(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】可撓性溶解性多孔質シート
(51)【国際特許分類】
C08J 9/28 20060101AFI20241126BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20241126BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20241126BHJP
C08L 101/14 20060101ALI20241126BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/84 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20241126BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20241126BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20241126BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20241126BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241126BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
C08J9/28 CEP
C11D17/06
C08J9/04 103
C08J9/04 CEX
C08J9/04 CEZ
C08L101/14
C08K5/053
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/84
A61K8/34
A61K8/64
A61K8/02
A61Q1/14
A61Q5/00
A61Q19/00
A61Q11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529754
(86)(22)【出願日】2022-07-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2022103649
(87)【国際公開番号】W WO2024007114
(87)【国際公開日】2024-01-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】マクナマラ、カール・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】タン、ホンシン
【テーマコード(参考)】
4C083
4F074
4H003
4J002
【Fターム(参考)】
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC782
4C083AD041
4C083AD071
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD211
4C083AD241
4C083AD271
4C083AD281
4C083AD411
4C083BB01
4C083BB60
4C083CC24
4C083CC31
4C083CC41
4C083DD12
4F074AA02
4F074AA03
4F074AA04
4F074AA42
4F074AA76
4F074AB01
4F074AC17
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4F074BA34
4F074BC04
4F074CB47
4F074CC04Y
4F074CC22X
4F074CC28Y
4F074CC32Y
4F074DA03
4F074DA13
4F074DA23
4F074DA59
4H003BA15
4H003BA18
4H003BA21
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA05
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4H003DA19
4J002AB011
4J002AB031
4J002AB041
4J002AD001
4J002AD011
4J002BE021
4J002BJ001
4J002CH001
4J002EC056
4J002EV257
4J002FD206
4J002FD317
4J002GC00
(57)【要約】
これは、a)50重量%~85重量%の水溶性ポリマー、b)1重量%~40重量%の界面活性剤、及びc)10重量%~40重量%のグリセリンを含み、80%~99%の連続気泡含有率及び100μm~2000μmの全体平均孔径を特徴とする、可撓性溶解性多孔質シートを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性溶解性多孔質シートであって、
a)前記シートの総重量に対して、50%~85%の水溶性ポリマー、
b)前記シートの総重量に対して、1%~40%の界面活性剤、及び
c)前記シートの総重量に対して、10%~40%のグリセリンを含み、
前記可撓性溶解性多孔質シートが、約80%~99%の連続気泡含有率、及び約100μm~約2000μmの全体平均孔径を特徴とする、可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項2】
前記シートの総重量に対して、55%~80%、好ましくは60%~75%の前記水溶性ポリマーを含み、前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールのブレンドである、請求項1に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項3】
前記水溶性ポリマーが、(1)50,000~400,000ダルトン、好ましくは60,000~300,000ダルトン、より好ましくは70,000~200,000ダルトン、最も好ましくは80,000~150,000ダルトンの重量平均分子量、及び(2)60%~99%、好ましくは70%~95%、より好ましくは80%~90%の範囲の加水分解度を特徴とするポリビニルアルコールを含む、請求項1又は2に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項4】
前記水溶性ポリマーが、(1)5,000~100,000ダルトン、より好ましくは10,000~50,000ダルトン、更により好ましくは15,000~40,000ダルトン、最も好ましくは20,000~35,000ダルトンの重量平均分子量、及び(2)60%~99%、好ましくは70%~95%、より好ましくは80%~90%の範囲の加水分解度を特徴とする追加のポリビニルアルコールを含み、好ましくは、前記ポリビニルアルコールに対する前記追加のポリビニルアルコールの重量比は、0.1~0.9、好ましくは0.2~0.8、より好ましくは0.3~0.7、最も好ましくは0.4~0.6の範囲である、請求項3に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項5】
前記シートの総重量に対して、2%~30%、好ましくは5%~20%、より好ましくは8%~15%の前記界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、好ましくは、C
6~C
20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C
6~C
20直鎖又は分岐アルキルアルコキシサルフェート(AAS)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項6】
前記シートの総重量に対して、12%~30%、好ましくは15%~25%のグリセリンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項7】
前記シートが、
・85%~99%、好ましくは90%~99%の連続気泡含有率、並びに/又は
・150μm~1000μm、好ましくは200μm~600μmの全体平均孔径、及び/又は
・5μm~200μm、好ましくは10μm~100μm、より好ましくは10μm~80μmの平均気泡壁厚、及び/又は
・前記シートの0.5重量%~25重量%、好ましくは1重量%~20%重量%、より好ましくは3重量%~10重量%の最終水分含量、及び/又は
・0.3mm~4mm、好ましくは0.35mm~3mm、より好ましくは0.4mm~3mm、更により好ましくは0.45mm~2mm、最も好ましくは0.5mm~1.5mmの厚さ、及び/又は
・15グラム/m
2~1000グラム/m
2、好ましくは20グラム/m
2~700グラム/m
2、より好ましくは30グラム/m
2~300グラム/m
2、最も好ましくは35グラム/m
2~200グラム/m
2の坪量、及び/又は
・0.05グラム/cm
3~0.5グラム/cm
3、好ましくは0.06グラム/cm
3~0.4グラム/cm
3、より好ましくは0.07グラム/cm
3~0.2グラム/cm
3、最も好ましくは0.075グラム/cm
3~0.15グラム/cm
3の密度、及び/又は
・0.03m
2/g~0.25m
2/g、好ましくは0.04m
2/g~0.22m
2/g、より好ましくは0.05m
2/g~0.2m
2/g、最も好ましくは0.1m
2/g~0.18m
2/gの比表面積によって特徴付けられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項8】
(1)請求項1~7のいずれか一項に記載の2つ以上の可撓性溶解性多孔質シート、及び(2)前記2つ以上のシートの間に位置する1つ以上の固体溶解性成分を含み、前記1つ以上の固体溶解性成分の各々が洗浄活性物質を含む、一体型洗剤物品。
【請求項9】
前記1つ以上の固体溶解性成分が、粒子、ペースト、層、フィルム、シート、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記1つ以上の固体溶解性成分が、好ましくは
・複数の離散粒子、及び/又は
・ペーストの1つ以上の連続層、及び/又は
・ペーストの1つ以上の不連続層、及び/又は
・1つ以上の繊維シート、及び/又は
・1つ以上の非繊維シートである、請求項8に記載の一体型洗剤物品。
【請求項10】
前記洗浄活性物質が、布地ケア活性物質、食器洗浄活性物質、硬質表面洗浄活性物質、美容及び/又はスキンケア活性物質、パーソナルクレンジング活性物質、ヘアケア活性物質、口腔ケア活性物質、女性ケア活性物質、ベビーケア活性物質、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項8又は9に記載の一体型洗剤物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された構造的一体性を有する可撓性溶解性多孔質シートに関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリマーキャリア又はマトリックス中に界面活性剤及び他の活性成分を含む可撓性かつ溶解性の洗剤シートは周知である。このようなシートは、水に溶解した際に界面活性剤及び他の活性成分を送達するのに特に有用である。同じ製品カテゴリの従来の顆粒又は液体の洗剤と比較して、このようなシートは、より良好な構造的一体性を有し、より濃縮されており、そして、保管、輸送/運搬、持ち運び、及び取り扱いがより容易である。同じ製品カテゴリの固体タブレット洗剤と比較して、このようなシートは、より可撓性が高く、より脆性が低く、消費者にとってより良好な感覚的魅力を有する。
【0003】
しかしながら、そのような可撓性溶解性シートは、特に従来の顆粒又は液体製品形態と比較して、水にかなりゆっくりと溶解することに悩まされることがある。
【0004】
溶解性を改善するために、国際公開第2010077627号、国際公開第2012138820号、国際公開第2020147000号、及び国際公開第2021102935号は、約80%以上の連続気泡含有率によって特徴付けられる連続気泡発泡体(open-celled foam、OCF)構造を有する多孔質シートを形成するためのバッチプロセスを開示している。このようなOCF構造は、得られるシートの溶解速度を大幅に改善するが、このようなシートの引張強度に悪影響を及ぼす可能性がある。これに対応して、得られたシートは、構造的一体性が乏しくなり、外力下で破断する可能性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010077627号
【特許文献2】国際公開第2012138820号
【特許文献3】国際公開第2020147000号
【特許文献4】国際公開第2021102935号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、より高い引張強度及びそれに応じて改善された構造的一体性を有する、可撓性溶解性多孔質シートを提供することが望ましい。更に、そのようなシートの満足な溶解プロファイルを維持することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、a)シートの総重量に対して、約50%~約85%の水溶性ポリマー、b)シートの総重量に対して、約1%~約40%の界面活性剤、及びc)そのようなシートの総重量に対して、約10%~約40%のグリセリンを含み、可撓性溶解性多孔質シートが、約80%~約99%の連続気泡含有率、及び約100μm~約2000μmの全体平均孔径を特徴とする、可撓性溶解性多孔質シートを提供する。いかなる理論にも束縛されるものではないが、そのようなシート中の比較的高レベルの水溶性ポリマーは、その引張強度を改善するのに役立ち、より低レベルの水溶性ポリマーを含有する同様のシートと比較して、改善された構造的一体性及び外力下での破壊のリスクの低減をもたらすと考えられる。更に、そのようなシート中の比較的高レベルのグリセリンは、より低レベルのグリセリンを含有する同様のシートと比較して、溶解プロファイルを改善し、水中での迅速な溶解を確実にするのに役立つとも考えられる。
