(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】デバイス製造における光化学及び熱剥離層のプロセス及び使用
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527716
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 US2022049432
(87)【国際公開番号】W WO2023086403
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523375065
【氏名又は名称】テレサーキッツ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーツ,ジェイナ
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,マシュー
(57)【要約】
剥離層を異なる源からの光及び熱に暴露することによって剥離層から部品を転写するためのプロセスを記載する。当該プロセスは、基板、剥離層及び部品を含むアセンブリを付与すること、剥離層を加熱すること、及び剥離層を化学線波長の光に暴露することを含み、加熱源及び化学線照射源は、異なる源である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を転写するためのプロセスであって:
基板、剥離層及び部品を含むアセンブリを提供することであって、前記剥離層が、前記基板の上に設けられており、前記部品が前記剥離層に接着されている、アセンブリを提供すること;
前記剥離層を加熱源から少なくとも分解温度まで加熱することであって、前記加熱が、伝導加熱、放射加熱、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、加熱すること;並びに
前記剥離層を化学線照射源からの化学線波長の光に暴露すること;
を含み、
前記加熱及び暴露工程が、前記剥離層を分解させ、且つ、前記部品を前記基板からターゲット基板に転写し;
前記加熱源及び前記化学線照射源が異なる源であり;並びに
前記加熱及び暴露工程の少なくとも1つが、パルス期間内に実施される、プロセス。
【請求項2】
前記加熱が、放射波長の光による放射加熱を含み、前記放射波長及び化学線波長間の重複が、最大20%である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記放射加熱が、UV波長、可視光波長、IR波長、マイクロ波の波長、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される放射波長におけるものである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記放射加熱が、約300nm~約100000nmの放射波長におけるものである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項5】
前記基板が、ドナープレート及び光吸収材料を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記光吸収材料が、Nd
2O
3、Sm
2O
3、V
2O
3、CoO、NiO、MnO
2、ポリカーボネート化合物、芳香族化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記放射加熱が、前記アセンブリの側縁から印加される、請求項2~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記分解温度が、約100℃~約350℃である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記剥離層を前記分解温度に加熱する前に、前記剥離層を第1温度に加熱することを更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第1温度が、約100℃~約350℃である、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記パルス期間が、約10ns~約10μsである、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記加熱工程が、前記暴露工程の前に実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記加熱工程が、前記暴露工程の後で実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記加熱工程が、前記暴露工程と同時に実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記の光の化学線波長が、UV波長、可視光波長、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記の光の化学線波長が、約200nm~約400nmである、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
前記化学線照射源が、約10mJ/cm
2~約200mJ/cm
2の出力密度を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記加熱が、前記剥離層に直接印加される、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記加熱が、前記部品に直接印加され、前記部品が、前記剥離層を前記分解温度に加熱する、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記加熱が、前記基板に直接印加され、前記基板が、前記剥離層を前記分解温度に加熱する、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記アセンブリが、伝導加熱源を更に含む、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記伝導加熱源が、透明伝導加熱源を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記透明伝導加熱源が、ITO、β-Ga
2O
3、金、銀、LaドープSrSnO
3、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
部品を転写するためのプロセスであって:
基板、剥離層及び部品を含むアセンブリを提供することであって、前記剥離層が、前記基板の上に設けられており、前記部品が前記剥離層に接着されている、アセンブリを提供すること;
前記剥離層を加熱源から少なくとも分解温度まで加熱することであって、前記加熱が、伝導加熱、放射加熱、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されること、且つ、前記分解温度が約180℃~約220℃である、加熱すること;並びに
前記剥離層を化学線照射源からの化学線波長の光に暴露することであって、前記の光の化学線波長が約230nm~約360nmの波長である、暴露すること;
を含み、
前記加熱及び暴露工程が、前記剥離層を分解させ、且つ、前記部品を前記基板からターゲット基板に転写し;
前記加熱源及び前記化学線照射源が異なる源であり;並びに
前記加熱及び暴露工程の少なくとも1つが、約10ns~約10μsのパルス期間内に実施される、前記プロセス。
【請求項25】
部品を転写するためのアセンブリであって:
基板;
前記基板の上に設けられている複数の加熱源;及び
前記複数の加熱源の上に設けられている剥離層
を含む、アセンブリ。
【請求項26】
前記基板と前記複数の加熱源との間に設けられているナノ多孔質材料を更に含む、請求項25に記載のアセンブリ。
【請求項27】
部品を転写するためのアセンブリであって:
基板;
前記基板の上に設けられている光吸収層;
前記光吸収層の上に設けられている第1クラッド層;及び
前記第1クラッド層の上に設けられている剥離層
を含む、アセンブリ。
【請求項28】
前記基板と前記光吸収層との間に設けられている第2クラッド層を更に含む、請求項27に記載のアセンブリ。
【請求項29】
前記光吸収層が、傾斜付き光吸収層である、請求項27又は28に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願に対する参照による組み込み
本願と共に提出される出願データシートにおいて外国又は国内優先権主張が確認されるありとあらゆる出願、例えば、2021年11月11日に提出された米国仮特許出願第63/278,323号は、37CFR1.57並びに規則4.18及び20.6の下、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、マイクロエレクトロニクスデバイスの製造の際に部品を1つの面から別の面に剥離可能に転写するのに使用される剥離層に関する。
【背景技術】
【0003】
1つの面から別の面へのマイクロエレクトロニクス対象物の転写は、機能性製品が、純粋にエレクトロニクス(コンピュータマザーボードなどの場合)、オプトエレクトロニクス(ディスプレイ、又は電子部品における若しくは該部品間の光通信デバイスなどの場合)、センサ、或いはアクチュエータであろうとなかろうと、これらの機能性製品のアセンブリ及びパッケージングのプロセスに広がっている。パターニングシステムの物理特性は、1つの集積並行プロセスにおいて作製され得るシステムのサイズを限定し、プロセス互換性は、材料の種類を限定する。そのため、有用なシステムは、パッケージングレベルでの集積を必要とする。
【0004】
集積回路は、様々な部品(例えば、受動部品)をトランジスタと同じ技術によって製作することを可能にするものであり、機能回路全体を、並行処理;すなわち、デバイスよりもむしろエリアの同時処理;によって作製することを可能にした。現在では、マイクロエレクトロニクスにおけるイノベーションの大半が、パッケージング、及び具体的には異種パッケージングに集中している。このことは、多くの異なる種類の集積技術(シリコンIC-デジタル又はアナログ、化合物半導体IC並びに発光体及び受光体、微小電気機械センサ、並びに他のデバイス及びシステム)が、より優れた性能を達成する新規の方法でまとめられることを意味している。
【0005】
マイクロエレクトロニクス、例えば、一連のピックアンドプレース、レーザーアブレーション、スタンプ、及び接着剤の処理及びパッケージングのために多くの技術が近年使用されているが、当該分野における更なる進展が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
従来技術を超えて達成される本開示及び利点を簡単に述べる目的で、本開示のある特定の目的及び利点を本明細書に記載する。かかる目的又は利点の全てが、いずれか特定の実施形態において達成され得るということではない。そのため、例えば、当業者は、本明細書において教示又は示唆されている場合がある他の目的又は利点を必ずしも達成することなく、本明細書おいて教示されている1つの利点又は利点群を達成又は最適化する方法で、本発明が具現化又は実施されてよいことを理解するであろう。
【0007】
これらの実施形態の全てが、本明細書に開示されている本発明の範囲内にあることが意図される。これら及び他の実施形態は、添付の図への参照を有する以下の好ましい実施形態の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろう。本発明は、開示されているいずれの具体的な好ましい実施形態(複数可)にも限定されない。
【0008】
一態様において、部品を転写するためのプロセスを記載する。当該プロセスは:基板、
剥離層及び部品を含むアセンブリを付与することにおいて、剥離層が、基板の上に設けられており、部品が剥離層に接着されていること;剥離層を加熱源から少なくとも分解温度まで加熱することにおいて、当該加熱が、伝導加熱、放射加熱、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されること;並びに、剥離層を化学線照射源からの化学線波長の光に暴露することを含み;加熱及び暴露工程が、剥離層を分解させ、且つ、部品を基板からターゲット基板に転写し;加熱源及び化学線照射源が異なる源であり;並びに、加熱及び暴露工程の少なくとも1つが、パルス期間内に実施される。
【0009】
いくつかの実施形態において、加熱は、放射波長の光による放射加熱を含み、放射波長及び化学線波長間の重複が、多くて20%である。いくつかの実施形態において、放射加熱は、UV波長、可視光波長、IR波長、マイクロ波の波長、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される放射波長におけるものである。いくつかの実施形態において、放射加熱は、約300nm~約100000nmの放射波長におけるものである。いくつかの実施形態において、基板は、ドナープレート及び光吸収材料を含む。いくつかの実施形態において、光吸収材料は、Nd2O3、Sm2O3、V2O3、CoO、NiO、MnO2、ポリカーボネート化合物、芳香族化合物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、放射加熱は、アセンブリの側縁に印加される。
【0010】
いくつかの実施形態において、分解温度は、約100℃~約350℃である。いくつかの実施形態において、プロセスは、剥離層を分解温度に加熱する前に、剥離層を第1温度に加熱することを更に含む。いくつかの実施形態において、第1温度は、約100℃~約350℃である。いくつかの実施形態において、パルス期間は、約10ns~約10μsである。いくつかの実施形態において、加熱工程は、暴露工程の前に実施される。いくつかの実施形態において、加熱工程は、暴露工程の後で実施される。いくつかの実施形態において、加熱工程は、暴露工程と同時に実施される。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記の光の化学線波長は、UV波長、可視光波長、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記の光の化学線波長は、約200nm~約400nmである。いくつかの実施形態において、化学線照射源は、約10mJ/cm2~約200mJ/cm2の出力密度を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、加熱は、剥離層に直接印加される。いくつかの実施形態において、加熱は、部品に直接印加され、部品は、剥離層を分解温度に加熱する。いくつかの実施形態において、加熱は、基板に直接印加され、基板は、剥離層を分解温度に加熱する。
