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  • 特表-ハイブリッドグラフェン電極 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】ハイブリッドグラフェン電極
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/30 20060101AFI20241126BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241126BHJP
   B82Y 30/00 20110101ALI20241126BHJP
【FI】
G01N27/30 B
H01L29/06 601N
G01N27/30 Z
B82Y30/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529811
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2024-05-17
(86)【国際出願番号】 KR2021016913
(87)【国際公開番号】W WO2023090478
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0158569
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524188332
【氏名又は名称】ナノジェネシス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム、チュン ソプ
(57)【要約】
本発明は、複数個の微細粒子(Micro Particle)と多層グラフェンが混合された構造を持つグラフェン複合体を構成し、前記微細粒子は金属または半導体粒子であり、前記多層グラフェン表面または内部に結着され、一部微細粒子は相互結合凝固され、前記多層グラフェンは複数層のグラフェンが積層されて任意の方向に曲げられている3次元構造を持ち、前記微細粒子間の空いた空間の一部は前記多層グラフェンが満たされて相互連結された構造であって、前記グラフェン複合体を介して電子の流れが発生するハイブリッドグラフェン電極に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の微細粒子(Micro Particle)と多層グラフェンが混合された構造を持つグラフェン複合体を構成し、
前記微細粒子は金属または半導体粒子であり、前記多層グラフェン表面または内部に結着され、一部微細粒子は相互結合凝固され、
前記多層グラフェンは複数層のグラフェンが積層されて任意の方向に曲げられている3次元構造を持ち、
前記微細粒子間の空いた空間の一部は前記多層グラフェンが満たされて相互連結された構造であって、
前記グラフェン複合体を介して電子の流れが発生する、
ハイブリッドグラフェン電極。
【請求項2】
前記微細粒子表面にグラフェンがコーティングされたことに特徴がある、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【請求項3】
前記グラフェン複合体は、光化学、光熱照射または熱処理工程によって生成されることに特徴がある、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【請求項4】
前記グラフェン複合体を介して外部電子の流入または放出が発生する、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【請求項5】
前記微細粒子は、金(Au)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC、SiCまたはSiCを含むSiC)、酸化シリコン(SiOまたはSiOを含むSiO)、銀(Ag)、銅金属表面に銀(Ag)でコーティングされたことに特徴がある、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【請求項6】
前記グラフェン金属複合体で電気化学反応を利用して特定ターゲット物質を検出する、請求項1に記載の電気化学センサー用ハイブリッドグラフェン電極。
【請求項7】
前記グラフェン複合体にリチウム(Li)イオンが結合および分離されて充電および放電が進行される、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッドグラフェン電極に関し、より詳しくは、微細粒子とグラフェンの架橋結合による3次元構造形成およびこのような構造的特徴による高い電気伝導性特性であって、低濃度の抗原に対して選択性および特異性に優れ、特に、認知症特異抗原の検出のための免疫センサーに最適化された認知症特異抗原ハイブリッドグラフェン電極に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンは、電気的、機械的、化学的特性が非常に安定的且つ優れるだけでなく、優れた導電性物質であって、シリコンより約100倍速やかに電子を移動させ、銅よりも約100倍程さらに多くの電流を流すことができる物質であって、その製造および応用に関する研究が活発に進行されている。
