(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】データセンタキャンパスにおける設備の空冷のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20241126BHJP
F24F 7/013 20060101ALI20241126BHJP
F24F 13/04 20060101ALI20241126BHJP
F24F 11/72 20180101ALI20241126BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G06F1/20 C
F24F7/013 101A
F24F13/04
F24F11/72
G06F1/20 B
H05K7/20 U
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529575
(86)(22)【出願日】2022-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022080081
(87)【国際公開番号】W WO2023092036
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524186028
【氏名又は名称】クリティカル プロジェクト サービシーズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムシッリ、ジュニア、ジョン エー.
(72)【発明者】
【氏名】コーナー、マシュー ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】コラール、ジョン
【テーマコード(参考)】
3L260
5E322
【Fターム(参考)】
3L260AA11
3L260AB15
3L260AB17
3L260BA48
3L260CA33
3L260FC06
5E322AB10
5E322BA02
5E322BA03
5E322BA04
5E322BA05
5E322BB03
5E322BB05
5E322BB08
5E322BC02
5E322EA02
5E322EA03
5E322EA05
5E322EA11
(57)【要約】
システム(1200)は、互いに近接して配置された第1の建物(1202)及び第2の建物(1201)を備えた複数の建物(1201~1204)を含む。建物の各々は、外部環境から周囲給気(205)を受け取るように構成された第1の端部と、排気(210)を外部環境に出力するように構成された第2の端部とを有する。建物の各々は複数の計算装置(1600)を含む。各建物内の計算装置は熱エネルギーを生成するように構成されており、熱エネルギーは給気に伝達され、これにより給気が加熱されて排気になり、排気がその建物から出る。第1の建物の第1の端部は第2の建物に最も近い端部であり、第2の建物の第1の端部は第1の建物に最も近い端部である。第1の建物の第1の端部及び第2の建物の第1の端部は、第1の建物と第2の建物との間に給気通路(1205)の部分を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに近接して配置された第1の建物(1202)及び第2の建物(1201)を備えた複数の建物(1201~1204)を含み、前記複数の建物の各々は、外部環境から周囲給気(205)を受け取るように構成された第1の端部と、排気(210)を前記外部環境に出力するように構成された第2の端部とを有し、前記複数の建物の各々は複数の計算装置(1600)を含み、
各建物内の前記複数の計算装置は熱エネルギーを生成するように構成されており、前記熱エネルギーは給気に伝達され、これにより前記給気が加熱されて排気になり、前記排気が前記建物から出て、
第1の建物の前記第1の端部は第2の建物に最も近い端部であり、前記第2の建物の前記第1の端部は前記第1の建物に最も近い端部であり、
前記第1の建物の前記第1の端部及び前記第2の建物の前記第1の端部は、前記第1の建物と前記第2の建物との間に給気通路(1205)の部分を形成する、
システム(1200)。
【請求項2】
前記建物の各々は複数階の建物であり、
各フロアは前記複数の計算装置のうちのいくつかを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各建物について、
前記建物の前記第1の端部は、第1のフロアの外壁に配置された第1のダンパ(215)又は通気口(220)を含み、前記第1のダンパ又は通気口は前記給気が前記建物に入れるように構成されており、
前記建物の前記第2の端部は別のフロアの外壁に配置された第2のダンパ(215)又は通気口(220)を含み、前記第2のダンパ又は通気口は前記排気が前記建物から出られるように構成されており、
前記別のフロアは前記第1のフロアよりも高い、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記建物のうちの少なくとも1つは、隣接するフロアの間に配置された少なくとも1つの格子を含み、前記少なくとも1つの格子は、前記給気の一部が前記隣接するフロアの下のフロアから上のフロアに流れることを可能にするように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの格子は、前記給気の前記一部の温度が前記隣接するフロアの前記上のフロアの温度要件を満たす場合に開くよう構成された自動格子を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
各フロアの前記計算装置は、給気側及び排気側を有するラックに配置されており、
前記給気側及び前記排気側の配置は隣接するフロア間で交互になっており、
前記少なくとも1つの格子は、前記給気の前記一部が前記下のフロアの前記排気側から前記上のフロアの前記給気側に流れることを可能にするように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
各建物は、前記建物内への前記給気の移動又は前記建物からの前記排気の移動を促すように構成された1つ以上のファン(305)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記建物のうちの少なくとも1つはミキシングボックス(300)を含み、前記ミキシングボックス(300)は、前記給気が前記建物に入る前に前記給気の温度又は相対湿度のうちの少なくとも一方を変化させるように、前記給気と前記排気の一部との制御された混合をもたらすよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の建物と前記第2の建物との間の屋根の高さ又はその付近に設置され、前記第1の建物又は前記第2の建物のうちの少なくとも一方に取り付けられたフレーム(1115)をさらに含み、前記フレーム(1115)は、前記第1の建物と前記第2の建物との間の前記周囲給気の流れと連動して作動する1つ以上のデバイスを支持するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上のデバイスは、給気加熱コイル(1105)、排熱回収コイル(1110)、給気フィルタ又は発電機のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の建物の前記第2の端部と、隣接する第3の建物(1203)の端部とが、前記第1の建物と前記第3の建物との間に排気通路(1210)の部分を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の建物と前記第3の建物との間の前記排気通路に配置された少なくとも1つの発電機(1305)をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記給気通路又は前記排気通路の少なくとも一方に配置された少なくとも1つの風力タービン(1505)をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の建物のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つの建物の外部の上に配置されたエアダイバータ構造(1804)を含み、前記エアダイバータ構造は、前記建物の前記外部における前記給気及び前記排気の混合を低減するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
互いに近接して配置された第1の建物(1202)及び第2の建物(1201)を備えた複数の建物(1201~1204)の各々において、
外部環境からの周囲給気(205)を第1の端部において受け取り、第2の端部において排気(210)を前記外部環境に出力する(2201)ことと、
前記建物内に配置された複数の計算装置によって熱エネルギーを生成する(2203)ことと、
前記熱エネルギーを給気に伝達し、これにより前記給気が加熱されて排気になり、前記排気が前記建物から出る(2205)ことと、
を含み、
前記第1の建物の前記第1の端部は前記第2の建物に最も近い端部であり、前記第2の建物の前記第1の端部は前記第1の建物に最も近い端部であり、
前記第1の建物の前記第1の端部及び前記第2の建物の前記第1の端部は、前記第1の建物と前記第2の建物との間に給気通路(1205)の部分を形成する、
