(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】抗IL23特異的抗体によるクローン病を処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20241126BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241126BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241126BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20241126BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20241126BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20241126BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61P1/04
A61K39/395 N
A61K9/08
A61K47/24
A61K47/34
A61K47/20
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/519
A61K31/573
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528442
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 IB2022060946
(87)【国際公開番号】W WO2023084488
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】アデドクン,オモニイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ダフネ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】サパリー,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC16
4C076DD60
4C076DD67
4C076EE23
4C076FF70
4C084AA19
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA66
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086DA10
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZC75
(57)【要約】
患者においてクローン病を処置する方法は、患者が抗体に応答し、臨床エンドポイントのうちの1つ以上を満たすために、初期静脈内投与及びその後の皮下投与のIL-23特異的抗体、例えば、グセルクマブを投与する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者におけるクローン病を処置する方法であって、IL-23に対する抗体を、初回投与、初回処置の4週間後の投与、初回処置の8週間後の投与、及び8週目の投与後の4週間毎又は8週間毎の投与で、前記患者に投与することを含み、前記抗体が、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変領域が、
配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、
配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び
配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、
前記重鎖可変領域が、
配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、
配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び
配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、前記患者が、抗体に対する応答者である、方法。
【請求項2】
前記患者が、以下からなる群から選択される1つ以上の臨床エンドポイントを満たすものとして同定される、請求項1に記載の方法:
(i)初回処置後48週目(「48週目」)における、クローン病活動性指数(CDAI)スコアのベースラインからの変化、
(ii)150ポイント未満(<)のCDAIとして定義される、48週目における臨床的寛解、
(iii)CDAIスコアのベースラインからの100ポイント以上(≧)の減少、又は150未満(<)のCDAIスコアとして定義される、48週目における臨床応答、
(iv)1日平均排便回数(SF)、及び1日平均腹痛(AP)スコアに基づいて定義される、48週目における患者報告アウトカム(PRO)-2寛解、
(v)前記CDAIスコアに基づく臨床応答、及びC反応性タンパク質(CRP)又は便中カルプロテクチンのベースラインからの減少を使用して定義される、48週目における臨床バイオマーカ応答、
(vi)簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD)によって測定され、2以下(≦)のSES-CDとして定義される、48週目における内視鏡的寛解、
(vii)簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD)によって測定される、48週目における内視鏡的反応、
(viii)48週目における150未満のCDAIスコア、及び48週目においてコルチコステロイドを受けていないものとして定義される、48週目におけるコルチコステロイドフリー臨床的寛解、及び
(ix)患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)に基づく、48週目における疲労応答。
【請求項3】
前記初回投与、並びに初回処置の4週間後及び初回処置の8週間後の前記投与が、1200mg、600mg及び200mgからなる群から選択される、静脈内投与であり、8週目の前記投与後の4週間毎又は8週間毎の前記投与が、100mg、又は200mgの皮下投与である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記静脈内投与が、1200mgであり、前記皮下投与が、8週目の前記投与の4週間毎に、200mg投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記静脈内投与が、600mgであり、前記皮下投与が、8週目の前記投与後の4週間毎に、200mg投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記静脈内投与が、200mgであり、前記皮下投与が、8週目の前記投与後の8週間毎に、100mg投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、医薬組成物の、7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、0.053%(w/v)のポリソルベート80を含む前記組成物中に含まれており、希釈剤が、標準状態の水である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
クローン病を処置するために使用される、1つ以上の追加の薬剤を、前記患者に投与することを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記追加の薬剤が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカ抗体、抗CD20抗体、リツキシマブ、TNF阻害剤、コルチコステロイド、及び共刺激調節剤からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体が、配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記抗体が、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列、及び配列番号9の重鎖アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記患者が、クローン病に対して生物学的療法非奏効又は不耐性(Bio非奏効)とみなされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が、クローン病に対して従来療法非奏効又は不耐性(Con非奏効)とみなされる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ヒトIL23に結合する抗体で、クローン病を処置するための方法に関する。具体的には、本発明は、抗IL-23特異的抗体、及び抗体、例えば、グセルクマブの、特定の医薬組成物を投与するための、特定の投与及び投与レジメンを伴う方法に関する。
【0002】
(電子的に提出された配列表の参照)
本出願は、XML形式の配列表として、米国特許商標庁パテントセンタを介して電子的に提出され、ファイル名「JBI6656WOPCT1 Sequence Listing.xml」で、に作成され、Kbのサイズを有する配列表を含む。パテントセンタを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の背景)
インターロイキン(interleukin、IL)-12は、2つのジスルフィド結合グリコシル化タンパク質サブユニット(それらのおよその分子量に関してp35及びp40と表記される)で構成された分泌型ヘテロ二量体サイトカインである。IL-12は主に抗原提示細胞によって産生され、T細胞又はナチュラルキラー(natural killer、NK)細胞の表面上に発現される2鎖受容体複合体に結合することによって細胞性免疫を促進する。IL-12受容体ベータ-1(IL-12 receptor beta-1、IL-12Rβ1)鎖は、IL-12のp40サブユニットに結合し、IL-12とその受容体との間の一次相互作用をもたらす。しかしながら、細胞内シグナル伝達(例えば、STAT4リン酸化)及び受容体保有細胞の活性化を付与するのは、第2の受容体鎖であるIL-12Rβ2のIL-12p35ライゲーションである(Presky et al,1996)。抗原提示と同時に生じる、IL-12シグナル伝達は、インターフェロンガンマ(IFNγ)産生を特徴とする、Tヘルパー1(Th1)表現型へのT細胞分化を引き起こすと、考えられている(Trinchieri,2003)。Th1細胞は、いくつかの細胞内病原体に対する免疫を促進し、補結抗体アイソタイプを生成し、腫瘍免疫監視に寄与すると考えられる。それ故に、IL-12は、宿主防御免疫機構にとって重要な構成要素であると考えられる。
【0004】
IL-12のp40タンパク質サブユニットは、p19と表記される別個のタンパク質サブユニットと会合して、新規サイトカインであるIL-23を形成することもできることが発見された(Oppman et al,2000)。IL-23も2鎖受容体複合体を介してシグナル伝達する。p40サブユニットがIL-12とIL-23との間で共有されるため、IL-12Rβ1鎖もIL-12とIL-23との間で共有されることになる。しかしながら、IL-23特異的細胞内シグナル伝達(例えば、STAT3リン酸化)及びその後のT細胞によるIL-17産生を付与するのは、IL-23受容体複合体であるIL-23Rの第2の構成要素のIL-23p19ライゲーションである(Parham et al,2002、Aggarwal et al.2003)。最近の研究は、IL-23の生物学的機能とIL-12の生物学的機能が、これらの2つのサイトカイン間の構造的類似性にもかかわらず、異なることを示した(Langrish et al,2005)。
【0005】
抗体によるIL-12の中和が、乾癬、多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)、関節リウマチ、炎症性腸疾患、インスリン依存性(1型)真性糖尿病、及びブドウ膜炎の動物モデルの処置において有効であるため、IL-12及びTh1細胞集団の異常な制御は、多くの免疫媒介性疾患に関連している(Leonard et al,1995、Hong et al,1999、Malfait et al,1998、Davidson et al,1998)。しかしながら、これらの研究は共通のp40サブユニットを標的化しているため、IL-12及びIL-23の両方をインビボで中和した。したがって、IL-12又はIL-23が疾患を媒介していたかどうか、あるいは疾患の抑制を達成するために両サイトカインが阻害される必要があるかは明らかではない。最近の研究は、IL-23阻害が抗IL-12p40戦略と同等の利益を提供し得ることを、IL-23p19欠損マウス又はIL-23の特異的抗体中和により確認した(Cua et al,2003、Murphy et al,2003、Benson et al 2004)。したがって、免疫介在性疾患におけるIL-23の特異的な役割に関する証拠が増加している。IL-12経路を阻害することなくIL-23を中和することは、重要な宿主防御免疫機構に対する影響が限定的である、免疫媒介疾患の有効な処置を提供することができる。これは、現在の治療選択肢に対して著しい改善をもたらし得る。
【0006】
現在、中等度から重度の活動性クローン病の処置に認可された3つのクラスの生物学的薬剤:腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor、TNF)拮抗薬療法(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ)、インテグリン阻害剤(ナタリズマブ及びベドリズマブ)、及びIL-12/23阻害剤(ウステキヌマブ)が存在する。生物学的薬剤の導入は、中等度から重度の活動性クローン病を有する患者の臨床管理を有意に改善したが、被験者患者集団のうちかなりの割合が応答しないか、又は経時的に応答を失う。承認された生物学的薬剤に対する利用可能なデータの総説は、特に、以前に生物学的薬剤不全であった患者間での、長期的な寛解の達成及び維持における必要性が満たされていないことを強調している。全ての処置患者(すなわち、評価された研究の0週目に無作為化された全ての患者)において、生物学的薬剤非奏効又は不耐性((BIO非奏効)集団での1年における臨床的寛解の推定率は約20%であり、従来療法の非奏効又は不耐性((CON非奏効))集団では20%~50%の範囲である。
【0007】
要約すると、新たな処置選択肢、特に、有効性バー(efficacy bar)を上昇させ、臨床的寛解を達成及び維持する患者の割合を最大化する可能性を有する新規な作用機序を有する療法に対する、相当な医学的必要性が依然として満たされておらずに存在する。
【0008】
(発明の概要)
第1の態様では、本発明は、クローン病に罹患している対象の方法に関し、抗IL-23特異的抗体(IL-23p19抗体とも呼ばれる)、例えば、グセルクマブを、処置開始から8週目まで、初期静脈内導入投与で患者に投与し、その後、4週間毎又は8週間毎に1回、例えば、0、4、8、12又は16、20又は24、28又は32、36又は40、44又は48週目での投与で、抗IL-23特異的抗体を、皮下投与することを含む。更に、別の実施形態では、皮下処置は、処置開始後140週間続く。
【0009】
一実施形態では、対象は、抗IL-23特異的抗体を、初期、初回投与の4週間後、及び初回投与の8週間後に1200、600、又は200mgの投与で、静脈内に受け、初回処置後44週間を通じて4週間毎に100又は200mgで、抗IL-23特異的抗体の皮下処置を継続する。
【0010】
別の態様では、本発明の方法で使用される組成物は、抗IL-23特異的抗体を含む医薬組成物を含む。好ましい実施形態では、抗IL-23特異的抗体は、医薬組成物の、7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物の組成物;0.053%(w/v)のポリソルベート80を含む組成物中に含まれており、希釈剤は標準状態の水である。
【0011】
一実施形態では、クローン病患者は、以下から選択される、1つ以上の臨床エンドポイントにおいて、有意な改善を達成した。
(i)48週目における、クローン病活動性指数(CDAI)スコアのベースラインからの変化。CDAIスコアは、8つの異なるクローン病関連変数に関する情報を収集することによって評価され、スコアは0~約600の範囲である。経時的な減少は、疾患活動性の改善を示す。
(ii)150ポイント未満(<)のCDAIとして定義される、48週目における臨床的寛解。
(iii)CDAIスコアのベースラインからの100ポイント以上(≧)の減少、又は150未満(<)のCDAIスコアとして定義される、48週目における臨床応答。
(iv)1日平均排便回数(SF)、及び1日平均腹痛(AP)スコアに基づいて定義される、48週目における患者報告アウトカム(PRO)-2寛解。
(v)CDAIスコアに基づく臨床応答、及びC反応性タンパク質(CRP)又は便中カルプロテクチンのベースラインからの減少を使用して定義される、48週目における臨床バイオマーカ応答。
(vi)簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD)によって測定される、48週目における内視鏡的反応。SES-CDは、5つの回結腸セグメントにわたる4つの内視鏡要素の評価に基づいており、合計スコアは0~56の範囲である。
(vii)簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD)によって測定される、48週目における内視鏡的寛解、SES-CD≦2。
(viii)12週目~48週目の間の全ての訪問のうちの大多数で、CDAI<150として定義される、48週目における持続的な臨床的寛解。
(ix)48週目における150未満のCDAIスコア、及び48週目においてコルチコステロイドを受けていないものとして定義される、48週目におけるコルチコステロイドフリー臨床的寛解。
(x)患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)に基づく、48週目における疲労応答。疲労簡易フォーム7aには、疲労の重症度を評価する7つの項目が含まれ、スコアが高いほど疲労が大きいことを示す。
【0012】
本発明の別の態様では、医薬組成物は、医薬組成物の、7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物;0.053%(w/v)のポリソルベート80を含む組成物中に、(i)配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列と、(ii)配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列、とを含むグセルクマブCDR配列を有する単離抗IL23特異的抗体を含み、希釈剤は標準状態の水である。
【0013】
本発明の方法の別の態様は、配列番号7のグセルクマブ重鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号8のグセルクマブ軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する、単離された抗IL-23特異的抗体を含む医薬組成物を投与することを含み、7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、0.053%(w/v)のポリソルベート80を含む組成物中に含まれており、希釈剤が、標準状態の水である。
【0014】
本発明の方法の更なる態様は、配列番号9のグセルクマブ重鎖アミノ酸配列、及び配列番号10のグセルクマブ軽鎖アミノ酸配列を有する、単離された抗IL-23特異的抗体を含む医薬組成物を投与することを含み、7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、0.053%(w/v)のポリソルベート80を含む組成物中に含まれており、希釈剤が、標準状態の水である。
【0015】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、下記の説明に述べられている。他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】全集団における24週目を通じてのCDAIスコアのベースラインからの平均変化を示す。
【
図2】BIO非奏効集団における24週目を通じてのCDAIスコアのベースラインからの平均変化を示す。
【
図3】CON非奏効集団における24週目を通じてのCDAIスコアのベースラインからの平均変化を示す。
【
図4】24週までの患者の臨床応答及び臨床的寛解を示す。
【0017】
(好ましい態様の詳細な記述)
本明細書で使用される場合、クローン病に罹患している対象の処置方法は、単離された、組換え、及び/又は合成抗IL-23特異的ヒト抗体を投与することを含み、並びに診断用及び治療用組成物、方法、及びデバイスを含む。
【0018】
本明細書で使用する場合、「抗IL-23特異的抗体」、「抗IL-23抗体」、「抗体部分」、若しくは「抗体断片」、及び/又は「抗体変異体」などは、本発明の抗体に組み込むことができる、重鎖若しくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)、若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若しくは軽鎖定常領域、フレームワーク領域若しくはこれらの任意の部分、あるいは、IL-23受容体、又は結合タンパク質の少なくとも一部分などであるが、これらに限定されない、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。このような抗体は、任意選択で、更に特異的なリガンドに影響を及ぼし、限定するものではないが、例えばこのような抗体は、インビトロ、インサイチュ、及び/又はインビボで、少なくとも1つのIL-23活性若しくは結合、又はIL-23受容体活性若しくは結合を、調節、低減、増大、拮抗、刺激、軽減、緩和、遮断、阻害、抑止する及び/又は妨げる。非限定的な例として、本発明の好適な抗IL-23抗体、特定の部分、又は変異体は、少なくとも1つのIL-23分子又はその特定の部分、変異体若しくはドメインに結合することができる。好適な抗IL-23抗体、特定の部分、又は変異体はまた、任意選択で、少なくとも1つのIL-23活性又は機能にも影響を及ぼすことができ、そのような活性又は機能としては、RNA、DNA、若しくはタンパク質合成、IL-23の放出、IL-23受容体のシグナル伝達、膜IL-23の切断、IL-23活性、IL-23の産生及び/又は合成などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0019】
「抗体」という用語は、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びその断片などといった抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分又はその特定の断片若しくは一部分を含む、抗体、その消化断片、特定の部分、及び変異体を包含するよう更に意図されている。機能断片として、哺乳動物のIL-23に結合する抗原結合断片が挙げられる。例えば、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還元による)及びF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、Facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分的還元及び再凝集による)、Fv又はscFv(例えば、分子生物学的技術による)断片が挙げられるが、これらに限定されない、IL-23又はその一部分に結合することができる抗体断片が、本発明に包含される(例えば、上記の、Colligan,Immunologyを参照)。
【0020】
かかる断片は、当該技術分野において既知であり、かつ/又は本明細書に記載される、酵素による切断、合成、又は組換え技術により生成することができる。抗体はまた、1つ以上の終止コドンが天然終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を使用して、種々の切断型で産生することもできる。例えば、F(ab’)2重鎖部をコードする遺伝子の組み合わせは、重鎖のCH1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。抗体の種々の部分を従来技術により化学的に結合することができるか、又は遺伝子工学技術を使用して切れ目なく連続するタンパク質として調製することができる。
【0021】
本明細書で使用するとき、「ヒト抗体」という用語は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ(VL、VHs))がわずかな配列変化又は変異を有するだけでヒトにおいて実質的に非免疫原性である抗体を指す。「ヒト抗体」は、ヒト生殖細胞系列型免疫グロブリン配列に由来する抗体又はそれに厳密に一致する抗体である場合もある。ヒト抗体は、生殖細胞系列型免疫グロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダムな若しくは部位特異的な変異の導入により、又はインビボにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含んでもよい。多くの場合、これは、ヒト抗体がヒトにおいて実質的に非免疫原性であることを意味する。ヒト抗体は、それらのアミノ酸配列の類似性に基づいて群に分類されている。したがって、配列類似性検索を使用して、類似の直鎖配列を有する抗体を、ヒト抗体を作り出すためのテンプレートとして選択することができる。同様に、名称に霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなど)、及び他の哺乳動物を含む抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、及び科に特異的な抗体を指定する。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含むことができる。かかる変化又は変異は、任意選択でかつ好ましくは、修飾されていない抗体に比べて、ヒト又は他の種における免疫原性を保持する又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体とは異なる。
【0022】
ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物又は原核若しくは真核細胞により産生され得ることが指摘される。更に、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然ヒト抗体では見られないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含むことができる。かかるリンカーペプチドは、ヒト由来のものとみなされる。
【0023】
また、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナルの、好ましくはヒト抗体又はヒト化抗体である、二重特異的抗体、異種特異的抗体、異種結合性抗体、又は類似の抗体を使用してもよい。この場合、結合特異性のうち一方は少なくとも1つのIL-23タンパク質に対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するものである。二重特異性抗体の製造方法は、当該技術分野において既知である。従来、二重特異性抗体の組換え産生は、2種の免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づき、ここで、2本の重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello,Nature 305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の無作為な組み合わせのために、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の可能な混合物を産生し、これらのうち1種のみが正しい二重特異的構造を有する。正確な分子の精製(通常アフィニティクロマトグラフィー工程により行われる)はかなり面倒であり、生成物の収率は低い。類似する手順が、例えば、国際公開第93/08829号、米国特許第6210668号、同第6193967号、同第6132992号、同第6106833号、同第6060285号、同第6037453号、同第6010902号、同第5989530号、同第5959084号、同第5959083号、同第5932448号、同第5833985号、同第5821333号、同第5807706号、同第5643759号、同第5601819号、同第5582996号、同第5496549号、同第4676980号、国際公開第91/00360号、同第92/00373号、欧州特許第03089号、Traunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)、Suresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)に開示されており、これらの各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
本発明の方法及び組成物において有用である抗IL-23特異的抗体(IL-23特異的抗体とも称される)(又はIL-23に対する抗体)は、IL-23への高親和性結合、並びに任意選択でかつ好ましくは、低毒性を有することを、任意選択で特徴とし得る。具体的には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々の構成要素が、個々に及び/又は集合的に、任意選択でかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗体、その特定の断片、又は変異体が本発明において有用である。本発明で使用することができる抗体は、任意選択で、症状の測定可能な緩和並びに低い及び/又は許容される毒性で、患者を長期間にわたって処置する能力を特徴とする。低い若しくは許容される免疫原性、及び/又は高い親和性、並びに他の好適な特性が、得られる治療結果に寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、処置される患者の、約75%未満、若しくは、好ましくは、約50%未満において、有意なHAHA、HACA、若しくはHAMA応答を上昇させること、及び/又は処置される患者において、低い力価(二重抗原酵素免疫アッセイで測定したとき、約300未満、好ましくは、約100未満)を上昇させることとして、定義される(Elliott et al.,Lancet 344:1125-1127(1994)、参照により、全体が本明細書に組み込まれる)。「低い免疫原性」は、処置期間中の推奨処置過程にわたって、推奨投与で処置された患者の、25%未満、好ましくは、処置された患者の、10%未満で発生する、抗IL-23抗体で処置された患者における、抗IL-23抗体に対する滴定可能なレベルの抗体の発生率として、定義することもできる。
【0025】
「臨床的に証明された安全」という用語は、本発明の抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23抗体グセルクマブ)による投与、投与レジメン、処置又は方法に関するとき、標準的処置又は別の比較基準と比較して、例えば、実施される臨床試験、例えば、第2相臨床試験、及びそれ以前の臨床試験からの、処置中に発生した有害事象(AE又はTEAEと称される)の比較的低い若しくは低減された頻度及び/又は低い若しくは低減された重症度を指す。有害事象は、医薬品を投与された患者における好ましくない医療上の出来事である。特に、本発明の抗IL-23抗体による投与、投与レジメン又は処置に関連するとき、臨床的に証明された安全は、原因が抗IL-23抗体の使用による可能性がある、確率が高い、又は非常に可能性が高いと考えられる場合、抗体の投与に関連する有害事象の比較的低い若しくは低減された頻度及び/又は低い若しくは低減された重症度を指す。
【0026】
有用性
本発明の単離された核酸は、少なくとも1つの抗IL-23抗体又はその特定の変異体の産生に使用することができ、当該抗体又は変異体は、クローン病の症状を、診断、監視、調節、処置、緩和し、その発生の防止を支援、又はその症状を低減するために、細胞、組織、器官、又は動物(哺乳動物、及びヒトを含む)を測定するために、又はそれらに作用させるために使用することができる。
【0027】
このような方法は、症状、効果、又は機序を調節、処置、軽減、予防、若しくは軽減することを必要としている細胞、組織、器官、動物、又は患者に、少なくとも1つの抗IL-23抗体を含む組成物又は医薬組成物を有効量投与することを含んでもよい。有効量は、本明細書に記載される、又は関連分野で既知である、既知の方法を使用して行われかつ決定される、単回(例えば、ボーラス)、複数回、若しくは持続投与当たり約0.001~500mg/kgの量、又は単回、複数回、若しくは持続投与当たり0.01~5000μg/mlの血清中濃度を達成する量、又はそれらの中の任意の有効範囲若しくは値を含むことができる。
【0028】
引用文献
本明細書で引用する全ての刊行物又は特許は、具体的な指定の有無にかかわらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本発明の時点での先行技術を示し、並びに/又は本発明の説明及び実施可能性を提供する。刊行物は、電子形式若しくは印刷形式で記録されたものを全て含む任意のメディア形式で利用可能な、任意の科学刊行物若しくは特許公報又は任意の他の情報を指す。以下の文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる:Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997-2001)。
【0029】
本発明の抗体-産生及び生成
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗IL-23は、任意選択で、当該技術分野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって産生することができる。例えば、各々、全体が参照により本明細書に組み込まれる、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1987-2001)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Harlow and Lane,antibodies,a Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989)、Colligan,et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994-2001)、Colligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997-2001)を参照されたい。
【0030】
好ましい抗IL-23抗体は、配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列、並びに、配列番号1、配列番号2、及び配列番号3の重鎖CDRアミノ酸配列及び配列番号4、配列番号5、及び配列番号6の軽鎖CDRアミノ酸配列を有するグセルクマブ(CNTO1959とも呼ばれる)である。他の抗IL-23抗体は本明細書に列挙される配列を有し、全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,935,344号に記載されている。
【0031】
ヒトIL-23タンパク質又はその断片に特異的なヒト抗体は、単離されたIL-23タンパク質及び/又はそれらの一部(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な免疫原性抗原に対して生じ得る。他の特異的な又は一般的な哺乳動物の抗体も同様に産生させることができる。免疫原性抗原の調製及びモノクローナル抗体の産生は、任意の好適な技術を使用して行うことができる。
【0032】
1つのアプローチでは、適切な不死細胞株(例えば、限定されるものではないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、L243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、HL-60、MLA 144、NAMALWA、NEURO 2Aなどの骨髄腫細胞株、又はヘテロミローマス、その融合産物、又はそれに由来する任意の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において周知の任意のその他の好適な細胞株)(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.com.などを参照されたい)を、限定されるものではないが、単離された又はクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺、又はその他の免疫若しくはB細胞含有細胞などの抗体産生細胞、あるいは内因性又は異種核酸として、組換え若しくは内因性、ウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚、哺乳動物、げっ歯類、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ヒツジ、霊長類、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、単一、二重若しくは三重鎖、ハイブリダイズなど、又はそれらの任意の組み合わせとしてのいずれかで、重鎖又は軽鎖の定常若しくは可変、又はフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意のその他の細胞と融合することにより、ハイブリドーマを産生する。例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のAusubel、及び上記のColligan,Immunologyの第2章を参照されたい。
【0033】
抗体産生細胞は、目的とする抗原で免疫化されたヒト又は他の好適な動物の末梢血、又は好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意の他の好適な宿主細胞を使用して、本発明の抗体、その特定の断片又は変異体をコードする異種核酸若しくは内在核酸を発現させることもできる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組換え細胞は、選択的培養条件又は他の好適な既知の方法を使用して単離し、限界希釈若しくは細胞選別又は他の既知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えば、ELISA)によって選択することができる。
【0034】
ペプチド又はタンパク質ライブラリから組換え抗体を選択する方法が挙げられるが、これらに限定されない、必要とされる特異性を有する抗体を産生又は単離するのに好適な他の方法を使用することができる(例えば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブラリであるが、これらに限定されず、例えば、Cambridge antibody Technologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys,Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberdeen,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dyax Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berkeley,CA、Ixsys.から入手可能である)。例えば、欧州特許第368,684号、国際出願第GB91/01134号、国際出願第GB92/01755号、国際出願第GB92/002240号、国際出願第GB92/00883号、国際出願第GB93/00605号、米国特許出願第08/350260号(5/12/94)、国際出願第GB94/01422号、国際出願第GB94/02662号、国際出願第GB97/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/14443号、国際公開第90/14424号、国際公開第90/14430号、国際出願第US94/1234号、国際公開第92/18619号、同第96/07754号(Scripps)、国際公開第96/13583号、国際公開第97/08320号(MorphoSys)、国際公開第95/16027号(BioInvent)、国際公開第88/06630号、国際公開第90/3809号(Dyax)、米国特許第4,704,692号(Enzon)、国際出願第US91/02989号(Affymax)、国際公開第89/06283号、欧州特許第371998号、欧州特許第550400号、(Xoma)、欧州特許第229046号、国際出願第US91/07149号(Ixsys)、又は確率論的に生成されるペプチド若しくはタンパク質-米国特許第5723323号、同第5763192号、同第5814476号、同第5817483号、同第5824514号、同第5976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第590689号(Ixsys、適用された分子進化(Applied Molecular Evolution、AME)の前身、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる)か、又は当該技術分野において既知であり、かつ/若しくは本明細書に記載される、ヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物の免疫化に依存する(例えば、SCIDマウス、各々参照により全体が組み込まれる、Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901-907(1997)、Sandhu et al.,Crit.Rev.Biotechnol.16:95-118(1996);Eren et al.,Immunol.93:154-161(1998)、並びに関連特許及び出願)。かかる技術には、リボソームディスプレイ(Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937-4942(May 1997)、Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95:14130-14135(Nov.1998))、単一細胞抗体産生技術(例えば、選択リンパ球抗体方法(selected lymphocyte antibody method、「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wen et al.,J.Immunol.17:887-892(1987);Babcook et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7843-7848(1996))、ゲルマイクロドロップレット及びフローサイトメトリー(Powell et al.,Biotechnol.8:333-337(1990);One Cell Systems,Cambridge,MA、Gray et al.,J.Imm.Meth.182:155-163(1995);Kenny et al.,Bio/Technol.13:787-790(1995))、B細胞選択物(Steenbakkers et al.,Molec.Biol.Reports 19:125-134(1994)、Jonak et al.,Progress Biotech,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
非ヒト抗体又はヒト抗体を操作又はヒト化するための方法も使用することができ、当該技術分野において既知である。概して、ヒト化抗体又は修飾抗体は、非ヒト、例えば、限定されるものではないが、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類、又は他の哺乳動物源由来の1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれる残基により置き換えられるが、この「インポート」残基は、典型的には既知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、又は他のドメインから得られる。
【0036】
