(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】分光領域光非線形断層撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20241126BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20241126BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G01N21/17 625
A61B3/10 100
A61B1/00 526
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531318
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 KR2022003944
(87)【国際公開番号】W WO2023096031
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0164575
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524196201
【氏名又は名称】ピロポスインコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PHILOPHOS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100199004
【氏名又は名称】服部 洋
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジュンホ
【テーマコード(参考)】
2G059
4C161
4C316
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB12
2G059EE02
2G059EE11
2G059FF02
2G059GG02
2G059JJ05
2G059JJ11
2G059JJ22
2G059JJ30
2G059KK04
2G059MM01
4C161BB08
4C161MM10
4C316AA09
4C316AB03
4C316AB11
4C316FY05
(57)【要約】
【要 約】
本発明に係る光断層撮影装置は、光源から入射された光を生体組織に対応するサンプルに注入するサンプル光路系;前記光源から入射された光を集光する基準光路系;及び前記サンプル光路系から伝達された前記サンプルから反射されたサンプル光と、前記基準光路系から伝達された基準光とを干渉させて、前記サンプルに対する断層像を検出する検出部とを含む。前記検出部は、前記サンプル光と前記基準光を入射して、前記サンプル光及び前記基準光と異なる波長を有する非線形光を生成させる非線形結晶;及び前記非線形光から深さ方向信号を検出するイメージ・センサー;を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光断層撮影装置において、
光源から入射された光を生体組織に対応するサンプルに注入するサンプル光路係; 前記光源から入射された光を採取する基準光路係; 及び、前記サンプル光路係から伝達された前記サンプルから反射されたサンプル光と前記基準光路係から伝達された基準光を組み合わせて、前記サンプルに対する断層像を検出する検出部を含むことを特徴とする、
前記検出部は、
前記サンプル光と前記基準光が各波長成分ごとに広がったスペクトル形になるように変換し、集光する分光的分解光発生器;
前記分光的分解光発生器を介して入射された前記サンプル光と前記基準光をミキシングして、前記サンプル光及び前記基準光とは異なる波長を有する非線形光を生成するために、非線形結晶を含む非線形光発生器;及び
前記非線形光から深さ方向信号を検出する画像取得器;を含むことを特徴とする、光断層撮影装置。
【請求項2】
前記分光的分解光発生器は
前記サンプル光を回折させる第1回折格子と、前記基準光を回折させる第2回折格子を含むことを特徴とする、
前記第1回折格子と前記第2回折格子は、互いに対称的に配置され、前記サンプル光のスペクトルと前記基準光のスペクトルが互いに対称的に分解されて前記非線形性光学系に入射するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の光断層撮影装置。
【請求項3】
前記第1及び第2回折格子は、互いに垂直に交差して配置されるか、又は、水平に並べて配置されるものである、請求項2に記載の光断層撮影装置。
【請求項4】
前記分光的分解光発生器は
前記第1及び第2回折格子を経由したサンプル光と基準光を集光する第1レンズ;をさらに含む、
第1レンズは一つ以上のレンズで構成されるものである、請求項2に記載の光断層撮影装置。
【請求項5】
前記分光的分解光発生器は
互いに反対方向から入射するサンプル光と基準光の回折光が非線形結晶方向に進むように配置される単一の回折格子を含むことを特徴とする、請求項1に記載の光断層撮影装置。
【請求項6】
前記非線形光発生器は、3つの波長をミキシングしたり、4つの波長をミキシングして前記非線形光を生成できるものである、請求項1に記載の光断層撮影装置。
【請求項7】
前記検出部は、
第2のレンズを含み、前記非線形光発生器から出力された光を空間的にフーリエ変換するフーリエ変換器;および
前記第2レンズを経由した前記非線形光から深さ方向信号を検出する前記画像取得器;を含む、請求項1に記載の光断層撮影装置。
【請求項8】
前記画像取得装置は、前記フーリエ変換器の第2レンズを介した非線形光から基準光とサンプル光を除去するフィルタをさらに含むものである、請求項7に記載の光断層撮影装置。
【請求項9】
前記非線形結晶が前記サンプル光、前記基準光を通過させ、前記非線形光を生成させるとき、前記フーリエ変換器の第2レンズは、前記サンプル光と前記基準光を除去し、前記非線形光を通過させるように設計されていることを特徴とする、請求項7に記載の光断層撮影装置。
【請求項10】
前記非線形光発生器は、前記分光的分解光発生器に含まれる第1のレンズの後方焦点距離と、前記フーリエ変換器に含まれる第2のレンズの前方焦点距離に対応する位置に配置され、回折格子は、前記第1のレンズの前方焦点距離に対応する位置に配置され、前記画像取得器内のイメージ・センサーは、前記フーリエ変換器に含まれる第2のレンズの後方焦点距離に対応する位置に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の光断層撮影装置。
【請求項11】
前記フーリエ変換器のレンズが複数個で構成されるか、又は、前記画像取得器が複数のレンズで構成されたリレーレンズを含むことにより、レンズの焦点距離を変更することにより、断層画像に対するズームイン及びズームアウト機能を実現することを特徴とする、請求項10に記載の光断層撮影装置。
