(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】がんを処置するためのCDK2阻害剤およびCDK4阻害剤を含む方法および投薬レジメン
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20241126BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/415 20060101ALI20241126BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/4196 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/565 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P35/00
A61P15/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61K31/415
A61K45/00
A61K31/4196
A61K31/565
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532155
(86)(22)【出願日】2022-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-07-18
(86)【国際出願番号】 IB2022061652
(87)【国際公開番号】W WO2023100134
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ラース アンダース
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー リ
(72)【発明者】
【氏名】タン タン リン
(72)【発明者】
【氏名】トッド リー ヴァナーズダル
(72)【発明者】
【氏名】ピン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジン ヤン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA22
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA81
4C084ZB26
4C084ZC20
4C084ZC41
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086BC42
4C086BC60
4C086DA09
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、がんを処置する際の使用のための組合せ療法であって、それぞれ本明細書においてさらに記述されている通りの式(I)のCDK2阻害剤および式(II)の選択的CDK4阻害剤を含み、追加の抗がん剤とさらに組み合わせたものであってもよい、組合せ療法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、前記対象に、
(a)ある量の式(I)の化合物:
【化1】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)ある量の式(II)の化合物:
【化2】
または薬学的に許容できるその塩[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
を投与するステップを含み、
ここで、(a)および(b)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法。
【請求項2】
前記対象に、(c)ある量の追加の抗がん剤を投与するステップをさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記がんが、乳がん、肺がん、卵巣がん、腹膜がん、卵管がん、膀胱がん、結腸がん、子宮がん、前立腺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がんおよび胃がんからなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記がんが、ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんであり、前記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)および選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)からなる群から選択される内分泌治療剤である、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記内分泌治療剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
式(I)の化合物が、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(PF-07104091)一水和物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
PF-07104091の量が、約75mgから約500mg BIDまでである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
PF-07104091の量が、約75mg BID、約150mg BIDまたは約225mg BIDである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(II)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-トレオ-ペンチトール(PF-07220060)、または薬学的に許容できるその塩である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
PF-07220060の量が、約100mgから約500mg BIDまでである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
PF-07220060の量が、約100mg BID、約200mg BIDまたは約300mg BIDである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記がんが、パルボシクリブ耐性がんである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、CDK4/6阻害剤で以前に処置されたことがある、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記CDK4/6阻害剤が、パルボシクリブである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(a)式(I)の化合物:
【化3】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)式(II)の化合物:
【化4】
または薬学的に許容できるその塩[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
を含み、
ここで、(a)および(b)の組合せは、がんを処置するのに有効である、
組合せ。
【請求項16】
(c)追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の組合せは、がんを処置するのに有効である、請求項15に記載の組合せ。
【請求項17】
前記がんが、乳がん、肺がん、卵巣がん、腹膜がん、卵管がん、膀胱がん、結腸がん、子宮がん、前立腺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がんおよび胃がんからなる群から選択される、請求項15または16に記載の組合せ。
【請求項18】
前記がんが、ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんであり、前記追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)および選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)からなる群から選択される内分泌治療剤である、請求項16または17に記載の組合せ。
【請求項19】
前記内分泌治療剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、請求項18に記載の組合せ。
【請求項20】
式(I)の化合物が、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(PF-07104091)一水和物である、請求項15から19のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項21】
PF-07104091の量が、約50mgから約250mg BIDまでである、請求項20に記載の組合せ。
【請求項22】
PF-07104091の量が、約75mg BID、約150mg BIDまたは約225mg BIDである、請求項21に記載の組合せ。
【請求項23】
式(II)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-トレオ-ペンチトール(PF-07220060)、または薬学的に許容できるその塩である、請求項15から22のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項24】
PF-07220060の量が、約100mgから約500mg BIDまでである、請求項23に記載の組合せ。
【請求項25】
PF-07220060の量が、約100mg BID、約200mg BIDまたは約300mg BIDである、請求項24に記載の組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、それを必要とする対象においてがんを処置するために有用な方法および組合せ療法に関する。特に、本開示は、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(以後、PF-07104091)またはその一水和物等のサイクリン依存性キナーゼ2(CDK2)阻害剤を、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-トレオ-ペンチトール(以後、PF-07220060)または薬学的に許容できるその塩等の選択的サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)阻害剤と組み合わせて含む方法および組合せであって、ここで、組合せは、内分泌療法剤等の追加の抗がん剤とさらに組み合わせたものであってもよい、方法および組合せに関する。本開示は、関連する投薬量レジメン、使用および医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、真核生物の細胞分裂および増殖を調節する際に必須の機能を実施する重要な細胞酵素である。CDK阻害剤は、がんを含む増殖性障害の処置に有用となりうる。
【0003】
CDK2の過剰発現は、細胞周期の異常調節に関連する。サイクリンE/CDK2複合体は、G1/S移行、ヒストン生合成および中心体重複の調節において重要な役割を果たす。サイクリンD/Cdk4/6およびサイクリンE/Cdk2による網膜芽細胞(RB)の進行的リン酸化は、G1転写因子であるE2Fを放出し、S期突入を促進する。初期S期の間のサイクリンA/CDK2の活性化は、S期完了のために、DNA複製およびE2Fの不活性化を可能にする内因性基質のリン酸化を促進する(Asgharら、The history and future of targeting cyclin-dependent kinases in cancer therapy、Nat.Rev.Drug.Discov.2015;14(2):130~146)。
【0004】
CDK2のための調節サイクリンであるサイクリンEは、がんにおいて高頻度で過剰発現される。サイクリンE増幅または過剰発現は、長い間、乳がんにおける転帰不良に関連するとされてきた(Keyomarsiら、Cyclin E and survival in patients with breast cancer.N Engl J Med.(2002)347:1566~75)。サイクリンE2(CCNE2)過剰発現は、乳がん細胞における内分泌耐性に関連し、CDK2阻害は、タモキシフェン耐性およびCCNE2を過剰発現している細胞においてタモキシフェンまたはCDK4阻害剤に対する感受性を回復させると報告されている(Caldonら、Cyclin E2 overexpression is associated with endocrine resistance but not insensitivity to CDK2 inhibition in human breast cancer cells.Mol.Cancer Ther.(2012)11:1488~99;Herrera-Abreuら、Early Adaptation and Acquired Resistance to CDK4/6 Inhibition in Estrogen Receptor-Positive Breast Cancer、Cancer Res.(2016)76:2301~2313)。サイクリンE増幅は、報告されているところでは、ヒト上皮細胞成長因子受容体2陽性(HER2+)乳がんにおけるトラスツズマブ耐性にも寄与する(Scaltritiら、Cyclin E amplification/overexpression is a mechanism of trastuzumab resistance in HER2+ breast cancer patients、Proc Natl Acad Sci.(2011)108:3761~6)。サイクリンE過剰発現は、基底様トリプルネガティブ乳がん(TNBC)ならびに炎症性乳がんにおいて役割を果たすことも報告されている(ElsawafおよびSinn、Triple Negative Breast Cancer:Clinical and Histological Correlations、Breast Care(2011)6:273~278;Alexanderら、Cyclin E overexpression as a biomarker for combination treatment strategies in inflammatory breast cancer、Oncotarget(2017)8:14897~14911)。
【0005】
高いCCNE1 mRNA発現は、パルボシクリブに対する相対的耐性に関連することが、PALOMA-3試験の遺伝子発現解析において判明し、CDK4/6阻害に対する耐性を低減させるまたは克服する際におけるCDK2阻害の役割を示唆していた(Turnerら、Cyclin E1 Expression and Palbociclib Efficacy in Previously Treated Hormone Receptor-Positive Metastatic Breast Cancer、J.Clin.Oncol.(2019)37:1169~1178)。サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現は、卵巣、胃、子宮内膜、および他のがんにおける転帰不良にも関連する(Nakayamaら、Gene amplification CCNE1 is related to poor survival and potential therapeutic target in ovarian cancer、Cancer(2010)116:2621~34;Etemadmoghadamら、Resistance to CDK2 Inhibitors Is Associated with Selection of Polyploid Cells in CCNE1-Amplified Ovarian Cancer、Clin Cancer Res(2013)19:5960~71;Au-Yeungら、Selective Targeting of Cyclin E1-Amplified High-Grade Serous Ovarian Cancer by Cyclin-Dependent Kinase 2 and AKT Inhibition、Clin.Cancer Res.(2017)23:1862~1874;Ayhanら、CCNE1 copy-number gain and overexpression identify ovarian clear cell carcinoma with a poor prognosis、Modern Pathology(2017)30:297~303;Ooiら、Gene amplification of CCNE1,CCND1,and CDK6 in gastric cancers detected by multiplex ligation-dependent probe amplification and fluorescence in situ hybridization、Hum Pathol.(2017)61:58~67;Noskeら、Detection of CCNE1/URI(19q12)amplification by in situ hybridisation is common in high grade and type II endometrial cancer、Oncotarget(2017)8:14794~14805)。
【0006】
CDK4およびCDK6は、D型サイクリンおよびp16INK4a(CDKN2A)等のINK4内因性CDK阻害剤によって制御される、G1-Sチェックポイントにおける細胞周期進行の重要な調節因子である。サイクリンD-CDK4/6-INK4-網膜芽細胞(Rb)経路の調節異常は、内分泌療法耐性の発達に関連することが報告されている。
【0007】
CDK4/6阻害は、がん療法のための、とりわけ内分泌耐性乳がん(BC)の処置のための有望な戦略として出現した(Rani,A.ら、Endocrine Resistance in Hormone Receptor Positive Breast Cancer-From Mechanism to Therapy.Front Endocrinol(Lausanne)10:245、2019)。
【0008】
CDK4/6阻害剤(例えば、パルボシクリブ、アベマシクリブ、リボシクリブ)は、内分泌療法と組み合わせて投薬される場合、HR陽性/HER2陰性進行性または転移性乳がん患者について無増悪生存期間および/または全生存期間を有意に向上させた(Spring,L.M.ら、Cyclin-dependent kinase 4 and 6 inhibitors for hormone receptor-positive breast cancer:past,present,and future.Lancet、395、817~827、2020)。しかしながら、CDK4/6阻害剤は、用量制限血液毒性、主に好中球減少症および胃腸毒性に関連するとされてきた。他のキナーゼ阻害剤と同様に、CDK4/6阻害剤の有効性は、一次または獲得耐性の発達によって時間の経過とともに限定されうる。
【0009】
新たに出現したデータは、サイクリンD3-CDK6が、観測された血液毒性に関係しうることを示唆している(Malumbresら、Mammalian Cells Cycle without the D-type Cyclin-Dependent Kinases Cdk4 and Cdk6(2004)Cell 118(4):493~504;Sicinskaら、Essential Role for Cyclin D3 in Granulocyte Colony-Stimulating Factor-Driven Expansion of Neutrophil Granulocytes(2006)、Mol.Cell Biol 26(21):8052~8060;Cooperら、A unique function for Cyclin D3 in early B cell development(2006)、Nat.Immunol.5(7):489~497)。CDK4は、多くの乳がんにおいて唯一の癌遺伝子のドライバーとして同定されている。したがって、CDK4選択的阻害剤は、二重CDK4/6阻害剤と比較して高いおよび/または継続的投薬の可能性により、向上した安全性プロファイルまたは強化された全体的な効能を提供しうる。
【0010】
化合物(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(以後、PF-07104091)は、構造:
【0011】
【化1】
を有する、CDK2の強力かつ選択的な阻害剤である。
【0012】
PF-07104091(Pfizer Inc.)は、ある特定のがんの処置のために現在臨床開発中である。PF-07104091の調製は、国際特許公開第WO2020/157652号および米国特許第11,014,911号において開示されており、それらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。PF-07104091は、ケムドロー20.1.1によって生成される通り、(1R,3S)-3-(3-(3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド)-1H-ピラゾール-5-イル)シクロペンチルイソプロピルカルバメートという名称も有する。
【0013】
化合物1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-トレオ-ペンチトール(以後、PF-07220060)は、構造:
【0014】
【化2】
を有する、CDK4の強力かつ選択的な阻害剤、
または薬学的に許容できるその塩である。
【0015】
PF-07220060(Pfizer Inc.)は、ある特定のがんの処置のために現在臨床開発中である。PF-07220060の調製は、国際特許公開第WO2019/207463号および米国特許第10,766,884号において開示されており、それらのそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。PF-07220060は、ケムドロー20.1.1によって生成される通り、(3S,4R)-4-((5-クロロ-4-(4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-イソプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3-オールという名称も有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
がんの処置のための改良された療法が依然として必要である。本明細書において開示される組合せ、方法、投薬量レジメンおよび使用は、いずれかの治療剤単独による処置よりも大きい効能;薬物間相互作用を低減させる可能性;改良された投薬スケジュールを可能にする可能性;副作用を低減させる可能性;耐性機構を克服する可能性等の1つまたは複数の利点を有すると考えられている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示は、それを必要とする対象においてがんを処置するための方法、組合せ、投薬量レジメン、使用および医薬組成物であって、式(I)の選択的CDK2阻害剤または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、および式(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩等の選択的CDK4阻害剤を含む、方法、組合せ、投薬量レジメン、使用および医薬組成物に関する。
