(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】高分子電解質膜、その製造方法及びそれを含む電気化学装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/1051 20160101AFI20241126BHJP
H01M 8/10 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/1058 20160101ALI20241126BHJP
H01M 8/1039 20160101ALI20241126BHJP
【FI】
H01M8/1051
H01M8/10 101
H01M8/1058
H01M8/1039
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529244
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 KR2022018037
(87)【国際公開番号】W WO2023101266
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0169151
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0152897
(32)【優先日】2022-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518215493
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】パク ジュンハ
(72)【発明者】
【氏名】イ ドンフン
(72)【発明者】
【氏名】ソン クムソク
(72)【発明者】
【氏名】ユン ソンヒャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤム スンジム
(72)【発明者】
【氏名】オ チャンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ヒェソン
(72)【発明者】
【氏名】イ ウンス
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA05
5H126BB06
5H126FF05
5H126GG17
5H126GG18
5H126GG19
(57)【要約】
本発明は、イオン伝導体を含む高分子電解質膜であって、前記高分子電解質膜は酸化防止剤放出性物質を含む高分子電解質膜に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン伝導体を含む高分子電解質膜であって、
前記高分子電解質膜は、酸化防止剤放出性物質を含む高分子電解質膜。
【請求項2】
前記酸化防止剤は、サリチル酸、クルクミン、葉酸、クマル酸、カフェイン酸及びフェルラ酸からなる群から選択された1つ以上である請求項1に記載の高分子電解質膜。
【請求項3】
前記酸化防止剤放出性物質は、加水分解により酸化防止剤を放出するものである請求項1に記載の高分子電解質膜。
【請求項4】
前記酸化防止剤はサリチル酸(Salicylic acid)である請求項2に記載の高分子電解質膜。
【請求項5】
前記酸化防止剤放出性物質は、エステル基(Ester group)、酸無水物基(Acidanhydride group)、アミド基(Amide group)、チオエステル基(Thioester group)及びエーテル基(Ether group)からなる群から選択された1つを含む請求項1に記載の高分子電解質膜。
【請求項6】
前記酸化防止剤放出性物質は、サルサレート(Salsalate)である請求項4に記載の高分子電解質膜。
【請求項7】
前記イオン伝導体は、炭化水素系イオン伝導体、フッ素系イオン伝導体及び陰イオン性イオン伝導体からなる群から選択された1つ以上である請求項1に記載の高分子電解質膜。
【請求項8】
前記高分子電解質膜は、
多孔性支持体; 及び
前記多孔性支持体の空隙(pore)に含浸されたイオン伝導体;を含む 請求項1に記載の高分子電解質膜。
【請求項9】
請求項1による高分子電解質膜を含む膜電極アセンブリであって、
互いに対向して位置するアノード電極とカソード電極、及び
前記アノード電極とカソード電極の間に位置する高分子電解質膜を含む膜電極アセンブリ。
【請求項10】
請求項9による膜電極アセンブリを含む電気化学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化防止剤を放出する酸化防止剤放出性物質を含むことで、燃料電池の運転中に発生する水分による加水分解反応により酸化防止剤を放出し、酸化防止効果が長期間維持され、且つ燃料電池の性能低下を防止できる高分子電解質膜及びそれを含む電気化学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料の酸化により発生する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換させる電池であり、高いエネルギー効率性と汚染物排出が少ない環境にやさしい特徴により次世代エネルギー源として脚光を浴びている。