【請求項12】
光断層撮影方法において、
光断層撮影装置を通じて、内部の光源から入射された光を生体組織に対応するサンプルに注入する段階;および
光断層撮影装置により、前記サンプルから反射されたサンプル光と前記光源から入射された基準光を組み合わせて、前記サンプルに対する断層画像を検出する段階を含むことを特徴とする、
前記断層像を検出する段階は、
前記サンプル光と前記基準光が各波長成分ごとに広がったスペクトル形態になるように変換した後、集光する分光的分解光生成段階;および
前記サンプル光と前記基準光を非線形結晶に入射させ、前記分光的分解光生成段階により、入射された前記サンプル光と前記基準光をミキシングして、前記サンプル光及び前記基準光と異なる波長を有する非線形光を生成させ、イメージ・センサーを介して前記非線形光から深さ方向信号を検出する段階;を含むことを特徴とする光断層撮影方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光領域光非線形性断層撮影装置に関し、より詳細には、従来のOCT装置よりも画像コントラスト比、画像検出速度、観察深度がより優れた断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光干渉断層撮影(optical coherence tomography; OCT)は、光を利用して生体組織の内部を観察できる技術として、眼科、心臓血管などの分野で使用される先端医療診断技術である。OCT方式には、時間領域(time domain)、分光領域(spectral domain)およびスウェプトソース(swept source)方式などがある。このうち、分光領域方式のOCTシステムは、一定水準以上の性能を確保しながらも製造コストはそれほど高くないため、脚光を浴びる方式である。
図1を参照すると、従来のOCT装置の構造を確認することができる。
図1は、分光領域(spectral domain:SD)OCT装置(以下、SD-OCTという)に関するものである。具体的には、光源部、光分離器、サンプル光路係、基準光路係、検出部を含む構造で形成される。このとき、光源部は、波長帯域が広く、低干渉性(low-coherence)光源を使用し、光源部で発生した光源は、光分離器を経て、サンプル光路係と基準光路係に分かれて入射される。この時、サンプル光路係の場合、サンプル(断層撮影では主に、生体組織)に入射されて反射または散乱された光が再び戻ってくることになり、基準光路係の場合、光分離器から出た光が鏡に反射されて再び戻ってくる。この時、戻ってきた基準光とサンプル光が検出部で合わさり干渉を起こし、この干渉信号を検出してサンプルに対する断層撮影画像を取得する。SD-OCTの場合、もう少し詳しく述べると、検出部は戻ってきた基準光とサンプル光のスペクトルを広げ、一般的にリニアスキャンカメラ(line scan camera)と呼ばれる線状の検出アレイ(Detector Array)(またはイメージ・センサー)に集光させ、各波長ごとに入力光を電気信号に変える。
一般的に検出器(detector)がすることは、入射される光子(photon)を電流に変えることであるが、出力される電流は入射光のエネルギーに比例するので、OCTで検出器で測定される電流は数学的には以下のように表現することができる。
【数1】
ここで、ρは入力光パワーに対する出力電流値の反応度(responsivity)であり、< >表示は露光時間中の積分の意味であり、 | |は複素数の大きさ(amplitude)であり、E
r と E
s はそれぞれ基準光電場、サンプル光電場を表示し、
* は共軛複素数を意味します。前記の式をさらに演算すると
【数2】
のようになりますが、4つの項のうち、第1項(|E |
R
2 )は基準光の強さ、第2項(|E |
S
2 )はサンプル光の強さですが、通常、基準光よりはるかに弱く無視され、第3項(E E
RS
* )と第4項(E E
R
*
S )は追加演算され、2 Re {E
R E
s
* }で表され、2E
R E
s
* の実数値という意味で、OCTの核心である干渉項となります。
【0003】
SD-OCTでは、イメージ・センサーで測定された信号は一般的に
図2のようなものである。
図2のグラフを参照すると、X軸はイメージ・センサーの各ピクセルのシリアル番号で、おおよそ入力光の波長成分に比例し、Y軸は数学式2の電流値が電圧値に変換された強度値に対応する。
図2のグラフを参照すると、特定の傾向線に沿って揺れるノイズのような形の成分が検出されることが確認できる。このとき、電気信号分析の名称を借りて、揺らぐノイズのような形の成分をAC(alternating current)成分と呼称し、このようなAC成分が従う特定の傾向線をDC(direct current)成分と呼称することができる。数学式2を参照すると、第1項、すなわち基準光の強度がDC成分に該当し、第3項と第4項の和、すなわち干渉信号がAC成分に該当する。第2項は第1項より非常に小さいので無視することができる。
図2のグラフで表現されているように、SD-OCTの検出部では、干渉信号に対応するAC成分のみが必要であるにもかかわらず、イメージ・センサーの動的範囲(Dynamic range)の大部分をDC成分が占有することになる。 したがって、最終的な断層撮影画像のコントラスト比は、DC成分が占める分だけ低くなる。眼科で最も多く使われる装置であるにもかかわらず、限られたコントラスト比を持つ映像が提供されることになる。これは最も性能が良いスウェップソース OCT(SS-OCT: Swept Source - OCT)方式でも同様である。SS-OCTでは主にbalanced detectorが使用され、同じ信号を二つの検出器がAC成分の位相だけ180度差が出るように検出した後、その差だけを抽出する。 つまり、最初の検出器ではDC+AC成分を、2番目の検出器ではDC-AC成分を検出した後、差を求めれば2ACの値を得ることができる。この過程でDCを除去する便利さがあるが、依然として干渉信号に該当するAC成分だけを検出できず、はるかに大きいDC成分まで一緒に測定し、コントラスト比を減少させることになる。
したがって、光断層撮影技術において、DC成分なしでAC成分のみを検出できれば、画像のコントラスト比が極大化され、非常に理想的な技術を実現したといえる。
図2または各波長別に数学式2のように測定された信号は、一般的に
