(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】Dドメイン含有ポリペプチドおよびその使用法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20241126BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20241126BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241126BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241126BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241126BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20241126BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241126BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20241126BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241126BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241126BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20241126BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20241126BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N5/10
C12Q1/02
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K35/17
A61P35/00
A61P35/02
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N5/0783
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528494
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 US2022079796
(87)【国際公開番号】W WO2023086983
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517350388
【氏名又は名称】アーセルクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ラフルール デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スワース ジェフリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ ジャスティン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA20
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QR80
4B063QS40
4B063QX10
4B065AA90X
4B065AB01
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4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書において、関心対象の標的に特異的に結合するDドメイン含有ポリペプチドが提供され、該Dドメイン含有ポリペプチドをコードする核酸、該核酸を含有するベクター、および該核酸と該ベクターとを含有する宿主細胞も提供される。本明細書において、該Dドメイン含有ポリペプチド、核酸、ベクター、および宿主細胞を作製する方法、ならびに、限定されるわけではないが診断的適用および治療的適用などにおいて該Dドメイン含有ポリペプチド、核酸、ベクター、および宿主細胞を使用する方法も提供される。本明細書において、多機能性キメラ抗原受容体(CAR)ベースの組成物、およびアダプター、ならびに免疫応答を標的細胞に向ける方法における該組成物および該アダプターの使用も提供される。いくつかの態様において、該方法は、アダプターと組み合わせたCAR発現細胞の使用を含む。該アダプターは、インビトロおよびインビボで、CAR発現細胞によって媒介される免疫応答をモジュレート、変更、および/または指示する能力を付与する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD123に特異的に結合しSEQ ID NO:14、8~13、15~32、または33のアミノ酸配列を含む、Dドメイン標的結合ドメインポリペプチド。
【請求項2】
異種ポリペプチドと融合している請求項1記載のDドメインを含み、
任意で、該異種ポリペプチドが、
(a)全長抗体もしくは抗体断片;
(b)Fcドメイン;
(c)膜貫通ドメイン;
(d)膜会合ドメイン;
(e)ヒト血清アルブミンもしくはその断片;
(f)AFPもしくはその断片;
(g)AFP p26もしくはその断片;または
(h)受容体の細胞外ドメインもしくはその断片
を含む、
ポリペプチド。
【請求項3】
標識されているか、または治療用物質もしくは細胞傷害性物質にコンジュゲートされている、請求項1または請求項2記載のポリペプチド。
【請求項4】
CD123に特異的に結合する請求項1記載のDドメインを含む標的結合ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含み、
任意で、
(a)該膜貫通ドメインが、CD8a、41BB、もしくはCD28の膜貫通ドメインを含み;
(b)該細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、もしくはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択され;かつ/または
(c)該細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、
キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項5】
SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む、請求項4記載のCAR。
【請求項6】
(a)CD123に特異的に結合する請求項1記載のDドメイン標的結合ドメインと、(b)抗原決定基(AD)とを含み、任意で該ADが、AFP p26ポリペプチドを含み、任意で該AFP p26ポリペプチドが、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、アダプター。
【請求項7】
CD123に特異的に結合する単一のDドメインまたはCD123に特異的に結合する2つのDドメインを含む、請求項6記載のアダプター。
【請求項8】
請求項1および請求項2記載のポリペプチドまたは請求項6もしくは請求項7記載のアダプターをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項3~5のいずれか一項記載のCARをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項10】
請求項3~5のいずれか一項記載のCARを発現するよう操作されており、任意で、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、細胞。
【請求項11】
請求項1および請求項2記載のタンパク質または請求項6もしくは請求項7記載のアダプターと、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項12】
請求項3~5のいずれか一項記載のCARを発現する細胞と、薬学的に許容される賦形剤とを含み、任意で、該細胞がT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、薬学的組成物。
【請求項13】
免疫応答を1つもしくは複数の標的細胞に送達するか、または標的細胞を死滅させる方法であって、
該標的細胞を含む組成物を、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む請求項3~5のいずれか一項のキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞と接触させる工程を含む、該方法。
【請求項14】
標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含む、免疫応答を標的細胞に送達するか、または標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)該標的細胞を含む組成物が、CARを発現する細胞をさらに含み、該CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)該アダプターが(i)CD123に結合する請求項1記載のDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含む、該方法。
【請求項15】
標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含む、該標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)該CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)該標的細胞を含む組成物が(i)CD123に結合する請求項1記載のDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターをさらに含む、該方法。
【請求項16】
標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞およびアダプターと接触させる工程を含む、該標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)該CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)該アダプターが(i)CD123に結合する請求項1記載のDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含む、該方法。
【請求項17】
患者において、免疫応答を標的細胞に送達するか、標的細胞を死滅させるか、またはがんを処置する方法であって、
(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む請求項3または請求項4記載のキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を該患者に投与する工程を含む、該方法。
【請求項18】
患者において、免疫応答を標的細胞に送達するか、標的細胞を死滅させるか、またはがんを処置する方法であって、
(i)CD123に結合する請求項1記載のDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを該患者に投与する工程を含む、該方法。
【請求項19】
(a)前記患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、該CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むか;
(b)前記患者が、CARを発現する細胞を含み、該CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むか;または
(c)前記方法が、CARを発現する細胞を投与する工程をさらに含み、該CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、
請求項18記載の方法。
【請求項20】
(a)CD123に結合する前記Dドメインが、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み;
(b)CD123に結合する前記Dドメインが、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み;
(c)前記膜貫通ドメインが、CD8a、41BB、もしくはCD28の膜貫通ドメインを含み;
(d)前記細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、もしくはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択され;
(e)前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含み;
(f)前記AFP p26 ADが、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み;
(g)AFP p26 ADに結合する前記ADBDが、AFP p26 ADに結合するDドメインを含み;
(h)AFP p26 ADに結合する前記ADBDが、SEQ ID NO:73、70~72、もしくは92~94のアミノ酸配列を含むDドメインを含み;
(i)AFP p26 ADに結合するDドメインを含む前記CARが、SEQ ID NO:68もしくは69のアミノ酸配列を含み;
(j)前記CARを発現する細胞が、免疫細胞、任意で、T細胞もしくはナチュラルキラー(NK)細胞であり;
(k)前記接触させる工程が、ヒト対象において行われ;
(l)前記CARを発現する細胞が、自己由来免疫細胞であり;
(m)前記標的細胞が、がん細胞であり;かつ/または
(n)前記がんが、急性骨髄性白血病(AML)もしくは高リスク骨髄異形成症候群である、
請求項13~19のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、2021年11月15日に出願された米国特許出願第63/279,489号に基づく恩典を主張する。
【0002】
電子的に提出された配列表の参照
本願と共に提出された、電子的に提出された配列表(名前:6666_0301_Sequence_Listing.xml;サイズ:163,868バイト;作成日:2022年11月6日)の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0003】
発明の分野
本発明の分野は、全体として、Dドメイン含有ポリペプチド、例えば、Dドメインを含む多機能性キメラ抗原受容体およびアダプター、ならびに、免疫応答を標的細胞に向けることなどによる処置の方法におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
遺伝子改変されたT細胞の養子移入は、がんに対する急速に進化中の革新的な処置である。キメラ抗原受容体(CAR)操作T細胞は、持続的な機能性免疫を提供する能力を有する再生可能な薬物である。CD19 CAR Tによる臨床的有効性が、様々な血液がんにおいて証明されており、他の遺伝子改変されたCAR Tについては、固形腫瘍において有望な初期臨床データが報告されている。しかしながら、CARテクノロジーの実質的な可能性をより完全に実現し得るようになるまでには、相当の課題を克服しなければならない。
【発明の概要】
【0005】
概要
一つの局面において、Dドメイン(DD)標的結合ドメインを含むタンパク質(DDpp)が、本明細書において提供され、ここで、DDは、関心対象の標的に特異的に結合する。いくつかの態様において、関心対象の標的は、ヒトCD123(SEQ ID NO:1)またはその断片である。いくつかの態様において、DDppは、1価または多価である。いくつかの態様において、DDppは、単一特異性または多重特異性である。さらなる態様において、DDppは、単一特異性かつ多価である。他の態様において、DDppは、多重特異性かつ多価である。1つまたは複数のDDを含む融合タンパク質も提供され、融合タンパク質を作製する方法および使用する方法も提供される。DDppをコードする核酸、ならびに核酸を含有するベクターおよび宿主細胞も、提供される。そのような使用の非限定的な例には、標的分析ならびに診断的適用および治療的適用が含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むCD123結合DDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDDを含む。
【0006】
一つの局面において、本開示は、開示されたDDを含む標的結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。いくつかの態様において、DDは、CD123に結合し、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDは、AFP p26(SEQ ID NO:37)に結合し、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、標的結合ドメインと膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、CARは、DD標的結合ドメインと同じまたは異なる標的を有する第2の標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、CARは、免疫細胞において発現される。いくつかの態様において、CARは、免疫エフェクター細胞において発現される。いくつかの態様において、免疫細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、自己由来T細胞(CAR-T細胞)または自己由来ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、同種免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、同種T細胞(CAR-T細胞)または同種ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、CARは、ヒト胚性幹細胞(CAR-hESC)または人工多能性幹細胞(CAR-iPSC細胞)に由来する免疫細胞において発現される。
【0007】
開示されたDDpp(例えば、DDpp融合タンパク質、CAR、またはアダプター)をコードする核酸も、提供される。さらに、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質、CAR、またはアダプター)をコードする核酸を含有するベクター(例えば、プラスミド、ウイルスベクター、および非ウイルスベクター)、ならびに核酸とベクターとを含有する宿主細胞が、提供される。いくつかの態様において、ベクターは、核酸分子によってコードされるポリペプチドの発現を制御するヌクレオチド配列を含む。さらなる態様において、ベクターは、誘導性プロモーター配列を含む。付加的な態様において、ベクターは、核酸によってコードされるタンパク質の発現のための1つまたは複数の付加的な標準的な成分(例えば、プロモーター、パッケージング成分等)を含む。いくつかの態様において、ベクターは、レンチウイルスベクターである。
【0008】
一つの局面において、本開示は、本明細書に開示される標的結合DDppをコードする核酸分子を含む宿主細胞も提供する。いくつかの態様において、宿主細胞(例えば、細胞株の細胞)は、本明細書に開示されるDD(例えば、SEQ ID NO:8~33のアミノ酸配列を有するDD)を含有するタンパク質を発現するよう操作されている。いくつかの態様において、宿主細胞によるDDpp(例えば、DDpp融合タンパク質またはアダプター)の発現は、DDppの作製および単離を可能にする。いくつかの態様において、発現は、宿主細胞の表面における、かつ/または膜内在的な、DDpp(例えば、CAR)の発現をもたらす。いくつかの態様において、宿主細胞は、細菌、酵母、真菌、または植物の細胞である。他の態様において、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。さらなる態様において、哺乳動物細胞は、免疫細胞である。一つの態様において、宿主細胞は、ヒト免疫細胞である。いくつかの態様において、ヒト免疫細胞は、T細胞である。他の態様において、ヒト免疫細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、ヒト免疫細胞は、その細胞表面にDDpp(例えば、CAR)を呈示する。
【0009】
一つの局面において、本開示は、本明細書に開示されるDDを含むタンパク質を発現する宿主細胞をさらに提供する。いくつかの態様において、宿主細胞は、本明細書に開示されるDDを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:8~33より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む標的結合ドメインと、膜貫通ドメインとを含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、(シグナル伝達ドメインを含む)細胞内ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫エフェクター細胞は、NK細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫エフェクター細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。いくつかの態様において、宿主細胞は、宿主免疫細胞によって発現される第1のCARと同じまたは異なる、がん細胞によって発現される標的(例えば、同じ標的の異なるエピトープまたは第2の関心対象の標的)に特異的に結合するDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を有する第2のCARポリペプチドをさらに含む免疫エフェクター細胞である。
【0010】
本明細書に開示されるDDを含むタンパク質、タンパク質をコードする本明細書に開示される核酸、核酸を含有する本明細書に開示されるベクター、タンパク質をコードするウイルス、ならびに核酸およびまたはベクターを含有する本明細書に開示される宿主細胞を含有する薬学的組成物も、提供される。開示された標的結合DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質、例えば、DD-FcおよびDD-CAR、またはアダプター)、核酸分子、ベクター、ならびに宿主細胞のうちの1つまたは複数を含有するキット(例えば、治療キット、診断キット、研究キット等)も、提供される。
【0011】
本明細書において提供されるDDppは、インビトロまたはインビボで関心対象の標的(例えば、CD123)に特異的に結合する能力、ならびにDDpp融合タンパク質などのタンパク質の、1つもしくは複数の付加的な部分(例えば、固体支持体)との連結もしくは会合、および/またはその他の改変のための反応部位として機能する能力を含むが、これらに限定されるわけではない活性を保有する。本明細書において提供されるDDppは、製造、製剤化、ならびに生物学的適用、診断的適用、および治療的適用において有用な付加的な望ましい特性および/または機能性も保有し得る。
【0012】
診断的適用および治療的適用においてDDppを使用する方法も提供される。一つの態様において、本開示は、関心対象の治療標的(例えば、CD123)に特異的に結合するDDpp(例えば、DDpp融合タンパク質、CAR、および/またはアダプター)を、治療的に有効な量、その必要のある対象に投与する工程を含む、疾患または障害を処置する方法を提供する。いくつかの態様において、疾患または障害は、がん、B細胞悪性腫瘍、免疫系の疾患もしくは障害、または感染である。開示されたDDppと共に、付加的な治療用物質を同時投与する工程を含む、疾患または障害を処置する方法も、提供される。いくつかの態様において、疾患または障害は、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、疾患または障害は、急性骨髄性白血病である。
【0013】
いくつかの態様において、本開示は、以下を提供する。
[1]CD123に特異的に結合しSEQ ID NO:8~32または33のアミノ酸配列を含むDドメイン標的結合ドメインを含む、タンパク質。
[2]DドメインがSEQ ID NO:8、13、14、または31~33のアミノ酸配列を含む、[1]のタンパク質。
[3]DドメインがSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、[1]のタンパク質。
[4]Dドメインが異種ポリペプチドと融合している、[1]~[3]のいずれかのタンパク質。
[5]異種ポリペプチドが全長抗体または抗体断片を含む、[4]のタンパク質。
[6]Dドメインが全長抗体重鎖のアミノ末端;全長抗体軽鎖のアミノ末端;全長抗体重鎖のカルボキシル末端;または全長抗体軽鎖のカルボキシル末端と融合している、[4]のタンパク質。
[7]異種ポリペプチドがFcドメインである、[4]のタンパク質。
[8]異種ポリペプチドが、
(a)膜貫通ドメイン;
(b)膜会合ドメイン;
(c)ヒト血清アルブミンまたはその断片;
(d)AFPまたはその断片;
(e)AFP p26またはその断片;および
(f)受容体の細胞外ドメインまたはその断片
からなる群より選択されるメンバーを含む、[4]のタンパク質。
[9]異種ポリペプチドが、BCMA、CD123、CS1、およびCD19からなる群より選択される受容体の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインの断片を含む、[4]のタンパク質。
[10]ペプチドリンカーをさらに含む、[2]~[9]のいずれかのタンパク質。
[11]標識されている、[1]~[10]のいずれかのタンパク質。
[12]標識が、酵素標識、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、およびビオチン部分からなる群より選択される、[11]のタンパク質。
[13]治療用物質または細胞傷害性物質とコンジュゲートされている、[1]~[12]のいずれかのタンパク質。
[14][1]~[3]のいずれかによるタンパク質を含む標的結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)。
[15]標的結合ドメインと膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、[14]のCAR。
[16]膜貫通ドメインがCD8a、41BB、またはCD28の膜貫通ドメインを含む、[14]または[15]のCAR。
[17]細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、[14]~[16]のいずれかのCAR。
[18]細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、[14]~[17]のいずれかのCAR。
[19]ペプチドリンカーをさらに含む、[14]~[18]のいずれかのCAR。
[20]SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む、[14]のCAR。
[21]SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む、[14]のCAR。
[22]Dドメイン標的結合ドメインと同じまたは異なる標的を有する第2の標的結合ドメインをさらに含む、[1]~[13]のいずれかのタンパク質または[14]~[21]のいずれかのCAR。
[23](a)CD123に特異的に結合しSEQ ID NO:8~32または33のアミノ酸配列を含むDドメイン標的結合ドメインと、(b)抗原決定基(AD)とを含む、アダプター。
[24]DドメインがSEQ ID NO:8、13、14、または31~33のアミノ酸配列を含む、[23]のアダプター。
[25]DドメインがSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、[23]のアダプター。
[26]ADがAFP p26またはその断片を含む、[23]~[25]のいずれかのアダプター。
[27]AFP p26が、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[26]のアダプター。
[28]AFP p26がSEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む、[26]のアダプター。
[29]AFP p26がSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む、[26]のアダプター。
[30]ADがBCMA(SEQ ID NO:34)またはその断片を含む、[23]~[25]のいずれかのアダプター。
[31]ペプチドリンカーをさらに含む、[23]~[30]のいずれかのアダプター。
[32]CD123に特異的に結合する単一のDドメインを含む、[23]~[31]のいずれかのアダプター。
[33]SEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含む、[32]のアダプター。
[34]SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む、[32]のアダプター。
[35]CD123に特異的に結合する2つのDドメインを含む、[23]~[31]のいずれかのアダプター。
[36]SEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含む、[35]のアダプター。
[37]SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む、[35]のアダプター。
[38][1]~[10]もしくは[22]のいずれかのタンパク質または[23]~[37]のいずれかのアダプターをコードする、単離されたポリヌクレオチド。
[39][38]のポリヌクレオチドを含むベクター。
[40]ポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質の発現を制御するヌクレオチド配列と機能的に連結されている、[39]のベクター。
[41][38]のポリヌクレオチドまたは[39]もしくは[40]のベクターを含む、宿主細胞。
[42][41]の宿主細胞を、タンパク質またはアダプターを産生するよう、適切な条件の下で培養する工程を含む、[1]~[10]もしくは[22]のいずれかのタンパク質または[23]~[37]のいずれかのアダプターを作製する方法。
[43][14]~[22]のいずれかのCARをコードする単離されたポリヌクレオチド。
[44][43]のポリヌクレオチドを含むベクター。
[45]ポリヌクレオチドが、ポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質の発現を制御するヌクレオチド配列と機能的に連結されている、[44]のベクター。
[46]レンチウイルスベクターである、[45]のベクター。
[47][43]のポリヌクレオチドまたは[44]~[46]のいずれかのベクターを含む、宿主細胞。
[48][14]~[22]のいずれかのCARを発現するよう操作された細胞。
[49]T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、[47]または[48]の細胞。
[50][1]~[13]または[22]のいずれかによるタンパク質と薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
[51][44]のベクターと薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
[52]ベクターがレンチウイルスベクターである、[51]の薬学的組成物。
[53][14]~[22]のいずれかのCARを発現する細胞と薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
[54]細胞がT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、[53]の薬学的組成物。
[55][23]~[37]のいずれかのアダプターを含むキット。
[56][44]のベクターを含むキット。
[57][14]~[22]のいずれかのCARを発現する細胞を含むキット。
[58]細胞がT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、[57]のキット。
[59]標的細胞を含む組成物を、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞と接触させる工程を含む、免疫応答を1つまたは複数の標的細胞に送達する方法。
[60]標的細胞を含む組成物を、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞と接触させる工程を含む、標的細胞を死滅させる方法。
[61]標的細胞がCD123を発現する、[59]または[60]の方法。
[62]CD123に結合するDドメインが、SEQ ID NO:8~32および338~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[59]~[61]のいずれかの方法。
[63]CD123に結合するDドメインが、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[59]~[61]のいずれかの方法。
[64]CD123に結合するDドメインがSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、[59]~[61]のいずれかの方法。
[65]膜貫通ドメインがCD8a、41BB、またはCD28の膜貫通ドメインを含む、[59]~[64]のいずれかの方法。
[66]細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、[59]~[65]のいずれかの方法。
[67]細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、[59]~[66]のいずれかの方法。
[68]CD123に結合するDドメインを含むCARが、SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む、[59]~[61]のいずれかの方法。
[69]CD123に結合するDドメインを含むCARが、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む、[59]~[61]のいずれかの方法。
[70]CARを発現する細胞が免疫細胞である、[59]~[61]のいずれかの方法。
[71]CARを発現する細胞が免疫エフェクター細胞である、[70]の方法。
[72]CARを発現する細胞がT細胞である、[70]の方法。
[73]CARを発現する細胞がナチュラルキラー(NK)細胞である、[70]の方法。
[74]標的細胞ががん細胞である、[58]~[73]のいずれかの方法。
[75]標的細胞が、急性骨髄性白血病(AML)細胞、骨髄異形成細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞、好ましくは、急性骨髄性白血病(AML)細胞である、[74]の方法。
[76]接触させる工程がヒト患者において行われる、[58]~[73]のいずれかの方法。
[77]標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含む、免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
(a)標的細胞を含む組成物が、CARを発現する細胞をさらに含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターが(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含む、方法。
[78]標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含む、免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
(a)標的細胞を含む組成物が、CARを発現する細胞をさらに含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターが(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含む、方法。
[79]標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含む、免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
(a)標的細胞を含む組成物が、CARを発現する細胞をさらに含み、CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターが(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含む、方法。
[80]標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含む、免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
(a)標的細胞を含む組成物が、CARを発現する細胞をさらに含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターが(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含む、方法。
[81]標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含む、免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
(a)CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物が(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターをさらに含む、方法。
[82]標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含む、免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
(a)CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物が(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをさらに含む、方法。
[83]標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含む、免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物が(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターをさらに含む、方法。
[84]標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含む、免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
(a)CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物が(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをさらに含む、方法。
[85]標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含む、標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)標的細胞を含む組成物が、CARを発現する細胞をさらに含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターが(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含む、方法。
[86]標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含む、標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)標的細胞を含む組成物が、CARを発現する細胞をさらに含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターが(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含む、方法。
[87]標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含む、標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)標的細胞を含む組成物が、CARを発現する細胞をさらに含み、CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターが(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含む、方法。
[88]標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含む、標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)標的細胞を含む組成物が、CARを発現する細胞をさらに含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターが(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含む、方法。
[89]標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含む、標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物が(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターをさらに含む、方法。
[90]標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含む、標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物が(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをさらに含む、方法。
[91]標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含む、標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物が(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターをさらに含む、方法。
[92]標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含む、標的細胞を死滅させる方法であって、
(a)CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物が(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをさらに含む、方法。
[93]標的細胞がCD123を発現する、[77]~[79]、[81]~[83]、[85]~[87]、または[89]~[91]のいずれかの方法。
[94]標的細胞が標的ADを発現する、[80]、[84]、[88]、または[92]のいずれかの方法。
[95]CD123に結合するDドメインが、SEQ ID NO:8~32および338~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[77]~[94]のいずれかの方法。
[96]CD123に結合するDドメインが、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[77]~[94]のいずれかの方法。
[97]CD123に結合するDドメインがSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、[77]~[94]のいずれかの方法。
[98]膜貫通ドメインがCD8a、41BB、またはCD28の膜貫通ドメインを含む、[77]~[97]のいずれかの方法。
[99]細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、[77]~[98]のいずれかの方法。
[100]細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、[77]~[99]のいずれかの方法。
[101]CD123に結合するDドメインを含むCARがSEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む、[77]~[94]のいずれかの方法。
[102]CD123に結合するDドメインを含むCARがSEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む、[77]~[94]のいずれかの方法。
[103]AFP p26 ADが、SEQ ID NO:37~43および44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、[77]~[102]のいずれかの方法。
[104]AFP p26 ADがSEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む、[77]~[103]のいずれかの方法。
[105]AFP p26 ADがSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む、[77]~[103]のいずれかの方法。
[106]AFP p26 ADに結合するADBDが、AFP p26 ADに結合するscFvを含む、[77]~[105]のいずれかの方法。
[107]AFP p26 ADに結合するADBDが、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む、[77]~[105]のいずれかの方法。
[108]AFP p26 ADに結合するDドメインが、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[107]の方法。
[109]AFP p26 ADに結合するDドメインがSEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む、[107]の方法。
[110]AFP p26 ADに結合するDドメインがSEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む、[107]の方法。
[111]AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARがSEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む、[107]の方法。
[112]AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARがSEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含む、[107]の方法。
[113]CARが、CD123以外のADに結合するADBDを含み、ADBDが腫瘍抗原に結合する、[77]~[112]のいずれかの方法。
[114]腫瘍抗原がBCMA、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1の群より選択される、[113]の方法。
[115]腫瘍抗原がBCMAである、[113]の方法。
[116]腫瘍抗原がCD19である、[113]の方法。
[117]腫瘍抗原がCD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38の群より選択される、[113]の方法。
[118](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターがSEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含む、[77]~[117]のいずれかの方法。
[119](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターがSEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む、[77]~[117]のいずれかの方法。
[120](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターがSEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含む、[77]~[117]のいずれかの方法。
[121](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターがSEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む、[77]~[117]のいずれかの方法。
[122]標的ADがCD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38より選択される、[77]~[121]のいずれかの方法。
[123]標的ADがCD19、CD22、CD123、BCMA、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択される、[77]~[121]のいずれかの方法。
[124]標的ADがBCMAである、[77]~[121]のいずれかの方法。
[125]標的ADがCD19である、[77]~[121]のいずれかの方法。
[126]CARを発現する細胞が免疫細胞である、[77]~[125]のいずれかの方法。
[127]CARを発現する細胞が免疫エフェクター細胞である、[126]の方法。
[128]CARを発現する細胞がT細胞である、[126]の方法。
[129]CARを発現する細胞がナチュラルキラー(NK)細胞である、[126]の方法。
[130]標的細胞ががん細胞である、[77]~[129]のいずれかの方法。
[131]標的細胞が急性骨髄性白血病(AML)細胞、骨髄異形成細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である、[130]の方法。
[132]標的細胞が急性骨髄性白血病(AML)細胞である、[130]の方法。
[133]接触させる工程がヒト患者において行われる、[77]~[132]のいずれかの方法。
[134]CARを発現する細胞およびアダプターを任意の順序でヒト患者に投与する工程を含む、[133]の方法。
[135]アダプターをヒト患者に投与する工程を含み、ヒト患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがある、[133]の方法。
[136]アダプターをヒト患者に投与する工程を含み、ヒト患者が、CARを発現する細胞を含む、[133]の方法。
[137](i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を患者に投与する工程を含む、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法。
[138](i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を患者に投与する工程を含む、その必要のある患者において標的細胞を死滅させる方法。
[139]標的細胞がCD123を発現する、[137]または[138]の方法。
[140]標的細胞ががん細胞である、[137]~[139]のいずれかの方法。
[141]標的細胞が、急性骨髄性白血病(AML)細胞、骨髄異形成細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞、好ましくは、急性骨髄性白血病(AML)細胞である、[140]の方法。
[142](i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を患者に投与する工程を含む、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法。
[143]リンパ球がCD123を発現する、[142]の方法。
[144]リンパ球がBリンパ球である、[142]または[143]の方法。
[145](i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を、その必要のある患者に投与する工程を含む、がんを処置する方法。
[146]がんが血液がんである、[145]の方法。
[147]血液がんが、急性白血病、慢性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、ヘアリーセル白血病、または骨髄異形成である、[146]の方法。
[148]血液がんが、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である、[146]の方法。
[149]血液がんがAMLである、[146]の方法。
[150]血液がんがBPDCNである、[146]の方法。
[151](i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を、その必要のある患者に投与する工程を含む、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法。
[152]自己免疫疾患または自己免疫障害がエリテマトーデスである、[146]の方法。
[153]CD123に結合するDドメインが、SEQ ID NO:8~32および338~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[137]~[152]のいずれかの方法。
[154]CD123に結合するDドメインが、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[137]~[152]のいずれかの方法。
[155]CD123に結合するDドメインがSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、[137]~[152]のいずれかの方法。
[156]膜貫通ドメインがCD8a、41BB、またはCD28の膜貫通ドメインを含む、[137]~[155]のいずれかの方法。
[157]細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、[137]~[156]のいずれかの方法。
[158]細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、[137]~[157]のいずれかの方法。
[159]CD123に結合するDドメインを含むCARがSEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む、[137]~[152]のいずれかの方法。
[160]CD123に結合するDドメインを含むCARがSEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む、[137]~[152]のいずれかの方法。
[161]CARを発現する細胞が免疫細胞である、[137]~[160]のいずれかの方法。
[162]CARを発現する細胞が免疫エフェクター細胞である、[161]の方法。
[163]CARを発現する細胞がT細胞である、[161]の方法。
[164]CARを発現する細胞がナチュラルキラー(NK)細胞である、[161]の方法。
[165]CARを発現する細胞を投与する工程が、CARを発現する細胞を含む薬学的組成物を投与することを含む、[137]~[164]のいずれかの方法。
[166](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法。
[167](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者において標的細胞を死滅させる方法。
[168]標的細胞がCD123を発現する、[166]または[167]の方法。
[169]標的細胞ががん細胞である、[166]~[168]のいずれかの方法。
[170]標的細胞が急性骨髄性白血病(AML)細胞、骨髄異形成細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞、好ましくは、急性骨髄性白血病(AML)細胞である、[168]の方法。
[171](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法。
[172]リンパ球がCD123を発現する、[171]の方法。
[173]リンパ球がBリンパ球である、[171]または[172]の方法。
[174](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、がんを処置する方法。
[175]がんが血液がんである、[174]の方法。
[176]血液がんが、急性白血病、慢性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、ヘアリーセル白血病、または骨髄異形成である、[175]の方法。
[177]血液がんが、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である、[175]の方法。
[178]血液がんがAMLである、[175]の方法。
[179]血液がんがBPDCNである、[175]の方法。
[180](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法。
[181]自己免疫疾患または自己免疫障害がエリテマトーデスである、[180]の方法。
[182]患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、[166]~[181]のいずれかの方法。
[183]患者が、CARを発現する細胞を含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、[166]~[181]の方法。
[184]CARを発現する細胞を投与する工程をさらに含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、[166]~[181]のいずれかの方法。
[185](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法。
[186](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者において標的細胞を死滅させる方法。
[187]標的細胞がCD123を発現する、[185]または[186]の方法。
[188]標的細胞ががん細胞である、[185]~[187]のいずれかの方法。
[189]標的細胞が、急性骨髄性白血病(AML)細胞、骨髄異形成細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞、好ましくは、急性骨髄性白血病(AML)細胞である、[187]の方法。
[190](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法。
[191]リンパ球がCD123を発現する、[190]の方法。
[192]リンパ球がBリンパ球である、[190]または[191]の方法。
[193](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、がんを処置する方法。
[194]がんが血液がんである、[193]の方法。
[195]血液がんが、急性白血病、慢性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、ヘアリーセル白血病、または骨髄異形成である、[194]の方法。
[196]血液がんが、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である、[194]の方法。
[197]血液がんがAMLである、[194]の方法。
[198]血液がんがBPDCNである、[194]の方法。
[199](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法。
[200]自己免疫疾患または自己免疫障害がエリテマトーデスである、[199]の方法。
[201]患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、[185]~[200]のいずれかの方法。
[202]患者が、CARを発現する細胞を含み、(a)CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、[185]~[200]のいずれかの方法。
[203]CARを発現する細胞を投与する工程をさらに含み、(a)CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、[185]~[200]のいずれかの方法。
[204](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[205](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者において標的細胞を死滅させる方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み、患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[206]標的細胞がCD123を発現する、[204]または[205]の方法。
[207]標的細胞ががん細胞である、[204]~[206]のいずれかの方法。
[208]標的細胞が、急性骨髄性白血病(AML)細胞、骨髄異形成細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞、好ましくは、急性骨髄性白血病(AML)細胞である、[206]の方法。
[209](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[210]リンパ球がCD123を発現する、[209]の方法。
[211]リンパ球がBリンパ球である、[209]または[210]の方法。
[212](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、がんを処置する方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[213]がんが血液がんである、[212]の方法。
[214]血液がんが、急性白血病、慢性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、ヘアリーセル白血病、または骨髄異形成である、[213]の方法。
[215]血液がんが、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である、[213]の方法。
[216]血液がんがAMLである、[213]の方法。
[217]血液がんがBPDCNである、[213]の方法。
[218](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[219]自己免疫疾患または自己免疫障害がエリテマトーデスである、[218]の方法。
[220](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を含み、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[221](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者において標的細胞を死滅させる方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を含み、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[222]標的細胞がCD123を発現する、[220]または[221]の方法。標的細胞が内皮細胞である、[220]~[222]のいずれかの方法を含めることができるか?
[223]標的細胞ががん細胞であるか、または標的細胞が内皮細胞である、[220]~[222]のいずれかの方法。
[224]標的細胞が、急性骨髄性白血病(AML)細胞、骨髄異形成細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞、好ましくは、急性骨髄性白血病(AML)細胞である、[222]の方法。
[225](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を含み、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[226]リンパ球がCD123を発現する、[225]の方法。
[227]リンパ球がBリンパ球である、[225]または[226]の方法。
[228](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、がんを処置する方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を含み、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[229]がんが血液がんである、[228]の方法。
[230]血液がんが、急性白血病、慢性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、ヘアリーセル白血病、または骨髄異形成である、[229]の方法。
[231]血液がんが、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である、[229]の方法。
[232]血液がんがAMLである、[229]の方法。
[233]血液がんがBPDCNである、[229]の方法。
[234](i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法であって、
患者が、CARを発現する細胞を含み、(a)CARが(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、方法。
[235]自己免疫疾患または自己免疫障害がエリテマトーデスである、[234]の方法。
[236](i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法。
[237](i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者において標的細胞を死滅させる方法。
[238]標的細胞が標的ADを発現する、[236]または[237]の方法。
[239]標的細胞ががん細胞である、[236]~[238]のいずれかの方法。
[240](i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法。
[241]リンパ球が標的ADを発現する、[240]の方法。
[242]リンパ球がBリンパ球またはTリンパ球である、[240]または[241]の方法。
[243](i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、がんを処置する方法。
[244]がんが血液がんである、[243]の方法。
[245]血液がんが、急性白血病、慢性白血病、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、ヘアリーセル白血病、または骨髄異形成である、[244]の方法。
[246]血液がんが、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である、[244]の方法。
[247]血液がんがAMLである、[244]の方法。
[248]血液がんがBPDCNである、[244]の方法。
[249](i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法。
[250]自己免疫疾患または自己免疫障害が関節リウマチである、[249]の方法。
[251]患者が、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、[236]~[250]のいずれかの方法。
[252]患者が、CARを発現する細胞を含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、[236]~[250]のいずれかの方法。
[253]CARを発現する細胞を投与する工程をさらに含み、CARが(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む、[236]~[250]の方法。
[254]CD123に結合するDドメインが、SEQ ID NO:8~32および338~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[166]~[253]のいずれかの方法。
[255]CD123に結合するDドメインが、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[166]~[253]のいずれかの方法。
[256]CD123に結合するDドメインがSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、[166]~[253]のいずれかの方法。
[257]膜貫通ドメインがCD8a、41BB、またはCD28の膜貫通ドメインを含む、[166]~[256]のいずれかの方法。
[258]細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、[166]~[257]のいずれかの方法。
[259]細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、[166]~[258]のいずれかの方法。
[260]AFP p26 ADが、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[166]~[259]のいずれかの方法。
[261]AFP p26 ADがSEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む、[166]~[260]のいずれかの方法。
[262]AFP p26 ADがSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む、[166]~[260]のいずれかの方法。
[263]AFP p26 ADに結合するADBDが、AFP p26 ADに結合するscFvを含む、[166]~[262]のいずれかの方法。
[264]AFP p26 ADに結合するADBDが、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む、[166]~[262]のいずれかの方法。
[265]AFP p26 ADに結合するDドメインが、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、[264]の方法。
[266]AFP p26 ADに結合するDドメインがSEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む、[264]の方法。
[267]AFP p26 ADに結合するDドメインがSEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む、[264]の方法。
[268]AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARがSEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む、[264]の方法。
[269]AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARがSEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含む、[264]の方法。
[270]CARが、CD123以外のADに結合するADBDを含み、ADBDが腫瘍抗原に結合する、[166]~[269]のいずれかの方法。
[271]腫瘍抗原がBCMA、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1の群より選択される、[270]の方法。
[272]腫瘍抗原がBCMAである、[270]の方法。
[273]腫瘍抗原がCD19である、[270]の方法。
[274]腫瘍抗原がCD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38の群より選択される、[270]の方法。
[275](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターがSEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含む、[166]~[274]のいずれかの方法。
[276](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターがSEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む、[166]~[274]のいずれかの方法。
[277](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターがSEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含む、[166]~[274]のいずれかの方法。
[278](i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターがSEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む、[166]~[274]のいずれかの方法。
[279]標的ADがCD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38より選択される、[166]~[278]のいずれかの方法。
[280]標的ADがCD19、CD22、CD123、BCMA、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択される、[166]~[278]のいずれかの方法。
[281]標的ADがBCMAである、[166]~[278]のいずれかの方法。
[282]標的ADがCD19である、[166]~[278]のいずれかの方法。
[283]標的ADがCD45である、[166]~[278]のいずれかの方法。
[284]CARを発現する細胞が免疫細胞である、[166]~[278]のいずれかの方法。
[285]CARを発現する細胞が免疫エフェクター細胞である、[284]の方法。
[286]CARを発現する細胞がT細胞である、[284]の方法。
[287]CARを発現する細胞がナチュラルキラー(NK)細胞である、[284]の方法。
[288]標的細胞ががん細胞である、[166]~[287]のいずれかの方法。
[289]標的細胞が、急性骨髄性白血病(AML)細胞、骨髄異形成細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である、[288]の方法。
[290]標的細胞が急性骨髄性白血病(AML)細胞である、[288]の方法。
[291]CARを発現する細胞、およびアダプターが、任意の順序で別々に投与される、[166]~[290]のいずれかの方法。
[292]アダプターを投与する工程が、アダプターを含む薬学的組成物を投与することを含む、[166]~[291]のいずれかの方法。
[293]アダプターおよびCARを発現する細胞を投与することが、アダプターを含む薬学的組成物、およびCARを発現する細胞を含む薬学的組成物を投与することを含む、[166]~[291]のいずれかの方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】MBP融合物としての8W9C変異体のスクリーニング。8W9C変異体(変異8W9C)の各種クローンを、CD123への結合(CD123結合)および発現(MBP結合)について、ELISAによってスクリーニングした。野生型対照(8W9C)、高親和性対照(5B7L)、低親和性対照(5S5W)、および非結合性対照(a3D)の1つまたは複数の複製物を、比較のためにアッセイした。
【
図2】MBP融合物としての8W9C変異体のCD123結合。8W9C変異体(6Z5Eおよび4H2H)を、CD123への結合(CD123結合)について、ELISAによってアッセイした。野生型対照(8W9C)、高親和性対照(5B7L)、および低親和性対照(5S5W)を、比較のためにアッセイした。
【
図3】MBP融合物としての8W9C変異体のCD123結合。8W9C変異体(1J1K)を、CD123への結合(CD123結合)について、ELISAによってアッセイした。野生型対照(8W9C)、高親和性対照(5B7L)、および低親和性対照(5S5W)を、比較のためにアッセイした。
【
図4】アダプターとしての6T1D変異体の細胞結合。各種バリアント6T1D変異体を、CD123発現OCI-AML2細胞への結合について、フローサイトメトリーによって、様々な濃度でアッセイした。結合は、平均蛍光強度(MFI)によって測定された。
【
図5】sparXタンパク質によるCAR T細胞のNFAT活性化。JNL10/8G8V-CARを、CD123発現MOLM13標的細胞および様々な濃度のCD123特異的アダプタータンパク質の存在下で、活性化についてアッセイする。試料には、6T1Dの親和性改変型バリアント(例えば、3F4Nおよび4R8U)が含まれた。親Dドメイン対照(6T1D)および非結合性対照(a3D)を、比較のためにアッセイする。
【
図6】CD123特異的アダプタータンパク質と共に培養されたCAR T細胞のNFAT活性化。JNL10/8G8V-CARを、CD123発現を欠くMOLM13細胞(MOLM13(CD123-/-))および様々な濃度のsparXタンパク質の存在下で、活性化についてアッセイする。試料には、6T1Dの親和性改変型バリアント(例えば、3F4Nおよび4R8U)が含まれた。親Dドメイン対照(6T1D)および非結合性対照(a3D)を、比較のためにアッセイした。
【
図7】CD123特異的アダプタータンパク質と共に培養されたCAR T細胞のIL-2産生。8G8V-CARを発現する初代T細胞を、MOLM13標的細胞および様々な濃度のアダプタータンパク質の存在下で、IL-2発現についてアッセイした。試料には、6T1Dの親和性改変型バリアント(例えば、3F4Nおよび4R8U)が含まれた。親Dドメイン対照(6T1D)および非結合性対照(a3D)を、比較のためにアッセイした。
【
図8】CD123特異的アダプタータンパク質と共に培養されたCAR T細胞のIFNγ産生。8G8V-CARを発現する初代T細胞を、MOLM13標的細胞および様々な濃度のアダプタータンパク質の存在下で、IFNγ発現についてアッセイした。試料には、6T1Dの親和性改変型バリアント(例えば、3F4Nおよび4R8U)が含まれた。親Dドメイン対照(6T1D)および非結合性対照(a3D)を、比較のためにアッセイした。
【
図9】CD123特異的アダプタータンパク質および標的細胞と共に培養された8G8V-CAR T細胞のNFAT活性化。JNL10/8G8V-CARを、MOLM13標的細胞および様々な濃度のアダプタータンパク質の存在下で、活性化についてアッセイした。試料には、6T1Dの親和性改変型バリアント(例えば、3F4N、4R8U、0C8S、および5B1Q)が含まれた。親Dドメイン対照(6T1D)および非結合性対照(a3D)を、比較のためにアッセイした。
【
図10】CD123特異的アダプタータンパク質と共に培養された8G8V-CAR T細胞による標的細胞の溶解。様々な濃度のアダプタータンパク質の存在下での初代8G8V-CAR T細胞によるMOLM13標的細胞溶解をアッセイした。試料には、6T1Dの親和性改変型バリアント(例えば、3F4N、4R8U、0C8S、および5B1Q)が含まれた。親Dドメイン対照(6T1D)および非結合性対照(a3D)を、比較のためにアッセイした。
【
図11】8G8V-CAR T細胞によるIFNγ産生。初代8G8V-CAR T細胞を、MOLM13標的細胞および様々な濃度のCD123特異的アダプタータンパク質の存在下で、IFNγ産生について、ELISAによってアッセイした。試料には、6T1Dの親和性改変型バリアント(例えば、3F4N、4R8U、0C8S、および5B1Q)が含まれた。親Dドメイン対照(6T1D)および非結合性対照(a3D)を、比較のためにアッセイした。
【
図12】8G8V-CAR T細胞によるIL-2産生。初代8G8V-CAR T細胞を、MOLM13標的細胞および様々な濃度のCD123特異的アダプタータンパク質の存在下で、IL-2産生について、ELISAによってアッセイした。試料には、6T1Dの親和性改変型バリアント(例えば、3F4N、4R8U、0C8S、および5B1Q)が含まれた。親Dドメイン対照(6T1D)および非結合性対照(a3D)を、比較のためにアッセイする。
【
図13】8G8V-CAR TおよびCD123特異的アダプタータンパク質による標的細胞の溶解。NALM6-CD123+細胞を、様々な濃度のアダプタータンパク質の存在下で、初代8G8V-CAR T細胞によって溶解した。試料には、低親和性Dドメイン(4G0D)、高親和性Dドメイン(5B1Q)、および親Dドメイン(6T1D)から構成されたアダプタータンパク質の1価フォーマットおよび2価フォーマットの両方が含まれた。非結合性対照(a3D)を、比較のためにアッセイする。
【
図14】Dd-X CD123特異的Dドメインのインビボ有効性を、MOLM14-GFP/ルシフェラーゼ腫瘍モデルを使用して査定した。影付きの領域は、Dd-Xアダプター中止を示す。q.o.d.隔日;q.d.毎日。
【
図15】Dd-X CD123特異的Dドメインのインビボ有効性を、播種性MV4-11腫瘍モデルを使用して査定した。影付きの領域は、Dd-Xアダプター中止を示す。q.d.毎日。
【
図17】Dd-X CD123特異的Dドメインは、複数の患者由来AML異種移植片を除去するか、またはコントロールする。処置後の生着AML細胞(hCD45+CD3-)を表す骨髄内の生細胞の割合が示される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
本明細書において使用されるセクションの見出しは、整理のためのものに過ぎず、記載された主題を限定するものと決して解釈されるべきでない。
【0016】
用語の定義
「含む」という語によって本明細書に態様が記載される場合には常に、「からなる」および/または「から本質的になる」という用語で記載される、その他の点では類似している態様も提供されることが理解される。しかしながら、移行句として特許請求の範囲において使用される時には、各々、別々に、適切な法的な事実に基づく文脈で解釈されるべきである(例えば、「含む」は、よりオープンエンドの語句と見なされ、一方で、「からなる」は、より排他的であり、「から本質的になる」は、中間点にある)。
【0017】
本明細書において使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、他に示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0018】
本明細書において、「Aおよび/またはB」などの語句において使用される「および/または」という用語は、AおよびBの両方;AまたはB;A(単独);ならびにB(単独)を含むものとする。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句において使用される「および/または」という用語は、以下の態様の各々を包含するものとする:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)。
【0019】
「約」という用語は、本明細書において使用されるように、測定可能な値、例えば、量、持続時間、および当技術分野において公知のその他の測定可能な値をさす時、明記された値の±20%、または、いくつかの態様において、±10%、または、いくつかの態様において、±5%、または、いくつかの態様において、±1%、または、いくつかの態様において、±0.1%の変動を包含するものとするが、それは、そのような変動が、開示された方法を実施するために適切であるためである。
【0020】
「キメラ抗原受容体」または「CAR」とは、本明細書において使用されるように、抗原または標的に対する特異性を、細胞(例えば、T細胞、例えば、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、NK細胞、NKT細胞、またはそれらの組み合わせ)に移植する操作された受容体をさす。CARは、人工T細胞受容体、キメラT細胞受容体、またはキメラ免疫受容体としても公知である。
【0021】
「アダプター」という用語は、本明細書において使用されるように、抗原決定基(AD)と抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むマルチドメイン可溶性タンパク質をさし、ここで、ADBDは、第2のADに結合する。そのADおよびそのADBDに加えて、アダプターは、付加的なAD、付加的なADBD、および/またはその他の付加的なドメインを含み得る。
【0022】
「抗原決定基結合ドメイン」または「ADBD」という用語は、本明細書において使用されるように、標的抗原決定基(AD)の認識および特異的結合を付与するために十分なポリペプチド(例えば、アダプターまたはCAR)の配列をさす。いくつかの態様において、ADBDは、抗原結合抗体断片、scFv、または抗体もしくは抗体断片の配列に基づくものではない抗原結合ペプチド(例えば、Dドメインもしくはアフィボディ)である。いくつかの態様において、ADBDには、非抗体ベースの結合足場(例えば、Dドメイン、アフィボディ、フィブロネクチンドメイン、ナノボディ、リポカリンドメイン、アンキリンドメイン、マキシボディ(maxybody)、プロテインAドメイン、またはアフィリン(affilin)ドメイン)が含まれる。いくつかの態様において、ADBDは、Dドメインである。いくつかの態様において、ADBDは、抗体ベースの結合配列である。いくつかの態様において、ADBDは、scFvまたはドメイン抗体(dAb)である。いくつかの態様において、ADBDは、細胞表面上の標的抗原に結合する能力を有する。いくつかの態様において、ADBDは、免疫エフェクター細胞の表面上の標的抗原に結合する能力を有する。いくつかの態様において、ADBDは、増殖因子受容体、免疫制御受容体、またはホルモン受容体に結合する能力を有する。
【0023】
具体的な態様において、ADBDは、標的抗原決定基の認識および特異的結合を付与するために十分である非抗体足場ベースのポリペプチド配列である。いくつかの態様において、非抗体ベースのADBDは、細胞の表面上の標的抗原に結合する能力を有するポリペプチドである。いくつかの態様において、非抗体ベースのADBDは、増殖因子受容体、免疫制御受容体、またはホルモン受容体に結合する能力を有する。いくつかの態様において、ADBDは、Dドメインベースのポリペプチドである。具体的な態様において、ADBDは、標的抗原決定基の認識および特異的結合を付与するために十分であるDドメインベースのポリペプチドである。いくつかの態様において、ADBDは、細胞の表面上の標的抗原に結合する能力を有するDドメインベースのポリペプチドである。いくつかの態様において、ADBDは、増殖因子受容体、免疫制御受容体、またはホルモン受容体に結合する能力を有するDドメインベースのポリペプチドである。いくつかの態様において、ADBDは、血清タンパク質上の標的抗原に結合する能力を有するDドメインベースのポリペプチドである。
【0024】
「Dドメイン」という用語は、参照足場配列:
のある特定の配列特徴およびある特定の構造特徴を共有する標的結合ポリペプチドをさす(参照によりその全体が本明細書に各々組み入れられるWO 2016/164305およびWO 2016/164308を参照すること)。この参照足場は、タンパク質折り畳みにおける試み(exercise)として最初に操作された、天然に存在しない、標的なしの逆平行3ヘリックス束参照ポリペプチドのバリアントである(参照によりその全体が本明細書に組み入れられるWalsh et al.,PNAS 96:5486-5491(1999)を参照すること)。この参照足場は、既知の標的結合活性を有しないが、SEQ ID NO:1のアミノ酸配列を有する、参照足場の改変を含有するポリペプチドは、関心対象の標的に特異的に結合し得ることが発見された。したがって、Dドメイン、またはDドメインを含む分子は、標的分子に特異的に(非ランダムに)結合することができる。理論に拘束されることを望むものではないが、Dドメインの設計においては、(改変され得る)表面に露出した残基の構造的制約が、表面に露出した残基の、関心対象の標的に特異的に結合する能力を付与すると考えられる。いくつかの態様において、Dドメインは、一般に、70~75アミノ酸残基からなる。いくつかの態様において、Dドメインは、20までの置換によって、SEQ ID NO:2の配列を有する参照足場のアミノ酸配列と(例えば、アミノ酸改変のため)異なるアミノ酸配列を含む。具体的な態様において、Dドメインは、配列LAAIKTRLQ(SEQ ID NO:49)を含有しない。
