(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】水の流れから電気を発生させる装置
(51)【国際特許分類】
F03B 11/02 20060101AFI20241126BHJP
F03B 13/08 20060101ALI20241126BHJP
F03B 17/06 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
F03B11/02
F03B13/08
F03B17/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529170
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-07-08
(86)【国際出願番号】 GB2022052891
(87)【国際公開番号】W WO2023084249
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524182260
【氏名又は名称】ヴァーダーグ リニューアブル エナジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ケトル,ロバート
【テーマコード(参考)】
3H072
3H074
【Fターム(参考)】
3H072AA02
3H072BB07
3H072CC01
3H072CC06
3H072CC74
3H074AA10
3H074AA12
3H074BB09
3H074CC50
(57)【要約】
水の流れから電気を発生させる装置。水の流れから電気を発生させる装置であって、ベンチュリが形成されるように、下流端部で混合チャンバの上流端部に連結された、収束セクションと、混合チャンバの下流端部に連結されたディフューザセクションであり、ディフューザが、使用のとき、ディフューザの出口における静圧がベンチュリにおける静圧よりも大きくなるように構成された、ディフューザセクションと、第1の流路を形成するようにチューブと収束セクションとの間に環状部が画定されるように収束セクション内に配置されたチューブの少なくとも一部であり、チューブがチューブ内に第2の流路を画定する、チューブの少なくとも一部と、チューブに連結され、発電機に連結可能な、タービンとを備え、ここで、タービンが、下流端部で収束セクションの上流端部に連結されたタービンチャンバ内に配置される、装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流れから電気を発生させる装置であって、
ベンチュリが形成されるように、下流端部で混合チャンバの上流端部に連結された、収束セクションと、
前記混合チャンバの下流端部に連結されたディフューザセクションであり、ディフューザが、使用のとき、前記ディフューザの出口における静圧が前記ベンチュリにおける静圧よりも大きくなるように構成された、ディフューザセクションと、
第1の流路を形成するようにチューブと前記収束セクションとの間に環状部が画定されるように前記収束セクション内に配置された前記チューブの少なくとも一部であり、前記チューブが前記チューブ内に第2の流路を画定する、チューブの少なくとも一部と、
前記チューブに連結され、発電機に連結可能な、タービンと
を備え、
前記タービンが、下流端部で前記収束セクションの上流端部に連結されたタービンチャンバ内に配置される、装置。
【請求項2】
前記タービンチャンバが、その上流端部で入口パイプに連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記タービンチャンバが、第2のディフューザを介して前記入口パイプに連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記入口パイプが、サイフォンを備える、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記タービンチャンバが、使用のとき、加圧される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記タービンチャンバが、実質的に一定の断面積を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記タービンチャンバが、略円筒形内面を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記タービンチャンバが、前記タービンチャンバの内部へのアクセスを提供するためにその壁にハッチを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記タービンおよび前記チューブが、前記タービンチャンバ内に取り外し可能に取り付けられるタービン支持構造に取り付けられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記タービン支持構造が、スキッドを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記タービンおよび/または前記チューブが、前記タービンチャンバ内に摺動可能に取り付けられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ディフューザの出口に連結されたテールパイプをさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記タービンチャンバが、前記装置の残りの部分から分離可能な内蔵型ユニットを備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記混合チャンバが、その直径の少なくとも2倍の長さを有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
水の流れから電気を発生させる装置であって、
ベンチュリが形成されるように、混合チャンバの上流端部に連結された収束セクションと、
前記混合チャンバの下流端部に連結されたディフューザセクションであり、ディフューザが、使用のとき、前記ディフューザの出口における静圧が前記ベンチュリにおける静圧よりも大きくなるように構成された、ディフューザセクションと、
第1の流路を形成するようにチューブと前記収束セクションとの間に環状部が画定されるように前記収束セクション内に配置された前記チューブの少なくとも一部であり、前記チューブが前記チューブ内に第2の流路を画定する、チューブの少なくとも一部と、
前記チューブに連結され、発電機に連結可能な、タービンと
を備え、
前記混合チャンバが、その直径の少なくとも2倍の長さを有する、装置。
【請求項16】