図3の過程を経て深さに対する信号に変換される。第一に、DC成分除去段階では、サンプル光の入射を止めたときに検出される信号を予め保存し、毎回差し引く方式などを利用して、干渉信号を除いた背景信号(すなわち、DC成分)を除去する。第二に、このように取得された干渉信号は波長軸に沿って表示されるが、これを波数(wavenumber)に応じて表示できるように再サンプリング(resampling)する作業を行う。これは、フーリエ変換を通じて対応する物理的な概念が時間と周波数、または長さと波数に対応するため、深さ方向の信号を得るためには、波数に応じた干渉信号をフーリエ変換しなければならないからである。ここでは、波数は波長の逆数関係、厳密には、k = 2π/λ の関係式が使用される。第三に、フーリエ変換を行う。フーリエ変換は、中心線を基準に左右対称な信号に対しては非対称な結果を導き出し、非対称な入力に対しては左右対称な結果を導き出す。したがって、非対称な信号である、波数による干渉信号に対するフーリエ変換の結果は、
図4の横軸の値のうち、深さz = 0に対応する値は、基準光とサンプル光間の経路差がないことを意味し、このz = 0を基準として、グラフ上の信号は左右対称な結果として現れる。 したがって、鏡映像(mirror image)に対応するz=0を基準として、左側の信号は廃棄される。 その後、z > 0である領域の信号のみを抽出した後、抽出した信号を絶対値二乗して、位相を除去した大きさの成分のみを作成した後、対数演算を行い、大きさの大きい成分は圧縮する。これにより、サンプルの一点から深さに応じたOCT値を得る(これをA-scanと呼ぶ)。ビームスキャナー(beam scannerまたはbeam steering)を利用してサンプル光がサンプルの横軸に沿って移動させながら、このA-scanを繰り返し集めれば、OCT断面画像の一フレームが完成する(これをB-scanと呼ぶ)。 以上、SD-OCTの信号処理過程は代表的なものであり、この他にもハニングウィンドウ、分散除去など、最高の映像品質のための追加過程がありうる。
【0004】
図4のグラフには、
図2のDC成分がフーリエ変換された後、z = 0付近に表示されている。 フーリエ変換前にDC成分が除去されないと、不要なこの部分の強度が大きくなり、最終的な断面像が良くないので、事前除去作業が必要である。一般的に、
図3の過程はコンピュータで実行されるが、演算を高速で繰り返し行った後、毎回鏡映像を捨てなければならないため、分光領域OCTではコンピュータ演算の無駄が生じる。これは、同じプロセスが必要なスウェップソースOCTでも同様である。
深さz>0の領域は、サンプル光路が基準光路より大きい場合を意味するが、もしサンプル光路が基準光路より小さくなってz<0になると、z<0の領域は除去されるので、連続的に見ることができなくなる。 したがって、z<0の領域は、z>0の領域に鏡映像として現れることで見ることができるようになる。 したがって、サンプル光の信号のうち、基準光より近いところから戻ってくる信号は反転した映像に見える。具体的に、
図5a乃至
図5cを参照して説明する。
図5a乃至
図5cは、OCT装置を通じて網膜を撮影した断層撮影画像の模式図である。
図5aから
図5cに行くほど、OCT装置を眼に近づけて撮影したことを意味する。各図面でzero delay lineは、基準光とサンプル光間の経路差がない点を意味するもので、
図4のz = 0である点に対応する。
図5aを参照すると、網膜表面に対応するLINEが映像内で下側の一領域に位置している。ところが、
図5bを参照すると、網膜表面に対応するLINEが画像の上部に少し上方に移動したことを確認することができる。 つまり、
図5aから
図5bに行くほど、つまり、OCT装置に被検者の目が近づくほど、断層画像とzero delay lineが隣接することが分かる。
図5bでよりOCT装置と目がより近くなった場合、
図5cのように、網膜表面に該当するLINEがzero delay lineを越える部分が発生するが、zero delay lineを越える部分は、ミラー(mirror)イメージのように反転して見えることができる。
つまり、従来のOCT装置の場合、対称的な断層画像を取得するため、導出された全体の画像の1/2しか活用できず、z<0の領域は反転したまま既存の画像に重ね合わされて表現されるという限界が存在するのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の従来技術の問題点を解決するためのもので、従来のOCT装置より画像コントラスト比が高く、処理速度が速く、生体組織観察可能深度がより深い結果をもたらすことができる光断層撮影装置を提供することを目的とする。
このような場合、本発明の装置が眼科で使用される場合、網膜内部の深いところまで正確な診断が可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る光断層撮影装置は、光源から入射された光を生体組織に対応するサンプルに注入するサンプル光路係;前記光源から入射された光を採光する基準光路係;及び、前記サンプル光路係から伝達された後、前記サンプルから反射されたサンプル光と前記基準光路係から伝達された基準光とを組み合わせて前記サンプルに対する断層像を検出する検出部を含む;及び前記サンプル光路係から伝達された後、前記サンプルから反射されたサンプル光と前記基準光路係から伝達された基準光を組み合わせて前記サンプルに対する断層画像を検出する検出部を含み、前記検出部は、前記サンプル光と前記基準光を入射して、分光領域OCTのように干渉を起こす代わりに、前記サンプル光及び前記基準光が分光領域で非線形結晶(nonlinear crystal)を通過しながらミキシング(mixing)されて生成された非線形光から深さ方向信号をイメージ・センサーで検出する装置である。この時、前記サンプル光と前記基準光の分光領域での波長成分は、非線形結晶で互いに出会う時、時間と空間によって変化する位相成分が互いに相殺されながら非線形光が生成されるように分布させ、生成された非線形光がレンズを通過しながら空間上のフーリエ変換が起こった時、空間上でスイープ(sweep)させる成分がもはや存在しないようにし、イメージ・センサー上に深さ方向の信号が検出されるようにする。前記検出部は、分光領域で検出部が動作できるようにする分光的分解光発生器が必要であり、代表的に分光領域OCTのように回折格子とレンズの組み合わせで構成することができる。したがって、前記検出部は、前記サンプル光と前記基準光が位相成分が互いに相殺され、非線形光が生成されるように、各波長領域別に広がったスペクトル形態に変換した後、集光する分光的分解光生成器;前記分光的分解光生成器を介して入射された前記サンプル光と前記基準光をミキシングして非線形光を生成するために、非線形結晶(nonlinear crystal)を含む前記非線形光生成器;レンズを含み、前記非線形光生成器から出力された光をフーリエ変換するフーリエ変換器;及び前記レンズの焦点距離に位置し、前記フーリエ変換された非線形光を電気信号に変換して、深さ方向に応じて表示することができるイメージ・センサーを含む画像取得器;を含むことができる。
