(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】超疎水性コーティング、組成物、及び方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20241126BHJP
C09D 201/02 20060101ALI20241126BHJP
C09D 5/16 20060101ALI20241126BHJP
C09D 5/08 20060101ALI20241126BHJP
C09D 127/12 20060101ALI20241126BHJP
C09D 123/00 20060101ALI20241126BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20241126BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20241126BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20241126BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241126BHJP
B05D 5/00 20060101ALI20241126BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20241126BHJP
B63B 59/04 20060101ALI20241126BHJP
B63G 8/00 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
B32B27/30 D
C09D201/02
C09D5/16
C09D5/08
C09D127/12
C09D123/00
C09D5/00 D
C09J201/00
C09J7/30
B32B27/00 C
B05D5/00 H
B05D7/24 302L
B63B59/04 Z
B63G8/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531339
(86)(22)【出願日】2022-11-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 CA2022051722
(87)【国際公開番号】W WO2023092225
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】303061166
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー オブ ブリティッシュ コロンビア
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】デーモン ジェイ.ギルモア
(72)【発明者】
【氏名】ターニャ トムコビッチ
(72)【発明者】
【氏名】サバス ジー.ハツィキリアコス
(72)【発明者】
【氏名】ローレル エル.シェーファー
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J004
4J038
4J040
【Fターム(参考)】
4D075AE06
4D075AE07
4D075CA34
4D075CA36
4D075DC05
4D075DC08
4D075EA05
4D075EB38
4F100AB01C
4F100AK01C
4F100AK04A
4F100AK07A
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4J038PA07
4J038PB07
4J038PC08
4J040EH011
4J040JA09
(57)【要約】
水性環境と接触する疎水性コーティングを含む複合構造が開示される。コーティングは、1~500マイクロメートルの厚さを有するアミン官能化ポリマー層を含む第1の層と、フルオロポリマー、ポリオレフィン、またはそれらの組み合わせを含む第2の層と、を含み、上記複合構造の作製方法及び修復方法。表面に塗料として塗布できる複合接着剤。これらの超疎水性表面は、様々な用途の抗力低減、海洋エンジニアリングにおける防汚表面として、ならびに静的用途におけるシーラント及びガスケットとして有用である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の表面に配置されたコーティングと、を含む複合構造であって、
前記コーティングが、約1μm~約500μmの均一な厚さを有するアミン官能化ポリマーを含む層と、フルオロポリマー、ポリ(オレフィン)、またはそれらの組み合わせを含む層と、を含み、
疎水性コーティングが水性環境/媒体と接触する、前記複合構造。
【請求項2】
前記コーティングが、疎水性コーティングである、請求項1に記載の複合構造。
【請求項3】
フルオロポリマー、ポリ(オレフィン)を含む前記層が、疎水性である、請求項1または2に記載の複合構造。
【請求項4】
前記疎水性コーティングが、前記水性環境/媒体に浸漬される、請求項2または3に記載の複合構造。
【請求項5】
前記複合構造が、前記水性環境/媒体中に沈められる、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項6】
前記基材が、二次接着剤を含み、任意選択的に、前記二次接着剤が、ポリウレタン塗料を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項7】
前記均一な厚さが、少なくとも約10μm、少なくとも約20μm、少なくとも約30μm、少なくとも約40μm、少なくとも約50μm、少なくとも約60μm、少なくとも約70μm、少なくとも約80μm、少なくとも約90μm、または少なくとも約100μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項8】
前記均一な厚さが、約500μm未満、約450μm未満、約400μm未満、約350μm未満、約300μm未満、または約250μm未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項9】
前記均一な厚さが、少なくとも200μmである、請求項8に記載の複合構造。
【請求項10】
前記均一な厚さが、約10μm~400μm、約25μm~約300μm、約50μm~250μm、または約75μm~125μmである、請求項1~9のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項11】
接着剤層が、100μm~400μmのフィルム厚さを有するフィルムである、請求項1~10のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項12】
前記接着剤層が、75μm~125μmのフィルム厚さを有するフィルムである、請求項11に記載の複合構造。
【請求項13】
疎水性層が、1μm~500μmのフィルム厚さを有するフィルムである、請求項1~12のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項14】
前記疎水性層が、75μm~125μmのフィルム厚さを有するフィルムである、請求項13に記載の複合構造。
【請求項15】
前記疎水性層が、400μmを超えるフィルム厚さを有するフィルムである、請求項1~14のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項16】
前記均一な厚さが、100μm~400μmである、請求項1~15のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項17】
前記均一な厚さが、75μm~125μmである、請求項16に記載の複合構造。
【請求項18】
前記均一な厚さが、1μm~500μmである、請求項1~17のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項19】
前記均一な厚さが、75μm~125μmである、請求項18に記載の複合構造。
【請求項20】
前記均一な厚さが、400μmを超える、請求項1~19のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項21】
前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、及び関連するパーフルオロエラストマーからなる群から選択される、請求項1~20のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項22】
前記PTFEが、多孔質である、請求項21に記載の複合構造。
