(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】GCN2及びPERKキナーゼ阻害剤としての複素環式化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20241126BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/4365 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/4355 20060101ALI20241126BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20241126BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20241126BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241126BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241126BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241126BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20241126BHJP
【FI】
C07D487/04 140
C07D495/04 105A
A61K31/519 ZNA
A61K31/4365
A61K31/4355
A61K45/00
A61K31/69
A61K31/573
A61K31/454
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
C07D491/048 CSP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532281
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022051717
(87)【国際公開番号】W WO2023102228
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519425235
【氏名又は名称】デシフェラ・ファーマシューティカルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】アン,ユ・ミ
(72)【発明者】
【氏名】アル-アニ,ガダ
(72)【発明者】
【氏名】フリン,ダニエル・エル
(72)【発明者】
【氏名】ジェーブド,サリム
(72)【発明者】
【氏名】カーニー,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ル・ブルドネック,ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】ストルツ,クリステン
(72)【発明者】
【氏名】ツヴィッカー,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC201
4C084ZC202
4C084ZC751
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC21
4C086CB05
4C086CB06
4C086CB22
4C086CB26
4C086DA10
4C086DA43
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書では、GCN2キナーゼ、又はPERKキナーゼの阻害剤である式1-Aの化合物、及びGCN2キナーゼ又はPERKキナーゼ関連疾患を含む疾患を、前記化合物で治療する方法が、記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I-Aで表される化合物:
【化1】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体であって、式中、
X
1及びX
3は、それぞれ独立して、CH及びNからなる群から選択され、
X
2は、NR
6、O、及びSからなる群から選択され、
R
1、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、シアノ及びアルコキシからなる群から選択され、
R
4は、ハロゲン、アルコキシ、及びアルキルからなる群から選択され、
R
5は、H、ハロゲン及びアルキルからなる群から選択され、
R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルケニルアルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
R
7は、H、アルキル、及びアシルからなる群から選択される、化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項2】
R
1、R
2及びR
3のうちの少なくとも1つが、ハロゲンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1、R
2及びR
3のうちの少なくとも1つが、フルオロである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R
1が、フルオロである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
X
1が、Nである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
式I-Bで表される化合物:
【化2】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体であって、式中、
X
1及びX
3は、それぞれ独立して、CH及びNからなる群から選択され、
X
2は、NR
6、O、及びSからなる群から選択され、
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、シアノ及びアルコキシからなる群から選択され、
R
4は、ハロゲン、アルコキシ、及びアルキルからなる群から選択され、
R
5は、H、ハロゲン及びアルキルからなる群から選択され、
R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルケニルアルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
R
7は、H、アルキル、及びアシルからなる群から選択される、化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項7】
X
1が、Nである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式I-Cで表される化合物:
【化3】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体であって、式中、
X
2は、NR
6、O、及びSからなる群から選択され、
X
3は、CH及びNからなる群から選択され、
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、シアノ及びアルコキシからなる群から選択され、
R
4は、ハロゲン、アルコキシ、及びアルキルからなる群から選択され、
R
5は、H、ハロゲン、及びアルキルからなる群から選択され、
R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルケニルアルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
R
7は、H、アルキル、及びアシルからなる群から選択される、化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項9】
X
2が、NR
6である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式I-Dで表される化合物:
【化4】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体であって、式中、
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、H、ハロゲン、シアノ及びアルコキシからなる群から選択され、
R
4は、ハロゲン、アルコキシ、及びアルキルからなる群から選択され、
R
5は、H、ハロゲン及びアルキルからなる群から選択され、
R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルケニルアルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
R
7は、H、アルキル、及びアセテートからなる群から選択される、化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体。
【請求項11】
R
2が、Hであり、R
3が、Hである、請求項6~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
2が、Fであり、R
3が、Hである、請求項6~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
2が、Hであり、R
3が、Fである、請求項6~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
R
6が、(C
1-C
8)アルキル、(C
2-C
8)アルケニル、(C
2-C
8)アルケニル-(C
1-C
4)アルキル、(C
2-C
8)アルキニル、(C
2-C
8)アルキニル-(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル-(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
8)アルコキシ-(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルケニル、(C
3-C
8)シクロアルケニル-(C
1-C
4)アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-(C
1-C
4)アルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリール-(C
1-C
4)アルキルからなる群から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
R
6が、(C
1-C
8)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル、(C
3-C
8)アルコキシ-(C
1-C
4)アルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールからなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
R
6が、以下からなる群から選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物
【化5】
【請求項17】
R
4が、ハロゲン、(C
1-C
6)アルコキシ及び(C
1-C
6)アルキルからなる群から選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
R
4が、クロロ、フルオロ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
R
5が、H、ハロゲン、及び(C
1-C
6)アルキルからなる群から選択される、請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
R
5が、クロロ、フルオロ、及びメチルからなる群から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
R
7が、Hである、請求項1~20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
以下からなる群から選択される化合物:
【化6】
並びにその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、及び互変異性体。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体、又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項24】
統合的ストレス応答の調節不全によって引き起こされる疾患の治療を必要とする患者において、その疾患の治療をする方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記統合的ストレス応答、及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全が、PERKキナーゼ、及びGCN2キナーゼからなる群から選択されるキナーゼによって引き起こされる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記統合的ストレス応答、及び/又は前記小胞体ストレス応答の前記調節不全が、GCN2キナーゼによって引き起こされる、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記統合的ストレス応答、及び/又は前記小胞体ストレス応答の前記調節不全が、PERKキナーゼによって引き起こされる、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
CGN2キナーゼの活性の調節を必要とする患者において、CGN2キナーゼの活性を調節する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項29】
GCN2キナーゼの活性化を必要とする患者において、GCN2キナーゼを活性化する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項30】
PERKキナーゼの活性の調節を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性を調節する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項31】
PERKキナーゼの活性化を必要とする患者において、PERKキナーゼを活性化する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項32】
GCN2キナーゼ、及びPERKキナーゼの阻害を必要とする患者において、GCN2キナーゼ、及びPERKキナーゼを阻害する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項33】
GCN2キナーゼの活性の阻害を必要とする患者において、GCN2キナーゼの活性を阻害する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項34】
PERKキナーゼの活性の阻害を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性を阻害する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項35】
がんの治療を必要とする患者において、がんを治療する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項36】
前記がんが、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ芽球性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、軽鎖アミロイドーシス、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記がんが、白血病である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項38】
前記がんが、急性骨髄性白血病である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記がんが、急性リンパ芽球性白血病である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項40】
前記がんが、線維肉腫である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項41】
前記がんが、多発性骨髄腫である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項42】
前記がんが、リンパ腫である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項43】
前記がんが、B細胞リンパ腫である、請求項127又は128に記載の方法。
【請求項44】
前記がんが、T細胞リンパ腫である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項45】
それを必要とする患者のアミロイドーシスを治療する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項46】
それを必要とする患者の軽鎖アミロイドーシスを治療する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項47】
GCN2関連疾患、及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その疾患を治療する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項48】
前記疾患が、GCN2関連疾患である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記疾患が、PERK関連疾患である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記疾患が、がんである、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記がんが、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記がんが、白血病である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
前記がんが、急性骨髄性白血病である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項54】
前記がんが、急性リンパ芽球性白血病である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項55】
前記がんが、線維肉腫である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項56】
前記がんが、多発性骨髄腫である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項57】
前記がんが、リンパ腫である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項58】
前記がんが、B細胞リンパ腫である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項59】
前記がんが、T細胞リンパ腫である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項60】
前記疾患が、アミロイドーシスである、請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記疾患が、軽鎖アミロイドーシスである、請求項47に記載の方法。
【請求項62】
GCN2関連疾患、及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その疾患を治療する方法であって、治療有効量の、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、及び治療有効量の、1つ以上の治療剤を、前記患者に投与することを含む、方法。
【請求項63】
前記疾患が、GCN2関連疾患である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患が、PERK関連疾患である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記疾患が、がんである、請求項62~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記がんが、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、軽鎖アミロイドーシス、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記がんが、白血病である、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項68】
白血病が、急性骨髄性白血病である、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項69】
白血病が、急性リンパ芽球性白血病である、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項70】
前記がんが、線維肉腫である、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項71】
前記がんが、多発性骨髄腫である、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項72】
前記がんが、リンパ腫である、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項73】
前記がんが、B細胞リンパ腫である、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項74】
前記がんが、T細胞リンパ腫である、請求項65又は66に記載の方法。
【請求項75】
前記疾患が、アミロイドーシスである、請求項62に記載の方法。
【請求項76】
前記疾患が、軽鎖アミロイドーシスである、請求項62に記載の方法。
【請求項77】
前記1つ以上の治療剤が、IMiD剤、プロテアソーム阻害剤、ステロイド、抗CD38剤、抗CD20剤、Bcl-2阻害剤、PI3K阻害剤、二特異性抗体、ヌクレオシド類似体、BTK阻害剤、DNAアルキル化剤、EZH2阻害剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼ阻害剤、プラチン、チロシンキナーゼ阻害剤、HDAC阻害剤、核外輸送阻害剤、微小管阻害剤、L-アスパラギナーゼ、ペグ化アスパラギナーゼ、PERK阻害剤、mTOR阻害剤、免疫調節剤、MAPK経路阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、及びRas阻害剤からなる群から選択される、請求項62~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記1つ以上の治療剤が、L-アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ、カラスパルガーゼペゴル-mnkl、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、デキサメタゾン、プレドニゾン、ダラツムマブ、ダラツムマブ/ヒアルロニダーゼ、イサツキシマブ、リツキシマブ、オビヌツズマブ、ベネトクラクス、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウムブラリシブ、ゲムシタビン、シタラビン、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、ベンダムスチン、シクロホスファミド、タゼメトスタット、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、オキサロプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、ボスチニブ、ダサチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、パノビノスタット、セリネクソール、ビンクリスチン、JZP-458、エリアスパーゼ、PF745(JZP-341)、アスパラギナーゼ Erwinia chrysanthemi(クリサンタスパーゼ)、Escherichia coliアスパラギナーゼ(コラスパーゼ)、抗PD1剤、抗PDL1剤、及び抗CTLA4剤からなる群から選択される、請求項62~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
統合ストレス応答、及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全によって引き起こされる疾患の治療を必要とする患者において、その治療に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項80】
前記統合的ストレス応答、及び/又は前記小胞体ストレス応答の前記調節不全が、PERKキナーゼ、及びGCN2キナーゼからなる群から選択されるキナーゼによって引き起こされる、請求項79に記載の使用。
【請求項81】
前記統合的ストレス応答、及び/又は前記小胞体ストレス応答の前記調節不全が、GCN2キナーゼによって引き起こされる、請求項79又は80に記載の使用。
【請求項82】
前記統合的ストレス応答、及び/又は前記小胞体ストレス応答の前記調節不全が、PERKキナーゼによって引き起こされる、請求項79又は80に記載の使用。
【請求項83】
GCN2キナーゼの活性の調節を必要とする患者において、GCN2キナーゼの活性の調節に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項84】
GCN2キナーゼの活性化を必要とする患者において、GCN2キナーゼの活性化に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項85】
PERKキナーゼの活性の調節を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性の調節に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項86】
PERKキナーゼの活性化を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性化に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項87】
GCN2キナーゼの阻害、及びPERKキナーゼの阻害を必要とする患者において、GCN2キナーゼの阻害、及びPERKキナーゼの阻害に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項88】
GCN2キナーゼの活性の調節を必要とする患者において、GCN2キナーゼの活性の調節に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項89】
PERKキナーゼの活性の阻害を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性の阻害に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項90】
がんの治療を必要とする患者において、がんの治療に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項91】
前記がんが、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される、請求項89に記載の使用。
【請求項92】
前記がんが、白血病である、請求項89又は90に記載の使用。
【請求項93】
前記がんが、急性骨髄性白血病である、請求項89又は90に記載の使用。
【請求項94】
前記がんが、急性リンパ芽球性白血病である、請求項89又は90に記載の使用。
【請求項95】
前記がんが、線維肉腫である、請求項89又は90に記載の使用。
【請求項96】
前記がんが、多発性骨髄腫である、請求項89又は90に記載の使用。
【請求項97】
前記がんが、リンパ腫である、請求項89又は90に記載の使用。
【請求項98】
前記がんが、B細胞リンパ腫である、請求項89又は90に記載の使用。
【請求項99】
前記がんが、T細胞リンパ腫である、請求項89又は90に記載の使用。
【請求項100】
アミロイドーシスの治療を必要とする患者において、アミロイドーシスの治療に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項101】
軽鎖アミロイドーシスの治療を必要とする患者において、軽鎖アミロイドーシスの治療に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項102】
GCN2関連疾患、及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その疾患の治療に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項103】
前記疾患が、GCN2関連疾患である、請求項101に記載の使用。
【請求項104】
前記疾患が、PERK関連疾患である、請求項101に記載の使用。
【請求項105】
前記疾患が、がんである、請求項101~103のいずれか一項に記載の使用。
【請求項106】
前記がんが、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される、請求項104に記載の使用。
【請求項107】
前記がんが、白血病である、請求項103又は104に記載の使用。
【請求項108】
前記がんが、急性骨髄性白血病である、請求項103又は104に記載の使用。
【請求項109】
前記がんが、急性リンパ芽球性白血病である、請求項103又は104に記載の使用。
【請求項110】
前記がんが、線維肉腫である、請求項103又は104に記載の使用。
【請求項111】
前記がんが、多発性骨髄腫である、請求項103又は104に記載の方法。
【請求項112】
前記がんが、リンパ腫である、請求項103又は104に記載の方法。
【請求項113】
前記がんが、B細胞リンパ腫である、請求項103又は104に記載の方法。
【請求項114】
前記がんが、T細胞リンパ腫である、請求項103又は104に記載の方法。
【請求項115】
前記疾患が、アミロイドーシスである、請求項101に記載の使用。
【請求項116】
前記疾患が、軽鎖アミロイドーシスである、請求項101に記載の使用。
【請求項117】
GCN2関連疾患、及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その治療に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項118】
前記疾患が、GCN2関連疾患である、請求項116に記載の使用。
【請求項119】
前記疾患が、PERK関連疾患である、請求項116に記載の使用。
【請求項120】
前記疾患が、がんである、請求項116~118のいずれか一項に記載の使用。
【請求項121】
前記がんが、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される、請求項119に記載の使用。
【請求項122】
前記がんが、白血病である、請求項119又は120に記載の使用。
【請求項123】
白血病が、急性骨髄性白血病である、請求項119又は120に記載の使用。
【請求項124】
白血病が、急性リンパ芽球性白血病である、請求項119又は120に記載の使用。
【請求項125】
前記がんが、線維肉腫である、請求項119又は120に記載の使用。
【請求項126】
前記がんが、多発性骨髄腫である、請求項119又は120に記載の方法。
【請求項127】
前記がんが、リンパ腫である、請求項119又は120に記載の方法。
【請求項128】
前記がんが、B細胞リンパ腫である、請求項119又は120に記載の方法。
【請求項128】
前記がんが、T細胞リンパ腫である、請求項119又は120に記載の方法。
【請求項130】
前記疾患が、アミロイドーシスである、請求項116に記載の使用。
【請求項131】
前記疾患が、軽鎖アミロイドーシスである、請求項116に記載の方法。
【請求項132】
前記1つ以上の治療剤が、IMiD剤、プロテアソーム阻害剤、ステロイド、抗CD38剤、抗CD20剤、Bcl-2阻害剤、PI3K阻害剤、二特異性抗体、ヌクレオシド類似体、BTK阻害剤、DNAアルキル化剤、EZH2阻害剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼ阻害剤、プラチン、チロシンキナーゼ阻害剤、HDAC阻害剤、核外輸送阻害剤、微小管阻害剤、L-アスパラギナーゼ、ペグ化アスパラギナーゼ、PERK阻害剤、mTOR阻害剤、免疫調節剤、MAPK経路阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、及びRas阻害剤からなる群から選択される、請求項116~130のいずれか一項に記載の使用。
【請求項133】
前記1つ以上の治療剤が、L-アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ、カラスパルガーゼペゴル-mnkl、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、デキサメタゾン、プレドニゾン、ダラツムマブ、ダラツムマブ/ヒアルロニダーゼ、イサツキシマブ、リツキシマブ、オビヌツズマブ、ベネトクラクス、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウムブラリシブ、ゲムシタビン、シタラビン、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、ベンダムスチン、シクロホスファミド、タゼメトスタット、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、オキサロプラチン、カルボプラチン、シスプラチン、ボスチニブ、ダサチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、パノビノスタット、セリネクソール、ビンクリスチン、JZP-458、エリアスパーゼ、PF745(JZP-341)、アスパラギナーゼErwinia chrysanthemi(クリサンタスパーゼ)、Escherichia coliアスパラギナーゼ(コラスパーゼ)、抗PD1剤、抗PDL1剤、及び抗CTLA4剤からなる群から選択される、請求項116~130のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月3日に出願された米国仮特許出願第63/285,833号及び2022年6月3日に出願された米国仮特許出願第63/348,557号に対する優先権を主張するものであり、それらの各々の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
