(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】包装袋及び包装袋の使用
(51)【国際特許分類】
B65D 30/16 20060101AFI20241126BHJP
B65D 33/14 20060101ALI20241126BHJP
B65D 77/30 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B65D30/16 A
B65D33/14 Z
B65D77/30 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529797
(86)(22)【出願日】2022-12-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2022085747
(87)【国際公開番号】W WO2023117604
(87)【国際公開日】2023-06-29
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507402842
【氏名又は名称】モンディ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【氏名又は名称】鈴木 友子
(72)【発明者】
【氏名】ヴォフミャコフ・イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】シェペトゥン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ペーリック・マティアス
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064AA14
3E064AB13
3E064AB14
3E064AB15
3E064BA05
3E064BB03
3E064EA30
3E064FA01
3E064HD01
3E064HE02
3E064HE03
3E064HL05
3E064HN05
3E067AA12
3E067AB83
3E067AC03
3E067BA12A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB26A
3E067CA05
3E067CA24
3E067EA06
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】紙を高割合で製造し、寸法の安定性が高い製造袋を提供する。
【解決手段】本発明は、前壁(1)と、開いている上側の袋の縁上に前壁(1)よりも突出した後壁(2)と、前壁(1)よりも突出している後壁(2)の区間に配置された積み重ね用開口部(4)とを持つウェブを備え、そのウェブの少なくとも一部が紙で形成されている包装袋に関する。前壁(1)及び前記後壁(2)は、前記上側の袋の縁に対向する袋の底縁(6)に斜め角部(7)を持つ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁(1)と、開いている上側の袋の縁上に前記前壁(1)よりも突出した後壁(2)と、前記前壁(1)よりも突出している前記後壁(2)の区間に配置された積み重ね用開口部(4)とを持つウェブを備える包装袋であって、前記ウェブの少なくとも一部が紙で形成されている前記包装袋において、
前記前壁(1)及び前記後壁(2)は、前記上側の袋の縁に対向する袋の底縁(6)に斜め角部(7)を持つことを特徴とする、包装袋。
【請求項2】
前記前壁(1)及び前記後壁(2)は、底マチ(8)によって前記袋の底縁で結合されていることを特徴とする、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
紙の割合が重量比90%以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記ウェブは、包装空間の隣の側部に、熱封止可能な材料からなる封止層(16)を少なくとも部分的に持つ紙の層(15)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記封止層は、包装空間の隣の側部で前記紙の層(15)を完全に覆うことを特徴とする、請求項4に記載の包装袋。
【請求項6】
