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特表2024-544631駆動フレーム間のゼロ電圧フレームを伴うトッププレーン切替を使用した高電圧駆動
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】駆動フレーム間のゼロ電圧フレームを伴うトッププレーン切替を使用した高電圧駆動
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/16 20060101AFI20241126BHJP
   G02F 1/167 20190101ALI20241126BHJP
   G02F 1/16766 20190101ALI20241126BHJP
   G02F 1/1685 20190101ALI20241126BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20241126BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20241126BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
G09G3/16 C
G02F1/167
G02F1/16766
G02F1/1685
G09G3/20 622C
G09G3/20 622D
G09G3/20 624B
G09G3/34 C
G09F9/30 338
G09F9/30 370Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532277
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022052559
(87)【国際公開番号】W WO2023121901
(87)【国際公開日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/292,440
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/422,884
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クラウンス, ケネス アール.
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラッテス, アナ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ホーゲブーム, クリストファー エル.
(72)【発明者】
【氏名】パオリニ, リチャード ジェイ. ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ, セス ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
5C094
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BB13
2K101BB44
2K101BB54
2K101BC02
2K101BD22
2K101BD61
2K101ED13
2K101ED25
2K101EE02
2K101EJ11
5C080AA13
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD12
5C080DD18
5C080DD19
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C080KK07
5C094AA08
5C094BA03
5C094BA75
5C094CA19
5C094DB01
5C094DB04
5C094EA05
5C094FB02
5C094FB14
5C094HA10
5C094JA03
(57)【要約】
上部電極上の電圧が、駆動フレーム間で改変されているとき、薄膜トランジスタ(TFT)を用いて制御されるピクセル電極のアクティブマトリクスを駆動させるための改良された方法。説明される方法は、TFT上の応力を低減させながら、上部電極とピクセル電極との間の全体的な電圧において、より小さい振幅を提供することによって、性能を増加させる。性能の欠陥およびTFTまたはピクセル電極に対する損傷のリスクは、トッププレーン切替間に「レスト」または「ゼロ」フレームを挿入することによって軽減されることができ、トッププレーン電圧が、変化するにつれて、走査されないピクセル上の大きな電圧スパイクを防止することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極とバックプレーンとの間に配置される電気光学材料の層を備える電気光学ディスプレイを駆動させるための方法であって、前記バックプレーンは、ピクセル電極のアレイを含み、各ピクセル電極は、薄膜トランジスタ(TFT)および貯蔵コンデンサに結合され、前記TFTは、ソースと、ゲートと、ドレインとを含み、前記ゲートは、ゲートラインに結合され、前記ソースは、走査ラインに結合され、前記ドレインは、前記ピクセル電極に結合され、コントローラは、時間依存性電圧を前記ゲートライン、前記走査ライン、前記上部電極、および前記貯蔵コンデンサに提供し、前記貯蔵コンデンサの第1の側は、前記ピクセル電極に結合され、前記貯蔵コンデンサの第2の側は、前記コントローラに結合され、前記駆動させる方法は、(順に)
a)第1の高電圧を前記走査ラインに、第1の低電圧を前記上部電極および前記貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、
b)前記TFTを開放するために十分な第1のゲートパルスを提供するステップと、
c)前記第1のゲートパルスの後、ゼロ電圧を前記走査ライン、前記上部電極、および前記貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、
d)前記TFTを開放するために十分な第2のゲートパルスを提供するステップと、
e)前記第2のゲートパルスの後、第2の低電圧を前記走査ラインに、第2の高電圧を前記上部電極および前記貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、
f)前記TFTを開放するために十分な第3のゲートパルスを提供するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
上部電極とバックプレーンとの間に配置される電気光学材料の層を備える電気光学ディスプレイを駆動させるための方法であって、前記バックプレーンは、ピクセル電極のアレイを含み、各ピクセル電極は、薄膜トランジスタ(TFT)および貯蔵コンデンサに結合され、前記TFTは、ソースと、ゲートと、ドレインとを含み、前記ゲートは、ゲートラインに結合され、前記ソースは、走査ラインに結合され、前記ドレインは、前記ピクセル電極に結合され、コントローラは、時間依存性電圧を前記ゲートライン、前記走査ライン、前記上部電極、および前記貯蔵コンデンサに提供し、前記貯蔵コンデンサの第1の側は、前記ピクセル電極に結合され、前記貯蔵コンデンサの第2の側は、前記コントローラに結合され、前記駆動させる方法は、(順に)
a)第1の高電圧を前記走査ラインに、第1の低電圧を前記上部電極および前記貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、
b)前記TFTを開放するために十分な第1のゲートパルスを提供するステップと、
c)前記第1のゲートパルスの後、第2の低電圧を前記走査ラインに提供するステップと、
d)前記TFTを開放するために十分な第2のゲートパルスを提供するステップと、
e)前記第2のゲートパルスの後、第2の高電圧を前記上部電極および前記貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、
f)前記TFTを開放するために十分な第3のゲートパルスを提供するステップと
を含む、方法。
【請求項3】
上部電極とバックプレーンとの間に配置される電気光学材料の層を備える電気光学ディスプレイを駆動させるための方法であって、前記バックプレーンは、ピクセル電極のアレイを含み、各ピクセル電極は、薄膜トランジスタ(TFT)および貯蔵コンデンサに結合され、前記TFTは、ソースと、ゲートと、ドレインとを含み、前記ゲートは、ゲートラインに結合され、前記ソースは、走査ラインに結合され、前記ドレインは、前記ピクセル電極に結合され、コントローラは、時間依存性電圧を前記ゲートライン、前記走査ライン、前記上部電極、および前記貯蔵コンデンサに提供し、前記貯蔵コンデンサの第1の側は、前記ピクセル電極に結合され、前記貯蔵コンデンサの第2の側は、前記コントローラに結合され、前記駆動させる方法は、(順に)
a)第1の高電圧を前記走査ラインに、第1の低電圧を前記上部電極および前記貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、
b)前記TFTを開放するために十分な第1のゲートパルスを提供するステップと、
c)前記第1のゲートパルスの後、第2の高電圧を前記上部電極および前記貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、
d)前記TFTを開放するために十分な第2のゲートパルスを提供するステップと、
e)前記第2のゲートパルスの後、第2の低電圧を前記走査ラインに提供するステップと、
f)前記TFTを開放するために十分な第3のゲートパルスを提供するステップと
を含む、方法。
【請求項4】
ステップa)-f)は、3つの後続のフレーム内で完了される、請求項1、2、または3に記載の方法。
【請求項5】
上部電極とバックプレーンとの間に配置される電気光学材料の層を備える電気光学ディスプレイを駆動させるための方法であって、前記バックプレーンは、ピクセル電極のアレイを含み、各ピクセル電極は、薄膜トランジスタ(TFT)および貯蔵コンデンサに結合され、前記TFTは、ソースと、ゲートと、ドレインとを含み、前記ゲートは、ゲートラインに結合され、前記ソースは、走査ラインに結合され、前記ドレインは、前記ピクセル電極に結合され、
前記コントローラは、以下のステップ、すなわち、
a)第1の電圧を前記上部電極に提供するステップと、
b)特定の電圧を前記ピクセル電極のアレイの各電極に第1の連続順序で提供するステップであって、前記アレイの少なくとも10個のピクセルは、前記ピクセル電極の大多数とは異なる特定の電圧を有する、ステップと、
c)特定の電圧を前記ピクセル電極のアレイの各電極に第2の連続順序で提供するステップであって、前記特定の電圧をピクセル電極に前記第2の連続順序で提供する順序は、前記第1の連続順序の逆の順序であり、各ピクセルは、前記第1の連続順序および前記第2の連続順序の両方において、同一の特定の電圧を受信する、ステップと、
