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特表2024-544572ROCK2阻害剤のナノ結晶製剤およびその調製方法
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  • 特表-ROCK2阻害剤のナノ結晶製剤およびその調製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ROCK2阻害剤のナノ結晶製剤およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20241126BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241126BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241126BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241126BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 9/52 20060101ALI20241126BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20241126BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20241126BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P43/00 111
A61K9/10
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/16
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/20
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/04
A61K47/14
A61K9/51
A61K9/52
A61K9/28
A61P43/00 105
A61P11/00
A61P1/16
A61P37/06
A61P31/14
C07D403/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529126
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 CN2022131872
(87)【国際公開番号】W WO2023088231
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111358608.8
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211429651.3
(32)【優先日】2022-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521532455
【氏名又は名称】北京泰徳製薬股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING TIDE PHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】8 East Rongjing St., Beijing Economic Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】盧 迪
(72)【発明者】
【氏名】朱 朝露
(72)【発明者】
【氏名】張 志兵
(72)【発明者】
【氏名】牛 生▲パン▼
(72)【発明者】
【氏名】盧 永傑
(72)【発明者】
【氏名】徐 佳佳
(72)【発明者】
【氏名】張 莎莎
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA30
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA38
4C076AA45
4C076AA53
4C076AA60
4C076AA65
4C076AA67
4C076AA94
4C076BB01
4C076CC07
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC29
4C076CC35
4C076DD26A
4C076DD28A
4C076DD29
4C076DD29A
4C076DD41A
4C076DD44R
4C076DD46A
4C076DD47A
4C076DD57Q
4C076DD67A
4C076DD67Q
4C076EE06Q
4C076EE16B
4C076EE16Q
4C076EE23A
4C076EE23Q
4C076EE30A
4C076EE31A
4C076EE32B
4C076EE32Q
4C076EE38A
4C076FF02
4C076FF04
4C076FF05
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF12
4C076FF13
4C076FF15
4C076FF16
4C076FF25
4C076FF32
4C076FF39
4C076FF52
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA08
4C086MA09
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA03
4C086NA11
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA75
4C086ZB08
4C086ZB21
4C086ZB33
4C086ZC20
(57)【要約】
ROCK2阻害剤および安定剤を含むナノ結晶製剤およびその調製方法。本発明は、選択された疾患および病状、特に特発性肺線維症、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病、またはウイルス感染などの疾患の予防、軽減、および/または治療におけるナノ結晶製剤の使用にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ROCK2阻害剤および安定剤を含むナノ結晶製剤であって、前記ROCK2阻害剤が、式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
環Aは、
【化2】
であり、ここで上記の基は、*または**で標識された2つの位置のうちの1つを通じてピリミジン環に結合し、もう一方の位置でカルボニル基に結合し;
およびR10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C3-10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール、5~14員ヘテロアリール、C6-12アラルキル、-C(=O)R、および-C1-6アルキレン-O(P=O)(OH)から選択され;
mは、それぞれ独立して、0、1、2、または3の整数であり;
nは、それぞれ独立して、0、1、または2の整数であり;
あるいは、環Aは、
【化3】
であり、ここで上記の基は、*で標識された位置でピリミジン環に結合し、**で標識された位置でカルボニル基に結合し、R10は、HおよびC1-6アルキルから選択されるか、あるいはHまたはメチルであり;
Rは、HおよびC1-6アルキルから選択され;
は、
【化4】
であり;
は、HおよびC1-6アルキルから選択され;
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-NR、-OH、C1-6アルキル、および-ORから選択され;
前記アルキレン、アルキル、アルケニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキル基は、それぞれ、ハロゲン、C1-6アルキル、および-ORから独立して選択される1つ以上の置換基で適宜置換されてもよく;
およびRは、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル、C3-10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール、5~14員ヘテロアリール、およびC6-12アラルキルから選択される]
またはその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、多形体、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識された誘導体、代謝産物もしくはプロドラッグである、ナノ結晶製剤。
【請求項2】
前記ROCK2阻害剤が、式(II)の化合物:
【化5】
[式中、それぞれの基は、請求項1で定義されるとおりである]
またはその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、多形体、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識された誘導体、代謝産物もしくはプロドラッグである、請求項1に記載のナノ結晶製剤。
【請求項3】
前記ROCK2阻害剤が、式(III)の化合物:
【化6】
[式中、R10はHまたはメチルであるか、あるいはR10はメチルである]
またはその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、多形体、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識された誘導体、代謝産物もしくはプロドラッグである、請求項1または2に記載のナノ結晶製剤。
【請求項4】
前記ROCK2阻害剤が、式(IV)の化合物:
【化7】
またはその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、多形体、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識された誘導体、代謝産物もしくはプロドラッグである、請求項1~3のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項5】
前記安定剤が、ポリソルベート、ポビドン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポロクサマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ポリエチレングリコール15-ヒドロキシステアリン酸、ポリオキシエチレンヒマシ油、コポビドン、ラクトース、およびマンニトールのうちの1つ以上から選択される;
あるいは、前記安定剤が、ポリソルベート、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール6000、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポロクサマーおよびラウリル硫酸ナトリウム、ラクトースおよびマンニトールのうちの1つ以上から選択される、
請求項1~4のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項6】
前記ナノ結晶製剤の粒子径D90が、50~1500nm、あるいは50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは80~300nm、あるいは50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、または1000nmである、請求項1~5のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項7】
前記ROCK2阻害剤の重量パーセントが、1%~55%、あるいは4%~50%、あるいは1%~10%、あるいは10%~40%、あるいは10%~35%、あるいは20%~30%、あるいは30%~40%、あるいは4%、4.5%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%である、請求項1~6のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項8】
前記安定剤の重量パーセントが、0.1%~55%、あるいは0.1%~30%、あるいは0.5%~1%、1%~10%、10%~20%、または20%~30%、あるいは1%、2%、5%、10%、15%、20%、または30%である、請求項1~7のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項9】
前記ROCK2阻害剤対前記安定剤の重量比が、1:10~10:1、あるいは1:9~9:1、あるいは1:8~8:1、あるいは1:7~7:1、あるいは1:6~6:1、あるいは1:5~5:1、あるいは1:4~4:1、あるいは1:3~3:1、あるいは1:2~2:1、あるいは1:1である;
あるいは、前記ROCK2阻害剤対前記安定剤の重量比が、4:1~1:1または1:1~1:2、あるいは5:4、5:3、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、または1:3である、
請求項1~8のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項10】
賦形剤を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項11】
前記賦形剤が、増量剤;湿潤剤;甘味剤または風味剤;界面活性剤;結合剤;崩壊剤;滑沢剤;流動促進剤または粘着防止剤;放出調節剤;コーティング剤;乳化剤;可溶化剤;および香料のうちの1つ以上から選択される、請求項10に記載のナノ結晶製剤。
【請求項12】
前記賦形剤が、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、デキストリン、リン酸カルシウム二水和物、および無水リン酸水素カルシウムのうちの1つ以上から選択される増量剤を含む、請求項10または11に記載のナノ結晶製剤。
【請求項13】
前記賦形剤が、増量剤を含み、前記増量剤の量が、1%~80%、あるいは20%~70%、あるいは30%~60%または50%~70%である、請求項10~12のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項14】
前記賦形剤が、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、微粉末シリカゲル、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、およびポリエチレングリコールのうちの1つ以上から選択される滑沢剤を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項15】
前記賦形剤が、滑沢剤を含み、前記滑沢剤の量が、0.1%~5%、あるいは0.1%~1.5%、あるいは0.5%~1%である、請求項11~14のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項16】
前記賦形剤が、クロスカルメロースナトリウムおよびクロスポビドンのうちの1つまたは2つから選択される崩壊剤を含み;
あるいは、前記崩壊剤の量が、0~20%、あるいは0~10%、あるいは2~10%である、請求項11~15のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項17】
前記賦形剤が、二酸化ケイ素から選択される流動促進剤を含み;
あるいは、前記流動促進剤の量が、0~20%、あるいは0~15%、あるいは2~12%である、請求項11~16のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項18】
溶媒をさらに含む、請求項1~17のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤であって、
あるいは、前記溶媒が、水、あるいは精製水であり;
あるいは、前記溶媒の量が、0~99%、あるいは80~99%、あるいは85%~95%である、ナノ結晶製剤。
【請求項19】
静菌剤をさらに含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤であって、
あるいは、前記静菌剤が、メチルパラベンおよびプロピルパラベンのうちの1つまたは2つから選択され;
あるいは、前記静菌剤の量が、0~5%、あるいは0~1%、あるいは0.01%~0.5%である、ナノ結晶製剤。
【請求項20】
懸濁液、錠剤、カプセル、顆粒剤、散剤、トローチ剤、および丸剤から選択される;
あるいは、懸濁液、錠剤、またはカプセルである、請求項1~19のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項21】
1~10%のROCK2阻害剤、あるいは1%、2%、3%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%のROCK2阻害剤、あるいは4%、4.5%、または5%のROCK2阻害剤;および
1~10%の安定剤、あるいは1%、1.5%、2%、2.5%、5%、9%、9.5%、または10%の安定剤
を含む懸濁液である、請求項1~20のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項22】
前記ナノ結晶が、11.13gのROCK2阻害剤、0.77gのポリソルベート80、5.00gのポビドンK29/32、および233.10gの精製水を含む懸濁液であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nmである、請求項21に記載のナノ結晶製剤。
【請求項23】