方法(2200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態はデータセンタに関し、特にデータセンタキャンパス(事業用地)における設備の空冷を改良するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタは、主として冷却に必要な物理的インフラストラクチャが多いことにより、その大部分が1階建ての建物である。このインフラストラクチャは、これらに限定されないが、冷却塔、冷却機、配管及び空気処理ユニットを含み、これらは全て、データセンタの計算装置からの熱を除去するために個別に、又はいくつかを組み合わせて使用される。キャンパス構成で互いに近接して配置された複数の1階建て又は複数階建ての建物を特徴とするデータセンタもある。これらのデータセンタの中には、機械的な冷却を殆ど又は全く行わず、所定の温度及び相対湿度でコンピュータ装置に送られる無調整の外気を使用しているものもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、データセンタキャンパスにおける設備の空冷を改良するためのシステム及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の実施形態において、システムは、互いに近接して配置された第1の建物及び第2の建物を備えた複数の建物を含む。建物の各々は、外部環境から周囲給気を受け取るように構成された第1の端部と、排気を外部環境に出力するように構成された第2の端部とを有する。建物の各々は複数の計算装置を含む。各建物内の計算装置は熱エネルギーを生成するように構成されており、熱エネルギーは給気に伝達され、これにより給気が加熱されて排気になり、排気がその建物から出る。第1の建物の第1の端部は第2の建物に最も近い端部であり、第2の建物の第1の端部は第1の建物に最も近い端部である。第1の建物の第1の端部及び第2の建物の第1の端部は、第1の建物と第2の建物との間に給気通路の部分を形成する。
【0005】
第2の実施形態において、方法は、互いに近接して配置された第1の建物及び第2の建物を備えた複数の建物の各々において、(i)外部環境からの周囲給気を第1の端部において受け取り、第2の端部において排気を外部環境に出力することと、(ii)その建物内に配置された複数の計算装置によって熱エネルギーを生成することと、(iii)熱エネルギーを給気に伝達し、これにより給気が加熱されて排気になり、排気がその建物から出ることと、を含む。第1の建物の第1の端部は第2の建物に最も近い端部であり、第2の建物の第1の端部は第1の建物に最も近い端部である。第1の建物の第1の端部及び第2の建物の第1の端部は、第1の建物と第2の建物との間に給気通路の部分を形成する。
【0006】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明及び特許請求の範囲から、当業者に容易に明らかとなりうる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】設備の空冷を改良するための1つ以上の方法を本開示の種々の実施形態に従って用いることのできる例示的なデータセンタキャンパスを示している。
【
図1B】設備の空冷を改良するための1つ以上の方法を本開示の種々の実施形態に従って用いることのできる例示的なデータセンタキャンパスを示している。
【
図2】設備の空冷を改良するための1つ以上の方法を本開示の種々の実施形態に従って用いることのできる別の例示的なデータセンタキャンパスを示している。
【
図3】
図2のデータセンタキャンパスと併せて使用することのできる例示的なミキシングボックスを示している。
【
図4】本開示の種々の実施形態に従って排気が再利用される例示的な建物を示している。
【
図5】本開示の種々の実施形態に従って排気が再利用される別の例示的なデータセンタキャンパスを示している。
【
図6】本開示の種々の実施形態に従ってデータセンタ設備が交互に配置された例示的な建物を示している。
【
図7】本開示の種々の実施形態に従って、本明細書に記載のデータセンタキャンパスのうちの1つ以上と併せて使用できる別の例示的なミキシングボックスを示している。
【
図8】本開示の種々の実施形態に従って複数のミキシングボックスが設置された例示的な建物を示している。
【
図9】本開示の種々の実施形態に従って複数の例示的な制御を有する
図3のミキシングボックスを示している。
【
図10】本開示の種々の実施形態に従って複数の例示的な制御を有する
図1A及び
図1Bのキャンパスを示している。
【
図11】本開示の種々の実施形態による
図1A及び
図1Bのキャンパスの例示的な特徴のさらなる詳細を立面図で示している。
【
図12】本開示の種々の実施形態に従って低温給気通路及び高温排気通路を用いることのできる、別の例示的なデータセンタキャンパスを示している。
【
図13】本開示の種々の実施形態に従って1つ以上の緊急発電機を含む例示的なキャンパスを示している。
【
図14】本開示の種々の実施形態に従って建物間に支持グリッドを含む例示的なキャンパスを示している。
【
図15】本開示の種々の実施形態に従って空気流から電力を生成することができる例示的なキャンパスを示している。
【
図16】本開示の種々の実施形態によるデータセンタ冷却システムにおいて使用する計算装置の例を示している。
【
図17A】高温排気流が周囲の低温空気流と混合する例を示している。
【
図17B】高温排気流が周囲の低温空気流と混合する例を示している。
【
図18】本開示に従ってエアダイバータ構造を含む例示的なデータセンタの建物を示している。
【
図19】本開示に従って複数のエアダイバータ構造が用いられる例示的なデータセンタキャンパスを示している。
【
図20】本開示の種々の実施形態による他のダイバータ構造の例を示している。
【
図21】本開示の種々の実施形態による他のダイバータ構造の例を示している。
【
図22】本開示の種々の実施形態による、データセンタキャンパスにおける設備の空冷を改良するための例示的な方法2200を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
後述する図面、及び本特許文献において本開示の原理を説明するために使用される種々の実施形態は説明のためのものにすぎず、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者は、適切に配置されたいずれのシステム又はデバイスにおいても本開示の原理が実施可能であることを理解するであろう。
【0009】
簡略化及び明瞭化のために、いくつかの特徴及び構成要素は、他の図面に関連して示されるものを含め、全ての図面に明示的に示されているわけではない。図面に示す全ての特徴を、説明する実施形態のいずれにも使用できることが理解されるであろう。特定の図面からの特徴又は構成要素の省略は簡略化及び明瞭化のためであり、その特徴又は構成要素を、その図面に関連して説明される実施形態において使用できないことを意味するものではない。本開示の実施形態は、本明細書に記載する特徴のうち任意の1つ、2つ以上、又は全てを含むことができることが理解されよう。また、本開示の実施形態は、これに加えて又はこれに代えて、本明細書に列挙していない他の特徴を含むことができる。
【0010】
前述のように、データセンタは、主として冷却に必要な物理的インフラストラクチャが多いことにより、その大部分が1階建ての建物である。このインフラストラクチャは、これらに限定されないが、冷却塔、冷却機、配管及び空気処理ユニットを含み、これらは全て、データセンタの計算装置からの熱を除去するために個別に又はいくつかを組み合わせて使用される。しかしながら、キャンパス構成で互いに近接して配置された複数の1階建て又は複数階建ての建物を特徴とするデータセンタもある。これらのデータセンタの殆どは、空気から流体への移動や、加熱された流体を蒸発、相変化、液体から空気への移動によって除去するための外部大気への送出など、冷却部品間の従来の液体流体移動に依存している。液体を移動させるための物理的な重量及びポンプエネルギーの使用は、構造的な建築部品及び液体ポンプエネルギーの使用のためにより高い建築コストを伴う。
【0011】
これらの問題及び他の問題に対処するために、本開示の実施形態は、冷却部品間の従来の液体流体移動の必要性を低減又は排除する複数階建てのモジュール型及びエアサイドのエコノマイゼーション技術を特徴としている。開示される実施形態はさらに、データセンタキャンパスの高温通路及び低温通路の建物を分離する技術を特徴としている。このような技術は、ラック構成に通常適用されるホットアイル及びコールドアイルの概念を取り入れ、これらの概念を建物のサイト(敷地)又はデータセンタキャンパスの設置面積(フットプリント)に拡張する。開示される実施形態は、給気流への熱い空気の侵入を低減又は排除する。他の利点は当業者には明らかであろう。
【0012】
図1A及び
図1Bは例示的なデータセンタキャンパス100を示しており、このデータセンタキャンパス100では、設備の空冷を改良するための1つ以上の方法を本開示の種々の実施形態に従って用いることができる。特に、
図1Aはキャンパス100の平面図を示しており、
図1Bはキャンパス100の立面図を示している。
図1A及び
図1Bに示すキャンパス100の実施形態は説明のためのものにすぎない。キャンパス100の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0013】
図1A及び
図1Bに示すように、キャンパス100は、互いに近接して配置された複数の建物101~103を含んでいる。各建物101~103は複数階建ての建物である。
図1A及び
図1Bに示すように、キャンパス100はそれぞれ4階建ての3つの建物101~103を含んでいる。もちろん、これらは例にすぎず、他のキャンパスは他の階数を有する他の数の建物を含むことができる。
【0014】
本明細書で用いる、建物の配置に関連する「近接した」及び「近接」という用語は、建物間の空気の移動パターンが建物の物理的存在によって影響を受けるほど十分に近接した建物を示している。これの極端な例は、都心の超高層ビル間でみられる「空気のトンネル」現象である。いくつかの実施形態において、「近接した」は、間隔が1つ以上の建物の高さ未満である複数の建物を示すことができる。いくつかの実施形態において、「近接した」は、間隔が100フィート未満の複数の建物を示すことができる。いくつかの実施形態において、「近接した」は、間隔が50フィート未満である複数の建物を示すことができる。いくつかの実施形態において、「近接した」は、間隔が20フィート未満の複数の建物を示すことができる。他の距離は、建物のサイズ、数、高さ、配置及び/又はレイアウトに応じて関連しうる。
【0015】