【0008】
好ましくは、上述したような可撓性溶解性多孔質シートは、当該シートの総重量に対して、約55%~約80%、好ましくは約60%~約75%の当該水溶性ポリマーを含む。より好ましくは、当該水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0009】
更により好ましくは、当該水溶性ポリマーは、(1)約50,000~約400,000ダルトン、より好ましくは約60,000~約300,000ダルトン、更により好ましくは約70,000~約200,000ダルトン、最も好ましくは約80,000~約150,000ダルトンの重量平均分子量、及び(2)約60%~約99%、好ましくは約70%~約95%、より好ましくは約80%~約90%の範囲の加水分解度を特徴とするポリビニルアルコールである。最も好ましくは、当該水溶性ポリマーは、上記ポリビニルアルコールと、(1)約5,000~約100,000ダルトン、より好ましくは約10,000~約50,000ダルトン、更により好ましくは約15,000~約40,000ダルトン、最も好ましくは約20,000~約35,000ダルトンの重量平均分子量、及び(2)約60%~約99%、好ましくは約70%~約95%、より好ましくは約80%~約90%の範囲の加水分解度を特徴とする追加のポリビニルアルコールとを含むポリビニルアルコールのブレンドである。好ましくは、当該ポリビニルアルコールに対する当該追加のポリビニルアルコールの重量比は、約0.1~約0.9、好ましくは約0.2~約0.8、より好ましくは約0.3~約0.7、最も好ましくは約0.4~約0.6の範囲である。
【0010】
上記で開示された可撓性溶解性多孔質シートは、当該シートの総重量に対して、好ましくは約2%~約30%、より好ましくは約5%~約20%、最も好ましくは約8%~約15%の界面活性剤を含む。このような界面活性剤は、好ましくは、C6~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C6~C20直鎖又は分岐アルキルアルコキシサルフェート(AAS)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤である。
【0011】
上記で開示された可撓性溶解性多孔質シートは、好ましくは、当該シートの総重量に対して、約12%~約30%、好ましくは約15%~約25%のグリセリンを含む。
【0012】
更に、本発明の可撓性溶解性多孔質シートは、以下のパラメータのいずれか1つ以上を特徴としてもよい。
・約85%~約99%、好ましくは約90%~約99%の連続気泡含有率、並びに/又は
・約150μm~約1000μm、好ましくは約200μm~約600μmの全体平均孔径、及び/又は
・約5μm~約200μm、好ましくは約10μm~約100μm、より好ましくは約10μm~約80μmの平均気泡壁厚さ、及び/又は
・当該シートの約0.5重量%~約25重量%、好ましくは約1重量%~約20重量%、より好ましくは約3重量%~約10重量%の最終水分含量、及び/又は
・約0.3mm~約4mm、好ましくは約0.35mm~約3mm、より好ましくは約0.4mm~約3mm、更により好ましくは約0.45mm~約2mm、最も好ましくは約0.5mm~約1.5mmの厚さ、及び/又は
・約15グラム/m2~約1000グラム/m2、好ましくは約20グラム/m2~約700グラム/m2、より好ましくは約30グラム/m2~約300グラム/m2、最も好ましくは約35グラム/m2~約200グラム/m2の坪量、及び/又は
・約0.05グラム/cm3~約0.5グラム/cm3、好ましくは約0.06グラム/cm3~約0.4グラム/cm3、より好ましくは約0.07グラム/cm3~約0.2グラム/cm3、最も好ましくは約0.075グラム/cm3~約0.15グラム/cm3の密度、及び/又は
・約0.03m2/g~約0.25m2/g、好ましくは約0.04m2/g~約0.22m2/g、より好ましくは約0.05m2/g~約0.2m2/g、最も好ましくは約0.1m2/g~約0.18m2/gの比表面積。
【0013】
本発明はまた、(1)上記のような2つ以上の可撓性溶解性多孔質シート、及び(2)当該2つ以上のシートの間に位置する1つ以上の固体溶解性成分を含み、このような1つ以上の固体溶解性成分の各々が洗浄活性物質を含む、一体型洗剤物品を提供する。固体溶解性成分は、粒子、ペースト、層、フィルム、シート、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。例えば、そのような固体溶解性成分は、(i)複数の離散粒子、及び/又は(ii)ペーストの1つ以上の連続層、及び/又は(iii)ペーストの1つ以上の不連続層、及び/又は(iv)1つ以上の繊維シート、及び/又は(v)1つ以上の非繊維シートであり得る。洗浄活性物質は、布地ケア活性物質、食器洗浄活性物質、硬質表面洗浄活性物質、美容及び/又はスキンケア活性物質、パーソナルクレンジング活性物質、ヘアケア活性物質、口腔ケア活性物質、女性ケア活性物質、ベビーケア活性物質、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0014】
本発明のこれらの及びその他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」を読むことにより、更に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の様々な実施形態の特徴及び利点は、本発明の幅広い表現を与えるように意図される特定の実施形態の例を含む、以下の明細書から明らかになるであろう。様々な修正が本明細書及び本発明の実践から当業者には明白となるであろう。本発明の範囲は、開示される特定の形態に限定されることを意図せず、また本発明は、「特許請求の範囲」により定義されるような本発明の趣旨及び範囲に当てはまる全ての変形形態、等価物、及び代替物を網羅する。
【0016】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に明記されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0017】
本明細書で使用される場合、特許請求の範囲において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求される又は記載されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」は全て、非限定的であることを意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「から本質的になる」は、組成物が、明示的に開示される成分の利益又は機能を妨げる成分を含有しないことを意味する。更に、用語「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」は、指定の材料が0重量%~約5重量%、好ましくは0重量%~約3重量%、より好ましくは0重量%~約1重量%の量で存在することを意味する。「本質的に含まない(essentially free of)」又は「本質的に含まない(essentially free from)」という用語は、示される物質が極めて少量であり、組成物又は製品に意図的に添加されたものでなく、又は好ましくは、そのような組成物又は製品中に分析によって検出可能な濃度で存在しないことを意味する。示される物質がかかる組成物又は製品に意図的に添加された物質のうちの1つ以上の不純物としてのみ存在するような組成物又は製品が含まれ得る。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「可撓性」は、物品が、その長手方向に垂直な中心線に沿って約90°で曲げられた場合に、破損することなく、又は著しい破壊を伴わずに、応力に耐える物品の能力を意味する。好ましくは、このような物品は、顕著な弾性変形を受けることができ、約5GPa以下、好ましくは約1GPa以下、より好ましくは約0.5GPa以下、最も好ましくは約0.2GPa以下のヤング率によって特徴付けられる。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「溶解性」は、20℃で、かつ大気圧下で、全く撹拌せずに8時間以内に、十分な量の脱イオン水中に完全に又は実質的に溶解して、不溶残留物の残留が約5重量%未満である、物品の能力を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、「固体」という用語は、物品が制限されずかつ外力が物品に加えられていない場合に、20℃で、かつ大気圧下で、その形状を実質的に保持する(すなわち、その形状においていかなる可視変化もない)、物品の能力を指す。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「多孔質」は、気体(空気など)又は流体で満たされた空隙又は気泡を含有する固体構造を指す。本明細書で使用するとき、用語「連続気泡発泡体」又は「連続気泡細孔構造」は、乾燥プロセス中に崩壊せず、それによって固体の物理的強度及び凝集性並びに空隙/気泡の相互接続性を維持する、そのような空隙又は気泡の相互接続ネットワークを含有する固体構造を指す。構造体の相互接続性は、以下に開示される試験1によって測定される連続気泡含有率(%)によって説明され得る。
【0023】
本明細書で使用するとき、「シート」という用語は、三次元形状、すなわち、厚さ、長さ、及び幅を有する非繊維状構造体を指すが、一方で、長さ対厚さのアスペクト比、及び幅対厚さのアスペクト比は、両方とも、少なくとも約5:1であり、長さ対幅の比は、少なくとも約1:1である。好ましくは、この長さ対厚さのアスペクト比、及びこの幅対厚さのアスペクト比は、両方とも、少なくとも約10:1、より好ましくは少なくとも約15:1、最も好ましくは少なくとも約20:1であり、またこの長さ対幅のアスペクト比は、好ましくは少なくとも約1.2:1、より好ましくは少なくとも約1.5:1、最も好ましくは少なくとも約1.618:1である。
【0024】
本明細書で使用するとき、「水溶性」という用語は、目に見える固体を残さずに、又は目に見える分離相を形成せずに、水に完全に溶解する又は分散する、サンプル材料の能力であって、20℃で、かつ大気圧下で、十分な撹拌を伴って、少なくとも約25グラム、好ましくは少なくとも約50グラム、より好ましくは少なくとも約100グラム、最も好ましくは少なくとも約200グラムのそのような材料を1リットル(1L)の脱イオン水中に入れた場合における、能力を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「一体型」とは、一緒に組み合わされて視覚的に密着した構造的統合型物品を形成する、複数の特徴的な部品を含む構造を指す。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「離散」とは、ヒトの肉眼の下、又は走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)及び透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)などの電子撮像装置の下で、互いに構造的に区別される粒子を指す。好ましくは、本発明の離散粒子は、ヒトの肉眼で互いに構造的に区別される。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「粒子」とは、粉末、顆粒、カプセル、マイクロカプセル、及び/又は小球などの微量の固形物を指す。本発明の粒子は、球体、ロッド、プレート、チューブ、正方形、矩形、ディスク、星形、又は規則的若しくは不規則な形状のフレークであってよいが、非繊維性である。本発明の粒子は、2000μm以下のメジアン粒径を有してもよい。好ましくは、本発明の粒子は、約1μm~約2000μm、より好ましくは約10μm~約1800μm、更により好ましくは約50μm~約1700μm、更により好ましくは約100μm~約1500μm、更により好ましくは約250μm~約1000μm、最も好ましくは約300μm~約800μmの範囲の中央粒径を有する。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「非繊維状」は、繊維要素を含まないか又は実質的に含まない構造を指す。「繊維要素」及び「フィラメント」は、本明細書では互換的に使用され、その平均断面直径を大幅に超える長さ、すなわち、少なくとも約10:1の長さ対直径のアスペクト比を有する細長い粒子を指し、好ましくは、そのような細長い粒子は、約1mm以下の平均断面直径を有する。
【0029】
本明細書で使用するとき、全ての濃度及び比は、特に明記しない限り、重量に基づくものである。本明細書における全ての温度は、別途指示がない限り、摂氏(℃)である。本明細書における全ての条件は、特に明記しない限り、20℃及び大気圧下である。特に明記しない限り、ポリマーの分子量は全て、重量平均数分子量により決定される。