【0018】
一態様では、本開示は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に、
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0019】
【化3】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)ある量の選択的サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)阻害剤
を投与するステップを含み、
ここで、(a)および(b)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法を提供する。
【0020】
この態様の一部の実施形態では、本開示は、対象に、(c)ある量の追加の抗がん剤を投与するステップをさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、方法を提供する。
【0021】
別の態様では、本開示は、
(a)式(I)の化合物:
【0022】
【化4】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)選択的サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)阻害剤
を含み、
ここで、(a)および(b)の組合せは、がんを処置するのに有効である、
組合せを提供する。
【0023】
この態様の一部の実施形態では、組合せは、(c)追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の組合せは、がんを処置するのに有効である。
【0024】
別の態様では、本開示は、がんを処置する際の使用のための組合せであって、
(a)式(I)の化合物:
【0025】
【化5】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)選択的サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)阻害剤
を含む、組合せを提供する。
【0026】
この態様の一部の実施形態では、使用のための組合せは、(c)追加の抗がん剤をさらに含む。
【0027】
別の態様では、本開示は、
(a)式(I)の化合物:
【0028】
【化6】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)選択的サイクリン依存性キナーゼ4(CDK4)阻害剤
を含み、
組合せの使用は、がんを処置するのに有効である、
組合せの使用を提供する。
【0029】
この態様の一部の実施形態では、組合せは、(c)追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の組合せの使用は、がんを処置するのに有効である。
【0030】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれの好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、構造:
【0031】
【化7】
を有するCDK2の強力阻害剤である、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(PF-07104091)またはその一水和物である。
【0032】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの特に好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、PF-07104091一水和物である。
【0033】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物および選択的CDK4阻害剤の組合せは、相乗的である。本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用の一部の実施形態では、式(I)の化合物、CDK4阻害剤および追加の抗がん剤の組合せは、相乗的である。
【0034】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、選択的CDK4阻害剤は、式(II)の化合物:
【0035】
【化8】
または薬学的に許容できるその塩[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
である。
【0036】
好ましい実施形態では、式(II)の化合物は、構造:
【0037】
【化9】
を有するCDK4の強力かつ選択的な阻害剤である、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-トレオ-ペンチトール(PF-07220060)または薬学的に許容できるその塩である。
【0038】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、PF-07104091または薬学的に許容できるその溶媒和物であり、式(II)の化合物は、PF-07220060または薬学的に許容できるその塩である。本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの特に好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、PF-07104091一水和物であり、式(II)の化合物は、PF-07220060である。
【0039】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、本開示は、1種または複数の追加の抗がん剤をさらに含む。好ましい実施形態では、がんは、乳がん(HR+/HER2-乳がんを含む)であり、追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)または選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)である。好ましい実施形態では、内分泌治療剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0040】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの実施形態を、そのような実施形態が互いに矛盾しないならば、1つまたは複数の他の実施形態と組み合わせてよい。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本開示は、本開示の好ましい実施形態の以下の詳細な記述および本明細書に含まれる実施例を参照することにより、より容易に理解されうる。本明細書において使用される術語は、具体的な実施形態を記述することのみを目的としたものであり、限定的であることを意図したものではないことを理解されたい。本明細書において具体的に定義されているのでない限り、本明細書において使用される術語は、関連技術分野で公知の通りのその慣習的な意味が与えられていることをさらに理解されたい。
【0042】
E1. それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に、
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0043】
【化10】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)ある量の式(II)の化合物:
【0044】
【化11】
または薬学的に許容できるその塩[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
を投与するステップを含み、
ここで、(a)および(b)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法。
【0045】
E2. 対象に、(c)ある量の追加の抗がん剤を投与するステップをさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、実施形態E1の方法。
【0046】
E3. がんが、乳がん、肺がん、卵巣がん、腹膜がん、卵管がん、膀胱がん、結腸がん、子宮がん、前立腺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がんおよび胃がんからなる群から選択される、実施形態E1またはE2の方法。
【0047】
E4. がんが、ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんであり、追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)および選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)からなる群から選択される内分泌治療剤である、実施形態E2またはE3の方法。
【0048】
E5. 内分泌治療剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、実施形態E4の方法。
【0049】
E6. がんが、肺がんである、実施形態E1からE3のいずれか1つの方法。
【0050】
E7. 肺がんが、小細胞肺がん(SCLC)である、実施形態E6の方法。
【0051】
E8. SCLCが、網膜芽細胞(RB)機能の喪失によって特徴付けられる、実施形態E7の方法。
【0052】
E9. 肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態E6の方法。
【0053】
E10. NSCLCが、肺扁平上皮癌(LUSC)または肺腺癌(LUAD)である、実施形態E9の方法。
【0054】
E11. NSCLCが、KRASドライブ型肺腺癌(LUAD)である、実施形態E10の方法。
【0055】
E12. 式(I)の化合物が、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(PF-07104091)一水和物である、実施形態E1からE11のいずれか1つの方法。
【0056】
E13. PF-07104091の量が、約75mgから約500mg BIDまでである、実施形態E12の方法。
【0057】
E14. PF-07104091の量が、約75mg BID、約150mg BIDまたは約225mg BIDである、実施形態E13の方法。
【0058】
E15. PF-07104091の量が、約100mgから約500mg BIDまでである、実施形態E12の方法。
【0059】
E16. PF-07104091の量が、約150mgから約300mg BIDまでである、実施形態E15の方法。
【0060】
E17. PF-07104091の量が、約150mg BID、約225mg BIDまたは約300mg BIDである、実施形態E15またはE16の方法。
【0061】
E18. 式(II)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-トレオ-ペンチトール(PF-07220060)、または薬学的に許容できるその塩である、実施形態E1からE17のいずれか1つの方法。
【0062】
E19. PF-07220060の量が、約100mgから約500mg BIDまでである、実施形態E18の方法。
【0063】
E20. PF-07220060の量が、約300mgから約500mg BIDまでである、実施形態E19の方法。
【0064】
E21. PF-07220060の量が、約100mg BID、約200mg BIDまたは約300mg BIDである、実施形態E20の方法。
【0065】
E22. PF-07220060の量が、約300mg BIDまたは約400mg BIDである、実施形態E19またはE20の方法。
【0066】
E23. (a)式(I)の化合物:
【0067】
【化12】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)式(II)の化合物:
【0068】
【化13】
または薬学的に許容できるその塩[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
を含み、
ここで、(a)および(b)の組合せは、がんを処置するのに有効である、
組合せ。
【0069】
E24. (c)追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の組合せは、がんを処置するのに有効である、実施形態E23の組合せ。
【0070】
E25. がんが、乳がん、肺がん、卵巣がん、腹膜がん、卵管がん、膀胱がん、結腸がん、子宮がん、前立腺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がんおよび胃がんからなる群から選択される、実施形態E23またはE24の組合せ。
【0071】
E26. がんが、ホルモン受容体陽性(HR+)乳がんであり、追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)および選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)からなる群から選択される内分泌治療剤である、実施形態E24またはE25の組合せ。
【0072】
E27. 内分泌治療剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、実施形態E26の組合せ。
【0073】
E28. がんが、肺がんである、実施形態E23からE25のいずれか1つの組合せ。
【0074】
E29. 肺がんが、小細胞肺がん(SCLC)である、実施形態E28の組合せ。
【0075】
E30. SCLCが、網膜芽細胞(RB)機能の喪失によって特徴付けられる、実施形態E29の組合せ。
【0076】
E31. 肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態E28の組合せ。
【0077】
E32. NSCLCが、肺扁平上皮癌(LUSC)または肺腺癌(LUAD)である、実施形態E31の組合せ。
【0078】
E33. NSCLCが、KRASドライブ型肺腺癌(LUAD)である、実施形態E32の組合せ。
【0079】
E34. 式(I)の化合物が、(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(PF-07104091)一水和物である、実施形態E23からE33のいずれか1つの組合せ。
【0080】
E35. PF-07104091の量が、約50mgから約250mg BIDまでである、実施形態E34の組合せ。
【0081】
E36. PF-07104091の量が、約75mgから約150mg BIDまでである、実施形態E35の組合せ。
【0082】
E37. PF-07104091の量が、約75mg BID、約100mg BID、約125mg BIDまたは約150mg BIDである、実施形態E35またはE36の組合せ。
【0083】
E38. PF-07104091の量が、約75mg BID、約150mg BIDまたは約225mg BIDである、実施形態E35の組合せ。
【0084】
E39. 式(II)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-トレオ-ペンチトール(PF-07220060)、または薬学的に許容できるその塩である、実施形態E23からE38のいずれか1つの組合せ。
【0085】
E40. PF-07220060の量が、約100mgから約500mg BIDまでである、実施形態E39の組合せ。
【0086】
E41. PF-07220060の量が、約300mgから約500mg BIDまでである、実施形態E40の組合せ。
【0087】
E42. PF-07220060の量が、約300mg BIDまたは約400mg BIDである、実施形態E40またはE41の組合せ。
【0088】
E43. PF-07220060の量が、約100mg BID、約200mg BIDまたは約300mg BIDである、実施形態E40の方法。
【0089】
E44. それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に、
(a)ある量のPF-07104091、および
(b)ある量のPF-07220060または薬学的に許容できるその塩
を投与するステップを含み、
ここで、(a)および(b)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法。
【0090】
E45. それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に、
(a)ある量のPF-07104091、
(b)ある量のPF-07220060または薬学的に許容できるその塩、および
(c)ある量の追加の抗がん剤
を投与するステップを含み、
ここで、(a)、(b)および(c)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法。
【0091】
E46. がんが、乳がん、肺がん、卵巣がん、腹膜がん、卵管がん、膀胱がん、結腸がん、子宮がん、前立腺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がんおよび胃がんからなる群から選択される、実施形態E44またはE45の方法。
【0092】
E47. がんが、ホルモン受容体陽性(HR+)、ヒト上皮細胞成長因子受容体2陰性(HER2-)乳がんである、実施形態E44からE46のいずれか1つの方法。
【0093】
E48. 追加の抗がん剤が、アロマターゼ阻害剤、SERMおよびSERDからなる群から選択される内分泌治療剤である、実施形態E45からE47のいずれか1つの方法。
【0094】
E49. 内分泌治療剤が、レトロゾールまたはフルベストラントである、実施形態E48の方法。
【0095】
E50. がんが、肺がんである、実施形態E44からE46のいずれか1つの方法。
【0096】
E51. 肺がんが、小細胞肺がん(SCLC)である、実施形態E50の方法。
【0097】
E52. SCLCが、網膜芽細胞(RB)機能の喪失によって特徴付けられる、実施形態E51の方法。
【0098】
E53. 肺がんが、非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態E50の方法。
【0099】
E54. NSCLCが、肺扁平上皮癌(LUSC)または肺腺癌(LUAD)である、実施形態E53の方法。
【0100】
E55. NSCLCが、KRASドライブ型肺腺癌(LUAD)である、実施形態E54の方法。
【0101】
E56. PF-07104091の量が、約50mgから約250mg BIDまでである、実施形態E44からE55のいずれか1つの方法。
【0102】
E57. PF-07104091の量が、約75mgから約150mg BIDまでである、実施形態E56の方法。
【0103】
E58. PF-07104091の量が、約75mg BID、約100mg BID、約125mg BIDまたは約150mg BIDである、実施形態E56またはE57の方法。
【0104】
E59. PF-07104091の量が、約75mg BID、約150mg BIDまたは約225mg BIDである、実施形態E56またはE57の方法。
【0105】
E60. 式(II)の化合物が、1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-トレオ-ペンチトール(PF-07220060)、または薬学的に許容できるその塩である、実施形態E44からE59のいずれか1つの方法。
【0106】
E61. PF-07220060の量が、約100mgから約500mg BIDまでである、実施形態E60の方法。
【0107】
E62. PF-07220060の量が、約300mgから約500mg BIDまでである、実施形態E61の方法。
【0108】
E63. PF-07220060の量が、約100mg BID、約200mg BIDまたは約300mg BIDである、実施形態E61の方法。
【0109】
E64. PF-07220060の量が、約300mg BIDまたは約400mg BIDである、実施形態E61またはE62の方法。
【0110】
E65. がんが、CDK4/6阻害剤耐性がんである、実施形態E1からE22のいずれか1つの方法。
【0111】
E66. CDK4/6阻害剤が、パルボシクリブである、実施形態E65の方法。
【0112】
E67. 対象が、CDK4/6阻害剤で以前に処置されたことがある、実施形態E1からE22のいずれか1つの方法。
【0113】
E68. CDK4/6阻害剤が、パルボシクリブである、実施形態E67の方法。
【0114】
定義:
本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、別段の指示がない限り、複数の参照物を含む。例えば、「a」置換基は、1つまたは複数の置換基を含む。
【0115】
本明細書において記述されている開示は、本明細書において具体的に開示されていない任意の要素の非存在下で好適に実践されてよい。故に、例えば、本明細書の各事例において、用語「を含む」、「から本質的になる」および「からなる」のいずれも、他2つの用語のいずれかで置きかえられてよい。
【0116】
用語「約」は、当業者が考慮する場合、許容される標準誤差(standard of
error of the mean)内に収まる値を有することを意味する。一部の実施形態では、用語「約」は、指示されている値の±10%以内であることを意味する。例えば、約150mgの用量は、該用量が135mgから165mgの間で変動しうることを意味すると理解されるべきである。
【0117】
用語「がん」、「がん性」または「悪性」は、哺乳動物における、無秩序な細胞成長によって典型的には特徴付けられる生理的条件を指すまたは記述する。本明細書において使用される場合、がんは、それらを形成する細胞の種類に因んで命名された固形腫瘍、および血液、骨髄またはリンパ系のがんを含む、異常な細胞成長によって引き起こされるあらゆる悪性および/もしくは侵襲的成長または腫瘍を指してよい。固形腫瘍の例は、肉腫および癌腫を含むがこれらに限定されない。血液のがんの例は、白血病、リンパ腫および骨髄腫を含むがこれらに限定されない。がんという用語は、体内の特異的部位を起源とする原発性がん、それが始まった場所から体の他の部分へ広がった転移性がん、寛解後の最初の原発性がんからの再発、または後のものとは種類が異なる過去のがんの履歴がある人物における新たな原発性がんである二次原発性がんを含むがこれらに限定されない。
【0118】
本明細書において使用される場合、「PF-07104091」は、PF-07104091遊離塩基および/またはPF-07104091一水和物を指してよい。好ましい実施形態では、PF-07104091は、本明細書において言及される場合、PF-07104091一水和物である。
【0119】
本明細書において使用される場合、「用量制限毒性」(DLT)は、投薬量のさらなる増大が禁忌(contraindicative)である、例えばPF-07104091または本明細書において記述されている別の作用物質の投薬量を指す。
【0120】