熱封止可能な材料からなる追加層(20)が、前記封止層(16)上の複数区間内でのみコーティングされていることを特徴とする、請求項5に記載の包装袋。
【請求項7】
前記封止層(16)は押し出しラミネーションにより適用され、前記追加層(20)は押し出しラミネーション又は分散コーティングにより適用されていることを特徴とする、請求項6に記載の包装袋。
【請求項8】
前記前壁(1)及び前記後壁(2)は、長手方向の封止継ぎ目(5)を介して横方向の縁で互いに接続されていることを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項9】
前記底マチ(8)の複数の底マチ(8)部分が、角部(11)にて隣りの前記前壁(1)に、もしくは前記角部(11)にて隣りの前記後壁(2)に、傾斜封止継ぎ目(7)を介して接合されていることを特徴とする、請求項4から8のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項10】
前記傾斜封止継ぎ目(7)が封止されていない部分を備えることを特徴とする、請求項9に記載の包装袋。
【請求項11】
前記熱封止可能な材料がポリエチレンであることを特徴とする、請求項4から10のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項12】
前記紙がクラフト紙であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項13】
前記紙の層(15)が、60gsm及び120gsmの坪量を持つことを特徴とする、請求項4から12のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項14】
前記封止層は1gsmから16gsmの間の坪量を持ち、かつ前記封止層が紙の前記層(15)に適用されることを特徴とする、請求項4から13のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項15】
熱封止ラッカーが、前記前壁(1)と前記後壁(2)との少なくとも一方に、外側の突出部(3)の下方の袋の上側の縁の隣の少なくとも1つの領域(12)に適用されことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項16】
前壁(1)と、開いている上側の袋の縁に前記前壁(1)よりも突出している後壁(2)と、前記前壁(1)よりも突出している前記後壁(2)の区間に配置された積み重ね用開口部(4)とを持つウェブを備える包装袋であって、前記ウェブが少なくとも部分的に紙で形成され、前記前壁(1)及び前記後壁(2)が底マチ(8)によって袋の底縁で一緒に接合されている包装袋において、
前記底マチ(8)の複数の底マチ(8)部分が、前記底マチ(8)の側縁で少なくとも部分的に接合されていることを特徴とする、包装袋。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の包装袋の、おむつ包装用の使用。
【請求項18】
前記包装袋が頭部領域で横方向封止継ぎ目を使って閉じられることを条件とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
おむつを入れる前記包装袋が立方体形状を持つことを条件とする、請求項17又は18に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前壁を持つウェブと、袋の開放上縁に前壁を越えて突出する後壁とを備える包装袋であって、積み重ね用開口部が後壁の前壁を越えて突出する部分に配置され、ウェブが少なくとも部分的に紙で形成されている包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したタイプの包装袋は、通常、「ウィケット袋」とも呼ばれ、このような包装袋は、複数の包装袋を積み重ね用開口部を通して積み重ねに結合できて、個々の包装袋は、その充填のために積み重ねから取り出せる。このような包装袋は、通常、衛生用品、例えばおむつ又は他の衛生用品の包装として使用される。おむつが包装されるとき、おむつはフィルム袋に挿入される前に押圧されるため、おむつは包装袋の中で膨張し、その後、袋の内側にぴったりと横たわり、これにより包装袋はほぼ長方形の形状のパッケージとして形成される。