【0030】
水溶性ポリマー
本発明は、国際公開第2020147000号及び国際公開第2021102935号に開示されているものと同じ又は類似のプロセスによって形成される可撓性溶解性多孔質シートを提供し、そのようなシートは、国際公開第2020147000号及び国際公開第2021102935号に開示されているものと同じ連続気泡発泡体(OCF)構造及び物理的特性を特徴とするが、水溶性ポリマーのレベルが著しく高い(すなわち、5~40重量%と比較して50~85重量%)。いかなる理論にも束縛されるものではないが、本発明のシート中の比較的高レベルの水溶性ポリマーは、国際公開第2020147000号及び国際公開第2021102935号によって開示されたより低レベルの水溶性ポリマーを含有する同様のシートと比較して、引張強度を改善するのに役立ち、改善された構造的一体性及び外力下での破壊のリスクの低減をもたらすと考えられる。
【0031】
好ましくは、本発明の可撓性溶解性多孔質シートは、シートの総重量に対して、約50%~約85%、好ましくは約55%~約80%、より好ましくは約60%~約75%の当該水溶性ポリマーを含む。
【0032】
本発明の実施に好適な水溶性ポリマーは、約5,000~約400,000ダルトン、より好ましくは約10,000~約300,000ダルトン、更により好ましくは約15,000~約200,000ダルトン、最も好ましくは約20,000~約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するものが選択され得る。重量平均分子量は、各ポリマー原材料の平均分子量を加算し、多孔質固形物内に存在するポリマーの総重量の重さによるそれぞれの相対的重量パーセントを乗じて計算される。本明細書で使用される水溶性ポリマーの重量平均分子量は、湿潤プレミックスの粘度に影響を与える場合があり、これはひいては、通気工程中の気泡の数及びサイズ、並びに乾燥工程中の細孔膨張/開口結果に影響を与え得る。更に、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、湿潤プレミックスの全体的なフィルム形成特性、及びある界面活性剤との適合性/不適合性に影響を及ぼし得る。
【0033】
本発明の水溶性ポリマーはまた、カラヤガム、トラガントガム、アラビアゴム、アセマンナン、コンニャクマンナン、アカシアガム、ガティガム、乳清タンパク質単離物、及び大豆タンパク質単離物などの例を含む植物起源のもの、グアーガム、ローカストビーンガム、マルメロ種子、及びオオバコ種子を含む種子抽出物;カラギーナン、アルギン酸、及び寒天などの海藻抽出物;果物抽出物(ペクチン);キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びデキストランを含む微生物由来のもの;並びにカゼイン、ゼラチン、ケラチン、ケラチン加水分解物、スルホン酸ケラチン、アルブミン、コラーゲン、グルテリン、グルカゴン、グルテン、ゼイン、及びシェラックを含む動物起源のもの、を含む、天然起源のポリマーから選択されてもよい。
【0034】
改質された天然ポリマーはまた、本発明において水溶性ポリマーとして使用されてもよい。好適な改質された天然ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ニトロセルロース及び他のセルロースエーテル/エステルのようなセルロース誘導体、並びにヒドロキシプロピルのようなグアー誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本発明の水溶性ポリマーは、デンプンを含んでもよい。本明細書で使用するとき、用語「デンプン」は、天然に存在するデンプン又は改質されたデンプンの両方を含む。デンプンの典型的な天然の供給源としては、穀物、塊茎、根、豆果及び果実を挙げることができる。より具体的な天然の供給源としては、トウモロコシ、豆、ポテト、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランス、タピオカ、アロールート、カンナ、サトウモロコシ、及びそれらのろう質又は高級アミラーゼ種を挙げることができる。天然デンプンは、剪断されたデンプン又は熱抑制されたデンプンなどの物理的に改質されたデンプン、架橋、アセチル化、及び有機エステル化、ヒドロキシエチル化、並びにヒドロキシプロピル化、リン酸化、並びに無機エステル化、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性及び双極性、並びにこれらのコハク酸塩及び置換サクシネート誘導体などの化学的に改質されたデンプン、酸化、酵素変換、酸加水分解、熱若しくは酸デキストリン化、熱的及び/又は剪断された生成物によって調製される流動性又は薄い煮沸デンプン、本明細書で有用であり得る熱及び/又は剪断生成物、を含むデンプンに由来する変換生成物、並びに、当該技術分野において既知のアルファ化デンプン、を含んだ改質デンプンを形成するために当該技術分野において既知の任意の改質方法によって改質することができる。
【0036】
本発明の水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、カプロラクタム、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート、アクリル酸とメチルアクリレートとのコポリマー、ポリウレタン、ポリカルボン酸、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、マレイン酸/(アクリレート又はメタクリレート)コポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルのコポリマー、ビニルピロリドン及びカプロラクタムのコポリマー、ビニルピロリドン/酢酸ビニルのコポリマー、アニオン性モノマーと、カチオン性モノマーと両性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの組み合わせを含む合成ポリマーが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0037】
本発明の好ましい水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。本発明のより好ましい水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
【0038】
最も好ましくは、本発明で使用される水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールのブレンドである。本発明での使用に好適なポリビニルアルコールは、好ましくは、約40%~約100%、好ましくは約50%~約95%、より好ましくは約65%~約92%、最も好ましくは約70%~約90%の範囲の加水分解度を特徴とする。市販のポリビニルアルコールとしては、Celanese Corporation(Texas,USA)からの商品名CELVOLのもの、限定するものではないが、CELVOL 523、CELVOL 530、CELVOL 540、CELVOL 518、CELVOL 513、CELVOL 508、CELVOL 504、Kuraray Europe GmbH(Frankfurt,Germany)からの商品名Mowiol(登録商標)及びPOVAL(商標)、Lubon Vinylon Co.(Nanjing,China)を含む様々な供給元から市販されているPVA 1788(PVA BP17とも称される)もの、並びにこれらの組み合わせを含み得る。
【0039】
本発明の特に好ましい実施形態では、可撓性多孔質溶解性シートは、(1)約50,000~約400,000ダルトン、好ましくは約60,000~約300,000ダルトン、より好ましくは約70,000~約200,000ダルトン、最も好ましくは約80,000~約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量、及び(2)約60%~約99%、好ましくは約70%~約95%、より好ましくは約80%~約90%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールを、このようなシートの総重量に対して、約50%~約85%、より好ましくは約60%~約80%、最も好ましくは約65%~約75%含む。
【0040】
本発明の別の特に好ましい実施形態では、可撓性多孔質溶解性シートは、上記に定義したポリビニルアルコール(すなわち、第1のPVA)と、(1)約5,000~約100,000ダルトン、より好ましくは約10,000~約50,000ダルトン、更により好ましくは約15,000~約40,000ダルトン、最も好ましくは約20,000~約35,000ダルトンの重量平均分子量、及び(2)約60%~約99%、好ましくは約70%~約95%、より好ましくは約80%~約90%の範囲の加水分解度を特徴とする追加のポリビニルアルコール(すなわち、第2のPVA)とを含むポリビニルアルコールのブレンドを、このようなシートの総重量に対して、約50%~約85%、より好ましくは約60%~約80%、最も好ましくは約65%~約75%含む。更に、第1のPVA(より高いMwを有する)に対する第2のPVA(より低いMwを有する)重量比は、約0.1~約0.9、好ましくは約0.2~約0.8、より好ましくは約0.3~約0.7、最も好ましくは約0.4~約0.6の範囲であってもよい。いかなる理論にも束縛されるものではないが、比較的低いMwのPVAと比較的高いMwのPVAとを約0.1~約0.9の重量比で含有するそのようなPVAブレンドは、より良好な溶解性、より高い引張強度、及びそれに対応して改善された加工性を有するシートを提供すると考えられる。
【0041】
上述したようなポリビニルアルコールに加えて、本明細書に記載されたような必須の構造と物理的/化学的特性を備える可撓性溶解性多孔質シートを提供するのに役立つ限り、単一のデンプン又はデンプンの組み合わせを、必要とされる水溶性ポリマーの全体の濃度を低減させるような量の充填材料として使用してもよい。しかしながら、デンプンが多すぎると、シートの溶解度及び構造的一体性を損なう場合がある。したがって、本発明の好ましい実施形態では、シートは、当該シートの約20重量%以下、好ましくは0重量%~約10重量%、より好ましくは0重量%~約5重量%、最も好ましくは0重量%~約1重量%のデンプンを含むことが望ましい。
【0042】
界面活性剤
上述の水溶性ポリマーに加えて、本発明の可撓性溶解性多孔質シートは、当該シートの総重量に対して、約1%~約40%、好ましくは約2%~約30%、より好ましくは約5%~約20%、最も好ましくは約8%~約15%の範囲の量で1つ以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、本発明の所望のOCF構造を形成するのに十分な量の安定した気泡を生成するために、通気プロセス中に乳化剤として機能し得る。また、界面活性剤は、所望の洗浄効果を実現するための活性成分として機能し得る。
【0043】
本発明の好ましい実施形態では、可撓性溶解性多孔質シートは、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ポリマー界面活性剤、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される1種以上の界面活性剤を含む。このようなシートの所望の用途及び達成すべき所望の消費者利益に応じて、異なる界面活性剤を選択することができる。
【0044】
本明細書で使用する界面活性剤は、慣例的な観念(すなわち、消費者の目を引く泡立ち効果を提供する界面活性剤)及び乳化剤(すなわち、任意の泡立ち性能を提供しないが、主に安定した発泡構造体を作製する際の加工助剤として意図されるもの)の両方の界面活性剤を含んでもよい。本明細書で界面活性剤成分として使用される乳化剤の例としては、モノ-及びジ-グリセリド、脂肪族アルコール、ポリグリセロールエステル、プロピレングリコールエステル、ソルビタンエステル及び既知の又は別の方法で空気界面を安定化するのに一般的に使われる他の乳化剤が挙げられる。
【0045】
本明細書で使用されるのに好適なアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキル及びアルキルエーテル硫酸塩、硫酸化モノグリセリド、スルホン化オレフィン、アルキルアリールスルホン酸塩、一級又は二級アルカンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシルタウレート、アシルイセチオネート、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、スルホン化メチルエステル、スルホン化脂肪酸、アルキルホスフェート、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アルキルスルホ酢酸塩、アシル化ペプチド、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルラクチレート、アニオン性フルオロ界面活性剤、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0046】
