(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】トウモロコシイベントDAS-01131-3及びその検出方法
(51)【国際特許分類】
A01H 6/46 20180101AFI20241126BHJP
C12N 15/31 20060101ALI20241126BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20241126BHJP
A01H 5/10 20180101ALI20241126BHJP
C12Q 1/6858 20180101ALI20241126BHJP
C12Q 1/6895 20180101ALI20241126BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20241126BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20241126BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20241126BHJP
C12N 15/82 20060101ALI20241126BHJP
C12N 15/29 20060101ALI20241126BHJP
A01H 1/00 20060101ALI20241126BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20241126BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALI20241126BHJP
【FI】
A01H6/46 ZNA
C12N15/31
C12N15/11 Z
A01H5/10
C12Q1/6858 Z
C12Q1/6895 Z
C12Q1/686 Z
C12N15/09 100
C12N15/09 110
C12Q1/6813 Z
C12N15/82 Z
C12N15/29
A01H1/00 Z
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6806 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529114
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 US2022079768
(87)【国際公開番号】W WO2023091884
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500207899
【氏名又は名称】パイオニア ハイ-ブレッド インターナショナル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】アズベリー,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】コン,ビン
(72)【発明者】
【氏名】クレイン,バージニア
(72)【発明者】
【氏名】キング,ジェイムス エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ムッティ,ジャスディープ エス.
(72)【発明者】
【氏名】オニール,デニス
(72)【発明者】
【氏名】パスカル,エム.アレハンドラ
(72)【発明者】
【氏名】バン ダイク,マリア マグダレナ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ポー-ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ウースリー,アーロン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーデン,サラ イー.
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ04
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR56
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、植物分子生物学の分野に関し、具体的には、植物に昆虫抵抗性を付与するためのDNA構築物に関する。本明細書に開示される実施形態は、イベントDAS-01131-3を含む耐虫性コーン植物、並びに試料及びその組成物中のイベントDAS-01131-3の存在を検出するためのアッセイに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーンイベントDAS-01131-3の遺伝子型を含むコーン植物であって、前記遺伝子型が、配列番号22及び配列番号25に示されるヌクレオチド配列、又は配列番号22及び配列番号25と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、コーン植物。
【請求項2】
前記遺伝子型が、配列番号23及び配列番号26に示されるヌクレオチド配列、又は配列番号23及び配列番号26と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のコーン植物。
【請求項3】
前記遺伝子型が、配列番号24及び配列番号27に示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24及び配列番号27と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載のコーン植物。
【請求項4】
2つの作動可能に連結された発現カセットを含むDNA構築物であって、前記発現カセットの1つが、
6)ubiZM1プロモーター
7)ubiZM1 5’UTR;
8)ubiZM1イントロン;
9)cry1Da2;及び
10)ubiZM1ターミネーターを含み、
他の発現カセットが、
6)ubiZM1プロモーター
7)ubiZM1 5’UTR;
8)ubiZM1イントロン;
9)dgt-28 epsps;及び
10)ubiZM1ターミネーターを含む、DNA構築物。
【請求項5】
請求項4に記載のDNA構築物を含む植物。
【請求項6】
コーン植物である、請求項5に記載の植物。
【請求項7】
配列番号19に示される配列、又は配列番号19と少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む植物。
【請求項8】
前記コーンイベントの種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている、コーンイベントDAS-01131-3。
【請求項9】
請求項8に記載のコーンイベントの植物部分。
【請求項10】
コーンイベントDAS-01131-3を含む種子であって、前記種子が配列番号22及び配列番号25から選択されるDNA分子を含み、前記コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている、種子。
【請求項11】
請求項10に記載の種子から成長したコーン植物又はその部位。
【請求項12】
請求項8に記載のコーン植物から作製されたトランスジェニック種子。
【請求項13】
請求項12に記載の種子から成長したトランスジェニックコーン植物又はその部位。
【請求項14】
配列番号19及び22~27から選択されるヌクレオチド配列、並びにその完全長相補体を含む単離された核酸分子。
【請求項15】
配列番号19~21から選択される核酸配列及びその完全長相補体を含むアンプリコン。
【請求項16】
コーンイベントDAS-01131-3植物、組織又は種子に由来する生物学的試料であって、前記試料が、配列番号22及び配列番号25から選択される配列であるか又はそれに相補的なヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が、核酸増幅又は核酸ハイブリダイゼーション法を使用して前記試料中で検出可能であり、前記コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている、生物学的試料。
【請求項17】
前記生物学的試料が、植物、植物組織又はトランスジェニックコーンイベントDAS-01131-3の種子を含む、請求項16に記載の生物学的試料。
【請求項18】
前記生物学的試料が、前記トランスジェニックコーン植物イベントDAS-01131-3から抽出されたDNA試料であり、前記DNA試料が、配列番号19~27から選択されるヌクレオチド配列の1つ以上と、その相補体とを含む、請求項17に記載の生物学的試料。
【請求項19】
コーン粉、コーンミール、コーンシロップ、コーン油、コーンスターチ及び全体的又は部分的にコーン副産物を含有するように製造されたシリアルから選択される、請求項16に記載の生物学的試料。
【請求項20】
コーンイベントDAS-01131-3植物、組織又は種子に由来し、配列番号22及び配列番号25から選択される配列であるか又はそれに相補的なヌクレオチド配列を含む抽出物であって、前記コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている、抽出物。
【請求項21】
前記ヌクレオチド配列は、核酸増幅法又は核酸ハイブリダイゼーション法を使用して前記抽出物中で検出可能である、請求項20に記載の抽出物。
【請求項22】
前記抽出物が、トランスジェニックコーン植物イベントDAS-01131-3の植物、植物組織、又は種子を含む、請求項21に記載の抽出物。
【請求項23】
コーン粉、コーンミール、コーンシロップ、コーン油、コーンスターチ及び全体的又は部分的にコーン副産物を含有するように製造されたシリアルから選択される組成物であり、前記組成物は、検出可能な量の前記ヌクレオチド配列を含む、請求項22に記載の抽出物。
【請求項24】
ハイブリッドコーン種子を生産する方法であって、
a.配列番号19~27から選択されるヌクレオチドを含む第1の近交コーン系統と、異なる遺伝子型を有する第2の近交系統とを有性交配すること;
b.前記交配から子孫を成長させること;及び
c.それによって生産されたハイブリッド種子を収穫することを含む、方法。
【請求項25】
前記第1の近交コーン系統が、雌親又は雄親である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
鱗翅目害虫に抵抗性のコーン植物の製造方法であって、
a.第1の親コーン植物を第2の親コーン植物と有性交配することであって、前記第1の親コーン植物又は前記第2の親コーン植物がイベントDAS-01131-3を含み、それにより、複数の第1世代子孫植物を産生すること;
b.前記第1世代子孫植物を自殖することにより、複数の第2世代子孫植物を産生すること;及び
c.前記第2世代子孫植物から、前記イベントDAS-01131-3を含み、鱗翅目害虫に抵抗性である植物を選択することを含む、方法。
【請求項27】
ハイブリッドコーン種子を生産する方法であって、
a.請求項4に記載のDNA構築物を含む第1の近交コーン系統を、請求項4に記載のDNA構築物を含まない第2の近交系統と有性交配すること;及び
b.それによって生産されたハイブリッド種子を収穫することを含む、方法。
【請求項28】
コーンイベントDAS-01131-3を含む第2世代子孫植物を、前記コーンイベントDAS-01131-3 DNAを欠く親植物に戻し交配し、それによって鱗翅目害虫に抵抗性の戻し交配子孫植物を作製する工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
生物学的試料におけるイベントDAS-01131-3を含むコーン植物の接合性を決定する方法であって、
a.前記試料を第1のDNA分子対及び第2の異なるDNA分子対と接触させて、
i.コーンイベントDAS-01131-3 DNAを含む核酸増幅反応で使用される場合、イベントDAS-01131-3を診断する第1のアンプリコンを産生し、
ii.DAS-01131-3 DNA以外のコーンゲノムDNAを含む核酸増幅反応で使用される場合、DAS-01131-3 DNA以外のコーンゲノムDNAについて診断的である第2のアンプリコンを産生すること;
b.核酸増幅反応を実施すること;及び
c.そのように産生されたアンプリコンを検出することを含み、両方のアンプリコンの存在の検出が、前記試料がコーンイベントDAS-01131-3 DNAについてヘテロ接合性であることを示し、前記第1のアンプリコンのみの検出が、前記試料がコーンイベントDAS-01131-3 DNAについてホモ接合性であることを示す、方法。
【請求項30】
前記第1のDNA分子対が配列番号10及び11のプライマー対を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1及び第2のDNA分子対が検出可能な標識を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記検出可能な標識が蛍光標識である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記検出可能な標識が、前記プライマー分子のうちの1つ以上と共有結合している、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
コーン核酸を含む試料中のイベントDAS-01131-3に固有の核酸分子の存在を検出する方法であって、
a.前記試料を、イベントDAS-01131-3からのゲノムDNAとの核酸増幅反応において使用された場合に、イベントDAS-01131-3について診断的であるアンプリコンを生成する一対のプライマーと接触させること;
b.核酸増幅反応を行い、それにより、イベントDAS-01131-3について診断的であるアンプリコンを生成すること;及び
c.イベントDAS-01131-3の診断であるアンプリコンを検出することを含む、方法。
【請求項35】
DAS-01131-3のイベントを診断する前記核酸分子が、前記核酸増幅連鎖反応によって産生されるアンプリコンである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記試料をプローブと接触させることを更に含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記プローブが検出可能な標識を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記検出可能な標識が、前記プローブと共有結合している、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
試料中のイベントDAS-01131-3 DNA鋳型を標的とし、ポリメラーゼ連鎖反応法の結果としてイベントDAS-01131-3のアンプリコン診断を生成する1つ以上のポリヌクレオチドを含む複数のポリヌクレオチドプライマー。
【請求項40】
請求項39に記載の複数のポリヌクレオチドプライマーであって、
a.第1のポリヌクレオチドプライマーが、配列番号10に示されるヌクレオチド配列及びその相補体を含み;及び
b.第2のポリヌクレオチドプライマーが、配列番号11に示されるヌクレオチド配列及びその相補体を含む、ポリヌクレオチドプライマー。
【請求項41】
前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーが少なくとも18ヌクレオチドである、請求項40に記載のプライマー。
【請求項42】
試料中のイベントDAS-01131-3に対応するDNAの存在を検出する方法であって、
a.トウモロコシDNAを含む試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でトウモロコシイベントDAS-01131-3由来のDNAとハイブリダイズし、前記ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で非DAS-01131-3トウモロコシ植物DNAとハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと接触させること;
b.前記試料及びプローブをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供すること;及び
c.前記プローブの前記DNAへのハイブリダイゼーションを検出することを含み;
ハイブリダイゼーションの検出が、イベントDAS-01131-3の存在を示す、方法。
【請求項43】
核酸検出方法においてプライマー又はプローブとして機能するのに十分な長さの連続するポリヌクレオチドの少なくとも1つの核酸分子を含み、試料中の標的核酸配列の増幅又は標的核酸配列へのハイブリダイゼーション、それに続くアンプリコンの検出又は標的配列へのハイブリダイゼーションの際に、前記試料中のイベントDAS-01131-3に固有の核酸配列の存在について診断する、イベントDAS-01131-3に固有の核酸を検出するためのキット。
【請求項44】
前記核酸分子が、配列番号10~27からのヌクレオチド配列を含む、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
前記核酸分子が、配列番号10~18及びその相補体から選択されるプライマーである、請求項43に記載のキット。
【請求項46】
前記遺伝子型が、配列番号24又は配列番号27の1つにおいて1、2、3、4、又は5個のヌクレオチド変化を有するヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載のコーン植物。
【請求項47】
配列番号3に示されるヌクレオチド配列、又は配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を更に含む、請求項1に記載のコーン植物。
【請求項48】
DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法であって、前記コーンイベントの種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託され、ゲノム工学技術を前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列に適用して、前記コーンイベントのDNAを改変することを含む、方法。
【請求項49】
前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、配列番号3と少なくとも90%の配列同一性を有する改変DNA配列を生成することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、前記改変DNA配列において重複した配列番号22又は配列番号25の全部又は一部を有する改変DNA配列を生成することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、配列番号3からの切除を含む改変DNA配列を生成することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記切除が、1つ以上の調節エレメントの活性に実質的に影響を及ぼさない配列番号3の前記1つ以上の調節エレメントからの切除を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、前記改変DNA配列から切除された配列番号22又は配列番号25の全部又は一部を有する改変DNA配列を生成することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、前記改変DNA配列から切除された配列番号3の少なくとも30%を有する改変DNA配列を生成することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
配列番号3の少なくとも80%が前記改変DNA配列から切除される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
配列番号3の全てが前記改変DNA配列から切除される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
DAS-01131-3コーンイベントゲノム編集システムで使用するためのガイドポリヌクレオチドを生成する方法であって、配列番号3の少なくとも一部を認識する1つ以上のガイドポリヌクレオチドを設計することと、前記ガイドポリヌクレオチドを合成することとを含む方法。
【請求項58】
アクセッション番号PTA-127077を有するDAS-01131-3イベントのDNAを改変する方法であって、前記DAS-01131-3イベントのDNAを改変するために、ゲノム工学組成物の一部として請求項57に記載の前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドを前記DAS-01131-3イベントのDNAに導入することを含む、方法。
【請求項59】
CASポリペプチド、1つ以上のガイドポリヌクレオチド、及びDAS-01131-3コーンイベントドナーDNAを含むDAS-01131-3コーンイベントゲノム編集システム。
【請求項60】
アクセッション番号PTA-127077を有するATCCに寄託されたDAS-01131-3イベントの少なくとも1つの発現カセットを改変する方法であって、ゲノム編集技術を使用して少なくとも1つの発現カセットを改変することを含み、前記DAS-01131-3イベントに由来する得られたトウモロコシ植物が少なくとも1つの改変カセットを含む、方法。
【請求項61】
前記方法が、cry1Da2の発現を変更させることを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
配列番号22及び配列番号25から選択される配列であるか又はそれに相補的であるヌクレオチド配列を含むコーンイベントDAS-01131-3植物から生産された穀粒を加工することを含む商品植物製品を生産する方法であって、前記コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されており、前記穀粒が、コーン副生成物を含有するために全体的又は部分的に製造されたコーン粉、コーンミール、コーンシロップ、コーン油、コーンスターチ、及びシリアルから選択される商品植物製品に加工され、組成物/商品植物製品は、検出可能な量の前記ヌクレオチド配列を含む、方法。
【請求項63】
鱗翅目昆虫を防除する方法であって、イベントDAS-01131-3の耐虫性トウモロコシ植物に前記鱗翅目昆虫を曝露することを含む、方法。
【請求項64】
前記鱗翅目昆虫が、ツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda))である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記鱗翅目昆虫がコーンイアワーム(へリコベルパ・ジー(Helicoverpa zea))である、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記鱗翅目昆虫からの損傷が、イベントDAS-01131-3のトウモロコシ粒又は穀粒について防除される、請求項63に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年11月16日に出願された米国仮出願第63/264,100号の利益を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子的に提出された配列表の参照
2022年10月25日に作成されたファイル名「8765_SequenceListing.xml」、サイズ85,126バイトのXML形式の配列表が、明細書と同時にコンピュータ可読形式でファイル化される。このXML形式の文書に含まれる配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書に開示される実施形態は、植物に昆虫抵抗性を付与するためのDNA構築物を含む植物分子生物学の分野に関する。本明細書に開示される実施形態は、イベントDAS-01131-3を含む昆虫抵抗性コーン植物並びに試料中のイベントDAS-01131-3の存在を検出するためのアッセイ及びその組成物も含む。
【背景技術】
【0004】
