(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】高電圧ノード上の高電圧を測定するための装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20241126BHJP
【FI】
G01R19/00 A
G01R19/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529205
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2021081875
(87)【国際公開番号】W WO2023088542
(87)【国際公開日】2023-05-25
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ウェイチー
(72)【発明者】
【氏名】イエン,シアオボー
(72)【発明者】
【氏名】ドン,シアオビン
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AA06
2G035AA17
2G035AC03
2G035AC05
2G035AC12
2G035AD03
2G035AD04
2G035AD13
2G035AD14
2G035AD19
2G035AD28
2G035AD55
2G035AD57
2G035AD58
2G035AD59
(57)【要約】
高電圧ノード上の高電圧を測定するための装置(20)であって、第1のAC-DC変換器(21)と、第1のDC-AC変換器(22)と、第2のAC-DC変換器(23)とを備える電力電子変換器であって、第1のAC-DC変換器が、電圧測定信号を取得するために、高電圧ノードと装置との間に結合された高電圧分割器の低電圧アームに接続され、第1のDC-AC変換器が、電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、第2のAC-DC変換器が、電圧測定信号の復調信号を出力するように構成される、電力電子変換器と、第1のDC-AC変換器の出力端子に接続されて変調信号を受信する一次コイルと、第2のAC-DC変換器の入力端子に接続された二次コイルとを備える高周波変圧器(24)と、第1のDC-AC変換器が変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために第1のDC-AC変換器のスイッチング素子を制御するための制御信号を供給し、高電圧ノード上の高電圧の位相情報および振幅情報を含む信号パラメータを計算し、計算された信号パラメータを出力するように構成されたコントローラ(25)とを含む、装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧(HV:high-voltage)ノード上の高電圧を測定するための装置(20)であって、
第1のAC-DC変換器(21)と、第1のDC-AC変換器(22)と、第2のAC-DC変換器(23)とを備える電力電子変換器であって、前記第1のAC-DC変換器が、電圧測定信号を取得するために、前記HVノードと前記装置との間に結合された高電圧分割器の低電圧アームに接続され、前記第1のDC-AC変換器が、前記電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、前記第2のAC-DC変換器が、前記電圧測定信号の復調信号を出力するように構成される、電力電子変換器と、
前記第1のDC-AC変換器の出力端子に接続されて前記変調信号を受信する一次コイルと、前記第2のAC-DC変換器の入力端子に接続された二次コイルとを備える高周波変圧器(24)と、
前記第1のDC-AC変換器が前記変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために前記第1のDC-AC変換器のスイッチング素子に制御信号を供給し、前記高電圧ノード上の前記高電圧の位相情報および振幅情報を含む信号パラメータを計算し、計算された前記信号パラメータを出力するように構成されたコントローラ(25)と
を備える、装置。
【請求項2】
前記信号パラメータが、
前記高電圧信号の電圧大きさピーク値、RMS値、極性、位相値、高調波値、および波形のうちの少なくとも1つ、
前記高電圧信号の位相と前記電圧測定信号の位相との間の位相オフセット、ならびに
前記高電圧信号の振幅と前記電圧測定信号の振幅との間の振幅偏差
を含む、請求項1に記載の装置(20)。
【請求項3】
前記装置が、第2のDC-AC変換器(27)をさらに備え、前記第2のDC-AC変換器の入力端子が前記第2のAC-DC変換器の出力端子に接続され、前記第2のDC-AC変換器が、前記高電圧ノード上の前記高電圧の位相情報と振幅情報とを含むアナログ交流信号を出力するように構成される、請求項1または2に記載の装置(20)。
【請求項4】
前記コントローラが、その入力端を介して受信されるセンサ情報に基づいて前記信号パラメータを計算するように構成され、前記センサ情報が、前記低電圧アームにわたる電圧、および前記高電圧分割器と前記装置とを接続する回路分岐を通る電流を含み、
任意選択的に、前記センサ情報が、前記低電圧アームの温度および前記電力電子変換器のデバイスの温度シフトをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(20)。
【請求項5】
前記高電圧分割器がコンデンサ電圧分割器であり、前記低電圧アームが、グランドに接続された1つの端子を有する電圧分割コンデンサユニットである、請求項2に記載の装置(20)。
【請求項6】
前記コントローラが、以下の式:
ΔP=k
1*(ΔP
C+ΔP
R)+k
2*(ΔP
L+ΔP
S)
(式中、「ΔP」は前記位相オフセットであり、
「ΔP
C」は前記電圧分割コンデンサユニットの容量に起因するサブオフセットであり、
「ΔP
R」は前記装置のインピーダンスに起因するサブオフセットであり、
「ΔP
L」は前記装置の漏れインダクタンスに起因するサブオフセットであり、
「ΔP
S」は前記装置の寄生容量に起因するサブオフセットであり、
「k
1」および「k
2」は重みであり、「k
1」と「k
2」との和は1に等しく、「k
1」の範囲は0.95と0.99との間であり、「k
2」の範囲は0.01と0.05との間である)
に基づいて前記位相オフセットを計算するように構成される、請求項5に記載の装置(20)。
【請求項7】
前記コントローラが、以下の式:
Δa=f
1*(Δa
C+Δa
R)+f
2*Δa
D
(式中、「Δa」は前記振幅偏差であり、
「Δa
C」は前記電圧分割コンデンサユニットの前記容量に起因する部分偏差であり、
「Δa
R」は前記装置の前記インピーダンスに起因する部分偏差であり、
「Δa
D」は前記装置の降下電圧に起因する部分偏差であり、
