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特表2024-544614アイトラッキングモジュール付属品およびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】アイトラッキングモジュール付属品およびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/00 20060101AFI20241126BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20241126BHJP
   G02C 7/02 20060101ALI20241126BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20241126BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G02C7/00
G02B27/02 Z
G02C7/02
G02B5/20
G02B5/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531434
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2022132969
(87)【国際公開番号】W WO2023093649
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】202111422669.6
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521063764
【氏名又は名称】北京七▲しん▼易維信息技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING 7INVENSUN TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 507,Unit 1,Floor 4,Building 2,No.7 Yard,Liqing Road,Chaoyang District,Beijing 100107(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】孟 ▲馳▼▲フア▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 通兵
【テーマコード(参考)】
2H006
2H148
2H199
【Fターム(参考)】
2H006BA03
2H006DA01
2H148AA00
2H148AA01
2H148AA09
2H148AA24
2H148AA25
2H148CA01
2H148CA09
2H148CA12
2H148CA20
2H148CA24
2H199CA04
2H199CA96
(57)【要約】
本開示は、アイトラッキングモジュール付属品およびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイを開示する。アイトラッキングモジュール付属品は、レンズ(10)と、レンズ(10)の一方側の光路に位置するとともに、可視光帯域内で透明である量子ドット材料を含む複数の赤外線ランプ(20)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
前記レンズの一方側の光路に位置するとともに、可視光帯域内で透明である量子ドット材料を含む複数の赤外線ランプと、を含む、
アイトラッキングモジュール付属品。
【請求項2】
前記レンズの光路に位置するとともに前記赤外線ランプに電気的に接続される導電回線をさらに含む、
請求項1に記載のアイトラッキングモジュール付属品。
【請求項3】
前記導電回線は、ナノ銀または導電性プラスチックを含む、
請求項2に記載のアイトラッキングモジュール付属品。
【請求項4】
前記赤外線ランプと前記レンズとの間に位置する赤外線カットフィルムをさらに含む、
請求項1に記載のアイトラッキングモジュール付属品。
【請求項5】
複数の前記赤外線カットフィルムを含み、
前記前記赤外線カットフィルムの数は、前記赤外線ランプの数と同数であり、
前記赤外線ランプは、それと1対1で対応する赤外線カットフィルムとオーバーラップしている、
請求項4に記載のアイトラッキングモジュール付属品。
【請求項6】
レンズを提供するステップと、
前記レンズの一方側に、量子ドット材料を使用して複数の赤外線ランプを形成するステップであって、前記量子ドット材料は、可視光帯域内で透明である、ステップと、を含む、
アイトラッキングモジュール付属品の製造方法。
【請求項7】
前記レンズの一方側に、量子ドット材料を使用して複数の赤外線ランプを形成するステップは、
前記レンズの一方側の曲面に、前記量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって直接印刷して前記複数の赤外線ランプを形成するステップを含む、
請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記レンズの一方側に、量子ドット材料を使用して複数の赤外線ランプを形成するステップは、
前記量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって複数の平面状の赤外線ランプを形成するステップと、
複数の平面状の赤外線ランプを曲面状に塑性成形するステップと、
複数の曲面状の赤外線ランプを前記レンズの一方側の曲面に貼り付けるステップと、を含む、