コーンは、重要な作物であり、世界の多くの地域の主要な食料源である。害虫によって引き起こされる被害は、化学農薬などの防護対策が講じられているにもかかわらず、世界のコーン作物損失の主な要因である。このような事情を踏まえて、虫害の防除及び従来の化学農薬の必要性の低減を目的として、コーンなどの作物に昆虫抵抗性をもたらす遺伝子操作が行われている。トランスジェニック昆虫抵抗性作物の作製に利用されている遺伝子の一群は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(Bt)由来のδ-エンドトキシン群である。δ-エンドトキシンは、ワタ、ジャガイモ、イネ、ヒマワリ、並びにコーンなどの作物植物において首尾よく発現されており、特定の状況では、害虫に対する優れた防除を提供することが証明されている。(Perlak,F.J et al.(1990)Bio/Technology 8:939-943;Perlak,F.J. et al.(1993)Plant Mol.Biol.22:313-321;Fujimoto,H. et al.(1993)Bio/Technology 11:1151-1155;Tu et al.(2000)Nature Biotechnology 18:1101-1104;PCT公開国際公開第01/13731号パンフレット;及びBing,J.W. et al.(2000)Efficacy of Cry1F Transgenic Maize,14th Biennial International Plant Resistance to Insects Workshop,Fort Collins,CO)。
【0005】
植物におけるトランス遺伝子の発現は、個々の目的遺伝子の発現をドライブするカセットの向き及び組成並びに植物ゲノム中での位置(恐らくクロマチン構造(例えば、ヘテロクロマチン)又は組込み部位の近くにある転写調節エレメント(例えば、エンハンサー)の近接性が原因となる)を含め、多くの異なる要因に影響されることが公知である(Weising et al.(1988)Ann.Rev. Genet.22:421-477)。
【0006】
有性交配の後代が目的のトランス遺伝子を含むかどうかを決定するため、特定のイベントの存在を検出することが可能であれば有利となるであろう。
【0007】
トランス遺伝子の存在の検出は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は核酸プローブを用いたDNAハイブリダイゼーションによる核酸検出方法によって可能である。これらの検出方法では、概して、多くのDNA構築物についてコード領域が交換可能であるという理由で、プロモーター、ターミネーター、マーカー遺伝子など、使用頻度の高い遺伝エレメントに焦点が置かれている。結果として、かかる方法は、異なるイベント間、特に同じDNA構築物又は極めて類似した構築物を使用して作られたイベント間を区別するには、挿入された異種DNAに隣接する隣接DNAのDNA配列が既知でない限り、有用でないこともある。
【発明の概要】
【0008】
本実施形態は、昆虫抵抗性コーン(トウモロコシ(Zea mays))植物イベントDAS-01131-3、別名「トウモロコシ系統DAS-01131-3」、「コーン植物イベントDAS-01131-3」及び「DAS-01131-3トウモロコシ」、コーン植物イベントDAS-01131-3のDNA植物発現構築物並びにコーン植物イベントDAS-01131-3及びその後代におけるトランス遺伝子構築物、隣接及び挿入(標的遺伝子座)領域を検出するための方法及び組成物に関する。
【0009】
一態様において、組成物及び方法は、昆虫抵抗性の単子葉作物植物を作製及び選択する方法に関する。組成物は、植物細胞及び植物で発現したときに昆虫に対する抵抗性を付与するDNA構築物を含む。一態様において、宿主細胞に導入され、そこで複製する能力のある、植物細胞及び植物で発現したときに植物細胞及び植物に昆虫抵抗性を付与するDNA構築物が提供される。トウモロコシイベントDAS-01131-3は、アグロバクテリウムによるプラスミドPHP88492の形質転換によって産生された(
図1)。本明細書に記載されるように、これらのイベントは、特定の鱗翅目植物有害生物に対する抵抗性を付与するcry1Da2遺伝子(配列番号5のアミノ酸をコードする配列番号4のポリヌクレオチド)カセット(表1)を含む。昆虫防除成分は、鱗翅目昆虫種に対する有効性を実証した。
【0010】
プラスミドPHP88492のT-DNA領域を
図2に概略的に示し、その配列を配列番号2として提供する。プラスミドPHP88492のT-DNAは2つの遺伝子カセットを含む。
【0011】
第1のカセット(cry1Da2遺伝子カセット)は、いずれもバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(米国特許第9890390号明細書[Tan et al.,2018])由来の殺虫性コア毒素及びcry1Ab遺伝子の誘導体をコードするcry1Da2遺伝子由来の配列から構成されるキメラ遺伝子を含む。発現されたCry1Da2タンパク質は、特定の鱗翅目害虫の制御を付与する。Cry1Da2タンパク質は、cry1Abに由来する最後の9アミノ酸を含む603アミノ酸長であり、約68kDaの分子量を有する(
図3)。cy1Da2遺伝子の発現は、5’非翻訳領域(UTR)及びイントロン(Christensen et al.,1992)を含むトウモロコシユビキチン遺伝子1(ubiZM1)由来のプロモーター領域によって制御される。cry1Da2遺伝子のターミネーターは、ubiZM1遺伝子由来のターミネーター領域である(Christensen et al.,1992;米国特許第9688996号明細書[Kumar et al.,2017])。
【0012】
第2のカセット(dgt-28 epsps遺伝子カセット)は、セイヨウアブラナ(Brassica napus)及びブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)(国際公開第2013116700号パンフレット[Lira et al.,2013];Griffin et al.,2021)由来のキメラ葉緑体移行ペプチド(ポリヌクレオチド配列番号6及びアミノ酸配列番号7)、TraP8(ポリヌクレオチド配列番号8及びアミノ酸配列番号9)に融合したストレプトミセス・スビセウス(Streptomyces sviceus)由来の5-エノールピルビルシキメート-3-リン酸シンターゼ(epsps)遺伝子を含む。発現されたDGT-28 EPSPSタンパク質は、グリホサート除草剤に対する耐性を提供するために、TraP8ペプチドを介してトウモロコシ葉緑体に標的化される。dgt-28 epsps遺伝子の推定発現は、481アミノ酸の全長及び65アミノ酸のTraP8ペプチド並びに2アミノ酸リンカーを含む約51kDaの分子量を有する前駆体タンパク質をもたらす。dgt-28 epsps遺伝子の発現は、5’UTR及びイントロンを含むubiZM1プロモーターの第2のコピー、及びubiZM1ターミネーターの第2のコピーによって制御される。
【0013】
PHP88492 T-DNAは、2つのattB組換え部位(attB1及びattB2)、2つの操作されたランディングパッド領域(ELP1領域1及びELP1領域2)、及び4つのジンクフィンガーヌクレアーゼ標的認識部位(ZFN)を含む(それぞれHartley et al.,2000及びKatzen,2007;米国特許第10160975号明細書[Ainley et al.,2018];Ainley et al.,2013)。機能するためには、これらの部位は、植物に天然には存在しない特定のリコンビナーゼ酵素(Cox,1988;Dale and Ow,1990;Thorpe and Smith,1998)を必要とするため、これらの部位が単独で存在しても組換えは生じない。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、DAS-01131-3(すなわち、ATCC寄託番号PTA-127077に寄託されている、イベントDAS-01131-3を有する植物)と呼ばれる新規コーン植物を同定するための組成物及び方法が提供される。本方法は、DAS-01131-3の5’及び/又は3’隣接配列を特異的に認識するプライマー又はプローブに基づく。PCR反応で利用されたとき、トランスジェニックイベントDAS-01131-3にユニークなアンプリコンを産生することになるプライマー配列を含むDNA分子が提供される。一実施形態において、こうした分子を含むコーン植物及び種子が企図される。更に、こうしたプライマー配列を利用して、DAS-01131-3イベントを同定するためのキットが提供される。
【0015】
一部の実施形態は、本明細書に記載されるとおりのDAS-01131-3の特異的隣接配列に関し、これを使用して、生物学的試料中のDAS-01131-3の同定方法を開発することができる。より詳細には、本開示は、DAS-01131-3の5’及び/又は3’隣接領域に関し、これを使用して特異的プライマー及びプローブを開発することができる。更なる実施形態は、かかる特異的プライマー又はプローブの使用に基づく生物学的試料中のDAS-01131-3の存在の同定方法に関する。
【0016】
一部の実施形態によれば、試料中のコーンイベントDAS-01131-3に対応するDNAの存在を検出する方法が提供される。このような方法は、(a)DNAを含む試料を、DNAプライマーセットであって、イベントDAS-01131-3を含むコーンから抽出されたゲノムDNAと共に核酸増幅反応で使用されるとき、コーンイベントDAS-01131-3の診断指標となるアンプリコンを産生するDNAプライマーセットに接触させること;(b)核酸増幅反応を実施し、それによりアンプリコンを産生すること;及び(c)アンプリコンを検出することを含む。一部の態様において、プライマーセットは、配列番号10及び11と、任意選択で、配列番号12を含むプローブとを含む。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、試料中のDAS-01131-3イベントに対応するDNA分子の存在を検出する方法は、(a)コーン植物から抽出されたDNAを含む試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でコーン含有イベントDAS-01131-3から抽出されたDNAとハイブリダイズし、且つストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で対照コーン植物DNAとハイブリダイズしないDNAプローブ分子と接触させること;(b)前記試料及びプローブをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供すること;(c)含有イベントDAS-01131-3コーンから抽出されたDNAに対するプローブのハイブリダイゼーションを検出することを含む。より具体的には、試料中のDAS-01131-3イベントに対応するDNA分子の存在の検出方法は、(a)コーン植物から抽出されたDNAを含む試料を、イベントにユニークな配列、例えば接合配列を含むDNAプローブ分子であって、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、コーンイベントDAS-01131-3から抽出されたDNAとハイブリダイズし、且つストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、対照コーン植物DNAとハイブリダイズしないDNAプローブ分子に接触させること;(b)試料及びプローブをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供すること;及び(c)DNAへのプローブのハイブリダイゼーションを検出することを含む。
【0018】
加えて、DAS-01131-3特異的領域を検出するものである、生物学的試料中のイベントDAS-01131-3を同定するためのキット及び方法が提供される。
【0019】
DAS-01131-3の少なくとも1つの接合配列を含むDNA分子が提供され;ここで、接合配列は、ゲノムに挿入された異種DNAと、その挿入部位に隣接するトウモロコシ細胞のDNAとの間に位置する接合にまたがる。接合配列の検出は、DAS-01131-3イベントの診断とすることができる。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、耐虫性コーン植物を産生する方法は、(a)昆虫に対する耐性を付与する、本明細書中に開示される発現カセットを含む第1の親コーン系統と、そのような発現カセットを欠く第2の親コーン系統とを有性交配し、それにより、複数の子孫植物を作製すること;(b)昆虫耐性である子孫植物を選択することを含む。かかる方法は、任意選択で、後代植物を第2の親コーン系統と戻し交配することにより、昆虫抵抗性のある純種コーン植物を作製する更なるステップを含み得る。
【0021】
一部の実施形態は、昆虫に対して抵抗性のあるコーン植物を作製する方法であって、コーン細胞をDNA構築物PHP88492で形質転換すること、形質転換されたコーン細胞をコーン植物に成長させること、昆虫に対して抵抗性を示すコーン植物を選択すること及びコーン植物を稔性のコーン植物に更に成長させることを含む方法を提供する。この稔性のコーン植物を自家受粉するか、又は適合性のあるコーン品種と交配させることにより、昆虫抵抗性の後代を作製することができる。
【0022】
一部の実施形態は、生物学的試料中のトウモロコシイベントDAS-01131-3を同定するためのDNA検出キットに更に関する。このキットは、PCR同定プロトコルでの使用のための、DAS-01131-3の5’又は3’隣接領域を特異的に認識する第1のプライマーと、DAS-01131-3の非天然標的遺伝子座DNA内にあるか又は隣接DNA内にある配列を特異的に認識する第2のプライマーとを含む。更なる実施形態は、生物学的試料中のイベントDAS-01131-3を同定するためのキットに関し、このキットは、イベントDAS-01131-3の特異的領域と約80%~100%の配列同一性を有する配列に対応するか又はそれと相補的な配列を有する特異的プローブを含む。プローブの配列は、イベントDAS-01131-3の5’又は3’隣接領域の一部を含む特異的領域に対応し得る。いくつかの実施形態において、第1又は第2のプライマーは、配列番号10~11、13~14又は16~17のいずれか1つを含む。
【0023】
本明細書に開示される実施形態に包含される方法及びキットは、以下のような異なる目的に使用することができるが、これらに限定されない:植物、植物材料又は植物材料を含む若しくは植物材料に由来する食品又は飼料製品(生鮮品又は加工品)などであるがこれらに限定されない製品におけるイベントDAS-01131-3を特定する;追加的又は代替的に、本方法及びキットは、トランスジェニック材料と非トランスジェニック材料との間の分離を目的としてトランスジェニック植物材料を同定するために使用することができる。追加的又は代替的に、方法及びキットを使用して、トウモロコシイベントDAS-01131-3を含む植物材料の品質を決定することができる。本キットは、検出方法の実施に必要な試薬及び材料も含有し得る。
【0024】
更なる実施形態は、DAS-01131-3コーン植物又はその一部、限定はされないが、コーン植物DAS-01131-3の花粉、胚珠、栄養細胞、花粉細胞の核及び卵細胞の核並びにこれらに由来する後代に関する。別の実施形態において、DAS-01131-3のトウモロコシ植物及び種子を標的とするDNAプライマー分子は、特異的アンプリコン産物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】cry1Da2及びdgt-28 epsps遺伝子カセットを含むプラスミドPHP88492の概略図を示す。プラスミドPHP88492のサイズは18,024bp(配列番号1)である。
【
図2】cry1Da2及びdgt-28 epsps遺伝子カセットを示すPHP88492 T-DNA領域の概略図を示す。T-DNAのサイズは12,664bp(配列番号2)である。
【
図3】DAS-01131-3の形質転換及び開発の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書で使用されるとき、単数形「1つの」、「及び」及び「その」には、文脈上特に明確に指図されない限り、複数の指示対象が含まれる。従って、例えば、「ある細胞」という表現は、複数のかかる細胞を含み、「そのタンパク質」という表現は、1つ以上のタンパク質及びその均等物を含む等となる。別途明確な指示がない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同一の意味を有する。添付の配列表に列挙され、本明細書で参照される核酸配列は、ヌクレオチド塩基の標準的な略語を使用して示される。各核酸配列の1つの鎖のみが示されているが、相補鎖は、表示された鎖に対する任意の参照によって含まれると理解される。
【0027】
本開示の組成物は、ATCC特許寄託番号PTA-127077として寄託された種子並びにそれに由来する植物、植物細胞及び種子を含む。本出願人らは、2021年5月26日に、少なくとも625個のトウモロコシイベントDAS-01131-3(特許寄託番号PTA-127077)の種子をAmerican Type Culture Collection(ATCC),Manassas,VA 20110-2209 USAに寄託した。これらの寄託物は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposit of Microorganisms for the Purposes of Patent Procedure)の条項に基づき管理されることになる。2021年5月26日にATCCに寄託されたこの種子は、Pioneer Hi-Bred International,Inc.、7250 NW 62nd Avenue、Johnston、Iowa 50131-1000によって管理されている寄託物から取られた。この申請の係属中は、Patents and Trademarksの長官及び申請に対して長官がその権利を有すると認めた者がこの寄託物を入手できる。本出願の請求項が許可されると、本出願人は、37 C.F.R.§1.808に従って、American Type Culture Collection(ATCC),10801 University Boulevard,Manassas,VA 20110-2209によるハイブリッドトウモロコシの少なくとも625個の種子の寄託の試料を公衆に利用可能にする。トウモロコシイベントDAS-01131-3の種子のこの寄託物は、公的寄託機関であるATCC寄託機関において、30年間若しくは最後に請求があったときから5年又は本特許の効力が続く間のいずれか長い期間にわたって管理されることになり、その期間中に生存不能になった場合、交換されることになる。更に、出願人は、寄託時に試料の生存率を提示することを含め、37C.F.R.1.801条~1.809条の全ての要件を満足させている。出願人は、生物物質の移動又はその商業的な輸送に対して法が課す制限を撤回する権限を有しない。本出願人らは、本特許に基づき与えられるその権利又は植物品種保護法(Plant Variety Protection Act)(合衆国法典第7巻第2321条以下)に基づくイベントDAS-01131-3に適用可能な権利のいかなる侵害も免除しない。無許可の種子増殖は禁止されている。種子は規制を受けることもある。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「コーン」は、トウモロコシ(Zea mays)又はトウモロコシを意味し、野生トウモロコシ種を含め、コーンと共に育種され得る全ての植物品種を含む。
【0029】
本明細書で使用される場合、「昆虫耐性」及び「衝撃性害虫」という用語は、限定するものではないが、以下を含む、発生の任意の段階で昆虫の摂食、成長、及び/又は行動の変化をもたらすことを指す。虫を殺すこと;成長遅延;生殖能力の低下;供給を阻止する;などである。
【0030】
本明細書で使用されるとき、用語「殺害虫活性」及び「殺昆虫活性」は、適切な時間長さにわたって生物又は物質を摂餌させた後及び/又はそれに曝露した後に、限定はされないが、害虫死亡率、害虫体重減少、害虫誘引、害虫忌避並びに害虫の他の行動的及び身体的変化を含め、多くのパラメータによって測定することのできる生物又は物質(例えば、タンパク質など)の活性を指して同義語として使用される。例えば、「殺害虫タンパク質」は、単独で又は他のタンパク質との組み合わせで殺害虫活性を示すタンパク質である。
【0031】
本明細書で使用されるとき、「インサートDNA」は、植物材料の形質転換に使用される発現カセット内にある異種DNAを指し、一方、「隣接DNA」は、植物などの生物に自然に存在するゲノムDNAのもの又は元のインサートDNA分子にとって異質な、形質転換法によって導入される外来性(異種)DNAのもの、例えば形質転換イベントに関連する断片のいずれかを指し得る。「隣接領域」又は「隣接配列」は、本明細書で使用されるとき、元の非天然インサートDNA分子の直接上流にそれと隣接して位置するか、且つ/又は直接下流にそれと隣接して位置するかのいずれかの少なくとも10bp(一部の狭義の実施形態では、少なくとも20bp、少なくとも50bp及び最大で少なくとも5000bp)の配列を指す。外来性DNAの形質転換手順により、各形質転換体に特徴的でユニークな種々の隣接領域を含む形質転換体が生じ得る。従来の交配を通じて組換えDNAが植物に導入されるとき、概してその隣接領域は変化しないことになる。数世代の植物育種及び従来の交配を通じて隣接領域に一塩基変化が起こる可能性もあり得る。形質転換体は、異種インサートDNA片とゲノムDNAとの間若しくは2つのゲノムDNA片間又は2つの異種DNA片間にユニークな接合を含むことにもなる。「接合」は、2つの特異的DNA断片がつながっている箇所である。例えば、接合は、インサートDNAが隣接DNAにつながっているところに存在する。接合箇所は、天然の生物に見られるものと比べて改変された形態で2つのDNA断片が一体につながっている形質転換生物にも存在する。「接合DNA」は、接合箇所を含むDNAを指す。本開示に示される接合配列は、トウモロコシゲノムDNAとインサートの5’末端との間に位置する接合箇所を含んで、その接合箇所から少なくとも-5~+5ヌクレオチド(配列番号22)、その接合箇所から少なくとも-10~+10ヌクレオチド(配列番号23)及びその接合箇所から少なくとも-25~+25ヌクレオチド(配列番号24)の範囲に及ぶもの;並びにインサートの3’末端とトウモロコシゲノムDNAとの間に位置する接合箇所を含んで、その接合箇所から少なくとも-5~+5ヌクレオチド(配列番号25)、その接合箇所から少なくとも-10~+10ヌクレオチド(配列番号26)及びその接合箇所から少なくとも-25~+25ヌクレオチド(配列番号27)の範囲に及ぶものである。本開示に示される接合配列は、標的遺伝子座とインサートの5’末端との間に位置する接合箇所も含む。隣接領域を伴う完全なインサートは、配列番号3に表される。
【0032】
一実施形態では、コーンイベントDAS-01131-3を含む種子、植物及び植物部分が提供され、前記種子、植物及び植物部分は、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27から選択されるDNA配列、又は配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26及び配列番号27と少なくとも95%の配列同一性を有する配列から選択されるDNA配列を含み、コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料は、アクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている。別の実施形態では、コーンイベントDAS-01131-3を含む種子、植物及び植物部分が提供され、前記種子、植物及び植物部分は、配列番号3、又は配列番号3と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含み、コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料は、アクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている。
【0033】