前記非線形結晶では、三つの波動ミキシング(three wave mixing)または四つの波動ミキシング(four wave mixing)の非線形現象が起こることがある。三つの波動ミキシングでは、二つの入力光がミキシングされて新しい波長の波が生成され、四つの波動ミキシングでは、3つの入力光がミキシングされて4番目の新しい波長の波が生成される。
前記検出部の非線形結晶で三つの波動ミキシングを起こさせると、二つの入力光の波長をλ
1 および λ
2 とすると、生成された非線形光の波長は 1/λ
3 = 1/λ
1 + 1/λ
2 となり、この場合を合周波数ミキシング(sum frequency mixing)と呼ぶ。このとき、前述のように、二つの入力光の空間上のスイープ(sweep)を引き起こす位相成分を相殺させるために、前記分光的分解光発生器における回折格子は、前記サンプル光を回折させる第1回折格子と、前記基準光を回折させる第2回折格子を含む、前記第1回折格子と前記第2回折格子は、互いに対称的に配置され、前記サンプル光のスペクトルと前記基準光のスペクトルが互いに逆に配置され、同じ焦点距離のレンズを通過して前記非線形結晶に入射するように設計することができる。すなわち、この光断層撮影装置の光源の中心波長がλ
c 、最低波長がλ
min 、最高波長がλ
max とすると、非線形結晶に入射される二つの入射光の中心波長λ
c は同じ位置に入射し、前記サンプル光の波長がλ
1 = λ
min である位置で前記基準光の波長はλ
2 = λ
max となり、逆に前記サンプル光の波長がλ
1 = λ
max である位置で前記基準光の波長はλ
2 = λ
min となる。このとき、前述のように、合周波数ミキシングで満足しなければならない式1/λ
3 = 1/λ
1 + 1/λ
2 に従って、生成される非線形光の波長は、すべての位置でλ
3
λ
c /2となり、準単色波長(quasi-monochromatic)成分となる。例えば、前記光断層撮影装置の光源の波長が1060nmであれば、生成される波長は530nmとなる。
【0007】
また、前記第1及び第2回折格子は、互いに対称的に配置され、サンプル光のスペクトルと基準光のスペクトルが互いに対称的に分解されて非線形光学系に入射し、回折される光は非線形結晶に向けて出力されるように配置する。
前記サンプル光と前記基準光は、前記第1回折格子及び第2回折格子によって回折された後、同じレンズを通過して非線形結晶に到達することもできるし、同じ焦点距離のそれぞれ異なるレンズを通過して非線形結晶に到達することもできる。このようなレンズを総称して第1レンズと呼び、第1レンズの前方焦点距離(前方焦点距離)には前記回折格子を配置し、第1レンズの後方焦点距離(後方焦点距離)には非線形結晶が来るように配置する。
前記分光的分解光発生器において、前記第1及び第2回折格子が垂直に交差して配置される場合には、第1レンズの上部は、上側にある回折格子で回折された光が通過し、第1レンズの下部は、下側にある回折格子で回折された光が通過するようにし、第1レンズの焦点距離に位置する非線形結晶の中心部で上側の回折光と下側の回折光が互いに出会うようにする。
前記第1及び第2回折格子が水平に並んで配置される場合には、第1レンズの左側は左側にある回折格子で回折された光が通過し、第1レンズの右側は右側に位置する回折格子で回折された光が通過するようにし、第1レンズの焦点距離に位置する非線形結晶の中心部で左側の回折光と右側の回折光が互いに出会うようにする。この時の第1レンズは、左右方向のみに集光の役割をする円筒型レンズであることができる。
別の実施例として、第1回折格子と第2回折格子を単一の回折格子として、互いに反対方向から入射された二つの光の回折光が非線形結晶方向に進行するように配置することもできる。この場合、一般的に、どちらか一方の光の回折効率が他方より低くなるという欠点がある場合がある。また、複数の回折格子を使用する場合とは異なり、二つの回折されたビームが同一線上(collinearly)に進行することもできる。
一方、前記検出部の非線形結晶で四つの波動ミキシングを起こさせると、二つの入力光の波長をλ1 および λ2 とすると、生成された非線形光の波長は 1/λ4 = 2/λ1 - 1/λ2 となる。この時、生成される非線形光の波長は入射された光の波長と同じで、1060nmの入力光を使用する場合、出力光も1060nmの波長を持つことになる。前述のように、二つの入力光の空間上のスイープ(sweep)を引き起こす位相成分を相殺させるためには、この場合、前記分光的分解光発生器における回折格子は、第1回折格子の溝密度(Groove density)が第2回折格子より2倍になるようにし、同じ焦点距離のレンズを使用するか、同じ回折格子を使用し、どちらかのレンズの焦点距離を他方のレンズより2倍大きくして構成すればよい。
【0008】
前記検出部において、前記非線形結晶は、入力される光の波長に応じて、複数の結晶物質の中から選択することができ、角度、偏光または温度を調整して位相マッチングを行い、生成される非線形光の強度を極大化させることができる。
また、前記検出部は、前記非線形結晶の後に生成された非線形光を集光するための第2レンズを配置するが、一般的に第2レンズの前方焦点距離には非線形結晶を配置すると、第2レンズの後方焦点距離には、非線形結晶から生成された非線形光の空間上の分布がフーリエ変換された像、すなわち深さ方向の信号が空間上に結像する。この位置にイメージ・センサーを位置させると、深さ方向の映像を電気的に取得することができ、あるいはリレー(relay)光学系を位置させると、深さ方向の信号を拡大または縮小するズーム機能を付与した後、イメージ・センサーを位置させて電気信号に変えることができる。
また、前記検出部は、前記非線形結晶で生成された非線形光をフィルタリングして前記イメージ・センサーに伝達するフィルタをさらに含み、前記フィルタは、前記非線形結晶が前記サンプル光、前記基準光を通過させながら、前記非線形光を生成する際に、通過した前記サンプル光と前記基準光は除去し、前記非線形光のみを通過させることができる。特に、前述のように、単一の回折格子が使用され、回折された前記サンプル光と前記基準光が同一線上(collinearly)に進行する場合には、非線形結晶後の二つの入力光と生成された非線形光も同じく同一線上に進行するので、フィルタが必須である。
また、前記非線形結晶が前記サンプル光、前記基準光を通過させ、前記非線形光を生成させるとき、前記第2レンズは、前記サンプル光と前記基準光はイメージ・センサーの検出可能な領域から外れ、前記非線形光のみがイメージ・センサーに集光される大きさに設計することができる。
また、前記イメージ・センサーは、前記サンプル光または前記基準光の波長が前記非線形光の波長より大きいとき(三つの波動ミキシングの場合)、前記非線形光の波長より高いが、前記サンプル光または前記基準光より低い波長まで認識できるように設計されており、前記イメージ・センサーに前記サンプル光と前記基準光が認識されず、前記非線形光が認識されることがある。
