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特表2024-544566ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原の発現の為のレンチウイルスベクター、並びにHPV誘発癌の処置におけるその実施
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原の発現の為のレンチウイルスベクター、並びにHPV誘発癌の処置におけるその実施
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/867 20060101AFI20241126BHJP
   C12N 15/49 20060101ALI20241126BHJP
   C07K 14/16 20060101ALI20241126BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20241126BHJP
   C12N 9/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20241126BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
C12N15/867 Z ZNA
C12N15/49
C07K14/16
C12N7/01
C12N9/00
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 121
A61K35/76
A61K48/00
A61K45/00
A61K39/395 N
A61K39/395 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528594
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2022081839
(87)【国際公開番号】W WO2023084094
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】21306581.6
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】63/279,945
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】22306119.3
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】524179787
【氏名又は名称】セラベクティス
(71)【出願人】
【識別番号】515299461
【氏名又は名称】アンスティチュ パスツール
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100166718
【弁理士】
【氏名又は名称】石渡 保敬
(72)【発明者】
【氏名】シャルノー,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】アンナ,フランソワーズ
(72)【発明者】
【氏名】モンコック,ファニー
(72)【発明者】
【氏名】ノワラ,アマンディーヌ
(72)【発明者】
【氏名】マジレッシ,ラレー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥゲ,レティシア
(72)【発明者】
【氏名】ファート,イングリッド
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA43
4B065CA44
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA16
4C084MA17
4C084MA55
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB072
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA04
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA16
4C087MA17
4C087MA55
4C087MA59
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA10
4H045CA01
4H045DA86
4H045DA89
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、HPV抗原をコードする少なくとも4つの異なる核酸配列を含むレンチウイルスベクター、特には非統合性のレンチウイルスベクター、に、上記のベクターを含むレンチウイルスベクター粒子に、上記のレンチウイルスベクター又は上記のレンチウイルスベクター粒子を含む単離された細胞、並びに上記のレンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞を含むワクチン組成物に関する。本発明は、HPV誘発癌の処置又は予防においてそれらを実装することに更に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、及び、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列
からなる群から選択される少なくとも4つの異なる核酸配列を含むレンチウイルスベクター、特には非統合性のレンチウイルスベクター。
【請求項2】
前記非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする前記核酸配列が、配列番号:7として記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、ここで、前記核酸配列が特には、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5及び配列番号:6からなる群から選択される、請求項1に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項3】
前記非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする前記核酸配列が、配列番号:16として記載されているアミノ酸配列と少なくとも68%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、ここで、前記核酸配列が特には、配列番号:14及び配列番号:15からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項4】
前記非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする前記核酸配列が、配列番号:24として記載されているアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、ここで、前記核酸配列が特には、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22及び配列番号:23からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項5】
前記非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする前記核酸配列が、配列番号:33として記載されているアミノ酸配列と少なくとも83%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、ここで、前記核酸配列が特には、配列番号:30、配列番号:31及び配列番号:32からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項6】
抗原をコードする前記少なくとも4つの異なる核酸配列が一緒に融合され、単一のプロモーター配列の制御下で、単一の抗原融合タンパク質をコードする単一の抗原核酸配列を形成する、請求項1~5のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項7】
前記少なくとも4つの異なる核酸配列の5'末端から3'末端への順序が、
(a) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列;
(b) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列;
(c) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列;及び、
(d) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列
からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項8】
前記少なくとも4つの異なる核酸配列の5'末端から3'末端への順序が、(a)非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列である、請求項1~7のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項9】
配列番号:42として記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、ここで、前記核酸配列が特には、前記核酸配列の配列番号:41である、請求項1~8のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項10】
前記レンチウイルスベクターが、受託番号I-5759、I-5760、I-5761及びI-5762の下にCNCMに寄託された非統合性のレンチウイルスベクターからなる群から選択され、特には、受託番号I-5759の下にCNCMに寄託された非統合性のレンチウイルスベクターである、請求項1~9のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項11】
前記レンチウイルスベクターが、MHCクラスIプロモーター、特にはβ2-ミクログロブリンプロモーター、を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項12】
前記レンチウイルスベクターが、cPPT/CTS配列、特には核酸配列の配列番号:37として記載されているcPPT/CTS配列、を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項13】
前記レンチウイルスベクターが、U3プロモーター配列を欠く3'長末端反復(LTR)を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項14】
前記レンチウイルスベクターが構成的エンハンサー配列を含まない、請求項1~13のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項15】
前記レンチウイルスベクターが、ウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)の変異型を含み、特には、核酸配列の配列番号:38として記載されている配列を有する上記変異型を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の少なくとも1つのレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子、特には非統合性のレンチウイルスベクター粒子。
【請求項17】
前記レンチウイルスベクター粒子が機能的レンチウイルスインテグラーゼタンパク質を含む、請求項16に記載のレンチウイルスベクター粒子。
【請求項18】
前記レンチウイルスベクター粒子が、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSVG)、特にはVSV-Gインディアナ血清型又はVSV-Gニュージャージー血清型、を含む、請求項16又は17に記載のレンチウイルスベクター粒子。
【請求項19】
前記レンチウイルスベクター粒子が、HIV-1 サブタイプD Gag及びPolタンパク質を含む、請求項16~18のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター粒子。
【請求項20】
請求項1~15のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター又は請求項16~19のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター粒子を含む単離された細胞。
【請求項21】
請求項1~15のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター、請求項16~19のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター粒子、又は請求項20に記載の細胞を含むワクチン組成物。
【請求項22】
HPV誘発癌、特には、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、口腔咽頭癌、及びそれらの転移、特にはそれらの肺転移、からなる群から選択される癌、の処置又は予防において使用する為の、請求項21に記載のワクチン組成物。
【請求項23】
医薬品又はワクチンとして使用する為の、請求項1~15のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター、請求項16~19のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター粒子、又は請求項20に記載の細胞。
【請求項24】
HPV誘発癌、特には、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、口腔咽頭癌、及びそれらの転移、特にはそれらの肺転移、からなる群から選択される癌、の処置又は予防において使用する為の、請求項23に記載の、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞。
【請求項25】
前記ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞が、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、特には、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗NKG2A、抗TIM-3、抗TIGIT及び抗LAG-3モノクローナル抗体からなる群から選択される少なくとも1つのモノクローナル抗体と組み合わせて、より特には少なくとも1つの抗PD-1モノクローナル抗体と組み合わせて、投与される、請求項22に記載の使用の為のワクチン組成物、又は請求項23若しくは24に記載の使用の為のレンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞。
【請求項26】
前記少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤が同時に又は別々に投与され、特には、前記少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤が、前記ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞の投与後の少なくとも2日後、特には少なくとも4日後、に投与される、請求項25に記載の使用の為の、ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み換えワクチン技術の分野に関し、並びに治療ワクチン及び予防ワクチンとして使用されることができるレンチウイルスベクター(lentiviral vectors)の改良に関する。特に、本発明は、ヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papillomavirus)抗原を発現するレンチウイルスベクター、並びにHPV誘発癌(HPV induced cancers)の予防及び処置におけるそれらの実施に関する。
【背景技術】
【0002】
HPVは全世界のがんの5.2%を占めている(Tota et al., Prev Med 2011 Oct; 53 Suppl 1:S12-21)。100種類を超えるHPV型が同定されており、及びがんとそれらの関連性に依存して3つのグループに分類されている:高い発がん性を有する高リスク型(それらの中でも、HPV16型(HPV-16)及びHPV18型(HPV-18))、良性病変に関連付けられた低リスク型(HPV-6、-11)並びに皮膚型(それらの中でも、HPV-1、-2、-3、-4...)(Chen et al.Virology vol.516 (2018):86-101)。HPVに関連付けられたがんの割合は、がんの種類及び地域によって異なるが、子宮頸がんの90%、肛門がんの91%、膣がんの75%、口腔咽頭がんの70%、外陰がんの69%、及び陰茎がんの63%がHPV感染と関連していると推定されている(Saraiya et al.,J Natl Cancer Inst.2015 Apr 29;107(6))。
【0003】
がんにおいて最も多く見られるHPVの2つの種類はHPV16及びHPV18である。例えば、HPV16及びHPV18は子宮頸がん全体の70~75%に関与していると考えられている(de Sanjose et al.,Eur J Cancer.2013 Nov;49(16):3450-61)。HPV16及び18はまた、肛門がん(91%)、口腔咽頭がん(70%)、膣がん(75%)、陰茎がん(63%)及び外陰がん(68%)に大きく関与している(Saraiya et al.,J Natl Cancer Inst.2015 Apr 29;107(6))。
【0004】
それによって、HPV16/18を標的とする治療用ワクチンは、部位に関係なく、関連するがんを処置及び予防する為に使用されることができる可能性がある。
【0005】
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、非エンベロープ型の二本鎖DNAウイルスである。それらのゲノムは、6つの非構造タンパク質(初期タンパク質E1、E2、E4、E5、E6及びE7)と2つの構造タンパク質(後期タンパク質L1及びL2)をコードしている(Chen et al. Virology vol. 516 (2018):86-101)。
【0006】
これらのタンパク質のうち、E6及びE7はそれらの発癌性について十分に特徴付けられている。E6及びE7はp53及びpRb腫瘍抑制タンパク質を不活性化し、それによって、細胞増殖を促進することが知られている。E6/E7発がん遺伝子は、HPVに関連した悪性細胞形質転換の誘発と、HPV陽性がん細胞のがん化表現型の維持との両方について重要である(Yim and Park, Cancer Res Treat.2005 Dec;37(6):319-24)。E6及びE7タンパク質は、全てのHPV陽性細胞によって感染を通じて発現され、この観察により、それらはワクチンの完璧な標的となる。
【0007】
組み換えウイルスベクターは、ワクチン接種目的の為に広く開発されてきている。ウイルスのゲノムの改変により、標的細胞に遺伝物質を導入する為のツールとして使用されることができる、無毒で且つ感染性のないウイルス粒子の生産が可能になった。組み換えウイルスベクターを使用してT細胞媒介免疫を誘発することは、ワクチン接種の為に非常に有望なアプローチである。様々なウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター及びワクシニアウイルスベクターを包含する上記の様々ウイルスベクター、がワクチン接種目的の為に評価されている(Milone and O'Doherty,Leukemia (2018) 32:1529~1541 and Ku et al.,Expert Review of Vaccines (2021))。レンチウイルスはレトロウイルス科の一部であり、該レトロウイルス科は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV:human immunodeficiency viruses)を包含する。レンチウイルスベクターは主にHIV-1に由来する。LTR U3配列を除去することによってレンチウイルスベクターの安全性が向上し、ウイルスのプロモーター及びエンハンサー配列が全くない「自己不活性化」(self-inactivating)ベクターを結果として生じる。レンチウイルスベクターは、他のウイルスシステムと比べて幾つかの利点を示す為に、有望なツールとして登場してきた。特には、レンチウイルスベクターは毒性がなく、他のレトロウイルスとは異なり、非分裂細胞、特に樹状細胞、を形質導入することができる為に(He et al.2007,Expert Rev vaccines,6(6):913-24)、内因性経路を通じて持続的な抗原提示が可能である。
【0008】
他の一般的に使用されているウイルスベクターとは対照的に、レンチウイルスベクターは非分裂細胞を形質導入する為の能力を有している。非分裂細胞における効率的な遺伝子導入は、中心DNA「フラップ」(flap)と呼ばれる三本鎖DNA構造の形成を必要とし、それにより、非分裂細胞、例えば、樹状細胞(DC:dendritic cells)を包含する上記の非分裂細胞、の核内への遺伝子導入の効率が最大化される(Arhel et al.,EMBO J.2007 Jun 20;26(12):3025~3037)(Zennou et al.,Cell.2000 Apr 14;101(2):173~85)。
【0009】
樹状細胞(DC)は抗原提示細胞(APC:antigen presenting cell)の主要なクラスであり、その主な機能は抗原を提示し、そして免疫応答を開始することである故に、抗原提示にとって最も重要である(Steinman,R.,Banchereau,J.Nature 449,419~426 (2007))。成熟したDCは排出リンパ節(draining lymph node)に移動し、そこで主要組織適合複合体(MHC:Major Histocompatibility Complex)分子を通じて抗原由来の短いペプチドを表面で提示する。次に、リンパ節中に存在する抗原特異的T細胞は、TCR(T Cell Receptor:T細胞受容体)を通じてペプチドMHC複合体と相互作用することができる。特異的TCRによるペプチドMHCの認識は、共刺激シグナルと結びついて、T細胞の活性化を開始する(Steinman,R.,Banchereau,J.Nature 449,419~426 (2007))。
【0010】
本発明の目的は、HPV誘発癌の予防及び処置の為の治療ワクチン及び予防ワクチンを提供することである。
【0011】
カルレティキュリン(CRT:calreticulin)と融合した非発癌性HPV16 E7を発現するインテグラーゼ(integrase)欠損レンチウイルスベクターを用いた高リスクのヒトパピローマウイルスに対する治療的ワクチン接種が報告されている(Grasso et al.2013 Jan 15;132(2):335~44)。この試験は初期段階の腫瘍に対して実施され、そして、この構築物が、ワクチン接種されたマウスの妥当な数ではあるが完全ではない数において、上記腫瘍を根絶する能力を示した。
【0012】
従って、HPVによって誘発される、より侵攻性の及び/又は十分に移植された腫瘍の処置に対する必要性が当技術分野において依然として存在し、これらの腫瘍は、小さな腫瘍及び早期の腫瘍よりも排除することがより困難であることが当技術分野において知られている。
【0013】
HPVによって誘発される耐性腫瘍、すなわち制御性T細胞(Treg:Regulatory T cell)が強く浸潤していることにおいて特徴付けられた腫瘍、の処置の為の必要性がある。
【0014】
その上、処置されるべきHPV誘発腫瘍(HPV-induced tumors)におけるTregを減少させながら、該腫瘍におけるCD8+及びCD4+細胞の浸潤を可能にする治療ワクチンの為の必要性がある。
【0015】
HPVに対する、特にはPDHPV抗原に対する、より詳細にはHPV16及びHPV18抗原に対する強力な免疫学的記憶の開発の必要性がまたある。
【0016】
HPV誘発癌に対する、安全で、非発癌性の、予防及び処置の、新規なワクチンの開発の必要性がまたある。
【0017】
単回投与で原発性腫瘍を完全に除去すること、及び再発に対する強力な予防を提供することを可能にする、ワクチンの必要性が更にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記されたニーズを満たすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
従って、本発明は以下の項目に関する。
【0020】
項目1:
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、及び、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列
からなる群から選択される少なくとも4つの異なる核酸配列を含むレンチウイルスベクター(lentiviral vector)、特には非統合性のレンチウイルスベクター(non-integrative lentiviral vector)。
【0021】
実施例に示されているように、本発明のレンチウイルスベクターは、HPV誘発された腫瘍に対する強力な処置及び予防活性を可能にする。
【0022】
項目2:
該非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする該核酸配列が、配列番号:7として記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、ここで、該核酸配列が特には、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5及び配列番号:6からなる群から選択される、項目1に記載のレンチウイルスベクター。
【0023】
項目3:
該非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする該核酸配列が、配列番号:16として記載されているアミノ酸配列と少なくとも68%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、ここで、該核酸配列が特には、配列番号:14及び配列番号:15からなる群から選択される、項目1又は2に記載のレンチウイルスベクター。
【0024】
項目4:
該非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする該核酸配列が、配列番号:24として記載されているアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、ここで、該核酸配列特には、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22及び配列番号:23からなる群から選択される、項目1~3のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0025】
項目5:
該非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする該核酸配列が、配列番号:33として記載されているアミノ酸配列と少なくとも83%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードし、ここで、該核酸配列が特には、配列番号:30、配列番号:31及び配列番号:32からなる群から選択される、項目1~4のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0026】