d)前記第1の電圧とは異なる第2の電圧を前記上部電極に提供するステップであって、
前記ピクセル電極は、ステップ(b)と(c)との間に前記コントローラから別の電圧を受信しない、ステップと
を(順に)実行するために、時間依存性電圧を前記ゲートライン、前記走査ライン、および前記上部電極に提供する、方法。
【請求項6】
前記アレイの少なくとも100個のピクセルは、前記ピクセル電極の大多数とは異なる特定の電圧を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記上部電極は、光透過性である、請求項1-6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記上部電極および前記貯蔵コンデンサの第2の側は、共通ノードに電気的に結合される、請求項1-7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記TFTは、非晶質シリコンから加工される、請求項1-8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第1および第2の高電圧は、+15Vである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1および第2の低電圧は、-15Vである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電気光学材料の層は、印加された電場に応答して、前記上部電極と前記バックプレーンとの間で移動する複数のタイプの荷電粒子を備えるカプセル化された電気泳動媒体を含む、請求項1-8のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記電気泳動媒体は、複数のマイクロカプセル内にカプセル化される、または複数のシールされたマイクロセル内にカプセル化される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記カプセル化された電気泳動媒体は、4つの異なるタイプの荷電粒子を備える、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年12月22日に出願された、米国仮特許出願第63/292,440号、および2022年11月4日に出願された、米国仮特許出願第63/422,884号の優先権を主張する。本明細書に開示される全ての特許および公開は、参照することによって、それらの全体として組み込まれる。
【0002】
電気泳動ディスプレイ(EPD)は、光透過性視認表面に対する荷電着色粒子の位置を修正することによって、色を変更する。そのような電気泳動ディスプレイは、結果として生じるディスプレイが、紙上のインクとほぼ同様に、高コントラストを有し、太陽光可読であるため、典型的には、「電子ペーパー」または「eペーパー」と称される。電気泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイが、書籍同様の読書体験を提供し、少ない電力を使用し、ユーザが、軽量な携行デバイス内に数百冊の書籍のライブラリを携行することを可能にするため、AMAZON KINDLE(登録商標)等、電子書籍読取機において幅広い採用を享受している。
【0003】
何年もの間、電気泳動ディスプレイは、2つのタイプの荷電色粒子、すなわち、黒色および白色のみを含んでいた(確実にするために、「色」は、本明細書内で使用されるように、黒色および白色を含む)。白色粒子は、多くの場合、光散乱型であり、例えば、二酸化チタンを含む一方、黒色粒子は、可視スペクトルを横断して吸収性であり、カーボンブラック、または銅クロマイト等の吸収性金属酸化物を含んでもよい。最も単純な意味では、黒色および白色電気泳動ディスプレイは、視認表面における光透過性電極、背後電極、および反対荷電白色および黒色粒子を含む、電気泳動媒体のみを要求する。1つの極性の電圧が、提供されるとき、白色粒子は、視認表面に移動し、異極性の電圧が、提供されるとき、黒色粒子は、視認表面に移動する。背後電極が、制御可能領域(ピクセル)、すなわち、セグメント化された電極、またはトランジスタによって制御されるピクセル電極のアクティブマトリクスのいずれかを含む場合、あるパターンが、視認表面において電子的に現れるように作製されることができる。本パターンは、例えば、書籍にとっての本文であり得る。
【0004】
さらに最近では、3色ディスプレイ(黒色、白色、赤色、および黒色、白色、黄色)および4色ディスプレイ(黒色、白色、赤色、黄色)を含む、様々な色の選択肢が、電気泳動ディスプレイのために商業的に利用可能となっている。黒色および白色電気泳動ディスプレイの動作と同様に、3つまたは4つの反射性顔料を伴う、電気泳動ディスプレイは、所望の色粒子が、視認表面に対して駆動されるため、単純な黒色および白色ディスプレイと同様に動作する。本駆動スキームは、黒色および白色のみのものよりはるかに複雑であるが、最終的には、粒子の光学機能は、同一である。
【0005】
高度カラー電子ペーパー(ACeP(登録商標))はまた、4つの粒子を含んでいたが、シアン色、黄色、およびマゼンタ色粒子が、反射性ではなく減法的であり、それによって、数千色が、各ピクセルにおいて生産されることを可能にする。本色プロセスは、オフセット印刷およびインクジェットプリンタにおいて長い間使用されてきた、印刷方法と機能的に同等である。所与の色は、明るい白色ペーパー背景上で、シアン色、黄色、およびマゼンタ色の正しい比率を使用することによって生産される。ACePの事例では、視認表面に対する、シアン色、黄色、マゼンタ色、および白色粒子の相対的な位置が、各ピクセルにおける色を決定するであろう。本タイプの電気泳動ディスプレイは、各ピクセルにおいて数千色を可能にするが、厚さ約10~20ミクロンの作業空間内で、(50~500ナノメートルサイズの)顔料のそれぞれの位置を慎重に制御することが、極めて重要である。明白なこととして、顔料の位置の変動は、誤った色が、所与のピクセルにおいて表示されることをもたらすであろう。故に、精緻な電圧制御が、そのようなシステムに対して要求される。本システムのさらなる詳細は、以下の米国特許、すなわち、米国特許第9,361,836号、第9,921,451号、第10,276,109号、第10,353,266号、第10,467,984号、および第10,593,272号において入手可能であり、その全てが、参照することによってそれらの全体として組み込まれる。
【0006】
本発明は、カラー電気泳動ディスプレイに関し、具体的には、排他的ではないが、複数の着色粒子、例えば、白色、シアン色、黄色、およびマゼンタ色粒子を備える、電気泳動材料の単一層を使用して、2つを上回る色をレンダリング可能である、電気泳動ディスプレイに関する。いくつかの事例では、粒子のうちの2つは、正荷電であり、2つの粒子は、負荷電であろう。いくつかの事例では、1つの正荷電粒子は、厚いポリマーシェルを有し、1つの負荷電粒子は、厚いポリマーシェルを有するであろう。
【0007】
米国特許第9,921,451号において、特に、第‘451号特許の表3に対して説明されるように、改良された色識別が、その中で上部電極上のバイアスが、駆動の間に改変され、上部電極とバックプレーンとの間のより大きな電圧降下を達成する、いわゆる「トッププレーン切替」を使用することによって、「標準」アクティブマトリクスバックプレーン(すなわち、非晶質シリコンを使用する、薄膜トランジスタ(TFT)のアレイを含む)を用いて達成されることができる。例えば、良好なマゼンタ色状態を達成するために、電気泳動媒体が、+30Vの全体的な電圧降下を経験するように、+15Vの電圧を上部電極に、かつ-15Vを所望のアクティブマトリクスピクセルのピクセル電極に印加することが必要とされ得る(第‘451号特許の図6A参照)。後に、例えば、良好な黄色状態を生産することが所望されるとき、電気泳動媒体が、-30Vの全体的な電圧降下を経験するように、-15Vの電圧を上部電極に、かつ+15Vを所望のアクティブマトリクスピクセルのピクセル電極に印加することが必要とされ得る(第‘451号特許の図6C参照)。第‘451号特許においてさらに詳細に説明されるように、トッププレーン切替は、電気泳動媒体をアドレス指定するために、および先の光学状態を消去し、波形をDC平衡させるために使用されることができる。
【0008】
TFTベースの薄膜電子機器は、LCDおよびEPD等の高分解能ディスプレイのためのピクセル電極のアドレス指定を制御するために使用され得る。ドライバ回路は、AM-TFT基板の中に直接統合されることができ、TFTベースの電子機器は、EPD用途のためのピクセル電極電圧を制御するために非常に好適である。TFTは、多種多様な半導体材料を使用して作製されることができる。一般的な材料は、シリコンである。シリコンベースのTFTの特性は、シリコンの結晶状態に依存し、すなわち、半導体層は、非晶質シリコン(a-Si)、微小結晶シリコンであり得るか、または低温ポリシリコン(LTPS)の中にアニーリングされ得るかのいずれかである。a-SiをベースとしたTFTは、生産することが安価であり、したがって、比較的大きな基板面積が、比較的低コストで製造されることができる。a-SiをベースとしたTFTの1つの否定的側面は、TFTを横断するバイアスが、典型的には、45V未満に限定されることである。45Vを超えると、トランジスタは、故障する、またはこの間に過剰な電流が、トランジスタを通して移動し、例えば、ピクセル電極を所望のレベルを超えて充電する、「ブレークスルー」を有し得る。金属酸化物等のよりエキゾチックな材料がまた、薄膜トランジスタアレイを加工するために使用され、より高い電圧を達成し得るが、そのようなデバイスの加工コストは、典型的には、金属酸化物を操作し/堆積させるために必要とされる特殊な機器のために高い。
【0009】
アクティブマトリクスデバイスに関して、駆動信号は、多くの場合、コントローラから、ひいては、アクティブマトリクス内の種々のTFTをアクティブにさせるために要求される電流-電圧入力を提供する、ゲートおよび走査ドライバまで出力される。しかしながら、例えば、画像データを受信し、TFTをアクティブにするために必要とされる電流-電圧入力を出力することが可能であるコントローラドライバが、市販されている。薄膜トランジスタの殆どのアクティブマトリクスは、ライン単位(別名、ライン毎)アドレス指定を用いて駆動され、これは、LCDおよびEPDディスプレイの圧倒的多数において使用される。そのようなシステムでは、1つまたはそれを上回るコントローラが、電圧を一連の走査ラインおよび一連のゲートラインに送達するために使用され、これらは、多くの場合、バックプレーンを横断するグリッド内に垂直に配列される。他のコントローラまたは同一のコントローラもまた、上部電極への電圧、および典型的には、所与のピクセル電極と関連付けられる貯蔵コンデンサに提供される共通電圧(Vcom)を提供するであろう。