【0003】
このような包装袋は、基本的に従来技術から知られていて、例えば特許文献1と特許文献2に記載されている。このような実施形態によれば、充填は袋の縁を開いて行われ、この縁には後壁の積み重ね用開口部も設けられている。袋が充填された後、袋は封止される。その後、積み重ね用開口部を持つ部分は分離されて、廃棄できる。
【0004】
このような包装袋は通常、熱封止可能な材料で作られている。特に、ポリエチレンフィルムのような熱可塑性フィルムは、袋の大きさにもよるが、40ミクロン(マイクロメートル)から80ミクロンの厚さを持つ。
【0005】
しかし、包装業界は、再生可能な原材料を主原料とし、及びリサイクルが容易な包装資材を使用する努力をますます強めている。このような背景から、紙の生産に必要な繊維が再生可能な原料に基づいているため、紙がこのようなウィケット付き袋の材料としてますます使用されるようになっている。
【0006】
特許文献3は、少なくとも紙の層及びその上に配置されたポリエチレンの封止層から形成される、上述のタイプの包装袋を教示している。三層構造も好ましく、外層は紙から形成され、及び内層はポリエチレンから形成される。そして、熱封止の継ぎ目の領域で内側の紙層にへこんだところを設け、封止層を介して熱封止の継ぎ目を形成できるようにする。
【0007】
リサイクル性を高めるために紙層を組み込む場合、残留ポリエチレンを紙層と共にリサイクルできるので、紙の割合が増加するにつれてリサイクル性がかなり改善されるという特別な特徴が生じる。全体として、ここでは少なくとも80重量%の紙の割合が目標とされ、それによって包装袋は紙の割合が高いために比較的硬く設計される。しかし、このような包装袋の角は通常底部で折り込まれるため、紙の割合が高いと復元力が高くなり、包装の寸法安定性が損なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】西独国特許出願公告第1291280号明細書
【特許文献2】独国特許発明第2312143号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第3687914号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景から、本発明は、一方では紙を高い割合で使って製造でき、同時に高い寸法安定性を持つ包装袋を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的及び課題の解決手段は、特許請求項1に記載の包装袋及び特許請求項14に記載の本発明による包装袋の使用である。
【0011】
したがって、前壁及び後壁が、上側の袋の縁に対向する下側の袋の縁に斜め角部を持つことは、本発明にとって重要である。包装袋の未充填状態では、この結果、包装袋の下端部は実質的に台形状となり、斜め角部は充填後に露出し、スタンドアップ底(自立するスタンド袋の底)の2つの三角形部を形成する。
【0012】
角部を斜めにすることで、充填状態でスタンドアップ底に余分な材料が配置されないことが保証される。これにより、一方では包装袋の寸法安定性が、他方ではスタンドアップ底の機能性がかなり改善される。
【0013】
このような実施形態は、前壁及び後壁が底マチを介して袋の底縁で互いに連結されている場合に特に有利である。このような実施形態によれば、包装袋は、1つのウェブのみを折り返して形成してよい。この目的のために、底マチがまずウェブに導入され、それから前壁が後壁に接合される。底マチがあることで、前壁と後壁が袋の底縁で継ぎ目なく接合され、前壁と後壁の接合強度が特に高くなる。底マチと面取りコーナーの統合の組み合わせは、一方では寸法的に安定し、同時に被包装物によって発生する荷重に対して安定した底部を作り出す。バッグの底部では、それから前壁及び後壁が折り目線を介して底マチに合体する。加えて、袋の底部を補強するために、横継ぎ目を折り目線に設けることもできる。
【0014】
前壁及び後壁と一体的に底部折り目を形成するのに替えて、別個の底部板を設けてもよく、この底部板は、接合継ぎ目、特に熱封止継ぎ目によって前壁及び後壁に接合され、底部板の領域は、その後、接合部において前壁及び後壁の領域を形成する。
【0015】
