(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】イオン伝導体組成物、これを含む高分子電解質膜、膜-電極アセンブリ、及び燃料電池
(51)【国際特許分類】
H01M 8/1051 20160101AFI20241126BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/1058 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/103 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/1032 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/1023 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/1025 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/1027 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/1034 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/1039 20160101ALI20241126BHJP
【FI】
H01M8/1051
H01M8/10 101
H01M8/1058
H01M8/103
H01M8/1032
H01M8/1023
H01M8/1025
H01M8/1027
H01M8/1034
H01M8/1039
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528611
(86)(22)【出願日】2022-11-03
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 KR2022017136
(87)【国際公開番号】W WO2023096207
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0166092
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュンハ
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ ウンス
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒェソン
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA05
5H126BB06
5H126FF05
5H126GG18
5H126GG19
5H126JJ05
(57)【要約】
低加湿/高温条件で高分子電解質膜のイオン伝導度性能を改善させるイオン伝導体組成物が提供される。本発明に係るイオン伝導体組成物は、イオン伝導体100重量部及び前記イオン伝導体100重量部に対して、糖類化合物0.05~10重量部を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン伝導体100重量部と、
前記イオン伝導体100重量部に対して、糖類化合物0.05~10重量部を含むイオン伝導体組成物。
【請求項2】
前記糖類化合物は、
単糖類、二糖類、多糖類、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つである請求項1に記載のイオン伝導体組成物。
【請求項3】
前記単糖類は、下記の化学式1に表される化合物である請求項2に記載のイオン伝導体組成物。
[化1]
(CH
2O)
n
前記化学式1において、nは、3~7である。
【請求項4】
前記単糖類は、
アルドトリオース、ケトトリオース、アルドテトロース、ケトテトロース、リボース、ジオキシリボース、果糖、ブドウ糖、ガラクトース、アルドヘプトース、ケトヘプトース、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つである請求項2に記載のイオン伝導体組成物。
【請求項5】
前記二糖類は、
スクロース、ラクツロース、ラクトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、β-トレハロース、α,β-トレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、イソマルツロース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ルチノース、ルチヌロース、キシロビオース、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つである請求項2に記載のイオン伝導体組成物。
【請求項6】
前記多糖類は、
澱粉、グリコーゲン、セルロース、キチン、アラビノキシラン、ペクチン、デキストリン、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つである請求項2に記載のイオン伝導体組成物。
【請求項7】
前記イオン伝導体は、
フッ素系イオン伝導体、炭化水素系イオン伝導体、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つである請求項1に記載のイオン伝導体組成物。
【請求項8】
前記炭化水素系イオン伝導体は、
スルホン化されたポリイミド(Sulfonated polyimide、S-PI)、スルホン化されたポリアリールエーテルスルホン(Sulfonated polyarylethersulfone、S-PAES)、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(Sulfonated polyetheretherketone、S-PEEK)、スルホン化されたポリベンズイミダゾール(Sulfonated polybenzimidazole、S-PBI)、スルホン化されたポリスルホン(Sulfonated polysulfone、S-PSU)、スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated polystyrene、S-PS)、スルホン化されたポリホスファゼン(Sulfonated polyphosphazene)、スルホン化されたポリキノキサリン(Sulfonated polyquinoxaline)、スルホン化されたポリケトン(Sulfonated polyketone)、スルホン化されたポリフェニレンオキサイド(Sulfonated polyphenylene oxide)、スルホン化されたポリエーテルスルホン(Sulfonated polyether sulfone)、スルホン化されたポリエーテルケトン(Sulfonated polyether ketone)、スルホン化されたポリフェニレンスルホン(Sulfonated polyphenylene sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィド(Sulfonated polyphenylene sulfide)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィドスルホン(Sulfonated polyphenylene sulfide sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィドスルホンニトリル(Sulfonated polyphenylene sulfide sulfone nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテル(Sulfonated polyarylene ether)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルニトリル(Sulfonated polyarylene ether nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルエーテルニトリル(Sulfonated polyarylene ether ether nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホンケトン(Sulfonated polyarylene ether sulfone ketone)、及びこれらの混合物からなる群より選ばれるいずれか1つである請求項7に記載のイオン伝導体組成物。
【請求項9】
前記フッ素系イオン伝導体は、
パーフルオロスルホン酸(PFSA;Perfluorosulfonicacid)である請求項7に記載のイオン伝導体組成物。
【請求項10】
前記糖類化合物の溶解度は、25℃の水を基準に、0~1000g/Lである請求項1に記載のイオン伝導体組成物。
【請求項11】
請求項1に記載のイオン伝導体組成物を含む高分子電解質膜。
【請求項12】
前記高分子電解質膜は、
前記イオン伝導体組成物を含む分散液に含浸された多孔性支持体をさらに含む請求項11に記載の高分子電解質膜。
【請求項13】
前記多孔性支持体は、
フッ素系多孔性支持体、炭化水素系多孔性支持体、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つである請求項12に記載の高分子電解質膜。
【請求項14】
請求項11に記載の高分子電解質膜と、
前記高分子電解質膜の少なくとも一面上に配置された触媒層と、
を備える膜-電極アセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載の膜-電極アセンブリを備える燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明(disclosure)は、イオン伝導体組成物、これを含む高分子電解質膜、膜-電極アセンブリ、及び燃料電池に関し、水と相互作用が可能な作用基を有した糖類化合物を含むイオン伝導体組成物を介して高温または低加湿条件で高分子電解質膜内の水分含量を維持することにより、電解質膜の活性を高めてイオン伝導度性能を向上させるイオン伝導体組成物、これを含む高分子電解質膜、膜-電極アセンブリ、及び燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、メタノール、エタノール、天然気体のような炭化水素系の燃料物質内に含有されている水素と酸素の酸化/還元反応のような化学反応エネルギーを直接電気エネルギーに変換させる発電システムを備えた電池であって、高いエネルギー効率性と汚染物排出が少ない環境にやさしい特徴により、化石エネルギーに代えることができる次世代清浄エネルギー源として脚光を浴びている。
【0003】
このような燃料電池は、単位電池の積層によるスタック構成で様々な範囲の出力を出すことができるという長所を有しており、小型リチウム電池に比べて4~10倍のエネルギー密度を表すので、小型及び移動用携帯電源として注目されている。
【0004】
燃料電池で電気を実質的に発生させるスタックは、膜-電極アセンブリ(Membrane-Electrode Assembly、MEA)とセパレータ(Separator)(または、バイポーラプレート(Bipolar plate)ともいう)とからなる単位セルが数個ないし数十個に積層された構造を有し、膜-電極アセンブリは、一般に、電解質膜を挟んでその両方にアノード電極(Anode、または、燃料極)とカソード電極(Cathode、または、空気極)とが各々形成された構造をなす。
【0005】
燃料電池は、電解質の状態及び種類によってアルカリ電解質膜燃料電池、高分子電解質膜燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell、PEMFC)などに区分されることができるが、そのうち、高分子電解質膜燃料電池は、100℃未満の低い作動温度、速い始動と応答特性、及び優れた耐久性などの長所により、携帯用、車両用、及び家庭用電源装置として脚光を浴びている。
【0006】
高分子電解質膜燃料電池の代表的な例では、水素ガスを燃料として使用する水素イオン交換膜燃料電池(Proton Exchange Membrane Fuel Cell、PEMFC)、液状のメタノールを燃料として使用する直接メタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell、DMFC)などを挙げることができる。
【0007】
高分子電解質膜燃料電池で起こる反応を要約すれば、まず、水素ガスのような燃料がアノード電極に供給されれば、前記アノード電極では、水素ガスの酸化反応により水素イオン(H+)と電子(e-)とが生成される。生成された水素イオンは、高分子電解質を介してカソード電極に伝達され、生成された電子は、外部回路を介して前記カソード電極に伝達される。カソード電極では、酸素ガスが供給され、酸素が水素イオン及び電子と結合して酸素の還元反応により水が生成される。
【0008】
一方、高分子電解質膜燃料電池の商業化を実現するためには、まだ解決しなければならない多くの技術的障壁が存在しており、必須な改善要因は、高性能、長い寿命、低価格化の実現である。これに最も多い影響を及ぼす構成要素が膜-電極アセンブリであり、その中でも、高分子電解質膜は、MEAの性能と価格に最も大きい影響を及ぼす核心要素のうち1つである。
【0009】
前記高分子電解質膜燃料電池の運転に必要な高分子電解質膜の要求条件では、高い水素イオン伝導度、化学的安定性、低い燃料透過性、高い機械的強度、低い含水率、優れた寸法安定性などがある。従来の高分子電解質膜は、特定の温度及び相対湿度環境、特に、高温または低加湿条件で正常に高性能を発現し難い傾向がある。このため、従来の高分子電解質膜が適用された高分子電解質膜燃料電池は、その使用範囲の制限を受けるようになる。
【0010】