がん細胞は、異常な成長と急速な分裂を維持するために、継続的な栄養素の供給を必要とする。これらの栄養素の一部として、アミノ酸は腫瘍細胞の高い代謝要求をサポートするのに不可欠である。
【0003】
GCN2は、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼであり、統合的ストレス応答(ISR)の主要制御因子である真核生物翻訳開始因子2α(eIF2α)の1つである。ISRは、広範なストレス要因下で細胞恒常性を維持するために不可欠であり、細胞が低酸素やアミノ酸欠乏などのストレス条件に適応するときに活性化される。ISRは、細胞恒常性の攪乱に対する早期応答として作用するGCN2を含む、eIF2αキナーゼのリン酸化及び活性化によって調節される。GCN2に加えて、PKR様ERキナーゼ(PERK)、二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼ(PKR)、及びヘム調節性eIF2αキナーゼ(HRI)を含む、3つの他のeIF2αキナーゼファミリーがある。4つのeIF2αキナーゼは全て、そのキナーゼ触媒ドメインにおいて広範な相同性を共有するが、別個の調節ドメインを有する。IF2αキナーゼの各々は、別個の環境的及び生理学的ストレスに応答し、これはそれらの固有の調節機構を反映する。PERKキナーゼは、ATPの枯渇や小胞体ストレス応答などのストレス条件下で活性化され、GCN2と同様に、PERKキナーゼ活性化は、重要なISR転写因子ATF4のアップレギュレーションにつながる。
【0004】
必須アミノ酸制限又は他のストレス要因(UV照射、酸化還元ストレス、又はプロテアソーム阻害)の条件下で、GCN2はeIF2αをリン酸化し、これは新しい三元複合体の形成を阻害し、よってmRNA翻訳開始を阻害する。全体的なmRNAの翻訳を減少させつつ、腫瘍細胞におけるeIF2αのリン酸化はまた、ISR転写因子ATF4の翻訳を増加させ、これは、腫瘍細胞へのアミノ酸の供給に専用の遺伝子を含む多くのストレス応答遺伝子、すなわち、アミノ酸の腫瘍細胞への流入を媒介するアミノ酸合成酵素及びトランスポーターの発現を増加させる。ATF4は、ヒト固形腫瘍及び液体腫瘍において過剰発現しており、腫瘍の進行における重要な機能を示唆する。
【0005】
アスパラギンは、発がん及び腫瘍生物学に著しく影響を与えるいくつかの生合成経路に関与する重要なアミノ酸である。全ての細胞は、そのタンパク質合成及び成長のためにアスパラギンを必要とする。正常細胞は、内部合成を通してアスパラギン要件のほとんどを取得する。正常な細胞と比較して、がん細胞は、成長及び増殖するために増加した量のアスパラギンが必要であり、それ自身で必要量を産生することができないため、生存するために循環アスパラギンに頼らなければならない。アスパラギン合成酵素(ASNS)は、アスパラギン酸及びグルタミンからのアスパラギンの合成を触媒する。L-アスパラギナーゼ(ASNase)は循環アスパラギンを除去し、それによってがん細胞から重要な栄養素を奪い、それらを死滅させる。腫瘍特異的代謝特徴を標的とする抗がん治療の最初の例であるL-アスパラギナーゼの使用は、小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)において確立された治療であるが、毒性により、この患者集団を超えてのその使用が制限される。多数のALL細胞株におけるASNSの特に低レベルの発現は、正常な細胞のものと比較して、成長に必要な栄養としての循環血清アスパラギンに対する細胞の異常な依存性のために、アスパラギン枯渇を効果的な治療方法とする。アスパラギナーゼに対する応答不良は、再発リスクの増加と関連している。他の血液がん及び固形がんは、低レベルのASNSを発現するため、アスパラギン栄養要求株及びアスパラギナーゼ感受性でもあるはずである。逆に、一部のがんタイプでは、ASNSが過剰発現しており、細胞増殖、化学抵抗性、及び転移挙動を促進する。アスパラギナーゼ耐性がんの場合、L-アスパラギナーゼを通した血液アスパラギン枯渇の作用は、代わりに、有意なASNSの過剰発現につながり、化学療法剤の効果を事実上無効にする。多くの研究により、ASNSがアミノ酸欠乏及び他の形態の細胞ストレスに対する細胞応答の中心にあることが示されている。転写調節を通して、ASNS遺伝子は、細胞生存の確保を目的とした2つのシグナル伝達経路の標的である。最初のアミノ酸応答(Amino Acid Response、AAR)と名付けられたものは、不均衡なアミノ酸の可用性条件下でGCN2キナーゼによって活性化される。第二の経路は、小胞体ストレス応答(Unfolded Protein Response、UPR)と名付けられ、小胞体ストレス増加の条件下でPERKキナーゼによって活性化される。AAR経路及びUPR経路は、eIF2αのリン酸化に集中し、これは、全体的なタンパク質合成の減弱と同時に、転写因子ATF4を含む選択されたmRNA集団の優先的翻訳を引き起こす。ATF4は、ASNS誘導の主要因であり、ASNSプロモーター内のエンハンサー要素への結合を通してトランスアクチベーターとして機能する。
【0006】
GCN2は、ASNSの低い基底レベルの発現を有するがん細胞を、インビトロ及びインビボにおいて、抗白血病剤L-アスパラギナーゼに増感させる。GCN2阻害剤を用いた治療は、ASNSの誘導を防止することによって、急性リンパ芽球性白血病細胞をL-アスパラギナーゼ感受性にした。GCN2阻害剤は、ASNS低/欠乏がんにおいて、L-アスパラギナーゼと相乗的な抗増殖効果を示す。したがって、GCN2阻害剤及びL-アスパラギナーゼの併用療法は、急性リンパ芽球性白血病及び他のタイプのがんにおける転帰改善を達成する見込みがある。急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、及び膵がん細胞は、L-アスパラギナーゼ及びGCN2阻害剤の併用療法に対して特に感受性がある。過去に報告された研究によると、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、及び膵がん細胞におけるASNase及びGCN2阻害剤の併用療法は、L-アスパラギナーゼ又はGCN2阻害剤の単剤治療の結果と比較して力強い抗腫瘍活性を示した。よって、GCN2阻害剤は、これらの腫瘍の治療に使用されるL-アスパラギナーゼに対する増感剤を示しうる。要約すると、GCN2阻害は、基底レベルで低いASNS発現を有するがん細胞のASNS誘導を防止することにより、L-アスパラギナーゼ治療に対する感受性を高める。
【0007】
GCN2の阻害はまた、腫瘍細胞のトリプトファン依存性免疫監視を含む免疫系を含む腫瘍微小環境を標的とするための有効な戦略でありうる。
【0008】
腫瘍微小環境[TME:腫瘍細胞を囲む一連の細胞外成分及び間質細胞(内皮細胞、がん関連線維芽細胞、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍浸潤性T細胞)]は、酸素並びに、グルコース及びアミノ酸などの主要栄養素の欠乏を特徴とし、全体的な免疫抑制環境をもたらす。
【0009】
多くの腫瘍は、その代謝柔軟性を利用し、栄養素を自身の利益のために再配向することによって、免疫監視から逃れるように進化した。腫瘍内の間質細胞及び骨髄由来抑制細胞(MDSC)は、免疫機能を阻害し、腫瘍の成長を支持する栄養欠乏環境を作り出す。
【0010】
トリプトファン代謝における重要酵素〔インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)及びトリプトファン-2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)]の過剰発現によって駆動される、必須アミノ酸の1つであるトリプトファンの異化上昇は、腫瘍微小環境の細胞によって駆動され、多くのタイプのがんにおいて免疫抑制性微小環境をもたらす。局所的なトリプトファンの枯渇が、極めて重要なT細胞免疫抑制機序であると考えられる。T細胞では、GCN2キナーゼはトリプトファン欠乏の分子センサーとして特定されている。トリプトファンの枯渇によるGCN2の活性化は、アポトーシスを誘発し、T細胞増殖を軽減する。GCN2は、IDO/TDOの重要なエフェクターシグナル伝達成分であり、トリプトファン高度依存性T細胞の代謝チェックポイントと考えられている。
【0011】
GCN2経路は、腫瘍免疫逃避に重要であるだけでなく、腫瘍微小環境の他の側面の調節にも積極的な役割を果たす。GCN2ノックダウンは、腫瘍が血管新生の増加を介して栄養供給を増強するために使用する、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のアミノ酸欠乏(AAD)誘発性発現を防止することが実証されている。よって、GCN2/ATF4経路の活性化は、AAD介在性VEGF発現を通して腫瘍の成長及び血管新生を促進する。ATF4又はGCN2発現の抑止は、インビボでの腫瘍増殖を有意に阻害した。
【0012】
したがって、GCN2の選択的阻害は、免疫系の活性を増加させ、かつ腫瘍微小環境の血管形成を減少させることができる。GCN2-eIF2α-ATF4経路は、ストレス条件下での腫瘍細胞の代謝ホメオスタシスの維持、及び免疫抑制性免疫細胞の微小環境の維持に重要である。PERK-ATF4経路は、ストレス条件下での腫瘍細胞のホメオスタシスの維持にも重要である。GCN2の阻害が代償機序としてPERKを活性化し、逆もまた同様に、PERKの阻害が代償機序としてGCN2を活性化するように、GCN2及びPERKシグナル伝達経路の両方のクロストーク調節があることが報告されている。
【0013】
腫瘍細胞(腫瘍細胞自律性)及び腫瘍免疫細胞微小環境の両方において、GCN2及び/又はPERKの腫瘍促進側面を調節するGCN2及び/又はPERKの阻害剤に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0014】
本明細書では、GCN2(general control nonderepressible 2)キナーゼ及び/又はPERK(PKR様ERキナーゼ)キナーゼを調節(阻害又は活性)する化合物、並びにGCN2又はPERK関連疾患を含む障害の治療のためのその使用方法が記載されている。
【0015】
一実施形態では、式I-Aによって表される化合物:
【化1】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体が本明細書に記載され、式中:X
1及びX
3は各々独立して、CH及びNからなる群から選択され、X
2は、NR
6、O、及びSからなる群から選択され、R
1、R
2、及びR
3は各々独立して、H、ハロゲン、シアノ、及びアルコキシからなる群から選択され、R
4は、ハロゲン、アルコキシ及びアルキルからなる群から選択され、R
5は、H、ハロゲン及びアルキルからなる群から選択され、R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルケニルアルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、R
7は、H、アルキル、及びアシルからなる群から選択される。
【0016】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、本明細書に記載の式I-A、I-B、I-C、及びI-Dの化合物)と、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤とを含む医薬組成物が、本明細書に記載される。
【0017】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、統合的ストレス応答の調節不全によって引き起こされる疾患の治療を必要とする患者のその疾患を治療する方法が本明細書に記載されている。
【0018】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、統合的ストレス応答及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全によって引き起こされる疾患の治療を必要とする患者において、その疾患を治療する方法が本明細書に記載されている。
【0019】
別の実施形態では、本明細書に記載の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のGCN2キナーゼの活性を調節する方法が本明細書に記載されている。
【0020】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のGCN2キナーゼを活性化する方法が本明細書に記載されている。
【0021】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のPERKキナーゼの活性を調節する方法が本明細書に記載されている。
【0022】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のPERKキナーゼを活性化する方法が本明細書に記載されている。
【0023】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のGCN2キナーゼ及びPERKキナーゼを阻害する方法が本明細書に記載されている。
【0024】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、GCN2キナーゼの活性を調節を必要とする患者において、GCN2キナーゼの活性を調節する方法が本明細書に記載されている。
【0025】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、PERKキナーゼの活性を阻害を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性を阻害する方法が本明細書に記載されている。
【0026】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、GCN2関連疾患及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その疾患を治療する方法が本明細書に記載されている。
【0027】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の治療有効量と、1つ以上の治療剤の治療有効量とを患者に投与することを含む、GCN2関連疾患及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その疾患を治療する方法が本明細書に記載されている。
【0028】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、本明細書に記載される式I-A、I-B、I-C、及びI-Dの化合物)、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、がんの治療を必要とする患者において、がんを治療する方法が本明細書に記載されている。
【0029】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、本明細書に記載される式I-A、I-B、I-C、及びI-Dの化合物)又はその薬学的に許容可能な塩の治療有効量を患者に投与することを含む、治療を必要とする患者の黒色腫、線維肉腫、甲状腺がん、卵巣がん、結腸がん、膵がん、肺がん、膀胱がん、消化管間質腫瘍、固形腫瘍、血液由来のがん、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及びGCN2シグナル伝達経路の活性化によって引き起こされる他のがんからなる群から選択される障害を治療する方法が本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】化合物2の濃度の増加に応答したUPR/ISRマーカーATF4(黒色の棒)の予想外の刺激を示すグラフ表示である。
【
図2】NanoBRETアッセイにおいて、化合物2によって誘発されたPERKオリゴマーの刺激のグラフを示す。
【
図3】H929多発性骨髄腫細胞における、PERK下流シグナル伝達タンパク質ATF4及びCHOP(ローディング対照としてのアクチン)の刺激を示す。
【
図4】H929多発性骨髄腫細胞における化合物2の濃度の増加に応答したATF4標的遺伝子の刺激を示すグラフ表示である。
【
図5】H929多発性骨髄腫細胞におけるアポトーシス経路の読み出しに対する化合物2の効果を示す。
【
図6A】
図6A、6B、6C及び6Dは、RPMI8226多発性骨髄腫細胞(
図6A)、H929多発性骨髄腫細胞(
図6B)、GA-10バーキットリンパ腫細胞(
図6C)、及び濾胞性リンパ腫細胞(
図6D)における標準治療と組み合わせた化合物2の細胞増殖研究を示す。
【
図6B】
図6A、6B、6C及び6Dは、RPMI8226多発性骨髄腫細胞(
図6A)、H929多発性骨髄腫細胞(
図6B)、GA-10バーキットリンパ腫細胞(
図6C)、及び濾胞性リンパ腫細胞(
図6D)における標準治療と組み合わせた化合物2の細胞増殖研究を示す。
【
図6C】
図6A、6B、6C及び6Dは、RPMI8226多発性骨髄腫細胞(
図6A)、H929多発性骨髄腫細胞(
図6B)、GA-10バーキットリンパ腫細胞(
図6C)、及び濾胞性リンパ腫細胞(
図6D)における標準治療と組み合わせた化合物2の細胞増殖研究を示す。
【
図6D】
図6A、6B、6C及び6Dは、RPMI8226多発性骨髄腫細胞(
図6A)、H929多発性骨髄腫細胞(
図6B)、GA-10バーキットリンパ腫細胞(
図6C)、及び濾胞性リンパ腫細胞(
図6D)における標準治療と組み合わせた化合物2の細胞増殖研究を示す。
【
図7A】
図7A及び7Bは、インビボPK/PDモデルにおいて、GCN2活性を測定する、ATF4レベルに対するアスパラギナーゼと組み合わせた化合物2の効果を示す。
図7Aは、PK/PDモデル研究から得られた結果のデータプロットを示し、
図7Bは、結果を表形式で示す。
【
図7B】
図7A及び7Bは、インビボPK/PDモデルにおいて、GCN2活性を測定する、ATF4レベルに対するアスパラギナーゼと組み合わせた化合物2の効果を示す。
図7Aは、PK/PDモデル研究から得られた結果のデータプロットを示し、
図7Bは、結果を表形式で示す。
【
図8】MV-4-11異種移植モデルにおいて、腫瘍成長に対するアスパラギナーゼと組み合わせた化合物2の効果を示すプロットを示す。
【
図9A】
図9Aは、インビトロで組換えGCN2酵素の活性を測定する、組換えGCN2活性アッセイにおける化合物2の効果を示す。
図9Bは、インビトロで組換えPERK酵素の活性を測定する、組換えPERK活性アッセイにおける化合物2の効果を示す。
【
図9B】
図9Aは、インビトロで組換えGCN2酵素の活性を測定する、組換えGCN2活性アッセイにおける化合物2の効果を示す。
図9Bは、インビトロで組換えPERK酵素の活性を測定する、組換えPERK活性アッセイにおける化合物2の効果を示す。
【
図11A】
図11A、11B、及び11Cは、スフェロイド増殖アッセイにおける化合物2の効果を示す。
図11Aは、単剤としてのH2030固形腫瘍スフェロイドにおける、単剤としての、化合物2によるH2030固形腫瘍スフェロイドにおける細胞退縮を示す。
図11B及び11Cは、単剤としての、H358(
図11B)及びHT-1080(
図11C)固形腫瘍スフェロイドの細胞増殖に対する化合物2の効果を示す。
【
図11B】
図11A、11B、及び11Cは、スフェロイド増殖アッセイにおける化合物2の効果を示す。
図11Aは、単剤としてのH2030固形腫瘍スフェロイドにおける、単剤としての、化合物2によるH2030固形腫瘍スフェロイドにおける細胞退縮を示す。
図11B及び11Cは、単剤としての、H358(
図11B)及びHT-1080(
図11C)固形腫瘍スフェロイドの細胞増殖に対する化合物2の効果を示す。
【
図11C】
図11A、11B、及び11Cは、スフェロイド増殖アッセイにおける化合物2の効果を示す。
図11Aは、単剤としてのH2030固形腫瘍スフェロイドにおける、単剤としての、化合物2によるH2030固形腫瘍スフェロイドにおける細胞退縮を示す。
図11B及び11Cは、単剤としての、H358(
図11B)及びHT-1080(
図11C)固形腫瘍スフェロイドの細胞増殖に対する化合物2の効果を示す。
【
図12A】
図12A、12B、及び12Cは、スフェロイドの成長の阻害のための標準治療剤と組み合わせた化合物2の効果を示す。
図12Aは、ソトラシブと組み合わせた、又はソトラシブなしの化合物2力価(titer)で処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
図12Bは、ソトラシブと組み合わせた、又はソトラシブなしの化合物2力価で処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
図12Cは、トラメチニブと組み合わせた、又はトラメチニブなしの化合物2力価で処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
【
図12B】
図12A、12B、及び12Cは、スフェロイドの成長の阻害のための標準治療剤と組み合わせた化合物2の効果を示す。
図12Aは、ソトラシブと組み合わせた、又はソトラシブなしの化合物2力価(titer)で処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
図12Bは、ソトラシブと組み合わせた、又はソトラシブなしの化合物2力価で処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
図12Cは、トラメチニブと組み合わせた、又はトラメチニブなしの化合物2力価で処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
【
図12C】
図12A、12B、及び12Cは、スフェロイドの成長の阻害のための標準治療剤と組み合わせた化合物2の効果を示す。
図12Aは、ソトラシブと組み合わせた、又はソトラシブなしの化合物2力価(titer)で処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
図12Bは、ソトラシブと組み合わせた、又はソトラシブなしの化合物2力価で処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
図12Cは、トラメチニブと組み合わせた、又はトラメチニブなしの化合物2力価で処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
【
図13A】
図13A、13B、及び13Cは、HT-1080 shRNAノックダウンアッセイにおける化合物2の効果を示す。
図13Aは、HT-1080細胞株における標的化shRNAを使用したGCN2及びPERKノックダウンを示す。
図13Bは、ATF4シグナルのウェスタンブロット定量を表す。
図13Cは、スフェロイド成長阻害に対する化合物2の効果を示す。
【
図13B】
図13A、13B、及び13Cは、HT-1080 shRNAノックダウンアッセイにおける化合物2の効果を示す。
図13Aは、HT-1080細胞株における標的化shRNAを使用したGCN2及びPERKノックダウンを示す。
図13Bは、ATF4シグナルのウェスタンブロット定量を表す。
図13Cは、スフェロイド成長阻害に対する化合物2の効果を示す。
【
図13C】
図13A、13B、及び13Cは、HT-1080 shRNAノックダウンアッセイにおける化合物2の効果を示す。
図13Aは、HT-1080細胞株における標的化shRNAを使用したGCN2及びPERKノックダウンを示す。
図13Bは、ATF4シグナルのウェスタンブロット定量を表す。
図13Cは、スフェロイド成長阻害に対する化合物2の効果を示す。
【
図14A】
図14A及び14Bは、HT-1080線維肉腫異種移植PK/PDモデルにおける化合物2の効果を示す。
図14Aは、異なる用量での化合物2によるATF4レベルの上方制御を示す。
図14Bは、投与後の様々な時点における化合物2の対応する血漿レベルを示す。
【
図14B】
図14A及び14Bは、HT-1080線維肉腫異種移植PK/PDモデルにおける化合物2の効果を示す。
図14Aは、異なる用量での化合物2によるATF4レベルの上方制御を示す。
図14Bは、投与後の様々な時点における化合物2の対応する血漿レベルを示す。
【
図15A】
図15A及び15Bは、HT-1080異種移植有効性モデルにおける化合物2の効果を示す。
図15Aは、LoVo結腸直腸異種移植モデルにおける腫瘍成長に対する化合物2の効果を示し、
図15Bは、HT-1080線維肉腫異種移植モデルの腫瘍成長に対する化合物2の効果を示す。
【
図15B】
図15A及び15Bは、HT-1080異種移植有効性モデルにおける化合物2の効果を示す。
図15Aは、LoVo結腸直腸異種移植モデルにおける腫瘍成長に対する化合物2の効果を示し、
図15Bは、HT-1080線維肉腫異種移植モデルの腫瘍成長に対する化合物2の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本開示の特徴及び他の詳細を、より具体的に記載する。明細書、実施例及び添付の特許請求の範囲に採用される特定の用語を、ここにまとめる。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らして、当業者によって理解されるように読み取られるべきである。別段に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0032】
定義
本出願に記載される定義は、本出願全体を通して使用される用語を明確にすることを意図している。
【0033】
別段の規定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本主題が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、そうでないことが明記されない限り、以下の用語は、本開示の理解を容易にするために示された意味を有する。
【0034】
置換基との結合が環中の2つの原子を接続する結合を横断することが示されている場合、こうした置換基は環上の任意の原子に結合され得る。置換基が、こうした置換基が、それを介して所与の式の化合物の残りの部分に結合される原子を示すことなく列挙される場合、こうした置換基は、こうした置換基中の任意の原子を介して結合され得る。置換基の組み合わせ、置換基の位置及び/又は変数は、こうした組み合わせが安定した化合物をもたらす場合に許容される。
【0035】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈によってそうでないことが明確に示されない限り、複数の参照を包含する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「本明細書に」という用語は、本出願全体を意味する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「重水素化」は、少なくとも1つの水素原子が重水素によって置換されることを意味する。重水素化化合物の任意の試料において、化合物の一部の個別分子は、指定された位置に、重水素ではなく水素を有する可能性が高い。しかしながら、指定された位置に重水素を有する重水素化化合物の分子のパーセントは、天然に発生するものよりもはるかに大きいであろう。重水素化位置での重水素は濃縮されている。
【0038】
本明細書で使用される場合、「任意選択」又は「任意選択的に」という用語は、その後に記載される事象又は状況が発生する場合がある、又は発生しない場合があることを意味し、また、その記載は、事象又は状況が発生する場合、並びに発生しない場合を含む。例えば、「任意選択的に置換されるアルキル」は、アルキルが置換されていてもよく、アルキルが置換されていない場合も指す。
【0039】
当然のことながら、本開示の化合物上の置換基及び置換パターンは、当業者によって選択され、容易に利用可能な出発材料から、当該技術分野で公知の技術、並びに以下に記載される方法によって容易に合成され得る化学的に安定な化合物をもたらすことができる。置換基自体が複数の基で置換される場合、これらの複数の基は、安定した構造が得られる限り、同じ炭素又は異なる炭素上にあってもよいことが理解される。
【0040】
本明細書で使用される場合、「任意選択的に置換された」という用語は、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アミノ、アミノアルキル、シアノ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-OC(=O)-CH2-Oアルキルを含むがこれに限定されない、特定の置換基のラジカルを有する、所与の構造中の1~6個の水素原子の置換を指す。「任意選択的に置換された」とは、所与の構造中の1~4個の水素原子を、上述の置換基で置換することを指すことが好ましい。1~3個の水素原子が、上述の置換基によって置換されることがより好ましい。置換基は更に置換され得ることが理解される。
【0041】
本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、骨格の1つ以上の炭素上の水素を置換する置換基を有する部分を指す。当然のことながら、「置換」又は「~で置換された」は、こうした置換が置換された原子及び置換基の許容原子価に従っていること、及び置換が、例えば、再構成、環化、除去などにより自然に形質転換を受けない、安定した化合物をもたらすという暗黙の条件を含む。本明細書で使用される場合、「置換された」という用語は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことが企図される。広範な態様では、許容される置換基は、有機化合物の非環状及び環状、分岐及び非分岐、炭素環式及び複素環式、芳香族及び非芳香族置換基を含む。許容される置換基は、適切な有機化合物に対して、1つ以上の同一又は異なる置換基であり得る。本出願の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基及び/又は、ヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の任意の許容可能な置換基を有してもよい。
【0042】
置換基は、本明細書に記載される任意の置換基を含むことができ、例えば、こうした置換基は、特記されない限り、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、又はアシルなど)、アルコキシ、アミノ、アミド、イミン、シアノ、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、又は芳香族若しくはヘテロ芳香族部分を含み得る。当業者であれば、適切な場合、置換基自体を置換することができることを理解するであろう。例えば、置換アルキルの置換基は、アミノ、アミド、スルホニル、並びにエーテル、カルボニル(カルボキシレート、及びエステルを含む)、-CF3、-CNなどの置換形態及び非置換形態を含み得る。「非置換」として具体的に記載されない限り、本明細書の化学的部分への言及は、置換バリアントを含むと理解される。例えば、「アリール」基又は部分への言及は、置換バリアント及び非置換バリアントの両方を暗黙的に含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、完全に飽和した直鎖又は分岐非芳香族炭化水素を指す。典型的には、直鎖又は分岐アルキル基は、1~約20個、好ましくは1~約10個の炭素原子を有し、例えば、別段の定義がない限り、C1~C10アルキル又は例えばC1~C6アルキルであってもよい。直鎖アルキル基及び分岐アルキル基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、2-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tertブチル、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、ネオ-ペンチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、1-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、1-オクチル、2-オクチル、3-オクチル、又は4-オクチルなどが挙げられる。更に、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲全体を通して使用される「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方を含むことが意図されており、後者は、炭化水素骨格の1つ以上の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル部分を指す。「アルキル」基は、任意選択的に置換されてもよい。
【0044】
アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、又はアルコキシなどの化学部分とともに使用されるとき、「Cx-Cy」という用語は、鎖中にx~y個の炭素を含有する基を含むことを意味する。例えば、「Cx-Cy」という用語は、置換又は非置換の飽和炭化水素基を指し、これは、トリフルオロメチル及び2,2,2-トリフルオロエチルなどのハロアルキル基を含む、鎖中にx~y個の炭素を含有する直鎖アルキル及び分岐鎖アルキル基を含む。C0アルキルは、基が末端位置にある場合は水素を示し、内部にある場合は結合を示す。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和直鎖又は分岐炭化水素を指す。例示的なアルケニル基としては、限定されるものではないが、本明細書ではそれぞれC2-C6アルケニル、及びC3-C4アルケニルと呼ばれる、2~6個又は3~4個の炭素原子の直鎖又は分岐基が挙げられる。例示的なアルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和直鎖又は分岐炭化水素を指す。例示的なアルキニル基としては、限定されるものではないが、本明細書ではそれぞれC2-C6アルキニル、及びC3-C6アルキニルと呼ばれる、2~6個又は、3~6個の炭素原子の直鎖又は分岐基が含まれる。例示的なアルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、メチルプロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、コア構造に付着している酸素原子に結合された直鎖又は分岐状の飽和脂肪族(アルキル)炭化水素ラジカルを指す。アルコキシ基は、1~6個の炭素原子を有することが好ましい、すなわちC1~C6アルコキシであってもよい。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、3-メチルブトキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用される場合、「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されたアルキル基(上記に定義)を指し、一般式アルキル-O-アルキルによって表され得る。アルコキシアルキル基の例としては、メチル-O-エチレン-、エチル-O-エチレン-が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、アルキル基(上記に定義)が1つ以上のハロゲンで置換されていることを指す。モノハロアルキルラジカルは、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、又はフッ素原子を有し得る。ジハロ及びポリハロアルキルラジカルは、2つ以上の同じ又は異なるハロゲン原子を有し得る。ハロアルキルの例としては、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ジクロロエチル、ジクロロプロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」という用語は、アルコキシ基の水素原子のうちの1つ以上が、1つ以上のハロゲンで置換されているラジカルを指す。「ハロアルコキシ」基の代表例には、限定されるものではないが、ジフルオロメトキシ(-OCHF2)、トリフルオロメトキシ(-OCF3)、又はトリフルオロエトキシ(-OCH2CF3)が含まれる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、環の各原子が炭素である、置換又は非置換の単環芳香族基を含む。環は、5~7員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。「アリール」という用語はまた、その中の2つ以上の炭素が2つの隣接する環(融合環)に共通している、2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、環の少なくとも1つは芳香族である。例えば、他のサイクリック環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであり得る。「融合」という用語は、第二の環が、第一の環と共通する2つの隣接する原子を有することによって付属又は形成されることを意味する。「融合」という用語は、「縮合」という用語と同等である。アリール基の例としては、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、フェナントリル、フェノール、アニリン、インダニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロイソベンゾフラニル、インドリニル、イソインドリニルなどが挙げられる。別段の指定がない限り、本明細書に記載のアリール基は、任意選択的に置換されてもよい。
