(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】診断のための4H-イミダゾ[1,5-B]ピラゾール誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20241126BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
C07D487/04 138
C07D487/04 CSP
A61K51/04 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527633
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022081555
(87)【国際公開番号】W WO2023084000
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】510242233
【氏名又は名称】エーシー・イミューン・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・モレット
【テーマコード(参考)】
4C085
【Fターム(参考)】
4C085HH03
4C085KA29
4C085KB56
4C085LL13
(57)【要約】
本発明は、アルファ-シヌクレイン凝集体の画像化、及びその量の決定に用いられ得る式(I)の新規化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物に関する。更に、化合物は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常(例えばパーキンソン病)を診断するため、そのような疾患、障害又は異常に対する素因を判定するため、そのような疾患、障害又は異常を予後判定するため、そのような疾患、障害又は異常に罹患した患者における疾患の進行をモニターするため、そのような疾患、障害又は異常の進行をモニターするため、及びそのような疾患、障害又は異常に罹患した患者の、それらの処置への反応性を予測するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
【化2】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、ハロC
1~C
4アルコキシ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールである)の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)
【化3】
(式中、
【化4】
は、6員環ヘテロアリールであり、
R
1が、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2が、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールである)の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項3】
式(IIa)、(IIb)、(IIb')、(IIc)、(IId)又は(IIe)
【化5】
(式中、R
1bは、ハロ又はC
1~C
4アルキルである)を有する、請求項1又は2に記載の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項4】
R
1が、以下
【化6】
(式中、R
1aが、ハロ又はHであり、mは、1又は2である)から選択される4から6員環ヘテロシクリルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物
【請求項5】
R
1が、以下
【化7】
から選択される5員環ヘテロシクリルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
R
2が、以下
【化8】
(式中、
R
2aは、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択され、
R
2bは、H、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから選択され、
sは、0、1又は2である)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
2が、以下
【化9】
(式中、
R
2bは、H、C
1~C
4アルキル及びハロC
1~C
4アルキルから選択され、
sは0である)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
化合物が、
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
から選択される、請求項1に記載の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項9】
化合物が、検出可能に標識された化合物である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
検出可能に標識された化合物が、放射性同位体、好ましくは
2H、
3H又は
18Fから選択される検出可能な標識を含む、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
R
1が、
【化11】
であり、式(I)の化合物が、少なくとも1箇所の利用できる位置で、
3Hにより検出可能に標識されている、請求項9又は10に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、及び任意選択で、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤及び/又はアジュバントを含む診断組成物。
【請求項13】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の画像化における使用のための、請求項9から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項12に記載の診断組成物。
【請求項14】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の陽電子放射断層撮影画像化における使用のための、請求項9から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項12に記載の診断組成物。
【請求項15】
使用が、in vitro画像化、ex vivo画像化又はin vivo画像化のためのものであり、好ましくは使用が、in vivo画像化のためのものであり、より好ましくは使用が、脳画像化のためのものである、請求項13又は14に記載の使用のための化合物、又は請求項13又は14に記載の使用のための診断組成物。
【請求項16】
診断法における使用のための、請求項9から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項12に記載の診断組成物。
【請求項17】
診断法が、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害若しくは異常、又はそれに対する素因の診断法であり、疾患、障害又は異常が任意選択で、パーキンソン病(散発性、アルファ-シヌクレイン変異を伴い家族性、アルファ-シヌクレイン以外の変異を伴い家族性、純粋自律神経不全症又はレビー小体嚥下障害を含む)、SNCA重複キャリア、レビー小体型認知症(LBD)、レビー小体を伴う認知症(DLB)(「純粋」レビー小体型認知症を含む)、パーキンソン病認知症(PDD)、びまん性レビー小体病(DLBD)、アルツハイマー病、散発性アルツハイマー病、APP変異を伴う家族性アルツハイマー病、PS-1、PS-2又は他の変異を伴う家族性アルツハイマー病、家族性英国型認知症、アルツハイマー病のレビー小体変異型、ダウン症、多系統萎縮症(MSA)(シャイ-ドレーガー症候群、線条体黒質変性症又はオリーブ橋小脳萎縮症を含む)、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症、ボクサー認知症、タウオパチー(ピック病、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ニーマン-ピック病C1型、第17染色体連鎖パーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症を含む)、クロイツフェルトヤコブ病、ハンチントン病、運動ニューロン疾患、筋萎縮性側索硬化症(散発性、家族性又はグアムALS-認知症複合を含む)、神経軸索ジストロフィー、脳の鉄蓄積を伴う神経変性1型(ハレルフォルデン-スパッツ症候群を含む)、プリオン病、毛細血管拡張性運動失調症、メージュ症候群、亜急性硬化性全脳炎、ゲルストマン-シュトロイスラー-シャインカー病、封入体筋炎、ゴーシェ病、クラッベ病、並びに他のリソソーム蓄積症(クフォル-ラケブ症候群及びサンフィリッポ症候群を含む)及び急速眼球運動(REM)睡眠行動障害から選択される、請求項16に記載の使用のための化合物、又は請求項16に記載の使用のための診断組成物。
【請求項18】
疾患がパーキンソン病である、請求項17に記載の使用のための化合物、又は請求項17に記載の使用のための診断組成物。
【請求項19】
疾患が多系統萎縮症である、請求項17に記載の使用のための化合物、又は請求項17に記載の使用のための診断組成物。
【請求項20】
疾患がレビー小体を伴う認知症である、請求項17に記載の使用のための化合物、又は請求項17に記載の使用のための診断組成物。
【請求項21】
疾患がパーキンソン病認知症である、請求項17に記載の使用のための化合物、又は請求項17に記載の使用のための診断組成物。
【請求項22】
疾患がSNCA重複キャリアである、請求項17に記載の使用のための化合物、又は請求項17に記載の使用のための診断組成物。
【請求項23】
疾患がアルツハイマー病である、請求項17に記載の使用のための化合物、又は請求項17に記載の使用のための診断組成物。
【請求項24】
使用がヒトにおけるものである、請求項13から23のいずれか一項に記載の使用のための化合物、又は請求項13から23のいずれか一項に記載の使用のための診断組成物。
【請求項25】
対象における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を診断する方法であって、
(a)請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項12に記載の診断組成物を、対象に投与する工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、並びに
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程
を含む方法。
【請求項26】
(d)発生部位及び/又はレビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を表す画像を生成する工程
を更に含む、請求項25に記載の診断する方法。
【請求項27】
対象の組織における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を陽電子放射断層撮影(PET)画像化する方法であって、
(a)請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項12に記載の診断組成物を、対象に投与する工程
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、並びに
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を、対象の組織の陽電子放射断層撮影(PET)画像を収集することにより検出する工程
を含む方法。
【請求項28】
組織が、中枢神経系(CNS)の組織、眼組織、末梢器官の組織、又は脳組織であり、好ましくは組織が脳組織である、請求項27に記載の、対象の組織における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を陽電子放射断層撮影(PET)画像化する方法。
【請求項29】
対象の組織における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を検出、及び任意選択で定量化するための方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項12に記載の診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)陽電子放射断層撮影を使用して、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を定量化する工程
を含む方法。
【請求項30】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を診断するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項12に記載の診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、並びに
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程
を含む方法。
【請求項31】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に対する素因を判定するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項12に記載の診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、並びに
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程
を含む方法。
【請求項32】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を予後判定するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料、特定の身体部分又は身体領域を、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項12に記載の診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、並びに
(e)任意選択で、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む方法。
【請求項33】
患者における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常の進行をモニターするためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料、特定の身体部分又は身体領域を、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項12に記載の診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、並びに
(e)任意選択で、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む方法。
【請求項34】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に罹患した患者の、医薬を用いた処置への反応性を予測するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料、特定の身体部分又は身体領域を、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項12に記載の診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、並びに
(e)任意選択で、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む方法。
【請求項35】
任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程が、
- レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を決定する工程、
- レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の量と相関させる工程、
- 任意選択で、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の量を、健常な対照対象における通常の対照値と比較する工程
を含む、請求項30から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
式(III-F)又は(III-F')
【化12】
(式中、
【化13】
は、任意選択で、ハロ、又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1Fは、4から6員環ヘテロシクリル又はC
1~C
4アルコキシであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
LGは脱離基であり、
nは、少なくとも1である)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項37】
LGが、ブロモ、クロロ、ヨード、C
1~C
4アルキルスルホネート及びC
6~C
10アリールスルホネートから選択され、C
6~C
10アリールスルホネートが、任意選択で、-CH
3又は-NO
2で置換されていてよい、請求項36に記載の式(III-F)又は(III-F')の化合物。
【請求項38】
式(III-H)
【化14】
(式中、
【化15】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロ、若しくはハロC
1~C
4アルコキシで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
mは、0、1又は2であり、
pは、0、1又は2であり、
Xは、ブロモ、クロロ又はヨードであるが、
但し、式(III-H)の化合物が、少なくとも1つのXを含むことを条件とする)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項39】
請求項36又は37に記載の式(III-F)又は(III-F')の化合物を、LGが
18Fにより置き換えられるように
18F-フッ素化剤と反応させることを含む、請求項9又は10に記載の化合物を調製する方法。
【請求項40】
18F-フッ素化剤が、K
18F、Rb
18F、Cs
18F、Na
18F、Kryptofix[222]K
18F、
18Fのテトラ(C
1~6アルキル)アンモニウム塩、及びテトラブチルアンモニウム[
18F]フルオリドから選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
請求項38に記載の式(III-H)の化合物を、
3H放射性標識剤と反応させることを含む、請求項9又は10に記載の化合物を調製する方法。
【請求項42】
in vitro分析基準又はin vitroスクリーニングツールとして使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項43】
アルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を検出及び/又は診断するためのテストキットであって、請求項1から11のいずれか一項に定義の少なくとも1つの化合物を含むテストキット。
【請求項44】
放射性医薬品調製物を調製するためのキットであって、請求項36から38のいずれか一項に定義の少なくとも1つの化合物を含有する密封したバイアルを含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルファ-シヌクレイン凝集体の画像化、及びその量の決定に用いられ得る式(I)の新規化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物に関する。更に、化合物は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン(α-シヌクレイン、A-シヌクレイン、aシヌクレイン、A-syn、α-syn、aSyn、a-syn)凝集体に関連する疾患、障害又は異常(例えばパーキンソン病)の診断をするため、そのような疾患、障害又は異常に対する素因を判定するため、そのような疾患、障害又は異常を予後判定するため、そのような疾患、障害又は異常に罹患した患者における疾患の進行をモニターするため、そのような疾患、障害又は異常の進行をモニターするため、及びそのような疾患、障害又は異常に罹患した患者の、それらの処置への反応性を予測するために使用され得る。本発明は、化合物及びその前駆体を調製するための方法、化合物を含む診断組成物、化合物を使用する方法、化合物を含むキット及びその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
多くの加齢疾患は、疾患の病因並びに進行に寄与するアミロイド又はアミロイド様タンパク質の細胞外又は細胞内沈着に基づく、又はそれに関連する。細胞外凝集体を形成する最も特徴的なアミロイドタンパク質は、アミロイドベータ(Aベータ又はAβ)である。
【0003】
主に細胞内凝集体を形成するアミロイド様タンパク質は、タウ、アルファ-シヌクレイン及びハンチンチン(HTT)を含むが、それらに限定されない。アルファ-シヌクレイン凝集体を伴う疾患は、一般的に、シヌクレイノパチー(又はアルファ-シヌクレイノパチー)として列挙され、これらは、パーキンソン病(PD)を含むが、それに限定されない。主にニューロン凝集体を伴うシヌクレイノパチーは、パーキンソン病(散発性、SNCA(アルファ-シヌクレインタンパク質をコードする遺伝子)変異又はSNCA遺伝子重複又は三重化を伴い家族性、SNCAではない他の遺伝子における変異を伴い家族性、純粋自律神経不全症及びレビー小体嚥下障害)、SNCA重複キャリア、レビー小体型認知症(LBD)、レビー小体を伴う認知症(DLB)(「純粋」レビー小体型認知症)、パーキンソン病認知症(PDD)、びまん性レビー小体病(DLBD)、アルツハイマー病、散発性アルツハイマー病、APP変異を伴う家族性アルツハイマー病、PS-1、PS-2又は他の変異を伴う家族性アルツハイマー病、家族性英国型認知症、アルツハイマー病のレビー小体変異型及びダウン症における通常の加齢を含むが、それらに限定されない。アルファシヌクレインのニューロン及び神経膠凝集体を伴うシヌクレイノパチーは、多系統萎縮症(MSA)(シャイ-ドレーガー症候群、線条体黒質変性症及びオリーブ橋小脳萎縮症)を含むが、それらに限定されない。アルファ-シヌクレイン-免疫反応性病変を有し得る他の疾患は、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症、ボクサー認知症、タウオパチー(ピック病、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びニーマン-ピック病C1型、第17染色体連鎖パーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症)、運動ニューロン疾患、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(散発性、家族性及びグアムALS-認知症複合)、神経軸索ジストロフィー、脳の鉄蓄積を伴う神経変性1型(ハレルフォルデン-スパッツ症候群)、プリオン病、クロイツフェルトヤコブ病、毛細血管拡張性運動失調症、メージュ症候群、亜急性硬化性全脳炎、ゲルストマン-シュトロイスラー-シャインカー病、封入体筋炎、ゴーシェ病、クラッベ病、並びに他のリソソーム蓄積症(クフォル-ラケブ症候群及びサンフィリポ症候群を含む)及び急速眼球運動(REM)睡眠行動障害であるが、それらに限定されない(Jellinger、Mov. Disord. 2003年、18 Suppl. 6、S2~12;Galvinら JAMA Neurology 2001年、58 (2)、186~190頁;Kovariら、Acta Neuropathol. 2007年、114(3)、295~8頁;Saitoら、J. Neuropathol. Exp. Neurol. 2004年、63(4)、323~328頁;McKeeら、Brain、2013年、136(Pt 1)、43~64頁;Puschmannら、Parkinsonism Relat. Disord. 2012年、18S1、S24~S27;Usenovicら、J. Neurosci. 2012年、32(12)、4240~4246頁;Winder-Rhodesら、Mov. Disord. 2012年、27(2)、312~315頁;Fermanら、J. Int. Neuropsychol. Soc. 2002年、8(7)、907~914頁;Smithら、J. Pathol. 2014年;232:509~521頁、Lippaら、Ann Neurol. 1999年3月;45(3):353~7頁;Schmitzら、Mol. Neurobiol. 2018年8月22日;Charlesら、Neurosci. Lett. 2000年7月28日;289(1):29~32頁;Wilhelmsenら、Arch Neurol. 2004年3月;61(3):398~406頁;Yamaguchiら、J. Neuropathol. Exp. Neurol. 2004年、第80回年会、第63巻;Askanasら、J. Neuropathol. Exp. Neurol. 2000年7月;59(7):592~8頁)。
【0004】
アルファ-シヌクレインは、アミノ酸が140個の天然アンフォールドタンパク質である(Iwaiら、Biochemistry 1995年、34(32)、10139~10145頁)。アルファ-シヌクレインのシークエンスは、以下の3つの主なドメインに分けられ得る:1)高度に保存されたヘキサマー(KTKEGV)を有する11-merの両親媒性不完全反復残基を含有する、残基1~60を含むN末端領域。この領域は、膜へのアルファ-シヌクレインの結合及びその内在化の調節に関係付けられている;2)残基61~95にわたる疎水性非アミロイドベータ成分(NAC)ドメイン;これは、アルファ-シヌクレインの線維化に必須である;及び3)残基96~140にわたるC末端領域、これは、高度に酸性且つプロリンが豊富であり、独特な構造的傾向を有さない。アルファ-シヌクレインは、トランケーション、リン酸化、ユビキチン化、酸化及び/又はトランスグルタミナーゼ共有架橋を含むいくつかの翻訳後修飾を受けることが示されている(Fujiwaraら、Nat. Cell. Biol. 2002年、4(2);160~164頁;Hasegawaら、J. Biol. Chem. 2002年、277(50)、49071~49076頁;Liら、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 2005年、102(6)、2162~2167頁;Oueslatiら、Prog. Brain Res. 2010年、183、115~145頁;Schmidら、J. Biol. Chem. 2009年、284(19)、13128~13142頁)。興味深いことに、これらの修飾の大多数は、C末端領域内の残基に関与する。
【0005】
いくつかのリン酸化部位は、Tyr-125、-133及び-136における、また、Ser-129におけるカルボキシル-末端領域で検出された(Negroら、FASEB J. 2002年、16(2)、210~212頁)。Tyr-125残基は、2つのSrcファミリータンパク質チロシンキナーゼ、c-Src及びFynによりリン酸化され得る(Ellisら、J. Biol. Chem. 2001年、276(6)、3879~3884頁;Nakamuraら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 2001年、280(4)、1085~1092頁)。Srcファミリーキナーゼによるリン酸化は、アルファ-シヌクレインが重合する傾向を抑制又は向上させない。アルファ-シヌクレインは、in vitroでタンパク質チロシンキナーゼp72syk(Syk)のきわめて優れた基質であることが証明されており、Syk又は同様の特異性を有するチロシンキナーゼにより広範にTyr-リン酸化されると、オリゴマーを形成する能力を失い、これらのチロシンキナーゼの、神経変性を妨げる推定上の役割が示唆される(Negroら、FASEB J. 2002年、16(2)、210~212頁)。アルファ-シヌクレインは、タンパク質キナーゼCKI及びCKIIによりSer-リン酸化され得る(Okochiら、J. Biol. Chem. 2000年、275(1)、390~397頁)。残基Ser-129は、G-タンパク質共役受容体タンパク質キナーゼによってもリン酸化される(Proninら、J. Biol. Chem. 2000年、275(34)、26515~26522頁)。Ser-129におけるアルファ-シヌクレインの広範且つ選択的なリン酸化は、レビー小体を含むシヌクレイノパチー病変で明白である(Fujiwaraら、Nat. Cell. Biol. 2002年、4(2);160~164頁)。Ser-129におけるグリコシル化(McLeanら、Neurosci. Lett. 2002年、323(3)、219~223頁)、並びにTyr-125、-133及び-136におけるニトロ化(Takahashiら、Brain Res. 2002年、938(1-2)、73~80頁)を含むカルボキシル-末端における他の翻訳後修飾は、アルファ-シヌクレインの凝集に影響を与え得る。タンパク質分解によるカルボキシル-末端領域のトランケーションは、様々な神経変性疾患でのアルファ-シヌクレイン原線維発生において役割を果たすことが報告されている(Rochetら、Biochemistry 2000年、39(35)、10619~10626頁)。アルファ-シヌクレインの全長の、並びに部分的にトランケーションされた、不溶性凝集体は、高度に精製したレビー小体において検出された(Crowtherら、FEBS Lett. 1998年、436(3)、309~312頁)。
【0006】
異常なタンパク質凝集は、加齢した脳及びいくつかの神経変性疾患における共通した特徴と思われる(Trojanowskiら、1998年、Cell Death Differ. 1998年、5(10)、832~837頁、Kooら、Proc. Natl. Acad. Sci. 1999年、96(18)、9989~9990頁、Huら、Chin.Sci.Bull. 2001年、46、1~3頁);しかし、疾患プロセスにおける明確な役割は未だに分かっていない。in vitroモデルでは、アルファ-シヌクレイン(又はそのトランケーション形態の一部)は、レビー小体(LB)認知症及び家族性PDを有する患者の脳から単離されるものに似たフィラメントに容易に集合する(Crowtherら、FEBS Lett. 1998年、436(3)、309~312頁)。アルファ-シヌクレイン及びその変異形態(A53T及びA30P)は、ランダムコイル立体配座を有し、水溶液中において低濃度で有意な二次構造を形成しない。しかし、高濃度では、これらは、自己凝集する傾向があり、アミロイド原線維を生成する(Woodら、J. Biol. Chem. 1999年、274(28)、19509~19512頁)。PDと関連付けられている変異体及び野生型タンパク質の凝集挙動におけるいくつかの違いが記録されている。モノマーアルファ-シヌクレイン凝集体は、準安定性オリゴマー(すなわち前原線維)状態を経由して、in vitroで安定な原線維を形成する(Vollesら、Biochemistry 2002年、41(14)、4595~4602頁)。
【0007】
パーキンソン病(PD)は、最も一般的な神経変性運動障害である。PDは、主に特発性疾患であるが、PD患者の少なくとも5%で、病変は、1つ又はいくつかの特定の遺伝子における変異と関連付けられている。いくつかの点変異は、常染色体優性遺伝を有する家族性PDを引き起こすアルファ-シヌクレイン遺伝子(A30P、E46K、H50Q、G51D、A53T)で説明されている。更に、アルファ-シヌクレイン遺伝子の重複及び三重化は、PDを発症する患者で説明されており、PD病因におけるアルファ-シヌクレインの役割が強調される(Lesageら、Hum. Mol. Genet.、2009年、18、R48~59)。PDの病因は、不明のままである。しかし、増えてきた証拠から、アミロイド様原線維の形成を引き起こすアルファ-シヌクレインタンパク質の病原性フォールディングの役割が示唆される。実際に、PDの特質は、主に黒質ニューロンにおけるレビー小体及び神経突起と呼ばれる細胞内アルファ-シヌクレイン凝集体構造の存在、並びに黒質及びその他におけるドーパミン作動性ニューロンの死滅である。アルファ-シヌクレインは、天然アンフォールドシナプス前タンパク質であり、これは、ミスフォールド、並び大きいオリゴマー及び原線維形態に凝集するおそれがあり、このことはPDの病因と関連付けられている。最近の研究では、アルファ-シヌクレインの小さい可溶性オリゴマー及び前原線維形態が、最も神経毒性のある種として関係付けられている(Lashuelら、J. Mol. Biol.、2002年、322、1089~102頁)。しかし、神経細胞毒性におけるアルファ-シヌクレインの正確な役割は、明らかにされていないままである(概説:Cookson、Annu. Rev. Biochem.、2005年、74、29~52頁)。
【0008】
パーキンソン病に加えて、凝集したアルファ-シヌクレインのレビー小体への蓄積は、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)及びレビー小体を伴う認知症(DLB)を含むすべてのレビー小体疾患の特性である(Capouchら、Neurol Ther. 2018年、7、249~263頁)。DLBでは、レビー小体は、脳の皮質全体に広く分布しており、レビー小体及び神経突起に加えて、多くの糸状及び点状構造(レビー小点)が、Ser-129でリン酸化されるアルファ-シヌクレインで免疫陽性になることが見出された(Outeiroら、Mol. Neurodegener. 2019年、14、5頁)。アルファ-シヌクレイン凝集体は、多系統萎縮症(MSA)でも見出される。MSAは稀であり、急速進行性の自律神経機能障害及び運動機能障害、並びに不均質な認知機能低下と現れる散発性神経変性障害である。そのような障害は、シャイ-ドレーガー症候群、線条体黒質変性症及びオリーブ橋小脳萎縮症を含む。この疾患は、優勢な運動表現型に応じて、パーキンソン病様(MSA-P)又は小脳性(MSA-C)変異型に臨床的に下位分類され得る(Fanciulliら、N. Engl. J. Med. 2015年;372、249~63頁)。これは、神経膠細胞質封入体(GCI)を形成する乏突起膠細胞の細胞質におけるアルファ-シヌクレインの凝集により特徴付けられる。主に原線維形態のアルファ-シヌクレインからなるGCIは、MSAの神経病理学的特質であり、新皮質、海馬、脳幹、脊髄及び後根神経節全体に見出される(Galvinら、Arch Neurol. 2001年、58、186~90頁)。GCIは、MSAの病因において中心的な役割を果たすと考えられる。GCI量とニューロン損失の程度との間における相関は、線条体黒質及びオリーブ橋小脳領域の両方で報告されている(Stefanovaら、Neuropathol. Appl. Neurobiol. 2016年、42、20~32頁)。更に、GCIとニューロン損失の誘導との間の、原因となる関連性が、乏突起膠細胞に特異的な様々なプロモーターの下で、乏突起膠細胞においてヒトアルファ-シヌクレインを過剰発現するトランスジェニックマウスで示されている。病態生理学的カスケードにおける重要な事象は、ミスフォールディングしたアルファ-シヌクレインの許容テンプレート化(「プリオン様」伝播)と考えられる。