本明細書において使用される場合、「最大忍容用量」(MTD)は、許容できない副作用も忍容できない毒性も引き起こさない、PF-07104091または本明細書において記述されている別の作用物質の最高投薬量を指す。MTDは、観測されたDLT率に基づき、mTPIを使用して推定される。
【0121】
用語「患者」または「対象」は、ヒトおよび哺乳動物の獣医患者、例えば、ウシ、ウマ、イヌおよびネコ等の家畜;サル等の非ヒト霊長類;ラット、マウス、モルモット等の実験動物;ならびにライオン、トラ等の捕獲された野生動物を含む、療法が所望される、または臨床試験、疫学的研究に参加しているもしくは対照として使用される、任意の単一の対象を指す。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0122】
一部の実施形態では、対象は、成人ヒト対象である。一部の実施形態では、成人対象は、あらゆる閉経状態の女性、または男性である。一部のそのような実施形態では、対象は、閉経後の女性、または男性である。一部のそのような実施形態では、対象は、閉経後の女性である。一部のそのような実施形態では、対象は、閉経前または閉経周辺期の女性である。一部のそのような実施形態では、対象は、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストで処置された閉経前または閉経周辺期の女性である。一部のそのような実施形態では、対象は、男性である。一部のそのような実施形態では、対象は、LHRHアゴニストで処置された男性である。一部の実施形態では、対象は、誕生から18歳までの間のヒトの子どもである。一部の実施形態では、対象は、小児がんを有する誕生から15歳までの間の子どもである。
【0123】
本開示の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果は、以下のうちの1つまたは複数:新生物性またはがん性細胞の増殖を低減させること(または破壊すること);転移または新生物性細胞を阻害すること;腫瘍のサイズを縮小させるまたは減少させること;がんの寛解;がんによって生じる症状を減少させること;がんに罹患している人々の生活の質を上昇させること;がんを処置するために必要とされる他の薬剤の用量を減少させること;がんの進行を遅延させること;がんを治癒させること;がんの1つまたは複数の耐性機構を克服すること;および/またはがん患者の生存期間を延長することを含むがこれらに限定されない。がんにおける陽性治療効果は、若干数の手法で測定することができる(例えば、W.A.Weber、Assessing tumor response to therapy、J.Nucl.Med.50付録1:1S~10S(2009)を参照)。例えば、腫瘍成長阻害(T/C)に関して、国立がん研究所(NCI)基準によれば、42%以下のT/Cは、抗腫瘍活性の最低レベルである。10%未満のT/Cは、高い抗腫瘍活性レベルとみなされ、T/C(%)=処置済みのメジアン腫瘍体積/対照のメジアン腫瘍体積×100である。
【0124】
本明細書における方法、組合せおよび使用の治療効果は、以下のいずれかを参照することにより定義されてよい:部分奏効(PR)、完全奏効(CR)、無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、奏効期間(DoR)、全奏効率(ORR)または全生存期間(OS)。一部の実施形態では、本明細書において開示される組合せ、方法または使用への応答は、RECIST v1.1応答基準を使用して評定される、PR、CR、PFS、DFS、DoR、ORRまたはOSのいずれかである(Eisenhauerら、New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(バージョン1.1)、Eur J of Cancer、2009;45(2):228~47)。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書における方法、組合せおよび使用は、ネオアジュバント療法、アジュバント療法、第一選択療法、第二選択療法、または第三選択もしくはそれ以降の療法に関する。各場合において、本明細書においてさらに記述されている通り、がんは、限局性、進行性または転移性であってよく、疾患の連続性に沿った時点で(すなわち、がんの任意の段階で)介入が起こってよい。
【0126】
対象においてがんを処置するために有効である組合せ、方法または使用のための処置レジメンは、対象の疾患状態、年齢および重量、ならびに対象において抗がん応答を誘発する療法の能力等の要因に従って変動しうる。本明細書において開示される態様のいずれかの実施形態は、すべての対象において陽性治療効果を実現するのには有効でない場合があるが、当技術分野において公知である任意の統計的検定、例を挙げると、スチューデントのt検定、カイ二乗検定、マン・ホイットニーのU検定、クラスカル・ウォリス検定(H検定)、ヨンクヒール・タプストラ検定およびウィルコンオン(Wilcon on)検定によって決定された際の統計的に有意な数の対象においては、有効であるはずである。
【0127】
本明細書において使用される場合、使用のためのおよび/または対象を処置するための「有効量」または「治療有効量」は、単回または複数回用量で、単独でまたは1種もしくは複数の他の作用物質と組み合わせて、任意の測定可能もしくは検出可能な程度のまたは任意の持続期間にわたる(例えば、寛解中または治癒中に、数時間、数日間、数か月間、数年間にわたる)、処置、プロトコール、または治療レジメン、任意の持続期間(一過性、中または長期)の検出可能な応答、対象における所望の転帰または対象に対して客観的もしくは主観的な利益を提供する量を指す。そのような量は、典型的には、疾患、または疾患の1つ、複数もしくはすべての有害作用/症状、帰結もしくは合併症を、測定可能な程度まで改善するために有効であるが、疾患の進行もしくは悪化を低減させるもしくは阻害すること、または疾患の安定(すなわち、悪化していない)状態を提供することは、満足な転帰とみなされる。用語「治療有効量」は、対象への投与時に所望の治療効果を提供するため、例えば、がん性腫瘍の成長を食い止めるまたはその縮小をもたらすために有効な、活性剤の量も意味する。
【0128】
有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別および重量等の要因に従って変動しうる。防護的使用では、有益なまたは所望の転帰は、疾患のリスクを排除するもしくは低減させること、重症度を下げること、または発症を遅延させることを含みうる。治療的使用では、有益なまたは所望の転帰は、疾患の発生率を低減させることまたは1つもしくは複数の症状を改善すること、疾患を処置するために使用される別の薬剤の用量を低減させること、疾患を処置するために使用される別の薬剤の効能もしくは安全性を強化すること、疾患進行までの時間を遅延させること、または生存期間を延長することを含みうる。
【0129】
本明細書において使用される場合、「処置サイクル」は、処置サイクル間に休止期間を伴うまたは伴わない、1種または複数の作用物質の投与を含む期間を指す。処置サイクルは、継続的、すなわち、処置サイクル間に休止期間を伴わないものであってよい。代替として、処置サイクルは、間欠的であってよく、処置サイクル間に休止期間(すなわち、1日もしくは複数日または数週間処置を中止する用量中断期間)を含んでよい。そのような事例では、休止期間中における別の作用物質の投与は、本明細書において記述されている作用物質の投与に干渉しても有害であってもならない。
【0130】
例えば、それぞれ14または21日間の処置、続いて、7日の休止期間(すなわち、処置中断)を伴う21日または28日の処置サイクルは、間欠的処置サイクルの例である。2または3週間の処置および1週間の処置中止を伴う処置サイクルを、時に、それぞれ2/1週のまたは3/1週の処置サイクルと称する。代替として、間欠的処置サイクルは、5日間の処置および2日間の処置中止を伴う7日のサイクルを含んでよい。
【0131】
本明細書において使用される場合、用語「改善する」は、特定の疾患の症状または臨床徴候の特徴の程度、重症度、頻度および/または可能性における、あらゆる低減を指す。「症状」は、疾患のまたは対象の状態のあらゆる主観的な証拠を指す。
【0132】
本明細書において使用される場合、がんおよび/またはがん関連疾患を「処置する」または「処置すること」は、本開示に従う単剤または組合せ療法を、がんを有するまたはがんと診断された対象、患者または個体に施すこと、少なくとも1つの陽性治療効果、例えば、がん細胞数の低減、腫瘍サイズの低減、末梢臓器へのがん細胞の浸潤速度の低減、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長の速度の低減等を実現すること、そのような用語が当てはまる障害もしくは状態、またはそのような障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状を、逆転させること、緩和すること、その進行を阻害すること、または予防することを意味する。用語「処置」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、「処置すること」がすぐ上で定義された通りに処置する行為を指す。用語「処置すること」は、対象のアジュバントおよびネオアジュバント処置も含む。本開示の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果は、以下のうちの1つまたは複数:新生物性またはがん性細胞の増殖を低減させること(または破壊すること);転移または新生物性細胞を阻害すること;腫瘍のサイズを縮小させるまたは減少させること;がんの寛解;がんによって生じる症状を減少させること;がんに罹患している人々の生活の質を上昇させること;がんを処置するために必要とされる他の薬剤の用量を減少させること;がんの進行を遅延させること;がんを治癒させること;がんの1つまたは複数の耐性機構を克服すること;および/またはがん患者の生存期間を延長することを含むがこれらに限定されない。がんにおける陽性治療効果は、若干数の手法で測定することができる(例えば、W.A.Weber、J.Nucl.Med.50:1S~10S(2009)を参照)。
【0133】
「腫瘍」は、がんと診断されたまたはがんを有すると疑われる対象に当てはまる場合、悪性もしくは潜在性悪性新生物またはあらゆるサイズの組織塊を指し、原発性腫瘍および二次新生物を含む。固形腫瘍は、嚢胞も液体領域も通常は含有しない、組織の異常な成長または塊である。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、概して固形腫瘍を形成しない(国立がん研究所、がん用語辞書)。
【0134】
本明細書において使用される場合、用語「組合せ」または「組合せ療法」は、組合せ療法の2種以上の治療剤の、化合物としてまたは医薬組成物もしくは医薬の形態でのいずれかでの投与を指す。組合せ療法は、順次に、同時発生的にまたは同時に施されてよい。
【0135】
2種以上の作用物質の組合せ療法を施す場合、作用物質は、同じ処置サイクルでまたは異なるサイクルを使用して投与されてよい。好ましい実施形態では、PF-07104091は、28日のサイクルで継続的に投与される。好ましい実施形態では、PF-07220060は、28日のサイクルで継続的に投与される。フルベストラントは、典型的には、第1の処置サイクルの1、15、29日目およびその後は月に1回、筋肉内に投与される。レトロゾールは、典型的には、28日の処置サイクルで継続的に投与される。
【0136】
本明細書において記述されている方法および組合せ療法の各治療剤は、化合物として、または治療剤および1種もしくは複数の薬学的に許容できる担体、添加剤もしくは賦形剤を含む医薬組成物(本明細書では医薬とも称される)で、医薬実務に従って投与されてよい。
【0137】
用語「順次」または「順次に」は、単独でまたは医薬のいずれかで、次々に、各治療剤が任意の順序で投与されうる、組合せ療法の各治療剤の投与を指す。順次投与は、組合せ療法における治療剤が異なる剤形である、例えば、1つの作用物質が錠剤であり、別の作用物質が滅菌液体である場合、および/または作用物質が異なる投薬スケジュールに従って投与される、例えば、1つの作用物質が毎日投与され、第2の作用物質が毎週等のより低い頻度で投与される場合に、特に有用となりうる。
【0138】
用語「同時発生的に」は、単独でまたは別個の医薬でのいずれかで、第2の治療剤が第1の治療剤の直後に投与されるが、治療剤は任意の順序で投与されうる、組合せ療法における各治療剤の投与を指す。好ましい実施形態では、治療剤は同時発生的に投与される。
【0139】
用語「同時」は、例えば、2種以上の薬物を含む固定用量組合せとして単一剤形での、同じ医薬における組合せ療法の各治療剤の投与を指す。
【0140】
「投薬レジメン」は、1つまたは複数の処置サイクルを含む1種または複数の薬物、化合物または組合せの投与期間を指し、ここで、各処置サイクルは、同じまたは異なる投与ルートを使用する、異なる時間、頻度または量での、1種または複数の作用物質の投与を含んでよい。投与もしくは投薬レジメンの繰り返し、または投与もしくは投薬レジメンの調整は、所望の処置効果を実現するために必要に応じて行われうる。
【0141】
「BID」または「bid」は、1日に2回の薬物、化合物または組成物の投与を指す。
【0142】
「QD」または「qd」は、1日に1回の薬物、化合物または組成物の投与を指す。
【0143】
「TID」または「tid」は、1日に3回の薬物、化合物または組成物の投与を指す。
【0144】
用語「相加的」は、2種以上の薬物、化合物または組成物の組合せの結果が、各薬物、化合物または組成物個々の和よりも大きくないことを意味する。
【0145】
用語「相乗作用」または「相乗的」は、2種以上の薬物、化合物または組成物の組合せの結果が、各薬物、化合物または組成物個々の和よりも大きいことを意味する。相乗効果を提供する組合せを、相乗的組合せと称する場合がある。
【0146】
「相乗的量」は、相乗効果をもたらす組合せにおける2種以上の薬物、化合物または組成物の量である。相乗効果は、例えば、シグモイドEmax方程式(Holford,N.H.G.およびScheiner,L.B.、Clin.Pharmacokinet.6:429~453(1981))、ロエベ相加式(Loewe,S.およびMuischnek,H.、Arch.Exp.Pathol.Pharmacol.114:313~326(1926))および半数効果方程式(Chou,T.C.およびTalalay,P.、Adv.Enzyme Regul.22:27~55(1984))等の好適な方法を使用して算出することができる。上記で言及した各方程式を、実験データに当てはめて、薬物組合せの効果を評定するのを支援するための対応するグラフを生成することができる。上記で言及した方程式に関連する対応するグラフは、それぞれ、濃度効果曲線、アイソボログラム曲線および組合せ指数曲線である。Ma&Motsinger-Reif、Current Method for Quantifying Drug Synergism、Proteom.Bioinform(2019)1(2):43~48;Tangら、What is Synergy? The Saariselka Agreement Revisited、Front Pharmacol.(2015)Article 181、6:1~5。
【0147】
式(I)のCDK2阻害剤へのまたは式(II)のCDK4阻害剤への本明細書におけるすべての言及は、薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、水和物および錯体への、ならびに薬学的に許容できるその塩の溶媒和物、水和物および錯体への言及を(化学的に実現可能な程度まで)含み、非晶質および多形形態、立体異性体、ならびにそれらの同位体標識バージョンを含む。
【0148】
本明細書において使用される場合、用語「薬学的に許容できる塩」は、親化合物の生物学的有効性および特性を保持する塩を指す。語句「薬学的に許容できる塩」は、本明細書において使用される場合、別段の指示がない限り、本明細書において開示される式の化合物中に存在しうる酸性または塩基性基の塩を含む。例えば、性質が塩基性である化合物は、種々の無機および有機酸と、多種多様な塩を形成することができる。そのうちの、そのような塩基性化合物の薬学的に許容できる酸付加塩を調製するために使用されうる酸は、非毒性酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容できるアニオンを含有する塩を形成する。一酸および二酸付加塩に好適なアニオンの例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、デカン酸塩、エデト酸塩、エジスリエート、エストレート、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、ヘキサン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、オクタン酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パントテン酸塩、リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオドードおよび吉草酸塩を含むがこれらに限定されない。代替として、性質が酸性である化合物は、非毒性塩基塩を形成する種々の薬理学的に許容できるカチオンと塩基塩を形成することができる。そのような非毒性塩基塩は、そのような薬理学的に許容できるカチオン、例を挙げると、アルカリ金属カチオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属カチオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)、アンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、例を挙げると、N-メチルグルカミン-(メグルミン)、ならびに薬学的に許容できる有機アミンの低級アルカノールアンモニウムおよび他の塩基塩に由来するものを含むがこれらに限定されない。そのような塩に好適なカチオンの例は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、リジン、マグネシウム、ヒスチジン、リチウム、メグルミン、カリウム、プロカイン、ナトリウム、トリエチルアミンおよび亜鉛を含む、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩および他のカチオンを含む。塩は、従来の技術によって調製されうる。酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成されうる。好適な塩についての総説は、Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use、StahlおよびWermuth著(Wiley-VCH、2002)を参照されたい。薬学的に許容できる塩を作製するための方法は、当業者に公知である。
【0149】
治療方法、組合せ、使用
本開示は、式(I)の化合物:
【0150】
【化14】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]
であるCDK2阻害剤を含む、方法、組合せおよび使用を提供する。
【0151】
本明細書で挙げられている各事例では、「式(I)の化合物」への言及は、「式(I)のCDK2阻害剤」によって置きかえられてよい。
【0152】
本開示は、式(II)の化合物:
【0153】
【化15】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
である選択的CDK4阻害剤を含む、方法、組合せおよび使用をさらに提供する。
【0154】
一態様では、本開示は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に、
(a)ある量の式(I)の化合物:
【0155】
【化16】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)ある量の式(II)の化合物:
【0156】
【化17】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
を投与するステップを含み、
ここで、(a)および(b)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法を提供する。
【0157】
一部の実施形態では、方法は、対象に、(c)ある量の追加の抗がん剤を投与するステップをさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である。
【0158】
別の態様では、本開示は、
(a)式(I)の化合物:
【0159】
【化18】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)式(II)の化合物:
【0160】
【化19】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
を含み、
ここで、(a)および(b)の組合せは、がんを処置するのに有効である、
組合せを提供する。
【0161】
一部の実施形態では、組合せは、(c)追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の組合せは、がんを処置するのに有効である。
【0162】
別の態様では、本開示は、がんを処置する際の使用のための組合せであって、
(a)式(I)の化合物:
【0163】
【化20】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)式(II)の化合物:
【0164】
【化21】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
を含む、組合せを提供する。
【0165】
一部の実施形態では、使用のための組合せは、(c)追加の抗がん剤をさらに含む。
【0166】
別の態様では、本開示は、
(a)式(I)の化合物:
【0167】
【化22】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]、および
(b)式(II)の化合物:
【0168】
【化23】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
4は、H、FまたはClであり、
R
5は、H、C
1~C
5アルキル、C
1~C
5フルオロアルキルまたはC
3~C
8シクロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
5アルキルおよびC
1~C
5フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、各前記C
3~C
8シクロアルキルは、R
9によって置換されていてもよく、
R
6は、H、C
1~C
4アルキルまたはC
1~C
4フルオロアルキルであり、ここで、各前記C
1~C
4アルキルおよびC
1~C
4フルオロアルキルは、R
8によって置換されていてもよく、
R
7は、H、FまたはClであり、
各R
8は、独立して、OH、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
9は、独立して、F、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはNR
10R
11であり、
各R
10およびR
11は、独立して、HまたはC
1~C