【0052】
本明細書で使用される場合、「ポリシクリル」、「ポリサイクル」、及び「多環式」という用語は、1つ以上の原子が2つ以上の隣接する環に共通である2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリル)を指す。例えば、環は「融合環」である。ポリサイクルの環の各々は、置換又は非置換とし得る。特定の実施形態では、ポリサイクルの各環は、環中に3~10個の原子、好ましくは5~7個を含有する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「アシル」という用語は、-C(=O)-Rwの基を指し、式中、Rwは、任意選択的に置換されたアルキルである。「アシル」の例としては、限定されるものではないが、Rwが、C1-C10アルキル(C1-C10アシル)又はC1-C6-アルキル(C1-C6アシル)である例が挙げられる。一部の実施形態では、任意選択的に置換される置換基の各存在は、H、OH、アルコキシ、シアノ、F、及びアミノからなる群から選択される。「アシル」の追加の例としては、-C(=O)-CH3、-C(=O)-CH2-CH3、-C(=O)-CH2-CH2-CH3、又は-C(=O)-CH(CH3)2が挙げられる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「アミン」及び「アミノ」という用語は、両方とも非置換及び置換アミン及びその塩を指し、例えば、以下の式で表される部分であり、
【化2】
式中、各R
zは独立して、水素、若しくはヒドロカルビル基を表すか、又はR
zは、それらが付着しているN原子と一緒になって、環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成する。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アミド(amide)」及び「アミド(amido)」という用語は、以下の式によって表され、
【化3】
式中、R
x、R
y、及びR
zは各々独立して、水素若しくはヒドロカルビル基を表すか、又はR
y、及びR
zは、それらが付着しているN原子と一緒になって、環構造中に4~8個の原子を有するヘテロシクリルを完成する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「アシルアミノ」という用語は、上記で定義されるアミノ基が、アシル基で置換されたものを指す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「アミノカルボニル」は、アミノ基で置換されたカルボニル基を指す。
【0058】
本明細書で使用される場合、「アルケニルアルキル」という用語は、アルケニル基で置換されたアルキル基を指す。
【0059】
本明細書で使用される場合、「アルキニルアルキル」という用語は、アルキニル基で置換されたアルキル基を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「アルキルアミノ」という用語は、上記で定義されるアミノ基が、少なくとも1つのアルキル基で置換されたものを指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「アミノアルキル」という用語は、アミノ基で置換されたアルキル基を指す。
【0062】
本明細書で使用される場合、「アミドアルキル」という用語は、アミド基で置換されたアルキル基を指す。
【0063】
本明細書で使用される場合、「シアノアルキル」という用語は、シアノ基で置換されたアルキル基を指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、「シクロアルコキシアルキル」という用語は、シクロアルコキシ基で置換されたアルキル基(上記に定義)を指し、一般式シクロアルキル-O-アルキルによって表されてもよい。シクロアルコキシアルキル基の例としては、シクロプロピル-O-メチレン-、シクロプロピル-O-エチレンが挙げられるが、これに限定されない。
【0065】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキルアルキル」という用語は、シクロアルキル基で置換されたアルキル基を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリールアルキル」という用語は、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリル基で置換されたアルキル基を指す。
【0068】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアルキル」という用語は、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基を指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて、完全に飽和した環状炭化水素を指す。「シクロアルキル」は、単環式環、二環式環、及び三環式環を含む。典型的には、単環式シクロアルキル基は、別段の定義がない限り、3個~約10個の炭素原子を有し、より典型的には、3個~8個の炭素原子(例えば、C3-C10シクロアルキル、又は例えば、C3-C6シクロアルキル)を有する。単環式シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。二環式シクロアルキルの第二の環、又は三環式シクロアルキルの第二の環又は第三の環は、飽和環、不飽和環、及び芳香環から選択され得る。シクロアルキルは、1つ、2つ、又は3つ以上の原子が2つの環の間で共有される二環式分子及び三環式分子を含む。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、-CF3、-CN等で更に置換されてもよい。
【0070】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキルアルキル」という用語は、シクロアルキル基で置換されたアルキル基を指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「シアノ」という用語は、-CN基を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」という用語は、-OH基を指す。
【0073】
本明細書で使用される場合、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、単独で又は他の用語と組み合わせて、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを意味する。
【0074】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という用語は、炭素又は水素以外の任意の元素の原子を指す。例示的なヘテロ原子は、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、及びケイ素(Si)である。
【0075】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」、及び「複素環式」という用語は、O、N、S、S(O)、S(O)2、NH又はC(O)から選択される少なくとも1つのヘテロ原子又はヘテロ基を有し、残りの環原子が独立して炭素、酸素、窒素、及び硫黄からなる群から選択される、3~15員の、単環式、多環式(例えば、二環式、三環式)の架橋された又は融合されたものを含む、非芳香族、飽和、又は部分飽和の環系を指す。「ヘテロシクロアルキル」の例としては、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニル、ジオキシドチオモルホリニル、オキサピペラジニル、オキサピペリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニル、インドリニル、インドリニルメチル、2-アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、アゾシニル、クロマニル、キサンテニル、及びそのN-オキシドが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキル置換基の付着は、炭素原子又はヘテロ原子のいずれかを介して起こり得る。ヘテロシクロアルキル基は、1つ以上の前述の基によって、1つ以上の好適な基で任意選択的に置換されてもよい。好ましくは、「ヘテロシクロアルキル」は、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニル、及びそのN-オキシドからなる群から選択される5員又は6員の環を指す。より好ましくは、「ヘテロシクロアルキル」は、アゼチジニル、ピロリジニル、モルホリニル、及びピペリジニルを含む。ヘテロシクロアルキルは、1つ以上の前述の基によって任意選択的に置換される。
【0076】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、置換又は非置換の芳香族の単一環構造、好ましくは5~7員環、より好ましくは5~6員環を指し、その環構造は、少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1~4個のヘテロ原子、より好ましくは1個又は2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロアリール」という用語はまた、少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、2つ以上の環式環(二環式、三環式、又は多環式)を有し、8~20個の環原子、好適には5~10個の環原子を含有する、置換又は非置換の芳香環系又は一部芳香環系を指し、これらは共有結合されるか融合され、2つ以上の原子が2つの隣接する環に共通しており、環の少なくとも1つが複素芳香族であり、例えば、他の環式環はシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、及び/又はヘテロシクリルであってもよい。環は、N又はS原子を含有してもよく、N又はS原子は任意選択的に酸化され、又はN原子は任意選択的に四級化される。全てのヘテロアリールは、任意選択的に置換される。ヘテロアリール部分の任意の好適な環位置は、定義された化学構造に共有結合されてもよい。ヘテロアリールの例としては、フラニル、チエニル,ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、シンノリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1H-テトラゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアジニル、フタラジニル、チアントレン、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、9H-カルバゾリル、α-カルボリン、インドリジニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル、プリニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾトリアジアゾリル、カルバゾリル、ジベンゾチエニル、アクリジニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」という用語は、=O置換基又は=S置換基を有さず、かつ典型的には、少なくとも1つの炭素-水素結合及び主に炭素骨格を有するが、任意選択でヘテロ原子を含み得る、炭素原子を介して結合される基を指す。したがって、メチル、エトキシエチル、2-ピリジル、及びトリフルオロメチルなどの基は、本出願の目的のためにヒドロカルビルとみなされるが、アセチル(結合炭素上に=O置換基を有する)及びエトキシ(炭素ではなく酸素を介して結合される)などの置換基はヒドロカルビルではない。ヒドロカルビル基としては、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書で使用される場合、「スルホンアミド」という用語は、以下のように表され、
【化4】
式中、R
zは、各発生時に、独立して水素、アルキル若しくはシクロアルキル基を表し、又はR
z基は、それらが付着しているN原子と一緒になって、環構造中に4~8個の原子を有する複素環を完成する。
【0079】
本明細書で使用される場合、「スルホニル」という用語は、-S(O)2-R6dの基を指し、R6dはアルキル又はシクロアルキルを表す。
【0080】
「併用療法」は、2つ以上の治療剤、例えば式Iの化合物及び酵素アスパラギナーゼ(ASNase)又はその誘導体の、治療を必要とする患者への投与を含む治療である。
【0081】
「疾患」、「障害」、及び「状態」は、本明細書では互換的に使用される。
【0082】
「個体」、「患者」、又は「対象」は、本明細書では互換的に使用され、哺乳動物、好ましくは、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、又は霊長類、最も好ましくはヒトを含む、任意の動物を含む。本明細書に記載の化合物は、ヒトなどの哺乳動物に投与することができるが、獣医治療を必要とする動物、例えば、愛玩動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)、及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)などの他の哺乳動物に投与することもできる。
【0083】
本明細書に記載される化合物は、GCN2駆動型の疾患(本明細書では「GCN2関連疾患」と省略される場合もある)、例えば、がん〔例えば、結腸直腸がん(例えば、結腸直腸がん、直腸がん、肛門がん、家族性結腸直腸がん、遺伝性非ポリポーシス結腸直腸がん、消化管間質腫瘍)、肺がん(例えば、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、悪性中皮腫)、中皮腫、膵がん(例えば、膵管がん、膵内分泌腫瘍)、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん(例えば、乳頭腺がん、粘液腺がん、腺扁平上皮がん)、十二指腸がん、小腸がん、乳がん(例えば、浸潤性腺管がん、非浸潤性乳管がん、炎症性乳がん)、卵巣がん(例えば、卵巣上皮がん、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍)、睾丸腫瘍、前立腺がん(例えば、ホルモン依存性前立腺がん、非ホルモン依存性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん)、肝臓がん(例えば、肝細胞腫、原発性肝臓がん、肝外胆管がん)、甲状腺がん(例えば、甲状腺髄様がん)、腎臓がん(例えば、腎細胞がん(例えば、腎明細胞がん)、腎盂及び尿管の移行上皮がん)、子宮がん(例えば、子宮頸がん、子宮体がん、子宮肉腫)、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍(例えば、髄芽腫、神経膠腫、松果体星細胞腫、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫、下垂体腺腫)、網膜芽細胞腫、皮膚がん(例えば、基底細胞がん、悪性黒色腫(黒色腫)、肉腫(例えば、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、軟部組織肉腫、紡錘細胞肉腫、骨肉腫)、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん(例えば、多発性骨髄腫、白血病(例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病(慢性白血病の急性転化を含む)、悪性リンパ腫、ホジキン病、慢性骨髄増殖性疾患)、原発核不明(unknown primary nucleus)のがん〕の治療、がん増殖阻害剤、がん転移阻害剤、アポトーシスプロモーター、前がん病変(例えば、骨髄の骨髄異形成症候群)の予防又は治療のために有用である。
【0084】
本明細書に記載される化合物、例えば、本明細書に定義される式Iの化合物は、本明細書に記載されるがんなどの本明細書に記載される障害を治療するために、1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて使用されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、ホルモン治療剤、化学療法剤、免疫療法剤、例えば、PERK阻害剤及びオートファジー阻害剤などの細胞増殖因子及びその受容体の作用を阻害する薬剤、酵素アスパラギナーゼ(ASNase)等と組み合わせて使用され得る。
【0085】
「薬学的又は薬理学的に許容可能な」は、動物又はヒトに適宜投与された時に有害反応、アレルギー性反応、又は他の有害な反応を生じさせない分子実体及び組成物を含む。ヒトへの投与の場合、製剤は、FDA生物製剤局基準(FDA Office of Biologics standards)で要求される無菌性、発熱性、並びに一般的な安全性及び純度の基準を満たさなければならない。
【0086】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、薬学的投与と適合性のある、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、等張剤、及び吸収遅延剤などを指す。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。本組成物は、補足の、追加の、又は増強された治療機能を提供する他の活性化合物を含む場合もある。
【0087】
本明細書で使用される「医薬組成物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された本明細書に開示される少なくとも1つの化合物を含む組成物を指す。
【0088】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、本組成物に使用される化合物中に存在し得る酸性基又は塩基性基の塩を指す。本質的に塩基性である本組成物に含まれる化合物は、様々な無機酸及び有機酸と多種多様な塩を形成することができる。かかる塩基性化合物の薬学的に許容可能な酸付加塩を調製するために使用され得る酸は、無毒性酸付加塩、すなわち、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエート))塩を含むが、これらに限定されない、薬理学的に許容可能なアニオンを含む塩を形成するものである。本質的に酸性である本組成物に含まれる化合物は、様々な薬理学的に許容可能なカチオンを有する塩基塩を形成することができる。かかる塩の例としては、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、具体的には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム、及び鉄塩が挙げられる。塩基性部分又は酸性部分を含む本組成物に含まれる化合物はまた、様々なアミノ酸とともに薬学的に許容可能な塩を形成し得る。本開示の化合物は、酸性基及び塩基性基の両方、例えば、1つのアミノ基及び1つのカルボン酸基を含有してもよい。このような場合、化合物は、酸付加塩、双性イオン、又は塩基塩として存在し得る。
【0089】
本開示の化合物は、1つ以上のキラル中心を含んでもよく、それ故に、立体異性体として存在してもよい。本明細書で使用される場合、用語「立体異性体」は、全てのエナンチオマー又はジアステレオマーからなる。これらの化合物は、立体中心(stereogenic)炭素原子の周りの置換基の立体配置に応じて、記号「R」又は「S」によって指定され得るが、当業者は、構造がキラル中心を暗黙的に示し得ることを認識するであろう。これらの化合物はまた、それらの旋光度に基づき、「(+)」及び「(-)」によって指定されてもよい。本明細書に記載される化合物は、これらの化合物及びその混合物の様々な立体異性体を包含する。エナンチオマー又はジアステレオマーの混合物は、命名法で記号「(±)」と指定され得るが、当業者は、構造がキラル中心を暗黙的に示し得ることを認識するであろう。
【0090】
本明細書において、「治療有効量」という用語は、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医に求められている組織、系、又は動物(例えば、哺乳動物若しくはヒト)の生物学的応答又は医学的応答を誘発する主題の化合物の量を意味する。本明細書に記載の化合物は、障害を治療するための治療有効量で投与される。
【0091】
「治療すること」は、状態、疾患、障害などの改善をもたらす、任意の効果、例えば、緩和、軽減、調節、又は除去を含む。
【0092】
本開示はまた、1つ以上の原子が、通常自然界で見られる原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置換されることを除いて、本明細書に列挙したものと同一である同位元素標識化合物を包含する。本開示の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素の同位体、例えば、それぞれ、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clなどが挙げられる。例えば、本開示の化合物は、重水素で置換された1つ以上のH原子を有してもよい。
【0093】
開示された化合物の個々のエナンチオマー及びジアステレオマーは、非対称若しくは立体中心を含む市販の出発物質から合成的に調製されてもよく、又はラセミ混合物の調製とその後に当業者に周知の分割方法によって調製されてもよい。これらの分割方法は、(1)キラル補助基へのエナンチオマーの混合物の付着、再結晶若しくはクロマトグラフィーによるジアステレオマーの得られた混合物の分離、及び補助剤からの光学的に純粋な生成物の遊離、(2)光学活性分割剤を用いた塩形成、(3)キラル液体クロマトグラフィーカラムでの光学エナンチオマーの混合物の直接分離、又は(4)立体選択的化学若しくは酵素試薬を使用した速度論的分割によって例示される。ラセミ混合物は、キラル相液体クロマトグラフィー又はキラル溶媒中での化合物の結晶化などの周知の方法によって、それらの成分エナンチオマーに分割することもできる。新しい立体中心の作成中又は既存の立体中心の変換中に単一の反応物が立体異性体の不均等な混合物を形成する化学反応又は酵素反応である立体選択的合成は、当技術分野で周知である。立体選択的合成は、エナンチオ及びジアステレオ選択的変換の両方を包含し、キラル補助剤の使用を伴い得る。例えば、Carreira and Kvaerno,Classics in Stereoselective Synthesis,Wiley-VCH:Weinheim,2009を参照されたい。
化合物
【0094】
一実施形態では、本明細書に記載さるのは、式I-Aによって表される化合物:
【化5】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体であり、式中、X
1及びX
3は各々独立して、CH及びNからなる群から選択され、X
2は、NR
6、O、及びSからなる群から選択され、R
1、R
2、及びR
3は各々独立して、H、ハロゲン、シアノ、及びアルコキシからなる群から選択され、R
4は、ハロゲン、アルコキシ及びアルキルからなる群から選択され、R
5は、H、ハロゲン及びアルキルからなる群から選択され、R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルケニルアルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、R
7は、H、アルキル、及びアシルからなる群から選択される。
【0095】
いくつかの実施形態では、R1、R2、及びR3のうちの少なくとも1つは、ハロゲンである。いくつかの実施形態では、R1、R2、及びR3のうちの少なくとも1つは、フルオロである。いくつかの実施形態では、R1は、フルオロである。いくつかの実施形態では、X1は、Nである。
【0096】
いくつかの実施形態では、R
6は、以下ではなく、
【化6】
式中、L
70は、メチレン又はエチレンであり、X
70及びX
71のうちの1つはCH
2であり、もう1つはN-CO-R
101であり、ここでR
101は、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、又はC
2-4アルキニルであり、その各々が、非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、NH(C
1-4アルキル)、N(C
1-4アルキル)
2、C
3-10シクロアルキル、並びに窒素及び酸素からなる群から各々独立して選択される1つ若しくは2つのヘテロ原子を含有するC
3-10ヘテロシクロアルキルからなる群から各々独立して選択される1~3個の置換基によって置換されている。
【0097】
別の実施形態では、本明細書に記載さるのは、式I-Bによって表される化合物:
【化7】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体であり、式中、X
1及びX
3は各々独立して、CH及びNからなる群から選択され、X
2は、NR
6、O、及びSからなる群から選択され、R
2及びR
3は各々独立して、H、ハロゲン、シアノ、及びアルコキシからなる群から選択され、R
4は、ハロゲン、アルコキシ及びアルキルからなる群から選択され、R
5は、H、ハロゲン及びアルキルからなる群から選択され、R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルケニルアルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、R
7は、H、アルキル、及びアシルからなる群から選択される。
【0098】
いくつかの実施形態では、X1は、Nである。
【0099】
一実施形態では、本明細書に記載さるのは、式I-Cによって表される化合物:
【化8】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体であり、式中、X
2は、NR
6、O、及びSからなる群から選択され、X
3は、CH及びNからなる群から選択され、R
2及びR
3は各々独立して、H、ハロゲン、シアノ、及びアルコキシからなる群から選択され、R
4は、ハロゲン、アルコキシ及びアルキルからなる群から選択され、R
5は、H、ハロゲン及びアルキルからなる群から選択され、R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルケニルアルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、R
7は、H、アルキル、及びアシルからなる群から選択される。
【0100】
いくつかの実施形態では、X2は、NR6である。
【0101】
別の実施形態では、本明細書に記載さるのは、式I-Dによって表される化合物:
【化9】
又はその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、若しくは互変異性体であり、式中、R
2及びR
3は各々独立して、H、ハロゲン、シアノ、及びアルコキシからなる群から選択され、R
4は、ハロゲン、アルコキシ及びアルキルからなる群から選択され、R
5は、H、ハロゲン及びアルキルからなる群から選択され、R
6は、H、アルキル、アルケニル、アルケニルアルキル、アルキニル、アルキニルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルコキシアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、R
7は、H、アルキル、及びアセテートからなる群から選択される。
【0102】
一部の実施形態では、R
2は、Hであり、R
3は、Hである。いくつかの実施形態では、R
2は、Fであり、R
3は、Hである。いくつかの実施形態では、R
2は、Hであり、R
3は、Fである。いくつかの実施形態では、R
6は、(C
1-C
8)、(C
2-C
8)アルケニル、(C
2-C
8)アルケニル-(C
1-C
4)アルキル、(C
2-C
8)アルキニル、(C
2-C
8)アルキニル-(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル-(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
8)アルコキシ-(C
1-C
4)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルケニル、(C
3-C
8)シクロアルケニル-(C
1-C
4)アルキル、 ヘテロシクリル、ヘテロシクリル-(C
1-C
4)アルキル、 アリール、ヘテロアリール、及びヘテロアリール-(C
1-C
4)アルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
6は、(C
1-C
8)アルキル、(C
3-C
8)シクロアルキル、(C
3-C
8)アルコキシ-(C
1-C
4)アルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロアリールからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R
6は、次の群から選択される:
【化10】
【0103】
いくつかの実施形態では、R
6は、以下ではなく、
【化11】
式中、L
70は、メチレン又はエチレンであり、X
70及びX
71のうちの1つはCH
2であり、もう1つはN-CO-R
101であり、ここでR
101は、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、又はC
2-4アルキニルであり、その各々が、非置換であるか、又はハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、NH(C
1-4アルキル)、N(C
1-4アルキル)
2、C
3-10シクロアルキル、並びに窒素及び酸素からなる群から各々独立して選択される1つ若しくは2つのヘテロ原子を含有するC
3-10ヘテロシクロアルキルからなる群から各々独立して選択される1~3個の置換基によって置換されている。
【0104】
いくつかの実施形態では、R4は、ハロゲン、(C1-C6)アルコキシ及びC1-C6アルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R4は、クロロ、フルオロ、メトキシ及びメチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R5は、H、ハロゲン、及び(C1-C6)アルキルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R5は、クロロ、フルオロ、及びメチルからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、R7は、Hである。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるのは、以下の群から選択される化合物、
【化12】
並びにその薬学的に許容可能な塩、エナンチオマー、立体異性体、及び互変異性体である。
【0106】
治療方法
本明細書に記載される化合物、例えば、本明細書に定義される式Iの化合物は、GCN2又はPERKキナーゼによって駆動される疾患に対する治療薬として作用することができ、がんなど、それを必要とする患者における疾患及び障害の治療に有用である。例示的ながんには、結腸直腸がん、直腸がん、肛門がん、家族性結腸直腸がん、遺伝性非ポリポーシス大腸がん、消化管間質腫瘍、肺がん(例えば、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、悪性中皮腫)、中皮腫、膵がん(例えば、膵管がん、膵内分泌腫瘍)、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん(例えば、乳頭状腺がん、粘液腺がん、腺扁平上皮がん)、十二指腸がん、小腸がん、乳がん(例えば、浸潤性腺管がん、非浸潤性乳管がん、炎症性乳がん)、卵巣がん(例えば、卵巣上皮がん、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍)、睾丸腫瘍、前立腺がん(例えば、ホルモン依存性前立腺がん、非ホルモン依存性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん)、肝臓がん(例えば、肝細胞腫、原発性肝がん、肝外胆管がん)、甲状腺がん(例えば、甲状腺髄様がん)、腎臓がん(例えば、腎細胞がん(例えば、腎明細胞がん)、腎盂及び尿管の移行上皮がん)、子宮がん(例えば、子宮頸がん、子宮体がん、子宮肉腫)、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍(例えば、髄芽腫、神経膠腫、松果体星細胞腫、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫、下垂体腺腫)、網膜芽細胞腫、皮膚がん(例えば、基底細胞がん、悪性黒色腫、黒色腫)、肉腫(例えば、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、軟部組織肉腫、紡錘細胞肉腫、骨肉腫)、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん(例えば、多発性骨髄腫、白血病(例えば、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性白血病の急性転化を含む)、悪性リンパ腫、ホジキン病、慢性骨髄増殖性疾患)、原発核不明のがん]、がん増殖阻害剤、がん転移阻害剤、アポトーシスプロモーター、前がん病変(例えば、骨髄の骨髄異形成症候群)の予防又は治療用、が含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