【0010】
用語「グレー状態」は、結像技術におけるその従来的な意味で本明細書で使用され、2つの極限ピクセルの光学状態の中間の状態を指し、必ずしもこれら2つの極限状態の間の黒色-白色遷移を含意するわけではない。例えば、下記に参照されるE Ink特許および公開された出願のうちのいくつかは、中間グレー状態が実際には淡い青色であろうように、極限状態が白色および濃青色である、電気泳動ディスプレイを説明している。実際、すでに述べられたように、光学的状態の変化は、色の変化では全くない場合もある。用語「黒色および白色」は、以降では、ディスプレイの2つの極限光学状態を指すために本明細書で使用され得、通常、厳密に黒色および白色ではない、極限光学状態、例えば、前述の白色および濃青色状態を含むものとして理解されたい。
【0011】
用語「双安定」および「双安定性」は、当技術分野におけるそれらの従来の意味で、少なくとも1つの光学特性が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備え、その第1または第2の表示状態のいずれかを呈するように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、任意の所与の要素が駆動されてから、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、その状態が持続するであろう、ディスプレイを指すために本明細書で使用される。グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、その極限黒色および白色状態においてだけではなく、また、その中間グレー状態においても安定しており、同じことがいくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイに当てはまることが、米国特許第7,170,670号に示されている。本タイプのディスプレイは、適切には、「双安定」ではなく、「多安定」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定」が、本明細書では、双安定および多安定ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0012】
用語「インパルス」は、電気泳動ディスプレイの駆動を指すために使用されるとき、ディスプレイが駆動される期間の間の時間に対する、印加電圧の積分を指すために本明細書で使用される。
【0013】
「ゲートドライバ」は、コントローラ、例えば、マイクロコントローラ集積回路(IC)からの低電力入力を受け取り、ピクセル電極に結合されるTFT等の高電力トランジスタのゲートに関する高電流駆動入力を生産する、電力増幅器である。「ソースドライバ」は、高電力トランジスタのソースに関する高電流駆動入力を生産する、電力増幅器である。「トッププレーン共通電極ドライバ」または「トッププレーンドライバ」または「上部電極ドライバ」は、ディスプレイのトッププレーン電極に関する高電流駆動入力を生産する、電力増幅器である。
【0014】
「波形」は、微小流体デバイス内のピクセルを作動させるために使用される、電圧対時間曲線全体を示す。典型的には、そのような波形は、複数の波形要素を備え、これらの要素は、略矩形である(すなわち、所与の要素が、ある期間にわたって定電圧の印加を備える)。要素は、「電圧パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。用語「駆動スキーム」は、特定の液滴動作の過程において、1つまたはそれを上回る液滴の操作に影響を及ぼすために十分な波形のセットを示す。用語「フレーム」は、微小流体デバイス内の全てのピクセル行の単一の更新を示す。
【0015】
広帯域または選択された波長のいずれかにおいて、光を吸収、散乱、または反射させる、粒子は、本明細書では、着色または顔料粒子と称される。染料またはフォトニック結晶等の光を吸収または反射させる、顔料(不溶性着色材料を意味するとものとしてのその用語の厳密な意味において)以外の種々の材料もまた、本発明の電気泳動媒体およびディスプレイにおいて使用されてもよい。
【0016】
粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、何年にもわたって、精力的研究および開発の対象となっている。そのようなディスプレイでは、複数の荷電粒子(時として、顔料粒子とも称される)が、電場の影響下で流体を通して移動する。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較したときに、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態双安定性、および低電力消費の属性を有することができる。それにもかかわらず、これらのディスプレイの長期画質に伴う問題は、その広範な使用を妨げている。例えば、電気泳動ディスプレイを構成する粒子は、沈降する傾向があり、これらのディスプレイの不十分な耐用年数をもたらす。
【0017】
前述のように、電気泳動媒体は、流体の存在を要求する。大部分の先行技術電気泳動媒体では、本流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状流体を使用して生産されることもできる。例えば、Kitamura, T., et al., Electrical toner movement for electronic paper-like display, IDW Japan, 2001, Paper HCS1-1およびYamaguchi, Y., et al., Toner display using insulative particles charged triboelectrically, IDW Japan, 2001, Paper AMD4-4を参照されたい。また、米国特許第7,321,459号および第7,236,291号も参照されたい。そのようなガスベースの電気泳動媒体は、例えば、媒体が垂直面に配置される看板等、媒体がそのような沈降を可能にする配向で使用されるとき、粒子沈降に起因して、液体ベースの電気泳動媒体と同一タイプの問題の影響を受けやすいと考えられる。実際、粒子沈降は、液体のものと比較して、ガス状懸濁流体のより低い粘度が、電気泳動粒子のより高速な沈降を可能にするため、ガスベースの電気泳動媒体では、液体ベースのものより深刻な問題であると考えられる。
【0018】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)およびE Ink Corporationに譲渡された、またはそれらの名義である、多数の特許および出願は、カプセル化された電気泳動および他の電気光学媒体内で使用される種々の技術を説明している。そのようなカプセル化された媒体は、多数の小型カプセルを備え、それ自体がそれぞれ、電気泳動的可動粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を囲繞するカプセル壁とを備える。典型的には、カプセルは、それ自体が、ポリマー結合剤内に保持され、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成する。これらの特許および出願に説明される技術として、以下が挙げられる。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールするための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、およびディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節
【化1】
(h)ディスプレイを駆動するための方法
【化2】
(これらの特許および出願は、以降、MEDEOD(電気光学ディスプレイを駆動するための方法)出願と称され得る)
(i)ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)非電気泳動ディスプレイ(例えば、米国特許第6,241,921号、および米国特許出願公開第2015/0277160号、および米国特許出願公開第2015/0005720号および2016/0012710号参照)
【0019】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化された電気泳動媒体内の離散マイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され、したがって、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の離散液滴と、ポリマー材料の連続相とを備える、いわゆる「ポリマー分散型電気泳動ディスプレイ」を生産し得、そのようなポリマー分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の離散液滴は、いかなる離散カプセル膜も各個々の液滴と関連付けられないにもかかわらず、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、米国特許第6,866,760号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散型電気泳動媒体は、カプセル化された電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0020】
関連タイプの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されないが、代わりに、伝搬媒体、典型的には、ポリマーフィルム内に形成される複数の空洞内に保たれる。例えば、米国特許第6,672,921号および第6,788,449号を参照されたい。
【0021】