2アルキルである]
を含み、
ここで、(a)および(b)の組合せの使用は、がんを処置するのに有効である、
組合せの使用を提供する。
【0169】
この態様の一部の実施形態では、組合せは、(c)追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、(a)、(b)および(c)の組合せの使用は、がんを処置するのに有効である。
【0170】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物は、構造:
【0171】
【化24】
を有する(1R,3S)-3-[3-({[3-(メトキシメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル]カルボニル}アミノ)-1H-ピラゾール-5-イル]シクロペンチルプロパン-2-イルカルバメート(PF-07104091)である。
【0172】
PF-07104091の上記の構造式は、適切な条件下で併存および直接相互変換されうるすべての互変異性形態を含むことが理解される。例えば、一部の実施形態では、PF-07104091は、
【0173】
【0174】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの好ましい実施形態では、式(II)の化合物は、構造:
【0175】
【化26】
を有する1,5-アンヒドロ-3-({5-クロロ-4-[4-フルオロ-2-(2-ヒドロキシプロパン-2-イル)-1-(プロパン-2-イル)-1H-ベンズイミダゾール-6-イル]ピリミジン-2-イル}アミノ)-2,3-ジデオキシ-D-トレオ-ペンチトール(PF-07220060)、または薬学的に許容できるその塩である。
【0176】
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に、
(a)ある量のPF-07104091一水和物、および
(b)ある量のPF-07220060または薬学的に許容できるその塩
を投与するステップを含み、
ここで、(a)および(b)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法を提供する。
【0177】
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に、
(a)ある量のPF-07104091一水和物、
(b)ある量のPF-07220060または薬学的に許容できるその塩、および
(c)ある量の追加の抗がん剤
を投与するステップを含み、
ここで、(a)、(b)および(c)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法を提供する。
【0178】
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に、
(a)ある量のPF-07104091一水和物、および
(b)ある量の選択的CDK4阻害剤
を投与するステップを含み、
ここで、(a)および(b)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法を提供する。
【0179】
別の態様では、本開示は、それを必要とする対象においてがんを処置する方法であって、対象に、
(a)ある量のPF-07104091一水和物、
(b)ある量の選択的CDK4阻害剤、および
(c)ある量の追加の抗がん剤
を投与するステップを含み、
ここで、(a)、(b)および(c)の量は、一緒になってがんを処置するのに有効である、
方法を提供する。
【0180】
別の態様では、本開示は、
(a)PF-07104091一水和物、および
(b)PF-07220060または薬学的に許容できるその塩
を含み、
ここで、(a)および(b)の組合せは、がんを処置するのに有効である、
組合せを提供する。
【0181】
別の態様では、本開示は、
(a)PF-07104091一水和物、
(b)PF-07220060または薬学的に許容できるその塩、および
(c)追加の抗がん剤
を含み、
ここで、(a)、(b)および(c)の組合せは、がんを処置するのに有効である、
組合せを提供する。
【0182】
別の態様では、本開示は、
(a)PF-07104091一水和物、および
(b)選択的CDK4阻害剤
を含み、
ここで、(a)および(b)の組合せは、がんを処置するのに有効である、
組合せを提供する。
【0183】
別の態様では、本開示は、
(a)PF-07104091一水和物、
(b)選択的CDK4阻害剤、および
(c)追加の抗がん剤
を含み、
ここで、(a)、(b)および(c)の組合せは、がんを処置するのに有効である、
組合せを提供する。
【0184】
別の態様では、本開示は、がんを処置する際の使用のための組合せであって、
(a)PF-07104091一水和物、および
(b)PF-07220060または薬学的に許容できるその塩
を含む、組合せを提供する。
【0185】
別の態様では、本開示は、がんを処置する際の使用のための組合せであって、
(a)PF-07104091一水和物、
(b)PF-07220060または薬学的に許容できるその塩、および
(c)追加の抗がん剤
を含む、組合せを提供する。
【0186】
別の態様では、本開示は、がんを処置する際の使用のための組合せであって、
(a)PF-07104091一水和物、および
(b)選択的CDK4阻害剤
を含む、組合せを提供する。
【0187】
別の態様では、本開示は、がんを処置する際の使用のための組合せであって、
(a)PF-07104091一水和物、
(b)選択的CDK4阻害剤、および
(c)追加の抗がん剤
を含む、組合せを提供する。
【0188】
別の態様では、本開示は、
(a)PF-07104091一水和物、および
(b)PF-07220060または薬学的に許容できるその塩
を含み、
ここで、(a)および(b)の組合せの使用は、がんを処置するのに有効である、
組合せの使用を提供する。
【0189】
別の態様では、本開示は、
(a)PF-07104091一水和物、
(b)PF-07220060または薬学的に許容できるその塩、および
(c)追加の抗がん剤
を含み、
ここで、(a)、(b)および(c)の組合せの使用は、がんを処置するのに有効である、
組合せの使用を提供する。
【0190】
別の態様では、本開示は、
(a)PF-07104091一水和物、および
(b)選択的CDK4阻害剤
を含み、
ここで、(a)および(b)の組合せの使用は、がんを処置するのに有効である
組合せの使用を提供する。
【0191】
別の態様では、本開示は、
(a)PF-07104091一水和物、
(b)選択的CDK4阻害剤、および
(c)追加の抗がん剤
を含み、
ここで、(a)、(b)および(c)の組合せの使用は、がんを処置するのに有効である、
組合せの使用を提供する。
【0192】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、乳がん、前立腺がん、肺がん(非小細胞肺がん、NSCLC、および小細胞肺がん、SCLCを含む)、肝臓がん(肝細胞癌、HCCを含む)、腎臓がん(腎細胞癌、RCCを含む)、膀胱がん(上部尿路の尿路上皮癌、UUTUC等の尿路上皮癌を含む)、卵巣がん(上皮性卵巣がん、EOCを含む)、腹膜がん(原発性腹膜がん、PPCを含む)、卵管がん、子宮頸がん、子宮がん(子宮内膜がんを含む)、膵臓がん、胃がん、結腸直腸がん、食道がん、頭頸部がん(頭頸部の扁平上皮細胞癌(SCCHN)、甲状腺がんおよび唾液腺がんを含む)、精巣がん、副腎がん、皮膚がん(基底細胞癌および黒色腫を含む)、脳腫瘍(星状細胞腫、髄膜腫および膠芽細胞腫を含む)、肉腫(骨肉腫および脂肪肉腫を含む)およびリンパ腫(マントル細胞リンパ腫、MCLを含む)からなる群から選択される。
【0193】
一部のそのような実施形態では、がんは、乳がん、肺がん、卵巣がん、腹膜がん、卵管がん、膀胱がん、子宮がん、結腸がん、前立腺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がんおよび胃がんからなる群から選択される。
【0194】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現によって特徴付けられる。一部のそのような実施形態では、がんは、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現によって特徴付けられる。
【0195】
サイクリンE顕性がんの例は、卵巣がん、乳がん、肝臓がん、胃がん、食道がん、膀胱がん、子宮がん、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、結腸がん、前立腺がんまたは膵臓がんを含むがこれらに限定されない。
【0196】
網膜芽細胞感受性遺伝子(RB1)は、分子的に定義された最初の腫瘍抑制遺伝子であった。網膜芽細胞遺伝子産物RBは、網膜芽細胞および骨肉腫において高頻度で突然変異または欠失し、他の腫瘍型、例を挙げると、前立腺がん(神経内分泌前立腺癌を含む)、乳がん(トリプルネガティブ乳がん、TNBCを含む)、肺がん(小細胞肺がん、SCLC、および非小細胞肺がん、NSCLCを含む)、肝臓がん、膀胱がん、卵巣がん、子宮がん、子宮頸がん、胃がん、食道がん、頭頸部がん、膠芽細胞腫およびリンパ腫において、可変頻度で突然変異または欠失する。ヒトがんにおいて、RBの機能は、結合タンパク質による中和(例えば、子宮頸癌におけるヒトパピローマウイルス-E7タンパク質;Ishiji,T、2000[0021]、J Dermatol.、27:73~86)またはそのリン酸化を最終的に司る経路の脱制御を経由して破壊されうる。
【0197】
「RB経路」は、網膜芽細胞タンパク質(RB)を含む分子シグナル伝達の全経路、ならびに、経路内の、CDK、E2f、非定型プロテインキナーゼCおよびSkp2を含むがこれらに限定されない他のタンパク質/タンパク質ファミリーを意味する。RB経路の不活性化は、多くの場合、p16INK4a、サイクリンD1およびCDK4の摂動によって生じる。
【0198】
用語「RB+」「RBプラス」、「RBプロフィシェント(RB-proficient)」または「RB陽性」は、検出可能な量の機能性RBタンパク質を発現している細胞を記述するために使用されうる。RB-陽性は、野生型および非突然変異RBタンパク質を含む。野生型RB(RB-WT)は、対応する母集団に通例存在し、このタンパク質に現在割り当てられている機能を有する、RBタンパク質の形態を意味すると概して理解されている。RB陽性は、機能性RB遺伝子を含有する細胞であってよい。RB陽性である細胞は、検出可能なRBタンパク質機能をコードすることができる細胞でもありうる。
【0199】
用語「RB-」、「RBマイナス」、「RB欠損」または「RB陰性」は、検出不可能な量の機能性RBタンパク質を生成する細胞を含む、RBの機能が破壊されている数種類の細胞を記述するものである。RB陰性である細胞は、機能性RB遺伝子を含有しない細胞であってよい。RB陰性である細胞は、RBタンパク質をコードすることができるが、タンパク質が適正に機能しない細胞でもありうる。
【0200】
本明細書において記述されている方法および使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、網膜芽細胞野生型(RB-WT)として特徴付けられる。本明細書において記述されている方法および使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、RB陽性またはRBプロフィシェントとして特徴付けられる。そのようなRB陽性またはRBプロフィシェントがんは、少なくともいくつかの機能性網膜芽細胞遺伝子を含有する。一部の実施形態では、そのようなRB-WT、RB陽性またはRBプロフィシェントがんは、RB1-WT、RB1陽性またはRB1プロフィシェントがんとして特徴付けられる。
【0201】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、RB陰性またはRB欠損として特徴付けられる。そのようなRB陰性またはRB欠損がんは、ミスセンス突然変異(すなわち、誤ったアミノ酸をコードする)またはナンセンス突然変異(すなわち、終止コドンをコードする)をコードしうる機能喪失突然変異によって特徴付けられてよい。代替として、そのようなRB陰性がんは、網膜芽細胞遺伝子の全部または一部の欠失によって特徴付けられてよい。一部の実施形態では、そのようなRB陰性またはRB欠損がんは、RB1陰性またはRB1欠損として特徴付けられる。
【0202】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、進行性または転移性がんである。
【0203】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは難治性である、すなわち、がんは、治療剤またはクラス(標準ケア剤またはクラスを含む)による処置に全く応答しないか、または最初は応答するが非常に短い期間で再度成長し始める。
【0204】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、治療剤またはクラス(標準ケア剤またはクラスを含む)に対して耐性がある。本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、治療剤またはクラス(標準ケア剤またはクラスを含む)に対する先天性または獲得耐性によって特徴付けられる。
【0205】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、および式(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物は、順次に、同時にまたは同時発生的に投与される。本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、PF-07104091または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、およびPF-07220060または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物は、順次に、同時にまたは同時発生的に投与される。本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、PF-07104091および選択的CDK4阻害剤は、順次に、同時にまたは同時発生的に投与される。
【0206】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用の好ましい実施形態では、がんは、乳がんである。本明細書において記述されている乳がんサブタイプのそれぞれの一部の実施形態では、乳がんは、進行性または転移性乳がんである。
【0207】
一部の実施形態では、乳がんは、ホルモン受容体陽性(HR+)である、すなわち、乳がんは、エストロゲン受容体陽性(ER+)および/またはプロゲステロン受容体陽性(PR+)である。一部の実施形態では、乳がんは、ホルモン受容体陰性(HR-)である、すなわち、乳がんは、エストロゲン受容体陰性(ER-)およびプロゲステロン受容体陰性(PR-)である。
【0208】
がんがHR+乳がんである一部の実施形態では、本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用は、追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害剤、SERDまたはSERMである。好ましい実施形態では、内分泌治療剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0209】
一部の実施形態では、乳がんは、ヒト上皮細胞成長因子受容体2陰性(HER2-)である。一部の実施形態では、乳がんは、ヒト上皮細胞成長因子受容体2陽性(HER2+)である。
【0210】
一部の実施形態では、乳がんは、BRCA1またはBRCA2遺伝子に関連する。
【0211】
好ましい実施形態では、乳がんは、HR+/HER2-乳がんである。一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、CDK4/6阻害剤による処置に対して難治性であるかまたは処置中に進行した。一部のそのような実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、パルボシクリブまたは薬学的に許容できるその塩等のCDK4/6阻害剤による処置に対して耐性がある。一部の実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現によって特徴付けられる。一部の実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現によって特徴付けられる。前述のそれぞれの一部の実施形態では、HR+/HER2-乳がんは、進行性または転移性HR+/HER2-乳がんである。
【0212】
一部の実施形態では、乳がんは、HR+/HER2+乳がんである。他の実施形態では、乳がんは、HR-/HER2+乳がんである。乳がんがHER2+である一部の実施形態では、本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用は、追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、追加の抗がん剤は、HER2標的化剤(例えば、トラスツズマブエムタンシン、fam-トラスツズマブデルクステカン、パーツズマブ、ラパチニブ、ネラチニブまたはツカチニブ)、またはPI3K/AKT分子経路を標的とする作用物質(例えば、イパタセルチブ)である。
【0213】
他の実施形態では、乳がんは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)である、すなわち、乳がんは、ER-、PR-かつHER2-である。一部の実施形態では、TNBCは、パルボシクリブまたは薬学的に許容できるその塩等のCDK4/6阻害剤による処置に対して難治性または耐性がある。一部の実施形態では、TNBCは、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現によって特徴付けられる。一部のそのような実施形態では、TNBCは、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現によって特徴付けられる。一部の実施形態では、TNBCは、進行性または転移性TNBCである。
【0214】
前述のそれぞれの一部の実施形態では、乳がんは、1種または複数の標準ケア剤による処置に対して難治性である。前述のそれぞれの一部の実施形態では、乳がんは、1種または複数の標準ケア剤による処置に対して耐性がある。
【0215】
一部のそのような実施形態では、乳がんは、アロマターゼ阻害剤、SERDまたはSERM等の内分泌治療剤による処置に対して難治性または耐性がある。一部の実施形態では、乳がんは、CDK4/6阻害剤による処置に対して難治性または耐性があるか、または処置中に進行した。他の実施形態では、乳がんは、白金剤、タキサン、アントラサイクリンまたは代謝拮抗物質等の抗新生物化学治療剤による処置に対して難治性または耐性があるか、または処置中に進行した。
【0216】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、肺がんである。一部のそのような実施形態では、肺がんは、進行性または転移性肺がんである。
【0217】
一部のそのような実施形態では、肺がんは、小細胞肺がん(SCLC)である。一部のそのような実施形態では、SCLCは、網膜芽細胞(RB)機能の喪失によって特徴付けられる。一部のそのような実施形態では、SCLCは、進行性または転移性SCLCである。一部のそのような実施形態では、SCLCは、網膜芽細胞(RB)機能の喪失によって特徴付けられる進行性または転移性SCLCである。
【0218】
本明細書において記述されている方法および使用の一部の実施形態では、がんは、SCLCである。一部のそのような実施形態では、SCLCは、Rb陰性またはRb欠損である。
【0219】
本明細書において記述されている方法および使用の一部の実施形態では、がんは、NSCLCである。一部のそのような実施形態では、NSCLCは、サイクリンE1(CCNE1)および/またはサイクリンE2(CCNE2)の増幅または過剰発現によって特徴付けられる。一部の実施形態では、NSCLCは、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現によって特徴付けられる。一部のそのような実施形態では、NSCLCは、進行性または転移性NSCLCである。一部のそのような実施形態では、NSCLCは、サイクリンE1(CCNE1)の増幅または過剰発現によって特徴付けられる進行性または転移性NSCLCである。他の実施形態では、NSCLCは、肺扁平上皮癌(LUSC)または肺腺癌(LUAD)である。好ましい実施形態では、肺がんは、LUADである。肺腺癌の単一遺伝子ドライブ癌遺伝子ドライバーは、EGFR、BRAFおよびKRASを含むがこれらに限定されない。肺腺癌の約25%はKRASドライブ型であり、これは、KRAS G12Cならびに非G12Cドライブ型セグメント、例を挙げると、G12A、G12D、G12V、G13DおよびL19Fドライブ型腫瘍を含みうる。
【0220】
一部の実施形態では、がんは、SCLCまたはNSCLCを含む肺がんであり、本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用は、追加の抗がん剤をさらに含む。
【0221】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、卵巣がん、腹膜がんまたは卵管がん(FTC)である。一部のそのような実施形態では、卵巣がんは、上皮性卵巣がん(EOC)である。一部のそのような実施形態では、腹膜がんは、原発性腹膜癌腫症(PPC)である。一部の実施形態では、がんは、上皮性卵巣がん(EOC)、原発性腹膜癌腫症(PPC)または卵管がん(FTC)である。一部の実施形態では、卵巣がんは、持続性、難治性または再発性卵巣がんである。一部の実施形態では、卵巣がんは、白金耐性卵巣がんである。一部のそのような実施形態では、がんは、進行性または転移性卵巣がんである。一部のそのような実施形態では、がんは、白金耐性進行性または転移性卵巣がんである。一部のそのような実施形態では、がんは、進行性または転移性EOC、PPCまたはFTCである。一部のそのような実施形態では、がんは、白金耐性進行性または転移性EOC、PPCまたはFTCである。
【0222】
一部の実施形態では、本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれは、追加の抗がん剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の抗がん剤は、がんの種類に合わせた標準ケア剤である。一部の実施形態では、本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれは、追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、式(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩、および追加の抗がん剤は、順次に、同時にまたは同時発生的に投与される。