建物101~103は複数階のモジュール型設計を特徴としており、殆どの場合、空気から流体への移動や、加熱された流体を蒸発、相変化又は液体から空気への移動によって除去するための外部大気への送出に依存する、冷却部品間の従来の液体流体移動の必要性を低減又は排除している。以下により詳しく説明するように、建物101~103は、開ループ構成で一次冷却に外気を用いる冷却システムを組み込んでいる。このようなシステムは、従来のシステムに比べて先行コスト及び反復コストを低減することができる。いくつかの実施形態において、システムの最も高い消耗コストは、周囲空気を所定の微粒子基準まで清浄にするエアフィルタである。建物101~103のうち1つ以上の中でこの濾過された空気を2回以上使用することは、運営上、直接的な費用便益となる。また、空気再利用トポロジー(空間配列)はファン電力の運転コストを低減するため、高効率で低コストのデータセンタを構築し、運営することができる。
【0016】
図2は、設備の空冷を改良するための1つ以上の方法を本開示の種々の実施形態に従って用いることができる別の例示的なデータセンタキャンパス200を示している。いくつかの実施形態において、キャンパス200は、
図1A及び
図1Bのキャンパス100を表す(又はそれらによって表される)ことが可能である。
図2に示すキャンパス200の実施形態は説明のためのものにすぎない。キャンパス200の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0017】
図2に示すように、キャンパス200は、互いに近接して配置された複数の建物201~202を含んでいる。各建物201~202は複数階建ての建物である。いくつかの実施形態において、建物201~202は、
図1A及び
図1Bの建物101~103を表す(又はそれらによって表される)ことが可能である。
図2において、キャンパス200はそれぞれ4階建ての2つの建物201~202を含んでいる。もちろん、これらは例にすぎず、他のキャンパスは他の階数を有する他の数の建物を含むことができる。
【0018】
キャンパス200において、給気205は一方の端部又は側部から各建物201~202に入り、排気210は反対側の端部又は側部から各建物201~202を出る。給気205は、各建物201~202内に収容された計算装置(例えばサーバ)及び他の発熱装置の冷却に使用される。給気205は、熱又は湿度の調整が殆ど又は全くされていない直接外気を含むことができる(すなわち、エアサイドエコノマイゼーション)。いくつかの実施形態では、給気205を、機械的手段(例えば1つ以上のファン)によって各建物201~202の給気空間内に取り込むか又は引き込むことができる。いくつかの実施形態では、給気205を、機械的手段(例えば1つ以上のファン)によって各建物201~202の給気空間内に送り込むか又は押し込むことができる。いくつかの実施形態では、データセンタの計算装置に付随するファン以外の機械的な補助なしで、各建物201~202の給気空間内に給気205を引き込むことができる。
【0019】
各建物201~202に入る給気205は、各建物201~202の外側にある1つ以上の場所から入ることができる。
図2に示すように、給気205は、各建物201~202の一方の端部又は側部に配置された複数の外壁ダンパ215を通って各建物201~202に入る。いくつかの実施形態において、壁ダンパ215が配置された各建物201~202の端部又は側部は、隣接する建物201~202に最も近い端部又は側部である。外壁ダンパ215は各建物201~202の各階に設置されている。もちろん、これは1つの例にすぎない。他の実施形態において、給気205は、任意の壁、屋根(ルーフ)、もしくはフロアの場所、又はこれらの組み合わせを通って各建物201~202に入ることができる。また、ダンパ215は、空気の通過を許可又は制御するための任意の適切なグリル、ルーバー、ダクト、ダンパ、又はこれらの組み合わせを表すことができる。
【0020】
給気205は、各建物201~202の中に入ると各建物201~202に配置されたデータセンタ設備及びその周囲を移動し、設備によって生じた熱エネルギーを受け取り、これにより設備を冷却するように作用する。設備に達する給気205は、熱風プレナムからの暖かい空気~熱い空気と制御可能に混合し、混合してデータセンタの給気通路に再循環することのできる直接外気を含むことができる。すなわち、外部給気205をデータセンタ設備の暖かい空気流又は熱い空気流と混合することができる。この混合は、給気205の特定範囲の給気熱値又は相対湿度をもたらすことにより、データセンタの給気の必要性に応えることができる。
【0021】
前述のように、いくつかの実施形態において、給気205は主に又は完全に調整されていない周囲空気である。いくつかの実施形態において、設計要件又は動作要件は、外部から1つ以上の建物201~202に入る給気205を直接蒸発プロセスなどによって調整できることを示す場合がある。直接蒸発プロセスを使用して、流入する周囲給気205を、データセンタ設備の給気通路に到達する前に冷却することができる。いくつかの実施形態において、直接蒸発冷却プロセスは、データセンタの壁、屋根、フロア、又はこれらの組み合わせにおける空気から液体への直接熱移動を含むことができる。
【0022】
これに加えて又はこれに代えて、いくつかの実施形態では、外部から1つ以上の建物201~202に入る給気205を、機械的手段を用いて調整することができる。機械的手段は、データセンタから離れて行われる熱除去を含むことができる。いくつかの実施形態において、給気205は、空気と表面の接触を通じて給気205から熱エネルギー(熱)を回収するように構成されたコイル、膜又はチューブアセンブリの上を通過することができる。回収した熱エネルギーを、遠隔ヒートシンクなどの遠隔熱除去の場所に液体又は気体として運ぶことができる。遠隔熱除去を、蒸発、相変化、断熱又はこれらの組み合わせの形とすることができる。
【0023】
データセンタ計算装置から排出される加熱された空気を含む排気210を、給気205から分離されたプレナム内に回収することができ、各建物201~202から1つ以上の排気口220を通って大気中に排出することができる。給気205及び排気210を、建物201~202又は部屋の中の分離した経路に導入することができる。いくつかの実施形態において、給気205が排気210と通じる唯一の方法は、データセンタの計算設備を通ること、1つ以上のパッシブな制御されていない通気口及び開口を通ること、又は、1つ以上の制御されたアクティブな通気口、ダンパ及び/もしくはファンによって支持された混合チャンバを通ることである。
【0024】
給気205からの排気210の分離は、温度制御及び高効率の運転を達成するために重要となりうる。いくつかの実施形態において、空気の分離を、データセンタの空気流の供給側と排気側との間で、セパレータパネル、スクリーン、バリア、ドア、エアシール部品などの堅牢なシステムによって達成することができる。このようなセパレータを、硬質又は可撓性の材料から形成することができる。セパレータは、供給側と排気側との間の空気流を防止にするために中実でもよいし、空気流を確保するために穴が開いていてもよい。いくつかの実施形態において、空気の分離には、例えば0.5水柱インチ(in.WC)において<2%など、各建物201~202の異なる側への漏出率が低い堅牢なシステムが使用される。
【0025】
排気口220は各建物201~202に開口を含む。
図2において、排気口220は各建物201~202の一方の端部又は側部に設置されている。排気口220は、各建物201~202の各フロアに配置されている。もちろん、これは1つの例にすぎない。他の実施形態において、排気210は、任意の壁、屋根もしくはフロアの場所、又はこれらの組み合わせを通って各建物201~202から出ることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、データセンタ設備を出る加熱された排気210を、機械的手段(例えば1つ以上のファン)によってデータセンタの排気空間に取り込むか又は引き込むことができる。いくつかの実施形態では、加熱排気210を、機械的手段(例えば1つ以上のファン)によってデータセンタの排気空間内に送り込むか又は押し込むことができる。いくつかの実施形態では、データセンタの計算装置に付随するファン以外の機械的な補助なしで、加熱排気210を排気空間内に引き込むことができる。いくつかの実施形態において、加熱排気210は、全体的又は部分的に対流を用いて空気流を建物201~202のうちの一方に通すことができる。
【0027】
排気210が建物間の設計された熱風排気領域に出て、空間、フロア又は建物に入る給気と混合しない単一使用の用途において、排気210を使用することができる。他の実施形態では、温度及び相対湿度に関する1つ以上のデータセンタ給気要件を満たすように、排気210を流入する周囲給気205と混合することができる。(i)排気210の給気経路へのパッシブな導入を可能にするように開く1つ以上の制御されたダンパと、(ii)排気210の給気経路へのアクティブな導入をもたらす、ファンを備える1つ以上の制御されたダンパと、(iii)給気205及び排気210を、データセンタの空間、フロア又は建物201~202に入る前に特定の温度及び相対湿度の正確な値になるよう混合する1つ以上のミキシングボックスと、を含むがこれらに限定されない種々の技術を実施して、排気210及び給気205を混合することができる。
【0028】
図3は、
図2のデータセンタキャンパス200と併せて使用することのできる例示的なミキシングボックス300を示している。特に、ミキシングボックス300は、建物201~202のうちの1つの外壁の内側に設置することができるカスタマイズされたミキシングボックスを表している。いくつかの実施形態では、ミキシングボックス300を外壁ダンパ215のうちの1つ以上に結合することができる。
図3に示すミキシングボックス300の実施形態は説明のためのものにすぎない。ミキシングボックス300の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0029】
図3に示すように、ミキシングボックス300及び補助構成要素及び空間要素は、1つ以上の再循環ファン305、1つ以上の混合ダンパ310、1つ以上の排気通路315の開口、1つ以上の給気通路320の開口、1つ以上のエアミキシングボックス325、1つ以上の空気分離システム330の開口、及び1つ以上の排気ダンパ335を含んでいる。ミキシングボックス及びその構成要素を以下により詳しく説明する。