【請求項23】
前記PTFEが、非焼結フィルムである、請求項21に記載の複合構造。
【請求項24】
前記PTFEが、熱的にアニールされた焼結フィルムである、請求項21に記載の複合構造。
【請求項25】
前記ポリ(オレフィン)が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリブタジエン(PBD)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~24のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項26】
前記疎水性コーティングが、超疎水性である、請求項1~25のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項27】
前記基材が、剥離フィルムである、請求項1~26のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項28】
前記基材が、ボート、船、潜水艦、または個人用船舶の船体である、請求項1~27のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項29】
前記接着剤層が、少なくとも50mmの長さを有するフィルムである、請求項1~28のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項30】
前記疎水性層が、少なくとも50mmの長さを有するフィルムである、請求項1~29のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項31】
前記接着剤層が、均一な組成を有する、請求項1~30のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項32】
前記疎水性層が、均一な組成を有する、請求項1~31のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項33】
前記基材が、可撓性である、請求項1~32のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項34】
前記基材が、剛性である、請求項1~33のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項35】
前記基材が、剥離フィルムである、請求項1~34のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項36】
前記剥離フィルムが、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、PDMS/シリコーン、シリコーン、ビニル接着剤、またはそれらの組み合わせである、請求項35に記載の複合構造。
【請求項37】
前記基材が、二次コーティング層を含み、任意選択的に、前記二次コーティング層が、二次接着剤、塗料プライマー、または前記船体を保護するコーティングを含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の複合構造。
【請求項38】
前記二次接着剤が、ポリウレタン、アクリル、シアノアクリレート、及びエポキシからなる群から選択される、請求項37に記載の複合構造。
【請求項39】
前記船体を保護する前記コーティングが、耐スクラッチ性層、または耐腐食及び耐汚損のためのバリアコーティングである、請求項37に記載の複合構造。
【請求項40】
請求項1~39のいずれか1項に記載の複合構造を含む、物品。
【請求項41】
前記物品が水性環境と接触するか、または水性環境に浸漬される、請求項40に記載の物品。
【請求項42】
前記物品が、ボート、船、潜水艦、個人用船舶、ブイ、ドック、または掘削リグである、請求項41に記載の物品。
【請求項43】
複合構造を作製する方法であって、
a.アミン官能化ポリマー層をフルオロポリマー及び/またはポリ(オレフィン)に塗布して、コーティングを形成することと、
b.前記コーティングを基材の表面に塗布して、複合材を形成することと、を含む、前記方法。
【請求項44】
複合構造を作製する方法であって、
a.アミン官能化ポリマー層を基材の表面に塗布することと、
b.前記アミン官能化ポリマー層にフルオロポリマーまたはポリ(オレフィン)を塗布することと、を含む、前記方法。
【請求項45】
複合構造を作製する方法であって、アミン官能化ポリマーと、フルオロポリマー及び/またはポリ(オレフィン)との組み合わせを基材の表面に塗布することを含む、前記方法。
【請求項46】
複合構造を修復する方法であって、
a.請求項1~39のいずれか1項に記載の複合構造であって、欠陥を有する前記複合構造を提供すること、または提供していることと、
b.前記欠陥を修復するために圧力を加えることと、を含む、前記方法。
【請求項47】
溶液または乾燥スプレー粒子としてPTFEをスプレーすることを含む、請求項43~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
複合構造を作製する方法であって、
c.アミン官能化ポリマー層を基材の表面に塗布することと、
d.前記アミン官能化ポリマー層に塗料コーティングを塗布することと、を含む、前記方法。
【請求項49】
前記塗料コーティングが、防汚塗料コーティングである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記塗料コーティングが、疎水性添加剤を含む、請求項48または49に記載の方法。
【請求項51】
前記塗料コーティングが、PTFEを含む、請求項48または49に記載の方法。
【請求項52】
複合構造を作製する方法であって、
a.アミン官能化ポリマー層を基材の表面に塗布することと、
b.アミン官能化ポリマー層をフルオロポリマー、ポリ(オレフィン)、またはそれらの組み合わせに塗布して、コーティングを形成することと、
b.前記アミン官能化ポリマー層を結合して、複合材を形成することと、を含む、前記方法。
【請求項53】
前記方法が、ステップが列挙された順序で実行される、請求項43~46のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月24日に出願され、「SUPERHYDROPHOBIC COATINGS,COMPOSITIONS AND METHODS」と題された米国仮特許出願第63/283,191号の優先権及びその利益を主張し、その全体の内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、耐水性接着剤に固定(例えば、接着)された超疎水性コーティングを有する多層複合構造、それらを含む物品、それらを作製するプロセス、及びそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
接着剤に使用される一般的な高分子モチーフは、エポキシ、アクリル、及びポリウレタンである。これらの従来の接着剤の接着の有効性及び強度は、乾燥環境と比較して、水性環境において著しく低い。特に困難な環境は、溶液、特に非中性のpHまたは高いイオン含有量を有するもの(例えば、ブライン及び高濃度のイオンを有する他の液体)に浸漬されている。一般的な水性環境、特に塩水では、接着剤材料の基材への表面付着または接着は、水及び他のイオンが存在する表面及び接着剤との間の追加的な相互作用のために、より複雑である。
【0004】
水中接着剤技術のほとんどの例は、いわゆるムール貝に着想を得た接着剤に基づいて開発された。これらは、一般に、カテコール及びスチレンモチーフの組み合わせを有するポリマーに基づいている。例えば、米国特許第US11,046,873B2号を参照されたい。これらのシステムでは、乾燥または湿潤環境のいずれかでの最適化された接着のために、ポリマー構造の変形が必要であることが決定されている。しかしながら、これらの接着剤の共通の特徴は、それらが硬化し、可逆的でないことである。接合不良または剥離が発生した場合、基材は、元々組み合わされたときと同じ接着強度で再結合することができない。
【0005】