また、前記画像取得器に収集された非線形光のフーリエ変換値は、基準光とサンプル光間の経路差がない深度値を基準としたミラー(mirror)画像を一般的に含まない。
本発明の他の実施形態に係る光断層撮影方法は、光断層撮影装置を介して、内部の光源から入射された光を生体組織に対応するサンプルに注入し、前記サンプルから反射されたサンプル光と前記光源から入射された基準光を組み合わせて、前記サンプルに対する断層画像を検出する段階を含む、前記断層画像を検出する段階は、前記サンプル光と前記基準光を分光的分解光発生器を経て非線形結晶に入射させ、前記サンプル光及び前記基準光と異なる波長を有する非線形光を生成させ、空間的なフーリエ変換を行うレンズとイメージ・センサーを介して前記非線形光から深さ方向信号を検出する段階;を含むことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、従来のOCT装置より画像コントラスト比が高く、処理速度が速く、生体組織観察可能深度がより深い結果をもたらすことができる。
また、本発明のSD-ONT検出部は、従来のOCT装置よりはるかに安価な価格帯で提供することができる。具体的には、OCTの光源の波長が長いと、生体組織のより深いところまで浸透が可能であるが、波長が1μmより大きいと、従来のSiイメージ・センサーでは検出が難しく、InGaAsイメージ・センサーを使用することになる。しかし、InGaAsイメージ・センサーはSiセンサーより高価であり、OCT装置の価格を高くする原因となる。本発明のSD-ONTは、1μm以上の光源を使用しても、検出部で発生する非線形光は可視光領域帯であるため、従来のSiイメージ・センサーを使用することができる。したがって、従来のInGaAsイメージ・センサーを使用するOCT装置と同等またはそれ以上の性能を示しながら、より安価な装置を提供することができる。
また、従来のOCT装置は、イメージ・センサーに検出された干渉信号に対するDC成分除去、フーリエ変換などの信号処理を電気信号を取得した後、コンピュータで行うが、本発明のSD-ONTは、このようなプロセスが光学セットアップで瞬時に行われ、コンピュータでの別途の処理が不要であり、処理速度が格段に高いと言える。
また、従来のOCT装置は、干渉信号を検出した後、フーリエ変換を行う方式を採用しているが、画像センサーのピクセルサイズと間隔が小さいほど、サンプリングできる信号の最大周波数が増加し、より深い観察深度の生体組織を検出することができる。しかし、イメージ・センサーのピクセルサイズと間隔を無限に小さくすることができないため、従来のOCT装置では観察できる生体組織の深さに制限がある。本発明のSD-ONTは、レンズによってフーリエ変換後に検出されるため、信号サンプリング時のピクセルサイズと間隔の制限をなくすことができ、これにより、従来のOCT装置より深い位置の生体組織を観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】従来技術によるSD-OCT装置のイメージ・センサーに検出される分光領域の干渉信号を示すグラフである。
【
図3】
図2の深さ方向信号を導出するためのコンピュータで動作する信号処理プロセスに関するブロック図である。
【
図4】
図3の過程により
図2の干渉信号を深さ軸に対して変換(transformation)したグラフである。
【
図5a】従来のOCT装置を基に撮影した網膜画像の模式図である。
【
図5b】従来のOCT装置を基に撮影した網膜画像の模式図であり、
図5aよりも従来のOCT装置を眼に近づけて網膜画像を検出したときの写真である。
【
図5c】従来のOCT装置を基に撮影した網膜画像の模式図であり、
図5bよりも従来のOCT装置を眼に近づけて網膜画像を検出したときの写真である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るSD-ONT装置の構造図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る検出部の構造についてのブロック図である。
【
図8a】本発明の一実施形態に係る分光的分解光発生器と第1レンズの構造を示す模式図である。
【
図8b】本発明の一実施形態に係る非線形光発生器の構造の概略図である。
【
図8c】本発明の一実施形態に係るフーリエ変換器の構造の概略図である。
【
図8d】本発明の一実施形態に係る画像取得装置の構造についてのブロック図である。
【
図9】本発明の一実施例によるSD-ONT装置の非線形光の信号をフーリエ変換(transformation)したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明が属する技術分野において、当業者が容易に実施できるように、本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実施することができ、ここで説明する実施例に限定されない。そして、図面で本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似の部分については類似の図面符号を付した。
明細書全体において、ある部分が他の部分と「接続」されているとは、「直接接続」されている場合だけでなく、その間に他の素子を挟んで「電気的に接続」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
本明細書において「部」とは、ハードウェアによって実現されるユニット(unit)、ソフトウェアによって実現されるユニット、双方を利用して実現されるユニットを含む。また、一つのユニットが二つ以上のハードウェアを用いて実現されてもよいし、二つ以上のユニットが一つのハードウェアによって実現されてもよい。一方、「~部」は、ソフトウェアまたはハードウェアに限定されるものではなく、「~部」は、アドレス指定可能な記憶媒体にあるように構成することもできるし、一つまたは複数のプロセッサを再生させるように構成することもできる。したがって、一例として、「~部」は、ソフトウェア構成要素、オブジェクト指向ソフトウェア構成要素、クラス構成要素およびタスク構成要素のような構成要素、プロセス、関数、属性、プロシージャ、サブルーチン、プログラムコードのセグメント、ドライバ、ファームウェア、マイクロコード、回路、データ、データベース、データ構造、テーブル、アレイおよび変数を含む。構成要素と「~部」内で提供される機能は、より少ない数の構成要素と「~部」に結合されたり、追加の構成要素と「~部」にさらに分離されることがあります。さらに、構成要素及び部品は、デバイスまたはセキュリティーマルチメディアカード内の一つまたは複数のCPUを再生するように実装することもできます。
