(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】産業用ロボットと動力工具及び充電器を有するエンドエフェクタとを備えるシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20241126BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B25J19/00 F
H02J7/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024531283
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 EP2022080437
(87)【国際公開番号】W WO2023099101
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502212604
【氏名又は名称】アトラス・コプコ・インダストリアル・テクニーク・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルグレン ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】サヴェンリド ニコラス
【テーマコード(参考)】
3C707
5G503
【Fターム(参考)】
3C707CY06
3C707CY12
3C707DS01
3C707HS09
3C707MT01
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA04
5G503DA15
5G503DA19
(57)【要約】
システム(1)は、ロボットアーム末端部分(3)と、電流をロボットアーム末端部分(3)に供給するように構成された電源回路(4)とを備えた産業用ロボット(2)と、動力工具(6)と、動力工具(6)の動作に電力を供給するように構成された蓄電モジュール(7)(例えばバッテリ)とを備え、ロボットアーム末端部分(3)に取り付けられているエンドエフェクタ(5)とを備え、エンドエフェクタ(5)は、ロボットアーム末端部分で電源回路から電流を引き出し、充電電流を蓄電モジュール(7)に供給するように配置された充電器(8)をさらに備える。動力工具(6)のための蓄電モジュール(7)の充電が容易になり、製造プロセスの効率が高くなる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアーム末端部分(3)と、前記ロボットアーム末端部分(3)に電流を供給するように構成された電源回路(4)とを備える産業用ロボット(2)と、
動力工具(6)と、前記動力工具(6)の動作に電力を供給するように構成された蓄電モジュール(7)とを備え、前記ロボットアーム末端部分(3)に取り付けられているエンドエフェクタ(5)と、
を備えるシステムであって、
前記エンドエフェクタ(5)は、前記ロボットアーム末端部分(3)で前記電源回路(4)から電流を引き出し、前記蓄電モジュール(7)に充電電流を供給するように構成された充電器(8)をさらに備える、システム。
【請求項2】
前記充電電流は、前記動力工具(6)によって動作時に消費されるピーク電流の何分の一かであり、
例えば、前記動力工具(6)によって動作時に消費されるピーク電流の1/3未満であり、
例えば、前記動力工具(6)によって動作時に消費されるピーク電流の1/5未満なである、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記蓄電モジュール(7)の容量は、動力工具(6)の動作時に、前記動力工具(6)の全ピーク消費電流を供給するように適合されている、請求項1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記充電器(8)による前記蓄電モジュール(7)の充電を制御するように構成されている制御デバイス(10)をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記制御デバイス(10)は、前記電源回路(4)からの利用可能な全電流未満である電流閾値を下回るように、前記充電電流を制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記電流閾値は、予め設定されている、請求項5に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記電流閾値は、1又は2以上の動的パラメータに基づいている、請求項5に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記制御デバイス(10)は、充電を制御するように構成されており、前記蓄電モジュール(7)は、前記動力工具(6)によって行われる動作の間に、随意的に、前記動力工具(6)によって行われる動作時に、前記充電器(8)によって充電されるようになっている、請求項4から7のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