本明細書で使用されるとき、核酸配列に言及した「異種」は、性的適合性のない異なる種を起源とするか又は同じ種を起源とする場合、ヒトの意図的な介入によって組成及び/又はゲノム遺伝子座がその天然形態と比べて実質的に改変されている核酸配列である。例えば、異種ヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターは、そのヌクレオチド配列の由来となった種と異なる種のものであり得るか又は同じ種のものである場合、そのプロモーターが自然中でそのヌクレオチド配列に作動可能に連結されて見出されることはない。異種タンパク質は、外来種を起源とし得るか又は同じ種を起源とする場合、ヒトの意図的な介入によってその元の形態と比べて実質的に改変されている。
【0034】
用語「調節エレメント」は、遺伝子調節活性を有する核酸分子、即ち作動可能に連結された転写可能なポリヌクレオチドの転写及び/又は翻訳発現パターンに影響を及ぼす能力を有するものを指す。従って用語「遺伝子調節活性」は、作動可能に連結された転写可能なポリヌクレオチド分子の発現に対し、その作動可能に連結された転写可能なポリヌクレオチド分子の転写及び/又は翻訳に影響を及ぼすことによって影響を及ぼす能力を指す。遺伝子調節活性は、正及び/又は負であり得、その効果は、その時間的、空間的、発生的、組織、環境、生理学的、病理学的、細胞周期及び/又は化学的応答の質によると共に、定量的又は定性的指標によっても特徴付けられ得る。
【0035】
「プロモーター」は、コード配列又は機能性RNAの発現を制御する能力のあるヌクレオチド配列を指す。一般に、コード配列はプロモーター配列の3’側に位置する。プロモーター配列は、近位及びより遠位の上流エレメントを含み、後者のエレメントはエンハンサーと称されることが多い。これに従えば、「エンハンサー」は、プロモーター活性を刺激することのできるヌクレオチド配列であり、プロモーターの固有のエレメントであり得るか、又はプロモーターのレベル若しくは組織特異性を増強するために挿入される異種エレメントであり得る。プロモーターは、その全体が天然遺伝子に由来し得るか、又は天然に見られる異なるプロモーターに由来する異なるエレメントで構成され得るか、又は更に合成ヌクレオチドセグメントを含み得る。当技術分野の当業者によれば、異なる調節エレメントは、異なる組織又は細胞型における、又は異なる発生段階にある、又は異なる環境条件に応答した遺伝子の発現を導き得ることが理解される。ほとんどの細胞型でほぼ常に核酸断片の発現を生じさせるプロモーターは、一般に「構成的プロモーター」と称される。ほとんどの場合に調節配列の正確な境界は完全には定義付けられていないため、異なる長さの核酸断片が同一の又は類似したプロモーター活性を有し得ることが更に認識される。
【0036】
「翻訳リーダー配列」は、遺伝子のプロモーター配列とコード配列との間に位置するヌクレオチド配列を指す。翻訳リーダー配列は、完全にプロセシングされたmRNAでは翻訳開始配列の上流に存在する。翻訳リーダー配列は、一次転写物からmRNAへのプロセシング、mRNA安定性及び/又は翻訳効率を含め、多くのパラメータに影響を及ぼし得る。
【0037】
「3’非コード配列」は、コード配列の下流に位置するヌクレオチド配列を指し、ポリアデニル化認識配列及びその他の、mRNAプロセシング又は遺伝子発現に影響を及ぼす能力のある調節シグナルをコードする配列を含む。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸系の付加に影響することによって特徴付けられる。
【0038】
DNA構築物は、1つ以上の発現カセットを提供する一体に連結されたDNA分子の集合体である。DNA構築物は、細菌細胞における自己複製が可能となるようにされた、機能性遺伝エレメント、即ちとりわけプロモーター、イントロン、リーダー、コード配列、3’終結領域を提供するDNA分子の導入に有用な様々なエンドヌクレアーゼ酵素制限部位を含むプラスミドであり得るか;又はDNA構築物は、発現カセットなど、DNA分子の線状の集合体であり得る。DNA構築物内に含まれる発現カセットは、メッセンジャーRNAの転写をもたらすのに必要な遺伝エレメントを含む。発現カセットは、原核細胞又は真核細胞で発現するように設計することができる。本実施形態の発現カセットは、植物細胞で発現するように設計される。
【0039】
本明細書に開示されるDNA分子は、目的の生物における発現用の発現カセットに提供される。このカセットは、コード配列に作動可能に連結された5’及び3’調節配列を含む。「作動可能に連結された」とは、連結されている核酸配列が隣接していること及び2つのタンパク質コード領域をつなぎ合わせる必要がある場合、隣接していて、且つ同じリーディングフレームにあることを意味する。作動可能に連結されたとは、プロモーターと第2の配列との間の機能的連結を指し示すことが意図され、ここで、プロモーター配列は、第2の配列に対応するDNA配列の転写を開始させ、それを媒介する。カセットは、加えて、生物に同時形質転換しようとする少なくとも1つの追加的な遺伝子を含有し得る。代わりに、そうした1つ又は複数の追加的な遺伝子は、複数の発現カセット上又は複数のDNA構築物上に提供され得る。
【0040】
発現カセットは、転写の5’から3’方向に:宿主として働く生物において機能する転写及び翻訳開始領域、コード領域、並びに転写及び翻訳終結領域を含み得る。転写開始領域(例えば、プロモーター)は、宿主生物にとって未変性若しくは類似体であり得るか、又は外来性若しくは異種であり得る。加えて、プロモーターは、天然配列であり得るか、又は代わりに合成配列であり得る。発現カセットは、加えて、発現カセット構築物に5’リーダー配列を含有し得る。そのようなリーダー配列は、翻訳を強化するように働き得る。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「トランスジェニック」には、概して、その遺伝子型が異種核酸の存在によって変化し(当初からそのように変化したもの並びに初期トランスジェニックからの有性交配又は無性繁殖によって作り出されたものを含む)、且つかかる異種核酸を保持している任意の細胞、細胞株、カルス、組織、植物部分又は植物が含まれることが理解されるべきである。
【0042】
トランスジェニック「イベント」は、目的のトランス遺伝子を含む核酸発現カセットを含めた、1つ又は複数の異種DNA構築物による植物細胞の形質転換、トランス遺伝子が植物のゲノムに挿入されることによって生じる植物集団の再生及び特定のゲノム位置への挿入によって特徴付けられる植物の選択によって作製される。イベントは、トランス遺伝子の発現によって表現型的に特徴付けられる。遺伝子レベルでは、イベントは植物体の遺伝子構造の一部である。用語「イベント」は、形質転換体と別の品種との間での有性異系交配によって作製された後代も指し、この後代は、異種DNAを含む。反復親との戻し交配後、その交配の後代には、形質転換した親からの挿入されたDNA及び連結している隣接ゲノムDNAが同じ染色体位置に存在する。後代植物は、従来の育種技法の結果として生じるインサートの配列変化を含み得る。用語「イベント」は、挿入されたDNAと、その挿入されたDNAに直接隣接する隣接配列とを含む元の形質転換体からのDNAであって、挿入されたDNAを含む一方の親系統(例えば、元の形質転換体及び自殖によって生じる後代)と、その挿入されたDNAを含まない親系統との有性交配の結果として、目的のトランス遺伝子を含め、挿入されたDNAを受け取る後代に受け継がれることが期待されるであろうDNAも指す。
【0043】
昆虫抵抗性DAS-01131-3コーン植物の育種は、初めに、昆虫抵抗性を付与する本実施形態の発現カセットによる形質転換に由来するトランスジェニックDAS-01131-3イベント植物及びその後代を有する第1の親コーン植物と、かかる発現カセットを欠いている第2の親コーン植物とを有性交配し、それにより複数の第1の後代植物を作製すること;及び次に昆虫に対して抵抗性のある第1の後代植物を選択すること;及び第1の後代植物を自殖させて、それにより複数の第2の後代植物を作製すること;及び次に第2の後代植物から昆虫抵抗性植物を選択することによることができる。これらのステップは、第1の昆虫抵抗性の後代植物又は第2の昆虫抵抗性の後代植物を第2の親コーン植物又は第3の親コーン植物と戻し交配し、それにより昆虫に対して抵抗性のあるコーン植物を作製することを更に含み得る。用語「自殖」は、同じ生物からの配偶子及び/又は核の合体を含め、自家受粉を指す。
【0044】
本明細書で使用されるとき、用語「植物」には、全植物、植物の部位、植物器官(例えば、葉、茎、根等)、種子、植物細胞及びその後代への言及が含まれる。一部の実施形態において、トランスジェニック植物の部位は、本明細書に開示されるDNA分子で以前に形質転換されていて、従って少なくとも一部はトランスジェニック細胞からなるトランスジェニック植物又はその後代を起源とする、例えば、植物細胞、プロトプラスト、組織、カルス、胚並びに花、茎、果実、葉及び根を含む。
【0045】
本明細書で使用されるとき、用語「植物細胞」には、限定なしに、種子、浮遊培養物、胚、分裂組織領域、カルス組織、葉、根、シュート、配偶体、胞子体、花粉及び小胞子が含まれる。使用し得る植物クラスは、概して、単子葉植物及び双子葉植物の両方を含めた、形質転換技法に適している高等植物クラスと同程度に広範である。
【0046】
「形質転換」は、核酸断片を宿主生物のゲノムに移入する結果、遺伝的に安定して受け継がれるようになることを指す。形質転換された核酸断片を含む宿主植物は、「トランスジェニック」植物と称される。
【0047】
本明細書で使用されるとき、用語「後代」は、イベントDAS-01131-3の文脈では、コーンイベントDAS-01131-3を含む親植物の任意の世代の子孫を指す。
【0048】
本明細書に開示される単離されたポリヌクレオチドは、宿主細胞への導入能及びそこでの複製能のある組換え構築物、典型的にはDNA構築物に取り込まれ得る。かかる構築物は、複製システム並びに所与の宿主細胞におけるポリペプチドコード配列の転写能及び翻訳能を有する配列を含むベクターであり得る。植物細胞の安定なトランスフェクション又はトランスジェニック植物の確立に適したいくつかのベクターは、例えば、Pouwels et al.,(1985;Supp.1987)Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Weissbach and Weissbach(1989)Methods for Plant Molecular Biology,(Academic Press,New York);及びFlevin et al.,(1990)Plant Molecular Biology Manual,(Kluwer Academic Publishers)に記載されている。典型的には、植物発現ベクターは、例えば、5’及び3’調節配列の転写制御下にある1つ以上のクローニングされた遺伝子並びに優勢選択マーカーを含む。かかる植物発現ベクターは、プロモーター調節領域(例えば、誘導性の若しくは構成的な、環境的に若しくは発生的に調節された又は細胞特異的若しくは組織特異的な発現を制御する調節領域)、転写開始出発部位、リボソーム結合部位、RNAプロセシングシグナル、転写終結部位及び/又はポリアデニル化シグナルも含有することができる。
【0049】
インサートを植物細胞のゲノムに導入する過程では、インサート及び/又はゲノム隣接配列の何らかの欠失又は他の変化が起こることも珍しくない。従って、本明細書で提供されるプラスミド配列の関連セグメントは、トランケーションを含むいくつかの小さな変異を含み得る。本明細書で提供される隣接配列及び連結配列についても同じことが可能である。従って、本主題の隣接及び/又はインサート配列と何らかの範囲の同一性を有するポリヌクレオチドを含む植物は、本主題の開示の範囲内にある。本開示の配列との同一性は、本明細書に例示される又は記載される配列と少なくとも65%の配列同一性、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも75%の配列同一性、少なくとも80%の同一性又は少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列であり得る。本明細書に提供されるとおりのハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション条件も、本主題の開示のかかる植物及びポリヌクレオチド配列を定義するのに用いることができる。隣接配列+完全インサート配列を含む配列は、寄託された種子を基準として確認することができる。
【0050】
一部の実施形態において、2つの異なるトランスジェニック植物を交配することにより、2つの独立に分離する加えられた外因性遺伝子を含む子孫を作製することもできる。適切な後代の自殖により、加えられた外因性遺伝子に関してホモ接合の植物を作製することができる。親植物との戻し交配及び非トランスジェニック植物との異系交配も栄養繁殖と同じく企図される。
【0051】
「プローブ」は、従来の合成の検出可能標識又はレポーター分子、例えば、放射性同位体、リガンド、化学発光剤又は酵素が取り付けられている単離核酸である。かかるプローブは、標的核酸の鎖、例えばイベントからのDNAを含むコーン植物又は試料からであるかにかかわらず、コーンイベントDAS-01131-3からの単離されたDNAの鎖と相補的である。プローブには、デオキシリボ核酸又はリボ核酸が含まれるのみならず、標的DNA配列に特異的に結合し、且つその標的DNA配列の存在の検出に使用することができるポリアミド及び他の改変ヌクレオチドも含まれる。
【0052】
「プライマー」は、核酸ハイブリダイゼーションによって相補的な標的DNA鎖にアニールする単離核酸であり、それによりプライマーと標的DNA鎖との間にハイブリッドが形成され、次にはそれが標的DNA鎖に沿ってポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼにより伸張される。プライマー対とは、例えばPCR又は他の従来の核酸増幅方法による、標的核酸配列の増幅へのその使用を指す。「PCR」又は「ポリメラーゼ連鎖反応」は、特異的DNAセグメントの増幅に用いられる技法である(米国特許第4,683,195号明細書及び同第4,800,159号明細書を参照されたく;本明細書において参照により援用される)。
【0053】
プローブ及びプライマーは、操作者が決定したハイブリダイゼーション条件又は反応条件で標的DNA配列に特異的に結合するのに十分なヌクレオチド長さである。この長さは、選択の検出方法において有用となるのに十分な長さである任意の長さであり得る。概して、11ヌクレオチド以上の長さ、18ヌクレオチド以上及び22ヌクレオチド以上が用いられる。かかるプローブ及びプライマーは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で標的配列に特異的にハイブリダイズする。実施形態に係るプローブ及びプライマーは、標的配列と完全なDNA配列類似性の連続するヌクレオチドを有し得るが、標的DNA配列と異なる、且つ標的DNA配列とのハイブリダイズ能を保持しているプローブが、従来方法によって設計され得る。プローブはプライマーとして使用されることもできるが、概して標的DNA又はRNAに結合するように設計され、増幅過程に使用されない。
【0054】
特異的プライマーは、生物学的試料中のイベントDAS-01131-3を同定するための「特異的プローブ」として使用し得るアンプリコンを作製するため、組込み断片の増幅に使用され得る。プローブによる試料への結合を許容する条件下でプローブが生物学的試料の核酸にハイブリダイズすると、その結合を検出することができ、ひいては生物学的試料中にイベントDAS-01131-3が存在すると指示することが可能となる。本開示のある実施形態において、特異的プローブは、適切な条件下でイベントの5’又は3’隣接領域内の領域に特異的にハイブリダイズし、且つそれに隣接する外来性DNAの一部も含む配列である。特異的プローブは、イベントの特異的領域と少なくとも80%、80及び85%、85及び90%、90及び95%及び95及び100%同一の(又は相補的な)配列を含み得る。
【0055】
プローブ及びプライマーを調製及び使用する方法は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1-3,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.1989(以降、「Sambrook et al.,1989」);Ausubel et al.eds.,Current Protocols in Molecular Biology,,Greene Publishing and Wiley-Interscience,New York,1995(定期的更新を含む)(以降「Ausubel et al.,1995」);及びInnis et al.,PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press:San Diego,1990に記載されている。PCRプライマー対は、例えば、Vector NTI、バージョン6(Informax Inc.、Bethesda MD);PrimerSelect(DNASTAR Inc.、Madison、WI);及びPrimer(Version 0.5(著作権)、1991、Whitehead Institute for Biomedical Research,Cambridge,Mass.)におけるPCRプライマー分析ツールなど、この目的を意図したコンピュータプログラムを用いることにより、既知の配列から導き出すことができる。加えて、当業者に公知の手引きを用いて配列を目視で読み取り、プライマーを手作業で同定することができる。
【0056】
「キット」は、本明細書で使用されるとき、本開示の方法の実施形態の実施、より詳細には生物学的試料中のイベントDAS-01131-3の同定を目的とした一組の試薬及び任意選択で説明書を指す。キットが使用され得、その構成要素は、品質管理(例えば種子ロットの純度)、植物材料中又は限定はされないが、食品又は飼料生産物など、植物材料を含むか又はそれに由来する材料中のイベントDAS-01131-3の検出を目的として具体的に調整することができる。「植物材料」は、本明細書で使用されるとき、植物から入手されたか又はそれに由来する材料を指す。
【0057】
本明細書に開示される隣接DNA及びインサート配列をベースとするプライマー及びプローブを使用すると、開示される配列を従来の方法により、例えば、かかる配列のリクローニング及びシーケンシングにより確認する(及び必要に応じて修正する)ことができる。核酸プローブ及びプライマーは、ストリンジェントな条件下で標的DNA配列にハイブリダイズする。任意の従来の核酸ハイブリダイゼーション又は増幅方法を使用して、試料中のトランスジェニックイベントからのDNAの存在を同定し得る。
【0058】
核酸分子は、別の核酸分子の「相補体」であると、それらが完全な相補性又は最小限の相補性を呈する場合に言われる。本明細書で使用されるとき、分子は、それらの分子の一方のあらゆるヌクレオチドが他方のヌクレオチドと相補的であるとき、「完全な相補性」を呈すると言われる。2つの分子は、それらが少なくとも従来の「低いストリンジェンシー」条件下で互いにアニールしたまま留まることを許容するのに十分な安定性でそれらが互いにハイブリダイズすることができる場合、「最小限に相補的」であると言われる。同様に、分子は、それらが従来の「高いストリンジェンシー」条件下で互いにアニールしたまま留まることを許容するのに十分な安定性でそれらが互いにハイブリダイズすることができる場合、「相補的」であると言われる。従来のストリンジェンシー条件は、Sambrook et al.,1989及びHaymes et alにより Nucleic Acid Hybridization,a Practical Approach,IRL Press,Washington,D.C.(1985)に記載されており、従って完全な相補性からの逸脱は、かかる逸脱によって分子が二本鎖構造を形成する能力が完全になくならない限りは許容できる。核酸分子がプライマー又はプローブとしての役割を果たすために、利用される詳細な溶媒及び塩濃度の下で配列が安定した二本鎖構造を形成することを可能とするのに十分な相補性がありさえすればよい。
【0059】
ハイブリダイゼーション反応では、特異性は、典型的にはハイブリダイゼーション後洗浄の関数であり、決定的因子は、最終的な洗浄溶液のイオン強度及び温度である。熱的融点(Tm)は、相補的標的配列の50%が完全に一致するプローブにハイブリダイズするときの(一定のイオン強度及びpHの下での)温度である。DNA-DNAハイブリッドでは、Tmを、Meinkoth and Wahl,(1984)Anal.Biochem.138:267-284:の式から近似することができ;Tm=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)-0.61(%形態)-500/L(式中、Mは一価のカチオンのモル濃度であり、%GCはDNA中のグアノシンヌクレオチド及びシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%形態はハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、Lは塩基対のハイブリッドの長さである)から概算することができる。Tmは、1%のミスマッチ毎に約1℃ずつ低下する;このように、所望の同一性の配列をハイブリダイズさせるため、Tm、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄条件を調整することができる。例えば、90%超の同一性を有する配列を得たい場合には、Tmを10℃低下させ得る。一般に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度及びpHでの特定の配列及びその相補配列についてのTmと比べて約5℃低くなるように選択される。しかしながら、一部の実施形態では、他のストリンジェンシー条件が適用され得、重度にストリンジェントな条件は、Tmよりも1、2、3又は4℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ;中程度にストリンジェントな条件は、Tmよりも6、7、8、9又は10℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ;低いストリンジェンシー条件は、Tmよりも11、12、13、14、15又は20℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができるなどが含まれる。
【0060】
この式、ハイブリダイゼーション及び洗浄の組成、並びに所望されるTmを使用して、当業者は、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄溶液のストリンジェンシーにおけるバリエーションが本質的に記載されることを理解するであろう。所望ミスマッチの程度が、45℃(水溶液)又は32℃(ホルムアミド溶液)よりも低いTmをもたらす場合、使用者は、より高い温度を用いることができるように、SSC濃度を増加させることを選択し得る。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範な手引きは、Tijssen,(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes,Part I,Chapter 2(Elsevier,New York);及びAusubel,et al.,eds.(1995)及びSambrook et al.(1989)に見られる。
【0061】
一部の実施形態において、相補配列は、それがハイブリダイズする核酸分子と同じ長さを有する。一部の実施形態において、相補配列は、それがハイブリダイズする核酸分子よりも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヌクレオチド長い又は短い。一部の実施形態において、相補配列は、それがハイブリダイズする核酸分子よりも1%、2%、3%、4%又は5%長い又は短い。一部の実施形態において、相補配列は、ヌクレオチド毎に見たときに相補的であり、即ちミスマッチのヌクレオチドがない(いずれのAもTと対合し、いずれのGもCと対合する)ということになる。一部の実施形態において、相補配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれ未満のミスマッチを含む。一部の実施形態において、相補配列は、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%又は10%又はそれ未満のミスマッチを含む。