特に、高温または低加湿条件で高分子電解質膜の高性能が発現し難い問題点を克服するために、高分子電解質膜内に含湿性物質を導入して高分子電解質膜のイオン伝導度を改善させることに関する研究が続けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、水と相互作用(または、水素結合)が可能な作用基を有した糖類化合物を含むイオン伝導体組成物を介して低加湿または高温条件で高分子電解質膜内の水分含量を維持することにより、高分子電解質膜の活性を高めてイオン伝導度性能を向上させるイオン伝導体組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前記イオン伝導体組成物を含む高分子電解質膜を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、糖類化合物を含むイオン伝導体組成物で製造された前記高分子電解質膜と、相対的に低い含水率を有する触媒層との界面差(膨潤度差)で発生する問題を最小化しつつ、高分子電解質膜のイオン伝導度を改善させる膜-電極アセンブリを提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、前記膜-電極アセンブリを備える燃料電池を提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されず、言及されていない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明により理解されることができ、本発明の実施形態により、さらに明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、請求の範囲に表した手段及びその組み合わせにより実現され得ることが容易に分かるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態は、イオン伝導体100重量部及び前記イオン伝導体100重量部に対して、糖類化合物0.05~10重量部を含むイオン伝導体組成物を提供する。
【0017】
上記目的を達成するための本発明の他の実施形態は、前記イオン伝導体組成物を含む高分子電解質膜を提供できる。
【0018】
上記目的を達成するための本発明のさらに他の実施形態は、前記高分子電解質膜、前記高分子電解質膜の少なくとも一面上に配置された触媒層を備える膜-電極アセンブリを提供できる。
【0019】
上記目的を達成するための本発明のさらに他の実施形態は、前記膜-電極アセンブリを備える燃料電池を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面(aspect)によれば、水と相互作用(または、水素結合)が可能な作用基を有した糖類化合物を含むイオン伝導体組成物を介して低加湿または高温条件で高分子電解質膜内の水分含量を維持することにより、高分子電解質膜の活性を高めてイオン伝導度性能を向上させるイオン伝導体組成物を提供できる。
【0021】
本発明の他の側面によれば、前記イオン伝導体組成物を含む高分子電解質膜を提供できる。
【0022】
本発明のさらに他の側面によれば、糖類化合物を含むイオン伝導体組成物で製造された前記高分子電解質膜と、相対的に低い含水率を有する触媒層との界面差(膨潤度差)で発生する問題を最小化しつつ、高分子電解質膜のイオン伝導度を改善させる膜-電極アセンブリを提供できる。
【0023】
本発明のさらに他の側面によれば、前記膜-電極アセンブリを備える燃料電池を提供できる。
【0024】
上述した効果とともに、本発明の具体的な効果は、以下において、発明を実施するための具体的な内容を説明しつつ、共に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係る膜-電極アセンブリを示した断面図である。
【0026】
【
図2】本発明の一実施形態に係る燃料電池を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の各構成をより具体的に説明するが、これは、1つの例示に過ぎず、本発明の権利範囲が次の内容により制限されない。
【0028】
本発明の一実施形態は、イオン伝導体100重量部及び前記イオン伝導体100重量部に対して、糖類化合物0.05~10重量部を含むイオン伝導体組成物を提供する。本発明の一側面によれば、水と相互作用(または、水素結合)が可能な作用基を有した糖類化合物を含むイオン伝導体組成物を介して低加湿または高温条件で高分子電解質膜内の水分含量を維持することにより、高分子電解質膜の活性を高めてイオン伝導度性能を向上させることができる。本発明の他の側面によれば、相対的に低い含水率を有する触媒層の界面差(膨潤度差)で発生する問題を最小化できる。
【0029】
以下では、本発明の構成をより具体的に説明する。
【0030】
本発明に係るイオン伝導体は、フッ素系イオン伝導体、炭化水素系イオン伝導体、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つに該当することができ、好ましくは、炭化水素系イオン伝導体であることができる。前記炭化水素系イオン伝導体と糖類化合物とを組み合わせる場合、前記フッ素系イオン伝導体及び糖類化合物の組み合わせに対してイオン伝導度をさらに高めることができるだけでなく、高分子電解質膜の寸法変化率を下げて寸法安定性を改善でき、低加湿条件で含水率を適正水準に上げることができる。また、炭化水素系イオン伝導体と糖類化合物との構造的類似性により相溶性が高く、糖類の効果実現がより容易になることができる。前記イオン伝導体は、水素イオンのような陽イオン交換作用基を有する陽イオン伝導体であるか、ヒドロキシイオンのような陰イオン交換作用基を有する陰イオン伝導体であることができる。前記陽イオン交換作用基は、スルホン酸基、カルボキシル基、ボロン酸基、リン酸基、イミド基、スルホンイミド基、スルホンアミド基、スルホン酸フルオライド基、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるいずれか1つであることができ、一般に、スルホン酸基またはカルボキシル基であることができる。例えば、前記フッ素系イオン伝導体は、パーフルオロスルホン酸(PFSA;Perfluorosulfonic acid)に該当することができる。
【0031】
前記陽イオン伝導体は、前記陽イオン交換作用基を含み、主鎖にフッ素を含むフッ素系高分子、ベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリホスファゼン、またはポリフェニルキノキサリンなどの炭化水素系高分子、ポリスチレン-グラフト-エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、またはポリスチレン-グラフト-ポリテトラフルオロエチレン共重合体などの部分フッ素化された高分子、スルホンイミド、またはこれらの混合物などを挙げることができる。
【0032】
より具体的に、前記陽イオン伝導体が水素イオン陽イオン伝導体である場合、前記高分子は、側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる陽イオン交換基を含むことができ、その具体的な例では、ポリ(パーフルオロスルホン酸)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルとの共重合体、脱フッ素化された硫化ポリエーテルケトン、またはこれらの混合物を含むフッ素系高分子に該当することができる。