【0030】
多くの実施態様において、データセンタは種々の業界規格に従って設計され、運営されている。このような規格は、データセンタ計算装置の一貫した安全な動作の保証を助長する。データセンタ内の気温及び相対湿度に関する規格の多くは、アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)によって公表されている。ASHRAEは通常、推奨(例えば18~27℃(64~81°F)の温度範囲)及び許容(5~45℃(41~113°Fの温度範囲)といった2セットの熱ガイドラインをデータセンタに用いている。
【0031】
コンピュータ機器は広範囲の給気温度で動作することができるため、コロケーション及びクラウドデータセンタの顧客及びクライアントの多くは、ASHRAE推奨ガイドラインを使用することをデータセンタサービスプロバイダに要求している。データセンタ計算装置のこのより低い給気温度によってより低い排気温度が生じ、多くの場合、この排気温度は、ASHRAEが推奨又は許容する給気温度範囲に基づいて、給気としての再利用に依然として許容可能である。この比例する低排気温度範囲は、他の領域、フロア又は建物への給気として排気流を再利用する機会をもたらす。外気の使用及び排気の再循環、混合又は連続使用により、高効率及び運転コストの低減をもたらすことができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、排気の熱含有量(温度)が隣接する(下流の)空間の給気要件を満たす場合、排気を連続流で、隣接する領域、フロア又は建物への給気として再利用することができる。1つのエンクロージャ、領域、フロア又は建物からの排気を、例えば排気プレナム又はその下の空間に開放されたパッシブな共用フロア格子を介して複数階建ての建物内の上のフロアに送ることができる。いくつかの実施形態では、上の空間の給気温度要件が満たされた場合に開く自動フロア格子を通して排気を送ることができる。いくつかの実施形態では、給気経路内への排気のアクティブな取り込みをもたらすファンを備える1つ以上の制御されたダンパを通して排気を送ることができる。いくつかの実施形態では、ダンパ、ファン、ダクトワーク又はこれらの組み合わせを介して他の領域、フロア又は建物に排気を送ることができる。
【0033】
図4は、本開示の種々の実施形態に従って排気が再利用される例示的な建物400を示している。いくつかの実施形態において、建物400は、
図2の建物201~202のうちの1つを表す(又はそれによって表される)ことが可能である。
図4に示す建物400の実施形態は説明のためのものにすぎない。建物400の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0034】
図4に示すように、外部給気はレベル1で建物に入る。この給気を使用して、レベル1にあるデータセンタ設備を冷却することができる。レベル1からの排気は、レベル2の中央給気通路のフロア格子又は温度制御ダンパを通ってレベル2に移動する。この空気を使用して、レベル2にあるデータセンタ設備を冷却することができる。レベル2からの排気は、レベル3の給気通路の2つのフロア格子を通ってレベル3に移動する。この空気を使用して、レベル3にあるデータセンタ設備を冷却することができる。レベル3からの排気は、レベル4の中央給気通路のフロア格子を通ってレベル4に移動する。この空気を使用して、レベル4にあるデータセンタ設備を冷却することができる。レベル4からの排気は天井の排気プレナムに移動し、大気に放出される。排気は、天井の排気プレナムから1つ以上の通気口を通って大気に放出される。
【0035】
図5は、本開示の種々の実施形態に従って排気が再利用される別の例示的なデータセンタキャンパス500を示している。いくつかの実施形態において、キャンパス500は、
図2のキャンパス200を表す(又はそれによって表される)ことが可能である。
図5に示すキャンパス500の実施形態は説明のためのものにすぎない。キャンパス500の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0036】
図5に示すように、キャンパス500は、互いに近接して配置された複数の建物501~503を含んでいる。各建物501~503は複数階建ての建物である。いくつかの実施形態において、建物501~503は、
図1A及び
図1Bの建物101~103を表す(又はそれらによって表される)ことが可能である。
図5において、キャンパス500はそれぞれ4階の高さの3つの建物501~503を含んでいる。もちろん、これらは例にすぎず、他のキャンパスは他の階数を有する他の数の建物を含むことができる。
【0037】
キャンパス500において、各建物501~503は各フロアに高温通路及び低温通路を含んでいる。給気505は最下フロアで各建物501~503に入り、
図4に記載のように、1つ以上のフロアの計算装置を冷却するために使用又は再利用され、次いで最上フロア又は天井から排気510として排出される。
【0038】
いくつかの実施形態では、複数階建ての建物において、データセンタ設備のラックを設備の給気側に関して各フロアで交互に配置することができる。
【0039】
図6は、本開示の種々の実施形態に従ってデータセンタ設備が交互に配置された例示的な建物600を示している。いくつかの実施形態において、建物600は
図4の建物400を表す(又はそれによって表される)ことが可能である。
図6に示す建物600の実施形態は説明のためのものにすぎない。建物600の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0040】
図6に示すように、建物600は、各フロアのラックに配置されたデータセンタ設備を含んでいる。各ラックの給気側と排気側は、1つのフロアから隣接するフロアへ交互になっている。この交互の構成は、下のフロア及び設備の排気経路から上のフロアの設備への給気経路を提供する。次のフロアの供給側への排気の通過は、空気の温度が所定の要件を超えるまで継続することができる。排気は、建物600から各フロアの排気ダンパを介して大気に放出されてもよいし、建物600の最上フロア又は屋根で放出されてもよい。いくつかの実施形態では、排気をミキシングボックス(例えば、ミキシングボックス300)に送り、流入する周囲給気と混ぜてもよい。
【0041】
従来のデータセンタでは、給気の熱量及び相対湿度の制御は、通常、機械的冷却又は蒸発冷却の何らかの手段によって行われている。従来の空気管理システムは、通常、外気の導入(「補給空気」と呼ぶこともある)を除き、汚れた空気又は未調整の空気の浸入を防ぐために空間又は建物を加圧する閉ループである。また、補給空気システムは、占有者の健康のために、建築基準によって必要とされる最小限の新鮮な空気を提供する。
【0042】
図1A~
図6に記載のように、直接外気を供給物として使用し、そして大気に排出するシステムは開ループシステムとみなされる。給気の熱含有量及び湿度の正確なバランスを提供するために、給気の熱量及び相対湿度値を厳密に制御する能力は、1つ以上の制御センサ、制御されたアクチュエータ及び計算を用いて実現可能である。いくつかの実施形態において、外気が所定の熱量及び/又は相対湿度値を満たさない期間の間は、部分的な閉ループを用いることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、給気の熱量及び相対湿度値の制御を実現するためにミキシングボックス(例えばミキシングボックス300)を使用することができる。他の実施形態では、非ミキシングボックスのトポロジーを用いて排気を給気通路に直接導入することができる。給気通路に隣接しているか、給気通路の上方又は下方にある空気分離システム内のダンパの単純な開口を介して、排気を給気流に直接導入してもよい。ダンパの操作は、自動、重力操作、手動のいずれでもよい。
【0044】
図7は、本開示の種々の実施形態に従って、本明細書に記載のデータセンタキャンパスのうちの1つ以上と併せて使用できる別の例示的なミキシングボックス700を示している。特に、ミキシングボックス700は、建物のうちの1つの外部に設置することのできるエアミキシングボックスを表している。
図8は、本開示の種々の実施形態に従って複数のミキシングボックス700が設置された例示的な建物800を示している。
図7に示すミキシングボックス700の実施形態は説明のためのものにすぎない。ミキシングボックス700の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0045】
図7に示すように、ミキシングボックス700は、
図3のミキシングボックス300の対応する構成要素と同じか又はそれらに類似した複数の構成要素及び補助空間要素を含んでいる。ミキシングボックス700は、1つ以上の混合ダンパ710、1つ以上の排気通路715の開口、1つ以上の給気通路720の開口、1つ以上のエアミキシングボックス725、1つ以上の空気分離システム730の開口、及び1つ以上の排気ダンパ735を含んでいる。
【0046】
ミキシングボックス700は、周囲給気205と、排気プレナムから直接又はダクトワークを通して除去された排気210との制御された混合を提供する。いくつかの実施形態において、制御された混合は、ファンなしの制御されたダンパ又は重力ダンパを用いてパッシブに行われる。いくつかの実施形態において、制御された混合は、ファンを備える制御されたダンパ又は重力ダンパを用いてアクティブに行われる。ミキシングボックス700は、排気210を給気205と混合させて周囲給気温度を所定のレベル、例えば64°F~113°Fに上げることができる。また、ミキシングボックス700は、周囲給気205の相対湿度を、乾燥した排気210と混合することによって所定のレベル、例えば5%~95%の非結露レベルを満たすように変化させることができる。
【0047】