前記ナノ結晶が、11.13gのROCK2阻害剤、0.77gのポリソルベート80、2.50gのポビドンK29/32、および235.60gの精製水を含む懸濁液であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nmである、請求項21に記載のナノ結晶製剤。
【請求項24】
前記ナノ結晶が、11.13gのROCK2阻害剤、0.77gのポリソルベート80、2.50gのヒプロメロース、および235.60gの精製水を含む懸濁液であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nmである、請求項21に記載のナノ結晶製剤。
【請求項25】
前記ナノ結晶が、11.13gのROCK2阻害剤、0.77gのポリソルベート80、5.00gのヒプロメロース、および233.10gの精製水を含む懸濁液であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nmである、請求項21に記載のナノ結晶製剤。
【請求項26】
前記ナノ結晶が、250.08gのROCK2阻害剤、17.40gのポリソルベート80、111.60gのポビドンK29/32、10.00gのメチルパラベン、1.10gのプロピルパラベン、および5189.82gの精製水を含む懸濁液であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nmである、請求項21に記載のナノ結晶製剤。
【請求項27】
前記ナノ結晶が、55.19gのROCK2阻害剤、18.61gのポリソルベート80、99.25gのポリオキシエチレンヒマシ油、2.23gのメチルパラベン、0.25gのプロピルパラベン、および1065.09gの精製水を含む懸濁液であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項21に記載のナノ結晶製剤。
【請求項28】
10~30%のROCK2阻害剤、あるいは20~30%のROCK2阻害剤、あるいは20%、22%、25%、28%、または30%のROCK2阻害剤;
1~20%の安定剤、あるいは5~20%の安定剤、あるいは5%、8%、10%、13%、15%、18%、または20%の安定剤
を含む錠剤である、請求項1~20のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項29】
前記ナノ結晶が、11.70gのROCK2阻害剤、3.15gのポリソルベート80、5.26gのラクトース、1.05gのポリエチレングリコール6000、16.03gのマンニトール、4.94gの二酸化ケイ素、2.47gのラウリル硫酸ナトリウム、2.96gの微結晶セルロース、2.96gのクロスカルメロースナトリウム、および0.32gのステアリン酸マグネシウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項28に記載のナノ結晶製剤。
【請求項30】
前記ナノ結晶が、32.71gのROCK2阻害剤、14.81gのポリソルベート80、14.71gのラクトース、2.94gのポリエチレングリコール6000、43.63gのマンニトール、16.00gの二酸化ケイ素、8.00gのラウリル硫酸ナトリウム、12.80gの微結晶セルロース、12.80gのクロスカルメロースナトリウム、および1.60gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項28に記載のナノ結晶製剤。
【請求項31】
前記ナノ結晶が、3.34gのROCK2阻害剤、0.89gのポリソルベート80、1.80gのラクトース、0.30gのポリエチレングリコール6000、0.75gの二酸化ケイ素、0.75gのラウリル硫酸ナトリウム、5.82gの微結晶セルロース、1.20gのクロスカルメロースナトリウム、および0.15gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項28に記載のナノ結晶製剤。
【請求項32】
前記ナノ結晶が、3.34gのROCK2阻害剤、0.89gのポリソルベート80、1.80gのラクトース、0.30gのポリエチレングリコール6000、0.75gの二酸化ケイ素、0.45gのラウリル硫酸ナトリウム、4.50gの微結晶セルロース、1.62gのアルファ化デンプン、1.20gのクロスカルメロースナトリウム、および0.15gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項28に記載のナノ結晶製剤。
【請求項33】
前記ナノ結晶が、11.14gのROCK2阻害剤、2.97gのポリソルベート80、6.01gのラクトース、1.00gのポリエチレングリコール6000、1.00gの二酸化ケイ素、27.38gの噴霧乾燥マンニトール、および0.50gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項28に記載のナノ結晶製剤。
【請求項34】
前記ナノ結晶が、111.20gのROCK2阻害剤、30.04gのポリソルベート80、59.99gのラクトース、10.00gのポリエチレングリコール6000、10.00gの二酸化ケイ素、273.78gの噴霧乾燥マンニトール、および5.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項28に記載のナノ結晶製剤。
【請求項35】
10~30%のROCK2阻害剤、あるいは20~30%のROCK2阻害剤、あるいは20%、22%、25%、28%、または30%のROCK2阻害剤;
10~30%の安定剤、あるいは20~30%の安定剤、あるいは20%、22%、25%、28%、または30%の安定剤
を含む錠剤である、請求項1~20のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項36】
前記ナノ結晶が、22.22gのROCK2阻害剤、20.00gのポリソルベート80、54.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項35に記載のナノ結晶製剤。
【請求項37】
前記ナノ結晶が、22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、20.00gのポビドンK29/32、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項35に記載のナノ結晶製剤。
【請求項38】
前記ナノ結晶が、22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、20.00gのポリエチレングリコール6000、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項35に記載のナノ結晶製剤。
【請求項39】
前記ナノ結晶が、22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、20.00gのポロクサマー188、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項35に記載のナノ結晶製剤。
【請求項40】
前記ナノ結晶が、22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、20.00gのポリビニルアルコール、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項35に記載のナノ結晶製剤。
【請求項41】
前記ナノ結晶が、22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、16.00gのポビドンK29/32、4.00gのポロクサマー188、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項35に記載のナノ結晶製剤。
【請求項42】
前記ナノ結晶が、22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、4.00gのポビドンK29/32、16.00gのポロクサマー188、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項35に記載のナノ結晶製剤。
【請求項43】
前記ナノ結晶が、22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、10.00gのポビドンK29/32、10.00gのポロクサマー188、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項35に記載のナノ結晶製剤。
【請求項44】
10~50%のROCK2阻害剤、あるいは20~40%のROCK2阻害剤、あるいは20%、25%、30%、35%、または40%のROCK2阻害剤;
10~40%の安定剤、あるいは20~30%の安定剤、あるいは20%、22%、25%、28%、または30%の安定剤
を含むカプセルである、請求項1~20のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項45】
前記ナノ結晶が、22.20gのROCK2阻害剤、6.00gのポリソルベート80、8.00gのポビドンK29/32、4.00gのポロクサマー、および20.00gのマンニトールを含むカプセルであり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項44に記載のナノ結晶製剤。
【請求項46】
前記ナノ結晶が、4.45gのROCK2阻害剤、1.20gのポリソルベート80、1.20gのポビドンK32/29、0.80gのポロクサマー188、および6.80gのマンニトールを含むカプセルであり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項44に記載のナノ結晶製剤。
【請求項47】
腸溶コーティング錠剤および腸溶カプセルから選択されるナノ結晶腸溶製剤である、請求項1~19のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項48】
ナノ結晶腸溶コーティング錠剤である、請求項47に記載のナノ結晶製剤であって、腸溶コーティング材料が、セラック、ポリビニルアルコールアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸共重合体、セルロースおよびその誘導体(セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HPMCP))、およびアクリル樹脂(EuS100、EuL100)のうちの1つ以上から選択される、ナノ結晶製剤。
【請求項49】
ナノ結晶腸溶カプセルである、請求項47に記載のナノ結晶製剤であって、前記腸溶カプセルが、ゼラチン腸溶カプセルまたはヒプロメロース腸溶カプセルから選択され、カプセル材料の組成が、セラック、ポリビニルアルコールアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸共重合体、セルロースおよびその誘導体(セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HPMCP))、およびアクリル樹脂(EuS100、EuL100)のうちの1つ以上から選択される、ナノ結晶製剤。
【請求項50】
1~20%のROCK2阻害剤、あるいは5~15%のROCK2阻害剤、あるいは5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%のROCK2阻害剤;および
1~90%の安定剤、あるいは10~40%の安定剤、あるいは15~25%の安定剤、例えば、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%の安定剤
を含むナノ結晶腸溶コーティング錠剤である、請求項1~19および47~48のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項51】
5.56gのROCK2阻害剤、1.50gのポリソルベート80、1.00gのポロクサマー、1.50gのポビドンK29/32、5.00gのマンニトール、1.00gの二酸化ケイ素、4.00gのクロスポビドン、29.94gの微結晶セルロース、0.50gのステアリン酸マグネシウム、および5gのフィルムコーティングプレミックス(腸溶型)を含むナノ結晶腸溶コーティング錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項50に記載のナノ結晶製剤。
【請求項52】
5.56gのROCK2阻害剤、1.50gのポリソルベート80、1.00gのポロクサマー、1.50gのポビドンK29/32、38.94gのマンニトール、1.00gの二酸化ケイ素、0.50gのステアリン酸マグネシウム、および5gのフィルムコーティングプレミックス(腸溶型)を含むナノ結晶腸溶コーティング錠剤であり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項50に記載のナノ結晶製剤。
【請求項53】
5~30%のROCK2阻害剤、あるいは10~20%のROCK2阻害剤、あるいは10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%のROCK2阻害剤;および
10~50%の安定剤、あるいは20~40%の安定剤、あるいは30~40%の安定剤、例えば、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、または40%の安定剤
を含むナノ結晶腸溶カプセルである、請求項1~19、47、および49のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤。
【請求項54】
11.1gのROCK2阻害剤、3.0gのポリソルベート80、2.0gのポロクサマー、3.0gのポビドンK29/32、20.0gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、8.0gのクロスポビドン、29.9gの微結晶セルロース、1.0gのステアリン酸マグネシウム、および腸溶カプセルを含むナノ結晶腸溶カプセルであり、あるいは、前記ROCK2阻害剤の粒子径が、50~1000nm、あるいは50~500nm、あるいは50~300nm、あるいは50~150nmである、請求項53に記載のナノ結晶製剤。
【請求項55】
前記ROCK2阻害剤および前記安定剤を粉砕することを含む、請求項1~54のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤の調製方法。
【請求項56】
粉砕中における前記ROCK2阻害剤対前記安定剤の重量比が、1:15~15:1、1:14~14:1、1:13~13:1、1:12~12:1、1:11~11:1、1:10~10:1、1:9~9:1、1:8~8:1、1:7~7:1、1:6~6:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、1:2~2:1、1:1である;
あるいは、粉砕中における前記ROCK2阻害剤対前記安定剤の重量比が、15:1~2:1、あるいは15:1、10:1、10:3、5:1、4:1、3:1、または2:1である、
請求項55に記載の調製方法。
【請求項57】
粉砕媒体が、磁製ボール、ガラス球、ジルコニアビーズ、鋼球、またはアイスビーズから選択される;
あるいは、粉砕媒体が、ジルコニアビーズである、請求項55~56のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項58】
前記粉砕媒体の粒子径が、0.1~1mm、あるいは0.1~0.5mm、あるいは0.2mmである、請求項55~57のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項59】
粉砕時間が、0.1~6時間、あるいは0.5~6時間、あるいは4~6時間、あるいは10分、20分、30分、40分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、または6時間である、請求項55~58のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項60】
粉砕速度が、1000~6000rpm、あるいは1500rpm~4500rpm、あるいは1500rpm、2000rpm、2500rpm、3000rpm、3500rpm、4000rpm、4500rpm、5000rpm、5500rpm、または6000rpmである、請求項55~59のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項61】
粉砕ビーズの充填量が、50%~95%、あるいは70%~90%、あるいは70%、80%、または90%である、請求項55~60のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項62】
前記ROCK2阻害剤および前記安定剤の粉砕前に予粉砕工程をさらに含む、請求項55~61のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項63】
予粉砕速度が、3000~6000rpm、あるいは3000rpm、3500rpm、4000rpm、4500rpm、5000rpm、5500rpm、または6000rpm、あるいは4000rpmであり;
予粉砕時間が、1~30分、あるいは2~20分、あるいは3分、4分、5分、6分、8分、10分、12分、15分、18分、または20分、あるいは5分である、
請求項62に記載の調製方法。
【請求項64】
安定剤および/または賦形剤が、粉砕後に適宜添加されてもよい、請求項55~63のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項65】