【0013】
いくつかの実施形態において、アセンブリは、伝導加熱源を更に含む。いくつかの実施形態において、伝導加熱源は、透明伝導加熱源を含む。いくつかの実施形態において、透明伝導加熱源は、ITO、β-Ga2O3、金、銀、LaドープSrSnO3、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
別の態様において、部品を転写するためのプロセスを記載する。当該プロセスは:基板、剥離層及び部品を含むアセンブリを付与することにおいて、剥離層が、基板の上に設けられており、部品が剥離層に接着されていること;剥離層を加熱源から少なくとも分解温度まで加熱することにおいて、当該加熱が、伝導加熱、放射加熱、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されること、且つ、分解温度が約180℃~約220℃であること;並びに、剥離層を化学線照射源からの化学線波長の光に暴露することにおいて、化学線波長が約230nm~約360nmの波長であることを含み;加熱及び暴露工程が、剥離層を分解させ、且つ、部品を基板からターゲット基板に転写し;加熱源及び化学線照射源
が異なる源であり;並びに、加熱及び暴露工程の少なくとも1つが、約10ns~約10μsのパルス期間内に実施される。
【0015】
別の態様において、部品を転写するためのアセンブリを記載する。当該アセンブリは:基板;基板の上に設けられている複数の加熱源;及び複数の加熱源の上に設けられている剥離層を含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、アセンブリは、基板と複数の加熱源との間に設けられているナノ多孔質材料を更に含む。
【0017】
別の態様において、部品を転写するためのアセンブリを記載する。当該アセンブリは:基板;基板の上に設けられている光吸収層;光吸収層の上に設けられている第1クラッド層;及び第1クラッド層の上に設けられている剥離層を含む。
【0018】
いくつかの実施形態において、アセンブリは、基板と光吸収層との間に設けられている第2クラッド層を更に含む。いくつかの実施形態において、光吸収層は、傾斜付き光吸収層である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、剥離層組成物(B)を使用して部品(C)を光学的に透明なドナープレート(A)からターゲット基板(D)に転写するプロセスフローの実施形態を示す。
【
図2】
図2は、アセンブリを加熱して及び/又は光に暴露して剥離層を分解するためのプロセスの実施形態のフローチャートである。
【
図3】
図3は、アセンブリを加熱して及び/又は光に暴露して剥離層を分解するためのプロセスにおいて、複数の加熱工程が実施される、上記プロセスの実施形態のフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、複数の加熱源を含むドナープレートアセンブリの実施形態の平面図を示す。
【
図4B】
図4Bは、複数の加熱源を含むドナープレートアセンブリの実施形態の側面図を示す。
【
図4C】
図4Cは、複数の加熱源を含むドナープレートアセンブリの実施形態の断面図を示す。
【
図4D】
図4Dは、複数の加熱源を電源と電気接触して含むドナープレートアセンブリの実施形態の断面図を示す。
【
図5A】
図5Aは、ナノ多孔質材料層を含むドナープレートアセンブリの実施形態の側面図を示す。
【
図5B】
図5Bは、ナノ多孔質材料層を含むドナープレートアセンブリの実施形態の断面図を示す。
【
図6】
図6は、放射加熱源のアレイによる基板の側からの光の注入によって加熱されるドナープレートアセンブリの実施形態の上面図を示す。
【
図7】
図7は、光吸収材料を含むドナープレートアセンブリの実施形態の側面図を示す。
【
図8】
図8は、傾斜付き光吸収材料を含むドナープレートアセンブリの実施形態の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
これら及び他の実施形態を、本願全体を通して、より詳細に以下に提供する。
剥離可能な接着層を使用して部品を転写するアセンブリ及び方法が、米国特許第6,946,178号(その内容は、全ての目的で参照により本明細書に組み込まれる)において考察されている。トリガープロセスが使用されて、転写部品を接着層から分離して基板
に配置しており、米国特許第6,946,178号において、トリガープロセスは、単一の工程において剥離層を熱及び光に暴露して剥離層を分解することを含む。
【0021】
本開示の様々な実施形態において、剥離層は、剥離層を分解する目的で、様々な源、工程及び/又は期間による光及び熱に暴露される。剥離層の分解は、部品(例えば、半導体部品)を転写するためのプロセス及び/又は当該部品を転写することを可能にし得る。剥離層組成物は、所望により面上に多くの部品と同時に配置することを可能にし得、これは、どの程度大きいものを、基板へ機械的に固定しようとするかによってのみ制限される。これらの部品は、サイズが、ミクロン(例えば、マイクロLED)からセンチメートル(例えば、大型IC)までの範囲であることができる。
【0022】
本開示は、1)剥離層プロセスの出力及びエネルギー要件を低減すること;2)レーザー(いくつかの実施形態において、任意選択的なダイオードを除く)の必要性を低減又は排除すること、少なくとも画像化システムにおいて;3)空間及び時間において選択可能で制御可能な温度分布を付与することを含めて、反応速度論の制御を改良すること;並びに/又は4)化学線暴露がチップ転写とは別個のものである二工程の機械的な実施を付与することができる、資本及び/又は処理量の利点を有し得る実施形態を記載する。
【0023】
定義
「剥離層」は、部品(例えば、半導体部品)の取り付け(例えば、接着)を可能にし、また、光及び熱に暴露されて剥離層を分解して部品を剥離するときには、部品の転写(例えば、チップ転写)を可能に得る、基板(例えば、ドナープレート)の上に設けられているポリマー及び/又はオリゴマー材料を含む層である。剥離層は、所望により基板に多くの部品と同時に配置することを可能にし得、これは、どの程度大きいものを、当該基板へ機械的に固定しようとするかによってのみ制限される。これらの部品は、サイズは、ミクロン(例えば、マイクロLED)からセンチメートル(例えば、大型IC)までの範囲であることができる。
【0024】
「化学線照射」又は「化学光」は、剥離層における光化学を生じさせ、剥離層を分解する又は分解することを助ける電磁放射である。
【0025】
「放射加熱」又は「光加熱」は、剥離層を加熱し、且つ、剥離層を分解する又は分解することを助ける電磁放射である。
【0026】
「伝導加熱」は、剥離層を加熱し、且つ、剥離層を分解する又は分解することを助ける源(例えば、電気加熱源)の物理的接触からの熱転写である。
【0027】
「パルス期間」、「パルス長」又は「τ」は、化学線照射のパルス、放射加熱のパルス及び/又は伝導加熱のパルスが、剥離層に設けられている部品が剥離されるように及び転写され得るように、剥離層における材料の分解反応を実質的完了まで進行させる期間である。ガス分子(例えば、CO2及び/又はH2O)が、パルス期間の際に剥離層から放出されてよい。
【0028】
「分解温度」又は「Tsd」は、剥離層に設けられている部品が剥離されるように及び転写され得るように、剥離材料分解反応が実質的完了まで進行するのに必要な、剥離層の温度である。剥離層の分解温度は、剥離層における材料の組成に基づいて変動し得る。
【0029】
概要
転写プロセス100における、本明細書に記載されている剥離層の使用を
図1に示す。示されているプロセスフローにおいて、ドナープレート(A)(例えば、光学的に透明な
ドナープレート)が付与され102、剥離層材料組成物(B)の膜によってコーティングされて104(例えば、溶媒コーティング)、コーティングされたドナープレート106を形成する。次いで、転写される所望の部品(C)は、部品(C)及び剥離層(B)を、印可された圧力及び/又は熱と接触させることによって、コーティングされたドナープレート106の剥離層(B)に接着されて108、部品搭載ドナープレート110を形成する。いくつかの実施形態において、部品は、剥離層に搭載される前に、キャリア基板(例えば、テープ)に取り付けられる。いくつかの実施形態において、均一な圧力が、キャリア基板及び/又はドナープレートに印加されてよい。いくつかの実施形態において、500N/cm
2、1000N/cm
2、1500N/cm
2、2000N/cm
2、2250N/cm
2、2500N/cm
2、2750N/cm
2、3000N/cm
2、3250N/cm
2、3350N/cm
2、3750N/cm
2若しくは4000N/cm
2、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、多くて、或いは多くて約かかる値の圧力が、キャリア基板及び/又はドナープレートに印加される。いくつかの実施形態において、圧力は、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、1時間、1.5時間若しくは2時間、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の間、約、少なくとも、或いは少なくとも約かかる間、印加されてよい。いくつかの実施形態において、剥離層及び部品が搭載のために接触している間、剥離層は、40℃、50℃、60℃、80℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃若しくは150℃、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、多くて、或いは多くて約かかる値の温度に加熱されてよい。いくつかの実施形態において、剥離層を、圧力が除去される前に室温まで冷却させる。
【0030】
いくつかの実施形態において、一旦、部品が剥離層に取り付けられると、キャリア基板が除去されて(例えば、剥がされて)部品搭載ドナープレート110を得ることができる。部品搭載ドナープレート110は、次いで、剥離層(B)の化学線照射及び熱への暴露(例えば、放射加熱及び/又は伝導加熱)114の前にターゲット基板(D)表面と整列する112。いくつかの実施形態において、剥離層の化学線照射及び/又は放射加熱は、光学的に透明なドナープレートを通して達成されてよく、及び/又は、剥離層は、化学線照射及び/又は放射加熱に直接暴露される。化学線照射及び加熱は、ポリマー及び/又はオリゴマー材料の、次いで気化される低分子量種への分解を触媒して、ドナープレート(A)120から剥離される部品(C)を形成する、剥離層(B)における光化学反応を誘発する。本明細書に記載されているように、化学線照射及び加熱114は、異なる源から実施され、いくつかの実施形態において、異なる、同じ若しくは同様の時間(例えば、異なる工程)、及び/又は、異なる、同じ若しくは同様の時間の長さ(例えば、パルス長)で開始されてよい。気化は、部品(C)を押圧してターゲット基板(D)上に着地させる122力を発生させ、ここで、当該部品が面に接着して部品搭載基板124を形成する。
【0031】
図1に示されているプロセスは、特定の波長及びエネルギー(例えば、X線、UV、可視、IR)の化学線照射への暴露後、及び分解温度(例えば、約200℃)への加熱後に実質的に分解する剥離層に依り、化学線照射又は加熱の最終工程の少なくとも1つがパルス期間内に実施される。いくつかの実施形態において、パルス長(すなわち、τ)は、10ns、25ns、50ns、75ns、80ns、90ns、100ns、125ns、150ns、175ns、200ns、250ns、300ns、350ns、400ns、450ns、500ns、600ns、700ns、800ns、900ns、1μs、1.2μs、1.5μs、2μs、3μs、4μs、5μs、6μs、7μs、8μs、9μs、10μs若しくは12μs、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、多くて、或いは多くて約かかる値である。いくつかの実施形態において、剥離層の分解温度(すなわち、T
sd)は、100℃、125℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、225℃、230℃、240℃、250℃、260℃、270℃、275℃、280℃、290℃、300℃、325℃
若しくは350℃、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、少なくとも、或いは少なくとも約かかる値である。いくつかの実施形態において、剥離層は、ドナープレートの上に設けられている連続層である。いくつかの実施形態において、剥離層は、複数の剥離層要素を含むパターニングされた剥離層であってよく、各剥離層要素が、他の剥離層要素から分離している。かかる光及び熱のうちの少なくとも1つの非存在下では、剥離層は、化学的完全性及び/又は良好な接着を維持する。
【0032】
図2は、アセンブリを加熱(例えば、放射加熱及び/又は伝導加熱)して化学線照射に暴露することにより剥離層を分解する、例えば、
図1に示されている化学線照射及び加熱工程114のためのプロセス200の実施形態を示すフローチャートである。剥離層を含むアセンブリが付与され202、まず、分解温度以上に加熱されてよく204a、次いで、その後、パルス期間内に化学線照射に暴露されてよく204b、これにより、剥離層の分解を生じさせる210。代替的には、剥離層を含むアセンブリ202が、まず、化学線照射に暴露されてよく206a、次いで、その後、パルス期間内に分解温度以上に加熱されてよく206b、これにより、剥離層の分解を生じさせる210。別の実施形態において、剥離層を含むアセンブリ202は、同時に分解温度以上に加熱されて化学線照射に暴露されてよく208、これにより、剥離層の分解を生じさせ210、加熱及び化学線照射のうちの少なくとも1つがパルス期間内に実施される。