【0003】
燃料電池は、一般的に電解質膜を挟んでその両側に酸化極(Anode)と還元極(Cathode)がそれぞれ形成された構造を有し、このような構造を膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)と称する。
【0004】
燃料電池は、電解質膜の種類に応じてアルカリ電解質燃料電池、高分子電解質燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)などに区分できるが、そのうち、高分子電解質燃料電池は100℃未満の低い作動温度、速い始動と応答特性及び優れた耐久性などの長所により携帯用、車両用及び家庭用電源装置として脚光を浴びている。
【0005】
このような高分子電解質燃料電池の代表的な例としては、水素ガスを燃料として使用する水素イオン交換膜燃料電池(Proton Exchange Membrane Fuel Cell:PEMFC)などがある。
【0006】
高分子電解質燃料電池において起こる反応を要約すると、まず、水素ガスのような燃料が酸化極に供給されると、酸化極においては水素の酸化反応により水素イオン(H+)と電子(e-)が生成される。生成された水素イオン(H+)は高分子電解質膜を介して還元極に伝達され、生成された電子(e-)は外部回路を介して還元極に伝達される。還元極においては酸素が供給され、酸素が水素イオン(H+)及び電子(e-)と結合して酸素の還元反応により水が生成される。
【0007】
高分子電解質膜は、酸化極において生成された水素イオン(H+)が還元極に伝達される通路であるので、基本的に水素イオン(H+)の伝導度が優れていなければならない。また、高分子電解質膜は酸化極に供給される水素ガスと還元極に供給される酸素を分離する分離能に優れていなければならず、その他にも機械的強度、寸法安定性、耐化学性などが優れていなければならず、高電流密度で抵抗損失(ohmic loss)が小さくなければならないなどの特性が要求される。
【0008】
前記高分子電解質燃料電池の運転に必要な高分子電解質膜の要求条件としては、高い水素イオン伝導度、化学的安定性、低い燃料透過性、高い機械的強度、低い含水率、優れた寸法安定性などがある。従来の高分子電解質膜は特定の温度及び相対湿度環境、特に、高温/低加湿条件で正常に高性能を発現しにくい傾向がある。これにより、従来の高分子電解質膜が適用された高分子電解質燃料電池は、その使用範囲が制限されることになる。
【0009】
高分子電解質膜は駆動中に電気化学的劣化(degradation)と物理的劣化によって寿命が短縮される。電気化学的劣化の主な原因は、水素と酸素が高分子電解質膜を通過して(crossover)電極触媒白金上においてラジカルを生成することである。
【0010】
電極触媒白金上において形成されたラジカルは、高分子電解質膜のイオン伝導体と反応してイオン伝導体鎖を切るなどの反応により高分子電解質膜を劣化させる。
【0011】
一方、燃料電池の駆動中、還元極では酸素が供給され、酸素が水素イオン(H+)及び電子(e-)と結合して酸素の還元反応により水が生成されるので、高分子電解質膜に添加される各種添加剤などの物質は水により容易に流失されるか、水により移動して分散性が低下する問題がある。
【0012】
これにより、酸化防止剤のような添加剤が正しく機能できなくなるか、添加量に対比して酸化防止効果を十分に発揮できない問題点が発生することがある。
【0013】
従って、高分子電解質膜の電気化学的劣化を防止し、これと同時に劣化防止効果を長期間維持できる技術開発が要求される実情である。
【0014】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国登録特許第0972525号(2010.07.28)
【0016】
【特許文献2】欧州登録特許第2002451号(2014.03.26)
【0017】
【特許文献3】韓国公開特許第2008-0045421号(2008.05.23)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、高分子電解質膜の劣化を防止して化学的耐久性が向上した効果を有する。
【0019】
本発明は、燃料電池の駆動中に発生する副産物との反応により酸化防止剤が次第に放出されることにより、酸化防止効果が長期間維持される効果を有する。
【0020】
本発明はまた、燃料電池駆動中に発生する水分による添加剤の流失量を低減させて、高分子電解質膜の製造単価を節減し、添加剤の添加による抵抗増加を抑制して燃料電池性能の低下を防止する効果を有する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一側面によれば、イオン伝導体を含む高分子電解質膜として、前記高分子電解質膜は酸化防止剤放出性物質を含む高分子電解質膜が提供されることができる。
【0022】
