、肝臓におけるTCについて観察された(図35B)。血漿の低密度リポタンパク質コレステロール及び高密度リポタンパク質コレステロール(それぞれHDL-c及びLDL-c)の低減は、TCに対して観察された効果と一致していた。化合物2及び化合物1-高は、併用処理と同様に、血漿トリグリセリド(TG)を有意に低減させた(図36A)。肝臓のTGレベルは、併用-高群のみにおいて有意に低減された(図36B)。
【0165】
肝酵素に対する処理の効果
化合物1による単剤処理(低、中、及び高)は、DIO-GANビヒクル対照に比べて、ALTレベルを有意に低下させた(図37A)。ALTレベルは、併用処理によって有意に低減されなかった。ASTレベルはALTに類似の傾向を示したが、処理群のどれもDIO-GANビヒクル対照とは有意に異なっていなかった(図37B)。ALPレベルは、処理群のうちのどれもDIO-GANビヒクル対照とは有意に異なっていなかったが、ALPは、DIO-GANビヒクル対照に比べて、単剤治療群(化合物2、化合物1-低、及び化合物1-中)において数値的により低く、併用-中処理群及び併用-高処理群においてより高かった(図38)。
【0166】
肝臓組織学
NAFLD活動性スコア(NAS)
NAFLD活動性スコア(NAS)を使用して、処理の組織学的効果を査定した。NASは、脂肪変性、炎症、及び風船化の組織学的スコアの非加重和として定義され、0~8の範囲であり得る。NASを、各々の動物について、処理の前(ベースライン)及び処理の12週間後の研究の終了時に決定した。NASは処理群にわたって良好にバランスがとれており、大部分のマウスにおいてベースラインで5~6のNAS範囲であった(図39A)。12週間の処理後に、NASは大部分の処理群において有意に改善され、最も顕著な改善が併用処理により観察された(図39B)。化合物2処理群において、動物の56%が、比較して、化合物1-低処理群、化合物1-中処理群、及び化合物1-高処理群において、それぞれ31%、27%、及び62%が、≧1ポイントのNAS改善を示した(表19)。併用処理はより有効であり、マウスの69%、81%、及び100%は、それぞれ併用-低、併用-中、及び併用-高の併用処理群において≧1ポイントのNAS改善を示した。加えて、NAS改善の大きさは、併用処理群においてより大きかった。化合物2処理群におけるマウスの0%に、>1ポイントのNAS改善があったが、併用-低、併用-中、及び併用-高の併用群におけるマウスのそれぞれ19%、25%、及び43%で、≧2ポイントのNAS改善が達成された。これらの結果は化合物1単剤治療群より優れており、化合物1-低用量群、化合物1-中用量群、及び化合物1-高用量群において、それぞれ0%、7%、及び25%のマウスは、≧2ポイントのNAS改善を達成した。
【表23】
【0167】
脂肪変性
NAS改善は、脂肪変性のより大きい低減によって、大部分は行われた(表20)。化合物2群において、81%は、治療終了時に脂肪変性の改善を示したが、最大の改善は1ポイントであった。化合物1単剤処理群において、脂肪変性の改善を示すマウスのパーセンテージの用量依存的増加は、化合物1-低用量群、化合物1-中用量群、及び化合物1-高用量群において、それぞれ31%、47%、及び81%のマウスに対応して観察された。各々の化合物1単剤処理群において、1匹のマウス(すなわち約6%)は、≧2ポイントの脂肪変性の改善を示した。これとは対照的に、併用-低処理群、併用-中処理群、及び併用-高処理群において、それぞれ25%、31%、及び71%のマウスは、≧2ポイントの脂肪変性の改善を示した。これらの効果は、定量的な肝臓組織形態計測によって支持され、当該計測から、脂質滴を含有する肝細胞のパーセンテージの低減(図40A)及び肝臓脂質のより低いレベル(図40B)、そしてより小さな脂質滴サイズ(図41)が示された。
【表24】
【0168】
化合物2及び化合物1の併用は、結果的に肝脂肪変性においてより大きい改善をもたらした。肝脂肪変性を、各々の個体マウスについて、ベースライン及び治療終了時の組織学によって決定した。表29は、脂肪変性スコアの変化無しまたは改善(ベースラインからの1ポイント及び≧2ポイントの減少)の有る、各々の処理群内のマウスのパーセンテージを示す。合計は、ベースラインからの少なくとも1ポイントの脂肪変性の改善を示す、各々の処理群におけるマウスのパーセンテージを表わす。
【0169】
風船化、炎症、及び線維化