以下で言及される「装置」は、ネットワークを介してサーバや他の端末に接続できるコンピュータや携帯端末で実装することができる。また、「ネットワーク」とは、端末やサーバなどの各ノード相互間で情報交換が可能な接続構造を意味し、近距離通信網(LAN:Local Area Network)、広域通信網(WAN:Wide Area Network)、インターネット(WWW:World Wide Web)、有・無線データ通信網、電話網、有・無線テレビ通信網などを含む。無線データ通信網の一例としては、3G、4G、5G、3GPP(3rd Generation Partnership Project)、LTE(Long Term Evolution)、WIMAX(World Interoperability for Microwave Access)、Wi-Fi(Wi-Fi)、Bluetooth通信、赤外線通信、超音波通信、可視光通信(VLC: Visible Light Communication)、ライファイ(LiFi)などが含まれるが、これらに限定されない。
以下、
図6を参照して、本発明の一実施形態に係る光断層撮影装置(optical tomography device)について具体的に説明する。
本発明の一実施形態による光断層撮影装置は、SD-ONT(SPECTRAL DOMAIN - OPTICAL NONLINEARITY TOMOGRAPHY)装置と称することもできる。
本発明の一実施例の光断層撮影装置は、光源部110、光分離器120、サンプル光路係130、基準光路係140、検出部150を含む。
【0012】
光源部110は、所定の波長帯域を有するコヒーレンス長(coherence length)が短い光を出射する構成要素である。例えば、超発光ダイオード(super-luminescent diode: SLD)などが用いられる。ただし、必ずしもこれに限らず、様々な光源が活用できる。
光分離器120は、光源から発生した光を二股に分ける役割を果たす構成要素である。光分離器120は、ビームスプリッター(beam splitter)または方向性カプラー(directional coupler)などを含む構造で形成され、光を分離させることができる。光分離器120で分離された光は、それぞれサンプル光路係130と基準光路係140に入射される。
サンプル光路係130は、光を生体組織などのサンプルに入射させる構成要素である。サンプル光路係130は、サンプルに光を入射させた後、サンプルから反射された光を検出部150に伝達する。この時、サンプル光路係130を通過した光をサンプル光と呼ぶことにする。サンプル光路係130で入射される光の経路が変動がなければ、サンプル内の一点での深さ方向の信号を得ることができる。したがって、ほとんどの場合には、サンプル光路係130のサンプル光の経路上にビームスキャナ(beam scanner)などを配置して、一つの軸(例えば、縦方向軸)内でサンプル光を入射させて戻ってきたサンプル光を検出することにより、2次元のサンプル断面画像を取得することができる。または、二つの軸(例えば、縦方向軸及び横方向軸)内でサンプル光を入射させて戻ってきたサンプル光を検出することにより、3次元のサンプル断面画像を取得することができる。
基準光路係140は、反射鏡を含むように構成され、光分離器120から入射された光を反射させて検出部150に伝達する構成要素である。基準光路係140を通過した光を基準光(reference light)と呼ぶことにする。一般的に、基準光路係140の長さ(すなわち、基準光が基準光路係140内で移動する長さに関連する値)は、サンプル光路係130の長さ(すなわち、サンプル光がサンプル光路係130内で移動する長さに関連する値)によって変わる。OCTでは、基準光路係140の長さがサンプルの断面画像の最上端(サンプル光路係130の最短経路)または最下端(サンプル光路係130の最長経路)に一致するように設定した後、サンプルの断面画像を取得する。しかし、本発明の一実施例によるSD-ONTでは、断面画像の中央部に位置するように基準光路係140の長さを調整する。
検出部150は、サンプル光と基準光を入射させ、適切な光学処理を行った後、イメージ・センサー159cに入射させてサンプルの深さ情報を抽出する機能を実行する。
本発明の一実施例による検出部150は、サンプル光と基準光を干渉させず、サンプル光と基準光をミキシングして非線形光を生成し、非線形光をイメージ・センサー159cに入射させることにより、深さ方向信号を検出することを特徴とする。
このため、非線形結晶155bは、三つ以上の波のミキシングが起こる場合、サンプル光及び基準光と異なる波長を有する非線形光を生成させることができる。
このような非線形光は、従来のOCT装置とは異なり、DC成分を非線形光から光学的に除去した後、イメージ・センサー159cから電気信号として取得することができる。これにより、イメージ・センサー159cのDR(dynamic range)全体を活用できるようになり、従来のOCT装置よりも画像コントラスト比を向上させることができる。したがって、検出対象となる生体組織の内部深部まで撮影することができ、正確な画像で撮影することができ、医療機器用に使用する場合、正確な診断を導き出すのに非常に有用に活用することができる。
【0013】
図7を通じて、本発明の一実施形態に係る検出部150をより詳細に説明する。
本発明の一実施例による検出部150は、分光的分解光発生器151(spectrally dispersed beam generator)、非線形性光発生器(nonlinear beam generator)、フーリエ変換器157(Fourier transformer)、及び画像取得器(image acquirer)を含む。
分光的分解光生成器151は、入射されたサンプル光と基準光が各波長領域帯ごとに広がったスペクトルになるようにスペクトルを生成した後、非線形光生成器155に集光させる。非線形光生成器155は、入射されたサンプル光と基準光のスペクトルを波長別にミキシングして非線形光を生成することができる。非線形光は、サンプル光及び基準光と異なる波長(波長長)を持つことができる。フーリエ変換器157は、非線形光を物理的にフーリエ変換して、深さ方向の信号が画像取得器159(すなわち、イメージ・センサー159c)の入射領域内の空間上に分布するようにする。画像取得器159は、フーリエ変換された非線形光をリニアスキャンカメラ(すなわち、イメージ・センサー)で入射し、そこから電気信号として取得し、深さ方向信号を検出することができる。ここで、深さ方向信号とは、サンプル上の特定の点での深さによる断層情報に対する信号を意味するものであり、サンプル光路にあるビームスキャナの横軸スキャンにより、サンプル上の複数の点に対する深さ方向信号が組み合わせられたものであり、これにより、最終的な2次元または3次元の断層画像が生成されることができる。