底マチを持つ実施形態は本発明の好ましい実施形態であるが、本発明はこれに限定されるものではない。もちろん、前壁及び後壁が、継ぎ目によって底縁で一緒に接合されることも本発明の範囲内である。
【0016】
さらなる1実施形態では、前壁と後壁との少なくとも一方は、横方向に延びる複数の二次横継ぎ目を介して底マチに接続されていて、複数の二次横継ぎ目は、それぞれに補償室が形成されるように、下側袋端部又は横継ぎ目から間隔を空けられている。それら二次横継ぎ目は、空気が袋の縁の外側に輸送される多数の貫通部を持つ。通常、縁には十分な空間があるため、これにより包装工程が大幅に簡素化される。これは、継ぎ目又は折り目のついた縁が破裂する原因となる底部中央の過度の圧力を避けるのに役立つ。しかし同様に、圧力の極点が外側で発生することもあり、その場合は空気が中心部に対して逆方向に流れ、底部の角が緩和される。
【0017】
好ましい実施形態によれば、紙の割合は少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%である。このように紙を高い割合で入れることによって、リサイクル性を実質的に改善できて、それによって、前壁及び後壁の剛性も紙の割合が増加するにつれて増加するので、包装袋の特別な設計も、もちろん特に効果的である。
【0018】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、ウェブは紙の層を備え、この紙の層は、包装空間に隣合う側に熱封止可能な材料からなる封止層で少なくとも部分的に被覆されている。これに対応して、前壁及び後壁は、内側に、対応するコーティングを持つ。原理的には、複数の紙の層を持つ多層設計も考えられるが、好ましい設計は、その上に配置された熱封止可能な材料からなる封止層を持つ1層の紙のみの組み合わせに限定される。
【0019】
熱封止可能な材料とは、熱の影響で溶融し、冷えると硬化する熱可塑性材料のことである。これにより、熱封止によって前壁及び後壁の接合が可能となる。これは、対応するコーティングがなければ不可能である。
【0020】
封止層は、単層又は多層の押出ラミネーション(押出コーティング)の形態で適用し得る。この場合、個々の層に異なるポリマー、例えば、3層PE/EVOH/PE(ポリエチレン、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン)の構造を使い得る。
【0021】
代替的に,封止層は,特に印刷工程を用いて,熱封止可能なラッカーの分散コーティングとして適用もし得る。本発明の文脈において,ラッカーは,好ましくは,薄層で適用され,化学的又は物理的プロセスによって連続的な固体フィルムを形成する液体コーティング材料を意味すると理解される。
【0022】
原則的に、前壁と後壁との少なくとも一方に部分的又は非全面的な封止層のみが設けられていれば、本発明の範囲内で十分である。その後、熱封止可能な材料は、対応する熱封止継ぎ目の形成が必要な場合にのみ適用される。
【0023】
代替的に、封止層が、包装空間に隣合う側で前記紙の層を完全に覆うことも考えられる。このような実施形態には、熱封止継ぎ目の位置決めに特に高い精度を求めなくてもよいという有利点がある。わずかな位置ずれがあっても、熱封止継ぎ目はしっかりと形成される。一方、熱封止可能な材料の完全な層を結合することで、水蒸気バリア性(水蒸気に対する障壁性能)もかなり向上する。おむつは体液を吸収できるようにするために高吸収性材料を持つので、包装がおむつの包装につかわれるときにこれが特に有利点である。もし包装袋が低い水蒸気バリア性しか持たなければ、保管時間が長くなるにつれて高吸水性材料が空気中の湿度を吸収するという結果になる。そうなると、保管条件が増大するので、迅速に販売して迅速に消費しなければならなくなる。気体、香り又は臭気バリアをこの上に追加的に組み込み得る。これは、例えば、おむつに香水をつけたり、ローションを染み込ませたりする場合に必要である。対応するバリア層は、特にEVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)から形成される。
【0024】
しかしながら、全表面封止層は、部分的なコーティングのみを持つ場合よりも実質的に高い割合の重合体部分を紙の層上に設けなければならないという問題をももたらす。したがって、封止層は、部分的なコーティングのみを持つ場合よりもはるかに薄くなければならない。