【0009】
パーキンソン病の診断は、概ね臨床的であり、特定の一連の症状及び兆候の存在(初期の中心的特徴は、動作緩徐、硬直、安静時振戦及び姿勢不安定性)、不規則な特徴がないこと、ゆっくり進行する経過、並びに主にドーパミン置換治療に限定される対症薬物治療に対する反応によって決まる。正確な診断は、洗練された臨床技術を必要とし、いくつかの他の変性及び非変性疾患がPD症状を模倣し得る(多系統萎縮症(MSA)、進行性核上性麻痺(PSP)、アルツハイマー病(AD)、本態性振戦、ジストニア振戦)ため、ある程度の主観及び誤りを受けやすい(Guideline No. 113: Diagnosis and pharmacological management of Parkinson's disease、2010年1月。SIGN)。病変の最終的な確認は、死後の神経病理学的分析によってのみ行われ得る。
【0010】
パーキンソン病(PD)を有する人々のコンピューター断層撮影(CT)及び従来の磁気共鳴画像法(MRI)脳スキャンは、通常は正常に見える。これらの技術は、それにも関わらず、パーキンソニズムの副因になり得る他の疾患、例えば大脳基底核腫瘍、血管病変及び水頭症を除外するのに有用である。MRIの特定の技術である拡散MRIは、定型パーキンソニズムと非定型パーキンソニズムとを識別する際に有用と報告されているが、その正確な診断学的価値は依然として調査中である。大脳基底核におけるドーパミン作動性機能は、異なるPET及びSPECT放射性トレーサーを用いて測定され得る。例は、SPECTではイオフルパン(123I)(商品名DaTSCAN)及びイオメトパン(Dopascan)、又はPETではフルオロデオキシグルコース(18F)(18F-FDG)及びジヒドロテトラベナジン(11C)(11C-DTBZ)である。大脳基底核におけるドーパミン作動性活性が低下したパターンは、特に症状段階におけるPDの診断に役立ち得る(Brooks、J. Nucl. Med.、2010年、51、596~609頁;Redmond、Neuroscientist、2002年、8、457~88頁;Wood、Nat. Rev. Neurol.、2014年、10、305頁)。
【0011】
パーキンソン病の潜在的原因の理解における最近の進行を、生化学的バイオマーカーの開発に適用する方略が発展してきている(Schapira Curr. Opin. Neurol. 2013年;26(4):395~400頁)。異なる体液(脳脊髄液(CSF)、血漿、唾液)において調査されたそのようなバイオマーカーは、アルファ-シヌクレインレベルだけではなく、DJ-1、タウ及びAベータ、並びに神経フィラメントタンパク質、インターロイキン、オステオポンチン及びヒポクレチン(Schapira Curr. Opin. Neurol. 2013年;26(4):395~400頁)も含むが、これまでにこれらのバイオマーカーのうち、単体又は組合せで、決定的な診断テストとして使用できるものはない。筆者らの知る限り、パーキンソン病リサーチ及び薬物開発に対するきわめて重要なニーズにもかかわらず、承認されたアルファ-シヌクレイン診断剤は、現在市場にない、又は臨床試験に利用できない(Eberlingら、J Parkinsons Dis. 2013年;3(4):565~7頁)。
【0012】
脳におけるアルファ-シヌクレイン沈着を画像化する能力は、パーキンソン病のリサーチ、診断及び薬物開発を含むアルファ-シヌクレオパチーのリサーチにとって、大きな成果となる。脳において凝集したアルファ-シヌクレインの蓄積は、パーキンソン病(PD)の重要な病理学的な特質と考えられ、症状の出現より何年も前にスタートすることがある。したがって、アルファ-シヌクレインは、神経変性に対して起こり得る寄与を考慮してだけではなく、疾患であるが依然として無症状又は前駆症状段階にあるものを処置する可能性が得られることもあり、薬物開発の優先標的である。アルファ-シヌクレイン病変のIn vivo画像化は、バイオマーカーとして、(i)早期において疾患の存在を潜在的に検出するのに、(ii)疾患の進行を評価するのに、また(iii)薬物開発のための薬力学ツールとして使用されるのに、有用になり得る。アルファ-シヌクレインPETイメージング剤の開発は、今日ではシヌクレイノパチーの正確な診断に、並びに、アルファ-シヌクレインを標的化する治療薬の臨床的開発の支持に重要と考えられており、試験集団の理想的な選択からスタートする(Eberling、Dave及びFrasier、J. Parkinson's Disease、3、565~567頁(2013年))。アルファ-シヌクレインPETリガンドを特定しようとする多くの試みにもかかわらず、これまでに、妥当な高い親和性を伴って人工のアルファ-シヌクレイン原線維に結合する化合物のみが特定されているが、それらのうち、ヒト臨床試験で確認されたものはない。これらは、いくつかの理由で理想的ではない:疾患がある脳に存在するアルファ-シヌクレインの病理学的凝集体で低い親和性、又は結合がないことが観察され、他の凝集タンパク質を上回るアルファ-シヌクレインに対する選択性がみられない、又はないことが報告されており、物理化学的性質は、脳浸透性PET剤としての使用に不適切である(Eberlingら、J Parkinsons Dis. 2013年;3(4):565~7頁;Nealら、Mol. Imaging Biol. 2013年、15:585~595頁;Bagchiら、PLoS One 2013年、8(2):e55031;Yuら、Bioorganic and Medicinal chemistry 2012年、20:4625~4634頁;Zhangら、Appl Sci(Basel) 2014年、4(1):66~78頁;Chuら、J. Med. Chem.、2015年、58(15):6002~17頁)。
【0013】
WO2011/128455は、アミロイドタンパク質又はアミロイド様タンパク質に関連する障害を処置するのに好適な特定の化合物に言及している。米国特許出願公開第2012/0302755号は、神経学的機能不全を検出するためのあるイメージング剤に関する。嗅上皮における神経変性障害を診断するための更なる化合物は、WO2012/037928で論じられている。
【0014】
WO2010/063701は、パーキンソン病の存在又はそれへの罹患性を判定する方法における使用のためのあるin vivoイメージング剤に言及しており、in vivoイメージング剤は、in vivo画像化部分で標識したアルファ-シヌクレイン結合剤を含み、in vivoイメージング剤は、結合親和性を伴ってアルファ-シヌクレインに結合する。
【0015】
US2014/0142089は、変性脳疾患を防止又は処置するための方法であって、それを必要とする対象に、特定の化合物、その薬学的に許容される塩、異性体、溶媒和物、水和物及びそれらの組合せを含む、有効量の医薬組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0016】
WO2009/155017は、アリール又はヘテロアリール置換アザベンゾオキサゾール誘導体について記載しており、これは、in vivoで脳に沈着するアミロイドを研究して、アルツハイマー病の診断を可能とするために、陽電子放射断層撮影(PET)画像化におけるトレーサーとして有用とされている。
【0017】
WO2016/033445は、ハンチンチンタンパク質を画像化するための特定の化合物に言及している。
【0018】
WO2017/153601及びWO2019/234243は、アルファ-シヌクレイン凝集体を診断するための二環式化合物に言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】WO2011/128455
【特許文献2】米国特許出願公開第2012/0302755号
【特許文献3】WO2012/037928
【特許文献4】WO2010/063701
【特許文献5】米国特許出願公開第2014/0142089号
【特許文献6】WO2009/155017
【特許文献7】WO2016/033445
【特許文献8】WO2017/153601
【特許文献9】WO2019/234243
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Jellinger、Mov. Disord. 2003年、18 Suppl. 6、S2~12
【非特許文献2】Galvinら JAMA Neurology 2001年、58 (2)、186~190頁
【非特許文献3】Kovariら、Acta Neuropathol. 2007年、114(3)、295~8頁
【非特許文献4】Saitoら、J. Neuropathol. Exp. Neurol. 2004年、63(4)、323~328頁
【非特許文献5】McKeeら、Brain、2013年、136(Pt 1)、43~64頁
【非特許文献6】Puschmannら、Parkinsonism Relat. Disord. 2012年、18S1、S24~S27
【非特許文献7】Usenovicら、J. Neurosci. 2012年、32(12)、4240~4246頁
【非特許文献8】Winder-Rhodesら、Mov. Disord. 2012年、27(2)、312~315頁
【非特許文献9】Fermanら、J. Int. Neuropsychol. Soc. 2002年、8(7)、907~914頁
【非特許文献10】Smithら、J. Pathol. 2014年;232:509~521頁
【非特許文献11】Lippaら、Ann Neurol. 1999年3月;45(3):353~7頁
【非特許文献12】Schmitzら、Mol. Neurobiol. 2018年8月22日
【非特許文献13】Charlesら、Neurosci. Lett. 2000年7月28日;289(1):29~32頁
【非特許文献14】Wilhelmsenら、Arch Neurol. 2004年3月;61(3):398~406頁
【非特許文献15】Yamaguchiら、J. Neuropathol. Exp. Neurol. 2004年、第80回年会、第63巻
【非特許文献16】Askanasら、J. Neuropathol. Exp. Neurol. 2000年7月;59(7):592~8頁
【非特許文献17】Iwaiら、Biochemistry 1995年、34(32)、10139~10145頁
【非特許文献18】Fujiwaraら、Nat. Cell. Biol. 2002年、4(2);160~164頁
【非特許文献19】Hasegawaら、J. Biol. Chem. 2002年、277(50)、49071~49076頁
【非特許文献20】Liら、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 2005年、102(6)、2162~2167頁
【非特許文献21】Oueslatiら、Prog. Brain Res. 2010年、183、115~145頁
【非特許文献22】Schmidら、J. Biol. Chem. 2009年、284(19)、13128~13142頁
【非特許文献23】Negroら、FASEB J. 2002年、16(2)、210~212頁
【非特許文献24】Ellisら、J. Biol. Chem. 2001年、276(6)、3879~3884頁
【非特許文献25】Nakamuraら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 2001年、280(4)、1085~1092頁
【非特許文献26】Okochiら、J. Biol. Chem. 2000年、275(1)、390~397頁
【非特許文献27】Proninら、J. Biol. Chem. 2000年、275(34)、26515~26522頁
【非特許文献28】McLeanら、Neurosci. Lett. 2002年、323(3)、219~223頁
【非特許文献29】Takahashiら、Brain Res. 2002年、938(1-2)、73~80頁
【非特許文献30】Rochetら、Biochemistry 2000年、39(35)、10619~10626頁
【非特許文献31】Crowtherら、FEBS Lett. 1998年、436(3)、309~312頁
【非特許文献32】Trojanowskiら、1998年、Cell Death Differ. 1998年、5(10)、832~837頁
【非特許文献33】Kooら、Proc. Natl. Acad. Sci. 1999年、96(18)、9989~9990頁
【非特許文献34】Huら、Chin.Sci.Bull. 2001年、46、1~3頁
【非特許文献35】Woodら、J. Biol. Chem. 1999年、274(28)、19509~19512頁
【非特許文献36】Vollesら、Biochemistry 2002年、41(14)、4595~4602頁
【非特許文献37】Lesageら、Hum. Mol. Genet.、2009年、18、R48~59
【非特許文献38】Lashuelら、J. Mol. Biol.、2002年、322、1089~102頁
【非特許文献39】Cookson、Annu. Rev. Biochem.、2005年、74、29~52頁
【非特許文献40】Capouchら、Neurol. Ther. 2018年、7、249~263頁
【非特許文献41】Outeiroら、Mol. Neurodegener. 2019年、14、5頁
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【非特許文献43】Galvinら、Arch Neurol. 2001年、58、186~90頁
【非特許文献44】Stefanovaら、Neuropathol. Appl. Neurobiol. 2016年、42、20~32頁
【非特許文献45】Guideline No. 113: Diagnosis and pharmacological management of Parkinson's disease、2010年1月。SIGN
【非特許文献46】Brooks、J. Nucl. Med.、2010年、51、596~609頁
【非特許文献47】Redmond、Neuroscientist、2002年、8、457~88頁
【非特許文献48】Wood、Nat. Rev. Neurol.、2014年、10、305頁
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【非特許文献53】Yuら、Bioorganic and Medicinal chemistry 2012年、20:4625~4634頁
【非特許文献54】Zhangら、Appl Sci(Basel) 2014年、4(1):66~78頁
【非特許文献55】Chuら、J. Med. Chem.、2015年、58(15):6002~17頁
【非特許文献56】Synthesis(1982年)、85~125頁、table 2、Carey及びSundberg
【非特許文献57】Organische Synthese(1995年)、279~281頁、table 5.8
【非特許文献58】Netscher、Recent Res. Dev. Org. Chem.、2003年、7、71~83頁、スキーム1、2、10及び15等
【非特許文献59】Coenen、Fluorine-18 Labeling Methods:Features and Possibilities of Basic Reactions(2006年)、Schubiger P.A.、Friebe M.、Lehmann L.(編)、PET-Chemistry - The Driving Force in Molecular Imaging. Springer、Berlin Heidelberg、15~50頁、25頁スキーム4、28頁スキーム5、30頁table 4、33頁
図7に明示
【非特許文献60】Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版、Mack Publishing Company、Easton、PA、1990年、1445頁
【非特許文献61】Remington's Pharmaceutical Sciences, 第15版、Mack Publishing Co.、New Jersey(1975年)
【非特許文献62】Ying-hui Chouら、JAMA Neurol. 2015年4月1日;72(4):432~440頁
【非特許文献63】Zreinら、Clin. Diagn. Lab. Immunol.、1998年、5、45~49頁
【非特許文献64】L. Cai、S. Lu、V. Pike、Eur. J. Org. Chem 2008年、2853~2873頁
【非特許文献65】J. Fluorine Chem.、27(1985年):177~191頁
【非特許文献66】T. W. Green及びP. G. M. Wuts(2014年) Protective Groups in Organic Synthesis、第5版、John Wiley & Sons
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、高い親和性を伴ってアルファ-シヌクレインに結合する新たな分類のイメージング化合物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常(例えばパーキンソン病)の診断、そのような疾患、障害又は異常の予後判定、並びにそのような疾患、障害又は異常の進行のモニターに用いられ得る化合物を提供する。詳細には、化合物は、そのような疾患、障害若しくは異常に対する素因の判定、疾患、障害若しくは異常の進行のモニター、又はそのような疾患、障害若しくは異常に罹患している患者の、ある医薬を用いた処置への反応性の予測に好適であるべきである。更に、化合物は、アルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常の診断及び/又は検出、並びに任意選択でアルファ-シヌクレイン凝集体の定量化に好適であるべきである。
【0023】
本発明の様々な実施形態が本明細書に記載されている。
【0024】
ある態様内では、式(I):
【化1】
(式中、
【化2】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、ハロC
1~C
4アルコキシ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールである)
の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物が本明細書で提供される。
【0025】
別の態様では、本発明は、以下の部分式
【化3】
を有する化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物も対象とする。
【0026】
別の態様では、本発明は、以下の部分式
【化4】
を有する化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物も対象とする。
【0027】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物、並びに任意選択で、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤及び/又はアジュバントを含む診断組成物を提供する。
【0028】
一態様では、本発明は、式(I)の化合物、又は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の画像化に使用され得る、本明細書で定義されている診断組成物を提供する。別の態様では、式(I)の化合物、又は診断組成物は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の陽電子放射断層撮影画像化における使用のためのものであり得る。別の態様では、式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている診断組成物は、in vitro画像化、ex vivo画像化又はin vivo画像化に対する使用のためのものであり得、好ましくは使用は、in vivo画像化のためのものであり、より好ましくは使用は、脳画像化のためのものである。更に別の態様では、式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている診断組成物は、診断法における使用のためのものであり得る。
【0029】
更なる態様では、本発明は、対象における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を診断する方法であって、
(a)式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている式(I)の化合物を含む診断組成物を、対象に投与する工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、並びに
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程
を含む方法を指す。
【0030】
別の態様では、本発明は、対象の組織における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を陽電子放射断層撮影(PET)画像化する方法であって、
(a)式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている式(I)の化合物を含む診断組成物を、対象に投与する工程
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、並びに
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を、対象の組織の陽電子放射断層撮影(PET)画像を収集することにより検出する工程
を含む方法を指す。
【0031】
更なる態様では、本発明は、対象の組織における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を検出、及び任意選択で定量化するための方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている式(I)の化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、並びに
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を定量化する工程
を含む方法を対象とする。
【0032】
本発明は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を診断するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている式(I)の化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、並びに
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程
を含む方法も対象とする。
【0033】
本発明は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に対する素因を判定するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている式(I)の化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、並びに
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程
を含む方法も指す。
【0034】
更なる態様では、本発明は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を予後判定するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料、特定の身体部分又は身体領域を、式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている式(I)の化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、並びに
(e)任意選択で、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む方法にも関する。
【0035】
別の態様では、本発明は、患者における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常の進行をモニターするためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料、特定の身体部分又は身体領域を、式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている式(I)の化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、並びに
(e)任意選択で、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む方法を対象とする。
【0036】
更なる態様では、本発明は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に罹患した患者の医薬への反応性を予測するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料、特定の身体部分又は身体領域を、式(I)の化合物、又は本明細書で定義されている式(I)の化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、並びに
(e)任意選択で、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)を、少なくとも1回繰り返す工程
を含む方法に関する。
【0037】
別の態様では、本発明は、式(III-F)又は(III-F')
【化5】
(式中、
【化6】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1Fは、4から6員環ヘテロシクリル、又はC
1~C
4アルコキシであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
LGは脱離基であり、
nは、少なくとも1である)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を更に対象とする。
【0038】
別の態様では、本発明は、式(III-H)
【化7】
(式中、
【化8】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロ若しくはハロC
1~C
4アルコキシで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
mは、0、1又は2であり、
pは、0、1又は2であり、
Xは、ブロモ、クロロ又はヨードであるが、
但し、式(III-H)の化合物が、少なくとも1つのXを含むことを条件とする)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を更に対象とする。
【0039】
別の態様では、本発明は、式(III-F)の化合物を、脱離基(LG)が18Fにより置き換えられるように18F-フッ素化剤と反応させる工程により、式(I-F)の化合物を調製する方法を更に対象とする。
【0040】
別の態様では、本発明は、式(III-H)の化合物を、Xが3Hにより置き換えられるように3H放射性標識剤と反応させることにより、式(I-H)の化合物を調製する方法を更に対象とする。
【0041】
別の態様では、本発明は、in vitro分析基準又はin vitroスクリーニングツールとしての、式(I)の化合物の使用を更に対象とする。
【0042】
別の態様では、本発明は、アルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を検出及び/又は診断するためのテストキットであって、本明細書で定義されている式(I)の少なくとも1つの化合物を含むテストキットを更に対象とする。
【0043】
本発明は、放射性医薬品調製物を調製するためのキットであって、少なくとも1つの式(III-F)又は(III-H)の化合物を含有する密封したバイアルを含むキットを更に対象とする。
【0044】
定義
本明細書を解釈する目的のために、特に規定がなければ、また適切な場合、以下の定義が適用され、単数形に使用される用語は複数形も含み、逆の場合も同じである。本明細書で使用されているように、また、添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈からそうでないと明らかに示されない限り、複数の指示を含むことも留意されなければならない。したがって、例えば、「化合物(the compound)」への言及は、1つ又は複数の化合物等への言及を含む。
【0045】
「C1~C4アルキル」という用語は、不飽和を含有せず、1から4個の炭素原子を有し、また、単結合により分子の残部に付着している、炭素及び水素原子のみからなる飽和直鎖又は分岐炭化水素鎖を指す。1から4個の炭素原子を有する好適なアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、1-メチルエチル、n-ブチル、t-ブチル及びイソブチルを含むが、それらに限定されない。
【0046】
「C1~C4アルコキシ」という用語は、式-ORa(式中、Raは、上で概説的に定義されているC1~C4アルキル基である)の基を指す。C1~C4アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ及びイソブトキシを含むが、それらに限定されない。
【0047】
「ハロゲンC1~C4アルキル」又は「ハロC1~C4アルキル」という用語は、以下で定義されている1個又は複数のハロ基で置換されている、上で定義されているC1~C4アルキル基を指す。「ハロC1~C4アルキル」の例は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,3-ジブロモプロパン-2-イル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル及び1,4,4-トリフルオロブタン-2-イルを含むが、それらに限定されない。
【0048】
「ハロゲンC1~C4アルコキシ」という用語は、下で定義されている1個又は複数のハロ基で置換されている、上で定義されているC1~C4アルコキシ基を指す。「ハロC1~C4アルコキシ」の例は、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、フルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、3,3,3-トリフルオロプロポキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ、2,2-ジフルオロブトキシ及び4-ブロモブトキシを含むが、それらに限定されない。
【0049】
「ヘテロシクリル」という用語は、例えば、N、O又はSから選択される1個又は2個のヘテロ原子を含む安定な4~6員非芳香族単環式環基を指す。ヘテロシクリル基は、不飽和又は飽和であり得る。ヘテロシクリル基は、炭素原子又はヘテロ原子を経由して結合し得る。例は、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、ピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、ピペリジル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル又はモルホリニル、好ましくはアゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジルを含むが、それらに限定されない。
【0050】
「ヘテロアリール」という用語は、N、O及びSから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む5又は6員芳香族単環式環を指す。ヘテロアリール基は、炭素原子又はN、O及びSから選択されるヘテロ原子を経由して結合し得る。ヘテロアリールの例は、チオピラニル、ジオキサニル、ピラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジル又はピリジルを含むが、それらに限定されない。
【0051】
「Hal」又は「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、F、Cl、Br及びIを指す。診断及び医薬用途に関しては、F(例えば19F及び18F)が特に好ましい。
【0052】
本明細書で用いられる「脱離基」(LG)という用語は、任意の脱離基であり、別の原子又は原子群により置き換えられ得る原子又は原子群を意味する。例は、例えばSynthesis(1982年)、85~125頁、table 2、Carey及びSundberg、Organische Synthese(1995年)、279~281頁、table 5.8;又はNetscher、Recent Res. Dev. Org. Chem.、2003年、7、71~83頁、スキーム1、2、10及び15等)。(Coenen、Fluorine-18 Labeling Methods:Features and Possibilities of Basic Reactions(2006年)、Schubiger P.A.、Friebe M.、Lehmann L.(編)、PET-Chemistry - The Driving Force in Molecular Imaging. Springer、Berlin Heidelberg、15~50頁、25頁スキーム4、28頁スキーム5、30頁table 4、33頁
図7に明示)で示されている。好ましくは、「脱離基」(LG)は、ハロゲン、C
1~C
4アルキルスルホネート及びC
6~C
10アリールスルホネートから選択され、C
6~C
10アリールスルホネートは、任意選択で、-CH
3又は-NO
2で置換され得る。
【0053】
特に規定がなければ、「本発明の化合物」という用語は、式(I)若しくはその部分式(例えば(IIa)、(IIb)、(I-F)、(I-H*)、(I-H))の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体(ジアステレオ異性体混合物及び個々のジアステレオ異性体、鏡像異性体混合物及び単一の鏡像異性体、配座異性体の混合物及び単一の配座異性体を含む)、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を指す。式(I)の化合物への言及はそれぞれ、その部分式(例えば(IIa)、(IIb)、(I-F)、(I-H*)、(I-H))もカバーすることは理解される。式(III-F)及び(III-H)の化合物は、本発明の化合物の前駆体と呼ばれる。
【0054】
1つ又は複数の光学活性炭素を有する本発明の化合物及びその前駆体は、ラセミ化合物及びラセミ混合物、立体異性体(ジアステレオ異性体混合物及び個々のジアステレオ異性体、鏡像異性体混合物及び単一の鏡像異性体、配座異性体の混合物及び単一の配座異性体を含む)、互変異性体、アトロプ異性体及び回転異性体として存在し得る。すべての異性体形態は、本発明に含まれる。