また、一実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、本明細書に記載される式I-A、I-B、I-C、及び I-Dの化合物)、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の治療有効量を、患者に投与することを含む、統合的ストレス応答の調節不全によって引き起こされる疾患の治療を必要とする患者において、その疾患を治療する方法も、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全は、GCN2キナーゼによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答の調節不全は、GCN2キナーゼによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、小胞体ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼ及びGCN2キナーゼからなる群から選択されるキナーゼの活性化によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答の調節不全は、GCN2キナーゼの活性化によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼの活性化によって引き起こされる。
【0108】
また、一実施形態では、本明細書に記載の化合物(例えば、本明細書に記載される式I-A、I-B、I-C、及びI-Dの化合物)、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載の医薬組成物の治療有効量を、患者に投与することを含む、統合的ストレス応答及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全によって引き起こされる疾患の治療を必要とする患者において、その疾患を治療する方法も、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼ及びGCN2キナーゼからなる群から選択されるキナーゼの活性化によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答の調節不全は、GCN2キナーゼの活性化によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、小胞体ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼの活性化によって引き起こされる。
【0109】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のGCN2キナーゼの活性を調節する方法が本明細書に記載されている。
【0110】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のGCN2キナーゼを活性化する方法が本明細書に記載されている。
【0111】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のPERKキナーゼの活性を調節する方法が本明細書に記載されている。
【0112】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のPERKキナーゼを活性化する方法が本明細書に記載されている。
【0113】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のGCN2キナーゼ及びPERKキナーゼを阻害する方法が本明細書に記載されている。
【0114】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のGCN2キナーゼの活性を調節する方法が本明細書に記載されている。
【0115】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、PERKキナーゼの活性の阻害を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性を阻害する方法が本明細書に記載されている。
【0116】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、本明細書に記載される式I-A、I-B、I-C、及びI-Dの化合物)、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、がんの治療を必要とする患者において、がんを治療する方法が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫(histocyctic lymphoma)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、線維肉腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、T細胞リンパ腫である。
【0117】
一実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、それを必要とする患者のアミロイド症を治療する方法が本明細書に記載されている。一実施形態では、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、軽鎖アミロイドーシスの治療を必要とする患者において、軽鎖アミロイドーシスを治療する方法が本明細書に記載されている。
【0118】
別の実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、本明細書に記載される式I-A、I-B、I-C、及びI-Dの化合物)、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物の治療有効量を患者に投与することを含む、GCN2関連疾患及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その疾患を治療する方法が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、疾患は、GCN2関連疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、PERK関連疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、線維肉腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、T細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、疾患は、アミロイド症である。いくつかの実施形態では、疾患は、軽鎖アミロイドーシスである。
【0119】
別の実施形態では、治療有効量の本明細書に記載される化合物(例えば、本明細書に記載される式I-A、I-B、I-C、及びI-Dの化合物)、又はその薬学的に許容可能な塩と、治療有効量の1つ以上の治療剤とを患者に投与することを含む、GCN2関連疾患及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その疾患を治療する方法が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、疾患は、GCN2関連疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、PERK関連疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、白血病は急性骨髄性白血病である。いくつかの実施形態では、白血病は急性リンパ性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、線維肉腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、T細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、疾患は、アミロイド症である。いくつかの実施形態では、疾患は軽鎖アミロイド症である。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療剤は、L-アスパラギナーゼ、ペグ化アスパラギナーゼ、PERK阻害剤、mTOR阻害剤、免疫調節剤、MAPK経路阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、及びRas阻害剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療剤は、IMiD剤、プロテアソーム阻害剤、ステロイド、抗CD38剤、抗CD20剤、Bcl-2阻害剤、PI3K阻害剤、二特異性抗体、ヌクレオシド類似体、BTK阻害剤、DNAアルキル化剤、EZH2阻害剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼ阻害剤、プラチン(platin)、チロシンキナーゼ阻害剤、HDAC阻害剤、核外輸送阻害剤、微小管阻害剤 L-アスパラギナーゼ、ペグ化アスパラギナーゼ、PERK阻害剤、mTOR阻害剤、免疫調節剤、MAPK経路阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、及びRas阻害剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療剤は、L-アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ、カラスパルガーゼペゴル-mnkl、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、デキサメタゾン、プレドニゾン、ダラツムマブ、ダラツムマブ/ヒアルロニダーゼ、イサツキシマブ、リツキシマブ、オビヌツズマブ、ベネトクラクス、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウムブラリシブ、ゲムシタビン、シタラビン、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、ベンダムスチン、シクロホスファミド、タゼメトスタット、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、オキサロプラチン、カルボプラチン、シスプラチンボスチニブ、ダサチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、パノビノスタット、セリネクソール、ビンクリスチン、JZP-458、エリアスパーゼ、PF745(JZP-341)、アスパラギナーゼ Erwinia chrysanthemi(クリサンタスパーゼ)、Escherichia coliアスパラギナーゼ(コラスパーゼ)、抗PD1剤、抗PDL1剤、及び抗CTLA4剤からなる群から選択される。
【0120】
一実施形態では、統合的ストレス応答及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全によって引き起こされる疾患の治療を必要とする患者において、その疾患の治療に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼ及びGCN2キナーゼからなる群から選択されるキナーゼによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全は、GCN2キナーゼによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答及び/又は小胞体ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答の調節不全は、GCN2キナーゼによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、小胞体ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼ及びGCN2キナーゼからなる群から選択されるキナーゼの活性化によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答の調節不全は、GCN2キナーゼの活性化によって引き起こされる。いくつかの実施形態では、統合的ストレス応答の調節不全は、PERKキナーゼの活性化によって引き起こされる。一実施形態では、GCN2キナーゼの活性の調節を必要とする患者において、GCN2キナーゼの活性の調節に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。一実施形態では、GCN2キナーゼの活性化を必要とする患者において、GCN2キナーゼの活性化に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。一実施形態では、PERKキナーゼの活性の調節を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性の調節に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。一実施形態では、PERKキナーゼの活性化を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性化に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。
【0121】
一実施形態では、GCN2キナーゼの阻害及びPERKキナーゼの阻害を必要とする患者において、GCN2キナーゼの阻害及びPERKキナーゼの阻害に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。一実施形態では、GCN2キナーゼの活性の調節を必要とする患者において、GCN2キナーゼの活性の調節に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。別の実施形態では、PERKキナーゼの活性の阻害を必要とする患者において、PERKキナーゼの活性を阻害するために使用される、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。
【0122】
一実施形態では、がんの治療を必要とする患者において、がんの治療に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝臓がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、線維肉腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、T細胞リンパ腫である。
【0123】
一実施形態では、アミロイドーシスの治療を必要とする患者において、アミロイドーシスの治療に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。一実施形態では、軽鎖アミロイドーシスの治療を必要とする患者において、軽鎖アミロイドーシスの治療に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。
【0124】
一実施形態では、GCN2関連疾患及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その治療に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、疾患は、GCN2関連疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、PERK関連疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、線維肉腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、T細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、疾患は、アミロイド症である。いくつかの実施形態では、疾患は、軽鎖アミロイドーシスである。
【0125】
一実施形態では、GCN2関連疾患及びPERK関連疾患から選択される疾患の治療を必要とする患者において、その治療に使用するための、本明細書に記載される化合物、若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載される医薬組成物が、本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、疾患は、GCN2関連疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、PERK関連疾患である。いくつかの実施形態では、疾患は、がんである。いくつかの実施形態では、がんは、結腸直腸がん、肺がん、中皮腫、膵がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃、十二指腸がん、小腸がん、乳がん、卵巣がん、睾丸腫瘍、前立腺、肝がん、甲状腺がん、腎臓がん、子宮がん、妊娠性絨毛がん、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、皮膚がん、黒色腫、肉腫、線維肉腫、悪性骨腫瘍、膀胱がん、血液がん、白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、赤白血病、組織球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、及び悪性リンパ腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、白血病である。いくつかの実施形態では、白血病は急性骨髄性白血病である。いくつかの実施形態では、白血病は、急性リンパ芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、線維肉腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、B細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、がんは、T細胞リンパ腫である。いくつかの実施形態では、疾患は、アミロイド症である。いくつかの実施形態では、疾患は、軽鎖アミロイドーシスである。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療剤は、IMiD剤、プロテアソーム阻害剤、ステロイド、抗CD38剤、抗CD20剤、Bcl-2阻害剤、PI3K阻害剤、二特異性抗体、ヌクレオシド類似体、BTK阻害剤、DNAアルキル化剤、EZH2阻害剤、アントラサイクリン、トポイソメラーゼ阻害剤、プラチン(platin)、チロシンキナーゼ阻害剤、HDAC阻害剤、核外輸送阻害剤、微小管阻害剤、L-アスパラギナーゼ、ペグ化アスパラギナーゼ、PERK阻害剤、mTOR阻害剤、免疫調節剤、MAPK経路阻害剤、MEK阻害剤、ERK阻害剤、及びRas阻害剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療剤は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、サリドマイド、ポマリドミド、レナリドミド、デキサメタゾン、プレドニゾン、ダラツムマブ、ダラツムマブ/ヒアルロニダーゼ、イサツキシマブ、リツキシマブ、オビヌツズマブ、ベネトクラクス、イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブ、ウムブラリシブ、ゲムシタビン、シタラビン、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、ベンダムスチン、シクロホスファミド、タゼメトスタット、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、オキサロプラチン、カルボプラチン、シスプラチンボスチニブ、ダサチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、ポナチニブ、パノビノスタット、セリネクソール、ビンクリスチン、L-アスパラギナーゼ、ペグアスパルガーゼ、カラスパルガーゼペゴル-mnkl、JZP-458、エリアスパーゼ、PF745(JZP-341)、アスパラギナーゼ Erwinia chrysanthemi(クリサンタスパーゼ)、Escherichia coliアスパラギナーゼ(コラスパーゼ)、抗PD1剤、抗PDL1剤、及び抗CTLA4剤からなる群から選択される。
【0126】
本明細書に提供される化合物は、そのような治療を必要とする患者(動物及びヒト)に、最適な医薬有効性を提供するであろう用量で投与することができる。任意の特定の用途での使用に必要な用量は、選択される特定の化合物又は組成物だけでなく、投与経路、治療される状態の性質、患者の年齢と状態、その後患者が従う併用投薬又は特別食、及び当業者が認識するであろう他の要因によっても、患者ごとに異なり、適切な用量は、最終的に担当医師の裁量に委ねられることが理解されよう。上述の臨床状態及び疾患を治療するために、本明細書に提供される化合物は、従来の非毒性の薬学的に許容可能な担体、アジュバント、及びビヒクルを含有する投与単位製剤で、経口的に、皮下に、局所的に、非経口的に、吸入スプレーによって、又は直腸に投与され得る。非経口投与には、皮下注射、静脈内若しくは筋肉内注射、又は注入技術が含まれ得る。
【0127】
治療は、望ましい限り長時間、又は短期間継続することができる。組成物は、例えば、1日1~4回以上のレジメンで投与されてもよい。好適な治療期間は、例えば、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、又は無期限とすることができる。治療期間は、所望の結果が達成された時に終了することができる。
【0128】
併用療法
本明細書に記載される化合物、例えば、本明細書に定義される式Iの化合物は、本明細書に記載されるがんなどの、本明細書に記載される障害を治療するために、1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することができる。例えば、本明細書に記載の化合物、例えば、本明細書に定義される式Iの化合物、1つ以上の追加の治療剤、及び薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が、本開示に提供される。一部の実施形態では、本明細書に定義される式Iの化合物、及び1つの追加の治療剤が投与される。一部の実施形態では、本明細書に定義される式Iの化合物、及び2つの追加の治療剤が投与される。一部の実施形態では、本明細書に定義される式Iの化合物、及び3つの追加の治療剤が投与される。併用療法は、二つ以上の治療剤を投与することにより達成することができ、その各々は、別々に製剤化され、投与される。例えば、本明細書に定義される式Iの化合物、及び追加の治療剤は、別々に製剤化及び投与することができる。併用療法はまた、単一の製剤、例えば、1つの治療剤としての式Iの化合物及び化学療法剤などの1つ以上の追加の治療剤を含む医薬組成物で、2つ以上の治療剤を投与することにより、達成することができる。例えば、本明細書に定義される式Iの化合物、及び追加の治療剤は、単一の製剤で投与することができる。他の併用もまた、併用療法に包含される。併用療法で2つ以上の薬剤を同時に投与することができるが、それらが同時に投与される必要はない。例えば、第1の薬剤(又は薬剤の組み合わせ)の投与は、数分間、数時間、数日間、又は数週間、第2の薬剤(又は薬剤の組み合わせ)の投与に先行することができる。ゆえに、2つ以上の薬剤は、互いに数分以内に投与されるか、又は互いに、1、2、3、6、9、12、15、18、又は24時間以内に投与されるか、又は互いに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14日以内に投与されるか、又は互いに2、3、4、5、6、7、8、9週間以内に、投与することができる。一部の場合においては、更に長い間隔も、可能である。多くの場合において、併用療法で使用される2つ以上の薬剤は、同時に患者の身体内に存在することが望ましいが、必須ではない。
【0129】
併用療法はまた、成分薬剤の異なる順序を使用して、併用される薬剤のうちの1つ以上の、2回以上の投与を含むこともできる。例えば薬剤Xと薬剤Yとを併用で使用する場合には、それらを任意の組み合せで1回以上、連続的に投与することができ、例えばX-Y-X、X-X-Y、Y-X-Y、Y-Y-X、X-X-Y-Yなどの順序である。
【0130】
併用療法は、異なる投与経路を使用した併用で使用される1つ以上の薬剤の2回以上の投与を含むこともできる。1つ以上の薬剤のそれぞれは、従来の非毒性の薬学的に許容可能な担体、アジュバント、及びビヒクルを含有する投与単位製剤で、経口的に、皮下に、局所的に、非経口的に、吸入スプレーによって、又は直腸に、独立して投与され得る。非経口投与には、皮下注射、静脈内若しくは筋肉内注射、又は注入技術が含まれ得る。
【0131】
一部の実施形態では、本明細書に記載の式Iの化合物は、アスパラギナーゼ(ASNase、L-アスパラギナーゼ)又はその誘導体と合わせられる。一部の実施形態では、アスパラギナーゼは、Erwinia chrysanthemiから取得され、クリサンタスパーゼ又はアスパラギナーゼErwinia chrysanthemiとして知られる。アスパラギナーゼErwinia chrysanthemiは、Erwinaze(登録商標)又はErwinase(登録商標)の商標の下で販売される。一部の実施形態では、アスパラギナーゼはEscherichia coliから取得され、コラスパーゼとして知られる。コラスパーゼは、Elspar(登録商標)、Leunase(登録商標)、Kidrolase(登録商標)、又はSpectrila(登録商標)(組換えE.coliアパラギナーゼ)の商標の下に販売される。コラスパーゼのペグ化誘導体は、商標Oncaspar(登録商標)の下で販売されるペグアスパルガーゼ、及び商標Asparlas(登録商標)の下で販売されるカラスパルガーゼペゴル-mnklである。現在前臨床又は臨床開発中の他のアスパラギナーゼ製品には、JZP-458(組換えErwiniaアスパラギナーゼ)、PF745(JZP-341)、エリアスパーゼ(GRASPA(登録商標))、及びXoncaneが含まれる。
【0132】
一部の実施形態では、本明細書に定義される式Iの化合物は、免疫調節剤と組み合わされる。一部の実施形態では、免疫調節性は、適応免疫応答を強化する。一部の実施形態では、免疫調節性は、抗原提示細胞の活性を強化する。一部の実施形態では、免疫調節剤は、マクロファージを含む骨髄細胞の抗腫瘍活性を強化する。一部の実施形態では、免疫調節性は、ナチュラルキラー細胞の抗腫瘍活性を強化する。一部の実施形態では、免疫調節剤は、細胞傷害性T細胞を含むエフェクターT細胞の活性を強化する。
【0133】
一部の実施形態では、本明細書に提供される化合物と組み合わせて投与され得る1つ以上の追加の治療剤は、MAPK経路阻害剤であってもよい。このようなMAPK経路阻害剤としては、例えば、MEK阻害剤、ERK阻害剤、及びRas阻害剤が挙げられる。
【0134】
例示的なMEK阻害剤としては、限定されるものではないが、トラメチニブ、セルメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ、及びそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。例示的なERK阻害剤としては、限定されるものではないが、ウリキセルチニブ、SCH772984、LY3214996、ラボキセルチニブ(ravoxertinib)、VX-11e、ASN-007、GDC-0994、MK-8353、ASTX-029、LTT462、KO-947、及びそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。例示的なRas阻害剤としては、限定されるものではないが、AMG-510、MRTX849、ARS-1620、ARS-3248、LY3499446、及びそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。
【0135】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、限定されないが、ペムブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、BMS-936559、又はアベルマブを含む抗PD-1又は抗PDL-1治療薬を含む免疫調節剤であり得る。一部の実施形態では、追加の治療剤は、TSR-022若しくはMBG453を含むがこれらに限定されない抗TIM3(抗HAVcr2)治療薬、レラトリマブ、LAG525、若しくはTSR-033を含むがこれらに限定されない抗LAG3治療薬、抗4-1BB(抗CD37、抗TNFRSF9)、SGN-40、CP-870,893若しくはRO7009789を含むがこれらに限定されないCD40アゴニスト治療薬、Hu5F9-G4を含むがこれに限定されない抗CD47治療薬、抗CD20治療薬、抗CD38治療薬、ADU-S100を含むがこれに限定されないSTINGアゴニスト、MK-1454、ASA404、又はアミドベンズイミダゾールであってよい。一部の実施形態では、追加の治療剤は、イピリムマブ、トレメリムマブを含む、抗CTLA4薬剤であってもよい。一部の実施形態では、追加の治療剤は、アザシチジン又はデシタビン、上皮成長因子阻害剤、スタチン、メトホルミン、アンジオテンシン受容体ブロッカー、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、プレドニゾン、又はデキサメタゾンを含むがこれらに限定されない他の免疫調節治療薬を含むがこれに限定されない、低メチル化剤であってもよい。一部の実施形態では、追加の治療剤は、標的治療剤、がんワクチン、及びCAR-T細胞療法を含む、免疫療法剤であってもよい。
【0136】
本明細書に記載される式Iの化合物は、がんを治療することが知られている他の治療剤と組み合わせて投与されてもよい。このような他の治療剤には、放射線療法、抗チューブリン剤、DNAアルキル化剤、DNA合成阻害剤、DNA挿入剤、抗エストロゲン剤、抗アンドロゲン、ステロイド、抗EGFR薬、キナーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子、CD4/CD6キナーゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、DNAメチル化阻害剤、抗HER2剤、抗血管新生薬、プロテアソーム阻害剤、PARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)阻害剤、細胞周期調節キナーゼ阻害剤、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、ダラツムマブ、ダラツムマブ/ヒアルロニダーゼ、イソツキシマブ、デキサメタゾン、及び抗体-薬剤-共役体(ADC)が含まれる。
【0137】
一実施形態では、追加の治療剤は、限定されるものではないが、抗チューブリン剤(例えば、パクリタキセル、nab-パクリタキセルを含む注射用懸濁液用のパクリタキセルタンパク質結合粒子、エリブリン、ドセタキセル、イキサベピロン、ビンクリスチン、アウリスタチン、又はメイタンシノイド)、ビノレルビン、DNAアルキル化剤(シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、シクロホスファミド、イホスファミド、テモゾロミドを含む)、DNA挿入剤又はDNAトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ドキソルビシン、ペグ化リポソームドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、又はエピルビシンなどのアントラサイクリン;トポテカン、イリノテカン、又はエキサテカンなどのカンプトテシンを含む)、5-フルオロウラシル、カペシタビン、シタラビン、デシタビン、5-アザシタジン(5-aza cytadine)、ゲムシタビン及びメトトレキサートを含む化学療法剤であってよい。
【0138】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ネラチニブ、アファチニブ、オシメルチニブ、ラパタニブ(lapatanib)、クリゾチニブ、ブリガチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、ロルラチニブ、エベロリムス、テムシロリムス、アベマシクリブ、LEE011、パルボシクリブ、カボザンチニブ、リプレチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、レゴラフェニブ、スニチニブ、アキシチニブ、ダサチニブ、イマチニブ、ニロチニブ、イデラリシブ、イブルチニブ、BLU-667、ロキソ292、ラロトレクチニブ、及びキザルチニブを含むがこれらに限定されないキナーゼ阻害剤であってもよい。
【0139】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、タモキシフェン、フルベストラント、アナストロゾール、レトロゾール、及びエキセメスタンを含むがこれらに限定されない抗エストロゲン剤、アビラテロンアセテート、エンザルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、フルタミド、酢酸シプロテロンを含むがこれらに限定されない抗アンドロゲン剤、プレドニゾン及びデキサメタゾンを含むがこれらに限定されないステロイド剤、ネラパリブ(neraparib)、オラパリブ、タラゾパリブ、及びルカパリブを含むがこれらに限定されないPARP阻害剤、イリノテカン、カンプトテシン、エキサテカン、及びトポテカンを含むがこれらに限定されないトポイソメラーゼI阻害剤、アントラサイクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、及びミトキサントロンを含むがこれらに限定されないトポイソメラーゼII阻害剤、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、及びベリノスタットを含むがこれらに限定されないヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、DZNep及び5-アザ-2’-デオキシシチジンを含むがこれらに限定されないDNAメチル化阻害剤、ボルテゾミブ及びカルフィルゾミブを含むがこれらに限定されないプロテアソーム阻害剤、トラスツズマブ、アドトラスツズマブ、ペルツズマブ、セツキシマブ、及びパニツムマブを含むがこれらに限定されない生物学的薬剤であってもよい。