【0062】
参照配列(対象)に対する「パーセント(%)配列同一性」とは、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して最大限のパーセント配列同一性を実現した後に、いかなるアミノ酸保存的置換も配列同一性の一部と見なすことなく、候補配列(問い合わせ)中、参照配列のそれぞれのアミノ酸残基又はヌクレオチドと同一であるアミノ酸残基又はヌクレオチドのパーセンテージとして決定される。パーセント配列同一性を決定する目的でのアラインメントは、当技術分野の技能の範囲内にある様々な方法において、例えばBLAST、BLAST-2などの公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して実現することができる。当業者は、比較下の配列の完全長にわたって最大限のアラインメントを実現するためにどのアルゴリズムが必要かを含め、配列のアラインメントに適切なパラメータを決定することができる。2つの配列間のパーセント同一性は、それらの配列によって共有される同一の位置の数の関数である(例えば、問い合わせ配列のパーセント同一性=問い合わせ配列と対象配列との間の同一の位置の数/問い合わせ配列の位置の総数×100)。
【0063】
特定の増幅プライマー対を使用した標的核酸配列の(例えば、PCRによる)増幅に関して、ストリンジェントな条件とは、プライマーが対応する野生型配列(又はその相補体)を有したならばDNA熱増幅反応において結合し、任意選択でユニークな増幅産物であるアンプリコンを産生するであろう標的核酸配列に限り、そのプライマー対がハイブリダイズすることを許容するものである。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「増幅されたDNA」又は「アンプリコン」は、核酸鋳型の一部である標的核酸配列の核酸増幅産物を指す。例えば、有性交配から得られたコーン植物が、本明細書に開示されるコーン植物からのトランスジェニックイベントゲノムDNAを含むかどうかを決定するため、コーン植物の組織試料から抽出されたDNAを、挿入された異種DNAの挿入部位に隣接する隣接配列に由来する第1のプライマーと、挿入された異種DNAに由来する第2のプライマーとを含むDNAプライマー対を使用した核酸増幅法に供すると、イベントDNAの存在の診断指標となるアンプリコンが産生される。代わりに、第2のプライマーは、隣接配列に由来し得る。アンプリコンは、同様にイベントの診断指標になる長さ及び配列を有する。アンプリコンは、プライマー対+1ヌクレオチド塩基対の合計長さから、DNA増幅プロトコルによって産生可能な任意の長さのアンプリコンに至るまでの範囲の長さであり得る。代わりに、プライマー対は、挿入されたDNAの両側にある隣接配列に由来することができ、そのため、PHP88492発現構築物のインサートヌクレオチド配列全体並びにトランスジェニックインサートに隣接する配列の一部分を含むアンプリコンが産生されることになる。隣接配列に由来するプライマー対のメンバーは、挿入されたDNA配列から離れた位置にあり得、この距離は、1ヌクレオチド塩基対から最大で増幅反応の限界に至るまでの範囲であり得る。用語「アンプリコン」の使用は、DNA熱増幅反応で形成され得るプライマー二量体を具体的に除外する。
【0065】
核酸増幅は、PCRを含め、当技術分野において公知の様々な核酸増幅方法のいずれによっても達成され得る。様々な増幅方法が当技術分野で公知であり、とりわけ、米国特許第4,683,195号明細書及び同第4,683,202号明細書、並びにInnis et al.,(1990)(上記)に記載されている。PCR増幅方法は、最大22KbのゲノムDNA及び最大42KbのバクテリオファージDNAを増幅するために開発された(Cheng et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:5695-5699,1994)。本開示の実施形態の実施では、DNA増幅のこれらの方法並びに当技術分野において公知の他の方法を用いることができる。具体的な実験室条件に合わせて具体的なPCRプロトコルの幾つものパラメータを調整する必要があり得ること、及びわずかに変更され得、それでもなお同様の結果を集めることが可能であることが理解される。それらの調整は、当技術分野の当業者に明らかであろう。
【0066】
これらの方法によって産生されたアンプリコンは、限定されないが、Genetic Bit Analysis(Nikiforov,et al.Nucleic Acid Res.22:4167-4175,1994)を含む複数の技術によって検出することができ、隣接する隣接DNA配列及び挿入されたDNA配列の両方と重複するDNAオリゴヌクレオチドが設計されている。このオリゴヌクレオチドは、マイクロウェルプレートのウェルに固定化される。目的の領域(例えば、挿入された配列中の1つのプライマー及び隣接する隣接配列中の1つのプライマーを使用する工程)のPCRに続いて、一本鎖PCR産物を固定化オリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせ、DNAポリメラーゼ及び予想される次の塩基に特異的な標識ddNTPを使用する一塩基伸長反応の鋳型として機能させることができる。読取り値は、蛍光又はELISAベースであり得る。シグナルは、増幅、ハイブリダイゼーション及び一塩基伸長が成功したことによるインサート/隣接配列の存在を指示している。
【0067】
別の検出方法は、Winge(2000)Innov.Pharma.Tech.00:18-24によって記載されるとおりのパイロシーケンシング技法である。この方法では、隣接するDNAとインサートDNAとの接合にオーバーラップするオリゴヌクレオチドが設計される。このオリゴヌクレオチドを目的の領域からの一本鎖PCR産物にハイブリダイズさせて(例えば、挿入された配列に1つのプライマー及び隣接配列に1つ)、DNAポリメラーゼ、ATP、スルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、アピラーゼ、アデノシン5’ホスホ硫酸及びルシフェリンの存在下でインキュベートする。dNTPを個別に加え、取込みの結果、光シグナルが生じ、それを測定する。光シグナルは、増幅、ハイブリダイゼーション並びに単一塩基又は多塩基伸長が成功したことによるトランス遺伝子インサート/隣接配列の存在を指示している。
【0068】
Chen et al.,(1999)Genome Res.9:492-498によって記載されている蛍光偏光もアンプリコンの検出に用いることができる方法である。この方法を用いて、隣接と挿入されたDNAとの接合にオーバーラップするオリゴヌクレオチドが設計される。このオリゴヌクレオチドを目的の領域の一本鎖PCR産物にハイブリダイズさせて(例えば、挿入されたDNAに1つのプライマー及び隣接DNA配列に1つ)、DNAポリメラーゼ及び蛍光標識されたddNTPの存在下でインキュベートする。一塩基伸長の結果、ddNTPの取込みが起こる。取込みは、偏光の変化として蛍光光度計を用いて測定することができる。偏光の変化は、増幅、ハイブリダイゼーション及び一塩基伸長が成功したことによるトランス遺伝子インサート/隣接配列の存在を指示している。
【0069】
定量的PCR(qPCR)は、DNA配列の存在を検出し、定量化する方法として記載され、市販品製造者が提供する説明書の中で十分に理解されている。簡潔に言えば、かかるqPCR方法の1つでは、隣接とインサートDNAとの接合にオーバーラップするFRETオリゴヌクレオチドプローブが設計される。FRETプローブ及びPCRプライマー(インサートDNA配列に1つのプライマー及び隣接ゲノム配列に1つ)を耐熱性ポリメラーゼ及びdNTPの存在下でサイクル処理する。FRETプローブがハイブリダイズする結果、蛍光部分の切断及び放出が起こり、FRETプローブのクエンチング部分から離れる。蛍光シグナルは、増幅及びハイブリダイゼーションが成功したことによる隣接/トランス遺伝子インサート配列の存在を指示している。
【0070】
Tyangi et al.(1996)Nature Biotech.14:303-308に記載されるとおり、配列検出における使用のための分子ビーコンが記載されている。簡潔に言えば、隣接とインサートDNAとの接合にオーバーラップするFRETオリゴヌクレオチドプローブが設計される。FRETプローブがユニークな構造である結果、それが、蛍光部分とクエンチング部分とをごく接近した状態に保つ二次構造を備えることになる。FRETプローブ及びPCRプライマー(例えば、インサートDNA配列に1つのプライマー及び隣接配列に1つ)を耐熱性ポリメラーゼ及びdNTPの存在下でサイクル処理する。PCR増幅の成功後、FRETプローブが標的配列にハイブリダイズする結果、プローブ二次構造が取り除かれて、蛍光部分とクエンチング部分とが空間的に分離する。蛍光シグナル結果。蛍光シグナルは、増幅及びハイブリダイゼーションが成功したことによる隣接/トランス遺伝子インサート配列の存在を指示している。
【0071】
アンプリコン内に見出される配列に特異的なプローブを用いたハイブリダイゼーション反応は、PCR反応によって産生されたアンプリコンの検出に用いられるなおも別の方法である。
【0072】
害虫としては、甲虫目(Coleoptera)、双翅目(Diptera)、膜翅目(Hymenoptera)、鱗翅目(Lepidoptera)、ハジラミ目(Mallophaga)、同翅亜目(Homoptera)、半翅目(Hemiptera)、直翅目(Orthoptera)、総翅目(Thysanoptera)、革翅目(Dermaptera)、等翅目(Isoptera)、シラミ目(Anoplura)、ノミ目(Siphonaptera)、毛翅目(Trichoptera)等、特に鱗翅目(Lepidoptera)から選択される昆虫が挙げられる。
【0073】
興味深いのは、ノクチダエ.スポドプテラ・フルジペルダ(Noctuidae Spodoptera frugiperda)JE Smith(ツマジロクサヨトウ(fall armyworm))科のヨトウムシ、ハスモンヨトウ、ルーパー及びヘリオチン;S.エクシグア・ハブナー(S.exigua Huebner)(テントウムシ);S.リツラ・ファブリカス(S.litura Fabricius)(タバコカットワーム、クラスターキャタピラ);ヨトウムシ(Mamestra configurata Walker)(ヨトウムシ(bertha armyworm));M.ブラシカエリンナエウス(M.brassicae Linnaeus)(キャベツガ);アグロティス.イプシロン・ハフナゲル(Agrotis ipsilon Hufnagel)(黒色ヨトウムシ);A.オルトゴニア・モリソン(A.orthogonia Morrison)(ハリガネムシ);A.サブテラネア・ファブリシウス(A.subterranea Fabricius)(粒状条虫);アラバマ.アルギラセア・ヒューブナー(Alabama argillacea Huebner)(ワタハリガネムシ);トリコプルシア.ニ・ヒューブナー(Trichoplusia ni Huebner)(キャベツルーパー);シュードプルジア.インクルーデンス・ウォーカー(Pseudoplusia includens Walker)(大豆ルーパー);アンティカルシアゲメタリス・ヒューブナー(Anticarsia gemmatalis Huebner)(ベルベットビーンキャタピラ);ハイペナスカブラファブリキウス(Hypena scabra Fabricius)(ミドリクローバーワーム(green cloverworm));ヘリオチス.ビレセンス・ファブリシウス(Heliothis virescens Fabricius)(タバコブドウォーム);シューダレティア.ウニプンクタ・ハワース(Pseudaletia unipuncta Haworth)(アーミーワーム);アテティスミンダラ・バーネス(Athetis mindara Barnes)及びマクデュナフ( Mcdunnough)(粗皮カットワーム);エウコサ.メソリア・ハリス(Euxoa messoria Harris)(暗色ヨトウムシ);エアリアス.インスラナ・ボイスデュバル(Earias insulana Boisduval)(トノサマバッタ);E.ビッテラ・ファブリシウス(E.vittella Fabricius)(斑点虫);ヘリコベルパ.アミゲラ・ヒューブナー(Helicoverpa armigera Huebner)(アメリカハリガネムシ);H.ジー・ブーディー(H.zea Boddie)(コーンイアワーム又はワタ虫);メランクラピクタ・ハリス(Melanchra picta Harris)(ゼブラキャタピラ);エギラ(Egira)サイロメゲス(Xylomyges)キュリアリス・グローテ(curialis Grote)(シトラスカトミムシ);ピラリダエ.オストリニア.ヌビリアリス・ヒューブナー(Pyralidae Ostrinia nubilalis Huebner)(ヨーロッパコーンボーラー)科のパファレータ、カゼベアラ、ハリガネムシ、ハリガネムシ、及び骨格化動物;アミエロイス・トランシテラ・ウォーカー(Amyelois transitella Walker)(ハリガネムシ);アナガスタ・クエニエラ・ツェラー(Anagasta kuehniella Zeller)(コナガ);カドラ・カウテラ・ウォーカー(Cadra cautella Walker)(アーモンドガ);ニカメイガ(Chilo suppressalis Walker)(イネ茎パファレータ);C.パルテルス(C.partellus)、(モロコシパファレータ);コルシクラ・セファロニカ・ステイントン(Corcyra cephalonica Stainton)(イネガ);クランブス・カリギノセル・クレメンス(Crambus caliginosellus Clemens)(コーンルートウェブワーム);C.テトレルス・ジンケン(ブルーグラス・ウェブワーム);クナファロクロイス・メディナリス・グエネ(Cnaphalocrocis medinalis Guenee)(ブルーグラスウェブワーム);デスミア・フネラリス・ヒューブナー(Desmia funeralis Huebner)(ブドウリーフホルダー);ダイアファニア・ヒアリナタ・リンナエウス(Diaphania hyalinata Linnaeus)(メロンワーム);ミカンキイロアザミウマ(D.nitidalis Stoll)(ピックルワーム);ディアトレア・グランディオセラ・ダイアー(Diatraea grandiosella Dyar(タイワントウガ)、D.サッカラリス・ファブリクス(D.saccharalis Fabricius)(サトウキビボーラー);エオレウマ・ロフティニ・ダイアー(Eoreuma loftini Dyar)(メキシコ産イネボーラー);エフェスティア・エルテラ・ヒューブナー(Ephestia elutella Huebner)(タバコ(カカオ)ガ);ガレリア・メロネラ・リナエウス(Galleria mellonella Linnaeus)(ヤケガ);ヘルペトグラッマ・リカルシサリス・ウォーカー(Herpetogramma licarsisalis Walker)(ソッドウェブワーム);ホモエソマ・エレクテルム・フルストHomoeosoma electellum Hulst(ヒマワリガ);エラスモパルプス・リグノセルス・ゼラー(Elasmopalpus lignosellus Zeller)(カラスムギボーラー(lesser cornstalk borer));クロイア・グリセラ・ファブリシウス(Achroia grisella Fabricius)(コナガ);ロキソステージスティチカリス・リンナエウス(Loxostege sticticalis Linnaeus)(ハモムシ);オルタガ・キリサリス・ウォーカー(Orthaga thyrisalis Walker)(チャタテガ);マルカ・テストラリス(Maruca testulalis Geyer)(豆鞘ボーラー);プロディアインテルプンクテラ・ヒューブナー(Plodia interpunctella Huebner)(インドコガ);シルポファガ・インセルトゥラ(Scirpophaga incertulas Walker)(イエローステムボーラー);ウデア・ルビガリス(Udea rubigalis Guenee)(セロリーリーフティエ);ハサミムシ(Tortricidae Acleris gloverana Walsingham)(セイヨウトビムシ(Western blackhead budworm))科のハマキブシ、バッドワーム、ハサミムシ(seed worm)及びウサミムシ(fruit worm);A.バリアナ・フェルナルド(A.variana Fernald)(東ブラックヘッドバッドワーム(Eastern blackhead budworm));アルキプス・アルギロスピラ・ウォーカー(Archips argyrospila Walker)(果樹葉ローラー);A.ロサナ・リナエウス(A.rosana Linnaeus)(ヨーロッパリーフローラ);及び他のアルキプス(Archips)種、アドキソフェス・オラナ・フィッシャー・フォン・ロスラースタム(Adoxophyes orana Fischer von Roesslerstamm)(夏果実ハマキガ);コキリス(Cochylis)ホスフェス(Walsingham)(ヒマワリガ(banded sunflower moth));シディアラティフェレアナワルシンガム(Cydia latiferreana Walsingham)(糸状虫);C.ポモネラ・リンナエウス(C.pomonella Linnaeus)(コードガ);プラチノータ・フラベデナ・クレメンス(Platynota flavedana Clemens)(板状リーフローラー);P.スツルタナ・ウォルシンガム(P.stultana Walsingham)(オムニボラリーフローラ);ロベシア・ボツラナ・デニス&シフェールミュラー(Lobesia botrana Denis&Schiffermueller)(ヨーロッパブドウガ);スピロノータ・オセラーナ・デニス(Spilonota ocellana Denis)&シフェールミュラー(Schiffermuller)(アイスポットハマキガ);エンドピーザ・ビテアナ・クレメンス(Endopiza viteana Clemens)(ブドウベリーガ);エウポエシラ・アンビグエラ・ヒューブナー(Eupoecilia ambiguella Huebner)(ツガ);ボナゴタ・サブブリコラ・メイリック(Bonagota salubricola Meyrick)(ブラジルリンゴリーフロール);グラフォリタ・モレスタ・ブスク(Grapholita molesta Busck)(オリエンタル果実ガ);スレイマ・ヘリアンサーナ・リレイ(Suleima helianthana Riley)(ヒマワリ芽ガ);アルギロタエニア属(Argyrotaenia spp);及びコリストネウラ属(Choristoneura spp.)含むがこれらに限定されない鱗翅目の幼虫及び成体である。
【0074】
鱗翅目(Lepidoptera)の選択された他の農学的有害生物には、それだけに限らないが、アルソフィラ・ポメタリア・ハリス(Alsophila pometaria Harris)(フォールシャクトリムシ(fall cankerworm));アナリシア・リネテラ・ゼラ(Anarsia lineatella Zeller)(モモアカアブラムシ);アニソタ・セナトリア(Anisota senatoria)J.E.スミス(オレンジ縞アブラムシ);アンセラエア・ペルニ・グエリン-メネビレ(Antheraea pernyi Guerin-Meneville)チャイニーズオークサクカイコ);ボンビクス・モリ・リンナエウス(Bombyx mori Linnaeus)(カイコ(Silkworm));ブクラトリクス・サルベリエラ・ブスク(Bucculatrix thurberiella Busck)(ワタ葉パファレータ);コリアス・エウレテメ・ボイスデュバル(Colias eurytheme Boisduval)(アルファルファキャタピラ);ダタナ・インテゲリマ・グローテ(Datana integerrima Grote)&ロビンソン(Robinson)(クルミキャタピラー);デンドロリムス・シビリクス・スチェットウェリコフ(Dendrolimus sibiricus Tschetwerikov)(シベリアンシルクモース)、エンノモス・スブシグナリア・ヒューブナー(Ennomos subsignaria Huebner)(ニレスパンワーム);エラニス・チラリア・ハリス(Erannis tiliaria Harris)(リンデンルーパ);ユープロクティス・クリソルローエア・リンナエウス(Euproctis chrysorrhoea Linnaeus)(ブラウンテールガ(browntail moth));ハリシナ・アメリカーナ・グエリン-メネビル(Harrisina americana Guerin-Meneville)(グラフェレアフスケルトナイザー);ヘミレウカ・オリビアエ・コックレル(Hemileuca oliviae Cockrell)(レンジキャタピラ);ヒファントリア・クネア・ドルリー(Hyphantria cunea Drury)(イエバエ);ケイフェリア・リコペリシセラ・ウァルシンガム(Keiferia lycopersicella Walsingham)(トマトピンワーム);ランブディナ・フィスセラリア・フィスセラリア・フルスト(Lambdina fiscellaria fiscellaria Hulst)(イヌビエ);L.フィスセラリア・ルグブローサ・フルスト(fiscellaria lugubrosa Hulst)(ウェスタンヘムロックルーパー);レウコマ・サリシス・リナエウス(Leucoma salicis Linnaeus)(サテンガ);リマントリア・ディスパー・リンナエウス(Lymantria dispar Linnaeus)(ジプシーガ(gypsy moth));マンデュカ・キンクエマクラタ・ハワース(Manduca quinquemaculata Haworth)(5斑点化ホークガ、トマト角虫);M.セクスタ・ハワース(sexta Haworth)(トマト角虫、タバコ角虫);クスノキ(Operophtera brumata Linnaeus)(冬ガ);パレアクリタ・ベルナータ・リナエウス(Paleacrita vernata Peck)(トビイロウンカ);パピロクレスフォンテス・クレイマー(Papilio cresphontes Cramer)(オウバク(giant swallowtail orange)イヌ);フィガニジア・カリフォルニカ・パッカード(Phryganidia californica Packard)(カリフォルニアオークワーム(California oakworm);フィロクニスティス・シトレラ・ステイントン(Phyllocnistis citrella Stainton)(カンキツリーフマイナー);フィロノリクター・ブランカルデラ・ファブリシウス(Phyllonorycter blancardella Fabricius)(斑点腱様リーフマイナー(spotted tentiform leafminer));オオモンシロチョウ(Pieris brassicae Linnaeus)(大きな白い蝶);P.ラパエ・リナエウス(rapae Linnaeus)(小さい白い蝶);P.ナピ・リナエウス(napi Linnaeus)(緑色の葉脈のある白い蝶);プラティピラ・カルデゥイダクティラ・リレー(Platyptilia carduidactyla Riley)(アーチチョークプルーム);コナガ(Plutella xylostella Linnaeus)(コナガ(diamondback moth));ワタアカミムシガ(Pectinophora gossypiella Saunders)(ピンクボールワーム);ポニタ・プロトダイス・ボイスドュバル及びレコンテ(Pontia protodice Boisduval and Leconte)(サザンカバゲワーム);サブロデス・アエグロタータ・グエネー(Sabulodes aegrotata Guenee)(オムニボラルーパ);シズラ・コンシンナ(Schizura concinna)J.E.スミス(赤こぶキャタピラー);シトトロガセレアレラ・オリビエル(Sitotroga cerealella Olivier)(アンゴモワグレインガ(Angoumois grain moth));トウメトポエア・ピチョカンパ・シフェールミュラー(Thaumetopoea pityocampa Schiffermuller)(マツ加工キャタピラー(pine processionary caterpillar));チネオラ・ビッセリエラ・フメル(Tineola bisselliella Hummel)(ウェビングクロセスガ);チュータ・アブソルータ・メイリック(Tuta absoluta Meyrick)(トマトリーフマイナー);イポノメウタ・パデラ・リンナエウス(Yponomeuta padella Linnaeus)(エルミネガ(ermine moth));ヘリオティス・サブフレクサ・ギネー(Heliothis subflexa Guenee);マラコソーマ属(Malacosoma)種及びオルギア属(Orgyia)が挙げられる。