超疎水性表面、またはきわめて低い表面自由エネルギーを有する表面は、接着剤への非常に困難な基材となり、しばしばそれらの広範な用途を制限する不十分な機械的特性を有することが知られている。例えば、Zhu,et al.Journal of Materials Chemistry 2011,21(39),15793-15797、Chen et al.Advanced Materials Interfaces 2016,3(6),1500718.-2を参照されたい。表面自由エネルギーが低いため、これらのコーティングは摩耗や他の機械的変形を受けやすく、基材への結合も困難である。したがって、PTFEなどのフルオロポリマーは、極度な疎水性または超疎水性を有する非常に望ましい表面を生成するために使用され得るが、それらは、低い溶解度のためにコーティングまたは潤滑剤として加工することが困難である。例えば、Pradhan,et al.Polymer-Plastics Technology and Materials 2019,58(5),498-518を参照されたい。さらに、他の表面との接着性の低さ、簡単に塗布できる好適な接着剤の欠如、及び環境的に安全な適切な接着剤の欠如は、多くの技術的に重要な用途でのPTFEの広範な使用を妨げている。例えば、Sheng,et al.Journal of Adhesion 2017,93(9),716-733、Jin et al.Macromol.Rapid Commun.2014,35(18),1551-1570を参照されたい。
【0006】
表面をコーティングし、強化された防汚及び/または改良された濡れ挙動を提供できる材料に対する重要かつ増大する需要が存在する。特に、生物付着及びバイオフィルムは、生態学的及び人間の健康、インフラストラクチャ、炭素排出量、及び機械性能に影響を与えるコストのかかる問題である。例えば、海洋環境では、50μmという薄さのバイオフィルムが船舶の抗力を20%を超えて増加させ、重大な経済的及び環境的影響をもたらす可能性がある。実際、バイオフィルムによる燃料消費の増加の結果として、米国海軍によって推定7,000万トンの追加のCO2が生産されている。推定では、海洋産業全般の汚損は、一年当たり64億ドル(米国)を超えるコストを生み出す可能性があることが示されている。
【0007】
したがって、抗力低減のための疎水性及び超疎水性コーティングにおけるPTFE及び他のフルオロポリマーとともに、海洋エンジニアリングにおける防汚表面として、ならびに静的用途におけるシーラント及びガスケットとして有用な、改良された接着剤が必要とされる。新しい組成物及びプロセスはまた、これらのタイプのコーティングを大きな及び/または不規則な基材に接着させ、特に水性環境及び海洋エンジニアリングでそれらを使用するために必要である。本開示は、これら及び他の満たされていないニーズに対処する。
【発明の概要】
【0008】
一実施形態では、本明細書に示されるのは、基材と、基材の表面に配置された疎水性コーティングとを含む複合構造であり、疎水性コーティングは、約1μm~約500μmの均一な厚さを有するアミン官能化ポリマーを含む耐水性接着剤層と、フルオロポリマー及び/またはポリ(オレフィン)を含む疎水性層と、を含み、好ましくは、疎水性コーティングは、水性環境/媒体と接触する。
【0009】
別の実施形態では、本明細書に示されるのは、基材と、基材の表面に配置されたコーティングとを含む複合構造であり、コーティングは、約1μm~約500μmの均一な厚さを有するアミン官能化ポリマーを含む層と、フルオロポリマー及び/またはポリ(オレフィン)を含む層と、好ましくは、疎水性コーティングが水性環境/媒体と接触する層と、を含む。いくつかの実施形態では、均一な厚さを有するアミン官能化ポリマーは、耐水性接着剤である。いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリマーは、80μmを超える均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリマーは、少なくとも80μmの均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリマーは、80μm~150μmの均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリマーは、少なくとも150μmの均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリマーは、500μm未満の均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリマーは、400μm未満の均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリマーは、300μm未満の均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリマーは、200μm未満の均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、コーティングは、疎水性コーティングである。いくつかの実施形態では、フルオロポリマー、ポリ(オレフィン)を含む層は、疎水性である。
【0010】
第3の実施形態では、本明細書に記載されるのは、複合構造を作製するためのプロセスであって、アミン官能化ポリマー層をフルオロポリマー及び/またはポリ(オレフィン)に塗布してコーティングを形成し、コーティングを基材の表面に塗布して複合材を形成することを含む、プロセスである。ある特定の実施形態では、プロセスは、アミン官能化ポリマー層をフルオロポリマーに塗布してコーティングを形成することを含む。特定の他の実施形態では、プロセスは、アミン官能化ポリマー層をポリ(オレフィン)に塗布してコーティングを形成することを含む。これらの実施形態のいくつかでは、ポリ(オレフィン)は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及びポリプロピレン(PP)からなる群から選択される。いくつかの実施例では、ポリ(オレフィン)は、HDPEである。いくつかの他の実施例では、ポリ(オレフィン)は、LDPEである。いくつかの実施例では、ポリ(オレフィン)はPPである。
【0011】
第4の実施形態では、本明細書に示されるのは、複合構造を作製するためのプロセスであって、アミン官能化ポリマー層を基材の表面に塗布することと、フルオロポリマーまたはポリ(オレフィン)をアミン官能化ポリマー層に塗布することと、を含むプロセスである。ある特定の実施形態では、プロセスは、フルオロポリマーをアミン官能化ポリマー層に塗布することを含む。ある特定の他の実施形態では、プロセスは、ポリ(オレフィン)をアミン官能化ポリマー層に塗布することを含む。
【0012】
第5の実施形態では、本明細書に示されるのは、複合構造を作製するためのプロセスであって、アミン官能化ポリマー層を基材の表面に塗布することと、ポリウレタンまたはエポキシ系塗料をアミン官能化ポリマー層に塗布することと、を含むプロセスである。ある特定の実施形態では、塗料は、疎水性を増加させるための添加剤を含み得る。これらの実施形態のいくつかでは、添加剤は、フルオロポリマー添加剤を含む。いくつかの実施例では、フルオロポリマーは、PTFE粒子である。これらの実施例のいくつかでは、フルオロポリマーは、粒径Pを有するPTFE粒子であり、0.001mm≦P≦0.1mmである。これらの実施例のいくつかでは、フルオロポリマーは、0.001mmを超える粒径を有するPTFE粒子である。これらの実施例のいくつかでは、フルオロポリマーは、0.1mmを超える粒径を有するPTFE粒子である。これらの実施例のいくつかでは、フルオロポリマーは、1mm未満の粒径を有するPTFE粒子である。
【0013】
第6の実施形態では、本明細書に示されるのは、複合構造を作製するためのプロセスであって、アミン官能化ポリマー層を基材の表面に塗布することと、フルオロポリマー系エアロゾルスプレーをアミン官能化ポリマー層に塗布することと、を含むプロセスである。
【0014】
第7の実施形態では、本明細書に示されるのは、本明細書に開示される複合構造を提供すること、または提供したことを含み、複合構造が欠陥を有し、欠陥を修復するために圧力を加えることを含む、複合構造を修復するためのプロセスである。
【0015】
第8の実施形態では、本明細書に示されるのは、複合構造を作製する方法であって、a.アミン官能化ポリマー層を基材の表面に塗布することと、b.アミン官能化ポリマー層をフルオロポリマー及び/またはポリ(オレフィン)に塗布して、コーティングを形成することと、b.アミン官能化ポリマー層を結合して、複合材を形成することと、を含む、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】外部条件の関数としての剥離強度のプロットである。
【
図2】外部条件の関数としてのラップせん断強度のプロットである。
【
図3】外部条件の関数としての剥離強度のプロットである。
【
図4】外部条件の関数としての剥離強度のプロットである。
【
図5】外部条件の関数としてのラップせん断強度のプロットである。
【
図6】外部条件の関数としての剥離強度のプロットである。
【
図7(a)】アミン官能化ポリマーでコーティングされた鋼パネルの写真である。