【0055】
「薬学的に許容される塩」は、未変化体が、その酸又は塩基塩を作ることにより修飾された、開示されている化合物の誘導体と定義される。薬学的に許容される塩の例は、塩基性残基の無機又は有機酸塩、例えばアミン;酸性残基のアルカリ若しくは有機塩、例えばカルボン酸等を含むが、それらに限定されない。薬学的に許容される塩は、例えば、非毒性無機又は有機酸から形成された未変化体の従来の非毒性塩又は四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来の非毒性塩は、無機酸、例えば、以下に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等に由来するもの;及び有機酸、例えば、以下に限定されないが、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等から調製される塩を含む。本発明の化合物及びその前駆体の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により塩基性又は酸性部分を含有する未変化体から合成され得る。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態を、化学量論量の適切な塩基又は酸と、水中若しくは有機溶媒中、又はその2つの混合物中で反応させる工程により調製され得る。有機溶媒は、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体を含むが、それらに限定されない。好適な塩の列挙は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing Company、Easton、PA、1990年、1445頁で見出され得、その開示は、参照により本明細書によって組み込まれる。
【0056】
「薬学的に許容される」は、医学的良識の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは合併症を伴わず、妥当な利益/危険性比に見合っている、人間及び動物の組織との接触における使用に好適な化合物、材料、組成物及び/又は剤形と定義される。
【0057】
「溶媒和物」は、本発明の化合物、及び任意の好適な薬学的に許容される溶媒から形成され得る。例は、C1~4アルコール(例えばメタノール又はエタノール)を含む。
【0058】
本発明における患者又は対象は、典型的には動物、特に哺乳動物、より詳細にはヒトである。
【0059】
アルファ-シヌクレイン凝集体は、パーキンソン病及び他のシヌクレイノパチーにおいて様々なレビー病理(Lewy pathologies)として検出される細胞内沈着物と連合する、可溶性オリゴマー又は可溶性/不溶性前原線維若しくは成熟原線維を形成し得るアルファ-シヌクレインモノマーの多量体ベータ-シートが豊富な集合体である。レビー病理を構成しているアルファ-シヌクレイン凝集体は、以下のモルフォロジーを有するものとして検出され得る:レビー小体、レビー神経突起、未成熟レビー小体又はペール小体(pale bodies)、びまん状、粒状、点状又は多形パターンを有する核周部沈着物。更に、アルファ-シヌクレイン凝集体は、乏突起膠細胞で検出される細胞内原線維封入体(神経膠細胞質封入体とも呼ばれる)、並びに神経細胞体、軸索及び核における細胞内原線維封入体(ニューロン細胞質封入体と呼ばれる)の主な成分であり、これは、多系統萎縮症の組織学的特質である。レビー病理におけるアルファ-シヌクレイン凝集体は、翻訳後修飾の実質的な増加、例えばリン酸化反応、ユビキチン化、ニトロ化及びトランケーションを提示することが多い。
【0060】
レビー小体は、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症及び他のシヌクレイノパチーにおいて、神経細胞の内側で発展するタンパク質の異常な凝集体である。レビー小体は、他の細胞成分と置き換わる球状塊として現れる。形態学的に、レビー小体は、脳幹又は皮質型として分類され得る。典型的な脳幹レビー小体は、5~10nm幅の放射状線維の暈に囲まれている高密度コアからなる好酸球性細胞質封入体であり、その主要構造成分は、アルファ-シヌクレインである。皮質型レビー小体は、暈がない点で異なる。レビー小体の存在は、パーキンソン病の特質である。
【0061】
レビー神経突起は、顆粒状物、レビー小体で見出されたものと同様の異常なアルファ-シヌクレイン(a-syn)フィラメント、点状静脈瘤構造及び軸索スフェロイドを含有する病的状態のニューロンにおける異常なニューロンプロセスである。レビー小体のように、レビー神経突起は、α-シヌクレイノパチー、例えばレビー小体を伴う認知症、パーキンソン病及び多系統萎縮症の特徴である。
【0062】
「疾患」、「障害」又は「異常」という用語は、本明細書で互換的に使用される。
【0063】
式(I)の化合物は、アルファ-シヌクレイン凝集体に結合し得る。式(I)の化合物に対する結合のタイプは解明されておらず、任意のタイプの結合が、本発明によりカバーされる。「アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物」等という言葉は、本明細書で互換的に使用され、いずれか特定のタイプの結合に限定されるとはみなされない。
【0064】
「定義」セクションで示されている好ましい定義は、特に定めのない限り、以下に記載されている実施形態のすべてに適用される。本発明の様々な実施形態が本明細書に記載されており、各実施形態で指定される特徴は、本発明の更なる実施形態を得るために、他の指定された特徴と組み合わせられ得ることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】異なるアルファ-シヌクレイノパチーからの組織での[
3H]-実施例1の標的係合。下段に示す、レビー小体及びレビー神経突起での銀粒子(silver grain)の蓄積。上段に示す、a-syn-pS129抗体を用いた免疫蛍光染色を同じ切片で実施して、アルファ-シヌクレイン凝集体を共標識した。PD、パーキンソン病; PDD、認知症を伴うパーキンソン病; MSA、多系統萎縮症; DLB、レビー小体を伴う認知症; LBV、アルツハイマー病のレビー小体変異型。スケールバー、50μm。
【
図2A】オートラジオグラフィーによる、家族性PD症例(G51Dミスセンス変異)からのヒト脳組織での[
3H]-実施例1の結合親和性の評価。オートラジオグラフィー画像、「TB」、全結合;「NSB」、自己ブロックの非特異的結合。
【
図2B】オートラジオグラフィーによる、家族性PD症例(G51Dミスセンス変異)からのヒト脳組織での[
3H]-実施例1の結合親和性の評価。a-syn-pS129抗体を用いた免疫蛍光染色、スケールバー、2mm。
【
図2C】オートラジオグラフィーによる、家族性PD症例(G51Dミスセンス変異)からのヒト脳組織での[
3H]-実施例1の結合親和性の評価。[
3H]-実施例1の特異的結合(1mm
2当たり1分当たりの計数)。
【
図3A】オートラジオグラフィーによる、多様なアルファ-シヌクレイノパチー及び非認知症対照例に対する[
3H]-実施例1の結合特異性の評価。オートラジオグラフィー画像、SNCA、アルファ-シヌクレイン[SNCA]遺伝子G51Dミスセンス変異;PDD、認知症を伴うパーキンソン病;LBV、アルツハイマー病のレビー小体変異型;MSA、多系統萎縮症;NDC、非認知症対照。「TB」、全結合;「NSB」、非特異的結合。
【
図3B】オートラジオグラフィーによる、多様なアルファ-シヌクレイノパチー及び非認知症対照例に対する[
3H]-実施例1の結合特異性の評価。疾患ドナーに対するa-syn-pS129抗体を用いた免疫蛍光染色、スケールバー、5mm。
【
図4】マイクロラジオバインディングによる、PD脳由来アルファ-シヌクレイン凝集体での[
3H]-実施例1との飽和結合。プロットは、特異的結合を示す(1mm
2当たり1分当たりの計数)。
【
図5】AD脳由来ホモジネートでの参照Abeta化合物([
3H]-Abeta-Ref)の実施例1の放射性標識されていない化合物との置換えに対する、実施例1の化合物のK
i値の評価。[
3H]-Abeta-Ref結合の競合パーセント値は、増加させた濃度の実施例1の放射性標識されていない化合物に対してプロットする。2つの独立した実験(各2回の技術的な反復を伴う)の平均値を示す。
【
図6】病理学的タウ凝集体を含有するAD組織での[
3H]-実施例1の標的係合の評価。参照タウリガンド([
3H]-タウ-Ref)と比較した、[
3H]-実施例1とのタウタングルでの銀粒子の蓄積なし。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明の化合物及びその前駆体は、以下に記載されている。以下の定義のすべての考えられる組合せも想定されることは理解されるべきである。
【0067】
本発明は、式(I)
【化9】
(式中、
【化10】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、ハロC
1~C
4アルコキシ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールである)の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物に関する。
【0068】
ある実施形態では、本発明は、式(I)
【化11】
(式中、
【化12】
は、6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、5員環又は6員環ヘテロアリールであるハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている)の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物に関する。
【0069】
【化13】
は、任意選択で、ハロ、又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている、6員環ヘテロアリールである。一実施形態では、
【化14】
は、6員環ヘテロアリールである。
【0070】
別の実施形態では、本発明は、式(IIa)又は(IIb)
【化15】
を有する式(I)の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を提供する。
【0071】
別の実施形態では、本発明は、式(IIb')又は(IIc)又は(IId)又は(IIe)
【化16】
(式中、R
1bは、ハロ又はC
1~C
4アルキル、好ましくはハロ又はCH
3である)を有する式(I)の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を提供する。一実施形態では、R
1bは、ハロ、好ましくはFである。好ましくはFは、
19F又は
18F、より一層好ましくは
18Fである。別の実施形態で、R
1bは、CH
3である。
【0072】
一実施形態では、R1は、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルである。一実施形態では、R1はハロである。別の実施形態では、R1は、任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルである。別の実施形態では、R1は、ハロC1~C4アルコキシである。好ましい実施形態では、R1は、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルである。好ましくは、ヘテロシクリルは、少なくとも1つのハロで、より好ましくは1つ又は2つのハロで、より一層好ましくは1つのハロで置換されている。一実施形態では、ハロはFであり、より好ましくは、Fは、19F又は18F、より一層好ましくは18Fである。
【0073】
一実施形態では、R1及びR1bにおけるハロは、Fである。好ましくは、Fは、19F又は18F、より好ましくは18Fである。
【0074】
一実施形態では、R
1は、以下
【化17】
(式中、R
1aは、H又はハロ、好ましくはハロである)から選択される4から6員環ヘテロシクリルである。
【0075】
好ましい実施形態では、R
1は、以下
【化18】
(式中、R
1aは、H又はハロ、好ましくはハロである)から選択される4から5員環ヘテロシクリルである。
【0076】
好ましい実施形態では、R1及びR1aにおけるハロは、Fである。好ましくは、Fは、19F又は18F、より好ましくは18Fである。
【0077】
更に別の実施形態では、R
1は、
【化19】
である5員環ヘテロシクリルであり、好ましくは、Fは、
19F又は
18F、より好ましくは
18Fである。
【0078】
更に別の実施形態では、R
1は、
【化20】
であり、mは、1から4の整数、好ましくは1又は2、より好ましくは2である。
【0079】
一実施形態では、R2は、任意選択で、ハロC1~C4アルキル、ハロC1~C4アルコキシ、C1~C4アルコキシ及びC1~C4アルキル、好ましくはハロC1~C4アルキル又はC1~C4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールである。
【0080】
好ましい一実施形態では、R
2は、以下
【化21】
(式中、
R
2aは、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択され、
R
2bは、H、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから選択され、
sは、0、1又は2(好ましくは0又は1)である)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである。
【0081】
別の実施形態では、R
2は、以下
【化22】
(式中、
R
2bは、H、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから選択される)から選択される5員環ヘテロアリールである。
【0082】
好ましくは、R
2は、以下
【化23】
(式中、
R
2bは、H、C
1~C
4アルキル及びハロC
1~C
4アルキルから選択され、
sは0である)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである。
【0083】
好ましい一実施形態では、R
2は、以下
【化24】
(式中、
R
2bは、H、C
1~C
4アルキル及びハロC
1~C
4アルキルから選択され、
sは0である)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである。
【0084】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物を提供し、化合物は、
【化25-1】
【化25-2】
【化25-3】
【化25-4】
から選択される。
【0085】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を提供し、式(I)の化合物は、検出可能に標識された化合物である。検出可能な標識は、放射性同位体であり得る。一実施形態では、式(I)の化合物は、少なくとも1つの放射性同位体を含む。好ましくは、検出可能な標識は、18F、2H及び3Hから選択される放射性同位体である。最も好ましくは、放射性同位体は、18F及び3Hから選択される。
【0086】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を提供し、化合物は、検出可能に標識された式(I-F)又は(I-F')
【化26】
(式中、
【化27】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1Fは、任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、又は、
R
1Fは、C
1~C
4アルコキシであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
nは、少なくとも1、好ましくは1である)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物である。
【0087】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を提供し、化合物は、検出可能に標識された式(I-F)又は(I-F')
【化28】
(式中、
【化29】
は、6員環ヘテロアリールであり、
R
1Fは、4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、好ましくは
R
2は、C
1~C
4アルキルで置換されている5員環ヘテロアリールであり、
nは、少なくとも1、好ましくは1である)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物である。
【0088】
好ましい実施形態では、-R
1F-(
18F)
nは、以下
【化30】
(式中、mは、少なくとも1、好ましくは1又は2、より好ましくは2である)から選択される。
【0089】
より好ましくは、-R
1F-(
18F)
nは、以下
【化31】
から選択される。
【0090】
より一層好ましくは、-R
1F-(
18F)
nは、
【化32】
である。
【0091】
検出可能に標識された式(I-F)又は(I-F')の化合物は、少なくとも1つの18Fを含む。好ましくは、検出可能に標識された式(I-F)又は(I-F')の化合物は、1つ又は2つの18F、より一層好ましくは、1つの18Fを含む。
【0092】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を提供し、化合物は、式(I-H
*)
【化33】
(式中、
【化34】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、ハロC
1~C
4アルコキシ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであるが、
但し、式(I-H
*)の化合物が、少なくとも1つの
2H(重水素「D」)又は
3H(三重水素「T」)、好ましくはT、好ましくは1つ、2つ又は3つのD又はTを含むことを条件とする)の検出可能に標識された化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物である。
【0093】
一実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を提供し、化合物は、式(I-H
*)
【化35】
(式中、
【化36】
は、6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであるが、
但し、式(I-H
*)の化合物が、少なくとも1つの
2H(重水素「D」)又は
3H(三重水素「T」)、好ましくはT、好ましくは1つ、2つ又は3つのD又はTを含むことを条件とする)の検出可能に標識された化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物である。
【0094】
好ましい実施形態では、化合物は、検出可能に標識された式(I-H)
【化37】
(式中、
【化38】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、ハロC
1~C4アルコキシ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
Yは、T又はCT
3であり、
mは、0、1、2又は3であり、
pは、0、1、2又は3であるが、
但し、式(I-H)の化合物が、少なくとも1つのT又はCT
3を含み、Tは、
3H(三重水素)であることを条件とする)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物である。
【0095】
好ましい実施形態では、化合物は、検出可能に標識された式(I-H)
【化39】
(式中、
【化40】
は、6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
Yは、T又はCT
3であり、
mは、0、1、2又は3であり、
pは、0、1、2又は3であるが、
但し、式(I-H)の化合物が、少なくとも1つのT又はCT
3を含み、Tは、
3H(三重水素)であることを条件とする)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物である。
【0096】
三重水素は、水素が存在する任意の利用できる位置に存在し得ることは理解される。例えば、R2基では、三重水素は、5員環又は6員環ヘテロアリールに直接結合した形で(例えばTの形態で)存在し得、又はハロC1~C4アルキル、ハロC1~C4アルコキシ、C1~C4アルコキシ及びC1~C4アルキル中において存在し得る(例えばCT3の形態で)。R1の4から6員環ヘテロシクリルでは、三重水素は、例えば、4から6員環ヘテロシクリルに直接結合し得る。
【0097】
一実施形態では,
【化41】
は、6員環ヘテロアリールであり、mは、1、2又は3、例えば1である。
【0098】
一実施形態では、R2は、任意選択で、ハロC1~C4アルキル、ハロC1~C4アルコキシ、C1~C4アルコキシ及びC1~C4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、pは、1、2又は3、例えば1である。
【0099】
好ましい実施形態では、R
2は、以下
【化42】
(式中、
R
2aは、T、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択され(例えばCT
3);
R
2bは、H、T、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ、ハロアルキル及びC
1~C
4アルキルから選択され、
sは、0、1又は2(好ましくは0又は1)であり、
ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキル又はC
1~C
4アルコキシは、任意選択で、1つ又は複数のTを含む)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである。
【0100】
一実施形態では、R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、pは、1、2又は3、例えば1である。
好ましい実施形態では、R
2は、以下
【化43】
(式中、
R
2aは、T、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキル(例えばCT
3)から独立して選択され、
R
2bは、H、T、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ、ハロアルキル及びC
1~C
4アルキル(例えば、CT
3)から選択され、
sは、0、1又は2(好ましくは0又は1)であり、
ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキル又はC
1~C
4アルコキシは、任意選択で、1つ又は複数のTを含む)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである。
【0101】
好ましくは、R
2は、以下
【化44】
(式中、
R
2aはTであり、
R
2bは、H、T、ハロC
1~C
4アルキル及びC
1~C
4アルキルから選択され、ハロC
1~C
4アルキル及びC
1~C
4アルキルは、任意選択で、1つ又は複数のTを含み(好ましくはR
2bは、T又はCT
3から選択される)、
sは、0、1又は2(好ましくは1)である)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである。
【0102】
好ましくは、R
2は、以下
【化45】
(式中、
R
2aは、T又はHであり、
R
2bは、H、ハロC
1~C
4アルキル及びC
1~C
4アルキル(例えばCT
3)から選択され、ハロC
1~C
4アルキル及びC
1~C
4アルキルは、任意選択で、1つ又は複数のTを含み(好ましくはR
2bは、CT
3から選択される)、
sは、0、1又は2(好ましくは1)である)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである。
【0103】
好ましくは、R2aは、-T、-OCH3、-CH3、-CT3又は-Hであり、R2bは、-H、-T又は-CT3から選択される。
【0104】
好ましい実施形態では、式(I-H*)又は(I-H)の検出可能に標識された化合物は、1つ、2つ又は3つのTを含む。好ましくは、式(I-H*)又は(I-H)の検出可能に標識された化合物は、1つのTを含む。より好ましくは、式(I-H*)又は(I-H)の検出可能に標識された化合物は、2つのTを含む。より一層好ましくは、式(I-H*)又は(I-H)の検出可能に標識された化合物は、3つのT、例えば-CT3を含む。
【0105】
別の実施形態では、本発明は、式(I-H*)又は(I-H)の検出可能に標識された化合物を提供し、3H三重水素(「T」)は、2H重水素(「D」)により置き換えられていてよい。重水素化化合物は、式(III-H)の化合物を2H放射性標識剤と反応させることにより調製され得る。
【0106】
本発明の化合物及びその前駆体は、検出可能に標識され得る。標識のタイプは、具体的に限定されず、選択される検出方法によって決まる。考えられる標識の例は、同位体、例えば放射性核種、陽電子放出体及びガンマ放出体を含み、好ましくは検出可能な標識は、放射性同位体である。放射性同位体、陽電子放出体又はガンマ放出体を含む本発明の検出可能に標識された化合物及びその前駆体に関して、放射性同位体、陽電子放出体又はガンマ放出体が、天然量の放射性同位体、陽電子放出体又はガンマ放出体それぞれと同一ではない量で存在しなければならないことは理解されるべきである。更に、用いられる量は、選択される検出方法により、それらの検出を可能にすべきである。好適な同位体、例えば放射性核種、陽電子放出体及びガンマ放出体の例は、2H、3H、18F、11C、13N及び15O、好ましくは2H、3H、11C、13N、15O及び18F、より好ましくは2H、3H及び18F、より一層好ましくは3H及び18Fを含む。
【0107】
18F-標識化合物は、特に画像化用途、例えばPETに好適である。天然19F同位体を有する、フッ素を含む対応する化合物も、これらは18F-類似体の製造、品質管理、放出及び臨床的使用中に、分析標準及び基準として使用され得るので、特に関心を集める。
【0108】
更に、同位体、例えば重水素、すなわち2Hを用いた置換により、例えば、元の化合物の効き目を維持又は改善しつつ、脱フッ素を低下させること、in vivo半減期の増加、又は投与要件の緩和による、高い代謝安定性に起因するある診断及び治療利点が得られる。
【0109】
本発明の化合物及びその前駆体の同位体変形は、一般的に、従来の手順により、例えば、市販又は公知の合成技術により調製される好適な試薬の適切な同位体変形を使用して、実施例及び調製例に記載されている例証方法により、又は調製により調製され得る。
【0110】
放射性核種、陽電子放出体及びガンマ放出体は、有機合成の分野で通常の方法により、本発明の化合物及びその前駆体に含まれ得る。典型的には、これらは、本発明の所望の化合物及びその前駆体が調製される場合、対応して標識した出発物質を使用することにより導入される。検出可能な標識を導入する例証方法は、例えば、US2012/0302755に記載されている。
【0111】
検出可能な標識が、本発明の化合物及びその前駆体に付着するべき位置は、特に限定されない。放射性核種、陽電子放出体及びガンマ放出体は、例えば、対応する非放出性原子も付着し得る任意の位置で付着し得る。例えば、18Fは、Fを付着させるのに好適な任意の位置で付着し得る。同じことが他の放射性核種、陽電子放出体及びガンマ放出体にも適用される。合成の容易さのため、好ましくはR1は、18Fで置換されている。3Hは、Hが存在する任意の利用できる位置で付着させることができる。2Hが検出可能な標識として用いられる場合、これは、Hが存在する任意の利用できる位置で付着させることができる。
【0112】
別の実施形態では、本発明は、それぞれ式(I-F)の化合物及び(I-F')の前駆体である式(III-F)又は(III-F')
【化46】
(式中、
【化47】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1Fは、4から6員環ヘテロシクリル又はC
1~C
4アルキルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
LGは脱離基であり、
nは、少なくとも1である)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物に更に関する。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、式(I-F)の化合物の前駆体である式(III-F)
【化48】
(式中、
【化49】
は、6員環ヘテロアリールであり、
R
1Fは、4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
LGは脱離基であり、
nは、少なくとも1である)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物に更に関する。
【0114】
別の好ましい実施形態では、(LG)
n-R
1Fは、以下
【化50】
(式中、
mは、少なくとも1、好ましくは1又は2、より好ましくは2である)から選択される。
【0115】
より好ましくは、(LG)
n-R
1Fは、以下
【化51】
から選択される。
【0116】
より一層好ましくは、(LG)
n-R
1Fは、
【化52】
である。
【0117】
好ましくは、脱離基(LG)は、ハロゲン、C1~C4アルキルスルホネート、C1~C4アルキルアンモニウム又はC6~C10アリールスルホネートであり、C6~C10アリールスルホネートは、任意選択で、-CH3又は-NO2で置換されていてよい。より好ましくは、脱離基(LG)は、ブロモ、クロロ、ヨード、C6~C4アルキルスルホネート又はC6~C10アリールスルホネートであり、C6~C10アリールスルホネートは、任意選択で、-CH3又は-NO2で置換されていてよい。より一層好ましくは、脱離基(LG)は、メシレート、トシレート又はノシレートである。より一層好ましくは、脱離基(LG)は、メシレート又はノシレートである。より好ましくは、脱離基(LG)は、メシレートである。
【0118】
別の実施形態では、本発明は、式(I-H)の化合物の前駆体、式(III-H)
【化53】
(式中、
【化54】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、ハロC
1~C
4アルコキシ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
mは、0、1又は2であり、
pは、0、1又は2であり、
Xは、ブロモ、クロロ又はヨードであるが、
但し、式(III-H)の化合物が、少なくとも1つのX(例えば、1つ、2つ又は3つのX、好ましくは1つ又は2つのX)を含むことを条件とする)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物に関する。
【0119】
別の実施形態では、本発明は、式(I-H)の化合物の前駆体、式(III-H)
【化55】
(式中、
【化56】
は、6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
mは、0、1又は2であり、
pは、0、1又は2であり、
Xは、ブロモ、クロロ又はヨードであるが、
但し、式(III-H)の化合物が、少なくとも1つのX(例えば、1つ、2つ又は3つのX、好ましくは1つ又は2つのX)を含むことを条件とする)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物に関する。
【0120】
好ましい実施形態では、(X)
p-R
2は、以下
【化57】
(式中、
R
2aは、X、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択され、
R
2bは、H、X、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから選択され、
sは、0、1又は2(好ましくは0又は1)であり、
ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルキル又はC
1~C
4アルコキシは、任意選択で1つ又は複数のXを含む)から選択される。
【0121】
好ましくは、(X)
p-R
2は、以下
【化58】
(式中、
R
2aはXであり、
R
2bは、H、X、ハロC
1~C
4アルキル及びC
1~C
4アルキル、好ましくはXから選択され、
sは、0、1又は2(好ましくは1)であり、
C
1~C
4アルキル又はハロC
1~C
4アルキルは、任意選択で1つ又は複数のXを含む)から選択される。
【0122】
好ましい実施形態では、式(III-H)の検出可能に標識された化合物は、1つ、2つ又は3つのXを含む。好ましい実施形態では、式(III-H)の検出可能に標識された化合物は、1つのXを含む。別の好ましい実施形態では、式(III-H)の検出可能に標識された化合物は、2つのXを含む。一実施形態では、Xは、ブロモ、クロロ及びヨードから選択される。好ましい実施形態では、Xは臭素である。
【0123】
検出可能に標識された化合物の合成方法
本発明は、検出可能な標識を含む、式(I)若しくはその部分式の化合物(例えば(IIa)、(IIb)、(I-F)、(I-F')、(I-H*)、(I-H))、詳細には式(III-F)、(III-F')又は(III-H)の化合物を調製するための方法に更に関する。
【0124】
一実施形態では、本発明は、式(III-F)の化合物を、
18F-フッ素化剤と反応させることによる、式(I-F)の化合物を調製するための方法
【化59】
(式中、
【化60】
、R
1F、R
2、n及びLGは、本明細書において上で定義されている通りである)に関する。
【0125】
一実施形態では、本発明は、式(III-F')の化合物を、
18F-フッ素化剤と反応させることによる、式(I-F')の化合物を調製するための方法
【化61】
(式中、
【化62】
、R
1F、R
2、n及びLGは、本明細書において上で定義されている通りである)に関する。
【0126】
18F-フッ素化に好適な溶媒は、DMF、DMSO、アセトニトリル、DMA、又はそれらの混合物、好ましくはアセトニトリル又はDMSOを含む。18F-フッ素化に好適な薬剤は、K18F、Rb18F、Cs18F、Na18F、18Fのテトラ(C1~6アルキル)アンモニウム塩、kryptofix[222]18F及びテトラブチルアンモニウム[18F]フルオリドから選択される。
【0127】
一実施形態では、本発明は、式(III-H)の化合物を、
3H放射性標識剤と反応させることによる、式(I-H)の化合物を調製する方法
【化63】
(式中、
【化64】
、R
1、R
2、X、Y、m及びpは、本明細書において上で定義されている通りである)に関する。
【0128】
3H放射性標識剤は、三重水素ガスであり得る。方法は、触媒、例えばパラジウム炭素(Pd/C)、溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)及び塩基、例えばN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)の存在下で実施され得る。
