(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-12-03
(54)【発明の名称】回路レイアウトの配線方法、装置、機器及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/394 20200101AFI20241126BHJP
B82Y 10/00 20110101ALN20241126BHJP
【FI】
G06F30/394
B82Y10/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532490
(86)(22)【出願日】2023-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 CN2023095685
(87)【国際公開番号】W WO2024066407
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】202211210801.1
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517392436
【氏名又は名称】▲騰▼▲訊▼科技(深▲セン▼)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TENCENT TECHNOLOGY (SHENZHEN) COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】35/F,Tencent Building,Kejizhongyi Road,Midwest District of Hi-tech Park,Nanshan District, Shenzhen,Guangdong 518057,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】馬 聖銘
(72)【発明者】
【氏名】陳 越
(72)【発明者】
【氏名】王 健名
(72)【発明者】
【氏名】淮 賽男
(72)【発明者】
【氏名】張 勝誉
(72)【発明者】
【氏名】徐 雄
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA22
5B146GC15
(57)【要約】
本出願は、回路レイアウトの配線方法、装置、機器、記憶媒体及び製品を開示し、マイクロナノ加工技術分野に関する。該回路レイアウトの配線方法は、回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するステップ(41)と、位置情報に基づいて、少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するステップ(42)と、屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するステップであって、前記配線経路は、前記屈曲開始位置において前記屈曲半径で屈曲を開始するステップ(43)と、を含む。上記の解決策は自動配線アルゴリズムの適用シーンを広げる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ機器が実行する、回路レイアウトの配線方法であって、
回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づいて、前記少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するステップと、
前記屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、前記少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するステップであって、前記配線経路は、前記屈曲開始位置において前記屈曲半径で屈曲を開始する、ステップと、を含む、回路レイアウトの配線方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの配線点はn個の配線点を含み、nが2より大きいか又は2に等しく、nは整数であり、
前記位置情報に基づいて、前記少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するステップは、
n個の前記配線点の配列次序を取得するステップと、
n個の前記配線点の配列次序、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得するステップであって、n個の前記配線点のそれぞれの前記補助枠は互いに重なることがなく、前記補助枠はU字型枠であり、前記補助枠の開口方向は前記配線点における配線延在方向と同じであり、前記補助枠の中心は前記配線点からの延長線に位置する、ステップと、
n個の前記配線点のそれぞれの補助枠に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するステップと、を含み、
前記配線点の屈曲開始位置は、前記配線点の前記補助枠の中心と前記配線点との間のオフセット量に基づいて得られるものであり、前記配線点の屈曲半径は、前記配線点の補助枠の辺長に基づいて得られるものである、ことを特徴とする
請求項1に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項3】
n個の前記配線点のそれぞれの前記オフセット量は、前記配列次序に従って逓増する、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項4】
n個の前記配線点のそれぞれの前記補助枠の辺長は、前記配列次序に従って逓増する、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項5】
前記n個の前記配線点の配列次序、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得するステップは、
n個の前記配線点の配列次序、n個の前記配線点の延在方向におけるコンポーネントの位置情報、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得するステップを含む、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項6】
n個の前記配線点の配線経路の屈曲方向が同じであり、前記n個の前記配線点の配列次序を取得するステップは、
n個の前記配線点の位置を前記屈曲方向の逆方向に従って並べ替え、n個の前記配線点の配列次序を取得するステップを含む、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項7】
前記回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するステップは、
前記配線計画情報における各前記配線点の位置情報をトラバースし、n個の前記配線点の位置情報を取得するステップを含み、
n個の前記配線点の屈曲方向は同じであり、n個の前記配線点のうちの任意の2つの隣接配線点の位置情報は指定条件を満たす、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項8】
前記指定条件は、
前記任意の2つの隣接配線点の横座標の差は第1差閾値より小さく、前記任意の2つの隣接配線点の縦座標の差は第2差閾値より小さいことを含む、ことを特徴とする
請求項7に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項9】
前記屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、前記少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するステップは、
第1配線点の屈曲開始位置、前記第1配線点の屈曲半径及び前記第1配線点に対応する目標配線点の位置情報に基づいて、前記第1配線点の屈曲角度を取得するステップであって、前記第1配線点は、前記少なくとも1つの配線点のうちのいずれか1つである、ステップと、
第1配線点の屈曲開始位置、前記第1配線点の屈曲半径及び前記第1配線点の屈曲角度に基づいて、前記第1配線点の配線経路を生成するステップと、を含む、ことを特徴とする
請求項1に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項10】
前記回路レイアウトは超伝導量子チップの回路レイアウトである、ことを特徴とする
請求項1~9のいずれか1項に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項11】
チップ製品であって、前記チップ製品は少なくとも1つの配線点を含み、
前記少なくとも1つの配線点はそれぞれの配線経路において屈曲開始位置と屈曲半径を有し、前記配線経路は前記屈曲位置から、前記屈曲半径で屈曲する、チップ製品。
【請求項12】
回路レイアウトの配線装置であって、
回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するように構成される第1取得モジュールと、
前記位置情報に基づいて、前記少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するように構成される第2取得モジュールと、