【
図7(b)】アミン官能化ポリマー、続いて防汚塗料でコーティングされた鋼パネルの写真である。
【
図7(c)】アミン官能化ポリマー、続いてポリウレタン塗料でコーティングされた鋼パネルの写真である。
【
図8】左側は、アルミニウム(Al)シート上にスプレーされたアミン官能化ポリマーを示し、右側は、アミン官能化ポリマーコーティング上にトップコートとしてスプレーされたDuPont Teflon(登録商標)エアロゾルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に提供されるのは、疎水性、及びいくつかの実施形態では超疎水性コーティングを有する複合構造、そのような複合構造を含む物品、ならびにそのような組成物の作製方法及び使用方法である。複合構造は、いくつかの実施形態では、基材及び基材の表面に配置されたコーティングを含む。いくつかの実施例では、コーティングは親水性である。他の実施例では、コーティングは疎水性である。コーティングは、いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリマーを含む接着剤層と、フルオロポリマーまたはポリ(オレフィン)を含む疎水性層とを含む。いくつかの実施形態では、基材はプライミングされていてもプライミングされていなくてもよく、大きくてもよく、不規則であってもよく、及び/または不均一であってもよい。他の実施形態では、基材は、改変されていないか、または別のコーティングで前処理され得る。他の実施形態では、基材は、改変されていないか、または別のコーティングで前処理されてもよく、大きく、不規則であり、及び/または不均一であり得る。いくつかの実施形態では、基材は、物理的方法によって前処理される。これらの実施形態のいくつかでは、物理的方法は、限定されないが、サンドブラスト、グリットブラスト、サンド研磨、またはグリット研磨を含む。疎水性コーティング、及び拡張して、本明細書に記載される複合構造及び/または物品は、濡れ防止、汚損防止、及び自己修復特性を示し、抗力低減、海洋エンジニアリングにおける防汚表面、ならびに静的用途におけるシーラント及びガスケット、を含むがこれらに限定されない様々な用途に有用である。疎水性コーティング、及び拡張して、本明細書に記載される複合構造及び/または物品は、水及び氷が材料の表面に濡れたり、付着したりするのを防ぎ、腐食ならびに海洋生物汚損を低減または防止するために使用され得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「疎水性」という用語は、ASTM D7334-08に記載される接触角ゴニオメータによって測定されるように、水滴が少なくとも90°の空気中で接触角を有する任意の材料または表面を意味し、それらを含む。さらに、本明細書で使用される場合、「超疎水性」という用語は、ASTM D7334-08に記載される接触角ゴニオメータによって測定されるように、水滴が少なくとも150°の空気中で接触角を有する任意の材料または表面を意味し、それを含む。したがって、「超疎水性」材料もまた、「疎水性」と見なされるが、しかしながら、「疎水性」材料は、ある特定の実施形態では、必ずしも「超疎水性」であり得るわけではない。様々な実施形態では、本発明の疎水性コーティングは、空気中における、少なくとも90°または約90°、少なくとも100°または約100°、少なくとも110°または約110°、または少なくとも120°または約120°、少なくとも130°または約130°、少なくとも140°または約140°、少なくとも150°または約150°、少なくとも160°または約160°、または少なくとも170°または約170°の接触角を含むことができる。様々な実施形態では、本発明の疎水性コーティングは、空気中で120℃の接触角を含むことができる。様々な実施形態では、本発明の疎水性コーティングは、空気中で110~130°の接触角を含むことができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「基材」とは、可撓性基材、剛性基材、及びポリ(テトラフルオロ)エチレン(PTFE)、ポリオレフィン、金属(例えば、鋼)、金属複合材、炭素繊維、剥離可能フィルム、木材、ガラス繊維、複合材料、ガラス、ゴム、セラミック、接着フィルム、塗料、船体、潜水艦、沖合浮体構造物、漁業/養殖設備、漁業/養殖設備、パイプ/パイプライン、掘削リグ、浮体ブイ、貯蔵容器、水性環境と接触する任意の表面、空気/冷凍システム及びダクト、ダム、ブリッジ、ならびに他の民間構造物から作られる、またはそれを含むか、それからなるか、またはそれらから本質的になる基材を指す。
【0020】
疎水性コーティングを提供するために使用される適切なフルオロポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、及び関連するパーフルオロエラストマーが挙げられる。実施形態では、PTFEは、多孔質の非焼結フィルム、または熱的にアニールされた焼結フィルムであり得る。本発明で使用するための好適なポリ(オレフィン)としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリブタジエン(PBD)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。実施形態では、疎水性コーティングは、フルオロポリマー及びポリオレフィンの組み合わせを含み得る。例えば、(ACS Appl.Mater.Interfaces 2016,DOI:10.1021/acsami.5b12165)を参照されたい。いくつかの実施例では、PTFEは、PTFEの誘導体である。ある特定の実施例では、フルオロポリマーは、PTFEである。特定の他の実施例では、フルオロポリマーは、PVFである。ある特定の実施例では、フルオロポリマーは、PVDFである。特定の他の実施例では、フルオロポリマーは、PCTFEである。ある特定の実施例では、フルオロポリマーは、PFAである。特定の他の実施例では、フルオロポリマーは、FEPである。ある特定の実施例では、フルオロポリマーは、ETFEである。特定の他の実施例では、フルオロポリマーは、PVFである。多孔質の非焼結、及び/または熱アニールされたPTFEは、市販品を購入することができる。例えば、材料はSaint Gobain(https://www.plastics.saint-gobain.com/)から入手できる。部品番号#128060WHT-FW及び#SF00000540000Cを参照されたい。
【0021】
いくつかの他の実施形態では、接着剤層(例えば、アミン官能化ポリマー層)に塗布される疎水性/超疎水性コーティングは、塗料または同様のタイプのコーティングである。これらの実施形態のいくつかでは、疎水性/超疎水性コーティングは、塗料であり、単なるフルオロポリマーまたはポリオレフィンフィルムではない。
【0022】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるのは、多層複合材である。これらの実施形態のいくつかでは、多層複合材の一層は、鋼を含む層である。これらの実施形態のいくつかでは、次の隣接層は、アミン官能化ポリマーである。これらの実施形態のいくつかでは、アミン官能化ポリマーに隣接するのは、塗料コーティング層である第3の層である。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるのは、多層複合材である。これらの実施形態のいくつかでは、多層複合材の一層は、鋼を含む層である。これらの実施形態のいくつかでは、次の隣接層は、アミン官能化ポリマーである。これらの実施形態のいくつかでは、アミン官能化ポリマーに隣接して、スプレーコーティング層である第3の層がある。
【0024】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるのは、多層複合材である。これらの実施形態のいくつかでは、多層複合材の一層は、鋼を含む層である。これらの実施形態のいくつかでは、次の隣接層は、アミン官能化ポリマーである。これらの実施形態のいくつかでは、アミン官能化ポリマーに隣接して、Teflon(登録商標)エアロゾルから作られた層である第3の層がある。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるのは、多層複合材である。これらの実施形態のいくつかでは、多層複合材の一層は、鋼を含む層である。これらの実施形態のいくつかでは、次の隣接層は、アミン官能化ポリマーである。これらの実施形態のいくつかでは、アミン官能化ポリマーに隣接するのは、PTFE(Teflon(登録商標))から作られた層である第3の層である。