混合セクションが、略円筒形である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記混合セクションが、4度までの角度で先細りする、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
水の流れから電気を発生させるシステムであって、流水域の断面を横切って配置されるバリアと、請求項1から17のいずれか一項に記載の少なくとも1つの装置とを備え、
前記少なくとも1つの装置が、前記バリアの上流側から前記バリアの下流側までの流路を提供するように配置される、システム。
【請求項19】
水の流れから電気を発生させる方法であって、水頭差がバリアの下流側と上流側との間で生じるように、水のリザーバを提供する水域を横切って請求項18に記載のシステムを設置することと、装置を通る水の流れを用いてタービンを回転させることとを含む、方法。
【請求項20】
水域を横切るバリアを通る流路を用意する方法であって、前記バリア内に請求項1から17のいずれか一項に記載の装置を設置することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水の流れから電気を発生させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水の流れを電気に変換する多くのシステムが提案されている。これらのシステムは、水域を横切る水の流れを遮断し、水頭を作り出すためのダム、堰、または他の人工的な構造物を必要とする。十分に利用可能な水頭になると、水が放出されてタービンを通って流れ、電力を発生させ、それに伴って、水中に貯蔵された位置エネルギーを有用な電力に変換する。発電システムに使用される1つのタイプのデバイスは、カプランタービンである。
【0003】
従来技術のシステムには多くの欠点がある。そのうちのいくつかを以下において考える。
【0004】
実際、従来技術のシステムは、商業的なエネルギー生産のためにそれらの使用を可能にするために高い流量を必要とし、比較的低い速度で動作する。そのような高い流量での動作は、大きな直径を有するシステムを必要とする。
【0005】
従来技術のシステムは、典型的には、装置を完全に水中に沈めることができるように、上流水源内/付近に深く掘られたタービンハウスを必要とする。より深い上流水位は、キャビテーションの危険を減少させ、自由表面の渦の形成がタービンへと引き込まれることを防ぐ働きをする。キャビテーションを防ぐために、タービンブレードは、ゆっくりと回転しなければならず、したがって、発電機についてのシャフト速度を段階的に上昇させるためにギアボックスを必要とする。
【0006】
従来技術のシステムは、典型的には、タービンに魚および他の水生生物が引き込まれることを防ぐために、タービン入口の上流に大きなスクリーンを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、水の流れから電気を発生させる改善された装置であり、特に、より低い費用、および簡単な設置を可能にするそのような装置を提供することを目指している。装置は、好ましくは内蔵型である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明によれば、水の流れから電気を発生させる装置であって、ベンチュリが形成されるように、下流端部で混合チャンバの上流端部に連結された、収束セクションと、混合チャンバの下流端部に連結されたディフューザセクションであり、ディフューザが、使用のとき、ディフューザの出口における静圧がベンチュリにおける静圧よりも大きくなるように構成された、ディフューザセクションと、第1の流路を形成するようにチューブと収束セクションとの間に環状部が画定されるように収束セクション内に配置されたチューブの少なくとも一部であり、チューブがチューブ内に第2の流路を画定する、チューブの少なくとも一部と、チューブに連結され、発電機に連結可能な、タービンとを備え、ここで、タービンが、下流端部で収束セクションの上流端部に連結されたタービンチャンバ内に配置される、装置が提供される。
【0009】
タービンと、そうでなければタービンチューブまたはタービンドラフトチューブと称されることもあるチューブとの連結によって、配置は、タービンが、チューブを通る加圧流体流によって駆動され、最も好ましくは、タービンが、チューブを通る加圧流体流のみによって駆動されるような配置になる。
【0010】
タービンチャンバは、その上流端部で入口パイプに連結されることが好ましい。入口パイプは、実質的に一定の断面積を有することが好ましい。タービンチャンバは、入口パイプに直接的に連結され得る。またはそれは、より好ましくは、第2の(もしくは入口)ディフューザを介して/経て入口パイプに連結され得る。そのような場合、第2のディフューザは、その下流端部でタービンチャンバに連結され、その上流端部で入口チューブに連結される。第2のディフューザは、存在する場合、水がタービンチャンバに入るときの水の速度を低減させる。
【0011】
タービンチャンバは、閉容積を画定する。それは、入口および出口を除いて閉鎖される。タービンチャンバは、使用のとき加圧されることが好ましい。それは、自由表面がないように、水で完全に満たされることが好ましい。
【0012】
タービンチャンバは、装置の上流および下流構成要素への連結のための内蔵型タービンモジュールを画定することが好ましい。
【0013】
タービンチャンバは、一定の断面積を有することが好ましい。それは、略円筒形内面を備え得る。
【0014】
タービンチャンバは、設置およびメンテナンス作業のためのアクセスを可能にするように開けられるように配置されることが好ましい。そのため、ハッチが設けられてもよい。
【0015】
タービンチャンバは、それが水の外となるように、または、完全にもしくは部分的に水中に沈められるように、取り付けられ得る。
【0016】
タービンおよび/またはチューブは、タービンチャンバ内に摺動可能に取り付けられることが好ましい。それらは、タービンチャンバ内に収容されるスキッドに取り付けられ得る。
【0017】
入口パイプは、完全に水中に沈められた入口を有することが好ましい。
【0018】
入口パイプは、その上流端部に、デブリ用スクリーンを備えることが好ましい。
【0019】
入口パイプは、サイフォンチューブであってもよく、ここでは、入口パイプは、上流水位の上のレベルまで上げるように逆さにされる。入口パイプは、そのような場合、真空ポンプによりプライミングされ得る。入口パイプがサイフォンチューブの形態を取る場合、装置を通る水の流れは、入口パイプ内の空気圧を管理することによって制御され得る。そのような場合、装置内の流れは、サイフォンを動かなくするように入口パイプへ空気が入ることを許可することによって、遮断され得る。
【0020】
混合チャンバは、その内径の少なくとも2倍の長さを有することが好ましい。
【0021】