前記屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、前記少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するように構成される経路生成モジュールであって、前記配線経路は、前記屈曲開始位置において前記屈曲半径で屈曲を開始する、経路生成モジュールと、を備える、回路レイアウトの配線装置。
【請求項13】
コンピュータ機器であって、前記コンピュータ機器はプロセッサとメモリとを含み、前記メモリに少なくとも1つのコンピュータ命令が記憶され、前記少なくとも1つのコンピュータ命令は前記プロセッサによってロード及び実行されて、請求項1~10のいずれか1項に記載の回路レイアウトの配線方法を実現する、コンピュータ機器。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体に少なくとも1つのコンピュータ命令が記憶され、前記少なくとも1つのコンピュータ命令はプロセッサによってロード及び実行されて、請求項1~10のいずれか1項に記載の回路レイアウトの配線方法を実現する、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
コンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品はコンピュータ命令を含み、前記コンピュータ命令はコンピュータ可読記憶媒体に記憶され、前記コンピュータ命令は、コンピュータ機器のプロセッサによって実行されて、請求項1~10のいずれか1項に記載の回路レイアウトの配線方法を実現する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2022年09月30日に提出された、出願番号が202211210801.1であり、発明名称が「回路レイアウトの配線方法、装置、機器、記憶媒体及び製品」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願の実施例は、マイクロナノ加工技術分野に関し、特に回路レイアウトの配線方法、装置、機器、記憶媒体及び製品に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロナノ加工技術において、自動配線とは、ソフトウェアによって回路レイアウトを自動的に遂行する設計過程における線路配置を指す。
【0004】
関連技術では、自動配線アルゴリズムは通常、配線領域をいくつかのメッシュ又は矩形領域に分割し、配線経路をメッシュ線に沿って配置するように制御するか、又は配線経路を、経過する矩形領域を通り抜けるように制御し、それによって配線領域内のコンポーネント又ははんだ接合点を接続する。
【0005】
しかしながら、上記の関連技術における解決策により得られた配線経路は横縦方向における一直線の経路であり、屈曲箇所で通常大きな湾曲が存在し、これは、小さな曲率の配線を必要とするいくつかのチップ設計要件を満たしておらず、上記の自動配線アルゴリズムの適用範囲に影響を与える。
【発明の概要】
【0006】
本出願の実施例は、回路レイアウトの配線方法、装置、機器、記憶媒体及び製品を提供し、自動配線中に、配線経路において小さな曲率の屈曲が生じ、それによって自動配線アルゴリズムの適用範囲を広げることができる。前記技術案は以下のとおりである。
【0007】
本出願の実施例の一態様によれば、コンピュータ機器が実行する、回路レイアウトの配線方法を提供し、前記回路レイアウトの配線方法は、
回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づいて、前記少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するステップと、
前記屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、前記少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するステップであって、前記配線経路は、前記屈曲開始位置において前記屈曲半径で屈曲を開始する、ステップと、を含む。
【0008】
本出願の実施例の一態様によれば、回路レイアウトの配線装置を提供し、前記回路レイアウトの配線装置は、
回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するように構成される第1取得モジュールと、
前記位置情報に基づいて、前記少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するように構成される第2取得モジュールと、
前記屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、前記少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するように構成される経路生成モジュールであって、前記配線経路は、前記屈曲開始位置において前記屈曲半径で屈曲を開始する、経路生成モジュールと、を備える。
【0009】
1つの可能な実現形態では、少なくとも1つの配線点はn個の配線点を含み、nが2より大きいか又は2に等しく、nは整数であり、
前記第2取得モジュールは、
n個の前記配線点の配列次序を取得し、
n個の前記配線点の配列次序、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得し、n個の前記配線点のそれぞれの前記補助枠は互いに重なることがなく、前記補助枠はU字型枠であり、前記補助枠の開口方向は前記配線点における配線延在方向と同じであり、前記補助枠の中心は前記配線点からの延長線に位置し、
n個の前記配線点のそれぞれの補助枠に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するように構成され、
ここで、前記配線点の屈曲開始位置は、前記配線点の前記補助枠の中心と前記配線点との間のオフセット量に基づいて得られるものであり、前記配線点の屈曲半径は、前記配線点の補助枠の辺長に基づいて得られるものである。
【0010】
1つの可能な実現形態では、n個の前記配線点のそれぞれの前記オフセット量は、前記配列次序に従って逓増する。
【0011】
1つの可能な実現形態では、n個の前記配線点のそれぞれの前記補助枠の辺長は、前記配列次序に従って逓増する。
【0012】
1つの可能な実現形態では、前記第2取得モジュールは、n個の前記配線点の配列次序、n個の前記配線点の延在方向におけるコンポーネントの位置情報、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得するように構成される。
【0013】
1つの可能な実現形態では、前記第2取得モジュールは、n個の前記配線点の位置を前記屈曲方向の逆方向に従って並べ替え、n個の前記配線点の配列次序を取得するように構成される。
【0014】
1つの可能な実現形態では、前記第1取得モジュールは、前記配線計画情報における各前記配線点の位置情報をトラバースし、n個の前記配線点の位置情報を取得するように構成され、
ここで、n個の前記配線点の屈曲方向は同じであり、n個の前記配線点のうちの任意の2つの隣接配線点の位置情報は指定条件を満たす。
【0015】
1つの可能な実現形態では、前記指定条件は、
前記任意の2つの隣接配線点の横座標の差は第1差閾値より小さく、前記任意の2つの隣接配線点の縦座標の差は第2差閾値より小さいことを含む。
【0016】
1つの可能な実現形態では、前記経路生成モジュールは、
第1配線点の屈曲開始位置、前記第1配線点の屈曲半径及び前記第1配線点に対応する目標配線点の位置情報に基づいて、前記第1配線点の屈曲角度を取得し、前記第1配線点は、少なくとも1つの配線点のうちのいずれか1つであり、
第1配線点の屈曲開始位置、前記第1配線点の屈曲半径及び前記第1配線点の屈曲角度に基づいて、前記第1配線点の配線経路を生成するように構成される。
【0017】
さらに、チップ製品を提供し、前記チップ製品は少なくとも1つの配線点を含み、
前記少なくとも1つの配線点はそれぞれの配線経路において屈曲開始位置と屈曲半径を有し、前記配線経路は前記屈曲位置から、前記屈曲半径で屈曲する。
【0018】
さらに、コンピュータ機器を提供し、前記コンピュータ機器はプロセッサとメモリとを含み、前記メモリに少なくとも1つのコンピュータ命令が記憶され、前記少なくとも1つのコンピュータ命令は前記プロセッサによってロード及び実行されて、上記の回路レイアウトの配線方法を実現する。
【0019】
また、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、前記コンピュータ可読記憶媒体に少なくとも1つのコンピュータ命令が記憶され、前記少なくとも1つのコンピュータ命令はプロセッサによってロード及び実行されて、上記の回路レイアウトの配線方法を実現する。
【0020】
また、コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムを提供し、該コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムはコンピュータ命令を含み、該コンピュータ命令はコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体から該コンピュータ命令を読み取り、プロセッサは、該コンピュータ命令を実行して、該コンピュータ機器に上記の回路レイアウトの配線方法を実行させる。