【0223】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、乳がん(HR+またはHR+/HER2-乳がんを含む)であり、方法、組合せおよび使用は、追加の抗がん剤をさらに含む。一部の実施形態では、追加の抗がん剤は、内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害剤、SERDまたはSERMである。一部の実施形態では、内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害剤である。一部のそのような実施形態では、アロマターゼ阻害剤は、レトロゾール、アナストロゾールおよびエキセメスタンからなる群から選択される。一部の好ましい実施形態では、アロマターゼ阻害剤は、レトロゾールである。一部の実施形態では、内分泌治療剤は、SERDである。一部のそのような実施形態では、SERDは、フルベストラント、エラセストラント(RAD-1901、Radius Health)、SAR439859(Sanofi)、RG6171(Roche)、AZD9833(AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1 Therapeutics)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Lilly)およびSHR9549(Jiansu Hengrui Medicine)からなる群から選択される。一部の好ましい実施形態では、SERDは、フルベストラントである。一部の実施形態では、内分泌治療剤は、SERMである。一部のそのような実施形態では、SERMは、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェンおよびアフィモキシフェンからなる群から選択される。一部のそのような実施形態では、SERMは、タモキシフェンまたはラロキシフェンである。
【0224】
本明細書において記述されている方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、がんは、乳がん(HR+またはHR+/HER2-乳がんを含む)であり、方法、組合せおよび使用は、追加の抗がん剤をさらに含み、ここで、式(I)の化合物は、PF-07104091であり、式(II)の化合物は、PF-07220060または薬学的に許容できるその塩であり、追加の抗がん剤は、内分泌治療剤であり、ここで、内分泌治療剤は、アロマターゼ阻害剤、SERDまたはSERMである。一部のそのような実施形態では、内分泌治療剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0225】
医薬組成物、医薬およびキット
本開示は、式(I)の化合物:
【0226】
【化27】
または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物[式中、
R
1は、-L-(5~6員ヘテロアリール)または-L-(フェニル)であり、ここで、前記5~6員ヘテロアリールまたはフェニルは、1から3個のR
3によって置換されていてもよく、
R
2は、C
1~C
6アルキルまたはC
3~C
7シクロアルキルであり、ここで、前記C
3~C
7シクロアルキルは、C
1~C
4アルキルによって置換されていてもよく、
Lは、結合またはメチレンであり、
各R
3は、独立して、C
1~C
4アルキル、C
1~C
4アルコキシまたはSO
2-C
1~C
4アルキルであり、ここで、各C
1~C
4アルキルは、F、OHまたはC
1~C
4アルコキシによって置換されていてもよい]
を含む、医薬組成物、医薬およびキットをさらに提供する。
【0227】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、選択的CDK4阻害剤または薬学的に許容できるその塩、および薬学的に許容できる担体または添加剤を含む、医薬組成物を提供する。この態様の一部の実施形態では、医薬組成物は、追加の抗がん剤(例えば、内分泌治療剤)をさらに含む。
【0228】
別の態様では、本開示は、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体または添加剤を含む第1の医薬組成物、ならびに式(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩、および薬学的に許容できる担体または添加剤を含む第2の医薬組成物を提供し、ここで、第1および第2の医薬組成物は、順次に、同時にまたは同時発生的に投与される。この態様の一部の実施形態は、追加の抗がん剤(例えば、内分泌治療剤)および薬学的に許容できる担体または添加剤を含む第3の医薬組成物をさらに含み、ここで、第1、第2および第3の医薬組成物は、順次に、同時にまたは同時発生的に投与される。
【0229】
別の態様では、本開示は、対象においてがんを処置するための医薬の製造における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、および選択的CDK4阻害剤または薬学的に許容できるその塩を含む組合せを提供する。
【0230】
別の態様では、本開示は、対象においてがんを処置するための医薬の製造における、PF-07104091または薬学的に許容できるその溶媒和物、およびPF-07220060または薬学的に許容できるその塩を含む組合せの使用を提供する。これらの態様の一部の実施形態では、組合せは、医薬の製造における使用のための、追加の抗がん剤(例えば、内分泌治療剤)をさらに含む。
【0231】
別の態様では、本開示は、がんを処置するための医薬の製造における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供し、ここで、医薬は、式(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩と組み合わせての使用に適応している。別の態様では、本開示は、がんを処置するための医薬の製造における使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を提供し、ここで、医薬は、式(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩、および追加の抗がん剤、例えば内分泌治療剤と組み合わせての使用に適応している。
【0232】
本明細書において記述されている医薬組成物、キットおよび医薬のそれぞれの好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、PF-07104091またはその一水和物である。本明細書において記述されている医薬組成物、キットおよび医薬のそれぞれの好ましい実施形態では、式(II)の化合物は、PF-07220060または薬学的に許容できるその塩である。
【0233】
本明細書において記述されている医薬組成物、キットおよび医薬のそれぞれの特に好ましい実施形態では、式(I)の化合物はPF-07104091一水和物であり、式(II)の化合物はPF-07220060である。
【0234】
別の態様では、本開示は、第1の容器、第2の容器および添付文書を含むキットを提供し、ここで、第1の容器は、少なくとも1回用量の式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を含み;第2の容器は、少なくとも1回用量の式(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩を含み;添付文書は、対象において医薬を使用してがんを処置するための説明書を含む。一部の実施形態では、キットは、第3の容器をさらに含み、ここで、第3の容器は、少なくとも1回用量の追加の抗がん剤(例えば、内分泌治療剤)を含み;添付文書は、対象において医薬を使用してがんを処置するための説明書を含む。
【0235】
追加の抗がん剤を含む医薬組成物、医薬およびキットの実施形態では、追加の抗がん剤は、アロマターゼ阻害剤、SERDまたはSERM等の内分泌治療剤である。一部のそのような実施形態では、内分泌治療剤は、レトロゾールまたはフルベストラントである。
【0236】
本明細書において記述されている医薬組成物、医薬およびキットは、本明細書において開示される方法、組合せおよび使用に関して上述したがんを処置するために有用となりうる。一部の実施形態では、医薬組成物、医薬およびキットは、乳がん(HR+/HER2-、HR+/HER2+、HR-/HER2+またはTNBCを含む)、肺がん(SCLCまたはNSCLCを含む)、卵巣がん(EOCを含む)、腹膜がん(PPCを含む)、卵管がん(FTCを含む)、膀胱がん、結腸がん、子宮がん、前立腺がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がんおよび胃がんからなる群から選択されるがんを処置するために有用となりうる。
【0237】
剤形およびレジメン
本明細書における組合せ、投薬量レジメン、方法および使用に含まれる各治療剤は、単独で、または治療剤および1種もしくは複数の薬学的に許容できる担体、添加剤もしくは賦形剤を含む医薬(本明細書では医薬組成物とも称される)としてのいずれかで、医薬実務に従って投与されてよい。
【0238】
本明細書において使用される場合、用語「組合せ」または「組合せ療法」は、組合せ療法の2種以上の治療剤の、化合物としてまたは医薬組成物の形態でのいずれかの投与を指す。組合せ療法は、順次に、同時発生的にまたは同時に施されてよい。
【0239】
ある特定の実施形態では、PF-07220060と組み合わせて使用される場合、PF-07104091の1日単位での有効量(すなわち、総1日用量)は、1日当たり約100mgから約500mgまで、1日当たり約100mgから約450mgまで、1日当たり約100mgから約400mgまで、1日当たり約100mgから約375mgまで、1日当たり約100mgから約350mgまで、1日当たり約100mgから約325mgまで、1日当たり約100mgから約300mgまで、1日当たり約100mgから約275mgまで、1日当たり約100mgから約250mgまで、1日当たり約100mgから約225mgまで、1日当たり約100mgから約200mgまで、1日当たり約100mgから約175mgまで、1日当たり約100mgから約150mgまで、1日当たり約150mgから約500mgまで、1日当たり約150mgから約450mgまで、1日当たり約150mgから約400mgまで、1日当たり約150mgから約375mgまで、1日当たり約150mgから約350mgまで、1日当たり約150mgから約325mgまで、1日当たり約150mgから約300mgまで、1日当たり約150mgから約275mgまで、1日当たり約150mgから約250mgまで、1日当たり約150mgから約225mgまで、1日当たり約150mgから約200mgまで、1日当たり約200mgから約500mgまで、1日当たり約200mgから約450mgまで、1日当たり約200mgから約400mgまで、1日当たり約200mgから約375mgまで、1日当たり約200mgから約350mgまで、1日当たり約200mgから約325mgまで、1日当たり約200mgから約300mgまで、1日当たり約200mgから約275mgまで、または1日当たり約200mgから約250mgまでである。
【0240】
ある特定の実施形態では、PF-07220060と組み合わせてQD投与される場合、PF-07104091の有効量は、約100mgから約500mg QDまで、約100mgから約450mg QDまで、約100mgから約400mg QDまで、約100mgから約375mg QDまで、約100mgから約350mg QDまで、約100mgから約325mg QDまで、約100mgから約300mg QDまで、約100mgから約275mg QDまで、約100mgから約250mg QDまで、約100mgから約225mg QDまで、約100mgから約200mg QDまで、約100mgから約175mg QDまで、約100mgから約150mg QDまで、約150mgから約500mg QDまで、約150mgから約450mg QDまで、約150mgから約400mg QDまで、約150mgから約375mg QDまで、約150mgから約350mg QDまで、約150mgから約325mg QDまで、約150mgから約300mg QDまで、約150mgから約275mg QDまで、約150mgから約250mg QDまで、約150mgから約225mg QDまで、約150mgから約200mg QDまで、約200mgから約500mg QDまで、約200mgから約450mg QDまで、約200mgから約400mg QDまで、約200mgから約375mg QDまで、約200mgから約350mg QDまで、約200mgから約325mg QDまで、約200mgから約300mg QDまで、約200mgから約275mg QDまで、約200mgから約250mg QDまでである。
【0241】
好ましい実施形態では、PF-07220060と組み合わせてBID投与される場合、PF-07104091の有効量は、約50mgから約250mg BIDまで、約50mgから約225mg BIDまで、約50mgから約200mg BIDまで、約50mgから約175mg BIDまで、約50mgから約150mg BIDまで、約50mgから約125mg BIDまで、約50mgから約100mg BIDまで、約75mgから約250mg BIDまで、約75mgから約225mg BIDまで、約75mgから約200mg BIDまで、約75mgから約175mg BIDまで、約75mgから約150mg BIDまで、約75mgから約125mg BIDまで、約75mgから約100mg BIDまで、約100mgから約250mg BIDまで、約100mgから約225mg BIDまで、約100mgから約200mg BIDまで、約100mgから約175mg BIDまで、約100mgから約150mg BIDまで、または約100mgから約125mg BIDまでである。
【0242】
一部の実施形態では、PF-07220060と組み合わせて使用される場合、PF-07104091は、1日当たり約100mg、1日当たり約150mg、1日当たり約200mg、1日当たり約250mg、1日当たり約300mg、1日当たり約350mg、または1日当たり約400mgの用量で投与される。
【0243】
一部の実施形態では、PF-07220060と組み合わせて使用される場合、PF-07104091は、約100mg QD、約150mg QD、約200mg QD、約250mg QD、約300mg QD、約350mg QD、または約400mg QDのQD用量で投与される。
【0244】
一部の実施形態では、PF-07220060と組み合わせて使用される場合、PF-07104091は、約50mg BID、約75mg BID、約100mg BID、約125mg BID、約150mg BID、約175mg BID、または約200mg BIDのBID用量で投与される。
【0245】
好ましい実施形態では、PF-07104091は、1日に2回(BID)投薬スケジュールで投与される。好ましい実施形態では、PF-07220060と組み合わせて使用される場合、PF-07104091の有効量は、約75mg BID、約100mg BID、約125mg BID、または約150mg BIDである。
【0246】
ある特定の実施形態では、PF-07104091と組み合わせて使用される場合、PF-07220060の治療有効量は、1日当たり(すなわち、総1日用量)約200mgから約1000mgまで、例えば、1日当たり約200mgから約500mgまで、約200mgから約450mgまで、約200mgから約400mgまで、約200mgから約350mgまで、約200mgから約300mgまで、約400mgから約950mgまで、約400mgから約900mgまで、約400mgから約850mgまで、約400mgから約800mgまで、約500mgから約950mgまで、約500mgから約900mgまで、約500mgから約850mgまで、約500mgから約800mgまで、約600mgから約950mgまで、約600mgから約900mgまで、約600mgから約850mgまで、または約600mgから約800mgまでである。
【0247】
ある特定の実施形態では、PF-07104091と組み合わせて使用される場合、PF-07220060は、1日に1回(QD)約200mgから約1000mgまで、例えば、約200mgから約500mg QDまで、約200mgから約450mg QDまで、約200mgから約400mg QDまで、約200mgから約350mg QDまで、約200mgから約300mg QDまで、約400mgから約950mg QDまで、約400mgから約900mg QDまで、約400mgから約850mg QDまで、約400mgから約800mg QDまで、約500mgから約950mg QDまで、約500mgから約900mg QDまで、約500mgから約850mg QDまで、約500mgから約800mg QDまで、約600mgから約950mg QDまで、約600mgから約900mg QDまで、約600mgから約850mg QDまで、または約600mgから約800mg QDまでの用量で投与される。
【0248】
ある特定の実施形態では、PF-07104091と組み合わせて使用される場合、PF-07220060の治療有効量は、1日に2回(BID)約100mgから約500mgまで、例えば、約200mgから約500mg BIDまで、約250mgから約500mg BIDまで、約300mgから約500mg BIDまで、約350mgから約500mg BIDまで、約400mgから約500mg BIDまで、約200mgから約450mg BIDまで、約250mgから約450mg BIDまで、約300mgから約450mg BIDまで、約350mgから約450mg BIDまで、約400mgから約450mg BIDまで、約200mgから約400mg BIDまで、約250mgから約400mg BIDまで、約300mgから約400mg BIDまで、または約350mgから約400mg BIDまでである。
【0249】
一部の実施形態では、対象には、PF-07104091と組み合わせて使用される場合、PF-07220060が、1日当たり約200mgから約1000mgまでの用量、例えば、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、または約1000mgの1日用量で投与される。
【0250】
一部の実施形態では、PF-07220060は、約200mg QD、約300mg QD、約400mg QD、約500mg QD、約600mg QD、約700mg QD、約800mg QD、約900mg QD、または約1000mg QDの用量で投与される。
【0251】
好ましい実施形態では、PF-07104091と組み合わせて使用される場合、PF-07220060は、約100mg BID、約200mg BID、約300mg BID、約400mg BID、または約500mg BIDの用量で投与される。
【0252】
一部の実施形態では、対象には、PF-07104091およびPF-07220060が、本明細書において開示される有効量のいずれかの用量で投与される。
【0253】
一部の実施形態では、対象には、約75mg BIDのPF-07104091および約100mg BIDのPF-07220060が投与される。一部の実施形態では、対象には、約150mg BIDのPF-07104091および約100mg BIDのPF-07220060が投与される。一部の実施形態では、対象には、約225mg BIDのPF-07104091および約100mg BIDのPF-07220060が投与される。一部の実施形態では、対象には、約75mg BIDのPF-07104091および200mg BIDのPF-07220060が投与される。一部の実施形態では、対象には、約150mg BIDのPF-07104091および約200mg BIDのPF-07220060が投与される。一部の実施形態では、対象には、約225mg BIDのPF-07104091および約PF-07220060が投与される。一部の実施形態では、対象には、約75mg BIDのPF-07104091および約300mg BIDのPF-07220060が投与される。一部の実施形態では、対象には、約150mg BIDのPF-07104091および約300mg BIDのPF-07220060が投与される。一部の実施形態では、対象には、約225mg BIDのPF-07104091および約300mg BIDのPF-07220060が投与される。
【0254】
投与されるPF-07104091およびPF-07220060の量は、対象の重量、年齢、健康、性別または医学的状態に基づき、増大または減少させてよい。当業者ならば、この開示に基づき、対象のための妥当な用量を決定することができるであろう。
【0255】
PF-07104091およびPF-07220060を含む組合せ療法を施す場合、作用物質は、同じ処置サイクルでまたは異なる処置サイクルを使用して投与されてよい。
【0256】
PF-07104091およびPF-07220060は、処置サイクル間に休止期間を伴うまたは伴わない処置サイクルで投与されてよい。処置サイクルは、間に、約7日間、約14日間、約21日間、約28日間、約35日間等または任意の日数の持続期間を有してよい。休止期間は、1日もしくは数日間(例えば、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間等)、1週間、数週間(例えば、2週間、3週間等)、または間の任意の日数(例えば、1週間および3日間)であることができる。
【0257】
一部の実施形態では、PF-07104091は、処置サイクル間に休止期間を伴わず継続的に投与される(すなわち、終了まで継続的処置)。一部の実施形態では、PF-07104091は、休止期間を伴うまたは伴わない処置サイクル(例えば、約28日間)にわたって投与される。一部の実施形態では、PF-07104091は、約1週間の休止期間を伴う約28日間にわたって投与される。PF-07104091は、少なくとも約7日間、約14日間、約21日間、約28日間、約2か月間、約3か月間、約12か月間、約24か月間以上にわたって投与されてよい。好ましい実施形態では、PF-07104091は、休止期間を伴わない28日の処置サイクルで継続的に投与される。
【0258】
一部の実施形態では、PF-07220060は、処置サイクル間に休止期間を伴わず継続的に投与される(すなわち、終了まで継続的処置)。一部の実施形態では、PF-07220060は、休止期間を伴うまたは伴わない処置サイクル(例えば、約28日間)にわたって投与される。一部の実施形態では、PF-07220060は、約1週間の休止期間を伴う約28日間にわたって投与される。07220060は、少なくとも約7日間、約14日間、約21日間、約28日間、約2か月間、約3か月間、約12か月間、約24か月間以上にわたって投与されてよい。好ましい実施形態では、07220060は、休止期間を伴わない28日の処置サイクルで継続的に投与される。
【0259】
医薬組成物は、食物を伴ってまたは伴わずに投与されてよい。
【0260】
医薬組成物は、当業者によって適切とみなされる通りおよび剤形に応じて、1つまたは複数のルートによって投与されてよい。医薬組成物は、食物を伴ってまたは伴わずに投与されてよい。薬物の製剤化は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1995)Mack Publishing Co.、Easton,Pa.において論じられている。薬物製剤化の他の例は、Liberman,H.A.およびLachman,L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、第3巻、第2版、New York、N.Y.において見ることができる。化合物が経口的に投与される場合、これは、薬学的に許容できる担体、流動促進剤または添加剤を加えて、丸剤、カプセル剤、錠剤等として製剤化されてよい。
