IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-5445434極アレイを使用してエレクトロポレーションカテーテルに通電するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】4極アレイを使用してエレクトロポレーションカテーテルに通電するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
A61B18/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527662
(86)(22)【出願日】2022-11-08
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 US2022079432
(87)【国際公開番号】W WO2023086778
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/278,605
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック オルソン
(72)【発明者】
【氏名】シャンヤン ジャン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK23
4C160KK38
4C160KK39
4C160MM38
(57)【要約】
エレクトロポレーションカテーテルを制御するための装置が提供される。エレクトロポレーションカテーテルは、遠位端と、近位端と、遠位端から近位端まで延びる複数のスプラインと、複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、4極アレイのそれぞれは、前記複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、複数の電極と、を備える。装置は、エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスと、を備え、コンピューティングデバイスは、パルス発生器を制御して、第1の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電し、第2の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、第1の通電パターンおよび第2の通電パターンは、互いに異なる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロポレーションカテーテルを制御するための装置であって、
前記エレクトロポレーションカテーテルは、
遠位端と、
近位端と、
前記遠位端から前記近位端まで延びる複数のスプラインと、
前記複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、前記4極アレイのそれぞれは、前記複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、前記複数の電極と、
を備え、
前記装置は、
前記エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、
前記パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスと、
を備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、第1の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電し、第2の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンは、互いに異なる、装置。
【請求項2】
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、2つの正電極および2つの負電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、異なる数の正電極および負電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コンピューティングデバイスは、さらに、前記パルス発生器を制御して、第3の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、
前記第3の通電パターンは、前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンとは異なる、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第1の低電界スポットを生成し、
前記第2の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第2の低電界スポットを生成し、
前記第1の低電界スポットおよび前記第2の低電界スポットは、異なる位置にある、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記エレクトロポレーションカテーテルは、前記複数のスプラインと前記複数の電極とによって形成されたグリッドアセンブリを備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、前記グリッドアセンブリ上の前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記エレクトロポレーションカテーテルは、前記複数のスプラインと前記複数の電極によって形成されたバスケットアセンブリを備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、前記バスケットアセンブリ上の前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、前記複数の電極に選択的に通電して2極治療を行うように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
エレクトロポレーションカテーテルと、前記エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、前記パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスとを含む、システムを制御するための方法であって、
前記エレクトロポレーションカテーテルは、
遠位端と、
近位端と、
前記遠位端から前記近位端まで延びる複数のスプラインと、
前記複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、前記4極アレイのそれぞれは、前記複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、前記複数の電極と、
を備え、
前記方法は、
前記コンピューティングデバイスと前記パルス発生器とを使用して、第1の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電することと、
前記コンピューティングデバイスと前記パルス発生器とを使用して、第2の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電することと、
を含み、
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンは、互いに異なる、方法。
【請求項10】
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、2つの正電極および2つの負電極を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、異なる数の正電極および負電極を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記コンピューティングデバイスと前記パルス発生器とを使用して、第3の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電することをさらに含み、