【0033】
図3は、アセンブリを加熱(例えば、放射加熱及び/又は伝導加熱)して化学線照射に暴露することにより剥離層ポリマー及び/又はオリゴマー材料を分解するためのプロセス300の実施形態を示すフローチャートであり、材料分解温度未満の加熱工程及び材料分解温度以上の加熱工程が実施される。いくつかの実施形態において、分解温度未満の加熱工程は、放射加熱によって実施され、分解温度以上の加熱工程は、伝導加熱によって実施される。いくつかの実施形態において、分解温度未満の加熱工程は、伝導加熱によって実施され、分解温度以上の加熱工程は、放射加熱によって実施される。いくつかの実施形態において、2つの加熱工程が両方とも放射加熱である。いくつかの実施形態において、2つの加熱工程が両方とも伝導加熱である。剥離層を含むアセンブリが付与され302、まず、分解温度未満に加熱されてよく304a、次いで、その後、化学線照射に暴露されてよく304b、次いで、その後、パルス期間内に分解温度以上に加熱されてよく304c、これにより、剥離層の分解を生じさせる310。代替的には、剥離層を含むアセンブリ302が、まず、化学線照射に暴露されてよく306a、次いで、その後、分解温度未満に加熱されてよく306b、次いで、その後、パルス期間内に分解温度以上に加熱されてよく306c、これにより、剥離層の分解を生じさせる310。別の実施形態において、剥離層を含むアセンブリ302は、まず、分解温度未満に加熱されてよく308a、次いで、その後、分解温度以上に加熱されてよく308b、次いで、その後、パルス期間内に化学線照射に暴露されてよく308c、これにより、剥離層の分解を生じさせる310。いくつかの実施形態において、化学線照射暴露は、分解温度未満の加熱又は分解温度以上の加熱と組み合わされてよい(例えば、工程304a及び304bが組み合わされる、工程304b及び304cが組み合わされる、工程306a及び306bが組み合わされる、工程308b及び308cが組み合わされる)。
【0034】
いくつかの実施形態において、アセンブリ(例えば、ドナープレート及び/又は剥離層)は、第1温度に加熱され、その後、第2温度に加熱される。いくつかの実施形態において、第1温度は、材料分解温度であり、約材料分解温度であり、材料分解温度未満であり、又は約材料分解温度未満である。いくつかの実施形態において、第1温度は、材料分解温度であり、約材料分解温度であり、材料分解温度超であり、又は約材料分解温度超である。第1温度が材料分解温度であり、約材料分解温度であり、材料分解温度超であり、又は約材料分解温度超であるいくつかの実施形態において、アセンブリは、第2温度に加熱される前に材料分解温度未満に冷却される。いくつかの実施形態において、第2温度は、
材料分解温度であり、約材料分解温度であり、材料分解温度超であり、又は約材料分解温度超である。いくつかの実施形態において、第1温度は、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、125℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、225℃、230℃、240℃、250℃、260℃、270℃若しくは275℃、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、大きくて、或いは大きくて約かかる値である。いくつかの実施形態において、第2温度は、100℃、125℃、150℃、160℃、170℃、180℃、190℃、200℃、210℃、220℃、225℃、230℃、240℃、250℃、260℃、270℃、275℃、280℃、290℃、300℃、325℃若しくは350℃、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、少なくとも、或いは少なくとも約かかる値である。
【0035】
いくつかの実施形態において、剥離層の化学線照射及び加熱は、異なる、同じ若しくは同様の時間(例えば、異なる工程)、及び/又は、異なる、同じ若しくは同様の時間の長さ(例えば、パルス長)で開始されてよい。いくつかの実施形態において、化学線照射は、加熱の前、加熱と同時、及び/又は加熱の後に開始されてよい。いくつかの実施形態において、剥離層が化学線照射に暴露される時間の長さは、加熱が実施される時間の長さと完全に重複していても、部分的に重複していても、重複していなくてもよい(例えば、化学線照射及び加熱工程が連続的に実施され、又は、工程の実施の間に遅延して実施される)。例えば、いくつかの実施形態において、分解温度を達成するのに必要な熱は、パルス期間の間に剥離層に付与され、化学線照射は、いずれの時間尺度(例えば、加熱の前、後、及び/又は間)で剥離層に供給されてもよい。別の例では、いくつかの実施形態において、剥離層は、所要の温度まで連続的に加熱されてよく、化学線照射は、パルス期間の間(例えば、加熱の前、後、及び/又は間)に剥離層に供給されてよい。いくつかの実施形態において、上記で考察されている2つの例のいずれか中間の組み合わせが可能である場合があることが理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態において、剥離層は、τより長い期間にわたってTsd(例えば、約180℃)未満のある値まで加熱されてよく、次いで、時間τ以内でTsd(例えば、約200℃)まで剥離層を更に加熱してよく、化学線照射は、いずれの時間尺度(例えば、加熱工程のうちの少なくとも1つの前、後、及び/又は間)で剥離層に供給されてもよい。
【0036】
剥離層(例えば、パターニングされた剥離層)を分解することは、剥離層を異なる源からの化学線照射及び熱に暴露することを含む。いくつかの実施形態において、化学線照射及び加熱のうちの少なくとも1つが、剥離層を光に暴露することによって実施され得る。いくつかの実施形態において、剥離層は、アセンブリの剥離層対向側から又はアセンブリのドナープレート対向側を通して光に暴露される。実施形態において、光がアセンブリの剥離層対向側に向けられる場合、ドナープレートは不透明であっても、少なくとも部分的に透明であってもよい。実施形態において、光がドナープレートを通して直接向けられる場合、ドナープレートは、少なくとも暴露される光の波長範囲に少なくとも部分的に透明である。いくつかの実施形態において、ドナープレートは、不透明又は非透明であり、放射加熱光は、ドナープレートに向けられ、加熱されたドナープレートは、剥離層を伝導的に加熱する。
【0037】
いくつかの実施形態において、剥離層(例えば、パターニングされた剥離層)は、剥離層が分解されて部品が剥離されるとき、部品の剥離速度及び/又は軌跡を制御するように構成されている。いくつかの実施形態において、剥離された少なくとも1つの部品は、0.1m/s、0.3m/s、0.5m/s、0.8m/s、1m/s、2m/s、3m/s、4m/s、5m/s、6m/s、8m/s若しくは10m/s、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、多くて、或いは多くて約かかる値の剥離速度を有する。いくつかの実施形態において、剥離層は、少なくとも1つの剥離層要素が分解されて少なくとも
1つの部品が剥離されるとき、少なくとも1つの部品をフリップチップするように構成されている。剥離速度及び/又は軌跡は、例えば、部品の非対称の位置付け及び/又は成形された電荷放出層要素(複数可)の使用によって、回転を通じての制御と同様の様々な方法で制御され得る。
【0038】
いくつかの実施形態において、剥離層(例えば、パターニングされた剥離層)は、ボイド及び/又はエスケープチャネルを含む。いくつかの実施形態において、剥離層が分解されるとき、ガス生成物はエスケープチャネルを流通するように構成されている。いくつかの実施形態において、剥離層が分解されるとき、ボイド及び/又はエスケープチャネルは、剥離された部品の速度及び/又は軌跡を制御するように又は制御することを助けるように構成されている。いくつかの実施形態において、剥離層が分解されるとき、エスケープチャネルは、部品の配向及び/又は回転(例えば、フリップチップ)を制御するように又は制御することを助けるように構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態において、加熱により、剥離面から離れた、剥離層の一方の側において熱を発生させる。いくつかの実施形態において、パルスは、約1μsで0.5μmにわたって広がる。そのため、温度は、反応の内いくらかの割合の間は不均一となる(10μs後、拡散距離は依然としてたった1.4μmである)。いくつかの実施形態において、剥離層のより薄い膜が、より高い熱の均一性を達成する場合がある。いくつかの実施形態において、伝導加熱源の薄膜は、単独で、この層に隣接する剥離層が、部品に隣接する剥離層又は伝導加熱源からより遠くに離れている剥離層よりも高い温度を有するようにし得る。いくつかの実施形態において、剥離層膜は、より上部においてはより低い濃度及び1回目の後にキャストされるより低部においてはより高い濃度を有する、ポリマー及び/又はオリゴマーを増感して分解を助ける感光剤(例えば、光酸発生剤(「PAG」))の勾配を有していてよい。分解反応速度は、触媒濃度並びに温度に依存するため、いくつかの実施形態において、勾配は、剥離層から部品を均一に剥離することを助ける場合がある。いくつかの実施形態において、加熱源は、剥離層におけるポリマー及び/又はオリゴマー材料よりも低い熱伝導率を有する更なるポリマー層上に設けられている。いくつかの実施形態において、更なるポリマーは、低い密度を有するナノ多孔質ポリマーを含む。いくつかの実施形態において、剥離層は、より薄い(例えば、<1μm又はさらには数百nmのオーダー)。いくつかの実施形態において、更なるポリマー層は、加熱されたときに、剥離層の均一な温度を作り出すことを助ける。
【0040】
いくつかの実施形態において、基板(例えば、ドナープレート)、剥離層及び部品を含有し、これらの要素を保持する固定を含んでいる装置全体は、Tsd付近の安定な温度に加熱されてよく、次いで、光化学が、放射加熱及び/又は化学線照射の迅速な光パルスによって開始される。
【0041】
いくつかの実施形態において、開示されているプロセスは、光退色性マスク(例えば、置換アントラセンをベースとする)の使用を有利に可能にする。いくつかの実施形態において、光退色性マスクは、近UV(約360~380nm)において強く、260nm付近ではるかにより強く吸収するが、300nm又はその付近では吸収しない。いくつかの実施形態において、照射(例えば、レーザー及び/又はダイオード照射)は、300nmよりも短い波長(例えば、約266又は248nm)で実施されてよい。加えて、いくつかの実施形態において、本明細書に開示されているプロセスは、具体的なレーザー又はダイオード周波数について心配することなく、他の光活性感光剤(例えば、PAG)を使用する可能性を許容する場合がある。いくつかの実施形態において、近UVにおいて作動する光活性感光剤(例えば、PAG)が利用されてよく、その結果、アントラセン化学が直接使用され得るようになる。いくつかの実施形態において、増感が利用されてもよい。
【0042】
剥離層、組成物及び化合物
剥離層の組成物は、オリゴマー及び/又はポリマー組成物を含む。オリゴマー及び/又はポリマー組成物は、テトラリン又はシクロヘキセンコアを含有する単位と、当該コアを組成物の他のコア及び/又は部分に接続させる連結部とを含むオリゴマー及び/又はポリマー成分を含んでいてよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、剥離層組成物は、ポリマー材料を含む。いくつかの実施形態において、剥離層組成物は、オリゴマー成分と混在しているポリマー成分を含む。いくつかの実施形態において、ポリマー成分は、オリゴマー成分と共に均質な膜を形成する。いくつかの実施形態において、ポリマー成分は、複数のポリマーを含む。いくつかの実施形態において、ポリマー成分は、剥離層膜の材料特性及び/又は剥離特性を調節するのに有効な量で使用され得る。いくつかの実施形態において、ポリマー成分は、線状ホモポリマー、ブロックコポリマー、ポリマーネットワークなどを含む。いくつかの実施形態において、ポリマー成分は、マトリックスとして作用してオリゴマー成分を支持し、剥離層の物理的特性及び/又は光学的特性を決定づける。ポリマー成分を修飾することによって剥離層の材料特性を調整することは、剥離層の特性が、オリゴマー成分を再設計する必要なく適用基準毎に改変され得るため、有利であり得る。更に、異なるポリマーにより、部品を剥離層に接着するための処理条件を改変することができる。また、ネットワークポリマーは、ガス発生の際に転写される不揮発性の残留物をトラップすることを助け得る。いくつかの実施形態において、ポリマー成分は、光化学的に不活性である。いくつかの実施形態において、ポリマー成分は、光化学的に活性である。可能性のあるポリマー成分の例として:テトラリン又はシクロヘキセンコア及び連結部を含有するポリマー成分、ポリプロピレン、ポリ(プロピルカーボネート)、ポリウレタン、ABSブロックコポリマー、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、これらのコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ネットワークポリマーの例は、ドナー基板上への堆積後にチオレン光化学によって架橋されるポリエチレングリコールポリマーであり得る。
【0044】
本明細書に記載されている剥離層組成物の実施形態において、分解材料(例えば、オリゴマー成分)は、剥離層処方の主要成分(すなわち、最大の重量%又は質量%を構成する成分)である。本明細書に記載されている剥離層組成物の実施形態において、分解材料(例えば、オリゴマー成分)は、剥離層処方の副成分である。例えば、実施形態において、ポリマー成分が剥離層の主成分であり得る一方で、オリゴマー成分が副成分である。いくつかの実施形態において、剥離層組成物は、1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%若しくは98重量%、又はこれらの間の値のいずれかの範囲のオリゴマー成分を含み、約かかる値のオリゴマー成分を含み、少なくともかかる値のオリゴマー成分を含み、少なくとも約かかる値のオリゴマー成分を含み、多くてかかる値のオリゴマー成分を含み、或いは多くて約かかる値のオリゴマー成分を含む。いくつかの実施形態において、剥離層組成物は、1重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%若しくは98重量%、又はこれらの間の値のいずれかの範囲のポリマー成分を含み、約かかる値のポリマー成分を含み、少なくともかかる値のポリマー成分を含み、少なくとも約かかる値のポリマー成分を含み、多くてかかる値のポリマー成分を含み、又は多くて約かかる値のポリマー成分を含む。