【0033】
前記陰イオン伝導体は、ヒドロキシイオンのような陰イオンを移送させることができる高分子であって、陰イオン伝導体は、ヒドロキシドまたはハライド(一般に、クロライド)形態が商業的に入手可能であり、前記陰イオン伝導体は、産業的浄水(Water purification)、金属分離、または触媒工程などに使用されることができる。
【0034】
前記陰イオン伝導体では、一般に、金属水酸化物がドーピングされた高分子を使用することができ、具体的に、金属水酸化物がドーピングされたポリ(エーテルスルホン)、ポリスチレン、ビニル系高分子、ポリ(ビニルクロライド)、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ベンズイミダゾール)、またはポリ(エチレングリコール)などを使用することができる。
【0035】
前記炭化水素系イオン伝導体は、スルホン化されたポリイミド(Sulfonated polyimide、S-PI)、スルホン化されたポリアリールエーテルスルホン(Sulfonated polyarylethersulfone、S-PAES)、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(Sulfonated polyetheretherketone、S-PEEK)、スルホン化されたポリベンズイミダゾール(Sulfonated polybenzimidazole、S-PBI)、スルホン化されたポリスルホン(Sulfonated polysulfone、S-PSU)、スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated polystyrene、S-PS)、スルホン化されたポリホスファゼン(Sulfonated polyphosphazene)、スルホン化されたポリキノキサリン(Sulfonated polyquinoxaline)、スルホン化されたポリケトン(Sulfonated polyketone)、スルホン化されたポリフェニレンオキサイド(Sulfonated polyphenylene oxide)、スルホン化されたポリエーテルスルホン(Sulfonated polyether sulfone)、スルホン化されたポリエーテルケトン(Sulfonated polyether ketone)、スルホン化されたポリフェニレンスルホン(Sulfonated polyphenylene sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィド(Sulfonated polyphenylene sulfide)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィドスルホン(Sulfonated polyphenylene sulfide sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンスルフィドスルホンニトリル(Sulfonated polyphenylene sulfide sulfone nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテル(Sulfonated polyarylene ether)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルニトリル(Sulfonated polyarylene ether nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルエーテルニトリル(Sulfonated polyarylene ether ether nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホンケトン(Sulfonated polyarylene ether sulfone ketone)、及びこれらの混合物からなる群より選ばれるいずれか1つであることができる。ただし、本発明の技術思想がこれに制限されるものではない。
【0036】
本発明に係る糖類化合物は、前記イオン伝導体100重量部に対して0.05~10重量部で含まれることができ、好ましくは、0.5~2.0重量部、より好ましくは、0.5~1.0重量部で含まれることができる。前記糖類化合物が前記数値範囲未満である場合、高温または低加湿運転条件で高分子電解質膜の水分含量が不足して水素イオン伝導度が低くなることがあり、前記数値範囲を超過する場合、後述する触媒層と高分子電解質膜との膨潤度差が大きくなり、界面の問題が生じることがある。前記界面の問題は、高分子電解質膜の寸法安定性が低くなることを意味する。
【0037】
本発明に係る糖類化合物は、単糖類、二糖類、多糖類、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つに該当することができ、具体的に、単糖類であることができる。
【0038】
前記単糖類は、下記の化学式1に表される化合物に該当することができる。
【0039】
[化1]
【0040】
(CH2O)n
【0041】
前記化学式1において、nは、3~7に該当することができ、好ましくは、4~6に該当することができる。
【0042】
例えば、前記単糖類は、アルドトリオース、ケトトリオース、アルドテトロース、ケトテトロース、リボース、ジオキシリボース、果糖、ブドウ糖、ガラクトース、アルドヘプトース、ケトヘプトース、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つに該当することができる。
【0043】
例えば、前記二糖類は、スクロース、ラクツロース、ラクトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、β-トレハロース、α,β-トレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ツラノース、マルツロース、イソマルツロース、ゲンチオビウロース、マンノビオース、メリビオース、メリビウロース、ルチノース、ルチヌロース、キシロビオース、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つに該当することができる。
【0044】
例えば、前記多糖類は、澱粉、グリコーゲン、セルロース、キチン、アラビノキシラン、ペクチン、デキストリン、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つに該当することができる。
【0045】
前記糖類化合物の溶解度は、25℃の水を基準に、0~1,000g/Lに該当することができ、好ましくは、150~700g/Lに該当することができる。前記糖類化合物の水に対する溶解度が前記数値範囲未満である場合、前記糖類化合物が析出されて抵抗として作用することがあり、前記数値範囲を超過する場合、燃料電池運転の際、高分子電解質膜から流出する問題が生じることがある。