前記酸化防止剤は、サリチル酸、クルクミン、葉酸、クマル酸、カフェイン酸、及びフェルラ酸からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0023】
前記酸化防止剤放出性物質は、加水分解により酸化防止剤を放出するものであってもよい。
【0024】
前記酸化防止剤はサリチル酸(Salicylic acid)であってもよい。
【0025】
前記酸化防止剤放出性物質は、エステル基(Ester group)、酸無水物基(Acid anhydride group)、アミド基(Amide group)、チオエステル基(Thioester group)及びエーテル基(Ether group)からなる群から選択された1つを含んでもよい。
【0026】
前記酸化防止剤放出性物質は、サルサレート(Salsalate)であってもよい。
【0027】
前記イオン伝導体は炭化水素系イオン伝導体、フッ素系イオン伝導体及び陰イオン性イオン伝導体からなる群から選択された1つ以上であってもよい。
【0028】
前記高分子電解質膜は、多孔性支持体;及び前記多孔性支持体の空隙(pore)に含浸されたイオン伝導体;を含んでもよい。
【0029】
本発明の他の一側面によれば、前述の高分子電解質膜を含む膜電極アセンブリとして、互いに対向して位置するアノード電極とカソード電極、及び前記アノード電極とカソード電極の間に位置する高分子電解質膜を含む膜電極アセンブリが提供できる。
【0030】
本発明のまた他の一側面によれば、前述の膜電極アセンブリを含む電気化学装置が提供できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明による高分子電解質膜は酸化防止効果が長期間維持される効果を有する。
【0032】
本発明による高分子電解質膜は添加剤の流失を防止して添加剤の添加量対比の酸化防止効果に優れながらも、酸化防止効果対比の添加剤の含量を減らすことができるため、燃料電池の製造費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明による高分子電解質膜の垂直断面図である。
【0034】
【
図2】本発明による高分子電解質膜を含む膜電極アセンブリの垂直断面図である。
【0035】
【
図3】本発明の一実施例による燃料電池の全体的な構成を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の各構成をより詳しく説明するが、これは1つの例に過ぎず、本発明の権利範囲が次の内容により制限されない。
【0037】
本発明に使用された「好ましい」または「好ましくは」は、特定の条件で特定の長所を有する本発明の実施例を示す。しかしながら、他の実施例も同一条件または異なる条件で好ましい場合がある。また、1つ以上の好ましい実施例は、他の実施例が有用でないことを意味するものではなく、本発明の範囲内にある他の実施例を排除するものでもない。
【0038】
本明細書に使用された「含む」という用語は、本発明に有用な材料、組成物、装置、及び方法を羅列するときに使用され、その羅列された例に制限されるものではない。
【0039】
本明細書において、「電気化学装置」とは、発電装置、例えば、燃料電池及びエネルギー貯蔵装置、例えば、レドックスフロー電池を全て含む。好ましくは、本明細書において電気化学装置は燃料電池であり得る。
【0040】
【0041】
本発明による高分子電解質膜は、イオン伝導体を含む高分子電解質膜であり、前記高分子電解質膜は酸化防止剤放出性物質を含む。
【0042】
前記酸化防止剤放出性物質は、それ自体が酸化防止剤として機能するものではないが、追加反応により、例えば、酸化反応により加水分解されることにより、酸化防止剤として機能する物質を放出できる物質である。
【0043】
特に、前記酸化防止剤放出性物質は、燃料電池駆動中に形成される水分や水素イオンと反応して酸化防止剤として機能できる物質を放出することを特徴とする。
【0044】
前記酸化防止剤放出性物質は、いかなる形態であってもそれ自体では酸化防止剤として機能しないが、追加反応により酸化防止剤を放出できるものであれば制限されない。
【0045】
例えば、酸化防止剤保護基を含む物質や、加水分解反応して酸化防止剤を放出する物質、コアに酸化防止剤を含んでこれを保護するシェルを備えたコアシェル構造の形態を有してもよく、多孔性の構造体内に酸化防止剤が担持された形態であってもよい。
【0046】
好ましくは、酸化防止剤保護基を含む物質や、加水分解反応して酸化防止剤を放出する物質であってもよい。
【0047】
前記酸化防止剤は燃料電池技術分野において酸化防止剤として使用できるものであれば、特に制限されずに使用可能である。例えば、金属粒子、金属酸化物、有機酸(Organic acid)などの物質であってもよい。
【0048】