【0045】
オリゴマー及び/又はポリマーの連結部における化学結合が、熱及び化学線照射の印加を通して開裂されるとき、連結部の残りは、比較的揮発性の、非反応性の小分子に変換される。ガス状副生成物は、接着された部品をターゲット基板上に押圧する体積拡大を通し
て力を発生させる。本明細書に記載されているように、オリゴマー及び/又はポリマー化合物の連結部は、熱(放射熱及び/又は伝導熱)並びに化学線照射の印加によって開裂されてよい。いくつかの実施形態において、オリゴマー及び/又はポリマー化合物は、直接、並びに/或いは、剥離層(例えば、基板)に若しくはその付近に設けられている別の層の加熱及び/又は剥離層組成物内の要素の加熱を通して間接的に加熱されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、テトラリンコアは、およそ240~300nmの範囲の波長を用いた、放射加熱による(例えば、レーザーによる)膜加熱を容易にする場合がある芳香族発色団である。シクロヘキセンコアは、発色団によって吸収される波長を有する発色団として作用する膜内で化合物の放射加熱を通して間接的に加熱されてよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、分解されたコアは、非反応性且つ揮発性の生成物に変換されてよい。例えば、テトラリン(すなわち、テトラヒドロナフタレン)のベンジル位に付着しているカーボネート連結部では、カーボネートが開裂されるとき、テトラヒドロナフタレンコアが非反応性且つ揮発性であるナフタレンに変換されることとなる。このことはまた、芳香族系の形成に起因して分解反応を完了へと駆動する。別の例として、ベンジル型カーボネート(例えば、テトラリン(すなわち、テトラヒドロナフタレン)単位及びカーボネート連結部を有するオリゴマー又はポリマー成分)は、ベンジル型官能性がカーボネート開裂のカチオン性中間体を安定化させるため有利である場合があり、また、かなりより速く且つより低いエネルギー開裂型の反応を結果として生じさせる場合がある。更なる例として、ビス-カーボネートコア(すなわち、2つのカーボネート連結部に連結されたテトラリン(すなわち、テトラヒドロナフタレン)又はシクロヘキセンを有するオリゴマー又はポリマー成分)は、2つのカーボネートを開裂することにより2つのC=C結合の形成を結果として生じさせることにより完全に芳香族性の構造を結果として生じさせるため、有利である場合がある。芳香族構造の形成は、迅速な連結部開裂及びガス形成を駆動することを助け得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、剥離層組成物は、光活性感光剤を含む。いくつかの実施形態において、光活性感光剤は、熱増感剤、光酸発生剤(「PAG」)、及びこれらの組み合わせであってよい。様々な実施形態において、剥離層組成物は、放射加熱光を吸収してこれを熱に変換する1以上の添加剤の形態で熱増感剤を含む。熱増感剤は、高い光子吸収量子収率、低い蛍光/燐光量子収率、及び/又は非照射経路を通して減衰する短い励起状態寿命を有していてよい。これらは、放射加熱の際の加熱速度を助けることにより連結部分解及びガス形成の速度を増加させるのに有効な量で使用されてよい。これらの剤は、より低い出力及びより長い波長のレーザーによって加熱を容易にすることもできる。いくつかの実施形態において、熱増感剤は、剥離層処方によって均質な膜を形成することとなる。いくつかの実施形態において、熱増感剤は、剥離層処方によって透明膜を形成することとなる。いくつかの実施形態において、熱増感剤は、剥離層処方によって不透明膜を形成することとなる。熱増感剤の例として、いくつかの実施形態において、無機剤、金プラズモンナノ粒子、銀プラズモンナノ粒子、金ナノワイヤ、銀ナノワイヤ、炭素系剤、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、グラフェン、酸化グラフェン、有機系剤、及び金属製剤が挙げられる。いくつかの実施形態において、有機系熱増感剤は、以下の構造特性:芳香族性、縮合多環系、S若しくはN含有ヘテロ環、多環系、及び/又は多芳香族系;のうちの1以上を含む。有機系熱増感剤の例として、メラミン、ユーメラニン、インドール、ピロール、キノリン、プリン、トリフェニルメチル化合物(例えば、(メトキシメタントリイル)トリベンゼン)、縮合芳香族化合物(例えば、アントラセン及びピレン)、ジベンゾチオフェン、チオフェン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0048】
様々な実施形態において、剥離層組成物は、光酸発生剤(PAG)を含む。いくつかの実施形態において、PAGは、発色団単位及び酸前駆体単位を含む。いくつかの実施形態において、発色団単位は、ジフェニルヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、及びこ
れらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、酸前駆体単位は、トリフルオロメタンスルホネート(すなわち、トリフレート)、ヘキサフルオロホスフェート、ナイトレート、p-トルエンスルホネート、パーフルオロ-1-ブタンスルホネート、及びこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、PAGは、イオン性PAG又は非イオン性PAGである。いくつかの実施形態において、イオン性PAGは、ジフェニルヨードニウムナイトレート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ-1-ブタンスルホネート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムp-トルエンスルホネート,(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、及びこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、非イオン性PAGは、N-ヒドロキシナフタルイミドトリフレート、N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドパーフルオロ-1-ブタンスルホネート、2-(4-メトキシスチリル)-4,6,-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、及びこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、PAGは、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネートである。
【0049】
別の実施形態において、放射加熱光を吸収してこれを熱に変換する添加剤は、剥離層の主成分であり得る。これらは、放射加熱の際の加熱速度を助けることによりオリゴマー及び/又はポリマー分解並びにガス形成の速度を増加させるのに有効な量で使用されてよい。これらの剤は、より低い出力及びより長い波長のレーザーによって加熱を容易にすることもできる。添加剤の例として、コロイド状金属、Si、SiO2、TiO2、SnO2、アントラセン、ナフタレン、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロナフタレン、ジフェニルエーテル、フェニルシクロヘキサン、tert-ブチルフェノール、アセトキシ-テトラヒドロナフタレン、及びこれらの誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態において、添加剤は、300nm、320nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm、1000nm、1100nm、1300nm若しくは1500nm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲である、約、多くて、多くて約、少なくとも、或いは少なくとも約かかる値である波長で吸収するように構成されている。
【0050】
化学線照射
剥離層の化学線照射は、剥離層を分解する又は分解することを助ける剥離層における光化学を生じさせるのに使用される。いくつかの実施形態において、剥離層を分解する又はこれの分解を助けるのに使用される化学線照射の波長(すなわち、剥離波長)は、UV光、可視光、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、剥離層を分解する又はこれの分解を助けるのに使用される化学線照射の波長(すなわち、剥離波長)は、180nm、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm若しくは450nm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、或いは約かかる値である。いくつかの実施形態において、化学線照射源として、LED、レーザー(例えば、ダイオードレーザー、固体状態レーザー、ガスレーザー、液体レーザー及びファイバレーザー)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、化学線照射は、パルス及び/又は連続波構成で付与されてよい。いくつかの実施形態において、パルス化学線照射は、0.3ns、0.5ns、0.7ns、0.8ns、0.9ns、1ns、3ns、5ns、8ns、10ns、25ns、50ns、75ns、80ns、90ns、100ns、125ns、150ns、175ns、200ns、250ns、300ns、350ns、400ns、450ns、500ns、600ns、700ns、800ns、900ns、1μs、1.2μs、1.5μs、2μs、3μs、4μs、5μs、6μs、7μs、8μs、9μs、10μs
若しくは12μs、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、多くて、又は多くて約かかる値のパルス幅を有する。いくつかの実施形態において、パルス化学線照射のパルス幅は、パルス期間、約パルス期間、長くてパルス期間、又は長くて約パルス期間である。いくつかの実施形態において、化学線照射は、パルス期間、約パルス期間、長くてパルス期間、又は長くて約パルス期間に実施される。いくつかの実施形態において、化学線照射のエネルギー密度は、4mJ/cm2、5mJ/cm2、6mJ/cm2、8mJ/cm2、10mJ/cm2、20mJ/cm2、30mJ/cm2、40mJ/cm2、45mJ/cm2、50mJ/cm2、60mJ/cm2、70mJ/cm2、75mJ/cm2、80mJ/cm2、90mJ/cm2、100mJ/cm2、125mJ/cm2、150mJ/cm2、175mJ/cm2若しくは200mJ/cm2、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、少なくとも、或いは少なくとも約かかる値である。
【0051】
化学線照射の主な目的は、剥離層における光化学を生じさせることであるが、化学線照射のいくらかは、それにもかかわらず、剥離層組成物における化合物によって吸収されて、熱に変換されてよい。化学線照射のかかる熱変換は、化学線照射の波長及び出力密度の選択並びに/又は剥離層組成物の化合物(例えば、ポリマー及び光活性感光剤)の選択によって最小限にされてよい。いくつかの実施形態において、剥離層組成物のポリマーは、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%若しくは95%、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、少なくとも、又は少なくとも約かかる値の量で化学線照射を吸収する。いくつかの実施形態において、剥離層組成物の光活性感光剤は、1%、2%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%若しくは50%、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、多くて、又は多くて約かかる値の量で化学線照射を吸収する。いくつかの実施形態において、大抵は剥離層組成物のポリマーによって化学線照射を吸収し、また、光活性感光剤によって吸収されなくてよく又は最小限に吸収される。
【0052】
例として、入射QスイッチNd:YAGレーザーパルスが利用されてよく、剥離層を分解する又は分解することを助ける反応を生じさせるのに有用である0~10μs(例えば、0~10ns)のパルス幅で約50mJ/cm2の出力密度を有していてよい。いくつかの実施形態において、他のレーザー、光のレーザー波長、レーザーパルシング周波数、及びレーザー出力(多かれ少なかれ約50mJ/cm2未満)が利用されてよい。いくつかの実施形態において、266nmでの入射レーザーパルスにおいて50mJ/cm2の約30~70%しか吸収されない(膜厚に依る)。いくつかの実施形態において、吸収された化学線照射(例えば、光)のフラクションは、熱になり、また、ある割合で、発光になり、収率は分からないが、おそらく約20%である。このことは、熱の約20mJ/cm2が、10nsパルスからポリマーに入ることを示唆している。これのいくらかは、損失して熱拡散となる場合がある。r2=2Dtの簡単な式を使用すると、熱パルスのポリカーボネートを通しての透過距離は、1μsで0.5μm、10μsで1.4μmである。溶融シリカにおける拡散距離は、1μsで1.3μmである。拡散なしでは、ポリカーボネート内に瞬時に堆積された15mJ/cm2では、約115Kによってそれを加熱し得る。所要のエネルギーが15mJ/cm2であると、20cm×20cmのドナープレート(400cm2)についての合計エネルギーは6Jである。最大出力は、10μsで送達されるとき、600kW(1.5kW/cm2)であり得る。実用に必要とされる実際の量は、拡散損失に起因して、より大きい場合があるが、一時的に最適化された方法で印加されるとき、より小さい場合がある。これらの数により、レーザーパルスに関して「妥当とされる目標」を設定するが、明白な要件を規定することは意図されていない。