記制御デバイス(10)は、産業用ロボット(2)内に及び/又は前記エンドエフェクタ(5)内に配置されている、請求項4から8のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記制御デバイス(10)は、前記蓄電モジュール(7)の充電レベルが前記蓄電モジュール(7)の最大充電容量未満に、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の80%未満に、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の70%未満に、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の60%未満に、
維持されるように、充電を制御するように構成されている、請求項4から9のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記制御デバイス(10)は、前記蓄電モジュール(7)の充電レベルが最小閾値を超えて、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の20%を超えて、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の30%を超えて、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の40%を超えて、
維持されるように、充電を制御するように構成されている、請求項4から10のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記制御デバイス(10)は、前記蓄電モジュール(7)の前記充電レベルが低すぎる場合に及び/又は高すぎる場合に警告信号を作動させるように構成されている、請求項4から11のいずれかに記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記エンドエフェクタ(5)は、前記動力工具(6)を保持するように構成されたホルダー(11)を備え、前記ホルダー(11)は、前記ロボットアーム末端部分(3)に取り付けられている、請求項4から12のいずれかに記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、動力工具を操作するためのエンドエフェクタを有する産業用ロボットの分野に関する。より具体的には、本開示は、このような動力工具に電力を供給する蓄電モジュールの充電に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において、産業用ロボットは、動力工具を用いて対象物を加工するために使用することができる。このような産業用ロボットは、ロボットアームの端部に取り付けられ、対象物及び/又は周囲の環境と相互作用するように設計されたデバイスである、いわゆるエンドエフェクタを装備する。エンドエフェクタは、通常、ロボットの最終リンクと呼ばれている。エンドエフェクタは、典型的には、動力工具を備え、ロボットアーム末端部分に取り付けられる。また、エンドエフェクタは、動力工具の動作に電力を供給する、バッテリなどのある種の(エネルギー)蓄電モジュールを備えることができる。
【0003】
蓄電モジュールは、動力工具に適切に電力を供給するために定期的に充電する必要がある。典型的には、ロボットは、空の蓄電モジュールを充電器スタンドに降ろし、別の充電済み蓄電モジュールを充電器スタンドから持ち上げる。このプロセスは、面倒かつ時間がかかるので、製造プロセスの効率を低減させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した問題を解決する又は少なくとも軽減するシステムを実現することは有利であろう。詳細には、産業用ロボットによって操作される動力工具の充電を容易にするシステムを可能にすることが望まれることになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1又は2以上のこのような問題に良好に対処するために、独立請求項に定義される特徴部を有するシステムが提供される。好ましい実施形態は、従属請求項に定義される。
【0006】
システムが提供され、システムは、ロボットアーム末端部分と、ロボットアーム末端部分に電流を供給するように構成された電源回路とを含む産業用ロボットを備える。システムは、動力工具と、動力工具の動作に電力を供給するように構成された(エネルギー)蓄電モジュールとを含むエンドエフェクタをさらに備える。エンドエフェクタは、ロボットアーム末端部分に取り付けられている。エンドエフェクタは、ロボットアーム末端部分で電流を電源回路から引き出し、充電電流を蓄電モジュールに供給するように構成された充電器をさらに備える。
【0007】