【0003】
これを応用したバイオセンサーとして、抗原-抗体結合を基盤とする免疫センサーに活用されることができる。免疫センサーは、バイオマーカーのように臨床診断で疾病と関連した物質を感知するのに広く使用されている。抗原に対する抗体の特異結合のため、抗体は特にバイオマーカーを検出するために免疫センサーの表面などに固定されて利用される。
【0004】
例えば、前立腺がんマーカー(marker)として、前立腺特異抗原(prostate specific anteigen、PSA)は、前立腺がんのスクリーニング、診断および治療に広く利用される。前立腺特異抗原は、前立腺の上皮細胞で合成されて分泌される酵素であって、一般人の場合、0~4ng/ml(ミリリットル)で測定されるが、前立腺がんの患者では濃度がさらに高く測定される。よって、前立腺特異抗原に対する選択性、特異性および敏感性などに優れている免疫センサーは、前立腺がんの早期診断と予防に有用に利用されることができる。
【0005】
免疫センサーは、サンドイッチ型(sandwich-type)免疫センサーと非標識(label-free)免疫センサーの2種類がある。サンドイッチ型は、基材表面に抗原と結合することができる一次(primary)抗体が固定され、前立腺特異抗原と結合することができる標識された抗体(labeled antibody)が二次(secondary)抗体として使用される。サンドイッチ型では、一次および標識された二次抗体を使用することで抗原-抗体結合効率、選択性、敏感度および信号増幅効果を得ることができる。これとは異なり、非標識免疫センサーは、抗原-抗体結合をすぐ測定することができ、便宜性、迅速性および敏感度などに優れているだけでなく、コストが節減されて経済性に優れ、注目するに値するバイオマーカー検出分析道具である。
【0006】
さらに良い非標識免疫センサーの開発のために、生体適合性および電子移動に優れている性質を有するグラフェンを利用したグラフェン基盤複合体が電極材質として注目されている。それで、バイオセンサーなどにグラフェンを適用する研究が活発に行われており、グラフェンが極めて高い敏感度を有する電気化学的バイオセンサーの開発に効果的に寄与することができると知られている。
【0007】
韓国登録特許第1400976号においては、還元されたグラフェン酸化物層に分子リンカーを連結し、金属ナノ粒子層を加えたバイオセンサーを開示しているが、水平的構造になっていることから3次元構造ではなく分子リンカーが制限され、韓国登録特許1339403においては、還元グラフェン酸化物-金属ナノ粒子複合フィルムを開示しているが、これをバイオセンサーとして利用することができる可能性程度だけが提示されたものと見られる。
【0008】
よって、本発明者らは、光化学および光熱照射を利用して製造した3次元形態の微細粒子-グラフェン複合体を開発し、これを基盤とした免疫センサーは、選択性、特異性、経済性だけでなく、高い敏感度を有し再現性に優れている特徴がある。本発明は、特に、認知症特異抗原の検出に非常に効果的な免疫センサーに応用されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、微細粒子とグラフェンの架橋結合による3次元構造形成およびこのような構造的特徴による高い電気伝導性特性を利用して、低濃度の抗原に対して敏感度および特異性に優れ、特に、認知症特異抗原の検出のための免疫センサーに最適化した認知症特異抗原免疫センサー用ハイブリッドグラフェン電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記のような問題を解決するために、本発明は、複数個の微細粒子(Micro Particle)と多層グラフェンが混合された構造を持つグラフェン複合体を構成し、前記微細粒子は金属または半導体粒子であり、前記多層グラフェン表面または内部に結着され、一部微細粒子は相互結合凝固され、前記多層グラフェンは複数層のグラフェンが積層されて任意の方向に曲げられている3次元構造を持ち、前記微細粒子間の空いた空間の一部は前記多層グラフェンが満たされて相互連結された構造であって、前記グラフェン複合体を介して電子の流れが発生する、ハイブリッドグラフェン電極を提供する。
【0011】
また本発明は、前記微細粒子表面にグラフェンがコーティングされたことに特徴がある、ハイブリッドグラフェン電極を提供する。
【0012】
また本発明は、前記グラフェン複合体は、光化学、光熱照射または熱処理工程によって生成されることに特徴がある、ハイブリッドグラフェン電極を提供する。
【0013】