本発明の実施に特に好適なアニオン性界面活性剤の1つのカテゴリとしては、C6~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(linear alkylbenzene sulphonate、LAS)界面活性剤が挙げられる。LAS界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、市販の直鎖アルキルベンゼンをスルホン化することによって容易に入手することができる。本発明で使用することができる例示的なC10~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネートとしては、C10~C20直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又はアンモニウム塩、好ましくは、C11~C18若しくはC11~C14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、及び/又はアンモニウム塩が挙げられる。より好ましいものは、C12及び/又はC14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム又はカリウム塩であり、最も好ましいものは、C12及び/又はC14直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、すなわち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム又はテトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0047】
LASは優れた洗浄効果をもたらし、洗濯洗剤用途での使用に特に好適である。より高い重量平均分子量(例えば、約50,000~約400,000ダルトン、好ましくは約60,000~約300,000ダルトン、より好ましくは約70,000~約200,000ダルトン、最も好ましくは約80,000~約150,000ダルトン)を有するポリビニルアルコールがフィルム形成剤及び担体として使用されるとき、LASは、主界面活性剤、すなわち、全体的な組成物のフィルム形成性能及び安定性に悪影響を及ぼすことなく、シート中の総界面活性剤含量の重量に基づいて、50%超の量で存在し得るものとして使用され得ることは、本開示の驚くべきかつ予想外の発見であった。LASが本発明のシートに存在する場合、その量は、シートの総重量に対して約1%~約40%、好ましくは約2%~約30%、より好ましくは約5%~約20%、最も好ましくは約8%~約15%の範囲であってもよい。
【0048】
本発明の実施に好適なアニオン性界面活性剤の別のカテゴリとしては、約0.5~約5、好ましくは約0.8~約4、より好ましくは約1~約3、最も好ましくは約1.5~約2.5の範囲の重量平均アルコキシル化度を有するトリデセス硫酸ナトリウム(sodium trideceth sulfates、STS)が挙げられる。トリデセスは、一実施形態では、1分子当たり平均して少なくとも1つのメチル分岐を含む、炭素13個の分岐鎖アルコキシル化炭化水素である。本発明で使用されるSTSとしては、ST(EOxPOy)Sを挙げることができ、EOxは、0~5、好ましくは1~4、より好ましくは1~3の繰り返し数xを有する繰り返しエチレンオキシド単位を表し、POyは、0~5、好ましくは0~4、より好ましくは0~2の範囲の繰り返し数yを有する繰り返しプロピレンオキシド単位を表す。例えば、約2の重量平均エトキシル化度を有するST2Sなどの材料は、エトキシレートなし、1モルのエトキシレート、3モルのエトキシレートなどを有する有意な量の分子を含んでもよく、エトキシル化の分布は、広い、狭い、又は切断されたものとなり得、それでもなお約2の総重量平均エトキシル化度をもたらすことができることが理解される。STSは、パーソナルクレンジング用途に特に好適であり、より高い重量平均分子量(例えば、約50,000~約400,000ダルトン、好ましくは約60,000~約300,000ダルトン、より好ましくは約70,000~約200,000ダルトン、最も好ましくは約80,000~約150,000ダルトン)を有するポリビニルアルコールがフィルム形成剤及び担体として使用されるとき、STSは主界面活性剤、すなわち、全体的な組成物のフィルム形成性能及び安定性に悪影響を及ぼすことなく、シート中の総界面活性剤含量の重量に基づいて、50%超の量で存在し得るものとして使用され得ることは、本開示の驚くべきかつ予想外の発見であった。STSが本発明のシートに存在する場合、その量は、シートの総重量に対して約1%~約40%、好ましくは約2%~約30%、より好ましくは約5%~約20%、最も好ましくは約8%~約15%の範囲であってもよい。
【0049】
本発明の実施に好適なアニオン性界面活性剤の別のカテゴリとしては、C6~C20直鎖又は分岐アルキルアルコキシサルフェート(alkylalkoxy sulfates、AAS)が挙げられる。このカテゴリの中でも、対応する式RO(C2H4O)xSO3Mを有する直鎖又は分岐鎖アルキルエトキシサルフェート(alkylethoxy sulfates、AES)が特に好ましく、式中、Rは、約6~約20個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは、1~10であり、Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム及びトリエタノールアミンなどの水溶性カチオンである。好ましくは、Rは、約6~約18個、好ましくは約8~約16個、より好ましくは約10~約14個の炭素原子を有する。AES界面活性剤は、典型的には、エチレンオキシドと約6~約20個の炭素原子を有する一価アルコールとの縮合生成物として作製される。有用なアルコールは、脂肪、例えば、ココナツ油若しくはタローから誘導され得るか、又は合成であり得る。本明細書では、ココナツ油から誘導されるラウリルアルコール及び直鎖アルコールが好ましい。このようなアルコールは、約1~約10、好ましくは約3~約5、特に約3の、モル割合のエチレンオキシドと反応され、例えば、アルコール1モル当たり平均3モルのエチレンオキシドを有する得られた分子種の混合物は、スルフェート化され、中和される。非常に好ましいAESは、個々の化合物の混合物を含むものであり、当該混合物は、約10個~約16個の炭素原子の平均アルキル鎖長、及び約1~約4モルのエチレンオキシドの平均エトキシル化度を有する。AASが本発明のシートに存在する場合、その量は、固体シート物品の総重量に対して約1%~約40%、好ましくは約2%~約30%、より好ましくは約5%~約20%、最も好ましくは約8%~約15%の範囲であってもよい。
【0050】
本発明の実施に好適なアニオン性界面活性剤の別のカテゴリとしては、アルキルサルフェートが挙げられる。これら物質は、対応する式:ROSO3Mを有し、式中、Rは、約6~約20個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、xは1~10であり、Mは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム及びトリエタノールアミンなどの水溶性カチオンである。好ましくは、Rは、約6~約18個、好ましくは約8~約16個、より好ましくは約10~約14個の炭素原子を有する。
【0051】
他の好適なアニオン性界面活性剤には、一般式[R1-SO3-M]の有機硫酸反応生成物の水溶性塩が挙げられ、式中、R1は、約6~約20個、好ましくは約10~約18個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルからなる群から選択され、Mは、カチオンである。アルカリ金属及びアンモニウムスルホン化C10~18n-パラフィンが好ましい。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、約12~約24個の炭素原子を有するオレフィンスルホネートが挙げられる。オレフィンスルホネートが誘導されるα-オレフィンは、約12~約24個の炭素原子、好ましくは約14~約16個の炭素原子を有するモノ-オレフィンである。好ましくは、それらは直鎖オレフィンである。
【0052】
布地及びホームケア組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤の別の部類は、β-アルキルオキシアルカンスルホネートである。これらの化合物は、以下の式を有し、
【0053】
【化1】
式中、R
1は、約6~約20個の炭素原子を有する直鎖アルキル基であり、R
2は、約1(好ましい)~約3個の炭素原子を有する低アルキル基であり、Mは、上述の水溶性カチオンである。
【0054】
好適なアニオン性界面活性剤の更なる例は、イセチオン酸でエステル化され、水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物(例えば、脂肪酸はココナツ油に由来する)、例えば、脂肪酸がココナツ油に由来するメチルタウリドの脂肪酸アミドのナトリウム又はカリウム塩である。更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、スクシネートであり、その例としては、二ナトリウムN-オクタデシルスルホスクシネート、ジアンモニオウムラウリルスルホスクシネート、四ナトリウムN-(1,2-ジカルボキシエチル)-N-オクタデシルスルホスクシナメート、スルホコハク酸ナトリウムのジアミルエステル、スルホコハク酸ナトリウムのジヘキシルエステル、及びスルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステルが挙げられる。
【0055】
本発明の固体シート物品に含まれ得る非イオン性界面活性剤としては、限定するものではないが、アルキルアルコキシル化アルコール、アルキルアルコキシル化フェノール、アルキル多糖類(特にアルキルグルコシド及びアルキルポリグルコシド)、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルコキシル化脂肪酸エステル、スクロースエステル、ソルビタンエステル、及びソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体、アミンオキシドなどを含む従来の非イオン性界面活性剤が挙げられる。好ましい非イオン性界面活性剤は、式R1(OC2H4)nOHのものであり、式中、R1はC8~C18アルキル基又はアルキルフェニル基であり、nは約1~約80である。特に好ましいのは、Shellから市販されているNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤などの、約1~約20、好ましくは約5~約15、より好ましくは約7~約10の重量平均エトキシル化度を有するC8~C18アルキルエトキシル化アルコールである。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の他の非限定例としては、アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であり得るC6~C12アルキルフェノールアルコキシレート;C12~C18アルコール及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC6~C12アルキルフェノール縮合物(Pluronic(登録商標))(BASF)など);C14~C22中鎖分枝アルコール(branched alcohol、BA);C14~C22中鎖分岐アルキルアルコキシレート、BAEx(式中、xは1~30である);アルキル多糖類、具体的にはアルキルポリグリコシド;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びにエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては、商標名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものも挙げられる。
【0056】
好ましい実施形態では、ソルビタンエステル及びソルビタンエステルのアルコキシル化誘導体から選択される非イオン性界面活性剤としては、モノラウリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)20)、モノパルミチン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)40)、モノステアリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)60)、トリステアリン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)65)、モノオレイン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)80)、トリオレイン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)85)、イソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)20)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)40)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(Tween(登録商標)80)、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン(Tween(登録商標)21)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(4)ソルビタン(Tween(登録商標)61)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(5)ソルビタン(Tween(登録商標)81)(これらは全てUniqemaから入手可能)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