さらなる一態様において、本発明によれば、水の流れから電気を発生させる装置であって、ベンチュリが形成されるように、混合チャンバの上流端部に連結された収束セクションと、混合チャンバの下流端部に連結されたディフューザセクションであり、ディフューザが、使用のとき、ディフューザの出口における圧力がベンチュリにおける圧力よりも大きくなるように構成された、ディフューザセクションと、第1の流路を形成するようにチューブと収束セクションとの間に環状部が画定されるように収束セクション内に配置されたチューブの少なくとも一部であり、チューブがチューブ内に第2の流路を画定する、チューブの少なくとも一部と、チューブに連結され、発電機に連結可能な、タービンと、を備え、ここで、混合チャンバが、その直径の少なくとも2倍の長さを有する、装置が提供される。
【0022】
第2の態様によれば、タービンチャンバ、入口チューブおよび入口ディフューザは、省略されてもよい。これらの要素は、別の方法で、第1の態様に従って含まれてもよい。
【0023】
次に、第1の態様か第2の態様について採用され得るさらなる特徴について簡単に説明する。
【0024】
タービンチャンバは、一定の断面積を有し得る。これは、略円筒形内面を備え得る。内面は、その長さ全体または一部に沿って4度までの角度に別の方法で先細りされてもよい。
【0025】
ディフューザの出口に連結されるテールパイプが設けられてもよい。テールパイプは、下流水域への連結に使用され得る。テールパイプの下流端部は、水中に完全に沈められることが好ましい。
【0026】
収束セクション、混合チャンバおよびディフューザセクションは、一緒に、圧力増幅セクションを画定すると考えられ得る。テールパイプは、存在する場合、圧力増幅システムの一部を形成すると考えられ得る。圧力増幅セクションは、タービンの出口で圧力を減少させ、したがってそれを横切る利用可能な圧力が増幅される。混合チャンバの端部に連結されたディフューザセクションは、圧力が回復する場所である。
【0027】
チューブは、その上流端部において、タービンの前面にスクリーンを備えることが好ましい。このスクリーンは、実質的に円錐形とすることができる。スクリーンのアパーチャのサイズは、魚および他の海洋動物(カワウソなど)がタービンに入り込むことを防ぎつつ、チューブを通る水の適切な流れを可能にするように選択される。スクリーンは、任意の適切な材料から作られ得る。それは、有孔金属スクリーンを備えてもよい。
【0028】
圧力増幅セクション内にはタービンがないので、魚および他の海洋動物の下流への通過は妨げられない。それらは、上流側から下流側に安全に泳ぐことができる。装置は、魚および他の動物にダメージを与えずに、水の流れから大量のエネルギーを回収することができる。
【0029】
チューブの入口は、タービンに連結されることが好ましい。タービンチャンバが設けられる場合、入口は、タービンチャンバ内にあることが好ましい。出口は、ベンチュリ領域内に配置されることが好ましい。チューブおよび圧力増幅セクションの要素は、同軸にあることが好ましい。
【0030】
チューブは、性能を最大にするために、収束セクションおよび混合チャンバに対して前または後に軸方向に動くことができることが好ましい。これは、チューブを摺動可能に取り付けることによって達成され得る。チューブの下流端部は、ベンチュリセクション、ベンチュリセクションの上流、またはベンチュリセクションの下流のレベルに配置され得る。チューブの端部は、選択的に、これらの位置の間で移動可能/これらの位置において固定可能であり得る。
【0031】
チューブは、タービンに連結されるハブ内で支持され得る。ハブは、流れの干渉を最小限に抑えるために、滑らかなプロファイルを有することができる。チューブは、チューブの設置の間、タービンに連結され、ベンチュリ内に片持状に設けられ得る。
【0032】
チューブ、ハブおよびタービンのうちのいずれかまたはすべては、スキッドによって支持され得、スキッドは、存在する場合、タービンチャンバの下部に取り付けられ得る。
【0033】
その取り付けに関係なく、チューブの出口は、チューブ内の二次流量、およびチューブの上流端部と下流端部との間の圧力差を最適化するために位置決めされることが好ましい。
【0034】
混合チャンバの入口の断面積とチューブの断面積との比は、チューブ内の二次流量、およびチューブの上流端部と下流端部との間の圧力差を最適化するように選択されることが好ましい。
【0035】
タービンの直径は、チューブの直径を決定することができる。チューブは、その長さに沿って実質的に均一な直径を有することができ、入口および出口は、実質的に同じ直径を有する。
【0036】
混合チャンバの入口の断面積と、二次チューブの端部の断面積との正確な比を維持するために、二次チューブに沿った直径を変えることができる。タービンの直径がチューブの最適出口直径よりも小さい場合、チューブのプロファイルは、若干発散し得る。そうではなくて、それは若干収束してもよい。
【0037】
収束セクションの入口の断面積と混合チャンバの入口の断面積との比は、チューブ内の二次流量、およびチューブの上流端部と下流端部との間の圧力差を最適化するように選択されることが好ましい。
【0038】
収束セクションの入口の断面積とディフューザセクションの出口の断面積との比は、デバイスの性能を最適化するように選択されることが好ましい。
【0039】
タービンは、駆動シャフトによって発電機に同軸に連結され得る。あるいは、タービンは、離れた発電機に連結されてもよい。発電機との連結は、プーリホイール、駆動ベルト、チェーン、1つもしくは複数のギアホイールもしくは駆動シャフト、または上記の任意の混合物によってなされ得る。これらの構成要素を囲むパイプは、タービンシャフト内に連結され得る。
【0040】
ディフューザセクションの出口および/または収束セクションの入口は、略矩形、略円形または略楕円形の断面を有してもよい。
【0041】
混合チャンバは、その長さに沿って略円形の断面を有することができる。
【0042】
流れ制御装置は、装置内の流体流を制御するように設けられ得る。流れ制御装置は、例えば、スルースゲート、または弁を備えることができる。流れ制御装置は、チューブの上流、流出パイプの下流、またはその間の任意の位置に配置され得る。
【0043】
装置は、バリアを通る流路をもたらすように使用され得る。バリアは、一方側に高圧リザーバまたは水格納部を作り出す、水域内の自然に存在する構造物、ダム、または他のそのような構造物であり得る。
【0044】
本発明のさらなる一態様は、水の流れから電気を発生させるシステムであって、流水域の断面を横切って配置されるバリアを備え、上述のような少なくとも1つの装置を備え、ここで、装置が、使用のときにバリアの上流側からバリアの下流側までの流路を提供するように配置される、システムを備える。
【0045】