【0025】
「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合を介して連結されたアミノ酸に由来する単位を含む生物学的ポリマーをさすため、本明細書において交換可能に使用され;タンパク質は、2本以上のポリペプチド鎖から構成され得る。
【0026】
「抗体」または「免疫グロブリン」という用語は、本明細書において交換可能に使用されるように、全長抗体、および抗体断片、例えば、抗体の機能性ドメイン、例えば、抗原結合断片もしくはその単鎖、エフェクタードメイン、サルベージ受容体結合エピトープ、またはそれらの一部分を含む。典型的な抗体は、ジスルフィド結合によって相互に接続された少なくとも2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖を含む。各重鎖は、(本明細書においてVHと略記される)重鎖可変領域と重鎖定常領域とから構成される。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3という3つのドメインから構成される。各軽鎖は、(本明細書においてVLと略記される)軽鎖可変領域と軽鎖定常領域とから構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインClから構成される。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FW)と呼ばれる、より保存された領域が散在している、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分される。VHおよびVLは、各々、アミノ末端からカルボキシル末端へ、FW1、CDR1、FW2、CDR2、FW3、CDR3、FW4の順に配置される、3つのCDRおよび4つのFWから構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、宿主の組織または因子、例えば、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(C1q)との免疫グロブリンの結合を媒介することができる。本開示の抗体の例には、典型的な抗体、scFv、およびそれらの組み合わせが含まれ、ここで、例えば、DDppは、典型的な完全(全長)抗体の重鎖および/もしくは軽鎖のいずれかのN末端に(例えば、ペプチド結合を介して、もしくは化学的リンカーを介して)共有結合的に連結されるか、または全長抗体のH鎖および/もしくはL鎖にインターカレートされる。
【0027】
「抗体断片」という用語は、インタクト抗体の一部分をさし、抗体の任意の機能ドメイン、例えば、抗原結合断片またはその単鎖、エフェクタードメインまたはその一部分、およびサルベージ受容体結合エピトープまたはその一部分をさす。抗体断片の例には、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、およびFv断片、直鎖抗体、単鎖抗体、ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。「抗体断片」には、本明細書において使用されるように、抗原結合部位またはエピトープ結合部位が含まれる。一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、エフェクタードメインまたはその一部分を含む。一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、サルベージ受容体結合エピトープまたはその一部分を含む。
【0028】
「単鎖可変断片」または「scFv」抗体という用語は、本明細書において使用されるように、リンカーペプチドによって接続された重鎖および軽鎖の可変領域のみを含む抗体の形態(例えば、抗体断片)をさす。scFvは、VL-リンカー-VHを含んでもよいか、またはVH-リンカー-VLを含んでもよい。scFv抗体は、一般に、220~250アミノ酸長であり、10~25アミノ酸長のリンカーを含有する。一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、DDppとscFvとを含む。
【0029】
本明細書において使用されるように、「Fc領域」または単に「Fc」という用語は、免疫グロブリン鎖定常領域のカルボキシル末端部分、好ましくは、免疫グロブリン重鎖定常領域またはその一部分を意味すると理解される。例えば、免疫グロブリンFc領域は、(1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、(2)CH1ドメインおよびCH2ドメイン、(3)CH1ドメインおよびCH3ドメイン、(4)CH2ドメインおよびCH3ドメイン、または(5)2つ以上のドメインと免疫グロブリンヒンジ領域との組み合わせを含み得る。したがって、様々な態様において、Fcとは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、IgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメインと、これらのドメインのN末端側にある可動性ヒンジとをさす。IgAおよびIgMの場合、Fcは、J鎖を含み得る。IgGの場合、Fcは、免疫グロブリンドメインCγ2およびCγ3、ならびにCγlとCγ2との間のヒンジを含む。好ましい態様において、免疫グロブリンFc領域は、免疫グロブリンのヒンジ領域、CH2ドメイン、およびCH3ドメインを少なくとも含み、好ましくは、CH1ドメインを欠く。一つの態様において、重鎖定常領域が由来する免疫グロブリンのクラスは、IgG(Igγ)(γサブクラス1、2、3、または4)である。免疫グロブリンの他のクラス、IgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)、およびIgM(Igμ)が使用されてもよい。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、一般的には、残基C226またはp260からカルボキシル末端までを含むよう定義され、ここで、ナンバリングは、Kabatに記載のEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,NIH,Bethesda,Md.(1991))による。Fcとは、単離されているこの領域をさす場合もあるか、または全長抗体、抗体断片、もしくはFc融合タンパク質の状況におけるこの領域をさす場合もある。EUインデックスによってナンバリングされた270位、272位、312位、315位、356位、および358位を含むが、これらに限定されるわけではない、多数の異なるFcの位置に、多形が観察されており、したがって、提示された配列と従来技術の配列との間には、わずかな差異が存在し得る。適切な免疫グロブリン重鎖定常領域の選択は、参照によりその全体が本明細書に各々組み入れられる米国特許第5,541,087号および同第5,726,044号に詳細に記述されている。特定の結果を達成するための、ある特定の免疫グロブリンのクラスおよびサブクラスからの特定の免疫グロブリン重鎖定常領域配列の選択は、当業者のレベルの範囲内にあると考えられる。免疫グロブリンFc領域をコードするDNA構築物の一部分は、好ましくは、ヒンジドメインの少なくとも一部分、および、好ましくは、FcγのCH3ドメインの少なくとも一部分、またはIgA、IgD、IgE、もしくはIgMのいずれかにおける相同ドメインを含む。さらに、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸の置換または欠失は、本明細書に開示される方法および組成物の実施において有用であり得ることが企図される。一例は、Fc受容体に対する低下した親和性を有するFcバリアントを作出するためのアミノ酸置換をCH2領域上部へ導入することであろう(Cole,J.Immunol.159:3613(1997))。
【0030】
「抗体依存性細胞傷害」または「ADCC」とは、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が、標的細胞上に結合した抗体を認識し、その後、標的細胞の溶解(またはその他の細胞傷害効果)を引き起こす、細胞によって媒介される反応をさす。関心対象の分子のADCC活性を査定するためには、当技術分野において公知の任意のインビトロADCCアッセイ、例えば、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されたものを使用することができる。そのようなアッセイのために有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が含まれるが、これらに限定されるわけではない。あるいは、または、さらに、インビボで、例えば、動物モデル、例えば、Clynes et al.PNAS 95:652 656(1998)に開示されたものにおいて、関心対象の分子のADCC活性を査定することができる。
【0031】
「リンカー」、「スペーサー」、および「ヒンジ」という用語は、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの、もしそれがなければ独立している2つ以上の機能ドメインの間に位置するペプチドまたはその他の化学的連結をさすため、本明細書において交換可能に使用される。例えば、リンカーは、アダプターの抗原決定基(AD)ドメインと抗原決定基結合ドメイン(ADBD)との間に位置し得る。同様に、リンカーは、CARの2つの抗原決定基結合ドメインの間、または抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置し得る。いくつかの態様において、リンカーは、DDpp融合タンパク質のDDppと別のポリペプチドとの間に位置するペプチドまたはその他の化学的連結である。アダプターの2つ以上のドメインをカップリングするのに適したリンカーは、本明細書に記載されており、かつ/またはその他の方法で当業者に明らかであろう。
【0032】
「機能的に連結された」という用語は、本明細書において使用されるように、(各分子が機能活性を有すると仮定して)各分子が単独で有する機能的活性の少なくともいくらかのレベルを各々保持するよう、2つの分子が付着していることを示す。ある態様において、一方の分子が機能的活性を有していない時、他方の分子がその機能的活性の少なくともいくらかのレベルを保持していれば、その一方の分子は、その他方の分子と機能的に連結されている。機能的に連結された、とは、2つの非機能性分子の連結をさすこともできる。2つの分子は、直接付着しているか、間接的に(例えば、リンカーを介して)付着しているかに関わらず、「機能的に連結された」ものであり得る。
【0033】
「特異的に結合する」、「に対する選択的親和性を有する」、「結合する」、または「結合すること」という用語は、結合剤、例えば、DDppが、別の物質、例えば、標的エピトープ、タンパク質、または標的分子と無関係のタンパク質より、高頻度に、迅速に、長い持続時間で、大きい親和性で、または前記の何らかの組み合わせで、エピトープ、タンパク質、または標的分子と反応するか、または会合することを意味するため、交換可能に使用される。異なる種の相同タンパク質の間の配列同一性のため、特異的結合は、いくつかの態様において、複数の種のタンパク質または標的を認識する結合剤を含み得る。同様に、異なるタンパク質のポリペプチド配列のある特定の領域における相同性のため、特異的結合は、複数のタンパク質または標的を認識する結合剤を含み得る。ある特定の態様において、第1の標的に特異的に結合する結合剤は、第2の標的に特異的に結合する場合もあるか、または結合しない場合もあることが理解される。そのため、「特異的結合」は、排他的結合、例えば、単一の標的への結合を(含み得るが)必ずしも必要としない。したがって、結合剤は、ある特定の態様において、複数の標的に特異的に結合してもよい。ある特定の態様において、複数の標的が、結合剤上の同じ抗原結合部位によって結合されてもよい。
【0034】
「標的」とは、DDpp、例えば、DDpp融合タンパク質によって、DDpp融合タンパク質の他の成分、例えば、抗体もしくは抗体可変ドメイン断片によって、アダプターもしくはCARによって、またはDDpp融合タンパク質、アダプター、もしくはCARの成分、例えば、抗原決定基結合ドメインによって結合され得る任意の分子、または分子の組み合わせをさす。
【0035】
「エピトープ」および「抗原決定基」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、特定の結合剤(例えば、DDppまたは抗体)によって認識され、特異的に結合され得る、任意の分子(例えば、関心対象の標的、例えば、CD123またはAFP p26)の一部分をさす。認識される分子がポリペプチドである場合、エピトープは、連続アミノ酸から形成されてもよいか、タンパク質の三次折り畳みによって並置された非連続アミノ酸および/または分子のその他の化学活性表面基(例えば、炭水化物)から形成されてもよい。連続アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、タンパク質変性時に保持されるが、三次折り畳みによって形成されたエピトープは、典型的には、タンパク質変性時に失われる。エピトープは、典型的には、少なくとも3個のアミノ酸、より一般的には、少なくとも5または8~10個のアミノ酸を、独特の空間的コンフォメーションで含む。
【0036】
「ペプチドタグ」とは、本明細書において使用されるように、結果として生じる融合物に機能を提供するため、別のタンパク質の一部になっているか、または別のタンパク質に(例えば、遺伝子操作を通して)付着しているペプチド配列をさす。ペプチドタグは、一般的に、それらが融合しているタンパク質と比較して比較的短く;例えば、ペプチドタグは、いくつかの態様において、4アミノ酸長またはそれ以上、例えば、5、6、7、8、9、10、15、20、もしくは25アミノ酸長またはそれ以上である。いくつかの態様において、DDppは、ペプチドタグを含有する融合タンパク質である。他の態様において、DDppは、ペプチドタグに特異的に結合する。本明細書において提供される用途を有する多数のペプチドタグが、当技術分野において公知である。DDpp融合タンパク質、またはDDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)が結合する標的の成分となり得るペプチドタグの例には、HA(ヘマグルチニン)、c-myc、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)、T7、GST、GFP、MBP、Strepタグ、Hisタグ、Mycタグ、TAPタグ、およびFLAG(登録商標)タグ(Eastman Kodak,Rochester,N.Y.)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。同様に、タグエピトープに対する抗体は、当技術分野において公知の技術、例えば、ウエスタンブロット、ELISAアッセイ、および細胞の免疫染色を使用した、融合タンパク質の検出および位置決定を可能にする。
【0037】
「に由来する」という用語は、本明細書において使用されるように、第1の分子と第2の分子との関係を示す。それは、一般に、第1の分子と第2の分子との間の構造的類似性をさし、第2の分子に由来する第1の分子についての過程または起源の限定を暗示するか、または含むものではない。例えば、CD3ζ分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインのケースにおいて、その細胞内シグナル伝達ドメインは、必要とされる機能、すなわち、適切な条件の下でシグナルを生成する能力を有するために十分なCD3ζ構造を保持する。それは、細胞内シグナル伝達ドメインを作製する特定の過程への限定を暗示するか、または含むものではなく、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインを提供するため、CD3ζ配列から出発し、細胞内シグナル伝達ドメインに到達するため、不要な配列を欠失させるか、または変異を施さなければならないことを意味しない。
【0038】
「天然に存在する」という用語は、生物学的材料、例えば、核酸分子、ポリペプチド、抗原決定基、および宿主細胞に関して使用される時、自然界に見出され、人間によって改変されていないものをさす。逆に、「非天然」または「合成」とは、生物学的材料に関して使用される時、自然界に見出されず、人間によって改変されているものをさす。
【0039】
本明細書において使用されるように、参照配列の配列に対する「改変」には、参照配列(例えば、本明細書に開示されるDD)の対応するアミノ酸位置の配列の置換、欠失、挿入、および/または付加が含まれる。
【0040】
参照配列の配列に対する「置換」とは、参照配列の対応するアミノ酸位置における、特定のアミノ酸残基の、異なるアミノ酸残基への交換をさす。
【0041】
「保存的」アミノ酸置換とは、あるアミノ酸残基が、類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基に交換されるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H))、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E))、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、システイン(C))、非極性側鎖(例えば、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W))、β分岐側鎖(例えば、スレオニン(T)、バリン(V)、イソロイシン(I))、および芳香族側鎖(例えば、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H))を含む。例えば、フェニルアラニンとチロシンとの置換は、保存的置換である。具体的な態様において、DDppの配列における保存的置換は、置換を含有するDDppの、それが結合する関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)との特異的結合の変更または不変をもたらす。一つの態様において、DDppの配列における保存的置換は、置換を含有するDDppの、それが結合する関心対象の標的との結合を消失させない。選択的結合親和性を付与するか、変更するか、または維持する、ヌクレオチドおよびアミノ酸の保存的置換および非保存的置換を同定する方法は、当技術分野において公知である(例えば、Brummell,Biochem.32:1180-1187(1993);Kobayashi,Protein Eng.12(10):879 884(1999);およびBurks,PNAS 94:412-417(1997)を参照すること)。
【0042】
「非保存的」アミノ酸置換とは、あるアミノ酸残基が、類似していない側鎖を有する別のアミノ酸残基に交換されるものである。一つの態様において、DDppの配列における非保存的置換は、置換を含有するDDppの、それが結合する関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)との特異的結合をもたらす。一つの態様において、DDppの配列における非保存的置換は、置換を含有するDDppの、それが結合する関心対象の標的との結合を消失させない。一つの態様において、DDpp、アダプター、またはCARの配列における非保存的置換は、置換を含有するDDpp、アダプター、またはCARの、それが結合する関心対象の標的との特異的結合の保持をもたらす。
【0043】
「非天然アミノ酸」、「アミノ酸類似体」、および「非標準アミノ酸残基」は、本明細書において交換可能に使用される。本明細書において提供されるDDppにおいて置換され得る非天然アミノ酸は、当技術分野において公知である。一つの態様において、非天然アミノ酸は、プロリンと置換され得る4-ヒドロキシプロリン;リジンと置換され得る5-ヒドロキシリジン;ヒスチジンと置換され得る3-メチルヒスチジン;セリンと置換され得るホモセリン;およびリジンと置換され得るオルニチンである。本明細書に開示されるDDppにおいて置換され得る非天然アミノ酸の付加的な例には、一般的なアミノ酸のD異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、A-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、ランチオニン、デヒドロアラニン、γ-アミノ酪酸、セレノシステイン、およびピロリジンフルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸、例えば、β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、およびNα-メチルアミノ酸、または非天然アミノ酸の組み合わせなどの分子が含まれるが、これらに限定されるわけではない。付加的な非天然アミノ酸には、例えば、4-アミノ酪酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタン酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン酸、2-チエニルアラニン、および/またはアミノ酸のD異性体が含まれ得る。本明細書に記述されるように、いくつかの態様において、非天然アミノ酸またはアミノ酸類似体には、配列からの1つまたは複数のアミノ酸の欠失が含まれ得る。
【0044】
本明細書において交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかであるヌクレオチドの、任意の長さのポリマー形態をさす。これらの用語には、DNA、RNA、cDNA(相補的DNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、rRNA(リボソームRNA)、shRNA(低分子ヘアピン型RNA)、snRNA(低分子核内RNA)、snoRNA(核小体低分子RNA)、miRNA(マイクロRNA)、ゲノムDNA、合成DNA、合成RNA、および/またはtRNAが含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、単離されたポリヌクレオチドは、天然に存在しないヌクレオシドまたはヌクレオチドを含む改変されたmRNAである。いくつかの態様において、改変されたmRNAは、2-チオウリジン、プソイドウリジン、または1-メチルプソイドウリジンを含む。
【0045】
「ベクター」、「クローニングベクター」、および「発現ベクター」という用語は、本明細書において使用されるように、核酸配列(例えば、開示されたDDpp、アダプター、もしくはCARをコードする配列)を、宿主細胞において維持するか、もしくは増幅することができる媒体(例えば、クローニングベクター)、または宿主を形質転換し、導入された配列の発現(例えば、転写および翻訳)を促進するため、宿主細胞に導入され得る媒体をさす。ベクターには、プラスミド、ファージ、ウイルス等が含まれる。
【0046】
「宿主細胞」には、開示されたDDpp、アダプター、またはCARをコードする核酸のレシピエントになり得るか、またはなっている個々の細胞または細胞培養物が含まれる。宿主細胞には、細菌、酵母、植物、動物、および哺乳動物の細胞が含まれるが、これらに限定されるわけではない。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれ、子孫は、自然の、偶発的な、または計画的な変異および/または変化のため、必ずしも(形態またはDNA全量において)最初の親細胞と完全に同一でなくてもよい。宿主細胞には、開示されたDDpp、アダプター、またはCARをコードする核酸によって、インビボ、インビトロ、またはエクスビボでトランスフェクトされた、または感染された細胞が含まれる。いくつかの例において、例えば、ファージディスプレイまたはCAR T細胞において、宿主細胞は、その表面に、開示されたDDppまたはCARを発現し、呈示することができる。いくつかの態様において、宿主細胞は、アダプターを発現することができる。いくつかの態様において、宿主細胞は、アダプターを発現し、分泌することができる。いくつかの態様において、宿主細胞は、CARを発現することができる。いくつかの態様において、宿主細胞は、その表面にCARを発現し、呈示することができる。「発現」には、転写および/または翻訳が含まれる。
【0047】
本明細書において使用されるように、「固体支持体」、「支持体」、「マトリックス」、および「樹脂」という用語は、交換可能に使用され、非限定的に、DDpp、抗体、もしくはその他のタンパク質が、直接もしくは間接的に(例えば、他の結合パートナー中間体、例えば、他の抗体もしくはプロテインAを通して)付着する(例えば、カップリングされるか、連結されるか、もしくは接着する)ことができる、またはDDppもしくは抗体が(例えば、受容体もしくはチャネルを通して)埋め込まれ得る、任意のカラム(もしくはカラム材料)、ビーズ、試験管、マイクロタイターディッシュ、固体粒子(例えば、アガロースもしくはセファロース)、マイクロチップ(例えば、シリコン、シリコンガラス、もしくは金チップ)、または膜(生物学的膜もしくはフィルター膜)をさす。ポリペプチドを固体支持体(例えば、マトリックス、樹脂、プラスチック等)に付着させるための試薬および技術は、当技術分野において周知である。適切な固体支持体には、クロマトグラフィ用の樹脂またはマトリックス(例えば、SEPHAROSE-4 FFアガロースビーズ)、プラスチックマイクロタイターディッシュ内のウェルの壁または底、シリカベースのバイオチップ、ポリアクリルアミド、アガロース、シリカ、ニトロセルロース、紙、プラスチック、ナイロン、金属、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。DDppおよびその他の組成物は、当技術分野において公知の試薬および技術を使用して、非共有結合性の会合によって、または共有結合によって、支持材料に付着させられ得る。一つの態様において、DDppは、リンカーを使用してクロマトグラフィ材料にカップリングされる。
【0048】
本明細書において使用されるように、「薬学的に許容される」または「生理学的に容認される」という用語およびそれらの文法的変化形は、組成物、担体、希釈剤、および試薬をさす時、交換可能に使用され、材料が、治療的に禁止される望ましくない生理学的効果、例えば、悪心、眩暈、胃の不調等を生じることなく、ヒトに投与され得ることを表す。
【0049】
免疫原性組成物の「非経口」投与には、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、もしくは胸骨内への注射、または注入の技術が含まれる。
【0050】
「モジュレートする」とは、大きさ、頻度、程度、または活性の調整または制御を意味する。別の関連する局面において、そのようなモジュレーションは、正のモジュレーション(例えば、頻度、程度、もしくは活性の増加)、または負のモジュレーション(例えば、頻度、程度、もしくは活性の減少)であり得る。いくつかの態様において、正または負の方向へのモジュレーションは、治療薬の投与前の細胞、組織、または器官の機能と比較して言及される。付加的な態様において、正または負の方向へのモジュレーションは、正常な健常の細胞、組織、または器官と比べて言及される。
【0051】
本明細書において提供されるDDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)、CAR細胞、アダプター、および/またはCAR細胞/アダプター組成物の「有効量」とは、具体的に記された目的を果たすため、例えば、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)、CAR細胞、および/またはアダプターが結合する標的に関連した1つまたは複数の生物学的活性のレベルの観察可能な変化をもたらすために十分な量である。ある特定の態様において、変化は、標的活性のレベルを増加させる。他の態様において、変化は、標的活性のレベルを減少させる。「有効量」は、記された目的に関連して、経験的に、ルーチンの様式で決定され得る。「治療的に有効な量」という用語は、対象(哺乳動物)における疾患または障害を「処置する」(例えば、その症状を軽減する)ために有効な、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)、CAR細胞、および/もしくはアダプター、またはその他の治療用物質の量をさす。「治療的に有効な量」という用語は、所望の予防結果を達成するために必要な投与量および期間で有効な量もさす。
【0052】
「患者」、「対象」、「動物」、および「哺乳動物」は、交換可能に使用され、哺乳動物、例えば、ヒト患者および非ヒト霊長類、ならびに実験動物、例えば、ウサギ、ラット、およびマウス、ならびにその他の動物をさす。動物には、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、ニワトリ、両生類、および爬虫類が含まれる。「哺乳動物」とは、本明細書において使用されるように、哺乳綱の任意のメンバー、例えば、非限定的に、ヒトならびに非ヒト霊長類、例えば、チンパンジーおよびその他の類人猿およびサル種;家畜、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、およびウマ;飼育動物、例えば、イヌおよびネコ;実験動物、例えば、げっ歯類、例えば、マウス、ラット、およびモルモット等をさす。具体的な態様において、患者は、ヒトである。この用語は、特定の年齢または性別を意味しない。したがって、成人および新生児の対象も、胚および胎児も、男性か女性かに関わらず、この用語の範囲内に含まれるものとする。
【0053】
「処置する」、「処置」、および「処置すること」という用語は、本明細書において使用されるように、治療的処置および予防的または防止的な措置の両方をさし、ここで、目的は、疾患、状態、もしくは障害の症状、合併症、もしくは生化学的徴候を防止すること、もしくは減速すること(和らげること、もしくは遅延させること)、疾患、状態、もしくは障害の症状を緩和すること、またはさらなる発生を阻止すること、もしくは阻害することである。処置は、(疾患の発症を防止するか、もしくは遅延させるための、またはその臨床症状もしくは潜在症状の顕在化を防止するための)予防的なものであってもよいか、または(疾患、状態、もしくは障害の顕在化の後の症状を抑制するか、もしくは緩和するための、病理学的状態を標的とするための、病理学的状態を防止するための、有益な結果を追求するか、もしくは得るための、または処置が最終的に不成功であったとしても、個体が状態を発症する確率を低くするための)治療的なものであってもよい。処置を必要とする者には、既に状態を有する者のみならず、状態を有する傾向がある者、または状態を防止すべき者も含まれる。処置は、単独の、または付加的な治療用物質と組み合わせられた、DDpp融合タンパク質、CAR細胞、アダプター、および/またはCAR細胞/アダプター組成物によることができる。いくつかの態様において、「処置する」、「処置」、および「処置すること」という用語は、本明細書において、治療的処置および予防的または防止的な措置をさすために使用され、ここで、目的は、増殖性障害の症状、合併症、もしくは生化学的徴候を防止すること、もしくは減速すること(和らげること、もしくは遅延させること)、または増殖性障害の1つもしくは複数の症状(好ましくは、1つもしくは複数の識別可能な症状)を寛解させることである。具体的な態様において、「処置する」、「処置」、および「処置すること」という用語は、必ずしも患者によって識別可能ではない、増殖性障害の少なくとも1つの測定可能な理学的パラメータ、例えば、腫瘍の成長の寛解をさす。他の態様において、「処置する」、「処置」、および「処置すること」という用語は、理学的に、例えば、識別可能な症状の安定化によって、生理学的に、例えば、理学的パラメータの安定化によって、またはその両方によって、増殖性障害の進行を阻害することをさす。他の態様において、「処置する」、「処置」、および「処置すること」という用語は、腫瘍サイズ、腫瘍細胞の増殖もしくは生存、またはがん細胞数の低下または安定化をさす。
【0054】
「がん」、「腫瘍」、または「悪性腫瘍」は、同義的な用語として使用され、細胞の調節されない異常な増殖、罹患した細胞の、局所的に、または血流およびリンパ系を通して身体の他の部分に蔓延する(転移する)能力、ならびに多数の特徴的な構造的特色および/または分子的特色のうちの任意のものを特徴とする、多数の疾患のうちの任意のものをさす。「腫瘍」とは、本明細書において使用されるように、悪性であるか良性であるかに関わらない、全ての腫瘍性細胞の成長および増殖、ならびに全ての前がん性およびがん性の細胞および組織をさす。「がん性腫瘍」または「悪性細胞」とは、特定の構造的特性を有し、分化を欠き、浸潤および転移が可能な細胞として理解される。本明細書において提供されるDDpp融合タンパク質、CAR細胞、アダプター、および/またはCAR細胞/アダプター組成物を使用して処置され得るがんには、非限定的に、乳がん、肺がん、脳がん、子宮頸がん、皮膚がん、骨がん、肝臓がん、膵臓がん、結腸直腸がん、腎臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、造血器がん(例えば、白血病)、および前立腺がん、ならびにリンパ腫が含まれる。DDpp融合タンパク質、CAR細胞、アダプター、および/またはCAR細胞/アダプター組成物を使用して処置され得るがんおよび腫瘍の他の型は、本明細書に記載されているか、またはその他の方法で当技術分野において公知である。特定の「型」のがん、腫瘍、または腫瘍細胞への言及は、特定の疾患によって特徴付けられるがん、腫瘍、または腫瘍細胞を意味すると理解される。例えば、いくつかの態様において、同じ型の第1および第2のがんは、混合細胞型ホジキンリンパ腫およびリンパ球豊富型ホジキンリンパ腫である。他の態様において、同じ型の第1および第2のがんは、前駆B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)および成熟B細胞性ALLである。異なる型の第1および第2のがんの例には、例えば、ホジキンリンパ腫およびALLが含まれる。
【0055】
「腫瘍抗原」という用語は、特定の過剰増殖性障害、例えば、がんに共通の抗原をさす。「腫瘍抗原」または「がん抗原」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。ある特定の局面において、抗原は、原発性または転移性の黒色腫、胸腺腫、リンパ腫、肉腫、肺がん(例えば、NSCLCまたはSCLC)、肝臓がん、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、白血病、多発性骨髄腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、子宮がん、子宮頸がん、腎がん、甲状腺がん、膀胱がん、腎臓がん、中皮腫、および腺がん、例えば、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、膵臓がん、結腸がん、ならびに当技術分野において公知のその他のがんを含むが、これらに限定されるわけではないがんに由来する。いくつかの態様において、がんは、急性骨髄性白血病(AML)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、がんは、B細胞性急性リンパ性白血病(「BALL」)、T細胞性急性リンパ性白血病(「TALL」)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML);1つまたは複数の慢性白血病、例えば、限定されるわけではないが、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL);付加的な血液がんまたは血液状態、例えば、限定されるわけではないが、B細胞前リンパ球性白血病、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、ヘアリーセル白血病、小細胞型または大細胞型の濾胞性リンパ腫、悪性リンパ増殖性状態、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成および骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、非ホジキンリンパ腫、形質芽球性リンパ腫、形質細胞様樹状細胞腫瘍、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症である。
【0056】
腫瘍抗原およびがん抗原は、さらに「腫瘍特異的抗原(TSA)」、「がん特異的抗原(CSA)」、「腫瘍関連抗原(TAA)」、または「がん関連抗原(CAA)」として定義され得る。TSAは、腫瘍細胞に独特であり、体内の他の細胞には存在しない抗原である。TAAは、腫瘍細胞および一部の正常細胞の両方に見出される抗原である。TAAは、その抗原に対する免疫寛容の状態を誘導することができない条件の下で、正常細胞において発現され得る。腫瘍におけるTAAの発現は、免疫系が抗原に応答することを可能にする条件の下で起こり得る。TAAは、免疫系が未熟でありかつ応答することができない胎児発達中に正常細胞において発現され得るか、または、通常、正常細胞においては極めて低いレベルで存在し得るが、腫瘍細胞においてははるかに高いレベルで発現される。腫瘍の動的な性質のため、いくつかの場合において、腫瘍細胞は、ある特定の段階で、独特の抗原を発現し、その他の段階では、非腫瘍細胞においても発現される抗原も発現する。したがって、ある特定のマーカーをTAAとして含めることは、それがTSAと見なされることを除外するものではない。いくつかの態様において、本明細書において提供されるCAR細胞、アダプター、および/またはCAR細胞/アダプター組成物によって特異的に結合される抗原決定基を含有するTAAおよび/またはTSAは、BCMA、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33/IL3Ra、CD70、CD123、CD171(L1-CAM)、CS1、EGFRvIII、GD2、LewisY、ROR1、メソテリン、IL13Ra2、cMet、PSMA、葉酸受容体α(FR-α)、CEA、ErbB2(HER-2/neu);EGFR(HER)、PSCA、PSA、MUC1、MUC16、CD44v6、CD44v6/7、CD44v7/8、CD55、IL11Ra、EphA2、EGP40、TAG72、CAIX、HMW-MAA(CSPG4)、MAGEA4、NKG2Dリガンド、β-HCG、糖脂質F77、HLA-A2(NY-ESO-1)、HMW-MAA、GD3、TCR、MAGE A3、MARTI、WT1、チログロブリン、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP1、TRP2、HLA-A1、MAGE1、MAGE3、BAGE、GAGE1、GAGE2、pi5、p53、Ras、BCR-ABL、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR;VEGFR2、FAP、FAR、EBVA、HPV抗原E6、HPV抗原E7、TSP-180、MAGE4、MAGE5、MAGE6、RAGE、pl85erbB2、pl80erbB3、nm-23Hl、CA 19-9、CA72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、βカテニン、CDK4、Mum-1、p15、p16、43-9F、αフェトプロテイン、BCA225、BTAA、CA125、CA 15-3、CA 27.29(BCAA)、CA195、CA242、CA50、CAM43、CD68、CO-029、FGF5、G250、HTgp-175、M344、MA50、MG7-Ag、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、M2BP、TAAL6、TLP、TPS、FcRH5、GPCR5d、LILBR4、CLL1、およびFLT3より選択される。
【0057】
「自己免疫疾患」という用語は、本明細書において使用されるように、自己免疫応答に起因する障害として定義される。自己免疫疾患は、自己抗原に対する不適切な過剰な応答の結果である。自己免疫疾患の例には、とりわけ、アジソン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性耳下腺炎、クローン病、糖尿病(I型)、栄養障害型表皮水疱症、精巣上体炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、乾癬、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、脊椎関節症、甲状腺炎、血管炎、白斑、粘液水腫、悪性貧血、潰瘍性大腸炎が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0058】
「標的細胞」という用語は、本明細書において使用されるように、疾患に関与しており、本明細書において提供されるDDpp含有組成物によって、またはCAR、アダプター、および/もしくはCAR/アダプター組成物によって標的とされ得る細胞をさす。標的細胞には、DDPP、CAR、アダプター、および/またはCAR/アダプター組成物によって標的とされ得る、対象(例えば、ヒトまたは動物)の任意の細胞が含まれる。標的細胞は、CAR、アダプター、および/またはCAR/アダプター組成物によって特異的に結合される標的を発現するか、または過剰発現する細胞であり得る。標的細胞は、DDpp融合タンパク質、CAR、アダプター、および/またはCAR/アダプター組成物によって特異的に結合される標的を発現するか、または過剰発現する細胞であり得る。
【0059】
「自己由来」という用語は、本明細書において使用されるように、それが後に再導入される、同じ個体に由来する任意の材料をさす。
【0060】
「同種」という用語は、本明細書において使用されるように、その材料が導入される個体と同じ種の異なる動物に由来する任意の材料をさす。2つ以上の個体は、1つまたは複数の遺伝子座の遺伝子が同一でない時、相互に同種であると言われる。いくつかの局面において、同じ種の個体に由来する同種の材料は、抗原的に相互作用するために十分に、遺伝学的に異なっていてもよい。
【0061】
「エフェクター細胞」という用語は、本明細書において使用されるように、1つまたは複数のFcRを発現し、エフェクター機能を果たす白血球をさす。好ましくは、細胞は、少なくともFc(RIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、および好中球が含まれ;ある特定の態様において、PBMCおよびNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、本明細書に記載されるように、またはその他の方法で当技術分野において公知であるように、そのネイティブの起源、例えば、血液またはPBMCから単離され得る。具体的な態様において、エフェクター細胞は、ヒトエフェクター細胞である。
【0062】
「エフェクター機能」という用語は、分化細胞の特殊な免疫機能をさす。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性、またはヘルパー活性、例えば、サイトカインの分泌であり得る。
【0063】
「免疫細胞」という用語は、本明細書において使用されるように、抗原提示細胞、B細胞、好塩基球、細胞傷害性T細胞、樹状細胞、好酸球、顆粒球、ヘルパーT細胞、白血球、リンパ球、マクロファージ、マスト細胞、メモリー細胞、単球、ナチュラルキラー細胞、好中球、食細胞、形質細胞、およびT細胞を含むが、これらに限定されるわけではない、哺乳動物の免疫系の細胞をさす。
【0064】
「T細胞」および「Tリンパ球」という用語は、交換可能であり、本明細書において同義的に使用される。例には、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0065】
「免疫応答」という用語は、本明細書において使用されるように、自然免疫、体液性免疫、細胞性免疫、免疫、炎症応答、獲得(適応)免疫、自己免疫、および/または過活動免疫を含むが、これらに限定されるわけではない免疫をさす。
【0066】
「形質導入」という用語は、本明細書において使用されるように、ウイルスベクターを使用した、外来核酸の細胞への導入をさす。「トランスフェクション」とは、本明細書において使用されるように、組換えDNAテクノロジーを使用した、外来核酸の細胞への導入をさす。「形質転換」という用語は、導入されたコード配列によってコードされる所望の物質、例えば、タンパク質または酵素が産生されるよう、宿主細胞が、導入された核酸を発現するよう、「外来の」(例えば、外来性の、細胞外の、またはその他の方法で非内在性の)核酸(DNAまたはRNA)配列を宿主細胞に導入することを意味する。導入された核酸配列は、「クローニングされた」または「外来の」遺伝子または配列とも呼ばれ得、制御配列または調節配列、例えば、開始配列、終止配列、プロモーター配列、シグナル配列、分泌配列、または細胞の遺伝子機構によって使用されるその他の配列を含み得る。核酸配列は、非機能性の配列、または機能が未知の配列を含み得る。導入された核酸(例えば、DNAまたはRNA)を受容し、発現する宿主細胞は、「形質転換」されており、「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞に導入されるDNAまたはRNAは、任意の起源、例えば、宿主細胞と同じ属もしくは種の細胞、もしくは異なる属もしくは種の細胞に由来してもよいか、または天然に存在しないものであってもよい。
【0067】
「同時発現する」とは、本明細書において使用されるように、同じ細胞または細胞集団による2つ以上のタンパク質コード配列の発現をさす。コード配列は、例えば、単一のタンパク質を各々コードするか、または単一のポリペプチド鎖としてのキメラタンパク質をコードする核酸であり得る。
【0068】
「細胞表面受容体」とは、シグナルを受容し、細胞の形質膜を横切ってそのようなシグナルを伝達することができる分子および分子複合体をさす。本明細書において提供される細胞表面受容体の一例は、活性化されたインテグリン受容体、例えば、転移性細胞上の活性化されたαvβ3インテグリン受容体である。本明細書において使用されるように、「細胞表面受容体」には、関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)に結合することができるDDppを含有する細胞表面に発現された分子も含まれる。「受容体」という用語は、分子(例えば、リガンド)に結合するか、またはその他の方法で相互作用し、そのリガンドの細胞に対する効果を媒介する細胞関連タンパク質を意味する。いくつかの態様において、受容体と相互作用する分子は、生理活性分子である。膜結合型細胞表面受容体は、典型的には、細胞外リガンド結合ドメインと、膜貫通ドメインと、典型的には、シグナル伝達に関与する、細胞内エフェクタードメインとを含むマルチドメイン構造を特徴とする。
【0069】
「抗原喪失エスケープバリアント」とは、本明細書において使用されるように、本明細書において提供されるCARによって標的とされる標的抗原の発現の低下または喪失を示す細胞をさす。
【0070】
A. 抗原決定基(AD)
抗原決定基(AD)とは、抗原決定基結合領域(ADBD)(例えば、抗体の抗原結合断片または代替足場結合ドメイン(ASBD)(例えば、Dドメイン))によって認識され、特異的に結合され得るエピトープである。本明細書において提供されるアダプター内および標的細胞上のADは、以下に記述されるCARによって結合され得る。
【0071】
いくつかの態様において、(例えば、アダプター内および/または標的細胞上の)ADは、天然に存在するタンパク質またはその他の分子に存在するADである。いくつかの態様において、ADは、ヒト内在性のADである。
【0072】
いくつかの態様において、アダプター内のADは、標的細胞上に存在するADである。
【0073】
いくつかの態様において、(例えば、アダプター内および/または標的細胞上の)ADは、膜貫通タンパク質に存在するAD、例えば、膜貫通タンパク質の細胞外部分に存在するADである。いくつかの態様において、ADは、腫瘍抗原である。いくつかの態様において、ADは、腫瘍関連抗原である。いくつかの態様において、ADは、腫瘍特異的抗原である。
【0074】
いくつかの態様において、(例えば、アダプター内および/または標的細胞上の)ADは、がん抗原である。いくつかの態様において、ADは、がん関連抗原である。いくつかの態様において、ADは、がん特異的抗原である。
【0075】
いくつかの態様において、(例えば、アダプター内および/または標的細胞上の)ADは、BCMAのエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD19のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD20のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD22のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD123のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD37のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CS1のエピトープである。さらなる態様において、ADは、エロツズマブによって結合されるCS1のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、HER2のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、AFPのエピトープである。いくつかの態様において、ADは、AFP p26のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD45のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、UCHL-1抗体、A6抗体、またはODP4抗体によって結合されるヒトCD45のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、4KB5抗体、MB1抗体、KiB3抗体、2H4抗体、またはMT2抗体によって結合されるヒトCD45のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD26のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD30のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD33のエピトープである。いくつかの態様において、ADは、CD38のエピトープである。
【0076】
いくつかの態様において、ADは、CD123のエピトープである。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:1の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。
【0077】
いくつかの態様において、ADは、AFP p26のエピトープである。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:37の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸残基を含む。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:39の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸残基を含む。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:37~43または44のアミノ酸残基を含む。
【0078】
いくつかの態様において、(例えば、アダプター内および/または標的細胞上の)ADは、キメラ抗原受容体(CAR)によって結合される。いくつかの態様において、ADは、キメラ抗原受容体を発現する細胞によって結合される。いくつかの態様において、(例えば、標的細胞上の)ADは、アダプターによって結合される。いくつかの態様において、ADは、scFvによって結合される。いくつかの態様において、ADは、代替足場結合ドメイン(ASBD)によって結合される。いくつかの態様において、ADは、Dドメインによって結合される。いくつかの態様において、ADは、抗体またはその抗原結合断片によって結合される。
【0079】
本明細書に開示されるDDpp(例えば、アダプターおよびCAR)に関連した使用に適したADは、事実上、参照により本明細書に各々組み入れられる、国際出願公開WO 2016164305、同WO 2016164308A1、同WO 2019099440、および同WO 2019099433、米国特許第10,662,248号および同第10,647,775号、ならびに米国特許出願第20200223934号および同第20210002381号に開示されている。
【0080】
B. 抗原決定基結合ドメイン(ADBD)
抗原決定基(AD)に結合するタンパク質ドメインは、「抗原決定基結合ドメイン」または「ADBD」と本明細書において呼ばれる。いくつかの態様において、ADBDは、関心対象の標的の認識および特異的結合を付与するために十分である。本明細書に記載されるADBDは、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはキメラ抗原受容体(CAR)に存在し得る。
【0081】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ADBDは、抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの態様において、ADBDは、scFvである。いくつかの態様において、ADBDは、代替足場結合ドメインである。いくつかの態様において、ADBDは、Dドメインである。
【0082】
本明細書に開示されるDDpp(例えば、アダプターおよびCAR)に関連した使用に適したADBDは、事実上、参照により本明細書に各々組み入れられる、国際出願公開WO 2016164305、同WO 2016164308A1、同WO 2019099440、および同WO 2019099433、米国特許第10,662,248号および同第10,647,775号、ならびに米国特許出願第20200223934号および同第20210002381号に開示されている。
【0083】
i. 抗体由来抗原決定基結合ドメイン(ADBD)
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)1つまたは複数のADBDは、抗体分子、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、例えば、ヒトまたはラクダ科の起源に由来する、シングルドメイン抗体、例えば、重鎖可変ドメイン(VH)、軽鎖可変ドメイン(VL)、および可変ドメイン(VHH)のうちの1つまたは複数に由来し得る。いくつかの態様において、ADBDは、例えば、ヒトにおいて使用するため、アダプターまたはCARが最終的に使用される同じ種に由来する。アダプターおよび/またはCARが、ヒトADBDまたはヒト化ADBDを含むことは有益である。そのようなADBDをルーチンに生成するための組成物および技術は、当技術分野において公知である。
【0084】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ADBDは、標的抗原の認識および特異的結合を付与するために十分である抗体の断片を含む。抗体断片の例には、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、またはFv断片、scFv抗体断片、直鎖抗体、シングルドメイン抗体、例えば、sdAb(VLもしくはVHのいずれか)、ラクダ科VHHドメイン、および抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0085】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ADBDは、例えば、短い可動性ポリペプチドリンカー、例えば、本明細書に記載されるリンカーを介して、VHとVLとが連結されている、抗体のVL鎖およびVH鎖を含む融合タンパク質を含み得る「scFv」である。scFvは、当技術分野において公知の方法に従ってルーチンに調製され得る(例えば、Bird et al.,Science 242:423-426(1988)およびHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883(1988)を参照すること)。
【0086】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ADBDは、シングルドメイン抗原結合(SDAB)分子である。SDAB分子は、シングルドメインポリペプチドの一部である相補性決定領域を含有する分子を含む。例には、重鎖可変ドメイン、軽鎖を天然に欠く結合分子、従来の4鎖抗体に由来するシングルドメイン、操作されたドメイン、および抗体に由来するもの以外のシングルドメイン足場が含まれるが、これらに限定されるわけではない。SDAB分子は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚、サメ、ヤギ、ウサギ、およびウシを含むが、これらに限定されるわけではない、任意の種に由来し得る。この用語には、ラクダ科およびサメ以外の種に由来する天然に存在するシングルドメイン抗体分子も含まれる。
【0087】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ADBDは、ヒト抗体またはその断片を含む。いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ADBDは、ヒト化抗体またはその断片を含む。
【0088】
抗体のヒト化は、当技術分野において周知であり、本質的には、ヒト抗体の対応する配列をげっ歯類のCDRまたはCDR配列に置換すること、即ち、CDR移植(EP 239,400;国際出願公開WO 91/09967;ならびに米国特許第4,816,567号;同第6,331,415号;同第5,225,539号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;および同第6,548,640(これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))によって、Winterら(Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-327(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536(1988))の方法に従って実施され得る。抗体のヒト化は、ベニヤリング(veneering)もしくはリサーフェイシング(resurfacing)(EP 592,106;EP 519,596;Padlan,1991,Molecular Immunology,28(4/5):489-498;Studnicka et al.,Protein Engineering 7(6):805-814(1994);およびRoguska et al.,PNAS 91:969-973(1994))またはチェーンシャッフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)(これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)によっても達成され得る。
【0089】
ii. 代替足場結合ドメイン
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ADBDは、代替足場結合ドメイン(ASBD)である。「代替足場結合ドメイン」または「ASBD」とは、本明細書において使用されるように、非抗体ベースの結合足場に由来するか、またはそれに相当する抗原決定基結合ドメインである。
【0090】
いくつかの態様において、本開示は、ASBDであるADBDを含むCARを提供する。いくつかの態様において、本開示は、ASBDであるADBDを含むCARを含む細胞を提供する。さらなる態様において、ASBDを含むCARを含む免疫エフェクター細胞が提供される。いくつかの態様において、本開示は、ASBDであるADBDを含むアダプターを提供する。
【0091】
さらなる態様において、本開示は、ASBDを各々含むアダプターおよびCARを含む組成物を提供する。
【0092】
いくつかの態様において、標的ADへの(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDの結合は、結合足場の二次構造、例えば、αヘリックスまたはβシートによって媒介される。いくつかの態様において、ASBDは、3ヘリックス束ベースの結合ドメインである。いくつかの態様において、ASBDは、Dドメインベースの結合ドメインである。他の態様において、ASBDは、Zドメイン(アフィボディ)ベースの結合ドメインである。
【0093】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDは、Dドメイン(デノボ結合ドメイン)ベースのAD結合ドメインである。いくつかの態様において、Dドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100の群より選択される配列を含む。いくつかの態様において、Dドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33の群より選択される配列を含む。いくつかの態様において、Dドメインは、SEQ ID NO:14の配列を含む。いくつかの態様において、Dドメインは、SEQ ID NO:74~93および94の群より選択される配列を含む。いくつかの態様において、Dドメインは、SEQ ID NO:70~73および92~94の群より選択される配列を含む。いくつかの態様において、Dドメインは、SEQ ID NO:73の配列を含む。
【0094】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDは、Zドメイン足場(アフィボディ)ベースのAD結合ドメインである。Zドメイン足場ベースの結合ドメインは、一般に、3本のαヘリックスのうちの1本目および2本目に位置する最大13の位置の置換が、関心対象の標的(AD)の認識および結合特異性を付与する、58アミノ酸残基からなる。Zドメイン(アフィボディ)足場ベースの結合ドメインは、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,831,012号にさらに記載されている。
【0095】
二次構造によって媒介される標的結合を示すASBDの付加的な例には、DARPin、アフィリン(affilin)、およびアルマジロリピートベースの結合足場が含まれる。
【0096】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDは、DARPinベースのAD結合ドメインである。
【0097】
いくつかの態様において、ASBDは、アドネクチン(adnectin)ベースのAD結合ドメインである。アドネクチンベースの結合ドメインは、フィブロネクチンIII型の第10ドメイン(10Fn3)に由来する。このADBDは、一般に、6つのループによって接続された7本の鎖を含有するβサンドイッチフォールドを採っている、94アミノ酸の結合ドメインである。アドネクチンドメインの片側の3つの表面露出ループにおける置換が、標的(AD)特異的結合性部分を生成する。
【0098】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDは、リポカリンベース、アフィリンベース、またはアンチカリンベースのAD結合ドメインである。アンチカリン足場は、8本の逆平行β鎖から構成される保存されたβバレル構造を示し、一般に、160~180アミノ酸からなる。アンチカリンベースの結合足場のリガンド結合ポケットは、集合的に標的(AD)の認識および結合特異性を付与する、最大24の置換を各々含有する4つのループから構成される。
【0099】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDは、アビマー(Avimer)足場ベースのAD結合ドメインである。アビマー足場ベースの結合ドメインは、細胞表面受容体のAドメインに由来し、一般に、35アミノ酸長である。アビマー足場ベースの結合ドメインは、米国特許出願公開第20040175756号、同第20050053973号、同第20050048512号、および同第20060008844号(これらの各々の内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)にさらに記載されている。
【0100】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDは、フィノマー(fynomer)足場ベースのAD結合ドメインである。フィノマー結合領域は、一般に、60~75アミノ酸長であり、2つの可動性ループによって接合された1対の逆平行βシートから構成される。ループにおける置換/挿入が、AD標的の認識および結合特異性を付与する。
【0101】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDは、ノッティン(knottin)足場ベースのAD結合ドメインである。ノッティン足場ベースの結合ドメインは、可変長のループおよび複数のジスルフィド結合によって接続された3本の逆平行β鎖から構成される30アミノ酸タンパク質フォールドに相当する。
【0102】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDは、クニッツ(Kunitz)ドメインベースのAD結合ドメインである。クニッツドメインベースの結合ドメインは、クニッツ型プロテアーゼ阻害剤の活性モチーフに由来し、一般に、約60アミノ酸長である。このADBDの疎水性コアは、捻じれた2本鎖逆平行βシートおよび3対のジスルフィド結合によって安定化された2本のαヘリックスから構成される。3つのループにおける置換および挿入が、AD標的の認識および結合特異性を付与する。クニッツ足場ベースの結合ドメインは、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる国際出願公開WO 2004063337にさらに記載されている。
【0103】
いくつかの態様において、(例えば、DDpp融合タンパク質、アダプター、および/またはCARの)ASBDは、WWドメインベースのAD結合ドメインである。
【0104】
C. リンカー
リンカーは、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの、もしそれがなければ独立している機能ドメインの間に位置するペプチドまたはその他の化学的連結である。
【0105】
DDpp融合タンパク質のDDppおよび付加的な成分、またはアダプターの2つ以上の機能ドメインを、一本鎖アミノ酸配列へと機能的に連結するのに適したリンカーには、ポリペプチドリンカー、例えば、グリシンリンカー、セリンリンカー、混合グリシン/セリンリンカー、グリシンリッチリンカー、セリンリッチリンカー、または大部分が極性のポリペプチド断片から構成されるリンカーが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0106】
一つの態様において、リンカーは、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、およびリジンより選択されるアミノ酸の大多数から構成される。一つの態様において、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARにおける1つまたは複数のリンカーは、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、スレオニン、グルタミン、およびリジンより選択されるアミノ酸の大多数から構成される。一つの態様において、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARにおける1つまたは複数のリンカーは、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、スレオニン、グルタミン、およびリジンより選択される1つまたは複数のアミノ酸から構成される。別の態様において、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARにおける1つまたは複数のリンカーは、立体障害のないアミノ酸の大多数から構成される。別の態様において、アミノ酸の大多数がグリシン、セリン、および/またはアラニンであるリンカー。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、ポリグリシン、例えば、(Gly)5(SEQ ID NO:45)および(Gly)8(SEQ ID NO:46)、ポリ(Gly-Ala)、ならびにポリアラニンより選択される。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、Gly-Gly-Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(SEQ ID NO:47)の配列を含有する。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、Gly-Gly-Gly-Gly-Asp-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(SEQ ID NO:48)の配列を含有する。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、SEQ ID NO:118または119の配列を含有する。
【0107】
一つの態様において、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARは、それぞれ、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの別の成分に直接(即ち、リンカーなしに)付着したADBD(例えば、Dドメイン)を含む。一つの態様において、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARは、それぞれ、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの別のドメインに直接付着した少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのADBD(例えば、Dドメイン)を含有する。
【0108】
別の態様において、ADBD(例えば、Dドメイン)は、リンカーを通して、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの別の成分に機能的に連結されていてよい。DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARは、単一のリンカーを含有してもよいか、複数のリンカーを含有してもよいか、またはリンカーを含有しなくてもよい。一つの態様において、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARは、リンカーペプチドを通して、それぞれ、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの別の成分に機能的に連結されたADBD(例えば、Dドメイン)を含む。一つの態様において、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARは、同じまたは異なるリンカーを通して、それぞれ、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの別のドメインに機能的に連結された少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、または少なくとも5つのADBD(例えば、Dドメイン)を含有する。
【0109】
リンカーは、機能ドメインが機能すること(例えば、抗原決定基結合ドメインの、関心対象の標的に結合する能力)を可能にする様式で、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの機能ドメインを機能的に連結することができる限り、任意のサイズまたは組成を有していてよい。いくつかの態様において、リンカーは、約1~約100アミノ酸、約1~50アミノ酸、約1~20アミノ酸、約1~15アミノ酸、約1~10アミノ酸、約1~5アミノ酸、約2~20アミノ酸、約2~15アミノ酸、約2~10アミノ酸、または約2~5アミノ酸である。リンカーの長さ、可動性の程度、および/またはその他の特性が、本発明の最終的なポリペプチドの特性、例えば、以下に限定されるわけではないが、関心対象の標的または1つもしくは複数の他の関心対象の標的タンパク質に対する親和性、特異性、またはアビディティに何らかの影響を与え得ることは、明らかであるはずである。2つ以上のリンカーが、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARにおいて使用される時、これらのリンカーは、同じであってもよいか、または異なっていてもよい。本明細書において提供される状況および開示において、当業者は、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの機能ドメインを機能的に連結するために最適なリンカーの組成および長さを、ルーチンに決定することができるであろう。
【0110】
リンカーは、非ペプチドリンカー、例えば、アルキルリンカーまたはPEGリンカーであってもよい。例えば、アルキルリンカー、例えば、s=2~20である-NH-(CH2)s-C(0)-が使用され得る。これらのアルキルリンカーは、非立体障害性の基、例えば、低級アルキル、例えば、C1~C6低級アシル、ハロゲン(例えば、Cl、Br)、CN、NH2、フェニル等によってさらに置換されていてもよい。例示的な非ペプチドリンカーは、PEGリンカーである。ある特定の態様において、PEGリンカーは、約100~5000kDaまたは約100~500kDaの分子量を有する。
【0111】
化学的架橋によってDDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの機能ドメインをカップリングするのに適したリンカーには、ホモ二官能性化学的架橋化合物、例えば、グルタルアルデヒド、イミドエステル、例えば、アジポイミド酸ジメチル(DMA)、スベルイミド酸ジメチル(DMS)、およびピメルイミド酸ジメチル(DMP)、またはN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、例えば、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)およびジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの機能ドメインをカップリングするのに適したリンカーの例には、1つのアミン反応性末端を有し、他方の末端にスルフヒドリル反応性部分を有する架橋剤、または一方の末端にNHSエステルを有し、SH反応基(例えば、マレイミドもしくはピリジル)を有する架橋剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0112】
付加的な態様において、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARにおけるリンカーのうちの1つまたは複数は、切断可能である。切断可能リンカーの例には、様々な型の(インビトロまたはインビボの)プロテアーゼ、例えば、Tev、トロンビン、第Xa因子、プラスミン(血中プロテアーゼ)、メタロプロテアーゼ、カテプシン(例えば、GFLG等)、および他の身体コンパートメントに見出されるプロテアーゼによって認識されるペプチド配列が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0113】
いくつかの態様において、リンカーは、細胞内または細胞表面におけるDDpp融合タンパク質機能ドメイン、アダプター機能ドメイン、または細胞傷害性物質の放出を容易にする「切断可能リンカー」である。例えば、酸不安定リンカー(例えば、ヒドラゾン)、プロテアーゼ感受性(例えば、ペプチダーゼ感受性)リンカー、光不安定リンカー、ジメチルリンカー、またはジスルフィド含有リンカー(例えば、Chari,Can.Res.52:127-131(1992);米国特許第5,208,020号;および米国特許出願公開第20090110753号(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)が使用され得、ここで、DDppまたは細胞傷害性物質と融合パートナーとの間の共有結合性の付着は、組成物が細胞内に移行する時に、細胞内で切断されることが望ましい。「細胞内で切断される」および「細胞内切断」という用語は、DDppと細胞傷害性物質との間、DDppと融合パートナーとの間、または2つのDDppの間の共有結合性の付着、即ち、リンカーを介した連結が、細胞内で破壊され、解離した遊離のDDppおよび/または細胞傷害性物質をもたらす、DDpp薬物コンジュゲートに対する細胞内の代謝の過程または反応をさす。
【0114】
付加的な態様において、CAR内のリンカーのうちの1つまたは複数が、切断可能である。切断可能リンカーの例には、様々な型の(インビトロまたはインビボの)プロテアーゼ、例えば、Tev、トロンビン、第Xa因子、プラスミン(血中プロテアーゼ)、メタロプロテアーゼ、カテプシン(例えば、GFLG等)、およびその他の身体コンパートメントに見出されるプロテアーゼによって認識されるペプチド配列が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0115】
いくつかの態様において、約1~100アミノ酸長の短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカーが、CARのドメインのうちの任意のものを連結するために使用される。リンカーは、隣接するタンパク質ドメインが相互に自由に移動し得るよう、可動性残基、例えば、グリシンおよびセリン(またはその他のアミノ酸)から構成されていてよい。リンカーのアミノ酸配列組成は、CARの可能性のある免疫原性を最小化するために選択され得る。2つの隣接するドメインが相互に立体的に干渉しないことを確実にすることが望ましい時には、より長いリンカーが使用され得る。
【0116】
いくつかの態様において、好ましくは、2~10アミノ酸長が、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間の連結を形成する。さらなる態様において、リンカーは、10~15アミノ酸長、または15~20もしくは20~30もしくは30~60もしくは60~100アミノ酸長(または記載された範囲の中間の任意の範囲)である。さらなる態様において、リンカーは、グリシン-セリンダブレット配列である。いくつかの態様において、細胞外スペーサードメイン(ESD)は、ヒトT細胞表面糖タンパク質CD8α鎖ESD領域(例えば、CD8α鎖(Swiss-Prot Acc.No.P01732)のアミノ酸残基138~182)に相当する。いくつかの態様において、ESDは、発現機能または免疫原性を改善するため、アミノ酸置換を通してさらに改変されたCD8 ESD領域に相当する。さらなる態様において、ESDは、CD28 ESD、または改善された発現機能もしくは免疫原性を付与するCD28 ESDの改変を含有する配列に相当する。
【0117】
リンカー最適化は、本明細書に記載されており、かつ/またはその他の方法で当技術分野において公知の技術を使用して評価され得る。いくつかの態様において、リンカーは、DDpp融合タンパク質、アダプター、またはCARの、適切に機能するため、標的抗原決定基および/または別のアダプターもしくはCARの機能ドメインに結合する能力(例えば、アダプター内のエフェクター機能ドメインの、エフェクター機能を誘発する能力、またはアダプター内のFcRn結合ドメインの、FcRnに結合する能力)を妨害しない。
【0118】
Dドメインポリペプチド(DDpp)
様々な態様によって、本開示は、CD123に特異的に結合するDDppを提供する。いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合しSEQ ID NO:8~32または33のアミノ酸配列を含む、Dドメイン(DD)を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。それぞれの標的に特異的に結合する能力を保持する、Dドメインのバリアントを含むタンパク質も、提供される。
【0119】
いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合しSEQ ID NO:74~93または94のアミノ酸配列を含む、Dドメイン(DD)を含む。それぞれの標的に特異的に結合する能力を保持する、Dドメインのバリアントを含むタンパク質も、提供される。
【0120】
いくつかの態様において、DDppは、異種ポリペプチドと融合している。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、全長抗体または抗体断片を含む。いくつかの態様において、DDは、全長抗体重鎖のアミノ末端;全長抗体軽鎖のアミノ末端;全長抗体重鎖のカルボキシル末端;または全長抗体軽鎖のカルボキシル末端と融合している。他の態様において、DDは、Fcである抗体断片と融合している。付加的な態様において、異種ポリペプチドは、(i)膜貫通ドメイン;(ii)膜会合ドメイン;(iii)ヒト血清アルブミンまたはその断片;(iv)AFPまたはその断片;(v)AFP p26またはその断片;(vi)受容体の細胞外ドメインまたはその断片;および(vii)細胞内受容体(例えば、核タンパク質)の細胞外ドメインまたはその断片からなる群より選択されるメンバーを含む。いくつかの態様において、タンパク質は、BCMA(SEQ ID NO:34)もしくはCD123(SEQ ID NO:1)もしくはCD19(SEQ ID NO:95)もしくはCS1(SEQ ID NO:35)の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインの断片を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインの断片を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、タンパク質は、血清タンパク質(例えば、AFPおよびAFP p26)の抗原性部分を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)の抗原性部分を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、タンパク質は、標識されている。さらなる態様において、標識は、酵素標識、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、およびビオチン部分からなる群より選択される。付加的な態様において、タンパク質は、治療用物質または細胞傷害性物質とコンジュゲートされている。いくつかの態様において、タンパク質は、1つまたは複数の主要組織適合性抗原(MHC)クラスIまたはクラスII複合体に結合する異種ポリペプチドを含有する。
【0121】
いくつかの態様において、DDppのDDは、CD123に特異的に結合する能力を保持する、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるCD123結合DD参照配列のバリアントである。いくつかの態様において、バリアントDDの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択される参照DD配列に対して少なくとも75%、80%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、96%、または98%の配列同一性を有するバリアントのアミノ酸配列を含み、バリアントDDは、CD123に特異的に結合する能力を保持する。
【0122】
いくつかの態様において、DDppのDDは、AFP p26に特異的に結合する能力を保持する、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるAFP p26結合DD参照配列のバリアントである。いくつかの態様において、バリアントDDの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択される参照DD配列に対して少なくとも75%、80%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、96%、または98%の配列同一性を有するバリアントのアミノ酸配列を含み、バリアントDDは、AFP p26に特異的に結合する能力を保持する。
【0123】
具体的な態様において、全体(global)配列アライメントとも呼ばれる、バリアントDD(問い合わせ)配列と参照DD配列との間の同一性は、Brutlag et al.Comp.App.Biosci.6:237-245(1990)のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して決定される。FASTDBアミノ酸アライメントにおいて使用される好ましいパラメータは、行列=PAM 0、k-タプル=2、ミスマッチペナルティ=1、ジョイニング(Joining)ペナルティ=20、ランダマイゼーション・グループ・レングス(Randomization Group Length)=0、カットオフスコア=1、ウインドウサイズ=配列長、ギャップペナルティ=5、ギャップサイズペナルティ=0.05、ウインドウサイズ=500または対象アミノ酸配列の長さのいずれか短い方である。この態様によると、参照DD配列が、内部欠失のためではなく、N末端またはC末端の欠失のため、バリアントDD問い合わせ配列より短い場合には、FASTDBプログラムは、全体パーセント同一性を計算する時に、参照DD配列のN末端およびC末端の短縮を説明しないという事実を考慮に入れるため、結果に対して手動の補正が行われる。問い合わせ配列と比べてN末端およびC末端で短縮されている参照配列の場合には、対応する対象残基と一致/整列しない、参照配列のN末端側およびC末端側にある問い合わせ配列の残基の数を、問い合わせ配列の全塩基に対するパーセントとして計算することによって、パーセント同一性が補正される。残基が一致/整列するか否かの決定は、FASTDB配列アライメントの結果によって決定される。次いで、最終的なパーセント同一性スコアに到達するため、指定されたパラメータを使用して前記のFASTDBプログラムによって計算されたパーセント同一性から、このパーセンテージが差し引かれる。この最終的なパーセント同一性スコアが、この態様の目的のため、使用されるものである。
【0124】
いくつかの態様において、開示されたDDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、標識されている。DDppを標識するために使用され得る標識には、酵素標識、蛍光標識、発光標識、および生物発光標識が含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、標識は、ビオチン部分である。いくつかの態様において、標識は、ストレプトアビジン部分である。いくつかの態様において、標識は、HisタグまたはFLAGタグである。いくつかの態様において、標識は、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、またはその他の類似の薬剤である。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むCD123結合DDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むp26結合DDを含む。
【0125】
他の態様において、DDpp融合タンパク質は、固体支持体に付着している。いくつかの態様において、固体支持体は、ビーズ、ガラススライド、チップ、ゼラチン、およびアガロースからなる群より選択される。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むCD123結合DDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むp26結合DDを含む。
【0126】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、リポソームと会合している。いくつかの態様において、DDppは、共有結合を通してリポソームと会合している。いくつかの態様において、DDppは、融合タンパク質である。さらなる態様において、DDppは、CARである。付加的な態様において、DDppは、共有結合ではなくイオン結合を通してリポソームと会合している。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むCD123結合DDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むp26結合DDを含む。
【0127】