より好ましくは、前記酸化防止剤は、サリチル酸、クルクミン、葉酸、クマル酸、カフェイン酸、及びフェルラ酸などからなる群から選択された1つ以上であってもよく、最も好ましくは、サリチル酸であってもよい。前記酸化防止剤の放出性物質は、前記サリチル酸、クルクミン、葉酸、クマル酸、カフェイン酸、またはフェルラ酸が縮合反応、高分子化(polymerization)、二量体化(dimerization)または三量体化(trimerization)されて構成された物質であって、燃料電池の作動中に前記酸化防止剤を放出できる物質でありうる。例えば、前記酸化防止剤の放出性物質は、サリチル酸二量体、サリチル酸三量体、クルクミン二量体、葉酸二量体、クマリン二量体、クマリン高分子、カフェイン酸二量体、カフェイン酸三量体 またはフェルラ酸二量体などであってもよく、特に、分子構造内に加水分解可能な基を含んで電気化学装置の作動中に加水分解によりサリチル酸,クルクミン、葉酸、クマリン酸、カフェイン酸、またはフェルラ酸に分解できる物質であってもよい。
【0049】
前記酸化防止剤がサリチル酸である場合、前記酸化防止剤放出性物質は加水分解によりサリチル酸を放出できる物質で構成される。
【0050】
サリチル酸はカルボキシ基が置換されたフェノール類化合物であり、サリチル酸という名称は2-ヒドロキシベンゾ酸(2-hydroxybenzoic acid)の慣用名称である。強い酸性を有する物質であり、カルボキシ基とヒドロキシ基を両方とも含むことにより、当該作用基で縮合反応が可能である。
【0051】
本発明においては、特に、サリチル酸、クルクミンなどの酸化防止剤の2つの作用基のうち1つ以上において縮合反応を起こして、酸化防止剤放出性物質を構成し、高分子電解質膜内において電気化学装置の運転中に酸化反応により加水分解されて酸化防止剤であるサリチル酸またはクルクミンなどの有機酸化防止剤を放出できるように構成される。
【0052】
これにより、前記酸化防止剤放出性物質はサリチル酸の縮合反応性作用基であるカルボキシ基及び/又はヒドロキシ基が反応して形成された結合を含む。
【0053】
具体的に、前記酸化防止剤放出性物質は、エステル基(Ester group)、酸無水物基(Acid anhydride group)、アミド基(Amide group)、チオエステル基(Thioester group)及びエーテル基(Ether group)からなる群から選択された1つを含んでもよい。
【0054】
すなわち、前記酸化防止剤放出性物質は縮合反応物で構成されてもよい。
【0055】
好ましくは、エステル基、酸無水物基を含んでもよく、最も好ましくは、エステル基を含んでもよい。
【0056】
前記作用基は水と反応してカルボキシ基及び/又はヒドロキシ基を含む化合物に加水分解されて、サリチル酸のような酸化防止剤を放出することができる。
【0057】
酸化防止剤としてサリチル酸を放出する前記酸化防止剤放出性物質は、例えば、サルサレート(Salsalate)であってもよい。
【0058】
サルサレートは、2-[(ヒドロキシフェニル)カルボニルオキシ]ベンゾ酸(2-[(2-hydroxyphenyl)carbonyloxy]benzoic acid)の慣用名称であり、2分子のサリチル酸がエステル化縮合反応することにより形成できる。
【0059】
このように、本発明において前記酸化防止剤放出性物質がサルサレートである場合は、加水分解反応により2分子のサリチル酸が放出されて、さらに酸化防止効果に優れた効果を有することができるので、本発明において、最も好ましい酸化防止剤放出性物質はサルサレートであり得る。
【0060】
一方、前述したように、前記酸化防止剤放出性物質は多様な形態で構成されることができるため、サルサレートのような2分子などの少ない数の反応物が反応して得られた物質に限定されない。
【0061】
例えば、多孔性支持体のような巨大構造体の表面に縮合反応性作用基をグラフト(Grafting)して酸化防止剤と縮合反応させて酸化防止剤放出性物質として構成することもできる。
【0062】
本発明は、燃料電池駆動中に発生する水分により次第に酸化防止剤を放出できる物質であれば、物質の形態、サイズなどに制限されることなく多様な形態で構成されることができる。
【0063】
本発明の一実施例によれば、前記酸化防止剤放出性物質は、高分子電解質膜において高分子総重量に対して0.05ないし15重量%、例えば、0.1ないし10重量%、0.2ないし5重量%、または0.5ないし4重量%の量で使用されることができる。酸化防止剤放出性物質を前記含量で使用することにより、高分子電解質膜の固有の物性を維持しながら酸化防止剤の放出による効果を有効に得ることができる。
【0064】
【0065】
本発明の高分子電解質膜は、イオン伝導性を有するイオン伝導体をモールドに入れてキャストすることにより形成される単一膜と、イオン伝導体が分散された分散液に多孔性支持体を浸漬して製造される複合材料を含む強化複合膜のように、いかなる形態でも構わない。
【0066】
強化複合膜は多孔性支持体及び前記多孔性支持体の空隙に満たされたイオン伝導体を含んで、寸法安定性と物理、機械的特性が改善された効果を有し、高分子電解質膜自体の抵抗は多少増加しても、電池の性能低下が防止されるので、燃料電池自体の性能と寿命は優秀に維持される長所を有する。
【0067】
強化複合膜を構成する多孔性支持体は、一般的に高分子フィブリルの微細構造により多数の空隙を含む過フッ素化ポリマーシートまたはナノ繊維が多数の空隙を含む不織布形態で集積されたナノウェブを含む形態などの高分子素材からなる。