本発明のさらなる一態様は、水域を横切るバリアを通る流路を用意する方法であって、バリア内に上述したような装置を設置することを含む、方法を含む。
【0046】
本発明のさらなる一態様は、水の流れから電気を発生させる方法であって、水頭差がバリアの下流側と上流側との間で生じるように、水のリザーバを提供するように、水域を横切って上述したようなシステムまたは装置を設置することと、装置を通る水の流れを用いてタービンを回転させることとを含む、方法を含む。
【0047】
本適用例では、「上流」および「下流」という用語を使用して、装置の特徴の相対的位置を定義する。上流および下流方向は、使用中に水が装置を通って流れる方向に対して定義される。上流端部は入力領域と考慮され得、下流端部は出力領域と考慮され得る。
【0048】
2つの要素が互いに連結されるように明示される本適用例では、それらは、互いに流体密シールで連結され得る。それらは、別の方法で相互形成(co-formed)されてもよい。
【0049】
本開示の上記その他の態様および特徴は、添付の図面をあわせて読めばより容易に理解できるであろう。さらに、上記の説明のいずれかの様々な特徴は、当業者に容易に理解されるように、制約なく、組み合わされてもよいことに留意されたい。
【0050】
次に、本発明の非限定的な実施形態を、添付の図面を参照して例として述べる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】ダクト付き(ducted)入口パイプと上流スルースゲートとを備える、本発明の一実施形態による装置の側面図である。本発明は、取入れ口から放出部に向けて傾斜して図示されている。
【
図2】サイフォン式入口をさらに備える、
図1の装置の側面図である。
【
図3】水中発電機とともにサポートスキッドを備えるタービン配置の図である。
【
図4】上流のフィッシュスクリーンを含む、
図3のタービン配置の図である。
【
図5】
図1または
図2の配置によるタービンチャンバを上流から見た図であり、タービンチャンバスキッドに取り付けられた発電機を示す図である。
【
図6】
図1または
図2の配置によるタービンチャンバを下流から見た図であり、ここで、パイプをシールするカバーは、発電機の駆動チェーンの眺めを示すために取り外されている。
【
図7】入口の上流に取り付けられた上流デブリ用スクリーンの斜視図であり、ここでは、入口パイプを通る流れを制御するためのスルースゲートが示されている。
【
図9】
図8に対応するが、外部発電機が内部水中発電機に置き換えられている、等角図である。
【
図10】(
図4に見られるような)スクリーンが省かれている、
図9の配置の断面図である。
【
図11】外部発電機に結合するように駆動シャフトに取り付けられたスプロケット/プーリを備える、
図1および
図8において使用されるものによるタービンアセンブリの断面図であり、ここでは、チューブは、下流方向に先細りするように示されている。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図面を参照すると、水の流れから電気を発生させる装置であって、ベンチュリが形成されるように、混合チャンバ9の上流端部に、下流端部で連結された収束セクション8と、混合チャンバ9の下流端部に連結されたディフューザセクション10であり、使用のとき、ディフューザセクション10の出口の圧力がベンチュリでの圧力よりも大きくなるように構成された、ディフューザセクション10と、第1の流路を形成するようにチューブ15と収束セクション8との間に環状部が画定されるように収束セクション8内に配置されたチューブ15の少なくとも一部であり、チューブ15がチューブ内に第2の流路を画定する、チューブ15の少なくとも一部と、チューブ15に連結され発電機25と連結可能なタービン14とを備える、装置が示されている。
【0053】
タービン14は、図面に描かれている配置の場合のように、収束セクション8の上流端部に、下流端部で連結されるタービンチャンバ(または、ダクト)7内に配置されることが好ましい。加えて、または別法として、混合チャンバ9は、その直径の少なくとも2倍の長さを有することが好ましい。
【0054】
次に図面に描かれる非限定的な配置の詳細な検討がなされる。
【0055】
図1および
図2は、水の流れを電気に変換するシステムを示す。システムは、液圧位置エネルギー(hydraulic potential energy)を機械エネルギーへ、次いで電気エネルギーへ変換する。システムは、水域の幅を横切って配置されるバリア1、および、上記で広く定義されるような、バリアの上流側からバリアの下流側にバリアを通る水の流路をもたらす装置を備える。
【0056】
この装置は、バリア1の上流水位2から下流の水位3までの流路をもたらす。装置は、上流水域から流れを引き込む入口パイプ5を備える。入口パイプは、ディフューザ6(請求の第2のディフューザ)に入れられることが好ましい。ディフューザは、タービンチャンバ(またはダクト)7に入る前に流速を低減させる。しかし、ディフューザ6は、省略されてもよい。タービンチャンバ7からの流れは、混合チャンバ9に入る前に、狭窄し流速を増加させる収束セクション8に入る。混合チャンバ9の後、流れは、拡散セクション10を通り、次いで放出テールパイプ11を通る。混合チャンバ9の方に向かう収束セクション8の狭窄は、ベンチュリ13を形成する。
【0057】
装置は、
図1に見られるように、土木工事および設置時間を減少させるように、傾斜角度θで設置することができ、一方、入口およびテールパイプは、水線より下に沈められたままにされる。
【0058】
水域を横切るバリア1は、装置のすぐ上流に圧力水頭をもたらす。これは、バリアの後ろの水深が増すと流れが減速するので、さらに上流の流れからの運動エネルギーの一部を、上昇した水位の位置エネルギーに変換する。
図1に示されるように、結果的に生じる水頭差Hによって、有用な機械エネルギーへの位置エネルギーの変換が可能になる。水は、バリアの上流側から、入口チューブを通り、タービンダクトを通って、収束セクションへと流れ続け、混合セクションへと進み、次いで、ディフューザセクションを経て装置の外に出る。タービンドラフトチューブを通る二次流が引き起こされ、それが、ブレードアセンブリを介してタービンチューブの回転を駆動し、それによって機械的または電気的なパワーオフテイク(offtake)配置を介して電気が生成される。
【0059】
タービン14は、タービンチャンバ7によって収容され、タービンチャンバ7内で支持される。チューブ15は、チューブ15の外面と収束セクション8の内面との間に環状部が形成されるように、収束セクション8内に延びる。タービン14は、ボルト締めフランジ18によって、支持プレート17に固定することによって取り付けられることが好ましい。そのような配置は、メンテナンスのための簡単な取り外しを提供する。しかし、多くの代替取り付け配置が可能であると理解されたい。タービン14は、ハブ21上に取り付けられたガイドベーン19およびブレード20からなることが好ましい。水がタービンを通って流れると、ブレードアセンブリが、タービン駆動シャフト22の回転を駆動する。しかし、やはりまた、タービン14は、任意の特定の構造に限定される必要がないことを理解されたい。当業者なら、多くの代替タービン構造が容易に理解されよう。