【0025】
薄いコーティングにもかかわらず接着に耐え得る熱封止継ぎ目を可能にするために、これらの継ぎ目は、好ましくは、厚いコーティングの場合よりも広く形成され、それによって接着面積が増大する。代替的に、両方の形態を組み合わせることも可能である。この場合、全面封止層及び熱封止可能な材料の追加層を紙層に適用する。このような実施形態は、主に水蒸気バリア性を高める役割を果たす。熱封止継ぎ目の形成が想定される領域では、追加層は熱封止可能な材料からなる層を厚くして接着強度を高める。さらに、特に応力のかかる部分、例えば角部に追加層を設けることも考えられる。熱封止可能な継ぎ目の幅は、位置に関係なく、2mmと10mmの間、特に4mmと6mmの間である。
【0026】
封止層用の熱封止可能な材料は、押出ラミネーションにより適用し得るし、追加層用の熱封止可能な材料は、押出ラミネーション又は分散コーティングにより適用し得る。分散液は、非常に薄く、特に1gsm(1平方メートル当たりのグラム数)から3gsmの坪量を持つように適用できるので、特に後者の変形態様(分散コーティング)は、異物の割合を低く保つのに有利である。加えて、このような実施形態では、典型的なバリア(障壁)材料も使い得る。そして、障壁層は、アクリルポリマー、アクリルコポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、スチレンブタジエンコポリマー、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、天然ワックス、合成ワックス、デンプン、チョーク、タルクを備える群からの1材料又は複数材料で形成し得る。
【0027】
このような実施形態に基づき、本発明は、好ましくは、前壁及び後壁が、長手方向封止継ぎ目を介して横方向縁部で互いに連結されることを、提供する。したがって、まず、ウェブを折り返して底マチを形成し、それから、前壁及び後壁をそれぞれ、縦方向封止継ぎ目によって横方向縁部で互いに接合できる。それから熱封止可能なコーティングがこれらの領域に予め適用されていなければならない。
【0028】
底部範囲では、底マチによって互いに分離された複数の底マチ部分が、傾斜した封止継ぎ目を介して、隣りの前壁又は隣りの後壁に、角部において連結されていることも、好ましくは提供される。未充填の平坦な包装袋から出発して、熱封止継ぎ目は、このようにして、横方向の縁に沿って及び斜め角部の領域に延在するが、(熱封止継ぎ目は)底マチが設けられているため底縁にのみ、また袋の開口部が設けられているので上縁にのみ熱封継ぎ目が設けられていない。
【0029】
斜め角部は、好ましくは40°から50°、特に好ましくは45°の角度を持つので、長手方向の継ぎ目及び隣りの傾斜継ぎ目は、それに応じて130°から140°、好ましくは135°の角度を囲む。
【0030】
原則的に、コーティング用の熱封止可能な材料としては、どのような材料でも使用できる。ポリオレフィンが主に使用され、好ましくはポリエチレン又はHDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE(リニアポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)又はEVA(エチレン酢酸ビニル)といったポリエチレンコポリマー又はそれらの混合物が使用される。
【0031】
使用される紙も、基本的には特に限定されない。好ましくはクラフト紙である。クラフト紙は、漂白又は未漂白の硫酸パルプから形成され、高い静的強度及び動的強度を持つ包装用紙であると理解される。
【0032】
好ましい実施形態によれば、紙の層は60gsmと120gsmの間、好ましくは70gsmと90gsmの間の坪量を持つ。熱封止可能な材料の坪量は、好ましくは1gsmと16gsmの間、好ましくは3gsmと10gsmの間である。全面にコーティングが施されている場合、熱封止可能な材料の坪量は2gsmと8gsmの間、好ましくは3gsmと7gsmの間である。全面コーティングの場合、熱封止可能な継ぎ目を形成するためにコーティングの厚い部分が設けられる場合、単位面積当たりの重量は、好ましくは8gsmと16gsmの間、より好ましくは10gsmと14gsmの間である。これは非全面コーティングにも適用する。
【0033】