電気泳動媒体は、多くの場合、不透過性であり(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通る可視光の透過を実質的に遮断するため)、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、1つのディスプレイ状態が実質的に不透過性であり、1つが光透過性である、いわゆる「シャッタモード」で動作するように作製されることができる。例えば、米国特許第5,872,552号、第6,130,774号、第6,144,361号、第6,172,798号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。誘電泳動ディスプレイは、電気泳動ディスプレイと類似するが、電場強度の変動に依拠し、類似のモードで動作することができる。米国特許第4,418,346号を参照されたい。他のタイプの電気光学ディスプレイもまた、シャッタモードで動作することが可能であり得る。シャッタモードで動作する電気光学媒体は、フルカラーディスプレイのために、多層構造で使用されることができる。そのような構造では、ディスプレイの視認表面に隣接する少なくとも1つの層は、シャッタモードで動作して、視認表面からより離れた第2の層を暴露または隠蔽する。
【0022】
カプセル化された電気泳動ディスプレイは、典型的には、従来的な電気泳動デバイスのクラスタ化および沈降故障モードに悩まされることがなく、多種多様な可撓性および剛性基板上にディスプレイを印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する(「印刷」という語の使用は、限定ではないが、前計量コーティング、例えば、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等、ロールコーティング、例えば、ナイフオーバーロールコーティング、フォワード・リバースロールコーティング、グラビアコーティング、浸漬コーティング、吹き付けコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電気印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動析出(米国特許第7,339,715号参照)、および他の類似技法を含む、あらゆる形態の印刷およびコーティングを含むことを意図している)。したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性であり得る。さらに、ディスプレイ媒体は(種々の方法を使用して)印刷されることができるため、ディスプレイ自体は、安価に作製されることができる。
【0023】
上記に示されるように、最も単純な先行技術電気泳動媒体は、本質的に、2つの色のみを表示する。そのような電気泳動媒体は、第2の異なる色を有する着色流体中の第1の色を有する単一タイプの電気泳動粒子(その場合、第1の色は、粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2の色は、粒子が視認表面から離間されるときに表示される)、または非着色流体中の異なる第1および第2の色を有する第1および第2のタイプの電気泳動粒子(その場合、第1の色は、第1のタイプの粒子がディスプレイの視認表面に隣接して存在するときに表示され、第2の色は、第2のタイプの粒子が視認表面に隣接して存在するときに表示される)のいずれかを使用する。典型的には、2つの色は、黒色および白色である。フルカラーディスプレイが所望される場合、色フィルタアレイが、モノクロ(黒色および白色)ディスプレイの視認表面にわたって堆積されてもよい。色フィルタアレイを伴うディスプレイは、面積共有および色混成に依拠して、色刺激を生成する。利用可能なディスプレイ面積は、赤色/緑色/青色(RGB)または赤色/緑色/青色/白色(RGBW)等の3または4原色間で共有され、フィルタが、1次元(ストライプ)または2次元(2×2)反復パターンで配列されることができる。他の選択肢の原色または3つを上回る原色もまた、当技術分野において公知である。3つ(RGBディスプレイの場合)または4つ(RGBWディスプレイの場合)のサブピクセルが、意図される視認距離において、それらが視覚的にともに均一色刺激(「色混成」)を伴う単一ピクセルに混成するように十分に小さくあるように選定される。面積共有の固有の不利点は、着色剤が常時存在し、色が、下層モノクロディスプレイの対応するピクセルを白色または黒色に切り替える(対応する原色をオンまたはオフに切り替える)ことによってのみ変調されることができることである。例えば、理想的RGBWディスプレイでは、赤色、緑色、青色、および白色原色はそれぞれ、ディスプレイ面積の4分の1(4つのうちの1つのサブピクセル)を占有し、白色サブピクセルは、下層モノクロディスプレイの白色と同程度に明るいが、着色サブピクセルはそれぞれ、モノクロディスプレイの白色の3分の1より明るくない。全体としてディスプレイによって示される白色の輝度は、白色サブピクセルの輝度の2分の1を上回り得ない(ディスプレイの白色面積は、各4つのうちの1つの白色サブピクセルに加えて、白色サブピクセルの3分の1に匹敵するその着色形態における各着色サブピクセルを表示することによって生産され、したがって、組み合わせられる3つの着色サブピクセルは、1つの白色サブピクセルを上回って寄与しない)。色の輝度および飽和は、黒色に切り替えられる色ピクセルとの面積共有によって低下される。面積共有は、黄色を混合するとき、それが、等しい輝度の任意の他の色より明るく、飽和された黄色が、白色とほぼ同程度に明るいため、特に問題となる。青色ピクセル(ディスプレイ面積の4分の1)から黒色への切替は、黄色を著しく暗くさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】米国特許第9,361,836号明細書
【特許文献2】米国特許第9,921,451号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0025】
本明細書に開示されるのは、フルカラー電気泳動ディスプレイを駆動させる、改良された方法、およびこれらの駆動方法を使用するフルカラー電気泳動ディスプレイである。一側面では、上部電極とバックプレーンとの間に配置される電気光学材料の層を備える、電気光学ディスプレイを駆動させるための方法が、開示される。ディスプレイでは、バックプレーンは、ピクセル電極のアレイを含み、各ピクセル電極は、薄膜トランジスタ(TFT)および貯蔵コンデンサに結合される。TFTは、ソースと、ゲートと、ドレインとを含み、ゲートは、ゲートラインに結合され、ソースは、走査ラインに結合され、ドレインは、ピクセル電極に結合され、コントローラは、時間依存性電圧をゲートライン、走査ライン、上部電極、および貯蔵コンデンサに提供する。貯蔵コンデンサの第1の側は、ピクセル電極に結合され、貯蔵コンデンサの第2の側は、コントローラに結合される。本駆動させる方法は、a)第1の高電圧を走査ラインに、第1の低電圧を上部電極および貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、b)TFTを開放するために十分な第1のゲートパルスを提供するステップと、c)第1のゲートパルスの後、ゼロ電圧を走査ライン、上部電極、および貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、d)TFTを開放するために十分な第2のゲートパルスを提供するステップと、e)第2のゲートパルスの後、第2の低電圧を走査ラインに、第2の高電圧を上部電極および貯蔵コンデンサに提供するステップと、f)TFTを開放するために十分な第3のゲートパルスを提供するステップとを含む。
【0026】
一実施形態では、ステップa)-f)は、3つの後続のフレーム内で完了される。一実施形態では、上部電極は、光透過性である。一実施形態では、上部電極および貯蔵コンデンサの第2の側は、共通ノードに電気的に結合される。一実施形態では、TFTは、非晶質シリコンから加工される。一実施形態では、第1および第2の高電圧は、+15Vである。一実施形態では、第1および第2の低電圧は、-15Vである。一実施形態では、電気光学材料の層は、印加された電場に応答して、上部電極とバックプレーンとの間で移動する複数のタイプの荷電粒子を備える、カプセル化された電気泳動媒体を含む。一実施形態では、電気泳動媒体は、複数のマイクロカプセル内にカプセル化される、または複数のシールされたマイクロセル内にカプセル化される。一実施形態では、カプセル化された電気泳動媒体は、4つの異なるタイプの荷電粒子を備える。
【0027】
別の側面では、上部電極とバックプレーンとの間に配置される電気光学材料の層を備える電気光学ディスプレイを駆動させるための方法が、開示される。ディスプレイでは、バックプレーンは、ピクセル電極のアレイを含み、各ピクセル電極は、薄膜トランジスタ(TFT)および貯蔵コンデンサに結合される。TFTは、ソースと、ゲートと、ドレインとを含み、ゲートは、ゲートラインに結合され、ソースは、走査ラインに結合され、ドレインは、ピクセル電極に結合され、コントローラは、時間依存性電圧をゲートライン、走査ライン、上部電極、および貯蔵コンデンサに提供する。貯蔵コンデンサの第1の側は、ピクセル電極に結合され、貯蔵コンデンサの第2の側は、コントローラに結合される。本駆動させる方法は、a)第1の高電圧を走査ラインに、第1の低電圧を上部電極および貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、b)TFTを開放するために十分な第1のゲートパルスを提供するステップと、c)第1のゲートパルスの後、第2の低電圧を走査ラインに提供するステップと、d)TFTを開放するために十分な第2のゲートパルスを提供するステップと、e)第2のゲートパルスの後、第2の高電圧を上部電極および貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、f)TFTを開放するために十分な第3のゲートパルスを提供するステップとを含む。
【0028】
一実施形態では、ステップa)-f)は、3つの後続のフレーム内で完了される。一実施形態では、上部電極は、光透過性である。一実施形態では、上部電極および貯蔵コンデンサの第2の側は、共通ノードに電気的に結合される。一実施形態では、TFTは、非晶質シリコンから加工される。一実施形態では、第1および第2の高電圧は、+15Vである。一実施形態では、第1および第2の低電圧は、-15Vである。一実施形態では、電気光学材料の層は、印加された電場に応答して、上部電極とバックプレーンとの間で移動する複数のタイプの荷電粒子を備える、カプセル化された電気泳動媒体を含む。一実施形態では、電気泳動媒体は、複数のマイクロカプセル内にカプセル化される、または複数のシールされたマイクロセル内にカプセル化される。一実施形態では、カプセル化された電気泳動媒体は、4つの異なるタイプの荷電粒子を備える。
【0029】