【0021】
本出願の実施例によって提供される技術案は、少なくとも以下の有益な効果を含む。
【0022】
少なくとも1つの配線点の位置情報により、上記の配線点の屈曲開始の屈曲初期位置、及び屈曲曲率に対応する屈曲半径を取得し、得られた屈曲初期位置及び屈曲半径に基づいて配線経路の屈曲を制御し、それによって自動配線過程において配線経路の屈曲曲率に対する制御を実現し、自動配線アルゴリズムが屈曲曲率に要求があるチップの自動配線に適用できるようにし、それによって自動配線アルゴリズムの適用シーンを広げる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本出願の実施例による超伝導量子チップの適用シーンの模式図である。
【
図2】本出願に係るクラシックな自動配線の模式図である。
【
図4】本出願の実施例による回路レイアウトの配線方法のフローチャートである。
【
図6】本出願に係る空港によりCPW配線をシミュレートする模式図である。
【
図7】本出願の実施例による回路レイアウトの配線方法のフローチャートである。
【
図8】
図7に示す実施例に係る配線点の並べ替え模式図である。
【
図9】
図7に示す実施例に係るoffset設定の模式図である。
【
図10】
図7に示す実施例に係る屈曲半径の模式図である。
【
図11】
図7に示す実施例に係る配線経路の模式図である。
【
図12】
図7に示す実施例に係る自動配線アルゴリズムの処理フロー図である。
【
図13】本出願の実施例に係るチップ製品の配線経路の模式図である。
【
図14】本出願の実施例による回路レイアウトの配線装置の構造的ブロック図である。
【
図15】本出願の実施例によるコンピュータ機器の構造的模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願の実施例を紹介及び説明する前に、まず本出願に係るいくつかの名詞に対して解釈及び説明を行う。
【0025】
1)超伝導量子チップ(superconducting quantum chip):超伝導量子コンピュータのCPUである。量子コンピュータは量子力学の原理を利用して計算を行う機器である。量子力学の重ね合わせと量子もつれに基づいて、量子コンピュータは比較的強い並行処理能力を持ち、クラシックなコンピュータにおけるいくつかの計算困難の問題を解決することができる。超伝導量子ビットのゼロ抵抗特性及び集積回路に似ている製造プロセスにより、超伝導量子ビットを利用して構築された量子計算体系は、現在最も実用的な量子計算を実現することが期待される体系の1つである。
【0026】
図1を参照すると、本出願の実施例による超伝導量子チップの適用シーンの模式図を示す。
図1に示すように、該適用シーンは、超伝導量子計算プラットフォームであってもよく、該適用シーンは、量子計算デバイス11、希釈冷凍器12、制御機器13、及びコンピュータ14を含む。
【0027】
量子計算デバイス11は物理量子ビットに作用する回路であり、量子計算デバイス11は、絶対零度付近にある超伝導量子チップのような量子チップとして実現され得る。希釈冷凍器12は、超伝導量子チップに絶対零度の環境を提供するために使用される。
【0028】
制御機器13は量子計算デバイス11を制御するために使用され、コンピュータ14は制御機器13を制御するために使用される。例えば、コーディング済みの量子プログラムは、コンピュータ14内のソフトウェアを介して命令にコンパイルされ、制御機器13(例えば、電子/マイクロ波制御システム)に送信され、制御機器13は、上記の命令を電子/マイクロ波制御信号に変換して希釈冷凍器12に入力し、10mK未満の温度にある超伝導量子ビットを制御する。読み取りの過程はそれと逆であり、読み取り波形は量子計算デバイス11に伝送される。
【0029】
2)電子設計自動化(EDA:Electronic Design Automation):電子分野の設計方式であり、コンピュータソフトウェア(補助設計ソフトウェア)を使用して電子分野内の設計作業を遂行し、設計の自動化を実現することを指す。集積回路チップの機能設計、機能検証、レイアウティング、配線などのプロセスを含む。このようなプロセスで使用されるソフトウェアツールをEDAツールと総称する。
【0030】
3)自動配線(automatic routing):ソフトウェアを使用して、回路、チップ設計における線路の配置を自動的に遂行し、コンポーネント同士を規則と要求に従って接続し、大規模、超大規模な集積回路設計に使用されることが多く、そのうちの一環であり、通常はレイアウティングが完成した後に行う。
【0031】
4)レイアウト(layout):回路レイアウトとも呼ばれ、回路内のコンポーネントがどのようにレイアウティング、配置、及び接続されるかを説明する設計図であり、実際の回路物理的状況の平面幾何形状に関する記述である。レイアウトの設計は製造プロセス、タイミング、面積、消費電力などの制約条件を遵守しなければならない。レイアウト設計ファイルは、チップ上の各ハードウェアユニットの形状、面積、及び位置情報を含む。
【0032】
5)コンポーネント(component):素子とデバイスの総称であり、回路における電子部品と構成要素、例えば抵抗、コンデンサ、インダクタンスなどである。
【0033】
6)コプレーナ導波路(CPW:Coplanar Waveguide):基板上の中央導体とその両側のコプレーナ接地層を含み、性能が優れ、加工が便利なマイクロ波平面伝送線であり、マイクロ波信号を伝送するために使用される。超伝導量子チップに大量のコプレーナ導波路技術が使用される。
【0034】
7)曲率半径(radius of curvature):曲率半径は曲率の逆数であり、Rで表される。曲線について、曲率半径は該点に最も近い曲線の円弧半径に等しい。
【0035】
8)トポロジー(topology):トポロジー空間を研究する学科であり、幾何学と集合論から発展してきて、主に幾何学図形又は空間が連続的に変形しても不変を維持する性質を研究し、空間、次元及び変換などを含む概念を研究し、トポロジーにおいて形状の大きさではなく物体間の位置関係だけを考慮する。トポロジー配線は、トポロジー構造、トポロジーネットワークに基づいて行われる配線方式である。
【0036】
9)パッド(pad):パッドは回路基板に存在し、電子コンポーネント及び線路を接続するための位置であり、通常、パッド上ではんだを用いてコンポーネントのピンを回路基板にはんだ付けして固定する。クラシックな回路では、パッドは通常多角形の銅板であるが、超伝導量子チップでは、パッドの形状と構造が異なる。
【0037】
クラシックな自動配線は、幾何学の形式で単線レイアウティングを行う。
図2を参照すると、本出願に係るクラシックな自動配線の模式図を示す。例えば、クラシックな自動配線におけるメッシュ配線は、碁盤式の格子を採用して配線領域全体を覆い、
図2における(a)部分に示すように、レイアウト上のコンポーネントは、碁石のようにメッシュに置かれ、配線は横縦方向における一直線のメッシュ線に沿って行われる。クラシックな自動配線における形状配線は、メッシュ配線から改良されてきて、
図2における(b)部分に示すように、メッシュの代わりに矩形などの図形を利用して、配線領域をいくつかの矩形領域に分割し、配線経路が経過する矩形を順次に通り抜けるようにすることを特徴とする。これらの幾何学的配線アルゴリズムは、すべて補助的な位置決め機能が必要であり、コンポーネントの幾何学的座標と幾何学的特性を利用して配線経路を決定する。
【0038】
一方、上記のクラシックな配線手段はシーケンシング式であり、1つずつ配線する必要があり、これにより配線過程の後期に難度が高くなり、配線効率が低下し、線路が長くなる恐れがある。現在の回路設計はますます複雑になるため、メッシュ、幾何学的図形方法に基づく自動配線ツールはますます制限される。もう一方、クラシックな自動配線アルゴリズムは、小曲率で屈曲する必要であるチップ(例えば量子チップ、具体的に超伝導量子チップ)の設計要求の物理的特性を考慮しておらず、その配線アルゴリズムは、このようなレイアウトがより複雑なチップに応対する場合、屈曲半径が設計要求に合致しない線路を生成する可能性があり、チップ線路の曲率半径に対してカスタムの拡張を行うことができない。
【0039】
超伝導量子チップを例として、量子チップにおける物理量子ビット数が多くなると、それに対応するビット制御及び読み取りなどの信号線数も多くなる。チップサイズ及びレイアウト空間の制限により、一部の領域では信号線の配置が密である状況が現われる。超伝導量子チップにおいて、信号線は一般的にコプレーナ導波路(CPW:Coplanar Waveguide)を用いて実現されるが、
図3を参照すると、本出願に係るCPW線路の模式図を示し、CPW線路の構造は、
図3における(a)部分に示すように、基板上の中心導体と両側の接地線からなり、中心導体と接地線はいずれも金属薄膜で形成されるため、マイクロ波がそのなかで伝播する場合、電界が空気、基板及び金属層に分布する。CPWは、クラシックなチップにおける信号線とは異なり、
図3における(b)部分に示すように、その経路が大きく湾曲する場合、それによる電位差は、回路において寄生モードが生じ、しかもCPWモードと結合し、回路の伝送特性に大きな影響を与える。したがって、クラシックなEDAの配線アルゴリズム及び規則は、超伝導量子チップの自動配線に直接適用することはできない。
【0040】
上記の問題については、