【0060】
一次流についての第1の流路は、タービンドラフトチューブ15と収束セクション8との間の環状部内に画定される。二次流についての第2の流路は、タービン14内およびドラフトチューブ15内に画定される。環状部は、チューブ15と収束セクション8の内壁との間の円形のリング形空間に限定されないと理解されたい。環状部の形状は、収束セクション8およびタービンドラフトチューブ15の断面形状に応じて決まり、したがって多くの異なるプロファイルを取ることができる。
【0061】
収束セクション8は、一次流を加速させ、それによってベンチュリ13に低圧ゾーンが形成される。低圧ゾーンは、タービン14内を通る二次流を誘起する。一次流と二次流はともに、混合ダクト9に入り、そこで2つの流れは混合する。混合された流れは、ディフューザセクション10に入り、そこにおいて、水流の速度は、それがディフューザセクション10を通るにつれて減速する。水がディフューザセクション10を通って流れると、流れは、その静水頭を取り戻し、それがディフューザセクション10を出る前にその動水頭を損失する。図示のように、ディフューザセクション10の下流にテールパイプセクション11を設けることが好ましい。設けられる場合、これは、ベンチュリ内の低い静水頭を保つように働く。
【0062】
一次流は、収束セクション8とタービンドラフトチューブ15との間に形成された環状部を通ることになる。より小さな体積の水である、二次流は、タービン14内を流れ、それによって、それがブレード20を過ぎて流れると、タービンハブ21および駆動シャフト22の回転が駆動される。一次流がベンチュリ13の方に向けて収束すると、一次流は、加速し、それによって静水頭が減少する。チューブの出口におけるチューブ15の外側の高速の一次流は、チューブ15の端部から出て混合チャンバ9に入るより低速の二次流を引き込むのを補助する。
【0063】
こうして、大量の低水頭流れが少量の高水頭流れに変えられ、それから回転するタービン駆動シャフト22により電力が効率的に生成され得る。
【0064】
入口チューブ5は、上流端部が、上流水域より下に完全に沈められるように構成される。
【0065】
図1には、非限定的な例示的な入口が示されている。装置を通る流れを制御するため、例えばスルースゲートまたは弁の形態を取ることができる流れ制御手段34が取り付けられ、それは、例えば、入口チューブ5内、混合ダクト9内またはテールパイプ11内に配置され得る。本配置において、制御手段は、開位置、閉位置またはその間の任意の位置を取ることができるスルースゲートを備える。スルースゲートは、アクチュエータ35によって動作されることが好ましい。アクチュエータの制御は、下流水位および上流水位に応じてゲートを動作するようにプログラムされた制御システムによってなされることが好ましい。
【0066】
図2は、サイフォン式入口の形態を取る、例示的な修正された入口配置を示す。サイフォン入口パイプ36は、その上流端部が上流水位2より下に沈められ、下流端部が入口パイプ5に連結されている。下流連結は、図示のようにボルト締めフランジにより、または当業者に明らかなような別の方法でなされてもよい。サイフォンパイプは、上流水位より上に上がるように逆さまになっている。装置を通る流れを開始するため、空気が、制御システムによって制御され得る真空ポンプを用いてサイフォンパイプから外に圧送され得る。容易に理解されるように、サイフォンパイプ内の空気の除去は、圧力を減少させ、パイプ内の水を汲み上げる。圧力が十分に低くなると、サイフォン作用により、パイプ内に水が引き込まれ始める。この時点で、エアポンプはオフにされ得る。流れを止めるために、例えば、弁が設けられてもよく、この弁は、開けることができ、それによって空気がパイプに引き込まれ、流れが終わるポイントまで圧力が低減する。
【0067】
サイフォン設置は、大きなスケールの掘削の必要を低減し、したがって費用および設置時間を低減させることができるため、有用である。
【0068】
デブリ用スクリーン4は、装置に入る大きなデブリを阻止するために入口の上流に取り付けられることが好ましい。
【0069】
タービン14は、図示のように、サポートスキッド16に取り付けられ得る。タービン14は、そうではなく、タービンチャンバ7内に溶接される、または機械的に締結されてもよい。タービンは、スキッドを介して取り付けられても、別の方法で取り付けられても、プレートまたはフレームなどの任意の適切な支持手段によって支持され得る。図示の配置では、プレート17が設けられる。プレート17は、スキッドに取り付けられ、タービンチューブ15の長手方向軸が、収束セクション8の長手方向軸と実質的に整列するように、タービンチューブ15を受容し支持するためのボアを備える。一代替配置において、タービン14は、径方向支持体上に取り付けられ、タービンチャンバ7の内壁に締結されてもよい。取り付け配置に関係なく、タービンは、タービンチューブ15の長手方向軸が収束セクション8の長手方向軸と実質的に整列するように配置されることが好ましい。
【0070】
タービンドラフトチューブ15は、タービンチャンバ7内の高静水頭とベンチュリ13内の低静水頭との間の流路を提供する。二次流は、タービン14およびタービンドラフトチューブ15を通り、タービンチューブ15の上流端部とベンチュリとの間における増幅された落差によって誘起される。
【0071】
タービンドラフトチューブ15は、その長さに沿って、実質的に一定の内径を有することができる。あるいは、それは、例えば
図11に示されるように、その下流端部の方に向けて先細りしていてもよい。図示のように、タービンチューブの直径は、その長さに沿って収束し、したがって、タービンドラフトチューブの入口は、タービンドラフトチューブの出口よりも大きな直径を有する。テーパ状タービンチューブを提供することは、ベンチュリの性能向上による装置のより高い効率を生成するのに役立ち得る。
【0072】
タービンチューブ15は、それがタービンチャンバ7内の高圧力からベンチュリ13における低圧力まで及ぶように、混合ダクトのすぐ前または内部に配置されるように十分な長さのものとすることができる。例えば
図10に示されるように、タービンドラフトチューブ15の下流端部は、距離Xだけ混合チューブ内へと延びるように、混合チャンバ(または、チューブ)9内に配置され得る。距離Xは、デバイスの性能を最適化するように選択され得、ゼロ、正または負であってもよい。距離Xが正のとき、タービンチューブは、混合チューブ内へと延びる。距離Xが負のとき、タービンチューブの出口は、混合チューブの入口の上流で終端する。距離Xがゼロのとき、タービンチューブの出口は、混合チューブの入口とほぼ一致する。