「f
1」および「f
2」は重みであり、「f1」と「f2」との和は1に等しく、「f1」の範囲は0.9と0.95との間であり、「f
2」の範囲は0.05と0.1との間である)
に基づいて前記振幅偏差を計算するように構成される、請求項5または6に記載の装置(20)。
【請求項8】
前記一次コイルおよび前記二次コイルの巻数比が1から10の間である、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(20)。
【請求項9】
前記装置が、前記復調信号が出力される前に前記復調信号の高周波成分を除去するためのフィルタをさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(20)。
【請求項10】
前記装置が、前記低電圧アームの端子に結合される端子ボックス内に設けられる、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置(20)。
【請求項11】
高電圧(HV:high-voltage)ノード上の高電圧を測定するためのシステム(100)であって、
前記HVノードに接続された高電圧分割器(10)であって、高電圧アームと低電圧アームとを備える、高電圧分割器と、
前記高電圧分割器に結合された端子ボックス内に設けられた測定装置(20)であって、前記測定装置が、
第1のAC-DC変換器と、第1のDC-AC変換器と、第2のAC-DC変換器とを備える電力電子変換器であって、前記第1のAC-DC変換器が、電圧測定信号を取得するために前記低電圧アームに接続され、前記第1のDC-AC変換器が、前記電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、前記第2のAC-DC変換器が、前記電圧測定信号の復調信号を出力するように構成される、電力電子変換器と、
前記第1のDC-AC変換器の出力端子に接続されて前記変調信号を受信する一次コイルと、前記第2のAC-DC変換器の入力端子に接続された二次コイルとを備える高周波変圧器と、
前記第1のDC-AC変換器が前記変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために前記第1のDC-AC変換器のスイッチング素子を制御するための制御信号を供給し、前記高電圧ノード上の前記高電圧の位相情報および振幅情報を含む信号パラメータを計算し、計算された前記信号パラメータを出力するように構成されたコントローラと
を備える、測定装置と
を備える、システム。
【請求項12】
前記高電圧アームおよび前記低電圧アームの少なくとも一方が、前記低電圧アームによって分割された電圧が前記電力電子変換器によって必要とされる最適化された電圧または前記電力電子変換器の耐電圧と一致するように調整される、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記高電圧分割器がコンデンサ電圧分割器であり、前記低電圧アームが、1つまたは複数のコンデンサを備える電圧分割コンデンサユニットである、請求項11または12に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記電圧分割コンデンサユニットの一方の端子がグランドに接続され、他方の端子が前記コンデンサ電圧分割器の他方の電圧分割コンデンサユニットに接続され、前記電圧分割コンデンサユニットの前記他方の端子が、配線を介して前記第1のAC-DC変換器の入力端子に結合される、請求項13に記載のシステム(100)。
【請求項15】
測定装置を使用して高電圧ノード上の高電圧を測定するための方法であって、
前記測定装置が、電力電子変換器と、高周波変圧器と、コントローラとを備え、
前記電力電子変換器が、第1のAC-DC変換器と、第1のDC-AC変換器と、第2のAC-DC変換器とを備え、前記第1のAC-DC変換器が、前記高電圧ノード上の前記高電圧の電圧測定信号を取得するように構成され、前記第1のDC-AC変換器が、前記電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、前記第2のAC-DC変換器が、前記電圧測定信号の復調信号を出力するように構成され、
前記高周波変圧器が、前記変調信号を送信するために前記第1のDC-AC変換器と前記第2のAC-DC変換器との間に結合され、
前記方法が、前記コントローラにおいて、前記第1のDC-AC変換器が前記変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために前記第1のDC-AC変換器のスイッチング素子に制御信号を供給することを含み、
前記方法が、前記コントローラにおいて、前記高電圧ノード上の前記高電圧の位相情報および振幅情報の信号パラメータを計算し、計算した前記信号パラメータを出力することをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、高電圧ノード上の高電圧を測定するための解決策に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
コンデンサ変圧器(CVT:capacitor voltage transformer)は、高電圧用途に広く使用されている。従来技術に見られる従来のCVTは、典型的には、コンデンサ電圧分割器(CVD:capacitor voltage divider)および電磁ユニット(EMU:electromagnetic unit)を含む。従来のCVTの動作原理によれば、高電圧ノード上の高電圧は、最初にCVDによって降圧され、次いでEMUの中間電圧変圧器(IVT:intermediate voltage transformer)に供給されて低電圧にさらに降圧され、ユーザ機器側に接続されたメータまたは保護リレーに供給される。しかしながら、そのような従来のCVTは、いくつかの課題を含む。CVTは、通常動作中に基本周波数(例えば、50Hz/60Hz)で共振するように設計されたエネルギー貯蔵構成要素(例えば、コンデンサおよびインダクタ)を含むため、高電圧を測定するための測定精度は基本周波数でのみ保証することができ、高調波検出は実現することができない。さらに、減衰反応器は、鉄共振を減衰させるためにEMUの二次残留巻線上に並列に接続される必要があり、CVDからのタップ電圧は10kVを超えるべきであり、そうでなければ共振エネルギーを減衰させることができない。このように、約100Vの低電圧を出力するためには、高い巻数比を有する大きな磁気コアをIVTに使用しなければならず、これはCVTのコストおよび体積を増加させ、CVDからの高タップ電圧の要件に適合するためにIVTの高い絶縁レベルが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
概要