前記第3の通電パターンは、前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンとは異なる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第1の低電界スポットを生成し、
前記第2の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第2の低電界スポットを生成し、
前記第1の低電界スポットおよび前記第2の低電界スポットは、異なる位置にある、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記エレクトロポレーションカテーテルは、前記複数のスプラインと前記複数の電極によって形成されたグリッドアセンブリを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記エレクトロポレーションカテーテルは、前記複数のスプラインと前記複数の電極によって形成されたバスケットアセンブリを備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、前記バスケットアセンブリ上の前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
システムは、
エレクトロポレーションカテーテルであって、
遠位端と、
近位端と、
前記遠位端から前記近位端まで延びる複数のスプラインと、
前記複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、前記4極アレイのそれぞれが前記複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、前記複数の電極と、
を備える、前記エレクトロポレーションカテーテルと、
前記エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、
前記パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスと、
を備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、第1の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電し、第2の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンは、互いに異なる、システム。
【請求項17】
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、2つの正電極および2つの負電極を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、異なる数の正電極および負電極を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記コンピューティングデバイスは、さらに、前記パルス発生器を制御して、第3の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、
前記第3の通電パターンは、前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンとは異なる、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第1の低電界スポットを生成し、
前記第2の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第2の低電界スポットを生成し、
前記第1の低電界スポットおよび前記第2の低電界スポットは、異なる位置にある、請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2021年11月12日に出願された仮出願第63/278,605号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に、組織アブレーションシステムに関する。特に、本開示は、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極を含むカテーテルを使用してエレクトロポレーション療法を適用することに関する。
【0003】
一般に、人体を苦しめている様々な状態を治療するためにアブレーション治療が使用されることがあることが知られている。例えば、アブレーション治療は心房性不整脈の治療に用いられることがある。組織がアブレーションされるか、少なくとも、アブレーション発生器によって生成され、アブレーションカテーテルによって送られるアブレーションエネルギーにさらされると、組織に損傷が形成される。心房性不整脈(異所性心房頻拍、心房細動、心房粗動などを含むが、これらに限定されない)などの病態を改善するために、アブレーション用カテーテルに取り付けられた電極、あるいはアブレーション用カテーテル内の電極を使用して、心臓組織に組織壊死を起こす。
【0004】
不整脈(すなわち、不規則な心臓のリズム)は、房室収縮の同期の喪失や血流のうっ滞など、さまざまな危険な状態を引き起こし、さまざまな病気や死に至ることさえある。心房性不整脈の主な原因は、心臓の左心房または右心房内の迷走電気信号であると考えられている。アブレーションカテーテルは、アブレーションエネルギー(高周波エネルギー、冷凍アブレーション、レーザー、化学薬品、高密度焦点式超音波など)を心臓組織に与え、心臓組織に損傷を形成する。この損傷は、望ましくない電気経路を遮断し、それによって不整脈につながる迷走電気信号を制限または防止する。
【0005】
エレクトロポレーションは、細胞膜に孔形成を誘導する強い電界を印加する非熱的アブレーション技術である。電界は、例えばナノ秒から数ミリ秒の比較的短いパルスを印加することで誘導されてもよい。このようなパルスを繰り返してパルス列を形成してもよい。このような電界が体内で組織に印加されると、組織内の細胞は経膜電位を受け、細胞壁の孔が開く。エレクトロポレーションは可逆的(すなわち、一時的に開いた孔が再び閉じる)であっても、不可逆的(すなわち、孔が開いたまま)であってもよい。例えば、遺伝子治療の分野では、可逆的エレクトロポレーション(すなわち、一時的に孔が開く)が、高分子量の治療用ベクターの細胞へのトランスフェクションのために使用される。他の治療用途では、適切に構成されたパルス列だけを使用して、例えば不可逆的エレクトロポレーションを引き起こすことによって、細胞破壊を引き起こしてもよい。
【0006】
例えば、パルスフィールドアブレーション(PFA)を使用して、瞬時に肺静脈隔離(PVI)を行ってもよい。PFAは一般に、カテーテルに配置された電極から高電圧パルスを供給することを含む。例えば、電圧パルスは約500ボルト未満から約2400ボルトまたはそれ以上の範囲であってもよい。これらの電界は、一対の電極間(2極治療)または1つまたは複数の電極と帰還パッチ間(単極治療)に印加されてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様において、エレクトロポレーションカテーテルを制御するための装置が提供される。エレクトロポレーションカテーテルは、遠位端と、近位端と、遠位端から近位端まで延びる複数のスプラインと、複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、4極アレイのそれぞれは、前記複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、複数の電極と、を備える。装置は、エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスと、を備え、コンピューティングデバイスは、パルス発生器を制御して、第1の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電し、第2の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、第1の通電パターンおよび第2の通電パターンは、互いに異なる。