いくつかの態様において、標的結合DDppは、治療用物質または細胞傷害性物質(例えば、化学療法剤または放射線治療剤)とコンジュゲートされている。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むCD123結合DDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むp26結合DDを含む。
【0128】
【0129】
いくつかの態様において、本開示は、表1に開示されるDD配列のうちの1つまたは複数を含む組成物を提供する。他の態様において、本開示は、表1に開示された配列と60~70%、70~75%、75~80%、80~85%、85~90%、95~99%(およびそれらの中の重複する範囲)の相同性を有する配列を含む1つまたは複数のDDを含む組成物を提供する。いくつかの態様において、そのような相同性を有するDDは、表1中のそれぞれの参照配列と比較して、機能的に類似しているか、または同一である。いくつかの態様において、本開示は、それぞれの標的について、表1に開示されたDD配列(参照配列)のうちの1つまたは複数と(完全に、または部分的に)競合する1つまたは複数のDDを含むポリペプチドを提供する。あるポリペプチドの、それぞれの標的への結合について、参照ポリペプチドと競合する能力は、当技術分野において公知の標準的な競合アッセイを使用してルーチンに決定され得る。いくつかの態様において、競合は、ポリペプチドが、表1のポリペプチド(DD)と同じエピトープについて競合することを必要とせず、むしろ、ポリペプチドは、立体阻害性エピトープ、重複するエピトープ等に結合することによって競合してもよい。
【0130】
A. CD123結合DDpp
いくつかの態様において、本開示は、CD123(SEQ ID NO:1)に特異的に結合しSEQ ID NO:8~32または33のアミノ酸配列を含むDドメイン(DD)標的結合ドメインを含む、タンパク質(DDpp)を提供する。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDDを含む。
【0131】
いくつかの態様において、DDppのDDは、CD123に特異的に結合する。さらなる態様において、DDは、SEQ ID NO:8からなるアミノ酸配列を有し、CD123に特異的に結合する。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。いくつかの態様において、DDppは、CD123(SEQ ID NO:1)に特異的に結合し、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、または33のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。
【0132】
他の態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:8~32および33からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、単一の標的に結合する複数の標的結合ドメイン(例えば、ダイマー、トリマー等)を含む。いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合するおよびSEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、同じ配列を有する2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、CD123の異なるエピトープに特異的に結合するおよびSEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合するDDを含み、CD123または異なる標的抗原に特異的に結合する2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超の付加的な異なるDDまたは標的結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、B細胞系細胞の表面に発現される1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の付加的なDDまたはその他の標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合するDD、例えば、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDDを含み、1つまたは複数のがん抗原に結合する1つまたは複数の付加的なDDまたはその他の標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超の異なる標的に特異的に結合する。さらなる態様において、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超の異なるがん抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、がん細胞の表面に発現される2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超の異なるがん抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、異なるがん細胞の表面に発現される2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のがん抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0133】
いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合する能力を保持する、本明細書に開示されるCD123結合DD(参照DD)のバリアントを含む。いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換または非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換を含有する。いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0134】
いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換または非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123-DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換を含有する。いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0135】
いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換または非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換を含有する。いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0136】
いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDのアミノ酸残基7、11、14、18、21、28、31、35、38、42、45、53、56、60、63、および67に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換または非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基7、11、14、18、21、28、31、35、38、42、45、53、56、60、63、および67に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換を含有する。いくつかの態様において、CD123結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基7、11、14、18、21、28、31、35、38、42、45、53、56、60、63、および67に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0137】
いくつかの態様において、本開示は、CD123への参照DDの結合を完全にまたは部分的に阻止する(例えば、エピトープと重複する)CD123結合DDppを提供し、ここで、参照DDは、SEQ ID NO:8~33、99、および100より選択されるアミノ酸配列を有する。他の態様において、本開示は、SEQ ID NO:8~33、99、および100より選択されるアミノ酸配列からなる参照DDと同じCD123のエピトープに結合するCD123結合DDppを提供する。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、参照CD123結合DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0138】
いくつかの態様において、DDppは、CD123に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質のDDは、SEQ ID NO:1からなるアミノ酸配列を有するCD123に特異的に結合する。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、全長抗体または抗体の一部分(断片)を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる態様において、DDpp融合タンパク質は、がん抗原に特異的に結合する全長抗体を含む。さらなる態様において、DDppは、市販の認可されている治療用抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。他の態様において、CD123結合DDppは、Fc融合タンパク質である。
【0139】
いくつかの態様において、DDppは、血清タンパク質に機能的に連結されたCD123結合DDを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。他の態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。いくつかの態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンの全部または一部を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、AFP(SEQ ID NO:36)またはその断片を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、AFP p26(SEQ ID NO:37)またはその断片を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:37~43または44の配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質(例えば、AFPおよびAFP p26)の断片、または血清タンパク質の抗原性断片を含有する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質の5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなる断片を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0140】
いくつかの態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはその断片を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。他の態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。さらなる態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、CD123(SEQ ID NO:1)の細胞外ドメインまたはその断片を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、NKG2D、およびgp96、またはそれらの断片からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインを含む。
【0141】
いくつかの態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなる断片を含有する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、BCMA(SEQ ID NO:34)の細胞外ドメインの断片を含有する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、CD123(SEQ ID NO:1)の細胞外ドメインの断片を含有する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、CS1(SEQ ID NO:35)の細胞外ドメインの断片を含有する。いくつかの態様において、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインの断片を含有する。
【0142】
付加的な態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはその断片を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDppは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。他の態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。いくつかの態様において、CD123結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)の5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸残基からなる断片を含む。
【0143】
B. AFP p26結合DDpp
いくつかの態様において、本開示は、AFP p26(SEQ ID NO:37)に特異的に結合しSEQ ID NO:74~93または94のアミノ酸配列を含むDドメイン(DD)標的結合ドメインを含む、タンパク質(DDpp)を提供する。
【0144】
いくつかの態様において、DDppのDDは、AFP p26に特異的に結合する。さらなる態様において、DDppのDDは、SEQ ID NO:37からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合する。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。付加的な態様において、AFP p26結合DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:92、93、および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:70~73、92、93、および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:73からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0145】
さらなる態様において、DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。さらなる態様において、DDは、SEQ ID NO:37からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合するが、SEQ ID NO:36からなるアミノ酸配列を有するAFPとは特異的に結合しない。いくつかの態様において、AFP p26結合DDppは、単一の標的に結合する複数の標的結合ドメイン(例えば、ダイマー、トリマー等)を含む。いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するおよびSEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、同じ配列を有する2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、AFP p26の異なるエピトープに特異的に結合するおよびSEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDを含む。いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDDを含み、AFP p26または異なる標的抗原に特異的に結合する2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超の付加的な異なるDDまたは標的結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、B細胞の表面に発現される1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の付加的なDDまたはその他の標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD、例えば、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDDを含み、1つまたは複数のがん抗原に結合する1つまたは複数の付加的なDDまたはその他の標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超の異なる標的に特異的に結合する。さらなる態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超の異なるがん抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、がん細胞の表面に発現される2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超の異なるがん抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、異なるがん細胞の表面に発現される2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のがん抗原に特異的に結合する。
【0146】
いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合する能力を保持する、本明細書に開示されるAFP p26結合DD(参照DD)のバリアントを含む。いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換または非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換を含有する。いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の非保存的置換を含有する。
【0147】
いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換または非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26-DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換を含有する。いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、参照p26結合DDは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、参照p26結合DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0148】
いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換または非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換を含有する。いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、参照AFP p26結合DDは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、参照AFP p26結合DDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。
【0149】
いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDのアミノ酸残基7、11、14、18、21、28、31、35、38、42、45、53、56、60、63、および67に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換または非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基7、11、14、18、21、28、31、35、38、42、45、53、56、60、63、および67に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の保存的置換を含有する。いくつかの態様において、AFP p26結合DDバリアントの配列は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基7、11、14、18、21、28、31、35、38、42、45、53、56、60、63、および67に相当する位置に、全部で1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10、1~3、1~5、または1~10の非保存的置換を含有する。いくつかの態様において、参照AFP p26結合DDは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、参照AFP p26結合DDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。
【0150】
いくつかの態様において、本開示は、AFP p26への参照DDの結合を完全にまたは部分的に阻止する(例えば、エピトープと重複する)AFP p26結合DDppを提供し、ここで、参照DDは、SEQ ID NO:74~93および94より選択されるアミノ酸配列を有する。他の態様において、本開示は、SEQ ID NO:74~93および94より選択されるアミノ酸配列からなる参照DDと同じAFP p26のエピトープに結合するAFP p26結合DDppを提供する。いくつかの態様において、参照p26結合DDは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、参照p26結合DDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。
【0151】
いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDは、SEQ ID NO:37からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質のDDは、AFP p26に特異的に結合するが、SEQ ID NO:36からなるアミノ酸配列を有するAFPとは特異的に結合しない。他の態様において、DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。他の態様において、AFP p26結合DDppは、Fc融合タンパク質である。
【0152】
いくつかの態様において、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:37からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。さらなる態様において、DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の態様において、DDppは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDのバリアントであるAFP p26結合DDを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDppは、全長抗体または抗体の一部分(断片)に機能的に連結された、AFP p26に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDppは、Fc融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる態様において、DDpp融合タンパク質は、がん抗原に特異的に結合する全長抗体を含む。さらなる態様において、DDppは、市販の認可されている治療用抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、NN882、エロツズマブ、およびダラツムマブ)を含む。他の態様において、AFP p26結合DDppは、Fc融合タンパク質である。さらなる態様において、Fc融合タンパク質は、バリアントヒトFcドメインを含む。
【0153】
いくつかの態様において、DDppは、血清タンパク質に機能的に連結されたAFP p26結合DDを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。さらなる態様において、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはその断片を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質の断片、または血清タンパク質の抗原性断片を含有する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質の5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなる断片を含む。
【0154】
いくつかの態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはその断片を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。さらなる態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(SEQ ID NO:34)もしくはCD123(SEQ ID NO:1)の細胞外ドメイン、またはその断片を含む。さらなる態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(SEQ ID NO:34)もしくはCD123(SEQ ID NO:1)もしくはCS1(SEQ ID NO:35)の細胞外ドメイン、またはその断片を含む。いくつかの態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメイン、またはその断片を含む。
【0155】
いくつかの態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなる断片を含有する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、BCMA(SEQ ID NO:34)またはCD123(SEQ ID NO:1)の細胞外ドメインの断片を含有する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、BCMA(SEQ ID NO:34)またはCD123(SEQ ID NO:1)またはCS1(SEQ ID NO:35)の細胞外ドメインの断片を含有する。いくつかの態様において、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインの断片を含有する。
【0156】
付加的な態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはその断片を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。いくつかの態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)の5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸残基からなる断片を含む。いくつかの態様において、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸残基からなる、血清タンパク質(例えば、HSA)、受容体(例えば、BCMA、CS1、CD123、およびCD19)の細胞外ドメイン、または細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)の断片を含む。
【0157】
DDppをコードする核酸、および核酸を含有するベクターも、提供される。核酸と、(ウイルス粒子を含む)核酸を含有するベクターとを含有する宿主細胞も、提供される。いくつかの態様において、宿主細胞は、その表面にバリアントDDを呈示する原核細胞または真核細胞である。いくつかの態様において、宿主細胞は、その表面にバリアントDDを呈示する。さらなる態様において、宿主細胞は、その表面にバリアントDDを呈示するファージである。さらなる態様において、宿主細胞は、その表面にバリアントDD融合タンパク質を発現するヒト免疫細胞である。
【0158】
DDppアゴニストとは、DDpp標的(例えば、CD123)の生物学的活性を何らかの方式で増加させるか、もしくは増強するDDpp、またはDDpp標的の既知のアゴニストと比較可能な生物学的活性を有するDDppをさす。別の態様において、DDppは、それが結合する標的(例えば、CD123)のアンタゴニストである。DDppアンタゴニストとは、DDpp標的タンパク質の生物学的活性を完全に、もしくは部分的に阻止するか、もしくは何らかの方式で干渉するDDpp、またはDDpp標的タンパク質の既知のアンタゴニストもしくは阻害剤と比較可能な生物学的活性を有するDDppをさす。
【0159】
DDpp融合タンパク質
DDpp融合タンパク質が、本明細書において提供される。「融合タンパク質」、「キメラポリペプチド」、「キメラタンパク質」、「キメラ抗原」、および異種ポリペプチドを含む/含有するDDppとは、少なくとも2つのポリペプチドを含み、2つのポリペプチドを1つの連続したポリペプチドへと機能的に連結するためのリンカーを任意で含む、例えば、組換え過程によって作製されるポリペプチドである。2つのポリペプチドは、直接または間接的に、機能的に付着していてよい。
【0160】
本明細書において提供される「DDpp融合タンパク質」は、関心対象の標的(例えば、BCMA(SEQ ID NO:34)、CD123(SEQ ID NO:1)、CS1(SEQ ID NO:35)、HER2、AFP(SEQ ID NO:36)、AFP p26(SEQ ID NO:37)、またはそれらの断片)に特異的に結合する、本明細書に開示される少なくとも1つのDDppを含む。一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、1つのDDppを含有する。
【0161】
いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、1つまたは複数の標的結合DDppと、(例えば、SEQ ID NO:37~43または44の配列を有する)p26タンパク質とを含む可溶性タンパク質である。いくつかの態様において、可溶性DDpp融合タンパク質は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、またはそれ以上のインビボ血漿半減期を有する。いくつかの態様において、可溶性融合タンパク質は、マウスにおいて、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、もしくは65時間より長い、または1~10時間、2~10時間、4~10時間、6~10時間、もしくは6~9時間のインビボ血漿半減期を有する。いくつかの態様において、可溶性DDpp融合タンパク質は、ヒトにおいて、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、もしくは65時間より長い、または1~10時間、2~10時間、4~10時間、6~10時間、もしくは6~9時間のインビボ血漿半減期を有する。
【0162】
いくつかの態様において、本開示は、(例えば、SEQ ID NO:37~43または44の配列を有する)p26タンパク質を含む可溶性融合タンパク質の(例えば、マウスまたはヒトにおける)インビボ半減期を改変するための方法を提供する。いくつかの態様において、可溶性p26融合タンパク質は、1つまたは複数の標的結合DDppを含む。いくつかの態様において、p26可溶性融合タンパク質の半減期は、ヒトp26タンパク質に通常見出される1つもしくは複数のアミノ酸残基の置換もしくは欠失によって、またはヒトp26タンパク質に通常見出されない1つもしくは複数のアミノ酸残基の挿入によって、増加させられるか、または減少させられる。別の態様において、可溶性融合タンパク質のp26配列は、可溶性融合タンパク質のインビボ半減期を増加させるか、または減少させるため、1、2、3、4、5、10、または1~20、1~10、3~10、もしくは3~5個のアミノ酸置換(保存的置換および/もしくは非保存的置換)、欠失、ならびに/または挿入を通して改変される。具体的な態様において、p26のSEQ ID NO:37の217位のグルタミン(Gln、Q)に相当するアミノ酸残基が、別のアミノ酸残基に置換される。さらなる態様において、置換はGln217Proである。別の態様において、可溶性融合タンパク質のp26配列は、可溶性融合タンパク質のインビボ半減期を増加させるか、または減少させるため、1~150、1~100、1~50、1~25、または1~10個のアミノ酸残基の欠失を通して改変される。付加的な態様において、可溶性融合タンパク質のp26配列は、可溶性融合タンパク質のFcRnとの相互作用を増加させるか、または減少させるため、1、2、3、4、5、10、または1~20、1~10、3~10、もしくは3~5個のアミノ酸置換(保存的置換および/もしくは非保存的置換)、欠失、ならびに/または挿入を通して改変される。
【0163】
A. マルチマーDDpp融合タンパク質
一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、複数のDDppを含み、ここで、2つ以上のDDppは、同じまたは異なる特異性を有する。付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、DDpp融合タンパク質が、複数の標的、および/または同じ標的の反復エピトープもしくは異なるエピトープに結合することを可能にする、同じまたは異なるDDのタンデムリピートを含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、少なくとも2つ、3つ、4つ、もしくは5つ、または5つ超のDDppを含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、1~3つ、1~4つ、1~5つ、または5つ超の異なるDDppを含有する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、少なくとも2つ、3つ、4つ、もしくは5つ、または5つ超の異なるDDppを含有する。したがって、DDpp融合タンパク質は、モノマーDDppであってもよい(即ち、1つのDDppを含有してもよい)か、またはマルチマーDDppであってもよい(即ち、任意で、リンカーによって機能的に接続された、複数のDDppをタンデムに含有してもよい)。いくつかの態様において、マルチマーDDppの使用は、増強された(例えば、相乗的な)標的結合を提供する。付加的な態様において、マルチマーDDppは、単一のDDpp構築物を使用して、複数の標的を標的とすることを可能にする(例えば、二重特異性、三重特異性等)。2つ以上の同一のDDppの連結は、1価の組成物と比べて明確な利点(例えば、結合アビディティ、標的クラスター形成、および受容体活性化の増加)を提供する多価分子をもたらす。2つ以上の異なるDDppの連結は、独立に、または同時に、複数の標的抗原に結合する能力を有する多価かつ多重特異性の分子をもたらす。
【0164】
マルチマーDDpp融合タンパク質は、DDppホモマルチマー(例えば、ホモダイマー、ホモトリマー、ホモテトラマー等)であってもよい(即ち、任意で、リンカーによって接続された、複数の同じDDppをタンデムに含有してもよい)か、またはDDppヘテロマルチマーであってもよい(即ち、2つ以上のDDppを含有し、そのうちの少なくとも2つのDDppタンパク質が異なっていてもよい)。マルチマー組成物に含まれるモノマーDDppの数は、態様によって変動してよく、DDppが産生される発現系によって、少なくとも部分的に定義され得る。しかしながら、いくつかの態様において、融合タンパク質は、約5~約10のDDppサブユニット、約10~約15のサブユニット、約15~約20のサブユニット、約20~約25のサブユニット、または約25~約30のサブユニット(記載されたものの中間の数も終点も含む)のマルチマーを含み得る。さらに、DDpp融合タンパク質の複数のタンデム成分は、同じまたは異なるDDppを含有し得る。いくつかのDDpp融合物において、DDppは、モノマーとして存在するか、またはホモマルチマーもしくはヘテロマー、例えば、ホモダイマーもしくはヘテロダイマー、ホモトリマーもしくはヘテロトリマー、ホモテトラマーもしくはヘテロテトラマーの中に存在する。
【0165】
DDpp融合タンパク質は、「単一特異性」または「多重特異性」であり得る。「多重特異性」(例えば、二重特異性、三重特異性、またはそれ以上の多重特異性)であるDDpp融合タンパク質は、1つまたは複数の異なる分子(例えば、タンパク質、固体支持体構造等)に存在する2つ以上の異なるエピトープを認識し、それらに結合する。
【0166】
いくつかの態様において、2つ以上のDDが、多価DDppとして共に融合している。多価DDppのDDは、同じであってもよいか、または異なっていてもよい。したがって、本開示は、任意で、1つまたは複数のリンカーによって付着した、本明細書に記載されるDDのうちの任意のものを含む、DDppホモダイマー(即ち、2つの同一のDDを含むDDpp)、DDppホモマルチマー(即ち、3つ以上の同一のDDを含むDDpp)、DDppヘテロダイマー(即ち、2つの異なるDDを含むDDpp)、およびDDppヘテロマルチマー(即ち、3つ以上のDDを含み、DDのうちの少なくとも2つが異なる、DDpp)を提供する。
【0167】
いくつかの態様において、2つ以上のDDは、多価DD複合体を生成するため、マルチマー化ドメインによって連結されるか、または化学的連結を介して付着させられる。多価DD複合体のDDは、同じであってもよいか、または異なっていてもよい。したがって、本開示は、任意で、1つまたは複数のリンカーによって付着した、本明細書に記載されるDDのうちの任意のものを含む、DDホモダイマー複合体(即ち、2つの同一のDDを含むDD複合体)、DDホモマルチマー複合体(即ち、3つ以上の同一のDDを含むDD複合体)、DDヘテロダイマー複合体(即ち、2つの異なるDDを含むDD複合体)、およびDDヘテロマルチマー複合体(即ち、3つ以上のDDを含み、DDのうちの少なくとも2つが異なる、DD複合体)を提供する。
【0168】
一つの態様において、多重特異性DDpp融合タンパク質は、関心対象の単一の標的(例えば、CD123、CD33、LeY、CD38、BCMA、またはCS1、好ましくは、CD123、CD33、LeY、またはCD38)の少なくとも2つの異なるエピトープに結合する少なくとも2つのDDppを含有する。さらなる態様において、DDpp融合物は、二重特異性であり、2つの異なる細胞型の表面に発現される2つの異なる標的に特異的に結合する。一つの態様において、二重特異性DDpp融合タンパク質は、がん細胞上の標的および免疫エフェクター細胞上の標的に特異的に結合する。一つの態様において、二重特異性DDpp融合タンパク質は、がん細胞において発現される標的(例えば、CD123)およびTリンパ球の表面に発現される標的(例えば、CD3)に特異的に結合する。一つの態様において、二重特異性DDpp融合タンパク質は、CD123およびCD33に特異的に結合する。一つの態様において、二重特異性DDpp融合タンパク質は、CD123およびCD38に特異的に結合する。一つの態様において、二重特異性DDpp融合タンパク質は、CD123およびLeYに特異的に結合する。
【0169】
付加的な態様において、多重特異性DDpp融合タンパク質は、関心対象の標的の1つのエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのDDppと、同じ関心対象の標的の異なるエピトープに特異的に結合する機能を付与する少なくとも1つの他のドメインまたは配列(例えば、抗体の断片またはドメイン、例えば、scFv)とを含む。一つの態様において、多重特異性DDpp融合タンパク質は、関心対象の標的のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのDDppと、異なる関心対象の標的のエピトープに特異的に結合する機能を付与する少なくとも1つのドメインまたは配列、例えば、抗体の断片またはドメイン(例えば、scFv)とを含む。一つの態様において、多重特異性DDpp融合タンパク質は、関心対象の標的のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのDDppと、同じ細胞の異なる標的のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのドメインまたは配列とを含む。他の態様において、DDpp融合タンパク質は、少なくとも1つのDDppと、固体支持体に特異的に結合する機能を付与する少なくとも1つの他のDDppまたはドメイン配列、例えば、抗体の断片またはドメインとを含む。
【0170】
さらなる態様において、2つ以上のDDppを含むマルチマーDDpp融合物は、次に、他の異種タンパク質(またはそれらのサブドメイン)と融合させられ、それによって、融合パートナーに多価かつ多重特異性の特性を授与する。DDppの融合パートナーの例には、抗体、抗体サブドメイン(例えば、scFvまたはFcドメイン)、血清アルブミン、血清アルブミンサブドメイン、細胞表面受容体、T細胞受容体(TCR)のα鎖、T細胞受容体のβ鎖、細胞表面受容体サブドメイン、ペプチド、ペプチドタグ(例えば、FLAGまたはmyc)、フィブロネクチンIII型リピート、zドメイン、エラスチン様ポリペプチドが含まれるが、これらに限定されるわけではない。DDppの数および位置ならびに融合タンパク質内のそれぞれの位置は、変動し得る。例えば、DDppは、融合パートナーの1つもしくは全ての末端に位置してもよいか、かつ/またはDDpp融合パートナー内の異種サブユニット内に散在してもよい。
【0171】
付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、DDppと、付加的なドメインを含有するポリペプチド配列とを含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、DDppと、抗体、抗体断片(例えば、抗原結合ドメインまたはその一部分(例えば、scFv)、エフェクタードメインまたはその一部分、FcRn結合ドメインまたはその一部分、およびFcまたはその一部分)、血清タンパク質(例えば、アルブミンまたはその一部分)、サイトカイン、増殖因子、ホルモン、イメージング剤、標識剤、ならびにペプチドタグより選択されるメンバーとを含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、免疫グロブリンのFcドメイン(例えば、ヒトFcドメイン)またはその一部分を含む。さらなる態様において、Fcドメインは、バリアントヒトFcドメインである。
【0172】
いくつかの態様において、DDppは、異種ポリペプチドと融合している。いくつかの態様において、異種ポリペプチドは、全長抗体または抗体断片を含む。いくつかの態様において、DDは、全長抗体重鎖のアミノ末端;全長抗体軽鎖のアミノ末端;全長抗体重鎖のカルボキシル末端;または全長抗体軽鎖のカルボキシル末端と融合している。他の態様において、DDは、Fcである抗体断片と融合している。付加的な態様において、異種ポリペプチドは、(i)膜貫通ドメイン;(ii)膜会合ドメイン;(iii)ヒト血清アルブミンまたはその断片;(iv)AFPまたはその断片;(v)AFP p26またはその断片;(vi)受容体の細胞外ドメインまたはその断片;および(vii)細胞内受容体(例えば、核タンパク質)の細胞外ドメインまたはその断片からなる群より選択されるメンバーを含む。いくつかの態様において、DDppは、細胞表面受容体の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインの断片を含む異種ポリペプチドを含有する。
【0173】
いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質のDDppは、より大きいマルチドメイン分子複合体(例えば、モノマーまたはマルチマーのDDpp融合タンパク質)に組み込まれ、それによって、組み込まれたDDppの機能的属性を、結果として生じる融合タンパク質に授与する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、DDppと、抗体、抗体断片、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)もしくは血清タンパク質断片、もしくは細胞表面受容体、T細胞受容体(TCR)のα鎖、T細胞受容体のβ鎖、サイトカイン、増殖因子、ホルモン、もしくは酵素、またはそれらの断片に由来するポリペプチド配列とを含む。マルチドメインおよび/または多機能性複合体へのDDの組み込みは、当技術分野において公知の技術を使用して、別のポリペプチドとの組換え融合、別の化学的部分への結合、および別のポリペプチド(またはその他の望ましい化合物)との共有結合性の化学的連結によって、ルーチンに達成され得る。DDpp融合タンパク質は、他の任意選択の成分、例えば、リンカー、および本明細書に記載されるその他の成分をさらに含有してもよい。
【0174】
B. アダプター
いくつかの態様において、本明細書に記載されるDDpp融合タンパク質は、アダプタータンパク質である。アダプターは、抗原決定基(AD)と抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含む。アダプターは、付加的なAD、付加的なADBD、および/またはその他の付加的なドメインをさらに含み得る。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。
【0175】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、(a)CD123に結合するDドメイン(DD)と(b)抗原決定基(AD)とを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する単一のDドメインを含む1価アダプターである。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する2つのDドメインを含む2価アダプターである。いくつかの態様において、CD123に結合する2つのDドメインは、同じである。いくつかの態様において、CD123に結合する2つのDドメインは、異なる。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する第1のDドメインと、第2のADに結合する第2のDドメインとを含む2価アダプターである。いくつかの態様において、第2のADは、CD33またはLeYである。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む2つの同一のDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む2つの同一のDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、AFP p26抗原決定基(AD)を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:40のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。いくつかの態様において、アダプターは、そのアダプターと、CD123発現細胞と、アダプターに含まれるADに結合するADBDを含むCAR、例えば、AFP p26に結合するDドメインを含むCARを発現する免疫エフェクター細胞とを含むインビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0176】
いくつかの態様において、(a)CD123に結合するDドメインと(b)AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターは、本明細書において提供される。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。いくつかの態様において、アダプターは、そのアダプターと、CD123発現細胞と、AFP p26 ADを含むCARを発現する免疫エフェクター細胞とを含むインビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0177】
本明細書において提供されるアダプターにおいて、ADは、ADBDのN末端側にあり得る。あるいは、ADBDが、ADのN末端側にあってもよい。いくつかの態様において、ADとADBDとは、直接融合している。いくつかの態様において、ADとADBDとは、リンカー(タンパク質リンカーもしくは化学的リンカー)または別のタンパク質ドメイン(例えば、機能ドメイン)を介して融合している。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。
【0178】
いくつかの態様において、アダプターは、アダプターのADBDと別の機能ドメインとの間に位置するリンカーを含む。いくつかの態様において、リンカーは、アダプターの2つのADBDの間に位置している。いくつかの態様において、リンカーは、アダプターのADとADBDとの間に位置している。アダプターの2つ以上の機能ドメインをカップリングするのに適したリンカーは、当業者に明らかであり、一般に、ペプチド、タンパク質、またはその他の有機分子を連結するために当技術分野において使用されている任意のリンカーであり得る。例示的なリンカーは、本明細書において提供される。具体的な態様において、リンカーは、薬学的に使用するためのタンパク質またはポリペプチドを構築するのに適している。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。
【0179】
AD(または複数のAD)およびADBD(または複数のADBD)に加えて、本明細書において提供されるアダプターは、付加的なドメイン、例えば、半減期の延長を付与するドメインをさらに含むことができる。
【0180】
いくつかの態様において、アダプター、またはアダプター内のADBDは、脱免疫化(deimmunized)されている。
【0181】
本明細書において提供されるアダプターは、診断的適用、分析的適用、および治療的適用を含むが、これらに限定されるわけではない用途を有する。具体的な態様において、アダプターは、例えば、標的細胞を死滅させるため、細胞の表面に発現された本明細書において提供されるキメラ抗原受容体(CAR)と組み合わせて使用される。
【0182】
本明細書に開示されるDDpp(例えば、アダプターおよびCAR)に関連した使用に適したアダプターは、事実上、参照により本明細書に各々組み入れられる、国際出願公開WO 2016164305、同WO 2016164308A1、同WO 2019099440、および同WO 2019099433、米国特許第10,662,248号および同第10,647,775号、ならびに米国特許出願第20200223934号および同第20210002381号に開示されている。
【0183】
i. 抗原決定基(AD)
本明細書において提供されるアダプターは、少なくとも1つの抗原決定基(AD)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、単一のADを含む。いくつかの態様において、アダプターは、2つ以上のADを含む。アダプターが2つ以上のADを含む場合、ADは、同じあってもよいか、または異なっていてもよい。
【0184】
いくつかの態様において、ADは、AFP p26のエピトープである。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:37の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:39の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:37~43または44のアミノ酸残基を含む。
【0185】
いくつかの態様において、アダプターは、BCMA(例えば、SEQ ID NO:34の配列を含むポリペプチド)の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:34の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。
【0186】
いくつかの態様において、アダプターは、CD123(例えば、SEQ ID NO:1の配列を含むポリペプチド)の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:1の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。
【0187】
いくつかの態様において、アダプターは、CD19(例えば、SEQ ID NO:95の配列を含むポリペプチド)の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:95の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。
【0188】
いくつかの態様において、アダプターは、CS1(例えば、SEQ ID NO:35の配列を含むポリペプチド)の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:35の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD20の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD22の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD37の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、HER2の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD45の細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD26、CD30、CD33、またはCD38の細胞外ドメインを含む。
【0189】
いくつかの態様において、ADは、AFPのエピトープである。さらなる態様において、ADは、SEQ ID NO:36の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、または5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。
【0190】
いくつかの態様において、アダプターは、(例えば、SEQ ID NO:37~43または44の配列を有する)p26タンパク質を含む。いくつかの態様において、アダプターは、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、またはそれ以上のインビボ血漿半減期を有する。いくつかの態様において、アダプターは、マウスにおいて、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、もしくは65時間より長い、または1~10時間、2~10時間、4~10時間、6~10時間、もしくは6~9時間のインビボ血漿半減期を有する。いくつかの態様において、アダプターは、ヒトにおいて、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、もしくは65時間より長い、または1~10時間、2~10時間、4~10時間、6~10時間、もしくは6~9時間のインビボ血漿半減期を有する。
【0191】
いくつかの態様において、本開示は、(例えば、SEQ ID NO:37~43または44の配列を有する)p26タンパク質を含むアダプターの(例えば、マウスまたはヒトにおける)インビボ半減期を改変するための方法を提供する。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数の標的結合DDppを含む。いくつかの態様において、アダプターの半減期は、ヒトp26タンパク質に通常見出される1つもしくは複数のアミノ酸残基の置換もしくは欠失によって、またはヒトp26タンパク質に通常見出されない1つもしくは複数のアミノ酸残基の挿入によって、増加させられるか、または減少させられる。別の態様において、アダプターのp26配列は、アダプターのインビボ半減期を増加させるか、または減少させるため、1、2、3、4、5、10、または1~20、1~10、3~10、もしくは3~5個のアミノ酸の置換(保存的置換および/もしくは非保存的置換)、欠失、ならびに/または挿入を通して改変される。具体的な態様において、p26(SEQ ID NO:37)の217位のグルタミン(Gln、Q)に相当するアミノ酸残基が、別のアミノ酸残基に置換される。さらなる態様において、置換は、Gln217Proである。別の態様において、アダプターのp26配列は、アダプターのインビボ半減期を増加させるか、または減少させるため、1~150、1~100、1~50、1~25、または1~10個のアミノ酸残基の欠失を通して改変される。付加的な態様において、アダプターのp26配列は、アダプターのFcRnとの相互作用を増加させるか、または減少させるため、1、2、3、4、5、10、または1~20、1~10、3~10、もしくは3~5個のアミノ酸の置換(保存的置換および/もしくは非保存的置換)、欠失、ならびに/または挿入を通して改変される。
【0192】
いくつかの態様において、(例えば、アダプター内および/または標的細胞上の)ADは、天然に存在するタンパク質またはその他の分子に存在するADである。いくつかの態様において、ADは、ヒト内在性のADである。
【0193】
いくつかの態様において、ADは、ヒト細胞内タンパク質のエピトープである。さらなる態様において、ADは、Tyk2、Jak1、Jak2、Jak3、LCK、ZAP-70、およびGRB2より選択されるヒト細胞内タンパク質のエピトープである。さらなる態様において、ADは、細胞内タンパク質の5~25、5~50、5~75、5~100、5~125、もしくは5~150個のアミノ酸残基、150個より多いアミノ酸残基、または全てのアミノ酸残基を含む。
【0194】
いくつかの態様において、アダプターのADBDによって特異的に結合される関心対象の標的は、それ自体、異なる配列を有する別のアダプターのADである。
【0195】
ii. 抗原決定基結合ドメイン(ADBD)
本明細書において提供されるアダプターは、少なくとも1つの抗原決定基結合ドメイン(ADBD)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つのADBDを含有する。いくつかの態様において、アダプターは、少なくとも2つ、3つ、4つ、もしくは5つ、または5つ超のADBDを含有する。いくつかの態様において、アダプターは、1~3つ、1~4つ、1~5つ、または5つ超の異なるADBDを含有する。いくつかの態様において、アダプターは、少なくとも2つ、3つ、4つ、もしくは5つ、または5つ超の異なるADBDを含有する。したがって、アダプターは、モノマーADBDを含んでもよい(即ち、1つの抗原決定基結合ドメインを含有してもよい)か、またはマルチマーADBDを含んでもよい(即ち、任意で、リンカーによって機能的に接続された、複数の抗原決定基結合ドメインをタンデムに含有してもよい)。いくつかの態様において、マルチマーアダプターの使用は、増強された(例えば、相乗的な)標的結合を提供する。付加的な態様において、マルチマーアダプターの使用は、単一のアダプター構築物を使用して、複数の標的を標的とすることを可能にする(例えば、二重特異性、三重特異性等)。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0196】
マルチマーアダプターは、ホモマルチマー(例えば、ホモダイマー、ホモトリマー、ホモテトラマー等)である(即ち、任意で、リンカーによって接続された、複数の同じADBDを含有する)か、またはアダプターヘテロマルチマーである(即ち、2つ以上の抗原決定基結合ドメインを含有し、そのうちの少なくとも2つの抗原決定基結合ドメインが異なる)。特定のアダプターに含まれるADBDの数は、態様によって変動してよく、アダプターが産生される発現系によって、少なくとも部分的に定義され得る。しかしながら、いくつかの態様において、融合タンパク質は、約5~約10のADBD、約10~約15のADBD、約15~約20のADBD、約20~約25のADBD、または約25~約30のADBD(記載されたものの中間の数も終点も含む)のマルチマーを含み得る。さらに、アダプターの複数のドメインは、同じADBDを含有してもよいか、または異なるADBDを含有してもよい。いくつかの態様において、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のドメインが、タンデムに存在する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0197】
一つの態様において、アダプターは、機能的に連結された2つ以上のADBDを含む。一つの態様において、アダプターは、標的抗原の同じまたは異なるADに結合する2つのADBDを含む。同じ標的抗原に結合する2つ以上の同一のADBDの連結は、標的抗原に対するADBDを1つしか含有しない組成物より、明確な利点(例えば、結合アビディティ、標的クラスター形成、受容体活性化の増加)を提供する多価分子をもたらす。別の態様において、アダプターは、異なる抗原に結合する2つのADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、同じ細胞の異なる抗原に結合する2つのADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、異なる細胞の異なる抗原に結合する2つのADBDを含む。2つ以上のADBDの連結は、独立に、または同時に、複数の標的抗原に結合する能力を有する多価かつ多重特異性のアダプターをもたらす。いくつかの態様において、多価アダプターは、同じ標的抗原に同時に結合することができる。いくつかの態様において、多価アダプターは、異なる標的抗原に同時に結合することができる。いくつかの態様において、アダプターは、抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、抗原決定基は、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500アミノ酸長である。いくつかの態様において、抗原決定基は、5~500、5~400、10~300、5~200、50~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、50~75、100~500、100~400、100~300、100~200、または100~150アミノ酸長である。さらなる態様において、アダプターは、BCMA抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、AFP P26抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0198】
本明細書において提供されるアダプターのADBDは、任意のADに結合するものであり得る。いくつかの態様において、ADBDは、CD123(例えば、SEQ ID NO:1の配列を含むポリペプチド)に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、AFP p26(例えば、SEQ ID NO:37~43または44、好ましくは、SEQ ID NO:37または39の配列を含むポリペプチド)に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、BCMA(例えば、SEQ ID NO:34の配列を含むポリペプチド)に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、CD22に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、CD19に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、CD20に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、CD37に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、CS1に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、HER2に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、CD45に結合する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターのADBDは、ヒトCD26、CD30、CD33、またはCD38のADに特異的に結合する。アダプターは、「単一特異性」であってもよいか、または「多重特異性」であってもよい。「多重特異性」(例えば、二重特異性、三重特異性、またはそれ以上の多重特異性)であるアダプターは、1つまたは複数の異なる分子に存在する2つ以上の異なるエピトープを認識し、それらに結合する。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0199】
いくつかの態様において、アダプターは、CD123(例えば、SEQ ID NO:1の配列を含むポリペプチド)のドメイン(例えば、細胞外ドメイン)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、BCMA(例えば、SEQ ID NO 34の配列を含むポリペプチド)のドメイン(例えば、細胞外ドメイン)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD22のドメイン(例えば、細胞外ドメイン)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD19のドメイン(例えば、細胞外ドメイン)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CS1のドメイン(例えば、細胞外ドメイン)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、HER2のドメイン(例えば、細胞外ドメイン)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD45のドメイン(例えば、細胞外ドメイン)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD26、CD30、CD33、またはCD38のドメイン(例えば、細胞外ドメイン)を含む。いくつかの態様において、アダプターは、ドメインの断片を含む。いくつかの態様において、アダプターは、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500アミノ酸長であるドメインの断片を含む。いくつかの態様において、抗原決定基は、5~500、5~400、10~300、5~200、50~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、50~75、100~500、100~400、100~300、100~200、または100~150アミノ酸長である。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0200】
いくつかの態様において、アダプターは、ADBDが結合する1つまたは複数の標的抗原、および/または標的抗原を含有する複合体に結合し、それを架橋する少なくとも2つのADBDを含有する。いくつかの態様において、架橋される抗原は、同じ細胞に存在する。いくつかの態様において、架橋される抗原は、異なる細胞に存在する。いくつかの態様において、アダプターは、抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBD(例えば、前記のドメイン)を含む。いくつかの態様において、抗原決定基は、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500アミノ酸長である。いくつかの態様において、抗原決定基は、5~500、5~400、10~300、5~200、50~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、50~75、100~500、100~400、100~300、100~200、または100~150アミノ酸長である。さらなる態様において、アダプターは、BCMA抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、CD123抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、CD26、CD30、CD33、またはCD38の抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、AFP p26抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0201】
いくつかの態様において、アダプターは、同じADBDのうちの少なくとも2つを含有する(即ち、多価である)。いくつかの態様において、多価アダプターは、同じ標的抗原のうちの2つ以上に同時に結合することができる。いくつかの態様において、アダプターは、多価であり、同じ標的抗原に同時に結合することができる。いくつかの態様において、多価アダプターは、抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、抗原決定基は、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500アミノ酸長である。いくつかの態様において、抗原決定基は、5~500、5~400、10~300、5~200、50~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、50~75、100~500、100~400、100~300、100~200、または100~150アミノ酸長である。さらなる態様において、アダプターは、CD123抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、多価アダプターは、BCMA抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、多価アダプターは、AFP p26抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0202】
いくつかの態様において、アダプターは、異なる抗原に結合する少なくとも2つのADBDを含有する(即ち、多重特異性である)。いくつかの態様において、多重特異性アダプターは、異なる標的抗原に同時に結合することができる。いくつかの態様において、アダプターは、多価でもあり、同じ標的抗原に同時に結合することができる。いくつかの態様において、多重特異性アダプターは、抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、抗原決定基は、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500アミノ酸長である。いくつかの態様において、抗原決定基は、5~500、5~400、10~300、5~200、50~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、50~75、100~500、100~400、100~300、100~200、または100~150アミノ酸長である。さらなる態様において、アダプターは、CD123抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、BCMA抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、AFP p26抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0203】
一つの態様において、多重特異性アダプターは、単一の関心対象の標的(例えば、CD123)の少なくとも2つの異なるエピトープに結合する少なくとも2つのADBDを含有する。付加的な態様において、多重特異性アダプターは、関心対象の標的の1つのエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのADBDと、同じ標的抗原の異なるエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの他のADBDとを含む。一つの態様において、多重特異性アダプターは、第1の標的抗原のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのADBDと、第2の抗原のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのADBDとを含む。いくつかの態様において、アダプターは、細胞の第1の標的抗原のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのADBDと、同じ細胞の第2の抗原のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのADBDとを含む。いくつかの態様において、アダプターは、細胞の第1の標的抗原のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのADBDと、異なる細胞の第2の抗原のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのADBDとを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0204】
さらなる態様において、他の異種タンパク質(またはそれらのサブドメイン)と機能的に連結され、それによって、融合パートナーの多価特性、多重特異性、および/または機能的特性(例えば、薬物動態、例えば、半減期の増加、もしくは薬力学、例えば、機能の増加)をアダプター融合タンパク質に授与する、2つ以上のADBDを、アダプターは含む。アダプターの融合パートナーの例には、抗体、抗体サブドメイン(例えば、scFvまたはFcドメイン)、血清アルブミン、血清アルブミンサブドメイン、細胞表面受容体、T細胞受容体(TCR)のα鎖、T細胞受容体のβ鎖、細胞表面受容体サブドメイン、ペプチド、ペプチドタグ(例えば、FLAGまたはmyc)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。ADBDの数および位置、ならびにアダプター内のそれぞれの位置は、変動し得る。例えば、ADBDは、融合パートナーの1つもしくは全ての末端に位置してよく、かつ/またはアダプター融合パートナー内の異種サブユニット内に散在してよい。いくつかの態様において、アダプターは、異種タンパク質(例えば、抗原決定基)によって分離された2つ以上のADBDを含む。いくつかの態様において、異種タンパク質は、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500アミノ酸長である。いくつかの態様において、異種タンパク質は、5~500、5~400、10~300、5~200、50~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、50~75、100~500、100~400、100~300、100~200、または100~150アミノ酸長である。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0205】
一つの態様において、アダプターは、二重特異性であり、2つの異なる標的抗原に特異的に結合するADBDを含有する。さらなる態様において、二重特異性アダプターは、2つの異なる細胞型の表面に発現される2つの異なる標的抗原に特異的に結合する。さらなる態様において、二重特異性アダプターは、腫瘍細胞の表面に発現される2つの異なる標的抗原に特異的に結合する。さらなる態様において、二重特異性アダプターは、AML細胞の表面に発現される2つの異なる標的抗原(例えば、CD123およびCD33またはLeY)に特異的に結合する。一つの態様において、二重特異性アダプターは、異なる細胞に発現される標的抗原に結合する。さらなる態様において、二重特異性アダプターは、腫瘍の異なる細胞に発現される標的抗原に結合する。別の態様において、二重特異性アダプターは、腫瘍血管系内または腫瘍微小環境内の異なる細胞に発現される標的抗原に結合する。一つの態様において、二重特異性アダプターは、がん細胞標的および免疫エフェクター細胞標的に特異的に結合する。一つの態様において、二重特異性アダプターは、がん細胞において発現される標的(例えば、CD123)およびTリンパ球の表面に発現される標的(例えば、CD3)に特異的に結合する。いくつかの態様において、二重特異性アダプターは、異なる標的抗原に同時に結合することができる。いくつかの態様において、二重特異性アダプターは、抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、抗原決定基は、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500アミノ酸長である。いくつかの態様において、抗原決定基は、5~500、5~400、10~300、5~200、50~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、50~75、100~500、100~400、100~300、100~200、または100~150アミノ酸長である。さらなる態様において、アダプターは、CD123抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、BCMA抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、AFP P26抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0206】
アダプターが複数のADBDを含むいくつかの態様において、ADBDは、本明細書に記述されるADBDの型のうちの任意のものであり得る。例えば、ADBDは、抗体、その抗原結合断片、ScFv、代替足場結合ドメイン、Dドメイン、T細胞受容体、またはその抗原結合断片であり得る。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0207】
アダプターが複数のADBDを含むいくつかの態様において、ADBDは、同じ型の抗原結合分子であってもよいか、または異なっていてもよい。例えば、アダプターは、Dドメインである2つのADBDを含み得る。Dドメインである2つのADBDは、同じであってもよいか、または異なっていてもよい。アダプターは、DドメインであるADBDと、scFvであるADBDとを含んでもよい。アダプターは、T細胞受容体またはその抗原結合断片であるADBDと、scFvであるADBDとを含んでもよい。いくつかの態様において、アダプターは、抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、抗原決定基は、少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500アミノ酸長である。いくつかの態様において、抗原決定基は、5~500、5~400、10~300、5~200、50~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、50~500、50~400、50~300、50~200、50~100、50~75、100~500、100~400、100~300、100~200、または100~150アミノ酸長である。さらなる態様において、アダプターは、CD123抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、BCMA抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、AFP P26抗原決定基によって分離された2つ以上の機能的に連結されたADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む少なくとも1つのADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターは、Dドメインを含む複数のADBDを含む。いくつかの態様において、本明細書において提供されるアダプターの全てのADBDが、Dドメインを含む。
【0208】
いくつかの態様において、アダプターのADBDは、脱免疫化されている。いくつかの態様において、アダプターのADBDは、宿主MHC分子への結合を減少させるため、予測されたT細胞エピトープの1つまたは複数のアミノ酸残基を交換することによって脱免疫化される。
【0209】
いくつかの態様において、アダプターは、関心対象のADを含有する抗原標的に結合するADBDを含み、標的の機能に対して識別可能な影響を及ぼさない。あるいは、いくつかの態様において、アダプターは、関心対象のADを含有する抗原標的に結合するADBDを含み、完全に、または部分的に、標的の生物学的活性を阻害するか、拮抗的に作用する(antagonize)か、作動的に作用する(agonize)か、阻止するか、増加させるか、刺激するか、または干渉する。結合は、作動性(agonistic)または拮抗性(antagonistic)として同定され、そのような活性を評価するための当技術分野において公知のアッセイ、バイオアッセイ、および/もしくは動物モデルを使用して、またはルーチンに改変して、決定され得る。
【0210】
アダプターアゴニストとは、アダプター標的の生物学的活性を何らかの方式で増加させるか、もしくは増強するアダプター、またはアダプター標的の既知のアゴニストと比較可能な生物学的活性を有するアダプターをさす。別の態様において、アダプターは、それが結合する標的のアンタゴニストである。アダプターアンタゴニストとは、完全に、もしくは部分的に、アダプター標的の生物学的活性を阻止するか、もしくは何らかの方式で干渉するアダプター、またはアダプター標的の既知のアンタゴニストもしくは阻害剤と比較可能な生物学的活性を有するアダプターをさす。
【0211】
一つの態様において、アダプターは、血清タンパク質である関心対象の標的に特異的に結合する。一つの態様において、アダプターは、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA))、チロキシン結合タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン、ならびに免疫グロブリン(例えば、IgG、IgE、およびIgM)より選択される血清タンパク質に特異的に結合する。理論に拘束されるものではないが、担体タンパク質へのアダプターの結合は、担体タンパク質結合配列が欠けているアダプターと比較して、改善された腫瘍ターゲティング、腫瘍浸透、腫瘍内拡散、および増強された治療的活性を含むが、これらに限定されるわけではない、改善された薬力学的プロファイルをアダプターに付与すると考えられる(例えば、WO 01/45746(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。
【0212】
iii. アダプター機能ドメイン
いくつかの態様において、アダプターは、第1の抗原決定基(AD)と、第2の抗原決定基に結合するドメイン(ADBD)とを含み、1つまたは複数の付加的な望ましい特性(例えば、改善された製造)および/または薬物動態学的もしくは薬力学的特性(例えば、改善された半減期)を付与する機能ドメインをさらに含む。アダプターの機能ドメインは、ADとADBDとの間に位置し得る。アダプターは、ADおよびADBDの両方のN末端側、またはADおよびADBDの両方のC末端側に位置してもよい。アダプターが2つ以上のADを含む、いくつかの態様において、アダプターの機能ドメインは、2つ以上のADの間に、2つ以上のADのN末端側に、または2つ以上のADのC末端側に位置し得る。アダプターが2つ以上のADBDを含む、いくつかの態様において、アダプターの機能ドメインは、2つ以上のADBDの間に、2つ以上のADBDのN末端側に、または2つ以上のADBDのC末端側に位置し得る。
【0213】
いくつかの態様において、アダプターは、FcもしくはバリアントFc(例えば、ヒトFcもしくはバリアントFcドメイン)またはその断片、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)またはその断片;FcRn結合ドメイン;血清タンパク質結合ドメイン;サイトカイン、増殖因子、ホルモン、または酵素;イメージング剤;標識剤;およびペプチドタグより選択される機能ドメインを含む。
【0214】
アダプターの機能ドメインは、天然に由来するものであってもよいか、または組換え操作(ファージディスプレイ、ゼノマウス(xenomouse)、もしくは合成)の結果であってもよい。ある特定の態様において、アダプターの機能ドメインは、半減期を増強し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増加させるか、もしくは減少させ、かつ/または補体依存性細胞傷害(CDC)活性を増加させるか、もしくは減少させる。
【0215】
いくつかの態様において、アダプターは、FcもしくはバリアントFc(例えば、ヒトFcもしくはバリアントヒトFcドメイン)またはその断片もしくは誘導体、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)またはその断片もしくは誘導体(例えば、血清タンパク質結合ドメイン);FcRn結合ドメイン;および血清タンパク質結合ドメインより選択される機能ドメインを含む。
【0216】
一つの態様において、アダプターは、1つまたは複数のエフェクター機能、例えば、1つまたは複数のFc受容体に結合する能力をアダプターに付与する抗体エフェクタードメイン、または抗体エフェクタードメインの誘導体を含む機能ドメインを含む。いくつかの態様において、機能ドメインは、CH2ドメインおよびCH3ドメインによって提供されるエフェクター機能を有する抗体の1つまたは複数のCH2ドメインおよびまたはCH3ドメインを含む。いくつかの態様において、機能ドメインは、CH2ドメインおよびCH3ドメインによって提供されるエフェクター機能を有する抗体のCH2ドメインおよび/またはCH3ドメインの1つまたは複数の誘導体を含む。エフェクター機能を提供するため、アダプターに含まれ得、本発明に包含されるその他の配列は、当業者に明らかであり、所望のエフェクター機能に基づき、ルーチンに選択され、本明細書に包含されるアダプターへと設計され得る。
【0217】
一つの態様において、アダプターは、アダプターによって付与される抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増加させる機能ドメインを含む(例えば、参照によりその全体が本明細書に各々組み入れられる、Bruhns et al.,Blood 113:3716-3725(2009);Shields et al.,J.Biol.Chem.276:6591-6604(2001);Lazar et al.,PNAS 103:4005-4010(2006);Stavenhagen et al.,Cancer Res.67:8882-8890(2007);Horton et al.,Cancer Res.68:8049-8057(2008);Zalevsky et al.,Blood 113:3735-3743(2009);Bruckheimer,Neoplasia 11:509-517(2009);WO2006/020114;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびWO2004/074455を参照すること)。ADCCを増加させる、アダプターの機能ドメインに含有されるFcのエフェクター機能付与部分の断片操作改変の例には、IgGl-S298A、E333A、K334A;IgGl-S239D、I332E;IgGl-S239D、A330L、I332E;IgGl-P247I、A339DまたはQ;S298DもしくはVを伴うか、または伴わないIgGl-D280H、K290S;IgGl-F243L、R292P、Y300L;IgGl-F243L、R292P、Y300L、P396L;およびIgGl-F243L、R292P、Y300L、V305I、P396Lに相当する1つまたは複数の改変が含まれ、ここで、Fc領域における残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition)のものである。