項目6:
抗原をコードする該少なくとも4つの異なる核酸配列が一緒に融合され、単一のプロモーター配列の制御下で、単一の抗原融合タンパク質をコードする単一の抗原核酸配列を形成する、項目1~5のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0027】
項目7:
該少なくとも4つの異なる核酸配列の5'末端から3'末端への順序が、
(a)非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列;
(b)非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列;
(c)非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列;及び、
(d)非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列
からなる群から選択される、項目1~6のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0028】
項目8:
該少なくとも4つの異なる核酸配列の5'末端から3'末端への順序が、(a)非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列である、項目1~7のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0029】
項目9:
配列番号:42として記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含み、該核酸配列が特には、該核酸配列の配列番号:41である、項目1~8のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0030】
項目10:
該レンチウイルスベクターが、受託番号I-5759、I-5760、I-5761及びI-5762の下にCNCMに寄託された非統合性のレンチウイルスベクターからなる群から選択され、特には、受託番号I-5759の下にCNCMに寄託された非統合性のレンチウイルスベクターである、項目1~9のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0031】
項目11:
該レンチウイルスベクターが、MHCクラスIプロモーター、特にはβ2-ミクログロブリンプロモーター、を含む、項目1~10のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0032】
項目12:
該レンチウイルスベクターが、cPPT/CTS配列、特には核酸配列の配列番号:37として記載されているcPPT/CTS配列、を含む、項目1~11のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0033】
項目13:
該レンチウイルスベクターが、U3プロモーター配列を欠く3'長末端反復(LTR)を含む、項目1~12のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0034】
項目14:
該レンチウイルスベクターが構成的エンハンサー配列を含まない、項目1~13のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター。
【0035】
項目15:
該レンチウイルスベクターが、ウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)の変異型を含み、特には、核酸配列の配列番号:38として記載されている配列を有する上記変異型を含む、項目1~14のいずれか1項目に記載の非統合性のレンチウイルスベクター。
【0036】
項目16:
項目1~15のいずれか1項目に記載の少なくとも1つのレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子、特には非統合性のレンチウイルスベクター粒子。
【0037】
項目17:
該レンチウイルスベクター粒子が機能的レンチウイルスインテグラーゼタンパク質を含む、項目16に記載のレンチウイルスベクター粒子。
【0038】
項目18:
該レンチウイルスベクター粒子が、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSVG)、特にはVSV-Gインディアナ血清型(Indiana serotype)又はVSV-Gニュージャージー血清型(New Jersey serotype)、を含む、項目16又は17に記載のレンチウイルスベクター粒子。
【0039】
項目19:
該レンチウイルスベクター粒子が、HIV-1サブタイプD Gag及びPolタンパク質を含む、項目16~18のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター粒子。
【0040】
項目20:
項目1~15のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター又は項目16~19のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター粒子を含む単離された細胞。
【0041】
項目21:
項目1~15のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター、項目16~19のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター粒子、又は項目20に記載の細胞を含むワクチン組成物。
【0042】
項目22:
HPV誘発癌、特には、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、口腔咽頭癌、及びそれらの転移、特にはそれらの肺転移、からなる群から選択される癌、の処置又は予防において使用する為の、項目21に記載のワクチン組成物。
【0043】
項目23:
医薬品又はワクチンとして使用する為の、項目1~15のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター、項目16~19のいずれか1項目に記載のレンチウイルスベクター粒子、又は項目20に記載の細胞。
【0044】
項目24:
HPV誘発癌、特には、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌、口腔咽頭癌、及びそれらの転移、特にはそれらの肺転移、からなる群から選択される癌、の処置又は予防において使用する為の、項目23に記載の、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞。
【0045】
項目25:
該ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞が、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて、特には、抗PD-1、抗PD-L1、抗CTLA-4、抗NKG2A、抗TIM-3、抗TIGIT及び抗LAG-3モノクローナル抗体からなる群から選択される少なくとも1つのモノクローナル抗体と組み合わせて、より特には少なくとも1つの抗PD-1モノクローナル抗体と組み合わせて、投与される、項目22に記載の使用の為のワクチン組成物、又は項目23若しくは24に記載の使用の為のレンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞。
【0046】
項目26:
該少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤が同時に又は別々に投与され、特には、該少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤が、該ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞の投与後の少なくとも2日後、特には少なくとも4日後、に投与される、項目25に記載の使用の為の、項目25に記載のワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞。
【0047】
本発明の記載された観点の任意の特定の1以上に関連して提供される詳細、例、及び好ましい態様は、本明細書において更に記載され、本発明の全ての観点に等しく適用される。本明細書において記載された実施形態、実施例及び好ましい態様のあらゆる可能な変形例における任意の組み合わせは、本明細書において別段の記載がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、本発明のHPVワクチンがイン・ビボ(in vivo)で免疫原性であること実証する。マウスに、受託番号I-5759の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子、受託番号I-5760の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクター、受託番号I-5761の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクター、若しくは受託番号I-5762の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの1x107TU、又は50μLの希釈液が筋肉内(i.m.)注射された。14日後、脾臓細胞が調製され、そして、4つの異なるペプチドプールでIFNg ELISPOTの為に一晩再刺激された。横軸:左から右へ:受託番号I-5759の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクター、受託番号I-5760の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクター、受託番号I-5761の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクター、受託番号I-5762の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターで得られた結果、又は50μLの希釈剤(対照)で得られた結果。縦軸:スポット形成細胞(SFC:Spot Forming Cells)/106細胞。
図2図2は、本発明のワクチンがイン・ビボ(in vivo)で良好に移植された腫瘍を完全に除去することを示す。TC-1細胞が皮下(s.c.)注射され、そして、腫瘍体積が1日おきに測定された(ノギス測定)。平均腫瘍体積が70mm3になったときに、マウスが無作為化され、そして、該マウスには、LV-GFPインディアナ(Indiana)(対照として)、I-5759を含むインディアナレンチウイルスベクター粒子、I-5760を含むインディアナレンチウイルスベクター粒子、I-5761を含むインディアナレンチウイルスベクター粒子、又はI-5762を含むインディアナレンチウイルスベクター粒子の1x108TUが筋肉内(i.m.)注射でワクチン接種された。横軸:日数。縦軸:腫瘍体積(mm3)。
図3図3は、設計I-5759、I-5760、I-5761、I-5762、又は対照としての希釈剤を発現する本発明に従うレンチウイルスベクターが、再発を予防する為の長期持続免疫を生成する為の能力を示す。原発腫瘍を除去したマウスは、60日目にもう一方の脇腹で再チャレンジされた。ナイーブマウスにおける腫瘍細胞の増殖を確認する為に、対照マウス(未処置)に皮下(s.c.)注射がまた行われた。横軸:日数。縦軸:腫瘍体積(mm3)。
図4図4は、マウスにおける用量/応答である。1x106個のTC-1細胞が動物の脇腹に注射され、そして、腫瘍体積が週2回測定された(ノギス測定)。平均腫瘍体積が80mm3になったときに、マウスが無作為化され、そして、該マウスには希釈剤(対照)、1x107TUのI-5759ワクチン又は1x108TUのI-5759ワクチンが筋肉内(i.m.)注射でワクチン接種された。横軸:日数。縦軸:腫瘍体積(mm3)。
図5図5は、本発明に従うレンチウイルスベクターによるワクチン接種後のリンパ球腫瘍浸潤を表す。1x106個のTC1腫瘍細胞が動物の脇腹に皮下(s.c.)注射され、そして、腫瘍体積が週2回測定された(ノギス測定)。平均腫瘍体積が80mm3になったときに、マウスが無作為化され、そして、該マウスには、希釈液(対照)、又は1x107TUのI-5759ワクチン若しくは1x108TUのI-5759ワクチンが筋肉内(i.m.)注射でワクチン接種された。ワクチン接種の10日後に腫瘍が採取され、消化され、そして、フローサイトメトリーによって解析された。FACS染色が行われ、当分野において周知の方法に従ってMacsquant facsでデータが取得された。横軸:左から右へ:希釈剤(対照);1x108TUのI-5759ワクチン。縦軸:上左図:% CD8+T細胞(生きた細胞内);上右図:% CD4T細胞(生きた細胞内);下図:% Treg細胞(生きた細胞内)。
図6図6は、確立された大きな腫瘍を除去する為の本発明に従うベクターの能力を表す。1x106個のTC1細胞が動物の脇腹に皮下(s.c.)注射された。平均腫瘍体積が約300mm3になったときに、マウスが無作為化され、そして、該マウスには、希釈液(対照)、又は受託番号I-5759の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含む本発明に従う1x108TUのワクチンが筋肉内(i.m.)注射でワクチン接種された。横軸:日数。縦軸:腫瘍体積(mm3)。
図7図7は、CFSEで標識化され、そして、本発明に従うワクチン(I-5759)の非存在下(非刺激状態)又は存在下で培養されたヒトPBMCにおけるT細胞応答を示す。細胞増殖と活性化が、2週間の培養後に測定された(n=3)。CD8T細胞及びCD4T細胞の増殖(CFSE希釈によって測定された)(A)及びCD25活性化マーカーの発現(B)は、培養物中に本発明のレンチウイルスベクターを添加することによって増加した。横軸:左から右へ:未刺激(未刺激-対照);I-5759ワクチン。縦軸:(A)CD8集団におけるCFSElowの%;右図:CD4集団におけるCFSElowの%。(B)左図:CD4集団におけるCD25+の%;右図:CD8集団におけるCD25+の%。
図8A図8Aは、本発明に従うレンチウイルスベクターの抗原構築物の4つの例を図示する。これらの抗原構築物の各々は、様々な順序で下記の4つの配列からなる:非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、及び非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7をコードする核酸配列。図8Aは、受託番号I-5759の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物を表す。
図8B図8Bは、本発明に従うレンチウイルスベクターの抗原構築物の4つの例を図示する。これらの抗原構築物の各々は、様々な順序で下記の4つの配列からなる:非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、及び非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7をコードする核酸配列。図8Bは、受託番号I-5760の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物を表す。
図8C図8Cは、本発明に従うレンチウイルスベクターの抗原構築物の4つの例を図示する。これらの抗原構築物の各々は、様々な順序で下記の4つの配列からなる:非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、及び非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7をコードする核酸配列。図8Cは、受託番号I-5761の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物を表す。
図8D図8Dは、本発明に従うレンチウイルスベクターの抗原構築物の4つの例を図示する。これらの抗原構築物の各々は、様々な順序で下記の4つの配列からなる:非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、及び非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7をコードする核酸配列。図8Dは、受託番号I-5762の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物を表す。
図9図9図9A及び図9B)は、ETTDPDRAHYNIVTF(配列番号:39)合成ペプチドとPDRAHYNIVTFCCKC(配列番号:40)合成ペプチドとの混合物を用いた刺激の有り又は無しで、細胞内サイトカイン染色によって解析された脾臓細胞のT細胞サイトカイン応答を図示し、ここで、両方の合成ペプチドがRAHYNIVTF H-2Db-制限T細胞エピトープ(太字はH-2Dbアンカー酸基(anchor residues)を表す)を含み、脾臓細胞は、対照Lenti(LV-GFPインディアナ)を用いて、又は受託番号I-5759の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含む本発明に従うワクチンを用いて、筋肉内(i.m.)注射により免疫化されたC57BL/6マウス(n=5匹/1群)のワクチン接種後14日目に得られた。図9Aは特には、サイトカイン産生CD8T細胞で実行された細胞数測定ゲーティング戦略(cytometric gating strategy)と、表面CD107a染色によって評価された、IFN-γ産生CD8T細胞の脱顆粒活性(degranulation activity)を表す。図9Bは、ETTDPDRAHYNIVTF(配列番号:39)合成ペプチドとPDRAHYNIVTFCCKC(配列番号:40)合成ペプチドとの混合物を用いた刺激の有り又は無しで、細胞内サイトカイン染色によって解析された脾臓細胞のT細胞サイトカイン応答を図示し、ここで、両方の合成ペプチドがRAHYNIVTF H-2Db-制限T細胞エピトープ(太字はH-2Dbアンカー酸基(anchor residues)を表す)を含み、脾臓細胞は、対照Lenti(LV-GFPインディアナ)を、又は受託番号I-5759の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含む本発明に従うワクチンを、筋肉内(i.m.)注射により、免疫化されたC57BL/6マウス(n=5匹/1群)にワクチン接種した後の14日目に得られた。図9Bは、各(多)機能細胞サブセットと、CD8+Tサブセット内のIFN-γ+CD107a+細胞の再現頻度(recapitulative frequencies)を表す。
図10図10は、腫瘍移植され、本発明に従うHPV-ワクチン(I-5759)をワクチン接種されたところのマウス、又は腫瘍を移植され、ワクチンを接種されていないところのマウス(対照-対照Lenti)の腫瘍浸潤自然免疫細胞(tumor infiltrating innate immune cells)(NK)の細胞係数分析(cytometric analysis)を図示する。CD11b及びNKp46が検出された。
図11図11は、定着した大きな腫瘍を除去する為の、本発明に従うベクターの能力を表す。原発腫瘍を除去した治癒したマウス(右のパネル)の再チャレンジが最初の移植から119日後に、もう一方の脇腹に1.106個のTC-1腫瘍細胞を移植して実施され、そして、何らの処置無しに維持された。腫瘍細胞の増殖を確認する為に、対照マウス(未処置-対照 老齢マウス-左のパネル)にまた皮下(s.c.)注射が行われた。横軸:腫瘍再チャレンジ後の日数。縦軸:腫瘍体積(mm3)。
図12図12図12A及び図12B)は、本発明に従うワクチン(I-5759)の最適量以下のワクチン接種と抗PD-1療法(モノクローナル抗体である抗PD-1)との間の相乗効果を示す。図12Aは、マウス(D0)の腫瘍移植後の日数(横軸)にわたる腫瘍体積(mm3-縦軸)の変化を表す。実験は、腫瘍を移植されたマウスの3つの同一グループで行われた。第1のグループ(10匹のマウス-対照グループ-図12Aの左パネル)において、該マウスにはLV-空インディアナ(D13)(対照として)が投与され(矢印によって示されている日)、そして、その4日後に抗PD-1(プログラム細胞死タンパク質-1(Programmed cell Death protein-1))モノクローナル抗体が投与された(D17、次に、D20、D22、D24、D28、及びD31)。第2のグループ(12匹のマウス-対照グループ-図12Aの中央パネル)において、該マウスには、本発明に従うワクチン(I-5759)が投与され(D13)(矢印によって示されている日)、そして、その4日後に対照抗体(アイソタイプ対照)が投与された(D17、次に、D20、D22、D24、D28及びD31)。第3のグループ(14匹のマウス-図12Aの右パネル)において、該マウスには、本発明に従うワクチン(D13)(I-5759)が投与され(矢印によって示されている日)、そして、その4日後にmAb抗PD-1が投与された(D17、次に、D20、D22、D24、D28及びD31)。図12Bは、各グループ(対照グループ1:対照Lenti+抗PD-1;対照グループ2:I-5759+対照Ig;対照グループ3:I-5759+抗PD-1)のマウスの経時的な生存率(マウスの%-縦軸)を表す(日数-横軸)。
図13図13図13A及び13B)は、Lenti-HPV-07ワクチンの1回感染後に、TC1-nLuc細胞を静脈内注射することによって誘発された肺転移巣を有するマウスの治癒を表す。図13Aは、マウスにTC1-nLuc細胞をi.v.注射した後に、マウスの異なるグループに経時的(横軸-日数)注入されたナノルシフェラーゼがTC1-nLuc細胞によって安定的に発現されたことによる、1秒当たりの光子数(p/s:photons per second)で表された発光値の変化を表す(縦軸-総フラックス)。下記の3つのグループのマウスが試験された:
【0049】
図13の説明続き)
図13Bは、腫瘍注射後の22日目に、上記で詳述された3つの実験グループの個々のマウスについての、個々のp/s値を表す。縦軸:1秒当たりの光子数(p/s)として表した発光値(総フラックス(Total Flux))。横軸、左から右へ:陰性グループ、対照グループ、Lentiグループ、Lenti-HPV-07グループ。
【0050】
配列の概要
配列番号:1は、HPV 16由来のE6タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号:2は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:3は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:4は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:5は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:6は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:7は、HPV 16由来のE6タンパク質アミノ酸配列である。
配列番号:8は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:9は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:10は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:11は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:12は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:13は、HPV 16由来のE7タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号:14は、HPV 16由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:15は、HPV 16由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:16は、HPV 16由来のE7タンパク質アミノ酸配列である。
配列番号:17は、HPV 16由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:18は、HPV 16由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:19は、HPV 18由来のE6タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号:20は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:21は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:22は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:23は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:24は、HPV 18由来のE6タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号:25は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:26は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:27は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:28は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:29は、HPV 18由来のE7タンパク質をコードする核酸配列である。
配列番号:30は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:31は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:32は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
配列番号:33は、HPV 18由来のE7タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号:34は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:35は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:36は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
配列番号:37は、cPPT/CTS配列をコードする核酸配列である。
配列番号:38は、ウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)の変異型をコードする核酸配列である。
配列番号:39は、RAHYNIVTF H-2Db-制限T細胞エピトープを含む合成E7HPV16-由来ペプチドである。