【0008】
別の態様において、エレクトロポレーションカテーテルと、エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスとを含む、システムを制御するための方法が提供される。エレクトロポレーションカテーテルは、遠位端と、近位端と、遠位端から近位端まで延びる複数のスプラインと、複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、4極アレイのそれぞれは、複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、複数の電極と、を備える。方法は、コンピューティングデバイスとパルス発生器とを使用して、第1の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電することと、コンピューティングデバイスとパルス発生器とを使用して、第2の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電することと、を含み、第1の通電パターンおよび第2の通電パターンは、互いに異なる。
【0009】
さらに別の態様において、システムが提供される。システムは、エレクトロポレーションカテーテルであって、遠位端と、近位端と、遠位端から近位端まで延びる複数のスプラインと、複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、4極アレイのそれぞれが複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、複数の電極と、を備える、エレクトロポレーションカテーテルを備える。システムは、エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスと、をさらに備え、コンピューティングデバイスは、パルス発生器を制御して、第1の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電し、第2の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、第1の通電パターンおよび第2の通電パターンは、互いに異なる。
【0010】
本開示の前述および他の態様、特徴、詳細、有用性および利点は、以下の説明および特許請求の範囲を読み、添付図面を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】エレクトロポレーション治療用システムの概略図およびブロック図である。
【0012】
図2図1に示したカテーテルと共に使用され得るグリッドアセンブリの一実施形態の側面図である。
【0013】
図3】患者の心臓内に配置された図2のグリッドアセンブリを示す画像である。
【0014】
図4A図2に示すグリッドアセンブリを用いた通電パターン例を示す。
図4B図2に示すグリッドアセンブリを用いた通電パターン例を示す。
図4C図2に示すグリッドアセンブリを用いた通電パターン例を示す。
【0015】
図5A図2に示したグリッドアセンブリを使用した通電パターン例を示す。
【0016】
図5B図5Aに示す通電パターンの電界強度をシミュレーションした図である。
【0017】
図5C図5Aに示す通電パターンのポテンシャルフィールドをシミュレーションした図である。
【0018】
図6図4Bの通電パターンに対応する通電パターンの電界強度をシミュレーションした図である。
【0019】
図7図4Cの通電パターンに対応する通電パターンの電界強度をシミュレーションした図である。
【0020】
図8A図5Bに示した図を表したものである。
図8B図6に示した図を表したものである。
図8C図7に示した図を表したものである。
【0021】
図9図8A~8Cを重ね合わせた図である。
【0022】
図10A図2に示すグリッドアセンブリを用いた追加の通電パターン例を示す。
図10B図2に示すグリッドアセンブリを用いた追加の通電パターン例を示す。
図10C図2に示すグリッドアセンブリを用いた追加の通電パターン例を示す。
図10D図2に示すグリッドアセンブリを用いた追加の通電パターン例を示す。
【0023】
図11A図1に示すカテーテルと共に使用され得るバスケットアセンブリの一実施形態の斜視図である。
図11B図1に示すカテーテルと共に使用され得るバスケットアセンブリの一実施形態の斜視図である。
【0024】
図12A図1に示すカテーテルと共に使用され得るバスケットアセンブリの別の実施形態の図である。
図12B図1に示すカテーテルと共に使用され得るバスケットアセンブリの別の実施形態の図である。
図12C図1に示すカテーテルと共に使用され得るバスケットアセンブリの別の実施形態の図である。
【0025】
図13図1に示すシステムで使用され得るスイッチングアーキテクチャの一実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、エレクトロポレーションカテーテルを制御するための装置に向けられている。エレクトロポレーションカテーテルは、遠位端と、近位端と、遠位端から近位端まで延びる複数のスプラインと、複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、4極アレイのそれぞれは、複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、複数の電極と、を備える。装置は、エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスと、を備え、コンピューティングデバイスは、パルス発生器を制御して、第1の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電し、第2の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、第1の通電パターンおよび第2の通電パターンは、互いに異なる。
【0027】
図1は、エレクトロポレーション治療のためのシステム10の概略図およびブロック図である。一般に、システム10は、カテーテル14の遠位端48に配置されたカテーテル電極アセンブリ12を含む。本明細書で使用する場合、「近位」とは、臨床医に近いカテーテルの端部に向かう方向を指し、「遠位」とは、臨床医から離れる方向であって、(一般に)患者の体内を指す。電極アセンブリは、電気的に絶縁された1つまたは複数の個別の電極素子を含む。各電極素子は、本明細書ではカテーテル電極とも呼ばれ、選択的に他の電極素子とペアリングされて、または組み合わされて、2極または多極電極として機能できるように個別に配線されている。
【0028】
システム10は、組織を破壊するための不可逆的エレクトロポレーション(IRE)に使用されてもよい。特に、システム10はエレクトロポレーションによる治療に使用されてもよく、これはプラズマ膜(細胞壁)の完全性を、直接的に不可逆的に喪失させるような方法で電流を供給し、細胞膜の破壊および細胞壊死を引き起こすことを含む。この細胞死のメカニズムは、「アウトサイド・イン」プロセスとみなされてもよく、細胞の外壁の破壊が細胞の内部に有害な影響を及ぼすことを意味する。典型的には、標準的な細胞膜エレクトロポレーションでは、電流は、約0.1~10.0キロボルト/センチメートル(kV/cm)の電界強度を供給することができる、密接しているが間隔を空けた電極間の短時間パルス(例えば、100ナノ秒(ns)~100マイクロ秒(μs)の持続時間を有する)の形態のパルス電界として供給される。システム10は、例えば、高出力(例えば、高電圧および/または高電流)エレクトロポレーション処置のために、図2に描かれているようなグリッドカテーテルと共に使用されてもよい。あるいは、システム10は、任意の適切なカテーテル構成と共に使用されてもよい。
【0029】