ミキシングボックス700を種々の形状、サイズ及び構成で形成することができる。いくつかの実施形態では、ミキシングボックス700を約4立方フィートほどの小さい単一ユニットとして配備することができる。いくつかの実施形態では、ミキシングボックス700を最大5000立方フィート以上のモジュールサイズとすることができる。もちろん他のサイズも可能であり、本開示の範囲内である。建物の長さ、幅又は高さ、及び設計要件ごとの深さに対応するように、ミキシングボックス700をサイト内で建ててサイズをカスタマイズすることができる。ミキシングボックス700は、異なる熱量及び湿度値を必要とする大規模な配備のため、互いに独立して動作する複数のユニットを含むことができる。例えば、
図8に示すように、建物800は、建物800の各フロアに配置された複数のミキシングボックス700を含んでいる。いくつかの実施形態において、ミキシングボックス700は、空間、フロア又は建物の要件ごとに、大規模な配備のために連動した複数のユニットを含むことができる。ミキシングボックス700を建物の壁、屋根又はフロアの要素に直接取り付けることができる。ミキシングボックス700を、別の構造要素に掛けるように支持するか又は取り付けることができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、ミキシングボックス700を、ファン、ダンパ、フィルタ、ダクト接続点、センサ、制御装置、配管部品、電気部品など、必要な副構成要素を含む独立型の構成要素又は構造体とすることができる。他の実施形態では、排気210及び周囲給気205を調整されていないプロセスで混合させることができるように、ミキシングボックス700を単純なシェル(shell)とすることができる。
【0049】
開示されたキャンパス及び建物は、空気処理及び設備冷却の制御を保つために種々の制御、センサ、アクチュエータなどを含むことができる。
図9は、本開示の種々の実施形態に従って複数の例示的な制御を有するミキシングボックス300を示している。
図10は、本開示の種々の実施形態に従って複数の例示的な制御を有するキャンパス100を示している。
図11は、本開示の種々の実施形態によるキャンパス100の例示的な特徴のさらなる詳細を立面図で示している。
【0050】
図9に示すように、ミキシングボックス300は、複数の温度センサ905、圧力センサ910及び湿度センサ915を含んでいる。温度センサ905は、各データセンタ空間の給気温度の所定値を保つために必要な混合比がある場合、その混合比の決定に使用される制御アルゴリズムにデータを入力することができる。圧力センサ910は、ダンパの位置及びファンの速度を決定するために静圧及び差圧を測定し、それらを制御アルゴリズムに伝えることができる。湿度センサ915は、各データセンタ空間の給気相対湿度の所定値を保つために必要な混合比がある場合、その混合比の決定に使用される制御アルゴリズムにデータを入力することができる。
【0051】
部屋の給気側の温度センサ905、圧力センサ910及び湿度センサ915は、所定値が満たされているかを決定するために、制御アルゴリズムにデータを入力することができる。部屋の排気側の温度センサ905は、空気を大気に放出するか、又は熱もしくは相対湿度の調整要素として再利用するかを決定するために、制御アルゴリズムにデータを入力することができる。空気分離システムによって形成された空気のエンクロージャ用の温度センサ905、圧力センサ910及び湿度センサ915は、空気流の連続的な送出か大気への投棄かを決定するために、制御アルゴリズムにデータを入力することができる。
【0052】
1つ以上の空気ダンパ位置センサ(図示せず)は、ダンパを通る空気流の代理として制御アルゴリズムにデータを入力することができる。ミキシングボックスに関連する温度センサ905、圧力センサ910及び湿度センサ915は、制御アルゴリズムにデータを入力することができる。供給ファン速度センサ920及び排気ファン速度センサ925は、空気流の代理として制御アルゴリズムにデータを入力することができる。供給通路風速計(図示せず)は、データセンタ計算装置の前の風速の代理として制御アルゴリズムにデータを入力することができる。
【0053】
図10に示すように、キャンパス100は、サイト気象ステーション1005、サイト空気微粒子センサ1010及びサイト空気品質センサ1015を含んでいる。1つ以上の低温給気通路1020が、2つの隣接する建物101~103の間に配置されている。1つ以上の高温排気通路1025が、2つの隣接する建物101~103の間に配置されている。各低温給気通路1020は、建物101~103の、高温排気通路1025に対応する建物101~103の側とは反対の側に配置されている。
【0054】
サイト気象ステーション1005は、現地の気象状態情報(例えば温度、湿度、風速など)を測定し、サイトのオペレータが記録してデータセンタの要件と比較するための、現地の気象状態データを提供することができる。気象ステーション1005からのデータは制御アルゴリズムへの入力を提供し、周囲給気の温度及び湿度を決定するための計算に使用することができる。サイト空気微粒子センサ1010は空気中の汚れ及び花粉を感知し、空気中の微粒子の長期的な傾向を追跡するためにデータを提供することができる。サイト空気品質センサ1015は、データセンタ計算装置に損傷を生じうる有毒化学物質又は汚染物質を早期に警告することができる。
【0055】
図11に示すように、キャンパス100はまた、少なくとも1つの給気加熱コイル1105、少なくとも1つの排熱回収コイル1110、及び建物101~103のうちの1つ以上の屋根の高さに取り付けられた少なくとも1つの給気フィルタフレーム1115を含むことができる。給気加熱コイル1105は、隣接する建物のルーフライン(屋根の輪郭線)間に配置されたコイル、チューブ、膜等を含む。給気フィルタフレーム1115は、隣接する建物のルーフライン間に配置されたプレフィルタ又はフィルタを含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、適切な温度及び相対湿度を有する周囲外気を直接使用してデータセンタ計算装置を冷却することができる。周囲空気は濾過され、給気205として空間に入ることができる。データセンタ計算装置からの排気210は、空間、部屋、フロア又は建物に直結したグリル、ルーバ、ダクト、ダンパなどを通って建物101~103から大気に直接放出することができる。これは、業界では「エアサイドフリークーリング」として既知であり、ASHRAE許容規格を用いたデータセンタ設備の冷却のために先進国の90%超で使用することができる。
【0057】
いくつかの地域では、1つ以上の気象事象によって周囲空気が通常の気温及び湿度の範囲外になることがある。これに加えて又はこれに代えて、周囲空気の通常範囲は、施設又は顧客の要求を常に100%満たすとは限らない。
【0058】
条件が正常である場合、周囲給気205は、データセンタ計算装置への損傷を防ぐために、所定の濾過レベルで異物を除去するフィルタバンクを通って建物101~103に入ることができる。パッシブな設計において、ダンパは、データセンタ計算装置の空気流要件を満たすために制御された開度にすることができる。アクティブな設計において、ダンパ及びファンは、データセンタ計算装置の空気流要件を満たすために制御された開度及び速度にすることができる。しかしながら、1つ以上のセンサによって条件が設計の範囲外(すなわち逸脱)であると検出された場合、制御アルゴリズムによって計算を実行して空気流に1つ以上の調整を行い、設計の範囲外であった値の変更を引き出すことができる。逸脱及び対応する計算のいくつかの例をこれから説明する。
【0059】
1つの例では、範囲外の空気温度がサイト気象ステーション1005によって検出される。これに対して、排気ダンパ335は、それらの既存の位置の25%を閉じることができる。排熱回収コイル1110からの加熱流体が給気加熱コイル1105に移動する。温度センサ905(T1、T2、T3、T4)のうちの1つ以上が、計算に関連するデータについて、コンピュータアルゴリズムによってポーリングされる。制御アルゴリズムは、混合ダンパ310、排気ダンパ335、又は双方の計算された位置を決定する。再循環ファン305は、エアミキシングの要件を満たして空気温度を所定の範囲へ戻すために、所定の速度で動作するように命令される。
【0060】
第2の例では、給気205の範囲外の進入空気温度がエアミキシングボックス300の温度センサ905によって検出される。これに対して、排気ダンパは、それらの既存の位置の25%を閉じることができる。温度センサ905(T1、T2、T3、T4)のうちの1つ以上が、計算に関連するデータについて、コンピュータアルゴリズムによってポーリングされる。制御アルゴリズムは、混合ダンパ310、排気ダンパ335、又は双方の計算された位置を決定する。再循環ファン305は、エアミキシングの要件を満たして空気温度を所定の範囲へ戻すために、所定の速度で動作するように命令される。
【0061】
第3の例では、給気205の不正確な進入空気温度が給気通路320に関連する温度センサ905によって検出される。これに対して、排気ダンパは、それらの既存の位置の25%を閉じることができる。1つ以上の温度センサ905(T1、T2、T3、T4)が、計算に関連するデータについて、コンピュータアルゴリズムによってポーリングされる。制御アルゴリズムは、混合ダンパ310、排気ダンパ335、又は双方の計算された位置を決定する。再循環ファン305は、エアミキシングの要件を満たして空気温度を所定の範囲へ戻すために、所定の速度で動作するように命令される。
【0062】
第4の例では、範囲外の湿度レベルがサイト気象ステーション1005によって検出される。これに対して、排気ダンパは、それらの既存の位置の25%を閉じることができる。排熱回収コイル1110からの加熱流体が給気加熱コイル1105に移動する。1つ以上の湿度センサ915(RH1及びRH2)が、相対湿度の計算の関連データについてポーリングされる。1つ以上の温度センサ905(T1、T2、T3)が、計算に関連するデータについて、コンピュータアルゴリズムによってポーリングされる。制御アルゴリズムは、混合ダンパ310、排気ダンパ335、又は双方の計算された位置を決定する。再循環ファン305は、エアミキシングの要件を満たして空気相対湿度を所定の範囲へ戻すために、所定の速度で動作するように命令される。
【0063】