【0140】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、ベバシズマブ、アフリベルセプト、及びAMG386を含む、抗血管新生薬であり得る。
【0141】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、DM1、DM4、MMAE、MMAF、又はカンプトテシンのペイロードを含む抗体-薬剤-共役体(ADC)、ブレンツキシマブベドチン及びトラスツズマブエムタンシン、放射線療法、シプリューセル-Tを含むがこれに限定されない治療用ワクチンであり得る。
【0142】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、ULK阻害剤、VPS34阻害剤、PIKfyve阻害剤、PPT1阻害剤、又はリソソーム遮断剤を含む、オートファジー阻害剤であってもよい。一部の実施形態では、追加の治療剤は、DCC-3116、SAR405、SB02024、ヒドロキシクロロキニーネ、クロロキニーネ、アピリモド、MRT403、及びLYS05であり得る。
【0143】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、ゴセレリン及びロイプロリドを含む黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)類似体から選択される。
【0144】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、エベロリムス、トラベクテジン、アブラキサン、TLK 286、AV-299、DN-101、パゾパニブ、GSK690693、RTA 744、ON 0910.Na、AZD 6244(ARRY-142886)、AMN-107、TKI-258、GSK461364、AZD 1152、エンザスタウリン、バンデタニブ、ARQ-197、MK-0457、MLN8054、PHA-739358、R-763、AT-9263、ペメトレキセド、エルロチニブ、ダサタニブ、ニロチニブ、デカタニブ、パニツムマブ、アムルビシン、オレゴボマブ、Lep-etu、ノラトレキセド、AZD 2171、バタブリン、オファツムツナブ(of atumtunab)、ザノリムマブ、エドテカリン、テトランドリン、ルビテカン、テスミフェン、オブリメルセン、チシリムマブ、イピリムマブ、ゴシポール、Bio 111、131-I-TM-601、ALT-110、BIO 140、CC 8490、シレンギチド、ジャイマテカン、IL13-PE38QQR、INO 1001、IPdR1 KRX-0402、ルカントン、LY 317615、ニューラジアブ、ビテスパン、Rta 744、アラノシン(Sdx 102)、タランパネル、アトラセンタン、XR 311、ロミデプシン、ADS-100380、スニチニブ、5-フルオロウラシル、ボリノスタット、エトポシド、ゲムシタビン、ドキソルビシン、イリノテカン、リポソーマルドキソルビシン、5’-デオキシ-5-フルオロウリジン、ビンクリスチン、テモゾロミド、ZK-304709、セリシクリブ;PD0325901、AZD-6244、カペシタビン、L-グルタミン酸、N-[4-[2-(2-アミノ-4,7-ジヒドロ-4-オキソ-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)- エチル]ベンゾイル]-、二ナトリウム塩、七水和物、カンプトテシン、PEG標識イリノテカン、タモキシフェン、トレミフェンシトレート、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、DES(ジエチルスチルベストロール)、エストラジオール、エストロゲン、コンジュゲートしたエストロゲン、ベバシズマブ、IMC-1C11、CHIR-258、3-[5-(メチルスルホニルピペラジンメチル)-インドリル]-キノロン、バタラニブ、AG-013736、AVE-0005、[D-Ser(tBu)6、Azgly 10]の酢酸塩(パイロ-Glu-His-Trp-Ser-Tyr-D-Ser(tBu)-Leu-Arg-Pro-Azgly-NH2アセテート[C59H84N18O14-(C2H4O2)x(式中、x=1~2.4)]、酢酸ゴセレリン、酢酸ロイプロリド、トリプトレリンパモ酸塩、酢酸メドロキシプロゲステロン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ラロキシフェン、ビカルタミド、フルタニド、ニルタミド、酢酸メゲストロール、CP-724714;TAK-165、HKI-272、エルロチニブ、ラパタニブ、カネルチニブ、ABX-EGF抗体、アービタックス、EKB-569、PKI-166、GW-572016、イオナファルニブ、BMS-214662、ティピファルニブ;アミホスチン、NVP-LAQ824、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、バルプロ酸、トリコスタチンA、FK-228、SU11248、ソラフェニブ、KRN951、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナグレリド、L-アスパラギナーゼ、Calmette-Guerin桿菌(BCG)ワクチン、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエチルスチルベストロール、エピルビシン、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、グリベック、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、6-メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、オクトレオチド、オキサリプラチン、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、トレチノイン、ビンデシン、13-シス-レチノイン酸、フェニルアラニンマスタード、ウラシルマスタード、エストラムスチン、アルトレタミン、フロクスウリジン、5-デオキシウリジン、シトシンアラビノシド、6-メカプトプリン、デオキシコホルマイシン、カルシトリオール、バルルビシン、ミスラマイシン、ビンブラスチン、ビノレルビン、トポテカン、ラゾキシン、マリマスタット、COL-3、ネオバスタット、BMS-275291、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、EMD121974、インターロイキン-12、IM862、アンジオスタチン、ビタキシン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、スピロノラクトン、フィナステリド、シミチジン、トラスツズマブ、デニロイキンジフチトクス、ゲフィチニブ、ボルテジミブ、イリノテカン、トポテカン、ドキソルビシン、ドセタキセル、ビノレルビン、ベバシズマブ(モノクローナル抗体)及びアービタックス、クレモフォールフリーのパクリタキセル、エピチロンB、BMS-247550、BMS-310705、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、ピペンドキシフェン、ERA-923、アルゾキシフェン、フルベストラント、アコルビフェン、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、TSE-424、HMR-3339、ZK186619、PTK787/ZK 222584、VX-745、PD 184352、ラパマイシン、40-O-(2-ヒドロキシエチル)-ラパマイシン、テムシロリムス、AP-23573、RAD001、ABT-578、BC-210、LY294002、LY292223、LY292696、LY293684、LY293646、ウォルトマンニン、ZM336372、L-779450、PEG-フィルグラスチム、ダルベポエチン、エリトロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、ゾレンドロネート、プレドニゾン、セツキシマブ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ヒストレリン、ペグ化インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2a、ペグ化インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-2b、アザシチジン、PEG-L-アスパラギナーゼ、レナリドミド、ゲムツズマブ、ヒドロコルチゾン、インターロイキン-11、デクスラゾキサン、アレムツズマブ、全トランス型レチノイン酸、ケトコナゾール、インターロイキン-2、メゲストロール、免疫グロブリン、ナイトロジェンマスタード、メチルプレドニゾロン、イブリツモマブチウキセタン、アンドロゲン、デシタビン、ヘキサメチルメラミン、ベキサロテン、トシツモマブ、三酸化ヒ素、コルチゾン、エジトロネート、ミトタン、シクロスポリン、リポソーマルダウノルビシン、エドウィーナ-アスパラギナーゼ、ストロンチウム89、カソピタント、ネツピタント、NK1受容体遮断薬、パロノセトロン、アプレピタント、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、メトクロプラミド、ロラゼパム、アルプラゾラム、ハロペリドール、ドロペリドール、ドロナビノール、デキサメタゾン、メチルプレドニゾロン、プロクロルペラジン、グラニセトロン、オンダンセトロン、ドラセトロン、トロピセトロン、ペグフィルグラスチム、エリトロポエチン、エポエチンアルファ及びダルベポエチンアルファ、イピルムマブ、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0145】
医薬組成物及びキット
本開示の別の態様は、薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物を提供する。具体的には、本開示は、1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に製剤化された本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物を提供する。これらの製剤には、経口、直腸、局所、バッカル、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、又は静脈内)直腸、膣、又はエアロゾル投与に好適なものが含まれるが、あらゆる所与の事例における最も好適な投与形態は、治療される状態の程度及び重症度、並びに使用される特定の化合物の性質に依存する。例えば、開示される組成物は、単位用量として製剤化されてもよく、かつ/又は経口投与若しくは皮下投与用に製剤化されてもよい。
【0146】
例示的な医薬組成物は、医薬調製物の形態で、例えば、有効成分として本明細書に記載の化合物のうちの1つ以上を、外用、経腸、若しくは非経口適用に好適な有機若しくは無機担体若しくは賦形剤と混合して含む固体、半固体、又は液体形態で使用され得る。有効成分は、例えば、錠剤、ペレット剤、カプセル剤、座剤、溶剤、エマルション、懸濁剤、及び使用に好適な任意の他の形態用の通常の非毒性の薬学的に許容される担体と配合されてもよい。主題の活性化合物は、疾患のプロセス又は状態に対する所望の効果を生じさせるのに十分な量で医薬組成物中に含まれる。
【0147】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要有効成分を、医薬担体、例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、若しくはガムなどの従来の錠剤化成分、及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、本明細書に提供される化合物、又はその非毒性の薬学的に許容される塩の均質な混合物を含む固体予備製剤組成物を形成することができる。これらの予備製剤組成物を均質物と呼ぶ場合、組成物が錠剤、ピル、及びカプセルなどの同等に有効な単位剤形に容易に細分され得るように、有効成分が組成物全体にわたって均一に分散されることを意味する。
【0148】
経口投与のための固形剤形(カプセル、錠剤、ピル、糖剤、粉末、顆粒等)では、対象組成物が、1つ以上の薬学的に許容可能な担体、例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなど、及び/又は以下のうちのいずれかと混合される:(1)充填剤又は増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及び/又はケイ酸、(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及び/又はアカシアなど、(3)湿潤剤、例えばグリセロール、(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウム、(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン、(6)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、(7)湿潤剤、例えばアセチルアルコール及びグリセロールモノステアレートなど、(8)吸収剤、例えばカオリン及びベントナイト粘土、(9)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物、及び(10)着色剤。カプセル、錠剤、及びピルの場合、組成物は緩衝剤も含み得る。同様のタイプの固体組成物は、ラクトース又は乳糖などの賦形剤、並びに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤としても用いられ得る。
【0149】
錠剤は、任意選択的に1つ以上の付属成分とともに圧縮又は成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチン若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム若しくは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤、又は分散剤を使用して調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた主題の組成物の混合物を好適な機械で成形することによって作製され得る。錠剤、並びに他の固体剤形、例えば、糖衣剤、カプセル剤、丸剤、及び顆粒剤は、任意選択的に、コーティング及びシェル、例えば、腸溶性コーティング及び医薬製剤技術分野で周知の他のコーティングを用いてスコアリング又は調製され得る。
【0150】
吸入又は吹送用の組成物としては、薬学的に許容される水性若しくは有機の溶媒又はそれらの混合物中の溶剤及び懸濁剤、並びに散剤が挙げられる。経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリキシル剤が挙げられる。主題の組成物に加えて、液体剤形は、当該技術分野で一般に使用されている不活性希釈剤、例えば、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ピーナツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタン脂肪酸エステル、シクロデキストリン、並びにそれらの混合物を含み得る。
【0151】
懸濁剤は、主題の組成物に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタヒドロキシドアルミニウム、ベントナイト、寒天、及びトラガカント、並びにそれらの混合物などの懸濁剤を含み得る。
【0152】
直腸投与又は膣投与用の製剤は、主題の組成物を、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、座剤ワックス、又はサリチル酸塩を含む1つ以上の好適な非刺激性賦形剤又は担体と混合することによって調製されてもよく、かつ室温で固体であるが、体温で液体になり、それ故に、体腔内で溶けて活性薬剤を放出する、座剤として提示され得る。
【0153】
主題の組成物の経皮投与用の剤形としては、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、溶剤、パッチ、及び吸入剤が挙げられる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体、及び必要とされ得る任意の防腐剤、緩衝液、又は噴射剤と混合され得る。
【0154】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、及びゲル剤は、主題の組成物に加えて、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び酸化亜鉛、又はそれらの混合物などの賦形剤を含み得る。
【0155】
散剤及びスプレー剤は、主題の組成物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレー剤は、更に、クロロフルオロ炭化水素などの通例の噴射剤、並びにブタン及びプロパンなどの揮発性非置換炭化水素を含み得る。
【0156】
あるいは、本開示の組成物及び化合物は、エアロゾルによって投与され得る。これは、本化合物を含む水性エアロゾル、リポソーム調製物、又は固体粒子を調製することによって達成される。非水性(例えば、フルオロカーボン噴射剤)懸濁剤が使用され得る。超音波ネブライザーが薬剤のせん断への曝露を最小限に抑え、これにより、主題の組成物中に含まれる本化合物の分解がもたらされ得るため、超音波ネブライザーが使用され得る。通常、水性エアロゾルは、従来の薬学的に許容される担体及び安定剤と一緒に主題の組成物の水溶液又は懸濁液を製剤化することによって作製される。担体及び安定剤は、特定の主題の組成物の要件に応じて変化するが、典型的には、非イオン性界面活性剤(Tween、プルロニック(登録商標)、又はポリエチレングリコール)、血清アルブミンなどの無害タンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝剤、塩、糖、又は糖アルコールを含む。エアロゾルは、一般に、等張性溶液から調製される。
【0157】
非経口投与に好適な本開示の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張性水溶液若しくは非水溶液、分散液、懸濁液、若しくはエマルション、又は使用直前に滅菌注射用溶液又は分散液に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて、主題の組成物を含み、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、製剤を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質、又は懸濁剤若しくは増粘剤を含み得る。
【0158】
本明細書に提供される医薬組成物に用いられ得る好適な水性担体及び非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、及びそれらの好適な混合物、オリーブ油などの植物油、並びにオレイン酸エチル及びシクロデキストリンなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合には必要な粒子サイズの維持によって、かつ界面活性剤の使用によって維持され得る。
【0159】
別の実施形態では、開示された化合物及び腸溶性材料、並びにそれらの薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む腸内医薬製剤が提供される。腸溶性材料は、胃の酸性環境内で実質的に不溶性であり、かつ特定のpHで腸液中で主に可溶性であるポリマーを指す。小腸は、胃と大腸の間の消化管(腸)の一部であり、十二指腸、空腸、及び回腸を含む。十二指腸のpHは約5.5であり、空腸のpHは約6.5であり、遠位回腸のpHは約7.5である。
【0160】
したがって、腸溶性材料は、例えば、pHが約5.0、約5.2、約5.4、約5.6、約5.8、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8、約9.0、約9.2、約9.4、約9.6、約9.8、又は約10.0になるまで溶解しない。例示的な腸溶性材料としては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、酢酸トリメリット酸セルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸ヘキサヒドロフタル酸セルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酢酸マレイン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、メチルメタクリル酸及びメチルメタクリレートのコポリマー、アクリル酸メチルのコポリマー、メチルメタクリレート及びメタクリル酸、メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のコポリマー(Gantrez ESシリーズ)、エチルメタクリレート-メチルメタクリレート-クロロトリメチルアンモニウムエチルアクリレートコポリマー、天然樹脂、例えば、ゼイン、シェラック、及びコーパルコロフォリウム、並びにいくつかの市販の腸溶性分散系(例えば、Eudragit L30D55、Eudragit FS30D、Eudragit L100、Eudragit S100、Kollicoat EMM30D、Estacryl 30D、Coateric、及びAquateric)が挙げられる。上記の材料の各々の溶解性は、既知であるか、又はインビトロで容易に決定可能であるかのいずれかである。前述は、可能性のある材料のリストであるが、本開示の利益を有する当業者であれば、それが包括的ではなく、本明細書に記載される目的を満たす他の腸溶性材料があることを認識するであろう。
【0161】
有利なことに、本明細書では、例えば、がんの治療を必要とする購入者が使用するためのキットが提供される。そのようなキットには、上述のものなどの適切な剤形、及び炎症を媒介、軽減、又は防止するためにかかる剤形を使用する方法を説明する説明書が含まれる。説明書は、当業者に既知の投与様式に従って剤形を投与するように消費者又は医療従事者に指示するものである。かかるキットは、有利には、単一又は複数のキット単位で包装され、販売され得る。かかるキットの一例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装業界で周知であり、医薬単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは、一般に、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的硬い材料のシートからなる。包装プロセス中に、プラスチックホイルにくぼみが形成される。これらのくぼみは、包装される錠剤又はカプセル剤のサイズ及び形状を有する。次に、錠剤又はカプセル剤がくぼみに配置され、比較的硬い材料のシートが、くぼみが形成された方向とは反対のホイルの面でプラスチックホイルに対して密封される。結果として、錠剤又はカプセル剤がプラスチックホイルとシートとの間のくぼみ内に密封される。好ましくは、シートの強度は、くぼみに手動で圧力を加えることによってブリスターパックから錠剤又はカプセル剤を取り出すことができ、それにより、くぼみの場所でシート内に開口部が形成されるような強度である。その後、当該開口部を介して錠剤又はカプセル剤を取り出すことができる。
【0162】
錠剤又はカプセル剤の横に例えば番号の形態でキット上に記憶補助を提供することが望ましい場合があり、それらの番号は、そのように指定された錠剤又はカプセル剤が服用されるべきレジメンの日に対応する。かかる記憶補助の別の例は、カード上に印刷されたカレンダーであり、例えば、「1週目、月曜日、火曜日、...など...2週目、月曜日、火曜日、...」 などである。他の記憶補助のバリエーションも容易に明らかになるであろう。「1日用量」は、所与の日に服用される単一の錠剤若しくはカプセル剤又は複数の錠剤若しくはカプセル剤とすることができる。また、第1の化合物の1日用量は、1つの錠剤又はカプセル剤からなることができ、第2の化合物の1日用量は、複数の錠剤又はカプセル剤からなることができ、その逆も同様である。記憶補助はこれを反映すべきである。
【実施例】
【0163】
本明細書に記載の化合物は、本明細書に含まれる教示及び当該技術分野における合成手順の開示に基づくいくつかの方法で調製することができる。以下に記載される
合成方法の説明において、
溶媒の選択、反応雰囲気、反応温度、
実験の期間及びワークアップ手順を含む提案された全て反応条件が、特に明記しない限り、
その反応のための基準の条件となるように選択され得る。有機合成の当業者は、
分子の様々な部分に存在する官能性が、
提案された試薬及び反応と適合性でなければならないことを理解している。反応条件と適合しない置換基は
当業者には明らかであり、従って、代替の方法が
示される。実施例の出発材料は、市販されているか、又は既知の材料から
標準的な方法によって容易に調製される。
【0164】
以下の略語は、本開示において使用され、以下の定義を有する:「AcOH」は酢酸であり、「ADP」はアデノシン二リン酸であり、「Ar」はアルゴンガスであり、「ASNase」はアスパラギナーゼであり、「Boc」はt-ブチルカルボネートであり、「conc」は 濃縮されたものであり、「Cs2CO3」は炭酸セシウムであり、「DCM」はジクロロメタンであり、「DIAD」はアゾジカルボン酸ジイソプロピルであり、「DIEA」はN,N-ジイソプロピルエチルアミンであり、「DMF」はN,N-ジメチルホルムアミドであり、「dppf」は1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンであり、「DMSO」はジメチルスルホキシドであり、「EDTA」はエチレンジアミン四酢酸であり、「ESI」はエレクトロスプレーイオン化であり、「EtOAc」は酢酸エチルであり、「EtOH」はエタノールであり、「GST」はグルタチオンS-トランスフェラーゼであり、「h」は時間(hour又はhours)であり、「HCl」は塩酸であり、「Hex」はヘキサンであり、「H2O」は水であり、「IC50」は50%阻害濃度であり、「K2CO3」は炭酸カリウムであり、「KOAc」は酢酸カリウムであり、「NaBH4」は水素化ホウ素ナトリウムであり、「LAH」は水素化アルミニウムリチウムであり、「CH3CN」はアセトニトリルであり、「mCPBA」は4-クロロペル安息香酸であり、「MeOH」はメタノールであり、「MHz」はメガヘルツであり、「min」は分(minute又はminutes)であり、「MS」は質量分析であり、「NADH」はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドであり、「NaH」は水素化ナトリウムであり、「NaHCO3」は重炭酸ナトリウムであり、「NaNO2」は亜硝酸ナトリウムであり、「NaOMe」はナトリウムメトキシドであり、「Na2SO4」は硫酸ナトリウムであり、「NBS」はN-ブロモスクシンイミドであり、「NCS」はN-クロロスクシンイミドであり、「NH4Cl」は塩化アンモニウムであり、「NIS」はN-ヨードスクシンイミドであり、「NMR」は核磁気共鳴であり、「PBS」はリン酸緩衝生理食塩水であり、「Pd2(dba)3」はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)であり、Pd(dppf)Cl2」は1,1-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン-パラジウム(II)ジクロリドであり、「Ph3P」はトリフェニルホスフィンであり、「PMB」はパラメトキシベンジルであり、「POCl3」はオキシ塩化リンであり、「rt」は室温であり、周囲温度とも呼ばれ、15~25℃の範囲の標準実験室温度の範囲からなると理解され、「sat’d」は 飽和であり、「SDS」はドデシル硫酸ナトリウムであり、「SOCl2」は塩化チオニルであり、「TEA」はトリエチルアミンであり、「TFA」はトリフルオロ酢酸であり、「THF」はテトラヒドロフランであり、「XantPhos」は4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテンである。
一般化学
【0165】
本明細書に記載される例示的化合物は、以下のスキーム、中間調製物、及び付随する実施例に示される一般的な合成方法によって入手可能である。
【化13】
【0166】
スキーム1は、スルホニルクロリド1.5の例示的調製を示す。臭化物1.1a(市販品又は当業者によって合成されたもの)を、Pd触媒カップリング反応(例えば、Pd
2(dba)
3、XantPhos、フェニルメタンチオールを、トルエンなどの溶媒中、DIEAなどの塩基の存在下で高温で使用する)によってチオエーテル1.2aに変換する。あるいは、化合物1.2は、高温でCH
3CN中のジベンジルジスルフィド及び亜硝酸アミルを使用したジアゾ化によって、アニリン1.1b(市販品又は当業者によって合成されたもの)から調製することができる。還元剤(LAH又はNaBH
4)を用いたエステル1.2(R=Me、Et)の還元は、一級アルコール1.3をもたらす。アルコール1.3は、DIEAなどの塩基の存在下での無水酢酸との反応によって1.4に変換することができる。最後に、Synthesis,2006,24,4131-4134及びBioorg.Med.Chem.,2017,25,3447-3460で報告されている一般的な反応条件に従って、NCS及びAcOHの組み合わせによるチオエーテル1.4のスムーズな酸化により、対応するスルホニルクロリド1.5が得られる。
【化14】
【0167】
スキーム2は、ボロネート2.4の例示的調製を示す。化合物2.1(市販品、WO2013/134298に記載されているように合成されたもの、又は当業者によって合成されたもの)を、当業者に公知のホウ素化反応(Pd(dppf)Cl
2などのパラジウム触媒、KOAcなどの好適な塩基を用いて1,4-ジオキサンなどの好適な溶媒中で高温で行われるパラジウム媒介反応)によりビス(ピナコラート)ジボロンと反応させて化合物2.2を得、これをスルホニルクロリド1.5(スキーム1を参照)と反応させて化合物2.4を得る。あるいは、化合物2.1をスルホニルクロリド1.5と反応させてスルホンアミド2.3を得、これを当業者に公知のホウ素化反応条件下で、ボロネート2.4に変換する。
【化15】
【0168】
スキーム3は、ボロネート3.3の例示的な調製を示す。化合物3.2は、アニリン3.1(市販品又は当業者によって合成されたもの)からジアゾ化し、続いて得られた中間体のCu媒介性塩素化によって調製される(Org.Proc.Res.Dev.,2009,5,875-879で報告された一般的な反応条件による)。塩化スルホニル3.2は、スルホンアミドカップリング下でアミン2.2と反応させて、スルホンアミド3.3を得る。
【化16】
【0169】
スキーム4は、中間体4.4の例示的調製を示す。NaHなどの塩基の存在下、アルキル化試薬(R
5O)
2SO
2を用いて3-ヨード-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン4.1をN-アルキル化すると、4.2が得られる。化合物4.2は、DCM中のmCPBAなどの当該技術分野で既知の酸化によって活性化されて、N-オキシド4.3を得ることができる。ピロロピリジンN-オキシド4.3は、PMBNH
2及びp-トルエンスルホニルクロリドの混合物を使用してアミノピロロピリジン4.4に変換され、その後、TFAでインサイチュで脱保護される。
【化17】
【0170】
スキーム5は、中間体5.8の例示的調製を示す。高温で、EtOHなどのプロトン性溶媒中、TEAなどの塩基の存在下で、様々なアミン(R
5-NH
2)による2-(4,6-ジクロロピリミジン-5-イル)アセトアルデヒド5.1の環化により、化合物5.2が得られる。NBS(又はNIS)での5.2の臭素化(又はヨウ素化)により、化合物5.4(X=CH)が得られる。化合物5.5をNBS(又はNIS)と反応させて、5.6を得る。化合物5.3、5.5、及び5.6をアルキル化試薬(R
5-I)でアルキル化すると、それぞれ5.4、5.7、及び5.8が得られる。あるいは、化合物5.3、5.5、及び5.6は、標準的な光延条件下でアルコール(R
5-OH)と反応して(例えば、Ph
3P及びDIADの存在下で実施される)、それぞれ5.4、5.7、及び5.8を生成する。別の実施形態では、中間体5.8はまた、水酸化アンモニウムとの置換反応によって5.4から、及びNBS(又はNIS)による臭素化(又はヨウ素化)によって5.7から調製することもできる。
【化18】
【0171】
スキーム6は、式Iの例示的な調製を示す。臭化物(又はヨウ化物)4.4及び5.8を、パラジウム触媒の存在下でボロネート2.2と反応させて(鈴木条件)、アニリン6.1が得られる。アニリン6.1とスルホニルクロリド1.5とのスルホンアミドカップリング反応により、スルホンアミド6.3が得られる。あるいは、6.3は、鈴木条件下で、臭化物(又はヨウ化物)4.4及び5.8とボロネート2.4から調製することができる。室温でMeOHなどのプロトン性溶媒中、K2CO3でのスルホンアミド6.3の脱保護により式Iが得られる。別の実施形態では、臭化物(又はヨウ化物)4.4及び5.8をパラジウム触媒の存在下でボロネート3.3と反応させて(鈴木条件)、6.2を得る。LiAlH4下で6.2を還元すると、一級アルコール、式Iが得られる。
中間体及び最終化合物の調製。
【0172】
本明細書に記載される合成手順及び方法、並びに当業者に公知の方法を使用して、以下の化合物を作製した:
一般的方法A:ホウ素化
実施例A1:2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン
【化19】
【0173】
1,4-ジオキサン(30mL)中のKOAc(4.6g、47.4mmol)、3-ブロモ-2-フルオロアニリン(3.0g、15.8mmol)、及び4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(4.8g、18.9mmol)の混合物をArで10分間脱気した。PdCl2(dppf)(1.3g、1.6mmol)を加え、反応混合物を110℃で6時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を減圧下で除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0~50%のEtOAc/ヘキサン)により精製して、2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(2.7g、収率72%)を黄褐色固体として得た。1H NMR(500 MHz,DMSO-d6):δ 6.86(m,2H),6.76(d,J=6.8 Hz,1H),5.02(s,2H),1.28(s,12H);MS(ESI)m/z:238.2(M+H+).