【0068】
本発明においては、前述したように、多孔性支持体の表面に酸化防止剤を放出できる形態でグラフトした後、酸化防止剤と縮合反応、高分子化、二量体化、三量体化などの反応により酸化防止剤放出性物質として構成することもできる。
【0069】
前記多孔性支持体は、3次元的に不規則且つ不連続的に連結されたナノ繊維の集合体からなり、これにより均一に分布された多数の気孔を含む。このように均一に分布された多数の気孔からなる前記多孔性支持体は、優れた多孔度とイオン伝導体の物性を補完できる特性(寸法安定性など)を有するようになる。
【0070】
前記多孔性支持体に形成される気孔の直径である孔径は0.05ないし30μm(マイクロメートル)の範囲内に形成できるが、前記孔径が0.05μm未満に形成される場合、高分子電解質のイオン伝導度が低下する可能性があり、前記孔径が30μmを超過する場合、高分子電解質の機械的強度が低下する可能性がある。
【0071】
また、前記多孔性支持体の気孔の形成程度を示す多孔度は50ないし98%の範囲内で形成されてもよい。
【0072】
前記多孔性支持体の多孔度が50%未満である場合は、高分子電解質のイオン伝導度が低下する可能性があり、前記多孔度が98%を超過する場合は、高分子電解質の機械的強度及び形態安定性が低下する可能性がある。
【0073】
前記多孔度(%)は下記の数式1のように、前記多孔性支持体の全体体積対比の空気体積の比率により計算することができる。
【0074】
[数式1]
【0075】
多孔度(%)=(空気体積/全体体積)×100
【0076】
この時、前記多孔性支持体の全体体積は長方形状の多孔性支持体のサンプルを製造して、横、縦及び厚さを測定して計算し、前記多孔性支持体の空気体積は前記多孔性支持体サンプルの質量を測定した後、密度から逆算した高分子体積を前記多孔性支持体の全体体積から引いて得ることができる。
【0077】
前記多孔性支持体を構成する前記ナノ繊維の平均直径は0.005ないし5μm(マイクロメートル)範囲でありうる。前記ナノ繊維の平均直径が0.005μm未満である場合、多孔性支持体の機械的強度が低下し、前記ナノ繊維の平均直径が5μmを超過する場合、多孔性支持体の多孔度調節が容易でなくなる可能性がある。
【0078】
前記多孔性支持体は、ナイロン、ポリイミド、ポリベンズオキサゾール、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアリーレンエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン及びこれらの共重合体及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つであってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0079】
前記多孔性支持体は5ないし30μm(マイクロメートル)の厚さで形成されてもよい。前記多孔性支持体の厚さが5μm未満である場合、高分子電解質の機械的強度及び形態安定性が低下する可能性があり、前記多孔性支持体の厚さが30μmを超過する場合、高分子電解質の抵抗損失が増加する可能性がある。
【0080】
前記イオン伝導体は、それぞれ独立的にプロトンのような陽イオン交換グループを有する陽イオン伝導体であるか、またはヒドロキシイオン、カーボネートまたはバイカーボネートのような陰イオン交換グループを有する陰イオン伝導体であってもよい。
【0081】
前記陽イオン交換グループは、スルホン酸基、カルボキシル基、ボロン酸基、リン酸基、イミド基、スルホンイミド基、スルホンアミド基、スルホン酸フルオライド基及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるいずれか1つであってもよく、一般的にスルホン酸基又はカルボキシル基であってもよい。
【0082】
前記陽イオン伝導体は、前記陽イオン交換グループを含み、主鎖にフッ素を含むフッ化物系高分子;ベンズイミダゾール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリアリールエーテルスルホン、ポリホスファゼン又はポリフェニルキノキサリンなどの炭化水素系高分子;ポリスチレン-グラフト-エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、又はポリスチレン-グラフト-ポリテトラフルオロエチレン共重合体などの部分フッ素化された高分子;スルホンイミドなどが挙げられる。
【0083】