本発明者らは、ロボットアーム末端部分での利用可能な電流は、動力工具のための蓄電モジュールの充電に利用することができることを認識している。標準的な産業用ロボットの電源回路からの利用可能な電流は、典型的には、動力工具にそのピーク動作電流を供給するには十分ではないが、必要な場合に蓄電モジュールを継続的に充電するために使用することができる。従って、蓄電モジュールは、動作時、動力工具にピーク電力を供給するが、産業用ロボットからの電流は、必要に応じて蓄電モジュールの再充電に利用される。これは、空の蓄電モジュールを充電済みの蓄電モジュールと交換する必要性を低減し、これによって、製造プロセスの時間が節約される。さらに、蓄電モジュールのための別途の充電スタンドの必要性が低減され、これによって、製造プロセスにおけるリソースが節約される。結果として、動力工具のための蓄電モジュールの充電が容易になり、製造プロセスの効率が高くなる。
【0008】
例えば、(産業用ロボットの電源回路からの利用可能な)充電電流は、動力工具によって動作時に消費されるピーク電流の何分の一かであるように、例えば、動力工具によって動作時に消費されるピーク電流の3分の1未満、例えば、工具によって動作時に消費されるピーク電流の5分の1未満、例えば、動力工具によって動作時に消費されるピーク電流の10分の1程度であるようにシステムを構成することができる。
【0009】
例えば、電源回路からの利用可能な電流は、約1-3Aであるが、動力工具によって消費されるピーク電流は、約15A-30Aである。従って、蓄電モジュールは、工具を動作させるのに必要とされる比較的高いピーク電流を供給するために利用することができるが、産業用ロボットからの利用可能な比較的低い電流は、蓄電モジュールを充電するために使用される。
【0010】
例えば、蓄電モジュールの容量は、動力工具が動作する場合に動力工具の全ピーク電流消費量を供給するように適合させることができる。従って、動力工具を動作させる主電源は、蓄電モジュールとすることができる。
【0011】
一実施形態によれば、システムは、充電器による蓄電モジュールの充電を制御するように構成された制御デバイスをさらに備えることができる。従って、制御デバイスは、様々な方法で蓄電モジュールの充電を管理するために利用することができ、その結果、以下でさらに説明するようないくつかの利点を可能にする。
【0012】
用語「制御デバイス」は、蓄電モジュールの充電を制御するように構成された分散型又は集中型の何らかの手段として広く解釈される。代替的に、制御デバイスは、制御ユニット、制御システム又は制御回路と呼ぶことができる。
【0013】
一実施形態によれば、制御デバイスは、(産業用ロボットの)電源回路からの利用可能な全電流よりも小さい(予め設定された)電流閾値未満であるように充電電流を制御するように構成することができる。従って、電源回路からの電流の一部は、産業用ロボットに組み込まれた視覚カメラ又は把持ツールなどの他の目的に利用することができる。例えば、産業用ロボットからの利用可能な全電流が約2Aである場合、充電電流は、0.7Aの電流閾値を超えないように制御することができる。
【0014】
一実施形態によれば、最新の閾値は、単に静的値などにプリセットすることができる。例えば、最新の閾値は、システムを設定するオペレータによってプリセットすること又は工場の様式でプリセットすることができる。
【0015】
別の実施形態によれば、電流閾値は、1又は2以上の動的パラメータ(制御信号など)に基づくことができ、これは、充電のよりスマートな制御を可能にする。例えば、ロボットの制御システムがロボット及びその動力工具を一定期間動作させないことを指示する場合、電流閾値は増加させることができ、その結果、蓄電モジュールの充電が高速化される。他方で、産業用ロボットの動作により多くの電流が必要である場合には閾値を低下させることができる。
【0016】
一実施形態によれば、制御デバイスは、充電を制御するように構成することができ、蓄電モジュールは、動力工具によって行われる動作の間に、随意的に、動力工具によって行われる動作時に、充電器によって充電されるようになっている。
【0017】
一実施形態によれば、制御デバイスは、産業用ロボット内に及び/又はエンドエフェクタ内に配置することができる。例えば、制御デバイスは、蓄電モジュール内に、動力工具内に、又は動力工具を保持するエンドエフェクタのホルダー内に配置することができる。あるいは、制御デバイスは、産業用ロボット及びエンドエフェクタとは別に、しかし、これらと通信する状態で配置することができる。
【0018】
一実施形態によれば、制御デバイスは、蓄電モジュールの充電レベルが、蓄電モジュールの最大充電容量未満に、例えば、蓄電モジュールの最大充電容量の80%未満に、例えば、蓄電モジュールの最大充電容量の70%未満に、例えば蓄電モジュールの最大充電容量の60%未満に維持されるように、充電を制御するように構成することができる。充電上限値を有することによって、エネルギー蓄電器の寿命が延び、蓄電モジュールが時間の大部分で充電器に接続される可能性があるため、本システムにおいて特に好都合である。
【0019】
一実施形態によれば、制御デバイスは、蓄電モジュールの充電レベルが最小閾値を超えて、例えば、モジュールの最大充電容量の20%を超えて、例えば、蓄電モジュールの最大充電容量の30%を超えて、例えば、蓄電モジュールの最大充電容量の40%を超えて維持されるように、充電を制御するように構成することができる。蓄電モジュールが完全に枯渇するのを回避することによって、蓄電モジュールの寿命が延び、動力工具の動作の中断リスクが低減される。