図4を参照すると、本出願の実施例による回路レイアウトの配線方法のフローチャートを示す。該方法の各ステップの実行主体はコンピュータ機器であってもよい。該方法は、以下のいくつかのステップを含むことができる。
【0041】
ステップ41において、回路レイアウトの配線計画情報から回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得する。
【0042】
オプションとして、配線点は回路レイアウトにおける配線経路の端点、又は、配線点は回路レイアウトにおける配線経路の経過するノードである。
【0043】
ここで、上記の配線点は、回路レイアウトにおけるコンポーネント又ははんだ接合点のピンのノードであってもよく、又は、配線点は、コンポーネント又ははんだ接合点のピンの延長線のノードであってもよい。2つの配線点の間に配線経路を設定することができる。
【0044】
ステップ42において、位置情報に基づいて、少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算する。
【0045】
ここで、上記の屈曲半径とは、配線経路の屈曲により形成される円弧が所在する円形の半径を指すことができる。
【0046】
いくつかの実施例では、配線点が所在する位置を起点として、配線点の配線延在方向に補助枠を設定し、補助枠はU字型枠であり、補助枠の開口方向は配線点における配線延在方向と同じであり、補助枠の中心は配線点からの延長線に位置し、補助枠の中心と配線点との間の接続線の中点を屈曲開始位置とし、補助枠の辺長を屈曲半径とする。
【0047】
通常、一対の配線点同士は、横線又は縦線を介して直接接続できない可能性があり、又は、一対の配線点間に他のコンポーネント又ははんだ接合点が存在する可能性があり、これにより、一対の配線点間の配線経路は、1回又は複数回の屈曲を経る必要がある。本出願の実施例では、少なくとも1つの配線点の位置に基づいて、該配線点が後続の配線経路における屈曲の開始位置と、屈曲半径とを決定することができ、それによって後続の配線経路の屈曲領域を制御することができるようになる。
【0048】
ステップ43において、屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成し、配線経路は、屈曲開始位置において屈曲半径で屈曲を開始する。
【0049】
少なくとも1つの配線点の各配線点は、いずれも1本の配線経路に対応し、例えば、n個の配線点がある場合、n本の配線経路を生成することができる。
【0050】
いくつかの実施例では、後続の配線経路上の少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を決定した後、配線点の後ろの後続の配線経路は屈曲開始位置に延在した後、屈曲半径で屈曲を開始し、それによって少なくとも1つの配線点のそれぞれの配線経路を得る。以上の記載から分かるように、本出願の実施例に示す解決策は、少なくとも1つの配線点の位置情報により、上記の配線点の屈曲開始の屈曲初期位置、及び屈曲曲率に対応する屈曲半径を取得し、得られた屈曲初期位置及び屈曲半径に基づいて配線経路の屈曲を制御し、それによって自動配線過程において配線経路の屈曲曲率に対する制御を実現し、自動配線アルゴリズムが屈曲曲率に要求があるチップの自動配線に適用できるようにし、それによって自動配線アルゴリズムの適用シーンを広げる。
【0051】
上記の
図4に示す解決策に基づいて、自動配線ソフトウェア/ツールは、配線計画情報における各配線点の位置情報をトラバースすることで、回路レイアウトにおける配線点の密集領域を決定し、密集領域における配線点の配線経路における屈曲曲率を制御し、自動配線の計算量を低減させることができる。
【0052】
具体的に、超伝導量子チップでは、レイアウトのサイズ及び空間などの要因の制限により、いくつかの位置で複数組のCPWの線路配置が密である状況が発生する可能性があり、CPWの線路配置が密な領域は密集領域と呼ばれてもよい。
図5に、本出願に係る密集領域の模式図が示されている。
【0053】
本出願に係る実施例によって提供される解決策は、超伝導量子チップパッドとピン接続アルゴリズムに基づいて、U字型枠(「空港」で表される)の位置と滑走路順序の設定を追加し、密集領域の配線曲率が大きいことを抑える目標を達成することができる。
【0054】
具体的に、U字型枠を密集領域におけるCPWの接続線の端点に置き、CPWの屈曲円弧の方向を導くことができる。円弧の半径は、U字型枠の辺長(例えば、U字型枠の辺長の半分)と正の相関であり得るため、実際の需要に応じてU字型枠のサイズを変更することができ、必要な曲率半径が大きいほど、U字型枠のサイズが大きくなる。
【0055】
上記のアルゴリズムは、旅客機が空港滑走路から離陸することでイメージすることができ、
図6を参照すると、本出願に係る空港によりCPW配線をシミュレートする模式図を示す。
図6に示すように、「空港」は実際の配線におけるU字型枠であり、空港内部の「滑走路」は固定のCPW配線経路であり、「旅客機」61は配線行進の頭部であり、滑走路の終点に到着した後、旅客機が離陸して予め設定された円弧経路に従って旋回し、自動配線に対応して小曲率の屈曲を行う。
【0056】
図7を参照すると、本出願の実施例による回路レイアウトの配線方法のフローチャートを示す。該方法の各ステップの実行主体はコンピュータ機器であってもよい。該方法は、以下のいくつかのステップを含むことができる。
【0057】
ステップ701において、回路レイアウトの配線計画情報から回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得する。
【0058】
1つの可能な実現形態では、上記の回路レイアウトは、量子チップの回路レイアウトであってもよく、例えば、超伝導量子チップの回路レイアウトであってもよい。
【0059】
本出願の実施例に示す解決策は、単一の配線点に対して処理を行ってもよく、又は、2つ又は2つ以上の配線点に対して処理を行ってもよい。
【0060】
ここで、2つ又は2つ以上の配線点に対して処理を行う場合、上記の少なくとも1つの配線点の位置情報は、n個の配線点の位置情報を含み、nは2より大きいか又は2に等しく、nは整数である。
【0061】
この場合、いくつかの可能な実現形態では、上記の回路レイアウトの配線計画情報から回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するステップは、
配線計画情報における各配線点の位置情報をトラバースし、n個の配線点の位置情報を取得するステップを含むことができる。
【0062】
ここで、n個の配線点の屈曲方向は同じであり、n個の配線点のうちの任意の2つの隣接配線点の位置情報は指定条件を満たす。
【0063】
いくつかの可能な実現形態では、上記の指定条件は、
任意の2つの隣接配線点の横座標の差は第1差閾値より小さく、任意の2つの隣接配線点の縦座標の差は第2差閾値より小さいことを含む。
【0064】
本出願の実施例では、自動配線ソフトウェア/ツールは、配線計画情報における各配線点の位置情報をトラバースすることで、回路レイアウトにおける配線点の密集領域を決定し、密集領域における配線点の配線経路における屈曲曲率を制御することができる。
【0065】
具体的に、超伝導量子チップでは、レイアウトのサイズ及び空間などの要因の制限により、いくつかの位置で複数組のCPWの線路配置が密である状況が発生する可能性があり、CPWの線路配置の密な領域は密集領域と呼ばれてもよい。
図6に、本出願の実施例に係る密集領域の模式図が示されている。
【0066】
回路レイアウトにおける配線点(terminal)の数がtであり、且つt∈Tと仮定すると、各配線点tiによって生成されたU字型枠をp(ti)と記す。
【0067】
点集合A∈Tであり、即ちAがTの真部分集合であり、且つ∀ti∈Aであり、p(ti)∩p(tk)が非空集合であることを満たすすべてのtkに対して、いずれもtk∈Aであれば、点集合Aは完備であることを言う。
【0068】
tiによって生成された密集領域の点集合A(ti)を、tiを含むTにおける最小完備部分集合として定義する。
【0069】
ある密集領域A内の点の数量をNと記し、同時に∀ti∈A(t)、A(ti)=A(t)であることを観察することができる。
【0070】
点t1、t2について、p(ti)∩p(tk)が非空集合であることを満たすかどうかは、t1、t2の横縦座標差が近隣(neighborhhood)パラメータの2倍未満であるかどうかに基づいて判断され得、即ち、|x1-x2|<2*neighborhhood1、及び、|y1-y2|<2*neighborhhood2に基づいて判断され得る。
【0071】
ここで、上記の2*neighborhhood1は第1差閾値であり、上記の2*neighborhhood2は第2差閾値である。上記のneighborhhood1とneighborhhood2は同じであってもよく、異なってもよい。
【0072】
オプションとして、上記の第1差閾値と第2差閾値とは、異なるパラメータ値に設定されてもよい。
【0073】
配線計画情報における各配線点の位置情報をトラバースする過程において、トラバースで取得される1つの配線点の座標と、前にトラバースで取得されたある配線点の座標とは、横座標の差が第1差閾値より小さく、縦座標の差が第2差閾値より小さいことを満たし、且つ両者の屈曲方向が同じである場合、現在トラバースで取得される配線点を、前にトラバースで取得された配線点に対応する点集合に追加し、上記の方式により、配線計画情報から1つ又は複数の点集合をトラバースして得ることができ、即ち1つ又は複数の密集領域に対応し、その後、任意の1つの点集合における配線点を、上記の少なくとも1つの配線点として取得し、少なくとも1つの配線点の位置情報を得ることができる。