【0174】
上記の一般的方法Aを使用して、下記の表Aの中間体を調製した。
【表A】
【0175】
一般的方法B:アルキル化:
実施例B1:4-クロロ-5-ヨード-7-イソプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン
【化20】
DMF(18mL)中の4-クロロ-5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(2.0g、7.2mmol)の溶液を、Cs
2CO
3(4.7g、14mmol)で処理した。2-ヨードプロパン(1.2g、7.2mmol)を添加し、反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応物を水(100mL)中に注いで、固体を真空濾過を介して収集して、黄色のふわふわした固体として4-クロロ-5-ヨード-7-イソプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(1.8g、78%)を得た。
1H NMR(500 MHz,DMSO-d
6):δ 8.63(s,1H),8.18(d,J=1.4 Hz,1H),5.04(m,1H),1.47(d,J=6.8 Hz,6H);MS(ESI)m/z:322.0(M+H
+).
【0176】
上記の一般的方法Bを使用して、下記の表Bの中間体を調製した。
【表B】
【0177】
B6の調製:(E)-N’-(5-ヨード-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド
【化21】
【0178】
DMF(50mL)中の5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(5.0g、19mmol)の溶液を、N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(3.43g、28mmol)で処理した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をDCM(150mL)で希釈し、ブライン(2×)溶液で洗浄した。有機層を、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製物質をジエチルエーテル(100mL)で粉砕し、固体を濾過して、所望の(E)-N’-(5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(5.0g、85%)を得た。1H NMR(500 MHz,DMSO-d6):δ 11.9(s,1H),8.80(s,1H),8.27(s,1H),7.41(d,J=2.0,1H),3.21(s,3H),3.17(s,3H); MS(ESI)m/z:315.8(M+H+).
【0179】
酸素雰囲気下、DMF(30mL)中の(E)-N’-(5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(2.0g、6.3mmol)及び1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1.6g、7.6mol)の溶液を、NaHCO
3(1.3g、12.6mmol)、2,2-ビピリジル(1.1g、6.9mmol)及びCu(OAc)
2(1.3g、6.9mol)で室温で処理した。反応混合物を室温で4日間撹拌し、減圧下で濃縮した。粗物質をジエチルエーテル(60mL)で粉砕し、固体を濾過して、所望の(E)-N’-(5-ヨード-7-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(3.0g、粗製物)を得て、これを更にに精製することなく次の反応に使用した。MS(ESI)m/z:395.8(M+H
+)。
実施例B7:(E)-N’-(5-ヨード-7-(1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド
【化22】
【0180】
(E)-N’-(5-ヨード-7-(1H-ピラゾール-4-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミドを、実施例B6と同様に、(E)-N’-(5-ヨード-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-N,N-ジメチルホルムイミドアミド(0.69g、2.2mmol)及び4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾールピラゾール(0.5g、2.6mol)から調製した。MS(ESI)m/z:381.8(M+H+)。
【0181】
一般的方法C:環化
実施例C1:4-クロロ-7-シクロプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン
【化23】
EtOH(18mL)中の2-(4,6-ジクロロピリミジン-5-イル)アセトアルデヒド(2.0g、10.5mmol)の溶液を、Et
3N(2.9mL、21mmol)で処理した。反応混合物を、室温で10分間撹拌し、次いでシクロプロパンアミン(0.6mL、9.4mmol)を添加した。反応混合物を、140℃で一晩撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで減圧下で濃縮した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0-100%EtOAc/ヘキサン)により精製して、4-クロロ-7-シクロプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(1.6g、79%)を淡黄色の固体として得た。
1H NMR(500 MHz,DMSO-d
6):δ 8.59(s,1H),7.65(d,J=3.7 Hz,1H),6.54(d,J=3.5 Hz,1H),3.59(m,1H),1.01-1.03(m,4H); MS(ESI)m/z:194.0(M+H
+).
【0182】
上記の一般的方法Cを使用して、下記の表Cの中間体を調製した。
【表C】
【0183】
一般的方法D:臭素化又はヨウ素化
実施例D1:5-ブロモ-4-クロロ-7-シクロプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン
【化24】
DCM(15mL)中の4-クロロ-7-シクロプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(C1、0.67g、3.5mmol)の溶液を、NBS(0.74g、4.2mmol)で処理し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水(5mL)に懸濁した。固体を濾過し、水(2mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、5-ブロモ-4-クロロ-7-シクロプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(0.6g、64%)を白色固体として得た。
1H NMR(500MHz,DMSO-d
6):δ8.69(s,1H),8.00(d,J=2.1Hz,1H),3.66(m,1H),1.10(m,4H);MS(ESI)m/z:272.0(M+H
+)及び274。
【0184】
上記の一般方法Dを使用して、下記の表Dの中間体を調製した。
【表D】
【0185】
一般的方法E:置換
実施例E1:5-ヨード-7-イソプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン
【化25】
1,4-ジオキサン(5.5 mL)中の4-クロロ-5-ヨード-7-イソプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(B1、1.78g、5.5mmol)の懸濁液を、NH
4OH(水中30%、1.7mL、13mmol)で処理し、反応物を95℃まで一晩加熱した。混合物を室温に冷却し、冷水で希釈した。混合物を0℃で30分間撹拌し、次いで、固体を真空濾過を介して収集して、白色の固体として所望の生成物5-ヨード-7-イソプロピル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(0.80g、48%)を得た。
1H NMR(500 MHz,DMSO-d
6):δ 8.09(s,1H),7.59(s,1H),6.59(s,2H),4.89(m,1H),1.40(d,J=6.8 Hz,6H); MS(ESI)m/z:303.0(M+H
+).
【0186】
上記の一般的方法Eを使用して、下記の表Eの中間体を調製した。
【表E-1】
【表E-2】
【0187】
実施例E12:3-ヨード-1-メチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-4-アミンの調製
【化26】
DCM(20mL)中の3-ヨード-1-メチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン(0.90g、3.5mmol)の撹拌懸濁液を、室温で3-クロロペルオキシ安息香酸(0.90g、5.2mmol)で処理した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO
3でクエンチしてから、溶液をDCM(2×)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗製3-ヨード-1-メチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン5-オキシド(0.6g、65%)をオフホワイトの固体として得た。
1H NMR(400 MHz,DMSO-d
6):δ 8.12(s,1H),8.00(d,J=7.2 Hz,1H),7.34(s,1H),7.59(d,J=7.2 Hz,1H),3.82(s,3H); MS(ESI)m/z:275.0(M+H
+).
【0188】
クロロホルム(20mL)中の3-ヨード-1-メチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン5-オキシド(0.6g、2.1mmol)の溶液を、(4-メトキシフェニル)メタンアミン(1.3g、9.8mmol)で処理し、室温で約30分間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、続いてp-トルエンスルホニルクロリド(0.92g、4.8mmol)を少量ずつに分けて添加し、反応混合物を室温で2.5時間撹拌した。混合物をDCM(50mL)で希釈し、飽和NaHCO3溶液で洗浄した。有機層を、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(70%EtOAc/ヘキサン)により精製して、3-ヨード-N-(4-メトキシベンジル)-1-メチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン(0.2g、23%)を淡黄色の固体として得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 7.68(d,J=6.4 Hz,1H),7.36(s,1H),7.31(d,J=7.6 Hz,2H),6.89(d,J=7.6 Hz,2H),6.81(d,J=6.0 Hz,1H),6.14(br m,1H),4.64(d,J=5.2 Hz,2H),3.73(s,3H),3.69(s,3H); MS(ESI)m/z:394.2(M+H+).
【0189】
DCM(10mL)中の3-ヨード-N-(4-メトキシベンジル)-1-メチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン(0.2g、0.508mmol)の懸濁液を、氷水浴下で撹拌した。次いで、TFA(1 mL)を滴下して加え、反応混合物を室温で4時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をNaHCO3の飽和溶液で処理した。混合物を10分間撹拌し、水層を10%MeOH/DCM(2×)で更に抽出した。合わせた有機抽出物を、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(3~5%MeOH/DCM)により精製して、3-ヨード-1-メチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-4-アミン(0.05g、36%)をオフホワイトの固体として得た。 1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 7.63,d,J=6.4 Hz,1H),7.48(s,1H),6.94(d,J=6.4 Hz,1H),6.35(br s,2H),3.72(s,3H); MS(ESI)m/z:273.9(M+H+).
【0190】
一般的方法F:アミンからのチオエーテルの調製
実施例F1:3-(ベンジルチオ)-2,5-ジクロロ安息香酸エチル
【化27】
【0191】
CH3CN(250mL)中の3-アミノ-2,5-ジクロロ安息香酸エチル(12.0g、51.0mmol)の溶液を、亜硝酸アミル(9.64mL、81.0mmol)で処理した。ジベンジルジスルフィド(12.6g、51.0mmol)を室温で添加し、反応混合物を70℃で3時間加熱した。反応混合物を、氷水(100mL)でクエンチし、EtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機物を、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10~20%のEtOAc/ヘキサン)により精製し、3-(ベンジルチオ)-2,5-ジクロロ安息香酸エチル(10.0g、収率58%)をオフホワイト固体として得た。1H NMR(500 MHz,DMSO-d6):δ 7.63(d,J=2.8 Hz,1H),7.56(d,J=2.4 Hz,1H),7.44(d,J=7.2 Hz,2H),7.35(t,J=7.6 Hz,2H)7.28(d,J=7.2 Hz,1H),4.42(s,2H),4.33(q,J=7.2 Hz,2H),1.29(t,J=6.8 Hz,3H).
【0192】
一般的方法G:臭素からのチオエーテルの調製
実施例F2:3-(ベンジルチオ)-2-クロロ安息香酸エチル
【化28】
【0193】
トルエン(30mL)中の3-ブロモ-2-クロロ安息香酸メチル(3.0g、12mmol)、フェニルメタンチオール(1.6g、13mmol)の溶液を、DIEA(4.2mL、24mmol)で処理した。混合物を、Arで5分間パージし、次いでXantPhos(0.67g、1.2mmol)及びPd2(dba)3(0.55g、0.60mmol)を添加した。混合物を、Arで5分間パージし、90℃まで一晩加熱した。反応物を室温に冷却し、シリカゲルを通して濾過し、EtOAc:ヘキサン(1:1)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0~100%EtOAc:ヘキサン)により精製して、3-(ベンジルチオ)-2-クロロ安息香酸メチル(2.8g、80%)をオレンジ色の油状物として得た。1H NMR(500 MHz,DMSO-d6):δ 7.60(dd,J=8.0,1.5 Hz,1H),7.50(dd,J=7.6,1.5 Hz,1H),7.37-7.46(m,2H),7.31-7.37(m,2H),7.23-7.31(m,2H),4.34(s,2H),3.85(s,3H).
【0194】
上記の一般的方法F及びGを使用して、下記の表Fの中間体を調製した。
【表F】
【0195】
一般的方法H:還元
実施例G1:(3-(ベンジルチオ)-2,5-ジクロロフェニル)メタノール
【化29】
【0196】
EtOH(200mL)中のCaCl2(0.45g、0.92mmol)及びNaBH4(6.20g、37mmol)の混合物を、0℃で撹拌した。THF(200mL)中の3-(ベンジルチオ)-2,5-ジクロロ安息香酸エチル(F1、14.0g、9.2mmol)の冷溶液を、0℃で滴加した。反応混合物を0℃で撹拌し、ゆっくりと室温まで温め、次いで60℃で5時間加熱した。反応混合物を、室温に冷却し、飽和NH4Cl溶液(50mL)でクエンチし、次いでEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機抽出物を、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1~10%のEtOAc/ヘキサン)により精製し、(3-(ベンジルチオ)-2,5-ジクロロフェニル)メタノール(8.0g、66%)を褐色固体として得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 7.44(m,2H),7.35(m,3H),7.25-7.32(m,2H),5.57(t,J=5.6 Hz,1H),4.51(d,J=6.0 Hz,2H),4.36(s,2H).
【0197】
上記の一般的方法Hを使用して、下記の表Gの中間体を調製した。
【表G】
【0198】
一般的方法I:アセチル化
実施例H1:3-(ベンジルチオ)-2,5-ジクロロベンジルアセテート
【化30】
【0199】
THF(10mL)中(3-(ベンジルチオ)-2,5-ジクロロフェニル)メタノール(G1、0.82g、2.7mmol)の溶液を無水酢酸(0.31mL、3.3mmol)で室温で処理した。混合物をAr下、50℃で2時間撹拌した後、水で希釈した。溶液をEtOAc(3×)で抽出し、合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、3-(ベンジルチオ)-2,5-ジクロロベンジルアセテート(0.92g、98%)を白色の固体として得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 7.51(m,3H),7.41(m,3H),7.35(m,1H),5.16(s,2H),4.45(s,2H),2.16(s,3H).
【0200】
上記の一般的方法Iを使用して、下記の表Hの中間体を調製した。
【表H-1】
【表H-2】
【0201】
一般的方法J:スルホニルクロリドの調製
実施例I1:2,5-ジクロロ-3-(クロロスルホニル)ベンジルアセテート
【化31】
【0202】
0℃のTHF/H2O(1:1、3mL)中の3-(ベンジルチオ)-2,5-ジクロロベンジルアセテート(H1、0.92g、2.7mmol)及び1-クロロピロリジン-2,5-ジオン(1.8g、13mmol)の溶液を、酢酸(7mL)で処理した。反応混合物を、室温にゆっくりと室温まで加温し、次いで室温で6時間撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO3溶液(100mL)でクエンチし、EtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機物を、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0~100%のEtOAc/ヘキサン)により精製し、2,5-ジクロロ-3-(クロロスルホニル)ベンジルアセテート(0.45g、53%)を白色固体として得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 7.84(d,J=2.8 Hz,1H),7.52(d,J=2.8 Hz,1H),5.13(s,2H),2.11(s,3H).
【0203】
上記の一般的方法Jを使用して、下記の表Iの中間体を調製した。
【表I-1】
【表I-2】
【0204】
一般的方法K:スルホンアミドカップリング
実施例J1:2,5-ジクロロ-3-(N-(2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)スルファモイル)安息香酸メチル
【化32】
【0205】
DCM(30mL)中の2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)アニリン(A12.2g、9.3mmol)の溶液を、ピリジン(2.2mL、28mmol)で処理した。反応混合物を0℃に冷却し、DCM(10mL)中の2,5-ジクロロ-3-(クロロスルホニル)安息香酸メチル(I22.8g、9.3mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を、2時間かけてゆっくりと室温まで加温した。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗製物をDCM(50mL)中に溶解した。溶液を1.0M HCl(2×)、NaHCO3水溶液(3×)、及びブライン(1×)で洗浄した。有機層を、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をヘキサンに懸濁させ、固体を真空濾過により収集して、2,5-ジクロロ-3-(N-(2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)スルファモイル)安息香酸メチル(4.2g、90%)を褐色固体として得た。1H NMR(500 MHz,DMSO-d6):δ 10.71(s,1H),8.13(d,J=2.6 Hz,1H),8.02(d,J=2.6 Hz,1H),7.46(m,1H),7.38(td,J=7.9,1.8 Hz,1H),7.16(t,J=7.7 Hz,1H),3.91(s,3H),1.28(s,12H); MS(ESI)m/z 526.0(M+Na+H+).
【0206】
一般的方法L:還元
実施例J2:2,5-ジクロロ-N-(2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-3-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホンアミドの調製
【化33】
【0207】
THF(5mL)中の2,5-ジクロロ-3-(N-(2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)スルファモイル)安息香酸メチル(J1,0.5g、0.99mmol)の溶液をLAH(0.11g、30mmol)で0℃で少量ずつ処理し、次いで0℃で1時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、次いで水(0.2mL)、15%NaOH水溶液(0.2mL)、及び水(0.4mL)でクエンチした。混合物を4時間撹拌し、次いで、セライトのパッドを通して濾過した。濾液を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、2,5-ジクロロ-N-(2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)-3-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホンアミド(0.26g、55%)を無色の固体として得て、これを更に精製することなく次の反応に使用した。MS(ESI)m/z 498.0(M+Na+H+)。
【0208】
上記の一般的方法K及びLを使用して、下記の表Jの中間体を調製した。
【表J-1】
【表J-2】
【0209】
一般的方法M:鈴木反応
実施例1:3-(N-(3-(4-アミノ-7-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)-2-フルオロフェニル)スルファモイル)-2,5-ジクロロベンジルアセテート
【化34】
【0210】
1,4-ジオキサン及び水の混合物(4:1、100 mL)中の5-ヨード-7-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(1.7g、6.3mmol)の溶液を、Ar下で撹拌した。2,5-ジクロロ-3-(N-(2-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル)スルファモイル)ベンジルアセテート(3.6g、6.9mmol)及びCs2CO3(5.1g、15.7mmol)を室温で添加し、反応混合物をArで5分間脱気した。 Pd(dppf)Cl2.DCM(0.25g、0.31mmol)を添加し、得られた混合物を90℃で1.5時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、セライトのパッドを通して濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を、飽和NaHCO3(2×)、続いて水(2×)で洗浄した。有機層を、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗製物質を得た。粗製物質を、室温で2時間、CH3CN(300mL)中で更に撹拌した。固体を濾過し、真空下で乾燥させて、3-(N-(3-(4-アミノ-7-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)-2-フルオロフェニル)スルファモイル)-2,5-ジクロロベンジルアセテート(2.5g、91%)を淡褐色の固体として得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 10.76(br s,1H),8.14(s,1H),7.93(d,J=2.4 Hz,1H),7.84(m,1H),7.26(s,1H),7.19(m,3H),6.02(br s,2H),5.20(s,2H),3.73(s,3H),3.56(s,3H); MS(ESI)m/z 538.0(M+H+).
【0211】
一般的方法N:脱保護
実施例2:N-(3-(4-アミノ-7-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)-2-フルオロフェニル)-2,5-ジクロロ-3-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホンアミド
【化35】
【0212】
MeOH(40mL)中の3-(N-(3-(4-アミノ-7-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)-2-フルオロフェニル)スルファモイル)-2,5-ジクロロベンジルアセテート(1、2.3g、4.2mmol)の溶液を、室温でK2CO3(2.3g、17mmol)で処理した。混合物を室温で3時間撹拌し、次いで溶媒を減圧下で蒸発させた。粗製物質を10%クエン酸溶液(pH約5)で酸性化し、次いで固体を濾過し、水で十分に洗浄した。固体を、室温で2時間、CH3CN(5mL)及びDCM(5mL)の混合物で処理した。沈殿物を濾過し、乾燥させて、N-(3-(4-アミノ-7-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-5-イル)-2-フルオロフェニル)-2,5-ジクロロ-3-(ヒドロキシメチル)ベンゼンスルホンアミド(1.6g、76%)をオフホワイトの固体として得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6)δ 10.69(br s,1H),8.14(s,1H),7.84(d,J=2.4 Hz,1H),7.78(br m,1H),7.27(s,1H),7.15-7.25(br m,3H),5.99(br s,2H),5.72(t,J=5.6 Hz,1H),4.60(d,J=5.6 Hz,2H),3.73(s,3H). MS(ESI)m/z 496.27(M+H+).