請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記レンズの一方側に、量子ドット材料を使用して複数の赤外線ランプを形成するステップの前に、
前記レンズの一方側の曲面に、フィルムコーティングによって赤外線カットフィルムを形成するステップをさらに含む、
請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアイトラッキングモジュール付属品を含む、ヘッドマウントディスプレイ。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本開示は、2021年11月26日に中国特許庁を提出した出願番号が2021114226696であり、発明名称が「アイトラッキングモジュール付属品およびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイ」である中国特許出願を基礎とする優先権を要求し、その全ての内容が参照により本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ウェアラブル技術に関し、特にアイトラッキングモジュール付属品およびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の発展に伴い、ヘッドマウントディスプレイは広く応用されている。従来のヘッドマウントディスプレイは、ユーザの頭部に装着可能であり、ユーザの目に光学信号を送信することにより、拡張現実(Augmented Reality、AR)、仮想現実(Virtual Reality、VR)および複合現実(Mix Reality、MR)などの異なる効果を実現する。
【0004】
アイトラッキング技術は、光学記録法を用いて実現することができる。光学記録法の原理として、赤外線カメラを利用して被験者の目の運動状況を記録し、すなわち、目の運動を反映可能な眼部画像を取得し、取得した眼部画像から眼部特徴を抽出することにより、視線の推定モデルを構築することである。ここで、眼部特徴は、瞳孔位置、瞳孔形状、虹彩位置、虹彩形状、まぶた位置、目尻位置、光スポット位置(またはプルキンエ像)などを含むことができる。光学記録法には、瞳孔-角膜反射法がある。瞳孔-角膜反射法の原理として、近赤外線光源から眼に照射し、赤外線カメラで眼部を撮影するとともに角膜での光源の反射点である光スポットを撮影することにより、光スポット付きの眼部画像を取得することである。本特許技術で使用されるアイトラッキング技術は、瞳孔-角膜反射法である。
【0005】
一般的に、アイトラッキングを実現するために、ヘッドマウントデバイスに赤外線照明システムおよび画像収集システムを設置する。ここで、赤外線照明システムは、眼球が異なる角度に回転したときにいずれも赤外光スポットの画像を取得できるように、一般的に順次配列されてヘッドマウントデバイスに嵌め込まれた複数の赤外線光源からなる。
【0006】
赤外線照明システムの赤外線ランプは、不透明なものであり、不透明な赤外線ランプは、ユーザの視野を遮断するため、現在のVR/ARでは、赤外線ランプをレンズの辺縁のケースにしか配置することができない。
【0007】
もちろん、アイトラッキング装置は、光学記録法の以外に、例えばMEMS赤外線走査反射ミラー、赤外線光源、赤外線受信機を含むMEMS微小電気機械システムであってもよいし、または、眼球とコンデンサ極板との間の容量値によって眼球の運動を検出する容量センサーであってもよいし、または、鼻梁、額、耳または耳たぶに電極を設置することにより、筋肉電流信号を検出するモードで眼球の運動を検出する筋肉電流検出器であってもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の実施例は、赤外線ランプがユーザの視野を遮断しなく、ユーザの体験を向上させたアイトラッキングモジュール付属品およびその製造方法、ヘッドマウントディスプレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の実施例が提供するアイトラッキングモジュール付属品は、
レンズと、
前記レンズの一方側の光路に位置するとともに、可視光帯域内で透明である量子ドット材料を含む複数の赤外線ランプと、を含む。
【0010】
好ましくは、前記レンズの光路に位置するとともに前記赤外線ランプに電気的に接続される導電回線をさらに含む。
【0011】
好ましくは、前記導電回線は、ナノ銀または導電性プラスチックを含む。
【0012】
好ましくは、前記赤外線ランプと前記レンズとの間に位置する赤外線カットフィルムをさらに含む。
【0013】
好ましくは、複数の前記赤外線カットフィルムを含み、前記前記赤外線カットフィルムの数は、前記赤外線ランプの数と同数であり、
前記赤外線ランプは、それと1対1で対応する赤外線カットフィルムとオーバーラップしている。
【0014】
第2の方面によれば、本開示の実施例が提供するアイトラッキングモジュール付属品の製造方法は、
レンズを提供するステップと、
前記レンズの一方側に、量子ドット材料を使用して複数の赤外線ランプを形成するステップであって、前記量子ドット材料は、可視光帯域内で透明である、ステップと、を含む。
【0015】
好ましくは、前記レンズの一方側に、量子ドット材料を使用して複数の赤外線ランプを形成するステップは、
前記レンズの一方側の曲面に、量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって直接印刷して複数の赤外線ランプを形成するステップを含む。
【0016】
好ましくは、前記レンズの一方側に、量子ドット材料を使用して複数の赤外線ランプを形成するステップは、