【0074】
例えば、上述の
図5における最下組の配線CPW線路を参照すると、そのうち、4本のCPW線路は2組に分けられ、上の2本のCPW線路は下の2本のCPW線路と屈曲方向が異なり、対応して、コンピュータ機器はこの4本のCPW線路を2つの独立した密集領域(即ち、上の2本のCPW線路は1つの密集領域を構成し、下の2本のCPW線路は別の密集領域を構成する)に分け、それぞれ後続の処理を行うことができる。
【0075】
ここで、上記の屈曲方向は、配線点と該配線点の配線経路の終点との位置関係によって決定され得る。
【0076】
ここで、上記の屈曲方向とは、現在の配線点の延在方向に垂直な方向を指し、例えば、現在の配線点の延在方向が前向きであることを例として、上記の屈曲方向は左向き又は右向きであってもよい。
【0077】
ステップ702において、位置情報に基づいて、少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算する。
【0078】
1つの可能な実現形態では、少なくとも1つの配線点がn個の配線点を含み、nが2より大きいか又は2に等しく、nが整数である場合、上記の少なくとも1つの配線点の位置情報に基づいて、少なくとも1つの配線点のそれぞれの屈曲開始位置及び屈曲半径を取得するステップは、以下のステップを含むことができる。
【0079】
S702aにおいて、n個の配線点の配列次序を取得する。
【0080】
配線が密集領域に入った後、通常、複数対のCPWが屈曲し、すべてのCPWがスムーズに屈曲でき、互いに干渉しないようにするために、どの対のCPWが最も早く屈曲するかを決定する必要があり、本出願では「旅客機」の離陸順序を並べ替えることにイメージ的に喩えられ得る。
【0081】
1つの可能な実現形態では、n個の配線点の配線経路の屈曲方向は同じであり、n個の配線点の配列次序を取得するステップは、
n個の配線点の位置を屈曲方向の逆方向に従って並べ替え、n個の配線点の配列次序を取得するステップを含む。
【0082】
本出願の実施例によって提供されるアルゴリズムは、陸上長距離競走種目におけるトラックと運動選手のスタート位置の設置方法を参照することができ、陸上トラックの内側は最も早く屈曲し、且つ屈曲半径が最小であり、内側のコーナーの曲率が大きいため、内側のトラックに位置する選手はスタート時に、より後ろの位置に立つ必要がある。
【0083】
同様に、
図8を参照すると、本出願の実施例に係る配線点の並べ替え模式図を示す。
図8に示すように、CPWが屈曲するときに、内側に位置するCPWも最も早く屈曲すべきであり、且つ屈曲半径が最小であり(ただし設計ニーズを満たす最小半径より小さくならない)、残りの外側に位置するCPW線路に屈曲空間を譲る。このように内から外へ順次並べ替えることで、各CPW対の屈曲次序が決定される。ここで、上記の内から外への並べ替えは、即ち屈曲方向の逆方向の並べ替えである。
【0084】
S702bにおいて、n個の配線点の配列次序、及びn個の配線点の位置情報に基づいて、n個の配線点のそれぞれの補助枠を取得し、n個の配線点のそれぞれの補助枠は互いに重なることがなく、補助枠はU字型枠であり、補助枠の開口方向は配線点における配線延在方向と同じであり、補助枠の中心は配線点からの延長線に位置する。
【0085】
いくつかの実施例では、n個の配線点の回路レイアウトにおける位置情報とn個の配線点の配列次序を決定した後、配列次序に基づいてn個の配線点に対応する補助枠決定順序を決定し、補助枠決定順序に従ってn個の配線点内の各配線点の配線延在方向において順次に補助枠を設定し、n個の配線点のそれぞれの補助枠を得る。
【0086】
n個の配線点のそれぞれの補助枠に基づいて、n個の配線点のそれぞれの屈曲開始位置及び屈曲半径を取得する。
【0087】
いくつかの実施例では、n個の配線点のそれぞれの補助枠に対して、i番目の配線点に対応する補助枠の中心とi番目の配線点との間の接続線の中点を屈曲開始位置とし、補助枠の辺長を屈曲半径とする。iは正の整数である。
【0088】
ここで、配線点の屈曲開始位置は、配線点の補助枠の中心と配線点との間のオフセット量に基づいて得られるものであり、配線点の屈曲半径は、配線点の補助枠の辺長に基づいて得られるものである。
【0089】
1つの可能な実現形態では、n個の配線点のそれぞれのオフセット量は、配列次序に従って逓増する。
【0090】
1つの可能な実現形態では、n個の配線点のそれぞれの補助枠の辺長は、配列次序に従って逓増する。
【0091】
上記の配列次序(上記の空港の旋回順序に対応する)を決定した後、即ち屈曲順序に基づいて、密集領域でCPWが屈曲しようとする処で、屈曲曲率半径を制御するためのU字型枠(空港)を構築することができ、このとき、「空港」がどの位置に置かれるかを考慮する必要がある。
【0092】
現実の生活では、空港は都市の規模、人口密度、地理的位置条件などの要素に基づいて異なる省、異なる都市に点在しており、通常1つの都市に最多1つから2つの空港しかなく、空港と空港の間にも距離が近すぎず、空港間の航路とスケジューリングの衝突を回避する。
【0093】
同様に、配線時に、本出願に係るアルゴリズムは、CPW上のU字型枠間に相互交差、重畳の状況を回避する必要があり、その状況で自動配線にエラーが発生する恐れがあり、同時に、アルゴリズムは、CPWの屈曲時の相互阻害、干渉を回避する必要もある。これに対して、本出願の実施例に示す解決策は、各密集領域におけるU字型枠の密度を的確に制御することができ、距離が近すぎると、屈曲空間が制限されるか又はCPW同士が近すぎることになり、距離が遠すぎると、レイアウト空間の無駄になり、ひいては他の場所の配線に影響を与える。
【0094】
本出願の実施例に示す解決策では、密集領域においてCPW対ごとに対して屈曲前に「空港」が設定され、1つの密集領域に複数のU字型枠が存在し、互いに干渉、阻害しないために、各「空港」の前にoffset(オフセット量)パラメータを設定し、レイアウト空間に問題がない前提で、「空港」の水平距離と離陸順序を制御することができる。
【0095】
例えば、
図9を参照すると、本出願の実施例に係るoffset設定の模式図を示し、
図9に示すように、本出願の実施例に示す解決策は、1つのoffsetパラメータ(即ち、上記のオフセット量)を設定し、空港間の密度を調整するために、それは「空港」の真ん中(U字型枠の中心)と元レイアウトCPWの直線末端の屈曲しようとするところとの間の水平距離のオフセット量である。上記のoffset値は非固定であってもよく、つまり、上記の配列次序に従って、offsetを順次増大させてもよく、隣接配線点のoffsetの差は、開発者又は設計者によって予め設定されてもよく、レイアウト情報に基づいて決定されてもよい。また、レイアウトの異なる位置の密集領域において、周辺環境が異なるため、所要のoffsetも統一されないため、本出願の実施例に示す解決策は、異なる密集領域に対して独立したoffsetをそれぞれ設定することができる。
【0096】
1つの可能な実現形態では、上記のn個の配線点の配列次序、及びn個の配線点の位置情報に基づいて、n個の配線点のそれぞれの補助枠を取得するステップは、
n個の配線点の配列次序、n個の配線点の延在方向におけるコンポーネントの位置情報、及びn個の配線点の位置情報に基づいて、n個の配線点のそれぞれの補助枠を取得するステップを含む。
【0097】
いくつかの実施例では、コンピュータ機器は、n個の配線点の延在方向におけるコンポーネントの位置情報及びn個の配線点の位置情報に基づいてoffset値を決定し、決定されたoffset値に基づいて、補助枠決定順序に従って、n個の配線点における各配線点に対応する補助枠を順次に決定する。
【0098】
例えば、本出願の実施例に示すアルゴリズムは、コンポーネント、障害物との間の距離などを含む密集領域周辺のレイアウト情報に基づいて、可能なoffset値をトラバースし、適切な解を設定して、「空港」間が相互に影響しないか又は重畳しないようにすると同時に、レイアウト空間に対する占有をできるだけ減らすことができる。
【0099】
また、CPWを予め設定された軌跡に従って屈曲させるには、設計ニーズに応じてその曲率半径をそれぞれ設定する必要がある。
【0100】
本出願の実施例に係るアルゴリズムは、U字型枠を利用してCPWの旋回の曲率半径を設定し、屈曲をガイドすることを特徴とする。例えば、CPWの旋回の曲率半径は、U字型枠の辺長の半分に設定されてもよく、屈曲半径を大きくしたい場合、ブロックの辺長を大きくすればよい。
【0101】
CPWの屈曲は、上記の配列次序に従って行われ、
図10を参照すると、本出願の実施例に係る屈曲半径の模式図を示す。
図10に示すように、1つの密集領域における順番が1であるCPWの円弧での屈曲を示し、その曲率半径はR_1である。屈曲経路設定が継続すると、同じ密集領域における順番が後ろの屈曲ほど、設定される曲率半径は、順番が前にあるCPW円弧を回避するように、ますます大きくなることができる。オプションとして、曲率半径の初期値と増幅の選択は、最適解が取得されるまで、数値を自動的にトラバースする(例えば、最低設計要件から増加する)ことによって行われる。
【0102】
又は、上記の曲率半径の初期値と増幅は、開発者又は設計者によって予め設定されてもよい。
【0103】