一実施形態では、カテーテルの全電極が同時に電流を流す。あるいは、他の実施形態では、カテーテル上で、刺激が選択的に(例えば、電極の対の間で)与えられる。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテルは複数のスプラインを備え、各スプラインは複数の電極を含む。このような実施形態では、1つのスプライン上の電極が選択的に活性化され、隣接する(または他の)スプライン上の電極がエネルギーリターン(またはシンク)として機能してもよい。さらに、本明細書に記載される実施形態において、電極は、3Dマッピングシステムに接続されることと、エレクトロポレーション発生器に接続されることとの間で切り替え可能であってもよい。
【0030】
多電極カテーテルによる不可逆的エレクトロポレーションは、1つの肺静脈につき1回という少ないショックで肺静脈隔離を可能にする可能性があり、高周波(RF)アブレーションチップを静脈の周囲に順次配置するのに比べ、処置時間を大幅に短縮し得る。
【0031】
通電方法は、DCパルスを含むものとして記載されているが、実施形態は、変形例を使用してもよく、本開示の精神および範囲内に留まることが理解されるべきである。例えば、指数関数的に減衰するパルス、指数関数的に増加するパルス、および組み合わせが使用されてもよい。
【0032】
さらに、エレクトロポレーションにおける細胞破壊のメカニズムは、主に加熱効果によるものではなく、むしろ高電圧電界の印加による細胞膜の破壊によるものであることが理解されるべきである。従って、エレクトロポレーションは、高周波(RF)エネルギーを使用した場合に起こりうる熱効果を、いくらか回避できる可能性がある。この「寒冷療法」には望ましい特徴がある。
【0033】
このような背景から、ここで再び図1を参照すると、システム10は、少なくとも1つのカテーテル電極を含むカテーテル電極アセンブリ12を備える。電極アセンブリ12は、患者の身体17内の組織16のエレクトロポレーション治療のためのカテーテル14などの医療装置の一部として組み込まれる。例示的な実施形態では、組織16は心臓または心臓組織を含む。しかしながら、実施形態は、様々な他の身体組織に関してエレクトロポレーション治療を実施するために使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0034】
図1はさらに、18、20、および21と指定された複数の帰還電極を示し、これらは、全体的なシステム10に含まれる、エレクトロポレーション発生器26、ECGモニタ28のような電気生理学(EP)モニタ、および体内構造の視覚化、マッピング、およびナビゲーションのための位置特定およびナビゲーションシステム30のような様々なサブシステムによって使用され得る身体接続を図示する。図示の実施形態では、帰還電極18、20、21はパッチ電極である。単一のパッチ電極の図示は(明瞭化のための)図式的なものにすぎず、これらのパッチ電極が接続されるこのようなサブシステムは、1つより多いパッチ(体表面)電極を含んでもよく、典型的には含むことになり、(本明細書で説明するような)分割パッチ電極を含んでもよいことを理解されたい。他の実施形態では、帰還電極18、20、21は、帰還電極として使用するのに適した他のタイプの電極であってもよく、例えば1つまたは複数のカテーテル電極を含む。カテーテル電極である帰還電極は、電極アセンブリ12の一部であってもよいし、別個のカテーテルまたは装置(図示せず)の一部であってもよい。システム10は、(電子制御ユニット50およびデータ記憶メモリ52を含む)メインコンピュータシステム32をさらに含んでいてもよく、これは、特定の実施形態では、位置特定およびナビゲーションシステム30と統合されてもよい。システム32はとりわけ、様々なユーザ入出力機構34Aおよびディスプレイ34Bなどの従来のインターフェースコンポーネントをさらに含んでいてもよい。
【0035】
エレクトロポレーション発生器26は、エレクトロポレーション通電方法に従って電極要素に通電するように構成されており、これは、予め決定されていてもよいし、またはユーザ選択可能であってもよい。エレクトロポレーションによる一次壊死治療のために、発生器26は、約0.1~1.0kV/cmの電界強度を(すなわち、組織部位において)供給することができる、近接しつつ間隔を空けた電極間の短時間DCパルス(例えば、ナノ秒~数ミリ秒の持続時間、またはエレクトロポレーションに適した任意の持続時間)の形態のパルス電界として電極アセンブリ12を介して供給される電流を生成するように構成されていてもよい。不可逆的エレクトロポレーションに必要な振幅とパルス持続時間は、反比例の関係にある。
【0036】
エレクトロポレーション発生器26は、本明細書においてDCエネルギー源とも呼ばれることがあるが、全て2方向に電流を生成する一連のDCエネルギーパルスを発生するように構成された二相性エレクトロポレーション発生器26である。他の実施形態において、エレクトロポレーション発生器は、単相性または多相性エレクトロポレーション発生器である。いくつかの実施形態において、エレクトロポレーション発生器26は、50ジュール、100ジュール、200ジュールなどの選択可能なエネルギーレベルで、DCパルスでエネルギーを出力するように構成される。他の実施形態は、より多くのまたはより少ないエネルギー設定を有していてもよく、利用可能な設定の値は、同じであっても異なっていてもよい。エレクトロポレーションを成功させるために、いくつかの実施形態は、200ジュールの出力レベルを利用する。例えば、エレクトロポレーション発生器26は、200ジュールの出力レベルで、約300ボルト(V)から約3,200Vまでのピーク大きさを有するDCパルスを出力してもよい。他の実施形態は、任意の他の適切な正または負の電圧を出力してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、可変インピーダンス27は、アーク放電を制限するために、システム10のインピーダンスを変化させることができる。さらに、可変インピーダンス27は、エレクトロポレーション発生器26の出力の振幅、持続時間、パルス形状などの1つまたは複数の特性を変更するために使用されてもよい。別個のコンポーネントとして図示されているが、可変インピーダンス27は、カテーテル14または発生器26に組み込まれてもよい。
【0038】
図1を引き続き参照すると、上述したように、カテーテル14は、エレクトロポレーション用の機能性を含み得、特定の実施形態では、さらにアブレーション機能(例えば、RFアブレーション)も備えてもよい。しかしながら、それらの実施形態において、提供されるアブレーションエネルギーのタイプ(例えば、冷凍アブレーション、超音波など)に関して変形が可能であることを理解すべきである。
【0039】
図示の実施形態では、カテーテル14は、ケーブルコネクターまたはインターフェース40、ハンドル42、および近位端46と遠位端48とを有するシャフト44を備える。カテーテル14は、温度センサ、追加の電極、および対応する導線またはリード線など、本明細書には図示されていない他の従来のコンポーネントも含んでいてもよい。コネクタ40は、発生器26から延びるケーブル56の機械的および電気的接続を提供する。コネクタ40は、当該技術分野で知られている従来のコンポーネントを含んでいてもよく、図示されているように、カテーテル14の近位端に配置されている。
【0040】