【0020】
本システムの蓄電モジュールは、時間の大部分で充電器に接続される可能性があり、加えて、空の蓄電モジュールを交換する時間のかかる作業を回避することができるので、比較的小さな充電状態ウィンドウを使用することができ、これは、蓄電モジュールの健全性に有益である。
【0021】
一実施形態によれば、制御デバイスは、蓄電モジュールの充電レベルが低すぎる場合に及び/又は高すぎる場合に警告信号を作動させるように構成することができる。これは、蓄電モジュールが動力工具を動作させることができないので製造プロセスを中断する可能性がある蓄電モジュールが枯渇するリスクを低減するためである、及び/又は、蓄電モジュールに対して不健全である可能性がある蓄電モジュールが必要以上に充電されるリスクを低減するためである。
【0022】
例えば、警告信号は、蓄電モジュールの充電レベルが、最低許容充電レベルを規定する特定の閾値を下回る場合に、及び/又は、最高許容充電レベルを規定する別の特定の閾値を上回る場合に提示することができる。
【0023】
一実施形態によれば、エンドエフェクタは、動力工具を保持するように構成されたホルダーを備えることができ、ホルダーは、ロボットアーム末端部分に取り付けられている。これは、動力工具を、例えば、別の種類の動力工具に変更することを容易にする。従って、動力工具及びホルダーは、別個の部品とすることができる。
【0024】
あるいは、動力工具は、エンドエフェクタの一体部品とすることができる。その結果、動力工具を変更することは、エンドエフェクタ全体を変更することを含むことができる。
【0025】
一実施形態によれば、充電器は、動力工具に配置すること、又は、ホルダーなどのエンドエフェクタの他の場所に配置することができる。
【0026】
一実施形態によれば、蓄電モジュールは、充電器に取り付けること及び接続することができる。
【0027】
一実施形態によれば、ロボットアーム末端部分は、エンドエフェクタの充電器を産業用ロボットの電源回路と電気的に接続するための、エンドエフェクタの電気接点と接合するようになっている電気接点(例えばソケット)を備えることができる。
【0028】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載される特徴の全ての可能性のある組み合わせに関することに留意されたい。
【0029】
本システムは、添付図面を参照して以下の例示的かつ非限定的な実施形態の詳細な説明においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図2】エンドエフェクタ及びロボットアーム末端部分を含むシステムの一部をより詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
全ての図面は、概略的であり、必ずしも縮尺通りではなく、全体的に、実施形態を明瞭にするために必要な部分のみが示され、他の部分は省略される場合がある。明細書全体を通して、同様の参照数字は同様の要素を指す。
【0032】
図1に示すように、一実施形態によるシステム1は、産業用ロボット2と、ロボット2によって操作されるエンドエフェクタ5とを備える。システム1は、自動化することができ、少なくとも1軸、好ましくは2又は3以上の軸で動作することができる。例えば、システム1は、部品の組み立てになどの製造に使用することができる。
【0033】
産業用ロボット2は、ロボットアーム16を備えることができ、ロボットアーム16は、1又は2以上の軸の周りのロボットアーム16の動きを可能にする1又は2以上の関節17を有することができる。ロボットアーム末端部分3は、ロボットアーム16の遠位端に設けられている。産業用ロボット2は、電流をロボットアーム末端部分3に供給するように構成された電源回路4をさらに備える。電源回路4は、例えば、電流を主電源から引き出すことができる。電源回路4は、産業用ロボット2のための制御デバイス9を備えるか又はそこに接続することができる。制御デバイス9は、電源回路4を制御するように構成することができる。例えば、産業用ロボット2は、定置式とすることができ、さらに組立ラインに沿って配置することができる。
【0034】
エンドエフェクタ5は、ロボットアーム末端部分3に取り付けられ、動力工具6と、動力工具6の動作に電力を供給するように構成された蓄電モジュール7とを備える。動力工具6は、例えば、ある種の締結工具、リベット締め工具、又はドリルとすることができる。
【0035】
蓄電モジュール7は、例えば、バッテリ、キャパシタ、又は工具6に電力を供給するために使用されるエネルギーを蓄積する何らかの他の種類の手段を備えることができる。
【0036】
例えば、エンドエフェクタ5は、動力工具6を保持するように構成されたホルダー11を備えることができる。ホルダー11は、ロボットアーム末端部分3に取り付けられるエンドエフェクタ5の一部とすることができる。動力工具6は、ホルダー11に取り付けることができる。あるいは、ホルダー11は、動力工具6と一体化することができる。例えば、蓄電モジュール7は、