図8aを参照すると、分光的分解光発生器151は、一実施形態では、一つ以上の回折格子と第1レンズ151bを含む。第1のレンズは、追加実施例により、少なくとも一つのレンズで構成することができる。分光的分解光発生器は、回折格子を使用して、サンプル光と基準光のスペクトルを波長ごとに分解し、一つ以上の円形または円筒形のレンズで構成される第1レンズ151bに入射させる。第1レンズ151bを通過したサンプル光と基準光は集光され、非線形結晶155bの中心に正確に整列され、三つ以上の波動ミキシングまたは四つ以上の波動ミキシングが起こるようにする。
図8bを参照すると、非線形光発生器155は、第1レンズ151bを介して集光されたサンプル光と基準光のスペクトルがミキシングされて非線形光を生成するようにする非線形結晶155bを含む。この非線形結晶155bは、温度制御を通じて非線形光の位相マッチングを最適化させることができる。具体的には、ヒーター155dと温度センサ155cを備えたオーブン155a内に非線形結晶155bが装着される。温度コントローラ155eは、非線形結晶155bの温度に関するフィードバックを継続的に収集し、非線形結晶155bを所定の温度に維持できるようにすることができる。 別の実施例で非線形結晶155bの角によって位相マッチングを最適化する場合には、角を精密調整するための据置台の上に非線形結晶を位置させる。
【0014】
図8cを参照すると、フーリエ変換器157は、非線形結晶155bから生成された空間上に広がる非線形光に対して物理的に(または空間的に)フーリエ変換を行い、空間上の深さ方向信号に変換する第2レンズ157aを含む。 つまり、ソフトウェアアルゴリズムを通じてフーリエ変換するのではなく、非線形結晶155bから出力された光を第2レンズ157aに通過させる場合、物理的にフーリエ変換されて画像取得器159に入射することになる。
図8dを参照すると、画像取得器は、第2レンズ157aの焦点位置に配置され、空間上に広がる深さ方向信号を電気的な信号に変換するイメージ・センサー159cを含む。さらに、非線形光を除くサンプル光と基準光をフィルタリングするためのフィルタ159aを含むこともできる。また、イメージ・センサー159c上に結像する深さ方向プロファイルをズームインまたはズームアウトするための少なくとも一つのリレーレンズ159bを含むこともできる。
一方、
図8aを参照して、分光的分解光発生器151の構造についてより詳細に説明する。具体的には、分光的分解光発生器151は、一つ以上の回折格子と一つ以上のレンズを含めて構成することができ、
図8aのように、例えば、サンプル光を回折させる第1回折格子151a-1と、前記基準光を回折させる第2回折格子151a-2を含めて構成することができる。このとき、第1回折格子151a-1と第2回折格子151a-2は、互いに対称的な構造で配置することができる。また、第1回折格子151a-1と第2回折格子151a-2は、互いに垂直方向に配置されたり、互いに水平方向に並んで配置されるものであってもよい。
図8aにおいて、サンプル光と基準光は、それぞれ鏡を介して反射されて回折格子に入射することもできる。検出部150は、第1回折格子151a-1にサンプル光が向くように反射させる第1反射鏡M1と、第2回折格子151a-2に基準光が向くようにする第2反射鏡M2をさらに含むことができる。
このとき、サンプル光は第1回折格子151a-1によって回折されて第1レンズ151bに向けられ、基準光は第2回折格子151a-2によって回折されて第1レンズ151bに向けられる。第1回折格子151a-1と第2回折格子151a-2は、サンプル光のスペクトルと基準光のスペクトルが互いに反対になるように第1レンズ151bに入射するように設計されている。比喩的に、光スペクトルの両端領域がそれぞれ赤色(高波長)と紫色(低波長)領域と規定されるとき、第1回折格子151a-1は、R1が赤色領域となり、R2が紫色領域となるようにサンプル光を回折させることができる。また、第2回折格子151a-2は、R3が紫色領域となり、R4が赤色領域となるように基準光を回折させることができる。第1レンズ151bを通過した二つのスペクトルは、非線形結晶155b内に集光され、R1がR3と、R2がR4と出会い、ミキシングが行われる。
回折格子は、光を回折させるための所定の方向性を有するパターン構造を含むように形成される。パターン構造の方向を反対方向に変更させると、入射された光のスペクトル方向を反対方向に設定することができ、このような原理により、第1及び第2回折格子151a-1、151a-2が互いに逆位相のスペクトルを発生させるようにする。
サンプル光と基準光のスペクトル方向を逆方向に設定する理由は以下の通りである。特定の位相を持つ光は、複素数成分で表現することができる。複素数成分を有する二つの光がミキシングされるとき、このような過程を二つの複素数成分が互いに演算されることで表現することができる。分光的分解光生成器151を通過した光は、時間に応じて空間上でスイープ(sweep)されるようにする位相成分を有する。二つの光がミキシングされ、この位相成分が互いに相殺されるようにするために、サンプル光と基準光のスペクトル方向を互いに反対方向に設定することである。
【0015】
第1レンズ151bを通過したサンプル光と基準光は、非線形結晶155bに入射される。非線形結晶155bは、特定の第1の光と第2の光を入射されたとき、新しい波長の光を発生させる。例えば、λ1 の波長を有する第1の光と、λ2 の波長を有する第2の光が入射されてミキシングされた場合、1/λ3 =1/λ1 +1/λ2 を満足するλ3 という波長を有する第3の光を発することができる。これを合周波数ミキシング(sum frequency mixing)現象 という。もし、λ1 = λ2 となり、λ3 = λ1 / 2という波長を持つ第3の光が発するようになる場合、second harmonic generationと呼ぶ。このとき、λ3 はλ1 またはλ2 と異なるため、結果として非線形結晶は入射された光の波長と異なる別の波長の光を出射することになる。
非線形結晶155bは、LBO、BBO、KBO、KBO、PPLNなどの材料で構成することができるが、必ずしもこれらに限定されない。
前記検出部150は、一般的に4f構造を有することができる。具体的には、第1レンズ151bの前方焦点距離に回折格子が位置し、後方焦点距離に非線形結晶155bが位置するように配置することができる。また、これと同様に、第2レンズの前方焦点距離に非線形結晶155bが、後方焦点距離にイメージ・センサー159cが位置するように配置することができる。
フーリエ変換器157は、コンピュータで行われず、物理的に瞬間的に行われるため、従来のOCT装置のように、イメージ・センサー159cを通じて干渉信号を受信した後、コンピュータで別途フーリエ変換処理を行う必要がなくなるため、SD-ONT装置の内部的な処理速度が向上できるようになる。