量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって複数の平面状の赤外線ランプを形成するステップと、
複数の平面状の赤外線ランプを曲面状に塑性成形するステップと、
複数の曲面状の赤外線ランプを前記レンズの一方側の曲面に貼り付けるステップと、を含む。
【0017】
好ましくは、前記レンズの一方側に、量子ドット材料を使用して複数の赤外線ランプを形成するステップの前に、
前記レンズの一方側の曲面に、フィルムコーティングによって赤外線カットフィルムを形成するステップをさらに含む。
【0018】
第3の方面によれば、本開示の実施例が提供するヘッドマウントディスプレイは、第1の方面に記載のアイトラッキングモジュール付属品を含む。
【発明の効果】
【0019】
本開示の実施例によれば、レンズと複数の赤外線ランプとを含むアイトラッキングモジュール付属品を提供する。赤外線ランプは、可視光帯域内で透明である量子ドット材料を含むことにより、少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、赤外線ランプをレンズに配置した場合、レンズにおける赤外線ランプのレイアウトが制限されるという問題を解決することができる。赤外線ランプは、レンズを伝播する可視光を遮断しなく、そして、赤外線ランプは、人の目に見えず、ユーザの視野を遮断しないので、ユーザの体験を向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール付属品の平面図である。
図2】本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の平面図である。
図3】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール付属品の平面図である。
図4】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール付属品の製造方法のフローチャートである。
図5】本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の製造方法のフローチャートである。
図6】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール付属品の製造プロセスの模式図である。
図7】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール付属品の製造プロセスの模式図である。
図8】本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール付属品の製造プロセスの模式図である。
図9】本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の製造方法のフローチャートである。
図10】本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の製造プロセスの模式図である。
図11】本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の製造プロセスの模式図である。
図12図11に示すアイトラッキングモジュール付属品を示す側面図である。
図13】本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の製造プロセスの模式図である。
図14図13に示すアイトラッキングモジュール付属品を示す側面図である。
図15】本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の製造プロセスの模式図である。
図16】本開示の実施例が提供する1種のヘッドマウントディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面および実施例を参照しながら本開示をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施例は、本開示を解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。また、説明の便宜上、図面に示されているのは全部の構成ではなく、本開示に関連する部分だけである。
【0022】
現在のVR/ARでは、赤外線ランプは、レンズの辺縁のケースにしか配置することができず、レンズに配置することができない。VR/ARヘッドセットのレンズのサイズは、観察視野の増大に伴って増大し、アイトラッキング技術に用いられる赤外線ランプのレイアウトに対して制限および影響を与える。つまり、レンズがますます大きく製造されているが、目は大きくならない。赤外線ランプをレンズの辺縁のケースに配置すると、アイトラッキングの効果に影響を与える。赤外線ランプをレンズに設置すると、ユーザの視野が不透明な赤外線ランプによって遮断される。
【0023】
上記の問題に対して、本開示の実施例は、アイトラッキングモジュール付属品を提供し、図1は、本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール付属品の平面図であり、図1を参照して、アイトラッキングモジュール付属品は、レンズ10と、複数の赤外線ランプ20とを含む。レンズ10は、光透過性の媒体であって、ガラスまたはプラスチックなどの材料で形成することができる。複数の赤外線ランプ20は、レンズ10の一方側の光路に位置し、レンズ10を透過して伝播する光は、赤外線ランプ20を透過する。赤外線ランプ20は、可視光帯域内で透明である量子ドット材料を含む。量子ドット材料は、可視光帯域において、例えば90%、95%または99%の高い透過率を有する。