【0218】
したがって、いくつかの態様において、アダプターは、免疫グロブリンの生物学的または生化学的な特徴をアダプターに付与する抗体断片を含む機能ドメインを含む。いくつかの態様において、抗体断片は、抗体断片を含まないアダプターと比較した時、非共有結合的にダイマー化する能力、腫瘍の部位に局在する能力、および血清半減期の増加より選択される特徴を付与する。ある特定の態様において、アダプターは、アダプターを含まない対応する抗体断片と少なくとも同程度に安定的である。ある特定の態様において、アダプターは、アダプターを含まない対応する抗体断片より安定的である。アダプタータンパク質の安定性は、例えば、ELISA技術を含む、確立された方法を使用して測定され得る。いくつかの態様において、アダプターは、少なくとも約10時間、少なくとも約15時間、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、少なくとも約25時間、少なくとも約30時間、少なくとも約35時間、少なくとも約40時間、少なくとも約45時間、少なくとも約48時間、少なくとも約50時間、少なくとも約55時間、少なくとも約60時間、少なくとも約65時間、少なくとも約70時間、少なくとも約72時間、少なくとも約75時間、少なくとも約80時間、少なくとも約85時間、少なくとも約90時間、少なくとも約95時間、または少なくとも約100時間(記載されたものの中間の任意の時間を含む)、37℃の全血(インビボまたはエクスビボ)中で安定的である。一つの態様において、アダプターは、定常領域ドメインのうちの1つまたは複数の少なくとも一画分が、所望の生化学的特徴、例えば、対応する変更されていない免疫グロブリン配列を有する免疫グロブリン断片と比較した時、エフェクター機能の低下もしくは増加、非共有結合的にダイマー化する能力、腫瘍の部位に局在する能力の増加、血清半減期の短縮、または血清半減期の増加を提供するため、変更されている、免疫グロブリンのドメインもしくは断片に相当する、免疫グロブリンエフェクタードメインまたは半減期に影響するドメインを含有する。定常領域ドメインのこれらの変更は、アミノ酸の置換、挿入、または欠失であり得る。
【0219】
一つの態様において、アダプターは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)をアダプターに付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む機能ドメインを含む。付加的な態様において、アダプターは、ADCCを増加させるため、改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Bruhns,Blood 113:3716-3725(2009);Shields,J.Biol.Chem.276:6591-6604(2001);Lazar,PNAS 103:4005-4010(2006);Stavenhagen,Cancer Res.67:8882-8890(2007);Horton,Cancer Res.68:8049-8057(2008);Zalevsky,Blood 113:3735-3743(2009);Bruckheimer,Neoplasia 11:509-517(2009);WO 06/020114;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびWO 04/074455(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。ADCCを増加させるアダプター内のアミノ酸配列に含有される免疫グロブリン断片操作改変の例には、IgG1-S298A、E333A、K334A;IgG1-S239D、I332E;IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG1-P247I、A339DまたはQ;S298DもしくはVを伴うか、または伴わないIgG1-D280H、K290S;IgG1-F243L、R292P、Y300L;IgG1-F243L、R292P、Y300L、P396L;およびIgG1-F243L、R292P、Y300L、V305I、P396Lに相当する1つまたは複数の改変を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン配列が含まれ;ここで、Fc領域における残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(参照により本明細書に組み入れられるKabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition)のものである。
【0220】
付加的な態様において、アダプターは、抗体依存性細胞貪食(ADCP)をアダプターに付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む機能ドメインを含む。付加的な態様において、アダプターは、抗体依存性細胞貪食(ADCP)を増加させるため、改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Shields et al.,J.Biol.Chem.276:6591-6604(2001);Lazar et al.,PNAS 103:4005-4010(2006);Stavenhagen et al.,Cancer Res.67:8882-8890(2007);Richards et al.,Mol.Cancer Ther.7:2517-2527(2008);Horton et al.,Cancer Res.68:8049-8057(2008),Zalevsky et al.,Blood 113:3735-3743(2009);Bruckheimer et al.,Neoplasia 11:509-517(2009);WO 06/020114;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびWO 04/074455(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。ADCPを増加させるアダプター内のアミノ酸配列に含有される免疫グロブリン断片操作改変の例には、IgG1-S298A、E333A、K334A;IgG1-S239D、I332E;IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG1-P247I、A339DまたはQ;S298DもしくはVを伴うか、または伴わないIgG1-D280H、K290S;IgG1-F243L、R292P、Y300L;IgG1-F243L、R292P、Y300L、P396L;IgG1-F243L、R292P、Y300L、V305I、P396L;およびIgG1-G236A、S239D、I332Eに相当する1つまたは複数の改変を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン配列が含まれ;ここで、残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(参照により本明細書に組み入れられるKabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition)のものである。
【0221】
付加的な態様において、アダプターは、補体依存性細胞傷害(CDC)をアダプターに付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む機能ドメインを含む。付加的な態様において、アダプターは、補体依存性細胞傷害(CDC)を増加させるため、改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Idusogie et al.,J.Immunol.166:2571-2575(2001);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびNatsume et al.,Cancer Res.68:3863-3872(2008)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。例えば、アダプターは、CDCを増加させる以下の改変のうちの1つまたは複数を含有する抗体の断片またはドメインを含有し得る:IgG1-K326A、E333A;IgG1-K326W、E333S、IgG2-E333S;ここで、残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(参照により本明細書に組み入れられるSequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition)のものである。
【0222】
付加的な態様において、アダプターは、FcγRIIb受容体に結合する能力をアダプターに付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む機能ドメインを含む。付加的な態様において、アダプターは、FcγRIIb受容体との抑制性の結合を増加させるため、改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Chu et al.,Mol.Immunol.45:3926-3933(2008)を参照すること)。抑制性FcγRIIb受容体への結合を増加させる、アダプターのアミノ酸配列に含有される免疫グロブリン断片操作改変の例は、IgG1-S267E、L328Fである。
【0223】
IgGの半減期は、胎児性受容体FcRnとのpH依存的な結合によって媒介される。ある特定の態様において、アダプターは、胎児性受容体FcRnに結合する能力をアダプターに付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む機能ドメインを含有する。ある特定の態様において、アダプターは、FcRnへの結合を増強するため、改変されている免疫グロブリンFcRn結合ドメインの配列を含む機能ドメインを含有する(例えば、Petkova et al.,Int.Immunol.18:1759-1769(2006);Dall'Acqua et al.,J.Immunol.169:5171-5180(2002);Oganesyan et al.,Mol.Immunol.46:1750-1755(2009);Dall'Acqua et al.,J.Biol.Chem.281:23514-23524(2006)、Hinton et al.,J.Immunol.176:346-356(2006);Datta-Mannan et al.,Drug Metab.Dispos.35:86-94(2007);Datta-Mannan et al.,J.Biol.Chem.282:1709-1717(2007);WO 06/130834;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびYeung et al.,J.Immunol.182:7663-7671(2009)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。
【0224】
付加的な態様において、アダプターは、pH 6.0ではFcRnに対する選択的親和性を有するが、pH 7.4では有しないよう改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む機能ドメインを含む。例えば、アダプター機能ドメインは、半減期を増加させる以下の改変のうちの1つまたは複数を含有する抗体の断片またはドメインを含有してよい:IgG1-M252Y、S254T、T256E;IgG1-T250Q、M428L;IgG1-H433K、N434Y;IgG1-N434A;およびIgG1-T307A、E380A、N434A;ここで、残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(参照により本明細書に組み入れられるKabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition)のものである。
【0225】
別の態様によると、アダプターは、238、239、246、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、332、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438、および439より選択されるFc領域(例えば、Fcγ)位置に相当する配列に少なくとも1つの置換を含有するよう改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインに相当するアミノ酸配列を含む機能ドメインを含み、ここで、Fc領域における残基のナンバリングは、KabatらのEUのナンバリングシステム(参照により本明細書に組み入れられるSequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition)による。具体的な態様において、アダプターは、434位に相当する少なくとも1つの残基が、A、W、Y、F、およびHより選択される残基である、免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体の配列を含む機能ドメインを含有する。別の態様によると、アダプターは、以下のそれぞれの置換、S298A/E333A/K334Aを有する免疫グロブリンエフェクター断片誘導体の配列を含む。付加的な態様において、アダプターは、K322Aに相当する置換を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体を含む。別の態様において、アダプターは、以下の置換、K246H、H268D、E283L、S324G、S239D、およびI332Eのうちの1つまたは任意の組み合わせを有する免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体の配列を含む。さらに別の態様によると、アダプターは、D265A/N297Aに相当する置換を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体の配列を含む。
【0226】
ある特定の態様において、アダプターは、当技術分野において公知の技術を使用して、エフェクター機能を増加させるため、糖鎖改変されているかまたは変異させられている免疫グロブリンエフェクタードメイン、の配列を含む機能ドメインを含む。例えば、アダプターに含有される定常領域ドメイン配列の(点変異またはその他の手段を通した)不活性化は、循環アダプターのFc受容体結合を低下させ、それによって、腫瘍局在を増加させることができる。他の場合において、本発明のある特定の態様と一致する定常領域改変は、補体結合を穏やかにし、したがって、コンジュゲートされた細胞毒の血清半減期および非特異的会合を低下させ得る。定常領域のさらに他の改変は、抗原特異性または抗体可動性の増加による局在の増強を可能にする、ジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を改変するために使用され得る。改変の結果として生じる生理学的プロファイル、バイオアベイラビリティ、およびその他の生化学的効果、例えば、腫瘍局在、体内分布、および血清半減期は、過度の実験法なしに、周知の免疫学的手法を使用して容易に測定され、定量化され得る。
【0227】
提供された方法の実施において有用なアダプターの作製は、当技術分野において公知の化学合成のための多様な標準的な技術、半合成法、および組換えDNA方法論を使用して実施され得る。いくつかの態様において、アダプターを作製するための全体的な作製スキームは、参照タンパク質足場の入手、および改変のための足場内の複数の残基の同定を含む。態様に応じて、参照足場は、1つもしくは複数のαヘリックス領域を含むタンパク質構造、またはその他の三次構造を含み得る。同定された後、複数の残基が、例えば、アミノ酸の置換によって、改変され得る。いくつかの態様において、置換は保存的であるが、他の態様において、非保存的置換がなされる。いくつかの態様において、参照足場の改変のための標的とされた位置において、天然アミノ酸(例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンのうちの1つ)が置換される。ある特定の態様において、改変は、システインまたはプロリンのいずれかにおける置換を含まない。具体的な態様において、所望の同定された位置の全てにおいて改変がなされた後、得られた改変されたポリペプチド(例えば、候補アダプター)は、(例えば、改変されたポリペプチドの各々の数を増加させるため)例えば、プラスミド、細菌、ファージ、またはその他のベクターにおいて組換え発現され得る。次いで、改変されたポリペプチドは、精製され、特定の関心対象の標的との特異的結合を有する改変されたポリペプチドを同定するため、スクリーニングされ得る。いくつかの態様において、所定の関心対象の標的への結合をほとんどまたは全く示さない場合がある参照足場と比べて、いくつかの態様において、ある特定の改変されたポリペプチドは、増強された結合特異性を関心対象の標的に対して示す。付加的な態様において、関心対象の標的に応じて、参照足場は、関心対象の標的との何らかの相互作用(例えば、非特異的相互作用)を示し得るが、一方で、ある特定の改変されたポリペプチドは、少なくとも約2倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、または少なくとも約100倍(またはそれ以上)増加した結合特異性を関心対象の標的に対して示す。任意で、参照配列および/または改変されたポリペプチド(例えば、アダプター)は、脱免疫化され得る。例えば、免疫原性である可能性のある残基またはモチーフを同定し、アダプターに対する可能性のある免疫応答を低下させるか、または排除するため、改変することができる。アダプターの作製、選択、および単離の様々な態様に関する付加的な詳細は、以下により詳細に提供される。
【0228】
【0229】
いくつかの態様において、本開示は、表2に開示されたアダプターのうちの1つまたは複数を含む組成物を提供する。他の態様において、本開示は、表2に開示された配列と60~70%、70~75%、75~80%、80~85%、85~90%、95~99%(およびその中の重複する範囲)の相同性を有する配列を含む1つまたは複数のアダプターを含む組成物を提供する。いくつかの態様において、そのような相同性を有するアダプターは、表2中のそれぞれの参照配列と比較して、機能的に類似しているか、または同一である。いくつかの態様において、本開示は、表2に開示されたアダプター(参照配列)のうちの1つまたは複数と、CD123結合について(完全に、または部分的に)競合する1つまたは複数のアダプターを含むポリペプチドを提供する。あるポリペプチドの、それぞれの標的への結合について参照ポリペプチドと競合する能力は、当技術分野において公知の標準的な競合アッセイを使用してルーチンに決定され得る。いくつかの態様において、競合は、アダプターが表2のアダプターと同じエピトープについて競合することを必要とせず、むしろ、ポリペプチドは、立体的に阻害するエピトープ、重複するエピトープ等に結合することによって競合してもよい。
【0230】
C. キメラ抗原受容体
細胞外ドメインと膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)も、本明細書において提供される。いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARは、抗原決定基(AD)を含む細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARは、結合特異性を授与するため、本明細書に開示される少なくとも1つのDドメイン(DD)を含む細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARは、ADBDを含む細胞外ドメインを含む。CARは、任意の細胞型によって発現され得る。
【0231】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるキメラ抗原受容体(CAR)は、CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む。
【0232】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるキメラ抗原受容体(CAR)は、AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するscFvを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含む。
【0233】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるキメラ抗原受容体(CAR)は、AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。
【0234】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARは、抗原決定基(AD)を含む細胞外ドメインを含む。そのようなCARは、細胞(例えば、免疫細胞または免疫エフェクター細胞)の表面に発現され、例えば、標的細胞を死滅させるため、ADに結合する第1のADBD(例えば、Dドメイン)と、標的細胞上の標的に結合する第2のADBD(例えば、Dドメイン)とを含むアダプターと組み合わせて使用され得る。いくつかの態様において、ADは、AFPまたはその断片を含む。いくつかの態様において、ADは、p26またはその断片を含む。いくつかの態様において、ADは、SEQ ID NO:37~43または44のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、ADは、SEQ ID NO:40のアミノ酸配列を含む。
【0235】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARは、少なくとも1つのDドメイン(DD)を含む細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、Dドメインは、標的細胞上の抗原決定基(AD)(例えば、CD123)またはアダプターに含まれるAD(例えば、p26)を認識することができる。いくつかの態様において、標的細胞上のADに結合することができるDDを含むCARを、細胞(例えば、免疫細胞または免疫エフェクター細胞)の表面に発現させ、例えば、ADを発現する標的細胞を死滅させるために使用することができる。いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのCD123結合Dドメインを含む細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、CD123結合DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、第1のAD(例えば、p26)に結合することができるDDを含むCARを、細胞(例えば、免疫細胞または免疫エフェクター細胞)の表面に発現させ、例えば、標的細胞を死滅させるため、第1のADと、標的細胞上の第2のADに結合するADBD(例えば、Dドメイン)とを含むアダプターと組み合わせて使用することができる。いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのp26結合Dドメインを含む細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのp26結合Dドメインを含む細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、p26結合DDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、p26は、SEQ ID NO:37~43または44のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、p26は、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、p26は、SEQ ID NO:40のアミノ酸配列を含む。
【0236】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARは、ADBDを含む細胞外ドメインを含む。いくつかの態様において、ADBDは、本明細書に開示される標的結合ポリペプチド(例えば、Dドメイン)から少なくとも部分的に構成される。いくつかの態様において、ADBDは、標的細胞上の抗原決定基(AD)(例えば、CD123)またはアダプターに含まれるAD(例えば、p26)を認識することができる。いくつかの態様において、標的細胞上のADに結合することができるADBDを含むCARを、細胞(例えば、免疫細胞または免疫エフェクター細胞)の表面に発現させ、例えば、ADを発現する標的細胞を死滅させるために使用することができる。いくつかの態様において、第1のAD(例えば、p26)に結合することができる第1のADBDを含むCARを、細胞(例えば、免疫細胞または免疫エフェクター細胞)の表面に発現させ、例えば、標的細胞を死滅させるため、第1のADと、標的細胞上の第2のADに結合する第2のADBD(例えば、Dドメイン)とを含むアダプターと組み合わせて使用することができる。いくつかの態様において、p26は、SEQ ID NO:37~43または44のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、p26は、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、p26は、SEQ ID NO:40のアミノ酸配列を含む。
【0237】
本発明は、膜結合型融合タンパク質に結合特異性を授与するよう設計された少なくとも1つのDDppから構成される細胞関連DDppを作製する手段をさらに提供する。DDpp-受容体は、任意の細胞型によって発現され得る。一つの態様において、DDpp-受容体融合タンパク質は、細胞外ターゲティングドメインと膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)またはDDpp-CARを含む。別の態様において、DDpp-CARは、細胞外ターゲティングドメインと膜貫通ドメインと細胞質ドメインとから構成され、ここで、細胞質ドメインはシグナル伝達ドメインを含む。さらなる態様において、DDpp-CAR細胞外ドメインは、1つまたは複数のDDppを含み、ここで、各DDppは、同じまたは異なる特異性を有する特異的結合性ドメインを構成する。いくつかの態様において、標的特異的ドメインは、本明細書に開示されるがん抗原または腫瘍抗原のうちの1つ(または複数)、例えば、非限定的な例として、BCMA、CD123、およびCS1に対するものである。いくつかの態様において、標的特異的ドメインは、AFP p26に対するものである。
【0238】
いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインまたはその断片は、ヒトCD3ζドメイン、41BBドメイン、CD28ドメイン、およびそれらの任意の組み合わせの群より選択される。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。態様に応じて、共刺激シグナル伝達領域は、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせの群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む。
【0239】
いくつかの態様において、CARは、付加的な標的結合ポリペプチドを含む融合タンパク質を含む。
【0240】
いくつかの態様において、CARのADBDは、膜結合型CARに結合特異性を授与するよう設計された少なくとも1つの代替足場結合ドメイン(例えば、Dドメインまたはアフィボディ)を含む。代替足場結合ドメインを含む受容体は、任意の細胞型によって発現され得る。
【0241】
一つの態様において、CARは、以下の要素:細胞外ドメインと膜貫通ドメインと細胞質ドメインとから構成され、ここで、細胞質ドメインはシグナル伝達ドメインを含む。別の態様において、CARは、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとから構成される。さらなる態様において、CARは、同じまたは異なる特異性を有する1つまたは複数のADBD(例えば、Dドメイン)から構成される細胞外ドメインから構成される。一つの態様において、CARの細胞内ドメイン(例えば、細胞質ドメイン)は、CD3ζ鎖の細胞内ドメインを含む。別の態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ鎖の細胞内ドメインの一部から構成される。さらなる態様において、CARの細胞内ドメインは、CD3ζ鎖の細胞内ドメインと共刺激シグナル伝達領域とを含む。共刺激シグナル伝達領域とは、共刺激分子の細胞内ドメインの全部または一部を含むCARの一部分をさす。CARに共刺激特性を付与することができる共刺激分子およびこれらの分子の一部分は、当技術分野において公知であり、CARにルーチンに組み込まれ得る。さらに、受容体シグナル伝達をさらに増強するか、または低下させるため、短縮または変異が、これらの細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激ドメインに組み込まれ得る。好ましい態様において、T細胞は、CARを安定的に発現するよう遺伝子改変される。そのような態様において、CARの細胞質ドメインは、CD28および/もしくは41BBのシグナル伝達ドメインを単独で含むよう設計されてもよいか、または本発明に関して有用な任意のその他の所望の細胞質ドメインと組み合わせられてもよい。一つの態様において、CARの細胞質ドメインは、CD3ζのシグナル伝達ドメインをさらに含むよう設計され得る。いくつかの態様において、細胞質ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞質ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。一つの態様において、CARは、細胞外ドメインと、(例えば、T細胞またはNK細胞に見出される)細胞膜を通過する膜貫通ドメインを含む細胞外タンパク質リンカーと、任意で、複数のシグナル伝達モジュールを含む、細胞質ドメインとを含む。いくつかの態様において、CARは、エピトープタグも含み得る。いくつかの態様において、CARの細胞質ドメインは、CD3ζ、41BB、およびCD28のシグナル伝達モジュール、ならびにそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、細胞質ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞質ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。
【0242】
ターゲティング領域の一部(または全部)として標的結合ポリペプチドを含むCARをコードする単離された核酸配列も提供される。
【0243】
いくつかの態様において、CARのターゲティングドメインは、付加的な標的結合ポリペプチドを含む複数の結合ドメイン(例えば、DD、または1つもしくは複数のDDおよびscFv)を含む。
【0244】
本開示は、CARをコードする核酸配列を含む細胞も提供し、ここで、CARは、関心対象の標的(例えば、CD123およびAFP p26)に結合する開示されたDDppから少なくとも部分的に構成される抗原結合ドメインと、膜貫通ドメインと、シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、CARは、腫瘍抗原に特異的に結合する(したがって、CARを発現する細胞を腫瘍に送達するよう機能する)。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、血液悪性腫瘍と関連している。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、CD123である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、またはその他の免疫細胞型である。いくつかの態様において、(T細胞であってもよいか、NK細胞であってもよいか、またはその他の細胞型であってもよい)CARを発現する細胞は、ポリペプチドが、対応する腫瘍抗原に結合した時に、抗腫瘍免疫を示す。
【0245】
i. 細胞外ドメイン
本明細書において提供されるCARは、1つまたは複数の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)(例えば、Dドメイン)を含む。CARのADBDは、本明細書に記載される任意のADBD(例えば、Dドメイン)であり得る。例示的なADBDには、ポリペプチド、例えば、(抗体およびその抗原結合断片、例えば、免疫グロブリン、シングルドメイン抗体(sdAb)、ならびにscFvを含む)抗体分子、または非抗体足場(例えば、Dドメインもしくはアフィボディ)が含まれる。
【0246】
標的とされる所望の抗原に応じて、CARの細胞外ドメインは、所望の抗原標的に特異的に結合する1つまたは複数の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)を含むよう操作され得る。例えば、一つの態様において、CARは、CD123を標的とするよう操作され、CD123結合ADBD(例えば、Dドメイン)が、CARの細胞外ドメインに組み込まれる。あるいは、CARの細胞外ドメインは、複数のADBDを含み、それによって、CARに多重特異性または多価を授与してもよい。
【0247】
CARの細胞外ドメインにおけるADBDの選択は、標的とされる細胞の同一性に依存する。例えば、CARの細胞外ドメインは、同じ細胞または別の細胞の細胞表面タンパク質、例えば、受容体に特異的に結合するよう操作され得る。他の態様において、CARの細胞外ドメインは、可溶性分子、例えば、免疫グロブリンに特異的に結合するよう操作される。
【0248】
他の態様において、CARの細胞外ドメインは、がんに関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドに結合する1つまたは複数のADBD(例えば、Dドメイン)を含有する。いくつかの態様において、ADBDは、腫瘍抗原またはがん抗原(例えば、TAA、TSA、CAA、CSA、または本明細書に記載されるか、もしくはその他の方法で当技術分野において公知のその他の腫瘍抗原)を標的とし、それに結合する。したがって、CARを作製するための方法、キメラの細胞、例えば、ヒトT細胞およびナチュラルキラー細胞の作製におけるそれらの使用、ならびに養子免疫治療におけるこれらのキメラのT細胞およびNK細胞の使用が、本明細書において提供される。
【0249】
ADBD(例えば、Dドメイン)の選択は、標的細胞の表面を定義するリガンドまたは受容体の型および数に依存し得る。例えば、ADBDは、特定の疾患状態に関連する標的細胞上の細胞表面マーカーとして作用するリガンドまたは受容体を認識するよう選択され得る。リガンドまたは受容体として作用し得る細胞表面マーカーの例には、特定の疾患状態に関連する細胞表面マーカー、例えば、ウイルス疾患、細菌性疾患、寄生虫感染、自己免疫疾患、および望ましくない細胞増殖に関連する障害、例えば、がん、例えば、本明細書に記載されるがんの細胞表面マーカーが含まれる。
【0250】
いくつかの態様において、ADBDは、CD123(例えば、SEQ ID NO:1の配列を含むポリペプチド)に結合する。いくつかの態様において、ADBDは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるDD配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0251】
いくつかの態様において、ADBD(例えば、Dドメイン)は、AFP(例えば、SEQ ID NO:36の配列を含むポリペプチド)またはその断片に結合する。いくつかの態様において、ADBD(例えば、Dドメイン)は、AFP p26(例えば、SEQ ID NO:37~43または44の配列を含むポリペプチド)に結合する。いくつかの態様において、ADBD(例えば、Dドメイン)は、SEQ ID NO:37の配列を含むポリペプチドに結合する。いくつかの態様において、ADBDは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるDD配列を含む。いくつかの態様において、DDは、AFP p26に結合し、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDは、AFP p26に結合し、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。
【0252】
いくつかの態様において、CARは、抗体またはその抗原結合断片であるADBDを含む。いくつかの態様において、CARは、scFvであるADBDを含む。いくつかの態様において、CARは、代替足場結合ドメインであるADBDを含む。いくつかの態様において、CARは、DドメインであるADBDを含む。いくつかの態様において、CARは、T細胞受容体またはその抗原結合断片を含む。
【0253】
複数のADBDを含むCARも、本明細書において提供される。いくつかの態様において、CARは、複数の同じADBDを含む。いくつかの態様において、CARは、複数の異なるADBDを含む。いくつかの態様において、CARは、同じ抗原決定基に結合する複数のADBDを含む。いくつかの態様において、CARは、複数のADBDを含み、ここで、結合ドメインは、異なるADに結合する。いくつかの態様において、CARは、複数のADBDを含み、ここで、結合ドメインは、同じ細胞上の異なるADに結合する。いくつかの態様において、CARは、複数のADBDを含み、ここで、結合ドメインは、異なる細胞上の異なるADに結合する。
【0254】
いくつかの態様において、CARは、複数、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のADBD(例えば、Dドメイン、アフィボディ、またはscFv)を含み、ここで、各ADBDは、標的抗原に結合することができる。一つの態様において、CARのADBDのうちの2つ以上は、異なるADに結合することができる。付加的な態様において、CARのADBDのうちの2つ以上は、同じ抗原、例えば、同じ抗原上の同じまたは異なるエピトープに結合することができる。一つの態様において、CARの複数のADBDは、相互に連結されており、例えば、第1のADBDのC末端が、第2のADBDのN末端に連結されている。一態様において、第1のADBDのC末端は、共有結合、例えば、ペプチド結合によって、第2のADBDのN末端に連結されている。
【0255】
いくつかの態様において、リンカーまたはヒンジ領域は、ADBDのうちの1つまたは複数の間に含有されており、例えば、リンカーまたはヒンジ領域は、第1のADBDのC末端と第2のADBDのN末端との間に位置する。例えば、2つのADBD(例えば、ADBD1およびADBD2)を含む抗原結合メンバーは、以下の構成:[ADBD1]-[リンカー/ヒンジ]-[ADBD2]で配置され得る。任意で、ADBDのC末端と次のADBDのN末端との間に位置するリンカーまたはヒンジ領域によって、同様に、付加的なADBDが追加されてもよい。複数の抗原結合メンバーの連結において使用するのに適したリンカーまたはヒンジ領域は、可動性であり、切断不可能であり、複数の標的ADとの同時結合を促すため、他のADBDに依存しない各ADBDのほぼ自由な動きを可能にするものである。当技術分野において公知の任意の可動性のリンカーまたはヒンジ領域を使用することができる。リンカーの例には、グリシン残基およびセリン残基を含むペプチドリンカー、例えば、(GGGGS)n[nは、1以上の正の整数、例えば、n=1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である](SEQ ID NO:96)が含まれる。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、SEQ ID NO:45~48、118、または119の配列を含有する。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、SEQ ID NO:45~48、118、または119の配列を含有する。
【0256】
いくつかの態様において、CARは、CD123結合DDを含む。いくつかの態様において、CARは、BCMA結合DDおよびCD123結合DDを含む。
【0257】
いくつかの態様において、CARの抗原結合部分は、CD123およびCD33に特異的に結合する。いくつかの態様において、CARの抗原結合部分は、CD123およびLeYに特異的に結合する。付加的な態様において、CARの抗原結合部分は、BCMA、CS1、HVEM、BTLA、DR3、CD19、CD20、およびCD22より選択される標的にさらに結合する。
【0258】
いくつかの態様において、CARの抗原結合部分は、腫瘍抗原にさらに結合する。付加的な態様において、CARの抗原結合部分は、CD33またはLeYにさらに結合する。付加的な態様において、CARの抗原結合部分は、BCMA、CD123、CS1、HER2、HVEM、BTLA、DR3、CD19、CD20、およびCD22より選択される標的にさらに結合する。
【0259】
いくつかの態様において、CARは、がん細胞の表面に発現される関心対象の標的(例えば、CD123)に特異的に結合する、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDおよび/またはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。付加的な態様において、CARは、がん細胞の表面に発現される第2の異なる関心対象の標的に特異的に結合する、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。付加的な態様において、投与されるCARは、第2の異なるがん細胞または血管内皮細胞によって発現される、第2の異なる関心対象の標的に特異的に結合する、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの態様において、CARは、AFP p26に特異的に結合する、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDおよび/またはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。いくつかの態様において、CARは、CD123に特異的に結合する、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDおよび/またはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123結合DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0260】
ii. 細胞外スペーサードメイン
いくつかの態様において、CARは、細胞外スペーサードメインを含む。本明細書において使用されるように、「細胞外スペーサードメイン」または「ESD」という用語は、ADBDと膜貫通ドメインとの間に位置付けられたCARのポリペプチド配列をさす。一態様において、細胞外スペーサードメインは、細胞の外表面およびADBDからの十分な距離、ならびに細胞とADBDとの間の立体障害を最小化するための可動性を可能にする。
【0261】
具体的な態様において、細胞外スペーサードメインは、CARを含む細胞と、ADを保持する細胞、例えば、標的細胞とのエンゲージメントに干渉しないよう十分に短いか、または可動性である。一態様において、細胞外スペーサードメインは、2~20、5~15、7~12、または8~10アミノ酸長である。いくつかの態様において、ESDドメインは、少なくとも50、20、または10残基を含む。いくつかの態様において、ESDは、10~300、10~250、または10~200残基長である。
【0262】
いくつかの態様において、ESDが細胞から延びる距離は、ヒンジがCAR ADBDと標的細胞の表面とのエンゲージメントを妨害しないよう十分に短い。いくつかの態様において、ESDは、細胞傷害性細胞の表面から20、15、または10ナノメートル未満だけ延びている。したがって、ESDのための適切性は、ESDの直線的な長さ、アミノ酸残基の数、および可動性の両方によって影響を受け得る。例えば、IgG4 ESDは、200アミノ酸長程度であり得るが、Igドメインの折り畳みによって、細胞傷害性細胞の表面から延びる距離は、より短くなる。約8nmの約43アミノ酸長であるCD8αESD。対照的に、IgG4 C2 & C3 ESDは、約200アミノ酸長であるが、CD8αESDのものと比較可能な細胞傷害性細胞表面からの距離を有する。理論に拘束されることを望むものではないが、延伸の類似性は、可動性によって影響を受ける。
【0263】
いくつかの態様において、細胞外スペーサードメインは、抗体のFc断片もしくはその断片もしくは誘導体、抗体のヒンジ領域もしくはその断片もしくは誘導体、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工スペーサー配列、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるわけではない。細胞外スペーサードメインの付加的な例には、CD8aヒンジ、および、例えば、Gly3と同程度に小さくてもよいポリペプチドからなる人工スペーサー、またはIgG(例えば、ヒトIgG4)のCH1ドメインおよびCH3ドメインが含まれるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、細胞外スペーサードメインは、(i)IgG4のヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域、(ii)IgG4のヒンジ領域、(iii)IgG4のヒンジおよびCH2、(iv)CD8aのヒンジ領域、(v)IgGlのヒンジ領域、CH2領域、およびCH3領域、(vi)IgGlのヒンジ領域、または(vi)IgGlのヒンジ領域およびCH2領域のうちの1つまたは複数である。他の細胞外スペーサードメインは、当業者に明らかであり、本明細書において提供される代替的な態様に関して使用され得る。
【0264】
いくつかの態様において、ESDは、天然に存在する配列である。いくつかの態様において、CARのESDは、ヒトタンパク質に由来するESD、その断片、または短いオリゴペプチドリンカーもしくはポリペプチドリンカーに相当する。いくつかの態様において、CAR ESDは、ヒトIg(免疫グロブリン)ESD(ヒンジ)またはその断片に相当する。一つの態様において、ESDは、IgG4 ESDのアミノ酸配列を含む(例えば、からなる)。一つの態様において、例えば、ヒンジは、IgDヒンジのアミノ酸配列を含む(例えば、からなる)。いくつかの態様において、ヒンジは、ヒトCD8ヒンジまたはその断片であり得る。一つの態様において、例えば、ヒンジは、CD8ヒンジのアミノ酸配列を含む(例えば、からなる)。
【0265】
いくつかの態様において、ESDは、人工配列である。一つの態様において、ESDは、グリシン-セリンダブレットを含む短いオリゴペプチドリンカーである。
【0266】
いくつかの態様において、CARは、CD8a細胞外スペーサードメインを含む。
【0267】
いくつかの態様において、CARは、細胞外スペーサードメインを含有しない。
【0268】
iii. 膜貫通ドメイン
「膜貫通ドメイン」(TMD)という用語は、本明細書において使用されるように、細胞表面に発現されるタンパク質、例えば、CARの、細胞膜にかかる領域をさす。いくつかの態様において、TMDは、細胞外配列(例えば、細胞外ADBDまたは細胞外AD)と、細胞内配列、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインとを連結する。いくつかの態様において、CARの膜貫通ドメインは、膜貫通タンパク質(例えば、I型膜貫通タンパク質)の膜貫通領域、人工疎水性配列、またはそれらの組み合わせである。他の膜貫通ドメインは、当業者に明らかであり、本発明の代替的な態様に関連して使用され得る。いくつかの態様において、細胞外ADBDは、CD123結合ADBD(例えば、Dドメイン)である。いくつかの態様において、細胞外ADBDは、SEQ ID NO 8、13、14、31、32、または33のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞外ADBDは、SEQ ID NO 14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞外ADBDは、p26結合ADBD(例えば、Dドメイン)である。いくつかの態様において、細胞外ADBDは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞外ADBDは、SEQ ID NO 73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞外ADは、p26を含む。いくつかの態様において、細胞外ADは、SEQ ID NO 37~43または44のアミノ酸配列を含む。
【0269】
CARは、受容体の細胞外ドメインと融合している膜貫通ドメインを含有するよう設計され得る。前記のように、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの融合は、リンカーによって達成されてもよいか、またはリンカーなしに達成されてもよい。一つの態様において、CARにおけるドメインのうちの1つと天然に関連している膜貫通ドメインが使用される。具体的な態様において、CAR内の膜貫通ドメインは、CD8a膜貫通ドメインである。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含む。いくつかの場合において、CARの膜貫通ドメインは、CD8aヒンジドメインを含む。いくつかの態様において、細胞外スペーサードメイン(ESD)とも呼ばれるCD8aヒンジドメインは、SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、他の表面膜タンパク質との会合を促進するか、または阻害するため、選択されるか、またはアミノ酸置換によって改変される。
【0270】
膜貫通ドメインは、天然または合成のいずれかの起源に由来し得る。起源が天然である場合、ドメインは、任意の膜結合型タンパク質または膜貫通タンパク質に由来し得る。本明細書における目的のために特に有用な膜貫通領域は、T細胞受容体のα鎖、β鎖、またはζ鎖;CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8a、CD8b、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、およびCD154の群より選択されるメンバーに由来する(即ち、その膜貫通領域を少なくとも含む)ことができる。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、NKRの膜貫通領域に由来する。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8aの膜貫通領域に由来する。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含む。さらなる態様において、膜貫通ドメインは、KIRDS2、OX40、TNFR2、LFA1(CD11a、CD18)、ICOS、41BB、GITR、LTBR、BAFFR、HVEM、NKp80(KLRF1)、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA1、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGB7、VLA1、VLA6、IA4、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD27、CD29、ITGB2、CD2、CD11a、CD11b、CD11d、CD18、CD19、CD40、CD49a、CD49d、CD49f、CD84、CD96、CD100、CD103、CD160、CD162、CD226、CD229、CEACAM1、CRTAM、PSGL1、SLAM(SLAMF1)、SLAMF4、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAMF7、SLAMF8、SELPLG、およびPAG/Cbpからなる群より選択される分子の膜貫通領域に由来する。あるいは、膜貫通ドメインは、合成であってもよく、好ましくは、疎水性残基、例えば、ロイシンおよびバリンを主に含む。さらなる態様において、膜貫通ドメインは、膜貫通ドメインの各末端にFWV(フェニルアラニン、トリプトファン、およびバリン)のトリプレットを含む。
【0271】
(ドメインが由来するNKRによって同定される)例示的なNKRドメイン、例えば、膜貫通ドメイン、ヒンジドメインもしくはステムドメイン、または細胞内(例えば、細胞質)ドメイン。キラー免疫グロブリンKIR2DL1受容体(KIR)には、KIR2DL2/L3、KIR2DL4、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、KIR3DL1/S1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DP1、KIR2DP1、NCR、NKp30、NKp44、NKp46、SLAM;受容体SLAM、CD48、CD229、2B4、CD84、NTB-A、CRACC、BLAME、CD2F-10、SLAMF6、SLAMF7;Fc結合受容体CD16、FcgRIII、CD64、Ly49;受容体Ly49、レクチン関連NK Ly49A細胞受容体、Ly49C;その他のNK受容体NKG2D、CD160(TM含有スプライスバリアント)、DNAM1、CRTAM、CD27、PSGL1、CD96、CD100、NKp80、CEACAM1、およびCD244が含まれる。
【0272】
iv. 細胞内シグナル伝達ドメイン
本発明によるキメラ抗原受容体(CAR)において使用され得る細胞内シグナル伝達ドメインは、本明細書に記載される。
【0273】
「細胞内シグナル伝達ドメイン」(ISD)または「細胞質ドメイン」とは、本明細書において使用されるように、エフェクター機能シグナルを伝達し、特殊な機能(例えば、細胞溶解活性およびヘルパー活性、例えば、サイトカイン分泌)を果たすよう細胞に指図する、CARの一部分をさす。
【0274】
CARの細胞質ドメイン(即ち、細胞内シグナル伝達ドメイン)は、CARを発現するよう操作された免疫細胞の正常なエフェクター機能のうちの少なくとも1つの活性化を担う。「エフェクター機能」という用語は、細胞の特殊な機能をさす。T細胞のエフェクター機能には、例えば、細胞溶解活性およびヘルパー活性、例えば、サイトカインの分泌が含まれる。したがって、「細胞内シグナル伝達ドメイン」という用語は、エフェクター機能シグナルを伝達し、特殊な機能を果たすよう細胞に指図する、CARタンパク質の一部分をさす。典型的には、天然に存在する受容体に相当する細胞内シグナル伝達ドメイン全体が用いられ得るが、多くの場合、鎖全体を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの短縮された一部分が使用される場合、そのような短縮された一部分は、エフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクトな鎖の代わりに使用され得る。したがって、細胞内シグナル伝達ドメインという用語には、エフェクター機能シグナルを伝達するために十分な、細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切断された一部分が含まれるものとする。一つの態様において、CAR内の細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列、および抗原と受容体とのエンゲージメントの後にシグナル伝達を開始するために協調して作用する共受容体の配列、または機能的能力を有するこれらの配列の誘導体もしくはバリアントを含む。エフェクター機能シグナルを伝達するドメインの例には、T細胞受容体複合体のζ鎖またはその相同体のうちの任意のもの(例えば、η鎖、FcsRlyおよびβ鎖、MB1(Iga)鎖、B29(Ig)鎖等)、ヒトCD3ζ鎖、CD3ポリペプチド(Δ、δ、およびε)、sykファミリーチロシンキナーゼ(Syk、ZAP70等)、srcファミリーチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lyn等)、ならびにT細胞伝達に関与するその他の分子、例えば、CD2、CD5、およびCD28が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0275】
いくつかの態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、それが融合している細胞外ドメイン(例えば、ADBD)が同族ADに結合した時に、細胞内シグナルを生じる。CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび共刺激シグナル伝達ドメインを含み得る。一つの態様において、CARは、発現されたCARが、典型的には、免疫細胞と関連しているポリペプチドに由来するドメイン、例えば、一次細胞内シグナル伝達ドメインおよび/または共刺激シグナル伝達ドメインを含むよう、免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)における発現のために構築される。例えば、いくつかの態様において、CARは、T細胞における発現のためのものであり、41BBドメインおよびCD3ζドメインを含む。別の態様において、CAR分子は、発現されたCARが、典型的には、免疫細胞と関連していないポリペプチドに由来するドメインを含むよう、免疫細胞における発現のために構築される。例えば、いくつかの態様において、T細胞における発現のためのCARは、NK細胞に由来するKIRドメインを含む。代替的な態様において、NK細胞における発現のためのCARは、T細胞に由来する41BBドメインおよびCD3ζドメインを含む(例えば、参照により本明細書に組み入れられるWO2013/033626を参照すること)。
【0276】
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、それが融合しているADBDが同族ADに結合した時に、細胞内シグナルを生じるために十分な一次刺激分子配列を含む。具体的な態様において、CARの細胞内シグナルは、増殖、サイトカイン分泌、死滅、活性化、および分化の群より選択されるT細胞応答を媒介する。
【0277】
一つの態様において、CARの細胞内シグナル伝達領域は、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含有するドメインを含む。さらなる態様において、CAR細胞内シグナル伝達領域は、TCRζ(CD3ζ)、FcRγ(FCER1G)、FcγRIIa、FcRβ(FCER1B)、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3γ、CD5、CD22、CD79a、CD79b、DAP10、DAP12、CD32(FcγRIIa)、CD79a、およびCD79bより選択される分子に由来する1つまたは複数のITAM含有ドメインを含む。具体的な態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む。別の具体的な態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、DAP12シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、ITAM含有シグナル伝達ドメインは、天然に存在するITAM含有ドメインの対応する残基と少なくとも70、75、80、85、90、95、98、もしくは99%の配列同一性を有するか、または30、25、20、15、10、5、4、3、2、もしくは1個を超えないアミノ酸残基だけ異なる。
【0278】
本発明において特に有用なITAM含有一次細胞質シグナル伝達配列の例には、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dに由来するものが含まれる。CAR内の細胞質シグナル伝達分子は、CD3ζに由来する細胞質シグナル伝達配列を含むことが、特に好ましい。
【0279】
好ましい態様において、CARの細胞質ドメインは、単独のCD3ζシグナル伝達ドメインを含むか、またはCARに関して有用な他の所望の細胞質ドメインと組み合わせられたCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。例えば、CARの細胞質ドメインは、CD3ζ鎖部分および共刺激シグナル伝達領域を含むことができる。共刺激シグナル伝達領域とは、共刺激分子の細胞内ドメインを含む、CARの一部分をさす。共刺激分子は、抗原に対するリンパ球の効率的な応答のために必要とされる、抗原受容体またはそのリガンド以外の細胞表面分子である。そのような分子の例には、CD27、CD28、41BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7H3、TIM1、およびLAG3が含まれる。
【0280】
「共刺激ドメイン」(CSD)とは、本明細書において使用されるように、メモリー細胞の増殖、生存、および/または発達を増強する、CARの一部分をさす。CARは、1つまたは複数の共刺激ドメインを含み得る。各共刺激ドメインは、例えば、CD28、CD137(4lBB)、CD134(OX40)、Dap10、CD27、CD2、CD5、ICAM1、LFA1(CD1 la/CD18)、Lck、TNFRI、TNFRII、Fas、CD30、およびCD40、またはそれらの組み合わせより選択されるTNFRスーパーファミリーのメンバーのうちの1つまたは複数の共刺激ドメインを含む。(例えば、その他のタンパク質に由来する)その他の共刺激ドメインは、当業者に明らかであり、本発明の代替的な態様に関して使用され得る。
【0281】
いくつかの態様において、CARの細胞内ドメインは、ITAM含有ドメインと、それが融合している細胞外ADBDが同族リガンドに結合した時に細胞内シグナルを生じるために十分な共刺激分子の機能性の断片または類似体を含む共刺激シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、CARは、CD137(4lBB)、OX40、LIGHT、TNFR2、TRANCE/RANKL、GITR、BAFFR、HVEM、B7H3、CDS、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、ITGA6、ITGAD、ITGAE、ITGAL、ITGAM、ITGAX、ITGB1、ITGB2、ITGB7、VLA1、VLA6、C49f、IA4、LFA1、CD2、CD4、CD7、CD8α、CD8β、CD1lA、CD11B、CD11C、CD11D、CD18、CD19、CD27、CD28、CD29、CD30、CD40、CD49A、CD49D、CD69、CD84、CD96、CD100、CD103、CD150、CD160、CD162、CD226、CD229、CD278、ICAM1、CEACAM1、CRTAM、PSGL1、SLAMF1、SLAMF4、SLAMF6、SLAMF7、SLAMF8、LTBR、LAT、GADS、PAG/Cbp、SLP76、NKG2C、NKp30、NKp44、NKp46、およびNKp80より選択される分子に見出されるものに相当する共刺激シグナル伝達ドメインを含む。
【0282】
いくつかの態様において、CARは、41BB、CD28、CD27、ICOS、およびOX40からなる群より選択される分子に見出されるものに相当する共刺激ドメインを含む。
【0283】
いくつかの態様において、CARは、複数の共刺激ドメインを含む。具体的な態様において、CARは、細胞外から細胞内の方向に、以下の共刺激シグナル伝達ドメインを含む:41BB-CD27、CD27-41BB、41BB-CD28、CD28-41BB、OX40-CD28、CD28-OX40、CD28-41BB;または41BB-CD28。
【0284】
いくつかの態様において、CARの共刺激シグナル伝達ドメインは、天然に存在する共刺激ドメインの対応する残基と少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、もしくは99%の同一性を有するか、または30、25、20、15、10、5、4、3、2、もしくは1個を超えないアミノ酸残基だけ異なる。
【0285】
いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:117の配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:115、116、または117と少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%の同一性を有する配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、1、2、3、4、5、7、8、9、10、15、または20個の挿入、欠失、または置換を含む、SEQ ID NO:115、116、または117の配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、1、2、3、4、5、7、8、9、または10個の挿入、欠失、または置換を含む、SEQ ID NO:115、116、または117の配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、1、2、3、4、5、7、8、9、または10個の置換を含む、SEQ ID NO:115、116、または117の配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。
【0286】
ポリペプチドリンカーは、CARの隣接する要素の間に位置付けられ得る。例えば、リンカーは、隣接するADBDの間、またはADBDと膜貫通ドメインとの間、または膜貫通ドメインと細胞質ドメインとの間、または隣接する細胞質ドメインの間に位置付けられ得る。CARの細胞質シグナル伝達部分内の細胞質シグナル伝達配列は、ランダムに、または指定された順序で、相互に連結されていてよい。任意で、好ましくは、2~10アミノ酸長の短いリンカーが、連結を形成し得る。グリシン-セリンダブレットは、特に適切なリンカーを提供する。
【0287】
いくつかの態様において、CARは、標的結合ドメインと膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、CAR膜貫通ドメインは、CD8a、41BB、またはCD28の膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、CAR膜貫通ドメインは、CD8a膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、CD8a膜貫通ドメインとCD8a細胞外スペーサードメインとを含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、ヒンジドメインとも呼ばれるCD8a細胞外スペーサードメイン(ESD)は、SEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:117の配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:115、116、または117と少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、または99%の同一性を有する配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、1、2、3、4、5、7、8、9、10、15、または20の挿入、欠失、または置換を含む、SEQ ID NO:115、116、または117の配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、1、2、3、4、5、7、8、9、または10の挿入、欠失、または置換を含む、SEQ ID NO:115、116、または117の配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CARは、1、2、3、4、5、7、8、9、または10の置換を含む、SEQ ID NO:115、116、または117の配列を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、CAR細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、DD標的結合ドメインと同じまたは異なる標的を有する第2の標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの態様において、CARは、CD123に結合する第1の標的結合ドメインと、異なる標的に結合する第2の標的結合ドメインとを含む。いくつかの態様において、CARは、CD123に結合する第1および第2の標的結合ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、免疫エフェクター細胞において発現される。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、自己由来細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、同種細胞である。いくつかの態様において、CARは、リポソームと会合している。いくつかの態様において、CARは、本明細書に開示されるDD(例えば、SEQ ID NO:8~33または74~94のアミノ酸配列を含むDD)を含む標的結合ドメインを含む。いくつかの態様において、DDは、CD123に結合し、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDは、AFP p26に結合し、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDは、AFP p26に結合し、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDは、AFP p26に結合し、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、p26を含む細胞外ADを含む。いくつかの態様において、細胞外ADは、SEQ ID NO 37~43または44のアミノ酸配列を含む。
【0288】
本明細書に開示されるDDpp(例えば、アダプターおよびCAR)に関連した使用に適したCARは、事実上、参照により本明細書に各々組み入れられる、国際出願公開WO 2016164305、同WO 2016164308A1、同WO 2019099440、および同WO 2019099433、米国特許第10,662,248号および同第10,647,775号、ならびに米国特許出願第20200223934号および同第20210002381号に開示されている。
【0289】
【0290】
D. 付加的なDDpp融合タンパク質
いくつかの態様において、DDppは、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなる断片を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、DDppは、BCMA(SEQ ID NO:34)もしくはCD123(SEQ ID NO:1)の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインの断片を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、DDppは、BCMA(SEQ ID NO:34)もしくはCD123(SEQ ID NO:1)もしくはCS1(SEQ ID NO:35)の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインの断片を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインの断片を含む異種ポリペプチドを含有する。
【0291】
いくつかの態様において、タンパク質は、血清タンパク質(例えば、AFPおよびAFP p26)または血清タンパク質の抗原性断片を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、DDppは、血清タンパク質の5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなる断片を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)または細胞内タンパク質の抗原性部分を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、DDppは、細胞内タンパク質の5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなる断片を含む異種ポリペプチドを含有する。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:37~43または44の配列を有する異種ポリペプチドを含有する。
【0292】
いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、CD123および/またはAFP p26に特異的に結合し、さらに、関心対象の1つまたは複数の付加的な標的に結合する。DDpp融合タンパク質によって特異的に結合される関心対象の標的は、DDppが結合することが望ましい任意の分子であり得る。例えば、DDpp融合タンパク質によって特異的に結合される標的は、CD123および/またはAFP p26であってよく、さらに、製造、製剤化、治療、診断、または予後における関連性または価値を有する付加的な標的であってもよい。多数の例示的な付加的な標的が、例として、本明細書において提供されるが、それらは、例示的なものであり、限定的なものではない。DDpp融合タンパク質によって結合される付加的な関心対象の標的は、天然に存在するものであってもよいか、または合成であってもよい。関心対象の付加的な標的は、細胞外成分もしくは細胞内成分、可溶性因子(例えば、酵素、ホルモン、サイトカイン、および増殖因子、毒素、毒液、汚染物質等)、または膜貫通タンパク質(例えば、細胞表面受容体)であり得る。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質によって結合される関心対象の標的は、ヒトタンパク質である。一つの態様において、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、関心対象のヒトタンパク質標的、ならびにそのサル(例えば、カニクイザル)、マウス、ウサギ、ハムスター、および/またはウサギのオルソログに結合する。いくつかの態様において、付加的な関心対象の標的は、BCMA、CS1、またはHER2である。
【0293】
一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、CD123および/またはAFP p26、ならびに血清タンパク質に特異的に結合する。一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA))、チロキシン結合タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン、ならびに免疫グロブリン(例えば、IgG、IgE、およびIgM)より選択される血清タンパク質に特異的に結合する。理論に拘束されるものではないが、担体タンパク質へのDDppの結合は、担体タンパク質結合配列が欠けているDDpp融合タンパク質と比較して、改善された腫瘍ターゲティング、腫瘍浸透、腫瘍内拡散、および増強された治療活性を含むが、これらに限定されるわけではない、改善された薬力学的プロファイルを、DDpp(またはその融合物)に付与すると考えられる(例えば、WO01/45746(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。
【0294】
E. 抗体ベースのDDpp融合タンパク質
いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、全長抗体または抗体の断片もしくはサブドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる態様において、DDpp融合タンパク質は、がん抗原に特異的に結合する全長抗体を含む。さらなる態様において、DDppは、市販の認可されている治療用抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。さらなる態様において、DDppは、T細胞上のT細胞受容体(TCR)複合体に結合する(例えば、CD3ε鎖に結合する)抗体またはその抗原結合断片を含む。他の態様において、DDppは、Fc融合タンパク質である。さらなる態様において、Fcタンパク質は、バリアントヒトFcドメインを含む。
【0295】
いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、全長抗体または抗体の断片もしくはサブドメイン(例えば、IgG1抗体、IgG3抗体、抗体可変領域、CDR3、scFv、Fc、FcRn結合サブドメイン、およびその他の抗体サブドメイン)を含む。DDppタンパク質は、相互に、かつ/または抗体、抗体鎖、抗体断片、もしくは抗体サブドメインの1つもしくは複数の末端に機能的に連結され、DDpp融合タンパク質を形成することができる。
【0296】
DDpp融合タンパク質の抗体成分は、任意の適切な全長免疫グロブリンもしくは抗体断片(例えば、抗原結合ドメインおよび/もしくはエフェクタードメイン)、またはそれらの断片であり得る。一つの態様において、DDpp-抗体融合タンパク質は、伝統的なモノクローナル抗体の構造的特性および機能的特性を保持する。したがって、いくつかの態様において、DDpp-抗体融合タンパク質は、エピトープ結合特性を保持するが、有利には、DDpp融合を介して、1つまたは複数の付加的な標的結合特異性も組み込まれている。DDpp融合において使用され得る抗体には、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、およびキメラ抗体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。本明細書において提供される免疫グロブリンまたは抗体分子は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgGl、IgG2、IgG3、IgG4、IgAl、およびIgA2)、またはサブクラスのものであり得る。具体的な態様において、抗体は、Fc最適化抗体である。抗体は、トリおよび哺乳動物を含む任意の動物起源に由来するものであってもよいか、または合成によって生成されたものであってもよい。DDpp-抗体融合タンパク質の抗体成分は、天然に由来するものであってもよいか、または組換え操作(例えば、ファージディスプレイ、ゼノマウス、および合成)の結果であってもよい。ある特定の態様において、抗体-DDpp融合物の抗体成分は、半減期を増強し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および/または補体依存性細胞傷害(CDC)の活性を増加させるか、または減少させる。いくつかの態様において、抗体は、ヒト、マウス、ロバ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ラマ、ウマ、またはニワトリの抗体である。具体的な態様において、抗体は、ヒトである。
【0297】
定常領域が、いくつかのエフェクター機能を媒介することは、一般に理解されている。例えば、抗体への補体のC1成分の結合は、補体系を活性化する。補体の活性化は、細胞病原体のオプソニン化および溶解において重要である。補体の活性化は、炎症応答も刺激し、自己免疫性過敏にも関与し得る。さらに、抗体は、抗体Fc領域のFc受容体部位が、細胞上のFc受容体(FcR)に結合することによって、Fc領域を介して細胞に結合する。異なる抗体クラス、例えば、IgG(γ受容体)、IgE(η受容体)、IgA(α受容体)、およびIgM(μ受容体)に特異的な多数のFc受容体が存在する。細胞表面上のFc受容体への抗体の結合は、多数の重要な多様な生物学的応答、例えば、抗体でコーティングされた粒子の貪食および破壊、免疫複合体のクリアランス、(抗体依存性細胞傷害またはADCCと呼ばれる)抗体でコーティングされた標的細胞のキラー細胞による溶解、炎症性メディエーターの放出、胎盤移行、ならびに免疫グロブリン産生の調節の引き金となる
【0298】
ある特定の態様において、DDpp-Fc融合タンパク質は、変更されたエフェクター機能を有し、それが、次に、投与されたDDpp-Fc融合タンパク質の生物学的プロファイルに影響する。例えば、定常領域サブドメインの(点変異またはその他の手段を通した)欠失または不活性化は、循環改変型抗体のFc受容体結合を低下させることができる。他の場合において、定常領域改変は、補体結合を穏やかにし、したがって、コンジュゲートされた細胞毒の血清半減期および非特異的会合を低下させ得る。定常領域のさらに他の改変は、抗原特異性または抗体可動性の増加による局在の増強を可能にする、ジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を排除するために使用され得る。同様に、本開示による定常領域に対する改変は、当業者に公知の生化学的技術または分子工学技術を使用して容易になされ得る。
【0299】
いくつかの態様において、DDpp-Fc融合タンパク質は、1つまたは複数のエフェクター機能を有しない。例えば、いくつかの態様において、DDpp-Fc融合タンパク質は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性および/または補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有しない。ある特定の態様において、DDpp-Fc融合タンパク質は、Fc受容体および/または補体因子に結合しない。ある特定の態様において、DDpp-Fc融合タンパク質は、エフェクター機能を有しない。ADCCおよび/またはCDCの活性ならびにFc受容体および/または補体因子への結合を低下させるか、または排除するFc配列操作改変の例は、本明細書に記載されているか、またはその他の方法で当技術分野において公知であり、それを試験するためのアッセイおよび手法も同様である。
【0300】
いくつかの態様において、DDpp-Fc融合タンパク質は、CH3ドメインを、それぞれの改変された抗体のヒンジ領域と直接融合させるため、操作される。他の構築物において、ペプチドスペーサーが、ヒンジ領域と、改変されたCH2ドメインおよび/またはCH3ドメインとの間に挿入される。例えば、CH2ドメインが欠失しており、残存するCH3ドメイン(改変型または非改変型)が5~20アミノ酸スペーサーによってヒンジ領域と接合されている適合性構築物が発現され得る。そのようなスペーサーは、例えば、定常ドメインの制御要素が自由でアクセス可能なままであること、またはヒンジ領域が可動性のままであることを確実にするため、付加され得る。アミノ酸スペーサーは、いくつかの場合において、免疫原性であり、構築物に対する不要な免疫応答を誘発することが判明し得る。したがって、ある特定の態様において、構築物に付加されるスペーサーは、改変されたDDpp-Fc融合タンパク質の所望の生化学的な品質を維持するため、比較的非免疫原性のものであってもよいか、またはさらには完全に省略されてもよい。
【0301】
付加的な態様において、DDpp-Fc融合タンパク質は、定常領域における少数または単一のアミノ酸の部分的な欠失または置換によって改変される。例えば、CH2ドメインの選択された区域における単一アミノ酸の変異は、Fc結合を実質的に低下させるために十分であり得る。同様に、エフェクター機能(例えば、補体C1Q結合)を調節する1つまたは複数の定常領域ドメインを、完全に、または部分的に欠失させることができる。定常領域のそのような部分的欠失は、対応する定常領域ドメインに関連する他の望ましい機能をインタクトのまま残しながら、DDpp-Fc融合タンパク質の選択された特徴(例えば、血清半減期)を改善することができる。いくつかの態様において、DDpp-Fc融合タンパク質の定常領域は、結果として生じる構築物のプロファイルを増強する、1つまたは複数のアミノ酸の変異または置換を通して改変される。この点に関して、改変されたDDpp-Fc融合タンパク質の配置および免疫原性プロファイルを実質的に維持しながら、保存された結合部位によって提供される活性(例えば、Fc結合)を破壊することが可能である。本開示は、望ましい特徴を増強するため、例えば、エフェクター機能を減少させるか、もしくは増加させるため、または1つもしくは複数の細胞毒、標識部分、もしくは炭水化物部分の付着部位を提供するため、1つまたは複数のアミノ酸の定常領域への付加を含有するDDpp-Fc融合タンパク質も提供する。そのような態様において、選択された定常領域ドメインに由来する特定の配列を挿入するか、または複製することが望ましい場合がある。
【0302】
いくつかの態様において、DDppは、抗体の断片またはサブドメイン(例えば、scFv、ダイアボディ、EP404,097;WO93/111161;WO14/028776;およびHolliger et al.,PNAS 90:6444-6448(1993)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))と機能的に連結されている。抗体の断片またはサブドメインは、抗体の任意の断片またはドメインであり得る。例えば、WO04/058820、WO99/42077、およびWO05/017148(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること。例えば、DDpp融合タンパク質は、1つもしくは複数のエフェクター機能をDDppに付与し、かつ/または1つもしくは複数のFc受容体に結合する能力をDDpp融合タンパク質に付与する抗体エフェクタードメイン、または抗体エフェクタードメインの誘導体を含有し得る。いくつかの態様において、DDpp-抗体融合タンパク質は、抗体またはその断片の抗原結合断片を含有する。付加的な態様において、DDpp-抗体融合タンパク質は、CH2ドメインおよびCH3ドメインによって提供されるエフェクター機能を有する抗体の1つまたは複数のCH2ドメインおよびまたはCH3ドメインを含む免疫グロブリンエフェクタードメインを含有する。エフェクター機能を提供し、本発明に包含される、DDpp融合物内の他の配列は、当業者に明らかであり、所望のエフェクター機能に基づき、ルーチンに選択され、本明細書に包含されるDDpp融合タンパク質へと設計され得る。
【0303】
一つの態様において、DDpp融合物は、全長抗体、または抗原結合断片である抗体断片を含有する。さらなる態様において、抗体または抗体断片は、疾患関連抗原に結合する。一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、がん抗原に特異的に結合する抗体または抗体断片を含む。別の態様において、DDpp融合タンパク質は、特定の病原体(例えば、細菌細胞(例えば、結核、天然痘、炭疽菌))、ウイルス(例えば、HIV)、寄生虫(例えば、マラリア、リーシュマニア症)、真菌感染、カビ、マイコプラズム、プリオン抗原に特異的に結合する抗体または抗体断片を含む。別の態様において、DDpp融合タンパク質は、特定の病原体(例えば、細菌細胞(例えば、結核、天然痘、炭疽菌))、ウイルス(例えば、HIV)、寄生虫(例えば、マラリア、リーシュマニア症)、真菌感染、カビ、マイコプラズマ、またはプリオン抗原に特異的に結合する抗体または抗体断片を含む。別の態様において、DDpp融合タンパク質は、免疫系の疾患または障害に関連する抗原に特異的に結合する抗体または抗体断片を含む。
【0304】
好ましい態様において、抗体の断片またはドメインを含有するDDpp融合タンパク質は、親抗体の活性を保持する。したがって、ある特定の態様において、抗体の断片またはドメインを含有するDDpp融合タンパク質は、補体依存性細胞傷害を誘導することができる。ある特定の態様において、抗体の断片またはドメインを含有するDDpp融合タンパク質は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導することができる。
【0305】