【0075】
一部の実施形態において、DAS-01131-3トウモロコシイベントは、追加的な形質のスタックを更に含み得る。ポリヌクレオチド配列のスタックを含む植物は、従来の育種方法によるか又は遺伝子工学的方法を介するかのいずれか一方又は両方によって入手することができる。それらの方法としては、限定はされないが、各々が目的のポリヌクレオチドを含む個別の系統を育種すること、本明細書に開示される遺伝子を含むトランスジェニック植物を後続の遺伝子で形質転換すること及び単一の植物細胞への遺伝子の同時形質転換が挙げられる。本明細書で使用されるとき、用語「スタックした」には、同じ植物に存在する複数の形質を有することが含まれる(即ち両方の形質とも核ゲノムに取り込まれるか、一方の形質が核ゲノムに取り込まれ、一方の形質がプラスチドのゲノムに取り込まれるか、又は両方の形質ともプラスチドのゲノムに取り込まれる)。
【0076】
一部の実施形態において、単独での又は1つ以上の追加的な昆虫抵抗性形質とスタックした、本明細書に開示されるDAS-01131-3トウモロコシイベントは、1つ以上の追加的な入力形質(例えば、除草剤抵抗性、真菌抵抗性、ウイルス抵抗性、ストレス耐性、病害抵抗性、雄性不稔、柄強度など)又は出力形質(例えば、収量の増加、加工デンプン、油プロファイルの向上、均衡のとれたアミノ酸、リジン又はメチオニン高値、消化性の増加、繊維品質の向上、耐乾性など)とスタックすることができる。このように、本実施形態を用いると、幾つもの作物栽培学的害虫を柔軟に且つコスト効率よく防除する能力のある、向上した作物品質の完全な作物栽培学的パッケージを提供することができる。
【0077】
更なる実施形態において、DAS-01131-3トウモロコシイベントは、限定はされないが、米国特許第8,101,826号明細書、同第6,551,962号明細書、同第6,586,365号明細書、同第6,593,273号明細書及び国際公開第2000/011185号パンフレットに開示されるCry3B毒素;米国特許第8,269,069号明細書及び同第8,513,492号明細書に開示されるmCry3B毒素;米国特許第8,269,069号明細書、同第7,276,583号明細書及び同第8,759,620号明細書に開示されるmCry3A毒素;又は米国特許第7,309,785号明細書、同第7,524,810号明細書、同第7,985,893号明細書、同第7,939,651号明細書及び同第6,548,291号明細書に開示されるCry34/35毒素を含めた、1つ以上の追加的な殺昆虫性毒素とスタックされ得る。
【0078】
更なる実施形態において、DAS-01131-3トウモロコシイベントは、これらのBt殺昆虫性毒素及び他の抗甲虫目活性Bt殺昆虫性形質を含む1つ以上の追加的なトランスジェニックイベント、例えば、米国特許第7,705,216号明細書に開示されるイベントMON863;米国特許第8,884,102号明細書に開示されるイベントMIR604;米国特許第9,133,474号明細書に開示されるイベント5307;米国特許第7,875,429号明細書に開示されるイベントDAS-59122;米国特許第8,575,434号明細書に開示されるイベントDP-4114;米国特許第9,441,240号明細書に開示されるイベントMON 87411;;及び米国特許第8,686,230号明細書に開示されるイベントMON88017(これらは、全て参照により本明細書に援用される)とスタックされ得る。一部の実施形態において、DAS-01131-3トウモロコシイベントは、MON-87429-9(MON87429イベント);MON87403;MON95379;MON95275;MON87427;MON87419;MON-00603-6(NK603);MON-87460-4;LY038;DAS-06275-8;BT176;BT11;MIR162;GA21;MZDT09Y;SYN-05307-1;DP-915635-2;DP-23211;及びDAS-40278-9とスタックされ得る。
【0079】
さらなる実施形態において、DAS-01131-3トウモロコシイベントは、以下に提供される除草剤耐性形質のうちの1つ以上のさらなるものと積み重ねられ得る。グリホサート除草剤は、EPSPS酵素(5-エノールピルビルシキメート-3-リン酸シンターゼ)を阻害することによる作用機序を含む。この酵素は、植物の成長及び発達に必須の芳香族アミノ酸の生合成に関与している。この酵素を阻害するために利用することができる様々な酵素機構が当技術分野で公知である。そのような酵素をコードする遺伝子は、本開示の遺伝子調節エレメントに作動可能に連結され得る。一実施形態において、選択マーカー遺伝子には、グリホサート耐性遺伝子をコードする遺伝子が含まれるが、これらに限定されない:2mEPSPS遺伝子、cp4 EPSPS遺伝子、mEPSPS遺伝子、aroA遺伝子などの変異EPSPS遺伝子;及びグリホサート分解遺伝子、例えばグリホサートアセチルトランスフェラーゼ遺伝子(gat)及びグリホサートオキシダーゼ遺伝子(gox)。これらの形質は、現在、Gly-Tol(商標)、Optimum(登録商標)GAT(登録商標)、Agrisure(登録商標)GT及びRoundup Ready(登録商標)として市販されている。グルホシネート及び/又はビアラホス化合物の耐性遺伝子には、dsm-2、bar及びpat遺伝子が含まれる。バー形質及びパット形質は、LibertyLink(登録商標)として現在市販されている。aad-1遺伝子(aad-1遺伝子はアロキシフェノキシプロピオン酸除草剤に対してさらなる活性を有することに留意されたい)及びaad-12遺伝子(aad-12遺伝子はピリジルオキシ酢酸合成オーキシンに対してさらなる活性を有することに留意されたい)などの2,4-Dに対する耐性を提供する耐性遺伝子も含まれる。これらの形質は、Enlist(登録商標)作物保護技術として市販されている。ALS阻害剤(スルホニル尿素、イミダゾリノン、トリアゾロピリミジン、ピリミジニルチオベンゾエート、及びスルホニルアミノ-カルボニル-トリアゾリノン)に対する耐性遺伝子が当技術分野では知られている。
【0080】
これらの耐性遺伝子は、最も一般的には、ALSコード遺伝子配列に対する点変異から生じる。他のALS阻害剤耐性遺伝子には、hra遺伝子、csr1-2遺伝子、Sr-HrA遺伝子及びsurB遺伝子が含まれる。これらの形質のいくつかは、商品名Clearfield(登録商標)で販売されている。HPPDを阻害する除草剤としては、ピラゾロン、例えばピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ及びトプラメゾンが挙げられる。メソトリオン、スルコトリオン、テンボトリオン、ベンゾビシクロンなどのトリケトン;及びイソキサフルトールなどのジケトニトリル。これらの例示的なHPPD除草剤は、既知の形質によって許容され得る。HPPD阻害剤の例としては、hppdPF_W336遺伝子(イソキサフルトールに対する耐性)及びavhppd-03遺伝子(メオストリオンに対する耐性)が挙げられる。オキシニル除草剤耐性形質の例としては、bxn遺伝子が挙げられ、これは、除草剤/抗生物質ブロモキシニルに対する耐性を付与することが示されている。ジカンバに対する耐性遺伝子には、国際公開第2008/105890号パンフレットに開示されているようなジカンバモノオキシゲナーゼ遺伝子(dmo)が含まれる。PPO又はPROTOX阻害剤型除草剤(例えば、アシフルオルフェン、ブタフェナシル、フルプロパジル、ペントキサゾン、カルフェントラゾン、フラゾレート、ピラフルフェン、アクロニフェン、アザフェニジン、フルミオキサジン、フルミクロラック、ビフェノックス、オキシフルオルフェン、ラクトフェン、フォメサフェン、フルオログリコフェン、及びスルフェントラゾン)の耐性遺伝子は、当技術分野で公知である。PPOに対する耐性を付与する例示的な遺伝子としては、野生型シロイナズナPPO酵素(Lermontova I and Grimm B,(2000)Overexpression of plastidic protoporphyrinogen IX oxidase leads to resistance to the diphenyl-ether herbicide acifluorfen.Plant Physiol 122:75-83.)、B.スブチリスPPO遺伝子(Li,X.and Nicholl D.2005. Development of PPO inhibitor-resistant cultures and crops. Pest Manag.Sci. 61:277-285 and Choi KW,Han O,Lee HJ,Yun YC,Moon YH,Kim MK,Kuk YI,Han SU and Guh JO,(1998)Generation of resistance to the diphenyl ether herbicide,oxyfluorfen,via expression of the Bacillus subtilis protoporphyrinogen oxidase gene in transgenic tobacco plants.Biosci Biotechnol Biochem 62:558-560)が挙げられる。ピリジノキシ又はフェノキシプロピオン酸及びシクロヘキソンの耐性遺伝子には、ACCアーゼ阻害剤をコードする遺伝子(例えば、Acc1-S1、Acc1-S2及びAcc1-S3)が含まれる。シクロヘキサンジオン及び/又はアリールオキシフェノキシプロパン酸に対する耐性を付与する例示的な遺伝子としては、ハロキシホップ、ジクロホップ、フェノキシプロップ、フルアジホップ及びキザロホップが挙げられる。最後に、psbA遺伝子による耐性(トリアジンに対する耐性)、1s+遺伝子による耐性(トリアジンに対する耐性)、及びニトリラーゼ遺伝子による耐性(ベンゾニトリルに対する耐性)を含む除草剤が光合成を阻害することができる。上に掲げた選択マーカーは、それらに限定することを意図するものではない。任意の除草剤耐性遺伝子が本開示に包含される。
【0081】
一部の実施形態において、開示される組成物は、ゲノム編集技術を用いて植物のゲノムに導入することができるか、又は植物のゲノムに既に導入されているポリヌクレオチドが、ゲノム編集技術を用いて編集され得る。例えば、開示されるポリヌクレオチドは、TALEN、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPR-Casなどのゲノム編集系を使用することによって、植物のゲノム内の所望の位置に導入することができる。例えば、開示されるポリヌクレオチドは、部位特異的挿入のため、CRISPR-Casシステムを用いてゲノムにおける所望の位置に導入することができる。植物ゲノムにおける所望の位置は、育種に適しているゲノム領域など、挿入が所望される任意の標的部位であり得るか、又は既存の目的形質を含むゲノムウィンドウに位置する標的部位であり得る。目的の既存の形質は、内因性形質又は以前に導入された形質のいずれかであり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、開示されたポリヌクレオチドがゲノムに以前に導入されている場合、ゲノム編集又はゲノム工学技術を使用して、隣接する染色体ゲノム配列を含む導入されたポリヌクレオチド配列を変更又は改変することができる。開示される組成物に導入することができる部位特異的改変としては、限定されないが、配列修復オリゴヌクレオチド単独の使用を介して、又はドナーDNAの有無にかかわらず、TALEN、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPR-Casなどの部位特異的ゲノム改変ツールの使用を介して、部位特異的改変を導入するための任意の方法を使用して生成されるものが挙げられる。開示されたポリヌクレオチド(ゲノム隣接及び接合配列を含む)に対する部位特異的改変としては、限定されないが、コドン使用頻度の変化、プロモーター、イントロン、ターミネーター、エンハンサー、5’若しくは3’非翻訳領域(UTR)、又は他の非コード配列などの調節エレメントの変化、及びポリヌクレオチドの他の領域が挙げられ得、ここで、改変は、得られるトウモロコシ植物の表現型特徴に悪影響を及ぼさない。改変されたポリヌクレオチド配列を含有するDAS-01131-3イベント植物も本明細書において企図される。
【0083】
部位特異的改変を導入するのに適したCasポリペプチドとしては、例えば、Cas9、Cas12f(Cas-α、Cas14)、Cas12l(Cas-beta)、Cas12a(Cpf1)、Cas12b(C2c1タンパク質)、Cas13(C2c2タンパク質)、Cas12c(C2c3タンパク質)、Cas12d、Cas12e、Cas12g、Cas12h、Cas12i、Cas12j、Cas12k、Cas3、Cas3-HD、Cas 5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas10、又はこれらの組み合わせ若しくは複合体が挙げられる。いくつかの態様では、プログラム可能なRNAガイドDNAエンドヌクレアーゼであるトランスポゾン関連TnpBを使用することができる。
【0084】
いくつかの局面において、ゲノム編集系は、Cas-アルファ(例えば、Cas12f)エンドヌクレアーゼと、標的ポリヌクレオチド配列に1つ以上の部位特異的改変を導入し、改変された標的配列をもたらす1つ以上のガイドポリヌクレオチドとを含む。本明細書で使用される場合、「変更された標的部位」、「変更された標的配列」、「改変された標的部位」及び「改変された標的配列」は交換可能に使用され、改変されていない標的配列と比較した場合に少なくとも1つの改変又は改変を含む本明細書に開示される標的配列を指す。そのような変更又は改変には、例えば、(i)少なくとも1つのヌクレオチドの置換若しくは置換、(ii)少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、(iii)少なくとも1つのヌクレオチドの挿入、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせが含まれる。
【0085】
いくつかの態様において、ゲノム編集系は、Cas-アルファエンドヌクレアーゼ、1つ以上のガイドポリヌクレオチド、及び場合によりドナーDNAを含む。いくつかの例示的なCas-αエンドヌクレアーゼは、例えば国際公開第2020123887号パンフレットに記載されている。
【0086】
いくつかの態様では、ゲノム編集系は、Casポリペプチド、1つ以上のガイドポリヌクレオチド、及び場合によりドナーDNAを含み、標的ポリヌクレオチド配列を編集することは、Casポリペプチド媒介二本鎖切断後の非相同末端結合(NHEJ)又は相同組換え(HR)を含む。二本鎖切断がDNA内に導入されると、細胞のDNA修復機構は、切断を修復するように活性化される。破損した末端を1つに結合させるための最も一般的な修復機構は非相同末端結合経路である(Bleuyard et al.,(2006)DNA Repair 5:1-12)。結果として、欠失、挿入又は他の再編成が可能である(Siebert and Puchta,(2002)Plant Cell 14:1121-31;Pacherら、(2007)Genetics 175:21-9)。又は、二本鎖切断は、相同DNA配列間の相同組換えによって修復することができる。二本鎖切断部分近傍の配列が、例えば、二本鎖切断の成熟に関与するエクソヌクレアーゼ活性によって変わると、非分裂体細胞中の相同染色体、又はDNA複製後の姉妹染色分体などの相同配列が利用できるなら、遺伝子変換経路が、元の構造に修復することができる(Molinier et al.,(2004)Plant Cell 16:342-52)。異所性及び/又は後成的DNA配列もまた、相同組み換えのDNA修復鋳型として機能し得る(Puchta,(1999)Genetics 152:1173-81)。
【0087】
いくつかの態様において、ゲノム編集系は、Casポリペプチド、1つ以上のガイドポリヌクレオチド及びドナーDNAを含む。本明細書で使用される場合、「ドナーDNA」は、Casポリペプチドのゲノム標的部位に挿入される目的のポリヌクレオチドを含むDNA構築物である。エンドヌクレアーゼによって二本鎖切断が標的部位に導入されると、ドナーDNAの相同性の第1及び第2の領域は、それらの対応する相同性のゲノム領域との相同組換えを受けて、ドナーDNAと標的ゲノム領域との間でDNAの交換をもたらすことができる。従って、提供される方法は、ドナーDNAの目的のポリヌクレオチドを植物ゲノムの標的部位の二本鎖切断に組み込み、それによって元の標的部位を改変し、改変されたゲノム標的部位を生成する。
【0088】
いくつかの局面において、ゲノム編集システムは、塩基編集剤及び複数のガイドポリヌクレオチドを含み、標的ポリヌクレオチド配列を編集することは、変異体ヌクレオチド配列をもたらす複数の核酸塩基編集を標的ポリヌクレオチド配列に導入することを含む。他の態様には、ゲノム編集系を使用して産生された改変DAS-01131-3イベント植物が含まれる。
【0089】
標的ゲノム配列の1つ以上の核酸塩基は、いくつかの場合、塩基を1つの型から別の型に、例えばシトシンからチミンに、又はアデニンからグアニンに変化させるように化学的に変化させることができる。いくつかの態様では、複数の塩基、例えば2又はそれを超える、5又はそれを超える、10又はそれを超える、20又はそれを超える、30又はそれを超える、40又はそれを超える、50又はそれを超える、60又はそれを超える、70又はそれを超える、80又はそれを超える、90又はそれを超える、100又はそれを超える、又は更に100、200又はそれを超える、数千個までの塩基を改変又は変更して、複数の改変された塩基を有する植物を作製することができる。
【0090】
RNAガイド型ポリペプチド(例えば、デアミナーゼに関連するdCasなど)に関連する塩基編集剤などの任意の塩基編集複合体を使用して、生物のゲノム内の所望の遺伝子座を標的として結合し、標的ゲノム配列の1つ以上のヌクレオチドを化学的に改変することができる。
【0091】
部位特異的ヌクレオチド塩基変換は、ゲノムに1つ以上の編集を作成するために1つ以上のヌクレオチド変化を操作するために達成され得る。これらには、例えば、C・GからT・Aにすることによって媒介される部位特異的塩基編集、又はA・TからG・Cへの塩基編集デアミナーゼ酵素が挙げられる(Gaudelli et al.,Programmable base editing of A・T to G・C in genomic DNA without DNA cleavage.”Nature(2017);Nishida et al.“Targeted nucleotide editing using hybrid prokaryotic and vertebrate adaptive immune systems.”Science 353(6305)(2016);Komor et al.“Programmable editing of a target base in genomic DNA without double-stranded DNA cleavage.”Nature 533(7603)(2016):420-4)。シチジンデアミナーゼ又はアデニンデアミナーゼタンパク質に融合した触媒的に「死んだ」又は不活性なCas(dCas)ポリペプチド、例えば不活性なCas9(dCas9)、Cas12f(dCas12f)、又は本明細書に開示される別のCasポリペプチドは、DNA切断を誘導することなくDNA塩基を変更することができる特異的な塩基編集剤になる。塩基エディターは、C->T(又は反対の鎖上でG->A)に変換し、又はアデニンをイノシンに変換するアデニン塩基エディターは、ガイドポリヌクレオチドによって特定される編集ウィンドウ内のA->G変化をもたらす。核酸塩基の変化をもたらす任意の分子が「塩基編集剤」である。dCasは、標的部位のゲノム配列と相同性を共有するガイドポリヌクレオチドと機能的複合体を形成し、更にデアミナーゼ分子と複合体を形成する。誘導されたCasポリペプチドは、標的配列を認識して結合し、二本鎖を開いて個々の塩基を露出させる。シチジンデアミナーゼの場合、デアミナーゼはシトシン塩基を脱アミノ化し、ウラシルを生成する。ウラシルグリコシラーゼ阻害剤(UGI)は、UがCに戻る変換を防止するために提供される。DNA複製又は修復機構はその後、ウラシルをチミン(UからT)に変換し、その後、反対の塩基(元のG-C対の以前のG)をアデニンに修復して、T-A対を生成する。
【0092】
挿入されたイベント及び/又は隣接するゲノムDNAの1つ以上のヌクレオチドは、プライム編集技術を使用して改変することができる。例えば、Anzalone et al.,Search-and-replace genome editing without double-strand breaks or donor DNANature 576,149-157(2019)を参照されたい。プライム編集複合体は、逆転写酵素ドメインに融合され、pegRNAと複合体化したCasニッカーゼ(例えば、Cas9ニッカーゼ、Casd12f1ニッカーゼ)などのRNAガイドDNAニッキングドメインを含むプライム編集タンパク質を含む。PE-pegRNA複合体は、標的DNAに結合し、PAM含有鎖をニッキングすることによって、ゲノム内の所望の位置に標的DNA編集を導入することができる。得られた3’末端は、選択されたプライマー結合部位にハイブリダイズし、次いで、pegRNAの逆転写酵素鋳型を使用して所望の編集を含む新しいDNA配列の逆転写をプライミングする。
【0093】
開示された組換え発現カセットの得られた調節発現エレメントは、トランケートされていてもよく、又は本明細書に例示又は記載される調節エレメント配列と少なくとも65%の配列同一性、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも75%の配列同一性、少なくとも80%の同一性、又は少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含んでいてもよい。
【0094】
他の改変は、DAS-01131-3イベントのDNAの他の部分に対する改変を含み得る。いくつかの実施形態では、ゲノム工学技術を使用して、本明細書に記載の1つ以上の発現カセットを、同じ染色体、又はトウモロコシ若しくは異なる作物の異なる染色体の1つ以上の異なる位置に再配置することができる。そのような実施形態において、本明細書中に記載される接合部配列の1つ又はそれを超えるもの(配列番号22及び/又は25)を含むポリヌクレオチドは、部分的又は完全に発現カセットと共に保持され得るか、又は除去され得る。更に、本明細書に記載のゲノム隣接配列はまた、部分的又は完全に発現カセットと共に保持されてもよく、又は除去されてもよい。
【0095】