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される概念のグループを紹介するために提供される。特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することは意図されておらず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図されていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従来技術における上記の問題を考慮して、本開示は、一態様において、高電圧(HV:high-voltage)ノード上の高電圧を測定するための装置を提供し、装置は、第1のAC-DC変換器と、第1のDC-AC変換器と、第2のAC-DC変換器とを備える電力電子変換器であって、第1のAC-DC変換器が、電圧測定信号を取得するために、HVノードと装置との間に結合された高電圧分割器の低電圧アームに接続され、第1のDC-AC変換器が、電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、第2のAC-DC変換器が、電圧測定信号の復調信号を出力するように構成される、電力電子変換器と、第1のDC-AC変換器の出力端子に接続されて変調信号を受信する一次コイルと、第2のAC-DC変換器の入力端子に接続された二次コイルとを備える高周波変圧器と、第1のDC-AC変換器が変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために第1のDC-AC変換器のスイッチング素子を制御するための制御信号を供給し、高電圧ノード上の高電圧の位相情報および振幅情報を含む信号パラメータを計算し、計算された信号パラメータを出力するように構成されたコントローラとを備える。
【0005】
本開示は、別の態様において、高電圧(HV:high-voltage)ノード上の高電圧を測定するためのシステムを提供し、システムは、HVノードに接続された高電圧分割器と、高電圧分割器に結合された端子ボックス内に設けられた測定装置であって、測定装置は、第1のAC-DC変換器と、第1のDC-AC変換器と、第2のAC-DC変換器とを備える電力電子変換器であって、第1のAC-DC変換器が、電圧測定信号を取得するために高電圧分割器の低電圧アームに接続され、第1のDC-AC変換器が、電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、第2のAC-DC変換器が、電圧測定信号の復調信号を出力するように構成される、電力電子変換器と、第1のDC-AC変換器の出力端子に接続されて変調信号を受信する一次コイルと、第2のAC-DC変換器の入力端子に接続された二次コイルとを備える高周波変圧器と、第1のDC-AC変換器が変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために第1のDC-AC変換器のスイッチング素子を制御するための制御信号を供給し、高電圧ノード上の高電圧の位相情報および振幅情報を含む信号パラメータを計算し、計算された信号パラメータを出力するように構成されたコントローラとを備える、測定装置とを含む。
【0006】
本開示は、さらに別の態様において、測定装置を使用して高電圧ノード上の高電圧を測定するための方法を提供し、測定装置は、電力電子変換器と、高周波変圧器と、コントローラとを備え、電力電子変換器は、第1のAC-DC変換器と、第1のDC-AC変換器と、第2のAC-DC変換器とを備え、第1のAC-DC変換器は、高電圧ノード上の高電圧の電圧測定信号を取得するように構成され、第1のDC-AC変換器は、電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、第2のAC-DC変換器は、電圧測定信号の復調信号を出力するように構成され、高周波変圧器は、変調信号を送信するために第1のDC-AC変換器と第2のAC-DC変換器との間に結合され、方法は、コントローラにおいて、第1のDC-AC変換器が変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために第1のDC-AC変換器のスイッチング素子に制御信号を供給することを含み、方法は、コントローラにおいて、高電圧ノード上の高電圧の位相情報および振幅情報の信号パラメータを計算し、計算した信号パラメータを出力することをさらに含む。
【0007】
図面の簡単な説明
開示された態様は、本開示の範囲を限定するものではなく例示するために提供される添付の図面に関連して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一例による、高電圧ノード上の高電圧を測定するためのシステムの概略ブロック図である。
【
図2】本開示の一例による、
図1に示すシステムの測定装置の概略ブロック図である。
【
図3】本開示の別の一例による、
図1に示すシステムの測定装置の概略ブロック図である。
【
図4】
図2に示す測定装置の例示的な実施態様を示す。
【
図5】
図2に示す測定装置の別の例示的な実施態様を示す。
【
図6】
図2に示す測定装置のさらに別の例示的な実施態様を示す。
【
図7】
図3に示す測定装置の例示的な実施態様を示す。
【
図8】本開示の一例による、高電圧ノード上の高電圧を測定するための方法のフローチャートである。
【
図9】本開示の一例による例示的なシミュレーション結果を示す。
【
図10】本開示の一例による例示的なシミュレーション結果を示す。
【
図11】本開示の一例による例示的なシミュレーション結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本開示は、上述のように多くの問題を引き起こしているEMUなしで高電圧を測定するための解決策に関する。本開示の解決策は、高電圧を高精度で測定することができ、高電圧の位相および振幅情報を含む様々な信号パラメータを提供することもできる。さらに、本開示の解決策は、鉄共振を回避し、コストおよび体積を低減することができる。以下、本開示の例について説明する。
【0010】
図1は、本開示の一例による、高電圧ノード上の高電圧を測定するためのシステム100を示す。高電圧ノードHVは、DCまたはAC高電圧を運んでもよい。高電圧は、約110kV~500kVの範囲であってもよい。
【0011】
図1を参照すると、システム100は、主に、高電圧分割器10と測定装置20とを含む。高電圧分割器10は、高電圧ノードHVと測定装置20との間に結合される。測定装置20は、高電圧分割器10とユーザ機器UEとの間に結合される。
【0012】
高電圧分割器10は、高電圧ノードHVとグランドGNDとの間に直列に接続された高電圧アーム11と低電圧アーム12とを含み、高電圧アーム11と低電圧アーム12との間に位置する感知ノードSは、感知信号、すなわち高電圧の電圧測定信号をタップするために使用される。