ハンドル42は、臨床医がカテーテル14を保持するための場所を提供し、さらに、身体17内でシャフト44を操縦または案内するための手段を提供してもよい。例えば、ハンドル42は、カテーテル14を通ってシャフト44の遠位端48まで延びるガイドワイヤの長さを変更する手段、またはシャフト44を操縦する手段を含んでいてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、ハンドル42は、カテーテルの一部の形状、サイズ、および/または向きを変えるように構成されてもよく、ハンドル42の構造は様々であってもよいことが理解されるであろう。代替的な実施形態では、カテーテル14はロボットによって駆動または制御されてもよい。従って、臨床医がハンドルを操作してカテーテル14(および特にそのシャフト44)を前進/後退および/または操縦または案内するのではなく、ロボットを使用してカテーテル14を操作する。シャフト44は、身体17内で移動するように構成された細長い管状の可撓性部材である。シャフト44は、電極アセンブリ12を支えるとともに、関連する導体、および場合によっては信号処理または調整に使用される追加の電子機器を含むように構成される。シャフト44はまた、流体(潅注液および体液を含む)、医薬品、および/または外科用ツールもしくは器具の輸送、供給、および/または除去を可能にしてもよい。シャフト44は、ポリウレタンのような従来の材料から作られてもよく、本明細書に記載されるように、電気伝導体、流体または外科用ツールを収容および/または輸送するように構成された1つまたは複数のルーメンを画定する。シャフト44は、従来の導入器を介して、身体17内の血管または他の構造に導入されてもよい。次いで、シャフト44は、ガイドワイヤまたは当該技術分野で公知の他の手段の使用を含めて、身体17を通って組織16の部位などの所望の位置まで前進/後退および/または操縦または案内されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、カテーテル14は、シャフト44の遠位端に配置されたカテーテル電極(図1には示されていない)を有するグリッドカテーテルである。いくつかの実施形態において、カテーテル14は16個のカテーテル電極を有する。他の実施形態において、カテーテル14は、10個のカテーテル電極、20個のカテーテル電極、またはエレクトロポレーションを実施するための任意の他の適切な数の電極を含む。いくつかの実施形態において、カテーテル電極は、白金リング電極などのリング電極である。あるいは、カテーテル電極は、部分的にリング状の電極またはフレックス材料上にプリントされた電極のような、任意の他の適切なタイプの電極であってもよい。種々の実施形態において、カテーテル電極は、1.0mm、2.0mm、2.5mm、および/またはエレクトロポレーションに適した他の任意の長さを有する。
【0042】
体内構造の視覚化、マッピングおよびナビゲーションのために、位置特定およびナビゲーションシステム30が提供されてもよい。位置特定およびナビゲーションシステム30は、当該技術分野において一般的に知られている従来の装置を含んでいてもよい。例えば、位置特定およびナビゲーションシステム30は、AbbottLaboratories社から市販され、「Method and Apparatus for Catheter Navigation and Location and Mapping in the Heart」と題し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、一般に譲渡された米国特許第7,263,397号に示されているようなEnSitePrecision(商標)システムと実質的に類似していてもよい。別の実施例では、位置特定おびナビゲーションシステム30は、「Method for Medical Device Localization Based on Magnetic and Impedance Sensors」と題し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2020/0138334号に一般に示されているようなEnSiteX(商標)システムと実質的に類似していてもよい。しかしながら、位置特定およびナビゲーションシステム30は例示に過ぎず、本質的に限定するものではないことを理解されたい。空間内でカテーテルを位置特定/ナビゲーションするための(および視覚化のための)他の技術が知られており、例えば、Biosense Webster社のCARTOナビゲーションおよび位置決めシステム、Boston Scientific Scimed社のRhythmia(登録商標)システム、Koninklijke・Philips社のKODEX(登録商標)システム、Northern Digital社のAURORA(登録商標)システム、一般に入手可能な透視システム、またはMediguide社のgMPSシステムのような磁気位置システムが挙げられる。この点に関して、位置特定、ナビゲーションおよび/または視覚化システムには、カテーテルの位置情報を示す信号を生成するためにセンサが設けられることを含むものもあり、例えば、インピーダンスベースの位置特定システムの場合には1つまたは複数の電極を含み、あるいは、例えば、磁場ベースの位置特定システムの場合には、磁場の1つまたは複数の特性を検出するように構成された1つまたは複数のコイル(すなわち、ワイヤ巻線)を含んでいてもよい。さらに別の例として、システム10は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Hybrid Magnetic-Based and Impedance Based Position Sensing」と題する米国特許第7,536,218号を参照して一般的に示されるような、電界ベースおよび磁界ベースの組み合わせシステムを利用してもよい。
【0043】
本明細書に記載される実施形態の少なくともいくつかにおいて、カテーテルは、1つまたは複数のピクセルを定める電極アレイを含む。電極アレイは、例えば、グリッドカテーテル上(例えば、図2~5Bに示すように)またはバスケットカテーテル上(例えば、図6A~7Cに示すように)に配置されてもよい。あるいは、電極アレイは任意の適切なカテーテルアセンブリ上に配置されてもよい。
【0044】
図2は、システム10においてカテーテル14と共に使用され得るグリッドアセンブリ200の一実施形態の側面図である。当業者であれば、他の実施形態では、任意の適切なカテーテルが使用され得ることを理解するであろう。さらに、本明細書に開示される実施形態は、グリッドカテーテルの文脈で論じられるが、本明細書に記載される方法およびシステムは、任意の適切なカテーテル(例えば、バスケットカテーテルなど)を使用して実施され得ることを当業者は理解するであろう。図2に示すように、グリッドアセンブリ200は、シャフト44の遠位部202に結合されている。
【0045】
グリッドアセンブリ200は、近位端206から遠位端208まで延びる複数のスプライン204を含む。各スプライン204は、複数の電極210を含む。図2に示す実施形態では、グリッドアセンブリ200は、4つのスプライン204を含み、各スプライン204は、電極210がグリッド構成を形成するように、4つの電極210を含む。従って、グリッドアセンブリ200は、電極210の4×4グリッドを提供する。一実施形態において、隣接する電極210の各対の間隔は、電極210のグリッドの寸法が約12mm×12mmであるように、約4ミリメートル(mm)である。あるいは、グリッドアセンブリ200は、任意の適切な数のスプライン204、任意の適切な数の電極210、および/または電極210の任意の適切な配置を有していてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、隣接する電極の各対の間隔は、約2ミリメートル(mm)である。さらに、いくつかの実施形態において、グリッドアセンブリ200は、例えば、7×8のグリッドに配置された56個の電極を含んでいてもよい。
【0046】
グリッドアセンブリ200を使用して、(例えば、個々の電極210と帰還パッチとの間に電圧を印加することによる)単極アプローチを使用して個々の電極210において損傷を生成させてもよいし、または2極アプローチを使用して電極210の対の間に損傷を生成させてもよい。損傷は、特定の構成および/またはパターン(例えば、互いに独立して個々の電極210に通電すること、または複数の電極210に同時に通電することを含む)で電極に選択的に通電することによって、解剖学的構造内に生成されてもよい。
【0047】
図3は、患者の心臓の左心房302内に位置するグリッドアセンブリ200を示す画像300である。図3に示すように、グリッドアセンブリ200は心臓の比較的に広い領域を覆っている。この領域の幅は、一般に、肺静脈隔離(PVI)を行うために必要とされる幅よりも大きい。従って、PVIアブレーションを成功させるために、グリッドアセンブリ200の一部にのみ通電することが可能であり得る。
【0048】