第5の例では、範囲外の進入相対湿度レベルがミキシングボックス300の湿度センサ915によって検出される。これに対して、排気ダンパは、それらの既存の位置の25%を閉じる。1つ以上の湿度センサ915(RH1及びRH2)が、相対湿度の計算の関連データについてポーリングされる。1つ以上の温度センサ905(T1、T2、T3)が、計算に関連するデータについて、コンピュータアルゴリズムによってポーリングされる。制御アルゴリズムは、混合ダンパ310、排気ダンパ335、又は双方の計算された位置を決定する。再循環ファン305は、エアミキシングの要件を満たして空気相対湿度を所定の範囲へ戻すために、所定の速度で動作するように命令される。
【0064】
第6の例では、サイト空気微粒子センサ1010、サイト空気品質センサ1015、又は双方は、汚染などを示す範囲外の値を検出する。これに対して、再循環ファン305は最低速度で動作するように命令され、作業員は警告を受ける。
【0065】
さらなる逸脱及び応答は、ミキシングボックス300、給気通路320、排気通路315又はこれらの組み合わせにおいて高すぎるか又は低すぎる空気静圧を含むことができる。これに対して、再循環ファン305のファン速度を適宜調整することができる。もちろん、他の逸脱及び応答(他のセンサ及び値を含む)が可能であり、本開示の範囲内である。
【0066】
データセンタ業界では、ラッキング及び設備システムを、調整された空間内にホットアイル及びコールドアイル構成で配置することが一般的である。キャンパス100における低温給気通路1020及び高温排気通路1025の配置は、その概念を建物のサイト又はデータセンタキャンパスのフットプリントまで拡張する。各建物101~103の給気口は給気通路1020で互いに対向する一方、各建物101~103からの排気流は排気通路1025で互いに対向している。この構成は、給気流への熱い空気の侵入を低減又は排除する。この構成は、熱い空気を大気に放出する煙突効果を生じることもできる。
【0067】
図12は、本開示の種々の実施形態に従って低温給気通路及び高温排気通路を用いることのできる、別の例示的なデータセンタキャンパス1200を示している。いくつかの実施形態において、キャンパス1200は
図1A及び
図1Bのキャンパス100を表す(又はそれによって表される)ことができる。
図12に示すキャンパス1200の実施形態は説明のためのものにすぎない。キャンパス1200の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0068】
低温給気通路1205及び高温排気通路1210を用いることで、排気から給気への空気の侵入リスクが低減されるため、建物1201~1204間の距離を狭めてキャンパス1200を設計することができる。さらに、このことにより、建築基準法が許す限り建物1201~1204を互いに近接して配置することで、サイトの土地利用効率を高めることができる。
【0069】
排気通路1210への熱の集中は、熱再利用の機会をもたらすことができる。例えば、1つ以上の排気通路1210における熱エネルギーを、加熱された空気として、調整された空間に送るか又はダクトに通すことができる。これに加えて又はこれに代えて、隣接する建物1201~1204のルーフライン間に配置された排熱回収コイル1110に加熱空気が接触することによる空気から流体への移動を用いて、1つ以上の排気通路1210内の熱エネルギーを間接的に伝達することができる。
【0070】
低温給気通路1205は、給気に入るための共通経路を提供することにより、空気濾過システムの効率を高めることができる。例えば、隣接する建物1201~1204間に配置された給気フィルタフレーム1115にプレフィルタ又はフィルタを取り付け、空気が低温給気通路1205に入る際に空気を清浄にすることができる。各給気フィルタフレーム1115を、ルーフラインから、又は隣接する建物1201~1204の勾配までの任意の点から設置することができる。
【0071】
データセンタで使用するために給気の温度をより高くする必要がありうるいくつかの気候において、排気通路1210の空気流に配置されたコイル、チューブ又は膜のアレイは、空気から液体への移動を介して排気から熱エネルギーを集めることができる。次に、この熱エネルギーを使用して、建物のルーフライン又は勾配までの任意の点において隣接する給気通路1205に配置された一連の加熱コイルを通して給気を予熱することができる。
【0072】
いくつかのサイトのレイアウトでは、1つ以上のエンジン駆動非常用発電機を高温通路に配置して発電機からの排気の希釈を促すことができる。例えば、
図13は、複数の建物1301~1303を有する例示的なキャンパス1300を示している。
図13に示すように、キャンパス1300は、建物1301~1302間の排気通路に配置された1つ以上の非常用発電機1305を含んでいる。排気通路は、使用時に、発電機1305からの排気の希釈と、より高い場所、そして大気への対流移動を助けることができる。これにより、有毒な空気や汚染した空気を給気通路の侵入よりも上方に、そしてこれを超えて運ぶことができる。
【0073】
図14は、本開示の種々の実施形態に従って建物間に支持グリッドを含む例示的なキャンパス1400を示している。いくつかの実施形態において、キャンパス1400は
図1A及び
図1Bのキャンパス100を表す(又はそれによって表される)ことができる。
図14に示すキャンパス1400の実施形態は説明のためのものにすぎない。キャンパス1400の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0074】
図14に示すように、キャンパス1400は複数の建物1401~1404を含んでいる。キャンパスはまた、建物1401~1404のうち少なくとも1つの上又は近くに設置された、1つ以上の工学設計されたフレーミングシステム又はグリッド1405を含んでいる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリッド1405を隣接する建物1401~1404間に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリッド1405を単一の建物1401~1404から片持ちにすることができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのグリッド1405を、勾配から支持するか、上から吊るすか、又は任意の適切な高さで使用目的に適した任意の他の構造物から支持することができる。
【0075】
各グリッド1405を使用して、本開示に記載の特徴のうちのいくつかを支持することができる。これらの特徴としては、空気から液体への熱もしくは冷却回収コイルもしくはシステム、液体から空気への加熱もしくは冷却コイルもしくはシステム、同じ空間や建物内、もしくはサイトに関連しない別の空間や建物内で再利用するためのダクトによる給気又は排気、地域暖房もしくは冷却のための熱回収もしくは除去、水平、垂直、角度付き、吊下、係留などを含む任意の視点の風力タービン取り付け、発電機の排気もしくは給気か燃焼空気ダクトもしくはパイプ、又は電力経路もしくは冷却経路と導管ケーブルパイプもしくは配管のための取り付けが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
図15は、本開示の種々の実施形態に従って空気流から電力を生成することができる例示的なキャンパス1500を示している。いくつかの実施形態において、キャンパス1500は
図1A及び
図1Bのキャンパス100を表す(又はそれによって表される)ことができる。
図15に示すキャンパス1500の実施形態は説明のためのものにすぎない。キャンパス1500の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0077】
図15に示すように、キャンパス1500は複数の建物1501~1504を含んでいる。1つ以上の風力タービン1505が、建物1501~1504のうちの1つ以上の上部又はその付近に配備されている。いくつかの実施形態において、風力タービン1505はルーフのエッジに沿って配備されている。風力タービン1505は、データセンタの建物及び通気トポロジーによって生じる給気流及び排気流から電力を生成するように設けられている。
【0078】
他のキャンパスの実施形態に関連して説明したように、建物1501~1504は互いに近接して建てられている。建物のレイアウトによって建物1501~1504間の給気通路及び排気通路が狭いため、風力タービン1505を回転させることのできる大容量(例えば3000cfm)で高速の空気流を生成することができる。マルチブレード風車、シングルブレード風車、ドラム、垂直マウント、水平マウント、ケーブル付き、バルーンなどを含むがこれらに限定されない多くのフォームファクタで、風力タービン1505を構成することができる。いくつかの実施形態では、風力タービン1505を、複数の列又は複数の行として層状に、建物構造間に取り付けることができる。風力タービン1505によって生じたエネルギーを、データセンタ設備によって直接使用するか、将来使用するためにバッテリに蓄えるか、又は地域の電力網に供給することができる。
【0079】
風力タービン1505を、給気流又は排気流内の任意の高さ及び/又は位置に取り付けることができる。空気流は、サイト及び建物のレイアウトの計算流体設計(CFD)モデリングにおいて識別することのできる建物のトポロジー又は空気通路のトポロジーによって生じる任意の空気流を含むことができる。
【0080】
本明細書で説明のように構成された建物レイアウトを有するデータセンタキャンパスの使用は、データセンタの冷却及び空気流管理の効率に著しい影響を及ぼす可能性がある。特に、これらの配置及びレイアウト、ならびに高温及び低温の建物通路トポロジーの使用は、計画及び設計の不備による予期せぬ結果を低減又は除去することができる。
【0081】
図16は、本開示の種々の実施形態によるデータセンタ冷却システムにおいて使用する計算装置1600の例を示している。計算装置1600は、開示されるセンサ、アクチュエータなどのうちいずれかの動作の制御、及び開示される任意のアルゴリズムの性能を含む、本明細書で説明する動作のうちのいずれかを制御するように構成可能である。
【0082】