【0046】
前記糖類化合物は、水と相互作用(または、水素結合)が可能な作用基(ヒドロキシ基)を含有することにより、低加湿または高温条件で高分子電解質膜内の水分含量を維持できる。これにより、低加湿または高温条件で高い前記高分子電解質膜の水分含量は、高分子電解質膜の活性を高めてイオン伝導度性能を向上させることができる。
【0047】
本発明の他の実施形態は、前記イオン伝導体組成物を含む高分子電解質膜を提供できる。
【0048】
前記高分子電解質膜は、単一膜に該当することができ、前記単一膜の厚みは、例えば、5~125μmであることができ、好ましくは、5~60μmに該当することが好ましい。ただし、本発明の技術思想が前記高分子電解質膜の厚みに制限されるものではなく、様々な厚み範囲が適用され得る。
【0049】
本発明のさらに他の実施形態に係る高分子電解質膜(または、強化複合膜)は、前記イオン伝導体組成物を含む分散液に含浸された多孔性支持体をさらに含むことができる。既存の強化複合膜は、多孔性支持体の導入により、単一膜に対して機械的耐久性に優れることができるが、抵抗が生じ、イオン伝導度が相対的に低く、高温及び低加湿条件で含水率が低くなるという問題点があった。本発明の一実施形態によれば、前記イオン伝導体組成物を含む分散液を多孔性支持体に含浸させることにより、イオン伝導度及び含水率を適正水準に上げることができるだけでなく、寸法安定性も改善することができる。
【0050】
前記多孔性支持体は、フッ素系多孔性支持体、炭化水素系多孔性支持体、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つに該当することができる。
【0051】
本発明の一実施形態に係るフッ素系多孔性支持体は、熱的及び化学的分解に対する抵抗性に優れた高度にフッ素化された重合体、好ましくは、過フッ素と重合体を含むことができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene;PTFE)またはテトラフルオロエチレンとCF2=CFCnF2n+1(nは、1~5の実数)またはCF2=CFO-(CF2CF(CF3)O)mCnF2n+1(mは、0~15の実数、nは、1~15の実数)との共重合体であることができる。
【0052】
本発明の他の実施形態に係るフッ素系多孔性支持体は、高分子フィブリルの微細構造、またはフィブリルによって節が互いに連結された微細構造を有する拡張されたポリテトラフルオロエチレン(Expanded Polytetrafluoroethylene;e-PTFE)に該当することができる。また、前記多孔性支持体として、前記節が存在しない高分子フィブリルの微細構造を有するフィルムも用いられ得る。
【0053】
本発明のさらに他の実施形態に係るフッ素系多孔性支持体は、過フッ素化重合体を含むことができる。前記フッ素系多孔性支持体は、分散重合PTFEを潤滑剤の存在下でテープに押出成形し、これにより得られた材料を延伸して、より多孔質かつより強い多孔性支持体に該当することができる。
【0054】
また、前記PTFEの融点(約342℃)を超過する温度で前記e-PTFEを熱処理することにより、PTFEの非晶質含有率を増加させることもできる。上記方法にて製造されたe-PTFEフィルムは、様々な直径を有する微細気孔及び多孔度を有することができる。上記方法にて製造されたe-PTFEフィルムは、少なくとも35%の微細気孔を有することができ、前記微細気孔の直径は、約0.01~1μmであることができる。
【0055】
本発明の一実施形態に係る炭化水素系多孔性支持体は、ランダムに配向された複数個の繊維からなる不織繊維質ウェブ(nonwoven fibrous web)であることができる。前記不織繊維質ウェブは、インターレイド(interlaid)されるが、織布と同様の方式でない、個々の繊維またはフィラメントの構造を有するシートを意味する。前記不織繊維質ウェブは、カーディング(carding)、ガーネティング(garneting)、エアレイング(air-laying)、ウェットレイング(wet-laying)、メルトブローイング(melt blowing)、スパンボンディング(spun bonding)、及びスティッチボンディング(stitch bonding)からなる群より選ばれるいずれか1つの方法によって製造されることができる。
【0056】
前記繊維は、1つ以上の重合体材料を含むことができ、一般に、繊維形成重合体材料として使用されるものであれば、いずれのものでも使用可能であり、具体的に、炭化水素系繊維形成重合体材料を使用することができる。例えば、前記繊維形成重合体材料は、ポリオレフィン、例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレン、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート、ポリアミド(ナイロン-6及びナイロン-6,6)、ポリウレタン、ポリブテン、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、流体結晶質重合体、ポリエチレン-コ-酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、サイクリックポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン系熱可塑性弾性重合体、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるいずれか1つを含むことができる。ただし、本発明の技術思想がこれに制限されるものではない。
【0057】
本発明の一実施形態に係る炭化水素系多孔性支持体は、ナノ繊維が複数の気孔を含む不織布形態で集積されたナノウェブを含むことができる。
【0058】
前記ナノ繊維は、優れた耐化学性を表し、疏水性を有し、高湿の環境で水分による形態変形の恐れがない炭化水素系高分子を好ましく使用することができる。具体的に、前記炭化水素系高分子では、ナイロン、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリロニトリル、ポリアニリン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、スチレンブタジエンゴム、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルブチレン、ポリウレタン、ポリベンズオキサゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの共重合体、及びこれらの混合物からなる群より選ばれるものを使用することができ、この中でも、耐熱性、耐化学性、及び形態安定性により優れたポリイミドを好ましく使用することができる。
【0059】
前記ナノウェブは、電気放射により製造されたナノ繊維がランダムに配列されたナノ繊維の集合体である。このとき、前記ナノ繊維は、前記ナノウェブの多孔度及び厚みを考慮して、電子走査顕微鏡(Scanning Electron Microscope、JSM6700F、JEOL)を用いて50個の繊維直径を測定し、その平均から計算したとき、40~5000nmの平均直径を有することが好ましい。