したがって、いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、免疫グロブリンの生物学的特徴または生化学的特徴をDDpp融合タンパク質に付与する抗体断片を含む。いくつかの態様において、抗体断片は、非共有結合的にダイマー化する能力、腫瘍の部位に局在する能力、および1つまたは複数のDDppを欠失させたDDpp融合タンパク質と比較した時の血清半減期の増加より選択される特徴を付与する。ある特定の態様において、DDpp融合タンパク質は、DDppが付着していない対応する抗体と少なくとも同程度に安定的である。ある特定の態様において、DDpp融合タンパク質は、DDppが付着していない対応する抗体より安定的である。DDpp融合タンパク質の安定性は、確立された方法、例えば、ELISA技術を使用して測定され得る。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、少なくとも約10時間、少なくとも約15時間、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、少なくとも約25時間、少なくとも約30時間、少なくとも約35時間、少なくとも約40時間、少なくとも約45時間、少なくとも約48時間、少なくとも約50時間、少なくとも約55時間、少なくとも約60時間、少なくとも約65時間、少なくとも約70時間、少なくとも約72時間、少なくとも約75時間、少なくとも約80時間、少なくとも約85時間、少なくとも約90時間、少なくとも約95時間、または少なくとも約100時間(記載されたものの中間の任意の時間を含む)、37℃の全血(インビボまたはエクスビボ)中で安定している。一つの態様において、DDpp融合物は、所望の生化学的特徴、例えば、変更されていない免疫グロブリン配列を有する免疫グロブリン断片と比較した時の、エフェクター機能の低下もしくは増加、非共有結合的にダイマー化する能力、腫瘍の部位に局在する能力の増加、血清半減期の低下、または血清半減期の増加を提供するため、定常領域ドメインのうちの1つまたは複数の少なくとも一画分が変更されている、免疫グロブリンのドメインまたは断片に相当する、免疫グロブリンエフェクタードメインまたは半減期に影響するドメインを含有する。定常領域ドメインのこれらの変更は、アミノ酸の置換、挿入、または欠失であり得る。
【0306】
一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)をDDpp融合タンパク質に付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む。付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、ADCCを増加させるために改変された免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Bruhns,Blood 113:3716-3725(2009);Shields,J.Biol.Chem.276:6591-6604(2001);Lazar,PNAS 103:4005-4010(2006);Stavenhagen,Cancer Res.67:8882-8890(2007);Horton,Cancer Res.68:8049-8057(2008);Zalevsky,Blood 113:3735-3743(2009);Bruckheimer,Neoplasia 11:509-517(2009);WO06/020114;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびWO04/074455(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。ADCCを増加させる、DDpp融合タンパク質のアミノ酸配列に含有される免疫グロブリン断片操作改変の例には、IgG1-S298A、E333A、K334A;IgG1-S239D、I332E;IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG1-P247I、A339DまたはQ;S298DまたはVを伴うか、または伴わないIgG1-D280H、K290S;IgG1-F243L、R292P、Y300L;IgG1-F243L、R292P、Y300L、P396L;およびIgG1-F243L、R292P、Y300L、V305I、P396Lに相当する1つまたは複数の改変を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン配列が含まれ;ここで、Fc領域における残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))のものである。
【0307】
他の態様において、DDpp融合タンパク質は、ADCCを減少させるために改変された免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Idusogie et al.,J.Immunol.166:2571-2575(2001);Sazinsky et al.,PNAS 105:20167-20172(2008);Davis et al.,J.Rheumatol.34:2204-2210(2007);Bolt et al.,Eur.J.Immunol.23:403-411(1993);Alegre et al.,Transplantation 57:1537-1543(1994);Xu et al.,Cell Immunol.200:16-26(2000);Cole et al.,Transplantation 68:563-571(1999);Hutchins et al.,PNAS 92:11980-11984(1995);Reddy et al.,J.Immunol.164:1925-1933(2000);WO97/11971;WO07/106585;US 2007/0148167A1;McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびKumagai et al.,J.Clin.Pharmacol.47:1489-1497(2007)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。ADCCを減少させる、DDpp融合タンパク質のアミノ酸配列に含有される免疫グロブリン断片配列操作改変の例には、IgG1-K326W、E333S;IgG2-E333S;IgG1-N297A;IgG1-L234A、L235A;IgG2-V234A、G237A;IgG4-L235A、G237A、E318A;IgG4-S228P、L236E;IgG2-118-260;IgG4-261-447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C220S、C226S、C229S、p268S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;またはIgG1-L234F、L235E、P331Sに相当する1つまたは複数の改変を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン配列が含まれ;ここで、残基のナンバリングは、KabatのEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))のものである。
【0308】
付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、抗体依存性細胞貪食(ADCP)をDDpp融合タンパク質に付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む。付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、抗体依存性細胞貪食(ADCP)を増加させるために改変された免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Shields et al.,J.Biol.Chem.276:6591-6604(2001);Lazar et al.,PNAS 103:4005-4010(2006);Stavenhagen et al.,Cancer Res.67:8882-8890(2007);Richards et al.,Mol.Cancer Ther.7:2517-2527(2008);Horton et al.,Cancer Res.68:8049-8057(2008)、Zalevsky et al.,Blood 113:3735-3743(2009);Bruckheimer et al.,Neoplasia 11:509-517(2009);WO06/020114;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびWO04/074455(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。ADCPを増加させる、DDpp融合タンパク質のアミノ酸配列に含有される免疫グロブリン断片操作改変の例には、IgG1-S298A、E333A、K334A;IgG1-S239D、I332E;IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG1-P247I、A339DまたはQ;S298DまたはVを伴うか、または伴わないIgG1-D280H、K290S;IgG1-F243L、R292P、Y300L;IgG1-F243L、R292P、Y300L、P396L;IgG1-F243L、R292P、Y300L、V305I、P396L;およびIgG1-G236A、S239D、I332Eに相当する1つまたは複数の改変を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン配列が含まれ;ここで、残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))のものである。
【0309】
他の態様において、DDpp融合タンパク質は、ADCPを減少させるために改変された免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Sazinsky et al.,PNAS 105:20167-20172(2008);Davis et al.,J.Rheumatol.34:2204-2210(2007);Bolt et al.,Eur.J.Immunol.23:403-411(1993);Alegre et al.,Transplantation 57:1537-1543(1994);Xu et al.,Cell Immunol.200:16-20(2000);Cole et al.,Transplantation 68:563-571(1999);Hutchins et al.,PNAS 92:11980-11984(1995);Reddy et al.,J.Immunol.164:1925-1933(2000);WO97/11971;WO07/106585;US2007/0148167A1;McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびKumagai et al.,J.Clin.Pharmacol.47:1489-1497(2007)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。例えば、DDpp融合タンパク質は、ADCCを減少させる以下の改変のうちの1つまたは複数を含有する抗体の断片またはドメインを含有し得る:IgG1-N297A;IgG1-L234A、L235A;IgG2-V234A、G237A;IgG4-L235A、G237A、E318A;IgG4-S228P、L236E;IgG2 EU配列118-260;IgG4-EU配列261-447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C220S、C226S、C229S、p268S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;およびIgG1-L234F、L235E、P331S;ここで、残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))のものである。
【0310】
付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、補体依存性細胞傷害(CDC)をDDpp融合タンパク質に付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む。付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、補体依存性細胞傷害(CDC)を増加させるために改変された免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Idusogie et al.,J.Immunol.166:2571-2575(2001);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびNatsume et al.,Cancer Res.68:3863-3872(2008)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。例えば、DDpp融合タンパク質は、CDCを増加させる以下の改変のうちの1つまたは複数を含有する抗体の断片またはドメインを含有することができる:IgG1-K326A、E333A;IgG1-K326W、E333S、IgG2-E333S;ここで、残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))のものである。
【0311】
付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、FcγRIIb受容体に結合する能力をDDpp融合物に付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む。付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、FcγRIIb受容体との抑制性結合を増加させるために改変された免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Chu et al.,Mol.Immunol.45:3926-3933(2008)を参照すること)。抑制性FcγRIIb受容体への結合を増加させる、DDpp融合タンパク質のアミノ酸配列に含有される免疫グロブリン断片操作改変の例は、IgG1-S267E、L328Fである。
【0312】
他の態様において、DDpp融合タンパク質は、CDCを減少させるために改変された免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、WO97/11971;WO07/106585;US-2007/0148167A1;McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Hayden-Ledbetter et al.,Clin.Cancer 15:2739-2746(2009);Lazar et al.,PNAS 103:4005-4010(2006);Bruckheimer et al.,Neoplasia 11:509-517(2009);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびSazinsky et al.,PNAS 105:20167-20172(2008)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。例えば、DDpp融合タンパク質は、CDCを減少させる以下の改変のうちの1つまたは複数を含有する抗体の断片またはドメインを含有し得る:IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG2-118-260;IgG4-261-447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;IgG1-L234F、L235E、P331S;およびIgG1-C226S、p260S;ここで、残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))のものである。
【0313】
IgGの半減期は、胎児性受容体FcRnとのpH依存性結合によって媒介される。ある特定の態様において、DDpp融合タンパク質は、胎児性受容体FcRnに結合する能力をDDpp融合物に付与する免疫グロブリンエフェクタードメイン、または免疫グロブリンエフェクタードメインの誘導体のアミノ酸配列を含む。ある特定の態様において、DDpp融合タンパク質は、FcRnへの結合を増強するために改変された免疫グロブリンFcRn結合ドメインの配列を含む(例えば、Petkova et al.,Int.Immunol.18:1759-1769(2006);Dall'Acqua et al.,J.Immunol.169:5171-5180(2002);Oganesyan et al.,Mol.Immunol.46:1750-1755(2009);Dall'Acqua et al.,J.Biol.Chem.281:23514-23524(2006);Hinton et al.,J.Immunol.176:346-356(2006);Datta-Mannan et al.,Drug Metab.Dispos.35:86-94(2007);Datta-Mannan et al.,J.Biol.Chem.282:1709-1717(2007);WO06/130834;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685 691(2009);およびYeung et al.,J.Immunol.182:7663-7671(2009)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。
【0314】
付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、pH 6.0ではFcRnに対する選択的親和性を有するが、pH 7.4では有しないよう改変された免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む。例えば、DDpp融合タンパク質は、半減期を増加させる以下の改変のうちの1つまたは複数を含有する抗体の断片またはドメインを含有し得る:IgG1-M252Y、S254T、T256E;IgG1-T250Q、M428L;IgG1-H433K、N434Y;IgG1-N434A;およびIgG1-T307A、E380A、N434A;ここで、残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))のものである。
【0315】
他の態様において、DDpp融合タンパク質は、FcRnへの結合を減少させるために改変された免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Petkova et al.,Int.Immunol.18:1759-1769(2006);Datta-Mannan et al.,Drug Metab.Dispos.35:86-94(2007);Datta-Mannan et al.,J.Biol.Chem.282:1709-1717(2007);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびVaccaro et al.,Nat.Biotechnol.23:1283-1288(2005)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。例えば、DDpp融合タンパク質は、半減期を減少させる以下の改変のうちの1つまたは複数を含有する抗体の断片またはドメインを含有し得る:IgG1-M252Y、S254T、T256E;H433K、N434F、436H;IgG1-I253A;およびIgG1-P257I、N434H、およびD376V、N434H;ここで、残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックス(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))のものである。
【0316】
別の態様によると、DDpp融合タンパク質は、238、239、246、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、332、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438、および439からなる群より選択されるFc領域(例えば、FCγ)の位置に相当する配列に少なくとも1つの置換を含有するよう改変された免疫グロブリンエフェクタードメインに相当するアミノ酸配列を含み、ここで、Fc領域における残基のナンバリングは、KabatのEUナンバリングシステム(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 Fifth edition(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))による。具体的な態様において、DDpp融合タンパク質は、434位に相当する少なくとも1つの残基が、A、W、Y、F、およびHからなる群より選択される残基である、免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体の配列を含む。別の態様によると、DDpp融合タンパク質は、以下のそれぞれの置換、S298A/E333A/K334Aを有する免疫グロブリンエフェクター断片誘導体の配列を含む。付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、K322Aに相当する置換を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体を含む。別の態様において、DDpp融合タンパク質は、以下の置換、K246H、H268D、E283L、S324G、S239D、およびI332Eのうちの1つまたは任意の組み合わせを有する免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体の配列を含む。さらに別の態様によると、DDpp融合タンパク質は、D265A/N297Aに相当する置換を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体の配列を含む。
【0317】
ある特定の態様において、DDpp融合タンパク質は、当技術分野において公知の技術を使用して、エフェクター機能を増加させるため、糖鎖改変された、または変異させられた免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む。例えば、DDppに含有される定常領域ドメイン配列の(点変異またはその他の手段を通した)不活性化は、循環DDpp融合タンパク質のFc受容体結合を低下させ、それによって、腫瘍局在を増加させ得る。他の場合において、ある特定の提供された態様と一致する定常領域改変は、補体結合を穏やかにし、したがって、コンジュゲートされた細胞毒の血清半減期および非特異的会合を低下させ得る。定常領域のさらに他の改変は、抗原特異性または抗体可動性の増加による局在の増強を可能にする、ジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を改変するために使用され得る。結果として生じる生理学的プロファイル、バイオアベイラビリティ、および改変のその他の生化学的効果、例えば、腫瘍局在、体内分布、および血清半減期は、過度の実験法なしに、周知の免疫学的技術を使用して、容易に測定され、定量化され得る。
【0318】
いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、免疫グロブリンまたはその他のペプチド結合分子のための細胞表面受容体、例えば、免疫グロブリン定常領域のための受容体、例えば、一般的に「Fc受容体」(「FcR」)と呼ばれる受容体のクラスを含む。多数のFcR、例えば、免疫グロブリン重鎖アイソタイプの限定されたサブセットと相互作用する特異的な能力を有するFcR、または様々な親和性でFcドメインと相互作用するFcR、および/またはある特定の条件の下で免疫エフェクター細胞の限定されたサブセットにおいて発現され得るFcRが、構造的に、かつ/または機能的に特徴決定されており、当技術分野において公知である(例えば、Kijimoto-Ochichai et al.,Cell Mol.Life.Sci.59:648(2002);Davis et al.,Curr.Top.Microbiol.Immunol.266:85(2002);Pawankar,Curr.Opin.Allerg.Clin.Immunol.1:3(2001);Radaev et al.,Mol.Immunol.38:1073(2002);Wurzburg et al.,Mol.Immunol.38:1063(2002);Sulica et al.,Int.Rev.Immunol.20:371(2001);Underhill et al.,Ann.Rev.Immunol.20:825(2002);Coggeshall,Curr.Dir.Autoimm.5:1(2002);Mimura et al.,Adv.Exp.Med.Biol.495:49(2001);Baumann et al.,Adv.Exp.Med.Biol.495:219(2001);Santoso et al.,Ital.Heart J.2:811(2001);Novak et al.,Curr.Opin.Immunol.13:721(2001);Fossati et al.,Eur.J.Clin.Invest.31:821(2001)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))。
【0319】
ADCCを媒介することができる細胞が、免疫エフェクター細胞の例である。他の免疫エフェクター細胞には、ナチュラルキラー細胞、腫瘍浸潤Tリンパ球(TIL)、細胞傷害Tリンパ球、および顆粒球、例えば、アレルギー応答機序を含む細胞が含まれる。したがって、免疫エフェクター細胞には、1つまたは複数の型の機能性細胞表面FcRを発現し得る(しかし、必ずしも必要ではない)造血系起源の細胞、例えば、骨髄系およびリンパ系の様々な分化段階にある細胞、例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、好中球、好塩基球、好酸球、マスト細胞、血小板、赤血球、および前駆細胞(precursor)、前駆細胞(progenitor)(例えば、造血幹細胞)、ならびにそのような細胞の静止型、活性化型、および成熟型が含まれるが、これらに限定されるわけではない。他の免疫エフェクター細胞には、免疫機能を媒介することができる非造血系起源の細胞、例えば、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、破骨細胞、上皮細胞、およびその他の細胞が含まれ得る。免疫エフェクター細胞には、細胞傷害もしくは細胞分裂停止のイベント、もしくはエンドサイトーシス、食作用、もしくは飲作用のイベントを媒介する細胞、またはアポトーシスの誘導をもたらす細胞、または微生物免疫もしくは微生物感染の中和をもたらす細胞、またはアレルギー、炎症、過敏、および/もしくは自己免疫の反応を媒介する細胞も含まれ得る。
【0320】
F. 増加した半減期を有するDDpp融合タンパク質
開示されたDDppは、DDppの半減期または安定性を増加させるため、第2のペプチドドメインと融合しているか、または複合体化されていてもよい。
【0321】
一つの局面において、DDppは、ペプチドの合成、取り扱い、または使用を容易にする1つまたは複数のアミノ酸、例えば、限定されるわけではないが、ポリペプチドの可溶性を増加させるためのN末端および/またはC末端の1つまたは2つのリジンをさらに含む。適切な融合タンパク質には、タンパク質配列の一部であると一般に認識されていない1つまたは複数のポリペプチド、ポリペプチド断片、またはアミノ酸に連結されたDDppを含むタンパク質が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一つの局面において、融合ペプチドは、2つ以上のペプチドのアミノ酸配列全体を含むか、または、代替的に、2つ以上のペプチドの一部分(断片)を含む。いくつかの局面において、ペプチド(例えば、プロテインS結合ペプチド)は、例えば、マーカータンパク質、精製を容易にするペプチド、マルチマータンパク質の形成を促進するペプチド配列、または前記のいずれかの断片のうちの1つまたは複数に機能的に連結されている。適切な融合パートナーには、Hisタグ、FLAGタグ、strepタグ、およびmycタグが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0322】
いくつかの態様において、DDppは、ポリペプチドの半減期を増強する1つまたは複数の部分と融合している。例えば、腎クリアランスを回避するため、DDppの分子量を増加させることによって、かつ/またはFcRnによって媒介される再利用経路のための結合ドメインを組み込むことによって、半減期を増加させることができる。一つの態様において、DDppは、アルブミンポリペプチドまたはその断片(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA))と融合しているか、または化学的にコンジュゲートされている。具体的な態様において、融合しているか、または化学的にコンジュゲートされているアルブミン断片は、全長アルブミンタンパク質の10%、25%、50%、または75%を含む。付加的な、または代替的な態様において、DDppは、インビボで投与された時にアルブミンに結合するアルブミン結合ドメインまたは脂肪酸と融合しているか、または複合体化されている。アルブミン結合ドメインの一例は、4-(p-ヨードフェニル)-ブタン酸に由来する部分である「albuタグ」である(Dumelin et al.,Angew Chem.Int.Ed Engl.47:3196-3201(2008))。
【0323】
一つの態様において、DDppは、トランスフェリンポリペプチドまたはその断片(例えば、ヒトトランスフェリン)と融合しているか、または化学的にコンジュゲートされている。具体的な態様において、融合しているか、または化学的にコンジュゲートされているトランスフェリン断片は、全長トランスフェリンタンパク質の10%、25%、50%、または75%を含む。付加的な、または代替的な態様において、DDppは、インビボで投与された時にトランスフェリンに結合するトランスフェリン結合ドメインと融合しているか、または複合体化されている。
【0324】
いくつかの態様において、DDppは、プロリン-アラニン-セリンマルチマー(PAS化;XL-Protein GmbH)、不正確リピートペプチド配列(XTEN化、rPEG)、グリシン残基のホモポリマー(HAP化)、エラスチン様リピート配列(ELP化;例えば、米国特許出願第61/442,106号(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)、人工GLK(GLK融合;Huang et al.,Eur.J.Pharm.Biopharm.72:435-41(2010))、またはヒトCGβサブユニットに由来するCTPペプチド(CTP融合)と融合しているか、または化学的にコンジュゲートされている。
【0325】
G. 付加的なDDpp融合タンパク質
いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、CD123および/またはAFP p26に特異的に結合し、さらに疾患関連抗原に結合する。疾患関連抗原は、がんに特徴的な抗原、ならびに/または特定の細胞型(例えば、過剰増殖性細胞)に特徴的な抗原、ならびに/または病原体(例えば、細菌細胞(例えば、結核、天然痘、および炭疽菌)、ウイルス(例えば、HIV)、寄生虫(例えば、マラリアおよびリーシュマニア症)、真菌感染、カビ、マイコプラズマ)に特徴的な抗原、プリオン抗原、または免疫系の障害に関連する抗原であり得る。さらなる態様において、DDpp融合タンパク質は、治療用物質または細胞傷害性物質とコンジュゲートされている。
【0326】
付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、検出、マルチマー化、相互作用パートナーへの結合、またはDDpp活性の特性決定を容易にする1つまたは複数の化学的部分(例えば、標識)と連結されている。例示的な化学的部分は、ビオチンである。DDppとのコンジュゲーションに適した他の部分には、光増感剤、色素、蛍光色素、放射性核種、放射性核種含有複合体、酵素、毒素、および細胞傷害性物質が含まれるが、これらに限定されるわけではない。光増感剤には、例えば、フォトフリン、ビスダイン、レヴラン(Levulan)、フォスカン(Foscan)、メトビックス(Metvix)、ヘクスビックス(Hexvix)(登録商標)、シスビュー(Cysview)(商標)、レザフィリン(Laserphyrin)、アントリン(Antrin)、フォトクロル(Photochlor)、フォトセンス(Photosens)、フォトレックス(Photorex)、ルマカン(Lumacan)、セビラ(Cevira)、ビソナック(Visonac)、BF-200 ALA、およびアンフィネックス(Amphinex)が含まれる。付加的な態様において、Hisタグ、FLAGタグ、strepタグ、またはmycタグが、DDppとコンジュゲートされている。
【0327】
別の態様において、DDpp融合タンパク質は、CD123、AFP p26、またはそれらの断片に結合し、関心対象の標的に存在するペプチドタグにさらに結合するDDを含む。そのようなペプチドタグは、そのペプチドタグを含有する関心対象の標的を検出し、かつ/または付着させるための有用な手段を提供する。一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、ヘキサヒスチジン(His6)タグ、mycタグ、またはFLAGタグの群より選択されるペプチドタグに特異的に結合する。他のペプチドタグは、本明細書に記載されているか、またはその他の方法で当技術分野において公知である。
【0328】
H. エピトープタグを有するDDpp融合タンパク質
いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、ペプチドエピトープタグを含む。いくつかの態様において、ペプチドタグは、ヘキサヒスチジン(His6)タグ、mycタグ、およびFLAGタグからなる群より選択される。付加的な態様において、ペプチドタグには、(タグのビオチン化およびストレプトアビジンによる単離を可能にする)アビタグ(avitag)、カルモジュリン、Eタグ、ヘマグルチニン(HA)、Sタグ、SBPタグ、ソフタグ(softag)1、ストレプトアビジン、テトラシステインまたはポリシステイン、V5、VSV、ならびにXpressタグが含まれるが、これらに限定されるわけではない。さらに、(6残基以外の)ポリヒスチジンタグが使用されてもよい。付加的な態様において、共有結合性のペプチドタグ、タンパク質タグ等が使用されてもよい。共有結合性ペプチドタグには、(ピリンCタンパク質に共有結合的に結合する)イソペプタグ(isopeptag)、(スパイキャッチャー(SpyCatcher)タンパク質に共有結合的に結合する)スパイタグ(Spytag)、および(スヌープキャッチャー(SnoopCatcher)タンパク質に共有結合的に結合する)スヌープタグ(Snooptag)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。さらに付加的な態様において、ビオチンカルボキシル担体タンパク質(BCCP)、グルタチオン-s-トランスフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(またはその他の蛍光色素)、Haloタグ、Nusタグ、チオレドキシン、およびFcタグを含むが、これらに限定されるわけではないタンパク質タグが、任意で使用されてもよい。さらに付加的な態様において、複数の型のタグが使用されてもよい。さらに付加的な態様において、タグは使用されない。さらに付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、除去可能なタグを含む。態様に応じて、本明細書に開示される細胞外ドメインと膜貫通ドメインと細胞内ドメインとの任意の組み合わせが、使用され得る。
【0329】
I. 化学的コンジュゲートとしてのDDpp
関心対象の標的への特異的結合を促進するDDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)は、多様な化合物、例えば、蛍光色素、放射性同位体、クロマトグラフィ組成物(例えば、ビーズ、樹脂、ゲル等)、および化学療法剤と化学的にコンジュゲートされていてよい。DDpp融合タンパク質コンジュゲートは、診断、分析、製造、および治療における適用を含むが、これらに限定されるわけではない用途を有する。
【0330】
DD配列におけるシステインの本質的な欠如は、部位特異的なコンジュゲーションを目的とした独特のシステインの導入の機会を提供する。
【0331】
いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)は、少なくとも1つの反応性残基を含有する。反応性残基は、例えば、コンジュゲート、例えば、化学療法薬の付着のための部位として有用である。反応性残基は、例えば、システイン、リジン、またはその他の反応性残基であり得る。したがって、システインが、DDpp配列のN末端もしくはC末端のいずれか、またはDDpp配列内に付加され得る。DDppの配列の、あるアミノ酸が、システインに置換されてもよい。さらに、リジンが、DDppのいずれかの末端もしくはDDpp配列内に付加されてもよく、かつ/またはDDppの配列の、あるアミノ酸が、リジンに置換されてもよい。一つの態様において、反応性残基(例えば、システイン、リジン等)は、DDppのループ配列(例えば、SEQ ID NO:2の残基22~24および46~49に相当するアミノ酸残基)に位置する。一つの態様において、反応性残基は、DDpp融合タンパク質の成分の間、例えば、DDpp融合タンパク質のDDppと他の成分との間に位置するリンカーに位置する。反応性残基(例えば、システイン、リジン等)は、DDpp融合タンパク質のDDppまたは他の成分の配列内に位置してもよい。一つの態様において、DDppまたはDDpp融合タンパク質は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つの反応性残基を含む。一つの態様において、DDpp、例えば、DDpp融合タンパク質は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つのシステイン残基を含む。
【0332】
「標的に対する結合親和性」、「標的への結合」等の表現は、親和性定数の決定を通して直接測定され得るポリペプチドの特性、例えば、所定の抗原濃度で、会合し、解離するDDppの量をさす。競合分析、平衡分析、および微小熱量測定分析、ならびに(例えば、Biacore(登録商標)装置を使用した)表面プラズモン共鳴相互作用に基づくリアルタイム相互作用分析を含むが、これらに限定されるわけではない、種々の方法が、分子間相互作用を特徴決定するために使用され得る。これらの方法は、当業者に公知であり、例えば、Neri et al.,Tibtech 14:465-470(1996)およびJansson et al.,J Biol Chem 272:8189-8197(1997)に記載されている。
【0333】
所定のDDpp結合イベントのための親和性要件は、結合マトリックスの組成および複雑さ、DDppおよび標的分子の両方の結合価および密度、ならびにDDppの機能的適用を含むが、これらに限定されるわけではない多様な要因に依る。一つの態様において、DDppは、5×10-3M、10-3M、5×10-4M、10-4M、5×10-5M、または10-5M以下の解離定数(KD)で、関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)に結合する。付加的な態様において、DDppは、5×10-6M、10-6M、5×10-7M、10-7M、5×10-8M、または10-8M以下のKDで、関心対象の標的に結合する。付加的な態様において、DDppは、5×10-9M、10-9M、5×10-10M、10-10M、5×10-11M、10-11M、5×10-12M、10-12M、5×10-13M、10-13M、5×10-14M、10-14M、5×10-15M、または10-15M以下のKDで、関心対象の標的に結合する。いくつかの態様において、提供されるDDppは、10-4M~10-5M、10-5M~10-6M、10-6M~10-7M、10-7M~10-8M、10-8M~10-9M、10-9M~10-10M、10-10M~10-11M、および10-11M~10-12Mからなる群より選択される解離定数を有する。
【0334】
いくつかの態様において、DDppは、活性型の関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)に結合する。一つの態様において、DDppは、活性型の関心対象の標的に可逆的に結合し、結合した標的をやはり活性型で放出する。いくつかの態様において、DDppは、ネイティブ型の関心対象の標的に結合する。具体的な態様において、DDppは、10-10sec-1、5×10-9sec-1、10-9sec-1、5×10-8sec-1、10-8sec-1、5×10-7sec-1、10-7sec-1、5×10-6sec-1、10-6sec-1、5×10-5sec-1、10-5sec-1、5×10-4sec-1、10-4sec-1、5×10-3sec-1、10-3sec-1、5×10-2sec-1、10-2sec-1、5×10-1sec-1、または10-1sec-1以上のオフレートまたはKoffで、関心対象の標的に結合する。
【0335】
KDおよびオフレートを決定するための結合実験は、[pH 6.0、0.01%Tween2]、[pH 6.0、0.1%ゼラチン]、[pH 5.0、0.01%Tween2]、[pH 9.0、0.1%Tween2]、[pH 6.0、15%エチレングリコール、0.01%Tween2]、[pH 5.0、15%エチレングリコール、0.01%Tween2]、および[pH 9.0、15%エチレングリコール、0.01%Tween2]を含むが、これらに限定されるわけではない多数の条件で、ルーチンに実施され得る。これらの溶液を作製するための緩衝液は、当業者によってルーチンに決定され得、最終溶液の所望のpHに大きく依存する。低pH溶液(pH 5.5未満)は、例えば、クエン酸緩衝液、グリシン-HCl緩衝液、またはコハク酸緩衝液で作製され得る。高pH溶液は、例えば、トリス-HCl緩衝液、リン酸緩衝液、または炭酸水素ナトリウム緩衝液で作製され得る。例えば、最適なpHおよび/または塩濃度を決定する目的のため、KDおよびオフレートを決定するため、多数の条件が、当業者によってルーチンに使用され得る。
【0336】
一つの態様において、DDppは、0.1~10-7sec-1、10-2~10-7sec-1、または0.5×10-2~10-7sec-1の範囲のKOffで、関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)に特異的に結合する。具体的な態様において、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、5×10-2sec-1、10-2sec-1、5×10-3sec-1、または10-3sec-1未満のオフレート(KOff)で、関心対象の標的に結合する。付加的な態様において、DDppは、5×10-4sec-1、10-4sec-1、5×10-5sec-1、または10-5sec-1、5×10-6sec-1、10-6sec-1、5×10-7sec-1、または10-7sec-1未満のオフレート(KOff)で、関心対象の標的に結合する。
【0337】
一つの態様において、DDppは、103~107M-1sec-1、103~106M-1sec-1、または103~105M-1sec-1の範囲のKOnで、関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)に特異的に結合する。具体的な態様において、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、103M-1sec-1、5×103M-1sec-1、104M-1sec-1、または5×104M-1sec-1より大きいオンレート(KOn)で関心対象の標的に結合する。付加的な態様において、DDppは、105M-1sec-1、5×105M-1sec-1、106M-1sec-1、または5×106M-1sec-1、または107M-1sec-1より大きいKOnで関心対象の標的に結合する。
【0338】
開示されたDDppをコードする核酸分子は、本明細書に包含され、これらの核酸を含有するベクター、これらの核酸ベクターを含有する宿主細胞、およびDDpp-アルブミン融合タンパク質を作製する方法、ならびにこれらの核酸、ベクター、および/または宿主細胞を使用する方法も、包含される。本発明は、DDpp-アルブミン融合タンパク質と、薬学的に許容される希釈剤または担体とを含む、薬学的製剤も包含する。そのような製剤は、薬学的製剤を患者に投与する工程を含む、患者、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトにおいて、疾患または疾患症状を処置するか、防止するか、改善させるか、または診断する方法において使用され得る。
【0339】
DDpp薬物コンジュゲート
さらなる態様において、DDpp融合タンパク質は、化学的コンジュゲーションの使用を通して、他の有機または無機の分子または基質に連結され得る。一つの態様において、DDpp-薬物コンジュゲートは、DDppのターゲティング特異性を通して、細胞傷害性物質の局所送達を容易にするためのものである。ターゲティング特異性と細胞傷害性物質とのこの組み合わせは、薬物の腫瘍への標的特異的送達およびそこでの細胞内蓄積を可能にするが、これらのコンジュゲートされていない薬剤の全身投与は、排除が求められる腫瘍細胞のみならず、正常細胞に対しても、許容されないレベルの毒性をもたらし得る(Baldwin et al.,Lancet pages 603-605(1986);Thorpe,"Antibody Carriers Of Cytotoxic agents In Cancer Therapy:A-Review,"in Monoclonal Antibodies'84:Biological And Clinical Applications,A.Pinchera et al.,(ed.s),pp.475-506(1985))。
【0340】
細胞傷害性物質には、化学療法剤、成長阻害剤、毒素(例えば、細菌、真菌、植物、もしくは動物が起源の酵素活性毒素またはその断片)、放射性同位体(即ち、ラジオコンジュゲート)等が含まれる。そのようなイムノコンジュゲートの生成において有用な化学療法剤には、例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、またはその他のインターカレーティング剤が含まれる。そのようなイムノコンジュゲートの生成において有用な化学療法剤には、抗チューブリン薬、例えば、アウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)およびモノメチルアウリスタチンF(MMAF)も含まれる。本開示の方法に従って使用され得る酵素活性毒素およびその断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、αサルシン(sarcin)、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ツルレイシ(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)、ならびにトリコテセン類が含まれる。
【0341】
一つの態様において、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、放射性同位体とコンジュゲートされている。さらなる態様において、DDppは、多数の公知のキレート剤のうちの任意のもの、または直接標識を使用して、90Y、125I、131I、123I、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re、および188Reより選択される同位体とコンジュゲートされている。他の態様において、DDppは、薬物、プロドラッグ、またはリンホカイン、例えば、インターフェロンとカップリングされている。DDppと細胞毒とのコンジュゲートは、多様な二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、3-(2-ピリジルジチオ)プロピオン酸N-スクシンイミジル(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジポイミド酸ジメチルHCL)、活性エステル(例えば、スベリン酸ジスクシンイミジル)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えば、ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリエン(tolyene)2,6-ジイソシアネート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用してルーチンに作製され得る。具体的な態様において、毒素は、酵素切断可能なリンカー系(例えば、SGN-35に存在するもの)を通してDDpp融合タンパク質とコンジュゲートされる。DDppと、1つまたは複数の低分子毒素、例えば、カリケアマイシン、マイタンシノイド、トリコテン(trichothene)、およびCC1065、ならびに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体とのコンジュゲートも、使用され得る。
【0342】
いくつかの態様において、細胞傷害性物質は、リンカーによって、DDppに共有結合的に付着している。いくつかの態様において、DDppと細胞傷害性物質とを付着させるリンカーは、プロテアーゼによって切断可能である。
【0343】
DDおよびDDppの親和性成熟および脱免疫化
親和性成熟戦略は、本明細書に記載されるDDpp融合タンパク質において使用され得る高親和性のDDおよびDDppを生成するために使用され得る。所望の標的(例えば、BCAM、CD123、CS1、HER2、AFP、およびAFP p26)に特異的に結合する改善されたDDおよびDDppは、既知のDDpp参照配列に基づき調製されてもよい。例えば、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のアミノ酸変異(例えば、保存的置換もしくは非保存的置換)、欠失、または挿入を、表1に開示されたDD配列(即ち、参照配列)に導入することができ、結果として生じるDDppを、それぞれの標的への結合および生物学的活性、例えば、それぞれの標的の生物学的活性に拮抗的に作用する能力、またはそれぞれの標的の生物学的活性に作動的に作用する能力についてスクリーニングすることができる。
【0344】
開示されたDDpp、具体的には、対象に投与されるものは、好ましくは、対象(例えば、ヒト)に対して抗原性でない。いくつかの態様において、DDppの配列は、ヒトHLA-DR結合モチーフまたはプロテアソームおよび免疫-プロテアソームのための切断部位を含有しない。具体的な態様において、DDpp配列は、本明細書の出願日に存在するコンピュータ予測モデルバージョンによって決定される抗原性配列を含有しない。具体的な態様において、DDpp配列は、ProPred(例えば、Singh,Bioinformatics 17(12):1236-1237(2001)を参照すること)、ProPred1(Singh,Bioinformatics 19(8):1009-14(2003))、SYFPEITHI(例えば、Schuler,Immunoinf.Meth.in Mol.Biol.409(1):75-93(2007)を参照すること)、SMM-align(例えば、Nielsen,BMC Bioinformatics 8:238(2007)を参照すること)、RANKPEP(例えば、Reche,Hum Immunol 63:701-709.(2004)を参照すること)、またはTEPITOPE(Sturniolo,Nat Biotechnol 17:555-561(1999)を参照すること)より選択されるアルゴリズムによって予測されるMHC(クラスIまたはクラスII)結合部位配列を含有せず、ここで、アルゴリズムおよび適用されるデータベースのバージョンは、本願の出願日に存在しているものである。いくつかの態様において、DDppは、高親和性(6%未満の結合閾値)のT細胞エピトープと特徴を共有する配列を含有しない(Singh,Bioinformatics 17:1236-1237(2001))。いくつかの態様において、DDppは、プロミスキャス(promiscuous)な(関連する対立遺伝子の50%超に存在する)T細胞エピトープと特徴を共有する配列を含有しない(Singh,Bioinformatics-17:1236-1237(2001))。いくつかの態様において、DDppは、高親和性の、またはプロミスキャスなT細胞エピトープと特徴を共有する配列を含有しない。具体的な態様において、DDppは、配列LAAIKTRLQ(SEQ ID NO:49)を含有しない。親和性成熟型DDppバリアント、および予測されたMHC(クラスIまたはクラスII)結合部位配列を除去する配列変更を含有する標的結合DDppバリアントを生成し、スクリーニングし、同定する技術は、当技術分野において公知である。
【0345】
ポリヌクレオチド
DDpp(例えば、アダプターまたはCAR)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドも提供される。そのようなポリヌクレオチドは、任意で、1つまたは複数の発現調節要素をさらに含む。例えば、ポリヌクレオチドは、1つまたは複数のプロモーターまたは転写エンハンサー、リボソーム結合部位、転写終結シグナル、およびポリアデニル化シグナルを発現調節要素として含むことができる。ポリヌクレオチドは、発現に適した任意の宿主細胞に含有され得る任意の適切なベクターに挿入され得る。
【0346】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、CD123に結合するDドメインを含むポリペプチドをコードする。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。
【0347】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、キメラ抗原受容体(CAR)をコードし、ここで、CARは、CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む。
【0348】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、キメラ抗原受容体(CAR)をコードし、ここで、CARは、(i)AFP p26 ADに結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含む。
【0349】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、キメラ抗原受容体(CAR)をコードし、ここで、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。
【0350】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、(a)CD123に結合するDドメイン(DD)と(b)抗原決定基(AD)とを含むアダプターをコードする。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する単一のDドメインを含む1価アダプターである。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する2つのDドメインを含む2価アダプターである。いくつかの態様において、CD123に結合する2つのDドメインは、同じである。いくつかの態様において、CD123に結合する2つのDドメインは、異なる。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する第1のDドメインと、第2のADに結合する第2のDドメインとを含む2価アダプターである。いくつかの態様において、第2のADは、CD33またはLeYである。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む2つの同一のDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む2つの同一のDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、AFP p26抗原決定基(AD)を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。
【0351】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、(a)CD123に結合するDドメインと(b)AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをコードする。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。
【0352】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、(a)標的細胞上の標的抗原決定基(AD)に結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(b)AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをコードする。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。
【0353】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、DNAである。
【0354】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、RNAである。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、mRNAである。いくつかの態様において、RNA、例えば、mRNAは、改変されたリボヌクレオチドを含む。
【0355】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるmRNAは、本明細書に開示されるポリペプチドをコードするコード領域を含み、さらに、5'非翻訳領域、3'非翻訳領域、5'キャップ、およびポリアデニル化シグナルのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるmRNAは、本明細書に開示されるポリペプチドをコードするコード領域、5'非翻訳領域、3'非翻訳領域、5'キャップ、およびポリアデニル化シグナルを含む。いくつかの態様において、本明細書に開示されるmRNAは、改変されたリボヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、mRNAは、N1-メチルプソイドウリジンまたはN1-エチルプソイドウリジンを含む。いくつかの態様において、5'末端キャップは、7mG(5')ppp(5')N1mpNpである。例えば、参照によりその全体が本明細書に各々組み入れられる、US20200261572、US20190351040、およびUS20190211065を参照すること。
【0356】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含むベクターである。いくつかの態様において、ベクターは、組換えレンチウイルスの作製において使用するのに適したトランスファーベクターである。いくつかの態様において、ベクターは、本明細書に開示されるポリペプチド(例えば、CAR)をコードするレンチウイルスベクターである。いくつかの態様において、レンチウイルスベクターは、ポリペプチド(例えば、CAR)を発現する細胞を作製するため、免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)を形質導入するのに適している。
【0357】
いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるポリヌクレオチドを含む組換えウイルスである。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、CAR)をコードするポリヌクレオチドを含む組換えレンチウイルスである。いくつかの態様において、ポリヌクレオチドは、組換えのアデノウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルス(AAV)である。
【0358】
DDppの作製
開示されたDDpp(例えば、アダプター)は、当技術分野において公知の市販の試薬および技術を使用してルーチンに作製され得る。一つの態様において、DDppは、当技術分野において公知の固相合成技術によって合成される(例えば、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149(1963);Davis et al.,Biochem.Intl.10:394-414(1985);Larsen et al.,J.Am.Chem.Soc.115:6247(1993);Smith et al.,J.Peptide Protein Res.44:183(1994);O'Donnell et al.,J.Am.Chem.Soc.118:6070(1996);Stewart and Young,Solid Phase Peptide Synthesis,Freeman(1969);Finn et al.,The Proteins,3.sup.rd ed.,2:105-253(1976);およびErickson et al.,The Proteins,3.sup.rd ed.,2:257-527(1976))。本開示は、合成ペプチドを企図する。あるいは、ペプチドは、開示されたDDppをコードする核酸を宿主細胞に導入し、ペプチドを発現するよう宿主細胞を培養することによって組換え発現される。そのようなペプチドは、培養培地または細胞ペレットから精製される。
【0359】
提供された方法の実施において有用なDDppの作製は、当技術分野において公知の化学合成、半合成法、および組換えDNA方法論のための多様な標準的な技術を使用して実施され得る。可溶性薬剤および細胞関連タンパク質として、個々に、またはマルチドメイン融合タンパク質の一部として、DDppを作製するための方法も提供される。
【0360】
任意で、参照配列、および/または改変されたポリペプチド(例えば、DDpp)は、脱免疫化され得る。例えば、DDppに対する可能性のある免疫応答を低下させ、または排除するため、免疫原性である可能性のある残基またはモチーフを同定し、改変することができる。DDppの作製、選択、および単離の様々な態様に関する付加的な詳細は、以下に、より詳細に提供される。
【0361】
A. DDppの組換え発現
いくつかの態様において、DDpp、例えば、DDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)は、「組換え作製」される(即ち、組換えDNAテクノロジーを使用して作製される)。DDpp融合タンパク質を合成するために使用可能な例示的な組換え方法には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの合成、コンカテマー化、シームレスクローニング、およびリカーシブ・ディレクショナル・ライゲーション(recursive directional ligation)(RDL)が含まれるが、これらに限定されるわけではない(例えば、Meyer et al.,Biomacromolecules 3:357-367(2002);Kurihara et al.,Biotechnol.Lett.27:665-670(2005);Haider et al.,Mol.Pharm.2:139-150(2005);およびMcMillan et al.,32:3643-3646(1999)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。
【0362】
DDpp(例えば、アダプターまたはCAR)をコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸も提供される。そのようなポリヌクレオチドは、任意で、1つまたは複数の発現調節要素をさらに含む。例えば、ポリヌクレオチドは、発現調節要素として、1つまたは複数のプロモーターまたは転写エンハンサー、リボソーム結合部位、転写終結シグナル、およびポリアデニル化シグナルを含むことができる。ポリヌクレオチドは、発現に適した任意の宿主細胞に含有され得る、任意の適切なベクターに挿入され得る。
【0363】
DDpp(例えば、アダプターまたはCAR)をコードする核酸の発現は、典型的には、発現ベクターにおいて、DDppをコードする核酸をプロモーターと機能的に連結することによって達成される。典型的な発現ベクターは、所望の核酸配列の発現の制御のために有用な転写および翻訳のターミネーター、開始配列、ならびにプロモーターを含有する。適切な転写/翻訳調節シグナルと共に、DDppをコードする核酸配列を含有する発現ベクターをルーチンに構築するため、当技術分野において公知の方法が使用され得る。これらの方法には、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ組換え/遺伝子組換えが含まれるが、これらに限定されるわけではない。ポリヌクレオチドの発現は、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、または哺乳動物細胞を含むが、これらに限定されるわけではない、当技術分野において公知の任意の適切な発現宿主において実施され得る。一つの態様において、DDppをコードする核酸配列は、核酸配列が宿主において転写され、かつ/またはDDppに翻訳されるよう、適切なプロモーター配列に機能的に連結されている。
【0364】
一つの態様において、DDpp(例えば、アダプター)をコードする核酸を含むベクターは、DDppの発現のため、宿主細胞に導入される。ベクターは、治療用物質をコードするインサートが転写され得る限り、エピソームとして維持されてもよいか、または染色体に組み込まれてもよい。ベクターは、標準的な組換えDNAテクノロジーによって構築され得る。ベクターは、原核細胞または真核細胞における複製および発現のために使用される、プラスミド、ファージ、コスミド、ファージミド、ウイルス、または当技術分野において公知の任意の他の型であり得る。当技術分野において公知の極めて多様な成分(例えば、発現調節要素)、例えば、極めて多様な転写シグナル、例えば、プロモーター、およびプロモーターへのRNAポリメラーゼの結合を制御するその他の配列が、そのようなベクターに含まれ得ることが、当業者によって理解されるであろう。ベクターが発現される細胞において有効であることが既知である、または証明されている任意のプロモーターが、DDppの発現を開始するために使用され得る。適切なプロモーターは、誘導性(例えば、制御されるもの)または構成性であり得る。適切なプロモーターの非限定的な例には、SV40初期プロモーター領域、ラウス肉腫ウイルスの3'末端反復配列に含有されるプロモーター、HSV-1(単純ヘルペスウイルス1)チミジンキナーゼプロモーター、メタロチオネイン遺伝子の制御配列等が含まれ、組織特異性を示し、トランスジェニック動物において用いられている以下の動物転写調節領域も含まれる:膵腺房細胞において活性を有するエラスターゼI遺伝子調節領域;膵β細胞において活性を有するインスリン遺伝子調節領域、精巣細胞、乳腺細胞、リンパ球、およびマスト細胞において活性を有するマウス乳腺腫瘍ウイルス調節領域、肝臓において活性を有するアルブミン遺伝子調節領域、肝臓において活性を有するαフェトプロテイン遺伝子調節領域、肝臓において活性を有するα1アンチトリプシン遺伝子調節領域、赤血球において活性を有するβグロビン遺伝子調節領域、脳のオリゴデンドロサイト細胞において活性を有するミエリン塩基性タンパク質遺伝子調節領域、骨格筋において活性を有するミオシン軽鎖2遺伝子調節領域、ならびに視床下部において活性を有するゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子調節領域。具体的な態様において、プロモーターは、リンパ系細胞において活性を有する免疫グロブリン遺伝子調節領域である。
【0365】
一つの態様において、DDpp(例えば、アダプター)をコードする1つまたはいくつかの核酸は、構成性プロモーターあるいは制御された発現系の調節下で発現される。適切な制御される発現系には、テトラサイクリンによって制御される発現系、エクジソン誘導性発現系、lacスイッチ発現系、グルココルチコイド誘導性発現系、温度誘導性プロモーター系、およびメタロチオネイン金属誘導性発現系が含まれるが、これらに限定されるわけではない。DDppをコードするいくつかの異なる核酸が、宿主細胞系に含有される場合、核酸のうちのいくつかが、構成性プロモーターの調節下で発現され、他の核酸が、制御されるプロモーターの調節下で発現されてもよい。発現レベルは、当技術分野において公知の方法、例えば、ウエスタンブロット分析およびノーザンブロット分析によって決定され得る。
【0366】
DDpp(例えば、アダプター)をコードする核酸を発現させるため、多様な宿主発現ベクター系が用いられ得る。DDpp(例えば、個々のDDサブユニットまたはDDpp融合物)またはその一部分もしくは断片をコードする核酸を含有するベクターには、プラスミドベクター、一本鎖および二本鎖のファージベクター、ならびに一本鎖および二本鎖のRNAウイルスベクターまたはDNAウイルスベクターが含まれる。ファージおよびウイルスベクターは、感染および形質導入のための公知の技術を使用して、パッケージングまたは被包されたウイルスの形態で宿主細胞に導入されてもよい。さらに、ウイルスベクターは、複製可能であってもよいか、あるいは複製欠陥であってもよい。あるいは、無細胞翻訳系が、DNA発現構築物に由来するRNAを使用してタンパク質を作製するために使用されてもよい(例えば、WO86/05807およびWO89/01036;ならびに米国特許第5,122,464号(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること)。
【0367】
一般に、任意の型の細胞または培養細胞株が、本明細書において提供されるDDpp(例えば、アダプター)を発現させるために使用され得る。いくつかの態様において、操作された宿主細胞を生成するために使用されるバックグラウンド細胞株は、ファージ、細菌細胞、酵母細胞、または哺乳動物細胞である。多様な宿主発現ベクター系が、DDpp融合タンパク質のコード配列を発現させるために使用され得る。関心対象の標的のコード配列および融合ポリペプチドのコード配列を含有する組換えプラスミドDNA発現ベクターまたはコスミドDNA発現ベクターによってトランスフェクトされる宿主細胞系として、哺乳動物細胞が使用され得る。
【0368】
細胞は、生物(例えば、ヒト)に由来する初代単離物、培養物、または形質転換された、もしくはトランスジェニックの性質の細胞株であり得る。いくつかの態様において、宿主細胞は、ヒト細胞である。いくつかの態様において、宿主細胞は、ヒトT細胞である。いくつかの態様において、宿主細胞は、ヒト患者に由来する。
【0369】
有用な宿主細胞には、DDpp(例えば、アダプター)コード配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNA発現ベクターによって形質転換された微生物、例えば、細菌(例えば、大腸菌(E.coli)、B.スブチリス(subtilis)、P.フルオレセンス(fluoresces));DDppコード配列を含有する組換え酵母発現ベクターによって形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)、ピキア属(Pichia));DDppコード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)によって感染された昆虫細胞系;DDppコード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)によって感染された、または組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)によって形質転換された植物細胞系が含まれるが、これらに限定されるわけではない。具体的な態様において、哺乳動物細胞系が、DDppを作製するために使用される。哺乳動物細胞系は、典型的には、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を用いる。
【0370】
DDpp、例えば、DDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)の作製における宿主細胞として有用な原核生物には、グラム陰性生物またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌およびB.スブチリスが含まれる。原核宿主細胞において使用するための発現ベクターは、一般に、1つまたは複数の表現型選択可能マーカー遺伝子(例えば、抗生物質耐性を付与するタンパク質、または独立栄養要求性を与えるタンパク質をコードする遺伝子)を含有する。有用な原核宿主発現ベクターの例には、pKK223-3(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pGEMl(Promega,Wis.,USA)、pET(Novagen,Wis.,USA)、およびpRSET(Invitrogen,Calif.,USA)のシリーズのベクターが含まれる(例えば、Studier,J.Mol.Biol.219:37(1991)およびSchoepfer,Gene 124:83(1993)を参照すること)。原核宿主細胞発現ベクターにおいて高頻度に使用される例示的なプロモーター配列には、T7(Rosenberg et al.,Gene 56:125-135(1987))、βラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系(Chang et al.,Nature 275:615(1978);およびGoeddel et al.,Nature 281:544(1979))、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel et al.,Nucl.Acids Res.8:4057(1980))、およびtacプロモーター(Sambrook et al.,1990,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d-Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.)が含まれる。
【0371】
一つの態様において、真核宿主細胞系、例えば、DDpp(例えば、アダプター)のコード配列を含有する組換え酵母発現ベクターによって形質転換された酵母細胞、例えば、米国特許出願第60/344,169号およびWO03/056914(非ヒト真核宿主細胞においてヒト様糖タンパク質を作製するための方法)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)に教示された発現系が使用される。提供された組成物、例えば、DDを作製するために使用され得る例示的な酵母には、サッカロミセス属、ピキア属、アクチノミセス属(Actinomycetes)、およびクルイベロミセス属(Kluyveromyces)の酵母が含まれる。酵母ベクターは、典型的には、2μ酵母プラスミドに由来する複製開始点配列、自律複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化のための配列、転写終結のための配列、および選択可能マーカー遺伝子を含有する。酵母発現構築物におけるプロモーター配列の例には、メタロチオネイン、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman,J.Biol.Chem.255:2073(1980))、およびその他の解糖系酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼに由来するプロモーターが含まれる。酵母発現および酵母形質転換のプロトコルにおいて使用するための付加的な適切なベクターおよびプロモーターは、当技術分野において公知である。例えば、Fleer,Gene 107:285-195(1991)およびHinnen,PNAS 75:1929(1978)を参照すること。
【0372】
昆虫および植物の宿主細胞培養系も、本開示に包含される組成物を作製するために有用である。そのような宿主細胞系には、例えば、DDのコード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)によって感染された昆虫細胞系;DDのコード配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)によって感染された、または組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)によって形質転換された植物細胞系、例えば、以下に限定されるわけではないが、米国特許第6,815,184号、米国特許出願公開第60/365,769号および同第60/368,047号;ならびにWO04/057002、WO04/024927、およびWO03/078614(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)に教示された発現系が含まれる。
【0373】
付加的な態様において、組換えウイルス発現ベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス)によって感染された動物細胞系、例えば、安定的に増幅されるか(CHO/dhfr)または二重微小染色体において不安定に増幅される、DDppをコードするDNAの複数コピーを含有するよう操作された細胞株(例えば、マウス細胞株)を含む、宿主細胞系が使用され得る。一つの態様において、DDppをコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、ポリシストロニックである。これらの組成物を作製するために有用な例示的な哺乳動物細胞には、293細胞(例えば、293Tおよび293F)、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6(Crucell,Netherland)細胞、VERY、Hela細胞、COS細胞、MDCK細胞、3T3細胞、W138細胞、BT483細胞、Hs578T細胞、HTB2細胞、BT20細胞、T47D細胞、CRL7O30細胞、HsS78Bst細胞、ハイブリドーマ細胞、およびその他の哺乳動物細胞が含まれる。提供された態様の実施において有用である付加的な例示的な哺乳動物宿主細胞には、T細胞が含まれるが、これに限定されるわけではない。発現系および選択方法のいくつかの例は、以下の参考文献およびそれらにおいて引用された参考文献に記載されている:Borth et al.,Biotechnol.Bioen.71(4):266-73(2000)、Werner et al.,Arzneimittel-forschung/Drug Res.48(8):870-80(1998)、Andersen et al.,Curr.Op.Biotechnol.13:117-123(2002)、Chadd et al.,Curr.Op.Biotechnol.12:188-194(2001)、およびGiddings,Curr.Op.Biotechnol.12:450-454(2001)。発現系および選択方法の付加的な例は、Logan et al.,PNAS 81:355-359(1984)、Birtner et al.,Methods Enzymol.153:51-544(1987)に記載されている。哺乳動物宿主細胞発現ベクターの転写調節配列および翻訳調節配列は、高頻度に、ウイルスゲノムに由来する。哺乳動物発現ベクターにおいて一般的に使用されているプロモーター配列およびエンハンサー配列には、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、サルウイルス40(SV40)、およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)に由来する配列が含まれる。哺乳動物宿主細胞において使用するための例示的な市販の発現ベクターには、pCEP4(Invitrogen)およびpcDNA3(Invitrogen)が含まれる。
【0374】
核酸を宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)に導入するための物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、マイクロインジェクション、電気穿孔等が含まれる。ベクターおよび/または外来性核酸を含む細胞を作製するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)を参照すること。
【0375】
関心対象のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための生物学的方法には、DNAベクターおよびRNAベクターの使用が含まれる。ウイルスベクター、具体的には、レトロウイルスベクターは、哺乳動物(例えば、ヒト)細胞に遺伝子を挿入するため、最も広く使用されている方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、I型単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス等に由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号および同第5,585,362号(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照すること。
【0376】
関心対象のDNAポリヌクレオチドおよびRNAポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための方法には、細胞膜の透過性を増加させ、化学物質、薬物、またはポリヌクレオチドが細胞に導入されることを可能にするため、細胞に電場が印加される、細胞の電気穿孔が含まれる。DDppを含有するDNA構築物またはRNA構築物は、電気穿孔を使用して哺乳動物細胞または原核細胞に導入され得る。
【0377】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段には、コロイド分散系、例えば、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、ならびに脂質ベースの系、例えば、水中油型乳濁液、ミセル、混合ミセル、およびリポソームが含まれる。インビトロおよびインビボの送達媒体として使用するための例示的なコロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。非ウイルス送達系が用いられる場合、例示的な送達媒体は、リポソームである。脂質製剤の使用は、(インビトロ、エクスビボ、またはインビボの)宿主細胞への核酸の導入のため、企図される。別の局面において、核酸は、脂質と会合させられてもよい。脂質と会合した核酸は、リポソームの水性内部に被包されていてもよいか、リポソームの脂質二重層内に散在していてもよいか、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方と会合している連結分子を介してリポソームに付着していてもよいか、リポソーム内に封入されていてもよいか、リポソームと複合体化されていてもよいか、脂質を含有する溶液に分散していてもよいか、脂質と混合されていてもよいか、脂質と組み合わせられていてもよいか、脂質中に懸濁物として含有されていてもよいか、ミセルに含有されているか、もしくはミセルと複合体化されていてもよいか、またはその他の方法で脂質と会合していてもよい。脂質、脂質/DNA、または脂質/発現ベクターに関連した組成物は、溶液中の特定の構造に限定されない。例えば、それらは、二層構造内に存在してもよいか、ミセルとして存在してもよいか、または「崩壊した」構造で存在してもよい。それらは、溶液中に単純に散在していてもよく、サイズまたは形状が均一でない凝集物を形成していてもよい。脂質は、天然に存在する、または合成の脂質であり得る脂肪性物質である。例えば、脂質には、細胞質に天然に存在する脂肪滴が含まれ、長鎖脂肪族炭化水素およびその誘導体、例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、およびアルデヒドを含有する化合物のクラスも含まれる。
【0378】
使用するのに適した脂質は、市販の供給元から入手され得る。例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)は、Sigma, St. Louis,MOから入手され得;リン酸ジセチル(「DCP」)は、K & K Laboratories(Plainview,NY)から入手され得;コレステロール(「Choi」)は、Calbiochem-Behringから入手され得;ジミリストイルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)およびその他の脂質は、Avanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,AL)から入手され得る。クロロホルム中またはクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、約-20℃で保管され得る。クロロホルムは、メタノールより容易に蒸発するため、唯一の溶媒として使用され得る。「リポソーム」は、閉鎖脂質二重層または凝集物の生成によって形成された多様な単層および多層の脂質媒体を包含する総称的な用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜および内部水性媒体を含む小胞構造を有することを特徴とする。多層リポソームは、水性媒体によって分離された複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質を過剰の水性溶液に懸濁させた時に自然に形成される。脂質成分は、閉鎖構造の形成前に自己再編成を起こし、水および溶解した溶質を脂質二重層の間に閉じ込める(Ghosh et al.,Glycobiology 5:505-510(1991))。しかしながら、溶液中で通常の小胞構造と異なる構造を有する組成物も包含される。例えば、脂質は、ミセル構造をとる場合もあるか、または単に脂質分子の不均一な凝集物として存在する場合もある。リポフェクタミン-核酸複合体も企図される。
【0379】
外来性核酸を宿主細胞に導入するために使用された方法に関わらず、宿主細胞における組換え核酸配列の存在は、当技術分野において公知の多様なアッセイを通してルーチンに確認され得る。そのようなアッセイには、例えば、当技術分野において公知の「分子生物学的」アッセイ、例えば、サザンブロッティングおよびノーザンブロッティング、RT-PCR、ならびにPCR;「生化学的」アッセイ、例えば、免疫学的手段(ELISAおよびウエスタンブロット)による、または提供された態様の範囲内に含まれる薬剤を特定するための本明細書に記載されるアッセイによる、特定のペプチドの存在または欠如の検出が含まれる。
【0380】
レポーター遺伝子は、トランスフェクトされた可能性のある細胞の同定、および制御配列の機能性の評価のために使用される。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエントの生物、組織、もしくは細胞に存在しないか、またはそれらによって発現されず、その発現が何らかの容易に検出可能な特性、例えば、酵素活性によって顕在化されるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後に、適切な時点でアッセイされる。適切なレポーター遺伝子の非限定的なリストには、ルシフェラーゼ、βガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子、または緑色蛍光タンパク質遺伝子が含まれ得る(例えば、Ui-Tei et al.,FEBS Lett.479:79-82(2000))。適切な発現系は、当技術分野において公知であり、公知の技術を使用して調製され得、または商業的に入手され得る。一般に、レポーター遺伝子の最も高い発現レベルを示す、最小の5'隣接領域を有する構築物が、プロモーターとして同定される。そのようなプロモーター領域は、レポーター遺伝子にルーチンに連結され、プロモーターによって駆動される転写をモジュレートする能力について、薬剤を評価するために使用され得る。
【0381】
多数の選択系、例えば、以下に限定されるわけではないが、それぞれ、tk-細胞、hgprt-細胞、またはaprt-細胞において用いられ得る、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowy et al.,Cell 22:817(1980))が、哺乳動物宿主-ベクター発現系において使用され得る。さらに、代謝拮抗薬耐性は、例えば、dhfr、gpt、neo、hygro、trpB、hisD、ODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)、およびグルタミン合成酵素系の選択の基礎として使用され得る。
【0382】