【0053】
伝導加熱
剥離層は、伝導加熱(例えば、電気加熱源)を通して加熱されて、剥離層を分解し又はその分解を助け得る。いくつかの実施形態において、伝導加熱は、剥離層に直接印加され
る。いくつかの実施形態において、伝導加熱は、基板(例えば、ドナープレート)に印加され、次いで、剥離層を伝導的に加熱する。
【0054】
いくつかの実施形態において、特定の量の加熱エネルギーが剥離層に送達される。いくつかの実施形態において、伝導加熱(例えば、電気加熱)は、迅速な発生(例えば、<1μs)で、短期間(例えば、マイクロ秒)で実施される。いくつかの実施形態において、伝導加熱は、パルス期間、約パルス期間、長くてパルス期間、又は長くて約パルス期間に実施される。いくつかの実施形態において、遅い化学線照射(例えば、パルス期間を超える)は、加熱の前、後又は同時に剥離層において実施されて、剥離層の分解(例えば、増感)を生じさせ又は助けてよい。いくつかの実施形態において、伝導加熱(例えば、電気加熱)は、パルス期間内に実施されて剥離層を生じさせ又はこれを生じさせることを助け、ガスのパルスを低下及び形成して、基板(例えば、ドナープレート)から部品を剥離する(例えば、押圧する)。いくつかの実施形態において、パルス期間内に実施される伝導加熱は、ガスを迅速にエスケープさせて部品に力を及ぼし、及び/又は、ガスがゆっくりと部品に力を及ぼすことなくエスケープすることを回避する。いくつかの実施形態において、部品の剥離(例えば、転写反応)は、剥離層分解が一旦完了するとき、どのぐらい迅速に熱が止められるかによって有意に影響されなくてもよい。いくつかの実施形態において、熱が止められる速度は、基板(例えば、ドナープレート)加熱について考慮されてよい。いくつかの実施形態において、熱は、剥離層の薄膜(例えば、1μm厚)に直接印加され、比較的少量の基板(例えば、1mm以上の厚さのオーダー)が加熱されてよい。いくつかの実施形態において、加熱源のデューティサイクルは、小さくてよい(例えば、約10-5s間オン、約1~10s間オフ)。
【0055】
いくつかの実施形態において、伝導加熱源は、電気加熱源である。いくつかの実施形態において、電気加熱源は、導電及び抵抗材料(例えば、材料の薄膜)を含み、当該材料を加熱するために所望の時間尺度で該材料に電流を通過させてよい。いくつかの実施形態において、伝導加熱源は、剥離層を含む基板(例えば、ドナープレート)の少なくとも一方の面上に設けられている(例えば、当該面に設けられている)。いくつかの実施形態において、伝導加熱源は、頂部主面(すなわち、剥離層が上に設けられているのと同じ面)、底部主面(すなわち、剥離層が上に設けられているのと反対の面)又は側面の少なくとも1つの上に設けられている。いくつかの実施形態において、伝導加熱源(例えば、導電体)は、電源と電気連通している。いくつかの実施形態において、伝導加熱源は、基板(例えば、ドナープレート)の1以上の縁部に巻き付ける電極を有する電源と電気連通している。いくつかの実施形態において、電極リードは、(例えば、保護及び/又はより低い接触抵抗のために)別の金属(例えば、金、白金、銅、ニッケル)によって覆われていてよい。いくつかの実施形態において、電源は、金属(例えば、貴金属)と、ブラシ(例えば、電気モータにおいて使用されている)を使用して電気連通しており(例えば、接触しており)、又は、物理的に接触している。いくつかの実施形態において、伝導加熱源は、目的の波長(例えば、化学線照射波長(例えば、深UV波長)及び/若しくは光加熱波長)に透明又は部分的に透明(すなわち、透明伝導加熱源)である。いくつかの実施形態において、目的の波長は、180nm、200nm、210nm、220nm、230nm、240nm、250nm、260nm、270nm、280nm、290nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm若しくは450nm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲、或いは約かかる値である。いくつかの実施形態において、透明伝導加熱源は、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%若しくは95%、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、少なくとも、或いは少なくとも約かかる値の目的の波長の透過率を示す。いくつかの実施形態において、伝導加熱源のシート抵抗(「Rs」)は、5Ω/□、10Ω/□、15Ω/□、20Ω/□、25Ω/□、30Ω/□、35Ω/□、45Ω/□、
45Ω/□、50Ω/□、55Ω/□、60Ω/□、70Ω/□、80Ω/□、90Ω/□、100Ω/□、150Ω/□、200Ω/□、250Ω/□、300Ω/□、400Ω/□、500Ω/□、600Ω/□、700Ω/□、800Ω/□、900Ω/□、1000Ω/□、1200Ω/□若しくは1500Ω/□、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、多くて、或いは多くて約かかる値である。いくつかの実施形態において、伝導加熱源は、3nm、4nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、80nm、85nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、150nm、175nm、200nm、250nm、300nm、400nm、500nm若しくは1000nm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、多くて、或いは多くて約かかる値の厚さを有する。いくつかの実施形態において、透明伝導加熱源は、透明導電酸化物(「TCO」)を含む。いくつかの実施形態において、TCOとして、インジウムスズ酸化物(「ITO」)(例えば、テクスチャITO)、β-Ga2O3、金(Au)、銀(Ag)、及びLaドープSrSnO3が挙げられる。いくつかの実施形態において、TCOとして、インジウムスズ酸化物(「ITO」)(例えば、テクスチャITO)、β-Ga2O3、金(Au)及びLaドープSrSnO3が挙げられる。
【0056】
図4A~4Dは、複数の加熱源を含むドナープレートアセンブリの実施形態を示す。
図4Aは、ドナープレート402及び少なくとも1つの加熱源ストリップ404を含むアセンブリ400Aであって、複数の加熱源ストリップ406がドナープレート402の上に設けられている、上記アセンブリを示す。ストリップ距離408によって互いに離れている複数の加熱源ストリップ406が示されており、また、幅410を有する各加熱源ストリップ404が示されている。ドナープレート402及び複数の加熱源ストリップ406の遠位端には、遠位母線412がドナープレート402及び複数の加熱源ストリップ406の上に設けられており、ドナープレート402及び複数の加熱源ストリップ406の近位端には、近位母線414がドナープレート402及び複数の加熱源ストリップ406の上に設けられている。遠位母線412が、ドナープレート402の頂部主面の遠位端の上に設けられている頂部母線部412a、及びドナープレート402の遠位側縁の上に設けられている側方母線部412bと共に示されている。頂部母線部412aの幅416も示されている。
図4Bは、ドナープレート422及び少なくとも1つの加熱源424を含むアセンブリ400Bの側面図を示し、ドナープレート422の上に設けられている複数の加熱源426が示されている。
図4Cは、ドナープレート432、ドナープレート432の上に設けられている加熱源434、並びに、加熱源434並びにドナープレート432の頂部主面、側縁面及び底部主面の上に設けられている母線444を含むアセンブリ400Cの断面図を示す。ドナープレート432の頂部主面の上に設けられている母線444の幅446、及び、ドナープレート432の側縁面の上に設けられている母線444の厚さ448も示されている。
図4Dは、ドナープレート452、ドナープレート452の上に設けられている加熱源454、並びに、加熱源454並びにドナープレート452の頂部主面、側縁面及び底部主面の上に設けられている母線464、並びに、母線464と電気接触468(例えば、スプリング及び/又はブラシの使用による)しているデバイス466を含むアセンブリ400Dの断面図を示す。電源470と電気連通しているデバイスが示されている。
【0057】
いくつかの実施形態において、母線は、金属、例えば、Au及び/又はPtなどを含む。いくつかの実施形態において、母線は、例えば、めっき及び/又は蒸着などによって、ドナープレート及び加熱源の上に堆積される。いくつかの実施形態において、ドナープレートは、0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm若しくは10mm厚、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、多くて、或いは多くて約かかる値である。いくつかの実施形態において、加熱源(例えば、TCO)は、10n
m、15nm、20nm、25nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm若しくは100nm厚、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、多くて、或いは多くて約かかる値である。いくつかの実施形態において、隣接する加熱源間の距離は、50nm、75nm、100nm、125nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm若しくは700nm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、少なくとも、或いは少なくとも約かかる値である。いくつかの実施形態において、加熱源ストリップの幅は、250nm、300nm、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、1.5μm、2μm、3μm、4μm、5μm、10μm、50μm、100μm、500μm、1mm若しくは5mm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、少なくとも、或いは少なくとも約かかる値である。いくつかの実施形態において、ドナープレートの頂部主面の上に設けられている母線の幅は、0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm若しくは8mm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、多くて、或いは多くて約かかる値である。いくつかの実施形態において、ドナープレートの側縁面の上に設けられている母線の厚さは、0.5μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm若しくは8μm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、多くて、或いは多くて約かかる値である。
【0058】
図5A及び5Bは、ナノ多孔質材料層を含むドナープレートアセンブリの実施形態を示す。
図5Aは、ドナープレート502、ドナープレート502の上に設けられているナノ多孔質材料層504、ドナープレート502及びナノ多孔質材料層504の上に設けられている複数の加熱源506、複数の加熱源506の上に設けられている母線508、並びに、母線508の上に設けられている剥離層510を含むアセンブリ500Aの側面図を示す。
図5Bは、ドナープレート522、ドナープレート522の上に設けられているナノ多孔質材料層524、ナノ多孔質材料層524の上に設けられている加熱源526、加熱源526の上に設けられている母線528、及び、母線508に隣接し、加熱源526の上に設けられている剥離層530を含むアセンブリ500Bの断面図を示す。ドナープレート522の頂部主面、側縁面及び底部縁面の上に設けられている母線528が示されている。ドナープレート522の頂部主面の上に設けられている母線528の幅534、及びドナープレート522の側縁面の上に設けられている母線528の厚さ532も示されている。
【0059】
伝導加熱の要件(例えば、電気的要件)は、どのように加熱が実施されるかに依っていてよい。考慮する3つの範囲がある:静止、リアルタイム、及び混合体。
【0060】
放射加熱
剥離層は、剥離層を分解する又はこれを分解することを助ける放射加熱(例えば、IR加熱源)を通して加熱されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、特定量の加熱エネルギーが、第2の化学線露光によって、当該露光と共に、その前に、又は後に、光加熱電流を通して送達されて、光化学を生じさせ、剥離層を分解する。
【0061】
電磁放射のスペクトルは、この目的のために、UV、IR、可視及びマイクロ波領域に分割され得る。UVスペクトルは、近UV(例えば、約300~400nm)、中UV(例えば、約200~300)、及び遠UV(例えば、約100~200)に更に分割され得る。IRスペクトルは、近IR(例えば、約800~2000nm)、中IR(例えば、約2~10μm)、及び遠IR(例えば、約10μm~1mm)に更に分割され得る。いくつかの実施形態において、放射加熱は、UV(例えば、近UV、中UV及び/若しくは遠UV)、IR(例えば、近IR、中IR及び/若しくは遠IR)、可視若しくはマイクロ波領域、又はこれらの領域の任意の組み合わせにおいて実施されてよい。いくつかの