1つの可能な実現形態では、CPWの旋回の曲率半径をU字型枠の辺長の半分に設定することを例として、コンピュータ機器は、n個の配線点のそれぞれの補助枠を決定するときに、まず、n個の配線点のそれぞれの補助枠の辺長とoffset値を初期辺長と初期offset値とし、次に、n個の配線点の配列順序に従って、予め指定された辺長の増加ステップ長とoffset値の増加ステップ長に従って、各配線点の補助枠の辺長とoffset値を順次決定することで、現在の配線点の補助枠が前の配線点の補助枠と重畳しなく、且つ現在の配線点の補助枠の辺長が前の配線点の補助枠の辺長より大きい。同時に、補助枠のサイズとoffset値を制限し、例えば、補助枠が他のコンポーネントと重畳しないことを制限する。
【0104】
本出願の実施例に示す解決策は、protobufにより「空港」の半径と位置を規定し、ここで、neighborhoodフィールド(neighborhood1とneighborhood2が同じであることを例とする)により空港のサイズを制御し、offsetにより空港の位置を制御し、この2つの値を調整することで本出願の実施例によって提供されるアルゴリズム(「空港」アルゴリズムと呼ぶことができる)を実現することができ、そのコードは、以下に示すとおりであってもよい。
【0105】
message Terminal{
message Coord{
……
doublex=1;
doubley=2;
}
……
Coord coord=1;
……
repeated double thickness=3;
repeated double keepaway=4;
Coord offset=5;
double neighborhood=6;
}
ステップ703において、第1配線点の屈曲開始位置、第1配線点の屈曲半径及び第1配線点に対応する目標配線点の位置情報に基づいて、第1配線点の屈曲角度を取得する。
【0106】
ここで、第1配線点は、少なくとも1つの配線点のうちのいずれか1つである。
【0107】
いくつかの実施例では、コンピュータ機器は、第1配線点の屈曲開始位置を起点とし、第1配線点に対応する目標配線点の位置情報を終点とし、始点と終点の間で第1配線点の屈曲半径で屈曲し、今回の屈曲に対応する屈曲角度を計算して得る。
【0108】
本出願の実施例では、少なくとも1つの配線点の屈曲開始位置及び屈曲半径を決定した後、少なくとも1つの配線点の対応する目標配線点の位置情報を組み合わせて屈曲角度を決定することができ、即ち屈曲開始位置からどのくらいの角度を屈曲するかを決定する必要がある。
【0109】
ステップ704において、第1配線点の屈曲開始位置、第1配線点の屈曲半径及び第1配線点の屈曲角度に基づいて、第1配線点の配線経路を生成する。
【0110】
いくつかの実施例では、コンピュータ機器は、第1配線点の屈曲開始位置を起点とし、第1配線点の屈曲半径及び第1配線点の屈曲角度に基づいて屈曲し、生成された経路を第1配線点の配線経路として決定する。
【0111】
ここで、上記の配線経路を生成することは、配線経路に対応する点集合を生成することを指すことができ、例えば、CPWを例として、上記の配線経路は、CPW点集合として実現することができ、該CPW点集合に該配線経路に配置されたCPW線におけるn個の点を定義するための位置情報が含まれる。
【0112】
オプションとして、配線経路を生成する過程において、コンピュータ機器はさらに、該第1配線点に対応して屈曲箇所における配線の弧線分のパラメータ情報を生成することができ、ここで、上記の弧線分のパラメータ情報は、弧パラメータと円心パラメータとを含み、該弧パラメータは、弧線分に含まれる各点の配列順序を示すために使用されてもよく、上記の円心パラメータは弧線分に対応する円心位置を示すために使用されてもよい。
【0113】
ここで、上記の配線がCPW線である場合、各組のCPW弧線分は、平行であり、且つ弧線を呈する2本の信号伝送線分に対応する。
【0114】
ここで、上記の配線経路は、屈曲位置から、屈曲半径で屈曲する。
【0115】
オプションとして、上記の第1配線点に対応する配線経路は、屈曲開始位置から、屈曲半径に従って上記の屈曲角度を回転した後、上記の屈曲によって形成される円弧が所在する円形の接線方向に沿って前方に延在し、つまり、上記の屈曲角度を計算するときに、配線点の対応する目標配線点を総合的に考慮する必要がある。
【0116】
例えば、目標配線点と屈曲開始位置との間に障害物が存在しないと仮定すると、本出願の実施例に示す解決策により、第1配線点と目標配線点の屈曲開始位置と屈曲半径を同時に計算し、第1配線点と目標配線点のそれぞれが屈曲開始位置でそれぞれの屈曲半径に従って屈曲して形成する円弧が所在する円形をそれぞれ決定することができ、さらに2つの円形間の共通の接線を計算し、該接線方向は、第1配線点と目標配線点のそれぞれが屈曲開始位置でそれぞれの屈曲半径に従って屈曲を開始した後の延在方向と同じであり、該接線と2つの円形との交点を計算した後、第1配線点と目標配線点のそれぞれの屈曲半径を決定することができ、さらに第1配線点と目標配線点のそれぞれの屈曲開始位置と屈曲角度を組み合わせて、第1配線点と目標配線点との間の配線経路を描画することができる。
【0117】
図11を参照すると、本出願の実施例に係る配線経路の模式図を示す。
図11に示すように、本出願の実施例に示す解決策に従って生成された配線経路の屈曲半径1101は、クラシックな自動配線アルゴリズムに従って生成された配線経路の屈曲半径1102に比べて明らかに増大し、曲率半径は明らかに減少する。
【0118】
オプションとして、本出願の実施例に示す解決策によって使用されるアルゴリズムは、密集領域に適用されるだけでなく、その屈曲半径を柔軟に調整する必要があるレイアウト内の任意の配線点にも適用することができる。
【0119】
以上の記載から分かるように、本出願の実施例に示す解決策は、少なくとも1つの配線点の位置情報により、上記配線点の屈曲開始の屈曲初期位置、及び屈曲曲率に対応する屈曲半径を取得し、得られた屈曲初期位置及び屈曲半径に基づいて配線経路の屈曲を制御し、それによって自動配線過程において配線経路の屈曲曲率に対する制御を実現し、自動配線アルゴリズムが屈曲曲率に要求があるチップの自動配線に適用できるようにし、それによって自動配線アルゴリズムの適用シーンを広げる。
【0120】
また、本出願の実施例に示す解決策は、水平及び垂直な配線経路に限らず、複数の配線点を組み合わせてoffsetパラメータと屈曲半径を総合的に考慮することができ、シーケンス式の配線方式により一つ一つ配線する必要がなく、規模の大きいチップ配線において配線難度を低減させ、配線効率を向上させることができる。
【0121】
本出願の実施例に示す解決策では、自動配線アルゴリズムは配線経路の選択と配線方向により多くの寛容性を有し、自動配線を実現すると同時に、密集領域における線路(例えばCPW)の屈曲箇所における曲率半径を自動的に識別して増大させ、チップの開発効率を向上させることができる。
【0122】
トポロジー配線アルゴリズムは回路配線規則に基づいて配線経路を生成することができ、該規則の1つの重要なパラメータはneighborhood(近隣)パラメータであり、通常、レイアウトにおける配線線路間の最小間隔(密集領域)として設定され、これにより線路間距離(線路の重畳、交差を回避する)を保証する前提で、自動配線を行う。しかし、近隣パラメータは通常、固定値であるため、レイアウトの密集領域におけるCPW間隔が小さい場合、密集領域で得られる自動配置のCPW曲率が大きすぎるという問題が存在し、これに対して、上記の
図4又は
図7に示す解決策に基づいて、本出願の実施例に示す解決策は、処理のために新しい自動配線アルゴリズムを導入し、該自動配線アルゴリズムの処理フロー図は、
図12に示すとおりであってもよい。
【0123】
S1201において、配線を開始する。
【0124】
S1202において、密集領域を探して位置決める。
【0125】
例えば、自動配線ツールは、回路レイアウトの配線計画情報における各配線点を横座標/縦座標の小さい順に順次にトラバースし、回路レイアウトにおける配線点の密集領域を探して位置決めることができる。
【0126】
S1203において、密集領域に入るか否かを判断する。
【0127】
具体的に、自動配線ツールが、屈曲方向が同じである少なくとも2つの配線点を見つけ、少なくとも2つの配線点のうちの各隣接する2つの配線点同士の横座標と縦座標の差がいずれも差閾値未満である場合、配線点の密集領域に入ることを決定する。
【0128】
S1204において、離陸順序を編成する。
【0129】
自動配線ツールは、密集領域における少なくとも2つの配線点の屈曲方向の逆方向に基づいて、少なくとも2つの配線点を並べ替え、密集領域における少なくとも2つの配線点の配列順序を得ることができる。
【0130】
S1205において、空港密度を制御する。
【0131】
自動配線ツールは、上記の密集領域における少なくとも2つの配線点の配列順序に従って、上記の密集領域における少なくとも2つの配線点のそれぞれのオフセット量を逓増の方式で設定することができる。
【0132】
S1206において、屈曲経路を予め設定する。
【0133】
自動配線ツールは、上記の密集領域における少なくとも2つの配線点の配列順序に従って、上記の密集領域における少なくとも2つの配線点のそれぞれに対応する屈曲半径を逓増の方式で設定することができ(即ち空港の辺長を設定する)、次に上記の密集領域における少なくとも2つの配線点のそれぞれのオフセット量と屈曲半径に基づいて、少なくとも2つの配線点がそれぞれの屈曲開始位置から屈曲を開始する配線経路を生成し、該配線経路は屈曲後の延在方向において、屈曲位置に形成された円弧が所在する円形に接し、目標配線点に接続することができる。