前記安定剤が、ポリソルベート、ポビドン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポロクサマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ポリエチレングリコール15-ヒドロキシステアリン酸、ポリオキシエチレンヒマシ油、コポビドン、ラクトース、およびマンニトールのうちの1つ以上から選択される;
あるいは、前記安定剤が、ポビドンK29/32、ポロクサマー188、ポリビニルアルコール、ラクトース、およびマンニトールから選択される;
あるいは、前記安定剤が、1:10~10:1、あるいは1:9~9:1、あるいは1:8~8:1、あるいは1:7~7:1、あるいは1:6~6:1、あるいは1:5~5:1、あるいは1:4~4:1、あるいは1:3~3:1、あるいは1:2~2:1、あるいは1:1;あるいは、1:4、4:1、または1:1の混合比を有する、ポビドンK29/32およびポロクサマー188の混合物である、
請求項64に記載の調製方法。
【請求項66】
対象に、治療有効量の請求項1~54のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤または請求項55~65のいずれか1項に記載の方法によって調製されるナノ結晶製剤を投与することを特徴とする、特発性肺線維症、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病、またはウイルス感染を予防、軽減、および/または治療する方法であって;
あるいは、前記方法が、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎を予防、軽減、および/または治療する方法あり;
あるいは、前記脂肪肝疾患が、アルコール性脂肪肝疾患(ALFD)または非アルコール性脂肪肝疾患(NALFD)であり、前記脂肪性肝炎が、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、前記造血幹細胞移植が、同種造血幹細胞移植であり、前記移植片対宿主病が、急性移植片対宿主病または慢性移植片対宿主病であり、前記ウイルス感染が、コロナウイルス感染であり;
あるいは、前記コロナウイルスが、SARA-CoV、SARA-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、およびHCoV-HKU1から選択され;
あるいは、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患が、中東呼吸器症候群、重症急性呼吸器症候群、またはCOVID-19であり;
あるいは、前記コロナウイルスが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2であり、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患が、COVID-19である、方法。
【請求項67】
特発性肺線維症、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病、またはウイルス感染の予防、軽減、および/または治療に使用するための、請求項1~54のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤または請求項55~65のいずれか1項に記載の方法によって調製されるナノ結晶製剤であって;
あるいは、前記ナノ結晶製剤が、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎の予防、軽減、および/または治療のために使用され;
あるいは、前記脂肪肝疾患が、アルコール性脂肪肝疾患(ALFD)または非アルコール性脂肪肝疾患(NALFD)であり、前記脂肪性肝炎が、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、前記造血幹細胞移植が、同種造血幹細胞移植であり、前記移植片対宿主病が、急性移植片対宿主病または慢性移植片対宿主病であり、前記ウイルス感染が、コロナウイルス感染であり;
あるいは、前記コロナウイルスが、SARA-CoV、SARA-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、およびHCoV-HKU1から選択され;
あるいは、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患が、中東呼吸器症候群、重症急性呼吸器症候群、またはCOVID-19であり;
あるいは、前記コロナウイルスが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2であり、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患が、COVID-19である、ナノ結晶製剤。
【請求項68】
特発性肺線維症、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病、またはウイルス感染を予防、軽減、および/または治療するための薬剤の製造における、請求項1~54のいずれか1項に記載のナノ結晶製剤または請求項55~65のいずれか1項に記載の方法によって調製されるナノ結晶製剤の使用であって;
あるいは、前記使用が、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎を予防、軽減、および/または治療するための薬剤の製造における使用であり;
あるいは、前記脂肪肝疾患が、アルコール性脂肪肝疾患(ALFD)または非アルコール性脂肪肝疾患(NALFD)であり、前記脂肪性肝炎が、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、前記造血幹細胞移植が、同種造血幹細胞移植であり、前記移植片対宿主病が、急性移植片対宿主病または慢性移植片対宿主病であり、前記ウイルス感染が、コロナウイルス感染であり;
あるいは、前記コロナウイルスが、SARA-CoV、SARA-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、およびHCoV-HKU1から選択され;
あるいは、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患が、中東呼吸器症候群、重症急性呼吸器症候群、またはCOVID-19であり;
あるいは、前記コロナウイルスが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2であり、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患が、COVID-19である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医薬分野に関する。具体的には、本開示はROCK2阻害剤のナノ結晶製剤およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特発性肺線維症(IPF)は、肺組織線維症ならびに肺機能の低下および喪失を主な臨床的特徴として伴う、進行性の呼吸器疾患である。生存期間中央値は2.5~3年である。ROCK2標的薬に対して、米国はIPFについての第II相臨床試験を実施しており(Kadmon Holdings, Inc.)、予備的結果はIPFの治療におけるROCK2阻害剤の安全性および有効性を裏付ける。
【0003】
[6-[4-[[4-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]アミノ]ピリミジン-2-イル]-1-メチル-1H-インドール-2-イル](3,3-ジフルオロアゼチジン-1-イル)メタノンは、Beijing Tide Pharmaceutical Co., Ltdによって完全に独立に開発された、新しい標的および新しい構造型を有する新しいタイプの高選択的ROCK2阻害剤である。患者コンプライアンスの観点から、経口製剤がIPFの治療に選択される。標的についてのその高い選択性が安全性リスクを大きく減少させる。当社は米国でこの化合物の特許を取得しており、中国、欧州連合、日本、韓国、インド、カナダ、オーストラリアならびにその他の国および地域で化合物特許を申請している。
【0004】
[6-[4-[[4-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]アミノ]ピリミジン-2-イル]-1-メチル-1H-インドール-2-イル](3,3-ジフルオロアゼチジン-1-イル)メタノンは、溶解率の低い淡黄色から黄色の固体粉末で、pH1.0~pH6.8の水および緩衝塩溶液に不溶である。それは物性が悪く、粘着性が高く、静電気を起こしやすく、凝集しやすい。したがって、如何にして化合物の製剤を調製し、製品の溶解を改善させるかが、当業者の解決するべき喫緊の技術的課題となっている。
【発明の概要】
【0005】
本開示の目的は、ROCK2阻害剤の溶解を改善するために、ROCK2阻害剤のナノ結晶製剤およびその調製方法を提供することである。具体的な技術的解決策は以下のとおりである。
【0006】
本開示は、第一に、ROCK2阻害剤および安定剤を含むナノ結晶製剤であって、前記ROCK2阻害剤が、式(I)の化合物:
【化1】
[式中、
環Aは、
【化2】
であり、ここで上記の基は、*または**で標識された2つの位置のうちの1つを通じてピリミジン環に結合し、もう一方の位置でカルボニル基に結合し;
およびR10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C3-10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール、5~14員ヘテロアリール、C6-12アラルキル、-C(=O)R、および-C1-6アルキレン-O(P=O)(OH)から選択され;
mは、それぞれ独立して、0、1、2、または3の整数であり;
nは、それぞれ独立して、0、1、または2の整数であり;
好ましくは、環Aは、
【化3】
であり、ここで上記の基は、*で標識された位置でピリミジン環に結合し、**で標識された位置でカルボニル基に結合し、R10は、HおよびC1-6アルキルから選択されるか、好ましくはHまたはメチルであり;
Rは、HおよびC1-6アルキルから選択され;
は、
【化4】
であり;
は、HおよびC1-6アルキルから選択され;
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-NR、-OH、C1-6アルキル、および-ORから選択され;
前記アルキレン、アルキル、アルケニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキル基は、それぞれ、ハロゲン、C1-6アルキル、および-ORから独立して選択される1つ以上の置換基で適宜置換されてもよく;
およびRは、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル、C3-10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール、5~14員ヘテロアリール、およびC6-12アラルキルから選択される]
またはその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、多形体、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識された誘導体、代謝産物もしくはプロドラッグである、ナノ結晶製剤を提供する。
【0007】
本開示は、ROCK2阻害剤および安定剤を粉砕することを含む、ナノ結晶製剤の調製方法も提供する。
【0008】
本開示のもう一つの目的は、特発性肺線維症の予防、軽減、および/または治療における、ナノ結晶製剤の方法および使用である。
【0009】
本開示のその他の目的は、文脈および実施例から当業者にとって自明である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の実施例および先行技術の技術的解決策をより明瞭に説明するために、実施例および先行技術で使用する必要のある図面が以下で簡潔に紹介される。明らかに、以下の説明における図面は、本開示の実施例を示すに過ぎない。当業者にとって、その他の図面もまた、創造的な労力を行使することなく、これらの図面に基づいて得ることができる。
図1図1および図2は、本開示の比較例1~3の溶解曲線を示す。
図2図1および図2は、本開示の比較例1~3の溶解曲線を示す。
図3図3は、本開示の実施例8~9および比較例の溶解曲線を示す。
図4図4~6はそれぞれ、本開示の実施例8のナノ懸濁液、実施例10~15のナノ結晶錠剤、および比較例の溶解曲線である。
図5図4~6はそれぞれ、本開示の実施例8のナノ懸濁液、実施例10~15のナノ結晶錠剤、および比較例の溶解曲線である。
図6図4~6はそれぞれ、本開示の実施例8のナノ懸濁液、実施例10~15のナノ結晶錠剤、および比較例の溶解曲線である。
図7図7は、本開示の実施例8のナノ懸濁液、実施例15のナノ結晶錠剤、実施例24~25のナノ結晶カプセル、および比較例の溶解曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
以下で別段の定義がされない限り、本明細書で使用される全ての技術的用語および科学的用語は、一般的に当業者によって理解されるのと同じ意味を有することが意図される。本明細書で使用される技術への言及は、当業者にとって自明であろう技術的バリエーションまたは同等の技術を含む、当技術分野で一般に理解されるような技術を指すことが意図される。以下の用語は当業者によって十分に理解されると考えられるが、以下の定義は本開示をより良く説明するために記載される。
【0012】
「ナノ結晶」という用語は、ナノ結晶およびナノ懸濁液の両方を指し、安定剤の存在下で水中に分散しているナノスケールの薬物粒子によって形成される、安定なコロイド分散系を表す。
【0013】
本明細書における「含む(include)」、「含む(comprise)」、「有する(have)」、「含有する(contain)」、または「関与する(involve)」、およびそれらのその他の変化形は、包括的またはオープンエンドであり、その他の列挙されない要素または方法の工程は除外されない。
【0014】
本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、二価の飽和炭化水素基、好ましくは1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する二価の飽和炭化水素基(メチレン、エチレン、プロピレン、またはブチレンなど)を指す。
【0015】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖飽和脂肪族炭化水素として定義される。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~12個(1~6個など)の炭素原子を有する。例えば、本明細書で使用される「C1-6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、またはn-ヘキシル)を指し、ハロゲンなどの1個以上(例えば1~3個)の適当な置換基で適宜置換されてもよい(この場合、当該基は「ハロアルキル」と呼ばれる)(例えば、CHF、CHF、CF、CCl、C、CCl、CHCF、CHCl、または-CHCHCFなど)。「C1-4アルキル」という用語は、1~4個の炭素原子の直鎖または分枝鎖脂肪族炭化水素鎖(すなわち、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、またはtert-ブチル)を指す。
【0016】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、1つの二重結合を含み、2~6個の炭素原子を有する一価の直鎖または分枝鎖炭化水素基(「C2-6アルケニル」)を意味する。アルケニル基は、例えば、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、2-メチル-2-プロペニル、および4-メチル-3-ペンテニルである。本開示の化合物がアルケニレン基を含む場合、化合物は、純粋なE(entgegen)体、純粋なZ(zusammen)体、またはあらゆるそれらの混合物で存在してもよい。
【0017】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、一つ以上の三重結合を含み、好ましくは2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する一価の炭化水素基(エチニルまたはプロピニルなど)を意味する
【0018】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、飽和単環式または多環式(二環式など)炭化水素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニルなどの単環式環またはスピロ、縮合、もしくは架橋系(ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、またはビシクロ[5.2.0]ノニル、デカヒドロナフチルなど)を含む二環式環)を指し、1つ以上の(1~3個などの)適当な置換基で適宜置換されてもよい。シクロアルキル基は3~15個の炭素原子を有する。例えば、「C3-6シクロアルキル」という用語は、3~6個の環形成炭素原子を有する飽和単環式または多環式(二環式など)炭化水素環(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルなど)を指し、1つ以上の(1~3個などの)適当な置換基で適宜置換されてもよく、例えばメチル置換シクロプロピルがある。
【0019】