本発明の実施に最も好ましい非イオン性界面活性剤としては、5~15の範囲の重量平均アルコキシル化度を有するC6~C20直鎖又は分岐アルキルアルコキシル化アルコール(alkylalkoxylated alcohols、AA)、より好ましくは7~9の範囲の重量平均アルコキシル化度を有するC12~C14直鎖エトキシル化アルコールが挙げられる。AAタイプの非イオン界面活性剤が本発明のシートに存在する場合、その量は、シートの総重量に対して約1%~約40%、好ましくは約2%~約30%、より好ましくは約5%~約20%、最も好ましくは8%~約15%の範囲であってもよい。
【0058】
本発明のシートでの使用に好適な両性界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として広く記載されるものが挙げられ、脂肪族ラジカルは、直鎖又は分岐鎖であってもよく、脂肪族置換基のうちの1つは、約8~約18個の炭素原子を含有し、1つは、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含有する。この定義に該当する化合物の例は、3-ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウム、3-ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ドデシルアミンをイセチオン酸ナトリウムと反応させることで調製されるもののようなN-アルキルタウリン、及びN-高級アルキルアスパラギン酸である。
【0059】
パーソナルケア用途(例えば、シャンプー、顔又は身体洗浄剤など)を有するシートへの組み込みに特に好適な両性界面活性剤の1つのカテゴリとしては、ラウロアンホアセテート及びココアンホアセテートなどのアルキルアンホアセテートが挙げられる。アルキルアンホ酢酸塩は、モノアセテート及びジアセテートで構成され得る。アルキルアンホ酢酸塩のいくつかのタイプでは、ジアセテートは、不純物又は意図しない反応生成物である。アルキルアンホアセテートが本発明のシートに存在する場合、その量は、シートの総重量に対して約1%~約40%、好ましくは約2%~約30%、より好ましくは約5%~約20%、最も好ましくは約8%~約15%の範囲であってもよい。
【0060】
好適な双極性界面活性剤には、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム化合物及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記述されるものであって、その脂肪族ラジカルが直鎖状又は分岐状であることができ、その脂肪族置換基のうちの1つが約8~約18個の炭素原子を含有し、1つがアニオン性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートを含有するものが挙げられる。そのような好適な双極性界面活性剤は、次式で表すことができ、
【0061】
【化2】
式中、R
2は、約8~約18個の炭素原子のアルキル、アルケニル、又はヒドロキシアルキルラジカル、0~約10個のエチレンオキシド部分、及び0~約1個のグリセリル部分を含有し、Yは、窒素、リン、及び硫黄原子からなる群から選択され、R
3は、約1~約3個の炭素原子を含有するアルキル又はモノヒドロキシアルキル基であり、Xは、Yが硫黄原子であるとき、1であり、Yが窒素又はリン原子であるとき、2であり、R
4は、約1~約4個の炭素原子のアルキレン又はヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボキシレート、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、及びホスフェート基からなる群から選択されるラジカルである。
【0062】
本明細書での使用に好適な他の双極性界面活性剤としては、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルαカルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ-カルボキシプロピルベタイン、及びラウリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)α-カルボキシエチルベタインのような高級アルキルベタインを含むベタインが挙げられる。スルホベタインは、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタインなどで表すことができ、RCONH(CH2)3ラジカル(式中、Rは、C11~C17アルキルである)がベタインの窒素原子に付着する、アミドベタイン及びアミドスルホベタインも本発明においてやはり有用である。
【0063】
カチオン性界面活性剤はまた、本発明において、特に布地柔軟剤及びヘアコンディショナー製品において利用することができる。カチオン性界面活性剤を主界面活性剤として含有する製品を作製する際に使用される場合、このようなカチオン性界面活性剤は、シートの総重量に基づいて、約1%~約40%、好ましくは約2%~約30%、より好ましくは約5%~約20%、最も好ましくは約8%~約15%の範囲の量で存在することが好ましい。
【0064】
カチオン性界面活性剤は、ジアミド活性成分、並びにアミド結合及びエステル結合の混合を有する活性成分を包含するDEQA化合物を含み得る。好ましいDEQA化合物は、典型的には、MDEA(メチルジエタノールアミン)及びTEA(トリエタノールアミン)などのアルカノールアミンを脂肪酸と反応させることによって作製される。このような反応から典型的に得られるいくつかの物質としては、N,N-ジ(アシル-オキシエチル)-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド又はN,N-ジ(アシル-オキシエチル)-N,N-メチルヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートが挙げられ、式中、アシル基は、動物脂、不飽和及び多価不飽和脂肪酸から誘導される。
【0065】
カチオン性界面活性剤としての使用に好適な他の活性成分としては、例えば、分子比約2:1での、脂肪酸とジアルキレントリアミンとの反応生成物が挙げられ、当該反応生成物は、下式の化合物を含有し、
【0066】
【化3】
式中、R
1、R
2は、上記に定義した通りであり、各R
3は、C
1~6アルキレン基、好ましくはエチレン基である。これらの活性成分の例は、約2:1の分子比でのタロー酸、キャノーラ酸又はオレイン酸とジエチレントリアミンの反応生成物であり、当該反応生成物混合物は、N,N”-ジタローオイルジエチレントリアミン、N,N”-ジキャノーラ-オイルジエチレントリアミン又はN,N”-ジオレオイルジエチレントリアミンを含有し、それぞれ下式を有する:
R
1-C(O)-NH-CH
2CH
2-NH-CH
2CH
2-NH-C(O)-R
1
式中、R
2及びR
3は、二価エチレン基であり、R
1は、上記に定義した通りであり、R
1が植物若しくは動物供給源から誘導される市販のオレイン酸のオレオイル基である場合、この構造の許容可能な例としては、Henkel Corporationから入手可能なEMERSOL(登録商標)223LL又はEMERSOL(登録商標)7021が挙げられる。
【0067】
カチオン性界面活性剤として使用される別の活性成分は、次式を有し、
【0068】
【化4】
式中、R、R
1、R
2、R
3及びX
-は、上記のように定義される。この活性成分の例は、次式を有するジ脂肪アミドアミン系柔軟剤であり、
[R
1-C(O)-NH-CH
2CH
2-N(CH
3)(CH
2CH
2OH)-CH
2CH
2-NH-C(O)-R
1]
+CH
3SO
4
-
式中、R
1-C(O)は、オレオイル基、軟質タロー基、又は硬化タロー基であり、DegussaからそれぞれVARISOFT(登録商標)222LT、VARISOFT(登録商標)222、及びVARISOFT(登録商標)110の商品名で市販されている。
【0069】
カチオン性界面活性剤として使用するための活性成分として好適な第2のタイプのDEQA(「DEQA(2)」)化合物は、次の一般式を有し、
[R3N+CH2CH(YR1)(CH2YR1)]X-
式中、各Y、R、R1、及びX-は、上記と同じ意味を有する。好ましいDEQA(2)の例は、式1,2-ジ(アシルオキシ)-3-トリメチルアンモニオプロパンクロリドを有する「プロピル」エステル四級アンモニウム布地柔軟剤活性物質である。
【0070】
本発明のシートでの使用に好適な高分子界面活性剤としては、限定するものではないが、エチレンオキシドと脂肪族アルキル残基(fatty alkyl residues)とのブロックコポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー、疎水変性ポリアクリレート、疎水変性セルロース、シリコーンポリエーテル、シリコーンコポリオールエステル、ジ四級ポリジメチルシロキサン、及び共修飾されたアミノ/ポリエーテルシリコーンが挙げられる。
【0071】
グリセリン
上述の高レベルの水溶性ポリマー(すなわち、約50重量%~約85重量%)に加えて、本発明の可撓性溶解性多孔質シートは、独特に高レベルのグリセリン、すなわち、このようなシートの総重量に対して、約10%~約40%、好ましくは約12%~約30%、より好ましくは約15%~約25%のグリセリンも特徴とする。
【0072】
対照的に、国際公開第2019007954号は、65%~76.3%のPVA及び17.7%~18%の界面活性剤を含有するが、約2.2%のみのグリセリンを有する薄い水溶性シートを開示している(実施例1及び3を参照)。いかなる理論にも束縛されるものではないが、本発明の可撓性溶解性多孔質シート中の比較的高レベルのグリセリンは、より低レベルのグリセリンを含有する同様のシートと比較して、溶解プロファイルを改善し、水中での迅速な溶解を確実にするのに役立つと考えられる。
【0073】
追加成分
上述の成分、例えば、水溶性ポリマー、界面活性剤(複数可)、及びグリセリンに加えて、本発明の可撓性溶解性多孔質シートは、その意図される用途に応じて、1つ以上の追加成分を含んでもよい。このような1つ以上の追加成分は、布地ケア活性物質、食器洗浄活性物質、硬質表面洗浄活性物質、美容及び/又はスキンケア活性物質、パーソナルクレンジング活性物質、ヘアケア活性物質、口腔ケア活性物質、女性ケア活性物質、ベビーケア活性物質、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0074】
好適な布地ケア活性物質としては、有機溶媒(直鎖又は分岐鎖の低級C1~C8アルコール、ジオール、グリセロール、又はグリコール;C1~C4アルカノールアミンなどのより低級のアミン溶媒、及びこれらの混合物;より具体的には、1,2-プロパンジオール、エタノール、グリセロール、モノエタノールアミン及びトリエタノールアミン)、担体、ヒドロトロープ、ビルダー、キレート剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒材料、漂白剤(光漂白剤を含む)及び漂白活性化剤、香料(カプセル化香料又は香料マイクロカプセルを含む)、着色剤(色相染料を含む、顔料及び染料など)、増白剤、移染防止剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、構造化剤、レオロジー調整剤、抑泡剤、加工助剤、布地柔軟剤、抗菌剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
好適なヘアケア活性物質としては、縮れ減少のためのクラスIIの水分調整物質(サリチル酸及び誘導体、有機アルコール、及びエステル)、カチオン性界面活性剤(特に、25℃の水への溶解度が、好ましくは0.5g/水100g未満、より好ましくは0.3g/水100g未満)、高融点脂肪族化合物(例えば、25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、更により好ましくは50℃以上の融点を有する脂肪族アルコール、脂肪酸、及びこれらの混合物)、シリコーン化合物、コンディショニング剤(Hormelから入手可能な商標名Peptein 2000を有する加水分解コラーゲン、Eisaiから入手可能な商標名Emix-dのビタミンE、Rocheから入手可能なパンテノール、Rocheから入手可能なパンテニルエチルエーテル、加水分解ケラチン、タンパク質、植物抽出物、及び栄養素)、防腐剤(ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びイミダゾリジニル尿素など)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、リン酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなど)、塩(酢酸カリウム及び塩化ナトリウムなど)、着色剤、香料又は芳香剤、金属イオン封鎖剤(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなど)、紫外線及び赤外線スクリーニング及び吸収剤(サリチル酸オクチルなど)、毛髪脱色剤、毛髪パーマ剤、毛髪固定剤、抗ふけ剤、抗菌剤、育毛剤又は補充剤、共溶媒又は他の追加の溶媒などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