【0129】
或いは、別の実施形態では、本発明は、式(III-H)の化合物を、Tが3HであるCT3放射性標識剤で放射性標識することによる、式(I-H)の化合物を調製するための方法に関する。CT3放射性標識剤は、ICT3(3Hを有するヨードメタンの誘導体)であり得る。方法は、溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)及び塩基、例えば炭酸セシウム又は水素化ナトリウムの存在下で実施され得る。
【0130】
放射性医薬品調製物
本発明の化合物は、放射性医薬品調製物を調製するためのキットにも用いられ得る。放射性崩壊のため、放射性医薬品は通常、使用直前に調製される。キットは、典型的には、本発明の化合物の前駆体、及び前駆体と反応して放射性標識を本発明の化合物に導入する薬剤を含む。本発明の化合物の前駆体は、例えば、式(III-F)又は(III-H)を有する化合物であり得る。薬剤は、放射性標識、例えば18F又は3Hを導入する薬剤であり得る。
【0131】
一実施形態では、キットオブパート(the kit of part)は、アルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を検出及び/又は診断するためのテストキットであり、テストキットは、本発明の化合物(例えば式(III-F)又は(III-H)を有する化合物)の少なくとも1つの前駆体を含む。
【0132】
別の実施形態では、キットオブパートは、放射性医薬品調製物を調製するためのキットであり、キットは、本発明の化合物(例えば式(III-F)又は(III-H)を有する化合物)の少なくとも1つの前駆体を含有する密封したバイアルを含む。
【0133】
診断組成物
本発明の化合物は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の画像化に特に好適である。アルファ-シヌクレインタンパク質に関して、化合物は、様々なタイプのレビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体への結合に特に好適である。画像化は、哺乳動物、好ましくはヒトにおいて実施され得る。画像化は、好ましくはin vitro画像化、ex vivo画像化又はin vivo画像化である。より好ましくは、画像化は、in vivo画像化であり:より一層好ましくは、画像化は、好ましくは脳画像化である。画像化は、眼/網膜画像化でもあり得る。本発明の化合物は、診断法における使用に特に好適である。
【0134】
診断法は、哺乳動物に対して、好ましくはヒトに対して実施され得る。診断法が実施される目的の組織は、脳、中枢神経系の組織、眼の組織(例えば網膜組織)、末梢器官、例えば腸の組織若しくは他の組織、又は体液、例えば脳脊髄液(CSF)若しくは血液であり得る。組織は、好ましくは脳組織である。
【0135】
一実施形態では、本発明は、本発明の化合物、及び任意選択で、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤及び/又はアジュバントを含む診断組成物を提供する。
【0136】
設計及び結合特性のため、本発明の化合物は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害及び異常の診断における使用に好適である。別の実施形態では、本発明の化合物を含む診断組成物は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害及び異常の診断における使用にも好適である。
【0137】
更に別の実施形態では、本発明の化合物、又は本発明の化合物を含む診断組成物は、画像化、例えばin vitro画像化、ex vivo画像化又はin vivo画像化における使用に好適であり、好ましくは使用は、in vivo画像化のためのものであり、より好ましくは使用は、脳画像化のためのものである。詳細には、使用は、ヒトにおけるものである。
【0138】
別の実施形態では、本発明の化合物又は診断組成物は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の陽電子放射断層撮影画像化における使用に特に好適である。
【0139】
アルファ-シヌクレイン凝集体を伴う疾患は、一般的に、シヌクレイノパチー(又はα-シヌクレイノパチー)として列挙される。本発明の化合物は、パーキンソン病(散発性、アルファ-シヌクレイン変異を伴い家族性、アルファ-シヌクレイン以外の変異を伴い家族性、純粋自律神経不全症及びレビー小体嚥下障害)、SNCA重複キャリア、レビー小体を伴う認知症(「純粋」レビー小体型認知症)、アルツハイマー病、散発性アルツハイマー病、APP変異を伴う家族性アルツハイマー病、PS-1、PS-2又は他の変異を伴う家族性アルツハイマー病、家族性英国型認知症、アルツハイマー病のレビー小体変異型及びダウン症における通常の加齢)を含むが、それらに限定されない疾患、障害又は異常の診断における使用に好適である。アルファシヌクレインのニューロン及び神経膠凝集体を伴うシヌクレイノパチーは、多系統萎縮症(MSA)(シャイ-ドレーガー症候群、線条体黒質変性症及びオリーブ橋小脳萎縮症)を含む。アルファ-シヌクレイン-免疫反応性病変を有し得る他の疾患は、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症、タウオパチー(ピック病、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びニーマン-ピック病C1型)、運動ニューロン疾患、筋萎縮性側索硬化症(散発性、家族性及びグアムALS-認知症複合)、神経軸索ジストロフィー、脳の鉄蓄積を伴う神経変性1型(ハレルフォルデン-スパッツ症候群)、プリオン病、毛細血管拡張性運動失調症、メージュ症候群、亜急性硬化性全脳炎、ゴーシェ病並びに他のリソソーム蓄積症(クフォル-ラケブ症候群及びサンフィリポ症候群を含む)及び急速眼球運動(REM)睡眠行動障害を含む(Jellinger、Mov Disord 2003年、18 Suppl. 6、S2~12;Galvinら、JAMA Neurology 2001年、58(2)、186~190頁;Kovariら、Acta Neuropathol. 2007年、114(3)、295~8頁;Saitoら、J Neuropathol Exp Neurol. 2004年、63(4)、323~328頁;McKeeら、Brain、2013年、136(Pt1)、43~64頁;Puschmannら、Parkinsonism Relat Disord 2012年、18S1、S24~S27;Usenovicら、J Neurosci. 2012年、32(12)、4240~4246頁;Winder-Rhodesら、Mov Disord. 2012年、27(2)、312~315頁;Fermanら、J Int Neuropsychol Soc. 2002年、8(7)、907~914頁)。好ましくは、本発明の化合物は、パーキンソン病、多系統萎縮症、レビー小体を伴う認知症、パーキンソン病認知症、SNCA重複キャリア又はアルツハイマー病、より好ましくはパーキンソン病(PD)の診断における使用に好適である。
【0140】
対象における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常(例えばパーキンソン病)、又はそれに対する素因を診断する方法では、方法は、
(a)対象に、診断的有効量の本発明の化合物、又は本発明の化合物を含む診断組成物を投与する工程;
(b)本発明の化合物を、目的の組織(例えば脳組織、中枢神経系(CNS)の組織、眼の組織、末梢器官の組織又は他の組織)、又は体液(例えば脳脊髄液(CSF)又は血液)に分布させる工程、並びに
(c)目的の組織又は体液を画像化する工程
を含む。
【0141】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量が、正常対照レベルと比較して増加した場合、患者は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に罹患している、又はそれを発症する危険性がある。
【0142】
本発明の化合物は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる患者の任意の試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の画像化に使用され得る。化合物は、血液-脳関門を通過することができる。結果として、これらは、中枢神経系(CNS)の脳組織、眼の組織(例えば網膜組織)、末梢器官の組織、例えば腸若しくは他の組織、又は体液、例えば脳脊髄液(CSF)若しくは血液において、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の画像化に特に好適である。
【0143】
診断用途では、本発明の化合物は、好ましくは本発明の化合物を含む診断組成物の形態で投与される。「診断組成物」は、本発明では、患者、例えば哺乳動物、例としてヒトへの投与に好適な、また、組織での特定の疾患、障害又は異常の診断における使用に好適な形態での、1つ又は複数の本発明の化合物を含む組成物と定義されている。好ましくは、診断組成物は、薬学的に許容できる賦形剤、担体、希釈剤又はアジュバントを更に含む。投与は、好ましくは、以下で定義されているように、より好ましくは組成物を水溶液として注入することにより実行される。そのような組成物は、任意選択で、更なる原料、例えば緩衝液;薬学的に許容される可溶化剤(例えばシクロデキストリン又は界面活性剤、例としてPluronic、Tween又はリン脂質);及び薬学的に許容される安定化剤又は抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、ゲンチシン酸又はパラ-アミノ安息香酸)を含有し得る。本発明の化合物の用量は、投与される正確な化合物、患者の質量及び当分野の医師に明らかな他の可変要素に応じて変動する。
【0144】
本発明の化合物では、単体で投与することが可能であるが、それらを標準的な薬務に従って診断組成物に製剤化することが好ましい。したがって、本発明は、診断的有効量の本発明の化合物を、任意選択で、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤又はアジュバントと混和した形で含む診断組成物も提供する。
【0145】
薬学的に許容される賦形剤は、医薬品業界において周知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第15版、Mack Publishing Co.、New Jersey(1975年)に記載されている。医薬賦形剤は、意図されている投与経路及び標準的な薬務に対して選択され得る。賦形剤は、その受容個体に有害ではないという意味で、許容できなければならない。
【0146】
本発明の診断組成物の製剤化に使用され得る医薬として有用な賦形剤、担体、アジュバント及び希釈剤は、例えば溶媒、例として一価アルコール、例としてエタノール、イソプロパノール、及び多価アルコール、例としてグリコール、及び食用油、例として大豆油、ヤシ油、オリーブ油、ベニバナ油、綿実油、油性エステル、例としてオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、結合剤、アジュバント、可溶化剤、増粘剤、安定剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、緩衝剤、乳化剤、湿潤剤、懸濁剤、甘味剤、着色剤、香味料、コーティング剤、防腐剤、抗酸化剤、加工剤、薬物送達改質剤及び向上剤、例としてリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、モノサッカリド、ジサッカリド、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス及びイオン交換樹脂を含み得る。
【0147】
本発明の化合物を投与(送達)するための経路は、静脈内、胃腸、髄腔内、腹腔内、筋肉内、経口(例えば錠剤、カプセル剤として、又は摂取可能な液剤として)、局所、粘膜(例えば鼻腔スプレー又は吸入用エーロゾルとして)、鼻腔、非経口(例えば注入可能な形態により)、子宮内、眼内、皮内、頭蓋内、気管内、腟内、脳室内、脳内、皮下、眼部(硝子体内又は眼房内を含む)、経皮、直腸、バッカル、硬膜外及び舌下の1つ又は複数を含むが、それらに限定されない。好ましくは、本発明の化合物の投与(送達)経路は、静脈内である。
【0148】
例えば、化合物は、即時、遅延、修飾、持続、パルス又は制御放出用途のために、香味料又は着色剤を含有し得る錠剤、カプセル剤、オビュール剤、エリキシル剤、液剤又は懸濁液剤の形態で経口的に投与され得る。
【0149】
錠剤は、賦形剤、例えば微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム及びグリシン、崩壊剤、例えばデンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモ又はタピオカデンプン)、ナトリウムデンプングリコレート、クロスカルメロースナトリウム、及びある複合シリケート及び造粒結合剤、例えばポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチン及びアカシアを含有し得る。更に、潤滑剤は、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル及び滑石が含まれ得る。同様のタイプの固体組成物は、ゼラチンカプセルにおいてフィラーとしても用いられ得る。好ましい賦形剤は、これに関連して、デンプン、セルロース、乳糖(ラクトース)又は高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁液剤及び/又はエリキシル剤では、薬剤は、様々な甘味剤又は香味剤、着色料又は色素と、乳化剤及び/又は懸濁剤と、また希釈剤、例えば水、エタノール、プロピレングリコール及びグリセリン並びにそれらの組合せと、組み合わせられ得る。
【0150】
好ましくは、診断用途では、本発明の化合物は、非経口投与される。本発明の化合物が非経口投与される場合、そのような投与の例は、化合物の静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内若しくは皮下投与、及び/又は注射技術を使用することによる投与の1つ又は複数を含む。非経口投与では、無菌水溶液の形態の化合物が、最適に使用され、これは、他の物質、例えば、血液と等張の溶液を作るのに十分な塩又はグルコースを含有し得る。水溶液は、必要な場合は好適に緩衝されるべきである(好ましくは3~9のpHに)。無菌条件下での好適な非経口製剤の調製は、当業者に周知の標準的な医薬技術により容易に達成される。
【0151】
示されているように、本発明の化合物は、鼻腔内に、又は吸入により投与され得、乾燥粉末吸入器の形態で、又は、好適な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、例として1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA134AT)又は1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA)、二酸化炭素又は他の好適なガスの使用を伴う加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーからのエーロゾルスプレーの体裁で都合よく送達される。加圧エーロゾルのケースでは、投与単位は、計量した量を送達するバルブを設けることにより決定され得る。加圧容器、ポンプ、スプレー又はネブライザーは、例えば溶媒としてエタノール及び噴射剤の混合物を使用して、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有し得、これは、滑沢剤、例えばトリオレイン酸ソルビタンを更に含有し得る。吸入器又はインサフレーターにおける使用のためのカプセル及びカートリッジ(例えばゼラチンから作られている)は、化合物及び好適な粉末ベース、例えばラクトース又はデンプンの粉末ミックスを含有するように製剤化され得る。
【0152】
或いは、本発明の化合物は、坐剤若しくはペッサリーの形態で投与され得、又はこれは、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤又は粉剤の形態で局所的に適用され得る。本発明の化合物は、例えば皮膚パッチを使用することにより、皮膚に又は経皮的にも投与され得る。
【0153】
これらは、肺又は直腸経路によっても投与され得る。これらは、眼経路によっても投与され得る。眼科用では、化合物は、pHが調整された等張無菌生理食塩水中で微粒子化された懸濁液剤として、又は好ましくは、pHが調整された等張無菌生理食塩水中で液剤として、任意選択で防腐剤、例えば塩化ベンザルコニウムとの組合せで、製剤化され得る。或いは、これらは、軟膏、例えばワセリンに製剤化され得る。
【0154】
皮膚への局所的用途では、本発明の化合物は、例えば、以下:鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、乳化ワックス及び水の1つ又は複数との混合物に懸濁又は溶解した活性化合物を含有する好適な軟膏剤として製剤化され得る。或いは、これらは、例えば、以下:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水の1つ又は複数の混合物に懸濁又は溶解した好適なローション剤又はクリーム剤として製剤化され得る。
【0155】
典型的には、医師は、個別の対象に最も好適になる実際の投与量を決定する。任意の具体的な個体に対する特定の用量レベル及び投与回数は変動し得、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全般的健康、性別、食事、投与様式及び投与時間、排泄速度、薬物の組合せ、詳細な状態の重症度及び個別に受ける診断を含む多彩な要因によって決まる。
【0156】
本発明の診断組成物は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第15版、Mack Publishing Co.、New Jersey(1975年)に記載されている当業者にそれ自体公知の手段で生成され得る。
【0157】
本発明の化合物は、in vitro分析基準又はin vitroスクリーニングツールとして有用である。これらは、in vivo診断方法にも有用である。
【0158】
本発明による化合物は、本発明による化合物、及び薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤又はアジュバントが本発明による化合物と異なるイメージング剤から選択される、少なくとも1つの化合物を含む混合物、医薬組成物、又は組合せの形態でも提供され得る。本発明による化合物と異なるイメージング剤は、好ましくは診断的有効量で存在する。より好ましくは、本発明による化合物と異なるイメージング剤は、Aベータ又はタウイメージング剤である。
【0159】
方法
一実施形態では、本発明は、対象における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を診断する方法であって、
(a)本発明の化合物、又は本発明の化合物を含む診断組成物を、対象に投与する工程、
(b)前記化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、並びに
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程
を含む方法を提供する。
【0160】
任意選択で、前記方法は、
(d)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の場所及び/又は量を表す画像を生成する工程
を更に含み得る。
【0161】
別の実施形態では、本発明は、対象の組織における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を陽電子放射断層撮影(PET)画像化する方法であって、
(a)本発明の化合物、又は本発明の化合物を含む診断組成物を、対象に投与する工程
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、並びに
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を、対象の組織の陽電子放射断層撮影(PET)画像を収集することにより検出する工程
を含む方法を提供する。
【0162】
別の実施形態では、本発明は、対象の組織における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を検出及び任意選択で定量化するための方法(例えばin vivo又はin vitro方法)であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、本発明の化合物、又は本発明の化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、並びに
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を定量化する工程
を含む方法に関する。
【0163】
ある実施形態では、本発明は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を診断するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、本発明による化合物、又は本発明による化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、並びに
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程
を含む方法を指す。
【0164】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量が、通常の対照値より多い場合、患者がレビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に罹患していると推定され得る。
【0165】
本発明の更に別の実施形態は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に対する素因を判定するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、本発明による化合物、又は本発明による化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、並びに
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程
を含む方法を指す。
【0166】
アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量が、健常/参照対象の通常の対照値より多い場合、これは、患者がアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に罹患している、又はそれを発症する危険性があることを示す。詳細には、アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量が、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常の臨床的な証拠を示さない者において予想されたものより多い場合、患者は、アルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害若しくは異常に対する傾向を有すると推定され得る。
【0167】
更なる態様では、本発明は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を予後判定するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料、特定の身体部分又は身体領域を、本発明による化合物、又は本発明による化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、並びに
(e)任意選択で、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む方法に関する。
【0168】
疾患、障害若しくは異常の進行、及び/又は回復の見込み(例えば、可能性、期間、及び/又は程度)は、アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無、アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量等に基づいて医療従事者により見積もられ得る。必要に応じて、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)は、疾患、障害又は異常の進行をモニターするために、ひいては見積もりの信頼性をより高めるために、経時的に繰り返され得る。
【0169】
更なる態様は、患者における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常の進行をモニターするためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料、特定の身体部分又は身体領域を、本発明による化合物、又は本発明による化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、並びに
(e)任意選択で、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む方法を対象とする。
【0170】
進行をモニターするための方法では、アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量は、任意選択で、処置中の様々な時点で、例えば処置の開始前後、又は処置の開始後の様々な時点で、比較され得る。
【0171】
典型的には、患者は、アルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常の処置を受けている、若しくは受けていた、又はシヌクレイノパチーの処置を受けている/受けていた。詳細には、処置は、アルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常の処置に好適な医薬の投与を伴い得る。
【0172】
別の実施形態では、本発明は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に罹患した患者の、医薬を用いた処置への反応性を予測するためのデータを収集する方法であって、
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料、特定の身体部分又は身体領域を、本発明の化合物、又は本発明の化合物を含む診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程、
(d)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、並びに
(e)任意選択で、工程(a)から(c)、及び存在する場合、任意選択の工程(d)を少なくとも1回繰り返す工程
を含む方法に関する。
【0173】
反応性を予測するための方法では、方法は、工程(a)の前に工程(i)から(vi):
(i)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に特異的に結合する本発明の化合物と接触させる工程、
(ii)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(iii)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の形成を検出する工程、
(iv)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程、
(v)任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を、通常の対照値と比較する工程、並びに
(vi)患者を、医薬を用いて処置する工程
を更に含み得る。
【0174】
任意選択で、方法は、工程(d)又は工程(e)の後で、工程(A):
(A)工程(iv)で決定された、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を、工程(d)で決定された、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量と比較する工程
を更に含み得る。
【0175】
反応性を予測するための方法では、アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量は、任意選択で、処置中の様々な時点で、例えば処置の開始前後、又は処置の開始後の様々な時点で、比較され得る。アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量における変化、とりわけ減少は、患者が、それぞれの処置に反応性である可能性が高いことを示し得る。
【0176】
アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量が経時的に減少する場合、患者は処置に反応性と推定され得る。アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量が、本質的に一定である、又は経時的に増加する場合、患者は、処置に非反応性と推定され得る。
【0177】
或いは、反応性は、アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を決定する工程により見積もられ得る。アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量は、対照値、例えば通常の対照値、前臨床対照値又は臨床対照値と比較され得る。或いは、対照値は、ある治療に反応性と分かっている対象の対照値を指し得る、又は対照値は、ある治療に非反応性と分かっている対象の対照値を指し得る。反応性に関する転帰は、ある治療に「反応性」、ある治療に「非反応性」、又はある治療に「反応不明」であり得る。治療への反応は、それぞれの患者で異なり得る。
【0178】
任意選択で、診断組成物は、外科的手技(例えば脳深部刺激(DBS))及び非侵襲的脳刺激(例えば反復経頭蓋磁気刺激(rTMS))の前、最中及び後で、アルファ-シヌクレイン凝集体をそのような手技の前、最中及び後で可視化するために、使用され得る。現在使用される最適な医学的治療に加えたDBSを含む外科的技術は、PDの進行した症状を改善する。過去20年間、rTMSは、PDに対して考えられる処置として綿密に検査されてきた(Ying-hui Chouら、JAMA Neurol. 2015年4月1日;72(4):432~440頁)。
【0179】
上の方法のいずれかでは、任意選択で、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させる工程が、
- レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を決定する工程;
- レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量を、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の量と相関させる工程、並びに
- 任意選択で、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の量を、健常な対照対象における通常の対照値と比較する工程
を含む。
【0180】
対照値は、例えば、通常の対照値、前臨床対照値及び/又は臨床対照値であり得る。
【0181】
「健常な対照対象」又は「健常ボランティア(HV)対象」は、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常の臨床的証拠を示さない者である。
【0182】
上で要約されている方法のいずれかで、アルファ-シヌクレイン凝集体に対して結合する化合物の量が、通常の対照値より多い場合、患者は、アルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害若しくは異常又はシヌクレイノパチーに罹患している、又はそれを発症しやすいと予想され得る。
【0183】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、本発明の化合物と接触させる。
【0184】
任意の本発明の化合物は、上で要約されている方法で使用され得る。好ましくは、本発明の検出可能に標識された化合物は、上で要約されている方法で用いられる。
【0185】
特定の身体部分又は身体領域は、アルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる患者の全身又は部分的な身体領域又は身体部分を含む、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトのものである。特定の身体部分又は身体領域は、脳、中枢神経系、眼又は末梢器官、例えば腸、好ましくは脳であり得る。
【0186】
組織は、脳組織、中枢神経系(CNS)の組織、眼の組織(例えば網膜組織)、末梢器官の組織、例えば腸若しくは他の組織、又は体液、例えば脳脊髄液(CSF)若しくは血液であり得る。組織は、好ましくは脳組織である。好ましくは、試料は、患者からのin vitro試料である。
【0187】
上の方法では、本発明の化合物は、任意の好適な方法により、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域と、接触させることができる。
【0188】
in vitro方法では、本発明の化合物及び液体試料は、単に混合してよい。
【0189】
in vivo方法では、特定の身体部分又は身体領域は、有効量の本発明の化合物を患者に投与する工程により、本発明の化合物と接触させることができる。
【0190】
本発明の化合物の有効量は、試料、特定の身体部分又は身体領域における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無を、選択された分析技術を使用して判定されるようにするのに好適な量である。量は、特に限定されず、式(I)の化合物、検出可能な標識のタイプ、それぞれの分析法の感受性、及びそれぞれのデバイスによって決まる。量は、当業者により適切に選択され得る。
【0191】
化合物は、次いで、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる。化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程は、本発明の化合物が、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合するのに十分な時間を設ける工程を含む。結合に必要とされる時間の量は、テストのタイプ(例えば、in vitro又はin vivo)によって決まり、当業者により日常的な実験で決定され得る。in vivo方法では、時間の量は、化合物が、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる特定の身体部分又は身体領域に達するのに必要とされる時間によって決まる。時間の量は、本発明の化合物のウォッシュアウト及び/又は代謝を避けるために、過剰に延長させるべきではない。