好ましい実施形態では、包装袋は通気口を持つ。包装される商品、特におむつは、包装袋にぴったりと収まった状態に入れられるため、最初に包装袋に収容された空気が逃げなければならないので、これらの通気開口部は特に有利である。一方では、これによって迅速な充填が可能になり、また他方では、圧縮空気による内圧上昇によって熱封止継ぎ目に過度の圧力がかかるのを避けられる。
【0034】
好ましくは、これらの通気口は、熱封止継ぎ目の封止されていない部分によって形成される。特に、通気口は斜め封止継ぎ目に配置される。従って、各斜め封止継ぎ目は、空気が包装袋から逃げられる1つ又はそれより多くの封止されていない部分を持つ。このような実施形態は、ウェブの材料に突破口を持つ必要がないので、特に有利である。紙は一般に、ウェブの材料に既に弱いところがあると非常に破れやすいので、これは有利である。熱封止継ぎ目に包含部及び連結部を設けることにより、前壁又は後壁の材料を弱めることなく、通気口を形成できる。加えて、開口部は袋を持つとすぐに閉じ、本質的に立方体の形状になる。
【0035】
したがって、ウェブは、内面側だけでなく外面側にも熱封止可能な範囲を持つ。しかし、内面側とは対照的に、この範囲は外面側の全面に配置されず、特に平らな頭部範囲を形成する役割を果たす。封止の際、前壁は通常、横方向の封止継ぎ目によって接合され、前壁及び後壁の一部がそれ自体に折り畳まれた立方体形状を形成するために、対応する折り目が付けられなければならない。外側の熱封止可能な範囲は、熱封止可能なラッカーを持つ分散ラミネーションによって適用もし得る。
【0036】
熱封止可能な材料を持つ範囲は、それ自体に折り重なるように配置され、それから熱を加えることによって一緒に封止される。封止された範囲は、充填時に包装袋の上部に加えて接着強度と寸法安定性を提供する。
【0037】
本発明による包装袋は、好ましくは、150mmと500mmの間の幅及び200mmと700mmの間の長さを持つ。
【0038】
独立した意味を持つ別の観点によれば、角部を斜めにするのに替えて、複数の底マチ部分を側縁で一緒に固定することもあり得る。例えば、複数の底マチ部分は、熱封止可能な継ぎ目によって互いに接合できるように、熱封止可能な材料の少なくとも部分的なコーティングで形成してもよい。
【0039】
代替的に、底マチに1つ又はそれより多くの開口部を配置することもあり得る。この場合、前壁及び後壁を、底マチを通して結合できる。それから、底部も一緒に固定される。底マチに熱封止可能な材料を加えてコーティングする必要はない。
【0040】
加えて、既述の特徴の実質的に全てをこのような実施形態に関連付けし得る。
【0041】
本発明の目的はさらに、おむつの包装に請求項1から13のいずれか一項に記載の包装袋を使うことである。典型的には、この目的のために、複数の紙おむつが折り畳まれた状態で他の紙おむつの上に置かれ、一緒にフィルム包装に挿入される。
【0042】
さらに進んだ工程では、包装袋はそれから横方向の封止継ぎ目にて、頭部領域で封止される。前述の説明によれば、熱封止ラッカーを持つ範囲もそれから配置できて、互いに封止可能である。
【0043】
後壁の突出部は、未充填の包装袋の固定用のみを目的としているので、通常、横方向の封止継ぎ目が挿入された後は、さらに使うことはないので、包装袋から切り離される。
【0044】
本発明の特に好ましい実施形態では、おむつの入った包装袋は、閉じた後に実質的に立方体の形状を持つ。
【発明の効果】
【0045】
以下の図に示す、実施形態の例を参照して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1A】
図1Aは、本発明による、未充填状態の包装袋を示す。
【
図1B】
図1Bは、本発明による、未充填状態の包装袋を示す。
【
図3A】
図3Aは、長手方向の継ぎ目の領域における、本発明による包装袋を横断した断面図である。
【
図3B】
図3Bは、長手方向の継ぎ目の領域における、本発明による包装袋を横断した断面図である。
【
図4】
図4は、スタンド袋の底面を持つ、充填状態の本発明による包装袋を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1A及び