【0024】
ここで、量子ドットは、準ゼロ次元のナノ材料であり、3つの次元のサイズがいずれも1~10nmの範囲内にあるナノ粒子であり、量子閉じ込め効果によって分子と類似するディスクリートエネルギー準位を有するため、多くの独特な光学的および電気的性質が現れる。量子ドットは、励起されると波長が材料およびサイズによって制御される蛍光を発出することができ、その蛍光安定性に優れ、寿命が長く、量子収率が高く、理想的な無機蛍光標識材料である。量子ドットは、広い励起スペクトルと狭くて対称となる発光スペクトルを有するため、単一の光源だけで異なるサイズの量子ドット粒子を迅速に励起することができ、区別可能な狭い発光ピークが得られ、かつ有機蛍光団の発光ピークに存在する顕著な尾引きがないため、識別されやすい。
【0025】
量子ドットの蛍光発生過程において、電子と正孔が直接有効に再結合して生じた励起子発光は、量子ドットのサイズの増加に伴う波長のレッドシフトを満足することができ、そして、サイズが大きければ大きいほど、レッドシフト幅が大きくなる。PbS、PbSeなどのPb族半導体材料は、その発射波長が近赤外線帯域(800nm~1000nm)にあるとともに有効質量および禁制帯幅がより小さく、誘電率およびボーア半径がより大きいため、より顕著なサイズ閉じ込め効果およびより特定の帯域閉じ込め定義(例えば、850nmまたは940nm)を有し、特定の帯域に優れた蛍光性能を実現する。上記近赤外量子ドット蛍光の特性および材料で製造され、さらに量子ドット印刷技術製造プロセスによってレンズに透明(半透明)な発光点をアイトラッキングに必要な近赤外発光光源として印刷する。
【0026】
本開示の実施例は、レンズ10と複数の赤外線ランプ20とを含むアイトラッキングモジュール付属品を提供する。赤外線ランプ20は、可視光帯域内で透明である量子ドット材料を含むことにより、少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、赤外線ランプ20をレンズ10に配置した場合、レンズ10における赤外線ランプ20のレイアウトが制限されるという問題を解決することができる。赤外線ランプ20は、レンズ10を伝播する可視光を遮断しなく、そして、赤外線ランプ20は、人の目に見えず、ユーザの視野を遮断しないので、ユーザの体験を向上させた。
【0027】
例示的に、図1を参照して、複数の赤外線ランプ20(図1では8つの赤外線ランプ20を例としているが、本開示では赤外線ランプ20の数を限定しない)は、レンズ10の同一側に位置するとともに同一の平面内に位置する。
【0028】
好ましくは、図1を参照して、アイトラッキングモジュール付属品は、レンズ10の光路に位置するとともに赤外線ランプ20に電気的に接続される導電回線30をさらに含む。導電回線30は、赤外線ランプ20に対して動作電圧および/または動作電流を提供することにより、赤外光を発射するように赤外線ランプ20を駆動し、さらにアイトラッキングを実現する。
【0029】
好ましくは、導電回線30は、ナノ銀または導電性プラスチックを含む。本開示の実施例では、導電回線30は、ナノ銀または導電性プラスチックで形成されることにより、少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、導電回線30をレンズ10に設置することにより、レンズ10における導電回線のレイアウトが制限されるという問題を解決することができる。そして、導電回線30が可視光を遮断しなく、ユーザの視野も遮断しないため、ユーザの体験を向上させた。
【0030】
図2は、本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の平面図である。図2を参照して、アイトラッキングモジュール付属品は、赤外線ランプ20とレンズ10との間に位置する赤外線カットフィルム40をさらに含む。なお、赤外線ランプ20は、量子ドット材料で形成され、量子ドット材料の発光方向は、四方八方であり、すなわち、量子ドット材料は、特定の発光方向を有しない。本開示の実施例では、アイトラッキングモジュール付属品は、赤外線ランプ20のレンズ10側への発光を回避するために、赤外線ランプ20とレンズ10との間に位置する赤外線カットフィルム40をさらに含み、赤外線カットフィルム40は、赤外線ランプ20のレンズ10側への発光を遮断するとともに、赤外線ランプ20をレンズ10から離れる側に向かって発光させ、すなわち、赤外線ランプ20に対して案内を設けて、赤外線ランプ20を人の目に向かって発光させる(すなわち、レンズ10から離れる側に向かって発光させる)ことにより、赤外線ランプ20の発光利用率を向上させた。
【0031】
例示的に、図2を参照して、レンズ10の光軸方向に沿って、全ての赤外線ランプ20が同一の赤外線カットフィルム40とオーバーラップしている。赤外線カットフィルム40は、レンズ10の赤外線ランプ20に向かう側に亘って設けられるフィルムであって、全ての赤外線ランプ20から発出した赤外光がレンズ10に投射されることを回避するように設けられている。
【0032】
図3は、本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の平面図であり、図3を参照して、アイトラッキングモジュール付属品は、複数の赤外線カットフィルム40を含み、赤外線カットフィルム40の数は、赤外線ランプ20の数と同数である。赤外線ランプ20は、それと1対1で対応する赤外線カットフィルム40とオーバーラップしている。本開示の実施例では、複数の赤外線カットフィルム40が設けられ、レンズ10の光軸方向に沿って、赤外線ランプ20と赤外線カットフィルム40とが1対1で対応してオーバーラップしている。隣り合う赤外線カットフィルム40の間の領域が赤外線ランプ20から離れており、かつ赤外線ランプ20と赤外線カットフィルム40との間の距離が短いため、赤外線ランプ20から発出した赤外光は、赤外線カットフィルム40の間の領域に照射しない。一方、隣り合う赤外線カットフィルム40の間の領域は、赤外光の正常な通過を遮断しなく、すなわち、自然光における赤外光をフィルタリングしないため、外部環境光がフィルタリングされずに隣り合う赤外線カットフィルム40の間の領域を通過することができ、レンズ10の結像品質を向上させた。