DDpp(例えば、アダプター)は、組換え発現によって作製された後、組換えタンパク質の精製のための当技術分野において公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィ(例えば、イオン交換、疎水性相互作用、アフィニティ、およびサイズ排除カラムクロマトグラフィ)、遠心分離、可溶性の差、またはタンパク質の精製のための任意のその他の標準的な技術によって精製され得る。付加的な態様において、DDppは、任意で、精製を容易にするための、本明細書に記載されているか、またはその他の方法で当技術分野において公知の異種ポリペプチド配列(例えば、FLAgタグまたはHISタグ)と融合している。より具体的には、アフィニティ精製のためのリガンド(例えば、抗体およびその他のアフィニティマトリックス)が使用され、任意で、これらのリガンドによって結合されるDDpp融合組成物(例えば、アダプター)の成分(例えば、FLAgタグまたはHISタグ)は、当技術分野において公知の技術を使用して、DDppの最終的な調製の前に組成物から除去されることが想定される。
【0383】
B. CARの発現
CAR(例えば、本明細書に開示される細胞外Dドメインまたは細胞外p26を含むCAR)は、意図的に細胞と会合させられ、それらが発現される細胞の状況で使用される。一つの具体的な態様は、CARを発現するよう形質導入されたT細胞の養子細胞移入の戦略に関する。好ましくは、細胞は、MHC非依存性である新規標的特異性を付与するCARを、その表面に安定的に発現するよう遺伝子改変され得る。
【0384】
多様なウイルス由来ベクターが、トランスフェクションおよび哺乳動物細胞ゲノムへの組み込みのため、ウイルスが使用される適用において使用され得る。ベクターとして有用なウイルスには、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスが含まれるが、これらに限定されるわけではない。レンチウイルスベクターは、トランスジーンの長期の安定的な組み込みおよび娘細胞における繁殖を可能にするため、長期遺伝子移入(例えば、養子T細胞免疫治療)の達成に特に適している。レンチウイルスベクターは、非増殖性細胞、例えば、肝細胞を形質導入し得るため、オンコレトロウイルス、例えば、マウス白血病ウイルスに由来するベクターと比べて、追加の利点を有する。それらは、低い免疫原性という追加の利点も有する。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能性の複製開始点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つまたは複数の選択可能マーカー(例えば、国際出願公開WO 01/96584および同WO 01/29058、ならびに米国特許第6,326,193号)を含有する。いくつかのベクタープロモーター配列が、トランスジーンの発現のために使用可能である。適切なプロモーターの一例は、前初期サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、機能的に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を駆動することができる強力な構成性プロモーター配列である。適切なプロモーターの別の例は、EF-1aである。しかしながら、他の構成性プロモーター配列、例えば、以下に限定されるわけではないが、サルウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン-バーウイルス前初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにヒト遺伝子プロモーター、例えば、以下に限定されるわけではないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターも使用され得る。誘導性プロモーターには、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0385】
CARポリペプチドまたはその一部分の発現を査定するため、細胞に導入される発現ベクターは、ウイルスベクターを通してトランスフェクトされるか、または感染されることが求められた細胞の集団からの、発現細胞の同定および選択を容易にするため、選択可能マーカー遺伝子もしくはレポーター遺伝子のいずれかまたは両方も含有し得る。他の局面において、選択可能マーカーは、別々のDNA片に保持され、コトランスフェクション手法において使用されてもよい。選択可能マーカーおよびレポーター遺伝子の両方に、宿主細胞における発現を可能にするための適切な制御配列が隣接していてよい。有用な選択可能マーカーは、例えば、抗生物質耐性遺伝子、例えば、neoを含み、その他の方法で当技術分野において公知である。
【0386】
本発明のT細胞の増大および遺伝子改変の前に、対象からT細胞の起源が入手される。T細胞は、多数の起源、例えば、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位に由来する組織、腹水、胸水、脾組織、および腫瘍から入手され得る。本明細書において提供されるある特定の態様において、当技術分野において使用可能な多数のT細胞株が使用され得る。
【0387】
T細胞の単離、培養、活性化、および増大の方法についての十分な考察は、WO 2012079000(これの内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)に見出され得る。
【0388】
さらに、本明細書に記載されるCARをコードする核酸を含む宿主細胞が提供される。さらに、CARをコードする核酸配列を含む組成物が提供される。
【0389】
好ましい態様において、細胞の電気穿孔は、T細胞、NK細胞、および/またはNKT細胞の表面におけるDDpp-CARの発現をもたらす。そのような発現は、一過性であってもよいか、または細胞の寿命にわたって安定的であってもよい。電気穿孔は、当技術分野において公知の方法、例えば、MaxCyte GT(登録商標)およびSTX(登録商標)トランスフェクション系(MaxCyte,Gaithersburg,MD,USA)によって達成され得る。
【0390】
いくつかの態様において、本明細書に開示されるCARの発現は、細胞関連組成物をもたらす。いくつかの態様において、CARは、本明細書に開示されるDD(例えば、SEQ ID NO:8~33または74~94のアミノ酸配列を含むDD)を含む標的結合ドメインを含む。いくつかの態様において、DDは、CD123に結合し、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDは、AFP p26に結合し、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDは、AFP p26に結合し、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、DDは、AFP p26に結合し、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、p26を含む細胞外ADを含む。いくつかの態様において、細胞外ADは、SEQ ID NO 37~43または44のアミノ酸配列を含む。
【0391】
C. DDppの化学合成
組換え方法に加えて、DDpp(例えば、アダプター)作製は、当技術分野において公知の多様な液相および固相の化学的過程を使用した所望のポリペプチドの有機化学合成を使用して実施されてもよい。様々な自動合成機が市販されており、公知のプロトコルに従って使用され得る。例えば、Tam et al.,J.Am.Chem.Soc.105:6442(1983);Merrifield,Science 232:341-347(1986);Barany and Merrifield,The Peptides,Gross and Meienhofer,eds,Academic Press,New York,1-284;Barany et al.,Int.J.Pep.Protein Res.30:705-739(1987);Kelley et al.in Genetic Engineering Principles and Methods,Setlow,J.K.,ed.Plenum Press,NY.1990,vol.12,pp.1-19;Stewart et al.,Solid Phase Peptide Synthesis,W.H.Freeman Co.,San Francisco,1989を参照すること。これらの方法論の1つの利点は、非天然アミノ酸残基のDDppの配列への組み込みを可能にする点である。
【0392】
本明細書に包含される方法において使用されるDDpp(例えば、アダプター)は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ベンジル化、リン酸化、アミド化、PEG化、ホルミル化、既知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質切断、抗体分子との連結、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、PEG化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、ユビキチン化等によって、合成または翻訳の間または後に改変され得る(例えば、Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties,2d Ed.(W.H.Freeman and Co.,N.Y.,1992);Postranslational Covalent Modification of Proteins,Johnson,ed.(Academic Press,New York,1983),pp.1-12;Seifter,Meth.Enzymol.182:626-646(1990);Rattan,Ann.NY Acad.Sci.663:48-62(1992)を参照すること)。具体的な態様において、ペプチドは、N末端でアセチル化され、かつ/またはC末端でアミド化される。
【0393】
本開示は、DDpp(例えば、アダプター)誘導体も提供し、アミノ酸の付加、欠失、または置換とは異なる何らかの様式で化学的に修飾されたポリペプチドを含む。この点で、DDppは、ポリマー、脂質、その他の有機部分、および/または無機部分と化学結合している。例示的なポリペプチド修飾は、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,(1996)に提供されている。DDppは、任意で、別の部分(例えば、ペプチド部分)とのコンジュゲーションを容易にする官能基を含む。例示的な官能基には、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、塩化スルホニル、アルデヒド、エポキシド、オキシラン、カーボネート、アリール化剤、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、ハロゲン化アルキル誘導体(例えば、ハロアセチル誘導体)、マレイミド、アジリジン、アクリロイル誘導体、アリール化剤、チオール-ジスルフィド交換試薬(例えば、ピリジルジスルフィドまたはTNBチオール)、ジアゾアルカン、カルボイルジイマダゾール(carboyldiimadazole)、炭酸N,N'-ジスクシニル(N,N'-Disuccinyl carbonate)、クロロギ酸N-ヒドロキシスクシンイミジル、およびヒドラジン誘導体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。マレイミドは、例えば、インビボでアルブミンに結合するDDppを生成するために有用である。
【0394】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、1つまたは複数の水溶性ポリマーの付着を含むよう、共有結合的に改変される。水溶性ポリマー(またはその他の化学的部分)は、任意のアミノ酸残基に付着させられるが、いくつかの態様において、N末端またはC末端への付着が好ましい。有用なポリマーには、PEG(例えば、およそ40kD、30kD、20kD、10kD、5kD、または1kDのサイズのPEG)、ポリオキシエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン、セルロース、ポリ-(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリシアル酸(PSA)、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、およびポリビニルアルコール、ならびに前記のうちの任意のものの混合物が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一つの態様において、DDppは、PEG化される。種々の形状、例えば、直鎖型または分岐型のPEG部分が入手可能である。水溶性ポリマー付着についてのさらなる考察については、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号;および同第4,179,337号を参照すること。ペプチドの半減期または安定性を改善するために有用な他の部分は、本明細書に記載され、例えば、(任意で、DDppとのコンジュゲーションを可能にするため、改変された)アルブミン、脂肪酸鎖(例えば、C12~C18脂肪酸、例えば、C14脂肪酸、またはジカルボン酸、例えば、オクタデカンジカルボン酸(oddc))、抗体またはその断片(例えば、抗体のFc部分)、およびプロリン-アラニン-セリンマルチマーを含む。
【0395】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、ポリエチレングリコール(PEG)部分、ヒト血清アルブミン(HSA)、抗体もしくは抗体断片、ヒドロキシエチルデンプン、プロリン-アラニン-セリンマルチマー(PAS化)、C12~C18脂肪酸、またはポリシアル酸とコンジュゲートされる。
【0396】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、ペプチドのN末端アミノ酸においてアシル化される。別の局面において、DDppは、ポリペプチドのC末端アミノ酸においてアミド化される。さらなる局面において、ペプチドは、ペプチドのN末端アミノ酸においてアシル化され、ペプチドのC末端アミノ酸においてアミド化される。
【0397】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、1つまたは複数の改変されたもしくは非タンパク質原性のアミノ酸、または改変されたリンカー基を含む(例えば、Grant,Synthetic Peptides:A User's Guide,Oxford University ress(1992)を参照すること)。改変されたアミノ酸には、例えば、アミノ基および/またはカルボキシル基が他の基に交換されているアミノ酸が含まれる。非限定的な例には、チオアミド、尿素、チオ尿素、アシルヒドラジド、エステル、オレフィン、スルホンアミド、リン酸アミド、ケトン、アルコール、ボロン酸アミド、ベンゾジアゼピン、およびその他の芳香族または非芳香族の複素環が組み込まれている改変されたアミノ酸が含まれる(Estiarte et al.,Burgers Medicinal Chemistry,6.sup.th edition,Volume 1,Part 4,John Wiley & Sons,New York(2002)を参照すること)。非タンパク質原性アミノ酸には、βアラニン(Bal)、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(Nle)、4-アミノ酪酸(γ-Abu)、2-アミノイソ酪酸(Aib)、6-アミノヘキサン酸(ε-Ahx)、オルニチン(Orn)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、タウリン、サルコシン、シトルリン(Cit)、システイン酸(Coh)、シクロヘキシルアラニン(Cha)、メチオニンスルホキシド(Meo)、メチオニンスルホン(Moo)、ホモセリン-メチルエステル(Hsm)、プロパルギルグリシン(Eag)、5-フルオロトリプトファン(5Fw)、6-フルオロトリプトファン(6Fw)、3',4'-ジメトキシフェニル-アラニン(Ear)、3',4'-ジフルオロフェニルアラニン(Dff)、4'-フルオロフェニル-アラニン(Pff)、1-ナフチル-アラニン(1Ni)、2-ナフチルアラニン(2Ni)、1-メチルトリプトファン(1Mw)、ペニシラミン(Pen)、ホモセリン(Hse)、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン(Phg)、ベンゾチエニルアラニン(Bta)、L-ホモ-システイン(Hcy)、N-メチル-フェニルアラニン(Nmf)、2-チエニルアラニン(Thi)、3,3-ジフェニルアラニン(Ebw)、L-α-t-ブチルグリシン(Tle)、Bpa、ホモフェニルアラニン(Hfe)、およびS-ベンジル-L-システイン(Ece)が含まれるが、これらに限定されるわけではない。これらおよびその他の非タンパク質原性アミノ酸は、D異性体またはL異性体として存在し得る。改変されたリンカーの例には、可動性リンカーである4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン(Ttds)、グリシン、6-アミノヘキサン酸、βアラニン(Bal)、ペンチン酸(Pyn)、およびTtdsとグリシンと6-アミノヘキサン酸とBalとの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0398】
アセチル化、ホルミル化等を含むが、これらに限定されるわけではない、多数の化学的修飾のうちの任意のものが、公知の技術によって実施され得る。さらに、誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含有してもよい。
【0399】
キメラ抗原受容体細胞
本開示は、1つまたは複数の異なるCARを発現するよう改変された細胞の特異性および活性を制御するための組成物および方法を提供する。
【0400】
いくつかの態様において、細胞は、本明細書に記載されるCARのうちの1つまたは複数を発現するよう操作される。「CAR細胞」と呼ばれるそのようなCAR含有細胞は、例えば、標的細胞を死滅させるための、単剤治療における用途、および他の治療用物質、例えば、本明細書に記載されるアダプターを含む組み合わせ治療における用途を有する。
【0401】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞が本明細書において提供され、ここで、CARは、CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、細胞は、自己由来免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、自己由来T細胞(CAR-T細胞)または自己由来ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、同種免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、同種T細胞(CAR-T細胞)または同種ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する免疫エフェクター細胞は、インビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0402】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞が本明細書において提供され、ここで、CARは、AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するscFvを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、細胞は、自己由来免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、自己由来T細胞(CAR-T細胞)または自己由来ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、同種免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、同種T細胞(CAR-T細胞)または同種ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、その細胞と、CD123発現細胞と、(1)CD123に結合するDドメインと(b)AFP p26 ADとを含むアダプター、例えば、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含むアダプターとを含むインビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0403】
いくつかの態様において、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞が本明細書において提供され、ここで、CARは、AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、細胞は、自己由来免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、自己由来T細胞(CAR-T細胞)または自己由来ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、同種免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、同種T細胞(CAR-T細胞)または同種ナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様において、細胞は、その細胞と、CD123発現細胞と、(1)CD123に結合するDドメインと(b)AFP p26 ADに結合するDドメインとを含むアダプターとを含むインビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0404】
いくつかの態様において、CAR細胞は、CARをコードする核酸配列を含み、ここで、CARは、関心対象の標的に結合するADBD(例えば、Dドメイン)から少なくとも部分的に構成される細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、コードされたCARポリペプチドは、腫瘍抗原に特異的に結合する(したがって、CARを発現する細胞を腫瘍に送達するよう機能する)。いくつかの態様において、CARによって結合される腫瘍抗原は、血液悪性腫瘍と関連している。付加的な態様において、CARによって結合される腫瘍抗原は、固形腫瘍と関連している。さらなる態様において、CARは、固形腫瘍および血液腫瘍の両方に結合するよう操作される。態様に応じて、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞もしくはナチュラルキラー(NK)細胞)またはその他の細胞型であり得る。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、自己由来細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、同種細胞である。いくつかの態様において、(T細胞であってもよいか、NK細胞であってもよいか、またはその他の細胞型であってもよい)細胞は、CARの抗原結合ドメインが、標的とされた腫瘍抗原に結合した時、抗腫瘍免疫を示す。
【0405】
いくつかの態様において、増大および遺伝子改変またはその他の改変の前に、当技術分野において公知の技術を使用して、ルーチンに、対象から細胞の起源(例えば、T細胞またはナチュラルキラー細胞)が入手され得る。「対象」という用語は、免疫応答が誘発され得る生物(例えば、哺乳動物)を含むものとする。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位に由来する組織、腹水、胸水、脾組織、および腫瘍を含むが、これらに限定されるわけではない起源から入手され得る。
【0406】
いくつかの態様において、CAR細胞は、例えば、CARのADBD(例えば、Dドメイン)が、標的細胞の表面上および/またはアダプター内に存在し得るADと相互作用した時、標的細胞を死滅させることができる。いくつかの態様において、CAR細胞は、例えば、CARのADBDが、標的細胞の表面上および/またはアダプター内に存在し得るADと相互作用した時、脱顆粒することができる。いくつかの態様において、CAR細胞は、例えば、CARのADBDが、標的細胞の表面上および/またはアダプター内に存在し得るADと相互作用した時、サイトカインを分泌することができる。
【0407】
いくつかの態様において、CAR含有細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR含有細胞は、免疫エフェクター細胞である。さらなる態様において、CAR含有免疫細胞は、細胞傷害性細胞である。さらなる態様において、細胞傷害性細胞は、T細胞、NK細胞、または培養NK細胞(例えば、NK92細胞)より選択される。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0408】
ある特定の態様において、免疫エフェクター細胞は、免疫グロブリンまたはその他のペプチド結合分子のための細胞表面受容体、例えば、免疫グロブリン定常領域のための受容体、例えば、一般的に「Fc受容体」(「FcR」)と呼ばれる受容体のクラスを含む。多数のFcR、例えば、免疫グロブリン重鎖アイソタイプの限定されたサブセットと相互作用する特異的な能力を有するFcR、または変動する親和性でFcドメインと相互作用するFcR、および/またはある特定の条件の下で免疫エフェクター細胞の限定されたサブセットにおいて発現され得るFcRが、構造的に、かつ/または機能的に特徴決定されており、当技術分野において公知である(例えば、Kijimoto-Ochichai et al.,Cell Mol.Life.Sci.59:648(2002);Davis et al.,Curr.Top.Microbiol.Immunol.266:85(2002);Pawankar,Curr.Opin.Allerg.Clin.Immunol.1:3(2001);Radaev et al.,Mol.Immunol.38:1073(2002);Wurzburg et al.,Mol.Immunol.38:1063(2002);Sulica et al.,Int.Rev.Immunol.20:371(2001);Underhill et al.,Ann.Rev.Immunol.20:825(2002);Coggeshall,Curr.Dir.Autoimm.5:1(2002);Mimura et al.,Adv.Exp.Med.Biol.495:49(2001);Baumann et al.,Adv.Exp.Med.Biol.495:219(2001);Santoso et al.,Ital.Heart-J.2:811(2001);Novak et al.,Curr.Opin.Immunol.13:721(2001);Fossati et al.,Eur.J.Clin.Invest.31:821(2001)(これらの各々の内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる))。
【0409】
ADCCを媒介することができる細胞は、免疫エフェクター細胞の例である。他の免疫エフェクター細胞には、ナチュラルキラー細胞、腫瘍浸潤Tリンパ球(TIL)、細胞傷害性Tリンパ球、および顆粒球、例えば、アレルギー応答機序を含む細胞が含まれる。したがって、免疫エフェクター細胞には、1つまたは複数の型の機能性細胞表面FcRを発現し得る(しかし、必ずしも必要ではない)造血系起源の細胞、例えば、骨髄系およびリンパ系の様々な分化段階にある細胞、例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、好中球、好塩基球、好酸球、マスト細胞、血小板、赤血球、および前駆細胞、前駆細胞(例えば、造血幹細胞)、ならびにそのような細胞の静止型、活性化型、および成熟型が含まれるが、これらに限定されるわけではない。他の免疫エフェクター細胞には、免疫機能を媒介することができる非造血系起源の細胞、例えば、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、破骨細胞、上皮細胞、およびその他の細胞が含まれ得る。免疫エフェクター細胞には、細胞傷害もしくは細胞分裂停止のイベント、もしくはエンドサイトーシス、食作用、もしくは飲作用のイベントを媒介する細胞、またはアポトーシスの誘導をもたらす細胞、または微生物免疫もしくは微生物感染の中和をもたらす細胞、またはアレルギー、炎症、過敏、および/もしくは自己免疫の反応を媒介する細胞も含まれ得る。
【0410】
いくつかの態様において、CAR含有細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、CAR含有細胞は、NK細胞である。付加的な態様において、CAR含有細胞は、B細胞である。任意で、その他の免疫細胞、および/または異なる免疫細胞型の組み合わせが使用されてもよい。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせは、疾患または状態(例えば、過剰増殖性疾患、例えば、がん)を処置するために相乗的に作用するため、有利である。組み合わせが使用される時、様々な細胞型が、同じ、異なる、または重複する腫瘍抗原決定基を標的とすることができる。
【0411】
いくつかの態様において、CAR含有免疫細胞は、T細胞であり、同族リガンド(即ち、関心対象の標的)へのCARのADBDの結合は、細胞内シグナル伝達を開始するようT細胞を刺激する。さらなる態様において、同族リガンドへのCARのADBDの結合は、サイトカインを産生し、脱顆粒し、関心対象の標的を表面に発現する細胞(例えば、がん細胞)に対する細胞傷害効果をもたらすよう、T細胞を刺激する。付加的な態様において、CAR含有T細胞は、関心対象の標的への結合に応答して増殖する。いくつかの態様において、CAR含有T細胞の活性は、T細胞消耗に関連する表現型を示すT細胞をもたらさない。CAR細胞がT細胞であるいくつかの態様において、CARの膜貫通ドメインは、CD8a、41BB、またはCD28を含み、細胞質ドメインは、T細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖を含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含む。
【0412】
いくつかの態様において、CAR含有免疫細胞は、NK細胞であり、膜貫通ドメインは、CD8a、CD28、または41BBを含み、細胞質ドメインは、T細胞受容体のζ鎖を含む。いくつかの態様において、細胞質ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞質ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来NK細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種NK細胞である。
【0413】
いくつかの態様において、CAR含有免疫細胞は、がん細胞によって発現される関心対象の標的に結合するよう操作されている。さらなる態様において、CAR含有細胞は、CD137、PDL1、CD123、CTLA4、CD47、KIR、DR5、TIM3、PD1、EGFR、TCR、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、CD33、IL3Ra、cMet、PSMA、糖脂質F77、EGFRvIII、GD2、NY-ESO-1、およびMAGE A3の群より選択される腫瘍抗原に結合する。さらなる態様において、CAR含有細胞は、上記の腫瘍抗原のうちの2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上に結合する。
【0414】
いくつかの態様において、CAR細胞は、本明細書に開示されるアダプターを発現するよう操作されている。
【0415】
付加的な態様において、CAR細胞は、第2のCARを発現するよう操作されている。いくつかの態様において、第2のCARは、ADBD(例えば、Dドメイン)を含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。付加的な態様において、第2のCARは、同じまたは異なる特異性を有する1つまたは複数のADBDから構成される細胞外ドメインから構成される。いくつかの態様において、第2のCARは、関心対象の標的に結合した時、エフェクター機能シグナルを伝達することができる。さらなる態様において、第2のCARは、ADBDを含む細胞外ドメインと、膜貫通ドメインまたはその他の細胞表面会合ドメインとを含むが、関心対象の標的に結合した時、シグナル伝達することができない。
【0416】
いくつかの態様において、CAR細胞は、対応する宿主細胞において高度に発現される遺伝子座に、CARコード配列が部位特異的に導入されるよう操作されている。いくつかの態様において、CARコード配列は、T細胞受容体遺伝子座に導入されている。さらなる態様において、CARコード配列は、細胞のT細胞受容体α定常(TRAC)に導入されている。機能性のTCRおよび/またはHLAの発現を欠く改変された細胞は、例えば、siRNA、shRNA、CRISPR、TALEN、および/またはZFNを含む、当技術分野において公知の任意の適切な手段を使用して、ルーチンに入手され得る。
【0417】
いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、同種の免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞またはNK細胞であり得る。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、自己由来の免疫エフェクター細胞、例えば、T細胞またはNK細胞であり得る。
【0418】
提供された方法の実施において有用な遺伝子改変を含むCAR細胞の作製は、当技術分野において公知の組換えDNA方法論、遺伝子操作、およびゲノム編集のための多様な標準的な技術を使用して実施され得る。ADの発現を欠く、本明細書に記載された遺伝子改変されたCAR細胞は、例えば、siRNA、shRNA、CRISPR、TALEN、および/またはZFNを含む、当技術分野において公知の任意の適切な手段を使用して、ルーチンに入手され得る。CAR細胞の遺伝子操作のための方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる米国特許出願公開20170204372に記載されている。
【0419】
いくつかの態様において、CAR細胞は、機能性のT細胞受容体(TCR)ならびに/またはヒト白血球抗原(HLA)、例えば、HLAクラスIおよび/もしくはHLAクラスIIの発現を排除するか、または低下させるため、操作されている。機能性のTCRおよび/またはHLAの発現を欠く改変された細胞は、例えば、siRNA、shRNA、CRISPR、TALEN、および/またはZFNを含む、当技術分野において公知の任意の適切な手段を使用して、ルーチンに入手され得る。
【0420】
いくつかの態様において、CAR細胞は、免疫エフェクター応答を開始させるCAR細胞の能力を減少させ得る分子の発現を排除するか、または低下させるため、操作されている。さらなる態様において、CAR細胞は、PD1、PDL1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、およびTGFRβより選択される分子の発現を排除するか、または低下させるため、操作されている。いくつかの態様において、CAR細胞は、前記の分子のうちの2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の発現を排除するか、または低下させるため、操作されている。前記の分子のうちの1つまたは複数の発現を欠く改変された細胞は、例えば、siRNA、shRNA、CRISPR、TALEN、および/またはZFNを含む、当技術分野において公知の任意の適切な手段を使用して、ルーチンに入手され得る。
【0421】
さらなる態様において、CAR細胞は、(a)機能性のTCRおよびHLA;ならびに(b)PD1、PDL1、CTLA4、TIM3、LAG3、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、およびTGFRβより選択される分子のうちの1つまたは複数の発現を排除するか、または低下させるため、操作されている。さらなる態様において、CAR細胞は、前記の分子のうちの2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の発現を排除するか、または低下させるため、操作されている。
【0422】
本明細書に開示されるDDpp(例えば、アダプターおよびCAR)に関連した使用に適したCAR細胞は、事実上、参照により本明細書に各々組み入れられる、国際出願公開WO 2016164305、同WO 2016164308A1、同WO 2019099440、および同WO 2019099433、米国特許第10,662,248号および同第10,647,775号、ならびに米国特許出願第20200223934号および同第20210002381号に開示されている。
【0423】
組成物
本明細書に開示されるDドメインポリペプチド、DDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)を含む組成物が、本明細書において提供される。本明細書に開示されるキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含む組成物も提供される。本明細書に開示されるDドメインポリペプチド、DDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)、またはCARをコードするポリヌクレオチドを含む組成物も提供される。いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、薬学的組成物である。いくつかの態様において、薬学的組成物は、薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの態様において、薬学的組成物は、生理学的に容認される担体を含む。いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、例えば、静脈内投与または皮下投与を介して、患者に投与するのに適している。
【0424】
いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、ここで、CARは、CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、自己由来細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、同種細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する免疫エフェクター細胞は、インビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0425】
いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、ここで、CARは、AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するscFvを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、同種免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、その細胞と、CD123発現細胞と、(1)CD123に結合するDドメインと(b)AFP p26 ADとを含むアダプター、例えば、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含むアダプターとを含むインビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0426】
いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、ここで、CARは、AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、同種免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、その細胞と、CD123発現細胞と、(1)CD123に結合するDドメインと(b)AFP p26 ADに結合するDドメインとを含むアダプターとを含むインビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0427】
いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、(a)CD123に結合するDドメイン(DD)と(b)抗原決定基(AD)とを含むアダプターを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する単一のDドメインを含む1価アダプターである。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する2つのDドメインを含む2価アダプターである。いくつかの態様において、CD123に結合する2つのDドメインは、同じである。いくつかの態様において、CD123に結合する2つのDドメインは、異なる。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する第1のDドメインと、第2のADに結合する第2のDドメインとを含む2価アダプターである。いくつかの態様において、第2のADは、CD33またはLeYである。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む2つの同一のDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む2つの同一のDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、AFP p26抗原決定基(AD)を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。いくつかの態様において、アダプターは、そのアダプターと、CD123発現細胞と、アダプターに含まれるADに結合するADBDを含むCAR、例えば、AFP p26に結合するDドメインを含むCARを発現する免疫エフェクター細胞とを含むインビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0428】
いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、(a)CD123に結合するDドメインと(b)AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。いくつかの態様において、アダプターは、そのアダプターと、CD123発現細胞と、AFP p26 ADを含むCARを発現する免疫エフェクター細胞とを含むインビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0429】
いくつかの態様において、本明細書において提供される組成物は、(a)標的細胞上の標的抗原決定基(AD)に結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(b)AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。いくつかの態様において、アダプターは、そのアダプターと、CD123発現細胞と、AFP p26 ADを含むCARを発現する免疫エフェクター細胞とを含むインビトロアッセイにおいて、免疫応答をCD123発現細胞に向けることができる。
【0430】
ある特定の態様において、CARは、単鎖可変断片(scFv)ADBDを含む。他の態様において、CARは、代替足場結合ドメイン(ASBD)ADBDを含む。さらなる態様において、CARは、Dドメインを含む。
【0431】
いくつかの態様において、CARは、2つのADBDを含む。他の態様において、CARは、ASBDおよびscFvを含む。さらなる態様において、CARは、DドメインおよびscFvを含む。いくつかの態様において、CARは、2つのASBDを含む。さらなる態様において、CARは、2つのDドメインを含む。
【0432】
いくつかの態様において、CAR細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメインである。さらなる態様において、CAR細胞内ドメインは、一次シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の態様において、CAR細胞内ドメインは、CD3ζ一次シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、CAR細胞内ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。さらなる態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28、41BB、CD27、およびCD134より選択される。具体的な態様において、CAR細胞内シグナル伝達ドメインは、41BB共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。
【0433】
いくつかの態様において、標的ADは、CD45、CD26、CD30、CD33、LeY、およびCD38より選択される。いくつかの態様において、標的ADは、CD19、CD22、CD123、BCMA、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択される。さらなる態様において、標的ADは、BCMAである。さらなる態様において、標的ADは、CS1である。他の態様において、標的ADは、CD123である。他の態様において、標的ADは、CD19である。他の態様において、標的ADは、CD22である。他の態様において、標的ADは、TACIである。他の態様において、標的ADは、BAFFRである。他の態様において、標的ADは、PDL1である。他の態様において、標的ADは、HER2である。
【0434】
いくつかの態様において、CARは、別々の標的に結合する2つのADBDを含む。さらなる態様において、CARは、CD123およびCD33に結合する。さらなる態様において、CARは、CD123およびCD38に結合する。さらなる態様において、CARは、CD123およびLeYに結合する。さらなる態様において、CARは、CD123およびBCMAに結合する。さらなる態様において、CARは、CD123およびCS1に結合する。さらなる態様において、CARは、CD19およびCD123に結合する。他の態様において、CARは、CD22およびCD123に結合する。他の態様において、CARは、PDL1およびCD123に結合する。
【0435】
いくつかの態様において、アダプターは、腫瘍抗原のADを含む。さらなる態様において、腫瘍抗原は、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38の群より選択される。
【0436】
いくつかの態様において、アダプターは、腫瘍抗原のADを含む。さらなる態様において、腫瘍抗原は、BCMA、CD19、CD22、CS1、TACI、BAFFR、およびPDL1の群より選択される。
【0437】
いくつかの態様において、アダプターは、scFvであるADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、ASBDであるADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、Dドメインを含む。
【0438】
いくつかの態様において、アダプターは、2つのADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、(a)同じであるか、(b)同じ抗原決定基に結合するか、(c)同じ抗原の異なるADに結合するか、(d)同じ細胞の異なる抗原に結合するか、または(d)異なる細胞の異なる抗原に結合する2つのADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、2つのASBDを含む。ある特定の態様において、アダプターは、2つのDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、scFvであるADBDと、ASBDであるADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、scFvであるADBDと、DドメインであるADBDとを含む。
【0439】
いくつかの態様において、アダプターは、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38より選択されるメンバーに結合するADBDを含む。ある特定の態様において、アダプターは、CD45に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD26に結合するADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD30に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD33に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD38に結合するADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD45に結合するADBDを含む。
【0440】
いくつかの態様において、アダプターは、BCMA、CD123、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択されるメンバーに結合するADBDを含む。ある特定の態様において、アダプターは、BCMAに結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD19に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD22に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CS1に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、HER2に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、TACIに結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、BAFFRに結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、PDL1に結合するADBDを含む。
【0441】
いくつかの態様において、アダプターは、二重特異性である。さらなる態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDと、CD33に結合するADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDと、CD38に結合するADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDと、LeYに結合するADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、PDL1に結合するADBDと、CD123に結合するADBDとを含む。
【0442】
いくつかの態様において、標的細胞は、腫瘍細胞である。さらなる態様において、腫瘍細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、骨髄異形成細胞、および芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞の群より選択される。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、AML腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、ヘアリーセル白血病腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、ホジキンリンパ腫腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、BPDCN腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、CD123を発現する。
【0443】
本明細書において提供される標的細胞を死滅させる方法において、標的細胞は、免疫系の細胞であり得る。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ナイーブT細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、メモリーT細胞である。
【0444】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。さらなる態様において、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。他の態様において、免疫エフェクター細胞は、NK細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、自己由来細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、同種細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、標的細胞を死滅させる。いくつかの態様において、ADへのアダプターの結合は、ADを含む抗原の活性を阻止する。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、本明細書に記載されるADの発現を低下させるか、または排除する遺伝子改変を含む。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、ヒトCD45 ADの発現を低下させるか、または排除する遺伝子改変を含む。
【0445】
いくつかの態様において、CAR細胞は、標的細胞およびアダプターの両方に存在するADに結合する。他の態様において、CAR細胞は、アダプターに存在し、標的細胞には存在しないADに結合する。いくつかの態様において、ADは、天然に存在するタンパク質/分子である。いくつかの態様において、ADは、ヒトタンパク質/分子である。
【0446】
一つの態様において、本明細書において提供される治療用組成物は、有効成分としての、その中に溶解または分散している、本明細書に記載されるDDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)のうちの少なくとも1種と共に、生理学的に容認される担体を含有する。別の態様において、本明細書において提供される治療用組成物は、有効成分としての、その中に溶解または分散している、本明細書に記載されるDDppのうちの少なくとも1種と共に、生理学的に容認される担体を含有する。別の態様において、本明細書において提供される治療用組成物は、有効成分としての、その中に溶解または分散している、本明細書に記載されるCAR細胞のうちの少なくとも1種と共に、生理学的に容認される担体を含有する。好ましい態様において、治療用組成物は、治療的な目的のためにヒト患者に投与される時、免疫原性ではない。
【0447】
その中に溶解または分散している活性成分を含有する薬学的組成物の調製は、当技術分野においてよく理解されている。典型的には、そのような組成物は、水性または非水性の液状の溶液または懸濁液のいずれかとして、無菌注射剤として調製される。しかしながら、使用前に液状の溶液または懸濁液にするのに適した固体形態も調製され得る。調製物は、乳化されてもよい。したがって、DDpp含有(例えば、アダプター含有)組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル、徐放性製剤、もしくは粉末の形態、またはその他の組成物形態をとっていてよい。いくつかの態様において、DDpp組成物(例えば、DDpp融合タンパク質、例えば、アダプター)は、インビボでの分布を確実にするか、または最適化するために製剤化される。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高度に親水性の化合物を排除し、所望により、組成物は、例えば、リポソームへの製剤化によって、BBBを介した移行を増加させるため、調製される。リポソームを製造する方法については、例えば、米国特許第4,522,811号、同第5,374,548号、および同第5,399,331号を参照すること。リポソームは、特定の細胞または器官に選択的に輸送される1つまたは複数の部分を含み、それによって、標的特異的な薬物送達を増強することができる(例えば、Ranade,Clin.Pharmacol.29:685(1989)を参照すること)。
【0448】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質、例えば、アダプター)および/またはCAR細胞は、本明細書に記載される治療方法において使用するために適切な量で、薬学的に許容され、有効成分と適合性である他の活性成分および/または賦形剤と混合され得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセロール、エタノール等、およびそれらの組み合わせである。さらに、所望により、組成物は、有効成分の有効性を増強する微量の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等を含有することができる。
【0449】
治療用DDpp(例えば、アダプター)製剤は、成分の薬学的に許容される塩を、その中に含むことができる。薬学的に許容される塩には、無機酸、例えば、塩酸もしくはリン酸、または有機酸、例えば、酢酸、酒石酸、マンデル酸等によって形成される(ポリペプチドの遊離アミノ基によって形成される)酸付加塩が含まれる。遊離カルボキシル基によって形成される塩も、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化第二鉄、および有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアルニン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等に由来し得る。
【0450】
生理学的に容認される担体は、当技術分野において公知である。液状担体の例は、有効成分および水に加えての材料を含有しないか、または生理的pH値の緩衝液、例えば、リン酸ナトリウム、生理食塩水、もしくはその両方、例えば、リン酸緩衝生理食塩水を含有する無菌水性溶液である。さらに、水性担体は、複数の緩衝塩を含有してもよく、塩、例えば、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、ブドウ糖、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ならびにその他の溶質を含有してもよい。
【0451】
液状組成物は、水に加えて液相を含有してもよいか、水を排除して液相を含有してもよい。そのような付加的な液相の例は、グリセリン、植物油、例えば、綿実油、有機エステル、例えば、オレイン酸エチル、および油中水型乳濁液である。
【0452】
一つの態様において、治療用組成物は、典型的には、全治療用組成物の重量当たり少なくとも0.1重量パーセントのDDpp融合タンパク質という量で、DDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)を含有する。重量パーセントは、全組成物に対するDDpp融合物(例えば、アダプター)の重量比である。したがって、例えば、0.1重量パーセントは、全組成物100グラム当たり0.1グラムのDDpp(例えば、アダプター)である。
【0453】
DDpp融合タンパク質を含有する(例えば、アダプターを含有する)治療用組成物は、典型的には、組成物の体積当たりの有効成分として、1ミリリットル(ml)当たり約10マイクログラム(μg)~1ml当たり約100ミリグラム(mg)のDDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)を含有し、より好ましくは、約1mg/ml~約10mg/ml(即ち、約0.1~1重量パーセント)を含有する。
【0454】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質、例えば、アダプター)の投与のための投与量範囲は、標的分子によって媒介される疾患症状が寛解するという所望の効果を生じるために十分に大きいものである。投与量は、有害な副作用、例えば、過粘稠度症候群、肺水腫、うっ血性心不全等を引き起こすほど大きくてはならない。一般に、投与量は、患者の年齢、状態、性別、および疾患の程度によって変動し、当業者によって決定され得る。投与量は、合併症が発生した場合には、個々の医師によって調整され得る。
【0455】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質、例えば、アダプター)は、注射によって、または時間をかけた低速注入によって、非経口投与され得る。体内の標的分子は、典型的には、全身投与によってアクセス可能であり、したがって、最も多くの場合、治療用組成物の静脈内投与によって処置され得るが、標的とされる組織が標的分子を含有する可能性がある場合には、他の組織および送達手段も企図される。したがって、DDpp(例えば、アダプター)は、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、腔内投与、経皮投与が可能であり、蠕動手段によって送達されてもよい。DDpp融合タンパク質(例えば、アダプター)は、エアロゾルによって気道および肺に送達されてもよい。
【0456】
DDpp(例えば、アダプター)を含有する治療用組成物は、例えば、単位用量の注射によって、慣習的に静脈内投与され得る。「単位用量」という用語は、本明細書において提供される治療用組成物に関して使用される時、対象に対する単位的な投与量として適切な、物理的に不連続の単位をさし、ここで、各単位は、必要とされる希釈剤、例えば、担体または媒体と関連して、所望の治療効果を生じるよう計算された予定された量の活性材料を含有する。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)を含有する治療用組成物は、皮下投与される。
【0457】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質、例えば、アダプター)は、投与製剤と適合性の様式で、治療的に有効な量で、投与される。投与される量は、処置される対象、投与される組成物の有効成分を用いる対象の系の能力、および所望の治療効果の程度に依存する。投与される必要がある有効成分の正確な量は、実行者の判断に依存し、各個体に固有である。しかしながら、全身適用に適した投与量範囲は、本明細書に開示され、投与経路に依存する。投与に適した計画も、可変であるが、典型的には、初回投与の後に、後続の注射またはその他の投与によって、1時間以上の間隔で、反復投与が行われる。あるいは、インビボ治療のための指定された範囲の血中濃度を維持するために十分な継続的静脈内注入が企図される。
【0458】
DDpp(例えば、アダプター)組成物は、適正診療規範(good medical practice)に準じて製剤化され、投薬され、投与される。これに関して考慮すべき要因には、処置される具体的な障害、処置される具体的な哺乳動物、個々の患者の臨床的状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与のスケジューリング、および医療従事者に公知のその他の要因が含まれる。DDpp(例えば、アダプター)の投与のための投与量範囲は、標的分子によって媒介される疾患症状が寛解するという所望の効果を生じるために十分に大きいものである。投与量は、有害な副作用、例えば、過粘稠度症候群、肺水腫、うっ血性心不全等を引き起こすほど大きくてはならない。一般に、投与量は、患者の年齢、状態、性別、および疾患の程度によって変動し、当業者によって決定され得る。投与量は、合併症が発生した場合には、個々の医師によって調整され得る。
【0459】
治療および予防において使用するために有効な投与スケジュールおよび量、即ち、「投与計画」は、多様な要因、例えば、疾患または障害の原因、病期、および重症度、処置される哺乳動物の健康状態、身体状態、年齢、ならびにDDpp(例えば、アダプター)の送達の部位およびモードに依存する。複合体および形成の治療的有効性および毒性は、細胞培養物または実験動物において、標準的な薬学的手法、薬理学的手法、および毒物学的手法によって決定され得る。これらの手法から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための様々な投与量の製剤化においても同様に使用され得る。さらに、治療指数(即ち、集団の50%において治療的に有効な用量を、集団の50%において致死的な用量で割ったもの(ED50/LD50))は、公知の手法を使用して容易に決定され得る。投与量は、好ましくは、毒性がほとんどないか、または用量制限毒性がない、ED50を含む濃度範囲内にあり、用いられる剤形、患者の感受性、および投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。
【0460】
投与計画は、当技術分野において公知の薬物動態学的パラメータおよび薬力学的パラメータ、例えば、薬物吸収速度、バイオアベイラビリティ、代謝、およびクリアランスも考慮に入れる(例えば、Hidalgo-Aragones,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.58:611-617(1996);Groning et al.,Pharmazie 51:337-341(1996);Fotherby,Contraception 54:59-69(1996);Johnson et al.,J.Pharm.Sci.84:1144-1146(1995)を参照すること)。処置される各対象のための投与計画を決定することは、医師のスキルの状態およびレベルの範囲内に十分にある。さらに、DDpp(例えば、アダプター)組成物の単回または複数回の投与は、対象によって必要とされ、容認される投与量および頻度に応じて、投与され得る。予防的処置および治療的処置の期間は、処置される具体的な疾患または状態によって変動し得る。急性処置が可能な疾患もあれば、長期の慢性的な治療を必要とする疾患もある。DDpp(例えば、アダプター)は、付加的な治療用物質と、連続的に投与されてもよいか、または同時に投与されてもよい。
【0461】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.1mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約15mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、または約0.1mg/kg~約5mg/kgで投与される。
【0462】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.1mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約15mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、または約0.1mg/kg~約5mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約1μg/kg~約10mg/kg、約5μg/kg~約10mg/kg、約10μg/kg~約10mg/kg、約20μg/kg~約10mg/kg、または約50μg/kg~約10mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約10μg/kg~約10mg/kg、約50μg/kg~約10mg/kg、約100μg/kg~約10mg/kg、約200μg/kg~約10mg/kg、または約500μg/kg~約10mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約100μg/kg~約10mg/kg、約100μg/kg~約5mg/kg、約100μg/kg~約2mg/kg、約100μg/kg~約1mg/kg、約100μg/kg~約5mg/kg、または約100μg/kg~約2mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約1μg/kg~約10mg/kg、約5μg/kg~約5mg/kg、約10μg/kg~約2mg/kg、約20μg/kg~約1mg/kg、または約5μg/kg~約0.5mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.04mg/kg、約0.07mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約1mg/kg、または約2mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.07mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.01mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.1mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.2mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.3mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.4mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.5mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.6mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.7mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.8mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.9mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約1mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約2mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約3mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約4mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約5mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約6mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約7mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約8mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約9mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約10mg/kgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、静脈内投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、皮下投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0463】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.2mg~約200mg、約0.5mg~約100mg、約1mg~約50mg、約2mg~約25mg、または約2mg~約12mgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約0.4mg、約0.8mg、約1.6mg、約2.8mg、約3mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約20mg、約24mg、約28mg、約40mg、または約80mgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、約1.6mg、約2.8mg、約3mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、または約20mgで投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、静脈内投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、皮下投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0464】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)の複数の用量が投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)の複数の用量は、一定の用量である。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、異なる用量で投与される。いくつかの態様において、投与されるDDpp(例えば、アダプター)の量は、経時的に増加する。いくつかの態様において、投与されるDDpp(例えば、アダプター)の量は、経時的に減少する。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、最初に、約0.01mg/kg~約0.5mg/kgの低用量で投与され、続いて、約0.1mg/kg~約5mg/kgの高用量で投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、静脈内投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、皮下投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0465】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、毎日投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、1日2回投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、1日3回投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、1日4回投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、12時間毎に投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、8時間毎に投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、6時間毎に投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、4時間毎に投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、隔日投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、3日毎に投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、週2回投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、週2回、例えば、月曜日、水曜日、および金曜日に投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、毎週投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、静脈内投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、皮下投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0466】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、7日間投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、2週間投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、3週間投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、4週間投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、1ヶ月間投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、2ヶ月間投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、3ヶ月間投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、静脈内投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、皮下投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0467】
いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、処置の期間にわたって同じ頻度で投与される。いくつかの態様において、投与の頻度は、処置の期間にわたって減少する。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、最初に、約1週間、毎日投与され、続いて、週2回投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、最初に、約1週間、1日1~3回投与され、続いて、毎日投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、最初に、約1週間、1日1~3回投与され、続いて、週2回または毎週投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、継続注入として投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、最初に、約1週間、継続注入として投与され、続いて、毎日投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、最初に、約1週間、継続注入として投与され、続いて、週2回または毎週投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、静脈内投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、皮下投与される。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0468】
いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約10×106~約300×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約50×106~約900×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約10×106~約500×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約100×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約50×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約100×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約150×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約200×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約250×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約300×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約400×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約500×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約600×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約700×106個の細胞が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の複数の用量が、DDpp(例えば、アダプター)を受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、DDpp(例えば、アダプター)の最初の用量と同時に対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、DDpp(例えば、アダプター)の最初の用量の前に対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:37~43または44のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するDドメインを含み、ここで、任意で、Dドメインは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:70または73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、SEQ ID NO:68または69のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。本明細書において提供されるCARを発現する細胞は、単独で投与されてもよいか、または希釈剤および/もしくは他の成分、例えば、化学療法薬、抗体、サイトカイン、もしくは細胞集団と組み合わせられた薬学的組成物として投与されてもよい。本明細書において提供される組成物は、好ましくは、複数回投与され得る静脈内投与のために製剤化される。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、静脈内投与される。
【0469】
別の態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、1つまたは複数の付加的な治療薬と組み合わせて投与される。
【0470】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質、例えば、アダプター)の治療的に有効な量は、生理学的に容認される組成物として投与される時、1ミリリットル(ml)当たり約0.1マイクログラム(μg)~約100μg/ml、好ましくは、約1μg/ml~約5μg/ml、一般的には、約5μg/mlの血漿濃度を達成するために十分であるような量であり得る。換言すると、投与量は、1日または数日間の、1日1用量または複数用量の投与における、約0.1mg/kg~約300mg/kg、好ましくは、約0.2mg/kg~約200mg/kg、最も好ましくは、約0.5mg/kg~約20mg/kgで変動し得る。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、DDpp(例えば、アダプター)は、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0471】
使用
本明細書に開示される標的結合DDpp、DDpp融合タンパク質、ポリヌクレオチド、および細胞は、診断的適用および治療的適用を含む用途を有する。いくつかの態様において、DDpp、ポリヌクレオチド、および細胞は、治療的な状況において、例えば、疾患または障害の処置および/または診断のため、有用である。治療的処置の方法は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボの方法であり得る。いくつかの態様において、疾患または障害は、がん(例えば、血液悪性腫瘍)である。いくつかの態様において、疾患または障害は、免疫系の疾患または障害、例えば、炎症または自己免疫疾患である。
【0472】
治療的実体としての適用は、DDppの標的結合特異性の1つの象徴である。様々な分子組成物(例えば、DD-抗体融合物、DD-薬物コンジュゲート、およびDDキメラ受容体)へのDDppの組み込みは、可溶性組成物および細胞関連組成物を含むが、これらに限定されるわけではない、多様な治療の適応症およびモダリティにおける適用を可能にする。
【0473】
一つの態様において、DDppは、任意選択のエピトープタグと、免疫系の疾患または障害に関連する標的に結合するターゲティングドメインとから構成される可溶性融合タンパク質である。
【0474】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるDDppは、がんを処置するために有用である。したがって、いくつかの態様において、本開示は、治療的に有効な量のDDpp(例えば、DDpp融合物)を患者に投与する工程を含む、がんを処置する方法を提供する。
【0475】
付加的な態様において、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を提供し、ここで、CARは、ターゲティングドメインと膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、ターゲティングドメインは、本明細書に開示される標的結合DDppから少なくとも部分的に構成される。
【0476】
前記において要約され、かつ/または本明細書に示される方法は、実行者によって取られるある特定の行為を記載しているが、それらには、他の者によるそれらの行為の指示も含まれ得ることが理解されるべきである。したがって、「標的特異的結合性ポリペプチド-CARを含むT細胞を投与すること」などの行為には、「標的特異的結合性ポリペプチド-CARを含むT細胞の投与の指示」が含まれる。
【0477】
A. 標的細胞をCAR細胞と接触させる工程を含む方法
いくつかの態様において、1つまたは複数の免疫応答を標的細胞に送達する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞と、標的細胞を含む組成物を接触させる工程を含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0478】
いくつかの態様において、標的細胞を死滅させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞と、標的細胞を含む組成物を接触させる工程を含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0479】
いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。
【0480】
いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8a、41BB、またはCD28の膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8a膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、DAP12、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。
【0481】
いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:64のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:65のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:66のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む。
【0482】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0483】
いくつかの態様において、標的細胞は、がん細胞、例えば、急性骨髄性白血病(AML)細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。
【0484】