【0073】
装置についてのパワーオフテイク配置は、当業者によって容易に理解されるように、様々な異なる形態を取ることができる。装置についての2つの非限定的な例示的なパワー取り出しオプションを以下に説明する。パワー取り出し配置は、機械的または電気的であってもよく、ここではそれぞれの一例を以下で詳細に説明する。
【0074】
例示的な機械的オフテイク配置が
図11に示されている。タービンシャフト22の回転は、発電機25のシャフトに連結されたチェーンまたはベルト23を駆動する。発電機は、タービンチャンバ7の外に取り付けられる。そのような配置をもたらすために多数の構造が容易に理解されるが、例示の目的でのみ、特定の非限定的な配置が以下に詳細に説明される。
【0075】
チェーンまたはベルト23は、タービンチャンバ7内を上へと延びる。シーリングカバー26は、水の侵入を防ぐために、チェーン/ベルトの上に配置されることが好ましい。シーリングカバー26は、例えば、パイプまたはチューブの形態を取ってもよい。シーリングカバーは、ベースおよびチューブダクトにおいてシールされることが好ましい。任意の適切なシーリング配置が実施されてもよい。例えば、O-リングまたはフランジ付き接続部が使用されてもよい。
【0076】
タービン駆動シャフト22は、スリーブ27内を通る。スリーブ27は、すべての軸受28、29、シール30、およびパワーオフテイクスピゴット/プーリ24を収容する。駆動シャフトアセンブリは、駆動チェーンにおける摩擦抵抗を最小限に抑え、腐食の危険を低減する助けとなるようにシールされることが好ましい。駆動シャフトスリーブの下流面は、シールフランジを介してタービンハブに連結され得る。上流では、駆動シャフトスリーブは、閉塞され得る。盲タップ孔(blind tapped hole)など、スクリーンのための固定手段が設けられてもよい。水力損失を減少させるために輪郭付きノーズが設けられてもよい。
【0077】
駆動シャフトは、一対の軸受によって支持されることが好ましい。軸受は、例えば、水潤滑式ブッシュまたはころ軸受であってもよい。下流軸受28は、駆動シャフトスリーブ27内に径方向に、または別の方法で支持されたころ軸受または水潤滑式ポリマーブッシュであってもよい。軸受、ブッシュまたは別のものは、例えば、機械的な締結具によって、または締り嵌めなどによって、従来の手段によって固定され得る。上流軸受は、例えば、好ましくは、タービンが回転するときタービンチューブが軸方向に下流に動くことを阻止するように構成されたスラスト軸受29を備えることができる。スラスト軸受は、任意の従来の手段によって径方向と長手方向に支持され得る。それは、駆動シャフトスリーブ27内において径方向に、および内部フランジによって長手方向に、または別の方法で支持され得る。タービンからのスラスト力は、駆動シャフトスリーブを通って、タービンサポートスキッド16に、または他の取り付け手段に伝達され得る。
【0078】
チェーンスピゴット(chain spigot)またはベルトプーリ24は、駆動シャフト22上に配置されることが好ましく、例えば機械的な締結具により、または締り嵌めにより、任意の従来の手段によって固定され得る。チェーンまたはベルト23は、タービンチャンバ7の外部の位置に連結されそこまで延びる。当業者には容易に理解されるように、チェーン/ベルトは、設置のために必要に応じて、タービンダクトの円周周りの任意の位置に延びることができる。
【0079】
チェーン/ベルト23の上に配置されることが好ましいシーリングカバー26は、ダクト内の流れの妨害が最小限になるように、流れの水力損失を減少させるように、追加のフェアリングにより輪郭形成される、またはそれが取り付けられ得る。
【0080】
発電機25は、タービンチャンバ7の外部に配置される。その位置は、限定されない。しかし、発電機25は、水の外に、すなわち乾いている場所に取り付けられることが好ましい。発電機は、例えば、外部タービンチャンバ支持構造12によって支持され得る。そのような構造は、図示のように、スキッドを備えることができるが、そのようなものに限定される必要はない。発電機のシャフトは、チェーン/ベルト23に連結されるスピゴット/プーリに取り付けられることが好ましい。スピゴット/プーリの比は、タービンから発電機への速度において、速度の段階的な上昇を提供するように修正され得る。加えて、またな別法として、タービンと発電機との間にギアボックスが設けられてもよい。
【0081】
発電機は、システムから出力される電力を最大にするために、発電機における電気負荷を変えることによってタービンの速度を制御する可変速度コントローラによって制御され得る。
【0082】
駆動チェーン23における摩擦抵抗を最小限にすることを助け、さらに腐食の危険を低減することを助けるように、水は、駆動シャフトスリーブ27内から除去されることが好ましい。
【0083】
駆動シャフトスリーブは、例えばナイロンから形成され得るエアホース33を介してベンチュリ23に連結され得る。それによって、水は、ベンチュリ内の低い圧力によって、動作中に受動的に汲み出され得る。駆動シャフトスリーブ内に水がない場合、空気は、ホース内を通って、駆動シャフトスリーブ内の圧力がベンチュリと等しくなるポイントまで引かれ、流体は通らない。
【0084】
次に、電力オフテイク配置について説明する。そのような配置において、電力および信号ケーブルは、タービンチャンバ内のタービンから、タービンチャンバ7の外に配置された発電機まで延びる。やはりまた、多数の構造がそのような配置をもたらすために容易に明らかであるが、特定の非限定的な配置が、例示目的のみで、以下に詳細に説明される。
【0085】
永久磁石、同期発電機または非同期発電機、または他のものは、タービンランナに直接結合され得、タービンガイドベーン上でフランジまたは他のものを介して構造的に支持され得る。発電機は、シールされることが好ましい。例えば、発電機は、水の侵入を防ぐために静的O-リングおよびメカニカルシールによりシールされ得る。すべての軸受は、発電機ハウジング内に配置される。電力および信号ケーブルは、グランド(gland)または同様のものを介して発電機から延び、タービンチャンバ外部のシールされた導管を通って延びることができる。
【0086】
発電機は、シールを破ることがある、ベンチュリ内の低い圧力による任意の水の侵入を受動的に圧送するように、エアホースを介してベンチュリに連結され得る。発電機内に水がない場合、空気は、ホースを通って、圧力が等しくなるポイントまで引かれ、流体は通らない。エアホース内に戻って水が侵入することを防ぐために、1つまたは複数の逆止め弁が取り付けられ得る。エアホースはさらに、信号ケーブルとともに取り出され、ホースの高い位置が最高水位を上回るように導管を通って下に折り返されてもよい。