【0134】
本出願の上記の実施例に示す解決策は、トポロジー配線に基づいて、配線密集領域を識別し、線路(例えばCPW)屈曲箇所における曲率半径をカスタマイズすることができるアルゴリズムを開発し、これにより自動配線を実現するときに密集領域の小曲率屈曲の効果を両立させ、超伝導量子チップの自動配線需要を満たす。上記の解決策は、
1)超伝導量子チップに対するEDA自動配線、
2)配線密集領域を知的に識別すること、
3)配線中に屈曲箇所におけるCPW線路の曲率半径を自動的に調整すること、
4)ユーザが設計要求に基づいて曲率半径パラメータをカスタマイズすることを許可すること、及び
5)高い効率と利便性、という利点を有する。
【0135】
また、本出願の実施例はさらにチップ製品を提供し、該チップ製品は少なくとも1つの配線点を含み、該少なくとも1つの配線点はそれぞれの配線経路において屈曲開始位置と屈曲半径を有し、配線経路は屈曲位置から、屈曲半径で屈曲する。
【0136】
ここで、上記のチップ製品の配線経路は、上記の
図4又は
図7に示す方法に従って取得され得る。
【0137】
図13を参照すると、本出願の実施例に係るチップ製品の配線経路の模式図を示す。
図13に示すように、チップ製品に少なくとも1つの配線点1301と、配線点1301に対応する配線経路1302とが含まれ、ここで、配線経路1302は屈曲位置1303で屈曲を開始し、一定の屈曲半径で屈曲し、円弧状の屈曲区間を形成する。
【0138】
1つの可能な実現形態では、上記の少なくとも1つの配線点はn個の配線点を含み、n個の配線点のそれぞれのオフセット量は配列次序に従って逓増する。
【0139】
図13に示すように、チップ製品における各配線点のオフセット量は、屈曲方向の逆方向に従って順次逓増する。
【0140】
1つの可能な実現形態では、n個の配線点のそれぞれの屈曲半径は配列次序に従って逓増する。
【0141】
図13に示すように、チップ製品における各配線点の屈曲半径は、屈曲方向の逆方向に従って順次逓増する。
【0142】
1つの可能な実現形態では、n個の配線点において、任意の2つの隣接配線点の横座標の差は第1差閾値より小さく、任意の2つの隣接配線点の縦座標の差は第2差閾値より小さい。
【0143】
1つの可能な実現形態では、上記のチップ製品は量子チップであり、例えば超伝導量子チップであってもよい。
【0144】
図14は例示的な実施例による回路レイアウトの配線装置の構造的ブロック図である。該回路レイアウトの配線装置は、
図4又は
図7に示す実施例によって提供される方法における、コンピュータ機器によって実行されるすべて又は一部のステップを実現することができ、該回路レイアウトの配線装置は、
回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するように構成される第1取得モジュール1401と、
位置情報に基づいて、少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するように構成される第2取得モジュール1402と、
屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するように構成される経路生成モジュール1403であって、前記配線経路は、前記屈曲開始位置において前記屈曲半径で屈曲を開始する、経路生成モジュール1403と、を備える。
【0145】
1つの可能な実現形態では、少なくとも1つの配線点はn個の配線点を含み、nが2より大きいか又は2に等しく、nは整数であり、
前記第2取得モジュール1402は、
n個の前記配線点の配列次序を取得し、
n個の前記配線点の配列次序、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得し、n個の前記配線点のそれぞれの前記補助枠は互いに重なることがなく、前記補助枠はU字型枠であり、前記補助枠の開口方向は前記配線点における配線延在方向と同じであり、前記補助枠の中心は前記配線点からの延長線に位置し、
n個の前記配線点のそれぞれの補助枠に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するように構成され、
ここで、前記配線点の屈曲開始位置は、前記配線点の前記補助枠の中心と前記配線点との間のオフセット量に基づいて得られるものであり、前記配線点の屈曲半径は、前記配線点の補助枠の辺長に基づいて得られるものである。
【0146】
1つの可能な実現形態では、n個の前記配線点のそれぞれの前記オフセット量は、前記配列次序に従って逓増する。
【0147】
1つの可能な実現形態では、n個の前記配線点のそれぞれの前記補助枠の辺長は、前記配列次序に従って逓増する。
【0148】
1つの可能な実現形態では、前記第2取得モジュール1402は、n個の前記配線点の配列次序、n個の前記配線点の延在方向におけるコンポーネントの位置情報、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得するように構成される。
【0149】
1つの可能な実現形態では、前記第2取得モジュール1402は、n個の前記配線点の位置を前記屈曲方向の逆方向に従って並べ替え、n個の前記配線点の配列次序を取得するように構成される。
【0150】
1つの可能な実現形態では、前記第1取得モジュール1401は、前記配線計画情報における各前記配線点の位置情報をトラバースし、n個の前記配線点の位置情報を取得するように構成され、
ここで、n個の前記配線点の屈曲方向は同じであり、n個の前記配線点のうちの任意の2つの隣接配線点の位置情報は指定条件を満たす。
【0151】
1つの可能な実現形態では、前記指定条件は、
前記任意の2つの隣接配線点の横座標の差は第1差閾値より小さく、前記任意の2つの隣接配線点の縦座標の差は第2差閾値より小さいことを含む。
【0152】
1つの可能な実現形態では、前記経路生成モジュール1401は、
第1配線点の屈曲開始位置、前記第1配線点の屈曲半径及び前記第1配線点に対応する目標配線点の位置情報に基づいて、前記第1配線点の屈曲角度を取得し、前記第1配線点は、少なくとも1つの配線点のうちのいずれか1つであり、
第1配線点の屈曲開始位置、前記第1配線点の屈曲半径及び前記第1配線点の屈曲角度に基づいて、前記第1配線点の配線経路を生成するように構成される。
【0153】
1つの可能な実現形態では、前記回路レイアウトは超伝導量子チップの回路レイアウトである。
【0154】
以上の記載から分かるように、本出願の実施例に示す解決策は、少なくとも1つの配線点の位置情報により、上記の配線点の屈曲開始の屈曲初期位置、及び屈曲曲率に対応する屈曲半径を取得し、得られた屈曲初期位置及び屈曲半径に基づいて配線経路の屈曲を制御し、それによって自動配線過程において配線経路の屈曲曲率に対する制御を実現し、自動配線アルゴリズムが屈曲曲率に要求があるチップの自動配線に適用できるようにし、それによって自動配線アルゴリズムの適用シーンを広げる。
【0155】
説明すべきこととして、上記の実施例によって提供される装置は、その機能を実現するときに、上記の各機能モジュールの区分のみを例に挙げて説明したが、実際の応用では、上記の機能を必要に応じて異なる機能モジュールによって遂行することができ、即ち機器の内部構造を異なる機能モジュールに分割して、上記で説明された機能の全部又は一部を遂行する。また、上記の実施例で提供される装置及び方法の実施例は同じ概念に属し、その具体的な実現プロセスは方法の実施例を詳細に参照し、ここでは繰り返さない。
【0156】
図15は例示的な実施例によるコンピュータ機器の構造的模式図である。前記コンピュータ機器1500は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)などのプロセッサ1501、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)1502と読み取り専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)1503を含むシステムメモリ1504、及びシステムメモリ1504とプロセッサ1501を接続するシステムバス1505を含む。前記コンピュータ機器1500は、コンピュータ内の各デバイス間の情報伝送を支援する入出力システム1506と、オペレーティングシステム1513、アプリケーションプログラム1514、及び他のプログラムモジュール1515を記憶するための大容量記憶装置1507とをさらに含む。
【0157】
前記大容量記憶装置1507は、システムバス1505に接続された大容量記憶コントローラ(図示せず)を介してプロセッサ1501に接続される。前記大容量記憶装置1507及びそれに関連するコンピュータ可読媒体は、コンピュータ機器1500に不揮発性ストレージを提供する。即ち、前記大容量記憶装置1507は、ハードディスク又はコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM:Compact Disc Read-Only Memory)ドライブなどのコンピュータ可読媒体(図示せず)を含むことができる。
【0158】