本明細書で使用される「カルボシクリレン」、「カルボシクリル」、および「炭素環」という用語は、例えば、3~10個(好ましくは3~8個、さらに好ましくは3~6個)の環炭素を有する、飽和(すなわち、「シクロアルキレン」および「シクロアルキル」)または不飽和(すなわち、1つ以上の二重および/または三重結合を環内に有する)単環式または多環式炭化水素環を指し、これらに限らないが、シクロプロピル/レン/環、シクロブチル/レン/環、シクロペンチル/レン/環、シクロヘキシル/レン/環、シクロヘプチル/レン/環、シクロオクチル/レン/環、シクロノニル/レン/環、シクロヘキセニル/レン/環などが挙げられる。
【0020】
本明細書で使用される「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリレン」、および「ヘテロ環」という用語は、例えば、3~10個(好ましくは3~8個、さらに好ましくは3~6個)の環原子を有し、少なくとも1つの環原子がN、O、およびSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子がCである、飽和(すなわち、ヘテロシクロアルキル)または部分的不飽和(すなわち、一つ以上の二重および/または三重結合を環内に有する)環基を指す。例えば、「3~10員ヘテロ環(ヘテロシクリル)(ヘテロシクリレン)」は、2~9個(2、3、4、5、6、7、8、または9個など)の環炭素原子ならびにN、O、およびSから独立して選択される1つ以上(1、2、3、または4個など)のヘテロ原子を有する、飽和または部分的不飽和ヘテロ環(ヘテロシクリル)(ヘテロシクリレン)である。ヘテロシクリレンおよびヘテロ環(ヘテロシクリル)の例には、オキシラニル/レン、アジリジニル/レン、アゼチジニル/レン、オキセタニル/レン、テトラヒドロフラニル/レン、ジオキソリニ/レン、ピロリジニル/レン、ピロリドニル/レン、イミダゾリジニル/レン、ピラゾリジニル/レン、ピロリニル/レン、テトラヒドロピラニル/レン、ピペリジニル/レン、モルホリニル/レン、ジチアニル/レン、チオモルホリニル/レン、ピペラジニル/レン、またはトリチアニル/レンが挙げられるが、これらに限らない。当該基は、スピロ、縮合、または架橋系を含む二環式系(8-アザスピロ[4.5]デカン、3,9-ジアザスピロ[5.5]ウンデカン、2-アザビシクロ[2.2.2]オクタンなど)も包含する。ヘテロシクリレンおよびヘテロ環(ヘテロシクリル)は、1つ以上(1、2、3、または4個など)の適当な置換基で適宜置換されてもよい。
【0021】
本明細書で使用される「アリール/レン」および「芳香環」という用語は、共役π電子系を有する全炭素単環式または縮合多環式芳香族基を指す。例えば、本明細書で使用される「C6-10アリール/レン」および「C6-10芳香環」という用語は、6~10個の炭素原子を含む芳香族基(フェニル(レン)(ベンゼン環)またはナフチル(レン)(ナフタレン環)など)を指す。アリール/レンおよび芳香環は、1つ以上(1~3個など)の適当な置換基(例えば、ハロゲン、-OH、-CN、-NO、C1-6アルキルなど)で適宜置換されてもよい。
【0022】
本明細書で使用される「ヘテロアリール/レン」および「ヘテロアリール環」という用語は、5、6、8、9、10、11、12、13、または14個の環原子、特に1または2または3または4または5または6または9または10個の炭素原子を有し、同じでも異なっていてもよい少なくとも1つのヘテロ原子(例えば酸素、窒素、または硫黄)を含む、単環式、二環式、または三環式芳香環系を指し、いずれの場合においてもベンゾ縮合であってもよい。特に、「ヘテロアリール/レン」または「ヘテロアリール環」は、チエニル/レン、フリル/レン、ピロリル/レン、オキサゾリル/レン、チアゾリル/レン、イミダゾリル/レン、ピラゾリル/レン、イソオキサゾリル/レン、イソチアゾリル/レン、オキサジアゾリル/レン、トリアゾリル/レン、チアジアゾリル/レンなど、およびそれらのベンゾ誘導体;またはピリジル/レン、ピリダジニル/レン、ピリミジニル/レン、ピラジニル/レン、トリアジニル/レンなど、およびそれらのベンゾ誘導体から選択される。
【0023】
本明細書で使用される「アラルキル」という用語は、好ましくはアリールまたはヘテロアリール置換アルキル基を意味し、ここで、アリール、ヘテロアリール、およびアルキルは本明細書で定義されるとおりである。一般に、前記アリール基は、6~14個の炭素原子を有する場合があり、前記ヘテロアリール基は、5~14個の環原子を有する場合があり、前記アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する場合がある。代表的なアラルキル基には、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、およびフェニルブチルが挙げられるが、これらに限らない。
【0024】
本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」基という用語は、F、Cl、Br、またはIを含むように定義される。
【0025】
本明細書で使用される「窒素含有ヘテロ環」という用語は、環中に2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13個の炭素原子および少なくとも1つの窒素原子を有し、窒素含有ヘテロ環中の窒素原子および任意の残りの環原子を介して分子の残りの部分に結合する、N、O、C=O、S、S=O、およびS(=O)から選択される1つ以上(1、2、3、または4個など)の環員も適宜含んでよい、飽和または不飽和単環式または二環式基を指す。窒素含有ヘテロ環式環は、適宜ベンゾ縮合されてもよく、好ましくは、窒素含有ヘテロ環式環中の窒素原子および縮合ベンゼン環中の任意の炭素原子を介して分子の残りの部分に結合する。
【0026】
「置換された」という用語は、指定された原子上の1つ以上(例えば、1、2、3、または4個)の水素が特定の基からの選択によって置換されることを意味するが、ただし、現状における指定された原子の通常の原子価を超えず、置換が安定化合物を形成することを条件とする。置換基および/または変数の組み合わせは、かかる組み合わせが安定化合物を形成する場合のみ許容される。
【0027】
置換基が「適宜置換されてもよい」と記載されている場合、該置換基は(1)非置換であっても(2)置換されていてもよい。置換基の炭素が置換基のリストの中の1つ以上によって適宜置換されていてもよいと記載されている場合、その炭素上の1つ以上の水素は(存在する水素の範囲内で)、独立して選択される任意選択的な置換基によって、独立して、および/またはまとめて置換され得る。置換基の窒素が、列挙される置換基のうちの1つ以上によって適宜置換されていてもよいと記載されている場合、その窒素上の1つ以上の水素は(存在する水素の範囲内で)、独立して選択される任意選択的な置換基によって、それぞれ置換され得る。
【0028】
置換基が「~から独立して選択される」と記載されている場合、各置換基は他と無関係に選択される。したがって、各置換基は他の置換基と同じであっても異なっていてもよい。
【0029】
本明細書で使用される「1つ以上の」という用語は、合理的な条件下で1または1より大きい、例えば2、3、4、5、または10などを意味する。
【0030】
特に断らない限り、本明細書で使用される場合、置換基の接合点は、置換基上の任意の適当な位置に由来し得る。
【0031】
置換基の結合が、環の2つの原子をつなぐ結合を横切って示される場合、かかる置換基は、その環の任意の置換可能な環形成原子に結合し得る。
【0032】
本開示は、自然界で見られるものと原子番号は同じだが原子質量または質量数の異なる原子によって1つ以上の原子が置換されていることを除いて本開示の化合物と同一である、全ての薬学的に許容される同位体標識された化合物も含む。本開示の化合物に含めるのに適当な同位体の例には、水素の同位体(例えば、重水素(H)、トリチウム(H));炭素の同位体(例えば、11C、13C、および14C);塩素の同位体(例えば36Cl);フッ素の同位体(例えば18F);ヨウ素の同位体(例えば123Iおよび125I);窒素の同位体(例えば13Nおよび15N);酸素の同位体(例えば15O、17O、および18O);リンの同位体(例えば32P);および硫黄の同位体(例えば35S)が挙げられるが、これらに限らない。一部の同位体標識された本開示の化合物(例えば、放射性同位体を取り込む化合物)は、薬物および/または基質組織分布実験(例えば、アッセイ)に使用され得る。放射性同位体トリチウム(すなわちH)および炭素14(すなわち14C)は、取り込みのしやすさ、検出のしやすさから、この目的に特に有用である。陽電子放出同位体(11C、18F、15O、および13Nなど)による置換は、陽電子放出断層撮影(PET)実験において、基質受容体占有率を試験するために使用され得る。同位体標識された本開示の化合物は、添付のスキームおよび/または実施例および調製に記載のものと類似の方法によって、すでに利用されている非標識試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を用いることで調製され得る。本開示の薬学的に許容される溶媒和物は、結晶化溶媒が同位体で置換され得る、例えば、Dアセトン-d、またはDMSO-dであり得る、溶媒和物を含む。
【0033】
「立体異性体」という用語は、少なくとも1つの不斉中心に起因して形成される異性体を意味する。1つ以上(例えば、1、2、3、または4個)の不斉中心を有する化合物において、それらはラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物、およびそれぞれのジアステレオマーを生じさせ得る。特定の個々の分子は、幾何異性体(シス/トランス)としても存在し得る。同様に、本開示の化合物は、急速な平衡状態にある2つ以上の構造的に異なる形態の混合物(しばしば互変異性体と呼ばれる)として存在し得る。互変異性体の代表例には、ケト-エノール互変異性体、フェノール-ケトン互変異性体、ニトロソ-オキシム互変異性体、およびイミン-エナミン互変異性体などが挙げられる。本開示の範囲は、任意の割合(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%)のかかる全ての異性体またはそれらの混合物を包含することが理解される。
【0034】
本開示の化合物の化学結合は、本明細書では
【化5】
を用いて描かれ得る。不斉炭素原子への結合を描くための実線の使用は、その炭素原子における全ての可能な立体異性体(例えば、特定のエナンチオマー、ラセミ混合物など)が含まれることを示すことが意図される。不斉炭素原子への結合を描くためのくさび形の実線または破線の使用は、示される立体異性体が存在することを示すことが意図される。ラセミ混合物中に存在する場合、くさび形の実線または破線は絶対立体化学ではなく相対立体化学を定義するために使用される。特に断らない限り、本開示の化合物は、シスおよびトランス異性体、光学異性体(例えば、RおよびSエナンチオマー)、ジアステレオマー、幾何異性体、回転異性体、配座異性体、アトロプ異性体、およびそれらの混合物)などの立体異性体の形態で存在することが意図される。本開示の化合物は、2種類以上の異性を示すことがあり、それらの混合物からなる(例えば、ラセミ混合物およびジアステレオマー対)。
【0035】
本開示は、全ての可能な本開示の化合物の結晶形態または多形体を包含し、これらは単一の多形体であっても、任意の割合の2以上の多形体の混合物であってもよい。
【0036】
一部の本開示の化合物は、治療上の使用のために遊離形態で、あるいは適切な場合にはその薬学的に許容される誘導体として存在する場合があることもまた理解されるべきである。本開示において、薬学的に許容される誘導体には、これらに限らないが、薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物、N-オキシド、代謝産物、またはプロドラッグが挙げられ、これらは、治療を必要とする患者に投与された後、本開示の化合物またはその代謝産物もしくは残基を直接的または間接的に提供し得る。したがって、本明細書で「本開示の化合物」という言及がある場合、それは上記の化合物の様々な誘導体形態も包含することが意図される。
【0037】
本開示の化合物の薬学的に許容される塩には、その酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。
【0038】
適当な酸付加塩は、薬学的に許容される塩を形成する酸から形成される。例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、サイクラミン酸塩、エタンジスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、ナフトエ酸塩(naphthylate)、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシナホ酸塩が挙げられる。
【0039】
適当な塩基付加塩は、薬学的に許容される塩を形成する塩基から形成される。例には、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチンペニシリン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジエタノールアミン塩、グリシン酸塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、エタノールアミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩、および亜鉛塩が挙げられる。
【0040】
適当な塩の総説については、Stahl and Wermuth,“Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use”(Wiley-VCH, 2002)を参照されたい。本開示の化合物の薬学的に許容される塩を調製する方法は、当業者に既知である。
【0041】
本明細書で使用される「エステル」という用語は、生理学的に加水分解可能な(生理的条件下で加水分解され、本開示の化合物の遊離酸またはアルコール形態を放出し得る)エステルを含む、本明細書の各一般式の化合物に由来するエステルを意味する。本開示の化合物は、それ自体がエステルである場合もある。
【0042】
本開示の化合物は、溶媒和物、好ましくは水和物の形態で存在する場合があり、ここで本開示の化合物は、化合物の結晶格子の構造要素として極性溶媒(特に水、メタノール、またはエタノールなど)を含む。極性溶媒、特に水の量は、化学量論比または非化学量論比で存在する場合がある。
【0043】
当業者は、窒素は酸化物に酸化されるのに利用可能な孤立電子対が必要であるため、全ての窒素含有ヘテロ環がN-オキシドを形成できるわけではないことを理解するものである。当業者は、N-オキシドを形成することができる窒素含有ヘテロ環を認識するものである。当業者は、第3級アミンがN-オキシドを形成することができることもまた認識するものである。ヘテロ環アミンおよび第3級アミンのN-オキシドを調製するための合成法は当業者に周知であり、過酢酸およびm-クロロ過安息香酸(MCPBA)などのペルオキシ酸、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、およびジメチルジオキシランなどのジオキシランを用いるヘテロ環アミンおよび第3級アミンの酸化が含まれる。N-オキシドを調製するためのこれらの方法は、文献に広く記載され、レビューされている。例えばT. L. Gilchrist, Comprehensive Organic Synthesis, vol.7, pp 748-750; A. R. Katritzky and A. J. Boulton, Eds., Academic Press; および G. W. H. Cheeseman and E. S. G. Werstiuk, Advances in Heterocyclic Chemistry, vol.22, pp 390-392, A. R. Katritzky and A. J. Boulton, Eds., Academic Pressを参照されたい。
【0044】
本開示の化合物の代謝産物、すなわち、本開示の化合物を投与したときにインビボで形成される物質もまた、本開示の範囲内に含まれる。かかる生成物は、投与された化合物が例えば、酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド化、エステル化、酵素分解などされることで生成され得る。したがって、本開示は、本開示の化合物をその代謝産物が生成されるのに十分な時間、哺乳動物と接触させることで調製される化合物などの、本開示の化合物の代謝産物を含む。
【0045】
本開示は、本開示の化合物のプロドラッグをその範囲内にさらに含む。プロドラッグは、それ自体では薬理活性をほとんど持たないか全く持たないことがあり、身体内または身体上に投与されたときに、例えば加水分解によって、望ましい活性を有する本開示の化合物に変換され得る、本開示の化合物の特定の誘導体である。一般に、かかるプロドラッグは、望ましい治療効果のある化合物にインビボで容易に変換される化合物の官能基誘導体である。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、“Pro-drugs as Novel Delivery Systems”, Volume 14, ACS Symposium Series (T. Higuchi and V. Stella)で見ることができる。本開示のプロドラッグは、例えば、本開示の化合物中に存在する適切な官能基を、当業者に「pro-moiety」として知られている特定の基(例えば“Design of Prodrugs”, H. Bundgaard (Elsevier, 1985)に記載されているような)で置換することによって調製される場合がある。
【0046】