好適な美容及び/又はスキンケア活性物質としては、化粧品での使用が認可され、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992などの参考文献に記載されている物質が挙げられる。好適な美容及び/又はスキンケア活性物質の更なる非限定的な例としては、防腐剤、香料又は芳香剤、着色剤又は染料、増粘剤、保湿剤、皮膚軟化剤、医薬活性物質、ビタミン又は栄養素、日焼け止め剤、脱臭剤、感覚剤、植物抽出物、栄養素、収れん剤、化粧品粒子、吸収性粒子、繊維、抗炎症剤、美白剤、皮膚色調剤(皮膚色調全体を改善するように機能し、ビタミンB3化合物、糖アミン、ヘキサミジン化合物、サリチル酸、ヘキシルレゾルシノール及びレチノイドなどの1,3-ジヒドロキシ-4-アルキルベンゼンを含み得る)、皮膚日焼け剤、剥離剤、保湿剤、酵素、酸化防止剤、フリーラジカル捕捉剤、抗しわ活性物質、抗にきび剤、酸、塩基、ミネラル、懸濁剤、pH調整剤、顔料粒子、抗菌剤、防虫剤、シェービングローション剤、共溶媒又は他の追加の溶媒などが挙げられる。
【0077】
本発明の可撓性溶解性多孔質シートは、組成物での使用が既知であるか、あるいは有用であるような他の任意選択的な成分を更に含んでもよく、かかる任意選択的な材料は、本明細書に記載の選択された不可欠な材料と互換性があるか、あるいは過度に製品性能を損なわないという条件で含まれる。
【0078】
製品形態
本発明の可撓性溶解性多孔質シートによって形成され得る製品の非限定的な例としては、洗濯洗剤製品、布地柔軟製品、手洗浄製品、毛髪シャンプー又は他の毛髪処理製品、ボディクレンジング製品、シェービング調製製品、食器洗浄製品、パーソナルケア製品、保湿製品、日焼け止め製品、美容製品又はスキンケア製品、脱臭製品、口腔ケア製品、女性用洗浄製品、ベビーケア製品、芳香剤含有製品などが挙げられる。
【0079】
例えば、本発明の可撓性溶解性多孔質シートは、(1)上記のような2つ以上のシート、及び(2)当該2つ以上のシートの間に位置する1つ以上の固体溶解性成分を含む一体型洗剤物品を形成するために使用することができ、当該1つ以上の固体溶解性成分の各々は、例えば、布地ケア活性物質、食器洗浄活性物質、硬質表面洗浄活性物質、美容及び/又はスキンケア活性物質、パーソナルクレンジング活性物質、ヘアケア活性物質、口腔ケア活性物質、女性ケア活性物質、ベビーケア活性物質、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される洗浄活性物質を含む。1つ以上の固体溶解性成分は、粒子、ペースト、層、フィルム、シート、及びこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0080】
改善された構造的一体性及び外力に対するより良好な耐性、並びに水中での速い溶解速度を有する良好な溶解プロファイルを特徴とする本発明の可撓性溶解性多孔質シートは、より高い活性含量及びより強い洗浄性能を有するが、より劣った構造的一体性を有する固体溶解性成分を封入するための溶解性包装層又は保護外層としての使用に特に適している。本発明の可撓性溶解性多孔質シートのこのような使用は、プラスチック廃棄物を著しく減少させることができる製品包装及び設計のためのより持続可能な解決策を提供する。
【0081】
好ましいが非限定的な例では、固体溶解性成分は、複数の離散粒子であり、これらは、2つ以上の可撓性溶解性多孔質シートの間に挟まれている。より好ましくは、次に、2つ以上のシートは、例えば、加熱、加圧、及び/又は切断してエッジシールを形成することによって、それらの周囲に沿ってシールされて、そこからの離散粒子の漏れを防止する。
【0082】
そのような離散粒子からの水が隣接する非繊維シートの構造的一体性を損なわせないように、そのような離散粒子は、比較的低い水/水分含量(例えば、合計水/水分の約10重量%以下、好ましくは合計水/水分の約8重量%以下、より好ましくは全水分の約5重量%以下)、特に、比較的低い遊離/非結合水含量(例えば、約3重量%以下の遊離若しくは非結合水、好ましくは約1重量%以下の遊離若しくは非結合水)を有することが好ましい。更に、そのような離散粒子中の水分含量が制御されていると、粒子自体のゲル化のリスクが低下する。本発明で使用するのに好適な離散粒子は、非繊維性である限り、球体、ロッド、プレート、チューブ、正方形、矩形、ディスク、星形、規則的又は不規則な形状のフレーク、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される任意の形状であってよい。それらは、2000μm以下の中央粒径を有してもよい。好ましくは、そのような離散粒子は、約1μm~約2000μm、好ましくは約10μm~約1800μm、より好ましくは約50μm~約1700μm、更により好ましくは約100μm~約1500μm、更により好ましくは約250μm~約1000μm、最も好ましくは約300μm~約800μmの範囲の中央粒径を有する。そのような離散粒子の嵩密度は、500g/L~1000g/L、好ましくは600g/L~900g/L、より好ましくは700g/L~800g/Lの範囲であってよい。
【0083】
本発明の別の好ましいが非限定的な例では、固体溶解性成分は、ペーストの1つ以上の連続層又は不連続層であり、これは、例えば、国際公開第2021102935号に開示されているように、非水性液体担体、複数の固体粒子、及び任意選択で増粘剤によって形成されてもよい。
【0084】
本発明の更に別の好ましいが非限定的な例では、固体溶解性成分は、国際公開第2018137709号及び国際公開第2018140668号に開示されているような1つ以上の繊維シートである。
【0085】
本発明の更に別の好ましいが非限定的な例では、固体溶解性成分は、1つ以上の非繊維シート、好ましくは、国際公開第2010077627号、国際公開第2012138820号、国際公開第2020147000号、及び国際公開第2021102935号に開示されているような1つ以上の可撓性溶解性多孔質シートである。
【0086】
本発明の固体溶解性成分は、可撓性溶解性多孔質シートと比較して、比較的高レベルの洗浄活性物質(例えば、界面活性剤、ポリマー、酵素など)を特徴とし得る。例えば、洗浄活性物質(複数可)は、このような離散粒子の総重量に対して、少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも70%存在し得る。このような洗浄活性物質は、布地ケア活性物質、食器洗浄活性物質、硬質表面洗浄活性物質、美容及び/又はスキンケア活性物質、パーソナルクレンジング活性物質、ヘアケア活性物質、口腔ケア活性物質、女性ケア活性物質、ベビーケア活性物質、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0087】
本発明の固体溶解性成分は、任意に、洗浄性能を支援若しくは増強するために又はその審美性を変化させるために、1つ以上の他の洗剤成分を含んでもよい。このような洗剤成分の例示的な例としては、以下のものが挙げられる:(1)界面活性剤、例えば、上記のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及び双性イオン性界面活性剤;(2)炭酸塩(重炭酸塩及びセスキ炭酸塩を含む)、硫酸塩、リン酸塩(トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、及びガラス質ポリマーメタリン酸塩によって例示される)、ホスホン酸塩、フィチン酸、ケイ酸塩、ゼオライト、クエン酸塩、ポリカルボン酸塩及びその塩(例えば、メリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶性塩)、エーテルヒドロキシポリカルボン酸塩、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸、3,3-ジカルボキシ-4-オキサ-1,6-ヘキサン二酸、ポリ酢酸(例えば、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸)及びその塩、脂肪酸(例えば、C12~C18モノカルボン酸)などの無機及び/又は有機ビルダー;(3)アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換された芳香族キレート剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、鉄及び/又はマンガンキレート剤などのキレート剤;(4)水溶性エトキシル化アミン(特に、エトキシル化テトラエチレンペンタミン)などの粘土汚れ除去/再付着防止剤;(5)ポリマーカルボキシレート、アクリル酸/マレイン酸系コポリマー及びこれらの水溶性塩、ヒドロキシプロピルアクリレート、マレイン酸/アクリル酸/ビニルアルコールターポリマー、ポリアスパルテート、並びにポリグルタメートなどのポリマー分散剤;(6)スチルベン、ピラゾリン、クマリン、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチフェン-5,5-ジオキシド、アゾール、5員及び6員環複素環などの誘導体が挙げられるがこれらに限定されない、蛍光増白剤;(7)モノカルボン酸脂肪酸及びその可溶性塩、高分子量炭化水素(例えば、パラフィン、ハロパラフィン、脂肪酸エステル、一価アルコールの脂肪酸エステル、脂肪族C18~C40ケトンなど)、N-アルキル化アミノトリアジン、プロピレンオキシド、モノステアリルホスフェート、シリコーン又はその誘導体、二級アルコール(例えば、2-アルキルアルカノール)、及びそのようなアルコールとシリコーン油との混合物などの抑泡剤;(8)C10~C16アルカノールアミド、C10~C14モノエタノール及びジエタノールアミド、高起泡性界面活性剤(例えば、アミンオキシド、ベタイン、及びスルタイン)、並びに可溶性マグネシウム塩(例えば、MgCl2、MgSO4など)などの起泡促進剤;(9)スメクタイト粘土、アミン柔軟剤、及びカチオン性柔軟剤などの布地柔軟剤;(10)ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとのコポリマー、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、並びにこれらの混合物などの移染防止剤;(11)プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、及びペルオキシダーゼ、並びにこれらの混合物などの酵素;(12)カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源、ホウ酸又はホウ酸塩(酸化ホウ素、ホウ砂、及びその他のアルカリ金属ホウ酸塩など)を含む酵素安定剤;(13)過炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム過酸化水素化物、ピロリン酸ナトリウム過酸化水素化物、尿素過酸化水素化物、及び過酸化ナトリウム)、過硫酸塩、過ホウ酸塩、マグネシウムモノペルオキシフタレート六水和物、メタクロロ過安息香酸のマグネシウム塩、4-ノニルアミノ-4-オキソペルオキシ酪酸及びジペルオキシドデカン二酸、6-ノニルアミノ-6-オキソペルオキシカプロン酸、及び光活性化漂白剤(例えば、スルホン化亜鉛及び/又はアルミニウムフタロシアニン)などの漂白剤;(14)ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)(nonanoyloxybenzene sulfonate)、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)(tetraacetyl ethylene diamine)、(6-オクタンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、(6-ノナンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、(6-デカンアミドカプロイル)オキシベンゼンスルホネート、及びこれらの混合物を含むアミド由来の漂白活性化剤、ベンゾオキサジン型活性化剤、アシルラクタム活性化剤(特にアシルカプロラクタム及びアシルバレロラクタム)などの漂白活性化剤;並びに(15)キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、染料又は顔料(特に色相染料)、香料(純香料及び香料マイクロカプセルの両方を含む)、及び固体充填剤が挙げられるがこれらに限定されない、任意のその他の既知の洗剤補助成分。
【0088】
試験方法
試験1:物品の連続気泡含有率
連続気泡含有率を、ガス比重瓶法によって測定する。ガス比重瓶法は、体積を正確に測定するガス置換法を使用する一般的な分析技術である。置換媒体としてヘリウム又は窒素のような不活性ガスが使用される。本発明の可撓性溶解性多孔質物品のサンプルを既知の体積の計器コンパートメント内に封止し、適切な不活性ガスを入れ、次に別の精密な内部体積に膨張させる。膨張前及び膨張後の圧力を測定し、これを使用してサンプル物品の体積を計算する。
【0089】