より具体的に、前記陽イオン伝導体が水素イオン陽イオン伝導体である場合、前記高分子は、側鎖にスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基及びこれらの誘導体からなる群から選択される陽イオン交換基を含んでもよく、その具体例としては、ポリ(パーフルオロスルホン酸)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体、脱フッ素化された硫化ポリエーテルケトン又はこれらの混合物を含むフルオロ系高分子;スルホン化されたポリイミド(sulfonated polyimide、S-PI)、スルホン化されたポリアリールエーテルスルホン(sulfonated polyarylethersulfone、S-PAES)、スルホン化されたポリエーテルエーテルケトン(sulfonated polyetheretherketone、SPEEK)、スルホン化されたポリベンズイミダゾール(sulfonated polybenzimidazole、SPBI)、スルホン化されたポリスルホン(sulfonated polysulfone、S-PSU)、スルホン化されたポリスチレン(sulfonated polystyrene、S-PS)、スルホン化されたポリホスファゼン(sulfonated polyphosphazene)、スルホン化されたポリキノキサリン(sulfonated polyquinoxaline)、スルホン化されたポリケトン(sulfonated polyketone)、スルホン化されたポリフェニレンオキシド(sulfonated polyphenylene oxide)、スルホン化ポリエーテルスルホン(sulfonated polyether sulfone)、スルホン化ポリエーテルケトン(sulfonated polyether ketone)、スルホン化されたポリフェニレンスルホン(sulfonated polyphenylene sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンサルファイド(sulfonated polyphenylene sulfide)、スルホン化されたポリフェニレンサルファイドスルホン(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone)、スルホン化されたポリフェニレンサルファイドスルホンニトリル(sulfonated polyphenylene sulfide sulfone nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテル(sulfonated polyarylen ether)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルニトリル(sulfonated polyarylen ether nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルエーテルニトリル(sulfonated polyarylene ether ether nitrile)、スルホン化されたポリアリーレンエーテルスルホンケトン(sulfonated polyarylene ether sulfone ketone)、及びこれらの混合物を含む炭化水素系高分子を挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0084】
前記陰イオン伝導体は、ヒドロキシイオン、カーボネートまたはバイカーボネートのような陰イオンを移送できるポリマーであって、陰イオン伝導体は、ヒドロキシドまたはハライド(一般的に、クロリド)形態が商業的に入手可能であり、前記陰イオン伝導体は産業的浄水(water purification)、金属分離または触媒工程などに使用できる。
【0085】
前記陰オン伝導体としては、一般的に金属水酸化物がドープされたポリマーを使用することができ、具体的に、金属水酸化物がドープされたポリ(エーテルスルホン)、ポリスチレン、ビニール系ポリマー、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ベンズイミダゾール)またはポリ(エチレングリコール)などを使用することができる。
【0086】
前記イオン伝導体の中でもフッ素系高分子を使用することができる。前記フッ素系高分子は、例えば、パーフルオロスルホン酸(perfluorosulfonic acid:PFSA)系高分子またはパーフルオロカルボン酸(perfluorocarboxylic acid:PFCA)系高分子であってもよいが、これに制限されるものではない。前記パーフルオロスルホン酸系高分子としてはナフィオン(Nafion、Dupont社)を、前記パーフルオロカルボン酸系高分子としてはフレミオン(Flemion、Asahi Glass社)を使用してもよい。
【0087】
前記イオン伝導体の重量平均分子量は240g/molないし200,000g/mol、具体的に、240g/molないし100,000g/molであってもよい。
【0088】
【0089】
以下では、図面に基づいて本発明をより詳しく説明する。
【0090】
ただし、これは本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の権利範囲は次の記載により制限されない。
【0091】
図1は、本発明による高分子電解質膜の垂直断面図である。
【0092】