【0261】
医薬組成物は、1種または複数の剤形(例えば、カプセル剤、錠剤、散剤または液体剤)であってよい。
【0262】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、組合せ療法は、これまでに処置を受けていない、すなわち、処置ナイーブである対象に施される。
【0263】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、組合せ療法は、生物療法または化学療法剤による以前の療法後に持続的な奏効を実現することに失敗した、すなわち、処置経験のある対象に施される。
【0264】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、組合せ療法は、化学療法、放射線療法および/または外科的切除により以前に処置されたことがある対象に施されてよい。
【0265】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれのある特定の実施形態では、対象は、CDK4/6阻害剤で以前に処置されたことがある。一部の実施形態では、CDK4/6阻害剤は、パルボシクリブである。
【0266】
本明細書における方法、組合せおよび使用のそれぞれの一部の実施形態では、本発明は、各場合において、本明細書においてさらに記述されている通り、がんを処置するための、ネオアジュバント療法、アジュバント療法、第一選択療法、第二選択療法、または第三選択もしくはそれ以降の療法に関する。前述の実施形態のそれぞれでは、がんは、限局性、進行性または転移性であってよく、疾患の連続性に沿った時点で(すなわち、がんの任意の段階で)介入が起こってよい。
【0267】
投薬量レジメンは、最適な所望の応答を提供するように調整されうる。例えば、本明細書において開示される組合せ療法の治療剤は、単回ボーラスとして、経時的に投与される数回の分割用量として投与されてよく、または、用量は、治療状況の緊急事態によって指し示される通り、比例的に低減または増大してよい。治療剤を、投与の容易さおよび投薬量の均一性のための投薬量単位形態で製剤化することが特に有利となりうる。投薬量単位形態は、本明細書において使用される場合、処置される哺乳動物対象のための単位投薬量として適した物理的に不連続な単位を指し、各単位は、所要の医薬担体と一緒に所望の治療効果を生成するように算出された所定分量の活性化合物を含有する。投薬量単位形態の仕様は、(a)化学療法剤の独自の特徴および実現されるべき特定の治療または防護効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためにそのような活性化合物を化合物化する技術分野に固有の制限によって決定づけられてよく、これらに直接的に依存しうる。
【0268】
一部の実施形態では、内分泌治療剤はレトロゾールであり、これは、2.5mgの用量で毎日経口的に投与されてよい。一部の実施形態では、内分泌治療剤はフルベストラントであり、これは、それぞれ250mgまたは500mgの用量の1または2回の注射で、最初の月の1、15、29日目および次いでその後は月に1回、筋肉内に投与されてよい。
【0269】
一部の実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物は、間欠的投薬スケジュールで投与される。他の実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物は、継続的投薬スケジュールで投与される。
【0270】
さらに他の実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物の一方は、間欠的投薬スケジュール(例えば、2/1週または3/1週のスケジュール)で投与され、他方は、継続的投薬スケジュールで投与される。一部のそのような実施形態では、式(I)の化合物は、間欠的投薬スケジュールで投与され、式(II)の化合物は、継続的投薬スケジュールで投与される。他のそのような実施形態では、式(I)の化合物は、継続的投薬スケジュールで投与され、式(II)の化合物は、間欠的投薬スケジュールで投与される。
【0271】
本明細書において開示される一部の実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物は、一緒になってがんを処置するのに有効である量で投薬される。
【0272】
本明細書において開示される一部の実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物は、一緒になって相乗的である量で投薬される。
【0273】
本明細書において開示される一部の実施形態では、式(I)の化合物および式(II)の化合物は、一緒になって相加的である量で投薬される。
【0274】
前述のそれぞれの好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、PF-07104091またはその一水和物であり、式(II)の化合物は、PF-07220060または薬学的に許容できるその塩である。前述のそれぞれの特に好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、PF-07104091一水和物であり、式(II)の化合物は、PF-07220060である。
【0275】
医薬組成物および投与ルート
「医薬組成物」は、活性成分として、本明細書において記述されている治療剤、または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、水和物もしくはプロドラッグの1つまたは複数、および少なくとも1種の薬学的に許容できる担体または添加剤の、混合物を指す。一部の実施形態では、医薬組成物は、2種以上の薬学的に許容できる担体および/または添加剤を含む。
【0276】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容できる担体」は、有機体に重大な刺激を引き起こさず、活性化合物または治療剤の生物学的活性および特性を抑止しない、担体または賦形剤を指す。
【0277】
薬学的に許容できる担体は、任意の慣例的な医薬担体または添加剤を含みうる。担体および/または添加剤の選択肢は、特定の投与モード、溶解度および安定性に対する添加剤の効果、ならびに剤形の性質等の要因にかなりの程度まで依存する。
【0278】
好適な医薬担体は、不活性な賦形剤または充填剤、水、および種々の有機溶媒(水和物および溶媒和物等)を含む。医薬組成物は、所望ならば、香味剤、結合剤、添加剤等の追加の原料を含有してよい。故に、経口投与では、クエン酸等の種々の添加剤を含有する錠剤が、デンプン、アルギン酸およびある特定の複合ケイ酸塩等の種々の崩壊剤、ならびにスクロース、ゼラチンおよびアカシア等の結合剤と一緒に用いられてよい。添加剤の例は、限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖および各種のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油ならびにポリエチレングリコールを含む。加えて、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク等の滑沢剤が、多くの場合、錠剤化目的に有用である。同様の種類の固体組成物が、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤においても用いられてよい。したがって、材料の非限定的な例は、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールを含む。経口投与のために水性懸濁剤またはエリキシル剤が所望される場合、その中の活性化合物は、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンまたはそれらの組合せ等の賦形剤と一緒に、種々の甘味もしくは香味剤、着色剤、および場合により乳化剤または懸濁化剤と組み合わせられてよい。
【0279】
医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、液剤もしくは懸濁剤として経口投与に、滅菌液剤、懸濁剤もしくは乳剤として非経口注射に、軟膏剤もしくはクリーム剤として局所投与に、または坐剤として経直腸投与に好適な形態であってよい。
【0280】
例示的な非経口投与形態は、滅菌水溶液、例えば、プロピレングリコールまたはデキストロース水溶液中の、活性化合物の溶液または懸濁液を含む。そのような剤形は、所望ならば、好適に緩衝されていてよい。
【0281】
医薬組成物は、正確な量の単回投与に好適な単位剤形であってよい。
【0282】
本明細書において開示される組合せ療法の治療剤の送達に好適な医薬組成物およびそれらの調製方法は、当業者には容易に明らかとなるであろう。そのような組成物およびそれらの調製方法は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995)において見ることができ、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0283】
本明細書において開示される組合せ療法の治療剤は、経口的に投与されてよい。経口投与は、嚥下を伴いうるため、治療剤は消化管に入るか、または、治療剤が口から血流に直接入る口腔内もしくは舌下投与が用いられてよい。
【0284】
経口投与に好適な製剤は、固体製剤、例を挙げると、錠剤、粒子、液体または粉末を含有するカプセル剤、キャンディー剤(液体充填剤を含む)、チュアブル錠、マルチおよびナノ粒子、ゲル剤、固体液剤、リポソーム剤、フィルム剤(粘膜接着剤を含む)、オビュール剤、スプレー剤ならびに液体製剤を含む。
【0285】
液体製剤は、懸濁剤、液剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。そのような製剤は、軟または硬カプセル剤において充填剤として使用されてよく、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは好適な油、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤は、例えば、サシェ剤からの固体の再構成によって調製されてもよい。
【0286】
本明細書において開示される組合せ療法の治療剤は、Expert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981~986、LiangおよびChen著(2001)において記述されているもの等の速溶性、速崩壊性の剤形において使用されてもよく、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0287】
錠剤剤形では、治療剤は、剤形の1wt%から80wt%まで、より典型的には剤形の5wt%から60wt%までを占めていてよい。活性剤に加えて、錠剤は、概して崩壊剤を含有する。崩壊剤の例は、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムを含む。概して、崩壊剤は、剤形の1wt%から25wt%まで、好ましくは5wt%から20wt%までを構成してよい。
【0288】
結合剤は、概して、錠剤製剤に粘着性の品質を付与するために使用される。好適な結合剤は、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥した一水和物、無水物等)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよびリン酸水素カルシウム二水和物等の賦形剤も含有してよい。
【0289】
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80等の表面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルク等の流動促進剤も含んでもよい。存在する場合、表面活性剤は、典型的には錠剤の0.2wt%から5wt%まで、流動促進剤は、典型的には錠剤の0.2wt%から1wt%までの量である。
【0290】
錠剤は、概して、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物等の滑沢剤も含有する。滑沢剤は、概して、錠剤の0.25wt%から10wt%まで、好ましくは0.5wt%から3wt%までの量で存在する。
【0291】
他の慣例的な原料は、酸化防止剤、着色剤、香味剤、保存剤および矯味剤を含む。
【0292】
例示的な錠剤は、最大約80wt%の活性剤、約10wt%から約90wt%までの結合剤、約0wt%から約85wt%までの賦形剤、約2wt%から約10wt%までの崩壊剤および約0.25wt%から約10wt%までの滑沢剤を含有してよい。
【0293】
錠剤混和物は、直接またはローラーによって圧縮されて、錠剤を形成しうる。錠剤混和物または混和物の一部は、代替として、錠剤化の前に、湿式、乾式もしくは溶融顆粒化されるか、溶融凝固されるか、または押出されてもよい。最終製剤は、1つまたは複数の層を含んでよく、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよく、またはカプセル化されていてもよい。
【0294】
錠剤の製剤化は、「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Vol.1」、H.LiebermanおよびL.Lachman著、Marcel Dekker、N.Y.、N.Y.、1980(ISBN 0-8247-6918-X)において詳細に論じられており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0295】
経口投与のための固体製剤は、即時および/または調節放出となるように製剤化されてよい。調節放出製剤は、遅延、持続、パルス、制御、標的化およびプログラム放出を含む。
【0296】
好適な調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号において記述されている。高エネルギー分散体ならびに浸透性およびコーティング粒子等の他の好適な放出テクノロジーの詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Technology On-line、25(2)、1~14(2001)において見ることができる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用は、WO2000/035298において記述されている。これらの参考文献の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0297】
本明細書において記述されているキットは、異なる剤形、例えば経口および非経口を投与するため、別個の組成物を異なる投薬間隔で投与するため、または別個の組成物を互いに対して滴定するために、特に好適となりうる。服薬遵守を補助するために、キットは、典型的には、投与指示書を含み、記憶補助を備えていてよい。キットは、賦形剤、フィルター、IVバッグおよびライン、針およびシリンジ等、医薬を投与するのに有用となりうる他の材料をさらに含んでよい。
【0298】
追加の抗がん剤
本明細書において開示される方法、組合せおよび使用は、後述する抗血管新生剤、シグナル伝達阻害剤または抗新生物剤等の1種または複数の追加の抗がん剤を追加で含んでよく、ここで、量は、一緒になってがんを処置するのに有効である。一部の実施形態、本明細書において開示される方法、組合せおよび使用では、追加の抗がん剤は、緩和的ケア剤を含みうる。追加の抗がん剤は、低分子治療薬および薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、治療抗体、抗体薬物コンジュゲート(ADC)、ヘテロ二官能性タンパク質分解薬(例えば、タンパク質分解誘導キメラ分子またはPROTAC)、またはアンチセンス分子を含みうる。
【0299】
一部の実施形態では、本明細書において開示される方法、組合せおよび使用は、以下から選択される1種または複数の追加の抗がん剤をさらに含む。
【0300】
抗血管新生剤は、例えば、VEGF阻害剤、VEGFR阻害剤、TIE-2阻害剤、PDGFR阻害剤、アンジオポエチン阻害剤、PKCβ阻害剤、COX-2(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤、インテグリン(アルファ-v/ベータ-3)、MMP-2(マトリックス-メタロプロテイナーゼ2)阻害剤およびMMP-9(マトリックス-メタロプロテイナーゼ9)阻害剤を含む。
【0301】
シグナル伝達阻害剤は、例えば、キナーゼ阻害剤(例えば、チロシンキナーゼ、セリン/トレオニンキナーゼまたはサイクリン依存性キナーゼの阻害剤)、プロテアソーム阻害剤、PI3K/AKT/mTOR経路阻害剤、ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)阻害剤、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1および2(IDH1およびIDH2)阻害剤、B細胞リンパ腫2(BCL2)阻害剤、ニューロトロフィン受容体キナーゼ(NTRK)阻害剤、トランスフェクション時に再編成した(RET)阻害剤、ノッチ阻害剤、PARP阻害剤、ヘッジホッグ経路阻害剤、ならびに核外輸送の選択的阻害剤(SINE)を含む。
【0302】
シグナル伝達阻害剤の例は、アカラブルチニブ、アファチニブ、アレクチニブ、アルペリシブ、アキシチニブ、ビニメチニブ、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリガチニブ、カボザンチニブ、カルフィルゾミブ、セリチニブ、コビメチニブ、コパンリシブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダコミチニブ、ダサチニブ、デュベリシブ、エナシデニブ、エンコラフェニブ、エヌトレクチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ギルテリチニブ、グラスデギブ、イブルチニブ、イデラリシブ、イマチニブ、イパタセルチブ、イボシデニブ、イキサゾミブ、ラパチニブ、ラロトレクチニブ、レンバチニブ、ロルラチニブ、ミドスタウリン、ネラチニブ、ニロチニブ、ニラパリブ、オラパリブ、オシメルチニブ、パゾパニブ、ポナチニブ、レゴラフェニブ、ルカパリブ、ルキソリチニブ、ソニデギブ、ソラフェニブ、スニチニブ、タラゾパリブ、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ベネトクラクスおよびビスモデギブ、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物を含むがこれらに限定されない。
【0303】
抗新生物剤は、例えば、アルキル化剤、白金配位錯体、細胞傷害性抗生物質、代謝拮抗物質、生体応答修飾物質、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン剤、モノクローナル抗体、成長因子阻害剤、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイドおよび種々雑多な作用物質を含む。
【0304】
アルキル化剤は、アルトレタミン、ベンダムスチン、ブスルファン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロフォスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テモゾロマイド、チオテパおよびトラベクテジンを含む。
【0305】
白金配位錯体は、カルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチンを含む。
【0306】
細胞傷害性抗生物質は、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシンおよびバルルビシンを含む。
【0307】
代謝拮抗物質は、抗葉酸剤、例を挙げると、メトトレキサート、ペメトレキセド、プララトレキサートおよびトリメトレキサート;プリン類似体、例を挙げると、アザチオプリン、クラドリビン、フルダラビン、メルカプトプリンおよびチオグアニン;ならびにピリミジン類似体、例を挙げると、アザシチジン、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、フロクシウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビンおよびトリフルリジン/チピラシルを含む。
【0308】
生体応答修飾物質は、アルデスロイキン(IL-2)、デニロイキンディフティトックスおよびインターフェロンガンマを含む。
【0309】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、ベリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシンおよびボリノスタットを含む。
【0310】
内分泌治療剤(すなわち、ホルモン療法剤)は、抗アンドロゲン薬、抗エストロゲン薬、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)類似体およびペプチドホルモンを含む。抗エストロゲン薬の例は、アロマターゼ阻害剤、例を挙げると、レトロゾール、アナストロゾールおよびエキセメスタン;SERD、例を挙げると、フルベストラント、エラセストラント(RAD-1901、Radius Health/Menarini)、アムセネストラント(SAR439859、Sanofi)、ギレデストラント(GDC9545、Roche)、RG6171(Roche)、カミゼストラント(AZD9833、AstraZeneca)、AZD9496(AstraZeneca)、リントデストラント(G1 Therapeutics)、ZN-c5(Zentalis)、LSZ102(Novartis)、D-0502(Inventisbio)、LY3484356(Eli Lilly)、SHR9549(Jiansu Hengrui Medicine);ならびにSERM、例を挙げると、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、アフィモキシフェンを含む。GnRH類似体の例は、デガレリクス、ゴセレリン、ヒストレリン、ロイプロリドおよびトリプトレリンを含む。ペプチドホルモンの例は、ランレオチド、オクトレオチドおよびパシレオチドを含む。抗アンドロゲン薬の例は、アビラテロン、アパルタミド、ビカルタミド、シプロテロン、エンザルタミド、フルタミドおよびニルタミド、ならびに薬学的に許容できるその塩および溶媒和物を含む。
【0311】
モノクローナル抗体は、アレムツズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、ベバシズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、セミプリマブ、セツキシマブ、ダラツムマブ、ジヌツキシマブ、デュルバルマブ、エロツズマブ、ゲムツズマブ、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、モガムリズマブ、モキセツモマブパスドトックス、ネシツムマブ、ニボルマブ、オファツムマブ、オララツマブ、パニツムマブ、ペンブロリズマブ、パーツズマブ、ラムシルマブ、リツキシマブ、トシツモマブおよびトラスツズマブを含む。