配列番号:40は、RAHYNIVTF H-2Db-制限T細胞エピトープを含む合成E7HPV16-由来ペプチドである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明者等は、少なくとも4つの異なるヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードするレンチウイルスベクター、特には、少なくとも2つの異なるHPVサブタイプ、特にHPV16サブタイプ及びHPV18サブタイプ、のタンパク質E6及びE7の中から選択される少なくとも4つのHPV抗原をコードするレンチウイルスベクター、を、それを必要とする個体に投与することにより、HPV誘発癌に対して高い予防活性及び処置活性が結果として得られることを発見した。
【0052】
本発明に従うレンチウイルスベクターは、HPV感染によって誘発される腫瘍に対する強力で持続的且つ広範な細胞媒介応答の誘発を可能にすることができる。
【0053】
本発明に従うレンチウイルスベクター、並びにそれらを含むレンチウイルスベクター粒子、該レンチウイルスベクター又は該レンチウイルスベクター粒子を含む単離された細胞、及びそれらを含むワクチン組成物は、本明細書を通じて記載されている。
【0054】
定義
【0055】
本出願において使用される全ての科学技術用語は、特に断りのない限り、当技術分野で一般的に使用される意味を有する。
【0056】
本明細書において使用される場合に、「導入遺伝子」とは、組み換え技術を介して、適切な条件下で非ネイティブ環境(non-native environment)又は異種細胞(heterologous cell)において発現されることができるポリヌクレオチドを意味する。
【0057】
本明細書において使用される場合に、語「組み換え体」は、本発明の細胞に関連して使用される場合、内在性及び/又は異種の核酸若しくはタンパク質を細胞内へ導入することによって、若しくはネイティブな細胞の改変によって、細胞が改変されていること、又は該細胞がそのように改変された細胞に由来することを示す。従って、例えば、組み換え細胞は、該細胞のネイティブ(非組み換え)型内には見出されない遺伝子又は核酸を発現するか、ネイティブ(例えば内因性)遺伝子をそれらのネイティブレベルとは異なるレベルで発現するか、又はネイティブ(例えば内因性)の追加のコピー若しくは補足コピーをそのネイティブレベルとは異なるレベルで発現する。本発明に従う単離された細胞は、本発明に従う少なくとも1つのレンチウイルスベクター及び/又は本発明に従う少なくとも1つのレンチウイルスベクター粒子を含むという点で組み換え型である。
【0058】
本明細書において使用される場合に、語「組み換え体」は、ベクターに関して使用される場合、当業者に周知の遺伝子工学の技術によって形成/取得される配列である。
【0059】
本明細書において使用される場合に、語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸残基を含み及び5個超のアミノ酸残基を含むところの分子を云う。アミノ酸は、1文字又は3文字の指定によって識別される。本明細書において使用される場合に、語「タンパク質」は、語「ポリペプチド」と同義であり、及びまた、2以上のポリペプチドを云う場合がある。従って、語「タンパク質」、語「ペプチド」及び語「ポリペプチド」は、互換的に使用されることができる。ポリペプチドは、機能性を付加する為に、任意的に修飾され(例えば、グリコシル化され、リン酸化され、アシル化され、ファルネシル化され、プレニル化され、スルホン化され等)ていてもよい。活性を示すポリペプチドは酵素として言及される場合がある。遺伝暗号の縮退の結果として、所与のポリペプチドをコードする多数のヌクレオチド配列が産生されうることが理解されるであろう。
【0060】
本明細書において使用される場合に、語「作動可能に連結された」は、物理的に連結され且つ互いに機能的関係にある2以上の核酸配列エレメントを云う。例えば、本発明に従うレンチウイルスベクターにおいて、プロモーターはコード配列に作動可能に連結されており、プロモーターは抗原構築物の転写又は発現を開始又は調節することができる故に、本明細書において「抗原構築物」とも呼ばれ、この場合に、該抗原構築物はプロモーターの「制御下にある」として理解されるべきである。一般的に、2つの核酸配列が作動可能に連結している場合に、それらは同じ配向にあり、及びまた、通常は同じリーディングフレーム中にある。それらは通常、本質的に連続しているが、これは必要とされない場合がある。
【0061】
語「コードする」(encoding)又は語「の為のコード化する」(coding for)は、ポリヌクレオチドが転写及び翻訳のメカニズムを通じてアミノ酸配列を生成するプロセスを云う。
【0062】
各アミノ酸配列又は関心のあるアミノ酸配列について、参照配列が本明細書において記載されている。本明細書はまた、参照アミノ酸配列とアミノ酸同一性の特定のパーセンテージを有するアミノ酸配列を包含する。
【0063】
明らかな理由から、本明細書の全体において、考慮されるヌクレオチド同一性又はアミノ酸同一性を夫々満たす特定の核酸配列又は特定のアミノ酸配列は、所望の生物学的活性を示すタンパク質(又は抗原)を得ることに更につながるはずである。本明細書において使用される場合に、2つの核酸配列間又は2つのアミノ酸配列間の「同一性のパーセンテージ」は、最適に整列された両配列を比較ウィンドウを通じて比較することによって決定される。
【0064】
従って、比較ウィンドウ内のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の部分は、両配列間の最適なアラインメントを得るように、参照配列(これらの付加又はこれらの欠失を含まない)と比較して、付加又は欠失(例えば「ギャップ」)を含みうる。
【0065】
語「配列相同性」又は語「配列同一性」又は語「相同性」又は語「同一性」は、本明細書において互換的に使用される。本発明の目的の為に、2つのアミノ酸配列又は2つの核酸配列の配列相同性又は配列同一性のパーセンテージを決定する為に、配列が最適な比較目的の為に整列されることがここで定義される。2つの配列間のアラインメントを最適化する為に、比較される2つの配列のうちのいずれかにギャップが導入されてもよい。そのようなアラインメントは、比較される配列の全長にわたって実施されることができる。代替的には、該アラインメントは、より短い長さ、例えば、約20、約50、約100又はそれ以上の核酸/ベース又はアミノ酸にわたって実施されうる。該配列同一性は、報告されたアラインメント領域にわたる2つの配列間の同一一致のパーセンテージである。
【0066】
配列の比較及び2つの配列間の配列同一性のパーセンテージの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成されることができる。当業者は、2つの配列を整列させ、そして、2つの配列間の同一性を決定する為に、幾つかの異なるコンピュータープログラムが利用可能であるという事実を認識しているであろう(Kruskal,J.B.(1983) An overview of sequence comparison In D.Sankoff and J.B.Kruskal,(ed.),Time warps,string edits and macromolecules:the theory and practice of sequence comparison,pp.1~44 Addison Wesley)。
【0067】
2つのアミノ酸配列間又は2つのヌクレオチド配列間の配列同一性パーセントは、2つの配列のアラインメントの為のNeedleman and Wunschアルゴリズムを使用して決定されうる。(Needleman,S.B.and Wunsch,C.D.(1970) J.Mol.Biol.48,443~453)。アミノ酸配列とヌクレオチド配列の両方がこのアルゴリズムによってアラインメントされることができる。該Needleman-WunschアルゴリズムはコンピュータプログラムNEEDLEにおいて実装されている。
【0068】
本発明の目的の為に、EMBOSSパッケージからのNEEDLEプログラムが使用された(バージョン2.8.0以上、EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite (2000) Rice,P.LongdenJ.and Bleasby,A.Trends in Genetics 16,(6) pp276~277,http://emboss.bioinformatics.nl/)。タンパク質配列の場合には、置換行列にはEBLOSUM62が使用された。塩基配列の場合には、EDNAFULLが使用される。オプションの使用されるパラメータは、ギャップオープニングペナルティ(gap opening penalty)10とギャップエクステンションペナルティ(gap extension penalty)0.5である。エンドギャップペナルティは付加されない。出力セクションにおいて、「簡単な同一性と類似性」(Brief identity and similarity)の質問に対して、「はい」(Yes)が示され、「SRSペアワイズ」(SRS pairwise)が出力アライメント形式(Output alignment format)として示されている。
【0069】
上述されたようなプログラムNEEDLEによるアラインメントの後、クエリー配列と本発明の配列との間の配列同一性のパーセンテージが下記の通りに計算される:両配列において同一のアミノ酸又は同一のヌクレオチドを示すアラインメントにおける対応する位置の数が、該アラインメントにおけるギャップの総数を差し引いた後のアラインメントの全長で割った値。本明細書において定義される同一性は、NOBRIEFオプションを使用することによってNEEDLEから得ることができ、プログラムの出力において「最長の同一性」(longest-identity)と表示される。
【0070】
ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の類似性、すなわち配列同一性のパーセンテージ、は、幾つかの他の技術的に既知のアルゴリズムを用いて、好ましくは、Karlin及びAltschulの数学的アルゴリズム(Karlin & Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873~5877)を用いて、hmmalign(HMMERパッケージ、http://hmmer.wustl.edu/)を用いて、又はCLUSTALアルゴリズム(Thompson,J.D.,Higgins,D.G.& Gibson,T.J.(1994) Nucleic Acids Res.22,4673~80)、例えばhttps://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/から入手可能な上記CLUSTALアルゴリズム、若しくはGAPプログラム(University of Iowaの数学的アルゴリズム)、若しくはMyers and Millerの数学的アルゴリズム(1989-Cabios 4:11-17)、若しくはClone Manager 9を用いて、配列アライメント(sequence alignments)を介して決定されることができる。使用される好ましいパラメータは、https://www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/で設定されているデフォルトのパラメータである。
【0071】
配列同一性(配列マッチング)のグレードは、例えばBLAST、BLAT又はBlastZ(又はBlastX)を用いて計算されうる。同様のアルゴリズムが、Altschul等(1990) J.Mol.Biol.215,403~410内に組み込まれている。BLASTポリヌクレオチド検索は、関連タンパク質をコードする核酸と相同なポリヌクレオチド配列を得る為に、BLASTNプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行される。
【0072】
BLASTタンパク質検索は、SHCポリペプチドに相同なアミノ酸配列を得る為に、BLASTPプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行される。比較目的の為にギャップされたアラインメント(gapped alignments)を得る為に、Altschul等(1997) Nucleic Acids Res.25,3389~3402において記載されているように、ギャップされたBLASTが利用される。BLAST及びギャップされたBLASTプログラムを利用するときに、夫々のプログラムのデフォルトパラメーターが使用される。配列マッチング解析(Sequence matching analysis)は、Shuffle-LAGAN(Brudno M.,Bioinformatics 2003b,19 Suppl 1:154~162)又はMarkov random fieldsのような確立された相同性マッピング技術によって補足されうる。本出願において配列同一性のパーセンテージが言及される場合、これらのパーセンテージは、特に別段の指示がない限り、より長い配列の全長に関連して計算される。
【0073】
特定の実施態様において、CLUSTAL O(バージョン1.2.4)を用いて2つの配列間の同一性%が決定される。
【0074】
本明細書において使用される語「非発癌性」は、その伝統的な意味で使用されており、すなわち、腫瘍の形成を引き起こすことができない要素、本出願の場合は抗原、に関する。別のところで詳述されているように、本発明において実施される抗原は、非発癌性になるように遺伝学的に修正されている。これらの語の通常の意味に従うと、それは、本明細書において実施される抗原をコードする核酸配列が自然界に存在せず、それらの核酸配列の導入によって又は欠失によって又は修飾によってのいずれかで改変され、同じく自然界に存在しないコードされたアミノ酸配列をもたらすことを意味する。
【0075】
当業者は、核酸配列において欠失、置換又は導入を実行する為の様々な手段を長い間知っていた。
【0076】
当業者によって理解されるように、コード配列を改変して特定の宿主におけるその発現を高めることは、更に有利になる可能性がある。遺伝コードは64個のありうるコドンで冗長であるが、ほとんどの生物は典型的にはこれらのコドンのサブセットを使用する。ある生物種において最も頻繁に利用されるコドンは最適コドンと呼ばれ、あまり利用されないコドンは稀なコドン(rare codon)又は低利用コドン(low-usage codon)として分類される。コドンは、「コドンの最適化」(codon optimization)又は「生物種のコドンの偏りを制御する」(controlling for species codon bias)とも呼ばれるプロセスにおいて、宿主の好ましいコドン使用法を反映するように置換されることができる。他の宿主細胞についてのコドン最適化は、コドン用法表を用いて容易に決定されることができ、又は商業的に入手可能なソフトウェア、例えばIntegrated DNA TechnologiesからのCodonOp(www.idtdna.com/CodonOptfrom)、を用いて実行されることができる。特定の原核生物又は真核生物の宿主によって好まれるコドンを含む最適化されたコード配列(Murray et al,1989,Nucl Acids Res.17:477~508)は、例えば、翻訳速度を増加させる為に、又は最適化されていない配列(non-optimized sequence)から産生された転写産物と比較して、望ましい特性、例えばより長い半減期、を有する組み換えRNA転写産物を産生する為に調製されることができる。翻訳停止コドンがまた、宿主の好みを反映するように改変されることができる。例えば、単子葉植物についての典型的な停止コドンはUGAであり、一方、昆虫及び大腸菌(E.coli)は一般的にUAAを停止コドンとして用いる(Dalphin et al,1996,Nucl Acids Res.24:216~8)。
【0077】
「非統合性の」(non-integrative)レンチウイルスベクターは、このレンチウイルスベクターが細胞内にあるときに、該レンチウイルスベクターが宿主細胞ゲノム内に統合しないことを意味する。非統合性のレンチウイルスベクター粒子は、非統合性のレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子に関する。非統合性のレンチウイルスベクターはまた、統合不全レンチウイルスベクター(integration-defective lentiviral vectors)又は非統合型のレンチウイルスベクター(non-integrating lentiviral vectors)と呼ばれる。
【0078】
HPV誘発癌はまた、HPV(ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus))に関連付けられた癌として知られている。事実、HPV感染が感染した宿主の免疫系によってうまく制御されない。高リスクのHPV感染が長年続くと、それは細胞の変化を引き起こす可能性があり、処置されない場合には、時間の経過と共に悪化してがんになりうる。
【0079】
本発明に従うレンチウイルスベクター
【0080】
本発明者等は、HPV誘発癌に対する新規の処置及び予防のレンチウイルスベクターに基づくワクシンを考案した。
【0081】
特には、本発明は、特定の非発癌性のHPV抗原の群から選択される少なくとも4つの異なる核酸配列を含むレンチウイルスベクターに関する。
【0082】
異なる核酸配列とは、レンチウイルスベクターに含まれる少なくとも4つの核酸配列が全て異なること、すなわち、該核酸配列の各々が特定の非発癌性のHPV抗原の群の異なるメンバーであること、を意味する。
【0083】
非発癌性のHPV抗原の群は下記の通りである:
非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列;
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列;
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列;並びに、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列。
【0084】
HPVの統合後に消失するほとんどのHPVタンパク質とは異なり、E6及びE7タンパク質はHPV誘発腫瘍において継続的に発現される(Ghittoni,Raffaella et al. Virus genes vol. 40,1 (2010):1~13; Morrow,Matthew P et al. Expert review of vaccines vol. 12,3 (2013):271~83)。これらのタンパク質は細胞機能を阻害し、及びHPVに関連付けられたがん化に重要な役割を果たすことが知られている。(Tomaic,Vjekoslav.Cancers vol.8,10 95.19 Oct. 2016; Ghittoni,Raffaella et al. Virus genes vol. 40,1 (2010):1~13)。E6及びE7は複数の経路に干渉すると考えられているが、最も重要なのは、細胞内におけるE6タンパク質の発現が、細胞内のE3ユビキチンリガーゼであるE6APとの直接的な相互作用によって、癌抑制因子p53の、ユビキチンを介在した分解を生じることであり(Huibregtse,J M et al:4129~35; Martinez-Zapien,Denise et al. Nature 529,7587 (2016):541~5)、並びにE7はRbタンパク質に結合してこれによってRbとE2Fとの相互作用を破壊し、そして、E2F因子を放出する(Cassetti,M Cristina et al:520~7)。
【0085】
E6及びE7タンパク質は、全てのHPV誘発癌において発現している故に、本発明のレンチウイルスベクター中に、2つの主要なサブタイプ(HPV16及びHPV18)についてのこれらのタンパク質からの抗原を含めることが決定された。E6及びE7抗原からワクチンを開発する為には、これらのタンパク質に関連付けられた発癌リスクを排除することが重要である。
【0086】
非発癌性のE6及びE7タンパク質は、このように本発明において実施される。「非発癌性のE6及びE7のHPVタンパク質」とは、それらのコード配列が、p53、Mi2b及びRb結合部位並びにPDZ結合モチーフを除去するように改変されたことを意味する。特定の実施態様において、E6及びE7のHPVタンパク質の結合部位の部分的変異はRb結合を完全に消失させることができなかった故に、該部位が特には、本発明において実施される配列から完全に除去された。
【0087】
本発明に従うレンチウイルスベクターは、一本鎖であってもよく又は二本鎖であってもよい。本発明に従うレンチウイルスベクターは、RNA又はDNA分子であってもよい。
【0088】
本発明の文脈において、「レンチウイルスベクター」とは、シス作用(cis-acting)レンチウイルスのRNA配列又はDNA配列を含み且つトランスで提供される必須レンチウイルスタンパク質(例えば、Gag、Pol及び/又はEnv)並びにアクセサリータンパク質(例えば、Tat、Rev)を必要とするところの導入遺伝子を宿主細胞に導入する為の非複製ベクターを意味する。該レンチウイルスベクターは、全ての機能的HIVタンパク質の発現を欠く。該レンチウイルスベクターのゲノムは、該レトロウイルスベクターの製造又は開発の段階に応じて、RNA又はDNA分子の形態で存在しうる。
【0089】
好ましい実施態様において、本発明のレンチウイルスベクターは、非統合性のレンチウイルスベクターである。
【0090】
非統合型レンチウイルスベクターは、特にはワクチン接種を目的として、挿入変異事象(insertional mutagenesis events)に関連する潜在的な発癌のリスクを軽減する為に設計されてきた。非統合型レンチウイルスベクターの例は、Coutant et al., PLOS ONE 7(11):e48644 (2012),Karwacz et al.,J.Virol.83(7):3094~3103 (2009),Negri et al.,Molecular Therapy 15(9):1716~1723 (2007);and Hu et al.,Vaccine 28:6675~6683 (2010)において提供されている。結果的に、非統合型レンチウイルスベクター系は、統合型系と比較して、挿入変異(insertional mutagenesis)の潜在的なリスクを軽減できることが報告されている(Hu et al.,Vaccine 28:6675~6683(2010))。幾つかの機能解析において、DC指向性(DC-directed)の統合欠損レンチウイルスベクター(IDLV:integration-defective lentiviral vector)によって惹起される免疫応答の大きさ及び質の両方が、その統合型ベクターのそれと同等であることが更に報告されている。従って、統合欠損レンチウイルスベクター(IDLV)は、ヒトへの投与において統合型ベクターよりも安全なベクターであり、同等の効果を有すると考えられてきた。
【0091】
加えて、自己不活性化レンチウイルスベクターにおけるウイルスプロモーター及びエンハンサー配列の3'LTRのU3領域の欠失により、内因性プロモーターの活性化の可能性が制限される。安全性へのこれらの懸念は、1998年から1999年に掛けて実施されたSCID-X1遺伝子治療試験から得られた経験に直接関係するものであり、該試験は、X連鎖(X-linked)(SCID-X1遺伝子)の重篤な免疫不全疾患の稀な形態を患う小児を対象に、モロニーウイルスベース(Moloney virus-based)のレトロウイルスベクターを用いて行われた(Cavazzana-Calvo et al.,2000,Science.,288 (5466):669~72)。この試験中、モロニー由来のレトロウイルスベクターがヒトLM02がん原遺伝子に近接して組み込まれた結果、9人の子供のうちの4人が白血病を発症した(Hacein-Bey-Abina et al.,2008,J.Clin.Invest.,118(9):3132~3142)。悪性腫瘍(malignancy)は、ウイルスU3プロモーター/エンハンサーがLM02がん原遺伝子に近接した結果であることが実証された。その結果、レンチベクターのヒトへの投与には安全性が大きな懸念事項である。
【0092】
従って、本発明に従うレンチウイルスベクターは、当技術分野において知られているように、シスで長末端反復(LTR:long terminal repeat)配列を含んでいてもよく、特には、そのU3プロモーター配列を欠くところの3'長末端反復(LTR)を含む(Miyoshi H et al,1998,J Virol.72(10):81 50~7;Zufferey et al.,1998,J V/ro/ 72(12):9873~80)。
【0093】
エンハンサーはシスに作用する配列(cis-acting sequences)であり、それは離れた場所で転写活性化因子として作用することができる。エンハンサー配列は、様々な細胞型、特にDCにおいて導入遺伝子の強力な発現を得るのに最も効率的であると考えられるため、ウイルス由来ベクターに広く採用されてきた(Chinnasamy et al.,2000,Hum Gene Ther 11(13):1901~9; Rouas et al.,2008,Cancer Gene Ther 9(9):715~24;Kimura et al.,2007,Mol Ther 15(7):1390-9; Gruh et al.,2008,J Gene Med 10(1) 21~32)。しかしながら、挿入変異の安全性の問題を考慮すると、エンハンサー近接効果(enhancer proximity effect)による挿入変異のリスクを排除する為に、そのような転写エンハンサー配列はレンチウイルスベクター構築物から欠失されるべきである。このエンハンサー近接効果は、挿入変異の最も頻度の高いメカニズムであり、遺伝子導入後の腫瘍形成事象(tumorigenic events)のヒト又は動物における症例で記載されている唯一の効果である。
【0094】
従って、本発明に従うレンチウイルスベクターは、構成的エンハンサー配列を含まなくてもよい。
【0095】
これまでの研究は、ウイルスプロモーターを、主要組織適合複合体クラスII遺伝子(MHCクラスII)及びデクチン(dectin)-2遺伝子(Lopes et al.,2008,J Virol 82(1):86~95)に由来するDC特異的プロモーターによって置換することを報告している(Kimura et al.,2007,Mol Ther 15(7):1390~9)。Lopes等で用いられたデクチン-2遺伝子プロモーターは、推定エンハンサーとアデノウイルス保存配列(adenoviral conserved sequence)(アデノウイルスプロモーターにおける逆末端反復配列)を含む(Bonkabara et al.,2001,J.Immunology,167:6893~6900)。Kimura等によって使用されたMHCクラスII遺伝子プロモーターは、既知の何らのエンハンサーも含んでいない。
【0096】
しかし、エンハンサー無しでは、静脈内投与された場合に、MHCクラスIIプロモーターは、DCにおいて十分な導入遺伝子の発現を提供しないことが判った。特には、MHCクラスIIプロモーターを含むレンチウイルスベクターは、CMVプロモーター/エンハンサーで観察された免疫反応とは対照的に、免疫応答性のC57BL/6マウスで免疫反応を引き起こさなかった。マウスへの注入後に、統合と持続的な導入遺伝子の発現が観察されたが、MHCクラスIIプロモーターを介して転写されたレンチウイルスベクターは、ワクチン接種ブースト後でさえも、抗原特異的CD8+細胞傷害性Tリンパ球応答を刺激することができなかった。それ故に、これらの研究の著者等は、MHCクラスIIプロモーターの使用は、遺伝子置換療法のように発現の持続性が求められる用途にのみ関心があり、免疫療法の文脈において関心が無いと結論付けた。注目すべきことに、MHCクラスIIプロモーターはほとんどの細胞タイプで発現が不十分であることである。
【0097】