本開示は、保護基を含有する本開示の化合物もまた包含する。本開示の化合物を調製するためのあらゆるプロセスにおいて、あらゆる関連分子上の感受性基または反応基を保護することが必要および/または望ましい場合があり、それによって本開示の化合物の化学的に保護された形態が形成される。これは、TW Greene & PGM Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1991に記載されるような、従来の保護基によって達成され得、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。保護基は、当技術分野で既知の方法を用いて、その後の適切な段階で除去され得る。
【0047】
「約」という用語は、言及される値の±10%以内、好ましくは±5%以内、さらに好ましくは±2%以内を意味する。
【0048】
「有効量」という用語は、病的症状、疾患進行、それに関連する生理的状態の改善または前記疾患の進行に対する抵抗性の誘導をもたらす望ましい治療効果を投与条件下で達成するのに十分な量を指す。
【0049】
特に断らない限り、本明細書で使用される「治療(treating)」という用語は、かかる用語が適用される疾患もしくは病状、またはかかる疾患もしくは病状の1つ以上の症状の進行を逆転させる、軽減する、抑制すること、あるいはかかる疾患もしくは病状またはかかる疾患もしくは病状の1つ以上の症状を予防することを意味する。
【0050】
本明細書で使用される「個体」は、ヒトまたは非ヒト動物を含む。ヒト個体の例には、本明細書に記載される疾患などに罹患するヒト個体(患者と呼ばれる)、または正常な個体が挙げられる。本開示において、「非ヒト動物」には、全ての脊椎動物(非哺乳動物(鳥類、両生動物、爬虫動物など)および哺乳動物(非ヒト霊長類、家畜、および/または家畜化された動物(ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなど)など)など)が含まれる。
【0051】
詳細な説明
一つの実施形態において、本開示は、ROCK2阻害剤および安定剤を含むナノ結晶製剤に関する。
【0052】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶製剤であって、ROCK2阻害剤が、式(I)の化合物:
【化6】
[式中、
環Aは、
【化7】
であり、ここで上記の基は、*または**で標識された2つの位置のうちの1つを通じてピリミジン環に結合し、もう一方の位置でカルボニル基に結合し;
およびR10は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C3-10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール、5~14員ヘテロアリール、C6-12アラルキル、-C(=O)R、および-C1-6アルキレン-O(P=O)(OH)から選択され;
mは、それぞれ独立して、0、1、2、または3の整数であり;
nは、それぞれ独立して、0、1、または2の整数であり;
好ましくは、環Aは、
【化8】
であり、ここで上記の基は、*で標識された位置でピリミジン環に結合し、**で標識された位置でカルボニル基に結合し、R10は、HおよびC1-6アルキルから選択されるか、好ましくはHまたはメチルであり;
Rは、HおよびC1-6アルキルから選択され;
は、
【化9】
であり;
は、HおよびC1-6アルキルから選択され;
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、-NR、-OH、C1-6アルキル、および-ORから選択され;
前記アルキレン、アルキル、アルケニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、およびアラルキル基は、それぞれ、ハロゲン、C1-6アルキル、および-ORから独立して選択される1つ以上の置換基で適宜置換されてもよく;
およびRは、それぞれ独立して、H、C1-6アルキル、C3-10カルボシクリル、3~10員ヘテロシクリル、C6-10アリール、5~14員ヘテロアリール、およびC6-12アラルキルから選択される]
またはその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、多形体、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識された誘導体、代謝産物もしくはプロドラッグである、ナノ結晶製剤に関する。
【0053】
一つの実施形態において、本開示はナノ結晶製剤に関し、ROCK2阻害剤は、式(II)の化合物:
【化10】
[式中、それぞれの基は、上記で定義されるとおりである]
またはその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、多形体、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識された誘導体、代謝産物もしくはプロドラッグである。
【0054】
一つの実施形態において、本開示はナノ結晶製剤に関し、ROCK2阻害剤は、式(III)の化合物:
【化11】
[式中、R10は、Hまたはメチル、好ましくはメチルである]
またはその薬学的に許容される塩、エステル、立体異性体、多形体、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識された誘導体、代謝産物もしくはプロドラッグである。
【0055】
一つの実施形態において、本開示はナノ結晶製剤に関し、ROCK2阻害剤は、式(IV)の化合物:
【化12】
またはその薬学的に許容される塩(特に塩酸塩)、エステル、立体異性体、多形体、溶媒和物、N-オキシド、同位体標識された誘導体、代謝産物もしくはプロドラッグである。
【0056】
式(IV)の化合物の化学名は、[6-[4-[[4-(1H-ピラゾール-4-イル)フェニル]アミノ]ピリミジン-2-イル]-1-メチル-1H-インドール-2-イル](3,3-ジフルオロアゼチジン-1-イル)メタノンである。
【0057】
本開示において、有効成分としての式(IV)の化合物は、既知の方法によって調製され得るか、あるいは商業経路を通じて得られ得る。式(IV)の化合物を得るためにどの方法が使われようとも、当業者にとって実現することは容易である。したがって、本開示は、式(IV)の化合物の取得について詳述しない。
【0058】
一般に、安定剤はナノ結晶の調製プロセス中に添加される必要がある。主な理由は以下の通りである。一方で、ナノ微粒子化は薬物粒子の比表面積を著しく増加させ得、これは製剤調製システム全体の自由エネルギーも増加させ、系を不安定化させる。他方で、粉砕プロセス中の力学的エネルギー産生によって温度が上昇するにつれて、新たに形成されるナノ粒子は自由エネルギーの変化による影響を受け、再凝集および再結晶する。これらの要因によって、減少した粒子径は大きいレベルに戻り、溶解のための表面積が減少し、それによって体内でのバイオアベイラビリティに影響を及ぼす場合がある。安定剤は薬物粒子の表面上に吸着することで薬物粒子の再凝集を妨げ、それによって有効表面積を増加させ、ナノ懸濁液の安定性を著しく改善する。
【0059】
本開示において、薬物の濡れ性の改善および薬物の粒子径の安定化に加えて、安定剤は、凝固、乾燥、再溶解後のROCK2阻害剤ナノ結晶の粒子径の安定性を改善することで、ROCK2阻害剤ナノ結晶の溶解率も改善し得る。当業者は、本開示における安定剤の役割の説明に基づいて適当な安定剤を選択し得る。安定剤には、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート85、ポビドンK29/32、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポロクサマー188、ポロクサマー407、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC 3cps)、ポリビニルピロリドン(PVP K30)、ポロクサマー(Pluronic F68およびPluronic F127)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドクサートナトリウム(DSS)、ポリエチレングリコール15-ヒドロキシステアリン酸、ポリオキシエチレンヒマシ油、コポビドンなどが挙げられるが、これらに限らない。
【0060】
一つの実施形態において、本開示は、安定剤がポリソルベート、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポロクサマーおよびラウリル硫酸ナトリウム、ラクトースおよびマンニトールのうちの1つ以上から選択される、ナノ結晶製剤に関する。
【0061】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶製剤の粒子径D90が50~1500nm、好ましくは50~1000nm、好ましくは50~500nm、好ましくは80~300nm、さらに好ましくは50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、または1000nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0062】
一つの実施形態において、本開示は、ROCK2阻害剤の粒子径範囲が好ましくはD90 5~300μm、好ましくは10~100μm、さらに好ましくは10~50μmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0063】
一つの実施形態において、本開示は、ROCK2阻害剤の重量パーセントが、ナノ結晶製剤の総重量を基準にして、1%~55%、4%~50%、1%~10%、10%~40%、10%~35%、20%~30%、または30%~40%であり得、1%、2%、3%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、9.5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、15%、16%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、または40%でもあり得る、ナノ結晶製剤に関する。
【0064】
一つの実施形態において、本開示は、安定剤の重量パーセントが、ナノ結晶製剤の総重量を基準にして、0.1%~55%、0.1%~30%、0.5%~1%、1%~10%、10%~20%、または20%~30%であり得、1%、2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、9.5%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、15%、16%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、または40%でもあり得る、ナノ結晶製剤に関する。
【0065】
一つの実施形態において、本開示は、ROCK2阻害剤対安定剤の重量比が1:10~10:1、1:9~9:1、1:8~8:1、1:7~7:1、1:6~6:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、1:2~2:1、1:1であり得、4:1~1:1または1:1~1:2でもあり得、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、5:4、5:3、または5:2でもあり得る、ナノ結晶製剤に関する。
【0066】
一つの実施形態において、本開示は、賦形剤をさらに含むナノ結晶製剤に関する。
【0067】
一つの実施形態において、本開示は、賦形剤が増量剤;湿潤剤;甘味剤または風味剤;界面活性剤;結合剤;崩壊剤;滑沢剤;流動促進剤または粘着防止剤;放出調節剤;コーティング剤;乳化剤;可溶化剤;および香料のうちの1つ以上から選択される、ナノ結晶製剤に関する。
【0068】
一つの実施形態において、本開示は、賦形剤が増量剤を含む、ナノ結晶製剤に関する。増量剤は活性成分の材料特性を改善し、粘着性および静電的性質を改善することができ、それによってその後の組成物の成形、例えば打錠、カプセル充填などを容易にし、固形剤の調製において重要な役割を果たし得る。増量剤は製剤の溶解率を調整することもできる。本開示の技術的解決策において、本技術分野で一般的に使用される増量剤は、これらに限らないが、微結晶セルロース、マンニトール、ラクトース、デンプン、アルファ化デンプン、デキストリン、リン酸カルシウム二水和物、および無水リン酸水素カルシウムのうちの1つまたは少なくとも2つから選択され得る。本開示のいくつかの実施形態において、ナノ結晶製剤の総重量を基準にして、増量剤の重量パーセントは1%~80%であり得、より具体的には、いくつかの実施形態において、増量剤の重量パーセントは20%~70%、30%~60%、または50~70%など、例えば20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%などであり得る。本開示のいくつかの具体的な実施形態において、増量剤は、微結晶セルロース、ラクトース、およびマンニトールのうちの1つ以上から選択され、好ましくは、増量剤はマンニトールである。
【0069】
一つの実施形態において、本開示は、賦形剤が滑沢剤を含む、ナノ結晶製剤に関する。滑沢剤は成分混合、打錠などの様々な処理工程を容易にする。例えば、滑沢剤は、打錠中の圧力分布を均一にし、錠剤の密度を均一にし、錠剤を臼穴から押し出すのに必要な力を軽減することができる。考えられる滑沢剤の他の機能は、錠剤の表面を滑らかかつ平らにすることで錠剤の外観を改善することである。本開示の技術的解決策において、本技術分野で一般的に使用される滑沢剤は、これらに限らないが、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、微粉末シリカゲル、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、およびポリエチレングリコール、さらに好ましくはステアリン酸マグネシウムのうちの1つまたは少なくとも2つの組み合わせから選択され得る。本開示のいくつかの実施形態において、ナノ結晶製剤の総重量を基準にして、滑沢剤の重量パーセントは0.1%~5%、0.1%~1.5%、または0.5%~1%など、例えば0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、または1.5%などであり得る。滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、微粉末シリカゲル、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、およびポリエチレングリコールから選択される。
【0070】
一つの実施形態において、本開示は、賦形剤が崩壊剤を含む、ナノ結晶製剤に関する。本開示の技術的解決策において、本技術分野で一般的に使用される崩壊剤は、これらに限らないが、クロスカルメロースナトリウムおよびクロスポビドンなどのうちの1つ以上から選択される。本開示のいくつかの実施形態において、ナノ結晶製剤の総重量を基準にして、崩壊剤の重量パーセントは0~20%、好ましくは0~10%、さらに好ましくは2~10%、例えば3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%などである場合がある。
【0071】
一つの実施形態において、本開示は、賦形剤が流動促進剤を含む、ナノ結晶製剤に関する。本開示の技術的解決策において、本技術分野で一般的に使用される流動促進剤は、これらに限らないが、二酸化ケイ素などから選択され得る。本開示のいくつかの実施形態において、ナノ結晶製剤の総重量を基準にして、流動促進剤の重量パーセントは0~20%、好ましくは0~15%、さらに好ましくは2~12%、例えば2%、2.5%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、または11%などである場合がある。
【0072】
一つの実施形態において、本開示は、溶媒をさらに含むナノ結晶製剤に関する。本開示の技術的解決策において、本技術分野で一般的に使用される溶媒は、これに限らないが、水などから選択され得、精製水が好ましい。本開示のいくつかの実施形態において、ナノ結晶製剤の総重量を基準にして、溶媒の重量パーセントは0~99%、好ましくは80~99%、さらに好ましくは85%~95%、例えば86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、または95%などである場合がある。
【0073】
一つの実施形態において、本開示は、静菌剤をさらに含むナノ結晶製剤に関する。本開示の技術的解決策において、本技術分野で一般的に使用される静菌剤は、これらに限らないが、メチルパラベン、プロピルパラベン、および同類のものなどのうちの1つ以上から選択され得る。本開示のいくつかの実施形態において、ナノ結晶製剤の総重量を基準にして、静菌剤の重量パーセントは0~5%、好ましくは0~1%、さらに好ましくは0.01%~0.5%、例えば0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、または0.5%などであり得る。
【0074】
一つの実施形態において、本開示は、懸濁液、錠剤、カプセル、顆粒剤、散剤、トローチ剤、および丸剤から選択される;好ましくは懸濁液、錠剤、またはカプセルである、ナノ結晶製剤に関する。
【0075】
一つの実施形態において、本開示は、
1~10%のROCK2阻害剤、好ましくは1%、2%、3%、4%、4.5%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%のROCK2阻害剤、さらに好ましくは4%、4.5%、または5%のROCK2阻害剤;および
1~10%の安定剤、好ましくは1%、1.5%、2%、2.5%、5%、9%、9.5%、または10%の安定剤
を含む懸濁液である、ナノ結晶製剤に関する。