別の実施形態では、ゲノム工学技術を使用して、本明細書に記載の5’又は3’接合配列に物理的に近接した1つ以上の導入遺伝子又は発現カセットを共配置することができる。染色体上の物理的位置に関して、並置された導入遺伝子及び/又は発現カセットは、例えば、約1メガベース(MB;100万ヌクレオチド)、約500キロベース(Kb;1000ヌクレオチド)、約400Kb、約300Kb、約200Kb、約100Kb、約50Kb、約25Kb、約10Kb、約5Kb、約4Kb、約3Kb、約2Kb、約1Kb、約500ヌクレオチド、約250ヌクレオチド又はそれ未満だけ、5’又は3’接合部配列から分離することができる。染色体上の遺伝的距離に関して、同じ場所に配置された導入遺伝子及び/又は発現カセットは、例えば、約10cM、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25、0.1cMだけ、5’又は3’接合配列から分離することができる。例えば、上記の1つ又はそれを超えるさらなるトランスジェニックイベントから得られた1つ又はそれを超える発現カセットは、本明細書に記載の5’又は3’接合配列に物理的に近接して同じ場所に配置され得る。
【0096】
別の実施形態では、接合配列の1つ(配列番号22又は25)を含むポリヌクレオチドを、挿入された異種DNAの一方又は両方の末端に導入することができる。例えば、5’接合配列を含むポリヌクレオチドは、欠失され、3’接合配列を含むポリヌクレオチドと置き換えられてもよく、又はその逆であってもよい。
【0097】
別の実施形態では、ゲノム編集技術を使用して、DAS-01131-3イベントの挿入されたDNAのポリヌクレオチドの少なくとも1つを反転させることによって、以前に導入されたポリヌクレオチドを改変することができる。
【0098】
かかるゲノム編集技術を用いると、以前に導入されたポリヌクレオチドを、導入されたポリヌクレオチドの範囲内での1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失及び/又は置換によって改変することができる。代わりに、二本鎖切断技術を用いて、導入されたポリヌクレオチドに追加的なヌクレオチド配列を付加することができる。付加し得る追加的な配列としては、エンハンサー及びプロモーター配列など、追加的な発現エレメントが挙げられるが、これらに限定されない。欠失され得る配列には、欠失された場合に機能に悪影響を及ぼさない調節エレメント又はその一部が含まれるが、これらに限定されない。発現パターンを調節するための改変(例えば、特定の組織における殺虫性ポリペプチドの発現レベルの低下)もまた、導入された発現カセットに対する部位特異的改変によって企図される。
【0099】
別の実施形態では、ゲノム工学技術を使用して、アクセッション番号PTA-127077を有する2021年5月26日にATCCに寄託されたDAS-01131-3イベントの1つ以上の発現カセットの全部又は一部を削除又は改変することができる。この実施形態では、アクセッション番号PTA-127077を有する2021年5月26日にATCCに寄託されたDAS-01131-3イベントに由来する得られたトウモロコシ植物は、本明細書に記載の発現カセットの一部、本明細書に記載の発現カセットのいずれも含まないか、又は本明細書に記載の発現カセットの改変を含み得る。
【0100】
別の実施形態において、標的化DSB技術を用いることにより、殺昆虫性の活性があるタンパク質の分子スタックを作成するため、追加的な殺昆虫性の活性があるタンパク質を植物のゲノムの範囲内で本明細書に開示される本開示の組成物にごく近接して位置させ得る。
【0101】
別の実施形態において、本明細書中に開示されるポリヌクレオチド配列は、上記ポリヌクレオチド配列を認識するガイドポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA(gRNA)など)を設計することと、上記ガイドポリヌクレオチドを合成するか、又は得ることと、上記ガイドポリヌクレオチドをゲノム工学組成物の一部として導入して、アクセッション番号PTA-127077を有する2021年5月26日にATCCに寄託されたDAS-01131-3イベントのDNAを改変することとを含む方法において使用される。そのような得られた改変は、本明細書に例示又は記載される配列と少なくとも65%の配列同一性、少なくとも70%の配列同一性、少なくとも75%の配列同一性、少なくとも80%の同一性、又は少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド配列を含み得る。
【0102】
実施形態は、本明細書に記載のゲノム工学技術を使用して生産された改変DAS-01131-3イベント植物を含む。
【0103】
一実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3の遺伝子型を含むコーン植物を含み、前記遺伝子型は、配列番号22及び配列番号25に示されるヌクレオチド配列、又は配列番号22及び配列番号25と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0104】
別の実施形態は、任意の先の実施形態のコーンイベントDAS-01131-3の遺伝子型を含むコーン植物を含み、前記遺伝子型は、配列番号23及び配列番号26に示されるヌクレオチド配列、又は配列番号23及び配列番号26と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0105】
別の実施形態は、任意の先の実施形態のコーンイベントDAS-01131-3の遺伝子型を含むコーン植物を含み、前記遺伝子型は、配列番号24及び配列番号27に示されるヌクレオチド配列、又は配列番号24及び配列番号27と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0106】
一実施形態は、2つの作動可能に連結された発現カセットを含むDNA構築物を含み、発現カセットの1つは、
1)ubiZM1プロモーター
2)ubiZM1 5’UTR;
3)ubiZM1イントロン;
4)cry1Da2;及び
5)ubiZM1ターミネーターを含み;
他の発現カセットは、
1)ubiZM1プロモーター
2)ubiZM1 5’UTR;
3)ubiZM1イントロン;
4)dgt-28 epsps;及び
5)ubiZM1ターミネーターを含む。
【0107】
別の実施形態は、任意の先の実施形態の2つの作動可能に連結された発現カセットを含むDNA構築物を含む植物を含む。
【0108】
さらなる実施形態は、任意の先の実施形態の2つの操作可能に連結された発現カセットを含むDNA構築物を含む植物を含み、植物はコーン植物である。
【0109】
一実施形態は、配列番号19に示される配列、又は配列番号19と少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含む植物を含む。
【0110】
一実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3を含み、前記コーンイベントの種子の代表的な試料は、アクセッション番号PTA-127077のAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている。
【0111】
他の実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3の植物部分を含み、前記コーンイベントの種子の代表的な試料は、American Type Culture Collection(ATCC)に先のいずれかの実施形態のアクセッション番号PTA-127077で寄託されている。
【0112】
一実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3を含む種子を含み、前記種子は、配列番号22及び配列番号25から選択されるDNA分子を含み、コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料は、アクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている。
【0113】
別の実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3を含む種子から成長したコーン植物又はその一部を含み、前記種子は配列番号22及び配列番号25から選択されたDNA分子を含み、コーンイベントDAS-01131-3の種子の代表的な試料はAmerican Type Culture Collection(ATCC)に先のいずれかの実施形態のアクセッション番号PTA-127077で寄託されている。
【0114】
さらなる実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3のコーン植物から産生されたトランスジェニック種子を含み、ここで、前記コーンイベントの種子の代表的な試料は、任意の先行する実施形態のアクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている。
【0115】
他の実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3のコーン植物から生産された種子から成長させたトランスジェニックコーン植物又はその一部を含み、前記コーンイベントの種子の代表的な試料は、American Type Culture Collection(ATCC)に先のいずれかの実施形態のアクセッション番号PTA-127077で寄託されている。
【0116】
一実施形態は、配列番号19及び22~27から選択されるヌクレオチド配列及びその完全長相補体を含む単離された核酸分子を含む。
【0117】
一実施形態は、配列番号19~21及びその完全長相補体から選択される核酸配列を含むアンプリコンを含む。
【0118】
一実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3植物、組織又は種子に由来する生物学的試料又は抽出物を含み、前記試料又は抽出物は、配列番号22及び配列番号25から選択される配列であるか又はそれに相補的なヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、核酸増幅又は核酸ハイブリダイゼーション法を使用して前記試料又は抽出物中で検出可能であり、前記コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料は、アクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されている。
【0119】
別の実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3植物由来の生物学的試料又は抽出物、組織又は種子を含み、前記試料又は抽出物は、配列番号22及び配列番号25から選択される配列であるか、又はそれに相補的であるヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、核酸増幅又は核酸ハイブリダイゼーション法を使用して前記試料又は抽出物中で検出可能であり、ここで、前記コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料は、以前のいずれかの実施形態のアクセッション番号PTA-127077でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されており、前記生物学的試料又は抽出物はトランスジェニックコーンイベントDAS-01131-3の植物、植物組織又は種子を含む。
【0120】
別の実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3植物、組織又は種子に由来する生物学的試料又は抽出物を含み、前記試料又は抽出物は、配列番号22及び配列番号25から選択される配列であるか又はそれに相補的なヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、核酸増幅又は核酸ハイブリダイゼーション法を使用して前記試料又は抽出物中で検出可能であり、前記コーンイベントDAS-01131-3種子代表的な試料は、任意の先の実施形態のアクセッション番号PTA-127077のAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託されており、前記生物学的試料又は抽出物は、トランスジェニックコーン植物イベントDAS-01131-3から抽出されたDNA試料であり、前記DNA試料は、配列番号19~27及びその相補体から選択されるヌクレオチド配列の1つ以上を含む。
【0121】
別の実施形態は、コーンイベントDAS-01131-3植物、組織、又は種子に由来する生物学的試料又は抽出物を含み、前記試料又は抽出物は、配列番号22及び配列番号25から選択される配列であるか、又はそれに相補的なヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列は、核酸増幅又は核酸ハイブリダイゼーション法を使用して前記試料又は抽出物において検出可能であり、前記コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料は、先のいずれかの実施形態のアクセッション番号PTA-127077を有するAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、前記生物学的試料又は抽出物はコーン副産物を含有するために全体的又は部分的に製造されたコーン粉、コーンミール、コーンシロップ、コーン油、コーンスターチ、及びシリアルから選択される。
【0122】
一実施形態は、ハイブリッドコーン種子を生産する方法であって、
a)配列番号19~27から選択されるヌクレオチドを含む第1の近交コーン系統と、異なる遺伝子型を有する第2の近交系統とを有性交配すること;
b)前記交配から子孫を成長させること;及び
c)それによって生産されたハイブリッド種子を収穫することを含む、方法を含む。
【0123】
別の実施形態は、第1の近交コーン系統が、雌親又は雄親である、任意の先の実施形態のハイブリッドコーン種子を生産する方法を含む。
【0124】
一実施形態は、鱗翅目害虫に抵抗性であるコーン植物を産生する方法であって、
a)第1の親コーン植物を第2の親コーン植物と有性交配することであって、前記第1の親コーン植物又は前記第2の親コーン植物がイベントDAS-01131-3を含み、それにより、複数の第1世代子孫植物を産生すること;
b)第1世代子孫植物を自殖することにより、複数の第2世代子孫植物を産生すること;及び
c)第2世代子孫植物から、イベントDAS-01131-3を含み、鱗翅目害虫に抵抗性である植物を選択することを含む、方法を含む。
【0125】
別の実施形態は、ハイブリッドコーン種子を生産する方法であって、
a)第1の近交コーン系統を、以前のいずれかの実施形態の操作可能に連結された2つの発現カセットを含むDNA構築物を含まない第2の近交系統を有する任意の実施形態の以前の操作可能に連結された2つの発現カセットを含むDNA構築物を含む有性交配すること;及び
b)それによって生産されたハイブリッド種子を収穫することを含む、方法を含む。
【0126】
別の実施形態は、任意の先の実施形態の鱗翅目害虫に対して耐性であるコーン植物を産生する方法であって、コーンイベントDAS-01131-3を含む第2世代子孫植物を、コーンイベントDAS-01131-3 DNAを欠く親植物に戻し交配し、それにより、鱗翅目害虫に耐性のある戻し交配子孫植物を作製することを更に含む方法を含む。
【0127】
一実施形態は、生物学的試料中のイベントDAS-01131-3を含むコーン植物の接合性を決定する方法であって、
a)前記試料を第1のDNA分子対及び第2の異なるDNA分子対と接触させて、
1)コーンイベントDAS-01131-3 DNAを含む核酸増幅反応で使用される場合、イベントDAS-01131-3を診断する第1のアンプリコンを産生し、
2)DAS-01131-3 DNA以外のコーンゲノムDNAを含む核酸増幅反応で使用される場合、DAS-01131-3 DNA以外のコーンゲノムDNAについて診断的である第2のアンプリコンを産生すること;
b)核酸増幅反応を実施すること;及び
c)そのように産生されたアンプリコンを検出することを含み、両方のアンプリコンの存在の検出が、前記試料がコーンイベントDAS-01131-3DNAについてヘテロ接合性であることを示し、第1のアンプリコンのみの検出が、前記試料がコーンイベントDAS-01131-3 DNAについてホモ接合性であることを示す、方法を含む。
【0128】
別の実施形態は、任意の先の実施形態における生物学的試料中のイベントDAS-01131-3を含むコーン植物の接合性を決定する方法を含み、DNA分子の第一対は配列番号10及び11のプライマー対を含む。
【0129】
別の実施形態は、任意の先の実施形態における生物学的試料中のイベントDAS-01131-3を含むコーン植物の接合性を決定する方法を含み、ここで、DNA分子の第1及び第2の対は検出可能な標識を含む。
【0130】
さらなる実施形態は、生物学的試料中にイベントDAS-01131-3を含むコーン植物の接合性を決定する方法であって、DNA分子の第1及び第2の対が、任意の先行する実施形態において検出可能な標識を含み、ここで、検出可能な標識が蛍光標識である、方法を含む。
【0131】
他の実施形態は、生物学的試料中にイベントDAS-01131-3を含むコーン植物の接合性を決定する方法であって、DNA分子の第1及び第2の対が、任意の先行する実施形態において検出可能な標識を含み、検出可能な標識が、プライマー分子のうちの1つ以上と共有結合している、方法を含む。
【0132】
一実施形態は、コーン核酸を含む試料中のイベントDAS-01131-3に固有の核酸分子の存在を検出する方法であって、
a)試料を、イベントDAS-01131-3からのゲノムDNAとの核酸増幅反応において使用された場合に、イベントDAS-01131-3について診断的であるアンプリコンを生成する一対のプライマーと接触させること;
b)核酸増幅反応を行い、それにより、イベントDAS-01131-3について診断的であるアンプリコンを生成すること;及び
c)イベントDAS-01131-3の診断であるアンプリコンを検出することを含む、方法を含む。
【0133】
別の実施形態は、任意の先の実施形態のコーン核酸を含む試料中のイベントDAS-01131-3に固有の核酸分子の存在を検出する方法を含み、イベントDAS-01131-3を診断する核酸分子は、核酸増幅連鎖反応によって産生されるアンプリコンである。
【0134】
別の実施形態は、任意の先行する実施形態のコーン核酸を含む試料中のイベントDAS-01131-3にユニークな分子である核酸の存在を検出する方法であって、方法が、試料を、プローブに接触させることを更に含む、方法を含む。
【0135】
さらなる実施形態は、コーン核酸を含む試料中のイベントDAS-01131-3に固有の核酸の存在を検出する方法であって、試料を任意の先行する実施形態のプローブと接触させることを更に含み、プローブが検出可能な標識を含む、方法を含む。
【0136】
さらなる実施形態は、コーン核酸を含む試料中のイベントDAS-01131-3にユニークな核酸の存在を検出する方法であって、試料をプローブと接触させることを更に含み、プローブが、任意の先行する実施形態の検出可能な標識を含み、検出可能な標識が蛍光標識である、方法を含む。
【0137】
さらなる実施形態は、コーン核酸を含む試料中のイベントDAS-01131-3にユニークな核酸の存在を検出する方法であって、試料をプローブと接触させることを更に含み、プローブが、任意の先行する実施形態の検出可能な標識を含み、検出可能な標識が、プローブと共有結合している、方法を含む。
【0138】
一実施形態は、試料中のイベントDAS-01131-3 DNA鋳型を標的とし、ポリメラーゼ連鎖反応法の結果としてイベントDAS-01131-3のアンプリコン診断を生成する1つ以上のポリヌクレオチドを含む複数のポリヌクレオチドプライマーを含む。
【0139】
別の実施形態は、任意の先の実施形態による複数のポリヌクレオチドプライマーを含み、ここで、
a)第1のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号10に示されるヌクレオチド配列及びその相補体を含み;及び
b)第2のポリヌクレオチドプライマーは、配列番号11に示されるヌクレオチド配列及びその相補体を含む。
【0140】
別の実施形態は、任意の先の実施形態のプライマーを含み、前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーは少なくとも18ヌクレオチドである。
【0141】
一実施形態は、試料中のイベントDAS-01131-3に対応するDNAの存在を検出する方法であって、
a)トウモロコシDNAを含む試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でトウモロコシイベントDAS-01131-3由来のDNAとハイブリダイズし、前記ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で非DAS-01131-3トウモロコシ植物DNAとハイブリダイズしないポリヌクレオチドプローブと接触させること;
b)試料及びプローブをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供すること;及び
c)プローブのDNAへのハイブリダイゼーションを検出することを含み;
ここで、ハイブリダイゼーションの検出は、イベントDAS-01131-3の存在を示す、方法を含む。
【0142】
一実施形態は、核酸検出方法においてプライマー又はプローブとして機能するのに十分な長さの隣接するポリヌクレオチドの少なくとも1つの核酸分子を含む、イベンDAS-01131-3にユニークな核酸を検出するためのキットであって、核酸は、試料中の標的核酸配列の増幅又はそれとのハイブリダイゼーション、それに続くアンプリコンの検出又は標的配列とのハイブリダイゼーション時、試料中における、イベントDAS-01131-3にユニークな核酸配列の存在の診断指標となる、キットを含む。
【0143】
別の実施形態は、核酸検出方法においてプライマー又はプローブとして機能するのに十分な長さの連続するポリヌクレオチドの少なくとも1つの核酸分子を含み、試料中の標的核酸配列の増幅又はハイブリダイゼーション、それに続くアンプリコンの検出又は標的配列とのハイブリダイゼーションの際に、任意の以前の実施形態の試料中のイベントDAS-01131-3に固有の核酸配列の存在について診断する、イベントDAS-01131-3に固有の核酸を検出するためのキットを含み、核酸分子は配列番号10~27のヌクレオチド配列を含む。
【0144】
別の実施形態は、核酸検出方法においてプライマー又はプローブとして機能するのに十分な長さの連続するポリヌクレオチドの少なくとも1つの核酸分子を含み、試料中の標的核酸配列の増幅又はハイブリダイゼーション、それに続くアンプリコンの検出又は標的配列とのハイブリダイゼーションの際に、任意の以前の実施形態の試料中のイベントDAS-01131-3に固有の核酸配列の存在について診断する、イベントDAS-01131-3に固有の核酸を検出するためのキットを含み、核酸分子は配列番号10~18及びその相補体から選択されるプライマーである。
【0145】
別の実施形態は、任意の先の実施形態のコーンイベントDAS-01131-3の遺伝子型を含むコーン植物を含み、遺伝子型は、配列番号24又は配列番号27のうちの1つにおいて1、2、3、4、又は5個のヌクレオチド変化を有するヌクレオチド配列を含む。
【0146】
別の実施形態は、配列番号3に示されるヌクレオチド配列、又は配列番号3のヌクレオチド配列と少なくとも95%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を更に含む、任意の先の実施形態のコーンイベントDAS-01131-3の遺伝子型を含むコーン植物を含む。
【0147】
一実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法であって、前記コーンイベントの種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077のATCCに寄託され、ゲノム工学技術を前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列に適用して、前記コーンイベントのDNAを改変することを含む、方法を含む。
【0148】