肝細胞風船化(アポトーシスの指標)はたまに観察され、処理のいずれかによっても有意に変化しなかった。CK18 M30(アポトーシスと関連する血漿バイオマーカー)も、処理群とDIO-GANビヒクル対照との間で有意に異ならなかった(図42)。小葉炎症は処理によって有意に改善されなかったが、炎症スコアの改善は、稀にではあるが、化合物1-低処理群、化合物1-中処理群、及び化合物1-高処理群そして併用-中の併用群において観察された(表21)。炎症をさらに査定するために、ガレクチン-3(Gal-3)(炎症性リンパ球浸潤のマーカー)のタンパク質発現を、肝臓の免疫組織化学(IHC)染色によって決定した。化合物2単独による処理及び化合物1と併用する処理(併用-低)は、DIO-GANビヒクル対照に比べて、肝臓においてより低いレベルのGal-3発現をもたらした(図43A)。
【表25】
【0170】
炎症は、処理によって有意に改善されなかった。小葉炎症を、ベースライン及び治療終了時の組織学によって決定した。表30は、小葉炎症スコアの悪化(ベースラインからの≧1ポイントの増加)、変化無し、または改善(ベースラインからの≧1ポイントの減少)の有る各々の処理群内のマウスのパーセンテージを示す。
【0171】
線維化ステージの改善は、単剤群と比較して、併用薬剤処理群においてより頻繁に観察されたが、差は有意性に達しなかった(表22)。Col1a1タンパク質発現の変化は、肝臓のIHC染色によって決定されるように、処理群間で有意に異ならなかった。α-SMA(肝臓の星細胞活性化のマーカー)の数値の低減は、化合物2処理群、化合物1-低処理群、及び化合物1-中処理群において観察された。有意な低減は、併用-低処理群においてのみ観察された(図43B)。
【表26】
【0172】
線維化の改善は、併用処理でより頻繁に観察された。肝線維化ステージを、ベースライン及び治療終了時の組織学によって決定した。表31は、線維化の悪化(ベースラインからの≧1ステージの増加)、変化無し、または改善(ベースラインからの≧1ステージの減少)の有る各々の処理群内のマウスのパーセンテージを示す。
【0173】
RNAseqによる肝臓トランスクリプトミクス分析
処理群からの最終的な肝臓サンプル(n=10)を、RNAseqによってトランスクリプトミクス分析のためにプロセシングした。差次的に発現される遺伝子(DEG)を、DIO-GANビヒクル対照に比較して同定した。DEGを、すべての処理群において同定した。化合物1-低(987)で最も少数であり、併用-高(3533)処理群で最大数のDEGであった。化合物1-高を併用-高に対して比較することから、エネルギー及び脂質代謝に関与する遺伝子が、併用処理によってより大きい程度で差次的に発現することが示された(図44)。これは、倍変化値の識別線についての傾き(点線、傾き=1)を線形回帰直線(実線、傾き=0.55)に対して比較することによって示される。スクアレンエポキシダーゼ(Sqle)及び7-デヒドロコレステロール還元酵素(Dhcr7)(コレステロール代謝に関与する酵素)は、単剤処理に比べて、併用群において有意により高いレベルに発現された(図45A及び45B)。ヒドロキシメチルグルタリルCoA合成酵素(Hmgcs1)(エネルギー代謝における鍵酵素)は、類似のパターンの発現を示した(図45C)。ステアロイルCoAデサチュラーゼ(Scd1)(脂肪酸代謝に関与する酵素)は、化合物2処理によって低減され、併用処理によってさらに低減された(図45D)。
【0174】
最後に、I型コラーゲンα1(Col1a1)、アクチンα2平滑アクチン(Acta2)、ガレクチン3(Lgals3)、及びメラノーマ細胞接着分子(CD146)を包含する、線維化及び炎症と関連する選択遺伝子の発現を検討した。概して、化合物2は、単独で及び化合物1と併用して、DIO-GANビヒクル対照に比べて、これらの遺伝子の発現を有意に低減させた(図46)。併用処理群は、化合物2処理単独とは有意に異なっていなかった。
【0175】
要約
マウス食餌誘導性肥満Gubra-Amylin NASH(DIO-GAN)モデルを使用して、NASH及び線維化の代謝的及び組織病理学的な指標に対する、化合物2及び化合物1の単剤として及び併用での有効性を評価した。このモデルは広範囲に特徴付けられており、疾患を誘導するために肝毒性薬剤の使用無しに、ヒトNASHの多数の態様(Hansen 2020)を再現する。このモデルにおいて、マウスを、脂肪、コレステロール、及びフルクトースの高い食餌(GAN食餌)で、35週間を超えて維持した。治療介入の前に、マウスを生検して、NAFLD活動性スコア(NAS)及び線維化重症度を組織学によって査定し、ベースラインの脂肪変性スコア>2及び線維化ステージ>1のマウスを研究において使用した。重要なことには、この前選択ステップは、有意なNAFLD活動性の有るマウスのみが研究において使用されたことを確実にする。加えて、ベースラインのNASの情報は、評価される治療応答を、DIO-GANビヒクル対照に比べるだけでなく、個別のベースライン値に比べることも可能にする。DIO GANマウスを、化合物2及び化合物1を単独で及び併用で12週間処理し、研究を通してGAN食餌で維持した。可能性のある相加的な治療的効果を識別する能力を最大化するために、単一用量レベルの化合物2を、単独でまたは化合物1の3つの用量レベル(低[0.3mg/kg]、中[2mg/kg]、及び高[10mg/kg])と併用して、マウスを処理した。
