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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】電子ビーム偏向器
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/147 20060101AFI20241126BHJP
   H01J 37/09 20060101ALI20241126BHJP
   H01J 37/315 20060101ALI20241126BHJP
   B23K 15/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
H01J37/147 E
H01J37/09 Z
H01J37/315
B23K15/00 503
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531240
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 GB2022052882
(87)【国際公開番号】W WO2023094795
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】2117009.7
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518436249
【氏名又は名称】アクアジウム・テクノロジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AQUASIUM TECHNOLOGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オファーレル,アレックス
【テーマコード(参考)】
4E066
5C101
【Fターム(参考)】
4E066BA06
4E066BB05
4E066BE08
4E066CA15
5C101AA31
5C101BB03
5C101BB07
5C101EE22
5C101EE45
5C101EE63
5C101EE69
(57)【要約】
電子ビーム溶接に用いられる電子ビーム偏向器(32)が提供される。偏向器(32)は、電子ビーム(14)が溶接箇所に移動することを可能にする少なくとも1つの経路(36)を規定する面状体(32)を備える。少なくとも1つの経路(36)の内部には、電磁コイルの形をとる少なくとも1つの偏向素子(44)が配置され、電磁コイル(44)は、電子ビーム(14)がワークの溶接箇所に対して略直交して入射するように電子ビーム(14)を偏向するために、電子ビームの進行方向を修正するように構成される。面状体(32)は、別個のベース部(40)と蓋部(42)とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビーム溶接に用いられる電子ビーム偏向器であって、
電子ビームが通過可能な少なくとも1つの経路を規定する面状体を備え、
前記少なくとも1つの経路の内部には、少なくとも1つの偏向素子が配置され、
前記少なくとも1つの偏向素子は、電子ビームの進行方向を修正するように構成されている、電子ビーム偏向器。
【請求項2】
前記偏向素子は、電子ビームがワークの溶接箇所に対して略直交して入射するように、電子ビームを偏向するように構成されている、請求項1に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項3】
真空内に設置可能に構成されている、請求項1または2に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項4】
複数の経路をさらに備え、
前記複数の経路の各々の経路の内部には、少なくとも1つの偏向素子が配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項5】
前記各々の偏向素子は、前記電子ビームの非偏向軸からの距離に依存した磁界強度および磁界方向を有している、請求項4に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項6】
前記複数の経路は、アレイとして配置されている、請求項4または5に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項7】
前記複数の経路は、ずれたアレイとして配置されている、請求項4から6のいずれか1項に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項8】
前記面状体は、互いに連結可能な蓋部と別個のベース部とを備えている、請求項1から7のいずれか1項に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項9】
前記各々の経路は、前記ベース部の内部に形成され、前記ベース部の内部に形成された溝が互いに連結される、請求項8に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項10】
前記蓋部には、前記ベース部の内部の経路の位置に対応する部分に開口が設けられている、請求項8または9に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項11】
前記各々の経路の内部に位置する複数の偏向素子をさらに備え、