別の側面では、上部電極とバックプレーンとの間に配置される電気光学材料の層を備える、電気光学ディスプレイを駆動させるための方法が、開示される。ディスプレイでは、バックプレーンは、ピクセル電極のアレイを含み、各ピクセル電極は、薄膜トランジスタ(TFT)および貯蔵コンデンサに結合される。TFTは、ソースと、ゲートと、ドレインとを含み、ゲートは、ゲートラインに結合され、ソースは、走査ラインに結合され、ドレインは、ピクセル電極に結合され、コントローラは、時間依存性電圧をゲートライン、走査ライン、上部電極、および貯蔵コンデンサに提供する。貯蔵コンデンサの第1の側は、ピクセル電極に結合され、貯蔵コンデンサの第2の側は、コントローラに結合される。駆動させる方法は、a)第1の高電圧を走査ラインに、第1の低電圧を上部電極および貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、b)TFTを開放するために十分な第1のゲートパルスを提供するステップと、c)第1のゲートパルスの後、第2の高電圧を上部電極および貯蔵コンデンサの第2の側に提供するステップと、d)TFTを開放するために十分な第2のゲートパルスを提供するステップと、e)第2のゲートパルスの後、第2の低電圧を走査ラインに提供するステップと、f)TFTを開放するために十分な第3のゲートパルスを提供するステップとを含む。
【0030】
一実施形態では、ステップa)-f)は、3つの後続のフレーム内で完了される。一実施形態では、上部電極は、光透過性である。一実施形態では、上部電極および貯蔵コンデンサの第2の側は、共通ノードに電気的に結合される。一実施形態では、TFTは、非晶質シリコンから加工される。一実施形態では、第1および第2の高電圧は、+15Vである。一実施形態では、第1および第2の低電圧は、-15Vである。一実施形態では、電気光学材料の層は、印加された電場に応答して、上部電極とバックプレーンとの間で移動する複数のタイプの荷電粒子を備える、カプセル化された電気泳動媒体を含む。一実施形態では、電気泳動媒体は、複数のマイクロカプセル内にカプセル化される、または複数のシールされたマイクロセル内にカプセル化される。一実施形態では、カプセル化された電気泳動媒体は、4つの異なるタイプの荷電粒子を備える。
【0031】
別の側面では、電気光学ディスプレイを駆動させるための方法が、開示される。ディスプレイは、上部電極とバックプレーンとの間に配置される電気光学材料の層を含み、バックプレーンは、ピクセル電極のアレイを含み、各ピクセル電極は、薄膜トランジスタ(TFT)および貯蔵コンデンサに結合され、TFTは、ソースと、ゲートと、ドレインとを含み、ゲートは、ゲートラインに結合され、ソースは、走査ラインに結合され、ドレインは、ピクセル電極に結合され、コントローラは、時間依存性電圧をゲートライン、走査ライン、上部電極に提供する。電気光学ディスプレイは、以下のステップ、すなわち、a)第1の電圧を上部電極に提供するステップと、b)特定の電圧をピクセル電極のアレイの各電極に第1の連続順序で提供するステップであって、アレイの少なくとも10個のピクセルは、ピクセル電極の大多数とは異なる特定の電圧を有する、ステップと、c)特定の電圧をピクセル電極のアレイの各電極に第2の連続順序で提供するステップであって、特定の電圧をピクセル電極に第2の連続順序で提供する順序は、第1の連続順序の逆の順序であり、各ピクセルは、第1の連続順序および第2の連続順序の両方において、同一の特定の電圧を受信する、ステップと、d)第1の電圧とは異なる第2の電圧を上部電極に提供するステップとを(順に)実行するように構成される。ピクセル電極は、ステップ(b)と(c)との間にコントローラから別の電圧を受信しない。一実施形態では、TFTは、非晶質シリコンから加工される。一実施形態では、上部電極は、光透過性である。一実施形態では、第1の電圧は、+15Vであり、第2の電圧は、-15Vである。一実施形態では、第1の電圧は、-15Vであり、第2の電圧は、+15Vである。一実施形態では、アレイの少なくとも100個のピクセルは、ピクセル電極の大多数とは異なる特定の電圧を有する。一実施形態では、電気光学材料の層は、印加された電場に応答して、上部電極とバックプレーンとの間で移動する複数のタイプの荷電粒子を備える、カプセル化された電気泳動媒体を含む。一実施形態では、電気泳動媒体は、複数のマイクロカプセル内にカプセル化される、または複数のシールされたマイクロセル内にカプセル化される。一実施形態では、カプセル化された電気泳動媒体は、4つの異なるタイプの荷電粒子を備える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明の方法との併用にとって好適なカプセル化された電気泳動ディスプレイの実施形態を示す、概略断面図である。
【0033】
図2図2は、本発明の方法との併用にとって好適なカプセル化された電気泳動ディスプレイの実施形態を示す、概略断面図である。
【0034】
図3図3は、電気泳動ディスプレイの単一ピクセルの例示的等価回路を図示する。
【0035】
図4図4は、アクティブマトリクスデバイス内のピクセル電極上の電圧を制御するための例示的駆動システムの図式図である。結果として生じる電圧は、電気光学媒体の光学状態を設定するために使用されることができる。
【0036】
図5図5は、黒色、白色、減法三原色(黄色、マゼンタ色、およびシアン色)、および加法三原色(赤色、青色、および緑色)を表示するときの電気泳動媒体中の白色、シアン色、黄色、およびマゼンタ色粒子の位置を示す、図式図である。
【0037】
図6図6は、3つの減法的粒子および散乱(白色)粒子を含む、電気泳動媒体をアドレス指定するための例示的プッシュプル駆動スキームを示す。
【0038】
図7図7は、貯蔵コンデンサ(Vcom)および上部電極(Vtop)が、ともに(両方のVcom)結着されるときの単一ピクセルの例示的等価回路を図示する。
【0039】
図8A図8Aは、トッププレーン切替が、ゼロフレームを介入させることなく使用されるとき、ピクセル電極によって「被られる」電圧を図示する。図8Aに関する時間軸は、図10Aまたは11Aよりはるかに短いことに留意されたい。
【0040】
図8B図8Bは、図8Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vである間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、まだ開放されていない。
【0041】
図8C図8Cは、図8Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、Vcomが、+15Vにある間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、Vcomが、+15Vにある間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、Vcomが、+15Vにある間、まだ開放されていない。底部ピクセルのゲートが開放されてからの短い時間量のために、底部ピクセル内のピクセル電極によって「被られる」電圧は、実際には、かなり高い約45Vである。
【0042】
図8D図8Dは、図8Aのように駆動させ、Vcom=-15Vの初期状態に戻ることを試みた後の3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、まだ開放されていない。底部ピクセルのゲートが開放されてからの短い時間量のために、底部ピクセル内のピクセル電極によって「被られる」電圧は、実際には、かなり低い約-45Vである。
【0043】
図9A図9Aは、アクティブマトリクスバックプレーンと併用される、典型的な「左から右、上部から底部」走査経路を図示する。本経路が、(単独で)トッププレーン切替と併用されるとき、ピクセルが、行毎方式において駆動されるとき、所与のピクセルによって経験されるインパルス(電圧×時間)は、位置依存である。結果として、ピクセル電極に隣接する材料(例えば、電気泳動媒体またはエレクトロウェッティング液滴)は、位置依存の環境を経験するであろう。
【0044】
図9B図9Bは、2つのステップ、すなわち、「左から右、上部から底部」走査経路と組み合わせて、補完的な「右から左、底部から上部」走査経路を使用することは、より少ない位置変動を伴う電場環境を有するピクセルのアレイをもたらすことを図示する。
【0045】
図10A図10Aは、トッププレーン切替が、使用されるが、VcomおよびVが、トッププレーンを低電圧から高電圧に切替する間のフレームのために、ゼロボルトに戻されるときのピクセル電極によって「被られる」電圧を図示する。
【0046】
図10B図10Bは、図10Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、まだ開放されていない。
【0047】
図10C図10Cは、図10Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、VおよびVcomが、0Vにある間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、VおよびVcomが、0Vにある間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、VおよびVcomが、0Vにある間、まだ開放されていない。底部ピクセルのゲートが開放されてからの短い時間量のために、底部ピクセル内のピクセル電極によって「被られる」電圧は、0Vより高いが、a-Siトランジスタに関する動作可能範囲内である。
【0048】
図10D図10Dは、図10Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、Vcomが、+15Vにある間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、Vcomが、-+15Vにある間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、Vcomが、+15Vにある間、まだ開放されていない。
【0049】
図10E図10Eは、図10Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、VおよびVcomが、0Vにある間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、VおよびVcomが、0Vにある間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、VおよびVcomが、0Vにある間、まだ開放されていない。底部ピクセルのゲートが開放されてからの短い時間量のために、底部ピクセル内のピクセル電極によって「被られる」電圧は、0Vより低いが、a-Siトランジスタに関する動作可能範囲内である。
【0050】
図10F図10Fは、図10Bの状態に戻されている、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。