【0176】
化合物2及び化合物1の併用は、単剤処理に比べて、NASの低減を示すマウスのパーセンテージ及びNAS改善の大きさの両方に関して、NASのより大きい低減を示した。NASの改善は、脂肪変性のより大きい低減によって大部分は駆動され、それは、血漿及び肝臓の総コレステロール及びトリグリセリドのより大きな低減と関連した。併用処理により観察されたより大きい全体的な効果は、併用処理群における個別の薬物のより高い曝露によって駆動されるようには思われなかった(表23)。加えて、体重の変化はNAS改善に寄与し得るが、体重低減は、化合物2処理群と併用処理群(併用-低及び併用-中)との間で類似し、体重減少だけでは、併用処理のより高い抗脂肪変性(anti-steatotic)活性について完全に説明しないことが示唆される。その代りに、併用処理は、エネルギー及び脂質代謝に関連する遺伝子の発現に対してより大きい効果を有していた。これらの結果から、化合物2及び化合物1の併用がこれらの経路に対して少なくとも相加的な効果を有し、おそらく観察されたより高い抗抗脂肪変性活性を担うように思われることが示唆される。
【0177】
炎症及び線維化の組織学的改善は、処理によって有意に改善されなかった。しかしながら、線維化改善の証拠が認められ、併用による線維化改善を示すマウスの数が多くなることが挙げられる。加えて、トランスクリプトミクス分析により、併用処理によって低減された線維化及び炎症の重要なマーカーが同定された。これらの遺伝子の発現は化合物2処理によっても低減され、FXRアゴニズムは、遺伝子発現レベルでの線維化及び炎症に対する効果についての主要なドライバーであり得ることが示唆される。この事例において、FXRアゴニズムは、THR-βアゴニズムのより抗脂肪変性のメカニズムに相補的であると判断され得る。化合物2及び化合物1の併用によって観察されたより高い抗脂肪変性の効果と合わせて、これらの結果から、この併用がNASH疾患の複数の態様に対処し得ることを示唆される。
【0178】
参照文献
Kleiner DE,Brunt EM,Van Natta M,Behling C,Contos MJ,Cummings OW,Ferrell LD,Liu YC,Torbenson MS,Unalp-Arida A,Yeh M,McCullough AJ,Sanyal AJ;Nonalcoholic Steatohepatitis Clinical Research Network.Design and validation of a histological scoring system for nonalcoholic fatty liver disease.Hepatology.2005 Jun;41(6):1313-21.
Hansen,H.H.,Agidius,H.M.,Oro,D.et al.Human translatability of the GAN diet-induced obese mouse model of non-alcoholic steatohepatitis.BMC Gastroenterol 20,210(2020).
【0179】
補足
【表27】
【0180】
本明細書において言及される特許、特許出願、及び科学論文を包含するすべての出版物は、あたかも特許、特許出願、または科学論文を包含する各々の個別の出版物が、参照することによって援用されることが具体的且つ個別に指示されたかのように、それと同程度にすべての目的のためにそれらの全体を参照することによって本明細書に援用される。
【0181】
前述の発明は、理解の明瞭性の目的のために、例証及び実施例によってある程度詳細に記載されてきたが、特定の小さな変化及び修飾が上の教示に照らして実践されるであろうことは当業者に明らかである。したがって、記載及び実施例は、本発明の範囲の限定として解釈されるべきでない。
図1
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【国際調査報告】