ASTM標準試験方法D2856は、気体比重瓶(air comparison pycnometer)のより古いモデルを使用して連続気泡の割合を決定するための手順を提供する。この装置はもはや製造されていない。しかしながら、MicromeriticsのAccuPyc比重瓶を使用する試験を実施することにより、便利にかつ精密に連続気泡の割合を決定することができる。ASTM手順書D2856は、発泡材料の連続気泡率を決定するための5つの方法(A、B、C、D及びE)について述べている。これらの実験のために、窒素ガスを使用し、Accupyc 1340を使用して、ASTM foampycソフトウェアにより、サンプルを分析することができる。ASTM手順書の方法Cは、連続気泡パーセントを計算するために使用されるべきである。この方法は、以下の等式に従って、キャリパー及び標準体積計算を使用して決定される幾何学的体積を、Accupycによって測定される連続気泡体積と単純に比較する。
連続気泡含有率(%)=サンプルの連続気泡体積/サンプルの幾何学的体積*100%
【0090】
これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com若しくはwww.micromeritics.com)上で入手可能であり、又はClyde Orr及びPaul Webb著「Analytical Methods in Fine particle Technology」において公開されている。
【0091】
試験2:連続気泡発泡体(Open Cell Foam、OCF)の全体平均孔径及び平均気泡壁厚を決定するためのマイクロコンピュータ断層撮影(Micro-Computed Tomographic、μCT)法
多孔度は、空隙空間のOCFによって占有される全空間に対する比率である。多孔度は、空隙空間を閾値化によって区画化し、全ボクセルに対する空隙ボクセルの比率を決定することによって、μCTスキャンから計算することができる。同様に、固体体積分率(solid volume fraction、SVF)は、固体空間の全空間に対する比率であり、SVFは、占有されたボクセルの全ボクセルに対する比率として計算することができる。多孔度及びSVFの両方とも、OCFの高さ方向における孔径分布、又はOCFストラットの平均気泡壁厚などの構造情報を提供しない平均スカラー値である。
【0092】
OCFの3D構造によって特徴付けるために、高い等方性空間分解能でデータセットを取得することができるμCT X線走査機器を使用してサンプルを撮像する。好適な計測器の一例は、以下の設定で作動するSCANCO Systemモデル50μCTスキャナ(Scanco Medical AG,Bruttisellen,Switzerland)である:133μAで45kVpのエネルギーレベル;3000投影;15mm視野;750ms積分時間;5回の平均化;及び1画素当たり3μmのボクセルサイズ。走査及びその後のデータ再構成が完了した後、スキャナシステムは、ISQファイルと称される16ビットデータセットを作成し、そこでは、グレーレベルは、X線減衰の変化を反映し、ひいては材料密度に関連する。次いで、ISQファイルを、スケーリング係数を使用して8ビットに変換する。
【0093】
走査されたOCFサンプルを、通常、直径およそ14mmのコアを穿孔することによって調製する。OCFパンチを、低減衰発泡体上に平らに置き、次いで、走査用の直径15mmのプラスチック円筒管に取り付ける。取り付けられた切断サンプル全ての体積全体がデータセットに含まれるように、サンプルの走査を取得する。このより大きなデータセットから、サンプルデータセットのより小さいサブボリュームを、走査されたOCFの総断面から抽出して3Dのデータスラブを作成し、ここで、細孔は、縁/境界効果なしに定性的に評価することができる。
【0094】
高さ方向における孔径分布を特徴付けるために、ストラットサイズ、局所厚さマップアルゴリズム、又はLTMを、サブボリュームデータセット上に実装する。LTM法は、ユークリッド距離マッピング(Euclidean Distance Mapping、EDM)で開始し、各空隙ボクセルのその最も近い境界からの距離に等しいグレーレベル値を割り当てる。EDMデータに基づいて、細孔を表す3D空隙空間(又は、ストラットを表す3D固体空間)を、EDM値に一致するようにサイズ決めされた球体でモザイク化する。球体によって囲まれたボクセルに、最大球面の半径値を割り当てる。換言すれば、各空隙ボクセル(又はストラットの固体ボクセル)には、両方が空隙空間境界(又はストラットの固体空間境界)内に適合し、かつ割り当てられたボクセルを含む、最大球面の径方向値が割り当てられる。
【0095】
LTMデータ走査から出力された3D標識された球面分布は、高さ方向(又はZ方向)における二次元画像のスタックとして処理され、スライスからスライスへの球面直径の変化をOCF深度の関数として推定するために使用することができる。ストラットの厚さを、3Dデータセットとして処理し、平均値は、サブボリュームの全体又は一部について評価することができる。計算及び測定は、Thermo Fisher ScientificのAVIZO Lite(9.2.0)及びMathworksのMATLAB(R2017a)を使用して行った。
【0096】
試験4:最終水分含量
本発明のシートの最終水分含量を、Mettler Toledo HX204 Moisture Analyzer(S/N B706673091)を使用することによって得る。乾燥したシートの最低1gを測定トレー上に置く。次いで、標準プログラムを、10分の分析時間及び110℃の温度の追加のプログラム設定で実行する。
【0097】
試験5:厚さ
可撓性多孔質溶解性シートの厚さを、Mitutoyo Corporation Digital Disk Stand Micrometer Model Number IDS-1012E(Mitutoyo Corporation,965 Corporate Blvd,Aurora,IL,USA 60504)などのマイクロメータ又は厚さゲージを用いて得る。そのマイクロメータは、直径1インチ、重さ約32グラムのプラテンを有し、約0.09psi(6.32gm/cm2)の印加圧力において厚さを測定する。
【0098】
プラテンを上げ、シート物品の一部分をプラテンの真下のスタンド上に置き、注意深くプラテンを下げて、シート物品に接触させ、プラテンを離し、シートの厚さをミリメートル単位で数値表示装置上で測定することにより、可撓性多孔質溶解性シートの厚さを測定する。平らでないより堅い基材の場合を除いて、厚さを可能な限り小さい表面圧力において測定するのを確実にするために、シートをプラテンの全ての縁まで十分に延ばすべきである。
【0099】
試験6:坪量
本発明の可撓性多孔質溶解性シートの坪量を、面積当たりのシートの重量(グラム/m2)として計算する。面積は、物品の外縁と垂直な平坦表面上の投影面積として計算される。本発明のシートは、10cm×10cmの正方形サンプルに切断されているため、その面積は既知である。次いで、このような正方形サンプルの各々を秤量し、次に、得られた重量を100cm2の既知の面積で割って、対応する坪量を決定する。
【0100】
不規則な形状の物体に対しては、それが平らな物体である場合、その面積は、したがってそのような物体の外周内で取り囲まれている面積に基づいて計算される。したがって、球状物体に関しては、面積は、平均直径に基づいて3.14×(直径/2)2として計算される。したがって、円筒状物体に対しては、面積は、平均直径及び平均長さに基づいて直径×長さとして計算される。不規則な形状の三次元物体に対しては、その面積は、この側部に直角に方向付けられた平坦表面上に投影される最大外側寸法を備える側部に基づいて計算される。このことは、物体の外側寸法を1枚のグラフ用紙に鉛筆で注意深くトレーシングし、次に正方形を近似的に計数し、その正方形の既知の面積を乗算することによるか、又はスケールを含むトレーシングした領域(コントラストのために陰影がつけられている)の写真を撮り、画像分析技術を用いることにより、その面積を算定することによって達成することができる。
【0101】
試験7:密度
本発明の可撓性多孔質溶解性物品の密度は、次の等式によって決定される。計算密度=多孔質固形物の坪量/(多孔質固形物の厚さ×1,000)。物品の坪量及び厚みは、本明細書に記載の方法に従って決定される。
【0102】
試験8:比表面積
可撓性多孔質溶解性物品の比表面積を、ガス吸着技術によって測定する。表面積は、分子規模の固体サンプルの露出した表面の測定値である。BET(Brunauer、Emmet、及びTeller)理論は、表面積を決定するのに使用される最もよく知られているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理的な吸着及び毛管凝縮を使用してガス吸着等温線を測定するものである。この技術は、以下のステップによって要約される。サンプルをサンプル管に入れ、真空下又はガス流下で熱してサンプルの表面上の汚染物を除去する。サンプル重量は、脱ガスされたサンプル及びサンプル管の混合重量から空のサンプル管重量を差し引いて得られる。次にサンプル管を分析ポート上に置き、分析を開始する。この分析プロセスの最初のステップは、サンプル管を排気し、次に液体窒素温度でヘリウムガスを使用してサンプル管内の自由空間体積を測定することである。次にサンプルを再度排気し、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザが指定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。次にサンプルを、クリプトンガス吸着を備えるASAP2420を使用して分析してもよい。これらの測定は、Micromeretics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関するより多くの情報は、Micromeretics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com若しくはwww.micromeritics.com)上で入手可能であり、又はClyde Orr及びPaul Webb著「Analytical Methods in Fine particle Technology」という書籍において公開されている。
【実施例】
【0103】
実施例1:異なるPVA含量を有するOCFシートの比較引張強度
57%のPVAを含有する可撓性溶解性多孔質シート(「本発明の実施例A」)及び20%のPVAを含有する別の可撓性溶解性多孔質シート(「比較例I」)を、国際公開第2020147000号に開示されているドラム乾燥プロセスを使用して調製する。乾燥シートの最終組成は以下の通りである。
【0104】
【表1】
*Changcunから市販されており、重量平均Mwが85,000、重合度が1700、及び加水分解度が87%である。
**Changcunから市販されており、重量平均Mwが25,000、重合度が500、加水分解度が87%である。
【0105】
以下の表は、得られた本発明の実施例A及び比較例Iの引張応力を含む様々な物理的パラメータを示す。
【0106】
【0107】
上記のデータから、高密度比較例Iのシートは、高密度本発明例Aのシートよりも有意に低い引張応力によって示される有意に低いフィルム強度を有し、低密度比較例IIのシートは、低密度本発明例Bのシートよりも有意に低い引張応力によって示される有意に低いフィルム強度を有することが明らかである。したがって、本発明の範囲内に入る本発明の実施例(低密度又は高密度のいずれか)は、同等の密度であるが本発明の範囲外にある比較例よりも著しく改善されたフィルム強度を示した。
【0108】
実施例2:異なるグリセリン含量を有するOCFシートの比較溶解速度
15%グリセリン及び75%PVAを含有する可撓性溶解性多孔質シート(「本発明の実施例C」)、並びに2%グリセリン及び75%PVAを含有する別の可撓性溶解性多孔質シート(「比較例III」)を、国際公開第2020147000号に開示されているホットプレート乾燥プロセスを使用して調製する。乾燥シートの最終組成は以下の通りである。
【0109】
【表3】
**Changcunから市販されており、重量平均Mwが120,000、重合度が1700、加水分解度が87%である。
【0110】
本発明の実施例C及び比較例IIIの各々は、約0.25のシート対水質量比で脱イオン水中に完全に溶解される。次いで、レオメーターを使用して、周波数1Hzでの振動振幅試験を介して試料溶液の応力及び歪み応答を測定する。歪み速度は、合計40の測定点について対数ステップで0.1から1000.0%まで変化させる。40個のデータポイント全てを平均値の計算に使用する。各サンプルシートの得られた平均粘度、平均剪断弾性率、及び平均位相角を以下のように記録する。
【0111】
【0112】
平均粘度及び剪断弾性率は、それぞれ溶解したシートのゲル強度を示し、これは水中でのシートの溶解速度と逆相関する。上記のデータから、比較例IIIのシートは、本発明の実施例Cのシートのゲル強度の6倍を超えるゲル強度を有することが明らかであり、これは、比較例IIIのシートが、本発明の実施例Cのシートよりも著しく遅い水中溶解速度を有することを意味する。