【0013】
一例では、高電圧アーム11および低電圧アーム12の少なくとも一方を変更することによって、高電圧分割器10の分圧比を変更してもよい。この例では、低電圧アーム12は、低電圧アーム12によって分割された電圧が、高い測定精度を達成するために測定装置20によって要求される最適化された電圧、または安全要件のために測定装置20の耐電圧と一致するように調整され得る。
【0014】
高電圧分割器10は、コンデンサ電圧分割器、抵抗器電圧分割器、またはハイブリッド分割器として実装されてもよい。コンデンサ電圧分割器の一例では、高電圧アーム11および低電圧アーム12はそれぞれ、1つまたは複数の電圧分割コンデンサを有する電圧分割コンデンサユニットとして実装される。抵抗器電圧分割器の一例では、高電圧アーム11および低電圧アーム12はそれぞれ、1つまたは複数の電圧分割抵抗器を有する電圧分割抵抗器ユニットとして実装される。ハイブリッド分割器の一例では、高電圧アーム11および低電圧アーム12はそれぞれ、電圧分割コンデンサと抵抗器とを有するハイブリッド電圧分割ユニットとして実装される。
【0015】
測定装置20は、端子ボックス(図示せず)内に収容されてもよく、端子ボックスは低電圧アーム12の端子に結合される。本開示の例によれば、測定装置20は、従来技術の解決策によって必要とされるような大きな磁気コアならびに重い一次および二次巻線を必要とせず、測定装置20の体積が低減され、したがって、測定装置20は、大きな空間を必要とする問題なしに端子ボックス内に収容することができる。一例では、端子ボックスに設けられた測定装置20は、感知ノードS(すなわち、低電圧アーム11の端子)と配線を介して接続されている。これにより、ユーザ側でより容易に各種サービスを行うことができる。
【0016】
図2は、電圧分割コンデンサC1(高電圧アーム11として機能する)と電圧分割コンデンサC2(低電圧アーム12として機能する)とを有するコンデンサ電圧分割器10に結合された測定装置20の一例を示す。
【0017】
図2を参照すると、測定装置20は、電力電子変換器と、高周波変圧器24と、コントローラ25とを備える。電力電子変換器は、第1のAC-DC変換器21と、第1のDC-AC変換器22と、第2のAC-DC変換器23と、フィルタ26とを備える。測定装置20のこれらの要素の接続関係および動作原理を以下に説明する。
【0018】
引き続き
図2を参照すると、第1のAC-DC変換器21の2つの入力端子は、電圧分割コンデンサC2の2つの端子にそれぞれ接続されて、高電圧の電圧測定信号を取得する。電圧測定信号は、第1のAC-DC変換器21によって交流信号から直流信号に変換される。第1のAC-DC変換器21の出力端子は、第1のDC-AC変換器22の入力端子に接続される。第1のDC-AC変換器22は、MOSFETまたはIGBTなどのパワーエレクトロニクス用スイッチング素子で実現され得る複数のスイッチング素子を含む。各スイッチング素子は、第1のDC-AC変換器22が変調信号を出力するようにスイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するための制御信号を受信する制御端を有する。例えば、コンデンサC2の両端のタップ電圧は、第1のAC-DC変換器21および第1のDC-AC変換器22を含む変調ユニットに供給され、高周波PWM信号に変調される。PWM信号の周波数は、20kHzより高くてもよく、50kHzより高くてもよい。
【0019】
高周波変圧器24は、一次コイルおよび二次コイルを備える。一例では、一次コイルと二次コイルとの巻数比は1から10の間である。一次コイルは、第1のDC-AC変換器22の出力端子に接続されて変調信号を受信し、それは絶縁され、高周波変圧器24によって100Vまたは100/√3Vの低電圧にさらに降圧される。二次コイルは、第2のAC-DC変換器23の入力端子に接続される。さらに降圧された変調信号は、第2のAC-DC変換器23およびフィルタ26を含む復調ユニットにより復調される。第2のAC-DC変換器23は、復調信号をメータや保護リレーなどのユーザ側デバイスに出力する。
【0020】
一例では、第2のAC-DC変換器23の出力端子にフィルタ26が結合される。フィルタ26は、復調信号がユーザ側デバイスに出力される前に、復調信号の高周波成分を除去するために使用される。
【0021】
コントローラ25は、入力端と、出力端と、制御端とを含む。コントローラ25は、入力端を介して高電圧分割器10および測定装置20の両方に関連するセンサからセンサ情報を受信する。コントローラは、制御端を介して第1のDC-AC変換器22の各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するための制御信号を供給する。コントローラ25は、センサ情報に基づいて、高電圧ノードの高電圧の位相情報および振幅情報を含む信号パラメータを計算し、計算した信号パラメータを出力端を介してDSP、MCUおよびASICなどのユーザ側デバイスに出力する。
【0022】
関連するセンサは、電圧分割コンデンサC2の両端の電圧Vtを測定するための電圧センサと、感知ノードSと第1のAC-DC変換器21の入力端子とを接続する回路分岐を通る電流Itを測定するための電流センサと、電圧分割コンデンサC2の温度および測定装置20の周囲温度(例えば、端子ボックスの内部空間の温度)を測定するための温度センサとを含んでもよい。
【0023】
センサ情報は、センサによって測定されたパラメータと、測定されたパラメータから導出されたパラメータとを含み得る。例えば、センサ情報は、電圧センサによって測定された低電圧分割コンデンサC2の両端の電圧Vt、電流センサによって測定された、感知ノードSと第1のAC-DC変換器21の入力端子とを接続する回路分岐を通る電流It、温度プローブによって測定された低電圧分割コンデンサC2の温度、および周囲温度センサによって測定された測定装置20の周囲の周囲温度を含む。センサ情報はまた、測定されたパラメータに基づいて計算されたパラメータを含み得る。計算は、センサと一体化されたプロセッサ、またはコントローラと一体化されたプロセッサで実行されてもよい。例えば、センサ情報は、タップ電圧信号の角周波数、測定装置20のインピーダンス、および測定装置20のデバイスの温度シフトを含んでもよい。これらのパラメータを計算する方法は、本開示では限定されない。
【0024】
一例では、計算された信号パラメータは、高電圧の電圧大きさピーク値、RMS値、極性、位相値、高調波値、および波形のうちの少なくとも1つを含み得る。信号パラメータはまた、高電圧信号の位相と電圧測定信号のものとの間の位相オフセットを含んでもよい。信号パラメータはまた、高電圧信号の振幅と電圧測定信号の振幅との間の振幅偏差を含んでもよい。