【0213】
上記の一般的方法L、M及びNを使用して、下記の表Kの中間体を調製した。
【表K-1】
【表K-2】
【表K-3】
【表K-4】
【表K-5】
【表K-6】
【0214】
実施例30.GCN2の生化学的アッセイ
GCN2キナーゼの活性は、TR-FRETキナーゼ活性アッセイ(例えば、Riddle et al.Analytical Biochemistry(2006)356(1)108-116)を使用して決定した。アッセイは、2nM GCN2(Carna Biosciences社)、130nM GFP-EIf2a(Invitrogen社)、0.2mg/mLのE.coli tRNA(sigma社)、及びキナーゼ緩衝液中の1mM ATP(Invitrogen社)を使用して、384ウェルプレート(13uLのアッセイ体積)で実施された。GCN2の阻害を、段階希釈した試験化合物(最終アッセイ濃度0.5%DMSO)を加えた後、3時間のインキュベーションすることによって測定した。ETDAを含有するキナーゼ緩衝液中(最終アッセイ濃度20mM)中のTb-peIF2a(pSer52)抗体(Invitrogen社)(最終アッセイ濃度2nM)を加えた。室温で60分のインキュベーション後、340nmの励起波長と490nm及び520nmの発光波長を使用して、TR-FRETをモニタリングした。各化合物濃度での発光比(520/490)を、対照(すなわち、試験化合物を用いない反応及び既知の阻害剤を用いた反応)を使用して、阻害パーセントに変換し、IC50値を、Prism(GraphPad software)を使用して、4つのパラメータのシグモイド曲線をデータに適合させることによって、算出した。
【0215】
配列番号 1-GCN2タンパク質配列(残基1~1649、N末端のGSTタグを有するG556E)
MAPILGYWKIKGLVQPTRLLLEYLEEKYEEHLYERDEGDKWRNKKFELGLEFPNLPYYIDGDVKLTQSMAIIRYIADKHNMLGGCPKERAEISMLEGAVLDIRYGVSRIAYSKDFETLKVDFLSKLPEMLKMFEDRLCHKTYLNGDHVTHPDFMLYDALDVVLYMDPMCLDAFPKLVCFKKRIEAIPQIDKYLKSSKYIAWPLQGWQATFGGGDHPPKSDLEVLFQGPLGAMGSGIQRPTSTSSLVMAGGRGAPGRGRDEPPESYPQRQDHELQALEAIYGADFQDLRPDACGPVKEPPEINLVLYPQGLTGEEVYVKVDLRVKCPPTYPDVVPEIELKNAKGLSNESVNLLKSRLEELAKKHCGEVMIFELAYHVQSFLSEHNKPPPKSFHEEMLERRAQEEQQRLLEAKRKEEQEQREILHEIQRRKEEIKEEKKRKEMAKQERLEIASLSNQDHTSKKDPGGHRTAAILHGGSPDFVGNGKHRANSSGRSRRERQYSVCNSEDSPGSCEILYFNMGSPDQLMVHKGKCIGDEQLGKLVYNALETATGGFVLLYEWVLQWQKKMGPFLTSQEKEKIDKCKKQIQGTETEFNSLVKLSHPNVVRYLAMNLKEQDDSIVVDILVEHISGVSLAAHLSHSGPIPVHQLRRYTAQLLSGLDYLHSNSVVHKVLSASNVLVDAEGTVKITDYSISKRLADICKEDVFEQTRVRFSDNALPYKTGKKGDVWRLGLLLLSLSQGQECGEYPVTIPSDLPADFQDFLKKCVCLDDKERWSPQQLLKHSFINPQPKMPLVEQSPEDSGGQDYVETVIPSNRLPSAAFFSETQRQFSRYFIEFEELQLLGKGAFGAVIKVQNKLDGCCYAVKRIPINPASRQFRRIKGEVTLLSRLHHENIVRYYNAWIERHERPAGPGTPPPDSGPLAKDDRAARGQPASDTDGLDSVEAAAPPPILSSSVEWSTSGERSASARFPATGPGSSDDEDDDEDEHGGVFSQSFLPASDSESDIIFDNEDENSKSQNQDEDCNEKNGCHESEPSVTTEAVHYLYIQMEYCEKSTLRDTIDQGLYRDTVRLWRLFREILDGLAYIHEKGMIHRDLKPVNIFLDSDDHVKIGDFGLATDHLAFSADSKQDDQTGDLIKSDPSGHLTGMVGTALYVSPEVQGSTKSAYNQKVDLFSLGIIFFEMSYHPMVTASERIFVLNQLRDPTSPKFPEDFDDGEHAKQKSVISWLLNHDPAKRPTATELLKSELLPPPQMEESELHEVLHHTLTNVDGKAYRTMMAQIFSQRISPAIDYTYDSDILKGNFSIRTAKMQQHVCETIIRIFKRHGAVQLCTPLLLPRNRQIYEHNEAALFMDHSGMLVMLPFDLRIPFARYVARNNILNLKRYCIERVFRPRKLDRFHPKELLECAFDIVTSTTNSFLPTAEIIYTIYEIIQEFPALQERNYSIYLNHTMLLKAILLHCGIPEDKLSQVYIILYDAVTEKLTRREVEAKFCNLSLSSNSLCRLYKFIEQKGDLQDLMPTINSLIKQKTGIAQLVKYGLKDLEEVVGLLKKLGIKLQVLINLGLVYKVQQHNGIIFQFVAFIKRRQRAVPEILAAGGRYDLLIPQFRGPQALGPVPTAIGVSIAIDKISAAVLNMEESVTISSCDLLVVSVGQMSMSRAINLTQKLWTAGITAEIMYDWSQSQEELQEYCRHHEITYVALVSDKEGSHVKVKSFEKERQTEKRVLETELVDHVLQKLRTKVTDERNGREASDNLAVQNLKGSFSNASGLFEIHGATVVPIVSVLAPEKLSASTRRRYETQVQTRLQTSLANLHQKSSEIEILAVDLPKETILQFLSLEWDADEQAFNTTVKQLLSRLPKQRYLKLVCDEIYNIKVEKKVSVLFLYSYRDDYYRILF
【0216】
実施例31. PERKの生化学的アッセイ
PERKキナーゼの活性を、NADHのATP加水分解依存性酸化を継続的にモニターする共役ピルビン酸キナーゼ/乳酸デヒドロゲナーゼアッセイ(例えば、Schindler 他Science(2000)289:1938-1942)を使用して、分光学的に決定した。アッセイを、384ウェルプレート(最終体積100μL)において、アッセイ緩衝液(100mM Tris、pH7.5、15mM MgCl2、0.5mM DTT、0.004%(w/v)BSA、及び0.004%Triton X-100)中の10 nM PERK(Beryllium社)、0.25mg/mLのミエリン塩基性タンパク質、1.5単位のピルビン酸キナーゼ、2.1単位の乳酸デヒドロゲナーゼ、1mMのホスホエノールピルビン酸、0.28mMのNADH、及び1mMのATPを使用して実施した。PERKの阻害を、段階希釈した試験化合物(最終アッセイ濃度1%DMSO)を加えることによって測定した。340nmでの吸収の減少を、6時間、30℃で、マルチモードマイクロプレートリーダー(BioTek)上で連続的にモニターした。反応速度を、2~3時間の時間枠を使用して算出した。化合物の各濃度での反応速度を、対照(すなわち、試験化合物を用いない反応及び既知の阻害剤を用いた反応)を使用して、阻害パーセントに変換し、IC50値を、Prism(GraphPad software)のソフトウェアルーチンを使用して算出した。
【0217】
配列番号 2-PERKタンパク質配列(残基563~1115、配列ID:NM 004836)
MSPILGYWKIKGLVQPTRLLLEYLEEKYEEHLYERDEGDKWRNKKFELGLEFPNLPYYIDGDVKLTQSMAIIRYIADKHNMLGGCPKERAEISMLEGAVLDIRYGVSRIAYSKDFETLKVDFLSKLPEMLKMFEDRLCHKTYLNGDHVTHPDFMLYDALDVVLYMDPMCLDAFPKLVCFKKRIEAIPQIDKYLKSSKYIAWPLQGWQATFGGGDHPPKSDLVPRGSKYDSVSGEANDSSWNDIKNSGYISRYLTDFEPIQCLGRGGFGVVFEAKNKVDDCNYAIKRIRLPNRELAREKVMREVKALAKLEHPGIVRYFNAWLEAPPEKWQEKMDEIWLKDESTDWPLSSPSPMDAPSVKIRRMDPFSTKEHIEIIAPSPQRSRSFSVGISCDQTSSSESQFSPLEFSGMDHEDISESVDAAYNLQDSCLTDCDVEDGTMDGNDEGHSFELCPSEASPYVRSRERTSSSIVFEDSGCDNASSKEEPKTNRLHIGNHCANKLTAFKPTSSKSSSEATLSISPPRPTTLSLDLTKNTTEKLQPSSPKVYLYIQMQLCRKENLKDWMNGRCTIEERERSVCLHIFLQIAEAVEFLHSKGLMHRDLKPSNIFFTMDDVVKVGDFGLVTAMDQDEEEQTVLTPMPAYARHTGQVGTKLYMSPEQIHGNSYSHKVDIFSLGLILFELLYPFSTQMERVRTLTDVRNLKFPPLFTQKYPCEYVMVQDMLSPSPMERPEAINIIENAVFEDLDFPGKTVLRQRSRSLSSSGTKHSRQSNNSHSPLPSN
【表1】
【0218】
表1では、「+」は、100nM以下のIC50を指し、「++」は、100nM超かつ500nM以下のIC50を指し、「+++」は、500nM超かつ1000nM以下のIC50を指し、「++++」は、1000nM超かつ10000nM以下のIC50を指す。
【0219】
本明細書に提供される以下の実施例及び図面では、「化合物2」は、上記の実施例2の化合物を指す。
実施例32.GCN2の細胞阻害に関する表現型アッセイである、CCRF-CEM ASNase細胞増殖アッセイ。
【0220】
CCRF-CEM白血病細胞(カタログ番号CCL-116)を、American Type Culture Collection(ATCC、バージニア州マナッサス)から取得した。細胞を、37℃、5%のCO2及び95%の湿度で、10%の熱不活化ウシ胎児血清(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミンで補充したRPMI-1640培地中で増殖させた。細胞を、1mL当たり100万細胞に達するまで増殖させ、その時点で、アッセイ使用のために継代培養又は採取した。10%の熱不活化ウシ胎児血清及び1%のペニシリン/ストレプトマイシンで補充した200 μμLのRPMI-1640のウェル当たり1万個の細胞を、96ウェルの黒色の透明底部プレートに分注した。試験化合物及び1mU/mLのASNaseの段階希釈を3連で加え、プレートを37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で72時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、PBS中の440mMレザズリン(Sigma、ミズーリ州セントルイス)溶液40μLを、プレートの各ウェルに加え、プレートを37℃、5%CO2、95%の湿度で更に6時間インキュベートした。プレートは、540nmの励起と600nmの放射を使用して、Synergy2(Biotek社、バーモント州ウィヌースキ)又は同等のリーダーで読み取った。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、データを分析して、IC50値を算出した。
実施例33.HCT116 アミノ酸欠乏(-AA)ホスホGCN2及びATF4アッセイ
【0221】
HCT116結腸直腸がん細胞(カタログ番号CCL-247)を、American Type Culture Collect(ATTC、バージニア州マナッサス)から取得した。簡潔に述べると、細胞を、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で、10%の熱不活化ウシ胎児血清(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミンで補充したRPMI1640中で増殖させた。細胞を、70~95%の密集度に達するまで拡大させ、その時点で、アッセイ使用のために継代培養又は採取した。細胞を、1mLの完全増殖培地中でウェル当たり50万個の細胞で12ウェル培養プレートに播種し、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で一晩インキュベートした。翌日、各ウェルを、10%の透析ウシ胎児血清、5.5mMのグルコース、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、及び1%のビタミン溶液(thermo社カタログ番号11120052)で補充した1mLのアール平衡塩溶液(EBSS、Invitrogen社、カリフォルニア州カールスバッド)で置換した。試験化合物の段階希釈をウェルに分注した。プレートを、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で4時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、細胞を、1X Haltプロテアーゼ阻害剤、1X Haltホスファターゼ阻害剤、1X Sigmaホスファターゼ阻害剤カクテル2及び1X EDTAで補充したPBSで洗浄し、次いで上述のように3Xの阻害剤混合物で補充したM-PER哺乳類タンパク質抽出試薬で溶解した。細胞溶解物を水浴ソニケーター(Qsonica社、コネチカット州ニュータウン)で超音波処理し、上清をSDS緩衝液及び還元剤で煮沸した。ウェスタンブロットを各溶解物に行い、リン酸化GCN2(Thr899)、総GCN2、ATF4、及びβアクチンを定量化した。膜を、LI-COR Odyssey CLxイメージングシステム(LI-COR社、リンカーンネブラスカ州リンカーン)を使用して撮像した。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad社、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してデータを分析して、IC50値を算出した。
実施例34.タプシガルギン(TG)によって事前に活性化されたPERKの細胞阻害に関する表現型アッセイである、CCRF-CEM TG ATF4 ELISA
【0222】
CCRF-CEM白血病細胞(カタログ番号CCL-116)を、American Type Culture Collection(ATCC、バージニア州マナッサス)から取得した。簡潔に述べると、細胞を、37℃、5%のCO
2、及び95%の湿度で、10%の熱不活化ウシ胎児血清(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミンで補充したRPMI-1640培地中で増殖させた。細胞を、1mL当たり100万細胞に達するまで増殖させ、その時点で、アッセイ使用のために継代培養又は採取した。1mLの完全増殖培地中のウェル当たり150万個の細胞を12ウェルプレートに分注し、一晩インキュベートした。試験化合物の段階希釈を加え、細胞を37℃、5%のCO
2、及び95%で3時間インキュベートし、次いで1 μμMのタプシガルギンを加え、細胞を37℃、5%のCO
2、及び95%で更に1時間インキュベートした。細胞を溶解し、その後、ATF4レベルをELISAアッセイ(Proteintech、イリノイ州ローズモント)を使用して測定した。吸光度を、Synergy2又は同等のリーダー(Biotek、バーモント州ウィヌースキ)を使用して、450nM及び544nMで測定した。Prismソフトウェア(GraphPad、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してデータを分析して、IC
50値を算出した。
【表2】
【0223】
表2では、「+」は、100nM以下のIC50を指し、「++」は、100nM超かつ500nM以下のIC50を指し、「+++」は、500nM超かつ1000nM以下のIC50を指し、「++++」は、1000nM超かつ10000nM以下のIC50を指す。
実施例35. H929 ATF4 ELISAアッセイ
【0224】
H929多発性骨髄腫細胞(カタログ番号CRL-9068)を、American Type Culture Collection(ATCC、バージニア州マナッサス)から取得した。簡潔に述べると、細胞を、37℃、5%のCO
2及び95%の湿度で、20%の熱不活化ウシ胎児血清(カタログ番号A3840002、ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)、1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン(カタログ番号10378016、ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)、及び0.05mMの2-メルカプトエタノール(カタログ番号21985-023、ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)で補充したRPMI-1640培地中で増殖させた。細胞を、1mL当たり150万細胞に達するまで増殖させ、その時点で、継代培養又はアッセイ使用のために採取した。1mLの完全増殖培地中の1ウェル当たり150万個の細胞を12ウェルプレートに分注し、一晩インキュベートした。試験化合物の段階希釈を加え、細胞を37℃、5%のCO
2、及び95%で4時間インキュベートした。細胞を溶解し、その後、ATF4レベルをELISAアッセイ(Proteintech、イリノイ州ローズモント)を使用して測定した。吸光度を、Synergy2又は同等のリーダー(Biotek、バーモント州ウィヌースキ)を使用して、450nM及び544nMで測定する。PRISMソフトウェア(Graphpad、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してデータを分析し、ビヒクル処理した対照に対する細胞ATF4の刺激倍数を算出した。
【表3】
【0225】
表3では、「+」は、5倍数以下のATF4の刺激を指し、「++」は、5倍数超かつ10倍数以下のATF4の刺激を指し、「+++」は、10倍数超かつ20倍数以下のATF4の刺激を指す。
【0226】
図1は、化合物2の濃度の増加に応答したUPR/ISRマーカーATF4(黒色の棒)の予想外の刺激を示すグラフ表示である。刺激は、釣鐘形様式で発生し、ATF4レベルが4~123nMの範囲の濃度でピークに達することが見出され、50%以下のPERK分子が化合物2によって占有された濃度範囲、その後、化合物2の370nM以上の濃度でATF4発現が基底レベルに戻った阻害期が続く。ATF4シグナルにおける最大刺激は、13倍であり、約41nMの化合物2で生じた。
実施例36.NanoBRETを使用したPERKオリゴマー化の検出
【0227】
BRET用の構築物は、NanoBRET(商標)Flexi(登録商標)PPI Starter System(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を使用して構築された。全長PERK ORFは、Genscript社(ニュージャージー州ピスカタウェイ)から取得した。HEK-293細胞(カタログ番号 CRL-1573)を、American Type Culture Collection(ATCC、バージニア州マナッサス)から取得した。細胞を、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で、10%の熱不活化ウシ胎児血清(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミンで補充したMEM培地中で増殖させた。BRETアッセイについては、6ウェルプレート中の培養培地中で、細胞を40,000細胞/mLの密度で播種し、付着及び回収させた。細胞を、Lipofectamine LTX(Thermo社、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して、C末端にタグ付けされたPERK-NLuc及びC末端にタグ付けされたPERK-Haloでトランスフェクトし、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で一晩タンパク質を発現させた。次いで、0.05%のトリプシンEDTAを使用して培養ディッシュから細胞を切り離し、収集し、4%のFBS(Thermo社)で補充されたOpti-MEM(登録商標)I低血清培地からなるアッセイ培地中で22,000細胞/mLまで希釈した。細胞を96ウェル細胞培養プレートに分注し、HaloTag(登録商標)NanoBRET(商標)618 Ligand(Promega社)を100nMの最終濃度まで加えた。化合物又はDMSOを細胞に加え、プレートを37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で4時間インキュベートした。NanoBRET(商標)Nano-Glo(登録商標)Substrateを細胞に加え、細胞を30秒間振とうした。ドナー(460 nM)及びアクセプター(618)の放射を、Synergy Neo2マルチモードリーダー(BioTek社、バーモント州ウィヌースキ)上で、基質添加から10分以内に測定した。データは、BRET比(アクセプター/ドナー)として報告された。
【0228】
化合物2は、1.6nMのEC
50を有し、予想外に、PERKオリゴマーの形成の刺激を呈示した。化合物2によって誘導された刺激PERKオリゴマーのグラフが、
図2に示される。
実施例37.多発性骨髄腫のUPR/ISRシグナル伝達経路タンパク質ATF4及びCHOPの刺激
【0229】
H929多発性骨髄腫細胞(カタログ番号CRL-9068)を、American Type Culture Collection(ATTC、バージニア州マナッサス)から入手し、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で、20%の熱不活性化ウシ胎児血清(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)、1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン、及び0.05mMの2-メルカプトエタノールを補充したRPMI 1640中で増殖させ、1mL当たり100~200万細胞に維持した。細胞を、6ウェルプレートに、2mLの完全増殖培地中1ウェル当たり400万細胞で播種し、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で4時間、試験化合物の段階希釈で処理した。インキュベーションの終了時に、細胞を、1X Haltプロテアーゼ阻害剤、1X Haltホスファターゼ阻害剤、1X Sigmaホスファターゼ阻害剤カクテル2、及び1X EDTAを補充したPBSで洗浄し、次いで上述のように、3Xの阻害剤混合物を補充したM-PER哺乳類タンパク質抽出試薬で溶解させた。細胞溶解物を、水浴ソニケーター(Qsonica、ニュータウン、コネチカット州)で超音波処理し、上清を、SDS緩衝液及び還元剤とともに煮沸した。ウェスタンブロットを実施して、ATF4、CHOP、及びベータアクチン(Cell Signaling Technology、ダンバース、マサチューセッツ州)を定量した。膜を、LI-COR Odyssey CLx Imaging System(LI-COR、ネブラスカ州リンカーン)で撮像した。
【0230】
化合物2は、予想外に、H929多発性骨髄腫細胞におけるPERK経路の刺激を呈示した。刺激PERK下流シグナル伝達タンパク質ATF4及びCHOP(ローディング対照としてのアクチン)の図を、
図3に示す。ATF4は、4.5nM~123nMの濃度範囲にわたって刺激される。CHOPは、4.5nM~41nMの濃度範囲にわたって刺激される。
実施例38. 定量的RT-PCRを使用した、多発性骨髄腫のUPR/ISR標的遺伝子の刺激
【0231】
H929多発性骨髄腫細胞(カタログ番号CRL-9068)を、American Type Culture Collection(ATTC、マナサス、バージニア州)から入手した。細胞を、37℃、5%のCO
2、及び95%の湿度で、20%の熱不活化ウシ胎児血清(カタログ番号A3840002、ThermoFisher Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州)、1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン(カタログ番号10378016、ThermoFisher Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州)、及び0.05mMの2-メルカプトエタノール(カタログ番号21985-023、ThermoFisher Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州)を補充した、RPMI-1640培地中で増殖させた。細胞を、70~95%のコンフルエントに達するまで増殖させ、その時点で、継代培養又はアッセイ使用のために採取した。細胞を、6ウェル培養プレートに2mLの完全増殖培地中1ウエル当たり3.0×10
6細胞で播種し、37℃、5%のCO
2、及び95%の湿度で4時間、指定された濃度の化合物2とともにインキュベートした。インキュベーションの終了時に、細胞をPBS(Sigma)で洗浄し、RNeasy(登録商標)Plusキット(Qiagen、メリーランド州ジャーマンタウン)を使用してRNAを抽出した。High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosciences、カリフォルニア州ビバリーヒルズ)を使用してcDNAを合成し、TaqMan Assays(表1、Thermo)及びTaqMan Fast Advanced Master Mix(Thermo)を使用して、製造業者の仕様に従って、QuantStudio 3(Applied Biosciences)で、定量的PCRを行った。
【表4】
【0232】
化合物2は、H929多発性骨髄腫細胞において、予想外に、UPR/ISR標的遺伝子の発現を誘導した。データは、ビヒクル対照(DMSO)処理試料に対する倍率変化として報告された。
図4は、化合物2の濃度の増加に応答して、ATF4標的遺伝子の刺激を示すグラフ表示である(DMSO黒色バー、1.5nM濃灰色のバー、14nM市松模様バー、41nM縞模様バー、123nM淡灰色バー、及び370nM点線のバー)。ATF4標的遺伝子の転写活性化は、釣鐘形様式で発生した。4時間時点でのATF4の最大刺激は約3倍であり、4時間でのCHOPの最大刺激は約10倍であり、4時間でのGADD34の最大刺激は約3倍であり、4時間でのGPT2の最大刺激は約3倍であり、4時間でのVEGFAの最大刺激は約2倍であった。ATF4標的遺伝子の刺激は、釣鐘形様式で発生し、レベルが14~123nMの範囲の濃度でピークに達することが見出され、50%以下のPERK分子が化合物2によって占有された濃度範囲、その後、化合物2の370nM以上の濃度で発現が基底レベルに戻った阻害期が続く。
実施例39. 多発性骨髄腫アポトーシスシグナル伝達経路の刺激
【0233】
H929多発性骨髄腫細胞(カタログ番号CRL-9068)を、American Type Culture Collection(ATTC、バージニア州マナッサス)から入手し、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で、20%の熱不活性化ウシ胎児血清(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)、1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン、及び0.05mMの2-メルカプトエタノールを補充したRPMI 1640中で増殖させ、1mL当たり100~200万細胞に維持した。細胞を、6ウェルプレートに、2mLの完全増殖培地中1ウェル当たり400万細胞で播種し、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で24時間、試験化合物の段階希釈で処理した。インキュベーションの終了時に、細胞を、1X Haltプロテアーゼ阻害剤、1X Haltホスファターゼ阻害剤、1X Sigmaホスファターゼ阻害剤カクテル2、及び1X EDTAを補充したPBSで洗浄し、次いで上述のように、3Xの阻害剤混合物を補充したM-PER哺乳類タンパク質抽出試薬で溶解した。細胞溶解物を、水浴ソニケーター(Qsonica、ニュータウン、コネチカット州)で超音波処理し、上清を、SDS緩衝液及び還元剤とともに煮沸した。ウェスタンブロットを実行して、切断-カスパーゼ3、切断-カスパーゼ7、PARP、及びベータ-アクチン(Cell Signaling Technology、マサチューセッツ州ダンバース)を定量化した。膜を、LI-COR Odyssey CLx Imaging System(LI-COR、ネブラスカ州リンカーン)で撮像した。
【0234】
化合物2は、H929多発性骨髄腫細胞において、予想外に、アポトーシス促進性タンパク質の発現を誘導した。細胞を化合物2で処理すると、切断PARP、切断Caspase-7、及び切断Caspase-3のレベルの増加が生じた。これらのアポトーシス読み出しの刺激は、釣鐘形様式で発生し、4.5nM~41nMの範囲の濃度でピークに達した。
実施例40. 多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫の細胞増殖の阻害
【0235】