また本発明は、前記グラフェン複合体を介して外部電子の流入または放出が発生する、ハイブリッドグラフェン電極を提供する。
【0014】
また本発明は、前記微細粒子は、金(Au)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC、SiCまたはSiCを含むSiCX)、酸化シリコン(SiOまたはSiOを含むSiO)、銀(Ag)、銅金属表面に銀(Ag)でコーティングされたことに特徴がある、ハイブリッドグラフェン電極を提供する。
【0015】
また本発明は、前記グラフェン金属複合体で電気化学反応を利用して特定ターゲット物質を検出する、電気化学センサー用ハイブリッドグラフェン電極を提供する。
【0016】
また本発明は、前記グラフェン複合体にリチウム(Li)イオンが結合および分離されて充電および放電が進行される、ハイブリッドグラフェン電極を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明である微細粒子(Micro Particle)とグラフェンの架橋結合による3次元構造のハイブリッドグラフェン電極は、構造的特徴による高い電気伝導性特性を利用して、低濃度の抗原に対して敏感度に優れ、特に、認知症特異抗原の検出のための免疫センサーに最適化された特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1a】本発明であるハイブリッドグラフェン電極のステップ別SEM写真および概念図である。
図1b】本発明であるハイブリッドグラフェン電極のステップ別SEM写真および概念図である。
図1c】本発明であるハイブリッドグラフェン電極のステップ別SEM写真および概念図である。
図1d】本発明であるハイブリッドグラフェン電極のステップ別SEM写真および概念図である。
図1e】本発明であるハイブリッドグラフェン電極のステップ別SEM写真および概念図である。
図2】本発明であるハイブリッドグラフェン電極(グラフェン金属複合体)と金属電極、グラフェン電極の電気伝導性特性を測定して比較したグラフである。
図3】本発明であるハイブリッドグラフェン電極、グラフェン電極、金属電極に対して電気化学測定物質(PAP)の濃度による測定電流を示すグラフである。
図4】本発明であるグラフェン金属複合体電極、グラフェン電極、金属電極に対して同じ濃度のPAPに対して測定した電流信号の差を示す図面である。
図5】本発明であるハイブリッドグラフェン電極を利用したインターディジテッド電極(IDA)を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施例を詳しく説明することにする。まず、本発明を説明するに当たり、関連した公知機能または構成に対する具体的な説明は、本発明の要旨を曖昧にしないようにするために省略する。
【0020】
本明細書において使用される程度の用語「約」、「実質的に」などは、言及された意味に固有の製造および物質許容誤差が提示されるとき、その数値でまたはその数値に近接した意味で使用され、本発明の理解を助けるために正確または絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0021】
本発明は、微細粒子(Micro Particle)とグラフェン複合層が混合された構造を持つグラフェン複合体を構成し、前記グラフェン金属複合体を介して電子の流れが発生するハイブリッドグラフェン電極に関する。
【0022】
図1a~図1eは、本発明であるハイブリッドグラフェン電極のステップ別SEM写真および概念図である。(a)は、本発明の一例である銀(Ag)微細粒子を示す写真であって、球形状の粒子径は約5μmを有する。(b)は、光化学、光熱照射または熱処理工程を使用して銀(Ag)微細粒子の表面が溶融された状態で隣接微細粒子と結合凝固された写真である。一部微細粒子は連結されておらず空いた空間が形成されたことに特徴がある。(c)は、光化学および光熱反応後グラフェン(多層グラフェンが3次元構造で曲げられる)に関する写真である。
【0023】
グラフェンは、炭素の同素体のうち1つであり、炭素原子が集まって2次元平面を成している構造である。各炭素原子は、六角形の格子を成し、六角形の頂点に炭素原子が位置している模様である。ナノサイズでは、2次元平面のグラフェンが重なるか、曲げられた構造で不規則的な形状が特徴である。
【0024】
前記微細粒子は、金(Au)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC、SiCまたはSiCを含むSiC)、酸化シリコン(SiOまたはSiOを含むSiO)、銀(Ag)、銅金属表面に銀(Ag)でコーティングされたことを含む。
【0025】