実施形態において、放射加熱は、中IR領域において実施されてよい。いくつかの実施形態において、放射加熱は、280nm、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、425nm、450nm、475nm、500nm、525nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1500nm、2000nm、2500nm、3000nm、3500nm、4000nm、5000nm、6000nm、7000nm、8000nm、9000nm、10000nm、12000nm、15000nm、20000nm、30000nm、50000nm、75000nm若しくは100000nm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、少なくとも、又は少なくとも約かかる値の波長を使用して実施される。いくつかの実施形態において、放射加熱は、IR領域(例えば、中IR領域)において実施されてよい。いくつかの実施形態において、マイクロ波が、放射加熱に利用されてよく、ある波長においては比較的強く吸収されてよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、放射加熱の少なくともいくらかが、基板材料(例えば、シリコン、シリカ及びBaF2)によって吸収される。例えば、シリコンが5μmを超える波長において有意に吸収し始める。10.6μmの光が溶融シリカの表面において数ミクロン以内に吸収される。そのため、いくつかの実施形態において、10.6μmの放射加熱光が連続波(cw)形態で溶融シリカ基板に印加されて、基板を加熱してよい。いくつかの実施形態において、基板は、複数の基板材料及び/又は層を含む。例えば、いくつかの実施形態において、溶融シリカ層は、BaF2ドナープレート基層に堆積されて、発熱性薄膜(例えば、CO2レーザー放射による)として使用され得る。いくつかの実施形態において、BaF2構成上のかかる溶融シリカ層は、パルス状の操作形態において放射加熱を利用してよい、なぜなら、熱が、溶融シリカドナープレート基層に必要である場合があるときに基板全体を通して拡散しなくてもよいからである。例として、いくつかの実施形態において、パルスシステムでは、膜の表面において200℃の温度ジャンプを生じるには約20mJ/cm2が算出され、膜厚を通して減少する。この熱は、非常に迅速な(例えば、5ns)時間で投入されると、拡散によって迅速に損失される。そのため、いくつかの実施形態において、より長い照射期間又は複数回の投入のいずれかが利用されてよい。1nsかけて伸ばされた20×20cmのドナープレートにおける20mJ/cm2は8MWであることに注意されたい。別の例は、いくつかの実施形態において、純粋にcwのシステムでは、DPはホットプレートとして本質的に機能し、その結果、電力損失速度が、実験室ホットプレートの表面温度を200℃に上昇させたときに生じるものと類似するようになり、これは、おおよそ1kW(20×20cmで)である。
【0063】
いくつかの実施形態において、放射加熱の少なくともいくらかが、剥離層によって吸収される。いくつかの実施形態において、放射加熱波長は、吸収されて剥離層組成物のポリマーを加熱するように選択される。いくつかの実施形態において、UV(例えば、近UV、中UV及び/又は遠UV)におけるポリマーの吸収は、放射加熱について選択される。いくつかの実施形態において、ポリマーは、近UVにおいて強い吸収、並びに、中UV(例えば、約300nm)及び/又は遠UVにおいてより弱い吸収を有する。いくつかの実施形態において、剥離層のポリマーのモノマー(例えば、カーボネートモノマー)は、近UV及び/又は中UVの吸光度(例えば、約300nm)を有する。
【0064】
いくつかの実施形態において、放射加熱波長(例えば、UV)は、剥離層の上に設けられている部品(例えば、Si部品、GaN部品、SiC部品、AlP部品、及び/又はGaAlInP部品)によって吸収される。例えば、シリコン(Si)は、約375nmで強く吸収し(α約105cm-1以上)、GaNは、約355nmで吸収する。いくつかの実施形態において、窒化ガリウム量子井戸は、6~7μm付近で少なくともいくらかの
近IR吸収を有する。いくつかの実施形態において、レーザーダイオード(LD)(例えば、高出力LD)は、放射加熱(例えば、約375nmにおいて)に使用されてよい。いくつかの実施形態において、個々の部品(例えば、チップレット)に対処するのに充分に高い解像度を有するアレイが構築されてよい。典型的な市販のレーザーダイオードは、これらを部品の加熱に好適ではないようにする場合がある大きい熱除去構造を有しているが、いくつかの実施形態において、LDは、熱除去構造の必要性を回避するために、低いデューティサイクル(例えば、約10μs間オン、次いで1~10s間オフ)で使用されてよい。GaNは、約360nm超及びこの波長に透明であるが、異なる報告では、純度に起因する場合がある僅かに異なるカットオン周波数が示されている。いくつかの実施形態において、355nmにおけるダイオードポンプYAGレーザーが利用されてよい(例えば、GaNを光学的に加熱するために)。いくつかの実施形態において、ダイオードポンプYAGレーザーは、より簡素な光学を有利に有していてよい(例えば、画像化が必要とされない)。例えば、いくつかの実施形態において、355nm YAG又は351nm
XeFエキシマーは、GaN部品(例えば、LED部品)又はSi部品の表面付近で強い吸収を生じるように利用されてよく、Siは、355nmにおいてGaNよりも約10x強く吸収する。
【0065】
いくつかの実施形態において、放射加熱のための波長は、光化学を生じさせること又はこれを生じさせることを助けることを回避するように選択される。いくつかの実施形態において、放射加熱のための波長は、化学線照射のための波長と重複しない又は実質的に重複しない。放射加熱及び化学線照射のための波長の重複は、これらが重複するスペクトル領域における、より強い源に対するより弱い源のスペクトル発光曲線下での積分面積であってよく、スペクトル発光曲線は、エネルギー/単位面積/単位時間として較正される。いくつかの実施形態において、放射加熱波長及び化学線照射のための波長間の重複は、25%、20%、15%、10%、8%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%若しくは0%、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、多くて、或いは多くて約かかる値である。いくつかの実施形態において、放射加熱の半値全幅(FWHM)波長及び化学線照射のFWHM波長間の重複は、25%、20%、15%、10%、8%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%若しくは0%、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、多くて、或いは多くて約かかる値である。いくつかの実施形態において、放射加熱のための波長は、剥離層組成物の光活性感光剤による吸収を回避するように選択される。いくつかの実施形態において、光活性感光剤は、光酸発生剤(「PAG」)触媒(例えば、約300nm)である。例えば、いくつかの実施形態において、PAGは、近UVにおいて吸収するため、剥離層のポリマーを加熱するのに遠UV放射加熱(例えば、高出力LED源から)が使用される。いくつかの実施形態において、放射加熱波長は、光活性感光剤(例えば、PAG)吸収波長よりも長い及び/又は短い。いくつかの実施形態において、PAGは、約300nmにおいてその最大吸収を有する。本明細書において考察されているように、化学線照射源として機能し得るLEDがあり、光学系をより簡素にする。
【0066】
いくつかの実施形態において、基板、剥離層(例えば、パターニングされた剥離層)及び/又は部品を加熱するのに使用される放射は、要素(例えば、膜)に、垂直(すなわち、頂部又は底部主面から)よりもむしろ平行(すなわち、側面から)に注入されてよい。これらの実施形態において、導波構造は、ポリマー膜に隣接するドナープレート面に製作される。いくつかの実施形態において、光、例えばIR光は、ドナープレートの一方の縁においてこの導波構造にカップリングされてよく、ここから他の側に移動する。いくつかの実施形態において、0.05/cm-1の吸収係数は、20cm(製造用途におけるドナープレートに典型的なサイズ)で吸収される光のおよそ60%には充分であり得る。いくつかの実施形態において、この吸収は、僅かに非線形であってよく、5.0%が入口縁において1cmの距離で吸収され、2.0%が出口縁において最終的なcmで吸収される
。しかし、いくつかの実施形態において、光は、複数の縁(例えば、両縁)から注入されてよく、結果は、プレート全体にわたってほぼ均一な吸収となる(例えば、6.8%及び6.1%の間)。いくつかの実施形態において、均一性は、吸収係数を0.05cm-1未満に低減することによって改良され得る。別の実施形態において、吸収係数は、製作プロセスの際にドナープレートを横断して徐々に増加して、空間的に均一な吸収率プロファイルを結果として生じさせ得る。
【0067】
図6は、ドナープレートアセンブリ602の側縁に位置している近位放射加熱源604及び遠位放射加熱源608を有するドナープレートアセンブリ602を含むシステム600の上面図を示す。近位放射熱606(例えば、IR光)を注入する近位放射加熱源604が示されており、また、ドナープレートアセンブリ602のそれぞれの側に遠位放射熱610を注入する遠位放射加熱源608が示されている。いくつかの実施形態において、放射加熱源(複数可)は、加熱源のアレイ(例えば、光ファイバ、LED及び/又はレーザーのアレイ)を含む。いくつかの実施形態において、放射加熱源は、ドナープレートアセンブリ内に注入される光を平行にする、フォーカスする又は発散するレンズ(例えば、円筒形状レンズ)を含む。いくつかの実施形態において、放射加熱源は、光を、基板(例えば、ドナープレート及び/若しくは光吸収材料)、部品並びに/又は剥離層内に並びに/又は上に注入する。いくつかの実施形態において、近位及び遠位放射加熱源から注入される放射加熱線は、実質的に平坦なプロファイルを形成する。いくつかの実施形態において、近位及び遠位放射加熱源から注入される放射加熱線は、疑似直線的に吸収されるように構成されている。
【0068】
いくつかの実施形態において、基板(例えば、ドナープレート)は、光吸収材料を含む。いくつかの実施形態において、光吸収材料は、基板上に及び/又は内に後に組み込まれる。いくつかの実施形態において、光吸収層は、基板の上に設けられており、光吸収材料及びホスト材料を含む。いくつかの実施形態において、光吸収材料(例えば、近IR吸収材料)は、層(例えば、ガラス)上に堆積され又は当該層内に組み込まれてよい。いくつかの実施形態において、光吸収材料は、蒸着によって堆積される。いくつかの実施形態において、蒸着は、蒸発、スパッタリング、イオンビーム支援堆積、及びこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、光吸収材料は、UVにおいて(例えば、化学線照射に使用される波長で)有意な吸光度を有していてよい。いくつかの実施形態において、光吸収材料は、IR吸光度よりも大きいUV吸光度を有していてよい。いくつかの実施形態において、IR吸光度よりも大きいUV吸光度を有する光吸収材料は、剥離層への化学線照射の印加を有意に妨げてはならない、なぜなら、厚さが、基板(例えば、ドナープレート)の幅の10-4未満で、1~10μmのオーダーであるからである。いくつかの実施形態において、光ファイバの分野において周知である、IR導波路のクラッディングに好適な材料は、例えば、UV光に関して同様の吸収特性を有しており、印加を妨げてはならない。いくつかの実施形態において、IR吸収層の屈折率に応じて、溶融シリカドナープレートが1つのクラッド層として機能してよい。
【0069】
図7は、ドナープレート702、ドナープレート702の上に設けられている第1クラッド層704、第1クラッド層704の上に設けられている光吸収材料706、光吸収材料706の上に設けられている第2クラッド層708、及び第2クラッド層708の上に設けられている剥離層710、並びに剥離層710の上に設けられている複数の部品712を含むアセンブリ700の側面図を示す。いくつかの実施形態において、クラッド層の構成及び/又は光吸収材料の特性は、光吸収材料が、ドナープレートの側縁を通して注入される光のための導波路として作用することを可能にする。いくつかの実施形態において、光吸収材料の厚さは、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、1.2μm、1.5μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm若しくは12μm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲で
あり、約、多くて、或いは多くて約かかる値である。いくつかの実施形態において、アセンブリは、第1クラッド層を含まない。いくつかの実施形態において、光吸収材料の屈折率は、ドナープレート材料(例えば、シリカ)よりも大きい。いくつかの実施形態において、第2クラッド層は、大きいエバネセント波透過値を有する。クラッド層(複数可)が利用されるいくつかの実施形態において、放射加熱の光は、クラッド層又はドナープレートと、反射(例えば、全反射)を通してのクラッド層との間で結合され又は実質的に結合される。クラッド層(複数可)が利用されるいくつかの実施形態において、放射加熱の光は、剥離層に接触しない又は実質的に接触しない。クラッド層(複数可)が利用されるいくつかの実施形態において、放射加熱の波長は、化学線照射波長と重複又は実質的に重複してよい。
【0070】