周知のヒトIg配列が、例えば以下に開示されており、例えば、:www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi、www.ncbi.nih.gov/igblast、www.atcc.org/phage/hdb.html、www.mrc-cpe.cam.ac.uk/ALIGNMENTS.php、www.kabatdatabase.com/top.html、ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat;www.sciquest.com、www.abcam.com、www.antibodyresource.com/onlinecomp.html、www.public.iastate.edu/~pedro/research_tools.html、www.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.htm、www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vlab、www.path.cam.ac.uk/~mrc7/mikeimages.html、mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.html;www.immunologylink.com、pathbox.wustl.edu/~hcenter/index.html;www.appliedbiosystems.com、www.nal.usda.gov/awic/pubs/antibody、www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/Elisa.html、www.biodesign.com、www.cancerresearchuk.org、www.biotech.ufl.edu、www.isac-net.org、baserv.uci.kun.nl/~jraats/links1.html;www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nwu.edu、www.mrc-cpe.cam.ac.uk、www.ibt.unam.mx/vir/V_mice.html、http://www.bioinf.org.uk/abs、antibody.bath.ac.uk;www.unizh.ch、www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s、www.nimr.mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html、www.path.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html、www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.html、www.biosci.missouri.edu/smithgp/index.html、www.jerini.de、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health(1983)。
【0037】
かかるインポートされた配列を使用して、免疫原性を低減させるか、又は当該技術分野において既知であるように、結合、親和性、結合速度定数、解離速度定数、結合活性、特異性、半減期、若しくは任意の他の好適な特性を低減、増強、若しくは改変することができる。概して、CDR残基は、抗原結合に直接的にかつほとんど実質的に影響する。したがって、非ヒトCDR配列又はヒトCDR配列の一部又は全てを維持しつつ、可変領域及び定常領域の非ヒト配列をヒトアミノ酸又は他のアミノ酸に置き換えることもできる。
【0038】
抗体は、任意選択で、ヒト化されてもよい、又はヒト抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の有利な生物学的特性を保持させたまま修飾させることができる。本目的を達成するためには、任意選択で、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して親配列及び種々の理論上のヒト化産物を解析するプロセスによって、ヒト化(又はヒト)抗体を調製することができる。三次元の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者に周知である。選択された免疫グロブリン配列候補について確率の高い三次元立体構造を図示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブリン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの解析、すなわち免疫グロブリン候補の抗原結合能に影響する残基の解析が可能となる。このようにして、標的抗原に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることができる。
【0039】
加えて、本発明の方法に使用されるヒトIL-23特異的抗体は、ヒト生殖系列軽鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、軽鎖生殖系列配列は、A1、A10、A11、A14、A17、A18、A19、A2、A20、A23、A26、A27、A3、A30、A5、A7、B2、B3、L1、L10、L11、L12、L14、L15、L16、L18、L19、L2、L20、L22、L23、L24、L25、L4/18a、L5、L6、L8、L9、O1、O11、O12、O14、O18、O2、O4、及びO8を含むが、これらに限定されない、ヒトVK配列から選択される。ある特定の実施形態では、本軽鎖ヒト生殖系列フレームワークは、V1-11、V1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-2、V1-20、V1-22、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V2-1、V2-11、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、V2-6、V2-7、V2-8、V3-2、V3-3、V3-4、V4-1、V4-2、V4-3、V4-4、V4-6、V5-1、V5-2、V5-4、及びV5-6から選択される。
【0040】
他の実施形態では、本発明の方法に使用されるヒトIL-23特異的抗体は、ヒト生殖細胞系列重鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、本重鎖ヒト生殖系列フレームワークは、VH1-18、VH1-2、VH1-24、VH1-3、VH1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69、VH1-8、VH2-26、VH2-5、VH2-70、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-35、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3-64、VH3-66、VH3-7、VH3-72、VH3-73、VH3-74、VH3-9、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-4、VH4-59、VH4-61、VH5-51、VH6-1、及びVH7-81から選択される。
【0041】
特定の実施形態では、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域は、フレームワーク領域、又はフレームワーク領域の少なくとも一部分(例えば、FR2及びFR3などの2又は3つの小領域を含む)を含む。ある特定の実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、完全ヒトである。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、完全ヒトである。いくつかの実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列(上述の既知のヒトIg配列の供給源で容易に入手可能である)を含む。他の実施形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、生殖系列配列(例えば、ヒト生殖系列)であるか、又は特定のフレームワークのためのヒトコンセンサス配列を含む。好ましい実施形態では、フレームワーク領域は、完全なヒトフレームワーク領域である。
【0042】
本発明の抗体のヒト化又は操作は、Winter(Jones et al.,Nature 321:522(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534(1988))、Sims et al.,J.Immunol.151:2296(1993)、Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901(1987),Carter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285(1992)、Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)、米国特許第5723323号、同第5976862号、同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第5763192号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号、同第6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530101号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567号、国際出願第US98/16280号、同第US96/18978号、同第US91/09630号、同第US91/05939号、同第US94/01234号、国際出願第GB89/01334号、同第GB91/01134号、同第GB92/01755号、国際公開第90/14443号、同第90/14424号、同第90/14430号、欧州特許第229246号(各々参照により全体が明細書に組み込まれ、その中で引用される文献を含む)に記載されるものなどであるが、これらに限定されない、任意の既知の方法を使用して行うことができる。
【0043】
ある特定の実施形態では、抗体は、改変された(例えば、変異を導入された)Fc領域を含む。例えば、いくつかの実施形態では、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を低減又は増強するように改変されている。いくつかの実施形態では、Fc領域は、IgM、IgA、IgG、IgE、又は他のアイソタイプから選択されるアイソタイプである。あるいは、又は加えて、アミノ酸修飾と、IL-23結合分子のFc領域のC1q結合及び/又は補体依存性細胞毒性機能を変更する1つ以上の更なるアミノ酸修飾とを組み合わせることが有用であり得る。特に関心のある出発ポリペプチドは、C1qに結合するものであってもよく、補体依存性細胞毒性(complement dependent cytotoxicity、CDC)を示すものである。既存のC1q結合活性を有し、任意選択で、CDCを媒介する能力を更に有するポリペプチドは、これらの活性のうちの一方又は両方が増進するように修飾されてもよい。C1qを改変する、かつ/又はその補体依存性細胞傷害機能を修飾するアミノ酸修飾は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開特許第0042072号に記載されている。
【0044】
上記に開示されるように、例えば、C1q結合及び/又はFcγR結合を修飾し、それにより、補体依存性細胞毒性(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性を変化させることによって、変更されたエフェクター機能を有する本発明のヒトIL-23特異的抗体のFc領域を設計することができる。「エフェクター機能」は、(例えば、対象における)生物学的活性を活性化する又は低減させる役割を果たす。エフェクター機能の例としては、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられるが、これらに限定されない。かかるエフェクター機能は、Fc領域が、結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合することを必要とする場合があり、多種多様な試験法(例えば、Fc結合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる。
【0045】
例えば、改善されたC1q結合及び改善されたFcγRIII結合を有する(例えば、改善されたADCC活性、及び改善されたCDC活性の両方を有する)、ヒトIL-23(又は抗IL-23)抗体の変異体Fc領域を生成することができる。あるいは、エフェクター機能を低減又は除去することが所望される場合、変異体Fc領域は、CDC活性を低減させるよう及び/又はADCC活性を低減させるよう修飾することができる。他の実施形態では、これらの活性のうちの1つのみが増強されてもよく、任意選択で、同時に他の活性が低減されてもよい(例えば、改善されたADCC活性と低減されたCDC活性を有するFc領域変異体、及びこの逆のFc領域変異体を生成するため)。
【0046】
Fc変異は、胎児性Fc受容体(neonatal Fc receptor、FcRn)との相互作用を改変し、それらの薬物動態特性を改善するように遺伝子を操作して、導入することもできる。FcRnへの結合を改善したヒトFc変異体の収集は、説明されている(Shields et al.,(2001)。High resolution mapping of the binding site on human IgG1 for FcγRI,FcγRII、FcγRIII,and FcRn and design of IgG1 variants with improved binding to the FCγR、J.Biol.Chem.276:6591-6604)。
【0047】
別のタイプのアミノ酸置換は、ヒトIL-23特異的抗体のFc領域のグリコシル化パターンを改変するように働く。Fc領域のグリコシル化は、典型的に、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。O結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンへの糖類、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンが使用される場合もある。アスパラギン側鎖ペプチド配列への炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列は、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンであり、ここで、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である。このため、ポリペプチド中にこれらのいずれかのペプチド配列が存在すると、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。
【0048】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに見出される1つ以上のグリコシル化部位を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位を付加することによって改変され得る。ヒトIL-23特異的抗体のFc領域へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列のうちの1つ以上を含むようにアミノ酸配列を改変することによって首尾よく達成される(N結合型グリコシル化部位の場合)。代表的なグリコシル化変異体は、重鎖の残基Asn297のアミノ酸置換を有する。この改変は、元のポリペプチド配列への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の付加、又はこれらによる置換によって行われてもよい(O結合型グリコシル化部位の場合)。加えて、Asn 297をAlaに変更すると、グリコシル化部位の1つを除去することができる。
【0049】
ある特定の実施形態では、本発明のヒトIL-23特異的抗体は、GnT IIIがGlcNAcをヒトIL-23抗体に付加するように、ベータ(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)を発現する細胞において発現される。かかる様式で抗体を産生するための方法は、国際公開特許第9954342号、同第03011878号、特許公報第2003/0003097(A1)号、及びUmana et al.,Nature Biotechnology,17:176-180,Feb.1999に提供されており、これらは全て、参照によりそれらの全体が本明細書に明確に組み込まれる。
【0050】
抗IL-23抗体はまた、任意選択で、本明細書に記載及び/又は当該技術分野において既知であるように、ヒト抗体のレパートリーを生成することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、非ヒト霊長類など)の免疫化により生じる場合もある。ヒト抗IL-23抗体を産生する細胞は、本明細書に記載の方法のような好適な方法を使用して、かかる動物から単離し、不死化してもよい。
【0051】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを産生することができるトランスジェニックマウスは、既知の方法(例えば、これらに限定されないが、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、Lonbergらに発行された米国特許第5,770,428号、同第5,569,825号、同第5,545,806号、同第5,625,126号、同第5,625,825号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、及び同第5,789,650号、Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobovitsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/24884号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際公開第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096号、Kucherlapateらの欧州特許第0463151(B1)号、Kucherlapateらの欧州特許0710719(A1)号、Suraniらの米国特許第5,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bruggemannらの欧州特許第0438474(B1)号、Lonbergらの欧州特許第0814259(A2)号、Lonbergらの英国特許第2272440(A)号、Lonberg et al.Nature 368:856-859(1994),Taylor et al.,Int.Immunol.6(4)579-591(1994),Green et al,Nature Genetics 7:13-21(1994),Mendez et al.,Nature Genetics 15:146-156(1997),Taylor et al.,Nucleic Acids Research 20(23):6287-6295(1992),Tuaillon et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720-3724(1993)、Lonberg et al.,Int Rev Immunol 13(1):65-93(1995)、及びFishwald et al.,Nat Biotechnol 14(7):845-851(1996))によって生成することができる。概して、これらのマウスは、機能的に再構成された、又は機能的な再構成を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含む、少なくとも1つの導入遺伝子を含む。かかるマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を破壊又は欠失させて、マウスの、内因性遺伝子によりコードされている抗体の産生能を除去することができる。
【0052】
類似のタンパク質又は断片への特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。本方法は、望ましい機能又は構造をもつ個々のメンバーについてペプチドの大規模コレクションをスクリーニングすることを含む。ペプチドディスプレイライブラリの抗体スクリーニングは当該技術分野において周知である。ディスプレイされたペプチド配列は、3~5000又はそれ以上のアミノ酸長、高頻度で5~100アミノ酸長、多くの場合、約8~25アミノ酸長であることができる。ペプチドライブラリを作成する直接化学合成法に加えて、いくつかの組換えDNA方法も記述されている。1つのタイプは、バクテリオファージ又は細胞の表面上でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージ又は細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含有する。かかる方法は、国際出願第91/17271号、同第91/18980号、同第91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。
【0053】
ペプチドライブラリを作成するための他のシステムは、インビトロでの化学合成法及び組換え法の両方の態様を有する。国際出願第92/05258号、同第92/14843号、及び同第96/19256号を参照されたい。米国特許第5,658,754号及び同第5,643,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、ベクター、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,CA)及びCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire,UK)などの供給業者から市販されている。例えば、Enzonに譲渡された米国特許第4704692号、同第4939666号、同第4946778号、同第5260203号、同第5455030号、同第5518889号、同第5534621号、同第5656730号、同第5763733号、同第5767260号、同第5856456号、Dyaxに譲渡された米国特許第5223409号、同第5403484号、同第5571698号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された米国特許第5427908号、同第5580717号、Cambridge antibody Technologiesに譲渡された米国特許第5885793号、Genentechに譲渡された米国特許第5750373号、Xomaに譲渡された米国特許第5618920号、同第5595898号、同第5576195号、同第5698435号、同第5693493号、同第5698417号、上記のColligan、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。上記特許及び刊行物は各々、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
本発明の方法に使用される抗体は、このような抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を提供するために、核酸をコードする少なくとも1つの抗IL23抗体を使用して調製することもできる。かかる動物を、既知の方法を使用して提供することができる。例えば、限定されるものではないが、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,827,690号、同第5,849,992号、同第4,873,316号、同第5,849,992号、同第5,994,616号、同第5,565,362号、同第5,304,489号などを参照されたい。
【0055】
本発明の方法に使用される抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、そのような抗体、特定の部分、又は変異体を産生するトランスジェニック植物及び培養された植物細胞(例えば、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を提供するために、核酸をコード化する少なくとも1つの抗IL23抗体を使用して更に調製することができる。非限定的な例として、例えば、誘導プロモータを用い、組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉をうまく使用して、大量の組換えタンパク質が提供されてきた。例えば、Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95~118(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系において産生されたタンパク質又は天然源から精製されたタンパク質に等しい生物学的活性を有する哺乳動物タンパク質を、商業生産レベルで発現させるために使用されてきた。例えば、Hood et al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127-147(1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。抗体は、タバコ種子及びポテト塊茎を含む、単鎖抗体(single chain antibody、scFv)などの抗体断片を含むトランスジェニック植物の種子からも大量に生産されている。例えば、Conrad et al.,Plant Mol.Biol.38:101-109(1998)及びその中で引用される文献を参照されたい。したがって、本発明の抗体は、既知の方法に従って、トランスジェニック植物を使用して生産することもできる。例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99-108(Oct.,1999)、Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522-7(1995)、Ma et al.,Plant Physiol.109:341-6(1995);Whitelam et al.,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994)、及びこれらの中で引用される文献も参照されたい。上記の文献は各々、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0056】
本発明の方法に使用される抗体は、広範囲にわたる親和性(KD)でヒトIL-23に結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意選択で、高い親和性でヒトIL-23に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、ヒトIL-23を約10-7M以下、例えば、限定されないが、0.1~9.9(又はその中の任意の範囲若しくは値)×10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値などのKDで結合することができる。
【0057】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験により求めることができる。(例えば、Berzofsky,et al.,「Antibody-Antigen Interactions,」Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,NY(1992)、及び本明細書に記載される方法を参照されたい)。特定の抗体抗原相互作用について測定される親和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なることができる。したがって、親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、好ましくは、抗体及び抗原の標準化溶液、及び本明細書で記載される緩衝剤などの標準化緩衝剤を用いて行われる。
【0058】
核酸分子
本明細書に開示される他の配列の中でも、例えば、本明細書に記載される軽鎖若しくは重鎖可変又はCDR領域のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸の少なくとも70~100%をコードするヌクレオチド配列、特定の断片、変異体、若しくはそれらのコンセンサス配列、又はこれらの配列のうちの少なくとも1つを含む寄託ベクターなどの本明細書に提供される情報を使用して、少なくとも1つの抗IL-23抗体をコードする本発明の核酸分子は、本明細書に記載されるか又は当該技術において既知の方法を使用して得ることができる。
【0059】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNA、若しくは任意の他の形態などのRNAの形態、又はクローニングにより得られる若しくは合成的に産生されるcDNA及びゲノムDNAが挙げられるが、これらに限定されないDNAの形態、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNAは、三本鎖、二本鎖若しくは一本鎖、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。DNA又はRNAの少なくとも一本の鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られるコード鎖であってもよいし、又はアンチセンス鎖と呼ばれる、非コード鎖であってもよい。
【0060】
本発明の方法に使用される単離された核酸分子には、任意選択で1つ以上のイントロン、例えば、限定されないが、少なくとも1つの重鎖若しくは軽鎖の、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3などの少なくとも1つのCDRの、少なくとも1つの特定の部分を有する、オープンリーディングフレーム(ORF)を含む核酸分子、抗IL-23抗体又は可変領域のコード配列を含む核酸分子、並びに前述のものと実質的に異なるヌクレオチド配列を含むが、遺伝子コードの縮重のために、本明細書に記載される及び/又は当該技術分野で既知である少なくとも1つの抗IL-23抗体を依然としてコードする核酸分子が含まれてもよい。当然のことながら、遺伝子コードは、当該技術分野において周知である。したがって、本発明の方法で使用される特異的な抗IL-23抗体をコードするそのような変性核酸変異体を作製することは、当業者には日常的であるだろう。例えば、上記のAusubelらを参照されたい。かかる核酸変異体は、本発明に含まれる。単離された核酸分子の非限定的な例としては、それぞれ、HC CDR1、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、及びLC CDR3をコードする核酸が挙げられる。
【0061】
本明細書に記載されるように、抗IL-23抗体をコードする核酸を含む核酸分子としては、それ自体で抗体断片のアミノ酸配列をコードするもの、抗体の全長若しくは抗体の一部をコードする配列、抗体、断片若しくは部分のコード配列、並びに追加の配列、例えば、少なくとも1つのイントロンなど、前述の追加のコード配列を伴って、又は伴わずに、非コード5’及び3’配列、例えば、スプライシング及びポリアデニル化シグナル(例えば、mRNAのリボソーム結合及び安定性)を含む、転写、mRNAプロセシングにおいて役割を果たす、転写された非翻訳配列を含むが、これに限定されない、追加の非コード配列と共に、少なくとも1つのシグナルリーダー若しくは融合ペプチドのコード配列、追加のアミノ酸、例えば、追加の機能を提供するアミノ酸をコードする追加のコード配列を挙げることができるが、これらに限定されない。したがって、抗体をコードする配列はマーカ配列に融合させることができ、例えば、マーカ配列は、これを融合させた抗体断片又は部分を含む抗体の精製を促進するペプチドをコードする配列である。
【0062】
本明細書に記載のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明の方法は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドに対して、選択的なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離された核酸を使用する。したがって、本実施形態のポリヌクレオチドは、かかるポリヌクレオチドを含む核酸を単離、検出、及び/又は定量するために使用することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドを使用して、寄託されたライブラリにおける部分長又は完全長クローンを同定、単離、又は増幅することができる。いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチドは、単離された、又はそうでなければヒト若しくは哺乳動物の核酸ライブラリのcDNAに相補的な、ゲノム配列又はcDNA配列である。
【0063】
好ましくは、cDNAライブラリは完全長配列の少なくとも80%、好ましくは完全長配列の少なくとも85%又は90%、より好ましくは完全長配列の少なくとも95%を含む。このcDNAライブラリは、稀な配列の発現量を増大させるよう正規化することができる。相補配列に対する配列同一性が低い配列を使用する、低又は中ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件が典型的なものであるが、これに限定されない。同一性がより高い配列には、任意選択で、中及び高ストリンジェンシーの条件を使用することができる。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性をもつ配列の選択的ハイブリダイゼーションを可能にし、オーソロガス又はパラロガス配列を特定同定するために利用できる。
【0064】
任意選択で、ポリヌクレオチドは、抗体の少なくとも一部分をコードする。ポリヌクレオチドは、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドに対する選択的ハイブリダイゼーションに利用することができる核酸配列を包含する。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のAusubel、上記のColliganを参照されたい。
【0065】
核酸の構築
単離された核酸は、当該技術分野において周知であるように、(a)組換え方法、(b)合成技術、(c)精製技術、及び/又は(d)これらの組み合わせを使用して作製することができる。
【0066】
核酸には、本発明のポリヌクレオチドに加えて、都合よく配列を含ませることができる。例えば、1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニングサイトを核酸に挿入して、ポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。また、翻訳可能な配列を挿入して、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。例えば、ヘキサヒスチジンマーカ配列は、本発明のタンパク質を精製するのに便利な手段を提供する。本発明の核酸(コード配列を除く)は、任意選択で、本発明のポリヌクレオチドのクローニング及び/又は発現のためのベクター、アダプター、又はリンカーである。
【0067】
かかるクローニング配列及び/又は発現配列に追加の配列を付加して、クローニング及び/又は発現におけるそれらの機能を最適化すること、ポリヌクレオチドの単離に役立てること、又は細胞へのポリヌクレオチドの導入を改善することができる。クローン化ベクター、発現ベクター、アダプター、及びリンカーの使用は、当該技術分野において周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい)
【0068】
核酸を構築するための組換え方法
RNA、cDNA、ゲノムDNA、又はこれらの任意の組み合わせなどの単離された核酸組成物は、当業者に既知の任意の数のクローニング方法を用いて生物源から得ることができる。いくつかの実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下で選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが、cDNA又はゲノムDNAライブラリ内の望ましい配列の同定に使用される。RNAの単離、並びにcDNA及びゲノムライブラリの構築は、当業者には周知である。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい)
【0069】
核酸のスクリーニング及び単離方法
本明細書に開示されているものなど、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチドの配列に基づいたプローブを使用して、cDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングすることができる。プローブを使用して、ゲノムDNA又はcDNA配列にハイブリダイズさせて、同じ又は異なる生体の相同遺伝子を単離することができる。当業者であれば、アッセイに様々な度合のハイブリダイゼーションストリンジェンシーを用いることができ、ハイブリダイゼーション又は洗浄媒質のいずれかをストリンジェントなものにできることを理解する。ハイブリダイゼーション条件がストリンジェントになるほど、二重鎖の形成が生じる際のプローブと標的との間の相補性の度合が大きくなるはずである。ストリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pH、及びホルムアミドなどの部分的に変性する溶媒の存在のうちの1つ以上によって制御され得る。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、例えば、0%~50%の範囲内でのホルムアミド濃度の操作により反応溶液の極性を変えることにより首尾よく変更される。検出可能な結合に必要とされる相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒質及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーによって異なる。相補性の程度は、最適には100%、又は70~100%、又はその中の任意の範囲若しくは値である。しかしながら、プローブ及びプライマ中の配列のわずかな違いは、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄媒質のストリンジェンシーを低減させることで埋め合わせることができることを理解すべきである。
【0070】
RNA又はDNAの増幅方法は当該技術分野において周知であり、本明細書に提示される教示及び指針に基づいて、過度の実験なしに、本発明に従って使用することができる。
【0071】
DNA又はRNA増幅の既知の方法としては、ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction、PCR)及び関連する増幅プロセス(例えば、Mullisらの米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、同第4,965,188号、Taborらの米国特許第4,795,699号及び同第4,921,794号、Innisの米国特許第5,142,033号、Wilsonらの米国特許第5,122,464号、Innisの米国特許第5,091,310号、Gyllenstenらの米国特許第5,066,584号、Gelfandらの米国特許第4,889,818号、Silverらの米国特許第4,994,370号、Biswasの米国特許第4,766,067号、Ringoldの米国特許第4,656,134号を参照されたい)、及び二本鎖DNA合成のためのテンプレートとして標的配列に対してアンチセンスRNAを使用するRNA媒介増幅(Malekらの米国特許第5,130,238号、商標名NASBA)が挙げられるが、これらに限定されず、これらの文献の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0072】
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、ゲノムDNA又はcDNAライブラリから直接、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチド及び関連する遺伝子の配列を増幅することができる。PCR及び他のインビトロ増幅方法はまた、例えば、発現すべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングすること、サンプル中の所望のmRNAの存在を検出するため、核酸の配列決定のため、又は他の目的のためのプローブとして用いる核酸を作製することに関し有用であり得る。インビトロでの増幅方法によって当業者を導くのに十分な技術の例は、上記のBerger、上記のSambrook、及び上記のAusubel、並びにMullisらの米国特許第4,683,202号(1987)、及びInnis,et al.,PCR Protocols A Guide to Methods and Applications,Eds.,Academic Press Inc.,San Diego,CA(1990)に見られる。ゲノムPCR増幅用の市販キットは技術分野において既知である。例えば、Advantage-GC Genomic PCR Kit(Clontech)を参照されたい。加えて、例えば、T4遺伝子32タンパク質(Boehringer Mannheim)を用いて、長いPCR産物の収率を改善することができる。
【0073】
核酸を構築するための合成方法
本発明の方法に使用される単離された核酸は、既知の方法による直接化学合成によって調製することもできる(例えば、上記のAusubelらを参照されたい)。化学合成は、概して、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、又は一本鎖をテンプレートとして使用するDNAポリメラーゼとの重合によって、二本鎖DNAに変換可能な一本鎖オリゴヌクレオチドを産生する。当業者であれば、DNAの化学合成は約100又はそれ以上の塩基の配列に限定され得るが、より長い配列は、より短い配列のライゲーションによって得ることができることを認識する。
【0074】
組換え発現カセット
本発明は核酸を含む組換え発現カセットを使用する。核酸配列、例えば本発明の方法に使用される抗体をコードするcDNA又はゲノム配列を使用して、少なくとも1つの所望の宿主細胞に導入することができる組換え発現カセットを構築することができる。組換え発現カセットは、典型的には、意図される宿主細胞においてポリヌクレオチドの転写を導く、転写開始調節配列に操作可能に連結される、ポリヌクレオチドを含む。異種及び非異種(すなわち、内因性)プロモータの両方を利用して、核酸の発現を導くことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、プロモータ、エンハンサ、又は他の要素として機能する単離された核酸を、ポリヌクレオチドの発現を上方又は下方調節するために、本発明のポリヌクレオチドの非異種形の適切な位置(上流、下流、又はイントロン内)に導入することができる。例えば、変異、欠失、及び/又は置換により、インビボ又はインビトロで内因性プロモータを変化させることができる。
【0076】
ベクター及び宿主細胞
本発明はまた、単離された核酸分子を含むベクター、組換えベクターを用いて遺伝子 工学処理された宿主細胞、及び当該技術分野において周知である組換え技術による少なくとも1つの抗IL-23抗体の産生に関する。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のSambrookら、上記のAusubelらを参照されたい。
【0077】
ポリヌクレオチドは、任意選択で、宿主の増殖についての選択マーカを含有する、ベクターに結合することができる。概して、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物などの沈殿物中に、又は荷電脂質との複合体中に導入される。ベクターがウイルスである場合は、適切なパッケージング細胞株を用いてインビトロでこれをパッケージングし、その後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0078】
DNA挿入物は、適切なプロモータに機能的に連結されるべきである。発現コンストラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写された領域内では翻訳のためのリボソーム結合部位を、更に含む。コンストラクトにより発現した成熟した転写産物のコード部分は、好ましくは、翻訳されるべきmRNAの最後に適切に位置する開始及び終止コドン(例えば、UAA、UGA、又はUAG)で始まる翻訳を含み、哺乳動物又は真核生物細胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0079】
発現ベクターが少なくとも1つの選択マーカを含むことが好ましいが、任意選択である。かかるマーカは、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(methotrexate、MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase(DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸、又はグルタミンシンセターゼ(glutamine synthetase、GS、米国特許5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号)抵抗性遺伝子、並びにE.coli及び他の細菌又は原核生物における培養のためのテトラサイクリン又はアンピシリン抵抗性遺伝子を含むが、これらに限定されない(上記の特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適切な培養培地及び条件は、技術分野において既知である。好適なベクターは、当業者にとって容易に明白となる。宿主細胞へのベクターコンストラクトの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染、又は他の既知の方法により達成することができる。かかる方法については、上記のSambrook、第1~4章及び第16~18章、上記のAusubel、第1、9、13、15、16章などの当該技術分野に記載されている。
【0080】