【0076】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が11.13gのROCK2阻害剤、0.77gのポリソルベート80、5.00gのポビドンK29/32、および233.10gの精製水を含む懸濁液であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0077】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が11.13gのROCK2阻害剤、0.77gのポリソルベート80、2.50gのポビドンK29/32、および235.60gの精製水を含む懸濁液であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0078】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が11.13gのROCK2阻害剤、0.77gのポリソルベート80、2.50gのヒプロメロース、および235.60gの精製水を含む懸濁液であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0079】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が11.13gのROCK2阻害剤、0.77gのポリソルベート80、5.00gのヒプロメロース、および233.10gの精製水を含む懸濁液であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0080】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が250.08gのROCK2阻害剤、17.40gのポリソルベート80、111.60gのポビドンK29/32、10.00gのメチルパラベン、1.10gのプロピルパラベン、および5189.82gの精製水を含む懸濁液であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0081】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が55.19gのROCK2阻害剤、18.61gのポリソルベート80、99.25gのポリオキシエチレンヒマシ油、2.23gのメチルパラベン、0.25gのプロピルパラベン、および1065.09gの精製水を含む懸濁液であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0082】
一つの実施形態において、本開示は、
10~30%のROCK2阻害剤、好ましくは20~30%のROCK2阻害剤、好ましくは20%、22%、25%、28%、または30%のROCK2阻害剤;
1~20%の安定剤、好ましくは5~20%の安定剤、さらに好ましくは5%、8%、10%、13%、15%、18%、または20%の安定剤
を含む錠剤である、ナノ結晶製剤に関する。
【0083】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が11.70gのROCK2阻害剤、3.15gのポリソルベート80、5.26gのラクトース、1.05gのポリエチレングリコール6000、16.03gのマンニトール、4.94gの二酸化ケイ素、2.47gのラウリル硫酸ナトリウム、2.96gの微結晶セルロース、2.96gのクロスカルメロースナトリウム、および0.32gのステアリン酸マグネシウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0084】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が32.71gのROCK2阻害剤、14.81gのポリソルベート80、14.71gのラクトース、2.94gのポリエチレングリコール6000、43.63gのマンニトール、16.00gの二酸化ケイ素、8.00gのラウリル硫酸ナトリウム、12.80gの微結晶セルロース、12.80gのクロスカルメロースナトリウム、および1.60gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0085】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が3.34gのROCK2阻害剤、0.89gのポリソルベート80、1.80gのラクトース、0.30gのポリエチレングリコール6000、0.75gの二酸化ケイ素、0.75gのラウリル硫酸ナトリウム、5.82gの微結晶セルロース、1.20gのクロスカルメロースナトリウム、および0.15gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0086】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が3.34gのROCK2阻害剤、0.89gのポリソルベート80、1.80gのラクトース、0.30gのポリエチレングリコール6000、0.75gの二酸化ケイ素、0.45gのラウリル硫酸ナトリウム、4.50gの微結晶セルロース、1.62gのアルファ化デンプン、1.20gのクロスカルメロースナトリウム、および0.15gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0087】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が11.14gのROCK2阻害剤、2.97gのポリソルベート80、6.01gのラクトース、1.00gのポリエチレングリコール6000、1.00gの二酸化ケイ素、27.38gの噴霧乾燥マンニトール、および0.50gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0088】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が111.20gのROCK2阻害剤、30.04gのポリソルベート80、59.99gのラクトース、10.00gのポリエチレングリコール6000、10.00gの二酸化ケイ素、273.78gの噴霧乾燥マンニトール、および5.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0089】
一つの実施形態において、本開示は、
10~30%のROCK2阻害剤、好ましくは20~30%のROCK2阻害剤、さらに好ましくは20%、22%、25%、28%、または30%のROCK2阻害剤;
10~30%の安定剤、好ましくは20~30%の安定剤、さらに好ましくは20%、22%、25%、28%、または30%の安定剤
を含む錠剤である、ナノ結晶製剤に関する。
【0090】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が22.22gのROCK2阻害剤、20.00gのポリソルベート80、54.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0091】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、20.00gのポビドンK29/32、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0092】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、20.00gのポリエチレングリコール6000、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0093】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、20.00gのポロクサマー188、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0094】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、20.00gのポリビニルアルコール、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0095】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、16.00gのポビドンK29/32、4.00gのポロクサマー188、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0096】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、4.00gのポビドンK29/32、16.00gのポロクサマー188、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0097】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が22.20gのROCK2阻害剤、10.00gのポリソルベート80、10.00gのポビドンK29/32、10.00gのポロクサマー188、44.80gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、および1.00gのフマル酸ステアリルナトリウムを含む錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0098】
一つの実施形態において、本開示は、
10~50%のROCK2阻害剤、好ましくは20~40%のROCK2阻害剤、さらに好ましくは20%、25%、30%、35%、または40%のROCK2阻害剤;
10~40%の安定剤、好ましくは20~30%の安定剤、さらに好ましくは20%、22%、25%、28%、または30%の安定剤
を含むカプセルである、ナノ結晶製剤に関する。
【0099】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が22.20gのROCK2阻害剤、6.00gのポリソルベート80、8.00gのポビドンK29/32、4.00gのポロクサマー、および20.00gのマンニトールを含むカプセルであり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0100】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶が4.45gのROCK2阻害剤、1.20gのポリソルベート80、1.20gのポビドンK32/29、0.80gのポロクサマー188、および6.80gのマンニトールを含むカプセルであり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0101】
一つの実施形態において、本開示は、腸溶コーティング錠剤および腸溶カプセルから選択されるナノ結晶腸溶製剤である、ナノ結晶製剤に関する。
【0102】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶腸溶コーティング錠剤であるナノ結晶製剤であって、腸溶コーティング材料が、セラック、ポリビニルアルコールアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸共重合体、セルロースおよびその誘導体(セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HPMCP))、およびアクリル樹脂(EuS100、EuL100)のうちの1つ以上から選択される、ナノ結晶製剤に関する。
【0103】
一つの実施形態において、本開示は、ナノ結晶腸溶カプセルであるナノ結晶製剤であって、腸溶カプセルがゼラチン腸溶カプセルまたはヒプロメロース腸溶カプセルから選択され、カプセル材料の組成がセラック、ポリビニルアルコールアセテートフタレート(PVAP)、メタクリル酸共重合体、セルロースおよびその誘導体(セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート(HPMCP))、およびアクリル樹脂(EuS100、EuL100)のうちの1つ以上から選択される、ナノ結晶製剤に関する。
【0104】
一つの実施形態において、本開示は、
1~20%のROCK2阻害剤、好ましくは5~15%のROCK2阻害剤、さらに好ましくは5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、または15%のROCK2阻害剤;および
1~90%の安定剤、好ましくは10~40%の安定剤、さらに好ましくは15~25%の安定剤、例えば、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%の安定剤
を含むナノ結晶腸溶コーティング錠剤である、ナノ結晶製剤に関する。
【0105】
一つの実施形態において、本開示は、5.56gのROCK2阻害剤、1.50gのポリソルベート80、1.00gのポロクサマー、1.50gのポビドンK29/32、5.00gのマンニトール、1.00gの二酸化ケイ素、4.00gのクロスポビドン、29.94gの微結晶セルロース、0.50gのステアリン酸マグネシウム、および5gのフィルムコーティングプレミックス(腸溶型)を含むナノ結晶腸溶コーティング錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0106】
一つの実施形態において、本開示は、5.56gのROCK2阻害剤、1.50gのポリソルベート80、1.00gのポロクサマー、1.50gのポビドンK29/32、38.94gのマンニトール、1.00gの二酸化ケイ素、0.50gのステアリン酸マグネシウム、および5gのフィルムコーティングプレミックス(腸溶型)を含むナノ結晶腸溶コーティング錠剤であり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0107】
一つの実施形態において、本開示は、
5~30%のROCK2阻害剤、好ましくは10~20%のROCK2阻害剤、さらに好ましくは10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%のROCK2阻害剤;および
10~50%の安定剤、好ましくは20~40%の安定剤、さらに好ましくは30~40%の安定剤、例えば、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、または40%の安定剤
を含むナノ結晶腸溶カプセルである、ナノ結晶製剤に関する。
【0108】
一つの実施形態において、本開示は、11.1gのROCK2阻害剤、3.0gのポリソルベート80、2.0gのポロクサマー、3.0gのポビドンK29/32、20.0gのマンニトール、2.00gの二酸化ケイ素、8.0gのクロスポビドン、29.9gの微結晶セルロース、1.0gのステアリン酸マグネシウム、および腸溶カプセルを含むナノ結晶腸溶カプセルであり、好ましくは、ROCK2阻害剤の粒子径が50~1000nm、好ましくは50~500nm、さらに好ましくは50~300nm、最も好ましくは50~150nmである、ナノ結晶製剤に関する。
【0109】
本開示のいくつかの実施形態において、式(I)、(II)、(III)、または式(IV)の化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩または水和物に加えて、ROCK2阻害剤は、前記化合物と相乗的な治療効果を有する少なくとも1つの他の化合物もまた適宜含んでもよい。
【0110】
一つの実施形態において、本開示は、ROCK2阻害剤および安定剤を粉砕することを含む、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0111】
一つの実施形態において、本開示は、粉砕中におけるROCK2阻害剤対安定剤の重量比が、1:15~15:1、1:14~14:1、1:13~13:1、1:12~12:1、1:11~11:1、1:10~10:1、1:9~9:1、1:8~8:1、1:7~7:1、1:6~6:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、1:2~2:1、1:1である;好ましくは、粉砕中におけるROCK2阻害剤対安定剤の重量比が、15:1~2:1、さらに好ましくは15:1、14:1、13:1、12:1、11:1、10:1、10:3、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、または2:1である、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0112】
一つの実施形態において、本開示は、粉砕媒体が、磁製ボール、ガラス球、ジルコニアビーズ、鋼球、およびアイスビーズから選択される;好ましくは、粉砕媒体が、ジルコニアビーズである、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0113】
一つの実施形態において、本開示は、粉砕媒体の粒子径が、0.1~1mm、好ましくは0.1~0.5mm、さらに好ましくは0.2mmである、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0114】
一つの実施形態において、本開示は、粉砕時間が、0.1~6時間、好ましくは0.5~6時間、好ましくは4~6時間、さらに好ましくは10分、20分、30分、40分、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、3.5時間、4時間、4.5時間、5時間、5.5時間、または6時間である、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0115】
一つの実施形態において、本開示は、粉砕速度が、1000~6000rpm、好ましくは1500rpm~4500rpm、さらに好ましくは1500rpm、2000rpm、2500rpm、3000rpm、3500rpm、4000rpm、4500rpm、5000rpm、5500rpm、または6000rpmである、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0116】