また、半導体粒子は、半導体(semiconductor)材料に該当する粒子で、常温で電気伝導率が銅のような導体とガラスのような不導体(絶縁体)の中間程度の物質であって、半導体に電圧や熱、光の波長などを加えると伝導度が変わる性質があるすべての物質を含む。主に、固有半導体であるシリコン(Si)粒子を言う。それ以外に非固有半導体として、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)が混合されたものも含まれる。
【0026】
前記グラフェン複合層がグラフェンと半導体であるシリコン粒子で形成される場合には、リチウムイオンがグラフェンとシリコン粒子に結合および分離する過程で充電および放電が進行されるバッテリー陰極材として活用される。
【0027】
(d)は、本発明のハイブリッドグラフェン電極のSEM写真であって、光化学または光熱照射によって微細粒子は前記グラフェン複合層表面または内部に結着されることができ、一部微細粒子は相互結合凝固されることができる固定された構造を示している。
【0028】
(e)は、前記(d)の光化学または光熱反応で製造されたグラフェンが銀(Ag)微細粒子の空いた空間(b)に位置して固定された構造を示す概念図である。前記銀(Ag)微細粒子がグラフェン複合層内部または外部に結着されることができ、前記概念図には表示されていないが、銀(Ag)微細粒子の不規則な位置によって一部微細粒子は相互結合凝固されることができる。
【0029】
また、前記銀(Ag)微細粒子は、光化学または光熱反応で表面にグラフェンコーティングが生成されることができる。図1(e)で粒子表面に網でグラフェンコーティング構造が示されている。
【0030】
既存グラフェンの場合、高温工程を始めとして複雑な過程が必要であるが、光熱または光化学合成グラフェンはワンステップ工程で比較的簡単に合成することができる。
【0031】
図2は、本発明であるハイブリッドグラフェン電極(グラフェン金属複合体)と金属電極、グラフェン電極の電気導電性特性を測定して比較したグラフである。金(Au)薄膜で製作された電極の場合に比べ、グラフェン電極は測定された電流信号がさらに大きくなるようになる。
【0032】
これは、多孔性構造によって電極の表面積が広く、グラフェンを介して電子の流入および放出に優れ、電気化学反応で発生する電子の流れがさらに大きいためである。
【0033】
グラフェン金属複合体電極の場合には、グラフェン電極の長所を全て有するとともに金属粒子により導電性が良好になり、電極の抵抗が非常に低くなるようになる。
【0034】
したがって、3種類の電極を利用して電気化学信号を測定するとき、グラフェン金属複合体電極で測定するとき最も大きい電流信号を発生させるようになる。
【0035】
このとき、敏感度は、測定電流信号(signal)の絶対値が大きいほど優れる。したがって、本発明のグラフェン金属複合電極は、グラフェンの広い表面積と電子の吸収および放出による電気化学反応をより効率的に発生させる特性と金属粒子の低い抵抗の長所が活用されれば発生する信号のSNR(Signal to Noise Ratio)が非常に大きいことから、低い濃度のターゲット物質まで検出することができる特徴がある。
【0036】
この技術は、光化学および光熱反応で3D多孔性グラフェンを得ることができる。この技術は、湿式化学ステップなしに3Dグラフェン製造およびパターン化を単一ステップに進行することができる長所がある。
【0037】
また、本発明の銀(Ag)微細粒子は、銅金属表面に銀(Ag)でコーティングして使用することができる。銀粒子が導電性に優れるが、費用などを考慮すると、コーティングで使用しても粒子の表面が導電性に貢献度が大きいことに鑑みると、好ましい構造であり得る。
【0038】
図3は、本発明であるハイブリッドグラフェン電極、グラフェン電極、金属電極に対して電気化学測定物質(PAP)の濃度による測定電流を示すグラフである。それぞれの電極に対して、PAP濃度によって電流信号の大きさがますます大きくなるようになる。また、同じ濃度のPAPに対して、金属電極に比べて表面積と電子流入および放出の長所があるグラフェン電極の信号がさらに大きくなり、グラフェン電極に対比して抵抗が小さなグラフェン金属複合電極の信号がさらに大きく測定されることが分かる。
【0039】
本発明であるハイブリッドグラフェン電極は、グラフェン金属複合体素材でインターディジテッド電極(IDA)を製作することができる。グラフェン金属複合体で電気化学反応を利用して特定ターゲット物質を検出する電気化学センサーとして使用されることができる。
【0040】
インターディジテッド電極(IDA)の指形の両電極の間で電気化学反応によって電子が移動しながら電流を作り出す特徴がある。インターディジテッド電極(IDA)を利用して電気化学酵素-連結免疫吸着分析(ELISA)測定を使用すると、アルツハイマー病の初高感度電気化学検出をすることができる。
【0041】