図1及び2に示すように、ホルダー11に取り付ける/ホルダー11に含めることができる、又は、動力工具6に取り付ける/動力工具6に含めることができる(図示せず)。
【0037】
エンドエフェクタ5は、ロボットアーム末端部分3で電流を電源回路4から引き出すように、及び、充電電流を蓄電モジュール7に供給するように構成された充電器8をさらに備える。電気接続部は、ロボットアーム末端部分3の電源回路4とエンドエフェクタ5の充電器8との間に設けることができ、充電を可能にするために、その間に電流を供給するようなっている。充電器8は、蓄電モジュール7の電気接点14と接合するようになっている電気接点15を備えることができる(
図2参照)。動作時、電流は、電源回路4からエンドエフェクタ5及びその充電器8に流れ、次に、充電器8から蓄電モジュール7に流れる。好ましくは、蓄電モジュール7は、動力工具6の動作を含むシステム1の動作時、充電器8に接続する(取り付ける)ことができる。
【0038】
システム1は、充電器8による蓄電モジュール7の充電を制御するように構成された制御デバイス10をさらに備えることができる。制御デバイス10は、
図1に示すようにホルダー11内などのエンドエフェクタ5内に配置することができる、又は、動力工具6内に配置することができる(図示せず)。あるいは、制御デバイス10は、産業用ロボット2内に、例えば電源回路4のための制御デバイス9内に(又はそれに接続して)配置することができる。
【0039】
図2を参照すると、システム1の実施形態は、以下により詳細に説明される。例えば、ホルダー11は、充電器8を含むと共に蓄電モジュール7を保持するように構成された充電器部分18を備えることができる。ケーブル12は、ロボットアーム末端部分3で電源回路4からの充電器部分18に電力を供給することができる。ケーブル12は、ロボットアーム末端部分3及びエンドエフェクタ5の外側又は内側(後者は図示せず)に引き回すことができる。エンドエフェクタ5は、蓄電モジュール7から動力工具6に電力を供給する回路を備えることができる。例えば、ケーブル13は、充電器部分18から動力工具6に電力を供給することができる。
【0040】
一実施形態によれば、蓄電モジュール7を充電する充電電流は、動力工具6によって動作時に消費されるピーク電流のごく一部とすることができる。典型的には、動力工具6は、動作時に約15から30Aのピーク電流を必要とする場合があるが、充電電流は、約0.5から3Aに制限することができる。例えば、充電電流は、動力工具6によって動作時に消費されるピーク電流の1/5未満など、動力工具6によって動作時に消費されるピーク電流の1/3未満とすることができる。
【0041】
例えば、蓄電モジュール7は、動作時に動力工具6にピーク電流を供給することができる容量を有することができる。蓄電モジュール7は、例えば、18V、24V、36V、又は48Vのバッテリを含むことができる。
【0042】
一実施形態によれば、制御デバイス9は、蓄電モジュール7の充電を制御するように構成することができ、充電電流は、電源回路4からの利用可能な全電流よりも低い(予め設定された又は動的な)閾値未満に維持されるようになっている。従って、動力工具6の充電は、産業用ロボット2からの利用可能な電流の一部のみを利用することができ、その結果、産業用ロボット2からの利用可能な電流の一部は、他の目的に利用することができる。
【0043】
動力工具6は、動力工具6の動作の間にのみ充電することができる、又は、蓄電モジュール7の充電レベルが特定の(予め設定された)閾値未満である限り単純に連続的に充電することができる。
【0044】
制御デバイス10は、(予め設定された)最大閾値未満であり、随意的に(予め設定された)最小閾値を超えるように、蓄電モジュール7の充電レベルを制御するように構成することができる。これは、蓄電モジュール7の充電状態ウィンドウと呼ぶことができる。充電状態ウィンドウは、例えば、最大充電容量の20から40%の範囲の中に含まれる下限閾値を有することができる。上限閾値は、最大充電容量の60から80%の範囲の中に含めることができる。蓄電モジュール7は、エンドエフェクタ5で連続的に充電することができるので、充電状態ウィンドウは、比較的小さく維持することができ、これは、蓄電モジュール7の健全性にとって有益である。
【0045】
一実施形態によれば、制御デバイス10は、蓄電モジュール7の充電レベルが最小閾値未満になること及び/又は最大閾値を超えることに応答して警告信号を供給するように構成することができる。次に、システム1のオペレータには、蓄電モジュール7の充電が期待通りに実行されていないことを通知することができる。警告信号は、例えば、視覚信号及び/又は音声信号とすることができる。
【0046】
当業者は、本発明が上述した実施形態に限定されるものではないことを認識する。逆に、多くの修正例及び変形例が添付の請求項の範囲内で可能である。
【0047】