【0060】
仮に、前記ナノ繊維の平均直径が前記数値範囲未満である場合、前記多孔性支持体の機械的強度が低下することがあり、前記ナノ繊維の平均直径が前記数値範囲を超過する場合、多孔度が顕著に落ち、厚みが厚くなることがある。
【0061】
前記不織繊維質ウェブの厚みは、10~50μmであることができ、具体的に、15~43μmであることができる。前記不織繊維質ウェブの厚みが前記数値範囲未満である場合、機械的強度が落ちることがあり、前記数値範囲を超過する場合、抵抗損失が増加し、軽量化及び集積化が落ちることがある。
【0062】
前記不織繊維質ウェブは、坪量(basic weight)が5~30mg/cm2でありうる。前記不織繊維質ウェブの坪量が前記数値範囲未満である場合、目に見える気孔が形成されて、多孔性支持体として機能し難いことがあり、前記数値範囲を超過する場合には、ポア(pore)がほとんど形成されない紙または織物の形態のように製造されることができる。
【0063】
前記多孔度は、下記の数学式1により、前記多孔性支持体の全体体積に対する多孔性支持体内の空気体積の割合によって計算することができる。このとき、前記全体体積は、長方形形態のサンプルを製造して、横、縦、厚みを測定して計算し、空気体積は、サンプルの質量を測定後、密度から逆算した高分子体積を全体体積から引いて得ることができる。
【0064】
[数学式1]
【0065】
多孔度(%)=(多孔性支持体内の空気体積/多孔性支持体の全体体積)×100
【0066】
本発明に係る多孔性支持体の多孔度は、30~90%に該当することができ、好ましくは、50~85%に該当することができる。前記多孔性支持体の多孔度が前記数値範囲未満である場合、イオン伝導体の含浸性低下の問題が生じることがあり、前記数値範囲を超過する場合、形態安定性が低下することにより、後工程が円滑に進行されないことがある。
【0067】
本発明のさらに他の実施形態は、前記高分子電解質膜及び前記高分子電解質膜の少なくとも一面上に配置された触媒層を備える膜-電極アセンブリを提供できる。
【0068】
以下、図面を参考して本発明の構成を詳細に説明する。
【0069】
図1は、本発明の一実施形態に係る膜-電極アセンブリを示した断面図である。
【0070】
図1に示すように、本発明に係る膜-電極アセンブリ100は、前記高分子電解質膜50及び前記高分子電解質膜50の両面に各々配置される前記燃料電池用電極20、20’を備える。
【0071】
前記電極20、20’は、電極基材40、40’と、前記電極基材40、40’表面に形成された触媒層30、30’とを備え、前記電極基材40、40’と前記触媒層30、30’との間に前記電極基材40、40’での物質拡散を容易にするために、炭素粉末、カーボンブラックなどの導電性微細粒子を含む微細気孔層(図示せず)をさらに備えることもできる。
【0072】
前記膜-電極アセンブリ100において、前記高分子電解質膜50の一面に配置されて、前記電極基材40を経て前記触媒層30に伝達された燃料から水素イオンと電子とを生成させる酸化反応を起こす電極20をアノード電極という。
【0073】
前記高分子電解質膜50の他面に配置されて、前記高分子電解質膜50を介して供給された水素イオンと電極基材40’とを経て前記触媒層30’に伝達された酸化剤から水を生成させる還元反応を起こす電極20’をカソード電極という。
【0074】
前記アノード及びカソード電極20、20’の触媒層30、30’は、触媒を含む。前記触媒では、電池の反応に参加し、通常、燃料電池の触媒として使用可能なものはいずれのものも使用することができる。好ましくは、白金系金属を使用することができる。
【0075】
前記白金系金属は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、白金-M合金、非白金合金、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1つを含むことができ、より好ましくは、前記白金系触媒金属群より選ばれる2種以上の金属を組み合わせしたものを使用することができるが、これに限定されるものではなく、本技術分野において使用可能な白金系触媒金属であれば、制限なしに使用することができる。
【0076】
前記Mは、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ガリウム(Ga)、チタニウム(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ランタン(La)、及びロジウム(Rh)からなる群より選ばれるいずれか1つ以上に該当することができる。具体的に、前記白金合金として、Pt-Pd、Pt-Sn、Pt-Mo、Pt-Cr、Pt-W、Pt-Ru、Pt-Ru-W、Pt-Ru-Mo、Pt-Ru-Rh-Ni、Pt-Ru-Sn-W、Pt-Co、Pt-Co-Ni、Pt-Co-Fe、Pt-Co-Ir、Pt-Co-S、Pt-Co-P、Pt-Fe、Pt-Fe-Ir、Pt-Fe-S、Pt-Fe-P、Pt-Au-Co、Pt-Au-Fe、Pt-Au-Ni、Pt-Ni、Pt-Ni-Ir、Pt-Cr、Pt-Cr-Ir、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0077】
また、前記非白金合金として、Ir-Fe、Ir-Ru、Ir-Os、Co-Fe、Co-Ru、Co-Os、Rh-Fe、Rh-Ru、Rh-Os、Ir-Ru-Fe、Ir-Ru-Os、Rh-Ru-Fe、Rh-Ru-Os、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0078】
前記触媒として触媒自体(black)を使用することができ、担体に担持させて使用することもできる。
【0079】
本発明によれば、糖類化合物を含むイオン伝導体組成物で製造された前記高分子電解質膜と、相対的に低い含水率を有する触媒層との界面差(膨潤度差)で発生する問題を最小化しつつ、高分子電解質膜のイオン伝導度を改善させる膜-電極アセンブリを提供できる。
【0080】
図2は、本発明の一実施形態に係る燃料電池を示した模式図である。
【0081】
本発明の一実施形態は、前記膜-電極アセンブリを備える燃料電池を提供できる。
【0082】
図2に示すように、本発明に係る燃料電池200は、燃料と水とが混合された混合燃料を供給する燃料供給部210、前記混合燃料を改質して水素ガスを含む改質ガスを発生させる改質部220、前記改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスが酸化剤と電気化学的な反応を起こして電気エネルギーを発生させるスタック230、及び酸化剤を前記改質部220及び前記スタック230に供給する酸化剤供給部240を備えることができる。
【0083】
前記スタック230は、前記改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスと酸化剤供給部240から供給される酸化剤との酸化/還元反応を導いて電気エネルギーを発生させる複数の単位セルを備えることができる。