【0312】
タキサンは、カバジタキセル、ドセタキセル、パクリタキセルおよびパクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤を含む。
【0313】
トポイソメラーゼ阻害剤は、エトポシド、イリノテカン、テニポシドおよびトポテカンを含む。
【0314】
ビンカアルカロイドは、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビン、ならびに薬学的に許容できるその塩を含む。
【0315】
種々雑多な抗新生物剤は、アスパラギナーゼ(ペグアスパラガーゼ)、ベキサロテン、エリブリン、エベロリムス、ヒドロキシ尿素、イクサベピロン、レナリドマイド、ミトタン、オマセタキシン、ポマリドマイド、タグラクソフスプ、テロトリスタット、テムシロリムス、サリドマイドおよびベネトクラクスを含む。
【0316】
一部の実施形態では、追加の抗がん剤は、アビラテロン酢酸エステル;アカラブルチニブ;アドトラスツズマブエムタンシン;ジマレイン酸アファチニブ;アフィモキシフェン;アルデスロイキン;アレクチニブ;アレムツズマブ;アルペリシブ;アミフォスチン;アナストロゾール;アパルタミド;アプレピタント;三酸化ヒ素;アスパラギナーゼエルウィニア・クリサンセミ(erwinia chrysanthemi);アテゾリズマブ;アバプリチニブ;アベルマブ;アキシカブタジンシロルーセル;アクシチニブ;アザシチジン;AZD9833(AstraZeneca);AZD9496(AstraZeneca);バゼドキシフェン;ベリノスタット;ベンダムスチン塩酸塩;ベバシズマブ;ベキサロテン;ビカルタミド;ビニメチニブ;ブレオマイシン硫酸塩;ブリナツモマブ;ボルテゾミブ;ボスチニブ;ブレンツキシマブベドチン;ブリガチニブ;カバジタキセル;カボザンチニブ-s-リンゴ酸塩;カラスパルガーゼペゴル-mknl;カペシタビン;カプラシズマブ-yhdp;カプマチニブ塩酸塩;カルボプラチン;カルフィルゾミブ;カルムスチン;セミプリマブ-rwlc;セリチニブ;セツキシマブ;クロラムブシル;シスプラチン;クラドリビン;クロファラビン;コビメチニブ;コパンリシブ塩酸塩;クリゾチニブ;シクロフォスファミド;シタラビン;D-0502(Inventisbio);ダブラフェニブメシル酸塩;ダカルバジン;ダコミチニブ;ダクチノマイシン;ダラツムマブ;ダラツムマブおよびヒアルロニダーゼ-fihj;ダルベポエチンアルファ;ダロルタミド;ダサチニブ;ダウノルビシン塩酸塩;デシタビン;デフィブロチドナトリウム;デガレリクス;デニロイキンディフティトックス;デノスマブ;デキサメタゾン;デキスラゾキサン塩酸塩;ジヌツキシマブ;ドセタキセル;ドキソルビシン塩酸塩;デュルバルマブ;デュベリシブ;エラセストラント;エロツズマブ;エルトロンボパグオラミン;エマパルマブ-lzsg;エナシデニブメシル酸塩;エンコラフェニブ;エンホルツマブベドチン-ejfv;エヌトレクチニブ;エンザルタミド;エピルビシン塩酸塩;エポエチンアルファ;エルダフィチニブ;エリブリンメシル酸塩;エルロチニブ塩酸塩;エトポシド;リン酸エトポシド;エベロリムス;エキセメスタン;fam-トラスツズマブデルクステカン-nxki;フェドラチニブ塩酸塩;フィルグラスチム;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルタミド;ホスタマチニブ二ナトリウム;フルベストラント;ゲフィチニブ;ゲムシタビン塩酸塩;ゲムツズマブオゾガマイシン;ギルテリチニブフマル酸塩;グラスデギブマレイン酸塩;グルカルピダーゼ;ゴセレリン酢酸塩;グラニセトロン;グラニセトロン塩酸塩;ヒドロキシ尿素;イブリツモマブチウキセタン;イブルチニブ;イダルビシン塩酸塩;イデラリシブ;イホスファミド;メシル酸イマチニブ;イミキモド;イノツズマブオゾガマイシン;インターフェロンアルファ-2b組換え;イオベングアンI-131;イパタセルチブ;イピリムマブ;イリノテカン塩酸塩;イサツキシマブ-irfc;イボシデニブ;イクサベピロン;イキサゾミブクエン酸エステル;ランレオチド酢酸塩;ラパチニブ二トシル酸塩;ラロトレクチニブ硫酸塩;ラソフォキシフェン;レナリドマイド;レンバチニブメシル酸塩;レトロゾール;ロイコボリンカルシウム;酢酸ロイプロリド;ロムスチン;ロルラチニブ;LSZ102(Novartis);ルルビネクテジン;LY3484356(Lilly);酢酸メゲストロール;メルファラン;メルファラン塩酸塩;メルカプトプリン;メトトレキサート;ミドスタウリン;マイトマイシン;ミトキサントロン塩酸塩;モガムリズマブ-kpkc;モキセツモマブパスドトックス-tdfk;ネシツムマブ;ネララビン;ネラチニブマレイン酸塩;ニロチニブ;ニルタミド;ニラパリブトシル酸塩一水和物;ニボルマブ;オビヌツズマブ;オファツムマブ;オラパリブ;オマセタキシンメペスクシナート;オンダンセトロン塩酸塩;オシメルチニブメシル酸塩;オキサリプラチン;パクリタキセル;パクリタキセルアルブミン安定化ナノ粒子製剤;パリフェルミン;パロノセトロン塩酸塩;パミドロン酸二ナトリウム;パニツムマブ;パノビノスタット;パゾパニブ塩酸塩;ペグアスパラガーゼ;ペグフィルグラスチム;ペグインターフェロンアルファ-2b;ペンブロリズマブ;ペメトレキセド二ナトリウム;ペミガチニブ;パーツズマブ;ペキシダルチニブ塩酸塩;プレリキサホル;ポラツズマブベドチン-piiq;ポマリドマイド;ポナチニブ塩酸塩;プララトレキサート;プレドニゾン;プロカルバジン塩酸塩;プロプラノロール塩酸塩;二塩化ラジウム223;ラロキシフェン塩酸塩;ラムシルマブ;ラスブリカーゼ;ラブリズマブ-cwvz;組換えインターフェロンアルファ-2b;レゴラフェニブ;RG6171(Roche);リントデストラント;リプレチニブ;リツキシマブ;ロラピタント塩酸塩;ロミデプシン;ロミプロスチム;ルカパリブカンシル酸塩;ルキソリチニブリン酸塩;サシツズマブゴビテカン-hziy;SAR439859(Sanofi);セリネクソール;セルペルカチニブ;セルメチニブ硫酸塩;SHR9549(Jiansu Hengrui Medicine);シルツキシマブ;シプリューセル-t;ソニデギブ;ソラフェニブトシル酸塩;タグラクソフスプ-erzs;タラゾパリブトシル酸塩;タリモジーンラハーパレプベック;クエン酸タモキシフェン;タゼメトスタット臭化水素酸塩;テモゾロマイド;テムシロリムス;サリドマイド;チオグアニン;チオテパ;チサゲンレクルユーセル;トシリズマブ;トポテカン塩酸塩;トレミフェン;トラベクテジン;トラメチニブ;トラスツズマブ;トラスツズマブおよびヒアルロニダーゼ-oysk;トリフルリジンおよびチピラシル塩酸塩;ツカチニブ;ウリジントリアセテート;バルルビシン;バンデタニブ;ベムラフェニブ;ベネトクラクス;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;酒石酸ビノレルビン;ビスモデギブ;ボリノスタット;ザヌブルチニブ;ziv-アフリベルセプト;ZN-c5(Zentalis);ならびにゾレドロン酸;または前述の遊離塩基、薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和形態;またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0317】
これらのおよび他の態様は、本明細書に含有される教示から明らかになるであろう。
【0318】
PF-07104091は、米国特許第11,014,911号において記述されている通りに調製されうる。
【0319】
PF-07220060は、米国特許第10,766,884号において記述されている通りに調製されうる。
【実施例】
【0320】
以下の例は、本開示を例証しているにすぎず、これらの例およびその他の均等物が、本開示および添付の請求項に照らして当業者に明らかとなることから、本発明の範囲を限定するものとしてみなすべきではない。
【0321】
(実施例1)
スフェロイド成長阻害
NCI-H1792およびNCI-H23肺腺癌(LUAD)細胞株をATCCから入手し、ATCCガイドラインの通りに10%ウシ胎児血清およびペニシリン-ストレプトマイシンを補充したRPMI160培地中に維持した。細胞を、37℃、5%CO2の加湿インキュベーター内で維持した。
【0322】
スフェロイドアッセイは、Nexcelom&Thermo Fisher Scientific製の96ウェル超低取り付けプレート(ULA-96U)中で実施した。二百個(200)のNCI-H1792またはNCI-H23細胞を、各超低取り付けプレートの1ウェル当たり200μLの完全成長培地(1処置群当たりn=10から12ウェル)に分注して、200から250μmの間の直径を持つ1ウェル当たり1つのスフェロイドの形成を可能にした後、処置を始めた(形成されたスフェロイドがこの所望の寸法を保有するように、細胞播種数を事前に最適化した)。スフェロイド形成を支援するために、分注された細胞を、超低取り付けプレート中、220×gにて6分間にわたって遠心分離し、処置開始前4日間にわたってコンパクトなスフェロイドを形成させた。スフェロイドが形成された後に、スフェロイドを乱すことなく150μLの培地を各ウェルから吸引し、単剤化合物(パルボシクリブ、PF-07220060、PF-07104091)、または選択されたそれらの組合せを含有する同じ体積の新鮮RPMI培地を添加した。ウェル中の各化合物の最終濃度は、30nMのパルボシクリブ;300nMのPF-07220060またはPF-07104091であった。DMSO(0.01%)をビヒクル対照として使用した。DMSOおよびすべての化合物を細胞培地中で希釈した。培地および化合物を、3日および4日の間隔で週に2回補給した。補給は、スフェロイドを乱すことなく1ウェル当たり150μLの培地を吸引し、次いで、同じ体積の予め混合した培地/化合物溶液をスフェロイドに添加することによって、実行した。アッセイの持続期間全体を通して週に2回(3日または4日ごと)の各培地交換の直後に、スフェロイド直径を定量化した。
【0323】
腫瘍スフェロイドの平均直径をグラフパッドプリズム8でプロットし、AUCを算出した。AUCベースラインは、ビヒクル(DMSO)対照中の0日目における平均腫瘍スフェロイド直径によって決定した。スフェロイド成長阻害またはSGIは、次の通りに算出した:SGI=(1-AUC処置/AUC DMSO)×100%。すべての処置アームについてのSGIを、ビヒクル(DMSO)処置スフェロイドがそれらの最大直径に到達した時点で導出し(通常は1mmに近いがこれは細胞株間で異なりうる)、これはビヒクル(DMSO)処置スフェロイドについて得られた最後の時点に対応する。SEMは、1試験群当たりn=10から12ウェルに基づいて算出した。
【0324】
肺腺癌多細胞腫瘍スフェロイド(MCTS)の成長を経時的にモニターして、(i)応答の振幅(SGI)、ならびに(ii)単剤としてのおよびCDK2阻害剤PF-07104091と組み合わせたCDK4阻害剤PF-07220060に対する奏効期間を評定した。
【0325】
PF-07220060およびPF-07104091は、ヒトにおけるパルボシクリブ(30nMの平均遊離血漿濃度)よりも高い忍容される臨床曝露(用量制限毒性の低減による)に達すると予想される。したがって、スフェロイドを300nMのPF-07220060またはPF-07104091で処置し、30nMの臨床的に関連のある濃度のパルボシクリブと比較した。PF-07104091処置はNCI-H1792およびNCI-H23スフェロイドをPF-07220060に対して感作させ、組み合わせた両作用物質の使用が、いずれかの化合物単独と比較した場合に抗腫瘍効果を増大させることを指し示した。その上、300nMのPF-07220060プラス300nMのPF-07104091は、30nMのパルボシクリブプラス300nMのPF-07104091と比較した場合に、より優れたスフェロイド成長阻害を示した。データを表1に提供する。
【0326】
【0327】
(実施例2)
CDK4阻害剤PF-07220060と組み合わせたPF-07104091によるER+ヒト乳がん細胞の増殖の阻害
PF-07104091およびPF-07220060の組合せ効果は、MCF7およびT47D BC細胞株を用いる細胞増殖アッセイにおいて評価した。各化合物は、両方の細胞モデルにおいて強力な単剤用量依存性成長阻害を呈した。
【0328】
薬物組合せを、用量等価原理(Dose
Equivalence Principle)およびロエベ体積(Loewe
Volume)スコアを使用して分析した。用量等価原理を使用して相乗作用をモデリングする場合、組合せ化合物についてのロエベ体積スコアは、化合物の自己交差対照(self-cross control)よりも大きくなるはずであり、組合せ化合物についての組合せ指数(CI)スコアは、化合物の自己交差対照よりも小さくなるはずである。PF-07104091とPF-07220060との組合せは、これら2つの指標、ロエベ体積およびCIについて、MCF7乳がん細胞株(表2)およびT47D乳がん細胞株(表3)における自己交差対照と比較して好都合なプロファイルを実証した。70%の抗増殖閾値に設定されたアイソボログラムは、相乗的応答を裏付けた。ロエベ体積、CI値およびアイソボログラムに基づき、これらの細胞株において適度の組合せ相乗作用が観測され、組合せの最高利益はMCF7モデルにおいて見られた。
【0329】
【0330】
【0331】
(実施例3)
乳がん腫瘍モデルにおけるPF-07220060と組み合わせたPF-07104091の抗腫瘍効能
方法
インビボ効能評価および統計的分析
雌NSGマウス(Jackson Lab)の背部の皮下に、フラグメント(27mm3から64mm3サイズ)を埋め込んだ。T47D、HCC1428およびST941PBR研究についてすべてのマウスに8.5μg/mLのエストラジオール水(β-エストラジオールSigma-Aldrich、カタログ番号E2758-5G)を補充し、研究の終了まで自由に与えた。インビボ効能研究では、腫瘍体積および体重を週に2回測定した。腫瘍体積は、[(長さ×幅×幅)/2)]の式を使用して算出した。TGIは、100×(1-ΔT/ΔC)として算出した。ΔC(ΔT)は、処置の初日(0日目)のビヒクル(処置)群における平均腫瘍組織量を、評定日のビヒクル(処置)群における平均腫瘍組織量から減算することによって取得した。統計的分析は、ビヒクル処置マウスにおける平均腫瘍体積が腫瘍カットオフサイズに到達した際に、ANCOVAを使用して実施した。
【0332】
HR+/HER2-T47D乳がんモデルにおけるPF-07220060またはパルボシクリブと組み合わせたPF-07104091のインビボ効能評価
T47Dモデルは、3継代腫瘍フラグメントをレシピエントマウスに埋め込むことによって確立した。T47Dドナーマウスを確立するために、腫瘍細胞(50%Cultrex(登録商標)基底膜マトリックスを加えた5×106細胞/マウス)を雌NSGマウスの皮下に埋め込んだ。700から800mm3の範囲に到達したら、その後、研究の拡大のためにドナー腫瘍を二次レシピエントマウスに移植した。腫瘍体積が101mm3から255mm3の間の範囲に到達したら、腫瘍担持マウスを群(1群当たりn=8)に無作為に割り当て、1)ビヒクル(水中0.1%Tween80を加えた0.5%MC);2)150mg/kgのPF-07104091;3)60mg/kgのPF-07220060;4)10mg/kgのPD-0332991;5)150mg/kgのPF-07104091プラス60mg/kgのPF-07220060;6)150mg/kgのPF-07104091プラス10mg/kgのパルボシクリブを投薬した。PF-07104091(ロット016)、PF-07220060(ロット019)およびPD-0332991(ロットGR08498)を投与した(PO.)BID(7時間おき)。すべてのマウスに、41日目まで継続的に処置を受けさせた。TGIは、初回用量後41日目に評定した。
【0333】
HR+/HER2-HCC1428乳がんモデルにおけるPF-07220060またはパルボシクリブと組み合わせたPF-07104091のインビボ効能評価
HCC1428モデルは、4継代腫瘍フラグメントをレシピエントマウスに埋め込むことによって確立した。HCC1428ドナーマウスを確立するために、腫瘍細胞(50%Cultrex(登録商標)基底膜マトリックスを加えた5×106細胞/マウス)を雌NSGマウスの皮下に埋め込んだ。700から800mm3の範囲に到達したら、その後、研究の拡大のためにドナー腫瘍を二次レシピエントマウスに移植した。腫瘍体積が100mm3から272mm3の間の範囲に到達したら、腫瘍担持マウスを群(1群当たりn=10)に無作為に割り当て、1)ビヒクル(水中0.1%Tween80を加えた0.5%MC);2)150mg/kgのPF-07104091;3)60mg/kgのPF-07220060;4)10mg/kgのPD-0332991;5)150mg/kgのPF-07104091プラス60mg/kgのPF-07220060;6)150mg/kgのPF-07104091プラス10mg/kgのパルボシクリブを投薬した。PF-07104091(ロット016)、PF-07220060(ロット019)およびPD-0332991(ロットGR08498)を投与した(PO.)BID(7時間おき)。すべてのマウスに、42日目まで継続的に処置を受けさせた。TGIは、初回用量後42日目に評定した。
【0334】
インビボパルボシクリブ獲得耐性HR+/HER2-BC PDXモデル、ST941PBRの確立
ST941PBRパルボシクリブ耐性モデルは、XENOSTART(商標)LLC、San Antonio、Texasから入手した。本発明者らは、50mg/kgのPD-0332991、PO QD、プラス10mg/kgのフルベストラント、SC、第1週は2回、次いでその後は毎週による、ST941PBR腫瘍担持マウスの継続的処置により、自社でモデルを確立した。TGI研究のためのドナーを繁殖させるために、腫瘍をレシピエントマウスに移植した。再埋め込みの1週間後に、レシピエントマウスには、パルボシクリブプラスフルベストラントによる継続的処置を受けさせた(上述した投薬スケジュール)。同じ処置レジメンを用いる1から2回の連続インビボ繁殖後に、研究の拡大のために700から800mm3の範囲内の耐性腫瘍を再度埋め込んだ。残りの腫瘍フラグメントを、将来の使用のために生存可能に凍結した。
【0335】
処置への耐性を裏付けるために、上述したのと同じ処置スケジュールを使用して、ST941PBR腫瘍担持マウス(p12)にパルボシクリブ(50mg/kg)プラスフルベストラント(10mg/kg)を受けさせた。
【0336】
ST941PBR PDXモデルにおけるPF-07220060またはパルボシクリブと組み合わせたPF-07104091のインビボ効能評価
生存ドナーマウスは、ST941PBR(p11)腫瘍フラグメントを埋め込むことによって確立した。700から800mm3の範囲に到達したら、その後、研究の拡大のためにドナー腫瘍を二次レシピエントマウスに移植した。耐性クローンを維持するために、ST941PBR腫瘍担持マウスを、50mg/kgのPD-0332991、PO.QD、プラス10mg/kgのフルベストラント、SC、第1週は2回、次いでその後10週間にわたって毎週で処置した。処置は、埋め込みの1週間後に開始し、研究登録のために無作為化の日まで行った。腫瘍体積が121mm3から228mm3の間の範囲に到達したら、腫瘍担持マウスを群(1群当たりn=10)に無作為に割り当て、1)ビヒクル(水中0.1%Tween80を加えた0.5%MC);2)150mg/kgのPF-07104091;3)60mg/kgのPF-07220060;4)10mg/kgのPD-0332991;5)150mg/kgのPF-07104091プラス60mg/kgのPF-07220060;6)150mg/kgのPF-07104091プラス10mg/kgのパルボシクリブ;7)10mg/kgのPD-0332991プラス10mg/kgのフルベストラント;8)50mg/kgのPD-0332991プラス10mg/kgのフルベストラントを投薬した。10mg/kgのPF-07104091(ロット016)、PF-07220060(ロット019)、PF-06873600(ロット022)およびPD-0332991(ロットGR08498)を投与し(PO)BID(7時間おき);50mg/kgのPD-0332991(ロットGR08498)を(PO)QDおよび10mg/kgのフルベストラントを、SC、第1週は2回、次いでその後毎週投与した。すべてのマウスに、28日目まで継続的に処置を受けさせた。TGIは、初回用量後28日目に評定した。
【0337】
結果および考察
PF-07104091を、単剤としておよびパルボシクリブまたはPF-07220060と組み合わせて、3つのHR+、HER2-BCモデル:T47D、HCC1428およびパルボシクリブ耐性ST941PBR PDXにおいても評価した。処置は、PO、BID、表4において指し示されているmg/kg(mpk)用量で施した(50mg/kgのQDパルボシクリブ群およびSCフルベストラント第1週は2回およびその後毎週を除く)。3つのモデルのうち10いずれかの処置期間全体を通して、有意な体重変化も留意すべき他の臨床観察もなかった(臨床病理学は行われなかった)。
【0338】
T47Dモデルにおいて、PF-07104091、PF-07220060およびパルボシクリブ単剤処置は、ビヒクルに対して有意なTGI効能(p<0.05)を示した。PF-07104091プラスPF-07220060処置は、PF-07220060(TGI73%)またはPF-07104091(TGI82%)いずれかの単剤療法に対して有意に強化された効能(TGI106%)を見せた(単剤の15いずれかに対してp<0.05)。PF-07104091プラスパルボシクリブ(TGI100%)も、いずれかの単剤療法に対して有意に強化された効能を見せた(単剤のいずれかに対してp<0.05)。
【0339】
HCC1428モデルにおいて、PF-07104091、PF-07220060およびパルボシクリブのそれぞれの単剤処置も、ビヒクルに対して有意なTGI効能(p<0.05)を示した。20PF-07104091プラスPF-07220060処置は、PF-07220060(TGI89%)またはPF-07104091(TGI95%)いずれかの単剤療法に対して有意に強化された効能(TGI110%)を見せた(表4)。
【0340】
パルボシクリブ耐性ST941PBR PDXモデルにおいて、フルベストラントと組み合わせたパルボシクリブ(10mg/kg BIDまたは50mg/kg QD)処置は、有意ではあるが最低限の応答(ビヒクルに対してそれぞれ30%および26%TGI)を示し、獲得耐性を裏付けた(表4)。パルボシクリブと組み合わせたPF-07104091は、ビヒクルまたはPF-07104091(TGI34%)もしくはパルボシクリブいずれかの単剤療法に対して有意なTGI(49%)をもたらした。PF-07220060と組み合わせたPF-07104091処置は、いずれかの単剤療法に対する効能を有意に強化した(PF-07104091単剤療法についての34%およびPF-07220060単剤療法についての28%に対して、98%の組合せTGI)。PF-07104091プラスPF-07220060の組合せは、このパルボシクリブ耐性ST941PBRPDXモデルにおいて、PF-07104091プラスパルボシクリブの組合せと比較して有意に向上した利益をもたらした。
【0341】
【0342】
(実施例4)
乳がん腫瘍モデルにおけるPF-07220060と組み合わせた低用量PF-07104091の抗腫瘍効能
方法
インビボ効能評価および統計的分析