H929、RPMI8226、GA-10、及びDoHH-2細胞(カタログ番号CRL-9068)を、American Type Culture Collection(ATTC、バージニア州マナッサス)から入手した。H929細胞は、20%の熱不活性化ウシ胎児血清(カタログ番号A3840002、ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルトハム)、1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン(カタログ番号10378016、ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルトハム)、及び0.05mMの2-メルカプトエタノール(カタログ番号21985-023、ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルトハム)を補充した、RPMI-1640培地中で維持した。RPMI8226、GA-10、DoHH-2を、10%の熱不活性化ウシ胎児血清(カタログ番号A3840002、ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルトハム)、及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン(カタログ番号10378016、ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルトハム)を補充したRPMI-1640培地中で維持した。全ての細胞を37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で増殖させた。細胞を、1mL当たり150万細胞に達するまで増殖させ、その時点で、継代培養又はアッセイ使用のために採取した。
【0236】
細胞増殖アッセイについて、適切な数の細胞(H929については4万個の細胞;RPMI8226及びGA-10については2万個の細胞;DoHH-2については8千個の細胞)を、ウェル当たり200μLで各培地に播種し、96ウェルの黒色透明底プレートに分注した。試験化合物の段階希釈を3連で加え、プレートを、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で、72時間、又は120時間インキュベートした。いくつかの標準治療剤を、併用試験に使用した(レナリドミド(カタログ番号S1029、Selleckchem、テキサス州ヒューストン)、ボルテゾミブ(カタログ番号S1013、Selleckchem、テキサス州ヒューストン)、デキサメタゾン(カタログ番号S1322、Selleckchem、テキサス州ヒューストン)、イブルチニブ(Pharmacyclics、カリフォルニア州サニーベール)。H929、RPMI8226、及びGA-10のインキュベーションの終了時に、PBS中の440mMレザズリン(Sigma、ミズーリ州セントルイス)溶液40μLを、プレートの各ウェルに加え、プレートを37℃、5%CO2、湿度95%で更に7時間インキュベートした。プレートを、540nmの励起と600nmの発光を使用して、Synergy2又は同等のリーダー(Biotek、バーモント州ウィヌースキー)で読み取った。DoHH-2のインキュベーションの終了時に、CellTiter-Glo(登録商標)アッセイ(Promega、マディソン、ウィスコンシン州)を使用して、細胞生存率を決定した。EnVision MultiLabel Reader(PerkinElmer、ウォルサム、マサチューセッツ州)を使用して、発光を測定した。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、データを分析して、IC50値を算出した。
【0237】
化合物2は、多発性骨髄腫又はB細胞リンパ腫を治療する標準治療(SOC)剤と組み合わせると、細胞増殖の阻害に対して、相加性又は相乗効果を示す。代表的なグラフを
図6A、6B、6C、及び6Dに示す。
図6Aは、333nMデキサメタゾンあり(灰色の菱形)又はなし(黒丸)の化合物2力価で96時間処理したRPMI8226多発性骨髄腫細胞の細胞増殖実験を表す。併用処理は、7nMのIC50で細胞増殖の阻害をもたらした。
図6Bは、3nMボルテゾミブあり(灰色の四角)、又はなし(黒丸)の化合物2力価で96時間処理したH929多発性骨髄腫細胞の細胞増殖実験を表す。併用処理は、6nMのIC50で細胞増殖の阻害をもたらした。
図6Cは、50nMデキサメタゾンあり(灰色の三角)又はなし(黒丸)の化合物2力価で96時間処理したGA-10バーキットリンパ腫細胞の細胞増殖実験を表す。併用処理は、4nMのIC50で細胞増殖の阻害をもたらした。
図6Dは、41nMのイブルチニブあり(灰色の星)又はなし(黒丸)の化合物2力価で96時間処理した濾胞性リンパ腫細胞の細胞増殖実験を表す。併用処理は、4nMのIC
50で細胞増殖の阻害をもたらした。
実施例41. CCRF-CEM異種移植薬物動態/薬力学(PK/PD)モデル
【0238】
CCRF-CEM異種移植モデルは、全ての法律、規制及び米国国立衛生研究所(NIH)のガイドラインに従い、並びにLabcorp(ミシガン州アナーバー)の動物実験委員会の承認を得て、AAALAC認証施設で実行された。食物及び水は、自由摂取で与えられた。全てのマウスは、少なくとも1日1回臨床徴候について観察された。雌のEnvigo C.B-17 SCID(6~7週齢)は、27ゲージの針及びシリンジを使用して、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水中の細胞1,000万個を、右の上腋窩のすぐ下に皮下接種した。腫瘍量が22日目に平均200mm3に達したとき、マウスを、全ての群の平均腫瘍量が研究集団の全体の平均腫瘍量の10%以内となるように各群に無作為に割り当てた。群は、23~24日目に以下のように処理された:23日目に、ビヒクル対照(併用群を模倣するために経口及びIP投与)(n=9);ASNase(Abcam、英国、ケンブリッジ)を1000U/kg/日でIP投与(n=9)。24日目に、ビヒクル対照(併用群を模倣するために経口及びIP投与)(n=9);化合物2を50mg/kg/日の化合物2で経口投与(n=9)及びASNase(Abcam、英国、ケンブリッジ)を試料採取の2時間前に 1000U/kg/日でIP投与(n=9);化合物2を25mg/kg/日の化合物2で経口投与(n=9)及びASNase(Abcam、英国、ケンブリッジ)を化合物2投与の2、6及び10時間後試料採取の2時間前に 1000U/kg/日でIP投与(n=9)。血液サンプルをK2EDTAチューブに収集し、血漿に処理し、液体窒素中で急速凍結し、次いで-80℃で保存した。血漿試料を、タンデム質量分析(Cayman Chemical、ミシガン州アナーバー)と組み合わせた液体クロマトグラフィーを使用した、薬物動態分析に供した。腫瘍及び膵組織を採取し、コバリスバッグ中で液体窒素上で粉末化し、-80℃で保存した。組織試料処理のために、約30mgの腫瘍又は膵組織を、3X Haltプロテアーゼ阻害剤、3X Haltホスファターゼ阻害剤、3X Sigmaホスファターゼ阻害剤カクテル2、及び3X EDTAを補充した、mPER溶解緩衝液(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)中で氷上で溶解し、次いで、Bead Ruptor 96(Omni、ジョージア州ケネソー)を使用して、均質化した。次いで、試料を、21,000gで、4℃で、10分間遠心分離した。次いで、清澄化された溶解物を、氷冷した円錐底96ウェルプレートに移し、密封し、次いで-80℃で保存した。翌日、試料を氷上で解凍し、その後、3739gで、4℃で、10分間遠心分離した。次いで、清澄化した溶解物を、氷冷した丸底96ウェルプレートに移した。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して、決定した。溶解物は、4X SDS-試料緩衝液及び還元剤中で煮沸する前に、10μg/μlに正規化された。試料をSDS-PAGEを使用して分離し、次いで、ウェスタンブロットを使用して分析して、ホスホGCN2(Thr899)(Abcam、ケンブリッジ、英国)、総GCN2、ATF4、及びベータ-アクチン(Cell Signaling Technology、マサチューセッツ州ダンバース)を定量化した。膜を、LI-COR Odyssey CLx Imaging System(LI-COR、ネブラスカ州リンカーン)で撮像する。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してデータを分析して、阻害%を算出する。
【0239】
化合物2は、ASNaseと組み合わせると、CCRF-CEM白血病異種移植モデルにおいて、GCN2-媒介ATF4レベルを阻害する。
図7に示されるように、化合物2は、50mg/kgの経口投与で、ビヒクル対照と比較して、ATF4レベルを87~91%阻害し、25mg/kgの経口投与で、ビヒクル対照と比較して、ATF4レベルを57~93%阻害した。化合物2の対応する血漿レベルを、投与後2、6、及び10時間のPD時点で決定した。
実施例42.MV-4-11異種移植有効性モデル
【0240】
MV-4-11異種移植モデルは、全ての法律、規制及び米国国立衛生研究所(NIH)のガイドラインに従い、並びにCrown Bioscience(中国、太倉)の動物実験委員会の承認を得て、AAALAC認証施設で実行された。食物及び水は、自由摂取で与えられた。全てのマウスは、少なくとも1日1回臨床徴候について観察された。雌のNOD/SCID(6~9週齢、Vital River Laboratories Research Models and Services(中国、北京))に、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水:マトリゲル(1:1)中の500万個の細胞を、27ゲージの針及び注射器を使用して右脇腹部の皮下に接種した。腫瘍量が7日目に平均で150mm3に達したとき、マウスを、全ての群の平均腫瘍量が研究集団の全体の平均腫瘍量の10%以内となるように各群に無作為に割り当てた。群は、7~21日目に以下のように処理された:ビヒクル対照(併用群を模倣するために経口及びIP投与)(n=10);化合物2を50mg/kg/日の化合物2で経口投与(n=10);ロイナーゼ(協和キリン、日本)を1000U/kg/日でIP投与(n=10);ロイナーゼ(協和キリン、日本)を1000U/kg/日でIP投与(n=10)及び化合物2を50mg/kg/日の化合物2で経口投与(n=10)。腫瘍体積及び体重を、週に3回測定した。腫瘍量(mg)は、式:腫瘍量(mg=mm3)=(長さ×幅2)/2によるキャリパー測定値から推定した。
【0241】
化合物2は、ASNaseと組み合わせて経口投与された場合、MV-4-11腫瘍の成長を阻害する。
図8に示されるように、単剤として50mg/kg/日の化合物2を14日間投与した後、腫瘍成長に対する有意な効果は観察されなかった。ロイナーゼと組み合わせた50mg/kg/日の化合物2では、投与の14日後に平均腫瘍成長阻害は54%であった。
実施例43. 組換えGCN2活性化アッセイ
【0242】
組換えGCN2(EIF2AK4)(Carna Biosciences、日本)を、1Xホスファターゼ反応緩衝液中、30℃で3時間、16,000単位のラムダホスファターゼ(New England Biolabs、マサチューセッツ州イプソウィック)とインキュベートすることによって脱リン酸化した。化合物2媒介性GCN2調節を測定するために、キナーゼ緩衝液(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)中で希釈された12.5nMの脱リン酸化GCN2を、化合物2力価とともに室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、130nMの基質(GFP-eIF2a)(ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)及び0.05mMのATPを混合物に加え、室温で60分間インキュベートした。10mMのEDTAの添加によって反応を停止し、2nMのLanthaScreen Tb-anti-peIF2a(pSer52)抗体(ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用してリン酸化eiF2a基質を検出し、次いで暗所でインキュベートした。室温で60分のインキュベーション後、340nmの励起波長と490nm及び520nmの発光波長を使用して、TR-FRETをモニタリングした。
【0243】
図9Aでは、化合物2は0.05~3nMの範囲の濃度で、予想外に、対照の最大250%までGCN2酵素を活性化した。10nMを超える濃度では、化合物2は、インビトロでの組換えGCN2酵素の活性を阻害した。
実施例44. 組換えPERK活性化アッセイ
【0244】
化合物2媒介性PERK調節を測定するために、200nMのPERK酵素(Enzo、ニューヨーク州ファーミンデール)を、化合物2力価とともに室温で30分間インキュベートした。インキュベーション後、200nMの基質(GFP-eIF2a)(ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)及び1mMのATPを混合物に加え、室温で60分間インキュベートした。10mMのEDTAの添加によって反応を停止し、2nMのLanthaScreen Tb-anti-peIF2a(pSer52)抗体(ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用してリン酸化eiF2a基質を検出し、次いで暗所でインキュベートした。室温で60分のインキュベーション後、340nmの励起波長と490nm及び520nmの発光波長を使用して、TR-FRETをモニタリングした。
【0245】
図9Bでは、0.05~6nMの化合物2の範囲の濃度で、予想外に、対照の最大250%までPERK酵素を活性化した。3nMを超える濃度では、化合物2は、インビトロでの組換えPERK酵素の活性を阻害した。
実施例45. スフェロイドウェスタンブロットアッセイ
【0246】
NSCLC細胞株H358(カタログ番号CRL-5807)及びH2030(カタログ番号CRL-5914)、並びに線維肉腫細胞株HT-1080(カタログ番号CRL-5807)を、American Type Culture Collect(ATTC、バージニア州マナッサス)から取得した。細胞を、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で、10%の熱不活化ウシ胎児血清(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミンで補充したRPMI-1640培地中で増殖させ、使用するまで50~80%のコンフルエントを維持した。細胞を、1mL/ウェルの完全増殖培地を含む24ウェルElplasiaプレート(Corning、アリゾナ州グレンデール)に500,000細胞/ウェルで播種し、37℃、5%CO2、及び95%湿度で一晩インキュベートしてスフェロイドを形成した。翌日、試験化合物の段階希釈物を完全増殖培地中で調製し、500μLの既存の培地を各ウェルから除去し、化合物力価を含有する新鮮な培地と交換した。次いで、スフェロイドを試験化合物とともに同じ条件下で4時間又は24時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、スフェロイドを、1X Haltプロテアーゼ阻害剤、1X Haltホスファターゼ阻害剤(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)、1X Sigmaホスファターゼ阻害剤カクテル2(Sigma、ミズーリ-州セントルイス)及び1X EDTA(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)で補充したPBSで洗浄し、次いで上述のように3Xの阻害剤混合物で補充したM-PER哺乳類タンパク質抽出試薬(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)で溶解した。細胞溶解物を、水浴ソニケーター(Qsonica、ニュータウン、コネチカット州)で超音波処理し、上清を、SDS緩衝液及び還元剤とともに煮沸した。ウェスタンブロットを実行して、ホスホGCN2(R&D Systems、ミネソタ州ミネアポリス)、ATF4、CHOP、切断PARP、切断カスパーゼ3及び7、並びにベータ-アクチン(Cell Signaling Technology、マサチューセッツ州ダンバース)を定量化した。膜を、LI-COR Odyssey CLx Imaging System(LI-COR、リンカーン、ネブラスカ州)で撮像した。
【0247】
図10A、10B、及び10Cでは、化合物2は、固形腫瘍がん細胞株(
図10A、H2030;
図10B、H358;
図10C、HT-1080)におけるISR及びアポトーシス経路の刺激を予想外に示した。上方制御されたGCN2リン酸化(pGCN2)、並びに下流シグナル伝達タンパク質ATF4及びアポトーシス促進経路マーカー(切断-PARP1、切断-カスパーゼ3/7)(ローディング対照としてのアクチン)のウェスタンブロット画像を、
図10A、10B、及び10Cに示す。pGCN2のレベルは、H2030細胞株及びH358細胞株で上方制御され、ATF4、c-PARP、及びc-Caspase7は、4.6nM~最大300nMの濃度範囲にわたって上方制御された。ATF4シグナルのウェスタンブロット定量化は、棒グラフ形式で表される。化合物2は、H2030スフェロイドにおいて最大20倍、H358スフェロイドにおいて12倍、HT-1080スフェロイドにおいて15倍までATF4を上方制御した。
実施例46. スフェロイド増殖アッセイ
【0248】
非小細胞肺がん(NSCLC)細胞株H358(カタログ番号CRL-5807)及びH2030(カタログ番号CRL-5914)、並びに線維肉腫株HT-1080(カタログ番号CRL-5807)を、American Type Culture Collect(ATTC、バージニア州マナッサス)から取得した。細胞を、10%熱不活化ウシ胎児血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)を補充したRPMI-1640培地中で、37℃、5%CO2、及び95%湿度で増殖させ、使用まで50~80%のコンフルエンシーで維持した。500~1000個の細胞を、80μL/ウェルで完全増殖培地を含む96ウェル超低付着プレート(Corning、ノースカロライナ州グレンデール)に播種し、37℃、5%CO2、及び95%湿度で一晩インキュベートして、スフェロイドを形成させた。翌日、試験化合物の段階希釈物を完全増殖培地中で調製し、化合物力価を含有する20μL/ウェル培地をスフェロイドに三連で添加した。次いで、スフェロイドを試験化合物とともに同じ条件下で5日間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、スフェロイドを100μL/ウェルのCellTiter-Glo 3D Viability Assay(Promega、ウィスコンシン州マディソン)で溶解し、発光をSynergy2又は同等のリーダー(Biotek、バーモント州ウィヌースキ)を使用して検出した。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、データを分析して、IC50値を算出した。
【0249】
図11A、11B、及び11Cでは、化合物2は、単剤としてH2030固形腫瘍スフェロイドにおいて50%の細胞退縮を誘導した(
図11A)。化合物2は、単剤としてH358(IC
50 10nM、
図11B)及びHT-1080(IC
50 12nM、
図11C)固形腫瘍スフェロイドを阻害した。
【0250】
図12A、12B、及び12Cでは、化合物2は、標準治療(SOC)剤と組み合わせると、スフェロイド成長の阻害に対して、相加性又は相乗効果を示した。代表的なグラフを
図12A、12B、及び12Cに示す。
図12Aは、3.3nMのソトラシブ(菱形)と組み合わせた、又はソトラシブなし(丸)の化合物2力価で96時間処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
図12Bは、3.3nMのソトラシブ(菱形)と組み合わせた、又はソトラシブなし(丸)の化合物2力価で96時間の処理したH358 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。
図12Cは、3.7nMのトラメチニブ(三角)と組み合わせた、又はトラメチニブなし(丸)の化合物2力価でで96時間処理したH2030 NSCLCスフェロイドの細胞増殖実験を表す。3つの実験全てにおいて、併用処理は、いずれかの単剤と比較して、より大きなスフェロイド退縮をもたらした。
実施例47. HT-1080 shRNAノックダウンアッセイ
【0251】
線維肉腫細胞株 HT-1080(カタログ番号CRL-5807)を、American Type Culture Collect(ATCC、バージニア州マナッサス)から取得した。細胞を、37℃、5%のCO2、及び95%の湿度で、10%の熱不活化ウシ胎児血清及び1%のペニシリン/ストレプトマイシン/L-グルタミン(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)を補充したRPMI-1640培地中で増殖させ、使用まで50~80%のコンフルエントを維持した。PERK、GCN2、又はスクランブル対照を標的とするshRNAを発現する構築物を、MISSION(Sigma、ミズーリ州セントルイス)から入手し、各構築物を含むレンチウイルスを社内で製造した。細胞を、完全増殖培地を含む6ウェル組織培養プレート(ThermoFisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)に400,000細胞/ウェルで播種し、37℃、5%CO2、及び湿度95%で一晩インキュベートして付着させた。翌日、既存の培地を各ウェルから除去し、5μg/mLのポリブレン(VectorBuilder、イリノイ州ボストン)を含有する1mL/ウェルの新鮮な培地を補充した。細胞を、200μL/ウェルの対応するレンチウイルスで24時間形質導入した後、ウェスタンブロット及び細胞増殖アッセイのために処理した。
【0252】
図13Aでは、 HT-1080細胞株における標的化shRNAを使用して、総GCN2を57%ノックダウンした。HT-1080細胞株における標的化shRNAを使用して、PERKを65%ノックダウンした。ISRマーカー(ATF4、pEIF2a、及びCHOP)の化合物2媒介性上方制御は、GCN2又はPERKのノックダウンによって下方制御された。
図13Bは、ATF4シグナルのウェスタンブロット定量を表す。ATF4の化合物2媒介性上方制御は、GCN2のノックダウンにより75%低減した。ATF4の化合物2媒介性上方制御は、PERKのノックダウンにより50%低減した。
図13Cでは、この固形腫瘍細胞株では、化合物2媒介性スフェロイド成長阻害は、GCN2のノックダウンによりに減弱されたが、PERKでは減弱されなかった。
実施例48. HT-1080線維肉腫異種移植薬物動態/薬力学(PK/PD)モデル
【0253】
HT-1080異種移植モデルは、全ての法律、規制及び米国国立衛生研究所(NIH)のガイドラインに従い、並びにLabcorp(ミシガン州アナーバー)の動物実験委員会の承認を得て、AAALAC認証施設で実行された。食物及び水は、自由摂取で与えられた。全てのマウスは、少なくとも1日1回臨床徴候について観察された。メスのヌードマウス(6~7週齢)に、27ゲージの針及びシリンジを使用して、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水中の200万個の細胞を、右の上腋窩の真下において皮下接種した。腫瘍量が6日目に平均150mm3に達したとき、マウスを、全ての群の平均腫瘍量が研究集団の全体の平均腫瘍量の10%以内となるように各群に無作為に割り当てた。群は、6~11日目に以下のように処理された:ビヒクル対照(経口投与)(n=9);化合物2を10mg/kg BIDで経口投与(n=9);化合物2を5mg/kg BIDで経口投与;化合物2を11日目の投与の2、6、及び10時間後、試料採取前に1mg/kg BIDで経口投与(n=9)。血液サンプルをK2EDTAチューブに収集し、血漿に処理し、液体窒素中で急速凍結し、次いで-80℃で保存した。血漿試料を、タンデム質量分析(Cayman Chemical、ミシガン州アナーバー)と組み合わせた液体クロマトグラフィーを使用した、薬物動態分析に供した。腫瘍を採取し、コバリスバッグ中で液体窒素上で粉末化し、-80℃で保存した。組織試料処理のために、約30mgの腫瘍組織を、3X Haltプロテアーゼ阻害剤、3X Haltホスファターゼ阻害剤、3X Sigmaホスファターゼ阻害剤カクテル2、及び3X EDTAを補充した、mPER溶解緩衝液(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)中で氷上で溶解し、次いで、Bead Ruptor 96(Omni、ジョージア州ケネソー)を使用して、均質化した。次いで、試料を、21,000gで、4℃で、10分間遠心分離した。次いで、清澄化された溶解物を、氷冷した円錐底96ウェルプレートに移し、密封し、次いで-80℃で保存した。翌日、試料を氷上で解凍し、その後、3739gで、4℃で、10分間遠心分離した。次いで、清澄化した溶解物を、氷冷した丸底96ウェルプレートに移した。タンパク質濃度は、BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Fisher Scientific、マサチューセッツ州ウォルサム)を使用して、決定した。溶解物は、4X SDS-試料緩衝液及び還元剤中で煮沸する前に、10μg/μlに正規化された。試料をSDS-PAGEを使用して分離し、次いで、ウェスタンブロットを使用して分析して、ATF4、及びベータ-アクチン(Cell Signaling Technology、マサチューセッツ州ダンバース)を定量化した。膜を、LI-COR Odyssey CLx Imaging System(LI-COR、リンカーン、ネブラスカ州)で撮像した。GraphPad Prismソフトウェア(GraphPad、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してデータを分析して、阻害%を算出した。
【0254】
図14及び14Bでは、化合物2は、HT-1080線維肉腫PK/PD異種移植モデルにおいてATF4レベルを上方制御した。
図14Aに示したように、化合物2は、10mg/kg BIDで経口投与した場合、ビヒクル対照と比較して4.5倍ATF4レベルを上方制御し、5mg/kg BIDで経口投与した場合、ビヒクル対照と比較して3.5倍ATF4レベルを上方制御し、1mg/kg BIDで経口投与した場合、ビヒクル対照と比較して3倍ATF4レベルを上方制御した。化合物2の対応する血漿レベルを、投与後2、6、及び10時間のPD時点で決定した(
図14B)。
実施例49. LoVo異種移植有効性モデル
【0255】
LoVo異種移植モデルは、全ての法律、規制及び米国国立衛生研究所(NIH)のガイドラインに従い、並びにCrown Bioscience(中国、太倉)の動物実験委員会の承認を得て、AAALAC認証施設で実行された。食物及び水は、自由摂取で与えられた。全てのマウスは、少なくとも1日1回臨床徴候について観察された。メスのBalb/cヌードマウス(5~9週齢)に、27ゲージの針及びシリンジを使用して、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水中の1000万個の細胞を、右の上腋窩の真下において皮下接種した。腫瘍量が6日目に平均100mm3に達したとき、マウスを、全ての群の平均腫瘍量が研究集団の全体の平均腫瘍量の10%以内となるように各群に無作為に割り当てた。群は、6~27日目に以下のように処理された:ビヒクル対照(経口投与)(n=9)、化合物2を5mg/kg BIDで経口投与(n=9)、化合物2を1mg/kg BIDで経口投与。腫瘍体積及び体重は、週に3回測定した。腫瘍量(mg)は、式:腫瘍量(mg=mm3)=(長さ×幅2)/2によるキャリパー測定値から推定した。
実施例50. HT-1080異種移植有効性モデル
【0256】
HT-1080異種移植モデルは、全ての法律、規制及び米国国立衛生研究所(NIH)のガイドラインに従い、並びにLabcorp(ミシガン州アナーバー)の動物実験委員会の承認を得て、AAALAC認証施設で実行された。食物及び水は、自由摂取で与えられた。全てのマウスは、少なくとも1日1回臨床徴候について観察された。メスのヌードマウス(6~7週齢)に、27ゲージの針及びシリンジを使用して、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水中の200万個の細胞を、右の上腋窩の真下において皮下接種した。腫瘍量が6日目に平均100mm3に達したとき、マウスを、全ての群の平均腫瘍量が研究集団の全体の平均腫瘍量の10%以内となるように各群に無作為に割り当てた。群は、6~14日目に以下のように処理された:ビヒクル対照(経口投与)(n=9)、化合物2を10mg/kg BIDで経口投与(n=9)、化合物2を5mg/kg BIDで経口投与。腫瘍体積及び体重は、週に3回測定した。腫瘍量(mg)は、式:腫瘍量(mg=mm3)=(長さ×幅2)/2によるキャリパー測定値から推定した。
【0257】
図15Aに示されるように、化合物2は、LoVo結腸直腸異種移植モデルにおいて腫瘍成長を阻害した。平均腫瘍成長阻害は、化合物2を5mg/kg BIDで22日間投与した後、69%であった。
図15Bで、化合物2は、HT-1080線維肉腫異種移植モデルの腫瘍成長を阻害した。平均腫瘍成長阻害は、化合物2を10mg/kg BIDで14日間投与した後、50%であった。
【0258】
均等物
具体的な実施形態について論じてきたが、上記の明細書は例示であり、限定するものではない。実施形態の多くの変形が本明細書を検討する際に当業者に明らかになるであろう。開示されるものの全範囲は、特許請求の範囲に加えてそれらの等価物の全範囲、かつ本明細書に加えてかかる変形を参照することにより決定されるはずである。
【0259】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分及び反応条件などの量を表す全ての数は、全ての事例において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、取得されることが求められている所望の特性に応じて変動し得る近似値である。
【配列表】
【国際調査報告】