【0026】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、PTFEは、塗料コーティングに添加剤として含まれる。例えば、https://www.international-marine.com/product/intersleek-1100srの塗料(これらの塗料は、全ての目的に関して、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0027】
基材は、プラスチック、ガラス、溶融シリカ、ガラス繊維、セラミック、金属、木材、布、炭素繊維、布及び織物などなどの当技術分野において知られている任意の材料から形成することができる。好適な基材の例としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリ尿素(PU)、またはそれらの組み合わせなどのポリマー基材、ガラス基材、または鋼(例えば、0.15%~0.23%の炭素を含む軟鋼)もしくはアルミニウム合金などの金属基材、またはそれらの組み合わせが挙げられる。基材はまた、コンクリートを含み得る。基材は、特定の用途に使用するのに適したコーティングの形成を容易にするように構成された任意の構成とすることができる。例示的な実施形態では、基材は、剥離可能なフィルムであり得る。ある特定の実施形態では、基材は、鋼である。ある特定の他の実施形態では、基材は、ポリエチレンである。ある特定の実施形態では、基材は、コンクリートである。
【0028】
ある特定の実施形態では、疎水性コーティング(及び拡張して、本明細書に記載の複合構造及び物品)は、疎水性及び撥油性の両方の特性を示す。ある特定の実施形態では、疎水性コーティング(及び拡張して、本明細書に記載の複合構造及び物品)は、撥油性特性を示す。ある特定の実施形態では、疎水性コーティング(及び拡張して、本明細書に記載の複合構造及び物品)は、疎水性特性を示す。表面張力が水(72mN/m)よりも低いが、油(20~30mN/m)よりも高いコーティングは、油を引き付ける(親油性)が、水をはじくことができるが、表面張力が低い(約20mN/m以下)コーティングは、油(撥油性)と水の両方をはじくことができ、医療及び輸送用途などの防汚に有用である。したがって、これらの物品は、例えば、自己浄化性、防汚(anti-fouling)、防汚(anti-smudge)、及び氷結防止特性などの様々な望ましい特性を示すことができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、物品への耐微生物性、物品への耐湿性(例えば、金属表面または木製またはセラミック表面を含む他の表面)、物品への防汚特性(例えば、表面、フィルタ、膜、またはアクチュエータ)を付与することができる。上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、コーティングは、摩擦及び抗力を低減させることができる。上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、コーティングは、封止(例えば、封止バルブ)を提供することができる。上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、物品は、水陸両用船または個人用水上船(例えば、船、ボート、潜水艦、またはジェットスキー)、または他の浮体式及び/または水中デバイス(例えば、ブイ、ドック、または掘削リグ)、植込み型デバイス(例えば、バイオチップ、バイオセンサー、または他の医療デバイス)、電気デバイス(剛性及び伸縮可能なプリント回路基材、通信デバイスなど)、パイプライン、建築及び建設材料、アパレルまたは織物であり得る。
【0029】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、本明細書のアミノ官能化ポリマーは、超疎水性表面と別の表面との間の接着剤層として使用され得る。
【0030】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、本明細書のアミノ官能化ポリマーを使用して、別の基材の表面をプライミングし、第3の層をプライミングされた表面に塗布することができる。
【0031】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、本明細書のアミノ官能化ポリマーを使用して、2つの基質の接着を促進してもよく、そのうちの1つは超疎水性表面である。上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、この接着は水中で起こる。
【0032】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、本明細書では、アミノ官能化ポリマー及び超疎水性表面を含む多層構造は、自己修復性であり得る。上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、本明細書では、アミノ官能化ポリマー及び超疎水性表面を含む多層構造をギャップ充填材料として使用してもよい。上記のいずれかを含むこれらの実施形態のいくつかでは、アミノ官能化ポリマー及び超疎水性表面を含む多層構造が損傷した場合、多層構造は、多層構造上を押圧することによって修復され得る。いくつかの実施形態では、押圧は、人間の手で加えられた圧力を使用して達成される。
【0033】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、均一な厚さは、約500μm未満、約450μm未満、約400μm未満、約350μm未満、約300μm未満、または約250μm未満である。
【0034】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、均一な厚さは少なくとも200μmである。
【0035】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、均一な厚さは、約10μm~400μm、約25μm~約300μm、約50μm~250μm、または約75μm~125μmである。
【0036】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、接着剤層は、100μm~400μmのフィルム厚さを有するフィルムである。
【0037】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、接着剤層は、75μm~125μmのフィルム厚さを有するフィルムである。
【0038】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、疎水性層は、1μm~500μmのフィルム厚さを有するフィルムである。
【0039】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、疎水性層は、75μm~125μmのフィルム厚さを有するフィルムである。
【0040】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、疎水性層は、400μmを超えるフィルム厚さを有するフィルムである。
【0041】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、均一な厚さは、100μm~400μmである。
【0042】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、均一な厚さは、75μm~125μmである。
【0043】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、均一な厚さは、1μm~500μmである。
【0044】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、均一な厚さは、75μm~125μmである。
【0045】
上記のいずれかを含むいくつかの実施形態では、均一な厚さは400μmより大きい。
【0046】
本開示で使用するための適切なアミン官能化ポリマーとしては、共同出願中の国際特許出願番号PCT/CA2018/050619、PCT/CA2019/050704、及びPCT/CA2018/050046に開示されているものが挙げられ、これらの開示は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0047】
本開示で使用するための適切なアミン官能化ポリマーとしては、米国特許出願公開第US20210214542A1号に開示されているものが挙げられ、その開示は参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0048】