【0192】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合している化合物は、続いて任意の適切な方法により検出され得る。レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する方法は、特に限定されず、とりわけ検出可能な標識、試料のタイプ、特定の身体部分又は身体領域、及び方法がin vitro又はin vivo方法のどちらかによって決まる。考えられる方法の例は、蛍光画像化技術又は核画像化技術、例えば陽電子放射断層撮影(PET)、単一光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)、磁気共鳴画像法(MRI)及び造影磁気共鳴画像法(MRI)を含むが、それらに限定されない。これらは、説明されており、アルファ-シヌクレインバイオマーカーの可視化を可能にする。蛍光画像化技術及び/又は核画像化技術は、試料又は特定の身体部分若しくは身体領域内における、検出可能に標識された化合物の分布をモニター及び/又は可視化するために用いられ得る。画像化システムは、テストされる試料、テストされる特定の身体部分又はテストされる身体領域に存在する、結合している検出可能な標識、例えば放射性同位体、詳細には陽電子放出体又はガンマ放出体の画像を得る。好ましくは、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物は、画像化装置、例えばPET又はSPECTスキャナー、より好ましくはPETにより検出される。
【0193】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の量は、例えばPETスキャン画像を使用した視覚的又は定量的分析によっても決定され得る。
【0194】
本発明による化合物、又はその前駆体も、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレインタンパク質凝集体を検出するためのテストキットに組み込まれ得る。テストキットは、典型的には、本発明による1つ又は複数の化合物又はその前駆体、並びにレビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合することと、アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の形成を検出し、その結果、アルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物の有無を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の有無と相関させることを目的とする化合物の使用説明書を保持する容器を含む。
【0195】
「テストキット」という用語は、一般に、当業界で公知の任意の診断キットを指す。より具体的には、任意の診断キットという用語は、Zreinら、Clin. Diagn. Lab. Immunol.、1998年、5、45~49頁に記載されている診断キットを指す。
【0196】
本発明の検出可能に標識された化合物、好ましくは18Fで標識された式(I-F)の化合物、3Hで標識された又は式(I-H*)又は(I-H)の化合物の用量は、投与されるべき正確な化合物、患者の質量、試料の大きさ及びタイプ、並びに当分野の医師に明らかな他の可変要素に応じて変動する。一般的に、用量は、好ましくは0.001μg/kg~10μg/kg、好ましくは0.01μg/kg~1.0μg/kgの範囲内にあり得る。放射性用量は、例えば、100~600MBq、より好ましくは150~450MBqになり得る。
【0197】
本発明の化合物を合成する方法
本発明の化合物は、式(I)の化合物の定義に従って、以下のスキーム又は実施例に記載されている経路により調製され得る。本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書において特に指示がない限り、又は文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施され得る。本明細書で提供される任意の、及びすべての実施例、又は例示的な言葉(例えば「例えば」)の使用は、単に本発明をよりよく解明することが意図され、別途の主張がなされない限り、本発明の範囲で限定を課さない。以下の一般的方法では、R
1、R
2、
【化65】
、X、LG及びnは、上の実施形態で以前に定義されている通りである、又はスキームにおける意味に限定されている。特に定めのない限り、出発物質は、市販又は公知の合成方法により調製される。
【0198】
本発明の化合物及び前駆体を調製するための一般的合成スキーム:
【化66】
市販のケトンは、SNAr反応により求核試薬と反応させて、中間体Aを得ることができる。適切なケトン及びエステルとのクライゼン縮合により中間体Bが得られ、これは、適切な溶媒中でヒドラジンを使用して、環化することができる。アセタールの脱保護は、酸性条件を使用して、アルデヒドDを送達できる。還元試薬の存在下でR
2-アミン及び中間体Dを用いた還元的アミノ化により、中間体Eが得られる。最終的に、中間体Eは、適切な溶媒中で、例えばCDIを使用して環化して、式(I)の化合物を得ることができる。
【0199】
【化67】
市販のアルデヒド及び適切なアミンを使用した還元的アミノ化は、アミン中間体Fを送達できる。次いで、適切な条件を使用した脱保護により、NHピラゾールGを得ることができる。例えばCDIを使用した後続の環化により、中間体Hが得られる。環は、パラジウム供給源を使用した鈴木反応により導入できる。最終的に、中間体Jは、適切なR
1を用いたSNAr反応を使用して更に官能基化して、式(I)の化合物を得ることができる。
【0200】
本発明の18F-標識化合物の一般的合成
18Fにより標識されている、式(I)を有する化合物は、前駆体化合物を、前駆体化合物に含まれるLGが18Fにより置き換えられるように、以下に記載されているように18F-フッ素化剤と反応させることにより調製され得る。
【0201】
18F-フッ素化に使用され得る試薬、溶媒及び状態は、当業者に周知である(L. Cai、S. Lu、V. Pike、Eur. J. Org. Chem 2008年、2853~2873頁;J. Fluorine Chem.、27(1985年):177~191頁;Coenen、Fluorine-18 Labeling Methods: Features and Possibilities of Basic Reactions、(2006年)、Schubiger P.A.、Friebe M.、Lehmann L.(編)、PET-Chemistry - The Driving Force in Molecular Imaging. Springer、Berlin Heidelberg、15~50頁)。好ましくは、18F-フッ素化に使用される溶媒は、DMF、DMSO、アセトニトリル、DMA、又はそれらの混合物であり、好ましくは、溶媒は、アセトニトリル又はDMSOである。
【0202】
任意の好適な18F-フッ素化剤を用いてよい。典型的な例は、H18F、アルカリ又はアルカリ土類18F-フルオリド(例えば、K18F、Rb18F、Cs18F及びNa18F)を含む。任意選択で、18F-フッ素化剤は、キレート剤、例えばクリプタンド(例えば:4,7,13,16,21,24-ヘキサオキサ-1,10-ジアザビシクロ[8.8.8]-ヘキサコサン、Kryptofix(登録商標))又はクラウンエーテル(例えば:18-クラウン-6)と組み合わせて使用され得る。或いは、18F-フッ素化剤は、18Fのテトラアルキルアンモニウム塩又は18Fのテトラアルキルホスホニウム塩、例えば、18Fのテトラ(C1~6アルキル)アンモニウム塩又は18Fのテトラ(C1~6アルキル)ホスホニウム塩であり得る。好ましくは、18F-フッ素化剤は、K18F、H18F、Cs18F、Na18F、18Fのテトラ(C1~6アルキル)アンモニウム塩、kryptofix[222]18F又はテトラブチルアンモニウム[18F]フルオリドである。
【0203】
放射性標識としての18Fに関する反応が上で示されているが、他の放射性標識を以下の同様の手順で導入してよい。
【0204】
本発明は、以下の実施例により例証されるが、これは限定と解釈されるべきではない。
【実施例】
【0205】
本発明の例示
本開示の化合物は、当業界で公知の有機合成の方法により調製され得る。方法のすべてで、必要に応じて化学の一般的原理に従って、感受性基又は反応基に対する保護基が用いられ得ることは理解される。保護基は、有機合成の標準方法に従って操作される(T. W. Green及びP. G. M. Wuts(2014年) Protective Groups in Organic Synthesis、第5版、John Wiley & Sons)。これらの基は、化合物合成の都合のよい段階で、当業者に容易に明らかな方法を使用して除去される。
【0206】
特に注記がなければ、すべての試薬及び溶媒は、商用供給源から得、更なる精製なしで使用した。
【0207】
化学名は、CambridgeSoft社のChemBioDraw Ultra v20を使用して生成した。
【0208】
温度は、摂氏温度で示される。別途言及されていなければ、すべての蒸発は減圧下、典型的には約15mm Hgから100mm Hg(=20~133mbar)で実施される。最終製品、中間体及び出発物質の構造は、標準分析法、例えば、微量分析及び分光特性、例えばMS、IR、NMRにより確認される。
【0209】
略語
使用される略語は、当業界で従来のものである。
【0210】
【0211】
分析の詳細、調製法及び分析法
NMR測定は、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用して、又は使用せずに、重水素化溶媒において、DRX-400MHz NMR分光計、Bruker AV-400MHz NMR分光計又はSpinsolve 80MHz NMR分光計で実施した。化学シフト(o)は、TMSから何ppm低磁場側かで報告されており、スペクトルの分裂パターンは、一重線(s)、二重線(d)、三重線(t)、四重線(q)、五重線(quint)、七重線(sept)、多重線、未分解又は重複シグナル(m)又はブロードシグナル(br)と指定される。重水素化溶媒は丸括弧内に示され、ジメチルスルホキシド(δ2.50ppm)、メタノール(δ3.31ppm)、クロロホルム(δ7.26ppm)、又は、NMRスペクトルデータで示されている他の溶媒の化学シフトを有する。
【0212】
質量スペクトル(MS)は、Waters社製のAdvion CMS質量分析計、又はフォトダイオードアレイ検出器を備えたUPLC H-Class Plus、及びQda質量分析計で記録した。
【0213】
カラムクロマトグラフィーは、シリカゲル(Fluka: シリカゲル60、0.063~0.2mm)、及び具体例で示される好適な溶媒を使用して実施した。
【0214】
フラッシュカラムクロマトグラフィーシステム:フラッシュ精製は、HP-Sil又はKP-NH SNAPカートリッジ(Biotage社)、及び具体例で示される溶媒勾配を使用して、Biotage社Isolera Oneフラッシュ精製システムを用いて実施した。
【0215】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、UV検出を用いてシリカゲルプレートで実行した。
【0216】
構成成分調製
構成成分調製1:
【化68】
ステップ1:
オーブン乾燥させたねじ蓋付きバイアルにおいて、アルゴン雰囲気下で、2,5-ジブロモピラジン(1.0g、4.2mmol)、(R)-3-フルオロピロリジン塩化水素(0.63g、5.1mmol)、Cs
2CO
3(2.74g、8.4mmol)及びDMSO(10mL)を添加した。混合物を、100℃に12時間加熱した。次いで、反応混合物を氷冷水(15mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過した。得られた塊をヘキサン(3×5mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させて、(R)-2-ブロモ-5-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピラジンをオフホワイト色固体(0.76g、73%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.21 (d, 1H), 7.84 (d, 1H), 5.47 (dt, 1H), 3.71 (m, 2H), 3.60 (m, 1H), 3.44 (dd, 1H), 2.22 (m, 2H).
MS (ESI) 246.05 [M+H]+
【0217】
ステップ2:
オーブン乾燥させた丸底フラスコにおいて、アルゴン雰囲気下で、(R)-2-ブロモ-5-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピラジン(500mg、2.0mmol)、ビスピナコラートジボラン(620mg、2.4mmol)、KOAc(595mg、6.0mmol)及び1,4-ジオキサン(15mL)を添加した。反応混合物をアルゴンで15分間脱気した。次いで、Pd(dppf)Cl2.DCM(165mg、0.2mmol)を添加し、混合物を、100℃に16時間加熱した。その後、溶媒を高真空下で除去した。得られた粗製物に、ヘキサン中40%EtOAc(3×40mL)を添加し、セライトパッドを介して濾過した。合わせた有機層を高真空下で濃縮した。得られた塊(R)-2-(3-フルオロピロリジン-1-イル)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピラジンを、更なる精製一切なしで次のステップに直接使用した。MS(ESI)294.26 [M+H]+
【0218】
構成成分調製2:
【化69】
ステップ1:
3,5-ジブロモ-1H-ピラゾール(10g、44.4mmol)のDCM(200mL)中の溶液に、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(6.3g、75.5mmol)及びp-トルエンスルホン酸(PTSA)(0.5g、2.7mmol)を添加した。反応混合物を室温(RT)で4時間撹拌した。反応の進行は、TLCでモニターした。完了後、反応を飽和NaHCO
3水溶液(2×60mL)でクエンチし、DCM(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた粗製物を、ヘキサン中4%EtOAcで溶出するシリカゲル(230~400メッシュ)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、3,5-ジブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾールを白色固体(22g、80%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 6.76 (s, 1H), 5.44 (dd, 1H), 3.90 (m, 1H), 3.61 (m, 1H), 2.19 (m, 1H), 1.97 (m, 1H), 1.87 (qd, 1H), 1.69 (m, 1H), 1.51 (m, 2H).
MS (ESI) 309.85 [M+H]+
【0219】
ステップ2:
3,5-ジブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール(10g、32.3mmol)のTHF(350mL)中の溶液に、iPrMgCl(THF中2M、21mL、42mmol)を、アルゴン雰囲気下、-70℃で撹拌しながら滴下添加した。添加中、温度を-60℃未満に保持した。反応混合物を-70℃/-60℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物に、DMF(25mL、32.3mmol)を撹拌しながら滴下添加し、温度を-60℃未満に保持した。反応混合物を同一の温度で5分撹拌し、次いで室温まで徐々に温め、5時間保持した。完了後、反応を飽和NH4Cl水溶液(80mL)でクエンチし、EtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた粗製物を、ヘキサン中40%EtOAcで溶出するシリカゲル(230~400メッシュ)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルバルデヒドを黄色固体(6.3g、75%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 9.93 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 6.03 (dd, 1H), 3.90 (m, 1H), 3.63 (m, 1H), 2.19 (m, 1H), 1.95 (m, 3H), 1.65 (m, 1H), 1.53 (m, 2H).
MS (ESI) 259.95 [M+H]+
【0220】
調製例
(調製例1)
【化70】
ステップA:
フラスコにおいて、1-(6-ブロモピリジン-3-イル)エタノン(2、10.00mmol)、(S)-3-フルオロピロリジンヒドロクロリド(2.51g、20.00mmol)及びフッ化セシウム(9.11g、60.0mmol)を、乾燥ジメチルスルホキシド(40mL)中で120℃で加熱した。1時間35分後、フッ化セシウム(4.6g、30.0mmol)を添加し、混合物を120℃で更に35分間撹拌した。水を添加し、生成物をジクロロメタンで3回抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ100gカラム、ヘプタン中20~80%酢酸エチル)により精製して、(S)-1-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)エテノンを淡黄色固体(1.66g、80%)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 8.73 (d, 1H), 7.99 (dd, 1H), 6.56 (d, 1H), 5.47 (d, 1H), 4.03 - 3.48 (m, 4H), 2.45 (s, 3H), 2.29 - 1.73 (m, 2H).
MS: 209.03 [M+H
]+
【0221】
ステップB:
フラスコにおいて、アルゴン下で、ステップAからの化合物(1.65g、7.92mmol)及びジエトキシ酢酸エチル(4.27mL、23.77mmol)をジエチルエーテル(60mL)中に混合した。ナトリウムエトキシド(3.24g、47.5mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、氷浴において冷却し、1N HCl水溶液をpH6~7に達するまで添加した。混合物を水で希釈し、2つの層を分離した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ100gカラム、ヘプタン中20~80%酢酸エチル)により精製して、(S)-1-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)エテノンを黄褐色固体(2.39g、89%)として得た
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 8.72 (d, J = 4.7, 2.3 Hz, 1H), 8.00 (dd, J = 9.1, 5.2, 2.4 Hz, 1H), 6.78 - 6.41 (m, 2H), 5.35 (d, 1H), 4.86 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 4.22 - 3.16 (m, 8H), 2.28 - 1.82 (m, 2H), 1.15 (t, 6H).
MS: 339.11 [M+H]+
【0222】
ステップC:
フラスコにおいて、アルゴン下で、ステップBからの化合物(2.39g、7.06mmol)をエタノール(70mL)に溶解した。ヒドラジン水和物(0.756mL、7.77mmol)を滴下添加し、反応混合物を1時間10分還流させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物を重炭酸ナトリウムの水溶液に溶解し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水した、濾過し、濃縮乾固して、(S)-5-(3-(ジエトキシメチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-2-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジンを白色固体(2.08g、6.22mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 12.91 (s, 1H), 8.50 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.89 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 6.73 - 6.42 (m, 2H), 5.89 - 4.97 (m, 2H), 3.95 - 3.42 (m, 8H), 2.37 - 1.59 (m, 2H), 1.15 (t, J = 7.0 Hz, 6H).
MS: 335.14 [M+H]+
【0223】
ステップD:
ステップCからの化合物(2.08g、6.22mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、1N塩酸の水溶液(15mL、494mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間20分撹拌した。1N塩酸の追加の水溶液(10mL、329mmol)を添加し、反応混合物を室温で更に40分間撹拌した。混合物を、1N水酸化ナトリウムの水溶液でpH14に塩基化した。酢酸エチルを添加し、水性相を2回抽出した。有機層を合わせ、NaHCO3の飽和溶液及びブラインで洗浄した。有機層を濃縮して、(S)-5-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルバルデヒドを白色固体(1.66g、6.38mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 9.90 (s, 1H), 8.58 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.95 (dd, J = 8.8, 2.4 Hz, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.60 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.46 (d, J = 53.4 Hz, 1H), 4.12 - 3.52 (m, 4H), 2.22 - 1.72 (m, 2H).
MS: 261.05 [M+H]+
【0224】
(調製例2)
【化71】
調製例1からの化合物(250mg、0.961mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)中の溶液に、チタン(IV)イソプロポキシド(0.141mL、0.480mmol)を室温で添加し、混合物を5分間撹拌した。3-アミノピリジン(181mg、1.921mmol)及び酢酸(6mL)を添加し、混合物を室温で、イミンへと完全に変換するまで(20時間)撹拌した。この時間中、6mLの酢酸を添加した。トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1425mg、6.72mmol)を添加し、混合物を3時間撹拌した。反応混合物を水酸化ナトリウム1Nの水溶液でクエンチして、pHを14に到達させた。水性層を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を合わせ、1N NaOHの溶液で2回、ブラインで1回洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。粗生成物をジクロロメタンに懸濁し、還流下で撹拌し、熱時濾過した。同一のプロセスをエタノールで実施した。すべての生成物を濾液に投入し、後者を濃縮乾固して、(S)-N-((5-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)メチル)ピリジン-3-アミンをサーモン色固体(70.1mg、0.207mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 12.80 (s, 1H), 8.46 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 8.11 - 7.66 (m, 3H), 7.20 - 6.87 (m, 2H), 6.66 - 6.40 (m, 2H), 6.28 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 5.44 (d, J = 53.3 Hz, 1H), 4.24 (d, J = 5.8 Hz, 2H), 3.93 - 3.48 (m, 4H), 2.24 - 1.88 (m, 2H).
19F NMR (76 MHz, DMSO-d6) δ -69.70.
MS: 339.11 [M+H]
+
【0225】
(調製例3)
【化72】
ステップA:
バイアルにおいて、アルゴン下で、1-(6-ブロモピリジン-3-イル)エタノン(2.5g、12.50mmol)、(R)-3-フルオロピロリジンヒドロクロリド(3.14g、25.00mmol)及びフッ化セシウム(5.70g、37.5mmol)を、乾燥ジメチルスルホキシド(40mL)中に混合した。混合物をアルゴンでフラッシュし、120℃で1時間30分撹拌した。フッ化セシウム(2.9,18.8mmol)を添加し、混合物を120℃で更に30分撹拌した。プロセスをもう一度繰り返した。水を添加し、生成物をDCMで6回抽出した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ100gカラム、ジクロロメタン中0~5%メタノール)により精製して、(R)-1-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)エテノンを褐色油状物(2.40g、11.53mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 8.72 (d, 1H), 7.98 (dd, 1H), 6.55 (d, 1H), 5.56 (d, 1H), 4.04 - 3.39 (m, 4H), 2.45 (s, 3H), 2.38 - 1.78 (m, 2H).
MS: 209.05 [M+H]
+
【0226】
ステップB:
フラスコにおいて、アルゴン下で、ステップAからの化合物(2.40g、11.53mmol)及びジエトキシ酢酸エチル(2.072mL、11.53mmol)をジエチルエーテル(70mL)中に混合した。ナトリウムエトキシド(1.569g、23.05mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で19時間撹拌した。ジエトキシ酢酸エチル(2.072mL、11.53mmol)及びナトリウムエトキシド(1.569g、23.05mmol)を0℃で添加した。2時間後、変換は完了しておらず、ジエトキシ酢酸エチル(1mL、5.56mmol)及びナトリウムエトキシド(1.569g、23.05mmol)を添加した。混合物を酢酸エチルで希釈し、氷浴において冷却し、1N HCl水溶液(25mL)を、pH6~7に達するまで添加した。混合物を水で希釈し、2つの層を分離した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ100gカラム、ジクロロメタン中0~10%メタノール)により精製し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ100gカラム、ヘプタン中20~80%酢酸エチル)により再精製して、(R)-4,4-ジエトキシ-1-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)ブタン-1,3-ジオンを黄色固体(1.61g、4.76mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 8.72 (d, 1H), 8.00 (dd, 1H), 6.74 - 6.44 (m, 2H), 5.77 (d, 1H), 4.86 (d, 1H), 4.18 - 3.09 (m, 8H), 2.37 - 1.79 (m, 2H), 1.16 (t, 6H).
MS: 339.12 [M+H]+
【0227】
ステップC:
フラスコにおいて、アルゴン下で、ステップBからの化合物(1.61g、4.76mmol)をエタノール(65mL)に溶解した。ヒドラジン水和物(0.509mL、5.23mmol)を滴下添加し、反応混合物を1時間10分還流させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物を重炭酸ナトリウムの水溶液に溶解し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水した、濾過し、濃縮乾固して、(R)-5-(3-(ジエトキシメチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-2-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジンを白色固体(1.37g、4.10mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 12.94 (s, 1H), 8.50 (d, 1H), 7.89 (dd, 1H), 6.66 - 6.42 (m, 2H), 5.86 - 5.04 (m, 2H), 3.94 - 3.42 (m, 8H), 2.22 - 1.58 (m, 2H), 1.15 (t, 6H).
MS: 335.12 [M+H]+
【0228】
ステップD:
ステップCからの化合物(1.37g、4.10mmol)をテトラヒドロフラン(40mL)に溶解し、1N塩酸の水溶液(10ml、329mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間15分撹拌した。混合物を1N水酸化ナトリウムの水溶液でpH14に塩基化した。酢酸エチル及びNaHCO3の飽和溶液を添加し、層を分離した。水性相を2回抽出し、有機層を合わせ、ブラインで1回洗浄した。有機層を濃縮して、(R)-5-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルバルデヒドをベージュ色固体(912mg、3.50mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 9.90 (s, 1H), 8.58 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.60 (d, 1H), 5.46 (d, 1H), 3.94 - 3.52 (m, 4H), 2.26 - 1.78 (m, 2H).
MS: 261.03 [M+H]+
【0229】
(調製例4)
【化73】
ステップA:
フラスコにおいて、1-(6-ブロモピリジン-3-イル)エタノン(2g、10.00mmol)、ピロリジン(2.504ml、30.0mmol)及びフッ化セシウム(9.11g、60.0mmol)を乾燥ジメチルスルホキシド(60mL)中に混合した。混合物を120℃で2時間50分撹拌した。水を添加し、生成物をジクロロメタンで2回抽出した。有機層を水で3回洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮乾固して、1-(6-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)エテノンを橙色固体(1.84g、9.67mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 8.71 (d, 1H), 7.94 (dd, 1H), 6.48 (d, 1H), 3.64 - 3.36 (m, 4H), 2.43 (s, 3H), 2.15 - 1.76 (m, 4H).
MS: 191.04 [M+H]
+
【0230】
ステップB:
フラスコにおいて、アルゴン下で、ステップAからの化合物(1.84g、9.67mmol)及びジエトキシ酢酸エチル(5.22mL、29.0mmol)をジエチルエーテル(80mL)中に混合した。ナトリウムエトキシド(3.95g、58.0mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で50分間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、氷浴において冷却し、1N HCl水溶液をpH6~7に達するまで添加した。混合物を水で希釈し、2つの層を分離した。水性相を1回抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水した、濾過し、濃縮乾固した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ100gカラム、ヘプタン中20~80%酢酸エチル)により精製して、4,4-ジエトキシ-1-(6-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)ブタン-1,3-ジオンを黄色油状物(3.1g、9.68mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 8.71 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 6.66 - 6.38 (m, 2H), 5.01 - 4.73 (m, 2H), 4.11 (s, 1H), 3.80 - 3.28 (m, 8H), 2.10 - 1.78 (m, 4H), 1.32 - 0.97 (m, 6H).
MS: 321.09 [M+H]+
【0231】
ステップC:
フラスコにおいて、アルゴン下で、ステップBからの化合物(3.1g、9.68mmol)をエタノール(80mL)に溶解した。ヒドラジン水和物(1.036mL、10.64mmol)を滴下添加し、反応混合物を1時間還流させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物を重炭酸ナトリウムの水溶液に溶解し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固して、5-(3-(ジエトキシメチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-2-(ピロリジン-1-イル)ピリジンを淡黄色固体(1.88g、5.94mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 12.84 (s, 1H), 8.47 (d, 1H), 7.84 (dd, 1H), 6.66 - 6.30 (m, 2H), 5.52 (s, 1H), 3.80 - 3.34 (m, 8H), 2.08 - 1.78 (m, 4H), 1.15 (t, J = 7.0 Hz, 6H).