【0051】
図11A図11Aは、トッププレーン切替が使用されるが、VcomおよびVが、トッププレーンを低電圧から高電圧に切替する間に相互に「短絡」されるとき、ピクセル電極によって「被られる」電圧を図示する(典型的には、VcomおよびVは、実際には、短絡されないが、コントローラから同一の電圧を提供される)。
【0052】
図11B図11Bは、図11Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、Vcomが、-15Vにある間、まだ開放されていない。
【0053】
図11C図11Cは、図11Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、V=Vcom=-15Vである間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、V=Vcom=-15Vである間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、V=Vcom=-15Vである間、まだ開放されていない。底部ピクセルのゲートが開放されてからの短い時間量のために、底部ピクセル内のピクセル電極によって「被られる」電圧は、0Vより高いが、V=Vcom=-15Vであるため、ピクセル電極は、+15Vのみを「被って」おり、これは、a-Siトランジスタに関する動作可能範囲内であるだけではなく、最後行内のピクセル電極上へのインパルスの欠如が、表示色または液滴移動における不均等性を減少させている。
【0054】
図11D図11Dは、図11Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、Vcomが、+15Vにある間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、Vcomが、-+15Vにある間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、Vcomが、+15Vにある間、まだ開放されていない。
【0055】
図11E図11Eは、図11Aに示されるように駆動される、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。上部ピクセルのゲートは、V=Vcom=15Vである間、すでに開放および閉鎖されている。真中ピクセルのゲートは、V=Vcom=15Vである間、現時点において、開放されている。底部ピクセルのゲートは、V=Vcom=15Vである間、まだ開放されていない。再度、底部ピクセルによって「被られる」電圧は、-15Vのみである。
【0056】
図11F図11Fは、図11Bの状態に戻されている、3つの異なるピクセルの例示的等価回路内の種々の点における電圧を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0057】
詳細な説明
本発明は、いわゆるトッププレーン切替(すなわち、上部電極上の電圧が、デバイス更新の過程の間に変動される)を用いて、電気光学媒体デバイスを駆動させる、改良された方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、4粒子を含む、電気泳動媒体であって、粒子のうちの2つは、着色かつ減法的であり、粒子のうちの少なくとも1つは、散乱性である、電気泳動媒体と併用される。典型的には、そのようなシステムは、白色粒子、およびシアン色、黄色、およびマゼンタ色減法原色粒子を含む。そのようなシステムが、図5に図式的に示されており、これは、全てのピクセルにおいて、白色、黄色、赤色、マゼンタ色、青色、シアン色、緑色、および黒色を提供することができる。
【0058】
ディスプレイデバイスは、先行技術において公知である、いくつかの方法において、本発明の電気泳動流体を使用して構築されてもよい。電気泳動流体は、マイクロカプセル内にカプセル化される、またはマイクロセル構造の中に組み込まれ、その後、ポリマー層でシールされてもよい。マイクロカプセルまたはマイクロセル層は、導電性材料の透明コーティングを担持するプラスチック基板またはフィルムの上にコーティングまたはエンボス加工されてもよい。本アセンブリは、導電性接着剤を使用して、ピクセル電極を担持するバックプレーンにラミネートされてもよい。代替として、電気泳動流体は、ピクセル電極のアクティブマトリクスを含む、バックプレーン上に配列されている、薄い連続セルグリッド上に直接分注されてもよい。充填されたグリッドは、次いで、統合される保護用シート/光透過性電極とともに上部シールされ得る。
【0059】
図1および2を参照すると、電気泳動ディスプレイ(101、102)は、典型的には、上部透過性電極110と、電気泳動媒体120と、底部電極130とを含み、これらは、多くの場合、下記にさらに詳細に議論されるように、薄膜トランジスタ(TFT)を用いて制御されるピクセルのアクティブマトリクスのピクセル電極である。電気泳動媒体120は、少なくとも1つの電気泳動粒子121を含有するが、しかしながら、第2の電気泳動粒子122または第3の電気泳動粒子123、第4の電気泳動粒子124、またはそれを上回る粒子が、実現可能である。電気泳動媒体120は、典型的には、イソパラフィン等の溶媒を含み、また、状態安定性、例えば、双安定性、すなわち、いかなる付加的なエネルギーを入力することなく、電気光学状態を維持するための能力を促進するために、分散ポリマーと、電荷制御剤とを含んでもよい。
【0060】
電気泳動媒体120は、典型的には、マイクロカプセル126またはマイクロセル127の壁によって等、区画化される。ディスプレイ全体のスタックは、典型的には、基板150上に配置され、これは、剛性または可撓性であり得る。ディスプレイ(101、102)はまた、典型的には、保護層160も含み、これは、上部電極110を損傷から単に保護し得る、またはこれは、水の浸入等を防止するためにディスプレイ全体(101、102)全体を包囲し得る。電気泳動ディスプレイ(101、102)はまた、必要に応じて、1つまたはそれを上回る接着剤層140、170および/またはシール層180を含んでもよい。いくつかの実施形態では、接着剤層は、電極層110への接着を改良するために、プライマー成分を含んでもよい、または別個のプライマー層(図1または2には図示せず)が、使用されてもよい(電気泳動ディスプレイの構造、および構成要素部品、顔料、接着剤、電極材料等は、米国第6,922,276号、第7,002,728号、第7,072,095号、第7,116,318号、第7,715,088号、および第7,839,564号(これらは全て、参照することによって、それらの全体として本明細書に組み込まれる)等のE Ink Corporationによって公開された多くの特許および特許出願において説明されている)。
【0061】
非晶質シリコンTFTバックプレーンは、通常、ピクセル電極または推進電極あたり、1つのみのトランジスタを有する。図3に図示されるように、各トランジスタ(TFT)は、ゲートライン、データライン、およびピクセル電極(推進電極)に接続される。TFTゲート上に十分に大きい正電圧(またはトランジスタのタイプに応じて、負電圧)が存在するとき、走査ラインとTFTドレインに結合されるピクセル電極との間に、低インピーダンスが存在し(すなわち、Vgが「オン」または「開」状態であり)、したがって、走査ライン上の電圧が、ピクセルの電極に伝達される。しかしながら、TFTゲート上に負電圧が存在するとき、高インピーダンスが存在し、電圧は、ピクセル貯蔵コンデンサ上に貯蔵され、他のピクセルが、アドレス指定される(すなわち、Vgが「オフ」または「閉」である)と、走査ライン上の電圧によって影響を受けない。したがって、理想的には、TFTは、デジタルスイッチとして作用するべきである。実践では、TFTが「オン」設定にあるとき、依然として、ある量の抵抗が存在し、したがって、ピクセルは、充電するためにある程度の時間がかかる。加えて、TFTが、「OFF」設定にあるとき、電圧は、VからVpixに漏出し、クロストークを引き起こし得る。貯蔵コンデンサCsの静電容量を増加させることは、クロストークを低減させるが、ピクセルを充電することをより困難にするという代償を払い、充電時間を増加させる。図3に示されるように、別個の電圧(VTOP)が、上部電極に提供され、したがって、上部電極とピクセル電極との間に電場(VFPL)を確立する。最終的に、これは、関連する電気光学媒体の光学状態を決定する、VFPLの値である。貯蔵コンデンサの第1の側が、ピクセル電極に結合される一方、貯蔵コンデンサの第2の側は、電荷がピクセル電極から除去されることを可能にする、別個のライン(VCOM)に結合される。例えば、米国特許第7,176,880号(参照することによって、その全体として組み込まれる)参照[いくつかの実施形態では、N型半導体(例えば、非晶質シリコン)が、トランジスタを形成するために使用され得、「選択」および「非選択」電圧が、それぞれ、正および負であり得る、ゲート電極に印加される]。いくつかの実施形態では、VCOMは、接地され得るが、しかしながら、例えば、米国特許第10,037,735号(参照することによって、その全体として組み込まれる)において説明されるように、電荷コンデンサから電荷を流出させるための多くの異なる設計が、存在する。
【0062】
大部分の商業用電気泳動ディスプレイは、加工設備のより幅広い可用性および種々の出発材料のコストのために、アクティブマトリクスバックプレーン(図4参照)の構築において、非晶質シリコンベースの薄膜トランジスタ(TFT)を使用する。残念ながら、非晶質シリコン薄膜トランジスタは、約+/-15Vより高い電圧の切替を可能にするであろうゲート電圧を供給されるとき、不安定な状態になる。それにもかかわらず、下記に説明されるように、ACePの性能は、高い正および負の電圧の大きさが、+/-15Vを超過することを可能にされるとき、改良される。故に、前の開示において説明されるように、改良された性能が、トッププレーン切替としても公知である、バックプレーンピクセル電極上のバイアスに対して、上部光透過性電極のバイアスを付加的に変化させることによって達成される。したがって、(バックプレーンに対して)+30Vの電圧が、必要とされる場合、トッププレーンが、-15Vに切替され得る一方、適切なバックプレーンピクセルは、+15Vに切替される。トッププレーン切替を用いて、4粒子電気泳動システムを駆動させる方法は、例えば、米国特許第9,921,451号において、さらに詳細に説明されている。
【0063】