いくつかの態様において、標的細胞は、腫瘍細胞である。さらなる態様において、腫瘍細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、骨髄異形成細胞、および芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞の群より選択される。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、AML腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、ヘアリーセル白血病腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、ホジキンリンパ腫腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、BPDCN腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、CD123を発現する。
【0485】
本明細書において提供される標的細胞を死滅させる方法において、標的細胞は、免疫系の細胞であり得る。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ナイーブT細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、メモリーT細胞である。
【0486】
接触させることは、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで行われ得る。一つの態様において、接触させることは、患者、例えば、ヒト患者において行われる。
【0487】
接触させることは、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで行われ得る。いくつかの態様において、方法は、CAR細胞を患者に投与する工程を含む。
【0488】
B. 標的細胞をアダプターおよび/またはCAR細胞と接触させる工程を含む方法
いくつかの態様において、免疫応答を標的細胞に送達する方法は、標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含み、ここで、(a)標的細胞を含む組成物は、CARを発現する細胞をさらに含み、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターは、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0489】
いくつかの態様において、免疫応答を標的細胞に送達する方法は、標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含み、ここで、(a)標的細胞を含む組成物は、CARを発現する細胞をさらに含み、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターは、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0490】
いくつかの態様において、免疫応答を標的細胞に送達する方法は、標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含み、ここで、(a)標的細胞を含む組成物は、CARを発現する細胞をさらに含み、CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターは、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0491】
いくつかの態様において、免疫応答を標的細胞に送達する方法は、標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含み、ここで、(a)標的細胞を含む組成物は、CARを発現する細胞をさらに含み、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターは、(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、標的ADを発現する。
【0492】
いくつかの態様において、免疫応答を標的細胞に送達する方法は、標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含み、ここで、(a)CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターをさらに含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0493】
いくつかの態様において、免疫応答を標的細胞に送達する方法は、標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含み、ここで、(a)CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをさらに含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0494】
いくつかの態様において、免疫応答を標的細胞に送達する方法は、標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含み、ここで、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターをさらに含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0495】
いくつかの態様において、免疫応答を標的細胞に送達する方法は、標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含み、ここで、(a)CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物は、(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをさらに含む。いくつかの態様において、標的細胞は、標的ADを発現する。
【0496】
いくつかの態様において、標的細胞を死滅させる方法は、標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含み、ここで、(a)標的細胞を含む組成物は、CARを発現する細胞をさらに含み、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターは、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0497】
いくつかの態様において、標的細胞を死滅させる方法は、標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含み、ここで、(a)標的細胞を含む組成物は、CARを発現する細胞をさらに含み、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターは、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0498】
いくつかの態様において、標的細胞を死滅させる方法は、標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含み、ここで、(a)標的細胞を含む組成物は、CARを発現する細胞をさらに含み、CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターは、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0499】
いくつかの態様において、標的細胞を死滅させる方法は、標的細胞を含む組成物をアダプターと接触させる工程を含み、ここで、(a)標的細胞を含む組成物は、CARを発現する細胞をさらに含み、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)アダプターは、(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、標的ADを発現する。
【0500】
いくつかの態様において、標的細胞を死滅させる方法は、標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含み、ここで、(a)CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターをさらに含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0501】
いくつかの態様において、標的細胞を死滅させる方法は、標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含み、ここで、(a)CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをさらに含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0502】
いくつかの態様において、標的細胞を死滅させる方法は、標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含み、ここで、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターをさらに含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0503】
いくつかの態様において、標的細胞を死滅させる方法は、標的細胞を含む組成物を、CARを発現する細胞と接触させる工程を含み、ここで、(a)CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み;かつ(b)標的細胞を含む組成物は、(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターをさらに含む。いくつかの態様において、標的細胞は、標的ADを発現する。
【0504】
いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。
【0505】
いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。
【0506】
いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するscFvを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。
【0507】
いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。
【0508】
いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含む。
【0509】
いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:52のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:53のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:54のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:56のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:58のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:59のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:60のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む。
【0510】
いくつかの態様において、アダプターは、(i)CD123に結合しSEQ ID NO:8、13、14、31、32、または33のアミノ酸配列を含む、Dドメインと、(ii)SEQ ID NO:37または39のアミノ酸配列を含むAFP p26 ADとを含み、CARは、AFP p26 ADに結合しSEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む、Dドメインを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。
【0511】
いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含み、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含み、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含み、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含み、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。
【0512】
いくつかの態様において、標的ADは、CD45、CD26、CD30、CD33、LeY、およびCD38より選択される。いくつかの態様において、標的ADは、CD19、CD22、CD123、BCMA、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択される。さらなる態様において、標的ADは、BCMAである。さらなる態様において、標的ADは、CD45である。他の態様において、標的ADは、CS1である。他の態様において、標的ADは、CD123である。他の態様において、標的ADは、CD19である。他の態様において、標的ADは、CD22である。他の態様において、標的ADは、TACIである。他の態様において、標的ADは、BAFFRである。他の態様において、標的ADは、PDL1である。他の態様において、標的ADは、HER2である。
【0513】
CARが、CD123以外のADに結合するADBDを含む、いくつかの態様において、ADBDは、腫瘍抗原に結合する。さらなる態様において、腫瘍抗原は、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38の群より選択される。さらなる態様において、腫瘍抗原は、BCMA、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1の群より選択される。さらなる態様において、腫瘍抗原は、BCMAである。さらなる態様において、腫瘍抗原は、CD19である。
【0514】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0515】
いくつかの態様において、標的細胞は、がん細胞、例えば、急性骨髄性白血病(AML)細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、AML細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。
【0516】
接触させることは、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで行われ得る。一つの態様において、接触させることは、患者、例えば、ヒト患者において、例えば、CARを発現する細胞を受容した患者へのアダプターの投与の後に、またはアダプターを受容した患者へのCARを発現する細胞の投与の後に、行われる。いくつかの態様において、方法は、CARを発現する細胞を以前に投与された患者に、アダプターを投与する工程を含む。
【0517】
ある特定の態様において、CARは、単鎖可変断片(scFv)ADBDを含む。他の態様において、CARは、代替足場結合ドメイン(ASBD)ADBDを含む。さらなる態様において、CARは、Dドメインを含む。
【0518】
いくつかの態様において、CARは、2つのADBDを含む。他の態様において、CARは、ASBDおよびscFvを含む。さらなる態様において、CARは、DドメインおよびscFvを含む。いくつかの態様において、CARは、2つのASBDを含む。さらなる態様において、CARは、2つのDドメインを含む。
【0519】
いくつかの態様において、CAR細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメインである。さらなる態様において、CAR細胞内ドメインは、一次シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の態様において、CAR細胞内ドメインは、CD3ζ一次シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、CAR細胞内ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。さらなる態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28、41BB、CD27、およびCD134より選択される。具体的な態様において、CAR細胞内シグナル伝達ドメインは、41BB共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。
【0520】
いくつかの態様において、標的ADは、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38より選択される。いくつかの態様において、標的ADは、CD19、CD22、CD123、BCMA、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択される。さらなる態様において、標的ADは、BCMAである。他の態様において、標的ADは、CS1である。他の態様において、標的ADは、CD123である。他の態様において、標的ADは、CD19である。他の態様において、標的ADは、CD22である。他の態様において、標的ADは、TACIである。他の態様において、標的ADは、BAFFRである。他の態様において、標的ADは、PDL1である。他の態様において、標的ADは、HER2である。
【0521】
いくつかの態様において、CARは、別々の標的に結合する2つのADBDを含む。さらなる態様において、CARは、CD19およびCD123に結合する。他の態様において、CARは、BCMAおよびCD123に結合する。他の態様において、CARは、CD22およびCD123に結合する。他の態様において、CARは、PDL1およびCD123に結合する。さらなる態様において、CARは、CD33およびCD123に結合する。さらなる態様において、CARは、CD38およびCD123に結合する。さらなる態様において、CARは、LeYおよびCD123に結合する。
【0522】
いくつかの態様において、アダプターは、腫瘍抗原のADを含む。さらなる態様において、腫瘍抗原は、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38の群より選択される。
【0523】
いくつかの態様において、アダプターは、腫瘍抗原のADを含む。さらなる態様において、腫瘍抗原は、BCMA、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1の群より選択される。
【0524】
いくつかの態様において、アダプターは、scFvであるADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、ASBDであるADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、Dドメインを含む。
【0525】
いくつかの態様において、アダプターは、2つのADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、(a)同じであるか、(b)同じ抗原決定基に結合するか、(c)同じ抗原の異なるADに結合するか、(d)同じ細胞の異なる抗原に結合するか、または(e)異なる細胞の異なる抗原に結合する、2つのADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、2つのASBDを含む。ある特定の態様において、アダプターは、2つのDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、scFvであるADBDと、ASBDであるADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、scFvであるADBDと、DドメインであるADBDとを含む。
【0526】
いくつかの態様において、アダプターは、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38より選択されるメンバーに結合するADBDを含む。ある特定の態様において、アダプターは、CD45に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD26に結合するADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD30に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD33に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD38に結合するADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD45に結合するADBDを含む。
【0527】
いくつかの態様において、アダプターは、BCMA、CD123、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択されるメンバーに結合するADBDを含む。ある特定の態様において、アダプターは、BCMAに結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD19に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD22に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CS1に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、HER2に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、TACIに結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、BAFFRに結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、PDL1に結合するADBDを含む。
【0528】
いくつかの態様において、アダプターは、二重特異性である。さらなる態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDと、CD33に結合するADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDと、CD38に結合するADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDと、LeYに結合するADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、PDL1に結合するADBDと、CD123に結合するADBDとを含む。
【0529】
いくつかの態様において、標的細胞は、腫瘍細胞である。さらなる態様において、腫瘍細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞、B細胞性急性リンパ性白血病細胞、ヘアリーセル白血病細胞、ホジキンリンパ腫細胞、骨髄異形成細胞、および芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞の群より選択される。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、AML腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、ヘアリーセル白血病腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、ホジキンリンパ腫腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、BPDCN腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、CD123を発現する。
【0530】
本明細書において提供される標的細胞を死滅させる方法において、標的細胞は、免疫系の細胞であり得る。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ナイーブT細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、メモリーT細胞である。
【0531】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。免疫エフェクター細胞は、免疫応答、例えば、免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞である。免疫エフェクター細胞の例には、T細胞(例えば、α/βT細胞およびγ/δT細胞)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マスト細胞、ならびに骨髄系由来食細胞が含まれる。免疫エフェクター機能または免疫エフェクター応答は、例えば、標的細胞の免疫攻撃を増強するか、または促進する、免疫エフェクター細胞の機能または応答である。いくつかの態様において、免疫エフェクターの機能または応答とは、標的細胞の死滅または成長もしくは増殖の阻害を促進する、T細胞またはNK細胞の特性をさす。例えば、一次刺激および共刺激は、T細胞の免疫エフェクターの機能または応答の例である。具体的な態様において、免疫エフェクターの機能または応答は、開示されたCAR、アダプター、ならびに/またはCAR組成物およびアダプター組成物の作用によって促進される。そのような機能または応答は、増殖、サイトカイン産生、細胞傷害、または細胞表面マーカー、例えば、CD25、CD69、およびCD107aのアップレギュレーションの効果がより高いCAR細胞をもたらす。
【0532】
いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。他の態様において、免疫エフェクター細胞は、NK細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、同種細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、標的細胞を死滅させる。いくつかの態様において、ADへのアダプターの結合は、ADを含む抗原の活性を阻止する。
【0533】
いくつかの態様において、CAR細胞は、標的細胞に直接結合することによって、標的細胞を死滅させる。いくつかの態様において、CAR細胞は、アダプターに結合することによって、標的細胞を死滅させ、ここで、アダプターは、標的細胞に結合している。
【0534】
いくつかの態様において、標的細胞および/またはアダプターへのCARの結合は、CARを発現する細胞における細胞内シグナル伝達をもたらす。
【0535】
いくつかの態様において、標的細胞および/またはアダプターへのCARの結合は、脱顆粒をもたらす。脱顆粒は、細胞型に依って、免疫細胞内の分泌顆粒からの抗微生物分子、細胞傷害性分子、またはその他の分子の放出をもたらし得る。パーフォリン(ポア形成細胞毒)またはグランザイム(標的細胞においてアポトーシスを誘導するセリンプロテアーゼ)などの分子は、腫瘍細胞(またはその他の細胞型)を死滅させるため、T細胞およびNK細胞を助ける。
【0536】
いくつかの態様において、標的細胞および/またはアダプターへのCARの結合は、CARを発現する細胞によるサイトカイン分泌をもたらす。サイトカインは、例えば、インターフェロンγ(IFNγ)であり得る。
【0537】
いくつかの態様において、標的細胞および/またはアダプターへのCARの結合は、CARを発現する細胞の増殖をもたらす。
【0538】
C. CAR細胞を患者に投与する工程を含む方法
患者において免疫応答を標的細胞に送達し、かつ/または患者において標的細胞を死滅させる方法であって、本明細書に記載されるアダプターおよび/またはCAR細胞を患者に投与する工程を含む、方法が、本明細書に記載される。本明細書に記載されるアダプターおよび/またはCAR細胞を、その必要のある患者に投与する工程を含む、リンパ球(例えば、Bリンパ球)を枯渇させる方法も、本明細書に記載される。具体的な態様において、本明細書に記載されるアダプターおよび/またはCAR細胞を、その必要のある患者に投与する工程を含む、がん(例えば、血液がん)または自己免疫疾患もしくは自己免疫障害を処置する方法が、本明細書において提供される。
【0539】
いくつかの態様において、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、その必要のある患者において、標的細胞を死滅させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。いくつかの態様において、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。いくつかの態様において、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、リンパ球は、CD123を発現する。いくつかの態様において、リンパ球は、Bリンパ球である。いくつかの態様において、がんを処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を、その必要のある患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、がんは、血液がんである。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、血液がんは、AMLである。いくつかの態様において、血液がんは、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)である。いくつかの態様において、血液がんは、B細胞性急性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ヘアリーセル白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を、その必要のある患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害は、エリテマトーデスである。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0540】
いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。
【0541】
いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8a、41BB、またはCD28の膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8a膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。
【0542】
いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:62のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:63のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:64のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:65のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:66のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む。
【0543】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、同種細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。
【0544】
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約10×106~約300×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約50×106~約900×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約10×106~約500×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約100×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約50×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約100×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約150×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約200×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約250×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約300×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約400×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約500×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約600×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する約700×106個の細胞を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する細胞の複数用量を患者に投与する工程を含み、ここで、任意で、単一用量は、約10×106~約300×106個の細胞、約50×106~約900×106個の細胞、約10×106~約500×106個の細胞、約100×106個の細胞、約50×106個の細胞、約100×106個の細胞、約150×106個の細胞、約200×106個の細胞、約250×106個の細胞、約300×106個の細胞、約400×106個の細胞、約500×106個の細胞、約600×106個の細胞、または約700×106個の細胞を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する細胞の2用量を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する細胞の3用量を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する細胞の4用量を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、CD123に結合するDドメインを含むCARを発現する細胞の5用量を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。本明細書において提供されるCARを発現する細胞は、単独で投与されてもよいか、または希釈剤および/もしくは他の成分、例えば、化学療法薬、抗体、サイトカイン、もしくは細胞集団と組み合わせられた薬学的組成物として投与されてもよい。本明細書において提供される組成物は、好ましくは、複数回投与され得る静脈内投与のために製剤化される。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、静脈内投与される。
【0545】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞を投与することは、CARを発現する細胞を含む薬学的組成物を投与することを含む。
【0546】
D. アダプターおよび/またはCAR細胞を患者に投与する工程を含む方法
いくつかの態様において、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、その必要のある患者において、標的細胞を死滅させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。いくつかの態様において、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。いくつかの態様において、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、リンパ球は、CD123を発現する。いくつかの態様において、リンパ球は、Bリンパ球である。いくつかの態様において、がんを処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、がんは、血液がんである。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、血液がんは、AMLである。いくつかの態様において、血液がんは、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)である。いくつかの態様において、血液がんは、B細胞性急性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ヘアリーセル白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害は、エリテマトーデスである。いくつかの態様において、患者は、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、ここで、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、患者は、CARを発現する細胞を含み、ここで、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、方法は、CARを発現する細胞を投与する工程をさらに含み、ここで、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。
【0547】
いくつかの態様において、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、その必要のある患者において、標的細胞を死滅させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。いくつかの態様において、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、AML細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。いくつかの態様において、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、リンパ球は、CD123を発現する。いくつかの態様において、リンパ球は、Bリンパ球である。いくつかの態様において、がんを処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、がんは、血液がんである。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、血液がんは、AMLである。いくつかの態様において、血液がんは、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)である。いくつかの態様において、血液がんは、B細胞性急性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ヘアリーセル白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害は、エリテマトーデスである。いくつかの態様において、患者は、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、ここで、(a)CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、患者は、CARを発現する細胞を含み、ここで、(a)CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、方法は、CARを発現する細胞を投与する工程をさらに含み、ここで、(a)CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。
【0548】
いくつかの態様において、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含み、ここで、患者は、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、その必要のある患者において、標的細胞を死滅させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含み、ここで、患者は、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含み、患者は、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。いくつかの態様において、標的細胞は、AML細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。いくつかの態様において、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含み、ここで、患者は、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、リンパ球は、CD123を発現する。いくつかの態様において、リンパ球は、Bリンパ球である。いくつかの態様において、がんを処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含み、ここで、患者は、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、がんは、血液がんである。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、血液がんは、AMLである。いくつかの態様において、血液がんは、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)である。いくつかの態様において、血液がんは、B細胞性急性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ヘアリーセル白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含み、ここで、患者は、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害は、エリテマトーデスである。
【0549】
いくつかの態様において、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含み、ここで、患者は、CARを発現する細胞を含み、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、その必要のある患者において、標的細胞を死滅させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含み、ここで、患者は、CARを発現する細胞を含み、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。いくつかの態様において、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、AML細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。いくつかの態様において、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを患者に投与する工程を含み、ここで、患者はCARを発現する細胞を含み、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、リンパ球は、CD123を発現する。いくつかの態様において、リンパ球は、Bリンパ球である。いくつかの態様において、がんを処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含み、ここで、患者は、CARを発現する細胞を含み、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、がんは、血液がんである。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、血液がんは、AMLである。いくつかの態様において、血液がんは、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)である。いくつかの態様において、血液がんは、B細胞性急性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ヘアリーセル白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法は、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)CARによって結合されるADとを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含み、ここで、患者は、CARを発現する細胞を含み、(a)CARは、(i)CD123以外の抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害は、エリテマトーデスである。
【0550】
いくつかの態様において、患者において免疫応答を標的細胞に送達する方法は、(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、その必要のある患者において、標的細胞を死滅させる方法は、(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、標的細胞は、標的ADを発現する。いくつかの態様において、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの態様において、その必要のある患者においてリンパ球を枯渇させる方法は、(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、リンパ球は、標的ADを発現する。いくつかの態様において、リンパ球は、Bリンパ球またはTリンパ球である。いくつかの態様において、がんを処置する方法は、(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、がんは、血液がんである。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、血液がんは、AMLである。いくつかの態様において、血液がんは、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)である。いくつかの態様において、血液がんは、B細胞性急性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ヘアリーセル白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害を処置する方法は、(i)標的ADに結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する第2の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを、その必要のある患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、自己免疫疾患または自己免疫障害は、関節リウマチである。いくつかの態様において、患者は、CARを発現する細胞を投与されたことがあり、ここで、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、患者は、CARを発現する細胞を含み、ここで、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、方法は、CARを発現する細胞を投与する工程をさらに含み、ここで、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。
【0551】
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約100×106個の細胞、ならびにCD123およびp26の抗原決定基に結合するDドメインを含む約0.1mg/kgのアダプターの複数用量を、その必要のある対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約100×106個の細胞、ならびにCD123およびp26の抗原決定基に結合するDドメインを含む約0.3mg/kgのアダプターの複数用量を、その必要のある対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約300×106個の細胞、ならびにCD123およびp26の抗原決定基に結合するDドメインを含む約0.1mg/kgのアダプターの複数用量を、その必要のある対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約300×106個の細胞、ならびにCD123およびp26の抗原決定基に結合するDドメインを含む約0.3mg/kgのアダプターの複数用量を、その必要のある対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約300×106個の細胞、ならびにCD123およびp26の抗原決定基に結合するDドメインを含む約0.9mg/kgのアダプターの複数用量を、その必要のある対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約900×106個の細胞、ならびにCD123およびp26の抗原決定基に結合するDドメインを含む約0.1mg/kgのアダプターの複数用量を、その必要のある対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約900×106個の細胞、ならびにCD123およびp26の抗原決定基に結合するDドメインを含む約0.3mg/kgのアダプターの複数用量を、その必要のある対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約900×106個の細胞、ならびにCD123およびp26の抗原決定基に結合するDドメインを含む約0.9mg/kgのアダプターの複数用量を、その必要のある対象に投与する工程を含む。いくつかの態様において、アダプターの最初の用量は、CARを発現する細胞と同じ日に投与される。いくつかの態様において、アダプターの最初の用量は、CARを発現する細胞の投与の1、2、3、4、または5日後に投与される。いくつかの態様において、方法は、1週間、アダプターの毎日の用量を投与する工程を含む。いくつかの態様において、方法は、2週間、アダプターの毎日の用量を投与する工程を含む。いくつかの態様において、方法は、3週間、アダプターの毎日の用量を投与する工程を含む。いくつかの態様において、方法は、4週間、アダプターの毎日の用量を投与する工程を含む。いくつかの態様において、投与されるアダプターの毎日の用量は、同じである。いくつかの態様において、方法は、毎日の用量の完了後に、毎週、アダプターの3用量を投与する工程をさらに含む。いくつかの態様において、アダプターの毎週の3用量は、月曜日、水曜日、および金曜日に投与される。いくつかの態様において、1日に投与されるアダプターの用量は、同じである。いくつかの態様において、毎週のアダプターの3用量の投与は、約1、2、3、4、5、または6ヶ月間継続される。いくつかの態様において、毎週のアダプターの3用量の投与は、CARを発現する細胞が、末梢血中に測定不能になるまで継続される。いくつかの態様において、対象は、血液がんを有する。いくつかの態様において、対象は、血液がんを有し、ここで、がん細胞は、CD123を発現する。いくつかの態様において、対象は、急性骨髄性白血病(AML)を有する。いくつかの態様において、対象は、骨髄異形成症候群(MDS)を有する。いくつかの態様において、対象は、高リスク骨髄異形成症候群(MDS)を有する。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するDドメインを含み、ここで、任意で、Dドメインは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:70または73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、SEQ ID NO:68または69のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:37~43または44のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0552】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、アダプターは、約0.1mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約25mg/kg、約0.1mg/kg~約20mg/kg、約0.1mg/kg~約15mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、または約0.1mg/kg~約5mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約1μg/kg~約10mg/kg、約5μg/kg~約10mg/kg、約10μg/kg~約10mg/kg、約20μg/kg~約10mg/kg、または約50μg/kg~約10mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約10μg/kg~約10mg/kg、約50μg/kg~約10mg/kg、約100μg/kg~約10mg/kg、約200μg/kg~約10mg/kg、または約500μg/kg~約10mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約100μg/kg~約10mg/kg、約100μg/kg~約5mg/kg、約100μg/kg~約2mg/kg、約100μg/kg~約1mg/kg、約100μg/kg~約5mg/kg、または約100μg/kg~約2mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約1μg/kg~約10mg/kg、約5μg/kg~約5mg/kg、約10μg/kg~約2mg/kg、約20μg/kg~約1mg/kg、または約5μg/kg~約0.5mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.04mg/kg、約0.07mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約1mg/kg、または約2mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.07mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.01mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.1mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.2mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.3mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.4mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.5mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.6mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.7mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.8mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.9mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約1mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約2mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約3mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約4mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約5mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約6mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約7mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約8mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約9mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約10mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、静脈内投与される。いくつかの態様において、アダプターは、皮下投与される。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0553】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、アダプターは、約0.2mg~約200mg、約0.5mg~約100mg、約1mg~約50mg、約2mg~約25mg、または約2mg~約12mgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.4mg、約0.8mg、約1.6mg、約2.8mg、約3mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、約20mg、約24mg、約28mg、約40mg、または約80mgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約1.6mg、約2.8mg、約3mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、または約20mgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、静脈内投与される。いくつかの態様において、アダプターは、皮下投与される。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0554】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、アダプターの複数用量が投与される。いくつかの態様において、アダプターの複数用量は、一定の用量である。いくつかの態様において、アダプターは、異なる用量で投与される。いくつかの態様において、投与されるアダプターの量は、経時的に増加する。いくつかの態様において、投与されるアダプターの量は、経時的に減少する。いくつかの態様において、アダプターは、最初に、約0.01mg/kg~約0.5mg/kgの低用量で投与され、続いて、約0.1mg/kg~約5mg/kgの高用量で投与される。いくつかの態様において、アダプターは、静脈内投与される。いくつかの態様において、アダプターは、皮下投与される。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0555】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、アダプターは毎日投与される。いくつかの態様において、アダプターは、1日2回投与される。いくつかの態様において、アダプターは、1日3回投与される。いくつかの態様において、アダプターは、1日4回投与される。いくつかの態様において、アダプターは、12時間毎に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、8時間毎に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、6時間毎に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、4時間毎に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、継続注入として投与される。いくつかの態様において、アダプターは、隔日投与される。いくつかの態様において、アダプターは、3日毎に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、週2回投与される。いくつかの態様において、アダプターは、週2回、例えば、月曜日、水曜日、および金曜日に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、毎週投与される。いくつかの態様において、アダプターは、静脈内投与される。いくつかの態様において、アダプターは、皮下投与される。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0556】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、アダプターは、7日間投与される。いくつかの態様において、アダプターは、2週間投与される。いくつかの態様において、アダプターは、3週間投与される。いくつかの態様において、アダプターは、4週間投与される。いくつかの態様において、アダプターは、1ヶ月間投与される。いくつかの態様において、アダプターは、2ヶ月間投与される。いくつかの態様において、アダプターは、3ヶ月間投与される。いくつかの態様において、アダプターは、静脈内投与される。いくつかの態様において、アダプターは、皮下投与される。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0557】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、アダプターは、処置の期間にわたって同じ頻度で投与される。いくつかの態様において、投与の頻度は、処置の期間にわたって減少する。いくつかの態様において、アダプターは、最初に、約1週間、毎日投与され、続いて、週2回投与される。いくつかの態様において、アダプターは、最初に、約1週間、1日1~3回投与され、その後、毎日投与される。いくつかの態様において、アダプターは、最初に、約1週間、1日1~3回投与され、続いて、週2回または毎週投与さる。いくつかの態様において、アダプターは、最初に、約1週間、継続注入として投与され、続いて、毎日投与される。いくつかの態様において、アダプターは、最初に、約1週間、継続注入として投与され、続いて、週2回または毎週投与される。いくつかの態様において、アダプターは、静脈内投与される。いくつかの態様において、アダプターは、皮下投与される。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む、CD123に結合するDドメインを含む。
【0558】
本明細書に記載される方法のいくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約10×106~約300×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約50×106~約900×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約10×106~約500×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約100×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約50×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の複数用量が、アダプターを受容する対象に投与されており、ここで、任意で、単一用量は、約10×106~約300×106個の細胞、約50×106~約900×106個の細胞、約10×106~約500×106個の細胞、約100×106個の細胞、約50×106個の細胞、約100×106個の細胞、約150×106個の細胞、約200×106個の細胞、約250×106個の細胞、約300×106個の細胞、約400×106個の細胞、約500×106個の細胞、約600×106個の細胞、または約700×106個の細胞を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の2用量が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の3用量が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の4用量が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の5用量が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約100×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約150×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約200×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約250×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約300×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約400×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約500×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約600×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約700×106個の細胞が、アダプターを受容する対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、アダプターの最初の用量と同時に対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、アダプターの最初の用量の前に対象に投与されている。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:37~43または44のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するDドメインを含み、ここで、任意で、Dドメインは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:70または73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、SEQ ID NO:68または69のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。本明細書において提供されるCARを発現する細胞は、単独で投与されてもよいか、または希釈剤および/もしくは他の成分、例えば、化学療法薬、抗体、サイトカイン、もしくは細胞集団と組み合わせられた薬学的組成物として投与されてもよい。本明細書において提供される組成物は、好ましくは、複数回投与され得る静脈内投与のために製剤化される。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、静脈内投与される。
【0559】
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、CARを発現する細胞を投与する工程を含み、ここで、CARは、(i)AFP p26抗原決定基(AD)に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約10×106~約300×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約50×106~約900×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約10×106~約500×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約100×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約50×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約100×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約150×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約200×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約250×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約300×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約400×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約500×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約600×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する約700×106個の細胞が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の複数用量が対象に投与され、ここで、任意で、単一用量は、約10×106~約300×106個の細胞、約50×106~約900×106個の細胞、約10×106~約500×106個の細胞、約100×106個の細胞、約50×106個の細胞、約100×106個の細胞、約150×106個の細胞、約200×106個の細胞、約250×106個の細胞、約300×106個の細胞、約400×106個の細胞、約500×106個の細胞、約600×106個の細胞、または約700×106個の細胞を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の2用量が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の3用量が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の4用量が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARを発現する細胞の5用量が対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、アダプターの最初の用量と同時に対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、アダプターの最初の用量の前に対象に投与される。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:37~43または44のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基は、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するDドメインを含み、ここで、任意で、Dドメインは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:70または73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26抗原決定基に特異的に結合するCARは、SEQ ID NO:68または69のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。本明細書において提供されるCARを発現する細胞は、単独で投与されてもよいか、または希釈剤および/もしくは他の成分、例えば、化学療法薬、抗体、サイトカイン、もしくは細胞集団と組み合わせられた薬学的組成物として投与されてもよい。本明細書において提供される組成物は、好ましくは、複数回投与され得る静脈内投与のために製剤化される。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、静脈内投与される。
【0560】
いくつかの態様において、アダプターは、約10μg/kg~約10mg/kg、約50μg/kg~約5mg/kg、約10μg/kg~約2mg/kg、約20μg/kg~約1mg/kg、または約50μg/kg~約0.5mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.04mg/kg、約0.07mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約1mg/kg、または約2mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.07mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.1mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.1mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約1.6mg、約2.8mg、約3mg、約4mg、約8mg、約12mg、約16mg、または約20mgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.1mg/kgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約0.2mg~約200mg、約0.5mg~約100mg、約1mg~約50mg、約2mg~約25mg、または約2mg~約12mgで投与される。いくつかの態様において、アダプターは、皮下投与される。いくつかの態様において、アダプターは、毎日投与される。いくつかの態様において、アダプターは、1日2回、1日3回、または1日4回投与される。いくつかの態様において、アダプターは、隔日投与される。いくつかの態様において、アダプターは、3日毎に投与される。いくつかの態様において、アダプターは週2回投与される。いくつかの態様において、アダプターは毎週投与される。いくつかの態様において、アダプターは、7日間投与される。いくつかの態様において、アダプターは、約1週間~約2ヶ月間投与される。いくつかの態様において、アダプターは、処置の期間にわたって同じ頻度で投与される。いくつかの態様において、投与の頻度は、処置の期間にわたって減少する。いくつかの態様において、アダプターは、最初に、約1週間、毎日投与され、続いて、週2回投与される。一つの態様において、CARを発現する約50×106~約300×106個の細胞が、患者に投与されている。一つの態様において、CARを発現する約100×106個の細胞が、患者に投与されている。
【0561】
いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。
【0562】
いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8a、41BB、またはCD28の膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、CD8a膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD8a膜貫通ドメインは、SEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトT細胞受容体α鎖、β鎖、またはζ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、4lBB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。
【0563】
いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。
【0564】
いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するscFvを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。
【0565】
いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含む。
【0566】
いくつかの態様において、CARは、CD123以外のADに結合するADBDを含み、ADBDは腫瘍抗原に結合する。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、BCMA、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1の群より選択される。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、BCMAである。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、CD19である。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38の群より選択される。
【0567】
いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:51のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:52のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:53のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:54のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:55のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:56のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:57のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:58のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:59のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:60のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む。
【0568】
いくつかの態様において、アダプターは、(i)CD123に結合しSEQ ID NO:8、13、14、31、32、または33のアミノ酸配列を含む、Dドメインと、(ii)SEQ ID NO:37または39のアミノ酸配列を含むAFP p26 ADとを含み、CARは、AFP p26 ADに結合しSEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む、Dドメインを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。
【0569】
いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含み、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含み、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含み、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、(i)CD123に結合するDドメインと(ii)AFP p26 ADとを含むアダプターは、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含み、AFP p26 ADに結合するDドメインを含むCARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。
【0570】
いくつかの態様において、標的ADは、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38より選択される。いくつかの態様において、標的ADは、CD19、CD22、CD123、BCMA、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択される。いくつかの態様において、標的ADは、BCMAである。いくつかの態様において、標的ADは、CD19である。いくつかの態様において、標的ADは、CD45である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。
【0571】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞である。
【0572】
いくつかの態様において、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、AML細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。
【0573】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞およびアダプターは、任意の順序で別々に投与される。いくつかの態様において、アダプターを投与することは、アダプターを含む薬学的組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、アダプターおよびCARを発現する細胞を投与することは、アダプターを含む薬学的組成物、およびCARを発現する細胞を含む薬学的組成物を投与することを含む。
【0574】
いくつかの態様において、患者は、(CARを発現する細胞に加えて)アダプターによって以前に処置されている。いくつかの態様において、患者に投与されるアダプター、および患者に以前に投与されたアダプターは、(例えば、同じまたは異なる標的細胞の)異なるADに結合する。
【0575】
いくつかの態様において、標的ADは、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38より選択される。いくつかの態様において、標的ADは、CD19、CD22、CD123、BCMA、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択される。さらなる態様において、標的ADは、BCMAである。さらなる態様において、標的ADは、CD45である。他の態様において、標的ADは、CS1である。他の態様において、標的ADは、CD123である。他の態様において、標的ADは、CD19である。他の態様において、標的ADは、CD22である。他の態様において、標的ADは、TACIである。他の態様において、標的ADは、BAFFRである。他の態様において、標的ADは、PDL1である。他の態様において、標的ADは、HER2である。
【0576】
CARが、CD123以外のADに結合するADBDを含む、いくつかの態様において、ADBDは、腫瘍抗原に結合する。さらなる態様において、腫瘍抗原は、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38の群より選択される。さらなる態様において、腫瘍抗原は、BCMA、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1の群より選択される。さらなる態様において、腫瘍抗原は、BCMAである。さらなる態様において、腫瘍抗原は、CD19である。
【0577】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、同種細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。
【0578】
いくつかの態様において、標的細胞は、AML細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。
【0579】
接触させることは、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで行われ得る。一つの態様において、接触させることは、患者、例えば、ヒト患者において、例えば、CARを発現する細胞を投与された患者へのアダプターの投与の後に、またはアダプターを投与された患者へのCARを発現する細胞の投与の後に行われる。いくつかの態様において、方法は、CARを発現する細胞を以前に投与された患者に、アダプターを投与する工程を含む。
【0580】
ある特定の態様において、CARは、単鎖可変断片(scFv)ADBDを含む。他の態様において、CARは、代替足場結合ドメイン(ASBD)ADBDを含む。さらなる態様において、CARは、Dドメインを含む。
【0581】
いくつかの態様において、CARは、2つのADBDを含む。他の態様において、CARは、ASBDおよびscFvを含む。さらなる態様において、CARは、DドメインおよびscFvを含む。いくつかの態様において、CARは、2つのASBDを含む。さらなる態様において、CARは、2つのDドメインを含む。
【0582】
いくつかの態様において、CAR細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメインである。さらなる態様において、CAR細胞内ドメインは、一次シグナル伝達ドメインを含む。ある特定の態様において、CAR細胞内ドメインは、CD3ζ一次シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、CAR細胞内ドメインは、共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む。さらなる態様において、共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28、41BB、CD27、およびCD134より選択される。具体的な態様において、CAR細胞内シグナル伝達ドメインは、41BB共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。
【0583】
いくつかの態様において、標的ADは、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38より選択される。いくつかの態様において、標的ADは、CD19、CD22、CD123、BCMA、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択される。さらなる態様において、標的ADは、BCMAである。他の態様において、標的ADは、CS1である。他の態様において、標的ADは、CD123である。他の態様において、標的ADは、CD19である。他の態様において、標的ADは、CD22である。他の態様において、標的ADは、TACIである。他の態様において、標的ADは、BAFFRである。他の態様において、標的ADは、PDL1である。他の態様において、標的ADは、HER2である。
【0584】
いくつかの態様において、CARは、別々の標的に結合する2つのADBDを含む。さらなる態様において、CARは、CD19およびCD123に結合する。他の態様において、CARは、BCMAおよびCD123に結合する。他の態様において、CARは、CD22およびCD123に結合する。他の態様において、CARは、PDL1およびCD123に結合する。
【0585】
いくつかの態様において、アダプターは、腫瘍抗原のADを含む。さらなる態様において、腫瘍抗原は、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38の群より選択される。
【0586】