本開示で使用するための好適なアミン官能化ポリマーとしては、(a)Gilmour,D.J.;Tomkovic,T.;Kuanr,N.;Perry,M.R.;Gildenast,H.;Hatzikiriakos,S.G.;Schafer,L.L.,Catalytic Amine Functionalization and Polymerization of Cyclic Alkenes Creates Adhesive and Self-Healing Materials.ACS Applied Polymer Materials 2021,3,2330-2335、(b)Kuanr,N.;Gilmour,D.J.;Gildenast,H.;Perry,M.R.;Schafer,L.L.,Amine-Containing Monomers for Ring-Opening Metathesis Polymerization:Understanding Chelate Effects in Aryl- and Alkylamine-Functionalized Polyolefins.Macromolecules 2022、(c)Yavitt,B.M.;Tomkovic,T.;Gilmour,D.J.Zhang,Z.;Kuanr,N.;van Ruymbeke,E.;Schafer,L.L.;and Hatzikiriakos,S.G.,Rheology and self-healing of amine functionalized polyolefins.Journal of Rheology,2022,66,1125-1137に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの開示は、参照により明示的に取り込まれる。
【0049】
簡潔には、実施形態では、主題のアミン官能化ポリマーは、式2のアミン官能化化合物:
【化1】
(式中(---)は、任意選択的な二重結合を示し、
M
1及びM
2は独立して、-OH、置換もしくは非置換のC
1~15アルキル、置換もしくは非置換の芳香族環、置換もしくは非置換の複素環、または開環メタセシス重合に好適な官能性末端基であり、
各X
1、X
2、X
3、及びX
4は、独立して、HまたはCH
3であり、
各Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4は、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルまたはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、アミン適合性保護基、-C(=O)R’、または-C(OR’)R’’であり、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4のうちの少なくとも1つは、-CR
1R
2-NR
3R
4であり、
R’、R’’、R
1、R
2、R
3及びR
4の各々は、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルまたはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、またはアミン適合性保護基であり、
r=0または1、及びq=0または1であり、r+q=0、1、または2であり、
nは、1より大きく、10,000,000,000未満の自然数である)を含み得るか、からなり得るか、または本質的になり得る。
【0050】
本開示の態様は、上述のアミン官能化化合物と、ラジカル重合またはアニオン重合によって形成されたポリマーであって、アミン官能化化合物の官能性末端基M1及びM2が開始点として機能するポリマーと、を含むブロックコポリマーに関する。
【0051】
上記のようなアミン官能化化合物と、少なくとも1つの追加のポリマーとを含む、調製されたブロックコポリマー。
【0052】
実施形態では、対象のアミン官能化ポリマーは、式3のアミン官能化化合物:
【化2】
(式中(---)は、任意選択的な二重結合を示し、
M
1及びM
2は独立して、-OH、置換もしくは非置換のC
1~15アルキル、置換もしくは非置換の芳香族環、置換もしくは非置換の複素環、または開環メタセシス重合に好適な官能性末端基であり、
各X
1、X
2、X
3、及びX
4は、独立して、HまたはCH
3であり、
各Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4は、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルまたはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、アミン適合性保護基、-C(=O)R’、または-C(OR’)R’’であり、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4のうちの少なくとも1つは、-CR
1R
2-NR
3R
4であり、
R’、R’’、R
1、R
2、R
3及びR
4の各々は、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルまたはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、またはアミン適合性保護基であり、
r=0または1、及びq=0または1であり、r+q=0、1、または2であり、
n及びmは、自然数であり、
モノマーがヘッドツーヘッドの様式で接続されている)を含み得るか、からなり得るか、または本質的になり得る。
【0053】
実施形態では、対象のアミン官能化ポリマーは、式Xのアミン官能化化合物:
【化3】
(式中(---)は、任意選択的な二重結合を示し、
M
1及びM
2は独立して、-OH、置換もしくは非置換のC
1~15アルキル、置換もしくは非置換の芳香族環、置換もしくは非置換の複素環、または開環メタセシス重合に好適な官能性末端基であり、
各X
1、X
2、X
3、及びX
4は、独立して、HまたはCH
3であり、
各Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Y
7、Y
8、Y
9、Y
10、Y
11、Y
12、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4は、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルまたはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、アミン適合性保護基、-C(=O)R’、または-C(OR’)R’’であり、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4のうちの少なくとも1つは、-CR
1R
2-NR
3R
4であり、
R’、R’’、R
1、R
2、R
3及びR
4の各々は、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルまたはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、またはアミン適合性保護基であり、
r=0または1、及びq=0または1であり、r+q=0、1、または2であり、
n及びmは、自然数である)を含み得るか、からなり得るか、または本質的になり得る。
【0054】
実施形態では、対象のアミン官能化ポリマーは、式6のアミン官能化化合物:
【化4】
(式中(---)は、任意選択的な二重結合を示し、
各X
1、X
2、X
3、及びX
4は、独立して、HまたはCH
3であり、
各Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4は、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルまたはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、アミン適合性保護基、-C(=O)R’、または-C(OR’)R’’であり、Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Y
6、Z
1、Z
2、Z
3、及びZ
4のうちの少なくとも1つは、-CR
1R
2-NR
3R
4であり、
R’、R’’、R
1、R
2、R
3及びR
4の各々は、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルまたはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、またはアミン適合性保護基であり、