高分解能ディスプレイを取得するために、ディスプレイの個々のピクセルが、隣接するピクセルからの干渉を伴わずに、アドレス指定可能でなければならない。本目的を達成するための1つの方法は、各ピクセルと関連付けられる少なくとも1つの非線形要素を伴う、トランジスタまたはダイオード等の非線形要素のアレイを提供し、図4に示されるアクティブマトリクスディスプレイ400を生産することである。1つのピクセルをアドレス指定する、アドレス指定またはピクセル電極が、基板402上に加工され、関連付けられる非線形要素を通して、適切な電圧源406に接続される。図4は、アクティブマトリクスバックプレーン400のレイアウトの図示であるが、現実には、アクティブマトリクスは、深さを有し、いくつかの要素、例えば、TFTは、実際には、ピクセル電極の真下にあり、ビアが、ドレインからピクセル電極への電気的接続を上方から提供し得ることを理解されたい。
【0064】
従来、高分解能アレイでは、ピクセルは、行および列の2次元アレイで配列され、したがって、任意の特定のピクセルは、1つの規定された行および1つの規定された列の交点によって一意に画定される。各列内の全てのトランジスタのソースは、単一の列(走査)ライン406に接続される一方、各行内の全てのトランジスタのゲートは、単一の行(ゲート)ライン408に接続され、再度、行に対するソースおよび列に対するゲートの割当が、一般通例であるが、本質的には任意であり、所望に応じて逆転され得る。ゲートライン408は、ゲートラインドライバ412に接続され、これは、本質的には、任意の所与の瞬間において、1つの行のみが選択されていること、すなわち、選択された行電極に対して、選択された行内の全てのトランジスタが伝導性であることを確実にするような選択電圧が印加される一方、全ての他の行に対して、これらの選択されていない行内の全てのトランジスタが非伝導性のままであることを確実にするような非選択電圧が印加されることを確実にする。列走査ライン406は、走査ラインドライバ410に接続され、これは、種々の走査ライン406に、選択された行内のピクセルをそれらの所望の光学状態に駆動させるために選択された電圧をかける(前述の電圧は、共通上部電極に対するものであり、図4には示されていない)。「ラインアドレス時間」として公知の事前に選択された間隔の後、選択された行は、選択解除され、次の行が、選択され、列ドライバ上の電圧は、ディスプレイの次のラインが書き込まれるように変化させられる。本プロセスは、表示全体が、行毎様式で書き込まれるように繰り返される。本行毎駆動のさらなる詳細は、下記に議論される。
【0065】
したがって、上記に説明されるように、トッププレーン切替を使用して、ピクセル電極の上方のアクティブ場を増加させることが可能である。ACeP(登録商標)の事例では、8つの主要色(赤色、緑色、青色、シアン色、マゼンタ色、黄色、黒色、および白色)はそれぞれ、4つの顔料の異なる配列に対応し、それによって、視認者には、白色顔料の視認側にある、それらの着色顔料のみ(すなわち、光を散乱する顔料のみ)が見える。これは、図5に示されている。これらの色を作製するために、4つの顔料を適切な構成に分別するための波形は、少なくとも5つの電圧レベル(高い正、低い正、ゼロ、低い負、高い負)を要求することが見出されている。図6を参照されたい。より幅広い範囲の色を実現させるために、付加的な電圧レベルが、顔料のより微妙な制御のために使用されなければならない。したがって、本発明は、そのような電気泳動媒体を駆動させるためのいくつかの改良された方法を提供し、したがって、それらは、ピクセル色をより高速にリフレッシュし、あまり閃光せず、視認者にとってより満足の行く色スペクトルをもたらす。
【0066】
例えば、米国特許第9,921,451号では、7つの異なる電圧が、各個々のピクセル電極における完全な色幅、すなわち、3つの正、3つの負、およびゼロを促進するために、各ピクセル電極に印加される。典型的には、これらの波形において使用される最大電圧は、非晶質シリコン薄膜トランジスタによって取り扱われ得るものより高いが、しかしながら、トッププレーン切替を伴わない。図6は、上記に説明される、4粒子カラー電気泳動ディスプレイシステムを駆動させるために使用される、(簡略化された形態での)典型的な波形を示す。そのような波形は、「プッシュプル」構造を有し、すなわち、それらは、異極性の2つのパルスを備える、双極子から成る。これらのパルスの大きさおよび長さは、取得される色を決定する。最低限、5つのそのような電圧レベルが、存在するべきである。図6は、高いまたは低い正および負電圧およびゼロボルトを示す。典型的には、「低」(L)は、約5~15Vの範囲を指す一方、「高」(H)は、約15~30Vの範囲を指す。一般に、「高い」電圧の大きさが高くなればなるほど、ディスプレイによって達成される色域は、より良好になる。「中」(M)レベルは、典型的には、約15Vであるが、しかしながら、Mの値は、幾分、粒子の組成、および電気泳動媒体の環境に依存するであろう。
【0067】
トッププレーン切替に伴う明確な問題点は、トッププレーンが、第1の状態、例えば、-15Vから第2の状態+15Vに切替されるとき、トッププレーンとピクセル電極との間の電気光学媒体または液滴(すなわち、VFPL)が、電場内で大きな揺れを経験することであり、これは、そのフレームの間に正しいインパルスを達成しないピクセルをもたらし得る。したがって、VTOPが、変更され、VCOMが、補正されない場合、ピクセルが、正しい色を達成しない場合がある、または液滴が、予想されるものと同程度に迅速に移動しない場合がある。本劇的な偏移を克服するために、VCOMおよびVTOPラインは、典型的には、例えば、図7に示されるように、共通ノードを通して、ともに結着され、したがって、ゲートが、開放されるとき、VFPLにおける相対的な変化は、期待されるように維持される。
【0068】
それにもかかわらず、図8A-8Dおよび9に説明されるように、VTOPおよびVCOMをともに連結することは、問題を完全に解決しない。第1に、特定の電圧の組み合わせに関して、およびアレイ内の特定のピクセルに関して、ピクセル電極およびTFT材料は、正常な動作可能境界の外側にある電場を受け得る。これは、トランジスタを通して電流漏出を引き起こし、望ましくない光学状態/液滴駆動をもたらす、および/またはピクセル電極材料と典型的には実際に接地される(またはそれに近い)周囲との間で電気化学反応を駆動し得る。加えて、デバイスが、伝導性材料を伴う接着剤の層を含むとき、瞬間高電圧は、接地への経路を伴う伝導性材料を通して短絡を(稀に)生成し得る。
【0069】
図8Aに示されるように、媒体上の電圧が、-30Vであるが、30Vに切替されるように意図されるとき、走査ラインが、+15Vの電圧を送達する一方、VTOPでもあるVCOMラインは、-15Vの電圧を受信する。TFTのゲートが、高い正パルスを用いて開放されるとき、ピクセル電極は、走査ラインから+15Vを「被り」、媒体は、+30Vを「被って」いる。しかしながら、ゲートが、2回目に開放される前に、トッププレーン(すなわち、VCOM)は、再度、切替される。これは、典型的には、当該ピクセルが、下記において、図8B-8Dに説明されるように、アレイの右下隅にあるときに起こる。しかしながら、VCOMが、-15Vから+15Vに進むとき、トッププレーンに対する電圧が、同一のままであるにもかかわらず、ピクセル電極は、その周囲に対する絶対値内の30Vから+45Vまで急上昇する。機能的には、ピクセル電極上の電圧における本スパイクは、TFTとVCOMとの間の容量性結合に起因する。そのようなスパイクは、TFTおよび/またはピクセル電極を損傷させ得る。図8Aには示されないが、ピクセルおよびトッププレーンが、逆順でアドレス指定されるとき、-45VのVPIXを達成することも可能である。
【0070】
トッププレーン切替の位置依存の影響は、図8B-8Dにさらに詳述されている。特に、上部電極が、ピクセル化されていない(すなわち、それが、単一の電極である)ため、協調された方法で、各ピクセルを上回る上部電極電圧を独立して切替することは不可能である。一般に、AM-TFT駆動における標準であるように、行毎、上部から底部切替が、使用されるとき、上部電極電圧が、変化させられた直後に、上部行は、典型的には、切替されるであろう(すなわち、ゲートは、開放される)。これは、図8Bに示されている。上部行が、アドレス指定された後しばらくして、図8Bの矢印によって示されるように、後続の行が、アドレス指定される。しかしながら、特に、大きなアレイに関して、VCOM電圧が、貯蔵コンデンサを通して、容量的に結合し、VPIXをVCOMにプルするために十分な時間が存在する。しかしながら、ピクセルの最後の行が、更新されるとき、ゲートが、開放されるとき(ΔV=30V)、ピクセル電極は、-15Vから+15Vまで急上昇し(VCOMによって下方にプルされ)、次いで、いったん次のフレームが、開始すると、VCOMは、接地に対する合計45Vの助勢のために、付加的な+15Vを加える。8Cを参照されたい。全てのピクセルを横断する中電圧は、アレイ内のピクセルの全てに関しておおよそ正しいが、ピクセルの良好な部分は、絶対電圧において、大きな揺れが見える。当然ながら、本プロセスは、図8Dに示されるように、ピクセルの絶対電圧を極端に負にプルするために逆順で働くことができる。
【0071】
より大きな面積のアクティブマトリクス切替に関するトッププレーン切替に伴って観察される第2の問題は、ピクセル電極と上部電極との間の電圧が、フレームの大部分に関して「正しい」にもかかわらず、例えば、電気光学媒体または液滴の応答を最終的に決定する、総インパルス(電圧×時間)が、アレイの第1の行内のピクセルとアレイの最後の行内のピクセルとの間で同一ではないことである。本現象は、図9Aに図示されており、正しい「状態」は、黒色によって表され、誤った状態は、白色である。これは、単一のフレーム内で、左上隅は、正しい状態に切替される一方、右下隅は、全く切替されないことを示すための強調表現であるが、これは、従来的な「左から右、上部から底部」走査経路を有する、長い更新の過程の間、インパルスの累積的なずれが、所望されない必然的な結果を有し得ることを伝えるための強調表現ではない。本問題は、特に、図9Aの右上における貯蔵コンデンサが、正しい電圧として充電(または放電)されるための余分な時間から利益を享受する、電気泳動ディスプレイ等の用途に関して深刻である。例えば、22インチの対角線ACeP(登録商標)デバイスが、生産されるとき、ディスプレイは、トッププレーン切替を組み込んでいる長い駆動波形を使用して単一の色に切替され、慣らされた眼が、電極の上部行と電極の底部行との間で、最終的な色における差異を検出することができる。
【0072】