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などの修飾された形態で発現され得、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領域も含むことができる。例えば、追加アミノ酸の領域、特に荷電アミノ酸を抗体のN末端に追加して、精製中又は後続の処理及び保存中に、宿主細胞における安定性及び持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に追加して、精製を促進することもできる。抗体又は少なくとも1つのその断片の最終調製前に、かかる領域を除去することができる。かかる方法は、上記のSambrook、第17.29~17.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusubel、第16、17、及び18章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0081】
当業者であれば、本発明の方法に使用されるタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系について精通している。あるいは、核酸は、抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞内で、(操作により)オンに切り替えることにより、宿主細胞中で発現させることができる。かかる方法は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、当該技術分野において周知である。
【0082】
抗体、その特定の部分又は変異体の産生に有用な細胞培養物の一例は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば細胞からなる単層形態を取るが、哺乳動物細胞の懸濁液又はバイオリアクターを使用することもできる。無傷なグリコシル化タンパク質を発現可能ないくつかの好適な宿主細胞株が当該技術分野において開発されており、これにはCOS-1(例えばATCC CRL 1650)、COS-7(例えばATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL-10)、CHO(例えばATCC CRL1610)及びBSC-1(例えばATCC CRL-26)細胞株、Cos-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0-Ag14、293細胞、HeLa細胞などが挙げられ、これらは例えば、American Type Culture Collection(Manassas,Va)(www.atcc.org)から容易に入手できる。好ましい宿主細胞としては、骨髄腫及びリンパ腫細胞などのリンパ系に由来する細胞が挙げられる。特に好ましい宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC寄託番号CRL-1580)及びSP2/0-Ag14細胞(ATCC寄託番号CRL-1851)である。特に好ましい実施形態では、組換え細胞は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細胞である。
【0083】
これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモータ(例えば、後期又は初期SV40プロモータ、CMVプロモータ(米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号)、HSV tkプロモータ、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)プロモータ、EF-1αプロモータ(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモータ、エンハンサ、及び/又はリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポリ付加部位)、並びに転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるが、これらに限定されない、発現制御配列のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、上記のAusubelら、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の生成に有用なその他の細胞は周知である、並びに/あるいは例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines and Hybridomas(www.atcc.org)又はその他の周知の供給源若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0084】
真核宿主細胞が利用される場合、典型的には、ベクター内にポリアデニル化又は転写終結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含むことができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sprague,et al.,J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該技術分野において既知であるように、宿主細胞内の複製を制御するための遺伝子配列をベクター内に組み込むことができる。
【0085】
抗体の精製
抗IL-23抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチンクロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない、周知の方法によって、組換え細胞培養物から回収し、精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(high performance liquid chromatography、「HPLC」)を精製に利用することもできる。例えば、各々参照により全体が本明細書に組み込まれる、Colligan,Current Protocols in Immunology又はCurrent Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,NY,NY(1997-2001)の、例えば、第1、4、6、8、9、10章を参照されたい。
【0086】
本発明の方法に使用される抗体には、天然に精製された産物、化学合成工程の産物、並びに例えば、酵母、高等植物、昆虫、及び哺乳動物細胞を含む、真核宿主から組換え技術により生産された産物が含まれる。組換え生産工程において利用される宿主に応じて、抗体は、グリコシル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化されるのが好ましい。かかる方法は、全て参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記のSambrook、節17.37~17.42、上記のAusubel、第10、12、13、16、18、及び20章、上記のColligan,Protein Science、第12~14章などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載されている。
【0087】
抗IL-23抗体。
本発明による抗IL-23抗体は、抗体に組み込むことができる、免疫グロブリン分子の少なくとも一部分、例えば、限定されないが、少なくとも1つのリガンド結合部分(LBP)、例えば、限定されないが、重鎖若しくは軽鎖の相補性決定領域(CDR)又はそのリガンド結合部分、重鎖又は軽鎖可変領域、フレームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4、又はそれらの断片、更に、任意選択で、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、重鎖若しくは軽鎖定常領域(例えば、少なくとも1つの、CH1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、CH2、若しくはCH3、又はそれらの断片、更に、任意選択で、少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、又はそれらの任意の部分を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。抗体は、ヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類、又はこれらの任意の組み合わせなどであるが、これらに限定されない、任意の哺乳動物を含むか、又はそれに由来することができる。
【0088】
本発明の方法に使用される単離された抗体は、任意の好適なポリヌクレオチドによってコードされる本明細書に開示される抗体のアミノ酸配列、又は任意の単離若しくは調製された抗体を含む。好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合断片は、ヒトIL-23に結合し、それにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的又は実質的に中和する。少なくとも1つのIL-23タンパク質又は断片の少なくとも1つの生物学的活性を部分的に又は好ましくは実質的に中和する、抗体、又はその特定の部分若しくは変異体は、タンパク質又は断片に結合し、それによりIL-23受容体へのIL-23の結合を介して、又は他のIL-23依存性若しくは媒介型機序を介して、媒介される活性を阻害することができる。本明細書で使用する場合、「中和抗体」という用語は、アッセイに応じて、約20~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%又はそれ以上、IL-23依存性活性を阻害できる抗体を指す。IL-23依存性活性を阻害する抗IL-23抗体の能力は、好ましくは、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つの好適なIL-23タンパク質又は受容体アッセイによって評価される。ヒト抗体は、任意のクラス(IgG、IgA、IgM、IgE、IgDなど)又はアイソタイプのものであってもよく、カッパ又はラムダ軽鎖を含むことができる。一実施形態において、ヒト抗体は、IgG重鎖又は定義された断片、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4(例えば、γ1、γ2、γ3、γ4)の少なくとも1つのアイソタイプを含む。このタイプの抗体は、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知である、少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、IgG、IgA、及びIgM)導入遺伝子を含む、トランスジェニックマウス又は他の非ヒトトランスジェニック哺乳動物を利用することによって調製することができる。別の実施形態では、抗IL-23ヒト抗体は、IgG1重鎖と、IgG1軽鎖とを含む。
【0089】
抗体は、少なくとも1つのIL-23タンパク質、サブユニット、断片、部分、又はそれらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定のエピトープに結合する。本少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの抗体結合領域を含むことができ、このエピトープは好ましくは、タンパク質の少なくとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外側部分、又は細胞質部分で構成されている。
【0090】
概して、ヒト抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域の変異体、及び少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの軽鎖可変領域の変異体を含む、抗原結合領域を含む。CDR配列は、ヒト生殖細胞系列型配列に由来するものでも、生殖細胞系列型配列に厳密に一致するものでもよい。例えば、元の非ヒトCDRに由来する合成ライブラリからのCDRを使用することができる。これらのCDRは、元の非ヒト配列に由来する保存的置換の組込みによって形成され得る。別の特定の実施形態では、抗体又は抗原結合部分又は変異体は、対応するCDR1、2、及び/又は3のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの軽鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくとも一部分を含む抗原結合領域を有することができる。
【0091】
かかる抗体は、組換えDNA技術に関する従来技術を使用して抗体をコードする(すなわち、1つ以上の)核酸分子を調製して発現させることによって、又は任意の他の好適な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗体の種々の部分(例えば、CDR、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることにより調製することができる。
【0092】
抗IL-23特異的抗体は、画定されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、好ましい実施形態では、抗IL-23抗体は、任意選択で、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域の少なくとも1つ、及び/又は任意選択で、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域の少なくとも1つを含む。例えば、追加の好ましい実施形態では、抗IL-23抗体は、任意選択的に配列番号9のアミノ酸配列を有する重鎖のうちの少なくとも1つ、及び/又は任意選択的に配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖のうちの少なくとも1つを含む。ヒトIL-23に結合し、かつ、規定された重鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、当該技術分野で既知及び/又は本明細書に記載の、ファージディスプレイ(Katsube,Y.,et al.,Int J Mol.Med,1(5):863-868(1998))又はトランスジェニック動物を採用する方法など、好適な方法を使用して調製することができる。例えば、機能的に再配列されたヒト免疫グロブリン重鎖導入遺伝子と、機能的な再配列を受けることが可能なヒト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座からのDNAを含む導入遺伝子と、を含むトランスジェニックマウスを、ヒトIL-23又はその断片で免疫化して抗体の生成を誘発することができる。所望する場合、抗体産生細胞を単離することができ、本明細書に記載され、かつ/又は当該技術分野において既知である、ハイブリドーマ又は他の不死化抗体産生細胞を調製することができる。あるいは、抗体、特定の部分又は変異体は、好適な宿主細胞内で、コード核酸又はその一部分を使用して発現させることができる。
【0093】
本発明はまた、本明細書に記載されるアミノ酸配列と実質的に同じである配列中のアミノ酸を含む抗体、抗原結合断片、免疫グロブリン鎖及びCDRに関する。好ましくは、かかる抗体又は抗原結合断片、及びかかる鎖又はCDRを含む抗体は、高い親和性(例えば、約10-9M以下のKD)でヒトIL-23と結合することができる。本明細書に記載されている配列と実質的に同じであるアミノ酸配列としては、保存的アミノ酸置換並びにアミノ酸欠失及び/又は挿入を含む配列が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、第1のアミノ酸のものに類似する化学的及び/又は物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸で、第1のアミノ酸を置換することを指す。保存的置換は、限定されるものではないが、1個のアミノ酸を、以下の群内の別のアミノ酸で置き換えることを含む:リジン(K)、アルギニン(R)、及びヒスチジン(H);アスパラギン酸塩(D)及びグルタミン酸塩(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、及びE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、及びグリシン(G);F、W、及びY;C、S、及びT。
【0094】
アミノ酸コード
本発明の抗IL-23抗体を構成するアミノ酸は、しばしば略字表記される。アミノ酸表記は、その一文字コード、その三文字コード、名称、又は3つのヌクレオチドのコドンによりアミノ酸を表記することにより示すことができ、当該技術分野においてよく理解されている(Alberts,B.ら、「Molecular Biology of The Cell」第3版、Garland Publishing,Inc.,New York(1994)を参照されたい)。
【0095】
【0096】
本発明の方法に使用されるIL-23抗体は、本明細書で指定されるように、天然の突然変異又はヒトによる操作のいずれかによる、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を含み得る。
【0097】
当業者が行い得るアミノ酸置換の数は、上記のものを含む多くの要因に依存する。一般的に言えば、所与の抗IL-23抗体、断片、又は変異体のアミノ酸置換、挿入、又は欠失の数は、本明細書で指定されるように、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1以下、例えば、1~30又はこの中の任意の範囲若しくは値である。
【0098】
機能上不可欠である抗IL-23特異的抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発などの、当該技術分野において既知の方法により同定することができる(例えば、上記のAusubel、Chapters 8,15;Cunningham及びWells,Science 244:1081-1085(1989))。後者の手順では、分子内の残基毎に単個のアラニンによる変異を導入する。次いで、得られた変異分子は、生物活性、例えば、限定されないが、少なくとも1つのIL-23中和活性について試験される。抗体結合にとって極めて重要である部位もまた、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識などの構造解析によって同定することができる(Smithら,J.Mol.Biol.224:899-904(1992)及びde Vosら,Science 255:306-312(1992))。
【0099】
抗IL-23抗体は、配列番号1、2、3、4、5、及び6のうちの少なくとも1つの隣接アミノ酸のうちの5つから全てから選択される少なくとも一部分、配列、又は組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0100】
IL-23抗体又は特定の部分若しくは変異体としては、上記配列番号の少なくとも3~5個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~17個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~10個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~11個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~7個の隣接アミノ酸、上記配列番号の5~9個の隣接アミノ酸から選択される少なくとも一部分、配列、又は組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0101】
IL-23抗体は、更に任意選択的に、上記配列番号の5、17、10、11、7、9、119、又は108個の隣接アミノ酸のうちの70~100%の少なくとも1つのポリペプチドを含むことができる。一実施形態では、免疫グロブリン鎖又はその部分(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、上記配列番号のうちの少なくとも1つの対応する鎖のアミノ酸配列と、約70~100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)を有する。例えば、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、上記配列番号の配列と比較することができ、又は重鎖CDR3のアミノ酸配列を、上記配列番号と比較することができる。好ましくは、70~100%のアミノ酸同一性(すなわち、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、又はこの中の任意の範囲若しくは値)は、当該技術分野において既知の好適なコンピュータアルゴリズムを使用して決定される。
【0102】
当該技術分野において既知の「同一性」とは、配列を比較することにより決定される、2つ以上のポリペプチド配列間又は2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当該技術分野において、「同一性」とは、かかる配列のストリング間の一致によって決定される、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」及び「類似性」は、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988、Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994、Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987、及びSequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton Press,New York,1991、並びにCarillo,H.,and Lipman,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない、既知の方法によって容易に算出することができる。加えて、同一性の割合に関する値は、Vector NTI Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)の構成要素であるAlignXのデフォルト設定を用いて作成される、アミノ酸及びヌクレオチド配列アラインメントから得ることができる。
【0103】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致度が得られるように設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムにおいて、コード化(codified)されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定するための好ましいコンピュータプログラム方法は、GCGプログラムパッケージ(Devereux,J.ら,Nucleic Acids Research 12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN、及びFASTA(Atschul,S.F.ら,J.Molec.Biol.215:403-410(1990))を含むが、これらに限定されるものではない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他のソース(BLAST Manual,Altschul,S.ら,NCBINLM NIH Bethesda,Md.20894:Altschul,S.ら,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)から公的に入手可能である。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用され得る。
【0104】
ポリペプチド配列の比較のための好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443-453(1970)比較マトリックス:BLOSSUM62 from Hentikoff and Hentikoff,Proc.Natl.Acad.Sci,USA.89:10915-10919(1992)
ギャップペナルティ:12
ギャップ長ペナルティ:4
これらのパラメータで有用なプログラムは、Genetics Computer Group,Madison Wisからの「ギャップ」プログラムとして公的に入手可能である。前述のパラメータは、ペプチド配列比較のためのデフォルトパラメータ(末端ギャップに関してペナルティがないのと同様に)である。
【0105】
ポリヌクレオチド比較のための好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Biol.48:443-453(1970)
比較マトリックス:一致=+10、ミスマッチ=0
ギャップペナルティ:50
ギャップ長ペナルティ:3
Genetics Computer Group,Madison Wisからの「ギャップ」プログラムとして入手可能。これらは、核酸配列比較のデフォルトパラメータである。
【0106】
例として、ポリヌクレオチド配列は、別の配列と同一であり得る、つまり、100%同一であるか、又は参照配列と比較してある特定の整数までのヌクレオチド改変を含み得る。かかる改変は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換(転移及び転換を含む)、又は挿入からなる群から選択され、この改変は、参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端位置で、又はこれらの末端位置の間のどこで生じてもよく、参照配列のヌクレオチド間に個々に、又は参照配列内の1つ以上の隣接基のいずれかに分散していてもよい。ヌクレオチド改変の数は、配列中のヌクレオチドの総数に、対応する同一性パーセントの数値パーセント(100で割ったもの)を乗じ、その積を配列中のヌクレオチドの総数から差し引くこと、又は、
n.sub.n.ltorsim.x.sub.n-(x.sub.n.y)によって決定され、
式中、n.sub.nはヌクレオチド改変の数であり、x.sub.nは配列中のヌクレオチドの総数であり、yは、例えば、70%に対しては0.70、80%に対しては0.80、85%に対しては0.85、90%に対しては0.90、95%に対しては0.95などであり、x.sub.nとyとの任意の整数ではない積は、x.sub.nから差し引く前に最も近い整数に切り捨てる。
【0107】
上記配列番号をコードするポリヌクレオチド配列の改変は、このコード配列中にナンセンス、ミスセンス、又はフレームシフト突然変異を作り出し、それにより、かかる改変後に、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを改変してもよい。同様に、ポリペプチド配列は、上記の配列番号の参照配列と同一であってもよく、すなわち、100%同一であるか、又は同一性パーセントが100%未満であるように、参照配列と比較して特定の整数までのアミノ酸変更を含んでもよい。かかる改変は、少なくとも1つのアミノ酸の欠失、置換(保存的及び非保存的置換を含む)、又は挿入からなる群から選択され、この改変は、参照ポリペプチド配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位置で、又はこれらの末端位置の間のどこで生じてもよく、参照配列のアミノ酸間に個々に、又は参照配列内の1つ以上の隣接基のいずれかに分散していてもよい。所与の同一性%についてのアミノ酸変更の数は、上記配列番号中のアミノ酸の総数に、それぞれの同一性パーセントの数値パーセント(100で割ったもの)を乗じ、その積を上記配列番号中のアミノ酸の総数から差し引くことにより、又は
n.sub.a.ltorsim.x.sub.a-(x.sub.a.y)によって決定され、
式中、n.sub.aは、アミノ酸変更の数であり、x.sub.aは、上記配列番号中のアミノ酸の総数であり、yは、例えば、70%に対しては0.70、80%に対しては0.80、85%に対しては0.85などであり、x.sub.aとyとの整数ではない任意の積は、x.sub.aから差し引く前に最も近い整数に切り捨てる。
【0108】
例示的な重鎖及び軽鎖可変領域の配列、並びにそれらの部分は、上記配列番号に示される。本発明の抗体、又はその特定の変異体は、本発明の抗体由来の任意の数の隣接アミノ酸残基を含むことができ、その数は、抗IL-23抗体における隣接残基数の10~100%からなる整数の群から選択される。任意選択で、隣接アミノ酸のこの部分配列は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、若しくはそれ以上のアミノ酸長、又はその中の任意の範囲若しくは値である。更に、かかる部分配列の数は、少なくとも2、3、4、又は5などの、1~20からなる群から選択される任意の整数であることができる。
【0109】
当業者が認識しているように、本発明には、本発明の少なくとも1つの、生物学的に活性な抗体が含まれている。生物学的活性抗体は、天然(非合成)、内因性、又は関連する、及び既知の抗体のものの、少なくとも20%、30%、又は40%、好ましくは少なくとも50%、60%、又は70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%、若しくは95%~100%、又はそれ以上(限定されるものではないが、比活性の最大10倍を含む)の比活性を有する。酵素活性及び基質特異性のアッセイ及び定量測定の方法は、当業者には周知である。
【0110】
別の態様では、本発明は、有機部分の共有結合により修飾される、本明細書に記載されるヒト抗体及び抗原結合断片に関する。かかる修飾は、改善された薬物動態特性(例えば、増大したインンビボでの血清半減期)を有する、抗体又は抗原結合断片を産生することができる。有機部分は、直鎖又は分枝鎖親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。特定の実施形態では、親水性ポリマー基は、分子量が約800~約120,000ダルトンであって、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol、PPG))、炭水化物ポリマー、アミノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンであり得、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基は、約8~約40個の炭素原子を含むことができる。
【0111】
修飾された抗体及び抗原結合断片は、抗体に直接的又は間接的に共有結合される、1つ以上の有機部分を含むことができる。本発明の抗体又は抗原結合断片に結合される各有機部分は、独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であることができる。本明細書で使用するとき、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を包含する。本明細書で使用する場合、「親水性ポリマー基」という用語は、オクタンよりも水に対する溶解度が高い有機ポリマーを意味する。例えば、ポリリシンは、オクタンよりも水に対する溶解度が高い。よって、ポリリシンの共有結合により修飾された抗体は、本発明に包含される。本発明の抗体を修飾するのに好適な親水性ポリマーは、直線状又は分岐状であることができ、例えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ-ポリエチレングリコール(monomethoxy-polyethylene glycol、mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子体として、約800~約150,000ダルトンの分子量を有する。例えば、PEG5000及びPEG20,000を使用することができ、下付き文字は、ポリマーの平均分子量(ダルトン)である。親水性ポリマー基は、1~約6個のアルキル基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基で置換することができる。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマー類は、好適な方法を利用することによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを、脂肪酸又は脂肪酸エステルのカルボン酸塩に結合させることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上の、活性化カルボン酸塩(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化されている)を、ポリマー上のヒドロキシル基に結合させることができる。
【0112】
本発明の抗体を修飾するために好適な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和されてもよいし、又は1つ若しくは2つ以上の不飽和単位を含有していてもよい。本発明の抗体を修飾するために好適な脂肪酸としては、例えば、n-ドデカン酸塩(C12、ラウリン酸塩)、n-テトラデカン酸塩(C14、ミリスチン酸塩)、n-オクタデカン酸塩(C18、ステアリン酸塩)、n-エイコサン酸塩(C20、アラキジン酸塩)、n-ドコサン酸塩(C22、ベヘン酸)、n-トリアコンタン酸塩(C30)、n-テトラコンタン酸塩(C40)、シス-Δ9-オクタデカン酸塩(C18、オレイン酸塩)、全てのシス-Δ5,8,11,14-エイコサテトラエン酸塩(C20、アラキドン酸塩)、オクタンジオン酸、テトラデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、ドコサンジオン酸などが挙げられる。好適な脂肪酸エステルは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を含む、ジカルボン酸のモノエステルを含む。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含むことができる。
【0113】
修飾ヒト抗体及び抗原結合断片は、1つ以上の修飾剤と反応させることなどによって、好適な方法を使用して調製することができる。本明細書で使用するとき、「修飾剤」という用語は、活性化基を含む好適な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を意味する。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、これにより修飾剤と第2の化学基との間に共有結合を形成することのできる、化学部分又は官能基である。例えば、アミン反応性活性化基としては、トシル酸、メシル酸、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)などの求電子基、N-ヒドロキシスクシニミジルエステル(N-hydroxysuccinimidyl esters、NHS)などが挙げられる。チオール類と反応可能な活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセチル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオール(TNB-チオール)などが挙げられる。アルデヒド官能基は、アミン又はヒドラジド含有分子と連結することができ、アジド基は、三価リン基と反応してホスホルアミデート又はホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性化基を導入するための好適な方法は、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson,G.T.、Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)参照)。活性化基は、有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接的に、又はリンカー部分、例えば、二価のC1~C12基(ここで、1つ以上の炭素原子は酸素、窒素又は硫黄などのヘテロ原子に置換できる)を介して結合することができる。好適なリンカー部分としては、例えば、テトラエチレングリコール、-(CH2)3-、-NH-(CH2)6-NH-、-(CH2)2-NH-、及び-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH-NH-が挙げられる。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で、モノ-Boc-アルキルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノへキサン)を脂肪酸と反応させて、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間にアミド結合を形成することによって生産することができる。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid、TFA)処理により生成物から除去し、記載されているように別のカルボン酸塩に連結し得る一級アミンを露出させることができ、又はこれを無水マレイン酸と反応させ、結果として得られた生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を産生することができる。(例えば、国際公開第92/16221号(Thompsonら)を参照されたく、この全教示が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0114】
修飾された抗体は、ヒト抗体又は抗原結合断片を修飾剤と反応させることによって生産することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHSエステルを利用して、部位 特異的ではない方法で、抗体に結合させることができる。抗体又は抗原結合断片のジスルフィド結合(例えば、鎖内ジスルフィド結合)を還元することによって、修飾されたヒト抗体又は抗原結合断片を調製することもできる。このとき、還元された抗体又は抗原結合断片をチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明の修飾された抗体を生産することができる。本発明の抗体の特定の部位に結合される有機部分を含む修飾されたヒト抗体及び抗原結合断片は、逆タンパク質分解(Fischら,Bioconjugate Chem.,3:147-153(1992)、Werlenら、Bioconjugate Chem.,5:411~417(1994)、Kumaranら、Protein Sci.6(10):2233-2241(1997)、Itohら,Bioorg.Chem.,24(1号):59~68(1996)、Capellasら,Biotechnol.Bioeng.,56(4):456~463(1997))、及びHermanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Academic Press:San Diego,CA(1996)に記載される方法などの好適な方法を使用して調製することができる。
【0115】
本発明の方法はまた、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知であるように、天然に存在しない組成物、混合物、又は形態で提供される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれ以上のその抗IL-23抗体を含む、IL-23抗体組成物を使用する。かかる組成物は、上記配列番号の隣接アミノ酸の70~100%、又はその特定の断片、ドメイン、若しくは変異体からなる群から選択される抗IL-23抗体のアミノ酸配列の、少なくとも1つ又は2つの完全長、C及び/若しくはN末端欠失変異体、ドメイン、断片、又は特定の変異体を含む、天然に存在しない組成物を含む。好ましい抗IL-23抗体組成物は、本明細書に記載される抗IL-23抗体配列、例えば、上記配列番号の70~100%、又はその特定の断片、ドメイン、若しくは変異体の少なくとも1つのCDR又はLBP含有部分として、少なくとも1つ又は2つの完全長、断片、ドメイン、又は変異体を含む。更に好ましい組成物は、例えば、上記配列番号などの70~100%、又はその特定の断片、ドメイン、若しくは変異体のうちの少なくとも1つを40~99%含む。かかる組成物の百分率は、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に記載されるように、重量、容量、濃度、モル濃度、あるいは液体若しくは無水溶液(dry solution)、混合物、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、又はコロイドとしてのモル濃度によるものである。
【0116】
更なる治療活性成分を含む抗体組成物
本発明の方法に使用される抗体組成物は、任意選択で更に、抗感染症薬、心血管(CV)系薬、中枢神経系(CNS)薬、自律神経系(ANS)薬、呼吸器薬、消化(GI)管薬、ホルモン薬、体液又は電解質平衡薬、血液作用薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、眼、耳又は鼻用薬、局所薬、栄養薬などの、少なくとも1つから選択される、有効量の少なくとも1つの化合物又はタンパク質を、含むことができる。かかる薬剤は、本明細書に示される各々の製剤、適応症、投与量、及び投与を含めて、当該技術分野では周知である(例えば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ、Pharmcotherapy Handbook,Wells et al.,Appleton & Lange,Stamford,CTを参照されたい)。
【0117】
本発明の方法の抗体と組み合わせることができる薬剤の例として、抗感染薬は、殺アメーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は少なくとも1種の抗らい菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド抗感染薬、及び種々の抗感染薬から選択される少なくとも1種であることができる。ホルモン薬は、コルチコステロイド、アンドロゲン、又は少なくとも1種のアナボリックステロイド、エストロゲン、又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬、又は少なくとも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン拮抗薬、下垂体ホルモン、及び副甲状腺様薬から選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のセファロスポリンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォキシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフラジン、及びロラカルベフから選択される少なくとも1種であることができる。
【0118】
少なくとも1種のコルチコステロイド(coricosteroid)は、ベタメタゾン、酢酸ベタメタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コルチゾン、デキサメサゾン、酢酸デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及び二酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種のアンドロゲン又はタンパク質同化ステロイドは、ダナゾール、フルオキシメステロン、メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テストステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テストステロン、及びテストステロン経皮系から選択される少なくとも1種であることができる。
【0119】
少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ-CD3、ミコフェノール酸モフェチル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、及びタクロリムスから選択される少なくとも1種であり得る。
【0120】
少なくとも1種の局所抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸クリーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、及びトルナフテートから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種の疥癬殺虫剤若しくは殺シラミ薬は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン、及びピレトリンから選択される少なくとも1種であることができる。少なくとも1種の局所コルチコステロイドは、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ハルシノニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、及びトリアムシノロンアセトニドから選択される少なくとも1種であることができる。(例えば、Nursing 2001 Drug Handbookの1098~1136ページを参照されたい。)
【0121】