【0025】
高電圧ノードからの電力の品質をそれらの信号パラメータに基づいて測定することができるので、信号パラメータを提供することが有利である。さらに、電気機器の動作および効率に影響を及ぼし得る電力品質の問題(例えば、たるみ/うねり、高調波歪みおよび高調波間、スパイク/過渡、不足電圧/過電圧)を適時に検出することができる。結果として、動作の連続性を最大化し、産業用途における円滑かつ連続的な電力供給を保証する電力品質の解決策を提供することができる。さらに、信号パラメータに基づいて、保護、負荷制御、および計量も実現することができる。例えば、保護システムは、故障を連続的にスキャンするために信号パラメータを使用し、故障セクションをグリッドから迅速に切断することを可能にする。例えば、信号パラメータは、収益計測およびエネルギー計測に必要である。
【0026】
一例では、コントローラ25は、以下の式(1)に基づいて位相オフセットを計算する。
【0027】
ΔP=k1*(ΔPC+ΔPR)+k2*(ΔPL+ΔPS)(1)
式中、「ΔP」は位相オフセットであり、「ΔPC」は電圧分割コンデンサユニットの容量に起因するサブオフセットであり、「ΔPR」は測定装置20のインピーダンスに起因するサブオフセットであり、「ΔPL」は測定装置20の漏れインダクタンスに起因するサブオフセットであり、「ΔPS」は測定装置20の寄生容量に起因するサブオフセットであり、「k1」および「k2」は重みであり、「k1」と「k2」との和は1に等しく、「k1」の範囲は0.95と0.99との間であり、「k2」の範囲は0.01と0.05との間である。
【0028】
一例では、コントローラ25は、以下の式(2)に基づいて振幅偏差を計算する。
Δa=f1*(ΔaC+ΔaR)+f2*ΔaD(2)
式中、「Δa」は振幅偏差であり、「ΔaC」は電圧分割コンデンサユニットの容量に起因する部分偏差であり、「ΔaR」は測定装置のインピーダンスに起因する部分偏差であり、「ΔaD」は測定装置20の降下電圧に起因する部分偏差であり、「f1」および「f2」は重みであり、「f1」と「f2」との和は1に等しく、「f1」の範囲は0.9と0.95との間であり、「f2」の範囲は0.05と0.1との間である。
【0029】
さらに、測定/計算された信号は、コントローラ内で補償することができる。例えば、測定された電圧は、PWM信号を修正することによって補償される。補償を伴う測定信号はまた、高い精度レベルを達成することができ、例えば、高調波に対する測定精度は60次までであり得る。
【0030】
本開示の一例は、PWM制御信号を動的に調整して周囲条件の変化(例えば、周囲温度の変化)によるドリフトに微妙に適応させるためのカーブフィッティングおよび/またはルックアップテーブルなどの事前較正プロセスを含んでもよい。これにより、測定精度をより向上させることができる。
【0031】
コントローラ25は、メモリに記憶され、プロセッサによって実行される命令として実装される非一時的コンピュータ可読媒体を含む、ハードウェアもしくはソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実装されてもよい。ハードウェアによって実装される部分に関して、それは特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、データ信号処理デバイス(DSPD:data signal processing device)、プログラマブルロジックデバイス(PLD:programmable logic device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子ユニット、またはそれらの組み合わせで実装されてもよい。ソフトウェアによって実装される部分は、マイクロコード、プログラムコード、またはコードセグメントを含み得る。ソフトウェアは、メモリなどの機械可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0032】
図3は、測定装置20の別の例を示す。
図3の例は、第2のAC-DC変換器23とフィルタ26との間に結合された第2のDC-AC変換器27をさらに含む点で、
図2の例とは異なる。第2のDC-AC変換器27は、第1のDC-AC変換器22と同様に実装されてもよい。例えば、第2のDC-AC変換器27は、MOSFETまたはIGBTなどのパワーエレクトロニクス用スイッチング素子で実現され得る複数のスイッチング素子を含む。各スイッチング素子は、コントローラ25からスイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するための制御信号を受信するための制御端を有する。第2のDC-AC変換器27によって高電圧の波形が復元され、第2のDC-AC変換器27は、高電圧の位相情報および振幅情報を含むアナログ交流信号を出力する。出力アナログ信号の周波数は約50Hzである。加えて、
図3の例では、位相情報および振幅情報もコントローラ25から出力することができる。
【0033】
図3の例では、位相情報および振幅情報は、(
図2に示すように)コントローラ25から出力されるデジタル信号によって、および/または(
図3に示すように)第2のDC-AC変換器27から出力されるアナログ信号によって提供されてもよい。測定装置20の例示的な実施態様を、
図4~
図6を参照して説明する。
【0034】
図4は、
図2に示す測定装置20の例示的な実施態様を示す。
図4を参照すると、高電圧側AC-DC変換器21(すなわち、第1のAC-DC変換器21)は、2つのダイオードハーフブリッジを備える整流器から構成される。一次側DC-AC変換器22(すなわち、第1のDC-AC変換器22)は、直列接続されたスイッチング素子の2つのハーフブリッジを備えるフルブリッジ変換器である。各スイッチング素子は、上述したようにコントローラ25によって制御される。二次側AC-DC変換器23(すなわち、第2のAC-DC変換器23)は、AC-DC変換器21のものと同様に、2つのダイオードハーフブリッジを備える整流器から構成される。ファイラ26は、復調信号の高周波成分を除去するためのコンデンサを備える。
【0035】
図5は、
図2に示す測定装置20の別の例示的な実施態様を示す。
図5の例は、第1のDC-AC変換器22の出力端子と高周波変圧器24の一次側との間に結合された共振LLC回路28をさらに備える点で、
図4の例とは異なる。さらに、二次側AC-DC変換器23は、異なるトポロジーで実装される。例えば、二次側DC-AC変換器23は、ダイオードブリッジ整流器と、任意選択的にフィルタとを備える。
【0036】
図6は、
図2に示す測定装置20のさらに別の例示的な実施態様を示す。