典型的なシステムでは、図9Aに図示されるように、アドレス指定される合計m個のラインのうち第1のゲートラインnは、任意のラインの中の最良のものを働かせ、その作業の後、全てのラインが、徐々に十分に働かなくなる。アドレス指定されたゲートラインの最後の群、すなわち、行mは、最後のゲートラインがアドレス指定された後、トッププレート電圧が、新しい異なる電圧に切替されるため、不十分に実施させられる。トッププレートが、新たな電圧に切替されるとき、アドレス指定される最後のピクセルの貯蔵コンデンサは、1つのみのライン走査回数である、最後のピクセルの場合、その電荷を阻害されないままピクセルに印加するための最小回数を有している。第1のピクセルは、対照的に、電荷を阻害されないまま伝達するための完全なm回のライン走査回数を有している。ゲートラインmの数が、より大きくなるにつれて、非一様性は、悪化する。
【0073】
本欠陥に対する1つの簡単な解決策は、本非一様性を軽減することに役立てるために、ゲートラインをアドレス指定するパターンを変更し、それによって、各電圧に関する各ゲートラインの1つを上回る走査と、一様性を補助するためにラインをアドレス指定する1つを上回るパターンとを伴う、駆動の「スーパーフレーム」を生成することである。当然ながら、トッププレーンの更新間に付加的な更新通過路を加えることは、各フレームの長さを増加させる。それにもかかわらず、多くの用途では、上記に説明されるように、余分な回数が、ピクセルのうちのいくつかを切替下に置くことを回避するために容認可能である。
【0074】
本発明の一実施形態では、「スーパーフレーム」は、第1のフレームを伴い、ゲートラインは、第1のラインnから開始し、1回に1つずつ、n+1、n+2等を繰り返す通常の動作モードで、mがゲートラインの数となる、最後のラインn=mまで進行する。スーパーフレームの第2のフレームでは、m番目のゲートラインは、アドレス指定される第1のラインであり、ゲートドライバは、mから開始し、逆順で、m-1、m-2まで繰り返し、n、すなわち、第1のラインで終了する。換言すると、更新は、2つのステップを伴う。第1のステップは、従来的な「左から右、上部から底部」走査経路において走査するためにある。第2のステップは、逆順で、すなわち、「右から左、底部から上部」に走査するためにある。トッププレーン電圧が、変化させられる前に、本繰り返しが、ゲートラインを通して、前方に、次いで、後方に進む、本配置を有することによって、パネルのトッププレーン切替の一様性は、劇的に増加させられる。例示的な2つのステップの経路が、図9Bに図示されるが、しかしながら、「左から右、底部から上部」等の他の経路もまた、働き、コントローラが処理することをより容易にし得る。いずれにせよ、最後の行は、第1のフレームの終了時に、貯蔵コンデンサへの第1の電荷注入を得るが、第2のフレームの開始時に、第2の電荷注入を得る。これは、図9Bに描写されるように、ピクセルの全てを、各ピクセル上の経時的な電荷量に関して、均衡な状態にはるかにより近づける。
【0075】
図9Bに例証される本発明は、現時点において、入手可能な商業用ゲートドライバおよび「オールインワン」走査/ゲートドライバと互換性がある。例えば、EK72601チップ(E Ink Corporation)のTFTゲートドライバは、走査方向1-825または825-1に関する選択肢を有する。本実施例の目的のために、ゲートライン1は、上部と呼ばれ、ライン825または最大番号は、底部と称されるであろう。ゲート駆動スーパーフレームは、以下の通り進み、+または-の高電圧電位が要求されるかどうかに応じて、トッププレーンを+15Vまたは-15Vに設定し、ゲート走査パルスは、ゲートラインの走査を一回に1つずつ始動させ、次いで、初期ゲート走査が、進行し、ゲートラインを通して、アレイのサイズに応じて、1-825またはそれよりも少ない順序で走査するであろう。次いで、ゲート走査の方向に関する選択は、変更させられ、第2のゲート開始パルス信号が、ゲートラインの第2の走査を開始し、今回は、ライン825-1から、または504-1からの5.61インチパネルに対して逆方向になる。ゲートを上部から底部および底部から上部に走査した後にのみ、トッププレーン電圧は、次いで、駆動シーケンスの付加的なパルスを通して継続するように変化させられるであろう。
【0076】
高度な実施形態では、性能上の欠陥および損傷に対するリスクは、トッププレーンスイッチ間に「レスト」または「ゼロ」フレームを挿入することによって軽減され得る。ゼロフレームは、実際には、VCOMおよびVを0Vまたはある公称電圧値までもたらし得る、またはVCOMは、1つのフレームに関するVに合致されることができる、またはVは、1つのフレームに関するVCOMに合致されることができる。本着想は、トッププレーン電圧が、変化するにつれて、ピクセルを漏出させる、および/またはそれらの電荷を喪失させる、および/または故障させ得る、まだ走査されていないそれらのピクセル上の大きな電圧スパイクを防止することが可能であるということである。いくつかの実施形態では、最良の結果は、単一のフレームが、挿入されるときに見出され、走査ラインの全てが、最後の上部電極電圧と同じ電圧を給送され、TFTの全てが、1回でゲート化される。いくつかの実施形態では、ゲートの全てが、同時に、またはほぼ同時に開放されてもよい。当然ながら、付加的なフレームを光学波形またはエレクトロウェッティング駆動プロトコルに加えることは、タスクを完了させるための回数を増加させる。
【0077】
図10Aは、媒体上の電圧(VFPL)、すなわち、電気光学媒体が、+30Vから-30Vに切替される、切替の3つのフレームを示す。+30Vを進行し、-30Vに追従するフレームは、解説の目的のために、実際には、重要ではない。3つのフレームは、電気泳動媒体に関するリセットパルスの一部、または電気泳動媒体の色アドレス指定パルスの一部であり得る。図10Aの実施例では、VCOMおよびVは両方とも、単一のフレームに関して0Vまでもたらされ、0Vのフレームも経験する、媒体上の電圧をもたらす。図8Aのように、これらのパルスを経験するピクセルは、電極の第1の行内に存在せず、したがって、VCOMおよびVは、ゲートパルスが到着する少し前に切替される。ゲートが開放された後にのみ、VPIXは、Vに進むことができる。しかしながら、ゲートが開放される前に、VPIXは、VCOMに容量的に結合され、VCOMに向かってドリフトする。したがって、ゲートが、開放するとき、ピクセル電極上の絶対電圧における相当大きな急上昇が、依然として、存在し、すなわち、+30Vまで進む。これは大きいが、+30Vは、システムの動作可能範囲外ではなく、TFTまたはピクセル電極に対する損傷を引き起こす可能性は低い。トッププレーンが、ゼロフレームの後、最終的に切替されるとき、VPIXは、別のスパイクを受けるが、しかしながら、今回は、これは、+15Vまでのみである。ある程度まで、図8Aに示される+45Vスパイクは、2つのフレームにわたって分散されており、これは、デバイスに対する損傷のリスクを減少させる。図8B-8Dと同様に、回路の種々の場所上の電圧は、ピクセルの行および更新の段階に応じて、識別されることができる。図10B-10Dは、図10Aの第1の3つのフレームのシーケンスを示し、図10Eは、別のゼロフレーム挿入を示し、図10Fは、図10Bの元々の状態への復帰である。
【0078】
対応する-30V~+30Vのパルスシーケンスが、図に示されていないにもかかわらず、駆動極性は、任意であることを理解されたい。したがって、パルスシーケンスの極性は、同一の電気的性能を達成するために反転されるが、反対の極性を伴い得る。当然ながら、反転された極性は、表示媒体または電気泳動推進への実影響を有し、すなわち、黒色から白色の代わりに、白色から黒色に切替される、または液滴を隣接するピクセル電極に移動させるのではなく、ピクセル電極上に留まらせ得る。それにもかかわらず、駆動波形および駆動させる方法は、電圧の極性を除いて同じである。加えて、説明されるパルスシーケンスは、例えば、波形を伸展させるために、無電圧の介在フレームとともに、離間され得る。シーケンスはまた、反復駆動のために、または最終的な光学状態を改良するために、任意の回数を繰り返されることができる。本明細書に説明されるシーケンスは、所望に応じて組み合わされてもよい。
【0079】
TFT回路上の歪みを減少させ、駆動の一貫性を改良する代替の方法は、トッププレーンスイッチ間に、VをVCOMまでもたらすことである。本方法は、図11A-11Eに図示されている。トッププレーンスイッチに先立って、1つのフレーム分だけ、VsをVCOMに「追従」させることによって、ピクセル電極上の絶対電圧の合計は、なおもさらに減少させられ、+15Vおよび-15Vのピークに到達する。本方法はまた、V電圧レベルが、単純な次のVCOMであるが、1フレーム早いため、V先行パルス方法とも称され得る。再度、図10Aのように、媒体上の合計電圧は、フレーム間でゼロまで進む。さらなる利点は、後のピクセル行に関して、除去するためのVPIX上の余分な電荷がより少なく存在するため、VsおよびVCOMの平衡化が、より迅速であることである。VFPLを+30Vから-30Vに、および再度、逆に切替するステップの詳細は、図11B-11Eに詳述されている。理論的には、ゼロフレームの間、VCOMをVに合致させることは、同等であるが、しかしながら、トランジスタゲート開放の速度のために、新たなVCOMが、設定される前に、先のVCOMに合致させるためのVスイッチを有することが、典型的には、より良好である。
【0080】
したがって、本発明は、電気光学ディスプレイを駆動させるための改良されたトッププレーン切替を提供する。これまで、本願の技術のいくつかの側面および実施形態が説明されたが、種々の改変例、修正例、および改良例が、当業者に容易に想起されるであろうことを理解されたい。そのような改変例、修正例、および改良例は、本願に説明される技術の精神および範囲内であるように意図される。例えば、当業者は、本明細書に説明される機能を実施する、および/または結果および/または利点のうちの1つまたはそれを上回るものを取得するための様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形例および/または修正例はそれぞれ、本明細書に説明される実施形態の範囲内であると見なされる。当業者は、単なる日常的実験を使用して、本明細書に説明される特定の実施形態の多くの均等物を認識する、またはそれを確認することが可能であろう。したがって、前述の実施形態は、一例としてのみ提示され、添付の請求項およびその均等物の範囲内において、本発明の実施形態は、具体的に説明されるものと別様に実践されてもよいことを理解されたい。加えて、本明細書に説明される、2つまたはそれを上回る特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせも、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が、相互に矛盾しない場合、本開示の範囲内に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
【国際調査報告】