図1を参照すると、本発明の一実施例による高分子電解質膜は、多数の空隙を含む多孔性支持体21と多孔性支持体の空隙にイオン伝導体(図示せず)が含浸された強化複合膜の垂直断面を示したもので、イオン伝導体が含浸された多孔性支持体の一面と他面にそれぞれイオン伝導体層31、32をさらに含む構造を有することができる。
【0093】
前述したように、前記多孔性支持体の一面と他面に位置するイオン伝導体層31、32は、前記多孔性支持体がラジカルスカベンジャーとしてよりよく機能するように構成するために、ラジカルが形成される電極と隣接するように多孔性支持体の表面に位置するイオン伝導体層を薄く構成することもできる。
【0094】
図2は、本発明による高分子電解質膜を含む膜電極アセンブリを概略的に示した断面図である。前記
図2を参照して説明すると、前記膜電極アセンブリ100は、前記高分子電解質膜50及び前記高分子電解質膜50の両面にそれぞれ配置される電極20、20’を含む。前記電極20、20’は、電極基材40、40’と前記電極基材40、40’の表面に形成された触媒層30、30’とを含み、前記電極基材40、40’と前記触媒層30、30’の間に前記電極基材40、40’における物質拡散を容易にするために炭素粉末、カーボンブラックなどの導電性微細粒子を含む微細気孔層(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0095】
前記膜電極アセンブリ100において、前記高分子電解質膜50の一面に配置されて前記電極基材40を経て前記触媒層30に伝達された燃料から水素イオンと電子を生成させる酸化反応を起こす電極20をアノード電極といい、前記高分子電解質膜50の他方の一面に配置されて前記高分子電解質膜50を介して供給された水素イオンと前記電極基材40’を経て前記触媒層30’に伝達された酸化剤から水を生成させる還元反応を起こす電極20’をカソード電極という。
【0096】
前記電極基材40、40’としては水素または酸素の供給が円滑に行われるように多孔性の導電性基材が使用されてもよい。その代表的な例として、炭素ペーパー(carbon paper)、炭素布(carbon cloth)、炭素フェルト(carbon felt)または金属布(繊維状態の金属布で構成された多孔性のフィルムまたは高分子繊維で形成された布の表面に金属フィルムが形成されたものをいう)が使用できるが、これに限定されるものではない。また、前記電極基材40、40’はフッ素系樹脂で撥水処理したものを使用することが燃料電池の駆動時に発生する水により反応物拡散効率が低下することを防止できるため好ましい。前記フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリパーフルオロスルホニルフルオライドアルコキシビニルエーテル、フルオリネイテッドエチレンプロピレン(Fluorinated ethylene propylene)、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはこれらのコーポレートを使用することができる。
【0097】
本発明の一実施例による燃料電池は、前記膜電極接合体を含むものであり、例えば、水素気体を燃料とする燃料電池であってもよい。
【0098】
図3は、前記燃料電池の全体的な構成を図示した模式図である。
【0099】
図3を参照すると、前記燃料電池200は、燃料と水が混合された混合燃料を供給する燃料供給部210、前記混合燃料を改質して水素ガスを含む改質ガスを発生させる改質部220、前記改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスが酸化剤と電気化学的反応を起こして電気エネルギーを発生させるスタック230、並びに酸化剤を前記改質部220及び前記スタック230に供給する酸化剤供給部240を含む。
【0100】
前記スタック230は、前記改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスと酸化剤供給部240から供給される酸化剤の酸化/還元反応を誘導して電気エネルギーを発生させる複数の単位セルを備える。
【0101】
それぞれの単位セルは電気を発生させる単位のセルを意味し、水素ガスを含む改質ガスと酸化剤中の酸素を酸化/還元させる膜電極アセンブリと、水素ガスを含む改質ガスと酸化剤を膜電極アセンブリに供給するための分離板(またはバイポーラプレート(bipolar plate)ともいい、以下、「分離板」という。)と、を含む。前記分離板は、前記膜電極アセンブリを中心に置き、その両側に配置される。この時、前記スタックの最外側にそれぞれ位置する分離板を特にエンドプレートと称することもある。
【0102】
前記分離板のうち前記エンドプレートは、前記改質部220から供給される水素ガスを含む改質ガスを注入するためのパイプ状の第1供給管231と、酸素ガスを注入するためのパイプ状の第2供給管232とを備え、他の1つのエンドプレートは、複数の単位セルにおいて最終的に未反応して残った水素ガスを含む改質ガスを外部に排出するための第1排出管233と、前記単位セルにおいて最終的に未反応して残った酸化剤を外部に排出するための第2排出管234とを備える。