図6の例は、二次側AC-DC変換器23(すなわち、第2のAC-DC変換器23)が、Hブリッジ回路として相互接続された4つのスイッチング素子を含む制御されたHブリッジ回路で実装されるという点で、
図4の例とは異なる。スイッチング素子は、各々がそれぞれフリーホイーリングダイオードを並列に有するパワーMOSFET、IGBT、IGCTなどとして提供することができる。各スイッチング素子のターンオンシーケンスは、コントローラ25によって制御される(例えば、コントローラ25は、変換器23の各スイッチング素子の制御端に制御信号を供給する)。
【0037】
図6の例では、電圧測定信号に対する電圧調整および補償が、二次側で実行され得る。例えば、コントローラ25は、電圧測定信号の振幅が調整されるように、二次側変換器23に供給される制御信号を調整する。一例では、コントローラ25は、電圧測定信号の振幅が調整されるように、二次側変換器23のスイッチング素子に供給される制御信号を調整する。
【0038】
図7は、
図3に示す測定装置20の例示的な実施態様を示す。
図6の例は、コントローラ25によって制御される直列接続スイッチング素子の2つのハーフブリッジを備えるフルブリッジ変換器である二次側DC-AC変換器27(すなわち、第2のDC-AC変換器27)をさらに備える点で、
図4の例とは異なる。第2のDC-AC変換器27は、第1のDC-AC変換器22と同様に実装され、直列接続スイッチング素子の2つのハーフブリッジを備えるフルブリッジ変換器である。各スイッチング素子のターンオンシーケンスは、コントローラ25によって制御される。
【0039】
測定装置20の回路は異なるトポロジーを有してもよく、これは上述の例によって限定されないことに留意されたい。例えば、プッシュプル回路も実現可能である。本開示の別の態様、高電圧ノード上の高電圧を測定するための方法を以下に説明する。
【0040】
図8は、測定装置を使用して高電圧ノード上の高電圧を測定するための方法800のフローチャートを示す。測定装置は、本開示の測定装置20であってもよく、したがって、測定装置20を参照して上述した様々な特徴も方法800に適用可能である。方法800は、コントローラ25によって実行される制御および計算を含む。
【0041】
図8を参照すると、ステップS810において、第1のDC-AC変換器が高周波PWM信号などの変調信号を出力するように、各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために、第1のDC-AC変換器のスイッチング素子に制御信号が供給される。
【0042】
ステップS820において、高電圧の位相情報および振幅情報を含む信号パラメータが計算され、計算された信号パラメータが出力される。一例では、計算された信号パラメータは、高電圧信号の電圧大きさピーク値、RMS値、極性、位相値、高調波値、および波形のうちの少なくとも1つ、高電圧信号の位相と電圧測定信号の位相との間の位相オフセット、高電圧信号の振幅と電圧測定信号の振幅との間の振幅偏差を含む。
【0043】
本開示の例によれば、EMUを電力電子変換器および高周波変圧器に置き換えることによって、過渡応答が改善され、鉄共振が回避される。本開示の例によれば、そのような高調波検出のような様々な信号検出が利用可能である。中間電圧変圧器(IVT)なしでコストおよび体積の削減を達成することができる。高電圧を測定する精度レベルは、改善された過渡応答で0.1%を達成することができる。さらに、より低いタップ電圧が必要とされ、これは、モノブッシングの絶縁要件およびHFTの絶縁要件を低減するだけでなく、電力電子デバイスの耐電圧、したがってコストを低下させる。
【0044】
例示的なシミュレーション結果を
図8~
図10を参照して説明し、これらは、
図4に提示されているトポロジーに関する例示的なシミュレーション結果を示す。
【0045】
図9~
図11において、縦軸は電圧を表し、横軸は時間を表す。トポロジーは、MATLAB(登録商標)またはSimulinkでシミュレートされる。
図9~
図11において、「V
tap」は電圧分割コンデンサC2の両端のタップ電圧を表し、「V
modulate」は一次側の変調電圧を表し、「V
secondary」は二次側の電圧を表し、「V
syn」は測定電圧およびタップ電圧の極性に基づく合成電圧を表す。シミュレーションでは、高電圧を110kVに設定し、コンデンサ分割器からのタップ電圧を1kVに設定した。一次側のDC-AC変換器の変調周波数を20kHzに設定した。このようにして、整流されたタップ電圧は、20kHzのPWMベースの信号に変調され、次いで10の巻数比で高周波変圧器によって伝送される。
【0046】
図9は、1周期(例えば、0.02秒)における、黒曲線で表される変調電圧V
modulateと、灰色曲線で表される二次側電圧V
secondaryとを示す。
図10は、
図9の一部を拡大した図であり、変調電圧V
modulateと二次電圧V
secondaryとの比較の拡大図を
図9に明確に見ることができ、PWMパルス電圧信号の周波数はHFTの一次側および二次側で20kHzに設定され、電圧比は10に設定されている。
【0047】
図11は、実線によって表される高電圧V
HVを示し、タップ電圧V
tapは破線によって表され、合成電圧V
synは一点鎖線によって表されている。タップ電圧の極性は、高電圧の完全な波形を復元するために得られる。例えば、ゼロ交差検出またはPLLを使用して極性を取得する。
【0048】
高電圧と測定電圧との間の位相オフセットΔPを計算することができ、位相オフセットΔPに基づいて合成電圧を補償することができる。高電圧と測定電圧との間の振幅偏差(図示せず)も計算することができ、振幅偏差に基づいて合成電圧を補償することができる。このようにして、高電圧の位相および振幅情報を本開示の装置によって出力することができる。
【0049】
ソフトウェアは、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブルーチン、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行スレッド、プロセス、機能などを表すために広く考慮されるべきである。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読媒体上に存在することができる。そのような非一時的コンピュータ可読媒体は、例えば、メモリを含み得、これは、例えば、磁気記憶デバイス(例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ)、光ディスク、スマートカード、フラッシュメモリデバイス、ランダムアクセスメモリ(RAM:random-access memory)、読み出し専用メモリ(ROM:read only memory)、プログラマブルROM(PROM:programmable ROM)、消去可能PROM(EPROM:erasable PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM:electrically erasable PROM)、レジスタ、またはリムーバブルディスクであってもよい。本開示に提示された様々な態様では、メモリは、プロセッサとは別のものとして示されているが、メモリは、プロセッサの内部にあってもよい(例えば、キャッシュまたはレジスタ)。