【0084】
それぞれの単位セルは、電気を発生させる単位のセルを意味するものであって、水素ガスを含む改質ガスと酸化剤中の酸素を酸化/還元させる前記膜-電極接合体と、水素ガスを含む改質ガスと酸化剤とを膜-電極接合体に供給するための分離板(またはバイポーラプレート(bipolar plate)ともいい、以下、「分離板」と称する)とを備えることができる。前記分離板は、前記膜-電極接合体を中心に、その両側に配置される。このとき、前記スタックの最外側に各々位置する分離板を特にエンドプレートとも称する。
【0085】
前記分離板のうち、前記エンドプレートには、前記改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスを注入するためのパイプ状の第1の供給管231と、酸素ガスを注入するためのパイプ状の第2の供給管232とが備えられ、他の1つのエンドプレートには、複数の単位セルで最終的に未反応されて残った水素ガスを含む改質ガスを外部に排出させるための第1の排出管233と、前記した単位セルで最終的に未反応されて残った酸化剤を外部に排出させるための第2の排出管234とが備えられ得る。
【0086】
前記燃料電池において、前記電気発生部を構成するセパレータ、燃料供給部、及び酸化剤供給部は、通常の燃料電池で使用されるものであるから、本明細書において詳細な説明を省略する。
【0087】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例について詳細に説明するが、これは、1つの例示に過ぎず、本発明の権利範囲が次の内容により制限されない。
【0088】
[製造例:イオン伝導体組成物を含む高分子電解質膜の製造]
【0089】
下記の表1のような組成で実施例及び比較例によるイオン伝導体組成物を含む高分子電解質膜を製造した。前記高分子電解質膜は、通常の高分子電解質膜の製造方法により製造した。
【0090】
<比較例1-1>
【0091】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)をガラス基板(Glass plate)にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0092】
<比較例1-2>
【0093】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)に、グルコースを前記ナフィオン分散液100重量部に対して0.01重量部の分だけ添加した後、前記グルコースが添加されたナフィオン分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたナフィオン分散液をガラス基板にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0094】
<比較例1-3>
【0095】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)に、グルコースを前記ナフィオン分散液100重量部に対して11重量部の分だけ添加した後、前記グルコースが添加されたナフィオン分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたナフィオン分散液をガラス基板にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0096】
<比較例2-1>
【0097】
DMAc(Dimethylacetamide)にIEC(Ion Exchange Capacity)が1.3meq/gであるスルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホン(S-PAES)を溶解させて製造された分散液をガラス基板(Glass plate)にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0098】
<比較例3-1>
【0099】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)にPTFE(Poly-Terafluoroethylene;80%多孔度、0.45μmの気孔サイズ、15μmの厚み)を1時間の間含浸させた後、乾燥過程を経て高分子電解質膜(または、強化複合膜)を製造した。
【0100】
<実施例1-1>
【0101】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)に、グルコースを前記ナフィオン分散液100重量部に対して0.1重量部の分だけ添加した後、前記グルコースが添加されたナフィオン分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたナフィオン分散液をガラス基板にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0102】
<実施例1-2>
【0103】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)に、グルコースを前記ナフィオン分散液100重量部に対して0.5重量部の分だけ添加した後、前記グルコースが添加されたナフィオン分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたナフィオン分散液をガラス基板にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0104】
<実施例1-3>
【0105】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)に、グルコースを前記ナフィオン分散液100重量部に対して1.0重量部の分だけ添加した後、前記グルコースが添加されたナフィオン分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたナフィオン分散液をガラス基板にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0106】
<実施例1-4>
【0107】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)に、スクロースを前記ナフィオン分散液100重量部に対して0.5重量部の分だけ添加した後、前記スクロースが添加されたナフィオン分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたナフィオン分散液をガラス基板にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0108】
<実施例1-5>