r=0または1、及びq=0または1であり、r+q=0、1、または2である)を含み得るか、からなり得るか、または本質的になり得る。
【0055】
本開示の態様は、上述のポリマー、及びポリマー状の毛またはブラシを含むブラシコポリマーであって、X1、X2、X3、X4、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Z1、Z2、Z3、Z4、R’、R’’、R1、R2、R3、及びR4のうちの少なくとも1つが、ポリマー状の毛またはブラシの後続の合成の開始点として機能する、ブラシコポリマーに関する。
【0056】
前述のいずれかを含むある特定の実施形態では、式2の化合物は、Y3またはY4を-CR1R2-NR3R4として含み、R3またはR4はそれぞれ独立して、置換または非置換のアリールである。いくつかの実施形態では、qまたはrのいずれかは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0057】
前述のいずれかを含むある特定の実施形態では、式6の化合物は、Y3またはY4を-CR1R2-NR3R4として含み、式中、R3またはR4はそれぞれ独立して、置換または非置換のアリールである。いくつかの実施形態では、qまたはrのいずれかは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0058】
前述のいずれかを含むある特定の実施形態では、式2の化合物は、Y3またはY4を-CR1R2-NR3R4として含み、R3またはR4はそれぞれ独立して、置換または非置換のフェニルである。いくつかの実施形態では、qまたはrのいずれかは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0059】
前述のいずれかを含むある特定の実施形態では、式6の化合物は、Y3またはY4を-CR1R2-NR3R4として含み、式中、R3またはR4はそれぞれ独立して、置換または非置換のベンジルである。いくつかの実施形態では、qまたはrのいずれかは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0060】
前述のいずれかを含むある特定の実施形態では、式2の化合物は、Y3またはY4を-CR1R2-NR3R4として含み、式中、R3またはR4はフェニルである。いくつかの実施形態では、qまたはrのいずれかは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0061】
前述のいずれかを含むある特定の実施形態では、式6の化合物は、Y3またはY4を-CR1R2-NR3R4として含み、式中、R3またはR4はベンジルである。いくつかの実施形態では、qまたはrのいずれかは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0062】
前述のいずれかを含むある特定の実施形態では、式2の化合物は、Y3またはY4を-CR1R2-NR3R4として含み、式中、R3及びR4は両方ともフェニルである。いくつかの実施形態では、qまたはrのいずれかは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0063】
前述のいずれかを含むある特定の実施形態では、式6の化合物は、Y3またはY4を-CR1R2-NR3R4として含み、式中、R3及びR4は両方ともベンジルである。いくつかの実施形態では、qまたはrのいずれかは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0064】
いくつかの実施形態では、Y3またはY4は、CH2-NH-Phである。ここで、Phは、フェニルである。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0065】
いくつかの実施形態では、Y3またはY4は、CH2-NH-Ph-Fである。ここで、Phはフェニルである。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0066】
いくつかの実施形態では、Y3またはY4は、CH2-NH-Ph-OH3である。ここで、Phは、フェニルである。いくつかの他の実施形態では、qは1であり、rは0である。
【0067】
本開示の態様は、アミン官能化ポリアルキレンまたはポリアルカンに関するものであり、ポリアルキレンまたはポリアルカンは、
【化5-1】
【化5-2】
であるか、またはこれを含み、
式中、nは、1よりも大きく、500,000未満の自然数である。いくつかの実施形態では、nは、100,000未満である。
【0068】
いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリアルキレンまたはポリアルカンは、
【化6】
であるか、またはこれを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、アミン官能化ポリアルキレンまたはポリアルカンは、
【化7】
であるか、またはこれを含む。
【0070】
本開示の態様は、式5の異なるアミン官能化モノマー単位の混合物を含むコポリマーに関し、
【化8】
式中、M
1及びM
2は、それぞれ、-OH、置換もしくは非置換C
1~15アルキル、置換もしくは非置換の芳香族環、置換もしくは非置換の複素環、または開環メタセシス重合に好適な官能化末端基から選択され、
X
1、X
2、X
3、及びX
4の各々が、独立して、HまたはCH
3であり、
Y
1、Y
2、Y
3、Y
4、Y
5、Z
1、及びZ
2の各々が、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルまたはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、アミン適合性保護基、-C(=O)R’、または-C(OR’)R’’であり、
R’、R’’、R
a、R
1、R
2、R
3、及びR
4の各々は、独立して、H、置換もしくは非置換の直鎖または環状アルキルもしくはアルケニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換の複素環、またはアミン適合性保護基であるか、または
R’またはR’’は-CR
1R
2-NR
3R
4であり、
r=0または1、及びq=0または1であり、r+q=0、1、または2であり、
nは、1より大きい自然数である。いくつかの実施形態では、nは、100,000万未満である。
【0071】
実施形態では、対象のアミン官能化ポリマーは、以下のアミン官能化化合物を含んでもよく、アミン官能化ポリマーからなってもよく、または本質的にアミン官能化化合物からなってもよい:
【化9】
(式中、下付き文字nは、1より大きく、100,000,000,000未満の整数である)。いくつかの実施形態では、nは、100,000未満である。
【0072】
実施形態では、対象のアミン官能化ポリマーは、ポリマーの一部分として、以下の構造:
【化10】
(式中、下付き文字nは整数であり、1より大きいが100,000,000,000未満の整数である)のポリマーの部分を含む、アミン官能化化合物を含み得るか、からなり得るか、または本質的になり得る。いくつかの実施形態では、nは、100,000未満である。
【実施例】
【0073】
F.実施例
ポリマー合成
ポリ(アミノシクロオクテン)を、公開されている方法(Gilmour,D.J.et al.ACS Applied Polymer Materials 2021,3(5),2330-2335.)に従って調製した。要するに、ポリ(アミノシクロオクテン)は、アミン官能化シクロオクテンモノマーの開環メタセシス重合(ROMP)を介して調製され、次に、シクロオクタジエンの二級メチルアミン、例えばN-メチルアニリンとのヒドロアミノアルキル化を介して調製される。ポリマーを単離し、公開されたプロトコールに従って精製した。スプレー塗布用のポリマー溶液は、材料を好適な担体溶媒、例えばジクロロメタンに溶解させることによって調製した。
【0074】
ポリマーの特性評価
ポリマーを、NMR分光法、IR分光法、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)、示差走査熱量測定(DSC)、及び熱重量分析(TGA)などを含む、ポリマーのための従来の化学特性評価技術によって分析した。
1H NMRスペクトルを、300または400MHzで動作するBruker Avance機器を使用して収集した。IRスペクトルを、油及び高分子材料の直接測定のためのATRアクセサリを装備したPerkin Elmer FTIR上で、室温で記録した。ポリマーのMn、Mw及び分散性
【化11】