従って、MHCクラスIIプロモーターは、静脈(IV)注射によって抗原に対する免疫応答を誘発する為の、レンチウイルスベクターのプロモーターとして適切でない。その上、デクチン-2プロモーターはほとんどの細胞タイプにおいて発現が乏しく、エンハンサーを含んでいるようである。従って、デクチン-2プロモーターは、安全上の理由の為にレンチウイルスベクターの良好なプロモーターでない。
【0098】
従って、本発明に従うレンチウイルスベクターは、MHCクラスIプロモーターを含んでいてもよく、すなわち、本発明に従うレンチウイルスベクターの抗原をコードする核酸配列は、MHCクラスIプロモーターの制御下にあってもよい。
【0099】
適切なMHCクラスIプロモーターは、β2-ミクログロブリンプロモーター、HLA-A2プロモーター、HLA-B7プロモーター、HLA-Cw5プロモーター、HLA-Eプロモーター又はHLA-Fプロモーターからなる群から選択され得、より特にはβ2-ミクログロブリンプロモーターである。
【0100】
MHCクラスIプロモーターは樹状細胞特異的(dendritic-specific)(APC)であり、BDCA+樹状細胞(dendritic cells)におけるプロモーターの発現は、腎臓、平滑筋、肝臓及び心臓細胞における発現よりも高い。他の形質導入細胞タイプにおいて相対的に高い発現を示し、例えば、BDCA+樹状細胞におけるプロモーターの発現は、骨格筋細胞におけるそのプロモーターの発現のわずか12~100倍であるのに対して、MHCII HLA-DRαプロモーターでは900倍である。
【0101】
このプロモーターは、特には、本発明のレンチウイルスベクター中のHPV抗原をコードする核酸配列の転写を駆動する。
【0102】
該プロモーターは、周知の分子生物学的技術を用いて得られる、天然に生じるMHCクラスIプロモーター又は合成MHCクラスIプロモーターであることができる。
【0103】
本発明に従うレンチウイルスベクターは、欧州特許第EP2169073号明細書において記載されているようなcPPT/CTS配列を含んでいてもよい。このcPPT/CTS配列は特には、核酸配列の配列番号:37として記載されている配列でありうる。
【0104】
事実、非分裂細胞における効率的な統合及び複製には一般的に、レンチウイルスゲノムの中心に2つのシス作用配列、セントラルポリプリン鎖(cPPT:central polypurine tract)とセントラル終止配列(CTS:central termination sequence)の存在が必要である。このことにより、セントラルDNA「フラップ」(flap)と呼ばれる三本鎖DNA構造の形成がもたらされ、それにより、核膜孔でのプレインテグレーション複合体(pre-integration complex)の被覆解除のシグナルとして働き、そして非分裂細胞、例えば樹状細胞、の核内に発現カセットが効率的に取り込まれる。
【0105】
本発明のレンチウイルスベクターは、ウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)を含んでいてもよく、それは、イン・ビボ(in vivo)での導入遺伝子、特にはウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)の変異体、のより安定な発現を可能にする。
【0106】
変異ウッドチャック転写後調節エレメント(mWPRE:mutated Woodchuck Posttranscriptional Regulatory Element)は、WPRE領域中に含まれるXタンパク質が発がん性特性を有しうる故に、該Xタンパク質の発現を回避する為に点変異が導入されることにおいて特徴付けられている(Kingsman et al.2005 Jan;12(1):3~4)。
【0107】
本発明のレンチウイルスベクター中に含まれるウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)の変異型は特には、核酸配列の配列番号:38として記載されている核酸配列を有しうる。
【0108】
特定の実施態様において、本発明に従うレンチウイルスベクター、特には本発明の非統合性のレンチウイルスベクターは、
(i) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、及び非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列を含み、
(ii) U3プロモーター配列を欠く3'長末端反復(LTR)を含み、
(iii) 構成的エンハンサー配列を含まない;
(iv) MHCクラスIプロモーター、特にはβ2-ミクログロブリンプロモーター、を含み;
(v) cPPT/CTS配列、特には核酸配列の配列番号:37として記載されているPPT/CTS配列、を含み、;並びに、
(vi) ウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)の変異型、特には核酸配列の配列番号:38として記載されている核酸配列を有する上記変異型、を含む。
【0109】
前述されているように、本発明に従うレンチウイルスベクターは、下記を含むことにおいて特徴付けられる:
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、及び、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列。
【0110】
本発明のレンチウイルスベクターのHPV抗原をコードする少なくとも4つの核酸配列、特には4つの異なる核酸配列、は特には、一緒に融合され、単一のプロモーター配列の制御下で、特には、(i)上記少なくとも4つの異なる核酸配列の各々の間に何らの連結配列(本明細書においてスペーサーとも呼ばれる)がない場合に、又は(ii)上記少なくとも4つの異なる核酸配列のうちの少なくとも2つの間に連結配列(又はスペーサー)がある場合に、より特には、上記少なくとも4つの異なる核酸配列の各々の間に連結配列(又はスペーサー)がある場合に、単一の抗原融合タンパク質をコードする単一の抗原核酸配列を形成してもよい。
【0111】
非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:7として記載されているアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0112】
本明細書において記載されているように、参照アミノ酸配列と少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、該参照アミノ酸配列と少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を包含する。
【0113】
特には、非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5及び配列番号:6として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を有しうる。
【0114】
本明細書において記載されているように、参照核酸配列と少なくとも80%のヌクレオチド同一性を有する核酸配列は、該参照核酸配列と少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%のヌクレオチド同一性を有する核酸配列を包含する。
【0115】
特定の実施態様において、非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5及び配列番号:6として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列を有しうる。
【0116】
非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11及び配列番号:12として記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0117】
特定の実施態様において、非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11及び配列番号:12として記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0118】
非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:16として記載されているアミノ酸配列と少なくとも68%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0119】
本明細書において記載されているように、参照アミノ酸配列と少なくとも68%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、該参照アミノ酸配列と少なくとも69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を包含する。
【0120】
特には、非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:14及び配列番号:15として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を有しうる。
【0121】
本明細書において記載されているように、参照核酸配列と少なくとも80%のヌクレオチド同一性を有する核酸配列は、該参照核酸配列と少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%のヌクレオチド同一性を有する核酸配列を包含する。
【0122】
特定の実施態様において、非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:14及び配列番号:15として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列を有しうる。
【0123】
非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:17及び配列番号:18として記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0124】
特定の実施態様において、非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:17及び配列番号:18として記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0125】
非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:24として記載されているアミノ酸配列と少なくとも60%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0126】
本明細書において記載されているように、参照アミノ酸配列と少なくとも60%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、該参照核酸配列と少なくとも61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0127】
特には、非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22及び配列番号:23として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を有しうる。
【0128】
本明細書において記載されているように、参照核酸配列と少なくとも80%のヌクレオチド同一性を有する核酸配列は、該参照核酸配列と少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%のヌクレオチド同一性を有する核酸配列を包含する。
【0129】
特定の実施態様において、非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22及び配列番号:23として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列を有しうる。
【0130】
非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27及び配列番号:28として記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0131】
特定の実施態様において、非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:25、配列番号:26、配列番号:27及び配列番号:28として記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0132】
非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:33として記載されているアミノ酸配列と少なくとも83%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0133】
本明細書において記載されているように、参照アミノ酸配列と少なくとも83%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列は、該参照アミノ酸配列と少なくとも84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列を包含する。
【0134】
特には、非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:30、配列番号:31及び配列番号:32として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有する核酸配列を有しうる。
【0135】
本明細書において記載されているように、参照核酸配列と少なくとも80%のヌクレオチド同一性を有する核酸配列は、該参照核酸配列と少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%のヌクレオチド同一性を有する核酸配列を包含する。
【0136】
特定の実施態様において、非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:30、配列番号:31及び配列番号:32として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列を有しうる。
【0137】
非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:34、配列番号:35及び配列番号:36として記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0138】
特定の実施態様において、非発癌性のヒトパピローマウイルス18(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列は特には、配列番号:34、配列番号:35及び配列番号:36として記載されているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする核酸配列を有しうる。
【0139】
上記に示されているように、本発明に従うレンチウイルスベクターは、下記を含む:
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列(本明細書において、noE6-HPV16と名付けられる)、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列(本明細書において、noE7-HPV16と名付けられる)、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列(本明細書において、noE6-HPV18と名付けられる)、及び、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列(本明細書において、noE7-HPV18と名付けられる)。
【0140】
特定の実施態様において、本発明に従うレンチウイルスベクター、特には本発明の非統合性のレンチウイルスベクターは、
(i) 非発癌性のヒトパピローマウイルス16(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列;非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列;非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列;及び、非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列を含み;
ここで、非発癌性のHPV抗原をコードする複数の核酸配列が特には、一緒に融合され、単一のプロモーター配列の制御下で、より特には該複数の核酸配列の各々の間に何らの連結配列がない場合に、単一の抗原融合タンパク質をコードする単一の抗原核酸配列を形成する;
(ii) U3プロモーター配列を欠く3'長末端反復(LTR)を含み;
(iii) 構成的エンハンサー配列を含まない;
(iv) MHCクラスIプロモーター、特にはβ2-ミクログロブリンプロモーター、を含み;
(v) cPPT/CTS配列、特には核酸配列の配列番号:37として記載されているcPPT/CTS配列、を含み;並びに、
(vi) ウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)の変異型、特には核酸配列の配列番号:38として記載されている核酸配列を有する上記変異型、を含む。
【0141】
本発明に従うレンチウイルスベクターは、より特には、下記を含みうる:
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、ここで、該核酸配列は、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5及び配列番号:6として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、該核酸配列は特には、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5及び配列番号:6として記載されている核酸配列からなる群から選択される;
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、ここで、該核酸配列は、配列番号:14及び配列番号:15として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、該核酸配列は特には、配列番号:14及び配列番号:15として記載されている核酸配列からなる群から選択される;
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、ここで、該核酸配列は、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22及び配列番号:23として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、該核酸配列は特には、配列番号:20、配列番号:21、配列番号:22及び配列番号:23として記載されている核酸配列からなる群から選択される;並びに、
非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする少なくとも1つの核酸配列、ここで、該核酸配列は、配列番号:30、配列番号:31及び配列番号:32として記載されている核酸配列からなる群から選択される核酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有し、該核酸配列は特には、配列番号:30、配列番号:31及び配列番号:32として記載されている核酸配列からなる群から選択される;
ここで、非発癌性のHPV抗原をコードする複数の核酸配列が特には、一緒に融合され、単一のプロモーター配列の制御下で、より特には該複数の核酸配列の各々の間に何らの連結配列がない場合に、単一の抗原融合タンパク質をコードする単一の抗原核酸配列を形成する。
【0142】
本発明に従うレンチウイルスベクター、特に本発明の非統合性のレンチウイルスベクター、におけるHPV抗原をコードする少なくとも4つの、特には4つの異なる核酸配列、は、従来の5'から3'への読み取り方向(5'末端から3'末端への)において、任意の順序でありうる。
【0143】
特には、上記で定義されたHPV抗原であるnoE6-HPV16、noE7-HPV16、noE6-HPV18及びnoE7-HPV18をコードする4つの異なる核酸配列は、本発明に従うレンチウイルスベクター、特には本発明に従う非統合性のレンチウイルスベクター、における24個のありうる組み合わせのうちで、従来の5'末端から3'末端への読み取り方向において、任意の順序でありうる。
【0144】
特定の実施態様において、少なくとも4つの異なる核酸配列の5'末端から3'末端への順序は、下記からなる群から選択される:
(a) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列;
(b) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列;
(c) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列;並びに、
(d) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、
ここで、非発癌性のHPV抗原をコードする複数の核酸配列が特には、一緒に融合され、単一のプロモーター配列の制御下で、より特には該複数の核酸配列の各々の間に何らの連結配列がない場合に、単一の抗原融合タンパク質をコードする単一の抗原核酸配列を形成する。
【0145】
これらの順序が図8A図8Dにおいて表されている。
【0146】
本発明に従うレンチウイルスベクターにおける少なくとも4つの異なる核酸配列の5'末端から3'末端への順序は、より特には下記の通りでありうる:
(d) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、
ここで、非発癌性のHPV抗原をコードする複数の核酸配列が特には、一緒に融合され、単一のプロモーター配列の制御下で、より特には該複数の核酸配列の各々の間に何らの連結配列がない場合に、単一の抗原融合タンパク質をコードする単一の抗原核酸配列を形成する。
【0147】
好ましくは、本発明に従うレンチウイルスベクターにおける少なくとも4つの異なる核酸配列の5'末端から3'末端への順序は下記の通りである:
(a) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、
ここで、非発癌性のHPV抗原をコードする複数の核酸配列が特には、一緒に融合され、単一のプロモーター配列の制御下で、より特には該複数の核酸配列の各々の間に何らの連結配列がない場合に、単一の抗原融合タンパク質をコードする単一の抗原核酸配列を形成する。
【0148】
より好ましくは、本発明に従うレンチウイルスベクターにおける少なくとも4つの異なる核酸配列の5'末端から3'末端への順序は下記の通りである:
(a) 非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV16)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E7抗原をコードする核酸配列-非発癌性のヒトパピローマウイルス(HPV18)タンパク質E6抗原をコードする核酸配列、
ここで、非発癌性のHPV抗原をコードする複数の核酸配列が、一緒に融合され、そして、単一のプロモーター配列の制御下で、該複数の核酸配列の各々の間に何らの連結配列がない場合に、単一の抗原融合タンパク質をコードする単一の抗原核酸配列を形成する。
【0149】
抗原構築物のこれら4つの異なるグループは夫々、本実施例において実施されている:
受託番号I-5759の下で、2021年10月21日付けでCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託されたレンチウイルスベクター(上記の順序(a));
受託番号I-5760の下で、2021年10月21日付けでCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託されたレンチウイルスベクター(上記の順序(b));
受託番号I-5761の下で、2021年10月21日付けでCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託されたレンチウイルスベクター(上記の順序(c));又は、
受託番号I-5762の下で、2021年10月21日付けでCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託されたレンチウイルスベクター(上記の順序(d))。
【0150】
従って、受託番号I-5759の下で、CNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物は、配列番号:41として記載されている下記のヌクレオチド配列を有し:
atgcccggagacacccccaccctgcacgaatacatgctggacctgcagcccgaaaccaccgaccccgaccgcgctcactacaacatcgttacattctgttgtaaatgcgactccaccctgagaagatgcgtgcagtccacccacgtggacatcaggaccctggaggacctcctcatgggaaccctgggtatcgtctgccccatcgcctcccaggcttttcaggacccccaggaaaggcccaggaagttgccccagctctgcaccgaactgcagaccaccattcatgacatcatcctcgaatgcgtgtactgcaagcagcagctcctgaggagggaggtgtacgatttcgccttcagagacggctgtatcgtctacaggaacccctatgccgtctgcgacaaatgcctgaagttttattccaagatctccgagtacaggcactattgctacagcctgtatgggaccaccctggagcagcagtacaacaagcccctgtgcgacctcctgatcaggtgcatcaactgccagaagcccctgaggttccacaacatccgcggcaggtggaccggaaggtgcatgtcctgctgcaggtccgccggccccggacctaaagccaccctccaggacatcgttctccacctggagccccagaacgagatccccgtggactcagaagaggagaacgacgagatcgacggcgtcaaccaccagcacctgcccgctcgcagagccgaaccccagagacacaccatgctctgcatgtgctgcaaatgcgaagcccggattaagttggtggtggaaagcagcgccgacgatctgagggccttccagcagctcttcctcaacaccctgtccttcgtgtgcccctgggtgggcgagcccggtagaaccatcccctacaagctgcccgatctgtgcacagagctgaacacctccctgcaggacatcgagatcacctgcgtctactgcaagaccgtgctggaactgaccgaggtgttcgaattcgccttcaaggacggcttcgtggtgtacagggacagcattccccacgccgcctgccataagctggagaaactgaccaacaccggactgtataacctgctgatcaggtgtctgaggtgccagaaggcagagaaactgagacatctgaacgagaaaaggaggttccacaatattgccgggcactgataa (配列番号:41)
及び配列番号:42として記載されている下記のアミノ酸配列をコードしている:
MPGDTPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRRCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPIASQAFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCRSAGPGPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPWVGEPGRTIPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGH (配列番号:42)
【0151】
受託番号I-5760の下で、CNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物は、配列番号:43として記載されている下記のヌクレオチド配列を有し:
atgttccaggacccccaggagaggccccggaagttgccccagctgtgcaccgagctgcagaccaccatccacgacatcatcctcgaatgcgtgtactgcaagcagcagctgctgaggagggaggtgtatgactttgccttcagagacggatgcattgtctacaggaacccctacgccgtgtgcgacaaatgcctgaagttctactccaagatcagcgagtacaggcactactgctactccctgtacggcaccaccctcgaacagcagtacaacaaacccctgtgcgacctcctgattaggtgcatcaactgccagaagcccctcaggttccacaacatccgcggccgctggaccggccgatgcatgtcttgctgcaggggccccgacgacccctacaagctccccgacctgtgcaccgaactcaacacctccctgcaggacatcgagatcacctgcgtgtattgcaagaccgtgctggagctgaccgaggttttcgaatttgcctttaaggacggcttcgtcgtgtatagggactccatcccccacgccgcctgccataagctggagaagctcaccaacaccggactgtataatctgctgatcaggtgcctcaggtgccagaaggcagaaaagctgaggcatctcaacgagaagcgccggttccacaatattgccggccccggagacacccccacactccatgagtacatgctcgacctgcagcccgaaaccaccgaccccgacagagcccactacaacatcgtgaccttctgctgcaagtgcgactccaccctgagaagatgcgtgcagtccacccacgtggacatccgcacactcgaagacctgctgatgggaaccctgggcatcgtgtgccccatcggccccgatgacaaggccaccttgcaggacatcgtgctgcacctggaaccacagaacgagatccccgtcgactccgaagaagaaaacgacgaaatcgacggagtgaatcaccagcacctgcccgccagaagggccgagcctcagagacacaccatgctctgcatgtgctgcaaatgcgaagccaggattaagctggtggtggagagcagcgccgacgacctgagggccttccagcagctcttcctgaacacactgtccttcgtgtgcccctgggcctgataa (配列番号:43)
及び配列番号:44として記載されている下記のアミノ酸配列をコードしている:
MFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCRGPDDPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGPGDTPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRRCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPIGPDDKATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPWA (配列番号:44)
【0152】
受託番号I-5761の下で、CNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物は、配列番号:45として記載されている下記のヌクレオチド配列を有し:
atgaggcggccctacaagctgcccgacctgtgcaccgagctgaacacctccctgcaggacatcgagatcacctgcgtgtactgcaagaccgtgctggagctgaccgaggtgttcgaattcgcattcaaggacggattcgtcgtgtatagggacagcattccacacgccgcctgccacaagctggagaaattgactaacaccggactgtataatctgctgatccggtgcctgaggtgtcagaaggccgagaagctgaggcatctgaacgagaaaaggagattccacaatatcgccggacacttccaggacccccaggagaggcccaggaaactgccccagttgtgcaccgagctccagacaaccatccacgacatcatcctggagtgcgtgtactgtaagcagcagttgctgaggagagaggtgtatgacttcgccttcagagacggatgcattgtctataggaacccctacgccgtgtgcgacaagtgcctgaagttctactccaagatcagtgagtacaggcattactgctacagcctgtatggaaccacactggaacagcagtacaacaagcccctgtgcgacctcctgattaggtgcatcaactgccagaagcccctcaggttccacaacatccggggcaggtggaccggaaggtgcatgtcctgctgcaggtccgccggccccggacctaaagccaccctccaggacatcgtgctgcacctggagccccagaacgagatccccgtcgactcagaggaggagaacgacgaaattgacggcgtcaaccaccagcacctgcccgctcgcagagccgaaccccagagacacaccatgctctgcatgtgctgcaaatgcgaggcccggattaagctggtggtggagagctccgccgacgatctgagagccttccagcagctcttcctgaacaccctgtccttcgtgtgcccctgggccggtcccggtgacacacctaccctgcacgagtacatgctcgatctgcagcccgagaccaccgaccccgatcgcgcacactacaacatcgtgaccttctgctgcaaatgtgacagcaccctgagacggtgcgtccagtccacccacgttgacatccgcaccctcgaagacctgctcatgggaaccctgggcatcgtgtgccccatcgcctgataa (配列番号:45)
及び配列番号:46として記載されている下記のアミノ酸配列をコードしている:
MRRPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGHFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCRSAGPGPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPWAGPGDTPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRRCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPIA(配列番号:46)
【0153】
受託番号I-5762の下で、CNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物は、配列番号:47として記載されている下記のヌクレオチド配列を有し:
atgggccctaaggccaccctgcaggacatcgtgctgcacttggagccccagaacgagatccccgtggacagcgaggaggagaacgacgaaatcgacggcgtgaaccaccagcacctgcccgcaagaagggccgaaccccagaggcacaccatgctctgcatgtgctgcaaatgcgaggccaggatcaagctggtggtggaaagcagcgccgacgatctgagggcattccagcagctgttcctgaacaccctctccttcgtgtgccctggggaacccggcaggaccatcccctataaactgcccgacctctgcaccgagctgaacacctccctgcaggacattgagatcacctgcgtctactgcaaaaccgtcctggaactgaccgaggtgttcgagttcgccttcaaagacggcttcgtcgtgtacagggacagcatcccccacgccgcctgccataagctggagaaactgaccaacaccggcctgtacaacctgctgatccggtgcctgagatgtcagaaggccgagaaactgaggcacctcaacgagaaaaggagattccacaatattgccgggcccggcgacaccccaaccctgcacgaatacatgctcgacctgcagcccgaaaccaccgaccccgacagagcccactacaacatcgtgaccttctgctgcaagtgcgactccaccctgagaagatgcgtgcagtccacccacgtggacatccgcacactcgaagacctgctgatgggaaccctgggcatcgtgtgccccatcgcttcccaggcctttcaggacccccaggaacggccaagaaagctgccccagctctgcaccgaactgcagaccaccatccacgacatcatcctggaatgcgtctactgtaagcagcagttgctgaggagggaggtgtatgatttcgccttcagagacggctgcatcgtctacaggaacccctacgccgtgtgcgacaaatgcctgaagttctactccaagatctccgaatacagacactattgctacagcctgtacggcaccaccctcgaacagcagtacaacaaacccctgtgcgacctcctgatcaggtgcatcaactgccagaagcccctccggttccacaacatccgaggaagatggaccggccggtgcatgtcctgctgcaggtcctgataa (配列番号:47)
及び配列番号:48として記載されている下記のアミノ酸配列をコードしている:
MGPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPGEPGRTIPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGPGDTPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRRCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPIASQAFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCRS (配列番号:48)。
【0154】
本発明に従うレンチウイルスベクターは特には、配列番号:42として記載されているアミノ酸配列と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸配列を含んでいてもよく、ここで、この核酸配列は特には、核酸配列の配列番号:41である。
【0155】
本明細書において記載されているように、参照アミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列は、該参照アミノ酸配列と少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%及び100%の同一性を有するアミノ酸配列を包含する。
【0156】
従って、本発明に従うレンチウイルスベクターはより特には、受託番号I-5759、受託番号I-5760、受託番号I-5761及び受託番号I-5762の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターからなる群から選択され得、特には、受託番号I-5762の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターである。本発明に従うレンチウイルスベクターは好ましくは、受託番号I-5759の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターであり得、従って、好ましくは、核酸配列の配列番号:41を含む。
【0157】
本発明に従うレンチウイルスベクター粒子
【0158】
本発明の別の目的は、本発明に従う少なくとも1つのレンチウイルスベクター、特には上記で定義された少なくとも1つのレンチリバルベクター、を含むレンチウイルスベクター粒子に関する。
【0159】
本発明に従うレンチウイルスベクター粒子は、本発明に従うレンチウイルスベクターを含み、異なるDNAプラスミドによる細胞、例えばHEK 293Tヒト培養細胞、の一過性のトランスフェクション(transient transfection)に応じて、当技術分野において知られている組み換え技術によって製造されることができる:
(i) パッケージングプラスミド(packaging plasmid)、該パッケージングプラスミドは、少なくともGag、Pol、Rev、Tat、及び場合によっては、トランスファー構築物(transfer construct)のパッケージングの為に必要な構造タンパク質及び酵素タンパク質を発現する;
(ii) 本発明に従うレンチウイルスベクター、ここで、該レンチウイルスベクターは、パッケージング、逆転写及び統合の為に必要な、発現カセット(抗原)及びHIVシス作用因子(HIV cis-acting factors)を含む;並びに、
(iii) エンベロープをコードするプラスミド、ほとんどの場合、水疱性口内炎ウイルスの糖タンパク質(VSV.G:glycoprotein of vesicular stomatitis virus)、ここで、このタンパク質は、多種多様な細胞、特には、DCを包含する主要組織適合性(MHC:major histocompatibility)抗原提示細胞(APC:antigen-presenting cell)、を標的とすることができる混合粒子(シュード型(pseudotypes))の形成を可能にする。
【0160】
そのような方法により、本発明に従う組み換えベクター粒子を製造することができ、該方法は、
i) 本発明に従うレンチウイルスベクターで適当な宿主細胞を遺伝子導入すること;
ii) レトロウイルス(好ましくはレンチウイルス)の少なくとも構造活性及びポリメラーゼ活性をコードするウイルスDNA配列を含むパッケージングプラスミドベクターで該宿主細胞を遺伝子導入すること、ここで、そのようなパッケージングプラスミドは例えば、当技術分野において記載されている(Dull et al.,1998,J Virol,72(11):8463-71;Zufferey et al.,1998,J Virol 72(12):9873-80);
iii) 該遺伝子導入された宿主細胞を培養して、該レンチウイルスベクターの発現及び該レンチウイルスベクター粒子へのパッケージングを得ること;並びに、
iv) 該培養された宿主細胞における工程iii)の発現及びパッケージングから結果として得られたレンチウイルスベクター粒子を採取すること
の工程を含む。
【0161】
本発明のレトロウイルス粒子をシュード型化する(pseudotype)為に、該宿主細胞は更に、1以上のウイルスエンベロープタンパク質、好ましくはVSV-Gエンベロープタンパク質、をコードする1つ又は幾つかのエンベロープDNAプラスミドで遺伝子導入されることができる。
【0162】
この手順により、遺伝子導入された細胞によるレンチウイルス粒子ベクターの一過性の産生を得ることが可能である。しかしながら、パッケージング遺伝子、プロウイルスコードDNA及びエンベロープ遺伝子を細胞ゲノム内に安定的に挿入することによって、レンチウイルス粒子ベクターがまた細胞によって連続的に産生されうる。これにより、一過性のトランスフェクションを必要とすること無しに、該細胞によるレンチウイルス粒子ベクターの連続産生が可能である。もちろん、これらの手順の組み合わせが使用されることができ、ここで、DNA/プラスミドの一部が細胞ゲノム内に組み込まれ、他が一過性のトランスフェクションによって提供される。
【0163】
レンチウイルスベクター粒子は、非統合型のレンチウイルスベクター粒子であってもよい。非統合型のベクター粒子は、レンチウイルスベクター粒子の統合能(integrating capacity)のほとんど又は全てを除去する1以上の変異を有する。例えば、非統合型のベクター粒子は、統合能における低下を生じるところの、レンチウイルスpol遺伝子によってコードされるインテグラーゼ(integrase)における1以上の変異を含むことができる。
【0164】
本発明に従うレンチウイルスベクター粒子は特には、本発明の非統合型のレンチウイルスベクターを含む。
【0165】
本発明に従うレンチウイルスベクター粒子は、水疱性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSVG:vesicular stomatitis virus glycoprotein)、特には、VSV-Gインディアナ血清型又はVSV-Gニュージャージー血清型、を含みうる。
【0166】
ワクチン摂取の戦略に関して言えば、シュード型化された(pseudotyped)レンチウイルスベクター粒子は、免疫系がレンチウイルスに対する免疫を既に獲得している場合には、免疫系から逃れる可能性が高い。このことは、ある疾病に対して患者を免疫する為に、同様の粒子ベクターの連続注射が必要とされる場合に特に役立つ。
【0167】
該レンチウイルスベクター粒子は、HIV-1 Gag及びPolタンパク質、特にはHIV-1サブタイプD Gag及びPolタンパク質、を含んでいてもよい。
【0168】
本発明の更なる目的は、本発明に従うレンチウイルスベクター又は本発明のレンチウイルスベクター粒子を含む(すなわち、本発明に従うレンチウイルスベクター又は本発明のレンチウイルスベクター粒子で形質転換された)単離された細胞に関する。
【0169】
本発明に従う細胞は好ましくは、哺乳動物細胞、特にはヒト細胞、である。特に好ましいのは、ヒトの非分裂細胞である。
【0170】
本発明の別の目的は、本発明に従うレンチウイルスベクターを、本発明に従うレンチウイルスベクター粒子を、又は本発明に従う細胞を含むワクチン組成物に関する。
【0171】
発明に従うワクチン組成物は、医薬的に許容される媒体を含む。
【0172】
「医薬的に許容される媒体」とは、本発明に従う、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞を可溶化し、そして、個体に送達する為に使用される任意の溶液を意味する。望ましい医薬的に許容される担体は生理食塩水である。望ましい実施態様において、医薬的に許容される媒体は、アジュバントを包含する。
【0173】
適切な生理学的に許容される媒体及びそれらの製剤は、当業者に知られており、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences,(20th edition),ed.A.Gennaro,2003,Lippincott Williams & Wilkinsにおいて記載されている。
【0174】
本発明に従う実施
【0175】
本発明の目的は、医薬品又はワクチンとして使用する為の、本発明の、レンチウイルスベクター、本発明のレンチウイルスベクター粒子又は本発明の単離細胞に関する。
【0176】
特には、本発明の目的は、HPV誘発癌及びその転移、特にはHPV誘発癌、の処置又は予防において使用する為の、本発明のレンチウイルスベクター、本発明のレンチウイルスベクター粒子又は本発明の単離細胞に、特には本発明に従うワクチン組成物の形態での、本発明のレンチウイルスベクター、本発明のレンチウイルスベクター粒子又は本発明の単離細胞に、関する。
【0177】
先に示されているように、HPV誘発癌はHPVによる感染によって誘発されるがんである。がんにおけるHPVの検出の為の方法は当技術分野において知られている(Aldo Venuti and Francesca Paolini;Head Neck Pathol.2012 Jul;6(Suppl 1):63~74)。
【0178】
HPV誘発癌は特には、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、陰茎癌、肛門癌及び口腔咽頭癌からなる群から選択されることができる。
【0179】
本発明に従うそのようながんの転移は特には、肺転移でありうる。
【0180】
そのような予防及び/又は処置は、考慮される活性、特には上記で定義されている本発明のワクチン組成物、を、そのような予防及び/又は処置を必要とする個体に投与することを意味する。
【0181】
そのような予防及び/又は処置を必要とする個体は、動物、特には哺乳類、であり、特には人間である。
【0182】
本発明に従う、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子、細胞及びワクチン組成物は、当業者によって容易に決定されることができる免疫学的応答を惹起する為に十分な用量で、慣用的な方法によってそのような予防及び/又は処置を必要とする個体に投与される。
【0183】
従って、本発明に従う、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子、細胞及びワクチン組成物は、下記において指示されているように静脈内又は筋肉内に投与されうる。
【0184】
代替的に、本発明に従う、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子、細胞及びワクチン組成物は、経鼻的に投与されうる。この投与経路は、口腔咽頭癌及び/又は肺転移の処置又は予防において特に有用である。
【0185】
本発明に従う、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子、細胞及びワクチン組成物は、治療的に有効な量で投与され、特には、少なくとも1×106、2×106、5×106、1×107、2×107、5×107、1×108、2×108、5×108、又は本発明に従うレンチウイルスベクターの少なくとも1×109TU(トランスダクション単位(Transduction units))に相当する用量で、特には本発明に従うレンチウイルスベクターの少なくとも1×107、2×107、5×107、1×108TU若しくは少なくとも1×109TUに相当する用量で、投与される。好ましい実施態様において、本発明に従う、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子、細胞及びワクチン組成物は、本発明に従うレンチウイルスベクターの少なくとも1×107TU、より特には本発明に従うレンチウイルスベクターの少なくとも1×108TU、特には本発明に従うレンチウイルスベクターの少なくとも1×109TU、に相当する用量で投与される。
【0186】
「治療的に有効な量」とは例えば、対象において下記の効果のうちの1以上を生じさせる為に必要な本発明に従う、レンチウイルスベクター又はレンチウイルスベクター粒子、細胞又はワクチン組成物の量を意味する:HPV誘発腫瘍に対する免疫応答;HPV誘発腫瘍のサイズにおける減少、すなわち、投与時の腫瘍の大きさと比較して、15~45日間で、腫瘍の大きさの少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の減少;投与後5~45日間で、HPV誘発腫瘍におけるCD8及び/又はCD4浸潤における増加;投与後5~45日間で、HPV誘発腫瘍におけるCD25FoxP3CD4制御性T細胞(Treg)の減少。
【0187】
投与は、周知の経路、例えば、静脈内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内又は皮下注射を包含する上記の周知の経路、を用いて行われることができ、特には、静脈内、鼻腔内又は筋肉内であってもよく、静脈内又は筋肉内であってもよい。
【0188】
適切な投与量及びレジメンは、多くの要因に依存して種及び個体間で異なることは明らかであろう。例えば、ヒトにおいて効果的な免疫反応を得る為には、マウスに比べて高用量が一般的に必要であろう。
【0189】
本発明に従う、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子、細胞及びワクチン組成物は例えば、実施例において例示されているように、単回投与で、又は2回以上の投与で、投与されうる。当業者は、各々の場合において、本発明に従う有効成分の投与の為の適切なレジメン及び投与量を決定するであろう。
【0190】
本発明に従う、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子、細胞及びワクチン組成物は有利には、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤(ICI:immune checkpoint inhibitor)と組み合わせて投与されうる。
【0191】
本発明に従う免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は特には、抗体、特には、抗PD-1抗体、抗PD-L1(PD-1リガンド)抗体、抗CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(Cytotoxic T-Lymphocyte-Associated protein 4))抗体、抗NKG2A抗体、抗TIM-3(T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有-3)抗体、抗TIGIT(Igドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)抗体又は抗LAG-3(リンパ球活性化遺伝子3)抗体、でありうる。より特には、本発明に従う少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1モノクローナル抗体、抗PD-L1モノクローナル抗体、抗CTLA-4モノクローナル抗体、抗NKG2Aモノクローナル抗体、抗TIM-3モノクローナル抗体、抗TIGITモノクローナル抗体及び抗LAG-3モノクローナル抗体からなる群から選択されるモノクローナル抗体でありうる。更により特には、本発明に従う少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1モノクローナル抗体、抗PD-L1モノクローナル抗体、抗CTLA-4モノクローナル抗体、抗NKG2Aモノクローナル抗体、抗TIM-3モノクローナル抗体及び抗TIGITモノクローナル抗体からなる群から選択されるモノクローナル抗体でありうる。
【0192】