【0033】
本開示の実施例が提供するアイトラッキングモジュール付属品の製造方法は、上記実施例におけるアイトラッキングモジュール付属品を製造するためのものである。図4は、本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール付属品の製造方法のフローチャートであり、図1図4を参照して、当該方法は、以下のステップを含む。
【0034】
S101:レンズ10を提供する。
【0035】
S102:レンズ10の一方側に、量子ドット材料を使用して複数の赤外線ランプ20を形成し、ここで、量子ドット材料は、可視光帯域内で透明である。
【0036】
本開示の実施例が提供するアイトラッキングモジュール付属品の製造方法は、上記実施例におけるアイトラッキングモジュール付属品を形成するためのものである。赤外線ランプ20は、可視光帯域内で透明である量子ドット材料を含むことにより、少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、赤外線ランプ20をレンズ10に配置した場合、レンズ10における赤外線ランプ20のレイアウトが制限されるという問題を解決することができる。赤外線ランプ20は、レンズ10を伝播する可視光を遮断しなく、そして、赤外線ランプ20は、人の目に見えず、ユーザの視野を遮断しないので、ユーザの体験を向上させた。
【0037】
図5は、本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の製造方法のフローチャートであり、図6図8は、本開示の実施例が提供する1種のアイトラッキングモジュール付属品の製造プロセスの模式図であり、図2図5図8を参照して、当該方法は、以下のステップを含む。
【0038】
S201:レンズ10を提供する。
【0039】
S202:レンズ10の一方側の曲面に、フィルムコーティングによって赤外線カットフィルム40を形成する。
【0040】
本ステップにおいて、レンズ10の一方側の曲面に1つの赤外線カット膜40を形成してもよく、または間隔を隔てて設けられる複数の赤外線カット膜40を形成してもよい。
【0041】
S203:レンズ10の一方側の曲面に、量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって直接印刷して複数の赤外線ランプ20を形成する。
【0042】
本ステップにおいて、赤外線カットフィルム40のレンズ10から離れる側に、量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって直接印刷して赤外線ランプ20を形成する。上記ステップS202において、レンズ10の一方側の曲面に1つの赤外線カットフィルム40を形成すると、本ステップにおいて、同一の赤外線カットフィルム40のレンズ10から離れる側に、量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって直接印刷して赤外線ランプ20を形成することができる。上記ステップS202において、レンズ10の一方側の曲面に間隔を隔てて設けられる複数の赤外線カットフィルム40を形成すると、本ステップにおいて、赤外線カットフィルム40のそれぞれのレンズ10から離れる側に、量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって直接印刷してそれと1対1で対応する赤外線ランプ20を形成することができる。
【0043】
ここで、採用されるインクジェット印刷の方式は、3Dインクジェット印刷法であってもよく、当該技術は、液体連結体を用いて粉末が敷かれる各層を硬化させることにより、3次元ソリッドモデルを作成する。作業方式から見ると、3次元印刷は、従来の2次元インクジェット印刷に最も近接している。3DP(Three-Dimension Printing、3Dインクジェット印刷法)も、SLSプロセスと同様に粉末を一体に接着することによって部品を作製しているが、レーザー溶融によって接着するものではなく、ノズルから吐出される接着剤によって接着するという点で異なっている。
【0044】
本開示の実施例では、レンズ10を提供する。レンズ10の一方側の曲面に、フィルムコーティングによって赤外線カットフィルム40を形成する。赤外線カットフィルム40は、赤外線ランプ20とレンズ10との間に位置することにより、赤外線ランプ20のレンズ10側への発光を遮断するとともに、赤外線ランプ20をレンズ10から離れる側へ発光させ、赤外線ランプ20の発光利用率を向上させた。レンズ10の一方側の曲面に、量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって直接印刷して複数の赤外線ランプ20を形成することにより、直接レンズ10を基材として、レンズ10に直接インクジェット印刷して複数の赤外線ランプ20を形成し、プロセス工程を節約するとともにコストを低減した。他の実施形態では、上記ステップのうちのS202を省略し、すなわち、赤外線カットフィルム40を形成しなくてもよい。
【0045】