2極供給パターンを使用すると、グリッドアセンブリ200を使用して複数の異なる通電パターンを利用できる。例えば、各電極210は、正電極、負電極、または不活性電極として選択的に機能してもよい。すべての電極210が同じ極性で通電される場合、不関電極(例えば、(図1に示す)表面電極18、20、21のいずれか)が帰還電極として機能する。一部の電極210が正極性で通電され、他の電極210が負極性で通電される場合、電極210間に電流経路があるため、不関電極は必要とされない。
【0049】
本明細書で説明する実施形態では、電極210の4極アレイ(すなわち、2×2アレイ)を使用してエネルギーが均一に供給される。この実施形態では、グリッドアセンブリ200は、図2に示すように、4つの4極アレイ220を含む。当業者に理解されるように、電極210の4極アレイ220には、複数の異なる通電スキームが可能である。例えば、いくつかの実施形態では、異なる4極アレイ220は、少なくとも1つの電極210を共有してもよい。
【0050】
例えば、図4A図4B、および図4Cは、それぞれ第1の通電パターン402、第2の通電パターン404、および第3の通電パターン406を示す。
【0051】
第1の通電パターン402では、第1の電極410が正、第2の電極412が負、第3の電極414が負、第4の電極416が正である。第2の通電パターン404では、第1の電極410は正、第2の電極412は正、第3の電極414は負、第4の電極416は負である。第3の通電パターン406では、第1の電極410は正、第2の電極412は負、第3の電極414は正、第4の電極416は負である。
【0052】
当業者は、他の通電パターンが可能であることを理解するであろう。特に、他の通電パターンは、図4A~4Cに示す通電パターンに対して冗長である(すなわち、各電極210の極性が入れ替わっている)か、退化(すなわち、すべての電極210が同じ極性を有する)するか、または不等(すなわち、異なる数の正電極210および負電極210を有する)である。
【0053】
図5Aは、カテーテルアセンブリ200の全16個の電極210の通電パターン例502である。具体的には、通電パターン502は、第1の通電パターン402(図4Aに示す)を使用する各4極アレイ220に対応する。
【0054】
図5Bは、通電パターン502が実施されたときの電界強度(例えば、ボルト/センチメートル(V/cm)単位)をシミュレーションした図510である。図510に示すように、電界強度は各電極210の周囲で最も高い。一方、低電界スポット512では電界強度が低い。低電界スポット512は、一般に、同じ極性を有する隣接する電極210間の中間点に位置する。従って、通電パターン502では、低電界スポット512は各4極アレイ220のほぼ中央に発生する。低電界スポット512では電界の勾配がゼロまたはゼロに近いため、電界強度が低い。
【0055】
図5Cは、通電パターン502が実施されたときのポテンシャルフィールドをシミュレーションした図520である。図5Cに示すように、鞍点522は、図510の低電界スポット512の位置に対応する。鞍点522では、傾斜がなく、従って勾配がない(すなわち、電界強度ゼロに対応する)。
【0056】
注目すべきことに、異なる通電パターンは、一般に異なる低電界スポットをもたらす。例えば、図6は、第2の通電パターン404(図4Bに示す)の各4極アレイ220への使用に対応する通電パターンの電界強度をシミュレーションした図600である。ここでも、電界強度は各電極210の周囲で最も高い。しかしながら、図600において、低電界スポット602は、同じ行に位置する電極210の間に生じる。従って、低電界スポット602は、低電界スポット512(図5Bに示す)とは異なる位置に位置する。さらに、図600において、図510の低電界スポット512に対応する位置では、電界強度が比較的に高い。
【0057】
別の実施例として、図7は、第3の通電パターン406(図4Cに示す)の各4極アレイ220への使用に対応する通電パターンの電界強度をシミュレーションした図700である。図700において、低電界スポット702は、同じ列に位置する電極210の間に生じる。ここでも、低電界スポット702は、低電界スポット512(図5Bに示す)および低電界スポット602(図6に示す)とは異なる位置にある。さらに、図700において、図510の低電界スポット512に対応する位置および図600の低電界スポット602に対応する位置において、電界強度は比較的に高い。
【0058】
従って、通電パターンの組み合わせを適用することにより、(特定の通電パターンにおける低電界スポットが他の通電パターンで補われるため)比較的に均一な電界強度を達成することができる。このように、複数の通電パターンを循環させることで、生成されるアブレーション領域全体が比較的に均一になる。
【0059】
例えば、図8Aは、図510図5Bに示す)の表示802であり、図8Bは、図600図6に示す)の表示804であり、図8Cは、図700図7に示す)の表示806である。図9は、表示802、804、および806を互いに重ね合わせて示す図900である。図900によって示されるように、表示802、804、および806が互いに重ね合わされるとき(3つの通電パターンすべてを循環することに対応する)、生成されるアブレーション領域は比較的に均一であり、1つの通電パターンにおける穴は他の通電パターンによって埋められる。
【0060】
当業者であれば、他の通電パターン(すなわち、図4A~4Cに示される通電パターン以外)が各4極アレイ220に使用され得ることを理解するであろう。例えば、図10A~10Dは、第4の通電パターン1002、第5の通電パターン1004、第6の通電パターン1006、および第7の通電パターン1008を示す。これらの通電パターン1002、1004、1006、および1008は、バランスがよくない(すなわち、正電極および負電極の数が均等でない)。
【0061】
第4の通電パターン1002では、第1の電極1010が負、第2の電極1012が負、第3の電極1014が負、第4の電極1016が正である。第5の通電パターン1004では、第1の電極1010は負、第2の電極1012は負、第3の電極1014は正、第4の電極1016は負である。第6の通電パターン1006では、第1の電極1010は負、第2の電極1012は正、第3の電極1014は負、第4の電極1016は負である。第7の通電パターン1008では、第1の電極1010は負、第2の電極1012は正、第3の電極1014は正、第4の電極1016は正である。
【0062】
本明細書に記載される実施形態はIRE/PFAの文脈で議論されるが、当業者であれば、本明細書に記載される方法およびシステムがRFアブレーション用途にも利用され得ることを理解するであろう。
【0063】
さらに、当業者であれば、本明細書で説明する技術がグリッドアセンブリ200以外のカテーテル構成で実施され得ることを理解するであろう。例えば、図11Aおよび図11Bは、バスケットを形成する複数のスプライン1102を含むバスケットアセンブリ1100の一実施形態の斜視図であり、各スプラインは複数の電極1104を含む。グリッドアセンブリ200と同様に、4極アレイは、電極1104のセットによって定められることができる。例えば、第1の電極1110、第2の電極1112、第3の電極1114、および第4の電極1116は、4極アレイ1120(図11Bに示す)を定める。他のカテーテル構成も同様の実装を利用してもよい。
【0064】
図12A~12Cは、本明細書に記載される電極通電技術と共に使用され得るバスケットアセンブリ1250の別の実施形態の図である。具体的には、図12Aは、バスケットアセンブリ1250の斜視図であり、図12Bおよび12Cは、肺静脈1252内に配置されたバスケットアセンブリ1250の側面図である。
【0065】
バスケットアセンブリ1250は、バスケットを形成する複数のスプライン1254を備える。この実施形態において、各スプライン1254は、概してシグモイド形状を有する。スプライン1254のシグモイド形状により、隣接するスプライン1254は、スプライン1254の長さに沿って互いの間にほぼ同じ距離を維持し、これは損傷の質を改善し得る。この実施形態において、バスケットアセンブリ1250は、8つのスプライン1254を含む。あるいは、バスケットアセンブリ1250は、任意の適切な数のスプライン1254を備えていてもよい。