本発明に従う免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は、より特には、抗体、特には、抗PD-1抗体、抗PD-L1(PD-1リガンド)抗体、抗CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)抗体、抗NKG2A抗体、抗TIM-3(T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有-3)抗体、抗TIGIT(Igドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)抗体、又は抗LAG-3(リンパ球活性化遺伝子3)抗体であり、更により特には、抗PD-1抗体、抗PD-L1(PD-1リガンド)抗体、抗CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)抗体、抗NKG2A抗体、抗TIM-3(T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有-3)抗体、又は抗TIGIT(Igドメイン及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体)抗体である。より特には、本発明に従う少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤は、抗PD-1モノクローナル抗体、抗PD-L1モノクローナル抗体、抗CTLA-4モノクローナル抗体、抗NKG2Aモノクローナル抗体、抗TIM-3モノクローナル抗体、抗TIGITモノクローナル抗体及び抗LAG-3モノクローナル抗体であってもよく、特には、抗PD-1モノクローナル抗体、抗PD-L1モノクローナル抗体、抗CTLA-4モノクローナル抗体、抗NKG2Aモノクローナル抗体、抗TIM-3モノクローナル抗体及び抗TIGITモノクローナル抗体からなる群から選択されるモノクローナル抗体であってもよい。
【0193】
抗PD-1モノクローナル抗体は例えば、ニボルマブ(Nivolumab)、ペムブロリズマブ(Pembrolizumab)及びセミピリマブ(Cemiplimab)からなる群から選択されうる。
【0194】
抗PD-L1モノクローナル抗体は例えば、アテゾリズマブ(Atezolizumab)、アベルマブ(Avelumab)及びデュルバルマブ(Durvalumab)からなる群から選択されうる。
【0195】
抗CTLA-4モノクローナル抗体は例えば、イピリムマブ(ipilimumab)、トレメリムマブ(tremelimumab)及びクアボンリマブ(quavonlimab)からなる群から選択されうる。
【0196】
抗NKG2Aモノクローナル抗体は、例えばモナリズマブ(monalizumab)である。
【0197】
抗TIM-3モノクローナル抗体は例えば、Sym023及びサバトリマブ(sabatolimab)からなる群から選択されうる。
【0198】
抗TIGITモノクローナル抗体は例えば、チラゴルマブ(tiragolumab)でありうる。
【0199】
抗LAG-3モノクローナル抗体は例えば、レラトリマブ(relatlimab)でありうる。
【0200】
特には、ICIは、抗PD-L1モノクローナル抗体又は抗PD-1モノクローナル抗体であり得、特には抗PD-1モノクローナル抗体でありうる。
【0201】
本発明に従う使用の為の、ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞と免疫チェックポイント阻害剤とは、同時に投与されてもよく、又は別々に投与されてもよい。
【0202】
実施例において実証されているように、本発明に従うレンチウイルスベクターと、免疫チェックポイント阻害剤とを組み合わせた場合に得られる予想外の相乗的な有利な特性を考慮すると、本発明に従うレンチウイルスベクターによるワクチン接種により、免疫チェックポイント阻害剤療法、特には抗PD-1療法、の対象となる患者の数が増加しうることが予想される可能性がある。
【0203】
「同時に」とは、(i)ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞、及び(ii)免疫チェックポイント阻害剤が、同じ瞬間、又は同日若しくは数日まで投与されうることが理解される。この場合、これらは同じ組成物で投与されることができ、又は別々の組成物で投与されることができる。
【0204】
「別々に」とは、(i)本発明に従う、ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞、及び(ii)免疫チェックポイント阻害剤が、少なくとも数日間で、例えば少なくとも2日間の差で、投与されうることが理解される。
【0205】
特には、(i)ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞、及び(ii)免疫チェックポイント阻害剤が別々に投与される場合、本発明に従うワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞は、免疫チェックポイント阻害剤の前に投与されうる。
【0206】
有利には、本発明に従う、ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞は、該免疫チェックポイント阻害剤の投与の少なくとも2日前、特には少なくとも4日前、に投与されうる。従って、該免疫チェックポイント阻害剤は有利には、本発明に従う、ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞の投与の少なくとも2日後、特に少なくとも4日後、に投与されうる。該免疫チェックポイント阻害剤は、より特には、本発明に従う、ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞の4日後~1ヵ月後、特には4日後~15日後、より特には4日後~10日後、に投与されうる。
【0207】
本発明に従って使用する為の、ワクチン組成物、レンチウイルスベクター、レンチウイルスベクター粒子又は細胞と、免疫チェックポイント阻害剤とは、同じ経路によって投与されてもよく、又は異なる経路で投与されてもよい。
【0208】
本明細書における該少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤は、治療上有効な用量、すなわち、それが投与される効果をもたらす用量、で投与される。該免疫チェックポイント阻害剤の正確な用量は、処置の目的に依存し、当業者によって既知の技術を用いて確認されるであろう。
【0209】
本発明は更に、HPV誘発癌の処置及び/又は予防を必要とする個体におけるHPV誘発癌の処置及び/又は予防の方法であって、本発明の、少なくとも1つのレンチウイルスベクター、本発明のレンチウイルスベクター粒子又は本発明の単離された細胞を、該個体に投与すること、特には本発明に従うワクチン組成物の形態で該個体に投与すること、を含む上記の方法に関する。
【0210】
本発明は更に、HPV誘発癌の処置及び/又は予防を必要とする個体におけるHPV誘発癌の処置及び/又は予防の為に、本発明の、少なくとも1つのレンチウイルスベクター、本発明のレンチウイルスベクター粒子又は本発明の単離された細胞を使用すること、特には、本発明に従うワクチン組成物の形態で本発明の、少なくとも1つのレンチウイルスベクター、本発明のレンチウイルスベクター粒子又は本発明の単離された細胞を使用すること、に関する。
【0211】
以下に示す実施例及び図は、説明の為に示されたものであって、本発明を暗黙的に限定するものでない。
【0212】
実施例
【0213】
材料及び方法
【0214】
マウス
【0215】
C57BL6jRjマウスはJanvier Labs(Le Genest-Saint-Isle,フランス)から購入した。全ての動物は特定の病原体を含まない条件下で維持され、及び全ての処置は承認された動物プロトコールに従って、及び実験動物の適切な使用及び世話の為の勧告に従って行われた。全ての動物実験は、実験動物の飼育及び使用に関するフランス及びヨーロッパの規則によって定められたガイドラインに従って実行された。
【0216】
ペプチド、抗体、及び試薬
【0217】
本発明に従うワクチンの反応性を試験する為に、GenScript Biotech(オランダ)から純度80%以上の15mer重複ペプチド(overlapping peptides)が取り寄せられた。CD4-VioBlue(クローンREA604)、抗CD45-VioGreen(クローンREA737)、抗FoxP3-Vio515(クローンREA788)、抗CD279 (PD1)-PE(クローンREA802)、抗CD8a-PE-Vio770(クローンREA601)、抗CD25-APC(クローンREA568)、抗CD11c-FITC(クローンREA754)、抗CD11b-APC-Vio770(クローンREA592)がMiltenyi Biotecから購入された。抗マウスH-2kb(クローンAF6-88.5)、抗CD274(PD-L1)-APC(クローンMIH5)及び抗CD16/CD32(クローン2.4G2)がBD Biosciencesから購入された。
【0218】
抗体は、1%FCSを含有するPBS(Gibco)と混合された。
【0219】
シクロホスファミドがSigmaから購入され、PBS(Gibco)中に再懸濁され、そして、使用前に-20℃で保存された。
【0220】
細胞
【0221】
HPV-16 E6及びE7発現TC-1腫瘍細胞が、以前に記載されているように作製された(Lin et al.Cancer Res.1996 Jan 1;56(1):21-6):C57BL6マウスの初代肺細胞が、HPV-16 E6及びE7遺伝子と活性化ヒトc-Ha-ras癌遺伝子を発現するpVEJBとで形質転換された。TC-1細胞株が、Glutamax RPMI培地(Gibco,100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン及び10%ウシ胎児血清で補充された)中で培養された。
【0222】
レンチウイルスベクター構築
【0223】
抗原(Ag)構築物はpFlap-B2m-Ag-WPREMuteeバックボーン内にクローニングされた(該バックボーンについては、例えば国際公開第WO2016/012623号パンフレットを参照)。抗原プラスミドは、非有糸分裂細胞の形質導入の為に必須のcPPT/CTS配列(核酸配列の配列番号:37)を含む。U3プロモーター配列は、ベクターの複製を避ける為に、3'長末端反復(LTR)から欠失された。ベータ-2マイクログロブリン(β2m)プロモーターは、形質導入された全ての細胞におけるワクチン抗原発現を制御し、それによって、抗原はAPC(抗原提示細胞(Antigen Presenting Cell))において優先的に発現される。加えて、変異誘発及び/又は遺伝毒性作用を誘発する可能性のある既知の何らかのエンハンサー配列は一切含まれていない。抗原プラスミドは、ウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後制御エレメント(WPRE)の変異型(核酸配列の配列番号:38)を含む。野生型WPRE領域は、癌化特性を有しうるWHV Xタンパク質の切断型(truncated form)を含む(Kingsman et al.,Gene Ther.2005 Jan;12(1):3~4)。本発明者等の構築物において用いられたWPREの変異型は、Xタンパク質の開始コドン内に点変異を含むことによって、切断型Xタンパク質の発現を妨げている。そのような変異型WPRE配列は、がん化特性を持たないようである(Themis et al.,Mol Ther.2005 Oct;12(4):763~71)。
【0224】
パッケージングプラスミド(pNDK)は、HIV-1サブタイプNDK(GenBank受託番号:A34828)のgag-pol配列を含む。タンパク質nef、vif、vpr、envは発現していない。その上、HIV-1インテグラーゼタンパク質配列(pol遺伝子)における64位のアスパラギン酸(D)からバリン(V)への置換(D64V)は、イン・ビトロ(in vitro)での導入遺伝子の発現を妨げること無しに、統合を阻害するのに十分である。本発明に従うレンチウイルス粒子は非統合性の粒子である。
【0225】
エンベローププラスミド:pCMV-VSV-G INDco(インディアナ(Indiana))ベクター及びpCMV-VSV-G NJco(ニュージャージー(New Jersey))ベクターは、水疱性口内炎ウイルス(VSV:Vesicular stomatitis virus)Gタンパク質(VSV-G)インディアナ(GenBank寄託番号J02428)血清型インサート及びニュージャージー(GenBank寄託番号P04882)血清型インサートをpVAX1発現ベクター(Invitrogen)内にサブクローニングすることによって構築された。下記のベシクロウイルス(Vesiculovirus)由来の糖タンパク質をコードする哺乳動物コドン最適化合成遺伝子(GeneArt)がpVAX1プラスミド(Invitrogen)内にクローニングされた:水疱性口内炎ウイルスインディアナ血清型(Vesicular Stomatitis Virus Indiana serotype)(GenBank:FW591952)、ニュージャージー血清型(New Jersey serotype)(GenBank:FW591956)及び球菌ウイルス(Cocal virus)(GenBank:AF045556.1)。
【0226】
レンチウイルスベクター粒子の生成
【0227】
1%ペニシリン/ストレプトマイシン及び10%FCSを添加したDMEM中でHEK 293 T細胞(ATCC)を増幅した後に、当技術分野において周知の方法に従って、3つのプラスミド(ウイルス抗原プラスミド、エンベロープ発現プラスミド及びパッケージングプラスミド)を用いてHEK 293 T細胞(ATCC)を一過性にリン酸カルシウム共トランスフェクションすることによって、非統合性のレンチウイルス粒子が産生された。培養培地が24時間後に無血清培地によって交換される。トランスフェクションから48時間後に上清が回収され、2500rpmの遠心分離で清澄化される。ウイルス粒子が超遠心(22000rpm/88250g,4℃で1時間)によって濃縮され、そして、保存用緩衝液(20mMのPipes,75mMのNaCl及び2.5%のスクロース)中で懸再懸濁される。
【0228】
ベクター滴定
【0229】
レンチウイルスベクター力価は、細胞(HEK 293 T)の形質導入後に定量PCRによって決定された。アフィジコリン(Aphidicolin)が、形質導入の24時間前にHEK293T細胞に添加され、そして、力価測定プロセス全体の間で維持される。細胞は、50μg/mlのRNase A(sigma)を含有する溶解バッファー(200mMのトリス、1%のNP40及び1%のTween20)で30分間インキュベートされる。プロテイナーゼK(0.2mg/ml)が懸濁物に加えられ、そして、56℃で4時間インキュベートされる。定量PCRの為に、RRE(Agベクターの要素)及びGAPDH(宿主細胞内)に特異的なプライマーのペアが使用される。力価は、ベクターの形質導入単位(TU:transduction unit)/mLとして表される。
【0230】
HPVワクチンの設計
【0231】
実施された非発癌性の免疫原性E6及びE7タンパク質配列が、本明細書において前述されたように選択され、そして、改変された。
【0232】
特には、下記のレンチウイルスベクターを含む4つの異なるワクチンが設計された:
受託番号I-5759の下で、2021年10月21日付けでCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託されたレンチウイルスベクター;
受託番号I-5760の下で、2021年10月21日付けでCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託されたレンチウイルスベクター;
受託番号I-5761の下で、2021年10月21日付けでCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託されたレンチウイルスベクター;又は、
受託番号I-5762の下で、2021年10月21日付けでCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に寄託されたレンチウイルスベクター。
【0233】
これらのレンチウイルスベクター粒子は、ベクター滴定によって定量され及び形質導入単位(TU)として表されるこれらの機能性レンチウイルスベクターを含み、下記の実施例において実施された。
【0234】
レンチウイルスベクターワクチン(LVワクチン)のイン・ビボ(In vivo)免疫原性
【0235】
ナイーブ(Naive)C57BL6雌マウスに、本発明に従うLVワクチン(すなわち、本発明の機能的レンチウイルスベクターを含む本発明のレンチウイルスベクター粒子)が、50μLの希釈剤中で筋肉内(i.m.)注射によりワクチン接種された。14日後、脾臓細胞が調製され、そして、4つの異なるHPVペプチドプール(各ペプチドは最終2μg/mLである)でIFNg ELISPOTの為に一晩再刺激された。各ペプチドプールは、下記の非発癌性の抗原変異体のうちの1つに対応する:HPV16のE6タンパク質の非発癌性の変異体、HPV16のE7タンパク質の非発癌性の変異体、HPV17のE6タンパク質の非発癌性の変異体、及びHPV17のE7タンパク質の非発癌性の変異体。これらは、選択された完全抗原(full selected antigen)に対応するオーバーラップした15量体(11a.a.のオーバーラップを有する)から構成されている。
【0236】
イン・ビボ(In vivo)腫瘍ワクチン接種処置
【0237】
イン・ビボ(In vivo)腫瘍実験の為に、1.106個のTC-1細胞が7~9週齢のC57BL/6マウスの右脇腹に皮下(s.c.)注射された(マウスは、注射前に電気シェーバーで剃毛された)。平均腫瘍体積が予想される範囲に達した時点で、マウスが無作為化され、そして、該マウスに、筋肉内(i.m.)注射により本発明のLVワクチンが注射された。マウスは1週間に3回、ノギスで腫瘍径を測定することによって腫瘍の成長が監視された。倫理的理由により、腫瘍が1500mm3超のマウスは安楽死させなければならなかった。
【0238】
ヒトPBMCにおける本発明のLVワクチンの免疫原性
【0239】
凍結ヒトPBMC(StemCell)が緩やかに解凍され、0.5μMのCFSE(Thermofischer)を用いて、37℃で、10分間染色された。次に、細胞が完全RPMI(10%FCS、10mMのHepes(Gibco)、100U/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、0.1mMの非必須アミノ酸(Gibco)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco))中、丸底96ウェルプレート(1ウェル当たり0.2x106個の細胞)において培養された。7日後、細胞が遠心分離され、そして、新しい完全RPMI(予め加温)が加えられる。さらに7日後(合計14日後)、細胞が蛍光抗体で染色され、そして、フローサイトメトリー(MACSQuantアナライザー)によってデータが取得される。
【0240】
腫瘍免疫浸潤の細胞分析
【0241】
腫瘍が、マウス腫瘍分離キット(Mouse Tumor Dissociation kit)(Miltenyi)で処理された。細胞懸濁液が70μm孔のフィルターを通じて濾過され、赤血球溶解バッファー(Sigma)で処理され、次に、洗浄され、1200rpmで5分間遠心分離された。回収した細胞が下記のように染色された。
【0242】
NKを検出する為にNear IR LD(Invitrogen)、FcγII/III受容体ブロッキング抗CD16/CD32(クローン2.4G2,BD Biosciences)、APC-抗CD11b(クローンN418,BD Biosciences)、BV421-抗NKp46(クローン29A1.4,Biolegend)が用いられた。
【0243】
サンプルがAttune NxTサイトメーター(Invitrogen)で取得され、そして、データがFlowJoソフトウェア(Treestar,オレゴン州,米国)で解析された。
【0244】
細胞内サイトカイン染色
【0245】
免疫マウスの脾臓細胞が、組織のホモジナイズと100μmのナイロンフィルター(Cell Strainer,BD Biosciences)を通じた通過によって得られ、そして、24ウェルプレート中に4×106細胞/ウェルで播種された。脾臓細胞が、10μg/mLの相同ペプチド又は対照ペプチド、1μg/mLの抗CD28(クローン37.51)及び1μg/mLの抗CD49d(クローン9C10-MFR4.B)mAbs(BD Biosciences)の存在下で6時間刺激された。インキュベーションの最後の3時間、細胞はGolgi PlugとGolgi Stop(いずれもBD Biosciences)の混合液で処理された。PE-Cy7-抗CD107a(clone 1D4B,BioLegend)mAbがまた、この時点で培養物に添加された。次に、細胞が回収され、3%FBSと0.1%NaN3を含有するPBS(FACSバッファー)で洗浄され、Near IR Live/Dead(Invitrogen)、FcγII/III受容体ブロッキング抗CD16/CD32(クローン2.4G2)、PerCP-Cy5.5-抗CD3ε(クローン145-2C11)、PE-Cy7-抗CD4(クローンRM4-5)及びBV711-抗CD8(クローン53-6.7)mAbs(BD Biosciences又はeBioscience)の混合物で、4℃で25分間、インキュベートされた。細胞がFACSバッファー中で2回洗浄され、次に、Cytofix/Cytopermキット(BD Bioscience)を用いて透過処理された。次に、細胞がCytofix/CytopermキットのPermWash 1Xバッファーで2回洗浄され、そして、BV421-抗IL-2(クローンJES6-5H4)、FITC-抗TNF(MP6-XT22)の混合液でインキュベートされた。APC-抗IFN-γ(クローンXMG1.2)及びBV605-抗IL-17A(クローンTC11-18H10)mAbs(BD Biosciences)、又は適切な対照Igアイソタイプの混合物と4℃で30分間接触させた。次に、細胞がPermWash中で2回、FACSバッファー中で1回洗浄され、次に、Cytofix(BD Biosciences)で4℃で一晩固定された。細胞がAttune NxTサイトメーターシステム(Invitrogen)で取得され、そして、データ解析がFlowJoソフトウェア(Treestar,オレゴン州,米国)を用いて行われた。
【0246】
実施例1:本発明のHPVワクチンがイン・ビボ(in vivo)で免疫原性である
【0247】
免疫反応を誘発する本発明のワクチンの能力を測定する為に、レシピエントマウス(recipient mice)に4種のワクチンが免疫化された(試験されたワクチン及び対照グループ毎に1群5匹)。
【0248】
マウスに、受託番号I-5759の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクター、受託番号I-5760の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクター、受託番号I-5761の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクター若しくは受託番号I-5762の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子の1x107TUが又は50μLの希釈剤が筋肉内(i.m.)注射された。14日後、脾臓細胞が用意され、そして、4つの異なるペプチドプール(各ペプチドは最終2μg/mL)でIFNg ELISPOTについて一晩再刺激された。得られた結果が図1において示されている。
【0249】
実施例2:本発明のワクチンのうちのHPVワクチンは、イン・ビボ(in vivo)で良好に移植された腫瘍を完全に除去する。
【0250】
TC-1腫瘍細胞は、HPV誘発腫瘍を研究する前臨床モデルとして広く用いられている(Kim,J W et al.Gene therapy vol.11,12 (2004):1011~8)。これらの肺腫瘍細胞は、HPV16由来のE6及びE7を発現するように改変された(Lin et al.Cancer Res.1996 Jan 1;56(1):21~6)。
【0251】
TC-1細胞が該マウスに皮下(s.c.)注射された後に、固形腫瘍が注射部位で急速に見つかり、未処置の動物の腫瘍は成長して、30~40日で倫理的終点に達する。本発明のレンチウイルスベクター粒子の有効性を試験する為に、TC-1細胞が皮下(s.c.)注射され、そして、腫瘍体積が1日おきに測定された(ノギス測定)。平均腫瘍体積が70mm3になったときに、マウスが無作為化され、そして、該マウスには、LV-GFPインディアナ(Indiana)(対照として)、I-5759を含むインディアナレンチウイルスベクター粒子、I-5760を含むインディアナレンチウイルスベクター粒子、I-5761を含むインディアナレンチウイルスベクター粒子、又はI-5762を含むインディアナレンチウイルスベクター粒子の1x108TUが筋肉内(i.m.)注射でワクチン接種された。
【0252】
得られた結果が図2において示されている。
【0253】
腫瘍の迅速且つ非常に効率的な除去が、受託番号I-5762の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子及び受託番号I-5759の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子でワクチン接種された動物の100%において、受託番号I-5760の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子でワクチン接種された動物の87.5%において、及び受託番号I-5761の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子でワクチン接種された動物の75%において観察される。
【0254】
受託番号I-5759の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含むワクチン及び受託番号I-5762の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含むワクチンは、同等の腫瘍除去率(I-5760及びI-5761よりも高い)を示すが、I-5759ワクチン接種では平均37.5日(±7.4SD)で腫瘍が完全除去されるのに対して、I-5762ワクチン接種の完全除去はそのワクチン接種後54.7日かかる。
【0255】
最も免疫原性の高いベクターが最も予防効果が高いわけではなく、免疫原性の順位は抗腫瘍効果には当てはまらないということが観察されたことに本発明者等は驚いた。事実、受託番号I-5759の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子が最も効率的な抗腫瘍ワクチンであったのに対して、受託番号I-5760の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子及び受託番号I-5762の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子は、IFN-γ産生を測定する場合に、より免疫原性の高いベクターであった。
【0256】
実施例3:本発明のHPVワクチンの単回投与は腫瘍再発に対して効率的である。
【0257】
再発はほとんどのがん種で一般的に観察され、一定期間改善した後に疾病が再発することとして定義されている。最初の処置で生き残った少数の腫瘍細胞が、処置後数週間、数ヶ月、又は数年経ってから新たな腫瘍を形成することが原因である場合が多い。
【0258】
A.本発明者等のモデルにおける再発を模倣する為に、原発巣を消失させたマウスが60日目にもう片方の脇腹上で再チャレンジされた。腫瘍細胞の注入を確認する為に、対照マウス(未処置)にまた皮下(s.c.)注射がされた。
【0259】
得られた結果が図3において示されている。
【0260】