を、トリプル検出ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して得た。全てのGPC特性評価は、Viscotek TGuardガードカラム(CLM3008)、及び室温で調節された多孔質ポリ(スチレン-コ-ジビニルベンゼン)粒子で満たされたViscotek T3000(CLM3003)及びT6000(CLM3006)GPCカラムを装備したMalvern OMNISEC GPC機器を使用して、1.0mL/minの流量でHPLCグレードのTHFで行った。機器には、差動粘度計、差動屈折率検出器、直角及び低角度光散乱検出器からの信号応答を達成するためのトリプル検出が装備されていた。試料の熱特性を、Netzsch DSC 214 Polyma示差走査熱量計で測定した。Netzsch TG 209 F1 Libra(登録商標)熱重量分析装置を熱重量測定実験に使用した。
【0075】
接着特性
接着力は、剥離強度測定を実施するために、引張固定具を装備したダイナミックメカニカルアナライザ(DMA、RSA G2 TA Instruments)を使用して定量化した。ポリマーの溶液を2つの基材の間にスプレーを介して塗布し、乾燥後、2枚のPTFEを手で最小限の圧力で接触させた。試験片は、幅6mm、長さ17mmのDMA機器仕様に従って調製した。長さ20mmの未処理のタブを使用して、接着していない剥離アームを張力固定具上にクランプした。軸モードで、室温での10mm/minの一定の剥離速度を適用した。試験を10回繰り返した。
【0076】
濡れ試験のための試料を調製し、HDPE(BCT-195357 Exxon)及びPTFE(08277-15 5mil Skived Cole Parmer)で試験した。ポリマーの試料をジクロロメタンに溶解し、約7.5重量%(m/v)の溶液を得た。付着した試料を調製した直後に、それらを所与の溶液(蒸留水、海水、8M HCl、8M NaOH)に21日間浸した。保管後、試料を、浸漬セルを装備したDMAを使用して接着特性について分析した。
【0077】
実施例1
配合:溶液の粘度と濃度を変更して、様々な厚さの接着剤フィルムを得る最適化されたスプレー塗布プロセス。均一(homogeneous)な(すなわち、均一(even)な)フィルムを得るために、最適な溶液の粘度及び濃度が決定された。最大接着強度に達するフィルム厚さの閾値が決定された。
【0078】
厚さは、堆積される材料の量によって制御されてもよい。
【0079】
水中基材に接着剤を塗布する能力。ポリマー溶液は、シリンジまたは他の送達方法を使用して、水中にあり、その後コーティングされたときに第2の基材に接着することができる基材に送達することができる。試料は、乾燥条件下で調製した後、溶液に浸漬することもできる。
【0080】
注目に値することに、本明細書で初めて実証されるように、主題の接着剤は、可逆的に塗布及び/または再使用することができる。接着された物体が分離されるとき、それらは、「自己修復」または最初に接着されたときの元の接着強度を再生するために再結合することができる。この特徴は、ポリマーの接着性と自己修復性の組み合わせによって実現される。
【0081】
ポリマー接着剤を使用して接着したHDPEの試料は、乾燥状態と比較して、脱イオン水または海水中に保存した場合、T剥離力に差を示さなかった。PTFEの試料では、乾燥及び脱イオン浸漬のT剥離力は、実験誤差内でほぼ等しかったが、海水中での貯蔵は、T剥離力のわずかな増加をもたらした。ラップせん断構成では、HDPEで有意差は観察されなかったが、PTFEでは、脱イオン水または海水に浸漬した試料でラップせん断強度のわずかな増加が観察された。理論に拘束されるものではないが、海水中では、塩、金属などのイオン及び無機粒子の存在が、おそらくイオンキレート化媒介架橋によって、ポリマーの密着強度の向上をもたらす可能性がある。接着破損モードは、接着破損に対して密着性であることが観察されるので、これは、ポリマー及び基材の界面における接着の強度が、材料の引張強度の強度よりも大きいことを示す。浸漬下の試料では密着破壊モードが観察されるため、表面にイオンが存在しても表面付着が低下しないことが示唆される。
図1及び2を参照されたい。
【0082】
実施例2
従来の接着剤に対する非常に困難な環境は、高酸性またはアルカリ性の環境である。HDPE及びPTFEの試料を調製し、高酸性または高アルカリ性溶液に浸漬した後に試験し、乾燥環境対照と比較した。PTFE及びHDPEの両方で、アルカリ条件で保管した後、T剥離及びラップせん断接着力のわずかな増加が観察された。酸性溶液では、浸漬後にT剥離及びラップせん断力の有意な増加が観察された。理論に拘束されるものではないが、ポリマー接着剤のアミン基は、溶液中のヒドロニウムイオンとのイオン相互作用を促進することができ、それが密着強度の増加につながる可能性がある。
図3及び4を参照されたい。
【0083】
ポリマー接着剤を生の未処理のスチールクーポンにも塗布し、せん断ラップ構成で試験した。海水中での貯蔵は、ラップせん断強度の大幅な増加につながった。海水中では鋼に対して腐食の発生が急速に起こり、鋼の腐食から解放された鉄イオンが金属イオンのキレート化により剥離強度の増強された向上につながったと仮定されている。これは、腐食性環境の存在下で改善された接着性を得ることができることを示唆している。
図5を参照されたい。
【0084】
浸漬条件下での、市販接着剤(LePage Plastic Bonder)の性能との比較も行った。視覚的には、試料は劣化するように見え、本発明とは異なり、剥離後に試料を再結合することができなかった。
図6を参照されたい。
【0085】
実施例3
この実施例は、多層アミン官能化ポリマー及び市販の塗料コーティングを使用するためのプロセスである。
【0086】
多層アミン官能化ポリマー-市販の塗料コーティングは、8”×24”の寸法を有するP110鋼パネル上でスプレープロセスを使用して、ジクロロメタン(濃度=75mg/ml)中のポリマーの溶解溶液を介してアミン官能化ポリマーを最初に塗布することによって得られた。スプレー後、アミン官能化ポリマーコーティングを、市販の塗料を塗布する前に、室温で少なくとも24時間乾燥させた。アミン官能化ポリマーコーティングは、約0.1mmの厚さを有した。AkzoNobel Interlux(登録商標)Bottomkote(登録商標)XXX防汚塗料、及びEpifanesポリウレタン2成分Yachtコーティングの2つの市販塗料システムが実証されている。市販の塗料は、製品の塗布仕様に従って、ペイントブラシを使用してアミン官能化ポリマー被覆鋼パネル上に塗装した。塗装後、コーティングされたパネルを室温で少なくとも48時間乾燥させた後、浸漬した。
【0087】
【0088】
アミン官能化ポリマーボトムコート-DuPont Teflon(登録商標)スプレートップコート:アミン官能化ポリマー(厚さ0.1mm)を最初に6”×6”の平らなアルミニウムシートにスプレーした。コーティングを室温で24時間乾燥させた後、Teflon(登録商標)フルオロポリマーエアロゾルを含むデュポン粘着防止乾燥フィルム潤滑剤を、アミン官能化ポリマーコーティング上にスプレーした。アミン官能化ポリマーコーティング全体をTeflon(登録商標)スプレーで覆い、24時間乾燥させた。
【0089】
【0090】
上述の実施形態及び実施例は、単に例示的であり、非限定的であることが意図される。当業者は、特定の化合物、材料及び手順の多数の等価物を認識するか、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。そのような全ての均等物は、範囲内であると考えられ、添付の特許請求の範囲に包含される。さらに、本明細書に開示される特定の代表的な材料及び方法ステップのみが具体的に説明されるが、他の材料及び方法ステップの組み合わせも、具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。したがって、ステップ、要素、成分、または構成要素の組み合わせは、本明細書に明示的に記載されてもよいが、明示的に記載されていなくても、他のステップ、要素、成分、及び構成要素の組み合わせが含まれる。
【0091】
本明細書で使用される場合、「備える」という用語及びその変形は、「含む」という用語及びその変形と同義的に使用され、オープンで非限定的な用語である。「備える」及び「含む」という用語は、様々な実施形態を説明するために本明細書で使用されているが、「から本質的になる」及び「からなる」という用語は、より具体的な実施形態を提供するために「備える」及び「含む」の代わりに使用され得、また開示される。本開示及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数への参照を含む。
【国際調査報告】