一つの実施形態において、本開示は、粉砕ビーズの充填量が、50%~95%、好ましくは70%~90%、さらに好ましくは70%、80%、または90%である、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0117】
一つの実施形態において、本開示は、ROCK2阻害剤および安定剤の粉砕前に予粉砕工程をさらに含む、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0118】
一つの実施形態において、本開示は、予粉砕速度が、3000~6000rpm、好ましくは3000rpm、3500rpm、4000rpm、4500rpm、5000rpm、5500rpm、または6000rpm、さらに好ましくは4000rpmであり;予粉砕時間が、1~30分、好ましくは2~20分、好ましくは3分、4分、5分、6分、8分、10分、12分、15分、18分、または20分、さらに好ましくは5分である、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0119】
一つの実施形態において、本開示は、安定剤および/または賦形剤が、粉砕後に適宜添加されてもよい、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0120】
一つの実施形態において、本開示は、粉砕後に添加される安定剤が、ポリソルベート、ポビドン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポロクサマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ポリエチレングリコール15-ヒドロキシステアリン酸、ポリオキシエチレンヒマシ油、コポビドン、ラクトース、およびマンニトールのうちの1つ以上から選択される、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0121】
一つの実施形態において、本開示は、粉砕後に添加される安定剤が、ポビドンK29/32、ポロクサマー188、ポリビニルアルコール、ラクトース、およびマンニトールのうちの1つ以上から選択される、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0122】
一つの実施形態において、本開示は、粉砕後に添加される安定剤がポビドンK29/32およびポロクサマー188の混合物であり、その2つの混合比が1:10~10:1、好ましくは1:9~9:1、好ましくは1:8~8:1、好ましくは1:7~7:1、好ましくは1:6~6:1、好ましくは1:5~5:1、好ましくは1:4~4:1、好ましくは1:3~3:1、好ましくは1:2~2:1、好ましくは1:1である;さらに好ましくは、その2つの混合比が1:4、4:1、または1:1である、上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0123】
一つの実施形態において、本開示は、以下の工程を含む上記ナノ結晶製剤の調製方法に関する。
【0124】
活性成分、安定剤の一部、および精製水をナノ粉砕機で粉砕する。粉砕後、ナノ懸濁液を得、続いて安定剤および/または増量剤を添加して、ナノ結晶懸濁液を得る。好ましくは、粉砕してナノ懸濁液を得た後、噴霧乾燥または凍結乾燥を用いて凝固させ、固体ナノ結晶混合物を得、続いて増量剤を添加、混合し、滑沢剤を添加し、続いて成形処理を行う。具体的な実施において、成形処理は造粒、任意選択的な整粒、および打錠またはカプセル充填などの工程を含む場合がある。本開示における重要な処理はナノ粉砕処理である。活性成分の平均粒子径が50nm~1000nm、さらに好ましくは80nm~500nm、さらに好ましくは80nm~300nmに達すると、粉砕は完了する。混合およびその後の成形処理は本技術分野で一般的な処理および操作であり、本開示は本明細書において具体的に限定されないことに留意されたい。
【0125】
ROCK2阻害剤ナノ結晶を調製する工程において、発明者は粉砕速度、粉砕ビーズの充填量、サンプル量、および粉砕時間がROCK2阻害剤の粒子径に与える影響を研究した。結果は、ROCK2阻害剤の粒子径は粉砕時間の増加とともに徐々に減少するが、減少率は徐々に緩やかになる;粉砕速度が増加するにつれて、粉砕効率は上昇する;回転速度が同じ場合、粉砕効率は粉砕ビーズの充填量が増加するにつれて上昇することを示す。サンプル体積は粉砕効率に有意な影響を及ぼさない。粉砕パラメーターおよび粒子径の研究結果は表8で示される。これに基づいて、本開示のいくつかの具体的な実施形態では、粉砕処理において、0.2mmジルコニア粉砕ビーズが使用され、粉砕ビーズの充填量は50%~95%、好ましくは70%~90%である。粉砕速度は1000rpm~4500rpm、好ましくは1500rpm~3500rpmである。粉砕時間は2時間~6時間、好ましくは4時間~5時間である。
【0126】
本開示のいくつかの実施形態において、ナノ結晶製剤組成物が滑沢剤を含む場合、粉砕したナノ懸濁液は噴霧乾燥または凍結乾燥で水分を除去する必要があり、続いて任意選択的な増量剤とそのまままたは粉砕後に混合され、続いて、
A:全ての滑沢剤と混合され、続いて成形処理が行われる;
あるいは
B:最初に滑沢剤の一部と混合され、次に造粒および任意選択的な整粒が行われ、次に滑沢剤の残りの部分が添加され、続いてその他の成形処理(打錠またはカプセル充填など)が行われる。
【0127】
一つの実施形態において、本開示は、対象に、治療有効量の上記ナノ結晶製剤または上記方法によって調製されるナノ結晶製剤を投与することを特徴とする、特発性肺線維症、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病、またはウイルス感染を予防、軽減、および/または治療する方法に関し、好ましくは、前記方法は、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎を予防、軽減、および/または治療する方法あり、好ましくは、前記脂肪肝疾患は、アルコール性脂肪肝疾患(ALFD)または非アルコール性脂肪肝疾患(NALFD)であり、前記脂肪性肝炎は、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、前記造血幹細胞移植は、同種造血幹細胞移植であり、前記移植片対宿主病は、急性移植片対宿主病または慢性移植片対宿主病であり、前記ウイルス感染は、コロナウイルス感染であり、好ましくは、前記コロナウイルスは、SARA-CoV、SARA-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、およびHCoV-HKU1から選択され、好ましくは、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患は、中東呼吸器症候群、重症急性呼吸器症候群、またはCOVID-19であり、好ましくは、前記コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARA-CoV-2または2019-nCoV)であり、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患は、COVID-19である。
【0128】
一つの実施形態において、本開示は、特発性肺線維症、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病、またはウイルス感染の予防、軽減、および/または治療に使用するための、上記ナノ結晶製剤または上記方法によって調製されるナノ結晶製剤に関し、好ましくは、前記ナノ結晶製剤は、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎の予防、軽減、および/または治療のために使用され、好ましくは、前記脂肪肝疾患は、アルコール性脂肪肝疾患(ALFD)または非アルコール性脂肪肝疾患(NALFD)であり、前記脂肪性肝炎は、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、前記造血幹細胞移植は、同種造血幹細胞移植であり、前記移植片対宿主病は、急性移植片対宿主病または慢性移植片対宿主病であり、前記ウイルス感染は、コロナウイルス感染であり、好ましくは、前記コロナウイルスは、SARA-CoV、SARA-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、およびHCoV-HKU1から選択され、好ましくは、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患は、中東呼吸器症候群、重症急性呼吸器症候群、またはCOVID-19であり、好ましくは、前記コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARA-CoV-2または2019-nCoV)であり、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患は、COVID-19である。
【0129】
一つの実施形態において、本開示は、特発性肺線維症、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎、造血幹細胞移植後の移植片対宿主病、またはウイルス感染を予防、軽減、および/または治療するための薬剤の製造における、上記ナノ結晶製剤または上記方法によって調製されるナノ結晶製剤の使用に関し、好ましくは、前記使用は、脂肪肝疾患および/または脂肪性肝炎を予防、軽減、および/または治療するための薬剤の製造における使用であり、好ましくは、前記脂肪肝疾患は、アルコール性脂肪肝疾患(ALFD)または非アルコール性脂肪肝疾患(NALFD)であり、前記脂肪性肝炎は、アルコール性脂肪性肝炎(ASH)または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、前記造血幹細胞移植は、同種造血幹細胞移植であり、前記移植片対宿主病は、急性移植片対宿主病または慢性移植片対宿主病であり、前記ウイルス感染は、コロナウイルス感染であり、好ましくは、前記コロナウイルスは、SARA-CoV、SARA-CoV-2、MERS-CoV、HCoV-229E、HCoV-NL63、HCoV-OC43、およびHCoV-HKU1から選択され、好ましくは、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患は、中東呼吸器症候群、重症急性呼吸器症候群、またはCOVID-19であり、好ましくは、前記コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARA-CoV-2または2019-nCoV)であり、前記コロナウイルスによって引き起こされる疾患は、COVID-19である。
【0130】
本開示の解決されるべき技術的課題、技術的解決策、および有益な効果をより明確にするために、以下では本開示を具体的な実施例とともにさらに説明する。以下の実施例において、特に断らない限り、試験方法の具体的な条件は通常、従来の条件または製造業者によって推奨される条件に従って実施され、原料および試薬は全て市販されているか、あるいは公開情報を用いて調製される。
【実施例
【0131】
以下の比較例、実施例、および試験で使用される有効活性成分(API)は、全て上記式(IV)の化合物である。
【0132】
I.比較例の調製
比較例1
処方:
【表1】
【0133】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ラクトース、微結晶セルロース、およびクロスカルメロースナトリウムの量を量り取り、混合し、乾燥造粒した。整粒後、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合し、打錠した。
【0134】
比較例2
処方:
【表2】
【0135】
調製方法:最初に、API塩酸塩を微粒子化し、D90粒子径が約2μmのAPI塩酸塩を得た。処方中の微粒子化API塩酸塩、ラクトース、微結晶セルロース、およびクロスカルメロースナトリウムの量を量り取り、混合し、乾燥造粒した。整粒後、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合し、打錠した。
【0136】
比較例3
処方:
【表3】
【0137】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、シリカ、アルファ化デンプン1500、および微結晶セルロースの量ならびにクロスポビドンおよびステアリン酸マグネシウムの半量を量り取り、混合し、乾燥造粒した。整粒後、クロスポビドンおよびステアリン酸マグネシウムのもう半量を添加し、混合し、打錠した。
【0138】
II.ナノ結晶製剤(懸濁液)の調製
実施例1
処方:
【表4】
【0139】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、70%充填量)を用いて、粉砕速度1500rpm、粉砕時間10分で混合物を粉砕し、平均粒子径1868nmのナノ懸濁液を得た。ポビドンK29/32の溶液をナノ懸濁液に添加し、混合物を250gに希釈し、濃度40mg/mL(遊離塩基を基準とする)、粒子径1875nmの最終製品を得た。
【0140】
実施例2
実施例1の処方を参照し、粉砕速度を1500rpm、粉砕時間を20分として、平均粒子径1006nmのナノ懸濁液を得た。次にポビドンK29/32の溶液をナノ懸濁液に添加し、混合物を250gに希釈し、濃度40mg/mL(遊離塩基を基準とする)、粒子径1080nmの最終製品を得た。
【0141】
実施例3
実施例1の処方を参照し、粉砕速度を1500rpm、粉砕時間を40分として、平均粒子径512nmのナノ懸濁液を得た。次にポビドンK29/32の溶液をナノ懸濁液に添加し、混合物を250gに希釈し、濃度40mg/mL(遊離塩基を基準とする)、粒子径540nmの最終製品を得た。
【0142】
実施例4
処方:
【表5】
【0143】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、70%充填量)を用いて、粉砕速度1500rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、平均粒子径268nmのナノ懸濁液を得た。ポビドンK29/32の溶液をナノ懸濁液に添加し、混合物を250gに希釈し、濃度40mg/mL(遊離塩基を基準とする)、粒子径300nmの最終製品を得た。
【0144】
実施例5
処方:
【表6】
【0145】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、70%充填量)を用いて、粉砕速度1500rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、平均粒子径268nmのナノ懸濁液を得た。ポビドンK29/32の溶液をナノ懸濁液に添加し、混合物を250gに希釈し、濃度40mg/mL(遊離塩基を基準とする)、粒子径302nmの最終製品を得た。
【0146】
実施例6
処方:
【表7】
【0147】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、70%充填量)を用いて、粉砕速度1500rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、平均粒子径268nmのナノ懸濁液を得た。ヒプロメロースの溶液をナノ懸濁液に添加し、混合物を250gに希釈し、濃度40mg/mL(遊離塩基を基準とする)、粒子径336nmの最終製品を得た。
【0148】
実施例7
処方:
【表8】
【0149】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、70%充填量)を用いて、粉砕速度1500rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、平均粒子径268nmのナノ懸濁液を得た。ヒプロメロースの溶液をナノ懸濁液に添加し、混合物を250gに希釈し、濃度40mg/mL(遊離塩基を基準とする)、粒子径442nmの最終製品を得た。
【0150】
実施例8
処方:
【表9】
【0151】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、70%充填量)を用いて、粉砕速度1500rpm、粉砕時間4時間で混合物を粉砕し、平均粒子径281nmのナノ懸濁液を得た。あらかじめ調製したメチルパラベン、プロピルパラベン、およびポビドンK29/32の溶液をナノ懸濁液に添加した。混合物を5580gに希釈し、濃度40mg/mL(遊離塩基を基準とする)、粒子径283nmの最終製品を得た。
【0152】
実施例9
処方:
【表10】
【0153】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間4時間で混合物を粉砕し、平均粒子径100nmのナノ懸濁液を得た。あらかじめ調製したメチルパラベン、プロピルパラベン、およびポリオキシエチレンヒマシ油の溶液をナノ懸濁液に添加した。混合物を1240.62gに希釈し、濃度40mg/mL(遊離塩基を基準とする)、粒子径106nmの最終製品を得た。
【0154】
III.ナノ結晶製剤(錠剤)の調製
実施例10
処方:
【表11】
【0155】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、一部のポリソルベート80(API遊離塩基:ポリソルベート80=1:0.1)、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間4時間で混合物を粉砕し、平均粒子径105nmのナノ懸濁液を得た。あらかじめ調製したポリソルベート80、ポリエチレングリコール6000、およびラクトースの溶液をナノ懸濁液に添加した(API遊離塩基:ポリソルベート80:ラクトース:ポリエチレングリコール6000=1:0.3:0.5:0.1)。入口温度120℃、噴霧速度40rpmで混合物を噴霧乾燥し、噴霧乾燥粉末を得た。マンニトール、二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムを適量の上記噴霧乾燥粉末に添加し、混合し、そのまま打錠した。錠剤重量は約1gであった(規格:200mg、無水APIを基準とする)。