MS: 317.12 [M+H]+
【0232】
ステップD:
ステップCからの化合物(1.88g、5.94mmol)を、テトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、塩酸1N水溶液(25ml、823mmol)を添加した。反応混合物を室温で50分間撹拌した。混合物を1N NaOHの水溶液でpH14に塩基化した。酢酸エチルを添加し、水性相を2回抽出した。有機層をNaHCO3の飽和溶液、続いてブラインで洗浄した。有機層を濃縮して、5-(6-(ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルバルデヒドを淡黄色固体(876mg、3.62mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 13.95 (s, 1H), 9.89 (s, 1H), 8.55 (d, 1H), 7.90 (dd, 1H), 7.08 (s, 1H), 6.53 (d, 1H), 3.56 - 3.36 (m, 4H), 2.08 - 1.83 (m, 4H).
MS: 243.06 [M+H]+
【0233】
(調製例5)
【化74】
ステップA:
フラスコにおいて、アルゴン下で、1-(6-ブロモピリジン-3-イル)エタノン(2g、10.00mmol)及びジエトキシ酢酸エチル(1.798mL、10.00mmol)をジエチルエーテル(50mL)中に混合した。ナトリウムエトキシド(0.680g、10.00mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で3時間15分撹拌した。混合物を次いで1時間還流させてから、ナトリウムエトキシド(0.680g、10.00mmol)を添加した。反応混合物を1時間30分更に撹拌してから完了させた。混合物を酢酸エチルで希釈し、氷浴において冷却し、1N HCl水溶液(25mL)をpH6~7に達するまで添加した。混合物を水で希釈し、2つの層を分離した。有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で脱水し、濾過し、濃縮乾固した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ100gカラム、ヘプタン中5~40%酢酸エチル)により精製して、1-(6-ブロモピリジン-3-イル)-4,4-ジエトキシブタン-1,3-ジオンを白色固体(1.175g、3.56mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 8.93 (d, 1H), 8.22 (dd, 1H), 7.84 (d, 1H), 6.70 (s, 1H), 4.90 (d, 1H), 4.33 (s, 1H), 3.64 (q, 4H), 1.18 (t, 6H).
MS: 331.98 [M+H]
+
【0234】
ステップB:
フラスコにおいて、アルゴン下で、ステップAからの化合物(1.18g、3.57mmol)をエタノール(50mL)に溶解した。ヒドラジン水和物(0.383mL、3.93mmol)を滴下添加し、反応混合物を1時間還流させた。溶媒を蒸発させ、粗生成物を重炭酸ナトリウムの水溶液に溶解し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で脱水し、濾過し、濃縮乾固して、2-ブロモ-5-(3-(ジエトキシメチル)-1H-ピラゾール-5-イル)ピリジンを白色固体(1.17g、3.59mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 13.19 (s, 1H), 8.82 (d, 1H), 8.13 (dd, 1H), 7.67 (d, 1H), 6.82 (s, 1H), 5.67 (s, 1H), 3.58 (q, 4H), 1.16 (t, 6H).
MS: 326.00 [M+H]+
【0235】
ステップC:
ステップBからの化合物(1.17g、3.59mmol)をテトラヒドロフラン(40mL)に溶解し、塩酸1N溶液(10ml、329mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を1N NaOHの水溶液でpH9に塩基化した。酢酸エチル及びNaHCO3の飽和溶液を添加し、層を分離した。生成物を有機相に沈殿させ、これを濾過して、5-(6-ブロモピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルバルデヒドヒドロクロリドを白色固体(989.1mg、3.92mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 9.87 (s, 1H), 8.86 (d, 1H), 8.16 (dd, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.28 (s, 1H).
MS: 253.95 [M+H]+
【0236】
(調製例6から14)
調製例2に記載されている還元反応手順に従って、以下のTable 1(表2)に示されているアルデヒドアミン出発物質及び還元剤を使用して、以下の調製例を調製した。
【0237】
【0238】
(実施例1)
【化75】
ステップA:
調製例2からの化合物(65.1mg、0.192mmol)のジクロロエタン(6mL)中の溶液に室温で1,1'-カルボニルジイミダゾール(312mg、1.924mmol)を添加した。混合物を室温で4時間撹拌した。粗反応混合物を濾過し、少量の冷ジクロロエタンですすいで、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6(5H)-オンを淡バラ色固体(50.3mg、0.138mmol)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.97 (d, 1H), 8.67 (d, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.19 (d, 1H), 8.05 (dd, 1H), 7.51 (dd, 1H), 6.93 (s, 1H), 6.62 (d, 1H), 5.47 (d, 1H), 5.15 (s, 2H), 3.95 - 3.54 (m, 4H), 2.35 - 2.11 (m, 2H).
19F NMR (76 MHz, DMSO-d6) δ -69.68.
MS: 365.12 [M+H]
+
【0239】
ステップB:
ステップAからの化合物(19mg、0.052mmol)のジオキサン(3mL)中の溶液に、ジオキサン中4M HCl(0.025ml、0.1mmol)を室温で添加した。混合物を室温で2時間40分撹拌した。溶媒を蒸発させて、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6(5H)-オンヒドロクロリドを淡バラ色固体(23.3mg、0.058mmol)として得た。
1H NMR (80 MHz, DMSO-d6) δ 9.04 (d, 1H), 8.63 - 8.21 (m, 4H), 7.64 (dd, 1H), 7.16 - 6.89 (m, 2H), 5.93 - 5.12 (m, 3H), 4.08 - 3.67 (m, 4H), 2.28 - 1.86 (m, 2H).
19F NMR (76 MHz, DMSO-d6) δ -69.58.
MS: 365.20 [M+H]+
【0240】
(実施例2から9)
実施例1に記載されている環化反応手順に従って、以下のTable 2(表3)に示されている材料を使用して、以下の実施例を調製した。
【0241】
【0242】
(実施例10)
【化76】
ステップ1:
3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルバルデヒド(6.0g、23.2mmol)及びピリジン-3-アミン(2.1g、23.2mmol)のメタノール(240mL)中の溶液に、氷AcOH(0.13mL、2.3mmol)をN
2下で、室温で添加した。次いで、混合物を30分間撹拌した。その後Picボラン(2.4g、23.1mmol)を添加し、混合物を更に16時間撹拌した。反応の進行は、TLCでモニターした。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液でクエンチし、生成物をDCMで3回(100mL×3)抽出した。抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた粗製物を、DCM中2%MeOHで溶出するシリカゲル(230~400メッシュ)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N-((3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)ピリジン-3-アミンを褐色がかった液体(4.2g、53%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.00 (d, 1H), 7.80 (dd, 1H), 7.08 (dd, 1H), 6.95 (dq, 1H), 6.39 (t, 1H), 6.30 (s, 1H), 5.51 (dd, 1H), 4.40 (m, 2H), 3.87 (m, 1H), 3.66 (m, 1H), 2.18 (m, 1H), 1.97 (m, 1H), 1.88 (td, 1H), 1.64 (m, 1H),1.51 (m, 2H).
MS (ESI): 338.38 [M+H]+
【0243】
ステップ2:
N-((3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)ピリジン-3-アミン(4.2g、12.5mmol)のMeOH(100mL)中の撹拌した溶液に、4M HCl水溶液(29.5mL、7.0vol)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で5時間撹拌した。反応時間は、TLCでモニターした。完了後、反応混合物を0℃に冷却し、得られた混合物のpHが最大8~9に達するまで、飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。溶媒を真空下で除去し、生成物をDCMで3回(80mL×3)抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた塊をヘキサンで3回(15mL×3)洗浄し、真空下で乾燥させて、N-((3-ブロモ-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)ピリジン-3-アミンを黄色固体(400mg、80%)として得、更なる精製一切なしで次のステップに直接使用した。
1H NMR (DMSO-d6) δ 13.10 (s, 1H), 7.99 (d, 1H), 7.80 (dd, 1H), 7.08 (dd, 1H), 6.93 (dq, 1H), 6.32 (t, 1H), 6.27 (s, 1H), 4.28 (d, 2H).
MS (ESI): 254.83 [M+H]+
【0244】
ステップ3:
N-((3-ブロモ-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)ピリジン-3-アミン(2.5g、9.8mmol)の1,2-DCE(250mL)中の氷冷溶液に、N2雰囲気下でNaH(鉱油中60%分散)(120mg、4.9mmol)を添加した。次いで、混合物を室温とし、30分間保持した。次いで、CDI(16.0g、99mmol)を反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。完了後、反応混合物を氷冷水でクエンチし、生成物をDCMで3回(70mL×3)抽出した。抽出物をNa2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(230~400メッシュ)により精製して、2-ブロモ-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを黄色固体(1.65g、61%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.94 (m, 1H), 8.44 (dd, 1H), 8.16 (dq, 1H), 7.52 (dd, 1H), 6.74 (t, 1H), 5.14 (d, 2H).
MS (ESI): 279.04 [M]+
【0245】
ステップ4:
オーブン乾燥させたねじ蓋付きバイアルにおいて、2-ブロモ-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(120mg、0.43mmol)、ボロン酸エステル(600mg、0.6mmol)、K3PO4(166mg、1.3mmol)及び1,4-ジオキサン(5.0mL)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物をアルゴンで15分間脱気した。次いで、Pd(dppf)Cl2.DCM(35mg、0.043mmol)を添加し、混合物を、100℃に16時間加熱した。反応物は、TLCによりモニターされるように消費した。その後、反応混合物を氷水でクエンチし、DCMで3回(10mL×3)抽出した。有機層をNa2SO4で脱水し、濃縮し、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(230~400メッシュ)により精製して、(R)-2-(5-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを白色固体(15mg、10%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.97 (d, 1H), 8.75 (d, 1H), 8.43 (q, 1H), 8.21 (m, 1H), 8.10 (d, 1H), 7.52 (q, 1H), 6.90 (s, 1H), 5.51 (d, 1H), 5.17 (d, 2H), 3.78 (m, 3H), 3.54 (m, 1H), 2.25 (m, 2H).
【0246】
ステップ5:
(R)-2-(5-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(15mg、0.041mmol)のDCM(2.0mL)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.075mL)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で6時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、白色固体(10mg、62%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 9.08 (d, 1H), 8.75 (d, 1H), 8.53 (dt, 1H), 8.39 (d, 1H), 8.10 (d, 1H), 7.79 - 7.68 (m, 1H), 7.03 - 6.82 (m, 1H), 5.51 (d, 1H), 5.19 (s, 2H), 3.84 - 3.64 (m, 3H), 3.64 - 3.52 (m, 1H), 2.41 - 2.13 (m, 2H).
LCMS: 365.95 [M]+
【0247】
(実施例11)
【化77】
ステップ1:
オーブン乾燥させたねじ蓋付きバイアルにおいて、2-ブロモ-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(120mg、0.43mmol)、ボロン酸エステル(600mg、0.6mmol)、K
3PO
4(166mg、1.3mmol)及び1,4-ジオキサン(5.0mL)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物をアルゴンで15分間脱気した。次いでPd(dppf)Cl
2.DCM(35mg、0.043mmol)を添加し、混合物を、100℃に16時間加熱した。反応物は、TLCによりモニターされるように消費した。その後、反応混合物を氷水でクエンチし、DCMで3回(10mL×3)抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濃縮し、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(230~400メッシュ)により精製して、(S)-2-(5-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを白色固体(20mg、13%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 8.97 (d, 1H), 8.75 (d, 1H), 8.43 (dd, 1H), 8.20 (ddd, 1H), 8.10 (d, 1H), 7.52 (dd, 1H), 6.96 - 6.86 (m, 1H), 5.51 (d, 1H), 5.17 (s, 2H), 3.93 - 3.62 (m, 3H), 3.62 - 3.46 (m, 1H), 2.35 - 2.10 (m, 2H).
LCMS: 365.8 [M]+
【0248】
ステップ2:
(S)-2-(5-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(20mg、0.054mmol)のDCM(1.6mL、80vol)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.1mL、5.0vol)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で5時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(S)-2-(5-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピラジン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を白色固体(15mg、71%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 9.21 - 9.16 (m, 1H), 8.76 (d, 1H), 8.68 - 8.55 (m, 2H), 8.11 (d, 1H), 7.92 (dd, 1H), 6.94 (s, 1H), 5.51 (d, 1H), 5.21 (s, 2H), 3.94 - 3.64 (m, 3H), 3.64 - 3.52 (m, 1H), 2.42 - 2.11 (m, 2H).
LCMS: 365.9 [M]+
【0249】
(実施例12)
【化78】
ステップ1:
オーブン乾燥させたねじ蓋付きバイアルにおいて、2-ブロモ-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(250mg、0.89mmol)、ボロン酸エステル(323mg、1.39mmol)、NaHCO
3(376mg、4.48mmol)及び(THF/H
2O)(4:1、5.0mL、20vol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物をアルゴンで15分間脱気した。次いで、Pd(dppf)Cl
2.DCM(73mg、0.089mmol)を添加し、混合物を、100℃に5時間加熱した。その後、反応混合物を氷水でクエンチし、EtOAcで3回(30mL×3)抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濃縮し、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(230~400メッシュ)により精製して、2-(5,6-ジフルオロピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを褐色固体(100mg、35%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.98 (d, 1H), 8.67 (t, 1H), 8.57 (m, 1H), 8.45 (dd, 1H), 8.21 (dq, 1H), 7.53 (dd, 1H), 7.18 (s, 1H), 5.21 (s, 2H).
MS (ESI): 314.56 [M+H]+
【0250】
ステップ2:
2-(5,6-ジフルオロピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(50mg、0.15mmol)、(R)-3-フルオロピロリジン塩化水素(20mg、0.23mmol)、DIPEA(0.06mL、0.48mmol)及びNMP(2.0mL)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物をマイクロ波照射下で、100℃で1時間加熱した。完了後、反応混合物を氷冷水(5mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過し、得られた塊をヘキサンで3回(3mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(R)-2-(5-フルオロ-6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンをオフホワイト色固体(32mg、52%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 8.97 (d, 1H), 8.54 (s, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.27 - 8.13 (m, 1H), 7.92 (d, 1H), 7.51 (dd, 1H), 7.00 (s, 1H), 5.44 (d, 1H), 5.16 (s, 2H), 3.85 (td, 3H), 3.69 (q, 1H), 2.31 - 2.03 (m, 2H).
LCMS: 382.9 [M]+
【0251】
ステップ3:
(R)-2-(5-フルオロ-6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(32mg、0.08mmol)の1,4-ジオキサン(1.0mL、30vol)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.16mL、5.0vol.)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で7時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(R)-2-(5-フルオロ-6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩をオフホワイト色固体(30mg、85%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 9.09 (d, 1H), 8.54 (s, 2H), 8.42 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.74 (dd, 1H), 7.03 (s, 1H), 5.44 (d, 1H), 5.19 (d, 2H), 3.92 - 3.65 (m, 4H), 2.32 - 2.03 (m, 2H).
LCMS: 383.2 [M+H]+
【0252】
(実施例13)
【化79】
ステップ1:
2-(5,6-ジフルオロピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(30mg、0.095mmol)、(S)-3-フルオロピロリジン塩化水素(17mg、0.14mmol)、DIPEA(0.05mL、0.18mmol)及びNMP(0.6mL、20vol.)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物をマイクロ波照射下で、100℃で1時間加熱した。完了後、反応混合物を氷冷水(5mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過し、得られた塊をヘキサンで3回(3mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(S)-2-(5-フルオロ-6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンをオフホワイト色固体(20mg、55%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D
6) δ 8.96 (d, 1H), 8.54 (t, 1H), 8.42 (dd, 1H), 8.20 (d, 1H), 7.94 (dd, 1H), 7.51 (dd, 1H), 7.00 (s, 1H), 5.44 (d, 1H), 5.16 (s, 2H), 3.98 - 3.62 (m, 4H), 2.33 - 1.98 (m, 2H).
LCMS: 382.9 [M]+ ;
【0253】
ステップ2:
(S)-2-(5-フルオロ-6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(20mg、0.05mmol)の1,4-ジオキサン(0.6mL、30vol.)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.1mL、5.0vol.)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で7時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(S)-2-(5-フルオロ-6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を黄色固体(15mg、71%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 9.11 (d, 1H), 8.60 - 8.50 (m, 2H), 8.45 (d, 1H), 7.95 (dd, 1H), 7.78 (dd, 1H), 7.03 (s, 1H), 5.44 (d, 1H), 5.19 (s, 2H), 3.96 - 3.75 (m, 3H), 3.75 - 3.62 (m, 1H), 2.32 - 2.01 (m, 2H).
LCMS: 383.3 [M+H]+ ;
【0254】
(実施例14)
【化80】
ステップ1:
オーブン乾燥させたねじ蓋付きバイアルにおいて、2-ブロモ-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(450mg、1.6mmol)、ボロン酸(500mg、3.2mmol)、NaHCO
3(675mg、8.0mmol)及びTHF:H2O(4:1、9.0mL、20vol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物をアルゴンで15分間脱気した。次いでPd(dppf)Cl
2.DCM(130mg、0.16mmol)を添加し、混合物を、100℃に4時間加熱した。その後、反応混合物を氷水でクエンチし、DCMで3回(30mL×3)抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濃縮し、DCM中2%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュ)により精製して、2-(6-フルオロ-2-メチルピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを黄色固体(300mg、60%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.97 (d, 1H), 8.42 (d, 1H), 8.20 (d, 1H), 7.81 (d, 1H), 7.52 (dd, 1H), 6.77 (s, 1H), 6.45 (d, 1H), 5.45 (d, 1H), 5.16 (s, 2H), 3.89 - 3.38 (m, 4H), 2.60 (s, 3H), 2.36 - 2.04 (m, 2H).
LCMS: 310.9 [M+H]+
【0255】
ステップ2:
2-(6-フルオロ-2-メチルピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(80mg、0.16mmol)、(R)-3-フルオロピロリジン塩化水素(82mg、0.32mmol)、DIPEA(0.16mL、0.48mmol)及びNMP(2mL、20vol)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物をマイクロ波照射下で、160℃で4時間加熱した。完了後、反応混合物を氷冷水(10mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過し、得られた塊をヘキサンで3回(5mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンをオフホワイト色固体(70mg、71%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.98 (d, 1H), 8.43 (d, 1H), 8.20 (d, 1H), 7.81 (d, 1H), 7.52 (dd, 1H), 6.77 (s, 1H), 6.46 (d, 1H), 5.46 (d, 1H), 5.16 (s, 2H), 3.70 (m, 3H), 3.46 (m, 1H), 2.60 (s, 3H), 2.20 (m, 2H).
LCMS: 379.4 [M+H]+
【0256】
ステップ3:
(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(70mg、0.18mmol)のDCM(7mL、100vol)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.7mL、10vol)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で6時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を白色固体(60mg、78%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 9.12 (d, 1H), 8.58 (dd, 1H), 8.52 - 8.42 (m, 1H), 8.21 (d, 1H), 7.80 (dd, 1H), 7.03 (d, 1H), 6.96 (d, 1H), 5.69 - 5.43 (m, 1H), 5.24 (s, 2H), 4.11 - 3.64 (m, 4H), 2.83 (s, 3H), 2.44 - 2.12 (m, 2H).
LCMS: 379.4 [M+H]+
【0257】
(実施例15)
【化81】
ステップ1:
2-(6-フルオロ-2-メチルピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(80mg、0.26mmol)、(S)-3-フルオロピロリジン塩化水素(66mg、0.52mmol)、DIPEA(0.13mL、0.52mmol)及びNMP(1.6mL、20vol)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物をマイクロ波照射下で、160℃で4時間加熱した。完了後、反応混合物を氷冷水(10mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過し、得られた塊をヘキサンで3回(5mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンをオフホワイト色固体(80mg、81%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 8.97 (d, 1H), 8.43 (dd, 1H), 8.20 (d, 1H), 7.81 (d, 1H), 7.52 (dd, 1H), 6.77 (s, 1H), 6.46 (d, 1H), 5.46 (d, 1H), 5.16 (s, 2H), 3.88 - 3.55 (m, 3H), 3.55 - 3.41 (m, 1H), 2.60 (s, 3H), 2.33 - 2.14 (m, 2H).
LCMS: 378.90 [M]+
【0258】
ステップ2:
(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(80mg、0.21mmol)のDCM(8mL)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.8mL)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で6時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)-2-メチルピリジン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を白色固体(80mg、91%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 9.15 (d, 1H), 8.61 (dd, 1H), 8.59 - 8.48 (m, 1H), 8.23 (d, 1H), 7.87 (dd, 1H), 7.05 (d, 1H), 6.97 (s, 1H), 5.58 (d, 1H), 5.25 (s, 2H), 4.15 - 3.79 (m, 3H), 3.79 - 3.63 (m, 1H), 2.85 (s, 3H), 2.48 - 2.11 (m, 2H).
LCMS: 378.85 [M]+ ;
【0259】
(実施例16)
【化82】
ステップ1:
3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルバルデヒド(2.0g、7.7mmol)及びチアゾール-5-アミン塩化水素塩(3.1g、23.1mmol)のTHF(120mL)中の撹拌した溶液に、チタン(IV)イソプロポキシド(isopropaxide)(6.8mL、23.1mmol)をN
2下で添加し、2時間保持した。次いで、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.72g、11.5mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を高真空下で除去した。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液(40mL)でクエンチし、EtOAc(80mL)を撹拌しながら添加した。生じた無機沈殿物を、セライトベッドを介して濾過した。濾液から有機層を収集し、水性層をEtOAcで3回(60mL×3)抽出した。組み合わせた有機層をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた粗製物を、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲル(100~200メッシュ)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N-((3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)チアゾール-5-アミンを褐色固体(1.5g、57%)として得た。
【0260】
ステップ2:
N-((3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)チアゾール-5-アミン(1.5g、4.3mmol)のMeOH(36mL、24vol)中の撹拌した溶液に、4M HCl水溶液(15mL、10vol)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で4時間撹拌した。反応の完了後、反応混合物(mixure)を0℃に冷却し、得られた混合物のpHが最大8~9に達するまで、飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。溶媒を真空下で除去し、生成物をDCMで3回(50mL×3)抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた塊をヘキサンで3回(8mL×3)洗浄し、真空下で乾燥させて、N-((3-ブロモ-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)チアゾール-5-アミンを黄色固体(1.0g、90%)として得、更なる精製一切なしで次のステップに直接使用した。MS(ESI):258.99 [M+H]+
【0261】
ステップ3:
N-((3-ブロモ-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)チアゾール-5-アミン(1.0g、3.8mmol)の1,2-DCE(15mL)中の氷冷溶液に、NaH(鉱油中60%分散)(92mg、1.9mmol)をN2雰囲気下で添加した。次いで、混合物を室温とし、30分間保持した。次いで、CDI(6.2g、38.6mmol)を反応混合物に添加し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を氷冷水でクエンチし、生成物をDCMで3回(40mL×3)抽出した。抽出物をNa2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、DCM中2%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュ)により精製して、2-ブロモ-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを白色固体(800mg、72%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.82 (d, 1H), 7.79 (d, 1H), 6.74 (s, 1H), 5.10 (m, 2H).
MS (ESI): 284.94 [M+H]+
【0262】
ステップ4:
オーブン乾燥させたねじ蓋付きバイアルにおいて、2-ブロモ-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(400mg、1.4mmol)、ボロン酸(395mg、2.8mmol)、NaHCO3(590mg、7.0mmol)及び(THF:H2O)(4:1、8.0mL)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物をアルゴンで15分間脱気した。次いでPd(dppf)Cl2.DCM(115mg、0.14mmol)を添加し、混合物を、100℃に12時間加熱した。その後、反応混合物を氷水でクエンチし、DCMで3回(20mL×3)抽出した。有機層をNa2SO4で脱水し、濃縮し、DCM中2%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュ)により精製して、2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを白色固体(130mg、30%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.84 (d, 1H), 8.82 (s, 1H), 8.53 (m, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.34 (dd, 1H), 7.17 (s, 1H), 5.17 (s, 2H).
LCMS: 302.15 [M+H]+
【0263】
ステップ5:
2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(50mg、0.16mmol)、(R)-3-フルオロピロリジン塩化水素(30mg、0.24mmol)、DIPEA(0.08mL、0.49mmol)及びNMP(0.5mL、10vol)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物をマイクロ波照射下で、160℃で2時間加熱した。反応混合物を氷冷水(3mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過した。得られた塊をヘキサンで3回(3mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを白色固体(20mg、32%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 7.97 (d, 1H), 7.85 (d, 1H), 7.23 (dd, 1H), 6.95 (d, 1H), 6.14 (d, 1H), 5.80 (d, 1H), 4.65 (d, 1H), 4.30 (s, 2H), 3.03 - 2.74 (m, 3H), 2.74 - 2.59 (m, 1H), 1.52 - 1.27 (m, 2H).