図16に示すように、計算装置1600は、プロセッサ1610、記憶装置1615、通信インターフェース(又は回路)1620及び入力/出力(I/O)ユニット1625間の通信をサポートするバスシステム1605を含んでいる。プロセッサ1610は、メモリ1630にロードすることのできる命令を実行する。プロセッサ1610は、任意の好適な数及びタイプのプロセッサ、又は任意の適切な構成の他のデバイスを含むことができる。プロセッサ1610のタイプの例としては、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路及びディスクリート回路が挙げられる。
【0083】
メモリ1630及び永久記憶装置1635は、情報(一時的又は永久的に、データ、プログラムコード及び/又は他の適切な情報など)を記憶し、その検索を容易にすることができる任意の構造を表す記憶装置1615の例である。メモリ1630は、ランダムアクセスメモリ、又は任意の他の適切な揮発性もしくは不揮発性の記憶装置を表すことができる。永久記憶装置1635は、読取専用メモリ、ハードドライブ、フラッシュメモリ又は光ディスクなど、データの長期記憶をサポートする1つ以上のコンポーネント又はデバイスを含むことができる。例えば、永久記憶装置1635は、データ、標準データ、結果データ、クライアントアプリケーションなどのうち1つ以上のデータベースを記憶することができる。
【0084】
通信インターフェース1620は、他のシステム又はデバイスとの通信をサポートする。例えば、通信インターフェース1620は、キャンパス100を含む開示されたキャンパスのいずれかを介した通信を容易にするネットワークインターフェースカード又はワイヤレストランシーバを含むことができる。通信インターフェース1620は、(1つ以上の)任意の適切な物理的又はワイヤレス通信リンクを介した通信をサポートすることができる。I/Oユニット1625はデータの入出力を可能にする。例えば、I/Oユニット1625は、キーボード、マウス、キーパッド、タッチスクリーン、又は他の適切な入力デバイスを介してユーザ入力のための接続を提供することができる。また、I/Oユニット1625は、ディスプレイ、プリンタ又は他の適切な出力デバイスに出力を送ることもできる。
【0085】
図16は計算装置1600の一例を示しているが、
図16には種々の変更を加えることができる。例えば、
図16の種々の構成要素を組み合わせたり、さらに細分したり、省略したりすることができ、特定のニーズに従って追加の構成要素を追加することができる。特定の例として、計算装置1600は1つのシステムとして示されているが、遠隔配置が可能な複数の計算システムを含むことができる。別の例では、計算装置1600及び/又は本明細書で開示されるシステムの任意の態様の制御、管理、情報及び/又はそれへのアクセスのために、計算装置1600は電話、タブレット又はラップトップなどの個人用電子デバイスであってもよいし、例えばソフトウェアアプリケーションを介してユーザインターフェースを提供又は更新してもよいし、個人用電子デバイスへの他の通信インターフェースを提供又は更新してもよい。
【0086】
前述のように、高密度のデータセンタ(暗号通貨マイニングに使用されるものなどで、「ビットマイン」と呼ぶこともある)は、通常の運営活動時にかなりの量の熱を発生する。大部分の空冷データセンタ設計において、この発生した熱は周囲の大気に放出される。
【0087】
高密度の計算装置の空冷には、装置に流入する大量の給気が必要である。例えば、長さ30フィート及び高さ20フィートの高密度データセンタ空間では、計算装置の冷却要件を満たすために300,000立方フィート/分(CFM)以上の空気量が必要となる場合がある。
【0088】
ビットマイン及び高密度データセンタの多くは以下の属性によって特徴づけられる。一般に、データセンタは1つ以上の長く狭い建物を含み、これらは幅が5フィートほどの狭さであり、30フィート~2000フィート以上となりうる長さを有する(ただし、他の幅及び長さも可能である)。各建物はいずれのルーフラインを有してもよく、ルーフラインとしてセンターラインリッジ(棟)、平屋根、異なる傾斜角度つき、切妻、「A」フレーム、バタフライ、寄棟、片流れなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
1つより多くの建物が存在する場合、建物は一般に、空間を節約するために互いに非常に近接して配置されている。複数の建物のレイアウトとしては、互いに平行な建物、正方形又は長方形のレイアウトの建物、互いに面する複数の低温周囲給気通路、互いに面する複数の高温空気通路、円形、星形、ハブアンドスポークレイアウトなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
複数の建物が1つの給気通路を共有する場合、これらの建物間の距離は、必要な空気量と建物のサイズに依存しうる。いくつかの実施態様において、所望の又は必要とされる周囲給気口は建物間に30~100フィートの間隔を生じることができる一方、最適な排気距離を5~15フィートの範囲とすることができる。もちろん、他の寸法も可能であり、本開示の範囲内である。
【0091】
上記の
図12で説明したように、低温の周囲給気は、1つ以上の低温給気通路1205を介して建物1201~1204の一方の側に入る。周囲の冷気は計算装置を通って処理され、これにより、空気は計算装置内部で空気対空気の熱伝達を通じて加熱される。そして、空気は建物1201~1204の反対側から周囲大気に放出され、1つ以上の高温排気通路1210に入る。
【0092】
周囲給気口及び排熱口が近接していること、そして空気が流動していることにより、高温排気流が周囲の低温空気流と混合することがある。
図17A及び
図17Bは、この影響の例を示している。
図17Aは、周囲給気が一方の側から入り、高温排気が反対側から出る単一の建物1701を有するデータセンタキャンパス1700を示している。空気流のラインで示すように、高温排気はより低温の周囲空気経路に直接取り込まれ、これら2つは単一の、又は組み合わされた空気流になる。
図17Bは、2つの建物1702~1703が並んで配置され、建物1702~1703の間で共通の高温排気通路を共有するデータセンタキャンパス1750を示している。双方の建物1702~1703からの高温排気は建物1703の上方にあるより低温の周囲空気経路に取り込まれ、より低温の空気の熱希釈を生じる(すなわち、周囲給気をより高温にする)。
【0093】
空気の取り込み及び希釈によって生じる給気温度の上昇は、各データセンタキャンパス1700及び1750の工学的冷却ソリューションによって用いられるファンエネルギーに影響を及ぼす。例えば、より高温の給気は、計算装置内部の空気対空気の熱伝達を通じて熱を除去するためにより多くの容積を必要とする。同様に、取り込まれた又は希釈された、除去した加熱空気からの給気温度がより高いため、計算装置によって使用されるファンエネルギーが増加する可能性がある。給気温度が上昇すると、計算装置自体がより低い生産量で動作することになる。これにより、オペレータ又は顧客にとっての経済的価値が低下してしまう。
【0094】
これらの問題及び他の問題に対処するために、本開示の種々の実施形態は、加熱された排気が低温の給気流を取り込んだり希釈したりすることを防止又は緩和する、1つ以上のエアダイバータ構造を含むことができる。
【0095】
図18は、本開示に従ってエアダイバータ構造を含む例示的なデータセンタの建物1802を示している。
図18に示すデータセンタの建物1802の実施形態は説明のためのものにすぎない。データセンタの建物1802の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0096】
図18に示すように、データセンタの建物1802は、
図1A及び
図1Bのキャンパス100などのデータセンタキャンパスの一部である。いくつかの実施形態において、データセンタの建物1802は
図1A及び
図1Bの建物101~103を表す(又はそれによって表される)ことができる。低温給気流1805は一方の側で建物1802に入り、前述のように計算装置を冷却するために使用又は再利用され、次いで建物1802の反対側から加熱排気1810として排出される。
【0097】
ダイバータ構造1804は建物1802の外部上に配置されている。ダイバータ構造1804は、加熱された排気1810を、低温の下方空気流1805の影響が中立から正圧となる低温空気流境界を越えて、及び/又はこの境界の上方に押し出すように設けられている。換言すると、ダイバータ構造1804は、加熱された排気1810を、低温給気流1805から、加熱された排気1810の低温給気流1805への取り込み及び/又は希釈が排除又は緩和される大気中の点まで逸らす。いくつかの実施形態において、加熱された排気1810の取り込み及び/又は希釈は、低温給気流1805の熱上昇に著しく影響を与えないレベルまで排除又は緩和される。いくつかの実施形態において、加熱排気1810の取り込み及び/又は希釈は、建物1802内のオペレータのエネルギー要件を増加させないレベルまで排除又は緩和される。いくつかの実施形態において、加熱された排気1810の取り込み及び/又は希釈は、計算装置が設計した出力の性能及び経済的利益を低下させないレベルまで排除又は緩和される。
【0098】
いくつかの実施形態において、ダイバータ構造1804は、給気側の開口と排気側の開口との間の屋根構造上の任意の位置に、建物1802の長手に沿って取り付けられた、ある材料からなる1本の細長いブレードを含んでいる。ダイバータ構造1804は、金属、石造、木材、プラスチックもしくは複合材、又はこれらの組み合わせなど、用途に適した任意の材料で構成可能である。いくつかの実施形態において、ダイバータ構造1804は、ケーブル、ロープ、ポール、フレームなどを含む、支持構造の間に張られた1つ以上の可撓性材料を含むことができる。ダイバータ構造1804は、任意の適切な長さを有することができる。いくつかの実施形態において、ダイバータ構造1804の高さは、サイトの条件、環境条件などによって決定された所定の値(例えば1~20フィート)である。ダイバータ構造1804を、追加の構成要素として任意の屋根構造に取り付けることができる。建物1802又は建物1802に接続された構造に、ダイバータ構造1804を工学的要素又は後付け要素として追加することができる。