【0156】
実施例11
処方:
【表12】
【0157】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、一部のポリソルベート80(API遊離塩基:ポリソルベート80=1:0.1)、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間4時間で混合物を粉砕し、平均粒子径105nmのナノ懸濁液を得た。あらかじめ調製したポリソルベート80、ポリエチレングリコール6000、一部のマンニトール、およびラクトースの溶液をナノ懸濁液に添加した(API遊離塩基:ポリソルベート80:ラクトース:マンニトール:ポリエチレングリコール6000=1:0.3:0.5:0.3:0.1)。入口温度120℃、噴霧速度40rpmで混合物を噴霧乾燥し、噴霧乾燥粉末を得た。二酸化ケイ素を適量の上記噴霧乾燥粉末に添加し、混合し、35メッシュのふるいに通した。次にラウリル硫酸ナトリウム、マンニトール、微結晶セルロース、およびクロスカルメロースナトリウム(内部)を粉末に添加し、混合した。混合物を10%ラウリル硫酸ナトリウムの水溶液で湿式造粒し、乾燥させ、整粒した。次に顆粒をクロスカルメロースナトリウム(外部)およびフマル酸ステアリルナトリウムと混合し、打錠した。錠剤重量は約1gであった(規格:200mg、無水APIを基準とする)。
【0158】
実施例12
処方:
【表13】
【0159】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度4500rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、粒子径58nmのナノ結晶懸濁液を得た。あらかじめ調製したポリエチレングリコール6000およびラクトースの溶液をナノ結晶懸濁液に添加し、混合物を噴霧乾燥した。入口温度を120℃、噴霧速度を40rpmとして、噴霧乾燥粉末を得た。二酸化ケイ素を適量の上記噴霧乾燥粉末に添加し、混合し、35メッシュのふるいに通した。次に微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム(内部)、およびフマル酸ステアリルナトリウム(内部)を粉末に添加し、混合し、乾燥造粒し、24メッシュのふるいで整粒した。次にクロスカルメロースナトリウム(外部)およびフマル酸ステアリルナトリウム(外部)を顆粒に添加し、混合し、打錠した。錠剤重量は約1gであった(規格:200mg、無水APIを基準とする)。
【0160】
実施例13
処方:
【表14】
【0161】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度4500rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、粒子径58nmのナノ結晶懸濁液を得た。あらかじめ調製したポリエチレングリコール6000およびラクトースの溶液をナノ結晶懸濁液に添加し、混合物を噴霧乾燥した。入口温度を120℃、噴霧速度を40rpmとして、噴霧乾燥粉末を得た。二酸化ケイ素を適量の上記噴霧乾燥粉末に添加し、混合し、35メッシュのふるいに通した。次に微結晶セルロース、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム(内部)、およびフマル酸ステアリルナトリウム(内部)を粉末に添加し、乾燥造粒し、24メッシュのふるいで整粒した。次にクロスカルメロースナトリウム(外部)およびフマル酸ステアリルナトリウム(外部)を顆粒に添加し、混合し、打錠した。錠剤重量は約1gであった(規格:200mg、無水APIを基準とする)。
【0162】
実施例14
処方:
【表15】
【0163】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、粒子径89nmのナノ結晶懸濁液を得た。あらかじめ調製したポリエチレングリコール6000およびラクトースの溶液をナノ結晶懸濁液に添加し、混合物を噴霧乾燥した。入口温度を120℃、噴霧速度を40rpmとして、噴霧乾燥粉末を得た。二酸化ケイ素、噴霧乾燥マンニトール、およびフマル酸ステアリルナトリウムを適量の上記噴霧乾燥粉末に添加し、混合し、打錠した。錠剤重量は約1gであった(規格:200mg、無水APIを基準とする)。
【0164】
実施例15
処方:
【表16】
【0165】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間4時間で混合物を粉砕し、粒子径128nmのナノ結晶懸濁液を得た。あらかじめ調製したポリエチレングリコール6000およびラクトースの溶液をナノ結晶懸濁液に添加した。混合物を凍結乾燥(サンプル溶液の固形分は約20%であった)、すなわち、-40℃で5時間予備凍結し、-5℃で13時間、真空度0.18mbarで一次乾燥、10~15℃で16時間、真空度0.18mbarで二次乾燥した。凍結乾燥終了後、粉砕整粒機を用いてサンプルを粉砕および整粒した。二酸化ケイ素、噴霧乾燥マンニトール、およびフマル酸ステアリルナトリウム(内部)をサンプルに添加し、混合した。混合物を乾燥造粒し、フマル酸ステアリルナトリウムを添加(外部)し、混合し、打錠した。錠剤重量は約1gであった(規格:200mg、無水APIを基準とする)。
【0166】
実施例16
処方:
【表17】
【0167】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、一部のポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った(API遊離塩基:ポリソルベート80=1:0.3)。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間4.5時間で混合物を粉砕し、粒子径102nmのナノ結晶懸濁液を得た。次にあらかじめ調製したポリソルベート80およびマンニトールの溶液をナノ結晶懸濁液に添加した。混合物を凍結乾燥(サンプル溶液の固形分は約10%であった)、すなわち、-40℃で5時間予備凍結し、-5℃で13時間、真空度0.18mbarで一次乾燥、10~15℃で16時間、真空度0.18mbarで二次乾燥した。凍結乾燥終了後、粉砕整粒機を用いてサンプルを粉砕および整粒した。二酸化ケイ素、噴霧乾燥マンニトール、およびフマル酸ステアリルナトリウムをサンプルに添加し、混合し、打錠した。錠剤重量は約1gであった(規格:200mg、無水APIを基準とする)。
【0168】
実施例17~23
実施例16の調製方法を参照し、粉砕処方はAPI遊離塩基:ポリソルベート80=1:0.3とした。粉砕後、下記表の安定剤を粉砕液に添加し、均等に分散させ、混合物を凍結乾燥した。乾燥後、下記表の処方に従って、増量剤、滑沢剤などを添加し、実施例17~23を得た。粉砕後の各実施例の粒子径を表7に記録した。
【表18】
【0169】
IV.ナノ結晶製剤(カプセル)の調製
実施例24
処方:
【表19】
【0170】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および精製水の量を量り取った(API遊離塩基:ポリソルベート80=1:0.3)。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間5時間で混合物を粉砕し、平均粒子径93nmのナノ結晶懸濁液を得た。次にあらかじめ調製したポビドンK29/32、ポロクサマー188、およびマンニトールの溶液をナノ結晶懸濁液に添加し、API遊離塩基:ポリソルベート80:ポビドンK29/32:ポロクサマー188:マンニトール=1:0.3:0.4:0.2:1の最終サンプルを得た。サンプルを凍結乾燥(サンプル溶液の固形分は約10%であった)、すなわち、-40℃で5時間予備凍結し、-5℃で13時間、真空度0.18mbarで一次乾燥、10~15℃で16時間、真空度0.18mbarで二次乾燥した。凍結乾燥終了後、サンプルを40メッシュのふるいに通し、301.2mgの凍結乾燥粉末を量り取り、規格100mgでそのままカプセルに充填した。
【0171】
実施例25
処方:
【表20】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および精製水の量を量り取った(API遊離塩基:ポリソルベート80=1:0.3)。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間5時間で混合物を粉砕し、平均粒子径103nmのナノ結晶懸濁液を得た。次にあらかじめ調製したポビドンK29/32、ポロクサマー188、およびマンニトールの溶液をナノ結晶懸濁液に添加し、API遊離塩基:ポリソルベート80:ポビドンK29/32:ポロクサマー188:マンニトール=1:0.3:0.3:0.2:1.7の最終サンプルを得た。サンプルを凍結乾燥(サンプル溶液の固形分は約10%であった)、すなわち、-40℃で5時間予備凍結し、-5℃で13時間、真空度0.18mbarで一次乾燥、10~15℃で16時間、真空度0.18mbarで二次乾燥した。凍結乾燥終了後、サンプルを40メッシュのふるいに通し、361mgの凍結乾燥粉末を量り取り、規格100mgでそのままカプセルに充填した。
【0172】
V.腸溶ナノ結晶製剤(錠剤またはカプセル)の調製
実施例26 腸溶ナノ結晶錠剤
処方:
【表21】
【0173】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、粒子径109nmのナノ結晶懸濁液を得た。次にあらかじめ調製したポロクサマー、ポビドンK29/32、およびマンニトールの溶液をナノ結晶懸濁液に添加した。混合物を凍結乾燥(サンプル溶液の固形分は約20%であった)、すなわち、-40℃で5時間予備凍結し、-5℃で13時間、真空度0.18mbarで一次乾燥、10~15℃で16時間、真空度0.18mbarで二次乾燥した。凍結乾燥終了後、粉砕整粒機を用いてサンプルを粉砕および整粒した。二酸化ケイ素、微結晶セルロース、クロスポビドン、およびステアリン酸マグネシウムをサンプルに添加し、混合し、打錠した。錠剤重量は約1gであった(規格:100mg、無水APIを基準とする)。腸溶コーティングのためにフィルムコーティングプレミックス(腸溶型)を用いて固形分20%のコーティング材料を調製し、攪拌しながらコーティングを行った。入口温度は45℃、送風量は200m/分、錠剤温度は31℃、コーティングパンの回転数は15~18rpm、コーティング液の噴霧速度は5g/分、コーティングによる重量増加は9.9%であった。
【0174】
実施例27 腸溶ナノ結晶錠剤
処方:
【表22】
【0175】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、粒子径109nmのナノ結晶懸濁液を得た。次にあらかじめ調製したポロクサマー、ポビドンK29/32、およびマンニトールの溶液(マンニトールが15%を占めた)をナノ結晶懸濁液に添加した。混合物を凍結乾燥(サンプル溶液の固形分は約20%であった)、すなわち、-40℃で5時間予備凍結し、-5℃で13時間、真空度0.18mbarで一次乾燥、10~15℃で16時間、真空度0.18mbarで二次乾燥した。凍結乾燥終了後、粉砕整粒機を用いてサンプルを粉砕および整粒した。二酸化ケイ素、マンニトール(33.94g)、およびステアリン酸マグネシウムをサンプルに添加し、混合し、打錠した。錠剤重量は約1gであった(規格:100mg、無水APIを基準とする)。腸溶コーティングのためにフィルムコーティングプレミックス(腸溶型)を用いて固形分20%のコーティング材料を調製し、攪拌しながらコーティングを行った。入口温度は48℃、送風量は200m/分、錠剤温度は36℃、コーティングパンの回転数は15~20rpm、コーティング液の噴霧速度は5g/分、コーティングによる重量増加は10.0%であった。
【0176】
実施例28 腸溶ナノ結晶カプセル
処方:
【表23】
【0177】
調製方法:処方中のAPI塩酸塩、ポリソルベート80、および一部の精製水の量を量り取った。ナノ粉砕機(0.2mm粉砕ビーズ、90%充填量)を用いて、粉砕速度3000rpm、粉砕時間6時間で混合物を粉砕し、粒子径109nmのナノ結晶懸濁液を得た。次にあらかじめ調製したポロクサマー、ポビドンK29/32、およびマンニトールの溶液(マンニトールが15%を占めた)をナノ結晶懸濁液に添加した。混合物を凍結乾燥(サンプル溶液の固形分は約20%であった)、すなわち、-40℃で5時間予備凍結し、-5℃で13時間、真空度0.18mbarで一次乾燥、10~15℃で16時間、真空度0.18mbarで二次乾燥した。凍結乾燥終了後、粉砕整粒機を用いてサンプルを粉砕および整粒した。二酸化ケイ素、微結晶セルロース、マンニトール(15g)、クロスポビドン、およびステアリン酸マグネシウム(0.25g)をサンプルに添加し、混合し、乾燥造粒し、24メッシュのふるいで整粒した。ステアリン酸マグネシウム(0.25g)を添加し、混合した。サンプルを充填量800mg(規格:100mg、無水APIを基準とする)で腸溶カプセルNo.00に手作業で充填した。
【0178】
薬物溶出試験
試験I
比較例1~3の錠剤溶出試験
1.溶出方法:
1)方法:溶出率測定法(中国薬局方2020年版第四部通則「0931溶出率および放出率測定法」第二法(パドル法));
2)溶出溶媒:精製水、0.3 SDS水溶液、0.5% SDS水溶液、0.8% SDS水溶液、1.0% SDS水溶液、pH2.0 塩酸溶液+1.0% SDS、pH4.5 酢酸塩溶液+1.0% SDS、pH6.8 リン酸塩溶液+1.0% SDS、3% Tween溶液;900ml;
3)回転数:75rpm;
4)サンプリング時間:5分、15分、30分、45分、60分、90分、120分、180分;
5)検出法:高速液体クロマトグラフィー、検出波長:254nm;
6)試験溶液の調製:5mlの溶液を各タイムポイントで採取し、濾過した。
【0179】
標準試料溶液の調製:約25mgの標準試料を正確に量り取り、100mLメスフラスコの中に入れた。メスフラスコに約2mLのDMSOを添加した。標準試料を超音波によって溶解した。次に混合物を対応する溶媒の希釈液で目盛りまで希釈し、十分に振盪した。
【0180】
2.装置の型式:
【表24】
【0181】
3.溶出結果
各溶媒における比較例1~3の溶出結果を表1および図1図2に示す。
【表25】
注:表中の溶出結果は百分率で記載される。「ND」は不検出を意味する。
【0182】
本開示の比較例3で調製された通常のAPI錠剤は精製水に不溶であり、様々な濃度のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む水および様々なpH値を有する溶媒において有意に異なる溶出率を有したことが表1および図1~2から分かる。SDSの割合が上昇するほど溶出率は増加した。pHが低くなるほど、薬物の凝集は深刻になり、溶出率は低下した。比較例1~3と比較すると、APIを微粒子化した後に調製された錠剤の溶出は有意に改善されなかった。適量の二酸化ケイ素を添加し、処方を最適化すると(比較例3)、製品の溶出は大きく改善されたが、溶出率はSDS濃度≦0.5%の溶媒では低いままであった。
【0183】
試験II
実施例8および9のナノ結晶懸濁液の溶出試験
各溶媒における溶出結果を表2および図3に示す。
【表26】
注:表中の溶出結果は百分率で記載される。
【0184】
表2および図3から分かるように、本開示の実施例8~9で調製されたナノ結晶懸濁液製剤の溶出率は通常の錠剤よりも有意に高く、溶出率は低SDS濃度(3%)の溶媒において15分で85%以上に達した。しかしSDS濃度をさらに2%まで減少させると、サンプルが溶出の後半で沈殿した。3% Tween溶媒を用いると、実施例8および実施例9の2つのナノ結晶懸濁液の溶出率は有意に改善され、サンプルは沈殿することなく安定であった。
【0185】
試験III
実施例10~15のナノ結晶錠剤の溶出試験
各溶媒における溶出結果を表3および図4~6に示す。
【表27】
注:表中の溶出結果は百分率で記載される。
【0186】
本開示の実施例10~15で調製されたナノ結晶錠剤の溶出率が通常の錠剤よりも有意に高かったことが、表3および図4~6から分かる。ナノ結晶懸濁液と比較すると、初期段階における溶出速度はより緩慢であり、2時間における溶出率は同程度であった。
【0187】
試験IV
実施例24~25のナノ結晶カプセルの溶出試験
各溶媒における溶出結果を表4および図7に示す。
【表28】
【0188】
本開示の実施例24~25で調製されたナノ結晶カプセルの溶出率が通常の錠剤よりも有意に高かったことが、表4および図7から分かる。ナノ結晶錠剤と比較すると、溶出は1時間およびその前においてより速く、溶出率は1時間後において同程度であった。ナノ結晶懸濁液と比較すると、溶出は15分およびその前においてより遅く、溶出率は15分後において同程度であった。
【0189】
試験V
実施例26~28のナノ結晶腸溶製剤の溶出試験
本試験では、他の実施例および比較例と比較して、製品規格は200mgから100mgに変更され、対応する溶出溶媒の体積は900mlから500mlに変更された。
【0190】
各溶媒における溶出結果を表5に示す。
【表29】
【0191】
粒子径安定性試験
ナノ結晶懸濁液を調製する工程において、発明者は様々な安定剤が製品の粒子径安定性に及ぼす影響を研究した。具体的な試験結果を表6および表7に示す。
【0192】
【表30】
【0193】
【表31】
【表32】
注:「--」は不検出を意味する。
【0194】
ナノ結晶を調製する工程において、発明者は粉砕速度、粉砕ビーズの充填量、サンプル量、および粉砕時間がAPIの粒子径に与える影響を研究した。
【表33】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】