図1Bは、前壁1及び後壁2を持ち、平らに置かれてかつ中身が入っていない、本発明による包装袋を示す。後壁2は、前壁1に対向する部分3と共に、前壁1に向い合って、突き出ている。また、包装袋においては、突出部3に積み重ね用開口部4が配置されている。
【0048】
包装工程を大幅に簡略化するため積み重ね用開口部4が設けられているので、複数の包装袋を1袋ずつ重ねて配置されたものを棒などで把持できるようになっている。
【0049】
前壁1と後壁2は、縦方向の封止継ぎ目5によって横方向の縁で互いにつながっていて、この縦方向の封止継ぎ目5は、袋の底縁6で傾斜封止継ぎ目7に統合されている。ここでの特別な特徴は、傾斜継ぎ目7が前壁1と後壁2とを接続していないことである。むしろ、底マチ区間9と底マチ区間10を持つ底マチ8が設けられ、底マチ区間9は、傾斜封止継ぎ目7を介して前壁1に接続され、
図1A及び
図1Bではより詳細に示されていないが、底マチ区間10は後壁2に接続されている。
図1Aとは対照的に、
図1Bは、前壁1及び後壁2が、傾斜継ぎ目7によってのみならず、底マチ区間10に対する横継ぎ目19によってもつながっている実施形態を示す。
【0050】
傾斜継ぎ目7によって、包装袋は袋の底縁6に、斜め角部11(面取り角部、角を斜めにしたところ)を持ったものとして作れるようになる。その特別な特徴は、続く複数の図から明らかになる。
【0051】
図1A及び
図1Bを参照すると、さらに、前壁1の外面及び後壁2の外面に塗布された熱封止ラッカーを持つ領域12を特定可能である。さらに、
図1Aによる傾斜封止継ぎ目7及び
図1Bによる横継ぎ目19に配置された通気口13が設けられている。
【0052】
図2A、
図2B、
図2Cは、
図1Aの包装袋を作る製造工程を示す。この目的のために、機械方向MDに延在され、前壁1と、後壁2と、底マチ8をなす底マチ区間9、底マチ区間10とを既に持っている無端ウェブ14が提供される。さらに、積み重ね用開口部4は、ウェブ14に既に配置されている。
図2A、
図2B、
図2Cは、機械方向MDにおける包装袋の搬送及び製造を説明する。
図2Bでは、ウェブ14は折り返され、それによって底マチ8が作られる。さらにここで、熱封止ラッカーを持つ範囲12が、少なくとも前壁1に示されている。次に、
図2Cでは、長手方向の継ぎ目5及び斜め方向の継ぎ目7が熱封止され、その後、個々の包装袋がウェブ14から分離される。最終段階で、袋の底縁6の角を斜めにできる。
【0053】
本発明での包装袋は、少なくとも部分的に紙から作られる包装袋である。特に、目的は、少なくとも80重量%、特に好ましくは90重量%、非常に特に好ましくは95重量%の紙から形成される包装袋を作ることである。紙は再生可能な原料である。加えて、紙の可能な限り高い割合によって、良好なリサイクル性を確保できる。
図3A、
図3Bは、長手方向の継ぎ目5の領域における包装袋の断面を示すが、これらの図では、外側の側面に熱封止用ラッカーを持つ範囲12のより詳細な表現は省略されている。袋は特に紙の層15で構成されている。多層構造も考えられるが、図示の例では紙15は1層のみである。
【0054】
紙自体に熱封止機能はないので、封止層16の形で熱封止可能な材料を紙15の層に適用する必要がある。これにはさまざまな態様があり得る。特にポリエチレンが封止層16の熱封止可能な材料として使用されるが、このポリマーの割合は、先述の紙の含有率を高くするという目的のためには、できるだけ低く抑えることになる。
【0055】
図3Aでは、コーティング16は、したがって、熱封止継ぎ目、例えば、長手方向封止継ぎ目5又は傾斜封止継ぎ目7がその後に形成される範囲にのみ設けられる。包装袋は最終的に横方向の継ぎ目があるものとして閉じられるので、そこにも封止層16のコーティングが必要である。熱封止が行われない範囲では、封止層16は一般に省略可能である。
【0056】
紙は、とはいうものの、水蒸気を妨げる性能(水蒸気バリア性)が非常に乏しいので、
図3Bに示すように、全面に封止層16を設けることが有用であろう。ここで、このような包装袋がおむつの包装に頻繁に使用されることに留意しておく。この(おむつ包装用の上述の包装袋の)使用も本発明の範囲内である。紙おむつは特にそうであるが、他の衛生用品も高吸水性材料の高い割合を持っていて、この高吸水性材料は、その親水性特性のために環境からの湿気を吸収する傾向がある。従って、封止層16を薄く適用することにより、水蒸気バリア性をかなり高められる。
【0057】