別の実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法であって、前記コーンイベントの種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託され、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列にゲノム工学技術を適用して、任意の先行する実施形態の前記コーンイベントのDNAを改変することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、配列番号3と少なくとも90%の配列同一性を有する改変DNA配列を生成することを含む、方法を含む。
【0149】
別の実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法を含み、ここで、前記コーンイベントの種子の代表的な試料は、アクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託され、任意の先行する実施形態の前記コーンイベントのDNAを改変するために、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列にゲノム工学技術を適用することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、前記改変DNA配列において重複した配列番号22又は配列番号25の全部又は一部を有する改変DNA配列を生成することを含む。
【0150】
別の実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法であって、前記コーンイベントの種子の代表的な試料がアクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託され、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列にゲノム工学技術を適用して、任意の先行する実施形態の前記コーンイベントのDNAを改変することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、配列番号3からの切除を含む改変DNA配列を生成することを含む、方法を含む。
【0151】
さらなる実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法であって、前記コーンイベントの種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託されており、ゲノム工学技術を前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列に適用して、前記コーンイベントのDNAを改変することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、任意の先行する実施形態の配列番号3からの切除を含む改変DNA配列を生成することを含み、前記切除が、前記1つ以上の調節エレメントの活性に実質的に影響を及ぼさない配列番号3の1つ以上の調節エレメントからの切除を含む、方法を含む。
【0152】
別の実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法を含み、ここで、前記コーンイベントの種子の代表的な試料は、アクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託され、前記コーンイベントのDNAを改変するために、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列にゲノム工学技術を適用することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、任意の以前の実施形態の配列番号3からの切除を含む改変DNA配列を生成することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、前記改変DNA配列から切除された配列番号22又は配列番号25の全部又は一部を有する改変DNA配列を生成することを含む。
【0153】
別の実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法であって、前記コーンイベントの種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託され、前記コーンイベントのDNAを改変するために、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列にゲノム工学技術を適用することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、任意の以前の実施形態の配列番号3からの切除を含む改変DNA配列を生成することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、前記改変DNA配列から切除された配列番号3の少なくとも30%を有する改変DNA配列を生成することを含む、方法を含む。
【0154】
さらなる実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法であって、前記コーンイベントの種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託され、前記コーンイベントのDNAを改変するために、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列にゲノム工学技術を適用することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、任意の以前の実施形態の配列番号3からの切除を含む改変DNA配列を生成することを含み、配列番号3の少なくとも80%が前記改変DNA配列から切除される、方法を含む。
【0155】
別の実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントを改変する方法であって、前記コーンイベントの種子の代表的な試料が、アクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託され、ゲノム工学技術を前記DAS-01131-3コーンイベントのDNA配列に適用して、前記コーンイベントのDNAを改変することを含み、前記DAS-01131-3コーンイベントのDNAを改変して、任意の以前の実施形態の配列番号3からの切除を含む改変DNA配列を生成することを含み、配列番号3の全てが前記改変DNA配列から切除される、方法を含む。
【0156】
一実施形態は、DAS-01131-3コーンイベントゲノム編集システムで使用するためのガイドポリヌクレオチドを生成する方法であって、配列番号3の少なくとも一部を認識する1つ以上のガイドポリヌクレオチドを設計することと、前記ガイドポリヌクレオチドを合成することとを含む方法を含む。
【0157】
別の実施形態は、アクセッション番号PTA-127077を有するDAS-01131-3イベントのDNAを改変する方法であって、DAS-01131-3イベントのDNAを改変するために、DAS-01131-3イベントのDNAに、ゲノム工学組成物の一部として任意の先の実施形態のDAS-01131-3コーンイベントゲノム編集システムと共に使用するための前記1つ以上のガイドポリヌクレオチドを導入することを含む、方法を含む。
【0158】
一実施形態は、CASポリペプチド、1つ以上のガイドポリヌクレオチド、及びDAS-01131-3コーンイベントドナーDNAを含むDAS-01131-3コーンイベントゲノム編集システムを含む。
【0159】
一実施形態は、アクセッション番号PTA-127077を有するATCCによって寄託されたDAS-01131-3イベントの少なくとも1つの発現カセットを改変する方法を含み、この方法は、ゲノム編集技術を使用して少なくとも1つの発現カセットを改変することを含み、DAS-01131-3イベントに由来する得られたトウモロコシ植物は、少なくとも1つの改変カセットを含む。
【0160】
別の実施形態は、少なくとも1つのアクセッション番号PTA-127077でATCCに寄託されたDAS-01131-3イベントのカセット発現を改変する方法であって、ゲノム編集技術を使用して、少なくとも1つの発現カセットを修飾することを含み、01131-3イベントから得られたトウモロコシ植物が、任意の先行する実施形態の少なくとも1つの変更されたカセットを含み、cry1Da2の発現を変化させることを含む、方法を含む。
【0161】
一実施形態は、鱗翅目昆虫を防除する方法であって、イベントDAS-01131-3の昆虫抵抗性トウモロコシ植物に鱗翅目昆虫を曝露することを含む、方法を含む。
【0162】
別の実施形態は、鱗翅目昆虫を防除する方法であって、鱗翅目昆虫を先のいずれかの実施形態のイベントDAS-01131-3の昆虫耐性トウモロコシ植物に曝露することを含み、鱗翅目昆虫がツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda))である、方法を含む。
【0163】
別の実施形態は、鱗翅目昆虫を防除する方法であって、鱗翅目昆虫をイベントDAS-01131-3の昆虫耐性トウモロコシ植物に曝露することを含み、鱗翅目昆虫がコーンイアワーム(へリコベルパ・ジー(Helicoverpa zea))である、方法を含む。
【0164】
別の実施形態は、鱗翅目昆虫を防除する方法であって、鱗翅目昆虫を任意の先の実施形態のイベントDAS-01131-3の昆虫耐性トウモロコシ植物に曝露することを含み、鱗翅目昆虫がイベントDAS-01131-3からのトウモロコシ粒又は穀粒について制御される、方法を含む。
【0165】
別の実施形態は、配列番号22及び配列番号25から選択される配列であるか又はそれに相補的であるヌクレオチド配列を含むコーンイベントDAS-01131-3植物から生産された穀物を加工することを含む商品植物製品を生産する方法を含み、前記コーンイベントDAS-01131-3種子の代表的な試料は、アクセッション番号PTA-127077でアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託されており、前記穀物は、コーン粉、コーンミール、コーンシロップ、コーン油、コーンスターチ、及びコーン副産物を含有するように全体的又は部分的に製造されたシリアルから選択される商品植物製品に加工され、前記商品植物製品は、検出可能な量の前記ヌクレオチド配列を含む。
【0166】
一部の実施形態において、DAS-01131-3イベントを含むコーン植物は、種子処理で処理され得る。一部の実施形態において、種子処理は、殺真菌剤、殺昆虫剤又は除草剤であり得る。
【0167】
以下の実施例は、実例として提供するものであって、限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0168】
実施例1.Cry1Da2及びDGT-28をコードする構築物を含むトランスジェニック植物のカセット設計
トウモロコシ(Zea mays L.)を、プラスミドPHP88492(配列番号1)を用いたアグロバクテリウム媒介形質転換によって形質転換した。このプラスミドのT-DNA領域を
図2に概略的に示し、その配列を配列番号2として提供する。Cry1Da2及びDGT-28 epspsカセット中の遺伝エレメント及びプラスミドPHP88492のT-DNA上のそれらの位置の要約をそれぞれ表1及び2に提供する。
【0169】
【0170】
【0171】
実施例2.アグロバクテリウム(Agrobacterium)形質転換によるトウモロコシの形質転換及びCry1Da2及びDGT-28遺伝子を含むDAS-01131-3トランスジェニック植物の再生
近交系統をプラスミドPHP88492で形質転換し、トウモロコシイベントDAS-01131-3を作製した。未成熟トウモロコシ胚を、受粉のおよそ10~14日後に近交系トウモロコシの表面滅菌された花穂から収集し、プラスミドPHP88492を含有するアクロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株DAt13192(Merlo et al.,2012)を接種した。アグロバクテリウム・ツメファシエンス株DAt13192は、vir遺伝子を含有し、接種された宿主植物組織への形質転換プラスミドのT-DNA領域の効率的な移入を可能にする非防御株である。3~4日の胚及び固体培養培地上でのアグロバクテリウム共培養及び抗生物質カルベニシリンを含有する固体培養培地上での7日間の静止の後、選択せずに残留アグロバクテリウムを死滅させた後、胚をグリホサート除草剤選択及びカルベニシリンを含む培地に移した。次いで、形質転換されたカルスを発芽培地に移し、インキュベートしてシュート及び根の発達を開始させた。シュート及び根が確立されたら、健康な植物を選択し、PCRを使用して、PHP88492 T-DNAインサートの存在を確認した。形質転換及び組織培養から再生された植物(T0植物と命名)をさらなる特性評価のために選択した。
【0172】
【0173】
実施例3.トウモロコシイベントの特定DAS-01131-3
DAS-01131-3トウモロコシ内に含まれるcry1Da2及びdgt-28 epsps遺伝子、並びにDAS1131トウモロコシの挿入部位にまたがるゲノム接合部の検出のために、各固有の配列に特異的なプライマー及びTaqman(登録商標)プローブを使用して、76bp~98bpに及ぶ領域を増幅した。更に、内因性参照遺伝子、High Mobility Group A(hmg-A、GenBankアクセッション番号AF171874.1)の79bp領域を、各アッセイの定性的及び定量的評価のために各アッセイと二重鎖で使用し、PCR反応内に十分な品質及び量のDNAが存在することを実証することが検証された(Krech et al.,1999)。hmg-Aからのデータをスコアリングに関する計算に使用した。データを、検証された陽性又はコピー数キャリブレータ、並びに陰性ゲノム対照のいずれかの性能と比較した。
【0174】
リアルタイムPCR反応は、熱活性化DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性を利用した。2つのプライマー及び1つのプローブは、5’蛍光レポーター色素及び3’クエンチャー色素を含有するプローブを用いて標的DNAにアニーリングした。各PCRサイクルで、ポリメラーゼによってアニーリングしたプローブからレポーター色素を切断し、その後の各サイクルで増強される蛍光シグナルを放出した。試料アンプリコンの発光強度が検出閾値を上回って上昇したサイクルをCT値と呼んだ。増幅が起こらなかった場合、機器によって計算されたCTはなく、40.00のCT値が割り当てられた。
【0175】
試験試料のコピー数を決定する場合、コピー数キャリブレータ(目的の遺伝子の定義されたコピー、例えば1コピー又は2コピーを含むことが知られている試料)を目的の内因性遺伝子及び遺伝子の両方の対照として使用した。倍数差を使用して、各試験試料にコピー数を適用した。倍数差又は倍数変化は、2-ΔCTの式を使用して計算される。上記のように、試験試料及びコピー数キャリブレータについてΔCTを計算した。コピー数1を試料集団に適用し、2コピーキャリブレータと比較した場合、最大範囲0.75で0と0.7との間の倍率変化を生じた。同様に、単一のコピーキャリブレータと比較した場合、1.5から2.2の範囲の倍率変化を生じる試料集団にコピー数2を適用し、最大範囲は0.91であった。コピー数3を、2コピーキャリブレータと比較した場合、最大範囲0.35で、1.3から1.5の範囲の倍率変化を生じる試料集団に適用した。
【0176】
ゲノムDNAを、BC1F1の各々から約100個の植物についてDAS-01131-3トウモロコシ葉組織から単離した。水酸化ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物(Na2-EDTA)及びトリス塩酸塩からなるアルカリ性緩衝液を使用してDNA試料を抽出した。1反応あたり約3ngの鋳型DNAを使用した。
【0177】
標的イベント及び導入遺伝子を支持する各アッセイをhmg-A内因性参照アッセイと多重化した。目的の遺伝子及びPCR反応のための内因性遺伝子の両方を支持するための全ての成分をそれぞれ含む反応混合物を調製した。添加剤として30%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むベースマスターミックス、Bioline SensiFast(商標)Probe Lo-ROXマスターミックスを使用した。プライマーの個々の濃度は、分析検証中に確立された最適濃度に応じて、反応ごとに300nM~900nMの間で変化した。反応あたりのプローブの個々の濃度は80nMであった。アッセイ対照には、水又はトリス-EDTA(TE)緩衝液(10mMトリスpH 8.0、1mM EDTA)並びにコピー数較正物質及び陰性対照からなる鋳型対照(NTC)は含まれず、これらは全て、実施した各アッセイについて検証された。各PCR分析に使用したプライマー及びプローブを表3及び4に示す。PCR分析中に使用したアニーリング温度及びサイクル数を表5に示す。
【0178】
200個のDAS-01131-3トウモロコシ植物(BC1F1世代のそれぞれからの100個の植物)の収集された葉試料から単離されたゲノムDNA試料を、コピー数キャリブレータ、陰性及びNTC対照と共に、cry1Da2及びdgt-28 epsps遺伝子に特異的なプライマー対及びプローブ、並びにDAS-01131-3トウモロコシにおけるPHP88492 T-DNA挿入の固有の同定を表すトウモロコシゲノムへのイベント特異的接合部の存在下で、SensiFast(商標)プローブLo-ROXマスターミックス(英国ロンドン、Bioline)を使用してqPCR増幅に供した。アッセイ及びDNA品質モニタリングのために、トウモロコシhmg-Aを、内因性コントロールとしての各反応と共に二重鎖に含めた。各qPCR反応は、約3ng(0.5μL容量)の単離されたゲノムDNAを含む3μLの総容量で設定された。
【0179】
qPCRコピー数分析の結果は、プラスミドPHP88492のT-DNA内の遺伝子の単一コピーの安定な組込み及び分離を示し、後続世代への移入が実証されている。
【0180】
DAS-01131-3トウモロコシの挿入部位並びにプラスミドPHP88492由来のT-DNA内の遺伝子を表す76bp~98bpのサイズの範囲のPCR産物を増幅し、DAS-01131-3トウモロコシの葉試料並びに8コピー数キャリブレーターゲノムコントロールで観察したが、8つの陰性ゲノムコントロール及び8つのNTCコントロールのそれぞれには存在しなかった。各アッセイについて合計4回実施したが、観察された結果は同じであった。各試料及び全ての対照について、CT値、ΔCT値、及びコピー数を計算した。
【0181】
トウモロコシ内在性参照遺伝子hmg-Aを使用して、79bpのPCR産物を増幅し、DAS1131トウモロコシ由来の葉試料並びに8コピー数キャリブレータ及び8陰性ゲノム対照において観察した。内因性遺伝子の増幅は、CT値を生成せずに試験した8つのNTC対照では観察されなかった。各試料について、各アッセイを二重鎖で実施し、挿入部位及び全ての遺伝子について合計4回分析し、毎回同じ結果が観察された。各試料について、CT値、ΔCT値及びコピー数(該当する場合)を計算した。
【0182】
構築物特異的PCRアッセイの感度を評価するために、DAS-01131-3トウモロコシDNAを対照トウモロコシゲノムDNAで希釈し、合計5ngのトウモロコシDNA中に様々な量のDAS-01131-3トウモロコシ(5ng、1ng、500pg、250pg、100pg、50pg、20pg、10pg及び5pg)を含有する試験試料を得た。これらの様々な量のDAS-01131-3トウモロコシDNAは、それぞれ、全トウモロコシゲノムDNA中のDAS-01131-3トウモロコシDNAの100%、20%、10%、5%、2%、1%、0.4%、0.2%及び0.1%に対応する。様々な量のDAS-01131-3トウモロコシDNAを、cry1Da2及びdgt-28 epsps遺伝子、並びにDAS-01131-3トウモロコシの挿入部位についてリアルタイムPCR増幅に供した。これらの分析に基づいて、DAS-01131-3トウモロコシについての5ngの総DNA中の検出限界(LOD)は、cry1Da2について約1ng(20%)、dgt-28 epspsについて1ng(20%)、及びイベントDAS-01131-3について500pg(10%)であると決定された。記載される各アッセイの決定された感度は、多くのスクリーニング適用に十分である。各濃度を合計5回試験した。試験した標的の増幅が各複製物において検出されなかった時点で、先行する濃度を感度の限界であると決定した。
【0183】
イベント特異的アッセイ及び構築物特異的アッセイを使用したDAS-01131-3トウモロコシのリアルタイムPCR分析により、DAS-01131-3トウモロコシにおけるイベントDAS-01131-3並びにcry1Da2及びdgt-28 epsps遺伝子の定量化された検出によって実証されるように、試験した葉試料におけるプラスミドPHP88492のT-DNAの単一コピーの安定な組込み及び分離が確認される。これらの結果は、実施した全てのレプリケートqPCR分析間で再現可能であった。hmg-Aを検出するためのトウモロコシ内因性参照遺伝子アッセイは、全ての試験試料及び陰性対照で予想通りに増幅され、NTC試料では検出されなかった。記載された条件下での各アッセイの感度は、500pg~1ngのDNAの範囲であり、全てPCRによる多くのスクリーニング用途に十分であった。
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
実施例4.完全性及びコピー数についてのDAS-01131-3トウモロコシのサザンバイシーケンシング(SbS)分析
DAS-01131-3トウモロコシのT5世代の2つの植物からゲノムDNAを抽出した。サザン・バイ・シーケンシング(SbS)は、プローブベースの配列捕捉、次世代シーケンシング(NGS)技法及びバイオインフォマティクス手順を利用して、トウモロコシゲノム内にある挿入されたDNAを単離、シーケンシング及び同定するものである。多数のユニーク配列決定リードをコンパイルし、それらを形質転換プラスミド配列と比較することによって、挿入されたDNAに起因するユニークな接合部がバイオインフォマティクス分析において同定され、植物ゲノム内の挿入数を決定するために使用することができる。DAS-01131-3トウモロコシのT5世代をSbSによって分析して、挿入コピー数を決定した。
【0189】
重複するビオチン化オリゴヌクレオチドを捕捉プローブとして設計するために、PHP88492プラスミド配列を包含する一連のユニーク配列を使用した。捕捉プローブは、Roche NimbleGen,Inc.によって設計及び合成された。プローブセットは、濃縮プロセス中にPHP88492形質転換プラスミド配列を標的とするように設計された。プローブをトウモロコシゲノムと比較して、PHP88492に由来する配列と同時に捕捉及び配列決定されるであろうトウモロコシゲノム配列のレベルを決定した。
【0190】
DAS-01131-3トウモロコシ及び対照トウモロコシについて別々のNGSライブラリーを構築した。Zastrow-Hayes,et al.(2015)により本質的に記載されるとおり、SbSを実施した。2ラウンドのハイブリダイゼーションを通じてシーケンシングライブラリを捕捉プローブにハイブリダイズさせることにより、標的配列を濃縮した。NGS(Illumina HiSeq)に続いて、シーケンシングリードはトリミング及び品質保証のためにバイオインフォマティクスパイプラインに入った。リードをトウモロコシゲノムに対してアラインメントし、意図された挿入及びPHP88492の配列をアラインメントし、ゲノム配列及びプラスミド配列の両方を含むリードを接合リードとして同定した。目的の挿入の配列に対する接合リードのアラインメントは、予想される挿入に対する挿入されたDNAの境界を示す。
【0191】
内因性トウモロコシ配列に起因する推定接合部を同定するために、対照トウモロコシゲノムDNAライブラリーを別々に捕捉し、DAS-01131-3トウモロコシ植物と同じ方法で配列決定した。これらのライブラリーを、DAS-01131-3トウモロコシ植物試料の深度の約5倍の平均深度まで配列決定した。これにより、プローブによって捕捉された内因性接合部が対照試料で検出される確率が高まり、その結果、DAS-01131-3トウモロコシ試料でそれらを同定及び除去することができた。
【0192】