【0050】
前述の説明は、当業者が本明細書に記載の様々な態様を実施することを可能にするために提供されている。これらの態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義される一般的な原理は、他の態様に適用されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される態様に限定されることを意図しない。当業者に知られているかまたは明らかである、本開示の様々な態様の要素に対するすべての構造的および機能的等価変換は、特許請求の範囲によって網羅されることが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧(HV:high-voltage)ノード上の高電圧を測定するための装置(20)であって、
第1のAC-DC変換器(21)と、第1のDC-AC変換器(22)と、第2のAC-DC変換器(23)とを備える電力電子変換器であって、前記第1のAC-DC変換器が、電圧測定信号を取得するために、前記HVノードと前記装置との間に結合された高電圧分割器の低電圧アームに接続され、前記第1のDC-AC変換器が、前記電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、前記第2のAC-DC変換器が、前記電圧測定信号の復調信号を出力するように構成される、電力電子変換器と、
前記第1のDC-AC変換器の出力端子に接続されて前記変調信号を受信する一次コイルと、前記第2のAC-DC変換器の入力端子に接続された二次コイルとを備える高周波変圧器(24)と、
前記第1のDC-AC変換器が前記変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために前記第1のDC-AC変換器のスイッチング素子に制御信号を供給し、前記高電圧ノード上の前記高電圧の位相情報および振幅情報を含む信号パラメータを計算し、計算された前記信号パラメータを出力するように構成されたコントローラ(25)と
を備える、装置。
【請求項2】
前記信号パラメータが、
前記高電圧信号の電圧大きさピーク値、RMS値、極性、位相値、高調波値、および波形のうちの少なくとも1つ、
前記高電圧信号の位相と前記電圧測定信号の位相との間の位相オフセット、ならびに
前記高電圧信号の振幅と前記電圧測定信号の振幅との間の振幅偏差
を含む、請求項1に記載の装置(20)。
【請求項3】
前記装置が、第2のDC-AC変換器(27)をさらに備え、前記第2のDC-AC変換器の入力端子が前記第2のAC-DC変換器の出力端子に接続され、前記第2のDC-AC変換器が、前記高電圧ノード上の前記高電圧の位相情報と振幅情報とを含むアナログ交流信号を出力するように構成される、請求項1または2に記載の装置(20)。
【請求項4】
前記コントローラが、その入力端を介して受信されるセンサ情報に基づいて前記信号パラメータを計算するように構成され、前記センサ情報が、前記低電圧アームにわたる電圧、および前記高電圧分割器と前記装置とを接続する回路分岐を通る電流を含み、
任意選択的に、前記センサ情報が、前記低電圧アームの温度および前記電力電子変換器のデバイスの温度シフトをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(20)。
【請求項5】
前記高電圧分割器がコンデンサ電圧分割器であり、前記低電圧アームが、グランドに接続された1つの端子を有する電圧分割コンデンサユニットである、請求項2に記載の装置(20)。
【請求項6】
前記コントローラが、以下の式:
ΔP=k
1*(ΔP
C+ΔP
R)+k
2*(ΔP
L+ΔP
S)
(式中、「ΔP」は前記位相オフセットであり、
「ΔP
C」は前記電圧分割コンデンサユニットの容量に起因するサブオフセットであり、
「ΔP
R」は前記装置のインピーダンスに起因するサブオフセットであり、
「ΔP
L」は前記装置の漏れインダクタンスに起因するサブオフセットであり、
「ΔP
S」は前記装置の寄生容量に起因するサブオフセットであり、
「k
1」および「k
2」は重みであり、「k
1」と「k
2」との和は1に等しく、「k
1」の範囲は0.95と0.99との間であり、「k
2」の範囲は0.01と0.05との間である)
に基づいて前記位相オフセットを計算するように構成される、請求項5に記載の装置(20)。
【請求項7】
前記コントローラが、以下の式:
Δa=f
1*(Δa
C+Δa
R)+f
2*Δa
D
(式中、「Δa」は前記振幅偏差であり、
「Δa
C」は前記電圧分割コンデンサユニットの前記容量に起因する部分偏差であり、
「Δa
R」は前記装置の前記インピーダンスに起因する部分偏差であり、
「Δa
D」は前記装置の降下電圧に起因する部分偏差であり、
「f
1」および「f
2」は重みであり、「
f
1
」と「
f
2
」との和は1に等しく、「
f
1
」の範囲は0.9と0.95との間であり、「f
2」の範囲は0.05と0.1との間である)
に基づいて前記振幅偏差を計算するように構成される、請求項5または6に記載の装置(20)。
【請求項8】
前記一次コイルおよび前記二次コイルの巻数比が1から10の間である、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(20)。
【請求項9】
前記装置が、前記復調信号が出力される前に前記復調信号の高周波成分を除去するためのフィルタをさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(20)。
【請求項10】
前記装置が、前記低電圧アームの端子に結合される端子ボックス内に設けられる、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置(20)。
【請求項11】
高電圧(HV:high-voltage)ノード上の高電圧を測定するためのシステム(100)であって、
前記HVノードに接続された高電圧分割器(10)であって、高電圧アームと低電圧アームとを備える、高電圧分割器と、
前記高電圧分割器に結合された端子ボックス内に設けられた測定装置(20)であって、前記測定装置が、