図18に示すように、ダイバータ構造1804を、建物1802の端部プロファイルから見て、勾配に対して垂直にすることができる。もちろん、これは1つの例にすぎない。他の実施形態において、ダイバータ構造1804は、建物1802の端部プロファイルから見た際に0~180°の間の任意の角度で角度付けされていてもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、ダイバータ構造1804を設定した位置及び向きに固定することができる。いくつかの実施形態では、ダイバータ構造1804をある角度で固定することができる。例えば、建物1802の長いエッジライン又は庇のラインから90度よりも大きいか又は小さい角度で、ダイバータ構造1804を固定することができる。他の実施形態では、ダイバータ構造1804を場所、位置又はその双方において移動可能とすることができる。例えば、ダイバータ構造1804は、建物1802の端部プロファイルから見た際に、0~180°の間で(手動で又は電動操作によって)移動可能であってもよい。いくつかの実施形態では、ダイバータ構造1804を異なる高さまで伸縮可能としてもよい。
【0100】
図18に示すように、ダイバータ構造1804を建物1802の屋根に取り付けることができる。これに加えて又はこれに代えて、ダイバータ構造1804を建物1802の1つ以上の壁に取り付けることができる。いくつかの実施形態において、ダイバータ構造1804は、建物1802から別の隣接する建物(
図18には図示せず)まで延在していてもよい。これに加えて又はこれに代えて、ダイバータ構造1804を、1つ以上の隣接する建物の壁又は屋根に取り付けることができる。これに加えて又はこれに代えて、ダイバータ構造1804を、建物1802の長い壁に隣接するポール又は他の構造に取り付けることができる。
【0101】
図19は、本開示に従って複数のエアダイバータ構造が用いられる例示的なデータセンタキャンパス1900を示している。いくつかの実施形態において、キャンパス1900は
図1A及び
図1Bのキャンパス100を表す(又はそれによって表される)ことができる。
図19に示すデータセンタキャンパス1900の実施形態は説明のためのものにすぎない。データセンタキャンパス1900の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0102】
図19に示すように、キャンパス1900は、互いに近接して配置された複数の建物1901~1902を含んでいる。各建物1901~1902は、屋根に取り付けられたダイバータ構造1804を含んでいる。ダイバータ構造1804は共に、加熱された排気1910を、境界界面の上方へ、かつ低温給気流1905から、加熱された排気1910の低温給気流1905への取り込み及び/又は希釈が排除又は緩和される大気中の点まで逸らす。すなわち、低温給気流1905は、低温給気流1905の著しい高温空気の取り込み又は高温空気の希釈を生じることなく建物1902へ入る。
【0103】
図20及び
図21は、本開示の種々の実施形態による他のダイバータ構造の例を示している。
図20に示すように、複数の建物2001~2002はそれぞれ、屋根に取り付けられたダイバータ構造2004~2005を含んでいる。
図20において、ダイバータ構造2004~2005は全体的に三角形の形状を有する。ダイバータ構造2004~2005の三角形状は異なる方向に配向されている。いくつかの実施形態において、ダイバータ構造2004~2005は、所望の形状に形成されて所望の向きに設置された、一体化した屋根要素を含むことができる。
【0104】
図21に示すように、建物2101(端面図及び上面図の双方に示す)は、1つの屋根部分に沿って平行に配置された複数のダイバータ構造2102を含んでいる。各ダイバータ構造2102は全体的に台形の形状を有する。
図21の上面図に示すように、ダイバータ構造2102は屋根の中央棟線に対してある角度で配向されている。
【0105】
図18~
図21はダイバータ構造及び関連する詳細の異なる例を示しているが、
図18~
図21に対して種々の変更を行うことができる。例えば、
図18~
図21に示した種々の構成要素を組み合わせたり、さらに細分したり、複製したり、再構成したり、省略したりすることができ、特定のニーズに従って追加の構成要素を追加することができる。
【0106】
図22は、本開示の種々の実施形態による、データセンタキャンパスにおける設備の空冷を改良するための例示的な方法2200を示している。説明を簡単にするために、方法2200は、
図1~
図21で説明した種々の構成要素、デバイス及びシステムを用いて実行されるものとして説明される。しかしながら、方法2200を任意の他の適切な構成要素、デバイス及びシステムとともに使用することができる。
図22に示す実施形態は説明のためのものにすぎない。方法2200の他の実施形態を、本開示の範囲から逸脱することなく使用することができる。
【0107】
動作2201において、外部環境からの周囲給気が建物の第1の端部において受け取られ、建物の第2の端部において排気が外部環境に出力される。建物は、互いに近接して配置された複数の建物のうちの第1の建物又は第2の建物とすることができる。第1の建物の第1の端部及び第2の建物の第1の端部は、第1の建物と第2の建物との間に給気通路の部分を形成する。
【0108】
動作2203において、建物内に配置された複数の計算装置によって熱エネルギーが生成される。
【0109】
動作2205において、熱エネルギーが給気に伝達され、これにより給気が加熱されて排気になり、排気が建物から出る。
【0110】
動作2207において、給気の一部の温度が、隣接するフロアのうちより高いフロアの温度要件を満たす場合、隣接するフロア間で自動格子が開かれる。
【0111】
動作2209において、その建物内への給気の移動、又はその建物からの排気の移動を促すように1つ以上のファンが作動される。
【0112】
図22はデータセンタキャンパスにおける機器の空冷を改良するための方法2200の一例を示しているが、
図22に種々の変更を加えることができる。例えば、
図22に示した種々の動作は特定のシーケンスの動作として示されているが、重複していたり、並行して生じたり、異なる順序で生じたり、複数回生じたりしていてもよい。また、
図22に示した特定の動作は例にすぎず、
図22に示した動作の各々を実行するために他の技術を使用してもよい。
【0113】
本明細書の種々の図及び部分は、例示的な値又は値の範囲(例えば、温度又は温度範囲)を列挙していることに留意されたい。これらは例としてのみ提供され、任意の適切な代わりの値又は値の範囲を本開示の実施形態に使用してもよい。
【0114】
本特許文書全体を通して使用される一定の語句の定義を記載することが好都合である。「結合する」という用語とその派生語は、2つ以上の要素が互いに物理的に接触しているかどうかにかかわらず、それらの要素間の任意の直接的又は間接的な連絡を指す。「送信する」、「受信する」及び「通信する」という用語、ならびにこれらの派生語は、直接的な通信及び間接的な通信の双方を包含する。「含む(include)」及び「含む/備える(comprise)」という用語、ならびにこれらの派生語は、限定されない包含を意味する。「又は」という用語は包括的であり、及び/又はを意味する。「~に関連する」という語句とその派生語句は、~を含む、~内に含まれる、~と相互接続する、~を含有する、~内に含有される、~に接続する、~に結合する、~に伝達可能である、~と協働する、~とインターリーブする、~と並置する、~と近接する、~に結合される、~を有する、~の特性を有する、~と関係がある等を意味する。「~など」という語句は、用語の間に使用される場合、その後に列挙される用語が先に列挙された用語の例であり、これ(ら)を限定するものではないことを意味する。「~のうちの少なくとも1つ」という語句は、項目のリストと共に使用される場合、列挙された項目のうちの1つ以上の異なる組み合わせを使用することができ、リスト中の1つの項目のみを必要とする場合があることを意味する。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、ならびにA及びB及びCの組み合わせのうちのいずれかを含む。
【0115】
さらに、各々がコンピュータ可読プログラムコードから形成され、コンピュータ可読媒体内で実施される1つ以上のコンピュータプログラムにより、本明細書で説明した種々の機能を実施又はサポートすることができる。「アプリケーション」及び「プログラム」という用語は、1つ以上のコンピュータプログラム、ソフトウェアコンポーネント、命令のセット、手順、関数、オブジェクト、クラス、インスタンス、関連データ、又は適切なコンピュータ可読プログラムコードにおける実施のために構成されたその一部分を指す。「コンピュータ可読プログラムコード」という語句は、ソースコード、オブジェクトコード及び実行可能コードを含む、任意のタイプのコンピュータコードを含む。「コンピュータ可読媒体」という語句は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、又は任意の他のタイプのメモリなど、コンピュータによるアクセスが可能な任意のタイプの媒体を含む。「非一時的な」コンピュータ可読媒体は、一時的な電気信号又は他の信号を伝送する有線、無線、光又は他の通信リンクを除外する。非一時的なコンピュータ可読媒体は、データを永久的に記憶することのできる媒体と、書き換え可能光ディスクや消去可能なメモリデバイスなど、データを記憶して後で上書きすることのできる媒体とを含む。
【0116】
他の特定の語句の定義が本特許文書全体を通して提供される。当業者は、殆どとは言わないまでも多くの場合において、このような定義された語句の先の使用及び後の使用にこのような定義を適用することを理解すべきである。例示的な実施形態を用いて本開示を説明したが、種々の変更及び修正を当業者に示唆することができる。本開示は、添付の特許請求の範囲内に入るような変更及び修正を包含するように意図される。本願の説明のいずれも、特定の要素、ステップ又は機能が特許請求の範囲に含まれなければならない必須の要素であることを意味するものとして解釈されるべきではない。特許対象の主題の範囲は、特許請求の範囲によって定義される。
【国際調査報告】