LCMS: 393.15 [M+Na]+
【0264】
ステップ6:
(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(20mg、0.05mmol)のDCM(0.2mL、10vol)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.1mL、5.0vol)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で6時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を白色固体(18mg、85%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.81 (d, 1H), 8.54 (d, 1H), 8.47 - 8.29 (m, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.22 - 6.95 (m, 2H), 5.55 (d, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.01 - 3.77 (m, 4H), 2.35 - 2.04 (m, 2H).
LCMS: 371.15 [M+H]+
【0265】
(実施例17)
【化83】
ステップ1:
2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(50mg、0.16mmol)、(S)-3-フルオロピロリジン塩化水素(30mg、0.24mmol)、DIPEA(0.08mL、0.49mmol)及びNMP(0.5mL)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物をマイクロ波照射下で、160℃で2時間加熱した。完了後、反応混合物を氷冷水(3mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過した。得られた塊をヘキサンで3回(3mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを白色固体(20mg、32%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.79 (d, 1H), 8.68 (d, 1H), 8.05 (dd, 1H), 7.77 (d, 1H), 6.96 (s, 1H), 6.62 (d, 1H), 5.47 (d, 1H), 5.12 (s, 2H), 3.87 - 3.56 (m, 3H), 3.56 - 3.43 (m, 1H), 2.38 - 2.05 (m, 2H).
LCMS: 370.2 [M]+
【0266】
ステップ2:
(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(20mg、0.05mmol)のDCM(0.2mL、10vol)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.1mL)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で6時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を白色固体(18mg、85%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.81 (s, 1H), 8.53 (d, 1H), 8.38 (d, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.11 (d, 2H), 5.56 (d, 1H), 5.16 (s, 2H), 4.00 - 3.81 (m, 4H), 2.36 - 2.07 (m, 2H).
LCMS: 370.9 [M]+
【0267】
(実施例18)
【化84】
ステップ1:
3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルバルデヒド(1.0g、3.8mmol)及び2-メチルチアゾール-5-アミン(0.43g、3.8mmol)のメタノール(40mL)中の溶液に、氷AcOH(0.02mL、0.38mmol)を室温、N
2下で添加した。次いで混合物を15分間撹拌した。その後picボラン(1.2g、11.5mmol)を添加し、混合物を80℃で16時間還流させた。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を飽和NaHCO
3水溶液で、0℃でクエンチし、生成物をDCM中10%MeOHで3回(50mL×3)抽出した。抽出物をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた粗製物を、ヘキサン中80%EtOAcで溶出する塩基化したシリカゲル(230~400メッシュ)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N-((3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)-2-メチルチアゾール-5-アミンを褐色がかった液体(0.54g、39%)として得た。
【0268】
ステップ2:
N-((3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)-2-メチルチアゾール-5-アミン(0.54g、1.51mmol)のMeOH(13mL)中の撹拌した溶液に、4M HCl水溶液(3.2mL、15.1mmol)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で15時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、得られた混合物のpHが最大8~9に達するまで、飽和NaHCO3水溶液でクエンチし、生成物をDCM中10%MeOHで3回(25mL×3)抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で脱水し、真空下で濃縮して、N-((3-ブロモ-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)-2-メチルチアゾール-5-アミンを黄色固体(0.26g、63%)として得、更なる精製一切なしで次のステップに直接使用した。MS(ESI):275.00 [M+H]+。
【0269】
ステップ3:
1,2-DCE(3.9mL)中のN-((3-ブロモ-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)-2-メチルチアゾール-5-アミン(260mg、0.95mmol)の氷冷溶液に、NaH(鉱油中60%分散)(19mg、0.47mmol)をN2雰囲気下で添加した。次いで、混合物を10分間撹拌した。CDI(1.5g、9.5mmol)を反応混合物に添加し、温度を室温とし、16時間撹拌した。反応の完了後、粗製物を氷冷水でクエンチし、生成物をDCMで3回(10mL×3)抽出した。抽出物をNa2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(230~400メッシュ)により精製して、2-ブロモ-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを淡褐色がかった固体(135mg、47%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 7.5 (s, 1H), 6.73 (s, 1H), 5.04 (s, 2H), 2.61 (s, 3H).
LCMS: 300.65 [M+H]+
【0270】
ステップ4:
オーブン乾燥させたねじ蓋付きバイアルにおいて、2-ブロモ-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(100mg、0.33mmol)、(6-フルオロピリジン-3-イル)ボロン酸(70mg、0.5mmol)、NaHCO3(140mg、1.6mmol)及び1,4-ジオキサン(3.0mL、30vol)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物をアルゴンで15分間脱気した。次いで、Pd(dppf)Cl2.DCM(27mg、0.03mmol)を添加し、再度10分間脱気した。混合物を、100℃に18時間加熱した。反応物は、TLCによりモニターされるように消費した。その後、反応混合物を氷水でクエンチし、EtOAcで3回(10mL×3)抽出した。有機層をNa2SO4で脱水し、濃縮し、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(230~400メッシュ)により精製して、2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを淡褐色固体(38mg、36%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.83 (d, 1H), 8.52 (td, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.34 (dd, 1H), 7.15 (s, 1H), 5.11 (s, 2H), 2.63 (s, 3H).
LCMS: 316.2 [M+H]+
【0271】
ステップ5:
2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(30mg、0.09mmol)、(R)-3-フルオロピロリジン塩化水素(17mg、0.14mmol)、DIPEA(0.04mL、0.28mmol)及びNMP(0.6mL、20vol.)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物をマイクロ波照射下で、160℃で2時間加熱した。粗混合物を氷冷水(5mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過し、得られた塊をヘキサンで3回(5mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンをオフホワイト色固体(20mg、55%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 8.67 (d, 1H), 8.04 (dd, 1H), 7.48 (s, 1H), 6.94 (s, 1H), 6.62 (d, 1H), 5.47 (d, 1H), 5.07 (s, 2H), 3.87 - 3.64 (m, 3H), 3.55 - 3.42 (m, 2H), 2.62 (s, 3H), 2.33 - 2.10 (m, 2H).
LCMS: 384.8 [MH]+ ;
【0272】
ステップ6:
(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(20mg、0.052mmol)のDCM(1.0mL、50vol.)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.1mL)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で6時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を褐色固体(16mg、76%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 8.52 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.16 - 7.00 (m, 2H), 5.56 (d, 1H), 5.10 (s, 2H), 3.94 - 3.59 (m, 4H), 2.62 (s, 3H), 2.41 - 2.15 (m, 2H).
LCMS: 385.2 [M+H]+
【0273】
(実施例19)
【化85】
ステップ1:
2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(40mg、0.12mmol)、(S)-3-フルオロピロリジン塩化水素(23mg、0.19mmol)、DIPEA(0.06mL、0.38mmol)及びNMP(0.8mL)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物をマイクロ波照射下で、160℃で2時間加熱した。反応混合物を氷冷水(5mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過し、得られた塊をヘキサンで3回(5mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを褐色固体(16mg、33%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D
6) δ 8.67 (s, 1H), 8.05 (d, 1H), 7.48 (s, 1H), 6.95 (s, 1H), 6.62 (d, 1H), 5.47 (d, 1H), 5.07 (s, 2H), 3.91 - 3.56 (m, 3H), 3.51 - 3.42 (m, 1H), 2.61 (s, 3H), 2.32 - 2.04 (m, 2H).
LCMS: 384.7 [M+H]+
【0274】
ステップ2:
(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(16mg、0.041mmol)のDCM(0.8mL、50vol.)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.08mL、5.0vol.)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で6時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(2-メチルチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を褐色固体(14mg、82%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.51 (d, 1H), 8.40 (d, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.20 - 7.01 (m, 2H), 5.56 (d, 1H), 5.10 (s, 2H), 3.73 - 3.42 (m, 4H), 2.62 (s, 3H), 2.42 - 2.10 (m, 2H).
LCMS: 385.15 [M+H]+
【0275】
(実施例20)
【化86】
ステップ1:
3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルバルデヒド(1.5g、5.8mmol)及びイソチアゾール-5-アミン塩化水素塩(1.0g、7.5mmol)の1,2-ジクロロエタン(60mL)中の撹拌した溶液に、トリエチルアミン(1.0mL、7.5mmol)を添加し、室温で30分間撹拌した。これに分子ふるい4A°及び氷AcOH(6.0mL)をN
2下で添加し、2時間保持した。次いで、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(3.7g、17.3mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応の進行は、TLCでモニターした。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液(30mL)でクエンチし、生成物をDCM中5%MeOHで3回(60mL×3)抽出した。合わせた有機層を、Na
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた粗製物を、ヘキサン中50%EtOAcで溶出するシリカゲル(100~200メッシュ)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N-((3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)イソチアゾール-5-アミンを黄色固体(1.4g、70%)として得た。MS(ESI)344.89 [M+H]+。
【0276】
ステップ2:
N-((3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)イソチアゾール-5-アミン(1.4g、4.1mmol)のMeOH(42mL、30vol)中の撹拌した溶液に、4M HCl水溶液(10.2mL)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で3時間撹拌した。反応時間は、TLCでモニターした。完了後、反応混合物を0℃に冷却し、得られた混合物のpHが最大8~9に達するまで、飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。溶媒を真空下で除去し、生成物をDCMで3回(50mL×3)抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた塊をヘキサンで3回(8mL×3)洗浄し、真空下で乾燥させて、N-((3-ブロモ-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)イソチアゾール-5-アミンを黄色固体(700mg、66%)として得、更なる精製一切なしで次のステップに直接使用した。MS(ESI):260.97 [M+H]+。
【0277】
ステップ3:
N-((3-ブロモ-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)イソチアゾール-5-アミン(700mg、2.7mmol)の1,2-DCE(11mL)中の氷冷溶液に、NaH(鉱油中60%分散)(54mg、1.3mmol)をN2雰囲気下で添加した。次いで、混合物を室温とし、30分間保持した。次いで、CDI(4.38g、27mmol)を反応混合物に添加し、室温で3時間撹拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(3mL)でクエンチした。粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過した。得られた塊をヘキサンで3回(5mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、2-ブロモ-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを褐色固体(500mg、65%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.38 (d, 1H), 7.16 (d, 1H), 6.77 (d, 1H), 5.11 (d, 2H).
MS (ESI): 286.98 [M+H]+
【0278】
ステップ4:
オーブン乾燥させたねじ蓋付きバイアルにおいて、2-ブロモ-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(100mg、0.35mmol)、ボロン酸(100mg、0.7mmol)、NaHCO3(147mg、1.7mmol)及びジオキサン:H2O(4:1、4mL)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物をアルゴンで15分間脱気した。次いで、Pd(dppf)Cl2.DCM(57mg、0.07mmol)を添加し、混合物を、100℃に4時間加熱した。反応物は、TLCによりモニターされるように消費した。その後、反応混合物を氷水でクエンチし、DCM中5%MeOHで3回(10mL×3)抽出した。有機層をNa2SO4で脱水し、濃縮し、DCM中5%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュ)により精製して、N-((3-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)イソチアゾール-5-アミンを褐色がかった液体(70mg、73%)として得た。MS(ESI):276.11 [M+H]+。
【0279】
ステップ5:
N-((3-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)イソチアゾール-5-アミン(70mg、0.25mmol)の1,2-DCE(1.0mL)中の氷冷溶液に、NaH(鉱油中60%分散)(5.0mg、0.13mmol)をN2雰囲気下で添加した。次いで、混合物を室温とし、30分間保持した。次いで、CDI(405mg、2.5mmol)を反応混合物に添加し、室温で3時間撹拌した。完了後、反応混合物を氷冷水でクエンチし、粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過した。得られた塊をヘキサンで3回(5mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを褐色固体(40mg、53%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.85 (d, 1H), 8.54 (m, 1H), 8.40 (d, 1H), 7.35 (dd, 1H), 7.18 (m, 2H), 5.18 (s, 2H).
LCMS: 301.80 [M]+
【0280】
ステップ6:
2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(40mg、0.13mmol)、(R)-3-フルオロピロリジン塩化水素(25mg、0.20mmol)、DIPEA(0.07mL、0.39mmol)及びNMP(0.5mL)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物をマイクロ波照射下で、160℃で3時間加熱した。反応の完了後、粗混合物を氷冷水でクエンチし、粗製物は、ブフナー漏斗を介して濾過した。得られた塊をヘキサンで3回(5mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを褐色固体(17mg、35%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 8.69 (dd, 1H), 8.38 (d, 1H), 8.06 (dd, 1H), 7.13 (d, 1H), 6.99 (s, 1H), 6.62 (dd, 1H), 5.47 (d, 1H), 5.14 (s, 2H), 3.86 - 3.58 (m, 3H), 3.54 - 3.42 (m, 1H), 2.33 - 2.08 (m, 2H).
LCMS: 371.10 [M+H]+
【0281】
ステップ7:
(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(17mg、0.045mmol)のDCM(1.0mL、50vol.)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.17mL)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で4時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(R)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を褐色固体(15mg、82%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.57 (d, 1H), 8.39 (d, 1H), 8.32 (d, 1H), 7.22 - 7.06 (m, 2H), 6.99 (s, 1H), 5.54 (d, 1H), 5.16 (d, 2H), 3.96 - 3.41 (m, 4H), 2.40 - 2.09 (m, 2H).
LCMS: 371.20 [M+H]+
【0282】
(実施例21)
【化87】
ステップ1:
2-(6-フルオロピリジン-3-イル)-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(50mg、0.17mmol)、(S)-3-フルオロピロリジン塩化水素(33mg、0.26mmol)、DIPEA(0.09mL、0.51mmol)及びNMP(0.5mL)を、オーブン乾燥させたマイクロ波バイアルにアルゴン雰囲気下で入れた。反応混合物を160℃3時間で加熱した。次いで、反応混合物を氷冷水でクエンチし、粗反応物は、ブフナー漏斗を介して濾過した。得られた塊をヘキサンで3回(3mL×3)洗浄し、高真空下で乾燥させて、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを褐色固体(25mg、40%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 8.69 (dd, 1H), 8.38 (d, 1H), 8.06 (dd, 1H), 7.13 (d, 1H), 7.00 (d, 1H), 6.62 (dd, 1H), 5.47 (d, 1H), 5.14 (s, 2H), 3.88 - 3.55 (m, 3H), 3.48 (td, 1H), 2.33 - 2.08 (m, 2H).
LCMS: 371.00 [M+H]+
【0283】
ステップ2:
(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(25mg、0.07mmol)のDCM(1.3mL、50vol.)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.25mL)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で4時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、(S)-2-(6-(3-フルオロピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-5-(イソチアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を褐色固体(26mg、93%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 8.56 (d, 1H), 8.48 - 8.29 (m, 2H), 7.25 - 7.11 (m, 2H), 7.04 (s, 1H), 5.55 (d, 1H), 5.17 (s, 2H), 3.96 - 3.59 (m, 4H), 2.39 - 2.14 (m, 2H).
LCMS: 371.15 [M+H]+
【0284】
(実施例22)
【化88】
ステップ1:
オーブン乾燥させたねじ蓋付きバイアルにおいて、3-ブロモ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルバルデヒド(2.0g、7.7mmol)、ボロン酸エステル(4.12g、15.4mmol)、K
2CO
3(2.13g、11.5mmol)及びジオキサン:H2O(4:1、50mL)をアルゴン雰囲気下で添加した。反応混合物をアルゴンで15分間脱気した。次いで、Pd(dppf)Cl
2.DCM(630mg、0.77mmol)を添加し、混合物を、70℃に4時間加熱した。その後、反応混合物を氷水でクエンチし、EtOAcで3回(60mL×3)抽出した。有機層をNa
2SO
4で脱水し、濃縮し、ヘキサン中25%EtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュ)により精製して、3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルバルデヒドをオフホワイト色固体(2.0g、81%)として得た。
1H NMR (CDCl3) δ 9.99 (s, 1H), 8.56 (dd, 1H), 8.10 (dd, 1H), 7.17 (s, 1H), 6.86 (m, 1H), 6.14 (dd, 1H), 4.83 (m, 1H), 4.71 (m, 1H), 4.65 (m, 1H), 4.58 (m, 1H), 4.07 (m, 1H), 3.76 (m, 1H), 2.51 (m, 1H), 2.11 (m, 2H), 1.71 (m, 4H), 1.34 (m, 1H), 1.24 (s, 2H).
MS (ESI): 320.24 (M+H)+
【0285】
ステップ2:
3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルバルデヒド(800mg、2.5mmol)及び1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(320mg、3.2mmol)の1,2-ジクロロエタン(32mL)中の撹拌した溶液に、分子ふるい4A°及び氷AcOH(2.4mL)をN2下で添加し、4時間保持した。次いでトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.1g、5.0mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液(80mL)でクエンチし、生成物をDCM(80mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた粗製物を、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲル(100~200メッシュ)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N-((3-(6-(2フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1-テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミンを褐色液体(650mg、65%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.48 (dd, 1H), 8.04 (dd, 1H), 7.08 (d, 1H), 6.96 (d, 1H), 6.87 (dd, 1H), 6.66 (s, 1H), 5.49 (dd, 1H), 4.83 (s, 1H), 4.78 (t, 1H), 4.66 (m, 1H), 4.52 (m, 1H), 4.45 (m, 1H), 4.09 (dd, 2H), 3.87 (d, 1H), 3.64 (s, 3H), 3.60 (m, 1H), 2.30 (m, 1H), 1.99 (m, 1H), 1.87 (m, 1H), 1.63 (dt, 1H), 1.52 (m, 2H), 1.24 (m, 1H).
【0286】
ステップ3:
N-((3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(650mg、1.6mmol)のMeOH(16mL)中の撹拌した溶液に、4M HCl水溶液(6.5mL、10vol)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で5時間撹拌した。次いで、反応混合物を0℃に冷却し、得られた混合物のpHが最大8~9に達するまで、飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。溶媒を真空下で除去し、生成物をEtOAcで3回(80mL×3)抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた塊をヘキサンで3回(5mL×3)洗浄し、真空下で乾燥させて、N-((3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミンを黄色固体(400mg、80%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 12.90 (m, 1H), 8.53 (d, 1H), 8.06 (m, 1H), 7.08 (s, 1H), 6.97 (s, 1H), 6.92 (m, 1H), 6.61 (s, 1H), 4.83 (m, 2H), 4.70 (t, 1H), 4.56 (t, 1H), 4.48 (t, 1H), 4.02 (m, 2H), 3.67 (s, 3H).
MS (ESI): 317.18 (M+H)+
【0287】
ステップ4:
N-((3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(250mg、0.79mmol)の1,2-DCE(15mL)中の氷冷溶液に、NaH(鉱油中60%分散)(17mg、0.4mmol)をN2雰囲気下で添加した。次いで、混合物を室温まで加温させ、30分間保持した。次いで、CDI(1.2g、7.9mmol)を反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷冷水でクエンチし、生成物をDCM中5%MeOHで3回(20mL×3)抽出した。抽出物をNa2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュ)により精製して、2-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを白色固体(170mg、63%)として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-D6) δ 8.73 (d, 1H), 8.24 (dd, 1H), 8.03 (s, 1H), 7.67 (s, 1H), 7.08 - 6.91 (m, 2H), 4.95 (s, 2H), 4.87 - 4.67 (m, 2H), 4.66 - 4.50 (m, 2H), 3.87 (s, 3H).
LCMS: 342.8 (M)+
【0288】
ステップ5:
2-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(80mg、0.23mmol)のDCM(4mL)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.8mL)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で5時間撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、2-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-5-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を白色固体(80mg、91%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.73 (dd, 1H), 8.25 (dd, 1H), 8.04 (d, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.05 - 6.94 (m, 2H), 4.96 (d, 2H), 4.89 - 4.66 (m, 2H), 4.66 - 4.44 (m, 2H), 3.87 (s, 3H).
LCMS: 342.8 (M+H)+
【0289】
(実施例23)
【化89】
ステップ1:
(3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-カルバルデヒド(0.8mg、2.5mmol)及びチアゾール-5-アミン塩化水素塩(0.445g、3.26mmol)の1,2-ジクロロエタン(32mL)中の撹拌した溶液に、トリエチルアミン(0.45mL、3.26mmol)を添加し、30分間を室温で撹拌した。これに分子ふるい4A°及び氷AcOH(3.2mL)をN
2下で添加し、4時間保持した。次いで、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.06g、5.02mmol)を添加し、混合物を室温で5時間撹拌した。反応の進行は、TLCでモニターした。反応混合物を飽和NaHCO
3水溶液(50mL)でクエンチし、生成物をDCMで3回(60mL×3)抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた粗製物を、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲル(100~200メッシュ)上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、N-((3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)チアゾール-5-アミンを褐色液体(0.6g、59%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ 8.48 (dd, 1H), 8.15 (s, 1H), 8.08 (m, 1H), 6.94 (s, 1H), 6.88 (dd, 1H), 6.79 (q, 1H), 6.75 (s, 1H), 5.76 (s, 2H), 5.53 (m, 1H), 4.80 (t, 1H), 4.71 (t, 1H), 4.55 (t, 1H), 4.49 (t, 1H), 4.36 (m, 2H), 3.90 (d, 1H), 3.66 (td, 1H), 2.32 (m, 1H), 1.96 (m, 3H), 1.66 (m, 1H), 1.59 (s, 3H).
MS (ESI): 402.20 (M-H)+
【0290】
ステップ2:
N-((3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)チアゾール-5-アミン(200mg、0.5mmol)のMeOH(6mL、30vol.)中の撹拌した溶液に、4M HCl水溶液(1.3mL、10vol)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で5時間撹拌した。反応時間は、TLCでモニターした。反応混合物を0℃に冷却し、得られた混合物のpHが最大8~9に達するまで、飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。溶媒を真空下で除去し、生成物をEtOAcで3回(50mL×3)抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。得られた塊をヘキサンで3回(5mL×3)洗浄し、真空下で乾燥させて、N-((3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)チアゾール-5-アミンを褐色固体(100mg、63%)として得た。MS(ESI): 320.08(M+H)+
【0291】
ステップ3:
N-((3-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-5-イル)メチル)チアゾール-5-アミン(100mg、0.3mmol)の1,2-DCE(6mL)中の氷冷溶液に、NaH(鉱油中60%分散)(6.0mg、0.16mmol)をN2雰囲気下で添加した。次いで、混合物を室温とし、30分間保持した。次いで、CDI(500mg、3.1mmol)を反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。完了後、反応混合物を氷冷水でクエンチし、生成物を、DCM中5%MeOHで3回(30mL×3)抽出した。抽出物をNa2SO4で脱水し、真空下で濃縮した。残渣を、DCM中3%MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィー(100~200メッシュ)により精製して、2-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オンを白色固体(40mg、36%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.81 (d, 1H), 8.75 (dd, 1H), 8.27 (dd, 1H), 7.79 (d, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.01 (dd, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.89 - 4.67 (m, 2H), 4.67 - 4.47 (m, 2H).
LCMS: 345.9 (M)+
【0292】
ステップ4:
2-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン(40mg、0.12mmol)のDCM(2.4mL)中の撹拌した溶液に、1,4-ジオキサン中4M HCl(0.4mL)を0℃、N2雰囲気下で添加し、室温で5時間撹拌した。次いで、溶媒を蒸発させ、ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥させて、2-(6-(2-フルオロエトキシ)ピリジン-3-イル)-5-(チアゾール-5-イル)-4,5-ジヒドロ-6H-イミダゾ[1,5-b]ピラゾール-6-オン塩化水素塩を白色固体(43mg、98%)として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.81 (d, 1H), 8.75 (dd, 1H), 8.27 (dd, 1H), 7.80 (d, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.01 (dd, 1H), 5.15 (s, 2H), 4.89 - 4.69 (m, 2H), 4.65 - 4.48 (m, 2H).