全面配置のため、しかしながら、ポリマー材料の割合をできるだけ低く抑えるために、比較的薄い封止層16が目指される。しかし同時に、これが熱封止性又は適用する熱封止継ぎ目の安定性を損なう。原理的には、熱封止継ぎ目の幅を広くすることでこれを補える。
図3Bによる実施形態は、しかしながら、熱封止可能な材料からなる追加の層20が、部分的にのみ封止層上にコーティングされる実施形態を提供している。これにより、熱封止継ぎ目のために設計された、より厚い熱封止性材料の層を持つ領域と、熱封止継ぎ目が導入されない、より薄い熱封止性材料の層を持つ領域とが生じる。
図3Bはこの例、例えば突出部3における例を示す。
【0058】
したがって、熱封止継ぎ目によって大部分を(上述のことにもかかわらず)閉じられる包装袋が形成される。底縁6においてのみ、前壁1と後壁2とが底マチ8によって接合されている。傾斜継ぎ目7を持つ斜め角部11の有利点は、特に
図4で見られる。
図4は、
図1Bを持つ包装袋の一実施形態を示している。余分な材料が省略された結果、比較的硬い紙を使っても、本質的に立方体の構成を可能にする底部17が作られている。
図4による包装袋は、おむつを1枚ずつ重ねて入れてから、横方向の継ぎ目によって上部範囲18を閉じているものである。
【0059】
次の表は、全体がポリエチレンで形成された従来の包装袋と、80gsmの厚さを持ち、坪量を4gsm(1平方メートル当たりのグラム数)とするポリエチレンの封止層16を持つクラフト紙で形成された本発明による包装袋との比較を示す。封止層16は、クラフト紙の層全体に及んでいる。熱封止の継ぎ目の部分では、封止層16用の追加の材料は適用されなかった。その代わりに、対応する幅の熱封止継ぎ目が形成された。
【表1】
【0060】
比較値に基づいて、それら袋は類似の材料厚さを持つが、特に強度、靭性、及び封止継ぎ目の強度に関して互いに大きく異なることは明らかである。完全にポリエチレンで作られた袋の有利性にもかかわらず、本発明の範囲内で、十分に良好な材料特性を持ち、及びポリエチレンで作られた袋とは対照的に、かなりの程度まで再生可能な原料から製造された包装袋を提供できた。紙を持つことの不利な点、特に高い剛性は、斜め角部11を使うことで、所望の寸法安定性に関して排除されている。熱封止ラッカーを持つ領域12は、頭部範囲18を確実にかつ一定の形状で、閉じられるという事実にも有利に寄与する。
【0061】
図5及び
図6では、包装袋は斜め角部7を持たない。むしろ、底マチ8は、底マチ8の複数部分を連結することによって補強されている。
図5では、開口部21が底マチ8の複数部分に設けられていて、前壁1と後壁2が底マチを介して互いに封止されるようになっている。
図6によれば、底マチ区間9、底マチ区間10は、熱封止可能な材料のコーティングを持つので、封止継ぎ目22を介して互いに接合できる。
【0062】
図7A、
図7Bは、底マチ6(底マチ8)の代替的な実施形態を示し、この底マチ6(底マチ8)は、前壁1及び後壁2を持つ一体形成ではなく、別個の底板25を介して形成されている。接合は継ぎ目23を介して行われ、
図7Aでは、前壁1及び後壁2は下部接合部24でまっすぐになされていて、
図7Bでは、前壁1及び後壁2は下部接合部24で折り返されている。
【0063】
図7Aによれば、継ぎ目23はせん断応力を受けていて、及び
図7Bによれば、継ぎ目23は剥離応力を受けている。せん断応力は継ぎ目23にとって特に有利であり、より高い荷重を吸収できるからである。加えて、
図7Aによる設計は、より丸みを帯びた底部形状も作り出す。
【0064】
図8では、底マチの異なる1実施形態が提供され、前壁1と後壁2との少なくとも一方は、横方向に延びる複数の二次横継ぎ目26を介して底マチ区間9、底マチ区間10に接続されている。二次横継ぎ目26は、それぞれによって補償室27が作られるように横継ぎ目19から間隔を置いている。複数の二次横継ぎ目26には、空気が袋の縁の外側に出入りできる多数の突破口がある。通常、縁には十分な空間があるため、これにより包装工程が大幅に簡略化される。このことは、継ぎ目又は折り目のついた縁が破裂する原因となり得る、底部中央の過度の圧力の回避に役立つ。そうではあるものの同様に、圧力の極点が外側で発生することもあり、その場合は空気が中心部から反対方向に流れることで、底部の角を緩和できる。
【国際調査報告】