加えて、開示される実施形態の変形例は、当業者であれば、図面、本開示、及び添付の請求項の検討により、請求項に記載の発明を実施する際に理解して行うことができる。請求項において、用語「備えている(comprising)」は、他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除するものではない。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0048】
1 システム
2 産業用ロボット
3 ロボットアーム末端部分
4 電源回路
5 エンドエフェクタ
6 動力工具
7 蓄電モジュール
8 充電器
【手続補正書】
【提出日】2024-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアーム末端部分(3)と、前記ロボットアーム末端部分(3)に電流を供給するように構成された電源回路(4)とを備える産業用ロボット(2)と、
動力工具(6)と、前記動力工具(6)の動作に電力を供給するように構成された蓄電モジュール(7)とを備え、前記ロボットアーム末端部分(3)に取り付けられているエンドエフェクタ(5)と、
を備えるシステムであって、
前記エンドエフェクタ(5)は、前記ロボットアーム末端部分(3)で前記電源回路(4)から電流を引き出し、前記蓄電モジュール(7)に充電電流を供給するように構成された充電器(8)をさらに備える、システム。
【請求項2】
前記充電電流は、前記動力工具(6)によって動作時に消費されるピーク電流の何分の一かであり、
例えば、前記動力工具(6)によって動作時に消費されるピーク電流の1/3未満であり、
例えば、前記動力工具(6)によって動作時に消費されるピーク電流の1/5未満なである、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記蓄電モジュール(7)の容量は、動力工具(6)の動作時に、前記動力工具(6)の全ピーク消費電流を供給するように適合されている、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記充電器(8)による前記蓄電モジュール(7)の充電を制御するように構成されている制御デバイス(10)をさらに備える、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記制御デバイス(10)は、前記電源回路(4)からの利用可能な全電流未満である電流閾値を下回るように、前記充電電流を制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記電流閾値は、予め設定されている、請求項5に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記電流閾値は、1又は2以上の動的パラメータに基づいている、請求項5に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記制御デバイス(10)は、充電を制御するように構成されており、前記蓄電モジュール(7)は、前記動力工具(6)によって行われる動作の間に、随意的に、前記動力工具(6)によって行われる動作時に、前記充電器(8)によって充電されるようになっている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記制御デバイス(10)は、産業用ロボット(2)内に及び/又は前記エンドエフェクタ(5)内に配置されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記制御デバイス(10)は、前記蓄電モジュール(7)の充電レベルが前記蓄電モジュール(7)の最大充電容量未満に、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の80%未満に、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の70%未満に、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の60%未満に、
維持されるように、充電を制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記制御デバイス(10)は、前記蓄電モジュール(7)の充電レベルが最小閾値を超えて、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の20%を超えて、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の30%を超えて、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の40%を超えて、