【0109】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)に、マルトースを前記ナフィオン分散液100重量部に対して0.5重量部の分だけ添加した後、前記マルトースが添加されたナフィオン分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたナフィオン分散液をガラス基板にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0110】
<実施例1-6>
【0111】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)に、スターチを前記ナフィオン分散液100重量部に対して0.5重量部の分だけ添加した後、前記スターチが添加されたナフィオン分散液を常温で24時間の間攪拌した。前記攪拌されたナフィオン分散液をガラス基板にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0112】
<実施例2-1>
【0113】
DMAc(Dimethylacetamide)にIEC(Ion Exchange Capacity)が1.3meq/gであるスルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホン(S-PAES)を溶解させて製造されたS-PAES分散液に、前記S-PAES分散液100重量部に対してグルコース1.0重量部を添加した後、前記グルコースが添加されたS-PAES分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたS-PAES分散液をガラス基板(Glass plate)にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0114】
<実施例2-2>
【0115】
DMAc(Dimethylacetamide)にIEC(Ion Exchange Capacity)が1.3meq/gであるスルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホン(S-PAES)を溶解させて製造されたS-PAES分散液に、前記S-PAES分散液100重量部に対してスクロース0.5重量部を添加した後、前記スクロースが添加されたS-PAES分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたS-PAES分散液をガラス基板(Glass plate)にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0116】
<実施例2-3>
【0117】
DMAc(Dimethylacetamide)にIEC(Ion Exchange Capacity)が1.3meq/gであるスルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホン(S-PAES)を溶解させて製造されたS-PAES分散液に、前記S-PAES分散液100重量部に対してマルトース0.5重量部を添加した後、前記マルトースが添加されたS-PAES分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたS-PAES分散液をガラス基板(Glass plate)にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0118】
<実施例2-4>
【0119】
DMAc(Dimethylacetamide)にIEC(Ion Exchange Capacity)が1.3meq/gであるスルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホン(S-PAES)を溶解させて製造されたS-PAES分散液に、前記S-PAES分散液100重量部に対してスターチ0.5重量部を添加した後、前記スターチが添加されたS-PAES分散液を常温で6時間の間攪拌した。前記攪拌されたS-PAES分散液をガラス基板(Glass plate)にドクターブレードでキャスティングして単一膜形態の高分子電解質膜を製造した。
【0120】
<実施例3-1>
【0121】
ナフィオン分散液(D2020;Dupont社、20wt% Nafion)に、グルコースを前記ナフィオン分散液100重量部に対して1.0重量部の分だけ添加した後、前記グルコースが添加されたナフィオン分散液を常温で3時間の間攪拌した。前記攪拌されたナフィオン分散液にPTFE(Poly-Terafluoroethylene;80%多孔度、0.45μmの気孔サイズ、15μmの厚み)を1時間の間含浸させた後、乾燥過程を経て高分子電解質膜(または、強化複合膜)を製造した。
【0122】
【0123】
[実験例:イオン伝導度、含水率、及び寸法安定性評価実験]
【0124】
前記実施例及び比較例において製造したイオン伝導体組成物で製造された高分子電解質膜に対して、イオン伝導度、含水率、及び寸法安定性を測定し、その結果を下記の表2に表した。それぞれの測定方法は、次のとおりである。
【0125】
1)イオン伝導度(高温/低加湿条件;80℃/50%RH)
【0126】
前記比較例及び実施例による高分子電解質膜に対して、測定温度80℃で測定装備(ソーラトロン社のSolatron-1280Impedance/Gain-Phase analyzer)を利用してイオン伝導度を測定した。具体的に、交流4端子法(Four point probe AC impedance spectroscopic method)を利用してオーム抵抗またはバルク抵抗(ohmic resistance or bulk resistance)を測定した後、下記の[数学式2]によってイオン伝導度を計算した。
【0127】
[数学式2]
【0128】
【0129】
前記数学式2において、σは、イオン伝導度(S/cm)、Rは、電解質膜のオーム抵抗(Ω)、Lは、電極間の距離(cm)、Sは、一定電流が流れる電解質内の面積(cm2)に該当する。
【0130】
2)含水率
【0131】
前記比較例及び実施例による高分子電解質膜を脱イオン水で複数回洗浄し、洗浄された高分子電解質膜を120℃の減圧乾燥器で24時間の間乾燥させた後、重さを測定した(Wdry)。次いで、同じ膜を脱イオン水に24時間の間浸漬させた後、取り出して表面に存在する水を除去し、再度重さを測定した(Wwet)。下記の数学式3により水吸収率を算出した。
【0132】
[数学式3]
【0133】
【0134】
3)低湿含水率
【0135】
前記比較例及び実施例による高分子電解質膜を脱イオン水で複数回洗浄し、洗浄された高分子電解質膜を120℃の減圧乾燥器で24時間の間乾燥させた後、重さを測定した(Wdry)。次いで、同じ膜を25℃相対湿度50%であるチャンバー内部の秤上に載せて、24時間放置した後、重さを測定して(Wwet)、前記数学式3により水吸収率を算出した。
【0136】
4)寸法安定性
【0137】
前記比較例及び実施例による高分子電解質膜の寸法安定性測定方法は、水吸収率測定方法と同様に行うものの、重さを測定する代わりに、前記高分子電解質膜の体積変化を測定した後、下記の数学式4により寸法安定性(または、寸法変化率)を算出した。
【0138】
[数学式4]
【0139】
【0140】
【国際調査報告】