抗IL-23抗体組成物は、かかる調節、処置、又は療法を必要とする細胞、組織、器官、動物、又は患者に接触されるか又は投与される少なくとも1つの抗IL-23抗体を含み、任意選択で更に、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、TNF化学若しくはタンパク質拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体又は断片、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)又は断片、その融合ポリペプチド、又は小分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I若しくはII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシマブ、エタナセプト(eternacept)、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、ヒドロキシクロロキン硫酸塩、レフルノミド、スルファサラジン)、免疫化物質、免疫グロブリン、免疫抑制薬(例えば、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、サイトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1種を含む、任意の好適かつ有効な量の組成物又は医薬組成物のうちの少なくとも1つを更に含むことができる。かかるサイトカインの非限定的な実施例としては、IL-1~IL-40など(例えば、IL-1、IL-2など)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)を参照されたく、これらの文献は各々、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0122】
本発明の方法に使用される抗IL-23抗体化合物、組成物、又は混合物は更に、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこれらに限定されない、任意の好適な助剤のうちの少なくとも1つを含み得る。医薬的に許容される助剤が好ましい。かかる滅菌溶液を調製する方法及びその非限定例は、当該技術分野において周知であり、例えば、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,PA)1990が挙げられるが、これに限定されない。当該技術分野において周知であるか、又は本明細書に記載される、抗IL-23抗体、断片、又は変異体組成物の投与方式、溶解度、及び/又は安定性に好適な医薬的に許容される担体は、日常的に選択することができる。
【0123】
本組成物において有用な医薬賦形剤及び添加剤は、これらに限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、及びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、並びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してもよく、単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は体積%含まれる。代表的なタンパク質賦形剤としては、ヒト血清アルブミン(human serum albumin、HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(recombinant human albumin、rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体構成要素としては、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましいアミノ酸の1つはグリシンである。
【0124】
本発明で使用するのに好適な炭水化物賦形剤としては、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン類などの多糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物添加物は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0125】
抗IL-23抗体組成物はまた、緩衝剤又はpH調整剤を含むことができ、典型的には、緩衝剤は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物で使用するのに好ましい緩衝剤は、クエン酸などの有機酸塩である。
【0126】
更に、抗IL-23抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」及び「TWEEN80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などの、ポリマー賦形剤/添加剤を含み得る。
【0127】
本発明による抗IL-23抗体、部分又は変異体組成物における使用に好適なこれら及び追加の既知の医薬賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において既知であり、例えば、「Remington:The Science & Practice of Pharmacy,」19th ed.,Williams & Williams,(1995)、及び「Physician’s Desk Reference,」52nd ed.,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に記載され、これらの開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担体又は添加物材料は、炭水化物(例えば、単糖類及びアルジトール)及び緩衝剤(例えば、クエン酸)又はポリマー剤である。例示的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、これらは関節内送達に有用であり得る。
【0128】
製剤
上述したとおり、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩を含むリン酸緩衝剤である、安定した製剤、並びに保存剤を含有する保存溶液及び製剤、並びに医薬的に許容される製剤中に少なくとも1つの抗IL-23抗体を含む、薬学的又は獣医学的用途に好適な、多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から任意選択で選択される、少なくとも1つの既知の保存剤を含む。当該技術分野において既知であるように、0.001~5%、又はその中の任意の範囲若しくは値、例えば、0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9など、又はその中の任意の範囲若しくは値の、任意の好適な濃度又は混合物を使用することができる。非限定的な実施例としては、保存剤無添加、0.1~2%のm-クレゾール(例えば、0.2、0.3.0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが挙げられる。
【0129】
上述のとおり、本発明の方法は、包装材と、任意選択で水性希釈剤中に、処方された緩衝剤及び/又は保存剤を含む、少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体の溶液を含む少なくとも1つのバイアルとを含む、製品を使用し、当該包装材は、かかる溶液を1、2、3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、66、72時間以上にわたり保存可能であることを記した、ラベルを含む。本発明は、包装材と、凍結乾燥された抗IL-23特異的抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤又は保存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルと、を含む製品を更に使用し、当該包装材は、抗IL-23特異的抗体を水性希釈剤でもどして、24時間以上にわたって保持することができる溶液を形成するように患者に指示するラベルを含む。
【0130】
本発明により使用される抗IL-23特異的抗体は、本明細書に記載されるか又は当該技術分野において既知の、哺乳動物細胞又はトランスジェニック調製物から産生することを含む組換え手段により産生され得るか、又は他の生物源から精製され得る。
【0131】
抗IL-23特異的抗体の範囲は、湿式/乾式系の場合、もどすときに約1.0μg/ml~約1000mg/mlの濃度が得られる量で含まれるが、より低い濃度及び高い濃度でも作業可能であり、意図される送達ビヒクルに依存し、例えば溶液製剤では、経皮パッチ、肺、経粘膜、又は浸透圧性若しくはマイクロポンプ方法とは異なる。
【0132】
好ましくは、水性希釈剤は、任意選択で、医薬的に許容される保存剤を更に含む。好ましい保存剤としては、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。製剤中で使用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに十分な濃度である。かかる濃度は選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0133】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサは、任意選択でかつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知の濃度で概して使用される。好ましくは、生理学的に耐性の緩衝剤を添加して、改善されたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、及び好ましくは約pH5~約pH9の範囲、及び最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲を網羅とすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを有する。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、特にリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline、PBS)が含まれる。
【0134】
その他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)などの、医薬的に許容される可溶化剤、又はポリソルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic(登録商標)ポリル(polyl)などの非イオン性界面活性剤、その他のブロックコポリマー、並びにEDTA及びEGTAなどのキレート剤を、任意選択で、製剤又は組成物に添加して、凝集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプラスチック容器が使用される場合に特に有用である。医薬的に許容される界面活性剤の存在により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0135】
製剤は、少なくとも1つの抗IL-23抗体と、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はこれらの混合物からなる群から選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体と保存剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、緩衝溶液中の一定量の少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体を、所望の濃度のタンパク質及び保存剤を提供するために十分な量の緩衝溶液中で所望の保存剤と組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0136】
製剤は、透明な溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好ましくはリン酸塩緩衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中に含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された抗IL-23特異的抗体のバイアルを含む併用バイアル(dual vial)として、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者処置サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な処置レジメンを提供することができる。
【0137】
本製品は、即時から24時間以上の範囲の期間にわたる投与に有用である。したがって、本発明により特許請求される製品は、患者に大きな利益を提供する。本発明の製剤は、任意選択で、約2℃~約40℃の温度で安全に保存し、タンパク質の生物学的活性を長期間保持することができ、したがって、包装ラベルで、溶液を6、12、18、24、36、48、72、又は96時間以上保持及び/又は使用し得ることを示すことができる。保存されている希釈剤を使用する場合には、かかるラベルは、最高1~12ヶ月、半年、1年半、及び/又は2年までの使用を含むことができる。
【0138】
抗IL-23特異的抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び任意選択で保存剤又は緩衝剤を提供するのに十分な量で組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0139】
特許請求される製品は、透明な溶液として、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルは、いずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者処置サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な処置レジメンを提供する。
【0140】
特許請求される製品は、透明な溶液、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体のバイアルを含むデュアルバイアルを、薬局、診療所、又はその他のかかる機関及び施設に提供することによって、患者に対し間接的に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更にはそれ以上の容量であってもよく、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体溶液を1回又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により顧客及び/又は患者に提供できる。
【0141】
シングルバイアルシステムを含む、認識されるデバイスとしては、溶液を送達するためのペン型注射器デバイス、例えば、BD Pens、BD Autojector(登録商標)、Humaject(登録商標)、NovoPen(登録商標)、B-D(登録商標)Pen、AutoPen(登録商標)、及びOptiPen(登録商標)、GenotropinPen(登録商標)、Genotronorm Pen(登録商標)、Humatro Pen(登録商標)、Reco-Pen(登録商標)、Roferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、Iject(登録商標)、J-tip Needle-Free Injector(登録商標)、Intraject(登録商標)、Medi-Ject(登録商標)、Smartject(登録商標)など、Becton Dickensen(Franklin Lakes、NJ、www.bectondickenson.com)、Disetronic(Burgdorf、Switzerland、www.disetronic.com)、Bioject(Portland,Oregon(www.bioject.com)、National Medical Products,Weston Medical(Peterborough,UK,www.weston-medical.com)、Medi-Ject Corp(Minneapolis,MN,www.mediject.com)によって製造又は開発されているもの)、及び類似の好適なデバイスが挙げられる。デュアルバイアルシステムを含む認知されたデバイスとしては、もどした溶液を送達するために、凍結乾燥された薬剤をカートリッジ内でもどすためのペン型注射器システム、例えばHumatroPen(登録商標)などが挙げられる。好適なその他のデバイスの実施例としては、予め充填された注射器、自動注射器、針なし注射器、及び針なしIV注入セットが挙げられる。
【0142】
本製品は、包装材を含み得る。包装材は、規制当局によって必要とされる情報に加えて、本製品を使用することができる条件を提供する。本発明の包装材は、適用できる場合、少なくとも1つの抗IL-23抗体を水性希釈剤でもどして溶液を形成し、2~24時間以上の期間にわたって、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を患者に提供する。シングルバイアルの溶液製品、プレフィルドシリンジ、又は自己注射器の場合、ラベルは、かかる溶液を2~24時間以上の期間にわたって使用することができることを示す。本製品は、ヒト用医薬製品用途に有用である。
【0143】
本発明の方法に使用される製剤は、抗IL-23抗体及び選択された緩衝剤、好ましくは生理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸塩緩衝剤を混合することを含むプロセスにより調製することができる。抗IL-23抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤を提供するのに十分な量の水中で、所望の緩衝剤と組み合わせる。本プロセスの変化形態は、当業者によって認識される。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHは全て、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0144】
本発明の方法は、ヒト又は動物患者に投与するのに有用であり、かつ許容される様々な製剤を含む医薬組成物を提供する。かかる医薬組成物は、希釈剤として「標準状態」の水、及び当業者に周知の日常的な方法を使用して調製される。例えば、ヒスチジン及びヒスチジン一塩酸塩水和物などの緩衝構成要素が最初に提供され、続いて適切な非最終容量の「標準状態」の水希釈剤、スクロース、及びポリソルベート80が添加され得る。次いで、単離された抗体を添加することができる。最後に、水を希釈剤として使用して「標準状態」条件の下で、医薬組成物の容量を所望の最終容量に調整する。当業者であれば、医薬組成物の調製に好適ないくつかの他の方法を認識する。
【0145】
医薬組成物は、水の容量単位当たりの示される質量の各構成成分を含むか、又は「標準状態」の示されるpHを有する水溶液又は懸濁液であってもよい。本明細書で使用するとき、「標準状態」という用語は、25℃±2℃の温度及び1気圧の圧力を意味する。「標準状態」という用語は、当該技術分野では、当該技術分野が認識する単一の温度又は圧力のセットを指すように使用されないが、代わりに参照「標準状態」条件下の特定の組成物を含む溶液又は懸濁液を説明するために使用される温度及び圧力を特定する参照状態である。これは、溶液の容量が1つには温度及び圧力の関数であるためである。当業者であれば、本明細書に開示されるものと同等の医薬組成物を他の温度及び圧力で生産することができることを認識する。かかる医薬組成物が本明細書に開示されるものと同等であるかは、上記に定義された「標準状態」条件下(例えば、25℃±2℃及び1気圧の圧力)で決定されるべきである。
【0146】
重要なことに、かかる医薬組成物は、医薬組成物の単位容積当たり「約」ある特定の値の構成要素の質量(例えば、「約0.53mgのL-ヒスチジン」)を含有するか、又は約ある特定の値のpH値を有し得る。医薬組成物中に存在する構成要素の質量又はpH値は、単離された抗体が医薬組成物に存在するか、又は単離された抗体が医薬組成物から除去された後(例えば、希釈により)に、医薬組成物中に存在する単離された抗体がペプチド鎖に結合することができる場合の、「約」所与の数値である。つまり、構成要素の質量値又はpH値などの値は、単離された抗体を医薬組成物中に入れた後に単離された抗体の結合活性が維持され、検出可能である場合の、「約」所与の数値である。
【0147】
競合結合分析を行って、IL-23特異的mAbが類似の若しくは異なるエピトープに結合し、かつ/又は互いに競合するかを決定する。ELISAプレート上にAbを個々にコーティングする。競合するmAbを添加し、続いてビオチン化hrIL-23を添加する。陽性対照には、コーティングに同じmAbを競合mAb(「自己競合」)として使用してもよい。IL-23結合は、ストレプトアビジンを使用して検出される。これらの結果は、mAbがIL-23上の類似の又は部分的に重複するエピトープを認識するかどうかを示す。
【0148】
医薬組成物の一実施形態では、単離された抗体濃度は、1mLの医薬組成物当たり約77~約104mgである。医薬組成物の別の実施形態では、pHは約5.5~約6.5である。
【0149】
安定又は保存製剤は、透明な溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び添加物を含有する第2のバイアルでもどされる、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者処置サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な処置レジメンを提供する。
【0150】
抗IL-23抗体を安定化させる、他の製剤又は方法は、抗体を含む凍結乾燥粉末の透明溶液以外をもたらしてもよい。非透明溶液としては、微粒子懸濁液を含む製剤があり、当該微粒子は、ミクロスフェア、微小粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、又はリポソームとして様々に知られる種々の大きさの構造内に、抗IL-23抗体を含有する組成物である。活性薬剤を含有するかかる比較的均質な本質的に球状の微粒子製剤は、米国特許第4,589,330号に教示されるとおり、活性薬剤及びポリマーを含有する水相と非水相とを接触させ、次に、非水相を蒸発させて水相からの粒子の合体を引き起こすことにより、形成することができる。多孔性微小粒子は、米国特許第4,818,542号に教示されるとおり、連続溶媒中に分散された活性薬剤とポリマーとを含有する第1相を使用し、凍結乾燥又は希釈-抽出-沈殿により懸濁液から当該溶媒を除去することで調製することができる。こうした調製に好ましいポリマーは、ゼラチン寒天、デンプン、アラビノガラクタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(β-ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリ(アルキル-2-シアノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素)、ポリ(L-フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6-ジイソシアナトヘキサン)及びポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択される、天然又は合成のコポリマー又はポリマーである。特に好ましいポリマーは、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリコリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-乳酸)、及びポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)などのポリエステルである。ポリマー及び/又は活性物質を溶解させるのに有用な溶媒としては、水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、ベンゼン、又はヘキサフルオロアセトンセスキ水和物が挙げられる。活性物質含有相を第2相に分散させるプロセスは、ノズル内のオリフィスに当該第1相を圧力で強制的に通して液滴形成に作用させることを含むことができる。
【0151】
乾燥粉末製剤は、例えば、噴霧乾燥法、又は蒸発による溶媒抽出法、若しくは水性若しくは非水性溶媒を除去するための1つ以上の工程が後続する結晶性組成物の沈殿による溶媒抽出法などの、凍結乾燥以外のプロセスの結果として得てもよい。噴霧乾燥抗体製剤の調製は、米国特許第6,019,968号に教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物は、抗体の溶液又はスラリーを、呼吸用乾燥粉末を提供するための条件下で、及び任意選択で、溶媒中の賦形剤と共に、噴霧乾燥させることによって、生産され得る。溶媒としては、容易に乾燥可能な、例えば水及びエタノールなどの極性化合物が挙げられる。抗体の安定性は、酸素不在下、例えば窒素ブランケット下において噴霧乾燥手順を実施すること、又は乾燥用気体として窒素を使用することにより増強され得る。別の比較的乾燥した製剤は、国際公開第9916419号に教示されている典型的にはヒドロフルオロアルカン噴射剤を含む懸濁培地中に分散した複数の有孔微細構造の分散物である。安定化された分散物は、定量吸入器を用いて患者の肺に投与できる。噴霧乾燥された薬物の商業的製造において有用な機器は、Buchi Ltd.又はNiro Corp.により製造されている。
【0152】
本明細書に記載される、安定な又は保存性の、製剤又は溶液中のいずれかで、抗IL-23抗体は、技術分野において周知のように、SC若しくはIM注射、経皮、経肺、経粘膜、埋め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ、又は当業者により理解される他の手段などの種々の送達方法を介して、本発明に従って患者に投与することができる。
【0153】
治療への応用
本発明はまた、当該技術分野において既知又は本明細書に記載のように、少なくとも1つの本発明のIL-23抗体を用いて、例えば、細胞、組織、器官、動物、又は患者に、治療有効量のIL-23特異的抗体を投与又は接触させて、細胞、組織、器官、動物、又は患者におけるクローン病を調節又は処置するための方法を提供する。
【0154】
本発明のいずれの方法も、かかる調節、処置、又は療法を必要としている細胞、組織、器官、動物又は患者に、抗IL-23抗体を含む有効量の組成物又は医薬組成物を投与することを含み得る。かかる方法は、任意選択で、かかる疾患又は障害の処置のための同時投与又は併用療法を更に含むことができ、ここで、当該少なくとも1つの抗IL-23抗体、その特定の部分、又は変異体を投与することは、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、化学物質性若しくはタンパク質性TNF拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体若しくは断片、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)若しくは断片、その融合ポリペプチド、又は低分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I又はII(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト(eternacept)(Enbrel(商標))、アダリムマブ(Humira(商標))、CDP-571、CDP-870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、非ステロイド性抗炎症薬(non-steroid anti-inflammatory drug、NSAID)、鎮痛薬、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他抗菌薬)、乾癬処置薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、栄養薬、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗腫瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF、Leukine)、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受容体調節薬、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、分裂阻害剤、放射性医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、ドネペジル、タクリン、ぜんそく処置薬、ベータ作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類似体、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1つを、前に、同時に、及び/又は後に投与することを更に含む。好適な投与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,Stamford,CT(2000)、PDR Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(2000)、Nursing 2001 Handbook of Drugs,21st edition,Springhouse Corp.,Springhouse,PA,2001、Health Professional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddle River,NJを参照されたい。これらの参照文献の各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0155】
治療的処置
典型的には、クローン病の処置は、有効量又は有効投与の抗IL-23抗体組成物を投与することによって影響を受け、これは、組成物に含まれる活性剤の特異的活性に応じて、合計で、平均して、1投与当たり、患者1キログラム当たり、少なくとも約0.01~500ミリグラムの範囲の抗IL-23抗体であり、好ましくは、単回又は複数回投与当たり、1投与当たり、患者1キログラム当たり、少なくとも約0.1~100ミリグラムの抗体である。あるいは、有効な血清濃度は、単回又は複数回投与当たり、0.1~5000g/mLの血清濃度を含み得る。好適な投与量は、医療従事者には既知であり、当然のことながら、具体的な疾患状態、投与される組成物の比活性、及び処置を受けている具体的な患者に依存する。いくつかの場合では、望ましい治療量を達成するために、反復投与、すなわち特定の監視された投与又は計量された投与の反復個別投与を提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投与は、所望の1日の投与量又は効果が得られるまで繰り返される。
【0156】
好ましい投与は、任意選択で、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99及び/若しくは100~500mg/kg/投与、又はその任意の範囲、値若しくは分画を含むか、あるいは、単回若しくは複数回投与当たり0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、及び/若しくは5000g/mLの血清濃度、又はその任意の範囲、値若しくは分画を達成するように含み得る。
【0157】
あるいは、投与される投与は、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方法及び経路、受容者の年齢、健康状態及び体重、症状の性質及び程度、同時処置の種類、処置頻度、並びに所望の作用などの既知の因子に応じて異なり得る。活性成分の投与量は、通常、体重1キログラム当たり約0.1~100ミリグラムであり得る。通常、0.1~50、好ましくは0.1~10ミリグラム/キログラム/投与、又は徐放性形態が、望ましい結果を得るために有効である。
【0158】
非限定的な例として、ヒト又は動物の処置は、単回投与、静注投与、又は反復投与を使用して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39若しくは40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51若しくは52週目のうちの少なくとも1週に、あるいは又は追加的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20年目のうちの少なくとも1年に、又はこれらの任意の組み合わせで、1日当たり0.1~100mg/kg、例えば、0.5、0.9、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの、本発明の少なくとも1つの抗体の1回又は周期的な投与量として提供され得る。
【0159】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、概して、ユニット又は容器当たり約0.001ミリグラム~約500ミリグラムの活性成分を含む。これらの医薬組成物において、活性成分は、組成物の総重量に基づいて、通常、約0.5~99.999重量%の量で存在する。
【0160】
非経口投与に関して、抗体は、医薬的に許容される非経口ビヒクルと合わせて、又は別個に提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として製剤化され得る。かかるビヒクルの実施例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び不揮発性油などの非水性ビヒクルを使用することもできる。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール、化学安定性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、既知の又は好適な技術によって滅菌される。
【0161】
好適な医薬担体は、本分野での標準的参考書であるRemington’s Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版に記載されている。
【0162】
代替的投与
医薬有効量の抗IL-23抗体を投与するために、本発明に従って、多くの既知の及び開発された方式を使用することができる。以下の記述では、経肺投与が使用されているが、本発明に従って他の投与方式を使用して、好適な結果を得てもよい。本発明のIL-23特異的抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液として、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載される若しくは当該技術分野において既知である他の方法による投与に適した様々なデバイス及び方法のいずれかを使用して、送達することができる。
【0163】
非経口製剤及び投与
非経口投与用製剤は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどを含有してもよい。注射用の水性又は油性懸濁液は、既知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び懸濁剤を使用することによって調製することができる。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液、又は溶媒中懸濁液などの、非毒性の非経口投与可能な希釈剤であってもよい。使用可能なビヒクル又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが許容され、通常の溶媒又は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノグリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び脂肪酸を使用することができる。非経口投与は当該技術分野において既知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載のガス加圧式無針注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載のレーザ穿孔機デバイスが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、これらは参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0164】
代替的送達
本発明は更に、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹部内、嚢内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、子宮頸部内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸腔内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮手段による、抗IL-23抗体の投与に関する。IL-23抗体組成物は、特に液体溶液若しくは懸濁液の形態で、非経口(皮下、筋肉内、又は静脈内)又は任意の他の投与用に使用するために、特に、クリーム剤及び座剤などであるが、これらに限定されない半固体形態で、膣若しくは直腸投与における使用のために、錠剤若しくはカプセル剤などであるが、これらに限定されない形態で、口腔若しくは舌下投与用に、あるいは散剤、点鼻薬若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるが、これらに限定されない形態で、鼻腔内用に、あるいは、皮膚構造を改変するか又は経皮パッチ中の薬剤濃度を増加させるかのいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進剤を用いて(参照により全体が本明細書に組み込まれるJunginger,et al.In「Drug Permeation Enhancement;」Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(Marcel Dekker,Inc.New York 1994)、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用(国際公開第98/53847号)、又は電気穿孔法などの一過性の輸送経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚を通して荷電薬剤の移動度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波の適用(米国特許第4,309,989号及び同第4,767,402号)を可能にする酸化剤を用いて、限定されるものではないが、ゲル、軟膏、ローション、懸濁液若しくはパッチ送達系システムなどで、経皮用に、調製することができる(上記の刊行物及び特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0165】
本発明を全般的に記述してきたが、上記と同様のことは、実例として提供されるが制限することを意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解される。更に、本発明の詳細は、以下の非限定的実施例によって例示される。本明細書の全ての引用の開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0166】
実施形態
本発明は、以下の非限定的な実施形態を提供する。
1.患者におけるクローン病を処置する方法であって、IL-23に対する抗体を、初回投与、初回処置の4週間後の投与、初回処置の8週間後の投与、及び8週目の投与後の4週間毎又は8週間毎の投与で、患者に投与することを含み、抗体が、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域であって、当該軽鎖可変領域が、
配列番号4の相補性決定領域軽鎖1(CDRL1)アミノ酸配列、
配列番号5のCDRL2アミノ酸配列、及び
配列番号6のCDRL3アミノ酸配列を含み、
当該重鎖可変領域が、
配列番号1の相補性決定領域重鎖1(CDRH1)アミノ酸配列、
配列番号2のCDRH2アミノ酸配列、及び
配列番号3のCDRH3アミノ酸配列を含み、患者が、抗体に対する応答者である、方法。
2.患者が、以下からなる群から選択される、1つ以上の臨床エンドポイントを満たすものとして同定される、実施形態1に記載の方法:
(i)初回処置後48週目(「48週目」)おける、クローン病活動性指数(CDAI)スコアのベースラインからの変化、
(ii)150ポイント未満(<)のCDAIとして定義される、48週目における臨床的寛解、
(iii)CDAIスコアのベースラインからの100ポイント以上(≧)の減少、又は150未満(<)のCDAIスコアとして定義される、48週目における臨床応答、
(iv)1日平均排便回数(SF)、及び1日平均腹痛(AP)スコアに基づいて定義される、48週目における患者報告アウトカム(PRO)-2寛解、
(v)CDAIスコアに基づく臨床応答、及びC反応性タンパク質(CRP)又は便中カルプロテクチンのベースラインからの減少を使用して定義される、48週目における臨床バイオマーカ応答、
(vi)簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD)によって測定され、2以下(≦2)のSES-CDとして定義される、48週目の内視鏡的寛解、
(viii)簡易版クローン病内視鏡スコア(SES-CD)によって測定される、48週目における内視鏡的反応。
(viii)48週目における150未満のCDAIスコア、及び48週目におけるコルチコステロイドを受けていないものとして定義される、48週目におけるコルチコステロイドフリー臨床的寛解、及び
(ix)患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)に基づく、48週目における疲労応答。
3.初回投与、並びに初回処置の4週間後及び初回処置の8週間後の投与が、1200mg、600mg及び200mgからなる群から選択される、静脈内投与であり、8週間目の投与後の4週間毎又は8週間毎の投与が、100mg、又は200mgの皮下投与である、実施形態1に記載の方法。
4.静脈内投与が、1200mgであり、皮下投与が、8週目の投与の4週間毎に、200mg投与される、実施形態3に記載の方法。
5.静脈内投与が、600mgであり、皮下投与が、8週目の投与後の4週間毎に、200mg投与される、実施形態3に記載の方法。
6.静脈内投与が、200mgであり、皮下投与が、8週目の投与後の8週間毎に、100mg投与される、実施形態3に記載の方法。
7.抗体が、医薬組成物の、7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物;0.053%(w/v)のポリソルベート80を含む組成物中に含まれており、希釈剤が、標準状態の水である、実施形態3に記載の方法。
8.クローン病を処置するために使用される、1つ以上の追加の薬剤を、患者に投与することを更に含む、実施形態3に記載の方法。
9.追加の薬剤が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカ抗体、抗CD20抗体、リツキシマブ、TNF阻害剤、コルチコステロイド、及び共刺激調節剤からなる群から選択される、実施形態8に記載の方法。
10.抗体が、配列番号8の軽鎖可変領域アミノ酸配列、及び配列番号7の重鎖可変領域アミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の方法。
11.抗体が、配列番号10の軽鎖アミノ酸配列、及び配列番号9の重鎖アミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の方法。
12.患者が、クローン病に対して生物学的療法非奏効又は不耐性(Bio非奏効)とみなされる、実施形態1に記載の方法。
13.患者が、クローン病に対して従来療法非奏効又は不耐性(Con非奏効)とみなされる、実施形態1に記載の方法。
【実施例】
【0167】
実施例1
クローン病の標的としてIL-23を関与させる前臨床的証拠
遺伝的及び動物モデルの試験により、クローン病の病態生理学における、IL-12及びIL-23の寄与を調査した。結果は、IL-23が炎症性腸疾患(IBD)において主要な役割を果たすことを示し、新たな証拠は、IL-23単独を遮断することがIL-12及びIL-23の両方を遮断するよりも効果的な戦略であり得ることを示唆している。
【0168】
遺伝的及び動物モデルのデータからの初期観察は、クローン病が、潜在的に、IL-12及び/又はIL-23がそれぞれ誘発する、Th1及びTh17経路を介して、IL-12及び/又はIL-23によって媒介されることを示唆している。しかしながら、クローン病におけるIL-23が主要な役割を果たすことを示唆する証拠が増えている。ゲノムワイド関連解析は、クローン病に関連するIL-23R遺伝子における多型を同定した。腸炎症を駆動する際のIL-23の役割は、いくつかのマウスモデルで示されている。抗IL-23抗体で処置したマウスは、炎症の減弱を示し、IL-23のp19サブユニットの遺伝的欠失を有するマウスは、腸炎症のいくつかのモデルで保護される。
【0169】
クローン病においてIL-23を標的化する概念実証を確立する臨床的証拠
クローン病におけるIL-23の潜在的な治療的役割は、最初にIL-12/23p40拮抗薬(ブリアキヌマブ及びウステキヌマブ)の臨床試験によって確立された。ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))は、最近、中等度から重度の活動性クローン病への処置に対して、承認された。これらのプログラムは、IL-12及びIL-23の両方の遮断がクローン病の処置に有効であることを示しているが、それらは2つのサイトカインの相対的な寄与を確認できなかった。
【0170】
2つの抗IL-23拮抗薬である、リサンキズマブ(以前の、BI-655066)及びブラジクマブ(以前の、MEDI2070、AMG139)のより最近の試験では、中等度から重度の活動性クローン病を有する参加者における、IL-23遮断の有効性を示す、第2相の結果が報告されている。これらの試験の各々で観察された有効性の大きさは、ウステキヌマブ(抗IL-12/23)と比較して改善された有効性の可能性を示し、交差試験比較及び比較的小さい規模のIL-23第2相試験の制限が認められる。