維持されるように、充電を制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記制御デバイス(10)は、前記蓄電モジュール(7)の前記充電レベルが低すぎる場合に及び/又は高すぎる場合に警告信号を作動させるように構成されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記エンドエフェクタ(5)は、前記動力工具(6)を保持するように構成されたホルダー(11)を備え、前記ホルダー(11)は、前記ロボットアーム末端部分(3)に取り付けられている、請求項4に記載のシステム(1)。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアーム末端部分(3)と、前記ロボットアーム末端部分(3)に電流を供給するように構成された電源回路(4)とを備える産業用ロボット(2)と、
動力工具(6)と、前記動力工具(6)の動作に電力を供給するように構成された蓄電モジュール(7)とを備え、前記ロボットアーム末端部分(3)に取り付けられているエンドエフェクタ(5)と、
を備えるシステムであって、
前記エンドエフェクタ(5)は、前記ロボットアーム末端部分(3)で前記電源回路(4)から電流を引き出し、前記蓄電モジュール(7)に充電電流を供給するように構成された充電器(8)をさらに備える、システム。
【請求項2】
前記充電電流は、前記動力工具(6)によって動作時に消費されるピーク電流の何分の一かであり、
例えば、前記動力工具(6)によって動作時に消費されるピーク電流の1/3未満であり、
例えば、前記動力工具(6)によって動作時に消費されるピーク電流の1/5未満なである、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記蓄電モジュール(7)の容量は、動力工具(6)の動作時に、前記動力工具(6)の全ピーク消費電流を供給するように適合されている、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記充電器(8)による前記蓄電モジュール(7)の充電を制御するように構成されている制御デバイス(10)をさらに備える、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記制御デバイス(10)は、前記電源回路(4)からの利用可能な全電流未満である電流閾値を下回るように、前記充電電流を制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記電流閾値は、予め設定されている、請求項5に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記電流閾値は、1又は2以上の動的パラメータに基づいている、請求項5に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記制御デバイス(10)は、充電を制御するように構成されており、前記蓄電モジュール(7)は、前記動力工具(6)によって行われる動作の間に、随意的に、前記動力工具(6)によって行われる動作時に、前記充電器(8)によって充電されるようになっている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記制御デバイス(10)は、産業用ロボット(2)内に及び/又は前記エンドエフェクタ(5)内に配置されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記制御デバイス(10)は、前記蓄電モジュール(7)の充電レベルが前記蓄電モジュール(7)の最大充電容量未満に、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の80%未満に、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の70%未満に、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の60%未満に、
維持されるように、充電を制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記制御デバイス(10)は、前記蓄電モジュール(7)の充電レベルが最小閾値を超えて、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の最大充電容量の20%を超えて、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の30%を超えて、
例えば、前記蓄電モジュール(7)の前記最大充電容量の40%を超えて、
維持されるように、充電を制御するように構成されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記制御デバイス(10)は、前記蓄電モジュール(7)の充電レベルが低すぎる場合に及び/又は高すぎる場合に警告信号を作動させるように構成されている、請求項4に記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記エンドエフェクタ(5)は、前記動力工具(6)を保持するように構成されたホルダー(11)を備え、前記ホルダー(11)は、前記ロボットアーム末端部分(3)に取り付けられている、請求項4に記載のシステム(1)。
【国際調査報告】