前記複数の偏向素子の各々は、電子ビームの種々の性状を修正するように構成されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の電子ビーム偏向器。
【請求項12】
前記各々の偏向素子は、電磁コイルを備える、請求項1から11のいずれか1項に記載の電子ビーム偏向器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム偏向器に関し、特に、電子ビーム溶接に用いられる偏向器に関する。
【背景技術】
【0002】
一日に数千の部品を生産する際に精度が高くかつ入熱量が小さい溶接が要求される、自動車やセンサのような市場においては、大量生産のために電子ビーム溶接が用いられる。そのような大量生産の環境において選ばれる技術が電子ビームである理由は、一般に、電子ビームの偏向速度が速いからである。
【0003】
電子ビームの熱エネルギーが複数の部品に作用している間にそれらが動いたり歪んだりしないようにそれら同士を固定するためには、工具または治具が一般に用いられる。そのような工具は、固定するために十分な機械的強度を保証するためにしばしば大型になり、その結果、そのような工具は、電子ビームが部品の溶接面に向けて真っ直ぐ進行することを妨げる。これは、広範囲にわたって多くの溶接が必要であり、かつ、高品質な溶接を保証するために電池同士の接続部を十分に固定する必要がある、車両用の電池の溶接が実現される場合において、特に問題になる。機械的な動作を用いることで部品を排気された溶接室内で動かしたり、加工されている部品から電子銃を遠ざけたりするといった解決策が試されているが、この解決策は、部品の位置の調整を複雑にし、かつ、より大型の真空容器を必要とし、結果として加工のサイクルタイムを大幅に増加させてしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、電子ビーム溶接に用いられる電子ビーム偏向器が提供される。偏向器は、面状体を備えている。面状体は、電子ビームが当該面状体を通過して溶接箇所にまで到達することを可能にする少なくとも1つの経路を規定している。少なくとも1つの経路の内部には、少なくとも1つの偏向素子が配置されており、少なくとも1つの偏向素子は、電子ビームの進行方向を修正するように構成されている。そのような偏向器は、溶接が行なわれる真空容器の内部に配置可能であり、電子ビームを発生させる銃カラムの外部で電子ビームを局所的に偏向させる。
【0005】
好ましくは、偏向素子は、電子ビームがワークの溶接箇所に対して略直交して入射するように、電子ビームを偏向するように構成される。
【0006】
好ましくは、電子ビーム偏向器は、真空容器の内部のうちの、溶接されるワークの近傍の位置に設置可能に構成され、典型的には、溶接されるワークを固定する治具の上端に設置可能に構成される。また、好ましくは、電子ビーム偏向器は、面状体の内部のあらゆる空気を排気可能な通気孔を含んでいる。
【0007】
偏向器は、さらに複数の経路を備えてもよく、各々の経路の内部に少なくとも1つの偏向素子が配置される。
【0008】
複数の経路は、アレイとして配置されていてもよく、典型的には、ずれたアレイとして配置されていてもよい。
【0009】
好ましくは、各々の偏向素子は、電子銃から発生された電子ビームの非偏向軸からの距離に依存した磁界強度および磁界方向を有している。
【0010】
面状体は、互いに連結可能な蓋部と別個のベース部とを備えていてもよい。これにより、面状体内における偏向素子の設置が行ない易くなるとともに、偏向素子と電子部品との間の電気的接続が容易になる。
【0011】
好ましくは、各々の経路は、ベース部の内部に形成され、当該ベース部の内部に形成された溝が互いに連結される。これにより、ベース部の至る所に電線を配索し易くなるとともに、偏向素子同士の電気的接続および偏向素子と外部電源との電気的接続を、電線を用いることで実現可能になる。
【0012】
好ましくは、蓋部には、ベース部の内部の経路の位置に対応する部分に開口が設けられている。
【0013】
その経路の内部には、または、各々の経路の内部には、複数の偏向素子が配置されてもよく、各々の偏向素子は、電子ビームの種々の性状を修正するように構成されていてもよい。これにより、方向、焦点、および/またはビーム幅を調整する偏向素子が提供される。
【0014】
好ましくは、各々の偏向素子は、電磁コイルを含む。
本発明は、添付の図面を参照して、例示的に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】電子ビーム溶接装置の模式図である。
図2】偏向板の平面図である。
図3】実施の形態1に係る偏向板の分解部分図である。
図4】実施の形態2に係る偏向板の部分断面図である。
図5】実施の形態3に係る偏向板の部分断面図である。
図6】偏向板の試験装置の模式図である。
図7】ビーム分析室が設けられた偏向板の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
説明
電子ビーム溶接装置10は、図1に模式的に示されており、電子ビーム14を発する電子ビーム銃12と、銃12の内部に配置され、電子ビーム14の特性を修正したり、電子ビーム14の位置を、銃12の中心を通過する軸経路に対応する中央の非偏向軸から遠ざけるように調整したりする、焦点素子16、高速焦点素子18および高速偏向素子24とを備えている。一例としての偏向ビーム20,20’,20’’に示すように、ビーム14の位置は、さまざまな位置にて溶接できるように素子16,18,24によって調整されている。溶接されることが必要なワーク26は、容器22の内部に配置されている。このワーク26の一例としては、複数の個々の電池セル28に対する溶接接続を必要とする自動車用電池が挙げられる。