雌NSGマウス(Jackson Lab)の背部の皮下に、フラグメント(27mm3から64mm3サイズ)を埋め込んだ。HCC1428、MCF7およびST941PBR研究についてすべてのマウスに8.5μg/mLのエストラジオール水(β-エストラジオールSigma-Aldrich、カタログ番号E2758-5G)を補充し、研究の終了まで自由に与えた。インビボ効能研究では、腫瘍体積および体重を週に2回測定した。腫瘍体積は、[(長さ×幅×幅)/2)]の式を使用して算出した。TGIは、100×(1-ΔT/ΔC)として算出した。ΔC(ΔT)は、処置の初日(0日目)のビヒクル(処置)群における平均腫瘍組織量を、評定日のビヒクル(処置)群における平均腫瘍組織量から減算することによって取得した。統計的分析は、ビヒクル処置マウスにおける平均腫瘍体積が腫瘍カットオフサイズに到達した際に、ANCOVAを使用して実施した。
【0343】
HR+/HER2-HCC1428乳がんモデルにおけるPF-07220060またはパルボシクリブと組み合わせたPF-07104091のインビボ効能評価
HCC1428モデルは、1継代腫瘍フラグメントをレシピエントマウスに埋め込むことによって確立した。HCC1428ドナーマウスを確立するために、腫瘍細胞(50%Cultrex(登録商標)基底膜マトリックスを加えた5×106細胞/マウス)を雌NSGマウスの皮下に埋め込んだ。700から800mm3の範囲に到達したら、研究の拡大のためにドナー腫瘍を二次レシピエントマウスの皮下に移植した。腫瘍体積が119mm3から267mm3の間の範囲に到達したら、腫瘍担持マウスを群(1群当たりn=10)に無作為に割り当て、1)ビヒクル(水中0.1%Tween80を加えた0.5%MC);2)120mg/kgのPF-07104091;3)60mg/kgのPF-07220060;4)30mg/kgのPF-06873600;5)10mg/kgのパルボシクリブプラス10mg/kgのフルベストラント;6)120mg/kgのPF-07104091プラス20mg/kgのPF-07220060;7)75mg/kgのPF-07104091プラス40mg/kgのPF-07220060;8)35mg/kgのPF-07104091プラス60mg/kgのPF-07220060を投薬した。PF-07104091(ロット022)、PF-07220060(ロットCPo126812-01-SY-5700-01)、PF-06873600(ロット022)およびPD-0332991(ロットGR08498)を投与し(PO)BID(7時間おき)、一方、10mg/kgのフルベストラント(ロット20160224-2)を、SC、第1週は2回、次いでその後毎週投与した。すべてのマウスに、42日目まで継続的に処置を受けさせた。TGIは、初回用量後42日目に評定した。
【0344】
HR+/HER2-MCF7乳がんモデルにおけるPF-07220060またはパルボシクリブと組み合わせたPF-07104091のインビボ効能評価
MCF7モデルは、ドナー腫瘍フラグメントをレシピエントマウスに埋め込むことによって確立した。MCF7ドナーマウスを確立するために、腫瘍細胞(50%Cultrex(登録商標)基底膜マトリックスを加えた5×106細胞/マウス)を雌NSGマウスの皮下に埋め込んだ。700から800mm3の範囲に到達したら、その後、研究の拡大のためにドナー腫瘍を二次レシピエントマウスに移植した。腫瘍体積が141mm3から231mm3の間の範囲に到達したら、腫瘍担持マウスを群(1群当たりn=10)に無作為に割り当て、1)ビヒクル(水中0.1%Tween80を加えた0.5%MC);2)120mg/kgのPF-07104091;3)60mg/kgのPF-07220060;4)30mg/kgのPF-06873600;5)10mg/kgのパルボシクリブプラス10mg/kgのフルベストラント;6)120mg/kgのPF-07104091プラス20mg/kgのPF-07220060;7)75mg/kgのPF-07104091プラス40mg/kgのPF-07220060;8)35mg/kgのPF-07104091プラス60mg/kgのPF-07220060を投薬した。PF-07104091(ロット022)、PF-07220060(ロットCPo126812-01-SY-5700-01)、PF-06873600(ロット022)およびPD-0332991(ロットGR08498)を投与し(PO)BID(7時間おき)、一方、10mg/kgのフルベストラント(ロット20160224-2)を、SC、第1週は2回、次いでその後毎週投与した。すべてのマウスに、29日目まで継続的に処置を受けさせた。TGIは、初回用量後29日目に評定した。
【0345】
インビボパルボシクリブ獲得耐性HR+/HER2-BC PDXモデル、ST941PBRの確立
ST941PBRパルボシクリブ耐性モデルは、XENOSTART(商標)LLC、San Antonio、Texasから入手した。本発明者らは、50mg/kgのPD-0332991、PO QD、プラス10mg/kgのフルベストラント、SC、第1週は2回、次いでその後は毎週による、ST941PBR腫瘍担持マウスの継続的処置により、自社でモデルを確立した。TGI研究のためのドナーを繁殖させるために、腫瘍をレシピエントマウスに移植した。再埋め込みの1週間後に、レシピエントマウスには、パルボシクリブプラスフルベストラントによる継続的処置を受けさせた(上述した投薬スケジュール)。同じ処置レジメンを用いる1から2回の連続インビボ繁殖後に、研究の拡大のために700から800mm3の範囲内の耐性腫瘍を再度埋め込んだ。残りの腫瘍フラグメントを、将来の使用のために生存可能に凍結した。
【0346】
処置への耐性を裏付けるために、上述したのと同じ処置スケジュールを使用して、ST941PBR腫瘍担持マウス(p14)にパルボシクリブ(50mg/kg)プラスフルベストラント(10mg/kg)を受けさせた。
【0347】
ST941PBR PDXモデルにおけるPF-07220060またはパルボシクリブと組み合わせたPF-07104091のインビボ効能評価
生存ドナーマウスは、ST941PBR(p13)腫瘍フラグメントを埋め込むことによって確立した。700から800mm3の範囲に達したら、その後、研究の拡大のためにドナー腫瘍を二次レシピエントマウスに移植した。耐性クローンを維持するために、ST941PBR腫瘍担持マウスを、50mg/kgのPD-0332991、PO.QD、プラス10mg/kgのフルベストラント、SC、第1週は2回、次いでその後10週間にわたって毎週で処置した。処置は、埋め込みの1週間後に開始し、研究登録のために無作為化の日まで行った。腫瘍体積が137mm3から216mm3の間の範囲に到達したら、腫瘍担持マウスを群(1群当たりn=10)に無作為に割り当て、1)ビヒクル(水中0.1%Tween80を加えた0.5%MC);2)120mg/kgのPF-07104091;3)60mg/kgのPF-07220060;4)30mg/kgのPF-06873600;5)10mg/kgのパルボシクリブプラス10mg/kgのフルベストラント;6)120mg/kgのPF-07104091プラス20mg/kgのPF-07220060;7)75mg/kgのPF-07104091プラス40mg/kgのPF-07220060;8)35mg/kgのPF-07104091プラス60mg/kgのPF-07220060を投薬した。PF-07104091(ロット021)、PF-07220060(ロットCPo126812-01-SY-5700-01)、PF-06873600(ロット022)およびPD-0332991(ロットGR08498)を投与し(PO)BID(7時間おき)、一方、10mg/kgのフルベストラント(ロット20160224-2)を、SC、第1週は2回、次いでその後毎週投与した。すべてのマウスに、28日目まで継続的に処置を受けさせた。TGIは、初回用量後28日目に評定した。
【0348】
結果および考察
より低用量レベルのPF-07104091+PF-07220060も、3つのHR+、HER2-BCモデル:MCF7、HCC1428およびパルボシクリブ耐性ST941PBR PDXにおいて、単剤療法、PF-06873600およびSOCパルボシクリブ+フルベストラントに対して組合せが効能を向上させることができるか否かを試験するために評価した。処置は、PO、BID、表5において指し示されているmg/kg(mpk)用量で施した(10mg/kgのSCフルベストラント第1週は2回およびその後毎週を除く)。3つのモデルのうちいずれかの処置期間全体を通して、有意な体重変化も留意すべき他の臨床観察もなかった(臨床病理学は行われなかった)。
【0349】
MCF7モデルにおいて、SOCパルボシクリブ10mg/kg+フルベストラント10mg/kg、および120mg/kgのPF-07104091、60mg/kgのPF-07220060、30mg/kgのPF-06873600の単剤処置は、ビヒクルに対して有意なTGI効能を示した(TGIそれぞれ84%、60%、79%および70%;p<0.05)。低用量のPF-07104091+PF-07220060処置群-PF-4091 35mg/kg+PF-0060 60mg/kg、PF4091 75mg/kg+PF-0060 40mg/kgおよびPF-4091 120mg/kg+PF0060 20mg/kgは、ビヒクル、SOCパルボシクリブ10mg/kg+フルベストラント10mg/kg、ならびに120mg/kgのPF-07104091、60mg/kgのPF-07220060および30mg/kgのPF-06873600の単剤処置と比較して、有意な退縮を示した(TGI106%、106%、105%)。MCF7モデルにおいて低用量PF-4091+PF-0060群(p>0.05)間にも有意な効能差はなかった。
【0350】
HCC1428モデルにおいて、SOCパルボシクリブ10mg/kg+フルベストラント10mg/kg、および120mg/kgのPF-07104091、60mg/kgのPF-07220060、30mg/kgのPF-06873600の単剤処置は、ビヒクルに対して有意なTGI効能を示した(TGIそれぞれ70%、79%、70%および97%;p<0.05)。低用量のPF-07104091+PF-07220060処置群-PF-4091 35mg/kg+PF-0060 60mg/kg、PF4091 75mg/kg+PF-0060 40mg/kgおよびPF-4091 120mg/kg+PF0060 20mg/kgは、ビヒクル、SOCパルボシクリブ10mg/kg+フルベストラント10mg/kg、ならびに120mg/kgのPF-07104091、60mg/kgのPF-07220060および30mg/kgのPF-06873600の単剤処置と比較して、有意な退縮を示した(TGIそれぞれ110%、110%、109%)。HCC1428モデルにおいて低用量PF-4091+PF-0060群(p>0.05)間にも有意な効能差はなかった。
【0351】
パルボシクリブ耐性ST941PBR PDXモデルにおいて、フルベストラントと組み合わせたパルボシクリブ(10mg/kg BID)処置は、最低限の応答(ビヒクルに対して14%TGI)を示し、獲得耐性を裏付けた(表5)。60mg/kgのPF-07220060は、最低限の応答(TGI19%、p>0.05)を示し、120mg/kgのPF-07104091および30mg/kgのPF-0873600は、ビヒクルに対して有意ではあるが中等度の効能を示した(TGIそれぞれ36%および47%;p<0.05)。低用量のPF-07104091+PF-07220060処置群-PF-4091 35mg/kg+PF-0060 60mg/kg、PF4091 75mg/kg+PF-0060 40mg/kgおよびPF-4091 120mg/kg+PF-0060 20mg/kgは、ビヒクル、SOCパルボシクリブ10mg/kg+フルベストラント10mg/kg、ならびに120mg/kgのPF-07104091、60mg/kgのPF-07220060および30mg/kgのPF-06873600の単剤処置と比較して、有意な阻害を示した(TGIそれぞれ87%、98%、94%)。低用量群間では、PF-4091 75mg/kg+PF-0060 40mg/kgおよびPF-4091 120mg/kg+PF-0060 20mg/kgの間に有意な効能差はなかったが、PF-4091 35mg/kg+PF-0060 60mg/kgに対してPF-4091 75mg/kg+PF-0060 40mg/kgおよびPF-4091 120mg/kg+PF-0060 20mg/kg(p<0.05)の間では有意に異なっていた。
【0352】
結果は、いずれかの作用物質または両方の曝露を低下させる能力を実証し、原発性疾患の細胞株モデル(MCF7およびHCC1428)において最大の腫瘍制御(研究における退縮)を維持する。療法耐性のモデルSTR941-PBRにおいて、併用レジメンにおけるCDK2i用量を35mg BIDに低下させることは、試験した他の併用群と差別化し、研究におけるわずかに低いTGIおよび処置からのより堅牢な回復を実証した。
【0353】
【0354】
(実施例5)
肺腺癌におけるPF-07104091およびPF-07220060の組合せの活性
PF-07104091およびPF-07220060の組合せの活性を、単剤(s.a.)としてまたは組み合わせてLUADにおいて評定した。データを表6に提供する。
【0355】
【0356】
(実施例6)
予備薬物間相互作用(DDI)リスク評定
PF-07104091の予備基質/被害物質DDIリスク評定は、臨床的に関連のある濃度のPF-07220060を用いる静的機構モデルを使用して行った(Fahmi OA、Hurst S、Plowchalk Dら、Comparison of different algorithms for predicting clinical drug-drug interactions,based on the use of CYP3A4 in vitro data:predictions of compounds as precipitants of interaction.Drug Metab Dispos 2009;37(8):1658~66)。
【0357】
潜在的な組合せ用量(75mgのPF-07104091を加えた300mgのPF-07220060)に基づき、PF-07220060は、組み合わせたPF-07104091に対して潜在的な加害物質ベースのシトクロムP450 3A(CYP3A)時間依存性阻害(TDI)を呈し、約2のAUC比(AUCR)をもたらすと予測された。
【0358】
潜在的なCYP3A DDI以外には、いずれも臨床的に関連のある濃度の加害物質および基質/被害物質としてのPF-07104091およびPF-07220060と、この組合せへのレトロゾールまたはフルベストラントの添加との間に、有意なDDIリスクを指し示す追加データはない。
【0359】
(実施例7)
PF-07104091と組み合わせて投与されたPF-07220060の、安全性、忍容性、PK、PDおよび抗腫瘍活性を評価するための、フェーズ1b/2、非盲検、多施設、無作為化、用量増加および用量拡大研究
転移性乳がん(mBC)または他の進行性固形腫瘍がある参加者における(パート1)PF-07220060およびPF-07104091(二剤組合せ)の、ならびに二剤組合せが内分泌療法(ET)とともに投与される場合、転移性/進行性mBCがある参加者における(パート2)それらの、安全性、忍容性、PK、PDおよび抗腫瘍活性を評価するための、フェーズ1b/2、非盲検、多施設、無作為化、用量増加および用量拡大研究。データ締切日現在、4つの用量コホート全体にわたって12人の参加者が、パート1における二剤組合せ療法(用量増加)を受けたことがある。
【0360】
パート2において、2つの三剤組合せ(PF-07220060、PF-07104091およびフルベストラント、またはPF-07220060、PF-07104091およびレトロゾール)のそれぞれに、組合せの安全性および忍容性を確立するために、およそ6人の参加者の安全性ランインを登録する。パート2Aは、CDK4/6阻害剤で以前に処置された参加者を含み、これらの参加者は、PF-07220060、PF-07104091およびフルベストラントの三剤を受ける。パート2Bは、CDK4/6阻害剤に対しては処置ナイーブであるが1種のETで以前に処置されたことがある参加者を含み、これらの参加者は、PF-07220060、PF-07104091およびフルベストラントの三剤を受ける。パート2Cは、CDK4/6阻害剤および進行性疾患のためのETに対して処置ナイーブである参加者を含み、これらの参加者は、PF-07220060、PF-07104091およびレトロゾールの三剤を受ける。
【0361】
PF-07220060およびPF-07104091の用量増加は、ベイズのロジスティック回帰モデル(BLRM)の推奨に従って段階的方式で継続する。用量増加は、PF-07220060およびPF-07104091組合せのMTDが決定されるか、またはさらなる増加の停止基準が満たされるまで、継続する。この研究において試験されるPF-07220060およびPF-07104091の最高用量は、単剤研究からそれぞれ決定された際の各薬物の単剤療法MTD/拡大のための推奨用量(RDE)よりも高くなることはない。用量増加決定は、この研究から利用可能なすべての臨床データも考慮に入れる。
【0362】
PKおよびDDI潜在性を評価するために、PF-07220060およびPF-07104091の両方の富化されたPK試料採取を実施する。潜在的なDDIを評定するために、パート1の参加者には、1日目に単回用量のPF-07104091を投与し、PF-07104091の投薬後24時間までPK評定を行う。初めにサイクル1の1日目の参加者は、PF-07220060およびPF-07104091の両方を、BIDレジメンとして与えられた継続的スケジュールで受け、複数回用量後のPK評定は、サイクル1の15日目に評価される。PK評定は、DDI評定における初期コホートからの発展的データに基づき、修正(例えば、サイクル1の1日目の評価の除去)されてよい。
【0363】
パート1は、転移性/進行性乳がんおよび他の進行性または転移性固形腫瘍があり、二剤MTD/RDEを決定するための標準的な代替処置選択肢がない参加者を登録する。各コホートは、およそ2から4人の参加者を登録する。少なくとも6人の参加者を、用量拡大の開始前に、推奨組合せ用量のPF-07220060およびPF-07104091で処置する。
【0364】
BCがある参加者には、治験責任医師の裁量で、ならびに以下の場合には出資者の承認を得て、PF-07220060およびPF-07104091の組合せの少なくとも2サイクル後に、フルベストラントも受けさせてよい:
・ 組合せ療法として参加者が受けるPF-07220060およびPF-07104091の現在の用量が、BLRMによって安全であることが決定されている;
・ 参加者が、DLT基準を満たす有害事象(AE)を経験したことがない、または;
・ DLT基準を満たすAEが解決されており、参加者が、DLT基準を満たすAEなしに少なくとも28日間にわたってPF-07220060およびPF-07104091組合せ療法を再開した。
【0365】
パート2(用量拡大)は、PF-07220060、PF-07104091およびET(レトロゾールまたはフルベストラント)の三剤組合せで処置される、進行性または転移性HR陽性HER2陰性BCがある参加者の最大3つのコホートを登録する。
・ パート2Aは、CDK4/6阻害剤で以前に処置されたことがある参加者を含む。
・ パート2Bは、CDK4/6阻害剤に対してはナイーブであるが1種のETで以前に処置されたことがある参加者を含む。
・ パート2Cは、CDK4/6阻害剤および進行性疾患のためのETに対して処置ナイーブである参加者を含む。
【0366】
パート2Aおよび2Bにおける参加者を、サイクル1から始まるPF-07220060、PF-07104091およびフルベストラントの三剤で処置し、パート2Cにおける参加者を、サイクル1から始まるPF-07220060、PF-07104091およびレトロゾールの三剤で処置する。
【0367】
完全または中間用量レベルのPF-07220060またはPF-07104091での用量増加または段階的縮小アプローチを、新たに出現した臨床データに応じて利用して、組合せRDEを選択する。BLRMをEWOC基準とともにパート1において使用して、MTDを決定する。
【0368】
すべてのサイクルは28日間の長さであり、処置は、疾患の進行、制御不能な毒性、参加者もしくは治験責任医師による処置を中断する決定または研究が終了するまで継続する。DLTを含む毒性を経験している参加者は、PF-07220060もしくはPF-07104091のいずれかまたは両方の処置からの用量修正または中断によって管理されうる。
【0369】
PF-07220060およびPF-07104091は、継続的毎日投薬で経口的にBID投与される。内分泌療法、すなわちレトロゾールまたはフルベストラントと組み合わせたPF-07220060およびPF-07104091の最適な投薬レジメンを可能にするために、新たに出現したPKデータ、安全性、忍容性、研究所およびPDに基づいて、代替投薬レジメン、スケジュールおよびPK時点を考慮してよい。
【0370】
データ締切日現在、4つの用量コホート全体にわたって合計12人の参加者が、パート1(用量増加)におけるPF-07104091(選択的CDK2阻害剤)と組み合わせたPF-07220060を受けたことがある。
【0371】
人口統計学
全体として、平均年齢55.25歳(SD:11.19)の合計12人の参加者(11人の女性および1人の男性)が、PF-07220060+PF-07104091を受けた。参加者は、HR+HER2-乳がん(n=8)、小細胞がん(n=1)、卵巣(n=1)、小細胞肺がん(n=1)および未報告(n=1)を含む進行性がんを有していた。
【0372】
処置により発現した全因果関係の有害事象
12人の処置された参加者のうち、10人(83.3%)の参加者が合計88の処置により発現した有害事象(TEAE)を報告した。
【0373】
最も高頻度で報告された(20%以上)全因果関係は、悪心(58.3%)、下痢、好中球数減少および白血球数減少(各50.0%)、貧血(41.7%)、リンパ球数減少(33.3%)、倦怠感、血小板数減少および嘔吐(各25.0%)であった。
【0374】
グレード4のTEAEは報告されなかった。疾患進行というグレード5のTEAEが1つ研究中に報告された。
【0375】
処置により発現した処置に関連する有害事象
12人の参加者のうち合計10人(83.3%)が処置に関連するTEAEを報告した。
【0376】
最も高頻度で報告された(20%以上)処置に関連するAEは、悪心(58.3%)、下痢、好中球数減少および白血球数減少(各50.0%)、リンパ球数減少(33.3%)、貧血、倦怠感、血小板数減少および嘔吐(各25.0%)であった。
【0377】
グレード4または5いずれの処置に関連するTEAEも研究中には報告されなかった。
【0378】
用量制限毒性
データ締切日現在、PF-07220060 300mg BID+PF-07104091 150mg BIDを受けた1人の参加者において、1つのDLT(グレード3の倦怠感)が報告された。
【0379】
中断に至る有害事象
有害事象により研究薬を中断した参加者はいなかった。
【0380】
重篤な有害事象および死亡
研究処置に関連する重篤な有害事象(SAE)も死亡も報告されていない。パート1のPF-07220060 200mg BID+PF-07104091 75mg BID処置群における1人の参加者が、呼吸困難のSAEを報告した。パート1のPF-07220060 300mg BID+PF-07104091 150mg BID処置群における別の参加者が、死亡をもたらす疾患進行のSAEを報告した。いずれのSAEも研究処置に関連するものではなかった。
【国際調査報告】