この図は、対照マウスにTC-1細胞を皮下(s.c.)注射することにより、30日未満に倫理的限界の大きさに達する固形腫瘍が形成されることを示す。再チャレンジされたマウス(ワクチン接種後に右脇腹の腫瘍が消失したマウス)における腫瘍増殖が強く抑制された。腫瘍増殖は最初の6日間に観察され、そして、その後に腫瘍消失(tumor elimination)が始まる。
【0261】
腫瘍は移植後13~16日目で完全に消失した。腫瘍のあるマウスに単回ワクチン接種を行うことにより、原発性腫瘍が完全に消失し、これらのマウスは二次性腫瘍を速やかに消失させる故に、再発に対する強力な防御が可能であった。
【0262】
B.最初の移植から119日後に、もう片方の脇腹の原発腫瘍が消失したマウスに、1.106個のTC-1腫瘍細胞が再チャレンジされ、何らの治療すること無しに維持される追加実験が行われた。腫瘍細胞の注入を確認する為に、対照マウス(未処置)にまた皮下(s.c.)注射がされた。
【0263】
得られた結果が図11において示されている。
【0264】
再チャレンジしたマウスの全ては、最初の腫瘍チャレンジから145日後になお生存しており、本発明に従うワクチンの単回注射が強力な抗腫瘍記憶防御免疫応答を効果的に促進し、それにより新たなチャレンジに対するT細胞応答を効率的に形成することを裏付けている。
【0265】
実施例4:本発明の抗HPVワクチンの治療効果は用量依存である。
【0266】
より低用量のワクチンの効果を決定する為に、TC1腫瘍を有するマウス上で有効性試験が行われた。マウスに、受託番号I-5759の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含む本発明に従うワクチンが、1x108又は1x107TU/マウスでワクチン接種された。
【0267】
特には、1x106個のTC-1細胞が、動物の脇腹内に注射され、そして、腫瘍体積が週2回測定された(ノギス測定)。平均腫瘍体積が80mm3になったときに、マウスが無作為化され、そして、希釈剤(対照)、1x107TU又は1x108TUのI-5759ワクチンが筋肉内(i.m.)注射でワクチン接種された。
【0268】
得られた結果が図4において示されている。
【0269】
1x108TUによるワクチン接種が腫瘍の完全且つ迅速な消失(ワクチン接種後20日未満)を可能にするのに対して、1x107TUワクチン接種用量は腫瘍増殖に部分的な影響を及ぼすことを本発明者等は観察した。3/6(50%)のマウスはワクチン接種後22日目に腫瘍が消失し、他のマウスはワクチン接種後15~18日目(5~10日間)に初めて減少を示したが、その後の腫瘍増殖は制御されることができなかった。
【0270】
本発明に従うワクチンの単回低用量(1x107)は、アデノウイルスベクターに基づくワクチンを3回注射した場合に観察されるものに匹敵する部分的阻害を示した(Rice,AE et al.Cancer gene therapy vol.22,9 (2015):454~62)。このことは、最適用量の本発明に従うワクチンは、アデノウイルスプラットフォームよりも効率的であることを示唆する。その上、低用量での有効性は、ワクチンの2回目の注射によって高まる可能性が最も高い。
【0271】
実施例5:本発明に従うワクチン接種は、CD4+及びCD8+T細胞浸潤を増加させ、及び処置された腫瘍におけるT regを減少させる。
【0272】
本発明に従うレンチウイルスベクターによるワクチン接種後に誘発される抗腫瘍メカニズムを更に理解する為に、腫瘍浸潤が調査された。1x106個のTC1腫瘍細胞が動物の脇腹に皮下(s.c.)注射され、腫瘍体積を週2回測定された(ノギス測定)。平均腫瘍体積が80mm3になったときに、マウスが無作為化され、希釈剤(対照)、又はI-5759の1x107TU若しくはI-5759の1x108TUのいずれかが筋肉内(i.m.)注射でワクチン接種された。
【0273】
ワクチン接種の10日後に腫瘍が採取され、消化され、フローサイトメトリーによって解析された。FACS染色が行われ、当分野において周知の方法に従ってMacsquant facs上でデータを取得された。
【0274】
得られた結果が図5において示されている。
【0275】
ワクチン接種されたマウスからの腫瘍には、対照の腫瘍と比較して、より多くのCD8+T細胞とCD4+T細胞が浸潤していた。腫瘍中のCD8+T細胞とCD4+T細胞との割合は、それぞれ約4倍と約3倍に増加した。一方、腫瘍中のCD25+FoxP3+CD4+制御性T細胞(Treg)の割合は、処置動物で強く減少した。
【0276】
これらの観察結果は、本発明のレンチウイルスベクターを含むワクチンが腫瘍へのCD8+T細胞及びCD4+T細胞の補充(recruitment)を改善するだけでなく、腫瘍内のTregの割合も減少させることを示唆する故に、非常に重要である。
【0277】
実施例6:本発明のHPVワクチンはイン・ビボ(in vivo)で大きな腫瘍を完全に除去する。
【0278】
十分に確立された腫瘍は、小さな腫瘍及び早期の腫瘍よりも排除が困難であることが知られている。TC1モデルで試験されたほとんどのワクチンは、後の時点で投与される場合には弱い効果を有する(Rice,AE et al.Cancer gene therapy vol.22,9 (2015):454~62;Berraondo,Pedro et al.Cancer research vol.67,18 (2007):8847~55)。1x106個のTC1腫瘍が動物の脇腹に皮下(s.c.)注射された。平均腫瘍体積が約300mm3になったときに、マウスが無作為化され、希釈剤(対照)、又は受託番号I-5759の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含む本発明に従うワクチンの1x108TUが筋肉内(i.m.)注射でワクチン接種された。腫瘍体積がノギスで週2回測定された。
【0279】
得られた結果が図6において示されている。
【0280】
本発明に従うワクチンは、確立されたHPV誘発腫瘍を完全に除去する際に非常に有効であることがわかる。
【0281】
実施例7:本発明のHPVワクチンはイン・ビトロ(in vitro)でヒトPBMCの活性化を誘発する。
【0282】
本発明に従うワクチンがヒト細胞においてT細胞応答を誘発することができることを確認する為に、ヒトPBMC(幹細胞(Stem Cell))がCFSEで標識化され、そして、本発明に従うワクチン(I-5759)の非存在下(非刺激状態)又は存在下で培養された。2週間の培養後、細胞増殖及び活性化が測定された。
【0283】
CD8+T細胞及びCD4+T細胞の増殖(CFSE希釈によって測定)及びCD25活性化マーカーの発現は、培養中に本発明のレンチウイルスベクターを添加することによって増加した。
【0284】
得られた結果が図7において示されている。
【0285】
それによって、PBMC由来の抗原提示細胞は、本発明に従うHPVワクチンによって形質導入されること、及び抗原を処理してT細胞を活性化することができると結論付けることができる。
【0286】
実施例8:本発明のHPVワクチンにより誘発される全身性T細胞免疫とエフェクターT細胞の表現型
【0287】
誘発されたT細胞応答の質について更なる洞察を得る為に、対照Lenti(LV-エンプティ(empty)インディアナ)が注射されたマウス、又は受託番号I-5759の下でCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含む本発明に従うワクチンが注射されたマウスが、未処置のままにされ、又は免疫優性(immunodominant)H-2Db制限RAHYNIVTFエピトープを含むETTDPDRAHYNIVTF及びPDRAHYNIVTFCCKCのE7HPV16由来ペプチドの混合物でイン・ビトロ(in vitro)で刺激され(Feltkamp MC et al.,Eur J Immunol 1993;23:2242~9)、そして、IL-2、TNF-α及びIFN-γについて細胞内染色(ICS:IntraCellular Staining)によって分析された。
【0288】
得られた結果が図9Aにおいて示されている。
【0289】
これらのペプチドでの刺激は、本発明に従うレンチウイルスベクターでワクチン接種されたマウスにおいて、CD8+T細胞応答を検出した。機能的CD8+T細胞エフェクターは、IFN-γ+(単一陽性)、TNF-α+IFN-γ+又はIL-2+IFN-γ+(二重陽性)及びIL-2+TNF-α+IFN-γ+(三重陽性)のサブセットに主に分布した(図9Bを参照)。
【0290】
IFN-γ+CD8+T細胞の大部分はまた、表面のCD107a脱顆粒マーカーを発現しており、これらのT細胞のエフェクター特性を示す(図9Bを参照)。
【0291】
実施例9:本発明のHPVワクチンをワクチン接種されたマウスにおける腫瘍細胞及び腫瘍浸潤自然免疫細胞の特徴
【0292】
ワクチン接種後11日目、従って腫瘍退縮期(tumor regression phase)の腫瘍内浸潤(intra-tumoral infiltrates)のサイトメトリーによる特徴付けは、受託番号I-5759の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含む本発明に従うワクチンが接種されたマウスの退縮腫瘍(regressing tumors)におけるナチュラルキラー(NK)細胞の割合における有意な増加を示した。
【0293】
結果が図10において示されている。
【0294】
実施例10:最適以下のLenti-HPV-07ワクチン接種は抗PD1免疫療法と相乗的に作用する。
【0295】
本発明者等は更に、最適用量以下のLenti-HPV-07(I-5759)ワクチン接種と抗PD-1療法との相乗効果の可能性を検討した。
【0296】
抗PD-1処置は、受託番号I-5759の下でCNCMに受託されたレンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクター粒子を含む本発明に従うワクチンの注射(D13、すなわちマウスへのTC-1細胞の皮下(s.c.)投与から13日後)の4日後(D17、すなわちマウスへのTC-1細胞の皮下(s.c.)投与から17日後)に開始した。抗PD-1の注射が数回行われた(前述されたD17、次に、D20、D22、D24、D28、D31)。
【0297】
特には、腫瘍が移植されたマウスの3つの同一グループで実験が行われた。第1のグループ(10匹-対照グループ)において、マウスにLV-エンプティ(empty)インディアナが投与され(D13)(対照として)、そして、4日後に抗PD-1モノクローナル抗体が投与された(D17、次に、D20、D22、D24、D28、及びD31)。第2のグループ(12匹-対照グループ)において、マウスに本発明に従うワクチン(I-5759)が投与され(D13)、4日後に対照抗体(アイソタイプ対象)が投与された(D17、次に、D20、D22、D24、D28及びD31)。第3のグループ(14匹)において、マウスに本発明に従うワクチン(D13)(I-5759)が投与され、4日後にmAb抗PD-1が投与された(D17、次に、D20、D22、D24、D28及びD31)。
【0298】
結果が図12A及び図12Bにおいて示されている。
【0299】
不十分な抗腫瘍T細胞応答を誘発する最適用量以下のワクチンは、抗PD-1と相乗的に作用して腫瘍退縮率(tumor regression rate)を増加させた。
【0300】
14匹中6匹のマウスが完全な腫瘍退縮(complete tumor regression)を達成し、及び他の2匹は部分的な腫瘍退縮(partial tumor regression)を示した。後者において、腫瘍体積が67%減少し、そして次に、抗PD-1処置の終了後6~7日で腫瘍が再発したことにより、腫瘍が完全に消失するまで抗PD-1を繰り返し注射する必要性が強調された。本発明のワクチン単独で処置された12匹のマウスのうち、部分的な腫瘍退縮を示したのは3匹だけであった。従って、マウスの生存率は、最適用量以下のLenti-HPV-07で処置されたマウスと比較して、コンボ処置のグループにおいて有意に増加した(図12B)。それ故に、Lenti-HPV-07ワクチン候補が抗PD1チェックポイント阻害処置と組み合わせられる場合に、相乗的な抗腫瘍効果が得られることができる。
【0301】
実施例11:本発明に従うワクチンの単回注射により、TC1-nLuc細胞の静脈内注射によって誘発された肺転移病巣を有するマウスを治癒する
【0302】
TC1親細胞株は、ユビキチン(UBC)プロモーターの下、ナノルシフェラーゼレポーターとピューロマイシンN-アセチルトランスフェラーゼ(選択用)をコードする統合性のレンチウイルスベクター(integrative lentiviral vector)で安定的に形質導入された。ピューロマイシンで選択された後、細胞がサブクローニングされてTC1-nLuc細胞株を得た。
【0303】
Janvier Laboratoryから購入した6週齢のC57BL/6JRjマウスに、150,000個のTC1-nLuc細胞が静脈内注射された。5日目に、1.109個のTU/マウスのLenti-HPV-07又は対象Lenti(エンプティベクター(empty vector))が筋肉内注射された。
【0304】
生きた動物の生体発光イメージング(Bioluminescence imaging)には、電荷結合素子カメラに接続されたIVIS Imaging System(IVIS Spectrum,Perkin Elmer)を用いて行われた。生物発光イメージングの前に、マウスが酸素中2%イソフルランで麻酔され、そして、イメージング中はノーズコーン(nose cone)を通じて酸素中1.5%イソフルランの対照フロー中に維持された。基質フリマジン(Z108)(Institut PasteurのYves Janin博士から提供された)が酸性エタノール中に2mg/mlで溶解された。Z108が更に、滅菌D-PBSで希釈され、静脈内注射前に所望の濃度(0.4mg/kg)にされた。次に、マウスは直ちにイメージングチャンバー内に入れられ、そして画像化された。連続画像は自動露光設定の下、最大露光時間2分で撮影された。
【0305】
各実験セットからの画像は、Living Image Software(Ver.2.50.1 Xenogen)を用いて解析された。関心のある領域からの測定が行われ、発光値は全光束(光子/秒)として評価された。マウスの腹部と胴体は、シグナル対ノイズ比を高める為に剃毛された。ベースラインシグナルは、Z108を注射した未処置マウスから、すなわち、TC1-nLuc細胞もレンチウイルスベクターも注射されない未処置マウスから、得られた。
【0306】
得られた結果が図13A及び図13Bにおいて示されている。
【0307】
本発明者等は、本発明に従うLenti-HPV-07ワクチン(I-5759)を単回筋肉内注射することにより、皮下に生着したTC1腫瘍が100%の動物において完全に根絶されることを確証した。しかしながら、ヒトにおいて、多くのがん、例えばHPV誘発癌を包含する上記の多くのがん、が粘膜部位に存在する。
【0308】
それ故に、本実験は、粘膜部位におけるLenti-HPV-07の腫瘍増殖抑制能を評価した。
【0309】
この疑問を解決する為に、ナノルシフェラーゼレポーター遺伝子を安定的に発現するTC1細胞株(TC1-nLuc)が開発された。TC1-nLucを静脈注射した後に、マウスは容易に肺転移巣を発症した。
【0310】
腫瘍の縦方向への進展は、生体発光イメージングによって生きた動物で追跡された。
【0311】
腫瘍注射の5日後、マウスにLenti-HPV-07(1.109TU/マウス)又は対照Lenti(エンプティベクター)が単回筋肉内注射された(図13A)。
【0312】
Lenti-HPV-07を投与した全てのマウスは腫瘍注射後22日目に治癒したが、対照グループでは肺転移巣が成長し続けた。2つのグループにおける生物発光シグナルの平均値の間に観察された差は、統計的にほぼ有意であった(図13A及び図13B)。
【0313】
この観察結果は、本発明に従うワクチンが、皮下に形成された腫瘍と同様に効率的に肺腫瘍を根絶することができることを明確に示す。
【0314】
配列
【0315】
配列番号:1は、HPV 16由来のE6タンパク質をコードする核酸配列である(NC_001526.4)。
ATGCACCAAAAGAGAACTGCAATGTTTCAGGACCCACAGGAGCGACCCAGAAAGTTACCACAGTTATGCACAGAGCTGCAAACAACTATACATGATATAATATTAGAATGTGTGTACTGCAAGCAACAGTTACTGCGACGTGAGGTATATGACTTTGCTTTTCGGGATTTATGCATAGTATATAGAGATGGGAATCCATATGCTGTATGTGATAAATGTTTAAAGTTTTATTCTAAAATTAGTGAGTATAGACATTATTGTTATAGTTTGTATGGAACAACATTAGAACAGCAATACAACAAACCGTTGTGTGATTTGTTAATTAGGTGTATTAACTGTCAAAAGCCACTGTGTCCTGAAGAAAAGCAAAGACATCTGGACAAAAAGCAAAGATTCCATAATATAAGGGGTCGGTGGACCGGTCGATGTATGTCTTGTTGCAGATCATCAAGAACACGTAGAGAAACCCAGCTGTAA
【0316】
配列番号:2は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
GACCCCCAAGAACGGCCCAGAAAGCTGCCCCAGCTGTGCACCGAGCTGCAGACCACCATCCACGACATCATCCTGGAATGCGTGTACTGCAAGCAGCAGCTGCTGAGAAGAGAGGTGTACGACTTCGCCTTCCGGGACCTGTGCATCGTGTACCGGAACCCCTACGCCGTGTGCGACAAGTGCCTGAAGTTCTACAGCAAGATCAGCGAGTACCGGCACTACTGCTACAGCCTGTACGGCACCACCCTGGAACAGCAGTACAACAAGCCCCTGTGCGACCTGCTGATCAGATGCATCAACTGCCAGAAGCCCCTGCGGTTCCACAACATCCGGGGCAGATGGACCGGCCGGTGCATGAGCTGCTGCAGA
【0317】
配列番号:3は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
ATGGGCACCCTGGGCATCGTGTGCCCCATCGACCCCCAAGAACGGCCCAGAAAGCTGCCCCAGCTGTGCACCGAGCTGCAGACCACCATCCACGACATCATCCTGGAATGCGTGTACTGCAAGCAGCAGCTGCTGAGAAGAGAGGTGTACGACTTCGCCTTCCGGGACCTGTGCATCGTGTACCGGAACCCCTACGCCGTGTGCGACAAGTGCCTGAAGTTCTACAGCAAGATCAGCGAGTACCGGCACTACTGCTACAGCCTGTACGGCACCACCCTGGAACAGCAGTACAACAAGCCCCTGTGCGACCTGCTGATCAGATGCATCAACTGCCAGAAGCCCCTGCGGTTCCACAACATCCGGGGCAGATGGACCGGCCGGTGCATGAGCTGCTGCAGA
【0318】
配列番号:4は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
ATGGACCCCCAAGAACGGCCCAGAAAGCTGCCCCAGCTGTGCACCGAGCTGCAGACCACCATCCACGACATCATCCTGGAATGCGTGTACTGCAAGCAGCAGCTGCTGAGAAGAGAGGTGTACGACTTCGCCTTCCGGGACCTGTGCATCGTGTACCGGAACCCCTACGCCGTGTGCGACAAGTGCCTGAAGTTCTACAGCAAGATCAGCGAGTACCGGCACTACTGCTACAGCCTGTACGGCACCACCCTGGAACAGCAGTACAACAAGCCCCTGTGCGACCTGCTGATCAGATGCATCAACTGCCAGAAGCCCCTGCGGTTCCACAACATCCGGGGCAGATGGACCGGCCGGTGCATGAGCTGCTGCAGA
【0319】
配列番号:5は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
TTTCAGGACCCCCAGGAAAGGCCCAGGAAGTTGCCCCAGCTCTGCACCGAACTGCAGACCACCATTCATGACATCATCCTCGAATGCGTGTACTGCAAGCAGCAGCTCCTGAGGAGGGAGGTGTACGATTTCGCCTTCAGAGACGGCTGTATCGTCTACAGGAACCCCTATGCCGTCTGCGACAAATGCCTGAAGTTTTATTCCAAGATCTCCGAGTACAGGCACTATTGCTACAGCCTGTATGGGACCACCCTGGAGCAGCAGTACAACAAGCCCCTGTGCGACCTCCTGATCAGGTGCATCAACTGCCAGAAGCCCCTGAGGTTCCACAACATCCGCGGCAGGTGGACCGGAAGGTGCATGTCCTGCTGCAGG
【0320】
配列番号:6は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
TTCCAGGACCCCCAGGAGAGGCCCAGGAAACTGCCCCAGTTGTGCACCGAGCTCCAGACAACCATCCACGACATCATCCTGGAGTGCGTGTACTGTAAGCAGCAGTTGCTGAGGAGAGAGGTGTATGACTTCGCCTTCAGAGACGGATGCATTGTCTATAGGAACCCCTACGCCGTGTGCGACAAGTGCCTGAAGTTCTACTCCAAGATCAGTGAGTACAGGCATTACTGCTACAGCCTGTATGGAACCACACTGGAACAGCAGTACAACAAGCCCCTGTGCGACCTCCTGATTAGGTGCATCAACTGCCAGAAGCCCCTCAGGTTCCACAACATCCGGGGCAGGTGGACCGGAAGGTGCATGTCCTGCTGCAGGTCC
【0321】
配列番号:7は、HPV 16由来の野生型(WT)E6タンパク質のアミノ酸配列である。
MHQKRTAMFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDLCIVYRDGNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLCPEEKQRHLDKKQRFHNIRGRWTGRCMSCCRSSRTRRETQL
【0322】
配列番号:8は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
DPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDLCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCR
【0323】
配列番号:9は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
MGTLGIVCPIDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDLCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCR
【0324】
配列番号:10は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
MDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDLCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCR
【0325】
配列番号:11は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
FQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCR
【0326】
配列番号:12は、HPV 16由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
FQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCRS
【0327】
配列番号:13は、HPV 16由来のE7タンパク質をコードする核酸配列である(NP-041326.1)。
ATGCATGGAGATACACCTACATTGCATGAATATATGTTAGATTTGCAACCAGAGACAACTGATCTCTACTGTTATGAGCAATTAAATGACAGCTCAGAGGAGGAGGATGAAATAGATGGTCCAGCTGGACAAGCAGAACCGGACAGAGCCCATTACAATATTGTAACCTTTTGTTGCAAGTGTGACTCTACGCTTCGGTTGTGCGTACAAAGCACACACGTAGACATTCGTACTTTGGAAGACCTGTTAATGGGCACACTAGGAATTGTGTGCCCCATCTGTTCTCAGAAACCATAA
【0328】
配列番号:14は、HPV 16由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
ACCCCCACCCTGCACGAGTACATGCTGGACCTGCAGCCCGAGACAACCGACCCCGACCGGGCCCACTACAATATCGTGACCTTCTGCTGCAAGTGCGACAGCACCCTGCGGCTGTGCGTGCAGAGCACCCACGTGGACATCCGGACCCTGGAAGATCTGCTGATGGGCACCCTGGGCATCGTGTGCCCCATT
【0329】
配列番号:15は、HPV 16由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
CCCGGAGACACCCCCACCCTGCACGAATACATGCTGGACCTGCAGCCCGAAACCACCGACCCCGACCGCGCTCACTACAACATCGTTACATTCTGTTGTAAATGCGACTCCACCCTGAGAAGATGCGTGCAGTCCACCCACGTGGACATCAGGACCCTGGAGGACCTCCTCATGGGAACCCTGGGTATCGTCTGCCCCATC
【0330】
配列番号:16は、HPV 16由来の野生型(WT)E7タンパク質のアミノ酸配列である。
MHGDTPTLHEYMLDLQPETTDLYCYEQLNDSSEEEDEIDGPAGQAEPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRLCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPICSQKP
【0331】
配列番号:17は、HPV 16由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
TPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRLCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPI
【0332】
配列番号:18は、HPV 16由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
PGDTPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRRCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPI
【0333】
配列番号:19は、HPV 18由来のE6タンパク質をコードする核酸配列である(MF288727.1)。