第1のAC-DC変換器と、第1のDC-AC変換器と、第2のAC-DC変換器とを備える電力電子変換器であって、前記第1のAC-DC変換器が、電圧測定信号を取得するために前記低電圧アームに接続され、前記第1のDC-AC変換器が、前記電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、前記第2のAC-DC変換器が、前記電圧測定信号の復調信号を出力するように構成される、電力電子変換器と、
前記第1のDC-AC変換器の出力端子に接続されて前記変調信号を受信する一次コイルと、前記第2のAC-DC変換器の入力端子に接続された二次コイルとを備える高周波変圧器と、
前記第1のDC-AC変換器が前記変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために前記第1のDC-AC変換器のスイッチング素子を制御するための制御信号を供給し、前記高電圧ノード上の前記高電圧の位相情報および振幅情報を含む信号パラメータを計算し、計算された前記信号パラメータを出力するように構成されたコントローラと
を備える、測定装置と
を備える、システム。
【請求項12】
前記高電圧アームおよび前記低電圧アームの少なくとも一方が、前記低電圧アームによって分割された電圧が前記電力電子変換器によって必要とされる最適化された電圧または前記電力電子変換器の耐電圧と一致するように調整される、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記高電圧分割器がコンデンサ電圧分割器であり、前記低電圧アームが、1つまたは複数のコンデンサを備える電圧分割コンデンサユニットである、請求項11または12に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記電圧分割コンデンサユニットの一方の端子がグランドに接続され、他方の端子が前記コンデンサ電圧分割器の他方の電圧分割コンデンサユニットに接続され、前記電圧分割コンデンサユニットの前記他方の端子が、配線を介して前記第1のAC-DC変換器の入力端子に結合される、請求項13に記載のシステム(100)。
【請求項15】
測定装置を使用して高電圧ノード上の高電圧を測定するための方法であって、
前記測定装置が、電力電子変換器と、高周波変圧器と、コントローラとを備え、
前記電力電子変換器が、第1のAC-DC変換器と、第1のDC-AC変換器と、第2のAC-DC変換器とを備え、前記第1のAC-DC変換器が、前記高電圧ノード上の前記高電圧の電圧測定信号を取得するように構成され、前記第1のDC-AC変換器が、前記電圧測定信号の変調信号を出力するように構成され、前記第2のAC-DC変換器が、前記電圧測定信号の復調信号を出力するように構成され、
前記高周波変圧器が、前記変調信号を送信するために前記第1のDC-AC変換器と前記第2のAC-DC変換器との間に結合され、
前記方法が、前記コントローラにおいて、前記第1のDC-AC変換器が前記変調信号を出力するように各スイッチング素子のターンオンシーケンスを制御するために前記第1のDC-AC変換器のスイッチング素子に制御信号を供給することを含み、
前記方法が、前記コントローラにおいて、前記高電圧ノード上の前記高電圧の位相情報および振幅情報の信号パラメータを計算し、計算した前記信号パラメータを出力することをさらに含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
測定装置20は、端子ボックス(図示せず)内に収容されてもよく、端子ボックスは低電圧アーム12の端子に結合される。本開示の例によれば、測定装置20は、従来技術の解決策によって必要とされるような大きな磁気コアならびに重い一次および二次巻線を必要とせず、測定装置20の体積が低減され、したがって、測定装置20は、大きな空間を必要とする問題なしに端子ボックス内に収容することができる。一例では、端子ボックスに設けられた測定装置20は、感知ノードS(すなわち、低電圧アーム12の端子)と配線を介して接続されている。これにより、ユーザ側でより容易に各種サービスを行うことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
一例では、コントローラ25は、以下の式(2)に基づいて振幅偏差を計算する。
Δa=f1*(ΔaC+ΔaR)+f2*ΔaD(2)
式中、「Δa」は振幅偏差であり、「ΔaC」は電圧分割コンデンサユニットの容量に起因する部分偏差であり、「ΔaR」は測定装置のインピーダンスに起因する部分偏差であり、「ΔaD」は測定装置20の降下電圧に起因する部分偏差であり、「f1」および「f2」は重みであり、「f
1
」と「f
2
」との和は1に等しく、「f
1
」の範囲は0.9と0.95との間であり、「f2」の範囲は0.05と0.1との間である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
図4は、
図2に示す測定装置20の例示的な実施態様を示す。
図4を参照すると、高電圧側AC-DC変換器21(すなわち、第1のAC-DC変換器21)は、2つのダイオードハーフブリッジを備える整流器から構成される。一次側DC-AC変換器22(すなわち、第1のDC-AC変換器22)は、直列接続されたスイッチング素子の2つのハーフブリッジを備えるフルブリッジ変換器である。各スイッチング素子は、上述したようにコントローラ25によって制御される。二次側AC-DC変換器23(すなわち、第2のAC-DC変換器23)は、AC-DC変換器21のものと同様に、2つのダイオードハーフブリッジを備える整流器から構成される。
フィルタ26は、復調信号の高周波成分を除去するためのコンデンサを備える。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
図5は、
図2に示す測定装置20の別の例示的な実施態様を示す。
図5の例は、第1のDC-AC変換器22の出力端子と高周波変圧器24の一次側との間に結合された共振LLC回路28をさらに備える点で、
図4の例とは異なる。さらに、二次側AC-DC変換器23は、異なるトポロジーで実装される。例えば、二次側
AC-
DC変換器23は、ダイオードブリッジ整流器と、任意選択的にフィルタとを備える。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
図7は
図3に示す測定装置20の例示的な実施態様を示す。図
7の例は、コントローラ25によって制御される直列接続スイッチング素子の2つのハーフブリッジを備えるフルブリッジ変換器である二次側DC-AC変換器27(すなわち、第2のDC-AC変換器27)をさらに備える点で、
図4の例とは異なる。第2のDC-AC変換器27は、第1のDC-AC変換器22と同様に実装され、直列接続スイッチング素子の2つのハーフブリッジを備えるフルブリッジ変換器である。各スイッチング素子のターンオンシーケンスは、コントローラ25によって制御される。
【国際調査報告】