【0103】
以下、本発明の実施例に基づいてより詳しく説明するが、これは本発明の理解のための1つの例示的な記載に過ぎず、本発明の権利範囲が次の実施例により限定されるか制限されない。
【0104】
【0105】
[製造例]
【0106】
<実施例1>-ナフィオン単一膜
【0107】
ナフィオンD2021分散液(分散液中に高分子含量20重量%)にサルサレート(分散液内の高分子総重量の2重量%になるようにする量)を添加し、これをガラス基材に製膜して厚さ20μmの単一膜を製造した。
【0108】
【0109】
<実施例2>-炭化水素系イオン伝導体単一膜
【0110】
スルホン化ポリエーテルスルホン(SPES、Sulfonated poly(ethter sulfone))15wt%をDMAcに溶解した後、サルサレート(分散液内の高分子総重量の2重量%になるようにする量)を添加してガラス基材に製膜して厚さ20μmの単一膜を製造した。
【0111】
【0112】
<実施例3>-ナフィオン強化複合膜
【0113】
前記実施例1においてPTFE支持体を前記分散液に含浸させて強化複合膜形態に製造したことを除いては、実施例1と同一の方法で製造した。
【0114】
【0115】
<実施例4>-炭化水素系イオン伝導体強化複合膜
【0116】
前記実施例2においてPPS支持体を前記分散液に含浸させて強化複合膜形態で製造したことを除いては、実施例1と同一の方法で製造した。
【0117】
【0118】
<比較例1>-ナフィオン単一膜、実施例1対比
【0119】
前記実施例1においてサルサレートの代わりに同量のサリチル酸を分散液に添加したことを除いては、実施例1と同一の方法で製造した。
【0120】
【0121】
<比較例2>-炭化水素系イオン伝導体単一膜、実施例2対比
【0122】
前記実施例2においてサルサレートの代わりに同量のサリチル酸を分散液に添加したことを除いては、実施例2と同一の方法で製造した。
【0123】
【0124】
<比較例3>-ナフィオン強化複合膜、実施例3対比
【0125】
前記実施例3においてサルサレートの代わりに同量のサリチル酸を分散液に添加したことを除いては、実施例3と同一の方法で製造した。
【0126】
【0127】
<比較例4>-炭化水素系イオン伝導体強化複合膜、実施例4対比
【0128】
前記実施例4においてサルサレートの代わりに同量のサリチル酸を分散液に添加したことを除いては実施例4と同一の方法で製造した。
【0129】
【0130】
<比較例5>-ナフィオン単一膜、実施例1対比
【0131】
前記実施例1においてサルサレートのような添加物を除いては同一の方法で製造した。
【0132】
【0133】
<比較例6>-炭化水素系イオン伝導体単一膜、実施例2対比
【0134】
前記実施例2においてサルサレートのような添加物を除いては実施例2と同一の方法で製造した。
【0135】
【0136】
<比較例7>-ナフィオン強化複合膜、実施例3対比
【0137】
前記実施例3においてサルサレートのような添加物を除いては実施例3と同一の方法で製造した。
【0138】
【0139】
<比較例8>-炭化水素系イオン伝導体強化複合膜、実施例4対比
【0140】
前記実施例4においてサルサレートのような添加物を除いては実施例4と同一の方法で製造した。
【0141】
【0142】
[実験方法]
【0143】
1)電池性能評価:
【0144】
Pt/C触媒でデカール転写法に従ってカソードとアノードをそれぞれ形成して、高分子電解質膜に接合して膜電極接合体を製造、評価した。膜電極接合体のI-V測定により出力性能を評価した。具体的に、実際の燃料電池運転条件で出力性能を確認するために、膜電極アセンブリを燃料電池単位セル評価装置に締結し、温度を65℃に維持させた。アノードとカソードに水素(100%RH)と空気(100%RH)をStoichiometry 1.2/2.0に合う量でそれぞれ供給した。0.6Vの時の電流密度を測定し、その結果値が高いほど優れた出力性能を示す。
【0145】
【0146】
2)化学的耐久性評価:
【0147】
評価セルをOCV状態に置き、一定時間間隔ごとにセル電圧を測定して初期OCV対比減少率を計算する。測定装備としてScribner 850 fuel cell test systemを用いて測定した(90℃、30%RH、50kPaの条件で評価)。具体的に、24時間ごとに時間(hr)の経過によるOCV(V)/initial OCV(V)を測定した。この比率が0.8以下のときに評価を終了し、測定時間を耐久性の基準にした。
【0148】
【0149】
前記実施例と比較例の高分子電解質膜を利用して膜電極アセンブリを製造し、電池性能評価、電池寿命評価及び化学的耐久性を評価して下表1に示した。
【0150】
【0151】
【0152】
前記表1を参照すると、類似の電池性能を有するにもかかわらず、化学的耐久性において差を見せている。これはサリチル酸が酸化防止剤として役割を果たして消耗されるのに比べてサルサレートの場合は酸化防止剤として役割を果たした後、サリチル酸に分解されて追加的な酸化防止剤としての機能を示すためである。
【国際調査報告】