図8は、ドナープレート802、ドナープレート802の上に設けられている第1クラッド層806a、第1クラッド層806aの上に設けられている傾斜付き光吸収材料804、及び傾斜付き光吸収材料804の上に設けられている第2クラッド層806bを含むアセンブリ800の側面図を示す。ドナープレート802の近位から遠位端に厚さが減少している傾斜付き光吸収材料804を示す一方で、ドナープレート802の近位から遠位端に厚さが増加している第1クラッド層を示す。いくつかの実施形態において、傾斜付き光吸収層は、ドナープレートの側縁から注入される光のプロファイルを平坦にすることを助け得る。いくつかの実施形態において、傾斜付き光吸収材料は、ドナープレートの近位端から中間部分への厚さを減少させ、ドナープレートの中間部分から遠位端への厚さを増加させてよい。いくつかの実施形態において、傾斜付き光吸収層の最大厚さは、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、12μm、15μm、20μm若しくは25μm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、約、或いは少なくともかかる値である。いくつかの実施形態において、傾斜付き光吸収層の最小厚さは、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1μm、1.2μm、1.5μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm若しくは10μm、又はこれらの間の値のいずれかの範囲であり、最も、或いは多くてかかる値である。
【0071】
いくつかの実施形態において、光吸収材料は、無機光吸収材料又は有機光吸収材料である。いくつかの実施形態において、無機光吸収材料は、Nd2O3、Sm2O3、V2O3、CoO、NiO、及びMnO2を含む。いくつかの実施形態において、ホスト材料は、SiO2、Al2O3、及び他の概して透明の誘電体を含む。いくつかの実施形態において、有機光吸収材料は、ポリカーボネート化合物及び/又は芳香族化合物である。いくつかの実施形態において、芳香族化合物として、キノキサリン化合物(例えば、4,6,7,9-テトラ(チオフェン-2-イル)-[1,2,5]チアジアゾロ[3,4-g]キノキサリン、及び2,2’-(6,6,12,12-テトラオクチル-6,12-ジヒドロインデノ[1,2-b]フルオレン-2,8-ジイル)ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン))が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態において、数ミクロン厚のポリカーボネート膜は、3000cm-1で約10%(3.3μm、CH芳香族環)、1800cm-1で45%(5.5μm)及び1100~1300で85%(9.1~7.7μm;最も強いのはO-C-Oバンドである)の吸光度を示す。いくつかの実施形態において、量子カスケードレーザー(QCL)は、これらの波長を供給し得る。溶融シリカは>4.6μmを強く吸収するため、いくつかの実施形態において、BaFは、IR領域及びUVの両方において好適に透明であるため、基板に利用されてよい。いくつかの実施形態において、芳香族化合物(例えば、4,6,7,9-テトラ(チオフェン-2-イル)-[1,2,5]チアジアゾロ[3,4-g]キノキサリン)は、近IRにおいて強い吸光度(例えば、900nmにおけるピーク)を有する。いくつかの実施形態において、芳香族化合物は、UVにおいて吸収するため、芳香族化合物のUVピーク間にある谷部において吸収する光活性感光剤(例えば、PAG)が選択されてよい。
【0072】
これらの実施形態において、IRレーザーダイオード及び/又はLEDは、加熱プロセスのための放射加熱源として有利に使用されてよい。いくつかの実施形態において、約700~約900nmの領域の波長が利用されてよい。いくつかの実施形態において、固体状態エミッタは、数マイクロ秒の持続時間を超えないパルスで所要のエネルギーを供給する能力を有して、市販されている。いくつかの実施形態において、ドナープレート導波路内に光を放つことができるファイバ内への発光をカップリングするための方法及び機器が利用される。いくつかの実施形態において、他の波長及びエミッタ技術も、吸収体の選択に応じて使用されてよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、その出力が数十センチメートルの伝搬距離にわたって平行なままであるのに充分にコヒーレントであるレーザーが、放射加熱のための光源として使用されてよい。いくつかの実施形態において、導波構造は、光を薄層に閉じ込めることが必要であるとされなくてよい。いくつかの実施形態において、レーザー出力は、好適なレンズによって薄スラブ(例えば、数マイクロメートルの厚さのオーダーの及び/又はドナープレートと同様に幅広い)に形作られ、基板(例えば、ドナープレート)の底部縁内に向けられる。いくつかの実施形態において、レーザー光は、剥離層に隣接して及び/又は剥離層自体の中に向けられる。
【0074】
いくつかの実施形態において、放射加熱によって加熱される材料は、(例えば、少なくとも分解温度まで、又は分解温度付近に)加熱されるのに充分な放射加熱吸光度(例えば、IR吸光度)を有していてよい。いくつかの実施形態において、好適であってよいレーザーとして、CO2、YAG(例えば、355nm)、Nd:YAG(及び関連するレーザー、例えば、Nd:YLF)(例えば、約1μm及び約1.3μm)、ダイオードレーザー(例えば、約800~900nm)、エルビウムドープファイバ(例えば、約1.5μm)、量子カスケードレーザー(QCL)(例えば、約3μmを超える複数の発光波長)、CO2レーザー(例えば、約10.6μm)、アレキサンドライトレーザー(例えば、可視赤色から近IR付近)、Ti-サファイアレーザー(例えば、可視赤色から近IR付近)、エキシマーレーザー(例えば、XeFエキシマー;351nm)、並びに近IRの基本的出力を有するその他のものが挙げられる。いくつかの実施形態において、光(例えば、中IR光)の所要の波長を生じさせるために、光学的パラメトリック増幅器が利用される。いくつかの実施形態において、複数の放射加熱源(例えば、LED並びに/又はレーザー(例えば、同じ若しくは異なるタイプ及び/若しくは強度の))が使用されてよい。いくつかの実施形態において、ダイオードレーザーは、半導体処理によって製作されるという利益(例えば、結晶又はガス放電に関係するレーザーよりも低いコストを潜在的に有する)を有していてよい。いくつかの実施形態において、ダイオードレーザーは、サブμsレジメにおいて可変のパルス長を有していてよく、そのため、いくつかの実施形態において、τの値に及んでよい。いくつかの実施形態において、ダイオードレーザーは、必要な強度を供給するために、アレイ(例えば、YAGレーザーをポンピングするのに使用される「ダイオードバー」と同様の)内に組み合わされてよい。いくつかの実施形態において、ダイオードレーザーは、連続波(すなわち、cw)又はパルスモードで操作されてよい。いくつかの実施形態において、CO2レーザーは、高出力で、例えば最大で8kW又は20kWのcw出力で利用されてよい。いくつかの実施形態において、CO2レーザーは、いくらかのすぐ近くの輝線を有して、約5.5μm及び/又は10.6μmで発光する。いくつかの実施形態において、高出力CO2レーザーは、約1~3kWの出力を有する。いくつかの実施形態において、CO2レーザーは、約10μs以上のパルス幅を有していてよい。いくつかの実施形態において、CO2レーザーは、デューティサイクルのオーダーの50%を有していてよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、材料の低いレベルの吸光度に適合する他の波長が有用で
あってもよい。
【0076】
組み合わせ加熱
いくつかの実施形態において、剥離層の加熱は、伝導及び放射加熱の組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、伝導加熱は、放射加熱と同時に、前に及び/又は後に実施されてよい。いくつかの実施形態において、伝導加熱は、放射加熱と比較して、同じ時間量で、同様の時間量で、又は異なる時間量で実施されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、透明導電酸化物層は、剥離層を分解温度付近に(例えば、転写反応時間と比較して遅い加熱速度で)加熱するのに使用されてよく、短いパルスの放射加熱(例えば、IR光)が導波構造に注入されて、剥離層を分解温度に加熱する。いくつかの実施形態において、短いパルスの放射加熱は、部品の転写を引き起こす。
【0077】
加熱の形態
剥離層の加熱プロセス(例えば、伝導加熱、光加熱)は、様々な形態で実施されてよい。本明細書に記載されている形態には、1)静止形態、2)リアルタイム形態、及び3)混合形態が含まれる。
【0078】
1)静止形態
いくつかの実施形態において、剥離層は、ゆっくりと(例えば、10μs、20μs、50μs、100μs、200μs、300μs、500μs、750μs、1ms、5ms、8ms、10ms、20ms、50ms、100ms、200ms、300ms、500ms、750ms若しくは1s、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約の、多くて、或いは多くて約かかる値の期間にわたって)分解温度Tsd(例えば、感光剤分解温度(例えば、光酸発生剤(「PAG」)触媒))まで加熱することによって静止形態において加熱される。いくつかの実施形態において、加熱は、化学線照射露光の前に実施され、次いで、化学線照射(例えば、酸を生成するため)がパルス(例えば、迅速に;10ns~10μs)で送達される。いくつかの実施形態において、加熱は、化学線照射の後に実施される。いくつかの実施形態において、加熱は、化学線照射と同時に実施される。いくつかの実施形態において、静止形態加熱は、10μs、20μs、50μs、100μs、200μs、300μs、500μs、750μs、1ms、5ms、8ms、10ms、20ms、50ms、100ms、200ms、300ms、500ms、750ms若しくは1s、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、少なくとも、或いは少なくとも約かかる値の期間にわたって実施される。
【0079】
いくつかの実施形態において、このアプローチの利点は、薄膜の加熱が比較的簡単(例えば、電気的に簡単)であるということであり、ここで、所要の出力は、拡散損失(例えば、基板のSiO2への)を補償しながら所望の分解温度に達するように送達される。例として、いくつかの実施形態において、20cm×20cmのドナープレートの要件は、1kWの大きさのオーダーであることである。この形態の更なる利点は、加熱されたシステム(例えば、ドナープレート、透明抵抗層、剥離ポリマー、及び転写可能な部品、並びに、存在し得るいずれか他の層)の遅い温度上昇により、クラッキング又は層間剥離を引き起こし得る熱応力を最小にすることである。加熱の速度は、広い範囲にわたって変動してよい。いくつかの実施形態において、システムは、特定の温度にされて(例えば、増感分解のために必要に応じて)、必要である限り保持され得、又は、いくつかの実施形態において、システムは、秒又はミリ秒の期間にわたって加熱され、次いで、次の転写操作工程(例えば、更なる加熱及び/又は化学線照射)の前に冷却することが可能になる。
【0080】
いくつかの実施形態において、静止形態加熱は、伝導加熱(例えば、電気加熱)及び/又は放射加熱によって実施されてよい。いくつかの実施形態において、静止加熱は、高速の開始光パルスを送達するように光源(例えば、レーザー)によって実施されてよい。例
えば、いくつかの実施形態において、10μsにおける3mJ/cm2の見かけの線量では、300W/cm2の出力が必要とされてよい。いくつかの実施形態において、所要の出力は、従来のレーザー及び/又はLEDによって供給されてよい。いくつかの実施形態において、感光剤(例えば、PAG触媒)の吸収極大は約300nmである。そのため、いくつかの実施形態において、遠UV発光源(例えば、LED)は、各部品(例えば、約100×100μmチップ)について1Wまで発光するのに使用されてよい。いくつかの実施形態において、1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%、0.008%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0005%、0.0001%、0.00005%若しくは0.00001%、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、多くて、或いは多くて約かかる値の加熱デューティサイクルが利用される。例えば、いくつかの実施形態において、出力は、熱を有効に除去するために、低いデューティサイクル(例えば、1%以下)によって利用されてよい。他の実施形態において、デューティサイクルは、10-3%以下のオーダーのものである。いくつかの実施形態において、放射加熱源(例えば、レーザー)は、10μs間オン、次いで1~10s間オフでパルスされる。いくつかの実施形態において、デバイスは、間欠的に冷却されない。いくつかの実施形態において、全ダイオードベースの照明器(all-diode-based illuminator)が利用される。他の実施形態において、YAG又は他の大型DUVレーザーが利用される。
【0081】
2)リアルタイム形態
いくつかの実施形態において、剥離層は、迅速に(例えば、10μs未満で)Tsdへのパルス加熱によってリアルタイム形態で加熱される。いくつかの実施形態において、加熱は、化学線照射露光の前に実施され、次いで、化学線照射(例えば、酸を生成するため)がパルス(例えば、迅速に;10ns~10μs)で送達される。いくつかの実施形態において、加熱は、化学線照射の後に実施される。いくつかの実施形態において、加熱は、化学線照射と同時に実施される。いくつかの実施形態において、リアルタイム形態の加熱は、5ns、10ns、20ns、30ns、40ns、50ns、60ns、70ns、80ns、90ns、100ns、200ns、300ns、400ns、500ns、600ns、700ns、800ns、900ns、1μs、2μs、3μs、4μs、5μs、6μs、7μs、8μs、9μs、10μs、20μs、50μs、100μs若しくは200μs、又はこれらの間の値のいずれかの範囲の、約、多くて、或いは多くて約かかる値の期間にわたって実施される。
【0082】
例えば、いくつかの実施形態において、加熱(例えば、放射加熱)は、膜が周囲温度(例えば、20C)にあり、次いで、その後Tsdに加熱され(例えば、10μs未満で)ながら実施される。いくつかの実施形態において、名目上、10μsで15mJ/cm2、又は1.5kW/cm2の出力が利用される。20×20cmのドナープレートでは、これは、合計600kWである。