構築物PHP88492に由来するDAS-01131-3トウモロコシにおいて、挿入のインテグレーション及びコピー数を決定した(
図1)。形質転換に使用されるPHP88492プラスミド及びPHP88492由来のT-DNAの概略図を
図1及び2に提供する。
【0193】
DAS-01131-3トウモロコシのT5世代からの2つの植物に対してSbSを実施して、ゲノム内の挿入コピー数を決定した。SbSリードの予想される挿入領域へのアラインメントは、ゲノム隣接配列と挿入されたDNAとの間に、両方の植物において同じである2つの固有の接合部をもたらした。植物において検出されたPHP88492配列とトウモロコシゲノムとの間に他の接合部は存在せず、DAS-01131-3トウモロコシには追加のプラスミド由来挿入が存在しないことを示している。更に、PHP88492 T-DNAの非連続領域間に接合部はなく、挿入されたDNAに検出可能な再配列又は切断がないことを示している。更に、T5植物では、トウモロコシゲノム配列とPHP88492の主鎖配列との間に接合部が存在せず、プラスミド主鎖配列がDAS-01131-3トウモロコシに組み込まれなかったことが実証された。
【0194】
DAS-01131-3トウモロコシのT5世代のSbS分析は、DAS-01131-3トウモロコシにおいて、PHP88492 T-DNA由来の所望の遺伝子を含有する単一挿入が存在し、そのゲノムには追加の挿入が存在しないことを実証した。
【0195】
DAS-01131-3トウモロコシのT5世代について、Southern-by-Sequencing(SbS)解析を行い、挿入コピー数を確認した。結果は、植物中のPHP88492 T-DNA由来の所望の遺伝子を含む単一挿入を示す。対照植物では、PHP88492配列とトウモロコシゲノムとの間の接合は検出されず、予想通り、これらの植物は、PHP88492に由来する挿入物を全く含まないことが示された。更に、分析したDAS-01131-3トウモロコシ植物ではプラスミド骨格配列は検出されなかった。DAS-01131-3トウモロコシのT5世代のSbS分析は、DAS-01131-3トウモロコシにおいて、PHP88492 T-DNA由来の所望の遺伝子を含有する単一挿入が存在し、そのゲノムには追加の挿入が存在しないことを実証した。
【0196】
表6に示す以下の連結配列を、Southern-by-Sequencing(SbS)分析によって検証した。
【0197】
【0198】
実施例5.北米におけるトウモロコシイベントDAS-01131-3の昆虫有効性
DAS-01131-3トウモロコシを、ツマジロクサヨトウに対する昆虫活性Cry1Da2タンパク質の有効性について圃場内で評価した。2020年に、米国に1箇所及びPuerto Ricoに2箇所を有する北米のトウモロコシ栽培地域で圃場試験を行った(表7)。各圃場位置で、3回繰り返した無作為化完全ブロック実験計画で、単列プロットを配置した。列は、Stoneville,MSの場所で長さ13フィート(3.9m)、Puerto Ricoの場所で14フィート(4.3m)であった。列間の間隔は30インチであった。(76cm)。種子植付率は、1列あたり約22個の種子であった。全ての試験区及び対照区について、必要に応じて手作業による除草を含む、当該地域の通常の最良の慣行に従って従来の雑草抑制プログラムを実施し、地上の殺虫剤散布は適用しなかった。農学的慣行は、所与の場所の全てのプロットに対して均一であった。
【0199】
【0200】
ツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda))の評価
Puerto Ricoの場所は、自然界ではツマジロクサヨトウがはびこるため、用手的なはびこることはなかった。植物がV8~V9成長段階に達したときに、プロットをツマジロクサヨトウ植物傷害について視覚的に評価した。プロットの4番目の植物から開始して、10個の連続する植物を、Davisスケール(0-9)を使用して葉損傷について個別にスコア化したところ、0のスコアは目に見える植物損傷がないことを示し、9個の示された植物のスコアはほぼ完全に破壊された(表8)。
【0201】
Stonevilleの場所では、植物がV4成長段階に到達したときに、自然の寄生が手動の寄生によって増強された。列内の第4の植物から開始して、1プロットあたり7つの連続する植物に、それぞれの植物の渦巻きに適用された落下する新生ツマジロクサヨトウ及び市販のコーンコブグリットを含有する混合物を手作業で接種した。1日おきに、2回の別々の施用を、各植物について、施用あたり40匹の新生児の目標繁殖率で行った。植物がV7成長段階にあるとき、最後の寄生日の14日後に、プロットをツマジロクサヨトウ植物傷害について視覚的に評価した。以下の表に記載のDavisスケール(0-9)を使用して、葉損傷について中央の5つの寄生植物を個々にスコア化した。
【0202】
【0203】
統計的分析:
場所全体(Puerto Rico):DAS-01131-3トウモロコシ及び陰性対照トウモロコシの葉損傷評価を評価及び比較するために線形混合モデルを使用して統計分析を実施した。場所(L)i、複製(R)j、イベント(E)m、プロット(K)k、及び植物sのDAS-01131-3トウモロコシ(Yijmks)のデータを、全体平均μ、場所、複製による場所、イベント、イベントによる場所、各場所(K/L)ik内のプロット、及び各場所(ε/L)ijmks内の残差の関数としてモデル化した。モデルは、以下のように指定することができる。
Yijmks=μ+Li+(L×R)ij+Em+(L×E)im+(K/L)ik+(ε/L)ijmks
ここで、イベント及び位置は固定効果として扱われ、他の全ての効果は0の平均を有する独立した正規分布ランダム変数として扱われた。処置手段をモデルフィッティングから推定した。モデルからの標準誤差を用いたT検定を実施して、治療効果を比較した。
【0204】
個々の場所(Stoneville):複製(R)i、イベント(E)n、プロット(K)k及び植物sのDAS-01131-3トウモロコシ(Yinks)のデータを、全体平均μ、複製因子、イベント、プロット及び残留εインクの関数としてモデル化した。モデルは、以下のように指定することができる。
Yinks=μ+Ri+En+Kk+εinks
ここで、イベントは固定効果として扱われ、他の全ての効果は0の平均を有する独立した正規分布ランダム変数として扱われた。処置手段をモデルフィッティングから推定した。モデルからの標準誤差を用いたT検定を実施して、治療効果を比較した。
【0205】
全域及び個々の部位の分析の両方について、差のP値が0.05未満である場合、差を統計学的に有意であると見なした。全ての統計データの分析及び比較は、ASReml-R 3.0(VSN International,Hemel Hempstead,UK,2009)を用いて行った。
【0206】
ツマジロクサヨトウ摂食による植物被害結果の概要を表9に示す。陰性対照について観察された7を超える平均葉損傷評価によって示されるように、これらの試験で中程度から高レベルのツマジロクサヨトウ摂食圧力が達成された。これらの結果は、DAS-01131-3トウモロコシで発現される昆虫活性Cry1Da2タンパク質が、ツマジロクサヨトウによる摂食からの保護を提供することを示している。
【0207】
【0208】
実施例6.南米におけるトウモロコシイベントDAS-01131-3の昆虫有効性
DAS-01131-3トウモロコシを圃場において、昆虫活性Cry1Da2タンパク質の、ツマジロクサヨトウ、サトウキビボーラー及びコーンイアワームに対する有効性について評価した。ツマジロクサヨトウについて、2019~2020年に野外試験を行った。2018年には、サトウキビボーラー及びコーンイアワームが、南米(アルゼンチン;表10)のトウモロコシ栽培地域で発見された。各圃場位置で、2行プロットを、4つの反復を有するランダム化完全ブロック実験計画で配置した。列は長さ4.2m(13.8フィート)であり、列間の間隔は52cm(20.5インチ)であった。種子植付率は、1列あたり約20個の種子であった。全ての試験区及び対照区について、必要に応じて手作業による除草を含む、当該地域の通常の最良の慣行に従って従来の雑草抑制プログラムを実施し、地上の殺虫剤散布は適用しなかった。農学的慣行は、所与の場所の全てのプロットに対して均一であった。
【0209】
【0210】
ツマジロクサヨトウ(スポドプテラ・フルジペルダ(Spodoptera frugiperda))の評価
Das Tucumanの部位には、自然にツマジロクサヨトウが寄生したため、用手的な寄生は行わなかった。V9成長段階において、プロットをツマジロクサヨトウ植物損傷について目視評価し、この最終評価の結果を報告する。各プロットの20個の植物を、Davisスケール(0-9)を使用して葉損傷について個別にスコア化したところ、0のスコアは目に見える植物損傷がないことを示し、9個の示された植物のスコアはほぼ完全に破壊された(表11)。
【0211】
【0212】
サトウキビボーラー(Diatraea saccharalis)の評価
San Luis 2の場所では、サトウキビボーラーの天然の寄生に手による寄生を補足した。植物がおよそR1成長段階にあるとき、プロットあたり10個の植物に25個の新生児を手で外寄生させた。茎トンネリングの総センチメートルを測定することによって、R6成長段階でのサトウキビボーラー損傷について植物を評価した。各植物について、各切れ目を入れた植物の茎を長手方向に分割し(土壌表面から上方に下方の6~8節の節間)、植物当たりのサトウキビボーラーのトンネリングの量を合計センチメートルで測定した。土壌表面の下で継続するストークトンネリングも測定し、合計に含めた。
【0213】
コーンイアワーム(へリコベルパ・ジー(Helicoverpa zea))評価
San Luis 1の場所では、コーンイアワームの自然の寄生を手動の寄生で補った。R2作物段階では、1プロット当たり10株において、1株当たり5匹のL1幼虫を外寄生させた。植物がほぼR4成長段階にあるとき、植物をコーンイアワーム損傷について評価した。各プロットにおける10個の植物の一次花穂を、花穂損傷の総平方センチメートルについて個別に評価した。各花穂の穀粒及び先端を評価に含めた。
【0214】
統計的分析
ツマジロクサヨトウ:複製(R)i、バックグラウンド(G)g、概念(P)m、イベント(E)n、プロット(K)k及び植物sのDAS-01131-3(Yigmnks)のデータを、全体平均μ、複製因子、バックグラウンド、概念、イベントによるバックグラウンド、プロット及び残留εigmnksの関数としてモデル化した。モデルは、以下のように指定することができる。
Yigmnks=μ+R
i
+G
g
+Pm+(G×E)
gn
++K
k
+ε
igmnks
【0215】
ここで、概念は固定効果として扱われ、他の全ての効果は0の平均を有する独立した正規分布ランダム変数として扱われた。モデルからの標準誤差を用いたT検定を実施して、治療効果を比較した。差のP値が0.05未満であれば、その差は統計的に有意と見なした。全てのデータ分析及び比較はASReml 3.0(VSN International,Hemel Hempstead,UK,2009)で行った。
【0216】
サトウキビボーラー及びコーンイアワーム:各場所は、各有害生物について別々にモデル化された。複製(R)i、イベント(E)n、プロット(K)k及び植物sのDAS-01131-3トウモロコシ(Yinks)のデータを、全体平均μ、複製因子、イベント、プロット及び残留εインクの関数としてモデル化した。モデルは、以下のように指定することができる。
Yinks=μ+Ri+En+Kk+εinks
ここで、イベントは固定効果として扱われ、他の全ての効果は0の平均を有する独立した正規分布ランダム変数として扱われた。処置手段をモデルフィッティングから推定した。モデルからの標準誤差を用いたT検定を実施して、治療効果を比較した。
【0217】
差のP値が0.05未満であれば、その差は統計的に有意と見なした。全ての統計データの分析及び比較は、ASReml-R 3.0(VSN International,Hemel Hempstead,UK,2009)を用いて行った。
【0218】
ツマジロクサヨトウ(表12)、サトウキビボーラー(表13)、及びコーンイアワーム(表14)について、植物損傷結果の概要を以下に示す。これらの結果は、高い昆虫圧の下では、これらの試験におけるツマジロクサヨトウ及びコーンイアワームに関して、DAS-01131-3トウモロコシで発現される昆虫活性Cry1Da2タンパク質が、陰性対照と比較して摂食からの保護を提供することを示している。これらの試験における虫圧はサトウキビボーラーでは低かった;しかし、DAS-01131-3トウモロコシで発現された昆虫活性Cry1Da2タンパク質は、陰性対照トウモロコシと比較して摂食からの保護を提供した。
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
実施例7.トウモロコシイベントDAS-01131-3の作物圃場評価及び収量圃場評価
DAS-01131-3を含む圃場試験は、収量データを生成し、他の農学的特徴を評価することであった。イベントに関して試験した全ての近交系及び交雑系材料は、単一のT0植物から生成した。
【0223】
交雑系試験
2つのハイブリッド試験を合計26箇所に植え、一方の試験を16箇所、他方の試験を10箇所にし、各箇所にエントリーリストを2つ複製した。26箇所中11箇所から穀粒を採取した。共通のバックグラウンドにおける各エントリーを、2つの試験にわたって合計8名の試験者に交配して、試験用のハイブリッド種子を作製した。実験は、試験品に関して枝分れにし、エントリーは各枝分れの範囲内で無作為化した。各植付け地点において、生育期全体を通じて様々な観察及びデータを収集した。以下の農学的特徴を、野生型エントリー(WT)、又は同じ遺伝学を有するがCry1Daを含まないエントリー(ベース比較対照とも呼ばれる)との比較のために分析した(表15):
1.)花穂高(EARHT):地面から植物上の最も発達した花穂の付着点までの測定。花穂高はインチ単位で測定される。
2.)排出される成長度単位(GDUSHD):測定は、プロット中の植物の50%が花粉を放出している雄穂を有する場合の総累積成長度単位を記録する。1日分は、このデータセットの約1.5度単位の増加である。
3.)絹に対する成長度単位(GDUSLK):測定は、プロット中の植物の50%が露出した絹を有する場合の総累積成長度単位を記録する。1日分は、このデータセットの約1.5度単位の増加である。
4.)稈長(PLTHT):地面から旗葉の基部までのドローンによる測定。稈長はインチ単位で測定される。
5.)水分(MST):収穫時の穀粒水分パーセントの測定。
6.)収量:各プロットから採取した穀粒の記録重量。報告されるブッシェル/エーカー収量の計算は、各試験区の水分測定値で調整することにより行った。
【0224】
近交系試験
近交系試験は、8地点において、各地点2反復のエントリーリストとして植付けを行った。解析のために6箇所から穀粒を採取した。各地点で一方の反復を構築物設計に関して枝分れにした;他方の反復は、完備型乱塊法で植え付けた。近交系試験用に作物栽培学的データ及び観測を収集し、野生型エントリー(WT)又は同じ遺伝子型で形質のないバージョンとの比較のため分析した。近交系試験のために作成されたデータには、以下の農学的形質が含まれた(表16):
1.)花穂高(EARHT):地面から植物上の最も発達した花穂の付着点までの測定。花穂高はインチ単位で測定される。
2.)排出される成長度単位(GDUSHD):測定は、プロット中の植物の50%が花粉を放出している雄穂を有する場合の総累積成長度単位を記録する。このデータセットについて1日換算は約1.5成長度日である。
3.)絹に対する成長度単位(GDUSLK):測定は、プロット中の植物の50%が露出した絹を有する場合の総累積成長度単位を記録する。このデータセットについて1日換算は約1.5成長度日である。
4.)稈長(PLTHT):地面から旗葉の基部までの測定。稈長はインチ単位で測定される。
5.)花穂測光法収量(PHTYLD):各試験区から収穫された花穂の画像からの計算上の収量推定値。示される値の単位はブッシェル/エーカーである。
【0225】
試験結果
交雑系データを評価するため、混合モデルフレームワークを用いて多地点分析を実施した。マルチロケーション分析では、主効果構築物設計は固定効果と見なされる。場所、背景、試験者、イベント、構造物設計による背景、構造物設計による試験者、イベントによる試験者、背景による場所、構造物設計による場所、試験者による場所、構造物設計による背景による場所、構造物設計による試験者による場所、イベントによる場所、イベントによる試験者による場所、及び地点内の反復数についての要因は、ランダムな影響と見なされる。地点の範囲内にある範囲及び試験区を含む空間効果は変量効果と見なし、無関係な空間雑音を除去した。各地点について自己回帰相関をAR1×AR1として不均一な残差を仮定した。各背景について構築物設計の推定及びイベントの予測を生成した。構築物の設計/イベントをWTと比較するために、T検定を行った。差のP値が0.05未満であれば、その差は統計的に有意と見なした。収量分析はASREMLによった(VSN International Ltd;最良線型不偏予測;Cullis,B.Ret al(1998)Biometrics 54:1-18,Gilmour,A.R.et al(2009);ASReml User Guide 3.0,Gilmour,A.R.,et al(1995)Biometrics 51:1440-50)。
【0226】
近交系データを評価するため、混合モデルフレームワークを用いて多地点分析を実施した。マルチロケーション分析では、主効果構築物設計は固定効果と見なされる。地点、背景、イベント、背景×構築物設計、地点×背景、地点×構築物設計、地点×背景×構築物設計、地点×イベント及び地点内の反復数についての要因を変量効果と見なす。地点の範囲内にある範囲及び試験区を含む空間効果は変量効果と見なし、無関係な空間雑音を除去した。各地点について自己回帰相関をAR1×AR1として不均一な残差を仮定した。各背景について構築物設計の推定及びイベントの予測を生成した。T検定を行うことにより、構築物設計/イベントをWTと比較した。差のP値が0.05未満であれば、その差は統計的に有意と見なした。収量分析はASREMLによった(VSN International Ltd;最良線型不偏予測;Cullis,B.Ret al(1998)Biometrics 54:1-18,Gilmour,A.R.et al(2009);ASReml User Guide 3.0,Gilmour,A.R.,et al(1995)Biometrics 51:1440-50)。
【0227】
【0228】
【0229】
実施例8.タンパク質の発現及び濃度
タンパク質抽出
葉試料を、DAS1131トウモロコシの2つの分離世代(BC1F1 [2つのエントリーから構成される])から収集した。各世代から5つの植物について試料を収集した。植物は試料収集時にV9成長段階(すなわち、第9のリーフのカラーが見えるようになると、)にあった。処理された葉組織サブ試料を10mgの目標重量で秤量した。Cry1Da2タンパク質について分析した試料を、ポリソルベート20(PBST)を含有する冷却リン酸緩衝生理食塩水0.60mlで抽出した。DGT-28 EPSPSタンパク質について分析した試料を、90mM HEPES、140mM塩化ナトリウム、1.0%ポリエチレングリコール、1.0% PVP-40、1.0%ウシ血清アルブミン、0.007%チメロサール、0.3%ポリソルベート20及び1.0% Triton X-100で構成されるTriton X-100を含む0.60mlの冷却H5緩衝液で抽出した。抽出した試料を遠心し、次に上清を除去し、分析用に調製した。
【0230】
Cry1Da2及びDGT-28 EPSPSタンパク質の濃度を、方法の適合性を実証するために内部で検証されている特定の定量的酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて決定した。
【0231】
Cry1Da2タンパク質濃度の決定
分析前に、試料をPBSTで適宜希釈した。標準(典型的には3つ組のウェルで分析)及び希釈試料(典型的には2つ組のウェルで分析)を、Cry1Da2特異的抗体でプレコートしたプレート中でインキュベートした。インキュベーション後、未結合の物質をプレートから洗い流した。酵素ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)にコンジュゲートした異なるCry1Da2特異的抗体をプレートに添加し、インキュベートした。未結合の物質をプレートから洗い流した。結合したCry1Da2抗体複合体の検出を、HRPの存在下で着色生成物を生成する基質の添加によって達成した。反応を酸性溶液で停止させ、プレートリーダーを使用して各ウェルの光学密度(OD)を決定した。
【0232】
DGT-28 EPSPSタンパク質濃度の決定
分析の前に、試料をTriton X-100を含むH5緩衝液で適用可能なように希釈した。標準(典型的には3つ組のウェルで分析)及び希釈試料(典型的には2つ組のウェルで分析)を、DGT-28 EPSPS特異的抗体で予めコーティングしたプレートでインキュベートした。インキュベーション後、未結合の物質をプレートから洗い流した。酵素HRPにコンジュゲートした異なるDGT-28 EPSPS特異的抗体をプレートに添加し、インキュベートした。未結合の物質をプレートから洗い流した。結合したDGT-28 EPSPS-抗体複合体の検出は、HRPの存在下で着色生成物を生成する基質の添加によって達成された。酸性溶液で反応を停止させて、各ウェルのODを、プレートリーダーを使用して決定した。
【0233】
タンパク質濃度を決定するための計算
各一組の試料ウェルについて入手されたOD値をタンパク質濃度値に変換するために必要な計算は、SoftMax Pro GxP(Molecular Devices)マイクロプレートデータソフトウェアを使用して実施した。
【0234】
各ELISAプレートには、検量線を含めた。検量線の方程式をソフトウェアによって求め、このソフトウェアは二次関数の当てはめを用いて各一組の検量線ウェルについて入手されたOD値をそれぞれの検量線濃度(ng/ml)に関係付けるものであった。
【0235】
試料濃度値は、内挿された濃度にNを乗算することによって、1:Nとして表される希釈係数に対して調整された。
調整後濃度=補間した試料濃度×希釈係数
【0236】
SoftMax Pro GxPソフトウェアによって求められた調整後試料濃度値を以下のとおりng/mlからng/mg試料重量に変換した。
【数1】
【0237】
結果
タンパク質濃度の結果(平均、標準偏差、及び範囲)を、DAS-01131-3トウモロコシの2つの分離世代(BC1F1 [2つのエントリーから構成される])由来のV9葉組織におけるCry1Da2及びDGT-28 EPSPSタンパク質について決定した。
【0238】
【0239】
本開示の様々な例示される実施形態の上記の説明は、網羅的であること又は範囲を開示される詳細な形態に限定することを意図するものではない。本明細書では、具体的な実施形態及び例が例示を目的として説明されているが、当業者が認識するであろうとおり、本開示の範囲内で様々な均等な改良形態が可能である。本明細書に提供される教示は、上記に説明される例以外の他の目的に適用することができる。上記の教示に鑑みて、多くの改良形態及び変形形態が可能であり、従って、それらは、添付の特許請求の範囲内にある。
【0240】
上記の詳細な説明に鑑みて、これら及び他の変更形態がなされ得る。一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、本明細書及び特許請求の範囲に開示される具体的な実施形態にその範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【0241】
背景、詳細な説明及び実施例において引用される各文献の開示全体(特許、特許出願、ジャーナル論文、抄録、マニュアル、書籍又は他の開示を含む)は、全体として参照により本明細書に援用される。
【0242】
使用される数(例えば、量、温度、濃度等)に関して、正確さを確保するように努めたが、幾らかの実験誤差及び偏差が許容されなければならない。特に指示されない限り、部数は、重量部数であり、分子量は、平均分子量であり;温度は、セルシウス度単位であり;及び圧力は、大気圧又はその近傍の圧力である。
【配列表】
【国際調査報告】