【0066】
図12Aに示すように、バスケットアセンブリ1250は、バスケットの内部に位置する選択的に膨張可能なバルーン1256を備えていてもよい。バルーン1256は、(例えば、スプラインが組織に押し付けられるとき)スプライン1254の容易に支え得る。いくつかの実施形態において、バルーン1256は省略される。シグモイド形状のスプラインを有するバスケットアセンブリに関するさらなる詳細は、2020年6月5日に出願された「ELECTRODE BASKET HAVING HIGH-DENSITY CIRCUMFERENTIAL BAND OF ELECTRODES」と題する国際出願第PCT/US20/36410号、および2019年6月13日に出願された、「ELECTRODE BASKET HAVING HIGH-DENSITY CIRCUMFERENTIAL BAND OF ELECTRODES」と題する米国仮特許出願第62/861,135号において見ることができ、これらの開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0067】
各スプライン1254は、本明細書に開示されるシステムおよび方法を使用して選択的に通電可能な少なくとも1つの電極1270を備える。例えば、図7Bは、各スプライン1254上の1つの細長い電極1272を示すが、図7Cは、各スプライン1254上の複数の個々の電極1274を示す。電極1270は、一般に、肺静脈1252の組織との接触を容易にするために、バスケットアセンブリ1250の遠位部分に配置される。あるいは、電極1270の任意の適切な構成が使用されてもよい。先に記載された実施形態と同様に、バスケットアセンブリ1250上の個々の電極1274のセットは、4極アレイを定めてもよく、上に記載されたものと同様の通電スキームが、適切に実施され得る。
【0068】
本明細書で説明するように、カテーテル上の電極は、異なるパターンを生成するために選択的に通電される。図13は、カテーテル1302上の電極に選択的に通電するために使用され得るスイッチングアーキテクチャ1300の一実施形態の概略図である。具体的には、スイッチングアーキテクチャは、カテーテル1302、パルス源1304、およびカテーテル1302とパルス源1304との間に結合されたスイッチングユニット1306を含む。
【0069】
パルス源1304は、カテーテル1302上の電極(図示せず)によって印加されるエネルギーパルスを生成する。さらに、スイッチングユニット1306は、パルス源1304から電極にエネルギーパルスを選択的に供給するための複数のスイッチング回路1310を含む。この実施形態では、スイッチングユニット1306は、各電極用のスイッチング回路1310(および対応するチャネル)を含む。各スイッチング回路1310は、パルス源1304からエネルギーパルスを受け取り、スイッチング回路1310内のスイッチの構成に応じて、対応する電極に、正パルス、負パルスを供給し、またはパルスを供給しない。従って、スイッチング回路1310を制御することにより、カテーテル1302上の電極は選択的に通電可能となる。
【0070】
本明細書に記載の実施形態は、エレクトロポレーションカテーテルを制御するための装置に向けられている。エレクトロポレーションカテーテルは、遠位端と、近位端と、遠位端から近位端まで延びる複数のスプラインと、複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、4極アレイのそれぞれは、複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、複数の電極と、を備える。装置は、エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスと、を備え、コンピューティングデバイスは、パルス発生器を制御して、第1の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電し、第2の通電パターンに従って、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、第1の通電パターンおよび第2の通電パターンは、互いに異なる。
【0071】
以上、本開示の特定の実施形態について、ある程度詳細に説明してきたが、当業者であれば、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることが可能である。全ての方向についての言及(例えば、上方、下方、上方向、下方向、左、右、左方向、右方向、上、下、より上、より下、垂直、水平、時計回り、および反時計回り)は、本開示の読者の理解を助けるための識別目的のために使用されるだけであり、特に、本開示の位置、方向、または使用に関する制限を生じさせるものではない。結合についての言及(例えば、取付られた、結合された、接続されたなど)は、広義に解釈されるべきであり、要素の連結の間の中間部材と、要素間の相対移動とを含んでもよい。そのため、結合に関する言及は、必ずしも2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを推論するものではない。上記の説明に含まれる、または添付図面に示されるすべての事項は、例示的なものとしてのみ解釈され、限定するものではないことが意図される。詳細または構造の変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本開示の精神から逸脱することなく行うことができる。
【0072】
本開示の要素またはその好ましい実施形態を紹介する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「前記(said)」は、要素の1つまたは複数が存在することを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0073】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成に様々な変更を加えることが可能であるため、上記の説明に含まれる、または添付図面に示されるすべての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味に解釈されないことが意図される。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
本開示の範囲から逸脱することなく、上記の構成に様々な変更を加えることが可能であるため、上記の説明に含まれる、または添付図面に示されるすべての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味に解釈されないことが意図される。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の内容である。
(項目1)
エレクトロポレーションカテーテルを制御するための装置であって、
前記エレクトロポレーションカテーテルは、
遠位端と、
近位端と、
前記遠位端から前記近位端まで延びる複数のスプラインと、
前記複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、前記4極アレイのそれぞれは、前記複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、前記複数の電極と、
を備え、
前記装置は、
前記エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、
前記パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスと、
を備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、第1の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電し、第2の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンは、互いに異なる、装置。