【0171】
クローン病におけるIL-12/23-標的化療法(ウステキヌマブ)による臨床経験
クローン病におけるウステキヌマブの第3相プログラムには、ウステキヌマブの静脈内(IV)導入の有効性及び安全性を評価する、2つの8週間の試験、並びに合計で52週間の処置期間にわたる、ウステキヌマブの皮下(SC)維持の有効性及び安全性を評価する、1つの維持試験が含まれた。ウステキヌマブは、クローン病を有する生物学的に適格な患者、すなわち、従来療法非奏効であった者、及び生物学的療法非奏効であった者の、全スペクトルを評価された。0週目にウステキヌマブ約6mg/kgのIV導入投与を1回行った後、それぞれBIO非奏効参加者及びCON非奏効参加者の約21%及び40%(プラセボ処置参加者のそれぞれ約7%及び20%に対して)が、8週目に臨床的寛解を達成した(クローン病活動指数[CDAI]で評価)。ウステキヌマブIV導入に応答し、再無作為化されて90mgを8週間毎(q8w)又は90mgを12週間毎(q12w)のウステキヌマブSC維持療法に受けた参加者のうち、それぞれ参加者の約53%及び49%が、プラセボ維持を受けた参加者の36%と比較して52週目に臨床的寛解状態にあった。
【0172】
クローン病におけるIL-23標的化療法による臨床経験
2つのIL-23mAbであるリサンキズマブ及びブラジクマブの、最近の第2相試験では、臨床徴候及び症状の改善、炎症性バイオマーカの減少、及び主に生物学的に難治性のクローン病を有する参加者における内視鏡所見の改善における、有効性が示された。
【0173】
IL-23遮断薬による臨床的寛解率の交差試験比較は、ウステキヌマブと比較して、改善された有効性の可能性を示唆している。リサンキズマブ(0、4、8週目に、200及び600mg IV)及びブラジクマブ(0、4週目に、700mg IV)の両方の試験で使用された導入投与は、承認されたウステキヌマブ投与(0週目に、約6mg/kg IV)よりも大幅に高かったことは注目すべきである。化合物の交差メタ分析は、特にリサンキズマブを投与することで、投与応答曲線の終点がより高くなり得ることを示唆する。
【0174】
更に、リサンキズマブによる第2相試験はまた、処置の6ヶ月後まで応答率が最大に達しない可能性があることを示唆した。最大6ヶ月間にわたり4週間毎に(q4w)600mg IVの投与を用いた場合、約50%の臨床的寛解率が全ての処置患者において観察され、同様のフォローアップ時点で同様の試験集団において、ウステキヌマブを含む他の薬剤で以前に報告された寛解率よりも大幅に高かった。6ヶ月で寛解し、リサンキズマブ維持処置(180mg SC q8w)を継続した参加者のうち、約70%が1年で寛解した。
【0175】
クローン病におけるグセルクマブの包括的な根拠
要約すると、遺伝的及び前臨床的証拠を合わせて、IBDの根底にある病態生理学の調節においてIL-23を選択的に標的化することについての大きな役割が示唆される。2つのIL-23拮抗薬の利用可能な臨床経験及び承認されたIL-12/23拮抗薬(ウステキヌマブ)からの確立された証拠は、それぞれ、クローン病の処置におけるIL-23を標的化するためのメカニズムの証明及び概念の証明を実証している。これと共に、利用可能な証拠は、クローン病の処置においてグセルクマブを治験するための裏付けを提供する。
【0176】
主要エンドポイント
主要エンドポイントは、12週目における臨床的寛解(CDAIスコア<150として定義される)である。このエンドポイントの場合、各グセルクマブ群とプラセボとの比較が行われる。
【0177】
主な副次的エンドポイント
主要二次エンドポイントを、以下に記載する。
・48週目における臨床的寛解(CDAI<150として定義される)
・48週目における持続的な臨床的寛解(12週目~48週目(48週目を含まなければならない)の全ての訪問の80%以上[すなわち、10回の訪問の少なくとも8回]で、CDAI<150として定義される)
・48週目におけるコルチコステロイドフリーの臨床的寛解(48週目におけるCDAIスコア<150、かつ48週目においてコルチコステロイドを受けていないとして定義される)
・12週目におけるPRO-2寛解(1以下の1日平均APスコア、及び3以下の1日平均SFスコア、すなわち、AP≦1及びSF≦3として定義される)
48週目におけるPRO-2寛解
・12週目における内視鏡的反応(SES-CDスコアのベースラインから少なくとも50%改善、又はSES-CDスコア≦2と定義される)
48週目での内視鏡的反応
・12週目における疲労応答(PROMIS疲労簡易フォーム7aに基づく)、SAPで定義される)。
【0178】
12週目における短期エンドポイントは、各グセルクマブ群とプラセボ群との比較に基づき、48週目における長期エンドポイントは、各グセルクマブ群とウステキヌマブ群との比較に基づく。
【0179】
非臨床的観点から、クローン病患者のリスクは、50mg/kgで週1回の5週間の準長期(subchronic)IV投与及び週1回の24週間の長期のSC投与後にカニクイザルで有害な所見が観察されなかったことに基づいて、グセルクマブが最大1200mg(ヒトにおいて約16mg/kg)の投与で4週間に1回IV投与され、その後、最大200mg SC q4wの提案された維持投与で投与したときに低いとみなされる。上記で要約したように、予想される第8週~12週のIV臨床導入投与間隔AUC、又は定常状態SC維持間隔AUC(どちらもサル投与間隔と比較するために週1回の投与に対して正規化された)と比較した、サルで達成された実際の曝露データ(血清濃度対時間曲線下の領域[versus time curve、AUC])は、提案される臨床投与に対して十分な曝露マージンを提供する。これは、グセルクマブが、尋常性乾癬を有する参加者において良好な臨床安全性プロファイルを有する後期バイオ療法(late-stage biotherapeutic)であり、データは、第1相の臨床開発中に、それぞれ尋常性乾癬を有する限られた数の患者及び健康な健常志願者において、主に100mgのSCで生成されるが最大で300mgのSC及び10mg/kgのIVでも生成されるという事実により更に裏付けされる。最後に、リサンキズマブ(グセルクマブに匹敵する臨床効力を有するIL-23阻害剤)は、6ヶ月間q4wで最大600mgでIV投与されたクローン病を有する患者において試験され、耐性が良好であると報告されている。
【0180】
グセルクマブは、広範な非臨床及び臨床開発を受けている。健常なボランティア及び尋常性乾癬を有する患者における第1相、第2相、及び第3相臨床試験の有効性及び安全性についての結果を合わせて、並びに近年、尋常性乾癬への適応が規制当局により認可されたことにより、グセルクマブの尋常性乾癬の処置における好ましい損益プロファイルが確立された。この臨床治験は、開発が進行中のグセルクマブに対し、PsA、GPP、EP、及びPPPなどの他の炎症性疾患における裏付けを提供した。
【0181】
動物及びヒトの利用可能なデータは、クローン病の病因におけるIL-23の重要な役割を裏付け、他の抗IL-23mAbを用いた試験は、中等度から重度の活動性クローン病を有する患者において、IL-23を選択的に標的化することが、ウステキヌマブを含む、他の作用機序で観察されるよりも高いレベルの有効性を達成し得ることを、示唆している。
【0182】
ウステキヌマブ及び他の抗IL-23mAbによる臨床データは、クローン病における最大限の有効性には、乾癬で使用されるものよりも高い投与及び曝露を必要とし得ることを示唆している。例えば、クローン病におけるウステキヌマブの初回投与(70kg患者において、約6mg/kg IV)は、乾癬の約4倍高い(0週目及び4週目に、45mg SC)。したがって、3投与についてq4wで付与される最大1200mg IVの導入投与及びSC q4wでの最大200mgの維持投与が、クローン病で最大の有効性を得るためにはグセルクマブのより高い投与及び曝露が必要かどうかを評価するために、この試験の第2相部分で試験される。非臨床毒性試験のデータは、このプロトコルにおいて提案された臨床投与について適切な曝露マージンを提供する。更に、同等の投与/曝露が、2つの他の抗IL-23mAbの第2相試験において以前に評価され、重大な安全性の懸念は1年間の処置後には報告されていない。
【0183】
乾癬におけるグセルクマブの承認された投与レジメン(0週目及び4週目、次いでq8wで100mg SC)は、好ましい安全性プロファイルを有することが示されており、q8wでの200mg SCの高投与レジメンは、関節リウマチにおける第2相試験において好ましい安全性を有することが示されている。主要なリスクは感染である。グセルクマブIBについて更に詳細に記載されている、他の安全性について可能性のある懸念は、グセルクマブが、免疫調節性mAbであることに基づくものであり、悪性腫瘍及び過敏症を含む。グセルクマブのより高投与のレジメン(このプロトコルで提案されている)は過去に試験されていないため、安全性は、独立したデータ監視委員会(Data Monitoring Committee、DMC)によって25人の患者の初期コホートにおいて評価される。
【0184】
初期コホートの早期安全性評価は、より多数の患者における提案された第2相及び第3相投与レジメンの継続的な試験について許容可能な安全性を保証し、第2相及び第3相の試験を通じたDMCによる進行中の非盲検安全性評価は、全開発プログラムにおける患者の安全性を保証する。
【0185】
アクティブコンパレータ:ウステキヌマブ
ウステキヌマブ(STELARA)は、このプロトコルにおけるアクティブコンパレータである。ウステキヌマブは、ヒトIL-12及びヒトIL-23の両方に共通するp40サブユニットに対して高い親和性及び特異性で結合するヒトIgG1カッパmAbである。ウステキヌマブは、米国、カナダ、及びEUを含むいくつかの国の成人患者における中程度から重度に活性なクローン病に対して承認された処置であり、規制当局によるクローン病適応についての認可のための申請が、現在世界中の多くの国で審査されている。このプロトコルにおける、ウステキヌマブについての提案された導入及び維持投与は、現在世界中で承認されている国家によるラベルに準拠しており、また、中等度から重度の活動性クローン病を有する患者における、ウステキヌマブの有効性及び安全性を確立した、クローン病におけるウステキヌマブ第3相臨床開発プログラムにおいて評価される、投与レジメンと一致している。
【0186】
第2相投与設定試験(GALAXI1)
目的
主目的
・クローン病を有する参加者におけるグセルクマブの臨床的有効性を評価する
・グセルクマブの安全性を評価する
【0187】
二次目的
・このプロトコルの第3相部分の投与選択を通知するために、グセルクマブの投与応答を評価する
・内視鏡的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・C反応性タンパク質(CRP)及び便中カルプロテクチンの変化を含む、グセルクマブ療法の薬物動態(PK)、免疫原性、及び薬力学(PD)を評価する
【0188】
他の目的
・健康関連の生活の質(health-related quality of life、HRQOL)及び医療経済評価(health economics outcome)の指標に対するグセルクマブの影響を評価する
・組織学的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・腸粘膜遺伝子発現プロファイル及びクローン病に関連する細胞組成に対するグセルクマブによる処置の影響を評価する
【0189】
エンドポイント
主要エンドポイント及び主要二次エンドポイントは、プラセボに対するグセルクマブの短期的有効性を評価する。これらのエンドポイントを以下に記載する。
【0190】
主要エンドポイント
12週目におけるCDAIスコアのベースラインからの変化。
【0191】
主な副次的エンドポイント
・12週目における臨床的寛解(CDAIスコア<150として定義される)。
・12週目における臨床応答(CDAIスコアのベースラインからの≧100ポイント以上の減少、又はCDAIスコア<150として定義される)。
・12週目におけるPRO-2寛解(1以下の[AP]1日平均腹痛[AP]スコア、及び3以下の1日平均排便回数[SF]スコア、すなわち、AP≦1及びSF≦3として定義される)。
・12週目における臨床バイオマーカ応答(CDAIスコアに基づく臨床応答及びCRP又は便中カルプロテクチンのベースラインからの50%以上の減少)。
・12週目における内視鏡的反応(クローン病の単純内視鏡スコア[SES-CD]のベースラインからの少なくとも50%の改善、又はSES-CDスコア≦2として定義される)
【0192】
仮説
GALAXI1に対する主要な仮説は、グセルクマブが、中等度から重度の活動性クローン病を有する参加者における、CDAIスコアのベースラインからの減少の誘発において、プラセボよりも優れているというものである。
【0193】
第3相投与確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
GALAXI2及びGALAXI3は、同一の試験であり、同じ目的及びエンドポイントを有する。
【0194】
目的
主目的
・クローン病を有する参加者におけるグセルクマブの臨床的有効性を評価する
・グセルクマブの安全性を評価する
【0195】
二次目的
・内視鏡的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・HRQOLに対するグセルクマブの影響を評価する
・CRP及び便中カルプロテクチンの変化を含む、グセルクマブ療法のPK、免疫原性、及びPDを評価する
【0196】
他の目的
・医療経済評価の指標に対するグセルクマブの影響を評価する
・組織学的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・腸粘膜遺伝子発現プロファイル及びクローン病に関連する細胞組成に対するグセルクマブによる処置の影響を評価する
【0197】
エンドポイント
主要エンドポイント
主要エンドポイントは、12週目における臨床的寛解(CDAIスコア<150として定義される)である。このエンドポイントの場合、各グセルクマブ群とプラセボとの比較が行われる。
【0198】
主な副次的エンドポイント
主要な副次エンドポイントを以下に記載する。
・48週目における臨床的寛解(CDAI<150として定義される)
・48週目における持続的な臨床的寛解(12週目~48週目(48週目を含まなければならない)の全ての訪問の80%以上[すなわち、10回の訪問の少なくとも8回]で、CDAI<150として定義される)
・48週目におけるコルチコステロイドフリーの臨床的寛解(48週目におけるCDAIスコア<150、かつ48週目においてコルチコステロイドを受けていないとして定義される)
・12週目におけるPRO-2寛解(1以下の1日平均APスコア、及び3以下の1日平均SFスコア、すなわち、AP≦1及びSF≦3として定義される)
48週目におけるPRO-2寛解
・12週目における内視鏡的反応(SES-CDスコアのベースラインから少なくとも50%改善、又はSES-CDスコア≦2と定義される)
48週目での内視鏡的反応
・12週目における疲労応答(PROMIS疲労簡易フォーム7aに基づく)、SAPで定義される)。
【0199】
12週目における短期エンドポイントは、各グセルクマブ群とプラセボ群との比較に基づき、48週目における長期エンドポイントは、各グセルクマブ群とウステキヌマブ群との比較に基づく。
【0200】
仮説
GALAXI2及びGALAXI3の両方に対する主な仮説は、中等度から重度の活動性クローン病を有する参加者における、12週目での臨床的寛解の達成について、グセルクマブがプラセボよりも優れていることである。
【0201】
GALAXI2及びGALAXI3はまた、グセルクマブ対ウステキヌマブによる長期処置の相対的な性能を評価する。ウステキヌマブとの比較に関する主要な二次仮説に関しては、最終的な目的は、グセルクマブの有効性がウステキヌマブよりも優れていることを実証することであるが、非劣性に関する初期試験もまた実施される。これは、最終結果が、特定のエンドポイントに関して相対的有効性がウステキヌマブに劣っていないことを示すのみであったとしても、グセルクマブの全体的なプロファイルがウステキヌマブと比較して好ましい場合がある(全体的な有効性及び安全性の面で)ことを理由とする。
【0202】
試験デザイン
全体的なデザイン
クローン病におけるグセルクマブの臨床開発プログラムは、この単一のプロトコルの下で実施される:以前の従来療法又は生物学的療法に対して不十分な応答を示しているか又は不耐性であった、中等度から重度の活動性クローン病を有する参加者における、グセルクマブの安全性及び有効性を評価するための、第2/3相、無作為化、二重盲検、プラセボ及び活性対照(ウステキヌマブ)、並列群、多施設共同プロトコル。
【0203】
この臨床開発プログラムの概要を以下で簡単に説明する。このプロトコルの下では、3つの別々の試験:48週間の第2相投与設定試験(すなわち、GALAXI1)、及び2つの同一の48週間の第3相確認試験(すなわち、GALAXI2、及びGALAXI3)がある。3つの試験の全てが、トリートスルー(treat-through)試験デザインを用いて実施され、すなわち、参加者は、第0週において処置レジメンに対して無作為化され、別段の指示がない限り、各試験の少なくとも48週を通して、その処置レジメンを維持する。
【0204】
第2相投与設定試験(すなわちGALAXI1)では、広範な導入及び維持投与範囲にわたって、グセルクマブの投与レジメンの安全性及び有効性を評価して、第3相における確認評価のための、導入及び維持投与レジメンの選択を支援する。第3相(GALAXI2、及びGALAXI3)で評価される投与レジメンを選択するために、250~500人の参加者が必要とされ得ると推定される。したがって、GALAXI1の最初の250人の参加者が、初回投与決定コホートに登録され、主にこのコホートに基づく中間分析(IA)は、これらの参加者が12週目に達したときに(又は12週目前に試験参加を終了するときに)行う。投与決定を通知するにはより多くの参加者からのデータが必要となる場合があるため、初回投与決定コホートからのデータが収集及び分析されている間も登録は継続され、新規登録された参加者(すなわち、参加者番号251から始まる)は、移行コホートに無作為化される。移行コホートの目的は、試験を中断することなく、第2相の投与レジメンにて安全性及び有効性についてのデータを継続して蓄積し、それによって全体的な安全性データベースのサイズを増大させるのみならず、場合によっては、初回投与決定コホートからの結果に基づく投与選択に不確実性が存在する場合は、投与決定を行う際の追加情報に寄与するというものである。投与決定の前に、最大500人の参加者(すなわち、初回投与決定コホートの250人、移行コホートの最大250人)がGALAXI1に登録されることが予想される。第3相の投与決定が、500人の患者が無作為化された時間によって行われない場合、第3相の投与の決定又は開発プログラムを終了する決定が行われるまで、登録が行われる。
【0205】
これはオペレーション的にシームレス(operationally seamless)なプロトコルであり、すなわち、500人の患者が無作為化される前に投与決定を行うことができる場合、第2相試験と第3相試験との間の登録について中断しない。プロトコルの第2相部分から第3相部分への移行は、第3相の投与決定が行われ、実行されたときに行われる。投与決定の実施後に無作為化された全ての参加者が、第3相試験の一部となる。
【0206】
第3相の投与確認試験(すなわち、GALAXI2及びGALAXI3)では、選択されたグセルクマブ投与レジメンの安全性及び有効性が評価される。プロトコルの第3相部分における1,540人の参加者の総標的サンプルサイズに関して、770人の参加者の標的が、第3相試験の各々で登録される。
【0207】
48週間の第2相試験又は第3相試験を完了した参加者は、LTEに入り、更に約2年間の処置を受けるのに対して適格であり得る。
【0208】
GALAXI第2/3相プロトコル全体では、約2,000人の総参加者が登録され、各参加者の総継続時間は、最大約3年である。
【0209】
標的集団
このプロトコル下の3つ全ての試験における標的集団は同一であり、中程度から重度の活動性クローン病(少なくとも3ヶ月の継続時間)に関するインフォームドコンセントを得た時点で18歳以上である男性又は女性で構成される。参加者は、それ以前にX線撮影、組織学、及び/又は内視鏡検査により確認されている大腸炎、回腸炎又は回結腸炎を有する必要がある。
【0210】
活動性疾患の判定基準
ベースラインでは、参加者は、以下のように定義される、活動性クローン病を有しなければならない:
臨床的に活動性のクローン病
a.CDAIスコアが220以上であるが、450以下である。
及び以下のいずれか
b.液状便又は超軟便の数の非重み付けCDAIコンポーネントに基づいて、平均1日SF回数>3である、
OR
c.腹痛の重み付けしないCDAIコンポーネントに基づいて、平均1日APスコア>1である
及び
2.回腸結腸クローン病の内視鏡的証拠
内視鏡スクリーニング時に中央施設による内視鏡読影により評価されたSES-CDスコアが3以上であり、このスコアは、少なくとも1つの大きな潰瘍(回腸、結腸、又はその両方における)の存在を示すものであり、これにより、以下の結果が得られる:
a.「潰瘍のサイズ」のコンポーネントについて最小スコア2
及び
b.「潰瘍化表面」の要素について最小スコア1。
【0211】
各試験内で、登録された集団全体のうちの最大10%は、SES-CD<4(すなわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSES-CD<7(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)の、ベースラインスコアを有する参加者である。
【0212】
薬歴基準
更に、全身療法に適格な、広範な参加者集団をこのプロトコルで評価する。この参加者集団は、以前に従来療法若しくは生物学的療法に対して、不十分な応答を示しているか、又は不耐性であった参加者を含む。
【0213】
IL-12/23又はIL-23剤にこれまで曝露された参加者は、ウステキヌマブへの曝露が限られていた参加者及びウステキヌマブに対して非奏効又は不耐性を示していない参加者を除いて、このプロトコルへの参加に不適格であることに留意されたい。
【0214】
・従来療法非奏効又は不耐性(CON非奏効)
参加者は、以下の従来のクローン病療法:経口コルチコステロイド(プレドニゾン、ブデソニド、及びベクロメタゾンジプロピオネートを含む)又は免疫調節剤アザチオプリン(AZA)、6-メルカプトプリン(6-MP)、又はメトトレキサート(MTX)のうちの少なくとも1つに対して、不十分な応答を示しているか、又は不耐性であった必要がある。コルチコステロイド依存性(すなわち、クローン病の症状を戻さずに、うまくコルチコステロイドを漸減することができない)を呈した参加者も適格である。参加者は、生物学的療法(すなわち、TNF拮抗薬、又はベドリズマブ若しくはウステキヌマブ)を受けたことがない場合もあるか、又は、生物学的療法に曝露されているが、不十分な応答又は不耐性を示していない場合もある。
【0215】
各試験内で、登録された総集団の最低25%及び最大50%は、CON非奏効である参加者である。
【0216】
・生物学的療法非奏効又は不耐性(BIO非奏効)
参加者は、クローン病の処置に承認されている投与での、少なくとも1つ以上の生物学的療法(すなわち、TNF拮抗薬又はベドリズマブ)に対して、不十分な応答を示しているか、又は不耐性であった必要がある。不適切な応答とは、一次非応答(すなわち、初期応答がない)又は二次非応答(すなわち、初期応答はしたがその後に応答を喪失する)として定義される。ウステキヌマブに対して不十分な応答を示しているか、又は不耐性であった参加者は、適格ではない。
【0217】
併用療法及び禁止される療法について、用法を以下で説明する。一般に、併用療法は安定投与を維持するべきであり(ステロイドの漸減を除く)、治験担当者により医学的に必要であるとみなされない限り新たな併用療法が開始されるべきではない。コルチコステロイドは、12週目に始まって漸減する。禁止療法が開始されると、処置試験は中止(SID)されることになる。最後に、不十分な応答の持続、又は臨床的に有意なクローン病の悪化が起きた場合には、介入の中止が強く考慮されるべきである。
【0218】
評価
3つの試験全体を通して、適切な活動スケジュールに示される時点で、有効性、PK、バイオマーカ、及び安全性が評価される。
【0219】
薬理遺伝学のための血液試料は、プロトコルのこのコンポーネントに同意する参加者から採取される(現地条例が許可する場合)。薬理遺伝学的リサーチへの参加は任意である。デオキシリボ核酸(DNA)サンプルは、臨床応答に関連し得る遺伝因子の同定のために解析される。
【0220】
DMC憲章に準拠する規定される役割及び責任を有する、外部の独立したDMCは、3つの試験にわたって参加者の安全性を評価する。DMCの初期の責任は、無作為化及びGALAXI1で処置された最初の25人の参加者からの安全性データを慎重に検討する。その後、進行中の安全性データの審査は、DMC憲章で指定されるとおりに継続する。各審査の後で、DMCは試験の継続について治験依頼者に勧告を行う。
【0221】
第2相投与設定試験(GALAXI1)
第2相試験設計及び第3相の投与決定の概要
0週目に、参加者は、1:1:1:1:1の比で無作為化されて、グセルクマブ、ウステキヌマブ、又はプラセボの3回の投与レジメンのうちの1つを受ける。ベースラインCDAIスコア(≦300又は>300)、及びこれまでのBIO非奏効状況(はい/いいえ)を階層化変数として用いる、置換ブロック無作為化法を用いて、参加者を処置群に割り付ける。登録された総集団の最低25%及び最大50%は、CON非奏効参加者である。更に、登録された総集団の最大10%が、SES-CD<4(すなわち、孤立回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSES-CD<7(すなわち、結腸若しくは回腸結腸疾患を有する参加者の場合)の、ベースラインスコアを有する。処置群への割り付けは、中央無作為割り付けセンタを使用して対話型ウェブ応答システム(interactive web response system、IWRS)によって実行される。
【0222】
第3相の投与決定の前に、最大500人の参加者(すなわち、初回投与決定コホートの250人、及び移行コホートの最大250人)が、GALAXI1に登録されることが予想される。第3相の投与決定が、500人の患者が無作為化された時間によって行われない場合、第3相の投与の決定又は開発プログラムを終了する決定が行われるまで、登録が行われる。
【0223】
中間分析は、初回投与決定コホートの全ての参加者が12週目(又は24週目)の訪問を完了した後、又は第3相の投与決定を通知するために12週目(又は24週目)の訪問前に試験参加を終了した後に、12週目(必要に応じて24週目)に予定されている。各IAの時点で、12週目を超える任意のデータを含む、初回投与決定コホート及び移行コホートの両方からの、入手可能な全てのデータが、分析される。第3相の投与決定を可能にするのに必要とされる場合、追加のデータ転送及び分析が他の時点で実行され得る。目標は、第3相での確認評価のための2つのグセルクマブ投与レジメンを選択することである。
【0224】
処置群
第2相試験の0週目~48週目の5つの処置群及びそれらの対応する投与スキームの概要を以下に提供する。
【0225】
第2相の0週目~48週目の、5つの処置群の投与スキーム(すなわち、GALAXI1)
第2相試験における全ての参加者(すなわち、初回投与決定コホート及び移行コホート)は、以下に記載されるようにして、5つの処置群のうちの1つに無作為化される。参加者は、以下で概説するプラセボ群以外は、割り付けられた処置レジメンを48週間の試験終了まで維持する。
【0226】
群1:グセルクマブレジメン1(1200mg IV q4w×3→200mg SC q4w)
参加者は、0週目~8週目を通じてq4wでのグセルクマブ1200mgのIV導入(すなわち、合計3回のIV投与)を受ける。12週目に、参加者は、44週を通じてq4wでのグセルクマブ200mgのSC維持による処置を継続する。
【0227】
群2:グセルクマブレジメン2(600mg IV q4w×3→200mg SC q4w)
参加者は、0週目~8週目を通じてq4wでのグセルクマブ600mgのIV導入(すなわち、合計3回のIV投与)を受ける。12週目に、参加者は、44週を通じてq4wでのグセルクマブ200mgのSC維持による処置を継続する。
【0228】
群3:グセルクマブレジメン3(200mg IV q4w×3→100mg SC q8w)
参加者は、0週目~8週目を通じてq4wでのグセルクマブ200mgのIV導入(すなわち、合計3回のIV投与)を受ける。16週目に、参加者は、40週目を通じてq8wでのグセルクマブ100mgのSC維持による処置を継続する。
【0229】
群4:活性対照、ウステキヌマブ(約6mg/kg IV→90mg SC q8w)
参加者は、0週目に1回のウステキヌマブIV導入投与を受ける(以下に概説されるように、約6mg/kgの重量ベースのIV投与)。8週目に、参加者は、40週を通じてウステキヌマブSC維持(90mg SC q8w)を受ける。
・ウステキヌマブ260mg(体重≦55kg)
・ウステキヌマブ390mg[体重>55kg及び≦85kg];
・ウステキヌマブ520mg(体重>85kg)。
【0230】
群5:プラセボ→プラセボ又はウステキヌマブ交差
参加者は、0週目~8週目までq4wでプラセボIVを受ける(すなわち、合計3回のIV投与)。12週目に、参加者は、以下のように臨床応答状態に基づいて処置を継続する。
・プラセボ応答者:12週目~44週目を通じてq4wでプラセボ処置を続ける。
・プラセボ非応答者:12週目に1回のウステキヌマブIV導入投与を受ける(上記で概説したように約6mg/kgの重量ベースのIV投与)。20週目に、参加者は、44週目を通じてウステキヌマブSC維持(90mg SC q8w)を受ける。
【0231】
臨床応答は、CDAIスコア≧100ポイントのベースライン(すなわち、0週目)からの減少、又は臨床的寛解(CDAI<150)として定義される。盲検性を維持するために、全ての処置群の参加者は、12週目における臨床応答の状態について評価される。加えて、プラセボ投与(IV及びSC)が、必要に応じて、試験期間全体にわたり盲検性を維持するために与えられる。上記の臨床応答状態に基づいて、12週目における5群(プラセボ)を除いて、0週目~48週目の処置群のいずれについても、投与調整は計画されていない。
【0232】
併用療法及び禁止される療法について、用法を以下で説明する。一般に、併用療法は安定した投与を維持するべきであり(ステロイドの漸減を除く)、治験担当者により医学的に必要であるとみなされない限り新たな併用療法が開始されるべきではない。コルチコステロイドは、12週目に始まって次第に減らす。禁止療法の開始は、SIDとなる。最後に、不十分な応答の持続、又は臨床的に有意なクローン病の悪化が起きた場合には、介入の中止が強く考慮されるべきである。
【0233】
48週目の評価を完了した全ての参加者は、LTEに入り、更に約2年(48週目~156週目)にわたって試験介入を受けることを継続するのに適格であり得る。
【0234】
エンドポイント及び評価
主要エンドポイントは、12週目におけるCDAIスコアのベースラインからの変化である。主要な副次エンドポイントは、12週目における臨床的寛解、12週目における臨床応答、12週目におけるPRO-2寛解、12週目における内視鏡的反応、及び12週目における臨床バイオマーカ応答である。これらのエンドポイントの分析は、それぞれグセルクマブ群とプラセボ群との比較に基づく。48週目におけるグセルクマブとウステキヌマブとの比較を含む、他の時点におけるエンドポイントの更なる分析も行われる。
【0235】
有効性、PK及びPDパラメータ、バイオマーカ、並びに安全性が評価される。
【0236】
データベースロック(DBL)は、12週目及び48週目に計画される。必要に応じて、追加のDBL(例えば、24週目)を追加することができる。
【0237】
第3相投与確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
第3相設計の概要
0週目に、980人の参加者の標的は、ベースラインCDAIスコア(≦300又は>300)、ベースラインSES-CDスコア(≦12又は>12)、以前のBIO非奏効状況(はい/いいえ)、及びベースラインのコルチコステロイドの使用(はい/いいえ)を、階層化変数として用いる、置換ブロック無作為化法を用いて、GALAXI2(n=490)、又はGALAXI3(n=490)に無作為に割り付けられる。各層内で、各試験における参加者は、2:2:2:1の比で無作為化されて、グセルクマブ、ウステキヌマブ、又はプラセボの2つの投与レジメンのうちの1つを受ける。各試験(GALAXI2及びGALAXI3)内で、登録された総集団の最低25%及び最大50%が、CON非奏効である参加者である。更に、登録された総集団の最大10%が、SES-CD<4(すなわち、孤立回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSES-CD<7(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)の、ベースラインスコアを有する。処置群への割り付けは、中央の無作為化センタを使用してIWRSによって実行される。
【0238】
群
第3相のグセルクマブ投与レジメンは、第2相試験で評価された導入投与範囲(すなわち、200mg~1200mg IV)及び維持投与範囲(すなわち、100mg SC q8w~200SC q4w)の有効性及び安全性に基づいて選択される。
【0239】
第2相データに基づいて、2つのグセルクマブ投与レジメン(すなわち、IV導入→SC維持)は、第3相における確認評価のために選択される。同一投与レジメンは、両方の第3相試験において評価される。
【0240】
2つの第3相試験における4つの処置群及び0週目~48週目の対応する投与スキームの概要を以下に要約する。参加者は、以下で概説するプラセボ群以外は、割り付けられた処置レジメンを48週間の試験終了まで維持する。
【0241】
第3相試験(すなわち、GALAXI2及びGALAXI3)における0週目~48週目の4つの処置群の投与スキーム
群1:グセルクマブレジメン1(200mg IV q4w×3→200mg SC q4w)
参加者は、0週目~8週目を通じてq4wでのグセルクマブ200mgのIV導入(すなわち、合計3回のIV投与)を受ける。12週目に、参加者は、44週を通じてq4wでのグセルクマブ200mgのSC維持による処置を継続する。
【0242】
群2:グセルクマブレジメン2(200mg IV q4w×3→100mg SC q8w)
参加者は、0週目~8週目を通じてq4wでのグセルクマブ200mgのIV導入(すなわち、合計3回のIV投与)を受ける。16週目に、参加者は、40週目を通じてq8wでのグセルクマブ100mgのSC維持による処置を継続する。
【0243】
群3:活性対照-ウステキヌマブ(約6mg/kg IV→90mg SC q8w)
参加者は、0週目に1回のウステキヌマブIV導入投与を受ける(以下に概説されるように、約6mg/kgの重量ベースのIV投与)。8週目に、参加者は、40週を通じてウステキヌマブSC維持(90mg SC q8w)を受ける。
・ウステキヌマブ260mg(体重≦55kg)
・ウステキヌマブ390mg[体重>55kg及び≦85kg];
・ウステキヌマブ520mg(体重>85kg)。
【0244】
群4:プラセボ→プラセボ又はウステキヌマブ交差
参加者は、0週目~8週目までq4wでプラセボIVを受ける(すなわち、合計3回のIV投与)。12週目に、参加者は、以下のように臨床応答状態に基づいて処置を継続する。
・プラセボ応答者:12週目~44週目を通じてプラセボ処置を続ける。
・プラセボ非応答者:12週目に1回のウステキヌマブIV導入投与を受ける(上記で概説したように約6mg/kgの重量ベースのIV投与)。20週目に、参加者は、44週目を通じてウステキヌマブSC維持(90mg SC q8w)を受ける。
【0245】
臨床応答は、CDAIスコア≧100ポイントのベースライン(すなわち、0週目)からの減少、又は臨床的寛解(CDAI<150)として定義される。盲検性を維持するために、全ての処置群の参加者は、12週目における臨床応答の状態について評価される。
【0246】
加えて、プラセボ投与(IV及びSC)が、必要に応じて、試験期間全体にわたり盲検性を維持するために与えられる。上記の臨床応答状態に基づいて、12週目における4群(プラセボ)を除いて、0週目~48週目の処置群のいずれについても投与調整は計画されていない。
【0247】
併用療法及び禁止される療法について、用法を以下で説明する。一般に、併用療法は安定した投与を維持されるべきであり(ステロイドの減量を除く)、治験担当者により医学的に必要であるとみなされない限り、新たな併用療法が開始されるべきではない。コルチコステロイドは、12週目に始まって次第に減らす。禁止療法の開始は、SIDとなる。最後に、不十分な応答の持続、又は臨床的に有意なクローン病の悪化が起きた場合には、介入の中止が強く考慮されるべきである。
【0248】
48週目の評価を完了した全ての参加者は、LTEに入り、更に約2年の処置を受けることを継続するのに適格であり得る。
【0249】
エンドポイント及び評価
GALAXI2及びGALAXI3の両方が、同じ主要エンドポイント及び主要な副次エンドポイントを有する。
【0250】
主要エンドポイントは、グセルクマブとプラセボとの間の比較に基づいて、12週目における臨床的寛解である。48週目における臨床的寛解の主要な副次エンドポイント、48週目における持続的な臨床的寛解、48週目におけるコルチコステロイドフリー臨床的寛解、48週目におけるPRO-2寛解、及び48週目における内視鏡的反応は、グセルクマブとウステキヌマブとの間の比較に基づく。12週目におけるPRO-2寛解、12週目における内視鏡的反応、及び12週目における疲労応答の主要な副次エンドポイントは、各グセルクマブ処置群とプラセボ群との間の比較に基づく。
【0251】
有効性、PK及びPDパラメータ、バイオマーカ、並びに安全性が評価される。
【0252】
DBLは48週目に計画されている。必要に応じて追加のDBLが追加されてもよく、これはSAPにおいて指定される。
【0253】
長期延長
LTEは、48週目~252週目を通じての、約4年間行われる。
【0254】
GALAXI1、GALAXI2、又はGALAXI3の48週目に、治験担当者の意見では、処置の利益を受け続ける(すなわち、48週目の臨床評価、及び内視鏡評価に基づく)全ての参加者は、LTEに入って、更に約4年間の処置を受ける資格があり、その間に、グセルクマブの、長期的な有効性及び安全性が評価される。全ての参加者が評価される。LTEの最終的な有効性及び安全性フォローアップ(FES)訪問は、約248週~252週(すなわち、232週目[q8w投与]又は236週目[q4w投与]における、最後の試験介入投与の約16週間後)で行う。
【0255】
48週目においてLTEに入るのに適格ではない参加者は、最後の試験介入投与の16週間後にFES訪問に戻る。
【0256】
LTEの間、全ての参加者は、GALAXI1、GALAXI2、又はGALAXI3の終了時に受けている、同じ処置レジメン(すなわち、グセルクマブ、ウステキヌマブ、又はプラセボ)を受け続ける。LTEにおける最初の試験介入投与は、48週目に行い、最後の試験介入投与は、236週目に行う。不十分な応答の処置調整は、LTEの52週目~80週目で許容される。
【0257】
治験担当者及び参加者の裁量により、適切かつ文書化された訓練の後、48週目に開始して、参加者は、治験施設において治験介入を自己実施し得る。介護者もまた、介入を実施するように訓練されてもよい。48週目に訓練を受けた後に、試験介入の自己(又は介護者)実施の資格がある参加者は、在宅実施のための試験介入を提供されて、第52週目にその最初の在宅実施を行う。治験施設から離れて介入を実施することが不可能な、又はそれを望まない参加者は、治験施設における実施を継続することになる。
【0258】
全ての参加者は、48週目のDBL後に起こる試験非盲検化まで盲検様式でLTEにおいて活性物質又はプラセボ試験介入投与を受け続け、48週目の分析は、第2相試験(GALAXI1からLTEに入る参加者に対する)又は第3相試験(GALAXI2又はGALAXI3からLTEに入る参加者に対する)に対して完了した。
【0259】
試験の非盲検化後、活性な処置(すなわちグセルクマブ、又はウステキヌマブ)を受けている全ての参加者は、LTEの残りの期間にわたって、236週目まで、それらの割り付けられた活性な処置を受け続ける。プラセボの参加者は、研究の非盲検化時に介入を中止し、その時点でFES訪問をもつことになる。
【0260】
エンドポイント及び評価
252週目を通じて、グセルクマブの、長期的な有効性及び安全性が評価される。加えて、処置調整の効果は、様々な有効性エンドポイント(SAPにおいて指定される)の記述的分析に基づいて評価される。
【0261】
データベースロックは、96週目において、及び最終参加者が、LTEにおける最終的な有効性及び安全性についての訪問を完了したときに計画される。必要に応じて追加のDBLが追加されてもよく、第3相SAPにおいて指定される。
【0262】
プラセボ及び活性対照の使用
同じプロトコルにプラセボ及び活性対照の両方を含めることは、いくつかの利点を有する。短期間のプラセボ対照期間は、活性疾患を有する参加者におけるプラセボの使用が科学的調査を臨床的に裏付けるとみなされる時間枠内において、新規処置の短期間有効性及び安全性をプラセボと比較して評価することを容易にする。長期処置の場合、アクティブコンパレータ対照の使用は、プラセボの長期使用に対する懸念を軽減することができ、また、無作為化比較の設定において相対的有効性及び安全性を評価する機会を提供することもできる。新しい処置選択肢が、承認された処置選択肢と比較して患者に類似の又はより大きな利益を提供するかを判定することには、大きな臨床的価値がある。
【0263】
ウステキヌマブは重複する作用機序(すなわち、IL-12/23遮断の両方)を標的とし、前臨床証拠がIL-23のより特異的な標的化による改善された有効性の可能性を示唆しているため、ウステキヌマブをアクティブコンパレータとして選択した。更に、このプロトコルにおいてウステキヌマブに提案される投与量は、現在承認されている最大の導入-維持投与レジメンであり、クローン病におけるウステキヌマブ第3相臨床開発プログラムにおいて評価された投与レジメンのうちの1つであった。したがって、このプログラムにおいてアクティブコンパレータとしてウステキヌマブを含めることは、グセルクマブと比較する際の有益かつ適当なベンチマークを提供する。
【0264】
ウステキヌマブは、第3相試験のため処置効果サイズ及びサンプルサイズの想定について情報を提供するデータを収集するために、第2相試験において活性物質参照群として含まれる。ウステキヌマブは、処置の約1年(すなわち、48週目)を通じてウステキヌマブと比較した2つのグセルクマブ投与レジメンの長期有効性及び安全性の無作為化された評価を可能にするために、アクティブコンパレータ参照群として2つの第3相試験に含まれる。この開発プログラムは、長期臨床的寛解の達成においてグセルクマブの有効性がウステキヌマブより優れている(又は、少なくとも劣っていない)か決定することを重要な目的とする。
【0265】
健康関連の生活の質に関する患者報告アウトカム
患者報告アウトカム(PRO)評価(すなわち、IBDQ、PROMIS-29、PROMIS疲労7項目簡易フォーム、5レベルEuroQol 5水準[EQ-5D-5L]測定)を使用して、疾患特異的及び一般的なHRQOLに関する、グセルクマブ処置の利点を評価する。
【0266】
第2相投与設定試験(GALAXI1)
以下のグセルクマブ投与レジメンは、GALAXI1の48週目を通じて評価される。
・グセルクマブレジメン1-導入:0、4、8週目に1200mg IV続いて、維持:200mg SC q4w(すなわち、12、16、20、24、28、32、36、40、及び44週目)
・グセルクマブレジメン2-導入:0、4、8週目に600mg IV、続いて、維持:200mg SC q4w(すなわち、12、16、20、24、28、32、36、40、及び44週目)
・グセルクマブレジメン3-導入:0、4、8週目に200mg IV続いて、維持:100mg SC q8w(すなわち、16、24、32、及び40週目)
【0267】
導入投与レジメン
尋常性乾癬を有する患者におけるグセルクマブ第2相試験とリサンキズマブ第2相試験との間の交差試験比較は、同等の有効性がほぼ同様の投与レジメンで得られたことを示唆する。モデルベースのメタ分析はまた、これらの2つの化合物の同等の臨床有効性を示唆している。更に、グセルクマブのPKは、リサンキズマブのPKと同様であることが見出された。これらの投与応答及びPKデータは、同様のレベルのIL-23遮断及び有効性が、これら2つの化合物の同様の投与レジメン又は全身曝露でクローン病において達成され得ることを示唆している。更に、クローン病において承認されたウステキヌマブ(IL-12/23遮断薬)のPK/PDモデルは、異なるグセルクマブ投与レジメンの投与後の有効性を予測するために適用可能であるとみなされた。
【0268】
中等度から重度の活動性クローン病を有する参加者における、リサンキズマブの第2相試験では、より低い投与レジメン(すなわち、200mg IV q4w)を受けているものと比較して、12週目に寛解を達成した、リサンキズマブのより高い導入投与レジメン(すなわち、600mg IV q4w)での参加者の割合が大きく、投与依存的有効性が示された。しかしながら、この第2相試験において、リサンキズマブ600mg IV導入投与レジメンで最大有効性が達成されたかは明確ではなかった。投与依存的有効性は、その試験の第2の期間(12週目~26週目)において200mg IVから600mg IVに切り替えられた患者における寛解率の増加によって示されるように、リサンキズマブで更に実証された。これらの所見に基づいて、グセルクマブ及びリサンキズマブの同等のPK及び臨床効力と共に、かつ、クローン病のPK/PD予測を組み合わせ、グセルクマブ600mg IV及び200mg IVを含む導入投与レジメンをそれぞれ0、4、及び8週目に投与し、第2相投与設定試験のために選択した。
【0269】
更に、より高投与のグセルクマブ(1200mg q4w IV)導入投与レジメンによって、第2相で試験したより高いリサンキズマブ投与レジメン(すなわち、600mg IV)で観察されたものよりも、12週目における、より高いレベルの有効性を達成する可能性が評価される。全体として、3つのグセルクマブIV導入投与レジメンは、投与レベル間の適切な分離をもたらす可能性が高い6倍の範囲の曝露を提供し、その結果、第3相のグセルクマブ導入投与選択を支持する。