【0087】
任意の実施形態に従って提供されるようなタービンチャンバ7に戻ると、それは、一端にバリアの上流からの流れを受けるための入口を有し、収束部8内に流れを解放するための出口を有する、円形ダクトの形態であることが好ましい。タービンチャンバを原位置に取り付けるための多数の取り付けオプションが存在するが、タービンチャンバ7は、図示のように、構造スキッド12上に取り付けられることが好ましい。スキッドは、例えば、設置時間、費用および現場における複雑さを低減するために、コンクリートパッド上に取り付けられ得る。
【0088】
動作の間、タービンチャンバ7は、上流水位2によって加圧され、動作中、満水のままにされる。自由表面のない加圧されたチャンバとしてタービンダクトを動作させることによって、自由表面渦の形成が不可能になり、これは非常に有益である。
【0089】
タービンダクト7は、動作の間、動作圧力を維持するようにシールされるメンテナンスハッチ39を備えることが好ましい。メンテナンスハッチは、ハッチと一致したプロファイルにされることが好ましい。図面に描かれた配置では、それは、水力損失を減少させるように、タービンダクトの内側円形形態を維持するようなプロファイルにされる。
【0090】
例えば、タービン14、タービンドラフトチューブ15、発電機およびスクリーン38(以下に述べるように、存在する場合)を備えるタービンアセンブリは、単一のアセンブリを形成するように一緒に取り付けられ得る。タービンアセンブリは、パワーオフテイク構成要素27、24、22をさらに備えることができる。タービンアセンブリは、例えば、単一アセンブリを形成するように、固定スキッド12上に取り付けられてもよい。そのような配置は、設置時間および費用を減少させ、装置の場所位置決めを助けるのに有益である。タービンアセンブリの組み立ておよび機能試験は、現場から離れて実施されることがある。現場で組み立てる間、タービンアセンブリは、メンテナンスハッチ39を通して引き上げられ、タービンチャンバ7内に配置され得る。スキッドまたは別のものを備えるタービンアセンブリは、水力損失を減少させるために、タービンチャンバの内側円形形態を維持するなど、タービンチャンバのプロファイルを確認するようなプロファイルのプレートに取り付けられ得る。
【0091】
タービンおよび他の機械設備のメンテナンスは、タービンダクト7内からタービンアセンブリ全体を取り外し、それを作業場に輸送することによって行うことができる。これはさらに、ダウンタイムを最小限にする利点をもたらし、ここで、メンテナンスのためにタービンアセンブリを取り外した後、スペアのタービンアセンブリに交換してもよい。
【0092】
サイフォン配置では、混合ダクト9のインバート(invert)は、下流水位3の上に配置される。(スルース、サイフォンのブレイキング(breaking)、角落とし、ゲートバルブ、またはその他のものを介して)流れが上流で入ることを防ぐことによって、装置は、自己排出式になる。あらゆる残りの溜まっている水を圧送した後、安全で乾いたアクセスが、メンテナンスハッチ39を介してもたらされ得る。
【0093】
必要な場合、フィッシュスクリーン38は、タービンに魚および水生生物が入ることを防ぐために、タービン14の前面にボルト締めされ得る。スクリーン38は、円錐形状であってもよい。スクリーン38は、流れに対して長手方向に平行に延びる棒を備えることができる。そのような配置は、水力損失を減少させるために有益である。棒の間隔は、タービンの方に向けて増加してもよい。棒の最大間隔は、水流に存在する魚および他の水生生物の種類に基づいて選択され得る。
【0094】
円錐形スクリーン38を考えると、二次流Qsは、スクリーンを通り抜け、残りの流れQpは、スクリーンの上および周りを通る。残りの流れがスクリーンの上を通るとき、それがスクリーンを受動的に清浄化し、それによって、動作の間、確実にデブリがないままになる。スクリーンの角度は、スクリーンに対して垂直な流速が、魚および他の水生生物に衝突することを防ぐのに十分に低くなるように選択され得る。ノーズコーンは、水力損失をさらに減少させるため、および魚をスクリーンから安全に遠ざけて案内するために、スクリーンの前面に設けられ得る。魚は、安全にベンチュリを通り抜けることができる。この装置は、魚に下流に移動するための安全な代替ルートを提供する。
【0095】
タービンチューブおよび支持ボスを形成する構成要素の好ましい一体構造は、設置時間および費用を減少させるのに役立ち、また装置の場所位置決めに役立つ。
【0096】
収束セクション8は、一方端に、バリア1の後ろから水を受容するための入口としての第1の開口部、および、反対端に、水を混合チャンバ9内に放出するための出口としてのより狭い開口部を有する、漏斗の形をしている。収束セクション8は、上流端部から混合チャンバ9の入口の方に向けて先細りしている。ベンチュリ13は、収束セクションと混合チューブの境界に画定される。収束の角度、セクションの長さ、ならびに収束セクションの入口および出口の直径などのサイズなどの収束セクションのパラメータは、当業者に明らかなように、装置の性能を最適化するために選択することができる。
【0097】
図示のように、混合パイプ/チューブの形態を取ることができる混合チャンバは、二次流Qsおよび一次流Qpが実質的に均一の流れを形成するように混ざることができる装置のセクションを提供する。流れは、混合チャンバ9を出てディフューザセクション10に入る前はほぼ均一であり、ディフューザセクションを通る流れの十分な圧力回収が、ベンチュリにおける低い圧力と、ディフューザセクションの出口におけるより高い圧力との間の圧力差を維持できる、速度プロファイルを有する。
【0098】
混合チューブは、二次流(Qs)が通るタービンチューブのパワー出力を最大にするように構成される。これは、少なくとも部分的に、ベンチュリの低い圧力によって誘起されるタービンを流れる二次流が一次流と混じり合い始める位置のすぐ下流の領域の流動様式を最適化するように構成された混合セクションによって達成される。混合チューブは、この混合チューブ内における一次流から二次流へのエネルギー移行を最適化するように構成される。
【0099】
混合チャンバは、開口部、出口、および非ゼロ長さを有し、流れが混ざることができる開口部と出口との間の十分な長さのスペースを提供する。混合チューブを画定する管の長さLは、流れがディフューザセクションに入る前に適切に調整された流れが得られるように選択される。流れおよび圧力状態に適した長さを選択することによって、流れの速い一次流とより遅い二次流との間の最適なエネルギー移行があることが確実になり、2つの流れにわたる許容速度プロファイルが、合流がディフューザセクションに入る前にあるようになっている。鋭意研究を重ねたことにより、本発明者らによって、混合チャンバがその直径の少なくとも2倍の長さを有する場合、特に有益であることが独自に決定された。