一般性を失うことなく、前記コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ機器可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法又は技術によって実現される揮発性及び不揮発性、リムーバブル及びノンリムーバブル媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ又は他のソリッドステート記憶技術、CD-ROM、又はその他の光学ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、又はその他の磁気記憶装置を含む。もちろん、前記コンピュータ記憶媒体が上記のいくつかのものに限定されないことが当業者によって理解され得る。上述したシステムメモリ1504及び大容量記憶装置1507を総称してメモリということができる。
【0159】
コンピュータ機器1500は、前記システムバス1505に接続されたネットワークインターフェースユニット1516を介してインターネット又は他のネットワーク機器に接続され得る。
【0160】
前記メモリは1つ又は1つ以上のコンピュータ命令をさらに含み、前記1つ又は1つ以上のコンピュータ命令はメモリに記憶され、プロセッサ1501は該1つ又は1つ以上のコンピュータ命令を実行することで
図4又は
図7のいずれかに示す方法のステップの全部又は一部を実現する。
【0161】
例示的な実施例では、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体、例えば、コンピュータプログラム(命令)を含むメモリをさらに提供し、上記のプログラム(命令)は、コンピュータ機器のプロセッサによって実行されて本出願の各実施例に示す方法を遂行してもよい。例えば、前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置などであってもよい。
【0162】
例示的な実施例では、コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムをさらに提供し、該コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムはコンピュータ命令を含み、該コンピュータ命令はコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体から該コンピュータ命令を読み取り、プロセッサは、該コンピュータ命令を実行して、該コンピュータ機器に上記の各実施例に示す方法を実行させる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ機器が実行する、回路レイアウトの配線方法であって、
回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づいて、前記少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するステップと、
前記屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、前記少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するステップであって、前記配線経路は、前記屈曲開始位置において前記屈曲半径で屈曲を開始する、ステップと、を含む、回路レイアウトの配線方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの配線点はn個の配線点を含み、nが2より大きいか又は2に等しく、nは整数であり、
前記位置情報に基づいて、前記少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するステップは、
n個の前記配線点の配列次序を取得するステップと、
n個の前記配線点の配列次序、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得するステップであって、n個の前記配線点のそれぞれの前記補助枠は互いに重なることがなく、前記補助枠はU字型枠であり、前記補助枠の開口方向は前記配線点における配線延在方向と同じであり、前記補助枠の中心は前記配線点からの延長線に位置する、ステップと、
n個の前記配線点のそれぞれの補助枠に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するステップと、を含み、
前記配線点の屈曲開始位置は、前記配線点の前記補助枠の中心と前記配線点との間のオフセット量に基づいて得られるものであり、前記配線点の屈曲半径は、前記配線点の補助枠の辺長に基づいて得られるものである、ことを特徴とする
請求項1に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項3】
n個の前記配線点のそれぞれの前記オフセット量は、前記配列次序に従って逓増する、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項4】
n個の前記配線点のそれぞれの前記補助枠の辺長は、前記配列次序に従って逓増する、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項5】
前記n個の前記配線点の配列次序、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得するステップは、
n個の前記配線点の配列次序、n個の前記配線点の延在方向におけるコンポーネントの位置情報、及びn個の前記配線点の位置情報に基づいて、n個の前記配線点のそれぞれの補助枠を取得するステップを含む、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項6】
n個の前記配線点の配線経路の屈曲方向が同じであり、前記n個の前記配線点の配列次序を取得するステップは、
n個の前記配線点の位置を前記屈曲方向の逆方向に従って並べ替え、n個の前記配線点の配列次序を取得するステップを含む、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項7】
前記回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するステップは、
前記配線計画情報における各前記配線点の位置情報をトラバースし、n個の前記配線点の位置情報を取得するステップを含み、
n個の前記配線点の屈曲方向は同じであり、n個の前記配線点のうちの任意の2つの隣接配線点の位置情報は指定条件を満たす、ことを特徴とする
請求項2に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項8】
前記指定条件は、
前記任意の2つの隣接配線点の横座標の差は第1差閾値より小さく、前記任意の2つの隣接配線点の縦座標の差は第2差閾値より小さいことを含む、ことを特徴とする
請求項7に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項9】
前記屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、前記少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するステップは、
第1配線点の屈曲開始位置、前記第1配線点の屈曲半径及び前記第1配線点に対応する目標配線点の位置情報に基づいて、前記第1配線点の屈曲角度を取得するステップであって、前記第1配線点は、前記少なくとも1つの配線点のうちのいずれか1つである、ステップと、
第1配線点の屈曲開始位置、前記第1配線点の屈曲半径及び前記第1配線点の屈曲角度に基づいて、前記第1配線点の配線経路を生成するステップと、を含む、ことを特徴とする
請求項1に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項10】
前記回路レイアウトは超伝導量子チップの回路レイアウトである、ことを特徴とする
請求項1~9のいずれか1項に記載の回路レイアウトの配線方法。
【請求項11】
チップ製品であって、前記チップ製品は少なくとも1つの配線点を含み、
前記少なくとも1つの配線点はそれぞれの配線経路において屈曲開始位置と屈曲半径を有し、前記配線経路は前記屈曲位置から、前記屈曲半径で屈曲する、チップ製品。
【請求項12】
回路レイアウトの配線装置であって、
回路レイアウトの配線計画情報から前記回路レイアウトにおける少なくとも1つの配線点の位置情報を取得するように構成される第1取得モジュールと、
前記位置情報に基づいて、前記少なくとも1つの配線点のそれぞれに対応する屈曲開始位置及び屈曲半径を計算するように構成される第2取得モジュールと、
前記屈曲開始位置及び屈曲半径に基づいて、前記少なくとも1つの配線点を経過する配線経路を生成するように構成される経路生成モジュールであって、前記配線経路は、前記屈曲開始位置において前記屈曲半径で屈曲を開始する、経路生成モジュールと、を備える、回路レイアウトの配線装置。
【請求項13】
コンピュータ機器であって、前記コンピュータ機器はプロセッサとメモリとを含み、前記メモリに少なくとも1つのコンピュータ命令が記憶され、前記少なくとも1つのコンピュータ命令は前記プロセッサによってロード及び実行されて、請求項1~
9のいずれか1項に記載の回路レイアウトの配線方法を実現する、コンピュータ機器。
【請求項14】
コンピュータ機器のプロセッサ
に、請求項1~
9のいずれか1項に記載の回路レイアウトの配線方法を
実行させる、コンピュータプログラ
ム。
【国際調査報告】