(項目2)
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、2つの正電極および2つの負電極を含む、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、異なる数の正電極および負電極を含む、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記コンピューティングデバイスは、さらに、前記パルス発生器を制御して、第3の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、
前記第3の通電パターンは、前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンとは異なる、項目1に記載の装置。
(項目5)
前記第1の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第1の低電界スポットを生成し、
前記第2の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第2の低電界スポットを生成し、
前記第1の低電界スポットおよび前記第2の低電界スポットは、異なる位置にある、項目1に記載の装置。
(項目6)
前記エレクトロポレーションカテーテルは、前記複数のスプラインと前記複数の電極とによって形成されたグリッドアセンブリを備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、前記グリッドアセンブリ上の前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能である、項目1に記載の装置。
(項目7)
前記エレクトロポレーションカテーテルは、前記複数のスプラインと前記複数の電極によって形成されたバスケットアセンブリを備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、前記バスケットアセンブリ上の前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能である、項目1に記載の装置。
(項目8)
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、前記複数の電極に選択的に通電して2極治療を行うように動作可能である、項目1に記載の装置。
(項目9)
エレクトロポレーションカテーテルと、前記エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、前記パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスとを含む、システムを制御するための方法であって、
前記エレクトロポレーションカテーテルは、
遠位端と、
近位端と、
前記遠位端から前記近位端まで延びる複数のスプラインと、
前記複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、前記4極アレイのそれぞれは、前記複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、前記複数の電極と、
を備え、
前記方法は、
前記コンピューティングデバイスと前記パルス発生器とを使用して、第1の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電することと、
前記コンピューティングデバイスと前記パルス発生器とを使用して、第2の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電することと、
を含み、
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンは、互いに異なる、方法。
(項目10)
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、2つの正電極および2つの負電極を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、異なる数の正電極および負電極を含む、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記コンピューティングデバイスと前記パルス発生器とを使用して、第3の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電することをさらに含み、
前記第3の通電パターンは、前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンとは異なる、項目9に記載の方法。
(項目13)
前記第1の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第1の低電界スポットを生成し、
前記第2の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第2の低電界スポットを生成し、
前記第1の低電界スポットおよび前記第2の低電界スポットは、異なる位置にある、項目9に記載の方法。
(項目14)
前記エレクトロポレーションカテーテルは、前記複数のスプラインと前記複数の電極によって形成されたグリッドアセンブリを備える、項目9に記載の方法。
(項目15)
前記エレクトロポレーションカテーテルは、前記複数のスプラインと前記複数の電極によって形成されたバスケットアセンブリを備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、前記バスケットアセンブリ上の前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能である、項目9に記載の方法。
(項目16)
システムは、
エレクトロポレーションカテーテルであって、
遠位端と、
近位端と、
前記遠位端から前記近位端まで延びる複数のスプラインと、
前記複数のスプライン上に配置され、少なくとも1つの4極アレイを定める複数の電極であって、前記4極アレイのそれぞれが前記複数の電極のうちの4つの電極によって定められる、前記複数の電極と、
を備える、前記エレクトロポレーションカテーテルと、
前記エレクトロポレーションカテーテルに結合されたパルス発生器と、
前記パルス発生器に結合されたコンピューティングデバイスと、
を備え、
前記コンピューティングデバイスは、前記パルス発生器を制御して、第1の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電し、第2の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンは、互いに異なる、システム。
(項目17)
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、2つの正電極および2つの負電極を含む、項目16に記載のシステム。
(項目18)
前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンにおいて、前記4極アレイのそれぞれは、異なる数の正電極および負電極を含む、項目16に記載のシステム。
(項目19)
前記コンピューティングデバイスは、さらに、前記パルス発生器を制御して、第3の通電パターンに従って、前記少なくとも1つの4極アレイを定める前記複数の電極に選択的に通電するように動作可能であり、
前記第3の通電パターンは、前記第1の通電パターンおよび前記第2の通電パターンとは異なる、項目16に記載のシステム。
(項目20)
前記第1の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第1の低電界スポットを生成し、
前記第2の通電パターンに従って前記複数の電極に通電することは、第2の低電界スポットを生成し、
前記第1の低電界スポットおよび前記第2の低電界スポットは、異なる位置にある、項目16に記載のシステム。
【国際調査報告】