例示的に、図8を参照して、アイトラッキングモジュール付属品の製造方法は、上記ステップS202の前に、赤外線カットフィルム40のレンズ10から離れる側に導電回線30を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0046】
図9は、本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の製造方法のフローチャートであり、図10図11図13および図15は、本開示の実施例が提供する別種のアイトラッキングモジュール付属品の製造プロセスの模式図であり、図12は、図11に示すアイトラッキングモジュール付属品の側面図であり、図14は、図13に示すアイトラッキングモジュール付属品の側面図であり、図1図10図15を参照して、当該方法は、以下のステップを含む。
【0047】
S301:レンズ10を提供する。
【0048】
S302:量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって複数の平面状の赤外線ランプ20を形成する。
【0049】
図11および図12を参照して、1つの平面状の赤外線ランプ20が示されている。成形の前に、赤外線ランプ20は、平面状である。しかし、レンズ10の表面は通常曲面である(球面レンズに対して、レンズ10の表面は球面を含んでもよく、非球面レンズに対して、レンズ10の表面は非球面を含んでもよい)。
【0050】
S303:複数の平面状の赤外線ランプ20を曲面状に塑性成形する。
【0051】
図13および図14を参照して、1つの平面状の赤外線ランプ20が示されている。平面状の赤外線ランプ20を曲面状に塑性成形する。
【0052】
本ステップにおいて、レンズ10の曲率に応じて赤外線ランプ20を湾曲させると、赤外線ランプ20をレンズ10に貼り付ける前に、赤外線ランプ20の形状をレンズ10の曲率と適合させ、赤外線ランプ20をレンズ10に貼り付ける際に、過大な貼り付け力を加える必要がなく、過大な貼り付け力による赤外線ランプ20およびレンズ10の損傷を回避することができる。
【0053】
S304:複数の曲面状の赤外線ランプ20をレンズ10の一方側の曲面に貼り付ける。
【0054】
本開示の実施例では、レンズ10を提供し、量子ドット材料を使用してインクジェット印刷によって複数の平面状の赤外線ランプ20を形成し、複数の曲面状の赤外線ランプ20をレンズ10の一方側の曲面に貼り付ける。他の実施形態では、アイトラッキングモジュール付属品の製造方法は、上記ステップS302の前に、レンズ10の一方側の曲面に、フィルムコーティングによって赤外線カットフィルム40を形成するステップを含んでもよい。
【0055】
別の実施形態では、上記ステップS303を省略して、平面状の赤外線ランプ20をレンズ10の一方側の曲面に貼り付けてもよい。
【0056】
図16は、本開示の実施例が提供するヘッドマウントディスプレイの模式図であり、図16を参照して、ヘッドマウントディスプレイは、レンズ10と、ケース22と、ヘッドバンド23とを含み、ヘッドマウントディスプレイは、本開示の実施例に記載のアイトラッキングモジュール付属品をさらに含む。本実施例が提供するヘッドマウントディスプレイは、上記実施例におけるアイトラッキングモジュール付属品を含むため、上記アイトラッキングモジュール付属品が達成可能な有益な効果を有し、すなわち、レンズにおける回線のレイアウトが制限されるという問題を解決するとともに、回線がユーザの視野を遮断しないことを実現し、ユーザの体験を向上させた。
【0057】
なお、以上は本開示の好適な実施例および適用される技術原理に過ぎない。当業者が理解できるように、本開示は、ここに記載されている特定の実施例に限定されるものではなく、本開示の保護範囲から逸脱することなく様々な明らかな変更、再調整、相互結合および代替を行うことができる。従って、以上の実施例によって本開示を詳細に説明したが、本開示は、以上の実施例のみに限定されるものではなく、本開示の構想を逸脱しない限り、より多くの他の等価な実施例を含んでもよく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決められる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示の実施例が提供するアイトラッキングモジュール付属品は、ヘッドマウントディスプレイに適用することができ、量子ドット材料を使用してアイトラッキングモジュール付属品のレンズの一方側に複数の赤外線ランプを形成することにより、赤外線ランプが少なくとも可視光に対して高い透過率を有し、赤外線ランプをレンズに配置した場合、レンズにおける赤外線ランプのレイアウトが制限されるという問題を解決した。赤外線ランプは、レンズを伝播する可視光を遮断しなく、そして、赤外線ランプは、人の目に見えず、ユーザの視野を遮断しないので、ユーザの体験を向上させた。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-05-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正の内容】
図11
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正の内容】
図12
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正の内容】
図13
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正の内容】
図14
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正の内容】
図15
【国際調査報告】