【0270】
これらのより高いIV導入グセルクマブ投与の安全性に関して、987mgの最高の単回投与を用いた10mg/kgのグセルクマブの単回投与は、限定された数の参加者の第1相尋常性乾癬試験で以前に試験されている。更に、週に1回で5週間の最大50mg/kgグセルクマブIV投与、及び週に1回で24週間の最大50mg/kgグセルクマブSC投与は、カニクイザルにおいて十分に耐性であり、臨床的又は解剖学的所見をもたらさなかった。これらのデータは、毒性試験で観察されたものと比較して、1200mgのIVレジメンについての予測されるグセルクマブ曝露間の許容可能な曝露マージンを示唆する。更に、リサンキズマブは、26週間の期間にわたる最大6投与の600mg IV q4w、すなわち、合計3600mgの投与レジメンで十分に耐性であった。第52週までのこれらの参加者の長期のフォローアップでは、公開されたデータに基づく安全性に関する重大な懸念は同定されなかった。それでも、外部DMCには、グセルクマブの効果-リスクの監視が任命される。
【0271】
維持投与レジメン
クローン病のその他の生物学的製剤の薬量学によると、疾患の炎症性負荷が減じられると、有効性を維持するために必要とされる薬物曝露は、初期導入投与で得られる曝露よりも低減され得ることが示唆される。
【0272】
ウステキヌマブのクローン病第3相試験では、約6mg/kgのIV導入レジメン後に8週目に寛解した参加者の中で、90mg SC q8w維持レジメンによって、52週目に寛解を維持した対象が67%となった。リサンキズマブのクローン病第2相試験では、最大6ヶ月間の600mgのIV q4w導入投与を受けた後に26週目に寛解した参加者の中で、長期の不制御のデータは、180mg SC q8wレジメンによって、52週目に寛解を維持した患者が71%となったことを示した。
【0273】
したがって、このプロトコルでは、12週間のグセルクマブIV導入処置後、より低いグセルクマブ曝露を提供する投与レジメンが48週までのSC維持処置の間に評価される。選択された維持投与レジメンは十分な維持を提供し、導入曝露比は、クローン病に承認されたその他の生物学的製剤のそれと同等である。
【0274】
レジメン1及び2は、それぞれ、グセルクマブ1200mg IV q4w及び600mg IV q4w導入を評価する。これらのレジメンの各々について、リサンキズマブ第2相試験で試験したよりも高い曝露(すなわち、180mg SC q8w)が維持における有効性を最適化するのに必要であるかどうかを評価するために、200mgのSC q4wの維持レジメンを試験した。
【0275】
グセルクマブ200mg IV q4w導入を評価するレジメン3について、100mg SC q8wの維持レジメンを試験する。グセルクマブ100mg SC q8wレジメンは、ウステキヌマブ90mg SC q8wで観察されたものと少なくとも同様の、又はそれよりも大きい有効性を提供することが予想され、アクティブコンパレータの維持投与レジメンはこの試験で評価される。
【0276】
全体として、2つのグセルクマブ維持SC投与レジメンは、第3相の投与選択を支持しなければならない4倍の範囲の曝露を提供する。
【0277】
この試験で評価されるウステキヌマブ投与レジメン(すなわち、12週目に約6mg/kg IV、続いて20週目から90mg SC q8w)を受けるために交差するIV導入プラセボ非応答者を除いて、GALAXI1の0週目~48週目における処置群のいずれかについて、処置調整は計画されていない。12週目に応答者であるプラセボIVに無作為化された参加者は、44週目を通じてSCプラセボを受け続ける。
【0278】
第3相投与確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
第2相データに基づいて、2つのグセルクマブ投与レジメン(すなわち、IV導入→SC維持)は、第3相における確認評価のために選択される。
【0279】
目標は、投与決定時の有効性、安全性、及び曝露反応(E-R)データ全体に基づいて、第2相投与設定試験において評価された導入投与範囲(すなわち、0週目、4週目、及び8週目に、200mg~1200mg IV q4w、)から、単回導入投与レジメンを選択することである。第3相の投与確認試験において評価される単回導入レジメンの選択は、十分な量の情報が最適な導入投与レジメンを確立するために利用可能であることを考慮することに基づく。このシナリオでは、選択された導入投与レジメンは、第2相で評価されたグセルクマブSC投与レジメン(すなわち、100mg q8w~200mg q4w)から得られた曝露範囲から選択される2つの維持投与レジメンと対になる。
【0280】
第2相データは、第3相評価のために2つ以上の導入投与レジメンの選択を支持し得ることも可能である。この場合、選択されたそれぞれの導入投与レジメンは、適切な維持投与レジメンと対になる。
【0281】
この試験で評価されるウステキヌマブ投与レジメン(すなわち、12週目に約6mg/kg IV、続いて、20週目から90mg SC q8w)を受けるために交差する、IV導入プラセボ非応答者を除いて、GALAXI2及びGALAXI3の0週目~48週目における処置群のいずれについても、処置調整は計画されていない。12週目に応答者であるプラセボIVに無作為化された参加者は、44週目を通じてSCプラセボを受け続ける。
【0282】
長期延長(48週目~240週目)
参加者は、GALAXI1、GALAXI2、及びGALAXI3のLTEの間、割り付けられたグセルクマブ維持投与を継続する。
【0283】
組み入れ基準
可能性のある参加者はそれぞれ、この試験に登録されるために、下記の基準全てを満たす必要がある。
1.18歳以上の男性又は女性(染色体補体によって割り付けられた生殖器官及び機能に従う)である。
2.X線撮影、組織学、及び/又は内視鏡検査によって過去の任意の時点で確認された、大腸炎、回腸炎、又は回結腸炎を伴う、少なくとも3ヶ月の持続期間(最小で12週間として定義される)のクローン病又は瘻孔を伴うクローン病を有する。
3.ベースラインCDAIスコア≧220かつ≦450として定義される臨床的に活動性のクローン病を有する:
a.液状便又は超軟便数の非重み付けCDAIコンポーネントに基づいて、平均1日SF回数>3である、
OR
b.腹痛の非重み付けCDAIコンポーネントに基づいて、平均1日APスコア>1である
4.内視鏡スクリーニング時に中央施設による内視鏡読影により評価されたSES-CDスコアが3以上であり、このスコアは、少なくとも1つの大きな潰瘍(回腸、結腸、又はその両方における)の存在を示すものであり、これにより、以下の結果が得られる:
a.「潰瘍のサイズ」のコンポーネントについて最小スコア2
及び
b.「潰瘍化表面」の要素について最小スコア1。
【0284】
各試験内で、登録された集団全体のうちの最大10%は、SES-CD<4(すなわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の場合)又はSES-CDが<7(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)のベースラインスコアを有する参加者である。
【0285】
受けられた併用薬物療法又は過去の薬物療法
5.クローン病の過去又は現在の薬剤は、以下の少なくとも1つを含む必要があり、別表2(セクション10.2)、別表3(セクション10.3)、及び別表4(セクション10.4)に記載される追加の基準を満たす必要がある:
a.経口コルチコステロイド(ブデソニド及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む)及び/又は免疫調節剤(AZA、6-MP、MTXを含む)による現在の処置
OR
b.以下の療法:経口コルチコステロイド(ブデソニド及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む)又は免疫調節剤(AZA、6-MP、MTX)のうちの少なくとも1つに対して応答しなかったか又は不耐性であった履歴。
OR
c.コルチコステロイド依存性(すなわち、クローン病の症状を戻さずに、うまくコルチコステロイドを漸減することができない)の履歴。
OR
d.クローン病の処置に承認されている投与の、1つ以上の生物学的薬剤(すなわち、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブペゴル、ベドリズマブ、又はこれらの薬剤に対する承認されたバイオ後続品)に対して、以前に初期応答の欠如を示した(すなわち、一次非応答者)か、初期に応答はしたが、療法の継続では応答を喪失した(すなわち、二次非応答者)か、又は不耐性であったこと。
注記:基準5a~cを満たす参加者は、生物学的療法(すなわち、TNF拮抗薬又はベドリズマブ若しくはウステキヌマブ)を受けていない場合もあるか、又は、これらの生物学的療法に曝露されたことがあるが、不十分な応答又は不耐性を示していない場合もある。IL-12/23又はIL-23剤に過去に曝露された参加者は、承認された標識投与量でのウステキヌマブへの曝露が制限され、かつ、必要なウォッシュアウト基準を満たし、かつ、ウステキヌマブに対して非奏効又は不耐性を示さない参加者を除いて、このプロトコルへの参加の資格がない。
6.クローン病の処置のための併用薬剤に対する以下の要件を順守する。以下の薬物療法は、以下に列挙される要件を満たす投与が安定であるか、又は以下で指定される時間枠内のベースラインの前に中止されているという条件の下に許容される:
a.少なくとも2週間安定した投与に対する経口5-アミノサリチル酸(5-ASA)化合物、又は最近中止された場合、少なくとも2週間停止されなければならない。
b.40mg/日以下のプレドニゾン相当投与の経口コルチコステロイド、又は9mg/日のブデソニド、又は5mg/日のベクロメタゾンジプロピオネート、及び少なくとも2週間の安定した投与;又は最近中止された場合、少なくとも2週間停止されなければならない。
c.少なくとも12週間の従来の免疫調節剤(すなわち、AZA、6-MP、又はMTX)及び少なくとも4週間安定した投与であり、又は最近中止された場合、少なくとも4週間停止されなければならない。
d.抗生物質をクローン病の一次処置として受ける場合、投与は少なくとも3週間安定でなければならない;又は最近中止された場合、少なくとも3週間停止されなければならない。
e.クローン病の一次処置として経腸栄養剤を受ける場合、少なくとも2週間服用していなければならない;又は最近中止された場合、少なくとも2週間停止されなければならない。
【0286】
検査室試験のスクリーニング
7.以下のパラメータ範囲内で検査室によるスクリーニング試験結果を有し、検査室によるパラメータのうちの1つ以上が範囲外である場合、約5週間のスクリーニング期間中に検査室による値について1回の再試験が許容される:
a.ヘモグロビン≧8.0g/dL。
b.白血球(WBC)≧3.5×103/μL。
c.好中球≧1.5x103/μL。
d.血小板≧100x103/μL。
e.血清クレアチニン≦1.5mg/dL。
f.アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspartate aminotransferase、AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(alanine aminotransferase、ALT)の濃度が、試験を行う検査室のための正常範囲上限(upper limit of the normal range、ULN)の2倍以内でなければならない。
g.直接(抱合型)ビリルビン<1.0mg/dL。
【0287】
結核
8.以下の結核(tuberculosis、TB)スクリーニング基準に従って資格を有すると考えられること:
a.スクリーニング前に、潜在性又は活動性TBの病歴がないこと。潜在性TBの履歴を有し、かつ以下の基準のうちの1つを満たす参加者は例外となる。
・潜在性TBの処置を現在受けている
・試験介入の初回実施の前又はそれと同時に、潜在性TBの処置を開始する
OR
・介入の初回実施の5年前までに、潜在性TBに対する適切な処置を完了していることについて文書化している。過去の抗結核処置の妥当性を検証し、適切な文書を提供することは、治験責任医師の責任である。
b.病歴及び/又は身体検査の際に活動性TBを示唆する徴候又は症状を有しないこと。
c.活動性TBを有する人との密接な接触が最近ないこと。接触があった場合には、TB専門医師に紹介して追加評価を行い、確認された場合は、介入の初回実施の前又はそれと同時に、潜在性TBに対する適切な処置を受ける。
d.試験介入の初回実施前の8週間以内に、QuantiFERON(登録商標)-TB Gold試験の陰性結果を有すること、あるいは、活動性TBが除外され、かつ、潜在性TBのための適切な処置が初回試験介入実施の前又はそれと同時のいずれかで開始された、新たに同定されたQuantiFERON-TB Gold試験の陽性結果を有すること。
注記:このプロトコルが実施される国でQuantiFERON-TB Gold検査が承認/登録されていない場合は、ツベルクリン皮膚試験の陰性結果が追加で必要となる。ウクライナ国では、QuantiFERON-TB gold試験は承認/登録されていないが、容認されており、追加のツベルクリン皮膚試験は必須ではない。QuantiFERON-TB Gold試験及びツベルクリン皮膚試験は、上述の組み入れ基準8aに記載されているように、活動性TBが除外されている場合及び適切な処置が開始/完了している場合は、潜在性TBの病歴を有する参加者のスクリーニングにおいては必要とされない。
e.試験介入の初回実施前12週間以内に行った胸部X線撮影(前後像及び側面像の両方で、又は適用される場合は国内条例に準拠する)を有し、適格な放射線医による読影がなされ、現在の活動性TB又は古い非活動性TBの証拠がないこと。
【0288】
避妊
男性又は女性による避妊(産児制限)の実施は、臨床試験参加者にとって避妊について許容される方法に関する現地条例と合うものでなければならない。典型的な実施非奏効率は、一貫してかつ正確に実施された場合とは異なる場合がある。実施は、臨床試験の参加者にとって避妊の実施に関する現地条例と合うものでなければならない。
9.妊娠の可能性のある女性参加者は、スクリーニング及びベースラインにおいて尿妊娠検査の陰性結果を有しなければならない。
10.無作為抽出の前に、女性参加者は以下のとおりでなければならない。
a.妊娠の可能性がないこと
b.妊娠の可能性があること、かつ、
c.効果の高い避妊方法(一貫して正確に使用された場合、1年当たりの非奏効率<1%)を実施し、試験介入を受ける間に、かつ、最終投与から16週間後(すなわち、関連する全身曝露の終了)まで、効果の高い方法を維持することに同意すること。しかしながら、選択された方法は、非常に効果的な避妊のための現地/地域条例/ガイドラインを満たす必要がある。
注記:試験開始後に、参加者の妊娠の可能性が変化した場合(例えば、初経前の女性が初経を経験する場合)、又は妊娠リスクが変化した場合(例えば、異性間性交に活発的でない女性が活発的になるなど)、女性は、組み入れ及び除外基準全体に記述されているように、効果の高い避妊方法の実施を開始しなければならない。
11.女性は、試験中、及び試験介入の最後の実施から16週間、生殖補助の目的で卵子(卵子、卵母細胞)を提供しないことに同意しなければならない。
12.試験中、及び介入の最後の実施から少なくとも16週間、男性参加者は、
a.妊娠の可能性のある女性との性行動に活発的である場合、バリア避妊法(例えば、殺精子フォーム/ゲル/フィルム/クリーム/座薬を含むコンドーム)を使用することに、合意しなければならない。
b.妊娠した女性との性行動に活発的である場合、コンドームを使用しなければならない。
c.生殖目的で精子を提供しないことに同意しなければならない。
【0289】
一般
13.このプロトコルで指定された生活様式の制限事項を守る意思があり、それが可能であること。
14.各自が試験の目的とそれに必要な手順を理解し、試験に参加する意思があることを示す、インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名しなければならない。
15.各自が研究のために任意にDNAサンプルを提供することに同意する場合は、個別のICFに署名しなければならない(現地条例が許す場合)。任意のDNA研究サンプルについての承諾を拒否しても、参加者を試験への参加から除外することはない。
【0290】
5.2.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす見込み参加者は、このプロトコルの参加から除外される。
1.症候性狭窄又は狭窄症、短腸症候群、又は手術の必要が予測され得る任意の他の症状発現などの、クローン病の合併症を有している場合は、処置に対する応答を評価するCDAIの使用から除外され得る。さもなければ、グセルクマブ又はウステキヌマブでの処置効果を評価するのに混乱が生じる可能性がある。
2.現在膿瘍があるか、又は膿瘍の疑いがある場合。最近の皮膚及び肛門膿瘍は、更なる手術の必要性が予想されない限りにおいて、ベースラインの少なくとも3週間前、又は腹腔内膿瘍に関してはベースラインの8週間前に、排膿され適切に処置されている場合は、除外とはならない。活動性の瘻孔を有する参加者は、手術の必要性が予想されない場合、かつ現在特定されている膿瘍がない場合には、組み入れることができる。
3.ベースライン前の6ヶ月以内に任意の種類の腸切除を行ったか、又はベースライン前の12週間以内に任意の他の腹内手術若しくは他の大手術(すなわち、全身麻酔を必要とする)を行っている場合。
4.排液中の(すなわち、機能中の)ストーマ又はオストミーを有する場合。
5.過去4ヶ月において、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)毒素を含む腸内病原菌について、便培養又は他の検査で陽性を有する場合。ただし、繰り返し検査が陰性であり、その病原による感染継続の徴候がない場合は除く。
【0291】
受けられた併用薬物療法又は過去の薬物療法
6.所定期間内に、以下の処方薬又は療法のいずれかを受けている場合:
a.ベースラインから3週間以内に、IVコルチコステロイドを受けた場合
b.ベースラインの8週間以内に、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、又はミコフェノール酸モフェチルを受けた場合
c.ベースラインから4週間以内に、6-チオグアニン(6-thioguanine、6-TG)を受けた場合
d.生物学的薬剤:
1)ベースラインから8週間以内に、抗TNF療法(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト、セルトリズマブペゴル、アダリムマブ、ゴリムマブ)を受けた場合
2)ベースラインから16週間以内に、ベドリズマブを受けた場合
3)ベースラインから16週間以内に、ウステキヌマブを受けた場合
4)ベースラインから12週間以内又はベースラインの5半減期以内のいずれか長い方に、他の免疫調節生物学的薬剤を受けた場合。
e.ベースラインの4週間以内又はベースラインの5半減期以内にいずれか長い方に、いずれかの治験介入を受けた場合。
f.ベースラインから12ヶ月以内に、非自家幹細胞療法(例えば、プロキマル)、ナタリズマブ、エファリズマブ、又はB細胞若しくはT細胞を枯渇させる生物学的製剤(例えば、リツキシマブ、アレムツズマブ、又はビジリズマブ)を受けた場合。
g.ベースラインから3週間以内に、クローン病のためにアフェレーシスによる処置(例えば、アダカラムアフェレーシス)又は中心静脈栄養を受けた場合。
7.ブリアキヌマブ、ブラジクマブ、グセルクマブ、ミラキズマブ(以前のLY2525623)、及びリサンキズマブを含むがこれらに限定されない、IL-12/23又はIL-23を標的化する生物学的製剤を以前に受けたことがある場合。
例外:承認を受けた標識投与のウステキヌマブへの限定的な曝露を有し、かつ、必要なウォッシュアウト基準を満たし、かつ、ウステキヌマブに対して非奏効又は不耐性を示していない参加者は、他の組み入れ基準を満たしており、かつ、他の除外基準を満たしていないという条件で、このプロトコルから除外されない。
【0292】
感染症、又は感染しやすい素質:
8.慢性腎感染症、慢性胸部感染症(例えば気管支拡張症)再発性尿路感染症(例えば、再発性腎盂腎炎又は慢性継続性膀胱炎)、又は開放、排膿、若しくは感染皮膚創傷若しくは潰瘍が含まれるがこれらに限定されない慢性又は再発性の感染症の病歴があるか又は進行中である場合。
9.現在、臨床的に有意な感染の徴候又は症状を有する場合。明確に非重篤な感染症(例えば、急性上気道感染症、単純尿路感染症)の場合は、治験担当者の裁量により、除外とみなす必要はない。
10.ベースライン前の8週間に、入院又はIV抗生物質投与を必要とする任意の感染症を含む重篤な感染症(例えば、肝炎、敗血症、肺炎、又は腎盂腎炎)の履歴を有する場合。
11.ベースライン前の8週間以内に帯状疱疹感染の証拠を有する場合。
12.スクリーニング前に、ヒストプラスマ症又はコクシジオイデス症を含む潜在性又は活動性の肉芽腫性感染症の履歴を有する場合。過去にヒストプラスマ症又はコクシジオイデス症の可能性があるX線写真の証拠を有する参加者は除外される。
13.TBを含む悪性疾患又は現在の活動性感染症の異常な示唆を示す、試験介入の初回実施前の12週間以内に胸部X線検査を有する場合。
14.非結核性抗酸菌感染症又は臨床的に有意な日和見感染症(例えば、サイトメガロウイルス大腸炎、ニューモシスチス症、侵入性アスペルギルス症)を有しているか、又は有したことがある場合。
15.参加者は、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus、HIV)のスクリーニングを受けなければならない。HIV抗体陽性の履歴を有する、又はスクリーニング時にHIVに対して検査陽性の参加者はいずれもこの研究に対する資格を得ることができない。
16.C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus、HCV)に対する抗体が血清陽性である参加者、ただし、抗ウイルス処置の完了後、かつ、スクリーニングの前に少なくとも6ヶ月間隔で2回の陰性のHCV RNA検査結果を有し、スクリーニング時に3回目の陰性のHCV RNA検査結果を有する場合を除く。
17.B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus、HBV)感染試験陽性である場合。
注記:HIV、HCV、HBV、又はTB検査結果のためにこの研究に対する資格が得られなかった参加者は、これらの感染の処置における専門知識を有する医師と相談することが推奨される。
18.試験介入の初回実施から12週間前以内に、任意の生ウイルス又は細菌ワクチン接種を受けたか、又は受けたと見込まれる場合。カルメット・ゲラン桿菌(Bacille Calmette-Guerin、BCG)ワクチンの場合、除外基準14を参照されたい。
19.スクリーニングの12ヶ月以内にBCGワクチン接種を受けている場合。
【0293】
悪性腫瘍、又は悪性腫瘍の高い可能性
20.現在、悪性腫瘍を有するか、又はスクリーニング前の5年前以内に悪性腫瘍の履歴(適切に処置され、初回試験介入実施前の少なくとも3ヶ月間[最小で12週間として定義される]に再発のエビデンスがない、非黒色腫皮膚癌、又は、処置され、初回試験介入実施前の少なくとも3ヶ月間に再発のエビデンスがない、子宮頸部上皮内癌を除く)を有する場合。
21.意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症、リンパ腫を含むリンパ増殖性疾患の既知の履歴を有する場合、又はリンパ節腫脹症、肝臓肥大、脾腫、若しくは意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症などリンパ増殖性疾患の可能性を示唆する徴候及び症状を有する場合。
【0294】
合併する医学的状態又は過去の医療履歴
22.重度、進行性、又は制御されていない腎、泌尿生殖器、肝、血液、内分泌、心臓、血管、肺、リウマチ、神経、精神、若しくは代謝障害、又はこれらの徴候及び症状の履歴を有する場合。
23.移植臓器を受けている場合(スクリーニングの12週間超前に行われた角膜移植は除く)。
24.耐性に乏しい、又は十分な静脈へのアクセスがないために複数の静脈穿刺を受けることができない、又は受ける意思がない場合。
25.ベースライン前の12ヶ月以内に、精神障害の診断及び統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Disorder)(第5版)(DSM-V)の基準に従って薬物又はアルコール乱用の履歴を有していることが知られている場合。
26.過去6ヶ月において、実行する意向のある自殺念慮(念慮レベル4)、具体的な計画及び意向を伴う自殺念慮(念慮レベル5)、又は自殺行動(実際の自殺企図、自殺企図の中断、自殺企図の非奏効、又は自殺企図をなすための準備行動)のコロンビア自殺重症度評価尺度(Columbia-Suicide Severity Rating Scale、C-SSRS)スクリーニング評点と定義され得る、不安定な自殺念慮又は自殺行動を有し、かつ、精神保健専門家による評価に基づいて治験担当者によりその危険があるとみなされること。更に、死を望むこと(「念慮レベル1」)、非特異的な積極的自殺思考(「念慮レベル2」)、実行する意向のない任意の方法による積極的自殺念慮(計画なし)(「念慮レベル3」)、又は治験担当者によって危険があると判定される非自殺的自傷行動のC-SSRS評点を有する参加者は、無作為に割り付けられない場合がある。
27.グセルクマブ若しくはウステキヌマブ又はそれらの賦形剤のいずれかに対する既知のアレルギー、過敏性、又は不耐性を有すること(グセルクマブIB及びウステキヌマブIBを参照されたい)。
28.この試験に登録している間に、又は最後の試験介入実施後の16週以内に、妊娠しているか、若しくは母乳を与えているか、又は妊娠する計画をしている女性である場合。
29.この試験に登録している間に、又は最後の試験介入実施後の16週以内に、子供の父親となる計画をしている男性である場合。
【0295】
一般
30.この研究の参加中に、治験薬又は手順を用いた任意の他の研究に登録中であるか、又は参加する意図がある場合。
31.治験担当者の意見によれば、参加することが参加者の最善の利益にならない(例えば、健康を損なう)か、又はプロトコルに規定された評価を妨げる、制限する、若しくは混乱させ得る、任意の条件を有する場合。
32.治験担当者又は試験拠点の被雇用者であり、治験担当者又は試験拠点の指示に基づいて提示試験又は他の試験に直接的に関与している者、あるいはそのような被雇用者又は治験責任者の家族である場合。
注記:治験担当者は、全ての研究登録基準がスクリーニング時に満たされていることを確実にするべきである。スクリーニング後であるが、介入の初回投与が与えられる前に、参加者の臨床状態が変化して(任意の利用可能な検査結果又は追加の医療記録の受領を含む)、その結果、参加者が全ての資格基準を満たすことができなくなった場合、参加者は研究への参加から除外されるべきである。
【0296】
実施される介入
プロトコルの第2相及び第3相の両方において、
・全ての参加者は、0週目において2回のIV注入(活性又はプラセボのいずれか)を受け、4、8、及び12週目において1回のIV注入(活性又はプラセボのいずれか)を受ける。
・全ての参加者は、8週目に1回のSC注射(活性又はプラセボのいずれか)を受け、12週目~140週目の各訪問時に最大3回のSC注射(活性又はプラセボのいずれか)を受ける。
【0297】
静脈内試験介入は、1時間以上かつ2時間以下の期間にわたって実施されるべきである。輸液は、調製から6時間以内に完了させるべきである。投与訪問内で複数のSC注射が投与され得るため、介入の各注射は、身体の異なる場所に与えられるべきである。
【0298】
併用薬剤
ベースラインにおいて、クローン病の処置のために経口5-ASA化合物、経口コルチコステロイド、従来の免疫調節剤(すなわち、AZA、6-MP、又はMTX)、抗生物質、及び/又は経腸栄養を受けている参加者は、組み入れ基準に定められるように、ベースライン前の特定の期間にわたって、安定した投与を維持すべきである。
【0299】
一般に、3つの試験全てのベースライン(すなわち、0週目)においてクローン病のためにこれらの薬剤を受けている参加者は、経口コルチコステロイドを除いて、48週目を通じて安定した投与を維持するべきである。毒性又は他の医学的必要性のために、治験担当者の判断によって必要とされる場合のみ、療法は、第0週の後に中止又は投与を低減することができ、毒性が解決されても、当該療法は再開されるべきではない。コルチコステロイドは、12週目を通じてベースライン投与に維持されなければならず、全ての参加者は、医学的に実行可能でない限り、コルチコステロイドの漸減を12週目に開始しなければならない。
【0300】
0週目~48週目
各試験の0週目~48週目に、登録された参加者は、以下の同時のクローン病特異的医療療法のいずれかを開始するべきではない:
・経口又は直腸5-ASA化合物。
・免疫調節剤(すなわち、AZA、6-MP、又はMTX)。
・ブデソニド及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む、経口、非経口、又は直腸コルチコステロイド。
・クローン病の一次処置としての抗生物質。
・クローン病の処置としての完全非経口栄養又は経腸栄養。
【0301】
治験担当者によって評価される医学的必要性に基づいて上記の薬物療法が開始されるか、又は薬剤投与が変更される場合、参加者は、全ての研究訪問に参加し続け、全ての評価を有するべきである。このことは、研究プロトコルからの逸脱を表すものではなく、参加者はそれらの割り当てられた療法(グセルクマブ、ウステキヌマブ、又はプラセボ)を維持しても良いが、これは処置非奏効とみなされ得る。処置非奏効は、SAPにおいて定義される。
【0302】
12週目~48週目
各試験の12週目~48週目に、参加者は、クローン病の処置に対する応答の損失以外の理由で、一時的に(すなわち、<4週間)コルチコステロイドの投与を増加させてもよい(例えば、手術、ぜんそく、副腎皮質機能不全に対する、コルチコステロイドのストレス投与)。
【0303】
LTEの処置段階の間(すなわち、48週目~240週目):
5-ASA、コルチコステロイド、抗生物質、及び免疫調節剤(すなわち、AZA、6-MP、若しくはMTX)、及び/又は中心静脈栄養法若しくは経腸栄養を含む、クローン病に対する併用療法が、治験担当者の裁量により実施及び変更されてもよい。
【0304】
経口コルチコステロイドの漸減
12週目に、0週目にコルチコステロイドを服用した全ての参加者は、コルチコステロイドを漸減し始める必要がある。この漸減は、医学的に実行可能でない限り必須であり、表6に示される推奨スケジュールに従うべきである。コルチコステロイドの漸減中に、参加者がそれらの疾患活動性の悪化を経験する場合、治験担当者によって必要とみなされる場合は、更なる投与減少を停止してもよく、かつ/又はその経口コルチコステロイド投与を一時的に増加させてもよい。しかしながら、経口コルチコステロイドの投与は、医学的な必要性のない限り、0週目の投与を超えて増加させてはならない。コルチコステロイドの漸減が中断されている対象では、治験担当者により、4週間以内に漸減を再開するよう促される。漸減は、医学的必要性によって正当性を保証された場合(例えば、コルチコステロイド関連の副作用を経験している参加者)のみ、このスケジュールを超過してもよい。
【0305】
禁止される併用薬剤
研究参加中に以下の処置を開始した参加者は、その介入を中止される。
・AZA、6-MP、又はMTX以外の免疫調節剤(6-TG、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、タクロリムス、及びシロリムスを含むが、これらに限定されない)。
・免疫調節生物学的薬剤(TNF拮抗薬、ナタリズマブ、ウステキヌマブ、リツキシマブ、ベドリズマブを含むがこれらに限定されない)。この研究において、ウステキヌマブは、ウステキヌマブに無作為抽出で割り当てられた参加者にのみ、かつこのプロトコルで規定されるとおりでのみ、許可される。
・実験的クローン病用薬剤(ウパダシチニブ、フィルゴチニブ、オザニモド、エトロリズマブ、ブラジクマブ、ミラキズマブ[旧LY-3074828]、リサンキズマブ、GS-5745を含むが、これらに限定されない)。
・サリドマイド又は関連剤。
【0306】
有効性評価
有効性評価は、以下を含む。
・CDAI
・PRO-2(液体又は非常に軟らかい便の総数及び腹痛スコアの非重み付けCDAIコンポーネント)
・粘膜潰瘍の有無、及びSES-CD、並びにGlobal Histology Activity Score(GHAS)に基づく組織学的評価に基づく腸粘膜の内視鏡評価
・CRP及び便中カルプロテクチンを含む炎症性PDマーカ
・瘻孔評価
・HRQOLアウトカムを評価するための患者報告アウトカム(PRO)尺度(すなわち、IBDQ、PROMIS-29、及びPROMIS疲労7項目項目簡易フォーム[7a]、及びEQ-5D-5L)、及び健康経済性アウトカム(health economics outcomes)(すなわち、WPAI-CD)
・BSFS、AP-NRS、クローン病の重症度に対する患者の全体的印象(Patient’s Global Impression of Severity、PGIS)、及びクローン病の重症度の変化に対する患者の全般的印象(Patient’s Global Impression of Change、PGIC)を含む予備的な患者報告症状の測定。
【0307】
CDAIは、8つの異なるクローン病関連変数(腸外症状発現、腹部腫瘤、体重、ヘマトクリット、液状便の合計回数、腹痛/痙攣、下痢止め薬、及び/又はアヘン剤の使用、並びに全般的な健康状態)に関する情報を集めることによって評価される。最後の4つの変数は、日誌カード上に参加者によって7日間にわたってスコア付けされ、参加者はこれを毎日完了する。PRO-2には、液体又は非常に軟らかい便の総数及びAPスコアの重み付けされていないCDAIコンポーネントが含まれる。
【0308】
腸粘膜の内視鏡評価は、全参加者において回腸結腸鏡検査中に評価される。ビデオ回結腸内視鏡検査は、スクリーニング時、12週目、48週目、96週目、144週目、192週目、及び240週目に行われる。4週目の評価を含む任意のサブ試験は、上記の所定の評価に加えて、同意する参加者に対して実施される。ビデオ内視鏡は中央施設によって評価され、処置群及び訪問に対して盲検化される。完全なビデオ内視鏡検査は、回腸末端部が視覚化できない場合、回腸末端部の評価を必要としない。SES-CDスコアを使用して、内視鏡の改善を評価する。SES-CDスコアは、5つの回結腸セグメントにわたって、4つの内視鏡要素の評価(潰瘍の存在/大きさ、潰瘍に覆われた粘膜表面の割合、他の病変の影響を受けた粘膜表面の割合、及び狭細/狭窄の存在/タイプ)に基づく。各内視鏡コンポーネントは、各セグメントについて0~3にスコア付けされ、各コンポーネントについて最大15の合計スコアを得るが、定義により、通過することのできない狭細の存在は1回しか観察することしかできないために最大で11の合計スコアしか獲得することができない狭細コンポーネントを除く。要約すると、全SES-CDスコアは、全てのコンポーネントスコアの合計から導出され、0~56の範囲であり得る。治療的介入に応答して粘膜潰瘍の解消(不在)として従来定義されている内視鏡治癒も評価される。
【0309】
組織学的評価は、回腸結腸鏡検査中に収集された生検サンプルを使用して行われる。生検サンプルは、スクリーニング時、12週目、48週目、96週目、144週目、192週目、及び240週目に、3つの事前定義された解剖学的位置の各々から、すなわち、回腸末端、脾湾曲部、及び直腸で収集される。4週目の評価を含む任意のサブ試験は、同意する参加者に対して、上記の指定された評価に加えて実施される。ベースライン後に収集される生検サンプルは、スクリーニング生検サンプルが3つの指定された位置の各々から収集された場所の近くで得られる。組織学的評価は、処置群及び訪問に対して盲検化された中央施設の観察者によって行われる。Global Histology Activity Score(GHAS)を使用して、組織学的改善及び治癒が評価される。5つの分析はSAPにおいて指定される。
【0310】
試験期間全体を通して、瘻孔評価が全ての参加者において継続的に行われる。全ての参加者がベースラインにおける瘻孔に関して評価される。瘻孔疾患を有する参加者に対しては、試験中に瘻孔の閉鎖が評価される。腸管皮膚瘻(例えば肛囲及び腹部)は、軽い圧迫にもかかわらず排液がない場合に、もはや排液性ではない(すなわち、閉鎖している)とみなされる。直腸腟瘻は、身体的検査又は関連症状(例えば、直腸内容物の通過、膣からの放屁など)がないことのいずれかに基づいて、閉鎖しているとみなされる。
【0311】
患者報告アウトカム測定は、活動スケジュール(セクション1.3)に示されるように、訪問時に評価される。
・IBDQは、IBDを有する対象のための32項目からなる自己報告アンケートであり、腸症状(軟便、腹痛)、全身症状(疲労、睡眠パターンの変化)、社会的機能(出勤、社交行事をキャンセルする必要性)、及び感情的機能(怒り、抑うつ、苛立ち)の4つのスケールにわたるPROを評価する。11個のスコアの範囲は32~224で、スコアが高いほど結果が良好であることを示す。
・PROMIS-29は、疾患特異的ではない検証された一般的な健康プロファイル手段である。これは、7つのドメイン(うつ病、不安、身体的機能、疼痛支障、疲労、睡眠障害、並びに社会的役割及び活動への参加能力)のそれぞれに対する4項目を含む簡易フォームの集合である。PROMIS-29はまた、全体的な平均疼痛強度0~10数値評価尺度(numeric rating scale、NRS)を含む。
・PROMIS疲労7項目簡易フォーム(PROMIS疲労項目簡易フォーム7a)は、疲労関連症状(すなわち、疲労、消耗、精神的疲労、及びエネルギーの欠如)及び関連する日常活動への影響(すなわち、仕事、自己管理、及び運動に関連する活動制限)を評価する7項目含む。PROMIS疲労簡易フォーム7aは、過去7日間のリコール期間を有する。PROMIS-29の疲労尺度と比較して、PROMIS疲労簡易フォーム7aは、疲労の重症度を評価するための追加情報を提供する。
・EQ-5D-5Lは、EuroQol 5観点記述システム(EuroQol five dimensions descriptive system、EQ-5D)及びEuroQol視覚的アナログスケール(EuroQol visual analog scale、EQ-VAS)からなる検証された手段である。記述システムは、5つの観点(移動の程度、自己管理、普段の活動、痛み/不快感、不安/抑うつ)を含む。各次元は、問題なし、わずかな問題、中程度の問題、深刻な問題、及び極端な問題の5レベルである。応答者は、5つの観点の各々において最も適切な記述をチェックすることによって、自身の健康状態を示すように要求される。EQ-VASは、「あなたが想像できる最高の健康状態」及び「あなたが想像できる最悪の健康状態」と標識されたエンドポイントを有する20cmの縦型の視覚的アナログスケール上に、応答者の自己評点した健康状態を記録する。回答者は、その日の健康状態を示すためにスケール上に「X」をマークし、次いで、ボックス内のスケール上にマークされた数字を書き込む。
・WPAI-CDは、クローン病に起因する、欠勤、プレゼンティーイズム、及び日常的活動の支障の量の患者報告定量的評価として作成される検証された手段である。WPAI-CDは、雇用状態、クローン病のために欠勤した時間、他の理由により欠勤した時間、労働時間、労働中にクローン病が労働生産性に影響を及ぼした程度、及び労働以外の活動にクローン病が影響を及ぼした程度を判定するための6つの質問から構成される。4つのスコア:すなわち欠勤の割合、疾病中出勤の割合(労働中の生産性が低下している)、欠勤と疾病中出勤とを組み合わせる全体的な労働減損、及び労働外で実施された活動の減損の割合が導出される。スコアが高くなるほど、減損は大きくなる。
【0312】
探索的患者報告症状測定は、活動スケジュールに示されるように、訪問時に評価される。
・BSFSは、ヒト便の形態(又は稠度)を7つのカテゴリに分類するための医療補助である。14これは、腸の様々な疾患(例えば、過敏性腸症候群[IBS])に対する、処置の有効性を評価するための調査ツールとして用いられてきた。参加者は、0週目~48週目に毎日の日誌の記入としてBSFSを完了する。
・AP-NRSは、腹痛を評価するために使用される11ポイント(0~10)スケールである。スコア0は、「腹痛なし」を表し、スコア10は、「可能である最悪の腹痛」を表し、スコアが大きいほど、痛みの重症度及び強度が大きいことを示す。参加者は、0週目~48週目に毎日の日誌の記入としてAP-NRSを完了し、最悪時の痛みを最も良く反映する1つの数のみを選択する。
・クローン病のPGIS:参加者は、ベースライン及び各訪問におけるそのクローン病の活動性を5ポイントのスケール(「なし」、「軽度」、「中度」、「重度」、及び「極めて重度」)を用いて評点する。PGISは、他の臨床エンドポイントの応答基準を確立及び/又は検証するためのアンカーとして使用される。
・クローン病の重症度のPGIC:クローン病の重症度についての参加者の感じる変化(改善又は悪化)は、PGICを用いて評価される。参加者は、「現在は非常に良い」から「現在は非常に悪い」の範囲の7ポイントスケール(中立的な中央ポイント(「良くも悪くもない」)を含む)を用いて、そのクローン病が試験開始からどのように変化したかを評点する。PGICは、他の臨床エンドポイントの応答基準を確立及び/又は検証するためのアンカーとして使用される。
【0313】
安全性評価
有害事象は、治験担当者によって報告及び追求される。研究中に発生するあらゆる臨床上関連する変化は、eCRFの有害事象の項に記録されなければならない。研究の最後に/早期離脱時に持続しているあらゆる臨床上の有意な異常は、解決まで又は臨床上安定したエンドポイントに達するまで、治験責任医師によってフォローされる。
【0314】
本研究は、指定された時点に基づく安全性及び耐用性の以下の評価を含む。
【0315】
心電図
スクリーニング時に12リード心電図(electrocardiogram、ECG)を実施する。
【0316】
ECGを収集する間、被験者は、気を散らすもの(例えば、テレビ、携帯電話)がない静かな環境に置かれなければならない。被験者は、ECGの収集前に少なくとも5分間は仰臥位で安静にしなければならず、話すこと又は腕若しくは脚を動かすことを控えなければならない。ECG記録と同じ時点で血液サンプリング又はバイタルサイン測定が予定される場合、処置は、ECG、バイタルサイン、採血の順序で実行されるべきである。
【0317】
身体的検査
健康診断は、活動スケジュールで指定されるとおりに実施される。安全性及び有効性に関する参加者の評価は、全ての訪問における治験担当者による何らかの健康診断を必要とするが、より完全な詳細にわたる健康診断は、指定された訪問で実施される。
【0318】
身長及び体重
身長及び体重は、活動スケジュールで指定されたとおりに測定される。対象は、これらの測定の前に、靴及び屋外用衣料及び装具を取り外すよう指示される。
【0319】
バイタルサイン
バイタルサイン(体温、脈拍/心拍数、呼吸数、及び血圧を含む)を、全てのIV注入の前、及びIV注入中の約30分間毎に、並びに最後のIV注入完了後に約30分間隔を空けて得る。バイタルサインは、最後のSC注射の前及び最後のSC注射の約30分後に取得されるべきである。
【0320】
感染症
介入実施は、臨床的に重要な活動性感染症を有する参加者に与えられるべきではない。治験担当者は、予定された訪問時に感染症の任意の徴候又は症状について参加者を評価することを求められる(活動スケジュールのセクション1.3を参照されたい)。参加者が、敗血症又は肺炎が挙げられるがこれに限定されない、重篤な感染症を発症した場合、研究処置の中止(すなわち、更なる研究介入投与を行わない)を検討しなければならない。
【0321】
結核評価
初期結核評価
参加者は、TBのための試験を受けなければならず、それらの病歴評価は、TBの履歴、又は活動性TBを有する個人への既知の職業的又は他の個人的曝露に関する特定の質問を含まなければならない。参加者は、胸部X線検査結果及びツベルクリン皮膚又は他のTB試験に対する応答を含む、TBに対する過去の試験に関する質問をされるべきである。治験担当者が、その判断に基づいて、両方の試験を使用することが潜在性TBを有する高いリスクを有する参加者を評価するために臨床的に指示されると信じる場合は、治験担当者は潜在性TBをスクリーニングするために、QuantiFERON-TB Gold試験及びツベルクリン皮膚試験の両方を用いる選択肢を有する。QuantiFERON-TB Gold試験又はツベルクリン皮膚試験のいずれかが陽性であった場合、参加者は、この研究の適格性の目的で潜在性TB感染症を有するものとみなされる。
【0322】
QuantiFERON-TB Gold試験の陰性結果(及びQuantiFERON-TB Gold試験が承認/登録されていないか、又はツベルクリン皮膚試験が現地の保健機関によって命じられている国においては、ツベルクリン皮膚試験の陰性結果)を有する参加者は、無作為割り付けの前手順を継続する資格を有する。新たに同定されたQuantiFERON-TB Gold(又はツベルクリン皮膚)試験の陽性結果を有する参加者は、活動性TBを除外するための評価を受け、潜在性TBのための適切な処置を開始しなければならない。潜在性TBのための適切な処置は、免疫不全患者に対する現地の国のガイドラインに従って定義される。免疫不全患者に対する現地の国のガイドラインが存在しない場合、米国ガイドラインに従わなければならないか、あるいは参加者は研究から除外される。
【0323】
最初のQuantiFERON-TB Gold試験結果が不明確である参加者は、試験を繰り返すべきである。第2のQuantiFERON-TB Gold試験結果も不明確である場合、参加者は、潜在性TBが除外され、それらの胸部X線写真がTB(活動性又は古い非活動性TB)を示唆する異常を示さず、参加者が治験担当者によって判断されるTBの更なるリスク因子を有しない場合、潜在性TBの処置なしで登録され得る。この判定は、治験依頼者又は被指名者のメディカルモニタに速やかに報告され、参加者のソースドキュメントに記録され、治験担当者によって頭文字で略式署名されなければならない。
【0324】
結核の評価
活動性結核の早期検出
試験参加中のTB再活動性又は新規TB感染の早期検出を助けるため、参加者は、計画された訪問時に、又は約8~12週間毎に電話連絡によって、活動性TBの徴候及び症状について評価されなくてはならない。評価中に使用するために、以下の一連の質問が提案される。
・「あなたは14日未満の期間での新たな咳、又は慢性咳の変化がありましたか?」
・「あなたは以下の症状のいずれかを有していますか?