いくつかの態様において、アダプターは、腫瘍抗原のADを含む。さらなる態様において、腫瘍抗原は、BCMA、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1の群より選択される。
【0587】
いくつかの態様において、アダプターは、scFvであるADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、ASBDであるADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、Dドメインを含む。
【0588】
いくつかの態様において、アダプターは、2つのADBDを含む。さらなる態様において、アダプターは、(a)同じであるか、(b)同じ抗原決定基に結合するか、(c)同じ抗原の異なるADに結合するか、(d)同じ細胞の異なる抗原に結合するか、または(e)異なる細胞の異なる抗原に結合する2つのADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、2つのASBDを含む。ある特定の態様において、アダプターは、2つのDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、scFvであるADBDと、ASBDであるADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、scFvであるADBDと、DドメインであるADBDとを含む。
【0589】
いくつかの態様において、アダプターは、CD45、CD26、CD30、CD33、およびCD38より選択されるメンバーに結合するADBDを含む。ある特定の態様において、アダプターは、CD45に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD26に結合するADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD30に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD33に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD38に結合するADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD45に結合するADBDを含む。
【0590】
いくつかの態様において、アダプターは、BCMA、CD123、CD19、CD22、CS1、HER2、TACI、BAFFR、およびPDL1より選択されるメンバーに結合するADBDを含む。ある特定の態様において、アダプターは、BCMAに結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDを含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD19に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CD22に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、CS1に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、HER2に結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、TACIに結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、BAFFRに結合するADBDを含む。他の態様において、アダプターは、PDL1に結合するADBDを含む。
【0591】
いくつかの態様において、アダプターは、二重特異性である。さらなる態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDと、CD33に結合するADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDと、CD38に結合するADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、CD123に結合するADBDと、LeYに結合するADBDとを含む。他の態様において、アダプターは、PDL1に結合するADBDと、CD123に結合するADBDとを含む。
【0592】
いくつかの態様において、標的細胞は、腫瘍細胞である。さらなる態様において、腫瘍細胞は、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成細胞、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、および芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)の群より選択される。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、AML腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、ヘアリーセル白血病腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、ホジキンリンパ腫腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、BPDCN腫瘍細胞である。いくつかの態様において、腫瘍細胞は、CD123を発現する。
【0593】
本明細書において提供される標的細胞を死滅させる方法において、標的細胞は、免疫系の細胞であり得る。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ナイーブT細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、メモリーT細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、内皮細胞である。
【0594】
いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、免疫エフェクター細胞である。免疫エフェクター細胞は、免疫応答、例えば、免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞である。免疫エフェクター細胞の例には、T細胞(例えば、α/βT細胞およびγ/δT細胞)、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、マスト細胞、ならびに骨髄系由来食細胞が含まれる。免疫エフェクター機能または免疫エフェクター応答は、例えば、標的細胞の免疫攻撃を増強するか、または促進する免疫エフェクター細胞の機能または応答である。いくつかの態様において、免疫エフェクターの機能または応答とは、標的細胞の死滅または成長もしくは増殖の阻害を促進する、T細胞またはNK細胞の特性をさす。例えば、一次刺激および共刺激は、T細胞の免疫エフェクターの機能または応答の例である。具体的な態様において、免疫エフェクターの機能または応答は、開示されたCAR、アダプター、ならびに/またはCAR組成物およびアダプター組成物の作用によって促進される。そのような機能または応答は、例えば、増殖、サイトカイン産生、細胞傷害、または細胞表面マーカー、例えば、CD25、CD69、およびCD107aのアップレギュレーションの効果がより高いCAR細胞をもたらす。
【0595】
いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、T細胞である。他の態様において、免疫エフェクター細胞は、NK細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、免疫エフェクター細胞は、同種細胞である。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、標的細胞を死滅させる。いくつかの態様において、ADへのアダプターの結合は、ADを含む抗原の活性を阻止する。
【0596】
いくつかの態様において、CAR細胞は、標的細胞に直接結合することによって、標的細胞を死滅させる。いくつかの態様において、CAR細胞は、アダプターに結合することによって、標的細胞を死滅させ、ここで、アダプターは、標的細胞に結合している。
【0597】
いくつかの態様において、標的細胞および/またはアダプターへのCARの結合は、CARを発現する細胞における細胞内シグナル伝達をもたらす。
【0598】
いくつかの態様において、標的細胞および/またはアダプターへのCARの結合は、脱顆粒をもたらす。脱顆粒は、細胞型に依って、免疫細胞内の分泌顆粒からの抗微生物分子、細胞傷害性分子、またはその他の分子の放出をもたらし得る。パーフォリン(ポア形成細胞毒)またはグランザイム(標的細胞においてアポトーシスを誘導するセリンプロテアーゼ)などの分子は、腫瘍細胞(またはその他の細胞型)を死滅させるため、T細胞およびNK細胞を助ける。
【0599】
いくつかの態様において、標的細胞および/またはアダプターへのCARの結合は、CARを発現する細胞によるサイトカイン分泌をもたらす。サイトカインは、例えば、インターフェロンγ(IFNγ)であり得る。
【0600】
いくつかの態様において、標的細胞および/またはアダプターへのCARの結合は、CARを発現する細胞の増殖をもたらす。
【0601】
いくつかの態様において、本明細書に開示される方法は、アダプター、およびCARを発現する細胞を患者に投与する工程を含む。アダプター、およびCARを発現する細胞は、同じ薬学的組成物として投与されてもよいか、または異なる薬学的組成物として投与されてもよい。アダプター、およびCARを発現する細胞は、異なる薬学的組成物として投与され得る。アダプター、およびCARを発現する細胞は、同時に、または連続的に投与され得る。いくつかの態様において、CARを発現する細胞、およびアダプターは、同時に投与される。いくつかの態様において、CARを発現する細胞、およびアダプターは、連続的に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、CARを発現する細胞の投与の後に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、CAR免疫細胞を以前に投与された対象に投与される。いくつかの態様において、CARを発現する細胞は、アダプターの前に投与される。
【0602】
いくつかの態様において、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を含むCAR免疫細胞を、治療的に有効な量、対象に投与する工程を含む方法を提供し、ここで、CARは、(例えば、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む)AFP p26に特異的に結合するDドメインを含む標的結合ドメインと、膜貫通ドメインと、(シグナル伝達ドメインを含む)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を含むCAR免疫細胞を、治療的に有効な量、対象に投与する工程を含む、がんを有する対象を処置する方法を提供し、ここで、CARは、(例えば、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む)AFP p26に特異的に結合するDドメインを含む標的結合ドメインと、膜貫通ドメインと、(シグナル伝達ドメインを含む)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、p26結合DDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、NK細胞である。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。さらなる態様において、異なるCAR免疫細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせが、対象に投与される。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。いくつかの態様において、p26に特異的に結合するCAR免疫細胞の対象への投与は、(i)p26抗原決定基と(ii)対象のがん細胞によって発現される標的結合ドメイン(例えば、CD123)とを含むアダプターポリペプチドであって、アダプターが、がん細胞に対する細胞傷害効果をもたらす細胞傷害シグナルを生成するよう、CAR免疫細胞に指示または再指示する、アダプターポリペプチドの投与によるがんの処置に対して、対象を受容性にし、それによって、がんを処置する。CAR免疫細胞およびアダプターは、同時に、または任意の順序で連続的に投与され得る。いくつかの態様において、CAR免疫細胞およびアダプターは、同時に投与される。いくつかの態様において、CAR免疫細胞およびアダプターは、連続的に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、CAR免疫細胞の投与の後に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、CAR免疫細胞を以前に投与された対象に投与される。
【0603】
CAR T細胞が、がんを有する対象に投与される、いくつかの態様において、関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)の結合は、細胞内シグナル伝達を開始するようCAR T細胞を刺激する。さらなる態様において、関心対象の標的へのCAR T細胞の結合は、細胞内シグナル伝達を開始し、サイトカインを産生するよう、T細胞を刺激する。さらなる態様において、関心対象の標的へのCAR T細胞の結合は、細胞内シグナル伝達を開始し、サイトカインを産生し、脱顆粒し、がん細胞に対する細胞傷害効果をもたらすよう、T細胞を刺激する。いくつかの態様において、CAR T細胞は、関心対象の標的への結合に応答して増殖する。有利には、いくつかの態様において、CAR T細胞の活性は、T細胞消耗に関連する表現型を示すT細胞をもたらさない。いくつかの態様において、CAR T細胞の膜貫通ドメインは、CD8a、41BB、またはCD28を含み、細胞質ドメインは、T細胞受容体のα鎖、β鎖、またはζ鎖を含む。いくつかの態様において、細胞質ドメインは、SEQ ID NO:115、116、またはそれらの組み合わせの配列を含有する。いくつかの態様において、細胞質ドメインは、SEQ ID NO:117の配列を含有する。
【0604】
p26結合CAR免疫細胞およびアダプターポリペプチドが、がんを有する対象に投与される、いくつかの態様において、アダプターポリペプチドによってCAR免疫細胞を関心対象の標的(例えば、CD123)に向けることまたは向け直すことは、細胞内シグナル伝達を開始するよう、CAR免疫細胞を刺激する。さらなる態様において、アダプターポリペプチドを介してCAR免疫細胞を向けることまたは向け直すことは、細胞内シグナル伝達を開始し、サイトカインを産生するよう、免疫細胞を刺激する。さらなる態様において、CAR免疫細胞を関心対象の標的に向けることまたは向け直すことは、細胞内シグナル伝達を開始し、サイトカインを産生し、脱顆粒し、がん細胞に対する細胞傷害効果をもたらすよう、免疫細胞を刺激する。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、関心対象の標的への結合に応答して増殖する。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、NK細胞である。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。さらなる態様において、異なるCAR免疫細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせが、対象に投与される。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。有利には、いくつかの態様において、免疫細胞は、T細胞であり、CAR T細胞の活性は、T細胞消耗に関連する表現型を示すT細胞をもたらさない。いくつかの態様において、CAR T細胞の膜貫通ドメインは、CD8a、41BB、またはCD28を含み、細胞質ドメインは、T細胞受容体のα鎖、β鎖、またはζ鎖を含む。CAR免疫細胞およびアダプターは、同時に、または任意の順序で連続的に投与され得る。いくつかの態様において、CAR免疫細胞およびアダプターは、同時に投与される。いくつかの態様において、CAR免疫細胞およびアダプターは、連続的に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、CAR免疫細胞の投与の後に投与される。いくつかの態様において、アダプターは、CAR免疫細胞を以前に投与された対象に投与される。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:70~73または92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むp26結合DDを含む。いくつかの態様において、p26結合DDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。
【0605】
本明細書に開示される方法のいくつかの態様において、患者は、がんを有すると診断されており、標的細胞は、がん細胞である。一つの態様において、がん細胞は、前立腺がん細胞、乳がん細胞、結腸直腸がん細胞、肺がん細胞、骨肉腫細胞、または神経膠芽腫細胞である。したがって、いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、がんを処置する。いくつかの態様において、標的細胞は、内皮細胞である。
【0606】
処置され得るがんには、血管新生されていないか、または未だ実質的に血管新生されていない腫瘍が含まれ、血管新生された腫瘍も含まれる。がんは、非固形腫瘍(例えば、血液腫瘍、例えば、白血病およびリンパ腫)を含んでもよいか、または固形腫瘍を含んでもよい。処置されるがんの型には、細胞腫、芽細胞腫、および肉腫、ならびにある特定の白血病またはリンパ系悪性腫瘍、良性および悪性の腫瘍、ならびに悪性腫瘍、例えば、肉腫、細胞腫、および黒色腫が含まれるが、これらに限定されるわけではない。成人の腫瘍/がんおよび小児の腫瘍/がんも含まれる。
【0607】
別の態様において、本明細書に記載される方法は、血液がんを有する患者を処置するために有用である。血液(または血行)がんの例には、白血病、例えば、急性白血病(例えば、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、および骨髄芽球、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、および赤白血病)、慢性白血病(例えば、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、および慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(低悪性度型および高悪性度型)、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、ヘアリーセル白血病、ならびに骨髄異形成が含まれる。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、血液がんは、AMLである。いくつかの態様において、血液がんは、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)である。いくつかの態様において、血液がんは、B細胞性急性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ヘアリーセル白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。
【0608】
いくつかの態様において、がんは、再発した不応性がんである。いくつかの態様において、がんは、再発したがんである。いくつかの態様において、がんは、化学療法の後に再発したものである。いくつかの態様において、がんは、生物学的薬剤による処置の後に再発したものである。いくつかの態様において、生物学的薬剤は、治療用抗体またはCAR-T細胞である。いくつかの態様において、がんは、不応性がんである。いくつかの態様において、がんは、化学療法に対して不応性である。いくつかの態様において、がんは、生物学的薬剤による処置に対して不応性である。いくつかの態様において、生物学的薬剤は、治療用抗体またはCAR-T細胞である。
【0609】
いくつかの態様において、がんは、再発した不応性血液がんである。いくつかの態様において、がんは、再発した血液がんである。いくつかの態様において、がんは、化学療法の後に再発した血液がんである。いくつかの態様において、がんは、生物学的薬剤による処置の後に再発した血液がんである。いくつかの態様において、生物学的薬剤は、治療用抗体またはCAR-T細胞である。いくつかの態様において、がんは、自己由来骨髄移植の後に再発した血液がんである。いくつかの態様において、がんは、同種骨髄移植の後に再発した血液がんである。いくつかの態様において、がんは、造血幹細胞移植(HSCT)の後に再発した血液がんである。いくつかの態様において、HSCTは、自己由来HSCTである。いくつかの態様において、がんは、不応性血液がんである。いくつかの態様において、がんは、化学療法に対して不応性である血液がんである。いくつかの態様において、がんは、生物学的薬剤による処置に対して不応性である血液がんである。いくつかの態様において、生物学的薬剤は、治療用抗体またはCAR-T細胞である。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、血液がんは、AMLである。いくつかの態様において、血液がんは、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)である。いくつかの態様において、血液がんは、B細胞性急性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ヘアリーセル白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ナイーブT細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、メモリーT細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、AML細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、内皮細胞である。
【0610】
いくつかの態様において、がんおよび障害は、CD19、CD20、CD22、およびROR1を標的とするアダプターまたはCAR細胞を使用して処置され得る。1つの具体的な態様において、CAR、アダプター、および/またはCAR/アダプターの組み合わせは、CD22を標的とし、B細胞リンパ腫を処置するために使用される。別の態様において、CAR、アダプター、および/またはCAR/アダプターの組み合わせは、CD19を標的とし、プレB ALL(小児適応症)、成人ALL、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および同種骨髄移植後のサルベージを含むが、これらに限定されるわけではない、がんおよび障害を処置するために使用される。別の態様において、CAR、アダプター、および/またはCAR/アダプターの組み合わせは、CS1を標的とし、多発性骨髄腫を処置するために使用される。別の態様において、CAR、アダプター、および/またはCAR/アダプターの組み合わせは、BCMAを標的とし、多発性骨髄腫を処置するために使用される。別の態様において、CAR、アダプター、および/またはCAR/アダプターの組み合わせは、CS1およびBCMAを標的とし、多発性骨髄腫を処置するために使用される。
【0611】
いくつかの態様において、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を含むCAR免疫細胞を、治療的に有効な量、対象に投与する工程を含む、がんを有する対象を処置する方法を提供し、ここで、CARは、(例えば、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む)CD123に特異的に結合するDドメインを含む標的結合ドメインと、膜貫通ドメインと、(シグナル伝達ドメインを含む)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、T細胞である。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、NK細胞である。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞は、T細胞でもNK細胞でもない。さらなる態様において、異なるCAR免疫細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせが、対象に投与される。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。いくつかの態様において、CD123特異的Dドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123特異的DDは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、投与されるCAR免疫細胞の標的結合ドメインは、対象のがん細胞によって発現されるCD123に特異的に結合し、がん細胞に対する細胞傷害効果をもたらす細胞傷害シグナルを生成し、それによって、がんを処置するよう、CAR免疫細胞を誘導する。
【0612】
CAR T細胞が、がんを有する対象に投与される、いくつかの態様において、関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)の結合は、細胞内シグナル伝達を開始するようCAR T細胞を刺激する。さらなる態様において、関心対象の標的へのCAR T細胞の結合は、細胞内シグナル伝達を開始し、サイトカインを産生するようT細胞を刺激する。さらなる態様において、関心対象の標的へのCAR T細胞の結合は、細胞内シグナル伝達を開始し、サイトカインを産生し、脱顆粒し、がん細胞に対する細胞傷害効果をもたらすようT細胞を刺激する。いくつかの態様において、CAR T細胞は、関心対象の標的への結合に応答して増殖する。有利には、いくつかの態様において、CAR T細胞の活性は、T細胞消耗に関連する表現型を示すT細胞をもたらさない。いくつかの態様において、CAR T細胞の膜貫通ドメインは、CD8a、41BB、またはCD28を含み、細胞質ドメインは、T細胞受容体のα鎖、β鎖、またはζ鎖を含む。
【0613】
いくつかの態様において、投与されるCARは、がん細胞によって発現される関心対象の標的(例えば、CD123)に特異的に結合する2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDおよび/またはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。付加的な態様において、投与されるCARは、がん細胞によって発現される異なる関心対象の標的に特異的に結合する2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。付加的な態様において、投与されるCARは、異なるがん細胞または血管内皮細胞によって発現される異なる関心対象の標的に特異的に結合する2つ、3つ、4つ、5つ、または5つ超のDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。
【0614】
いくつかの態様において、投与される免疫細胞は、がん細胞によって発現される第2の関心対象の標的に特異的に結合するDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を有する第2のCARポリペプチドをさらに含む。いくつかの態様において、投与される免疫細胞は、異なるがん細胞または血管内皮細胞によって発現される第2の関心対象の標的に特異的に結合するDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を有する第2のCARポリペプチドをさらに含む。
【0615】
いくつかの態様において、CARを有する免疫細胞の投与は、静脈内である。他の態様において、CARを有する免疫細胞は、動脈内、筋肉内、局所、または所定の処置シナリオのため許容されるその他の経路を通して投与される。
【0616】
付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、(1)関心対象の細胞上または組織上の標的(例えば、腫瘍細胞上の腫瘍抗原)および(2)エフェクター細胞上の標的、例えば、T細胞受容体分子に結合する。一つの態様によると、DDpp融合タンパク質による1つまたは複数の標的の結合は、免疫応答を患者の関心対象の細胞、組織、またはその他の位置に向けるために使用される。例えば、いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、エフェクター細胞の表面上の標的に特異的に結合する。したがって、いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、T細胞の表面上の標的に特異的に結合する。具体的な態様において、DDpp融合タンパク質は、CD3に特異的に結合する。他の態様において、DDpp融合タンパク質は、CD2に特異的に結合する。さらなる態様において、DDpp融合タンパク質は、T細胞受容体(TCR)に特異的に結合する。付加的な態様によると、DDpp融合タンパク質は、ナチュラルキラー細胞の表面上の標的に特異的に結合する。したがって、いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2D)受容体に特異的に結合する。付加的な態様において、DDpp融合タンパク質は、CD16(即ち、FcγRIII)、CD64(即ち、FcγRI)、またはCD32(即ち、FcγRII)に特異的に結合する。
【0617】
一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、白血球上の標的および腫瘍細胞上の腫瘍抗原に結合する。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、NKG2Dに結合する。さらなる態様において、DDpp融合タンパク質は、NKG2D、ならびにCD123、ErbB2、EGFR、IGF1R、CD19、CD20、CD80、およびEPCAMより選択される標的に結合する。一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、CD3に結合する。具体的な態様において、DDppは、CD3εに特異的に結合する。一つの態様において、DDpp融合タンパク質は、CD4に結合する。
【0618】
一つの態様において、開示されたDDpp-CARは、形質導入された免疫細胞(例えば、T細胞および/またはNK細胞)を、DDpp-CARの結合特異性によって定義される腫瘍標的に向けるために使用される。一つの態様において、DD標的結合ドメインが、膜貫通ドメインと、CD3-ζ、CD28、41BBの細胞内ドメインと組み合わせられたCARをコードするレンチウイルスベクターによって、初代T細胞が形質導入される。したがって、結果として生じる形質導入されたT細胞の集団は、DDpp-CARによって媒介されるT細胞応答を誘発することができる。いくつかの態様において、T細胞は、DDpp-CARを発現するよう遺伝子改変され、DDpp-CAR T細胞が、その必要のあるレシピエントに注入される。さらなる態様において、注入された細胞は、レシピエントにおいて腫瘍細胞を死滅させることができる。DDpp-CARの特に有利な特性には、以下の利点のうちの1つ、いくつか、または全てが含まれる:(i)標的結合特異性、(ii)増強された治療的有効性、(iii)低下したオフターゲット副作用、(iv)特定の患者または患者集団のマーカーのためのカスタマイズ可能性、(v)作製中および加工中の増強された安定性、ならびに(vi)標的特異的治療を増強するため、1つ、2つ、またはそれ以上の特定の標的を標的とする能力。
【0619】
本明細書において提供されるDDpp-CAR改変型T細胞は、単独で投与されてもよいか、または希釈剤および/もしくは他の成分、例えば、化学療法薬、抗体、サイトカイン、もしくは細胞集団と組み合わせられた薬学的組成物として投与されてもよい。本明細書において提供される組成物は、好ましくは、複数回投与され得る静脈内投与のために製剤化される。
【0620】
いくつかの態様において、その必要のある患者において、免疫応答を標的細胞に送達する方法は、CD123に特異的に結合するDドメインを含み、T細胞上のT細胞受容体(TCR)複合体(例えば、CD3ε鎖)に特異的に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)をさらに含む、本明細書に記載されるDDpp融合タンパク質(例えば、抗体ベースのDDpp融合タンパク質)を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、その必要のある患者において、標的細胞を死滅させる方法は、CD123に特異的に結合するDドメインを含み、T細胞上のT細胞受容体(TCR)複合体(例えば、CD3ε鎖)に特異的に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)をさらに含む、本明細書に記載されるDDpp融合タンパク質(例えば、抗体ベースのDDpp融合タンパク質)を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、標的細胞は、CD123を発現する。いくつかの態様において、標的細胞は、がん細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、急性骨髄性白血病(AML)細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、骨髄異形成細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、B細胞性急性リンパ性白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ヘアリーセル白血病細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、ホジキンリンパ腫細胞である。いくつかの態様において、標的細胞は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)細胞である。いくつかの態様において、その必要のある患者において、がんを処置する方法は、CD123に特異的に結合するDドメインを含み、T細胞上のT細胞受容体(TCR)複合体(例えば、CD3ε鎖)に特異的に結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)をさらに含む、本明細書に記載されるDDpp融合タンパク質(例えば、抗体ベースのDDpp融合タンパク質)を患者に投与する工程を含む。いくつかの態様において、がんは、血液がんである。いくつかの態様において、血液がんは、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)、B細胞性急性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、または芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、血液がんは、AMLである。いくつかの態様において、血液がんは、骨髄異形成症候群(例えば、高リスク骨髄異形成症候群)である。いくつかの態様において、血液がんは、B細胞性急性リンパ性白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ヘアリーセル白血病である。いくつかの態様において、血液がんは、ホジキンリンパ腫である。いくつかの態様において、血液がんは、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)である。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、抗体ベースのDDpp融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、標的細胞上のCD123およびT細胞上のTCR複合体(例えば、CD3ε鎖)への同時結合を介して、標的細胞に対して細胞傷害効果を及ぼすことができる抗体ベースのDDpp融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、TCR複合体に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、scFv)を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、CD3に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、scFv)を含む。いくつかの態様において、DDpp融合タンパク質は、CD3ε鎖に結合する抗体またはその抗原結合断片(例えば、scFv)を含む。いくつかの態様において、CD123に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に特異的に結合するDドメインは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。本明細書において提供されるDDpp融合タンパク質(例えば、抗体ベースのDDpp融合タンパク質)は、単独で投与されてもよいか、または希釈剤および/もしくは他の成分、例えば、化学療法薬、抗体、サイトカイン、もしくは細胞集団と組み合わせられた薬学的組成物として投与されてもよい。本明細書において提供される組成物は、好ましくは、複数回投与され得る静脈内投与のために製剤化される。
【0621】
E. 分析的適用および診断的適用
単独でも、融合タンパク質としても、化学的コンジュゲートとしても、または本明細書に記載される他の態様としても、DDppは、多様な適用を有する。いくつかの態様において、DDppは、検出試薬、診断試薬、または分析試薬として使用される。いくつかの態様において、DDppは、多様な異なる試料型において、関心対象の標的の検出試薬として使用される。いくつかの態様は、インビボ、インビトロ、および/またはエクスビボの適用を有する。DDppをインビトロで用いる方法は、種々のフォーマットで、例えば、マイクロタイタープレート、タンパク質アレイ、バイオセンサー表面、組織切片、および当業者に明らかであろう付加的なフォーマットで実施され得る。
【0622】
いくつかの態様において、DDppは、標的を含有する試料において、関心対象の標的(例えば、CD123)に結合し、それを検出し、かつ/または定量化するために使用される。一つの態様において、本開示は、(a)標的/DDpp複合体が形成されるよう、DDppの標的への特異的結合に適した条件の下で、標的に特異的に結合するSEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含有するDDppと、試料を接触させる工程、ならびに(b)複合体および/または捕捉された標的の存在を検出する工程を含む、試料中の関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)を検出するための方法を提供する。いくつかの態様において、DDppは、固体支持体上に固定化される。いくつかの態様において、DDは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、DDppは、試料中のCD123またはCD123を含む融合タンパク質に結合し、それを検出し、かつ/または定量化するために使用される。
【0623】
(a)標的/DDpp複合体が形成されるよう、標的へのDDppの特異的結合に適した条件の下で、固体支持体上に固定化された、標的に特異的に結合するSEQ ID NO:8~33および74~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含有するDDppと、試料を接触させる工程、ならびに(b)標的/DDpp複合体および/または捕捉された標的の存在を検出する工程を含む、標的を含有する試料の中の関心対象の標的(例えば、CD123)を定量化するための方法も、提供され、ここで、生成物の定量的検出は、試料中の標的、または標的を含有する融合タンパク質の量を示すか、またはその他の方法でそれと相関させられ得る。
【0624】
一つの態様において、DDppは、製造過程、例えば、タンパク質発現に関与する溶液において、関心対象の標的を検出するために使用される。試料には、水、緩衝液、過程内の精製試料、原薬、および最終薬物生成物が含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。さらに付加的な態様において、DDppは、製造において使用される試料、例えば、給水源または水(またはその他の液体)から混入物質を検出するために使用され得る。
【0625】
別の態様において、DDppは、診断試料において、関心対象の標的を検出するために使用される。試料には、組織ホモジネート、細胞抽出物、生検試料、血清、血漿、リンパ液、血液、血液画分、尿、滑液、脊髄液、唾液、粘液、喀痰、胸水、乳頭吸引液、気道、腸管、および泌尿生殖器の液体、涙液、母乳、リンパ系に由来する液体、精液、脳脊髄液、臓器内系液(intra-organ system fluid)、腹水、腫瘍嚢胞液、羊水、ならびに培養細胞に由来する培地または溶解物が含まれ得るが、これらに限定されるわけではない。
【0626】
一つの態様において、DDppは、生物学的試料において、因子または複数の因子(例えば、抗原または生物)の存在を検出するために有用である。「検出」という用語は、本明細書において使用されるように、定量的または定性的な検出を包含する。ある特定の態様において、生物学的試料には、細胞、組織、または液体が含まれる。ある特定の態様において、そのような組織には、正常組織および/またはがん組織が含まれる。
【0627】
検出のための様々なフォーマットおよび技術は、当技術分野において公知であり、ウエスタンブロット分析、免疫組織化学、ELISA、FACS分析、酵素アッセイ、オートラジオグラフィ、および本明細書において言及される結合アッセイのうちの任意のものを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0628】
一つの態様において、(a)標的へのDDppの特異的結合に適した条件の下で、関心対象の標的に特異的に結合するDDppと、溶液を接触させる工程、ならびに(b)DDppおよび標的の結合を検出する工程を含む、標的を含有する溶液において、関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)を検出するための方法が提供される。DDppは、遊離型であってもよいか、または固定化されていてもよい。関心対象の標的とDDppとの間の結合を可能にするために十分な時間が与えられ、溶液または混合物の中の非結合成分が除去されるか、または洗い流される。次いで、DDppと関心対象の標的との結合複合体の形成が、例えば、結合複合体の1つの成分であるDDppの標識からのシグナルを検出することによって、検出され得る。標識は、標準的な方法によって検出され得るシグナルを生成する任意の標識、例えば、蛍光標識、放射性化合物、または基質と反応して検出可能なシグナルを生成する酵素であり得る。そのような目的に適した標識の例は、本明細書に記載されており、かつ/またはその他の方法で当技術分野において公知である。
【0629】
関心対象の標的、例えば、CD123またはAFP p26に結合するDDppは、例えば、WO00/70023および(Harlow and Lane(1989)Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory,pp.1-726)に記載される、当技術分野において公知の方法を使用して、放射性同位体、アフィニティ標識(例えば、ビオチン、アビジン等)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等)の使用を通して、検出可能に標識され得る。
【0630】
検出可能なマーカーまたは標識は、試料中の結合した検出可能な部分または標識の量を定量化するために使用され得る、測定可能なシグナル、例えば、質量の変化、放射性、発色性、発光性、または蛍光性のシグナルを直接的または間接的に生じることができる任意のものであり得る。当技術分野において公知の検出可能な標識には、重金属、放射性同位体、例えば、3H、14C、32P、35S、もしくは125I、電気化学発光標識(例えば、基質と組み合わせられたルテニウム(Ru)ベースの触媒等)、発光性もしくは生物発光性の標識(例えば、ユウロピウム、バナジウム)、蛍光性もしくは化学発光性の化合物、例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、もしくはルシフェリン、酵素(例えば、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、もしくは西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素)、比色定量標識、例えば、コロイド金、着色ガラス、もしくはプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス等)、常磁性原子もしくは磁性薬剤、高電子密度試薬、蛍光色素を含有するナノビーズもしくはマイクロビーズ、ナノ結晶、量子ドット、量子ビーズ、ナノタグ、蛍光標識付きデンドリマー、マイクロトランスポンダー、電子供与体分子もしくは分子構造、または光反射粒子が含まれ、微粒子は、ナノ結晶または量子ドットであり得る。ナノ結晶は、光子を吸収し、次いで、異なる波長の光子を再放出する物質(蛍光色素)である。さらに、付加的な蛍光標識または二次抗体が、ナノ結晶とコンジュゲートされてもよい。ナノ結晶は、InvitrogenおよびEvident Technologies(Troy,N.Y.)などの供給元から市販されている。他の標識には、紫外線(UV)照射を受けた時に生成物を与える非蛍光分子であるE)-5-[2-(メトキシカルボニル)エテニル]シチジン、強い蛍光シグナルを示す3-β-D-リボフラノシル-2,7-ジオキソピリド[2,3-d]ピリミジンが含まれる。
【0631】
競合的阻害は、当技術分野において公知の任意の方法、例えば、競合ELISAアッセイによって決定され得る。DDpp、例えば、DDpp融合タンパク質(例えば、DDpp-Fc、DDpp-CAR、DDpp-scFv)またはその他の分子は、所定のエピトープへの参照分子の結合をある程度阻止する程度に、そのエピトープに結合する場合、そのエピトープへの参照分子の結合を「競合的に阻害する」と言われる。本明細書において使用されるように、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)またはその他の分子は、所定のエピトープへの参照分子の結合を、例えば、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、または少なくとも20%、競合的に阻害すると言われ得る。「競合する」、「競合する能力」、および「と競合する」という用語は、本明細書に記載されているか、またはその他の方法で当技術分野において公知の標準的な競合アッセイ、例えば、以下に限定されるわけではないが、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、好ましくは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫放射測定アッセイ、蛍光イムノアッセイ、発光アッセイ、電気化学発光アッセイ、および免疫電気泳動アッセイなどの技術を使用した競合アッセイ系において決定される、DDpp、例えば、DDpp融合タンパク質(例えば、DDpp-Fc、DDpp CAR、DDpp-scFv、および抗体を含むDDpp)による、標的への参照分子の結合の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%の阻害を生じるDDpp、例えば、DDpp融合タンパク質を記載するために使用される相対的な用語である。候補結合分子の結合および親和性を決定するための方法は、当技術分野において公知であり、アフィニティクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、平衡透析、蛍光プローブ置換、およびプラズマ共鳴を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0632】
付加的な態様において、提供されたDDppは、タンパク質分析において使用される。いくつかの態様において、DDppは、検出可能な薬剤および/またはタグとコンジュゲートされる。いくつかの態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33および74~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の態様において、DDppは、SEQ ID NO:8~33および74~94からなる群より選択されるアミノ酸配列のバリアントを含む。いくつかの態様において、DDppは、検出可能な薬剤にコンジュゲートされる。一つの態様において、検出可能な薬剤は、色素原を含む。別の態様において、検出可能な薬剤は、蛍光色素を含む。付加的な態様において、検出可能な薬剤は、放射性核種を含む。いくつかの態様において、DDppは、共有結合によって、検出可能な薬剤とコンジュゲートされる。いくつかの態様において、DDppは、融合タンパク質である。付加的な態様において、DDppは、マルチマーである。付加的な態様において、DDppは、タグとコンジュゲートされる。いくつかの態様において、タグは、ポリヒスチジンタグ、mycタグ、およびFLAGタグからなる群より選択されるメンバーである。さらなる態様において、DDppは、タグの組み合わせ(例えば、ポリヒスチジンタグおよびFLAGタグ)とコンジュゲートされる。いくつかの態様において、DDppは、共有結合によってタグとコンジュゲートされる。いくつかの態様において、DDppは、融合タンパク質である。いくつかの態様において、DDppは、マルチマーである。
【0633】
製品
製品、例えば、キットが、本明細書において提供される。製品は、容器と、容器上の、または容器に関連付けられたラベルまたは添付文書とを含み得る。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、またはシリンジが含まれる。容器は、多様な材料、例えば、ガラスまたはプラスチックから形成されていてよい。容器は、1つまたは複数の本開示のDDpp、DDppをコードする核酸、および/またはベクター、または宿主細胞を保持する。ラベルまたは添付文書には、親和性に基づくスクリーニングおよび/または検出を実施するための説明が含まれ得る。
【0634】
DDppを含有するキットも、提供される。そのようなキットは、DDppが特異的に結合する関心対象の標的(例えば、CD123またはAFP p26)の検出を含むが、これに限定されるわけではない用途を有する。そのようなアッセイキットは、液体、例えば、生物学的液体(例えば、血液、血清、または滑液)における、関心対象の標的の存在のスクリーニング、および/または関心対象の標的の濃度の定量化において有用であり得る。
【0635】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるキットは、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、ここで、CARは、CD123に結合するDドメインと(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:62~66または67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:67のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、自己由来免疫細胞である。いくつかの態様において、CAR免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0636】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるキットは、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、ここで、CARは、AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するscFvを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:74~93および94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:70~73または92~94のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDDは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:68のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CARは、SEQ ID NO:69のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、免疫細胞は、自己由来細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0637】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるキットは、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞を含み、ここで、CARは、AFP p26抗原決定基(AD)と(ii)膜貫通ドメインと(iii)細胞内ドメインとを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、細胞は、免疫細胞である。いくつかの態様において、細胞は、免疫エフェクター細胞である。いくつかの態様において、細胞は、T細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの態様において、免疫細胞は、自己由来細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、同種免疫細胞である。
【0638】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるキットは、(a)CD123に結合するDドメイン(DD)と(b)抗原決定基(AD)とを含むアダプターを含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する単一のDドメインを含む1価アダプターである。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する2つのDドメインを含む2価アダプターである。いくつかの態様において、CD123に結合する2つのDドメインは、同じである。いくつかの態様において、CD123に結合する2つのDドメインは、異なる。いくつかの態様において、アダプターは、CD123に結合する第1のDドメインと、第2のADに結合する第2のDドメインとを含む2価アダプターである。いくつかの態様において、第2のADは、CD33またはLeYである。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む2つの同一のDドメインを含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む2つの同一のDドメインを含む。いくつかの態様において、アダプターは、AFP p26抗原決定基(AD)を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:50~54または55のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:50のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、2価アダプターは、SEQ ID NO:56~60または61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、1価アダプターは、SEQ ID NO:61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。
【0639】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるキットは、(a)CD123に結合するDドメインと(b)AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8~33、99、および100からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:8、13、14、31、32、および33からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、CD123に結合するDドメインは、SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26 ADに結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。
【0640】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるキットは、(a)標的細胞の標的抗原決定基(AD)に結合する第1の抗原決定基結合ドメイン(ADBD)と(b)AFP p26 ADに結合する抗原決定基結合ドメイン(ADBD)とを含むアダプターを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37~43および44からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADは、SEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するADBDは、AFP p26に結合するDドメインを含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:70~73および92~94からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、AFP p26 ADに結合するDドメインは、SEQ ID NO:73のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、アダプターは、1つまたは複数のリンカーを含む。
【0641】
一つの態様において、関心対象の標的に特異的に結合するDDppの1つまたは複数の容器を含み、任意で、標的/DDpp相互作用の有無またはその欠如を決定するための検出手段を含むDDppアッセイキットが、企図される。キットは、任意で、例えば、対照または標準として使用され得る、関心対象の標的タンパク質(例えば、BCMA、CD123、CD33、CD38、LeY、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)をさらに含有する。DDppは、遊離型であってもよいか、または宿主細胞の表面もしくはバクテリオファージの表面に発現されていてもよい。具体的な態様において、キットにおいて提供されるDDppまたは関心対象の標的は、標識されている。当技術分野において公知の任意の標識が使用され得る。いくつかの態様において、標識は、ビオチン、フルオロゲン、酵素、エピトープ、色素原、または放射性核種からなる群より選択される。いくつかの態様において、DDppは、固体支持体上に固定化される。標識を検出するために用いられる検出手段は、標識の性質に依存し、当技術分野において公知の任意のもの、例えば、放射性核種を検出するためのフィルム;関心対象の標的の存在を検出するための検出可能シグナルを生じるか、または増幅する酵素基質であり得る。
【0642】
好ましくは、キットは、DDppのための固体支持体をさらに含み、固体支持体は、別々の要素として提供されてもよいか、または関心対象の標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、もしくはAFP p26)に特異的に結合するDDppが固定化されている。したがって、キット内の関心対象の標的に特異的に結合するDDppは、固体支持体上に固定化されていてもよいか、または、キットと共に含まれるか、もしくはキットとは別に提供されるそのような支持体に固定化されてもよい。好ましくは、DDppは、マイクロタイタープレート上にコーティングされている。いくつかの態様において、検出は、シグナル増幅分子を含む。シグナル増幅分子が酵素である場合、キットは、任意で、酵素によって必要とされる基質および補因子をさらに含み、増幅分子がフルオロフォアである場合、キットは、任意で、検出可能な発色団を提供する色素前駆物質をさらに含む。
【0643】
キットは、アッセイを実施するための説明書、ならびに他の添加剤、例えば、安定化剤、洗浄緩衝液、およびインキュベーション緩衝液等も含有し得る。キットの成分は、予め決定された比率で提供され、様々な試薬の相対量は、アッセイの感度を実質的に最大化する、試薬の溶液中の濃度を提供するため、適切に変動させられる。具体的には、試薬は、溶解によって、試験される試料と合わせるための適切な濃度を有する試薬溶液を提供する、賦形剤を含む、一般的には、凍結乾燥された、乾燥粉末として提供され得る。
【0644】
使用され得る結合アッセイのための様々なフォーマットおよび技術は、当技術分野において公知であり、フィルター、例えば、ナイロンまたはニトロセルロースへの固定化;二次元アレイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、競合結合アッセイ、直接型および間接型のサンドイッチアッセイ、免疫沈降アッセイ、フルオロメトリック・マイクロボリューム・アッセイ・テクノロジー(fluorimetric microvolume assay technology)(FMAT(商標))、Luminex(商標)システムアッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、エレクトロイムノアッセイ、AlphaScreen(商標)、ナノ粒子由来技術、ならびに表面プラズモン共鳴(SPR)を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0645】
結合アッセイは、ホモジニアスまたはセミホモジニアスであり得る。ホモジニアスアッセイとは、全ての成分が共に混合され、インキュベートされ、次いで、分析されるアッセイである。セミホモジニアスアッセイとは、各成分が添加され、次いで、洗い流された後に、次の成分が添加される典型的なステップワイズ・アセンブリ・サンドイッチアッセイとは対照的に、反応の大部分が複雑な混合物として実施されるが、最終試薬の添加および分析の前に洗浄工程が必要とされるものである。いくつかの態様において、アッセイは、イムノアッセイである。ある特定の態様において、アッセイは、セミホモジニアス酵素イムノアッセイ(EIA)である。
【0646】
本開示の様々な態様を、それらに従って実施された実験の説明を通して、以下に例示する。以下の実施例は、開示された態様の実施を容易にするために提供されるものであり、開示の残りの部分を限定するものと解釈されるべきでは決してない。実施例において、添付の図面が参照される。
【実施例】
【0647】
実施例1. CD123に対する増加した親和性を有するバリアントDドメインの単離
例示的な関心対象の標的に結合するDドメインの単離および特徴決定、Dドメインを含むDドメイン融合ポリペプチドの作製および特徴決定、Dドメインを含むアダプターの作製および特徴決定、Dドメインを含むCARの作製および特徴決定、CARを発現する免疫細胞の作製および特徴決定、アダプターを含む場合または含まない場合の、CARを発現する細胞の細胞傷害活性の特徴決定のための方法は、例えば、事実上、参照により本明細書に各々組み入れられる、国際出願公開WO 2016164305、同WO 2016164308A1、同WO 2019099440、および同WO 2019099433、米国特許第10,662,248号、同第10,647,775号、および同第11,008,397号に開示されている。
【0648】
Dドメインの標的抗原(例えば、CD123)に対する親和性を改善するための方法には、既存のアミノ酸配列の変異誘発が含まれ得る。これらの変異は、特定のアミノ酸に向けられてもよいか、または配列全体にランダムに分布してもよい。変異させられたDドメインは、その後、具体的な適用または機能に関連する結合特徴、タンパク質発現、またはその他の生物学的活性の変化についてアッセイされ得る。ランダム変異を導入する1つの方法は、エラープローンPCR(EP-PCR)を通したものである。CD123特異的8W9C Dドメイン配列(SEQ ID NO:4)に変異を導入するため、このアプローチを使用した。簡単に説明すると、シグナルペプチド、リンカーペプチド、および制限酵素部位を任意で含む、Dドメインおよび隣接領域をコードするヌクレオチド配列を、エラープローンPCR酵素(例えば、Mutazyme II,Agilent Technologies)によってPCR増幅した。1回または複数回の連続的な増幅の後に、PCR産物を、適切な制限酵素によって消化し、(1)MBPライブラリを生成するための、マルトース結合タンパク質(MBP)融合発現ベクター、または(2)バクテリオファージライブラリを生成するための、ファージpIIIタンパク質融合発現ベクターのいずれかの対応する部位にライゲートさせた。
【0649】
親Dドメインおよび変異型バリアントDドメインを、抗生物質および0.2%グルコースを含有するルリアブロスにおける37℃での4時間のIPTG(イソプロピルチオ-β-ガラクトシド)誘導によって、またはMagicMedia(Life Technologies)を使用した30℃での16時間の自己誘導を通して、大腸菌(T7 Express,New England Biolabs)においてMBP融合物として発現させた。誘導後、細胞をペレット化し、洗浄し、200mM Tris pH 7.5および20mM EDTAを含む「リークアウト緩衝液」に再懸濁させた。30℃での16時間のインキュベーションの後、MBP融合タンパク質を含有する上清を、標的結合および発現の両方について、ELISAによってアッセイした。0.0032ug/mlの抗MBPポリクローナル抗体(Abcam)でコーティングされた96穴Immulon 4HBXマイクロタイタープレートに、上清を添加した。続いて、洗浄し、CD123結合を査定するためのCD123-Fc(Sino Biological)+抗ヒトFc HRP(Abcam)、またはMBP融合タンパク質の発現を査定するための抗MBP-HRP(New England Biolabs)のいずれかによって、結合したMBP融合タンパク質を検出した。
図1に示されるように、8W9C(SEQ ID NO:4)の変異バリアントは、様々な親和性でCD123に結合する(y軸)。8W9C、5S5W(SEQ ID NO:97)、および5B7L(SEQ ID NO:98)は、それぞれ、親、低親和性、および高親和性の対照Dドメインである。変異は、可変性の抗MBP検出シグナル(x軸)によって示されるように、ドメインの発現にも影響を与え得る。
【0650】
増強されたCD123結合をスクリーニングにおいて示したMBP融合物の選択されたクローンを、タンパク質濃度についてノーマライズし、ELISAにおいて、段階希釈によって、CD123への結合についてさらに査定した。
図2および3に示されるように、6Z5E(SEQ ID NO:6)(即ち、8W9C(N50S))、4H2H(SEQ ID NO:30)(即ち、8W9C(K48I、K55N))、および1J1K(SEQ ID NO:7)(即ち、8W9C(G8S))を含む、いくつかのバリアントは、親8W9C配列より高い親和性で、CD123に結合する配列を表す。
【0651】
あるいは、8W9Cの変異型バリアント(SEQ ID NO:4)を、スクリーニング前に、さらなる進化的選択に供した。そのため、8W9Cの変異型バリアントを、Dドメインと短縮型pIIIとのN末端融合物をコードするM13ファージディスプレイライブラリとしてクローニングした。最初にBT-tris-NTA-ビオチンに結合させられ、続いて、M-280ストレプトアビジンDynabeads(Invitrogen)によって捕捉される、ビオチン化組換えヒトCD123-His(Sino Biological)による2ラウンドの結合選択に、結果として生じたファージライブラリを供した。パニングの連続的なラウンドは、0.1% Tween 20と共に、10nMおよび5nMのCD123-HIS抗原を使用した。結合したファージを、300μlのリン酸緩衝液中の500mMイミダゾールの添加によって溶出させ、VCSM13ヘルパーファージ(Agilent Technologies)によって、TG1細胞(Lucigen)において繁殖させた。次いで、各ラウンドからの増幅されたアウトプットファージを、PEG/NaClで沈殿させ、次のラウンドのためのインプットライブラリとして用いるため、PBSに再懸濁させた。
【0652】
2ラウンドの選択の後、ファージアウトプットを、最初に、MBP融合ライブラリとしてサブクローニングし、その後、スクリーニングした。MagicMedia(Life Technologies)を使用して、30℃で16時間の自己誘導を通して、BL21(DE3)大腸菌(New England Biolabs)においてMBP融合物として発現された個々のMBPクローン。誘導後、細胞をペレット化し、洗浄し、200mM Tris ph7.5、20mM EDTA(リークアウト緩衝液)に再懸濁させた。30℃での16時間のインキュベーションの後、MBP融合物を含有する上清を、ELISAによって、結合および発現の両方についてアッセイした。0.2ug/mlの抗MBPポリクローナル抗体(Abcam)でコーティングされた96穴Immulon 4HBXマイクロタイタープレートに上清を添加した。続いて、洗浄し、CD123結合を査定するためのCD123-HIS(Sino Biological)+抗HIS-HRP(BioLegend)によって、結合したMBP融合物を検出した。変異0N5N(SEQ ID NO:99)(即ち、8W9C(I59L))および1H3C(SEQ ID NO:100)(即ち、8W9C(K46E))は、親ドメイン8W9Cより高い親和性をCD123に対して有することが見出された(示されないデータ)。
【0653】
Qinら(Mol Ther.27(7):1262-1274(2019))に記載された方法を用いて、8W9C(SEQ ID NO:4)親CD123結合Dドメインを脱免疫化し、6T1D(SEQ ID NO:5)Dドメインを得た。簡単に説明すると、クラスIIエピトープの同定のための仮想マトリックスベース予測アルゴリズムを使用して、8W9C配列をT細胞エピトープについてスクリーニングした(Singh and Raghava,Bioinformatics.17(12):1236-7(2001))。高親和性エピトープを、6%閾値以下に存在するものとして定義した。全部で51のMHC HLA-DR対立遺伝子をスクリーニングした。プロミスキャスエピトープを、17以上のヒットを有するものとして定義した。定義されたように、8W9Cは、Y12、W16、およびI63に位置する3つの高親和性プロミスキャスエピトープを有する。クローン6T1Dは、高親和性プロミスキャスエピトープの数をゼロにする、3つの変異R17Q、S24T、S65Eの導入を通して生成された。これらの変異は、ドメインのCD123に対する親和性に有意な影響を与えるためではなく、可能性のあるMHCタイプII T細胞エピトープを除去するためのものであった。
【0654】
8W9C(SEQ ID NO:4)に関して同定された親和性増強変異を、6T1Dの脱免疫化変異と組み合わせて、増強された親和性を有する一連の脱免疫化バリアントを作製した。したがって、3F4N(SEQ ID NO:8)、6Y7D(SEQ ID NO:9)、5M5U(SEQ ID NO:10)、4R8U(SEQ ID NO:11)、1F9I(SEQ ID NO:12)、0C8S(SEQ ID NO:13)、および5B1Q(SEQ ID NO:14)のDドメインは、予測されるMHCタイプIIによって媒介される免疫原性の増加なしに、6T1Dより高い親和性でのCD123結合を示す変異の組み合わせを表す。例えば、5残基の交換(即ち、G8S、L21Q、K48E、N50S、I59L)によって6T1Dから誘導された5B1Q(SEQ ID NO:14)は、6T1Dと比較可能な予測される免疫原性を有しながら、6T1Dと比べておよそ10倍の親和性の増強を示す。
【0655】
CD123結合の動態を査定するため、Dドメインを含むアダプタータンパク質を、バイオレイヤー干渉法(BLI)を使用して分析した。CD123結合DドメインとP26(Q26-V229)AFPポリペプチド(SEQ ID NO:39)とを含むアダプタータンパク質を、HEK-293細胞の一過性トランスフェクションを通して生成し、続いて、Ni-Sepharose Excel(Cytiva)およびSECクロマトグラフィを行った。BLI実験は、Octet RED386(Sartorius)を使用して実施された。全ての実験が、25℃で、動態緩衝液(PBS、0.1% BSA、0.02% tween 20)において、一定の1000rpmでの撹拌下で実施された。CD123-Fc(20nM)を、約0.8nmの負荷密度で、250秒間、AHCセンサー(Sartorius)に捕捉した。結合親和性を測定するため、センサーを、500nM~0.69nM(3倍希釈系列)の範囲の濃度のアダプタータンパク質に300秒間浸漬し、次いで、600秒間、動態緩衝液に戻した。10秒間の10mMグリシン(pH 1.5)に続く動態緩衝液の3ラウンドによって、表面を再生させた。Sartorius Octet Analysis studioの1:1相互作用モデルによるグローバルフィットを使用して、データを分析した。代表的なCD123親和性測定を以下に示す。
【0656】
(表3)代表的な変異バリアントのCD123結合親和性
【0657】
8W9C(SEQ ID NO:4)Dドメインのバリアントを含むアダプタータンパク質を、CD123発現標的細胞への結合についてさらに査定した。全ての工程を、氷上でFCS緩衝液(FBS+3%BSA)において実施した。CD123を発現するOCI-AML2細胞(1e6/ml)を、FCS緩衝液中で20分間ブロッキングし、次いで、100、33、11、3.7、1.2、0.41、0.14、および0.046ug/mlの濃度のHISタグ付きアダプタータンパク質と共に30分間インキュベートした。細胞をFCS緩衝液で2回洗浄し、次いで、Human TruStain FcX Fc受容体ブロッキング溶液(Biolegend)との10分間のインキュベーションによってFc受容体をブロッキングし、その直後にAF647-抗HIS抗体(Biolegend)によって30分間検出した。細胞をFCS緩衝液で2回洗浄し、次いで、直ぐに、FACSCelesta(BD)フローサイトメーターで実行した。フローサイトメトリーデータを、FlowJoソフトウェアを使用して分析し、MFIを平均蛍光強度として定義した。
図4に示されるように、組換えCD123結合との増強された結合についてのスクリーニングを通して同定された変異(例えば、G8S、K48E、N50S、I59L)は、腫瘍細胞の表面に発現されたネイティブCD123への結合の増強を促進する。
【0658】
実施例2. CD123に対する増加した親和性を有するバリアントDドメインのインビトロ活性
アダプタータンパク質の生物学的活性を増強するため、8W9C(SEQ ID NO:4)に関して同定された親和性増加変異の影響を査定するため、T細胞レポーターアッセイを実施した。ルシフェラーゼレポーター遺伝子にカップリングされたNFATエンハンサーを含有するCignal Lenti NFATレポーター(Qiagen)によってJurkat E6.1細胞株(Sigma)を形質導入することによって、Jurkat NFAT(活性化T細胞核内因子)レポーター細胞株(JNL10)を生成した。NFATシグナル伝達活性を査定するため、8G8V(SEQ ID NO:70)p26 AFP結合Dドメインを含む8G8V-CAR(SEQ ID NO:69)をコードする構築物によって、電気穿孔によって、JNL10レポーター細胞をトランスフェクトし、12穴プレートにおいて37℃で一晩培養した。翌日、10μlの培養培地で希釈された、p26ポリペプチドと、6T1D、3F4N、または4R8U Dドメイン(それぞれ、SEQ ID NO:101、102、および103)とを含む、滴定されたCD123特異的アダプタータンパク質と共に、96穴プレートにおいて、100μlの培養培地において、37℃で5時間、およそ1:1の比率で、電気穿孔されたJNL10細胞を、CD123+MOLM13細胞またはCD123-MOLM13細胞のいずれかと共培養した。5時間のインキュベーションの後、NFATによって媒介されるシグナル伝達の活性を、Bright-Gloルシフェラーゼ基質(Promega)の添加、およびプレートリーダーを使用した相対発光単位(RLU)の測定によってモニタリングした。JNL10/8G8V-CAR細胞は、用量特異的かつ標的特異的に、アダプターによって活性化される(
図5および6)。さらに、JNL10/8G8V-CAR T細胞は、より高い親和性でCD123に結合するDドメイン、例えば、3F4N(SEQ ID NO:8)および4R8U(SEQ ID NO:11)を含むアダプタータンパク質によって、親Dドメイン(6T1D)と比較して低い濃度で、活性化される。
図6に示されるように、標的細胞によるCD123発現の非存在下で、JNL10/8G8V-CAR T細胞活性化は観察されなかった。
【0659】
サイトカイン産生は、T細胞活性化の代替的な尺度となり得る。96穴プレートにおいて、(活性化7日後の)8G8V-CAR(SEQ ID NO:69)を発現するT細胞を、MOLM13-GFP/Luc標的細胞と共に培養することによって、サイトカイン産生を査定した。24時間後、培養上清を収集し、Ready-Set-GoヒトIL2およびIFNγアンコーティング(uncoated)ELISAキット(eBioscience/ThermoFisher)によって、サイトカイン産生を査定した。培養上清を、ELISAの前に1:5希釈した。CD123を発現するMOLM13標的細胞の存在下で、CD123特異的アダプタータンパク質は、8G8V-CARを発現する初代T細胞によるIL-2(
図7)およびIFNγ(
図8)の用量依存的かつ親和性依存的な産生を促進する。さらに、親Dドメイン(6T1D)を含むアダプターと比較して、より高い親和性でCD123に結合するDドメイン、例えば、3F4N(SEQ ID NO:8)および4R8U(SEQ ID NO:11)を含むものは、より低いアダプター濃度で、より多くのサイトカインを産生するよう、8G8V-CAR T細胞を刺激した。
【0660】
ファージライブラリ選択後のスクリーニングを通して同定された付加的な変異(例えば、G8S、L21Q、およびI59L)を、前記において提示されたもの(6T1D(K48E、N50S))と組み合わせて、0C8S(SEQ ID NO:13)(即ち、6T1D(G8S、K48E、N50S、I59L))および5B1Q(SEQ ID NO:14)(即ち、6T1D(G8S、L21Q、K48E、N50S、I59L))のDドメインを作製した。アダプターに組み込まれた時、これらのDドメインは、NFAT活性化(
図9)、標的細胞溶解(
図10)、ならびにIFNγ(
図11)およびIL-2(
図12)の産生によって測定されるように、親バリアントより強力である。
【0661】
Dドメインの親和性と結合価との組み合わせは、CD123特異的アダプタータンパク質のダイナミックレンジをさらに広げるために使用され得る。親6T1D(SEQ ID NO:5)Dドメイン、または高い親和性が組み込まれたバリアント(例えば、5B1Q(SEQ ID NO:14))、または低親和性(例えば、4G0D(SEQ ID NO:32))バリアントを用いて、1価および2価の両方のフォーマットで、アダプタータンパク質を生成した。これらの組み合わせを、上昇したレベルのCD123を発現するNALM6細胞株(NALM6-CD123+)のクローンを使用して査定した。
図13に示されるように、初代8G8V-CAR(SEQ ID NO:69)発現T細胞によるNALM6-CD123+細胞の溶解は、CD123結合アダプタータンパク質の用量(濃度)、結合価(1価または2価)、および親和性(高、中、または低)によってモジュレートされ得、集合的に、EC50は3logに及ぶ。低親和性(例えば、4G0D)Dドメインは、2価アダプターフォーマットに組み込まれた時、有効性の最大の増加を示す。しかしながら、高親和性5B1Q Dドメインを含む1価アダプターは、6T1D Dドメインを含む2価アダプターより強力である。
【0662】
実施例3. CD123に対する増加した親和性を有するバリアントDドメインのインビボ活性
8W9C(SEQ ID NO:4)Dドメインの親和性増強型バリアントを含むアダプターのインビボ有効性を、MOLM14-GFP/ルシフェラーゼ腫瘍モデルを使用して査定した。腫瘍細胞(5×10
6個)を、NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJマウス(Jackson Laboratories)の静脈内尾静脈注射を介して生着させた。腫瘍生着の6日後、マウスに5×10
6個のCD123特異的Dd-X-CAR発現CD3欠損T細胞または5×10
6個のユニバーサル8F7S-CAR(SEQ ID NO:107)発現CD3欠損T細胞のいずれかの単一用量を投与した。ネイティブT細胞を、Dd-X-CARまたは8F7S-CARをコードするレンチウイルスベクター、およびTCRβ鎖の定常領域を標的とするgRNAをコードするLentiCRISPRv2構築物によって形質導入した。7日間の増大の後に、残存するCD3+/TCRαβ+T細胞を枯渇させ、CD3-細胞を増大させた。8F7S-CAR-T細胞を受容したマウスに、28日間、陰性対照a3D-アダプター(SEQ ID NO:105)を、1mg/kg、i.p.、q.o.d.で投与するか、またはCD123特異的Dd-X-アダプターを、1mg/kg、i.p.、q.d.、1mg/kg、i.p.、q.o.d.、もしくは0.3mg/kg、i.p.、q.o.d.で投与した(
図14)。動物を、処置中およびアダプター中止後に、腫瘍負荷についてモニタリングした。腫瘍負荷は、3mg D-ルシフェリン(Caliper Life Sciences)の腹腔内注射と、その4分後の、Xenogen IVIS Lumina(Caliper Life Sciences)および1分間の露光時間による蛍光イメージングによって測定された。各マウスの生物発光シグナルフラックス(光子/s/cm
2/sr、10
5~10
7のスケール)を分析するため、Living Image Version 4.3.1 SP2ソフトウェア(Caliper Life Sciences)を使用した。蛍光フラックスによって測定されたように、ユニバーサル8F7S-CAR T細胞と組み合わせて、高親和性1価CD123特異的アダプタータンパク質を使用した腫瘍コントロールは、CD123特異的CAR T細胞処置群と比較可能である。処置は、アロ反応性の助けなしに、スケジュール依存的かつ用量依存的に、播種性MOLM14腫瘍の完全な退縮をもたらした。
【0663】
8W9C(SEQ ID NO:4)Dドメインの親和性増強型バリアントを使用したT細胞ベースの処置は、動物モデルにおいて、用量依存的に、播種性MV4-11腫瘍の完全な退縮をもたらした。NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJマウス(Jackson Laboratories)に、5×10
6個のMV4-11腫瘍細胞を生着させた。腫瘍生着の15日後に、5×10
6個のCD123特異的Dd-X-CAR発現CD3欠損T細胞または5×10
6個のユニバーサル8F7S-CAR(SEQ ID NO:107)発現CD3欠損T細胞のいずれかの単一用量をマウスに投与した。8F7S-CAR-T細胞を受容したマウスに、28日間、陰性対照a3D-アダプター(SEQ ID NO:105)を1mg/kg、i.p.、q.d.で投与するか、またはCD123特異的Dd-X-アダプターを1mg/kg、i.p.、q.d.、0.3mg/kg、i.p.、q.d.、もしくは0.1mg/kg、i.p.、q.d.で投与した(
図15)。動物を、処置中およびアダプター中止後に腫瘍負荷についてモニタリングした。蛍光フラックスによって測定されたように、ユニバーサル8F7S-CAR T細胞と組み合わせられた高親和性1価CD123特異的アダプタータンパク質を使用した腫瘍コントロールは、CD123特異的CAR T細胞処置群と比較可能である。処置は、スケジュール依存的かつ用量依存的に播種性MV4-11腫瘍の完全な退縮をもたらした。
【0664】
8W9C(SEQ ID NO:4)Dドメインの親和性増強型バリアントを使用したT細胞ベースの処置は、複数の患者由来AML異種移植片(PDX)を除去するか、またはコントロールした。AML-PDXモデルの生成:AML細胞の接種の前に、動物に致死線量以下の150cGyの全身照射を照射し、続いて、患者の白血球アフェレーシスの凍結保存標本に由来する2×10
6個のヒトT細胞枯渇AML細胞を移入した。レシピエント系統(NOG、NOG-EXL、およびNCG)は、以前に確立されており、患者および疾患の特徴と共に
図16に示される。動物が20%以上の骨髄内ヒト腫瘍細胞生着を示す時間域を定義するため、モデル生着動態を確立した。各モデルについて、AML負荷分析のための骨髄を収集するため、動物の代理コホート(n=3~5)を、推定生着域前の間欠的な時点で屠殺した。代理動物が、サンプリングされた動物の平均20%以上の生細胞の%hCD45+として定義される骨髄内生着基準を達成した時、研究前の動物の残りを、処置開始のため、体重に基づき無作為化した。全ての研究対象動物が、健常ドナーT細胞から生成された8F7S-CAR-T細胞の単一用量を受容し、続いて、3mg/kgの陰性対照a3DまたはCD123特異的Dd-Xアダプターのいずれかの1日1回のIP注射を14日間受容した。処置開始後14日目に、フローサイトメトリー分析のための骨髄を収集するため、全ての群の動物を安楽死させた。生着AML細胞(hCD45+CD3-)を表す骨髄内の生細胞の割合を、全ての研究対象動物について決定した。
【0665】
引用された全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、および(ポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列の両方を含む)アクセッション番号/データベース配列は、個々の出版物、特許、特許出願、インターネットサイト、またはアクセッション番号/データベース配列が、各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれると具体的に個々に示されたのと同じ程度に、事実上、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0666】
前記において開示された具体的な特色および局面の様々な組み合わせまたは部分的組み合わせが作成され得、それらも本開示に包含される態様の範囲内に含まれることが企図される。さらに、ある態様に関連する任意の具体的な特色、局面、方法、特性、特徴、品質、属性、要素等の開示は、本明細書に記載される他の全ての態様において使用され得る。したがって、開示された態様の様々な特色および局面は、開示された態様の変動するモードが形成されるよう、相互に組み合わせられてもよいか、または相互に置換されてもよいことが理解されるべきである。したがって、本開示に包含される態様の範囲は、本明細書に記載される具体的な開示された態様によって限定されるものではないことが意図される。さらに、包含される態様は、様々な改変を受けることができ、代替的な形態、その具体例は、図面に示され、本明細書において詳細に説明されている。しかしながら、本開示の範囲は、開示された具体的な形態または方法に限定されるものではなく、反対に、本開示は、記載された様々な態様および添付の特許請求の範囲の本旨および範囲に含まれる全ての改変物、等価物、および代替物をカバーすることが理解されるべきである。本明細書に開示される方法は、記載された順序で実施される必要はない。本明細書に開示される方法には、実行者によって取られるある特定の行為が含まれるが、それらには、明示的または暗示的に、これらの行為の第三者による指示も含まれ得る。例えば、「DDpp-CARを含むT細胞を投与すること」などの行為には、「DDpp-CARを含むT細胞の投与の指示」が含まれる。さらに、本開示の特色または局面がマーカッシュ群によって記載される場合、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループによっても本開示が記載されることを、当業者は認識するであろう。
【0667】
本明細書に開示される範囲は、それらの任意の全ての重複、部分範囲、および組み合わせも包含する。「まで」、「少なくとも」、「より多い」、「より少ない」、「間」等の語には、記載された数が含まれる。「約」または「およそ」などの用語が前に付いた数には、記載された数が含まれる。例えば、「約10ナノメートル」には、「10ナノメートル」が含まれる。
【配列表】
【国際調査報告】