一方、フィルタ159aは、イメージ・センサー159cにサンプル光や基準光が入射しないように除去する役割を果たす。非線形結晶がもっぱら非線形光のみを出射させるわけではない。入射されたサンプル光と基準光が透過して非線形結晶から出射されることもある。 つまり、非線形結晶からサンプル光、基準光、非線形光の三つの光が発生するが、サンプル光と基準光がイメージ・センサー159cに入射されると、従来のOCT装置で問題になったDC成分を作り出すことがある。したがって、フィルタ159aは、サンプル光と前記基準光を除去し、前記非線形光を通過させることができる。このフィルター159aは、サンプル光と基準光が同一線上で進行するcollinear構造で必ず必要である。
一方、フィルタ159aの代わりに、他の方法で非線形光のみを通過させることもできる。例えば、第2レンズ157aがサンプル光と基準光を除去し、非線形光を通過させることができる大きさに設計される場合、自然にサンプル光及び基準光フィルタリングを行うことができる。
【0016】
別の方法として、非線形光のみを検出するようにすることもできる。 一般的に、InGaAsであれSiであれ、全てのイメージ・センサー159cは、検出が可能な波長領域が別にある。例えば、Siセンサは、1umより大きい波長の光は検出することが難しい。 したがって、イメージ・センサー159cが、非線形光の波長より高いが、サンプル光または前記基準光より低い波長まで認識できる媒体で構成されていたり、そのような性質のフィルム型フィルタ159aで塗布されている場合には、別のフィルタ159aがなくても、イメージ・センサー159cにサンプル光と前記基準光が認識されず、非線形光のみが認識されることができる。
フーリエ変換の原理によれば、非対称な信号を入力した変換結果は、中心を基準に対称な信号を、中心を基準に対称な信号の入力に対して非対称な信号を導き出す。
図2のような非対称な信号を入力してフーリエ変換を行う従来のOCTでは、出力される結果が
図4のようにz=0を基準に左右対称な信号であるため、主に左側は除去し、z>0である部分だけを断層画像として取得する。すなわち、本発明の一実施例の非線形光に対する波長-強度(intensity)グラフは、非線形結晶155bで最初から対称的な形で生成されるので、非線形光を第2レンズ157aによってフーリエ変換する場合、
図9のように、深度値を基準に対称的でないように算出される。
図2と明らかに異なる形のグラフが算出されることが分かる。 すなわち、従来の場合、コンピュータで処理した深さ方向信号のうち半分を捨てなければならなかったが、本発明の場合、イメージ・センサー159cが検出した全ての深さ方向信号を活用して断層画像を生成することができる。従って、本発明の一実施例では、別途、イメージ・センサー159cで検出した領域のうち半分を捨てる無駄な要素も除去される。
また、本発明の一実施例に係る検出部150は、基準光をイメージ・センサー159cに入射させないので、DC成分が検出されない。
図9のグラフを見ると、DC成分がないことが確認できる。これにより、イメージ・センサー159cのdynamic rangeを全て活用できるようになり、DC除去プロセスを経る必要もないため、画像コントラスト比が向上し、処理速度もより速くなる。
一方、さらに、検出部150は、複数の対物レンズで構成された顕微鏡のように、第2レンズ157aを複数個で構成して交換しながら焦点距離を変更することにより、断層画像に対するズームイン及びズームアウト機能を実現することができる。別の方法としては、第2レンズ157aは固定させ、別のリレーレンズ群を後端に取り付けて交換しながらズーム機能を実現することもできる。 従来のOCT装置の場合、既に得られた深さ方向信号をbinningして観察された深度値を犠牲にしてズームイン機能を実現するが、本発明の場合、イメージ・センサー159cが取得した光のエネルギー値は維持したまま深さ方向スケールだけを変更したものであるため、ズームイン/ズームアウトを実現する際、非常に簡単な方法でより鮮明なズームイン/ズームアウト映像を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る光断層撮影方法について具体的に説明する。
光断層撮影方法は、光断層撮影装置を通じて、内部の光源から入射された光を生体組織に対応するサンプルに注入する段階;及び光断層撮影装置を通じて、前記サンプルから反射されたサンプル光と前記光源から入射された基準光を組み合わせて前記サンプルに対する断層画像を検出する段階を含む。このとき、断層画像を検出する段階は、サンプル光と前記基準光を非線形結晶155bに入射させて、前記サンプル光及び前記基準光と異なる波長を有する非線形光を生成させ、イメージ・センサー159cを介して前記非線形光から深さ方向信号を検出する段階;を含むことができる。
【0017】
本発明の一実施形態は、コンピュータによって実行されるプログラムモジュールなど、コンピュータによって実行可能な命令を含む記録媒体の形態でも実施することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の可用性媒体であってもよく、揮発性媒体と不揮発性媒体、取り外し可能な媒体と取り外し不可能な媒体の両方を含む。また、コンピュータ読み取り可能な媒体は、 すべてのコンピュータ記憶媒体を含むことができる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータなどの情報を格納するための任意の方法または技術によって実装された、揮発性および不揮発性、取り外し可能および非分離可能な媒体の両方を含む。
本発明の方法およびシステムは、特定の実施形態に関連して説明されたが、それらの構成要素または動作の一部または全部は、汎用ハードウェアアーキテクチャを有するコンピュータシステムを使用して実装することができる。
前記の本発明の説明は例示的なものであり、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明の技術思想や本質的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形可能であることを理解することができるであろう。したがって、前記で説明した実施例は、すべての点で例示的なものであり、限定的ではないと理解されるべきである。例えば、単一型として説明されている各構成要素は、分散して実施することも可能であり、同様に、分散して説明されている構成要素も、組み合わせて実施することも可能である。
本発明の範囲は、前記の詳細な説明よりも後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味と範囲、そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されるべきである。
【国際調査報告】