LCMS: 345.7 (M)+
【0293】
放射性リガンドの合成
実施例1[
3H-1]
【化90】
前駆体1(0.5mg)を、三重水素反応容器において、ジメチルホルムアミド(DMF)(0.3mL)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(5μL)に溶解した。10%のPd/C(0.5mg)を添加し、容器を-200℃で三重水素ガスを用いて0.5atmまで加圧した。溶液を室温で1時間撹拌し、-200℃まで冷却し、過剰の気体を除去した。反応フラスコを、4×1mLのCH
3OHですすぎ、セライトパッドを介してCH
3OH洗浄液の各々に通した。組み合わせたメタノールを真空下、除去した。物質をHPLCにより精製した。移動相を除去し、生成物を無水エタノールに再溶解した(放射化学的純度>99%、及び54.8Ci/mmolの比活性を伴う、10mCi)。Tとは、三重水素(
3H)を意味する。MS (ESI): m/z = 369 (100%) [M+H]
+。
【0294】
生物学的アッセイの説明及び対応する結果
1. ヒトパーキンソン病(PD)脳由来アルファ-シヌクレイン(a-syn)凝集体の調製
手順を、Spillantiniら、1998年に記載されるプロトコールから適応させた。PDドナーからの凍結した組織ブロックを、氷上で解凍し、ガラスのダウンス型ホモジナイザーを使用して均質化した。次いで、ホモジネートを、超遠心分離機(Beckman社、XL100K)において、4℃で20分間、予め冷却した70.1型ローター(Beckman社、342184)を使用して、11,000×g(12,700RPM)で遠心分離した。ペレットを、抽出緩衝液[10mMのTris-HCl pH7.4、10%のスクロース、0.85mMのNaCl、1%のプロテアーゼ阻害剤(Calbiochem 539131)、1mMのEGTA、1%のホスファターゼ阻害剤(Sigma社 P5726及びP0044)]に再懸濁させ、4℃で20分間、15,000×g(14,800RPM、70.1型Tiローター)で遠心分離した。ペレットを廃棄し、サルコシル(20%の原液、Sigma社 L7414)を、室温で1時間、1%の最終濃度まで上清に添加した。次いで、この溶液を、4℃で1時間、100,000×g(38,000RPM、70.1型Tiローター)で遠心分離した。豊富なアルファ-シヌクレイン凝集体を含有するペレットを、PBSに再懸濁させ、使用するまで-80℃で貯蔵した。
【0295】
2. 結合親和性の決定のためのマイクロラジオバインディング競合アッセイ(Micro-radiobinding competition assay)
PD脳由来アルファ-シヌクレイン凝集体を、マイクロアレイスライド上にスポッティングした。スライドを、[3H]-アルファ-シヌクレイン参照を用いて6nM又は20nMで、及び例示化合物(放射性標識されていない)を用いて1μM及び100nMで、インキュベートした。いくつかの場合、放射性標識されていない例示化合物を、0.05nM~2μMで変化する異なる濃度の範囲で更に評価した。インキュベート後、スライドを洗浄し、リアルタイムオートラジオグラフィーシステム(BeaQuant、ai4R社)により走査した。シグナルの定量化は、Beamage画像解析ソフトウェア(ai4R社)を使用することにより実施した。非特異的シグナルを、過剰の放射性標識されていない実施例1(2μM)を用いて決定し、特異的結合を、全シグナルから非特異的シグナルを減算することにより計算した。競合をパーセントとして計算したが、0%は、ビヒクルの存在において特異的結合として定義され、100%は、過剰の放射性標識されていない実施例1の存在において得られた値として定義された。Ki値は、一部位の特異的結合モデルを使用して、非線形回帰曲線の当てはめを適用することよりGraphPad Prism7で計算した。すべての測定は、少なくとも2回の技術的な反復を伴って実施した。2つ以上の実験においてテストした化合物に対して、独立した実験での反復の平均又はKi値を報告する。
【0296】
結果: 例示化合物を、PD患者の脳由来アルファ-シヌクレイン凝集体に対する[3H]-参照アルファ-シヌクレインリガンドの結合と競合する、その効力に対して評価した。テストした例示化合物に対するマイクロラジオバインディング競合アッセイの結果は、Table 3(表4)に示す:1μM及び100nMでの競合%。Table 3(表4)はまたKi値を示す。
【0297】
【0298】
Table 3(表4):ヒトPD脳由来アルファ-シヌクレイン凝集体に対するマイクロラジオバインディング競合アッセイによる結合親和性の評価。例示化合物1~9の1μM及び100nMの存在下における三重水素化した[3H]-実施例1リガンドに占める競合パーセント(%)。Ki値はまた、選択された例示化合物に対して示される。*は、2名の異なるドナーからのPD脳由来ホモジネートを使用する2つの独立した実験におけるKi値を意味する。Table 3(表4)に示す通り、本発明の例示化合物1~9は、PD脳由来アルファ-シヌクレイン凝集体に対して強い結合を示す。
【0299】
3. アルファ-シヌクレイノパチー及びAD組織における標的係合の評価
3A: 高解像度マイクロオートラジオグラフィーによる
プロトコールを、Marquieら、2015年から適応させた。切片を、三重水素化した例示化合物1([3H]-実施例1)を用いて10nM若しくは20nMで、又は参照タウリガンド([3H]-タウ-Ref)を用いて20nMで、室温(RT)で1時間インキュベートした。次いで、切片を以下の通り: 氷冷した50mMのTris-HCl pH7.4緩衝液で1分間を1回、70%の氷冷エタノールで1分間を2回、氷冷した50mMのTris-HCl pH7.4緩衝液で1分間を1回、洗浄し、最終的に、氷冷した蒸留水で簡単にすすいだ。その後、切片を乾燥し、次いで、遮光性スライド貯蔵ボックスにおいて、Ilford原子核乳剤K5型(Agar Scientific社、AGP9281)に露出させた。5日後、切片を、以下の溶液: 1) Ilford Phenisol顕色剤(H2O中1:5希釈、Agar Scientific社、AGP9106)、2) Ilfostop溶液(H2O中1:20希釈、Agar Scientific社、AGP9104)、3) Ilford Hypam Fixer(H2O中1:5希釈、Agar Scientific社、AGP9183)に順次、浸漬することにより現像し、最終的にH2Oですすいだ。
【0300】
示された場合、免疫染色もまた、同じ切片で実施した。画像取得に対して、切片をProLong Gold褪色防止剤(Invitrogen P36930)を使用して載せ、明視野及び蛍光の画像を別々に取り込む20倍の対物レンズを伴うPanoramic150スライドスキャナー(3DHistech社)で画像化した。
【0301】
3B. 抗体を使用した切片の染色による
脳切片を、アミノ酸129アルファ-シヌクレイン(a-syn-pS129、ウサギモノクローナル、Abcam 51253)でリン酸化セリンに特異的な市販の抗体を使用して免疫染色した。切片を、4%のホルムアルデヒド(Sigma社、252549)を用いて4℃で15分間固定し、1×PBS(Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水、Sigma社 D1408)を用いて室温で5分間、3回洗浄した。次に、切片を飽和させ、ブロッキング緩衝液(PBS、10%のNGS、0.25%のTriton X-100)中で、室温で1時間透過化し、a-syn-pS129(PBS、5%のNGS、0.25%のTriton X-100中)に相当する一次抗体を用いて、4℃で終夜インキュベートした。翌日、切片を1×PBSで5分間、3回洗浄した後、AlexaFluor647標識されたヤギ-抗ウサギ(Abcam社、ab150079)の二次抗体を用いて、室温で45分間インキュベートした。二次抗体でのインキュベートに続いて、切片をPBSで3回洗浄した後、更に処理した。画像取得に対して、切片をProLong Gold褪色防止剤(Invitrogen P36930)を使用して載せ、Panoramic150スライドスキャナー(3DHistech社、Hungary)で画像化した。
【0302】
結果: [
3H]-実施例1での高解像度マイクロオートラジオグラフィーは、異なるアルファ-シヌクレイノパチー症例からの凍結したヒト脳切片で実施した。[
3H]-実施例1からの強いオートラジオグラフィーシグナルは、蓄積する銀粒子(
図1の下段)の形態で検出され、多系統萎縮症(MSA)、レビー小体を伴う認知症(DLB)、アルツハイマー病のレビー小体変異型(LBV)及びパーキンソン病認知症(PDD)を含むPD及び他のアルファ-シヌクレイノパチーにおいて、レビー小体及びレビー神経突起での強い標的係合を示唆するa-syn-pS129抗体(
図1の上段)、並びに非常に小さいサイズのアルファ-シヌクレイン凝集体からの免疫蛍光シグナルと共に局在化された。
【0303】
4. オートラジオグラフィーによるPD、PDD、MSA、LBV及び非認知症対照(NDC)のドナーからの脳切片における特異的結合の評価
SNCA(G51D)で標識された1つの家族性PD症例(アルファ-シヌクレイン[SNCA]遺伝子G51Dミスセンス変異)、1つのPDD症例、1つのMSA症例、1つのLBV症例及び2つの非認知症対照 (NDC)例からの凍結したヒト脳切片を、最初、簡潔に4℃で15分間、4%のパラホルムアルデヒド(Sigma社、252549)で固定し、室温で5分間、PBS(Dulbeccoのリン酸緩衝生理食塩水、Sigma社)で3回洗浄した。次いで、すべてのスライドを、実験で使用する前に、50mMのTris-HCl pH7.4緩衝液において20分間平衡化した。各脳切片を、固定濃度(10nM)の三重水素化した例示化合物1([3H]-実施例1)、又は、2.5nMから80nMの範囲で増加させた濃度の[3H]-実施例1の三重水素化した化合物を用いて、Tris-HCl緩衝液において室温で2時間インキュベートした(全結合、「TB」)。非特異的(NSB)結合する[3H]-実施例1を決定するために、5μMの放射性標識されていない化合物(実施例1、自己ブロック、「NSB」)と混合した。スライドを洗浄し、次いで露出し、リアルタイムオートラジオグラフィーシステム(BeaQuant器具、ai4R社)において走査した。特異的な結合を、全シグナルから非特異的シグナルを減算することにより決定した。Kd値は、一部位の特異的結合モデルを使用して、非線形回帰曲線の当てはめを適用することよりGraphPad Prism7で計算した。
【0304】
結果: [
3H]-実施例1は、遺伝的PD症例(
図2A)における用量依存性オートラジオグラフィーシグナルを示した。置換可能なシグナルは、a-syn-pS129抗体で染色することにより決定される、アルファ-シヌクレイン病理の局在化と良好に相関し、PD組織(
図2B)への化合物の特異的結合を示した。特異的シグナルを定量化することにより、解離定数(K
d)は44nMで計算し(
図2C/Table 4(表5))、病理学的アルファ-シヌクレイン凝集体に対する良好な結合親和性を示唆した。
【0305】
【0306】
Table 4(表5):オートラジオグラフィーによる、家族性PD症例(G51Dミスセンス変異)からのヒト脳組織切片での[3H]-実施例1の結合親和性の評価。解離定数(Kd)は、一部位の特異的結合モデルを使用して、非線形回帰曲線の当てはめを適用することよりGraphPad Prism7で計算した。R2は、決定係数である。
【0307】
加えて、[
3H]-実施例1は、1つのPDD、1つのLBV及び1つのMSA症例を含む、様々なアルファ-シヌクレイノパチー組織において標的係合を示した(
図3A)。置換可能なシグナルは、a-syn-pS129抗体で染色することにより決定される、アルファ-シヌクレイン病理の局在化及び負荷と良好に相関し(
図3B)、化合物の特異的結合を示した。更に、オートラジオグラフィーシグナルは、非認知症対照例と比較して、疾患ドナーにおいてより多く出現したが、そのシグナルは非常に弱かった(
図3A)。
【0308】
5. マイクロラジオバインディングによるPD脳由来アルファ-シヌクレイン凝集体の飽和結合試験
PD脳由来アルファ-シヌクレイン凝集体を、マイクロアレイスライド上にスポッティングした。スライドを、[3H]-実施例1を用いて156pM~47nMの範囲に増加させた濃度でインキュベートした。インキュベート後、スライドを洗浄し、貯蔵リン光体スクリーン(GE healthcare社、BAS-IP TR 2025)に露出させた。露出に続いて、貯蔵リン光体スクリーンを、レーザー画像化システム(Typhoon FLA 7000)で走査して、上述したラジオバインディング実験からシグナルを読み出した。シグナルの定量化は、ImageJソフトウェアパッケージを使用して実施した。非特異的シグナルを、過剰の放射性標識されていない参照リガンド(実施例1、2μMで)を用いて決定し、特異的結合を、全シグナルから非特異的シグナルを減算することにより計算した。Kd値は、一部位の特異的結合モデルを使用して、非線形回帰曲線の当てはめを適用することよりGraphPad Prism7で計算した。
【0309】
結果: [
3H]-実施例1を、マイクロラジオバインディングによるPD組織ホモジネートでの飽和結合試験において評価した。
図4及びTable 5(表6)に示す通り、解離定数(Kd)は18nMで計算し、病理学的アルファ-シヌクレイン凝集体に対する良好な結合親和性を示唆した。
【0310】
【0311】
Table 5(表6):マイクロラジオバインディングによる特発性PD症例からのヒト脳組織ホモジネートでの[3H]-実施例1の結合親和性の評価。解離定数(Kd)は、一部位の特異的結合モデルを使用して、非線形回帰曲線の当てはめを適用することよりGraphPad Prism7で計算した。R2は、決定係数である。
【0312】
6. AD脳ホモジネートでの阻害定数(Ki)の決定に対するラジオバインディング競合アッセイ
ヒトアルツハイマー病(AD)脳ホモジネートの調製:
手順を、Bagchiら、2013年に記載されるプロトコールから適応させた。ADドナーからの凍結した組織ブロックを、氷上で解凍し、ガラスのダウンス型ホモジナイザーを使用して、プロテアーゼ阻害剤(Complete、Roche 11697498001)で補充した高塩緩衝液(50mMのTris-HCl pH7.5、0.75MのNaCl、5mMのEDTA)において、4℃で均質化した。ホモジネートを、超遠心分離機(Beckman社、XL100K)において、4℃で1時間、予め冷却した70.1型ローター(Beckman社、342184)を使用して、100,000×g(38,000RPM)で遠心分離した。ペレットを、1%のTriton X-100で補充した高塩緩衝液で再懸濁させ、ガラスのダウンス型ホモジナイザーを使用して4℃で均質化した。ホモジネートを、4℃で1時間、100,000×g(38,000RPM、70.1型ローター)で再び遠心分離した。ペレットを、1%のTriton X-100及び1Mのスクロースで補充した高塩緩衝液で再懸濁させ、ガラスのダウンス型ホモジナイザーを使用して4℃で均質化した。ホモジネートを、4℃で1時間、100,000×g(38,000RPM、70.1型ローター)で遠心分離した。不溶性画分を含有する得られるペレットを、PBSに再懸濁させ、アリコートし、使用するまで-80℃で貯蔵した。
【0313】
画分に不溶性である固定濃度のADを、三重水素化した参照Abetaリガンド([3H]-Abeta-Ref)を用いて10nMで、及び400pM~2μMの範囲に増加させた濃度の放射性標識されていない例示化合物1を用いて、室温で2時間インキュベートした。次いで、試料を、GF/Cフィルタープレート(PerkinElmer社)において真空下で濾過して、結合した放射性リガンドを含む凝集体を捕捉し、50mMのTris pH7.5で5回洗浄した。次いで、GF/Cフィルターを乾燥し、シンチレーション液(UltimateGold、PerkinElmer社)を各ウェルに添加した。フィルターを、Microbeta2シンチレーションカウンター(PerkinElmer社)で解析した。非特異的シグナルを、過剰の放射性標識されていない参照リガンド(2μM)を用いて決定し、特異的結合を、全シグナルから非特異的シグナルを減算することにより計算した。競合をパーセントとして計算したが、0%は、ビヒクルの存在において特異的結合として定義され、100%は、過剰の放射性標識されていない参照リガンドの存在において得られた値として定義された。Ki値は、一部位の特異的結合モデルを使用して、非線形回帰曲線の当てはめを適用することよりGraphPad Prism7で計算した。測定は、2回の独立した実験での、少なくとも2回の反復を伴って実施した。
【0314】
結果:
図5及びTable 6(表7)に示す通り、AD脳由来ホモジネートでの例示化合物1のK
i値を、360nMで決定した。オートラジオグラフィーによるPD脳組織及びマイクロラジオバインディングによるPD脳ホモジネートでの[
3H]-実施例1の結合親和性に基づくと、例示化合物1は、ヒトAD脳ホモジネートに存在するAbeta病理学的凝集体にわたるアルファ-シヌクレインに対する良好な選択性を示した。加えて、[
3H]-実施例1は、陽性対照として使用される参照タウ結合剤と比較して、AD脳組織におけるタウ凝集体での特異的標的係合を示さず(
図6)、タウ病理学的凝集体にわたるアルファ-シヌクレインに対する良好な選択性を示唆した。全体として、これらのデータは、他のアミロイド様タンパク質、例えばAbeta及びタウにわたる例示化合物1のアルファ-シヌクレインに対する選択性を示す。
【0315】
【0316】
Table 6(表7):AD脳由来ホモジネートでの[3H]-Abeta-Refの放射性標識されていない例示化合物1との置換えに対する、例示化合物1のKi値の決定。Ki及びR2値は、一部位の特異的結合モデルを使用して、非線形回帰曲線の当てはめを適用することよりGraphPad Prism7で計算した。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
【化2】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、ハロC
1~C
4アルコキシ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールである)の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)
【化3】
(式中、
【化4】
は、6員環ヘテロアリールであり、
R
1が、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2が、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールである)の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項3】
式(IIa)、(IIb)、(IIb')、(IIc)、(IId)又は(IIe)
【化5】
(式中、R
1bは、ハロ又はC
1~C
4アルキルである)を有する、請求項1又は2に記載の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項4】
R
1が、以下
【化6】
(式中、R
1aが、ハロ又はHであり、mは、1又は2である)から選択される4から6員環ヘテロシクリルであ
り、
R
1
が、好ましくは以下
【化7】
から選択される5員環ヘテロシクリルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
2が、以下
【化8】
(式中、
R
2aは、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択され、
R
2bは、H、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから選択され、
sは、0、1又は2である)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールであ
り、
R
2
が、好ましくは以下
【化9】
(式中、
R
2b
は、H、C
1
~C
4
アルキル及びハロC
1
~C
4
アルキルから選択され、
sは0である)から選択される5員環又は6員環ヘテロアリールである、請求項1から
4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
化合物が、
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【化10-4】
から選択される、請求項1に記載の化合物、又はその検出可能に標識された化合物、立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項7】
化合物が、検出可能に標識された化合物であ
り、
検出可能な標識が、好ましくは、放射性同位体、好ましくは
2
H、
3
H又は
18
Fから選択される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
1が、
【化11】
であり、式(I)の化合物が、少なくとも1箇所の利用できる位置で、
3Hにより検出可能に標識されている、請求項
7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の化合物、及び任意選択で、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤及び/又はアジュバントを含む診断組成物。
【請求項10】
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の画像化における使用のための、
又は
レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体の陽電子放射断層撮影画像化における使用のための、請求項
7又は8に記載の化合物
を含む組成物、又は請求項
9に記載の診断組成物。
【請求項11】
使用が、in vitro画像化、ex vivo画像化又はin vivo画像化のためのものであり、好ましくは使用が、in vivo画像化のためのものであり、より好ましくは使用が、脳画像化のためのものである、請求項
10に記載の
組成物、又
は診断組成物。
【請求項12】
診断法が、好ましくは、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害若しくは異常、又はそれに対する素因の診断法であり、疾患、障害又は異常が任意選択で、パーキンソン病(散発性、アルファ-シヌクレイン変異を伴い家族性、アルファ-シヌクレイン以外の変異を伴い家族性、純粋自律神経不全症又はレビー小体嚥下障害を含む)、SNCA重複キャリア、レビー小体型認知症(LBD)、レビー小体を伴う認知症(DLB)(「純粋」レビー小体型認知症を含む)、パーキンソン病認知症(PDD)、びまん性レビー小体病(DLBD)、アルツハイマー病、散発性アルツハイマー病、APP変異を伴う家族性アルツハイマー病、PS-1、PS-2又は他の変異を伴う家族性アルツハイマー病、家族性英国型認知症、アルツハイマー病のレビー小体変異型、ダウン症、多系統萎縮症(MSA)(シャイ-ドレーガー症候群、線条体黒質変性症又はオリーブ橋小脳萎縮症を含む)、外傷性脳損傷、慢性外傷性脳症、ボクサー認知症、タウオパチー(ピック病、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ニーマン-ピック病C1型、第17染色体連鎖パーキンソニズムを伴う前頭側頭型認知症を含む)、クロイツフェルトヤコブ病、ハンチントン病、運動ニューロン疾患、筋萎縮性側索硬化症(散発性、家族性又はグアムALS-認知症複合を含む)、神経軸索ジストロフィー、脳の鉄蓄積を伴う神経変性1型(ハレルフォルデン-スパッツ症候群を含む)、プリオン病、毛細血管拡張性運動失調症、メージュ症候群、亜急性硬化性全脳炎、ゲルストマン-シュトロイスラー-シャインカー病、封入体筋炎、ゴーシェ病、クラッベ病、並びに他のリソソーム蓄積症(クフォル-ラケブ症候群及びサンフィリッポ症候群を含む)及び急速眼球運動(REM)睡眠行動障害から選択される、診断法における使用のための、請求項
7又は8に記載の化合物
を含む組成物、又は請求項
9に記載の診断組成物。
【請求項13】
疾患がパーキンソン病
、多系統萎縮症、レビー小体を伴う認知症、パーキンソン病認知症、SNCA重複キャリア又はアルツハイマー病である、請求項
12に記載の
組成物、又
は診断組成物。
【請求項14】
(a)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を含有することが疑われる試料又は特定の身体部分若しくは身体領域を、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物を含む、請求項9に記載の診断組成物と接触させる工程、
(b)化合物を、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合させる工程、
(c)陽電子放射断層撮影を使用して、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に結合する化合物を検出する工程
を含む方法であって、
(i)対象の組織における、レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体を検出及び任意選択で定量化するための方法、
(ii)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を診断するためのデータを収集する方法、
(iii)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常に対する素因を判定するためのデータを収集する方法、
(iv)レビー小体及び/又はレビー神経突起を含むが、それらに限定されないアルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を予後判定するためのデータを収集する方法
から選択される方法。
【請求項15】
式(III-F)又は(III-F')
【化12】
(式中、
【化13】
は、任意選択で、ハロ、又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1Fは、4から6員環ヘテロシクリル又はC
1~C
4アルコキシであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
LGは
、好ましくはブロモ、クロロ、ヨード、C
1
~C
4
アルキルスルホネート及びC
6
~C
10
アリールスルホネートから選択される脱離基であり、C
6
~C
10
アリールスルホネートが、任意選択で、-CH
3
又は-NO
2
で置換されていてよく、
nは、少なくとも1である)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項16】
式(III-H)
【化14】
(式中、
【化15】
は、任意選択で、ハロ又はC
1~C
4アルキルから独立して選択される少なくとも1個の置換基で置換されている6員環ヘテロアリールであり、
R
1は、ハロ、又は任意選択で、少なくとも1つのハロ、若しくはハロC
1~C
4アルコキシで置換されている4から6員環ヘテロシクリルであり、
R
2は、任意選択で、ハロC
1~C
4アルキル、ハロC
1~C
4アルコキシ、C
1~C
4アルコキシ及びC
1~C
4アルキルから独立して選択される1又は2個の置換基で置換されている5員環又は6員環ヘテロアリールであり、
mは、0、1又は2であり、
pは、0、1又は2であり、
Xは、ブロモ、クロロ又はヨードであるが、
但し、式(III-H)の化合物が、少なくとも1つのXを含むことを条件とする)の化合物、又はその立体異性体、ラセミ混合物、薬学的に許容される塩、水和物若しくは溶媒和物。
【請求項17】
請求項
15に記載の式(III-F)又は(III-F')の化合物を、LGが
18Fにより置き換えられるように
18F-フッ素化剤と反応させることを
含み、
18
F-フッ素化剤が、好ましくは、K
18
F、Rb
18
F、Cs
18
F、Na
18
F、Kryptofix[222]K
18
F、
18
Fのテトラ(C
1~6
アルキル)アンモニウム塩、及びテトラブチルアンモニウム[
18
F]フルオリドから選択される、請求項
7に記載の化合物を調製する方法。
【請求項18】
請求項
16に記載の式(III-H)の化合物を、
3H放射性標識剤と反応させることを含む、請求項
7に記載の化合物を調製する方法。
【請求項19】
in vitro分析基準又はin vitroスクリーニングツールとして使用するための、請求項1から
8のいずれか一項に記載の化合物
を含む組成物。
【請求項20】
アルファ-シヌクレイン凝集体に関連する疾患、障害又は異常を検出及び/又は診断するためのテストキットであって、請求項1から
8のいずれか一項に定義の少なくとも1つの化合物を含むテストキット。
【請求項21】
放射性医薬品調製物を調製するためのキットであって、請求項
15又は16に定義の少なくとも1つの化合物を含有する密封したバイアルを含むキット。
【国際調査報告】