【0113】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に明記されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0114】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することが明言されない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいずれの発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又はその他の任意の参考文献又は複数の参考文献と組み合わせた場合に、このようないずれの発明も教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文献における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文献内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文献においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0115】
本発明の特定の実施形態を例示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々なその他の変更及び修正を行うことができる点が、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
本発明の特定の実施形態を例示及び記載してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々なその他の変更及び修正を行うことができる点が、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのこのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
本明細書は以下の発明を開示する。
[1]
可撓性溶解性多孔質シートであって、
a)前記シートの総重量に対して、50%~85%の水溶性ポリマー、
b)前記シートの総重量に対して、1%~40%の界面活性剤、及び
c)前記シートの総重量に対して、10%~40%のグリセリンを含み、
前記可撓性溶解性多孔質シートが、約80%~99%の連続気泡含有率、及び約100μm~約2000μmの全体平均孔径を特徴とする、可撓性溶解性多孔質シート。
[2]
前記シートの総重量に対して、55%~80%、好ましくは60%~75%の前記水溶性ポリマーを含み、前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールのブレンドである、[1]の可撓性溶解性多孔質シート。
[3]
前記水溶性ポリマーが、(1)50,000~400,000ダルトン、好ましくは60,000~300,000ダルトン、より好ましくは70,000~200,000ダルトン、最も好ましくは80,000~150,000ダルトンの重量平均分子量、及び(2)60%~99%、好ましくは70%~95%、より好ましくは80%~90%の範囲の加水分解度を特徴とするポリビニルアルコールを含む、[1]又は[2]の可撓性溶解性多孔質シート。
[4]
前記水溶性ポリマーが、(1)5,000~100,000ダルトン、より好ましくは10,000~50,000ダルトン、更により好ましくは15,000~40,000ダルトン、最も好ましくは20,000~35,000ダルトンの重量平均分子量、及び(2)60%~99%、好ましくは70%~95%、より好ましくは80%~90%の範囲の加水分解度を特徴とする追加のポリビニルアルコールを含み、好ましくは、前記ポリビニルアルコールに対する前記追加のポリビニルアルコールの重量比は、0.1~0.9、好ましくは0.2~0.8、より好ましくは0.3~0.7、最も好ましくは0.4~0.6の範囲である、[3]の可撓性溶解性多孔質シート。
[5]
前記シートの総重量に対して、2%~30%、好ましくは5%~20%、より好ましくは8%~15%の前記界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、好ましくは、C
6
~C
20
直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C
6
~C
20
直鎖又は分岐アルキルアルコキシサルフェート(AAS)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤である、[1]~[4]のいずれかに記載の可撓性溶解性多孔質シート。
[6]
前記シートの総重量に対して、12%~30%、好ましくは15%~25%のグリセリンを含む、[1]~[5]のいずれかに記載の可撓性溶解性多孔質シート。
[7]
前記シートが、
・85%~99%、好ましくは90%~99%の連続気泡含有率、並びに/又は
・150μm~1000μm、好ましくは200μm~600μmの全体平均孔径、及び/又は
・5μm~200μm、好ましくは10μm~100μm、より好ましくは10μm~80μmの平均気泡壁厚、及び/又は
・前記シートの0.5重量%~25重量%、好ましくは1重量%~20%重量%、より好ましくは3重量%~10重量%の最終水分含量、及び/又は
・0.3mm~4mm、好ましくは0.35mm~3mm、より好ましくは0.4mm~3mm、更により好ましくは0.45mm~2mm、最も好ましくは0.5mm~1.5mmの厚さ、及び/又は
・15グラム/m
2
~1000グラム/m
2
、好ましくは20グラム/m
2
~700グラム/m
2
、より好ましくは30グラム/m
2
~300グラム/m
2
、最も好ましくは35グラム/m
2
~200グラム/m
2
の坪量、及び/又は
・0.05グラム/cm
3
~0.5グラム/cm
3
、好ましくは0.06グラム/cm
3
~0.4グラム/cm
3
、より好ましくは0.07グラム/cm
3
~0.2グラム/cm
3
、最も好ましくは0.075グラム/cm
3
~0.15グラム/cm
3
の密度、及び/又は
・0.03m
2
/g~0.25m
2
/g、好ましくは0.04m
2
/g~0.22m
2
/g、より好ましくは0.05m
2
/g~0.2m
2
/g、最も好ましくは0.1m
2
/g~0.18m
2
/gの比表面積によって特徴付けられる、[1]~[6]のいずれかに記載の可撓性溶解性多孔質シート。
[8]
(1)[1]~[7]のいずれかに記載の2つ以上の可撓性溶解性多孔質シート、及び(2)前記2つ以上のシートの間に位置する1つ以上の固体溶解性成分を含み、前記1つ以上の固体溶解性成分の各々が洗浄活性物質を含む、一体型洗剤物品。
[9]
前記1つ以上の固体溶解性成分が、粒子、ペースト、層、フィルム、シート、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記1つ以上の固体溶解性成分が、好ましくは
・複数の離散粒子、及び/又は
・ペーストの1つ以上の連続層、及び/又は
・ペーストの1つ以上の不連続層、及び/又は
・1つ以上の繊維シート、及び/又は
・1つ以上の非繊維シートである、[8]に記載の一体型洗剤物品。
[10]
前記洗浄活性物質が、布地ケア活性物質、食器洗浄活性物質、硬質表面洗浄活性物質、美容及び/又はスキンケア活性物質、パーソナルクレンジング活性物質、ヘアケア活性物質、口腔ケア活性物質、女性ケア活性物質、ベビーケア活性物質、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、[8]又は[9]に記載の一体型洗剤物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性溶解性多孔質シートであって、
a)前記シートの総重量に対して、50%~85%の水溶性ポリマー、
b)前記シートの総重量に対して、1%~40%の界面活性剤、及び
c)前記シートの総重量に対して、10%~40%のグリセリンを含み、
前記可撓性溶解性多孔質シートが、約80%~99%の連続気泡含有率、及び約100μm~約2000μmの全体平均孔径を特徴とする、可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項2】
前記シートの総重量に対して、55%~80%、好ましくは60%~75%の前記水溶性ポリマーを含み、前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、前記水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール又はポリビニルアルコールのブレンドである、請求項1に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項3】
前記水溶性ポリマーが、(1)50,000~400,000ダルトン、好ましくは60,000~300,000ダルトン、より好ましくは70,000~200,000ダルトン、最も好ましくは80,000~150,000ダルトンの重量平均分子量、及び(2)60%~99%、好ましくは70%~95%、より好ましくは80%~90%の範囲の加水分解度を特徴とするポリビニルアルコールを含む、請求項
1に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項4】
前記水溶性ポリマーが、(1)5,000~100,000ダルトン、より好ましくは10,000~50,000ダルトン、更により好ましくは15,000~40,000ダルトン、最も好ましくは20,000~35,000ダルトンの重量平均分子量、及び(2)60%~99%、好ましくは70%~95%、より好ましくは80%~90%の範囲の加水分解度を特徴とする追加のポリビニルアルコールを含み、好ましくは、前記ポリビニルアルコールに対する前記追加のポリビニルアルコールの重量比は、0.1~0.9、好ましくは0.2~0.8、より好ましくは0.3~0.7、最も好ましくは0.4~0.6の範囲である、請求項3に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項5】
前記シートの総重量に対して、2%~30%、好ましくは5%~20%、より好ましくは8%~15%の前記界面活性剤を含み、前記界面活性剤が、好ましくは、C
6~C
20直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、C
6~C
20直鎖又は分岐アルキルアルコキシサルフェート(AAS)、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるアニオン性界面活性剤である、請求項
1に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項6】
前記シートの総重量に対して、12%~30%、好ましくは15%~25%のグリセリンを含む、請求項
1に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項7】
前記シートが、
・85%~99%、好ましくは90%~99%の連続気泡含有率、並びに/又は
・150μm~1000μm、好ましくは200μm~600μmの全体平均孔径、及び/又は
・5μm~200μm、好ましくは10μm~100μm、より好ましくは10μm~80μmの平均気泡壁厚、及び/又は
・前記シートの0.5重量%~25重量%、好ましくは1重量%~20%重量%、より好ましくは3重量%~10重量%の最終水分含量、及び/又は
・0.3mm~4mm、好ましくは0.35mm~3mm、より好ましくは0.4mm~3mm、更により好ましくは0.45mm~2mm、最も好ましくは0.5mm~1.5mmの厚さ、及び/又は
・15グラム/m
2~1000グラム/m
2、好ましくは20グラム/m
2~700グラム/m
2、より好ましくは30グラム/m
2~300グラム/m
2、最も好ましくは35グラム/m
2~200グラム/m
2の坪量、及び/又は
・0.05グラム/cm
3~0.5グラム/cm
3、好ましくは0.06グラム/cm
3~0.4グラム/cm
3、より好ましくは0.07グラム/cm
3~0.2グラム/cm
3、最も好ましくは0.075グラム/cm
3~0.15グラム/cm
3の密度、及び/又は
・0.03m
2/g~0.25m
2/g、好ましくは0.04m
2/g~0.22m
2/g、より好ましくは0.05m
2/g~0.2m
2/g、最も好ましくは0.1m
2/g~0.18m
2/gの比表面積によって特徴付けられる、請求項
1に記載の可撓性溶解性多孔質シート。
【請求項8】
(1)請求項1~7のいずれか一項に記載の2つ以上の可撓性溶解性多孔質シート、及び(2)前記2つ以上のシートの間に位置する1つ以上の固体溶解性成分を含み、前記1つ以上の固体溶解性成分の各々が洗浄活性物質を含む、一体型洗剤物品。
【請求項9】
前記1つ以上の固体溶解性成分が、粒子、ペースト、層、フィルム、シート、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され、前記1つ以上の固体溶解性成分が、好ましくは
・複数の離散粒子、及び/又は
・ペーストの1つ以上の連続層、及び/又は
・ペーストの1つ以上の不連続層、及び/又は
・1つ以上の繊維シート、及び/又は
・1つ以上の非繊維シートである、請求項8に記載の一体型洗剤物品。
【請求項10】
前記洗浄活性物質が、布地ケア活性物質、食器洗浄活性物質、硬質表面洗浄活性物質、美容及び/又はスキンケア活性物質、パーソナルクレンジング活性物質、ヘアケア活性物質、口腔ケア活性物質、女性ケア活性物質、ベビーケア活性物質、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項
8に記載の一体型洗剤物品。
【国際調査報告】