【0083】
いくつかの実施形態において、かかる高電流及び/又は電圧の短パルスを発生させるための電源が利用されてよい。いくつかの実施形態において、電流及び電圧間の要件のバランスを取るため、kV範囲の電圧及び数百アンペア(A)の電流が利用されてよい。数値目標自体が単に近似であることを認識して、表1に、同じ出力を達成するのに使用されてよい電圧、電流及び抵抗の例を提供する。表1は、単一の透明導電酸化物(「TCO」)(20×20cm)シートを仮定しており、1つの縁に沿って電圧が印加される。記述されているRはΩにおけるものであるが、この形状にはΩ/□でもある。Rは、100nm厚さで30Ω/□のオーダーのものである(例えば、これは、LaドープSrSnO
3についての値である)。いくつかの実施形態において、厚さは、(光吸収度に起因して)容易に増加されてはならないが、減少されてよい(=より高いR)。そのため、いくつかの実施形態において、より高い電圧及びより低い電流が好まれてよい。かかる電気パルスを
生じさせるためにいくつかの方法、例えば、内蔵出力MOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、出力バイポーラトランジスタ、及び「solidtrons」(これらはサイリスタと呼ばれる、Excelitas Technologiesの商品名であるが、固体状態部品である)がある。真空管を使用する高出力スイッチングデバイスもあるが、半導体がより小さく、寿命がより長く、より安価である。
【表1】
【0084】
いくつかの実施形態において、加熱源(例えば、TCO)は、各供給の電流要件を低下させるためにストリップに分割されてよい。非常に狭いギャップ(例えば、0.5μm)が加熱源(例えば、TCO)の2つのストリップ間にリソグラフィによって製作されるとき、ポリマー表面の全てのエリアが依然として加熱要素の0.25μmの範囲内にあることとなる。かかる構造は、均一な加熱構造から実質的に逸脱しない。いくつかの実施形態において、なおより狭いギャップが利用されてよい、なぜなら、ストリップ間の最小の電位差であるべきであるからである。駆動エレクトロニクスの時間的特性の変動は、非常に小さな過渡差を生じることがあり、2つのストリップ間の短絡を引き起こすのに充分ではない。例えば、20cm平方のシートが10のストリップに分割されるとき、それぞれに必要とされる出力は、表1に与えられているものの1/10であり、電圧及び電流の積が対応して低減される。そのため、60,000Wは、4000V、15A、及び267Ωによって達成可能であり得る(27Ω/□のTCOシート抵抗によって達成可能であり得る)。30Ω/□は、達成可能なTCO特性に「安全な」数字であるが、いくつかの実施形態において、光化学に利用可能なUV出力、及び、該当する工程の所要の処理量に応じて、より低い値が使用され得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、開示されているプロセスは、電圧及び電流の両方の迅速な変化を必要とする場合があるため、キャパシタンス及びインダクタンスが許容範囲になければならない。キャパシタンスでは、基本的な充電式が関係する:V=Vo[1-e-(t/RC)。平行板形状のキャパシタンスはC=εA/dであり、ここで、ε=ε0εrは誘電率、約4×8.85×10-12F/mである。いくつかの実施形態において、電流の帰路が、ドナープレートの、TCOとは反対側にあると、プレートの厚さdは約1mmであり、Cは約1.5nFである。シートを1kVまで充電するための時定数は、ここで、t=-RC{ln[1-(V/V0)]}≒4.6RC(所望の電圧の99%まで充電)≒5nsである。いくつかの実施形態において、帰路は、導電面よりもむしろワイヤであり、簡単な計算が可能ではない。バイオエレクトロニクスに基づく推定値(例えば、導電シートを運ぶ人の容量)は、少なくとも1桁分だけ低く、対応するより速い立ち上がり時間につながる。
【0086】
寄生インダクタンスの算出は、同様に小さい(例えば、ns以下)時定数につながる。これらの数及び式は近似であるが、これらの効果はシステムが所要の時間で所望の電気状態に到達することを防止しないであろうということを示している。
【0087】
いくつかの実施形態において、上記で参照された出力部品(例えば、固体状態)は、小規模のユニットに組み込まれるのに充分に小さくてよい。いくつかの実施形態において、出力部品は、露光ツールの一部であってよい。いくつかの実施形態において、基板(例えば、ドナープレート)の縁において、又は、頂部及び/若しくは底部主面における狭いストリップにおいて、伝導加熱源(例えば、TCO)をカバーする銅又は金の層に対して、先に記述されているように、接触する場合がある。そのため、いくつかの実施形態において、基板(例えば、ドナープレート)を露光ツールから除去して熱転写プロセスを実施する必要がない場合がある。
【0088】
いくつかの実施形態において、リアルタイム形態では、基板(例えば、ドナープレート)に導入される熱の量が、加熱された膜の薄さだけでなく、熱がオンになっている(例えば、約10-5のデューティサイクル)間の短い時間によって制限され得る。いくつかの実施形態において、伝導加熱源(例えば、TCO)層は、硬質絶縁体の薄層(例えば、100~500nm)によって保護される。いくつかの実施形態において、硬質絶縁体は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、ダイヤモンドなどの材料を含む。
【0089】
3)混合形態
いくつかの実施形態において、剥離層は、静止形態及びリアルタイム形態の加熱を組み合わせることによって加熱される。いくつかの実施形態において、リアルタイム形態の加熱は、静止形態の加熱の前、後又は同時に実施される。例えば、いくつかの実施形態において、Tsd付近であるがこれ未満の温度への剥離層の遅い静止形態の前加熱が達成され、次いで、その後のリアルタイムパルスの熱(例えば、伝導加熱(例えば、電気エネルギー)及び/又は放射加熱)(例えば、表1において算出されているものより小さい)が印加されて少なくともTsdを達成する。いくつかの実施形態において、後の加熱工程により、剥離層の分解反応を開始させる。
【0090】
いくつかの実施形態において、混合形態の加熱プロセスは、当該プロセスが、蒸気膨張のタイミングを制御することを助けてよい、並びに、システム機構の利点(例えば、パルス電源の要件I及びVを低減する等)を有していてよいという点において有利であり得る。いくつかの実施形態において、処理量に関して許容範囲である、せいぜいTsdであるがこれを超えない経時的な加熱に関するいずれのパラメータセットを使用してもよい。いくつかの実施形態において、温度はまた、反応の間に(熱入力を変動させることによって)も変動され得る。
【0091】
ある特定の実施形態が記載されているが、これらの実施形態は、ほんの一例として提示されているものであり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。実際、本明細書に記載されている新規の方法及びシステムは、広範な他の形態で具現化されてよい。更に、本明細書に記載されているシステム及び方法における様々な省略、置き換え及び変更が、本開示の精神から逸脱することなくなされてよい。付随する特許請求の範囲及びこれらの等価物は、本開示の範囲及び精神の範囲内にあるものとして、かかる形態又は改変をカバーすることが意図される。
【0092】
特定の態様、実施形態、又は例と併せて記載されている特徴、材料、特性、又は群は、本セクション又は本明細書のいずれかの箇所において記載されているいずれか他の態様、実施形態又は例に、これらと適合しないということがない限り、適用可能であると理解されるべきである。本明細書(いずれの付随する特許請求の範囲、要約書及び図も含む)に開示されている特徴の全て、並びに/又はこうして開示されているいずれかの方法若しくはプロセスの工程の全てが、かかる特徴及び/又は工程の少なくともいくらかが互いに排
他的である組み合わせを除いて、いずれの組み合わせで組み合わされてもよい。保護は、いずれの上記の実施形態の詳細にも制限されない。保護は、本明細書(いずれの付随する特許請求の範囲、要約書及び図も含む)に開示されている特徴のいずれか新規の1つ若しくはいずれか新規の組み合わせに、又は、こうして開示されているいずれかの方法若しくはプロセスの工程のいずれか新規の1つ、若しくはいずれか新規の組み合わせにまで及ぶ。
【0093】
更に、別々の実施の文脈において本開示に記載されているある特定の特徴は、単一の実施において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施の文脈において記載されている様々な特徴は、複数の実施において別々に又はいずれかの好適なサブコンビネーションで実施することもできる。更に、特徴が、ある特定の組み合わせにおいて作用するとして上記に記載されている場合があるが、特許請求されている組み合わせからの1以上の特徴は、いくつかの場合において、当該組み合わせから削除することができ、また、当該組み合わせは、サブコンビネーション又は様々なサブコンビネーションとして特許請求されてよい。
【0094】
更に、操作が特定の順序で図において示され又は本明細書において記載されている場合があるが、かかる操作は、所望の結果を達成するために、示されている当該特定の順序で又は順番に実施される必要はなく、又は全操作が実施される必要もない。示されていない又は記載されていない他の操作が、例の方法及びプロセスに組み込まれ得る。例えば、1以上の更なる操作が、記載されている操作の前、後、同時、又は間に実施され得る。更に、操作は、他の実施において並べ替えられても順番を変えられてもよい。当業者は、いくつかの実施形態において、示されている及び/又は開示されているプロセスにおいて採用される実際の工程が、図において示されているものと異なる場合があることを認識するであろう。実施形態に応じて、上記の工程のある特定のものが除去されてもよく、他のものが加えられてもよい。更に、上記に開示されている具体的な実施形態の特徴及び特質が異なる方法で組み合わされて更なる実施形態を形成してもよく、これらの全てが、本開示の範囲内にある。また、上記の実施における様々なシステム部品の分離は、全ての実施においてかかる分離を必要とするとして理解されるべきではなく、記載されている部品及びシステムが、概して、単一の製品において一緒に集積され得る又は複数の製品にパッケージングされ得ると理解されるべきである。例えば、本明細書に記載されているエネルギー貯蔵システム用の部品のいずれもが、別々に付与されて又は一緒に集積されて(例えば、一緒にパッケージングされて、若しくは一緒に取り付けられて)、エネルギー貯蔵システムを形成し得る。
【0095】
本開示の目的で、ある特定の態様、利点、及び新規の特徴が、本明細書に記載されている。必ずしも、全てのかかる利点が、いずれか特定の実施形態にしたがって達成され得るというわけではない。そのため、例えば、当業者は、本明細書において教示又は示唆されている場合がある他の利点を必ずしも達成することなく、本明細書おいて教示されている1つの利点又は利点群を達成する方法で、本開示が具現化又は実施されてよいことを認識するであろう。
【0096】
条件付きの言葉、例えば、「得る、できる(can)」、「得る、できる(could)」、「であってよい、である場合がある(might)」又は「であってよい、である場合がある(may)」は、別途具体的に記述されていない又は使用されている文脈内に別途理解されていない限り、ある特定の実施形態が、他の実施形態は含まないが、ある特定の特徴、要素、及び/又は工程を含んでいることを伝達することが概して意図される。そのため、かかる条件付きの言葉は、特徴、要素、及び/若しくは工程が、いかなる方法でも、1以上の実施形態に必要とされること、又は、1以上の実施形態が、これらの特徴、要素、及び/若しくは工程がいずれか特定の実施形態に含まれる若しくは当該実施形態
において実施されるべきであるかどうかを使用者が入力若しくは指示してもしなくても決定するための論理を必ず含んでいるということを暗示することは概して意図されていない。
【0097】
接続的な言葉、例えば、句「X、Y、及びZのうちの少なくとも1つ」は、別途具体的に記述されていない限り、項目、用語などが、X、Y、又はZのいずれかであってよいことを伝達するのに概して使用される文脈によってさもなければ理解される。そのため、かかる接続的な言葉は、ある特定の実施形態が、Xのうちの少なくとも1つ、Yのうちの少なくとも1つ、及びZのうちの少なくとも1つの存在を必要とすることを暗示することは概して意図されていない。
【0098】
本明細書において使用されている、程度の言葉、例えば、用語「およそ」、「約」、「概して」、及び「実質的に」は、本明細書において使用されているとき、依然として、所望の機能を果たす又は所望の結果を達成する、記述されている値、量、又は特徴に近い値、量、又は特徴を表す。
【0099】
本開示の範囲は、このセクション若しくは本明細書のいずれかの箇所における実施形態の具体的な開示によって限定されることは意図されておらず、このセクション若しくは本明細書のいずれかの箇所に提示されている、又はこれから提示される特許請求の範囲によって定義され得る。特許請求の範囲の言葉は、特許請求の範囲において用いられている言葉に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に又は本願の審査の際に記載される例に限定されず、かかる例は、非排他的であると解釈されるべきである。
【0100】
ある特定の実施形態が記載されているが、これらの実施形態は、ほんの一例として提示されているものであり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。実際、本明細書に記載されている新規の方法及びシステムは、広範な他の形態で具現化されてよい。更に、本明細書に記載されているシステム及び方法における様々な省略、置き換え及び変更は、本開示の精神から逸脱することなくなされてよい。付随する特許請求の範囲及びこれらの等価物は、本開示の範囲及び精神の範囲内にあるものとして、かかる形態又は改変をカバーすることが意図される。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【国際調査報告】