【0017】
電池26は、その位置が工具または固定用治具30によって強固に固定されている。偏向板32の形をとる面状体は、ワークである電池26の真上に位置するように、容器22の内部において固定用治具30上に載置されている。図2に示すように、板32には、セル28に関連付けられかつ板32の下方に位置する溶接箇所に電子ビーム14が衝突するように、複数の経路36として板32を貫通して延在する複数の円形状の開口34が形成されている。典型的には、固定用治具30には、溶接の際にセル28に到達できるように、開口された線状の複数の経路が形成されている。
【0018】
図3に示すように、偏向ビーム20,20’、20’’が板32に到達したときにこれらを局所的に偏向させるために、板32の各経路36の内部には、少なくとも1つの、円筒状の電磁コイル44などの電子ビーム偏向素子が配置されている。板32には、局在化された磁界をコイル44が発生できるように当該コイル44に電力を供給するために、外部電源38が接続されている。
【0019】
そのような偏向板が用いられない先行技術の溶接においては、電子ビーム14は、非偏向ビーム14と一致する軸の直下に位置する溶接箇所を除く全ての溶接箇所に対して若干の角度だけ傾斜して衝突し、これによって溶接品質が損なわれる。偏向板32は、容器22の内部のうちの、電池26の近傍かつ銃12の構造体の外側の位置において、電子ビームの進行方向を局所的に補正する。板32は、電子ビーム20,20’、20’’が各電池セル28における溶接箇所に対して略直交するように向かうことを保証することで高品質な溶接を保証できるように、これらの進行方向を修正する。ワークが不規則な表面を有するように構成されている場合には、板32の内部および溶接箇所の近傍に位置する偏向素子は、電子ビームが経路36に沿って若干軸から外れて進行することで当該電子ビームが不規則な表面に対して略直交して衝突するように、当該不規則な表面に応じて調整可能である。
【0020】
図3には、板32の分解図が示されている。板32は、ベース部40と蓋部42とを備えており、典型的には10mmから30mm程度の厚みを有している。ベース部40には、内部に電磁コイル44が配置された複数の経路36が形成されている。ベース40は、開口が設けられた蓋部42によって覆われており、明確にするために蓋部42はそのわずかな部分しか図示されていない。コイル44は、円筒状のコイル芯46とフェライトリング48とを備えており、典型的には15mmから25mmの直径を有している。蓋部42に設けられた開口52は、典型的には10mmから20mm程度の直径を有しており、電子ビームのために貫通した経路を提供するために経路36と一直線に並んでいる。経路36は、ベース部40の内部に設けられた溝54によって相互に連結されており、これにより、コイル44と2つのバイパス電位差計56との間にケーブルを通すことが可能になる。別個の蓋部は、ベース部40の内部におけるコイル44の挿入と配線とを簡素化することができる。電位差計56は、典型的にはデジタル処理で応答するものであり、これにより、ひとたび蓋42がベース40に固定されても容易に調整することができる。溶接の準備のために容器22が排気されるときに板32の内部領域を排気できるように、蓋部42には排気孔が設けられている。
【0021】
電子ビーム14が板32を通り抜けるために当該電子ビーム14に局所的な調整が要求されるかに応じて、図3に示すように各経路36の内部において単一の電磁コイル44を偏向素子として用いたり、あるいは、図4および図5に示すように複数のコイルを偏向素子として用いたりすることができ、こうして、異なる形式のコイルによってビームの整形と焦点の制御とを行なうことが可能になる。
【0022】
図4に示すように、円筒状の偏向コイル60は、円筒状の焦点コイル62および円筒状の振動コイル64と協働して用いられており、それらコイルは、配線70によって電位差計トリマ72に接続されているとともに、そこから、偏向板32に関連付けられた電気入力に接続されている。電磁コイルの位置は、スリーブ68によって固定されている。スリーブ68は、電子ビームを透過させる材質からなり、たとえば、パースペックスからなる。配線の必要量を低減するために、典型的には、電磁コイル44は1つまたはそれ以上の群において直列につながれる。
【0023】
各偏向素子の位置に追加されたビーム振動偏向素子64を有することにより、銃12内に設けられた主高速偏向システムは、振動偏向器を省略することができる。こうして主電子銃偏向システムに必要とされる帯域幅が低減されることにより、位置精度を向上させることができるとともに、より多くの部品を広範囲にわたって誤りなく溶接することができる。
【0024】
図5に示される他の板構造にあっては、円筒状の偏向コイル60に円筒状の無非点収差コイル80が組み合わされている。無非点収差ビームの形状は、ビームの品質を改善するとともに、電子ビーム銃12が無非点収差を動的に変更する必要がなくなることを保証したり、または、各部品の位置に合わせてビーム14が再配置されるように電子ビーム銃12がビームの焦点調節を高速で行なうことを保証したりする。ビーム整形が可能な偏向素子を、電子ビーム銃12の内部の代わりに板32の内部に設けることにより、電子銃制御システムに必要な帯域幅が低減され、結果として、高速では制御することが容易ではないビーム整形システムが、一般に、偏向システムに比べてより高いインダクタンスを有することになる。