ATGGCGCGCTTTGAGGATCCAACACGGCGACCCTACAAGCTACCTGATCTGTGCACGGAACTGAACACTTCACTGCAAGACATAGAAATAACCTGTGTATATTGCAAGACAGTATTGGAACTTACAGAGGTATTTGAATTTGCATTTAAAGATTTATTTGTGGTGTATAGAGACAGTATACCGCATGCTGCATGCCATAAATGTATAGATTTTTATTCTAGAATTAGAGAATTAAGACATTATTCAGACTCTGTGTATGGAGACACATTGGAGAAACTAACTAACACTGGGTTATACAATTTATTAATAAGGTGCCTGCGGTGCCAGAAACCGTTGAATCCAGCAGAAAAACTTAGACACCTTAATGAAAAACGACGATTCCACAACATAGCTGGGCACTATAGAGGCCAGTGCCATTCGTGCTGCAACCGAGCACGACAGGAAAGACTCCAACGACGCAGAGAAACACAAGTATAA
【0334】
配列番号:20は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
CCCTACAAGCTGCCTGACCTGTGTACAGAGCTGAACACCTCCCTGCAGGACATCGAGATCACCTGTGTGTATTGCAAGACCGTGCTGGAACTGACCGAGGTGTTCGAGTTTGCCTTCAAGGATCTGTTCGTGGTGTACCGGGACAGCATCCCCCACGCCGCCTGCCACAAGCTGGAAAAGCTGACCAACACCGGCCTGTACAACCTGCTGATTCGGTGCCTGCGGTGTCAGAAGCCTCTGAACCCCGCCGAGAAGCTGCGGCACCTGAACGAGAAGCGGAGATTCCACAATATCGCC
【0335】
配列番号:21は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
CCCTACAAGCTGCCTGACCTGTGTACAGAGCTGAACACCTCCCTGCAGGACATCGAGATCACCTGTGTGTATTGCAAGACCGTGCTGGAACTGACCGAGGTGTTCGAGTTTGCCTTCAAGGATCTGTTCGTGGTGTACCGGGACAGCATCCCCCACGCCGCCTGCCACAAG
【0336】
配列番号:22は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
CCCTACAAGCTGCCCGATCTGTGCACAGAGCTGAACACCTCCCTGCAGGACATCGAGATCACCTGCGTCTACTGCAAGACCGTGCTGGAACTGACCGAGGTGTTCGAATTCGCCTTCAAGGACGGCTTCGTGGTGTACAGGGACAGCATTCCCCACGCCGCCTGCCATAAGCTGGAGAAACTGACCAACACCGGACTGTATAACCTGCTGATCAGGTGTCTGAGGTGCCAGAAGGCAGAGAAACTGAGACATCTGAACGAGAAAAGGAGGTTCCACAATATTGCCGGGCACTGATAA
【0337】
配列番号:23は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
ATGAGGCGGCCCTACAAGCTGCCCGACCTGTGCACCGAGCTGAACACCTCCCTGCAGGACATCGAGATCACCTGCGTGTACTGCAAGACCGTGCTGGAGCTGACCGAGGTGTTCGAATTCGCATTCAAGGACGGATTCGTCGTGTATAGGGACAGCATTCCACACGCCGCCTGCCACAAGCTGGAGAAATTGACTAACACCGGACTGTATAATCTGCTGATCCGGTGCCTGAGGTGTCAGAAGGCCGAGAAGCTGAGGCATCTGAACGAGAAAAGGAGATTCCACAATATCGCCGGACAC
【0338】
配列番号:24は、HPV 18由来の野生型(WT)E6タンパク質のアミノ酸配列である。
MARFEDPTRRPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDLFVVYRDSIPHAACHKCIDFYSRIRELRHYSDSVYGDTLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKPLNPAEKLRHLNEKRRFHNIAGHYRGQCHSCCNRARQERLQRRRETQV
【0339】
配列番号:25は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
PYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDLFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKPLNPAEKLRHLNEKRRFHNIA
【0340】
配列番号:26は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
PYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDLFVVYRDSIPHAACHK
【0341】
配列番号:27は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
PYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGH
【0342】
配列番号:28は、HPV 18由来のE6タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
MRRPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGH
【0343】
配列番号:29は、HPV 18由来のE7タンパク質をコードする核酸配列である(NC_001357.1)。
ATGCATGGACCTAAGGCAACATTGCAAGACATTGTATTGCATTTAGAGCCCCAAAATGAAATTCCGGTTGACCTTCTATGTCACGAGCAATTAAGCGACTCAGAGGAAGAAAACGATGAAATAGATGGAGTTAATCATCAACATTTACCAGCCCGACGAGCCGAACCACAACGTCACACAATGTTGTGTATGTGTTGTAAGTGTGAAGCCAGAATTGAGCTAGTAGTAGAAAGCTCAGCAGACGACCTTCGAGCATTCCAGCAGCTGTTTCTGAACACCCTGTCCTTTGTGTGTCCGTGGTGTGCATCCCAGCAGTAA
【0344】
配列番号:30は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
AAGGCCACACTGCAGGATATCGTGCTGCACCTGGAACCCCAGAACGAGATCCCCGTGGACAGCGAGGAAGAGAACGACGAGATCGACGGCGTGAACCACCAGCATCTGCCCGCCAGAAGGGCCGAGCCCCAGAGACACACCATGCTGTGCATGTGTTGCAAATGCGAGGCCCGGATCAAGCTGGTGGTGGAAAGCAGCGCCGACGACCTGCGGGCCTTCCAGCAGCTGTTCCTGAACACCCTGTCCTTCGTGTGCCCTTGG
【0345】
配列番号:31は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
GGACCTAAAGCCACCCTCCAGGACATCGTGCTGCACCTGGAGCCCCAGAACGAGATCCCCGTCGACTCAGAGGAGGAGAACGACGAAATTGACGGCGTCAACCACCAGCACCTGCCCGCTCGCAGAGCCGAACCCCAGAGACACACCATGCTCTGCATGTGCTGCAAATGCGAGGCCCGGATTAAGCTGGTGGTGGAGAGCTCCGCCGACGATCTGAGAGCCTTCCAGCAGCTCTTCCTGAACACCCTGTCCTTCGTGTGCCCCTGG
【0346】
配列番号:32は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体をコードする核酸配列である。
GGACCTAAAGCCACCCTCCAGGACATCCGTCTGGAGCCCCAGAACGAGATCCCCGTCGACTCAGAGGAGGAGAACGACGAAATTGACGGCAACCACCAGCACCTGCCCGCTCGCAGAGCCGAACCCCAGAGACACACCATGCTCTGCATGTGCTGCAAATGCGAGGCCCGGATTAAGCTGGTGGTGGAGAGCTCCGCCGACGATCTGAGAGCCTTCCAGCAGCTCTTCCTGGATTCCTTCGTGTGCCCCTGG
【0347】
配列番号:33は、HPV 18由来の野生型(WT)E7タンパク質のアミノ酸配列である。
MHGPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDLLCHEQLSDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIELVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPWCASQQ
【0348】
配列番号:34は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
KATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPW
【0349】
配列番号:35は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
GPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPW
【0350】
配列番号:36は、HPV 18由来のE7タンパク質の非発癌性の変異体のアミノ酸配列である。
GPKATLQDIRLEPQNEIPVDSEEENDEIDGNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLDSFVCPW
【0351】
配列番号:37は、cPPT/CTS配列をコードする核酸配列である。
AATTTTAAAAGAAAAGGGGGGATTGGGGGGTACAGTGCAGGGGAAAGAATAGTAGACATAATAGCAACAGACATACAAACTAAAGAATTACAAAAACAAATTACAAAAATTCAAAATTTT
【0352】
配列番号:38は、ウッドチャックB型肝炎ウイルス(WHV)転写後調節エレメント(WPRE)の変異型をコードする核酸配列である。
TTCCCGATAATCAACCTCTGGATTACAAAATTTGTGAAAGATTGACTGGTATTCTTAACTATGTTGCTCCTTTTACGCTATGTGGATACGCTGCTTTAATGCCTTTGTATCATGCTATTGCTTCCCGTATGGCTTTCATTTTCTCCTCCTTGTATAAATCCTGGTTGCTGTCTCTTTATGAGGAGTTGTGGCCCGTTGTCAGGCAACGTGGCGTGGTGTGCACTGTGTTTGCTGACGCAACCCCCACTGGTTGGGGCATTGCCACCACCTGTCAGCTCCTTTCCGGGACTTTCGCTTTCCCCCTCCCTATTGCCACGGCGGAACTCATCGCCGCCTGCCTTGCCCGCTGCTGGACAGGGGCTCGGCTGTTGGGCACTGACAATTCCGTGGTGTTGTCGGGGAAGCTGACGTCCTTTCCGCGGCTGCTCGCCTGTGTTGCCACCTGGATTCTGCGCGGGACGTCCTTCTGCTACGTCCCTTCGGCCCTCAATCCAGCGGACCTTCCTTCCCGCGGCCTGCTGCCGGCTCTGCGGCCTCTTCCGCGTCTTCGCCTTCGCCCTCAGACGAGTCGGATCTCCCTTTGGGCCGCCTCCCCGC
【0353】
配列番号:39は、RAHYNIVTF H-2Db-制限T細胞エピトープを含む合成E7HPV16-由来ペプチドである。
ETTDPDRAHYNIVTF
【0354】
配列番号:40は、RAHYNIVTF H-2Db-制限T細胞エピトープを含む合成E7HPV16-由来ペプチドである。
PDRAHYNIVTFCCKC
【0355】
配列番号:41は、受託番号I-5759の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物をコードする核酸配列である。
ATGCCCGGAGACACCCCCACCCTGCACGAATACATGCTGGACCTGCAGCCCGAAACCACCGACCCCGACCGCGCTCACTACAACATCGTTACATTCTGTTGTAAATGCGACTCCACCCTGAGAAGATGCGTGCAGTCCACCCACGTGGACATCAGGACCCTGGAGGACCTCCTCATGGGAACCCTGGGTATCGTCTGCCCCATCGCCTCCCAGGCTTTTCAGGACCCCCAGGAAAGGCCCAGGAAGTTGCCCCAGCTCTGCACCGAACTGCAGACCACCATTCATGACATCATCCTCGAATGCGTGTACTGCAAGCAGCAGCTCCTGAGGAGGGAGGTGTACGATTTCGCCTTCAGAGACGGCTGTATCGTCTACAGGAACCCCTATGCCGTCTGCGACAAATGCCTGAAGTTTTATTCCAAGATCTCCGAGTACAGGCACTATTGCTACAGCCTGTATGGGACCACCCTGGAGCAGCAGTACAACAAGCCCCTGTGCGACCTCCTGATCAGGTGCATCAACTGCCAGAAGCCCCTGAGGTTCCACAACATCCGCGGCAGGTGGACCGGAAGGTGCATGTCCTGCTGCAGGTCCGCCGGCCCCGGACCTAAAGCCACCCTCCAGGACATCGTTCTCCACCTGGAGCCCCAGAACGAGATCCCCGTGGACTCAGAAGAGGAGAACGACGAGATCGACGGCGTCAACCACCAGCACCTGCCCGCTCGCAGAGCCGAACCCCAGAGACACACCATGCTCTGCATGTGCTGCAAATGCGAAGCCCGGATTAAGTTGGTGGTGGAAAGCAGCGCCGACGATCTGAGGGCCTTCCAGCAGCTCTTCCTCAACACCCTGTCCTTCGTGTGCCCCTGGGTGGGCGAGCCCGGTAGAACCATCCCCTACAAGCTGCCCGATCTGTGCACAGAGCTGAACACCTCCCTGCAGGACATCGAGATCACCTGCGTCTACTGCAAGACCGTGCTGGAACTGACCGAGGTGTTCGAATTCGCCTTCAAGGACGGCTTCGTGGTGTACAGGGACAGCATTCCCCACGCCGCCTGCCATAAGCTGGAGAAACTGACCAACACCGGACTGTATAACCTGCTGATCAGGTGTCTGAGGTGCCAGAAGGCAGAGAAACTGAGACATCTGAACGAGAAAAGGAGGTTCCACAATATTGCCGGGCACTGATAA
【0356】
配列番号:42は、受託番号I-5759の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターによってコードされた抗原構築物のアミノ酸配列である。
MPGDTPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRRCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPIASQAFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCRSAGPGPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPWVGEPGRTIPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGH
【0357】
配列番号:43は、受託番号I-5760の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物をコードする核酸配列である。
ATGTTCCAGGACCCCCAGGAGAGGCCCCGGAAGTTGCCCCAGCTGTGCACCGAGCTGCAGACCACCATCCACGACATCATCCTCGAATGCGTGTACTGCAAGCAGCAGCTGCTGAGGAGGGAGGTGTATGACTTTGCCTTCAGAGACGGATGCATTGTCTACAGGAACCCCTACGCCGTGTGCGACAAATGCCTGAAGTTCTACTCCAAGATCAGCGAGTACAGGCACTACTGCTACTCCCTGTACGGCACCACCCTCGAACAGCAGTACAACAAACCCCTGTGCGACCTCCTGATTAGGTGCATCAACTGCCAGAAGCCCCTCAGGTTCCACAACATCCGCGGCCGCTGGACCGGCCGATGCATGTCTTGCTGCAGGGGCCCCGACGACCCCTACAAGCTCCCCGACCTGTGCACCGAACTCAACACCTCCCTGCAGGACATCGAGATCACCTGCGTGTATTGCAAGACCGTGCTGGAGCTGACCGAGGTTTTCGAATTTGCCTTTAAGGACGGCTTCGTCGTGTATAGGGACTCCATCCCCCACGCCGCCTGCCATAAGCTGGAGAAGCTCACCAACACCGGACTGTATAATCTGCTGATCAGGTGCCTCAGGTGCCAGAAGGCAGAAAAGCTGAGGCATCTCAACGAGAAGCGCCGGTTCCACAATATTGCCGGCCCCGGAGACACCCCCACACTCCATGAGTACATGCTCGACCTGCAGCCCGAAACCACCGACCCCGACAGAGCCCACTACAACATCGTGACCTTCTGCTGCAAGTGCGACTCCACCCTGAGAAGATGCGTGCAGTCCACCCACGTGGACATCCGCACACTCGAAGACCTGCTGATGGGAACCCTGGGCATCGTGTGCCCCATCGGCCCCGATGACAAGGCCACCTTGCAGGACATCGTGCTGCACCTGGAACCACAGAACGAGATCCCCGTCGACTCCGAAGAAGAAAACGACGAAATCGACGGAGTGAATCACCAGCACCTGCCCGCCAGAAGGGCCGAGCCTCAGAGACACACCATGCTCTGCATGTGCTGCAAATGCGAAGCCAGGATTAAGCTGGTGGTGGAGAGCAGCGCCGACGACCTGAGGGCCTTCCAGCAGCTCTTCCTGAACACACTGTCCTTCGTGTGCCCCTGGGCCTGATAA
【0358】
配列番号:44は、受託番号I-5760の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターによってコードされた抗原構築物のアミノ酸配列である。
MFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCRGPDDPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGPGDTPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRRCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPIGPDDKATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPWA
【0359】
配列番号:45は、受託番号I-5761の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物をコードする核酸配列である。
ATGAGGCGGCCCTACAAGCTGCCCGACCTGTGCACCGAGCTGAACACCTCCCTGCAGGACATCGAGATCACCTGCGTGTACTGCAAGACCGTGCTGGAGCTGACCGAGGTGTTCGAATTCGCATTCAAGGACGGATTCGTCGTGTATAGGGACAGCATTCCACACGCCGCCTGCCACAAGCTGGAGAAATTGACTAACACCGGACTGTATAATCTGCTGATCCGGTGCCTGAGGTGTCAGAAGGCCGAGAAGCTGAGGCATCTGAACGAGAAAAGGAGATTCCACAATATCGCCGGACACTTCCAGGACCCCCAGGAGAGGCCCAGGAAACTGCCCCAGTTGTGCACCGAGCTCCAGACAACCATCCACGACATCATCCTGGAGTGCGTGTACTGTAAGCAGCAGTTGCTGAGGAGAGAGGTGTATGACTTCGCCTTCAGAGACGGATGCATTGTCTATAGGAACCCCTACGCCGTGTGCGACAAGTGCCTGAAGTTCTACTCCAAGATCAGTGAGTACAGGCATTACTGCTACAGCCTGTATGGAACCACACTGGAACAGCAGTACAACAAGCCCCTGTGCGACCTCCTGATTAGGTGCATCAACTGCCAGAAGCCCCTCAGGTTCCACAACATCCGGGGCAGGTGGACCGGAAGGTGCATGTCCTGCTGCAGGTCCGCCGGCCCCGGACCTAAAGCCACCCTCCAGGACATCGTGCTGCACCTGGAGCCCCAGAACGAGATCCCCGTCGACTCAGAGGAGGAGAACGACGAAATTGACGGCGTCAACCACCAGCACCTGCCCGCTCGCAGAGCCGAACCCCAGAGACACACCATGCTCTGCATGTGCTGCAAATGCGAGGCCCGGATTAAGCTGGTGGTGGAGAGCTCCGCCGACGATCTGAGAGCCTTCCAGCAGCTCTTCCTGAACACCCTGTCCTTCGTGTGCCCCTGGGCCGGTCCCGGTGACACACCTACCCTGCACGAGTACATGCTCGATCTGCAGCCCGAGACCACCGACCCCGATCGCGCACACTACAACATCGTGACCTTCTGCTGCAAATGTGACAGCACCCTGAGACGGTGCGTCCAGTCCACCCACGTTGACATCCGCACCCTCGAAGACCTGCTCATGGGAACCCTGGGCATCGTGTGCCCCATCGCCTGATAA
【0360】
配列番号:46は、受託番号I-5761の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターによってコードされた抗原構築物のアミノ酸配列である。
MRRPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGHFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCRSAGPGPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPWAGPGDTPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRRCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPIA
【0361】
配列番号:47は、受託番号I-5762の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターの抗原構築物をコードする核酸配列である。
ATGGGCCCTAAGGCCACCCTGCAGGACATCGTGCTGCACTTGGAGCCCCAGAACGAGATCCCCGTGGACAGCGAGGAGGAGAACGACGAAATCGACGGCGTGAACCACCAGCACCTGCCCGCAAGAAGGGCCGAACCCCAGAGGCACACCATGCTCTGCATGTGCTGCAAATGCGAGGCCAGGATCAAGCTGGTGGTGGAAAGCAGCGCCGACGATCTGAGGGCATTCCAGCAGCTGTTCCTGAACACCCTCTCCTTCGTGTGCCCTGGGGAACCCGGCAGGACCATCCCCTATAAACTGCCCGACCTCTGCACCGAGCTGAACACCTCCCTGCAGGACATTGAGATCACCTGCGTCTACTGCAAAACCGTCCTGGAACTGACCGAGGTGTTCGAGTTCGCCTTCAAAGACGGCTTCGTCGTGTACAGGGACAGCATCCCCCACGCCGCCTGCCATAAGCTGGAGAAACTGACCAACACCGGCCTGTACAACCTGCTGATCCGGTGCCTGAGATGTCAGAAGGCCGAGAAACTGAGGCACCTCAACGAGAAAAGGAGATTCCACAATATTGCCGGGCCCGGCGACACCCCAACCCTGCACGAATACATGCTCGACCTGCAGCCCGAAACCACCGACCCCGACAGAGCCCACTACAACATCGTGACCTTCTGCTGCAAGTGCGACTCCACCCTGAGAAGATGCGTGCAGTCCACCCACGTGGACATCCGCACACTCGAAGACCTGCTGATGGGAACCCTGGGCATCGTGTGCCCCATCGCTTCCCAGGCCTTTCAGGACCCCCAGGAACGGCCAAGAAAGCTGCCCCAGCTCTGCACCGAACTGCAGACCACCATCCACGACATCATCCTGGAATGCGTCTACTGTAAGCAGCAGTTGCTGAGGAGGGAGGTGTATGATTTCGCCTTCAGAGACGGCTGCATCGTCTACAGGAACCCCTACGCCGTGTGCGACAAATGCCTGAAGTTCTACTCCAAGATCTCCGAATACAGACACTATTGCTACAGCCTGTACGGCACCACCCTCGAACAGCAGTACAACAAACCCCTGTGCGACCTCCTGATCAGGTGCATCAACTGCCAGAAGCCCCTCCGGTTCCACAACATCCGAGGAAGATGGACCGGCCGGTGCATGTCCTGCTGCAGGTCCTGATAA
【0362】
配列番号:48は、受託番号I-5762の下にCNCMに寄託されたレンチウイルスベクターによってコードされた抗原構築物のアミノ酸配列である。
MGPKATLQDIVLHLEPQNEIPVDSEEENDEIDGVNHQHLPARRAEPQRHTMLCMCCKCEARIKLVVESSADDLRAFQQLFLNTLSFVCPGEPGRTIPYKLPDLCTELNTSLQDIEITCVYCKTVLELTEVFEFAFKDGFVVYRDSIPHAACHKLEKLTNTGLYNLLIRCLRCQKAEKLRHLNEKRRFHNIAGPGDTPTLHEYMLDLQPETTDPDRAHYNIVTFCCKCDSTLRRCVQSTHVDIRTLEDLLMGTLGIVCPIASQAFQDPQERPRKLPQLCTELQTTIHDIILECVYCKQQLLRREVYDFAFRDGCIVYRNPYAVCDKCLKFYSKISEYRHYCYSLYGTTLEQQYNKPLCDLLIRCINCQKPLRFHNIRGRWTGRCMSCCRS
【0363】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11
図12
図13
【配列表】
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【国際調査報告】