【0100】
本発明の1つの実施形態において、混合チャンバは、混合チャンバの出口がその入口よりも狭くなるように、R>、ベータの半円錐角だけ下流方向に先細りになることができる。混合チャンバの半円錐角は、正または負であることができる。一代替実施形態では、混合チャンバは、上流方向に先細りしていてもよく、したがって混合チャンバの出口が、混合チャンバの入口よりも幅広になるようになっており、すなわち、混合チャンバは、ディフューザセクションの方に向けてその長さに沿って発散している。
【0101】
テーパ状の混合チャンバを有することによって、環状部を流れるより速い速度の一次流と、タービンチューブを出るより遅い二次流との間のエネルギー移行を促進することができる。
【0102】
混合チャンバ9の下流端部は、ディフューザセクション10に連結される。ディフューザセクションは、混合チューブ9から水を受容する入口としての第1の開口部、および、反対端に、水を放出する出口としてのより幅広の開口部を有する、漏斗の形である。説明したように、水は、バリア1の下流側における自由流れに戻す前に、テールパイプ11内へと放出されることが好ましい。ディフューザセクション10は、混合チューブ9の出口から外方に発散し、流れの速度を落とし、それがディフューザセクション10から出る前に静圧を取り戻し、乱流によるエネルギー損失を最小限にする。発散の角度は、ディフューザの性能を最適化するように選択することができる。
【0103】
セクションの長さ、発散の角度、および第1と第2の開口部の断面積の比など、ディフューザセクションのパラメータは、乱流を抑え、流れが減速して自由流速度に戻る際に、流れの分離によって引き起こされるエネルギー損失を低減するように選択される。過度の乱流、渦および流れ分離は、流れがディフューザセクションの出口に近づく際に圧力回収を害することがある。パラメータは、当業者には容易に明らかなように、圧力回復を最大にするように選択され、下流水深によって設定されるディフューザ出口での圧力が、ベンチュリでの圧力よりも極力高いようになっている。
【0104】
収束セクション8、混合チューブ9、ディフューザセクション10、およびテールパイプ11は、単一の連続チューブとして製造され得る。あるいは、収束セクション、混合チューブディフューザおよびテールパイプは、ボルトによって、または他の従来の接合手段または技術によって、互いに締結される1つまたは複数の別個のセクションとして製造されてもよい。
図8および
図9に示されるように、収束セクション、混合チューブ、ディフューザおよびテールパイプは、2つの隣接セクションがボルト締めフランジ40によって互いに保持される、個別の構成要素として製造されてもよい。
【0105】
任意の2つの隣接するセクション同士の間に、誘発乱流によるエネルギー損失を最小限に抑えるように、丸みが付けられた移行部を形成してもよい。誘発乱流は、セクション同士の間に鋭い縁の移行部がある場合に生じ得る。これは、システムのエネルギー変換効率を高めるのに役立つ。
【0106】
水源を横切るバリアがすべての水の流れをタービンについて導く、典型的な水力発電ダムは、発電機作業を効率良くするために、典型的には3.5m以上の水頭差を必要とする。しかし、誘発二次流の圧力増幅により、本発明は、そのようなタービンを約1.0mの水頭差で高い費用効果で作動できる。
【0107】
したがって、開示の装置は、記載される目的および利点、ならびにその中に固有のものが得られるように良好に適合される。上記に開示した特定の実施形態は、例示的なものでしかなく、したがって、本開示の教示は、本明細書にある教示の利益を有する当業者には明らかである、異なってはいるが等価のやり方で変更および実施を行ってもよい。さらに、以下の特許請求の範囲に記載された以外は、本明細書で示した構成または設計の詳細に限定されないものとする。したがって、上記で開示された特定の例示的な実施形態は、改変、組み合わせ、または修正が可能であり、そのような変形形態のすべては本開示の範囲内にあるものとして考えられることが明白である。本明細書に例示的に開示されるシステムおよび方法は、本明細書に特に開示されない任意の要素および/または本明細書に開示される任意の任意選択の要素がなくても適切に実施され得る。様々な構成要素またはステップを「備える」、「含有する」または「含む」と言う用語で組成物および方法が述べられているが、組成物および方法はさらに、様々な構成要素およびステップ「から本質的になる」または「からなる」こともある。上記で開示されたすべての数字および範囲は、ある程度の量だけ変えてもよい。下限および上限を有する数値域が開示されている場合は常に、当該範囲内の任意の数値および任意の含まれる範囲が特に開示される。特に、本明細書に開示される(「約aから約bまで」、または同等に、「概ねaからbまで」、または同等に、「概ねa~b」の形の)値のすべての範囲は、より広範な値範囲内に包含されるすべての数および範囲を説明すると理解されるべきである。さらに、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に他に定義されない限り、それらの明白な通常の意味を有する。さらに、特許請求の範囲で使用されるような不定冠詞「a」または「an」は、本明細書において、それが表す要素の1つまたは1つを上回ることを意味するように定義される。本明細書および参照により本明細書に組み込まれ得る1つまたは複数の特許文献または他の文献において語句または用語の使用において何らかの不一致がある場合、本明細書と一致する定義が採用されるべきである。
【0108】
本明細書で使用される場合、任意のアイテムを区切るための用語「および」または「または」を含む、一連のアイテムの前に記載される語句「の少なくとも1つ」は、リストの各要素(すなわち、各アイテム)ではなくて、リストを全体として修飾する。語句「の少なくとも1つ」は、アイテムのいずれか1つの少なくとも1つ、および/またはアイテムの任意の組合せの少なくとも1つ、および/またはアイテムのそれぞれの少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、語句「A、B、およびCの少なくとも1つ」あるいは「A、B、またはCの少なくとも1つ」は、Aだけ、Bだけ、またはCだけ、A、B、およびCの任意の組合せ、ならびに/または、A、B、およびCのそれぞれの少なくとも1つを示す。
【0109】
様々な例示的な実施形態が開示されたが、当業者であれば、ある種の変更が本開示の範囲内で可能であることを認識されるであろう。この理由から、以下の特許請求の範囲は、本開示の範囲および内容を決定するものと考えられるべきである。
【国際調査報告】