【0025】
開口34およびこれに関連付けられた経路36は、典型的には、図2に示すように、ずれたアレイで提供されており、そのアレイは、各々が5つの開口を含む5つの列を有し、各列は、一つおきの列の開口同士が水平配列されるように、隣接する列から一定間隔ずれて配列されている。板32のサイズおよび形状と当該板32に設けられる開口の数とは、溶接されるワークの性質と、調整が必要な、ワーク26上の溶接箇所の数および間隔とに応じて変更されると理解される。
【0026】
各電磁コイル44から発生される磁界強度および磁界方向は、中央の非偏向軸から板の開口34までの、電子ビーム14の移動距離および傾きに依存している。図1からわかるように、3つの分散された部品溶接箇所のための電子ビーム14の3つの分散された位置20,20’、20’’において、入射角度は相違している。典型的には、板32の内部に配置された電磁コイルのうち、非偏向軸から最も遠い位置に配置されたものは、最も大きい磁界を発生させるためにコイルの巻き数が最も多くなる。その余のコイルは、最も遠い位置における磁界に比例する磁界を提供するように、また、銃12から出発したときの電子ビーム14の非偏向軸に対応する中心点90においては典型的には磁界が必要とされないように巻かれる。
【0027】
一例として、図2には、各経路に配置された種々の電磁コイルにおけるコイルの巻き数およびこれに起因する磁界強度と、紙面に対して垂直な方向からの視野における開口内の個々の巻き数の配置によって示される如くの、上記種々の電磁コイルの相対的な回転とが示されている。こうして、機械の中心および非偏向ビームの位置からの溶接箇所の距離が増加するにつれて偏向素子の磁界強度が増加するように、各々の偏向素子44の磁界強度が設定されている。偏向された電子ビームの角度に対して偏向が補正されることを保証するために、そして、電子ビームが部品28に対して最も垂直に立設する角度で治具30を通過することを保証するために、各偏向素子44は、それらの磁界の回転および磁界の強度を調整するための調整可能な微細な制御設定を有することができる。電磁コイルに代えて、静電板または永久磁石を偏向素子として用いることができる。
【0028】
各偏向素子の磁界強度および回転配列の微細な調整は、手動、機械的、電気的または電気機械的な方法によって行なわれてもよい。偏向素子44,60,62,64の電気配線は、溶接装置にとって最適となるように、直列にて行なわれてもよいし並列にて行なわれてもよい。制御システムは、溶接装置にとって最適となるように、アナログ制御を用いてもよいしデジタル制御を用いてもよい。
【0029】
容器22内において固定用治具30の上端に板32が配置されることにより、固定治具内に部品が保持されることで当該固定治具によって電子ビームが妨げられまたは歪められることに起因する問題を何ら生じさせることなく、当該部品の複数の溶接箇所に向けて電子ビームが広範囲にかつ高速に分散されることが保証される。溶接される各部品の上に少なくとも1つの局在化された偏向素子が配置された電子ビーム偏向素子が分散配列されることにより、電子ビームは、部品上の溶接箇所に向け直されたり、または、その部品の一部に対して略直交する角度に向け直されたり、溶接箇所に対して略直交するように向け直されたりすることができる。これにより、治具30によるビームへの障害が抑制されることになる。
【0030】
たとえば一連の車両用電池のような複数の同一部品の溶接のために偏向板32を設置したり試験したりするときに、図5に示すように、小さい開口92が設けられた金属板90を経路36の中央に挿入されてもよい。そして、ワークに代えて、偏向素子が配置された経路36の下方にビーム集光器94が配置されてもよい。銃12に関連付けられた制御ソフトウェアは、電子ビーム14を各経路36に向けて偏向させるとともに、集光器94に向けて電子ビームを偏向させるときに、各偏向素子44の位置精度を測定する。自動化されたソフトウェアまたは手動の操作者は、集光器94上においてビームの位置を最適化するために、板32の内部の偏向素子44を微細に補正でき、これにより高品質な溶接を保証することができる。開口92が十分に小さい直径を有する場合には、各位置におけるビームの性質を最適化させるためのソフトウェアまたは操作者による補正を補助するために、配電分析を行なってもよい。
【0031】
図7に示すように、システムが製造に使用されている際にプロセス監視を可能にするために、ビーム分析室100が偏向素子位置36同士の間の位置に追加されてもよい。ビーム分析室100としては、電気的に絶縁された配線の一部か、または、スリットあるいはピンホールのファラデーカップ式のビーム集光器102が適しており、スリットあるいはピンホールのファラデーカップ式のビーム集光器102とすることにより、処理される全ての部品のために、当該部品を横断する複数の位置でビームの性質を測定することができる。
【0032】
部品の処理中に真空容器22の天井に向けて発せられかつ反射された電子を分析するため、真空処理容器22の天井に配置された後方散乱電子検出器のアレイによってさらなるプロセス監視が実行されてもよい。
【0033】
真空容器22の表面の内部に配置され、鉛ガラス窓を通して観察を行なう光学カメラのアレイによってさらなるプロセス監視が実行されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】