-持続する熱
-意図的でない体重減少
-寝汗」
・「あなたは活動性TBを有する個人と密接な接触をしましたか?」(接触が「密接」とみなされるべきかに関して不確実性が存在する場合、TB専門医に相談するべきである)。
【0325】
評価により、参加者がTBの再活性化又は新たなTB感染を有し得るという疑いが生じた場合、可能な場合はTB専門医への相談を含む即座の徹底した調査が行われるべきである。治験担当者らは、免疫不全を有する参加者におけるTBの再活性化は、播腫性疾患として、又は肺外特徴(extrapulmonary features)を有して存在し得ることを認識するべきである。活動性TBの証拠を有する参加者は、適切な処置を紹介されるべきである。研究の実施中に活動性TBを有する個人と密接に接触した経験を有する参加者は、参加者が活動性TBを発症するリスク及び潜在性TBの処置が正当であるかどうかを判定するために、反復胸部X線検査、反復QuantiFERON TB Gold試験、QuantiFERON-TB Gold試験が承認/登録されていないか、又はツベルクリン皮膚試験が現地の保健機関によって命じられている国においては反復ツベルクリン皮膚試験、及び、可能であれば、TB専門医への紹介を行わなければならない。
【0326】
介入実施は、調査中に中断されるべきである。QuantiFERON-TB Gold試験又はツベルクリン皮膚試験の陽性結果は、潜在性TBの検出とみなされるべきである。QuantiFERON-TB Gold検査結果が不確定である場合、検査は、セクション5.10.5に概説されるように繰り返されなければならない。参加者は、プロトコルに従って予定された全ての後続の研究訪問のために戻ることを奨励されるべきである。潜在性TBを時期尚早に中止したか、又は療法を順守しない対象は、活動スケジュール(セクション1.3)に従い、試験介入の更なる実施を直ちに中止して、全ての後続の予定された試験訪問のために戻るように奨励されなければならない。
【0327】
アレルギー反応
いかなるSC注射又はIV注入の前にも、適切に訓練された人員及び薬剤が、アナフィラキシーを含むアレルギー反応を処置するために利用可能でなければならない。全ての参加者は、アレルギー反応の症状(例えば、蕁麻疹、掻痒、皮疹)に関して、注意深く観察されなければならない。軽度又は中程度のアレルギー反応が観察される場合、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、及び/又はジフェンヒドラミンを投与してよい。
【0328】
重症のアレルギー反応(例えば、アナフィラキシー)の場合、SCの水性エピネフリン、コルチコステロイド、呼吸補助、及びその他の適切な蘇生手段が必要不可欠であり、注射又は注入が投与される研究拠点で利用可能でなければならない。
【0329】
注射又は注入に関連した深刻な拒絶反応を経験する参加者は、更なる介入実施を中止されるべきである。
【0330】
注射又は注入後に換気補助を必要とする喘鳴及び/又は呼吸困難を伴う気管支痙攣をもたらす反応、又は40mm Hgを超える収縮期血圧低下を伴う症候性低血圧を経験する参加者は、追加の試験介入を受けることは許容されない。
【0331】
試験介入の注入の1~14日後に起こる血清病様反応を示唆する反応(他の認識された臨床的症候群の徴候及び症状を示さない発熱及び/又は発疹を伴う筋肉痛及び/又は関節痛などの症状をもたらす)を経験する参加者は、更なる試験介入実施を中止するべきである。これらの症状は、掻痒、顔、手、又は唇の浮腫、嚥下障害、蕁麻疹、咽頭炎、及び/又は頭痛を含む他の事象を伴う場合があることに留意されたい。
【0332】
時間的に注入に関連する有害事象
試験介入のIV注入中又はその後1時間以内に起こる任意のAE(検査室異常を除く)は、慎重に評価される。臨床的に指示されるように、注入に関連する少量のAeは、IV注入の速度を減少させ、並びに/又は抗ヒスタミン剤及び/若しくはアセトアミノフェン(パラセタモール)で処置することにより、管理することができる。治験担当者の意見によれば重症でもなく、又は重大な有害事象(SAE)をもたらすものでもないAEのために、介入のIV注入が中断される場合、注入は慎重に再開されてもよい。
【0333】
注射部位反応
注射部位反応は、SC介入注射部位における任意の有害反応である。注射部位は反応について評価され、任意の注射部位反応はAEとして記録される。
【0334】
Columbia-Suicide Severity Rating Scale(C-SSRS)
C-SSRSは、自殺念慮の5サブタイプ及び4つの可能な自殺行動、並びに非自殺自傷行為、及び自殺完了を定義する。これは、包括的な安全性評価の一環として、本研究における自殺念慮及び行動を予測的に評価するためのスクリーニングツールとして使用される。C-SSRSは、治験担当者によって管理されるアンケートである。この2つのバージョンが本研究で使用され、C-SSRSの「ベースライン/スクリーニング」バージョンは、スクリーニング訪問中に実施され、C-SSRSの「最終訪問以後」バージョンは、研究の終了までその他全ての訪問で完了される。
【0335】
治験担当者又は訓練された研究拠点の人員は、参加者を面接して、C-SSRSを完了する。C-SSRSは、現地のガイドラインに従って現地の言語で提供される。
【0336】
スクリーニングでは、C-SSRSは、任意の他の研究手順の前に実行される第1の評価である。全ての後続の訪問において、C-SSRSは評価スケジュールに従って実行され、これは他のPROの後であるが、任意の他の研究手順の前に実行されるべきである。参加者は、非公開の静かな場所で治験担当者又は訓練された研究拠点の人員によって面接される。
【0337】
各評価の終わりに、C-SSRSを管理する訓練された人員は、自殺念慮又は行動が存在する場合はそのレベルを判定する。続いて、任意のレベルの自殺念慮又は行動が報告される場合、次の行動方針を決定する。治験担当者によってC-SSRSが審査され、参加者のリスクが評価され必要に応じてフォローアップが決定されるまで、参加者は拠点から解放されるべきではない。
【0338】
スクリーニング時(直近6ヶ月以内)及び0週目において、実行する意向を伴う自殺念慮(「念慮レベル4」)、具体的な計画及び意向を伴う自殺念慮(「念慮レベル5」)、又は自殺行動(実際の自殺企図、自殺企図の中止、自殺企図の非奏効、又は自殺企図をなすための準備行動)のC-SSRS評点を有する参加者は、無作為に割り付けられるために、精神保健専門家(例えば精神科医、心理学者、又は適切な訓練を受けたソーシャルワーカー若しくは看護師)による評価に基づいて、治験担当者によりその危険にないと判定されなければならない。
【0339】
死を望む(「念慮レベル1」)、具体的ではない活発な自殺思考(「念慮レベル2」)、実行する意図はない、任意の方法による積極的自殺念慮(計画なし)(「念慮レベル3」)、又は自殺ではない自傷行動のC-SSRS評点を有する参加者は、無作為に割り付けられるためには、治験担当者によりその危険にないと判定されなければならない。このような参加者の資格に関する任意の質問は、メディカルモニタ又は被指名者によって議論されるべきである。
【0340】
0週目後の各評価のために、該当する場合、以下の行動を取る必要がある:
・自殺念慮又は自殺行動(自殺意図のない自傷行動を含む)なし:更なる処置は必要なし。
・自殺念慮レベル1~3又は非自殺自傷行動:参加者のリスクは、治験担当者によって評価される。
・自殺念慮レベル4若しくは5又は任意の自殺行動:参加者のリスクは、評価され、精神保険専門家に委託される。
【0341】
試験処置の中断又は中止は、実行する意向のある自殺念慮(念慮レベル4)、具体的な計画及び意向を伴う自殺念慮(念慮レベル5)、又は自殺行動(実際の自殺企図、自殺企図の中断、自殺企図の非奏効、又は自殺企図をなすための準備行動)をベースライン後C-SSRS評価上で報告している任意の参加者、及び精神保健専門家による評価に基づいて治験担当者によりその危険があるとみなされる任意の参加者に関して検討されるべきである。参加者が精神病療法及び/又は薬物療法で適切に処置され得る場合、参加者は、治験担当者の裁量により、メディカルモニタ又は被指名者により同意を受けた場合は処置を継続することができる。メディカルモニタ又は被指名者による当該参加者についての議論は必要である。
【0342】
治験担当者の意見によれば新規であるか、又は悪化しておりかつ臨床的に有意であるとみなされるいかなるC-SSRSの発見も、AE eCRF(Adverse Events:Definitions and Procedures for Recording,Evaluating,Follow-up,and Reporting)上で報告されるべきである。
【0343】
臨床安全性検査室評価
血清化学検査及び血液学用の血液サンプルを収集する。治験担当者は、検査結果を審査し、この審査を文書化し、研究中に生じた任意の臨床的に関連する変化をeCRFのAEセクションに記録しなければならない。検査報告は、原文書と共に提出しなければならない。
【0344】
以下の試験は、メディカルモニタによる別段の指定又は承認がない限り、中央検査室によって実施される。
・血液学的評価には、以下:ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数、WBC総数、及びWBC百分率が含まれるが、これらに限定されない。
・血液化学評価には、以下:化学パネル(全及び直接ビリルビン、ALT、AST、アルカリホスファターゼ、アルブミン、総タンパク質、カルシウム、リン酸塩、ナトリウム、カリウム、塩化物、血清尿素窒素/尿素、及びクレアチニン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0345】
研究実施中に検査室マニュアルで定義される予め指定された異常な検査室値が任意の参加者において特定された場合、メディカルモニタ又は代表者及び臨床施設は通知を受ける。
・血清学:HIV抗体、HBV抗体、及び表面抗原、並びにHCV抗体
・肝機能検査異常:試験に登録され、かつ、試験介入を受けている対象に対する検査室試験により、血清アミノトランスフェラーゼ(ALT又はAST)の3×ULN超までの上昇、及びビリルビンの2×ULN超までの上昇が明らかになった場合、試験薬は直ちに停止されるべきである。更に、ALT、AST、アルカリホスファターゼ、及び総ビリルビンに関する検査室試験は、試験結果の通知後、可能な場合は24時間以内、遅くとも72時間以内に再試験によって確認されるべきである。
・妊娠検査:出産能力のある女性参加者は、各試験介入実施前のスクリーニング時、SID訪問時、及びFES訪問時に尿妊娠検査を受ける。
【0346】
免疫原性評価(グセルクマブ及びウステキヌマブに対する抗体)
血清サンプルは、グセルクマブ又はウステキヌマブに結合する抗体に関してスクリーニングされ、確認された陽性サンプルの力価が適宜報告される。その他の分析を実施して、グセルクマブ又はウステキヌマブの免疫原性を更に特性決定することができる。全ての参加者から採取された血液上でグセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が評価される。更に、サンプルは、研究を中止した参加者の最終訪問時にも採取されるべきである。これらのサンプルは、治験依頼者又は治験依頼者の被指名者により試験される。これらの血清サンプルについては遺伝子解析は行われない。参加者の守秘義務は保たれる。
【0347】
評価
試験介入の血清濃度に加えて、試験介入に対する抗体が評価される訪問では、十分な体積の1つの静脈血液サンプルが収集されるべきである。各血清サンプルは3つのアリコートに分ける(試験介入の血清濃度、試験介入に対する抗体、及びバックアップのために各々1つ)。
【0348】
分析手順
グセルクマブ及びウステキヌマブに対する抗体の検出及び特性決定は、治験依頼者により又は治験依頼者の監督下で有効なアッセイ法を用いて実施される。
【0349】
薬歴調査
併用薬剤は、各訪問時に審査される。
【0350】
有害事象及び重篤な有害事象
臨床試験からの安全性情報の適時の、正確な、かつ完全な報告及び分析は、参加者、治験担当者、及び治験依頼者の保護に欠かせないものであり、世界中の規制当局によって命じられている。治験依頼者は、安全性情報の適切な報告を確実にするために世界的な規制要件に準拠して標準業務手順(Standard Operating Procedures)を確立し、治験依頼者又はその関係者によって実施される全ての臨床試験は、これらの手順に従って実施される。
【0351】
有害事象は、試験の持続期間にわたって、参加者(又は、適切な場合、介護人、代理人、又は参加者の法的に認められる代表者)によって報告される。
【0352】
予想される事象が記録され、報告される。
【0353】
有害事象及び重大な有害事象情報を収集する期間及び頻度
全ての有害事象
重大又は非重大にかかわらず、全てのAE及び特別な報告状況は、署名され、かつ日付を記入したICFが取得された時間から、参加者の最後の研究関連手順の完了まで(安全性のフォローアップのための連絡を含み得る)報告される。試験介入の最後の投与後16週間以内に、治験担当者に自発的に報告されたものを含む重篤な有害事象は、重篤な有害事象フォームを使用して報告されなければならない。治験依頼者は、プロトコルに指定された時間枠を越えて治験担当者によって自発的に報告された全ての安全性情報を評価する。
【0354】
重篤な有害事象
試験中に発生する全ての重篤な有害事象は、試験施設職員により、その事象の認識から24時間以内に、適切な治験依頼者又は被指名連絡担当者に報告されなければならない。
【0355】
SAEに関する情報は、重大な有害事象フォームを使用して治験依頼者又は被指名者に送信され、これは、試験施設の医師によって全て記入及び審査され、24時間以内に治験依頼者又は被指名者に送信されなければならない。
【0356】
有害事象及び重大な有害事象のフォローアップ
妊娠を含む有害事象は治験担当者によって追求される。
【0357】
重大な有害事象に対する規制報告要件
治験依頼者は、規制当局へのAEの適切な報告の責任を負う。治験依頼者はまた、全てのSUSARを治験担当者(及び、必要な場合は治験施設の施設長)に報告する。治験担当者(又は必要な場合は治験依頼者)は、プロトコルを承認した適切なIEC/IRBにより別段の要求がなされ、かつ文書化されていない限りは、IEC/IRBにSUSARを報告しなければならない。SUSARは、規制当局に非盲検的に報告される。別段の指定がなされない限り、参加する治験担当者及びIEC/IRBは、盲検的なSUSARの要約を受けることになる。
【0358】
妊娠
女性参加者又は男性参加者のパートナーにおける妊娠の全ての初期報告は、適切な妊娠通知フォームを使用して、試験施設職員により、その事象の認識から24時間以内に治験依頼者又は被指名者に報告されなければならない。異常な妊娠結果(例えば自然流産、胎児死、死産、先天異常、子宮外妊娠)はSAEとみなされ、重篤な有害事象フォームを使用して報告されなければならない。研究中に妊娠した任意の参加者は、更なる介入を中止しなければならない。
【0359】
妊娠の結果及び乳児のあらゆる出生後遺症の結果に関するフォローアップ情報が必要とされる。
【0360】
特に興味深い事象
この臨床研究に参加している参加者における最初の介入実施後に生じる、新たに特定された悪性腫瘍又は活動性TBの症例は、全て治験担当者によって報告されなければならない。治験責任医師はまた、大多数の国では、活動性TBが報告可能な疾患とみなされることも助言されている。これらの事象は、SAEの定義を満たす場合にのみ重篤であるとみなされるべきである。
【0361】
過剰投与の処置
この研究では、このプロトコルで指定された単回投与訪問時の最高投与よりも高い介入の任意の投与は、過剰投与とみなされる。治験依頼者は、過剰投与のための特定の介入を推奨しない。
【0362】
過剰投与の場合、治験担当者又は処置する医師は、以下のことを行うべきである。
・直ちにメディカルモニタに連絡する。
・AE/SAE及び検査室異常に関して参加者を密に監視する。
・eCRFに過剰投与の量を文書化する。
【0363】
投与の中断又は修正に関する決定は、参加者の臨床評価に基づいて、メディカルモニタと相談の上で治験担当者によって行われる。
【0364】
薬物動態
グセルクマブ及びウステキヌマブのPKが、血清サンプルを使用して評価される。グセルクマブ及びウステキヌマブの血清濃度分析のために採取されたサンプルは、研究期間中又はその後に生じる懸念に対処する安全性又は有効性の側面を評価するため、又は関連するバイオマーカの評価のために、更に用いることができる。これらの血清サンプルについては遺伝子解析は行われない。参加者の守秘義務は保たれる。
【0365】
評価
試験介入の血清濃度のみを評価する(すなわち、試験介入に対する抗体を評価しない)訪問時には、十分な体積の1つの静脈血液サンプルを収集し、各血清サンプルを2つのアリコートに分けなければならない(試験介入の血清濃度、及びバックアップのために各々1つ)。試験介入の血清濃度及び試験介入に対する抗体を評価する訪問時には、十分な体積の1つの静脈血サンプルを収集しなければならない。各血清サンプルは3つのアリコートに分ける(試験介入の血清濃度、試験介入に対する抗体、及びバックアップのために各々1つ)。
【0366】
分析手順
治験依頼者のそれぞれのアッセイ法によって、又はその監督の下で、それぞれの有効で特異的かつ高感度な方法を用いて、血清サンプルを分析して、グセルクマブ及びウステキヌマブの濃度を判定する。
【0367】
薬物動態パラメータ
活動スケジュールに従い、全ての参加者から採取された血液に基づき、血清サンプルを使用して、様々なグセルクマブのPKパラメータを評価する。
【0368】
薬力学
炎症性PDマーカは、訪問時に収集された血液サンプルを使用して評価される。ベースライン後のPD試験結果は、中央検査によって治験担当者に向けて公開されない。
・CRPは、IBD患者における炎症のマーカとして有用であることが示されている。クローン病において、高いCRP濃度は、重度の臨床活動性、高い沈降率、及び大腸内視鏡検査で検出される活動性疾患に関連している。CRPの測定のための血液サンプルは、全ての参加者から収集される。CRPは、有効な高感度アッセイを使用して評価される。
・便中カルプロテクチンは、腸炎症及びIBD患者の処置に対する応答の特定における高感度の特異的マーカであることが示されている。便中カルプロテクチン濃度のための3つの便サンプルが、全ての参加者から収集される。便中カルプロテクチン濃度のアッセイは、有効な方法を使用して実施される。マイクロバイオームなどの腸炎及び処置応答に関連する追加的なマーカのために、追加の試験を糞便サンプルに対して行うこともできる。
【0369】
遺伝学
薬理遺伝学的血液サンプルは、現地の規制が許可する場合は必要に応じ、薬理遺伝学的リサーチを可能にするために、研究のこのコンポーネントに個別に同意する参加者から収集される。薬理遺伝学的リサーチへの参加は任意である。
【0370】
遺伝子(DNA)の変動は、薬物応答及び関連する臨床転帰における個体間変動に対する重要な有力因子であり得る。遺伝因子はまた、疾患感受性及び予後のためのマーカとして機能することができ、介入に対して異なる応答を示す集団のサブグループを同定することができる。
【0371】
DNAサンプルは、臨床応答に関連し得る遺伝因子の同定のために分析される。この調査は、グセルクマブ若しくはウステキヌマブ介入及び/又はクローン病に関する1つ以上の候補遺伝子の分析、一塩基多型(Single Nucleic Polymorphisms、SNP)の評価、又は全ゲノムの分析(必要に応じて)からなってもよい。遺伝的分析のために、約10mLの全血サンプルを収集する。
【0372】
第2相投与設定試験(GALAXI1)
第1の仮説は、12週目におけるCDAIのベースラインからの減少によって評価されるように、グセルクマブがプラセボよりも優れているというものである。
【0373】
第3相投与確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
第1の仮説は、12週目において臨床的寛解を達成する参加者の割合によって評価されるように、グセルクマブ処置がプラセボよりも優れているというものである。
【0374】
ウステキヌマブとの比較に関する主要な第2の仮説に関しては、最終的な目的は、グセルクマブの有効性がウステキヌマブよりも優れていることを実証することであるが、非劣性に関する初期試験が含まれ、その理由は、最終結果が、相対的有効性がウステキヌマブに劣っていないということを示すのみであったとしても、グセルクマブの全体的なプロファイルがウステキヌマブと比較して良好であり得る(全体的な有効性及び安全性の点で)ためである。
【0375】
試料サイズの決定
仮定
いくつかのソースからのデータは、以下のセクションで要約されるように、第2相及び第3相におけるサンプルサイズ決定のための基礎となる仮定を通知する。これらには、以前にTNF拮抗薬療法非奏効若しくは不耐性であったか(本明細書ではTNF非奏効と称する)、又は以前に従来療法非奏効若しくは不耐性であった(本明細書ではCON非奏効と称する)クローン病を有する参加者において、治験支援者によって実施されたプログラムである、3つの試験(すなわち、CNTO1275CRD3001、CNTO1275CRD3002、及びCNTO1275CRD3003)からなる、ウステキヌマブのクローン病第3相プログラム、並びに参加者の大多数が以前に生物学的療法非奏効又は不耐性であった(本明細書ではBIO非奏効と称する)、リサンキズマブのクローン病第2相試験のデータが含まれる。
【0376】
12週目における臨床的寛解
12週目におけるBIO非奏効集団の仮定は以下に基づくものであった。
・CNTO1275CRD3001では、8週目における臨床的寛解(CDAI<150)における参加者の割合は、プラセボ及びウステキヌマブ約6mg/kgでは、それぞれ7.3%及び20.9%であり、処置差は13.6%であった。8
・12週目におけるプラセボの臨床的寛解率15%に基づいて、リサンキズマブの第2相試験は、200mg IVとプラセボとの間では臨床的寛解の約9%の差を示唆し、12.7週目において600mg IVとプラセボとの間では約21%の差を示唆した。
【0377】
これらのデータに基づいて、臨床的寛解率は、BIO非奏効集団で12週目において、プラセボでは10%、グセルクマブ200mg IVでは20%、グセルクマブ600mg IVでは30%であると想定される。
【0378】
12週目におけるCON非奏効集団の仮定は以下に基づくものであった。
・CNTO1275CRD3002では、8週目における臨床的寛解の参加者の割合は、プラセボ及びウステキヌマブ約6mg/kgではそれぞれ19.6%及び40.2%であり、処置差は20.6%であった。8
・CON非奏効集団におけるグセルクマブ又は他の抗IL-23剤については、現在入手可能なデータはない。同様の集団におけるCNTO1275CRD3002及び過去の生物学的試験からのデータに基づいて、CON非奏効集団における活性物質とプラセボとの間の処置効果の差は、BIO非奏効集団で観察されるものと比較してより大きいと想定することは妥当である。加えて、CON非奏効母集団における投与応答傾向は、BIO非奏効集団で観察されたものと同様であると想定される。
【0379】
これらのデータ及び仮定に基づいて、臨床的寛解率は、CON非奏効集団においてプラセボでは20%、グセルクマブ200mg IVでは40%、グセルクマブ600mg IVでは50%であると想定される。
【0380】
グセルクマブから又は他の抗IL-23剤の1200mg IV投与のデータの不在下では、保存的であるために、グセルクマブ1200mg IVの臨床的寛解率は、BIO非奏効集団及びCON非奏効集団の両方について、最小のグセルクマブ600mg IVの臨床的寛解率と同様であると想定される。
【0381】
混合されたBIO非奏効/CON非奏効集団を考慮に入れて、12週時点での無作為化された集団全体についての想定は以下に基づいた。
・CON非奏効患者集団における参加者の最低25%及び最大50%の比に基づいて、12週目における臨床的寛解の参加者の割合は、プラセボでは約12%~15%、グセルクマブ200mg IVでは約25%~30%、グセルクマブ600mg IV及びグセルクマブ1200mg IVの両方では約35%~40%であると想定される。
【0382】
第12週目におけるCDAIの変化
BIO非奏効集団及びCON非奏効集団の仮定は以下に基づくものであった。
・CNTO1275CRD3001では、8週目におけるベースラインからの平均CDAI変化は、プラセボ及びウステキヌマブ6mg/kg群について、それぞれ-25.1(SD=91.41)及び-78.7(SD=91.79)であった。8
・CNTO1275CRD3002では、8週目におけるベースラインからの平均CDAI変化は、プラセボ及びウステキヌマブ6mg/kg群について、それぞれ-66.3(SD=97.81)及び-116.3(SD=102.88)であった。8
【0383】
混合されたBIO非奏効/CON非奏効集団を考慮すると、12週目におけるベースラインからの平均CDAIの減少は、プラセボでは約45~50、グセルクマブ200mg IVでは約85~95、12週目におけるグセルクマブ600mg IV及びグセルクマブ1200mg IVでは約105~115であると予想され、一般的なSDは100である(比較的小さい第2相試験の変動性の増加を考慮)。
【0384】
48週目における臨床的寛解
48週目における臨床的寛解の割合は、CNTO1275CRD3003での無作為化及び非無作為化集団を組み合わせることにより得られ、ウステキヌマブに関して、TNF非奏効参加者において23%の臨床的寛解率及びCON非奏効参加者において50%をもたらす。したがって、CON非奏効集団からの参加者が最低25%及び最大50%である全無作為化集団は、ウステキヌマブに関して、48週目において約30%~36%の臨床的寛解を達成すると予想される。グセルクマブとウステキヌマブとの間の臨床的寛解における15%の重要な差は、48週目に想定される。
【0385】
検出力及びサンプルサイズの計算
第2相投与設定試験(GALAXI1)
グセルクマブ高IV導入投与とプラセボとの間の12週目におけるCDAIスコアのベースラインからの変化の有意差を検出するために、2-サンプルt検定(0.05レベルの有意性で)を使用して、第2相の検出力(Power)を以下に記載の2つの分析集団について評価した。
【0386】
100の共通SDを有するプラセボ群では約45~50であるのに対して、グセルクマブ高IV導入投与群での12週目におけるベースラインからの平均CDAIの減少が約105~115であることを想定する。
【0387】
初回投与決定コホートの場合:グセルクマブ高IV導入投与群における50人の参加者及びプラセボ群における50人の参加者は、80%超の検出力を提供し、α=0.05(両側)で制御された1型誤差率でグセルクマブとプラセボとの間の処置差を検出する(表8)。5つの投与群を用い、初回投与決定コホートの総サンプルサイズは250人の対象である。
【0388】
総第2相の集団について:第3相について投与決定が行われる時間までに、100~250人の参加者が移行コホートに登録されることが予想される。したがって、総第2相試験のサンプルサイズは、最大350人の参加者(投与群当たり70人)から最大500人の参加者(投与群当たり100人)までの範囲であると予想される。参加者の最小数に基づく検出力は、12週目におけるCDAIスコアのベースラインからの変化に関して90%より大きく、12週目に臨床的寛解に関して85%超である(表8)。
【0389】
安全性分析
有害事象
治験担当者によりeCRFにおいてAEを特定するために使用される報告者が使用した逐語的用語は、Medical Dictionary for Regulatory Activitiesを使用して符号化される。処置により発現したAEは、介入期中に開始するAEであるか、又はベースラインから悪化した既往症の結果であるAEである。報告される処置により発現したAEの全てが分析に含まれる。各AEについて、特定の事象の少なくとも1回の発生を経験する被験者の割合が介入群毎に要約される。
【0390】
以下のAEの分析を使用して参加者の安全性を評価する。
・AEの頻度及び種類。
・SAEの頻度及び種類。
・治験担当者によって評価された、合理的に関連するAEの頻度及び種類。
・介入の中止につながるAEの頻度及び種類。
・感染症の頻度及び種類。
・注入と時間的に関連するAEの頻度及び種類。
・注射部位反応の頻度及び種類。
【0391】
死亡した、AEのために介入を中止した、又は重大なAEを経験した参加者の要約、リスト、データセット、又は参加者の談話は、適宜提供されてもよい。
【0392】
臨床検査
臨床検査室試験の以下の概要を使用して、参加者の安全性を評価する。
・検査室パラメータ、及び検査室パラメータにおけるベースラインからの変化(血液学的及び化学的)。
・ベースライン後の検査室値(血液学及び化学)に対する最大NCI-CTCAE毒性等級の要約。
【0393】
NCI-CTCAE等級2以上の任意の異常なベースライン後検査室値を有する参加者のリストも提供される。
【0394】
自殺念慮及び行動
C-SSRS及びAEに基づく自殺念慮及び行動は、記述的に要約される。
【0395】
その他の分析
薬物動態の分析
各サンプリング時点で、血清グセルクマブ及びウステキヌマブ濃度の記述的統計が計算される。これらの濃度は、処置群毎に経時的に要約される。
【0396】
定量可能な最低濃度未満の全ての濃度又は消失したデータは、濃度データベース又はデータ提示中でそのように標識される。定量可能な最低濃度を下回る濃度は、要約統計においてゼロとして扱われる。
【0397】
非線形混合効果モデリング(nonlinear mixed-effects modeling)を用いる集団PK分析アプローチを用いて、グセルクマブのPKパラメータを評価する。集団PKパラメータ推定値に対する重要な共変量の影響が評価され得る。詳細は、集団PK分析計画に提供され、集団PK分析の結果は別の技術報告に提示される。
【0398】
参加者は、そのデータがPKの正確な評価を可能にしない場合には、PK分析から除外される(例えば、介入の不完全な投与;介入実施の損なわれた時間)。分析の詳細な規則は、SAPにおいて指定される。
【0399】
免疫原性の分析
グセルクマブ及びウステキヌマブに対する抗体の発生率及び力価は、グセルクマブ又はウステキヌマブの投与を受け、かつ、グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体の検出のために適切なサンプルを有する全ての参加者(すなわち、グセルクマブ又はウステキヌマブの初回投与後に取得された、少なくとも1つのサンプルを有する参加者)について、それぞれまとめられる。
【0400】
グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が陽性である参加者のリストが提供される。グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体の最大力価は、グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が陽性である参加者に関して提供される。
【0401】
グセルクマブ又はウステキヌマブに対する中和抗体(NAb)の出現率は、グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が陽性であり、かつグセルクマブ又はウステキヌマブに対するNAbに関して評価可能なサンプルを有する参加者毎に要約される。
【0402】
バイオマーカ分析
計画されたバイオマーカ分析は、新たな研究データが有用な科学的情報を提供する可能性を全く示さない場合は、延期され得る。締切日後に契約供給元又は治験依頼者によって受領されたいかなるバイオマーカサンプルも分析されず、従って、バイオマーカ分析から除外される。
【0403】
経時的に得られた血清タンパク質検体及び全血RNAの変化は、処置群毎に要約される。選択されたマーカにおけるベースライン値及びベースラインからの変化と、処置に対する応答と、の間の関連性が調査される。RNA分析は、別の技術報告で要約される。
【0404】
バイオマーカ分析は、グセルクマブの影響を特性決定することにより、処置に関連するバイオマーカを同定し、これらのバイオマーカがグセルクマブに対する応答を予測することができるかどうかを判定する。血清、全血分析、糞便、及び粘膜生検分析の結果は、別の技術報告で報告される。
【0405】
薬物動態/薬力学的解析
血清グセルクマブ濃度と有効性測定対との間の関係をグラフを使って分析する。任意の視覚的傾向が観察される場合、好適な集団PK/PDモデルを開発して、E-R関係を説明することができる。詳細は、集団PK/PD分析計画中で提供され、集団PK/PD分析の結果は別の技術報告で提示される。
【0406】
医療資源の利用及び医療経済学的分析
労働生産性を含む医療資源の利用及び医療経済性は、処置群毎に要約される。
【0407】
実施例2-12週目における第2相GALAXI1試験の結果
結果
250人の患者が一次分析集団に含まれていた。約50%が生物学的療法非奏効であり、約50%が従来療法非奏効であった。ベースライン人口構成及び疾患特性は、処置群間で概して同様であった(平均年齢、39.4歳、平均重量、70.0kg、平均CD時間、8.8歳、平均CDAI、306.6、PRO-2中央値、141.0、SES-CD中央値、11.0)。
【0408】
CDAIのベースラインからの有意なより大きな減少は、12週目でGUS200、600、及び1200mg IV群対プラセボに対して観察され(LS平均:それぞれ-154.1、-144.3、-149.5、対-36.0)、GUSでの患者のより高い割合は、それぞれ54.0%、56.0%、50.0%、対15.7%の臨床的寛解(CDAI<150)を達成した(表1)。同様に、12週目において、プラセボで処置された患者に対してより高い割合GUS処置患者が、臨床応答、PRO-2寛解、臨床バイオマーカ応答、及び内視鏡的反応を達成した。bio非奏効患者の中で、GUSで処置された45.5%(35/77)及びプラセボで処置された12.5%(3/24)が、12週目に臨床的寛解を達成した。従来療法非奏効の中でも、GUSで処置された61.6%(45/73)及びプラセボで処置された18.5%(5/27)が、12週目に臨床的寛解を達成した。
【0409】
12週目に、全体的な中止率は低く(3.6%)、安全事象率は、概して処置群にわたってバランスが取れていた。GUS200、600、1200mg IV、及びプラセボ処置群で、それぞれ、同様の割合の患者報告AE(40.0%、52.0%、46.0%、及び56.9%)、重篤なAE(4.0%、4.0%、2.0%、及び3.9%)、感染症(10.0%、14.0%、14.0%及び17.6%)、並びに重篤な感染症(2.0%、0%、0%、及び0%)があった。12週目に、活動性TB、重篤な過敏症反応、又は悪性腫瘍の症例は報告されなかった。
【0410】
バイオマーカ
非侵襲性炎症マーカ、具体的にはC反応性タンパク質(CRP)及び便中カルプロテクチン(fecal calprotectin、FeCal)は、クローン病を有する患者の臨床管理のための有用なツールであり、これらの濃度をGalaxi患者の間で測定した。プラセボ群及びGUS組み合わせ群について、ベースライン中央値(baseline、BL)のCRP濃度は、それぞれ4.18(n=51)及び5.81mg/L(n=150)であり、BL FeCalの中央値は、それぞれ433.50(n=50)及び626.50μg/g(n=146)であった。12週目を通じて、GUSで処置された患者は、プラセボと比較してCRP及びFeCal濃度のより大きな減少を有した。CRP(mg/L)におけるBLからの変化の中央値は、12週目において、組み合わされたGUS群では-2.17であるに対して、プラセボでは0.00であった。FeCal(μg/g)中のBLの変化の中央値は、12週目において、組み合わされたGUS群では-176.00であるのに対して、プラセボでは20.00であった。12週目に、BLにおける異常なCRPを有する患者間で正規化されたCRP(≦3mg/L)を有する患者の割合は、組み合わされたGUS群対プラセボの患者についてそれぞれ、35.4%対19.4%であった。BLにおける異常なFeCal(>250μg/g)を有する患者の中で正規化されたFeCal(≦250μg/g)を有する患者の割合は、組み合わされたGUS群対プラセボについてそれぞれ33.3%対27.3%であった(表9)。
【0411】
臨床バイオマーカ応答は、12週目において、プラセボと比較してGUSで処置された患者の割合が高いほど(それぞれ48.0%(72/150)対7.8%(4/51))達成された。12週目において、BIO非奏効コホート(46.1%[35/76]対8.7%[2/23])とCON非奏効コホート(50.0%[37/74]対7.1%[2/28])との間で同様の結果が達成された。
【0412】
GUS IV導入療法で処置された中程度から重度の活動性CDを有する患者は、プラセボを受けたものと比較して、12週目にCRP及びFeCal濃度のより大きな減少を有した。より高い割合のGUSで処置された患者は、プラセボと比較して、12週目において臨床バイオマーカ応答及び正規化されたCRP又はFeCalを達成した。これらの改善パターンはまた、生物学的療法又は従来療法非奏効であった患者のサブ分析において観察された。
【0413】
結論
3つのGUS投与(200、600、及び1200mg IV)は全て、以前に生物学的療法又は従来療法非奏効であった中等度から重度の活動性CDを有する患者において、12週目における事前に指定された臨床的及び内視鏡的有効性測定では、プラセボに対して一貫して有意に大きな改善を誘発した。12週目に、GUSは、調査及び承認された適応症について臨床試験から確立されたものと一致する安全性プロファイルを示した。更に、4週目において、臨床的寛解は、11.8%のプラセボ処置患者と比較して、GUS処置患者の20.0%で達成された。より大きな割合のGUS処置患者が、8週目におけるプラセボ処置患者(42.0%対15.7%)及び12週目目におけるプラセボ処置患者(54.0%対15.7%)と比較して臨床的寛解を達成した。同様に、BIO非奏効患者又はCON非奏効患者の各サブグループ内で、GUS処置患者は、プラセボと比較して4、8、及び12週目においてより高い臨床的寛解率を達成した。臨床応答及び臨床バイオマーカ応答を達成した患者の割合もまた、プラセボ処置患者と比較して、GUS処置患者の中で4、8、及び12週目に高かった。4週目から8週目~12週目を通じて、GUS処置患者での臨床応答の割合はそれぞれ44.0%から56.0%~66.0%に増加し、臨床バイオマーカ応答の割合は26.0%から43.3%~48.0%に増加した。対照的に、臨床応答及び臨床バイオマーカ応答を達成したプラセボ処置患者の割合は、それぞれ、4週目から8週目~12週目を通じて安定したままか又は減少し、それぞれ25.5%から25.5%~23.5%、及び13.7%から9.8%~7.8%であった。
【0414】
【0415】
【0416】
【0417】
【0418】
第24週までの第2相GALAXI1試験の結果
表4(以下)は、24週目前の患者の処置配置を示す。
図1は、全集団における24週目を通じてのCDAIスコアのベースラインからの平均変化を示す。グセルクマブ処置群の全ては、処置後4週目でさえ、プラセボと比較して、早期に始まる有意な改善を示した。これは、全集団及び亜集団における臨床応答及び寛解の同様の観察結果と解釈される。
図2及び
図3は、24週目を通じてのCDAIスコアのベースラインからの平均変化(
図2のBIO非奏効及び
図3のCON非奏効)を示す。
図4は、24週目を通じての異なる処置群における患者の臨床応答(CDAIによって測定)及び臨床的寛解(CDAIによって測定)を示す。表5及び6(以下)は、12週目(表5)及び24週目(表6)におけるプラセボに対するグセルクマブ及びウステキヌマブ対プラセボの安全性を示す。
【0419】
【0420】
【表6】
aUST約6mg/kg IV→90mg SC
b治験担当者によって評価された感染症
【0421】
【表7】
aプラセボには、プラセボを受けた参加者及び12週目にUSTと交差した参加者全てが含まれる
bUST約6mg/kg IV→90mg SC
c治験担当者によって評価された感染症
【0422】
疲労は、クローン病を有する患者によって頻繁に経験される一般的な衰弱症状である。疲労は、疾患活動性と相関し、健康関連の生活の質に悪影響を与え得るため、患者の疲労の正確な評価は重要である。この試験は、クローン病を有する患者における疲労の頻度及び重症度をそれぞれ評価した、患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)-疲労簡易フォーム7a(SF-7a)及び4a(SF-4a)スケールの精神的特性を評価した。
【0423】
ベースラインでは、PROMIS-疲労SF-7a(疲労頻度)及びSF-4a(疲労重症度)の平均±標準偏差値は、それぞれ58.8±8.29及び56.9±9.26であった。12週目において、PROMIS-疲労SF-7a及びSF-4aの平均値は、PGISカテゴリ及びCDAI四分位数(健康状態の悪化)での12週目における疾患重症度の増加傾向と相関しているが、IBDQ総スコア四分位数(より良好な健康)では減少傾向である。PROMIS-疲労スケールは、信頼性があり(クラス内係数≧0.77)、12週目におけるPGIS又はPGICによって評価された疾患重症度の変化を検出することができた。PROMIS-疲労スケールはまた、IBDQの「疲労を感じる」項目と強い相関関係(r=-0.81)を示し、IBDQ「直腸出血」項目と弱い相関(r=-0.25)を示し、収束的妥当性及び弁別性妥当性が更に確認された。ベースラインから12週目を通じて臨床的に重要な改善を評価するためのアンカー変数としてPGICを使用して、12週目において「少し良好」に感じることによる1レベルの変化(改善)は、それぞれPROMIS-疲労SF-7a及びSF-4aの4.2ポイント及び3.4ポイントの低下にそれぞれ関連していた。同様に、12週目において「中程度に良好」に感じることによる2レベルの変化は、PROMIS-疲労SF-7a及びSF-4aの5.5ポイント及び6.2ポイントの低下にそれぞれ関連していた。
【0424】
この精神的分析は、PROMIS-疲労SF-7a及びSF-4aスケールが有効であり、信頼性があり、かつ、感受性の高い評価であり、中等度から重度の活動性クローン病を有する患者の疲労を測定することを示した。4~6ポイントの平均PROMIS-疲労スケールスコアの変化は、臨床応答における臨床的に重要な改善を示した。
【0425】
IBDQは、4つの観点:腸症状、感情機能、全身症状、及び社会的機能での32項目のアンケートである。IBDQスコアは32~224の範囲であり、スコアが高いほど良好な生活の質を示す。IBDQスコアは、GUS組み合わせ及びプラセボ処置群について、ベースラインからの変化、IBDQ応答(ベースラインから16ポイント以上の改善として定義される)、及びIBDQ寛解(IBDQスコア≧170として定義される)について8週目及び12週目に評価された。USTは参照群であった。
【0426】
250人の患者を評価した。約50%が以前に生物学的療法非奏効であった。ベースラインの人口構成及び疾患の特徴は処置群間で概して類似していた。しかしながら、群間でいくつかの違いが観察され、最も注目すべきことには、GUS200mg IV群(11.7歳)と比較してGUS1200mg IV群(6.2歳)におけるわずかに低い疾患時間、及びプラセボ(117.3)と比較してGUS600mg IV群(131.4)におけるより高い平均ベースラインIBDQ合計スコアが含まれる。8週目及び12週目におけるベースラインからのIBDQスコアの変化を表7に示す。合計IBDQ及び4つのIBDQドメインの各々のベースラインからの平均変化は、プラセボ群と比較して、組み合わされたGUS群の患者間でより大きかった。
【0427】
8週目及び12週目にIBDQ応答を達成した患者の割合は、プラセボ:66.0%(99/150)及び73.3%(110/150)対37.3%(19/51)、及び41.2%(21/51)と比較して、組み合わせのGUS処置群においてより高かった。IBDQ寛解について類似の傾向が見られた:17.6%(9/51)及び21.6%(11/51)のプラセボ処置患者と比較して、組み合わせのGUS処置群の患者の中で、8週目及び12週目で、それぞれ44.7%(67/150)及び52.7%(79/150)は、IBDQ寛解を達成した。8週目及び12週目におけるUST処置患者の場合、85.7%(42/49)及び81.6%(40/49)は、IBDQ応答を達成し、55.1%(27/49)及び46.9%(23/49)は、IBDQ寛解を達成した。
【0428】
中程度から重度の活動性クローン病を有する患者では、GUS(組み合わせ)導入療法で処置された患者では、プラセボと比較して、8週目の早期におけるIBDQスコアのより大きな改善が報告された。プラセボと比較してGUSで処置された患者のより高い割合は、8週目及び12週目にIBDQ応答及び寛解を達成し、この処置効果(デルタとして)は8週目~12週目を通じて増加した。
【0429】
【表8】
*公称p値、全て<0.001
注記:各処置群についてのLS平均(CI)及びGUSとプラセボとの比較のためのp値は、応答としてのIBDQ合計又は観点スコアのベースラインからの変化を含むMMRM分析:処置群、訪問、ベースラインIBDQ合計若しくは観点スコア、BIO非奏効状態(はい、いいえ)、ベースラインCDAI階層化(≦300、>300)、処置群での訪問の相互作用期間、及び説明のための変数としてのベースラインIBDQ観点スコアでの訪問の相互作用期間に基づく。
【0430】
PRO-2症状寛解は、平均1日患者報告腹痛症状(なし、軽度、中程度、及び重度)及び液体又は非常に軟かい便の数(便頻度)に基づく有効性の測定である。本明細書における報告は、腹痛(AP)のベースラインからの変化、並びに中間分析コホートにおけるGUS対PBOによる導入後の排便頻度(SF)及びPRO-2寛解である。AP、SF、及びPRO-2症状寛解(1以下の1日平均APスコア、並びに3以下の1日平均SFスコア、すなわち、AP≦1及びSF≦3、並びにベースラインからのAP又はSFの悪化なし)を、プールされたGUS群対PBOについて、4週目~12週目を通じて評価した。USTは参照群であった。PBO及びGUSの平均ベースラインAPは、それぞれ2.04及び2.02であった。PBO及びGUSの平均ベースラインSFは、それぞれ5.51及び5.27であった。他のベースライン人口構成及び疾患特性は、処置群間で概して同様であった。
【0431】
GUSで処置された患者は、PBOと比較して、12週目を通じてAP及びSFのより大きな減少を有した。GUS処置患者の4、8、及び12週目におけるAPのベースラインからの平均変化は、それぞれ、-0.63、-0.91、及び-1.07であり、PBO処置患者では-0.37、-0.41、及び-0.32であった。GUS処置患者の4、8、及び12週目におけるSFのベースラインからの平均変化は、それぞれ、-1.83、-2.46、及び-2.77であり、PBOでは-0.82、-0.65、及び-0.94であった。4、8、及び12週目に、GUS処置患者の比率が高いほど、PBOと比較して、PRO-2寛解を達成した:18.0%、37.3%、及び44.0%に対して、11.8%、15.7%、及び17.6%。同様に、生物学的療法非奏効(BIO非奏効)又は従来療法非奏効(CON非奏効)であった患者の各サブグループ内で、GUS処置患者は、PBOと比較して4、8、及び12週目により高い割合のPRO-2寛解を達成した(表8)。GUS組み合わせ投与についての血清GUS濃度四分位数による12週目におけるPRO-2寛解のGUS処置患者の割合は、Q1については44.8%(<9.40μg/mL)、Q2については34.5%(9.40-<24.72μg/mL)、Q3については55.2%(24.72-<44.30μg/mL)、及びQ4については46.7%(≧44.30μg/mL)であり、したがって、曝露応答関係を示さなかった。
【0432】
GUS処置患者は、全てのベースライン後の訪問時にAP及びSFのより大きな減少を有した。更に、より高い割合の患者が、PBOと比較して導入投与の間にPRO-2寛解を達成した。全集団、並びにBIO非奏効及びCON非奏効サブグループの場合、GUS及びPBO処置患者間の違いは、GUS処置患者の割合が大きいほど早期にPRO-2寛解を達成することが経時的に増加した。小さなサンプルサイズにより、サブグループについての全体的な結論が制限される。12週目におけるPRO-2寛解については、曝露応答関係は観察されなかった。
【0433】
【0434】
【0435】
【0436】
実施例3-48週目における第2相GALAXI1試験の結果
結果
12週目に達成された臨床的寛解率(クローン病活動度指数[CDAI]<150)は、48週目に増加した。48週目に、患者の65%が<150のCDAIスコアを有し、これは臨床的寛解を示す。この比較的小規模な、UST参照アームを含む第2b相試験を通した処置において、IV GUSで導入され、続いてSC維持された患者は、48週目に高レベルの臨床有効性を達成した。安全性の結果は、承認された適応症における各処置の、十分に確立された安全性プロファイルと一致した。
【0437】
ベースラインから48週目までの平均変化及び臨床的に意味のある改善を、PROMIS-29ドメインのそれぞれについて評価した。疼痛強度のドメインについて、臨床的に意味のある改善は、疼痛数値評価スコアにおける≧3ポイントの改善として定義された。他のPR OSMIS-29ドメインについては、臨床的に意味のある改善は、Tスコアにおける≧5ポイントの改善として定義された。ベースラインから48週目までの平均変化及び臨床的に意味のある改善を、PROMIS-29ドメインのそれぞれについて評価した。疼痛強度のドメインについて、臨床的に意味のある改善は、疼痛数値評価スコアにおける≧3ポイントの改善として定義された。他のPR OSMIS-29ドメインについては、臨床的に意味のある改善は、Tスコアにおける≧5ポイントの改善として定義された。GUSによる導入及び維持処置は、48週目に中等度から重度の活動性CDを有する患者において、PROMIS-29ドメインによって測定されるように、健康関連の生活の質を改善するのに有効であった(表10参照)。
【0438】
【0439】
【表11-2】
a指定された分析時点前に、クローン病併用薬の禁止された変更をしたか、クローン病関連手術を受けたか、又は有効性の欠如のため若しくは悪化したクローン病のAEのために試験薬を中止した患者は、その時点から、ベースライン値が繰り越された。指定された分析時点前の任意の他の理由のために試験剤を中止した患者は、利用可能な場合、その時点から使用される観察されたデータを有した。
b指定された分析時点でPROMIS-29ドメインスコアを計算するのに不十分なデータを有していた患者は、欠損したデータを帰属させなかった。
【0440】
【表12】
a指定された分析時点前に、クローン病併用薬の禁止された変更をしたか、クローン病関連手術を受けたか、又は有効性の欠如のため若しくは悪化したクローン病のAEのために試験薬を中止した患者は、その時点から、PROMIS-29のドメインスコアの臨床的に意味のある改善を達成しなかったとものとみなされた。指定された分析時点前の任意の他の理由のために試験剤を中止した患者は、その時点からの、応答者及び非応答者ステータスを決定するために、利用可能な場合、使用される観察されたデータを有した。
b指定された分析時点でPROMIS-29のドメインスコアを計算するのに不十分なデータを有していた患者は、その時点で、PROMIS-29のドメインスコアにおいて、臨床的に意味のある改善を達成なかったものとみなされた。
cベースラインで≧3の疼痛強度数値評価スコアを有した、一次有効性分析セットの患者のうち、
【0441】
研究薬剤の中断は、48週目の前に低かった。臨床有効性評価にわたって、投与応答は観察されなかった(表12)。48週目に臨床的寛解を達成した患者の割合は、GUS投与群の間で、57.4~73.0%の範囲であった。臨床的寛解にある患者の大部分は、コルチコステロイドフリー寛解でもあった。48週目のコルチコステロイドフリー寛解率は、GUS投与群の間で、55.7~71.4%の範囲であった。PRO-2寛解率は、50.8~69.8%の範囲であり、臨床応答を達成する患者の割合は、GUS投与群の間で、67.2~84.1%の範囲であった。腹痛スコア≦1、又は液状若しくは非常に軟らかい便の1日平均回数≦3を達成する、患者の割合を表12に示す。UST群におけるアウトカムも、参考として表12に示す。
【0442】
表13は、48週目での有効性(臨床エンドポイント)の更なる尺度を示す。
【0443】
【表13】
CDAI、クローン病活動性指数;CI、信頼区間;PRO-2、患者報告アウトカム;AP、腹痛;
a指定された分析時点前に、クローン病併用薬の禁止された変更をしたか、クローン病関連手術を受けたか、又は有効性の欠如のため若しくは悪化したクローン病のAEのために試験薬を中止した患者は、その時点から、臨床的寛解、コルチコステロイドフリー臨床的寛解、PRO-2寛解、又は臨床応答のないものとみなされた。指定された分析時点前に、任意の他の理由のために試験薬を中止した患者は、その時点からの、応答者及び非応答者ステータスを決定するために、利用可能な場合、使用される観察されたデータを有した。
b指定された解析時点で、CDAIスコア、排便回数、又は腹痛スコアを計算するのに不十分なデータを有した患者は、その時点で、臨床的寛解、コルチコステロイドフリー寛解、PRO-2寛解、又は臨床応答のないものとみなされた。
cCIは、Wald統計に基づいた。
d指定された分析時点で、腹痛スコアを計算するのに不十分なデータを有していた患者は、その時点で、腹痛スコア≦1を有していないとみなされた。
e指定された分析時点で、液状便又は非常に軟らかい便の1日平均数を計算するのに不十分なデータを有していた患者は、液状便又は非常に軟らかい便の1日平均数≦3を有していないとみなされた。
【0444】
【0445】
【0446】
48週目まで、重要な安全性事象の割合は、GUS投与群間で同様であった(表14)。日和見感染、結核の症例、又は死亡は報告されなかった。
【0447】
【0448】
実施例4-96週目における第2相GALAXI1試験の結果
結果
48週目に達成された臨床的寛解率(クローン病活動度指数[CDAI]<150)は、96週目に、7.7%減少した。96週目に、患者の57.3%が、<150のCDAIスコアを有し、これは臨床的寛解を示す。この比較的小規模な、UST参照アームを含む第2b相試験を通した処置において、IV GUSで導入され、続いてSC維持された患者は、96週目に、高レベルの臨床有効性を達成した。安全性の結果は、承認された適応症における各処置の、十分に確立された安全性プロファイルと一致した。
【0449】
ベースラインから96週目までの、平均変化及び臨床的に意味のある改善を、PROMIS-29ドメインのそれぞれについて評価した。疼痛強度のドメインについて、臨床的に意味のある改善は、疼痛数値評価スコアにおける、≧3ポイントの改善として定義された。他のPROSMIS-29ドメインについては、臨床的に意味のある改善は、Tスコアにおける、≧5ポイントの改善として定義された。ベースラインから96週目までの、平均変化及び臨床的に意味のある改善を、PROMIS-29ドメインのそれぞれについて評価した。疼痛強度のドメインについて、臨床的に意味のある改善は、疼痛数値評価スコアにおける、≧3ポイントの改善として定義された。他のPROSMIS-29ドメインについては、臨床的に意味のある改善は、Tスコアにおける、≧5ポイントの改善として定義された。GUSによる導入及び維持処置は、96週目に中等度から重度の活動性CDを有する患者において、PROMIS-29ドメインによって測定されるように、健康関連の生活の質を改善するのに有効であった(表15参照)。
【0450】
【表16】
b100mg SC q8w列は、長期延長の開始時に100mg SC q8wを受けていた対象を含む。一部の対象は、長期延長の間にグセルクマブ200mg SC q4wに切り替えた可能性がある。
c200mg SC q4w列は、長期延長の開始時に200mg SCを受けていた対象を含む。一部の対象は、不十分な応答の基準を満たし、長期延長の間にグセルクマブ200mg SC q4wへの「偽」投与調整を受けた可能性がある。
dウステキヌマブ列は、ウステキヌマブに無作為化され、12週目にウステキヌマブに切り替えた対象を含む。この列は、長期延長の間にグセルクマブ200mg SC q4wに切り替えた可能性がある対象も含む。
e中間事象(ICE)ストラテジー:指定された分析時点前に、クローン病関連手術を受けたか(ICE 1)、又は有効性の欠如のために若しくは悪化したクローン病のAEのために試験薬を中止した(ICE 2)対象は、その時点から、ベースライン値が繰り越された。指定された分析時点前に、COVID-19制限/問題、効能の欠如、又は悪化するクローン病のAE(ICE 3)以外の理由のために試験薬を中止した対象は、その時点で利用可能であれば、それらの観察されたデータを使用した。指定された分析時点前に、COVID-19制限/問題(ICE 4)のために試験薬を中止した対象は、その時点以降に使用されるデータを有していなかった。52週目から80週目までのいずれかの訪問時に投与調整を行った(ICE 5)対象は、その時点から、ベースライン値が繰り越された。
f欠落データストラテジー:ICE規則を適用した後、指定された分析時点で、欠損PROMIS-29ドメインスコアを有した対象は、その時点で、それらの欠損データを帰属させなかった。
【0451】
【表17】
b100mg SC q8w列は、長期延長の開始時に100mg SC q8wを受けていた対象を含む。一部の対象は、長期延長の間にグセルクマブ200mg SC q4wに切り替えた可能性がある。
c200mg SC q4w列は、長期延長の開始時に200mg SCを受けていた対象を含む。一部の対象は、不十分な応答の基準を満たし、長期延長の間にグセルクマブ200mg SC q4wへの「偽」投与調整を受けた可能性がある。
dウステキヌマブの列は、ウステキヌマブに無作為化され、12週目にウステキヌマブに切り替えた対象を含む。この列は、長期延長の間にグセルクマブ200mg SC q4wに切り替えた可能性がある対象も含む。
e中間事象(ICE)ストラテジー:指定された分析時点前に、クローン病関連手術を受けた対象(ICE 1)、又は有効性の欠如若しくはクローン病の悪化のAE(ICE 2)のために試験薬を中止した対象は、その時点から、対応するPROMIS-29ドメインスコアにおいて、≧5ポイントの改善を達成しなかったとみなされた。指定された分析時点前に、COVID-19制限/問題、効能の欠如、又は悪化するクローン病のAE(ICE 3)以外の理由により試験薬を中止した対象は、その時点からの、応答者及び非応答者ステータスを決定するために、利用可能な場合、使用されるそれらの観察データを有した。指定された分析時点前に、COVID-19制限/問題(ICE 4)のために試験薬を中止した対象は、その時点以降に使用されるデータを有していなかった。52週目~80週目の任意の訪問時に投与調整を行った(ICE 5)対象は、その訪問から、対応するPROMIS-29ドメインスコアにおいて、≧5ポイントの改善を達成しなかったとみなされた。
f欠落データストラテジー:ICE規則を適用した後、指定された分析時点で、PROSMIS-29ドメインスコアが欠如した対象は、その時点で、対応するPROMIS-29ドメインスコアにおいて、≧5ポイントの改善を達成しなかったとみなされた。
【0452】
試験薬の中断は、96週目の前に低かった。臨床有効性評価にわたって、投与応答は観察されなかった(表17)。96週目に臨床的寛解を達成した患者の割合は、組み合わせたGUS投与群において、57.3%であった。臨床的寛解にある患者の大部分は、コルチコステロイドフリー寛解でもあった;.PRO-2寛解率は、53.5からの範囲であった。腹痛スコア≦1、又は液状若しくは非常に軟らかい便の1日平均回数≦3を達成する患者の割合を、表17に示す。UST群における転帰も、参考として表17に示す。
【0453】
【0454】
表18は、12週目、48週目、及び96週目に深い寛解にある患者の割合を示す。深い寛解は、臨床的寛解及び内視鏡的寛解を達成する患者として定義される。96週目に深い寛解を達成した患者の割合は、GUS投与群の間で16.4%~24.6%の範囲であった(表18)。96週目に深い寛解にあったのは、UST群の患者の6.3%のみであり、プラセボ群の患者はいなかった。
【0455】
【0456】
表19は、96週目における、有効性の追加の尺度(臨床エンドポイント)を示す。
図5は、96週目を通じての、異なる処置群における、患者の臨床的寛解(CDAIによって測定)を示す。
図6は、96週までの、BIO-非奏効及びCON非奏効処置群による、患者の臨床的寛解を示す。
【0457】
表19.96週目臨床エンドポイント
96週目まで、重要な安全性事象の割合は、GUS投与群間で同様であった(表19)。日和見感染、結核の症例、又は死亡は報告されなかった。
【0458】
【0459】
配列表
【0460】
【0461】
【0462】
【0463】
【0464】
【0465】
【0466】
【配列表】
【国際調査報告】