米国国立老化研究所とアルツハイマー協会(National Institute of Aging and Alzheimer Association、NIA-AA)は、アルツハイマーバイオマーカーで脳と脳脊髄液のアミロイドベータ(Amyloid beta、Aβ)Aβ-40およびAβ-42と神経細胞損傷を反映する脳脊髄液タウタンパク質(total tau protein、t-tau)とリン酸化タウタンパク質(phosphorylated tau protein、p-tau)を提示した。Aβ-42およびAβ-40とt-tauおよびp-tauを電気化学的に測定するために、アルカリ性ホスファターゼ(AP)は、一般的にELISAに対する酵素標識として使用される。APは、二次抗体に貼り付いており、アルツハイマーバイオマーカーが多いほどさらに多くのAP酵素が固定化されてさらに大きい電気化学信号を発生する。電気活性酵素-基質p-アミノフェニルホスフェート(PAPP)は、酵素生成物との化学反応で発生して電気活性生成物p-アミノフェノール(PAP)を生成する。PAPは、MHGインターディジテッド電極(IDA)表面でp-キノンイミン(PQI)で酸化された後、PQIがPAPで還元されてPAPの酸化還元周期を招く。アルツハイマーバイオマーカーの濃度が増加すれば、反応チャンバにさらに多くのAP酵素が固定されて電気化学的信号を増加させる。
【0042】
前記のような原理を利用して、初期アルツハイマー診断で電気活性生成物p-アミノフェノール(PAP)の測定は重要であり、非常に少ない量を区分できる電極として本発明のハイブリッドグラフェン電極を応用することができる。
【0043】
したがって、ハイブリッドグラフェン電極の微細粒子の形状は、電気活性生成物p-アミノフェノール(PAP)の測定の敏感度に影響を及ぼし、銀(Ag)微細粒子の球形状が最も敏感度に優れることが分かる。
【0044】
また、PAP分子の濃度が増加し、PAP分子の酸化還元周期も増加し、結果的に、電流はMHGインターディジテッド電極(IDA)によって測定されたものと線形的に増加する。
【0045】
図4は、本発明であるグラフェン金属複合体電極、グラフェン電極、金属電極に対して同じ濃度のPAPに対して測定した電流信号の差を示す図面である。本発明であるグラフェン金属複合体電極の電流信号が比較電極に比べてさらに大きい信号を発生させて、SNR(Signal to Noise Ration、信号対雑音比)が比較電極に比べてさらに大きいことが分かる。
【0046】
図5は、本発明であるハイブリッドグラフェン電極を利用したインターディジテッド電極(IDA)を示す図面である。
【0047】
以上において説明した本発明は、前述の実施例および添付の図面により限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形および変更が可能であることは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって明白であろう。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の微細粒子(Micro Particle)と多層グラフェンが混合された構造を持つグラフェン金属複合体を構成し、
前記微細粒子は金属または半導体粒子であり、前記多層グラフェン表面または内部に結着され、一部微細粒子は相互結合凝固され、
前記多層グラフェンは複数層のグラフェンが積層されて任意の方向に曲げられている3次元構造を持ち、
前記微細粒子間の空いた空間の一部は前記多層グラフェンが満たされて相互連結された構造であって、
前記グラフェン金属複合体を介して電子の流れが発生する、
ハイブリッドグラフェン電極。
【請求項2】
前記微細粒子表面にグラフェンがコーティングされたことに特徴がある、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【請求項3】
前記グラフェン金属複合体は、光化学、光熱照射または熱処理工程によって生成されることに特徴がある、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【請求項4】
前記グラフェン金属複合体を介して外部電子の流入または放出が発生する、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【請求項5】
前記微細粒子は、金(Au)、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC、SiCまたはSiCを含むSiC)、酸化シリコン(SiOまたはSiOを含むSiO)、銀(Ag)、銅金属表面に銀(Ag)でコーティングされたことに特徴がある、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【請求項6】
前記グラフェン金属複合体で電気化学反応を利用して特定ターゲット物質を検出する、請求項1に記載の電気化学センサー用ハイブリッドグラフェン電極。
【請求項7】
前記グラフェン金属複合体にリチウム(Li)イオンが結合および分離されて充電および放電が進行される、請求項1に記載のハイブリッドグラフェン電極。
【国際調査報告】